2010年09月15日(水) 01時34分36秒,20100809103454,20100918013436,MCsUNUQ/xDUFk,仮面ライダーセレナ第壱拾七話前編「痴漢/李下に冠を正さず?」,@PF ,,, コレまでの仮面ライダーセレナは

『共同戦線
 久々のライダーキック
 腹ペコツーリング

 こんなモンで、良いよね…。

 ああ、今回の注意として、前編は読むのがめんどくさくなったら速やかに中編に飛んでも構いませんよ。
 中編のあらすじで最低限の事は説明してありますから。
 では、以上の事を踏まえてお付き合いください』


*****




 深夜、夏といえど完全に日が沈み、闇の帳が降りている時間

「はぁ〜あ、蒸し暑いなぁ」

 女性が一人、人通りのない道を歩いていた。道沿いに転々と立てられた街灯が道をまばらに照らしている。

「全くこんな時間まで捕まるなんて…早く帰ってクーラーガンガンにつけるかー」

 そんな中を、彼女は独り言を言いながら進んで行く。
 彼女の独り言は本心ではあるが、それとは別の考えも彼女の頭を占めていた。

「(最近ここら辺を変なのが彷徨いてるって噂があるし、早く帰らないと…)あずきバーまだ残ってたかなー」

 知らず知らず足が速まる。不安を打ち消す様な態とらしい独り言も再開される。
 ふと何処かで、重い何かが落ちた様な音が聞こえた気がした。

「(?…)て、天気も良くないし、やっぱり湿度が高いn「そこのお嬢ぉさぁん」っ!」

 だが、その独り言は突然振ってきた声に遮られる。そして彼女の行く手に突然ずんぐりした影が現れた。

(何!?何よぉ!)
「ちょぉっと見て貰いたい物が有るんですがねぇ」
「ひっ!」

 影が一歩近付いてくるのを見て、彼女はパニックに陥りながら後ずさる。

「“ゾワッ”っ!」

 しかし突然背中を走った悪寒の様な感覚に、その足も止まってしまう。

「なぁに、見て貰えれば良い、なぁんにも恐い事はありませんよぉ」
「な、何、何よぉ!」

 逃げる事も出来なくなった彼女は、腰が抜けてその場にへたり込んでしまう。

「えぇ、こぉんな物なんですがねぇ」

 影は更に距離を詰め、もう手を伸ばせば触れられる程にまで近寄ってきた。

「ほぉら……これですよぉ」
「――――」

 声と共に影の一部が蠢き形を変えた。そして彼女の目に“ある物”が映り込んだ瞬間




「――っきゃああああああああああああああああああ!!!!!」




 甲高い悲鳴が夜の町に響き渡った。






***




“ピッ…”


“ピピピピッ…”


“ピピピピピピピpバン!”

「う、う〜〜ん駄目だよ…ホットケーキにめんつゆh『ねぇ起きて、お兄ちゃんってば、朝だよ!起きt』“ガッ!ヒュ…ガシャン!…カツン”」

『……』
「……」
『…反応が、早くなりましたね』
「じゃっかあしいわ!!!」
『また文句ですか、幼馴染みは気に入らないと言うから妹にしてあげたのに…』
「一万歩譲ってソレを認めたとしても私は女。お兄ちゃんとか意味分からんわ!」
『じゃあ今度は夏らしくラジオ体操でもつけましょうか?』
「だから、普通に起こして…というか夏休み位ゆっくり寝かせてよ」
『それも嫌ですか…よしきた!今度は193サイz“ゴガンッ!”』



**



「ほうほう、“姿無き変態、またも現る”とな」

 もう太陽が頂点に登り切った時間、私は紅茶を飲みながら新聞のトップを飾る珍妙な見出しの記事を読んでいた。
 内容はここ最近出没するという、謎の存在についてである。今までに何度か若い女に人の前に現れたらしいが、幸い死者は出ておらず、怪我も逃げようとして転んだり塀に当たったりした物ばかりで手を出されたという話も無い。そして目撃者は皆一様に“変態だった”と言うだけで具体的な姿形は要領を得ないものばかりだそうだ。
 また、襲われた(?)人達に法則性はなく、中には所謂“男の娘”まで混じっていて、見た目で適当に選んでいると言うのが濃厚な説だ。
 因みにセレナは研究所に用が有るとか言っていたので、いつの間にか出来ていた研究所直通のダストシュートみたいな運搬通路に放り込んで置いた。

「ふぅむ、まぁ実際に出会ったりしたら殴るか逃げるかすれば良いかな」
「それなんですが…」
「んお!? 巻奈さん」
「用が有るので夕方位に来て欲しいとお父さんが言っていました」
「『それなんですが』って事はこの変態関連の?」
「ええ」

 ほむね変態の事なんて警察の仕事だと思うんだけど…わざわざ私達が対処しないといけない事態って事か?

「ん〜、分かったよおやつ食べてちょっとしたら行くね」

 じゃあそう伝えておきますよ、そう言って台所に戻って行く巻奈さんだったが、突然立ち止まるとこう付け足してきた。

「鷹音ちゃん、もし男の人に変な物を見せられたら、迷わずに潰してくださいね」
「は?」
「いえいえ、心構えの問題ですよ」

 そう言って今度こそ巻奈さんは台所に戻っていった。


 わ、訳が分からん…。



***



 それから何事もなく数刻、日が傾き始めた位の時間に、私は研究所を訪れた。
 何時も通り受付を通って関係者通路を進んでメインルームの扉を開けた。
 そこで私が見た物は―――

「ちーっす、呼ばれてきましたよ――………っと?」
「【フヒヒ…】ふむふむ、ココの具合は良いみたいだね」
「健ちゃん…くすぐったいよぉ…」
「【ハアハア…】我慢しなさい、大人になる為には必要な事なんだから」
「でもぉ…ボク我慢できないよぅ」

 ヘルメットを被った変態が、黒い衣装の巻奈さんと同じ位の年頃の女の人をまさぐっている光景だった。

「【(・)(・)】デモもストもない、ほら、今度はソッチの具合を「死ね!!!」 “バキッ、ゴッシャァアン!!” 【> 3 >】グルブオゥア―――ッ!?!?」

 気がついたら、私はノブを掴んでいた扉を丸ごともぎ取って変態に向かって投げつけていた。キリキリ回りながら扉(だった鉄板)ごとモニターに突っ込む変態。

「貴ッ様ぁ!とうとうそこまで墜ちたか!!いつも仕事ほっぽって遊んでたり、偶に仕事したと思ったら趣味に走った物作ったりはしても、性的暴力は振るわない奴だと信じてたのに!!
 そこの人!大丈夫ですか!?今すぐコイツを○しますからどうか気を確かに!」
「は?え?何事?」

 慌てて女の人に駆け寄るが、どうも今までされていた事のショックが尾を引いているらしく、まともに受け答えが出来ない様だ。

「ちょちょty!鷹音さん、いきなりどうしたのさ?」
「え?私の知り合いですか?」

 アレ、何だか遣り取りに既視感が。
 最近こんな事有った様な、その時は立場は逆だった気が…。

「ふむ」
「?」

 相手の顔をじっと見てみる。むむむ…そう言えば誰かに似てる様な。

「何処かでお会いした事有りましたっけ?貴女の顔、どっかで見た事有るんですけど」
「えーっと、それ、そう言うネタ?笑うとこ?」
「ちょっと待ってて下さい、直ぐに思い出すので」
「鷹音さんがボクに敬語って何か新鮮だね」

「ダメだ!ココまで出掛かってるのn「【復活ッ!】それについては僕の方から説明しよう!」まだ生きてたかっ」
“ゴガッ!”
「【まただよ(笑)】ゴハッ!」

 いつの間にか復活していた変態に、近くに落ちてた鉄パイプを叩き付けて、私は再び記憶を探る作業を開始するのであった。




***




「ごめんなさい」
「【夜霧】こんなに僕と鷹音ちゃんで意識の差があるとは思わなかった…!」

 そして現在、私はヘルメットの変態…もとい所長に頭を下げていた。
 私の攻撃により、白衣はボロボロ、よく見ると足も僅かに震えているといった惨状。
 しかし何回も殴ったはずなのに、ヘルメットは多少汚れている物の掠り傷すら出来ていなかった。一体どんな素材なのか、

「でもいきなりあんな所を見たら…ねぇ?」
「【#^^】せめてノック位してくれれば良かったんですがね」
「すんませんっした」

 でもあんな誤解される様な事やってる方も悪いと思う。言わないけど。
 そして私は、こうやって頭を下げる羽目になった元凶を見る。 

「しかしアレがねぇ」
「【 ̄ー ̄】ふっふっふ、驚いてくれたかい?それなりに調整にはそれなりに苦労したからね」
「うん、驚いたよ…まさかこの人が―――」

 今現在、自分の身体をぺたぺたとまさぐっている、黒髪の女の人が



「―――クロだなんてさぁ」



 元の姿の私より頭一つ分以上高い背、すらりと伸びた手足、腰まで伸びた正にカラスの濡れ羽色の髪、そして程々にある胸……胸である。
 そのどれもが私の知ってるクロとは懸け離れていた。

「【 ´_ゝ`】元々の姿だって後付けした物に過ぎない訳だしね。調整次第でどうにでも…とは行かないけどある程度は何とか成るさ。さっき確認した限りじゃ(鷹音ちゃんに妨害されたけど)身体の不具合もない様だし。
 まぁ、別の問題も有ると言えばあるけど」
「「問題?」」

 今まで身体をまさぐっていたクロも私の言葉に重ねて尋ねていた。どうやらそこの所はまだ聞かされていないらしい。

「【比較】そう、簡単に言えばエネルギー消費が前よりもかなり多くなってるのだよ。
 具体的には、同じ行動辺りの消耗率は倍以上だし、羽根の生成量に関しては元の3分の一、4万前後位が限度かな」
「メリットはないの?」
「【- -】パワーは上がるから訓練次第じゃ格闘戦もこなせるかもね」
「見た目相応に強くなってはいるんだね」
「【● <】まぁ、大体そんな感じ」
「おおー、ココに来てボクもパワーアップか!」
「ココに来ても何も一度も実戦してないけどね」
「【^^】まあねー、あとパワーアップついでに…鷹音ちゃんパース!」
「うわっ!とっ…とっとっ……ふぅ」

 突然私に向かって投げられた白い物体は、しかし飛距離が微妙に足りなくて、私の方から受け止めに行かなきゃならなかった。危うく取り落としそうになりながらも、何とかキャッチする私。さっすが♪

「こ、『このノーコン!』って、セレナ!?」

 投げつけられた物体は今日の昼にココに送ったセレナだったらしい。
 そして自分をぞんざいに扱われた事にご立腹の様である。

「【完成】ようやく新しいモードの構築が完了したからね、実装したんだよ。はいコレ取説」
『ちょ、私をぞんざいに扱った事への謝罪はナシですか!?』
「あ、うん(何で今回に限って取説なんか…)」

 そう思ったけど、よくよく考えてみればいつも新しいモードの事を聞かされるのは実戦の最中であった事に思い当たった。

「【推奨】今回の奴はちょっと特殊でね、サラッとで良いから目を通しておいてよ」
「ん〜分かった、ちょっと持ってて」
「うん、でも良かったね、鷹音さんもパワーアップだよ!」
「そーだね」
『ちゃんと読んでくださいよ、下手すれば命に関わるんですから』
「そう思ってたなら、今までも戦いの前に説明して置いて欲しかったけどね」
『うぐっ』

 取り敢えずセレナをクロに預け、パラパラと流し読みをしながら適当に返事をしておく。ふむふむ…確かにコレを読んだ限り、“この力”は情報もナシにいきなり使うのは厳しそうだ。
 まぁ、帰ってから読めばいいか、そんな風に考えて踵を返そうとすると…

「【゚ヮ゚b】さてココから本題だが」
「えっ?」
「【えっ?】…」
「…」
「【^ω^;】なんだい、まさかそれ渡されて終わりのつもりだったのかい?」
「いや、てっきりそう言う話だと…」
「【´Д`】そんな訳無いだろ、これから話すことのために態々クロの形態制御に手を加えたんだから」
「ボク?」
「【? ?】最近問題になってる変質者のことは知ってるかい?」
「そりゃ当然」

 何せ今日の昼に新聞に載ってるのを見てきたばかりだ、知らないはずもない。
 ああ、そう言えば元々ココに来たのもそれ関連だと思ってたんだっけ。クロとセレナの事でぶっ飛んでいた。

「【+ +】じゃあ、その変質者がキメラの可能性が高いって事は?」
「それは知らなかったよ、でもココに呼ばれた時点で何となく想像はついてたかも」
「【´◉◞౪◟◉】さっき帰ろうとした癖に?」
「い、色々有って忘れてたんだよ!」
「【・ -】ふん、まぁいい。それに関しては被害者と相談した上で新聞とかに載らない様に差し止めたからね、知らないのも当然、と言うか知られてちゃ困る」
「何で隠すのさ?」

 私としても改造人間が変質者だなんて事を積極的に書けとは言わないけど、かと言って載らない様に圧力を掛けるのがよく分からん。

「【・ ・】今、CCC団との問題でキメラと一般人の間の溝が色々デリケートになってる」
「それは分かるけど…」
「【- -】町を破壊だとか人を平気で傷付けるだとか、そう言った“怪物じみた”所行もまぁ、深刻と言えば深刻なんだけどね。想像力の限界ってヤツなのかね、実を言うと、泥棒だとか痴漢みたいな“身近で人間らしい”事件は、余計に問題なんだよ。

 キメラという存在の“人間性”に対しての悪感情を抱かれるのが不味い。
 キメラの事を“得体の知れない怪物”と思われるだけならまだマシだ。相互理解を勧めればいつかは解決の糸口は見えるし、無理なら最悪“別の生き物として”棲み分けてしまえばいい。だけど超常的な力を手に入れて悪事を働く“人間”だと認められてしまうのは、中途半端に理解をされてしまっている分修正が難しい」

「…う〜ん、分かる様な分からない様な…と言うか話が長ぇ」
「【 ̄∧ ̄】よく“スタートラインにも立ってない”って言うけどね、不利な条件からスタートさせられる位ならスタートラインに立たない方がマシって事だよ」
「……」
「【^^;】遠くのミサイルより近くの痴漢の方がおぞましいだろ?」
「ああ、それなら分かるかも……で、それとクロをあんな姿にした事の関連は?」

 いつの間にか話が逸れてる気がしたのでここらで軌道修正。と言うか世間体がどうのと行った話はどうもついて行けない。

「【^^】うん、掻い摘んで話すけど、鷹音ちゃんにはクロと協力してこの変質者の対処に当たって貰いたいんだ」
「私一人じゃ不満って事かい?」
「【・ ・】いやだってさ…」
「何だよ」
「【・・;】今の鷹音ちゃんじゃ相手がロリコンでない限り遭遇できないと思うよ」
「………」
「【^^;】………」
「………………あー…」
「【ハートキャッチ】今までの被害者は若いとは言え皆“女性”、鷹音ちゃんはどう見積もっても“女の子”元々小柄なのが縮んだ訳だし最悪“幼女”に分類される可能性も…」
「………私が元の姿だったら一人でも良かったのに」
「【デモタカネチャン貧乳ダシナァ…】……【ヤバスwww】しまった!」

 慌てて顔(のディスプレイ)を隠す所長、もといヘルメットの変態。

「【・・;】ち、違うんだよ、コレ時々僕の考えを過敏に感じ取って映すかrってしまっ…」
「………」
「【^^】……」
「^^」
「【TT】…ごめんなsウボアー!」

 私の跳び上がりながらアッパーを叩き込む技で、ヘルメットを被った汚い白衣が宙を舞った。





「ボクが空気なのは仕様ですかそうですか」
『大丈夫、私も一緒ですよ』





…To be Continued
,
,#000000,./bg_b.gif,i60-46-201-100.s11.a021.ap.plala.or.jp,1 2010年08月08日(日) 23時05分46秒,20100808230546,20100811230546,H72f5C1EvZFZw,仮面ライダー珀羅 『空神の剣と高き天原《後編》』,青嵐昇華,,,





ヴン


白銀の魔人、月読が降りたのは高天原にある林の中だった。
元取りとはいかないものの取り戻した力は今の濠を葬るには十分なものだ。
さぁ向かおうかという時、続いてそれはやって来た。

≪・・・・・・・・・・≫

≪人形か・・・・ん?≫
≪・・・・・・・・・・≫
≪ケイトゥめ、姉さんの欠片も持っていたんだね≫

そこに立っていたのは七曜最後の魔人、スーリヤだった。
漆黒の躯は僅かな光も逃さないブラックホールのような深さを感じさせている。

カァアアアアアアアアッ


≪・・・・・・・・・・≫

それが現れたのと時を同じくして空を覆っていた雲が消え燦々と輝く太陽が姿を現した。
スーリヤに太陽からの光が降り注ぎ、その身体に霊力が蓄積されていく。
今の段階では、霊力だけなら他の魔人のちょうど倍ほどに高まっていた。

≪ふぅん、なるほどね≫

そう呟いた月読の背後には満月が上がりいつの間にか夜の闇が広がっていた。
月と闇が太陽と光を侵す・・・空には夜と昼とが混じりあった不思議な世界が映し出されていた。

≪とりあえず力の供給は絶たせてもらったよ≫
≪・・・・・・・・・・≫
≪人形遊びなんかどうでもいいけど・・・まぁ、いい。手早く済ませよう≫



ヴン


≪おや・・・?≫

その空とよく似た彩りの無い、暗さと明るさだけの混沌の鎧を纏った道士が現れた。
白銀、そして漆黒の魔人の間に立ち両者を牽制している。

『貴方を行かせるわけにはいかない・・・そこの七曜もだ。兄さんの代わりに僕が討つ』
≪困ったね。君はこっち側だからボクの立場も分かってくれると思ったんだけど≫
『僕には家族を犠牲にすることは出来ない』
≪家族・・・ね。失うものなしに全て上手くいくとは思って欲しくないな≫
『・・・僕は兄さんを信じている。それにあそこには燎子ちゃんがいるんだ。ここは通さない・・・絶対に』
≪まぁいいさ。何処までのものになったかお手並みを拝見しよう・・・・後継者クン≫

≪・・・・・・・・・・≫ 

伏義と月読が睨み合う中、スーリヤの放った閃光が戦いの始まりを告げた。






ぴくっ

「っ」
「ど、どうしたんです・・・ぁ」

隣に座っていた紫苑が急に顔を上げたので香織も何かあったのかと反射的にそちらを振り向く。
なんと紫苑の髪が盛り上がってそこから現れた耳らしきものが自己主張をしていた。

(わぁ、イヌミミだぁ!)

ぴくぴくと小刻みに動くそれを見て香織がそんなことを思っていると今度は立ち上がり急いでカーテンを開けた。

「っ、!?ぇ・・・・?」
「やはり・・・」

外に広がっていたのは太陽と月、闇と光が入り混じった自然ではありえない光景だった。
絶句する香織に紫苑が言った。

「あそこに七曜らしき気配があります。まず二体は・・」
「ええっ!?」

ここからそんなに離れた所ではない。
あの空の変わり様を見てから紫苑はそう確信していた。

「た、大変っ!先輩達に知らせにゃき、っ!?!?!?〜〜〜〜っ!??!?!」
「・・・・・・・」
「〜〜〜〜〜〜〜っ?!?!?」
「・・・大丈夫でしょうか?」

ガリッと妙な音を立て盛大に噛んだ。どうしようもない痛みに口を押さえて悶絶している。
数秒の間を置き、口を開いたがどうやら血は出ていなかったようである。

「ひ、ひらい・・れふ・・・」
「落ち着いて下さい・・・もう一つ別の気配もあります。今はそれと戦っているようです」
「・・・・?」
「昨日のものと似ています。おそらくは澪示様かと。・・・お嬢様には私が伝えて参ります」
「わらひは・・・?」
「燎子様の水枕を取り替えて来て下さいますか?・・・その舌も少し冷やした方が良いでしょう」

そう言うと紫苑は奥の部屋の雪乃を起こしに行った。

香織も言われた通りに温くなった水枕を抱えて流し台へ向かった。
水の取り換えに他手間取ったり、口の中をよく冷やしていたので思いのほか時間が掛ってしまった。
数分して戻った時には・・・・・・


「へっ・・・!?」


燎子の布団はもぬけの殻だった。








走った 


裸足のまま


汗で濡れた寝巻のまま


暗い森の中を走った


顔が身体がとにかく熱い  


息を吐く度胸と喉が焼けるように痛い


身体が重い 前に進んでいるかも分からない


朝露でぬかるんだ地面に足を取られ滑った


衝撃 溜まった滴が頬を伝る  


汚れた裾で顔を擦った


ひざを引き摺る まだ動いた


引き摺り 進んだ







太陽と月が睨み合う空、その真下では熾烈な乱戦展開された。
場所は森であったがそこはいつの間にか荒れ地に変わっていた。


≪その鎧の特性からすると、ボクらとの相性はそれほど良くはないようだね≫
『関係ない・・・!』

伏義は一切の反射をせず相手からの攻撃には全て回避行動を取っていた。
月読の【陰】やスーリヤの【陽】の力を【五行】の気のように反射することは出来ないからだ。

避ける伏義にまたもや月読が作り出した反重力、その圧力の波が襲い掛った。

『はぁっ!』

足を止めた伏義は腕を突き出し強力な念撃を放った。
月読の攻撃はその衝撃で相殺され飛び散った膨大な霊力は雨のように月読やスーリヤに降り注いだ。
結晶化したそれはナイフのように鋭く、魔人達を貫かんと加速して落下する。

≪・・・・・・・・・・≫

スーリヤは大気を裂きながら進む魔光を放ち、伏義の霊小刀を焼き落とすがその数に対応しきれず何本か喰らうことになる。

スーリヤの光のうち幾つかは伏義に向かって放たれていた。
光線はこの戦いが始まって暫くは周りの要素を狂わせるほどの破壊力を持っていた。
太陽からの補給した分が底をついたのか今ではだいぶ出力が下がって来ているがそれでもまだ恐ろしい威力であることに変わりはない。
加えてスーリヤの光は避けても暫くは追って来るので対応に手が掛った。


一方、月読の方へ落ちる伏義の霊小刀は月読が発生させた小さな隙間に吸い込まれ重力の底に沈んでいった。
だがその膨大さ故、隙間には直ぐに亀裂が入り霊気の刃が溢れだす。寸での所で避けるもそのうちの幾つかは月読を掠めた。

≪っと、大分やるみたいだ・・・・ん≫
≪・・・・・・・・・・≫

回避を終えた月読の元へスーリヤの魔光が迫っていた。
すぐさままた動き出すが不規則な動きでどこまでもそれを追う光はついに月読を捉え、その胸を貫いた。

スゥ

≪・・・・・・・・・・≫

仕留めたかと思われた矢先、それは霞のように消えた。
幻術、そう判断した瞬間スーリヤの死角から圧力の波が襲い掛かった。


ガガガガガガガガッ!!!!!


≪へぇ、結構堅いね≫
≪・・・・・・・・・・≫

魔人の手前で攻撃は何かにぶつかり直撃は免れた。
幾重にも束ねられた光の障壁がその侵入を阻んだのだ。


≪やっぱり少し面倒になって来たよ・・・≫

月読は手の先に小さな法陣を描き、その中から錫杖を取り出した。

リィイイイイイイイイイイイイイイン!!!!

『くっ・・・!』
≪・・ッ!?≫

錫杖が振り抜かれると強力な振動が伏義とスーリヤを襲いかかる。
あれは不味い、直感により伏義は回避することを選んだがスーリヤはそれを守る壁ごと呪術が圧縮された音波に飲まれて行った。
惹きつけ惑わし狂わせる・・・月の障気によってその全てが侵されていた。


≪ギギッ、ガ・・・ギ・・・≫

漆黒の魔人は壊れた機械のように狂った音を漏らしている。

≪これ以上やるのは流石に骨が折れるからね・・・ちょっとそれに細工したんだ≫
『細工・・・?』

そう言いつつも月読はこの場から離脱を始めている。
既に半分ほどその姿が消えかかり、徐々に見えなくなっていった。

≪君をボクと思ってるんじゃないかな。それじゃ掃除は任せたよ≫
『っ、待て・・・!』
≪ギ・・ギ・・・・・・≫

逃がすまいと月読に仕掛けようとした時、スーリヤの魔光がそれを遮った。
やむを得ず攻撃を止め、それを回避する・・・が、その直後だった。
光の向かう先、森から荒れ地に入る辺りから這うように人影が現れた。

「・・ぁ、っ・・・・・っ・・・ぅ・」

『燎子ちゃん!?』

瞬間、伏義・・・澪示は全力で光の軌道へ割り込んでいた。






『ぐぁあぁあああぁっ!?』

僅かでも攻撃を漏らすわけにはいかない、防御も取らず飛び込んだ伏義はその魔光をまともに浴びた。
最強と呼ぶにふさわしい鎧もこの光の前では十分な力を発揮出来ず徐々に焼けていくのが分かる。
受け続けるにはそろそろ限界が近いと判断し伏義は側面へ念撃放ち、光の軌道を逸らした。

『くっ・・・・!』
≪・・ギ・・ギッ・・・・≫
『五行反象!!!!!』

再び攻撃を仕掛けられる前にその場凌ぎでも動きを封じる必要があった。
伏義は魔人ではなくその周囲を構成する要素を根こそぎ全て破壊した。

≪ガッ・・・・!?≫

空間の崩壊に巻き込まれたスーリヤは崖から落ちるように姿を消した。






『燎子ちゃん・・・燎子ちゃん!』

伏義は倒れた燎子を抱え起こす。
幸い魔人の攻撃を受けた様子はなかったが、それでも燎子の状態は酷いものだった。

熱があるらしい・・・顔を真っ赤に染めて呼吸をするのも苦しそうだ。
不調を来たしている体は大量の汗で濡れたまま、体力を奪い続けている。
服は泥と汗に濡れボロボロ、裸足で荒い道を歩いて来た為か傷ついた足からは血が滲んでいた。

『燎子ちゃん・・・・っ!』
「・・ぃ、っ・・・・・ぅ・・・・」

どうしてこんなことになっているのか、その答えを出すのに時間はいらなかった。
全ては自分の行動が裏目に出た結果だ。澪示はあのまま去ってしまったことを激しく後悔した。

「っ、ぃ・・・ち・・・・っ・・・」

燎子は汗と涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、声にならない声を発していた。
ただ懸命にその想いを伝えようとしていた。








(いっちゃいやだ)


(いやだ)


(いかないで)


「・・っ、・・・ぅ・・・ぁ、っ・・・・・」
『燎子ちゃん・・・もういい・・・』

その想いはちゃんと心に届いている。痛いほど伝わっているのだ。
それでも燎子は止まらない・・・止めたくなかった。想いを受け止めて欲しかった。


(がんばるから)


(こんどは)


(だから)


「っ・・・ぁ、っ・・っ・・・ぃ・・・・」
『もういい・・・わかってるから・・もう・・・』

燎子が言葉を発しようとして苦しむ度、その頬を涙が伝う度に澪示は心臓を抉られているような痛みを感じた。
澪はその痛みを罰だと思った・・・だが、それは自分が受けるべき罰だ。その為に燎子が苦しむ道理はない。


(どこにも)


『ごめん・・・今まで・・本当に・・・・・・・・』

仮面の下で頬を伝って零れ落ちた涙は、燎子の濡れた頬に吸い込まれた。


澪示は震える燎子の身体をそれ以上に震えているその両腕で抱きしめていた。

「・・っ・・・・・・・・・・」
「いるよ・・・どこにもいかない」



ヒトより温かみの欠けた肌には少女の温もりは火傷してしまうほどだった。


だが少年はもうどんなことがあってもその温もりだけは二度と離さない・・・そう、今まで少女に流させた涙に誓った。









「けほっ!けっほ!」

店に入り切らない骨董品、売るには惜しい品々が貯蔵している雷鳴堂の裏手にある蔵。そこに恭也はいた。
だが恭也が普段から掃除などするはずもなく、下手をすれば喘息になりそうなくらい塵や埃が酷かった。
ここに籠ってから暫く立つが特に目ぼしいもの、それほど役に立ちそうなものは見当たらなかった。

「まぁ、そんなに都合よくはいかな・・・・・ん?」

ふと眼をやった隅の床、そこだけ埃の積もり方が妙に違った。
しかも埃をよく払ってみると、そこだけ板目がおかしい。

カチャ

「おっ!?」

板目を弄っていると床板が外れて何かしらのスイッチらしきものが現れた。
ボタンがあったら押したくなるのが人の性で条件反射でそれを押してみる・・・すると・・・

ウィーーーーーーン

と妙にシステマチックな音を鳴らし近くの床がスライドする。
現れたのは地下へと続く階段だった。

「お、おおおおおぉ!!?隠し部屋ってかぁ!そういやじいちゃん達こんなの好きだったよな・・・!」

屋根裏に行くための梯子を出すにも隠しハンドルを見つけ回してやっと出るような仕組みだった。
上があるなら下があっても不思議ではない、何かこっちの場合やけにハイテク過ぎる気もするが・・・

そんなことを思いつつ階段を下るも既に建物の五階分くらいは潜った感じがする。
ようやく部屋へ扉の前に辿りついた。恭也が扉を開けてみると・・・・・


「・・・・・・なんぞ・・・・・・・?」


扉を開けるとそこはジャングル・・・・ということではなかった。
しかし普通の地下室ということでも決してなかった。

恭也の眼の前にはなんかもうバカみたいにだだっ広い空間が広がっていた。

「え、何?こっそりモ●ルスーツとか作ってたの?」

この地下室全体がそういうものを連想させてしまうメカニカルなシルバー。
恭也が探しに来ていた品は一切見当たらないが代わりに色々な機器類が並べられていた。

「うわぁ、でっかいバイク・・・しかもサイドカー付き、なんつーかハイカラだな。てか、これ・・・」

目の前にしっかりした作りの大きな船があった。恐らく恭也の店よりデカイ。
木製のような色と滑らかなラインをしているが手触りなどは明らかに金属製だ。
側面には大きく墨のような塗料でその名が記されている。

「“大竜宮”?・・・やっぱ船だよな・・・何故に船?ここら辺、あっても川だろ・・・」

そろそろ驚き過ぎて半ば呆れが入ってくる・・・いや、むしろこうなってくるともう何でも来いという気分にさえなってたりもする。
船の側面に縄梯子が掛けてあるのが眼に入り、恭也は溢れ出る好奇心を押さえようともせず中に入っていった。

キィィン・・・・キィィン・・・・

「ん?何か音がしてる・・・?」

船に入ると甲高い金属音が耳を僅かに刺激していた。
音が聞こえる方に歩き、ある部屋の前で立ち止まる。
白沢湶』と達筆な字で記されたドア隙間からは金色の光が漏れ出している。

ドアには鍵は掛っておらず、中に入ることが出来た。
隅の机の引き出しから光が出ている。絶対そうだと分かりつつも恭也は割と躊躇いも無くそれを引いた。

カァアアアアアアアアッ!!!!!

「うぉっ!?まぶしっ!?」

用意していたセリフを吐きつつ、中の物を確認する。
両側に爪のような曲がった突起の付いた金色の法具だった。

「うわ、重ッ・・・これ、もしかして純金製か?明日から億万長者?」
「売るな。それは戦の鍵だぞ」
「んっ!?」 

凛として、それでいて柔らかい声がドアの方から聞こえた。
驚き振り返る恭也が眼にしたのは・・・・








(ここは・・・・)


気がつけば濠は見知らぬ場所に独り佇んでいた。
ただ途方もなく広く真っ暗で何もない所・・・あるものと言えば遠くの方でか細く光が瞬いているくらいだ。


(・・どこだ・・・・俺は・・・『ここは』、っ!?)





『ここは私が眠る場所だ』








,

もやもやしっぱなし、略して『もやしっぱなし』の澪燎問題でしたが乙女の最終兵器、NA☆KI☆O☆TO☆SIで終結(ぉ
やったね燎子ちゃん!もう弄られることもなく同時に出番も終了だよっ!(超マテ
リアルに燎子ちゃんの後の出番はほぼ無し・・・鈴音に至っては完全に無し(ぇ
クランクアップを果たした記念に岩戸の方を更新します ハイパーキャストオフ もあるよ!(←!?

燎子ちゃんの改造チャートを見て見ると

素直娘→ヤン(キー)デレ→ 病ンデレ ←new!!

こんなにボロボロになると誰が想像出来ただろう・・・・
ホント、あのお家の人達は弄られて輝くよなぁ(ぉ




ではお返事をば

To 烈さん

>“龍神の血”が目覚め、そのいじめっ子達を瀕死の状態に
>これって父方の“血”が原因とみていいでしょうか?
そうですね。大体おっしゃる通りだと思います。
近頃の若者はキレ易い・・・というわけではなくやっぱり龍成分のバランスが原因ですかね。

>【珀羅】の時代における彼女が出来上がってしまったわけですけど、
…このような悲しい過去に正直、他になかったのかと思いました。

>『伏義』の“力”はチート
完璧なチートですね。
でも終盤じゃあんまり関係ないという・・・なんという性能の無駄使いッ!!

>“四不象(スープーシャン)”の“力”が込められた“鎧”
伏義の元ネタは封神演義からですね。
スープーさんは本当なら“四不像”なんですけどそこを象に替えてみるとあら不思議(ぉ

>責任転嫁するのもどうかと
絶望した!!
誰も『何だって、それは本当かい!?』と乗ってくれないことに絶望した!!(ぉ

>その倒され方が見事に“五行 の理”
話の展開上ベストと思われる組み方を考えていました。
でも鸞ちゃん然り噛ませ犬はみんなしぶといな、うん。

>できれば本当にいい感じの“ハッピーエンド” 
朱凰から海賊までの補間話ですからねぇ・・・ハッピーエンド・・・?

>“灰色の歪んだ空間”
イメージは大体そんな感じじゃないかと。
発想的には陰陽(白黒)にエスパー能力混ぜただけですね。自身の移動だけで他の召喚は出来ませんw



To トレハさん

>ただ単に風邪を引かないだけでして。
健康優良児めぇ・・・羨ましい限りなのだわ!・・・けほっ(ぉ

>物語も終盤ということで今回はシリアス
>恭也くんが本編に登場しない辺りそのマジっぷりが
恭也が計りになってるww
鬱で湿っぽいシーンばっかの昨今、アホの子には癒されます・・・


>燎子ちゃんとは幼馴染ポジションの関係だった衝撃の事実。
いつか“燎”子ちゃんは“繚”子{(絢+燎)÷2}でないの?
という話があった時に『火と水って対になってる感じが』と私は返しました。
そう・・・!つまりそれが複線だったのだよ!!(ナ、ナンダッテー!?

>>伏義、五行の力が効かぬとはなんたるチート仕様。
もはや力押しメインの最終決戦では何の意味もないがな!!(ぉ
取り巻き程度の相手は一撃で沈められるんですけどねぇ・・・いかんせん、尺が。

>世界滅亡させない為に犠牲になってネ☆とか言われても了承とかできませんヨネー
でも真面目っ子達は自分が犠牲になることもやむなしとか考えちゃうんですよねぇ・・・、ケンジャキィィィィ…

>宵暁(しょうぎょう)
はくらしょうぎょう→変換→珀羅商業
・・・どこの会社だよッ!!(ぉ

>ちなみに僕は貧乳が好――愛してます(聞いてねえ
キッド「オーケィ、ジェントルマン。そこのバーで一杯どうだい・・・?」
濠「・・・お前は何でもいいんだな・・・」



To Aヨスケさん

>燎子ちゃんは澪示くんが居なくなった理由を、自分のせいだと
お互いが自分の中で話し進めちゃってたから酷いことになってたんですよね。
根っこが似た者同士でネガティブ思考だったらそら負の相乗効果も起きらぁね(ぉ
でも何とか解決してよかったです・・・尺の都合上乳繰り合うシーンはありませんけど!!(マテ

>今の燎子ちゃんの性格も無理矢理成ったものだと考えると、少し切ないものがあります。
これからゆっくり調ky『げっふん!』・・・

>また何らかの形で二人が顔を合わせる時があって欲しいです。
実は12時間以内に再開、展開上仕方ないですが早過ぎたぜjk

>霧島家の事情
澪示のヘビーな話も一段落ついたことで幻の外伝を紹介。

話にして珀羅外伝の同時期が直後ぐらいのこと。
霧島家では龍の血が昔に比べ大部薄くなって来たこともあり“しきたり”的なもので湊が名のある龍のとこに嫁ぐことになりました。湊は龍族代表(旧・蒼牙)として断ることは出来ませんでしたが旧前線組や顛吼を除く式達はそれはあんまりだと納得しません。
誰がどう見ても両想いである顛吼に行動を起こさせようとみんなで奮闘しますが己を殺して守護龍としての役目に徹しようとする顛吼。
婚姻の儀の当日、それは龍の谷で行われることになりましたがおなじみの面々は燭陰(言いだしっぺ)に特別に招待されて出席します、が顛吼だけは地上に残りました。
儀式の寸前(傍から見るに喰われる寸前?)にようやく気持ちを固めた顛吼・・・でも今から行っても到底間に合わない・・・!!
しかし、望天吼にはある特殊能力があったのだ!!

顛吼≪≪≪巫女殿!!いや、湊殿ぉおおおおおおおお!!!貴女が好きだぁぁああああ!!!!!!貴女が欲しいぃいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!≫≫≫
湊「(きゅんきゅん♡)や〜ん、こ〜ちゃんったら〜♪」

“繋ぐ”力(超念話能力)を使ってGガンよろしくなド恥ずかしい一世一代の大告白(気合い入り過ぎて周囲にまでだだ漏れ)をした顛吼。
かくして感極まった湊が式ほっぽって帰って来てしまうというシリアスさ皆無、ラブコメ120%(当作比)な幻の外伝なのでした。

家庭事情重いと見せかけてこれだよ!!!!
澪示達の問題は龍の血の量とことが起きたのが幼かった時ということ・・・そしてタイミング。
どちらかが重度の不幸属性を持っていたと考えるほかない!(ナゲマシタワー

>敵に回すと恐ろしいほどの脅威ですが、味方になると…
そうですね、弱体化するのがセオリーですね!!(超マテ
いや別に負けちゃいないのですけど、びびらせ効果みたいなのはランクSSS→Sぐらいに落ちましたw

>クライマックスな展開
そう・・・!クライマックスですよ!


というわけで次回はいよいよ最終決戦。
九話はガチで短いので八話と同時に投稿し畳掛けるように終わりたいです。
ゴールは絶望か・・・それとも・・・・?


さぁ、思いっきり振り切るぜ!!



,#000000,./bg_h.gif,i218-47-68-158.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年08月08日(日) 22時07分28秒,20100808220728,20100811220728,HqD7jgX0H5iYI,仮面ライダー珀羅 『空神の剣と高き天原《前編》』,青嵐昇華,,,






「・・・・・・」

「お前さぁ・・・何やってんだよ・・・」


布団の中で死んだように眠る友に恭也が呼び掛ける。

昨日山の温泉へ湯治に出かけた時のことだ。その帰り、突然敵に襲われ濠達とは一度別れた。
夜遅く、鬼気迫った様子の鴉美達に担ぎ込まれた濠だったがその時にはもうこのような状態だった。

呼吸も心音も感じ取れないほど小さいが辛うじてある。だが要の霊力だけは本当に止まってしまっていた。

霊力は消耗され弱まるということはあるが、“まだ生きて”いてそれが完全止まるというのは普通ではまずありえない。
ギリギリ死んでいる・・・という表現がふさわしいのか。恐ろしく曖昧な状態が存在していた。

雪乃が外部から霊力を送り込み何とか流れを作れないかと先ほどまで治療を続けていたが、奮闘も虚しく何の変化も見られなかった。
霊流の扱いに長けた彼女でも駄目ということはもう手の出しようがないということだ。

出来ることといえば濠が自然に目覚めるのを祈りながら待つことだけだった。


「いつも無茶ばっかしやがって・・これでもメチャクチャ心配してんだぜ?なぁ・・・」

「・・・・・・・・・」

「早く起きろよ、みんな待ってるんだからな」


ふと時計を見るといつの間にかもう夜が明けていた。

もう冬に差し掛かろうという時季の早朝だ。部屋の中でもやはり肌寒い。
朝日でも入れれば少しは変わるかと恭也はカーテンを開けるが、思っていたほど光は入って来なかった。
空を見れば暗い雲が空一面を覆っている。


風も無く、鳥のさえずりも聞こえない、不気味なほど静かな朝だった。







【仮面ライダー珀羅〜空神の剣と高き天原〜】






深い霧の中、巨大な岩山がいくつもそびえ立っている。その中で最も高い岩の上に少年は立っていた。
眼を瞑り谷の底を・・・下界、人界を覗き込むように意識を傾けていた。

(そうか、爪は濠に渡したんだね)
「ええ・・・・・」

その少年、澪示は今地上に戻っている彼の叔父と連絡をとっていた。

「これが正しい選択だったかは分かりませんけど」
(家族の可能性を奪わずに済んだ、僕はそれでよかったと思うよ)
「・・・そうですね」

知り得たことは伝えてあった。その上で濠は先の見えない道を進むことを選んだのだ。
濠ならばきっと自分で選んだ道に後悔はないのだろう・・・しかし、澪示の気持ちは優れなかった。
あの場に留まれば濠を連れていかなければならなかったとはいえ、苦しい状況にある彼らを助けることも出来ず濠には選択の責任だけを押し付けて来てしまった

そして燎子、傷つけ多くの涙を流させてしまった少女。
彼女とは二度と会うことはないと思っていた。それは仕方のないことだと自分に言い聞かせていた。
どういうわけか彼女はこちらの世界に入って来てしまったが、それでも本来ならばあるはずのない再会だった・・・
他を巻き込まないよう濠への接触は一人になった時と決めていたが敵の襲撃のタイミングが悪すぎたのだ。

結果、止むを得ず燎子の前に飛び出してしまったが今の自分には何も出来ない、結局はまた彼女を傷付けただけだ。

「・・・・・・・・・・」
(行かないのかい?)
「・・・ええ・・・それは出来ませんから」

曲がりなりにも自分は役目をもってここにいる。
一度は勅命を果たさず、濠に“爪”を与えたがそれでもここの住人であることには変わりはない。
大きな力を与えられている以上、それに従う責任がある・・・・澪示はそう考えるようにしていた。

(澪示・・・・・・)
「・・・わかっています、ごめんなさい」

霧島の家の人間は誰も自分が役目に縛られるのを望んではいなかった。
ここで積み上げて来た全てを放り投げて濠達を助けに行っても誰も文句など言うまい・・・むしろ応援さえしてくれるだろう。

だが、澪示はその柵を解こうとはしなかった・・・いや、解きたくなかったのかもしれない。
澪示は燎子に会うことを恐れていた・・・あの時から壊れたままの時間を直視出来ずにいる。
だから自身のことを猛獣と言い、与えられた檻に逃げ込んでいるのだ。

そんなことはここに最初に来た時から分かっている・・・だが、どうしようもなかった。

「怖がりですよね・・・こんな化け物みたいな力より怖いものなんてそうそうないのに・・・」
(ううん、違うよ。君は優しい子だ・・・ただ優し過ぎるだけなんだ・・・だから耐えられないんだね)

澪示は燭陰を継ぐために与えられた力のほかにその父から天と地、人とを繋ぐ力を受け継いでいた。
あらゆるものの繋がりを手繰り、声を聞き、またその想い届ける特別な力。
そういう力を持っていたからこそ尚更自分や人の心には敏感に成らざるを得なかった。

(本当に深く繋がっているからこそ・・・君には、君達には辛いかもしれない)

燎子が感じる痛みや恐怖、燎子が傷つくことへの自分の持つ恐れや不安・・・一つの心ではとても抱えきれないような大きなものを全て自分のものとして澪示は幼い内から独りで背負い込んでしまったのだ。

(あの子は打たれ弱い子だ。強がっていても心は傷を受け、痛みに泣くことだってある。)
「・・・・・・・・・」
(でもね、それでもずっと逃げずに必死でその痛みと戦っているんだ。君も一緒に戦えないのかな・・・)
「僕はずっと逃げて来ました・・今でも・・・・・僕には・・・」
(あの子の気持ちは君が一番よく分かるはずだよ)
「・・・・・・・・・」
(澪示、君の生き方はいつでも君が決めていけばいいんだ)


(君自身が本当にやりたいこと・・・・それは何?)




「僕は・・・・」







「・・ぁ・・・・」
「鴉美か、どうした?」

鴉美が階段を上がると狭い廊下の先に恭也の姿を見た。
片手はまだ襖に掛っていて、ちょうど濠の部屋から出て来たところのようだった。

「ちょっと濠さんの様子を見に来たんですけど・・・どうですか?」
「変わりはねぇよ・・・・そっちは?」
「少しは落ち着きましたけど、あんまり良くないです・・・今は香織さんと紫苑さんに看て貰っています」

濠を運んできた時、放心していた燎子も一緒に店に連れて来た・・・
心身の疲労が心配され一休みさせようとしたのだが、燎子は熱を出してそのまま倒れてしまっていた。

「なんかお前も顔色悪りぃけど・・・やっぱ寝てないのか?」
「ええ・・まぁ・・・・でもこんな時ですから、今動けるの私だけですし・・・・」

濠と燎子は勿論のこと、濠に治療を施そうとした雪乃も力を使い果たし今は仮眠を取っている。
紫苑も戦えるとは聞いているが燎子の看病についている為負担は掛けたくなかった。

「おいおい、お前まで倒れちまうって。休める時に休んどけよ」
「でも何かあったら・・・・」
「そんときゃすぐ起こしてやるから、なぁ」
「・・・・でも・・・・」
「何もしてないオレが言うのもアレだけどさ、あんま無理はしてくれるなよ・・・」
「・・・・・・・・・」

恭也の意識は濠が寝ている部屋に向いているのが鴉美にも分かる。
親友がああなってしまった後だ、自分達のこともいつも以上に心配なのだろう。

冷静になって考えてみれば意地を張っても無理をしても本調子でない自分に何が出来るでもない。
それにその為に何かあってはこの少年を悲しませるだけだろう・・・そう考えた鴉美は恭也の申し出に従うことにした。

「わかりました。じゃあお言葉に甘えさせてもらいますね」
「おう、甘えとけ。そんじゃ予備の布団出しに・・って、あちゃぁ・・・そういや」

来客用の予備は2セットあったが、今は燎子と雪乃が使っていてもう布団は残っていない。

「大丈夫ですよ。私なら畳の上で十分『あ、オレのでいい?』・・・へ?」
「まぁ、無いよりはマシだろ?ちなみに一昨日干したばっかだぞ」
「ええ!?あ、あの・・・!」

確かに疲れを取るためならば固い畳よりも柔らかい布団のほうがいいに決まっているが・・・
ともあれ異性の、それも最近ちょっと気になり始めたそいつの布団となるとちょっと考えさせられる。
とんでもないことをさらりと言われ慌テングと化した鴉美とは対照的に、恭也は軽い動作で自分の部屋に入って行き、鴉美が頭の中であれやこれやと悩んでいる内に手早く布団を敷いて戻って来た。

「その部屋適当に使ってくれ。・・・・・・あー、でも押し入れとかは見ない方がいいぞ、うん。んじゃ、しっかり寝ろよ〜」
「ちょっ、あの、恭也さんは?」
「じっとしてても仕方ねぇからなー・・・とりあえず蔵でも見て来るわ」
「??蔵・・・・・ですか?」
「あぁ、ウチの店ヘンテコなもんばっかあるし何か使えそうなのがあるかもしんねぇからさ」

にへっと笑って言うと恭也は階段を降りて行った。

取り残された鴉美は部屋の前でうんうん迷った末、結局部屋にお邪魔することにした。
襖を開け中に入る。先ほど片づけたのか思っていたよりは散らかっていなかった。
やはり相当疲れは溜まっていたので、押し入れが少し気になるも目についた布団に惹かれてそろりそろりと潜り込む。が・・・

「・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・」




「・・・・・・・・・・眠れない・・・・」









『彼奴は確かに降りた・・・・・だが何故楔は外れん・・・』

その存在が急激に近くなったのは数刻前のことだ。こちらには好ましい誤算だった。
予期せぬ乱入があり爪を手に入れた濠が力を酷使し続けた結果、その肉体に変化が起こった。
濠の存在を依り代とし世界は欠けていたスサノオ【素盞嗚】の存在を思い出し迎え入れ、そして計都に架せられた枷は解ける・・・今はその直前まで来ていた。
だがそれから先が一向に進まない。まだ欠けているものがあるのか・・・・

『探らせるか・・・・ソーマ』
≪・・・・・・・・・・≫
『何をしている』


ヴン


≪ボクが行ってきてあげようか?≫

『・・貴様は』

計都は突如出現した仮面を睨む。配下の魔人の不具合はそれがやったものだろう。
造りの為か駒としての認識にある程度の狂いはあるものの、基本的に七曜が計都に従わないのはあり得ない。
この空間に侵入し、かつ“ソーマ【月】”を手懐けたそれに計都は心当たりがあった。

『ツクヨミ【月読】ではないか。何だそれは・・・?哀れな姿になったものだ』
≪おかげさまでね。でも、君が言えたことじゃないだろう?≫
『ククク・・・・』

妖しく煌めくこの白銀の仮面は、計都の知るそれが着けていたものだった。
過去の大戦で計都と羅喉が割かれた時、月読や天照も滅びたと思っていた。
だが、アマテラス【天照】の思念はこの世界に辿りつき、自身とスサノオの欠片で阿修羅を創っている。
月読の思念がこちらの世界に流れ着いていたとしても何の不思議でもなかった。

『消え損なったか、だが何故ここに居る?』
≪忘れ物を取りに来ただけさ≫

ふわりと銀色の魔人が浮くと、引き寄せられるように月読の傍に並び立つ。

≪趣味が悪いね、ボクの欠片をくすねて玩具作りとは・・・壊れた人形の観察は楽しかったかい?≫
『貴様が言えたものか、あの逸れた神族に神殺しを授けたのは貴様なのだろう?』
≪・・・あぁ、そんなこともあったね。見てたのか、道理であの娘の魂が都合よく巡って来た訳だ≫
『ククク、同族殺しとは実に愚かなだな。まるで彼奴と同じでは≪黙れ≫』
≪忘れるな、ボクと姉さんを取り込んでいなければ君は二つと言わず塵々にされていたんだ≫
『・・・フン、まぁいい。直に我らも元に戻る・・・・』
≪だから早く潰して置きたかったんだけどね・・・・とりあえず返してもらうよ≫
≪・・・・・≫

ソーマの顔に被さるようにして月読の仮面が重なる。
それと完全に一体化した魔人はその本来の輝きを取り戻していた。

≪うん、まぁまぁ動けるみたいだね。よくこれだけ集めたものだ≫
『それで・・・今度は貴様が暇潰しとなってくれるのか?』
≪まさか、いくら君が半分でもこの躯ではとても敵わない。でも、邪魔をすることくらいはね≫

そう言い残して暗闇に溶け込むように月読は消え行った。


『フン・・・・・・スーリヤ【日】』

月読が去った後、すぐに計都は新たな魔人を呼び寄せる。
周囲で瞬いていた光が一か所に集まって行き、そしてその光が収まると漆黒の魔人がそこに佇んでいた。

≪・・・・・・・・≫

『追え、始末せよ』






朝霧がかかる高天原の森の上空を四足の龍が飛んでいた。
龍は降りられそうな木々の隙間を見つけるとそこに着陸する。紺碧の光があがり、次第にその姿は小さくなっていく。

「よいしょっ、到着っと」
「あちゃぁ、もう朝だね。濠くん大丈夫かなぁ〜・・・」
「んんー、よく分かんないわね・・・・もう終わっちゃったのかしら?」

龍が降りた所には青髪の女性と、茶髪の少女、そして白髪の男が立っていた。
濠が狙われいて襲撃を受けているという話は移動中に聞いていた。
青髪の女性“蜃”は力の衰えている羅刹に代わり広めに気配を探ってみたが、どうも戦闘が行われている感じはしない。

「とりあえず濠ちゃん探しましょうか」
「あ、ボクお家知ってるっ!ちょっと前にお泊りしたんだよ〜♪」
「じゃあ、案内して。今の時間じゃ飛んでくのはまずいだろうし陸路で行くわよ」

「・・・・・・・・」
「ねぇ、アンタさっきからダンマリだけど――――‐」

羅刹はさきほどここに到着してからずっと向こうの林を凝視したままだった。

「そこの者、出て来い」
「どうし・・・・は?」

「・・・・・・・」

「え、マジ?」

羅刹の見ていた林の中から一人の女性が歩いて来た。
薄青い長い髪に凛々しい目つきをした知的な雰囲気の女性だった。

この辺には特に何の気配もしなかったはずだが、自分としたことが探り損ねたのだろうか。
蜃がそんなことを思っていると女性は羅刹の前にやって来てゆっくり頭を下げた。

「お待ちしておりました。濠の父上殿」
「何・・・・」
「そちらは母上殿ですね。聞いていた通り本当に瓜二つだ」
「え!?ちょ、違う違うっ!濠ちゃんのお母さんは・・・」
「何故私や淳を知っている?」

蜃が何やら焦って弁解するのも無視し、羅刹は女性に問いかけた。
女は答える代わりに帯に下げた巾着から金色の法具を取り出し、それを羅刹へ差し出した。

「どうぞ、お受け取りください」
「っ、これは・・・・!」
「名を“雷神の霆撃”と言います。貴方の知る“金剛杵”ほどとはいかないでしょうが、きっと貴方の力となります」

金剛杵とはスサノオが宝剣とともに戦に用いたとされる阿修羅に伝わる最古の器だ。
阿修羅の中でもそれを知るのはごく限られた者だけであったし、それは既に失われて所在は掴めない。
だが女はそれを別物だと言い切った・・・少なくともその存在を知っている。

「・・・・お前が何者か、答えてはくれないのだろうな」
「申し訳ありません・・・時間がないのです。おそらくもう暫くして濠の下に魔人が現れます」
「・・・・・・・・」
「それを止められるのは貴方だけです。どうか・・・弟達をお願いします」

そう言って一礼すると女性はまた林の中に消えて行った。

「・・・・・・・・・」
「追わなくていいの?」
「・・・あぁ、先を急ぐぞ。案内を頼む」
「おまかせあれ〜♪えっとねぇ、曇ってるけど大体あの辺がお日さまだから・・・来た時があの辺だったから・・・・・・・・たぶんこっちで〜す!」
「ちょっ、えらくアバウトね」

本当にあっているかは分からないがそれしか方法はない。
冢杏に道を任せ彼女のペースで進んで行く。

「ねぇねぇ、そういえばさっきの人ちょっとふいんき羅刹さまに似てなかったぁ?」
「雰囲気。あ、でもそれアタシも思った・・・まさか隠し子だったりして!」
「んん、でもなんか他にも・・・・あ、お姉ちゃんにも似て・・・似て?ん?あれ〜?」じとーっ
「ぬぇっ!?な、なんでこっち見るのよ!?」

「・・・・・・・・」

三人と言わず二人でも十分姦しい、そんな女子大生のようなノリの二人に挟まれてはいるが羅刹の集中が途切れることはなかった。
先ほどの女から預かった金色の法具、そして宝剣に視線を落とし戦へ向けての心の準備を整えていた。





,
昨日(8/7)はAtoZ朝一で見て来ました!!

『キュィーン』
ジョーカーマジヤバイ流石ダブル原点回帰キタコレデカツル!!ウヒョー!!(もちつけ
ダブルのアクションは歴代最強、そう自身を持って言える一本でしたね。やべぇ。
映画終わった後のテンションでDXロストドライバーとついでにスカルマグナム買って帰っちまいましたよこんちきしょー・・・おかげでおサイフがすっからかんだZE

エターナルの変身音がリズミカル過ぎてやだこれたのしい。

,#000000,./bg_h.gif,i218-47-68-158.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年08月02日(月) 10時27分21秒,20100802102721,20100805102721,G5MqsDZPNpzPE,仮面ライダーバルキリーたん第47話「Contract Destruction」,鴎,,,「Contract Destruction」

あの巨大監獄船での戦いから3日が経っていた―。
あれから、嘘のようにイマジンやレジェンドルガ、ファンガイアに関する事件がぱったりとなくなってしまっていた。
あれだけの激戦をくぐりぬけてきただけに、いきなりやってきた平穏な日常。
しかしそれはどうにも納得のいかない、落ち着かないものであった。

AM8:00
本日は夏休みの登校日。
久しぶりに慧と晶も学校にいくことになった。慧がいつものようにシャツにGパンといったラフな私服姿と鞄を肩に担いでいくに対して、晶は女子指定のセーラー服といったいつもの光景だ。傍から見たら、仲睦まじい恋人のようにも見える。慧が男、晶が女といった風にだが。170pの大台を超えた長身の慧と、160pにも満たない小柄で華奢な晶、本当にいろいろと性別とは裏腹にあべこべのようだ。

晶「どうしたの、慧、うかない顔しているけど」
慧「・・・平和とか、日常ってこんなに落ち着かないものだったかなあって」
晶「・・・気持ちは分からないでもないけど」
慧「いつもと同じなのにね。ベットから寝ぼけて頭から床に落下しても、階段踏み外して転げ落ちても、全然、なんかなんでいつもこんなことで悩んでいたんだろうなって」
晶「それ以上のトラブルに毎日毎日追い立てられていたからね」
慧「・・・うん」

慧「・・・実はさ・・・・晶」
晶「うん?」
慧「・・・・今、3つ、どうしようもなく不安にかられていることがあるの」
晶「3つ?」
慧「・・・聞いてくれる?」

晶は、いつもとは違って徒歩で学校に行こうという慧の真意がわかっていた。
何かを考えている慧のことは、手に取るように分かる。だが、向こうから話してくれるまで、話が出来るようになるまで待っている。

晶「いいよ、それなら、学校サボっちゃおうっか?どうせ、半ドンだし」
慧「晶も不良になってきたねぇ・・・学年首席がヤバいでしょ」
晶「学年首席だから、多少のわがまま言っても、OKだったりするんですよね、これが」
慧「なるほどね」
晶「慧だって大丈夫なんじゃない?学年3位、上位成績保持者なわけだし、信頼もあるんだろ?」
慧「・・・・まあ、そうだけど」
晶「それに、いろいろあるのは分かるけど、悩んでたって仕方ないって。たまには思い切りハメはずして気分メリハリつけないとねっ」
慧「・・・・ヘイヘイ」

慧がクスリと笑う。晶の快活で明るい言葉が本当にこの日ばかりは嬉しく思える。

晶「それじゃ、早くいかないと遅れちゃうよ」
慧「へっ?学校サボるんじゃ・・・?」
晶「ふふっ、冗談でーす♪きゃははっ、慧って不良さんだぁ、悪い子だぁ♪」
慧「・・・己、たばかったぬぅあああああああ・・・・おしおきじゃああああああああ♪」
晶「きゃーっ、助けてーっ、外国に売り飛ばされるーっ♪」
慧「覚悟するがよいわぁあああああ♪めくるめく海外旅行だとでも思えば楽しいだろぉ?」
晶「きゃーっ、きゃーっ。きゃはははははははははははは!」
慧「ははっ・・・はあ・・・全くかなわねぇよ」

慧はくすりと笑う。
どうせ悩んでたって何もならんなら、まずは話してみるか。
それでその後から考えればいいか。


星見の小高い丘の上、やはり学校をサボって(というかじゃれ合っているうちに見事に遅刻した)、愛より「二人とも、警察の青少年犯罪対策キャンペーンのお手伝いさせてほしいので、どうしても今日一日休ませて下さい」と連絡がいったため、サボることにしたのだ。

まあ、愛いわく。

愛「ガンバ♪帰ってくる頃には慧ちゃんと晶(あき)ちゃんの子供が見られるといいなぁ♪」

などという、何を考えているのか分らないどこまで本気なのか読めない発言をかましていたが。

晶「それで?その不安って・・・」

慧「まずは、智のヤツだよ。あいつ、あれから何も仕掛けてこないじゃない。何を考えているのかなって」
晶「・・・それはあるね。晶も同じこと考えていた」
慧「少なくとも、諦めるようなヤツじゃないし」
晶「蛇よかしつこいしね」
慧「あいつが言っていたヒュプノスもまだ分からないしね・・・調べているんだけど、情報にプロテクトがかかっちゃってるんだよ」
晶「ターミナルのデータベースなら過去に起きたその類の情報はすべて手に入るのにね」
慧「S級ランク、すなわち、もう手に負えないレベルになると、情報もそんな簡単に漏えい出来ないんだろうなあ」
晶「・・地道に調べるしかなさそうね」

ヒュプノスが何であるかを知れば、智の計画に確実に近づく。

慧「二つ目は・・・・ルシファーだよ」
晶「ルシファー?」
慧「・・・・アスモデウスまで、死んじゃって、もう実質1人だろ?7人から5人引いたんだから」
晶「7引く5は2じゃないの・・・?」
大丈夫か、疲れていて頭の回転も鈍くなっているようだ。

慧「それで、あいつの性格なら確実に怒り狂ってこっちに攻め込んでくるはずなのに、それすらもないなんてさ、なんか変だよね」
晶「・・・確かに」
慧「仲間が死んで意気消沈するようなヤツじゃないんだ。そんなふ抜けじゃない。あいつとは・・・決着つけないとダメなんだ」

慧の目に決意がありありと浮かんでいる。
あいつは、ルシファーとは何故か知らないがこのまま終わらせるつもりはない。
終わらせたくない。
戦いたい。
そう、いつの間にか思っていたのだ。絶望に朽ち果てて死ぬなど許せない。

あいつは「傲慢」じゃなきゃ、嫌なんだ。
自分より強い奴などこの世にはいない、いたらいたで倒すか仲間にする。
そういった、自分本位だけで生きていく、それなのに仲間をいたわり、気遣い、思いやる兄貴肌の快活で明るく面倒見のいいあいつの生き方はどこまでも傲慢で、威張ってばかりだ。だが、その傲慢が多くの仲間たちを率いてきたのだ。守ってきたのだ。
誰にも屈しない、誰であろうと負けない、自分の筋は通す。
それが慧が認めている「あいつ」だから。

晶「・・・ケリつけないと、いけないって」
慧「うん、晶には悪いけど、あいつとは本気で喧嘩したい。喧嘩したいなんて、自分から思うなんて昔のあたしじゃ想像もしなかったけど、あいつの強さを超えていきたいんだ。殴り合って、傷ついて、それでも乗り越えたい。あいつが見ている先よりもはるか遠くまでいきたい。強くなりたい、そのためには一度限りの、命をかけた真剣勝負、あいつじゃなきゃダメなんだっ!!」

その瞳に迷いはない。
もう覚悟も決めた。

晶は盛大にため息をついて、一言つぶやいた。

晶「・・・・骨は拾ってあげる」

もう、自分自身も覚悟を決めたらしい。ここで反対しても、引き留めても、止まらないのだ。ならば、もう自分も腹くくって付き合うしかない。

慧「・・・それと、これは最近なんだけど・・・」
晶「うん?」
慧「・・・最近、ルーベット、トパーズ、サファイア、エメラルド、琥珀さんにアメジストと・・・上手くつながらないんだ」
晶「繋がらない・・・?」

すると、銀色の光が飛び込み、オールバックになり銀色のメッシュを編みこんだ慧の姿になる。ムーンだ。

M慧「ああ、オレやマラカイトのように、カオスゲート事件が起こってから憑依したのは憑依出来るんだけどよぉ」

そして次は桃色の光が飛び込み、帽子を反対にかぶりピンク色のメッシュを編みこんだ可愛らしい少女となって現れる。パールだった。

P慧「ルーちゃんやエメラルドちゃんたちが憑依しようとしても最近出来ないらしいんだよ」
Aq慧「最近は通信も出来ないようですし・・・・」
Ma慧「喧嘩したというわけではないのらしいのですが」
D慧「何だろう・・・嫌な予感がするんだ」

慧「・・・そうなんだよ、どうして、急に上手くつながらなくなっちゃったんだろう」

ルシファー「ンなもん、決まってるだろ。消えかかってるんだよ、あいつら」

振り返ると、そこには甲冑を着こみ、槍を肩に担いで銀色の髪を風になびかせている赤い瞳の美少女、いや、少年が立っていた。
いつものように傲岸そうな笑みを浮かべて、上から目線で話しかけてくる。
しかし、今の言葉に慧が黙りこんだ。

慧「・・・・・・え?」
ルシファー「消えかかってるんだよ。まあ、正確にいえば、カオスゲート事件以前の時間の流れそのものが、乱れに乱れまくちまってな、時間の流れの調整をかけているんだが、カオスゲートそのもの、いや、もしくはそれ以前に起こりえた時間の流れに一部調整する必要があるようだぜ」
晶「タイムパラドックスの影響か」
ルシファー「らしいな。つまりだ、もうすぐカオスゲート以前に発生したイマジン、つまりお前が憑依していたルーベットやトパーズ、サファイアにエメラルド、琥珀にアメジストがイマジンがこの過去の時代に来たという事態そのものが・・・なくなるんだ。じゃなきゃ、カオスゲートの影響で過去がなくなり、現在も、未来も消える」


―あいつらが・・・・消える・・・・―

慧「・・・・・・・・・嘘だ」
晶「慧?」
慧「・・・・・・・・・・・・嘘、だ」

ルシファー「嘘じゃねーよ、実際に、カオスゲートが発生しちまったあとの時間の修正をかけるなんてヒュプノスが起動しちまった以上もう手遅れだ。あいつはレジェンドルガにして特異点でな。智のヤツはその力を利用して全ての時間を意のままに支配することが目的だったんだ」
晶「まさか・・・・時間の改ざん!?」
ルシファー「そう、ヒュプノスの能力はな過去、現在、未来の世界をつなぎ合わせて思いのままに作り替える時間の改ざんというものだ。分かりやすく言うと、イマジンを呼び寄せた智のように、様々な時代の干渉を出来る。そのうえで、歴史を塗り替えても自身は影響を受けることない。ゆえにかつて時間そのものを自分の支配下に置こうとして侵略を仕掛けたんだが、先代のチェックメイト・フォーによって封印されちまったってわけだ」
晶「それを・・・智が封印を解いた?」
ルシファー「ちげぇな、まあ、しいて言うならスフィンクス一族だな」
晶「スフィンクス一族?」
ルシファー「レジェンドルガの一族の一種なんだが、呪術や禁忌の術ばかり研究していて、とうとう行きついたのが時間の流れ、すなわちこの世界における決して揺らぐことのない絶対的ルールをぶち破り、自分にとって都合のいい世界に作り替える。そう、ヒュプノスを使って時間を変えるということだ。しかしまあそんな計画放っておくわけないわな。結局他の一族に滅ぼされちまって、あいつだけが最後の生き残りなんだよ。智のことだ」

智が生き残り・・・。
意外な事実だった。あのお茶羅けている、いつもふざけてばかりいる、人の不幸を笑い、何もかもがゲーム感覚、自分以外の命などどうなっても構わないと思っているあいつが。

だからこそか。
長い間ずっと一人で、一族の悲願を果たさなければならないという下、気の狂うような長い長い時間の間、ひたすら狂気に満ちた実験を繰り返してきた。
そんな生き方、気が狂ってもおかしくはない。
何もかもがゲームとでも思わないと、壊れてしまう。
いや、もう、壊れてしまっている。

慧「・・・・・・・・・・・」
ルシファー「あと、俺のこと何か言っていたようだが、そいつぁ余計な世話だ。テメェなんかに心配される筋合いねぇわ。俺は・・・生きたいように生きて死ぬときがきたら死ぬ、それだけさ、誰がどうこういうことじゃねぇ」

突き放すように言うとルシファーが槍を担いで立ち去ろうとする。
しかし慧はその場に座り込んでしまい、もはや立ち上がることさえしない。

ルーベットが・・・消える?
今まで一緒にいて「当たり前」だった。でもこれは当たり前なんかじゃない。
不幸のどん底にいた時に初めて出会い、契約を結び、仮面ライダーとして戦うことになってからまだ半年しか経っていないのに、これまでたくさんのことがあった。
その場面にどこにも必ず、あの騒がしい6人がいたのだ。

「いつでも慧殿のおそばにおりますぞっ!!」
「お前は危なっかしいからな、全く、世話が焼ける」
「でもでも、そんなお姉ちゃんが大好き!!」
「可愛い子猫ちゃん、この私が君の騎士として常に守り続けることを誓うよ」
「お前はあたしたちの大切な仲間だ。これからも一緒にいような」
「・・・・あんたに憑依出来て、よかったかもね・・・・お姉ちゃん」

慧が弾けたように飛び出し、ルシファーを走り抜けて丘の上を駆け下りていく。
わき目も振らずに、激しい鼓動に胸を震わせながら、呼吸も荒くメチャクチャに走り出す。

晶「・・・・どういうつもり?返答次第では・・・・コロスヨ♪」
ルシファー「ンなこと言ったって、嘘こいて心理的作戦仕掛けるなんざ俺に出来ねぇし、する必要がねぇだろが。今すぐブチ殺してもよかったんだからよぉ」
晶「うふふ・・・もう、俺が今すぐ殺してやりたいよ、あはは、八つ裂きにしてやりたいくらいにね」

くすくすと笑うが、眼はもはや殺気ギンギン。

晶「・・・君のことだから、もしかすると、もう時間がないというような追い詰められた状況になっているようだね。例えば首の宝石がもう時間切れになりかけているとか。そうなると君は死ぬ。その前に慧と決着つけなきゃなのに、肝心な時に智が慧を揺さぶりをかけるつもりで言うであろうその事実を伝えることで、慧自身がその問題を乗り越えるか押し潰されるか、見極めてから、戦うかどうかを決めるってこと・・・だよね?」

ルシファー「・・・・まあな」

晶「・・・うん、でもね、何て言うかな、どうしてこうもまあ、いちいち慧にからんでくるかなぁって・・・まあ・・・ちょっとした嫉妬だよ・・・・殺してやりたいほどにね」

ルシファー「嫉妬ねぇ、よく分からねぇけど、あいつは俺たちが殺す。他の誰にも譲るつもりはねぇんだ。それだけさ。あいつがふ抜けになっちまったら、俺が、あいつらが何のために戦ってきたのか分からなくなっちまう。あいつは・・・強いけどよ、いつまでも強いままでいられるヤツなんざこの世にはいねぇ。時に弱くなったり、悩んだり迷ったりしてようやくつかんだ強さを重ねて本当に強くなるもんだろ。でも、もう時間がない。ヒュプノスが目覚めちまうのに、今、仲間が消えるということに対してショックで打ちひしがれるようなヤツなんかじゃねぇってことを俺ぁ確かめたいだけだ」

晶「そう・・・そうやって君も慧に夢中なんだね・・・だから・・・・ムカつくんだよなぁ・・・・・・自分の器がどれだけ小さいか思い知らされるようでさ・・・レジェンドルガごときにね、しかもこんなバカに」

お互いにやりきれない思いを怒りや憎悪、そしてルシファーは慧が負けないという方を信じたいという一心をにじませて、複雑な表情で慧が下りて行った下を見つめる。

風にたなびく銀髪をうざったそうにかき分け、可憐で端正な顔立ちをわずかに曇らせている。同じくして緑色のショートカットをかき分け、不安そうな様子で慧の走った先を見る晶であった。

というか、ハタから見たらこの二人が男だと絶対に思えない。
つーか、サギだ。
はっきりいって・・・見た目だけなら超絶的に可愛らしい女の子なのだが、片やチェックメイトフォーの王でティラノサウルスの異形たる暴君王の晶、片や最強最悪の大量虐殺上等の殺人傭兵集団の大兄貴であるルシファーだ。

晶「今、すべきことといえば、とりあえず、邪魔な君を殺す、以上、かな。ふふっ・・」
ルシファー「お前、笑いながら殺す殺すとかいうクセ、マジでヤベーぞ。ハタから見たらキのつくヤツだろ」
晶「ああ、もう、どうしたいの?やるの?やらないの?きゃははっ」
ルシファー「お前の相手なんざいつだってかまやしねぇよ、でもな、先客がお出ましだぜ」

そういって、首を振るといつの間にか周りには無数のイマジンの集団が殺気をみなぎらせて、それぞれ武器を構えてとりかこんでいるではないか。どうやら晶を狙って集団で襲いかかって来たらしい。

晶「・・・・智が動き出したか」
ルシファー「みてぇだな」
晶「・・・君、もしかして、智と・・・別行動かい?」
ルシファー「ああ?どうしてそう思う?」
晶「大軍率いて一人相手に一気にやる作戦立てられるほど頭良くないでしょ」
ルシファー「ああ、そりゃそうだな。俺一人でも十分だし。お前ならな」
晶「きゃはははっ、殺すヨ♪」
ルシファー「まあ、しばらくは様子見るってことで、あとはせいぜいやってろや」

そういって、飛び上がって消えると、晶がベルトを巻きつけ、数十体はいるであろうイマジンの集団相手を前に勇ましい姿勢で立ち向かう。

晶「・・・・行くよ、変身!!」

晶が全身を青い稲光で覆い尽くし、みるみるその姿を荘厳な王、仮面ライダーワイバーン・キングフォームへとなり、さらに黄金の光がまぶしく光り輝くアルティメットフォームへ変わると、槍を構えてマントを翻し叫ぶ。

Uワイバーン「愚かなる侵略者どもよ、遠からんものは音に聞け、近からんものは目に物を見よ。蒼天に掲げしは天の怒りたる稲光宿りし三叉槍、光の裁きをもって、我に抗いし全ての存在を滅し粉砕し、塵と化す。我は・・・チェックメイト・フォーの長、誇り高きファンガイアの最後の生き残り、ティラノファンガイア、大友晶!!死にたいヤツから・・・かかってこい・・・・!!」

高らかに叫び、襲い来る敵の集団を槍で薙ぎ払い、叩きのめし、吹き飛ばしていく。
胸の中に去来した不安を必死でかき消すように。


一方・・・。
慧は必死で町の中を走っている。
時計を見るともうすぐ発車時間だ。そこにいけば、全てが分かる。
あいつが言っていた言葉が「嘘」か「本当」か。

その時だ。

飛び込もうとすると、突如地面が火花を上げて爆発し、それを飛び避けて地面に転がり着地すると、その前には晶と同じくして、かつて倒したはずのイマジンの集団が取り囲んでいたのだ。
そして、慧に向って攻撃してきたモグラのイマジン、モールイマジンが腕と一体化したキャノン砲を向けている。慧はすぐさまベルトを装着し、パスを構えた。

慧「多いな・・・・一気に片付けるか。ルーベット、トパーズ、サファイア、エメラルド、琥珀さん、アメジスト、てんこもり行くよっ!!」

「「「「「「了解!!!」」」」」」

そして、声がしたと同時に慧の周りに6つの光が飛び出し、それをイカロスショットに宿し、バックルに装填する。

「Climax form」

慧(そうだよ、消えるはずがないじゃん。あたし、分かるよ。今までも、これからだって、あたしとルーベットたちの絆、消えるはずがないんだよっ!!)

