仮面ライダーヘブン 第37話 |
第37話 (昴視点) はっきりいって、目の前で起きた出来事は、これまでボクが何度も予想していた最悪の事態を遥かに上回る緊急事態・・・・かなり絶望的な状態だ。 銀色の恐竜らしき生き物・・・おそらく普通の生き物なんかではないだろうものに噛みつかれた暁くんが、銀色の光に飲みこまれ、目の前で倒れこみ激しくもだえ苦しみ、やがて・・・動かなくなった。そして、目覚めたとき、暁くんの姿はこれまでとは違う姿になっていた。 黒髪は煌く銀色のロングヘアに変わっていて、眼は冷たい光を放つアイスブルー、皮膚も日に焼けたように褐色となっていて・・・全くの別人だった。そして、ついに・・・・。 (やっぱり女だったか・・・。男だ男だと反論していたけど、ボクは最初から信じてなかったよ) 暁くんが男の子?HAHAHA、何それ、ジョーク?暁くんはきっと家の事情で高校卒業までは女であることを隠さなければならない事情かしきたりがあったに違いない。目の前の姿は、まさしく暁くんの真の姿だろう。(ものすごく酷い誤解) 出る所が出ているし、引っこむところは引っこんでいる、プロポーションのとれたモデルのような外見、端正な顔立ち、小悪魔的な美貌と魅力を漂わせる妖しい美しさを持っている。うん、こりゃ見事に美少女だ。あ、穏、写真撮ってる。あとで焼き増ししてね・・・・て、そんなこと言ってられる状況じゃないか。(こんな状況でもしっかり隠し撮りしている穏の根性もかなり気合入っているが) というか、くぅちゃんは・・・・ありゃ、こらもう、放心状態か。 そりゃそうだろうな、何せついさっきまで一緒に戦っていた相棒が・・・こんな形でカミングアウトすればね。暁くんのことを本気で男の子だと信じて恋慕っていたのに、こんな悲劇的な別れになるなんて・・・。アリスさんやマリアさんも茫然唖然・・・・。ああ・・・ここで3人の美しき乙女たちの初恋は、見事砕け散るのでした・・・。まあ、最初から報われなかった悲劇的恋愛だったってことで・・・。いや、もし納得できなければ、このまま百合の道に走るっていうのもありかも・・・。それはそれで、見ているこっちは御馳走様・・だよね?この4人の美少女がくんずほぐれず…おおっ、穏も、「それはそれでアリ・・・」といわんばかりにサムズアップして目を光輝かせている。うんうん、凛も入れると5人か。こりゃ、いいものが見られそう・・・・期待で胸が膨らむ思いだねぇ・・・じゅるり。 エリザベート「・・・・お主、どうしてこんな状況でそんな発想を思いつくのか、どういう頭の構造をしておるのか気になるぞい・・・」 はっ、つい声に出ていた!?しまった。 アイオーン「・・・・ふっ、まさかここまでバカとは・・・・」 激ヤバ!?ヤバすぎる!?くっ、どうすれば・・・そう考えてボクが思いついたのはこの作戦だった。 昴(エリザさん・・・!) エリザベート(うむ?お主、ここは・・・あまりにも不利な状況じゃ。一時撤退が必要かもしれんのう。まずは呆けているあやつらをまず正気に戻し、引かせる方が・・・) 昴(そうだね。ボクもそう思った。ここは、穏の出番だよ。穏、煙幕とかない?) 穏(・・・・・・・・私を誰だと思っている) アイキャッチでここまで会話出来るボクたちはすごいと思う。でも、それだけじゃない。 昴(逃げ道はこの団地の坂を駆け下りれば下は公園、あの段ボールを使ってソリのようにして滑り落ちてそのまま逃げる。それで、くぅちゃんたちは多分説得して聞く状態じゃない。つまり、一旦いけに・・・・もとい、敵の目をかく乱するための陽動作戦を即興でやってもらう!) エリザベート(お主、一瞬いけにえと言いかけなかったか?) 昴(そんなことないよ、失礼な。彼女たちは大切な・・・・デコイマンさ(英語で「囮」という意味)) エリザベート(お主最低じゃな!?) 穏(・・・・・黙れ<ゴンッ>) エリザベートさんをハンマーで殴って気絶、グッジョブ、穏。ここで全員やられるより、まずは戦力の体制を立て直さなければならない。でもこいつらがはいそうですかってあっさり見逃してくれるはずもない。そこで、今は・・・あの3人のたまりにたまったフラストレーションを思い切り利用させてもらうほかない。あの3人がブチキレて大暴れをする。