仮面ライダーワルキューレ Mission17
Mission17「消えた神器と黒薔薇絶体絶命の危機」

むせかえりそうな濃厚な草木の匂いが、涼しく爽やかな風に乗って流れていく。清流の流れる音と蜩の鳴く声だけが聞こえてくる静かな世界が窓の外に広がっている。木製造りのお洒落なペンション「アネモス」の一室で、一人の少女が携帯を片手に何か話しこんでいる。シャギーを入れたウルフカットで後ろに一房だけ長いと言った独特の白髪を持ち、黒いタートルネックのノースリーブシャツの上から臙脂色のフードがついたパーカーを羽織り、ズボンを着こんだ一見どこにでもいる、眼鏡をかけた知性的な顔立ちをしたボーイッシュな美少女だ。

彼女の名前は「ギュゼル」。「鋼」の力を司る牛系生物の王たる、グリードの一体である。現在は「鬼島真(きじま・まこと)」という少女の姿に化身している。そして彼女は現在「超高校級の博物学者」として自然界に存在する動物、植物、鉱石、岩石など自然にかかわる森羅万象の研究においては高校生にして世界中の学会の研究者たちに注目されており、彼女が自然に対する知識を体系化した書物や文献、そしてそれをテーマに取り込んだSF小説、ノンフィクション小説など様々な書物は世界中の学者をはじめとする老若男女問わず多くの人々に親しまれている大人気小説家にして超天才美少女博物学者である。

真(ギュゼル)「しかしこうして数百年ぶりに君と話せる機会が出来るとはな。実に不思議な気分だ。それに、君も昔と比べると随分変わった。無論いい意味でね」
メイ『・・・・・私はそんなに変わったのか?』
真「ああ、今の君からは、生きることに希望を見出しているように思えるよ。余程今の環境が、居心地がいいと伺える。実のところ君のことは気にしていたんだ。グリードでありながら自身の欲望に疑問を抱いたり、悩んだりする君は人間のそれに近い存在だと思っていた。でも、それは私とシェオロにとってはそんな君のことは非常に興味深い存在であったよ。そんな君がずっと悩み続けていたらと思っていたが、その悩みと向き合って生きていこうとするその今の君のことを聞いて安心した。シェオロも君のことはずっと心配していたからね、まあ、ちょっと感情表現がエキセントリックで騒々しいのが難点だったが」
メイ『まあ、うるさいと思ったら容赦なく殺るし、あの騒々しさも退屈しのぎの戯れとでも考えていれば悪いものでもないな。10回のうち8回くらいだ、殺意がわくのはな』
真「どうやってシェオロを退屈しのぎの一環で処刑しようと考えることがそう悪くはないと常日頃から思っている君の思考回路もかなり物騒だがね。むしろ君の人格にも問題があるように聞こえるんだが」
メイ『そんなことはないと思うぞ?』
真「・・・・まあ、いい。もうすぐそっちに一度戻るつもりさ。その時、シェオロも一緒に話もしたい。そっちに戻る前に、シェオロを殺したりしないでくれよ?」
メイ『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無理』
真「思い悩んでそれかい!?一体何をやらかしたらそんな悲惨な目に遭うんだ!?」
メイ『2割がた冗談だ、テヘペロ(-.-)』
真「残り8割は本気か!?そんな棒読みで感情一切こもっていないのに茶目っ気たっぷりなことを言ってもむしろ不安を煽っているんだけど!?」
メイ『それより、ゼロが何か妙な動きを見せていると聞いたが?』
真「いきなり話題を強引に変えたか!?君の精神状態とシェオロの生存率がエライ不安要素を残しているのだが!?というか君本当にメイか!?いくらなんでも数百年の間に変わり過ぎだろう!?そんな冗談をいうようなキャラではなかったぞ!?」
メイ『冗談も覚えるさ。そうでもしないとすぐ息詰まるからな。まあ、現実逃避といってもいいんだろうけどね』
真「そんな毎日現実逃避してないとやってられない日常を送っているのかい?!あのね、まぁ、いい。手短に言うぞ。今私は長野県上田市に来ている。実は数日前、この町にある上田城の宝物館から真田十勇士が古来使っていたと言われている武具が10個全部盗まれた。それでな、調べに行ってみたら、その現場にわずかだが、ゼロの気配を感じた。そして、監視カメラのビデオをこっそり拝借して確認したら、間違いなくアイツだった」
メイ『アイツが?しかしどうしてそんなこそ泥みたいなことを・・・?』
真「どうせろくでもないことだろうな。君たちにアベルたちとかいう紛い物のグリードを差し向けたのもアイツのようだし、ここ最近の、君たちの周りで起きている事件はゼロの指示を受けたキールの指示の下で起きたものだ。しかし君たちの善戦のせいで、ゼロも重い腰を上げざるを得ない事態に陥ったのかもしれない。トリニティライダーシステムも、ようやく【ケレスシステム】と【ディオネシステム】に関する碑文の解析が済んで、参考に作った設計書をシェオロに送った。それを察して対策を練るとすると、援軍を作り出すというのが妥当な考えだろう」
メイ『真田十勇士・・・・まさかそいつらを蘇らせるつもりか?』
真「可能性はあるね。それも人ならざる異形の怪物として、だろう。ゼロのヤミーはキールと同じ死者の魂を現世に蘇らせる【死者蘇生(ネクロマンシス)】だが、その死者が生前に思い入れの強い物に魂を吹き込み、キールのようなゾンビではなく、生きている人間とほぼ変わらない状態で完全に蘇生させることができる。しかし、これはこの世における生死の定理を大きく覆してしまうまさしく究極の禁忌だ。下手をすれば古来伝承で語り継がれている【地獄門】を召喚しかねない事態になりかねない。そうなったら、この世界はもう終焉を迎えるだろう・・・・」
メイ『・・・・生きている人間が住む【現世(うつしよ)】と死者が住む【常世(とこよ)】の境界を隔てている異次元の結界【地獄門】か。それが召喚されて暴走したら、全ての理が崩壊し、無に還る・・・・・確か伝承ではそう聞いているが・・・・まさかアイツらの狙いはそれか!?』
真「・・それもどうなのだろうな。第一欲望の化身であるグリードが自身の欲望を満たすために喰らう欲望がある世界をわざわざ自分の手で破壊するなど考えられにくいのだが、もう少し調査が必要かもしれないね。またこっちから連絡する。それじゃ、またな」

そう言って、真が電話を切った。メイは電話をおき、ふうっと嘆息をついた。先ほどの話を頭の中で反芻し、メイの脳裏で思考が展開される。

メイ(確かにキールやゼロの能力【死者蘇生】【反魂】は禁忌の呪術として封印されている代物だ。生半端な術者が使えばその魂を食いつくされて自滅しかねないのだが、あの二人はその禁忌を使いこなしている。しかし、生と死の理を幾度となく覆し続けるということは、その都度代償として何かを消費しなければならないのだが・・・しかしそれを乱用し過ぎると【地獄門】が召喚され、生と死の均衡が崩れ去ったとみなされる。そして世界の均衡を正すために世界中の全てが無に還り、新しい世界が再生される。言い伝えでしかないが、もしそれがゼロの狙いだとしたら?破壊と創造、死と再生、不老不死、全知全能、永劫回帰、不可能と思われているものを支配しようとする途方もない欲望を叶えようとしているとしたら・・・?)

