仮面ライダーワルキューレ Mission21 |
Mission21「忍び寄る影」 蘆瀬朱美・・・そして爬虫類系のコアメダルを持つグリード・キールは自室で夢を見ていた。どこまでも幸せで暖かくて、そして忌まわしい自分の過去の夢を。 グリードに転生する前、つまり人間だった頃。 彼女の実家は国内でも有数の資産家で、大きな屋敷に住んでいた。頼りになる父と優しい母、たくさんの使用人たちとともに。両親は仕事で忙しい人ではあったが、時間を作っては彼女が一緒に過ごしてくれた。そして、両親がいないときは、いつも、あの少年と少女が来てくれた。 「おーい!あけみー!!あそびにきたぜー!!」 「よぉ!!」 「あ、“さとる”−!!“りん”−!!」 心の底から友達と呼べる二人の親友。“おおとも さとる”と“しんかい りん”。 一人で寂しく遊んでいるところを、屋敷に探検といって勝手に忍び込んできた悪ガキ二人が彼女と出会い、彼女を自分たちと友達になろう、一緒に遊ぼうと言ってきてくれたのだ。彼女は心からこの二人が大好きだった。 そして。 「やぁ、こんにちは」 父の部下である青年、カッコよくて、優しくて、面白い。青年は家庭教師として彼女に接してきた。彼の話が彼女は大好きだった。そしてその大好きの対象が青年自身へと変わっていったのは思春期を迎えるころだった。 「ねえねえ、りん。どうして、あのひとがくると、いつもおこっているの?」 「・・・・べつに。ただ、どうもあいつのことは、きにいらないだけだ」 「どうしてあのひとのこと、わるくいうの!?もう、りんなんてしらない!!」 「ちょ、ちょっと、おい、あけみも、りんもおちつけっての!」 「さとるくんもだいきらい!!もうともだちなんかじゃないもん!!」 「・・・いくぞ、さとる。いまはなにをいってもむだみたいだ」 「お、おい、りん・・・!」 「かえれーーーーーーーーー!!もうにどとこないでっ!!!」 この時から、どうもりんは彼女に口うるさく、あの男には気をつけろとか、あの人と彼女が一緒にいることを快く思っていない、警戒しているようにも見えた。それが原因で、りんと口喧嘩することも多くなってきていた。そしてこれまでのようにいっしょにあそぶこともどんどん少なくなっていった。 初めての恋、彼女は必死だったのだ。何とか彼に振り向いてもらおうと一生懸命だった。 髪が長い子が好きと言われれば髪の手入れも大変だったけど伸ばしたし、お淑やかな子が好きと言われればさとるやりんと話していた気さくな話し方をやめて言葉遣いを直した。そうして成績、スポーツ、全ての分野において、彼に気に入られようと必死で取り組んでいた。それだけが彼女にとって全てになっていたのだった。 しかし、3年前―。 彼女が14歳の時、飛び級で「セント・ローゼリア学園」に入学することが許可された日。「超高校級のご令嬢」として成績優秀、運動神経抜群、品行方正、瀟洒にして清廉なお嬢様として成長した彼女は今や会社の経営にも取り組めるほどの優秀な頭脳を持つ頼れる存在と化した。しかしある日の夜、屋敷で寝ている時、違和感を覚えて目を覚ました。下で何か言い争いをしている声が聞こえる。そして。 バキューン!! バキューン!!! 刑事ドラマでよく聞いたことがある銃声が聞こえてきた。心臓が飛び出しそうなほど驚きながら彼女は勇気を振り絞って下に降りて行った。無論気づかれないように。 すると、リビングから声が聞こえてきた。 「全く大人しく会社譲るか金を払えばいいっていうのに、抵抗しやがって。あれだけ儲けさせてやったんだ。少しくらい会社の金使いこんだっていいじゃねえかよ!」 下卑た声を荒げて、数人の男たちの中の一人が床に倒れこんだ一人の男性を容赦なく蹴り飛ばす。そしてその光景を見て、彼女は心臓が凍りつくようなものを見た。 床に赤い水たまりのような血だまりの中心に倒れこんでいるもの、それは・・愛する父親の変わり果てた姿。そして壁には胸からおびただしい血を流して死んでいる母親がいる。そして、銃を片手に鬼のような顔つきで立っていたのは・・・自分が愛していた思い人の父親の部下であった男性・・・・。 「ど、ど、どうして・・・・!?どうして、こんな、ことに・・・?」 「おやおやこれはこれはお嬢様。これはとんだところを・・・」 「どうして!?どうしてお父さまやお母さまにこんなひどいことを!?」 「ハッ!!いちいちうるせぇんだよ、クソガキ!!俺好みの女に育て上げて成長したらつまみ食い程度に可愛がってやろうと思っていたんだがよ、見られちまったら仕方ねぇわな。俺はな、最初からテメェの親父の会社を乗っ取って自分のものにするためにテメェの親父の部下になったんだよ。長年かけてようやく地位も資産も信用も得たから、それを利用して会社を乗っ取ろうとしていたら、先にあの親父が俺の動きに気づいて仕事の不正を訴えると言いやがった。だから、殺してやったんだよ。なぁに、会社乗っ取りは失敗しちまったがここにある財産や通帳、資産をいただいちまって海外にでも逃げれば当分遊んで暮らせる!!さて、そうなると、残りは・・・お前だけだわなぁ」 そう言って、銃を自分に向ける。冷たい銃口、そして怯えて震える自分を見て嫌らしく笑う男。 「い・・いや・・・いやっ!!!ころさないでっ!!!やめてぇっ!!!」 「いいかお嬢様、最期だから教えてやるよ。俺はな、お前のことなんか最初からこれっぽっちも愛してなんかいないんだよっ!!!お前が俺のために仲間を捨てて、俺の言う通りにどんな言うことも聞いて、俺に気に入られようとするお前のこと・・・すっげぇぇぇぇぇぇえぇええええええええええええ、うぜぇええええええええええええええええって思ってたんだよっ!!!!散々笑わせてもらったぜぇ〜!!!何も知らないで俺のことを信じきってさあっ!!!ヒャハハハハハハハハハハハハ!!!!!」 その言葉を聞いて、彼女の中の何かが全て壊れた。そして、それが絶望と気づく間もなく、火花が噴き出し、鈍い音と共に心臓が熱く燃えるような炎を投げ込まれたような感覚に陥り、そのまま何故か自分は前へと静かに力なく倒れこんでいく・・・・。 最期に見たもの、それは自分に向けて銃を撃ち、おかしくてたまらないように笑う、かつて心底愛していた男の狂った笑み。そしてそのまま視界が真っ暗になり、男の笑い声が聞こえなくなり、全てが無に飲まれた・・・・。 朱美「いやあああああああああああああああああっ!!!!」 朱美がベットから飛び起きた。全身から噴き出た汗でパジャマが肌に張り付いている。息も荒く、もうないはずの心臓がバクバク激しく振動している錯覚に陥る。 朱美「・・・・もう嫌、またあの夢。・・・・もう、あの時の弱い私じゃないのに。グリードに生まれ変わって、今度こそ幸せを手に入れるって、私を心から愛してくれる人を手に入れるって決めたじゃない。もう、あんな男なんかっ・・・・・!!!」 コップに入れた水を一気に飲み干し、姿見に自分の姿が映る。その姿が黒い闇に覆われて、爬虫類系のグリード、キールの姿に化身する。その姿を見るたびもう自分が人間ではないと何度も思う。もうあの時のように、弱い人間だった時の私ではない。