仮面ライダー珀羅 『空神の剣と高き天原《前編》』







「・・・・・・」

「お前さぁ・・・何やってんだよ・・・」


布団の中で死んだように眠る友に恭也が呼び掛ける。

昨日山の温泉へ湯治に出かけた時のことだ。その帰り、突然敵に襲われ濠達とは一度別れた。
夜遅く、鬼気迫った様子の鴉美達に担ぎ込まれた濠だったがその時にはもうこのような状態だった。

呼吸も心音も感じ取れないほど小さいが辛うじてある。だが要の霊力だけは本当に止まってしまっていた。

霊力は消耗され弱まるということはあるが、“まだ生きて”いてそれが完全止まるというのは普通ではまずありえない。
ギリギリ死んでいる・・・という表現がふさわしいのか。恐ろしく曖昧な状態が存在していた。

雪乃が外部から霊力を送り込み何とか流れを作れないかと先ほどまで治療を続けていたが、奮闘も虚しく何の変化も見られなかった。
霊流の扱いに長けた彼女でも駄目ということはもう手の出しようがないということだ。

出来ることといえば濠が自然に目覚めるのを祈りながら待つことだけだった。


「いつも無茶ばっかしやがって・・これでもメチャクチャ心配してんだぜ?なぁ・・・」

「・・・・・・・・・」

「早く起きろよ、みんな待ってるんだからな」


ふと時計を見るといつの間にかもう夜が明けていた。

もう冬に差し掛かろうという時季の早朝だ。部屋の中でもやはり肌寒い。
朝日でも入れれば少しは変わるかと恭也はカーテンを開けるが、思っていたほど光は入って来なかった。
空を見れば暗い雲が空一面を覆っている。


風も無く、鳥のさえずりも聞こえない、不気味なほど静かな朝だった。







【仮面ライダー珀羅〜空神の剣と高き天原〜】






深い霧の中、巨大な岩山がいくつもそびえ立っている。その中で最も高い岩の上に少年は立っていた。
眼を瞑り谷の底を・・・下界、人界を覗き込むように意識を傾けていた。

(そうか、爪は濠に渡したんだね)
「ええ・・・・・」

その少年、澪示は今地上に戻っている彼の叔父と連絡をとっていた。

「これが正しい選択だったかは分かりませんけど」
(家族の可能性を奪わずに済んだ、僕はそれでよかったと思うよ)
「・・・そうですね」

知り得たことは伝えてあった。その上で濠は先の見えない道を進むことを選んだのだ。
濠ならばきっと自分で選んだ道に後悔はないのだろう・・・しかし、澪示の気持ちは優れなかった。
あの場に留まれば濠を連れていかなければならなかったとはいえ、苦しい状況にある彼らを助けることも出来ず濠には選択の責任だけを押し付けて来てしまった

そして燎子、傷つけ多くの涙を流させてしまった少女。
彼女とは二度と会うことはないと思っていた。それは仕方のないことだと自分に言い聞かせていた。
どういうわけか彼女はこちらの世界に入って来てしまったが、それでも本来ならばあるはずのない再会だった・・・
他を巻き込まないよう濠への接触は一人になった時と決めていたが敵の襲撃のタイミングが悪すぎたのだ。

結果、止むを得ず燎子の前に飛び出してしまったが今の自分には何も出来ない、結局はまた彼女を傷付けただけだ。

「・・・・・・・・・・」
(行かないのかい?)
「・・・ええ・・・それは出来ませんから」

曲がりなりにも自分は役目をもってここにいる。
一度は勅命を果たさず、濠に“爪”を与えたがそれでもここの住人であることには変わりはない。
大きな力を与えられている以上、それに従う責任がある・・・・澪示はそう考えるようにしていた。

(澪示・・・・・・)
「・・・わかっています、ごめんなさい」

霧島の家の人間は誰も自分が役目に縛られるのを望んではいなかった。
ここで積み上げて来た全てを放り投げて濠達を助けに行っても誰も文句など言うまい・・・むしろ応援さえしてくれるだろう。

だが、澪示はその柵を解こうとはしなかった・・・いや、解きたくなかったのかもしれない。
澪示は燎子に会うことを恐れていた・・・あの時から壊れたままの時間を直視出来ずにいる。
だから自身のことを猛獣と言い、与えられた檻に逃げ込んでいるのだ。

