仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「ミッドナイトカーニバルD」 |
「第10章」 T祥子「・・・晶が、捕まった!?」 祥子(何ですって!?) ルーベット「今、レーダーで見たらあの・・・ハリネズミの殿方に捕まってて・・・!!そしたらその後、晶殿の携帯から電話かかってきて・・!!トパーズ殿、どうされたらよいのだっ!?」 ルーベットがいつになく焦っている。晶が敵に捕まり、何かがあってはと頭が混乱しているらしい。 T祥子「落ち着け、まずは電話で黒棘が言ってきた話の内容を整理するんだ」 こういう状況でもトパーズは常に平静さを失わない。冷静沈着に顔色一つ変えずに顎に手をやって話を聞きだし、思案する。 T祥子「・・・なるほど、そうか。いいだろう、その取引、私が応じてやる。あとは、私に任せろ。私に策がある。今から指示をする。そのとおりに動いてくれ」 そういって、携帯を切ると今度は晶の携帯に電話をかける。 すると、聞こえてきたのは実に嫌らしく冷たい響きのする声だった。 T祥子「・・・・君が黒棘か?」 黒棘「・・・おや、その声は雷の封魔師?前と感じが違うような・・・なるほど、イマジンですね」 T祥子「ああ、トパーズという」 黒棘「ほう、貴方が・・・。これはこれは実に都合がいい、取引に応じるのが貴方とはね」 T祥子「・・・・・・そうか、私もこうして君とは一度話してみたかったところだ。荒魔切っての策士、知略と謀略に長けている優れた参謀とな」 黒棘「光栄ですね・・・黄兜が会いたがっていましたよ。殲鬼姫様の思想を理解し、この愚かな人類がはこびる腐った世界において、その思想と政治的手腕を理想的とまで言ったそうですね、大変喜ばれていましたよ。見所があると」 T祥子「独裁政治にも利点がある。乱れた風習や政治を一度基盤から仕組みを組みなおせるといった意味ではな」 黒棘「・・ふふふ、実に面白い方だ。それで?取引に応じてくれるのですか?」 T祥子「ああ、私一人でかまわないだろう?封魔師は一切連れて行かない。持っていくものもきちんと本物を用意しておこう」 黒棘「ふふふ・・・いいでしょう。もし、それが偽物だと分かったら・・・どうなるか分かっていますね?人質が・・・・ふふふふ・・・」 T祥子「小細工はしない主義だ」 黒棘「ふふふ・・・それでは30分後に・・・お待ちしておりますよ・・・・」 電話を切ると、その直後に祥子の怒りに震えた声が飛んできた。 祥子「あんた何を考えているのっ!?」 トパーズ「いきなり怒鳴るな。うるさい」 祥子「あんたねっ、よくもっ、そんなことを・・・・!!あんたには戦士としての誇りが、仲間を思う気持ちがないの!?」 トパーズ「交渉で相手の感情を逆上させることは最も愚かなことだ。交渉決裂における最悪の展開を招くわけには行かない」 祥子「・・・ぐぐっ・・・!!」 トパーズ「誇りや感情論や、封魔師のやり方がいつどこでも通用するとは限らない」 祥子「でも・・・!!」 トパーズ「さて、どうするかな・・・ふむ・・・・よし・・・・」 怒りに震える祥子を相変わらずマイペースというか突き放すような口調で言うトパーズ。 そんな彼女を放って、トパーズは今度は春姫に連絡をする。どこか感情が欠落しているかのような、そんな冷たい物言いだ。祥子は怒りで頭が真っ白になりそうだった。 T祥子「春姫か、私だ。今から言う作戦を彩乃、奈々美、眞子にも連絡を頼む。いいか、頼むぞ。人命救助がかかっている」 祥子(・・・納得なんか出来ないわよ・・・・!!) ルーベット「・・・これが取引の内容とは!!どうされるのだ!?トパーズ殿は・・・」 トパーズが整理してくれた取引の内容を整理し、ルーベットが頭を抱えている。 琥珀とアメジストも、条件を見て、顔をしかめて頭を痛めている。 アメジスト「まさか、封魔師全員の宝珠を持ってこいとはね」 琥珀「あいつ、あっさりOKしちまったけど、いいのかよ・・?」 ルーベット「言い訳なかろう・・・!!しかし、トパーズ殿の策ですからな・・・!!」 