その戦力はあいつらに通じるかどうかは分からないけど、まずは相手にも多少はダメージを与えて、隙を作ることはできそうだ。それに、思い切り暴れて頭がすっきりすれば少しはあの3人も落ち着いて行動することが出来る! 穏が煙幕を取り出し構えたと同時だ。 あのタイガープレデターとかが偉そうに高笑いを上げながら呆けた3人を見下すように冷たい声で嘲りながら言い放つ。 タイガープレデター「あっはははははははははははははははは!!最初から罠とも知らずにバカなヤツらよ。あの不肖の妹、凛を利用しておびき寄せているとも知らずにねぇ!!何が守るだ、何が信じるだ、くだらない、愚かですよ、こうしてあっさりと乗っ取られてしまうのですからっ!!所詮、クズはクズですねぇ!!!クズの王、クズの寄せ集めを守ろうとして全てを失うとは・・・・ああ、愉快ですねぇええええ!!」 あーあ、お約束だ。小悪党って、一度有利になるとホント言うこと三流めいているよね。その言葉が目の前の3人にとって「タブー」であることも知らないでさ。 アイオーン「・・・・・・・ふふっ、何マヌケ面しているんですか?悔しくはないのですか?それとも、諦めましたか?愛するオトコをとられて、あっさりと諦めてしまい、絶望に暮れるなど・・・・所詮その程度の愛でしたか。愛するだの守りたいだの・・・・口ではいくらでも言えますけど、結局恋に恋するタイプですか」 ショール「・・・・・無様、ですね」 ああ、もう、嬉しいことに怒りをこみ上げさせてくれてありがとう。もう爆発寸前にまでキタかな? その時だ。 アリスが・・・ゆらりと動いた。静かに、得体のしれないドス黒いものが彼女から放たれている。 アリス「・・・・・・・・・・・・・・・・キレたよ、完璧に・・・・・・・・」 いつもと違う、重く低く冷たい声・・・・・・。 お、こりゃ、かなり来た? そして、マリアさんも青龍刀を両手に立ち上がり、ゆらりと起き上がった。そして、眼鏡を外すと思いきり投げ放ち、壁に叩きつけられた眼鏡が弾け飛んだ。 マリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ええ、そうね」 クリス「・・・・・・・・・・・・・・・・・行きますか、このまま、黙って言いたい放題言わせられませんし、好き勝手させません・・・・」 クロキバ「何をするつもりだ!?暁がいないのに、お前がヘブンになるなど、危険すぎるぞ!ここは一時撤退を・・・」 クリス「うるさああああああああああああああああああい!!!」 クリスがわしづかみにクロキバをつかみ、ヘブンドライバーを腰に巻きつけた。その普段のおしとやかなお嬢様からは想像もつかない激しい怒りを爆発させる。 クリス「・・・・・・暁、いつもの貴方ならきっとこういいますよね?窮地に陥ったら逃げろ、自分の命を最優先させろ、何度でもチャンスがあるなら諦めるな、機をうかがえと。そう、テンションに流されるなと!」 アリス、マリアがソウルトリガーにパスを装てんして身構える。クリスに並ぶように立ち、クリスがクロキバをバックルに装てんする。 クリス「でも・・・・嫌です!!!もう、貴方の言っている理論なんて、聞きたくありませんっっ!!テンションに流されて、何が悪いんですかっ!?」 アリス「お前を取り戻すかどうかじゃないっ!!お前のことを散々クズ呼ばわりされて、あたしたちが許せるわけないだろうがああああああああああっ!!」 マリア「そこから先は・・・何度でも作戦を立てられる、あきらめない限りチャンスがあるというのは、そこからです!今は、貴方を辱めたバカを・・・・ぶち倒すっ!!!」 ショール「来ますね・・・!」 アイオーン「・・・・・・・ふふっ、そうでなくてはね。ショール、ここは任せてください」 ショール「そうね」 そういって、少女は高く飛び上がり、ビルの屋上まで到着すると、さらにビルからビルへと超人的な跳躍力で飛び移っていく。 そして、飛びながら町全体を覆っている黒い闇が噴出さんばかりにあふれているのを見て、つぶやく。 ショール「・・・・破滅が近づいている。この町を中心に、すべての世界の時間が消えていく・・・・」 タイガープレデター「ひゃははははははははは!!殺してやる!!!」 