仮面ライダーヘブン 番外編 乙女騎士と能天気と初詣 |
乙女騎士と能天気と初詣 広くどこまでも澄み渡る青空、薄ら薄らと青に浮かぶ白い雲。その上を流れるように落ちてくるきらびやかな太陽の光。 1月3日。新しい年の始め、三が日の朝である。 「ん・・・・・」 自室の扉を開け放った大友暁は溢れんばかりの光を見上げて思わず一緒目を閉じた。しかしすぐに目を開けると、外に広がる素晴らしいほどの快晴が飛び込んでくる。 暁「・・・・朝7時か。そろそろ起きるか」 ふわああ・・・とあくびをして、顔を洗い、肩まで伸ばしたつややかな黒髪をシャワーで洗って櫛とドライヤーを使って綺麗にまとめると、それを紐で縛り、身支度を整える。 暁(新年早々だらしない格好するわけにはいかねぇからな) そして、パジャマを脱ぎ、上半身素っ裸のままでクローゼットから昨日のうちに畳んでおいた着替えを手にかけたときだった。 暁「あれ?ここに着替え置いといたはずなのに・・・?」 寝る前においてあったはずの衣服一式がどこにもない。 寝る前にいつもすぐ着替えられるようにしてあるのに、ないというのはおかしい。 しかし、次の瞬間、暁はソファにかかっているあるものを見て、目を見張る。 暁「!?」 それは、暁の部屋のシーツをすっぽりと覆った巨大な人形のようなもの。 そして、そのシーツからわずかにはみ出ているのは、今日着る予定だったズボンのすそ。 恐る恐るシーツに近づき、音を立てないように気配を殺して手を近づける・・。 そして・・・。 バッッ!!!(俺がシーツをひっぺがす音) そこには。 暁の衣服をしっかりと豊満な胸に両手で愛おしそうに抱きしめながら、幸せそうに寝息を立てている、長く伸ばした黒髪に金色のメッシュを編みこんだ、健康そうな褐色肌を持つ、妖艶な美貌とあどけない可愛らしさが同居したような美少女、アリス・ビストレオが・・・暁のパジャマの上をボタン全部はだけ、ズボンがひざまでずり落ちている、あられもない姿で寝ていた。 暁「・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」 この事態を理解するのに数十秒かかったことであろう。 そして、要約ことの事態を理解し、瞬時に暁の意識に行動のプログラムが打ち込まれる。 「驚き」と「怒り」、それらが入り混じって起きる爆発的な感情の高ぶり。 「プッツン」が。 暁「何やってやがんだ、テメェはああああああああああああああああああっ!!!」 家全体が揺れるほどの大声を発し、暁の怒声が星見市内に響き渡った。 アリス「朝早く起きちまってよう、それで、暁とイチャイチャ、チュッチュしようと思って部屋に忍び込んだら、眠くなっちまって・・・」 暁「・・・・・パジャマを勝手に借りて、ソファで寝ることにしたと」 アリス「そしたら、シーツについている暁の匂いがしてさ、くんかくんかしてたら、何だか興奮してきちゃって、シーツだけじゃ足りなくなって・・・」 暁「・・・俺の衣服を見つけて、抱きしめて寝ていたと」 アリス「うん♪」 陽気にあっけらかんと笑いながら答えるアリスに、もう脱力して怒鳴る気力も失う暁。 二人だけのダイニング、暁のため息と重苦しい空気が漂うが、そんなものにはまるで気づいていない能天気な笑顔をしていられるアリスはある意味大物であろう。 アリス「暁に抱きつきたかったけど、この間みたいに鼻血出して気絶したら大変だから、衣服で我慢したんだよ」 暁「お前なあ、朝起きていきなりお前が全裸で抱きついてたら、普通はああなるし、勝手に部屋忍び込んで人の衣服失敬して我慢もへったくれもないやんけ」 ちなみにその後、鼻血を出しすぎて出血多量で死にかけ大騒ぎになったのは、つい3日前のことである。 アリス「でもさ、凛はよく暁の部屋で下着丸見えで寝てるのに、どうして鼻血出さないの?」 暁「・・・あいつの寝相の悪さには、小学校時代から付き合わされているから。もう慣れたというか、慣れなきゃ一時こないだのように生命の危機に晒されていたわけで、必死で克服したというか」 とはいっても、10分以内に凛をたたき起こし、着替えさせて部屋を出て行かせるようにしないと、未だに気絶して生命の危機に立たされるであろうと不安はあるのだが。 