仮面ライダーヘブン 第39話 |
第39話 (穏視点) 私と合流したセレス、そしてエリザベートは今、RPGとかで出てきそうな沼地にいる。周りは薄暗い霧に包まれていて、あちこちに水たまりや、腐った木々、カビの生えた地面とか、とにかくジメジメとした環境だった。山のふもとの森林の中にこんなところがあったとはな・・・。あの仮面女が逃げ込んだのを確認し、私は携帯を取り出すと、GPSの機能を発動させる。すると、沼地のエリアが映し出されて黄色いランプ・・・さっきあいつに取り付けておいたマイクロサイズの盗聴器兼発信機が居場所を示してくれる。・・・・・なぜそんなものを持っているかだと?・・・・知的探究心を満たすための道具にすぎないと言っておくとしよう。 セレス「・・・・一歩間違えたら本当犯罪者になりかねないわよ?」 エリザベート「もはやアウトのような気がせんでもないがの」 何のことだか。 エリザベート「油断するでないぞ」 セレス「はい。穏ちゃんも無理しないでね」 穏「・・・・・・・承知」 こういう時、暁とバカをやっていたときの経験が意外にも危機に対する心構えというか、物事を冷静に分析し、判断できることを感謝するとしておこう。普通の人間ならこんなところに迷い込んだら不安で正常な判断ができるかどうかわからなくなるからな。だが、ここではそんなことは・・・・命取りだ。体から無駄な力が抜けて頭が冴えてきたみたいだ。 穏「・・・・・・・・来る」 セレス「・・・・・貴方、本当こういう気配を察知できる能力はかなりのものね」 エリザベート「・・・気配を消しているつもりであろうが、蛇の道は蛇とはいったものじゃな。隠密のエキスパートである穏にとってものぉ」 バキッ 木がへし折れ、そこから、二人の人影が見えた。 その人物の姿を確認すると、私たちは驚いた。 穏「・・・・・・・・・?お前たちは」 セレス「・・・・仮面ライダー・・・・ジーク?」 そう、そこにいたのは・・・。 星「・・・・Why?お前たち、どうしてここに・・・」 英語交じりの変わった話し方をする、黒髪を短く切った一見中性的な顔立ちの整った美少年と、青い毛並みの猛禽類をイメージしたような美しくも勇猛な雰囲気を漂わせる鳥の怪人、フェザーがいた。先ほど画像で調べたから、その情報はとっくに割れている。 エリザベート「・・・貴様は・・・・!」 穏「・・・・・・落ち着け」 いきなり戦闘態勢に入ってどうする。 穏「・・・・・・・・お前たちとおそらく目的は同じ。この先に、あるであろう敵の活動拠点の探索および発信機を取り付けた敵の幹部の逃走先および行動範囲の確認・・・・・」 フェザー「!?どうして、それを・・・」 穏「・・・・お互い情報を知っているならもう隠さずに打ち明けた方が、ここから先に進むための手がかりになる」 セレス「・・・・確かにね」 星「・・・・ヒュウ、なかなかcoolな考えじゃねえか。というか、本当に落ち着いているんだな。いきなり戦闘を仕掛けられたらどうしようかと思ったぜ」 穏「・・・・・・貴方たちの活動はお互い探り合ってきたということでお互いさまってこと。それよりも、ここから先なんだが・・・・一緒にいくか?」 星「おいおい、いきなりだな。俺たちが敵だっていう可能性だってあるんだぜ?」 おどけたようにいうが、その目は本気だ。軽率な判断は命取りになりかねないということか。しかし、それはない。 穏「・・・・・・・人を見て、ウソを見抜くことは得意だ。あんたたちの目を見て、嘘や人をだますことなんて考えてないというか、そういうことが基本的に向いてないっていう目って感じだ」 暁と同じような目をしているもんな。 いかにも騙されやすい、お人よしというか世間知らずというか、まあ、私や昴みたいにこんなズレまくった性格にねじくれるよりはマシかもしれんけど。 星「・・・・・グム・・・・・」 フェザー「・・・・あ・・・・あははは・・・・・」 図星を突かれて、二人が顔を赤くして気まずそうに顔をそむける。 星「で、でもな、吸血鬼の女王だって人のことは言えないぞっ!?」 