仮面ライダーヘブン 最終話 |
過去を持たない、他者の記憶がなければ実体化すら出来ない虚ろな存在の少女がいた。 最初は彼に憑依し、頭の中に流れ込んでくる命令通り彼の願いをかなえ、『過去』に飛び、時間を滅茶苦茶にし、自分にとって都合のいい世界を作る―そんなこと興味もなかったが自分自身がいつ消えてもおかしくない虚ろな存在であることで、自分自身は何なのかと悩んでいた少女に、少年は手を差し伸べた。 暁「おれのねがいをいうぜ。おれの・・・かぞくになれ!!」 フレスベルグイマジン「家族・・・?何だ、それは?」 暁「かぞくか・・・。うん、いつもいっしょにいて、ごはんたべて、おふろはいって、うれしいことがあったらいっしょにわらって、かなしいことがあったらいっしょにないて、そして、いっしょにいるととてもうれしくなってたのしくなるものだよっ!」 フレスベルグイマジン「・・・・・私に・・・・家族に・・・なれと・・・?」 暁「おうっ!!お前、おれにひょういすればきえないんだろ?じゃあ、おれのかぞくになれよっ!おれ、おまえみたいにきれいでやさしそうなおねえちゃんなら、だいかんげいだぜ!!」 フレスベルグイマジン「や、優しそうで綺麗って・・・!!あ、貴方ね、私みたいな得体のしれない化け物家族になんて・・・するものじゃないわよ。自分が何なのか、それすらも分からないのに」 そういうと、少年は少女の顔を見て、まっすぐな瞳で答えた。 暁「お前は誰なのか?お前はお前じゃねえか。他の何にもなれないお前だろ?そして、俺の・・・かぞくだっ!!」 少女は驚いた。砂のような身体を持つこんな怪物に、自分がこの世界で最も虚ろな存在であることに悩んでいた少女に、少年は手を差し伸べた。 自分は自分であること。 そして、自分を家族の一員として受け入れてくれる得体のしれない温かく優しい気持ち。 こんな気持ちは初めてだった。嬉しかった。だから、思わず少女は彼の手をとっていた。 暁「おまえのなまえは?」 フレスベルグイマジン「・・・名前はない」 暁「そうかー、うーん、それじゃあ、お前、水晶(クリスタル)みたいに綺麗な羽しているから、今日からお前、“クリス”な!!俺はそう呼ぶぜ!!」 フレスベルグイマジン「・・・・・クリス?それが、私の名前・・・?」 名前で呼ばれる。 それも初めてだ。そして自分がこの世界にいる存在のあかし。 そしてこのとき、彼女は「存在(いばしょ)」を得た。 一人の少年が満面の笑顔でくれた。 貴方は私に居場所をくれた。 だから私も貴方の心を、ずっと守り続ける。 最終話 周辺のビルは瓦礫の山と化し近くのビルも吹き飛んだ瓦礫の余波を受け、半壊し辺りに濛々と黒雲を上げながら炎を立ち上らせている。もうこの廃墟と化した工業団地内は戦場と化していた。無数のサーベルタイガーファンガイアの大群が中心の工事現場で戦っているナイアルラトホテップのもとへ駆けつけようとしているのだ。 そしてそれを迎え打つは・・・。 ヘブン・ヴォルファスフォーム「・・・・大軍でお出ましか。血がたぎるぜ、久々に派手に暴れたいってなあ!!」 ヘブン・トーライフォーム「・・・ここから、先は、誰も、通さない!!」 ヘブン・ヴォルファスフォーム「・・・行くぞぉおおおおおおおおおおおおお!!」 ヘブン・トーライフォーム「おう!!」 神風をまとった蒼いオオカミが戦場を駆け巡り、そのたびに切れ味抜群の風の刃で粉みじんに異形が崩れ落ちていく。さらに銀色の稲妻を宿した戦鎚を振り回す強力の巨人が暴れまわり、踏みつけられ、殴られ、粉砕していく!! ヘブン・チューンフォーム「さーてと、これはちょっと本気ださないとアレかなあ?」 メルク「あったりまえっしょ、もし負けたら奥さんとのラブラブタイムどころじゃないんだから」 ナパーム「・・・・・うちらが頭まで下げたんだ。