仮面ライダーヘブン 第36話 |
第36話 黄金の光を放つ三叉槍“アンフィトリテ”を構えて、フォルネウスフォームがシェルプレデターとシーアネモネプレデターの前に立ちはだかる。そして、砂埃を上げて駆け出し、槍を突き出すと光る槍の穂先がシーアネモネプレデターを吹き飛ばした! シーアネモネ「きゃああああああああ!」 シェル「アネ!くっ!」 シェルプレデターがドリルを高速回転させて突き出すが、それを槍で受け止めると、槍の穂先が何と形を変えてドリルに巻きつき、さらにそのまま腕へと伸び、絡みつきながらアンカーのような鉤に変わると腕に引っ掛かり、そのまま思い切り槍を振るい、回転させて吹き飛ばす!リールのようにどこまでも伸びる光の槍に巻きつかれて身動きの取れないまま地面に叩きつけられる! マリア(なるほど、形も長さも状況に応じて変えられる。確かに、“技”が得意な私にはぴったりですね) そして、槍を地面に突き刺すと、海から水面が盛り上がり、みるみる無数の分身を生み出して、シェルプレデターとシーアネモネプレデターに襲いかかっていく!切っても撃っても水なのでビクともしない、さらに分裂すると、分裂した分身がさらに倍の分身を生み出すので、うかつに手が出せない! シーアネモネ「や、ヤバいよっ、シェル!どうする!?」 シェル「くっ、ここは、一時撤退するしかないですね・・・!」 シーアネモネ「・・だよね。悔しいけど、こいつらナメてたウチらの誤算だ・・!」 そして、無数の分身が二人を円を描くように取り囲んだ。 その中の本体がパスをバックルに通して青い光と銀色の光が飛び交う! 「FULL CHARGE!」 電子音が鳴り響き、全員が腰を低くかがめて飛び出す構えを取る。 その直後だった。 シーアネモネ「シェル・・・!」 シェル「え・・・!?」 シーアネモネ「・・・ここで二人やられたらそれこそショール様に顔見せ出来ない。こいつらの戦い方、伝えなければならない。そうすれば今後何度でも対策が打てる!だから・・・!」 そういって、にっと笑うと、いきなりバズーカを構えてシェルプレデターにむけると重厚な装甲に突きつける・・!その行動に一瞬あっけにとられるが、 シーアネモネ「あんただけでも、生き延びて!」 シェル「なっ・・・!!」 そして、バズーカを発射しシェルプレデターを吹き飛ばした!!バズーカに打ちだされて、ものすごい速さで砂浜から吹き飛び、みるみる遠くへと吹き飛んで行く!! その時、シーアネモネプレデターの顔がうっすらと・・笑っていた。 シーアネモネ「シェル、あんたと組めて、楽しかったよ。ありがとう・・・」 シェル「アネ――――――ッ!!!!!!」 その直後だった。 「サウザンドトーピードォオオオオオッ!!!」 無数の分身が一斉に中心にいるシーアネモネプレデターめがけて必殺キックを次々と放ち、シーアネモネプレデターが絶叫を上げて大爆発を起こした・・・! やがて分身が消えて、フォルネウスフォームが暁とマリアの姿に分かれて砂浜に倒れこむ。 アリス「暁!」 昴「マリアさん!!」 二人が駆け寄り、抱き起こす。すると、意識が若干残っており、目を覚ます。 穏「・・・・・・・大丈夫?」 マリア「・・・・・・・・・・・ええ」 昴「一人、逃がしちまったか。追う!?」 エリザベート「無理じゃな。ここから遠ざかると同時に、気配を完全に断ち切っておる。追跡しようにも、ここまで気配を消されると、ワシにも無理じゃ」 暁「・・・・・ちくしょう・・・・・ちくしょう・・・・・・」 暁が拳を震わせて砂浜を殴る、何度も何度も。 抱きかかえていたクリスが暁を見ると、驚きで目を見開く。 暁の両目からは・・・涙があふれんばかりに流れ落ちていたから。 暁が・・・泣いていた。 どこか行き場のない怒りと悲しみに満ちた涙。 暁「・・・・・・・・・・・分かっている、戦いなんだ、これは。こういうことだってあり得ることなんだって・・・・分かってるよ・・・・ちくしょう・・・・!!」 血が出るほどに握りしめた拳、砂浜に血がにじむ、自分があの二人の片割れを、唯一無二の相棒を打ち倒したこと、そしてそれが生き残ったシェルプレデターがどんな思いを抱いたかと思うと、胸が押しつぶされそうだった。それでも、自分が守りたいと思うものを守るために戦うという決意、守りたいものを背負っていく覚悟、そして失いたくない仲間たちのことを思っていても、この気持ちはやり場のない荒れ狂った感情となって噴き出す。 クリス(・・・暁) そんな姿を見て、クリスは言葉が出ない。ただ、必死で荒ぶる感情を抑えつける暁を、壊れないように見守ることしか出来ない自分がもどかしくて仕方ない。 暁は優しい。「聖」を司るパス、それを発動させるのは「優しさ」であり、暁が本来持っている「優しさ」は他者を思いやり、温かい心で包みこみ守ろうとするもの。しかしそれはあまりにも強すぎるせいで、他人ばかりに目を向けて自分が傷ついても構わないという、自分のことを蔑ろにしてしまっている故に、いかなる危険にも見舞われてしまい、どんどん傷ついて、疲弊していく・・・そんな危険性が暁にはあったのだ。 実際、暁はクリスを、クロキバを、そして仲間たちを守るために・・・ずっと傷ついて・・・もう傷だらけで、身も心も本当はもうボロボロだ。それでも心配をかけないように、わざと強がって、クールな大人を演じて、傷ついた自分を隠すためにあえてやんちゃで怒りん坊な「フリ」をずっと演じ続けている―・・・。 本当は誰かに甘えたいくせに。 