仮面ライダーヘブン 第46話 |
第46話 ―幼い日の記憶。 東欧、トランシルバニアの秘境の奥深くにある古城、アルヴァニア城。 一人の金髪に赤い瞳を持つ少女が傷だらけで椅子に座り、もう一人の銀髪に赤い瞳を持つ少女がやさしく微笑みながら包帯で手当てをしている。 イングリッド「どうして、ケンカなんてしたの?」 エリザベート「だって、あいつら、大人のくせにフランケン族の子供、いじめていたんだ。図体だけでかくて言葉もまともにしゃべれない、でくの坊だって。それで、頭にきて・・・」 イングリッド「それで、大の大人10人に喧嘩を挑んだのね・・・・。気持ちはわかるけど、もしあなたが怪我でもしたらどうするの?」 エリザベート「・・・でも、悪いのはあいつらのほうだ!それに、あいつらより私のほうが強いんだ。やられるもんか」 イングリッド「・・・・エリザ。力が強いとか人間にはない不思議な力があるから負けない、それがない人間は弱い、そういう考えは良くないわ。本当に強いということはね、あなた一人だけで得られるものではないの」 エリザベート「・・・本当に強くなるって、どういうことなのですか?」 イングリッド「・・・・・心から信頼出来る仲間を作ること。仲間は時として己の信念とぶつかり合うこともある、対立することもある、でも、そういった試練を乗り越えてお互いの心と心が分かり合えた時、その仲間の存在はあなたをさらに強くし、そしてあなたの存在が仲間をさらに強くする。あなた一人で何でも解決しようとするけど、それではいけないの。あなただけが強くてもそのあなたの強さを支えている誰かが必ずいるわ。その存在を大切にしなさい。そうすればあなたは・・・もっと強くなれるわ」 エリザベート「・・・私を支えてくれる大切な仲間。そうだ、私は一人でここまで大きくなってきたんじゃない、強くなってきたんじゃない。私を生み、育ててきてくれたお父様やお母様、そしてお姉さま、みんながいてくれたから、強くなれた・・・!」 イングリッド「・・・・そうよ。エリザ、あなたは一人じゃない。いつだってみんなが見守っていますからね。だから、そんなあなたが力を武器に暴力をふるうなんて・・・悲しいことはしないで。本当に強いのならいつだって私を頼っていいのですからね。あまり無茶はしないで・・・」 エリザベート「・・・はい、お姉さま。約束いたします」 イングリッド「・・・うふふ、そう、それじゃ、指切りしましょう?」 エリザベート「はい!」 ―ゆーびきりげーんまん♪ ―うーそついたらはーりせんぼんのーます・・・・ クロノポリス正門前の時の砂漠は、もう血で血を洗う激戦が繰り広げられる戦場と化した。 「げぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」 「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」 「があががあががががががががあ!」 「あぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」 ヒュプノスに生み出された無数のプレデター、しかしそれはかりそめの肉体に際限なき狂気と憎悪を与えられた禍々しき人形。そいつらは本能に従うままの雄たけびを上げながら、ただ目に合った獲物を照準に己の渇望を満たすがまま襲い掛かった。 ナパーム「最大出力でいく・・・・!!!皆、下がって!!!」 ナパームの全身に重火器が装備され、砲門を開放すると、凄まじい勢いで全弾薬を発射する!!無数の焼夷弾が次々と着弾し炎を噴き上げ地面を吹き飛ばし、敵が次々と吹き飛び、炎に焼かれて消し飛んでいく!!しかしそんな爆撃の嵐にも臆することなく、怪物の群れどもは行進を止めない!! メルク「ヒュプノスの動きを止めないとこっちがやられちゃう!」 ボルダー「早く何とかしないと!」 メルク「そうだね、その前に、このバカ共一気に仕留めないとね!!」 そういって、メルクがパスを掲げると無数の金色に光り輝く剣が空中に浮かびあがり、それがナパームが放つ炎に包まれ、灼熱の輝きを放つ!! ボルダー「行くぜ!!!」 そこへ、ボルダーが思い切り拳を殴るように突き出すと、空中にひびが入る!!そして、空気さえも震わせる衝撃波が剣に伝わり、超振動を繰り出しながら無数の剣が発射された! 「「「三連奥義!!爆衝剣戟乱舞(ばくしょう・けんげき・らんぶ)!!」」」 