仮面ライダーワルキューレ Mission18 |
Mission18「激流の防護兵!スプラッシュフォーム!!」 さて、あの衝撃的すぎる前回の最後より時間は過ぎて、翌日の早朝5時半・・・・。 翠「・・・・・・一睡も出来なかった」 リビングの床で上半身だけ起こした状態で、眼の下に黒く濃いクマが浮かび上がり、疲弊し切った様子で翠はため息とともに重苦しい一言を吐いた。そして目線の先には床に座り込んで焦点があらぬ方向を向いて不気味な笑みを浮かべながらブツブツと何かをつぶやいている真墨の変わり果てた姿があったからだ。髪は真っ白になり、はだけたパジャマの胸元は女性特有の豊かなふくらみがあり、丸みを帯びた女性の身体つきになってしまった真墨はもう現実を受け入れることが出来なくなったのか、放心状態となってしまっていた。 真墨「アハハハ・・・・・アハハハハハ・・・・・アハハハハハハ・・・・(崩壊中)」 翠「・・・・・・・・・・・・・・・・まさかこんなことになるなんて」 翠はかなり落ち込んだ様子で頭を抱え込む。真墨が女性になってしまったばかりか、変身まで出来ない状態にまでなってしまい、完全に精神が崩壊してしまったという最悪の事態を迎えてしまった。もうどう対応したらいいのか分からなくなり混乱していた。 翠「・・・・まさか、こんなことになるなんて・・・・そんなつもりなかったのに!」 翠は昨日のことを思い出す。 (回想) シェオロが置いていった真墨の女性への苦手を克服させるための薬を見て、翠は「どうせろくでもないものだろう」と確信していた。こういう時にシェオロがまともなものを発明出来るとは到底思えなかった。もし飲んだら何かしら問題が起きそうだと翠は思った。 しかし、その薬を見て、翠に悪魔の声が囁いた・・・。 その視線の先には・・・真墨がいつも愛用していたドリンクのボトルがあったのだ。 翠「・・・・・・・・・・女の子が苦手じゃなくなる、か。まさか、飲んだら女の子になっちゃうとか・・・・?・・・・・・何さ、宇津保なんかと仲良くしちゃってさ、人の気も知らないで勝手なことばっかりやってさ!たまには、痛い目に遭っちゃえばいいんだ!」 今思い返すだけでも完全な八つ当たりだ。翠は自分自身のやってしまったことに頭をかきむしり、布団を拳で叩きつけて激しい後悔をしていた。自分はとんでもないことをしてしまった。いくらカッとなったからといって、どうして自分は大好きな兄にこんなことをしでかしてしまったのだ。あの薬のせいで真墨が女性の姿になってしまったのなら、自分は何という愚かなことをやらかしたのだ。 翠「・・・・・・・最低だ、ボク」 メイ「こンのポンコツマッドサイエンティストがああああ―――――――――っ!!!」 リビングから寮全体が揺れるほどの怒声が響き渡る。翠が慌てて階段を下りると、リビングではメイが鬼気迫る形相でアスカの胸倉を掴んで片手に持っている薬品が入っていた空のボトルを突きつけていた。近くでは瑛子、美子、茉莉、エリザベートが呆れた様子でアスカを睨みつけている。 メイ「お前はなんてことをやらかしてくれたんだ!!女性嫌いを克服するための薬がどうして女の姿になってしまう薬になるんだ!?どうしてそんなもんを暁に飲ませたんだぁあぁああああああっ!?おかげで暁が完全にぶっ壊れてしまっただろうがぁあぁあっ!!」 茉莉「女性嫌いを治すって、原因は暁の周りの女性陣の人格面に異常がありすぎるのが原因のような気がするけど」 瑛子「しかし、変身まで出来なくなるとはな。これはかなり厄介だぞ」 美子「そ、それに、暁ちゃん、まともな状態じゃないよぉ〜!!」 エリザベート「あんな暁見たことないぞい・・・」 真墨「喧嘩上等〜、どこからでもかかってこいや〜、どいつもこいつも皆殺しじゃ〜♪」 確かにここまで追い詰められた暁は見たことがない。目は完全にうつろ、不気味な笑みを浮かべて訳の分からない言葉をブツブツ言い続ける姿はもう壊れ切った美少女のなれの果てである。しかしその美貌は女性になってしまったせいか、いつもよりひときわ人の目を惹きつける退廃的な美貌と妖艶さがあった。 アスカ「ま、まさか、こんなことになろうとは。この天才的なボクの才能はとうとう性別を自在に変えられるものまで作ってしまったのかぁああああああああああっ!!天才的すぎる自分の才能に思わず興奮と震えが止まらないのであるっ!!!失敗から生まれた未知なる大発明!!転んでもただでは起きないこの執念深さと根性と熱血さとしぶとさにひれ伏すがよいわっ、愚民どもっっ!!とメガホンで屋上から声の限り大声で叫びたい気分であるっ!!!レッツ・エキサイティングゥゥゥゥゥゥウウウウウウッ!!!」 メイ「ほう、ならば叫ばせてやるよ。生涯最後の断末魔でもなぁああああああっ!!!」 アスカ「アギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア〜〜〜ッ!!!」 メイがアスカの首根っこを掴んだまま外に出ていき、不気味な静けさがリビングに漂い出す。茉莉が携帯を取り出して電話をする。 茉莉「・・・あ、イーズさん?黄司茉莉です。こんな遅くにごめんね。ちょっと科学班に分析をお願いしたいサンプルがあるんだけど、大至急お願い出来る?うん、真墨の眼鏡の転送装置ですぐ送る。あとで、これを作った作成者を送るから、これの成分の分析と中和効果のある解毒剤の調合をお願いしたいの・・・うん、分かった。無茶言ってごめんね。お願いします」 瑛子「黄司、お前何を?」 茉莉「・・・・あんたら、本当にヴァカだね。どうして誰一人解毒剤を作ろうとか、鑑識に薬品の成分の分析をお願いしようと思わないの」 その場にいた全員がようやくこの状況を打破する対策を思いつかなかったことに気づいた。 エリザベート「・・・・・・お主のいう通りじゃな」 茉莉「うちらに出来ることはカブキとヤミーが何を企んでいるのか、捜査網を敷いて居所を掴むこと。真墨だったらきっとそうする。今、真墨がこんな状態じゃうちらで何とかするしかないよ!」 瑛子「・・・そうだな!」 美子「うん!」 そして茉莉がテレビのリモコンを操作すると、天井から大型のモニターが出てきて、6つのカメラ画面が映し出される。この星見市の6つの区域ごとに町中に放ったメダルアニマルのカメラで撮った画像がリアルタイムで見ることができる。事件や異常を察知すると、すぐその区域の事件現場を映し出すことができるのだ。 エリザベート「学園がある【中央区】から、そう離れているとは思えないの」 茉莉「中央区を中心に捜査したほうがいいね」 瑛子「湊区、天川区、梅原区、松島区、竹原区の重要施設にもメダルアニマルを送ったほうがよさそうだな」 こうして捜査が展開されていく。しかしその中で翠だけが顔を青ざめて覇気が消えていた。 その頃、梅原区(高速道路が敷かれている河川敷側の区域)のコンビニでは・・・。 カブキ「これ、くださいな―♪」 店員「・・・は〜い、いらっさっせ・・・どわぁあああああああああああああ!!!」 カブキの後ろにハスヤミーがついている状態でレジに並んでいて、店員がハスヤミーを見て絶叫して腰を抜かしていた。 ハスヤミー「・・・・ヤハリ、ワタシハ、マッテイタホウガ、ヨロシカッタノデハ?」 カブキ「でも、ハスちゃんだって食べたいもの食べたいでしょ?はい、これ!」 夜の公園、カブキとハスヤミーが公園で、家の形をした遊具の中で夜ご飯を食べていた。コンビニで買ったサンドウィッチやおにぎりを頬張り、お茶を飲みながら話をしていた。 ハスヤミー「ミズノアルトコロニ、ワルキューレタチヲ、サソイコムノデスカ・・・?」 カブキ「うん、ワルキューレとファング、ずっと戦って来たけど、泳ぎながらじゃ攻撃出来ないし、水の上歩くことも出来ないよね。でも、ハスちゃんは水の上を歩くこともできるし、陸の上でも戦えるよね?