ゼロの底知れない欲望、それはこの世界を全て崩壊させてしまうほどの大いなる力を追い求めているのか?例えそれで世界が崩壊し、自らも滅びることになるとしても、それさえも顧みないというのか。それではまるで世界を道連れに自殺行為をしているようなものだ。しかしそんな破滅を追い求める欲望、つまり「破壊欲(デストルドー)」がゼロの欲望であるとしたら?それならばキールを使って死者を蘇らせる「死者蘇生」を繰り返し行わせているのも頷ける。例えキールがそれをやり過ぎて死者に魂を取り込まれて地獄に引きずりこまれても、全ての破滅と破壊を望むゼロならば、キールの存在など自分を満足させるための玩具でしかない。このままでは、キールは自分が心酔するゼロの思惑に気づかないまま破滅への道を歩んでいくことになるのではないか?そしてゼロは仲間であるはずのグリードまで犠牲にして何を成し遂げようとしているのであろうか。疑問が疑問を呼び、不安にかられていく。メイは煙草をくわえて火をつけると、胸のうちに溜まりゆく不安を吐き出すように白い煙を吐き出した。

メイ「・・・・・・嫌な予感がするな」


一方そのころ・・・。
翠「ふん♪ふふん♪」

翠が楽しそうに鼻歌を歌いながら足取りも軽く生徒会室へと向かっていた。

蘭「翠何だか楽しそうだな〜!」
翠「だってもうすぐプールが始まるんだもん!」

そう、身体を動かすことが大好きな翠にとって、夏の一大イベントであるプールは楽しみの行事であった。

蘭「ああ、そうだよな!夏の始まりはプールで始まり、プールで終わるというくらい、プールあっての夏だもんな!!」
茉莉「そこまで力説するほどのことではないでしょ」
翠「そう、それだよ、蘭!!(●ランチュラアンデッドのように)」
茉莉「同調しちゃうのかよ」
蘭「プールでくたくたになるまで泳いで、家に帰ってみれば・・・机の上には手つかずの宿題の山・・・・まさしく天国から地獄!!そして家族、友人、ありとあらゆる知り合いに泣きついて・・・!徹夜で宿題に取り組んで始業式の夜明けを迎えて・・・・!真っ白になって燃え尽きて感じるのさ!ああ・・・夏の終わりだ・・・いい締めくくりだよなぁ」

これまで一体どういう夏休みを過ごしてきたのだろうか。

翠「・・・いや、ボクそんな夏は嫌だな」
茉莉「・・・・・アホか」
霧子「あ、あらあらまあまあ・・・」

全くである。

霧子「・・・あら?赤薔薇様ですわ。ドアの前でどうされたのでしょうか?」

見ると生徒会室の扉の前で赤薔薇こと蘆瀬朱美が困ったように立ち尽くしていたのだ。

霧子「赤薔薇様、どうかなされたのですか?」
朱美「・・・・こんな張り紙が貼ってあったら、どうしたらいいか迷うわよ」

重厚な雰囲気が漂う扉に「入室厳禁 入ったら殺す 真墨」と筆で力強く書かれた張り紙が貼ってあったのだから。

翠「・・・・一体何をやらかしているの、あの人は」
茉莉「でもさ、何だか入ったらマジでヤバそうな空気が部屋から洩れてるよね」
蘭「・・・うん」
翠「でも、部屋に入らないと仕事出来ないよ」
茉莉「こういう時に、空気が読めないバカに先陣を切らせるのが一番なんだけどね」
蘭「こんな空気さえも読めないバカなんて・・・・・あ!」
茉莉「一人いた!」
翠「生贄にはもってこいのアホウがいたわね・・・・」


そして。
香澄「翠のヤツ、私に挑戦を挑んでくるなんてようやくやる気になったのね。『生徒会室で金属バットを持って貴様を待つ』とは、なかなかの挑戦状じゃない」

空気の読めないバカでアホウな生贄が登場。
そして香澄が何の疑いもなく、扉から発せられる部屋に入りがたいオーラをものともせず、扉に手をかけた。

「きゃああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

香澄の悲鳴が廊下中に響き渡った!陰で隠れていた繚乱会のメンバーたちが顔を出す。

蘭「やっぱり何かあったんだ!!」
茉莉「生贄出しといて良かった・・・」
翠「香澄、迷わず成仏してね。化けて出るなよ」
朱美「香澄ちゅわん!!何があったの、さあ、お姉さまの胸の中に飛び込んでいらっしゃぁあああぁあぁああいっ!!」

傍から聞くと何ともひどい会話である。霧子もどうしたらいいのか分らず、戸惑っている。

そして飛びこんだ生徒会室を見て、翠たちは思わず立ち止った。その部屋の中の光景を見て全身が凍りつくような異様な寒気に襲われ、目が見開いた。
香澄が腰を抜かして座りこんだ先には、異様な光景が広がっていた。

真墨「ハーラミーソ、ハーラミーソ、ソワカー、オンバサラン、ラーマー・・・」

真墨が陰陽師の衣装を着て一心不乱に不気味な呪文を唱えていた。壁には無数の御札が貼られ、変な匂いがするお香を焚き、魔法陣の上には無数の蠟燭に火が灯っていた。はっきり言って、不気味すぎる光景だ。真墨の表情は鬼気迫る迫力があり、目は完全に血走っている。

翠「何やっとるんじゃ、あんたはぁああああああああああああっ!!」

スパ―――――――――――――ン!!
翠がハリセンで真墨の頭を思い切りドツいた。

真墨「結界を踏むな―――――っ!!式神がっ、式神がっ・・!!」
翠「何を言ってるんだ、あんたはっっ!!」

いつになく真墨は取り乱している。

真墨「鬼どもに殺られる前に、悪魔に殺られる前に、運命なんかに殺られる前に、桃の木で作った霊符で奴らに呪いをかけて、皆殺しじゃぁああああああああああああああぁあぁああああっ!!テポドンじゃあああああああああっ!!パトリオットミサイルじゃあああああああああああああっ!!!」
茉莉「ありゃりゃ、こりゃまずいわ」
翠「だぁあああああああああああああああ!!真墨が壊れたぁああああああああっ!?」
蘭「お、落ち着けぇえええええええええええええええっ!!」
朱美「私に任せなさい!このスタンガンで電気ショックを与えれば落ち着くはずよ!」
茉莉「て、それ、改造してるヤツじゃん!!そんなバチバチいってるヤバいヤツなんかでやったらマジで死ぬだろっ!!?」
朱美「ちっ、バレたか。どさくさにまぎれて亡き者にしようと思ったのに・・・!」
翠「アホかぁあああああああああああああああっ!!!」
霧子「ど、どうしましょう、これ・・・・」

ブチンッッ!!!