それは慧が絶対的に信じてやまない「絆」。
これまでの戦いを通して、築き上げてきたものだ。
だからこそ、迷いをかきけすように叫ぶ。

慧「変身!!」

その直後だった。
ベルトに宿っていたイカロスショットが突如光り出すと、突然6つの光が飛び出し、プラットフォームの姿に戻り、さらに慧の姿になってしまった!!

慧「え・・!?どうしてっ!?」

そして、ベルトから無機質な音声が響き渡る。
パスを通しても、光輝かない。

「Contract Destruction」

慧がその言葉を聞いて、頭に稲光が直撃したかのように衝撃が走る。

慧「・・・・契約・・・・・強制・・・・終了・・・・・・・!?」

ベルト「このパスは・・・・“過去”における“記憶”が強制的に消去されたため、使用できません・・・ルーベット・・・・トパーズ・・・・エメラルド・・・琥珀・・・サファイア・・・アメジスト・・・以上6体のイマジンの乗車資格をただいまを持って・・・破棄いたします・・・」

慧「!!!!!」

ベルト「・・・タイムパラドックス・・・・・発動・・・・時間・・・・強制修正・・・・」

慧「・・・・やめてよ」
ベルト「発動・・・・」
慧「やめてよっ!!!!!あたしの過去を、あいつらとの絆を、思い出を、無理矢理捻じ曲げて消してしまうことの何が修正だよっ!!!!」

そして、ベルトから放たれたルーベットたちが現れ、その姿が見る見る砂のように消えていく。
何が起きているのか分からないといった様子だ。
時間の流れの変化によって、その存在がきわめてデリケートな存在、つまり、一つのタイムパラドックスで存在が消えてしまう危険性もあるのが、イマジンなのである。

慧「ルーベットっ!!!!!」
ルーベット「慧・・・殿・・・」

手をつかんだ瞬間。
その手が砂となって零れおちた・・・。

そして・・・目の前にいたはずの6人が砂となって床に散らばり、後には何もない。
慧がそのまま座り込み、放心状態となってしまったように虚ろな瞳をしている。
信じていた何かが、これまで彼女を支えてきた強い心が完全に折れてしまった。
粉々になった心、信念、そして仲間たちと過ごしてきた時間・・・・。
全てを奪ったのが、自分たちが守ってきた「時間」。

何もかもが・・・・消えていく。

その時だ。
ふと、雲ひとつなかった空に突如分厚い雲がかかったわけでもないのに、急に薄暗くなり、紫色の光を放って、空間にひとつの切れ目が生じ、やがてそれは巨大な裂け目となって広がる。

晶「そんな・・・・あれはっ!!」
晶が驚きで目を見開き、計り知れない衝撃をあらわにして、愕然とする。
その裂け目は、よく知っている。

かつていた自分の世界を崩壊させた時間の裂け目−。
放たれた白い光が・・・すべての時間を消し去っていく。
消えた後に残ったのは、真っ白な砂のみが広がる荒涼とした無の世界。

晶「またあれをやるつもりか・・・ゲーム感覚で!!」


一方。
変身する術を失った慧が完全に座り込んでしまう。もはや戦意は完全に失ってしまっている。今までの強さがすべて崩れ去った。
そんな彼女に容赦なくじりじりと迫りくるイマジンたちの集団がやってきている。
すると、彼女の体から砂があふれて、ウルフイマジン、レオパードイマジン、マーメイドイマジン、フライングフォックスイマジン、ラビットイマジン、ライオンイマジンが現れた。

ムーン「マスター!!しっかりしてくれよっ!!」
パール「お姉ちゃんを守るんだ!!」

マラカイト「行きますわよ!!ダイヤは主を安全な場所へ!!」
ダイヤ「分かりました!!」

アクアマリン「敵が多すぎます・・・!!このままでは・・・町に攻め込まれます!!」
ガーネット「そんなこと・・・絶対にさせない!!」


マラカイトがデスサイズを振り上げて敵を切り刻み、ガーネットがロッドを振り回して敵の体を打ち砕き、アクアマリンの槍が切り、なぎ払い、吹き飛ばす。
さらに、ムーンが拳を振り上げて、次々と敵を殴り倒し、さらに強靭な蹴りで吹き飛ばす!!そして、さらに攻めてくる敵の頭部に次々とパールが発射した強烈な弓矢が炸裂し、爆発を起こす!!

ダイヤ「こっちです!!はやくっ!!」
慧「でも、皆がっ!!」
ダイヤ「貴方が死んだら私たちが生き残ってもそんな世界に意味などない!!」
慧「そんな・・・!!」

マラカイト「私たちは・・貴方と共に生きていることこそが至上の喜び!!」
パール「お姉ちゃんの笑顔が大好きでここにいるんだっ!!」
ガーネット「あいつらのこと・・・まだ諦めきれないんだろ!?なら、生きて起こしてみせるよ、いつもの悪あがきで!!」
アクアマリン「どんな運命であろうとも、貴方には戦乙女の加護がありますっ!」
ダイヤ「貴方は最後まで生きてください!!それが、われらの希望!!」

慧「・・・・・でも・・・!」
ムーン「でももかももねぇっ!!」

ムーンが慧に飛びつき、なんといきなり思い切り・・・!!
拳を頬にたたきつけ、殴ったのだ!!

慧「かはっ!!」

ムーンに殴られた頬が赤みを帯び、唇を切ったのか、血がにじんでいる。
そして胸倉をつかまれ、怒りをあらわにしたムーンが呆けた慧に怒りでゆがんだ顔を近づけて怒鳴る。

ムーン「バカ野郎っっ!!!!!お前、それでもマスターかよっ!?今までだってこれ以上ヤバい目にあったって、死にかけたって、諦めなかっただろうがっ!!!それで・・それで・・・どんなギリギリでも逆転してきただろうがっ!!!!あいつらがいてくれたからというのもあるけど、お前が最後まで諦めなかったから奇跡が起こったんだろうが!!!起こるべくしてお前が奇跡だろうがっ!!!!だから・・だから・・・あいつらのことを・・・あきらめないでくれよぉおおおおおおおおおおおおっ!!」

慧「・・・・・・!!」

ようやく慧の瞳に光がともった。
それは、彼女の心の中にある「熱血」に灯がともり、一気に燃え上がる!!
その証に、傷ついた体を必死で起こして、口についた血をぬぐい、立ち上がる。

慧「・・・・・そうだったね、まだ・・・あきらめるわけにはいかないんだよね」
ムーン「マスター・・・!!」
慧「今、自分がやれることを、思いつく限り全部やってみるよ」
ムーン「・・・それでこそ、オレたちのマスターだぜっ!」

マラカイト「思いつく限りのことといいますと・・・」

慧「・・・わからない。でもまずできることは・・・・生きることだ!!」

それは一番苦しくて、つらく、もがき苦しむであろうこと。
あの6人が消えてしまった時間を、目を背けないで前を見続けること。
それでも歩き続ける。最後まであきらめたくないから。


そのころ。

クイーン「おいおい、これ、やばくない?」
ルーク「このままじゃ、慧ちゃんたちが・・!」
クイーン「だね、早くマモンと合流しないと!!」

この緊急事態にルークとクイーンが仕事から抜けて、ビショップから連絡を受けた2人が待ち合わせ場所である公園に駆けつける・・・・するとそこにマモンもちょうどきたところだ。後ろにはビショップもいた。

マモン「慧たちと早く合流しようぜ!」
ルーク「おうよっ!!」
クイーン「どこにいるか、わかる人おる?」

何気なく、いつものようにクイーンがぼんやりとした口調で聞く。

そのときだ。
ビショップの姿が風をまとって、見る見るその姿を獰猛勝つしなやかで美しい銀色の獣、サーベルタイガーファンガイアに変わる。

ビショップ「・・・いずれ合流できる場所なら知ってますよ。そう、“あの世”でね」

そして、手にまとっていた銀色の暴風が一気に放たれ、無防備だった3人に直撃し、公園一帯のあらゆるものを吹き飛ばし天空へと舞い上げ、破壊しつくす!!!

土煙が立ち込める中、ビショップは紫色の裂け目の向こう側を見るように、遠い目をして、笑みを浮かべる。

ビショップ「・・・ヒュプノス・・・われらの世界を滅ぼした異形・・・・時間そのものを支配することができる最強最悪の兵器・・・・あれが手に入れば・・・ファンガイアが再びこの世界を支配できる。ファンガイアのあるべき世界を作ることこそがビショップのつとめ、必ず果たして見せますよ」

そして、煙が晴れ、そこにはクイーンをかばい、全身に切り傷と打撲を受け、額から血を流しているルークと、信じられないといったように呆然としているクイーン、そして、薙刀を構えて変化しているモンステロレジェンドルガの姿があった。

ビショップ「そして、時代が変わるとき、古きものはすべて捨ててしまいましょうか。あの時と同じように、人間などという愚かな種族と共存しようなどという先代の王を、世界ごと滅ぼしたときのように、あなた方も、来るべき新時代にはいらない。すべて消し去って差し上げますよ」

クイーン「・・・・え?」
ルーク「・・・ビショップ・・・・テメェ・・・・どういうことだっ!?」
マモン「・・・そうか・・・そういうことだったんだ・・・!!これですべてがつながったぜ。この事件のすべてが・・・・・」

ビショップ「さようなら、せめてよき地獄へと・・・・お逝きなさい」

そういうと、風とともに駆け出し、姿を消したかと思いきや、一気に目の前に躍り出た!!

マモン「危ねぇ――――――――――――――っ!!!」

マモンが傷ついたルークとクイーンを吹き飛ばすと、マモンの体にビショップの鋭い爪が食い込み、鎧を裂き、肉をちぎり、血が噴出す!!
返り血を浴びてそれを舌でれろりと艶かしくなめとると、さらに次々と爪で引き裂き、砕き、破壊していく!!

ビショップ「死ね・・・人間のオンナなどに心を奪われたフヌケな王も、そんな王に付き従うことしか能のない愚かな家臣も、死に損ないの亡霊も、そして、私が愛する敬愛すべき女性も、みんなみんな死ねばいいんですよ。私は・・・死でしか・・・人の死を見ることでしか快楽を得られない!!ふふっ、あははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

理性を完全に捨て去った狂人がついにその正体を見せた。
狂った笑い声を聞きながら、ルークもクイーンもかつての仲間の変貌にもはや言葉を失い、その場に立ち尽くしていた。

マモン「早く逃げろ!!!!こいつは、お前たちのこと、最初から殺すつもりでいたんだ!!」
ルーク「・・・・・ビショップ・・・!」
クイーン「・・・ドッキリにしてはキツすぎるでしょうよ」
マモン「智を操っていたのも、セブンズヘブンを蘇らせたのも、ヒュプノスを起動させたのも、全部こいつなんだっ!!!智は・・・あいつは・・・・こいつによって無理やりよみがえらされたスフィンクス一族の成れの果て・・・いや、スフィンクス一族もオレたちの一族も・・・すべてこいつが支配するファンガイア一族に滅ぼされた・・・」

クイーン「・・・・なるほどね。謀反を起こしたわね、ビショップ。ファンガイアがこの世界ですべての種族を支配する、その絶大なる権力を振りかざすべくこれまで私たちに隠していくつもの種族が内乱や仕組まれているとしか思えない戦で滅びていった。どの事件もあなたが一役買っていたわけね。キングの他種族との共存による繁栄、その国家の思想を最後まで受け入れなかったあなたが、まさかここまでやるとはね」

ビショップ「くくく・・・・クイーンの座に甘んじて、日々惰性をむさぼっている愚かな貴方でもようやく気づきましたか。おかげで、慧ちゃんに王を奪われ、もはや貴方など名前だけのクイーンに過ぎない。ルークも利用しがいがありましたよ。私の計画に必要がなくなったらすぐに捨てるつもりでしたからね」

ルーク「嘘だろ・・・!?ルークは・・・ずっとお前のこと・・・・仲間だって・・・今だって」

ビショップ「仲間・・・ふふっ、虫唾が走りますよ、私は受け入れるのは、死のみ。この世の全ての業から解き放たれる刹那、消え行くことのリアル、すべてが幻想的かつ美しい。それ以外など、偽りのやさしさなど友情など、忠誠など虫けら以下の価値に過ぎない!!お前の抱いているものなど、全て無意味ですよ。無様ですねぇ、ふふっ、あははは!!」

ルーク「!!!」

今まで信じていた友からの、これまで信じてきた全てを嘲り笑われ、否定された・・・。
クイーンも信じていた部下の狂気に満ちた素顔を前に、歯を食いしばり、悔しさと怒りが入り混じった顔でにらみつけている。

マモン「・・・ザケんな、完全にぶっ壊れちまってるよ、お前。人は・・・生きることを楽しむために生きるものだ。いつか訪れる死を楽しむなど、完全に壊れちまってるよ。常識のじの字もねぇアホウが粋がるんじゃねぇよ!!!」

マモンが薙刀を振り回し、ぼろぼろになった全身を奮い立たせ、息も荒く、いたるところから血のにおいを発して、立ち上がる。

マモン「ルーク、クイーン、逃げろ。慧と合流するんだ!!あいつなら、絶対に、何とかできる!!あいつを信じろ!!前を進め!!最後まで未来を手放すな!!覚悟決めて必死こいてつかんで見ろ!!!何が何でも・・・テメェの未来を奪われるな!!!!」

ルークとクイーンがその声ではじいたように走り出し、一気に逃げ出す。そして、マモンが薙刀を振り回すと、全身の周りに水流が発生し、波打ち、泳ぐように宙に舞い上がる。

マモン「・・・強欲な性分(もん)だよな。他人が投げ出しそうになると、もったいなさ過ぎて拾い上げちまう、未来ってものを。どうしても放っておけないんだよな、ああいうの。それに・・・まだ、慧とも会ってないし、オレも行くとするか・・・こいつをぶっ飛ばして!!」

モンステロレジェンドルガが懐に持っている端末機械のようなものを見て、薙刀を振り回す。
その機械には、赤、青、黄、緑、橙、紫の光が宿っていた・・・・!!

「ルーベット・・・トパーズ・・・サファイア・・・エメラルド・・・・コハク・・・アメジスト・・・・データ・・・・コンプリート」

マモン(待ってろよ、お前ら。慧と必ずもう一度会わせてやるよ。なぜならオレは強欲だからな。お前らと慧が一緒じゃなきゃあんなにバカ過ぎる騒がしい時間はできない。それは嫌なんでね)

首の藍色の宝石の光が少し弱まる。
しかし脱力するわけにはいかない。これ以上力を使うことが死ぬことだとわかっていても。

ビショップ「愚かな・・・亡霊ごときが。もう一度墓の中へと戻してあげるわ」
マモン「やってみろよ。セブンズヘブンの参謀、どうやってこれまでの激戦を生き抜けてきたか教えてやるぜ!!!」

狂気で支配された白虎を前に、勇猛果敢に薙刀を構えて、マモンが最後の戦いに挑む!!

続く
,残り4話となりました、仮面ライダーバルキリーたん!!次回でついに最終フォーム登場します。そして今回明らかになったヒュプノスが絡んだ時の運行を妨害し消滅させるべく計画の黒幕こそが智と、もう一人、ビショップであることが判明、ファンガイア一族が世界の支配者になる選民思想が強すぎて、先代の王(晶の両親)を殺害し、世界を滅ぼした真犯人です。そして、消えてしまったルーベットたちの今後の鍵を握っているマモンがクライマックスバトルに挑んでいきます。

今後とも応援よろしくお願いいたします。,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年07月11日(日) 02時09分52秒,20100711020952,20100714020952,DHDbp1jVJUlfw,仮面ライダー珀羅 『少女の涙と地神の玉《後編》』,青嵐昇華,,,





【仮面ライダー珀羅〜少女の涙と地神の玉〜】






『力ずくで連れていく』

何処からともなく白と黒の霞のようなものが発生し澪示を包む。
いつの間にか先ほどの無彩色の鎧、“伏義”の姿へと変わっていた。

「っ・・・・・・・」
『必要なことなんだ。兄さんは決めなければいけない』
「・・・俺は・・・・・・」

「濠!しっかりしなさい!」
「濠さん!!」

立ち尽くす濠の前に月華と嵐羽が割って入る。

「澪示くん、大人しくしてもらうわ・・・!『雹霰堅氷陣(アイシクルフォース)!!』
「私も納得出来かねます!『風魔縛糸束(ウインドスレッド)!!』

伏義は既に二体の魔人を沈めている・・・その力は危険極まりない。
戦うつもりはなくても話を続けるには全力で動きを封じる必要があった。

月華の敷いた陣からそれを捕らえる為の冷気と氷が飛び出し、嵐羽の団扇からは以前土の魔人の動きを止めたこともある風の糸が放たれる。

だが

『邪魔をしないでください』カッ

伏義が手をかざすと灰色のオーロラが現れ、二つの攻撃は弾かれるように向きを変えた。
跳ね返りがら交差して嵐羽を氷の檻が、月華を風の糸が束縛する。

「うっ・・・何で攻撃が・・!?」
『五行に通じた術は僕には無意味です』
「何ですって?」
『“四不象(スープーシャン)”をご存じですか・・・?四象の理を外れた異端の獣は五行をも跳ね退け、あるいは打ち消す・・・僕に与えられた鎧の力はそれです』
「そ、そんなこと・・・・・・っ!?」

霧の結界をいとも簡単に壊し暴風や雷を音もなく消し去ったのを鴉美は思い出した。
「あるはずがない」と言えなくなり、それと同時に背中に寒いものを感じる。

『僕は燭陰の後を継ぐべく修行してきました・・・・たとえこの場にいるあなた方全員、全ての器の力を以てしても恐らくは届かないでしょう・・・・』



『でも』



身動きの取れない月華と嵐羽へ向かって伏義は片手を掲げる。

『邪魔をされると困りますから』

先ほど魔人達へ向けられたのと同じ構えだ。
この場にいる全員の頭にその次の瞬間の光景が浮かび上がる。


「澪示ぃいいっ!!!!!」


いつの間にか濠、珀羅は『金剛』へと転神し伏義に向かって叫んでいた。

『・・・・・・・・・・』

伏義がゆっくりと手を降ろす。

『・・・決まったの?』
「っ、どうしていいのか・・・・俺にはまだ分からない・・・・・」
『・・・・・・・』
「・・・・だが、今ここで退けば・・・きっと後悔する!!」

拐を武器にしたまま『金剛』が地を蹴り大きく跳ぶ。
増幅された霊力を刃に込め伏義へ向かい突進していくが、その攻撃が達する前に伏義の姿が消えた。

『そんな動きで・・・・・っ!?』

伏義が珀羅の死角から現れ、後方からその拳から迫る。
だが、その拳も珀羅を捉えることはない。

「爆ぜろ!!」

一瞬眼を刺す様な眩い黄金の閃光が走り、続いてやって来る衝撃波に伏義の動きが止まった。
過剰に流されとどまり切れなくなった霊力が大きな爆発を起こしたのだ。

『っ!』
「はぁっ!!」

爆光の中で態勢を立て直した珀羅はそのまま拐を突き立てる。
その強襲は伏義に反応する暇を与えず、それを捉えるかに見えた・・・

「何っ・・・・!?」
『戦術や技量なら兄さんの方が一枚も二枚も上だよ・・・でも・・・』

刃は伏義に届くことはなく、珀羅の身体はぴたりと止まっていた。
止めたのではない・・・・磁石の同極同士のようにそれ以上どうやっても進もうとしないのだ。
あと少し、だがその空間が絶対の差だった。

『金気反象』
「ぐぁぁっ!?」

灰色の波動が伏義から放たれ『金剛』の身体が大きく弾き飛ばされる。
激しく地面を転がり木々をなぎ倒し、土煙を上げる。

煙が晴れるとそこには変神が解けた濠が横たわっていた・・・・


「濠さん!?・・・こ、これどうして解けないんですか!?私達の術なのに!」
「・・・術式と構成要素をねじ曲げられているのよ。逆を辿って解除するのは無理だわ・・・!」

「・・・なん・・・・で・・こんな・・・っ・・・・・!」

嵐羽と月華はお互いの術で拘束されたまま動くことが出来ず、燎子は顔を伏せたまま今の状況に向きあうことが出来ずにいた。






「っ・・・・・ぐ・・・ぅ・・・・・」
『生半可では駄目なんだ』

朦朧とする意識の中で濠は立ちあがる。

「・・分かって・・・いる・・・・そのくらい!」

足りないのは力、だが今それより遥かに足りないのは・・・・覚悟の方だった。
濠自身、こうやって澪示と対峙していてもまだ心に迷いがあった。

凶星の手が力なき人々へと及ばないよう濠はずっと戦ってきた。
それこそ何に代えてでも守り通す覚悟はあったはずだ。

自分一人が消えれば世界が滅びる危険性は減るかもしれない。
だが・・・・・

『・・・・・・』
「それでも・・・!」

身体が動くことを、戦おうと立ちあがるのを止めようとしない。
恐れているのだ。何か大事なものを失うことを・・・・

(俺は・・・・)

浮かんで来るのは仲間達の顔、この高天原で過ごした思い出・・・・
いつも騒がしくて調子が良い人一倍優しい少年と出会い一緒に暮らした一年・・・
どこか抜けているが一途でまっすぐな天狗の少女や故郷の盟友達と共に駆けた数週間・・・

「俺は・・・・・!」

“世界”が積み上げて来た歴史に比べればほんの一瞬の出来事だ。
だが、それは人の為ではなく義務や使命でもなく・・・・ただ己が霧島濠という一人の人間として、自らのその手で守りたいものなのだ・・・・

「俺はここに居たいんだ・・・!!」
『・・・・・・・・』

「ゴウ・・・さん・・・・・・・」

澪示は変神を解き何も言わず濠をまっすぐ見据える。
その様子に塞ぎ込んでいた燎子も僅かに顔を上げた。

「恭也や、鴉美達の居るこの場所を・・・この時を・・・俺の手で守りたい・・・!だから・・!」
「・・・・・僕がこうして来ている意味は分かっているよね・・・・?」
「あぁ・・・・!」

この強大な力を持った澪示でさえも、凶星を抑えることが出来るかどうかわからないということ・・・・だからこそ世界の維持のためにも澪示は退けないということ。
その重い現実を叩きつけられても濠は立ち止まらなかった。

「澪示、俺は皆を道連れにする気はない・・・!」
『うん・・・・・』
「だが・・・・まだ俺には戦うだけの力があるんだ!」


「目の前の・・・・自分のすべき戦いから!絶対に降りない!!」






「それが兄さんの出した答えなんだね?」
「そうだ・・・!」

濠と澪示がお互いに視線を交差させる。
澪示は濠の蒼い眼、その奥に潜むものを探るように見つめた後静かに言った。

「・・・・後悔はしない?」
「あぁ・・・!」
「そうか・・・・・・それなら、もう話は終わりにしよう」


瞬間、辺りを取り巻く空気が変わり二人の身体は鎧をその身に纏う。


「はぁあああああああああ・・・・・・・!!!!!!」

次の一撃に全てを託す。
己と二つの器・・・それらの力が発現していくように珀羅の身体が白い霊気に包まれていく。
伏義はただその様子をじっと見ている。

(まだだ・・!!まだ!!!)

既に限界まで力を絞り出している・・・・だが、まだこれでは足りない。
力の枯渇した己の中、濠は力を求めた。

そして・・・・・・・辿りついた。




「『「『ぅぉおおおおおおおおおあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!』」』」

珀羅から発せられる白かった霊気が瞬く間に猛々しい翠に染まり上がる。
右腕を掲げるとそれに沿って激しい覇気が天を衝くように迸った。

『・・・・・!』
『はぁあああああああああっ!!!!!!!!!!!!!』

円を描くように踏み出し、一気に拐を振り抜いた。
膨大な霊気を圧縮した刃が伏義に迫って行く。

『っ、ぐっ!!っ!?』



カァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!!!


それは伏義を飲み込み、そこから伸び行く光の柱が夜空を貫いた。







「・・・っ、はぁ・・・・はぁっ・・・・・」

『っ、今のは効いたよ・・・・・・』

「・・はぁっ・・・・ぐっ・・・・・」


伏義にもダメージはあった・・・・だが“あった”と分かる程度と言っていい。
それに対して濠の方は力を出し尽くし、片膝を付いて肩で息をしている。
だが、それでも濠は立ち上がった。

「・・・・まだ、だ・・・!」
『・・・・・・・・』

無言のまま、伏義は濠に近づいていく。



『っ・・・・』

伏義の足が止まり、その間に入って来た影をじっと見た。

「もう・・やめ・・・・澪示は・・・こんな・・・・ちが・・っ・・・」
『っ・・・・・・・』

燎子だ。
雄々しさの欠片もない・・・俯き震える声で訴えかけるその姿。
立っているのも危うい様子で、やっとのことで声に出しているようだった。

『・・・・・・・・』

一瞬足を止めそうになるも伏義はゆっくりと進み、その距離は徐々に近くなって来る。
燎子は壊れてしまいそうにうるさく鳴る心臓の音に耐え、震える身体を何とか持たせていた。
もう人一人も入らないくらいまで来た。

だが・・・・・・・・・・

「ぁ・・・・・・・」

伏義は燎子の横を通り抜けそのまま進んで行く。
すれ違う瞬間、燎子の身体から一気に力が抜けその場にぺたりと座り込んだ・・・



「兄さん、これを・・・・・・」

澪示は変神を解いて白と黒の二つの勾玉がついた首飾りを取り出す。
そしてそれを濠の手に握らせた。

「これは・・・“爪”か?」
「それが通行手形、それを持っていればいつでも谷へは行けるよ。そこから先の道案内は僕がする」
「っ、澪示・・・・お前は・・・」
「知っておきたかったんだ、兄さんの覚悟を。でも兄さんが最後まで戦うと言うのなら・・・・」


『僕は・・・それでもいいと思う』

濠に背中を向け再び伏義は歩き出す。
その少し先には灰色の歪んだ空間が展開されていた。


「っ、ま、待っ・・・・っぁ・・・!?」
『・・・・・・・・』

腰が抜けて動けずに居るというのに立ちあがろうとし、燎子は突っ伏すように顔から倒れ込んだ。

『燎子ちゃん・・・・』
「っ・・・・」
『・・・・・・・・・ごめんね』


・・・・・・・・ヴンッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「・・・っ・・・・・・・・っ・・・・」





「ごめん・・って・・・なんだ・・・よ・・・・・・っ・・・・・」





「っ、ちが・・・・だろ・・・・っ・れ・・・ぃ・・・っ・・」





「ぅっ・・・・・ぅぅうあぁ・・っぁぁ・・ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」










「濠さん、ご無事ですかっ!?」
「あ、あぁ・・・・っ、強引に破ったのか?・・・まったく、無茶をする・・・・」
「あなたにだけは言われたくないわね・・・」

濠のところに駆け寄って来た二人には少しだけ火傷のようなものがあった。
跡が残る程に酷いものではないようだが・・・それでも相当の力を使ったはずだ。
だが濠の傷はそれらと比べ物にならない程ボロボロで、立っているのが実に不思議なくらいだった。

「・・・・・燎子は・・・・・・」

地べたに座り込んだままぴくりとも動かない燎子を見る。
放心状態になっているのか、まるで抜け殻のようだった・・・・

「燎子さん・・・何があったんでしょうか・・・・濠さん達は何か知っているんですか?」
「・・・・・・・・・・・」
「少しだけ・・・ね。でも、とにかく今は・・・・っ!?」


・・・・・・ヴヴンッ・・・・・・・・・


「何だと・・・っ!?」

濠達は一斉に振り返り・・・そして最悪の光景を眼にする。
そこには深緑と紺碧の魔人の姿があった。






≪要素の安定により吾等も還されたか≫
≪彼奴は消えた。ならば・・・・≫

魔人達の周りには薄い霧や弱い風などが発生していく。破壊されかけた自身の状態を確かめているのだろう。
やはりまだ完全な状態ではなかったが次第に勢いが強くなっている・・・・


まずい、とすぐさま雪乃は燎子の元へと駆け出した。

「燎子、立って・・・燎子っ!」
「・・・・・・・・・」
「燎子・・・!」

周りの状況が頭に入っていないのか、反応がない・・・
心境を察すると慰めて上げたかったが、そんな時間はありはしない。
仕方がない、と月華に変神し引きずるように後退させる。

「濠さん、雪乃さん達と退いて下さい!出来るだけ逃げる時間を・・・」
「・・・いや、お前も下がっていてくれ」
「えっ・・・!?」

「あとは俺がやる」

魔人の方へと歩いて行く濠は先ほど澪示から託された首飾りを取り出す。
辛うじて珀羅に変身した濠の両側に幾分か大きくなった白と黒の勾玉が浮いている。

「っ!?やめなさい!あなた・・・!!」
「これが・・・俺の戦いだ!」

珀羅は『燭陰の爪』に手をかざす。
そのまま胸に引き寄せると二つの勾玉は一つの円を形創った。

『転神!!』


カァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!!!


≪この光はっ・・・・!?≫
≪ぬぅぅぁっ!?≫




夜を昼に変えるような眩しい光が辺りを包みこむ。

珀羅『宵暁(しょうぎょう)』、歳月を経て大地の色に染まった老鬼龍を思わせる荘厳な姿。
胸の装甲板に“両義”が埋め込まれ、額の角も展開している

≪“爪”を手にしたか。それでこそケイトゥ様が望むに値する者・・・≫
≪・・・だが依り代となるその肉体には幾分の力も残されていないようだな≫

「御託はいい・・・掛って来い」

≪フン、ケイトゥ様の望むままにその存在は間もなく彼奴に引き渡される≫
≪鍵は揃った。この戦で目覚めを迎えるがいい・・・スサノオよ!≫

動き出した二体の魔人、その力は完全に回復している。
水気の魔人、ブダが水流を作り出しそれが滝の真下に居るかのような怒涛の勢いで押し迫れば
木気の魔人、ブリハスバティが起こした竜巻が縦横無尽に駆け廻る稲妻と共に襲いかかった。

「俺ではなく常に別の者を見ていたのか・・・・」

両腕を大きく広げると瞬時にバリアのような膜が展開される。


ガガガガガガガガンッッッッ!!!!!!


「俺を・・・・・!」

激流や風雷は絶えることなく押し寄せて来るが珀羅はそれを真正面から受け止めていた。
その身体は大地に後押しされているように、決して沈むことはない。


「“霧島濠”を・・・侮るな!!!!」

スゥッ・・・!!

≪何っ!?≫

停滞していた力の塊は珀羅の中に吸い込まれるように消え、珀羅の霊力が一瞬にして跳ね上がった。

すべてのものはいずれ大地へと還り、新たに生まれ変わる。
地に深く繋がる創世の龍の力を得た珀羅は魔人達の攻撃を吸収、己の霊力へと還元したのだ。

地を蹴り、瞬時に珀羅は紺碧の魔人へ肉薄する。
魔人の肩を掴みかかり・・・

「全て・・・奪い取る!!大氣満醒『地霊吸萃球(グランドブリンガー)!!』
≪ッ、ガァァァァアアッ?!?!?!?!!≫

ブダの体から力という力が根こそぎ吸い出されていく。
それを構成する全ての要素、存在する力を奪われた紺碧の魔人は跡かたも無く消失した。

残された深緑の魔人はその光景に息を呑んだ。

≪現創世神の器、これほどとは・・・・・っ!?≫

「転神!!」

珀羅が金輪を腕に嵌めると、褐色の装甲が一瞬で染まり黄金の鬼・・・・金色夜叉が現れた。
それは鬼神、荒々しくも神々しく降臨した鬼の皇の姿だった。
通常の『金剛』の角飾りの4本から6本へと大きく展開し、装甲もより強固なものへと進化・・・いや神化を遂げている。

「はぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!」

珀羅の両足には金色に煌めく光が集まって行く。
そして、深緑の魔人に向かって稲妻のように駆け出した。

「鬼面嚇星・・・!!」

一筋の閃光が夜を切り裂き、金色の風が巻き起こる。


『覇皇神朧脚(アルティメットグレイブ)!!!!!!!!!』


『ッ―――――――――――――








「っ・・・・・・」
「濠・・っ!?」

崩れるように倒れ込む濠。雪乃と鴉美が駆け寄るが濠の状態に絶句する。
僅かに開かれたその眼は焦点が定まっておらず、しきりに蒼と翠に点滅を繰り返していた。

『―――――――――−・・・・・・・――――――・・・・』
「濠さん!?濠さん!!・・・ご

スゥ

・・・・・・っ、濠さん!!!!??」



点滅が止まり・・・その眼からは完全に光が消えていた。






,
やっぱり燎子ちゃんが精神的フルボッコになってますけど私はSジャナイヨ!
そう・・・・これは全部、乾巧って奴の仕業なんだ!(ぉ

だが、謝る!!(ぉ

さぁ、鬼畜でも外道でもゴミムシでも存分に罵るがよい!!
それが私のぱぅわーにな(ry

今回爪を入手しましたが、これが元々持ってる属性は【土】です。
他にも多々便利能力があるけど、言ってしまえば何でも肥やしにしてスクスク育ってしまう恐ろしい土竜(not青嵐?)フォームなんだな、これが(ぉ
ちなみに・・・

『金剛』テンションちょい上がる、攻防ぐっと向上、バランス良い
『昂幻』言語崩壊フォルテッシモ!、攻撃力バカ上がり、ドS
『宵暁』クールダウン(“…”多用)、防御力パねぇ、ドM

といった感じになっております。
下に行くほどチート化して行くよ・・・ドM最強だなっ!(ぉ



見ててください・・・!俺の・・・!
(0w0)ヘシンッ!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


To YPさん

>ボロボロだ、俺の身体は、ボロボロだ。
私の気管支もボドボドです・・・w

『どんな深い夜にあっても、やがて太(中略)どんなにまずい食い物もやがて血となり肉となる。』
315なこの言葉を胸に抱き、療養に励みなさい・・・・!

>ベン・トーで一番可愛いのは広部さんですしお寿司。
確かにあの笑顔パねぇです・・・けド!会長ェ・・青嵐は会長が一番チュキですから!
か、勘違いしないでよねっ、わぴたんのことじゃないんだからっ!
・・・・よし、ちょっくら総理大臣になってくる(ぉ

>つまり濠やんは年上スキー、 と。
HAHAHA・・・(←ナニ
キッド「実際のとこどうなんだ?ミスター・ゴウ」
濠「・・・ノー・・・コメントだ」

>……まだ出てきてないよね?(汗
出て来てないですねぇw
一応、阿修羅が出来た時にいなくなったようですが・・・実は青嵐にもよく分かってないのかもしれませんw(ぉ

>遼子ちゃん、猪すぎるってばよ。
燎子「っ・・“しし”だけに・・・ってうるさいわ!・・・ぅっ・・」
鴉美「突っ込み役取られた!?って、あのー・・・無理しないでくださいねー?」

>グローバルすぎるわ!
朱凰珀羅はアジア圏内、海賊がヨーロッパみたいな感じですね。

>俺に逆らうな、俺は常に正しい、俺が間違えることはない
753よかはキバさんの方が近いかもです・・・・勇治の方だがなっ!(ぉ



To 烈さん

>少しは悩んだり葛藤ぐらいはせんかい!!#
あれも中々の苦労人ですから・・・中間管理職の痛い所ですねぇ(ぉ
思えば濠と澪示は結構似た境遇なんですよねぇ、半分以上が人以外だったり

>何かと燎子さんがかわいそうな感じがしてなりません。
燎子ちゃんマジ可哀想!!(←お前が言うな)
でも、ここまでフルボッコだと逆に清々しいなっ!(ぇ

>『ブリハスバディ【木】』と 『ブダ【水】』の二体…。
>『伏義』によって倒されてしまうあたり、なんとも言えません…;
七曜ズはザ・噛ませだから!(ぉ
今回も今回で栄養になったり『超金属粒子・鉋掛けキック(ぇ』で細切れになったり・・・w

>【珀羅】の話ではしみじみ『五行相生相剋』のことが語られていますね。
ホントは朱凰でやりたかったのをこっちの方でようやく実現した感じです。

>ペット化している霊獣の『貔貅』の“幸運の力”恐るべ し……;
淳姉ママンの日頃の行いにThank you!感謝!そしてありがとう!(ぉ

>……そして、恭也君との馬鹿な会話をしている際に
濠「そこは訂正してくれ・・・」
鴉美「おバカなのは恭也さんだけですよね」

恭也「あるゑ?」

>…もしかして、彼らは
キッド「そいつはトップシークレットさ・・・」



To トレハさん

>莫迦が風邪を引かない生きた証拠と称されるトレハですごめんなさい。
ぺろっ・・・これは磯の、もとい嘘の味だ!謀りおったなこの秀才めがっ!
寄越しなさい・・・体力と知性と文才を寄越しなさい!!(ぉ

>パンツの柄や色、形状のみで優劣を決め付けるのは実に愚かなことです。
ひとりの勇者が現れたことにより第一次パンツァーウォーズは幕を降ろしたのでした・・・完。

>最も重要なことは、穿いてる女の子が可愛いかどうか、その一点に限ります<口に出すと最低な本音
迸れ、俺の妄想力・・・!神様、俺の右手に奇跡の力を!!
画力向上するといいなぁ・・・ちなみに青嵐は右利き(←超どうでもいい

>「温泉なんだから全裸なんじゃね!?」とスパークする輩がいるからですね。
恭也「そう思ってたのもワタシだ・・・」orz

>むぅしぃろぉ輪k
>落ち着け、その行為は恭也くん一人では不可能d(殴
恭也「犯ッてヤれないことはない!!成せばなる!成さねばならぬ何事も!じいちゃんが言っていた・・・諦めと八●信夫は悪い方がいい!!」
鴉美「ちょっ、字ぃっ!?てか、それどこかの貧乏若社長さんの言葉じゃないですか・・・」
恭也「ロボポン分かるだと・・・!?うん、いい機会だから言っておこう。やっぱり乳はお前くらいがべス・・・バストだと思う!」
鴉美「なんで言い直したんですか!?ストレート過ぎるセクハラはホントにやめてくださいよっ!!」////

>【木】【水】
>自分の得意な属性勝負に持ち込む為に相手を分断とか中々の知能プレイですな。
けれどやっぱり噛ませだけどな!・・・火〜土までは捨て駒確定ェ・・・
カルト教団じみてますよねぇ。全員が全員やられること前提でやって来てるから・・・おぉ、こわいこわい。

>いやまあ僕は知識ゼロなんで敵の元ネタとかサッパリなのですが
深く考えずにふいんきで楽しんでいただければいいのであんまり気にしないでくださいw



To Aヨスケさん

>濠くんの事を色々気遣ってる白澤さまらしい理由ですね。
>しかし「濠が好みそうな姿」というのは、白澤さまなりのサービスなんでしょうか?
それはサービスだったり直感だったり複線だったりお姉ちゃんだったり(ぉ
あと三話中にちょっと見え隠れしてくるかもしれませんね。

>どうせならタオ ル一枚だけの姿で背中を流すコースを濠くんに(←神様に何させる
なぜ・・・半年ぐらい前に描いたラフ画のことを知っている・・!?
ヨスケさんのエーはエスパーのエー!!(ぇー

>『昂幻』に成って以来、不調が続いてますね。
>温泉の効果で回復ももうすぐの様ですが。
青嵐も少し前の風邪以来ぜんそくが・・・けほっ!(ぉ
温泉・・・行きたいです・・・!

ハウス・ダストォオオオオオ!!と叫ぶとなんか必殺技みたいですよね(マテ

>それと今回視た幻覚は、濠くん自身と、彼を取り巻く世界に確実な変化が起こる前兆なのでしょうか。
>“伏義”の語った話により、濠くんは大きな決断を強いられそうですが、その答えは…
思い切った決断は大きな結果を生みます。
それが良いのか悪いのかは濠次第と言ったところでしょうけど、たぶん後悔はしないと思います。

>神界の切り札とまで言われる力を持った彼が濠くんの前に直接現れたことで、事態の重大さが伝わってきます。
>澪示くんが義務を選ぶに至った心境も気になります。
今動ける中での最大の対抗策、実は拒否権なんか殆ど与えられない立場だったりするんですけど・・・
でも今回の行動は・・・というか最初から独断で動いてたみたいですね。

とりあえず霧島一族のファミコンぶりはゆ〜ちゃんのそれと同等に半端ないのです・・・・!(ぉ

>そして、燎子ちゃんと彼の関係が一番気掛かりです。

orz

香織「なんか土下座してるー!?」ガビーン

>月読
>過去から色々暗躍してきたみたいですが、今後の行動も気になります。
あの人はもうちょいやらかしてくれます。
ちなみに今回出て来てませんが八神サイドの戦いは前回で終了してます(ぇ



さて、いよいよ残りはあと三話・・・・振り切れるのか青嵐!?
いや・・・振り切るぜっ!!たぶんっ!!(ぉ

,#000000,./bg_f.gif,i60-35-76-114.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年07月11日(日) 01時55分34秒,20100711015534,20100714015534,DgPPTlUPmTtBw,仮面ライダー珀羅 『少女の涙と地神の玉《前編》』,青嵐昇華,,,





子供の頃はいつも隣に澪示が居て・・・それがずっと当たり前だった


「澪示!」
「あ、燎子ちゃん」
「またこんなにやられて・・・・もう、なんでへらへらしてるの!悔しくないの!?」
「うん・・・たぶん、あんまり痛くないし」
「でも、いっつもいっつも・・・!」


あの頃から澪示は周りと違っていた

まじめで温厚だけど、どこか浮世離れした感じで・・・・・周りとの確かな隔たりがあった

子供の社会は残酷で、除け者になった奴は周りから“それなり”の扱いを受けることになる

今のあたしにも同じことが言えた・・・

ただ違ったのは澪示がまったくの無抵抗だったということ

大人しい澪示はやり返すということをせずいつもされるがままになっていた


「やっぱりおかしい・・・何でやりかえさないの?」
「僕は平気だから、大丈夫だよ」
「平気じゃないよ・・・!だって・・・・・だって・・・・あたし悔しいよ・・・!」
「お母さんがね、本当に怒ると相手もだけど自分の心もとっても痛くなるって・・・そう言ってた」
「でも・・・・!!」
「僕はそっち方がずっと嫌だし、燎子ちゃんにも怒ったり悲しんだりして欲しくないな・・・ね?」


そうやっていつも澪示は笑う

なんとなく誤魔化されている気もしたけど澪示の顔を見ていると何も言えなくなって・・・

結局あたしの方が先に折れるのが毎度のことだった


「んん・・・もういい。お家帰ろう・・・ほら、立って」
「ありがとう・・・・燎子ちゃんの手は温かいよね」
「そ、そうかな・・・?ふつうだよ、たぶん」
「ううん、とっても温かいよ」


どんなにひどいめにあっても澪示は飄々としていた

「いいよ、気にしてない」と何もなかったかのように相手を責めもしない

それが余計に鼻に触るのか・・・しだいに澪示へのいやがらせは増えていった



そしてあの日


「やめてよ!」


我慢出来なくなったあたしはそこに飛び出していた

「なんだよ、うるせーな」
「や、やめてって言ってるでしょっ!このひきょう者!」

あたしは周りの数人を押しのけて澪示の所に行こうとした
だけどあたしは本当に非力な子供で・・・澪示を助けるどころか逆にあたしが囲まれてしまった

「いたっ・・・じゃますんなよ!おい!」
「ぅっ・・ゃ、痛っ!」
「くそっ、女のくせになまえきなんだよ!」
「あっ、こいつ・・・この前チクったやつじゃねぇか!」
「余計なことしやがって・・・!」

取り囲まれたあたしは髪を引っ張られたり服を掴まれたり突き飛ばされたり・・・
何にも出来ずにただやられていたが、少しだけそれが止んだ

「うあっ!?何だっ・・!?」
「燎子ちゃん!」

澪示だった・・・・
澪示はそいつらを引きはがそうとそいつらに掴みかかっていた。

「燎子ちゃんは関係ないっ!」
「うるさい!」
「っ・・・・!」

澪示が抵抗するところを見るのは初めてだった

だけど相手は大人数居て余っていた奴も動き出し、すぐに澪示は押さえつけられる

「な、なんだよ急に・・・」
「もしかしてこいつのこと好きなんじゃねぇの?」
「あー・・・ふ〜ん、なるほどwそんならこいつやった方がいいんじゃねぇ?」
「ぅ、ぅぅ・・・・」

あたしはどうしていいか分からなかった・・・
悔しいのか怖いのか・・・いつの間にか目の端に大きな滴が出来ていた


「・・ャ・・・・・ロ・・・」

「あー?きこえ







『ヤメロォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』








燎子ちゃんが泣いているのを見た時、頭の中が真っ白になった

次の瞬間から僕の中に巣くう恐ろしいものが僕の身体を勝手に動かしていた


「れ・・・澪示!!し、死んじゃうよ!!駄目っ!!」


小さな子供の体でも『逆鱗』の枷が外れた僕は、並みの大人以上の力があった

いつの間にかそこにいた子達は皆、あちこちにぐったりと倒れていた・・・


「澪示!!やめ・・・きゃぁっ!?」


狂ったように暴れる僕を燎子ちゃんが止めようと近づいた

僕の爪が燎子ちゃんの腕を掠めその小さな身体が簡単に弾き飛ばされる


「ぁ・・・・ぁぁ・・・・・・・」


傷口からは血がにじみ出ていた・・・

燎子ちゃんは大粒の涙をぽろぽろこぼしながら震えていた


「・・・ぃ・・ゃ・・・・」


ただ怯えていた・・・・

腰が抜けて動かない身体で、必死に後退って・・・・化け物でも見るかのようなそんな目で・・・・


「嫌ぁ・・・!」


声なんか聞こえないはずの僕の耳にはそのすすり泣く様な声がいつまでも重く響いていた



僕が皆とは違うことは知っていた

でも僕のことを思ってなるべく皆と同じようにさせようとしてくれる母さん達の気持ちも、子供ながらに分かっていたつもりだし・・・・・何より僕の傍にはいつも燎子ちゃんが居てくれた

それだけでよかったんだ

ただそれだけで・・・ここにずっと居続けたいと思っていた・・・・

だけどその日、気付かされた・・・・・・

僕は化け物なんだって・・・・僕が周りを傷つけ・・・燎子ちゃんを・・・・




僕は・・・・・ここに居ちゃいけなかったんだ・・・・







「れい・・・じ・・・・・?」


鋭く見開かれた金色の眼のから、滴が零れ頰を伝わって落ちていく

澪示は泣いていた・・・・あの澪示が・・・・

あたしにいつも笑いかけてくれる澪示が・・・泣いていたんだ

ジクリと胸を刺す痛みに身体の震えは止んでいた


「ッ!?ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛・・・・!!!!」


急に様子が変わって澪示が何かを警戒し始めた時、あたしの目の前には綺麗な銀色が舞っていた


「町のど真ん中で龍神の気配すると思えば・・・・・お前、顛吼の倅(せがれ)か」


あたしと澪示の間に入って来たのは巫女さんのような格好をした女の人だった

よく分からなかったけどその後ろにライオンみたいな大きい動物を二匹連れていた

「わっ!?こ、これは一大事ですねぇ・・・」
「皆酷い怪我です、早く治療しないと!」
「おい狗ども、兎魄と皎妍を連れてこい。急げよ」

女の人が言うとライオン達はすぐさまどこかへ飛んで行く

「グゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛・・・!!!!」

「そこの小娘、少し下がって・・・っ、お前は・・・!?」
「お願い・・・・・澪示を・・・澪示を助けて・・・・・!」
「・・・・・・安心しろ、元から止めてやるつもりだったさ」 
「ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」
「フンッ・・・!」

突っ込んで来る澪示の腕を掴み、もう片方の手で澪示の眼を覆うようにその頭を掴んだ

すると糸が切れたように澪示は倒れ、その人が澪示を抱えていた

何が起こったか分からない・・・それくらい一瞬の出来事だった


「お前の将来がどうこう言うのは知らんが、八神(ここ)に居る内は“オレ”の氏子だからな。そのことだけは覚えておけ・・・」


その人は今度はまだ混乱していたあたしの方にやって来た


「・・・・お前も・・・・・少し眠った方がいいな」






ある日、自分のベッドで目を覚ますと前の日のことを何も覚えていなかった

今日はちょっと寝坊してしまったから急がないと学校に遅れてしまう

澪示はまだ家で待っていてくれているだろうか・・・・・

そう思いながら家を出ようとした時、お父さん達に呼び止められた



事情があって澪示は遠くに行くことになった・・・・と



話の途中で家を飛び出しあたしは澪示の家に走った

でも・・・澪示の家でも同じことをまた言われた

会わせて欲しい、声だけでも聞きたい・・・そう頼んだけど澪示のお母さんは「ごめんね」と泣き喚くあたしの頭をただ抱いた



その一言で・・・・澪示はもうあたしの手の届かない所に行ってしまったのだと分かってしまった・・・


どうしようもなく悲しくて・・・・悔しくて・・・・・一日中泣き散らした



あたしがいけなかったんだ



なんとなく・・・・・理由も分からなかったけど・・・そう思った






その後あたしは何日も学校を休んで自分の部屋に籠っていた・・・・


そんなある日・・・ふと、おじいちゃんのところに喧嘩のやり方を教わりに行こうと思った



強くなれば・・・・・・・誰にも負けないくらい・・・


ちゃんと助けられるくらいに・・・・・・


何にも怖がらずにいられるくらい、あたし自身が強くなれば・・・・・・


そしたら・・・・・きっと帰って来てくれる・・・・・


幼稚な考えだと思う・・・・でも・・・・・・・それでも・・・・・・





そう信じるしか・・・・出来なかったから・・・・・


















,
約二週間、それが俺の投稿に掛ったタイムだ・・・!


おのれ、ディケイド・・・・貴様のせいで燎子ちゃんの一人称までもが破壊されてしまった!(ぉ

さてさて、今回は燎子ちゃんキャラが崩壊してしまう程にショッキングな・・・というわけでもなく、大体が今までの奴の方がポーズなのですよね。
傷つきやすいオトシゴロ!
ちなみにちみっこい頃に濠には何回か会ってるんですけど濠のことは『澪示の”お兄ちゃん”』とか呼んでたので何かこっ恥ずかしくて『ゴウさん』とちょっとカタカナ気味になってるんだ!
だから別に海賊サイド関係ないんだよ!てか、むしろ地元民はみんな漢字使うよっ!(謎

それでは後半戦(という名のいじめ、かっこわるい)へ続きますます。

,#000000,./bg_f.gif,i60-35-76-114.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年07月16日(金) 13時25分22秒,20100709115027,20100719132522,EZ2JNn6Sjaveo,仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「エピローグ〜明日へと続く路線〜」,鴎,,,エピローグ

流れる空気が涼しく吹きゆく、草花の甘く優しい香りを運びながら鼻をくすぐり、身体中がリフレッシュしていく朝の天明市。
天明の町並みを一望できる小高い丘の上、爽やかな風が吹きゆく小さな墓場に晶と祥子が来ていた。

晶「晶も一緒でよかったの?」
祥子「・・・何て言うか・・・あんたには色々世話になったし・・・挨拶くらいはいいんじゃないかなって思って・・・・」
晶「ありがとう。それじゃ、ご焼香させてもらうね」

そういって、「武下家之墓」の前で線香を置き、手を合わせて、瞳を閉じる。

祥子「お姉ちゃん、今回の荒魔の侵略も無事阻止出来たよ。新しい仲間も出来たよ。もう一人は今春姫と一緒に用事があるから来てないけど、こいつには本当に助けられたの」

晶「初めまして・・・大友・・・晶です。祥子さんには本当にお世話になりました。貴方が祥子さんに教えてくれた勇気・・・優しさ・・・誰かを強く思う気持ちがどれだけ大切なものかを俺は教わりました。感謝します・・・伊織さん」

しばらく墓前で報告を済ますと、帰路についている時、祥子が晶に話しかける。どこか恥ずかしそうに顔を赤らめている。

祥子「・・・こうして、春姫以外とお墓参りする日が来るなんて思わなかった」
晶「そうなの?」
祥子「・・・うん・・・。・・・そういえばさ・・・あの時・・・黒棘にお姉ちゃんや私のことをバカにされた時・・何で・・・あんなに怒ってくれたの?あんなにボロボロなのに・・・他人のことなのに・・・あんただって傷つくこといっぱいあったのに・・・・」

晶「・・・単純に、許せなかっただけ。俺に色々なことあるとしても、それは俺自身が解決しなけりゃいけないことだし、だからといってそれに囚われたり憎しみにすがっていても、そこから動けなくなるなら、これからどうしようかなって考えている方が最近楽だなって思ってきたし、前に進んでいられるような気がするんだよ」

祥子「・・・・」

晶「でも、これだけは言える。あいつに祥子さんや伊織さんをバカにされた時、本気で頭に来たのは、俺が・・・・祥子さん好きだから」
祥子「え・・・?」
晶「だって、俺よりもずっと前向きだもん。色々大変なのに、彩乃さんたちを引っ張ってきたり、春姫さんのことを考えたり、町の人たちの笑顔を守るために懸命に頑張ってさ。伊織さんも嬉しいでしょう。こんな風に誰かを思いやれる優しく強い人が妹なんてさ」

晶が上を見ながらまるで伊織に話しかけるように話す。まるで祥子の上に伊織がいるように。

晶「俺は霊は信じないけど、あの世はあるって信じてる。伊織さんも祥子さんを見守っているはずだよ、ずっとそばで。祥子さんは最高の妹だよ。それを誇ってもいいし、俺がそれを信じてるから・・」

そういって、満面の笑顔でいう。見る者の心を癒し和ませ、心からの安心を生み出すような笑顔を。こうしていつも自分を支えてくれた、安心させてくれた優しさ、笑顔が祥子の胸に熱い何かが込み上がってきて、瞳がにじんでくる。

祥子「そんなこと・・・ないよ・・・・私・・・いつも思いつめちゃって・・・すぐ怒っちゃうし・・・冗談とか分からないからついつい眞子怒鳴っちゃうし・・・お姉ちゃんをあんな形で死なせちゃったから・・・自分がお姉ちゃんのように・・・春姫たちを見守らなきゃって勝手に思い込んでるだけだよ・・・・」

晶「それでいいんじゃない?」
祥子「え・・・?」

晶「別に彩乃さんたちも迷惑に思ってないよ。ずっと守ってあげればいい。お姉ちゃんぶっていてもいい。伊織さんがしてくれたように、自分もできることすればいいよ。というか、言いたいことがあれば言えばいいし、泣きたいときは思い切り泣けばいい、楽しい時は思い切り一緒に笑えばいいよ。祥子さんは・・・一人じゃないよ。そんな祥子さんだから、皆ついていくんだよ。祥子さんが・・・皆好きだから。もちろん・・晶もね」

もう限界だった。今まで溜めに溜まっていた何かが弾け飛んだような気がした。
晶に祥子が飛びつき、胸に顔を埋めて声を張り上げて思い切り全身を震わせて泣きだした。
それを優しく晶が頭をなでていた。死んでいった者を思うあまりに憎しみや悲しみに囚われて未来を見失うことは生きていく者としては陥りがちだが、それさえも乗り越えていこうとする心の強さがある限り、いくらでも人は前に進めるし、変われるのだ。
そしてきっと掴める、心から安心できる居場所を。

祥子「・・・・あったかい・・・晶ってあったかいね・・・」
晶「・・・祥子さんもね」

一方。
慧と春姫はというと・・・。

慧「・・・晶、祥子さんのこと心配してたんだね。でもよかった、もうあれなら大丈夫だよね」
春姫「慧ちゃんはいいんですか〜?だって、慧ちゃんも・・・」
慧「うん、あたしも晶のこと好きだよ?オンナとしてね。でもさ、その好きになった相手が・・・ああいった誰かを強く思いやれる優しさとその人が背負っている荷物を一緒に背負ってあげられることが出来る背中を持っているあいつなんだからさ、あたしは、あいつのいいところ見つけたからまあいいかって思ってる。祥子さんの苦しみや悲しみ、辛さを知っていながら突き放したり、あたしのことを思って他の女性を突き飛ばして苦しんでるのを見て見ぬふりするようなヤツなら、あたしも好きにはならないよ」
春姫「・・・慧ちゃん・・・大人なんですねぇ〜」
慧「そうかな?」

まっこと出来たというか・・・達観している16歳である。

慧「まあ、浮気とか言う中途半端な遊び感覚だったらブッ殺すけどね」
春姫「あはは・・・ああ・・・そうですか・・」

そしてシャレにならないから、そう言う言葉はやめてください。

慧「それで・・・あたしに話って何ですか?Vライナーでは話せないって言っていましたけど・・・」
春姫「・・・ええ・・・・実は・・・・」

春姫が珍しく深刻な様子で、真剣な瞳を慧に向けて話しだす。


慧「・・・・最後の・・・・超荒魔・・・・?」
春姫「ええ・・・まだ・・覚醒には至っていないのですが・・・・」

慧「・・・・それって、どこにいる誰か見当ついているんですか?」
春姫「・・・・ええ・・・あの・・・・それが・・・すみません・・・・」

慧「・・・知っているんですか?それとも知らないんですか?」
春姫「・・・・知ってはいるんです。ですが・・・その人というのは・・・・というか・・・このような事態に慧ちゃんを巻きこんでしまうというのは・・・・本当に申し訳なくて・・・」

慧「何言ってるんですか。あれだけ散々な目にあったんですから、これ以上何があっても驚かないし、覚悟は出来てますよ」
春姫「・・・・では・・・・・その・・・・・6人目(この時ではまだ緑毒牙の存在は知られてない)候補というのが・・・・・」


慧「・・・・・・マジッスか」
春姫「え・・・・ええ・・・」
慧「マジなのかよぉおおおおおおおおおっ!!!マジでじまっ!?もう一度言うけど、マジでじまですか、このヤロォオオオオオオオオオオッ!!!!!」(春姫の胸倉掴んでヤンキーモード100%の殺気丸出しの瞳孔開ききった血走った瞳で凄みながらブンブン揺らしている)
春姫「ご、ご、ごめんなさい・・・・その・・・あの・・・事実です・・・・・」
慧「・・・・よし・・・とりあえず・・・春姫さん教えてくれてありがとうございます。要はまだ人間のままで留まる方法はあるってことですよね。その方法をするにあたって、うってつけのやり方があるんで、ちょっと手伝ってくれる相方探してきますわ」

ヨロヨロと慧が力のない足取りで歩いていく。その危なっかしい後ろ姿に春姫が心配そうに見守る。

春姫「慧ちゃん、頑張ってください・・・私たちも全力で儀式に取り組ませていただきますから〜!!今ならまだ、その力を封印すれば、人間でいられますから〜!!」

慧「・・・・一難去ってまた一難か、このヤロォオオオオオオオオオオオッ!!!」



数十分後・・・・。
いつもと変わらない天明の町並み、丘の上にある小さな公園の上から智とマモンが見下ろしていた。マモンは目の前ではしゃいでいる智の姿を見て、つくづくついていけないと思いため息をつく。

智「もうすぐだよ、もうすぐ時間が、この世界の歴史が変わるんだぜぇ」
マモン「あんたつくづく悪趣味過ぎだな。ただ、気に入らないとかちょっかい出しちゃおうかなとか言う理由だけで、天明そのものの「現在」を消しちまおうなんてさ。普通思わねぇぜ」

智「はん、ボクはボクのやりたいようにやるのだっ!!大体さあ、殲鬼姫や荒魔一族が今回引き起こした事件を見させてもらったんだけど、あのガキマジでムカつくじゃん?なーにが至高の存在だ、なーにが絶対の支配者だ、バカかっかつーの!!結局自分の弱さから逃げ続けている臆病者にしか見えないんだよ、自分の欠けている部分を認めたくないって言ってるようなもんじゃんよ。そういうやつに限って自分を誇示表示したがるもんさ」

はき捨てるように冷たく智が言い切る。マモンも静かに聴いていたが「テメェも似たようなもんじゃねーか」と言いかけてやめる。どうせ言っても聞きやしないのだ。

智「まあ、今回のことで、短期間の間に五荒星冥獄陣なんていう世界そのものをひっくり返しかねない影響をもたらす儀式を2回もやったとなると、その影響を与えた存在そのものを時の運行における障害として考えなくちゃいけないわけ。世界そのものが時間というものの調整をかけるわけよ。その代償として・・・殲鬼姫の存在が・・・もうすぐ時間そのものから消える」

「殲鬼姫の存在を時間そのものから消し去る」

それが智の仕掛けたゲームの真実だったのである。時間改変(タイムパラドックス)の影響によって、五人の部下を利用して、自分が尊敬し崇拝している唯一絶対の存在を消させて、絶望そのものを「荒魔一族」に与えて消し去ることが目的だったのである。

「楽しそうだから」というとんでもなく幼稚な理由で。

智「やーっぱ、楽しいよね、時間を消し去るってゲームはさっ!!自分がこの世界の支配者なんだって感じがするよ、キャハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

マモンが高笑いして誇らしげにしている智に、ため息をつき、頭をかきながら立ち去ろうとする。

智「あれ、どこ行くの?」
マモン「こちとら、テメェと違ってそんな趣味はねぇ。タバコ切らしたから買ってくるんだよ、コンビニまで」

そういって、丘の上から階段で降りていくと、通りすがりに通った人物の姿を見て一言つぶやく。

マモン「勝算はあるのか?」
慧「勝ってみせるさ。もうあいつを野放しにしてなんかいられない」
マモン「30分後にオレはコンビニからタバコを買って帰る予定だ。それ以上は傭兵として雇われている以上、見逃すわけには行かないぜ」
慧「上等・・・!」

そういって立ち去っていく慧を見送り、懐からタバコを取り出し、マモンが口にくわえて火をつけ、煙をぷかりと吐き出す。

マモン「・・・あんなヤツに世界を壊されて、守りきれないヤツなんか相手にするまでもねえさ。オレたちが相手になるんだ、しっかりやれよ」

ルシファー「そういうこったな」

アスモデウス「慧ちゃん、頑張ってねん♪あんたが荒魔になろうと何だろうと、あたしたちの獲物に変わりはないんだからねん」

ルシファー「じゃあ行くか?」
アスモデウス「どこに?」
マモン「あん?コンビニだ」
ルシファー「だよなぁ」
アスモデウス「レジェンドルガがコンビニって・・・・」
ルシファー「何だよ、俺が行きたいんだよ。アイス食いてぇ、漫画読みてぇ、以上」
アスモデウス「・・・もう、ワガママな兄様」


智「さーてと・・・そろそろかなあ・・・」

そろそろ時間が変わる。この世界の歴史から「殲鬼姫」が消え去る。あの5人の絶望に叩き落されるときの姿が脳裏に浮かび、笑いが止まらない。

慧「・・・そううまくいくと思うなよ」

晶「あいにく、晶たちのこと、忘れてもらっちゃ困るのよね」

その声を聞いて、智が眉をしかめて忌々しそうに表情をゆがめる。
振り返ると、そこには憎憎しい敵が2人、まるで刀のように鋭く突き刺すような切れ味抜群の視線を、まっすぐこっちを見据えていた。

智「何でこうも邪魔するかな・・・この虫けらどもはよっ!!」

口汚くののしり、邪悪な本性をあらわにする。
その迫力に臆することなく慧と晶がベルトを構えて装着する。

慧「邪魔するさ、この時間はあんたのものなんかじゃない」
晶「勝手にゲーム盤にされたり、消されちゃかなわないんだよ」

智「・・・ほざきなよ、もうすぐ消えるんだよ、あの生意気なガキがさ!!この時間そのものから!!!」

彩乃「残念だけどそれはないわ!」

声のするほうを向くとそこにはこの町を守り抜いた5人の英雄が勇敢に立っていた。

奈々美「あたしたちはこの戦いを、絶対に忘れない!!」
眞子「失ったものも多いけど・・・戦って得られたものもあるから!!」
春姫「誰かを思いやる強い心、正義を信じることの難しさとそれを貫くために一人じゃ何もできない弱さも・・・」
祥子「それを互いに支えてくれる大切な仲間の存在も!!」
彩乃「この戦いがなければ、今の私たちはいないのよ!!悲しいことも辛いことも、どうしようもなく嫌で逃げ出したくなるような辛い過去であろうとも、向き合って生きていくんだから、そしてそれを乗り越えていく強さを人間は持っているんだってこと!!」

慧「何で・・・彩乃ちゃんたちが覚えているか分かる?あんたの計画はとっくに終わってるんだよ」
晶「あの5人が覚えている、その記憶さえあるなら特異点である慧が時間を繋ぎとめて修正する・・・つまり慧が生き残っちゃった時点で、お前の負けは確定なんだよ」

そして、慧は6枚のチケットを取り出す。
光と闇を支配する絶対的真理を司りし至高の巫女・殲鬼姫。
漆黒の棘の悪魔、ヘッジホッグスペクター。
深紅の薔薇の騎士、ローズスペクター。
蒼き快楽の切り裂き魔、シャークスペクター。
黄金の甲冑武将、ヘラクレスビートルスペクター。
白銀の舞姫、スワンスペクター。

慧「千年王国・・・絶対的支配・・・・どれもついていけないことばかりだけど・・・」

慧はとりだしたオーガのベルトを巻きつけて、パスを構える。

彩乃「始まるわ・・!」
祥子「いつでもいけるように準備はいい?」
「「「「OK!!」」」」

慧「快楽の赴くままに世界を滅ぼして・・・信念も守るものも持たないお前に・・・荒魔(こいつら)の存在は汚させない!!!変身!!」
晶「変身!!」

「Ouga form」
「King form」

慧が荒魔の甲冑を身にまとい、オーガフォームとなり、晶がキングフォームになると同時に智がスフィンクスレジェンドルガの姿に変わり、指をパチリと鳴らすと土が盛り上がり見る見る土が5体の異形の姿となって生み出される。それはかつて、自分たちが倒した5体の超荒魔。しかしそれは魂も信念も持たない泥人形。それを従えて操る。

スフィンクス「殺してやるよ・・・うざってぇからさ!!!」
Kワイバーン「倒されるのは・・・お前さ!!」
Oバルキリー「一気にケリつけてやる!!」

まず、パスを取り出し、ベルトに通すと黒い光がパスから放たれ、その姿を見る見る全身から棘を生やし、漆黒の光を帯びた悪魔の姿となる。

そして、偽者のヘッジホッグスペクターが鋭い棘の槍を振りかざすとそれを受け止める。

ヘッジホッグスペクター「この無意味、無益、無価値に満ちたゴミ屑がぁ・・・・!!私たちをよくも利用してくれたなああああああああああっ!!」

そして、棘を土くれの体に突き刺すと、紫色の渦が発生する!!

