仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「ミッドナイトカーニバルC」 |
「第9章」 Vライナーの救護室に傷ついた琥珀とアメジストが春姫に担ぎこまれてきた。 全身に包帯と絆創膏をつけ、全身の激痛に身もだえしながら横たわる姿は痛々しい。 ルーベットと彩乃が二人の姿を見て、その表情に心配と動揺が隠しきれずにいた。 ルーベット「まさか・・・琥珀殿とアメジスト殿がこんなにひどくやられるなんて・・!」 彩乃「慧さんを完全にコントロールしている・・・最悪の展開じゃない」 ルーベット「慧殿・・・・」 どこまでもツイてないのか、この少女は。 近くでは椅子に座り、落胆しきった春姫がいた。その表情には温和で優しげな彼女はなく、泣きそうになりそうに落ち込んでいる。 春姫「私のせいで・・・!私が・・・もっとしっかりしていれば・・・!」 ルーベット「春姫殿・・・!」 彩乃「春姫さん・・!」 その時だった。 寝ていた二人が歯をくいしばって春姫の方に顔を向ける。そして、琥珀の背中に生やした腕が伸び(蜘蛛だから出来る)春姫の髪を優しく撫でる。 琥珀「・・・バーカ、春姫のせいじゃねぇ・・・・泣くなって」 アメジスト「あいたたた・・・もう・・・・これ以上泣かれでもしたらあたしたちが祥子に殺されるわよ・・・だから・・・ねえ・・・そんな顔しないでよ」 二人が痛みをこらえて冗談交じりに言うが、春姫は顔を上げない。 彩乃「・・・・春姫さん!!」 彩乃がひときわ強い口調で春姫を呼ぶと、春姫が驚いたように顔を上げる。 彩乃「今は落ち込んでいる時ではないですよ!!琥珀さんもアメジストさんも、こうして言ってくれているんですから!!」 春姫「彩乃ちゃん・・・」 ルーベット「春姫殿、彩乃殿の言うことはもっともです。この町を、この町に住む人たちの笑顔を守るために、私たちも戦っているのですから。貴方がここで落ち込んでいたら、二人が何のために青鰭を倒したのか分かりませんぞ」 彩乃「あいつらがこれ以上好き勝手しないように、今は私たちが出来ること、やれることを全力で取り組むこと、それがすべきことですよ!!」 力強い言葉に、春姫もあっけに取られていたが、涙をぬぐうとその顔を上げる。 目が赤くなっていたが、その表情には仲間の成長を喜ぶ嬉しさと力強い言葉の頼もしさを感じていた。 春姫「・・・ごめんなさい〜、私、これじゃいけないですよね」 ルーベット「春姫殿、それでこそ、春姫殿ですぞ!!」 彩乃「残りは3人、気合入れていきましょう!!」 春姫「・・・はい!!」 琥珀「・・・春姫、その意気だぜ」 アメジスト「このくらいの怪我、いつものことだしね」 強がりながらも春姫を気遣う二人に、力強い言葉で春姫を立ち上げる。 春姫「・・・彩乃ちゃん、本当に強くなりましたね・・・」 彩乃の後姿に昔の彩乃と比べてたくましくなっている勇ましさや頼もしさを感じ、思わず笑みが浮かぶ。 春姫「祥子ちゃん、彩乃ちゃんは立派な封魔師になりましたよ・・・」 その時だ。 ビー・・!!ビー・・!! 通信機から音声が聞こえて、いっせいに画面を開く。 場所は風土記の丘。 画面を開くと、そこには金色のカブトムシを模した屈強な武人・ヘラクレスビートルスペクターが大剣と盾を構えて重厚な足音を立てながらゆっくりと進んでいる。 そして、その先には・・・・。 サファイア「ようやくお出ましかい?全く好き勝手やってくれちゃってさ、いい迷惑」 黄兜「フン・・・・貴様か。探す手間が省けたな」 余裕そうに笑みを浮かべて悠然と立っているサファイアの姿があった。 彩乃「サファイアさん!!あれ、奈々美は!?」 そう、一緒にいるはずの奈々美がいないのだ。 春姫「まさか・・・一人で挑むつもりなんですか!?」 ルーベット「・・・奈々美殿にいいところ見せたいとか・・・・ありえる」 彩乃「ムチャクチャですよ!!そんなの!!」 彩乃が叫ぶのも無理はない。 最強の盾、頑強な防御力と圧倒的な戦闘能力を持つヘラクレスビートルスペクターの力を戦いを通して痛感している春姫と彩乃が信じられないといった顔になる。 