仮面ライダーバルキリーたん 第38話 「Guard in permafrost layer」 |
第38話「Guard in permafrost layer」 何処までも深く、何処までも静かで、何処までも暗い。上下や左右の感覚さえもここでは何の意味も持たない。地の底まで続いているような暗く湿った地下道。足音と水が天井から落ちる音だけが響き渡る。やがて、大きく広がった地下洞窟が広がり、そこへ智がやってきた。 智「全くセブンズヘブンの使えないときたら・・・役立たずもいいところだっての」 舌打ちし、セブンズヘブンへの侮蔑をこめた呪詛をはくと、洞窟の奥底にそびえたつものを見上げる。 その先にある、天にも届きそうな巨大な巨躯を持つかろうじて、「人型」ともいえるものには無数のパイプや配線が繋ぎ止められ、生命維持装置のようなものを取り付けられている。無機質な機械音が絶え間なく鳴り響き、まるでそれが巨人の鼓動や呼吸、うなり声のように不気味なものとなって響き渡る。 智「僕の作った最高傑作の人工レジェンドルガ・・・ヒュプノス・・・・こいつの力があれば・・・他のレジェンドルガだろうとファンガイアだろうと、誰も勝てないよ。そして・・・僕が今度こそ・・・今度こそすべての世界の支配者になるんだ・・くくくくくくく・・・・・・あはははははははは!」 彼女は笑った。心の奥から湧き上がる歓喜を笑いという形で吐き出していく。 智「さてと、そろそろ第2ゲームの始まりかなあ?今度の相手は強敵だしなぁ。それに、バルキリーがどんな顔をするのか・・・楽しみだねぇ・・・・あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!まあ、2人には逃げられちゃったけど、主戦力だった4人がいれば結構盛り上がるだろうし、まあ、いいよね。あはははははははははははは!!」 一方・・・。 ゴウゴウ・・・・・。 絶え間なく全身を打ち付けてくる冷たい吹雪が全身の体温を急激に下げていく。 そして視界に広がる光景というと、一面銀世界、雪と氷に閉ざされた雪原が広がっていた。 その雪原の中を、必死で身を潜める場所を探しているのは、サファイアと琥珀であった。 サファイア「・・・・ロクな場所にはたどり着くまいとは思ってたけど、飛ばされた先が寄りによってこんな雪原のド真ん中なんて・・・マジ・・・寒い・・・・寒すぎるって・・・」 琥珀「全く・・洞窟のひとつでもあれば避難出来るんだけどな・・・つーか・・・キッツい展開なんて慣れっこだと思ってたけど、これはねぇだろ、神様よぉ・・・」 ふと、二人が足を止める。 琥珀「そういえばよ・・・ビショップはどうしたんだ?」 サファイア「え?あれ、あそこで立っているよね?」 後ろにはビショップが直立不動のまま、立っていた。 ただ、立っているだけならまだよかったのだが。 琥珀「ずっと立ちっぱなしで動いてないように見えるんだけど」 サファイア「え」 琥珀「ちょっと・・・まさか立ったままポックリなんて器用な展開になっちゃねぇよな」 サファイア「そんな馬鹿な・・・」 二人がビショップの下に駆け寄ると、ビショップの姿を見て、一瞬その動きが止まった。 ビショップの顔は・・・にやにやと半月のように口元を吊り上げ、焦点の合わない両目で遠くを見ながらエヘラエヘラと笑っていたのだ。 うっとりと妖艶な、見る者全てをゾッとさせる満面の笑みを浮かべながら・・・。 ビショップ「うふふ・・・・うふふふ・・・うふふふふふふ・・・(壊)」 (ビショップ妄想) 慧「寒い・・・寒いって・・・・」 慧ちゃん・・・しっかりして下さい。大丈夫ですよ、必ず助けが着ますよ。 それまで・・・私が暖めて差し上げます・・・・・。 