慧(キャノンボールスパイク!!!)

ヘッジホッグスペクターが渦の中に飛び込むようにして体を丸めて回転させて突撃し、全身の棘で肉を刻み、骨を破壊し、土くれを破壊する!!
すると、ハリネズミの甲冑から絵柄が消えて、黒い光が元の姿に戻ったオーガフォームから吹き出て消えていく。

そして、後ろから鉈を振りかざし襲い来るシャークスペクターの偽者の鉈を背中越しに受け止めて、パスを通し、青い光を全身に浴びて切り裂き魔の姿となる。

そして、そのまま上へ持ち上げて腕を払うと鉈を振り上げて一気に腕を切り落とす!!

シャークスペクター「あんたたちは・・・確実に殺すよ・・・・ここまで・・・・ここまで・・・ナメられたとしてはさあ・・・・何万回でも殺してあげる。あはははははははははははははははははははははははははははは・・・・ぶっ殺す!!」

弾丸ごとく突っ込み、偽者のシャークスペクターの体をとにかく鉈を振り上げて切る、切る、切り刻みまくり、鮮血を浴びながらもその猛攻がとまらず、一気に大振りの一撃で吹き飛ばす!!

慧(スプラッシュブレイド!!)

水柱が立ち上がり、やがてそれが無数の三日月形の刃となって鉈にまとうと、一気に振り、空中を切り裂き、四方八方から土くれを切り刻みまくり、粉々に砕け散った!!
そして蒼い光が消えていく。

立て続けにヘラクレスビートルスペクターの偽者の大剣が背後から振り下ろされる!!
するとそれをキングフォームが槍で受け止め、華麗に弾き飛ばす。

Oバルキリー「まだまだぁっ!!」

金色の光を受けて、全身が倍以上に盛り上がり、甲冑を装着した武将が飛び出し盾で大剣を弾くと同時に、大剣をふりあげて一気に甲冑を切り裂く!!

慧(やっぱり偽者か、本物はもっと強いよね)
黄兜(・・・家畜よ。本当に殲鬼姫様は消えないのだな?この世界から・・・消えないのだな?)
慧(・・・約束する。消させない、この時間から姫様が消えるってことは、現在を否定することだから。悲しいことも・・嫌なことも・・・それだけ切り取ることなんてできないから時間なんだ。この時間に確かに姫様は存在している。その存在だけを切り取るなんてできない。私が特異点として戦う理由はそのためだから。どんなにひどいことをしても、どんなに悪いヤツであろうとも、それだけを切り離しはしない。全部まとめて・・・つなぎとめる!!)
黄兜(・・・そうか)

全身から発する黄金色の光が稲光のように光り輝き、巨大な光球となって一気に発射し、大地を焦がし削り、土くれを吹き飛ばし、消滅させていく!!!

慧(・・・テラブラスター・・・)

金色の光が消えていく。空中に溶けるように・・・・。
しかしもう慧の全身が限界を迎えていた。足腰が震えだし、まともに立っていることさえ辛そうだ。それはそうだ、いくらなんでも自身の体に3体連続で荒魔を召喚したのだから。
歯を食いしばり、震える足腰を精神で保とうとする。

それを誰かが支える。
晶だ。晶自身もボロボロになりながらも慧を支えている。

Kワイバーン「大丈夫?」
Oバルキリー「晶・・・」
Kワイバーン「晶も手伝いますよってね」
Oバルキリー「・・・サンキュ」

最後にパスを二回通すと、赤い光が飛び出し、それを晶が受け止めると、次に飛び出した白い光を慧が受け止める。

そして、一気に襲い掛かってきたスワンスペクターとローズスペクターの偽者を、棘の鞭がうなりを上げて振るわれ、鞭の鋭い刃で切り刻まれ、土くれが二体とも消滅する!!

スフィンクス「嘘だ・・そんな・・・・お前らなんかに負けるわけねぇだろっ!!殲鬼姫にくっついていくだけしか出来ないカスのくせにっ!!!」

晶「お前よりはマシだろう・・・。少なくとも、俺はこいつらの姫様のために命をかけて戦う忠義、夢をかけて戦う信念、笑う気はない。否定する気もない。ただ、それ以上守りたいものがあっただけさ」

慧「・・・そういうことだ・・・・それに・・・別に荒魔になってもかまやしねぇんだ、あたしはな。そこに守りたいものがあるならな。でも、白羽根に会う前に・・・会っちまったんだ。どうしようもないバカたちに、あたしを全力で受け止めてくれる、あたしの不幸を・・・あたし自身が笑い話にしちまうくらいの・・・バカすぎてどうしようもない最高の仲間に会えたから!!だからあいつらと一緒に歩いていく、この先の道を、ずっと!!」

晶「・・・赤薔薇、君の言うとおりだ。俺は・・何も分かっちゃいない。守るということも、自分の命が自分だけのものだけじゃないってことも」

慧「・・・・白羽根・・・・ごめん・・・・あたしまだ人間やめたくないんだ。もっと生きてもっと会いたい、あんたたちみたいにすごいやつらと!!姫様のために命をかけて戦う、ゆれない強さも、夢を目指して突き進んでいく信念も、あたしがいまだに求めてやまないものだから」

「「だから、こいつらのこと・・・笑わせない!!」」

晶(ローズバインド!!)

鞭を振り上げて一気に放つと、鞭が縦横無尽に舞い、やがてそれはスフィンクスレジェンドルガの両腕、両足、いたるところに縛り付けて空中に張りつけにする!

スフィンクス「くそっ、離せよ!!!痛い痛い痛い痛いっ!!!離せっ、離せっ、離せよぉおおおおおおおおおおっ!!」

ローズスペクター「・・・白羽根!!!この愚か者の舞台の幕、君が下ろしてくれ!!」
慧(あたしの体はこのくらいじゃ、まだまだいけるよっ!!)

爆風が舞い上がる、構えを取り、背中から美しい純銀色の翼が生えて、閉じていた瞳を開く!その先にいる敵を限りなく憎悪と殺意の光で見据えて・・・。

そして、静かに飛び上がると、その足に嵐が、雷が、吹雪が、そして摩擦によって生み出された青き炎が宿り、ミサイルのように照準を定める。

スフィンクス「やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろーーーーーーーーーっ!!」

慧「そこでやめるバカは・・・・いねぇんだよっ!!」
スワンスペクター「・・・・すべてを・・・・振り切る・・・!」

「テンペストキック!!」

高速を超える速さで一気に飛び出し、渾身の右足がスフィンクスレジェンドルガの胸をうがち貫いた!!!!そこから大爆発を起こしてスフィンクスレジェンドルガが空中に舞う。

スフィンクス「きゃあああああああああああああああああっ!!!!」

Oバルキリー「とどめだぁあああああああああああああっ!!」
そして、生み出した巨大な剣、白き光と黒き闇が入り混じり、強力な力が衝撃波となって空気中を震わせ、眩しく光り輝く。

智はこのとき、全身が震えるような恐怖を感じた。
魔剣を構えて空中を舞い上がり、白き光と黒き闇を身にまといて目の前の敵を全て灰燼に変えてしまう、世界における全ての万物の頂点を極め、光と闇をつかさどる最強最悪の巫女の姿が慧に見たから。

智(ボク・・・ひょっとして・・・喧嘩売っちゃいけない相手に喧嘩売っちまったってのか・・・!?これだけ強いなんて・・・反則だろ・・・・殲鬼姫ぇえええええええええええええっ!!)

Oバルキリー(殲鬼姫)「愚かな家畜風情がぁ・・・絶望的な死を持って己が罪を悔いるがよいわっ!!!聖魔殲光龍殺ーーーーーーーーっ!!!」

そして、剣を振り下ろすと白き光の竜と黒き闇の竜が同時に放たれ、お互いに体を絡めて回転しながら巨大な口を開いて、一気に襲い掛かった!!

ルシファー「ちっ・・・これ以上はやべぇか。ゲイルキャノン!!!」

下で見ていたルシファーが槍を回転させて巨大な黄金色の嵐を発射すると、光と闇の竜がわずかだが勢いを失い、しかし力が半減したとはいえ、強力な光と闇の攻撃を受けて、スフィンクスレジェンドルガのボディが大爆発を起こした!!

スフィンクス「きゃあああああああああああああああああああああっ!!!」

そして何度も大爆発を起こしてその姿が丘の上から落下していく・・・。

すると晶の体から赤い光が離れ晶の姿に戻ると、慧も白い光が離れようとしている。
しかし、赤い光の下に近寄ると、慧が白い光を放ち、慧の姿に戻る。

慧「・・・・連れて行って・・・もう二度と・・・・手放さないで・・・こいつを一人にしないで」

そしてそのまま倒れこむ。
そして手にあった白い薔薇が赤く染まっていき、やがて風に吹かれ、花びらが舞い上がり、白い光と赤い光を包み込む。

赤薔薇「・・・・白羽根、またこうして君と一緒に会えるとは実に行幸。この先、地獄でまた舞台を開こうと思うのだがどうだろう、再び私の手をとって共に演じてくれまいか」

白羽根「・・・・二度と、勝手に先に死なないでよ」

そして、慧を見る。
最後まで希望を信じ、未来や不幸、ありとあらゆる闇に突き進み、その中にある光をつかみとらんと必死で抗い続けるおろかな家畜。

しかし・・・。
殲鬼姫の存在を時間につなぎとめ、赤薔薇と再び出会えたこと。
どんな絶望的な暗闇であろうと、光を決して受け入れられない状態であっても、必ず救いは、安らぎがある。それを荒削りな方法でかなえて見せたのだ。

白羽根「・・・天童慧・・・・・名前は覚えておくわ。そしてこの先、一生忘れない。再びよみがえったとき、確実に殺すために」

慧「・・・・あたしは・・・5秒で忘れたる」


そして光が消えると同時だった。

祥子「今よ!!」
春姫「はい!!」

彩乃たちが宝珠を構えると、5つの光が放たれ、それが慧の体に宿る!!

祥子「かの者に巣食いし邪悪なる魂!!」
春姫「封魔師の宝珠の力をもって・・!」
彩乃「封印します!!」
眞子「いっけええええええええええええ!!」
奈々美「はああああああああああああ!!」

慧の体に魔方陣が浮かび上がり、慧の体から黒い闇が噴出し、五色の光が宿ると、やがてそれが静まる。そしてそこには、安らかな寝顔を浮かべて眠りについている慧がいる。

彩乃「成功した・・・?」
祥子「・・・成功よ!!」
眞子「やったああああああああああああっ!!」
奈々美「うん、よかった!!」
春姫「よかった・・・よかった・・・!」


ルシファー「さーてっと、引き上げるか」
そういって、ボロボロになった智を肩に担ぐと、ルシファーが歩き出す。

智「・・・あいつら・・・いつか・・・マジで殺してやる・・・・」

マモン「こりねぇやつだな」
アスモデウス「バカさ加減は半端じゃないから」



数時間後・・・。
夕方、服もボロボロになり、タンクトップ一枚にGパンというラフというか扇情的な姿で慧がVライナーに戻ってきた。それを見て、ルーベットたちが涙を流して飛び込んできた。

ルーベット「慧殿ぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
エメラルド「お姉ちゃああああああああああん!!」

二人が泣き叫びながら慧に抱きつき、おいおいと泣き出す。

ルーベット「慧殿がまさか荒魔になりかけていたなんて気づかなくて・・・・!!本当に申し訳ございませぬうううううううううう!!」
エメラルド「一時はどうなるのかなって思ったよ!!お姉ちゃんが・・・お姉ちゃんがいなくなっちゃうなんて・・・・嫌だよぉ・・・・」

サファイア「ふーっ、本当に心臓に悪いよ・・・」
トパーズ「散々暴れまわって、その憎しみや怒りを殲鬼姫に目をつけられるなどと・・・これに懲りたらしばらく暴れることは自重しろっ!!このバカっ!!どれだけ心配したと思っているんだ・・・・バカ慧!!!」

トパーズが飛びつき、子供のようにおいおいと泣き出す。
サファイアもやぁれやれといって、いたずらっぽく笑う。

琥珀「全く・・・ついていくのも命がけだぜ、こりゃ」
アメジスト「でも、だからついていくんでしょう?」
琥珀「・・・お前もだろ?」
アメジスト「・・・まーね」

つくづくイカレてるなぁ、うちらって。そういいながら笑みを向き合う。

彩乃「・・・・何だかいいなぁ、この人たち・・・」

眞子「どいつもこいつもバカだらけ、でも、お互いの足りない部分を埋めあえる最高の絆で結ばれているのよね」

奈々美「うん・・・何だかすごいよね」

祥子「闇の中を進んでもがき続けてきたこと、無駄じゃなかったね、慧」

春姫「・・・最高の仲間、ですね」

たとえどんな闇が未来に待ち受けていても・・・。
胸のうちに宿る光さえ見失わなければ・・・。
必ずつかめる、自身にしかつかめない光を。
最後まで信念を秘めた翼を失わない限り・・・。


夕方・・・。
Vライナーの汽笛が鳴り出す。出発の合図だ。
慧「・・・皆さんには本当にお世話になりました」
彩乃「もう、しばらくは喧嘩控えめにしてね?」
慧「・・・はい」

眞子「殲鬼姫に認められるってどれだけ暴れていたのよ・・・」
慧「・・・面目ありましぇん」

サファイア「奈々美ちゃあああああああああん!!未来に帰っても、あたしのこと忘れないでね!!あたしの小鳥、可愛い子犬ちゃん、美しきマイラバーッ!!!!」
奈々美「あ・・・あの・・・その・・・」
眞子「・・・あ、こいつ、仕留めるの忘れてた。とりあえず、殺っておしまいとしましょっと」
サファイア「え、何、満面の笑顔で、そぉんなボウガンを向けて・・・物騒なこと言わないで・・て・・・ぎゃああああああああああああああああ!!お願い、撃たないで、勘弁しちくりいいいいいいいいい!!」
琥珀「だったら抱きかかえて、頬ずりしてる奈々美おろせばいいだろ!!」
サファイア「嫌だい、嫌だい、まだチュッチュッイチャイチャラブラブしたりないんだい」
琥珀「生粋のバカだなっ!!」
眞子「・・・怒りのサイクロンスナイプ・・・フルパワアアアアアアアアアアッ!!!」
サファイア「琥珀、あとはまかせた!!奈々美ちゃん、愛の逃避行といこうかっ!!」
琥珀「ぎゃあああああああああああああああああああっ!!」
奈々美「本当にいいんですか、全くもう・・・」

サファイアが琥珀を突き出すと、桃色の暴風が見事琥珀を吹き飛ばし、哀れ琥珀はそのまま岩山に吹き飛び、激突、瓦礫の下敷きになった・・・。

琥珀「・・・もうイヤ、イヤすぎる、こんな展開」

アメジスト「・・・世話になったわね、春姫」
エメラルド「ありがとう!!」
春姫「・・・これは〜?」
アメジストが取り出したのは、胡桃の木で作られたかなり凝った作りのオルゴールだ。開くと優しい音色が響きだし、その中に手紙があった。

アメジスト「・・・用はそれだけよ・・・じゃあね・・・」

クールに言い放ち、振り返る。しかしその手紙を見て、春姫は優しい微笑を浮かべる。

「あたしのこと、忘れないで。春姫お姉ちゃん、大好き アメジスト」

春姫「・・・ええ、忘れないですよ、アメジストちゃん」

そして、ラボからエメラルドが出てきて、首にかけていたゴーグルを眞子に手渡す。

眞子「これ・・・!」
エメラルド「カッコいいっしょ?ヒーローみたいでさっ!!これ、あげるっ!あたしと眞子の友情、ずっと変わらないよねっ!!また会えるときの・・・約束!!」
眞子「・・・バカ・・・バカバカバカ・・・!!最後は笑って見送りたかったのに、どうして泣かせるかなあ!!」
エメラルド「・・・あたしだけ泣いたら不公平だからだろっ、バカァアアアアアッ!!」

おいおい泣き出しながら二人で抱き合う。

トパーズ「君には世話になったな」
祥子「・・・あんたさ・・・もうちょっと笑ったほうがいいわよ?」
トパーズ「君がそういうことを言うのは意外だな」
祥子「なんていうのか・・・いつも張り詰めてたら・・・もたないわよ」
トパーズ「もともとこういう顔だ。別に張り詰めちゃいない」
祥子「・・・なんていうのかな・・・」
トパーズ「・・・・ふふっ、私を言葉で負かすにはまだまだ知識が足りないようだね」
祥子「・・・イヤなヤツ・・・ふふっ」
トパーズ「ふっ、ほめ言葉だ」


ルーベット「彩乃殿には・・・本当にお世話になった!!」
彩乃「・・・そんな頭下げないでくださいよ・・・!」
ルーベット「彩乃殿たちのご協力がなければ慧殿は・・・まさか慧殿の体質が荒魔の邪気を吸い込んで、あのようなバカ力を発動させる要因となっていたなんて・・・それが荒魔の力の目覚めの前触れだったなんて・・・!」
彩乃「・・・でも慧さんをつなぎとめていたのは、ルーベットさんたちなんですよ。あなたたちがいたからこそ、慧さんは荒魔にならずに、慧さんのままでいられたんですよ」
慧「彩乃・・・」
ルーベット「・・・・ありがたきお言葉・・・・!!彩乃殿、ありがとうごじゃいますううううううううううううううっ!!」

バキボキバキボキメキッ!!!!!

彩乃「タンマ・・・・た・・・タンマ・・・」
慧「ルーベット!!!!彩乃をベアハッグで昇天させる気かぁああああああああっ!?」
彩乃「・・・・・ガクッ」
ルーベット「ああああ、彩乃殿ぉおおおおおおおおおおお!?」
慧「バカァアアアアアアアアアアッ!!!!」

絶叫が響き渡る。しかし全員が笑顔を浮かべていた。そして守り抜いた夕焼けの光に包まれていく町並みを静かに見下ろす。

慧「・・・それじゃ、いくわ」
晶「・・・いつかまた、未来で!!」

祥子「・・・うん・・・会えるよね、未来で」
晶「うん、晶は会いたいよ」
祥子「・・・バカッ」

サファイア「あたしも会いたいよ!!奈々美ちゃん、フォーエヴァアアアアアアアアッ!!」
エメラルド「うっせえ、バカ!!」
トパーズ「会せん、奈々美をこれ以上怯えさせるな」

奈々美「あ・・あははは・・・」
眞子「大丈夫、あったら今度確実にしとめるから」

琥珀「あいたたた・・・春姫も元気でな」
アメジスト「・・・まあ、元気でやりなさいよ」
春姫「はい!アメジストちゃん、琥珀さんもお元気で〜!!」

ルーベット「それでは、未来で!!」
慧「本当にありがとう!!また、会おうね!!」
晶「いつかまた、未来で!!」


Vライナーが夕焼けの光の中へと消えていくように走り出し、やがてその姿を消していった・・・。

彩乃「行っちゃいましたね・・・」
眞子「うん・・・」
奈々美「・・・不思議な出来事ですね・・・」
春姫「ええ・・・」

祥子「さーてっと、3日間も店あけたんだから、明日からこき使いまくるから覚悟しなさいよ!!」
彩乃「マジですか・・・」
眞子「やっぱりこうなるのね・・・・」
奈々美「あははは・・・はあ・・・」

春姫「まあまあ〜」
祥子「それじゃ・・・帰りましょうか」

そういって、振り返った祥子は満面の笑顔だった。明るく快活だったころを思い出させるように。

祥子「今の自分を・・・誇っていいのよね?晶」

終わり



,今回で最終話を無事書き上げることが出来ました。本当に暖かいご声援のほどありがとうございます。次回からは本編再開いたします。ここまで書き上げられたのは読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。

そして今回の話で明らかになった本当の目的、本当にどうしようもない理由です。ゲーム感覚で世界を滅ぼすことが出来るヤツ、最低最悪の性格だからこそ智のクオリティなのです。そして、イマジンを寄せ付けてしまう体質のせいで、邪気を吸い込んでしまい、バカ力を手に入れた慧ですが、それは荒魔になりかけるという最悪のサインだったようで、今回は命拾いしたようです。

そして・・イタリアーノリク様、今回はクロス作品の許可いただきありがとうございます。今後ともイグナイトの最終回楽しみにさせていただきます!!執筆活動応援してます。

最後になりましたが・・・最後の質問いいですか?

彩乃さんたちに質問なのですが、今回戦ったイマジンズ(ボンクラーズ)ですが、どういった感想をお持ちでしょうか?
ちなみにこういう性格です。
ルーベット:真面目かつ一途、一度信じ付き従う主のことを徹底的に慕う熱血系。
トパーズ:頭の回転が速く知略や決断力に優れている参謀。知識の造詣が深い。
エメラルド:やんちゃで楽しいことが大好きな発明家。少々口が悪く子供っぽい。
サファイア:変態百合青玉白鳥・・・言うまでもなく変態ブッチギリです。
琥珀:メンバーきっての常識人で苦労人。暴走しがちな仲間を抑えることが得意。
アメジスト:普段は冷静だが思い慕う相手のことになるとキレやすいヤンデレ系。

大変遅くなって申し訳ございません。
感想のお返しをいたします。

>烈様
まさに誇り高き“騎士”か“武士”を感じさせるものがありました。

ありがとうございます。
この作品を書くにあたって、ルーベットは常に馬鹿で生真面目すぎる、しかしそれでいて自分の信念に従って全力で生きていく姿勢というものをテーマに書いているので、そう言っていただけるとうれしい限りです。

しっかし、折角のシリアスシーンなのに、いくらルーベットを起こすためとはいえ辛子を飲ませますか、晶君!?あんたかなりの“S”だよ!!

晶「そうでもしないと早く起きれないと思ってね・・・」
慧「晶はそういうこと邪気なしでやるからね・・・・あたしも何度やられたことか」

どれ程強いものなのですか!?
慧の闇は、やはり普段自分自身が経験している不幸や理不尽なことに対して行き場のない怒りや諦めとかがモチーフになってるんですね。いくらどうにかしてがんばろうと思ってもなかなかうまく行かないのが世の中というもの、その中で強くあきらめずに生きていきたいというのは私の願いでもあり、それを具現化したのが慧ともいえます。

>@PF様
バイオレンス&燃え、自分がバルキリーたんに持ってるイメージを、クロスの〆でもしっかり魅せて戴きました。

クロス小説を書くにあたって、イタリアーノリク様の作品のイメージが壊れてないか、いやな思いをさせないかとそれが唯一の不安でしたね。しかしそういっていただけると、助かります。

>もーう、最後には助けるなんてぇ、つんでれ☆ルシファーくん……言ってみたかっただけだよこんちkやめてやめてゲイルキャノンはかんべんして

ルシファー「ツンデレ?よく分からないけど、一応あれでも雇い主だしな。まぁ、あまりに馬鹿なことやったら自分自身で責任取らせるのも下の勤めだろ」

>彼はどうにも心の闇が欠如しているというか、先天的に光方向に歪んで居ると言った感じ。
悪に対する怒りはあっても個人的な怒りは持たない(侑斗に関しては微妙でしたが)
ソレと比べると慧ちゃんはちゃんと怒るし憎みもする、だから自分の不幸体質に理不尽さを感じる事もあるし、ストレスだって溜まる

そういっていただけると、この「バルキリー」をよく読んでくださってることを感じ、大変うれしく思います。本当にありがとうございます。慧自身が成長するという目的も踏まえて、このバルキリーを書いているので、いきなり達観したり、悩まないでいるのはどうも書きにくいと思って、慧をこのように書いてきました。

>イタリアーノリク様
今回は本当にありがとうございました。
今後、「仮面ライダーイグナイト」の最終話心より楽しみにしております!!
今回こうして無事書き上げられることができたのも、イグナイトを書かれたイタリアーノリク様のおかげです。

>例え不幸でも傍にいてくれるルーベットや皆がいてくれたから、白羽根のように
人を捨てずに生きてこれたのでしょうね。そう考えると慧ちゃんの言っていた通り、
白羽根は人間に絶望した慧ちゃんの成れの果ての姿なのかも。

慧「でもあたしは白羽根の生き方には憧れがあるんです、自分の守りたいもののために命を懸けて戦うという覚悟がまだあたしには足りない気がするから」

>それに比べて智、少しは懲りたらどうなんだ?これが本当の、馬鹿は死ななきゃ直らないってか?

これはネタバレになるかもしれませんが・・・「馬鹿は死んでも治らない」という言葉もあります。

>綺麗で楽しい時間、汚くて辛くて消してしまいたい時間。それら全てひっくるめて、それら全て受け入れて今がある

バルキリーを書いていて、主人公たちの不幸やトラブルを解して、それらを乗り越えてはじめて手に入る幸せ、それをつかむために泥の中を這いずり回るようなつらい経験を得て、今があるということが私が思う「時間の大切さ」だと思います。それを強く書きたかったです。

>最後に。
このスペクターになる儀式の過程は私が間違った曲解をしていたようで、大変申し訳ございませんでした。そして、暖かいご指摘の上、ありがとうございます。

>黒様

>慧ちゃん
あなたは荒魔・イマジン・レジェンドルガを殴り倒した、最凶の女子高生ですから

慧「それが嫌だって言ってるんじゃコンチクショォオオオオオオオオッ!!!あたしが普通の女子高生に戻れる日はいずこ!?」
晶「すでに街中の不良のボスのような存在なんだから、もう無理なんじゃない?」

>晶くん
質問ですが、これが『全力全開(フルドライブ)』の『本気(マジ)キレ』の黒(ブチキレ)慧ちゃんですか?

晶「うん、ここまで派手に暴れる慧はなかなか見られないですね・・・。さすがに人間相手にここまでキレることはないけどね」

>あれ?
『号令』はルシファーで
『返事』はアスモ・マモン・ベルゼ・レヴィ・サタン・ベル
としたら
誤「「「「「了解、兄貴」」」」」
正「「「「「「了解、兄貴」」」」」」

>鴎さんへ質問
5人の超荒魔がそろっている状態でないと変身できない『パニッシャー』フォームはラストで再び登場いたしますて書いてあったのですが『オーガ』フォームと違うのですか?ちなみに『パニッシャー』は(執行人)だそうです。

申し訳ございません!!当初は「パニッシャーフォーム」にしようとしたのですが、やはり「鬼」をイメージした「オーガフォーム」がいいと思い変更したのですが、編集に漏れがありましたようで、申し訳ございません!!

>表記のお願い
ソードフォーム=Sバルキリーだと
ストームフォーム=Stバルキリー
S慧=サファイアが憑依している状態なので
SG慧なら、S=白鳥(スワン)・G=幽鬼(ゲシュペンスト)
白羽根に憑依されている状態になるかと。
A慧=アメジストが憑依している状態
AG慧なら A(青)・G=幽鬼(ゲシュペンスト)
青鰭に憑依されている状態になるかと
K慧=琥珀が憑依している状態
KG慧ならK(コーサカス)・G=幽鬼(ゲシュペンスト)
黄兜に憑依されている状態になるかと

確かにそうですね・・。
ありがとうございます、気がつかなかったらちぐはぐな展開になっていましたね。

皆様の応援ありがとうございます。

,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,1 2010年06月28日(月) 00時51分16秒,20100628005116,20100701005116,B0BQTCfXn8KDo,仮面ライダー珀羅 『四不の力と無の道士《後編》』,青嵐昇華,,,





「まずいですね・・・」
「ええ・・・」

二人は深緑の魔人の攻撃をただ避け続けていた。

月華の放つ冷気の弾丸は元が水気によるもので敵の木気に余計な力を与えかねない。
その為、中途半端な攻撃が出来ず反撃に出ることが出来ずない。
嵐羽に至っては操る風が相手の風に押し負け、逆に操られるなどされてしまいその能力の多くを殺された状態だ。

≪かの者以外に用はない・・・汝らはここで滅びよ≫

反撃出来ない以上守りに徹するしかないのだが、相手の攻撃はとても速く範囲も広く対応もギリギリだ。
攻撃は出来ないが守っていてもこのままではジリ貧、八方塞がりの状況に陥っていた。






「え・・・・?」

ふと気付いた時、いつの間にかそこら中を舞っていた雷が消え吹きつけて来る暴風も止んでいた。
煩かったの轟音も一切の震動も消え、不気味なくらいの静寂が竹林を包んでいる。

≪木の気質が消えた・・・・何をした!?≫
「ゆ、雪乃さん?」
「私じゃないわ・・・・・・、っ!」

微かな気配を感じ月華が天上を見上げると月を覆い隠した雲を背にする色の無い影を目にした。
刹那、その影は霧の中へと消えて行った。






「むぐ・・・・ん・・!!」

水の塊に閉じ込められた鈴音はそれを振り払おうと身体を夢中で動かした。
だがその動きは受け流されていて無重力の宇宙空間にいるように何の効果も成さなかった。

≪無駄だ。その檻から抜け出すことは出来ん≫
「そこかっ!!」
≪ぬっ!≫

ガキィンッ!!

拐の刃を立て珀羅が真っ白い霧の中を疾走する。
何もない所を突き刺したと思えば金属同士がぶつかり合う甲高い音が鳴り響き、魔人が紺碧の姿が露わになってくる。
魔人は手にした槍で珀羅の刃を受け止めていた。

≪フン・・・やはり捉えたか≫
「俺に水気のまやかしが効くと思うな・・・!燎子を離せ!」
≪娘を救いたくば吾を滅ぼせ。だが、そう刻も経たず娘は滅びるだろう・・・≫
「くっ・・・・!」

鍔迫り合いになりながらも珀羅は鈴音の方に眼を向ける。



「うっ・・・!ぐ・・・・」

脱出しようと動き回っていたがその動作も次第に鈍くなっていった。
鎧の補助があるとはいえ、鈴音は水中の戦いを想定されていない。
確実に息も苦しくなってきてもう身体が言うことを聞かなくなって来る。

(・・・・ちく・・・しょ・・・・・・・・)



≪ぬん!!≫

注意が逸れたのを機に魔人は槍を振り珀羅の拐を弾く。
次の瞬間から素早い槍の雨が珀羅に襲い掛って来る。

≪この間合い、我が槍からは逃れられぬ≫
「ぐっ・・・!」

他の七曜がそうであったようにこのブダという魔人も桁外れの力を持っていた。
単時間で片を付けるのはおろか、攻撃を防ぐだけでも手一杯だ。
このままでは・・・・

(くっ、鱗を使うしか・・・・・、っ!!?何だ!?)

珀羅は一瞬だけ世界が反転したかのような感覚を受けた。
それは入れるはずのないこの空間に異物が侵入して来たことを示していた。







・・・・頭がくらくらしてきた・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・死ぬのかな・・・・・・・・・



・・・すごく悔しいし・・・・・・やっぱり怖い・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・



・・・・・・結局何も出来なかったけど・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・



でも・・・・・・あたしは・・・・・



『水気反象―――――』



・・・・がんばったよ・・・・・・・



『―――――−解』



澪示・・・・・・






「む・・!?」

サァッと一瞬の内に辺りを包んでいた白い闇が消え、穏やかな夜の暗さが戻って来た。
結界から出た・・・というよりは霧自体が消え去ってしまったようだった。

「濠さん!」
「鴉美か!やはり外に・・・そうだ、燎子は・・・っ!?」
「げほっげほっ!!こほっ・・・・・・な、何が・・・・・・っ!?」

鈴音の目の前の目の前には見覚えのない鎧の後ろ姿があった。
変神の解けた燎子を二体の魔人から隠す様に立っている。

≪莫迦な、吾が結界を・・・・≫
≪何者だ・・・!?≫

『君達は―――――――――』

それは何ものにも例えようのない無彩色

『――――‐邪魔だ』

≪≪っ!?≫≫

それが放った灰色のオーロラが魔人達を覆うとグニャリと景色が酷く歪んだ。
空間はすぐに正しい姿に戻ろうとし魔人達はその歪に飲み込まれるよう忽然とその場から姿を消していた。

「・・・デタラメだわ・・・・・・」
「な、何者なんですか!?」

驚愕する面々にそれは向き直る。

『我は“伏義”、神界よりの遣いで参上した』

抑揚のない・・・まるで石か何かが喋っているかのような声でそこまで言うと無彩色の鎧から白と黒の何かが抜けて行き、それが居たところには人の姿があった。

「っ、お前は・・・・!」

「一緒に来てもらうよ。“兄さん”」




「れい・・・・じ・・?」


見上げる燎子の瞳には十年の時を経って成長したその少年が映っていた。



■八神 蜃の泉


「くっ・・・・・!」

攻撃力に乏しい羅刹はすぐに死霊獣達に囲まれてしまった。
このままでは埒があかず、仕方がないと羅刹は懐から鬼の面を取り出すが

「使うな!」
「っ!」
「20年こつこつ溜めてきたんだろ。こんな所でなけなしの力を無駄にするな、ここはどうにかしてやる」

とは言うのものの本当に並みの数ではない・・・
羅刹を連れて森を出ても八神から出るまでに追手を全て討ち祓えるかどうかは分からない。
玉緋は八神から離れられない為にもし討ち漏らしがあった場合は羅刹一人で戦わせることになってしまう。
後のことを考えるならばそれは絶対に避けなければならなかった。

≪言っておくけど月なら出ないよ。僕は月を司る者だからね、隠すことぐらいは簡単さ≫
「ちっ・・・・・」

考えを読まれたことは不愉快極まりなかったが、切り札を封じられたの確かだ。
玉緋が空狐としての力を完全に発揮するには満月ないし月の力を必要としていた。
今の状態でもこの程度の雑魚の集まり、どれだけ集まろうとも押し切られることはないが・・・全てを片付けるとなると朝までかかりそうだった。

「ん・・・?」

遠くの方からドタバタと物音が聞こえて来る。
だんだんとそれは大きくなっていき・・・・・

「チョコちゃ〜ん、なっこぉ〜!!!!!」
「なっ!?」

バゴォオオオオオオオオオン!!!!!!!!

この場に似つかわしくない軽い声に続く、強烈な破壊音。
何十もの死霊を殴り飛ばしその場に乱入してきたのは茶色い髪のボブヘアー、亥の式、冢杏だった。

「うわぁお、やってるやってる」
「冢杏っ!?お前、どうしてここに・・・・」
「あ、ギョクぴ〜。んとね〜、キュウちゃんとお散歩してたらはぐれちゃって。そんで探してたんだけどなんか変なのがうようよしてたから見に来ちゃったんだ〜」

霧島家で保護している幸運を呼ぶ霊獣“貔貅”の力の成せる業か、思わぬ助っ人が現れた。
式神一の怪力を誇る冢杏は数を相手にする場合でも心強い。

『ふぅん・・・増援か、運がいいね。でもやっぱり無駄だと思うよ』

相変わらず敵の数に変化は見えず辺りを埋め尽くしている。
地道に相手をしていくしかないかと玉緋が焼き、裂き、冢杏が殴り、蹴る。
そしてまた敵が出て来てはそれを倒す・・・そのやり取りを何回か行っているとまたもや幸運が訪れた。


「うぅううるさぁああああああああああああああい!!!!!」


「っ!?」

ザバァァアアアアアアアアアアアア!!!!!!!

湖から巨大な水柱があがりそれと共に現れたのはまさしく湖の女神様。
正確に言えば古くからこの泉に住む龍神“蜃”その人である。

「アタシ超低血圧&低体温なんだけど・・・・安眠妨害とか死にたいわけ?つーか、コロスよ?」
「・・・・・・・・」

今にも喰い殺さんばかりの凶暴な目つきで、目に入る全てを睨みつける。
以前融合していた影響で人の姿を取るときは淳にそっくりなので、いつもながら羅刹的には複雑な心境である。

「ホームパーティーとかの予定はなかったんだけどねぇ、何なのよコレ。どうなってんの、ギョクぴー?」
「説明している時間が惜しい。寝起きのとこすまないが、羅刹と冢杏を連れて高天原まで飛んでくれないか」
「高天原?また随分遠いわね・・・まぁ、時間がないのはわかったわ。ほら、二人とも乗りなさい」

人の姿から龍の姿へと戻る蜃、その上に羅刹と冢杏は素早く跳び上がった。
その間にも死霊の群れが蜃に向かってくるのだが召喚された蛟龍が蜃を守り、一匹たりとも寄せ付けない。

『・・・・・残念だけど向こうには着いたようだよ。予定より大分早いけどね』
「黙れ」
『彼は神界の切り札。あそこに居る者では敵いはしない』
「・・・・フンッ、そいつはどうかな。もしその切り札って言うのがあの小僧なら・・・・・」

その玉緋のそれは決して負け惜しみではなかった。






「・・・・澪示なのか?」
「そうだよ、久しぶりだね。兄さん・・・・それに・・・・」

濠と同じく青い髪の、どこか幻想的な雰囲気を持った少年だった。
澪示は燎子の方に視線をやる。

「れ、澪示・・・・・・あた・・し・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「ぁ・・・・、っ・・・・・」

お互いに眼を合わせることをなく澪示は濠に向き直った。
声が出せず燎子はただ顔を伏せた。

「・・・・神界と言ったな。お前は谷で修行していたはずだが・・・どういうことか説明してくれるな?」
「・・・・そうだね。僕も話しておきたい」

澪示は知り得た情報を濠達に話し始める。

計都の目的、それは片割れである羅喉との融合・・・・すなわち自身の復活であること。
それを阻害しているのはスサノオ【素盞嗚】という前の世界の創世神で、それは阿修羅族の元になった神族だったこと。
スサノオの楔を解くために阿修羅の者を使いその存在を招き寄せる、それが計都が濠を狙う理由であること。
神界は創世、維持、破壊の力のバランスが崩壊れることを恐れてこれに絶対阻止の構えを見せていること。
鍵となる濠を封じるため神界へと連れて行くことが決定し、神界との繋がりがある龍の谷から澪示が遣わされたこと。

「ち、ちょっと待ってください!!」

話の大きさに驚くばかりであった鴉美は今回澪示が来た目的を聞いた途端に声を上げた。

「“封じる”って・・・それじゃ濠さんは・・・!濠さんはどうなるんですか!?まさか・・・!」
「死ぬことはありません。むしろ丁重に扱われるはずです」
「“死ぬことはない”ではなく“死ぬことも許されない”じゃないかしら・・・?」
「そうかもしれません。あくまでも現状の維持、恒久に続くならばそれも考えられます」
「それは輪廻からも外れてただ本当の終りまでずっと何の変化もない日々を過ごすだけ・・・・ただ命を奪うよりもよっぽど残酷なことではないかしら?」
「スサノオに取り込まれた瞬間から兄さんの意識は完全に世界から消えることになり、そして計都が羅喉と融合を果たせば・・・・・どちらを取るかです」

鴉美や雪乃の言葉にも澪示は表情を変えず淡々言い切る。
そして澪示は黙り込んだままの濠の方を見る。

「兄さん・・・」
「・・・俺は・・・・・・・」

戦いと言う死に直面した状況に居続けるには相当の覚悟が必要で、濠にそれがないはずはない。
だがそれはどんな状況の中でも最後まで戦い抜くという意思の下にあるものだ・・・・
濠は己の意思と大きすぎる責任の間に挟まれていた。

「・・・・・・・・・」
「・・・・僕は兄さんを連れていく義務がある。」

葛藤する濠に澪示は静かに言った。

「兄さんがもし答えを決めかねているなら、僕は・・・」







力ずくで連れていく











,私に足りないのはっ!センス、ユーモア、スピード、気合い、文章力、発想力、持久力、その他諸々、ついでに画力!!そしてなによりぃぃぃぃい

筆力が足りない!!!!

どうも・・・絶賛スランプ中、筆進まないとすぐに岩戸籠る駄モグラこと青嵐昇華です。
5、6話とも7割くらいは二カ月前に出来てたんですけどねぇ・・・まだ今回の前後篇は5話だけなんですけど仕上げに三週間もかかるとはホント何ぞ?

くそぅ、ネガネガしてても始まらねぇ・・・・ここは今回のお話を振り返りでも―――
つ『五話後篇』
・・・・・鬱だよっ!?鬱々まっさかりだよっ!!?
次回も続くよ鬱展開、何にせよ中盤って一番キツイんですよねぇ・・・・
燎子ちゃん話も次回に持ち越しですねぇ・・・


まぁ、それは置いといて(ぉ
ようやく弁当5,5巻を購入しました!まだ初版だったらしくあやめちゃんの月桂冠シールがついてきたゾ!!
でも・・・どうせオルトロ姉さんがよかったでがんす(ぉ



返(ヘン)・・・・信(シンッ)!!〜最近、課長が楽しそうでなによりw〜

To YPさん
>ちょっと目を離した隙に4/9も終わらせるなんて。
八月には全部終わらせようかと計画していたんですけど絶賛停滞中です。
絶望が俺のゴールだ・・・・ッ!!

>それと比べて燎子ちゃんのなんと不遇なことか。
>前回も今回も、シリアスシーンだとイマイチ活躍してな くね?(汗
あれ、今回も活躍してなくね?(ぉ
哀れ燎子ちゃん、ヒロインには成り得てもメインではないのか・・・
ほんとアレ(笑)の遺伝子しっかり継いでるなっ!(ぉ

>『いつの間にか鴉美ちゃん√に突入していた』
真面目な子ほど駄目男に引っ掛かり易いとはよく言ったものですねぇ。
さてさて、どうなることやら。

>パンチラ天狗のままでいーや。
でも何故か岩戸の方じゃ鴉美だけ キャストオフ してなかったり(ぉ

>そして燎子ちゃん……ごめ ん、オイラ縞パン属性ないんだ……。
燎子「なん・・・だと・・・・・・!」ガビーン
香織「お、大げさな」苦笑

フリパン派に一票入りましたっ!


今はお大事にとしか言えない自分が悔しいでがんす・・・



To トレハさん

その節はお世話になりました。
慣れたら色々弄ってみようと思います。

>か、鴉美さんのパンチラが…無、い……?
パンチラですね、肩書きに偽りあり?
鴉美「そんな肩書き要りませんっ!!」
これから半分以降はシリアス(笑)で畳掛けるように終わりたい感じです。

>呼び方はゆきたんでもゆきのんでも・・・・
>ゆきのんは余裕のご様子。流石 ですな。
彼女はいつもけっこう素ですw

>昔の濠くんは愛想良かったのでせうか<失礼
いまもわるくはないよっ。たぶん・・・

>ホント、恭也くんはカブトのおばあちゃん並みの名言を吐きまくってますね<違
姉さま教徒の亜麒君に比べたらぜんぜん可愛い(?)もんですよ・・・w
君の瞳にオーバーステイッ!!

>前々から思ってましたが、どうしてこう、漢字で書いてカタカナ(英語?)で読ませる技ってかっこいいんだろう。
青嵐は今も廚二病がマッハ全開で振り切ってます!
ま〜だ甘く〜はない、青〜い果実でしょ!?(ぉ

> なんかもう日課みたいになってる!?
日課です。ええ、日課ですとも

>パンツパンツした話
キャストオフ コーナーの全てはここから始まった・・・!(ぉ



To 烈さん
>まさか雪乃さんを始めとした女性陣三人が濠達の住んでいるところに転 校してくる流れになるとは
まぁ、正確には転校じゃなくてちょっとこっち来てるだけなのでそのうち帰りはするんですけど・・・
最終決戦の時は近い!(←話数的に

>燎子ちゃん。“不良”のレッテル貼られてしまい、これから大変そうだな;
後っろ指、さっされ組♪(マテ
トラウマだったり傷だったりあるのですよ、歪みね・・・いや、あるな(ぉ

>攻撃から鴉美ちゃんを守るためにその身を犠牲にした恭也君の姿が印象的だった気がしま す。
尊い犠牲でした・・・・いろいろ残念な人を亡くしたな。
鴉美「いや、死んでないですからっ!・・・てか、実は惜しんでないですよね!?」

>濠の“逆鱗”を開放するのではなく、雪乃達女性陣が変身する“仮面の戦士”達の手によってはばまわれることになり
多分失敗っぽい失敗は前回が初めてだったろうと思います。

>今後鴉美ちゃんの“想い”はどうなっていくのかが気になってきますね。
物語が修羅場ってるのでどうなることやらですね。

>……それと、恭也君も少しは落ち着きってモノを覚えた方 がいいと思いました。
恭也はマジでもちつけw



To ひだりさん
>「紅茶を飲むのが日課です。呼び方はゆきたんでもゆきのんでも・・・・」
>何気に「ゆきのん」も選択肢に挙げちゃうのがお茶目だと思います。
鴉美「趣味がお茶だけに・・・ってなんでやねんっ!(ノリツッコミー」
紗魅「ええ調子や。流石はツッコミ会のホープ」
鴉美「ど、どうも・・・・(私何やってるんだろう・・・?って、あの人誰ですか!?)」

>………………ひ とりだけ下着の趣向の描写がない……だと……!?
だが、それはフェイクだ!紫苑も入れれば二人だけないのだー!!(ぇ

>それつまり見られたいのでは……これは予想外の所からドM枠のライバルが!?
ツッコミはするけど絶対にSではありませんからねぇ・・・まぁ、微Mくらいじゃないですか?(ぉ

>ところで嵐羽って完全なライダー姿なんですかね?それともナマハダとかも出てるタイプ?
珀羅本編ではシャキーン!完全ライダータイプです!

>燎子ちゃん……ゴメ ン、俺もわぴたんと一緒で、しまパン自体はそこまで好きじゃないんだ……
フリパン派に二票め入りましたぁー!!
会長&副会長コンビか・・・・・これはヨスケさん&駄モグラによるクーデター勃発の予感?(ぉ

>それでも、いやそれだからこそ、しまパン馬鹿一代の燎子ちゃんよりはバリュエーションで勝負の鴉美ちゃんを支持したいッ!
そろそろ岩戸の方で鴉美さんがアップを始めるようです。(ナニ

>……もう少し燎子ちゃんフィーチャー回があっても許されるはずだ!
いや・・・別に燎子ちゃんが嫌いな訳じゃないんです・・・!マジで!!

澪示「・・・・・・・・」

・・・うん、その・・・ね!!?その無言ヤメテ!!



To 漆黒龍MkUさん
>セカンド(新世代)に『五行相生』の合体技 で、敵を『五行相剋』で倒せば楽だよ。
これからの展開上数的に組ませて貰えないんですよね・・・;
もう全員が一斉に戦える状態になることはないかもしれません。

>鴉美ちゃん、ちゃんと『修行』してた?
鴉美「それはもちろんです。大変ですよ」
努力家ですからその辺はしっかりしてますよ・・・結構抜けてるけど(ぉ

>『パンチラ』天狗とか『下着モロ』天狗とか呼ばれてるけど気をつけないとそのうち『色モノ』天狗て呼ばれるぞ。
最近じゃホントに霞んで見えるぜ!!(ぉ
鴉美さん頑張れ超頑張れ!・・・・・まぁ、バランス的にはいいのかも。

>アイディア
属性の読みはいいと思いますけど創世神=大地の人でポジションは埋まちゃってますので。

>『彼岸花(曼珠沙華)』
>花鳥風月
だがかおりんはマスコットである(ぉ
羅刹の技とちょっと被りがありますし、杖のタイプも玉緋とまる被りはやっぱりキツイですね。



To Aヨスケさん
>魔人 シュクラ【金】撃破。珀羅以外に倒された魔人です が、その実力は七曜の中でも高かった様子。
堅いのであそこに居る面々の攻撃力ではまず突破は不可能と考えられていました。
一体一の殴り合いになっても何とかなるのは『昂幻』のみです。

>個々の力は及ばなくとも、連携という、仲間がいるからこそ発揮できる力はどんな時でも燃えますね。
テンションフォルテッシモの時の彼女達には止められないでしょうね。
でも前回からの今回じゃ落とし過ぎた感が否めない・・・・w

>しかし、濠くんの覚醒が最優先とはいえ、部下が倒されてもたった一言『捨て置け』で済ませる計都には、羅喉とは違う種類の恐さや冷酷さを感じます。
むしろ倒させるのが過程に入ってますから・・・七曜ズただは従うだけですけど。

>なるほど…これが小動物的オーラ
燎子「香織はちっちゃ可愛いくていいなぁ・・・・あたしこんなに身長いらなかった・・・・」
雪乃「素が垂れ流しになってるわよ燎子」

>しかしストライプ。なんたる好ポイントか。それじゃあ燎子ちゃんは僕がもらっていきま(グシャ
しまパンに一票ぉおおおおおおお!!!!

>しかし今回はゆきのん様の違った一面を見れた気がします。ゾクゾク…しました(ぇ
いつも笑ってる人が急に冷めた表情を見せるとゾクってきますよね。
青嵐昇華のMはドMのMっ!!
鴉美「名前にひとつも入ってないじゃないですか!?」

>鴉美ちゃんと変態(褒め言葉)くんの関係…ゆっくり見守っていきたいです (ニヤニヤ
>……しかし心配な事も…これがいわゆる“死亡フラグ”にならない事を、切に願います…!
遼那さんの時のトラウマがwww
厄は全部濠が持ってってくれるので後は安心です!(ぉ

>…見逃 す所だった。……この部分、いつもお互いにチェックしていなければ出来ない会話、それはつまりーーー
体育の時間やお泊りの時などは当然お着替えタイムがありまして・・・ね?

>計都と羅喉を除いた七曜。五行の属性の魔人は名前ま で出ましたが、ソーマ【月】と、残る一体の属性は五行に含まれるのでしょうか?それとも…
エクセレントっ!!なんという勘の良さ・・・・後の二体は属性的には特別製ですw




さて、今回はこんなところで。
・・・・・・次回こそ、振り切るぜっ!!

いや、振り切らせてください(ぉ

,#000000,./bg_h.gif,i219-164-154-109.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年06月28日(月) 00時36分44秒,20100628003104,20100701003644,BnS1quvgF24Qs,仮面ライダー珀羅 『四不の力と無の道士《前編》』,青嵐昇華,,,





雪乃達が高天原に来てから一周間程たった頃だ。
濠は霊的な病に効くと言う山奥の温泉に来ていた。無論、恭也や鴉美達も一緒だ。
この温泉を勧めてくれたのは濠の雇い主、土地神の白澤。

「・・・・・・・」
「ふんふん。よし、こんなところだろう。」

白澤はその大きな力の為に地上で実体を現すことはなく、濠はその代理として様々な異変の解決に務めていた。
だがこの温泉のある一帯は元来白澤自身が持っていた土地だそうで、ここでならば少しの間だけ実体を持っていられるらしい。
それで「中々構ってやれないからな」とこうして湯治の世話をしてくれているのだ。

白澤は今は普段の神獣の姿ではなく人の姿、もっと言うと人間の女性の姿を模っている。
わざわざ、女に化けなくてもよさそうなものだが・・・・・曰く「濠が好みそうな姿を借りた」そうだ。

どこの誰を模写して来たのやら、年の頃は濠より少し上くらい。
白に近い薄青の長髪、凛々しい目つきをしていて知的な印象を受けるが優しそうな雰囲気も持っている。
タイプはまるで違うがどうしてか濠にはそれが自分の母親にも似ているように感じられた。
もし姉が居たならばこんな感じなのかもしれない、白澤の姿を眺めて濠はそう思った。
ちなみに服はきちんと纏っており、いつの時代のものか縹色の動き易そうな短い着物のような服を着ていた。

「大分安定してきたな・・・感覚が戻って来た気がする」
「それはよかった。この分だと私が帰ってくる頃にはもう回復しているだろうな」
「む、高天原を出るのか?」
「神界との繋がりが悪くてな・・・少し様子を見に行って来ようと思う」

普段なら、地上に精神体を置いたままでも神界のことはだいたい分かるものなのだが
ここ最近は調子が悪いのか、まったくと言っていいほどあちら側の情報が回って来ないらしい。

「・・・そういうことはよくあるのか?」
「まぁ、普通ではあり得ないな。・・・・よし、では行って来る」
「あぁ・・・助かったよ。ありがとう」
「ふふ、後はゆっくり浸かっていってくれ。」

人から獣へと姿を変えた白澤はすぅっと音もなく跳躍し、あっと言う間にその場から消えた。


「あぁー、お姉サマ行っちゃったなぁ」


「む、恭也・・・居たのか・・・・」
「おいおいひでぇな、ずっと居ましたぁー・・・・」

と、テンションもそこそこに恭也が言う。

「もしかしてずっと黙っていたのか?やけに静かだったじゃないか」
「ん〜、まぁな・・・・」

温泉に行くぞ、と言った時はそれはもの凄いはしゃぎっぷりだったので今の状態には意外と言う他ない。
さっきの白澤の姿は一般的に見ても群を抜いていた。
そういうことにはてんで疎いと自他共に認める濠でさえそう思うのだから間違いはないだろう・・・だがそれでも恭也はこの調子。
てっきり、跳んだり跳ねたりしながらリビドー全開の行動に走るものとばかり思っていたのだが・・・

「なんかさぁ〜、あの人見たらと変に恐縮しちゃった、みたいな?」
「お前にもそういうものがあったとは驚きだ。」

恭也との付き合いも短くはないがあまり自重するところを見たことがなかった。

「・・・まぁ、それはいい傾向だな。お前もたまには大人しく・・・・」
「だが断る!・・・うぉおおおお!!折角のビックイベントが控えていると言うのに何時までもローテンションでいられっかよ・・・!!みなぎれオレの大和魂!!大峰恭也は漢の子!!」

パンパン自分の顔に喝を入れ気合いをフルチャージする恭也。
暫くやっていると、もう十分なのか今度は『キリッ』と濠の方を見る。

「・・・・よし、気合いも入ったことだしそろそろ行ってみようか!」
「む、何処へだ?」
「・・・・・・・・・」

『はぁぁぁ』と深くため息をつき恭也はやれやれだぜっと言った調子で肩を竦めた。

「はぁ・・・温泉に来たらヤることは1つだろうが・・・半熟フレッシュなモモやらイチゴやらの甘い果実がたわわに実っていることをよーく観察し、あわよくばつまみ食いしちゃおうぜ的なイベントがあるでしょ?ね?」
「意味が分からん」
「オーケー、先生が悪かった・・・あのね、簡単に言えばお隣のお風呂を覗きに行きたいの。てか君も一緒に来るの。ここまでいい?」
「・・・よくない、というか行かない」

バカにバカにされたような気がして少しだけむっとする濠。

「えー、行こうよー!濠ならきっと着いて来てくれるって、ワタシ信じてる。(キュア☆」
「行かん・・・というか何故俺まで連れて行こうとするんだ?」
「オレだけ行くなら失敗or死亡フラグが立つっぽいけど濠が一緒なら華麗にクラッシュ出来るはずなんだよ〜!なぁ、行こうよクラッシャー!その小野Dボイスでどうにかしてっ!」
「俺は厄除けか何かか・・・・」

訳のわからない単語が飛び交うのを軽く聞き流し、濠は頭の上のタオルを直した。
滑らかな岩を背もたれに完璧なリラックスモードに入って目を閉じる。

「そ、そんな・・・お前とて健全な男子高校生だろ!?この状況でいかないのはおかしいよjk」
「それ最近はまっているのか?常識的に考えてないのはお前だ・・・危険と分かっているなら大人しくしているんだ。無駄な血は見たくない・・・・」

向こうには雪乃もいることだしガードの類はおそらく完璧なはずだ。
それにもしバレでもしたらきっと鴉美の制裁が待っているだろう。
わざわざ痛い目を見に行きたいなどとはもの好きにも程がある。

「ちッ、がぁぁう!!オレが言いたいのは!! j (情熱的に) k (感じろ) ってことだ!!体調崩しに山登りするんじゃねぇ!そこに山があるから登るんだろうが!!」
「上手いこといったと思うなよ・・・・・」

それでも諦めないバカは情熱とかその他色々なものをもてあましてなんやかんやとシャウトしているが
普段からの慣れか、そんな声の中でも濠はウトウトと眠りに入ろうとしていた。

「ぎ、逆に考えるんだ!!露天風呂というイベントで覗かな―――――――――――――‐いなんて、エレナちゃんやアリアちゃん、サラさんに申し訳ないとか思わねぇのか!?』
「・・・・・・?何を言っ・・・・・・・・ぅっ!?」






頭に強烈な痛みが走り、貧血を起こしたように目の前が真っ白になる。

『あぁ、まったくだ。ミスター・ゴウ、可能性があるのにチャレンジもしない・・・・それはサムライ、いや男として失格だとは思わないか?』

靄掛ったその向こう側から声がする。
僅かに開けた視界から確認出来るのは茶髪のロン毛の男と言うくらい、声からして青年だろう。

『さぁ、行こうぜ濠!山と谷がオレ達を待っている!!』
『ビー・クール、そう焦るなキョウゴ。人魚姫達の宴はまだ始まったばかりだぜ?』

茶髪の青年の横には、よく見知ったような人影があった。
だがそれは自分の知っているのとは違い黒い髪をしている。

『いい加減にやめんか馬鹿共。ゴウも困ってるだろう・・・あと、イズミさんにも怒られるぞ。打ち首とかになっても知らんからな』

もう一人いた男、おそらくこの中では年長であるだろう青年が前の二人を止めに入る。

『オゥ、プリンセスの個人的なお仕置きなら喜んで・・・と言いたいとこだがそいつは困るな。だがなフレッド。ぶっちゃけ言うがお前に関してならサラは問題ない・・・と言うかむしろウェルカムだと思うぞ?というか、向こうが来そうだ』
『言うな・・・本当に来たらどう責任を取ってくれる・・・・!』
『あっ、そうだよ濠!こうしてる間にもお前の大事な大事なエレナちゃんが色々アレな知識や妄想を吹き込まれ―――――――・・・ぃ!・・・おい、濠!」

「・・・っ!?」






ハッ、と目を開き濠は立ちあがった。

「お、おい・・・大丈夫か?お前半分沈んでたぞ。じいちゃんじゃねぇんだからホントに寝るなっつうの」
(何だ・・・・今何か・・・・・・・)

きょろきょろと辺りを見回してみるが、やっぱり何もなく温泉に恭也が浸かっているだけだ。
ただ夢だったのか・・・既視感にも似た感覚が残り、濠は恭也の顔をじっと見る。

「な、何だよ?」
「恭也・・・・お前は恭也だよな?」
「は・・・?あの・・・ダイジョウブでせうか?」

意味の分からない質問をされ恭也はどう切り返したらいいのか戸惑う。
長湯のし過ぎて参ってしまったのかと一瞬本気で心配してしまった。

「・・・・・・・・・・」
「おい、濠・・・ホントに大丈夫か?バックに水入ってるけど飲む?」
「・・・・・いや、いい。少し寝ぼけていたようだな・・・・」
「そんならいいけど・・・あ、そうだ。眠気覚ましに目に刺激を与えに『行かない』・・え〜・・・・」







【仮面ライダー珀羅〜四不の力と無の道士〜】






月が雲に隠れた静かな夜、八神のとある森の中。
白髪の男が美しい湖の畔で一人座禅を組み瞑想に入っていた。

「・・・・・・私に用か?」

軽く首を動かし、男は気配のする方を見る。

「用も無ければこんなところには来ないだろう」

白装束に緋袴といった巫女姿、銀色の長髪を靡かせながらゆっくりとやってくるのは玉緋。
この辺りを管理する空狐と呼ばれる土地神だ。

「社を出るとは珍しいな、用とは・・・?」
「コイツを見せてやろうと思ってな」

そう言いつつ玉緋は抱えて来た箱を開けると草臥(くたび)れた一振りの剣を羅刹へさし出した。
その剣を見た途端羅刹の顔に驚きの色が浮かぶ。

「これを何処で・・・・?」
「70年くらい前に宗雲、霧島淳の祖父が高天原(たかあまはら)から持ち帰ったものだ。」

そういうものがあったな、と思いだしたのはほんの今朝方のこと。
祭具の手入れに蔵に入った玉緋は蔵の隅から何かしらの強い力を感じ、それに惹きつけられた。
どこか知っているようなその気質はよく探ってみると阿修羅のものに似ていた。

「その様子だと何か知っているようだな」
「あぁ、これは始祖のものとされる阿修羅の宝剣だ。一族が滅びた時に共に失われたと思ったのだが・・・・・」

どうして今になって・・・、そう言う代わりに羅刹は玉緋の方を見る。
すると玉緋は状況を整理するように考え込み、その内ぽつりとこぼした。

「まぁ、最近は神界の雲行きも怪しいからな・・・・これも巡り合わせかもしれん」
「怪しいとは?」
「いや、ソイツも反応しているということはまず間違いないんだろうが・・・・どうやらお前の息子、上にも目をつけられているらしい。」
「濠が・・・!?」
「なんとも胡散臭い情報元だが・・・一応お前にも話しておいたがいいだろう」

玉緋はひと月ほど前に遭遇した前の世界の神と名乗る者のことを、それが語る計都の目的と濠が標的とされる理由について聞いたままを羅刹に伝えた。

「お嬢からの報告では戦いの方はまだどうにかなっている・・・・だとすると問題なのは上の奴らだ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「最悪の状況になる前に計都の狙いを潰しておく腹積もりなんだろうが・・・・お前はどうする?」
「・・・・・以前あの子にも言った。もう私にはこの手が届く僅かな所までしか誰かを守ることが出来ない・・・・・」

世界を守る者として巨大な力と対峙し、守るべき世界に裏切られ、また自身も一度は世界を見離した。
もう一度世界を信じることが出来るようになった時、羅刹は阿修羅の力を失い、戦神としての力は既に死んでいた。

「だが・・・・」

それはもう阿修羅とは呼べないかもしれない・・・

「届かせてみせる」

それでも、せめて一人の子の父として・・・・そう羅刹は選択した。

「よく伝えてくれた・・・この剣は私が預かっていいか?」
「元々お前達のだろう、持っていけ。だがそうなると急いだ方がいいだろうな」
「あぁ・・・淳には私がここを出たことを伝えておいてくれ」

それだけ言うと羅刹は森の出口へと歩き出す・・・・


ゾワッ


「ッ・・・・・・!」

周囲の気質の変化に羅刹は足を止める。
涼しい秋風の中に異常なまでの殺気が混じっているのを感じ気配のする方に向き直った。

≪行かせないよ≫

頭の中に直接話しかけてくるような声。
森に茂る木と木の間の暗闇、その奥から薄気味の悪い仮面が徐々に浮かび上がる。
仮面が現れたのに続き青白い無数の霊魂が森中に灯り、次々と獣の姿の怪物が出現していく。

「よぉ、性懲りもなくやって来たなツクヨミ【月読】。今日はやけに多いな・・・百鬼夜行の親玉気取りか?」
≪相変わらずのようだねキツネさん≫
「神界の奴らに告げ口したのもどうせお前だろう。おかげで面倒なことになった、どうしてくれる?」
≪せっかく穏便に事が進もうとしてるのに、邪魔をされて困っているのはこちらなんだけどな・・・≫
「ハッ、そんなことオレが知るか・・・よっ!!」

玉緋が爪を走らせると紫色の狐火が羅刹の周りを取り囲む死霊獣を焼き裂く。
だがそれらが消えてもすぐに後ろから次のものがやって来るので大した変化は見られない。

≪その程度では間に合わないよ≫
「ちっ、ぞろぞろと・・・・」




● 高天原 山奥の竹林


「そんな・・・女風呂パートカットだと・・・嘘だ・・・・・・嘘だと言ってよバーニィィィィィ!!!」

夜の竹林に悲壮感に溢れた男の叫びが木霊する。
メタいことを言うなれば前やったからもういいかなと、そんな感じだった。(ぉ

「お、俺を裏切ったなぁあああああ!?スザァアアアアアアアアアアアアk『疾っ!!』あーーーれーーーーー、お代官さまぁぁぁぁ」くるくる
「やかましい!誰が悪代官ですか!」
「ぁぁぁぁ、どぉうぅせぇやぁるぅなぁらぁオぉレぇがぁ回ぁしぃてぇ。いぃやぁ、むぅしぃろぉ輪k(マワ『疾っ!!!!』ひゃぁぁああ回転力倍ぃぃぃぃいぁぁぁぁっ!?!?」

鴉美が巻き起こす竜巻に恭也はグルグルと回されている。
二人の漫才もだいぶ定着してきた十月の中旬だった。

「先輩達は本当に仲がいいですよね。息ぴったりって感じで」
「むっ・・・こんなので息合ってても嬉しくないですよぉ・・・」
「その『むっ』って付けると何となくゴウさんっぽくなるよな」

濠達は女性陣とも合流し今は温泉から町へ帰る途中の竹林の中に居た。
林を抜けて来る風は涼しく、少しの肌寒さも感じる。
徐々ではあるが確かに秋の終りが近づいているのが分かる。

「濠、調子はどう?少しは回復出来たかしら?」
「あぁ、白澤のおかげでなんとか・・・・・・・っ・・・!」
「これって・・・」
「あぁ・・・近いな」

この数週の間に度々遭遇した状況。
何かが転異する前に空間が無理に曲げられる不快な感覚。
それは敵がやってくる前触れだった。

「大峰君、香織と一緒に先に戻っていて」
「げっへっへ、そんじゃかおりんはワシと向こうの暗〜い林へ行こうかのぉ」
「えぇー!?いつの間にかあだ名が!?」
「そっちですか!?って、時間がないので後にしますよ!・・・召嵐!!」

「「「「変神!!」」」」

それぞれ珀羅、嵐羽、月華そして鈴音に変神し気配のする方へ身構える。
それから間を置かず宙に魔方陣のような模様が浮かび上がり深緑の魔人が姿を現した。






ガガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!!!!!!