負けたら、生き返らせてもう一度殺す」 ヘブン・チューンフォーム「・・・あー、さいでっか。まあ、任せておきなよ。こういう状況であきらめてたら、一家の長はつとまらないっしょ!!」 メルク「うちらも、本気でいかないとね。穏、準備はいい!?」 ナパーム「・・・・・全弾薬フル稼働、いつでもオーケイ」 紫色の水流が銃口に集まり、魚人の王が静かに構える!! そして、金色の重量系生物の王が斧を構え、紅蓮の昆虫類の王が全身の重火器をフル稼働させるべく全砲門を展開する・・・!! ヘブン・チューンフォーム「スプラッシュキャノン!!」 メルク「オレイカルコスバスタァアアアアアアアアアアアアア!!!!」 ナパーム「クリムゾンクリメーショォォオオオオオオオオオオオオオオン!!!」 水流が、無数の金色の剣が、灼熱の火炎弾が見下ろす敵に降り注ぎ、着弾し吹き飛ばし、粉々に打ち砕いていく!!! 『脆弱なる下等生物がぁっ!!!!地に伏し我の強大なる力の前に恐れおののけばよいものをぉっっ!!!』 巨大な邪神の拳が振り下ろされるより先に二人はすかさず散開して回避し、拳は空しく地面に巨大な凹みを作るだけに終わった。 『至高の存在たる我に刃向かうなど許さん!!』 邪神の怒りは怒髪天など通り過ぎていた。怒りの雄たけびを上げるたびに瓦礫が振るえ突風が吹き上がる。 アリス「そりゃこっちのセリフだぜ!!」 マリア「こっちこそもう大概ブチキレてるんですよっ!!」 そして、十字槍に水の力が宿るとバリアを張り、無数の光線を弾き飛ばし、そのまま一気に前足を切り裂く!!! アリス「あたしは・・・・あんたのそんな顔が見たいんじゃない・・・・いつでも強気で・・・まっすぐで・・・どんなピンチからも逃げない・・・・それでいて優しくて見るだけで心が・・・ほわっとするような・・・笑顔が・・・いつもの・・・強気な暁が・・・・大好きなんだよ・・・?」 いつか、あいつに対してそういった気がする。今でもその気持ちに変わりはない。 むしろもっと強くなっているかもしれない。 誰かが言っていた。 アタシの強さの源は「純真」、つまり、「けがれも嘘いつわりもないまっすぐで清らかな心」。 アタシは今、あいつよりも強くなりたい。あいつのそばであいつの強さをいつも感じていたい。拳を振るうたびに、力がついて、技を身につけて、それで強くなっていくだけじゃない。あいつといつか全力で拳と拳を叩き合わせてお互いに全力で戦いあえたら分かりあえる気がするんだ。 だから守りたい!! あいつの笑顔も、居場所も、大事な人たちも!! そのために、アタシはもっと強くなる!!! 『塵も残さず消えろぉおおおおおおおおおおおおおお!!』 二本の腕から無数の稲妻が天へと登り、数秒の時間差の後黒雲に吸い込まれた巨大な稲妻が雨となり二人を悲鳴さえ許さず容赦なく焼き払う。これで勝負は帰したと誰もが思うだろう。だがその予想は瓦礫の中から息切れを起こしながらも這い上がる二人の影に呆気なく敗れた。 ジーク・イカロスフォーム「ちょっとばかりヤバかったかもな、今のは」 ヘブン・ファングフォーム「全くだぜ。まあ、避ければ何てことはねえが」 『何故だ・・・!?何故我の力が効かない!?我はかつて世界を支配し古の神、邪神、混沌の王なるぞ!!?なぜ、なぜ、我の力がお前らのような脆弱な下等生物ごときにぃいいいいいいい!!?』 暁「さっきからうるせぇな。お前が神であろうともう関係ないんだよ。ぶっ飛ばすことはもう決定済みなんだからな!!」 星「一人の少女を利用するだけ利用して、世界滅ぼして、人傷つけて、ほくそ笑むような下種野郎に負けてやる理由も慈悲の心も持ち合わせちゃいねぇんでね」 暁「・・・とはいってもかなりきつくなってきたぜ」 星「超必殺技とか思いつかねえのかよ?」 