それに建物の中だったら空を飛びまわることも出来ないから、水のある建物の中に、呼んで勝負すれば、勝てると思うの!」 ハスヤミー「・・・・・プールトカ、オフロトカ、デスカ」 カブキ「それでね、それでね、ここ、どうかなあ?」 そういって、カブキが数枚のチラシを差し出す。そこには「スパリゾート」や「屋内プールのある運動施設」などのチラシであった。 ハスヤミー「・・・ナルホド、ココヲワタシノブンシンガドウジニオソッテ、ナカマタチヲ、バラバラニスルノデスネ?」 カブキ「うん!一人一人ずつ、じっくりいこう!まずはアベルとシエルのメダルを取り戻すことが一番だけど、その為にはメダルを取り戻せるようにしないと!」 一度にまとめて倒そうとするのは、連携プレーが得意なワルキューレたちには不利だと思い、戦力を分散させて一人ずつ倒そうとする作戦は悪くはなかった。カブキがお茶を飲んで、口元をぬぐうと表情を引き締める。 カブキ「皆のメダル、取り戻してみせる!」 グリードでありながら自分自身への欲望がほとんどなく、仲間を心から大切に思い守ろうとする姿はある意味異質の存在だ。彼女は自分のメダルを取り戻すことなど考えていなかった。あくまでアベルとシエルを助けられれば二の次らしい。どこまでも純粋に他人を助けたいという姿勢はどこか危うささえ感じられてしまう。そんなカブキの姿に少し危機感をハスヤミーは感じていた。 翌日。 2年4組。結局真墨は放心状態のまま翠と茉莉に手を引かれて学校にたどり着き、教室で相変わらず心あらずといった様子で座りこんでいた。今日は移動教室の授業がなかったことが奇跡的に幸運といえる。翠は授業が終わるたびに、休憩時間に真墨の様子を見に来ていた。 1時間目終了後。 「ねぇ、今日の黒薔薇様、いつもよりも何だか色香があるというか、妖艶な雰囲気ですわね・・・」 「えぇ、いつもは落ち着いていて物静かな方だと思っておりましたが、今日はあの端正な顔立ちから気品や儚さが感じられて・・・・何だか心が惹きつけられますわ」 「ああ・・・あの心をつかんで離さない微笑みを私にも向けて下さらないかしら・・・♪」 妖艶な色香が感じられるのは女性になってしまったからです。心をつかんで離さない微笑みというのは、完全に精神が崩壊してもう笑うしかないから笑っているように見えるだけです。 翠「・・・・・・・え?な、何だか聞き捨てならないことを耳にしたような・・・」 2時間目終了後。 「く、黒薔薇様!あ、あの、おはようございます!」 「きょ、今日は、いえ、今日も大変お美しいですわ・・・!」 真墨「・・・・ふふっ・・・・・おはよ〜♪」(崩壊中) 「!!(ふうっ・・・・ばたん)」 「く、黒薔薇様、私、こ、この間校内のカフェテリアで美味しい紅茶とケーキを見つけましたの。こ、今度、もしお時間がよろしかったら、ご一緒に・・・」 真墨「・・・ふふっ・・・・ふふふっ・・・・・ふふふふ・・・(錯乱して笑っている)」 「ああ・・・・・素敵ぃ・・・・・・お姉さまぁ・・・・」 「ああん、もう世の殿方なんて芥程度にしか思えなくなって来ましたわ〜♪」 「今夜、ご一緒に熱い夜をお過ごししたいわぁ〜♪」 「私の全てを捧げて差し上げたいですわぁぁあ〜♪」 翠「・・・・嘘・・・・まさかここまでもてるなんて・・・・・」 3時間目終了後。 瑛子「・・・・美子、何だか真墨の周り、妙に女の子たちが集まってないか?」 美子「何だか、今日の真墨ちゃんがいつもより綺麗だって、クラスどころか他のクラスからも真墨ちゃんのファンが押しかけてきているみたいだよ」 瑛子「・・・・といっても、20人以上はいるぞ。アイツ、女性になってしまってもあんなにもてるのか?」 美子「・・・まあ、真墨ちゃんって実は結構もてるんだよね。同じ学年はもちろん、先輩や後輩からも慕われているみたいだよ。ファンクラブもあるみたい。本人は知らないみたいだけど」 瑛子「・・・・何だか面白くはない話だな」 美子「・・・・瑛子ちゃん?あ、そうか、瑛子ちゃんも真墨ちゃんのこと・・・」 瑛子「・・・そういうわけではないぞっ!!!私は!!あくまでっ!!一人の武人として!!アイツを、暁を尊敬しているのだ、それだけだっ!!私が、生涯添い遂げたいと思えるのは、あくまで香澄お嬢様だけだっ!!ま、まあ、愛人としてどうしてもとあっちが頭を下げるのであれば、考えてやらんでもないがな!!強き男に惹かれる女は多ければ多いほど見栄えもいいというものさっ!!一夫多妻というものもアイツは考えるべきなのだがなっ!!そ、そしたら、愛人としてアイツを受け入れてやるし、私もアイツに抱かれても・・・・子供を宿しても・・・!!(プシュー・・・・!<頭から煙が上がっている音>)」 美子「・・・・お、落ち着いてよぅ・・・」 香澄「・・・・・面白くありませんわね。あの子たち、真墨を誰のものだと思っているのかしら?」 美子「お、お嬢様っ!?」 瑛子「全くです、どうにも不愉快だな・・・アイツは私の友人なのだぞ・・・!」 美子「え、瑛子ちゃんも落ち着いてよぅ。あれは、真墨ちゃんのせいじゃないじゃない」 香澄「・・・・ふん、いいわ。教えてさしあげないとね。身の程知らず共に、真墨は私だけのものなんだってことをね・・・!」 美子「お、お嬢さまも落ち着いてください〜!!ど、どうしよう〜!!」 翠「・・・・お兄ちゃん・・・・あんなにもてるのに・・・・どうして彼女作ろうとか思わないのさ・・・・いつも自分はもてないとか言ってるけどさ、自覚なさすぎでしょ」 この日の真墨は、非常にもてまくっていた。クラス中の女の子はもちろん、他のクラスから真墨に会いにきた女の子からお茶に誘われたり、購買で買ってきたクッキーやお菓子、キーホルダーやマスコットのプレゼントをもらったりちやほやされていた。しかし、悔むべくは真墨が完全に意識が吹き飛んでいてこの人生のうちに何度あるかないか分らないモテ期を楽しむことすら出来ずにいたことであろう。(大体いつもこんな感じで女の子に囲まれているが本人はあくまで「うぜぇ」としか考えてない) お昼休み。 授業が終わると同時だった。 香澄「真墨っ!!」 いきなり真墨のところに乗り込んでくるなり、香澄が真墨の腕をとり、思い切り引っ張って教室を飛び出していったのだ!瑛子と美子も何が何だか分からず、すぐ後を追う。すれ違いざまに教室に40人以上の女子生徒が教室に押しかけてきたが、真墨がいないことを知り、教室から絶叫が響き渡った。 香澄「ふん、おバカさんたち。私の友人は私だけのものですわっ。第一、貴方達のような有象無象ごときが話しかけるだけでも許し難いのに・・・」 その時だった。 翠「何やっとんじゃ、こぉの、大ブァカ娘がぁああ―――――――――――っ!!」 翠が怒りの咆哮とともに、唸りを上げて細身の身体が宙を舞い、両足を前へ繰り出す!そして、翠の必殺技・渾身のドロップキックが・・・間違って真墨の顔面に直撃した!!! 真墨「ドロップアウト―――――――――!??」 絶叫を上げて吹き飛び、廊下を転がり、とうとう壁に思い切り激突し、丸まったままぴくりとも動かなくなった。 翠「・・・・・・ボクがバカだった」 香澄「あ、あ、貴方は一体何を考えてやがりますの―――――――――――っ!!?」 瑛子「真墨!!ダメだ、完全に気を失っている!!」 美子「ほ、保健室―――――――――――――――――っ!!」 結局真墨は瑛子と美子に抱きかかえられて保健室へと担ぎ込まれてしまった。そして、香澄は翠をぞっとするような怖い表情で睨んでいた。 香澄「・・・・貴方、どういうつもりなんですの?そんなに死にたいの?貴方のことは前々から気に入らなかったけど、今は、殺してやりたいほど憎く思えますわ」 翠「・・・・・・奇遇だね、こっちもだよ。あんたが来てから、真墨がおかしくなったんだ。あんたさえいなけりゃ、こんなことにはならなかったんだ・・・!」 