生まれ変わったんだ、自分の欲望を叶えるために、自分の命を救ってくれたゼロに恩義を感じ、彼女に言われるがままにこの学園に潜入し、生徒会長として生徒たちの行動を監視しながらヤミーを生み出し、この学園の生徒たち全員を欲望で食らい、あの計画に必要な生命エネルギーを手に入れるために。その暁には、自分の願いを叶えてくれると言ってくれた。 自分を決して裏切らない、心から愛してくれる人がほしい。 愛されたい、裏切られたくない。 その思いがキールの胸の中で激しい炎のように燃え上がっていた。 キール「・・・・ゼロ様・・・・・・必ず任務は果たしてみせますわ」 その時だった。 「おい、どうした!?何かあったのか!?」 ドアが激しく叩かれ、聞き覚えのある声が聞こえてくる。ドアを開けると、そこには目を見開いて全身を震わせて荒く呼吸をしている怨敵、真墨の姿があった。 朱美「ま、真墨・・・?どうしたのよ、こんな真夜中に」 真墨「どうしたもこうしたもねえよ、この階を見回りしていたらお前の部屋の方から悲鳴が聞こえてきたからよ。何かあったのか?」 いつもは自分に対して喧嘩腰な真墨が真剣な表情で朱美を心配していた。朱美は一瞬その顔を見て、ある人物を思い浮かんだ。 “あけみ、なにかあったらいつでもおれにいえよ。かならず、たすけにいくからよ!” 朱美「・・・・・・・さとる・・・・・くん?」 ぽつりと呟いた言葉、その言葉に真墨は一瞬朱美が何を言ったのか分からなかった。しかしその言葉を理解すると、目を見開いて驚きの表情に変わる。 真墨「・・・・なっ!?」 朱美「・・・あ、ああ、な、何でもないわ!!心配してくれてありがとう、でも、もう大丈夫だから!!それじゃあね!!おやすみ!!」 扉が閉じられた後も、真墨はただ茫然と立ち尽くしていた。 真墨「・・・・何でアイツ、俺のことを・・・・!?」 その様子を陰からシエルが眼鏡を光らせて隠れて見ていた。そしてカブキが昔ハッキングしたデータの写しを見る。 そこには、ある一人の人物のことが載っていた。他ならない百合川真墨・・・いや「大友暁」のことだった。 シエル「・・・・・・この間の遊園地の時といい、これまで彼女があまりにも不自然なくらいヤミーやグリード(ボクたち)がらみの事件に妙に絡んでくることといい、そして、彼女たちが転校してきてからだよな、仮面ライダーが現れたのは。さて、あとは、もう一人、この・・・『大友翠』も気をつけて様子を見てみるとするか」 どうやらシエルは仮面ライダーの正体、そして百合川真墨の正体に感づいたようである。 真墨たちの潜入捜査及び護衛に、不穏な空気が立ち込めていた・・・。 翠「はあ・・・・」 もうすぐ文月祭。テストも無事終わり、生徒たちも長かった期末テストから解放されたのか夏休み前に開催される夏祭りこと「文月祭」を前に大いに盛り上がっていた。しかしボクはというと、この間の事件からまだ立ち直れていなかったりしているのだ。 あの後も驚くことばかりであった。アベルがコアメダルを全て失い、骨となって発見されたこと、つまりアベルが死んだってことになる。確かにボクたちの学園生活をメチャクチャにしてくれたし、ヤミーを生み出したり、ボクたちに襲いかかってきたりと、もうナイアガラの滝に100回突き落としても気が済まないくらい腹が立っていたけど・・・いざこうなると・・・やっぱり後味が悪い。さらにボクたちに襲いかかってきたライダー、ディオネとかいうヤツが犯人だということも分かった。そりゃさ、セオリーで言うならば仮面ライダーは悪の怪人を倒す正義の味方なんだから、アベルを倒したディオネは仮面ライダーとして当然のことをしたに過ぎないだろう。 だけど・・・・ボクははどうもあのディオネというライダーという存在が、やっている行為が、戦う理由とか、とにかく、全部気に入らない!!戦いを止めるためにライダーもヤミーもグリードも皆倒してしまえばいいなんて、そんなの極端すぎるというか、それじゃ他の戦いがあったらその度に戦っている人たちを全員喧嘩両成敗で倒さなきゃならなくなる。しかもそれで自分が戦いを止めて平和な世界を作っているって自分で自分に酔っているようなことも言っていたし、それに、世界が破滅を望んでいるってどういうことさ!?そりゃ世界中では戦争をやっているところもあるし、人と人との付き合いで衝突したり、犯罪で財産や命を奪う悪人がいれば奪われて苦しんだり悲しんだり、命を失って理不尽な形で死んでしまったりと、嫌なことややりきれないことばかりあるかもしれないけど、それでもそんな世界の中でもやりたいことがあって、大好きな人がいて、その人たちと一緒に過ごしていきたいって思っている人たちだっているよ。人は一人じゃやっぱり生きて行けないもん。一人で生きてきているつもりでもどこかで誰かに助けられて生きている。そう言ったつながりがある限り、世界そのものを破壊して戦いをなくそうなんて、間違っているとボクは思うわけです。そう、お兄ちゃんに話したら。 「あんまり難しく考えるな。超ド級の大バカなお前じゃ、誰が何のために戦うのかなんて余計なこと考える余裕もなけりゃ分かりっこねーんだから。自分が何のために戦うのか、守りたいものはなにか、それだけ考えていればいい。世界だの人類の平和だのなんて、そのついでにすぎねーよ」 そう言っていた。自分のバカがこんなところで役に立つとは思わなかった。とりあえずお兄ちゃんにはボクをバカと言ってくれたお礼として女装写真(穏から買い付けた猫耳メイド服、ナース服、チャイナドレスのコスプレを無理矢理着替えさせられた暁の写真)をイージスの隊員専用ホームページ内にあるボクのブログにお披露目しておいた。イージス中のファンから称賛されるがよいわ(笑)。(バレたらまず命の保証はないが) だというのに、どうもやっぱり気が晴れない・・・・。 仕方ない、こういう日は寮に帰ったらお兄ちゃんにたっぷり甘えちゃえ!!えへへ、妹ならではの特権だもんね♪お兄ちゃんに抱きつきまくったり、頭なででもらったり、ワガママ聞いてもらったり、お兄ちゃんと一緒にご飯食べたり、もうとにかく一緒にいるだけで・・・はぁ〜、考えるだけで気分が幸せになってくるよ!やっぱりお兄ちゃんって最高だねっ!!!え、ブラコンだって?上等ですがそれが? そう考えると生徒会への足取りも軽くなってくるってもんだっ!! そうして生徒会室の扉を開く。そこには、いつものメンバーが揃っていた。 朱美「翠ちゅわ〜〜〜〜〜ん!!!!愛してるわぁあああああああぁああ〜ん!!!」 朱美が座席から飛び出し、フライングダイブで翠に抱きつき、ほっぺにチュッチュッしながら翠を抱きしめる。翠はあまりの速さに眼で追うことも避ける間もなく、抱きつかれて地面に倒れこむ。 翠「ご・・・・ご機嫌よう・・・・朱美さん・・・・うぷっ・・・・」 朱美「翠ちゃん翠ちゃん翠ちゃん翠ちゃん、くんかくんかくんかくんか、スーハースーハー、はあ・・・ラブニウムが回復していくぅ・・・・」 翠「ら、ラブニウムって、何ですか・・・?」 蘭「朱美の生命エネルギーみたいなもんかな、一日一回は翠や可愛い女の子に抱きついたり匂いをかいだりスキンシップとらないと、調子出ないんだって」 茉莉「真性の変態だね」 霧子「ア、アハハハハハ、アハハハハハ・・・・」 翠「み、見てないで助けてくださ〜い」 蘭・茉莉「「面白そうだから却下!」」 