アイオーン「ふふっ、退屈はさせないでくださいね」 クリス・アリス・マリア「「「変身!!!」」」 ヘブン、ボルダー、セドナが飛び出したと同時に、ボクたちは落ちていた段ボールをソリのようにして滑り落ち、逃げ去った少女の追跡に入る! 昴「穏!あの仮面女の追跡頼める!?」 穏「・・・・・・・諜報活動ならそこらへんのストーカーレベルじゃ話にならない。徹底的に調べつくす」 さすがエロの娘、未来の性犯罪者の女王!!頼むよ、穏。君だけが頼りだ! そして穏が走り出すと同時に団地の上から激しい爆撃音が鳴り響いた!ワオ、こりゃまた派手にやったねえ!それじゃ、ボクがさっそく援護に回るとしますか。策士たるもの姑息ではなくてはね。 アイオーン「イマジンごときが偉そうに・・・!」 ヘブン「きっちりと返してもらいますよ。暁も、暁が受けた仕打ちの分の痛いお返しをね!!」 仮面ライダーアイオーンと仮面ライダーヘブン。二人同時に飛び出し、激しくぶつかり合い、銃剣と銃剣、二つの武器が激しくぶつかり合う!!! アイオーンが銃剣の柄でヘブンを殴り飛ばし、さらに銃を棍棒のように振り回し打撃を繰り出す!それをヘブンベイオレットで防ぎながら攻撃を繰り出すが、それを塞がれ、さらに攻撃を繰り出す。攻撃と防御を巧みに使いこなしながらヘブンを圧倒していく! ヘブン「くっ・・・!」 アイオーン「ふっ!!」 アイオーンが団地の物陰に隠れだす。ヘブンが追いかけようとする。 ヘブン「ぐっ!!こ、これは、冷気・・・?!冷気の霧が、団地中に立ち込めている・・・!このまま中にいたら、氷漬けにされてしまう・・・!」 クロキバ「視界も塞がれるとは・・・!くっ、卑怯な!!」 霧の中を彷徨うように歩き出し、おぼつかない足取りになる。 しかもここは団地。障害物が多すぎる。武器を振り回すにも、銃を撃つにも、不利すぎるのだ。 ヘブン「ならば、相手も同じこと。こういうときには、あの子の力が必要ね・・・!冷牙くん!」 そういって、冷牙のデモンズバレットを差し込み、声が鳴り響く! 「ヴォルファストマホーク!!」 冷牙「ちっ、まさかこんなことになってやがるとはな・・・!」 流水「行ける!?」 冷牙「ああ、いつでもいける。俺様に任せろ!」 青い光となって飛び出し、ヘブンに宿ると青いオオカミの左半身が宿り、手には戦斧が握られる。そして霧が立ち込める団地内を慎重に進む。 Vフォーム「ちっ、どうなってやがる。相手にしたってこんな深い霧、不利じゃねえのか。まさか・・・逃げたか?」 そう思い、ふと、部屋の外に出て、回廊に進むと・・・・! ズキューン・・!! Vフォーム「何っ!?ぐあああああああああっ!!」 霧の中から飛び出してきた銃弾がヴォルファスフォームの肩を打ち貫く!!予想外の攻撃にヴォルファスフォームが戸惑う。 さらに飛んでくる銃弾は確実にヴォルファスフォームの急所を狙って飛んでくる! そう、アイオーンはプテラノドンの翼を使って空を飛翔し、クリスがいる団地の外から何と空き部屋の窓とドアの間を縫って銃弾を発射し、確実にヘブンを撃ち貫いていたのだ!! アイオーン「・・・ふん、冷気に霧、その程度でうろたえるとはまだまだですね。それでは、私の姿をとらえることすら出来ませんよ」 正確無比な射撃、その破壊力と精密さはかなり高性能だった・・! アイオーン「・・・・なぶり殺しにしてあげますよ」 ・・・もうそこには暁と同じ顔付であったが、彼ではない残忍さが浮かび上がっていた。獲物を狩ることに快感を感じているハンターのような鋭い目つき・・・狩るためならなりふり構わず襲いかかっていくであろう冷酷さがうかがえる。 タイガープレデター「きひゃひゃひゃひゃひゃ!!このメダルが、メダルがあればあっ、いくらでも強くなれるぅうううううううう!!!」 メダルを大量に取り込み、もはや左腕が倍以上に膨れ上がって巨大な爪となる。振り上げるたびに真空の風の刃が起こり、あらゆるものを切り刻んでいく!! タイガープレデター「お前ら虫けらごときに、負けるかよぉおおおおおおおおお!!」 目にも止まらない速さで駆け出し、ボルダーに、そしてセドナに切りかかっていく。壁を殴り、地面を切り裂き、次第に追い詰めていく!! 殴り飛ばされ、ボルダーとセドナが壁をぶち破りながら、広場に投げ出される。 