支えてくれる「誰か」が欲しくて、そばにいてほしくて、探しているのに。 もっと素直に笑ったり泣いたり、してもいいのに。 クリス(・・・・暁・・・もうこれ以上頑張らないでよ・・・このままじゃ・・・暁が壊れちゃうよ・・・・もう・・・・すごく苦しそうだよ・・・・!) でも、それは言えない。 言ってしまったら、暁を支えている唯一の信念を粉々にして、もう立ち上がれなくなりそうだから。もう今の暁は、そんな偽りである「強がり」と、本来持ちうる「優しさ」のみが支えていて、それが暴走して自分が見えなくなっている状態だ。下手に止めても、もうバラバラになりそうな繊細で脆い心が・・・今にも爆発しそうな状態なのだ。だから、もう行くところまで行くしかない。それしか、暁は救われないのだ。たとえ間違っているとしても。 暁「・・・・・・・あれ?そういえば、凛は?」 ふと、周りを見回しても、一人いない。この場に、いつもいの一番に駆けつける木のライダー・シルヴァンである彼女の姿が。 アリス「あれ?ヤンキー姉ちゃんいねえぞ!?」 昴「ちょっと・・・ありえないよ。あいつ、こういう緊急事態になったら何があっても駆けつけてくるのに」 穏「・・・・・携帯にも出ない」 マリア「ぐっ・・・・、まさか・・・・・・凛さんには違う敵が・・・!?」 嫌な予感がする。 その途端、暁が飛び起きた。フィードバックで全身に激痛が走る。しかし、それさえも必死で歯をくいしばって堪えて、立ち上がる。そして、マシンフレスベルグに乗り込もうとする。 エリザベート「おい!?どうするつもりじゃ!!」 暁「心当たりは・・・・ある・・・・くそっ・・・・あの殺人クラブの一人・・・もっと早く思い出すべきだった・・・!どっかで・・・見たことあるなとは・・・思っていたんだ・・・・!もし・・・・そうだとしたら・・・・あそこしかねえ・・・!」 昴「ちょっと、そんな怪我で行くつもりなの!?死ぬよ!?」 暁「凛が危ない・・・!!これは直感だが・・・ヤバいって思った・・・!!こういう時の・・・・カンは・・・・結構当たるんだよな・・・。だとしたら・・・・凛が危ない・・・!!」 穏「・・・・・・でも、それじゃ行っても、守るどころか、一緒にやられる・・・!」 昴「むしろ、足手まといだよね。ボクらが行くよ。そんなけが人が出る幕じゃないね!」 暁「・・・・・そうかもしれねえ。でもな、それならせめて道案内くらいさせてくれ。アイツが今いる場所、戦っている相手、大体見当がつく。頼む、一緒に行かせてくれ」 暁が必死になって懇願する。その姿を見て、エリザベートが尋ねる。 エリザベート「オカマ、なぜそこまで、どうして、自分自身のことを省みない・・・?もう身体を動かすことさえもままならぬ状態であろうに・・・・」 暁「・・・・・・決まっている。アイツは・・・・・・俺の・・・初めての・・・妹分だ!俺よりも大人びているし、しっかりしてるし、頼りになる。でも、人一倍寂しがり屋で、泣虫で、一人じゃいられない甘えん坊な、可愛いところもあるんだ。そんなアイツが何かあったらと思うと、どうしても助けたくなる・・・・アイツは・・・俺にとって・・・・親友で・・・・頼りになる姉貴で・・・・」 一息ついて、顔を真っ赤にして口ごもる。そして、恥ずかしそうに顔をそむけて呟く。暁が恥ずかしがるなんてあまり珍しくない(実はかなりシャイ)が、言いづらそうにモゴモゴしながら言う。 暁「・・・・可愛いって思っている、女の子、だから。守りたい理由なんて、それだけで、いい。可愛い女の子が傷つくのを黙って見てられない、俺が守りたい、そう、思ったから」 その姿はいつものクールな暁ではない、熱血モードでもない、本来の心優しくて恥ずかしがり屋な一人の年相応の少年だ。これが本来の暁の姿なのだろう。最近こういった素直な感情を見せることが多くなった。「強がる」ことをやめたのか、力を入れ過ぎても肝心かなめで空回りする時はする、それならば、最初から自分らしいペースでやればいいと、思ってきている。これは喜ばしい成長であった。 クロキバ「・・・ふふっ、それでこそ、暁であるな」 クリス「・・はい、クールな暁も、熱血している暁も、どっちも好きですけど・・・優しくて素直でちょっと恥ずかしがり屋な暁は、もっと大好きですよ」 暁「か、からかうなよな、とりあえず、つ、連れてってくれねえか・・・」 その時だった。 エリザベート「・・・・貴様・・・・」 そういって、エリザベートが暁の両肩を思い切り掴んで、ふるふると震えていた。 暁「おい、バカ姫、何掴んでやがる・・・」 そして、エリザベートが顔を上げた・・・が、暁は仰天する。なぜなら、エリザベートが顔じゅうの到る所から涙や鼻水といったクチャクチャの真っ赤な顔をしていたからだ。 エリザベート「感動したぞぉおおおおおおおおおおぉおおおおお――――っ!!!!!!」 暁「・・・・・・・はい?」 エリザベート「ただの・・・口うるさい・・・・チビで頭が悪くて不細工で、その上女装趣味のオカマのクズかと思いこんでおったが・・・!!」 暁「ほほう、そこまで俺罵倒されたことないぞ、今すぐ死ぬか、クソババ」 クリス「(ブチン)エリザベート様?首チョンパかライフルで射殺、どっちの死に方がご希望ですか?うふふ♪私がとっておきの死刑執行を務めさせていただきますわ♪(殺気に満ちた笑顔)」 エリザベート「口うるさくてチビで頭が悪くて不細工で、その上女装趣味のオカマ・・・から訂正して、オカマだが・・・友達思いの熱い心を持つ性格破綻者と認識を改めてやろう!!」 