暁「格闘ゲームじゃねえんだぞ、そう簡単にいうな!」 『おのれぇええええええええええええええええ!!』 異形の怒りの咆哮が響き渡り、二人が吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる!! ヘルズ「今の雄たけびは・・・!?くっ、ここで後れを取るわけにはいかないようじゃな」 イングリッド『エリザ、落ち着いて。焦りは油断を生み、勝機を逃すわ。黒幕は彼らに任せ、貴方はこの大軍の進行を阻止することに全力を尽くしなさい!』 ヘルズ「・・・・承知!!」 吸血鬼の女王がイングリッドからの通信を聞き、ヘルズアローを展開すると、漆黒の闇が巨大な矢となって集まり、一気に放たれる!!無数の矢が敵を射抜き、突き刺し、打ち倒す!! ヘルズ「・・・暁、このワシが裏方として働いてやるのじゃから、告白する前に死んだり、おじけづいて逃げたり承知せんぞ・・・!!」 そして、背中から黒い蝙蝠の翼を広げて右足をつきだすと、黒い闇をまとって巨大な槍と化したヘルズが大量の敵をなぎ倒していく!! ヘルズ「ダークネス・ライダァアアアアアアアアアアアアアッ、キ―――――ック!!」 地面に蝙蝠の紋章が刻み込まれ、空中にサーベルタイガーファンガイアが舞い上がり粉々に吹き飛ぶ・・!! 暁「プレデターだろうと何だろうと、関係ないよ!!!マリアさんが危ないんだろっ!!?だったら、俺は何があったって助けるに決まってるだろ!!!!マリアさんは・・・俺の大事なダチなんだよっ!!!尊敬している人なんだよっ・・・!!俺にいろいろと大切なものを教えてくれた、姉さんみたいな人なんだよ・・・!!あの人のこと、俺は嫌いになんてなるはずないし、ならない!!!」 私の正体を知っても、彼はそう言ってくれた。 暁「あの人の笑顔、見てみたい。すごく優しい笑顔するんだ、みているこっちまで幸せになれるような。だから、いつまでも曇ったままじゃなくって、笑っていてほしいな」 いつもそう言って、私を元気づけてくれた。 私を「心の友」と呼んでくれて、慕ってくれて、ついてきてくれた・・・。 生きることに希望が見えなくなって絶望し、堕ちこんでばかりいた私を彼が最後まであきらめずに探して、見つけ出して、暗い闇から引きずり出してくれた。 だからこそ、私もこたえたい。貴方の優しさに甘えるだけじゃなくて、同じ対等の心友として、お互い信頼し合って生きていけるようになりたい・・・。 クリス「そう、私たちはいつだって、貴方の背中にあこがれてついてきた」 アリス「いつか乗り越えたいと思った」 マリア「そして貴方の隣に常にいたいと心から願っている」 暁「・・・・ここで負けてられねぇよな!!」 星「・・・ああ、そろそろショーもお開きにしようぜ!!フェザー!!次の一撃で全て決めるぜ!!!」 フェザー「はい、星!!」 そうだ、ここで一気に決着をつける!!! 『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』 その時だった!! どこからか無数の光る刃が飛び出し、それがナイアルラトホテップの全身を縛り上げる!!あがこうとすればするほど、刃が食い込み、外れない!! 見ると、それは・・・凛の関節剣であった!! 暁「凛!!」 凛「・・・暁!!!一気に決めろぉおおおおおおおおおおおおお!!俺がこいつを抑えている間に、早く―――――――――っ!!!」 暁「バカ、無茶するな!!!!お前、危険すぎるぞ!!!」 凛「・・・・いいんだ。それに、これは俺なりのケジメだ。なあ、暁?落ち着いて聞いてくれよ?俺さ・・・」 もうすぐ、死ぬんだ。 その言葉は一瞬時を止めた。 凛「・・・・・・・・病気なんだよ。