仮面ライダーセレナ 第壱拾五話・Drei「小さな私/ディストモード(一発屋)」 |
コレまでの仮面ライダーセレナは! 赤坂鷹音は改造人間であr(ry ***** 「見付けた!」 現在地は町から港へ続く、建物の少ない通り、車は今のところ通っていない。 公園から出て数分、途中でニムブルモードを使ってビルを昇ったり、ストレイトモードで走ったり飛んだりしつつ、目的地に急行した私は、ストレイトモードで町から外れた道路を走っている最中に、上空で羽ばたく人間大の鳥のような物体を発見したのだった。 『マスター、今のマスターのスペックは…』 「分かってる」 そう、ココに来る途中に説明されたのだが、今の私は、力が六割前後に下がり、代わりにスピードが二割り増しらしい。 これはどのモードになっても同じ影響を受けるだろうという話だった。 ついでに、新しいモードが追加されているという話だが、この状態で下手に使い慣れていない能力は使いたくない。 だからこの戦いでは封印しておく予定だ。 「でも、今は目立った行動は取ってないし、まずは呼びかけからだよ。 おーい!!そこの改造人間の人――!!!」 何にせよ、戦わずに済めば何も問題は無い訳で、私は呼びかけを開始した。 『あー、何かデジャブですねぇ』 何かセレナが憂鬱そうに呟いている。 「すいませーん!!少しお話をぉ―――!!!」 反応無し。 「おーい!おぉ――い!!おぉ――――いぃ!!! 聞こえてますかぁ――!!!?」 状況は変わらない。 『まぁ分かってましたよ?私は』 「………」 ああ、そうさ。 どうせシカトされるか聞こえない事は分かっていたさ。 だから最後通告。 「撃ちますよぉー!!!!良いですか―――!!!!?」 ヤッパリ反応はない。 仕方がないので、宣言通りスティンガンを起動、影に照準を合わせる。 「落ちろやぁ――――!!!!」 連射モードにして引き金を引く。 “バババババババババッ!” マズルフラッシュが連続して瞬き、その度に銃弾が上空の影に向かって襲いかかる。 だが――― 「あぁっ!!?」 『何と…』 何とその影は左右に動いて、全ての銃弾を回避してしまったのだ。 「くぬぬぬぬ…!」 『まさか一発も当たらないとは…それにあの動き、明らかに意図的な回避行動でしたね』 「って事は」 『ええ、あっちは此方の声に気付いてますね』 ああ、ヤッパリシカトされてたのか。 そうかそうか、ならば… 「……叩き落とす」 『えぇ?どうやってですか?』 セレナの疑問を無視して右のボックスからオレンジ色のスティックを取り出し、スティンガンに刺し込む。 そしてオレンジ色に輝きながらスティンガンから変化したランスを両手でシッカリ持つと、頭上に掲げ上げて一回転、左手で逆手に持ち替えて右手は支えるように下から添えた。 丁度槍投げのフォームに似ているかも知れない。 『えっと…まさか』 少し引き攣ったようなセレナの声を聞き流し、脚部ローラーの回転数を最大にまで上げる。 そしてその慣性が全身に行き渡った事を感じると、左手を後に振りかぶり――― 「貫けっ!」“ギュオン!” 全身のバネを使って影目掛けてランスをブン投げた。 念のため、掛け声は小さめにしたけど。 腕力は大幅に下がっていた物の、私自身の速度と全身を使ったスローイングが功を奏したのか、ランスは影の進行方向に向かって真っ直ぐ飛んでいった。 我ながら会心の一投だね! 「?…ッ!?く、うおぉっ!!」 そしてランスと影の距離がゼロに成ったように見えた瞬間、影の動きが大きくブレたかと思うと、悲鳴を上げながら地面に真っ逆さまに落ちていた。 「っしゃあ、命☆中!」 それを見て私は思わず喝采を上げながらガッツポーズ。 『(マスター、結構荒んで来たなぁ…)』 「何か言った?」 『…別に』 まぁ気にしてもしゃあ無いので、落下地点にダッシュ。 10秒もしない内に、道路の真ん中で蹲りながら悔しげに呻く影を発見した。 「く…くそ、うぐ…」 その体は部分部分が毛むくじゃらで、腕には皮膜の様な物が張られている。 顔立ちは私に何となくコウモリを連想させた。 「追いついたよ」 『バットファクター…ですかね』 「武器の呼び戻しは出来る?」 『多少エネルギーを消耗しても良いのなら』 「…お願い」 『了解』 セレナが了承の意を示すと、目の前にオレンジ色の棒状の光が現れる。 それを掴むと光が四散して、中から先程ブン投げたランスが出てきた。 「おお、本当に戻って来た」 『正確には構成を一旦放棄して再構築しただけですけどね』 と 「そこのガキ…俺を攻撃したのはお前か!?」 蹲っていた影=バットファクターが勢い良く起き上がり、私達を糾弾してきた。 「あらら、気付かれた」 『あれだけビカビカ光ってれば当然ですよ。 ローラーの稼働音だって出ていましたし』 「光ったのはセレナのせいじゃん」 『マスターが武器を呼び戻せ何て言うから…というかランスをブン投げたのが原因ですよ』 「おい!聞いてるのか」 「安心して!聞いててスルーしてただけだから!」 「余計悪いわ、クソガキ!!コオァッ!!!」 “ゴオッ!” 「うひゃっ!」 怒鳴りながらバットファクターが大口を開けて不可視の何かを放って来た。 それを察知した私は、とっさに体を投げ出すようにして回避する。 あの距離で放たれた衝撃波を、とりわけ瞬発力が高い訳でもないストレイトモードでも何とか回避出来たのは、体が小さくなった影響かも知れない。 「このっ」 “ガンガンガンガゥンッ” 体勢を整える前に、ランスからスティックを引き抜いてスティンガンに戻し、バットファクターに向かって連射する。 「ガアァッ!!!」 “ドウッ!” 「くっ」 “バゴォン!” だが、再度放たれた衝撃波に全弾撃ち落とされ、それどころか撃ち落として尚有り余った衝撃が私を襲った。 ローラーを再起動して無理矢理体を避けると、その直後に私の居た場所の道路が爆砕し、飛び散った破片が装甲表面に当たる。 