| 仮面ライダーバルキリーたん 第37話「Crashing belief」 |
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第37話「Crashing belief」 ―血煙と硝煙にまみれて戦い抜いたことも― ―共に泣いて笑って、時間を共有し合って生きてきたことも― ―あの人が教えてくれた、生きるということに我武者羅に食らいついてきたことも― ―皆あたしにとって忘れられない大切な記憶― ベルフェゴール「はああああああああああっ！！」 勢いよく無数の矢を発射するベルフェゴールレジェンドルガ。 その矢が一発でもメインエンジンに衝突したら高圧電流が流れ込んで計画は断念、すべてが失敗に終わる。 Dバルキリー「くっ・・・！」 デスフォームが空間を思い切り鎌を振りかぶり切り裂くと、緑色の薄い膜のようなものが張り巡らされ、それが弓矢の猛攻をすべて弾き飛ばす！！ 慧（これが、切る対象を選んで切ることが出来る能力！？） Dバルキリー「空間さえも、選んで切ることができる。しかし長い時間は保てません」 ベルフェゴール「くっ、バリア！？でも、いい気にならないでほしいの！！」 弓矢を構えなおしてギリギリと弦を限界まで絞って構える。 その時だ。 ビショップ「覚悟していただきますよ？」 ルーク「たった一人で乗り込んでくるたぁ、いい度胸じゃねぇか。ぶっ飛ばしてやるよ」 クイーン「ごめんね、弱い者いじめとか好きじゃないけど、こっちにも事情というものがごじゃりまして・・・・死んでください、OK、以上」 ビショップとルーク、クイーンがそれぞれ紋章を光輝かせて手をかざすと、3人同時に衝撃波を発射する！！そして、その衝撃に耐えきれず、ベルフェゴールレジェンドルガが壁をぶち破って吹き飛んでいく。 ビショップ「変身！！」 ルーク「変身！」 クイーン「へん・しん♪」 3人がそれぞれワイバーンベルトにデバイスを装填すると、ビショップフォーム、ルークフォーム、クイーンフォームとなってその姿を現すと、ビショップフォームがビショップセイバーを構えて素早く走り出し、一気に間合いを詰めると剣を巧みに操り、次々とボディを切りつけていく！！そして、ルークフォームがハンマーを構えて思い切り振りかぶってベルフェゴールレジェンドルガを打ちすえると、あまりの衝撃にベルフェゴールレジェンドルガの身体を吹き飛ばし、地面に叩きつける！！ ベルフェゴール「きゃああああああああああっ！！」 弓矢が吹き飛び、それが破損しもはや使い物にならなくなっていた。 そして追い打ちをかけるようにクイーンフォームが無数の炎の矢を発射し、それがベルフェゴールレジェンドルガに降り注ぐように襲いかかり、一方的に追い打ちをかけていく。 ベルフェゴール「きゃあああああああああああああっ！！」 そして炎の矢が爆発して吹き飛び、岩山に叩きつけられると、力なく地面に落ちていく。 息も荒く、全身に受けたダメージの量が尋常ではない。 意識が薄れゆく中、それでもベルフェゴールレジェンドルガの瞳に宿る光は消えなかった。 ―あたしは・・・負けるわけにはいかない・・・あたしだって・・・セブンズヘブンなんですから・・・！！― そう誓ったのは、あの人に命を助けてもらって、セブンズヘブンという居場所を与えてくれたあの時から、決めた誓いだから。 かつて、マモンとベルフェゴールが海賊団から焼き討ちにあって数日後、逃げ延びていた自分たちの存在を知った海賊団の残党狩りにあい、追い詰められてとうとう山奥の廃寺にまで逃げ延びてきたのだ。 そこで偶然知り合ったのが、寺の中で雨宿りをしていたルシファーとアスモデウスだった。 彼らとの出会いが、彼女たちの運命を大きく変えたのだった。 