仮面ライダーヘブン 第47話 |
第47話 「ヒュプノス事件」が終決を迎えて早3週間…。 季節は夏真っ盛り、日差しが強く照りつけ、山岳地帯にある星見市内に山の涼気を含んだ涼しく緑の匂いがする夏の風が吹いていく。夏休みを迎えても暁はルシファーズハンマーの隊長として、「ヒュプノス事件」の事件経過を書類にまとめたりクリスたちが出した退職届の撤回及び復職の手続きにと、毎日が大忙しであった。そしてようやく仕事をひと段落させて、自宅のリビングのソファで横になって寝ていた。タンクトップにショートパンツといったラフな服装は最近寝間着になりつつある。胸元を大きく広げたタンクトップを時折バタバタ仰ぎながら、風を取り込んでいる。 暁「・・・もう夏か。もうすぐ夏休み、そうか、確かあの事件が始まったころはまだ春だったのに・・・・そうか、あれだけの事件が4カ月の間でしかなかったのか。早いもんだ」 思い出すだけで何年間もやってきたような気がする。不思議な感覚を感じながら先ほどまで作っていた事件の経過をまとめていた書類を思い出す。 しかし、暁はあの結末に対し、どうにもしっくりこない何かを感じていた。 ヒュプノスは消滅した。 しかし、神代聖の存在が消滅したという確証がどこにも得られなかった。 まず、死体がどこにも見つからなかった。 それだけで、あの性悪極悪シスターが生き伸びていない確率などない。 そして所持していた神器「ナイアルラトホテップ」の存在がまだ見つかっていない。 つまり聖がもしまだ所持していたら、ヒュプノスを見切って逃げのび、まだ悪だくみを考えている可能性が高い。油断は出来ない。 まだ、何かが起こりそうな気がして、ならない。 暁「・・・・とりあえずは寝るか。最近全然寝てないし・・・ふわぁああ・・・」 黒髪をほどき、瞳を閉じて、うつらうつらと眠気が襲いそのまま意識が途切れた・・・。 それからどれだけの時間が経っただろう。 淡い花の香りとともに、暁は目を覚ました。 暁「・・・ふにゃあ?俺、抱き枕なんて持ってたっけ?」 皮膚に触れるシーツの感触、そして腕には暖かく柔らかい抱き枕のような感触、顔をうずめて匂いを嗅ぐと奇妙に心地よくそのまま眠りたくなってしまう。 暁「・・・・・うー、気持ちいいなあ。こりゃいいわ」 寝るということは暁にとっては唯一心が安らぐ時間。普段のバカばかりやらかすトラブルメーカーな友人たちや最近誘惑の過激さが日に日に増してきておりいつ貞操を奪われるか分らないサバイバルな女の子たちに囲まれて心休まる時がない暁にとっては寝るということは唯一「平和」を感じる瞬間だ。まだぼんやりとした眼で抱き枕を確かめるように撫でる。熱を帯びたある部分を触ると、鼓動をわずかに感じる。 暁「・・・・・・・・あれ?」 「・・・・ん・・・・・ん・・・・あぅ・・・・暁くん・・・・」 悩ましげな声が聞こえて、目を開き、シーツを取ると・・・。 マリア「・・・あ、おはようございます、暁くん」 腰まで伸ばした黒髪に青いメッシュを編みこんだ、あどけない顔立ちをしている青い瞳の美少女、マリアが黒く薄いベビードール一枚のみの姿で暁の隣に横たわっていた。 自分がさっきまで顔をうずめていた部分・・・マリアの胸の部分であることを確認し、急速に頭の回転が目覚める。 暁「何やってんですかぁああああああああああああああああああああああ!!!!」 薄い黒い布越しに見える白い肌、むき出しの肩にかかる黒髪、そして青い瞳が妖しく蕩けていてちろりと舌をのぞかせる。 マリア「・・・・イタズラ・・・・しちゃいました」 甘くとろけるような声は花か毒か。いつにない強烈な誘惑に暁は腰を抜かして後ずさる。 暁「いいいいいいいいたずらって、あんた、なんばしよっとぉおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 しかし後ずさりしようとすると・・・・。 