香澄「あんたたち・・・・いい加減にしなさぁああああああああああああああいっっ!!」

香澄がキレた。ブッツリキレた。香澄が顔を真っ赤にして怒鳴り、全員が驚いて動きが止まった。そして真墨の頸動脈をキュッキュッと締めると気絶させておんぶして部屋を出ていこうとする。

翠「待てよ、真墨置いていけや、何ドサクサに紛れてお持ち帰りしているのよ」
香澄「先ほど廊下での会話、聞こえてましたわよ。自分たちの身の安全のために私をよくも利用してくれたわね。そんな身勝手な奴らなんかに真墨を、私の親友を預けられるものですか!」

その一言は繚乱会のメンバーたちに強大な衝撃を与えた!!!

蘭「し、親友・・・・?」
霧子「あらあら、まあまあ・・・」
茉莉「あ、そうなの?(一人だけ冷静な子)」
朱美「う・・・・・う・・・嘘よぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!何でっ、どうしてっ、香澄ちゅわんと、真墨なんかが、どうしてっ、なんでぇっ、ありえないっ、あってはいけないぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!わ、私というものがっ、ありながらっ、どうしてよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん・・・・・!!!(マジ泣き)」
翠「・・・・・・・・・・・・・・・・・にゃに?」
香澄「つくづくバカだらけですわね、こんなところに真墨がいたら、何されることやら。さぁ、保健室に連れて行かないと!!これで今日は失礼しますわ!」

そう言って、香澄が真墨を連れて生徒会室を出て行った。後に残された仲間達は茫然と立ち尽くしていた。嵐のように次々と信じられない出来事が起こりどうすればいいのか分らなかった。

翠「真墨と・・・・香澄が・・・・・真墨と・・・・香澄が・・・・親友ぅぅうううううううううううううううううううううううううう!?嘘だぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!何で!?どうしてぇえええええええええええええええええええええええええっ!!?」

翠の混乱に満ちた絶叫が生徒会室に響き渡ったのだった。

保健室。
瑛子「相当疲れ切っているな・・・」
美子「うん・・・・・苦しそう・・・・・」

保健室のベットに寝かされた真墨が全身から汗を噴き出してうなされていた。香澄が絞った濡れタオルを額に置いた。そして冷やしたタオルで汗を拭きとっている。3人とも、真墨のことを心配しているのか、悲痛な表情だった。

香澄「・・・・・真墨・・・・・・・大丈夫だからね。何があっても私が守ってあげるからね。貴方は・・・・私の大切な友達ですもの。貴方をここまで苦しめたヤツは・・・絶対に許さない・・・・繚乱会のバカたちなんかに・・・・真墨を渡すものですか。真墨は私の・・・・私だけの大切な・・・・友達なんだから・・・!」
瑛子「お嬢様・・・」
美子「・・・・・・・」

特に香澄は真墨のことをとても大事に思っているため、彼女がこうなったのは繚乱会の面々が原因と思いこんでいるのか、繚乱会を憎んでいるかのような呪詛を吐き出す。そしてその瞳には憎悪と情念が入り混じった黒い炎が噴き出していた。


その夜。保健室でぐっすりと寝かされてようやく正気に戻った真墨がバツが悪そうに寮に戻ってきた。寮では翠が不機嫌そうに頬を膨らませて待ち構えていた。その向かいの席には茉莉が座っていた。

真墨「・・・・あー、さっきは悪い。その、昼休みに色々とあってな」
翠「・・・・・いつから、香澄と仲良くなったのさ」
真墨「そっちかよ。ああ、それはつい最近だ。遊園地の事件の後、俺が気に入ったから友達になりたいって言って、それで、友達になった」
翠「・・・・・ボク、何も聞かされてないのに」
真墨「言ってなかっただけだろ。それに、付き合ってみるとあいつ結構いいヤツだし、一緒にいると何だか安心するというか、楽しいぜ?まあ、お前は色々あるんだろうけどもさ」
翠「・・・・ふうん、そうなんですか、どうせボクと一緒にいたって迷惑かけっぱなしで楽しくなくてどーも悪うございましたねーだ!!はいはいはい、お邪魔虫は部屋にでも引き込もってますよ〜だ!!バカ――――――――――――――ッ!!!!」

そういって、翠が頬を膨らませてそっぽを向いて行ってしまった。部屋を出て行った翠の不機嫌な様子に真墨は首をかしげる。

真墨「あいつ、生徒会室でのこと、相当怒ってるのかな・・・?」
茉莉「怒ってるというか、ありゃヤキモチでしょ」
真墨「ヤキモチ?何で?」
茉莉「暁とバカドリルが友達になったからでしょ。まぁ放っておきなよ、あの性格だし一晩寝れば明日にはケロっとしてるでしょ」
真墨「・・・・今はそれしかないか。それもそうだな」

そういって、真墨がつくりおきの夏野菜のカレーをコンロで暖め直し、冷蔵庫から夏野菜のサラダを取り出し、サーモンの切り身の上に玉ねぎ、えのきなど野菜を載せて味噌と味醂、酒や塩などを混ぜ合わせた味噌だれをかけてホイルで包みオーブンで焼き上げていくと、美味しそうな匂いがリビングに漂う。翠は下りて来なかったため、茉莉と真墨は二人で晩御飯を食べることになった。一日中寝かせて味わいにコクが出た夏野菜のキーマカレーとサラダ、鮭の味噌風ホイル焼きがテーブルに並んだ。

茉莉「そういえばさ、今日どうしたのよ?いつもあんなバカやるようなあんたじゃないから驚いたよ?何かあったんでしょう?」
真墨「・・・・・・今度、水泳の授業やるだろ?それで、ちょっとヤバいことになってさ・・・」

真墨の表情がいつになくかなり落ち込んでいる。顔が青ざめていて、黒い影がどよよんと全身を覆っているように見えた。

茉莉「水泳?ああ、プールね。アンタもしかして・・・泳げないの?」
真墨「・・・違う。問題は・・・着替えなんだ」

茉莉はようやく察した。そうだ、真墨は・・・いや暁は男性だったのだ。これまでの体育の授業は空き教室や倉庫で着替えて、ジャージを着こんで何とかバレずに済んだのだが、今回は更衣室で水着に着替えなくてはいけない。たとえ、プールに行く前に着替えを済ませておいたとしても、そのプールは更衣室を通らないと中のプールにたどり着けない作りになっているのだ。教員用の出入り口をつかおうにも、体育の教師である久保田泉水(くぼた・いずみ)先生に怪しまれる可能性がある。シャイで恥ずかしがり屋で女の子が実は大の苦手な真墨にとって、女子高のプールの更衣室でほかの生徒たちが着替えをしている時にその中を通らなければならないことなど、想像するだに恐ろしい地獄の刑罰であった。ましてやそんな時に正体がバレたら、もう社会的にも生命的にも破滅である。