ルシファー「しっかしまあ、たった2人相手に数百人で追い込みかよ。ムカつくよな」 話を聞いて、ルシファーは海賊たちの襲撃に恐れるどころか、憤懣とした顔つきで毒を吐く。 マモン「向こうはそれだけ俺たちを恐れているってことさ。この間も、あいつらの出城、俺とカサンドラ（ベルフェゴールの本名）の二人でぶっ潰してやったんだからな」 そういって、妹分を誇らしく言うマモン。 マモン「海賊団に返り咲くなんて未練はねぇよ。でもな、俺は何があっても生き抜いてやる。でなけりゃ、死んだ仲間に申し訳がたたねえ。生きて奴らに目にもの見せてくれるわ」 ルシファー「気にいった！！」 出し抜けに少年が大声を上げたので、マモンとベルフェゴールはぎょっとした。 ルシファー「死んだ仲間の仇討ちってわけだな。そうだ、仲間は大切にしなけりゃいけない」 マモン「・・・は？」 ルシファー「よっしゃあ、それなら俺たちも手ェ貸してやるよ。よかったなぁ、こんなに頼りになる妹分もいて、俺たちまでいれば、何百人いようがこっちのモンだぜ」 一瞬マモンとベルフェゴールは信じられなかった。 というよりも、正気を疑ってしまう。たった4人でどうやって数百人の大軍をどうにかしようというのか。 ルシファー「一番手はカサンドラ、お前が行くんだ。お前の弓さばきはかなりのものらしいじゃねぇか。その後で俺とアスモ、最後は・・・ラピス（マモンの本名）、お前が援護してくれ」 マモン「なっ・・・バカじゃねぇのか、テメェ。この大軍をたった4人でどうやるつもりなんだよっ！！」 ルシファー「このまま逃げ続けるよりはここで一気にケリつけたほうがいいだろ？大丈夫だよ、俺様がいるんだからな、なあ？」 アスモデウス「本当だよねん♪さーってと、久しぶりに暴れますか」 ベルフェゴール「は・・・はい！」 ルシファー「頼むぜ、カサンドラ。お前のその弓矢で、向こうの大砲を吹っ飛ばしてやれ。 あれさえなくなりゃ、あとは俺とアスモで片付けられるからな。頼りにしてるぜっ」 頼りにしている。 その言葉は、ベルフェゴールにとっては何よりも驚きで、そして嬉しい言葉だった。 無垢なのか無知なのかは知らないが、彼女自身、長い間、ハルピュイア一族の生き残りであったが、一族同士の戦乱により彼女を残して全滅してしまったため、彼女はこれまで奴隷としてほかのレジェンドルガたちに暴力をふるわれ、虐げられ、傷つけられ、生きる希望も何もない死んでいるような人生を送ってきていた。 自身の存在さえも否定され続け、鬱屈し、膨れ上がる負の感情。 今にも爆発して、世界中のなにもかもを壊してやりたいと思う凶暴な気持ち。 生きたいなら例え敵に食らいつきでもしなければ生きていけない。 それでも誰かを傷つけたくない、自分が痛みを知っているからこそ、味わい続けてきたからこそ、痛みが与える心の傷とか苦しみとか知ってしまっているから、心の中で常に葛藤し反目しあう感情で頭がいっぱいになっていた。 しかし、目の前の少年が笑顔で行ってくれた時、彼女の中で何かがはじけた。 ―守りたい、この人たちを― ―この人たちとどこまでも一緒に歩いていきたい― ―そのためなら、邪魔する奴は皆、吹き飛ばしてやるっ！！― ―自分を認めてくれた人たちを失わないためにも― ―あたしも、戦う！！！― そして、彼女がすぐれた弓兵として誕生した瞬間であった・・・。 結果は何と、たった4人で海賊団の頭目および全員皆殺しという大勝利を収め、マモンとベルフェゴールはそれぞれ名前を与えられてセブンズヘブンという新しい場所ができた。 そのことがベルフェゴールにとっては何よりも嬉しかった。 荒っぽいが妹思いでいつも何かと気にかけてくれる優しい兄貴分のルシファー。 ちょっとおバカだけど、面倒見がよく、自分を可愛がってくれたアスモデウス。 