「まさかあんな攻撃して来るなんて…」 予想外の能力に少し呆気にとられてぼやいた。 「こ、蝙蝠ってあんな生き物だったっけ?」 余り近くで見た事はないけど、そんなアグレッシヴな性質があるなんて聞いた事が無い。 だとしたらこれからは夜道で上空から飛んで来る衝撃波に警戒しなけりゃいかん。 『恐らくは超音波の照射能力を曲解、発展させた物だと推測されます』 なるほど。 「距離を詰めたのは失敗だったかな…」 『至近距離まで接近出来てしまえば話は変わってくるのでしょうけどね』 確かにあの衝撃波は、撃つのに少し“タメ”が有るように見える。 でも、さっきの道路を砕いた様子を見て分かったけど、あの衝撃波はそれなりに威力がある上に結構弾が大きい。 こっちの飛び道具は簡単に撃ち落とされる所か、相殺すら出来ない。 アレをまともに食らって耐えられるのはクラッシュモードだけだろうし、それだって普段ならの話で、パワーの下がっている今の状態じゃ分からない。 オマケに今はダメージで地面にいても、接近に時間を掛ければ再び飛ばれるだろうし、そうなったら再び撃ち落とすのは難しそうだ。 単純速度じゃストレイトモードが一番なんだけど、それじゃ速度が乗る前にインターバルが終わりそうだしそもそも回避に向いてない。 接近に一番向いてそうなのはニムブルモード辺りか。 そう考えた私はダイヤルを回す。 『ニムブルモード』 「よし!」 橙から蒼に装いを変えた私は、スティンガンをレイピアモードに変形させてバットファクターに向かって駆け出した。 * 接近する上で心得ておく事は、とにかく相手の正面に立たずに背後を目指す事。 あの衝撃波は射角が広い上に何となく空気の振動で感じ取るしかないから、ギリギリで回避するなんて芸当は今のニムブルモードでも些かキツイ。 それに紙装甲な上に、踏ん張りの効かないニムブルモードじゃ、一発でも食らったら大ダメージ+距離が開くから、喰らわない事が肝要。 だから、とにかく衝撃波の発射口である口とは、出来るだけ位置をずらして対処する事にしたのだ。 ううむ、自分でも言ってて分かり辛く成ってきた…。 とにかく、背後を取ろう取ろうと言う動きをするという事だ。 「って、私はモノローグで誰に説明してるんだろう…」 『マスターが少し危ない人風味なのは何時もの事ですから、私は気にしませんよ?』 「はは…ありがと、うっ!っと」 さり気なく酷い事を言われた気がしたが、今はそんな事を気にしている余裕はない。 それは、いざ突撃してみたら少し予想外の事態が発生したからだ。 衝撃波の間隔が短すぎて、思うように距離が詰められないのだ。 さっき衝撃波を撃つにはタメが有ると考えたけど、どうもそのタメは威力を考えなければ一呼吸程度にまで縮められるらしかった。 オマケに距離が開いているせいで、衝撃波がこっちまで届いて、それを避けた時には次弾の装填が終わっているという有様。 クロスレンジでの殴り合いなら、その程度のタメでも十分潰す自信は有るのだけれど、この距離で回避と接近を両立させるとなると十分すぎる程の脅威なのだ。 体が軽くなったお陰で何とか対処し切れているのは幸いといった所か。 「くっそう…厄介だなこの野郎め」 『少しずつ距離は縮まって居ますが、先程見えたバットファクターの傷の具合から計算すると、接近しきる前に完治してしまう可能性が高いです』 「それは拙いね… あークロックアップとか欲しいなぁ」 『無い物ねだりしてもしょうがないでしょう。 大体アレは元々敵の持ってた能力に対抗して装備された物ですし』 (それでも出来るなら衝撃波を弾きながら接近出来る手段か、この距離でも有効打を与えられる武器が欲しい所だけど…) 前者には心当たりはある、ストレイトモードの「オーバーチャージ・ストライク(長い)」だ。 障壁を纏って音速を超えた突撃を放つあの技なら、衝撃波を突き抜けて接近出来る……と思う。 でもあの技は後の反動が厳しい上にエネルギーを消費しすぎるから体調が万全でも一発か二発しか撃てない。 小さくなっている今じゃ二発は厳しそうだ。 だから一撃で決める、無理でもダメージは与えたい所だけど、あの技はほぼ一直線にしか突撃出来ないし、急停止も出来ないと来た。 避けられたら逆にピンチ、と言う訳であるね。 後者はどうしようも無い。 唯一のスティンガンはさっき効かなかったばかりな訳だしなぁ…。 結論→打つ手無し(条件付き)。 「はは…参ったね、どうも」 考える程に状況の厳しさが浮き彫りに成ってきた。 残る可能性は追加された新モードだけど、どうにも思い切れない。 (ん?待てよ…) 大きめの衝撃波を避けた時、ふと思い当たる。 よくよく考えてみればスティンガンの弾丸が効かなかった訳じゃ無い。 撃ち落とされて当たらなかっただけだ。 だったら――― 「セレナ…アイツの足首辺りを狙って連射してみるのはどうかな?」 避けながらセレナにトーンを落として聞いてみる。 『……成る程、確かに衝撃波の射線と平行にならないように連射すれば、何発かは当たるかも知れませんね。 それに、今の機動力なら半秒程でも怯ませる事が出来れば、接近は可能です。 今まで思いつかなかったのが不思議な位ですね。 とは言え、それで相手が本当に怯むのか、どの位時間を稼げるのかは未知数ですが』 「それでも他にやり方が思いつかないならやってみるしかないよ」 『…ええ、そうですね』 セレナの賛同も得て、方針が決まった私はスティンガンを再び連射モードにして、斜め下向きに引き金を引いた。 “ガガガガガガガガガッ!” 「うお!?く、カアァッ!!」 「チッ、こんのぉ!」 “ガガガガガガガガガガガガッ!” 殆どの弾丸は撃ち落とされたけど、何発かはバットファクターの足下に着弾する。 だが、それで一瞬面食らわせる事には成功した物の、接近する前に再度衝撃波を撃たれてしまう。 向こうもこっちの狙いに感づいたのか、足を止めるのを止めて、少しだけど動き始めた。 