仮面ライダーヘブン 第45話 |
第45話 セレス「イングリッド様・・・・どうして・・・!?」 セレスは動揺を隠しきれない。フレアも何がどうなっているのかまるで分からず目の前で倒れている美しい銀色の光を帯びたロングヘア、陶磁器のような白く美しい肌を持つまだあどけなさが若干残る少女、イングリッドを見る。彼女がショールの正体であったこと、そして、自分たちがなおも戦い続けているヒュプノスの上にいるあの狂気の笑みを浮かべているイングリッドは何者であるのか?なぜ、イングリッドは二人いるのか?次から次へと疑問が浮かび、次第にあせりと困惑が表情に浮かぶ。 シェルプレデター「戦っているときに余所見なんて・・・いけませんねえ」 シーアネモネプレデター「コロシチャエー!!キャハハハハハハハハハ!」 シェルプレデターが右半身のシーアネモネのキャノン砲を構えると、火炎弾を次々と発射しセレスたちに向けて爆撃を開始する!! ジーク「ちっ!!」 そこへジークが飛び込み、ジークガッシャーを縦に構えて、シールドを展開すると攻撃を防ぐ! 目の前でまぶしい光と振動がビリビリと空気を震わせる! ジーク「くっ・・・!!!」 ジークも灼熱の火炎弾の猛襲に盾を構える手に凄まじい熱気と振動が伝わり、歯を食いしばって激痛に耐える!そして攻撃を弾いた!! ジーク「・・・・油断は禁物だぜ。セレスさん、ここは俺達に任せろ。まずはその姫様を安全なところに!!」 セレス「待って!!・・・貴方はこの人が姫様だと、信じられるの?」 ジーク「・・・芝居にしては手が込みすぎている。それに、これだけ傷ついている女の子をみすみす危険な目に遭わせるわけにはいかねえさ」 大剣を構えなおし、それをボウガンモードに切り替えると同時にカードを取り出し、裏返してアインフォームへと変身を遂げる!!青い鷲を模した仮面に切り替わり、背中からウイングが広がりボウガンを構えて静かにつぶやく。 ジーク・アインフォーム「星、いきますよ!!」 星(ああ、俺の命、俺の背中、お前に預けたぜ!) ジーク・アインフォーム「・・・はい!貴方の背中、貴方の命、このフェザー・ブリュン、必ずやお守りいたします!!」 シェルプレデター「ふん、イマジンに何が出来ますか・・・?」 シーアネモネプレデター「ソイツトノケイヤクガナケレバ、ソンザイサエモテナイ、キセイチュウノヨウナソンザイノクセニ!!キケケケケケ!!」 星と契約しなければ存在さえ保てない、過去を持たない、思念のみの儚く壊れやすい空虚の器。 フェザー(そんな私を星は愛してくれた・・・!そんな私を星は信じてくれた・・・!だから・・・!) ジーク・アインフォーム「・・・何とでも言えばいい。私は・・・何があっても負けない。それが、星に全身全霊身も心も尽くすと決めた私の使命だから!!だから・・・・勝つ!!」 それでも自分を信じて、愛してくれる人がいるなら。 それだけで満たされていく、力も思いも、どんな敵にも負ける気がしない! ジーク・アインフォーム「私は強いですよ・・・。後悔しないでくださいね!」 ボウガンを構えて乱射しながらウイングを広げて、低空飛行の状態で目にも止まらない速さで飛び回りながら次々と青い光の矢を発射していく!正確無比な矢はシェルプレデター、そして、スライムプレデターに突き刺さり爆発する! ジーク・アインフォーム「はああああああああああ!!」 矢を止める手はなく、次から次へと矢を乱射し攻撃をかわしながら追撃を緩めない! 流れ星のように降り注ぐ矢の雨に翻弄され、シェルプレデターとスライムプレデターガ次第に追い詰められていく!! スライムプレデター「・・・あーもうっ!!こうなったら使うかっ!!”ソウルイーター”!!」 手をかざし、それが粘液となって広がり矢をすべて受け止め、やがてそれを食べるように粘液の中に飲み込まれていく!すると、その全身が揺らめき、透明な粘液のような姿に変わり、やがてその姿が・・・ガルーダイマジンことフェザーの姿に変わっていった!! 敵が放った攻撃、それを”食べた”ことでその敵の姿かたちまで完璧までではないがコピーし、全身に投影させたのだ! フェザー(偽)「・・・さて・・・いきますか!」 