暁「全然改めてねえぞ!?というか前者は変わらないのかよっ!?やっぱ今すぐ殺すか!?」 クリス「ええ、かしこまりましたわ♪それではとりあえず挨拶代わりに脳天に一発銃弾でもお見舞いして差し上げましょうか♪(どす黒いオーラを放ちながらも、爽やかな満面の笑顔)」 クロキバ「やめんかっ!?あまりにも不毛なやりとりであるぞっ!?しかもクリスはのっけから武器を取り出して満面の笑顔でエリザベートのこめかみに銃剣を突き付けるでない!!」 しかし暁の小さな体を米俵のように抱きかかえると、エリザベートが目に熱い炎を燃やしに燃やして、もう光り輝いている。そんな眼を向けて、肩に抱いている暁に偉そうな口調で聞いてきた。 エリザベート「今回だけは手を貸してやろうぞ!!ありがたく思うがよい」 暁「・・・・・お前みたいなヤツだけど、人手は多い方がいい、か。すまねえ、頼む、凛の命がかかってる、どうしても助けたい、借りはいつか必ず返す」 エリザベート「・・・ふん、借りなど気にする必要はないさ。もう、返してもらったからな」 暁「・・・はあ?」 エリザベート「・・・・本当のようであるからのぉ。アリスたちを拉致して監禁して屈辱極まりない拷問と凌辱の限りを尽くしているという噂は、嘘であったという事実じゃと。それどころか身をかくまい、助けてくれていた。ワシが今再びアリスたちと再会を果たせたのは、お主のおかげじゃ・・・」 暁「・・・・・大したことしたわけじゃねえよ」 エリザベート「ふん、まあ、何というか、若干無鉄砲な上に仲間のことばかり気にかけて自分のことが見えないで、暴走するという、そういった真っすぐな目を、心を持っているヤツが・・・・そんな非道の限りを尽くしているとは思えん。それだけは、お主の信念というヤツだけは・・・認めてやろう」 そういって、エリザベートが「どうだ」と言わんばかりに偉そうな笑みを浮かべるが、暁が一瞬あっけにとられるが、ふっと強気な笑みで返す。 暁「・・・・・それじゃ、調子に乗ってもう一つ、我侭いいかな?凛を助けたい、でも、正直、俺一人じゃ無理だ、でも、伝説の7人がそろえば、一斉に攻撃を仕掛けて、あのトラのプレデター倒せる。だから・・・・頼む、力を・・・貸してくれ!!」 暁が・・・エリザベートに頭を下げた。 それを今度はエリザベートがぽかんとしたように暁を見るが、ふと、優しい光を帯びた瞳になり微笑む。 エリザベート「ふっ、よかろう。今回限りじゃ。じゃが、解決したら、また明日からはお主の命もらい受けに参るから、覚悟するがよい。お主が気に入らないから倒したい、もはやこれはワシのプライドにかかわることじゃからな」 暁「上等・・・・命狙われてるのに、なぜか、悪い気はしねえな」 エリザベート「・・・・・・ワシも殺るか殺られるか、いつ敵対し、命の駆け引きが行われるか、この研ぎ澄まされた感覚が、殺意と緊迫感に満ちたお主との空気が、今は楽しんでおる」 殺し合うことを、命をかけた戦いをもう、心から楽しんでいる。 常人には理解できない、もはや狂気ともいえる得体のしれない空気を、二人は共有しあっている。しかしこれが、彼と彼女の唯一の心のつながりでもあるのだ。物騒極まりないが。 すると、エリザベートの姿が赤い光を放ち、みるみるその姿をコウモリを模したプレデター一族最強の将軍、バットプレデターが現れ、背中の翼を広げると、一気にはばたかせて漆黒の夜空に浮かび上がり、飛翔する!! 暁「ば、ば、バカヤロウ―――――ッ!!!!!!人を抱えたまま、いきなり空飛ぶバカがいるかぁああああああああああああああ―――――――っ!!!!!」 エリザベート「ギャアギャア文句ばかり言うでないっ!!男らしくどっしりと構えておれぃ!!」 暁「ぎゃあああああああああああああああ―――――――っ!!!!!」 暁が絶叫を上げてそのまま飛び去っていく・・・。 その光景を茫然と見ているメンバーたちであったが、やがて、我に戻る。 昴「ボクたちも後を追うよ!」 穏「凛が、危ない!!」 そういって、全員それぞれのバイクに乗り込み、エンジンを吹かせて一気に海岸を後にした。 クロキバ「・・・クリスよ、なぜに銃剣の剣をそんなに鬼気迫るオーラをまとい、満面の笑顔で研いでおるのだ?」 クリス「・・・・暁を侮辱し、ひどい仕打ちの数々、死をもって償っていただかないといけませんからねぇ・・・・クスクスクス」 一名は完全にブチキレており、何をやらかすか分らない状況であったが。 一方。 シルヴァン「ぐあああああっ!」 タイガープレデターの放った爪の一撃が炸裂し、シルヴァンが吹き飛んだ。団地の壁をぶち抜き、瓦礫が積み上げられた山へと叩きつけられる。関節剣もタイガープレデターによって引きちぎられ、折られていた。ボロボロになった仮面や装甲には無数のヒビと打撲によってボコボコにされていた。 タイガープレデターが近寄ってくる。彼女も爪が折られ、至る所に切りつけられた傷口と打撲による痣だらけってあった。 タイガープレデター「ふう・・・もう・・・手こずらせないで下さいよ」 シルヴァン「・・・・うるせぇ・・・大人しく殺されて・・・たまるかよ」 しかし、タイガープレデターはメダルを取り出すと、それを何と自分の身体の中に埋め込んだ。すると、身体が銀色の光を放ち、みるみる折られた爪が回復し、傷も傷口がふさがっていくではないか! シルヴァン「なっ・・・!?」 タイガープレデター「メダルにはこういう使い方もあるんですよ。