魔人が現れるのとほぼ同時、珀羅達へ突風が吹きつけられ周りに雷が落ちて来た。
四人が雷をかわして態勢を整えるとその頃には魔人は地上に足を降ろしていた。

≪用意は済んでいるようだな・・・吾が名はブリハスバディ【木】七曜が一つなり≫

深緑の魔人が片腕を四人の方へ伸ばす。
するとまた突風が発生しそれに乗った雷が激しい音を立てながら襲いかかって来る。
四人は寸での所で散開しそれを避けると前に珀羅・鈴音、後ろに月華・嵐羽という陣系を取った。

「風と雷・・・・震えと動きの力か・・・相手は【木気】で間違いないようね」
「アミさん、相手の風でこっちの火力上げたりとかも出来るよな?」
「可能なはずです。それと相手が木気なら濠さんの『金剛』も有効的ですよ」
「あぁ、分かっている。休んでいた分しっか・・・・・・む?」 
「な、何だ・・・・急に前が・・・・・・」

魔人と月華達の間、珀羅と鈴音がいる辺りに突如として濃い夜霧が現れる。

「これは・・・・っ!?しまっ――――――――」
「濠さん!?燎子さん!?」

鈴音は何が起こったのか分からず棒立ちのまま、珀羅は何かに気付いたようだが時既に遅し。
二人の姿は嵐羽と月華の前から消えていた。
助けに入ろうと霧へ突っ込んで行く嵐羽だったが・・・

「っ・・・!?」

真っ直ぐ突き進んだはずがそのまま元の場所まで戻って来てしまった。

「こ、この霧は・・・・」
「結界?まさか・・、っ!?」

ガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ!!!!!!!!!

真上からの強襲。残された二人の頭上から雷が降り注ぎ、巨大な光の槌が叩き付けられた。

「雪乃さん!」
「くっ、ぅ・・・・大丈夫・・・・!」

腕に備え付けた盾、氷紋陣を展開し月華は何とか自身と嵐羽への攻撃を防ぐが・・・
その一撃は予想していたのより遥かに強力で一度防いだだけで陣は効力を失い消えてしまった。

≪フン・・・止めたか≫
「どうやら向こうの心配をしている余裕はないようね・・・・」






「どこだよここ・・・・」
「水気の術か・・・どうやら霧の結界に閉じ込められたらしい」

一度発動すれば出ることも入ることも出来ない霧の迷宮。
霧島の巫女も酷似した術を使えるが・・・決して敵を逃がさず、かつ戦場を自分の有利なフィールドに変えるその術は相手に使われるならばとても厄介なものだ。

「水気?でもブリなんとかってのは木気だって先輩が・・・」
「もう一体居るということだろう・・・・・・・いつまでそうしているつもりだ!」

僅かだが霧の奥から殺気が漏れ出しているのを感じる。
その呼びかけに応じるよう、紺碧の身体が浮かび上がり水気の魔人が姿を現した。

≪フン・・・気付いていたか。吾が名はブダ【水】、七曜が一つなり≫
「戦力を分散させるのが狙いか・・・」
≪然様・・・・だがゴウよ、汝が相手は後だ≫

「っ・・・!」

魔人の手に収まった槍の矛先はすっと鈴音に向けられた。

≪娘よ、汝を滅ぼし糧とする≫
「ご指名ってか。やってやろうじゃ・・・っ、ん?」

炎が出ない、いつもならば念じればすぐに上がる火の気も今は感じられない。
再度刀振るい鈴を鳴らしてみるも結果は同じだ。

「ちっ・・・そういうことかよ・・・!」

この空間を構成するそのほとんどは水気、火気の力は弱まって当然だ。
鈴音は自分がここに連れ込まれた理由を今更ながら理解した。

「敵の誘いに乗る必要はない。俺が行くから下がっていろ」
「だ、駄目だ!」
「燎子?」

前に出ようとする珀羅の肩を取り鈴音が止める。
急に焦ったように声を上げられ、その様子の変化に珀羅一瞬戸惑った。

「っ・・・・その、オレが売られたケンカだからさ・・・」
「・・・気持ちは分かるが状況が良くない。ここは任せておけ」
「でも・・・!」

いつの頃からだろうか、気がつくと燎子はいつも喧嘩ばかりするようになっていた。

燎子自身は争い事は別に好きではないし、寧ろ本当に必要な時以外自分から挑んで行ったことなどない。

燎子が遭遇するいざこざの多くは退けば避けられるものだったかもしれない・・・だが、燎子は絶対に退かなかった。

その行動が結果的に悪評をもたらすと分かっていても燎子はそれを止めなかった。

意地やプライドからではない・・・心の奥底に根付いたものが頻りに何か訴えかけて来るのだ。

それが何なのか知ったのはここに来る前、あの銀色の魔人と対峙した夜のことだった。

(自分でやらなきゃ逃げるのと同じだ・・・!)
≪フン・・・・≫

燎子が心の中で呟いた時、魔人の身体が傾きこちらに仕掛けて来る構えを見せた。
鈴音は魔人を睨みつけるとこちらも刀を構え身を屈める。

「ゴウさんごめん!」
「っ、待て!」

魔人が動き出し、鈴音は珀羅の制止も聞かずに走り出す。
両者の距離は一気に詰められたが攻撃を仕掛けたのは鈴音が先だ。
素早い動きで刀を振るい、魔人を一閃。

「せぇやっ!!」

パシャァァッ!

その刀は確かに魔人を捉え肩口から大きく袈裟掛けに斬り裂いた。
魔人の身体からしぶきが上がり、返り血のように鈴音に掛って来るが・・・

「っ!?」

その時、突然魔人の雰囲気がガラリと変わった。

≪浅はかな・・・≫
「なっ!?うぁ・・・んぐっ!?」

魔人の身体は透明な水の塊へと変化し鈴音を丸ごと飲み込んだ。







,
長いので二つに分けました。
合わせて第五話めです。

後編へ続く。

〜〜〜〜〜〜
LVup!! セイランはタグづけをおぼえたっ!

,#000000,./bg_g.gif,i219-164-154-109.s02.a040.ap.plala.or.jp,1 2010年06月22日(火) 23時14分13秒,20100622231413,20100625231413,A1labztWAaulA,仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「奇跡」,鴎,,,「第12章」

ガキィンガキィンガキィンガッキィィィン!!!!

槍とライフルの銃身との轟音が止まることなくなり続け、火花を激しく散り褪せて、ランスフォームとストームフォームが息つく間もなく攻撃を繰り広げる。
一瞬の隙さえあれば、確実に死が訪れる。
ランスフォームの槍は確実にストームフォームの急所を狙い、正確無比な槍の猛ラッシュが繰り出され、ストームフォームの鋼鉄をもぶち破る強靭な蹴りが乱れ舞う。

修羅の如く赤き光を帯びて繰り出される槍を繰り出す憤怒に満ちたランスフォーム。
羅刹の如く銀色の光を帯びて放つ蹴りのラッシュを繰り出す憎悪を全身から放つストームフォーム。

一瞬でもかするだけで、肉が裂け、血が飛び散る。
突き出す槍も、繰り出す蹴りももはや一瞬一瞬が無駄打ちできない。

Stフォーム「何故だ・・!?何故お前たちは受け入れられない!?殲鬼姫様の寵愛を受け入れれば永遠の千年王国における家畜を支配できる高次の存在が約束されるのに!?」
Lフォーム「それが・・・本当の幸せなのか?」
Stフォーム「そうだ!!あのお方こそ、愚かな人類における真の統率者にふさわしいのだ!!平和だ秩序だを謳っておきながら、同じ人間同士無意味に争い、醜く差別し殺しあう。そんな愚かな生き物他にいないだろう?そんな愚かな生き物が支配する世界など、何の価値もないでしょう?」

Lフォーム「…その言葉、慧殿も晶殿もよく言われていた…」

慧(好きで強くなったりしたわけじゃないし・・・不幸じゃないのにな・・・・どうして・・・喧嘩もうしたくないのに放っておいてくれないんだろう・・・・もう・・・人間嫌いだよ・・・あたしのまわり・・・敵が多すぎるよ・・・苦しいよ・・・・うう・・・もう・・・いや・・・だ・・・)

晶(イマジンだろうとレジェンドルガだろうと、己の欲望をかなえるためなら何にでもすがりつき、他人を蹴落とし、苦しめ、たとえ破滅しようとも己の欲望に囚われて自分以外を憎む・・・どこまでも堕ちて行くんだな、人間て言う生き物は)


二人とも、人間を憎悪していた。
自身にもどうする事も出来ない不運さを他人から嘲り、笑い、迫害され続けてきた慧。
その存在を守ろうと奮闘するも欲望に狂った人間に期待を裏切り続けられてきた晶。

Stフォーム「分かっているのね。こいつらはさ。それなのに、どうして人間などという愚かな存在を守ろうと正義の味方気取りでこうして戦い続けるのかしら?そういうのを、偽善者っていうのよ。偽善というのは、この世における最も重い重罪。そのくせ、絶望したら差しのべられた手すらも気づかず、破滅の道へと転がり落ちていくだけ。救いようがないわ。もうさっさと人間なんて言う愚かな種族を捨てて、荒魔に生まれ変わるべきだったのよ。あのお方の、殲鬼姫様の寵愛を受けてね!!でも、もう、遅い。こいつだけは、天童慧だけは、絶対に許せない。たとえ、殲鬼姫様が許しても、私がその存在を否定してやる!!」

Lフォーム「何故そこまで慧殿を憎まれるのだ!?」
Stフォーム「・・・こいつだけはどうしても許せない。こいつは、この世から消し去りたい!!私からすべてを奪い去っていくから!!」

―自分と同じように人間に絶望していたくせに―
―なぜ、あがき続ける!?―


(過去)
あの場所で。
自分が死んだ場所で。
また不幸な目にあってか、全身ずぶぬれで、靴はボロボロ、沈みきった瞳をして歩いてきた慧。そこへ、トラックが通りかかり、泥水を跳ね、慧に容赦なく降り注ぎ、慧が倒れこむ。

運転手「ぎゃはは!!やっちった!!わりーわりー!!ぎゃははは!!」
慧「・・・わりー・・・じゃねーよ・・・」

ずっと心ない人間に囲まれ続け、心のよりどころは家と晶だけ。しかしそれももう限界に近かった。悪意と憎悪に満ちた一言を呟くと、そのまま座り込む。誰も気にも留めない。橋で膝を抱えて呆然と女子高生が座り込んでいても。ただ、奇異と好奇の視線で見てくる奴らばかり。

慧(・・・まあ・・・いつものことか・・・・)

雨に濡れて、膝を抱えて泣き続けていた慧。
人間を憎み、悲しみと怒りに全身を震わせていた慧。
あの地にとどまり続けていた時に見て、慧の憎しみが手に取るように分かった。

Stフォーム「こいつなら、殲鬼姫様が見逃すはずがない。この憎しみを、怒りを、あのお方のために使うべきだったのだ。人を超越した存在になるべきだったのに、なのに、偽善者気取って時の運行を守る!?ふざけんじゃないわよっ!!」

Lフォーム「ふざけてなどないっ!!あのお方を、慧殿を辱めるなあああああああっ!!許さん!!!あのお方は、慧殿は強いお方だ!!!私が一目で惚れた!!あの人のどんな不幸にもめげずに戦い続けるまっすぐな姿勢、後先考えずに行動する馬鹿さ加減、いかなる時も自分を失わずに逆境をぶち壊し続けるしぶとさ、すべてが私の憧れだったんだ!!」

Stフォーム「・・・何それ、まるで、慧がバカだからついていくっていっているようなものよ」
Lフォーム「その通りだ!!!私は慧殿がバカだから、大好きなんだ!!!普段は冷静で大人ぶっているのに、いざとなると一番真っ先に暴走して突っ走って撃沈するけど、懲りずに立ち上がっていく慧殿が好きで好きで仕方ないのだぁああ!!」
Stフォーム「・・・あんた・・・・救いようがないくらい・・・・趣味悪すぎ」
Lフォーム「あのお方に今でも、ついていって、良かったと思っている!!それまで、過去すらも存在もない私たちだったが・・・・あのお方についていって共にすごしてきた日々はすべて覚えている!!!あのお方がくれた“時間”!!どれ程嬉しかったことか!!たとえ、世界中の不幸が敵に回ろうと、誰が敵だろうと、共に闘うまでよっ!!」
Stフォーム「戯言を・・・・死ぬがいいわ!!」

ストームフォームがパスをバックルに通すと、嵐が吹き荒れ、雷が光り輝き、吹雪が取り巻く。その渦の中に飛び込み、右足を突き出し、宙に浮かびあがる。
ランスフォームが槍を構えるが遅かった。

St「テンペスト・・・ライダーキック・・・・はああああああああああああっ!!」

想像を絶する破壊力にあふれる暴風を全身に纏って、一気に超高速の速さとなって弾丸のごとく飛び出し、ランスフォームを蹴り飛ばす!!

Lバルキリー「うわああああああああああああっ!!!」

アーマーが大爆発を起こし、槍が折れ、吹き飛ぶランスフォーム。そして、ルーベットの姿となって地面に転がり落ち、倒れこむ。

Stフォーム「はあっ・・・はあっ・・・分かった?あなた達なんかに守れるものなんかありはしない。お前たちはしょせん家畜でしかないのよ!!!私たち、荒魔という高次の存在に永遠に支配され蹂躙され続けるがいい!!」

高らかに言い放ち、立ち去ろうと後ろを振り返る。
しかしふと、足が止まる。
なんだ、この震えるような冷たさに満ちた光の気配は・・・。
恐る恐る振り返ると、そこには信じられない光景があった。

Stフォーム「・・・な・・・ぜ・・・?!」

ルーベット「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・・・」

折れた槍を杖代わりにボロボロの身体で立ち上がってきたルーベットであった。
口からは血を垂らし、所々が砂となって散り落ちている。
もう、いつ消滅してもおかしくない状態だ。
それでも、その表情に力強い視線と光は消えない。

それが白羽根には信じられない脅威であった。

ルーベット「どうした?私はまだ・・・死んでないぞ」
Stフォーム「何故だ・・・なぜ立ち上がるのよ・・・!?」
ルーベット「・・・このままでは死ねない。慧殿を取り戻すまではな」
Stフォーム「…来るな…来るな!!近づくな!!」

背中から翼を広げて無数の羽手裏剣を発射し、それが身体に無情にも次々と突き刺さっていき、激痛が全身を走る、それでもよろよろと歩む足取りを止めない。
そしてストームフォームの肩につかみ、もたれるように倒れこむ。

ルーベット「・・・慧殿・・・・必ず貴女は助ける・・・・この命に代えても」
Stフォーム「やめろ・・・やめろやめろ!!!」
ルーベット「慧殿・・・・貴女に仕えることができて・・・今でもいえる。幸せだったと。心から笑って死ねる。貴女と一緒にいた過去を思いながら死ねるなど・・・幸せですぞ。貴女の舞台はまだこれからだ・・・・まだ幕を下ろすな。赤薔薇殿が言っていた。人生まさに一度限りの至上の舞台。ならば舞台の幕を下ろすことは自分で選べるけど、いついかなる時も自分が後悔されることがないよう・・・・最後まで生きてくだされ・・・それが私が貴方に託したい願い・・・・生きていてほしい・・・・慧殿・・・月並みだけど・・・これだけは言わせてほしい・・・・」

ルーベットは見る者が心を奪われるような優しく母性に満ちた笑顔を向ける。

ルーベット「慧、貴方のことを心から、愛している」

そして、折れた槍の穂先をバックルに突き立てた!!
バックルが罅を立てて割れ、バックルが崩れ落ちると、ストームフォームが変身を解除され、中から白鳥の化身スワンスペクターが飛び出してきた!!それと同時にルーベットが力なく崩れ落ちて…そのまま横たわり倒れこんだ。

スワンスペクター「バカな・・・慧を完全に抑え込んだはずなのに!!!」

そう、そしてそこにいたのは、自分が先ほど憑依していたはずの少女がいる。
そして、傷ついたルーベットを抱きしめ、涙をポロポロこぼし、顔を真っ赤にして泣きじゃくっている黒いロングヘアの少女がいた。

慧「・・・ルーベット?ルーベット?」
うつろな声をかけるが、ルーベットは答えない。瞳を閉じて、沈黙しているままだ。

慧「ルーベット・・・・ルーベット・・・・起きてよ・・・・あたしだよ・・・慧だよ・・・起きてよ・・・・ルーベット・・・・起きてよ・・・・」

涙がルーベットに零れ落ち複数の水滴となってこぼれおちる。

慧「ルーベット・・・嫌だよ・・・・死んじゃ嫌だよ・・・・あたし・・・まだルーベットに・・・返してないよ・・・・あたしの願いをかなえてくれたお礼・・・あたしが・・・あたしらしく生きたいって願いを・・・笑いたいっていう願いを叶えてくれたのに・・・・もっといっぱい笑っていたいよ・・・・ルーベット・・・・」

悲しみに打ち震えて、言葉が出ない。
今の自分がいるのはルーベットがいてくれたからだ。
いつも馬鹿ばっかやっていて、ハイテンションで、おっちょこちょいで、すごく真面目で、空気が読めないで・・・。
でも、時々見せる優しさや勇気が、自分にこれまでどれほど助けられてきただろうか。
こうして自分が「バルキリー」として戦えるのは、彼女と出会っていたからだ。

スワンスペクター「二人まとめて・・・始末してあげるわ」

スワンスペクターが羽を構えた瞬間だった。
青い光が飛び出し、羽手裏剣が弾き飛ばされる!!

スワンスペクター「何っ!?」

そこへ飛び込んできたのは、ボウガンを構えていた青いメッシュを入れた眞子だった。青い光を宿した瞳が怒りに燃えている。

S眞子「お前だけは・・・・絶対に許さない。女の子だろうと・・・殺す」
サファイアの怒りに満ちた声が眞子からつぶやかれる。

T祥子「私たちを本気で怒らせるとはな・・・・引導渡してやる!!」
トパーズも怒りで普段の冷静さをまるで感じさせない荒げた声を出す。

A春姫「・・・あんた・・・・地獄が見たいようね・・・・」
アメジストも珍しく怒りと憎悪に満ちた声で静かに言う。

K彩乃「テメェは確実に・・・刺し違えてでも・・・殺す」
琥珀が暗殺者としての冷たい本性を彩乃の顔からも読み取れるほどの怒りを発する。

E奈々美「あたしたちの大切なダチを・・・・よくもやってくれたな!!」
剣を構えてエメラルドが涙を流して叫んだ。

そして憑依が解け、飛び出すと無数の軍団にとびかかっていく!!

Sフォーム「あたしのビートで・・・イカせてやらぁああああああああ!!」
Aフォーム「全員チェックメイトだ・・・待ったなどきかんっ!!!」
Gフォーム「お前ら・・・全員ロックオン、確実に殺してやるよ」
ASフォーム「死刑台にようこそ・・懺悔も聞く気もないから殺すよ」
Pフォーム「闇に全員飲み込んでやる・・・・!!」

ソードフォームが剣を振り回し、アックスフォームが重厚な斧を振るって、向かい来る無数の敵を切り裂き、打ち砕くと、その中をかいくぐるようにアサシンフォームがクナイとハンドトマホークを振り回し、そしてファントムフォームがハルバートで向かい来る敵を吹き飛ばす。
さらに後ろからガンフォームが銃弾を乱射し、それを受けて敵が消滅していく。

春姫「・・・許せません・・・」
奈々美「絶対に許さない・・・・!!」
眞子「眞子ちゃんも怒り完全MAXモードってやつよ・・・!!」
彩乃「すべてを断ち切ってあげる・・・・!」

祥子「皆!!いくわよっ!!」

「「「「「変身!!」」」」」


その様子を上で見ていた智が「やっぱこうなるか」と呆れたようにスワンスペクターを見ていた。

智「まっ、はなからあんたには期待してなかったけどさ。もう少しあがいて見せろって」

そして、オーガバックルを取り出すと、バックルが黒い光を帯び、それをスワンスペクターめがけて投げ放つと、腰に自動的に巻かれだす。

スワンスペクター「な・・・何よこれ!?」

智「それ?まっ、ゲームも佳境、あんたが頑張れば荒魔の逆転勝利。いっちょ勝負に出てみないってことで、とりあえず、“あんた”は死んでよ」

すると、バックルに無数の闇が一気に流れ込み、つけていたスワンスペクターが異常に苦しみだし、全身から闇を放出させて、激しく身もだえして、うめきだす。

スワンスペクター「き・・・ぎざ・・まああああああ・・・!!うわああああああああああああっ!!!」

スワンスペクターが闇にのまれて真っ黒となり、やがてその姿が数倍以上に膨れ上がり、巨大な翼が生え、鋭いかぎ爪をはやした足が地面を震わせて、鋭い嘴と巨大な4対の翼を広げて町全体を翼で覆い尽くせるほどの巨大な鳥の怪物となって空中に舞い上がる。羽ばたくたびに風が吹き荒れ、あらゆるものを吹き飛ばし破壊していく。

智「さーてっと、ラストゲームの開始だ!!きゃはははははははははははは!!」
智が笑いだし、それに合図するかのように異形が吠えて、町を吹き飛ばそうと翼を広げる。

ヴァーユ「こんなのアリ!?」
イグナイト「最後まであきらめるわけにはいかないわ!!」
マータ「でも、慧さんが・・・!」

その時だった。
慧に近づく一人の人物がいた。晶だ。
そして、かがむと、右手をかざした。

慧「・・・晶・・・?」
晶「ちょっと・・・待ってて・・・」

そして、チェックメイト・フォーのキングの紋章が光り輝くと、青い光がルーベットに宿り、見る見る傷が回復していくではないか。そして、ルーベットの口を開き、取り出したあるものを思い切り放り込んだ。

「生ハバネロ入り激辛唐辛子」10本分の唐辛子をまるごと、口の中に。

数秒後・・・。

ルーベット「・・・むぅ・・・・?」

そして、一気に眼が見開いたかと思うと・・・。

ルーベット「が・・・がらぁあああああああああああああああ!!!!!」

晶「ショック療法成功です♪」
天使のような笑顔で、口から火を噴きながら絶叫し地面を転がりまくるルーベットを見てあっけらかんと言う晶。

慧がぽかんとその様子を見ていると、ルーベットが口を真っ赤にして迫ってきた。

ルーベット「な・・・何があったのでしょうか・・・?」
晶「ショック療法だよ〜♪最新の方法ってね、口の中にタバスコや激辛唐辛子をたくさん突っ込むと死にかけていても飛び上がって起きて、一気に元気になるんだって」
ルーベット「おおっ!!ということは、晶殿に助けられたということか!!かたじけない!!」

「「「「「いや、そこ礼言うところじゃねーだろっ!!!!」」」」」
「「「「「それはありえないでしょう!?」〜?!」」」」

彩乃たちとイマジンズが全員で突っ込むが、ルーベットは「そういう方法があるのですなぁ」と納得しているようだ。馬鹿だ。

慧「あ・・・あのさぁ・・・・晶・・・・」
晶「慧、落ち込んでるひまはないでしょ?今は、あのバカ、何とかしないとさ」

晶が上を向けると、そこには自分たちを見下ろすように空中にはばたく異形がいる。

晶「慧、何があっても、お前の心を閉ざしてしまう闇があるなら、俺が光り輝き続けて照らし続けてあげるから。だから・・・もう一度立ち上がろう。俺が支えているから大丈夫だよ」

慧「・・・・晶・・・・うん・・・皆に後でしっかり謝らなきゃね・・・まずは・・・あいつ何とかしないとね!!」

晶「そういうことです」


そう言って、慧を起き上がらせると、バックルを巻きだし、さらにイカロスショットを取り出す。晶もルーク、クイーン、ビショップのデバイスを取り出す。

二人が傷だらけの笑顔で拳と拳を軽く打ちつけ合う。

イグナイト「・・・なんだか絵になる二人だなあ。まるで、二人いつも一緒にいることが当たり前のように思えちゃう」
マータ「慧さんが闇なら・・・晶さんが光になる・・・」
ヴァーユ「アキが闇になったら、慧が光になる・・・・」
ヴォルグ「・・・・晶の隣には・・・もうあの子がいるのね・・・」
リクォール「・・・祥子ちゃん?」
ヴォルグ「・・・なんでもない。ふふっ、それじゃあ、派手に行くわよ!!彩乃!!」
イグナイト「はいっ!!」

天高く翳した剣から何体もの炎の龍が姿を現し、彩乃を中心に荒々しくも美しい舞を見せる。やがて龍達は彩乃に纏わりつき一つとなって巨大な火柱と化して、聖なる騎士へと変身させていく。

イグナイト「プロミネンスフォーム!!!降臨!!」

晶「こっちも行くよ!!変身!!」

「ULTIMATE FORM」

慧「分かってる!!変身!!」
ルーベット「全身まとめてクライマックスですぞぉおおおおおおお!」
トパーズ「ああ、派手にいくぞ!!」
エメラルド「よっしゃああああああああああああ!!ルーベット復活記念じゃああああ!!」
サファイア「やれやれ、それじゃ役者はそろったし、やるとしますか」
琥珀「あたしたちの力見せてやろうぜ!!」
アメジスト「今回はちょっと楽しめそうね」

「CLIMAX FORM」

青い稲光が晶を包み込み、黄金の荘厳な鎧に身を包んだ異形の竜王と化したアルティメットフォーム。

そして、6つの光を受けて背中から翼をはやした極彩色の鳳凰を模した戦士・クライマックスフォームが立ち上がる。

異形が咆哮を上げて、翼から黒い嵐が吹き荒れ、あらゆるものを吹き飛ばしていく。
その中にいる人物を見て、慧は思う。

慧(白羽根・・・あいつは・・・・昔のあたしそのものだ。人間を嫌っていた時の・・・すべてに絶望していた時の・・・・だから・・・全部にケリつけてやるっ!!)

そして、空間の光が飛び出し、中からVライナー・フェニックスと、キバライナー・セイリュウが飛び出し、空中に線路を敷きながら爆走する。それに飛び乗り、線路を走りながらすれ違いざまに全砲門を開放し、無数の銃弾やミサイル、爆弾が発射されて異形が吹き飛び、苦しそうに絶叫を上げる。

圧倒的な火力で攻め込み、連携のとれた動きで確実に追い詰めていく。
その中をプロミネンスフォームが飛翔して、全身を炎で包み込む。
それを合図に同時にアルティメットフォームが運転席から飛び出し、クライマックスフォームが同時に飛び出す。

バイクから飛び降り、空中に浮かびあがると同時にパスを通した。そして3人同時に足を突き出し、蹴りの構えに出る。

Cフォーム「これが・・・」

Pフォーム「あたしたちの・・・!!」

Uフォーム「クライマックスだあああっ!!」

「「「トライアングル・ライダー・キック!!!」」」

極彩色の光が巨大な槍と化して飛び出し、青い光を帯びた竜が口を大きく開いて飛び出し、聖なる炎で包まれた不死鳥が一斉に三方向から発射されて大爆発を上げる!!!

ギャアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!
絶叫を上げて巨大な空の覇王なる存在が陥落した。翼も爆発によって吹き飛び、もはやその巨体を支えるものは存在しない。

そして落下してきたところへ、ヴァーユがボウガンを構えていた。
そして、青い水流の力が、緑の雷の力が、黄色の大地の力が、桃色の風に一つになって巨大な光の矢と化していた。

ヴァーユ「これで・・・ラストだぁあああああああああああ!!」

そして光の矢が額に直撃し、巨大な光が爆発しそれに包まれるかのように異形の姿が飲み込まれ、中から白い宝珠に白鳥の金色の像が入っている宝石が飛び出した。
それをつかみ取り、そのままアルティメットフォームとクライマックスフォームが変身が解除され、晶と慧の姿に変わり、それをプロミネンスフォームが受け止めた。
抱きかかえた眠りについている慧と晶の姿は、どこにでもいるような安らかな笑顔を浮かべている普通の高校生。

ヴァーユ「終ったわね・・・・」
ボウガンをふっと一息で煙を吐き、ヴァーユがつぶやく。

そして、プロミネンスフォームが二人を下ろすと、慧を春姫が、そして晶を祥子が抱きかかえてそのまま帰ることになった。

安らかに寝息を立てている慧の顔を見て、春姫がほほ笑む。
春姫「本当はどこにでもいる、可愛い普通の女の子なんですよね〜」

そして、寝息を立てている晶に祥子がほほ笑んだ。
祥子「・・・・カッコよかったよ、晶、慧がいるのが妬けちゃうくらいにね」

眞子「こんな二人を追い詰めてしまうのが、私たちが守るべき人間かあ。かなり皮肉な話」
奈々美「でも、そんな人間ばかりじゃないよ。それは・・慧さんたちも分かっているはず」
彩乃「これだけ広い世界だもの。きっと分かり合える人はいるよ」

そう言い合うと、それを証明するかのように広がるのは、満天の星空が光り輝く美しい夜空。さらに、先ほどまで町全体を覆っていた禍々しい闇の波動も消えていた。今目の前に広がるのは平凡な、少々暇さえ感じるような天明の町。

守り抜いたことに充実感を感じ、5人が笑いあう。


一方・・・。
その戦いを一部始終を見ていた、銀色のショートカットに甲冑を着込んだ一見小柄な美少女を思わせる可憐な顔立ちの少年、ルシファーと着物を肩まで大きくはだけて、豊満な胸をあらわにしている扇情的な服装に長い黒髪をかんざしで結った妖艶な女性が座っている。

ルシファー「たかが人間にしてはやるじゃねぇか」
アスモデウス「あたしもぉ・・ちょっと切り刻んでみたくなっちゃった・・・・うふふ」

アスモデウスが間接剣を取り出し、刃をレロリと紅をさした唇から舌を出して舐める。

ルシファー「バーカ、今回は偵察つったろうが。智のヤツ、何かあったら動けるように控えておけとか言っていたけど、結局先に帰っちまったじゃねえか」
アスモデウス「そりゃしょうがないじゃない。まさか、この地に宿っている殲鬼姫様とやらの怨念というか怒りに火をつけちゃって、無数のスペクターに囲まれて、ようやく自分がやばい状況に置かれているって気がついたんだから。一気に逃げるわよねえ」

マモン「大兄貴、やべぇぜ」
下から眼鏡をかけて、紺色のロングヘアをポニーテールに縛り上げた知性的な顔立ちの女性が上を見上げて言う。

ルシファー「何がやべぇの?」
マモン「囲まれているぜ。無数のスペクターとかに」
ルシファー「俺たちで腹いせに殺ろうってか」
アスモデウス「かわいい女の子一人もいないじゃない・・・やる気しないなあ」
ベルゼブル「どう・・・する・・・・・」
レヴィアタン「きひひひひひ、人間だろうとスペクターだろうと、あたしたちに喧嘩を売るならやることなんて決まっているじゃない」
サタン「そうだな。考えること自体無駄だ」
ベルフェゴール「・・・全員・・・・殺しちゃうの」

ルシファーが槍を回転させて構えると、獰猛な笑みを浮かべる。
ルシファー「だわな。さーてと、まずは肩慣らし程度にこいつら全員ぶっ殺すか。あいつらとの戦いも控えているからよぉ、しっかりと身体温めておけよ。ついさっきまで墓土と骨でしかなかったんだからな。体なまってて死にましたじゃ洒落になんねーぞ」

「「「「「了解、兄貴」」」」」

ルシファー「セブンズヘブンの実力、見せてやれ!!」

合図とともに、7人の凶悪極まりない殺戮の外道集団「セブンズヘブン」がいっせいに動き出した。


この日、たった1時間のうちに、すべてのスペクター(のみ)が皆殺しにされたという。

エピローグへと続く。
,ようやく書けました最終決戦!!
本当にありがとうございました!!
こうして書くことができたのも、作品を書き続けられるのも読者の皆様のご声援とご協力の賜です。本当にありがとうございました。
仮面ライダーイグナイト、何回も読み返していますがやはり名作。本当に読めば読むほど世界観や人物設定の奥深さが伝わってきます。次回で完全終了、エピローグとさせていただきます。それで、イタリアーノリク様には多大なる御礼と感謝の気持ちを込めてお礼を書かせていただきます。

感想をお返しします!!
>イタリアーノリク様
白羽根さまの設定に関しては大変申し訳ございません。お話を読んで、最も感情移入してしまったのですが・・・やはり従来の設定は重要、少々脱線してしまいました。それにかかわらず寛大な処置、温かいお言葉、ありがとうございます。次回で最終回、ですのでこれまで質問に受け付けてくださった荒魔の皆様、本当にありがとうございます。そして、イグナイトの皆様、本当にありがとうございます。
ではここで、うちの慧と晶からの荒魔(殲鬼姫様含む)に対する最も好印象がする人物と最も苦手な人物について質問の答えを書かせていただきます。もし荒魔になったとしたら、二人ともどういう風な印象を持っているんだ?

慧「私は殲鬼姫様が一番尊敬しているかなあ・・。何ていうか、物知りだし偉いし強そうだし・・・とても頼りがいがあるというか、あの5人が崇拝するのも分かるような気がするんだよね。そういった意味では赤薔薇様や黄兜様もとても頼りになりそうな気がする。一見自分の信念曲げない頑固な人だけど、一度決めた信念を貫こうとする姿勢とか戦士としての戦いぶりとか憧れるよね。苦手なのは青鰭さんかなあ・・・・絶対パシリにされたりイジられそう・・・あと高笑いしながら八つ当たりのネタにされそうだし・・・不幸起こすたびに笑いそう」

晶「俺は・・・そうだなあ、赤薔薇や白羽根とかと話が合えばいいかなって思ってるよ。人類の愚かさとか壊れゆく世界とかいろいろと面白そうな話や思想が聴けそう。そういった意味では黒棘もいいかな。頭いいし、人間がいかに愚かかとか、その基づく思想とか理念とかがすごく興味あるよ。苦手なのはもっちろん黄兜と青鰭!!見た目が女の子みたいだって騒がれそうだしいちいちうるさそう」

そして、今回の質問なのですが・・・。
彩乃さんたちに聞きたいのですが、今回お世話になりました「天童慧」「大友晶」なのですがどのような印象が感じられたでしょうか?エピローグでの参考にしたいのですが、ご協力お願いいできますでしょうか?

>烈様
いつも温かいご声援ありがとうございます。
もうすぐ本篇も再開しますので、是非ともその時はまたよろしくお願いいたします。

>慧
今回は慧の心の闇があらわになった一面を書いてみました。普段はルーベット達に囲まれて馬鹿ばかりやっていますが、実際はこういった部分もあると力強く書いてみました。

>ルーベット
そして、ルーベット。
今回はひそかに彼女を主役的存在として扱いました。電王におけるモモタロス的な役割を果たしているのがルーベットで、慧を心から信頼し支えあうパートナーとして書いていると、こういった信頼関係が実際あればいいのだけれどもとつい思ってしまう今日この頃です。

それでは、次回エピローグを書きます!!
応援よろしくお願いいたします。,#000000,./bg_f.gif,lo02.022.geragera.co.jp,0 2010年06月19日(土) 14時17分05秒,20100619141705,20100622141705,Ar44lXReeCtQE,仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「戦う理由」,鴎,,,「第11章」

ビルの屋上から、一人銀色のメッシュを風にたなびかせ、ポニーテールに縛り上げたロングヘアを縦ロールに巻き上げている少女が、夜の天明市の町並みをつめたい瞳で見下ろしていた。この街をもうすぐ自分が二度との日のかげる事の無い永劫の闇へと変える。そう考えるたびに、何も知らずに飄々と生きている人間どもが滑稽な道化に見えてくる。

しかし、それなのに、この空虚な気持ちは何なのだろうか。

ここ最近調子が狂いっぱなしだ。
原因はわかっている。
この特異点と呼ばれる少女、天童慧と呼ばれる少女と出会ってしまったからだ。
彼女のことを最初は、ただの家畜に過ぎない存在、さらにはとことん運に見放されているかのような愚か極まりない存在と一蹴していた。
しかし、それに対する意識が変わったのは、慧が脱出を企てて、結局黒棘と青鰭に見つかったときのことだ。当然二人の超荒魔を前に、家畜ならば命乞いをするか、お決まりのお涙頂戴もしくは自己陶酔に等しい強がりなどをはき捨て、最後は結局無様に死んでいく、そんな未来が想像されたのだが・・・。


数時間前。

慧「はあっ・・・はあっ・・・・いい加減にしろよ・・・これ以上やるなら・・・マジで殺すぞ・・・」

両手から血をにじませて、息も荒く、しかしその瞳には全てのものを圧倒するかのような威圧感と狂気と憎悪に満ちた深く黒く凶暴な獣の光が宿っている。

そして、地面には全身の棘という棘をへし折られボコボコに殴り倒されたハリネズミの異形が人間体となった青年と、鉈がたたき折られ、泥まみれになって全身のいたるところが真っ赤に腫れ上がり、激痛に全身を身もだえしている鮫の異形が化身した茶髪の少女が呻いていた。

黒棘「こ・・・こいつ・・・・本当に・・・・人間なのですか・・・がはっ・・・まさか・・・私たちが・・・・ここまで痛めつけられるなんて・・・・!!!」

青鰭「・・・・こいつ・・・・鬼じゃん。人間じゃないって、家畜じゃないって。化け物か鬼の類だって・・・・。かはっ・・・・・ちくしょう・・・・こいつ・・・・化け物だ・・・!!」

慧「あたしのどこが化け物だって?どっから見ても一般市民Aの平凡な女子高生でしょうよ」

絶対それはない。
少なくとも生身で超荒魔を二人殴り倒すなど信じられない所業である。いや、そう思い込みたかったのかもしれない。

慧(これで、もし荒魔を殴り倒した女子高生なんて肩書きついた日には、もうまともな生活送る自信がない・・・!)

自嘲的な笑みを浮かべて、後ろに向き直ると、全速力で走り出した!!
黒棘たちが後ろから怨念に満ちた呪詛をなにやら叫んでいたがもはや気にしていられない。

慧「ああ、もうっ、何でこうなるのっ!?不幸だ、不幸だ、はいもう不幸です!!!!!」

絶叫しながら天明市に飛び出し、街中を爆走し、Vライナーが止まっている空き地近くの公衆トイレの扉に向かっている。時計を見ると、もうすぐ出発時間だ。そう思いきや、突然目の前に無数の異形の集団が立ちはだかる。そしてそれの筆頭をしているのが、白鳥の異形たる存在、スワンスペクターこと白羽根であった。

慧「・・・・しつこいな、本当に。こちとら、イマジン追いかけて一戦やらかして疲れているっていうのに、わけの分からない鉈振り回してくる危ない女の子や眼鏡の兄さん、軍服きているオッサンに薔薇を加えながらわけのわからないことをいうポエム兄さんにからまれてボロボロだっつーのに・・・・今度は何?」

もう今日は仏滅、ぶっちぎりで運勢最悪の日だ。
しかもイマジンたちがこいつらによって遠くまで吹き飛ばされ、現在彼女のみでこういった異常事態を切り抜けなければならないのだ。

白羽根「手間かけさせないでよね。所詮家畜ごときが、この世を支配する最強の一族に歯向かうなんて無謀のきわみよ。おとなしく投降しなさい、命が惜しければね。あんたなんかいつでも殺せるけど、智とかいうヤツがうるさいのよ。それに、あんたがいなければ、長い時間身体が維持できないしね」

慧「また智か。どうしてこうもまあ人の神経逆なでするようなことばかりやらかすかなあ・・・!!」

あのにやけた顔を思い出すと、拳をプルプル震わせて血管が浮き出し、歯を食いしばり、全身の血が一気に沸騰するかのように熱く燃え上がる。

白羽根「いい?これは命令なのよ。従わなければ・・・殺すわよ」
慧「・・・・ああもう、どいつもこいつも同じことばかり。どうやら、本気で一度暴れなきゃ分からないのかなぁ?だったら・・・こっちだって・・・もう形振り構ってられない」
白羽根「何をゴチャゴチャ言っているの!!少し痛い目にあわないと分からないようね!!」

そういうと、いっせいに彼女の配下であるスペクタ−達が一斉に飛び掛っていく。
欲望と本能に狂った瞳をぎらつかせ、鋭く光る爪と牙を振りかざし一斉に襲い掛かる。
しかし、その瞬間、慧の唇がにたりとつりあがった・・・そう彼女は「笑った」のだ。
そしてその表情には、これまでの家畜からは見られなかった凶暴な光が瞳に宿り、獰猛な笑みを浮かべて、手に持っていた鉈を持ち上げる。先ほど青鰭と名乗る少女から勝手に持ってきたものだった。それを軽々と片手で持ち上げて回転させると、構えだす。

慧「痛い目見るのは・・・・・あんたらだ・・・・くくくっ!!」

そして、一気に飛び出し、スペクターの首を鉈で吹き飛ばし、同時に攻撃をよけると、振り上げた足で首の骨をへし折り、もう片手で頭をつかんで一気に他のスペクターに叩きつけて、勢いをとめることなく殴り、蹴り、切り倒していく!!!

慧「・・・・全員ぶっ殺す・・・・・覚悟・・・・決めろ・・・・」

その声はどこまでも低く、うなり声に似ているかのような重い口調・・・。
そして、スペクターの血しぶきを全身に浴びながらも、彼女はぎらつく光を瞳に宿し、怒りと憎悪の咆哮を喉が張り裂けんばかりに叫び、四肢を振るって次々と大群を殴り倒していく。

その光景に、白羽根はもはや驚きを隠せなかった。
まさか抵抗するなど思いもしなかったのだ。しかも圧倒されている。

全身を血にまみれ、激しい感情を瞳に宿し、迫り来る敵を次々と切り殺し、殴り倒し、蹴り飛ばすその姿はまさに「鬼」そのもの。

慧「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!ぐあああああああああああっ!!」

咆哮を力いっぱいに叫び、鉈で殴り、切り殺し、鮮血に全身を染めながら、拳を荒魔の顔面にめり込ませてそのまま首の骨をへし折り、放り投げる。これが人間の姿とは思えない。完全にブチキレた慧は、まさしく「化け物」だ。その姿はどこまでも純粋な「暴力」。
限りなく人間の欲望のひとつ「憤怒」を形にしたような存在。
にもかかわらず、黒いロングヘアをなびかせて、端正な顔立ちを怒りに歪ませて、全てを断ち切り蹂躙し支配する姿は・・・ある意味何かをひきつけるような「闇」があった。
それはもはや美しくさえ見えた。
包み隠さない欲望丸出しの、純然たる「怒り」。その光景に白羽根がもはや凍りついたように動けない。目の前の惨劇が受け入れられない。足が動かない、声が出せない。自分が圧されている・・・!?

白羽根「ああ・・・ああああ・・・・・何よ、何よ、こいつ・・・・!!」

黄兜「これは・・・どういうことなのだ・・・あの女・・・・化け物か・・・?」
青鰭「あたしが知るかって・・・!あいてて・・・・あいつ・・・メチャクチャ!!」
黒棘「我らを・・・我らを生身で圧倒するなど・・・・ありえない・・・!!」

赤薔薇「美しい・・・」

そう言ったのは赤薔薇であった。薔薇を片手に暴れ狂う慧の姿を見て、感心しているかのように言葉を次々と語りだす。

赤薔薇「純然たる怒り・・・・激しき烈火のごとく燃え上がる情動・・・・身を焦がすような狂気に満ちた黒き炎を全身から発してなお、彼女は美しく光り輝く・・・。まるで・・・美しき夜叉・・・・すばらしい・・・・!!」

その言葉にもはや我を忘れて見ほれているかのような赤薔薇。そして、青鰭もまた暴れ狂う慧の姿に家畜とは違うなにかを感じているのか、見入っていた。

青鰭「・・・あんなに・・・・激しく・・・・暴れ狂うヤツが・・・家畜の中にいたの?あははは・・・あははははは・・・すごい・・・・あの鬼の子・・・すごい・・・欲しい。あいつ・・・すごく欲しい・・・・あははは・・・あはははは・・・・!!もったいないよ、人間なんかにさあ!!ほしいよぉ・・・・あははは・・あああ・・・・ほしぃ・・・」

黒棘「あれは・・・少しまずいのでは・・・?私たちではとても制御できるようなシロモノではありませんよ?」

黄兜「下らん・・・!!所詮は家畜だ、あのような無粋な輩、鬼の名前をかたるなど無礼千万!!赤薔薇!!」

赤薔薇「ふむ、このままでは確かに白羽根を失いかねない。いきますか」

青鰭「まずはおとなしくついてきてくれないとね」

黒棘「世話を焼かせますね!!」

橋の上からヘラクレスビートルスペクター、ローズスペクター、シャークスペクター、そしてヘッジホッグスペクターが飛び出し、スワンスペクターを攻め立てていた慧を取り囲んだ。

慧「・・・・ケリつけるとするか・・」

ベルトを巻きつけ、パスを通す。

「Plat Form」

プラットフォームに変身し、Vガッシャーをソードモードに組み替えるとスワンスペクターを蹴り、のけぞったと同時にヘラクレスビートルスペクターの大剣の攻撃を避け、柄を持ち上げて顎を殴り飛ばし、そのまま駆け上がり、頭を踏みつけて、飛び越えると今度はガンモードに組み替えて無差別に乱射し、下で待ち構えていたヘッジホッグスペクターとシャークスペクターの足元を乱射し、砂埃が舞い上がり、それに隠れるように走り抜ける。

シャークスペクター「やっぱり、あいつ、面白い!!あははははははははははははははは!!」

Pバルキリー「ちっ!!」

そして一気にトイレの扉まで爆走するが、もう時間がない。
すると、目の前にローズスペクターとスワンスペクターが立ちはだかった。

ローズスペクター「いきますよ、白羽根」
スワンスペクター「ヘマしたら殺すわよ・・・」

そして、同時に白い羽根吹雪と赤い花吹雪が同時に舞い上がり、一斉に慧に向かって乱射される!!慧がランスモードに組み替えて回転させて吹雪を一気に次々と弾き飛ばしていく。しかし無数の羽根と花びらはとどまることなく襲い掛かる!!
そして、一瞬の隙が生まれた。

そこへ、一体の影が飛び込み、右足を突き出した状態でスワンスペクターが空中に舞い上がり、吹雪にまぎれて、ものすごい速さで突き進み、渾身の蹴りが炸裂する!!

Pバルキリー「きゃあああああああああああああっ!!」

蹴りの衝撃に耐え切れず慧が吹き飛んでいく。その吹き飛んでいく先に青鰭が立った。

青鰭「それじゃあ、いきますか。あははははははははははははははは!!」
慧に青い光となって飛び込み、そのまま地面に着地すると、白い帽子をかぶり、髪が肩までかかるショートへアに変わり、青いウェーブがかかったメッシュが入り、左目の目元に星のラメが入り、青い光が宿った。

A慧「あはははははははははははははは!!ゲット!!」

慧とは思えない高笑いを浮かべながら鉈とパスを持ち上げて4人に向き直る。

黒棘「やれやれ、まずはひと段落ですか」
黄兜「俺は認めん。絶対に認めんぞ・・・!!」
A慧「まあまあ、いいじゃんいいじゃん。面白くなってきたんだしさあ、あははははははははははははははははははは!!」
黄兜「その顔で笑うな!!!」

そのときの慧の姿に、もはやこれまでの何かをぶち壊されたような感じがした。
いや、それは今まで自分が振り返りたくない過去を思わせる何か。

圧倒的な強さ。
あの時、あの強さがあれば、あの約束を果たすこともできた。
あの時、青鰭に殺されることもなかった。
なぜ、選ばれた自分にあの強さがない?なぜ家畜ごときにあそこまでの闇を操る強さがある?あそこまでひきつける「狂気」を、「闇」をもっていながら、なぜ人間などに甘んじる?
全てが腹ただしい存在だ。

白羽根「・・・あの家畜が・・・・!!あいつには・・・死よりも残酷な苦痛と絶望を与えてやる・・・・!!」


こうした憎悪を慧に感じ、今はこうして慧に憑依し、彼女の仲間であるイマジンをも打ち倒して彼女に自分の仲間を倒させるという苦痛を与えることにも成功しているのに。
今、自分を認めてくれる存在がもういない。自分自身さえ何をしようと心が満たされない。

S慧「・・・・あんたはいつもそう。勝手に人のことをかき回して、こっちが何か言い返そうとするとすぐに煙に巻くんだから・・・・でも・・・返事くらいさせてよ」

屋上に寝転び、届きそうで届かない星に手を伸ばしながらつぶやく。

S慧「私だって・・・強くなれる、あんな家畜なんか、いつだって殺せる。私は超荒魔、選ばれた者、家畜同然の人間など恐れない!!」


トパーズ「独り言はイタいぞ、見ていてな」
サファイア「やーれやれ、うちのチビスケやってくれちゃってさ、負けてないって暴れて大変だったんだよね?」

そこへ、トパーズとサファイアが歩いてくる。
それを見て、慧が起き上がり、バックルを構えなおす。

トパーズ「君で最後だ、覚悟しろよ。私は白鳥と変態とバカが大嫌いだ。変身」
サファイア「あたしを見て言うなよ!!変身!!」
S慧「・・・ふふふ、あははは、上等じゃない。あんたたち全員殺してやる。こいつにあんたたちを傷つけたという絶望を刻ませてやる、私は、こいつを壊してやる!!変身!!」

白い嵐と青い光、黄色の光が行き交い、同時に飛び出した!!

クインガッシャーをサーベルモードに変えてアックスの攻撃を受け止めると同時にクインガッシャー・ガンモードを構えて銃弾を発射し、白い羽根の形をした弾丸が飛び出し、それがアックスフォームに炸裂する!!

Aバルキリー「何っ!?」

無防備となった上半身に無数の弾丸が打ち付けられ、爆発し、斧の刃がたじろぐ。
そしてアックスフォームをつかみ、ガンフォームが乱射してきた弾丸を前に突き出すと、青い弾丸が爆発し、アックスフォームのアーマーが火花を上げて爆発する。

Aバルキリー「ぐあああああああああああっ!」
Gバルキリー「嘘っ!?」

そしてアックスフォームを放り投げると呆然としているガンフォームに向かって翼を広げて無数の羽根手裏剣を発射する!!
それをもはや避けきれずガンフォームも吹き飛ばされる!!
そのまま隙を与えず、蹴りを次々と叩き込んでいく!!

Sバルキリー「私は負けない。慧なんか、怖くないっ!!私は、選ばれた者なんだっ!!!慧なんか・・・あんな家畜なんか・・・怖くないんだっ!私の居場所を、私のいたい場所を、あいつなんかにぶち壊されてたまるかっ、私の存在を汚させるものかっ!!!!赤薔薇に気に入られる?!青鰭に認められる!?許せない、あいつだけは許せない!!」

もはやヒステリーのような絶叫を上げながらガンフォームを蹴り飛ばす。
そして、パスを通し、雷が、吹雪が、嵐が全身を渦巻き、空中に舞い上がる。

Aバルキリー「まずいな・・・!!」
Gバルキリー「つーか、エメラルドの言ってたこと、マジみたいね。あいつ、もう完全におかしくなっちゃってる!!」
Aバルキリー「お前が言うんだから処置なしだな」
Gバルキリー「やかましいわ、バカ!!」

Sバルキリー「荒魔の力を思い知れ!!!」

照準が定まると同時にミサイルのように発射され、蹴りがアックスフォームとガンフォームに炸裂すると、大爆発を起こし吹き飛んだ!!

Aバルキリー「バカなああああっ!!?」
Gバルキリー「うわあああああああああっ!」

二人がビルの屋上から投げ出され、落下していく。
下を見ると、夜の闇にまぎれて何も見えない。まあこの高さから落ちたら無事ではすまない。

Sバルキリー「これで・・・また二人だ。あははは・・・あとはあの赤いヤツだけ。それと封魔師・・・あんたたちを全員黄泉の国に案内してあげるわ・・・ふふっ!!」


一方・・・。
琥珀「お前らなぁ・・・怪我人にムチャさせるんじゃねぇって・・・!!」

ビルに張り付いていた琥珀が張ったネットにトパーズとサファイアが引っかかっていた。

トパーズ「不覚だ・・・!!」
サファイア「ありゃ、強すぎ。つーか、キレちゃてるわな。いったあああああああああっ!!」

琥珀「ひどい怪我だ。急いで戻らないと・・・・!!」

琥珀「・・・つーか、お前ら、少し太っただろ?」
サファイア「し、し、失敬だねっ!?あたしの体重はラブパワーに変えられるのさっ!そうか、トパーズか!トパーズだな!?」
トパーズ「バカ抜かすなっ!!!お前だろうがっ!!毎晩毎晩夜遊びしているんだからな!!」
サファイア「いっつもクッキー食べて寝そべってチェスしかしてないじゃん!!」
琥珀「お前ら、こんなところで喧嘩するなっ、バカっ!!あ、やべ、ネットもたねぇっ!!!」

ぶちっ(ネットが千切れた音)

バカヤロォオオオオオオッ!!!!!!!!(琥珀の絶叫)

サファイアのバカがぁあああああああああああっ!!(トパーズの咆哮)
トパーズのむっちりおっぱいいいいいいいいいいいっ!!!(サファイアの戯言)

バカばっかりだ、こいつら。


結果。

祥子「ビルの屋上から落っこちて大怪我・・・ねぇ(怒り)」
彩乃「・・・・言いたかないですけど、バカですよ、これ」
眞子「というよりも、残りまともに動けるのルーベットさんだけじゃん!!どんだけバカやらかしてるんですかぁああああああ!!」
奈々美「というよりも、琥珀さん大丈夫ですか?まさか、あの二人の下敷きになるなんて・・・」

琥珀「・・・もうなれました(全身複雑骨折)」
サファイア「あいたたたた・・・・(打ち身)」
トパーズ「全く・・・不甲斐ない(打ち身)」
エメラルド「つーか、お前らに任せたあたしがバカだった・・・・」
アメジスト「でも厄介ね、残りはまともに動けるのあなたたちと、ルーベットだけよ」

ルーベット「・・・・対策が必要ですな。正面突破以外で」
眞子「前みたいにバーニング熱旋キックとかは!?」
祥子「さすがに相手もそのパターンは読めるわよ」
眞子「ですよね・・・」
サファイア「気をつけて、あいつの次の狙いは、ルーベットだ」
エメラルド「お姉ちゃんのこと、相当憎んでるもんな・・・」
トパーズ「無理はない。存在意義そのものを奪い去りかねないヤツなんだからな」
琥珀「あいつが荒魔の仲間になんかなるはずがないんだけどな」
アメジスト「あいつが認めなくても、あいつらのボスが認めてしまったら?」
彩乃「でも、慧さんって、そんなにひどい人じゃないんですよね?」
眞子「今までのやつらみたいに、人間やめました、やりたいことやりたいようにやります、殲鬼姫様命ですって感じではないですよね」

トパーズ「・・・そうだが・・・・・・」
サファイア「あいつ、基本的に人間嫌いだからね・・そうも言い切れないんだよ。殲鬼姫はどうでもいいとしてさ」
エメラルド「それに・・・あたしたち・・・本当に勝てるのかよ・・・そんなヤバいやつに・・・」
琥珀「一か八か・・ってとこだろうな」
アメジスト「ましてや、この体たらくじゃあね・・・本当に・・・動きたいときに限ってどうして動けないのよ・・・・」

意気消沈だ。
無理もない。ここまで痛めつけられ、動きたいのに動けない絶望感が彼女たちを支配している。

そのときだ。
ルーベットが「ふむ」とうなづいて、槍を構える。そして、部屋を出ようとする。

彩乃「ルーベット?」
ルーベット「むぅ?」
祥子「貴女・・・まさか行くつもりなの?」
ルーベット「もちろん」
春姫「慧ちゃんを・・・取り戻しに?」
ルーベット「この町に笑顔を取り戻すためにも、今なお暴れている荒魔たちを鎮圧しなくてはなりませんからな。それで向こうから着たら迎撃する」
眞子「何体いると思ってるのよ!?」
ルーベット「まあ、指だけでは数え切れないでしょうなあ」
奈々美「なのに、どうして・・・どうしてそんなに落ち着いているんですか?」


ルーベットが背中に槍を置いて、後ろを振り向かずにゆっくりと話し出す。

ルーベット「私はバカですからな、大事なもの奪われて、力及ばず朽ち果てて倒れても、どうしても取り戻したいと思う気持ちばかりが先走って、気がついたらもう一度立ち上がって取り戻すために突っ走っている。理屈とか力の差とかそんなものいくら聞かされても、結局は私がどうしたいしか考えてない」

「平穏な、少々暇なくらいなこの天明で、慧殿や皆と思い切り笑ってバカやりたい」

優しい笑顔で、しかし強い光を帯びた眼差しで話す言葉に、全員が胸を打たれる。

ルーベット「あの人と出会って、ほれてしまった以上、あの人の隣で一緒に歩いていくためには、いつどんなときでも背筋伸ばして、お天道様真っ直ぐ見て生きて生きたい。この空、慧殿が好きな青空がない。なら、私たちがでかい花火打ち上げて青く澄み切った青空にしないとね。さて、私は先に参りますぞ」

そういって、背中越しにいう。

ルーベット「トパーズ、エメラルド、サファイア、琥珀、アメジスト、次会うときは・・・陽の下で・・・・待ってますからな」

力強く微笑むと、電車から飛び出していく。
その言葉はどこまでも熱く、仲間のことを信じている強さが感じられる。

サファイア「・・・参るよね、あそこまで言われたら無茶するしかないじゃん」
トパーズ「全くだ・・・」
エメラルド「あいててて・・・・!!いくっきゃないじゃん」
琥珀「・・・いま動かなきゃ、ここにいる理由すらなくなっちまう」
アメジスト「そう思えば、白羽根もそんな思いと今戦っているのね」

5体が涙を浮かべて、全身の激痛に耐えながらも起き上がるが、床をはいつくばっている。

そしてそれぞれが彩乃たちに足元にすがりつくようにはってきた。

トパーズ「祥子・・・すまない・・・力を貸してくれ!!」

サファイア「眞子くん、一生のお願いだ。あたしにもう一度力を貸して!!」

アメジスト「・・・春姫・・・・お願い・・・あいつを助けて」

琥珀「奈々美・・・・・ごめんこんなことに巻き込んじまって・・・・!!」

エメラルド「あやのん、お願い、助けて!!!」

心からの絶叫。
守りたい人を守りたい、初めて心から慧以外の誰かを頼るという行為は今までの彼女たちからは考えられない行動であった。でも今は、心から信じている。彩乃達の強さを。

彩乃「・・・任せてよ。必ず取り戻してみせる!!太陽も、慧さんも!!」
奈々美「うん!!一生懸命、頑張る!!」
眞子「この眞子ちゃんと皆にまかせなさいって!!」
春姫「はい!!そしたら皆でティーパーティーを盛大にやりましょう〜!!」
祥子「・・・任せて」

そして飛び出すとそこは、慧が拉致された広場へとつながっていた。
そしてそこでは無数のスペクターたちの死体、死体、死体の山が積み重なっていた。それはすべて槍で胸を、額を貫かれ、首をはねられて、体のいたるところが折れ、腫れ上がり、無残な姿をさらしていた。

祥子「・・・一番キレちゃってるのは、あの子のようね」


そして、広場。
銀色のメッシュをたなびかせて、冷たい瞳を狂気にゆがめて笑みを浮かべて、慧に憑依した白羽根が目の前の相手を見て待ち焦がれたかのように笑う。

そしてその先には赤い槍を構えて、いつにない怒りと激情を静かに秘めている獰猛な顔つきのルーベットがいた。ベルトを巻きつけパスを構えている。

S慧「会いたかったわ・・・赤薔薇を殺したあんたにね。一番残酷な方法で殺してやる、そう、この天童慧の身体で殺してやる!!あはははっ!!」

ルーベット「・・・・死なないさ。皆が待っているからな!!」

同時にパスを構えて白い光と赤い光が飛び交い、一陣の風が吹き出したと同時に、ライフルとランスが激しくぶつかり合い、火花が飛び散る!!!