地面を蹴り飛ばし、翼を広げて一気に舞い上がるとジークガッシャーを作り出し大剣で切りかかっていく!!予想もしていなかった攻撃に面食らうが、それをよけて、距離を保つためにジークが舞い上がる!! フレア「マジか--------------!?それ、反則だろっ!?」 ジーク・アインフォーム「まさか私を真似るなんて・・・・!」 星(・・・フェザーを真似る、だと?) 静かに星の低い声が響く。そのとき、フェザーはぞっと全身が冷たい何かを感じ、冷や汗が浮かび上がる。そう、感じ取ったのだ。敵ではなく、自分の内側から、本気で怒った星の怒気を。 星(お前なんかにフェザーのこと、何一つ真似ることなんて出来やしねぇ!!) ジーク・アインフォーム「・・・・・そう、ですね。私は・・・私です!来い、偽者!!全力で倒して差し上げます!!」 フェザーと化したスライムプレデターの大剣が振り下ろされ、それをジークガッシャーで防ぎ、激しい剣戟が繰り広げられる!!刃と刃が激しくぶつかり合い、轟音と火花が散る!! シェルプレデター「さて、私たちは・・・こっちを始末しますか!」 シーアネモネプレデター「ウゴケナイヤツラカラ、ヤッチマエ〜!!!!」 セレス「くっ!!そうはさせないわ!!」 セレスがホーネットプレデターへと変身しランスでシェルプレデターのドリルの攻撃を弾くが、すぐさまシェルプレデターのキャノン砲が火を噴き、ホーネットプレデターを容赦なく焼き払う! シェルプレデター「貴方気に入らないんですよ。何が四天王ですか、偉そうにして・・・!」 シーアネモネプレデター「ジベタニハイツクバッテ、ナケ、ワメケ、イノチゴイシヤガレ〜!!」 爆撃を受けてよろめいているところへ、強力なドリルの一撃を見舞い、ホーネットプレデターが吹き飛ばされる!しかし容赦なく、次から次へとドリルの猛撃をくらい、右に左に高速回転するドリルに突き上げられ、ホーネットプレデターが痛めつけられていく!ランスで防ごうとするが、キャノン砲とドリルの代わる代わる繰り出される連携攻撃についていけず翻弄されていく!! そしてジークも苦戦を強いられていた! 自分自身のコピーであるガルーダイマジンの攻撃、それを完全にコピーしてしまっているのである。自分自身の攻撃パターンをすべて、覚えてしまったかのように繰り出される攻撃、そして、こちらがいくら仕掛けようと、その攻撃を防ぐ手段、防御ですらも覚えてしまっているのである! ジーク・アインフォーム「くっ・・・・!!私の手がすべて読まれているなんて・・・!!」 星(食ったっていうのはどうやら本当みてぇだな・・・!!フェザー、俺に代われ!!) ジーク・アインフォーム「はいっ!」 フェザー(偽)「・・・そうはさせませんよ・・・?」 カードを引き抜こうとしたときだった。フェザー(スライムプレデター)の手が粘液状に戻り、それがジークに向かって飛び出し、なんと、ジークカードを全て奪ってしまったのだ! ジーク・アインフォーム「きゃあああああああああああああ!!」 弾き飛ばされ、カードを奪われて変身が解除された星が地面を転がり、突っ伏す! 星「しまった・・・!!カードが!!」 フェザー(偽)「・・・今から面白いもの見せてやるよ。私のソウルイーターはね、例え人間を食べなくても、強い思いを宿しているものなら、それを食べても、能力を得られるのよ!」 そういって、カードを・・・飲み込んだ!! 星「そんなっ!?カードを・・・飲み込んだ・・・・!!」 フェザー「まさか・・・こんなことが・・・!?」 二人はもう驚きを通り越して絶望さえも感じた。自分たちが変身をするために必要だったカードが全て食われてしまった!そして、スライムプレデターの姿が見る見るその姿を・・・・!! ジーク・アインソフフォーム(偽)「・・・・こんな風にな!!」 仮面ライダージークへと姿を変えて、声も星そのものとなっていた!! 完全な模倣変身能力、それがソウルイーターの真の能力なのである!! ジーク・アインソフフォーム(偽)「・・・さてと、さっきお前言ったよな?