仮面ライダーヘブン 第42話 |
第42話 クロノポリスに今にも襲い掛からんとその巨体の怪物は鋭い光を放つランスと楯を構え、凶悪に満ちた赤い瞳を向けている。整った顔立ちをしている女性の騎士・・それだけに下半身はあまりにも不釣合いな異形の下半身。獣を模したような四足の太い四肢はあまりにも不気味な姿をしている。 真夜「・・・・・ヒュプノス・・・・!!まだ完全に力が目覚めていませんが、聖、残りのパワーをナイアルラトホテップで代用しているのね!!」 昴「最悪のタイミングで来るか、これ」 穏「・・・・・・・・ヤバくね?」 凛「勝算はねえか・・・!」 絶望の空気が重々しく部屋に漂う。誰もが目の前の強大な力を持つ敵の圧倒的な実力を前に自身の実力がいくら全力でもかなわないと感じる。 凛「・・・でもよ、ここは暁がずっと守り続けてきた場所だ。それを、俺たちが守らないで誰が守るってんだ!!ビクついて、守れないなんて泣いてたら、女が廃るぜぇっ!!」 昴「・・・暁くん、でかい貸し一つだね」 穏「・・・・・・このまま大人しく死ぬなんて冗談じゃない」 マリア「・・・・・行きましょう!!」 アリス「ああ!!」 クリス「・・・・・・・・・・・・」 しかしどんなに目の前の敵が強大であろうとも、満身創痍であろうとも、実力が測れない未知数の存在であろうとも、皆、絶望を振り切るように声を張り上げて心の奥底から勇気を振り絞って、戦意に満ちた顔つきに変わる。 ルシファーズハンマーの隊員が次々とパスを取り、モニター越しに迫る巨大な敵を睨み付け、決意を固めた!! クリス「・・・・・キング、ビショップ。あなた方は、この時間を守るために、ありとあらゆる方法を尽くした。その正義は、間違っていません。ですが、暁の誰かを守りたいという願いを、ずっと一人ぼっちで貴方たちの帰りを待ち続けていた暁の思いを、あなた方は踏みにじった。それが・・・たとえあなた方が予測不能な出来事だったとしても。私は・・・そんな貴方達に付き従うことはできない」 クリスがゆっくりと顔をあげて、怒りでゆがんだ顔ではなく、むしろ穏やかな表情でそれでいて強い意志が宿ったまっすぐな瞳で、二人を見据える。 クリス「私の命は・・・・暁に預けた。私は暁を心から・・・・愛しています。一人の男として、あの人を、私は一人の女として愛している。だから、あの人の居場所を、あの人の守りたかったものを、全部、守ります。だから、あの人、私が、もらいます」 それは決定ともとれる言葉。 なぜなら、自分の心はもう決めたから。 クリス「暁を私が守る。誰を、世界中を敵に回しても、あの人を守り続ける。愛している」 アリス「答えなんて決まってるよな。絶対に死なない。だって、あいつともっと一緒にいたいもん」 マリア「敵が来るなら倒せばいい、どんなに非道と外道とののしられようとも、どんな手を使ってでも、あの人と一緒に生きていく」 凛「俺たちはずっと、あいつにあこがれて、あいつの背中を追い続けてきたんだ」 昴「貸しばかり作っておいて、いまさらトンズラしようったって、そうはいかないよね」 穏「・・・・・・・うちらのボスはうちらが守る」 冷牙「親友を見殺しにするほど、ウルフェンの絆はヤワじゃねえぜ」 流水「最後まで戦い抜くよ!」 雷斗「・・・・戦う!!」 そういって、全員が「ルシファーズハンマー」のバッジを取り、机に置いた。 それは組織との決別宣言。 組織ではなく「彼」についていく宣言。 クリス「・・・お世話になりました」 そういって、一礼すると、クリスが全員に向かって顔を上げる。凛然とまっすぐにその端正な顔立ちを向けた。 クリス「皆さん・・・・・行きましょうっっ!!!!」 「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」 高らかにほえ、全員が飛び出していく!! その走り去っていた後を慧たちが見送ると、慧がふうっとため息をつく。 慧「・・・・・・私たちの正義では果たせなかった、ヒュプノスの撃退、そして、ずっとほったらかしにしちまった息子の心を・・・・お願い、救ってくれ。私たちじゃ、もう、どうにもできないところまで来ちまった・・・・」 晶「慧・・・・・」 慧「うちらも援護するぞ!!クロノポリス、全員出動だっっ!!」 慧の一斉の元、クロノポリスの全職員に出撃命令が下された!!!! 部屋中があわただしくなり、クロノポリスの戦士たちが武装し廊下をあわただしくかけていく。 