暁「そういえばさ、ほかの連中どうしたよ?」 アリス「うん、昨日から流水の家に行って、まだ帰ってきてない。メール送ったら、セレスから、全員酔いつぶれてるっていうから、今日一日は二日酔いで苦しむだろうって。だから、今日は二人きりでごゆっくりだって」 暁「・・・・・あいつら、夜通し騒いだのかよ」 ちなみに俺はルシファーズハンマーの書類整理と新年の仕事始めの準備をして、流水の家での新年のお祝いならびにアンジェリカさんとの婚約記念の会に向かったのだが・・・。 暁「・・・・俺が行ったときにはもう全員自分が誰だかわからなくなるまで飲んでたもんな・・・・。クリスまで酔っ払ってワケ分からなくなってたし、頼みの綱のセレスさんとクロキバも酔っ払ってて二人だけの世界に浸っていたし・・・・」 アリス「逃げてきたんだ」 あったりまえだ。 あんな酒に飲まれて暴走する大トラの集団相手に平常心を保ってられるほど、俺は強くない。いきなり一升瓶ラッパ飲みしろとクリスに一升瓶片手に迫られたときには本気で泣けたし、怖かった。 暁「お前はどうして行かなかったんだよ」 アリス「トレーニングしてたら疲れて寝ちゃってて、気づいたら夜だったの。それに、暁と二人きりなんて滅多にないし♪」 暁「・・・・つまり、今日一日は俺とお前だけ、かよ」 うう、あの地獄のトラ軍団の檻から逃げられたと思えば、行き着いた家の中で待ち構えていたのはライオンかよ。俺が草食動物の気持ちならこれ以上ないくらい絶望的だろう。 暁「・・・・ううう、新年早々からついてねぇ・・・・」 アリス「なあなあ暁、今日の予定、はつもーでってなんだ?」 落ち込んでいる俺にアリスが声をかける。そう、俺が冷蔵庫にかけている「今日の予定」というボードに「初詣 黄道神社」と書いてあった。本当なら全員で行く予定なのだが、あの昨日の大騒ぎの様子だと、寝かしておいたほうがいいかもしれない。しかし、去年の破魔矢を納めて今年の破魔矢をもらい、新年のお参りをしてくるというのは、毎年の行事みたいなものだから先延ばしするというのもあれだ。 暁「・・・・はあ、しゃあねえ。俺一人で行くか」 そういって、席を立とうとすると、アリスが身を乗り出して顔を近づける。金色の純粋な目が俺を見据えて、きらきらと光っている。う、こういうときのこいつって、本当に純粋無垢な子供のようで、どうにも退散しにくい。 暁「・・・・・初詣っていうのは、今日三が日の最後までに神社にお参りする日のことだ」 アリス「お参りするといいことあるのか?」 暁「・・・まあ、人それぞれだろうけど、俺は毎年そこでお参りしてくるのが行事なんだ。それでこれから、黄道神社まで行くの」 アリス「面白そう!あたしもついていっていいかっ!?」 暁「・・・・・行っておくけど、お前、お参りって聞いて、お礼参りと間違えてないか」 アリス「ふにゅ?神社に行って坊さん相手に殴りこみかけるんじゃないの?」 暁「そんな新年早々バチが当たりそうなことが出来るかっ!!!!」 そうはいっても常日頃から神様のバチの誤射の集中砲撃を食らいまくって、もう神も仏の存在も信じがたいのだが。俺、真面目にこつこつ頑張って生きている品行方正な爽やか青少年(どこがだどこが)だというのに。 暁「・・・まあ、いいか。ぼっちで行くよりはマシだろうし。お前も着替えて来い。9時には家出るぞ」 アリス「やったー!!にゃははははは♪、暁とでぇとだ、でぇとだ、嬉しいなー!!!」 アリスがピョンピョン飛び跳ねながら部屋を出て行く。満面の笑顔を浮かべ、鼻歌なんか歌い、踊りまわりながら喜ぶ姿がとても可愛らしかった。 そうは思っても、ふと、何でそんなこと思ったんだと思い、頭を振る。 ないない、あいつが可愛いなんて、思うことなんて、断じてない!! 必死で否定して、俺も準備をすることにした。 そして・・・。 黄道神社は朝からかなりの盛況ぶりだった。振袖、着物、私服、様々な姿の人々で賑わい活気にも満ちている。綿飴を持って駆ける男の子や金魚すくいの袋を振り回す女の子。