真墨「・・・それで、週末にさ、ついうっかり昴と穏に相談しちまって・・・・・そしたら・・・あいつら、女の子が苦手なところを治そうと言い出して・・・・プールに拉致られて・・・(ブルブルブルブル)」

どんどん声のトーンが低くなり震えてきている。茉莉はこの3か月(実際は3日間だがクロノポリスのタイムルームで外の世界で1日だと中では1か月過ごすことができる)で知り合ったルシファーズハンマーのメンバーたちと過ごしてきて、大地昴(仮面ライダーメルク)と空條穏(仮面ライダーナパーム)が性格に相当難がある問題児であることを知っていた。特に暁のことに関しては暁をからかい、弄び、イジることにこの上ない快楽を感じるという親友とはとても言い難い趣味を持っているため、暁が悩んでいて思考回路が低下していたためつい相談されてしまったら、こんなからかうチャンスを待ってましたと言わんばかりに何かやらかしたのであろう。

真墨「・・・・・気づいたら猫耳と女子用のスクール水着着せられてて・・・・・昴たちが呼んできたメイド喫茶の女の子たちに・・・・・俺を捕まえたら・・・一日中好きにしていいって言いだして・・・・・・目が血走ったメイドたちに・・・・・プールで追いかけ回されて・・・・・・・!!!ああああああああああああああああああああっ!!!!止めろ、近寄るな、両手をワキワキさせてくるな、涎をたらすな、人の身体にくっついてくるな、俺のパンツを下ろそうとするな、触っちゃ嫌だ、舐めるな、やめてぇええええええええええええええっ!!!!助けてくれぇええええええええええええええええっ!!」

思い出しただけで絶叫し、頭を抱えて床を転げまわるほどの恐怖を味わったらしい。そしてそのトラウマによって、思いつめた末にとうとう彼は苦しみから逃れるためにあんな陰陽師の恰好をして自分に振りかかる災難や災難をけしかけた昴たちを一心不乱に呪っていたのだ。茉莉は頭が痛くなってきた。必死で真墨こと暁の身体を狙って餓えた野獣と化したメイドたちから必死でプールを死に物狂いで泳いで逃げまくっている暁の光景が思い浮かんでしまう。

茉莉「・・・・ねえ、あんたたちって本当に親友なの?」
真墨「・・・・・・・・・・・・・・・一週間のうち7回は疑問に思っている」

ほぼ毎日である。

真墨「・・・それでさ、もうどうしたらいいんだろうって思って。色々と対策は練ったんだ」
茉莉「あ、考えたんだ」
真墨「・・・・輸血パック・・・・AED・・・・ザオ●クの呪文・・・ありとあらゆる治療器具や白魔術の知識や道具は準備した・・・・これだけあれば・・・・三途の川から生還出来るはず・・・」
茉莉「何で女子高の更衣室を通り過ぎるだけなのに生きるか死ぬかっていう極限的な状況に追い詰められるのさ。つか胡散臭すぎる代物混じっているよ」
真墨「・・・・それだけヤバいと思っていますから。高校生になってエロ本すら恥ずかしくて買えないほどのヘタレですから。グラビア直視出来ませんから。エロビデオ無理矢理見せられそうになったらすぐに気絶出来るスキル取得しましたから」

重症だ。まあ、あれだけの美少女に囲まれて生まれてきたにも関わらず、女の子がこれだけ苦手になるというのは、彼がいつも「女性の前では常に堂々としているのが男のつとめ」「男は硬派であるべき」「チャラチャラした軟派なことが大嫌い」といった古風な考えに囚われていることと、昴や穏による性的なイタズラを受けて散々酷い目に遭ってきたため、女性に対して恐怖心を抱いてしまったことが原因であるといえる。

真墨「それで、どうしたもんか考えてたんだよ・・・」
茉莉「つかさ、仮病使って休むとか考え付かなかったの?」
真墨「そんな時にヤミーやグリードたちが出てきたら、仮病で休んでいるはずの俺が動いていたら不審に思われるだろう?それに水泳の授業だけ休んでばかりいたら妙な勘ぐりをする生徒も出てくるかもしれない」
茉莉「潜入捜査も色々な方面から足がつかないようにするから大変だね・・・」
真墨「ましてやバレたらシャレじゃすまないからな」

複雑だねぇと茉莉はつぶやき、デザートの桃を頬張る。こんな状況なのにさらに翠が宇津保のことでヤキモチ焼いてブーたれていると来ればもう真墨の精神的負担はますます重なるばかりだろうと同情を禁じ得なかった。

その夜。
校舎の見回りに真墨と茉莉が出かけた後で、翠はリビングに下りてきた。最悪な気分だ。イライラが収まらず寝グセとかき乱してグチャグチャになったショートカットを手でかき、コップに入れた水を一気飲みした。喉が気持ち良い冷たさで潤うも苛立ちが消えない。
すると、ドアがノックされた。そして開かれて、シェオロことアスカが入ってきた。

アスカ「呼ばれてないのにじゃじゃじゃじゃ〜ん♪い〜ねぇ〜♪い〜よぉ〜♪イッツ・ア・ファンタスティック!!」
翠「・・・・アスカさん」
アスカ「何だ何だ何だ何どぇすかぁ〜♪そんな苦虫噛み潰した顔をしおって。太陽のように笑う君はどこだい♪WOW WOW♪」
翠「ちょっと気分が悪いだけです。アスカさん、それ何ですか?」

アスカが持っていた栄養ドリンクのような瓶に入った飲み物らしきものを指さす。

アスカ「よくぞ聞いてくれた!!!!これはあの小坊主の弱点を克服させるための最新発明品なのであるっっ!!!!」
翠「小坊主・・・・兄さんのこと?」
アスカ「イェェェェエエエエェェエェエエェエスッ!!あの青びょうたん(蒼真のこと)から小坊主の弱点を何とかして治せないかと相談を受けて、このボクが、汗と涙と血潮とちょっぴりの青春と愛情をこめて生み出したスーパーウルトラナイスな発明品だ!!まだ名前はない!!バーイ・アイアム・キャット!」
翠「吾輩は猫である、ですね。英語にせんでも。というか、兄さんの弱点って・・・・結構弱点多くて見当もつきませんね」
アスカ「・・・・・喧嘩でもしたのであるか?何だか、暁の話になるとどうも不機嫌度増してるようであるが」
翠「・・・・別に」

ほっぺたを膨らませてドリンクを弄んでいる姿はどうもいじけているようにしか見えない。しかしそれを見て、ふと、真墨のドリンクホルダーを見る。いつもトレーニングや夜寝る前にスポーツドリンクを入れて飲んでいる。そしてその瞳は何か思いついたようだった。