ボルダー「くそっ、こいつ、調子乗りやがって!!」 セドナ「・・・メダルをあんなに大量に投与していれば、暴走する。まさか、もうそれすらも楽しんでいるというのですか・・・!?」 タイガープレデター「ぎぎぎ・・・・ギヒャHYAヒャヒャヒャヒャひゃああああッ!!」 もう彼女は完全にメダルに支配されている。全身に無数のメダルがまとわりつき、体がさらに膨らみあがり、もはやその姿は怪物そのものになっていた。両肩から二本腕が伸びて鋭いかぎ爪を光らせて振り回してくる!さらに、彼女の頭部が胸の中に押し込められ、脊髄から現れたもう一つの銀色の顔が現れた。あまりにもグロテスクな姿に、言葉を失う。 ボルダー「くそっ、ヤベェぞ!!」 セドナ「攻撃しても全くダメージがないなんて・・・!」 その時だった!! 「はあああああああああああっ!!」 突如飛び出し、ボルダーとセドナの前に現れた人物が大型銃から発射した”白い”メダルをぶちこむ!!すると、メダルが大爆発を起こし、巨大な怪物と成り果てたタイガープレデターが予想外のダメージに吹き飛ぶ!! そして、その人物に、二人は言葉を失っていた。 白衣を着こみ、茶色のウェーブがかかったロングヘア、そして、その美しい顔立ちはまるで女神のように見えた。 「・・・・助けにきた、今度は守り抜いて見せる、私の・・・可愛い・・・娘を!!」 そう・・・それは・・・・!! ボルダー「・・・ニクス・・・だっけ?」 セドナ「・・・・・・・・・・・・!!お・・・・かあ・・・・・さん・・・?」 そう、アンジェリカ・シャークエッジだった!!彼女が作った手製のバズーカには無数の白いメダルが詰まっている!それを次々と発射し、メダルを吸収するたびにタイガープレデターの体に大ダメージを与えていく!! セドナ「・・・これは?!」 アンジェリカ「メダルの効果を打ち消す効果があるメダルさ。これであいつの力を出来る限り抑える!!」 ボルダー「え?ええ?!」 昴「遅れてごめんねえええ!!援軍呼んできたぁああああああああ!!」 そういって、昴がバイクから飛び降り、サムズアップをして笑顔で答える。さらに雷斗と流水も一緒にやってきていた。そう、昴が仲間たちを総動員させて出動させたのだ! ボルダー「昴―−−−−−−−−−ッ!!!」 昴「さっきは言ってくれたよね?ボクはね、暁くんの幸せも大嫌いだけど、それに輪をかけて、ド三流のくせにやたら威張り散らすバカはもっと大嫌いなんだよっっ!!」 タイガープレデター「ぐぐぐ・・・があああああああああ!!」 怒りの叫びをあげて取り出したのは・・・凛から奪い取ったあのパス。 セドナ「お母さん、あのパスにメダルを入れて、あいつ、シルヴァンに変身できるようにまで・・・」 アンジェリカ「・・・・・随分とまた厄介な進化をしたもんだ。あのメダルは元来物質にかりそめの魂を植え付けて疑似生命体を作り出すに過ぎなかったのに」 ボルダー「メダルをありったけぶちこんだら治るんじゃねえの?」 アンジェリカ「・・・普通ならそうなるんだが・・・」 そういって、空っぽになったメダルポットを見せつける。 アンジェリカ「全弾撃ち尽くした。はっはっはっは」 セドナ「はっはっはっはじゃないでしょうが!!もう、今度は背中に籠でも背負ってたくさん持ってきなさいよねええええええええ!!ホント昔から詰めが甘いんだからっ!!!」 アンジェリカ「さて、どうする?一応はダメージを与えたのだがね」 セドナ「・・・そうね、今がチャンスかも。待って、物質に命を与えたと言いましたね。つまり、その物質を核として考えると・・・・!」 ボルダー「あいつ、核ミサイルなんて持ってるのかよ!?」 セドナ「核ってそういう意味じゃない!!心臓部ってことよっ!!つまり、そういうものを弱点としてとらえれば、そこをつけば勝てるかもしれません!」 流水「そういうのを見つけるのはボクの十八番だね」 昴「でもって、ボクのパスにもさっきの白いメダルぶち込んできたからちょっとした武器になるかもよ?雷斗くん、派手に暴れるけど、付き合ってくれる?」 雷斗「うむ、俺、戦う!」 昴「そーれでこっそ、ボクの彼氏!!愛してるぜ、相棒♪」 雷斗「おう!!」 流水「マリアさん、銃の腕前はこっちがサポートするよ!」 