霧子「も、申し訳ございません・・・・」 朱美「ああん、もう、今日は邪魔な真墨も用事でいないし、翠ちゃんをたぁっぷり可愛がっちゃうぞぉ〜〜〜♪ウヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ〜♪」 翠「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」 その瞬間翠は頭をハンマーで殴られたような感覚に襲われた。翠の目が点になる。朱美が抱きつこうが胸をもみしだこうが、顔をなめ回そうがもうそんなこと気にしている様子もない。茫然とこの世の終わりを迎えたような表情に変わる。 翠「マスミガ、キョウ、オヤスミ・・・・?ドウシテ・・・・?ナンデ?」 蘭「おわっ!!?翠、どうした!?まるで燃え尽きているように真っ白になっちまって!!」 霧子「翠ちゃん!?」 茉莉「・・・・・いや、こうなることくらい予想つくでしょ」 朱美「ふおおおお・・・・ああん、いい香り〜♪もう、世界一可愛い、宇宙一可愛い♪」 茉莉「あんたもその辺にしておけっての」 霧子「黄薔薇様、なぜそんなに機嫌が悪そうなのでしょうか?」 蘭「あ〜、真墨が他の女の子と仲良くしているとたまにこうなるよな」 茉莉「べ、別に、そんなことないしっ!?なななな、何を言ってるのさっ!?」 朱美「・・・・顔真っ赤よ?もう、翠ちゃんも茉莉も、何でいつもあんな野蛮人のことばかり・・・」 蘭「・・・アハハ、確かに口悪いし喧嘩っ早いしとっつきづらいけど、本当はすごく面倒見いいし優しいし、いいところいっぱいあるんだよな。困っている時、いつも駆けつけてくれて助けてくれて・・・何だか頼りになるお兄さんって感じがするなあって・・・」 霧子「・・・そうですね。黒薔薇様、お料理も洗濯も掃除も何でもこなしてしまいますし、ガーデニングの腕前もすごく上手ですし、お茶もとても美味しく淹れることが出来ますし、あのように瀟洒で凛然といつも堂々としていらっしゃるあんな淑女になりたいものですわね」 翠・茉莉「「分かる分かる」」 朱美「う・・・・何だかものすごく人気あるし」 翠「朱美さんもいつか分りますよ。あのタイプはつき合ってみると、本当の良さが分かるタイプですもん。それに、朱美さんといつも大喧嘩してますけど、ああいう風に言いたいこと思い切り言い合えるのって、ちょっと羨ましいと思ったりしますよ?」 蘭「確かに、あそこまでバカだのアホだの真墨といい合えるのってお前くらいだよな」 茉莉「・・・・まあある意味すごいっちゃすごいんだろうけど、羨ましくはないな。その都度保健室に担ぎこまれるような大怪我したくないし」 朱美「・・・・・・・真墨、ねえ。生徒会で知り合ってから毎日喧嘩ばかりしか・・・というか翠ちゃんとのラブラブライフを邪魔されてばかりしか記憶がないけど、こうして聞くと、確かに当てはまることがあるようなないような・・・」 朱美(そうか・・・・アイツ、こんなに信頼されてるんだ。それに、昨日の夜も嫌な夢見たとき、悲鳴が上がったっていうだけで、急いで駆け付けてきてくれたし・・・まあ、少しくらいは見直してあげようかしら・・・?) 翠「あ、そういえば、真墨、どこに行ったんですか?」 茉莉「映画研究会の部室。今度の文月祭で研究会が過去に録った映画の上映会やるから、フィルムや機材の確認、何を上映するかをまとめてポスターの製作やるんだって」 蘭「映画研究会って、今度廃部が決まったあれか?」 茉莉「そう、昔は自主製作映画でいくつも賞を取っていて、この学園の中でもかなり有名な部活だったんだけど・・・今じゃすっかり廃れて過去の栄光のお情けで残っていたような幽霊クラブ。そこの部員がとうとう定員割れして廃部になることが決まったんだけど、顧問だった黒澤先生の願いで、映画研究会最後の舞台ってことで、過去に作ってきた自主製作映画を多くの人たちに覚えてもらいたいってことで映画鑑賞会をやることになったんだよ」 翠「へえ・・・そんな部活あったんですか」 霧子「それで、上杉様と一緒に機材の確認やフィルムの用意をされているようです。真墨様のお話を聞いて、お手伝いしてくださるということで・・・」 翠「上杉って・・・あの泣き虫メガネ!?まさか、宇津保と武田も!?」 蘭「いや、それが、宇津保は宇津保で学園祭の準備で別の仕事任されてな。相当ブーブー文句言っていたけど、真墨がようやく説得して今買い出しに行ってる」 翠「チョンマゲは?」 茉莉「期末で赤点とったから補習室で補習だってさ。追試確定だって、真墨に泣きついてた」 翠「つまり、今、あいつら二人きりじゃん!!」 茉莉「・・・・別にそんな慌てることなくね?あのバリバリの肉食系のバカドリルやチョンマゲなら話は別だけど、あの泣き虫メガネじゃ奥手だし小心者だし、真墨に変なことしないと思うけど・・・」 翠「甘い!甘いよ茉莉ちゃん!!あのバカドリルやチョンマゲの予測不可能な行動を先読みしてストッパーの役目を長年果たしてきた、かなり頭が回る狡猾な策士的存在なんだよ!?精神的に図太くなければアイツのフォローやサポートなんて無理に決まってるじゃん!!そんなアイツが真墨と二人きりのチャンスを見逃すはずがないって!!」 茉莉「・・・・説得力あるのかないのか」 蘭「う〜ん、よっぴーと真墨かぁ。結構お似合いかもしれないな!!奥手で大人しいよっぴーをいつも真墨がサポートして引っ張っていてさ、何かあっても俺が守ってやるって優しく笑いかけてさ、それで、二人きりの時には、そんなよっぴーに寄り添って甘えたり誰にも見せられない弱いところ見せたりする真墨をよっぴーが優しく抱きしめてベタベタに愛し合う・・・・うん、なかなかいいじゃん!!純愛系のエロゲーみたいで!」 茉莉「他に例えなかったのか、アンタは」 翠「・・・・エロ・・・ゲー・・・・?」 翠が固まった。その表情は目を見開きポカンと開けた口をワナワナ震わせてブツブツと独り言を言いだし、全身が震えだす。 蘭「あれ?どうした?翠」 茉莉「・・・ゲッ、ヤバい!!こいつ、暴走しかけてる!?」 霧子「翠ちゃん!?」 ブチンッ 何かが切れた音がした。 そして朱美を振り払い、静かに立ち上がると、ゆっくりと光を失った瞳を天井に向ける。天井を仰ぐように見上げている。そのあまりにも不気味な光景はまるで大津波が来る手前の静けさによく似ている。その場にいた全員が恐怖で凍りつくほど、翠の様子はヤバかった。 翠「・・・・・アカン・・・・・アカ―――――――――――――ンッッ!!!!そんなっ、そんなっ、高校生だというのに、そんな二人きりで、ラブラブチュッチュッで、エロエロな展開になったら、アカ―――――――――――――――――ン!!!!」 蘭「翠が壊れた―――――っ!?」 茉莉「アンタがぶっ壊したんでしょーがっ!!責任とって止めろ!!」 蘭「無理いうな!!」 霧子「翠ちゃん。落ち着いてください!!」 朱美「こ、これ、ヤバすぎない・・・・!?」 翠「“お兄ちゃん”早まるな―――――――――――――――――っ!!?人生の墓場に入るのはまだ早いぞ―――――――っ!!!