香澄「・・・そう、お互いに憎み合っていましたものね。今更、ということかしら」 翠「・・・そうだね」 香澄「・・・・体育館裏で決着をつけましょう」 翠「・・・どっちかが死ぬまで、だね」 お互いにらみ合い、瞳と瞳との間に火花が飛び散っているような殺気と殺気のぶつかり合い。そして、翠が首をくいっと頷き、歩き出すと、香澄もそれに続いて歩き出した・・・。 そしてその日の午後、二人は授業に帰ってこなかった。いや、放課後になって、ボコボコに痛めつけられた香澄が校舎裏の森で倒れているのが発見されて保健室に運ばれることになったそうな。そして、香澄となぐり合った体育館裏、翠も顔面を相当殴られたのか真っ赤に腫れた頬を痛そうにさすりながら冷たいコンクリートの床に寝転んでいた。香澄を殴った拳がいつもより重くのしかかっているようでならなかった。 翠「・・・・何やってんだろ、ボク」 どうしてこうも怒っているんだろう。こうして怒って何になる?嫉妬のあまりに兄にイタズラしてしまったり、香澄と殴り合いをしたり、結局ただ拳も心も痛むだけ。激しい感情が心の中で渦巻いて荒れているのに、どうすればいいのか分からない。荒れ狂った感情のままに暴れて結局何も見出していないのだ。 そう思うと、瞳が滲み出し、風景が歪んで見えだす。そして、手で目を覆い、静かに泣き出していた・・・。 その時だった。 「・・・・翠ちゃん」 ふと、声が聞こえてきた。目を開けると、そこには、銀色のロングヘアを風になびかせて、銀色の瞳を見開いて心配そうに見ている美少女が、フレスベルグイマジンが人間の少女の姿に化身した暁の相棒、クリスの姿があった・・・。 クリス「・・・・そうだったんですか。それじゃあ、真墨・・・いや暁は」 翠「・・・つくづく情けなくてどうしようもなくなりますよ。自分がまさかこんな情けなくなるとは。他人だったら一発ぶん殴ってるかもしれない」 クリス「暁と同じこといいますねえ」 翠「・・・お兄ちゃんと?」 クリス「時々いうんですよ。上手くいかなくなったとき、落ち込んでしまったとき、はたから見ている自分っていうのはどうしようもなく惨めで情けなくて何度ぶん殴っても殴り足りない、自分ってその程度の存在だったんだなって思い知らされるって」 翠「・・・・ですよね」 クリス「でも、その後言うんです。今更分かりきったことをって」 翠「へっ?」 すると、クリスの表情が真剣な表情に変わり、目の色にもこれまでに見たことのないワイルドな野性を感じられる強い光を帯びた。そして暁になりきったようにいつもとは違う力強く言葉遣いの悪い口調になってまくしたてる。 クリス「そもそも、俺は何ができるってんだ!キングだがキンピラゴボウだかチンピラだか知らないがこちとら元々ヤンキー上がりの青春思春期真っ盛りのド生意気高校生ライフを驀進中のオッペケペーでアンポンタンな俺が失敗したりドジ踏んだり悩んだりすることがそんなにおかしいことか、いや、おかしくはない。失敗は失敗、自分の失敗は自分の落ち度から来たもの。誰のせいでもない、誰に負けたでもない、俺は俺に負けてこうなった。ならば、そんなアンポンタンでオッペケペーでさらにテメェの失敗から目をそむけて落ち込んでいるウジウジした自分なんぞまずお空のかなたまでアッパーカットで吹き飛ばしてサヨナラしてから、もう一度やり直すことを始めるとしよう。失敗して落ち込んで、結局誰かの同情を引いて慰めて甘えさせてくれるのをただ待つだけのオムツもとれてない洟垂れ小僧とか誰かのせいにして世の中憎んで誰彼かまわず八つ当たりするようなボケナスとは違うということを証明できるのはテメェでしかない!!ミスはミス!!ミスを覆すような結果をこれから出せばいい!!常識くそくらえ!!ルール無用!!時間無制限!!なりふり構わず敵も味方も関係なく殴りまくーりの暴れまくりーのでストレス発散がてら悪人退治に徹底的に取り組もうじゃないか。戦争じゃぁああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!カマ―――――――――――――――ンッ!!!」 身ぶり手ぶり、まるで演劇を演じるように暁になりきり、長いセリフをまくし立てて一呼吸すると、元のクリスの表情に戻る。 クリス「以上が、去年お酒を飲んで酔っ払った暁が悪酔いして演説された自己啓発です」 翠「というかそれ完全に開き直りですよね。しかもストレス発散としてライダーやってますよね。問題ありすぎですよね」 クリス「感動しました。その時は思わず涙が・・・」 翠「あんたバカだろ!!」 というかよく一言一句覚えていたものである。さすがは暁バカ一代。 クリス「誰だって失敗はする。その失敗をこじらせてどうにもならなくしてしまうのは、結局自分でしかないということですよ。でも、その失敗にこだわらずに、今の自分が何をするべきか、まずは何も考えないで自分の心の思うままにやりたいことやってみろと、いうことですよ。落ち込んでいても何もならないなら、落ち込まないでムチャクチャな行動に出たほうが今の自分を切り開けるかもしれないということです。悩んでどうにもならないなら考えないで行動することも時に大事ですよ。自分の心の思うままに動くことも」 翠はその言葉を聞いて、毒気を抜かれたのか、あきれ果てたのか、脱力して座り込む。しかし先ほどよりはリラックスしているようにも見える。 翠「・・・・ボク、兄さんを香澄に取られちゃったと思ったの。兄さん、香澄と出会ってからいつもよりも楽しそうに笑っていた。香澄のこと、見どころがある面白いやつだって、一緒にいて楽しいって笑っていた。香澄と一緒にいたとき、香澄も今まで見たことがない優しい笑顔で笑い合っていた。兄さんは人の悪いところよりも、人のいいところが先に見つけてしまえる人だから、ボクが知らなかった香澄のいいところを先に見つけたから、ボクといつも喧嘩ばかりして、いつも嫌味ばっかりで自信満々で威張ってばかりで、そんな嫌な奴だけど、それを知っていても一緒にいたいって言っていたから、ボク、捨てられちゃったのかなって。何だか遠くに離れていっちゃうような気がしたの。そしたら、すごくそれが悔しくて、悲しくて、どうしようもなくなって・・・・」 涙を流しながら、素直に自分の心の奥にたまっていたものを吐き出していた。 翠「・・・香澄のことだってただの嫌な奴とは思ってない。兄さんが認めたヤツだもん。それに・・・綺麗だし・・・・おっぱいは大きいし・・・・女の子らしいし・・・・ボクにないもの、いっぱい持ってるよ。なのに、いつもボクには自分にないものいっぱいあって生意気だって言ってさ・・・・そんなのボクだって思ってるよ!!ボクよりも、アイツのほうが兄さんのそばにいるし、距離が近いじゃないかよ。でも、取られたくないよ。ずっとずっと離れ離れで漸く一緒に過ごすことが出来るようになったのに、取られたくないよ・・・!!」 小さいころ、いつも一緒にいたかったけどなかなか会うことが出来なかった暁。ずっと会いたかった。そばにいてほしかった。いつでもぬくもりを感じられるところにいてほしかった。兄が認めている相手がだれであろうとも、兄を取られたくなかった。奪われたくなかった。一人ぼっちになりたくなかった。 クリス「・・・・・暁はいつでも翠ちゃんのことをちゃんと見ていますよ?言葉にはしないし、あの通り誤解されやすいですけど、翠ちゃんを大切な家族として見守っていますよ」 翠「でも・・・」 その時だった。 「これが証拠だ。見てみるがよい」 そういって、空を飛んできたのはクロキバことクロノスキバット3世であった。両足で持っていた一冊のスクラップブックを翠に手渡す。 それは、翠が日本に来る前からつけられていたようだ。 読むたびに、翠の目から涙があふれてきた。