その様子に舌打ちしながらも、私は引き続き引き金を引き続ける。 幸いまだ翼が回復していないのか、飛ばれる事はないようだった。 こうなればもう、後は根比べ運比べだ。 アッチの翼が回復するまでに当たるかどうかのね。 そして… “ガガガガガガガ――ビシュッ” 「ッ!く…」 (やった!) とうとう弾丸の一発がバットファクターの足首に当たって、目論み通り動きが止まる。 衝撃波を止めて崩れるバットファクターの姿に内心で喝采を上げながら、彼我の距離を詰める為、前に踏み出そうとしたその時―― 「ひ、ひえっ」 『「!」』 後から聞こえてきた気の抜けた声に、思わず振り返ってしまう。 そこに居たのは 「な、何なの!?」 自転車に跨りながら私達を見て慌てふためく、公園で私にフリスビーをブチ当ててくれた女の子だった。 「な、何でここに!!?」 何故?なぜ??ナニユエ?Why? 予想GUYにも程がある! 何でさっきまで公園で駄犬と戯れていた子が、こんな所にいるんだ!? 時間的に、自転車を考慮しても私達の直ぐ後に公園を出て追って来なけりゃ計算が合わない。 あの子にそんなストーキングされる理由なんて無い筈だし― 『マスター!前を!!』 「ガアアァァァッ!!!」 「へ?」 混乱したままセレナの叫びに向き直った時には、バットファクターの口から放たれた不可視の空気の塊が私の直ぐ目の前まで迫っていて… 『く…―――!』 「や… “ゴウッ!!バキャアァァァァン…” ……あ」 「っ…きゃあああぁぁぁ!!?」 回避どころかガードする間もなく私の体を吹き飛ばす。 衝撃波がぶつかる直前、セレナの叫びと青い光を感じた気がした。 だけどそれを頭が認識する前に後から来た体を襲う衝撃と浮遊感。 そして何かが砕ける音と誰かの悲鳴に私の意識は埋め尽くされ… ……途切れた。 ……… ……………… ……………………… *** 「…お…………よ!お…て!ねぇ!」 「ん…」 「起きてよ!起きてってば!!」 「――――ぅ…い…ったー」 体を揺すられるのと、耳元に掛けられた声で目が覚める。 そこに居たのは、今の私より少しだけ年上に見える女の子だった。 「良かった!生きてたよ」 「えーと、貴女は……」 「ごめんなさい!私のせいでこんな…」 「ストップストップ!今ちょっと混乱してんの」 「あ、ごめんね」 んー、ちょっと状況が直ぐに思い出せない。 一つずつ整理して行こう。 私はバットファクターと戦っていた。 衝撃波で近寄れなかった。 突破法を思いつく。 実行する。 成功。 さあ近付こう。 後から声が。 思わず振り向く。 その時衝撃波が! \(^o^)/ 気絶 目が覚める←今ココ! 整理完了。 ココから得られる情報は―― (………えーと、つまり私がやられたのは?) 「………」 「あ…あの」 「おォ前が原因かあァァァァァァ!!!!」 「ひいいいぃぃぃ! ゴメンナサイゴメンナサイ反省してますもうしません許して下さいぃぃぃx!!」 思わずキレた私は、目の前の女の子に飛び掛かり、その胸ぐらを掴んでガックンガックン揺すりまくりながら叫んだ。 女の子は涙目になりながら謝っているけど、そんなの知ったこっちゃねぇ! こやつのせいで折角のチャンスがパァだ! 「って!そうだ、こんな事してる場合じゃ…」 「え、どうかしたんですか?」 「ねぇ、私ってどの位気絶してた?」 「え?えーと、一分も経ってないような…」 「……」 思わず手を離して振り向く。 「ひゃん!?」 女の子が尻餅をつくのも無視してバットファクターの方に眼を向けると、ヤツは今にも飛び立とうとしている所だった。 「ハハハハ!貴様達がのんびりお話ししてる間に、羽の修復は済んだぞ。 じゃあな!」 「っ…逃がすか!!」 その足だけでも掴もうと全力で飛び掛かったけど、後一歩という所で逃げられてしまう。 「こなくそっ!」 苦し紛れにスティンガンを撃っても見たが、体勢を崩した状態ではまともに当たらない。 当たりそうな弾丸だけ回避しつつ、悠々と飛翔して行くバットファクターの姿に、私は歯噛みするしかなかった。 「あぁ〜もぉー!」 それによって発生した苛立ちは、当然ながらこの状況を作り出した要因の一つに向けられる。 「何でココに来たの!? しかもあんな最悪のタイミングで! 何?ストーカー?ストーカーか?私の個人情報を集めて悦に入るつもりか!?」 「ちちち違うよぉ!私、貴女が出て行ったトイレでアレを見付けたから…」 女の子は私の剣幕に怯えながらも、近くで横倒しに成っていた自転車の籠の辺りを指さした。 そこに有ったのは… 「私の……カバン?」 「う、うん。 お財布も入ってるみたいだし、無くしたら困るんじゃないかと思って。 それで電話では港の方に行くって聞こえたから…」 とにかく港の方に向かって、偶々あのタイミングで私達に遭遇してしまった…と言う事か。 (何てこった!) 全てを理解した私は、心の中で頭を抱える。 つまりこの状況を作り出した本当の原因は、私がカバンを置いてった事だという訳だ。 「う、うぅぅー……」 「え、大丈夫?」 私は泣いた。 自己嫌悪で泣いた。 声で唸っているだけだが、心の中で泣いた。 「ごめん、私のせいで…」 「えぇ!?」 いきなり掌返して謝りだした私に面食らったのか、女の子が慌てる。 よくよく考えてみれば、カバンの中に封印処理用のリングや、警察に連絡する為の携帯も入っていた訳で、カバン無しじゃ後処理に支障が出まくる事請け合いなのだ。 何時もはアクセラーに入れて持って来るから忘れてた。 『あのーマスター、いい加減バットファクターを追わないと…』 「あ、居たんだ」 『マスターが私を装備しているんだから、普通に居ますよ』 「今までずっと黙ってたから忘れてたよ…」 いきなり聞こえてきた、呆れたようなセレナの声に、少し気まずげに返すと、セレナの方も少し言いにくそうに答えてきた。 『あー、先程少し無理をしたせいで、システムのリカバリーに専念してましたから』 「無理?」 