そして、自分を奴隷市場から拾い上げてくれて、名前と居場所を与えてくれ、厳しくも温かく見守り続け、影となり日向となり助けてきてくれたマモン。 傍から見たら凶暴極まりない外道の集団として恐れられていたが、そこは何処よりも心が落ち着く居場所だった。 だから今、こうして、計画を頓挫させないためにも、必死で抵抗しているのだ。 ―お前が俺を助けてくれたように、弓矢を撃ちまくって背中にまわした仲間を必死に守りぬくお前のスタイルは俺には出来ないやり方だ。お前には誰かを守るための戦いが出来る。俺はそう信じているぜ― ベルフェゴール「負けるもんか・・・・あたしは・・・負けない！！」 ベルフェゴールがよろよろと立ちあがり、弓矢を構えなおす。 ギリギリと弦を絞って一気に解き放つ！！ ベルフェゴール「セブンズヘブンのベルフェゴールを・・・侮るなあああああああああっ！！」 すると矢が巨大な光の玉と化し、地面を焦がし、凄まじい勢いで襲いかかってきた！！ Bワイバーン「くっ！！」 Rワイバーン「あのガキッ！！」 二人が飛びよけるが、それがバリアに阻まれる。しかし、あまりの高圧電流にバリア越しにわずかだが伝わり、デスフォームの全身に激しい激痛が全身をかけめぐる！！ Dバルキリー「何ですって・・！？空間をも超えてくるなんて・・・！」 慧（あの子、勝負に出た・・・！気を抜いたら確実にやられる！！） ベルフェゴール「はああああああああああああああっ！！」 弓矢を次々と発射し、矢が無数に分裂したり、巨大な光の玉になったり、さらに地面に刺さると高圧電流が流れ込み、一気に4人を追い詰めていく！！ Rワイバーン「くそっ、このままじゃ、こっちがやられちまうっ！！」 Bワイバーン「何か、あの子を動かしているものがあるのですね・・・あの必死な目は本物の戦士の目ですよ」 Qワイバーン「慧ちゃん、持ちこたえられるまで時間ないよ！！」 司令室から見ていたエメラルドたちはもはや目の前の戦いを見守るしかすべがなく、それでも必死でデイライトの起動を操作している。 エメラルド「デイライト・・・こっちも最後まで持ちこたえてみせる！！」 トパーズ「慧、皆、あともう少しだ！！」 サファイア「何て熱くて・・・悲しい瞳をしているんだ、あの子は・・・」 ベルフェゴール「あたしは・・・あたしは・・・・・負けるわけにはいかないんだっ！！」 ボロボロになりながらも、矢を放ち、必死で戦う彼女の姿はまさしく戦士のそれである。 自分が守りたい信念を果たすがために、仲間を、居場所を、守るために。 両目に宿した熱い炎がすべてを焦がさんと猛り燃え上っている。 その時だった。 ルーベット「慧殿・・・私、参りますぞっ！！」 慧（ルーベット！？無茶だよ、怪我してるのに！！） ルーベット「・・・・あの者の目は本物の戦士。しかし、私たちにも守りたいものがある。そのために戦うと決意したのならば、あの者の気持ちを汲んで、引導を渡すが礼儀！！」 慧（・・・ルーベット・・・・本気なんだね・・・分かった！！） ルーベットが飛び出し、ベルトを装着するとパスを通した！！ ルーベット「変身！！」 赤い光とともに、矢の猛攻をものともせず突進し、一気に槍を突き出すとベルフェゴールレジェンドルガを吹き飛ばした！！ ベルフェゴール「ぐっ・・！！」 Lバルキリー「その信念・・・・確かに認めた。故に、斬る！！」 リーチの長いランスモードでベルフェゴールレジェンドルガを近づけないようにしながら槍を振り回し、縦横無尽に切り裂いていく。 体を回転させながら槍を振り回し、敵の攻撃を上手くかわすと、隙を突いて柄の部分で突き出し、よろめいたところへ槍の一撃を炸裂させ、そのままの勢いで斬りつけていく！！ ベルフェゴール「ぐっ・・・！！」 Lバルキリー「はあああああああっ！！」 槍の猛攻はもはやとどまることを知らない。 