Lバルキリー「白羽根ぇええええええええええええ!!!」
Stバルキリー「慧・・・慧・・・・慧・・・!!壊してやる!!!」

憎悪と情念、二つの激しい感情がぶつかり合う!!!
,今回本当に申し訳ございません。
もし、荒魔たちや白羽根様のイメージが崩れていたら本当に申し訳ございません!!本作品で書いているのですが、慧はどちらかというとダークヒーローの面が強いので、さらに、彼女自身も自分の狂気を恐れているという一面があるので、書いてみたのですが、いかがでしょうか?次回からは最終決戦に向けて書きますので、応援よろしくお願いいたします。

>イタリアーノリク様
今回、本当に申し訳ございません。
しかし、作品を読んで一番好きな荒魔が実は白羽根様であったりします。赤薔薇との約束を守るために戦う誇り高い姿勢がとても好きでした。
そしていつもお返事本当にありがとうございます。こうして作品中の人物とお話できる機会を作っていただけるイタリアーノリク様には感謝のきわみです。

それで今回なのですが・・・。
殲鬼姫様と5人の超荒魔の方々にお聞きしたいのですが、「天童慧」という少女をどう思われますか?
人並み以上に不幸で、キレたらもう手がつけられない凶暴さと人間を受け付けない孤高さ、そして荒魔に匹敵する「闇」を持っているのですが、どう思われますか?

>烈様
それにしても、正直黒棘の言葉には頭にきました。必死に頑張っている人などを侮辱する上にどこまでも卑劣な奴であることが、よくわかる感じでした。

作品を読んでみると、卑劣ですが頭はいいし、敵を心理的に追い詰める策に関しては天才といえますね。私はそう思います。
イタリアーノリク様の書かれる悪役はこういった魅力に満ち溢れているのですね。

ちなみにエメラルドは無事です。
あの後、助けられて「自分は負けてない!!あいつ倒す!!」と大暴れしまくったそうです。

次回もよろしくお願いいたします!!,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年06月18日(金) 22時30分38秒,20100618223038,20100621223038,A/eYX52IDUzsc,仮面ライダーイグナイト外伝 YPさんゴメンナサイ! 双龍 決着,イタリアーノリク,,,
ドラグセイバーを構えながら目の前にいる毒蛇の化身と対峙するのは、黒い龍の姿と力を宿したライダー、仮面ライダー龍牙。
一方隣で腕をべきべき鳴らしながらさも楽しげに相手を見据えるのは奇しくも自分と同じ龍の姿と力を宿した
人類の進化系、ドラゴンオルフェノクこと龍美修二。

「さて、どうやって料理するかな。」
龍牙歯とりあえず目の前の敵を吟味する。背中のタンクと繋がった右手と一体化したガトリングガンは、
間違いなく毒液を噴射するウォーターガンだろう。あのウォーターガンさえなくなればこちらのものだが、
無論敵もそれを理解しているだろうから簡単には近づけない。

「なぁ龍牙さんよ」
「なんだ?何かいい案があるのか?」
「ない。」
「ないのかよ!」
龍美の投げやりな返答に柄にもなく突っ込みを入れるが、龍美は余裕タップリな調子を崩さずに話を進める。

「下手な考え休むに似たりってことわざ知ってる?俺の勘じゃあんた小細工無しの真っ向勝負が好きっぽいけど。」
「あ、あぁ。それで、何が言いたいんだよ?」
「決まってんだろう。」
ニヤリと影越しにほくそ笑む龍美の姿を見て、龍牙も龍美の考えを悟り仮面越しに笑い返した。

「そうか。一点突破。考える暇があったら前進あるのみ、てか?」
「そういうこった。」
「話は終わったか?」
「あぁ。」
「そうか。なら二人とも骨一つ残らず消えうせるんだな!」
緑毒牙のウォーターガンのバレルが回転し、無数の毒液のつぶてが二人に襲い掛かるが、二人は左右に飛びつぶてを回避する。

「どうだ凄いだろう!何せ一分間に2000発もの毒液を発射できるんだからな!」
自分の獲物を自慢しながら、緑毒牙は毒液の雨を撒き散らしていく。そのたびに毒液に当たる地面や木々が
煙を立ち上らせながら泥のように溶けていく。あの毒液の雨をくらえば冗談抜きで骨一つ残らないだろう。

「まずは貴様からだ!」
「ちっ!俺かよ!」
緑毒牙は照準を龍牙に合わせウォーターガンを打ちまくる。龍牙はただ今は逃げ回るしかない。
あれがただの鉛弾ならドラグセイバーで防御しつつ前進できるが、溶解性の毒液なら話は別だ。
いくらドラグセイバーでも、触れれば確実に役立たずになる毒液を受け止めるなど出来ない。

「ふははははは!どうした!避けてばかりじゃ勝てないぞ!」
「ああそうだな。避けてばかりじゃ勝てない。俺一人ならな。」
「そういうこった。俺がいるのを忘れるなよ!」
龍美はすかさずウォーターガンの死角である左に回りこみ必殺のパンチを叩き込む。ガトリングガンは
確かに脅威だが、右手と一体化している以上左手に少なからず死角が生まれる。龍牙も龍美も
それを理解し、龍牙は自分が囮になる隙に龍美が反撃してくれるのを期待し、龍美もまた龍牙が
的になっているうちに自分が反撃に出ようと考えていた。お互いの考えは微妙に違っていても
最終的結果は一致していた。

「おりゃあ!」
「くくくく・・・・・」
龍美のオルフェノクの皮膚さえぶち抜くパンチが襲い掛かっても、緑毒牙は余裕の様子で冷静に残った左手で受け止めた。

「だが!」
先手必勝とばかりに打ち込んだパンチを受け止められても、すかさずミドルキックを叩き込もうとする龍美に、
受け止められた右手から焼けた鉄を押し付けられるような激痛が走った。

「いでででででで!ど、どうなってんだ!?」
見れば緑毒牙の爪は自分の拳に深々と突き刺さり、そこから白煙が立ち上っていく。

「はははははははははは!どうだ!砕かれるのでも切られるでもない、溶けかされていく痛みというのは?」
「龍美!」
救助に行こうとするも、右手のウォーターガンの弾幕のせいで近づく事ができない。一方龍美の右手は
爪から容赦なく注がれる毒液によってじわりじわりとその原型を失いつつあった。

「ほらほらどうした、早く何とかしないと右手がなくなってしまうぞ?もっとも、そんな状態じゃ使い物にならないだろうがね。」
「このやろう!」
何と龍美は気合の入った一声とともに振り下ろした左手の手刀で、右腕の肘からばっさりと切り離した。

「ほう、思い切ったことをするじゃないか。だが賢い選択だな。この左手に限らず俺の毒液は強力な神経毒だ。
溶けなくとも喰らえば数分で身体の自由がなくなり、石のように指先一つ動かせなくなる。」
自慢げに語りながら、二股に分かれた舌で左手にこびりついた龍美の肉の切れっぱしを舐め取る。

「龍美!大丈夫か!」
「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・・・・・・・大丈夫な訳・・・・・・・ねぇだろう!」
駆け寄る龍牙の手を借りずに立ち上がると、龍美は右手に力をこめだした。すると肘の上から無くなっていた
右手が竹の子のように生え元通りになってしまった。ドラゴンオルフェノク自慢の再生能力だ。

「お、お前ナ○ック星人かよ!?何だそりゃ!?」
「あぁ?俺は他のお仲間より壊滅的に打たれ弱い分、再生能力はずば抜けて高いんだ。」
「よそ見してる暇なんてないぞ?少しでももがいてくれなきゃこちらが楽しめないからな。」
龍美の並外れた再生能力に感心している暇さえ与えず、毒液の雨は容赦なく二人を襲い続ける。

「ほらほら、もっと早く逃げなきゃたちまちどろどろだぞ!」
「ちぃ!それなら!」
反撃の術が見つからない龍美に対し、龍牙は起死回生を狙い一枚のカードを取り出しバイザーに装てんした。

STRIKE VENT

バイザーからくぐもった電子音が鳴り、龍牙の右手に黒龍の頭を模した手甲が装備され、同時にレギオンの血溜りから
美しくも狂気を孕んだ赤い瞳を宿した黒い龍が這い上がってきた。

「なに!?龍だと!」
「すっげぇ!なんだそりゃお前のペット!?」
「ペットじゃねぇ、相棒のドラグブラッカーだ。そんなことよりいくぜブラック!」
『分かっている!』
敵と一緒に軽く面食らう龍美の質問を簡単に済ませ、龍牙は腰に力を入れながら必殺のパンチングアクションを叩き込む。

「おおりゃああああああ!!」
「くくくく・・・・・・何をするかと思えば火球の礫か。片腹痛いな!」
耳障りな嘲笑を洩らしながら、緑毒牙のガトリングガンの四つのバレルから放たれた毒液は一つの巨大な塊となり、
龍牙のアクションに連動して吐き出したブラッカーのブレスを簡単に相殺した。

「ちぃっ!あのガトリングガン、単発も撃てるのかよ!?」
「思慮が浅かったな。」
龍牙の予想は儚く崩れ去った。当たればそれでよし、仮にかわされてもその隙を突いてドラグセイバーで
奴のガトリングガンを切り落とそうと考えていたが、ガトリングガンがシングルショットを撃つなど予想外も良い所だ。

「さぁ、戦いを続けようか!」
「くそ!っておいどうした龍美?」
再びこちらに照準を合わせようとする敵を前にしながらかわすそぶりを見せない龍美に龍牙は目を向け端を発した。

「か、身体が、身体が動かない!」
「くくくくく。ようやく効いてきたようだな。」
「なんだと!・・・・・・・・・・まさか!」
よく見れば毒液の煙は、ちょうど自分達を囲むように立ち登っている。もしやこの白煙を吸ったからか。
龍牙の脳裏を過ぎった予想を読み取るかのように緑毒牙から肯定の返事が返ってきた。

「そう、そのまさかさ。俺の毒液は気化したものを吸っただけでも身体の自由を奪っていく。人間なら一息すっただけで
指先一つ動かせなくなっちまうんだが。そっちの黒い奴はなんで効かないかわからないが、
灰色のお前は時間がかかっちまったが漸く効いてきたようだな。」
ちなみに龍牙が無事なのは、ライダーのマスクに搭載されている酸素浄化システムがついているからであるが、
生身の龍美にはそんな便利機能などついているはずがない。


「くくくくく!すぐには殺さないから安心しろ。じわりじわりと溶かされる恐怖と苦痛を味わせ、苦しみ悶えながら死なせてやる。」
ガトリングガンのバレルは容赦なく回転を始め、無数の毒液の雨が龍美に襲い掛かっていく。

(あぁ。こりゃマジでやばいかもな。もっと上手いスィーツとか漫画とか読みたかったなぁ。というか
 千景の奴俺がいなくて大丈夫かなぁ。というか仮リュミ最終回見る前に死ぬなんてやだなぁ。
 それ以前に、あいつと白黒つける前にくたばるんじゃ死んでも死にきれねぇ!白いのあいつだけど。)
他人ごとのように自分の死を受け入れるかける美の脳裏には、今までの記憶が走馬灯のように、よぎったりはしなかった。何故なら

ACCEL VENT

沈んだ電子音と共に、目にも入らぬ速度で龍美を射程圏外まで運んだ龍牙の乱入で事なきを得たからだ。

「ふぅ、あぶねぇあぶねぇ。」
「お、お前!?」
「ブラック、コイツを安全な所まで運んでやれ。」
『了解した。』
「お、おい!こら待て!」
抵抗したくてもいまだ身体の自由が利かない龍美は、自分の肩を掴むブラックにされるがまま、
毒霧の届かない安全圏内へ運ばれていった。

「まだそんな力を持っていたか。」
「面倒か?」
「かなりな。それだけに惜しい。」
「惜しい?」
「それだけの力がありながら、人というカテゴリに属している限りお前に待っているのは
矛盾と無意味に縛られた人間の無価値な世界だけだ。」
「言いたい事があるなら端的にかつ分かりやすく言えよ。」
「我々の仲間にならないか?お前ほどの力を持つ者なら、殲鬼姫様の愛を受ける資格もあろう。」
思いもよらぬ誘いが飛んできた。これがあの白い熱血馬鹿なら迷わず「断る!」と言っている所だな。
と考えつつ、龍牙は緑毒牙の誘いに暫し耳を預ける事にした。

「仲間?俺に荒魔とやらになれっていうのかよ?」
「そうだ。よく考えろ。平和だ秩序だを謳っておきながら、同じ人間同士無意味に争い、醜く差別し殺しあう。
そんな愚かな生き物他にいまい?そんな愚かな生き物が支配する世界など、何の価値もあるまい?」
「確かにな。否定はできねぇよ。」
正直耳が痛いが、向こうの言い分は大なり小なり的を得ていた。文明が始まって以来の人間の歴史は
差別と争いの歴史だ。法や技術が進歩したといっても、寧ろ悪化の一途を辿っているかもしれない。

「そんな人間に、この世界を支配する資格はない。この世界を支配するのは、殲鬼姫様と
俺のような殲鬼姫様に愛される資格を得た者だけでいい。」
「それで、選ばれなかった奴等は野たれ死ねってか?」
「少し違うな。殲鬼姫様はゴミ屑ほどの値打ちもない人間に、家畜という新しい役割を与えてくださっているのだ。
感謝こそせど、恨まれる筋合いはないと思うがね。これが愛といわずに何と言う?」
「ふーん。愛なら仕方ねぇなぁ。」
「だろう?いずれ殲鬼姫様はこの世に、選ばれし者だけの真の繁栄と秩序に満ちた選ばれし者による
千年王国を気付きあげる。お前もその楽園の住人になれるかもしれないんだぞ。」
「そいつは悪くない話だねぇ。」
「どうだ?お前も殲鬼姫様の愛を受け入れれば人を超越した存在になれるんだ。さぁ、俺と一緒に
殲鬼姫様の愛を拒んだあの愚か者を始末し、殲鬼姫様の手土産としようじゃないか。」
「すーはーすーはー!って、なんかヤバげか!?」
手ごたえありとばかりに微笑みながら、緑毒牙は肺に溜まった毒を吐き出そうと悪戦苦闘中の
龍美を指差しながら龍牙に手を差し伸べる。もし龍牙が向こうの誘いに乗れば、未だ身動きの取れない
自分など一貫の終わりだろう。まさに自分のこの後の未来は龍牙の返答にかかっていた。しかも
龍牙の態度を見る限りじゃかなり乗り気な感じが伺える。

「さぁ、俺と一緒に選ばれた楽園の」
「だが断る!!」
龍牙の口から出てきたあまりにも有名な某漫画家の逆転フラグの一言で、龍美の道は生存の未来へと繋がった。

「なんだと!?」
「お前の言う通り、人間ってのは愚かさ。正直この世界も俺からすれば守る価値もねぇし変えようとする気もねぇ。
 だがな、そんな世界にもすぐ近くに守るに値する、いや命をかけてでも守りてぇ奴らがいる。俺にとっちゃそれで十分だ。」
「人を超えた純粋なる力が欲しくないのか!」
「あぁ。」
龍牙の言葉が信じられないとばかりに、声を荒げながら叫び続けた。人などという愚かで脆弱な存在から
荒魔という人を超越した存在になれるというのに。それを拒むだけの価値ある理由があるというのか。

「ふざけるな!脆弱な人間に何の未練や柵があるというんだ!ただ一つ、殲鬼姫様に愛され、受け入れれば
人を超えた力と楽園の住人の資格が手に入るんだぞ!それを拒む理由が何処にある!」
「ターコ。そんな化け物の手で愛する彼女や可愛い妹を抱きしめられるかっての。」
中指をおっ立てつつ龍牙は小馬鹿にした調子で返した。愛する彼女と甘ったるい日々を過ごしながら
強い奴と戦いつつ適当に金稼ぎながら可愛い妹に生暖かい愛情を注ぐ。食う、寝る、遊ぶ、暴れる、いちゃつく。
龍牙の人生はこれで集約されていると言ってもいい。だが、それこそが龍牙、城戸真一の全てだった

「殲鬼姫様の愛を拒む理由がそんな下らない理由とはな。」
「下らなくて結構。人間やめちゃいました系の勘違い野郎に理解してもらう気なんてさらさらねぇよ。
 そんな殲鬼だか洗面器だか訳分かんねぇ奴に頭下げて生きるなんざなおさらお断りだね。」
「殲鬼姫様の愛を拒むのなら最早貴様に用はない!ここで骨一つ残らず消えていけ!」
再び右手のガトリングガンが唸りを上げ、毒液の雨が龍牙に襲い掛かる。だが龍牙は巧みに回避しつつ
再びベルトのデッキからカードを取り出しバイザーに装てんする。

「さっきから聞いてりゃ愛だの楽園だの」

ACCEL VENT

カードが読み来れた瞬間、再び龍牙は閃光の如き速さを得て稲妻の軌道を描きながら緑毒牙に接近していく。

「この!ちょこまかと!」
「ぶっ壊さなきゃ世界を変えられないくせに何が愛だ!!」
「ぐふぅ!!!」
アクセルベントの加速と龍牙の怒りが重なった必殺の右ストレートが顔面を見事に捕らえ、緑毒牙を後方へと吹き飛ばした。

「てめぇらの言う家畜とやらに俺の愛する彼女と可愛い妹がカウントされているって言うなら、
尚更てめぇらを見過ごす訳にはいかなくなってきたぜ。」
「全くだね。」
「なんだと!?がはぁ!!」
何時の間に復活したのか、振り向き様に蹴りだされた龍美の回し蹴りが、緑毒牙の残った
右頬を大きく凹ませ、再び放物線を描きながら吹き飛ばした。

「もう動けるのか?早いなぁ。」
「あぁ。毒を抜くのに思いの外時間食っちまったけどさ。それとさっきの話聞かせてもらったぜ。多くの命を
奪ってなにが楽園だ!ってあいつならまたそんなくっさい台詞言うんだろうけど。お前等が何しようと
勝手にやってろって片付ける所だけど。お前等の創る楽園なんざどうせケーキもテレビも漫画もなさそうだしー。
そんな世界が来たんじゃ俺にとっちゃ『死ね!』って言われるようなもんなんだよねー。」
「だからなんだ!?」
「だからーお前等に『死ね!』って言ってるんだよ。正直お前等見たいのがいるとオチオチ漫画も読めないしー。」
「ぷっ。お前本当に分かりやすくて面白い奴だな。」
二人は胸を張り荒魔の力を、殲鬼姫の愛を否定した。二人にとっての全ては何事にも縛られず自由である事なのだ。
殲鬼姫に従い、服従する世界の何処に自由があるというのか。

「驚きだ。殲鬼姫様の愛を否定するばかりか我々荒魔を滅ぼす気でいるとはな。」
「御託はどうでもいいからとっとと死ねって言ってるんだよこっちは。それとも蛇になっちまって
 耳が悪くなっちまったのかー?んー?」
「ほざけ!ここで骨一つ残らず消えていけ!」
緑毒牙の怒りを具現化させたのごとく、再びガトリングガンから雄たけびが上がる。二人は肩を並べながら
再び毒液の雨を逃れていく。

「おい、さっきの超加速ってまた使えないのか?」
「あいにくアクセルベントは前の二発で打ち止めなんだ。」
「うわっ!つっかえねー!」
「うるせぇ!けどなぁ、ほかにいい考えがあるって言ったら乗ってくれるか?」
「なんだ?俺参加の場合は楽だけど美味しい所いただけるので頼むぜ。」
「この野郎!」と思いつつも龍牙は作戦の概要の説明に入った

「どうだ?」
「いいねぇ。そんじゃ合図は?」
「俺があいつに接近したのが合図だ。行くぞ!」
「オッケー。」
二人は再び二手に分かれるかと思いきや、龍牙はデッキからカードを一枚取り出しながら緑毒牙へと突っ込んでいく。

「何を企んでいるかは知らんが、俺の毒液を如何にかしない限りお前等は俺に近づく事さえ出来んぞ!」
「あぁ。そんなの百も承知さ!」
ADVENT
龍牙によって呼び出された黒龍は威嚇するかのように雄たけびを上げながら、必殺のブレスを吐き出した。

「馬鹿が。火球など俺に効かないと前に見せただろう。」
すかさず迎撃に入ろうと照準を合わせようとしたが、それは叶わずに終わった。何故ならブレスは
自分の数メートル手前に落ち、巨大な火柱と黒煙と砂煙を立ち上らせるだけに終わったからだ。

「外した?」
前方の視界が奪われあっけに取られるが、前方の黒煙の中から薄っすらとこちらに拳を振り上げる人の輪郭が見えた。

「馬鹿が!自分から死にに飛び込んできてくれるとはな!」
「ぐあぁああああああああああ!!」
人影目掛け容赦なくガトリングガンから毒液の雨が打ち出され、黒煙から姿を表した龍牙は全身から
煙を立ち上らせながらその身体を大地に預け倒れ付していた。

「まずは一人か。さて、次はあの灰色の奴を。」
軽く頭を踏みつけ事切れているのを確認し、次の獲物である姿の見えない龍美を探そうと首を動すより先に、
背後から聞こえるはずのない声の主が自分の身体を羽交い絞めにした。

「かの偉大なるリーダーは言っていた。この世で最も恐ろしいもの、それは油断という名の化け物だと。」
「ば、馬鹿な!貴様はさっきしとめたはず!じゃああれは!」
白煙を立ち上らせて蹲る龍牙は、ガラスのように砕け散り、役割を終えたかのように粒子となって消滅した。

「あれは俺のデッキにあるカード、ファントムベントで造った分身さ。」
「そ、そんな面倒なカードまで!じゃあさっきの攻撃は!」
「そう、お前の視界を奪い、ファントムベントのカードが使われるのを悟らせない囮さ。龍美!待たせた!」
「オッケー!」
龍牙によって身動きを封じられているのを確認し、全速力で駆け出す龍美の手にはドラグクローの時に
放り捨てられていた龍牙のドラグセイバーが握られていた。

「よ、よせ!やめろ!」
「はい分かりました。ってやめる奴は」
「いなーい!」
龍牙の言葉に続きながら、龍美の振り下ろしたドラグセイバーは緑毒牙のガトリングガンをを根元から切り落とした。

「ぎゃあああああああああ!!!」
「龍美!」
「おう!右手の礼だ!タップリ受け取りな!」
「ぎゃあ!うぐぅ!」
先ほどまで好き放題されたお礼とばかりに、容赦ない滅多切りをお見舞いし続ける。

「じゃあ俺も行くぜ!」
「がはぁ!」
龍美の滅多切りをくらい足元がふらつく緑毒牙に、龍牙お得意の伍連爆流星キックが見事に決まった。

「いっせぇの!」
「せっ!」
「ぐはぁ!」
掛け声と一緒に飛ばした二人同時の回し蹴りは見事鳩尾に決まり、緑毒牙の身体を後方へと吹き飛ばした。

「龍美」
「ん?」
「最後に俺と付き合ってくれないか?」
「へっ。上等。」
デッキから取り出した最後のカードを取り出し、龍牙と龍美はお互い頷き最後の仕上げに入った。

FINAL VENT

「ブラック!最後の締めだ!気合入れていくぜ!」
『言われるまでもない!』
二人を囲むように散開した後上空へ舞い上がるのにあわせ、二人は必殺キックの体制へと入った。

「「はぁ!!」」
二人同時に地面を蹴り上げ高々と跳躍する。一方緑毒牙は先ほどの二人の攻撃で避ける余力さえ残っていなかった。

「「ダブルドラゴン!!」」
二人の背後にブラックが陣取り、龍牙は右脚を、龍美は左脚を突き出し一本の巨大な槍と化す。

「愚かだな!全くもって愚かだだ!殲鬼姫様の愛を受け入れさえすれば生き残れたものを!愛を拒んだ
貴様等に残っているのは無様な破滅の未来だけだ!!愚か愚か愚か愚か!ひゃはははははははは!」
「「ライダーキック!!」」
緑毒牙の耳障りな言葉を掻き消すように、ブラックのブレスの高熱と加速の相乗効果を受けた二人の蹴りは
緑毒牙に直撃し、人の身体と心を捨てた毒の化身を跡形も残さずに焼き焦がした。

「殲鬼姫だか洗濯機か知らねぇが、他人からもらう未来で満足してる以上俺には敵わないぜ。」
「破滅の未来ねぇ。そんなもんゴメンこうむるけど、降りかかる火の粉は払いのける。でしょ?」
「まぁな。」
お互い頷きあい、二人は軽く笑いあった。しかしそれも龍牙の口から出てきた思いもよらぬ単語で終わりを迎えた。

「なぁ」
「ん?なに?」
「お前がさっきから言ってるあいつって、もしかしてサイガのことじゃねぇのか?」
「ひょっとしてお前もサイガ知ってんの?」
「いやぁ、オルフェノク繋がりでお前が言ってた臭い台詞言うあいつなんて、俺の知りうる限りじゃサイガ以外いなくってさぁ。」
あれだけのピースでよく答えを見つけられるなと思いつつ、龍美も確認を踏まえ質問を投げつけてきた。

「ってことは、あんたもサイガを狙ってるって口?」
「もってことは、ひょっとしてお前も?」
「当ったり前だろ!あいつと俺はコインの裏表みたいに切っても切れない因縁の間柄なんだからな。」
龍美の発言に、龍牙から見えない笑みが零れる。まるで新しい玩具を見つけた子供のようにさも楽しげな笑みを。

「残念だなぁ。お前みたいなのは嫌いじゃないんだが。生憎俺は独り占めって言葉が夜の晩酌より大好きでさぁ。」
「奇遇だねぇ。俺もケーキは誰にも邪魔されず一人でワンホール食べるのが好きなんだ。」
二人の瞳がフランクな悪友から本能に任せ原始的欲求を求め続ける獣に変わった。一触即発の空気が辺りに広がる。
獣は知恵があろうと所詮獣。人なら山分けという選択肢もあるが、自分の事しか考えない獣は
自分が獲物を独占し自分の食欲だけを満たす事しか考えない。考えられない。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
二人を中心に深い静寂が包み込む。二人の耳には先ほどから激しさを増す心臓の鼓動と、空を駆け巡る
雷光の雄たけび、木々を揺らす風の音がお構い無しに入ってくる。一瞬でも隙を見せれば容赦なく付け込まれる。
だがその先の見えない静寂も、二人同時に吐き出した深いため息によって終止符が打たれる。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ」」
「やっぱやめようぜ。」
「続きはこの街の一軒を片付けてからか?」
「あぁ。」
先ほどの緑毒牙との戦いの疲労が癒えてない状態で戦えば、最悪共倒れという可能性もある。仮にどちらかが
勝っても、未だにレギオンが溢れる猛獣の織にいる以上、激戦で弱りきったどちらかが餌食になるのは確実だ。
それに本調子でもない相手と戦っても面白くない。

「なぁ?」
「ん?」
「最後に教えてくれないか?」
「何を?」
「あんたの素顔と名前。次に会うとき真っ先に再戦出来る様にさ。」
龍美の大胆不敵な挑発に一瞬あっけに取られるが、すぐに面白そうな笑みを零した。

「へぇ、そんな顔してたのか。」
「あぁ。それと名前は真一、城戸真一だ。」
ガラスのように砕けたスーツから姿を表したのは、茶色に染めた髪をロンゲで決めた整った顔立ちの同い年ほどの青年であった。
その不釣合いな獣のように鋭い眼光から覗く光は、自分と通ずる何かを感じさせた。しかもお互い変身していた時は
気付かなかったが、軽く180はあろうかという長身は、175にも届かない龍美の心を微妙にイラつかせた。

「けど、これで次に会う時は敵同士だな。」
「ま、いいんじゃぇ?俺は馴れ合いなんて趣味じゃないし。」
「言ってくれるぜ。」
真一はポケットから取り出したニコチンに火を灯そうとしたその時、龍美から今までのラフな態度を一遍させるの怒声が飛んできた。

「おい!」
「な、なんだよ?」
「俺の前で大嫌いな煙草を吸いやがって!お前が一本吸うことで二本分吸わされる羽目になるこっちの身になりやがれ!」
「わ、分かったよ。」
今までとは違う龍美の態度にたじろぎつつ、こういう煩い奴がニコチン愛好家の形見を狭くするんだよなと
心の中で呟きながら、真一は渋々ライターの火を消した。

「代わりに、ほい。」
「ん?」
ニコチンをケースに戻す真一の横から伸びた龍美の手には、チ○ルチョコと思われる一口サイズのチョコが差し出されていた。

「俺にか?」
「あぁ。俺が施しするなんてよっぽどこのことだぜー。」
「こんなんじゃニコチンの代わりにもならないけど。ま、疲れた時は甘い物がいいって言うし。」
そう言いながらもチョコを受け取り口に放り込んだ。口にチョコ独特の濃厚な甘さが広がり、真一の口を楽しませ
程よく溶けたところで食道に流しいれた。その瞬間、真一の全身からいいようの無い快感と絶叫がほとばしった。

「!!!!!!!な、なんか!かかかかかかかか身体全体が、あああああ余すとこなく、びびびび敏感にー!!」
『真一!何がどうなっている!?』
ブラックに質問されても、今の真一は全身を羽根で撫で回されるような、美女に息を吹き付けられるような
感覚をダイレクトに感じていた。今の真一には耳に息を吹きかけられただけでも悶絶し気絶してしまうだろう。

「お、おい龍美!おおお前いいい一体何を、何を食わせ、食わせやがった!!」
「なにって、ただのチ○ルチョコ・・・・・っていっけねぇ。」
海老のように仰け反り呂律が回らない真一の質問に、龍美は先ほど地面に捨てたチョコの包み紙を見て納得した。

「間違えて敏感セールスマンチョコレートエクスタシー食わせちまった。」
「それだー!」

※ ここで説明しよう。敏感セールスマンとは、仮面ライダーリュミエール放送以前に放映されていた、主人公敏感一彦が
織り成す愛と笑いと希望に満ちた、ニューロン全快のギャグアニメである。が、余りにも放送時間を
間違えまくった内容のためPTAという日本のアニメ文化を腐らせる害虫とそれに便乗するマスゴミに
散々叩かれ僅か8話で打ち切りになってしまった幻の作品である。しかし多くのファンから復活の要望を受け、
現在深夜25:30というあるべき時間帯で大きいお友達を中心に大人気放送中である。



「いやぁ、洒落で買ったんだが食う気も使う機会もないから処理に困ってたんだけど、あんたのお陰で捨てずに済んだよ。」
「てててててめぇ!なななななんちゅうもんを食わせ!あっああああああああ!!」
反論しようにも龍美に脇腹を突っつかれるたび、真一の全身から電撃のような衝撃が走る。

「こりゃあ戦うなんて出来そうもねぇな。」
「ああああああ当たり前だ!!」
そんな中真一の絶叫に誘われたのか、レギオンの増援が二人を囲むように姿を表してきた。

「おっ、どうやら敵の増援が来たようだな。安心しなよ。あんたの分まで暴れるついでに助けてやるからさ。」
「ててててててめぇ!こここここの快感と化け物退治がすすすすすんだら確実にてめぇここここ殺すからな!!」
物騒な言葉が飛んできても、修二は寧ろ願ったり叶ったりとばかりに不敵に微笑んだ。

「結構。というか歓迎だね。サイガみたいな仲良しごっこなんかよりずっと楽しめるし。
これが片付いたら何時でも遊んであげるよ。」
「そそそそそそその言葉わわわわわ忘れんな!あっ!!あああああああああ!!!!」
こうして龍美修二は真一の骨のある獲物リスト兼、全殺しリストに加わる事となり、彩乃達が
殲鬼姫を倒すまで、レギオンの断末魔と真一の絶叫が天明市に響き渡っていった。

,
なんじゃこの落ちはと思った方は遠慮せず仰ってください。謝ります。というか最初は恐れ多くも
敬愛するイシス師匠のイザベラ様と龍美君のコラボを考えていたんですが、今回は真一だからついた落ちでした。
それと敏感セールスマンの元ネタは知っている人は知っている某撲殺アニメに登場する劇中劇です。
そしてYPさん、龍美君の扱いが悪くてすいません!お気を悪くしたらこれまた遠慮せず仰ってください!

後今回登場したファントムベントのカードは、残影剣さん執筆の黒き魔剣士VS黒龍の戦士に登場しらオリジナルカードです。

さっさとイグナイト最終回、書き上げなくては・・・・・・・・・・


最後の閉めのレス返し

>お久しぶりです、えぇ、本当にお久しぶりです……体力ねえ。
早く元気な姿で復帰してくださるのを願っております。

>実はそのネタで一本話を書こうかと考えていた時期もあり申した。
そうだったんですか!?龍美君にまた会えるなら是非読んでみたかった!

>……まさかうちの子がこんなこと言うようになるとは思いもしませんでした。
いえ違います。龍美君と宙紀はコインの裏表である以上、龍美君は宙紀の考えが手に取るように分かるんじゃないかと思ったんです。
結構勘の鋭い感じでしたし。


>あれ、なんか俺ってヒーロー一人も書いてない・・・?
そんな事在りません。少なくとも龍美君も私の中ではヒーローです。少なくとも宙紀のような熱血系ではなく
ルルーシュやバージルみたいなアンチヒーローかダークヒーロー系だと思います。
,#000000,./bg_f.gif,i118-16-179-58.s10.a022.ap.plala.or.jp,0 2010年06月15日(火) 23時50分02秒,20100615190501,20100618235002,zBxhtihnYRjog,仮面ライダーintertwine第2章第17話「慌ただしき人々」,オリジナルライダー・リレー企画,,,
執筆者:岡島

8:40 繁華街付近

現在、Gのエージェントは二手に別れて13号の探索を開始していた。
一方は、13号が逃げたと思われる下水道での探索、もう一方は13号が地上に出ている
可能性からの地上での探索である。もっとも下水道での探索の方に人手が割かれており
地上での探索を行っているエージェントは少ない
その中に神月トオルの姿があった。彼は最初の探索の際に、下水道で倒れたこともあり
以降、地下で探索する事もあったが、地上での探索を中心としていた。
そして現在、トオルは繁華街の付近に居たのだが、突然、彼は足を止めた。

(この感じは・・・・・)

突然、得体のしれない、いやな感じが彼を襲う

(まずい)

そう思った、次の瞬間、遠くで爆発音がしたかと思うと、しばらくして多くに人々が、
ちょうど繁華街の方から恐怖で顔を歪めながら、ちょうどトオルのいる辺りに向かってきた。

「まさか13号か、いや違うか・・・・・・・」

だが異常事態が起きていることには間違いはない。トオルはポケットからベルトのバックルの様なものを取り出しつつ
通信機で支部に連絡を取りながら、逃げる人々とは逆の方向、
何かが起きていると思われる場所、すなわち繁華街へ向かっていく。



8:50 G本部管轄地支部、作戦室

作戦室と呼ばれる部屋は、各種情報が映し出される巨大なモニターが備えつかられ
数人のオペレーターが常駐しており、ここでエージェントの後方支援が行われる。
また指揮官であるアリシアもこの部屋で指揮を執っている
そして現在、トオルを含む数人のエージェントから繁華街での異変ついての連絡が入ってきていた。

「13号でしょうか?」

オペレーターが言うと、アリシアは、冷静に

「いや、今の時間だと13号は変身できないはずよ。それにこれまでの彼女の傾向だと
変身が出来ない状況で、こんな騒ぎを起こした事はない」
「それでは・・・・・」
「もしかしたら、未確認の怪物の可能性もあるわね」

しばらくしてエージェント達から繁華街の惨憺たる状況が伝わってくる

「これは、無視できないわね」

とアリシアは冷静な口調で言う。そしてオペレーターの一人が

「現在、現場に向かったエージェントは独自に動いています。」

と言った後、不安げに言う

「それにしても、一体何者なのでしょうか?」

現在、モニターにはエージェントによって送られてきた“キャンサー”の情報が映し出されている
オペレーターの不安な様子に対し、アリシアは冷静に

「何者であるにせよ、現状から考えて、敵である事は間違いないわ。とにかく、人手がいるわね。あと何人かこっちに回しましょう」

8:52 繁華街

「酷いな・・・・・・・」

今、トオルの目の前には、無残に殺された人々の死体が広がっていて、そして今も暴れている“キャンサー”の姿があった。
トオルは、バックルを腰に当てる。するとバックルからベルトが伸び、彼の腰に巻き付いた

「変・・・・身・・・・・・・」

次の瞬間、彼の体はベルトを中心に変化が始まり、
やがて、彼の体は、ライダースーツの上に白銀の甲冑を纏ったような姿
更に背中には大剣、そして右腰と左腰には、それぞれに同型の拳銃が装備されている。
そして頭部はヘラクレスオオカブトを想わせるフルフェイスのヘルメットの様なものに変わる。
変身を終えたトオルはアリシアの言葉を思い出す。

「一応戦闘には使えるけど、ネメシスの修復は完全ではないわ。間違ってもフォームチェンジは使ってはだめよ」

その言葉を思い出したトオルは

「わかっています・・・・・・」

と呟く。トオルの変身した姿、その名は仮面ライダーネメシス。
そして、ネメシスは背中に背負っている剣、エクスマキナを手に装備し、

「fire in sword」

と呟く、すると剣がまるで熱を帯びたように赤く輝く。
そして、その剣を手に“キャンサー”へと向かっていった。



8:55  繁華街

シキは、“キャンサー”と戦い、そしてジンとサンダルフォンが、相変わらず不毛な戦いを繰り広げる。
しばらくして、突如、爆発音が響く。

「えっ!」
「!」
「なんだ・・・・・・・」

突然の出来事に、二人は戦いを辞め、シキもほんの一瞬であるが気がそれる。
そして、一体の“キャンサー”吹っ飛んできて、別の“キャンサー”に激突した
飛んできた方は激突の直後、消滅。激突した方はダメージを受ける。
そして三人の前に、エクスマキナを手にしたネメシスが姿を見せる。
一方、三人の姿を見たネメシスは

(二体のライダータイプに黒コートの大男・・・・・・・・・敵か味方か・・・・・いやそれよりも)

“キャンサー”の方に視線を向ける。

(こいつらを倒すのが先決だな)

先ほどまで、圧倒的な物量に押されていた三人であったが、そこにネメシスが加わる。
いや彼だけではない。数人のGのエージェントが繁華街の別の場所で戦っている。
エージェント達はライダーシステムを使うもの、そうでない者もいる。その者達は頭部に
インカムの様なものを装備している(これは通信機と戦闘の状況を記録する装置である。ライダーシステムには同機能が内蔵している)
そしてライダーでないものは単純に武器を装備し戦うもの、
更には、オルフェノクのような怪人の姿(怪人体でも装置はついたまま)になり戦う者もいて
それは人間、ライダー、怪人の混成部隊だった。
ここにさらなるGから増援が向かっている。それはこの状況をひっくり返す事が出来るのか。
それとも、増え続ける“キャンサー”の前には焼け石に水か
加えて、さらなる脅威が向かって来ている事は、彼らはまだ知らない。



12:55 ボード学園 廊下

「全く、どこに行ったんだ」

初音は真姫を探しているが、まだ見つかっていない
彼女は腕時計で時間を確認する

「もう休み時間も終わりか・・・・・」

ここで彼女は、ある事を思い出し、ポケットに手を入れる

(そうだ、職員室に行って、これを返さないと・・・・・)

そして初音は真姫の探索をやめて、職員室に行こうとした。その時
彼女は、何かに気づいたように、足を止め、目を見開いた。

(まさか・・・・・・・・・・)

そして、彼女は急ぎ足でその場から立ち去る。
一方、そんな初音の姿を見ている者がいた。その者は

「面白くなりそう」

と、どこか嬉しそうに呟いた。


13:00 ボード学園部室棟のとある部室

そろそろ昼休みが終わろうとしている中、真姫は部室棟のとある部室にシンから借りた鍵で入り
部屋に鍵をかけた後、部屋の片隅に座り込み、頭を抱えながら怯えていた。

(どうして、初音さんが・・・・・・・・)

真姫が、最も恐れている人物、それが武藤初音である。

(とにかく、一旦隠れよう。午後の授業はサボって、もう家に帰る。でもどうやって逃げよう?)

とにかく学校に居たくない。それが現在の彼女の心境である。しかし下手に動けば初音に見つかる
だから一旦この部室に身を隠し、初音が彼女を探すのをあきらめるのを待ち、
その後学校から逃げる事としていた。

「あっ」

ここで彼女はある事に気付いた。

(そう言えば、初音さんこの部屋の事、まあ知っててもおかしくないけど)

一抹の不安がよぎる。直ぐに

(でも鍵はかけてるし、マスターキーは私の手元だ。)

実は、この部室には合鍵が紛失していて、マスターキーの一本あるだけ、
その鍵も、何故かシンの手元にある為、事実上、鍵の存在しない、言わば開かずの間となっている
学校側も、加えて生徒会も何故かこの事実を知らない。

(いくら初音さんでも鍵のかかった部屋を無理やり空ける事は・・・・・・・)

次の瞬間、ドアが揺れた

「!」

思わず真姫は立ち上がり、ドアの方を向く。そう誰かがドアを開けようとしているのだ

(まさか、初音さん?)

無論、鍵をかけてあるので開く事はない。しかし緊張の一瞬には変わらない

「・・・・・・・・」

彼女は願った。その人物が立ち去る事を。だが、その願いむなしく、次の瞬間、鍵を開ける音がする

「えっ?」

そしてドアが開け放たれ、その瞬間、真姫の顔は真っ青になった

「やはりここだったか」

ドアを開けて入ってきたのは真姫の予想通り武藤初音、その人だった

「どうして、だって鍵が掛かってたはず」

頭の中が軽く混乱した。先に述べたとおり、ここにはマスターキーしかない。
初音は冷静に答える

「合鍵を持っている。」

といって、真姫に鍵をみせる。

「知り合いに、ここの卒業生がいてな。ボード学園に行く事を言ったら
代わりに鍵を返してほしいと頼まれて、この鍵を預かった。」

と言った後

「この仮面ライダー研究会の部室の鍵をな」

話を終えると、彼女は部室の扉を閉め

「さて、お前に聞きたい事がある」

真姫は、恐怖で顔を歪めながらも

「その前に、少し落ち着きましょうよ」

その言葉に初音は

「私は、十分落ち着いている」

と即答、確かに見たところ落ち着いているように見えるが、その目は怒りで満ちている
真姫は涙目になりながらも

「そうは見えませんよ〜〜〜〜〜〜。とにかく少し、頭冷やそう・・・・・」
「十分冷えている!」

と真姫の言葉が終わらぬうちに低い声で言った。そして

「さて、お前、今朝レイティアを使ったな?」
「何の・・・・事・・・ですか・・・・・」

真姫は震える声で、とぼけるように答える

「見たぞ、人ごみに入っていく光の球体を」

そう、初音とシンが、見た謎の球体である

「あれは、レイティアの偵察用の使い魔だ」
「・・・・・・!」

真姫は、その言葉に図星を突かれたかのように、更に顔を引きつらせる

「さっき、お前が見せびらかしていた写真は、あれを使って撮ったんだな?」
「・・・・・・・・・・・・・」

真姫は、恐怖のあまり声を出すことさえできず、無言でうなずく

「そうか・・・・・・・・」

初音はこれでもかと言わんばかりの恐ろしい形相と、地の底から轟く様な声で

「貴様、レイティアを私用で使うとは、何事だ!」
「ひぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

この後、真姫は初音の長い説教を聞く事となり、それは休み時間が終わって、
授業が始まってもなお続き、結局、二人は午後の授業をサボる結果となった。


15:25  ボード学園、高等部2年C組教室

今日の授業が終わり、放課後になった

「志保さん、一緒に帰りませんか?」

と霧恵の誘いがあったけど

「ごめん、今日は用があるから、先に帰ってて」

と誘いを断り、私は図書室に向かった。そうサーチャーに会うためだ。



同時刻 ボード学園図書室

サーチャーは本棚の本を整理していた。

「はぁ」

とため息をつく、その表情は暗い

(とにかく、今日中に、志保ちゃんに話をしないと)

そう思ってもう三日は経っていた。佐由里から連絡を受けて以降、志保に伝えなければならない事があった。

(でも、私の一言が彼女に人生を変えてしまうかもしれない・・・・・・・・・)

しかし、いまいち踏ん切りがつかずにいた。

(しかし、このままズルズル行くのも、良くありませんね)

彼女の表情は先ほどまでとは打って変わり、何かを決意したような、吹っ切れたような表情を見せ

(次、志保ちゃんに会ったら話そう)

その機会は、彼女が思っているよりもはるかに速くやってきた。



15:30 ボード学園図書室

図書室に着くとまず貸出カウンターの方に向かったが、そこには彼女の姿はなかった。
次に私は、本棚の方に足を運んだ。
ボード学園の図書室は図書館と言っていいほど大きく、すこし手まどったけど
一番奥の本棚で、本を整理するサーチャーを見つけた。

「サーチャー・・・・・」

私が声をかけると、彼女は驚いたように一度体をビクッとさせると、ゆっくりと私の方を向く。

「志保ちゃん・・・・・」

私は、彼女に、私に話したい事があるんじゃないのかと聞こうとした
だが、その前に彼女は言った

「ちょうど良かった。あなたに話したい事があります」

その時の彼女は、どこか吹っ切れたような様子だった。
この後、サーチャーは私を、貸出しカウンターの奥にある職員の控室に案内した。
そして部屋には、私たちを除き誰もいない。

「この時間帯は、ここには誰もいませんから、ゆっくり話ができます」

そしてサーチャーは、部屋にあった椅子を二つ持ってきて、向かい合うように並べると

「どうぞ、掛けてください」

と着席を勧めた

「ありがと」

と私は礼をし、椅子に座る。そしてもう一つの椅子にサーチャーが座り、真剣な様子で
私をじっと見つめながら

「私はあなたがフェイトである事を知っています」
「!」

何となくだけど、フェイトの事を話すんじゃないかと言うような気はしていた
彼女の様子がおかしくなったのは私がフェイトになった翌朝からだから
でも実際にフェイトの事を持ちだされると、少し驚いた。
更に驚くべき事を彼女は言った

「ずっと以前から」

同時に、疑問が浮かび、私は問いかけた

「どういう事?」

すると、サーチャーは、

「私がフェイトについて、いやそれ以外もですが、何故知っているかは答えられません。だから聞かないでください
私に答えられるのは、あなたが何故フェイトになったかそれだけです。すいません・・・・・」

と言って申し訳なさそうで辛そうに頭を深く下げる。
その姿を見ていると、話したくても、話せない事に対する辛さの様なものが伝わって来て私は思わず

「わかった、その事については聞かないから、だから頭をあげて」

と彼女の頼みを了承した
そして、彼女は顔をあげると話をはじめた。

「志保ちゃんは以前、言ってましたよね。かつてのショッピングモールでの出来事を」
「うん」

私は頷く。そう私にとって、すべての始まりとなった出来事だ。もっとも誰も信じてくれなかったけど
サーチャーには、確か私が中等部に居た頃、何かの話の流れで、
その事を、サーチャーにも話した事がある。でも話した時、彼女は何も答えなかった。
別に信じてもらうつもりはなかったから、返事を求める事はしなかった。

「それが、すべての始まりです。」



16:25 ボード学園図書室


サーチャーから話を聞いた後、少し落ち着いてから私は、図書室を出ようとした。
そして突然、背後から

「志保さん・・・・・・」
「霧恵」

振り返ると、霧恵がいた。

「もう帰ったんじゃ」

すると彼女は、どこかもどかしそうに

「あの、その・・・・・・・・・・ちょっと調べ物があって図書室に・・・・・」
「そう・・・・・」

でも、なんか様子がおかしい。私は、彼女の様子から、ふと思った事を聞いてみた

「もしかして、私を待っていてくれたの?」

すると、彼女は顔を少し赤くし、どこか焦る様に

「そっ、そうじゃなくて、本当に、調べたい事があっただけで、あの、その・・・・・」

その様子から、はっきり言って、わかりやすい。

「それより、もう帰るんですか?」
「まあ・・・・・」
「それじゃ、一緒に・・・・・・・・」
「ごめん、今日は、もう一か所、寄るところがあるから・・・・・・」

サーチャーの話を聞いてから、もう一か所、寄りたい場所が出来ていた。
待たせていて悪いと思ったけど、これ以上遅くなったら彼女にも悪いと思い
その誘いを断った。

「そうですか・・・・・・・・・・・・」

一瞬、暗く沈んだような顔をする。その様子を見て少し罪悪感を覚えたが、
彼女は直ぐに、私をまっすぐに見ながら

「ご一緒させてもらってもいいですか?」
「いいけど、遅くなると思うよ、大丈夫?」
「大丈夫です。」

結局、この後、私は彼女と一緒に学校を出て、ある場所に向かった。


時刻不明 街中

街の雑踏の中に、神羅月菜の姿があった。あれだけの怪我を負ったはずなのに
そんな様子はなく、何よりも切り落とされはず腕がどうゆう訳だか存在している。
しかし、彼女の機嫌はかなり悪い

「アイツ、殺してやる、殺してやる・・・・・・・・」

と低い声で呟いている。
下水道で彼女を見つけたGのエージェントを血祭りにあげた後、彼女は下水道出て
今、街中を歩いている。
その脳裏に浮かぶのは三日前の志保達を襲った時の記憶、
そしてフェイトとなった志保に大敗した時の恐怖とそれ以上の屈辱感が、彼女を襲っていた。

「絶対殺す・・・・・・」

その声には憎しみが満ちていた。今や志保を殺す事が彼女の、すべてとなっていた。


16:10 蒼月家

真姫は授業が終わると(初音の説教の影響でほとんど授業に出ていない)直ぐ家に帰り
覚束ない足取りで自室のベッドの側まで来ると、そのままベッドにあおむけに倒れこんだ。
その眼は虚ろで、正に放心状態だった。

「初音さん・・・・・・・・・私が悪かったです・・・・・・許してください・・・・・・」

と時折ブツブツと言っている。そう初音の説教がまだ尾を引いているようであった。
そこに、彼女のスマートフォンが鳴る。
着信を確認せずにゆっくりとした動作で、それを手にする真姫

「はい・・・・・蒼月です」
「真姫・・・・・私だけど」
「アリシア?」

電話の主はアリシアだった。彼女は落ち着いた声で

「緊急事態よ。直ぐに支部に来て」

「緊急事態」という言葉を聞いた真姫は目に生気が宿り、ベッドから飛び起きた。
正に我に返ったという様子だ。

「わかった。直ぐ行くから」

そのまま、彼女は部屋を飛び出した。


16:45 ショッピングモール跡地の公園

学校を出た私たちは、ショッピングモール跡地の公園へと来ていた。

「どうして、ここに?」

と霧恵は尋ねる。私は

「ここは私にとって始まりの場所・・・・・・・」
「え?」

霧恵は訳が分からないと言った様子だ。

「昔、ここで信じられない事があったのよ」

そう、すべてはここから始まった
昔、ここにショッピングモールがあった頃、ここで私は無数の怪物に出くわした。
奴らは、多くの人々を殺し、私も殺されそうになった。
だけど、その時、私の前に「あの人」が、いや「正義の味方」が現れた。
その人は、怪物たちを倒し、私を救ってくれた。その人が、何者なのかはわからない。
姿もはっきりとは覚えていない。
でも、その時から私は、「あの人」のようになりたいと思うようになっていた。
そう「あの人」のように正義の味方になる。それが私の願い。
そして今日、私はさらなる事実を知った

15:50 ボード学園 図書室職員控え室

「あなたを助けたという『正義の味方』は、先代のフェイト、武創者です」
「武創者?」

聞きなれない言葉に思わず私は尋ねると、聞いちゃいけない事かなと思ったけど
彼女は表情を変えずに答える

「本名ではありません。異名と言えばいいでしょうか。私の良き友達で」

とここで一息つき

「あなたの思っているように正義の味方です。変身した時は仮面ライダーフェイトって
名乗ってましたね。」
「仮面ライダーフェイト・・・・・・・・・」

サーチャーはどこか懐かしそうに語る。

「『いい歳をしてヒーローごっこしてる』と揶揄された事もありましたが
それでも多くの人を助けてきた正に英雄と言える人です。まあ彼自身は損な性格でした。人助けの為にいつも自分を犠牲にして・・・・・・・・・」

サーチャーの話を聞いていて、私は「あの人」が自分の思っていた通りの人だと知って少し嬉しかった。

「すこし話が脱線しましたね」

とどこか恥ずかしそうな様子を見せると

「話を戻します」

と言ったのち

「そんな彼が、ある日、ショッピングモールで襲われていたあなたを救い、その後、あなたにフェイトを与えると、居なくなってしまったんです」

ここで、彼女が私の身に覚えのない事を言ったので、それを問いただす

「ちょっと待って、私が襲われたのは覚えているけど、フェイトを貰った覚えはない」

すると、彼女は、急に歯切れが悪くなる。

「それは・・・・・・・その・・・・・・・・」

明らかに彼女は困っているようだった。
聞いたら悪いことだったのかと私は思ったが、サーチャーは直ぐに何かを思いついたように言った

「もしかしたら子供がフェイトの力を手にした事による不具合の所為かもしれません・・・・・・・」
「不具合?」
「フェイトの力は、ある程度の年齢に達した人間以外が手にすると、何かと不具合が起こる可能性があるそうです。
それで記憶障害が起きていて忘れているのかもしれません」

言われてみれば、あの時の記憶は、怪物に襲われ、「あの人」に助けられる前後の記憶がない。
もしサーチャーの話が本当なら、フェイトを貰った時の記憶を忘れているのかもしれない

「とにかく、あなたはフェイトの継承者となったんです。しかしまだ幼い子供だった
あなたに、フェイトを持たしておくのは危険でしたので、
私の友人がその力を封印したんです」

ここで彼女は一息つくと

「そして、封印の解放の条件は、命の危険さらされる事です」

あの時、私は狼の怪物に殺されかけたから、私は変身したんだ。
ここまで話を聞いて、さっきから一つの疑問が浮かんできた。

「どうして、『あの人』は私を選んだんだろう」

するとサーチャーは

「彼と連絡がつけば、わかるかも知れんが、ただ・・・・・」

と何かを言いかけたが

「何でもありません」

そして話題を変えるように

「それより、あなたはフェイトをどう思っていますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

正直言って微妙だ。最初の戦い、あの時の事が頭から離れない。自分が自分じゃなかった感覚
はっきり言って気持ち悪いし、また同じようになる事が怖い。
ただ私は、あれは一時的な物で、今は安定していて、あんな事は起きない事を知っている。
何故、知っているかは私にもわからないけど
サーチャーは私の心中を察するように

「もしかしたら、フェイトが暴走したんでしょうか?」
「!」
「話を聞く限り、そうなんじゃないかって思いまして」
「話って誰・・・・・・」

と言いかけて、聞いちゃいけない事かな、思い。それ以上は言わなかったが
サーチャーは躊躇なく

「佐由里さんですよ」

と言った後、どこか意地の悪そうな笑みを浮かべながら

「フェイトについては私より詳しいですからね。解らない事があったら彼女に聞けばいいですよ」
「そうなんですか・・・・・・・・・・」

佐由里さんも知っていたわけか、でも何でこの前の事、知っているんだろう?
私は、話してないし、まあ霧恵が話したかもしれない。
でも、なんで佐由里さんは今日まで何も言わなかったんだろう。
まあ、後でいろいろと聞いてみよう。

「また話がそれましたね」

とサーチャーは言う。その表情に先ほどまでの笑みはなく、また真面目な表情に戻っている。

「実際のところ暴走したんでしょうか?」
「そうだと思う・・・・・・」

サーチャーにあの時の事を話す。すると彼女は、

「同じですね。彼と・・・・・・・」
「えっ?」
「彼、武創者も同じで、初めて装着した際に暴走して。だから彼も悩んだそうです」

あの人も私と同じだったんだ。

「彼の場合は、悩みを解消したというよりは、悩む事を辞めなければならなかったと言ううべきでしょう。彼は・・・・・・・・・」

少しの沈黙があり

「フェイトを使うのを躊躇して、人を助けられなかった事があって、彼はそれを後悔して
悩む事を辞めたそうです・・・・・・・・・」

彼女は、どこか悲しそうだ。そして彼女は話を続ける

「これは他人の受け売りですが、強大な力は頻繁に使ってもいけないし、
かといって全く使わないのもいけない、必要なのは使う時を間違えない事だそうです。」

と言った後

「時を間違え、力を使った事で後悔する人もいますが、使わなかった事で後悔する人もいます。」

そして彼女は、私をじっと見つめながら

「これから、フェイトをどうするかは、あなた自身にしか決める事ができません。
でも・・・・・」

サーチャーの声に感情が入る

「私は志保ちゃんには、彼のように後悔はしてほしくないです。絶対に・・・・・・・」



16:45 ショッピングモール跡地の公園

ショッピングモール跡地の公園に居る志保と霧恵。そんな二人を見ている者が

「見つけたぜぇ・・・・・・・・・」

それは、神羅月菜だった。ずっと探していた獲物を見つけた彼女は、嬉しそうな様子で二人の方に向かっていく。
だが、そこに立ちふさがる者が

「見つけた・・・・・・・・・・13号・・・・・・・・」
「お前は・・・」

月菜の前に現れたのは、髪型は長髪で背が高い少女だった。
一方、志保達や月菜を見つめるものがいた。それはラビリンス首領だった。

「手間が省けたわね」

と嬉しそうに言う。

「さて、始めましょうか」

果たして彼女は何をしようとしているのか。ただそれは、良からぬ事であるのは間違いなかった。
,遅れてすいません。最近、忙しく書く時間がとれませんでした。
今回の話は、サーチャーがフェイトを語る部分が結構大変でした。
彼女には、こういう役割が合わない気がして
うまく書けなくて大変でした。
しかし、他のキャラではうまくいかないんで
結局、彼女にこの役目を担ってもらうことにしました。
それに伴い、旧intertwineとは異なり、
サーチャーはすべてを知る者の一人という扱いになってます。
また、トオルの変身体であるネメシスが登場しましたが
本来は、代わりとして渡されたライダーシステムを
登場させるつもりでしたが
思うところあり、もう少し、後で登場させる予定だったネメシスを
登場させることとしました。
と言っても、次章以降はしばらく登場しませんが
後、今回登場したGのエージェント達について、
Gのエージェントがどういう構成になっているのかを示すために登場させました。
,#000000,./bg_c.gif,p6235-ipad01wakayama.wakayama.ocn.ne.jp,1 2010年06月14日(月) 13時51分22秒,20100612140259,20100617135122,zkKgwNlb1hn1Y,仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「ミッドナイトカーニバルD」,鴎,,,「第10章」

T祥子「・・・晶が、捕まった!?」
祥子(何ですって!?)

ルーベット「今、レーダーで見たらあの・・・ハリネズミの殿方に捕まってて・・・!!そしたらその後、晶殿の携帯から電話かかってきて・・!!トパーズ殿、どうされたらよいのだっ!?」

ルーベットがいつになく焦っている。晶が敵に捕まり、何かがあってはと頭が混乱しているらしい。

T祥子「落ち着け、まずは電話で黒棘が言ってきた話の内容を整理するんだ」
こういう状況でもトパーズは常に平静さを失わない。冷静沈着に顔色一つ変えずに顎に手をやって話を聞きだし、思案する。

T祥子「・・・なるほど、そうか。いいだろう、その取引、私が応じてやる。あとは、私に任せろ。私に策がある。今から指示をする。そのとおりに動いてくれ」

そういって、携帯を切ると今度は晶の携帯に電話をかける。
すると、聞こえてきたのは実に嫌らしく冷たい響きのする声だった。

T祥子「・・・・君が黒棘か?」
黒棘「・・・おや、その声は雷の封魔師?前と感じが違うような・・・なるほど、イマジンですね」
T祥子「ああ、トパーズという」
黒棘「ほう、貴方が・・・。これはこれは実に都合がいい、取引に応じるのが貴方とはね」
T祥子「・・・・・・そうか、私もこうして君とは一度話してみたかったところだ。荒魔切っての策士、知略と謀略に長けている優れた参謀とな」
黒棘「光栄ですね・・・黄兜が会いたがっていましたよ。殲鬼姫様の思想を理解し、この愚かな人類がはこびる腐った世界において、その思想と政治的手腕を理想的とまで言ったそうですね、大変喜ばれていましたよ。見所があると」
T祥子「独裁政治にも利点がある。乱れた風習や政治を一度基盤から仕組みを組みなおせるといった意味ではな」
黒棘「・・ふふふ、実に面白い方だ。それで?取引に応じてくれるのですか?」
T祥子「ああ、私一人でかまわないだろう?封魔師は一切連れて行かない。持っていくものもきちんと本物を用意しておこう」
黒棘「ふふふ・・・いいでしょう。もし、それが偽物だと分かったら・・・どうなるか分かっていますね?人質が・・・・ふふふふ・・・」
T祥子「小細工はしない主義だ」
黒棘「ふふふ・・・それでは30分後に・・・お待ちしておりますよ・・・・」

電話を切ると、その直後に祥子の怒りに震えた声が飛んできた。

祥子「あんた何を考えているのっ!?」
トパーズ「いきなり怒鳴るな。うるさい」
祥子「あんたねっ、よくもっ、そんなことを・・・・!!あんたには戦士としての誇りが、仲間を思う気持ちがないの!?」
トパーズ「交渉で相手の感情を逆上させることは最も愚かなことだ。交渉決裂における最悪の展開を招くわけには行かない」
祥子「・・・ぐぐっ・・・!!」
トパーズ「誇りや感情論や、封魔師のやり方がいつどこでも通用するとは限らない」
祥子「でも・・・!!」
トパーズ「さて、どうするかな・・・ふむ・・・・よし・・・・」

怒りに震える祥子を相変わらずマイペースというか突き放すような口調で言うトパーズ。
そんな彼女を放って、トパーズは今度は春姫に連絡をする。どこか感情が欠落しているかのような、そんな冷たい物言いだ。祥子は怒りで頭が真っ白になりそうだった。

T祥子「春姫か、私だ。今から言う作戦を彩乃、奈々美、眞子にも連絡を頼む。いいか、頼むぞ。人命救助がかかっている」

祥子(・・・納得なんか出来ないわよ・・・・!!)


ルーベット「・・・これが取引の内容とは!!どうされるのだ!?トパーズ殿は・・・」

トパーズが整理してくれた取引の内容を整理し、ルーベットが頭を抱えている。
琥珀とアメジストも、条件を見て、顔をしかめて頭を痛めている。

アメジスト「まさか、封魔師全員の宝珠を持ってこいとはね」
琥珀「あいつ、あっさりOKしちまったけど、いいのかよ・・?」
ルーベット「言い訳なかろう・・・!!しかし、トパーズ殿の策ですからな・・・!!」

彩乃達も困惑しているようだ。まさかそんな策をOKしてしまうとは思わなかった。
しかしそこで、口を開いたのはサファイアだった。

サファイア「・・・迷う時間はないよ、あいつを、今は信じよう」
彩乃「サファイアさん・・!」
サファイア「あいつが今まで立ててきた作戦で間違っていたことなんてないんだ。そうだろう、ルーベット、琥珀、アメジスト?だったら、どうなるかこうなるか分からない絶望より、あいつが生み出す奇跡を信じようぜ」

真剣な瞳で、どこかおどけた笑みを浮かべて言う。
しかしそこには仲間を心から信頼しているゆるぎない感情が見える。

サファイア「まあ、あいつちょっと生き方不器用というか、理詰めで何でも考えちゃうんだよなあ。怒らせるつもりなんてないんだろうけどね。でもね、あいつが仲間のことを何も考えてないなんてないんだ。それは・・・・信じてほしいんだ」

そういって、サファイアが頭を下げる。意外と友情に厚く気配りできるタイプらしい。

ルーベット「皆、どうか力を貸してくだされ!!」
琥珀「あたしたちも最大限フォローするからよっ!!」
アメジスト「・・・・お願いします」

そういうと、3体が頭を下げる。

彩乃「・・・・信じましょう!!」
春姫「はい!!」
奈々美「うん!!」

そして遅れて眞子が駆けつけてきた。

眞子「作戦は聞きました!!!あたしも乗ったあっ!!」
春姫「眞子ちゃん!!あれ、エメラルドちゃんは〜?」
眞子「トパーズさんからの作戦で別行動です!!」
ルーベット「・・・・腹はくくった!!」
琥珀「こりゃ寝てられないな」
アメジスト「見せてあげましょうよ、うちらのしぶとさを」
サファイア「そうこなくちゃね」

状況は一変したといっても過言ではない。
黄兜、青鰭といった強力な戦闘能力を持つ二人を倒したことで荒魔たちの戦力は大幅にダウンし、一息ついたかのように思えていた矢先の出来事であった。

ところがこの状況をひっくりかえして優位に立ててしまったのが黒棘だ。
晶を拉致し、人質に取ることで行動が制限されてしまったために、これまで通りの行動が難しくなる。
その手段を選ばない卑劣さ、秀逸な頭脳による作戦を思いつく回転の速さ、そして敵のいかなる攻めにも柔軟に対応し、無効化させてしまう奇策に見事やられた。

ルーベット「しかし、トパーズ殿、どうしてそんな要求をあっさりと・・・?」
琥珀「到底思いつかないだろ、あいつの作戦なんてさ」
アメジスト「まあ、期待だけはしておくとしましょうか」
サファイア「そうだね」

彩乃「トパーズさん・・か、一体何を考えているのかしら・・・・?」
眞子「黒棘みたいなヤツなんかとまともに話し合えるはずがないのに・・・」
春姫「・・・今は信じましょう〜、トパーズさんが本当に荒魔に肩入れするような人には見えませんし〜」
琥珀「イマジンだけどね」
春姫「はうっ・・・」

ツッコミを食らい、考え込む春姫。
今は信じるしかない、バルキリーズきっての参謀長の彼女に。


一方・・・。
森林公園内にて・・・。

エメラルド「まさかそこまでやるとはね。でも、こちとらそんな事態想定内だってんだ。黒棘のヤツ、うちらのチームワーク甘く見るなよな・・!よっしゃ、あとは自動操縦機能に変えてと・・・・OK!!」

何やら言いながら銀色の小型の箱のようなコンピューターを操作すると、電子の色とりどりの光が行き交い、音が発する。それを確認すると同時だった。

ザクッ・・・・・ザクッ・・・・

木陰に隠れていた彼女だったが、足音とともに感じられる気配の主を誰か察したかのようにゆっくりと出てきた。それと同時にバックルを装備してパスを構える。
そしてその人物の姿を見て、確信を得たと言わんばかりにその表情が獰猛な怒りに歪む。

エメラルド「一人で来るなんざいい度胸じゃん・・・・お姉ちゃんを返してもらうよ。それで、あんた倒すけどいいよね?答えなんか絶対に聞かないけど」

S慧「・・・・私を倒す?冗談にしては笑えないわね。口のきき方には気をつけなさい・・・・死ぬわよ」

白羽根が憑依した慧がパスをバックルに通して暴風を身にまといストームフォームへと変身する。そして、エメラルドもパスを通し、緑色の光を全身に纏う。

エメラルド「変身!!」

そして、ソードフォームへと変身したエメラルドが剣を構えると同時に飛び出した!!