そんなことはここに最初に来た時から分かっている・・・だが、どうしようもなかった。

「怖がりですよね・・・こんな化け物みたいな力より怖いものなんてそうそうないのに・・・」
(ううん、違うよ。君は優しい子だ・・・ただ優し過ぎるだけなんだ・・・だから耐えられないんだね)

澪示は燭陰を継ぐために与えられた力のほかにその父から天と地、人とを繋ぐ力を受け継いでいた。
あらゆるものの繋がりを手繰り、声を聞き、またその想い届ける特別な力。
そういう力を持っていたからこそ尚更自分や人の心には敏感に成らざるを得なかった。

(本当に深く繋がっているからこそ・・・君には、君達には辛いかもしれない)

燎子が感じる痛みや恐怖、燎子が傷つくことへの自分の持つ恐れや不安・・・一つの心ではとても抱えきれないような大きなものを全て自分のものとして澪示は幼い内から独りで背負い込んでしまったのだ。

(あの子は打たれ弱い子だ。強がっていても心は傷を受け、痛みに泣くことだってある。)
「・・・・・・・・・」
(でもね、それでもずっと逃げずに必死でその痛みと戦っているんだ。君も一緒に戦えないのかな・・・)
「僕はずっと逃げて来ました・・今でも・・・・・僕には・・・」
(あの子の気持ちは君が一番よく分かるはずだよ)
「・・・・・・・・・」
(澪示、君の生き方はいつでも君が決めていけばいいんだ)


(君自身が本当にやりたいこと・・・・それは何?)




「僕は・・・・」







「・・ぁ・・・・」
「鴉美か、どうした?」

鴉美が階段を上がると狭い廊下の先に恭也の姿を見た。
片手はまだ襖に掛っていて、ちょうど濠の部屋から出て来たところのようだった。

「ちょっと濠さんの様子を見に来たんですけど・・・どうですか?」
「変わりはねぇよ・・・・そっちは?」
「少しは落ち着きましたけど、あんまり良くないです・・・今は香織さんと紫苑さんに看て貰っています」

濠を運んできた時、放心していた燎子も一緒に店に連れて来た・・・
心身の疲労が心配され一休みさせようとしたのだが、燎子は熱を出してそのまま倒れてしまっていた。

「なんかお前も顔色悪りぃけど・・・やっぱ寝てないのか?」
「ええ・・まぁ・・・・でもこんな時ですから、今動けるの私だけですし・・・・」

濠と燎子は勿論のこと、濠に治療を施そうとした雪乃も力を使い果たし今は仮眠を取っている。
紫苑も戦えるとは聞いているが燎子の看病についている為負担は掛けたくなかった。

「おいおい、お前まで倒れちまうって。休める時に休んどけよ」
「でも何かあったら・・・・」
「そんときゃすぐ起こしてやるから、なぁ」
「・・・・でも・・・・」
「何もしてないオレが言うのもアレだけどさ、あんま無理はしてくれるなよ・・・」
「・・・・・・・・・」

恭也の意識は濠が寝ている部屋に向いているのが鴉美にも分かる。
親友がああなってしまった後だ、自分達のこともいつも以上に心配なのだろう。

冷静になって考えてみれば意地を張っても無理をしても本調子でない自分に何が出来るでもない。
それにその為に何かあってはこの少年を悲しませるだけだろう・・・そう考えた鴉美は恭也の申し出に従うことにした。

「わかりました。じゃあお言葉に甘えさせてもらいますね」
「おう、甘えとけ。そんじゃ予備の布団出しに・・って、あちゃぁ・・・そういや」

来客用の予備は2セットあったが、今は燎子と雪乃が使っていてもう布団は残っていない。

「大丈夫ですよ。私なら畳の上で十分『あ、オレのでいい?』・・・へ?」
「まぁ、無いよりはマシだろ?ちなみに一昨日干したばっかだぞ」
「ええ!?あ、あの・・・!」

確かに疲れを取るためならば固い畳よりも柔らかい布団のほうがいいに決まっているが・・・
ともあれ異性の、それも最近ちょっと気になり始めたそいつの布団となるとちょっと考えさせられる。
とんでもないことをさらりと言われ慌テングと化した鴉美とは対照的に、恭也は軽い動作で自分の部屋に入って行き、鴉美が頭の中であれやこれやと悩んでいる内に手早く布団を敷いて戻って来た。