彩乃達も困惑しているようだ。まさかそんな策をOKしてしまうとは思わなかった。 しかしそこで、口を開いたのはサファイアだった。 サファイア「・・・迷う時間はないよ、あいつを、今は信じよう」 彩乃「サファイアさん・・!」 サファイア「あいつが今まで立ててきた作戦で間違っていたことなんてないんだ。そうだろう、ルーベット、琥珀、アメジスト?だったら、どうなるかこうなるか分からない絶望より、あいつが生み出す奇跡を信じようぜ」 真剣な瞳で、どこかおどけた笑みを浮かべて言う。 しかしそこには仲間を心から信頼しているゆるぎない感情が見える。 サファイア「まあ、あいつちょっと生き方不器用というか、理詰めで何でも考えちゃうんだよなあ。怒らせるつもりなんてないんだろうけどね。でもね、あいつが仲間のことを何も考えてないなんてないんだ。それは・・・・信じてほしいんだ」 そういって、サファイアが頭を下げる。意外と友情に厚く気配りできるタイプらしい。 ルーベット「皆、どうか力を貸してくだされ!!」 琥珀「あたしたちも最大限フォローするからよっ!!」 アメジスト「・・・・お願いします」 そういうと、3体が頭を下げる。 彩乃「・・・・信じましょう!!」 春姫「はい!!」 奈々美「うん!!」 そして遅れて眞子が駆けつけてきた。 眞子「作戦は聞きました!!!あたしも乗ったあっ!!」 春姫「眞子ちゃん!!あれ、エメラルドちゃんは〜?」 眞子「トパーズさんからの作戦で別行動です!!」 ルーベット「・・・・腹はくくった!!」 琥珀「こりゃ寝てられないな」 アメジスト「見せてあげましょうよ、うちらのしぶとさを」 サファイア「そうこなくちゃね」 状況は一変したといっても過言ではない。 黄兜、青鰭といった強力な戦闘能力を持つ二人を倒したことで荒魔たちの戦力は大幅にダウンし、一息ついたかのように思えていた矢先の出来事であった。 ところがこの状況をひっくりかえして優位に立ててしまったのが黒棘だ。 晶を拉致し、人質に取ることで行動が制限されてしまったために、これまで通りの行動が難しくなる。 その手段を選ばない卑劣さ、秀逸な頭脳による作戦を思いつく回転の速さ、そして敵のいかなる攻めにも柔軟に対応し、無効化させてしまう奇策に見事やられた。 ルーベット「しかし、トパーズ殿、どうしてそんな要求をあっさりと・・・?」 琥珀「到底思いつかないだろ、あいつの作戦なんてさ」 アメジスト「まあ、期待だけはしておくとしましょうか」 サファイア「そうだね」 彩乃「トパーズさん・・か、一体何を考えているのかしら・・・・?」 眞子「黒棘みたいなヤツなんかとまともに話し合えるはずがないのに・・・」 春姫「・・・今は信じましょう〜、トパーズさんが本当に荒魔に肩入れするような人には見えませんし〜」 琥珀「イマジンだけどね」 春姫「はうっ・・・」 ツッコミを食らい、考え込む春姫。 今は信じるしかない、バルキリーズきっての参謀長の彼女に。 一方・・・。 森林公園内にて・・・。 エメラルド「まさかそこまでやるとはね。でも、こちとらそんな事態想定内だってんだ。黒棘のヤツ、うちらのチームワーク甘く見るなよな・・!よっしゃ、あとは自動操縦機能に変えてと・・・・OK!!」 何やら言いながら銀色の小型の箱のようなコンピューターを操作すると、電子の色とりどりの光が行き交い、音が発する。それを確認すると同時だった。 ザクッ・・・・・ザクッ・・・・ 木陰に隠れていた彼女だったが、足音とともに感じられる気配の主を誰か察したかのようにゆっくりと出てきた。それと同時にバックルを装備してパスを構える。 そしてその人物の姿を見て、確信を得たと言わんばかりにその表情が獰猛な怒りに歪む。 エメラルド「一人で来るなんざいい度胸じゃん・・・・お姉ちゃんを返してもらうよ。それで、あんた倒すけどいいよね?答えなんか絶対に聞かないけど」 S慧「・・・・私を倒す?冗談にしては笑えないわね。口のきき方には気をつけなさい・・・・死ぬわよ」 白羽根が憑依した慧がパスをバックルに通して暴風を身にまといストームフォームへと変身する。