エリザベート「それは・・・どういう意味じゃ」 フェザー「・・・そ・・・それは・・・」 セレス「・・・なるほど。一度信念を決めたら周りを顧みることなく、己が傷ついても尚前へと突き進むのみで、己の矜持に忠実な正真正銘の騎士である姫様が、部下や元敵を利用してまで謀略を企てて行動することはないと判断したうえですね」 星「・・・・・ま、まあ、そんなところだ」 フェザー「・・・え、ええ、まあ・・・」 二人とも気まずそうに顔をそむけて言う。 しかしそれをエリザベートは顔を赤くして照れくさそうにする。 エリザベート「・・・ま、まあ、そこまで買いかぶられてものぉ。よ、良いじゃろう。ともに行動することをワシは良しとするがのぉ」 セレス「・・・そうね。下手な探り合いはもうおしまいにしましょう」 穏「・・・・・・同意」 穏(・・・セレス) セレス(・・・何?) 穏(・・・・それ、遠まわしに「バカ」ってことじゃないの?) セレス(・・・・・・・・・・・・・・言わないの、それは) 穏(・・・・そうか) こんな馬鹿をずっとサポートしてきたセレスだから思えているところか。まあ、そんなバカで一途なところが信頼できるというのもあるのであろうが。このことを知ったら吸血鬼女は間違いなく大泣きであろうな・・・。 星「そうだな。それじゃ、ここから先、同行よろしくな・・・っと、あ、改めて、俺は天童星。そしてこいつが俺の女房で相棒のフェザー・ブリュンだ」 フェザー「せ、星!?あ、あの、その・・・・・・か・・・な・・・かな・・・きゃにゃいのフェザーれしゅ!!!」 フェザーが顔を真っ赤にして恥ずかしそうに答えた。しかし顔はまんざらでもなさそうだ。・・・しかし、人間体を見たことあるけど、相当の美人であったな。そんな美人が・・・・堂々と俺の恋人(モノ)発言だと・・・!? 穏「・・・・・・・リア充は死ね」 星「ちょっと待て!?何で自己紹介したくらいで、そこまで恨みがましい目つきで言われないとあかんの?!」 穏「・・・・・・・・・あ、異端審問会?自己紹介に挟んで堂々と極上の美人を俺のモノと自慢するバカップルひと組、男のみ処刑、OK?」 星「何恐ろしい事を電話でdelivery感覚で言ってやがるんだっ!!そんなことしたら、あんな狂ったサイコ集団と戦うというややこしい展開になりかねねぇだろうがっ!!」 穏「・・・ちなみに先兵は私。ちなみに聞くけど、紐なしバンジーと、火炎放射機でこんがり小麦肌、電気椅子、どれがいい?」 星「最初っからとんでもないことするなっ!?もう、それ、完璧に処刑じゃねえかっ!?」 穏「・・・・・・・・処刑だが、何か?」 そんなこと決まり切っているではないか。リア充など皆この世から消えるが良いわ。人の幸せなどくそくらえ、徹底して邪魔し異端審問の名のもとに聖なる裁きを下すのは人として当たり前の行為である。 エリザベート「・・・何でここまで根性が腐り切ったヤツがライダーに選ばれたのじゃ?」 セレス「・・・・さあ?」 二人ともなぜか、私を見て冷汗を垂らしている。なぜだろう? 星「と、とりあえず、先、行こうぜ!」 フェザー「え、ええ・・・!」 穏「人気のない場所では気をつけるのだな・・・。ククク・・・・我が暗黒の血が再び高ぶる時、お主は確実に死を迎えるであろう」 星「俺はいったいどうすりゃいいんだっ!?」 穏「・・・イチャつかなければいい。次イチャついたら、オマエコロス。ソシテ、ビジョ、ワタシガイタダク」 星「最悪極まりないなっ!?」 こうして不安要素ありまくりなパーティーが誕生した・・・。 そのころ・・・! ボルダー「くっそぉ・・・!!このバケモン野郎、かなりしぶといじゃねえか!!」 セドナ「メダルの大量投与、ここまで強大なものなんて・・・!」 もはや人間としての姿は完全にとどめていないタイガープレデターは、その姿を異質なものへと変えていた。6本もの太い四肢をもち、四つん這いで立ち、背中から鋭いかぎ爪をはやした腕を四本も振りまわし、四肢で地面を蹂躙し、血に飢えた野獣と化している。 アンジェリカ「まさかここまでの副作用があるとはな・・・」 そして。 