後悔するなよって?後悔するのは・・・・お前らの方だぜ。お前ら食べつくしてやる。Are you ready?」 星「・・・ぐっ・・・・これ・・・・かなりやべぇぞ・・・!!」 フェザー「星・・・・!!」 もう変身さえも出来ない。敵は自分の能力を完全にコピーしてしまっている状態、強みも弱点の対処法も全て得てしまった自分自身・・・! 星は周りを見回す。 自分以外には傷ついたフェザー、そして、フレア、イングリッド、セレスも満身創痍の状態だ。 とても戦える状態ではない。助けを呼ぼうにも、応援が駆けつけるまでにこちらがやられてしまう可能性が高い。 星「・・・・どこまで踏ん張れるか・・・だな!」 そういって、大剣を杖代わりにして立ち上がり、剣を身構える。 ジーク・アインソフフォーム(偽)「おいおい、まさか変身もしてない状態で俺に勝てるとでも?」 星「・・・ざけんな、お前は俺じゃねえ!!それにな、勝たなきゃいけねえだろうがっ!!男って生き物は、傷ついた女守るためには、命張るのがスジってモンなんだよっ!!!」 こればかりは譲れない、自分自身の騎士道。傷ついた女性たちを何が何でも守る!! これは星の信念でもある。気障ったらしい台詞を並べ立てているように見えて、実は一本筋の通った真っ直ぐな男なのだ。14歳にしてここまで自分の信念を真っ直ぐ貫かんとする姿勢はなかなかのものである。 星「はああああああああ!!」 威勢良く声を張り上げ、地を踏み出し、大剣を振り回す!ジークと化したスライムプレデターもジークガッシャーを構えて振り下ろされた大剣を受け止めて次々と繰り出される剣戟を防ぐ! ジーク・アインソフフォーム「ふん!」 星「ぐっ!!うわあああああ!!」 大剣の攻撃を防ぐもやはり生身の人間とライダーとでは力の差がありすぎる!受け止めたと同時に大剣ごと吹き飛ばされて地面にたたきつけられる!!激痛が全身に走り、縛っていた黒髪がほどけて、ザンバラになる。全身に擦り傷を負い、打撲の痛々しい痕が赤々しく浮かんでいる。 星「・・・まだ、終わってねえぞ!!」 ジーク・アインソフフォーム(偽)「ふん!しつこい男は嫌われるぜ?」 星「・・・・女一人守れないで逃げ出す男なんざ、もっとダメだろうがっ!!」 負けない、絶対に負けない!! 歯を食いしばり、強い意志を宿した瞳を再び燃え上がらせて大剣で切りかかっていく!! 何度倒されても、何度吹き飛ばされても、それでも立ち上がり、何度でも切りかかっていく!! その姿を見て、フェザーは涙が止まらなかった。 相棒が必死で戦っているのに、自分は何度も動いてと言い聞かせているのに、動くことさえままならない。今動かなきゃ相棒がやられてしまうのに。悔しくて歯がゆくて涙が零れ落ちる。そして、地面を力ない拳で殴りつける。怪我をしているのでそんなに強く打ち付けたわけではないのに、激しく鈍く痛む。 フェザー「・・・・星・・・・!!」 星「ふっ!!くっ!!うおおおおおおおおおおお!!」 ジーク・アインソフフォーム(偽)「ふん!!しつこいぜ!!」 ついに放たれた大振りの一撃! 大剣でふさぎ切れず思い切り吹き飛ばされ、地面に何度も打ち付けられながら砂埃を立てて星がフェザーの下に転がってきた!もうその姿は・・・ボロボロだった。至る所に怪我をしていて、息も絶え絶えになった変わり果てた姿。 フェザー「・・・星ーーーーーーーーーっ!!」 フェザーが涙をあふれさせて星に近寄り、抱き起こす。 傷つき倒れた相棒、その姿に自分が何も出来ない悔しさから涙があふれ出る。しかし、その時だ。 星「・・・おいおい、フェザー。泣くなよ、お前が泣くのは反則だぜ」 フェザー「星・・・!?」 星が優しく微笑んでフェザーの目元の涙を指でぬぐう。そしていつものあの自信と優しさに満ちた笑みを浮かべて言う。 星「・・・・口説きたくなっちまうだろ?いい女は涙さえ絵になっちまう。でも、俺はお前を泣かせるのは趣味じゃねえ」 ゆらりと立ち上がり再び剣を構えてフェザーを守るようにフェザーの前に立つ。 ふらふらとおぼつかない足取りだが、確固たる信念が彼を奮い立たせている! 