剣が刺さるたびに大爆発を起こし、傷口から超振動で細胞レベルまで崩壊させ、敵が粉々に吹き飛んでいく!!! ヘブン「私たちも行きます!!」 シルヴァン「ああ!!」 セドナ「了解!!」 ヘブンが右拳を構えて、思い切り振りかぶろうとポーズを構えると、その拳に銀色の風が渦を巻いて竜巻のごとくうねりをあげて吹きすさび、シルヴァンが放った無数のバラの吹雪に合わせて解き放った!! ヘブン「暁直伝・・!!ゲイル・キャノォオオオオオオオオオオオオン!!!」 そして敵を飲み込むと上空に舞い上がり無防備となったところへ、無数の茨が矢のように縦横無尽に突き刺さり、断末魔の声が上がる!! セドナ「暁くんを苦しめるヤツ・・・全員・・・・死ねばいい!!!!!暁くんを・・・暁くんを、暁くんを、暁くんをいじめるヤツなんかぁっ!!皆死んでしまえばいいんだぁあああああああああああああああ!!!!」 「「「三連奥義!!氷華暴風陣(ひょうか・ぼうふうじん)!!!」」」 怒りと狂気のあらん限りにセドナが叫び、吹雪を放出し、渦にのみこまれた敵たちが氷の墓標に閉じ込められていき、やがて、細胞が死滅していき、粉々に吹き飛んで塵となって消えていく!! アイオーン「・・・・多すぎるぜ!」 ヘルズ「・・・はっ、臆したか」 アイオーン「はぁ!?テメェこそモウロクしやがったか、ババァ!!・・・・ここはいっちょ、共闘といくか!」 ヘルズ「・・・ふん、仕方あるまい。後れを取るなよ、小僧!!」 アイオーン「小僧っていうなっ、ババア!!!」 アイオーンが構えると地面にチェックメイト・フォーのキングの紋章が浮かび上がり、ヘルズが構えると、赤く禍々しい光を放つコウモリの紋章が浮かび上がる!! 「「はああああっ!!」」 二人が高く飛び上がると、アイオーンが両足から吹雪を放ち、下に広がる敵たちを凍りつかせていく!!そして、再び足を突き出すと、アイオーンの足の先端に白い光が、そしてヘルズの足の先に赤い光が宿ると、一気に飛び出す!! 「「アークティック・ダブル・ライダー・キィィイイイイイイイック!!!!」」 するとヘルズが赤い光を帯びた巨大なコウモリのイメージとなり、さらに、アイオーンが純銀の光を放つ翼竜のイメージをまとい、蹴りとともに敵を一掃する!!! 蹴りから繰り出された衝撃波を受けて、大地が揺れ空気が震える!! 氷の龍と闇の蝙蝠が獲物を食い尽くさんと巨大な口を開いてプレデターたちを次々と食らっていく!!もはや無数の敵など彼らにとってはただ時間稼ぎでしかない。目の前の敵をすべて倒す、その信念を一つにした今、悪しき怪物に今にも振り下ろされんとしているのだ。 「魔王の鉄槌」による神罰が。 星「みんな―――――っ!!!」 アイオーン「星!!」 ヘルズ「どうしたのじゃ、血相を変えおって・・・・・」 その直後、サイドカーに乗っていた女性の顔を見て、ヘルズが凍りついた。驚きで目が見開かれて、言葉がうまく出ない。 ヘルズ「・・・・な・・・・なぜ・・・・じゃ・・・!?なぜ・・・・・!?あ・・・・姉上様ぁあああああああああああああああああ!?」 アイオーン「イングリッドだとっ!?星、これ、どういうことだっ!?」 星「話はあとだ!!いったん、ベースまで戻るぜ!!」 ヘブン「しかしこの数が・・・!」 セレス「私も手伝うわ!」 そういって、セレスがやってきて、ホーネットプレデターの姿へと変わる。 メルク「・・・なるほど、そういうことか!凛、穏、うちらはここでもうちょっと遊んで行こうぜ!暁くん、状況の整理ついたら連絡頂戴!!」 ナパーム「ここから先はうちらに任せろ・・・!」 シルヴァン「早くいきな!!」 促されて、暁、クリス、アリス、マリア、そしてエリザベートが急いで基地の近くにある地下道を通り、その中へと消えていった・・・!! 地下に設けられた医務室。 そのベットに寝かされ、医療機器を取り付けられたイングリッドが横たわった。 マリア「地下道にこんな医務室がもう一つあったなんて・・・」 暁「けが人が多数出た時に医務室が満室じゃヤバいし、ここなら、地下で地上の爆撃なども防げるし最速で治療ができる。俺が作らせた」 アリス「・・・それでよぉ、本当にそこにいるのは、イングリッドなのか?」 エリザベート「ワシが見間違えるものか!!この人は、間違いなく、ワシの・・・・姉上・・・イングリッド・アヴァロンじゃ。じゃが、どうして、このような変わり果てたお姿に・・・」 イングリッド「・・・すみません、皆様にはなんとお詫びを申し上げたらいいのか。