いや、むしろ止めることはできなかった。 彼女の見せる戦士としての「誇り」。しかしこちらにも譲れない「信念」があるのなら。 己の信念を貫き通し、戦いに挑むが流儀。 Lバルキリー「貴女は強い。ここまで強い心の持ち主は・・・慧殿と同じくらいだ。でも、負けるわけにはいかないっ！！」 ベルフェゴール「負けるわけにはいかない・・・貴方も大切なもののために闘っている。そんな貴方と戦えるなら・・・本望です」 Lバルキリー「同感だ！！」 ランスフォームがベルフェゴールレジェンドルガを蹴り飛ばし、パスを通し、赤いエネルギーが全開で出力される！！ Lバルキリー「うおおおおおおおおおおおおおおおっ！！」 やりきれない感情を吹き飛ばすように叫び、Vガッシャーを構えると、連結している部分が紅いオーラエネルギーの糸でつながれているかのようになる。それを一気に投げ放つと、縦横無尽に刃が飛び出し、それがまるでベルフェゴールレジェンドルガを閉じ込めるオリのようになる。 ベルフェゴール「ああああ・・・！」 Lバルキリー「はああああああああああああっ！！」 そして身動きの取れないベルフェゴールレジェンドルガに向かって飛びあがって、渾身の蹴りを繰り出した！！！ 赤い光とともに爆発が起こり、ベルフェゴールレジェンドルガが吹き飛び、首から紫色の宝石が飛び出した。 吹き飛びながら、彼女の体が骨と化していき砂となって消えていく。 ベルフェゴール「姉様・・・兄様・・・・ごめんなさい・・・・」 そして一滴の涙を流し、彼女の体が屍に戻り、砂地に散乱して落ちた。 それを見て、ランスフォームは槍を構えて、しばし彼女の骨を見てやりきれない悲痛な表情をして立ち尽くしていた。 自分の守りたい者のために、最後まで弓矢を構えて戦い抜いた戦士の亡骸。 その姿に、ルーベットは敬意とやりきれない悲痛な思いを感じずにはいられなかった。 慧（ルーベット・・・） ルーベット「セブンズヘブンのベルフェゴール。天晴な生き様、御見それ致しました」 そういって、涙が零れおち、亡骸に落ちて静かに流れ落ちた・・・。 マモン「くそっ、あともう少しだ！！」 マモンがエニグマのコントロールパネルを巧みに操り、いよいよ発射ボタンを押すところまで手掛けていく！！ 同時。 エメラルド「よっしゃあ！！これでOK！！」 ガーネット「発射！！」 ガーネットがボタンを押す！！ その0.2秒後、マモンがボタンを押したが、その時間差が全てを決めた！！ ギガ粒子砲『デイライト』から、最大出力で極太のビームが放出された。 それは発射目前のエニグマめがけて発射され、青い光がエニグマを飲み込んでいく！！ 超高熱の光に飲み込まれ、エニグマの機体が悲鳴をあげ、やがて外壁が溶け落ち、みるみるすべてを焼き尽くし、やがてその影もなくなっていった・・・。 光が消え去った後・・・。 再び青く広がる大空に太陽が差し込み、焦土と化したエニグマがあった場所が真っ黒になっている。 エメラルド「・・・・エニグマ・・・・消滅確認・・・・作戦・・・成功だぁあああああああああああああああっ！！！！」 その言葉に慧が、イマジンたちが、チェックメイト・フォーのメンバーたちが立ち上がって腹の底から大きくほえた。 慧「勝った・・・勝った・・・やったああああああああああああああっ！！」 ルーベット「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ！！」 エメラルド「やったぜぇえええええええええええええええ！！」 トパーズ「間に合ったようだな・・・！」 サファイア「一時はどうなることかと・・・」 ムーン「おっしゃあああああああああああっ！！」 しかしその時だった。 突如空間が歪みだし、いくつもの赤い光が帯びたカオスゲートが・・何と4つも同時に開きだしたのだ！！