「その部屋適当に使ってくれ。・・・・・・あー、でも押し入れとかは見ない方がいいぞ、うん。んじゃ、しっかり寝ろよ〜」
「ちょっ、あの、恭也さんは?」
「じっとしてても仕方ねぇからなー・・・とりあえず蔵でも見て来るわ」
「??蔵・・・・・ですか?」
「あぁ、ウチの店ヘンテコなもんばっかあるし何か使えそうなのがあるかもしんねぇからさ」

にへっと笑って言うと恭也は階段を降りて行った。

取り残された鴉美は部屋の前でうんうん迷った末、結局部屋にお邪魔することにした。
襖を開け中に入る。先ほど片づけたのか思っていたよりは散らかっていなかった。
やはり相当疲れは溜まっていたので、押し入れが少し気になるも目についた布団に惹かれてそろりそろりと潜り込む。が・・・

「・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・」




「・・・・・・・・・・眠れない・・・・」









『彼奴は確かに降りた・・・・・だが何故楔は外れん・・・』

その存在が急激に近くなったのは数刻前のことだ。こちらには好ましい誤算だった。
予期せぬ乱入があり爪を手に入れた濠が力を酷使し続けた結果、その肉体に変化が起こった。
濠の存在を依り代とし世界は欠けていたスサノオ【素盞嗚】の存在を思い出し迎え入れ、そして計都に架せられた枷は解ける・・・今はその直前まで来ていた。
だがそれから先が一向に進まない。まだ欠けているものがあるのか・・・・

『探らせるか・・・・ソーマ』
≪・・・・・・・・・・≫
『何をしている』


ヴン


≪ボクが行ってきてあげようか?≫

『・・貴様は』

計都は突如出現した仮面を睨む。配下の魔人の不具合はそれがやったものだろう。
造りの為か駒としての認識にある程度の狂いはあるものの、基本的に七曜が計都に従わないのはあり得ない。
この空間に侵入し、かつ“ソーマ【月】”を手懐けたそれに計都は心当たりがあった。

『ツクヨミ【月読】ではないか。何だそれは・・・?哀れな姿になったものだ』
≪おかげさまでね。でも、君が言えたことじゃないだろう?≫
『ククク・・・・』

妖しく煌めくこの白銀の仮面は、計都の知るそれが着けていたものだった。
過去の大戦で計都と羅喉が割かれた時、月読や天照も滅びたと思っていた。
だが、アマテラス【天照】の思念はこの世界に辿りつき、自身とスサノオの欠片で阿修羅を創っている。
月読の思念がこちらの世界に流れ着いていたとしても何の不思議でもなかった。

『消え損なったか、だが何故ここに居る?』
≪忘れ物を取りに来ただけさ≫

ふわりと銀色の魔人が浮くと、引き寄せられるように月読の傍に並び立つ。

≪趣味が悪いね、ボクの欠片をくすねて玩具作りとは・・・壊れた人形の観察は楽しかったかい?≫
『貴様が言えたものか、あの逸れた神族に神殺しを授けたのは貴様なのだろう?』
≪・・・あぁ、そんなこともあったね。見てたのか、道理であの娘の魂が都合よく巡って来た訳だ≫
『ククク、同族殺しとは実に愚かなだな。まるで彼奴と同じでは≪黙れ≫』
≪忘れるな、ボクと姉さんを取り込んでいなければ君は二つと言わず塵々にされていたんだ≫
『・・・フン、まぁいい。直に我らも元に戻る・・・・』
≪だから早く潰して置きたかったんだけどね・・・・とりあえず返してもらうよ≫
≪・・・・・≫

ソーマの顔に被さるようにして月読の仮面が重なる。
それと完全に一体化した魔人はその本来の輝きを取り戻していた。

≪うん、まぁまぁ動けるみたいだね。よくこれだけ集めたものだ≫
『それで・・・今度は貴様が暇潰しとなってくれるのか?』
≪まさか、いくら君が半分でもこの躯ではとても敵わない。でも、邪魔をすることくらいはね≫