そこには、翠の大好物や苦手な食べ物をどうおいしく料理するか、ドイツの懐かしい手料理の作り方、そして、休日になったらどこに遊びに連れて行こうかといういろいろな遊園地や動物園、温泉などの記事がスクラップされていたものだった。 クロキバ「・・・・アイツ言っていたよ。ドイツから帰国してまだ間もないからいろいろと大変だろうから、何か力になれないかと。アイツの笑顔が好きだから、いつでも元気いっぱいで明るくて頑張っているアイツのことを応援したいから、出来る限りのことは何でもしてやりたいと。上手く言葉にはできなくて、不器用で口が悪くてどうしようもない兄貴だけど、アイツが俺なんかもういらなくなって大人になって一人立ちできるようになるまでは、俺がしっかり見守っていてやりたいって。巣立ってしまう時が来るときは寂しくて泣いてしまうかもしれないけど、アイツが自分のやりたいこと、自分が夢中になって打ち込めるものが見つかるといいと、願っていたよ」 見ると一昨日の夜、旅行代理店で出たばかりの温泉旅行の広告が入っていた。任務が終わって疲れ果てているはずなのに、いつも翠のために何かしてやれないかと考えていた暁。翠がいつも笑顔で明るくいられるように一生懸命にやってくれていた暁。そんな暁に自分は何てことをしてしまったのだろう。涙が止まらなくなり、むせび泣いていた。 翠「・・・ボグ・・・・謝らないと・・・・・ボグ・・・・なんてことしちゃったんだっ!!お兄ちゃんは・・・・女子高で女装なんてやりたくもないこと仕方なくやりながら、それでも、一生懸命頑張っていたのに・・・!!」 クリス「・・・翠ちゃん」 クロキバ「翠」 その時だった。 Biiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii!! クリスの腕時計型通信機から警報が鳴り響いた!ボタンを押すと、立体映像で血相を変えた真夜の姿が映し出された!! 真夜「クリスですかっ!?大変ですっ!!大量のヤミーが街中に現れたんです!!」 クリス「なんですって!?」 クロキバ「町中だとっ!?」 そうなのだ。 中央区のスパリゾート、湊区の温泉町、天川区の市民プール、梅原区の小学校のプール、松島区の釣り堀、竹原区の公園の池など至る所にハスヤミーが出現したのだ!! 天川区の市民プール。この日、プールでは老人ホームの水中ウォーキングが行われており、インストラクターに交じって、菫谷霧子こと青薔薇も、水中を歩く初老の男性の手を取り、優しく声をかけながらリードをしていた。そんな霧子にインストラクターの一人が声をかける。 「菫谷さん、すまないねえ。忙しいのに、インストラクターが急に休んじゃったから代役頼んじゃったけど・・・」 霧子「いえ、私でお役にたてるなら喜んでお受けしますわ」 その時だった!! プールの水面が盛り上がり、水中から無数のツタを出現させて泳いでいた人たちをプールから投げ飛ばし、ハスヤミーが出現したのだ!! 霧子「きゃああああああああああっ!!」 「きゃああああああああああああああああ!!」 「う、うわああああああああああああああああ!?」 「ママー!!助けてぇええええええええええ!!」 「誰か、息子を、息子を助けてぇえええええええええええええええええ!!」 「殺さないでくれぇえええええええええええええええええ!!」 町が大パニックに陥った。施設の入り口にツタが生い茂り出口をふさいで、閉じ込められた人々は混乱し、絶叫し、わが身の無事を必死で叫び続ける。その様子をハスヤミーが見ていた。 ハスヤミー「キガイヲ、クワエルナト、アルジカラノ、メイレイヲ、ウケテオリマス。オトナシク、シテイレバ、ナニモシマセンヨ。タダシ、ミョウナウゴキヲミセタラ、イノチノ、ホショウハアリマセン」 ツタから電流が流れてツタを引きちぎろうとしていた人たちが次々と電流を受けて倒れこみ、悲鳴と絶叫が室内に響き渡り、ハスヤミーの無情な言葉が更なる恐怖をあおり、建物の中に閉じ込められた人々はもうハスヤミーの言うがままにおとなしくするしかなかった。こうして、町の半分以上もの住民を人質に取ったハスヤミーの無差別集団籠城作戦が執行されたのである。この騒ぎに駆け付けたライダーや邪魔者たちを少数ずつ仕留めるために。 冷牙「おい、どうなってやがるんだっ!!街中同じヤミーがあふれかえっているじゃねえかっ!!」 流水「戦力の分散を図ったのかもね。厄介だね・・・!!」 雷斗「食い止める!!」 昴「とんでもないことやらかしやがったよ!!これ、逃がしたうちらにも責任あるよね」 穏「・・・・・・部隊を分けて、全員打ち倒すしかない!!」 アリス「でもよ、親玉倒さないとどんどん増えるんじゃねえか!?」 マリア「そうですね。相手は植物。いくら分身を倒してもきりがありません!!本体を倒さないと!!」 エリザベート「大変なことになりおった・・・!!メイ、シェオロ、手を貸してくれ!!」 メイ「カブキか・・・・、あのバカが!!」 アスカ「お仕置きが必要であるな!!」 クリス「私たちも行かないと!!」 翠「はい!!」 クロキバ「行くぞ!!」 すると、そこに茉莉がやってきた。 茉莉「行くんでしょう!?アタシも行くよ!!」 翠「中央区のスパリゾート!!そこにまずは行かないと!!」 茉莉「瑛子たちはすぐ近くの公園に出た方に行くって!!」 クリス「急ぎましょう!!」 その時だった。 「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」 すさまじい雄叫びが響き渡り、窓ガラスが吹き飛んだ!!そして、室内から長い黒髪を風になびかせ、ワイシャツのボタンをすべてはだけて、ノースリーブのみに覆われた胸を揺らしながら裸足で真墨が飛び出してきた!!目の色はもはや獣同然に血走っており息遣いも荒い。そして、空気中の何かを嗅ぐように鼻を鳴らすと、ある匂いに感づいたのか、そのまま物凄い速さで走り出した!!!それはまるで獲物を捕らえようとする凶暴な肉食動物のそれである。そのあまりに異様な光景に全員が凍りつき息をのんだ。 真墨「ギシャアアアアアアアアアアアアア―――――――――――ッ!!!」 クロキバ「・・・ま、まさか、本能で敵の気配を感じ取り、無意識のうちに攻撃態勢に入っているのか!?」 クリス「・・・・・というか、それって、もう完全にケダモノですよね!?」 茉莉「・・・・・ヤバすぎない?変身できないのに、あんな生身で特攻しかけるなんて無謀だよ」 翠「は、早く助けないと!!!」 血相を変えて全員が飛び出す。このままでは、大量のヤミーにまさか生身で、変身できない状態で突撃するというあまりにも無謀な突撃になりかねない。真墨の命が危ない!! 翠「・・・・そう思っていた時がありました」 そして今、スパリゾートに向かった真墨を追ってきた翠はもう全身の血の気が引きそうな真っ青な顔をして信じられない光景を前に呆然としていた。クリスもクロキバも、茉莉も、瑛子と美子も、呆然と立ち尽くしている。 スパリゾートに飛び込んで視界に入った光景は・・・・。 無数に積まれたハスヤミーの無残な屍、屍、屍、屍・・・・。 地面に頭から突き刺さったもの、壁や天井に頭を突っ込みそのままぶら下がったもの、もう100体はいるであろうヤミーが全滅していた。 そして、その原因である真墨がスパリゾートに立ち尽くしていた。無傷で。 真墨「・・・・あれ?俺、ちょっとやっちゃったかしら?」 「「「「「やりすぎだ―――――――――――っ!!!」」」」」 全員が一斉に突っ込んだ。そう、精神の崩壊によりコントロール機能を失った真墨が敵の気配を察知して瞬時に攻撃態勢に切り替わり、もう彼自身ですら自分を制御できなくなった真墨はスパリゾートに飛び込むや否や、ハスヤミーに次々と襲いかかっていったのだ。常人の数百倍の怪力と持久力を誇る真墨の強力無比なパワーの凄まじさや、まさしく一騎当千、重厚な装甲を誇る巨大戦車のごとく敵の攻撃をいくら受けても怯まず恐れず突き進み、殴り、蹴り、叩き潰しまくった。