星「・・・・いつもどおり、惚れちまうくらいカッコいいところ見せてやる!!」 フェザー「・・・星・・・・・・・星ーーーーーーーー!!負けないで!!!」 星「・・・・・OK!!」 −父さんがいつも俺に教えてくれてた。 −いつか、俺に好きな人が出来たら。もしその好きな人が大変な事になったら。 「その時はお前が全力で守れ。お前が愛した人を守れるのはお前だけだ。男は惚れた女だけは何が何でも守り抜くのが・・・COOLというものだ」 「・・・うん!おれ、ぜったいにまもる!つよくなる!」 −父さんと約束したんだ。自分が好きになった女は絶対に守りぬくって!! −今は存在さえ消えてしまったけど、父さんの言葉は、約束は、決して消えることはない!! −男と男が交わした誓いは消えない。 星「・・・負けない!!」 その時だった!! ジークベルトが光りだし、その光がフレアの下に一本の光となって放たれた!! フレアが取り出したもの、それは・・・赤い文字で「∞」と書かれたジークカードだった! フレア「・・・まさか、テメェで目覚めさせちまうとはね。大したもんだ!!」 星「フレアさん・・・それは!?」 フレア「・・・お前の戦闘データを参考に、更なるパワーアップをすることが出来る3枚目のカード・・・今までのジークカードはお前の・・・記憶や存在をもとに作られていた・・・でも今度のは違う・・・・パスを分析して分かった・・・。お前にも・・・「心の真の輝き」というものがある・・・それから生み出せないかって・・・・それで・・・アタシの力を加えて・・・作ったが・・・正直使えるかどうか・・・一か八かだった。でも、お前が持っている・・・・自分を奮い立たせ、仲間や愛するものを守りたいと願う、真っ直ぐな気持ち、”誠実”を!!」 誠実。 父親との約束を守り抜き、愛する人を愛しぬき、大切なものを守り抜こうとする真っ直ぐな心。 それが今、力になる!! 星「・・・俺の輝き」 フレア「星!!これを使えーーーーーーーーー!!」 そういって投げ渡されたカード。赤い文字で「∞」と刻まれているカードを見て力強さを感じる! 星「・・・ああ!!使いこなして見せるさ!!!」 ベルトのハッチを開き、カードを合わせる。 星「・・・・変身!!!」 「イカロスフォーム!!!」 そしてベルトから青い光と赤い光が放たれ、星を包み込む!! その光に包まれたフェザー、そして、フレアが星と一体化し、一つに合わさる・・・!! フレア「いくぜ!!!」 フェザー「はい!!」 星「うおおおおおおおおおおおおお!!」 力がみなぎってくる!! 星の姿がアインソフフォームに変わると、そこへ、青い炎を宿した翼を広げた鳥の神ガルーダ、そして灼熱の紅蓮の炎を宿した不死鳥が飛び込み、仮面に青い翼を広げたガルーダと赤い翼を広げた不死鳥が合わさった二色の翼が広がり、鳥の王者たる黄金の甲冑を身にまとい、背中には巨大なブースターから噴出す炎が翼となって広がる!! 緑色の瞳が光を宿し、仮面ライダージーク・最強の姿が光臨する・・・!! ジーク・アインソフフォーム(偽)「何だ、その姿は・・・!?」 ジーク・イカロスフォーム「さあ、裁きの刻(とき)だ。もう後悔しても・・・遅いぜ!!」 大剣が赤い炎と青い炎に包まれ、巨大なランチャー砲「イカロスディバィダー」へと変わり、静かに、そして雄雄しくアインソフフォームへと向き合う!! ジーク・イカロスフォーム「さあ、お返しさせてもらおうか!!」 ランチャー砲を構えて次々と火炎弾を発射し、アインソフフォームに無数の火炎弾が襲い掛かり、爆撃していく!! それをシールドでかわすが、あまりにも多すぎる火炎弾の量に防ぎきれず、ついに盾が高熱で溶け落ち、火炎弾の直撃を受けてアインソフフォームが吹き飛ぶ!! スライムプレデター「ちっ・・・!!」 変装の姿が保てなくなり、スライムプレデターの姿に戻ると、イカロスディバイダーのバスターパーツがとれ、中から大剣の刃が飛び出し、ソードモードに変わるとウイングを展開し、目にも止まらない早さで駆けだし、切りかかっていく!! セレス「速い!!」 