かつてない巨大なカオスゲートからすべてを飲み込まんと凄まじい勢いで慧やチェックメイト・フォー、そしてキングライナーが吸い込まれていく！！ マラカイト「ど、どうしてっ！？」 アクアマリン「完全に消滅したはずじゃなかったんですか！？」 琥珀「・・・・ああっ！！メインエンジンに矢がっ！？」 琥珀が叫んだ。メインエンジンに一本の矢が刺さっており、出力が90％で止まっていた。ベルフェゴールの執念が空間をも超えてメインエンジンに矢が突き刺さり、その結果、時空の歪みによってカオスゲートを発生させるといった新たなるトラブルといった形で一矢報いたのである。 慧「きゃああああああああああああああああああっ！！」 ルーク「慧ちゃん！！うおおおおおおおおおおおおおっ！！」 ビショップ「きゃあああああああああああああああああっ！」 絶叫と叫びのみを残して、それぞれが赤い光に飲み込まれてやがてゲートが消えていった・・・。 マモン「何だ・・・何があったっていうんだ？」 マモンは目の前で何が起こったのか分らなかった。 青白い光が突如目の前で光りだしたかと思いきや、エニグマが消滅し、その直後、赤い光に慧やキングライナーが飲み込まれ姿かたちを消していたのだから。 智「あらら、失敗しちゃったか」 智がやれやれといったように首を振る。 作戦が失敗に終わったにも関わらず、それほど怒りも感じさせない雰囲気だ。 智「まっ、ゲームはこれからだよね。ベルフェも最後まで使えないクズだったけど、せいぜい盛り上げるぐらいはやってくれたかな？まっ、そのくらいはやってくれないとね。信念とか仲間とかウザいったらありゃしないし。そんなもんじゃ僕のゲームは盛り上がりませんよって」 邪悪な笑みを浮かべて、ベルフェゴールを蔑む智の言葉にマモンの中の何かがキレる音がした。しかしその時、智の言葉にマモンは言葉を失う。表情から血の気が引いて行った。 マモン「ベルフェが・・・・死んだ・・・？嘘だ・・・そんな・・・！！待てよ・・・兄貴たちは・・・ベルフェが飛び出していったからって慌てて連れ戻しに行って・・・」 智「あ、ベルフェに命令したの僕。このままじゃ兄貴たちが大変なことになるよって行ったら血相変えて飛び出して行ったよ。単純というか、バカというか、ああいうのって本当言葉を真に受けて思った通りの行動してくれるから、退屈しないよね。まっ、ああいうのをゲームの駒にはもってこいなんだけどさ」 マモン「何だ・・・と・・・？」 智「ああ、ちなみに、あのカオスゲートはね、エニグマが破壊されて、放出されたエネルギーが時空をゆがめて生み出されたものなの。まあ、生み出されても当然っちゃ当然なんだけどさ。まあ、今頃飲み込まれてどっかの時空で慧たちと戦っているんじゃない？同じ時空に放り出されているだろうしさ」 マモン「テメェ・・・まさか、こうなることを計算していたのかっ！？」 智「うーん、まあ、エニグマで終わったらもったいないなとは思っていたけど、予想がつかない事態が起こるっていうのがゲームの醍醐味じゃん？まあ、ベルフェゴールもやってくれたよねぇ。もっとも、死んじゃったらそれでゲームオーバー、はいサヨウナラって感じなんだけどっ！！きゃははっ、信念とか仲間とか、いちいち余計なこと言っているからこうなるんだってのっ！！バッカみたいっ！！」 ブチッ・・・ 何かが切れる音が聞こえた。そして、マモンの表情が冷たくどす黒い怒りが浮かび上がり、恐ろしい鬼のような形相に変わっていく。 そして、鎌を持つと、素早く振り上げ一気に切りかかる！！ マモン「テメェ・・・許せねぇ・・・・ぶっ殺してやる！！！」 マモンが怒りの咆哮をあげながら突進し、鋭い刃を智に向って振り下ろす！ しかしそれは智が出した杖に塞がれて、攻撃が阻まれる。 