そして、エメラルドもパスを通し、緑色の光を全身に纏う。 エメラルド「変身!!」 そして、ソードフォームへと変身したエメラルドが剣を構えると同時に飛び出した!! Sバルキリー「アタシのビートで・・・地獄までイカせてやらぁああああああああ!!」 Stバルキリー「ふん・・・・うるさいわね」 もう一つの苛烈なバトルが火花を切っていた・・・。 30分後。 トパーズが宝珠を持って葦原駅のホームにやってくると、そこには黒棘がいた。 そこにいたのは20代前半ほどの青年であった。肩まで伸びた白髪と整った顔立ち、黒いセルフレームの眼鏡をかけている青年であった。知的かつ物腰穏やかそうな青年であるが、トパーズは彼の狂気を感じ取っている。 トパーズ「君が黒棘か・・・?」 黒棘「いかにも・・・そうですか、貴方が着ましたか。一人で来るとは・・・随分と余裕ですねえ?お仲間も・・・連れてこられればよかったのですよ?」 トパーズ「取引には私一人で来いと言ったのは君だろう。それに、私はこういった取引を横槍入れられるのは一番嫌いだ。君とのゲーム・・・・楽しみにしていたのだからな」 黒棘「ゲーム・・・・ふふ・・・・そうですねえ・・・・命の駆け引き・・・・これぞまさしく狂気と理性のギリギリを見極められる最高の娯楽・・・・しかし・・こちらが圧倒的に優位に立たせていただいて、実に愉快ですが、貴方はどうですかねぇ・・・?」 そういって、後ろを振り返ると、そこには傷つき倒れた晶のほか、何人かの男女が恐怖と苦痛にゆがみきった様子で涙を流し、嗚咽交じりに祈り、われを助けてくれと張り裂けんばかりの絶叫や恫喝を叫んでいた。 見ると、天井には無数の棘が鋭い先を下に向けて氷柱のように生えている。彼が合図すれば一気に落下し、下にいる人間たちは串刺しとなるであろう。 トパーズ「これで、晶を抵抗させないようにして、痛めつけたということか」 黒棘「実に愚かですねえ、人間というのは。拡張工事だか肝試しだか知らないが、立ち入り禁止と言われているにもかかわらず他者の命令を無視し、己の欲望を満たさんばかりに破滅の闇にあっさりと足を踏み入れて、きたるべき運命を見苦しく拒絶する。そんな愚かな人間など家畜同然、屑しかり、生きている価値など見出せない」 トパーズ「・・・ここまでバカだと救いがない」 黒棘「そうでしょう、そうでしょう。いやあ、貴方は実にわかっていらっしゃる。そんな愚かな人間を守るなどというそれに輪をかけた愚かな異形の王など、もはや滅び去ってしまえばよかったのですよ。彼のいた時間が消えてしまったときにね」 数時間前。 晶は人質に取られていた人間たちを助けるために、黒棘と彼の配下である無数のスペクターたち相手に必死で抵抗したが、大勢に無勢、さらに満身創痍であるため、圧倒的な人海戦術で攻め込まれて、完全に打ちのめされたのだ。 黒棘「所詮彼は裸の王様。何も守れない。愚かですねえ、なぜ、何も守りきれない弱き存在であるのに、今なおあがき続けるのか?理解に苦しみますよ・・・」 晶を容赦なく侮蔑と罵声で罵り続け、冷たくサディスティックな笑みを浮かべる黒棘は自身の勝利を確信しているのか、愉悦に浸っている。 トパーズ「・・・・・・・」 祥子「・・・・春姫、離して。あいつ・・・・もう許せない・・・」 春姫「しょ、祥子ちゃん、落ち着いてください〜!!!今は、トパーズさんに任せてください!!今飛び出したら作戦が・・・!!」 祥子「・・・・もうそろそろ・・・・限界来てるのよ・・・・あいつ・・・・どこまでも腐ってるのね・・・・」 彩乃「あいつ・・・・・!!」 眞子「バカは死んでも治らなかったってことね・・・!!」 奈々美「・・・トパーズさん・・・・どうするの・・・?」 黒棘「挙句の果てには雷の封魔師のことを侮辱したとき、虫けらの分際で私に牙を剥きましたよ・・・何が・・・・許さないですか・・・実に弱者のお決まりのお言葉・・・ですね」 トパーズ「雷の・・・?祥子のことか」 祥子「・・・私の・・・・こと・・・?」 