謝っても謝りきれることではない。本当に、なんという愚かなことを・・・・」 暁「・・・いったいどういうことなんだ?」 イングリッド「・・・・あなた方にすべてをお話しいたします。このヒュプノスにまつわる忌まわしい事件の・・・・・全てを」 ―イングリッドの回想 全てはファンガイア一族のキングとビショップ、大友暁様、あなたのご両親から、ヒュプノスを封印するために力を貸してほしいとお話があったことから始まったのです。 我ら一族はヒュプノスという時間を自由自在に操ることができる最強最悪の生物兵器によって、かつて、一族は時間の狭間に飲み込まれて消えてしまった。その原因であるヒュプノスを必ずや封印することを誓い、私は協力を受け入れた・・・。 そして、ついに私はヒュプノスを見つけることが出来たのです。 正確に言うと、バルキリーたちによって倒され、全身が傷つき、動くことさえもままならない状態で地下に潜って傷の自己回復に専念していたヒュプノスを拘束し、私は、封印の方法を探っていた・・・。ですが、その時、あいつが現れたのです・・・! 「困るんですよねぇ。こいつにはまだまだ利用価値があるんで、勝手に封印なんてされてはね・・・」 それが・・・・神代聖でした。 そして、神代聖は拘束を解除し、再びヒュプノスを目覚めさせてしまった。 「かなりやってくれましたねぇ。かなりの深手の傷を受けて、これではまともに起動すらも出来ないじゃないですか。生体コアのスフィンクスレジェンドルガは・・・死んでますし。ああ、でも、ここにもう一人、強い力を持つ生体コアがいましたねぇ」 この時確信しました。神代聖は私をヒュプノスのコア・・・心臓としてヒュプノスに取り込ませるつもりなのだと。私は抵抗しました。ですが、彼女の魔力はあまりにも強すぎて私でも歯が立たなかった。ナイアルラトホテップすらも自分の体の一部として取り込んでしまった彼女の莫大な魔力の前では私ですらひとたまりもありませんでした・・・。 聖「さあ、新しい世界を創造する神の一部となるのです。その素晴らしい運命を受け入れなさい・・・!」 ヒュプノスの心臓部から無数の血管が触手のように飛び出し、私は身体を取り込まれて、そのまま・・・ヒュプノスに食われた・・・・。 ですが、このままでは、私の妹や一族のみんなにも危害が及ぶ。そう思った時、私は自分自身の魂をはぎ取り、それを、二つに分けると、一つはミイラ化し意識が消滅していたショールのミイラに宿り、もう一つは・・・飛び出した先でマリアたちが連れてきたウルフェンの女性戦士がいた。そして私は彼女の命を救う代わりに、常に妹やみんなに危害が及ばないか監視役として四天王として戦ってくれるようにお願いし、その少女も承諾してくれた。そこで私の意識は完全に飲み込まれ、今に至ったということです・・・。 クロキバ「なんだと!?それは、まさか!?」 冷牙「・・・姉さんのことか!?」 イーズ「そうか、彼女がウルフェンからプレデターになったのは、彼女の魂の一部が死にそうだったセレスさんを助けたからその時プレデターとして覚醒したんだ・・・!」 アンジェリカ「四天王としてエリザベートを守る、そうすることで彼女を危険から救おうとしていたんだ・・・!」 イングリッド「しかし神代聖の放つ邪気が強すぎて、やがてミイラに宿っていた意識まで操られて記憶を失い、そして、監視役として宿った魂との接続も切れてエリザベートたちの行動もチェックできなくなって・・・・」 暁「・・・八方ふさがりになってもうどうにも出来なくなったと」 クリス「それでは私たちの前に出てきたあのイングリッドは・・・」 イングリッド「・・・神代聖が作り出した偽物です!あいつは私に成り代わってエリザベートたちに、ヒュプノスが目覚めるために必要な生体エネルギーを集めさせるためにあなたたちに戦いをけしかけて,アルコバレーノを復活させて、あなた方が戦い合い、力と力が衝突しあうたびに生み出される生体エネルギーを吸収して蘇ってしまったのです・・・」 アリス「うちらの戦いを利用したってこと!?」 マリア「それじゃあ、最初からこの戦いで私たちが暁君たちと戦うことも、アルコバレーノとしてライダーになることも、全て・・・!!」 クリス「最初から全部、私たちはヒュプノスの復活を阻止するどころか、手伝ってしまっていたってことですか・・・!!」 その時通信が入った。 メルク「・・・話は聞いた。はぁこりゃ、ボクの最悪の予想が見事的中だね」 アリス「昴!それ、どういうこと!?」 