むにゅっ 後頭部が何か柔らかいものに埋まった。例えて言うなら人肌ほどの暖かさのつきたての餅。そして恐る恐る振り返るとそこにはまさしくそれがあった。 アリス「・・・うにゃー、暁ぅ・・・」 暁「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!」 恐れていた最悪の事態、アリスも小麦色の健康そうな肢体にたわわに実った豊かな果実。それを包んでいるのはこれまた赤いベビードール一枚のみの官能的な姿、さらに大きな切り込みで胸元を強調しており、目の前にある胸から頭を取り、暁が飛び退き、後ずさり、ドアを開けようとするがなぜか開かない! 暁「何でだよ、何で開かないんだよ!!」 しかし次の瞬間。 ドサッ 暁「うにゃああっ!!」 背中に何かかぶさり、暁はうつぶせに押し倒されるように冷えた床に倒される。振り返ると、そこには、暁に馬乗りになるように水色のベビードールに身を包んだ輝く銀髪をなびかせた端正な顔立ちの美少女、フレスベルグイマジンが変身した銀髪の少女クリスの姿があった。暁を見下ろし、今までに見た事のない蕩け切った笑みを浮かべて妖しく微笑んでいた。 暁「クリスぅうううううううううううう!?お前、何やってんだっ、とうとう頭イカれましたかぁああああああああああああああああ!!?というか、降りろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 クリス「・・・イカれた?ふふふ、そうかもしれませんねぇ、でも、それは、暁のせいですよ?暁が私たちを暁のことを好きにさせすぎたから、おかしくなってしまったんですよ?」 アリス「そうだよ、暁はアタシたちをおかしくした」 マリア「そろそろ、年貢の納め時かもしれませんよぉ?」 蛇が樹木に絡みつくように、クリスとアリスとマリアが暁に身体を擦りよせてゆっくりと近づく。そして動けなくなった暁を光が一切消え去った蕩けた瞳(いわゆるヤンデレのような目つき)で暁の正面にクリス、右側にアリス、左側にマリアがもう甘く熱い吐息が、心臓の鼓動が伝わるくらい密着して甘くとろける声でささやく。 クリス「もう、逃がしませんからね・・・」 アリス「アハハハー、暁、食べちゃうぞ」 マリア「うふふふふ・・・可愛いです」 暁「ちょっ、やめ、ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!」 ガターーーーーーーーーーン!!!! 気がつくと、激痛が背中に走る。目を覚ますと、そこは・・・授業中のいつもの見慣れた教室の光景。そこで、数学の女性教師が呆れたように椅子から派手に転げ落ちた暁を見下ろしていた。 暁「いってぇえ・・・・・・・・!!」 教師「大友君、ひどくうなされていたわよ。私の授業はそんなにうなされるほどひどいものなのかしら?」 暁「・・・え?夢?ああ・・・・・そう、また、こういう夢か。はあ・・・・・本当に情けない・・・・・」 暁がどよーんと全身に黒い闇がかかったかのように激しく落ち込み、虚ろな瞳で地に伏す。 教師「え、あ、その、大友君?先生、その、いつもはしっかり授業を聞いてくれるのに、どうかしたのかなって気になっただけで、その」 暁「・・・・先生申し訳ありません。もう、俺ダメです。ちょっと、廊下で頭冷やしてきます・・・・」 そういって、ふらふらとおぼつかない足取りで教室を出ていく姿は非常に弱弱しかった。その姿を見て、幼なじみ3人組も気が気でなかった。 昼休み。 屋上でいつものように集まった4人組は昼ごはんを食べながら、意気消沈している暁のことで話題が持ちきりであった。 暁「人生相談のマエストロ、凛先生、俺、どうなっちまったんですか?」 凛「・・・・・どうしたらいいの間違いじゃねえのか?」 