ヘブン「はああっ!!」 アイオーン「ふっ!!」 二人のライダーも激突していた。銃剣と銃剣、二つの武器が激しくぶつかり合い、火花と轟音が響き合う。二人の実力はほぼ互角、射撃戦に持ち込まれたらかなわないが、銃剣術での白兵戦は実力は五分五分だ。 そして、ヘブンの銃剣が突きだされてアイオーンのボディを直撃しアイオーンがついに吹き飛んだ! アイオーン「きゃあああああああっ!」 団地の壁ごと吹き飛び、地面を転げて倒れ込む。 それを追ってきたヘブン、しかし、もうその姿は肩で荒く呼吸をしている。銃剣を持つ手も震えている。完全に疲労しきっているのだ。 ヘブン「はあはあ・・・・」 アイオーン「・・ちっ、なかなかやりますね・・・」 その時だ。 アイオーンの視界に一人、怯えて座りつくしている凛の姿があった・・! アイオーン「・・・あいつは・・・?」 その顔はかつての「勇気」を司るライダーに選ばれたとは思えない、弱弱しく震えている少女だった。ここまで変わり果ててしまった姿に言葉を失う。 しかし、後ろを振り返ると、ヘブンが拳を構えて周囲の風を集めて青い光を放つ光の弾丸を放とうしていた!この霧のせいで気付いていない! その先にはアイオーン、そして、凛がいるのだ! アイオーン「・・・くっ!!」 ヘブン「ゲイル・・・・・キャノォオオオオオオオオオオン!!!」 そして打ちだされた!! すると、その光線を前に、アイオーンは・・・! アイオーン「う・・うう・・・・うあああああああああああああああ!!」 凛をかばうように前へと立ちはだかり・・・!! 荒れ狂う暴風の津波を直撃した・・・! アイオーン「ぐ・・ぐ・・・ああああああ!!ああああああああああああ!!」 荒れ狂う暴風に揉まれて、全身を激痛でもだえ苦しもうと、銃剣を振りおろし、吹雪が障壁となってゲイルキャノンを空中に霧散させた! 土煙が舞い上がる・・! ヘブン「・・・・あ、あれ?」 そして晴れた時には、そこには・・・アイオーンの姿はなかった。 ヘブン「ぐっ・・・!に、にげられ・・・・た」 そこで、限界だった。ヘブンの変身が解除され、クリスの姿に戻るとその場に倒れ込む。 クロキバ「く、クリス!?大丈夫であるか!?」 クリス「・・・少し、オーバーヒートしましたか・・・!」 クリスが弱弱しく傷ついた全身を必死で立ち上がらせようとする。壁にもたれて、おぼつかない足取りで立ち上がり、公園に入り込み休憩用の木造作りの小屋の壁に背を預けてとうとうその場に座り込んでしまった。 クリス「・・・クロキバ様。あの時、どうして、彼女は攻撃を避けなかったのでしょうか・・・」 クロキバ「・・・うむ、避けられないというか、あえて、自分から何かを守るために身代わりになるようになっていたであるな・・・」 クリス「・・・・・・・彼女の目的は、何なのでしょうか?どうして暁に・・・」 クロキバ「・・・・すまぬ。我にも分からぬ。だが、あやつは暁を人質に取っているようなものだ。油断はできない」 クリス「・・・・暁・・・・・」 助けられなかった。 その悔しさが、胸の中で膨らみ、やがて怒りとなって握りこぶしを作ると、壁を思い切り殴りつける。低い音が鳴り響き、打ちつけた。 何度も何度も。 そのたびに涙がこぼれおちる。止まらない。片手で顔を覆い、必死で鳴き声を抑える。嗚咽が時々漏れてしまう。それでも、歯を食いしばって、必死で耐えようとしていた。血がにじむ手、痛いという感覚がまるで自分を責め立てているようにも見える。相棒を救えなかったことへの、自分に対する罰。 クリス「・・・・・さとるぅ・・・・・」 一方・・・! その団地から少し離れた高台。 大階段と呼ばれる、高台と駅前商店街をつなぐ、急こう配の巨大な階段がある場所。ここからなら、町が一望できる絶景が広がっていた。 そこで、凛は異様な感覚とともに目を覚ます。気付くと、そこには、誰かの背中が見える。自分はおぶってもらっている。しかし、その背中はとても暖かった。長い黒髪を風になびかせ、華奢だが鍛えられている小柄な体つき・・・。 