その中、集中治療室の扉がこっそりと開き、中から出てきた人物が周りをうかがい、戦士たちに紛れて廊下を走ると、ダストシュートの扉を見つけて開き、飛び込む! それは・・・エリザベート・アヴァロンであった!! エリザベート「姉上・・・・なぜです?なぜ、このような行いを。これがあなたが目指していた平和な世界を作るということなのですか・・・!」 ダストシュートを降り、地下階に降りると、格納庫に向かい、そこに保管されていた無数のメダルアニマルをすべて取ると、そのまま走り出した!!! ヒュプノスが迫りくる中、そんな巨大兵器の前に彼女たちは立ちはだかった!! 聖「おやおや、死にたがりがそろって死にに来ましたか」 聖が冷酷に微笑み、下卑た笑みを浮かべる。同じようにイングリッドもまるで虫けらを見るようなさげすんだ笑みを浮かべていた。 クリス「皆さん・・・行きますよ!!」 凛「ちげぇだろ?あいつなら、こういう時、こう言うんだ。勇気が出る言葉を」 クリス「・・・そうですね。それでは、改めて・・・・!!」 クリスが一呼吸おいてパスを構える。 そして全員もパスを身構えた。 クリス「・・・・限界まで、トバすぜっっ!!!!!」 「「「「「了解!!!」」」」」 そして全員がパスを通すと、銀色、黒色、藍色、黄色、緑色、赤色の光が舞い上がる! 「「「「「「変身っっ!!!!」」」」」」 その頃・・・。 精神の部屋の中、暁とアイオーンが向かい合って話していた。 暁がぽつりぽつりと話し、それをアイオーンが静かに聞いている。 暁「・・・・・何から話したらいいかな」 アイオーン「・・・・・ずっと気になっていたことがある。どうしてあなたはそこまでして、誰かを守りたいと思う?」 暁「・・・・・・・・・・・守れなかった、それで、大切な人を傷つけてしまったから」 アイオーン「・・・・え?」 暁「・・・・・・6年前のクリスマスイブのことだ」 ―ずっと一人ぼっちだった。 ―そばにいてほしい人はいつだっていなくて、一人暗くて寒い家の中に一人きりで何度眠れない夜を過ごしただろう。 ―孤独なんていつかは慣れていくものだと思っていたけど、そんなことはなかった。 ―それでも、いつか帰ってきてくれることを信じて。 ―笑顔で迎えてあげることが唯一できることだと信じて。 ―強くならなきゃダメだと思って。 ―俺と同じようにさびしい思いをしている人がいたら、俺が全力で守ってあげなきゃ。 ―そう誓っていた。 暁「・・・・当時、俺、好きな女の子がいた・・・」 ―初恋だった。その子を見て、ああ、俺と同じだって勝手に思って。 ―守りたいって思った。 ―その子と一緒にいられることが、これまで寂しいって思っていた気持ちがなくなって、うれしい気持ちでいっぱいになった。 ―そんなある日、その子と一緒にクリスマス、お祝いしようって約束したんだ。 ―俺が作ったケーキと、チキンと、ご馳走で・・・。 ―プレゼントもお小遣いためて買って・・・・。 ―その時、言おうって決めていたんだ。 ―初めて、親以外に言う「好き」って言葉を。 暁「・・・・でも・・・・!」 その子の家に行った時、そこは地獄と化していたんだ。 あの子がおびえていて、そしてその先には包丁を持ったあの子のお姉さんが立っていて、いつも俺に笑顔で迎えてくれたお姉さんが鬼のような怖い顔をして、血まみれの包丁を持って、今にもあの子を刺そうとしていた。 だから、俺、その子の手を引っ張って逃げたんだ。 雪が舞う寒い夜の中、必死で逃げて逃げて逃げて・・・・。 でも追いつかれて、俺、どうしても守りたくて、抵抗した。 その時悲劇が起きてしまったのだ。 階段を踏み外し、大階段を俺とあの子のお姉さんが投げ出されて・・・・。 気づいたら、俺は足を骨折して動けなくて、それでも、奇跡的に助かったんだ。 でも、でも、俺の真下で、あの子のお姉さんが・・・・・!! そしたら、クリスマスの夜だから、大勢の人がたくさん駆け付けてくれて・・・。 俺、助けに来てくれたんだと思っていた。 でも、それは・・・!! 暁「ヤジウマだったんだ!!そいつら、俺や階段から落ちたあの人のことを見て笑ったり、まるで怪物でも見るような目で見ておびえて、携帯で写真を撮って!!誰一人、助けてくれなかったんだ!!!」 ―助けて!! ―助けてよぉっ!! ―このままじゃあの人死んじゃうよぉっ!! ―あの人死んじゃったら、あいつ、一人ぼっちになっちゃうんだよぉっ!! ―助けてぇっ!! ―助けてよぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!! どんなに泣き叫んでも、手を伸ばしても、皆助けてくれなかった。 