智「あのさぁ、僕が君ごときに負けるとでも？なめないでよね」 マモン「何・・・！？」 智「君ごときの頭脳なんてこちとらとっくに知っている知識だっつーの。お子様なんだよって感じ。もういいや、この後はルシファーたちとバルキリーたちのバトルゲームでも楽しむからさあ・・・消えろ」 冷たい声に変わるや否や、スフィンクスレジェンドルガの姿に変わると、杖から紫色の光線が発射され、マモンレジェンドルガが吹き飛ばされた！！ そして、司令室の窓ガラスをぶち破り、やがてその姿が見えなくなるまで吹き飛んでいった・・・・。 スフィンクス「さーてっと、第2ラウンドの始りかなぁ♪うっふっふっふ〜、楽しくなってきたなぁ・・・」 スフォンクスレジェンドルガはまるで新しいゲームを買ってもらった子供のようにはしゃぎながら司令室を立ち去って行った・・・。 吹き飛ばされたマモンがたどり着いたのは、キングライナーがあった場所であった。 そしてそこで、マモンが岩山に盛られた砂山を見て、その眼が大きく見開かれる。 自分が作って渡した妹分の持っていた弓矢・・・。 そして、そこに埋められていたのは・・・・妹分の骨・・・・。 マモンは震える手で骨を抱き上げる。 マモン「嘘だろ・・・？・・・ベルフェ・・・嘘だろ・・・・ベルフェ・・・うう・・・ごめん・・・・俺が・・・・もっと智のヤツに気をつけていたら・・・・あああ・・・うう・・・ヒック・・・・ぐすっ・・・ごめん・・・・ごめんよぉおおおお！！ベルフェエエエエエエエエエエエエエエエエッ！！！！」 涙がとめどなくあふれ出し、悲しみと怒りにまかせてマモンが絶叫する。 妹分の亡骸を抱きしめて、感情のあふれるままに泣き叫ぶ。 マモン「ベルフェ・・・ごめんね・・・・ごめん・・・お前に・・・俺・・・何もしてやれなかった・・・・ごめんね・・・・お前のこと・・・・こんな風に死なせちまった・・・ごめんね・・・・」 すると、彼女の鎧の中から何かが紙切れのようなものが出てきた。 それを開くと、そこには見慣れた文字で何かが書いてあった。 それはベルフェゴールがマモンたちにあてた遺言のようなものだった。 「姉様たちへ この手紙を読んでいるということはあたしはもうこの世にいないということですね。 お姉様たちにはこの手紙であたしが知ってしまったことを智さんには内緒でお伝えいたします。 智さんの目的はゲームと言っていましたが、本当の目的は「ヒュプノス」と呼ばれる封印されているレジェンドルガを蘇らせて自分がレジェンドルガの支配者に、そして世界を自分のものにしようとすることと智さんのコンピューターから見つけてしまったのです。ヒュプノスが蘇ってしまったら、時間どころか、お姉様たちまで命の危機にさらされることになります。あたしたちはまんまと利用されていたんです。ヒュプノスを復活させるための時間稼ぎにすぎないゲームの駒だったんです。もう、智さんとは手を切って、ヒュプノスの封印を阻止してください。 それと・・・マモン姉様へ あたしがこんな形で死んでしまい、お姉様を悲しませてしまっていたとしたら・・本当にごめんなさい。でも、これだけは分かってほしいです。お姉様はいつもあたしに、女の子らしいことしてやれなくてすまない、もっと楽しいこととか美味しいお菓子とか綺麗なお洋服とか準備してやれなくてすまないとかおっしゃっていましたけど、あたしにとっては姉様がそばにいてくれて、いつでも一緒に笑って、泣いて、戦って、皆でお話ししながらお酒を飲む、それの繰り返しの毎日があたしの中でかけがえのない思い出、とても暖かくて優しくて嬉しくて、すごく幸せでした。ルシファーのお兄様やアスモデウスのお姉様、レヴィさん、ベルゼさん、サタンさん、そしてマモンのお姉様からいっぱいいっぱい大切なものをたくさんもらったから・・・あたしは幸せでした。