『後で説明します、今はバットファクターを』 「ああ、うん」 セレナに言われて今度こそ、もう大分小さくなったバットファクターに向き直る。 「ねえ、誰と話してるの?」 「少し黙ってて」 「ごめんなさい…」 気を取り直して、再度追跡する為にバックルのダイヤルを回そうとした所で、またセレナが口を挟んできた。 『マスター、恐らく同じ手は通用し難いかと』 「え、じゃあどうすんの?」 『この距離なら……今のマスターの身体的変化を計算に入れても追加されたモードで対応可能です』 「確か射撃戦用のモードだっけ? ……どうしてもしなきゃダメ?」 『現状で最も成功確率の高い手段だと思いますが』 そう言うセレナの回路内では私の知らないデータとかを使った計算がされてるんだろうけど、その内容を想像する事も出来ない私には同意しきれない物が有る。 それに冒頭でも言ったけど、新モードを使った時、異常な状態になっている今の私の体が、どんな反動を受けてしまうか不安で仕方がないのだ。 思い出して欲しい、今まで新しい能力を使う度に何だかんだでぶっ倒れていた事を! まぁ、コレばっかりは、一度経験してみないと分からないし対策も立たないんだけど…。 ……とは言えセレナはこう言う時に嘘はつかないし、新モードを使うのが一番だってのは本当だろう。 普段はアレだが、根は結構真面目だし。 保身と正義感を天秤に掛ける事数瞬、私が下した決断は―― 「仕方がない…か」 『では、表示を参照してください』 「はいよ」 もうお決まりになってきた感が有るバイザーの案内表示に従って、ダイヤルを緑が上に来るようにセット、押し込んだ。 『ディストモード』 アーマー全体が緑色に輝き、そのカタチを変えて行く。 そしてその変化を終えると、光が弾けその中から新たな姿に変貌したアーマーがその姿を現した。 私は自分の新たな姿をザッと見回す。 まず四肢の装甲は一回り大きくなり、やや無骨な形状。 そしてボディの方はパッと見ニムブルモードの色違いのような形で、スッキリとした軽そうなイメージ。 でもってヘッドギアは自分じゃ見えないけど、触って確かめてみた所、さっきまでより少し大きめで、何かアンテナの数が増えていた。 『マスター、武器を』 「あ、わ、分かった!」 もう大体のパターンは分かってきてるので、バイザーの表示も気にせずボックスから緑のスティックを取り出して、それを直ぐ傍に落としていたスティンガンを拾って刺し込んだ。 『トランスフォーム…』 予想通りスティンガンは緑色の光に包まれ、その姿を変え始めた。 「…ん?」 だがそこで少し予想外の事が起きる。 スティンガンの放つ緑色の輝きが、突然赤と蒼の二色に変わったのだ。 右が赤で、左が蒼。 丁度真ん中で二分されたその光はその光度を増して行き―― 『ディストジェミニ』 弾けた光の中から現れたのは赤と蒼の‘二丁の’大型拳銃で、蒼い拳銃は左手に現れたのに対し、赤い方は直ぐ隣の空中に出現する。 当然何の支えもない空間に現れたそれは寂しがりやな地球の重力に引かれ… 「あっ?」“カシャ―――ン” 当然地面に落ちるのだった。 「……」 「……」 『……』 沈黙 後の方で体育座りしている女の子も何か言いたそうだったけど、結局何も言わないで終わる。 『ちゃんと受け止めてくださいよ…』 「もう一丁出てくるだなんて私聞いてない!」 『バイザーには注意書きを表示したはずですが?』 「えぇ!?そ、それは…」 まさかもう慣れたと思っていたからスルーしていただなんて言えるはずもなく、私は少し肩身の狭い思いをしながら、そそくさと赤い銃を拾った。 「で、でさ!これからどうするの?」 『(はぐらかしたな…)一撃で決めましょう。 このモードの必殺技なら、この程度の距離、余裕でカバー出来ます。』 「へぇ」 セレナの言葉に、更に遠ざかっているバットファクターを見る。 素人考えでは既に一キロ前後の距離が開いている気がするのに、コレでも大丈夫とは。 まぁ、狙撃何てした事無い私に、正確な距離や当てやすさが分かるはずもない。 ココは大人しくしたがっておく事にする。 『では、キーを蒼い銃の方に刺し込んでください』 その言葉に従い、右腰にいつの間にか増設されていたホルスターに赤い銃を一旦収め、開いた右手でキーをバックルから蒼銃に刺し換える。 『コネクタ展開』 “カシュッ!”「うわっ!」 軽い音と共に、手に持った銃とホルスターの中の銃の前後が展開して突起や孔が露出してくる。 コレがコネクタなんだろうか。 何時もの変形に比べてかなり小さな変化だ。 『コレを赤が前、蒼が後になるように接続してください』 「了解……えい!」“ガチャン!” 『イグニション』“キイィィィ―――――ン” 指示通りに繋ぐと、繋いだ二丁の銃の全体が蒼く光り出して、スティンガンにスティックを刺し込んだ時のようにその形を変えて行く。 『パターン【クリスタルランチャー】』 そして現れたのは全長150p位の、澄んだ水色をしたビーム砲っぽいモノだった。 見ようによっては大口径のライフルの様に見えなくもない形だ。 それを砲身から生えている二本のグリップを握って、両腕で支える。 『バイパス解放、照準リンク、チャージ開始…マスター、バットファクターに向けて構えてください』 「分かった!」 何だか“ウィンウィン”と音を立ててエネルギーを溜め始めたっぽい水色のビーム砲――セレナ曰く【クリスタルランチャー】――を持ち上げてバットファクターに向けて構える。 『ターゲット補足…今度はバイザーに表示されている二つの十字が重なるようにしてください』 するとバイザーに映るバットファクターに合わせるように漢字の「田」みたいな表示が現れて、そこからずれた所に十字が現れる。 後から出てきた十字は、どうもクリスタルランチャーの動きに合わせて動くらしい。 多分、コレを合わせると照準が合うって事なんだろう。 『ある程度は適当で良いです。 