慧「・・・ふわ・・・・神代先生・・・あったかぁーい・・・うっふっふっふ・・・しぇんしぇー・・・だーいすき・・・・」 私も・・・慧ちゃんのこと・・・大好きですよ・・・♪ 慧「しぇんしぇー・・・・もーっとぎゅーってしてぇ・・・ふにゃあ・・・・あったかぁい♪もっとくっつこ♪しぇんしぇーともっとぎゅーってしたいよぅ・・・」 ええ・・・私も慧ちゃん・・・・だぁーいしゅき・・・・えへへへ♪ (妄想終了) ビショップ「うふふ・・・慧ちゃん・・・甘えん坊さんですねぇ・・・ええ・・もっともっと抱き合いっこしましょうねぇ・・・うふふ・・・・あはは・・・」 鼻血をボタボタ垂らしながら雪山で慧と遭難し、何やらイチャイチャラブラブ、ベッタベタな欲望をもはやさらけ出すかのように満面の笑みを浮かべているビショップであった。うっとりと妖艶な、見る者全てをゾッとさせる満面の笑みを浮かべながら・・・。 琥珀「・・・・こいつもお前の同類(変態)か」 サファイア「自分がエロエロイチャイチャ、ラブラブチュッチュッするのは好きだけど、他人がやっているところを見るのは・・・引く今日この頃なんだよね」 琥珀「お前もいい機会だから自重せえ。つーか、このままじゃ立ったまま凍り付いて死んじまうだろ」 サファイア「そうだね、こうなったら急いで洞窟とか吹雪をしのげる場所を探して、裸と裸で暖めっ子、大人のエロエロイチャイチャ、ラブラブおしくらまんじゅうタイムに突入だああああああああああっ!あ・・想像しただけでも・・・琥珀とイチャイチャ・・・ビショップさんとチュッチュッ・・・・くはああああああああああああああ(鼻血)」 琥珀「アホか、テメェらはっ!!!!あーーーーーーーーーっ、つーか、まともなヤツ一人もいねぇのかよっ!!!!」 琥珀でなくても頭を抱えたくなるような心境であろう。体温下がりまくって凍死の危機が迫っているというのに、連れは百合趣味のガチ変態二名。しかも凍死の前に鼻血で出血多量で死ぬかもしれないという妄想暴走ブッチギリの展開ときたもんだ。 その時だ。 琥珀「・・・あん?おい、あれ、洞窟じゃねぇのかっ!?」 琥珀が指差す先には、吹雪に閉ざされて見えなかったが、岩山にぽっかりと黒い穴が開いている。間違いなく洞窟であった。 サファイア「琥珀って結構胸大きいよねー・・・えへへへ・・・もっと大きくしてあげようか?わきわき・・・」 ビショップ「慧ちゃーん、先生と生徒の禁断の恋愛って・・・興味ないかしら・・・先生が大人の恋愛を優しく教えてあげますよ・・・・えへへ・・・」 琥珀「・・・・見捨てたろか、このバカ共・・・・・」 フルフルと拳を握り締めて血管が浮き出る。そして、それを狙いを定めて一気に振り下ろした!!!!! 琥珀「目ェ覚ませ、バカタレェエエェエエエエエエエエェエエエエッ!!!!」 ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン!!!!! ビショップ「痛・・・洞窟が見つかって何よりですね・・・」 サファイア「あいたたた・・・・まあここで寒さをしのぐしかないよね」 二人のドタマに放った覚醒のゲンコツ50発ずつ、ズキズキと痛み、真っ赤になった拳を押さえる琥珀に引っ張られて、ようやく洞窟にたどり着いた3人であった。 琥珀「痛い・・・痛すぎる・・・・うう・・・お前ら頭固すぎる・・・・・」 さめざめほろほろと泣きたくなる琥珀だった。 何せ痛いし、ここまで連れてくるのに一気に体力を消費したし、精神力の消耗が半端ではない。 ビショップ「しかしここはいつの時代なのでしょう?」 サファイア「さぁね、Vライナーとも離れちゃったし・・・」 琥珀「とりあえず、携帯している冒険セット使おうぜ」 そういって、取り出したのはエメラルド特製の冒険セット。 (あたしの発明品の中でも結構こだわってみたよっ!!) ポケットに収まるコンパクトケースの中には、超圧縮寝袋、非常食30日分詰め合わせ、どんな環境下でも火がつく焚き火セット、最新機能搭載の超小型通信機、地下水を探し出し、どんな場所でも水を汲み上げ、浄水として浄化する携帯蛇口、怪我・緊急事態時におけるありとあらゆる治療・手当て用の医療セット、警報用の打ち上げ花火などがつめられている自信作であった。 焚き火をつけると、すっかり冷え切っていた身体が温まる。そして、中に入っていたブランデー入り紅茶の入った缶を取り出し、飲み干すとすっかり身体の外側と内側が暖かくなってくる。 ビショップ「ううん・・・生き返った・・・」 琥珀「エメラルドの発明には本当助けられているな」 サファイア「しかしさぁ、どうやって合流しようか?」 琥珀「それなんだよな。電車もねぇし、あいつらがどこの時代に流れ着いたのかも分からないし・・・でも・・・この通信機なら何か分かるかな?」 通信機を操作すると、自分たちが現在流れ着いた時代の数字が浮かび上がる。 「1583年1月9日」 琥珀「結構昔の時代だな・・・」 サファイア「他の皆は?」 琥珀「待ってくれ・・・よしっ、4つに分けて出てきた・・・!!ええっと・・・」 大まかに分けて、現在のメンバーはこんな感じで分かれている。 サファイア・琥珀・ビショップ(1583年1月9日) 慧・エメラルド・マラカイト・ムーン・パール・アクアマリン・ガーネット・ダイヤ (1980年7月18日) トパーズ・クイーン(1632年10月18日) ルーベット・ルーク(1789年4月16日) 琥珀「この時代にいるのか・・・」 サファイア「方法は・・・時の列車を見つけて乗せてもらうとか?」 ビショップ「あの時、確かにキングライナーやVライナー、キバライナーも吸い込まれた・・・可能性はなくはないですね!」 「残念ですが・・・その可能性はありませんよ・・・私に見つかってしまったのですから」 洞窟の奥から凛とした声が聞こえてきた。 振り返ると、そこには、両手に鋭く煌く長い手甲爪を装着した少女がいた。 赤い髪を後ろで縛り上げ、ノースリーブの黒いネックシャツに革のベストとパンツといった動きやすそうな服装には、鍛え抜かれたように引き締まった腕は呼ぶ余分な脂肪が削られている。端正な顔立ちからは中性的な魅力を漂わせており、一見美少年を思わせるようにも見える。 サファイア「セブンズヘブン・・・!」 サタン「セブンズヘブンのサタン・・・と言っておくぜ。覚えなくてもいいけどな。何故なら・・・ここで全員くたばるからよっ!!!!」 一気に髪が逆立ち、粗暴な口調、さらに顔色までもが豹変したかのように凶暴化し、羅刹のように凄まじいものになる。 そして、爪を振りかざし、地面を一気に抉り、さらに素早く飛び掛っていく!! ビショップ「貴方は・・・キングを散々痛めつけてくれた恨みがありましたね」 サタン「へっ、あんなクソガキ、テメェらが思っているほどたいしたヤツじゃねぇよ!!結局は自分が傷つくのが怖いだけの、言い訳や言い分だけは口達者な臆病者だろうがっ!!」 ビショップ「・・・キングを侮辱する発言・・・許せません。変身」 ビショップの表情がこわばり、凛然とした真剣な表情に変わり、瞳に怒りの炎を宿らす。 琥珀「あいつら、知り合いなのかよ・・・?」 サファイア「かなり因縁めいているだろうけどね。でも、一騎打ちなんてシャレたこと、してる時間もおしいんだわ。ケリつけるよ!変身」 琥珀「変身!」 二人がガンフォーム、アサシンフォームに変身するとガンフォームが銃弾を乱射し、アサシンフォームが洞窟内を駆け回り、クナイを投げ放った!! それを爪で弾き飛ばすや否や、今度はビショップフォームが剣を振り上げて切りかかるが、サタンは爪で弾き飛ばし、強靭な豪腕を振り上げて一気に飛び出すと、パンチを放ってビショップフォームを吹き飛ばす!! サタン「相手になってやるぜ。テメェら全員ブチ殺してやるよっ!!」 