黒棘「彼女、赤薔薇に先代の雷の封魔師を殺されたそうですねぇ?彼女のミスで。実に愚かだ。力なき哀れな道化が出しゃばるから、結局彼女が殺したようなものです。そのような、救いもないクズに力を貸すなどと笑わせる・・・・といったら、激しく怒りましたよ」 「あの人のことをバカにすることは許さない。あの人は・・・・慧と同じくらい強い人だ。この町を守るために、町の人の笑顔を守るために、たくさんの苦労や絶望を乗り越えてきたんだ・・・・俺は・・・・あの人を・・・・祥子さんを尊敬してるんだ・・・・。戦士として・・・・一人の女の人として・・・・強くて優しい人だって思っている!!その人を・・・お前ごときが・・ヘラヘラ笑ったりバカにするな・・・絶対許さない!!」 ルーベット「晶殿が・・・そこまで・・・!?」 琥珀「感じ取ったんだろうな。あんたのこと」 アメジスト「あいつ、他人にはなかなか心を開かないのよ?」 サファイア「だから、無茶とは知っていても、許せなかったんだろうね。君の事、慧には少し及ぶけど、そのくらい大事な人なんだろうよ。だから、君のために本気で怒るし、本気で戦うんだ・・・それこそ無茶なのにね」 一度「誇り」や「信念」を認めた相手には徹底的に尽くし、力を貸そうとする。 それがチェックメイト・フォーのキング、大友晶という人物なのだ。 その言葉を聴いて、5人が唖然としたように聞き入っていた。特に祥子は・・・涙が一筋零れ落ちていた。激しく胸を打たれた熱い感覚に全身が震える。自分の過去も、今も、全てを知り、そしてそれでも守ろうとするまっすぐな姿勢に。 春姫「晶さん・・・!!そこまで祥子ちゃんのことを・・・!!」 彩乃「あの人も・・・色々と戦ってきて、失ってきたから・・・・分かるんだ」 眞子「あんなにボロボロになっているのに・・・それでも気遣うなんて・・・!!」 祥子「・・・・・バカ・・・・・!!」 トパーズ「・・・・そろそろ取引と行こうか?」 黒棘「おや、つい話し込んでしまいましたねえ。それでは、例のものを・・・」 トパーズ「ああ、人質は・・・・無事に帰してくれるのだろうな」 黒棘「ええ、もちろん」 そういって、トパーズが袋から取り出したのは、灼熱の炎を封印している赤い宝珠、吹き行く優雅な風を封印した桃色の宝珠、雄大な大地の力を封印した黄色の宝珠、生命あふれる青い水流の力を封印した青色の宝珠、そして光り輝く稲妻を封印している緑色の宝珠。 それを受け取ると、トパーズが晶たちの下へと駆け出す。 その直後、黒棘がヘッジホッグスペクターの姿に変わり、槍を構えて、指を鳴らす。 すると、天井から槍が一気に落下しだしたのだ!! ヘッジホッグスペクター「そんなこと、言うわけないでしょう」 祥子「そんなっ!!」 彩乃「こいつっ!!」 その直後だった。 トパーズ「・・・予想通りだな」 今度はトパーズが指を軽く鳴らすと、棘が空中で次々と大爆発を起こした!! ヘッジホッグスペクター「何!?」 そして、扉が開き、人質を非常口から脱出させると、晶も立ち上がった。 全身ボロボロで、擦り傷と打撲だらけの痛々しい姿だ。 晶「・・・・ありがと・・・・」 トパーズ「礼などいらん、よく持ちこたえてくれた」 ヘッジホッグスペクター「おのれ・・・!!」 その直後だった。 彼の足にむくりと黒い影が持ち上がり、彼の足元に強い力で押さえつけて、飲み込まんと闇が持ち上がってきた。まるで意思を持っているかのように。 その闇から見えるのは、殺意、狂気、憎悪、ありとあらゆる負の感情に満ちた瘴気・・・。 ヘッジホッグスペクターが思わず本能的に恐怖を感じ取り、宝珠を投げはなった。 すると、宝珠の光に闇がひきつけられるようにして蠢く。 光だ・・・光だ・・・・救われる・・・・救われる・・・・ 死者の光を求める地の底奥深くから響くような声が聞こえてくる。 そう、ここは首を切られて葬られた亡者が地の底に追いやられた地だ。 そんなところで聖なる力など使ったら、こうして光を求める死者に飲み込まれる恐れがあった。だから、晶は5人をここには来させなかったのだ。