セドナ「・・・宜しくお願いします!」 アンジェリカ「流水くん。久しぶりに会えたと思えば、親の成長の期待をまるで裏切るような、胸もなければ愛想もない、頭でっかちの悲しい人生枯れ娘ですが、何卒よろしくお願いいたします」 セドナ「あんたは何を言っているっ!?あとで、シバきますよ、オババ!!!!」 アンジェリカ「・・・ああ、あとで、な」 また、後で、会える。必ず、笑顔で再会できる。それだけで十分だ。 昴「さーてっと、ゆるーく、やりますか。変身っと」 昴が変身し、仮面ライダーメルクに変わり、さらにそこへ雷斗の力が加わると、手にトーライハンマーが握られる。メルクの超怪力を振るってハンマーを振り回し、突進する。 タイガープレデター「があああああああああああ!」 タイガープレデターがシルヴァンに変身し、間接剣を振り回そうとするが、メダルの暴走によって体が思うように動けず、動きが鈍い。今だ! メルク「さーってと、ボクのお仕置きラッシュは恐いよー?この間、明久のバカにせっかく手に入れた翠ちゃんの隠し撮り下着姿写真を没収されたこの恨みつらみを発散したくて仕方なかったからねぇええええええええええ!!」 それって逆恨みではないか。 もはや彼女にまともな戦う理由など求めてはいけないのかもしれない。なぜなら、彼女のポリシーが「真面目に不真面目」なのだから。 メルク「おりゃあああああああああああああっ!!」 メルクがトーライハンマーを振り回し、シルヴァンを次々と殴りつけて銀色の稲光が打撃に加わり、シルヴァンが吹き飛ぶ。 メルク「さあ、反撃開始だ!!」 そういって、飛び出そうとすると、ふと、団地の傍らで座り込んでいる凛の姿があった・・・。そこにはいつもの強気な彼女はなく、力を奪われ、弱弱しく憔悴しきった彼女の姿があった。しかしその瞳にはまだ、若干の希望がすがるように残っている。それは手に持っている銀色のジャケットをお守りのように強く握りしめていることからうなづける。 凛「・・・・・・昴・・・!」 メルク「・・・・凛?」 凛「・・・・暁を、皆を、頼む・・・・・!!」 自分にはもうそれしか言えない、悔しさが涙となって目から流れ落ちる。そんな凛に近づき、メルクが優しく両肩をつかんでいう。 メルク「凛。ボクたちを、暁くんを、信じてろ。そしたら、必ず帰ってくるから。約束するよ」 凛「・・・昴・・・!」 ボルダー「必ず、皆でまた一緒に遊ぶ!!」 セドナ「あの人をこのまま失うわけにはいきませんもんね」 そういって、3人が走り出し、シルヴァンとの決着をつけに向かう・・・!! 一方その頃・・・! 霧の中にとらわれ、ヘブンはもはや防戦に徹していた。外から銃弾は次々と降り注ぎ、下手に出れば銃弾の餌食だ。 ヘブン「こういう時、どうすれば・・・!」 クロキバ「ぐっ・・・!万事休すか・・・!?ここは逃げるしかない!」 アイオーン「ふふふふ・・・っ」 その時だ。 クリス(こういう時、暁だったら・・・・!) え・・・・? また、いつも、こうですか。 暁がいないと、何もできない。 暁にいつも助けてもらっているのに、何も出来ない。 優しくて、強くて、ちょっと意地っ張りで不器用で、女の子が苦手などこにでもいる普通の男の子、なのに、イマジンよりも強くて、広く優しい心で、包み込んでくれているのに。守ってくれていたのに、自分は何もできない。 悔しい。 悔しすぎて涙が零れ落ちる。自分はこんなに無力なのか。 暁(お前は俺の最高の相棒だ!) 暁(信じてるぜ、いつだって、お前のこと) 暁(お前と俺とクロキバ、3人そろえば怖いものなんてねえよ) そう言ってくれていたのに・・・・。 「何落ち込んでるんだよ、いつも、しっかりしろって言ってるのに」 ふと、誰かの声が聞こえる。しかしその声は、ヘブンボイスターから聞こえてくる。開くと、そこにうっすらと浮かび上がる。自分から放つヘブンに宿る記憶がヘブンボイスターに流れているのか。そこには・・・画面に暁がいた。 クリス「・・・・・・暁、私、本当に駄目だよ。いつも偉そうに言ってるくせに、暁がいなくなっただけで、もうどうしたらいいのか、分からなくなって・・・本当に駄目駄目です。もう、本当に・・・・」 涙があふれていた。