サタンの姿が見る見る屈強な筋肉を頑強な鎧に覆われ、雄々しき凶暴なクマを模した鎧に包まれたアークトゥス一族最強の戦士・サタンレジェンドルガの姿に変わる!! 爪に炎が宿ると、一気に振って炎が飛び出し、それがガンフォームとアサシンフォームめがけて放たれ、爆発する。爆発を避け、走りながら銃弾とクナイを交互に発射するコンビネーション戦法を取るが、爪で弾き飛ばされてしまう!! サタン「うざってぇんだよ・・・・イマジンごときがよぉおおおおおおおおお!! 両手の爪を構えると、右手をドリルに変貌させた。削岩用のドリルが、けたたましい機械音をたてる。そして、発射すると地面に当たるたびに岩盤を削り、そして凄まじい光を放って爆発する!! Asバルキリー「こいつ、身体が機械化してやがるのかっ!?」 Gバルキリー「サイボーグって言うヤツ・・・?」 サタン「アークトゥス一族最強の戦士を作り上げるとか言って、勝手に身体いじくられてな、望んでもなかったが、今はよかったと思っているぜ。この力があればよ・・兄貴を守れる。俺を・・・アークトゥスの連中から救ってくれた兄貴の助けになれるなら・・・どんな力だって使ってやるぜ!!」 そして、左腕のドリルが外れ、銃口が備わったギミックアームに変わると、無数の銃弾を乱射するマシンガンアームに変わる!!超高速で銃弾を乱射し、ガンフォームとアサシンフォームに着弾し、爆発して吹き飛ぶ!! Asバルキリー「ま・・・マジかよぉ・・・!?」 Gバルキリー「銃も使えるし接近戦も強い・・・両刀使いってヤツ?」 Asバルキリー「死に掛けているというのに、こんな状況でもセクハラ抜かすか、テメェは・・(呆)」 Gバルキリー「死ぬまで愛に生きてこそ、何ぼの人生だよ?」 再びVガッシャー・ガンモードを持ち上げて、銃弾を一気にサタンレジェンドルガに向けて発射し、ステップを踏みながらサタンレジェンドルガに銃弾を発射する!! しかし、銃弾が身体の強靭な筋肉に阻まれ、まるで鎧のように弾き飛ばされる!! Gバルキリー「マジ・・・」 サタン「ああん?今、何かしやがりましたか?」 Asバルキリー「クナイも銃弾も利かないはずだわ。こいつ、伊達に鍛えちゃない」 サタン「・・・おいおい、もう手詰まりか?なら、こっちからいくゼ!」 地面を蹴り飛ばして、爪を振りかざし、アサシンフォームの首をつかみ、凄まじい力で締め付けながら地面にこすり付け、火花が飛び散る!! そしてそのまま岩壁に頭を思い切り叩きつけると、一気に持ち上げてビショップフォーム、そしてガンフォームに向かって投げつけ、3人が倒れこむ!! サタン「くたばりやがれっ!!」 手がさらに変化して、先ほどのよりも巨大な銃口に変わると、超高熱の光が集まりだし、巨大な炎の玉が出来上がると、発射する!! Gバルキリー「うわあああああああああああああああっ!!」 Asバルキリー「きゃあああああああああああああああああっ!!」 Bワイバーン「きゃあああああああああああああああああああっ!!」 轟音と地響きが起こり、炎の渦に吹き飛ばされ、アサシンフォームとガンフォーム、そしてビショップフォームが雪原に転がり、変身が解除される!! ビショップ「・・・強い・・・・強すぎる」 琥珀「ガハッ・・・・ま・・・マジかよっ・・・!?」 サファイア「3人がかりでもかなわないなんて・・・!」 一方・・・。 吹き飛んだ3人を見失ったサタンは爪をはずし、本来の柔和な素顔に戻るとふうっと息をはいた。 サタン「・・・・通信機に・・・おやおや、かなり準備がいいですね。いただいておきますか」 通信機を操作して、慧たちの居場所を確認すると、サタンは笑みを浮かべる。 そして、バックからブランデー入りの紅茶を取り出し、一気に飲み干す。 サタン「しかし・・・兄様たちはどこに・・・・それに・・・智のことも気になる。あいつ、どうして私たちを蘇らせた・・・?