もう3カ月もつかもたないかって医者に言われた。今年の初めのことだ。俺は、このまま死にたくなかった。殺人鬼として血まみれになったままで、望んでもない運命にて抗うこともできないまま、俺は死にたくなかった。その時だ。俺にシルヴァンの聖なる力が宿ったのは。お前と会う前から仮面ライダーやってて、結局やっていることは殺して殺して殺しまくって何一つ変わらないことだらけだったけど、お前と出会って俺が自分の償いのためじゃなくて、誰かの命を守るために戦うことができるってお前は気づかせてくれた。だから、どうせ死ぬなら、何もできないまま後悔にまみれて死にたくねえ。全部を受け入れて罪を償う覚悟を決めてから・・・逝きたい。だから、頼む。虫がよすぎるかもしれねぇけど!!もう一度だけ、お前の仲間として、戦わせてくれ・・・!!」 突然の告白。 その言葉を、暁が頭を思い切り殴られたような気がした。 暁「・・・・・嘘だろ?マジ・・・なのかよ・・・・?」 凛「・・・・昴と穏は気づいているようだ。だから、残りわずかな時間の間、俺が望むようにバカやって、俺を励まし続けてきてくれた。でも、お前には話せなかった。怖かった。お前に話したらお前がいなくなっちまうような気がして・・・・!!」 凛が涙をこぼしながら、重くつらい告白を告げる。 だからこそ、これまでとは違う仮面ライダーシルヴァンとして、変身ができた。 自らの死を知り、残された時間、長年付き合ってきた友達を守りたいと思う強い心が聖なる力に触れたのだ。 これまでの間違った自分自身の罪から逃れるための償いではない、自分の罪と向き合い正面から乗り越えていくために、自分自身を止めるために彼女は最後の戦いを選んだのだ。 暁「・・・・・・・バカ野郎・・・・!!!!」 涙を必死でこらえて、暁が十字槍をふるって攻撃しながら後ろにいる凛に向かって呼びかける。 暁「・・・・・残りどれだけ一緒にいられるのか・・・・分からねえけど、お前が悪夢を見るのは今日までだ。俺がこれから、お前に見せるのは、トラブルとバカだらけの毎日だ。覚悟決めておけよ。だから・・・・今、死ぬな!!絶対生きて全員で帰るぞ!」 凛「・・・・俺、本当にお前にあえて良かった。お前と友達になれて、心から・・・・なのに・・・・裏切って・・・ごめん・・・・!!!」 暁「・・・・後は任せておけ。行くぜ、この悪夢を、終わらせる!!!」 そしてお前に見せてやる、この世界、絶望だけじゃないって。 お前に楽しいもの、たくさん見せてやる! だから、ここで、絶対に死なせない!! メルク「暁くん!!」 ナパーム「暁!!」 ヘルズ「間に合ったようじゃの!!!」 入口からメルク、ナパーム、ヘルズが乗り込んできた!そして、メルクが凛の近くに駆け寄り、鎖をつかむ!! メルク「凛のバカ!心配したんだからね!!!もう二度と、勝手に死のうとするな!!!」 ナパーム「・・・・・・死ぬ前に、まだ、お前には出来ることがある!!これ!!」 そういって、緑色のライダーパスを投げ渡す!!それを凛が手に取り、まじまじと見つめる。 ヘルズ「凛!!!お主の中の勇気はまだ生きておるじゃろう!!今こそ、友を守るために本当の勇気を奮い立たせてみせよ!!」 凛「・・・・ああ!!行くぜ!!変身!!」 凛の姿が仮面ライダーシルヴァンとなり、全てのアルコバレーノが集結した! 『そ・・・そんなバカな・・・・何故・・・何故我の・・・・思い通りにならない…!?』 メルク「ざけんなよ、目玉オヤジ!!!あんたなんかの思い通りになるほど、世の中甘くねえんだよっ!!!あんたなんかにうちらの友情、壊されてたまるか!!」 ナパーム「お前が神だろうと誰だろうと、うちらの大事な居場所を、仲間を、奪わせはしない・・・!!」 ヘルズ「悪しき神よ、お主は悪行が過ぎた。