何だか夏祭りのような風景だ。勿論、参拝客が一番多いのだが。 アリス「おおっ、おおっ、お祭りだぁあああああああああああああ!!!」 暁「今年も賑わってるな、おい」 そういって、いつもの軽装で俺とアリスは黄道神社にやってきていたのであった。 黄道神社の参拝本堂は参拝客がずらりと列をなしていた。かなり広い神社で普通の参拝列より遥かに長い列が出来ている。 暁「今年も並ぶな。甘酒に肉まん買ってきたし、気長に待つか?」 アリス「うん!」 暁の腕に両腕で抱きつき胸に押し付けるようにするアリス。暁は突然の行動に顔を真っ赤にし、あわてだす。腕にやわらかく暖かい感触が押し付けられ、見る見る顔が真っ赤になっていく。 暁「にゃ、にゃに、するんだよっ、おいっ!!!!」 アリス「こうすれば、二人ともあったかくなるよ−♪」 暁「い、いらんっ!!離れろ、恥ずかしいって!!み、見られてるじゃねえかっ!!」 アリス「やー♪暁とくっつくー♪」 暁「勘弁してくれぇえええええ・・・・・」 この長い参列をこんな生き地獄のような状態で待つと? これなら、一升瓶ラッパ飲みして二日酔いの地獄の体験していたほうがはるかにマシだった。 「うん?暁じゃねえか・・・?」 「あら、本当ですね」 「・・・・・・・・・・・・」 声をかけるとき、ふと、何かの気配に気づく。 「・・・・!蒼真、この気配は」 「・・・・間違いねえ、あのアホシスターの気配だ。正月早々大暴れやらかすつもりか」 「・・・・止めないと!」 「・・・いや、待て、真夜(まや)。あいつらも気づいて、飛び出していったみたいだぜ」 「え?それなら、加勢しないと・・」 「まあ、待てよ。いきなり出て行ったら混乱しかねねぇ。ここはひとつ、様子見と参杯客の安全の確保に努めよう」 「・・・・そうですね。翠(すい)さん、“ワルキューレ”の準備はいつでも」 「ああ。いつでも出動に備えておいたほうがいいな。“翠(すい)”、“メイ”」 「・・・・了解」 「はい!」 そういって、一人の少女が手に、「トゥプスクアラ」「アンキロサウルス」「ステゴサウルス」の紋章が描かれた緑色のメダルが3枚、握られていた。 神社の近くの休憩広場。 いくつもの屋台が立ち並び、行きかう人々で賑わう空間。 そこへ、突如飛び出してきたタランチュラを模したかのような、背中から6本の腕を生やし、鋭い爪を光らせて、全身にとげを生やしている醜悪な怪人、タランチュラプレデターが現れた!プレデターが降り立った休憩広場は騒然と化していた。逃げ惑う人々の群れが砂を巻き上げる。そんな人々に猛毒の爪を振りかざし襲い掛かる! 暁「オラァアアアアアアアアアアアアアッ!!」 アリス「ハアアアアアアアアアアアアアッ!!」 二人が同時に飛び上がり、頭部に思い切り蹴りを叩き込み、怪人が吹き飛ばされ、屋台を巻き込み崩れ落ちる屋台の下敷きになった! 暁「まさかこんな日にまで暴れやがって。テメェら空気読めねぇにも程があんじゃねえか?」 アリス「暁ぅ!新年初暴れ、いくぜぇ!!」 「「変身!!」」 暁の姿が仮面ライダーヘブンに、そしてアリスの姿が仮面ライダーボルダーへと化す。 銀色の荒鷲を模した騎士が銃剣を構え、金色の獅子を模した騎兵がガントレットを拳と拳でたたき合わせて、火花を散らせる!! ヘブン「限界まで・・・トバすぜっ!!!!」 ボルダー「大地の爆獣騎士・・・参上!!!」 勇猛な騎士二人が武器を構え、敵との間合いを保ちながら、動く気配をうかがう。 そして、敵が口から強力な粘着力のネットを吐き出すと、それを銃剣の銃弾ではじき返し、相殺されると二人が息の合った動きで両側から挟みこむように構える! そして、タランチュラプレデターが背中から伸ばした6本の腕、食らったら即死する猛毒が塗りこまれている爪の攻撃を銃剣で上にはじき、無防備となった腹部に拳が炸裂し、爆発する!強力な打撃がくわわり、のけぞりながらも構えなおすが、すぐさま銃剣の突きの連打が炸裂し、タランチュラプレデターが押されていく! 蒼真「・・・こりゃ驚いたな。まさかあいつが、こんな戦い方するようになるなんて。