あまりにも悲しくて、情けなくて、自分自身が歯がゆくて。 その時だ。 ふと、優しい暖かな風が吹き、霧が少しずつ晴れていく。 アイオーン「・・・?ふふっ、アイツ、余計なお節介を・・・」 何故かアイオーンはどこか楽しそうに笑みを浮かべている。 アイオーン「あのイマジンに、まだ成長できるって信じているのですかね?それなら、もう少し付き合うとしますか・・・」 クリス「・・・霧が・・・・?」 そして、霧の中で見えた黄金色の風が、優しくクリスを包み込むようにまとわりつく。とても暖かくて優しい、心地よい風・・・。 その中で、クリスは風がやがてうっすらと暁の姿へと変わっていくのを見た。自分を抱きしめていてくれている。いつも、自分が失敗して泣いていたとき、抱きしめてくれていたように。 「お前に出来るぜ。俺にもできなかったことが、きっとお前に・・・・。どうしてか、分かるか?」 クリス「・・・どうして、どうして、私のことをそこまで信じてくれるの?私、アリスのように強くない、マリアさんのように、頭もよくない、凛のようにお色気もないし、大人でもない。私なんて、暁の相棒にふさわしくないって、思ってたのに・・・・!」 「・・・・・でも、お前はアリスにもない、マリアさんにもない、凛にもない、いっぱいいいところあるだろ。俺、ちゃんと見ているんだからな。何より、俺がほかの誰と比べても、お前が、俺の相棒だ。お前以外、俺の相棒を務められるのは、お前しかいねえんだよ」 クリス「・・・・・・・・え・・・・・?」 「その理由はな・・・・・俺が・・・・お前を求めているから。お前以外俺の相棒なんて出来ないし、させない。俺がはばたくとき、俺と一緒に羽ばたいて飛んでくれるのは、お前だけだ。お前と一緒に戦いたい、一緒にいたいんだよ・・・・」 ヘブンに残っている記憶。 それは暁がクリスに抱いている思い。わずかだが、それは暁が心に宿している・・・・。 暁「・・・・俺は、いつでも一生懸命で、失敗ばかりしても、諦めないで前へ進もうとしているお前が・・・・好きなんだよ・・・・・。お前を見ていると、俺も元気が出る。前へ進む勇気が出る・・・・お前が俺にいつも勇気をくれたから・・・・俺は・・・・頑張れる・・・・」 クリス「!!!!」 それは・・・不器用ながらもクリスを思っている暁の思い。 暁がいつもどんな不幸な目に遭っても、過酷な戦いに身を置いても、ボロボロになっても、それでも戦ってこられたのは・・・・自分が勇気を与えてくれるからだという。 目から涙がボロボロ零れ落ちる。やがて霧が晴れ、暁の姿が消えた。 でも消える寸前に見せてくれたのは・・・いつも見せてくれる優しい笑顔。 自分が都合のいい幻を見ていただけかもしれない。 でも、あの言葉はクリスの胸に熱い何かを蘇らせた。そして、銃剣を握りしめると、静かにつぶやく。 ヘブン「・・・・暁・・・・・・!」 そしてその眼の涙を拭い去り、一気に部屋の中へと突入する!そして、ベランダから飛び出すと同時に翼を広げて飛び出す!!しかし射程距離にある以上、アイオーンも迎え撃つ! アイオーン「おバカさん・・・・。わざわざ撃ち殺されにきたのかしら?」 そういって、銃弾を発射するが・・・! ヘブン「暁LOVEパワー・・・全開です―――――――っ!!!!」 それは無敵の合言葉。「暁バカ全開モード」になったクリスはもう怖いものなどないのだ。驚異的な集中力で銃弾の合間をかいくぐりながらアイオーンに間合いを詰めていく! アイオーン「何っ!?わずかな間に何が彼女を変えたの・・・?!ふふっ、面白いじゃないの!!」 ヘブン「はあああああああああああっ!!」 そして銃剣と銃剣が激しくぶつかり合い、さっきまでの彼女とは変わった積極的な攻めにアイオーンが今度は圧倒されていく。 ヘブン「暁LOVE暁LOVE暁愛してる暁愛してる、暁大好き暁大好き・・・・!!」 アイオーン「・・・変なスイッチ入れちゃったかしら?」 ヘブン「暁のためなら・・・エンヤコラです――――――――――っ!!」 そういって、銃剣を弾き飛ばした!!! アイオーン「しまった!!」 ヘブン「だああああああああああああ!!」 思い切り銃剣の柄で殴り飛ばし、アイオーンが地面に思い切りたたきつけられた!! そして、銃剣を構えなおし、アイオーンとヘブンが対峙する!!! ヘブン「さあ・・・第二ラウンドの始まりですよ?」 アイオーン「・・・上等じゃないですか!!」 こうして、完全バカモードになったヘブン(もはや無敵状態)とアイオーン(若干引き気味)との第2ラウンドが始まったのであった・・・。 続く |