一切の慈悲など期待するな、ワシらに刃を向けたこと、思う存分後悔するがよい・・・!!」 暁「・・・お前ら、行くぜ―――――――――!!!!」 そういうと、9つの光が立ち上り、やがてそれが十字槍と銃に集結し、極彩色の光がまぶしい光を放って集まりだす・・・!! ジーク(星)「俺の誠実よ、光り輝けっ!!」 シルヴァン(凛)「俺の勇気よ、輝け―――――――――っ!!」 メルク(昴)「ボクの知識、光り輝け―――――――――っ!!」 ナパーム(穏)「私の希望、輝け―――――――――――!!!」 アリス「アタシの純真、輝け―――――――――――――――!!」 マリア「私の友情よ、輝け――――――――――っ!!」 ヘルズ(エリザベート)「ワシの矜持よ、輝け―――――――――――――っ!!」 暁「俺の愛情よ!!!」 クリス「私の優しさよ!!」 「「光り輝いて、闇を打ち払え―――――――――――っ!!!」」 ヘブン・ファングフォーム「天華無敵(てんかむてき)!!」 ジーク・イカロスフォーム「劫火絢爛(ごうかけんらん)!!」 「「「「「「「「竜凰冥獄陣(りゅうおうめいごくじん)!!!!」」」」」」」」 巨大な光り輝く竜が、不滅の炎をまとった不死鳥が舞い上がり、巨大な邪神を飲み込んだ・・・!! 『ば・・・バカな・・・この我が・・・滅ぶというのか・・・・こんな脆弱な下等種族に・・・滅ぼされるというのかぁああああああああああああああああ・・・!!』 神々しい炎の竜巻が邪神のすべてを焼き尽くし、塵ひとつなくこの世から消し去っていく。 そしてその存在が・・・この世から完全に消え去った・・・。 暁「・・・・俺たちの縄張りに手を出した。それが・・・お前の最大のミスだ」 そういって、全員の変身が解けると、そのまま、地面に倒れこんだ・・・。 そして空を見ると、そこには・・・・。 夜明けを告げる赤い太陽と紫色の宵闇が混じり合う美しい空が広がっている。 暁「・・やっと・・・終わったか」 昴「・・・もう、二度とやんねえぞ、こんなしんどいの」 穏「・・・・・・・かなり、疲れた」 クリス「・・・でも、こうした疲労も心地よく感じられますよね」 アリス「・・・うにゃ〜、うちら、守り抜いたんだな」 マリア「・・・ええ、守りました。それに、全員無事です」 凛「・・・・・・・・・・・・・・・・・暁、皆」 凛が倒れこみそのまま、泣きそうな声で言った。 凛「・・・・・・・・・・・・ごめんなさい、それと、助けてくれて、ありがとう・・・・・」 もう耐えきれない。涙が零れ落ち、あふれる涙を止めないで凛が謝罪の言葉とお礼をいう。 そして、ふと、口調が変わり、再び告げる。 聖「・・・・・・・・・私も出来るなら、貴方達のような仲間にもっと早く会いたかった・・・・本当に・・・・申し訳・・・・ございません・・・・・」 そして、再び凛に戻る。 暁「・・・・・・もういいよ。お前は自分自身にもうしっかりとケジメはつけた。これ以上泣き言はいらねぇよ・・・」 その時だ。 そこへワゴンが駆けつける。中からアンジェリカとイーズが出てきた。 アンジェリカ「・・・全員無事で何よりだ!!」 イーズ「冷牙さんたちも無事です!!!」 暁「・・・そりゃ何よりだ。それじゃあ、とりあえずは・・・医務室まで連れて行ってくれねぇか・・・?もう、マジ全身痛いし、眠いし、マジ勘弁・・・」 それが最後だった。 全員が一気に崩れ落ち、安らかな寝息を立てて意識がブラックアウトした・・・。 アンジェリカ「・・・しかしこれだけ安らかな寝顔だと、さっきまで暴れていた連中とは思えないな」 イーズ「まだまだ高校生ですから」 アンジェリカ「・・・ああ、そうだったね」 そういって、二人が車の中に8人と2体のイマジンを入れると、音を立てて走り出す。 