皆はたから見て死んでいると一目でわかるような人なんかいなかった。 俺がどんなに叫んでもその声が届かなくて。 結局、その人は助からなかった。 救急車が来てくれたのは、それから30分も後のことだった。 救急車の中で、あの人の隣のベットで寝かしつけられて、そしたら、隣で寝ていたあの子のお姉さんがかすかに息があって、意識があった。 そして、俺を見て、あざけるように笑ったんだ。 「ほら見なさい。人は生まれてから・・・死ぬまでずっと一人だ。あの子も、こうなるのよ。あの子だけが幸せになるなんて許せない。そして、お前にも同じ苦しみを与えてやる・・・」 「お前は一人だ。ずっと、ずぅーっと・・・・」 そういって、あの人は息を引き取った。 俺は、今まで俺を支えていたものが壊れていくような気がしたんだ。 俺はずっと一人。 あいつの家族を守れず、あいつまで一人ぼっちにしちまった。 俺はあいつと一緒にいる資格なんて、好きになる資格なんてない。 俺なんかに、女の子を好きになる資格なんてない。 守りたかったやつを守れない俺なんて・・・。 暁「・・・・・・・それでもさ、ただしがみついているだけだ。一人になりたくない。だから、俺を慕ってくれるヤツがいるなら、今度こそ全力で守り抜く。たとえ、俺の命をかけてでもな・・・」 アイオーン「ただ護れればそれだけでいいの?貴方がどうなっても?」 暁「・・・・・俺がどうなっても、死んだとしても、あいつらの人生が終わるわけじゃない。あいつらにはこれからがあるんだ。そこに俺がいないだけ、いつかは忘れていくだろう。そうして、そいつらなりに幸せを見つけてほしいんだ。俺はもう、いいんだ。もう、疲れたんだ。誰かを信じることも、誰かを好きになることも・・・」 だから、ただ護り続けるだけさ。 そう自嘲気味に笑い、暁はため息をついた。 この少年はずっと「誰かを守る」ことで、自分を支えてきたんだ。 でも、大勢の人たちに裏切られて、好きだった子を一人ぼっちにしてしまった自分へのふがいなさから、ずっと自分を責め続けて。 自分が好きだった女の子まで、好きという気持ちも全部殺してしまって。 一人で何もかもを抱え込んで。 孤独に震えている雛鳥のように、アイオーンは見えた。 アイオーン「・・・誰かを信じることが怖いのね。もし守れなかったら、もしまたあの時のように失ってしまったら・・・・そう思って怯えて、自分の気持ちにずっと嘘をつき続けて・・・」 暁「・・・・・・・・・・」 アイオーン「・・・・だから、傷つけないようにクリスさんやアリスさん、マリアさんからの思いにも気づかないふりをしていた。そしてずっと逃げ続けてきたのね・・・」 暁「・・・・・・それでも守ろうと思って、ずっと戦ってきた。でも、それは、それは・・・・!」 言葉に詰まり、暁が悔しそうに拳を床にたたきつけて涙を流した。 暁「この事件そのものが、親父とおふくろが仕掛けたことだったんだっ!!!!俺はそうとも知らずにあいつらを戦いに巻き込んで、傷つけちまった・・・!!!大事な友達も、皆・・・・!!」 全ては「ヒュプノス」を封印するためだった。 27年前、「ヒュプノス」を封印し、スフィンクスレジェンドルガとルシファーレジェンドルガ率いるセブンズヘブンを倒し、時の運行に平和をもたらしたはずだった。 しかし、実は「ヒュプノス」は完全に倒されていなかったのだ。そして、ヒュプノスを倒した時に放たれたエネルギーの残骸こそが時空を狂わせる赤い光「カオスゲート」の正体だったのだ。「ヒュプノス」本体が吹き飛んだ時放たれたエネルギーが時空間に飛び散り、カオスゲートを無数作り出してしまっていたのだ。 そのことを知った慧たちは焦った。「ヒュプノス」本体を仕留めようともどこに吹き飛んでしまったのか行方は分からない。カオスゲートは増え続ける。イマジンや違う時空の怪人が迷い込んで大暴れしだし、事態はさらに最悪の事態となったのだ。 その事実が知られたら、時の運行は未曾有の大混乱に陥る。 そうなることを防ぐために、「ヒュプノス」の存在について改めて調べなおした慧たちは唯一「ヒュプノス」に対抗するための方法を知った。 それが・・・古代の時の運行の平和を守り続けてきた8人の騎士「アルコバレーノ」だったのだ。 聖、木、鋼、火、水、土、闇、そして時の8つ。 しかしこのうち、「時」をつかさどる聖霊は、過去の大戦で力を失い、最期の力を使って倒した怪物たちの存在を自身の存在を共に消し去ったことで、その姿は永遠にいなくなってしまった。 アイオーン「しかしそれが、イングリッドの手によって蘇った。