その頃・・・。
カブキは一人、セント・ローゼリア学園近くの公園まで来ていた。いつになく真剣な表情で歩いて学園に向かっている。目的はアベルとシエル、そして自分自身のメダルを取り戻すためだった。先日、シエルが帰ってこなかったことを不安に思ったカブキとアベルがシエルが向かった湊区区域を探し回っていたら、海岸に打ち上げられたシエルを発見したのであった。シエルのコアメダルはもう残り2枚しか残っていない。満身創痍でけがの回復もままならない彼女は彼女のマンションの部屋でベットに寝かされていた。アベルがシエルの看病をしている隙をついて、出てきたのである。

カブキ「シエル、ひどい怪我してた。メダルがあれば、怪我治る!カブキが守る!!」

敵であることが残念と思えるくらい、実に健気で純粋な心を持つ仲間思いな性格である。しかしただ闇雲に飛び込んでいっても倒されてメダルまで奪われてしまったら元も子もない。これまでにワルキューレたちと戦ってきて、カブキなりに学んだ戦い方を頭の中で思考をフル回転させて練り上げている。ふと、学園前の公園(アベルが生前、生徒に殺害された現場でもある)の巨大な池の前に通りかかるとそこに浮かんでいる蓮の花が浮かんでいるのが見えた。そしてそれを見て、カブキの脳裏に何かが閃いた。

その時だった。

昴「全くさ〜、冗談だって言ってるのに、くぅちゃんもマリアさんもあんなに怒るこたぁないじゃん・・・・アイタタタタ・・・・」
穏「・・・・・・・・・今度こそバレないように作戦を考えないといけない」

杖を突き、身体を引きずるように全身の激痛と悪態を訴えながら満身創痍でやってきたのは、今日暁へのイタズラがバレて激怒したクリスとマリアに町中追いかけ回され、捕まってお仕置きを喰らいまくりボッコボコにされた昴と穏の残念系美少女コンビであった。
その時、池に通りかかった時だった。

穏「・・・・・・・・?昴?あれは?」
昴「何?」

二人が見ると、そこでは怪人の姿に化けたカブキがセルメダルを自身の身体に埋め込むと、カブキからハスをモチーフとするハスヤミーが生まれた。カブキが何か指示を出すと、ハスヤミーが礼儀正しくお辞儀をする。何か行動に移そうとしているのは明らかだった。それを確認すると、昴と穏が頷き合う。そして昴が出て行った。

昴「はーいはいはいはい、こんな真夜中の公園でどんな悪だくみを企んでるのかな〜?」

カブキとハスヤミーが驚いて昴を見ると、穏がソウルトリガーを構えて後ろ側に回る。

穏「・・・・・・・・大人しくしろ。抵抗すれば容赦なく撃つ」
昴「ということで、じっくり話してくれるかなぁ?」
ハスヤミー「カブキサマ、ココハワタクシニ、オマカセヲ」
カブキ「ううん、ハスちゃんはカブキの仲間だもん。カブキも一緒に戦う。それに、こいつら、強いし、嫌な感じがする。倒さないと!」

カブキがマシンガンを構え、ハスヤミーが槍を取り出して身構えた。昴と穏が後ろに飛び上がり、同時にソウルトリガーにライダーパスを装填して二体に向けて発射する!!

「「変身!!」」

昴と穏の姿がそれぞれ、仮面ライダーメルクと仮面ライダーナパームの姿に変身する!!


そして同じ頃。
たまたまコンビニに買い物に来ていた茉莉のスマホに登録されていた、仮面ライダーに変身する資格者が変身したら半径5q以内の地域に入ったら反応するブザーが鳴る。

茉莉「マジかよ・・・!!翠と暁に連絡して、合流させないと!!」

スマホを操作して連絡をつけながら茉莉が走り出した!!


ハスヤミー「ふん!!」
メルク「うわあああああああああ!!」

ハスヤミーが突き出した槍の一撃を受けてメルクがのけぞる。さらに続けるように槍の連打が繰り出される!!メルクもメルクアックスで槍を弾きながら攻撃を繰り出すが、その攻撃をハスヤミーが左腕の巨大な蓮の葉を模した盾で防ぎ、反射された時に生じる衝撃波に弾き飛ばされ、メルクが地面を転がる!

ナパームがナパームキャノンを連射して無数の火炎弾がカブキに向けて放たれる!!それをカブキがマシンガンを連射して電撃弾を発射し相殺する!!そしてハスヤミーがもう片方の腕に装着している盾をカブキに渡す!!

ハスヤミー「コレヲ!!」
カブキ「ありがと!」

カブキが盾を装備して銃弾を弾きながら電撃弾を発射してナパームを追い詰めていく!!

メルク「随分と連携がとれてるじゃん、こいつら!」
ナパーム「・・・・あの盾かなり頑丈」

ハスヤミーの持つ盾は超硬度の頑丈さを持ち、さらに腕に装着しながら打撃用の武器として殴りかかり、もう片方の腕で持っている槍を巧みに操って攻撃を繰り出してくる!さらにカブキとハスヤミーの意志の疎通が通じ合っているため、連携の取れた変幻自在の攻撃にメルクとナパームが翻弄され、防戦に追い込まれる。しかし生み出したばかりのヤミーとここまで意志の疎通を図れるのはカブキがハスヤミーを信頼し、ハスヤミーがどんな戦い方が得意なのか、弱点は何かを瞬時に見極めて戦略を瞬時に練り上げて実行に移すことができるシエルを遙かに凌ぐ頭の回転が速い天才的戦略家の素質があるからである。しかもそれを天然で何となく感じるままに出来る上に、行き当たりばったりで引き起こした行動が何故か奇跡的に知略の深い参謀や軍師に匹敵する作戦と相似するのだ。欠点といえば、本人がまるでその素質に気付いていない超天然で脳天気な性格ということであろう。


茉莉「このままじゃやられちゃう!!やるっきゃないか!!」

茉莉が現場に到着し、右手の「思慮の紋章」が光り出すと手の中に光とともにテティスドライバーが召喚された!

「DRIVER ON」

茉莉がメダルを装填したメダルホルダーを取り出し、側面のボタンを押すと電子音が流れる。
「scanning up!メルク!セドナ!テティス!!」

茉莉「・・・・変身!!」

メダルホルダーをテティスドライバーに装填して金色と青色の紋章が茉莉の正面と背面から重なり合い、仮面ライダーテティスへと変身させる!!

テティス「それ!!」
「セドナパワー!スプラッシュレーザー!!」
そして迫りくるカブキとハスヤミーの不意を突いて、横から飛び出すと槍の穂先から水流を発射して吹き飛ばした!!カブキとハスヤミーが防御が空いていた身体の側面にもろに水流弾を食らい吹き飛んだ!

カブキ「きゃああああああああああああああ!?」
ハスヤミー「ウワアアアアアアアアアッ!!」

テティス「ブルーデンス・オブ・プロファウンス(深遠なる思慮)!海の騎士・仮面ライダーテティス!!」

名乗りを上げて槍を構えて戦場に降り立った!!