貴方もメダルを受け入れれば、人間なんて言う無力でくだらない存在を捨てて、新しい生命体に生まれ変わることが出来ますよ・・?」 シルヴァン「・・・冗談じゃねえな。俺は人間やめたくねぇんだよ。臆病だからなぁ・・」 タイガープレデター「ふふっ、それが実の姉を殺した人でなしの言う言葉かしら?貴方はずっと自分の罪を悔いていた。そしてそんな自分を必死で支えるためにあえて、強気で、カッコよくて、男勝りな自分を演じ続けていた。そして頼りになるお姉さんを演じ続けていた。自分を信じてくれる、たった一人の男の子のために」 シルヴァン「・・・!!」 図星を突かれて・・・言葉が出ない。 タイガープレデター「自分を気遣ってくれる人のために、敢えて、その人の負担にならないように常に気丈に振る舞ってきた。今の貴方、7年前とはまるで別人、不自然なくらいなまでにね。あれだけべったりとくっついていたのに、今や貴方があの子を引っ張っていこうと必死になっているなんてね」 シルヴァン「・・事情が変わったんだよ。アイツ、これ以上誰かが負担かけたら、マジで壊れちまうからな。誰か一人くらい、支えになるヤツがいなきゃいけねぇんだよ・・・・俺の命なんて、とっくにあいつに預けてるんだよ・・・」 タイガープレデター「・・・ふん」 そういうと、とっさに起き上がり、ワニのフットパーツをフルで稼働させて必死で立ち上がると、そのまま飛び上がり、カメレオンの能力を使って自身の身体を透明化させて周りの景色と同化する! タイガープレデター「ふむ」 そして団地内の空間を忙しなく動き回る。右に左に、天井に目にも止まらない動きで駆け回り、右手からコブラの毒液を固めて作った即席の短剣を握りしめる。ここまで自分の属性である爬虫類の特質を引き出すのは、実は7人の中で一番凛が強い。(穏もかなりの実力だが、覗きや盗撮といったロクでもないことにしか使おうとしないし) シルヴァン(この中は団地だ、隠れる場所も、攻撃を防ぐための壁もある。気配を完全に断ち切って、様子をうかがい、隙を見て、一気に仕留めるというのもありだが、分が悪すぎる。むしろこの障害物が多い室内から出て、一旦、撤退するしかねえっ!!) そしてその短剣を・・投げ放った! シルヴァン(毒茨(どくいばら)の陣!) タイガープレデター「・・なっ!」 無数の毒の短剣は地面に突き刺さり、やがてトゲのように根付き、そこから紫色のガスを噴き出した。それはゾウをも殺す事の出来る強力な神経毒のガス!!狭い室内に見る見る充満していく。さすがに室内にいては危ないと判断し、タイガープレデターが部屋から出ていく! シルヴァン(見たか、攻めるだけじゃ戦いじゃねえぜ。生きて帰らなきゃ意味ねぇんだよ) 思えば同じようなことを、中学校時代は暁と二人でよくバカをやったものだった。 当時の暁と凛は中学校始まって以来の問題児であり、遅刻・早退は当たり前、授業中も居眠りするかサボるかといったことをしょっちゅうやらかしていたし、喧嘩三昧に明け暮れていたし、授業や補習抜け出して自転車に乗って海やら山やら遊びに行ってしまうこともあった。そう言う時、脱出の手引を考えるのは、全部暁だったのだ。その時凛は暁からこういったことを教わっていたのだ。 (回想) 暁「凛、戦うっていうのはただ闇雲に攻めることや力に任せるだけが全てじゃねえぜ。時には逃げて次の戦いに備えて戦略を練ることも手段の一つだ。あと、自分一人でやらなければならない問題があったとしても、いざとなったら俺を頼れ!俺で足りなきゃ俺が頼りになるヤツ何人でも連れて来てやる!本当に困った時には呼びな。それまではお前のやりたいようにやってみろ」 そういって、いつも励ましてくれていた、自分のやりたいようにやってみろと応援してくれた、そして、力になってやると言ってくれた。 その時、凛は嬉しくて嬉しくて、思わず泣き出してしまいそうだった。実の家族ですら、そんな温かい言葉など掛けてくれた記憶はない。実の家族以上に暖かく、優しくて、思いやりのある頼りがいのある幼なじみの少年。そんな暁のことが、このとき、もうただの幼なじみや親友という存在をはるかに超えた感情が胸の内には宿っていた。 (暁が好き。優しい暁が大好き。あたしのこれからは、暁と一緒にいるためだけに生きるんだ) そう思い、それだけを生きる糧として生きてきた。だからこそ、死ぬわけにはいかない。死ぬことが怖いんじゃない、だからといって自分から命を投げ出すようなことはしない。 絶対生き延びる!! しかしその時であった!! 「ギシャアアアアアアアアッ!!」 「グギャアアアアアアアアアッ!!」 突如後ろから獣のうめき声が聞こえ、突如背中が焼きつくような痛みを感じ、激痛となって全身を支配する。よろめいて振り返るとさらにそこへ、いつの間に回りこんでいたタイガープレデターがいて、爪をドリルのように回転させてシルヴァンにつきたてて、火花を散らし大爆発を起こす!! シルヴァン「うわああああああああああああ!!」 変身が解け、ボロボロの姿となった凛が地面を転がり、口から血を吐き出した。 背中には爪で切り裂かれた傷口からわずかに血がにじんでいる。タイガープレデターの傍らにはヤモリの特質を持つゲッコープレデターと、トカゲの特質を持つリザードプレデターがいた。ゲッコープレデターが十字手裏剣を構えて、リザードプレデターが右手についている大剣を構えて、うなり声を上げて構えていた。 タイガープレデター「ふふふっ、バカねぇ。