ただでさえ運がなくて崖っぷちギリギリの人生歩んでるんだから、わざわざ残りの人生を宇津保軍団なんかに捧げることないわ―――――――――っ!!!!!今助けにいくぞっ、“お兄ちゃ―――――――――――んっ”!!」 訳の分からない絶叫を上げて、翠は部屋を飛び出していった。その光景をただ全員茫然と見送るしか出来なかった。しかし、この時翠はとんでもないミスをおかしていたのだ。 蘭「・・・・なあ、さっき真墨のこと、“お兄ちゃん”って呼んでたか?アイツ・・・?」 朱美「・・・・・確かにそう言っていたわよね?でも、どうして?」 霧子「・・・・分かりません」 茉莉(・・・・あンの大バカ・・・・・とんでもないこと、やらかしやがった・・・!!) そう、うっかり真墨のことを「お兄ちゃん」と呼んでしまったのだった・・・。 その頃、映画研究会の元部室で、現在は視聴覚室倉庫となっている教室では。 妹の暴走により、正体がバレかけているという最悪の事態が起きていることなど予想すらしていない真墨と美子がフィルムや映写機、スクリーンの準備をしていた。 真墨「これで全部かな?」 美子「うん、これだけあれば大丈夫だと思うよ」 真墨「しっかしこれだけたくさんの自主製作映画で賞をとっている部活なら今頃大人気なはずなのに、どうしてここまで寂れちまったんだか」 美子「・・・前のボクシング部もそうだったよね。何かあったのかな?」 真墨「まあ、何があっても俺たちには関係ねぇんだろうけどな。それより、さっさと機材準備して、夕飯の準備しないとな。香澄も瑛子も今日はすっかり疲れてるだろうから、何か美味いものでも作ってやるか。よっぴー、お前何が食べたい?」 美子「ふえっ!?え、で、でも、私のリクエストなんかでいいの!?」 真墨「たまにはお前の食べたいもの何でも作ってやるよ。いつも香澄や瑛子のリクエストがほとんどだったからな」 美子「い、いいの、かな・・・」 真墨「おう、何でもいいぜ。まあ、いきなり満漢全席とかは無理だけどな」 美子「この間の香澄様のジョークだよね。ごめんなさい・・・」 真墨「まあ、作れないことはねぇんだけど、夕飯まで時間ねぇからな」 美子「時間や材料があれば作れちゃうっていうのも、すごいね・・・」 真墨「まあ、お前らの喜ぶ顔が見たいっていうのもあるからな。最近はそれが楽しみで家事やってるみたいなもんだし」 真墨が照れくさそうに笑いながら言う。その言葉に胸がドキンと高鳴り、暖かく、嬉しい気持ちでいっぱいになり、美子も頬を赤らめて両手の指と指を絡めてもじもじしながら嬉しそうに微笑む。 美子「さ、暁ちゃん・・・・♪えへへ・・・何だか・・・・すごく嬉しいな。暁ちゃんと・・・その・・・こうして二人でお話したり・・・・笑ったり・・・・・何だか・・・それだけで・・・・すごく楽しくて・・・・・幸せって感じがするなあ・・・・」 真墨への思いが胸の中であふれて、幸せな気持ちになり、美子が蕩けるような表情になって真墨を見つめる。好き、いつも優しくて暖かくて面倒見が良くて、頼りがいがある目の前のカッコいい暁が好きで好きで仕方ない。可愛くて可愛くて思い切り可愛がりたい。ベタベタに甘えたい。そう、美子は真墨を見て思いを募らせる。 真墨「・・・あん?どうかしたか?食べたいもの多すぎてどれにしようか迷ってるのか?」 美子が少しずっこける。 美子「ふえっ、あ、あの、そうじゃないんだけど、は、はうう、その、あのぅ・・・」 (暁ちゃん・・・鈍いというか女心もうちょっと察してほしいというか・・・・私ってそんなに色気より食気を優先しているように見えるかなぁ・・・・?) つくづく乙女心を理解していない暁であった。 真墨「さてと、後は映写機が動くかどうかチェックするだけか。どうせだし、何か一本映画見るとするか。それでそのまま仕事ばっくれるってことで」 美子「そ、そんないい加減でいいのかな?」 真墨「たまにはサボらなきゃ身がもたねーよ(しょっちゅうサボりっぱなしのくせに)。よっぴーも一緒に見ようぜ。見つかっても機材が正常に作動するか確認してたとでも言えばいいんだし」 美子「う・・・うん、そうだね。確認だもんね。サボリとかじゃないもんね」 真墨「そうこなくちゃな。さてと、どれを見るとするか。恋愛メロドラマにアクション、推理サスペンスにコメディ、学園青春ドラマ・・・色々あるなぁ・・・」 美子「どうせならお薦めの映画見ようよ〜♪」 真墨「そうすると・・・・どれがいいかな」 二人で和気あいあいと笑顔で談笑しながら、どの映画を見るかフィルムの缶をチェックしている。美子の表情は頬を赤らめながらとても嬉しそうに、潤んだ瞳で真墨を見つめていた。 その時だった。 「〜♪(携帯の着信音)」 美子「あ、瑛子ちゃんからだ」 真墨「アイツ、もう補習終わったのか?」 美子「はい、もしもし、瑛子ちゃん?うん・・・・ええっ!?・・・・もう、何やってるの!分かった・・・・もう今どこにいるの?・・・・うん、うん、分かった。それじゃあこれから行くから、そこにいてね・・・・」 美子が疲れ切った様子で携帯を切り、ため息を吐く。 真墨「・・・どうした?」 美子「ごめん、暁ちゃん。ちょっと瑛子ちゃんと一緒に職員室に行ってくる」 真墨「何かあったのか?」 美子「・・・・瑛子ちゃん、数学の補習受けてたんだけど、あの子計算問題とか図形の証明とかすごく苦手なもんだから、とうとう頭がオーバーヒート起こしちゃって・・・気がついたら黒板を刀で微塵切りにしちゃって、現在学園内を逃げ回ってるみたい。さすがに一人じゃ出頭しにくいだろうし、行ってくるよ」 真墨「・・・まあ、香澄に聞かれたくはないだろうな」 美子「・・もう、本当に何でこういう絶好のチャンスだって時に・・・!瑛子ちゃん、私の補習は先生の百倍キツいんだからね。泣いてももう許さないんだから」 真墨「よ、よっぴーも落ち着けって。俺も行こうか?」 美子「ううん、大丈夫。暁ちゃんは生徒会のお仕事済ませといて。そしたら連絡ちょうだい。それでさ、その後、申し訳ないんだけど・・・・数学学年1位の暁ちゃんの頭脳を見込んでお願いがあるんだけど・・・・あとで瑛子ちゃんの補習付き合ってくれないかなあ・・・?」 真墨「・・・・・了解。お前も苦労してるな」 美子「・・・・・・・うん、ありがとう」 美子がトホホとため息をついて教室を出ていった。真墨も一息つくと、机に積まれたフィルムの山を見る。一人になると、どれを見ようかとワクワクしていた気持ちがどうも薄らいでくる。こういうのは友達とワイワイ騒ぎながらやるのが真墨は好きなのだ。しかしこうなるともう適当にフィルムを回して映写機の動作を確認して仕事を終わらせてしまおう。そう思い、一つのフィルムを取り出して準備を整える。そしてスイッチを入れようとしたが、ふと、コーヒーを飲みたくなった。気分転換でもしよう。それに香澄たちと合流したとき、飲み物を準備しておけばわずかだが気分転換にはなるだろう。スイッチを入れてすぐ動きだし、その時だった。 ダダダダダンッ!!ダンッ!!ダンッ!!ドガ――――――――ンッッ!!! 何かを叩きつける音が何回も響き、やがて物凄い音を立てて重厚な分厚い鉄の扉が蹴りで吹き飛んだ。蹴り飛ばしたのは翠であった。息を荒げて目を血走らせ、鬼のような形相で、背後に燃え盛る炎をまとった鬼のイメージを彷彿させるものが浮かんでいる。 