そう言い残して暗闇に溶け込むように月読は消え行った。


『フン・・・・・・スーリヤ【日】』

月読が去った後、すぐに計都は新たな魔人を呼び寄せる。
周囲で瞬いていた光が一か所に集まって行き、そしてその光が収まると漆黒の魔人がそこに佇んでいた。

≪・・・・・・・・≫

『追え、始末せよ』






朝霧がかかる高天原の森の上空を四足の龍が飛んでいた。
龍は降りられそうな木々の隙間を見つけるとそこに着陸する。紺碧の光があがり、次第にその姿は小さくなっていく。

「よいしょっ、到着っと」
「あちゃぁ、もう朝だね。濠くん大丈夫かなぁ〜・・・」
「んんー、よく分かんないわね・・・・もう終わっちゃったのかしら?」

龍が降りた所には青髪の女性と、茶髪の少女、そして白髪の男が立っていた。
濠が狙われいて襲撃を受けているという話は移動中に聞いていた。
青髪の女性“蜃”は力の衰えている羅刹に代わり広めに気配を探ってみたが、どうも戦闘が行われている感じはしない。

「とりあえず濠ちゃん探しましょうか」
「あ、ボクお家知ってるっ!ちょっと前にお泊りしたんだよ〜♪」
「じゃあ、案内して。今の時間じゃ飛んでくのはまずいだろうし陸路で行くわよ」

「・・・・・・・・」
「ねぇ、アンタさっきからダンマリだけど――――‐」

羅刹はさきほどここに到着してからずっと向こうの林を凝視したままだった。

「そこの者、出て来い」
「どうし・・・・は?」

「・・・・・・・」

「え、マジ?」

羅刹の見ていた林の中から一人の女性が歩いて来た。
薄青い長い髪に凛々しい目つきをした知的な雰囲気の女性だった。

この辺には特に何の気配もしなかったはずだが、自分としたことが探り損ねたのだろうか。
蜃がそんなことを思っていると女性は羅刹の前にやって来てゆっくり頭を下げた。

「お待ちしておりました。濠の父上殿」
「何・・・・」
「そちらは母上殿ですね。聞いていた通り本当に瓜二つだ」
「え!?ちょ、違う違うっ!濠ちゃんのお母さんは・・・」
「何故私や淳を知っている?」

蜃が何やら焦って弁解するのも無視し、羅刹は女性に問いかけた。
女は答える代わりに帯に下げた巾着から金色の法具を取り出し、それを羅刹へ差し出した。

「どうぞ、お受け取りください」
「っ、これは・・・・!」
「名を“雷神の霆撃”と言います。貴方の知る“金剛杵”ほどとはいかないでしょうが、きっと貴方の力となります」

金剛杵とはスサノオが宝剣とともに戦に用いたとされる阿修羅に伝わる最古の器だ。
阿修羅の中でもそれを知るのはごく限られた者だけであったし、それは既に失われて所在は掴めない。
だが女はそれを別物だと言い切った・・・少なくともその存在を知っている。

「・・・・お前が何者か、答えてはくれないのだろうな」
「申し訳ありません・・・時間がないのです。おそらくもう暫くして濠の下に魔人が現れます」
「・・・・・・・・」
「それを止められるのは貴方だけです。どうか・・・弟達をお願いします」

そう言って一礼すると女性はまた林の中に消えて行った。

「・・・・・・・・・」
「追わなくていいの?」
「・・・あぁ、先を急ぐぞ。案内を頼む」
「おまかせあれ〜♪えっとねぇ、曇ってるけど大体あの辺がお日さまだから・・・来た時があの辺だったから・・・・・・・・たぶんこっちで〜す!」
「ちょっ、えらくアバウトね」

本当にあっているかは分からないがそれしか方法はない。
冢杏に道を任せ彼女のペースで進んで行く。

「ねぇねぇ、そういえばさっきの人ちょっとふいんき羅刹さまに似てなかったぁ?」
「雰囲気。あ、でもそれアタシも思った・・・まさか隠し子だったりして!」
「んん、でもなんか他にも・・・・あ、お姉ちゃんにも似て・・・似て?ん?あれ〜?」じとーっ
「ぬぇっ!?な、なんでこっち見るのよ!?」

「・・・・・・・・」

三人と言わず二人でも十分姦しい、そんな女子大生のようなノリの二人に挟まれてはいるが羅刹の集中が途切れることはなかった。
先ほどの女から預かった金色の法具、そして宝剣に視線を落とし戦へ向けての心の準備を整えていた。





青嵐昇華
2010年08月08日(日) 22時07分28秒 公開
■この作品の著作権は青嵐昇華さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ

昨日(8/7)はAtoZ朝一で見て来ました!!