暁「どういうことだよ」 昴「あのさあ、いつまで自分の気持ちから逃げ続けるつもりなの?」 穏「・・・・・・・・いつまでも鈍感なふり、良くない」 凛「お前が言えないなら俺が代弁してやろうか?お前・・・好きな女出来て、どうしたらいいのか分らなくなっているんだろう?」 暁「!!!!!」 どうやら・・・図星だったようだ。 昴「ここ最近ボーっとしていることが多いし、何て言うかうわの空だよね」 穏「・・・・最近盗撮や覗き、セクハラしてもお仕置きする前に脱力して未遂に終わっている」 凛「そういうこった。ここ最近お前マジでやべぇぞ。ロクに寝てないんじゃねえか?下手すりゃ一日中ぶっ通しでサボって寝ていることもあったしよ」 暁「・・・・・・マジですか」 昴「というか、もうそこまで我慢する理由が分からないよ」 穏「・・・・・・・というより、もうただの意地っ張り」 凛「まあ、弱い自分を見せたくない、常にクールでかっこいい自分を見せたいというプライドも過ぎるとプレッシャーになって、お前押しつぶされるぞ。どうして心に従わない?拒む理由も諦める理由もないはずだろう?」 暁「・・・・・そうなんだけどよ」 昴「何がそんなに恥ずかしいのやら。星くんなんて見てみなよ。同じ天童家の血引いているわけなのに、一日中フェザーさんとイチャコラチュッチュッしていてさ、マジリア充爆発しろって感じじゃん」 穏「・・・・・・・・殺したいほど妬ましい。幸せそうにいちゃついているカップルなんて皆死ねばいい」 凛「女としても人間としても最低な発言はするなよ」 暁「・・・こういうの、どうしたらいいんだよ。俺、こんなに人のこと好きになって、どうすりゃいいのかまるでわからないなんてよ」 昴「・・・君の場合さ、複雑に考えてどうこうできるほど、頭いいわけじゃないんだから。ましてや、恋愛に関しては小学生よりもひどい超初心にして恥ずかしがり屋のヘタレ。考えるよりももう先に行動しちまえばいいじゃん」 暁「ずいぶんメチャクチャ言ってくれるな、おい!!」 凛「言い方はきついかもしれないけど、俺も同感。暁、お前さ、お前が誰かのことを好きになって告白してうまくいって、恋人ができたとするよ。それで今の関係が壊れるとか考えているんじゃねえか?」 暁「・・・・・なんで、分かったんだよ」 凛「お前のことだ。一人のことを選んで周りのみんながこれまでどおりに行かなくなることが怖いんじゃないかってな。確かに、色々と変わることはあるかもしれない。でも、それを恐れて、誰とも付き合わないなんて、そっちのほうが失礼なんじゃねえのか」 穏「・・・・・・・・そんな身勝手な思いに振り回されるほうがよっぽどひどい。自分の惚れた張ったは、自分の心で決めろ」 昴「・・・それに、このくらいで壊れるようなうちらじゃないだろ!」 そういって、昴たちがそれぞれパスを取り出す。緑色、赤色、黄色の光が暁に目を覚まさせるようなまばゆい光を放つ。 昴「うちらは、いつだってこのパスで結ばれているはずだぜ。何があっても強い絆で結ばれている仲間だって」 穏「・・・・・お前一人が苦しむな。付き合うことになった女の子だって同じように苦しむ。それなら二人でその苦しみを分かち合わないでどうする。それで、同じ幸せを分かち合うものだ」 凛「・・・そういうこった。お前の心にもう答えは出ているんだろう?それなら、今すぐにでも思いを伝えにいけよ!迷う前に行動、それがお前のいいところだろうがよ」 凛が大人びた笑みを浮かべ、暁の胸を小突く。昴が悪戯っ子のように笑みを浮かべ、穏がニヒルな笑みを浮かべる。それだけで、これまで抱えていた何かがはじけていくような気がした。 いつもふざけてばかりいるけど、こういうとき、必ずそばにいてくれる。 一歩踏み出す勇気をキツい言葉とともに蹴り飛ばし、前へと進ませてくれる。 いつだってこの4人は、熱く固い絆で結ばれている「仲間」なのだ。 