翠「お兄ちゃ―――――――――――――んっっ!!」 茉莉「だから、落ち着けっての、バカッッ!!!」 美子とすれ違いに翠と茉莉が乗り込んできたのであった。そして後ろから美子が何事かと戻ってきた!! 美子「翠ちゃん!?それに黄司さんも、どうしたの!?」 真墨「ブ―――――――――――ッ!!?(コーヒー噴き出した音)」 その時であった。 スクリーンに映し出されたある映像・・・。 それは、どこまでも続く深い深い森の中を歩いている映像。ただひたすらどこまでも森の中を必死で走っているような、息遣いが荒く、森の奥へ奥へとひたすら必死で木々をかき分け、突き進んでいく映像だった。そして後ろを振り返ると、そこにいたのは、ボロボロの制服を着こんで、ボサボサの長い黒髪をユラユラ揺らしながら、両腕を持ち上げ伸ばしながらゆっくりと、ゆっくりと歩いてくる・・・女子高生のミイラのような干からびた肌、白く濁った瞳、皮が剥けた唇と唇の間から「うう」とか「ああ」とかうめき声を上げて近づいてくる悪霊の姿であった・・・!! 翠「きゃ、きゃああああああああああああっ!!」 美子「いやあああああああああああああああああああ!!」 その直後だった。 にゅるんとスクリーンがまるで水面のように波紋を立てて盛り上がり、中から飛び出してきた大きな腕が翠と美子を掴んで、そのまま二人を一気にスクリーンの中へと引きずりこんでいったのだ!!!翠と美子は必死で抵抗するがあまりにすごい力で抵抗する間もなく二人の身体がスクリーンの中へと上半身が飲みこまれていった。 翠「な、何よ、これ!!!助けてっ、いやああああああああああああああ!!」 美子「きゃあああああああああああああああああああああっ!!!」 真墨「翠!!よっぴ―――――――――――――――っ!!!!」 真墨が咄嗟に二人の足を掴もうとするが二人はスクリーンの中へと飲みこまれてしまった・・・!!真墨がスクリーンを叩いて必死の形相で呼びかける!! 真墨「おい!!!翠!!!よっぴ―――――っ!!!!どうしたんだよ、何が起きたんだよっ!!?おい!!!何なんだよ、これはっ!?」 茉莉「・・・・これ、物に宿るヤミーってことは、アベル?」 メイ「いや・・・これは、キールにカブキ・・・色々なヤミーの気配を感じるぞ!」 騒ぎを聞きつけてメイがやってきた。 茉莉「メイ!?どういうこと!?」 メイ「複数のメダルを持っているグリードの仕業ということだ。この間倒されたアベルのメダルを受け継いでいるヤツがいるということだ。さらにキールのメダルも持っているな」 そこへ蘭、朱美、霧子もやってくる。その時、会話の一端が聞こえてきた。 メイ「キールがなぜアベルのメダルを持っているのかは謎だが、この能力と気配は色々な種類のメダルが入り混じっているから断定はできない。つまりこれはキールの仕業か、アベルとキールのメダルを取りこんだ誰かの仕業ということになるな」 その言葉を聞いて、キール・・・朱美は心の中で面食らう。 キール(朱美)(何よそれ、どういうことなの!?私が何をやったっていうの!?) そう、今回の事態はキールではなかった。むしろ、自分のメダルとアベルのメダルの二つを持っているグリードが今回の事件を仕組んだ話など、寝耳に水であった。アベルたちを統括するキールにしてみれば自分に無視して勝手に作戦を実行に移した不届き者がいるということに不快感を感じる。しかも翠を巻きこむなどもはや言語道断だ。 そしてその存在に、思い当たる人物など一人しかいない。 朱美は誰にも気づかれないように、自分の足もとから影を浮き上がらせて全身に纏うと、気配を完全に消して静かにその場を立ち去った・・。 そしてその人物は裏庭で一人本などを読んでいた。磯貝汐里ことシエルであった。憤然と乗り込み、本を乱暴にひったくった。 キール「シエル、これはどういうことなのかしら!?私をナメているのかしら?言い訳や説明があるなら私が納得できるような代物を聞かせてちょうだいな。もし、納得できないものだったら、その時は・・・貴方のコアメダル、全部砕くわよ」 シエル「いきなりなんなんだい。藪から棒に。ボクが何をしたって?」 キール「貴方、アベルのメダルと私のメダルの力を使って、映写機とかフィルムの中にヤミー忍ばせていたでしょう!!その結果、まさか翠ちゃんが巻き込まれるなんて・・・!!ヤミー生み出してこの学園の生徒たちの欲望をエネルギーに変えてゼロ様に捧げるという任務をやるとしても、翠ちゃんには手を出すなと言ってあったはずよ!!」 シエル「知らないよ。第一、今日大友が映写機やフィルムをいじるなんて知るはずないし。それに物にメダルを宿してヤミーを生み出すなんてアベルしか出来ないはず・・・」 キール「だから変なのよ!!役立たずのワンちゃんは処分したのに、どうしてこんなことになっているのよ!?」 シエル「・・・・・・アベルのメダルを誰かが取り込んで利用している?思い当たるとしたら・・・でも・・・・メイやシェオロがやるとは思えないし、まさか、ゼロがついに動き出したのか・・・?」 キール「・・あと、あのおチビちゃん(カブキ)よね・・・」 シエル「まさか!?なんでカブキがそんなことを?こういったやり方は彼女らしくないから違うだろ」 その時だった。 「・・・・随分と見くびられたものねぇ・・でも・・・・今の私なら、それが出来るわ」 木の陰から長身で抜群のプロポーションを持つモデルのような栗色ロングヘアの女性が現れた。白を基調とする清純かつ胸元を大きく開いた大胆さが同居するサマードレスを着こなすその姿はまるでファッションモデルを思わせる。そして妖艶にぷっくりとした唇を吊上げて静かに微笑んだ。しかしその瞳は決して笑っていない。底知れない深い闇が広がっており、不気味な雰囲気を醸し出し、キールとシエルは思わず身構える。 シエル「・・・誰だ、君は!」 「・・・・・ウフフフフフ・・・・アハハハハハハハ!!ひどいなぁ、シエルぅ。もう分からないのぉ?ああ、でも、もうあの時のちっぽけで泣き虫でちんちくりんの芋虫のようだった私じゃないからねぇ。でもね、芋虫もいつかは、蛹になって、それを破り、美しいちょうちょになって舞う時が来るのよ・・・・?」 キール「・・・・!?まさか、このメダルの気配は・・・・!?」 「・・・ウフフフ・・・・キールは分かったみたいねぇ。そうよ、私だよ。“カブキ”だよぅ・・・・ウフフフフフフフ・・・・キヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!」 狂気が瞳に宿り、おかしくてたまらないように身体をよじらせてクネクネと官能的な動きをしながら乾いた笑い声を上げた!! シエル「なっ・・・・・!?ば、バカを言え!!カブキは・・・カブキはそんな姿なんかじゃない!!」 キール「・・・いいえ、シエル。この気配は・・・信じがたいけど、カブキのメダルだわ。それに、私のメダルと、アベルのメダルを取りこんでいる・・・!!」 カブキ(大人)「そうよぉ。私はね、生まれ変わったの。アベルの敵を討つためにねぇ。