ルーベット「・・・もしくは、何か考えている?」 琥珀「・・・おそらくな、勝てる算段があるのかもな」 アメジスト「・・・つくづく何を考えているのか読めないわね」 ルーベット「・・・しかし、あの瞳は・・・本気モードだ!!」 サファイアはいつものようにおどけた笑みを浮かべているように見えるが、その瞳は凍りつくような冷たく苛烈な青い炎が宿っているようにも見える。決して笑っていない。嘲りや憎悪、狂気に満ちた底冷えのするような目だ。 黄兜「・・・貴様は油断がならん、一度とはいえ、青鰭を追い詰めたのだからな」 サファイア「追い詰めたなんて人聞きが悪いね。美少女を痛めつけて楽しむ趣味はないさ。ただ、敵とはいえ女の子だ。可愛いまま、苦しまないうちに一思いにあの世に逝かせてあげることが礼儀かと思ってさ」 思わずぞっとする言葉だ。 普段のサファイアなら絶対に言わない。 この怒りぶりは・・・・本気だ。 慧を利用されたこと、この町を傷つけられたこと、相当腹が立っていたらしい。 黄兜「・・・・貴様・・・・何者だ」 サファイア「愛の狩人・・・とでもいっておこうか?」 数時間前・・・。 水族館エリア。 青鰭こと、シャークスペクターとガンフォームが戦っていたのだ。 その様子を黒棘、黄兜が見ていた。 黒棘「・・・これは・・・どういうことですか!?青鰭は、荒魔の中でも最強の攻撃力を持っているはずなのに!?」 黄兜「ヤツが油断しているわけではない。あいつが・・・あの白鳥のイマジンが強いのか、ケタ違いに」 ガンフォームが放つ無数の銃弾にシャークスペクターが珍しく苦戦していた。 縦横無尽に飛び回りながら銃弾を次々と繰り出し、身体の各所に打ち込んでいく。 灼熱の弾丸を爆発させ、焼きつくような激痛が全身に走り、思うように動けない。 シャークスペクター「この・・・エロバカッ!!!人の胸や尻触りまくるなんてさあ!!!あはははははははははははははははははははは!!殺す、決ってぇい!!!」 Gバルキリー「顔立ちはモデル級の美少女だし、揉みごたえや感触、ボディのライン、感度のよさとか・・・完璧なんだけどさ、いかんせん、どうしてもこの怒りが収まらないのは・・・・残念でならないんだよねぇ」 パスを通して、弾丸を発射して持っていた鉈を撃ち割り、吹き飛ばした。 シャークスペクターが持っていた鉈が叩き割られたのをみて、いよいよ顔が青ざめていく。 シャークスペクター「嘘・・・!?嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!あたしは、青鰭、最強の超荒魔っ、こんなバカに追い詰められるなんて・・・・・有り得ないってええええええええええ!!!」 Gバルキリー「あーあ、取り乱しちゃって。まあ、可愛い子がそんな物騒なモン持つものではないよ?いい加減大人しく・・・死んでおきなよ。取り乱して醜くなる前に、あたしが可愛いままで、青鰭ちゃんをちゃんと地獄に送ってあげるからねん♪」 彼女は笑っていた。 冗談交じりに陽気に言いながら、確実に銃弾を発射し敵の急所を撃ちつけ破壊していく。 しかしその瞳はどこまでも冷たく凍りつくような氷のような瞳をしている。 シャークスペクター「きゃあああああああああああああっ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!ぎゃああああああああああああああああっ!!!」 Gバルキリー「ふふっ、いい声で鳴くねぇ、耳障りなくらいに」 シャークスペクター「やめてよっ、やめてっ、やめてっ!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い―――っ!!!!ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!」 Gバルキリー「じゃあ、早く死になよ。ふふっ」 腕が、脚が、身体の到る所が焼きつくように痛い。激痛が全身を支配しており、必死で抵抗するが、正面の敵は嘲りや憎悪に満ちた負の感情をまるで楽しむように笑って、銃を乱射し続けている。