何が目的なんだろう・・・?まあ、まずは動いてみますか。この様子だと、この麓に・・・キバライナー・・がありますね」 キバライナーの位置はそんなに離れてはいない。 ここからなら歩いていけば30分ほどで見つかるだろう。 その時だった。 「ふん・・・死人風情が。いつまでも好き勝手できると思ったら大間違いだ」 サタン「・・・・まだいたのですか?」 サタンがサファイアたちかもしくは仲間かと思い、振り返る。 するとそこにいたのは、バルキリーベルトを腰に巻きつけた水龍をイメージしたかのような雄雄しき姿をした「サーペントイマジンたん」がいたのだ。 サタン「貴女は・・・?それは・・・バルキリーベルト・・・しかしアスモの話だと貴女のようなイマジンはバルキリーサイドにはいなかったわ・・?」 「それはそうだな。俺を天童慧に仕えているボンクラたちと一緒にされては困る。俺は・・・過去から来た。智様の命令で・・・役立たずのお前たちもろとも、あいつらを倒すためにな・・・変身」 そういって、パスを通すと、金色の光が全身を包み込み、やがて金色の竜をイメージしたかのような屈強な戦士の姿へと変わっていく!! サタン「!?」 「我が信念の大きさを知りて後悔せよ」 Vガッシャーを取り出し、アックスモードに変えると、サタンに向かって素早く飛び込み、斧で切りかかっていく!! サタンがその刃を受け止め、はじき返し、爪を構えると再び羅刹の顔つきに変わる。 サタン「へっ、契約違反もいいところだぜ。テメェも智もぶっ殺しちまえばいいってことだな!!」 「やれるものなら・・・やってみるがいい。うおおおおおおおおお!!」 気合鋭く手にした斧を横に薙ぎ払う。その斧の攻撃を防ぐも超重量級の攻撃に耐え切れず、吹き飛ばされる!! サタン「ぐあああああっ!!ちっ、俺をぶっ飛ばすとはな・・・」 「お前の首の宝石、頂くぞ。さっさと地獄に帰れ」 サタン「上等じゃねぇか・・・テメェ、後悔すんじゃねぇぞ」 サタンは気色ばんで爪を構えなおすが、内心は動揺していた。 自分たちのことを切り離した智の行動が読み取れない。倒せばいいだけだが、ルシファーたちの方にもこういったわけのわからない連中が差し向けられていたとしたら、一刻も早く駆けつけなくてはならない。 一方・・・。 雪原の遠くまで吹き飛ばされた琥珀がゆっくりと起き上がる。 受けたダメージはまだ残っていたが、動けなくなるほどではなかった。 琥珀「・・・何だ?あんなライダー・・見たことねぇぞ。しかもサタンと戦っている?おい!お前ら、大丈夫か!?」 琥珀が倒れているサファイアとビショップに話しかけようと近寄る。 しかし、琥珀の動きが止まり、表情が引きつったまま凍りつく。 (二人の妄想暴走タイム パート2だぜぇえぇえええええ!!) サファイア「慧って結構胸大きいよねー・・・ひひひ・・・もっと大きくしてあげようか?わきわき・・・ああん・・・えへへへ・・もっと抱き合わないかい・・・?(鼻血の海に溺れてます)」 ビショップ「慧ちゃーん、神代先生じゃなくて・・・二人きりのときは・・・聖(さやか)って呼んでぇ♪あっ、お姉ちゃんでも嬉しいですよぉ♪(鼻血の海に沈んでます)」 使い物にならねぇ・・・。 琥珀「永眠させたろか、バカ共がぁああああああああああああああっ!!(号泣)」 もう頭が痛くなる。 何で事あるごとに妄想にふけられるよう、脳内の構造がどんな仕組みで出来ているのか、知りたくもないが原因の追究そして解決法を知りたい。 琥珀「ああ、もう、バカばっかじゃねぇかあああああああああああああ!!!挙句の果てにセブンズヘブンに謎のライダーだっ!?どんだけトラブルだらけだよっ!!あたし一人でどうしろって言うんじゃああああああああああああああいっ!!」 キレた。 ブッツリキレた。 しかしすぐさまクールを取り戻し、琥珀がベルトを巻きつける。 