慧ちゃんから格闘技教わってたと聞いていたときは、攻め重視だろうかと思っていたんだが」 蒼真は心から驚いたように声を上げる。 真夜「どういうことですか」 蒼真「あいつらの戦い方見ているとわかるけどよ、あいつら、攻めじゃなくて、防戦に徹してやがるんだ。敵の広範囲の動きは前へ突っ込んで最小限で防ぎ、飛び道具は避けないで相殺する形で片付けている。慧ちゃんは確かに強い。でもな、一度頭に血が上っちまうと、攻めに徹する戦闘になりがちだ。敵を攻めて攻めて反撃する間もなく倒し、それはそれでいいんだが、今回みたいな状況ではそうもいかない」 翠「・・・・流れ弾が参杯客に当たるから避けない」 メイ「広範囲での攻撃は周囲の逃げ惑う人たちを巻き込まないように、最大距離で来る前に撃墜して、間合いを積めているんですね!」 蒼真「そうだ、これは、参杯客を守るために、いわばあいつら、自分自身が“盾”となって戦っているんだ」 人々を守るために。 笑顔を守るために。 自分自身が盾となって、守るべきものを守り続ける。 自分も守るべきものも守りぬくために。 ヘブン「・・・アリス、まさかお前がこの戦い方を手伝ってくれるとはな」 銃剣でタランチュラプレデターの攻撃をはじき、腕を切り結びながらヘブンが意外そうにいうと、ボルダーが損傷した腕を拳で殴り爆発させて吹き飛ばす! ボルダー「・・・・今まで戦ってきた戦い方、戦う理由、全部、自分が強くなるため、それだけだった。でも、あのままのやり方だけじゃ強いことは強いけど、それ以上は強くなれないって思った。暁の戦い方を見て。だから、あたしも、決めたんだ」 そして、迷いがないまま、言った。 ボルダー「誰かを守るために強くなる。そのためには、護る戦い方も覚えないとなって」 ヘブン「・・・・・・・・ああ!」 ヘブンが嬉しそうに声を上げる。そして、二人同時に攻撃を仕掛け、タランチュラプレデターが吹き飛ぶ!!しかし吹き飛びざまに無数の毒蜘蛛を吐き出し、二人に投げ放った! 蒼真「やべぇな、ありゃあ食らったら・・・!」 翠「・・・・死なせない。メイ、行くよ」 メイ「・・・はい!」 そういって、メイが取り出したメダルを受け取り、翠が左腕にはめ込んでいる白いガントレットの、メダル投入口にメダルを3枚流し込む!!そして、3枚のメダルがそろうと、上から黒いワルキューレパスをスライドさせ、緑色の光を放つ!! 翠「変身」 「コード・オブ・ワルキューレ!ウインド・ランス!!サモン!!!」 翠がガントレットのボタンを押し、グリップを握り締めると、その姿が翼竜を模したローマの拳闘士のような兜を装着し、見る見る緑色の美しい光を放つ甲冑を装着し、外見は金色の竜の翼のような瞳の仮面で装甲は明るい緑色をベースにした騎士甲冑をイメージさせるが、女性用とイメージから可憐さを合わせ持っている。 仮面ライダーワルキューレ・ランスフォーム!!! 恐竜のコアメダルを取り込み、最大限の能力を制御することに成功した、最強の騎士だ! そして、二人の前に飛び込むと、手に召還したアンキロサウルスの尻尾を模したランスを取り出し、グリップを握り締めながらアンキロサウルスのメダルのボタンを押す! 「アンキロアーム!!トルネードゲイル!!サモン!!」 槍を握り締める腕に緑色の暴風が渦を巻いて取り巻き、それが槍に伝わると、槍全体に渦が巻きだして、巨大なドリルのような形へと変わる!! ヘブン「誰だ、あいつ!?」 ボルダー「ふえっ!?」 ワルキューレ「・・・一気に決めるよ。力、貸してくれる?」 冷静な口調。しかしそこには、強い意志が宿っているように思えた。 ヘブンとボルダーがそれぞれ構えると、同時に攻撃を放つ!!! ヘブン「ゲイルキャノォオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」 ボルダー「グランドインパクトォオオオオオオオオオオオオオオ!!」 ワルキューレ「ジークルーネ・・・インパルス!!」 銀色の暴風が、黒き地震の衝撃波が、そして、緑色の暴風の槍が突き出され、直撃したタランチュラプレデターが粉砕し、消滅した・・・・! ボルダー「・・・・やったのか?」 