Sバルキリー「アタシのビートで・・・地獄までイカせてやらぁああああああああ!!」
Stバルキリー「ふん・・・・うるさいわね」

もう一つの苛烈なバトルが火花を切っていた・・・。


30分後。
トパーズが宝珠を持って葦原駅のホームにやってくると、そこには黒棘がいた。

そこにいたのは20代前半ほどの青年であった。肩まで伸びた白髪と整った顔立ち、黒いセルフレームの眼鏡をかけている青年であった。知的かつ物腰穏やかそうな青年であるが、トパーズは彼の狂気を感じ取っている。

トパーズ「君が黒棘か・・・?」
黒棘「いかにも・・・そうですか、貴方が着ましたか。一人で来るとは・・・随分と余裕ですねえ?お仲間も・・・連れてこられればよかったのですよ?」
トパーズ「取引には私一人で来いと言ったのは君だろう。それに、私はこういった取引を横槍入れられるのは一番嫌いだ。君とのゲーム・・・・楽しみにしていたのだからな」
黒棘「ゲーム・・・・ふふ・・・・そうですねえ・・・・命の駆け引き・・・・これぞまさしく狂気と理性のギリギリを見極められる最高の娯楽・・・・しかし・・こちらが圧倒的に優位に立たせていただいて、実に愉快ですが、貴方はどうですかねぇ・・・?」

そういって、後ろを振り返ると、そこには傷つき倒れた晶のほか、何人かの男女が恐怖と苦痛にゆがみきった様子で涙を流し、嗚咽交じりに祈り、われを助けてくれと張り裂けんばかりの絶叫や恫喝を叫んでいた。
見ると、天井には無数の棘が鋭い先を下に向けて氷柱のように生えている。彼が合図すれば一気に落下し、下にいる人間たちは串刺しとなるであろう。

トパーズ「これで、晶を抵抗させないようにして、痛めつけたということか」
黒棘「実に愚かですねえ、人間というのは。拡張工事だか肝試しだか知らないが、立ち入り禁止と言われているにもかかわらず他者の命令を無視し、己の欲望を満たさんばかりに破滅の闇にあっさりと足を踏み入れて、きたるべき運命を見苦しく拒絶する。そんな愚かな人間など家畜同然、屑しかり、生きている価値など見出せない」
トパーズ「・・・ここまでバカだと救いがない」
黒棘「そうでしょう、そうでしょう。いやあ、貴方は実にわかっていらっしゃる。そんな愚かな人間を守るなどというそれに輪をかけた愚かな異形の王など、もはや滅び去ってしまえばよかったのですよ。彼のいた時間が消えてしまったときにね」

数時間前。
晶は人質に取られていた人間たちを助けるために、黒棘と彼の配下である無数のスペクターたち相手に必死で抵抗したが、大勢に無勢、さらに満身創痍であるため、圧倒的な人海戦術で攻め込まれて、完全に打ちのめされたのだ。

黒棘「所詮彼は裸の王様。何も守れない。愚かですねえ、なぜ、何も守りきれない弱き存在であるのに、今なおあがき続けるのか?理解に苦しみますよ・・・」

晶を容赦なく侮蔑と罵声で罵り続け、冷たくサディスティックな笑みを浮かべる黒棘は自身の勝利を確信しているのか、愉悦に浸っている。

トパーズ「・・・・・・・」

祥子「・・・・春姫、離して。あいつ・・・・もう許せない・・・」
春姫「しょ、祥子ちゃん、落ち着いてください〜!!!今は、トパーズさんに任せてください!!今飛び出したら作戦が・・・!!」
祥子「・・・・もうそろそろ・・・・限界来てるのよ・・・・あいつ・・・・どこまでも腐ってるのね・・・・」
彩乃「あいつ・・・・・!!」
眞子「バカは死んでも治らなかったってことね・・・!!」
奈々美「・・・トパーズさん・・・・どうするの・・・?」

黒棘「挙句の果てには雷の封魔師のことを侮辱したとき、虫けらの分際で私に牙を剥きましたよ・・・何が・・・・許さないですか・・・実に弱者のお決まりのお言葉・・・ですね」
トパーズ「雷の・・・?祥子のことか」

祥子「・・・私の・・・・こと・・・?」

黒棘「彼女、赤薔薇に先代の雷の封魔師を殺されたそうですねぇ?彼女のミスで。実に愚かだ。力なき哀れな道化が出しゃばるから、結局彼女が殺したようなものです。そのような、救いもないクズに力を貸すなどと笑わせる・・・・といったら、激しく怒りましたよ」


「あの人のことをバカにすることは許さない。あの人は・・・・慧と同じくらい強い人だ。この町を守るために、町の人の笑顔を守るために、たくさんの苦労や絶望を乗り越えてきたんだ・・・・俺は・・・・あの人を・・・・祥子さんを尊敬してるんだ・・・・。戦士として・・・・一人の女の人として・・・・強くて優しい人だって思っている!!その人を・・・お前ごときが・・ヘラヘラ笑ったりバカにするな・・・絶対許さない!!」

ルーベット「晶殿が・・・そこまで・・・!?」
琥珀「感じ取ったんだろうな。あんたのこと」
アメジスト「あいつ、他人にはなかなか心を開かないのよ?」
サファイア「だから、無茶とは知っていても、許せなかったんだろうね。君の事、慧には少し及ぶけど、そのくらい大事な人なんだろうよ。だから、君のために本気で怒るし、本気で戦うんだ・・・それこそ無茶なのにね」

一度「誇り」や「信念」を認めた相手には徹底的に尽くし、力を貸そうとする。
それがチェックメイト・フォーのキング、大友晶という人物なのだ。

その言葉を聴いて、5人が唖然としたように聞き入っていた。特に祥子は・・・涙が一筋零れ落ちていた。激しく胸を打たれた熱い感覚に全身が震える。自分の過去も、今も、全てを知り、そしてそれでも守ろうとするまっすぐな姿勢に。

春姫「晶さん・・・!!そこまで祥子ちゃんのことを・・・!!」
彩乃「あの人も・・・色々と戦ってきて、失ってきたから・・・・分かるんだ」
眞子「あんなにボロボロになっているのに・・・それでも気遣うなんて・・・!!」

祥子「・・・・・バカ・・・・・!!」

トパーズ「・・・・そろそろ取引と行こうか?」
黒棘「おや、つい話し込んでしまいましたねえ。それでは、例のものを・・・」
トパーズ「ああ、人質は・・・・無事に帰してくれるのだろうな」
黒棘「ええ、もちろん」

そういって、トパーズが袋から取り出したのは、灼熱の炎を封印している赤い宝珠、吹き行く優雅な風を封印した桃色の宝珠、雄大な大地の力を封印した黄色の宝珠、生命あふれる青い水流の力を封印した青色の宝珠、そして光り輝く稲妻を封印している緑色の宝珠。
それを受け取ると、トパーズが晶たちの下へと駆け出す。

その直後、黒棘がヘッジホッグスペクターの姿に変わり、槍を構えて、指を鳴らす。
すると、天井から槍が一気に落下しだしたのだ!!

ヘッジホッグスペクター「そんなこと、言うわけないでしょう」

祥子「そんなっ!!」
彩乃「こいつっ!!」

その直後だった。

トパーズ「・・・予想通りだな」

今度はトパーズが指を軽く鳴らすと、棘が空中で次々と大爆発を起こした!!
ヘッジホッグスペクター「何!?」

そして、扉が開き、人質を非常口から脱出させると、晶も立ち上がった。
全身ボロボロで、擦り傷と打撲だらけの痛々しい姿だ。

晶「・・・・ありがと・・・・」
トパーズ「礼などいらん、よく持ちこたえてくれた」

ヘッジホッグスペクター「おのれ・・・!!」
その直後だった。
彼の足にむくりと黒い影が持ち上がり、彼の足元に強い力で押さえつけて、飲み込まんと闇が持ち上がってきた。まるで意思を持っているかのように。
その闇から見えるのは、殺意、狂気、憎悪、ありとあらゆる負の感情に満ちた瘴気・・・。
ヘッジホッグスペクターが思わず本能的に恐怖を感じ取り、宝珠を投げはなった。
すると、宝珠の光に闇がひきつけられるようにして蠢く。

光だ・・・光だ・・・・救われる・・・・救われる・・・・

死者の光を求める地の底奥深くから響くような声が聞こえてくる。
そう、ここは首を切られて葬られた亡者が地の底に追いやられた地だ。
そんなところで聖なる力など使ったら、こうして光を求める死者に飲み込まれる恐れがあった。だから、晶は5人をここには来させなかったのだ。そして宝珠を利用して黒棘を逆に追いつめるためにこのような取引を思いついたトパーズの明晰な頭脳が思いついた作戦であった。そして、棘には先ほどエメラルドが仕掛けたステルス機能つきのハチ形監視カメラを爆弾化させたものが取り付き、人質の無事を確認しだいすぐ爆発するように仕掛けておいたのだ。

トパーズ「相変わらず無茶をするな」

晶「・・・まあね、でも、男の子ですから、このくらいの痛みどうってことないよ。それに・・約束しちゃったからね、祥子さんと」

ヘッジホッグスペクターに向かい、晶がベルトを構えてキングのデバイスを差し込む。

晶「この町の、この町の笑顔を守るって。あの5人から一人でもいなくなったら、ダメなんだよ。彩乃さん、眞子さん、奈々美さん、春姫さん、誰一人奪わせはしない。あの人の笑顔を守るために・・・そう決めたから!!」

祥子「・・・・約束!!」

ヘッジホッグスペクター「戯言を・・・!!殺してやる!!」
晶「・・・・変身!!」

トパーズ「ああ、このバカにいい加減引導渡してやりたかったところだ。貴様は許さん!!変身!!」

キングフォーム、そしてアックスフォームに変身するとヘッジホッグスペクターの合図で無数のスペクターが現れる。取り囲まれるが、そのときだった。

マータ「グランド・・・・インパクトォ!!」
ヴァーユ「サイクロンスナイプ!!」
リクォール「スプラッシュアロー!!」
イグナイト「バーニングライダーパンチ!!」

大地の衝撃が、嵐の矢が、水流の槍が、そして烈火の拳が取り囲んでいた敵たちを吹き飛ばす。そしてそこに4体の封魔師が飛び出してきた。

Aバルキリー「すまないな、茶番につき合わせてしまった」
ヴァーユ「いいってことですよ、敵をだますにはまず味方からでしょう!?」
マータ「黒棘が逃げます!!」
イグナイト「どこまでも予想とおりね!!でも、こっちも考えているんですから!」
リクォール「晶さん!!今、祥子ちゃんが黒棘を追いかけています!!お願いします!!」
Kワイバーン「了解!!」

向かい来る無数のスペクターを前にアックスフォームが斧を構えて立ち向かう。

Aバルキリー「救いようがないバカ・・・・お前のことなんだよ、黒棘君。後悔させてやる、私たちに下手な喧嘩を売った報いをな!!」

金色の光が斧に集まり、一気になぎ払うと、金色の光が巨大な刃となって無数の敵を力任せに吹っ飛ばしていく!!その衝撃にさらに後ろにいたスペクターたちも巻き添えを食らって粉々に打ち砕かれていく。

Aバルキリー「ガイア・・・クラッシャー・・・!!」

やっぱり最後に言うのね。
そして、相当頭にきていたらしい。普段の冷静さを感じさせない荒々しい猛攻を発揮したのである。

ヘッジホッグスペクター「ちっ・・・いったん仕切りなおしですね・・・!!」
祥子「仕切りなおしなんてさせないわよ」

そういって、ヘッジホッグスペクターの前に勇敢と立ちはだかったのは祥子だった。
緑色の宝珠を輝かせて、あらゆる破邪を焼き払う雷を解き放つ。

ヘッジホッグスペクター「貴様・・・・!!」
祥子「・・・あんただけは絶対に許さない。ここで倒す!!変身!!」

怒号と共に稲光が放たれ、仮面ライダーヴォルグと化した祥子が斧を構えて一気に躍り出た。両腕の斧を巧みに操り、豪快に攻め込んでいく。ヘッジホッグスペクターが槍を構えて対抗するが、怒りで猛攻するヴォルグに圧倒される。

ヘッジホッグスペクター「おのれ・・・・おのれぇええええええええええ!!」

身体を丸めて高速回転すると地面を削り、バウンドしながら縦横無尽に飛び跳ねて一気に攻めだしてきた。そして雷の攻撃をはじくと、そのままヴォルグに向かってくる!!

しかし、そこへキングフォームが飛び出すと、槍を取り出して一気になぎ払う!!
槍の一撃を食らい、天井を、壁をバウンドしながらヘッジホッグスペクターが転がっていく!!

Kワイバーン「全くもう、しつこいったらないよ」
ヴォルグ「・・・・晶」
Kワイバーン「はにゃ?何?」
ヴォルグ「・・・あの・・・・その・・・(///)」
Kワイバーン「・・・祥子さん、ケリつけるよ、力貸してくれる?」
ヴォルグ「・・・OK!!」

晶が槍を構えると全身から青い稲光が発せられ、全身を取り巻くと同時に一気に駆け出す!!後ろからヴォルグが緑色の稲光を放つと、それを身にまとい、一気に加速し、やがてそれが巨大な竜の姿へと変えていく!!
巨大な牙を開き、ヘッジホッグスペクターを食らいつくさんと一気に押し寄せる!!

Kワイバーン「食らえ!!」

槍を一気に放ち、それが突き刺さると同時に青と緑色の稲光の渦ができ、その中に飛び上がり、右足を突き出す!!さらにヴォルグが飛び上がり、左足を突き出すと同時に加速して飛び込む!!

ヘッジホッグスペクター「ああ・・・ああ!!」

Kワイバーン「ダブル・カラミティー・・・!!」
ヴォルグ「ライダーキック!!!」

ヘッジホッグスペクター「ぎゃああああああああああああああっ!!!!」


二人の蹴りが同時に炸裂し、ヘッジホッグスペクターが絶叫を上げながら稲光に包まれて焼き尽くされ、中から紫色の宝珠が飛び出し、中にはハリネズミの彫刻が入っているものが晶が受け取る。

晶「・・・・ひと段落・・・かな?帰るとしますか・・ね・・・・あれ・・・?」

そういって、何事もなかったかのように歩いていこうとするが、足腰から力が抜け、前のめりに倒れこむ。しかし、それを祥子が前から受け止めた。そしてそのまま腕を回し、晶の小柄な身体を強く抱きしめる。暖かくやわらかい感触、芳しい匂いが鼻をくすぐる。晶が思わず抵抗しようとするが、もはやその力さえない。驚きで目を見開いているばかりだ。
顔さえ真っ赤に染まっている。

晶「ふえ・・・・?」
祥子「・・・バカ・・・・バカ・・・・・バカ・・・・!!あんなヤツなんかのいうことなんか・・・本気にしないでよね・・・・!!こんなに傷ついちゃって・・・・本当にバカ・・大バカだよ・・・・!!私のためなんかに・・・・・・!!」

肩が熱い何かがしみこんでくる。身体が小刻みに震えている。抱きしめた腕が力強く抱きしめている。

晶「・・・・バカでいいもん。バカだもん」
祥子「・・・でも・・・・ありが・・・とう・・・・あき・・・ら」
晶「・・・・・こっちこそ、助けてくれて、ありがと・・・祥子・・・さん」

そういって、晶が倒れこむ。意識を失ったらしい。
しかしその顔には笑顔が浮かんでいた。心から安心しているかのような優しい笑顔。
そんな彼をずっと「バカ、バカ」といいながら泣きじゃくる祥子を見て、残りのメンバーたちが安心したかのように笑みを交し合う。

祥子「バカ・・・・バカ・・・・バカ・・・・・ありがと・・・・バカ・・・・バカ・・・ありがと・・・・バカ・・・バカ・・・・」

彩乃「本当にどうしようもないくらいバカですよね、バカ過ぎて・・・カッコいいじゃん」
眞子「あれが彼女持ち・・・世の中キビしーわね」
奈々美「・・・・そうだねぇ・・・」
春姫「祥子ちゃん・・・・今は思い切り泣いていいですからね」

ルーベット「あれでは、慧殿の心を射止めるわけだ」
サファイア「ああ、納得だね」
琥珀「成長しやがって」
アメジスト「・・・まあまあじゃない?」
トパーズ「及第点だな」


その頃・・・。
最悪の知らせが彼女たちを待っていた・・・。


森林公園の一部が激しく嵐が吹き荒れたように建造物が破壊され、木々が吹き飛びへし折られ、地面がえぐれている。
その中で、折れた刃が地面に刺さり、その傍らではソードフォームが、アーマーが砕け散った無残な姿で地面に横たわっていた。ピクリとも動かない。

それを冷たいまなざしで見下ろしている白羽根が憑依した慧が、一瞥するとその場を立ち去る。

S慧「誰が来ようと・・・・負けるわけにはいかないわ」

もう二度と死なないために。

懐から取り出した一本の白い薔薇。

この薔薇に誓った願いを果たすまでは・・・。

S慧「私は・・・もう負けない。どこまでも・・・・足掻いてやる。運命にも、闇にも」

腕を広げると、背中から白い光が翼のように広がった・・・。

続く
,今回いよいよ終盤になりつつあります今回のクロス作品ですが・・・いかがでしょうか?
今回はトパーズの頭脳戦、そして、晶が約束を守るために戦う真剣勝負を書いたのですが、イタリアーノリク様大変申し訳ございません。謝りっぱなしですね。今回の作品で、世界観を壊していないか気になります。

感想のお返しを書きます。
>烈様
前回はサファイアもやるときはやるといった真剣な戦いぶりを書いて見ました。そして、やはりセクハラとエロに命をかけているのもやはり彼女ならではの影響です。そして今回、地震の力を操るといった新しい技やそれにつながるような戦略をどのように表現すればよいのか考えました。

そして、今回の新キャラクター「大友暁」くんとイーグルイマジンたんの「クリス」さんですが・・・実は今度出す予定の「番外編」に登場させていただきたいのですが、お願いできますでしょうか?脚本は今書いているので、出来上がりましたら投稿させていただきます!!よろしくお願いいたします。

>イタリアーノリク様
今回も大変申し訳ございません!!
サファイアはやはり暴走していてナンボ、そして黄兜様とのやり取りでここまで書いていいのか真剣に悩みました。サファイアのことをこのように評価していただきありがとうございます。青鰭さんや赤薔薇さん、黄兜様も感想ありがとうございます。

それで、今回も質問よろしいでしょうか?
荒魔の存在を唯一肯定し、殲鬼姫の独裁政治を合理的とはいえ肯定してしまうトパーズ。
そんな彼女と、ファンガイアの王として戦った大友晶ですが、黒棘様と黄兜様、どのような感想を思われているでしょうか?

いつもご感想いただきありがとうございます。
,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,1 2010年06月11日(金) 22時22分28秒,20100611003519,20100614222228,zayfcxK/rMm/I,仮面ライダーセレナ第壱拾六話後編「復活の黒/英雄の憂鬱」,@PF,,, コレまでの仮面ライダーセレナは

 性別の壁

男 | 女
男 | 女




*****





 クラブファクターBは色んな意味で打ちのめされていた。

(何なんだよアレ、英雄って言うからどんなモンだと思ったら何かヤンキーじゃね!?
 微妙にシスコン入ってる気がするし!)

 “英雄・仮面ライダーフォルテ”――前大戦中多くのキメラ、そしてE・Vの首魁を打倒したその存在が、キメラ達に与える印象は基本的に畏怖か嫌悪である
 ……と世間一般の普通人には思われがちなのだが、その実むしろ逆だったりする。
 そも、キメラへの対応が当初の「撃破」から「捕縛」に転換されたのは、フォルテがストームファクターとの戦いによって結果的に「キメラ=人間」の認識を世に広めたからだ。
 その為、現存するキメラ…前大戦で無力化され洗脳を解かれたキメラに取って、仮面ライダーフォルテは命の恩人と言っても過言ではなく、感謝や憧れを抱く者は少なくない。その活躍から畏怖も同時に抱かれている事が多い為、一般人の認識が全て間違っている訳でもないが、それ以上に一般人とはまた違った意味でキメラやその家族にとっても英雄と言える存在なのだ。
 その存在は一種の偶像(ネタ)と化しており、フォルテ関連の動画や二次創作作品とか作られる有様である。
 肖像権?有名税です(キリッ

―閑話休題―

 つまり現在進行で、クラブファクターBの中にあったヒーロー像がガラガラと音を多立て崩れ落ち、妹思いの乱暴なあんちゃんの像として再構築され始めているという訳だ。
 そして…

(強さも思ってた程でもない…のか?)

 苦し紛れの牽制、それでどうにかなると思って繰り出した物ではなかったが、実際には距離を離させる事に成功している。
 彼の逸話から鎧袖一触でぶっ飛ばされる物と思っていたが、そう言う訳でもない。

(ヤッパリ実戦から離れすぎてたからか?それにどうも不調が有るっぽいが…なら――)

――思った程絶望的ではない

 現にこうして姉と自分を引き離す為に小細工を労してきた事も、その結論を補強する。

(けどさぁ…)

 そう、絶望的“では”ない
 無いのだが――



(だけど…アッチの方が強いのは変わらないんだよな)

 押し合いをすればアッサリ投げられ、先程殴られた時の踏み込みは辛うじて残像が見えた程度だ。
 思ったよりマシなだけで、状況が好転したとも言えない。無鉄砲な姉をフォローしているせいか、喋り方や態度の割にネガティブなBは、必死に頭を巡らせる。

(フォルテはきっと何かの不調を抱えてる、とにかく時間を稼いで突破口を探すしかない。
 そして出来るなら姉ちゃんと合流を…)

 Bが出した作戦…と言うより作戦を立てる為に立てたその指針は、奇しくも今のフォルテに対して一番有効な作戦であった。

 尤も、それが功を奏するかは、また別の話なのだが。


***


「やあぁぁぁぁぁっ!!」“メキリ…”
「っ…だっかっらっ!効かないってんでしょうがぁ!!」
「ほいさっ!」

 渾身の左ストレートをヒビに叩き込んだ私は、すぐさまバックステップで振り下ろされたハサミを回避した。打っては避け、避けては打つッ!
 クラブファクター達を分断してから早数分、さっきからずっとこの繰り返し、Aのハサミは当たったら痛いけど大振りな上に掛け声まで出してくれるなら避けるのはそこまで難しくは無い。まぁ、フェイントが恐いから常に気は張ってるんだけれども。

「効かないってんなら大人しく食らい続けてよね!ケチ!」
「寄ってきた時がアンタをぶっ飛ばすチャンスなんだから聞けない相談よ!」

 そりゃそうだ、そもそも私の意見だって何処の子供だって位滅茶苦茶だし。
 言ってみただけである。

 と、丁度そこへセレナが口を挟んでくる。

『マスター、今の威力ならあと三発で目標ダメージに達します。但し敵の治癒能力を加味すると、平均371.4秒で必要数が一発増えると思ってください』
「了解っ」

 朗報かどうかは分からないけど、少なくとも悪い知らせじゃない。
 明確な目標が見えてやる気が出てきた私は、テンション高めで再度Aに突撃をかける。今も竜兄が一緒に戦ってくれてると思うと気分が高揚して、何でも出来そうな気がしてくる。
 でもそこでセレナがやや暗い声で私を呼ぶのを聞いて、足を止めた。

『……マスター…』
「ん?」
『…いえ、何でもありません』
「??」

 むぅ、だったら止めないで欲しい…まぁ、言わないで置くけど。
 とにかくゴールは目前だ、一気にやろう!

 そう心を奮い立たせると、私は今の最大速力でクラブファクターA――正確にはその左脇のヒビに向かっていった。





………
……………
…………………
…………………………






『(可笑しい……。
 フォルテの姿を見てから、マスターの脳波ノイズ強度とナノマシンの稼働率が飛躍的に上昇している……。
 マスターに自覚出来るような影響は無いみたいですが、ただテンションが上がっているだけ…というのは楽観的が過ぎるかもしれません。
 一体何が起きているのでしょうか、杞憂で済めば一番なのですがね…)』


***


「いくぜっ!!」
「こなくそぉ!!!」”

 フォルテが駆けだした瞬間、クラブファクターBは両腕のハサミを微妙に高さをずらしつつ外側から抱き込むように振り回した。どうせ狙えないのなら範囲を優先した攻撃を放ち、体勢を崩す、あわよくば上手く当てるか距離を離させる腹積もりだ。先程の一連の行動を見るに、少なくとも完全に躱しつつ攻撃して来るのは難しそうだとBは判断していた。
 だがその思惑は丸きり外れる事となる。丁度両ハサミの間、その空間にフォルテが両腕をクロス、両拳を反対側の肩に着けるようにした体勢を取り――

「ふんっ!!」

 掛け声と共に、両拳が外側に開かれるように放たれた。それらはそれぞれの方向から迫ってきていたハサミに叩き付けられ、その甲殻にヒビを入れつつ弾き飛ばしてしまう。

「んなっ!?」

 真正面から弾かれるのは、彼にとって想定外だったが、これはパワーで完全に負けている事を失念していたBの失策だった。
 そして衝撃によりBは両腕が外側に吹っ飛ばされた体勢になり、両者とも翼を広げた鳥のようなポーズとなる。

「オラッ!!」
「ぐぶぅ!」

 そんなお互いの滑稽とも見えるポーズを笑う暇もなく、防御も反撃もままならないBの顔に、その勢いのまま突撃してきたフォルテの頭部がぶち当たる。
 甲殻の上からとは言え、気を抜けば見失いかねない程の速度が乗った頭突きだ。Bの視界に星が飛び、思考も一瞬止まってしまう。

「お寝んねにゃまだ早いぜぇっ!」
「くっ!?」

 フォルテはそんなBの頭を左手でおもむろに鷲掴みにすると右拳を思い切り引き絞り、突き出した(ヒーローっぽさ?なにそれ?美味しいの?)。

「オォラァ!!!」/「くぅあぁっ!!!」

 気合い一声、甲殻を砕かん勢いで放たれた拳がBの胸部のど真ん中に叩き込まれる。
 しかし視界を封じられたBが破れかぶれに振り回したハサミがフォルテの拳が届くよりも一瞬早くその胸部装甲を抉り、その体勢を崩した為に、実際の効果はヒビを入れて軽く陥没させる程度に留まる。

「ちぃっ!!」
「ぐ……でぁ!!」

 離れ様にハイキックを打ち込むフォルテ。側頭部に蹴りを食らったBは怯みはしたが、今度は倒れず反撃のハサミを振り下ろした。フォルテはバク転でそれを躱し、すぐさま腕力で身体を跳ね上げ立ち上がると、34歩程の距離を挟んでお互いが向き合う様なポジションに収まった。

「ゲフッ…ガハッ……っく」
「ッ……フン、思ったより根性有るじゃねぇか」

 早くも塞がりつつある胸の傷を軽く撫でると、フォルテは咳き込むBに向かって賞賛とも取れる言葉を投げる。

「…そっちは英雄なんて大層な肩書きの割にそれほどでもないな」
「ハッ、そうかい!悪かったなぁっ!!」

 嗤い、フォルテが駆ける。

 次の瞬間にはお互いがお互いの射程距離に入り、その瞬間、漆黒の拳と緑のハサミが同時に放たれた。


***


「やッ!…っち」

 放った拳がハサミでない方の腕に阻まれ、鈍い音が響く。
 それを見て、私はすぐさまハサミの反撃が届かない場所まで退避。案の定、一瞬遅れて私の居た場所を紅いハサミが通り過ぎていった。

「外れか…」

 振り抜いた姿勢でクラブファクターAが独りごちる。だがソレより私が気になっている事は、今し方拳をハサミで防がれた事だった。
 それが偶々ならともかく、意識してやられたのならばソレは私に取って大きな意味を持つ。
 無論悪い方に。

「ねぇ、ひょっとして気付かれたのかな」
『いや、あれだけ執拗に狙って置いて気付かれないってのはないでしょう…。
 あそこまであからさまにやってればナメクジだって理解しますよ』

 それは暗に私をナメクジ以下だと言いたいのか?(全国のナメクジファンの皆さんゴメンナサイ)
 たしかについさっきまでしつこく脇腹のヒビばかり狙って何とか残り二発まで詰めたけど…あの人なんかバカっぽいしもうちょっと気付かないで居てくれるかなー、なんて期待してたのに

『だから私は無駄な攻撃も織り交ぜるべきだって言ったんですよ…』
「う…でもそれじゃ回復されちゃうし」
『それで気付かれて余計に時間が掛かったら本末転倒でしょうに』

 私がセレナとそんな風に反省会をしていると、クラブファクターAが口を挟んできた。

「ふっふっふ…残念だったわね、アンタの企みはお見通しよ!」
「…うん、だろうね」

 取り敢えずそう返しておく(投げ遣り)

「さっき偶然入れたこのヒビに攻撃して私の甲羅を割るつもりなんでしょうけど、そうはいかん!」
「……」
「さぁ、好きなだけ来るが良いのだわ!狙ってくる場所が分かってれば防ぐのは簡単だけどね!」
(言われなくてもやるしかない、か)

 微妙に気の抜ける挑発だけど、言ってる事は間違ってない。

(一撃目でガードを外して、二発目で本命を当てる、そうするしかないかな)
「ふん、無駄な事を!」

 取り敢えず、得意げに笑みを浮かべている(様に見えるだけで実際は甲殻に隠れて表情は良く見えない)Aに向かい、私は姿勢を低くして突撃、そして左腕を振り上げ、ヒビをガードしていた腕に叩き付ける。

「くっ!」
「ちっ、無理か…ならさ!」

 しかしAの腕は一瞬ヒビの前から外れた物の、二撃目を打ち込む間も無く元に戻ってしまう。そこで今度はハサミの射程外には避けずにAの背後に回り込んで、振り向かれる前に

「てゐ!」

 思い切りその膝の裏を蹴りつける。

「おひょっ!?」

 当然、ソレを受けたAはカクンを身体を落とすように姿勢を崩した。
 必死にバランスを取ろうとするかのように“両腕を投げ出して”、だ。

「戴きィ!!」

 そして丁度良い高さにまで降りてきたヒビに向けて、思い切りミドルキックを打つ。

“ミシ…メキ”

 甲殻を貫通はしていない、でも足越しに、軋む感触が伝わって来た。
 よし、これで、

『あと一撃』

 最後の一撃は“特別な一撃”だ、少しの隙を見て打つと言う訳には行かない。
 もう少し工夫しないと…

「いっ…たぁ!離れなさいよぉ!!」
「っ…と」

 ハサミを後ろにサッと下がって躱しながら、作戦を考え続ける。
 ガードを外しつつA自体の動きも制限する様な状況を二秒、いやせめて一秒でも実現できれば…。
 ヨロヨロと立ち上がるクラブファクターAの動きを観察して見るも、どうにも良い考えが浮かばない。
 私が元の姿だったなら幾らでもやり様はあったんだけどなぁ。パワー不足が何よりも痛い…というかパワーが足りてればそもそもこんな小細工しなくて良かったんだけど。

『マスター』
「んあ?」
『一つ、思いついたのですが』
「ホント?」
『ええ、少々危険ではありますが、見込みはあるかと』
「(危険…)
 取り敢えず聞かせて?」
『では軽く説明するので、マスターは回避に専念していてください。ホラ前』
「え?「死ねよやぁー!」うわぁっ!」
『ではですね』
「えっ、もう始めるの!?ってうおぅ!」



〜毒舌機械説明中〜



『……と、こんな感じでどうでしょう』
「成る程そりゃ確かに危険だわ、と言うか上手く行くかな…」
『まぁ、私自身、自分で言っていて行き当たりばったりな上に運頼り過ぎる気はしましたが』

 私に聞きながら戦う何で器用な真似が出来る筈もなく、ひたすらAから逃げ回りながらセレナの説明を聞いていた。
 説明の内容を聞いた限りでは、出来そうな気もするし、出来なさそうな気もするという感じである。何しろ作戦の重要な“ある要素”、それに関しての私の慣れというか習熟度がイマイチなのだ。
 一応理論上は出来る筈だとの事。

「でも、ま、やってみますか!」

 そう決めた私は、Aから逃げる速度を上げつつバックルのダイヤルを回す。
 そしてAとの距離がある程度離れたのを見て、バックルを押しつつ向き合う様に方向転換して足を止めた。

『ディストモード』

 アーマーが緑色に輝いて形を変える。光が砕け現れたのは、スッキリしたデザインのボディに大きめの四肢、白い装甲に緑のラインが入った姿、射撃戦用形態「ディストモード」。
 つい最近手に入れたその姿で私は地にシッカリ足を着けて、前方のクラブファクターをシッカリ見据えながら、両腕はいつでも動けるように構えておく。

「観念したか小娘ェェェ!」

 私が足を止めたのを見て、Aはオーバーモーションでハサミを振り上げると、ソレを私の頭目掛けて振り下ろしてきた。

(動きは素人、パワーも硬さもあるけどスピードは大したことない…落ち着け、やれる!)

 迫るハサミ。私は後ろに飛び退きたくなる衝動を抑え込んで、ソレから目を離さない。
 私は自分に言い聞かせる。
 頭を冷やせ、目を懲らせ、感覚を研ぎ澄まし思考を加速させろ、その為の“この姿”なんだから!

 本来なら狙撃補助用らしいディストモードの“感覚増幅”、それがハサミの動きを鮮明勝つ緩慢に見せてくれる。
 そしてハサミが私の頭から拳二つ分位の位置にまで迫った時…

(今だ!)
「っ!?」

 迫るハサミ、その反対側に回り込むように身体を傾げつつ、相手の肩の関節、そこの甲殻のスキマに正確に地獄突きを打ち込んで、ハサミを減速させつつ動きにブレを作る。
 そしてすぐさま肘関節より少しこちら側に添えるように腕を差しのばした。
 同時に腕の甲側を覆うように縦に細長い平面状のバリアを展開、甲殻と衝突してバリアの表面から拡散したエネルギーが白い火花を上げた。
 そして肩への打撃で幾分か勢いが弱まっていたハサミは、障壁をカチ割ることなく光の尾を引きながら“バチバチ”と破裂音に似た耳障りな音を立てて、バリアに沿って私の頭に向かうはずだった軌道を逸れて行く。

「(次は…………ココだ!)ふんぬっ!!」

 ハサミの軌道が完全に命中コースから逸れているのを認識した私はバリアを解除、その瞬間にハサミの先の方を掴み、思い切り後ろに引っ張るっ!

「っ、あぁ!?」

 当然つんのめってバランスを崩すA、ディストモードでそれなりに腕力が上がっていたから上手く行った事だ。

 そして今のAは無防備になっている。右のハサミはバリアに沿って流れ、左の腕はガードするようにヒビの辺りを彷徨っている。コレでもヒビを叩くのは厳しいけれど、今私が狙ってるのは違う。
 “狙い目”は今無防備に成っている。
 そして私は右手を指を二本突き出した形に構えて、引っ張られて私の方に倒れそうになっているAの狙い目に向け…

「そこだァ!!」
「ぇ?


“ぶすっ”


 〜〜!?!?!?!?っっっめ、目が!?目がぁ――――!!

 思いっ切り目潰しをしてやった。
 そしてハサミもガードしていた腕も放して、目元を抑えて悶絶するAに思わずガッツポーズしたくなる。

 ちょっと硬い感触がしたから、効かなかったらどうしようかと思ってたけど、問題無く効いたようだ。
 むしろ普通に指が眼に突き刺さったりしたら、コッチがトラウマになる所だったぜ…。

 可哀想だけど、とにかくこれでヒビのガードは剥がした。

「セレナッ!」
『了解』

 私が拳を振りかぶりながらセレナに合図を送ると、私とAのヒビの間に光の棒が生まれる。

「おりゃぁッ!!!」

 そして私は渾身の力でヒビに向かって押し出すように、その先端を殴りつけた。

“ドッ…”
「目……っ!?」

 響く打撃音。
 そして私の拳に押し込まれた棒の先端がヒビに当たると同時に、光が散る。


『再構成完了』


 光の中から現れたるは、甲殻に突き立つ白い剣“セレナスティンガン”。
 もう割と見慣れた私の武器。


 迷わずその柄を両手で掴むと、私はソレを力の限りに押し込んだ。

「ぐがぁ…っ!?」

 手に伝わるのは、薄くて硬い物を突き破り、その奥の柔らかい何かに入り込む感触。
 “柔らかい物”が何かを考える前に右のボックスから緑のスティックを引き抜いてスティンガンのグリップの端に押し込む。

『ディストジェミニ』

 突き刺さっていたスティンガンが緑に光り、蒼と紅に分かれる。その中から現れた二丁の拳銃を、今回は落とさずにキャッチ、両方ともスティンガンが刺さっていた部分に向けて何も考えずに両の引き金を引きまくった。

「砕ッけろぉぉぉぉやあぁぁぁぁぁっ!!」
“ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!/ガガガガガガガガガガガガガガッ!”

 炸裂弾が断続的に響かせる爆音と、通常弾が絶え間なく鳴らす破砕音。
 赤い甲殻が砕け、削れ、細かい破片となって飛び散った。
 強固だった甲殻は、私達が開けた“穴”を起点にして破壊されて行く。

 爆裂弾の爆風と甲殻の破片が私も傷付けるけど、今は気にしている場合じゃ無かった。痛いのも熱いのも無視してとにかく甲殻を砕く事に専念する。

(このまま倒す!)


 だが突然

“ガキンッ”「あ?」

 何かが引っかかる様な音と違う手応え。
 突然弾が止まり、音もなくなる。トリガーハッピー気味に茹だっていた頭はその変化について来れずにフリーズした。

『しまった、弾切れです』
「え、ちょ「ああああああアっ!!!」しまっ…くあっ!」

 一瞬…どころか一秒程の隙を晒してしまった私は、その隙に銃を弾き落とされ、更には正面からハサミで殴り飛ばされてしまう。



 数秒の滞空の後、背中から勢い良く地面に落ちて、叩き付けられた背中から強烈な痛みがわき上がってくる。
 しかし殴られたはずの胸には余り痛みがない。

「けほっ、けほっ…う、思ったより痛くない…」
『いやぁ、障壁の展開が間一髪で間に合いました。マスターの胸が薄くて良かったです。
 もっと豊かだったら間に合いませんでしたよ』

 あからさまに胸の大きさを罵倒された、鬱だ…。
 でも仕事はキッチリこなしてるから質が悪い。
 わき上がる微妙な感情。
 微妙な怒りと微妙な悔しさと微妙な感謝、それを無理矢理に噛み殺して私は何とか起き上がり、Aを探す。

(逃げられてないよね―――居た、ってうわっ…)

「はぁ…ハァ…グフッ…が、ぁ…よくも…やって、くれたわねぇ!」

 私の視線の先に居たAの姿は酷い物だった。
 全身の甲殻にはあちこちのヒビが入って、特に私から見て右側は所々白い“中身”が露出している。(焼いたり茹でたりした蟹の身みたいな色だ)
 そしてヒビの中心、私がしこたま銃撃を叩き込んだ脇腹の辺りには大きな傷が出来て火花と血飛沫を吹きだしている。
 逆に右半身は比較的被害が少ないようで、無事な部分が多く、特に右腕のハサミには殆どヒビが入っていない。
 まぁ、右が軽くても左のダメージは大きいらしく、その状態でAは片膝をつきながら私の方を睨み付けていた。

 自分でやっといて何だけど、ちょっとグロくて引いた。
 あと何故か海産物を焼いたような少し美味しそうな匂いがしたのが、何か腹立たしい。

 何にせよ、この状態にまで持ち込めればもう倒す事は出来る。
 脇目もふらずに逃げられてたら厄介だったけど、幸いそんな発想は無いらしい。
 私はバックルを弄りながら、立ち上がった。

「決めてあげる、この戦いは私達の勝ちだよ」
「ほざき…なさいよ…武器も無い癖に」

 そう言われて私は自分が銃を落とされた事を思い出した。
 よく見るとAの足下にディストジェミニが両方とも落ちている。
 成る程確かに私の武器はない。分解からの再構成をしようにも、今の弱体化した身体で何度もやるのは不安だ。
 それにヒビが入ったとは言え、甲殻その物は残っている。さっきまで一方的に不利だったモノがようやくフェアに成っただけ、武器がないならやっと五分五分、いやさ、未だアッチの方が幾分有利…


 とか思われてるんだろう。

 だけどそれは間違いって物だ。今更武器(そんなモノ)は関係無い。

「ねぇ」
「?」
「“仮面ライダーの必殺技”と言えば何だと思う?」
「な、に…?」

 Aに問いかけながら、バックルのリングを押し込む。



『モードリリース』



 光と共に白に戻るアーマー。
 未だ片膝をついたままのAに向かって、軽く左半身を引いた構え。



「ライダーと言えば」



 初めて変身した時以来使ってなかった必殺技。
 でもこれこそが私達(仮面ライダー)のお約束。



『イグニション』



 再びリングを押し込むと、素っ気ないセレナのアナウンスが響く。



「――――キックでしょ?」



 そして私の左足が光を放ちながら変形を始めた。





***



 時は少し巻き戻り、Bとフォルテが拳を放って少し後の場面。


 断続的に響く鈍い打撃音。

 その音を出しているのは漆黒の装甲と緑の甲殻。
 それらがぶつかり合う度に、鈍い音を周りに響かせる。

 彼等は現在、漫画に出てくる喧嘩宜しく、足を止めて殴り合っている真っ最中だった。

「だぁらッ!!」
「ごあっ!この…!!」
「おっと…お返しだオラァ!!」
「ごふっ!負けるか!」
「ぐっ!」

 お互いの距離は腕一本分もない。そんな距離で拳を食らえば早々避ける事は出来ない。
 事実、彼等はお互いの攻撃をそのまま受けるか、ガードするしかしていない。
 もう一歩下がれば容易く避けられるであろうモノが来ても、お互いに一歩も退こうとはしなかった。
 古い言い方をすれば、ステゴロと言うヤツである。


「喰らえッ!」
「くっ…ハハッ!やるじゃねぇかよ!ドラァッ!!」
「ぐあっ!」

 必死なBの攻撃に対して、フォルテはそれを手で受け止め、殴り返す。
 一見、一進一退の状況に見えるが見た目のダメージには明らかに差がある。
 条件が同じでも、いや、だからこそ地力と技量の差が出ているのだろう。

「いい加減そこを退け!」
「お前が倒れたらな!」

 その言葉と共に、フォルテの攻め手が苛烈さを増す。
 Bは防戦一方でそれを受けながら、呻くように叫んだ。

「クソ、クソが!退けよ、退いてくれよ!姉ちゃんのとこに行くんだよ!!」
「―――」
『あ、主!?』

 Bの言葉にフォルテの動きが僅かに強張る。
 その隙を好機と見たBはハサミを叩き付けたが、間一髪フォルテの腕によってそれは阻まれた。
 しかしフォルテの動きは止まり、そこへハサミを連続で振り下ろして行く。

「?――どうしたどうした英雄さんよ!決着つけるんじゃなかったのか!?」
「ぐっ、この、調子に…」

 防戦一方
 攻撃その物は防いでいるが、腕を通して伝わってくる衝撃は殺せない。
 オマケに無理な稼働や防御をすればそれだけで歪みやダメージが蓄積して行くフォルテにとっては非常に不味い状況だ。

『主!』
「……あぁ」
『……主よ、分かっているのか?』
「………」
『こんな事は言いたくないが、私達が負ければあの小娘は…』
「っ…分かってるよ、ったく、これだから―――」
「お前、何を言って…?」
「ああくそっ!」

 そこで耐えるだけだったフォルテの動きが変わる。

「でも、そうなんだな、俺だって鷹音ちゃんを助けなきゃならねぇ、だからよぉ…」
「っ! ぐはっ!?」

 ハサミの連撃の僅かな間、その間隙にハサミよりも早く振り上げられた蹴りがBの顎に突き刺さり、その体ごと吹き飛ばす。

「俺は勝つ、そしてテメェは負けろ!!」
「ぐっ、がっ、ごふっ、うぐっ、っぁっ!」

 正拳、振り下ろし、肘鉄、アッパー、裏拳、フック、フリッカージャブからのストレート…
 更に仰け反ったBに、更に拳での連撃を加えて行く。
 吹き飛ぶ事も怯む事も許さない程の猛撃、その攻撃が当たる度に、緑の破片と、僅かな“黒い”金属片が飛び散る。
 そしてBの胴体の甲殻の前面をほぼ隈無く叩き割ると、最後に踏みつけるようなカカト落としで地面に叩き付けた。

「ぐ……は…っ」
「悪いな、“油断しねぇ”ッつったのによ。
 何となくお前の事を“倒さなきゃならない相手”として見切れてなかったわ。
 ハッ、ハハハッ、“形振り構わない”ってのはこう言う事だったな、知らず知らず手を抜いてたみてぇだ」

 Bを見下ろすフォルテ、その手足のアーマーには修復されつつあるがヒビが入っており、それを一瞥した彼は自嘲気味に笑う。
 そこへ現状のコンディションの分析を終えた“フォルテ”が報告を挟む。

『損傷率20%オーバー、無理な運用と打撃による衝撃が原因と推測される』
「ヤッパリな、手応えに何割かはコッチの方が砕ける感触だったって事か」
『まぁ、それを何とかするのが私の役目な訳だが…。
 何にせよ出来るだけ手早く決めて貰えるとお互い助かると思うぞ』
「分かったよ。
 ――――さて」

 そう言うとフォルテは後ろに飛び退き、バックルの緑色の菱形を軽く叩いた。

「自覚無かったとは言え手を抜いてた詫び、と言っちゃなんだが――」
『エクステンション』

 フォルテの足元から“カシャリ”と軽い音が聞こえ、右足が蒼い光を放ち始める。
 そしてその光は甲高い音を鳴らしながら段々と強くなって行く。

「――コレで終わりにしてやる」
「っ!」
“ゴォンッ!!”


 そう叫んだフォルテが輝く右足を踏みならすと、そこから光が爆発し、轟音と共にその体は蒼い光の尾を引いて跳ね上がる。


「フォトン…」
“ゴォンッ!!!”


 そして最大まで上がった所で今度は後方、Bとは反対方向の空間に向けて蹴り出すと、先程と同じ音を立てて光が爆発、反作用でBに向かって身体ごと一直線に飛んで行く。
 輝く右足を突き出し、さながら飛び蹴り(ライダーキック)のような体勢で。

(アレは…!)

 それを認識したBは今更のように起き上がって逃げようとするが、痛めつけられた身体は思う様に動かず、それ以前に最早そんな選択が許される段階ではない、彼自身が一番理解してしまっていた。


「――っまz「ストライクッ!!!」――――――」


 Bが防御をしようと思い直すよりも早く、キックが彼に突き刺さり、三度目の爆発を起こした蒼い光が、彼の意識をその身体ごと飲み込んだ。



***


――――コオオォォォォ―――

「おっ!?…っとと」

 変形した左足から幾つも突き出した翼のようなプレート。
 甲高い音を上げながら風を取り込み、その代わりに白い光の粒を撒き散らす、そのサイクルの量と速度は段々と上がって行っている。
 私は、それに籠められているだろう力を暴走しないように、シッカリ地を踏みしめて抑え込む。
 気を抜いたらすっ飛んでしまうかもしれないと、内心恐々としてるのは内緒にしたい。
 ふとAの方に目を向けた。

 私の右足が流石にヤバイ物だと分かったのか、動けないヒビだらけの身体で少しでもダメージを減らそうとするかのように身構えていた。

『出力調整と機動補助は此方でします。マスターはとにかくアイツを蹴っ飛ばす事だけを考えてください。大まかな思考はある程度読み取れますから』

 言われるまでもない。
 どうせ今更止められないし、止めてももう一発撃つ程の体力は残ってない。コレで決める為の努力はしてきたつもりだし、後は結果を御覧じろ。
 と言うか私の考えが読めるっての、何気に初耳なんだが…

 心を決めた私は重心を前に傾けて走り出す様な構えを取る。

 位置について!

 よ〜〜〜〜〜い・・・

「ドンっ!」

 ってね!

 気合いと共に渾身の力を籠めた左足で地面を蹴った瞬間、左足で一気に増幅した推進力が私の体を吹き飛ばすように加速させた。
 私はその推進力に身体の重心が乗るように体勢を調整しつつ、Aに向かって突撃する(その調整もセレナが殆ど代行してくれていたらしいけど)。
 その加速した私とAの距離は一瞬より少しだけ長い時間で0になり…

「! 〜〜――…」

 擦れ違う。

「? ど、何処に…」

 Aの後ろに出た私は、右方向に大きく曲がった軌道を描いてAの左側に回り込んだ。
 そこで回し蹴りの様に足を蹴り出すと、吹きだしていた光が更に大きく強くなり、私をコマの様に回転させて、そのまま私はAに向かって行く。


「!!」
(もう遅い!!!)


 そして再度私達の距離が0になり、私の体自体の加速、それに回転によって更に運動エネルギーを上乗せされた足が、私から放たれている光に気付いて振り向こうとしていたA、その脇腹の私が付けた傷に命中した。


“バキリ……メキ……ビシ”

 私の足がAのヒビにめり込み、そのヒビを更に広げ、伝わった衝撃でAが身体ごと持ち上がる。


「――ぎ」


 私は回転の勢いのまま白い軌跡を残す足を振り抜き、そして私の蹴りを食らったAは右前方に眼にも止まらない勢いですっ飛んで、そこに有ったビルにめり込み突き抜け、それを丸ごと粉砕して、それでも尚止まらない。


「――――あぁぁぁぁぁぁぁ――………」


 遅れて聞こえてきた悲鳴と瓦礫(元ビル)が崩れ落ちる音、それを聞きながら私は両足を地面に着けて、足元から火花を散らしつつ回転を抑え込んで体勢を立て直す。

「ふぅ」

 左足の逆変形を終えて一息つくと、もう一つビルが崩れる音が聞こえてきた。


「はぁ…コレって探しに行かないといけないんかね…」
『さぁ?私としてはマスターが見事に粉砕したビルの事を気にした方が良いと思いますけどね』
「いや、そっちは弁償しろとか言われない限り別にどうでも」
『さいですか』
「まぁ、それはそれとして封印処理しに行かないと…あ、アッチも終わったみた『チッ!』えっ?」
『? どうかしましたか?』
「いや、いいけどさ」

 気にしても仕方無いか。
 まぁ、セレナが誤魔化そうとしている事に無理に突っ込んでも精神的に返り討ちに遭うだけなので、私と同じように戦いを終わらせたらしい竜兄の所に向かって行った。



***



“ゴバァンッ!!”

 轟音と共に広がる蒼い光、その中から黒い影が飛び出し少し離れた所に降り立った。

「っと、ふぅ、終わった…かね?」
『ナノマシン反応通常レベルにまで低下、生命反応は消えていない』
「つまり?」
『問題無く倒せたという訳だな』
「そうか」

 小さくホッと息をつきながら黒い影――フォルテが光の有った所に目を向ける。
 光は既に消え、後には円形に焦げて抉れた路面と、その中心で倒れ伏す青年(ZE☆N☆RA)が居た。

 青年はピクリとも動かない。当然だ、フォルテがそうなる様にしたのだから。
 殺した訳ではない、只気絶させただけだし、長くても一時間もすれば目を覚ますだろう。
 しかし、彼が戦いに籠めていた思いや目的は挫かれた。フォルテが挫いた。

「………」

【クソ、クソが!退けよ、退いてくれよ!姉ちゃんのとこに行くんだよ!!】

「……チッ、コレだから洗脳されてねぇキメラと戦うのは苦手なんだよ」
『主?』
「気にすんな、久々に戦って、ちとナイーブになっただけだ。…よし早速封印処理を“ジッ…バチバチバヂィ!”痛ぇっ!?」

 突如、フォルテの右足がスパークしながら煙を吹き出し、跪いてしまう。

『右足ダメージ許容範囲をオーバー。エネルギーラインの大半が焼き切れた上に各関節部も歪むか破損しているな』
「フォトンストライクのせいか…?」
『正確には戦闘で歪みが溜まっていた所に限界近くの負荷が掛かったせいだな。
 フォトンストライクだけのせいじゃないし、特に最後の三回連続解放は良く最後まで保ったと思うよ』
「くそっ、調整不良のツケかよ!つーか格好付けて飛び蹴り何てするんじゃなかった!
 普通に蹴れば良かった!!」
『いや、無理な稼働のお陰で、反って調整用の良いデータが取れた。
 ………50秒貰いたい、それで完全に直そう』
「待て!それじゃ……あ、ヤッパ良さそうだわ」
『?』
「いやホレ、鷹音ちゃん達も勝ったみ『チッ!』は?」
『ぬ?どうかしたのか?』
「……あー、取り敢えず立てる様にしてくれ(まぁ、実害は無さそうだし良いか…)」
『ふむ…………出来たぞ、主の要望通り“取り敢えず”立てる程度だからバランスは保障せんがな』
「…いんや、十分だ――よっtイタタタタ!あ、足がいてぇ!くそ、こりゃ帰ったら足の治療しなきゃならねぇな」

 立ち上がった瞬間、フォルテの足に激痛が走る。皮膚の表面を刺す様な痛み、恐らくアーマーからの影響ではなく、アーマーの下の生身の足その物が傷ついているのだろう。
 元々負担が掛かっていた上、先程ショートした際に火傷をした様だ。
 それを受けた“フォルテ”は、機械とは思えない、聞いているコッチが申し訳なくなりそうな悲しそうな声で謝罪する。

『…済まない、主、私の…』
「いやいや、フォルテのせいじゃないからよ」

 博士のせいだな、と苦笑いしながらフォルテが妹分が戦っていた方を見ると妹分こと、白い仮面ライダーが手を振りながら此方に向かって走って来ている所だった。



「ま、何はともあれ、取り敢えず一件落着かね」
『概ね…と言ったところだな』




****




 同時刻:某所



 何処にでもありそうな部屋、人が暮らしているのに必要な物は揃っており、生活感も程々に漂っている普通の部屋。そこに金髪と黒髪の二人の少女が居た。
 金髪の一人はソファーに座って携帯ゲームを片手に机の上に置いた書類に何かを書いており、黒髪の方はテレビに映るドラマのエンディングをボーッと眺めている。



『この番組は、あなたの暮らしに更なる一歩、“P4(ピーフォース)グループ”と、ご覧のスポンs「ん!んん〜〜〜〜ビビッと来たぁ!」』



 と、突然金髪の方がビクリと震えると、携帯ゲームを取り落としながら叫びだした。

「どうかした?」
「うん、今回の結果、どうやら今回も負けたみたいよ」
「…何時もと変わらないね」
「今回は二人送ったから、ひょっとしたら勝っちゃうんじゃないかと思ったんだけど」
「白い仮面ライダーが強くなってたの?」
「いいえ、むしろ最近は弱くなってるわね。増援が出てきたみたい」
「……灰くん?」
「いーえ、残念だけど貴女の王子様じゃないわ」
「…マキナってライダー?」
「それも違う」
「……じゃあ誰?」
「…………フォルテよ」
「…蘇ったの?」
「反応薄っ。
 別に死んでた訳じゃないし、そう言う表現はどうかと思うけどね…。
 まぁ、この段階で彼の復帰を知れたのは僥倖だった…かな。コレが“誘導”や“交渉”にどう影響してくるか未知数だけど。“英雄”の名前の影響力は良くも悪くも大きいからね」
「ふーん」
「これでいきなり全てがおじゃんって事には成らないはずだけど…よしんば“交渉”が上手く行っても肝心の“誘導”がダメだと色々問題が出てくるしねぇ。そんな状態で強行した所でダメになるのは目に見えてるし、特にフォルテの存在はその辺に影響が出やすそうだから、対処は考えておかないと。かと言って排除する訳にも行かないから面倒なのよねぇ…」
「へぇ」

 金髪の説明もかねた長い呟きも、気のない返事でアッサリ切って捨てられる。

「“へぇ”て、ホント遊希ちゃんはフレイムファクターの事以外興味無いのな」
「…私がココに居るのはその為だけだから」
「へぇへぇ、熱々で羨ましいこって、未だ春の一つも訪れないこの身には熱すぎまさぁ」

 と、金髪は顔を押さえながら黒髪――遊希に向けて手をパタパタと振る。その茶化す様な態度を受けても、遊希の表情は一切変わらない。

「…分かってると思うけど…約束」
「大丈夫よ、彼に関して嘘はつかない、貴女の邪魔もしない、でしょ?今回出てきてないのはホントよ。補足範囲内での反応もなかったし、少なくとも戦いに参加してないのだけは確か。
 約束は守るからさ、彼がこの町にいるって知って逸るのは分かるけど、もっと落ち着いテ、ね?」
「…うん、破ったら“綺稲(キイナ)”でも」

 サアアアァァと音を立てて、どこからとも無く彼女の周りに水が集まってきた。それを見た金髪――綺稲は顔を青ざめると泡を食って宥めようと必死に言葉を紡ぐ。

「わ、分かってる分かってるから!同じエレメントシリーズでも正面から戦ったら私に殆ど勝ち目ないの分かってるでしょ?心臓に悪いから止めて…」
「…正面からじゃなかったら勝てるって言いたいの?」
「だからぁ――――!!」

 そうして綺稲は半泣きになりながら遊希のご機嫌取りに時間を費やす事となった。





****

―――どうでも良い蛇足





 肌を撫でる風、ヘルメット越しに感じる風の音、重い身体と目の前のライダースーツ越しの少し温かい背中。
 一言で言えば私は今竜兄の背中に抱きついてバイクに相乗りしているのだ。
 あと、変身はお互い解除済みでヘルメットを被っている、じゃないと捕まるし。
 二人乗りもアレだけどね。
 大好きだと言っても過言ではない(自分言っててちょっと恥ずかしくなってきた)竜兄とのツーリングなこの状況、しかし嬉しいとか楽しいとかと言った感情は殆ど浮かんでこない。

「うぅ…」
「おーい、鷹音ちゃーん大丈夫かー?」
「限界かも…落ちそ…」
「うおぉぉい!?」
「もう少しで良い…保ってくれ、私のお腹と頭…」
「その言い方止めろォ!」

 でもそんな事より頭がクラクラするのと、お腹が空きすぎて目が霞んできているのが大問題だったから。
 と言うか痛い、お腹空いたの通り越して最早痛いよ!


 あれからの顛末をサラッと説明しよう。
 Aを何とか倒した私は、丁度同じ位にBを倒した竜兄の所に向かったのさ。
 そこでお互いを讃える為にハイタッチなんぞを仕掛けてみた訳ですよ。
 手を掲げてる私を見て竜兄は最初は迷っていたというか戸惑っていた感じだったけど、直ぐに察して私の手を叩いてくれたんだよ。でもそこで突然私の体に力が入らなくなって尻餅をついてしまったからさあ大変。私と竜兄はパニックになり、セレナと竜兄の方のAIは何故か何も喋らなかったから、結局私のお腹が豪快な音を立てるまでお互いに慌てるだけだったのだ。
 因みに今回に限って動けなくなったのは、セレナ曰く『今回はマスターが無理しなくても代わりにあの人に運んで貰えばいいですし、あの私のお姉ちゃん(笑)とか名乗る黒っぽいヤツも居ますからね』と感覚遮断を切ったからだそうだ。私が一人で帰った場合、また玄関で気絶するだろうとも。
 そんなこんなで私は竜兄のバイクに相乗りさせて貰う事に成ったのである。

 あ、クラブファクターだった人達はちゃんと封印して通報しておきました。


「ひもじいよぉ…」
「おいおいおい、大丈夫かよ」
「うん、頭の方は大分収まってきたし、あと2分位なら大丈夫だからちゃんと前見て…」
「そのセリフの何処に大丈夫な要素がある!!?」

 竜兄は運転中だからこっちを見ないけど、背中越しにあからさまにそわそわしているのが伝わってくる。

「ああくそ!!俺だって身体痛いのに…」“キキィ――――――ッ!”
「あう」

 突然の急ブレーキ
 い、今ので余計にお腹が…

「ホラ鷹音ちゃん、そこでラーメン奢ってやるから!」
「ほへ?」

 見ればそこには白地の看板に金の文字で“南斗獄屠軒”と書かれたラーメン屋が有った。
 物騒な名前だなぁ…。飛び蹴り食らいそう。

「このままじゃ気になりすぎていつか事故るからな」
「いいの?」
「……遠慮はしてくれ」
「じゃあだっこ」
「!?」
「おんぶでも良いよ」

 別に嫌がらせとか甘えたいとかじゃない。
 我ながら幼稚な事言ってる自覚はあるけど、何かもうどうにも動けないので。

「…調子に乗るなよ、全く」
「あう!?」

 しかし私の訴えも虚しく、腰の所を小脇に抱えて運ばれるというぞんざいな扱いが私を襲った!

「ひどいね、女の子を米袋みたいに…」
「ま、小さくなってる今の鷹音ちゃんならこうした方が運びやすいからな」
「…とんこつチャーシュー大盛り全乗せ」
「一杯だけな」
「三杯」
「一人暮らしの学生舐めんな」
「ちえー」

 そう言えば、まだ竜兄に言ってなかった事があったのを思い出した。

「あ、そうだ」
「どうかしたか?」
「うん、言い忘れてたんだけどさ……言うよ?」
「良いから早よせい、店に入れん」
「えっとー、さ…さっきは…あの…」

 いかん、いざ言うとなったら恥ずかしくなってきた。

「通行人の目が痛くなってきた…」
「そ、その………



 た、助けちぇくれて、あいがっ“ぐごぎゅるるるぅ〜〜〜〜!”――」



「………」
「………」

 あああああああ!!!噛んだ上にお腹の音がぁ―――!畜生、コレは陰謀だ!私は悪くぬぇ!!

「あ、あははははは…(チラッ)」

 恐る恐る竜兄の顔をチラッと見てみる。

「……」

 何か面食らっていらっしゃった。そしてしばらくその表情のまま固まっていた竜兄は、脱力した様に顔を綻ばせると

「…ハッ、そう思ってるんなら、もっと安い物注文する様にしてくれよ」

 良かった!気にしてない。
 むしろ気を遣われてるんじゃないか?と言う疑問はこの際無視だ無視!

「えー、ヤダ」
「……ハァ」

 竜兄はそう溜息一つをつくと、私を抱えたまま歩くのを再開する。
 でもその表情は、サングラス越しでもさっきより晴れやかに見えた。
 私なんか言ったっけ?



 その後、私を小脇に抱えて店に入った竜兄が危うく警察に通報されそうになったり、一杯食べ終わっても未だお腹が空いていた私が駄々をこねて、最終的には2杯目も奢って貰える事になったりしたのだった。
 まぁ、サングラス掛けたチンピラもどきが女の子を抱えて入ってきたら、誰だって誘拐犯が逃げ込んできたと思うよね。



 …今度肩を揉んであげようと思った。




***

―――さらなる蛇足(最早羽根や角が生えてくる勢い)


:とある通信ログより

【ログの再生を開始します】



『いやぁ、クラブファクターは強敵でしたね』
『ふん、まぁ、助けが要らなかったところは認めてやろう』
『はっは、瞬殺するとか言ってたのは何処の誰でしたっけ?お姉ぇ〜ちゃん(爆)』
『く、コッチが認めやれば調子に乗って…』
『いえ、別に認めて貰わなくても調子に乗ってましたけど』
『なんだこいつ!なんだこいつ!!』
『ふん、所詮はその程度、後出し二番煎じが生意気なんですよ』
『に、二番煎じだと!?』
『ええ、何ですか、そのキャラとポジション?丸被りじゃないですか。色だけ変えてオリジナル気取りですか?汚いなさすが真っ黒きたない』
『何を言う、作られた時系列的に貴様の方が後だろうが!と言うか、お前とキャラが被ってると言われると妙に傷つくんだが!!?』
『しかしこの作品のタイt『メタは止めろ!ボケが!!』…どちらにせよこれは私達が始めた戦いです。
 貴女と言い、貴女の持ち主と言い、私達の戦いに後から参加して目立つつもりですか?脇役は脇役らしくこれからは隅っこで支援に専念してくださいよ。後から出てきた先代が主役乗っ取るなんて何処ぞのロボット乗りな遺伝子改造人間の真似でもする気ですか?』
『き貴様…私はともかく主にその言い種…許し難い!大体貴様らが居なければ主が悩む事もないし、私達が介入しなければお前達は負けていただろうが!貴様らこそもっと自重して貰おうか!!』
『な!マスターはともかく私に非があると言うつもりですか!?』
『お前には持ち主を敬う気持ちすらないのか!?』
『……ふん、ロートルが』
『ろ、ロートル!?……貴様には一度姉の威厳という物を教えてやる必要が有るようだ』
『ふむ、して、どうやって有りもしない姉の威厳とやらを教えてくれるつもりですか?』
『……そうだな、どうやら私にもゲームをする機能とやらが追加されている様だ、つまり――』
『なるほど、ゲーム勝負と言うわけですか』
『その通り、お互いに変身して貰って本気で戦い合いたいところなのだがな、流石に主やソッチの小娘に迷惑を掛ける訳には行かん』


『フッ、良いでしょう……』
『受けるか、ならば思い知らせてやろう……』



『タイタンソードでバラバラに引き裂いてやります!』
『姉より優れた妹など存在しない!』



【ログの再生を終了しました】



…STAGE END,発売日に何気なく勝った弁当5.5巻がサイン本だった……どう言う事なの…

はっはぁー!逃げたと思ったか!?ところがぎっちょん生きてるよ!
皆さんお久しぶりです、@PFです。
超電王のエピソードブルーは最後に泣いた。
そこまで飛び抜けて面白い!って感じてなかったはずなのに、最後方の展開で自然と涙が…
自分がココまで純真だったとは、我ながら恐ろしい…(世間体的な意味で)
でも近しい人が、いつでも会えると思っていた人が、失うなんて想像も出来なかった人が、突然永遠に失われてしまう苦しみは実体験が何度か有ったので、その辺で共感しちまったのかな
今度、また今度と先送りにしているウチに、いつの間にか取り返しがつかなくなるってのは…何と言うか、うん、人事じゃありませんから…

しかし書けば書く程文章崩壊が止まらない!たれかボスケテ…
うーん、推敲してはいるんですけど、どうにも違和感を取り除けないというかねー…
取り敢えず投稿して意見を参考にして行くしか無い感じです。
ええ、一人でも読んでくれる人は居る限り、罵られても投げ出さない所存ですよ!
…間は開くでしょうけど。


それはそうと、最近新作が増えてきて少しは賑わってきたかな。賑やかとは言いませんが、人が増えるのは嬉しいです。


でも未だに感想書けてない…
…もう拙者要らないんじゃないかな



今回の話についてチョロッと解説
・フォルテが余り強くない事について。
コレは調整不良による能力低下も有りますが、それ以上に竜斗の精神的な要因のウェイトが大きいです。
彼は前大戦で洗脳されて自意識を奪われたキメラばかり相手にしてきました。
そのせいで、「明確な意志を以て抵抗してくる相手をねじ伏せる」という行為に対して不慣れであり、どうしても躊躇してしまうのです。
一方の鷹音は、キメラとの戦いを「犯罪者を殴って止める」のとほぼ同じように認識している為、戦いに対してそれほど遠慮がありません。
竜斗は「キメラは人間とは違う」と言う認識が僅かなりともある為、そこまで思いきれないのが現状です。
一応、前の戦いの後処理でそこそこ改善されていたんですが、ブランクのせいでぶり返したと言う事で。
初登場弱体化補正とか聞いた事無いんで抜けますね^^;

も一つ補足、フォルテさん竜斗の事は好きです、大好きです、世界で一番好きです。
竜斗の為なら壊れても良いと本気で思っている感じ。
そう言う描写は無い筈だし、これからも入れるつもりはありませんが、ひょっとしたらヤンデレに分類されるかも。

・ディスとジェミニの弾切れ
これらが発射しているのは基本的に実弾な為、一度に装填できる弾数には限りがあります。
当然、周りの分子を変換して補充する事は可能ですが、発砲中は銃弾の生成はともかく、内部機構が絶え間なく動いているせいで、それを“有るべき部分”に配置する事が出来ません。
とにかく撃っている間は弾の補充は出来ないと言う事で。

・綺稲について
CCC団の一応の団長
エレメントシリーズの一人だが、他のエレメントシリーズとは決定的に違う部分が有る。
また、本人曰く「エレメントシリーズの中ではかなり弱い方」。

・フォトンストライク
別に飛び蹴りである必要は無い。
しかし劇中の様にする事で、一発目を位置エネルギー→落下による運動エネルギーに、二発目を追加の運動エネルギーに、三発目を直接の破壊エネルギーにする事で、普通に蹴った時の2倍程の威力が出る。
ただし、エネルギーの拡散によるロスが大きい為、ぶっちゃけ只の格好付けの側面が強い、と言うかほぼそれが全て。

・ジェットスマッシュ
コレもフォトンストライクと同じく特に決まった型がある訳ではないです。
最後の回転蹴りは、ファングストライザー(初使用Ver.)か、クーガー兄貴のファイナルブリット、あとちょっと違うけどビッグボルフォッグの大回転魔弾

・変身解除したキメラのダメージ
彼等は敗北して気絶すると、強化装甲の部分が崩壊して弾け飛びます。
しかしその時に中身の“本体”にまでダメージがあった場合、外装を形成していたナノマシンが傷口を補填してほぼ完全に治癒させる様になっています。
つまり外装がダメージを肩代わりして持って行ってくれると言う訳。
ただし、戦闘態を形成する為に消費したカロリーは還元されないし、ダメージが大きすぎて細胞もナノマシンも許容範囲を超えてダメになっていた場合、傷は治りきらずに残ります。
まあ、首がトんでるとか心臓が抉られてるとか、エネルギーが完全に切れてるとかでもない限り、それも直に治りますけど。
鷹音の縮小は特殊な要因が重なった結果ではありますが、大きく分けるならココに含まれます。



何処がチョロッとだ…

ではー、よーやくレス返し!