琥珀「まずは・・・一旦あいつにサタンを任せて、あたしたちはこの近くにあるキバライナーまで避難、今後の計画はそこで立てるしかねぇな・・・」 さすがというか、何というか・・・。 あれだけ冷静さを失っても仕方ないようなアホな展開になろうとも、感情の高ぶりによって一時の判断を誤らない冷静沈着にして的確な判断力はイマジンの中でも琥珀は優れている。 というか、もはやこういった破天荒な状況に置かれても流されないあたり、慧から絶大な信頼を置かれているのだが。 Asバルキリー「よっし、行くか・・・」 しかしまあ、いつもこうして冷静沈着に考え、行動に移すのが琥珀なのだが。 サタン「ぐあああああああああああああっ!!」 Asバルキリー「だあああああああああああっ!!」 吹き飛ばされてきたサタンレジェンドルガの巨体がアサシンフォームを吹き飛ばし、雪原に倒れこむ。そう、必ずといっていいほどトラブルに巻き込まれるのも琥珀なのだ。 さらに、斧を構えた黄金の竜の戦士は、緩慢な動きで斧を構えて近づいてくる。 「アサシンフォームか、話は聞いているぞ。お前がいなくなったら、バルキリーたちの司令塔がいなくなり、連携は崩壊だな」 まさしく、そのとおり。 琥珀がいなかったら、バルキリーイマジンズは間違いなく内部崩壊を引き起こすであろう。それだけ、彼女のツッコミ及び状況判断能力、そして、イマジンと慧たちとの心の交流を深めるためには不可欠なのだから。 Asバルキリー「・・・・作戦変更、こいつをまいて逃げるしかねえってか。サタン、あれ、引き取ってくれ。あたしゃ、逃げる」 サタン「・・・あいにくだが、やつの狙いは、俺とお前ららしいな」 Asバルキリー「だろうね。だから、世話をお前に任せるから、その間にトンズラさせろやってことだっつーの。もうこれ以上トラブルきたら、暴れるぞ、あたしゃ」 サタン「・・・・けっ、テメェが囮になりやがれ」 智「おおっ、もう始まってたか」 そう無邪気な声が飛んできた。振り返ると、そこにはホットレモンティーとジャンクフードを食べている智が木々の上から見下ろしていた。 サタン「智、テメェ、どういうつもりだっ!!」 智「うっさいなあ、あんたたちがあまりにも役に立たないから、ゲームを盛り上げてくれるように考えてやったんだよ。それが嫌ならさっさとバルキリー倒せばいいんだよ。だけどあまりにチンタラチンタラやってる上に、3人も返り討ちにされちゃってさぁ、レヴィもベルゼもベルフェも使えないったらないね!ということで、君たちに代わって新しい敵を用意してみたって事!正直ベルフェたちよりは使えるかもよ?」 サタン「テメェ・・・!!」 サタンがふるふると怒りで全身を震わせる。妹分の死を嘲り笑い、セブンズヘブンの誇りをも傷つけるような発言が許せなかったのだ。 サファイア「・・・このベルト・・・・まさか・・・・」 ビショップ「サファイアさん?」 サファイア「以前、聞いたことがあるんだよ。このベルトは、間違いなくバルキリーだ。でも、あたしたち以外にバルキリーになれるなんて・・・心当たりはもうひとつしかない」 サファイアがベルトを見て、自分の推察に確信を得たのか、こわばった表情で言うと、智が「その通り」と言わんばかりに笑みを浮かべる。 智「そういうことっ!こいつら、バルキリーの先代に仕えていたイマジンたちだよ。時の運行を守るためにあっちこっちの時間を行き来していたところを・・・僕が捕まえてきたの」 サファイア「・・・やっぱり・・・愛ちゃんのイマジンを・・・!!」 智「だってさ、このくらいやらないと、ゲームが盛り上がりに欠けるんだよね」 琥珀「自分が楽しいから・・・・それだけの為に・・・!?」 智「いいじゃん、だって楽しいんだから。ほら、そろそろ始めるよ?レーク!