メルク「いくら神代聖やヒュプノスが不死身だからって傷ついて弱っているところを封印なんてされたら手も足も出ないだろう?ところがヒュプノスがいくら傷ついてもあいつは動じるどころか余裕綽々じゃん。それにさっきから何度も攻撃してもきかないし、攻撃するたびに分身作ったり攻撃の破壊力が強くなって来たりしているから、攻撃を受けるたび受けたダメージをエネルギーに変換して自分自身の体力の回復および能力の強化を図ってるんじゃないかって予想はしてたけど・・・・というかこうなると、なんで今このタイミングなのかってこととショールに憑依していたイングリッドの意識が一時的に戻ったことと全てが説明がつくね」 ナパーム「・・・・・・それって、まさか」 メルク「・・・・生体コアが弱まって、ヒュプノスの力も弱まってきているってこと。つまり倒すには今しかないよ!」 シルヴァン「でもよ、攻撃したら全部あいつのエネルギーになっちまうんだろう!?」 ナパーム「・・・打つ手なし」 暁「馬鹿野郎・・・!ここで諦めてるんじゃねえよ」 そういったのは暁だった。こんな絶望的状況において、強気な笑みを浮かべている。 暁「つまりあいつの弱点は生体コアのなくなった心臓部だ。そこを一気に攻撃して、あいつの動きを封じる!封印の方法なんてわからないけど、そうすれば、イングリッドは助けられる!!」 その言葉を聞いて全員が目を見開き、驚きの表情を見せる。特にエリザベートなど暁の言葉を信じられないといったように見ている。 メルク「・・・OK!あいつの心臓部を開かせる!攻撃を心臓部に集中して仕掛けるよ!」 シルヴァン「・・・やっぱり助けるって言いやがったか、お前はよ!」 ナパーム「・・・さすがはうちらのリーダー!」 暁「あとはどうとでも手は打てる!まずは、あのババァのお姉さんを全力で助けろ!!」 3人「「「了解!!」」」 暁「冷牙!流水!!雷斗!!凛たちのフォロー、全力で頼むぜ!!こっちも直に追いつく!!」 冷牙「任せろっ!!」 流水「やっぱり暁はこうでなくちゃね!」 雷斗「おう!!」 エリザベート「・・・・なぜじゃ、どうして、どうして、そんなことを・・・」 暁「お前の姉さんだろ、助けたいんだろう!?」 エリザベート「・・・当たり前じゃあ!!」 暁「それなら守るぜ!!口うるさくていけすかねえけど、お前も大事な仲間だからな!!仲間の家族なら俺の家族も同じだ!!お前を悲しませるようなことはしねえ!!絶対に・・・助けられる!!俺たちは・・・無敵のルシファーズハンマーだからな!!」 エリザベート「!!・・・さ・・・・・・・さと・・・・る・・・・」 涙がぽろぽろ零れ落ち、その場に崩れ落ち、涙を流して両手と両膝を地につく。 暁「・・・泣いている暇はねえ。イーズ、アンジェリカさん!!怪我人の看病および護衛を頼むぜ!!」 イーズ「了解です!!!」 アンジェリカ「・・・なかなかいい男じゃないか、君。流水君より先にあっていたら・・・惚れていただろうねえ・・・任せたまえ!!」 暁「クリス!!マリアさん!!アリス!!・・・・・“エリザ”!!もうここから先は動きながら考えるぞ!!まずは、あの化け物から片づける!!」 クリス「はいっ!!」 アリス「よっしゃあ!!!」 マリア「はいっ!!」 エリザベート「・・・・よかろう、力を貸してくれようぞ、“暁”!!」 イングリッド「・・・エリザ・・・・本当にいい仲間を見つけましたね・・・・。私は・・・私は・・・貴方が私の偽物に屈することなくあなたの持つ心の輝き・・・“矜持”を最後まで貫かんとするまっすぐな心・・・きっとそれはこの子たちから教わったのですね。そんなあなたの成長した姿を見ることが出来て・・・・幸せです・・・」 エリザベート「・・・・もうすぐのご辛抱です、全てが終わったら、また笑いあえる日々が返ってくるでしょう。そしたら、もうあなたは苦しむことはない。ワシが、ワシの仲間たちがあなたを毎日笑わせてあげまする・・・!!」 そういって、飛び出し変身ツールを構えて、一斉に叫ぶ! 「「「「変身!!」」」」 本当の仲間と出会い、強くなった。 本当に心と心を通い合わせることが出来る仲間が出来た。 それが今、ヘルズの心を本当に強くしていった・・・! メルク「暁くん!!」 通信機器に連絡が入る。すると昴に代わって真夜の声が聞こえる。 真夜「暁君ですか?真夜です!!」 アイオーン「真夜さん!?」 真夜「方法は一つだけあります!!ヒュプノスを封印するための方法が!!」 