そして、ハスヤミーはなんとたった一人の暴君によって全滅させられたのだった。これぞ真墨こと暁の最強必殺技「誰彼かまわず大虐殺(やつあたり)の刑」である。一度切れたらもう晶や慧ですらも止められない暴君と化すのだ。 真墨「・・・あ、そうだ、俺昨日変なドリンク飲んで、気付いたら女になってて、それから・・・あ、あれ?あれぇええええええええ!?」 そういって胸を見ると、さっきまで豊満だった胸が真っ平らになっているではないか。そして、ズボンの中を見て、ほっと一息つくと、表情が喜びに変わる。 真墨「よっしゃぁああああああああああああああっ!!戻ってるぅぅううううううううううううううううううううう!!男だ、男の身体に戻った――――――――っ!!ヒ――――――――――――――――――ハァ―――――――――――――ッ!!!!」 全身で喜びを表すかのように奇妙な踊りを回りながらはしゃぎまくる真墨。あまりのハイテンションの高さに全員が絶句する。よほどうれしかったらしい。 翠「お、お兄ちゃん・・・・」 真墨「・・・・・同じヤミー・・・・・これは全部コピー・・・・つまり本体を見つけないといけない。ヤミーからわずかに魔力とエネルギー源の何かのにおいがする。この魔力が最も強く色濃く匂う場所・・・・・・日光と水と新鮮な空気がそろっていて、なおかつ隠れて行動できるアジトのような場所・・・・あそこじゃああああああああああ!!」 そういって、真墨が暴走したように叫びだし一気に走り出した!!もう誰もついていけずあとを追いかけるしかない。 瑛子「おい!!どこに行くんだ!!」 真墨「本体の居場所にこれから殴り込みをかけるんじゃああああああああああ!!」 美子「どこだか分かったの!?」 真墨「分からん!!」 全員がずっこけた。 クリス「それでどうやって突き止めるんですかぁああああああああああ!!」 クロキバ「根拠はあるのか!?」 真墨「一つだけある。これだけたくさんの当たり障りのないハズレどもなら難なく相手にできる、でも、俺の悪運ならいきなり最初からヤバいものばかり引き当てるモンなんじゃあああああああああああああああっ!!俺の不運ナメるな、アンラッキーパワー、全開じゃああああああっ!!!!ボンバ――――――――――――――――ッ!!!」 完全に運任せであった、しかし、なぜか妙に納得してしまう翠たちだった。しかし、まさか真墨があまりにも運から見放されているとはいえ、いきなりザコではなく、ラスボス級の強力な力を持つヤバいのと遭遇してしまうのであろうか? そして走って、翠と真墨が並んだ。翠が気まずそうに顔をそむける。しかし真墨が話しかける。 真墨「・・・・・翠」 翠「・・・・・・・・・」 そして言った。 真墨「・・・・ごめんな」 翠は目を疑った。真墨がすまなさそうに謝ったのだ。どうして真墨が自分に謝ったのか分からなかった。 真墨「・・・・お前と香澄がそこまでこじれていたなんてな。お前にも色々とあったっていうのに、俺、お前なら話さなくても分かってもらえるとか甘えていたんだ。ちゃんとお前に話しておけばよかった。お前を傷つけちまったこと、本当にすまない」 翠「お、にい、ちゃん・・・」 真墨「でも、これだけは言わせて。俺、どうしても、宇津保香澄と友達になりたい。こうして知り合って一緒にバカやってきて、すごく楽しいし、一緒にいるだけで力が出る。アイツと一緒にいると、俺が昔なくしちまった何かを・・・取り戻せるかもしれないんだ」 翠「・・・・何かって?」 真墨の表情が遠くを見つめてさびしそうに笑う。 真墨「・・・・お前は俺の友達、新海凛のことを覚えているか?俺が最初にできた友達で心から惚れ込んだ・・・愛していた女の子だ。俺はアイツを・・・・守ることができなかった。アイツが苦しんでいたことにも気づけず、神代聖を生み出してしまって自分でもどうにもできなくなって苦しんでいたアイツを、助けることができなかった。俺は・・・ずっとアイツの隣にいたのにもかかわらずだ。俺はそんな俺が今でも許せない。好きな人一人さえ守れなかった俺なんかに何が守れるって、アイツがあんなに苦しんでいるのに何でもっと早く気付けなかったのか、今でも思う。俺はアイツを見殺しにしたようなものだって」 翠「そんな・・・・!そんなこと・・・!!」 真墨「そうなんだよ、だから、俺は今自分が何のために戦えばいいのか、分からなくなっていた。人の命を守らなくちゃいけない、この町を守りたい、自分はそのために戦っているんだって自分自身にいい聞かせることで、そのために戦わなくてはいけない、自分で選んだって言い聞かせてな。でも、宇津保に会って、アイツが何度も何度もお前に負けても挑んでいく姿を見て・・・・俺、気付いたんだ。正義のためとか、誰かのためとか、それだけじゃ強くなれない。なぜならそこに、自分の心が本気で打ち込めてないからって」 義務感とか正義のため、確かに大義名分を掲げて戦うのも一つの理由だが、それはあくまで信念でも誇りでもない。一度失いかけた熱い何かを、真墨は香澄と一緒に触れ合うことで気付いたのだ。 真墨「俺は・・・一人は嫌いだ。一人ぼっちが死ぬほど嫌いだ。だから一緒にいてくれる仲間が大好きで、仲間と一緒にバカをやる時間が、世界が好きだ。それを俺が守りたいって願った。失って二度と取り戻せない命の重みを知ったから、何が何でも消えてほしくない。例えそいつが死を覚悟の上で戦うというなら、俺はそいつが邪魔だといっても何が何でも一緒に戦う。自分が何が何でもやると決めたことなら、どんな障害があっても乗り越えていかなくちゃいけないんだってアイツを見て気付いたんだ。だから、アイツは、俺にとって何があっても守りたい、大事な親友なんだよ。アイツのこと本気で好きだし、尊敬もしている。だからアイツが間違った方向に突き進もうとしたら全力で止めるし、何かをやり遂げようとするなら力になりたい。お前のために、アイツと仲良くすることを止めるなんて、お前には悪いけど、出来ない。俺が心から尊敬して、認めた人だから。守れるように強くなって、アイツを守りたいから」 真剣に翠と向き合って真墨が話す。その言葉に、真墨は自分とは違う。自分で見出した相手の尊敬するところを素直に認めて、相手の存在を受け入れることができる。ここまで真剣に向き合って思いを言われては・・・反対などできないではないか。 翠「・・・・・そうなんだ」 真墨「・・・・・ああ」 翠「・・・・・今のところ、ボクは香澄に負けているわけか」 ははっとため息をついて、両手を大きく広げる。しかし、振り返った翠の顔は何か決意を決めた表情に変わった。迷いを吹き飛ばし凛とした笑みを浮かべる。 翠「なら!!ボクは香澄なんかよりももっと!!お兄ちゃんに認めてもらえるように!!唯一無二の相棒として意識してもらえるように!!誇り高い女騎士として認めてもらえるように!!大事な人たちを守れるように!!強くなる!!」 これは正義のためとかではなく、自分の心から願う願いのため。正義や悪に振り回されることがない、自分で決めた自分自身の戦う理由。大事な人に自分の存在を認めてもらいたい!!その思いが翠の葛藤や迷いを吹き飛ばした!! 真墨「・・・・・その言葉を聞いて安心した。その決意、確かに聞いたぜ。正義とか悪に振り回されない、“自分”を心にとどめておくんだ!!」 翠「うん!!」 その様子を遠くから見ていたクリスとクロキバが安心したようにうなづきあう。 クリス「・・・うまくいったようですね」 クロキバ「暁め、本当はもっと早く意識を取り戻していたが、翠の様子がおかしかったからもしかしてと思っていて様子を見ていたら、読みが当たったからと我らに相談を持ちかけてきたときは驚いたな」 クリス「自分が下手に何かを言ったら翠ちゃん萎縮しちゃって自分の気持ちに決着つけられなくなって苦しむだろうからって、上手く聞き出してくれって言ったときは、翠ちゃんのことすごく気にかけていたんだなって思ったんです。