彼女は思わず、かつて自分が家畜同然である人間に与えた自分の悪行が今まさにそっくりそのまま返ってきていることに気がついた。そして感じる。 コイツはマトモじゃない。 今まで戦った敵の中でも、完全にアタマがイッてしまっている。 信念を貫くためなら、仲間を取り戻すためには、どんな残酷な手段であろうとやるし、冷酷非情な悪鬼羅刹と化す。 ヤバすぎる・・・・!! そして、更にパスを通して強力なエネルギーが稲光を帯びて銃口に集結しだす。 Gバルキリー「・・・まあ、せっかくの可愛い顔を恐怖で台無しにしてはアレだ。そろそろ・・・地獄に送り返すとするかな♪あははっ♪」 「FULL CHARGE」 青い光が一気に銃口に集まり、狙いを定めて発射しようとしたその時だ。 K慧「ぬうん!!!」 黄兜が憑依した慧(軍帽を被り、金色のメッシュが入った髪を短く束ねて、金色の瞳をしている)が飛び出し、盾を出す。そして、青い銃弾が発射され、盾で防ぐが強力な衝撃に全身が震える衝撃に襲われ踏ん張っていた両足がじりじりと後ずさる。歯を食いしばって渾身の力で盾を持つ左腕に全神経を集中させて、一気に横にはじくと、銃弾が天井を轟音とともにぶち破り巨大な穴を開けて空のかなたへと消えていった・・・。そして、見ると盾が焼き焦げており、一線のひびが入っているのだ。これには二人も動揺を隠しきれなかった。 K慧「この力は・・!?ちっ、青鰭、いったん引くぞ!!」 シャークスペクター「あいつ・・・・かなりヤバい!!ヤバすぎるって!!」 青鰭が青ざめた表情で震えるような声で言う。相当の恐怖を感じているのか、若干震えていた。冷や汗さえ浮かんでいる。おびえる青鰭の様子を見て、黄兜は感じた。 黄兜「・・・あいつ・・・油断がならない・・・!!」 黒棘「・・・力押しでは・・・到底かなわない・・・か・・・ふふっ・・・それならば策を立てる必要がありそうですね」 現在・・・。 黄兜「貴様の狂気・・・もはや尋常ではない。生かしておけばいつか必ず障害となりうる。ここで潰してやる!!」 金色の光とともに屈強な甲冑に身を包んだ武人、ヘラクレスビートルスペクターと化す。 そして、サファイアもベルトを巻きつけ、鼻歌交じりにパスを通す。 サファイア「変・身♪」 青い光とともに白鳥の仮面とアーマーが全身を覆い、ガンフォームへと変身を遂げる。 Vガッシャーをガンモードに組み立てると、銃口を突き付けながら静かに告げる。 Gバルキリー「野郎なら容赦なしってことで出来るから、助かるよね。・・・さぁてと、あんたの心臓(ハート)に・・・ロックオン♪ばぁん!!」 銃弾を一気に発射しながら駆けだし、剣の大振りの攻撃を避け、一気に急所をすり抜けて銃弾を乱射する!!強力な破壊力を持つ銃弾は炸裂するたびに爆発し、圧倒的な火力を持って一気に攻め込む。 しかし、ヘラクレスビートルスペクターの強固な鎧には若干のダメージしか与えられていない。頑強な防御力はやはりなかなか崩れない。しかし、それも予想済みなのか、ガンフォームの余裕な態度は変わらない。 Gバルキリー「あっれぇ?なかなか効かないねぇ?まあ、お楽しみはじっくりと楽しむとするかね」 ヘラクレスビートルスペクター「この痴れ者がぁ・・・!!覚悟しろっ!!!」 Gバルキリー「覚悟するのはそっちだろ・・・さんざん好き勝手やってくれちゃってさ、もうこちとらとっくに・・・ブチキレてんだよっ!!」 ルーベット「・・・さ・・・サファイア殿が・・・キレた・・・・」 琥珀「・・・おいおいおいおい・・・ヤバすぎねーか・・・・これ・・・」 アメジスト「・・・・・敵ながら・・・・・もはや気の毒すぎるわね」 3体が茫然唖然とした状態で、慧を拉致した憎いはずの敵をもはや憐れむようにコメントを漏らす。相当危険なのか、顔は青ざめているし、全身が寒さか恐怖で若干震えている。 そして、彩乃と春姫といえば・・・・。 春姫「・・・・・あれ・・・本当にサファイアさんなんですか・・・・?」 彩乃「・・・・怒ると・・・・あんなに怖いんだ・・・・・」 完全に圧倒されていた。春姫はもはや泣きそうだった。そこまで怖かったのだ。 Gバルキリー「ほらほらあっ!!」 