アイオーン「本当か!?」 真夜「私の持つ神器、“シャイニング・トラペゾヘドロン”。これをヒュプノスの心臓部に直接放ち、封印します!!異次元のかなたまで吹き飛ばしますので、もう二度と復活はできません!!」 ナパーム「・・・・そんなのあるなら最初から使えばいいのに」 メルク「下手に使ってそれすらも取り込まれたらどうするのさ」 シルヴァン「その前にあのデカブツの動きを封じないとな!!」 アイオーン「・・・出来るさ!!方法はある!!」 ヘブン「・・・根拠はないですけどね、でも、今までだってここから奇跡を起こしてきた私たちですもの!!」 ボルダ―「ああ!!理屈じゃない心の力でどんな困難も乗り越えてきた!!」 セドナ「必ずできる!!自分自身を、仲間を信じる限り!!」 ジーク「そうさ!!絶対にできる!!」 その時だった!!! 8人のアルコバレーノの持っていたパスがそれぞれまぶしい光を放ちだしたのだ!! アイオーン「なんだ!?」 そしてパスが浮かび上がり、銀色、水色、緑色、金色、赤色、橙色、藍色、紫色、8本の光がそれぞれのライダーから光の柱となって噴き出したのだ!! そしてそれが一本となり、巨大な光線となるとヒュプノスの胸を焼き貫くと、ヒュプノスがこれまでにない断末魔の声を上げて胸が左右に開き、中から赤い肉の塊がせり出される!!そしてそこに埋もれるように…銀髪の痩せこけた少女の無残な姿があった! ヘルズ「姉上様!!」 アイオーン「この力は・・・・!!みんな、これはこのパスに宿っていた俺たちの心の輝きの力だ!!俺たちが持っている心の輝きの力を、今、開放するんだ!!」 星 俺は・・・誠実!!! 今まで回り道ばかりしてきたような気がするけど、この手で守ると誓った絆や仲間、愛する人、全てを守ると誓った約束は必ず守りとおす!! ジーク(星)「俺の誠実よ、光り輝けっ!!」 凛 俺は・・・勇気!! 暁がいつも俺たちを助けてくれた。だから俺もお前を助けられるようになりたいと思った。友達を守れるために強くなりたい、自分を信じ友達を守れる勇気が・・・!! シルヴァン(凛)「俺の勇気よ、輝け―――――――――っ!!」 昴 ボクは知識!! アンデッドの戦いで生き残るための。自分だけが助かるための知識じゃない!!ボクを信じ友達として受け入れてくれた仲間たちの為にもっと知識が欲しい!! メルク(昴)「ボクの知識、光り輝け―――――――――っ!!」 穏 私は希望!! 両親が死んで一人ぼっちでフランスから日本に来た時、あいつらが受け入れてくれて心の居場所が初めて出来た!ずっと続いてほしい!!それが私の希望!! ナパーム(穏)「私の希望、輝け―――――――――――!!!」 アリス アタシは純真!! 暁が好き!!みんなで笑いあえるこの世界が、この町が、みんなが大好き!!!誰一人傷ついてほしくない!!何があっても守りたい!!! ボルダ―(アリス)「アタシの純真、輝け―――――――――――――――!!」 マリア 私は友情!! 私があれだけ勝手なことをしていたのに、それでも私の帰りを信じてくれた仲間たち。その熱い思い、私の心に熱く刻んでいる!! セドナ(マリア)「私の友情よ、輝け――――――――――っ!!」 ヘルズ(エリザベート) ワシは矜持!! これまで何があっても両親や姉上、そして仲間たちと誓い合った絆やつながり、それを妨げるものは誰であっても許さぬ!!この信念最後まで貫こうぞ!! エリザベート「ワシの矜持よ、輝け―――――――――――――っ!!」 アイオーン(暁)「クリス・・・!俺はお前や仲間たちが俺を信じてついてきてくれた。だから何度転んでも迷っても立ち直ることが出来た。お前らのこと、すごく大切で、いとおしく思える。これが俺の本当の心の輝き・・・・愛情」 ヘブン(クリス)「私は貴方に憑依した時から、私をイマジンとしてではなく、家族として受け入れてくれた貴方の優しさに触れて、嬉しいことや楽しいこと、かけがえのない多くのものを得られた。この優しさは貴方が私にくれた…宝物です!」 アイオーン(暁)「俺の愛情よ!!!」 ヘブン(クリス)「私の優しさよ!!」 「「光り輝いて、闇を打ち払え―――――――――――っ!!!」」 アイオーン「天華無敵(てんかむてき)!!」 「「「「「「「「神竜冥獄陣(しんりゅうめいごくじん)!!!!」」」」」」」」 一枚のカードと八つのパスが光りだし、それがヒュプノスをとらえて動きを封じる!! 