微調整は全行程完了後に此方で出来ますから』 「ん」 セレナの言葉を信じて私は二つのサインを近づけて行く。 『チャージ完了、バレル解放、エネルギー反転開始』 “ブィンブィン”と音を立てていたクリスタルランチャーの先端の砲口から、蒼い光が漏れ出す。 同時に、何だか寒気がしてきた。 「〜〜…ねぇ、セレナ、何だか寒くなってきた」 『まぁ、撃つのはいわゆる「冷凍ビーム」ってヤツですから、その余波が漏れ出してるんですよ』 「はー、つくづくあのアホのテクノロジーは驚異的だねぇ…」 まぁ、変な所で詰めが甘い気はするけど。 『ん…全行程完了、照準を目標の予測進路上に調整しました。 トリガーロックスタンバイ…マスター、照準を』 「おっけー!」 セレナの声と共に、照準のブレが段々治まり、遂に……重なった。 『“ピボッ”トリガーロック解除、撃てます』 セレナのゴーサインを受けて、私は左手側のグリップについていたトリガーに人差し指をかける。 「……っ!」 そして左手の指に力を込め、一気に引き金を引いた。 “ドゥッ!!!” クリスタルランチャーの砲口が爆発的に輝き、内包していた猛威が解放される。 そして解き放たれた輝きに、私達の視界は塗りつぶされた。 *** 「ふぃ〜一時はどうなる事かと思ったが…。 しかしあの白い仮面ライダー、情報より背が低かったが、別人か?」 バットファクターは仮面ライダーセレナと戦っていた場所から一キロ近く離れた所で安堵の息を吐いた。 上からの命令で探索を任された時は、さっさと切り上げて何処かの仮面ライダーに見つかる前に変身を解けばいいと持っていた。 だがまぁ、全く探索しないのもアレなので、適当に飛んでいる内に、飛ぶのが気持ちよくなって来て、時間の経過を忘れかけてしまったのだ。 そんな所を襲撃されて、羽の一部を破壊されて後はご覧の有様と言う訳だ。 途中でやってきた女子に仮面ライダーが気を取られたお陰で時間を稼げた彼は、その間にCCC団に入って教わった傷の修復術で傷の治癒を早めて逃げ出せたのだ。 最も、今現在も完調には程遠い速度しか出せないのだが、さっきの仮面ライダーは空の敵に有効そうな武装は余り持っていない様子。 だから、ココまで離れれば大丈夫だろうとタカを括っていたのだ。 だからバットファクターは気を緩めて、振り向いてみる事にした。 「ハハハッ!ココまで来ればもう安心だな、どれ、アイツは今どんな様子か……な」 だが、振り向いたバットファクターの目に飛び込んできた物は、遙か後方から自分目掛けて伸びて来る青白い光の柱。 「んな!?ぁ、こっなくそおぉぉ!!!」 一瞬呆気に取られそうになるバットファクターだが、身の危険を感じて咄嗟に右方向に全力で飛翔、ギリギリで光の柱の範囲外から逃れる事に成功した。 引き替えに、傷ついた翼で無理矢理回避したせいで、翼がマトモに動かせない状態になってしまったが、この場はこれで良しとしておかなければいけないなと、割り切る。 「は、ハハッ、残念だっ……“バシュッ!”ウェ!?」 だが… 「う、嘘だろ……?」 その光の柱は、バットファクターに命中する前で爆発、何本もの光の矢に分かれて、より広範囲に拡散。 当然その拡散した範囲には、ギリギリで回避したバットファクターの位置も含まれている訳で、オマケに訳で… “ドガガガガガガガガガ―――――!” 「ヒアアァァアァァァ―――――!!!?」 動かない翼で、空中では回避すらまま成らず、バットファクターは全身に光の矢を浴びる事と相成った。 *** 「いったたたた…お尻打った…」 彼方でバットファクターが光の矢を受けている頃、私は道路に座り込んでいた。 『体重と筋力の減少による踏ん張りの変化は計算に入れ損なっていました。 本来なら支えきれるはずだったのですが…』 つまりはクリスタルランチャーをぶっ放した瞬間、私はその衝撃を支えきれずに尻餅をついてしまったのだ。 思わず「うきゃ!?」なんて猿みたいな悲鳴を上げてしまったぜよ、参ったね。 「かっこ悪いなぁ…よっこらせ!」 若干情けない気持ちになりながら、私は立ち上がった。 「えっとー…もう終わった?」 「ん?」 後から掛かる声。 そういやこの子が居たっけ。 「ああ、多分大丈夫だと思う、これから見に行かないと完全には言えないけど」 「そうなんだ…」 「それよりカバン返して貰って良い?」 「あ、ごめんなさい、どうぞ」 何だかすっかり腰が低くなって無いか、この子? ともあれカバンを受け取り中身をさっと確認。 財布の中身も含めて無くなっている物は無さそうだ。 まぁ、何気に私に対して過保護な所があるアホ所長と巻奈さんの手によって、貴重品は直ぐに追跡出来るような仕掛けがされてる気がするけど。 「じゃ、ごめーわくお掛けしました!」 「あ、こちらこそ…」 呆気に取られる女の子を放って、私はストレイトモードに変身、後ろ手を振りながらバットファクターが墜落したであろう地点に急行する。 今回あの子には結構悪い事をしてしまったかも…と移動しながら反省。 私がカバンを忘れたばっかりに、親切心で来てくれたあの子は巻き込まれて、挙げ句原因を作った私は知らなかったとは言え、一方的に怒鳴ってしまった。 まぁ、私達が何をしていたのか、あの距離まで近付いて初めて判ったなんて事は無いだろうから、余計な好奇心を働かせたっぽいあの子に全くの責任が無いとも思わないけどね。 今回は幸いにも被害は出なかったし、次回以降はシッカリ気を付けよう! 少女との距離が離れて行くのを背中で感じながら、そんな事を心に深く誓っていた。 *** “ギュイィィィィィィィィィ――――――――……………” 足のローラーを回転させて失踪して行く仮面ライダーセレナを、見送った少女――那村静璃(なむらしずり)――は、その姿が殆ど見えなくなるまで遠ざかった所で息を吐いた。 「…っふへぇ〜、つ…疲れた」 因みに彼女は中学二年生で、鷹音より学年が一回り下なのだが、彼女は今の鷹音の事を自分より年下だと思っていた。 