ヘラクレスビートルスペクター「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!」 Gバルキリー「世界なんかどうだっていいんだよ、あんたの敬愛する殲鬼姫様を復活させるだの、荒魔が支配する世界だの、勝手にやってろ言ってろって感じ。でもね、あんたたちはよりによって一番やっちゃいけないことをやらかしちまった。慧を利用したってことさ。あたしは・・・あたしの命は慧にとっくに預けているんだ。慧のものなんだ。慧がいてくれるから、戦えるし生きていて楽しいって思える。好き勝手バカやってられる。そんな自分が好きでねぇ」 ヘラクレスビートルスペクター「ふん、戯言を!!」 Gバルキリー「なのに、智の差し金で蘇って、勝手に大事な人を奪われて憑依されて好き勝手されてじゃさ、キレるなって方が無理だろ?あいつらは優しいからねぇ、ギリギリのところで理性保っているし、常識も良識もあるから、一見どうとでもなると思われがちだろうけど・・・・あたしはそうじゃないんだよ」 己の感情に素直といえば聞こえがいいのだが、実質は・・・一度切れたら止められない激情家な上に情念深いのだ。故に手段も選ばないし何が何でも欲望を成し遂げるのだ。 それがサファイアというイマジンだ。ある意味手段を選ばないという時点ではイマジンらしいイマジンだ。 Gバルキリー「あたしは・・・慧を手放さない。必ず助け出すんだ。その為なら・・・鬼でも夜叉でも殲鬼姫にでもなるさっ!!」 真剣な表情で一括するその姿は勇ましく、信念はまっすぐ力強く地盤が固まっている。 その決意を決めた姿はまさしく戦士そのものだ。 ルーベット「なるほど・・・・あいつ・・・本当にキレているわけではない」 アメジスト「こういうとき、よくあんなギャンブルに挑むわね」 琥珀「・・・なるほどな。あいつ、どうやら何かを考えていたようだ。キレているのも、挑発するのも、作戦のようだな」 ヘラクレスビートルスペクター「貴様あああああああああああっ!!!許さんっ、貴様のような下賤の痴れ者が殲鬼姫様の名を軽々しく語るなああああああああああっ!!!灰燼に帰してくれる!!!」 Gバルキリー「願ったり叶ったりだ。そんなバカの御大将の名前なんざ御免被るね。洗面器(せんめんき)だってさ、お風呂用品じゃあるまいし、一生の恥だねっ!!」 ヘラクレスビートルスペクター「貴様ああああああああああああああっ!!!!!」 完全に怒り狂ったようだ。 それが狙いだったかのようにガンフォームがくすりと笑みを浮かべる。そして、一旦飛び退くとその場を走りだす。 しかしその後ろ姿を怒り狂ったヘラクレスビートルスペクターが追いかける。 ガンフォームがたどり着いたのは、鉱山を再現した小高い山々が立ち並ぶエリアだった。 広い盆地にたどり着いたとき、怒りが頂点に達したヘラクレスビートルスペクターが大剣を振り上げる。 大剣に力を込める。次の瞬間大剣から黄色の光球が現われ、それは上半身を覆うほどの大きさにまで膨れ上がっていった。 Gバルキリー「ゲッ、それ反則だろ」 ヘラクレスビートルスペクター「ぬううううううううううん!!」 放たれた光球は足元もふらつくガンフォームと激突した瞬間、大爆発を起こし巨大な火柱を立ち上らせた。しかしガンフォームは高く飛び上がり、銃を乱射する。 しかし頑強な鎧が全て弾き飛ばしてしまう。 ヘラクレスビートルスペクター「小ざかしい真似を!!!」 振り上げた一撃、それがついにガンフォームを捕らえた!! Gバルキリー「うわあああああああああっ!!」 必殺の一撃をくらい、数十メートル吹き飛ぶ。 回転して着地を決めるが、すぐさま次々と攻撃が繰り出される。 それを避けながら銃弾を発射するが、予想以上に間合いをつめられ、やがて強力な打撃のラッシュがガンフォームを何度も打ち付けていく。 Gバルキリー「ちっ、容赦ねえ・・・荒事苦手なんだけどね」 ヘラクレスビートルスペクター「貴様だけは許さん・・・・殲鬼姫様を侮辱した貴様だけは!!!」 Gバルキリー「ふっ、許さなきゃどうするんだい?」 ヘラクレスビートルスペクター「減らず口を!!!」 