セブンズヘブンのベルフェゴールで本当に良かった。だから、姉様、自分を責めて塞ぎこまないでください。マモン姉様はセブンズヘブンの頭脳、そして、もしかしたら誰かを、世界を守るために強く優しい心を持っているから・・・負けないでください」 最後にと一文があって、マモンが読み上げる。 言葉にならない、嗚咽を上げながら。 「ありがとう・・・世界で一番大好きなお姉ちゃん」 マモンはとめどなく涙があふれ、止まらない。 思いが込められた遺志に、願いに、胸が熱くなって締め付けられる・・・。 その言葉にマモンの胸の内に何かが宿った。 マモン「ベルフェ・・・・・分かったぜ・・・・俺は・・・最後までセブンズヘブンのマモンで・・・お前の・・・ラピスであり続けるからよ・・・・ゆっくり眠ってくれ」 そして涙をぬぐい、鎌を構えて立ち上がるとカオスゲートに顔を向けてその表情には信念が宿ったまっすぐで熱いものが宿っていた。 マモン「智・・・テメェの好き勝手にはさせねぇぜ。バルキリー、チェックメイト・フォー、兄貴たち、たとえテメェらを利用してでも、俺は・・・守ってみせる。あいつが愛したこの時間を・・・・！」 セブンズヘブンの参謀として、そして一人の戦士として、決意を決めた瞬間であった。 続く |
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鴎
2009年12月24日(木) 03時40分44秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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| 追加ですけど、“マモン”と“ベルフェゴール”の本名である『ラピス』と『カサンドラ』ですけど、これって宝石か花の名から取っているようですけど、どうなんですか? それと慧の父親のこともありますが、晶の『両親』ともいうべき人達はどのようになっているのですか?かつて居た“世界”の方で“本当”の『両親』は消えてしまっているのでしょうけど、現在居る“世界”における『両親』的存在の人がいると思うのですが、どうなんですか? |
10点 | 烈 | ■2009-12-24 12:29:51 | 202.242.7.42 |
| こんにちは、メリークリスマスです、『鴎』さん。『烈』です。 そんなわけで、【仮面ライダーバルキリーたん 第37話「Crashing belief」 】の感想を投稿させていただきます。 ……今回の話はなんと言いますか、悲しくも熱くなる感じがする話だった気がします。特に例えとてつもなくくだらない野望を持つ外道（『智』こと“スフィンクスレジェンドルガ”のこと）に利用されていることに気付こうとも、己の強き“信念”を持って多勢に無勢な状況で『バルキリーズ』と『チェックメイト・フォー』の一同に戦いを挑んだ“ベルフェゴール”ことカサンドラさんには、その最後の相手を務めたルーベット同様に強い敬意を評したい気持ちです……。 ……しかし、その“戦士の死に様”を侮辱する言い方をした『智』さん、確実に貴女が例え伝説の“レジェンドルガ”とうたわれるギリシア神話における“死の神タナトス”の双子神である“眠りの神”の名を持つ『ヒュプノス』を蘇らせてその力の恩恵を手に入れてあらゆる“世界”を我が物にしようとも碌な死に方をしないことが確定だと言っておきます……＃ っていうか絶対に“強い意志”を持って戦う慧達にてめえ〜が負けることを予言してやるよ!!＃ それにしても、本当にルーベットこと『バルキリー ランスフォーム（以下LF）』と“ベルフェゴール”ことカサンドラさんのぶつかり合いはすごかった気がします。