凛「・・・・・・・・さ・・・・と・・・る・・・・」 そういわれ、“少年”は振り返る。 月明かりに映し出されて生える美しき顔立ち。意志の強い切れ長の黒い瞳、それはずっと自分が恋焦がれてきた存在。 「目、覚めたか、凛」 そういったのは・・・・大友暁だった・・・。 凛「・・・・暁、お前、元に戻れたのか・・・?!」 暁「・・・・さっき、お前がゲイルキャノンに巻き込まれそうだった時、助けたいって願っていたら、あいつの意識を押しのけて、前へ出てこれた・・・。今あいつも、ゲイルキャノンの直撃食らって、体力の温存のため、今は眠っているようだ。それで、何とか、出てこれた・・・・」 男の姿に戻っていた暁は、自分の胸を見て、「ふう、男に戻ってる」と嘆息する。 凛「・・・・ごめんよぅ・・・・・ごめんよぅ・・・・あたし・・・・お前を守るって決めたのに・・・いつもいつも・・・お前に助けてもらってばっかりでよぅ・・・」 凛が泣きだす。もう止められない。暁の背中に顔を押し付けて泣きだした。 凛「俺、俺、おれぇ・・・・・・もうどうしたらいいのか・・・分からない・・・・。お前を守れない俺なんて・・・もう必要としてくれない・・・。俺、お前にだけは捨てられたくない・・・・・捨てないで・・・・そばにいさせて・・・」 必死で懇願している。 涙を流し、哀願するように暁にすがりつく。 暁「・・・・凛」 凛「・・・・・・・うん?」 暁「・・・・俺はな、いつまでも、お前に守られてばかりなんて、嫌だ。むしろ、俺が、お前を守れなくてどうすんだよ・・・」 凛「・・・・でも・・・!」 暁「凛、お前はあの時の事件をお前のせいだって自分自身に言い聞かせている。でも、あれは、お前の姉さんを殺したのは、お前じゃない」 凛「・・・・え?」 暁「・・・・・・もし、誰かが手を下したとしたなら・・・・」 暁が言葉を切って、一呼吸おいて、言う。 暁「・・・・・・・・・・・・・俺だってそうだろ」 (回想) 5年前のクリスマスイブ。 その日、この町の大階段で転落事故が出た。 階段の一番上から二人の男女が転落し、女性は首の骨を折って死亡、そして一緒に落ちた小学生の男の子も全身打撲の重傷で、病院に担ぎ込まれた。 その後の捜査で、女性は指名手配を受けている殺人鬼集団「殺人クラブ」の一人で、その日、自分の家族である母親を殺害し、その現場を見てしまった小学6年生の妹とその友人であった男の子を証拠隠滅で殺害しようと追いかけまわし、あの大階段まで追い詰めた。そして、その殺人鬼は実の妹を階段から投げ落として殺そうとしていたのだった。まず、少女守ろうと立ちはだかった少年をハンマーで殴り、蹴りつけ、壁に何度も叩きつけてボロボロになるまで殴り、やがて動かなくなると、少年をゴミのように投げ捨てた。そして妹に迫ったのだ。 「く、くるしい・・・・!たすけてぇ、誰か助けてよぉおおおおおおおおお!!」 「あははははははははははは!!もっと泣け、もっと喚けっ!!その鳴き声がたまらなく感じるの・・・!!く、くふふふ、よぉく見ると、あの女によく似ている顔立ちだねぇ。あー、思い出すだけでムカムカするなぁ。いっつもいっつも家族ほったらかしで夜遊びしまくって、借金まみれになるわ、男連れこんでは私たちにまでひどいことするわ、殴るわ蹴るわ、挙句に、殺そうと包丁で襲ってきやがって。私とあんたの保険金で海外に恋人と逃げるつもりだったんだろうけど、そうはいかねぇんだよ。あんたの勝手で殺されるくらいなら、こっちが殺してやる!」 「さとるぅ!!暁――――っ!!助けて―――――――っ!!」 泣きじゃくる妹を軽々と持ち上げて、階段まで引きずると、町を見下ろし、クリスマスイブでにぎわう夜の街並みを憎々しげに見降ろし、唇をゆがめて、鬼のような凄惨な笑みを浮かべて妹を投げ込もうとする。冷たいアスファルトの地面、叩きつけられたら確実に死ぬであろう。 「メリィィイイイイイイイイッ、クリスマスゥウウウウウウウウウ!!ヒャアアアアアアアアアアアアッハッハッハッハッハッハッハ!!!」 しかしその時だった。 「うわあああああああああああああああああ!!」 