それが私だったわけですか。おそらく過去の記憶などその時消えてしまったんでしょうね。私はイングリッドからこの世界の時間を消し去るよう命じられたから、その通りに動いているわけですが」 こうして戦士の存在を知り、そのうちの一人が俺だったということを知り、晶と慧が建てた作戦はあまりにも非情な作戦だった。その時、古くからファンガイア一族と親交があったプレデター一族の主君、イングリッドが共闘を持ちかけてきたのだ。自分たちの一族も危機にさらされている、手を貸してほしいと、そしてそのお礼として今回の作戦に手を貸すと。 その方法が、自分たちの一族を暴れさせて、その事件に暁を中心に巻き込んで周囲の残りのアルコバレーノを短期間で目覚めさせ、その力を引き出し、ヒュプノスを倒すための戦士を復活させること。 つまり、暁の周りで騒ぎを起こして、仲間たちが巻き込まれれば暁は必死になって助けようとする。その彼の心に応えようとするものこそがアルコバレーノに目覚めることができ、戦士として覚醒するという・・・・あまりにも残酷な作戦。 誰かを守るために戦っていた暁にとって、これを一番尊敬していた両親が仕組んだ作戦で利用されていたと知ったときは―・・・。 暁は利用されていたのだ。 残りのアルコバレーノを目覚めさせるために、自分が助けようとする人たちを助けようとするたびに敵の攻撃が派手になり、仲間達が傷つく。そうすればするほど、暁や潜在能力を短期間で引き出すことができる。 暁「・・・・・・・・・・・・・結局俺が巻き込んじまったんだ」 アイオーンは言葉が出なかった。自分の息子の心をここまで追い詰めてまで世界を守ろうとする執念や狂気、それを「正義」として疑わない晶と慧の切羽詰った行動に暁は巻き込まれたようなものだ。しかし、暁は慧たちへの怒りを口にはせず、自分が巻きこんでしまったと自分を責めている。 アイオーンはそこで悟った。 暁は・・・今でも両親を信じたいし、守りたいと思っているのだと。 しかし、結果的に仲間達を傷つけ追いつめてしまっていたことを知り、信じたい気持と仲間を思う気持ちの板挟みになって苦しんで、しかしそれすらも仲間達にも明かすことができずに、ずっと悩み続けて―・・・。 暁「連絡が定期的に来なくて、何かあったと思ったんだ。ドイツで何を調べているのか気になってこっそり忍ばせておいたメダルアニマルを起動させて覗いていたら、その話を聞いちまって・・・・」 アイオーン「・・・・・そう、だったの」 仲間達を傷つけてしまったことへの罪悪感、そして、幼いころに体験した誰からも見捨てられる「孤独」への恐怖・・・・・。 その中で暁が選んだのは「償い」だった。 自分が敵陣の中に潜入して情報を入手し、仲間達を有利的にして、戦いで勝利に導くこと。 例えそれで自分が犠牲になっても・・・・。 どのくらい時間が経ったであろう。 ふと、暁が何かを気付いたようにゆらりと起き上がってよろよろとおぼつかない足取りで扉を出て行こうとする。 アイオーン「ちょっと、勝手に外に出ないでよ」 暁「・・・・・アイオーン、ちょっとだけ、いいか?あいつら、かなりヤバいことになっているような気がする。助けにいかないと、な」 アイオーン「・・・・・・・・そんな煮詰まっている状態で勝てるの?」 暁「煮詰まってる?いや、もうスッキリしてるさ。やるべきことは決まっているからな、俺はあいつらを守る。そして、今までつかんだ情報を全部あいつらに教える。そしたら、それで・・・・俺のやるべきことは・・・・終わりさ」 暁が振り返り、寂しげに微笑んだ。儚げで悲しみを宿した瞳で、優しく微笑む姿は思わず見ているだけで心が痛むほどに悲しそうだった。 暁「・・・・・その後は・・・・望み通り、くれてやる。俺の身体をな」 アイオーン「・・・・え?」 扉が静かに閉じ、暁の意識が表面化していく。しかし、その後ろ姿が、もう二度と見ることが出来ない、このまま消えてしまいそうに、アイオーンの胸に不吉な予感がよぎった・・・。 アイオーン「・・・・・まさか、あの子、本気でいなくなるつもりなの・・・?」 あいつらを傷つけてしまった。 何があっても守りたかったのに。 ずっと一緒に笑いあっていたい、そんな最高の仲間達だったのに。 一緒にいるだけで、温かくて幸せだった。 そんな優しかった皆を利用して傷つけた。 何も知らなかったなんて言い訳になるか。 俺は・・・・俺自身が許せない。 だから、俺はケジメつけなきゃ・・・・ダメなんだ!! 