鴎
2011年11月09日(水) 17時56分42秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | ||||
---|---|---|---|---|
遅れた感じですけど、まずは《バカテスト》の回答についてのコメントです。 指名されたので明久に雪奈、よろしくな。 吉井兄妹 「「了解〜」」 *クリス&マリアの回答についてのコメント 明久(電王) 「正解だね。……それにしても、本当にあっちの暁も愛されているんだな。……ただ、それに気づかないって鈍感なところもあるのが難点ってことだね…; っていうか、気づけ!」 雪奈 (……お兄ちゃんも人のことは言えないよ…;) *暁(ヘブン)の回答についてのコメント 雪奈 「不正解。……一つツッコムけど、それは主に貴方の周りの女性であって、問題の答えとはまったく関係がありません!# もっと問題を良く見て答えるべし!!」 明久(電王) 「……でも、書きたくなる理由が微妙に納得…;」 *穏の回答についてのコメント 明久(電王) 「…どこをどうしたらこんな珍回答が浮かぶの?; 何気に納得はいくけど……」 雪奈 「……変態度を抑えなさい!!#」 《バカテスト》の回答については以上です。 明久(電王) 「……それはそうと、重要なことを教えてくれてありがとうございます、『鴎』さん!」 雪奈 「早速、うちのところの暁君と翠ちゃんに連絡を入れておいたから、すぐに方つくと思うけど……」 ―……人の妹のことを何だと思っとるんじゃい!# 少しは反省しろよ、凛!! 喰らえッ! ゲイルパニッシャー!!― ―ムッツリにも程があるでしょうが!!# 少しは反省しなさい、穏ちゃん!! 二ケージャベリンッ!!― カッ! ドドカ〜〜〜〜〜〜ンッ!!!!! ―ちょっと! やりすぎでしょ(だろッ)!?― …本当に懲りん連中だな……(呆れ) クロキバT世 「それでは、改めて《第37話》についての感想だ。……まったく、厄介なことになったものだな…。とは言っても、状況のことを説明しているのが昴殿ではほぼバカらしくなってしまうのは請け合いだと言えるものだな…; って、自分でもヤバイ状況だって言うのに、何をやっているのだ!?」 シャナツネ 「…本当に碌なことを考えん女子だな…; それを他に生かすことが出来んのか……(呆れ)」 モモタロス 「……とは言っても、本当にどうしたもんかね…;」 …しかし、いくら『アイオーン』に肉体を乗っ取られたからと言って、性別まで変わってしまうもんなんですかね〜? ここまで来ると、暁(ヘブン)君が可哀相過ぎます……。それはそうと、昴さんに穏さん。貴女達はどういった結論で暁(ヘブン)君を見てきたんですか!!? 彼に恋する女性達に今すぐ謝りなさい!! 暁(アスレイ) 「……例え、《平行世界》のことであるとはいえ……人を何だと思っとるんじゃ〜〜〜〜〜〜〜!!!!# マジで殺すぞ、オイ!!」 星(アスレイ) 「……しっかし、エリザさんは碌な活躍もしないで退場って感じになったな…; 昴嬢、穏嬢。あんたら最低だわ…」 フェザー(アスレイ) 「…それにしても、敵の方も昴さんの思想通りに言っちゃならないことを言いまくちゃいましたね…; お約束って言えばお約束ですけど……」 イーズ(アスレイ) 「……結果的にクリス(ヘブン)さん、アリスさん、マリア姉さんの逆鱗に触れてしまったわけですけどね。…それはそうと、アイオーンさんの方はワザとですか?」 …ンでもって、テンションに身を任せて変身して敵に立ち向かっていく乙女三人。……それにしても、いよいよ敵さんが仕掛けていた厄介な“モノ”が動き出したみたいですけど、早々敵さん方は自分達の思案通りに、ことが進むとお思いなんですかね。 電 「…昴、達、も、動き、出し、た…」 冷牙(アスレイ) 「…しっかし、流石に相手も一筋縄ではいかない強敵だったわけだ。