アベル・・・・私の大切な仲間をあんな目に遭わせた奴らは・・・絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対許せなぁい・・・・どこまでもどこまでもどこまでも追い詰めて追い詰めて追い詰めてぇ・・・・・・・とことん苦しめて・・・・甚振って・・・アベル以上に苦しんで死んでもらうんだぁ・・・・・キヒヒヒヒヒヒヒヒヒ・・・・想像するだけで・・・・高ぶるわぁ・・・・・興奮してきちゃったぁん・・・・・・」 両手で頬をおさえてうっとりと狂気の微笑を浮かべる。その姿はまさしくアベルを失って、完全に正気をなくした狂気の怪物。復讐に酔った甘美な微笑みと一緒にどす黒く凍りつくような激しい憎悪と殺意が全身から発せられる。シエルとキールはカブキのあまりの豹変ぶりに言葉を失い、冷汗を垂らしていた。 カブキ(大人)「・・・でもでもでもでもでもでもでぇぇええええもぉおおおおお、まさか、キールとシエルが関わっていたなんてねぇ・・・・・・・・ねぇ、シエルぅ・・・・どうして裏切ったの?アベルを・・・・アベルをどうして・・・・・殺したのぉおおおおおおぉおおおお?信じてたのに、仲間だって信じてたのにぃいいいいいいいい」 カブキの表情が無表情に変わり、その姿がグリードの姿に変わっていく!!しかしその姿は頭部にオオカミの耳がつき、両肩には猟犬を模した肩アーマーを装着し、両足にはシェパードのような爪が備わった足に変わっている。そう、アベルのメダルを取りこんだことにより、カブキの姿がさらなる融合と進化を繰り返して今の姿に至ったのだ。 シエル「カブキ、これは・・・・!!」 カブキ(大人)「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!よくもよくもよくもよくもよくもよくもぉおおおおおおぉおお、裏切ってぇぇええええぇえええ、くれたなぁぁあああああああああああああぁあっ!!!信じてたのにィィィイイ、許せないィイイイイイイイイイイイッ!!キヒッ、キヒヒッ、キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!」 キール「ちっ、来るわ!!!」 カブキのマシンガンと化したホウセンカの腕から、緑色の炎の弾丸が発射され、シエルとキールめがけて襲いかかっていく!!緑色の炎は木々に着弾すると、ドロドロと幹を溶かしていき、鈍い音を上げて木が倒れていき、地面に音を立てて崩れ落ちた!!緑色の炎はあらゆるものを溶かし、傷口から腐らせていく濃硫酸の性質を持つ炎であった! 木が腐り果てる。悪臭と泡を吹き出し、木が見る見る枯れ果てていく。もしあれを食らったら自分自身がああなるかと思うと戦慄する。 シエル「カブキ、やめろ!!やめてくれっ!!」 カブキ(大人)「キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!死ね死ね死ね死ね死ねっ!!!!みんなみんなみィィイイイイイイイインな、死んじゃえエェェェェェェェェェェェェェェェェエエエエッ!!!!!キヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」 そしてその裏庭での騒ぎは、真墨たちの耳にも入ってきた。 真墨「な、なんだぁっ!?」 茉莉「裏手からだ!」 そしてそこへ瑛子が駆けつけてきた。 瑛子「一体何事だっ!?」 茉莉「あ、赤点先輩」 瑛子「赤●ン先生みたいに言うな!!」 真墨「やべぇな・・・・こんな事態だって時に収集つかないことになってやがる」 メイ「あれは・・・シエルとキール!?それに、あれは・・・カブキか!?何だあの姿は!?」 瑛子「あのアベルとかいうヤツとごちゃまぜになっているみたいじゃないか!!」 真墨「・・・これ以上騒ぎを大きくするわけにはいかねえ!!蘭、霧子!!・・・あれ?朱美は!?」 蘭「あ、あれぇっ!?どこにいったんだ!?」 霧子「先ほどまでこちらにいらっしゃったのに・・・!」 真墨「・・・ちっ、もう構ってられないか!!蘭、霧子!!お前たちは放送室に行って学園内にいる生徒たちを安全な場所に避難させるんだ!!避難用の講堂に全員集めろ!!蘭は運動部の連中や教師たちに先導を指示するんだ!!俺と茉莉、武田は部活棟のほうだ!!メイはアスカ呼んで寮の連中を地下道を通って避難指示を出してくれ!!」 瑛子「大友は!?それに・・美子はどうするんだ!?」 真墨「まずは生徒たちの身の安全を確保することが優先だ!!それに、あいつらなら大丈夫だ!!このくらいの危険、何度だって切り抜けてきたプロだからな!!」 メイ「武田、お前は宇津保の保護を頼む!!2年4組の残っている生徒たちも避難させてくれ!!」 瑛子「あ、ああ、分かった!!」 真墨「茉莉!お前は・・・」 茉莉「映画研究会に関する事件や事故の調査、だよね?」 真墨「マリアさんやアニキにも応援を頼む!!調べられる限り調べてきてくれ!!」 茉莉「頭脳労働はアタシに任せておけってね」 メイ「お前はどうするんだ!?暁!!」 真墨「今、エリザが出張先から戻ってきている!!そしたら合流してあいつらの動きを抑える!!もうそろそろ到着するころだ!!」 しかし、その時だった。 ボボボボボボボボボボボボボ・・・・!!!! 裏庭の方から凄まじい轟音が響き渡る!! それは重厚なマフラー音。そしてギャリギャリギャリと地面を削る音がしたと思いきや、3体のグリード達に向かって一台の巨大な赤いバイクがものすごい速さで前輪を持ち上げながら突っ込んでいく!!! 黒いライダースーツに身を包み、赤い炎の中から雄たけびを上げる猛牛のイラストが描かれたヘルメットを被った謎のライダーが、巨大なバイクにまたがりグリード達を巧みなバイクテクニックで撥ね退ける!!! シエル「うわあああああああ!!」 キール「な、何・・・・!!」 そしてライダーは背中にしょっていた巨大な銃のような武器を取り出し、大量のセルメダルが入ったバックパックを装填させて、狙いを定めて一気に発射する!! 「はぁああああああああっ!!」 ガウンガウンガウンガウン!!!! セルメダルの弾丸が発射され、着弾と同時に大爆発を起こし、カブキを吹き飛ばす!そしてシエルやキールもなすすべもないまま次々と打ちこまれる銃弾に怯んだ!! カブキ(大人)「き・・・・貴様ァアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」 そのライダーの戦闘能力は極めて高かった。特にグリード三体を相手にものともせずに攻撃を上手くかわしながら次々と銃弾を撃ち込み、吹き飛ばしていく!! その様子を真墨たちは茫然と見ることしか出来なかった。 真墨「・・・・つぇぇ・・・・!!」 瑛子「アイツ・・・何者だっ!?」 メイ「!?この気配は・・・・アイツか!?」 瑛子「アイツ・・・?」 そう言うと、メイはクールな笑みを浮かべて言った。 メイ「・・・・・・頼もしいお助けマン、だな」 一方、そのころ。 深く暗く欝蒼とした森の中・・・・。 翠は生ぬるい風が頬をなでるように流れていく感覚と葉から伝って落ちた雨露で目を覚ました。ゆっくりと起き上がると、そこは、見たこともない不気味な森の中・・・。 