逃げられるとでも思っていたの?」 凛「・・・・お見通しってことかよっ!!」 よろよろと起き上がるが、そんな凛をゲッコープレデターが殴りかかり、殴られ地面に転がる。そして、タイガープレデターが木のパスとソウルトリガーを拾い上げると、凛に見せ付けるようにいやらしく笑う。 タイガープレデター「これはもらっておくわね。何かの役に立つかもしれませんもの」 そういって、メダルをパスの中に投げ込む!すると、メダルの色が淡く生命の息吹を感じさせる緑色から、どす黒い光を鈍く放ちだす。 凛「なっ・・・!?」 メダルの力が聖なる木の力を闇で汚していく。そして、それをソウルトリガーに装てんし、タイガープレデターが銃口を向ける。もはやその光景は悪夢でしかない。必死で否定しようとするが、痛みが現実へと引き戻してしまう。 タイガープレデター「・・・変身」 すると、黒い魔方陣が発射され、それを浴びたタイガープレデターが、仮面ライダーシルヴァンへと化していた!!しかしその装甲は黒い闇で覆われているかのように真っ黒な姿をしており、瞳も赤く禍々しい光を放っている。 凛「・・・・そんな・・・・!!」 Dシルヴァン「・・・ふふふふふふっ、最高の地獄を、味合わせてあげる」 そういって、凛を引っ張り上げ殴り、蹴りつけ、吹き飛ばす!ライダーの力をなくした凛が力なく痛めつけられ、団地内の広場まで吹き飛ばされる! そのときだった。 突如風が吹き、そこへバットプレデターが舞い降り、さらに暁も降り立った!! 暁は傷つき、倒れた凛の姿を見て、駆け寄り抱き上げる! 暁「凛!!どうしたっ、何があった!!」 凛「・・・・さ・・・・と・・・る・・・?」 ボロボロに殴られ、全身が痣と打撲と切り傷だらけ、見るも無残な姿だった。力なく振り絞るように凛が声を出す。 Dシルヴァン「・・・ちっ、どいつもこいつも」 エリザベート「オカマ!ここはその娘を連れて下がれぃ!!」 暁「・・・オカマじゃねえ!でも、すまねぇっ!!」 そういって、暁が凛を抱きかかえて立ち去る。 そして、残されたエリザベートとシルヴァンが向かいあい、エリザベートの表情には明らかに怒りが浮かんでおり、歯をギリギリと食いしばる。 Dシルヴァン「邪魔をするつもりですか?これ以上勝手なことをしていると、姉君様から勘当されちゃいますよ?まあ、もっとも、もう失敗続きの貴方など、失望されているでしょうけど」 エリザベート「・・・・自分の失敗について処罰を問われるなら、ワシの責任、しかと受け止める。じゃがのぉ・・・・!!」 エリザベートがヘルズドライバーを構えてカードを装てんする! エリザベート(・・・・あんな男が本当にこの世にいるとは思わなかった。友達のために本気で命をかけられるバカなヤツ。じゃが、心から真っ直ぐで熱い信念を持っている者なら、そのバカげた理想をも・・・現実に変えられる。あのオカマの行く末、見届けてみたくなったわい!) エリザベート「・・・・たとえ、姉君であろうと、ワシにもプライドや信念、意地があるということを貫かせてもらうぞい!変身!!」 紫色の闇が覆い、仮面ライダーヘルズへとなると、ヘルズドライバーを構えて切りかかっていく!関節剣と大剣が激しくぶつかり合い、さらに横から飛び掛ってくるリザードプレデターとゲッコープレデターをもものともせず、華麗なる動きで強力がうなる剣術で十字手裏剣と刀の攻撃を防ぎ、弓矢で狙撃して応戦する。 ヘルズ「お主たちはセレスの配下であったな。お主たちの戦闘パターンなど、わからないでも思ったか!?甘く見るなっ!!」 これぞ、元将軍の威光ともいえるのか、彼女の放つ鋭い目つきと怒号はやわな神経の持ち主であれば一喝でその精神をずたずたにしかねないまでにすさまじい。ゲッコープレデターとリザードプレデターが恐れおののき、後ずさりだす。 その様子を見て、シルヴァンがイライラしたように舌打ちしてにらむ。 シルヴァン「ビビってんじゃねえよっ!どいつもこいつも、ムカつくクズだよなあっ!!」 そして、メダルを数枚投げつけて投げ込むと、二体が黒い光に包まれて合体し、団地をも飲み込みかねない巨大な竜の怪物に変わった!!太い四肢、首長竜のように長い首を伸ばして、口から炎を吹き出して攻撃する。炎の洗礼にヘルズがためらうが、目にも止まらない速さで動き出し炎をかわし、団地の壁を垂直に駆け上がると屋上まで登りあがった! ヘルズ「あやつめ、調子に乗りおって!!」 一方・・・。 暁に解放され、凛が目を覚ます。凛の顔には暁の持っていた応急手当の絆創膏と包帯が巻かれていた。ベンチで寝かされ、暁の膝枕で眠っていた。 凛「・・・・・暁?」 暁「・・・・・大丈夫・・・じゃねえか。怪我、痛いよな。手当てはしたけどよ、あとで、マリアさんに診てもらわないとな」 凛「・・・・・・・暁・・・・・」 凛がふと、涙を流し、泣き出した。 そして耐え切れないといった様子で、暁に抱きつき、胸に顔をうずめて泣き出した。 いつもの強気な彼女からは想像もつかない姿だった。 凛「・・・ごめん・・・・・ごめん・・・・暁・・・・“あたし”・・・・パス・・・・とられちゃった・・・・!!」 暁「・・・・・・・大丈夫だ、取り返してきてやる!!」 凛「その上・・・ボロボロにやられちまって・・・・!!もう、“あたし”、お前に合わせる顔が・・・ない・・・よ・・・・」 自分の怪我よりも、暁に迷惑をかけてしまったことを悔やみ、後悔し、泣き出す。 そして、いつも偽っていた「凛」ではない。