暁「・・・・・・・悪い、俺、急用思い出した。学校サボる!!」 指を鳴らすと上空から銀色の光が飛び出し、マシンフレスベルグがジェットモードで到着し、それに乗り込む、ハンドルを握り締めると、暁が笑顔で手を振った。 暁「・・・いってくる!!ありがとな!!」 そういって、銀色の光を放ち見えなくなっていた・・・。 凛「・・・フラれちまったか。途中で逃げ出したら承知しねえぞ・・・」 空のかなたに消えていったマシンフレスベルグを見つめて、凛が優しく笑みを浮かべる。 その瞳に何かきらりと光るものが流れ落ちる。 その時だった。 ドクンッ 凛の胸が大きく鼓動し、凛が苦しそうに胸をかきむしりながら激しくむせるようにせきをする。 凛「ぐ・・・がはっ・・・!!」 昴と穏が慌てて座り込んでいる凛に駆け寄る。 昴「お、おいおい、どうしたんだよ!?」 穏「・・・・・大丈夫か」 凛「・・・あ、ああ、悪い、ちょっとタバコの吸いすぎさ」 しかし顔色は悪い。青くなった顔で汗が噴出し、無理して笑っているが、普通には見えなかった。しかし凛は制止を振り切って、屋上から歩き去っていった。 昴「・・・あいつ、大丈夫かな」 穏「・・・・・・あとでまた、あいつの家にいってみる」 昴「失恋のなぐさめもあるしね。それはそうと、穏、君が言っていた例の件、どうするの?」 穏「・・・・・良たちに頼んでみたら、オーナーもOKしてくれた。それでこれからデンライナーで向かってくれるって」 昴「・・・・まだ気になることがあるわけだ」 その時だった。 パラリラパラリラ〜パラリラパラリラ〜!! 空間から線路が飛び出し、そこから銀色の車体に大きな赤いフロントガラスをつけた巨大な電車、デンライナー・ゴウカが飛び出してきた。 昴「よっしゃ、来た来た!」 穏「・・・・何もなければいいけど」 昴「目的地は?」 穏「・・・6年前の12月24日」 昴と穏が乗り込むと、デンライナーが6年前の12月24日を指し、光のかなたへと消えていった・・・。 廊下の踊り場、そこで、凛が壁を背に胸を押さえながら静かに座り込んだ。呼吸も荒く、全身から汗も噴出して、顔色も青白くなっている。 凛「・・・くそっ・・・・何でだよ。押さえ込んできたと思っていたのに、ヒュプノスさえ倒せばお前も消えるんじゃなかったのかよ・・・・!!」 憎憎しげに鏡を見る。 すると、そこに映っている姿を見て、凛の顔色が怒りと苦痛でゆがむ。 凛「・・ああそうさ、お前は俺が生み出した。いや、俺とお前は一心同体、ひとつの体に二つの心が生まれちまった。お前、散々人の意識がない間に、好き勝手やってくれたよな。分身を何体も作って、ヒュプノスまで出しやがって。でもお前の計画は全部失敗だ。それなのに、まだ、何かやるつもりなのかよ・・・!!」 鏡を見たとき、もう一人の“自分”が、唇の端を吊り上げてにやりと笑った・・・。 その頃。 繁華街、花屋の前で暁は一人、真剣に花を見ていた。 暁「・・・ここはストレートに熱血の赤色のバラか・・・って馬鹿、恋愛に熱血関係ねえだろっ!!ユリは・・・・首折れるとかいうジンクスあるんだっけ?というか、どういうのが好きなんだ?」 その時だ。 「あっちゃあ・・・こりゃ駄目だ。ボクちゃん、先輩そっくりで物事力任せに後先考えないで行動するから。見てられないって。昴ちゃんに頼まれたし、仕方ないよね」 光り輝く玉が暁の体の中に飛び込む! すると、水色のメッシュが宿り、眼鏡をかけた暁が登場する・・・! そう、デンライナーからウラタロスが助っ人として暁に憑依し、暁の一世一代の告白の手伝いにやってきたのだ。(報酬はフォーシーズンズとのお茶会プレミアムチケットと昴主催の合コン招待券<憑依は星くんとか勝手に使ってよし←ひでぇ>) U暁「・・・さてと、恋愛一年生のボクちゃんに、どんなプレゼントをあげたら喜ぶか、僕がレクチャーしてあげようか」 暁(・・・・・・・すみません、お願いします、師匠) デンライナー内 モモタロス「だはははははははははははははは!!!