メルク「茉莉っち・・・!」
ナパーム「・・・・・・助かった」
テティス「・・・・・・何だあんたたちか。暁酷い目に遭わせたバチでも当たったんじゃない?助けるんじゃなかったかな〜、まあいいか」

するとカブキとハスヤミーがよろよろとおき上がってきた。

カブキ「新しいライダー?!お前もカブキたちの邪魔するの!?」
ハスヤミー「オマエモ、ココデ、シマツシテヤル!!」

テティス「・・・・・くくくく、有象無象の風情で高貴なる妾を始末する、とな?その無礼、万死に値するであるぞ。さあ、人生最後の舞踏会と洒落込もうぞ。操り糸が切れるまで派手に踊り、無様な断末魔を上げて狂い散るが良いわっ!!」

厨二病モードに入り尊大な態度に変わると、槍を構えて飛び出し、次々と突き、薙ぎ払い、二体同時の相手をものともせず攻撃を素早く繰り出していく!!攻撃をしながらセルメダルを器用に取り出し装填していく!!

「メルクパワー!ハードスピア!!」

槍の穂先が超硬度の硬さと重量化し、強力な打撃を放ってハスヤミーとカブキに繰り出す!しかし超重量級の打撃を受けても盾は火花を噴き出して爆発するが壊れない!!

テティス「・・・チッ、なかなかしぶといのぅ。ならば水の英霊の洗礼を受けよ!」

「セドナパワー!ウォーターウェイブ!!」

槍を地面に突き刺すと無数の水柱が地面から吹き出しカブキとハスヤミーを飲みこみ、強烈な水圧で動きを封じていく!!そしてメルクとナパームに目配りをすると二人もテティスが何を言いたいのか理解して構える。

メルク「なかなかやるじゃん。それじゃあ・・・・行くよ!!のん!!」
ナパーム「・・・・・・・・・・うむ!!」

ナパームが空中に飛び上がり全身から物凄い勢いで炎を吹き出し、巨大な火柱が発生する!そしてその中に向かってメルクが無数の剣を作り出し火柱の中をくぐり抜けると灼熱の眩しい光を放つ炎の剣が弾幕のように飛び出してくる!

「「合体奥義!!爆裂業火暴雨陣(ばくれつ・ごうか・ぼううじん)!!」」

無数の炎の剣が雨のようにカブキとハスヤミーに降り注ぎ、地面に着弾するたびに大爆発を起こし異次元空間の中の公園が炎で焼き払われ、剣により切り裂かれ、破壊されていき、所々を巨大な炎を上げて吹き飛ばす!!そして、ひとしきり攻撃が止むと・・・カブキたちがいた辺りには大きな穴が開いていた。そして二人の姿はどこにもなかった。

メルク「穴を掘って逃げたか・・・!」
ナパーム「・・・・・・・惜しい」
テティス「まだ遠くには逃げてないはずだよね。でも深追いは危ないか・・・」
メルク「こうなればどこに逃げたか調べてみるしかねーか」

そういって、メダルアニマル・サイの形をしている金色のメダルアニマルのゴールドライノスと、赤いカブトムシの形をしているクリムゾンヘラクレスを取り出し、公園の周囲に放った。

メルク「しかし、アイツらこんなところで何をやろうとしてたんだ?」
ナパーム「・・・・・・何かをやろうとしていたということしか分からない」
テティス「・・・・しかし警報が鳴っていたのに、どうして、暁と翠、来なかったんだ?」

そう、セント・ローゼリア学園から離れていないはずなのに、ヤミーやグリードが出現したはずなのに、真墨と翠が来なかったのだ。これは明らかに変だった。翠が不貞腐れて任務を放り投げるとは思えない。真墨が出る直後何かしらトラブルや不運に巻き込まれて怪我したとか動けなくなったとかは・・・可能性があるのだが(ヲイ!)

不安に駆られて茉莉がセント・ローゼリア学園に向かって行った。そして学園構内に入ると何やら声が聞こえてきた。誰かが誰かを必死で呼びかけているようだった。

見ると、噴水広場でその二人はいた。

翠「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!?どうしたんだよっ!?ねぇ、お願い!!返事してよ!!お兄ちゃん!!お兄ちゃんってばぁあああっ!!」

翠が泣きそうな声で必死に真墨に呼びかけているが、真墨の様子がおかしかった。地面に力なく座りこんで、目の焦点があっておらずどこかあらぬ方向を見ており、顔面蒼白で見るだけで正気とは思えないうすら笑いを浮かべたまま固まっているのだ。

真墨(廃人)「アハハ・・・・アハハハハ・・・・アハハハハハ・・・・」
茉莉「何これ、どうしたの、暁!?」
真墨「ある、ない、ある、ない、ある、ない、ある、ない、ある、ない・・・」
翠「お兄ちゃんが・・・お兄ちゃんが壊れたァアアアアアアアアァァアアッ!!」

そう言いながら右手は上半身の胸のあたりを、左手は下半身をさすっている。しかし奇妙な光景が広がっていた。普段はパッドでわずかに盛り上がっているはずの胸が、大きく盛り上がっているのだ。茉莉が恐る恐る真墨の胸元に手をやり、中を覗いた・・・。

茉莉「・・・・・・・・・・・・・え?ええ?ええええええええええ?」

茉莉が珍しく目を見開き口をポカンと開いて間抜けな表情になる。そしてズボンの中を見ると、さらにその表情が驚きで、まるでホラー漫画の劇画のような驚愕した表情に変わる。

茉莉「・・・・嘘ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」

茉莉が絶叫した理由、そうなぜなら、真墨の身体が・・・・。

翠「お、お兄ちゃんが、“お姉ちゃん”になってる―――――――――――――っ!!!」
真墨「・・・しかも、変身、出来ない。変身、出来ない、あ、あ、アハハハハハハハ!!」

そう、真墨こと大友暁の身体が・・・完全に女性の身体になってしまっていた上に、仮面ライダーファングに変身することが出来なくなっていたのであった・・・!!服の胸元からはみ出んばかりに膨れ上がった胸、丸みを帯びているが締まっているところは締まっているナイスバディのモデル体型となった黒髪ロングヘアの美少女となってしまった暁は、もう放心状態でただ壊れた笑い声を上げることしか出来なかった・・・・。

真墨「・・・・何でこうなるんじゃあああああああああああああああああああああっ!!!」

真墨の魂の叫びが夜の闇に虚しく響き渡った・・・・・。

続く!!