仕方無いね。 「全く…チャッピーのせいで面倒な目に遭っちゃったよ…。 あの子に、もっと迷惑掛けちゃったし」 鷹音は今回の原因が自分だと思っていたが、彼女にしてみれば自分の愛犬(チャッピー)が原因だったりする。 チャッピーが鷹音にのし掛かったから、彼女達は関わる事になり、そして鷹音は身嗜みの為に慌ててトイレに行く事になり、結果的にカバンを忘れて自分が持って行く羽目になった、彼女の中ではこんな図式が出来ているのだ。 (って、元はと言えばそれも私がフリスビーぶつけたからか……な?) ――反省しなきゃね、と溜息をつきながら自転車を起こす静璃。 (そう言えば結局あの子にお詫び出来なかったな…) それどころか彼女としては、更に詫びる事が増えてしまったと言う心境だ。 また後日何かするべきか、と思った所で自分達がお互いの名前も知らない事に思い当たる。 まぁ、特別な理由も無しに、この現代、初対面の人といきなりプロフィールを交換する事なぞそうそう無い事だし、これも仕方がない事ではある。 かと言ってストーキングでもしよう物なら、余計に迷惑を掛ける事になる。 「…もしまた会えたら、その時何かしてあげよう」 アッチががっついてこなかったのならば、こっちも急がずにまた今度会ったその時に考えればいい。 最終的に貸し借り無しに出来ればいいのだから。 そう決めると、彼女は自転車に跨ってペダルを漕ぎ始める。 (でも、余計な事には首を突っ込まないようにしないとね) 好奇心は猫を殺す。 自分は猫でもなければ粘着質な新聞記者でもない、余計な事に近寄って自分だけじゃなく相手に迷惑を与えるなんて以ての外。 中学生ながらも、そう考える程度の分別は静璃にもあった。 「さーて、我が愛犬(チャッピー)を迎えに行くかな。 干からびてないと良いけど…」 冗談めかすようにそう呟くと、彼女はチャッピーを待たせている公園に向かって、自転車を走らせた。 *** 所変わって走行中の仮面ライダーセレナ(=鷹音+セレナ)サイド 「ねぇ、そう言えばさっき少し無理したって言ってたよね」 走行中、私は黙っていたセレナが再び喋りだしたときのことを思い出していた。 『?…ああ、そう言えばそんな事もありましたね』 セレナはその問いに、少し考えるように沈黙すると、思い出したかのように相槌を打った。 「何でか聞いても良い?」 『その前に、マスター、衝撃波のダメージは?』 「え?…あ、うーん、そう言えばモロに喰らったと思ったのに、起きた時に殆ど痛くなかったっけ」 『ふむ、上手く行っていたようで何よりです』 顔があればホッとしながら微笑んでいる、そんな事を想像させるような声だ。 「へ?上手く?何かしたって事?」 『うーん、別に隠す事でも無いんで、答えます』 少し長いですが、と前置きをしてセレナは話し始める。 『簡単に言えば、衝撃波が命中する寸前、ダメージを緩和する為、装甲を追加で生成したんです』 「ふむ、でもそれじゃセレナが無理した理由にならないよね?」 なるほど、私が気絶する寸前に感じた光は装甲を形成した時ので、砕ける音はその装甲が砕けた音だったという訳だ。 しかしそこらに合点が行っても、そんな機能を使っただけでセレナが無理をすると言う結果が私の中で結びつかない。 『いえ、私が行ったのは、正規の機能ではなく、いわば“チート”の様な物でして…』 「?」 『内容は装甲の修復機能を利用したもう一枚の胸部装甲の生成、つまり身代わり用の装甲をボディに増設し、砕けて貰う事である程度ダメージを肩代わりさせたのです』 「……ん〜分かるような分からないような…。 車とかで敢えて壊れるように作っておく事で搭乗者へのダメージを可能な限り吸収させる感じ?」 『…まぁ、そんな認識で良いでしょう。 で、ココで問題になるのが、本来欠損した装甲を修復する為の機能を、アーマー以外の部分に、しかも欠損してもいないのに使った事なんです』 「ほうほう」 もう、黙って聞くしかない、何て言ったらいいか分からんし、今は走行中、安全第一の為に他に意識を割きにくいし。 『それを実現する為、私は“装甲が破損している”と意図的に誤認しつつ、“修復するべき装甲の形状と空間座標”を無理矢理有り得ない様な設定にしたんです』 「あー、何か結構無茶な事やってるように聞こえてきたんだけど…」 『ええ、無茶も良い所です。 オマケにそれをあの一瞬で行った物ですから、反動でその辺りのプログラムに大規模なエラーが出ましてね、しかも放っておいたら活動その物に支障が出そうだったので、処理能力の殆どを割いて修復していたんです。 まぁ、想定外のタスクを強要した代償なので、一旦システムを切って再起動すればもっと簡単に解消できたのですが、流石に戦闘中にそれはマズイですし。 暴走し掛かって道を外れた車を、止めも引き返しもせずに無理矢理元の道に戻す様な物ですかね』 微妙にニュアンスが違いますが、とセレナは苦笑する。 『だから通常稼働を何とか維持しつつ、リカバリーに当たっていたので、喋る余裕どころか外部の事を認識する余裕だってとてもとても…』 「成る程、確かに止まるのは困るね、だから黙ってたんだ……っと、丁度良いタイミング。 あの白っぽいのがバットファクター、って事で良いのかな?」 『ええ、そのようです。 しかしこのタイミングの良さ、ご都合主義的な物を感じますね』 「いいじゃん、説明をしつつテンポを維持するにはある程度はそう言うのも必要なんだよ」 セレナのぼやきに反論しながら、私はローラーを逆回転、白い塊の数メートル手前で急減速してブレーキを掛けた。 そこから白い塊に慎重に歩いて近付く。 そこに有ったのは―― 「うっわ〜、すっごいカチンコチン…」 翼を広げたバットファクターの姿をした、靄を纏った白い彫像、否、氷像。 結構な高さから落ちたはずなのに、掠り傷程度で、表面が多少溶けかかっている物の、割れるどころかヒビも殆ど入っていない。 恐るべき硬さのようだ。 