あいつ、小学生だってもう手つないだりマセたことしてるのに、それすらも恥ずかしくてできねえって!!ぎゃはははははははははははははは!!」 キンタロス「情けないやっちゃな。うちが一発張り手かまして気合入れなおしたろかい」 モモタロス「おう、やったれやったれ熊公!あいつを男として鍛えなおしてやれ!!!」 昴が暁のことを思い切り話したせいで、モモタロスは大爆笑、キンタロスは呆れて話を聞いていた。リュウタロスは興味がなさそうにお絵かきをしていた。 リュウタロス「それでそれで、お姉ちゃんたちはどうして過去に行くの?」 穏「・・・・・・この間のヒュプノス事件の経過を書類にまとめるんだけど」 昴「6年前に起きた事件のことでちょっと引っかかることがあってさ」 穏「・・・・暁が転落事故に遭った事件」 昴「どうも引っかかるのさ」 良「・・・引っかかるって?」 昴「これはあくまで暁くんが言っていたことだから、なんとも言えないけど。暁くんが誰かを守るためにあそこまで自分を危険にさらし続けるようになってしまったのって、あの時起きた転落事故で、犯人に言われた言葉がきっかけだったろ?」 「ほら見なさい。人は生まれてから・・・死ぬまでずっと一人だ。あの子も、こうなるのよ。あの子だけが幸せになるなんて許せない。そして、お前にも同じ苦しみを与えてやる・・・」 昴「この時の言葉がそのままなら、おかしいのさ。こうなったことで、凛や暁くんが幸せになれるはずがないだろ?それにこの事件、神代聖という人物はボクたちの行動をまるで先回りするかのように図ったように動いていて、結果、ヒュプノスをよみがえらせるためのエネルギー源としてボクたちを戦わせていた。暁くんがヘブンとして戦うきっかけとなったあの事件だってまるでそのことを予測して戦いを仕向けていたように見えるの。これだけの大事件を陰から長い間ボクらを監視し続けていたかのように先回りする行動といい、何か引っかかる・・・」 そして、車内アナウンスが響き渡る。 「まもなく、到着致します。お降りのお客様はお忘れ物のないようご注意ください」 6年前 星見市。 穏と昴はクリスマスイブでにぎわう繁華街を探索していた。 昴「こうしてみると、本当に時の運行を守っていたって感じがするね」 穏「・・・・・過去にこうしていけるというのもある意味慣れない」 その時だった。 昴「あれ?ね、ねえ、穏」 穏「・・・どうした」 昴「あの、玩具店!!あそこにいる女の人!!」 そこにいるのは、笑顔で店員と話している女性。その朗らかな笑顔は、一見どこにでもいるような人好きのする笑顔のお姉さん・・・しかしその人物を知っている二人は目を見開く。 白銀鏡子。 あの「ホワイトレディ」として、殺人クラブの一人として暴れまわったあの殺人鬼。 しかしあの殺人鬼の姿がまるで嘘のように、穏やかな笑顔を浮かべプレゼントを抱えている姿に二人は違和感を感じていた。 昴「・・・・カメレオン、頼むよ!」 メダルアニマルを取り出し、カメレオンを生み出すとジャンプしながらその姿を透明化させて鏡子のコードのフードの中に収める。その後、二人を追跡するように後を追う。 雪がちらつくクリスマスイブの夜。 追跡中、昴はカメレオンに装着していた盗聴器を、穏は盗撮用モニターがつながっている眼鏡型ゴーグルを装着し、後を追っていた。 穏「・・・・透視」 すると、プレゼントの中身が透けて見え、中には当時流行っていたスーパーカーのプラモデルが入っており、中に入っている手紙を見て二人が驚く。 「暁くんへ いつも凛と一緒に遊んでくれてありがとう。いつも私たちにご飯を作ってくれたり色々と世話を焼いてくれてありがとう。