暁「・・・・・守り抜く、この命をかけてでもな」 アイオーンバックルを巻きつけて、バックルにパスを通すと、青く冷たい光が光り出す! 暁「変身!!」 迫りくる巨大な邪神が槍をかまえて、先端から禍々しい光が飛び、爆風が舞い上がり、地面を砕き焦がし、大地を吹き飛ばしていき、地形が見る見る変わっていく。その光線をかわして、アルコバレーノの騎士たちが踊り舞う。 メルク「ったく、派手にやってくれちゃってさ。あんたたちは土足でクロノポリスやうちらの世界を踏み荒らしたんだ・・・・どんなやられ方で倒されても文句言わせないよ」 ナパーム「・・・・・・・・後悔させてやる」 メルクとナパームの瞳と瞳があい、お互いに身構える!! メルク「決めるよ、穏!!」 ナパーム「・・・・・・アイヨ」 メルクが金色の光を放つと同時に、ナパームが拳を握りしめて、両手の拳に赤い光が宿り、それが灼熱の炎へと変わっていく!! イングリッド「ほう?」 聖「ふん、こざかしい・・・」 メルク「はあああああ・・・・!!」 ナパーム「はああああああ・・・!!」 メルクが構えると無数の剣が空中に浮かび上がり、その切っ先をヒュプノスに向けて突き出す!そして同時にナパームが拳を振り下ろし、巨大な火炎が爆発し、剣を飲みこむ・・!! メルク「合体!!」 ナパーム「奥義!!」 「「ブレイジングアーティファクト!!!!」」 爆発で打ち出され、炎に包まれた無数の剣が超高速で空を切り裂き、次々とヒュプノスの身体に突き刺さると同時に大爆発を起こす!!! シルヴァン「俺たちもいくぜ!!くぅちゃん、準備はいいかっ!?」 ヘブン「はいっ!!」 シルヴァンが無数の薔薇を生み出す!!深紅のバラには鋭い棘が生えており、それをヘブンがウイングを広げて凄まじい勢いで突風を発生させると、その突風が渦を巻きだしヒュプノスを飲みこむと次々と肉を切り裂き、薔薇の棘が突き刺さり、それが四肢を地面に突き刺して固定するようになる!!さらに、炎が竜巻に巻き込まれ、巨大な炎の竜巻へと変わり、ヒュプノスを飲みこんだ!!! シルヴァン「紅薔薇・・・!!」 ヘブン「暴風陣の術!!!」 次々と叩きこむ同時必殺技のコンボの怒涛の攻撃の嵐が炸裂する! ベリル「ちょっ、何、これ、こいつら、いつの間にこんなもの思いついたの!?」 ベリルが驚いたように声を上げる。まさか二つの力を一つに合わせて放つ同時攻撃の凄まじさに度肝を抜かれたようだ。 実は・・・この一連の流れ、たった今思いついたというか。 元はといえば、この作戦は昴の発案だったのだ。作戦というか、昴が皆に戦闘前にこういったのだ。 昴「もうさっきの会議でかなりムカついたからさ、全員でヒュプノスタコ殴りにしてストレス発散でもしない?」 要するに、「集団で一人をフルボッコにしよう」という外道極まりないリンチをそのまま戦術に組みこんじゃおうというものだった。普段なら躊躇するクリスやマリアでさえ、相当頭にきていたらしく、すぐさま「OK」が出たのだった。 「「「「「この苛立ち、もうなんでもいいからぶつけまくりたい・・・・!!!!」」」」」 まあ、暁に対するあまりにひどい仕打ちに頭にきたことは分かるのだが、その怒りを原動力に変えたルシファーズハンマーの馬力は半端ではなかった。迫りくる大軍を次々とねじ伏せ、殴り、蹴り、吹き飛ばし、もう来る敵来る敵が見る見る無残な姿となって地面に倒れ、朽ち果てていく。 ボルダー「うおらぁああああああああああああ!!!」 セドナ「はぁあああああああああああああ!!!」 ボルダーが拳を突き出すと無数の拳が一度に数十発放たれ、さらにセドナが双剣を振り下ろすと無数の斬撃が飛び出し、ヒュプノスの肉体が拳の弾幕に粉々に打ち砕かれ、セドナの斬撃を受けて、黒い煙が立ち込める。 イングリッド「・・・・・・・なかなかやりますね。ですが、ここまでです」 イングリッドが冷たく微笑むと、その姿が見る見る麗しくも獰猛な出で立ちをした、吸血鬼の姿へと変貌していく。フライングフォックスプレデターと化したイングリッドが杖をかざすと、巨大な魔法陣が空中に浮かび上がり、その中心へ杖から放つ紫色の光を放つ! フライングフォックス「・・・・さあ、聞かせて下さい。絶望と悲痛に満ちた断末魔の葬送曲を・・・!」 そして、無数の紫色の光を帯びた光線が魔法陣から飛び出し、目にも止まらない速さで次々と地面を焦がし、爆撃を仕掛けてきた!!!光線の猛襲の嵐に、全員が回避するが、その風圧は凄まじく、暴風に全員が吹き飛ばされる!!! 「「「「「きゃああああああああああああああああっ!!!!!」」」」」 