そして宝珠を利用して黒棘を逆に追いつめるためにこのような取引を思いついたトパーズの明晰な頭脳が思いついた作戦であった。そして、棘には先ほどエメラルドが仕掛けたステルス機能つきのハチ形監視カメラを爆弾化させたものが取り付き、人質の無事を確認しだいすぐ爆発するように仕掛けておいたのだ。 トパーズ「相変わらず無茶をするな」 晶「・・・まあね、でも、男の子ですから、このくらいの痛みどうってことないよ。それに・・約束しちゃったからね、祥子さんと」 ヘッジホッグスペクターに向かい、晶がベルトを構えてキングのデバイスを差し込む。 晶「この町の、この町の笑顔を守るって。あの5人から一人でもいなくなったら、ダメなんだよ。彩乃さん、眞子さん、奈々美さん、春姫さん、誰一人奪わせはしない。あの人の笑顔を守るために・・・そう決めたから!!」 祥子「・・・・約束!!」 ヘッジホッグスペクター「戯言を・・・!!殺してやる!!」 晶「・・・・変身!!」 トパーズ「ああ、このバカにいい加減引導渡してやりたかったところだ。貴様は許さん!!変身!!」 キングフォーム、そしてアックスフォームに変身するとヘッジホッグスペクターの合図で無数のスペクターが現れる。取り囲まれるが、そのときだった。 マータ「グランド・・・・インパクトォ!!」 ヴァーユ「サイクロンスナイプ!!」 リクォール「スプラッシュアロー!!」 イグナイト「バーニングライダーパンチ!!」 大地の衝撃が、嵐の矢が、水流の槍が、そして烈火の拳が取り囲んでいた敵たちを吹き飛ばす。そしてそこに4体の封魔師が飛び出してきた。 Aバルキリー「すまないな、茶番につき合わせてしまった」 ヴァーユ「いいってことですよ、敵をだますにはまず味方からでしょう!?」 マータ「黒棘が逃げます!!」 イグナイト「どこまでも予想とおりね!!でも、こっちも考えているんですから!」 リクォール「晶さん!!今、祥子ちゃんが黒棘を追いかけています!!お願いします!!」 Kワイバーン「了解!!」 向かい来る無数のスペクターを前にアックスフォームが斧を構えて立ち向かう。 Aバルキリー「救いようがないバカ・・・・お前のことなんだよ、黒棘君。後悔させてやる、私たちに下手な喧嘩を売った報いをな!!」 金色の光が斧に集まり、一気になぎ払うと、金色の光が巨大な刃となって無数の敵を力任せに吹っ飛ばしていく!!その衝撃にさらに後ろにいたスペクターたちも巻き添えを食らって粉々に打ち砕かれていく。 Aバルキリー「ガイア・・・クラッシャー・・・!!」 やっぱり最後に言うのね。 そして、相当頭にきていたらしい。普段の冷静さを感じさせない荒々しい猛攻を発揮したのである。 ヘッジホッグスペクター「ちっ・・・いったん仕切りなおしですね・・・!!」 祥子「仕切りなおしなんてさせないわよ」 そういって、ヘッジホッグスペクターの前に勇敢と立ちはだかったのは祥子だった。 緑色の宝珠を輝かせて、あらゆる破邪を焼き払う雷を解き放つ。 ヘッジホッグスペクター「貴様・・・・!!」 祥子「・・・あんただけは絶対に許さない。ここで倒す!!変身!!」 怒号と共に稲光が放たれ、仮面ライダーヴォルグと化した祥子が斧を構えて一気に躍り出た。両腕の斧を巧みに操り、豪快に攻め込んでいく。ヘッジホッグスペクターが槍を構えて対抗するが、怒りで猛攻するヴォルグに圧倒される。 ヘッジホッグスペクター「おのれ・・・・おのれぇええええええええええ!!」 身体を丸めて高速回転すると地面を削り、バウンドしながら縦横無尽に飛び跳ねて一気に攻めだしてきた。そして雷の攻撃をはじくと、そのままヴォルグに向かってくる!! しかし、そこへキングフォームが飛び出すと、槍を取り出して一気になぎ払う!! 槍の一撃を食らい、天井を、壁をバウンドしながらヘッジホッグスペクターが転がっていく!! Kワイバーン「全くもう、しつこいったらないよ」 ヴォルグ「・・・・晶」 Kワイバーン「はにゃ?何?」 ヴォルグ「・・・あの・・・・その・・・(///)」 Kワイバーン「・・・祥子さん、ケリつけるよ、力貸してくれる?」 