そいつら、片付けちゃっていいよ」 レーク「はい・・・」 そうつぶやき、初代仮面ライダーバルキリーたん・アックスフォームに変身している『アーサー王伝説』における『湖の乙女』が基だが、水竜のイメージの『サーペントイマジンたん』の「レーク」が了承した・・・。 一方。 2010年・・。 慧たちが飛び出していってからまだ数十分しかたっていない昼下がり。 天童家に愛が帰ってきていた。 愛「ただいま〜♪慧ちゅわん、いる〜♪新しいゲーム買ってきたから遊びましょう〜♪・・・あれ?いない?むぅ、せっかくお仕事早く終わったから遊ぼうと思ったのに」 その時だった。 そこから飛び出してきたものは、まず電車の枕木とレール。けたたましい音を発しながら、大橋の隣に沿うようにぴったりと並んで、空中に浮かんでいる。そして飛び出してきたのは一両の電車・・・しかしその車体は激しく傷つき、ボロボロになっている。 愛はそれを見て、目を見開く。 愛「Vライナー・・・!?」 愛が飛び出し、Vライナーがたどり着いた先までやってくると、そこから二体のイマジン少女がボロボロの状態で出てきて、階段を下りたところで倒れこむ。 愛がかけつけて、二人のそばに駆け寄り、しゃがみこんで話しかける。 愛「ああ・・・・!!シズカ・・・ちゃん?ティンクル・・・!!どうして・・・どうして何があったの!?」 愛が話しかけているのは、かつて、自分が仮面ライダーバルキリーたんとして戦っていたとき、共に生き、戦い、思い出を共有してきた大切な仲間たち。 『源 義経』の愛妾であった『静御前』が基であるが、なぜか白いカラスがイメージの『ホワイトクロウイマジンたん』の「シズカ」と『ギリシア神話』のペガサスが基の『ペガサスイマジンたん』の「ティンクル」である!! ティンクル「・・・愛、愛なのか・・・?」 愛「うん、愛だよっ、どうして、ひどい怪我・・・・!!」 シズカ「・・・ごめんねぇ〜、こんな無様な姿さらすつもりなかったんだけどさ」 愛「大丈夫!?今すぐ、家に連れて行くから!!」 そういって、二人が愛の体の中に飛び込む。 愛「何があったの・・・?」 シズカ「愛・・・ヤバいことになったかも」 ティンクル「ヒルデたちが・・・ヒルデたちが・・・!」 愛「ヒルデたちがどうしたの・・・!?ショウカやレーク、クシナダはっ!?」 シズカ「・・レジェンドルガにつかまった・・・・・!!」 ティンクル「私たちも抵抗したのだが・・・ダメだった・・・そのレジェンドルガは・・・お前の娘の・・・慧を倒させるつもりだ」 愛「!!!」 あまりの展開に言葉を失う。 自分がかつて共に戦ってきた仲間たちが捕まっただけでもショックなのに、今回の事件にかかわっているレジェンドルガが慧を倒すために敵として操って仕向けたという驚愕の展開に愛がその場に座り込んだ・・・。 最悪の展開。 悪夢の第2ラウンドが始まってしまった。 続く |
鴎
2009年12月29日(火) 00時06分16秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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…………こんにちは、『鴎』さん。『烈』です。【仮面ライダーバルキリーたん 第38話 「Guard in permafrost layer」 】の感想を投稿させていただきますが、その前に一言言わせていただきます……。ど〜〜〜〜〜〜〜して、私がアイディアとして投稿していた愛さんのかつての仲間である初代『バルキリーイマジンズ』のうち主戦力となっていた『ヒルデ』、『クシナダ』、『レーク』、『ショウカ』の四人があの腐れ外道の智に捕まってしまいあまっさえ洗脳された上に慧達『2代目バルキリー』及び『チェックメイト・フォー』の三人と『セブンへブン』の三人と戦わせようなんて考えたんですか〜〜〜!?