ガンフォームに斜め一文字の一刀が振り下ろすが、腰を下げギリギリのところでかわすも、さらにヘラクレスビートルスペクターは顔を上げるタイミングを見計らい盾を鈍器にスピーディーなジャブを打ち込む。 Gバルキリー「うわあああああああっ!!」 そして大振りの一撃を食らい、とうとう倒れこんでしまった。 ガンフォームが銃を握り締めて立ち上がろうとあうると、首筋に大剣の刃が突きつけられる。ヘラクレスビートルスペクターが冷たく苛烈な憎悪の炎を宿して見下ろしていた。 Gバルキリー「・・・形勢逆転?」 ヘラクレスビートルスペクター「所詮、ここまでか・・・」 そういって、ゆっくりと大剣を振り上げる。その視線は獲物の死を確実に捕らえている。 彩乃「サファイアさん!!」 春姫「サファイアさん!!逃げてください!!」 ヘラクレスビートルスペクター「あの世で青鰭が待っているぞ。地獄で仲良くやるんだな!!」 そういって、思い切り振りかぶったそのときだった!!! 上半身が一瞬だけ無防備となった。 その瞬間、サファイアは・・・笑った。 Gバルキリー「その瞬間を待ってた・・・・奈々美ちゃん!!」 そういった直後だ。 ドガアアアアアアアアアアン!!!! 後ろの岩山から轟音とともに、岩壁をぶち抜いて仮面ライダーマータこと奈々美が出てきたのだ!!予想もしなかった奇襲攻撃にヘラクレスビートルスペクターが目をむく。 Gバルキリー「見せてやれ、君の持つ土の力のとっておきの技!!」 マータ「はい!!ううううん・・・・・!!」 そういわれると、マータがグググッとこぶしを握り締めて、力をこめて振りかぶり、ヘラクレスビートルスペクターめがけて渾身のストレートパンチを放った!! すると、空間に一瞬ひびのようなものが走り、ビリビリビリと震える震動が空気中を伝わってヘラクレスビートルスペクターの上半身に直撃する!!! マータ「グランドォォ・・・・インパクトォッ!!!!」 ヘラクレスビートルスペクター「何・・・・!?」 ズドオオオオオオオンッ・・・!!! ゴゴゴゴゴ・・・バキバキバキバキ・・・・ッ!!!!! すると、突然彼の甲冑に突如凄まじい震動が襲い、見る見るうちに甲冑が粉々に砕け散るではないか!!さらに、その震動は内臓を破壊し、骨をも砕き、細胞をひとつ残らず死滅させていく!!!痛みを感じる前に身体が粉々に崩壊していくのだ!! ヘラクレスビートルスペクター「ぐおおおおおおおおおおおおおっ!?何、何だ、この力はあっ!?鎧が、俺の鎧が粉々になっていくだとぉっ!?ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」 Gバルキリー「地震の破壊力はすごいねぇ・・・。まあ、そりゃそうか。地球全体の脅威ともいえる自然現象だからねえ。ありとあらゆるものを破壊するさ」 ルーベット「そうか!!今まで奈々美殿に土の宝珠の力のエネルギーを最大限まで高めるために囮になっていたのか!!」 琥珀「しかもあのあたりは岩山・・・なるほど、土地柄土の力を蓄えるには十分だし、身を隠せるってことか!!」 アメジスト「冷静さを失わせて、あそこまでおびき寄せたのね・・・たいした頭脳だこと」 春姫「地震の力・・・!!サファイアさんはそれを見抜いて・・・・!!」 ルーベット「おそらく、岩や砂だけではなく、地震も使い道によっては操れるのではないかと考えたのでしょうな」 それがサファイアの作戦だったのだ。 確実にヘラクレスビートルスペクターを殲滅し、敵側の戦力を最大限削り取る。 そのために、奈々美の持つ土の力に目をつけたサファイアが新たなる技を生み出すために囮となり時間稼ぎをして、銃弾によって鎧や肉体を傷つけることで、そこに強力な地震の震動エネルギーを叩き込み一気に殲滅することが彼女の作戦だ。 Gバルキリー「ナイスジョブ、奈々美ちゃん!!」 マータ「はあ・・・はあ・・・・まさか、ここまで破壊力があるなんて」 Gバルキリー「その代わりキツかったでしょうね。