つーか死んでない、コレ? 『……生命反応有り…熱源反応微弱…ナノマシン稼働反応有り…。 生きては居ますね、熱源反応も有るようですし、気を付けて叩き割れば中身は無事そうです』 成る程、そうと分かればクラッシュモードd 『…………氷と一緒に生皮も剥がれるかも知れませんが』 うひぃ 『まぁ夏ですし、溶けるのも早いんじゃないでしょうか? それに“多少”欠けても直ぐ治りますよ、キメラですし』 「うーむ、そう?」 『ぶっちゃけ殺さずに警察に渡せればどうとでも成りますからね。 最低限の注意を払って居れば良いと思いますよ?』 機械とは思えぬ適当な言葉、コレは成長と言うべきなのか、堕落と言うべきなのか…。 そんな益体もない事を考えながら、私は氷像の表面を軽く叩いてみた。 「“カンカン”ふむ…結構硬そうだね」 『氷の厚さはそれほどでもないのですが、活動を停止したナノマシンがそれを補ってしまっているようですねぇ』 「どうしよう、ヤッパリクラッシュモード?」 『そうですね、それで殴ってある程度ヒビを入れたら、そこにスティンガンを突っ込んで剥がしていきましょう』 「あいさー」 そうして私はバットファクターから氷を剥がす作業を始めたのだった。 *** それから30分程、封印するには首回りだけ氷を剥がせばいいと思いついたり、それじゃあ封印されて弱体化したバットファクターが凍傷に成ってしまうとセレナに突っ込まれたり、バットファクターの中の人の髪の毛が全部抜けてしまったり、股間の氷は放置したりした物の、最終的にはつつがなく作業を終えた私はその場を離れ、今現在は変身を解いてトボトボと町に向かって歩いていた。 「“きゅるるるる〜〜〜〜” あ〜〜〜お腹減ったー!気持ち悪ーい!体いたーい!!」 体力消耗による強烈な空腹、ストレイトモードによる車酔い、クラッシュモードによる筋肉痛、の三重苦。 しかもそのどれもが気絶しそうでしないギリギリのラインなモンだから、私は延々と苦しむ羽目に陥っていたのだ。 どうせなら気絶した方がマシだったかも知れない。 さっきセレナから貰ったメールによると、今回の消費エネルギーは何時もに比べて少なめだったらしい。 しかし、体が縮んで体力の最大値その物が大きく下がっているせいで、それでも酷い反動になってしまうのだとか。 食べ物が手に入りそうな町まではまだ10分くらい掛かりそうだし…もういっそ殺せ! 「ううぅ…元々遊びに出掛けてただけなのに、どうしてこうなるの…?」 『……』 変身中じゃないので周りに人が居ないけどセレナは再びダンマリモード。 まぁ、この状態でコイツの相手をするのは辛いから良いけど。 「ああ…さっきの子に自転車の乗せてって貰えば良かった」 そんなプライドもない事を口走ってしまう位、追い詰められている。 迷惑かけた上、運転手までやらせるなんてどんなだよ!…って感じ? (それにしても…) しかし、まさか目が覚めて早々、戦う羽目になるとは思わなかった。 只でさえ夏休みを無駄に浪費してしまっているのに、この上戦いで更に自由時間が削られるんだとしたら… (おのれCCC団、許せんっ!) 私はそんな少しずれた方面から悪(?)に対する怒りを燃やしていた。 だけどそんな事より今は… 「お腹減ったよぉ…」 “ぐごきゅるるるるぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!” Go to NEXT STAGE→ |
@PF
2009年10月19日(月) 12時44分12秒 公開 ■この作品の著作権は@PFさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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MhhPUO Muchos Gracias for your blog article.Really looking forward to read more. Really Great. | 50点 | Article submission | ■2012-08-07 01:50:43 | 91.201.64.7 |
セーランは 忘れた頃に やってくる (5・7・5 幽霊っぷりが顕著になってきた青嵐昇華です、こんにちわードロロン 漫才的にもテンポ的にも相変わらずいい感じで楽しく拝見させて頂きました ・・・・ただちょっと『もしもし』からのセーランは長さ的に疲れたのだわ(ぉ >鷹音ちゃん 今回はちっこい状態での戦闘ですね ただでさえ体力減り易そうなのにフォームチェンジ乱発はそら体にくるとして お腹減ってるのに怠くて気持ち悪いのは辛いですよねー 食欲あるのに食べられない(あるある) >ディストモード >クリスタルランチャー 冷凍ビームかぁ・・・なんてわかりやすい説明だw 斬ったり殴ったり撃ったりとセレナも色々ありますけど特殊兵器系が入るとさらに彩り鮮やかになったりらじばんだり >事後処理 うん・・・全裸だね(ぉ 毎度ながら花も恥じらうお年頃な鷹音ちゃんになんてことをいいぞもっとy(ry セレナさんがニヤニヤしてる姿が目に浮かぶぜちくしょう!(?) 後遅くなりましたが『朱凰』は以前掲示板にトラブルがあって外伝込みで真ん中辺りがごっそりあぼーんしちゃってまして・・・・すみませんorz 復帰後に『新装版』で全部綴り直そうとか企んでますのでその時にでもいらして下されば幸いです ではでは次回もドロンと伺います |
50点 | 青嵐昇華〜幽霊楽団〜 | ■2009-10-23 17:04:10 | proxy3158.docomo.ne.jp |