素の口調に戻ってしまっている。 それほど傷ついたのだろう、自分を責めて、悔やんで、申し訳ないという気持ちでいっぱいで・・・。 その様子を見ていた、昴と穏、そして暁がアイコンタクトで会話し、うなづきあう。 そして、暁が凛を優しく抱きしめ、凛の顔を見る。その顔は涙と鼻水と、血でくちゃくちゃになっていた。そんな凛の涙をハンカチでぬぐい、額に手をかざす。 凛「・・・・さ・・・と・・・る」 暁「・・・・凛。後は俺に任せな。俺はお前の、“親友”だろ?俺は親友の願いに、「NO」という返事は言わねえし、出来なかったことはねえ」 そういって、起き上がり、きていたジャケットを凛に羽織らせた。それは、ルシファーズハンマーのロゴが入っている、銀色のジャケット。背中にはフレスベルグの刺繍がされている。 凛「・・・これ、暁の宝物」 暁「ああ、クリスが俺のために作ってくれた世界でひとつしかないお守りだ。それが、今度はお前を守ってくれる。俺を、信じろ」 そういって、サムズアップすると、凛がようやく笑みを浮かべてサムズアップを返す。 そして、駆けつけてきたアリスとマリアに凛を任せると、暁が昴、穏とともに歩き出す。 昴「・・・・ボクさあ、今までライダーなんて、ゲームみたいな感じでお遊びでやってたんだわ。真面目に不真面目やるのが、ボクの流儀だしね」 穏「・・・・・・・・・成り行き上でやってた」 暁「だろうな、俺だってきっかけがなけりゃなってないわな」 「「「でもね・・・・」」」 穏が赤色のパスを取り出し、昴が金色のパスをかざし、暁が銀色のパスを取り出す。 「「「こっから先は本気だ!!!!変身!!」」」 絶対に許さない。 凛を泣かした、傷つけた、もうボコボコに殴り倒すには十分すぎる理由だっ! 昴も穏も、珍しく本気でキレている。もう止まる理由なんざナッシングだっ!! 広場に出ると、そこでは・・・! メルク「て、いきなりこれでくるかーーーーーーーーっ!!」 ナパーム「・・・・・・バカデカすぎる!」 ヘブン「おい、あのババア、ペチャンコにされちゃねえよな?それはそれで、OKか。貸し帳消し」 その直後だった。 ヘルズ「アホかああああああああああああああっ!!ワシャまだ生きとるわーーーーーいっ!!」 そういって、かかと落としを団地の屋上から振り上げてヘブンの脳天に直撃させようとするが、とっさにメルクを盾にしてかわし、超強力な防御力の装甲を蹴りつけヘルズの足が「グギッ」といやな音を立てる!! メルク「ぎゃあああああああああ!?頭が、頭がああああっ!?」 ヘルズ「ぎゃああああああああああああああっ!!足があっ!!足がああっ!!」 ヘブン「遊んでるんじゃねえよ、バカ!」 ナパーム「・・・・・・鬼だ」 ヘブン「・・・昴はそういうポジションだろう?」 メルク「・・・あとで絶対復讐してやるから、覚えておけよ」 そういって、ヘブンがディスティニーライナー、ナパームがバーンライナー、メルクがオーライナー、そしてヘルズがヘルズライナーを呼び出し、四方向に線路が螺旋を描いて竜の怪物を取り囲む! ヘブン「持久戦なんていってられねぇ!!一気に決めるぜ!」 ナパーム「ぶっ飛ばす・・・!!」 メルク「ボクらをここまで怒らせたこと、後悔させまくってやるよっ!!」 ヘルズ「・・・じょ・・・上等じゃああああああああああああっ!!」 ヘブンたちがそれぞれ列車に乗り込み、運転席のバイクにまたがると、ディスティニーライナーのウイングが展開し、銀色の風を受けて巨大な翼となり、線路から離れ、ジェット機のように噴出する!!さらに、オーライナーの先頭車両がドリルをむき出しにし、バーンライナーの先端が大砲に変わり、エネルギーを充填させる!! さらにヘルズライナーが線路を爆走し、その前にヘルズが浮かび上がり、いつでも打ちさされる準備をして構えている! ヘブン「行くぜ!!」 メルク「うおおおおおおおおおおおっ!!」 ナパーム「ファイヤァアアアアアアアア!!」 ヘルズ「はああああああああああっ!!」 銀色の怪鳥が風をまとい、銀色の翼で竜の体を真っ二つに切り裂き、さらに胸をオーライナーのドリルで穴を開け、さらにヘルズの必殺技「ダークネスライダーキック」が炸裂し、とどめにバーンライナーの焼夷弾の一斉砲撃を受けて、巨大な竜が絶叫を上げて火の海に包み込まれる!! やがて、粉々に吹き飛び、灰へと化していった・・・! ヘブン「へっ、普段なら手こずってるけどよ」 メルク「さーて、準備運動はおしまいだ。次は・・・あんただ、バカ野郎!!」 そういって、振り返った先には黒き鎧を着込んだシルヴァン(タイガープレデター)がいた。 ナパーム「・・・覚悟しろ」 ヘルズ「ふん!」 その時だった。 ふと、物陰から何かが飛び出した。それは、銀色の光を放ち、小さな恐竜のような姿をしている、四足歩行の奇妙な生命体であった。 そしてそれはヘブンたちの間に飛び込むと、ヘブンを見る。 そして瞳が赤く光りだす。そして見られたヘブンは、そのとき、赤い瞳でにらまれ一瞬動けなくなる。 「オマエ・・・ノ・・・ホウ・・・・ガ・・・オモシロ・・・ソウ・・・ダ」 ヘブン「はあっ?!」 そういうなり、突如飛び出し、ヘブンの首筋に・・・噛み付いた!!するとそのまま傷口から白い光となって入り込んでいく!! ヘブン「ぐっ!?がっ、あ、あああああああああああああああっ!!!!」 突如白い光が全身から放たれ、クリスとクロキバが無理やり変身を解除された!!暁が全身を激しく痙攣させながら、絶叫を上げる!! クリス「暁!?」 