朝焼けの光が彼らを祝福するかのように照らしていた・・・・。 その後、彼らが再び目覚めたのは、3日後のこと。 時同じくして世界中で発生していた無数のサーベルタイガーファンガイアの大群を倒していた晶たちが突然サーベルタイガーファンガイアが一体残らず消え去り、そして、そのことで、暁たちの勝利を確信し、日本に戻ってきたのは、その翌日のことであった。 そして今回の事件の黒幕に関する報告。 それは・・・。 慧「・・・まさか、ナイアルラトホテップが黒幕だったなんて」 晶「古代の神が神代聖を使って世界を滅ぼそうとしていたのか・・・。なるほど、神様なんて会ったことないからその力は未知数、何があってもおかしくはなかったってことか」 暁「・・・ああ、黒幕はナイアルラトホテップと神代聖、そして、二体とも、俺たちが打ちのめした。報告は以上だ」 慧「・・・・了解。報告、確かに受け取った」 晶「・・・お疲れ様、暁くん。これまで、本当にありがとう・・・苦労ばかりかけて・・・すまなかった・・・」 暁「・・・・・・ありがとう。今度休み出来たら温泉にでも行こうぜ。父さん、母さん」 慧「・・・・うん、そうだね」 晶「・・・・うん!」 そういって、謁見の間を出ると、提出した書類を見て、暁は苦笑する。 そこに、新海凛に関することは・・・一切記載されていなかった。 彼女がこの事件にかかわっていた証拠品も、全て、いつの間にか消えていた。 (実際は暁が処分した) 暁「・・・あーあ、俺、不正やっちったよ。まあ、後悔はしてねえけどさ」 あくまで、犯人はもうこの世にはいない。 そう、自分自身に言い聞かせて、暁は静かに立ち去っていく・・・。 そして。 病院の一室、静かに凛が眠っていた。横では昴と穏もいる。 穏「・・・・今、眠ったところ」 暁「そうか、それじゃまたお見舞いに来るか」 昴「あ、そうだ。暁くん!凛から伝言」 暁「・・・・・何だよ?」 昴「・・・告白の結果、どうなったかって」 穏「・・・・もうあまり長くは待てないって」 暁「・・・・そうか。そうだよな。うん、分かった」 そういって、病室を静かに出ようとする。 昴「・・・頑張れよ」 穏「・・・・健闘を祈る」 二人の声が背中を押し、暁は「おう」と答えると、出て行った。 病院を出ようとすると、そこには、エリザベートがいた。 暁「エリザ、お前も来てくれたのか」 エリザベート「・・・・まあな。それに、お主に情報を伝えにきたぞ」 そういって、エリザベートが静かに一枚の写真を手渡す。 暁「・・・これは?」 エリザベート「・・・・あやつら3人がこの町のガイドブックを見ている時、ここに注目しておった。もし告白されるなら、ここでされたいとな」 暁「・・・・海が見える公園」 そう、この町の名物ともいえる海が見える公園。そこからは美しい夕焼けが見えるという絶景のポイントであり、二人で告白し、愛を誓い合い、広場にある「祝福のベル」と鳴らしたら、永遠に幸せになれるというジンクスがあるというのだ。 エリザベート「・・・告白するならムードも必要じゃろう。ほれ、ついでに持っていくがよい」 そういって、赤いバラの花束を手渡すと、エリザベートが優しく微笑む。 エリザベート「・・・行ってこい、頑張れよ、暁」 暁「・・・・お前のこと、クソババアなんて言ってたこと、訂正するわ。すみません」 エリザベート「クソババアか・・・。クククッ、別に構わぬ。今までそう呼ばれたこともないでな、呼ばれなくなったらお主との口げんかもなくなる。楽しみが減ってしまうではないか。ほれ、生意気抜かしてないで行って来い、小僧」 暁「・・・へっ、そうかい!ありがとよ、クソババア!!」 そういって、暁が走り出す。 エリザベート「クソババアと言うでないっ!!!・・・くくっ、このやり取り、楽しいのぉ・・・」 そういって、走っていく暁の姿を見て、エリザベートは優しく微笑んで見守るのであった。 エピローグに続く |