フライングフォックス「・・・・ふふふふ、貴方達が幾らあがこうと、無駄な抵抗です。この時間は、世界は、全て私たちのものなのです」 聖「その様子ですと、事の真相は分かったらしいですね」 フライングフォックス「ええ、あの愚かなファンガイア一族のキングとビショップ、私たちの協力をあっさりと信じて言われるがままに自作自演の戦いを展開してくれました。それが、私たちがこの世界を征服するためのウソとも知らずに・・・」 聖「うふふふ・・・・イングリッド様の力が高まってきた頃合いを見計らって私たちが裏切り、計画は急遽中断、泡食ったでしょうね。そして、抵抗する間も考える間もなく、真の四天王を蘇らせて人間を襲わせ、もう手が出しようがない状態にまで追い込み、ナイアルラトホテップの無力化を図り、あの忌まわしい神器しか私たちを倒す方法がないと思わせ、ルシファーズハンマーと切り離す。その間に、蘇らせたアイオーンを利用して暁君を取り込み、ルシファーズハンマーも大打撃を受けて、弱っている所を一気に潰す。ふふふふ・・・完璧な作戦でしたね」 フライングフォックス「ええ、エリザはよくやってくれたわ。争いのない平和な世界を作るという愚かな願いを受け入れるはずもない私たちのことを疑いもせず信じて、結果、この世界を消滅させるために力を尽くしてくれたのですから・・・・」 その時だった。 「・・・・・・・・・・・・・何じゃと・・・・・・・?」 後ろから声が聞こえてくる。振り返ると、そこには青ざめた顔をしたエリザベートが茫然と立ち尽くしていた。ヒュプノスの背後から回りこんで頭部まで飛んできたのだ。 エリザベート「・・・ど・・・どういうこと・・・・じゃ。姉君様・・・・・・・ワシを・・・騙し・・・たとは・・・・・・・嘘じゃろう?」 聖「言葉の通りですよ。うふふ、本当に純粋無垢なのですね。あっさりと信じ、私たちのためにここまでよく働いてくれました。さらに、アルコバレーノの一人としての力を目覚められてくれて、今後、強大な戦力として働いてくれることでしょうねえ」 エリザベート「貴様に話など聞いておらぬ!!!!姉君様、この計画がこの世界の時間を消滅させるためなど、嘘だと言ってくだされ!!!ワシは、貴方が抱いていた理想にあこがれ、今回の計画の指揮権を任されたことに、誇りを抱いており、生きがいを感じていた!!時の運行の異変により、消えてしまった種族の時間を取り戻し、大いなる力を手に入れてその力でいかなる敵からも世界を守り抜くということに!!!なのに・・・!!」 必死で懇願するように叫ぶエリザベートを、聖が冷ややかに笑い、イングリッドが無表情で見つめている。しかし、イングリッドの口元が静かにつり上がる。 フライングフォックス「・・・・・・エリザ。貴方は何も悩まなくていいのよ?私がやろうとしていることはけがれ切ったこの世界を綺麗にお洗濯してあげるのだから。この世界に生きる全ての虫けらを殺して殺して殺しまくって、最後に、選ばれた新世界の王であるこの私の威光により、全てが洗い流され、やがて、真っさらで綺麗な世界が生み出される。その世界を私たちは好きなように作り替えられるのよ?そう、貴方はそこで自分につき従う新しい下僕を作り出せばいい。そして、その種族だけを守れれば、貴方は永遠に称えられる・・・それでいいじゃないですか」 告げられた冷たく甘美な言葉。 しかしその言葉を受けてエリザベートの表情が凍りついた。ショックで口がパクパクして、言葉も出ない。だが、その言葉を受けて、顔をうつむき、しばし黙り込む。そして、重々しく口を開いた。 エリザベート「・・・・・・違う・・・!!」 フライングフォックス「?」 エリザベート「そのような・・・・そのような・・・・傍若無人な振る舞い・・・・・力あるものが全てを支配し全ての正義となるなど、そのようなことが、許されるわけがない。力なきものたちをも、救い、どんな困難があろうとも、最後まで守り抜く、それが、ワシたちが描いていた理想じゃ。ワシは、ウルフェンやマーマン、フランケン、竜蛇族、数多くの種族と誓いを交わした・・・!!理不尽な強大な力に支配され、踏みにじられない、平和な世界を必ずつかんでみせると・・・・!!」 きっと顔を上げる。その緋色の瞳からはあふれんばかりの涙が零れ落ち、頬を流れ落ちていた。カードを構えて右腕のヘルズドライバーへと静かに震える手で装填する。 フライングフォックス「・・・・・どこまでも愚かな。貴方のような愚か者、もはや妹でも何でもありません。来る新世界の王の波動を受けて、この世界から消え去りなさい!!」 