最強の結界封印技、神の龍のごとく、光輝く心が光となって邪悪なものを封じ込める!! ヘブン「今です!!!」 ヘブンが飛び出し、翼を広げて心臓部に向かうと、そこからイングリッドの肉体を引きずり出した!! イングリッドの肉体を抱きしめて、地面に降り立つとそこへフレアがやってきた。 フレア「・・・・ここから先はアタシの出番だぜ・・・!!」 アイオーン「フレア!?」 フレア「あのデカブツを異世界のかなたまで吹き飛ばしたっていつ再生するか分からない。なら、アタシのフルパワーの炎で焼き尽くして、二度と再生出来ないようにしてやるぜ!!聖なる炎を操る聖女最強の封印技、神威焔(かむいのほむら)でな!」 アイオーン「そんなことしたら、お前の体は!!」 フレア「・・・放っておいてもアタシは死ぬ。それならよ、最後に、死に花くらい咲かせやがれ」 ヘルズ「フレア!!お主・・・・!!」 フレア「・・・・・姫さん、情けない顔してるんじゃねえよ。アタシさ、二度目の人生、あんたと一緒に生きてこられて、すごく楽しかったぜ?戦いばかりで気が休まる暇もなかったけどよ、心から信頼し合える仲間たちに出会えて、一緒に生きてこられて・・・幸せだった。だから、最後に、恩返しさせてくれよ。このまま朽ち果てていくところ、あんたには見せたくねえんだ。アタシは・・・最後まで派手にクライマックスじゃなきゃよぉ・・・」 フレアが涙を流しながら笑う。いつもの強気な笑み、しかしそれは仲間に向ける最後の笑顔。マリアも、アリスも、セレスも、そんなフレアの笑顔を見て、涙を流していた。 フレア「アリス!!マリア!!セレス!!お前ら本当に手がかかるどうしようもないバカばっかりだったけど、お前らみたいなバカとつるめて、アタシ、最高に幸せだったぞ!!お前らと会えて・・・本当に良かった!!」 そしてフレアの全身に炎が噴き出し、それがやがて白く透き通るような美しい炎に変わる。それが羽のように広がり、まるでその姿は…天使のように美しかった。 フレア「・・・・もし生まれ変わることがあれば、また、お前らと一緒にいたいな・・・。ありがとう、アタシと一緒にいてくれて・・・・ありがと・・・・」 そして一気に飛び出し、心臓部に飛びつくと吠えた!! フレア「真夜!!今だっ、アタシごと、こいつに必殺技ぶちこめぇええええええええ!!」 真夜「そんな・・・そんなの出来ないよ・・・!!だって、あなた、どうして・・・!!」 真夜が涙をこぼしながら必死で止めようとするが、フレアが叫んだ。 フレア「バカヤロウッ!!!!お前がそれでどうするんだよっ!!!!こいつが動き出したら、この世界が、この世界で生きる人たちが死んじまうんだぜ!!!そうなる前に、こいつを仕留めろ―――――――――――っ!!!!お前にだって、守りたい人がいるだろうが――――――――っ!!!失いたくない居場所があるだろうが―――――――っ!!!そいつらを守れ!!!お前にしか守れないものを、守れ――――――っ!!!」 その言葉に目を見開く。 真夜(・・・・蒼真、翠ちゃん、メイ。ごめんなさい、私・・・・・やります!) 涙を流しながら両手を構えると光り輝く立方体のような結晶が浮かび上がる。 内部に煮えたぎる混沌の宇宙、アザトースの庭を数多の平行宇宙によって封じた窮極の武装。打ち抜いた相手をこの中へと封じる無敵の技。 真夜「光り輝きし混沌の宇宙よ、アザトースの庭よ、罪深き迷える罪人を取り込み、永遠の眠りなき白き闇へと導きたまえ!!!!!シャイニング・トラペゾヘドロン!!!」 真夜が放った結晶が心臓部に直撃する!!! 聖「やめろっ、やめてくれっ、いやぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 聖の断末魔が響き渡り、やがてヒュプノスも声のあらん限り叫ぶと、その体が白く美しい炎に包まれ、骨も残さずに激しく燃え上がる!!!そしてその体が結晶の中に分裂しながら取り込まれていく!! フレアはその中で、消えていきながらも、最後に・・・笑った。 フレア「・・・・ありがとう・・・・バイバイ・・・・・」 そして赤い羽根が一枚舞い上がり、やがてその姿が・・・・飲み込まれて消えていった・・・。 ヘルズ「・・・・フレアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」 ヘルズが慟哭し、その叫び声をも飲み込んでいく。 そして光がやむと、そこには・・・・・。 赤黒い闇が消え去り、青く透き通る青空が広がっていた。 