実は私は、しばらく、凛や暁くんに会えなくなります。もしかしたら二度と会えなくなるかもしれません。私は・・・悪いことをしました。今まで警察から逃げ回って黙っていれば気がつくことはないと決め込み、今日まで逃げ延びてきました。ですが、君に出会って、君にいつも優しくされて、私は自分がやってきたことがどれだけひどいことをしてきたのか知り、もう逃げることができなくなりました。しかし、その時は凛をお願いしたいのです。私が自首するということは、私に長い間ひどいことを命令し続けてきたあの母親、白銀円をも道連れにするということなのですから。実は私はあの母親から命じられて、人殺しをしてしまいました。母親は殺人クラブの一人「ホワイトレディ」と名乗り、他の4人とともに殺人、強盗、悪いことをたくさんしてきたのです。ですが、警察に目をつけられたあの女は、凛を殺されたくなければお前が自分の代わりに人を殺せと命令してきたのです。私は妹を守るためにやりたくないことをやらされてきました。あの女はもし私が自首したと知れば、確実に凛を殺すでしょう。凛には前もって話しておきました。もし何かあったら暁君を頼れと。ですので、このプレゼントに入っている手紙を見て、すぐ、凛を家から連れ出してください。私は警察に自首します。もうこれ以上凛を危険な目に遭わせないためにも。お願いします。 白銀 鏡子」 昴「・・・・・どういうことだよ、これ!」 穏「・・・・あいつは殺人鬼じゃなかった?どういうこと?」 そして尾行しているうちに、因縁のあの団地までたどり着いた。 盗聴器を最大限にして声を聞く。すると、そこから声が聞こえてきた。 それは悲鳴だった。 「り・・・りん!!!これは、どういうことなのっ!!?どうして、おかあさん、こんなふうに・・・・!!」 「・・・・・ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」 「・・・な、何がおかしいのっ!!」 「・・・こんなやつ、いきてるかちなんて、ないよ。ふふふふっ、あはははは、そう、げすであろうとも、かみはひとしくてんへとみちびいてくれる」 「り、りん、あなた、どうしたのよっ!!」 「あなたも、じぶんのつみを、つぐなうときが、きたのよ。さやかがいってるよ。わるいやつは、みんな、じごくにおちるべきだって」 「さやか・・・?誰なのそれは!?」 「・・・それはわたしですよ。せいかくにいえば、りんというしょうじょが、うみだした、もうひとりのりん。それがわたし、かみにかわり、せいなるさばきをくだすもの、なまえは・・・かみしろさやか、とでもいいましょうかねえ」 「・・・かみしろ、さやか!?」 「ええ、わたしはりんからうまれた。りんはこれまで、ははおややちちおやからあまりにもひどいぎゃくたいをうけてきた。じぶんからいのちをてばなそうとするまでにおいつめられていた。でも、かのじょはおもったのです。どうしてじぶんがこんなめにあわなければならないのか。どうして、じぶんはふつうにいきたかっただけなのに、こんなひどいしうちをうけなければならないのか。だれもたすけてくれない、ひとりぼっちのまま、しんでいくのが・・・いやだと!!そのとき、わたしがうまれたんです。あなたはなにもわるくない、わるいのはあいつらなのだと。あいつらがいるかぎり、わたしはいつかころされる。それなら、やられるまえに・・・やってしまえと」 「・・・そ、そんな・・・!!」 「あなたもしになさい。もうすぐわたしのなかまもくる。そう、わたしのともだち、ゆいいつこころからしんらいできるあいするそんざい、さとるも、おまえをころしにくる。おまえを、ころす。だって、わたしのいうこと、なんでも、きいてくれるんだよ?」 「い・・いやああああああああああああああああああ!」 6年前の暁「ちーっす、メリクリー・・・って、な、なんだよ、これ!?」 