突如、先ほど殴り蹴りつけ痛めつけたはずの少年が立ち上がり、思い切り走りだし、渾身のタックルを放った。 横からタックルを受けて、彼女は吹き飛び、妹を少年は抱きかかえて助けた。 そして、その殺人鬼が怒り狂い、立ちあがって包丁を振りかぶったその時だ。 前日に降っていた雪が凍りついていて、その足場に足を滑らせ―・・・。 殺人鬼の体が空中に舞い上がり―・・・ その時だ。 「あぶねえええええええええええええ!!」 少年は自分を殺そうとしていた殺人鬼を助けようと手を差し出し、つかんだ。 しかし、小柄な体が耐えられるわけもなく、少年も一緒に落下した・・・。 それが、真相だった。 暁は意識不明の重体となって入院し、その事件をきっかけに当時警察だった暁の母親である慧の指揮する捜査のメスが入り、殺人クラブは全員逮捕され、死刑となったのだ。そして、暁も7日間もこん睡状態に陥り、生きるか死ぬかという危険な状態にあったのだ。 凛「・・・あの時、寝ているお前を見て、俺のせいだって思った。俺みたいな不良でもいつも優しくしてくれたお前を、あんな目にあわせちまった。包帯だらけで、死んじゃうかもしれないって話を聞いて、俺、俺、俺のせいでこうなったっって思った。それでも、お前は、俺に声を掛けてくれた!」 その事件があって、暁の意識が戻ったという話を聞き、病室に行って凛は暁に泣きながら謝った。自分がまるでやってしまったように、思い切り泣いて泣いて暁に謝り続けた。 すると、暁も凛を抱きしめて、泣きながら謝った。 暁「おねえさん、まもれなくて、ごめん」 その言葉を聞いて、凛は言葉を失った。自分を責めるわけでもなく、自分の姉を守れなかったことを後悔していた。たとえ殺人鬼になってしまったとしても、暁は凛の姉をむげにすることは、彼女の唯一そばにいた家族を否定することになると思ったのだ。凛はお互いに抱きしめあった少年の優しく温かいものを感じながら決心した。 「暁は俺が守る。お前は優しいから、そんなお前を傷つけるようなやつがいたら、俺が守ってやる」 「俺の命は、暁に預ける」 「恋人になれなくてもいい。なれる資格なんてない。お前のそばにいられるなら、俺は、暁の幸せを願い続けていく」 「だから、俺は、姉殺しの罪を、全部、俺のことにする」 そう、自分に「言い聞かせ続けてきた」。 暁「・・・お前ばかり、何もかも背負って勝手に人生決めるんじゃねえよ。お前一人全部の罪を背負って距離をあけるなら、俺は、お前に何が何でも追いつく!」 凛「・・・・・え?」 暁「・・・・俺たち、笑いあうためだけの親友(ダチ)なんかじゃねえよ!!お前が苦しんでいるのに、俺が知らんぷり出来るかっ!!一緒に背負ってやる!それで、一緒に前へ進もうぜ・・・!」 凛を公園のベンチにおろして、暁が凛を真剣な表情で、両肩を優しく抑えて、諭すように言う。今までに見たことのない、それでいて、心までも虜になってしまうような熱さと優しさに満ちた真剣な瞳で・・・。 暁「お前を俺が捨てる?そんなこと、絶対にしねぇ!!お前は、俺の、人生最初の心友(とも)だろうがっ!!!一緒に傷つくことも、辛い事も、俺は怖くない!!俺を・・・信じてろ!!俺は、お前の全部、受け入れてやる!!!」 凛「・・・・さ・・・・と・・・・」 言葉にできない。涙が零れおちて止まらない。視界が歪んで見える。 ずっと抱き続けてきた自分の心の「鎖」が解放された。 そしてそんな自分を受け入れてくれる「心友」がいる。 それから何も言わず、ただ少女は少年に抱きつき、泣き続けていた。 ひとしきり泣きつくし、凛が落ち着くと、暁が凛の頭を撫でる。 凛「・・・行くのか?」 暁「・・・・ああ、まだあいつら、戦ってる。こいつが起きる前に決着付けないとな」 凛「・・・そうか」 暁「・・・・お前のパス取り戻すっていう約束も果たしてないしな・・・」 凛「・・・お守りのベスト・・・・」 暁「・・・まだお前が持ってろ。それ着るたびに思い出せ。お前のそばには俺がいるってな。何も恐れることはねぇ」 凛「・・・・うん」 ベストを羽織り、自分を抱きしめる。 