鴎
2012年07月09日(月) 23時59分30秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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……最終話の更新がここまで早いとは思いませんでしたけど、二ヶ月分と考えれば納得がいきます。それでは、ラストの感想を出させてもらいます♪ 暁(アスレイ) 「最終話の最初に語られていたのは、【ヘブン】の俺とクリスの出会いについてだな」 クリス(アスレイ) 「…“イマジン”ですから、存在的に虚ろであるというのは否定できませんし、そのことで色々と考えてしまっておかしくないですよね(苦笑) こういった彼との出会いというのも確かに会ってもおかしくないですし、色々と悩んでいたあっちの私を彼が“家族”として受け入れ、“自分”という“存在”に“意味”を与えてくれたと思うと、《平行世界》でも嬉しいものですね…///」 暁(アスレイ) 「……幼い頃とはいえ、《平行世界》の我ながら、恥ずかしい台詞を言いやがって……///」 明久(電) 「…あははは(苦笑) でも、暁らしいといえば、暁らしい感じだよね」 雪奈 「【ヘブン】の方だと、ご両親が殆ど家に戻ってこないことが多かったみたいだし、だからこそ、一緒に居てくれる“家族”を求めても仕方ないよね」 翠(アスレイ) 「あっちの僕は別のところで暮らしていたって感じだしね。…本当に、一体何が理由で別の場所で生活させていたんだか……」 【ヘブン】の暁と翠が離れて暮らしていた理由があるのなら、そのことを詳しく教えてください。 イージス 「しっかし、どうみても、最初に“契約”を結んだ時における会話から、【ヘブン】のクリスは【ヘブン】の暁のことが好きになっていたみたいですね」 色々とした意味で恩人であり、間違いなく惹かれていたようですからね。間違いないでしょう。 冷牙(アスレイ) 「ンでもって、ラストバトルの舞台である工場の外では、『ナイア』の奴が生み出したらしき『サーベルタイガーファンガイア』の軍団がかなり現れて、【ヘブン】の俺らを始めとしたメンバーが殲滅に廻されていたのだった」 流水(アスレイ) 「後、昴ちゃんと穏ちゃんがね。ボス(本体)を護る為に集まってきたようだけど、だからって辿り着かせるほどバカじゃないわな♪ ……それにしても、あっちの僕もちょっと大変そうだな……(苦笑)」 電(アスレイ) 「…とは、いえ、負けられない、状況、であり、絶対に、生きて、帰らないとな!」 モモタロス(明) 「一方の工場内の方では、かなりの戦いが繰り広げられているな。しかも色々と熱い展開だぜ♪」 シャナツネ 「それなりに苦戦はしているようだったが、何気に邪神の方が焦っているところがなんとも言えんな〜…(苦笑) 自分の思い通りにならないという状況が、何よりも不愉快だということなのだろう」 カグヤ 「色々な意味で自業自得ね。例え神様でも、何が起こるか分からないからこそ、《世界》はどことなく面白いと思えるものだもん。誰か一人の都合よく動くなんてありえないわよね」 そして、何気に【ヘブン】の暁君のヒロイン三人が暁(ヘブン)に対しての思いを強く心から思っているところが出ていますね。こういった感じは私も好きです♪ 礼(アスレイ) 「やれやれ……我が孫ながら、本当にモテルもんだな〜。そんないい子達の思いを無視しないように、頑張れよ、【ヘブン】の暁!」 蒼真 「……それにしても、凛ちゃんが病気とはな……。