でもお互いに気持ちを言い合ってぶつかることもあるけど、それでもちゃんと伝えなくちゃいけない時があるんですよね」 クロキバ「俺の器量だけじゃどうにもならないから、助けてくれと言ってきたときは・・・アイツも自分一人だけで何もかも抱え込むのを止めて、誰かに助けを求めることをできるようになったかと嬉しくなったものだがな」 そう、翠が自分の気持ちに整理をつけて、自分自身と向き合えるようにするために、ずっと前に正気を取り戻していた真墨がクリスとクロキバに相談を持ちかけていたのだった。そして真墨はおかしくなった演技をして様子を見て、クリスとクロキバが見事翠の気持ちを聞き出し、翠が自分自身の間違いに気付き、再び自分に自信を取り戻せるように仕掛けたのだった。 そして二人がやってきたのは、自然公園の植物園の中にある休憩広場であった!!そこに飛び込んできたのはカブキとハスヤミーの本体であった!! 真墨「やっぱり引いたぜ、大当たりだ!!」 翠「・・・大した悪運ですこと!!」 結界を展開し、翠がメダルを手に取り、真墨がファングトリガーを取り出す!! その時だった。 そこへメダルアニマル、クリムゾンビートルの大群が飛び込んできた!!背中には長槍型の武器・スプラッシュスピアと、サンヨウチュウ・エビ・カニのメダルがあった! 穏音声「・・・・・翠ちゃんへ。アスカがメンテナンス完了した。これ、もう使える」 長槍を取り、さらにメダルをホルダーに装てんする。そしてそれをワルキューレドライバーに装てんした!! 翠「・・・これで甲殻類の戦士だ!!変身!!」 真墨「変身!!」 翠の足元から水柱が噴出し、渦巻くように取り囲むと、その中から西洋の甲冑を着込んだ重厚な騎士を思わせるような戦士の姿に変わっていく!! 「サンヨウチュウ!!エビ!!カニ!!スプラッシュフォーム!!」 全身を爽やかな水色の甲冑に身を包んだ四番目の騎士・仮面ライダーワルキューレ・スプラッシュフォームに変身する!!ファングに変身した真墨もその姿に驚き、二人が同時にうなづくと、一斉に広場へと駆け込んだ!! Sフォーム「そこまでだっ!!」 ファング「もうお前らの好き勝手はさせないぜ!!」 突如飛び込んできた二人の乱入者にカブキとハスヤミーが驚く! ハスヤミー「ドウシテ、ココガ!?」 ファング「生憎運が悪くてねえ。一番最初に一番当たりたくない面倒くさいのに当たっちまった!!」 Sフォーム「さぁて、お遊びはここまでだ!!」 カブキ「お前、見たことない、誰!?」 Sフォーム「ボク?ボクは・・・激流の防護兵!!仮面ライダーワルキューレ・スプラッシュフォーム!!」 ファング「俺様もいるぜ」 Sフォーム「さあ、お遊びはここまでだ!!行くよ!!」 長槍を振り回し、水の力を宿した穂先を鋭く突き出して攻撃をハスヤミーに繰り出す!!ハスヤミーが盾を構えて槍の攻撃を防ぐ!!しかしその槍の硬さはハスヤミーの盾をはるかにしのいでおり、一撃一撃にこれまでにないダメージが次々と与えられていく!! ハスヤミー「コイツ!?ツヨイ・・・!!」 Sフォーム「エビの突撃力とスピード、槍に宿して放つ!!!」 次々と打ち込まれる突き!!そしてとうとう盾にひびが入り、砕け散った!!そしてそのまま槍が体に打ち込まれて、ハスヤミーが吹き飛んだ!! ハスヤミー「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」 カブキ「こいつ・・・!!」 ファング「お前の相手は俺だぁっ!!今日の俺は完全にブチキレてるからよぉ・・・手加減一切できないぜぇえええええええええええええ!!」 マシンガンを乱射するカブキの攻撃を大剣ではじきながら猛然と突撃を仕掛け、強力な大振りの斬撃を放った!!カブキがよろめいたところへ突きを繰り出し、次々と強力な斬撃を踊るように繰り出していく!!その姿はまるで獲物を捕食する獣のようであった!! そして、スプラッシュフォームが槍でハスヤミーを思い切り吹き飛ばし、地面に転がる!! カブキ「ハスちゃん!!」 カブキがマシンガンを乱射しスプラッシュフォームに当たるが銃弾にまるでびくともしない!!重厚な装甲に覆われているスプラッシュフォームは全フォームの中で一番防御力が高いのだ!!カブキが驚いて目を見開く。そしてそこへファングが大剣で切りかかり、吹き飛ばした!! ファング「翠!!一気に決めるぞ!!」 Sフォーム「OK!!」 ファングがセルメダルをファングトリガーに装てんしてカブキに向けて撃つと同時に、スプラッシュフォームが槍を突出し、水鉄砲を発射してハスヤミーに着弾すると青い結界に閉じ込められて動きを封じた!!そしてそこへ、ファングとスプラッシュフォームが同時に飛び上がり、ファングが右足を突出し、スプラッシュフォームが両足を大きく開いてとびかかり、ファングの蹴りがカブキに超高速で叩き付けられ、スプラッシュフォームの両足でハスヤミーを挟み込みそのまま粉砕する!! 「「ライダ―――――――――――ッ、キ―――――――――――ック!!」」 二人の同時の蹴りを受けて、ハスヤミーが全身から火花を散らせてよろめきだす!! ハスヤミー「カブキサマアアアアッ!!!!モウシワケゴザイマセン・・・・!!」 カブキ「きゃあああああああああああああああああ!!」 ハスヤミーが爆発し、カブキも吹き飛ばされる!!しかし、炎の中からツタが伸びて、ワルキューレのベルトのホルダーのメダルをつかむと、奪い取っていった!! Sフォーム「あ!!あいつ!!」 ファング「おいおい、しつけぇな・・・!!」 カブキを追いかけるが、姿を見失っていた。この時、ストームフォームのメダルとバーニングフォームのメダル(トゥプスメダル、アンキロメダル、オオカミメダル、シェパードメダル)を奪われてしまった・・・!! 翠「・・・ちくしょう!!」 真墨「・・・・これで本体は倒した。今はいったんそれで退くしかねえな」 翠「・・・・くっ!!」 翠が悔しそうに歯ぎしりをする。真墨がフォローするように肩をたたいた。 その時だった。 冷牙が変身した仮面ライダーヘブン・ヴォルファスフォーム、流水が変身した仮面ライダーヘブン・チューンフォーム。雷斗が変身した仮面ライダーヘブン・トーライフォームは信じられない光景に言葉を失っていた。自分たちが飛び込んだ市民プール、そこで目を疑うような光景が広がっていたのだ。 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア・・・!!」 「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 ハスヤミーが次々と青い炎に包まれて黒こげになって動かなくなっていく光景。生きながら炎に焼かれて朽ち果てていく光景は地獄のようであった。そしてその元凶であるある人物の動きに言葉を失っていた。 その少女は音もなく素早く相手の急所に飛び込み、相手の喉元や心臓など急所に素早く青い炎を宿した手刀でまるでナイフのように切り裂き、切り口から敵を炎で包み込み焼き尽くしていたのだ・・・!! やがてすべてのヤミーが炎に包まれて消え去り、そこには焼き焦げた跡もなく、静かなプールが広がっているだけだ。近くには気絶している人たちが横たわっていた。冷牙たちが駆け寄る。幸い、けがはない。気絶しているだけのようだ。 冷牙「おい、これ、どうなってやがるんだ・・・!?」 流水「・・・・あの子、普通の人間じゃないね」 雷斗「こっち、向いて、いるぞ!」 そう言っていると、その人物が冷牙たちに顔を向けた。思わず心を奪われそうになるほどの美少女だった。白く透き通るような肌を持ち、モデルを思わせるような美しいプロポーションを持つ青いロングヘアをなびかせている美少女だった。