「た、たすけて、さとるぅ!!おねえちゃんが、おねえちゃんがあっ!!」 「あ・・・あはははははははは・・・あはははははははは!!ころされてたまるものかあっ、ころされるまえにぃ、ころしてやるぅうううううううう!!!」 グシャアアッ!!! そこで音声が途切れた・・・。 穏「・・・・これって・・・!!」 昴「・・・・ヤバすぎ・・・・・だよな」 穏「・・・それじゃあ、まだ事件は!!」 昴「・・・・終わってない。その上、神代聖の正体は・・・!!」 そう、あの事件は。 神代聖が仕組んだものだった。 そう、神代聖と名乗る、あいつが仕組んだこと。 昴「急いで戻らないと!!」 穏「うん!!」 二人が急いでデンライナーに飛び込み、運転を促した・・!! 同時刻 現代。 ルシファーズハンマー事務室内。 トレーニングを終えてクリス、アリス、マリアが話しながら部屋に入ってきた。 クリス「ルーベットさんからいただいた“ヘブンズランス”、なかなか使いこなすのは大変ですね・・・」 アリス「あたしだってサファイアからもらったこのガントレット、銃弾をイメージして攻撃しろっていってもなかなか難しいよ〜」 マリア「私はもう筋肉痛です・・・。あの斧重すぎですよぉ。トパーズさんも容赦ないですし・・・」 そう、新しい武器を使いこなすためにトレーニングをしていたのだ。クリスはルーベットから、アリスはサファイアから、そしてマリアはトパーズからそれぞれ与えられた新しい武器のトレーニングで毎日が過酷な修行の日々だった。 すると、事務所内には、凛がいた。 クリス「あれ、凛?今日は非番では?」 アリス「アタシたちこれから休みだよー!どこか遊びにいこうよー」 凛「・・・・ああ、そのつもりで呼んだんだ。くぅちゃん、アリス、マリアさん、あんたたちに来てほしいんだ。暁が、呼んでいる。伝えたいことがあるって」 マリア「・・・暁くんがですか?」 凛「・・・・ああ、頼めるか?あいつ、ヘタレだから俺に言伝頼みやがってさ」 クリス「分かりました。すぐ準備しますね」 そういって、3人がロッカールームに消えていく。 凛「・・・ふふふふ、ふふふふふ、さてと、ヒュプノスをつぶしてくれたおかげで、しばらくは私も好き勝手動くことも出来なくなりましたねぇ。でも、暁くん、貴方にも地獄を見てもらいますよ」 「ずっと長い間お前の事を見ていた。お前の背中を追い続けてきた。だから分かる。お前が何をされれば一番苦しむのか」 凛「・・・・貴方には右目をつぶされたルシファーの頃からどうやって苦しめて苦しめて殺してやろうか・・・考えに考えてきました。そして今回、まさか昔の私に好意を抱いている友人として転生しめぐり合えるなんて・・・。これも神の思し召し・・・」 「・・・・もう回りくどいまねはやめた。暁、お前のこと、粉々に・・・・」 「「壊してあげる」」 凛の声に、狂気が漂う不気味な声がかぶる。 そして鏡を見ると、凛の姿に・・・あの狂気に支配されたシスター、神代聖の姿がかぶって見える。修道院服を着込んだ、あの狂った金色の瞳を光り輝かせる化け物の姿が・・・凛に変わった・・・!! 凛「・・・暁、全てを奪ってやる。そして、壊れて空っぽになったら・・・俺のものにしてやるよ・・・ふふふふ・・・あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」 月の光に映し出された神代聖。 その正体は・・・新海凛!! 狂気に支配された怪物が、今、最後の戦いに動き出した・・・!! 続く!! |
鴎
2012年05月06日(日) 21時22分34秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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