翠「・・・・・・・・・・・何じゃ、これは」 そして後ろで美子がおき上がり、眼鏡をかけて飛び込んできた不気味な森の光景に言葉を失い顔が血の気が引いたように真っ青になる。 美子「ど、どこなんですか、ここは―――――――――――――っ!!?」 翠「カメラはどこじゃ、カメラはどこじゃ!」 美子「お、落ち着いて、モチついて!!これ、多分ドッキリカメラじゃないよぅ!!」 翠「・・・落ち着け、確か、さっき、スクリーンから手が出てきて引きずりこまれた・・・ということはここって・・・まさか・・・・」 美子「・・・・・映画の中の世界?」 翠「と、とりあえず、ここから動かなきゃ。じゃないと何も始まらないよ」 美子「う、うん」 森の中を静かに、慎重に草木を踏みしめて翠と美子が歩いていく。木々の間から月明かりが雲に隠れて所々を月明かりが照らしている。そう、血のように真っ赤な満月の光だ。 そして森を抜けて大きな建物が見えてきた。 翠「これって・・・・学校?」 美子「・・・・みたいだねえ」 目の前にあるのは大きな学校のような建物。しかしよく見てみるとこれは学校だ。 しかもこれは・・・・翠は覚えがあったようで声を上げる。 翠「私立天神学園・・・!!お兄ちゃんの通ってた学校じゃん!!」 美子「暁ちゃんが男の子だった時に通っていた高校!?」 美子よ、その言い方はなぜか複雑な思いにかられるからやめてあげてください。 翠「何言ってるの、泣き虫メガネ。うちのお兄ちゃんが男の子なのはあくまで戸籍上の問題だけであって、実際はあの通りクールでカッコよく、イジると可愛く泣きだす女の子じゃないのさ」 法廷に持ち込まれてもボクは勝てると言い切る翠に、美子が呆れる。 美子「戸籍上の問題って・・・」 翠「しかし、まさか天神学園を撮影場所に使うなんて。昔交流とかあったのかな?」 茉莉は映画で流れてくる翠たちの音声をオーディオ機器に接続してイヤホンで聞きながら、翠たちの様子を確認しつつパソコンで情報を収集していた。 茉莉「戸籍上の問題って・・・・。真墨にゃ黙っておこう。あとでキレたら厄介だし。それで、天神学園を撮影に使ったねぇ。ねえ、元番長さん。天神学園を映画の撮影で使った映画って何か知ってる?」 インカムで連絡を真墨にする。すると、真墨から返事が来る。 真墨「ああ、あるぜ。4年前に、確か、ホラー映画の撮影とかでうちの学校の旧校舎とか部室棟とか使っていたことがある。・・・・4年前?あれ?その時、確か何か事件あったな」 茉莉「ま、マジ!?」 真墨「・・・・・・・ああ、思い出した。その当時の撮影が終わった後、研究会に所属していた部員が一人、行方不明になってる!!」 茉莉「4年前の、行方不明事件。それ、かなりいい線いってるかも。もしこのメダルがアベルの力を持っているメダルなら、物に宿る記憶や欲望を餌に育つんだよね?それ、もうちょっと調べてみる!!」 しかしその時であった。 美子「え・・・?きゃ、きゃあああああああああああああああああっ!!?」 翠「ギャ――――――――――――ッ!ぞ、ぞ、ゾンビ―――――――――ッ!!」 突然翠と美子の悲鳴が上がったのだ。茉莉が映画の映像をスクリーンに向けて置いてきた小型カメラから視聴覚室で流れているスクリーンの映像に目を向ける。するとそこでは、顔を真っ青にして必死で逃げまどう翠と美子、そしてその後ろから校庭を埋め尽くさんばかりにあふれ出る、ボロボロの高校生の制服を着こんだ、もう生きている人間とは思えないほど青ざめ、肉の所々が腐り落ち、口からだらしなく涎を垂らし、どろりと濁った白目を剥きだしにして両手を前へ垂らしながらゆっくりと歩いて追いかけるゾンビの大量軍団がいたのだ!! 茉莉「・・・・・・・マジで、ヤバすぎじゃん」 真墨「頼むぜ!!こっちもこっちでしばらく手が離せなくなりそうだ!!メイ、俺もいくぞ!!」 メイ「ああ、結界の準備は任せろ。“ギュゼル”!!結界を展開するぞ!!」 ギュゼルと呼ばれたヘルメットを着こんだライダースーツを着こんだ相手はコクリと頷き、銃でグリード達の行く手を阻むように乱射し、土ぼこりを上げる。これにより、相手の視界がふさがり、何も見えなくなる!!しかし、こっちは2階にいるので、上からなら敵が丸見えだ!! 真墨「行くぜ!!変身!!」 ファングに変身し、2階の窓から飛び降りると同時に大剣を振り上げて一気にカブキに切りかかった!!袈裟掛けに思い切り斬られたカブキがセルメダルを大量に散らせる!! ファング「グリード3体か。手加減はいらねぇな、暴れまくるぜ、このヤロウ――――――――ッ!!!」 もう大暴れならファングの独断場だ。1対3などものともせず、殴り、蹴り、切る。もう普段のストレスを一気に爆発させんといわんばかりに暴れまくる!!その暴れぶりにシエルやキール、そしてカブキもなぜか追い込まれていく!! ファング「行くぜ行くぜ行くぜ行くぜ――――――――――――っ!!!!」 もうモ●タロスが憑依したかのような派手な暴れぶり。シエルの槍の突きをかわし、キールの長剣の攻撃をかわして、大剣で叩き斬る姿はまるでシエル達の動きを読んでいるかのようだった。まあ実際は読んでいるのだ。これまで過去に戦ってきた経験から相手の動きや攻撃パターンが予測でき、また研ぎ澄まされた直感で攻撃を見切り、防御で防ぎ、またはかわして強力なカウンターを叩きこむ!! シエル「どうなってるんだ、いつもと全然違う、強い・・・!」 キール「くっ、生意気ね!!」 ファング「いつまでもやられっぱなしだと思うなよ!!!こっちも鍛えているんでなあっ!!」 その様子をカブキが静かに見ていた。そして不敵に微笑んでいる。 カブキ(大人)「・・・・・ふぅん、アイツ、使えるかも・・・・ウフフフフ・・・・キャアアアアアっ!!」 カブキが油断しているとそこへギュゼルと呼ばれたライダースーツの人物が放った銃弾とメイの竜巻が同時に炸裂し、カブキが吹き飛ぶ。 メイ「カブキ・・・・何があったか知らんし知りたくもないが、その力、今後脅威となるだろうな。だから、ここで芽は早いうちに摘ませてもらおうか」 ギュゼル「闘いの途中でよそ見とは、これは退屈させてしまったようだな。ならばもう一切手加減しなくてもいい、ということだな」 声の感じから女性のようだ。クールで淡々としている、感情が感じられない平坦で無機質な感じの声で、それをさらに低くして死刑宣告をつげるその姿はまさしく非情なる戦士のようだった。 カブキ(大人)「ちっ、おばさん二人がこんなうら若い乙女を捕まえて集団いじめなんて、みっともないわねぇ。あんまり怒るとシワ増えるわよ〜?お・ば・さ・ん」 メイ「(ブチンッ)三途の川で頭冷やしてくるんだな」 ギュゼル「(ブチンッ)地獄の閻魔様にでも口のきき方というものを再教育されてこい」 そして。 ギュゼルがどこからか大量のセルメダルを生み出し、それをありったけブチ込んでフルパワーに出力を上げ、メイの手に今まで見たことのないおびただしい量の風がまるで嵐のように吹き荒れながら集まり出す!!それを見て、ファング、キール、シエルは本気で命の危機を感じた!! ファング「やめろ、クソババア共――――――――ッ!!!こんな狭いところでそんな大技ぶちかましたら・・・・・!!!」 もう遅い。