ヴォルグ「・・・OK!!」 晶が槍を構えると全身から青い稲光が発せられ、全身を取り巻くと同時に一気に駆け出す!!後ろからヴォルグが緑色の稲光を放つと、それを身にまとい、一気に加速し、やがてそれが巨大な竜の姿へと変えていく!! 巨大な牙を開き、ヘッジホッグスペクターを食らいつくさんと一気に押し寄せる!! Kワイバーン「食らえ!!」 槍を一気に放ち、それが突き刺さると同時に青と緑色の稲光の渦ができ、その中に飛び上がり、右足を突き出す!!さらにヴォルグが飛び上がり、左足を突き出すと同時に加速して飛び込む!! ヘッジホッグスペクター「ああ・・・ああ!!」 Kワイバーン「ダブル・カラミティー・・・!!」 ヴォルグ「ライダーキック!!!」 ヘッジホッグスペクター「ぎゃああああああああああああああっ!!!!」 二人の蹴りが同時に炸裂し、ヘッジホッグスペクターが絶叫を上げながら稲光に包まれて焼き尽くされ、中から紫色の宝珠が飛び出し、中にはハリネズミの彫刻が入っているものが晶が受け取る。 晶「・・・・ひと段落・・・かな?帰るとしますか・・ね・・・・あれ・・・?」 そういって、何事もなかったかのように歩いていこうとするが、足腰から力が抜け、前のめりに倒れこむ。しかし、それを祥子が前から受け止めた。そしてそのまま腕を回し、晶の小柄な身体を強く抱きしめる。暖かくやわらかい感触、芳しい匂いが鼻をくすぐる。晶が思わず抵抗しようとするが、もはやその力さえない。驚きで目を見開いているばかりだ。 顔さえ真っ赤に染まっている。 晶「ふえ・・・・?」 祥子「・・・バカ・・・・バカ・・・・・バカ・・・・!!あんなヤツなんかのいうことなんか・・・本気にしないでよね・・・・!!こんなに傷ついちゃって・・・・本当にバカ・・大バカだよ・・・・!!私のためなんかに・・・・・・!!」 肩が熱い何かがしみこんでくる。身体が小刻みに震えている。抱きしめた腕が力強く抱きしめている。 晶「・・・・バカでいいもん。バカだもん」 祥子「・・・でも・・・・ありが・・・とう・・・・あき・・・ら」 晶「・・・・・こっちこそ、助けてくれて、ありがと・・・祥子・・・さん」 そういって、晶が倒れこむ。意識を失ったらしい。 しかしその顔には笑顔が浮かんでいた。心から安心しているかのような優しい笑顔。 そんな彼をずっと「バカ、バカ」といいながら泣きじゃくる祥子を見て、残りのメンバーたちが安心したかのように笑みを交し合う。 祥子「バカ・・・・バカ・・・・バカ・・・・・ありがと・・・・バカ・・・・バカ・・・ありがと・・・・バカ・・・バカ・・・・」 彩乃「本当にどうしようもないくらいバカですよね、バカ過ぎて・・・カッコいいじゃん」 眞子「あれが彼女持ち・・・世の中キビしーわね」 奈々美「・・・・そうだねぇ・・・」 春姫「祥子ちゃん・・・・今は思い切り泣いていいですからね」 ルーベット「あれでは、慧殿の心を射止めるわけだ」 サファイア「ああ、納得だね」 琥珀「成長しやがって」 アメジスト「・・・まあまあじゃない?」 トパーズ「及第点だな」 その頃・・・。 最悪の知らせが彼女たちを待っていた・・・。 森林公園の一部が激しく嵐が吹き荒れたように建造物が破壊され、木々が吹き飛びへし折られ、地面がえぐれている。 その中で、折れた刃が地面に刺さり、その傍らではソードフォームが、アーマーが砕け散った無残な姿で地面に横たわっていた。ピクリとも動かない。 それを冷たいまなざしで見下ろしている白羽根が憑依した慧が、一瞥するとその場を立ち去る。 S慧「誰が来ようと・・・・負けるわけにはいかないわ」 もう二度と死なないために。 懐から取り出した一本の白い薔薇。 この薔薇に誓った願いを果たすまでは・・・。 S慧「私は・・・もう負けない。どこまでも・・・・足掻いてやる。運命にも、闇にも」 腕を広げると、背中から白い光が翼のように広がった・・・。 続く |
鴎