暖かくて、ぽかぽかする。そして、暁が抱きしめていてくれた温もりがよみがえる。 暁「・・・目覚める前まで、あと少し、もってくれよ・・・!」 暁がアイオーンバックルを装着し、アイオーンセルラーを構える。 凛「暁!」 凛が呼びとめる。振り返ると、もう目の前に・・・。 凛が飛びついた。 そして、首に両腕をからませて・・・。 凛「あたしは、お前を、信じる」 暁の唇に唇が重なる。 甘く柔らかい吐息が直に伝わる。 凛の顔が目の前に広がり、心地よい感触が全身を支配する。 やがて、凛が暁から離れて、顔を赤らめながらも、いつもの強気な笑みを浮かべる。 凛「・・・・ファースト、キス、だからね」 暁「・・・・・・・・・・・!!!!!あ、ああ、その、おう・・・・(真っ赤)」 凛「気合入ったか?」 暁「・・・・・・ああ」 凛「まずは思い切り暴れて来い!!全部ケリついたら、これからどうしようか、くぅちゃんやアリス、マリアさんと5人で話し合おうとしようか」 暁「・・・・・・・!!!!?」 凛「・・・行ってこい!!」 暁「・・・・ああ!」 意識がいつまで保っていられるかなんてわからない。 でも、今だけは、思い切り暴れるとしよう。 あいつら、絶対に助ける。 そうじゃなきゃ、「隊長」でも「心友」でもねぇ!!! 暁「変身!!!!」 暁の体が仮面ライダーアイオーンと変わり、翼竜の翼を広げて、決戦の場に向け、今、飛翔する・・・! アイオーン(暁)「待っててくれよ、皆―――――――っ!!」 続く |
鴎
2011年12月05日(月) 08時58分56秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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それでは、改めて今回の話の感想です。 暁(アスレイ) 「……その前に……」 翠 「……やることがあるけどね……」 凛 「……指名されているのであたしも……」 暁(アスレイ)&翠&凛 「「「いい加減にしろよ、このクソバカコンビ!!# 女の身であり彼氏が居る身で人様のいい感じを邪魔しようとするな!!!#」」」 カッ! チュド〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンッ!! ……ちょっと、やりすぎでしょ〜〜〜〜!? っていうか、僕(私)達の放った技を打ち消すってドンだけ〜〜〜〜〜!!? クロキバT世 「……自業自得とは、よく言ったものだな……; それでは改めて小説感想だ」 星(アスレイ) 「冒頭の方では、穏ちゃんの方にエリザベートとセレスさんが合流し、その跡に彼らの元にやってきた【ヘブン】の俺とフェザーと出会い、共闘することになったけど……穏ちゃん、いくらそっちの俺がフェザーのことを“女房”だって紹介したからって、どうして女の君が嫉妬してくるのかな!? っていうか《異端審問会》にパイプを持っているんかい!!?」 フェザー(アスレイ) 「……と言いますか、貴女だって、冷牙(ヘブン)さんが彼氏なんだから、立派なリア充でしょう!? どうしてそちらの私達に対して嫌なことをしようとするんですか!?」 ……本当に、嫌な感じですね…; そんで持って、暴走状態になった『タイガープレデター』とぶつかり合っている『ボルダー』&『セドナ』。…厄介な状況になっていますな……; イーズ(アスレイ) 「っていうか、既に『シルヴァン』の変身も解けている状態ですし、どれだけメダルを自分のみに使ったんですか!?」 シャナツネ 「そして、『ヘブン(クリス)』VS『アイオーン』の戦いだが、五分五分の状況でどうにかなっていたが、戦いの中、偶然にも霧の中に残っていた凛嬢がいるところまで『アイオーン』が来てしまい、それに気づかないままゲイルキャノンをクリス(ヘブン)嬢が放ってしまった……。本来の『アイオーン』であれば避けていただろうが、どうにか肉体のコントロールを奪い返した暁(ヘブン)殿が自身の身体を盾にして凛嬢を守り、その場から一旦凛嬢を連れて離れた。