『キュィーン』
ジョーカーマジヤバイ流石ダブル原点回帰キタコレデカツル!!ウヒョー!!(もちつけ
ダブルのアクションは歴代最強、そう自身を持って言える一本でしたね。やべぇ。
映画終わった後のテンションでDXロストドライバーとついでにスカルマグナム買って帰っちまいましたよこんちきしょー・・・おかげでおサイフがすっからかんだZE

エターナルの変身音がリズミカル過ぎてやだこれたのしい。


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結構遅くなりましたけど、感想を投稿します。

前回の話の最後にかなりの“霊力”を使った結果、倒れたしまった濠。その眠りは未だに覚めず、恭也を始めとした仲間達も心配している状況。その上、前回の戦いの際から放心状態となった燎子嬢は今までの精神的なものの結果熱を出してしまいダウン。またそんな二人を回復させようとした結果、雪乃さんまで仮眠を取らなければならない状態になってしまう始末…!戦えるもので動けるのは『嵐羽』である鴉美さんと“戌の式”である紫苑さんぐらいという状況。これは正直ヤバイ状況であるのは目に見えていますね…;

その一方で、濠に“勾玉(爪)”を渡し、今後どうしようかと悩んでいる澪示君。彼にとって一番の悩みともいえるのが燎子嬢のこと。彼にとって何よりも掛け替えの無いものというのが彼女なのでしょうけど……、私としてはどのような理由があろうと側に居て、慰めたりするべきだと思います。いくら己の内にある“力”が原因で大切な人を傷つける恐れがあるとはいえ、何も言わずにその人の側から離れることは、逆に大切な人を傷つける原因になってしまう可能性だってあるものだと私は思います。…結果としては燎子さんは心が傷つき、色々と苦しんでいたと思います…。悩んでいる澪示君に“道”を示すように語る叔父の言葉が彼に真に進みべき“道”を改めて考えさせているようですね……。

さて、濠達の状態などお構い無しといわんばかりにどうして濠の中に『スサノオ』が目覚め、自分を縛る“楔”が解けないのかと疑問に感じている『計都』。それを『月(ソーマ)』に調べさせようとした際、『月(ソーマ)』は『月読』に肉体を奪われてしまうという状態になってしまったわけですけど、『月(ソーマ)』や今回の話で登場した『日(スーリヤ)』が『月読』や『天照』の“欠片”から“生み出された”存在というのには正直驚きました。流石は“破壊神”というべきでしょうかね。…しかし、このままだと『月読』は『月(ソーマ)』の身体を利用して濠を殺そうと思っているようですけど、一体どうなるのですか?

その一方で、何とか濠達の住んでいるところの近くの森辺りに着いた濠の父である羅刹と“龍神”である蜃、“亥の式”である冢杏の三人。一応現状を調べるため濠達の住む家に向かおうとしている際に、彼らの前に不思議な女性が現れましたけど、彼女ってまさか『天照』なのですか?妙に濠のことに詳しいようですし、羅刹さんや淳さんのことも知っているようでしたし、後どういう理由なのか“阿修羅族”に伝わっているという武具の一つであるという『雷神の霆撃』を渡しているところや、羅刹さん達の前から去る際に言った“「弟達をお願いします」”という言葉から察すると、そういう結論に至りますので、あながち間違っていないと思います。

『天照』と思われる女性から言われたことを考えながらも濠達の下に急ぐ羅刹達。……とは言っても蜃と冢杏の二人はとことんマイペースに進んで居るところには呆れるものがありましたけどね…;

それでは、続きは『後編』の方で。
50 ■2010-08-12 12:58:37 i121-112-120-174.s10.a044.ap.plala.or.jp
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