クロキバ「バカな、どうしたっ!?」 暁「がああああああああああああっ!!ぎゃあああああああああああああっ!!!」 しかし暁は目を白目にむかんばかりに絶叫し、激しく痙攣させる。 タイガープレデター「ふっ、あははははは!!ショール、作戦うまくいきましたよ」 そういうと、建物の影から一人の少女が躍り出た。それは銀色のロングヘアを結い上げ、黒いドレスを着込んだ幼い少女の姿をしている。しかしその顔にはオペラ座の怪人のような仮面をつけており、口元だけしか見えない。ぬれたばら色の唇がわずかに上がる。 ショール「・・・・ええ」 メルク「どういうことだっ!!」 ショール「・・・・そいつを利用して、貴方たちをおびき寄せた。そして、戦いの中で油断している隙に、私たちが手に入れた“アイオーンシステム”の適合者に、アイオーンを憑依させて、適合者の意識や体ごと丸ごと手に入れる・・・・」 Dシルヴァン「私たちの狙いは、最初から、そのつもりだったのさ!」 ショール「まさかそれが、ルシファーズハンマーの中にいるとは思わなかったですが・・・これもまた運命・・・・」 その時、暁の精神は真っ暗な闇の中を落ち続けていた。どこまでもどこまでも暗く深い闇の中を・・・。もはや落ちている感覚さえわからない。その時だ。ふと、何か光ったかと思うと、暁が静かに降り立つと同時に、ぼうっと蝋燭の明かりがついた。それは白く何もない部屋にただ、無数の蝋燭の明かりのみが壁一面を照らしている不気味なまでに殺風景な部屋・・・。 暁「・・・な、何だ、ここはっ!?」 すると、ふと、後ろの扉が開く。そこにいた人物に近づく。 暁「ちょっと、ここ、どこだよっ。あんた、一体・・・!?」 しかしそこにいた人物の姿を見て、言葉を失う。驚きで目を見開き、口を開き、驚きで言葉が出ない。 “そいつ”は女だった。銀色のロングヘアをなびかせて、自分と同じ服装をし、そして、瞳を冷たいアイスブルーの光を帯びた端正な顔立ちを、冷たい笑みを浮かべて暁を見ていた。 「・・・・やっと、手に入れた。私の、私だけの、身体・・・」 暁「なっ・・・!?」 「・・・今度は貴方がここに閉じ込められる番よ」 暁「どういうことだよっ!?おい、テメェ、何者だよっ!?」 「うふふふふ・・・」 そういって、扉が閉まり、暁がドアをたたくがもはやビクともしなかった。 暁「くそっ、何がどうなってやがんだよっ!!!おいっ!!おーーーーいっ!!」 その時だ。 ふと、“暁”が立ち上がった。しかし、次の瞬間信じられない変化が起きていた。縛っていた髪がほどけ、やがてその髪が美しい光を帯びた銀髪に変わり、瞳にアイスブルーの光が宿ると、皮膚も色黒に染まっていく。そして右手にあった紋章をさらに飲み込むように、アイスブルーの恐竜の紋章が浮かび上がり、ぬれた唇の隙間から・・・牙をのぞかせる。 クリス「・・・さ・・・・暁・・・・?!」 クロキバ「・・・どうしたであるか!?暁!!」 ヘルズ「この気配は・・・なぜ、あいつから、我らと同じ同類の力を感じるのじゃっ!?」 恐れおののくクリスたちをあざ笑うように、冷たい微笑を浮かべて、右手をかざすと、突如草木や壁をも凍らせる冷気が渦巻きだし、やがてそれが銀色の携帯電話型の変身アイテム「時空携帯ダイナフォン」を手にし、構える。 「・・・・暁?もうこの身体の持ち主は彼ではありませんよ」 暁の口調ではない。完全に静かだが女性特有の声。そしてよく見ると暁の身体が・・・女性の身体つきに変わっていたのだ。胸が膨らんでいて、柔らかな曲線を描いているのだ。そして、その顔を上げる。爬虫類のようなアイスブルーの瞳が細く光だし、つぶやく。 「・・・・私は・・・・8番目の聖霊・・・・時を司る守護者・・・・アイオーン!お見知りおきを・・・・そして・・・名残惜しいですが・・・すぐ・・・さよならです」 携帯のボタンを「0−0−0」と打ち込み、腰に浮かび上がったヘブンズドライバーにクロキバを差し込むように装てんする! 「変身・・・」 そしてその姿が、ティラノサウルスを思わせる頭部、プテラノドンの翼が生えたボディパーツ、そして、トリケラトプスの角が生えたフットパーツ、純白と黒を基調とする恐竜をモチーフとする重厚な騎士の姿に変わる・・・! 仮面ライダーアイオーン。それは暁の身体を媒介にして蘇るといった最悪の形で復活してしまった・・・! Dシルヴァン「くははははははは!!どうですか、貴方たちから全部の希望を奪ってやりましたよ!!」 そのとおり。もはやこの言葉はルシファーズハンマーのメンバーたちを絶望のどん底に叩き落すには十分すぎる効果があった。特にクリスとクロキバは目の前で暁が、「アイオーン」という異形の姿になり、完全に憑依されてしまった姿に、もはや言葉を失っていた・・・。 クリス「・・・嘘よ・・・こんなの・・・私は・・・信じない・・・・!嘘よ、こんなの嘘よ!!いやああああああああああああああっ!!」 クロキバ「暁・・・・!!」 そしてそんな叫びもむなしく、アイオーンが静かに冷笑を浮かべていた・・・・。 続く |
鴎