エネルギーを最大限ためて、発射する分自分に跳ね返ってくる反動を最小限抑えるためにも極限まで土の宝珠の力を高めたとはいえさ、本当よく頑張ってくれたよ、ありがとう」 マータ「いえ・・・そんな・・・・・信じていましたから・・・・サファイアさんのこと」 ヘラクレスビートルスペクター「ぐおお・・・・おおお・・・・」 よろよろと立ち上がるヘラクレスビートルスペクターだが、もはや甲冑はぼろぼろで今にも崩れ落ちそうだ。それを冷たいまなざしで見据えると、銃口を静かに向ける。 Gバルキリー「あの世で赤薔薇や青鰭と後悔しなよ。あたしたちに喧嘩を売ったことをね!!!」 一気に銃弾を発射し、青い結界が彼の巨体を押さえつけた!! 「FULL CHARGE」 Gバルキリー「これで終わりだ!!!!」 そして空中に飛び上がると回転し、強力な挟み蹴りが炸裂した!!! 強力な蹴りの一撃がもはやトドメであった。 黄兜「貴様・・・・やはり・・・どこまでも・・・狂っている・・・・憎悪、憤怒、殺意、負の感情に満ちた漆黒の闇が・・・・お前から感じられる・・・・お前とて・・・・俺たちとさほど・・・・変わらない・・・狂った破壊者だ・・・・」 サファイア「否定しないさ。でも、それでもかまわない。慧を守るためなら、どこまでも強くなるし・・・堕ちてやるさ」 そして轟音とともに火柱が立ち、金色の宝珠の中にカブトムシの細工が施された宝珠が飛び出してきた。 それを見て、サファイアは考え込む。 サファイア(あたしも狂っている。おそらく、あいつらと同類だろうな) しかしその手を優しく暖かく包み込まれ、振り返るとそこには奈々美がいた。力強い視線で何かを訴えているように見える。 奈々美「・・・サファイアさんは・・・・あたしは・・・・好きですから!!仲間思いでちょっとエッチでおバカでふざけてばかりいるけど・・・そんなサファイアさんだから、信じられるから・・・」 サファイア「奈々美ちゃん・・・?」 奈々美「・・・あたしは・・・信じますからね。サファイアさんは荒魔の仲間なんかじゃないって、同じじゃないって」 ああ、このぬくもりか。 このぬくもりが、優しさが、まるでにじむように伝わってくる。 ああ、そうか。 こうして、引き止めてくれる手があるから、見てくれる人がいるから、まだ堕ちずにいられる。底知れない闇に。 サファイア「なれなくてよかった、“殲鬼姫”とか“荒魔”に」 奈々美「え?」 サファイア「やっぱり、あたしは落ちこぼれのままでいいや」 こうして、自分をつかんでくれる手がある限りは・・。 そう思い、今感じるこのぬくもりをとても愛おしそうにサファイアは笑った。 奈々美「なれっこないですよ」 サファイア「どうして?」 奈々美「だって、どうしようもないくらいバカだしエッチですもん」 サファイア「あははっ、言うねえ」 奈々美「えへへ・・・」 二人が肩を組み合いおかしそうに笑いあう。 こうして、風土記の丘にて、最強の盾を見事撃退することに成功したのであった。 しかしその頃・・・。 Vライナーの通信機に一報の連絡が入り、黄兜を倒し、残り二人となったことで盛り上がっていたメンバーたちの士気を一気に急転させる事態が舞い込んでいたのである。 旧萱原駅 ホーム内・・・・。 黒棘と呼ばれる白髪の青年が優しげに、しかし相手を見下し侮蔑するかのような厭らしい笑みを浮かべて本を読んでいる。 黒棘「そろそろ来る頃ですかねえ。イマジンとやらは。私もそろそろ出番のために準備をしなくてはね。ふふふっ、イマジンきっての参謀長と雷の封魔師、どのようにじわじわといたぶりつくして差し上げましょうか?楽しみですねえ・・・・ねえ?」 そういって、ホームに倒れている黒い物体を乱暴に持ち上げて、顔を近づける。 緑色のショートカットは乱れ、端正で可愛らしい顔立ちには苦悶にゆがんだ表情が浮かんでいる。全身のいたるところが青あざと擦り傷にまみれ、何とも痛々しい姿であった。 口からわずかに血がにじみ、腫れ上がった体の各所や皮膚が激痛で全身を支配する。 黒棘「失われた異形の一族の王様とやら・・・?ふふふふふふふふふ・・・!」 大友晶が黒棘の手に落ちたという最悪の知らせであった。 続く |
鴎
2010年06月06日(日) 22時42分58秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | ||||