エリザベート「・・・・・・ワシは・・・・ワシは・・・貴方の野望など・・・・認めないっっ!!!!!力ずくで止めてやる!!!!変身!!!」 この時、己の持つ「誇り」を掲げて、その顔は勇ましき顔立ちをした戦士の顔立ちへと変わり、決意を固めてチケットを装填し、仮面ライダーヘルズへと変身する!!! そして、ヘルズドライバーをアーチェリー型に変換させると、その矢の先に漆黒の闇を終結させて、見る見る鋭き漆黒の刃を持つ矢へと変わり、それを解き放った!!! ヘルズ「ダークネス・・・・シューティング!!!!!」 フライングフォックス「死になさい、クズがっ!!!!」 フライングフォックスプレデターの放った無数の光線とヘルズが放った無数の漆黒の矢が激しくぶつかり合い、大爆発が起き、まぶしい閃光と轟音が響き渡った・・・!! ヘブン「エリザベートさんっ!!!」 ボルダー「あいつ・・・・!!!あたしたちの姫様までやりやがった・・・!!!」 セドナ「・・・・・救いようがありませんね」 シルヴァン「ああ、もうぶちのめすしかねえみてぇだなっ!!」 ナパーム「・・・・・・・・・・・・殲滅決定」 メルク「さーってと、ちゃっちゃっと終わらせますかね。もうあいつらと遊ぶのも飽きたよ。・・・・・・送り届けてやるよ、二度と這い上がれない地獄の底にでもな」 憤怒を力に変えて、6人のライダーが武器を構えて、ヒュプノスに再び攻撃を仕掛け、クロノポリスの前は激しい爆撃が飛び交う戦場と化した・・・!! そして、その場所から10キロほど離れた地点。 背中の翼を広げて、白銀色の光を全身から放つ最後の8人目。 仮面ライダーアイオーンが目にも止まらない速さで向かっていた・・・・!! アイオーン「・・・・・・・ケリつけてやる。何もかもに」 その瞳の先には巨大で禍々しい怪物、ヒュプノスの姿が見えた。 決意を固めたように真っ直ぐ見据えると、一気に速度を加速し、アイオーンが戦場に乗り込む準備を始めた・・・!! 続く |
鴎
2012年02月25日(土) 20時05分04秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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QMBs2a Very neat blog article.Really looking forward to read more. Awesome. | -20点 | Cheap Seo Services | ■2012-07-14 14:17:43 | 192.162.19.21 |
小説感想です。……物語は色々と複雑な感じになってきましたね……。 星(アスレイ) 「『ヒュプノス』は完全に破壊されてはおらず、それが原因で“カオスゲート”は発生し、それをどうにかする為に態々戦いの原因を作ったイングリッドと協力して今までの事件を起こし、伝説の8人の騎士《アルコバレーノ》を蘇らせたか……【ヘブン】の慧姉達も随分なことをしてくれたもんだぜ…」 フェザー(アスレイ) 「イングリッドはそんな慧さんと晶さんの責任感の強さを利用したのかもしれませんね。自分にとって一番の利益になるように……」 行き過ぎた“正義”は“狂気”に近い……そしてある意味、“正義”もまた人が背負いし“罪”ということが【ヘブン】の慧さんと晶さんの行動で感じさせられますね…。その最大の被害者が【ヘブン】の暁君なんですからなんともいえませんな……。 暁(アスレイ) 「【ヘブン】の俺は俺で、両親がやってしまったことや、初めて好きになった女の子=凛の姉貴との出来事が原因で色々と心に傷を負い、そのケリをつける為に自身の存在を消す覚悟で最後の戦いに挑むつもりみたいだけど、そのことに気がついた『アイオーン』が何かしそうだけど、本当にどうなるんだ? つうか、今回のことが前世の俺である『ルシファー』こと瑪瑙丸が言っていたお袋の危ういところってやつなのか? そう考えると……つじつまが合いすぎるぞ……; ……っていうか、【ヘブン】の俺、早まるな!! いくらそっちのお袋達がお前をそういう風になるように育てたからって本当にそれでいいのか!!? そんなことをしてもそっちのクリスやアリス、マリアさんに凛を悲しませるだけだぞ!! お前には自己犠牲する以上にやるべき事があるはずだ!!!」 翠(アスレイ) 「それとお母さん。なんでも自分一人で責任を背負おうとしないで。母さんだって一人じゃないでしょう? それとそっちの兄さんにしたことに対して罪悪感を抱いているんだったらそれを生きて償って行ってよね。