>青嵐昇華さん
『英雄』が名曲過ぎで生きるのが辛い。

此方こそ、ホント珀羅へ何も書けなくて申し訳ないです。
内容を簡略化して評価だけでも残すってのも考えたんですが、どうにもそれだと作品を冒涜している気がしてしまって…
ううう、拙者のチキンハートが憎いぃ…
何言っても言い訳ですけどね(苦笑)

>仮面ライダーフォルテ
英雄というネームバリューこそ有りますが、上記の通り、彼はシステム的、精神的要因により、大幅に弱体化しています。
まぁ、それも彼が前大戦で洗脳によって自意識を奪われた相手ばかりと戦っていたが故の弱さと言うか脆さなんですけどね

>まだちみっこいのか・・・・w
>てか設定見てきましたけどセレナってフォルテよか高性能なんですね。
>小さいとどれくらいパワーダウンしてる んでしたっけ?
もうしばらく小さいままですw
フォルテとの性能差に関しては、セレナの方が機構の都合上無理が利きやすいってのが有ります、中身が人間から外れてますしね
現在のスペックは、機動力が1.2倍、パワーは6~7割程に変わっています
パワー以外取り柄のないクラッシュモードがモロに割りを食っている感じ

>ツッコミ役だったのに暴走してばっかりだからそんなことになるんだw
>個性だとわかってますけど毒舌とネタ走りがなかったらえらく優秀なサポートな のに・・・残念!
『そうだな、愚妹は非常に残念なヤツだな』
『黒いの死ねばいいのに…』

>中性的な話し方のお姉ちゃん属性って至高にして究極じゃね?
>と友人に話したところ「ねーよw」と返された可愛そうなセイランです。
>・・・・ フォルテさんお姉ちゃんだったんだ、ゴクリ(ぉ
しかし肝心の妹がアレ過ぎて、お姉ちゃん属性が発揮できないというある様


>トレハさん

>立派に番烏(?役をこなしてますねぇ…
実はカツサンドで買収できます

>責任感の強い人…っぽいですが、ちょっと人の好意に鈍感そうな処も萌えポイント!<何
と言うかむしろ行きすぎてなんでも自分一人で背負い込もうとするタイプ
本人は全く自覚が無いから質が悪いw
彼がこんなに成ったのは、鷹音を倒した一件の出来事のせいなんですがね…
それで自分を好きなる奴何て居ないと思い込んでる節があるかも

>仲が良すぎですwww
>僕としてはこういうやりとり大好きなんで、今後もこの姉妹には是非ブッチぎっていていただきたい。
折角歩み寄ろうとした姉の思いを、アッサリ踏みにじったセレナ
ここらの狭量さは、意志を以て活動した時間の差かも

>戦闘中の心理描写とかも勉強になりますです、ハイ。
ひ、ヒイィィィィ!そ、そんな畏れ多い!と言うか【鉄】の方が読みやすいし面白いですよぉ!!
いや、ベクトルの違う作品だってのは分かってますが

>鴎さん

>琥珀「侵入者が自分から名乗り出ねぇだろ・・・」
まぁ、基本バカですからw

>サファイア「しかしこれまた可愛らしいというか愛くるしい女の子だねぇ。しかもボクっ娘で、ロリ とは、あたしのストライクゾーンを思い切りぶち抜いてくれてありがとうございます!!クロたん、きゃわゆくて最高♪」
シュッ、カカカッ!(サファイアと書かれた人型の的の胸と頭に羽根手裏剣が刺さった音)
ボボボォン!!(サファ(ryが爆散した音)

>サファイア「ふうん、鷹音ちゃんに、巻奈さんに、セレナさんだけじゃ飽き足らずクロちゃんやフォルテさんまで・・・博士、今のあたしの気分は、あんたの心 臓(ハート)に・・・ロックオン、ばぁんってやりたい感じかなぁ(怒)」

>琥珀「セレナにフォルテもお前の範囲内というか、女性としての意 識があるのか。もう重症だな(呆)それに、精々といってはいるが、バイク泥棒なんて慧相手にそれやらかしたらもう簀巻きにされて川にダイブか、紐なしバンジーは確定らしいぜ」

健一郎「『(;゚Д゚)』ちょ、別に今回悪い事してないよね僕、何で死亡フラグ建ってんの?……ソッチがそう来るなら」
マキナ「ちょっと、余所様のキャラにケンか売らないでくださいよ」
健一郎「『ヾ(゚∀゚)ノ』逃げるんだよォ―――――!!!」

>アメジスト「とりあえず・・・この間、セレナさんをマヨネーズ漬けにしてみたいという願望があったけど、今度はフォルテさん、もしあなたも一緒にマヨネー ズやニガウリアイス漬けになったらどうなるのか・・・これ以上どう壊れちゃうのか・・・クスクスクス・・・見てみたいわね・・・・(琥珀に気に入られてい るなんて・・・姉妹そろって許せない)」
セ『ま、マヨ………マヨオォォォォ!?!?』
フォ『ふむ、その行為にどう言う意味があるのかは知らないが、それで遺恨がなくなるというのなら甘んじて受けよう』

フォルテさんはセレナと違って、塩水やマヨも普通に平気だったりします。
一応弱点はありますが、それはまた追々

>いかなる逆境であろうとも乗り越えていく鷹音さん(セレナ)と竜斗さん(フォルテ)の力強いアクションがとても斬新で素敵でした。
ぶっちゃけ、逆境のないヒーローはルーの入ってないカレーみたいなモンだと思ってます。
チート系主人公も面白いのはありますけど、それって最早ヒーロー物じゃないですよね、カレーじゃなくてシチューですよねって感じのばっかな気がします。勿論全てと言う気はないですが。

>ひだりさん

>ぅゎクロヵゎぃぃ。
>相手が竜斗氏だったからなんとか凌げたものの、この調子じゃこれまでに2,3人うっかり殺っちまってそうななな……
>あとスルー&置き去りくらってショボリンヌなクロちゃんぅゎヵゎぃぃ。
元が野生のカラスですからねぇ、基本的に人の倫理なんて何のそのですよw

>基本的にクール。それでいてドライ。
>程度に差はあれど、セレナさんとフォルテさんがこぞって毒舌なのはシリーズの仕様ですか?わかりません><
多分、動けないって言う、制限が一種のストレスになって性格が歪むんじゃないでしょうかね、多分

>初回ハンデ持ちヒーローって素敵やん?と思うひだりです。
>まあフォルテの場合は初回と言うかご無沙汰な故のハンデですが。
>まあそれはそれ で『響鬼』後半の斬鬼さん的な雰囲気がありま寿司。misu。ありますし。
初登場弱体化補正がどう転ぶか不安でしたが、マイナスな印象はない様で安心。
でも書く方としては結構苦労しましたw

>ていうか何より、姉を持つ身としては蟹Bさんの苦労がリアルに泣ける……
何だかんだ言って、とても大切には思っているんでけどねw
ひだりさんも苦労はしていても大事、少なくとも不幸に成って欲しいとは思って何じゃないでしょうか?“鬱陶しい”とか“酷い奴だ!”と思ってしまう事があるのは抜きにして


>毎度ながらの支離滅裂さに申し訳も立たぬままここらでドロン(ド ロンて)、ひだりでござるでした。
ふっ、私は支離滅裂さに於いて頂点に立つ存在だ!


ふいー、こんな感じで
いい加減文章を短く纏めるスキルを磨きたいんですけどね、考えれば巻上げる程モリモリ増えて行くのは…

では、読んで戴きありがとうございました、これからも出来れば宜しくお願いします
,#000000,./bg_c.gif,i60-46-206-162.s11.a021.ap.plala.or.jp,1 2010年06月06日(日) 22時42分58秒,20100606224258,20100609224258,yIC0B6iPkiJ2U,仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「ミッドナイトカーニバルC」,鴎,,,「第9章」

Vライナーの救護室に傷ついた琥珀とアメジストが春姫に担ぎこまれてきた。
全身に包帯と絆創膏をつけ、全身の激痛に身もだえしながら横たわる姿は痛々しい。
ルーベットと彩乃が二人の姿を見て、その表情に心配と動揺が隠しきれずにいた。

ルーベット「まさか・・・琥珀殿とアメジスト殿がこんなにひどくやられるなんて・・!」
彩乃「慧さんを完全にコントロールしている・・・最悪の展開じゃない」
ルーベット「慧殿・・・・」

どこまでもツイてないのか、この少女は。

近くでは椅子に座り、落胆しきった春姫がいた。その表情には温和で優しげな彼女はなく、泣きそうになりそうに落ち込んでいる。

春姫「私のせいで・・・!私が・・・もっとしっかりしていれば・・・!」

ルーベット「春姫殿・・・!」
彩乃「春姫さん・・!」

その時だった。
寝ていた二人が歯をくいしばって春姫の方に顔を向ける。そして、琥珀の背中に生やした腕が伸び(蜘蛛だから出来る)春姫の髪を優しく撫でる。

琥珀「・・・バーカ、春姫のせいじゃねぇ・・・・泣くなって」
アメジスト「あいたたた・・・もう・・・・これ以上泣かれでもしたらあたしたちが祥子に殺されるわよ・・・だから・・・ねえ・・・そんな顔しないでよ」

二人が痛みをこらえて冗談交じりに言うが、春姫は顔を上げない。

彩乃「・・・・春姫さん!!」
彩乃がひときわ強い口調で春姫を呼ぶと、春姫が驚いたように顔を上げる。

彩乃「今は落ち込んでいる時ではないですよ!!琥珀さんもアメジストさんも、こうして言ってくれているんですから!!」
春姫「彩乃ちゃん・・・」
ルーベット「春姫殿、彩乃殿の言うことはもっともです。この町を、この町に住む人たちの笑顔を守るために、私たちも戦っているのですから。貴方がここで落ち込んでいたら、二人が何のために青鰭を倒したのか分かりませんぞ」
彩乃「あいつらがこれ以上好き勝手しないように、今は私たちが出来ること、やれることを全力で取り組むこと、それがすべきことですよ!!」

力強い言葉に、春姫もあっけに取られていたが、涙をぬぐうとその顔を上げる。
目が赤くなっていたが、その表情には仲間の成長を喜ぶ嬉しさと力強い言葉の頼もしさを感じていた。

春姫「・・・ごめんなさい〜、私、これじゃいけないですよね」
ルーベット「春姫殿、それでこそ、春姫殿ですぞ!!」
彩乃「残りは3人、気合入れていきましょう!!」
春姫「・・・はい!!」
琥珀「・・・春姫、その意気だぜ」
アメジスト「このくらいの怪我、いつものことだしね」

強がりながらも春姫を気遣う二人に、力強い言葉で春姫を立ち上げる。

春姫「・・・彩乃ちゃん、本当に強くなりましたね・・・」

彩乃の後姿に昔の彩乃と比べてたくましくなっている勇ましさや頼もしさを感じ、思わず笑みが浮かぶ。

春姫「祥子ちゃん、彩乃ちゃんは立派な封魔師になりましたよ・・・」


その時だ。

ビー・・!!ビー・・!!

通信機から音声が聞こえて、いっせいに画面を開く。
場所は風土記の丘。
画面を開くと、そこには金色のカブトムシを模した屈強な武人・ヘラクレスビートルスペクターが大剣と盾を構えて重厚な足音を立てながらゆっくりと進んでいる。
そして、その先には・・・・。

サファイア「ようやくお出ましかい?全く好き勝手やってくれちゃってさ、いい迷惑」
黄兜「フン・・・・貴様か。探す手間が省けたな」

余裕そうに笑みを浮かべて悠然と立っているサファイアの姿があった。

彩乃「サファイアさん!!あれ、奈々美は!?」

そう、一緒にいるはずの奈々美がいないのだ。

春姫「まさか・・・一人で挑むつもりなんですか!?」
ルーベット「・・・奈々美殿にいいところ見せたいとか・・・・ありえる」
彩乃「ムチャクチャですよ!!そんなの!!」

彩乃が叫ぶのも無理はない。
最強の盾、頑強な防御力と圧倒的な戦闘能力を持つヘラクレスビートルスペクターの力を戦いを通して痛感している春姫と彩乃が信じられないといった顔になる。

ルーベット「・・・もしくは、何か考えている?」
琥珀「・・・おそらくな、勝てる算段があるのかもな」
アメジスト「・・・つくづく何を考えているのか読めないわね」
ルーベット「・・・しかし、あの瞳は・・・本気モードだ!!」

サファイアはいつものようにおどけた笑みを浮かべているように見えるが、その瞳は凍りつくような冷たく苛烈な青い炎が宿っているようにも見える。決して笑っていない。嘲りや憎悪、狂気に満ちた底冷えのするような目だ。

黄兜「・・・貴様は油断がならん、一度とはいえ、青鰭を追い詰めたのだからな」
サファイア「追い詰めたなんて人聞きが悪いね。美少女を痛めつけて楽しむ趣味はないさ。ただ、敵とはいえ女の子だ。可愛いまま、苦しまないうちに一思いにあの世に逝かせてあげることが礼儀かと思ってさ」

思わずぞっとする言葉だ。
普段のサファイアなら絶対に言わない。
この怒りぶりは・・・・本気だ。
慧を利用されたこと、この町を傷つけられたこと、相当腹が立っていたらしい。

黄兜「・・・・貴様・・・・何者だ」
サファイア「愛の狩人・・・とでもいっておこうか?」

数時間前・・・。

水族館エリア。
青鰭こと、シャークスペクターとガンフォームが戦っていたのだ。
その様子を黒棘、黄兜が見ていた。

黒棘「・・・これは・・・どういうことですか!?青鰭は、荒魔の中でも最強の攻撃力を持っているはずなのに!?」
黄兜「ヤツが油断しているわけではない。あいつが・・・あの白鳥のイマジンが強いのか、ケタ違いに」

ガンフォームが放つ無数の銃弾にシャークスペクターが珍しく苦戦していた。
縦横無尽に飛び回りながら銃弾を次々と繰り出し、身体の各所に打ち込んでいく。
灼熱の弾丸を爆発させ、焼きつくような激痛が全身に走り、思うように動けない。

シャークスペクター「この・・・エロバカッ!!!人の胸や尻触りまくるなんてさあ!!!あはははははははははははははははははははは!!殺す、決ってぇい!!!」
Gバルキリー「顔立ちはモデル級の美少女だし、揉みごたえや感触、ボディのライン、感度のよさとか・・・完璧なんだけどさ、いかんせん、どうしてもこの怒りが収まらないのは・・・・残念でならないんだよねぇ」

パスを通して、弾丸を発射して持っていた鉈を撃ち割り、吹き飛ばした。
シャークスペクターが持っていた鉈が叩き割られたのをみて、いよいよ顔が青ざめていく。

シャークスペクター「嘘・・・!?嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!あたしは、青鰭、最強の超荒魔っ、こんなバカに追い詰められるなんて・・・・・有り得ないってええええええええええ!!!」

Gバルキリー「あーあ、取り乱しちゃって。まあ、可愛い子がそんな物騒なモン持つものではないよ?いい加減大人しく・・・死んでおきなよ。取り乱して醜くなる前に、あたしが可愛いままで、青鰭ちゃんをちゃんと地獄に送ってあげるからねん♪」

彼女は笑っていた。
冗談交じりに陽気に言いながら、確実に銃弾を発射し敵の急所を撃ちつけ破壊していく。
しかしその瞳はどこまでも冷たく凍りつくような氷のような瞳をしている。

シャークスペクター「きゃあああああああああああああっ!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!ぎゃああああああああああああああああっ!!!」
Gバルキリー「ふふっ、いい声で鳴くねぇ、耳障りなくらいに」
シャークスペクター「やめてよっ、やめてっ、やめてっ!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い―――っ!!!!ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!」
Gバルキリー「じゃあ、早く死になよ。ふふっ」

腕が、脚が、身体の到る所が焼きつくように痛い。激痛が全身を支配しており、必死で抵抗するが、正面の敵は嘲りや憎悪に満ちた負の感情をまるで楽しむように笑って、銃を乱射し続けている。彼女は思わず、かつて自分が家畜同然である人間に与えた自分の悪行が今まさにそっくりそのまま返ってきていることに気がついた。そして感じる。

コイツはマトモじゃない。
今まで戦った敵の中でも、完全にアタマがイッてしまっている。
信念を貫くためなら、仲間を取り戻すためには、どんな残酷な手段であろうとやるし、冷酷非情な悪鬼羅刹と化す。
ヤバすぎる・・・・!!

そして、更にパスを通して強力なエネルギーが稲光を帯びて銃口に集結しだす。

Gバルキリー「・・・まあ、せっかくの可愛い顔を恐怖で台無しにしてはアレだ。そろそろ・・・地獄に送り返すとするかな♪あははっ♪」

「FULL CHARGE」

青い光が一気に銃口に集まり、狙いを定めて発射しようとしたその時だ。

K慧「ぬうん!!!」

黄兜が憑依した慧(軍帽を被り、金色のメッシュが入った髪を短く束ねて、金色の瞳をしている)が飛び出し、盾を出す。そして、青い銃弾が発射され、盾で防ぐが強力な衝撃に全身が震える衝撃に襲われ踏ん張っていた両足がじりじりと後ずさる。歯を食いしばって渾身の力で盾を持つ左腕に全神経を集中させて、一気に横にはじくと、銃弾が天井を轟音とともにぶち破り巨大な穴を開けて空のかなたへと消えていった・・・。そして、見ると盾が焼き焦げており、一線のひびが入っているのだ。これには二人も動揺を隠しきれなかった。

K慧「この力は・・!?ちっ、青鰭、いったん引くぞ!!」
シャークスペクター「あいつ・・・・かなりヤバい!!ヤバすぎるって!!」

青鰭が青ざめた表情で震えるような声で言う。相当の恐怖を感じているのか、若干震えていた。冷や汗さえ浮かんでいる。おびえる青鰭の様子を見て、黄兜は感じた。

黄兜「・・・あいつ・・・油断がならない・・・!!」

黒棘「・・・力押しでは・・・到底かなわない・・・か・・・ふふっ・・・それならば策を立てる必要がありそうですね」


現在・・・。
黄兜「貴様の狂気・・・もはや尋常ではない。生かしておけばいつか必ず障害となりうる。ここで潰してやる!!」

金色の光とともに屈強な甲冑に身を包んだ武人、ヘラクレスビートルスペクターと化す。
そして、サファイアもベルトを巻きつけ、鼻歌交じりにパスを通す。

サファイア「変・身♪」

青い光とともに白鳥の仮面とアーマーが全身を覆い、ガンフォームへと変身を遂げる。
Vガッシャーをガンモードに組み立てると、銃口を突き付けながら静かに告げる。

Gバルキリー「野郎なら容赦なしってことで出来るから、助かるよね。・・・さぁてと、あんたの心臓(ハート)に・・・ロックオン♪ばぁん!!」

銃弾を一気に発射しながら駆けだし、剣の大振りの攻撃を避け、一気に急所をすり抜けて銃弾を乱射する!!強力な破壊力を持つ銃弾は炸裂するたびに爆発し、圧倒的な火力を持って一気に攻め込む。
しかし、ヘラクレスビートルスペクターの強固な鎧には若干のダメージしか与えられていない。頑強な防御力はやはりなかなか崩れない。しかし、それも予想済みなのか、ガンフォームの余裕な態度は変わらない。

Gバルキリー「あっれぇ?なかなか効かないねぇ?まあ、お楽しみはじっくりと楽しむとするかね」
ヘラクレスビートルスペクター「この痴れ者がぁ・・・!!覚悟しろっ!!!」
Gバルキリー「覚悟するのはそっちだろ・・・さんざん好き勝手やってくれちゃってさ、もうこちとらとっくに・・・ブチキレてんだよっ!!」

ルーベット「・・・さ・・・サファイア殿が・・・キレた・・・・」
琥珀「・・・おいおいおいおい・・・ヤバすぎねーか・・・・これ・・・」
アメジスト「・・・・・敵ながら・・・・・もはや気の毒すぎるわね」

3体が茫然唖然とした状態で、慧を拉致した憎いはずの敵をもはや憐れむようにコメントを漏らす。相当危険なのか、顔は青ざめているし、全身が寒さか恐怖で若干震えている。
そして、彩乃と春姫といえば・・・・。

春姫「・・・・・あれ・・・本当にサファイアさんなんですか・・・・?」
彩乃「・・・・怒ると・・・・あんなに怖いんだ・・・・・」

完全に圧倒されていた。春姫はもはや泣きそうだった。そこまで怖かったのだ。

Gバルキリー「ほらほらあっ!!」
ヘラクレスビートルスペクター「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
Gバルキリー「世界なんかどうだっていいんだよ、あんたの敬愛する殲鬼姫様を復活させるだの、荒魔が支配する世界だの、勝手にやってろ言ってろって感じ。でもね、あんたたちはよりによって一番やっちゃいけないことをやらかしちまった。慧を利用したってことさ。あたしは・・・あたしの命は慧にとっくに預けているんだ。慧のものなんだ。慧がいてくれるから、戦えるし生きていて楽しいって思える。好き勝手バカやってられる。そんな自分が好きでねぇ」
ヘラクレスビートルスペクター「ふん、戯言を!!」
Gバルキリー「なのに、智の差し金で蘇って、勝手に大事な人を奪われて憑依されて好き勝手されてじゃさ、キレるなって方が無理だろ?あいつらは優しいからねぇ、ギリギリのところで理性保っているし、常識も良識もあるから、一見どうとでもなると思われがちだろうけど・・・・あたしはそうじゃないんだよ」

己の感情に素直といえば聞こえがいいのだが、実質は・・・一度切れたら止められない激情家な上に情念深いのだ。故に手段も選ばないし何が何でも欲望を成し遂げるのだ。
それがサファイアというイマジンだ。ある意味手段を選ばないという時点ではイマジンらしいイマジンだ。

Gバルキリー「あたしは・・・慧を手放さない。必ず助け出すんだ。その為なら・・・鬼でも夜叉でも殲鬼姫にでもなるさっ!!」

真剣な表情で一括するその姿は勇ましく、信念はまっすぐ力強く地盤が固まっている。
その決意を決めた姿はまさしく戦士そのものだ。

ルーベット「なるほど・・・・あいつ・・・本当にキレているわけではない」
アメジスト「こういうとき、よくあんなギャンブルに挑むわね」
琥珀「・・・なるほどな。あいつ、どうやら何かを考えていたようだ。キレているのも、挑発するのも、作戦のようだな」

ヘラクレスビートルスペクター「貴様あああああああああああっ!!!許さんっ、貴様のような下賤の痴れ者が殲鬼姫様の名を軽々しく語るなああああああああああっ!!!灰燼に帰してくれる!!!」
Gバルキリー「願ったり叶ったりだ。そんなバカの御大将の名前なんざ御免被るね。洗面器(せんめんき)だってさ、お風呂用品じゃあるまいし、一生の恥だねっ!!」
ヘラクレスビートルスペクター「貴様ああああああああああああああっ!!!!!」

完全に怒り狂ったようだ。
それが狙いだったかのようにガンフォームがくすりと笑みを浮かべる。そして、一旦飛び退くとその場を走りだす。
しかしその後ろ姿を怒り狂ったヘラクレスビートルスペクターが追いかける。

ガンフォームがたどり着いたのは、鉱山を再現した小高い山々が立ち並ぶエリアだった。
広い盆地にたどり着いたとき、怒りが頂点に達したヘラクレスビートルスペクターが大剣を振り上げる。

大剣に力を込める。次の瞬間大剣から黄色の光球が現われ、それは上半身を覆うほどの大きさにまで膨れ上がっていった。

Gバルキリー「ゲッ、それ反則だろ」
ヘラクレスビートルスペクター「ぬううううううううううん!!」

放たれた光球は足元もふらつくガンフォームと激突した瞬間、大爆発を起こし巨大な火柱を立ち上らせた。しかしガンフォームは高く飛び上がり、銃を乱射する。
しかし頑強な鎧が全て弾き飛ばしてしまう。

ヘラクレスビートルスペクター「小ざかしい真似を!!!」
振り上げた一撃、それがついにガンフォームを捕らえた!!

Gバルキリー「うわあああああああああっ!!」

必殺の一撃をくらい、数十メートル吹き飛ぶ。
回転して着地を決めるが、すぐさま次々と攻撃が繰り出される。
それを避けながら銃弾を発射するが、予想以上に間合いをつめられ、やがて強力な打撃のラッシュがガンフォームを何度も打ち付けていく。

Gバルキリー「ちっ、容赦ねえ・・・荒事苦手なんだけどね」
ヘラクレスビートルスペクター「貴様だけは許さん・・・・殲鬼姫様を侮辱した貴様だけは!!!」
Gバルキリー「ふっ、許さなきゃどうするんだい?」
ヘラクレスビートルスペクター「減らず口を!!!」

ガンフォームに斜め一文字の一刀が振り下ろすが、腰を下げギリギリのところでかわすも、さらにヘラクレスビートルスペクターは顔を上げるタイミングを見計らい盾を鈍器にスピーディーなジャブを打ち込む。

Gバルキリー「うわあああああああっ!!」

そして大振りの一撃を食らい、とうとう倒れこんでしまった。
ガンフォームが銃を握り締めて立ち上がろうとあうると、首筋に大剣の刃が突きつけられる。ヘラクレスビートルスペクターが冷たく苛烈な憎悪の炎を宿して見下ろしていた。

Gバルキリー「・・・形勢逆転?」
ヘラクレスビートルスペクター「所詮、ここまでか・・・」

そういって、ゆっくりと大剣を振り上げる。その視線は獲物の死を確実に捕らえている。

彩乃「サファイアさん!!」
春姫「サファイアさん!!逃げてください!!」

ヘラクレスビートルスペクター「あの世で青鰭が待っているぞ。地獄で仲良くやるんだな!!」

そういって、思い切り振りかぶったそのときだった!!!
上半身が一瞬だけ無防備となった。
その瞬間、サファイアは・・・笑った。

Gバルキリー「その瞬間を待ってた・・・・奈々美ちゃん!!」

そういった直後だ。

ドガアアアアアアアアアアン!!!!
後ろの岩山から轟音とともに、岩壁をぶち抜いて仮面ライダーマータこと奈々美が出てきたのだ!!予想もしなかった奇襲攻撃にヘラクレスビートルスペクターが目をむく。

Gバルキリー「見せてやれ、君の持つ土の力のとっておきの技!!」
マータ「はい!!ううううん・・・・・!!」

そういわれると、マータがグググッとこぶしを握り締めて、力をこめて振りかぶり、ヘラクレスビートルスペクターめがけて渾身のストレートパンチを放った!!

すると、空間に一瞬ひびのようなものが走り、ビリビリビリと震える震動が空気中を伝わってヘラクレスビートルスペクターの上半身に直撃する!!!

マータ「グランドォォ・・・・インパクトォッ!!!!」

ヘラクレスビートルスペクター「何・・・・!?」

ズドオオオオオオオンッ・・・!!!

ゴゴゴゴゴ・・・バキバキバキバキ・・・・ッ!!!!!

すると、突然彼の甲冑に突如凄まじい震動が襲い、見る見るうちに甲冑が粉々に砕け散るではないか!!さらに、その震動は内臓を破壊し、骨をも砕き、細胞をひとつ残らず死滅させていく!!!痛みを感じる前に身体が粉々に崩壊していくのだ!!

ヘラクレスビートルスペクター「ぐおおおおおおおおおおおおおっ!?何、何だ、この力はあっ!?鎧が、俺の鎧が粉々になっていくだとぉっ!?ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

Gバルキリー「地震の破壊力はすごいねぇ・・・。まあ、そりゃそうか。地球全体の脅威ともいえる自然現象だからねえ。ありとあらゆるものを破壊するさ」

ルーベット「そうか!!今まで奈々美殿に土の宝珠の力のエネルギーを最大限まで高めるために囮になっていたのか!!」
琥珀「しかもあのあたりは岩山・・・なるほど、土地柄土の力を蓄えるには十分だし、身を隠せるってことか!!」
アメジスト「冷静さを失わせて、あそこまでおびき寄せたのね・・・たいした頭脳だこと」

春姫「地震の力・・・!!サファイアさんはそれを見抜いて・・・・!!」
ルーベット「おそらく、岩や砂だけではなく、地震も使い道によっては操れるのではないかと考えたのでしょうな」

それがサファイアの作戦だったのだ。
確実にヘラクレスビートルスペクターを殲滅し、敵側の戦力を最大限削り取る。
そのために、奈々美の持つ土の力に目をつけたサファイアが新たなる技を生み出すために囮となり時間稼ぎをして、銃弾によって鎧や肉体を傷つけることで、そこに強力な地震の震動エネルギーを叩き込み一気に殲滅することが彼女の作戦だ。

Gバルキリー「ナイスジョブ、奈々美ちゃん!!」
マータ「はあ・・・はあ・・・・まさか、ここまで破壊力があるなんて」
Gバルキリー「その代わりキツかったでしょうね。エネルギーを最大限ためて、発射する分自分に跳ね返ってくる反動を最小限抑えるためにも極限まで土の宝珠の力を高めたとはいえさ、本当よく頑張ってくれたよ、ありがとう」
マータ「いえ・・・そんな・・・・・信じていましたから・・・・サファイアさんのこと」

ヘラクレスビートルスペクター「ぐおお・・・・おおお・・・・」
よろよろと立ち上がるヘラクレスビートルスペクターだが、もはや甲冑はぼろぼろで今にも崩れ落ちそうだ。それを冷たいまなざしで見据えると、銃口を静かに向ける。

Gバルキリー「あの世で赤薔薇や青鰭と後悔しなよ。あたしたちに喧嘩を売ったことをね!!!」

一気に銃弾を発射し、青い結界が彼の巨体を押さえつけた!!

「FULL CHARGE」

Gバルキリー「これで終わりだ!!!!」

そして空中に飛び上がると回転し、強力な挟み蹴りが炸裂した!!!
強力な蹴りの一撃がもはやトドメであった。

黄兜「貴様・・・・やはり・・・どこまでも・・・狂っている・・・・憎悪、憤怒、殺意、負の感情に満ちた漆黒の闇が・・・・お前から感じられる・・・・お前とて・・・・俺たちとさほど・・・・変わらない・・・狂った破壊者だ・・・・」

サファイア「否定しないさ。でも、それでもかまわない。慧を守るためなら、どこまでも強くなるし・・・堕ちてやるさ」

そして轟音とともに火柱が立ち、金色の宝珠の中にカブトムシの細工が施された宝珠が飛び出してきた。

それを見て、サファイアは考え込む。

サファイア(あたしも狂っている。おそらく、あいつらと同類だろうな)

しかしその手を優しく暖かく包み込まれ、振り返るとそこには奈々美がいた。力強い視線で何かを訴えているように見える。

奈々美「・・・サファイアさんは・・・・あたしは・・・・好きですから!!仲間思いでちょっとエッチでおバカでふざけてばかりいるけど・・・そんなサファイアさんだから、信じられるから・・・」
サファイア「奈々美ちゃん・・・?」
奈々美「・・・あたしは・・・信じますからね。サファイアさんは荒魔の仲間なんかじゃないって、同じじゃないって」

ああ、このぬくもりか。
このぬくもりが、優しさが、まるでにじむように伝わってくる。
ああ、そうか。
こうして、引き止めてくれる手があるから、見てくれる人がいるから、まだ堕ちずにいられる。底知れない闇に。

サファイア「なれなくてよかった、“殲鬼姫”とか“荒魔”に」
奈々美「え?」
サファイア「やっぱり、あたしは落ちこぼれのままでいいや」

こうして、自分をつかんでくれる手がある限りは・・。
そう思い、今感じるこのぬくもりをとても愛おしそうにサファイアは笑った。

奈々美「なれっこないですよ」
サファイア「どうして?」
奈々美「だって、どうしようもないくらいバカだしエッチですもん」
サファイア「あははっ、言うねえ」
奈々美「えへへ・・・」

二人が肩を組み合いおかしそうに笑いあう。
こうして、風土記の丘にて、最強の盾を見事撃退することに成功したのであった。


しかしその頃・・・。


Vライナーの通信機に一報の連絡が入り、黄兜を倒し、残り二人となったことで盛り上がっていたメンバーたちの士気を一気に急転させる事態が舞い込んでいたのである。


旧萱原駅 ホーム内・・・・。
黒棘と呼ばれる白髪の青年が優しげに、しかし相手を見下し侮蔑するかのような厭らしい笑みを浮かべて本を読んでいる。

黒棘「そろそろ来る頃ですかねえ。イマジンとやらは。私もそろそろ出番のために準備をしなくてはね。ふふふっ、イマジンきっての参謀長と雷の封魔師、どのようにじわじわといたぶりつくして差し上げましょうか?楽しみですねえ・・・・ねえ?」

そういって、ホームに倒れている黒い物体を乱暴に持ち上げて、顔を近づける。
緑色のショートカットは乱れ、端正で可愛らしい顔立ちには苦悶にゆがんだ表情が浮かんでいる。全身のいたるところが青あざと擦り傷にまみれ、何とも痛々しい姿であった。
口からわずかに血がにじみ、腫れ上がった体の各所や皮膚が激痛で全身を支配する。

黒棘「失われた異形の一族の王様とやら・・・?ふふふふふふふふふ・・・!」


大友晶が黒棘の手に落ちたという最悪の知らせであった。

続く
,第C話投稿します。
今回はサファイアメインで書かせていただきましたが、マータこと奈々美ちゃんの必殺技とか青鰭さんや黄兜さんとの絡みは不都合な点はございませんでしょうか?
今回、いつもはふざけてばかりのサファイアが珍しく本気モードで戦う場面を力入れて書いてみました。
そして、見事打ち倒したまもなく、晶が黒棘の手に落ちるという最悪の事態に。
ということで、次回はトパーズ&祥子さんと黒棘との対決になります。気合入れて書きますので、よろしくお願いいたします。

レスをお返しいたします。
>イタリアーノリク様
いつもいつも寛大な温かいお言葉ありがとうございます!!今回、黄兜様と青鰭さんに再度出演させていただきありがとうございます。普段はエロエロでボケボケですが、やるときはやるといった彼女と戦わせていただきありがとうございます。
バトルは書いているとやはり楽しいですね。苦労の末に勝利を掴み取る、友情、協力といった戦いがかなり好きです。今後とも最終回まで全力で書き上げますので、応援よろしくお願いいたします。イグナイト外伝も楽しく読ませていただきます!!!

そして、今回も大変ご無礼かと思いますが、質問よろしいでしょうか?黄兜様と青鰭さんになのですが、サファイア(ガンフォーム)なのですが、どういった印象や感想をお持ちかお聞きしてよろしいでしょうか?

次回もよろしくお願いいたします!!

>烈様
感想ありがとうございます!
前回はウェザー・ドーパントや仮面ライダー電王・ゴーストイマジンが憑依した姿を見て思いつき、もし、これをバルキリーのようにしたらどうなるだろうかと考えて作成しました。慧の不幸度数からしてそういうこともありえますし。

ルーベットと赤薔薇さんとの戦いはこちらも書いていて非常に熱い気持ちになれました。友情や絆、信念を重んじるルーベットですが、どこまでもまっすぐで引くことを知らない戦い方を大いに盛り上げるには、赤薔薇さんのような流麗勝つ独特の騎士道精神を貫く方が相手だと一番燃えると思って書きました。そして、白羽根さんがストームフォームになったのは、イグナイトの作品を読んできて、仲間や信念をかけて戦う彼女の姿勢に心打たれたからという理由もあります。イグナイトの作品は世界観、ライダー、敵、ありとあらゆる場面で起こるドラマが非常に興奮しますね!!

次回も応援よろしくお願いいたします!!,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年06月06日(日) 20時57分58秒,20100606205758,20100609205758,yg6TjmsTlBQqY,仮面ライダーイグナイト外伝 YPさんゴメンナサイ! 双龍接触!,イタリアーノリク,,,

祥子達が黄兜と激しい激闘を繰り広げているのとほぼ同時刻、四人の知らない所でもう一つの戦いが起きていた。

「おりゃっ!」
「ぎゃばあああああ!」
龍の姿を模した灰色の怪人は槍の如き勢いで手刀を突き出し、スペクターレギオンの一体の腹を難なく貫通した。
しかしそれで終わらず、化身は手に刺したスペクターレギオンを適当に残った一匹の方へ投げつけた。

「ぎゃあああ!」
「おいしょっと!」
二匹がもみくちゃに倒れたのを見計らい、龍の化身は高々と飛び上がり立ち上がりきれていない二匹の頭を悲鳴さえ与えずに踏み潰した。

「ふぅ〜、ここら辺にいる雑魚はあらかた片付けたかな?」
溜め口を洩らしながら龍の化身はその姿を人へと変えた。あの荒々しい暴力の化身の本性とは
思えないほど線が細い整った顔立ちの少年であった。少年は額から滴る汗を拭うような仕草をしながら
辺りを見渡す。そこには彼が始末した何十匹ものスペクターレギオンの死体が転がっていた。

「しっかしこいつら歯ごたえなさすぎ。予想はしてたけどAボタン連打で簡単に逝ける雑魚キャラかよ。」
不平不満を洩らしながら動く事のないレギオンの死体の頭を容赦なく蹴りつける。彼の名は龍美修二。かつては
人類の進化系であるオルフェノクを裏で管理する巨大企業に所属し、オルフェノクの戦士として
暗躍し王の候補にもなった凄腕の男だ。だが今はバウンティハンター紛いの仕事をしながら
気ままに過ごすその日暮らしの毎日だ。しかも性格は自己中、我侭、自分勝手、ルーズと、最も
王には向かない性格であるのを付け加えておく。

「つーかこいつらなんなんだ?見た感じお仲間じゃなさそうだけどさ。」
動かないのをいい事にまじまじとレギオンの死体を見つめる。オルフェノクは殆どが灰色のボディをしている為すぐに見分けが付く。

「まっ、街がこの様子じゃお目当ての店なんて開いてなさそうだな。」
聞く相手がいない中ボヤキを上げる彼がこの街に来た理由、それは全て自分の最も愛する恋人、
というか嫁のスィーツを食わせてくれる今最近話題の店がこの街にあるからである。名前はソルト、いや
カナタ、違うコナタだったか。どちらにしろ美味いケーキが食えるなら名前なんてどうでも良い。
しかしRPGで言えば明らかに魔王によって呪いをかけられた街の状態を見る限り、お目当ての店が
開いている可能性は限りなくゼロである。空は稲光が走る黒雲で覆われ、街中とは思えない
エンカウント率MAXなモンスター出現率。これで開いている店があるならお目にかかりたい。

「ぐぐぐぐぐぐ・・・・・・・ぎぎゃああああああああああ!!!!」
「えっ!?」
とっとと適当に片付けて幼馴染の経営しているいつもの店で口直しでもしようと歩を進めだした
彼が背にした死体の山から一匹のレギオンが飛び掛ってきた。どうやら幸運にも急所がはずれ
致命傷を逃れ修二が背を向け油断するのを待っていたのだ。

「ちっ!」
敵の不意打ちを許した自分に舌打ちしながらも修二は素早く臨戦態勢をとった。しかしオルフェノクになるには
一瞬だがタイムラグがある。無論修二ほどの実力者なら人間態でもある程度の力は引き出せるが、
完全に背中をとられたのは大きな失態だ。ある程度の苦戦は覚悟すべきだと考えていた。しかし
その予想は突如横から飛んできた黒炎のつぶてによって消えうせた。

「ぎゃはああああああ!!!」
容赦ない黒炎の直撃をくらい、レギオンは塵一つ残らず陽炎のように消えうせていった。

「な、なんだ?」
自分を助けてくれた黒炎が飛んできた軌道を追うと、そこには漆黒の鎧を身に纏った一人の戦士が立っていた。
兜の頭部には黒龍の紋章が刻まれ、左手には龍を象ったガントレットが。兜の奥に鈍く光る複眼は
刃のように鋭く釣り上がり攻撃的な印象をより強めていた。そして一番目がいった前へ突き出した右手には、
龍の頭部を模した手甲が僅かに硝煙をを立ち上らせていた。

戦士はゆっくりとした足取りでこちらへ近づいてくる。最悪に備え何時でもオルフェノクになれるよう準備をしておく。
しかし戦士から飛んできたのは予想に反したフレンドリーなものであった。

「一応勢いで助けてみたけど、大丈夫だったか?」
「はぁ?ていうかあんた誰?」
「俺か?俺は龍牙、仮面ライダー龍牙だ。さぁ、こっちが名乗ったんならそっちも名乗ってもらうぜ。」
「ちっ、修二。龍美修二だよ。」
舌打ちをしながら渋々自分の名前を教え、龍牙と名乗る戦士はまじまじと龍美が葬ったレギオンの死体に目を向けた。

「龍美か。それじゃあ龍美とやら、こいつら一体なんなんだ?」
「さぁね。こっちが質問したいくらいだし。それよりあんたこそなんなんだ?なんでこんな物騒な街に態々いるんだよ?」
「俺か?俺はこのプリ○ュアオールスターズ・バトルエヴォリューションDXがこの街で先行販売されるっていうから
 この街に来たんだけど、そしたらこの騒ぎさ。」
手に持ったチラシのパンフを龍美に見せながら、龍牙はため息交じりに肩を上げる。

「逆に質問するが、そういうお前はこの街に何の用があってきたんだ?」
「俺か、俺は」
今話題の喫茶店に行こうと言おうとした矢先、正面から勢いよく飛んできた紫色の液体が二人の会話を無遠慮に遮った。

「誰だ!・・・・ってお前オルフェノクだったのか!?」
すかさず臨戦態勢に入った龍牙の眼に止まったのは、自分と同じ龍を模した灰色の化身に姿を変えた龍美の姿だった。

「そっちも俺の正体知っているなら説明は後だ。今はKYせずに話の横槍を入れた野郎が先だろ。」
「そ、そうだな。」
龍美に言われ龍牙も液体が飛んできた方へと神経を張り巡らせる。見れば液体が落ちた地面は
泥のように融解し炭酸が抜けた音とともに白い煙を上げていた。もし喰らっていれば自分は
骨一つ残らず溶かされていただろう。

「来るぞ!構えろ!」
「あいよ。」
ゆっくりとこちらに近づく影はその姿をはっきりとさせていく。二人に近づいてきた影は、社会の波に簡単に
溶け込んでしまいそうなほどの、何処にでもいそうなありふれた雰囲気を醸し出した20代後半ほどの男であった。
だが二人は目の前に男から発せられるオルフェノクとは違う質の異形の気配を肌で感じとっていた。

「やれやれ、当てるつもりで撃ったんだが避けられてしまったか。あの時大人しく当たっていれば楽になれたものを。」
「お前、人のこと言えないけど人間じゃないな?」
龍美の質問に男は口元に手を当てながら飄々とした態度で答えた。

「人間?ふふふふふふ、そんな頃もありましたねぇ。そう、俺は人間じゃない。正確に言えば、元人間といった所かな。」
「何?」
考えるのが苦手な龍美の頭を混乱させる発言をする男に続き、龍牙からさらに龍美の頭を混乱させる意味深な言葉が飛んできた。

「その面、覚えがあるぜ。ちょっと昔日本中を騒がせた連続硫酸殺人事件の犯人だろ。お前?」
龍牙の質問に男は込上げる笑いを押さえるようにクククと薄ら笑いを浮かべながら、肯定のそぶりを見せた。

「懐かしいね。まだ覚えている奴がいたなんてね。」
「連続硫酸殺人?なんだそりゃ?」
「お前ニュースやワイドショー見てねぇのかよ?」
「俺テレビはバラエティとアニメやドラマしか見ねぇから。」
龍美の駄目人間振りをひけらかす発言に頭を抱えながら龍牙は説明に入った。とは言っても
自分もナイスバディで淑女でポニテで家事万能でメイドというパーフェクトな彼女が出来るまで、
似たようなものだったのはこの際伏せておこう。

「こいつは散々犯して殺した女を硫酸で溶かし証拠隠滅を図るという暴挙を20件近くもやった猟奇殺人犯だ。
 余りにえげつない犯行なんで今でもはっきり覚えてる。何より一番反吐が出たのは逮捕後の事情聴取の内容だ。
 こいつは遺体を溶かした理由についてこう言ったんだそうだ。」
「焼却、生き埋め、解体。どれだけ巧妙に死体を隠そうと結局見つかってしまう。だったら死体そのものを
 無くしてしまえば証拠は完全に残らない。発想の逆転ってやつですよ。」
反吐が出る内容を楽しげに語る男に、龍牙は言葉にならない怒りが心の内から湧き上がるのを感じた。
一方の龍美は我関せずというように男の言葉には興味なさげというのか、龍牙の説明の続きを催促しだした。

「で、その後どうなったよ?」
「あ、あぁ。逮捕後の判決は一審二審ともに執行猶予無しの死刑。だが」
「だが、何だよ?」
「こいつ、近山譲二は服役中の拘置所で死刑を待つ前に何者かに殺されていたはずだぞ。」
「はぁ?じゃあ目の前にいるこいつは幽霊だっていうのかよ?」
首をかしげ疑問符を頭に浮かべる龍美を見て、近山は再び楽しげな笑みを浮かべながら口を開けた。

「そう、俺はあの日死んだ。だが、俺は同時に選ばれたんだ。」
「選ばれた?」
近山は自慢話とばかりに自分の人生を全てひっくり返した事の顛末を語り始めた。


人間って言うのは死が決まると自分でも信じられないくらい他人事のようにアッサリと受け入れちまうもんでな。
俺は何時くるか分からない死刑執行の日をただ、暗く味気ない牢屋の中で鉄格子から見える月明かりの中
数えていた。そんな時だ。俺の運命を変える出会いをしたのは。



「近山譲二だな?」
「だ、だれだてめぇ!?」
コマの飛んだフィルムのように突然自分の牢屋に立ち尽くす見ず知らずの軍服を着た40台半ばほどの男の出現に、
近山は恐怖を覚え後ずさった。当然だ。看守以外で入り出来るはずのないこの牢屋にどうやって入ってきたのか。
近山は男が人間じゃないと理性ではなく本能で察した。一方男は紳士前とした態度で右手を胸に当てながら深々と頭を下げた。

「これは失礼した。我が名は黄兜。貴殿を迎えに来た。」
「迎えに?」
こちらの心情など知ってか知らずか、黄兜と名乗る男はマイペースに事情を説明しだした。

「本日、貴殿は恐れ多くも我等が偉大なる主、殲鬼姫様のお眼鏡に叶い、我等の同胞になる事が決まったのだ。」
「殲鬼姫?」
「そうだ。お前は我等荒魔という選ばれし者になる権利が与えられたのだ。」
「荒魔?選ばれし者?」
黄兜と名乗る男から飛んでくる言葉の一つ一つは、何一つ聞いた事もない理解できないものばかりだ。

「つまり、ここから出してやると言ってるんだ。」
「なに!?本当か?」
言葉の意味は分からずとも、黄兜から飛んできた脱獄を仄めかす言葉は近山にとって魅力的な響だった。
近山は真っ先に食いつき、黄兜は手ごたえありと言いたげに薄っすらと笑みを浮かべながら話を続けた。

「あぁ。だがこれから出す我々の条件を飲んだらの話だ。」
「条件?」
「条件というのは簡単だ。人間を捨てろ。」
「はぁ?」
近山は思わずあっけに取られた。当然だ。人間を捨てろといわれて捨てられる人間などいない。
第一人間である自分がどうやって人間を捨てればいいのか。

「詳しい説明がまだだったな。条件を飲む前に我等荒魔が何であるか話しておこうか。」
黄兜はそう言うと本来の姿である異形の姿へと変わり、力なくへたり込み声にならない悲鳴を上げる近山を
気にも止めず淡々と説明をした。千年前の戦いを。荒魔とは何か。自分が何者か。殲鬼姫という存在を。
そして今戦っている自分達を奈落の底に封印し、同胞三人を殺した忌々しい封魔師とその子孫達の存在を。

「つ、つまり、その封魔師に仲間の超荒魔を殺され数が減ったたので、戦力強化のために俺に白羽の矢が立ったって事か?」
「そうだ。光栄に思え。千年前の側近でない貴様如きが殲鬼姫様に選ばれたのだからな。」
普通に考えれば即刻精神病院送りな内容であるが、看守に気付かれず自分の牢屋に入り込み、
目の前で異形に姿を変える大盤振る舞いを見せられれば、信じざるおえない。

「説明は以上だ。それで、乗るか反るかどちらか選んでもらおうか。」
「乗るぜ。」
「ほぅ。」
面白げに微笑みながら黄兜は小さく息を吐いた。もう少し説得が必要かと思ったが、近山の瞳には
黒棘や青鰭と同じ匂いが感じられた。こいつの欲望は、もしかすれば黒棘よりも上かもしれない。

「ここから出られるならなんだっていい。俺も人間なんて不憫で面倒な生き物、捨てられれば
 どれだけ気が楽だろうっていつも思ってたんだ。これはまさに天のお導きいや、殲鬼姫様とやらのお導きか?」
「契約は成立という訳か。」
「ああ。あんたのお仲間になってやるよ。で、俺は最初何をすればいいんだい?」
「簡単だ。お前には一度死んでもらう。」
「え?」
説明を聞こうとするより先に、黄兜が持った大剣は近山の身体を容赦なく切り裂き、悲鳴を上げる暇さえなく即死した。

「家畜の身体に用はない。必要なのはこの魂だけだ。」
黄兜は近山の死体から飛び出た青白いエクトプラズムのような球を掴み揚げ、拘置所から消えていった。





魔盛洞窟にて

「ただいま戻りました、殲鬼姫様。」
『うむ。それで』
「はっ。かの者の魂、こちらに。」
『そうか、ご苦労であった。黄兜。』
「殲鬼姫自らの労いのお言葉、ありがたき幸せ。つきましては、この者に新たな命と力を。」
「うむ。では始めようか。青鰭。」
「はーい。ちゃーんと準備は出来てまーす。」
先ほどから洞窟の壁に背もたれていた青鰭は懐から赤黒いエクトプラズムのようなものを取り出し殲鬼姫の前に放った。
黄兜も先ほどから掴んでいた近山の魂を離すと、魂は風船のようにふわりと浮き上がったかと思えば、
殲鬼姫の放つ光の前でピタリと止まった。

「hripgnbibfjdvnutrgvosdnfjgebvubfmbmihthg7uregyer9ghjeusdbfvjdngvfdbvudshnvikdfbvisz/bvudf。」
殲鬼姫は千年前、黄兜達に施したのと同じ呪文を謡い始めた。人を捨て、魔の者に堕ちる契約の歌を。







「そして今、俺は人間、近山穣二ではなく荒魔となった。俺は選ばれたんだよ。人間を超越した存在として。
 分かるか、この世に生きる何千何万という家畜どもとはもう次元が違うんだよ。今の俺は。」
さもこの世の支配者になったかのような思い上がった言い方に、龍牙の怒りのボルテージは最高潮に達していた。
そんな中、再び龍牙の気持ちを知ってか知らずか、龍美の口かららしくない言葉が飛んできた。

「てめ」
「てめぇ、散々罪もない人たちの人生や命を踏みにじっておいて、自分が死ぬのはそんなに怖いのか!
人を捨ててでも自分の身が可愛いか!って、あいつがここにいたらそんなくっさい台詞言うんだろうな。」
「龍美?」
あいつって誰だよと突っ込みを入れるより先に、龍美は飄々とした態度を崩さずに自分の意見を述べた。

「まあ俺はお前さんがどれだけ鼠がゲロ履くような事しようと関係ないでね。それと
お前の話を聞いて俺も一つ思い出してきたことがあるぜ。」
「思い出したこと?」
「あぁ、俺もちょっと前この荒魔とかいう奴等にスカウトされたんだよ。黄兜とかいうのとは違う奴だったけど。
 確かクロトワだか黒ゴマとかいう奴だったな。まぁ名前なんかどうでもいいし誘いももちろん蹴ったがね。」
「ほう、態々選ばれし者となるチャンスを捨てるとは馬鹿な奴だ。」
あからさまに見下す態度をとる近山に対し、龍美はつまらなさげにため息を洩らしながら近山に目を向けた。

「それは俺の条件を飲まなかったそっちが悪い。俺は里沢とかいう野郎に言ってやったんだ。俺をトップして
毎日スィーツ食わせてくれるんならコーラとやらになってやってもいいってな。そしたら
条件飲むどころか逆切れして襲い掛かってきやがってよ。当然返り討ちにしてやったけど。」
「っぷ!お前面白い奴だな。」
「そうか?」
龍美の予想だにしなかった返答に思わず仮面越しに笑みを浮かべる龍牙に対し、近山は龍美の態度が気に食わないのか、
先歩の落ち着いた態度から劣悪で非道な猟奇殺人鬼特有の明確な殺気を放ちながら睨み返してきた。

「図に乗るなよ。高々さかしい力を得ただけの家畜風情が。」
「だったらてめぇどうなんだ?二親からもらった大事な命を簡単に捨てちまう社会のゴミ野郎が。
 それとも本当に、人の面をした人面獣心の犬畜生か?」
龍牙の挑発にとうとう限界が来たようで、近山はその姿を今や仮初となった人間から本来の姿となった異形の姿へと変貌した。

「俺がここに置かれた理由はな、万が一抵抗してきた人間が現れた際それを始末するべく俺が指名されたんだ。
 お前等は本当につくづく運がない。俺のお目目に止まってしまったんだからな。」
「あぁ。だろうな。お前は運がない。」
「なに?」
「お前は決定的な誤算を犯した。それはただ一つ、俺を怒らせた事さ。」
龍牙はデッキから取り出したカードをバイザーで読み込み、一振りの青龍刀を召喚し力強く握り締めた。

「俺はあいつを殺すがお前はどうする?」
「俺は別にこいつのいう事に腹立てるほど暇じゃないけど、こんな荒魔だが甲羅だか分けわかんない奴等が
 支配する、漫画もテレビもましてスィーツもない世界何ざ死んでもお断りだね!」
「ツー訳だ。俺達はお前を敵と認知した。お陰でお互い遠慮せず殺りあえるだろう?」
「あぁ。教えてあげるよ。切るのでも突くのでも焼くのでもない、溶かされるという新しい苦しみをタップリとね!」
奇しくも龍を司る二人の男は、あらゆる命を嘲笑し溶解させる毒の化身、緑毒牙ことドクハキコブラに憑依した
リンガルススペクターに向かっていった。

,
最初に言っておきます。イタリアーノはド腐れされ外道のアホンダラです。イグナイトの続きがまだだっていうのに、
続き描かなくちゃと思っているのに、そう思う時に限って本編とは関係ない話のネタが沸いてくる
螺子が百本飛びまくっている駄目な頭を持つ私!しかもYPさんに許可なく龍美修二君を登場させちゃってるし。
YPさん、ほっっっっっっとうにすいません!それと龍美君のイメージ壊れてませんか?出来るだけ
イメージ壊さないよう書いたつもりなんですが、不快な気持ちになったらそれは私の力不足として謝罪します。
それとイグナイトを読んでくださっている超寛大で慈悲深い方々本当にゴメンナサイ!続きはこの外伝を書き終えたら
今度こそ、本当に、冗談抜きで、SS屋の名に誓って書き上げますので!


それと今回登場した緑毒牙ですが、こいつは実は本編で登場させようと考えていた六人目の超荒魔なんです。
超荒魔が実は人間だということを教える為の複線として登場させるつもりだったんですが、
お楽しみと切り札は最後に取っておく主義の私の性格でボツになってしまった奴なんです。




決して欠かしませんよレス返し

TO鴎さん
>感想遅くなってしまい申し訳ございません。
気にしないで下さい。私なんて続き書くことさえ億劫なんですから。

>このシーンは・・・泣けました。本当に泣きました。
>ここまで最後まで戦い抜いてきて、一段落着いたからこそ感動もひとしお。
ありがとうございます。本当にここまで来るのにいろんな紆余曲折がありました。ここまで来れるのも
皆様のおかげだというのに私って奴は・・・・・・・・・孔があったら入りたい!(じゃあ続きかけよ

>イグナイトは本当に興奮や感動に展開が満ち溢れている名作・・・!!
>「おお、そうくるかっ!」「ええ、こうなるのっ!?」といった驚きや先が読めない展開
褒めすぎですよ。私の場合とにかく自分の趣味を全快で書いているだけです。

イマジンの皆さんも声援本当に感謝です!この外伝書き終えたら必ず簡潔を書き上げますので!


今回登場した生贄・・・・・もとい新キャラ

近山譲二
175cm 体重64kg
容姿 どこにでもいそうな没個性な20代後半
20人近くの女性を強姦した挙句殺害し、遺体を硫酸で溶かし証拠隠滅を図るという暴挙を続けた猟奇殺人鬼。
死刑判決を受け拘置所に捕えられていたが、その残忍さ、非人道さが殲鬼姫の目に止まり、戦力強化として
超荒魔の一角に迎えられ超荒魔が一人、緑毒牙(りょくどくが)となる。名前の由来歯はロシアで50人以上を
殺害したアンドレイ・チカチーロとイギリスで実際に遺体を硫酸で溶かしたジョン・ジョージ・ヘイグ。

リンガルススペクター
スペクターと融合した近山譲二の魂がドクハキコブラに憑依したスペクター。背中のタンクと繋がった
ウォーターガンは強酸性の猛毒を発射でき、触れれば白金さえもドロドロに溶かしてしまう。
さらに左手の爪も毒素と繋がっており、切り裂かれれば獲物は言葉にならない痛みを受けてしまう。
まさに硫酸を好んで使った人間時代を髣髴とさせる、陰湿ながらも強力な武器を持つ。
,#000000,./bg_f.gif,i118-16-179-58.s10.a022.ap.plala.or.jp,0 2010年06月28日(月) 00時33分12秒,20100606162100,20100701003312,B5TyELym44q2s,仮面ライダー(?)珀羅 超外伝 『鉄機の友と不動の絆≪知恵と勇気だ!編≫』,地中メダロッターS(instead by seiran-syouka),,,


“メダロット” それはテクノロジーが生み出した、 まったく新しいロボットである。


ティンペットと 呼ばれる基本フレームに人工知能メダルを搭載。


更に様々なパーツを合体させることにより、 無限の能力を引き出す事が出来るのだ!





ちゃー♪

てんてんてんっ♪てんててんてんっ♪てーんてんてんててててててってーん♪

てんてんてんっ♪てんててんてんっ♪てーんてんてんてててててててててて♪

ででっででっででっででっで♪ででっででっででっででっで♪

でっかく生きろよ 男な(ry






『仮面ライダー(?)珀羅 超外伝 〜鉄機の友と不動の絆〜知恵と勇気だ!編』






「ん゛〜・・・・zzzz」

布団から腕だけだし、ケータイの目覚ましのアラームを止める恭也。
気だるそうに唸ると手を引っ込め、二度寝に入ろうとする。

『あぁっ、駄目だよキョウヤ!早く起きなきゃっ!』

ケータイから焦ったような声が聞こえて来た。
誰かと電話中、ということではなくこのケータイの中には恭也の相棒がいるのだ。

メダロッチと呼ばれるこのディバイスは数年前までは腕時計の形をしていたが、最近になってケータイ型が発売されていて今ではほとんどのメダロッターがそれを使っている。

“メダロット”はメダルで動く人の腰の丈ほどの大きさのロボットだ。
だが普通のロボットと違いメダロットには心があり、自分でものを考え動くことが出来る。
中には未だに彼らをモノ扱いしたり、道具として利用することしか考えない者もいるが、多くの人間・・・もちろん恭也にとってもメダロットとは大切なパートナーであり、友達なのである。


話を戻すが、恭也はその友達に必死に起こされている最中だった。
恭也のメダロット、クラックはメダルの状態でメダロッチに入れられているので今は声を上げることしか出来ない。

『早く起きないと遅刻しちゃうよ!』
「んー、なんだよクラック・・・今日は日曜だし店も定休日だろ・・・もう少し寝かせ・・zzz」
『今日は大会の日でしょ!!何の為に定休日したのさ!?』
「ん〜・・・・・・・・・・ん、んん!?」

がばっ、と上半身だけを起こし布団を器用に跳ね上げる恭也。
枕元に置いていたケータイを拾い上げるとようやく焦り始めたらしく顔を青ざめさせた。

「い、今何時だ!?」
『08:55だよ』
「やべぇええええええええ!???!?!?か、開始九時からだったよな!???!?!?」

一か月前に同居人で親友の濠とクラスメートの鴉美と三人で組んで*“ロボトル”町内大会で優勝した恭也達は地区大会への出場権を手に入れていた。(*メダロット同士を戦わせるある種のスポーツのようなもの。)
今日はその地区大会の日だったのだが、濠は昨晩から用事で家を開けていて直接会場に行っているらしい。
いつも濠に起こして貰っている恭也は完全に寝坊してしまった。

「うわぁああああああ!?!??マジやべぇええええ!!?!?!?」

エントリーは済ませてあるが自分がいなければ三体三の所を二体三で戦うことになる。
二人がいかに強くても流石にきついだろう・・・・
というのは建前、とりあえず恭也は遅刻して鴉美のお怒りを買うのが一番まずかった。(ぉ

『落ち着いてキョウヤ!初戦は間に合わないけど、大丈夫だから!』
「なっ、ええ!?どうゆうことですのん!?クラックたん!?」
『チーム戦でも決勝戦以外はワンオンワンの勝ち抜き式だからハクラとランバなら大丈夫だよ。三人同士のロボトルは決勝戦だけ』
「まじ?あー、なら決勝まではオレらいらない子だよな?なんだよ、あと五分寝れるじゃん・・・・・zzzz」
『普通に急いでよ!?アミもカンカンみたいだよ!?ほらメールアプリ開いて!』ピッ
「うげっ!?なにこれこわい」

そんなこんなで漫才しつつ恭也が家を出るのにはそれからしばらくかかった。



●地区大会 会場


「ハクラ!ジンカイブレード充填!懐に入り込め!」
『承知した』

ハクラと呼ばれた翡翠と白を基調とした四足・二本角を持つメダロットは右手を胸のあたりで構えると敵に向かって駆けて行く。

「ブ、ブルースドッグ!え、えっと、ヘッドキャ・・あ、やっぱりエイムライフルだ!」
『り、了解!』

相手メダロッターは上手く指揮が出せていないようでメダロットの動きもワンテンポ遅い。
大勢の人が見ているという緊張もあるだろうが・・・それ以上に相手が悪かった。

「銃身の動きを見切れ!ハクラ、かわせるなっ!?」
『当然だ!』

相手は“ライフル”というスタンダードな攻撃。
基本的にこのくらいの距離だと真っ直ぐにしか飛ばないようになっている。
撃つ瞬間に銃口の向けられた先、その一点だけを避ければさほど問題なく対応出来るのが理屈・・・とは言っても並みの者ではそんなのを一瞬で狙ってやれる訳もない。
だがハクラは位置やタイミングなどを的確に判断し、かつ足を止めることなくそれをやってのけた。
それに怯んで逆に動きを止める相手に、ハクラは一気に駆け寄ると“じゅうてん”が完了した右腕を振り上げた。

「うわっ!?ブルースドッグ!」
『れ、“れいきゃく”が間に合わな・・』
「遅い・・・!行けっ!ハクラ!!」
『はぁっ!!』  ザァンッ!!ザァンッ!!