こんにちは、感想遅くなって申し訳ございません。 >我ながら改心の一投だね! 運動神経と射撃能力、標的を正確に射抜く動体視力かなり高いのが感じられますね。アクションが躍動感が感じられて伝わってきます。 >「はは…参ったね、どうも」 鷹音さんは闘いながらも戦略をそこまで考えられるとは一見単純明快で突進型にも見えますが、応用力や臨機応変に物事を考えることにかけては尊敬できます。さりげなくセレナもフォローしてくれてるみたいですし、ある意味、最高の相棒のように思えます。 サファイア「必ずと言っていいほど鷹音ちゃんをけなすけどね。これってもしかして信頼しているけど、素直になれないツンデレってやつですかね?セレナちゅわんってきゃわゆいねぇ♪」 トパーズ「機械まで口説いてどうする。セレナさん、思いっきりキツくフってやってもかまわないですんで」 >クリスタルランチャー カッコよすぎて私が泣いた。 この武器、フォーム、最高です!! というか、セレナに出てくるフォームや武器ってカッコよすぎるデザインと攻撃の表現がすごくて見ているたびに楽しくなれます!! 特にバズーカとかランチャーとか大好きなバイオハザード大好きの私にしてみれば、これ、とても気に入りました!! 次回も楽しみにしております!!! |
50点 | 鴎 | ■2009-10-18 23:57:21 | lo66.041.geragera.co.jp |
『レイキ』の感想の借りを返しにきたぜ、兄弟! つきましてはいよいよ『セレナ』が『レイキ』の話数を追い越した件から…… は、まあまた今度で。 >バットファクター戦 お話し合いから二秒でドンパチが既に『セレナ』のテンプレートの様な気もします。 毎度毎度一応ながらも言葉から入る鷹音ちゃんは頑張ってると思います……! でもだからと言って、 >「貫けっ!」“ギュオン!” あかんて……もう刺す目的になっとるて……鷹音ちゃんったらもうすっかり外道プレイが板についてますね。 んでコウモリといったらやっぱり(?)超音波!相手に合わせてちゃんとニムブルモードを選ぶ鷹音ちゃん。 その前に移動の為にストレイトモード共々使うあたり、クウガのドラゴンフォームを思い出しますナ。 だが待って欲しい、ニムブルモードの敏捷性をもってすれば、尻彦さんの「本物の余裕ってやつ」避けが出来るのではないだろかァー!?(できますん) >『ディストモード』 タイトルがひどい件について。 でもま、二挺拳銃って勿論両手がふさがっちゃいますから、ベルトにギミックあると不便デスヨネ。ウチのランスロットの銃もドッキングさせますし。 相変わらず行き当たりばったりな新ギミックに振り回される鷹音ちゃんことセレナですが、もうちょっと戦士の風格というか、熟練の貫禄というか……出ませんよね、わかります。 >その光の柱は、バットファクターに命中する前で爆発、何本もの光の矢に分かれて、より広範囲に拡散。 で、出たー!『カブト』で一番輝いていた頃の乃木さんをどういう理屈か撃墜したハイパーシューティングやー!(違います) しかし敵が近いと色々とプロセスが多くて使い辛そうな技ですけど、超遠距離での防衛戦とかには結構向いているのでは?一発屋には惜しいフォームですたい。 そして毎度毎度負け姿がカワイソーな改造人間の皆様。股間の氷そのままとかおまっ、シモヤケになったらどうするつもりかと!人肌で溶かすことを所望する!!! とまあ、ちょっと久しぶりになっちゃいましたけど感想でござーました。 改めて『レイキ』へのご感想ありがとうございましたー。 へへへこのご縁を大切にしてどうですか兄さん今度『レイキ』と『セレナ』でコラボでもゲヘヘほらレの字が同じ縁もあることですしグヒヒ。 いやまあひだりが近年稀に見る遅筆野郎で人と足並み揃えるのが難しい事この上ないので、ただの妄想☆願望☆大爆走なだけですけど。 最後に、次回の番外編、通りすがりのオリジナルライダーだ、覚えておけ!には期待してます!とだけ言ってさよーなら。 最後の最後に言っておく!我が家の愛犬の名前も……チャッピーだ!!! |
50点 | ひだり | ■2009-10-18 16:23:39 | p3212-ipbfp202takakise.saga.ocn.ne.jp |
うわーははは、ハッサムは強いぞー! かっこいいぞー! あぁスカーフふんか止めてフレアドライブ止めてかえんほうしゃ止めてめざめるパワー(炎)止めてぇー!? >コレまでの仮面ライダーセレナは! 今迄で一番ひどいあらすじだ。 つーかあらすじですらねぇw >「撃ちますよぉー!!!!良いですか―――!!!!?」 なんかシュールだなぁ。 そして相変わらずロリ音ちゃんは状況に合わせてフォームをほいほい変えますねぇ。 うん、これこそ複数フォームの正しいあり方だよ! Wさんもいい感じですしおすし。 >「安心して!聞いててスルーしてただけだから!」 ……なんか、セレナの影響受けてない?(汗 >「あークロックアップとか欲しいなぁ」 てことはロリ音ちゃん、ワームとかカブトたんのこと知ってるんでしょうか? ……知らなきゃこんなこと言わないか。 >\(^o^)/ >気絶 >目が覚める←今ココ! この流れは卑怯だと思う、こんなの見せられたら吹き出すしかないじゃない! >『ディストモード』 射撃専用フォームって活躍の場があんまりないですからねぇ・・・頑張れディストモード超頑張れ。 >(おのれCCC団、許せんっ!) CCC団の仕業かっ! とかいう電波をキャッチしました。(ぉ >「無駄話乙、それより本編やれ」とか「1話限定ライダーとか適当すぎだろJK」と仰る方 ぶっちゃけ好きなように書くのが一番じゃないでしょうかねー? 趣味でやってることですし、男は度胸、なんでも試してみるものさ! ……似たような話を書いてるくせに全然筆が進んでない私が言っても説得力0ですね、わかります。 でわー、こんかいはー、この辺でー。 そろそろ続き書こう。 |
50点 | YP(ポケモソ廃人) | ■2009-10-18 10:47:40 | i118-18-118-1.s11.a028.ap.plala.or.jp |
合計 | 250点 |