まるで何事もなかったかのように広がる平和などこまでも続く時の砂漠。 凛「・・・・終わったのか・・・?」 昴「・・・・みたいだねぇ」 穏「・・・・・・心臓に悪い」 イーズ「・・・勝った、勝った!!勝ちました!!」 アンジェリカ「・・・ああ!!」 冷牙「・・・・終わったんだな」 流水「・・・うん」 雷斗「・・・・・うん」 それは平和だったあのいつも見慣れていたはずの時の砂漠。 守った。守り抜いたはずだった。でも・・・。 暁「・・・・フレア」 暁がアリスたちのところまで行くと、そこでは、力なく座り込んでいたアリス、マリア、セレスの姿があり、エリザベートも赤い羽根を握りしめて、呆然と座り込んでいた。 暁「・・・・・」 すると、アリスが暁に向き直る。 アリス「・・・暁、フレア、最後まで笑ってた。アタシたちと一緒にいられてよかったって・・・・」 そしてマリアも暁に顔を向ける。 マリア「悲しむなって、でも泣きたいときは思い切り泣いて、明日からはいつものバカな私たちになれって。泣かせちまって悪いって・・・」 だから、といいかけて、二人が涙を流して口が動かなくなる。 それを見て、暁が・・・二人を抱き寄せた。 暁「・・・あいつ、最高の仲間だよ。お前らのこと気遣ってくれたんだな。なら、思い切り泣きな。泣きたいときは泣いていいんだ。俺も一緒に、泣くから、さ・・・!!」 そういうと、暁に抱きついて、アリスとマリアが声の張り上げんばかりに泣き出した。 暴れているような、叫んでいるような、暁にしがみつき、服をもみくちゃにしながら、思い切り泣き出した。 アリス「フレア―――――――――ッ!!フレアッ、フレアッ、フレアぁあああああああああああ・・・・・ああああああああ・・・・!!」 マリア「フレアのバカァアアアアアアアアアアアアア!!バカッ、バカッ、バカッ、バカァアアアアアアアア・・・・・・ああああああ・・・・・!!!」 セレスはクロキバを抱きしめて、いつもの優雅さなんて感じられないほど、思い切り泣き出していた。 セレス「フレアぁあああああああああああああああ!!嫌だ,嫌だ、いなくなっちゃうなんて・・・・もっと・・・一緒にいたかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!フレア、フレア、フレアっ、うわああああああああああああああああああああああああああああああああん!!」 クロキバ「・・・うむ・・・うむ・・・!!」 エリザベートが掌にあった赤い羽根をみて涙が零れ落ちた。 いつも自分を叱咤していたあの気の強い笑顔。 いつも自分を励ましてくれたあの強気な言葉。 もう聞くことはできないけど・・・・。 自分をこれからもずっと見守ってくれる。 そう言ってくれているようで・・・。 エリザベート「・・・フレア・・・うう・・・・・大義である。ワシの…最高の仲間よ・・・・あああ・・・・うう・・・」 地面をたたき、涙をぽろぽろと流し、静かに泣き出した・・・。 勝利を収めたはず、でもその代償は…あまりにも大きすぎた。 続く |
鴎
2012年04月23日(月) 19時46分55秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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p2SNwn I really like and appreciate your post.Really thank you! Cool. | -20点 | Article submission | ■2012-08-07 08:53:23 | 91.201.64.7 |
かなり遅れましたけど、ここいらで感想を出させてもらいます。 まずは、感想返信に対してのコメントです。 フェザー(アスレイ) 「なるほど、『ジーク・イカロスフォーム』の名の由来になったのは【鳥人戦隊ジェットマン】の『ジェットイカロス』からですか。何気に納得がいきますね」 暁(アスレイ) 「…穏と昴……自業自得だ。普段の自分達がやっていることを良く反省しろ#」 エンヴィー 「だから貴女のその悟りきった態度が気に入らないのよ! 絶対に度肝抜かしてあげるから、覚悟しなさいよね、『大友 翠』!! それとアベルさん、けんかを売ってくるのなら、上等ですわ!! 貴女を足蹴にしてでも『大友 翠』にじゃふんと言わせて挙げます!!」 