ジーク・イカロスフォーム「うおおおおおおおおおおおお!!」 大剣を振りかぶり、一気に切りかかる!そして、それがスライムプレデターの右腕を切り落とし、シェルプレデターのボディを切り裂く!! スライムプレデター「ちっ・・・!!」 シェルプレデター「ぐああああああああ!!」 シーアネモネプレデター「チョウシノルンジャネェエエエエエエエ!!!!クズガ、クズガ、クズガァアアアアアアッ!!!」 ジーク・イカロスフォーム「・・・こういう展開で調子に乗らないでどうするってんだ。こっから先は一歩も見せ場は譲らねぇ、俺たちのターンだ!そして、次でfinishだ!」 ジークがカードを取り出し、それを腰のスロットルにはめ込む!!右足に赤色の、左足に青色のエネルギーが宿り、それぞれの足に赤い炎と青い炎が宿る!! 「limit break!!」 背中の翼を最大限開き、空中に舞い上がると、体を一回転させて両足の部分に焔の巨大な爪が出来上がり、一気に急降下をして、二人めがけて落下する!!! ジーク・イカロスフォーム「ガルトマーン・ドロップ!!!」 「鳥の王の怒りの鉄槌」。その名の通り、焔をまとった両足で強力な蹴りを食らい、シェルプレデターの全身を赤い炎と青い炎が包み込み・・・・!! シェルプレデター「バカ・・・なあ・・・・私は・・・カタキを・・・!!」 シーアネモネプレデター「キャアアアアアアアアアアアアアア!!」 断末魔を上げて爆発した・・・・!! そしてもう一体・・・・。 焔に包まれて横たわるスライムプレデターが息も絶え絶えにまだ生きていた。 しかしこの炎が全身にいきわたればシェルプレデターのように爆発して死に至る。 ジークは変身を解くと、フェザーとフレアが飛び出し、それぞれスライムプレデターに近寄る。 フレア「・・・・智」 スライムプレデター「・・・・一度死んで経験してみて、あっけないなとは思っていたけど、やっぱり死ぬって・・・・なんだか訳が分からないから・・・怖いな・・・・笑う?」 フレア「笑わねえよ・・・。お前は昔から臆病で弱虫だった。なのにやたらプライドが高くてよぉ・・・・意地はって負けず嫌いで一度言ったら聞かないでとことん暴走しやがる・・・。でもよぉ、そんなお前のことすっげえと思ってたし、お前とバカやるのがアタシの楽しみだった・・・」 スライムプレデター「・・・・・・そうか。ボクも好きだったよ、教会の中でこっそり黙って酒飲んだり、博打やったり、町でケンカの売り歩きやったり、食べ歩きしたり、タバコ吸いながらチェスやったり・・・・・ヤバいね、もう死ぬね、これ。いまさらになって」 智の目から涙が零れおち、次々とあふれて止まらなくなる。 智「・・・いまさら、思いだしやがる。楽しかった思い出を。ボク、勝手に諦めて何もかも放り投げて何も見ようともしようともしなかったけど・・・・・本当は・・・・もう一度バカ・・・・君と・・・・やりたかった・・・・よ」 心に負った傷ゆえにゆがんでしまい、狂ってしまった。 しかしそれは自分が傷つき恐れて目の前にある光を見ようともせずただ、暗がりの中にひきこもって狂ったふりして強がりつづけることでしか自分を保てないと思いこみ、ずっとずっと自分からさえも逃げ続けていた・・・。 フレア「・・・・バカ野郎、気付くのが遅いんだよ。でもよ、まだ、時間あるだろ・・・」 そういって、タバコを取り出し、智の口にくわえさせると、火をつけた。青い煙が天に舞い上がる。フレアもタバコをくわえて、ゆっくり吸うと、煙をぷかりと吐きだす。同じように智も煙を吐き出す。そして、少しむせたように咳をして、静かに笑った。 智「・・・・相変わらず煙草のセンスないね。まずくて・・・・まずくて・・・涙が・・・出るよ・・・・」 フレア「・・・アタシももう長くねえ。そしたらよぉ、また地獄でバカ一緒にやるかあ?」 智「・・・・・う・・・・うう・・・あーもう、ホント・・・・ウッゼェな・・・・目が・・・にじんで・・・きた・・・・・ありがとう・・・・・フレア」 涙を流し、最後に彼女は笑った。 そしてそのまま瞳を閉じ・・・焔に包まれて光の塵となって消えた・・・。 