そりゃあ、機会あれば登場させてほしかったですけど、こんな形で登場させるのはどうかと思います!!#っていうか、慧やその仲間達に愛さんと苦楽を共にした彼女達を戦わせるなんて考え、どうかと思います!!……これって、いわゆる慧達にとっての超えなければならない“試練”という風に考えた方がいいのですか?ですが、自分的には納得が行きませんッ!!# それで、今回の感想ですが、何気に今回『チェックメイト・フォー』の中で一番の常識人だと思っていたビショップさんがまさかサファイアと同じような“変態百合”なところがあったとは思いませんでした……;っていうか、どこをどうしたらあんな“妄想”を思い浮かべることが出来るんだよッ?!……琥珀さん、今回もかなり気苦労している貴女を尊敬したい気持ちです…。それにしても、やはりエメラルドの発明品はこの作品にはなくてはならない物である事がよく分かります。『イカロスショット』及び『Vライナー・フェニックス』を除く三車両、はたまたマラカイトさんを除く『Newバルキリーイマジンズ』の五人の専用武器なども発明してしまうところが、彼女のすごいところだと思います。ちなみに、前回の話(第37話)で発生した四つの“カオスゲート”に飲み込まれてしまった一同ですが、どのような形で今回の話で語られた4つのメンバーと時間軸に分かれることになったんですか?何気に私的には慧と一緒に居るのはルーベットのように思えたのですが……理由としてはどのようなものがあるのかを教えてください。<(_ _)> 何気に今回の話で一族の手によってサイボーグ化されていることが分かった“サタン”さん。ちなみに彼女の一族である“アークトゥス”の名はどこから来たのですか?それと彼女のレジェンドルガ態はどうして“熊”なのですか?普通は“アスモ”のレジェンドルガ態と逆のような気がします。……今回の話でも、“ルシファー”の人物としての“器”の大きさと優しさや強さが現れていた様な気がします……。 ……愛さんが家に帰ると同時に出現したボロボロの『Vライナー』。そこから姿を見せたのはかつての大切な仲間のうち二人…。彼女達の口から語られたとてつもない残酷な知らせ……。外道“スフィンクスレジェンドルガ”のゲーム感覚で行なわれる卑劣な手口!!#ヒルデ達と戦うことになってしまった慧達はいったいどうなってしまうのか?!『セブンへブン』の三人が今回のことでどのような行動を行なうのか!?一方で晶や“マモン(ことラピスさん)”はどのようにしているのか?今回名前が何故か出なかったアメジストの行方は?そして、今回のことでショックを受けてしまった愛さんはどのような行動を起こすのか!?などが気になってきます。……ちなみに、愛さんの方は何気に慧に近いところがありますから、間違いなくヒルデ達にひどいことをした智をぶっ飛ばそうとするに違いがないと思います……; ……ここでヒルデ達に対しての追加設定ですけど、ヒルデの場合は他の三人に比べて精神力が高いため、精神攻撃系のものはあまり効かないという風にしていますので、あしからず……。 …………それと智さん。貴女は自分が作り出した“人工レジェンドルガ”である『ヒュプノス』が暴走したときのことを考えているのですか?もし、考えていなければ貴女には碌な“結末”が待っていることは確定です…。いくら“ゲームの駒”とかいって慧達の“心”が傷つくような手を打ったとしても、絶対にそれが逆効果的な何かを生み、彼女達の元に“奇蹟”をもたらしてしまう結果になることを予言します……マジで覚悟しとけ# 今回の感想は以上とさせていただきます。今後も面白い作品を書いていってください。 |
10点 | 烈 | ■2009-12-29 10:56:35 | i121-118-213-228.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 10点 |