ヘブン「・・・みたいだな?そういえば、さっきのあいつは・・・?」 二人が振り返ると、そこにはもう、あの緑色の騎士の姿はなかった・・・。 蒼真「・・・ナイス判断、翠」 翠「・・・・・・・護るための戦い、それが、僕の任務でありスタイル。あの二人を護ろうと思って、気づいたら、身体動いていました。指示下りる前に動いて、すみません」 蒼真「はっはっはっは!!さっすがはお前もあの大友家の血引いているわ!考えるよりも先に身体が動いちまうってな!でもな、お前は間違っちゃいねーし、そのスタイルはお前の誇りだ。自分自身が決めた誇りは、最後まで貫き通せ!それが、お前が盾の騎士である立派な称号だ!」 そういって、翠の頭をポンポンなで、翠が恥ずかしそうに顔を赤くする。 やがて、人ごみが賑わってくる。 蒼真「さーてっと、いいものも見たし、俺たちも帰るか。俺たちの世界に」 真夜「はい!」 翠「了解」 メイ「はい!」 そういって、人知れぬまま、4人は立ち去っていった。 そうこうしている内に、暁達の参拝する順番が回ってきた。 二人は賽銭箱に小銭を投げ込んで、大きな鈴を右手でゆっくりと鳴らした。そして二回手を叩くと目を閉じる。 暁(無病息災、家内安全、今年こそ不幸に遭いませんように・・・) アリス「今年もずっとずっとずーーーーっと、暁と一緒にいられますようにっ!暁と結婚できますよーーーーーーーにっ!!イチャイチャチュッチュッ出来ますよーーーーーにっ!」 ズコッ!! 隣で声を大にして叫ぶアリスに暁がズッコける。 暁「お前なあ・・・願い事って、口にするもんじゃねえぞ」 アリス「ふえ!?そうなの!?」 暁「・・・おいおい」 いわれて恥ずかしいやら呆れるやら、この天然ぶりには今年も悩まされそうだ。 賽銭箱の前で両手をついて、突っ伏す暁だった。 帰り道。 甘酒を飲み、ベンチに横たわりながらもう疲れ果てたように俺はため息をつく。 暁「もう最悪だぜ・・・なんて正月だ」 結局お参りもろくすっぽ出来ず、アリスに「あれ食べたいこれ食べたい」と、財布の中身がすっからかんになるまで、たこ焼きにお好み焼き、あんず飴に綿飴、チョコバナナにたい焼きと散々食わせる羽目になってしまった。 そして、この馬鹿は、散々騒いだ挙句、俺の隣でクークーと寝息を立てて寝てやがる。 暁「・・・本当、いつもいつもこうだよな。自分に正直で、やりたい放題で、元気で明るくて、お気楽極楽で・・・・・」 夕日の光を受けてなびく髪、そして、瞳を閉じた美しい寝顔、それを見て、暁はその寝顔に見入った。 暁「・・・・・・・・こいつと付き合うことになったら、毎日、こいつが楽しいって思うことに付き合って、毎日疲れ果てるまで全力で楽しんで、こうやって幸せそうに眠れるのかな」 それも悪くは・・・ないかな。 いや、それ、すごくいいかも・・・。 こいつと一緒にいると、何だか、すごく楽しい・・・。 最近になってそう思える自分がいることにももう慣れてきた。 暁「・・・て、アホじゃねえのか、俺は。甘酒で酔ったか、くそっ!!」 冗談じゃねえ、何があっても、俺はこいつを認めねぇ! こいつと付き合うなんて・・・・・・・! アリス「えへへ・・・さとるぅ・・・・今度はおっきい今川焼き食べるぅ・・・」 そういって、俺に抱きついて・・・!? 両腕で首をからめとられ、俺の首に抱きつくようになる。振り払おうとするが、腕に胸を押し付けられ、動かせない・・・! アリス「にゃはははは〜・・・・さとる〜・・・・だぁいすきだよぅ〜」 顔に熱い息がかかり、つやっぽい声で言われ、やがて頬に柔らかく熱い感触がアリスの唇から触れて押し付けられる・・・。 暁「・・・・・はあ、俺、もしかしたら、今年で独り身、最後になるかも・・・」 口ではこういいつつも、どこかで、それはそれで楽しいのかもしれないと、期待している俺がいた。 続く |
鴎