---|---|---|---|---|
IQ33Sb Really enjoyed this article.Really thank you! Really Great. | 30点 | Seo Services | ■2012-08-07 09:16:49 | 91.201.64.7 |
どうも、続きが来るのを待っていました。今回の“話”はサファイア&奈々美さんこと『仮面ライダーマータ』と黄兜のぶつかり合いがメインですね。後、何気に前回の“話”で“仲間”に見捨てられて倒された青鰭さんとサファイアの戦いもありましたけど、どっちも印象深いところが強いです。 今回、マジでとてつもなくすごいと感じたのはサファイアの狂気染みた慧への愛情。これについては彼女がどれほど慧のことを慕っており、そんな彼女をいいような道具のように扱っている“荒魔”達に対しての怒りがどこまでも凄まじいと思いました……。その上、かなり怒っているうえに、それを利用し相手を油断させ、奈々美さんこと『マータ』の存在を気付かせないようにしたというのにも驚かされました。普段の百合系変態であっても、ある意味《バルキリーズ》きっての策士であることがよくわかる一面だったと感じています。 ……それにしても、そんなサファイアを敵に回した黄兜さんと青鰭さんはマジでついてなかったですね;特に青鰭さんの方は散々セクハラみたいなことされた上に、マジで容赦なくバカスカと撃たれまくったようですから同情はしませんがご愁傷様です……(南無) …それにしても、黄兜さんも単独で慧に憑依ができたようですね。もし、その状態で『バルキリー』に変身したらどうなっていたのでしょうか? サファイアの頭脳と『マータ』の“土の力”によって黄兜こと『ヘラクレスビートルスペクター』は何とか撃破!!消滅する直前に、黄兜に言われた己の“心の闇”のことで少々暗い気持ちになってしまうサファイアでしたけど、奈々美さんの励ましでいつもの明るさと仲間への感謝を実感したみたいですね。 次の“話”では黒棘が捕えた晶を利用して、何やら外道なことをしようとしているようですけど、一体どうなる事やら…………。できれば、トパーズ達がどうにかしてくれることを祈るしか他ありません。どうか頑張ってください!! あ、こういうのは失礼かもしれませんが『鴎』さん。できれば近いうちに私が考えた未来から来た晶と慧の“息子”とそのパートナーをそちらの小説に参加させていただけませんか?もちろん無理ならそれでもかまいません。何となく思ったことですから、あまり深く考えないでください……。 それでは今回の感想は以上です。次回も楽しみにしています!! |
50点 | 烈 | ■2010-06-08 10:07:57 | 202.242.7.42 |
続き、待ってました!そして今回はサファイア&奈々美コンビVS黄兜とちょっと青鰭 今回一番眼に止まったサファイアの愛という名の狂気!うちの荒魔最強の矛を退けるとは、 どんだけ慧ちゃんを慕ういや愛しているかが分かります。銃撃ライダーはへタレるという 法則を見事にぶち壊してくれましたよ!そして青鰭に続き退場となった黄兜。 巧みな挑発で冷静さを失わせ力を溜めていた奈々美の存在を悟られないようにするなど、 正攻法で戦う彩乃達では考えられない見事な戦法です!彼女、ただの煩悩丸出しの 変態さんじゃなかったんですね。あ、変態という名の淑女か。次回、黒棘がどのような 暗躍をするのか、楽しみにしています。 青鰭「あの腐れ白鳥が!この私をコケにした挙句あんな恥をかかせるなんて 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺してやる!」! 黄兜「我が主殲鬼姫様を愚弄する薄汚い暴言の数々。その次にも会う時は その汚い口から切り捨ててやる!」 いや、お前もう死んでるから |
50点 | イタリアーノリク | ■2010-06-07 20:52:17 | i118-16-179-58.s10.a022.ap.plala.or.jp |
合計 | 130点 |