……しかし、相棒であるクリス(ヘブン)嬢やクロキバV世殿には意識が表に出せたことを話してから移動した方が良かったと思うぞ…;」 モモタロス 「そのせいで、銀鷲女の奴、お前を助けられなかったって落ち込んじまって泣いてるぞ#」 カグヤ 「少しは乙女心を理解した方がいいってことね…;」 ですな…; しっかし、凛さんの姉である鏡子さん(『タイガープレデター』)が死んでしまうきっかけとなった事件って、あれは正確には事故でもあったわけですか……まあ、半分は鏡子さんの自業自得だったようですけどね…。そしてこれが凛さんにとって自身が暁(ヘブン)のことを愛しているけど、恋人とかになる権利はないって思う様になったきっかけなわけですか……。 雪奈 「……本当に、辛いことを経験しているんですね。二人とも……」 明久(電王) 「……そうだね…。とは言っても、自身にしか罪はないと言い続けた凛さんを支えるような言葉をきっぱりと言ってしまう辺り、《平行世界》でも暁は暁なんだって思えるね」 …なんだかんだで無自覚フラグメイカーな側面が出ていますな…。流石は主人公…; ンでもって、凛さんからキスされている辺りで漸く恋愛に対してのことをよ〜〜〜〜く考えていくように! 暁(アスレイ) 「…その辺が本当に気になるな…/// ンでもって、どれくらいでアイオーンのバカが目を覚ますか分からないって言うのが不安だけど、今は暴れ回れ!!」 クリス(アスレイ) 「それでは今回はこの辺で、」 一同 『次回も楽しみに待っています!!』 〜…限界を超えて……参る!!〜 〜……時と次元を超え、俺、参上!!〜 PS.真夜さんですけど、そちらの作品に登場させてもいいですよ。設定の方は細かく考えてから出させていただきます。 |
30点 | 烈 | ■2011-12-06 00:45:45 | i125-205-43-158.s10.a044.ap.plala.or.jp |
それでは、まずは今回の《バカテスト》に対してのコメントです。【ヘブン】の暁君と凛ちゃん、よろしくね 暁(ヘブン) 「了解っと」 凛 「任せときな」 *マリアの回答に対してのコメント 暁(ヘブン) 「正解。……だけど、マリアさん、色々と大変だな…;」 凛 「おしゃべりなお袋さんだな…; これが本当の『プライバシーの侵害』ってヤツか…; イーズも大変だな……っていうか、アンジェリカさんも娘さんが隠していることを言ってどうする…;」 *穏の回答についてのコメント 暁(ヘブン)&凛 「「自重しろよ、盗撮魔!!#」」 *アリスの回答についてのコメント 暁(ヘブン) 「んなことを言った覚えはない! 食い物の呼び方で覚えんな!!#」 *クリス(ヘブン)の回答についてのコメント 暁(ヘブン) 「正解だ。…………クリス(ヘブン)。ありがとう……(T T)」 *暁(ヘブン)の回答についてのコメント 凛 「……苦労してきたのはわかっているから、そう人生を悲観すんなって。諦めるなよ」 *昴&穏の回答についてのコメント 暁(ヘブン) 「……ふざけんじゃね〜〜〜〜〜〜!!#」 凛 「……お前ら……彼氏が居るのにンなことしていると嫌われるぞ…;」 こんな感じですかな。 続いては、感想返信に対しての返信です。 明久(電王) 「…少しは言い方とかを考えてよ!#」 真夜さんに関してですけど、もう少し考えてから返事を送っていいですか? こちらにも色々と事情があるので……。 星(アスレイ) 「……あ〜〜〜〜、変なことを聞いてしまったみたいで、すまんな、【ヘブン】の流水…; んでもって、何気に似た者親子ですかい、《シャークエッジ》親子…(呆れ)」 …嫌なところにおける似た者同士ってオチですか…; 暁(アスレイ) 「流石はエメラルドさんだな♪」 こんな感じで感想返信の返信は以上です。 |
10点 | 烈 | ■2011-12-05 23:27:11 | i125-205-43-158.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 950点 |