クリス(ヘブン)が変身した『仮面ライダーヘブン』なんて、あっちの俺の“力”を借りても苦戦しちまってたからな……」 しかも、かなりの狙撃手(スナイパー)としての実力を持っているみたいですからね。冷気によって生み出した“霧”によって相手の動きを止めると同時に姿を隠し、相手に気づかれる前に空へと飛び、相手を狙い撃つ…。マジで洗礼された動きですな……; 流水(アスレイ) 「一方のアリスさんとマリアさんの二人の方もかなり苦戦中。…とは言っても、相手の『タイガープレデター』こと鏡子さんの方は自分に“力”を与えてくれる“メダル”のおかげで有利に立っていて、既に“力”に溺れている様子が出ているね。結果的に、彼女は見事なまでに化け物になってしまったわけだけど……」 イーズ(アスレイ) 「…見事なまでに、自業自得的な状態ですね。……そして、危機的状況になっていたアリスさんと姉さんを助けたのが、昴さんが連れてきてくれたアンジェリカ母さんだったわけですけど、何時の間に『バースバスター』モドキなバズーカと敵の“メダル”を打ち消す“白いメダル”とかを作ったんですか!?」 流水(アスレイ) 「応援に向かっている最中でじゃない? 彼女だったらそれぐらい楽勝でしょう?」 イーズ(アスレイ) 「……ひ、否定できない……; でも、後先は考えてくださいよね…;」 電 「…それ、と、昴、も、余計、な、ことを、言う、なよ…; カッコ、よく、登場、して、も、最初の、仲間に、酷い、こと、言って、いる、時点、で、駄目、駄目、だ…」 イーズ(アスレイ) 「……それはそうと、何再会早々親子の口喧嘩をしているの……(T T)」 明久(電王) 「…にしても、昴ちゃん。何気に感想とあとがきでのことが本編でも出ているって言うのはどうなの!?」 翠 「…自業自得の八つ当たりだもんね…; ……もうちょっと殴っとくべきだったかしら?」 雪奈 「そんなこんなで、凛ちゃんからの頼みもあり、『ダークシルヴァン』との戦いもクライマックスを迎えたわけね」 カグヤ 「次回辺りには、真の“四天王”である『スライムプレデター』の『ベリル』が姿を現すらしいけど、一体誰の肉体を奪っているのやら……」 クリス(アスレイ) 「……一方、【ヘブン】の私の方ですが、『アイオーン』の霧と狙撃による戦法で防戦を強いられることになっていて、心が折れそうにもなっていた……。そんな時、彼女の折れそうな心を救うように、優しい“黄金の風”が突然吹き、あちらの暁の姿を形作り、彼女を励まし、再び立ち上がる勇気を与えたわけですけど、一体誰があのような現象を……」 暁(アスレイ) 「『アイオーン』のバカは何かを知っているみたいだったけどな。本当に何を考えてんだ?」 クロキバT世 「…奴の思案はともかく、突然吹いた“黄金の風”のおかげであちらのクリスは立ち上がる勇気を取り戻し、反撃を開始したわけだ」 クリス(アスレイ) 「……ただ、かなり恥ずかしいテンションに身を任せてしまっていますがね/// 何ですか、『暁バカ全開モード』って!?///」 これが本当の“恋する乙女は無敵”よってヤツでしょうな。戦いも第2ラウンドを迎えたらしいですが、どうなることやら……。 クリス(アスレイ) 「…《平行世界》の自分のこととはいえ、恥ずかしいです……//////」 冷牙(アスレイ) 「…さてさて、次回辺りではどうなるのやら……。今回の話では出てこなかったセレスさんとかのことも気になってくるが、どうしていたんだ?」 イーズ(アスレイ) 「それに関しては【ヘブン】の僕もですよ。……まさか、【ヘブン】の僕がベリルの“器”……;」 カグヤ 「いや。一応女みたいだし、宿っているとしたら女でしょう」 二つの戦場における決着と、新たなる戦い。物語が佳境を迎えているらしいですが、スランプにも負けず、どうか頑張ってください!! それでは、 一同 『次回も楽しみに待っています!』 〜…限界を超えて……参る!!〜 〜……時と次元を超え、俺、参上!!〜 |
30点 | 烈 | ■2011-11-10 23:41:30 | i125-205-43-158.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 30点 |