死んで楽になろうと思わないように!! 後、引き返せなくなっても少しずつやり直していくことは出来ると思うよ。罪悪感を持っているのなら、そのこと考えていくこと!!」 それに関しては晶さんにも言えることですがね。自分達の“正義”は間違っていないという狂気に囚われていても、一人息子に全てを背負わせてしまったことに対しての罪悪感はしっかりとあるみたいですし、自分達が犯してしまった“罪”を数える為にも、しっかりと償っていくように生き延びてくださいよ。 クリス(アスレイ) 「……一方の【ヘブン】の私達ですけど、聖とイングリッド、『ヒュプノス』を倒す為に出撃しましたね。……皆さん、己の覚悟を胸に戦う道を選んだようです……本当に皆さん、凛々しい感じの戦女神(バルキリー)を感じさせますね」 クロキバT世 「まったくだな。そんな彼女達に影響を与え続けた【ヘブン】の暁の人柄も見事だ」 冷牙(アスレイ) 「【ヘブン】の俺達も気合を入れまくっているな」 流水 「まったくだね。“組織”じゃなくて、一人の“男”に着いて行く! これほどあっつくなる展開があるもんか!」 電 「…それ、と、今、回、の、話、で、エリザベートさん、も、実の姉が、抱いている“理想”が歪んでいる、物、だって、気付いた、みたいだな。ある意味、最凶の姉妹、喧嘩という名の、殺し合いが、始まったぞ……」 イングリッドさんのやばい性格も聖のアホが原因なんですかね〜? ……ところで、“真の四天王”の一人であるショールの姿が見えませんけど……これって聖がショールだったというオチですか? 真夜(アスレイ) 「……その可能性が高いですね……; あの外道なら自分の体がなくなった後のことを考えて、スペアとなるものを用意していてもおかしくありませんから……」 しっかし、今回の話で一番目が行ったのは合体技ですね。ある種のストレス発散行為らしいですけど、これは凄まじい破壊力を出していますわ!! ……ところでベリルさんこと智さん、貴女はどこから戦いの様子を見ているのですか? 星(アスレイ) 「後、【ヘブン】の俺とフェザーは今のところどうしているのかって事も気になるな。ただで寝込んでいるような奴じゃないって事は、自分自身がよく理解しているし……」 フェザー(アスレイ) 「エリザベートさん同様に、病室から抜け出している可能性が高いですもんね。平行世界の私達ならありえます…;」 明久(電王) 「…しっかし、多少は予測していたけどイングリッドさんとエリザベートさんの“プレデター”態って同じ蝙蝠だけど、イングリッドさんの姿はどうして果実を主食にしているタイプなんだろう?」 雪奈 「狐面=相手を騙して利用するって感じからじゃない?」 カグヤ 「ありえるわね、それ」 シャナツネ 「…もしそうだった場合、あまりにもあほらしいぞ、それは…;」 モモタロス(明) 「話もかなり盛り上がってきたわけだが……蜂狼姉ちゃんと隼女、鮫姉ちゃんのお袋とかはどうしてんだ?」 イーズ(アスレイ) 「【ヘブン】の私もですね。こういった場面では前面に出て戦おうとすると思うのですが……」 セレネさんの場合、イングリッドさんにやられた傷がありますから医務室から出てこれない可能性がありますけどね。 暁(アスレイ) 「ついに始まったラストバトル! 怒涛の急展開はどのような結末を迎えるのやら……」 それらを含めて、次回の話などを楽しみにしています! それでは! 一同 『今後もどうか頑張ってください!!』 〜……時と次元、そして己の限界を超えて……押して参る!!〜 *おまけ 雪奈 「……穏さんはともかく、凛さんまで共犯だったとは……呆れて物も言えませんね。しっかりとOHANASIをすると同時に玲姉さん特製料理のフルコースを食べさせるという罰を与えないといけません…」 明久(電王) 「……雪奈……起こる気は察するけど、落ち着きなって…;」 説教&罰ゲームはしっかりと受けてくださいね(苦笑) 質問ですけど、【仮面ライダーワルキューレ】は【ヘブン】の後話になるそうですけど、時間軸設定が何気に違うような気がします。何か深い理由か何かがあるのですか? その当たりのことを少しでもいいので教えてくださいm(_ _)m 今度こそ以上です。 |
30点 | 烈 | ■2012-02-26 16:33:30 | i114-189-62-120.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 10点 |