2012年01月03日(火) 21時20分43秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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小説感想です。 まずは《バカテスト》の回答に対してのコメントです。そんなわけで、真夜(アスレイ)さん、よろしく。 真夜(アスレイ) 「了解です♪」 *第一問 ・クリス(ヘブン)の回答についてのコメント 真夜(アスレイ) 「正解です。クリスさん、よく知っていますね♪」 ・穏の回答についてのコメント 真夜(アスレイ) 「……欲望に忠実すぎです……; といいますか、何を撮ろうとしているんですか!?//////」 ・暁(ヘブン)の回答についてのコメント 真夜(アスレイ) 「……否定できませんね。更に言えば、本人は全然懲りていない……この手の馬鹿は、死んでも治らないみたいですね……;」 *第二問 ・暁(ヘブン)の回答についてのコメント 真夜(アスレイ) 「正解です。供えられるようになった時期の説明もありがとうございます」 ・アリスの回答についてのコメント 真夜(アスレイ) 「……日本語はしっかりと覚えましょう!」 ・マリアの回答?についてのコメント 真夜(アスレイ) 「……しっかりと栄養を取るようにしていきましょう。身体に悪いですよ」 続いて、新たな番外編に対しての感想です。 翠(アスレイ) 「…いや〜、まさか《平行世界》の自分が登場する話が出るとは、正直思わなかったよ。しかも『オーズ』みたいに不思議な“メダル”を“力”にしている『仮面ライダーワルキューレ』に変身しているし、いったい何者なの?」 蒼真(アスレイ) 「更に、《平行世界》の俺や真夜というべき連中まで出てきているからな。いったいどういうことをしているん連中なんだ?」 真夜(アスレイ) 「ですね。敵ではないようですけど、何かが引っかかります……」 何気に翠(ヘブン?)の隣には『メイ』という少女がいますけど、彼女は何者なのですか? 後、どのような理由で“メダル”の紋様等を決めたのですか? 其の辺りを教えてくださいm(_ _)m 暁(アスレイ) 「…話は変わるけど、正月の三日目の際に、アリスと一緒にあっちの俺が初詣に行って大変な目に遭うって話なわけだけど、本当にえらい目に遭っているな…;」 クリス(アスレイ) 「…【ヘブン】の私やV世さんの場合、【ヘブン】の流水さんの家で行われた新年パーティーをした結果、参加した皆さん全員がお酒を飲んで酔い潰れてしまったらしいですけど……【ヘブン】の私は何をしているんですか!?」 クロキバT世 「V世はV世で、セレス殿と二人っきりの世界を生み出していたそうだが……少しは周りの様子などを考えよ…;」 明久(電王) 「…《ルシファーズハンマー》全員揃って、何をしているんだろうね…; あっちの暁は暁でアリスさんとデート状況で初詣。色々と大変だね〜;」 シャナツネ 「……苦労症だな…;」 カグヤ 「…大変ね、本当に……:」 雪奈 「その上、《平行世界》かどうか分かりませんけど、聖が放ったらしい『タランチュラプレデター』まで現れる始末ですから、本当に大変ですね…;」 …しっかし、V世がいないのに、どうやって暁(ヘブン)君が『ヘブン』に変身したのかが少し気になります。 モモタロス 「…それにしても、“守る為に戦い”か。地味な感じだが、中々いかしてるじゃねぇか〜」 星(アスレイ) 「んでもって、この番外編の話で、何気にアリスちゃんに対しての“想い”を複雑だけど、それでもいいかなと思っている辺り、恋愛のことを少しは考えているみたいだな」 フェザー(アスレイ) 「色々と成長しているというわけですね」 翠(アスレイ) 「本編の方ではどうなっていくのかも気になるね♪」 どこぞの嫉妬魔女二人組の妨害などに負けず、頑張って欲しいものです。 ……それでは! 一同 『本年度も頑張って書いていってください! 今年もよろしくお願いします♪』 〜……時と次元を越え、限界を超えて……推して参る!!〜 |
30点 | 烈 | ■2012-01-04 23:54:31 | i125-205-43-158.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 30点 |