カヴォー 「…すまんが、俺の設定とところがないのだが、それは確かめたのか? …それはそうと『大友 暁(ヘブン)』よ。貴様が俺の前に立つというのならば、例え妹分の実兄であろうと俺の“進む道”の礎となってもらおう。既に戻ることができない“道”を進んでいるのだろうからな……。 カブキちゃんだったな。特に君が気にすることではない。目にゴミが入っただけだ……」 ツムギ 「メイさん。こちらこそ、よろしくお願いしますm(_ _)m」 続いて、《バカテスト》の珍回答に対してのコメントです。そういうわけだから、指名された二人、よろしく♪ エンヴィー&カヴォー 「「了解(ですわ)」」 *第一問 ・空条 穏の回答についてのコメント エンヴィー 「…まさに、犯罪者ならではの回答ですわね…;」 カヴォー 「翠(W)の言うとおり、一生できるか、そんな憲法」 ・大友 暁(ヘブン)の回答についてのコメント カヴォー 「……どれだけ、精神的にまいっているんだよ、オイ…;」 エンヴィー 「…ここまで来ると、あきれを通り越して同情してしまいますわね……;」 *第二問 ・大地 昴の回答についてのコメント エンヴィー 「ふざけるんじゃありませんわっ!!/// どれだけ下品な考えをお持ちなのですか!!?/// それはそうと、私の写真をどこで手に入れたんですかっ〜〜〜!!!!?」 カヴォー 「さっき、翠の奴が爆走しながら大地のところに向かって行ったぞ。 自業自得だ。覚悟を決めとけよ」 ・新海 凛の回答についてのコメント エンヴィー 「……苦労してますわね」 カヴォー 「とりあえず、頑張れ」 こんな感じです。それでは続いて、今回の話の感想ですけど…… 暁(アスレイ) 「……フレアさん……見事な最後だったぜ……」 クリス(アスレイ) 「…同じ女戦士としても、尊敬できる最後だったと思います。…どうか、安らかに……」 クロキバT世 「…来世に、転生したセレス殿達に会えることを心から祈っておるぞ……」 明久(電王) 「…姉御肌の良い人だったね……」 雪奈 「…惜しい人が亡くなってしまったね……」 翠(アスレイ) 「…無事に『ヒュプノス』を壊すことができても、これじゃあ、素直に喜べないよね……」 モモタロス(明) 「…後味が悪いもんだぜ……」 シャナツネ 「…まったくだな……」 カグヤ 「…とはいえ、まだ完全に終わっていないらしいからね。悲しんでる暇もないって言うらしいから、なんとも言えないわね……」 星(アスレイ) 「…だな。今回の話でイングリッドの奴があのクソシスターに利用されていたって言うことが分かったし、あのクソシスターの“後ろ”に強大な“何か”が居るってことが今迄の話で語られているからな。油断も安心も出来ないぜ…」 フェザー(アスレイ) 「…ですね。真なる決着をつけるためにも、悲しみに慕っているわけには行きませんね…」 真夜(アスレイ) 「助け出したイングリッドさんの肉体に、あの外道の残留思念か何かが宿っている可能性がありますし、どうすべきかを考えなければなりませんね」 蒼真(アスレイ) 「まったくだな。しかし、なんだかんだで今回は大活躍だったなお前(真夜)」 真夜(アスレイ) 「あ、アレは【ヘブン】の私がやったことで、私自身がやったことではありません/// …そ、それに……フレアさんのことも……」 冷牙(アスレイ) 「自らを犠牲にしたフレアさんの為にも、頑張っていかないとな」 流水(アスレイ) 「だね。【ヘブン】の僕達、諦めずに、頑張っていきなよ!」 電 「…ある、意味、ラスト、スパート!」 イーズ(アスレイ) 「今回の話で一番の見せ所だった各ライダーの“心の輝き”による封印術! これ以外にも何かありそうですし、色々と楽しみです♪」 プライ 「俺の死についても、気になるところがあるからな。残り4話でどんな話が語られるのやら……」 それでは、今回の感想は以上です! 残り4話がどんな感じになっていくのかが気になりますけど、大団円であることを望みます♪ それでは、どうか今後も…… 一同 『頑張って面白い小説を書いていってください! それと、フレアさんのご冥福を祈ります……』 〜……時と次元を越え……己の限界をも超えて、いざ参る!!〜 |
50点 | 烈 | ■2012-04-29 12:46:51 | i114-189-62-120.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 30点 |