しかしその青い瞳にはどこか悲しげではかなさを宿しており、どこかその神秘的な魅力に吸い込まれてしまいそうな感じさえした。 「気絶しているだけです。この人たちの看病を・・・申し訳ございませんがお願いいたします」 そういうと、手をかざし、“黒い風”が部屋中を吹きすさび、やがて3人は意識を失った。 そしてその少女、“菫谷霧子”は、姿を消した・・・。 数日後の夜。 真墨「おらっ、出来たぞ!!」 すっかり元気になった真墨が回復記念ということで、コテージの前の屋外炊事場でパーティーを開いていた。繚乱会、そして宇津保軍団(真墨が呼んだ)でにぎやかに開かれたパーティーは大いに盛り上がっていた。炊事場では美味しそうなカレーと肉や野菜、シーフードの串焼き、そしてBBQコンロでは具だくさんのパエリアが何とも食欲を誘う音と匂いを漂わせている。 蘭「うんめぇえええええええええええええええええええええ!!!」 茉莉「あんたさ、レディたるものがそんなにがっつくなっての」 朱美「翠たーん♪はい、お肉食べるぅ?あ〜ん♪」 翠「アハハハ・・・・あ〜ん」 メイ「たまにはBBQで一杯っていうのも悪くはないか」 エリザベート「そうじゃな」 真墨「はいはい、ウーロン茶と野菜ジュースだけどね」 メイ「最高だ///」 エリザベート「そうだな///」 美子「これ、美味しいよ〜♪」 瑛子「まあ、なんにせよ、真墨が元に戻ってよかった」 真墨「すまねぇな。みんなに今回は迷惑をかけちまった」 アスカ「フハハハハハ、まったく気にしてないのである。気にするな!!」 真墨「お前は少しは気にしろ!!」 結局あの後、真墨は翠の決意を聞き、今回のことを珍しく許したのだ。そして今度あんなことをやったら翠にも同じ目に遭ってもらうと脅しつけてようやく事は済んだのだ。 香澄「・・・真墨、もう大丈夫ですの?」 真墨「ああ、今回は本当にすまなかった。お前にも心配かけちまった」 香澄「・・・真墨がだいじょうぶならそれでいいですわ」 そういって、真墨の横に椅子を移動させて寄り添うようにくっついてきた。まるで猫が甘えるようにとろけるような瞳で真墨を見つめている。ランプの明かりを反射する瞳が扇情的で真墨も思わず驚く。 香澄「・・・食べます?はい、あ〜ん」 そういって、ステーキ串から取り出したステーキを箸に挟んで真墨の口に運ぶ。 香澄「・・・おいち?」 真墨「あ、ああ、美味い・・・・よ///」 香澄「・・・えへへ///」 そしてそれを見た翠も真墨の隣に移動し、エビを挟んで口に運んできた。 翠「ぼ、ボクも!!あ〜ん!」 真墨「あ、ああ」 エビを口に運び、ぷりぷりとした食感を楽しむ。 翠「・・・お、美味しい?///」 真墨「・・・あ、ああ」 翠「・・・ニャハハ///」 それを見て、香澄も肉を取り出す。そして、翠も負けじと自分の皿の肉や野菜をどんどん真墨に突き出していく。真墨は二人に挟まれて身動きが取れず、ただ、口に運ばれてくる食べ物を食べ続けることしかできなかった。 朱美「・・・う・・うふふふふふ・・・真墨・・・・・私からも差し上げますわ・・・・さぁ、嫉妬と怨念が入り混じった真っ赤に焼きあがった炭でも召し上がれぁああああああああああああああああぇええええええええええええええええええ!!」 そういって、真墨が口を開けていたところへ、絶妙なタイミングでトングで投げ放った真っ赤に燃え上がる炭を放り込まれる!!一瞬動きが止まり・・・。 真墨「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!ぐ、ぐ、ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!で、で、でべぇえええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 炭で口内を大やけどして地面を転げまわり苦しむ真墨を見て、朱美は愉快そうに大笑いをした!!しかし完全にキレた真墨がとびかかり、朱美と真墨が派手な取っ組み合いとなった。髪の毛を引っ張り合い、ひっかき、殴りあう姿はもう完全にお嬢様とは思えない、小学生の喧嘩のようにも見えた。 朱美「こンの女たらしのムッツリスケベがああああああああああ――――――っ!!」 真墨「こンの色情魔のド変態バカお嬢があああああああああああ――――――っ!!」 この喧嘩をもう呆れたように見ている仲間たち。しかしその中に、霧子がいなかった。 茉莉「あれ?青薔薇は?」 蘭「うん、ちょっと着替えてから来るって」 その頃、霧子の部屋では・・・・。 霧子がベットに座り、ロケットを開いて中の写真を見ていた。何か思いつめたように真剣にその瞳からはうかがい知れない感情が闇のように広がっていた。 霧子「・・・・・・シスター・・・・・・・・」 そこに映っていたのは・・・・5年前の中学1年生の時の自分、そして傍らに映っていたのは・・・・・・・・。 透き通るような銀色のロングヘア、眼鏡をかけた知性的な顔立ちをしている、シスターの服装に身を包んでいる長身の女性・・・・。 神代聖(かみしろ・さやか)。 まるで別人のように慈愛と母性に満ち溢れた微笑みを浮かべて、霧子に寄り添うように映っていた。 霧子は瞳を閉じ、写真にキスを軽くすると、ロケットを閉じて首から下げ、部屋を出た・・・。 そしてその右手の甲には・・・・。 燃え上がる灼熱の炎のごとく赤き甲虫の紋章「希望の紋章」。 そして全てを深く包み込み飲み込まんとする闇のごとく、神秘的な紫色の蝙蝠の紋章「矜持の紋章」。この二つが合わさった紋章「忠実の紋章」が霧子に気付かれることなく静かに浮かび上がっていた・・・・! 続く!! |
鴎
2013年11月22日(金) 21時01分06秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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感想を出すのが遅れてしまいましたけど、ここいらで今回の話の感想を送らせてもらいます。 明久(電王) 「んでもって、今回の話だけど……初っ端から色々と大変な感じ……;」 雪奈 「【ワルキューレ】の暁君こと真墨さんが女体化してしまい、精神崩壊を引き起こしてしまった……。原因を作ってしまったシェオロことアスカさんはメイさんにボコられ……間接的原因を作ってしまった【ワルキューレ】の翠ちゃんは自分がしてしまった事と、馬鹿らしい感じの嫉妬心に対しての罪悪感に潰されてしまう始末……」 モモタロス(明) 「……なんつうか、本当に複雑な感じだな……;」 カグヤ 「……同感。取り敢えず、茉莉ちゃんが早めに女体化を解除する解毒剤をイーズ(HW)君に頼んだ辺り、流石って感じね」 シャナツネ 「そうだな。しかし、アスカ嬢自身も性別が変換する薬になるとは思わなかったようだな。実際のところ、どんな感じの薬になると思っていたのだ?」 其の辺が気になるもんですな。 ……それにしても、自身が生み出した“ヤミー”にすらも危うい感じだと思われるカブキ嬢……。自分に対しての欲がない子どもっぽい彼女は本当にどのような感じになってしまうのやら……。 とはいえ、アベルさんとシエルさんのコアメダルを取り戻す為に各個撃破を目的とし、水がある場所に『ハスヤミー』の分身体をばらまくという作戦に出るとは……。無意識なのでしょうけど、本当に凄いもんですな。 星(アスレイ) 「……それはそうと、精神崩壊をしたまんま、学園の授業などに参加をしていた真墨だが……精神が崩壊しているのが原因とはいえ、妖艶さが増してしまったというのがなんとも言えんな……; その結果、ますますモテている感じになっているという始末……」 フェザー(アスレイ) 「女学園ということもあり、本当に大変な感じですね……; それを面白くないと思う翠(W)さん。