状況的にはバルキリーLFの方が圧倒していたけど、戦闘の状況とルーベットのやりきれない想いを吹き飛ばすように叫ばずにやっていたら、おそらくどうなっていたかわからない状況になっていたでしょう……。そしてもし、その時に“ルシファー”をはじめとした『セブンへブン』の前線メンバー三人がカサンドラさんの許にたどり着くのが早ければ、おそらく彼女の変わりに“ルシファー”が意地でもバルキリーLFの必殺の蹴りを受け止めていたでしょうね……。 そして、何とか『エニグマ』をギガ粒子砲『デイライト』の時間差によって無事に破壊したと思ったら、カサンドラさんの一矢報いる執念がなしたのか、空間をも超えメインエンジンに一つの矢が突き刺さり、『デイライト』の出力が90％で止まってしまい、その結果、時空の歪みによって四つもの“カオスゲート”を発生させるといった新たなるトラブルといった形を生んでしまったというのには凄まじさを感じます……;それによって『バルキリーズ』と『チェックメイト･フォー』の三人と『キングライナー』、そしてカサンドラさんを連れ戻しに行っていた“ルシファー”、“アスモデウス”、“サタン”の三人も発生してしまった“カオスゲート”に飲み込まれてしまい、どこかの“世界”の“過去”か“未来”に飛ばされてしまったらしいですけど、一体四つある“カオスゲート”のどの“穴”に飲み込まれてしまったのかが気になってきます……。…何気に“アスモデウス”は次元を超えてでも、慧の許に行きそうな気がするのは気のせいでしょうか?っていうか絶対に来るな!!? ……その一方で、唯一“カオスゲート”に飲み込まれず、智に一矢報いようとして『キングライナー』が存在していたところまで吹き飛ばされてしまった“マモン”ことラピスさん。そこで彼女が目にしたカサンドラさんの遺体（…あまり書きたくありませんが実際は遺骨…）を抱き寄せて泣き叫んでいるところを想像するとこちらも悲しい意気持ちになります……。敵とはいえ、何か大切なものを護るために戦う彼女達の“信念”を知っていくごとに、本当にやるせない気持ちが溢れて来ます……。そして、ラピスさんがカサンドラさんの遺骸に残されていた鎧から見つけた遺言が書かれた紙切れから智が考えていることや目的を知り、彼女なりのラピスさんに対しての感謝の気持ちを心に刻み、新たな決意を胸に例え共に戦い抜いた『セブンへブン』の仲間達すらも利用しても大切な妹分が愛した“時間”（せかい）を護ることを誓うところがすごく“心”を熱くされた気がします!!彼女が今後どのような“道”を歩むのかはわかりませんが、意外とどこかで晶と再会をし行動をともしたりするのかもしれませんね。……っていうか、本当に今どこにいるのよ、晶?さっさと戻って来い!他の『チェックメイト･フォー』の三人や慧達が大変な目にあっているんだから!! 今回明かされたラピスさんとカサンドラさんがどのようにして“ルシファー”達と出会い『セブンへブン』を結成する結果を生まれるまでのことですが、“レヴィアタン”や“ベルゼブル”の二人の過去でも辛い感じがする面が多かったけど、彼女やラピスさんの一族も結構辛いイザコザが存在していたようですね……。本当に“ルシファー”の奴って“漢義（おとこぎ）”があるんだなと前回（第36話）の話と今回の話の内容を思い出しながら、しみじみ思いました…。 私が出した感想の返信をしていただいてありがとうございます。今後もどうか頑張って書いていってください!!今後の【仮面ライダーバルキリーたん】の展開を期待しています!! それでは、『メリークリスマス』!!良き聖夜を…。 |
50点 | 烈 | ■2009-12-24 11:13:37 | 202.242.7.42 |
| 合計 | 460点 | |||