2011年10月15日(土) 15時28分48秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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……小説感想ですが……なんて言いますか、かなり予測外の展開なんですけど!? 暁(アスレイ) 「凛の奴が『シルヴァン』のパスを『タイガープレデター』に奪われちまうし、【ヘブン】の俺は敵が持っていた『アイオーン』の“器”になっちまって“プレデター”化って…なんだよこれは!!?# いくら何でもこの展開はねぇだろう!!」 クリス(アスレイ) 「……ほ、本当に予想外の展開です……; あっちの私もかなりの精神的ダメージを受けていますし、これは一体どうなってしまうんですか!?」 クロキバT世 「……う〜む、本当にどうなっていくのかが気になってくるものだな…。……だが、敵も調子に乗って『アイオーン』を手に入れたと思って予想外な目に買うことを考えたりしていないのか? それとも自分達には被害が出ないという自信と対策を持っているのか?」 ……おそらくは、そのどちらかでしょうね……。敵の卑怯な手の所為で変身する力を無くした凛さんと、“時の聖霊”『アイオーン』に肉体を乗っ取られた【ヘブン】の暁……。この怒涛の危機をどうやって逆転させるべきなのかが“鍵”ってところですな。 冷牙(アスレイ) 「……しっかし、あっちの暁の肉体を奪って暁(ヘブン)の精神を心の奥底に幽閉した『アイオーン』だが、この計画を実行していた鏡子のバカと《真・四天王》の一人であるショールの奴ら、事がうまく進んでいる状況で喜んでいるようだが、これがきっかけで暁(ヘブン)の中にある“何か”の目を覚まさせるきっかけになったりするんじゃねえか?」 流水(アスレイ) 「…確かにね。どうも腑に落ちないところがあるし、このままだとすまない気がする……」 電 「……ある、意味、連、中、が、【ヘブン】、の、暁、の、こと、を、甘く、見ている…!」 …ついでに言いますけど、何気に地獄にいるか、転生している可能性が高い《セブンヘブン》の連中が暁(ヘブン)の意識が封印されるのを察知し、《ルシファーズハンマー》達に協力を申し込みに行きそうな気がするんですがね……。 明久(電王) 「……それにしても、『仮面ライダーアイオーン』の設定だけど、これってどう見ても武器や特徴を現している動物の印象がある場所以外って、『オーズ・プトティラコンボ』と同じじゃん!?」 翠 「…そうだよね〜。時を操作する能力や必殺技とかはともかく、どう見ても『オーズ・プトティラコンボ』だよね〜……;」 雪奈 「…それと、必殺技の一つが微妙に『ディケイド』の剣での必殺技と同じ名前ですよ?」 …さらに言えば、何気に【コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】という漫画に出てくるキャラクターの一人が使っている能力に酷似している気がします!! モモタロス 「何気にツッコミどころが満載だな、オイ!!」 シャナツネ 「…まったくだな…;」 カグヤ 「…本当にどうなっちゃうの!?」 星(アスレイ) 「んでもって、あっちの俺達はどうしているんだ?」 フェザー(アスレイ) 「……その辺も気になるところですよね…」 イーズ(アスレイ) 「……それはそうと、今回のことを晶さんと慧さんが知ったらどうなるんでしょう……?」 一同 『……………………かなりやばいことになる……;』 ……あのお二人とも、放任主義な感じで親バカですからね…; どうにかして【ヘブン】の暁の意識を取り戻そうとするだろうね。それに即行で協力しそうですね。暁(ヘブン)に恋する女性三人…; 一同 『………それ言えている』 …さてさて、この辺で今回の《バカテスト》の回答に対してのコメントと行きましょう。リクエストでご指名されたので、シャナツネにカグヤ、よろしくね♪ シャナツネ 「御意」 カグヤ 「わかったわ」 第1問 クロキバV世の回答に対してのコメント シャナツネ 「お見事。正解ですな」 カグヤ 「流石にあったまが冴えているわね♪」 昴と穏の回答についてのコメント シャナツネ&カグヤ 「「……お主ら(アンタ達)! 友人のことを何だと思っている!!# 天誅!!」」 カッ! ドッカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンッ!!! アリス&マリア&クリスの回答についてのコメント シャナツネ&カグヤ 「「……お気持ちは察します……」」 第2問 クリス(ヘブン)の回答についてのコメント シャナツネ 「正解だな。……バカらしいことがなければまともだな……」 カグヤ 「こっち(アスレイ)の方のクリスとは大違いって感じね;」 凛の回答についてのコメント シャナツネ 「…凛殿。これは“性分”ではなく“ことわざ”のことだぞ……;」 カグヤ 「……確かに、【ヘブン】の暁君には無縁のものかもしれないわね。悪い子といって悪いけど……;」 フレアの回答についてのコメント シャナツネ 「そう思うのなら自分がしっかり勉強せよ」 カグヤ 「いいこと言っても自慢にはなんないわよ…」 と、こんな感じです。……次回辺りでどうなってしまうのかが本当に気になりますが、どうか暁達には逆転してもらいたいものです。 ……それでは、 一同 『逆転の奇蹟を信じて次の話を待ちます!!』 〜……限界を超えて……参る!!〜 〜……時と次元を超え……俺、参上!!〜 |
10点 | 烈 | ■2011-10-16 01:03:21 | i125-205-43-158.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 860点 |