2013年11月07日(木) 18時28分55秒 公開
■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
さて、遅くなりましたが、ようやく完成しました。仮面ライダーワルキューレ第17話!今回は新しいグリード、牛系グリード「ギュゼル」が登場し、ついに動き出した幻獣系グリード「ゼロ」の計画に目をつけて、ワルキューレたちとは異なる方法で捜査を開始しました。彼女ももうすぐワルキューレたちと合流を果たすことになります。そして新しいライダーももうすぐ登場いたします!!そして今回、かなり大ピンチの展開を迎えた暁ですが、暁(真墨)と翠と香澄の3人の関係に新たなる変化が生じる回として書きましたが、恋愛表現とか嫉妬とかなかなか難しいですね。でも、今後も作品を大いに盛り上げていきますのでよろしくお願いいたします。

>烈様へ
いつも応援のメッセージありがとうございます。最新作遅くなってごめんなさい!!
>礼(アスレイ)
「……つうか……お酒は二十になってからじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!! 高校生が飲酒をしてどうする!!!!!!!!?」

翠「・・・でも、お兄ちゃんも昔は毎晩晩酌でお酒飲んでたもん・・・・」
暁「・・・・・・・・・・・・美味い食事には美味い酒が合うってか。そのくらいの楽しみがないとやってられんのよ、疲れることが多すぎてさ・・・(げんなり)」

ちなみにこっちの世界の暁は中学生のころから凛とよく飲酒していました。自分で作った料理に合うお酒を探しては食事と一緒に楽しむ趣味があります。(料理人としての素質が相当ある)でも今は学園内だし、緊急時に備えてお酒は控えています。


>例え、相手が“グリード”だろうとビビってしまうほどの気迫と信念……! それこそが暁(F)こと真墨さんの“覚悟”と言えるでしょうな。

翠(W)
「とはいえ、護り屋としては最後まで護るべき相手を命をかけて護るのは当然の姿勢と言えるだろうけど……」

イージス
「自身のことを心配してくれる人の気持ちとかも、やっぱり考えないといけないよな。茉莉ちゃんが涙を流していたわけだし……」

自分自身が一度決めた信念と覚悟に命を懸ける、それが「暁」という人間の基本的なスタイルとして書いております。ただ周りがなんて言おうと、一度自分が守ると決めたら決して止まらない、それだけ人の命の大切さを知っているからこそ守ろうと必死になるのですが、暁はもっと誰かを頼ったり、弱音を言える相手が必要なのかもしれません。いつも苦しみや悲しみを必死で押し殺して気丈にふるまっていますが、内面は自分のことを受け止めてくれる温もりを求めているのです。ただ感情表現が不器用でなかなか相手に伝わらないのですが・・・。


そして、香澄さんと真墨さんですけど……この二人がお互いの気持ちに本当に気づくことがあるんですかね?

>ネタバレになりますが、暁は香澄のことが好きになりつつあります。いつも強気で高飛車で高慢ちきで、翠への復讐のためなら何度返り討ちにあっても立ち上がる、ある意味方向性が間違っている熱血漢ですが、何度失敗してもあきらめない力強さ、そして自分に対していつも優しく気遣ってくれて、厳しく叱咤して立ち直らせてくれる彼女の存在を彼は必要としていると思い始めたのです。そして彼女をもう一人の妹のような存在として間違った方向に突き進まないように姉貴分として見守ろうとしているのです。

暁「・・・・・アスレイのエンヴィーは【百合川真墨】としての暁と、【大友翠の兄】としての暁をどう思っているのですか?ちょっと今後の作品の展開の資料としてお聞きしたいのですが・・・」


>礼(アスレイ)
「一方の翠(W)達が通っている学園ではプール開きが行われるが……女装をして通っている暁(F)にとってはやばいことではあることは間違っていないわな……。シェオロ殿は一体、何をするつもりなんだ? ここはお約束で女体化薬とかが出てくるのか?」

暁(アスレイ)
「それはそれで嫌じゃああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!?」

しかし、残念ながらそうなってしまいました。
暁、とうとう「女体化」そして「変身できない」、そして「精神崩壊」という最悪のトリプルコンボに見舞われてしまい、暁も彼の周りの人物も大ピンチに追いやられてしまいました。こうなると、暁の不幸ってある意味シャレにならない事態を引き起こすのですが、こんな不幸な事態を何度も切り抜けてきた暁と仲間たちの活躍を次回、ご期待くださいませ。
それと、今回の感想なのですが、前回ライダーに変身した「黄司茉莉」さんを登場させていただけませんでしょうか?いつも無理言って申し訳ございません。ちなみに茉莉は基本的に生意気かつ相手を突き放したような口調ですが、真墨(暁)が相手だと一転して親密で穏やかな口調になります。よろしくお願いいたします。

次回予告
「激流の防護兵!スプラッシュフォーム!」
カブキとハスヤミーはワルキューレたちからメダルを取り戻すために作戦を立てて攻めてきます。今回カブキも仲間たちのメダルを取り戻すために必死で頭を働かせて大がかりな作戦を展開します。その結果、真墨が戦闘不能な状態のワルキューレメンバーのみならず、ルシファーズハンマーのメンバーも窮地に追いやられてしまうのです。そんな折、真夜から「シエル」のコアメダルを分析して作り出した3つ目の武器が翠に託され、新たなる第4のフォーム・スプラッシュフォームに変身します!!甲殻類の特質を持つ頑丈な防御力が特徴的なライダーとなった翠の活躍をご期待くださいませ!!


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小説感想〜。の前に、感想返信に対しての返信を……。

礼(アスレイ)
「中学生の頃から飲酒をしていたって……; どれだけストレスが溜まってんだよ、オイ!? 原因は慧と婿殿か、及び契約イマジン共か!!?」

その可能性が高いですけど……それ以外には昴さんと穏さんのセクハラ発言や行動などもあるでしょうな……(苦笑)

エンヴィー
「……正直、どちらも好感を持てますわね。女装をしていようがいまいが、例え恨みがある相手の実兄でも、何事にも一生懸命に頑張る姿などには、正直憧れますわね。今の私にとっては、眩しくて仕方がありませんわ……」

礼(アスレイ)
「……まさかと思ったが……」

暁(アスレイ)
「マジで起こった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!?」

翠(アスレイ)
「女性化まではともかく、『仮面ライダーファング』にも変身できないって……;」

女体化が原因で、システムが誤認している可能性がありますね……。あらゆる意味で混乱した状況で、カブキさんの襲撃を受けるのだとすると……かなりまずいですな。

感想返信の返信は以上です。それでは改めて小説感想です。

明久(電王)
「それでは、『鴎』さんからのリクエストもあり、【ワルキューレ】のヒロインの一人である『黄司 茉莉』さんをゲストに迎えるよ〜」

茉莉
「まあ、色々とよろしく」

雪奈
「今回の話だけど……冒頭ではメイさんと鋼属性に司っている“牛系グリード”『ギュゼル』さんこと『鬼島 真』さんとの携帯での話し合いから始まりましたけど……」

星(アスレイ)
「シェオロことアスカさんのことでバカ話に最初はなっていたが、途中から“幻獣系グリード”『ゼロ』とのことを話し合ったわけだが……本当に厄介な状況になってきたみたいだな」