2010年06月14日(月) 13時51分22秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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……色々とあって感想を出すのに遅れましたが、ここいらで感想を書かせてもらいます。 今回の話で大活躍だったのは、間違いなくトパーズと晶の二人だと思っています。敵の卑劣な手口から仲間を助けるためにあえて仲間からも怪しまれようとも、相手を欺くために策を用意て状況の逆転を見せたトパーズ。どんなに自らが傷つこうと、自らの意思と守ると決めた人との“約束”を果たすためならどのような無茶をする晶。…本当にこの二人には驚かされるところが多いです。黒棘も、本来なら相手にするべきではない相手に喧嘩を売ってしまったということですね。 ……それにしても、正直黒棘の言葉には頭にきました。必死に頑張っている人などを侮辱する上にどこまでも卑劣な奴であることが、よくわかる感じでした。 そして今回の戦況状況ですけど、トパーズが変身した『仮面ライダーバルキリー・アックスフォーム』と他の『イグナイト』ライダー達との協力戦。見事に雑魚どもがぶっ飛んでいった感じがイメージできました。んでもって晶と祥子さんの雷使い『ライダー』コンビによる黒棘との戦闘。止めも見事に決まりましたね。『ダブル・カラミティーライダーキック』!!ある意味、相変わらずカッコいい決め方だと思いました。……それにしても晶君って本当に優しい人ですね。そりゃあ慧ちゃんっていう“本命”がいなけりゃあ無自覚のフラグゲッターになっているでしょうからね。彼も罪な男です……。 そして、トパーズ達側はなんとか無事に勝利を手にすることができましたけど、その一方で行われていたエメラルド(『バルキリー・ソードフォーム』)VS白羽根(『バルキリー・ストームフォーム』)の戦いの方は、エメラルドの自敗北で幕を閉じてしまいましたけど、エメラルドは無事なのですか?ここまで来ると、さらにヤバ気なことが起こる気がしてなりません;次回あたりでどうなってくるのかが気になってきます。 今回の感想は以上とさせてもらいます。今後もどうか頑張ってください!! |
50点 | 烈 | ■2010-06-15 13:37:33 | 202.242.7.42 |
遅れてしまい申し訳ありません。感想行かせてもらいます。 黄兜に続き今回お亡くなりとなった黒棘。自分で書いてる時は何も感じないのに、 第三者の視点で読んでみると人をなんとも思わない卑劣な言動に怒りを覚えるのは何故? というかこうして見ると黒棘も青鰭も読んでてムカついてくるな。書く側と読む側じゃ 受け取り方が違ってくるのでしょうか?私の表現の仕方がへたくそなだけかもしれませんが。 そして狂気と愛想を見せてくれたサファイアに続き、今度は巧みで緻密な策を 見せてくれたトパーズ。祥子とのやりとりも実に読み応えありました。 もちろん晶君と祥子のランデブーも。トドメはライダー定番のダブルライダーキック! もし慧ちゃんいなかったらマジでフラグ立ちまくりかもよ。 しかしそんな喜びを見事にぶち壊してくれた最後に残った白羽根。しかも殲鬼姫や 智も残っている以上まだまだ苦戦は必須かも。 黒棘「トパーズですか、残念ですね。貴方が千年先に生まれていれば我等の 同胞になれたかもしれないものを。」 黄兜「全くだ。貴様も殲鬼姫様に出会っていればあの方の崇高な理念に直に触れ合えただろうに。」 黒棘「家畜を守る?家畜は死んで糧になる以外に存在意義などないというのに。 実に下らない。無益、無意味、無価値。無の三拍子ですね。」 黄兜「愚かな人類を守って何になる?真の平和、真の繁栄を手にするのは。我等のような 至高の存在にして絶対の支配者である殲鬼姫様に選ばれた存在だけで十分だろう?」 |
50点 | イタリアーノリク | ■2010-06-14 18:37:37 | i118-16-179-58.s10.a022.ap.plala.or.jp |
合計 | 100点 |