……なんだかんだでブラコンって感じに見えてきます……;」 まあ、離れて暮らしていたということもあるんでしょう。尊敬してるところが多い兄に認められたいというのも、そういったところから来ているのかもしれませんね。そのことが原因で……宇津保さんとのいざこざが起っていると言ってもいいでしょうな……(苦笑) クリス(アスレイ) 「かもしれませんね…(苦笑) そして、香澄さんも香澄さんで真墨さんがモテていることに面白くないと思っている様子…。瑛子さんは瑛子さんで何気に暴走しないで……(苦笑)」 クロキバT世 「香澄嬢もかなり独占欲が強いようだからな。これはこれで致し方ないのかもしれん……」 んでもって、最終的なとばっちりを受けてしまう真墨さん……。本当に運が悪いですな〜……。ところで、何時頃に正気に戻って、【HW】のクリスとクロキバに連絡をしていたんですか? 暁(アスレイ) 「それに関しては俺もかなり気になる」 翠(アスレイ) 「本当に何時頃?」 蒼真(アスレイ) 「確かにな。とはいえ、あっちの翠が色々と何かを思っているところがあることを察していた辺り、やっぱり兄ちゃんだなと思えるな」 真夜(アスレイ) 「ですね♪」 礼(アスレイ) 「色々と思い悩んでいた翠(W)の相談に乗ることにしたクリス(HW)嬢だが……いくら好きな男だからといって、昔言った言葉を良くも言った際の状況なども含めて覚えているものだな……;」 そういった面では、本当に凄まじいものだと感じます……; まあ、正義の為とか、組織の為とか、そういった理由で戦っていった場合、どこかで必ず大きな失敗をした時、何か大切なことを忘れてしまっている可能性が高いってもんですわな。そういった感じの話が書かれた漫画やライトノベルを読んだことがあるので察しますけど……。 自分の為だけの願い……それは人が生きていく上で最も大切なものであることは確かですね。翠(W)さんも今回の話でそれを理解した感じですけど、目標としたことが達成された後、彼女は次にどのような目的を掲げていくのかが気になります……。 翠(アスレイ) 「……確かにね。僕の場合、『大切な人と笑顔でいられる場所を守りたい』って思いから、いろんな敵と戦っているけど、【ワルキューレ】の僕が掲げた目標が達成された後、どんな感じに次の願いを求めるのかが、気になるな……」 イージス 「それは、今後のあちらの翠次第だろうさ。 んでもって、真墨こと暁の場合、初恋の相手である凛嬢を失った事で色々と落ち込んでいたが、その事から少しでも前向きになれるきっかけを作ってくれた香澄嬢を尊敬しているっていうのも随分な感じだな」 真墨さんこと暁(F)君は、今後どのような感じに進んでいくのやら……。 クロキバT世 「……しかし、霧子殿は一体、何者なのだ? 『ハスヤミー』の分身体を討ち滅ぼしてしまうだけの戦闘能力に、“青い炎”と“黒い風”を操るという異常さ……。その上、歴戦の戦士であるといってもいい【HW】の冷牙達三人の瞬時に奪ってしまった辺り、トンも出ないぞ」 クリス(アスレイ) 「今回の話のラストで語られていたことですけど、『神代 聖』に育てられたみたいですし、その上、炎に司っている『希望の紋章』と闇に司っている『矜持の紋章』の特性を合わせ持った『忠実の紋章』を宿しているみたいですけど……」 新たなる“謎”……。霧子さんと聖さんとの関係……。どのような感じになっていくのかが気になります……。 真夜(アスレイ) 「……そもそも、霧子さんのロケットに入っていた写真に写っていた聖は凛さんなのか、転生前の彼女なのかが気になるところですね。異形な能力を持ち、それを翠(W)さん達に隠して学園にいる霧子さん……。ゼロなどの“グリード”達との関係性も気になりますから、本当にどうなるんでしょう?」 暁(アスレイ) 「……それはそうと……どんだけ本能のままに暴れてんだよ、真墨!!?」 翠(アスレイ) 「分身体とはいえ、防御力が高い『ハスヤミー』を100体を生身で倒しちゃうなんて……;」 とんでもないくらいのデタラメさですな〜。その上、いつの間にか女体化が溶けていたという始末……。んでもって、彼自身の運のなさがいい感じに役に立ったというのも凄いもんです……(苦笑) 蒼真(アスレイ) 「デタラメさが本当に凄まじいもんだな、おい……; 一度キレて暴走した場合、あっちの晶の旦那や慧の姉御ですら止められないって……;」 真夜(アスレイ) 「暴走状態の際は、無意識に前世の力が全盛期な感じに引き出されているのでしょうか?」 その可能性があるから、正直怖い……; 礼(アスレイ) 「それはそうと、無事に仲直りをした真墨こと暁(F)と翠(W)はカブキ嬢とハスヤミー(本体)の元に辿り着き、戦闘開始! 翠(W)はそこでシエルのコアメダルを使って変身する『ワルキューレ・スプラッシュフォーム』へと変身し、『ファング』となった暁(F)と共に大暴れ! んでもって、なんとかハスヤミーとカブキを倒したが……」 星(アスレイ) 「カブキちゃんは最後の気力を振り絞り、メイさんのコアメダル2枚を奪われ、アベルのコアメダル2枚を奪い返していきやがった。大ダメージを受けていながら、なんという根性だ……」 フェザー(アスレイ) 「敵も味方も、かなりの根性を持っているのも特徴ですね」 んでもって、無事に戦いが終わった後の真墨主催の食事会が行われたわけですけど……本当に真墨さんのことが嫌いなんですね、朱美さん……; 暁(アスレイ) 「あの百合バカ生徒会長には絶対に仲良くなれないような気がする……」 雪奈 「私も……」 明久(電王) 「清水さん以上に厄介って感じだしね……;」 翠(アスレイ) 「……何とも言えないね……(苦笑)」 イージス 「それでは、」 カグヤ 「感想は以上ってところです」 モモタロス(明) 「んじゃあ、」 シャナツネ 「次の話も、」 一同 『頑張って書いていってください! 応援しています♪』 〜……時と次元を越え……己の限界すらも超えて……推して参る!!〜 |
50点 | 烈 | ■2013-11-26 04:00:08 | i121-118-209-14.s10.a044.ap.plala.or.jp |
小説感想の前に、前回の話の感想への返信文に返信させてもらいます。 礼(アスレイ) 「【ヘブン】の暁も暁で苦労はしていたか……主に凛嬢との事で……。 初恋の相手とも言える女性に料理を振舞うようになった際、見るのがきっかけになった料理番組が理由で飲酒をするようになったか……。理由が理由だからなんとも言えんが、やはりキチンと未成年であることを理解して欲しい……」 暁(アスレイ) 「俺の方は凛さんとは知り合っていないからな。理由が理由な分、結構切ない感じだわ……」 礼(アスレイ) 「そして女性関係の理由などだが……家族という認識と、悪友という認識か……」 翠(アスレイ) 「側に居て、普段馬鹿騒動などをやっている分、そういった認識を持っておかしくないかもね」 真夜(アスレイ) 「……うふふふふふふふふふふふ(微笑み) 随分なことをしてくれましたね、穏さん。康太さん以上に命知らずですこと。しっかりとO☆HA☆NA☆SHIをして差し上げますね♪ 後、【ヘブン】の暁君にもしっかりと……」 蒼真(アスレイ) 「そもそも住んでいる次元と世界が違うだろう!? どうやってこっち(《【アスレイ】の世界》)にやって来たんだ!?」 穏さんのエロパワー恐るべし!? 康太君ことムッツリーニ並の厄介さ!? 感想返信への返信は以上です。 |
10点 | 烈 | ■2013-11-26 02:33:46 | i121-118-209-14.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 60点 |