フェザー(アスレイ)
「死者蘇生というやり方で“ヤミー”を生み出すというゼロのやり方……。キールさんと同じような感じだけど、過去の英雄の遺産などを利用して“ヤミー”を生み出すということも可能で、生きた人間そのもののようだというのですから、とんでもないですね」

蒼真(アスレイ)
「……生者と死者の《世界》の理を崩壊させる可能性か……」

真夜(アスレイ)
「……私と蒼真からすれば、色々と複雑なものを感じますね……」

明久(電王)
「手口的には劇場版【仮面ライダー電王】の一つで、『仮面ライダー幽汽』こと『死郎』さんがやろうとしたことみたいだね」

雪奈
「とは言っても、あれは“特異点”の特性を利用して、大切な人を蘇らせようとしたっていうのが真相だけどね」

モモタロス(明)
「しっかし、ゼロって奴がやろうとしていることは、あの幽霊野郎がやろうとしたことよりもタチが悪い可能性が高いぞ」

シャナツネ
「死郎殿の場合、生者と死者が入れ替わるというだけだったようだからな。こちらもかなり問題があったが、《世界》はそのまま続いていく可能性があった分、まだマシだろう……」

カグヤ
「……でも、ゼロって奴の場合は世界崩壊である可能性があるって言うんだから何とも言えないわね……」

『地獄門』……。一体どのような感じに物語に関わってくるのやら……。

茉莉
「一方の私達の方だけど、プール開きも近づき、蘭とかがはしゃいでいたわけなんだけど……」

暁(アスレイ)
「【ワルキューレ】の俺こと真墨が部屋の中に篭っている感じになっていた。理由は……なんか壊れていた……;」

翠(アスレイ)
「どこの【南国少年】の元ヤンキー家政夫な“番人”さんが、自分が勤めていた部隊の隊長さんの登場を現実逃避っていうか呪い殺そうとしようとしていた状況だよ!!? 香澄さんを生贄にした結果がこれって何!?」

星(アスレイ)
「言い得て妙だが……解る人にしか解らんネタだろう……; 確かに酷似はしているが……」

クロキバT世
「なんとも言えんな……」

クリス(アスレイ)
「壊れていた理由ですけど……昴さんと穏さんですか……#」

イージス
「プールでの着替えのことを相談した結果、いらん事をされてしまったらしいな……。女性が苦手って理由からかい……;」

相談する相手を確実に間違っていましたな……;

礼(アスレイ)
「今まで女の子っぽい女の子と付き合ったりしていなかったせいかね? 【ワルキューレ】の暁こと真墨君の場合、周囲に居たのが変態としか言えない女性が多かったしな…。あっちのクリス殿やマリア殿には悪いが……」

下手な男よりも漢らしい面を持っていたこともあるでしょうね。そういったことも含めて、色々とヘタレな為、大変な感じの真墨さん。……その結果、シェオロことアスカさんの薬を使った為、女体化って……;

暁(アスレイ)
「色々とちょっと待て〜〜〜〜〜〜〜〜いッ!!!!!!?」

翠(アスレイ)
「スポーツドリンクの中身を薬品に入れ替えてたって……;」

ブータれな状態の翠(W)さんの様子を見て、思いついたって感じですけど……色々とやばい状況になってませんか!?

茉莉
「女が苦手なら、女になればいいじゃないかってこと? 流石にどうかと思うんだけど……; ってか、どうなるのよ!?」

クリス(アスレイ)
「本当にどうなるんですか!?」

蒼真(アスレイ)
「……女体化か……」

明久(電王)
「ん? 蒼真さん、どうしたんですか?」

蒼真(アスレイ)
「…いや、なんでもない……(……言えない。昔知り合いから妙な薬を飲まされて、一時的に女体化しちまったことがあるなんて……その上でコスプレをさんざんされて……(ガタガタ、ブルブル((((;゚Д゚))))))」

真夜(アスレイ)
「アハハハハ……(;´∀`)」(←理由を聞いたことがある人)

雪奈
「それはそうと、【ワルキューレ】の翠ちゃんには、香澄さんと真墨さん(暁君)が親友と呼べる間柄になっていたことがかなりショックだったみたいね。結果的に何か拗ねている感じになっちゃったもん(苦笑)」

カグヤ
「……何とも言えないね、本当に……(苦笑)」

モモタロス(明)
「つうても、それもしょうがないかもしれないって感じだけどな(苦笑)」

シャナツネ
「親友になった理由が理由だからな……(苦笑) ……とはいえ、香澄殿が抱いた誤解などもどうにかしないといけない感じではあるが……」

イージス
「誤解を解く為には、かなりの時間がかかると考えないといけないだろうな。特に香澄さんは誤解しがちな面などが多い分、どうにかするにしても、かなり危険性があるかもしれないし……」

星(アスレイ)
「一方、クリス(H)嬢とマリア嬢から、暁(F)を玩具にしたことがバレてお仕置きを受けた昴嬢と穏嬢が、偶然にもカブキ嬢が“ヤミー”を生み出している場面に出くわす」

フェザー(アスレイ)
「カブキちゃんの仲間思いな感じが何とも言えません……。本当に的であることが残念に思います……」

クロキバT世
「今までの【ワルキューレ】達ライダーとの戦いの経験を思い出しながら、カブキ嬢が考えた戦法がなんなのかが気になるところだな」

その前に、昴さんと穏さん、んでもって偶然通りかかった茉莉さんとの戦いになりましたけどね。

礼(アスレイ)
「カブキ嬢から生み出した『ハスヤミー』の防御力は絶大! 子供っぽいところが多いカブキ嬢だが、戦いにおいては天性の才能を持っていることが驚きだな」

クロキバT世
「己の“ヤミー”と意識を合わせられることも凄いがな。歴戦のライダーである昴嬢と穏嬢を相手に凄まじい実力とコンビネーションを見せた辺りが凄い……」

茉莉ちゃんが来なかったら、マジでやられていた可能性が高いですな……。

茉莉
「私としては、真墨に酷いことをしたツケがあのままあればいいのにって思ったけどね」

……まあ、そうでしょうね。次の話では本当にどのような展開が起こるのやら……;

翠(アスレイ)
「次の話では、シエルさんのコアメダルと新たなる武装をを使った『スプラッシュフォーム』が登場するらしいけど、本当にどんな活躍を見せてくれるのかが楽しみ♪」

イージス
「次の話も楽しみにしているので、『鴎』さん、色々と忙しいでしょうけど、今後どうか頑張ってくださいm(_ _)m」

茉莉さんもゲスト参加、ありがとうございますm(_ _)m

茉莉
「これくらい、どうってことないわ(……まあ、別の世界とはいえ、暁と少しは話せて良かったかな♪)」

それでは、

一同
『色々と楽しみしています!!』



〜……時と次元を越え……己の限界すらも超えて、いざ参る!!〜
30 烈  ■2013-11-08 04:57:52 i121-118-209-14.s10.a044.ap.plala.or.jp
合計 30
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