あとには、彼女がくわえていたタバコが落ち、青い煙が静かに上っていた・・・。 フレア「・・・・煙とともに・・はい、さようならってか。ケッ、しまりやしねぇ・・・」 そういいながら、フレアが涙をこぼし、智が寝ていた場所を見て、誰にも涙を見せないようにして泣いていた。星とフェザー、そしてセレスたちはフレアと智のやり取りで、二人がただの付き合いでないことを悟り、胸が締め付けられるような気がした。 星「・・・・・・・・・」 フェザー「・・・フレアさん」 その直後だった。フレアの口からタバコが落ち、その場にゆっくりと・・・倒れた! セレス「フレア!!フレア!!どうしたのよ!?」 星「おい、大丈夫か!?」 セレス「貴方、さっきから様子が変よ!?どこか怪我しているの!?」 そう言って、フレアの服をはだけ、体を見る。(咄嗟にフェザーが星の両目を隠した) しかしそこで見たものは、セレスの目を凝視した。続いてみたフェザーが悲鳴を上げる。 フェザー「体中の・・・至る所が・・・腐っている!!?」 セレス「・・・内臓もほとんどやられている。こんな状態でまともに歩けるはずもないのに・・・!まさか、貴方・・・・!!」 セレスが心当たりがあるといったように声を上げる。すると、フレアが静かに瞳をあけ、消えそうな声で話す。 フレア「・・・・吸血鬼っていうのは、聖なる力が苦手だろ?だけど・・・アタシが操る炎は生来魔物を払うための炎だ・・・。それをずっと使い続けてきて・・・・いるうちに・・・・確実に吸血鬼となったアタシの心臓を・・・・自分の力が蝕んできて・・・・気がついたら・・・もう・・・・体の中で力と力がぶつかりあって拒絶反応起こしまくって・・・・・もう・・・心臓が・・・さっき・・・・消滅していた。朝日が来たら・・・・アタシは・・・・灰になる」 元々は聖なる力を自由自在に操る「聖女」であったフレア、その彼女が吸血鬼になり力を使うという事は自分の体を聖なる力で傷つけていくことと同じなのだ。それを知っていて、彼女は力を使い続けてきていたのだというのか。 星「それを知っていて、どうして・・・!」 フレア「・・・・・罪滅ぼしってヤツかな。アタシは昔、神代聖に・・・目の前であいつとあいつの一族を殺されて・・・挙句に自分まで死んじまった。何も助けられなかった、なにも救えなかった、助けたいという願いばかりが先走って、結局何も出来やしない。そんな自分自身が・・・何よりも許せなかった・・・・。それでよみがえって、もう一度生きる機会が出来て、自分がやろうとしていて、結局できなかったことを後悔しないようにやろうって決めた」 フェザー「・・・貴方は何をやりたかったんですか」 フレア「・・・・・今度こそは大事な仲間を・・・・守る。それを支えに生きてきた」 記憶を失い、永久に自分のことを思い出すことがなくても、元気に明るく生きていてほしい妹。 そしてよみがえらせてくれて、もう一度生きる機会を与えてくれたエリザベート。 自分を仲間と受け入れてくれた四天王・・・。 そしてここであった最初は敵として、今は絶大なる信頼で結ばれた仲間たちになったルシファーズハンマーの隊員たち。 守りたいものが多くなりすぎて、その分強く生きて守りたいと願うようになっていた。 だから、一日一日を後悔のないように自分らしく生き、自分のすべきことを全うできるようにと頑張ってきた。それにより、自分が傷ついても、何もしないで諦めるよりはマシだった。 諦めて逃げて戦うこともしないで、生きるなんて、死んでいるのと同じ。 生きている限り、何かと戦い続けていくことが使命のように感じた。 それが運命なら、一日でも長く生き延びて、多くの仲間たちを守りたいと願った。 フレア「・・・・このままじゃまだ終われねぇ。まだヒュプノスも神代聖もケリがついてない。だから・・まだ・・・アタシ死ねない。だから・・・最後まで黙って、手ェ貸しやがれ」 必死な願い、たとえ自分が死ぬとわかっていても、最後まで引くことなどできない。 星「・・・わーったよ、こうなりゃ、死ぬまで付き合うぜ」 そういって、フレアを抱きかかえるとバイクのサイドカーに乗せて、星がエンジンを入れる。 