しかもその病気のおかげで『仮面ライダーワイバーン・ビショップフォーム』から『仮面ライダーシルヴァン』になることができたって言うんだから、皮肉にも程があるって……」 真夜 「…ある意味、《平行世界》とはいえ、私は凛さんの分身みたいなものだから、このことは、本当に複雑な感じです……」 彼女なりのけじめということらしいですけど、やっぱり生きて償わないといけないと思いますから、色々とやることを少しでも多く探していきましょう……。 星(アスレイ) 「んでもって、仕上げは全ライダーによる合体技で決めたって言うんだから、最高にいいもんだぜ♪」 フェザー(アスレイ) 「“竜”と“鳳凰”によって邪神は滅ぼされた……。ある意味では、『ナイアルラトホテップ』は自身の宿敵である炎の旧支配者『クトゥグア』の怒りに触れたといった感じでもありますね」 確かに、炎の中で滅ぼされたという様子を見る限り、そう見えてもおかしくないですね。 そんでもって、戦いも無事に終わり、全員が見事なまでに夜明けと共にバタンキュ〜状態となり、アンジェリカさんと【ヘブン】のイーズ君に回収されていったわけですけど……その結果が三日間眠り続けたというのですから、なんともいえませんな〜; 礼(アスレイ) 「それはいえているな。しっかし、凛ちゃんのことを考えて報告書には彼女のことを書かなかったっていう辺り、別に気にしなくても良いと思うぜ。 凛ちゃんも長くないらしいし、だったら、残りの命があるうちにやりたいことをやらせてあげるのがベストってもんだろうさ。晶君と慧も、その辺は分かってくれるだろうしな」 イーズ(アスレイ) 「偶にはそういった事をするのも、確かにありですね。組織に所属している者としては、確かに失格かもしれませんけど、友達のことを思う一人の人間としては、正しいとも言える行為だと思います。…誰に告白するのかは分かりませんけど、マリア姉さんだった場合、よろしくお願いしますm(_ _)m」 さてさて、戦いも無事に終わり、今までの事件のケリも、漸く終わりを迎えたわけですけど、【ヘブン】の暁君にとっての、恋の結末はどんな感じになるのかが気になってきます。私としては、このような感じのハッピーエンドでもいいです。……どんなに三流といわれようとも、やはり物語の最後はハッピーエンドで決まりでしょう!! シャナツネ 「それはそうと……あの三人への告白の結果に分かれるというエピローグだが、本当にどのような結果になるのやら……」 カグヤ 「結果がどんな感じのものになるかだけど、全員が満足がいく感じになって欲しいわね」 イージス 「まったくね」 リクエストというものとしては、特にありませんけど、あえて言うのならば、【ヘブン】のクリスとのエンディングは蒼天の空の下における結婚式で、アリスさんとのエンディングは世界一周の武者修行旅で、マリアさんとのエンディングは世界中を旅しながらも様々なことを調査研究していく感じといったところでしょう。何気にあの三人にあっている感じの様子をイメージしてみました。 クリス(アスレイ) 「……なんだか……ものすごく恥ずかしいです…///」 暁(アスレイ) 「…自分のことでないとはいえ、確かに恥ずかしいもんだな……///」 どのようなエンディングを迎えるかは分かりませんけど、全部が良いラストを迎えられることを強く願っています。それでは! 一同 『最後もいい感じ終わることを祈っています! 二年間、お疲れ様でした♪ 今後も、どうか頑張ってください!!』 〜…時と次元を越え……己の限界すらも超えて、推して参る!!〜 |
50点 | 烈 | ■2012-07-10 21:43:10 | i114-189-62-120.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 50点 |