次の瞬間、凶暴なうねりを上げた嵐の渦と無数のセルメダルの弾丸がシエルたち目がけて発射される!!そして・・・・グリード3体と、ファングまで巻き込み裏庭を嵐があらゆるものを飲みこみ吹き飛ばし、セルメダルの弾丸によって粉砕され、無残な瓦礫や残骸と化した木々やコンクリート片が渦とともに舞い上がり、中に飲みこまれた・・ファングに次々と直撃していた。しかもよく見てみると、そこにはもうシエルもキールも、カブキもいなかったのだ。つまり食らったのはファングのみという状態だ。 メイ「・・・・・・・・・・あ」 ギュゼル「・・・・・・・・・・巻きこんじゃった」 そして、地面に叩きつけられ、ピクピクと痙攣を起こし、ボロボロになったファングがぶっ倒れていた。 ファング「・・・・あいつら、後で、覚えておけよ・・・・」 そして合掌の鐘の音とともに、気絶したのであった・・・合掌(ちーん♪) 一方その頃。 茉莉「まずいな、こりゃ翠たちが追い詰められるのも時間の問題か。まず、この映画に宿っている思いの正体を突き止めないと・・・うん?」 すると、小型カメラに一人の人物が映し出された。その人物はスクリーンの前に立つ。するとスクリーンの中から再び腕が伸びだし、その人物に迫っていた!!茉莉は慌てて視聴覚室に駆け込んだ!! 茉莉「ちょっとあんた、何やってるの!?危険だからすぐに離れて・・・!?」 そこにいた人物は、ディオネドライバーにメダルを装填し、静かに装着した後だった。 そして茉莉に気づかないのか、目の前で叫んだ。 霧子「・・・・・・変身!」 そう、菫谷霧子は言って、両腕を頭の上でクロスさせて一気に振り下ろした。するとその姿が赤い翼竜・ケツアルコアトルを模した仮面と鎧に身を包んだ、戦士の姿へと変わる。その姿を見て、茉莉は心底おどろき、その場に座り込んでしまった。その戦士の姿は忘れたことはない。自分たちを散々痛めつけて、自分の正義のためにライダーとグリード、全てを倒してしまえばいいと言い切り、アベルを言葉通り葬り去った狂気の戦士。 仮面ライダーディオネ。 そのライダーに、青薔薇こと菫谷霧子が変身していたのだ・・・!!そして霧子=ディオネは気づくこともなくスクリーンの中へと飛び込んでいった。 茉莉「・・・嘘でしょ、どうして、青薔薇が・・・・!?」 いつになく茉莉の顔色は青ざめ、全身の震えが止まらないくらい動揺していた・・・。 続く |
鴎
2014年07月15日(火) 10時31分28秒 公開 ■この作品の著作権は鴎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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もう一つ、更新された物語に対しての感想も投稿させてもらいます。 礼 「今回の話の最初の方で語られていたことだが……まさかキールこと朱美嬢が暁(F)と凛嬢の幼馴染であったとは……。随分と昔の過去の話だったようだが……暁(F)こと真墨と朱美嬢はどうしてお互いの正体に気が付かないのだ?」 成長していたと言うこともあるんでしょうけど……何か“忘れている記憶”に何かしらの“理由”と“答え”があるのかも……。 モモタロス(明) 「しっかし、初恋の男に裏切られた上に殺されるなんてな……。かなり嫌なもんだぜ……」 シャナツネ 「とはいえ、現状もゼロに利用されている“駒”という立場である朱美殿だが……【ワルキューレ】の暁殿が幼い頃に出会った親友の一人だったと言うことに気付く事ができるのかと言うのも気になるところではあるな……」 カグヤ 「だね。このままだと、朱美さん自身、本当に救われないし……持っていた“絆”の記憶を取り戻せるのかな?」 イージス 「……それはそうと……暁(F)こと真墨殿も本当についていないな……;」 翠(アスレイ) 「あっちの僕が混乱してしまった結果、やってしまったことが原因でね。……はあ〜。本当にどれだけブラコンなの!?」 正体ばらされかけ、ネット上に女装写真を公開され、最後には味方グリード二名による攻撃に巻き込まれると言う始末……何と言う酷さ!! 星(アスレイ) 「……いくらなんでも酷すぎるだろう……;」 フェザー(アスレイ) 「……既に呆れも通り越しています……」 蒼真(アスレイ) 「そんでもって、“グリード”サイドも凄い状況に!!? 半ば暴走状態になっているカブキちゃんによる両サイドに対しての攻撃! アベルのメダルを取り込んだことによる“突然変異体”への“強化進化”! マジで怖い感じだぜ」 真夜 「ですね。カブキちゃんはこれからどうなってしまうんでしょう?」 暁(アスレイ) 「後、今回の話でギュゼルさんも参加。今後の戦いも白熱してきそうだな」 クリス(アスレイ) 「……そして、茉莉さんが『ディオネ』の正体が霧子さんだってことを知っちゃったわけですけど……本当にどうなってしまうのかしら?」 そこも気になるところですけど……翠(W)さんのうっかりの所為で立場上やばくなってしまう可能性のある真墨さんのことも気になってきますな〜(苦笑) 暁(アスレイ) 「……それを言うな……」 翠(アスレイ) 「……【ワルキューレ】の僕の馬鹿……///」 それはそうと、ゲストとしてかなり遅い登場になりますけど、『鴎』さんの頼みで途中参加って形で登場してもらいます、『キール』こと朱美さんとカブキちゃんです〜♪ 朱美(キール) 「何でこんな中途半端な登場なのですか!?」 カブキ 「私的にも複雑なんだけど……」 こっちにもこっちなりの理由があるので……(苦笑) 朱美(キール) 「……まあ、いいでしょう。それはそうと、どうでしょうか、私の“過去”は……。この“過去”を乗り越える為に……絶対にゼロ様の命令を!!」 カブキ 「その前に私がアベルから託された“力”で消し飛ばしてあげるよ!! ただで死ねるとは思わないことね!!#」 礼 「……どうでもいいが……ここで争うな。よそでやれ! それも人の居ないところとかで!!」 クロキバT世 「しっかし、驚きどころが満載ではあったのは事実。本当に今後の展開が楽しみではあるな」 明久(電王) 「映画の世界に閉じ込められた翠(W)と美子さんも無事に助かるのかも気になるけど……」 朱美 「一番の問題は、霧子さんが変身した『ディオネ』でしょうね。戦いの原因になりそうな物は総て滅ぼす……。想像以上にやばい……」 カブキ 「アベルが死ぬ原因を作った奴! 絶対に許さない!!」 今後の物語の流れ的に、蘭さんがどうなっていくのかも気になってきます。 暁(アスレイ) 「そんじゃあ、今回の感想は以上だ」 翠(アスレイ) 「二人とも。参加ありがとう♪」 朱美(キール) 「例え別の世界でも、翠チャンの頼みですもん♪ 聞かないわけがないじゃない♪」 カブキ 「私は……まあ、暇つぶしってところかな///」 それでは、 一同 『続きを楽しみにしていますので、どうか今後も頑張って書いていってください!!』 〜……時と次元を越え……己の限界すらも超えて、推して参る!!〜 |
30点 | 烈 | ■2014-07-15 14:19:32 | i121-118-209-14.s10.a044.ap.plala.or.jp |
合計 | 30点 |