星「今から安全な場所まで避難する。おそらく、あいつらも、ヒュプノスにダメージ与えられないから焦って、作戦会議とか分析とかしているころだろう。いったん合流するぞ!」 フェザー「・・・ええ!」 バイクを走らせると、それに続いて、イングリッドを抱きかかえてフェザーが飛び立ち、セレスも後を追う。 バイクで風を切る。 そのたびに、星の横をキラキラ光る何かが横切っていく。 それがフェザーの顔にかかり、それを拭って、何かがわかり、切ない気持で締め付けられる。 星(・・・・もうすぐ死ぬ。もう助からない。それでも、こいつは最後まで・・・俺のためにカードまで作ってくれて・・・・!!) あふれる涙が止まらない。 しかしそれは仲間たちと合流する時には止まっているだろう。 そして覚悟も受け入れているだろう。 ただ、今だけは、流し続けていたかった。 感情のままに涙を流していたかった。 続く |
鴎
2012年04月08日(日) 14時55分06秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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そんで持って、今回の小説感想ですけど、本当に色々と感じさせる展開が満載ですね。 暁(アスレイ) 「前回の話のラストで出てきたショールの正体に、【ヘブン】の『ジーク』の最強形態登場! ベリルこと智との決着に、フレアさんのやばい状態の理由とか、本当に色々と起こっているな……」 翠(アスレイ) 「特にフレアさんの状態についてだけど、“魔”に属している身で“聖”に司っている炎を扱えることから、何かしらのデメリットがあるかもって思ったけど、自身の身が“代価”になっていたとなんて……」 新たな“命”を“代価”にしてでも護りたいものがあったからこそ……ですか。本当に無茶をしやすいキャラクターが多いですね。嫌いではないですけど。 モモタロス(明) 「……だな。まったく、熱い女だぜ」 シャナツネ 「同感だ」 カグヤ 「…それにしても、智ことベリルの“能力”ってかなり厄介だったわね。まさか“強い思い”が宿った“物体”からも“力”や“能力”を取り込むことができるとは……」 本当に厄介極まりない“能力”ですな。しかし、危機的状態でも諦めず、大切な物を護ろうとした【ヘブン】の星の覚悟が『ジーク』に秘められた“真なる心の輝き”の力を呼び覚ますとは……! 礼 「『誠実』か……。確かにこっちとあっちの星の性格と性分を考えれば間違っていないな。……しかし、そういった“思い”を強く持つ様になった理由っていうのが、あっちの生前の俺の教えとは……正直、照れくさいもんだな…///」 『仮面ライダージーク・イカロスフォーム』……フレアさんとも融合した【ヘブン】版『ジーク』の最強の姿…! フォーム名的に太陽に挑むのはやばい感じがする気がしますけど、どうしてこのような名前を考え付いたんですか? 星(アスレイ) 「ちなみにうちの筆者的には『セフィロスフォーム』って奴を俺の方の『ジーク』の最強フォームに使用って考えているんだけどな。名前の由来は『アイン・ソフフォーム』と『アインフォーム』の名前の由来である【アリアンロッド・サガ】の話の中で纏われている神竜から取ったものだ」 フェザー(アスレイ) 「……ですけど、『イカロスフォーム』も中々いい名前だと思いますよ」 …それはそうと智さんですけど……今度こそ、安らかに眠って欲しいものですね…。 奏真(アスレイ) 「…ああ、まったくだ」 真夜(アスレイ) 「…そうですね……」 さて、次回でショールとなっていたイングリッドさんの“真実”が明かされるとのことですけど……そのとき、《ルシファーズハンマー》一同などはどのように思うのでしょうかね…。 明久(電王) 「……色々と混乱する気がする…;」 雪奈 「…同感; それでもまっすぐに突き進みそうだけどね」 それでは次回も…… 一同 『どうか頑張って書いていってください!』 〜…時と次元を越え……己の限界すらも超えて、推して参る!!〜 |
50点 | 烈 | ■2012-04-09 01:44:41 | i114-189-62-120.s10.a044.ap.plala.or.jp |
小説感想ですけど、その前に感想返信の返信をさせてもらいます。 シャナツネ 「分かってくれればいい。今後はもう少し注意してくれ」 カグヤ 「悪い意味で言ったわけじゃないんだけどね…; ようは自分の信念を貫こうとするところがいいってこと。ちなみに【ヘブン】の星、『雪奈』と『翠(アスレイ)』のこと間違えているよ…; あたしは『雪奈』と契約をしていて、『翠(アスレイ)』とは契約をしていないからね。……っていうか、親戚同士で喧嘩するなよ…;」 翠(アスレイ) 「僕が契約をしているパートナー“イマジン”は『イージス』と言って、騎士っぽい灰色の梟を感じさせる姿をしているよ。性格は一本気のある武人な感じであり、冷静で周囲の状況などを見通すけど、本来は優しく穏やかな性格で僕の無二の親友だね」 雪奈 「私がカグヤ以外に契約している“イマジン”ですけど、『静御前』と『鴉天狗』のイメージから実体化した『マイヒメ』。『乙姫』と『水龍』のイメージから実体化した『オト』。元々は他の人と契約をしていて『巴御前』と『鹿』のイメージから実体化した『トモエ』。鬼とか日本のお姫様とかを感じさせる感じの『夜叉姫』のイメージから実体化した『ヤシャ』。そしてある母親と無意識な契約をして生まれたともいえる『ジャンヌダルク』と『ユニコーン』のイメージから実体化した『ジャンヌ』。以上五人が私と一緒に戦ってくれるカグヤ以外の大切な仲間です」 各“イマジン”の性格と設定に関しては、もう少し考えてから投稿しようと思います。 暁(アスレイ) 「…あのクソ外道馬鹿シスターの“名前”は別の“名”だと!? それじゃあ一体真の“黒幕”って本当に何者なんだ? まさか愛祖母ちゃんってオチはないよな……;」 礼 「流石にそれはない! ないったらない!!」 クリス(アスレイ) 「…大切な“思い”……決して忘れないでくださいね……」 クロキバT世 「……とりあえず、うつけ嬢ちゃんコンビは黙っておれ…#」 電 「…雷斗……ファイト…」 明久(電王) 「三人とも、ご苦労様」 それでは続いて《バカテスト》に対してのコメントです。指名されたお二人さん、よろしく。 カグヤ&シャナツネ 「「了解」」 *第1問 ・クリス(ヘブン)の回答についてのコメント カグヤ 「正解だよ」 シャナツネ 「流石に【ヘブン】のクリス殿。良く学習しているな」 ・アリス&マリアの回答についてのコメント カグヤ 「……あんたら、好きな男を相手に、もう少し言葉を選んだ方がいいよ…;」 シャナツネ 「……まさか、マリア殿まであの三人娘の悪影響が及んでいるとは……;」 ・凛・昴・穏の回答についてのコメント カグヤ 「きっぱりと言いましょう」 シャンツネ 「お主ら、翠殿と雪奈にお仕置きをされる準備はできたか?」 カグヤ&シャナツネ 「「しっかりと反省するように!!」」 雪奈&翠 「「それじゃ、いってきま〜す♪」」 *第2問 ・フェザー(ヘブン)の回答についてのコメント カグヤ 「正解♪」 シャナツネ 「お見事」 ・大友 暁(ヘブン)の回答についてのコメント カグヤ 「……苦労しているわね…;」 シャナツネ 「…後、悪口の言い合いならば他所でやれ」 ・《四天王》のうち三人の回答についてのコメント カグヤ 「……身近に対象がいるからって、回答としてよういるのはどうかと思うわ…;」 イーズ(アスレイ) 「姉さん! 落ち着いて!!!?」 シャナツネ 「……胸のサイズは……やはり女性には禁句なのだな……(冷や汗)」 以上です。 オリジナル“グリード”のアイディアに関しては、こちらも良く考えておきます。 |
30点 | 烈 | ■2012-04-09 00:50:16 | i114-189-62-120.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 80点 |