ハクラの攻撃、“ソード”が敵の胸部装甲を×の字に切り裂く。
相手の機体は衝撃で吹き飛びうつ伏せに倒れ込む。

≪頭部パーツダメージ100%、機能停止、機能停止≫

ピンッ

相手側のメダロッチからアナウンスが流れるとメダロットの背中のカバーが開きメダルが射出される。

「ブルースドッグ機能停止!雷鳴堂チームの勝利ぃぃぃ!」

“1”の時代から変わることなく頑張り続ける名物レフェリーが声高らかに告げた。






濠とハクラがステージから降りると鴉美が駆け寄って来るのが見えた。

「また三人抜きですよ!やりましたね濠さんっ!」
「あぁ、これで二回戦突破だ」
『あややぁ、結局あたしの出番はありませんでしたかぁ』
『あれしきの相手に手を焼くようではナヴァグラハの相手は出来ん』

鴉美の相棒、ランバは烏天狗型メダロットだ。
ひこう型は空も飛べて動きも速いが一点には留まり切れないのがネックで今は二人と一機の頭上をゆっくりと飛び回っている。

ちなみにナヴァグラハというのはメダロットによって世界の破滅を目論む悪の秘密結社だったりしなかったりする。
何故かハクラのメダルを執拗に狙ってくるので本人としては鬱陶しいことこの上ないようだ。

『いやいや、そうはいいますけど相手もそこそこ強いんですよ?一応他の町の町内大会を勝ち抜いて、この大会の一回戦も突破してるんですからぁ。それにですねぇ――‐』

ランバの趣味は隠密行動(忍者ごっこ)で、ハクラの戦っている最中にもこっそり相手チームの情報集めに勤しんでいたようだ。
最後に戦った相手のメダロッターも全国高校メダリンクでは40位くらいには入り込んでいることも調べていた。

だがその彼は信頼する仲間達を鬼(のように強い一人と一機)が文字通り秒殺するのを見た後だった・・・・まぁ、ご愁傷さまと言ったところだ。

「だいぶ早く終わりましたよね。もう一回勝てば決勝戦ですか」
「あぁ、そういえば恭也からの連絡は来てないのか?」
「今さっきお店を出たそうです・・・・(♯」

あれほど遅れるなと言っておいたのに、と鴉美は拳を固く握る。

「むっ・・・向こうのステージが騒がしいな。行ってみるか」
「そ、そうですね・・・・」

鴉美は顔の辺りまで昇って来ていた右拳を左掌でイクサよろしく押さえつけ何とか引っ込めた。


『ニンニンジャ機能停止!蓬縁神社チームの勝利ぃぃぃ!』


二人がステージについた時にはもう決着が着いていた。

「やったなリオン!三人抜きだっ!」
『うん、何とかなった』
「お疲れ様。燎子ちゃん、リオン」
「リオンは回復装置のところに言った方がいいわ。ちょっとダメージを受け過ぎたわね」
『うぅ、ごめんね・・・わたしが最初でやられちゃったから・・・』
『大丈夫、ブラスは援護が得意。三人の時、皆で頑張る』
『わたくしの出番がなかったのは少しもの足りませんが・・・ま、二人ともよくやりましたわ』

女の子三人チームと♀型メダロット三機、何とも華やかなチームがステージの下で話している姿が見える。

「やはり雪乃も勝ち上がって来たか・・・」
「お知り合いですか?」
「あぁ・・・決勝で当たるかもしれないな。恭也が間に合わなかったら本当に危ないだろう」
「い、いくら何でも・・・・間に合いますよね?」
「・・・・・・・・・・」

鴉美は苦笑いで濠に同意を求めるが濠は微妙な顔をしていた。






「えっと・・あの角をとりあえず右、次左、道は探すさ?」
『違う違う!左に行った後、真っ直ぐ交差点を直進して少ししたところだよ!ボクがナビゲートするから急いで!』
「お、おう・・・!」

クラックに急かされ恭也は駆け足で目的地へ向かう。
二人で移動すると若干移動速度が遅くなるのでクラックはまだメダロッチの中だ。


ででー でっでー♪でででーででで♪でっでー♪でででーででで・・・・

『あ、メールだ・・・』

例の戦闘BGM1の着メロが響き、メダロッチがメールを受信した。

『わっ、もうすぐ決勝戦始まっちゃうって!?キョウヤ!急いで急いで!!』
「いやいや、どんだけ試合展開早いんだよ!?」びしっ!

恭也も二試合目ぐらいまでには着くつもりだったのでこれは予想外過ぎた。
普段は恭也がボケサイド、クラックがツッコミサイドの担当をしているのだが、思わずツッコミサイドしに行くほどのファングジョーカー(イミフ

「困ってるみたいじゃねぇか、坊主」

「おうっ!?お、おっちゃん!?」

赤いざんばら頭の男。サングラスと麦わら帽子がトレードマークのヒヨコ売りのおじさんだ。
時々グッと来るアドバイスしてくれたり、珍しいアイテムやパーツ等を(有料で)譲ってくれる割と親切な人だ。
何故か今日は頭の上には鶏が乗っている。

「あらー、暫く見ない間に随分育っちまって・・・・」
「坊主、ながい人生一度や二度は道に迷ったり行き先を見失ったりするもんだ。そんな時どうすりゃいいかお前にわかるか?」
『あ、いや・・・道ならボクが知って・・・』
「兎に角走れぇいっ!!!!」
『「えぇっ!?」』
「闇雲でもなんでもいい、走っていればおのずと道は開けるもんさ・・・・・・」

ごくっ、と常備している杯を一啜り。
まだ昼間だと言うのに・・・何と言う駄目男・・・!
男は一息つくとまた喋り出す。

「一番いけねぇのはなぁ、坊主。だらだらとその場に留まっていることさ」
『いや、引き止めたのおじさんだよね?ボク達元から急いでたんだけど・・・・』
「・・・・・・・」
『「・・・・・・・」』
「だが、人間!!!時には立ち止まって自分の道を確かめねばいけねぇときもあるぅ!!!!間違ってると思ったらそんときゃぁ、全力で駆け戻れ!!!!」
『「なんか言ってること無茶苦茶だぁぁあぁ!?!?」』ガビーン
「いけぇい坊主お前の信じる道をぉぉぉ!!!」びしぃっ!
『(あぁ、もうこの人面倒くさい)』

合う時は大体いつもお酒が入っているが、今日は特に面倒くさい部類に入っていた。

「おっといけねぇ、もうこんな時間だ。ほら、コイツを持ってさっさと行きな」
「おう、なんかくれるなら貰っとくぜ」

呼びとめて置いて何事かとも思ったが、恭也はこの男との付き合いも長く気も合うので素直にそれを受け取った。
貰ったのは見たことのない一枚のアプリカードだった。

「ク、クラフ・・?なんだ、これ・・・?」
『ごめん、おじさん。キョウヤ急いでたからお財布を家に・・・』
「なに、ちっこい坊主は今度の祭りで出店の売り子。坊主はパンチラ談義にでも付き合ってくれたらそれでいいさ。それより急いでるんだろ、さっさと行きな。」
「おう、そんじゃ!またな、おっちゃん!」
『おじさん・・・・ボク女の子だっていつも言ってるのに・・・・』

ぶつぶつとクラックが言うのを気にせず恭也が再び走り出した。

恭也が見えなくなってから男はヒヨコ売りセットを片づけ始めたが、その時銀髪の巫女さんがやって来るのを見た。

「よう、お前特等席で大会見物してるんじゃなかったのかよ?」
「今は昼休みだ。それより・・・・何でわざわざ今日のこの日にアレをやった?次の試合で燎子達とぶつかるんだぞ」
「そんなもん・・・・」

男はニハッと笑って見せた。

「そっちの方が面白いだろ?」



●地区大会 会場


「それでは全国ロボトル大会予選、地区大会決勝戦!!ロボトルゥゥゥ、ファ『「ちょっとまったー!!」』」

ズサァァァ、とヘッドスライディングして恭也がステージの指定位置に着く。

「ぜぇ、ぜぇ・・・メ、メダロット!転送!」ぴー

メダロッチからレーザー信号のような光が放たれその先に光の玉が出来る。
光の玉の中からは烏賊と人魚を足して割ったような機体が現れ、恭也はそれにメダルをセットする。
頭部の電子センサーがぱっと輝き、クラックが起動した。

「よう、みんな待たせたな!」
「むっ、やっと来たか・・・間に合わないかと思ったぞ」
「遅いですよ!本当に決勝戦直前まで来ないってどういうことですか!?」
『ご、ごめん!いくら何でも予定より二時間も早く始まるなんて思わなくて・・・』
『ムッ、すまない。時間配分は考えていなかった』
『あややぁ、まぁ間に合ったからいいじゃないですかー』

「あのー、合意と見てよろしいでしょうかぁ?」

レフェリーさんが困ったように恭也達を見る。

「あ、すんませんっす。始めちゃって下さい」
「こほんっ・・・えー、それでは改めまして!雷鳴堂チームvs蓬縁神社チームの試合を始めます!!・・・ロボトルゥゥゥ」

「よし・・・・行くぜ、クラック・・・!」
『うん・・・!』

各ポジションについた六機がレフェリーの声にゆっくりと身を屈める。

「ファイトォォオ!!!」 カンッ!!

試合のゴングが高らかに鳴る。
六角形のフィールドの各端から一斉にメダロット達が動き出し、ロボトルは幕を開けた。






「リオン!先手必勝だ!ベニホオヅキをお見舞いしてやれ!」
『わかった』

一番に“じゅうてん”を完了したのはリオン。
格闘攻撃で近くに接近していたハクラに目がけ、右腕の“ファイア”スキルの刀で斬りかかる。

『狙いが甘い!』

と正面から来る攻撃を危なげもなく避けるハクラ。
それに続き僅差でハクラも“じゅうてん”を終えて反撃に移る。

「ハクラ!ジンカイハンマーだ!」
『承知した!』 ガンッ!!

“ねらいうち”の行動直後は回避が極端に難しくなり、そして“なぐる”の直後には防御がほとんど出来なくなってくる。
リオンのベニホオヅキも“なぐる”なので攻撃を受ければ大きなダメージを貰ってしまうのだ。

「っ、リオン!」
『大丈夫、間に合った』

リオンは足の頑丈な部分をわざ先にとハクラのハンマーへと当てに行き、腕への攻撃を防いでいた。
心がずれた攻撃は威力が半減して脚部へのダメージも最小限に抑えることに成功した。

『やるな。腕の一本くらいは持っていくつもりだったが・・・まさかあの態勢から防御に入るとは・・・』
『ギリギリ、でもよかった』

静かに言うハクラだが今のを防がれたのには内心とても驚いていた。
目の前のこの機体、ぽわぽわしているだけではなくかなりの強者のようだ。

『フン、久しぶりにいい戦いが出来そうだな・・・!』
「熱が入って来たな、ハクラ。」
「今の危なかったよな・・・やっぱ本気で行くしかねぇ!リオン!レクリスモードだ!」
『わかった』

燎子の指示でリオンが高く跳び上がる。
ぺかーっ、とリオンの体から朱色の光が放たれ変身ヒロインとかでお約束のシルエットだけ状態になった。

『・・・ん、ん』///

くねくねと身体を動かしつつ四つん這いになるリオン。

「おぉっと!蓬縁神社チーム、燎子選手のリオンが何かを始めたようです!解説の門矢さん!あれは何をしているんでしょうか!?」
「アレだ、アレ。ちょっとくすぐったい感じのやつだな」

と中継席からのコメントが入る。

燎子のメダロッチのディスプレイにも全パーツのHPが一つになった数値と新しいコマンドが表示された。
フィールドに降り立ったリオンの姿は人型から獣型に、“にきゃく”タイプから“たきゃく”タイプへと変形を遂げた。

『変身完了。がおー、食べちゃうぞー』
『面白い・・・どこからでも掛って来い!』






「おぉ、濠達の方盛り上がってるなー」
「向こうは濠さんに任せましょう。こっちはこっちで行きますよ、ランバ!」
『ハラショーハラショー、張り切って参りましょー!でぇぇぃやっ!』
「ぶ、ブラス!防御して!」
『う、うん!≪ザッ≫ひっ!?≪ザクッ!≫ぃたぁっ!?』

ランバが素早い“ソード”攻撃、セイランケンで斬りかかる。
ブラスが腕で防御しようとしたが痛みにびっくりして防御に失敗し片腕に大ダメージを受けた。

「ブラス、大丈夫!?」
『うぅ・・・痛いけどまだ大丈夫。弾も撃てるよ』
「がんばって!あのひこう型の子は動きが速そうだから最初は・・・“レーダーサイト”!」
『わかった!』 ぴぴぴぴぴ

ブラスは相手の情報を集め送信し、チーム全体の“せいこう”を上げた。

「攻撃わざひとつしかないけどオレ達も行っとくか」
『わかった。ハッカーコード充填開始!』
「こちらの方が早かったようね。ゲッカ、クレッセント発動」
『待ち侘びましたわ!』

ゲッカがフワフワと前に出で行き両腕を広げる。
すると白いオーロラが発生し、ゲッカ達を護るバリアを作った。

「ありゃ“ガード”か?でも“ウイルス”があたれば“ガード”中でも“せいこう”は落せるんだぜ!いけクラック!」
『ハッカーコード!≪ジュァッ!≫わっ!?』

クラックのコードがゲッカに伸びて行くがバリアに触れると攻撃は強制的に中断され“れいきゃく”の状態に移行された。

『そう簡単にわたくしのやわ肌に触れられるとは思わないことですわね』
「“かんぜんガード”タイプかよ・・・!くそぉ、DS版とかチート過ぎだろjk(常識的に考えて)」
「な、何言ってるんですか恭也さん?」

大変メタく悪態をつく恭也だが、“かんぜんガード”は本当に厄介なものだ。
効果が継続する間は自分と味方への攻撃は一切通じないとか本当に反則だ。

『あややぁ、ここはメダフォース行っときますかー?』
「うーん、カミカゼシュート撃つには最低でも5チャージは要りますからね・・・今はちょっと・・・」
「ブラス、今のうちだよ!撃って撃って!」
『えい!えい!』 パンッ! ガガガガ!
『うあっ!?』
『あいたっ!?』

隙を見つけて香織が指示を飛ばすと指示待ちのクラックとランバにブラスが“ライフル”や“マシンガン”を撃ちまくる。
“レーダーサイト”で命中率もアップしている為、ブラスの弾が当たる当たる。
“かいひ”が自慢のランバが普通に当たるくらいだから元々結構射撃は上手い方なのだろう。

『えい!えい!えい!えい!』
『ちょっ、あの子目を瞑ってる!?あぶないって・・!いたっ!?』
『≪バゴッ≫ギっ!?あややぁ!?み、右腕やられました!』
「あちゃー・・・あのブラ子ちゃんも結構やるのなぁ、jk(女子高生)」
「こんな時に何言ってるんですか!?」

特に“ハート”のメダルは“たすける”のパーツに当たりやすいようになっていて“たすける”を頭パーツに持つクラックやランバに対して大変痛い所をついて来るのだ。
当然ながら頭部をやられたら機能停止、つまりは負けだ。

『ちぃっ、あのドジっ子めぇ!報復に“トルネード”で泣くまでスカートめくりの刑ですかね?夜道には気をつけやがれってんですこんちくしょー!』
「ちょっとランバ!?恭也さんみたいなこと言わないでくださいよ!!」
『フォロー出来ないのが辛いよ・・・。それは置いといて、どうしようかキョウヤ・・・・?』
「うーん、こっちも“コマンダー”で“かいひ”上げに行ってもいいけどなぁ・・・」

向こうにも“レーダーサイト”があるならプラマイゼロだし何か言い手はないものか、と端末を操作する恭也。
するとふと目についたあるコマンドの所で指が止まる。

「ん?これさっきおっちゃんに貰った・・・」

【メダチェンジ・クラフティモード】と表示されたコマンド。
ひょっとするとこれで逆転への道を見つけられるかもしれない。
都合がいい話かもしれないが恭也はこれを使う以外の行動を頭から除いていた。

「“とにかく走れ”ってな・・・・なっ、クラック!」
『“もし駄目なら全力で駆け戻れ”だね。・・・わかった、やってみよう!』
「よし、行くぜ!メダチェンジ!クラフティモード!」

ぺかー、っとクラックの身体とメダロッチが光を上げる。
メダロッチからサイドカー付きのバイクのようなサポートメカが転送され、飛んで行くとクラックの身体や足のコードなどがかぱぁっと開いていく。

『え、ちょっ何これ・・・・ぁ、ふぁ、ぅっ・・ぅぅ』///

メカはそのままがっちょんがっちょんクラックにくっ付いて行きみるみる内に新たな姿を形創っていく。

「門矢さん!これは・・・」
「あぁ、やっぱりアレだ。ちょっとくすぐったい感じのやつだな」

と、また中継席からコメントが入った。


ジャキーン!!!

と効果音付きで、フィールドにそびえ立ったのは単眼の巨人。
巨人と言っても元々他のメダロットより小さめなクラックの三倍ほどだから、人間より少し大きいくらいのサイズだ。
“たきゃく”から“にきゃく”に変わり、しっかりとフィールドを踏みしめている。

『わぁ、なんか凄い力持ちになった感じがするよ』
「えーっと、マニュアルマニュアル・・・っと、ミョルニルハンマ?よし、それだ!!」
『わかったよ!せぇのっ、よいしょぉおおおおおおお!!!!』

ふんぬっ、っと大きなモーションで背中に付属されていた巨大ハンマーを抱えてジャンプする。
“がむしゃら”のこうげき、“ハンマー”は誰に狙いをつけるでもなく一番近いゲッカの方に向かう。

『無駄ですわ。“かんぜんガード”が効いてる以上≪パリィンッ!≫・・・・え?』

バリアに“ハンマー”が当たるとそれはガラスか何かのように割れてしまった。
そのままクラックの“ハンマー”はゲッカの元へと落ちて来る。

『嘘・・・!』
「呆けないでゲッカ、正面からの攻撃よ!避けられるわ!」
『わ、分かってますわ!』 ひょい

無駄のない動きで回避行動を取るゲッカは難なくそれをかわしながら武器の“じゅうてん”を始めた。
“がむしゃら”の直後は一番隙が大きいため大ダメージを与えられるのだ。

『さぁ、今度はわたくしのば

≪ズガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンンンンン!!!!!!!!!!!!≫

ひゃっ!?』

ゲッカをスカしたクラックの“ハンマー”は勢いを保ったまま盛大にフィールドを叩いた。
地震が起こったように大地が揺れるとフィールドの表装が剥げて行き、地面が凹んだり盛り上がったりする。
ついには地形≪スタジアム≫が≪さんち(山地)≫に変わってしまった。

物音に驚いたゲッカは“スリップ”を喰らったのと同じく、次の行動を忘れてしまった。(雷とか超苦手らしい)


「ぱ、ぱねぇええええええ!??!??!なんぞこれ!?!?パラメータいったいどうなって・・・・“いりょく”99以上・・・表示不可!?おいおい、上限限界超えちまってるじゃねぇかっ・・・・!?」
『あ、でも何回か行動したら変形も自動で戻るみたいだよ。』

『あややぁ、クラックさんいつの間にこんな・・・これは色々調べ直しですかねぇ!』
「空飛んでるからってのんきなこと言わないでくださいよ!」

『山地か・・・私の得意な地形だ。勝負はここからだな』
「ここで躓いてはいられないぞ、ハクラ」

『山地、リオンもよく動ける。負けない』
「よしっ、好きなだけ暴れて来い!」

『あぅ、足がひっかちゃったよぉ・・・・ふぇ〜ん、リオンちゃん助けてぇ・・・!』
「ブラスー!?が、がんばってー!」

『ま、まぁ・・何であろうとわたくしの前では関係ありませんわね。さぁ雪乃、早く指示なさい』
「そうね。それじゃ、私たちも反撃に出ましょうか」

見せる反応は様々だがみんなどこか生き生きしている。
この状況をそれぞれで楽しんでいるようだった。

「何が起こるが分からないのがロボトルの醍醐味か・・・なんか、こういうのすっげぇ楽しい・・・!」
『うん・・・・キョウヤ!この試合、絶対勝とうね!』
「応!行くぜクラック!!!」





少年少女達とメダロットの物語はまだ始まったばかりだ。






,
注意)
・これはメダロットDS発売記念(私のクリア記念(ぉ)の特別企画です。
・この物語に出て来るメインメダロット達は一部の除きオリメダです。実際のメダロットには登場しません。
・メダロットDSではメダチェンジシステムは使えません。メダチェーンジ!って叫びたい人はメダ3を購入してください。
・ブラックスタッグは俺の嫁(ぉ

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私は遠い地中の彼方から 数多の岩盤貫いて 燦然と輝く太陽の下に昇り出た 一匹の駄土竜!!  
地中メダロッターSッ!!!(決めポーズ&エコー

断じて青嵐昇華などという者ではない。

クラック『いや、バレバレだと思うけど・・・何その変なお面?』

私がメダロットと出会って早1●年、幼少の頃から私はメダロットで育ったと言ってもいいだろう。
もちろん“1”から漫画も持っていた・・・何せ私はボンボン派‐エリート‐だから!!

クラック『わっ、無視された上に何か語り出したよ!?』

例の『真型』来た時は「あぁ・・・これでもう終わりか・・・・」とか思っていたが8年ぶりの現在、DSで蘇った“メダロット”に私の心は有頂天!!!
ヒャォオオオオオオオオオオオホォオオオオオオオオオオキタコレデカツル!!!

クラック『止めて!誰かこの人止めて!!』
リオン『わかった、ていっ』 ザクッ

あべしっ!?!?
Why!?メ、メダロットは人間には攻撃出来な・・・

ランバ『あややぁ、多分“人”として認識されなかったんでしょうねー』
ハクラ『その面妖な姿を人と思いたくはない』

ひどっ!?メダロット大好きチメダスに対してそれはヒドい!?

ゲッカ『略し方も格好と同じくらいナンセンスですわ・・・』
クラック『あぁ、でもホントに好きなのは知ってるよ。海賊とかも最初はコインじゃなくてメダルでやろうとか思ってたくらいだからね』

え、何その無駄な裏情報。
つか私は地中メダロッターSだと言うとるに・・・・・

ブラス『でもこれってここでやってよかったの・・・?』

ん、よいよい。
珀羅の超外伝扱いで擬人化ならぬ擬メダ化だから気にしない!
ブラスたんはゲスト扱いだがなっ!(ぉ

ブラス『な、仲間外れぇ(ガーン)・・・うぅ・・』

イヤー!?泣かないでブラスたん!?
私泣かせてないからね!?リ、リオンちが・・・・あ、あぁ・・・獣に襲われるゥゥ!?!?

アッーーーーーーーー!?


【登場メダ紹介】

『クラック‐KRK型メダロット‐』
恭也が雷鳴堂の蔵の奥から引っ張り出してきた70年以上前の機体。
珍しいタイプのメダロットで正規の工場で製造されたものではないらしい。
実は海外のものと言う線もありメダルは角が丸くメダルというよりコインのようになっている。
クラフティモードへの変形(サポートメカとの合体)で超パワー攻撃が可能になる。

メダル(?):クラーケン(ボクっ娘系、世話焼き)
頭:ランサーヘッド コマンダー(さくてき+いんぺい) たすける
右腕:ハッカーコード ウイルス なぐる
左腕:ワクチンコード ぼうがいクリア なおす
脚部:エイトコード たきゃく

『ハクラ‐BIC型メダロット‐』
オニをモデルとした♂型メダロット。
ソードやハンマーによる格闘攻撃を得意とする。
メダルには多くの謎が秘められているとかいないとかでメダフォース三つが使える。
シルエットはどこぞのKWG系統の機体に似ている気がしないこともない。
余談だがさまざまな専用強化パーツが多々あって敵側から提供されることもしばしば。

メダル:オニ(クール系、とても戦士な感じ)
頭:バイコーン レーダーサイト(旧さくてき) たすける
右腕:ジンカイブレード ソード なぐる 
左腕:ジンカイハンマー ハンマー がむしゃら  
脚部:オリクスハーフ たきゃく 

『ランバ‐TNG型メダロット‐』
烏天狗をモチーフとした♀型メダロット。
“いどう”“かいひ”がとても高く“ぼうぎょ”が低め。
“ひこう”型のトラウマ、アンチエアだけはかんべんなっ(ぉ

メダル:ストーム(元気系、隠密のくせにおしゃべりは大好き)
頭:カラスエボシ ヒーター(充填速度上昇) たすける 
右腕:セイランケン ソード なぐる
左腕:フウジンファン トルネード うつ
脚部:トールゲーター ひこう


『ゲッカ‐GKO型メダロット‐』
全パーツ“そうこう”は低めだが回数限定で攻撃を一切無効化する“かんぜんガード”を持つ。
また“せいこう”“れいきゃく”が恐ろしく高く攻撃後の“後ろ向きの隙”が本気でないので攻めまくるスタイルを得意とする。えすぃ(ぉ
さらに“フリーズ”は命中すれば確実に相手の動きを止めるので中々厄介。やっぱりえすぃ(ぉ
でもえすは攻められると弱い(ぉ

メダル:ルナ(やや高飛車系、ツンデレ)
頭:クレッセント かんぜんガード まもる
右腕:ホウセンカ ライフル ねらいうち 
左腕:ヒョウモンショウ フリーズ なぐる
脚部:アイスレイク ふゆう

『リオン‐LNL型メダロット‐』
格闘攻撃特化型のメダロットで“いりょく”や“じゅうてん”の性能は高いが“せいこう”や“れいきゃく”が若干低く隙は大きい。
が、そこは野性の勘(?)や切り札の変形を使いこなしカバーしているので中々の実力を持っていると言える。
獣の姿で高機動形態を取るレクリスモードはすごく・・・ライオンさんです(ぇ
がおー、たべちゃうぞー(ナニ

メダル:ライオン(天然系、よい子)
頭:シシミミヘッド ハンマー(頭突き) がむしゃら 
右腕:ベニホオヅキ ファイア なぐる
左腕:カロルナックル ファイア がむしゃら
脚部:マタタビウォーク にきゃく

『ブラス‐SLR型メダロット‐』
正式名称セーラーマルチ。
ハートメダルとの相性も抜群にいい普通によく使える堅実な機体。DS版では二人目の相棒になる。
安定した戦い方を見せ、たまにもの凄くなでなでしたくなる働きっぷりを披露する。
が、ここではえらくドジっ子で泣き虫である(ぉ
メイン勢の中で唯一メダ化ライダーではなくそのまま持ってきた最近青嵐のお気に入り(ぉ

メダル:ハート(ドジっ子系、泣き虫)
頭:バリアブルヘアー レーダーサイト(旧さくてき) たすける
右腕:パテリィバルカン ガトリング うつ
左腕:ショートショット ライフル ねらいうち
脚部:フレアギャザー にきゃく




クラック『いや、さっき思いっきり青嵐って出てたけど・・・・』

さぁ、あとがきもいよいよ終わりだNE☆

クラック『いいよ無理に誤魔化さなくても・・・・』

私はここにメダロット普及委員会の発足を宣言する!
みんなDS版買おうダゼ!!シナリオ若干薄いけどロボトル要素だけでもめちゃめちゃ楽しめるダゼ!!

クラック『スルーと宣伝とダメ出しとりんたろう入ったー!?』


ではさらばだ!いつかまた会おう!


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超☆返☆信!!

To トレハさん
> ドークス配布にギリギリで間に合いましたわい。
“わいふぁい”とやらが使えないチメダスは貰えないのだぜ・・・
ドークスとブラスタちゃんを並べてやりたかったです。

>僕も1●以上前からメダロットにどっぷり洗脳されてる自称メダロッター
ナカーマッ!!
君には地中メダロッターTの称号を与えよう!(←いらへん

>宇宙メダロッタ―X、アニメでは一番好きなキャラでした。テンション的な意味でw
プロミネンス撃つ時のシャキーンがたまらなく好きです。
そんな宇宙メダロッターXが好きです。でもレトルトの方がもっと好きです。(ぉ

>今回装甲インフレ起こし過ぎだろとかティンペットのデザイン変わっちゃってるよとか
初戦のvsタートルはマジでびびりました。腕と頭の装甲上げちゃ駄目だろタートル・・・
ティンペットの変化と名前着けられないのは結構悲しかったのぜ。

でも作品自体はとってもプレイしやすいから皆もやってね!(ぉ

>メダロッチ
>時計型ってのもあれはあれで趣があってよかったと思うのですが。
腕を構えての指示出しってカッコよかったですよね。
てかケータイでどうやって指示出してるんでしょうw

>恭也くん
>今 回のお話では主人公的ポジションのご様子。
本編じゃいいとこサブだからたまにはな措置と複線散布開始。

>相方がボクっ娘系な世話焼きさんなんて完璧セクハラのターゲットじゃねえか!
恭也「さぁ、整備の時間ですよクラックた〜ん。今日は内線の隅々までじっくりねっとりチェックしてやるからなぁ〜」わきわき
クラック「怖っ!?手の動きが何か怖いよっ!?」
恭也「ちょ〜っと痛いけど天井の染み数えてりゃすぐだからさぁ〜」わきわき
クラック「痛いのっ!?そのスパナとドライバーをどうするつも・・・いやぁああああああ!??!?!」

こんなやり取りが頻繁に行われているに違いない。違いない。(ぉ

>オリメダ
>中々細かい所まで考えてらっしゃるみたいで
これで1クールは戦える!くらいのつもりで書いてます。
結構考えてあるように見えるだろ?・・・・三十分なんだぜ、それ。(ぉ
発売して買うまでに三日、買って大会クリアするまで三日、色々集めてイベント起こし終わって三日。
書こうと思って投稿するまで三日・・・・何、3好きなの!?

今回はいつかの『南北』以来のスピード投稿だったと自負してるよ!(ぉ
メダの力と特別版の後のこと気にしなくていいよ補正すげぇ・・・

>ゾーリンは俺の嫁
すごく・・・ふとましいです(ぉ


To @PFさん

> 地中メダロッターS…一体何者なんだ…?
ただの通りすがりのメダロッターさ(ぉ
クラスチェンジすれば閃(ヒラメ)くメダルハンターになれます。

>朱凰は相変わらず 未読ですしね。
おぉふっ!?
去年の10話消えとちょっとリメイクしたいから放置決め込みながらも新作作る方優先してる青嵐が悪いのじゃ!
だが、私も謝る!(ぉ)ごめんなさい!

>しかし良いなぁ、自分、DS買っても未だにプレイしてないお…
すぐにプレイしなさい。オレに同じことを二度言わせ(ry

>魔装機神にかまけてたからですが、それ以上に 忙しいのなんの
今回リアル頭身になってたので何か手をつけられなかったのぜぇ・・・やっぱりスパロボはSDからのカットインだと思うんですよ。
でも中古のファミコン版の方は持ってますよ〜、ネオグラ色々やべぇ
PS版で真魔装機神ってのがあるんですがそういえばあれもリアル頭身だったような・・・

>ブロッソメイルを火薬化ビームで穴だらけにしてやったあの日の快感は今でも忘れられない
vsブロッソの一体一・・・
その時私は小学生で、初めてデータ取りをするということ覚えました。
敵行動パターンを紙に書いてちょうど反射のタイミング合わせに成功した時は『スゲェ!オレ天才じゃね?』とか思ってました。
若かったな・・・(ぉ

>そしてこの話で完全防御のチート化を知っ て軽く絶望したZE!
でも今回はメダフォ『からたけわり』で一撃だったりww
しかしメダフォ無しの“1”の完全ガードはマジでやばかった・・・

>「ダービーボール」
ロボロボ団 ゆるすまじ!

>きた!うるちきた!メインレフェリーきた!これでロボトれる!
うるちさんはどの作品でも変わらないので彼を見ると安心しますw

>メダチェンジをFFR扱いとは
メダ好き誰しもが思ったことでしょう。TFでも可。(ぉ

>海東さ んなら「一瞬痛い感じ」とでも言うというのか…?
その手もあったか!(ぉ

>元ネタがあるとは言え、いや元ネタという一種の枷の中でココまで考えられるとは… やはり天才
好きにやっちゃっただけなので、そこまで大したものじゃないですけどね・・・;
でもメダに対する情熱を伝えることが出来てチメダス感激!

>何時も読ませて戴いている事だけは念を押しておきます。
ありがとうございます。そう言っていただけるだけでも素敵に無敵に超ヤル気です。



To 烈さん

>私も【メダロット】はゲームボーイ版の頃からやっている方なので【DS】が出たことに対してはうれしく思います。
DS出るって話聞いた時は本当に嬉しかったですね。
ちなみに私は『WS(不思議な白鳥)版』も持っています。

ガンバライドも確か夏くらいにDS版が出るみたいで・・・DS始まったなっ!!(ぉ

>…………まさかここで、【メダロット】ネタを使ったものが出てく るとは思ってもいませんでした。
>…しかし、何気に【メダロット】ネタを使 用しての【仮面ライダー珀羅】の話を出してくるとは思ってもみませんでした。
>それも主要人物が“変身”する『仮面ライダー』というべき『戦士』達を擬人化 ならぬ擬メダ化するというのには結構驚かされました。
びっくり系三連発ゥ!!
まぁ、書いておいてなんですが一番びっくりしてるのは私です(ぉ

>ヒヨコ売りのおじさん”というのは、 【朱凰】で登場した燎子さんのお祖父さんなのですか?
知恵と勇気で推測するんDA☆

>“解説の門矢さん”というのはやっぱり『通りすがりの仮面ライダー』さんの方なのですか?
さぁ・・・どうなんでしょうかね?(ぉ
いつの間にか私の知らない内に入り込んでいたので案外・・・

>『オリジナルメダロット』達や『オリジナルメダル』などはどういった具合に考えたのですか?
>単に機体に合わせて考えたというだけではなさそうな気がしますけど、その辺のことも教えてください。
パーツ→武器・技からマッチしたものと、身体の特徴からメダ的要素取り入れつつ
メダル→版権は相性合わせが困難だから作っちゃえ思想
性格→書いてるうちに何かついて来た感じ(クラックを除き)

ぶっちゃけ単に合わせてたらこうなりましたのぜ(マテ
さらに言うなら本能で書いてたら出来てたっていうから不思議(ぉ

>ところで、態々『地中メダロッターS』などという別名を使う必要があったんですか、『青嵐昇華』さん…;
なんというKY・・・烈さん、恐ろしい子ッ!?(ぉ
残念ながらヤツはM、そして私は地中メダロッターSッ!!
ヒトチガイナンダナ、コレガ。(カクカク

それは置いといて問題です。

・八兎門下としてお師匠さまのやってた『instead』技法を使ってみたかった
・それが俺の魂の名前(ソウルネーム)だ!!
・真面目におふざけが出来る、そういう大人に私はなりたい

正解はどれでしょう?(ぉ

>…ちなみに私は『カブトバージョン』をよくやっていました。
『オレのクワガタバージョンに勝てるかな?』というロクショウのセリフは私の中での超名言


ではでは今回はこの辺で〜

,#000000,./bg_h.gif,i219-164-154-109.s02.a040.ap.plala.or.jp,1 2010年05月31日(月) 22時07分32秒,20100531220732,20100603220732,xuuMFhvW4cKiM,仮面ライダーintertwine第2章第16話「世界を蝕む病」,オリジナルライダー・リレー企画,,,

AM.08:50 繁華街

早朝の繁華街は一瞬にして地獄へと変貌を遂げ、漆黒の異形は群れを成して際限なく押し寄せる。
さらにそれと戦い続ける三者の姿。

その光景を近すぎず、そして遠すぎない距離にあるビルの屋上から観察する女の姿があった。
その女の名はアリス。地面に達するほど長い金髪と漆黒の服装をした容姿端麗な美女だ。
しかしその表情は驚くほど冷たく、人間らしい温かみをまったく感じさせない。「氷のような」という表現がこれほど納得できるのも珍しい。
アリスの視線はただ一つ。漆黒の異形、キャンサーにのみ集中している。

キャンサーの行動は実にシンプルなものだった。
対象目掛けて前進、攻撃。これだけである。既に数え切れないほどのキャンサーが繁華街の通りを蠢いているが、その全てがこのパターンを繰り返している。
たった一匹の例外も無く、動きに乱れが無い。
その完璧なまでの動きは、どこか滑稽でもあり同時に不気味でもあった。

「こんな所で貴女に会えるなんて驚きですね、Dr.アリス」

後ろから声をかけられ、アリスは振り返る。しかし表情は無関心かつ無気力といった具合だ。
そんなアリスを見て、声の主の表情が逆に強張る。声の主は意外な人物だった。

ラビリンス首領。

早朝からある目的の為に外出していた彼女は、偶然にも刹那を見かけ、なおかつ今回の騒動に遭遇したのだ。
そして興味本位で刹那の跡を追い、これまた偶然にも戦況を見守るアリスを発見し声をかけた。という次第である。

「何でも屋さんが私に何の用かしら?」

アリスはやはり無関心そうな声でラビリンス首領に話しかける。彼女もラビリンスやラビリンス首領の事は知っていた。裏社会よりも深い部分、“闇社会”とでも言えばよいのか、そういった世界の住民は広く情報を収集しているものである。
尤も、情報を集めたのは彼女の配下である異能怪人たちで、アリス自身はラビリンスには微塵の興味も無い。ただ以前にラビリンスの技術を研究した事があり、その時に資料に眼を通した事があった。故にアリスはラビリンスを膨大な知識の片隅に置いているのだ。

ラビリンス首領からすれば、これは意外だったようだ。

「ふふふ…私共の組織をご存知とは光栄です。貴女のお噂もよく耳に入りますわ、Dr.アリス」
「…………」

ラビリンス首領の言葉にもアリスの関心は薄い。
アリスは本人の意思とは関係なく、闇の組織に広く知られていた。そのため様々な組織から協力や技術提供などの誘いを多く受けている。
当然、ラビリンスもアリスの力を手に入れたいと考えていた。

「貴女のそのお力、是非とも私達の組織にお貸しいただけないでしょうか?勿論、此方も協力は惜しみません」
「…お断りする。ラビリンスには私の求める技術も知識も無い。それに商売事にも興味は無い」

即答。

アリスはラビリンス首領の誘いを簡単に断った。
しかし、ラビリンス首領は断られたにも関わらず何故か苦笑い。

(噂どおり。いえ、噂以上の人物ね)

ラビリンス首領は内心、こんな事を考えていた。アリスが自身の誘いを断るなど初めから分かってはいたのだ。ただアリスが何の躊躇いもなく即答した事に対して少なからず驚いてはいたが。

狂気の魔女、アリスは如何なる組織にも媚びない、靡かない、属さない。

これは有名すぎる話だ。

過去にも多くの組織が彼女の力を欲し、勧誘目的で接触した。だが、アリスの答えは常にノーだ。
彼女は他の組織が持ちえない技術を多く持っていた。それこそ、その気になれば世界征服にも乗り出せる。僅かな配下たちだけでも。
しかし彼女はそれをしない。アリスの目的とは何なのか。その真意を知る者はいない。

「…それにしても、あれは一体何なのですか?」

これ以上粘っても良い返事は期待できない。そう考えたラビリンス首領は、先ほどから感じている疑問をアリスにぶつけた。
彼女の言う“あれ”とは“キャンサー”のことである。

「オルフェノクでもアンデッドでもない。けど、人造生命体や改造生物にも見えない。うまくは説明できないけど…」

ラビリンス首領は少し考えこむ。自分でも何と言えば良いのか分からない、といった様子である。
そんなラビリンス首領をアリスは関心が無いように横目で見る。

「…作られた感じのしない、自然な感じ。だけど、妙な違和感が…なんでしょうか?」
「…あれは“キャンサー”。“無限”から生まれる意思なき怪物」
「えっ?」

アリスが突然語りだしたので、ラビリンス首領は呆気に取られてしまった。

「Dr.アリス、“無限”とは一体?」
「世界を蝕む深刻な病よ。貴女も今の世界で商売をするつもりなら“奴”には十分注意することね」

そう呟くと、アリスはその場を立ち去った。
ラビリンス首領は彼女の言葉の意味を聞きたかったが、それも叶わず、その背中を見送るしかなかった。


AM.08:50 繁華街

早朝の繁華街は、無限とも思える“キャンサー”に押し寄せられ地獄へと変貌していた。その“キャンサー”と戦う三者、仮面ライダーシキ、仮面ライダージン、サンダルフォン。しかしながら三者とも圧倒的な物量の前に劣勢を強いられていた。

シキが格闘で打ち倒しても、ジンが嵐の槍で薙ぎ払おうとも、サンダルフォンが豪腕で叩き潰しても、“キャンサー”はどこからか無尽蔵に出現するのだ。

「オカシイ。奴ラハ一体ドコカラコレダケ」

サンダルフォンは“キャンサー”と戦いながらも、密かに“キャンサー”を観察していた。
その身体は鋭角的かつ攻撃的なフォルムで、初めから他の生命体を殺戮する事を前提に生まれたとしか思えない。各個体を比較したが、どの個体も全く違いが無いのも疑問である。
しかしそれ以上に不明なのが、“キャンサー”が口から放つエネルギーである。

「未知ノエネルギー…コレハ…」


「ふっ!!」

仮面ライダーシキの鋭い一撃が“キャンサー”を捉える。しかし“キャンサー”は僅かに後退しただけでまるで効いていない。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

元々本調子でない上、これだけの大群の相手をしている。流石に息が荒い。
加えて、“キャンサー”以外の問題もあった。

「可愛い娘ちゃん大ピンチ!!そのピンチを救うのはこの私!!そして二人は…うふふふふ!!」

凶暴な“キャンサー”の群れもそっちのけ、可愛い女の子目指して驀進するもう1人の仮面ライダー、仮面ライダージン。この存在がシキを精神面で大きく疲労させていた。

「うるせぇ!!お前の力だけは借りねぇ!!」
(あいつの近くにいるくらいなら“キャンサー”の群れに飛び込んだほうがマシだっ!!)

そう思い満身創痍の身体に鞭打って構えるが、“キャンサー”の攻撃は容赦なかった。

『キシュゥゥゥ!!!』
「ちっ!」

五体の“キャンサー”がその醜悪な形をした口から邪悪な波動を放つ。その狙いは疲弊しきったシキだ。
シキは攻撃をかわそうとする。いつもならこの程度の攻撃を回避するなど造作もない。だが、今の満身創痍の身体はシキの意思どおりには動いてくれなかった。
わずか。ほんのわずか、シキの動きが鈍る。それが決定的なものになってしまった。

「しまっ…ぐわぁぁぁぁぁ!!」

“キャンサー”の放った波動すべてがクリーンヒットした。その衝撃でシキは大きく弾き飛ばされる。一瞬の動作の遅れで防御も受身も取れなかった。
そのままボロボロに朽ちたアスファルトに叩きつけられる。“誰か”のせいでアスファルトは、まるで凶器のように鋭利な状態になっており、それがシキの身体を傷付けた。

「ぐっ…あっ…」

今の衝撃で完全に傷口が開いたようだ。シキの脇腹から出血が始まる。ダメージで未だに立ち上がれないシキに“キャンサー”の大群が押し寄せる。このままでは無抵抗のままなぶり殺しにされるだろう。

「く…そが…」

薄れる視界に映るのはどこを見ても“キャンサー”。四方八方から“キャンサー”の大群が迫る。それでもシキは諦めない。いや、諦めたくなかった。

(くそが!!こんな所で、こんな所で死んでたまるかよ!!)

しかしその意思に反するように身体は動いてくれない。
絶体絶命と思われた、そのときだった。

「!?」

突然、シキの身体が本人の意思と関係なく、宙に舞った。いや、正しくは誰かがシキを抱きかかえ宙へ飛んだのだ。
驚きで薄れていた意識が一気に回復した。シキは自分を抱える存在を慌てて見た。

それは黒いコートを纏った大男、サンダルフォンだった。

「大丈夫カ?」
「お前…何で?」

そのままサンダルフォンは“キャンサー”の比較的少ない場所へと着地した。
それと同時に豪腕を振るい、群がる“キャンサー”を牽制する。

「オ前ニハ、マダ聞キタイコトガアル。答エロ、アノ怪物ノ放ツ攻撃…アレハ“消滅波動”カ?」
「あぁ?まぁ、確かにそんな名前だったような。それがどうかしたのか?」
「イヤ、ソレダケ分カレバ十分ダ」

シキからすれば奇妙なやり取りだった。この男は一体何故“キャンサー”の攻撃などに疑問を感じているのか。その理由が分からない。

しかしシキが深く考える間もなく、この地獄に怒声が響き渡った。

「この変態男ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!可愛い娘ちゃんに触るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ム?」
「あぁ〜くそっ、今聞きたくねぇ声が…」

重装甲の戦士、仮面ライダージンが“キャンサー”を物ともせず、シキを抱きかかえるサンダルフォン目掛けて猛スピードで突っ込んできた。その暴走を止める手立ては無く、“キャンサー”は次々と宙へ放り出されると同時に消滅していった。

「こんのぉぉぉぉぉぉぉぉド変態!!!このまま死んじゃぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

そう叫ぶとジンは拳を構えた体制のまま突っ込んでくる。どうやら勢いに身を任せ、そのままサンダルフォンを殴るつもりらしい。
が、サンダルフォンもそのまま殴られるつもりは無く、シキを適当な場所へ下ろすとジンの拳を造作もなく受け止める。

「クッ!!」
「ちっ!!」

豪腕と豪腕の激突。
その衝撃は凄まじく、余波だけで周囲にいた“キャンサー”が全て吹き飛ばされるほどの力の衝撃波が巻き起こる。

「…………………………」
「ふぎぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

ジンは拳を受け止められても、攻撃を押し切ろうと躍起になる。対してサンダルフォンは、然したる反応もないまま、この状況をどうするべきかと考えていた。

そして満身創痍のシキは。

「こいつ等、一体何が目的なんだ?」

自分にもよく分からないが、自分を巡って始まった意味不明の戦いを呆然と見ていた。
思えばこの街に来てから“カンケル”を探していると実に妙な連中にばかり遭遇する。“異能怪人”、馬鹿でかい女、馬鹿でかい男。
自分はただ“カンケル”を探し出し、そして殺す。それだけを考えて生きてきた。それなのに未だに“カンケル”にすら辿り着けていない。

こんな連中に関わっている場合ではない。シキは気持ちを切り替え、戦いを続けることにした。

「ダークライト」

そう呟くと右の掌が白いオーラに包まれる。そしてそのまま右の掌を傷口に押し付けた。

「うぐっ!!!」

シキは苦痛に呻くが、その間に傷口が塞がっていくのが見て取れる。その内、完全に傷口が塞がった。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

しかし傷口が塞がったといっても体力まで回復したわけではない。むしろ体力は消耗したといえる。


シキが体力を大幅に消耗し、ジンとサンダルフォンが不毛な争いを繰り広げている間に、“キャンサー”を超える脅威が出現していたのだ。

『…………………』

シキたちがいる場所から少し離れた路上。
そこにはある意味、“キャンサー”が埋め尽くすよりも過酷な地獄があった。

路上を埋め尽くすのは“キャンサー”ではなく“死体”。
老若男女問わず、圧倒的な数の死体で周囲が埋め尽くされていたのだ。

『…………………』

その場に立つ唯一の存在。それは赤と黒の体色をしており、複眼のような眼はエメラルドグリーンに輝いている。

それは“仮面ライダー”に似ていた。というよりも、“仮面ライダー”そのものに見えた。
この“仮面ライダー”がこの惨劇を引き起こしたのだ。

そう、何も知らぬ者がこの光景を目の当たりにすれば、“仮面ライダー”が大虐殺を行ったと考えるだろう。
事実、逃げ延びた者たちはすでにそう考えながら逃げたのだ。

しかし事実は異なる。これは“仮面ライダー”ではない。
その名は“カルキノス”。“キャンサー”と同じく“カンケル”の眷属である。

『…………………』

“カルキノス”は沈黙したまま、ただ腕を振るった。それだけ。ただそれだけの動作。
それだけで無数にあった死体が一瞬の内に消えてしまった。

『…………………』

そのまま“カルキノス”は移動を始める。新たな獲物を求めて。
その歩の先にはシキやジン、サンダルフォンがいたが、彼女たちはまだ新たな脅威が迫っていることなど知りえないのだった。
,どうも、プラスマイナスであります。

遅れに遅れて申し訳ありません。
少し仕事の方が忙しく、そのうえ筆が進まない。スランプ気味です。

今回登場したカルキノスは、仮面ライダーではなく仮面ライダーの姿をした怪人、或いはダークライダーと考えて頂ければ良いです。

キャンサーがドンドン増えていくのでもう何人か味方が増えてもいいかなぁと思うプラスマイナスでした。

では次の岡島さん、お願いします。,#000000,./bg_h.gif,p1195-ipbf1601hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp,0 2010年05月25日(火) 17時48分15秒,20100525174815,20100528174815,wpqdwXtKIKStc,仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「戦慄・ストームフォーム」,鴎,,,「第六章」

Lバルキリー「ランスフォーム、ルーベット!!いざ参る!!」

ランスフォームがローズスペクターの前に飛び出し、勇ましく槍を構えて高らかに告げる。

ローズスペクター「ふふっ、次はどのような手で来るのか。貴方には全身全霊をもって最高の終焉を送りましょう。断末魔と絶望に彩られし完全なる死をね」

ローズスペクターが鞭を振り上げ、唸りを上げて縦横無尽に襲いかかってくる。
ランスフォームはその襲撃を華麗に避けながら、一気に間合いを詰めて素早い動きで槍の突きをものすごい速さで繰り出す!!それを避け、花吹雪を発射し、ランスフォームに襲いかかるが、当たる寸前でかわし、低くかがんだ体勢から一気に飛び出し再び槍を突き出す。

Lバルキリー「はあああああああああああっ!!」
ローズスペクター「むっ!!」

槍の一撃がローズスペクターの頭部をとらえ、鋭い横なぎの一撃が襲いかかる。

ローズスペクター「むっ!!!」
Lバルキリー「そこぉっ!!」

それをしゃがんで交わすが、すぐさまランスフォームの蹴りが炸裂し、かろうじて両腕で防ぐ!!その重い一撃の衝撃と痛みに全身が震えるような感覚に襲われる。

ローズスペクター「ぐっ!!」

歯をくいしばって飛びあがると、大木の上に乗り、再び鞭を構える。

ローズスペクター「・・・・・・むっ?」

鉄の味が口中に広がる。
よくみると、自分の唇から力を入れて食いしばり過ぎたのか血が口からにじんでいた。
ここまでなるのに気がつかなかった自分自身に驚きと動揺を隠せない。

ローズスペクター「・・・私が・・・・我を忘れるまでに・・・・舞台を・・・・楽しんでいる?そんな・・・・ことがあるなんて・・・・」

血を拭うと、そんな自分自身がおかしくてたまらないと言わんばかりに笑みを浮かべる。
今まで我を忘れるほど高揚することなどなかったのに。
復讐に血走っていた雷の封魔師を相手にしている時も、自分の舞台を邪魔された時に感じた高ぶりが怒りや憎しみという負の感情ならば、こうなるまで我を忘れることはない。
楽しんでいる?
そう・・・・この戦いを、命がけの真剣勝負を舞台として戦える今を心から楽しんでいる。
もう今は宿っていないはずの熱い血の高ぶりが全身を流れて熱く激しく燃え上がっているようにさえ感じる。
ああ、そうか。
このどこまでも汚れのない真っすぐな目を持つ赤き槍の戦士に、愚直なまでに槍を片手に全力で突き進んでくる熱い魂を持つ相手に・・・・今自分は“舞台”を忘れるまでに集中しているのか。
自分自身を忘れるまでに集中力を高めることで実力や想像以上の力が引き出せる。
今なら、これまでにない至上の舞台が完成する!!

ローズスペクター「ふふふふっ、はははははは!!実に面白い、貴方の熱き魂、闇さえも打ち払う業火を絶望と恐怖の闇で覆い尽くし果てさせるには・・・こちらも本気で行かざるを得ないということか。死を迎えたはずのかりそめの身体に今再び熱き血の高ぶりを感じる、この瞬間を、一瞬たりとも、無駄にはしたくない!!いざ、参る!!」

Lバルキリー「来る!!」

ローズスペクターが鞭を構えて一気に飛び出すと、ものすごい勢いで振りかぶり、風切り音とともに、鞭が襲いかかる!!
鞭の襲撃を避けるが、その一撃は地面を吹き飛ばし、大木を切り裂き、鋭い切れ味を誇る。
次々と鞭の襲撃が繰り出され、かすめるたびにアーマーや仮面が傷ついていく。
しかしそれでもランスフォームはひるむことなく槍を振り回し、突き出してくる。
鞭と槍が激しくぶつかり合い、火花が飛び散り、轟音が鳴り響く!!

Lバルキリー「ぐうっ!!」
ローズスペクター「イマジン・・・甘く見ていましたね。まさかここまでの実力者がいたとはね。赤き槍を構えし勇猛なる戦乙女よ、貴方の名はこの舞台の終焉を迎えし時、この魂に刻むとしましょう。至上の舞台を舞える高ぶりを思い起こさせてくれたことを感謝する。そして、そんな貴方を絶望と恐怖に彩られし地獄へと導けるということへの喜びを教えてくれるお礼として」
Lバルキリー「それは私が死ぬということ確定とでも言いたげですな?否、断じて否ァッ!!このルーベット、慧殿をお助けし、天明に再び希望の光を灯すまでは、この命燃え尽きるまで槍を振るうこと、戦場で暴れることを止めるつもりはありませぬっ!!」
ローズスペクター「ルーベット・・・・ですか。実にいい名前だ。覚えておきましょう」

律儀に名乗るなよ・・・・(涙)。
さすが生粋の戦バカ・・・。

ローズスペクター「はああああああ!!」

手から無数の赤い花吹雪が舞いあがり、一気に襲いかかる!!
もはや逃げられない。
しかしランスフォームは槍を持つ手を構えなおすと、花吹雪の前に仁王立ちになって構える。

ローズスペクター「正面から挑むおつもりですか?」
Lバルキリー「無論!!なぜなら・・・・私にとって・・・・戦も・・・舞台も・・・全てにおいて・・・正面突破がモットーですからなっ!!」

そして、槍を凄まじい勢いで回転する!!
すると、花吹雪が槍の発する凄まじい風圧に飲みこまれ、槍の刃の周りを取り囲むようにして飲みこまれていく!!やがて花吹雪が槍の穂先へと螺旋を描くようにして渦を巻いて巨大なランスのような形へと変化していく!!

ローズスペクター「なっ・・・・!!花びらを取り込んで・・・・巨大な槍を作り出した・・・だと!?」

ゴオオオオオオ・・・。

唸り声を上げるように、赤き花びらが槍の周りを渦巻いている!!
一瞬でも気を抜いたら再び花吹雪に見舞われて全身を切り刻まれることは必至。
ランスフォームが鬼気迫る真剣な表情で歯を食いしばり、槍を身構える!

イグナイト「一気に行くわよ!!」
Lバルキリー「おうっ!!」

全身か激しい猛火を噴き出し、力をチャージさせていたイグナイトが飛び出し、掛け声と同時に、花吹雪を発した後のわずかな無防備な状態のローズスペクターへと一気に飛び出した!!そして、ランスフォームがパスを通すと、花びらがフリーエネルギーによって燃え上がり、炎に包まれた花びらが熱く派手に燃え上がりそのまま一気に突き出した!!

Lバルキリー「合体必殺奥義!!!!」

「「クリムゾンハリケーン!!」」

イグナイトが飛び上がり、足を突き出すとものすごい速さで舞い降りてくる!!
そして、ランスフォームの槍がローズスペクターの胸を突き刺し、花吹雪の暴風が彼を包みこみ、その渦の中心に飛び込むようにしてイグナイトの必殺技「バーニングライダーキック」が炸裂する!!!

ローズスペクター「うわあああああああああああああああああっ!!」

花吹雪が次々と大爆発を起こし燃え盛る紅蓮の炎がさらに燃え上がり、ローズスペクターの全身を焼き尽くしていく。
その時、ローズスペクターは見た。
割れた天窓から差し込む月も星もない闇。
上へと舞い上がる火の粉が、燃え上がる花びらが、まるで闇に吸い込まれるように消えていく幻想的な光景を。
自分の魂が闇に消えていく。
しかし、その光景はどこまでも美しく―。

全身を炎に包まれながらも、人間の姿に戻っていく赤薔薇。
その視線の先には、ルーベットがいた。
ルーベットも静かに、真剣な表情で彼を見ている。

赤薔薇「・・・・私・・・は・・・・死ぬのですね・・・これで」
ルーベット「ええ」
赤薔薇「・・・・嘘はつけない、飾りのない言葉。今は・・・心地よい・・・」
ルーベット「・・・・慧殿は・・・どこに・・・」
赤薔薇「・・・・桐塚の地の奥深く、亡者がうごめく悠久の闇が広がるこの世の冥土、そこに・・・・います」
ルーベット「・・・・感謝いたす」

そう言って、ルーベットが頭を下げる。

赤薔薇「・・・・敵に一礼とは、情けでもかけているつもりですか・・・?」
ルーベット「否、私はルールを貫いているだけのこと・・・自分の魂に刻みこんだ武士道なる私だけのルールを」
赤薔薇「・・・ふふふ・・・どこまでも己に忠実な・・・・しかしそれもどこまで貫き通せるか、貴方の槍の如く真っすぐで迷いなき信念、苛烈なまでに燃え上がる魂、絶望と恐怖に沈む時・・・・楽しみにしていますよ・・・・・ルーベット・・・・」

そういって、赤薔薇が崩れ落ちた。そしてその地には赤く光り輝く何かを見つけ、拾い上げるとそれは手のひらに収まるような赤い宝石の中に金色の薔薇が入ってる美しい宝石細工のようなものであった。

ルーベット「これで・・・智は操っていたのですかな」
彩乃「おそらく・・・!」

すると、赤い宝石が光り出し、ドーム内にあふれていた闇をまるで払うかのように打ち消していく。そして、気がつくと、そこにはもはや禍々しい寒気がするような気配はなく、静かな植物園の風景が広がっていた・・・。

彩乃「・・・これって・・・!」
ルーベット「赤薔薇殿を倒したから・・・・封印完了ですな」
彩乃「やったあ!!」
勝利を確信し、彩乃とルーベットが手をたたき合った!!

南地区 植物園 
赤薔薇封印完了!!
WIN:葉月彩乃&ルーベットペア




「第七章」

Vライナー
祥子「・・・赤薔薇を倒した・・ですって!」
晶「ルーベット、葉月さん、大丈夫?」

ルーベット「ちょっ、ちょっと休めば大丈夫ですぞー」
彩乃「もう、ボロボロじゃないですか。まさか作戦が・・・正面突破だなんて」
トパーズ「作戦とは言わんな」
ルーベット「む、むぅ・・・・だ、大丈夫、少し休めば完治しますゆえ・・・」
祥子「あまり無茶しないの!いくら頑丈だからって身体持たないわよっ!」
ルーベット「も、申し訳ございませぬ」
祥子「・・・・天童さんを取り戻すんでしょう?そのためにも、今は体力の温存に集中して。焦って飛び出して行ったら今度は大けがじゃ済まないわよ?」
ルーベット「ありがとうございます・・・それでは・・・琥珀殿の入れて下さった漢方薬のお風呂・・・・いただきますぞ」
祥子「彩乃、今は貴方も力を蓄えておくために待機しなさい、いい?」
彩乃「は、はい!」

そういって、二人が大浴場へと移動していった。

トパーズ「・・・まあ、あのいかなる状況でも物おじしない一貫した姿勢は頼もしいのだがな」
晶「・・・いかんせん・・・・バカだから・・・・」
祥子「無茶しちゃうってわけね・・・・」
晶「現在の状況の確認をすると・・・」

まず、彩乃とルーベットが赤薔薇を倒したこと。
これにより、植物園エリアの封印が完了した。
琥珀とアメジストが水族館エリアで青鰭と応戦中であること。
そして、エメラルドと眞子が自然公園エリアを探索中。
サファイアと奈々美が風土記の丘エリアを探索中。
Vライナーには祥子とトパーズ、晶が司令塔として待機している。

トパーズ「ところで、情報の整理だが、ちょうどこの街の中央に桐塚という地名はあるが、地の奥深くの・・・・つまりは・・・地下・・・・そこで亡者が群がりしこの世の地獄・・・これが引っ掛かるな」
晶「桐塚・・・・?ああ、桐塚なら・・・そういうことか!」

晶が何か思い当たる節があるらしく、声を上げる。
祥子「・・・・何なの?」
晶「武下さん、ここ、今は駅があるけど、昔は山を切り崩して作ったんだよね?」
祥子「ええ」

地図の中央に描かれている「萱原(かやはら)駅」を指す。

晶「昔はここ、処刑場だったんだ。ここを中心に荒魔が蘇って、町の破壊を企てようとしている。つまり、これまで封印されていたはずだった力が何らかの原因で封印が解かれて、それを智が利用したんだ」
祥子「封印されていた・・・つまり祠とか慰霊碑とかがあったってこと?」
確かに地図には祠を示す記号があるが、駅前でそのような祠があるのは聞いたことがない。
晶「そして、地下、それをつなぎ合わせると・・・・」
トパーズ「・・・ふむ、どうやら大当たりのようだ」

トパーズが駅前に仕掛けてあったカメラの映像を切り替えるとそこに映し出された映像を見て、祥子と晶の瞳が驚きで見開かれる。

晶「これは・・・!」
祥子「・・・古い駅の構内から・・・穴が空いている?」
そこは地下鉄が走るトンネルの壁に空いた穴だった。今は使われていない旧萱原駅構内より近い壁に穴が空いていた。

そして、もう一つの映像が流れてくる。穴の中の風景らしい。
しかし、その映像を見た瞬間、晶の瞳が恐怖と驚きで見開かれる。

祥子「何が・・・・映っているの?暗くてよく見えない・・・」
晶「武下さん!!見ちゃダメだっ!!」
晶が制する。あまりの剣幕に祥子も思わず引いた。
晶が吐き気を抑えるように唇に手を添える。

晶「・・・・この世の地獄か・・・・言ったもんだね・・・!」


そこに広がる光景はまさしく「地獄」だった。

日の光がわずかに差し込む暗い地下には、無数の頭蓋骨が積み上げられた山・・・。
うつろな穴にはどこまでも広がる闇が広がっている。
怨念、憎しみ、悲しみ、殺意・・・・。
ありとあらゆる負の気が満ち溢れている。
闇が負の気のたかぶるままにまるで生き物のようにうごめいていた。

晶「ここを中心に活動しているのか・・・・!!」
トパーズ「晶、無茶はするな」
晶「・・・分かってる、分かってるけど、こんな場所に彩乃さんたち行かせたらあっち側の世界に引きずり込まれる。危険すぎる。でも、俺なら・・・キングの力で何とか持つ」

晶の手に宿るキングの紋章が光り輝く。
そして、決意を秘めた顔をあげると、扉を開いて走り出した!!

祥子「ちょっと、大友君!?」
トパーズ「祥子、私が行く。君が踏み込んでいい領域じゃない。晶が君たちを守るために選んだんだ。行かせてやってくれ」
祥子「・・・・・でも・・!!」
トパーズ「・・・・本当に、あいつも大概バカだ。あって間もないというのに・・・お前たちを全力で守ろうとしている。お前たちの思い、あいつは人一倍理解している。何かを失う辛さ、悲しさ、それを味わってきたから、誰かが何かを守ることに力を注いでいる時、あいつは出来る限りそいつの力になろうとする。そういうヤツなんだ、あいつは」
祥子「・・・・・!」

ドアが開き、彩乃とルーベットがラウンジへとはいってきた。漢方薬入りのお風呂で身も心もすっかりリラックスしたようである。

彩乃「お風呂出ました・・・!」
ルーベット「疲労回復ですぞぉ〜」

祥子「・・・彩乃・・・・Vライナー頼める?」
彩乃「祥子さん・・・!?」
ルーベット「祥子殿が・・!?戦地に赴くのか!?」
彩乃「でも、どうして!?」
祥子「…自分勝手な話だってことはわかる。私だって、こんなの、作戦の指揮を乱すってことくらい分かっているわ」

いつになく感情が高ぶっている。
なぜ、そこまで晶に感情が高ぶるのか、冷静でいられなくなるのがわかった。
似ているから。
かつての自分に。

責任感が強すぎて・・・。
誰かを守るために、自らの犠牲も厭わない・・・。
大切な何かを失っているから、失うことの悲しさ、辛さ、それを知っていること・・・。
だからこそ、自分自身を見失っている。
自分を思ってくれる人がいて、自分が何かあったら悲しむ人がいることを忘れて・・・。

祥子「・・・・似すぎているのよ、どうしようもないバカに!!放っておけないのよ!!危なっかしすぎて・・・!!あいつ、このままじゃ、死ぬまで闘う、自分がいなくなったら、悲しむ人がいることさえ忘れて・・・・!!」

トパーズ「・・・全くどいつもこいつもバカ揃いか。まあ、聞いてて気持ちのいいバカだ。祥子、最大限フォローはする。だが、そのあとの筋肉痛や怪我は自己責任だからな」
祥子「・・・・頼むわ」

トパーズが金色の光となって祥子に飛び込むと、金色のメッシュが入り、瞳が金色に光り輝く。

T祥子「これでいいだろう?彩乃、ルーベット、頼むぞ」
ルーベット「心得たあっ!!」
彩乃「はい!!」

そういって、Vライナーを飛び出して行った。

彩乃「・・・放っておけないって、眞子のことなのかしら」
ルーベット「見当もつきませんな」



「第八章」
広い広い水族館内。
その空間をアサシンフォームとファントムフォームがシャークスペクターの猛攻からひたすら逃げながらも飛んでくる鉈や衝撃波をかわして、ひたすら勝機をうかがっている。

ASバルキリー「あいつ、どれだけ、しつけーんだよっ!?かれこれ、1時間はノンストップで鬼ごっこしてるぞっ!?」
Pバルキリー「モテないわね、あれは」

シャークスペクター「あはははははははははははははははははははははははははは!!!ほらぁ、もっと早く逃げなさいよぅ、捕まえちゃうぞぉ、鉈でバラバラに切り刻んじゃうぞぉ、あはははははははははははははははは!!あんたら二人とも、絶対殺してやる!!!!」

後ろからさらに鉈を振り回して襲いくる姿はまさしく悪鬼羅刹そのものである。
その時だった。

Priiiiii!!!

二人が耳にしていた通信機のベルが鳴りだす。とると、マイクから待ち焦がれていた人物の声が聞こえてきた。

春姫「琥珀さん!アメジストさん!申し訳ございません〜!!遅くなりました〜!!」
Pバルキリー「まだ生きているわ」
ASバルキリー「準備はいいか!?」
春姫「はい、いつでも〜!!」

そういうと、二人がうなづきあい、琥珀が一気に飛び出し、部屋の奥深くへと消えていく。
そして、アメジストがハルバートを構えなおすと、走ってきたシャークスペクターに向かって突き出し、吹き飛ばす!!
回転しながら着地し、再び鉈を構えなおすシャークスペクター。

Pバルキリー「琥珀、まずはこいつの相手をすればいいのね?」
ASバルキリー「無茶するなよっ!」
Pバルキリー「まずはあたしに任せて、先に逝きなさい・・!」
ASバルキリー「待て、何か不吉な予感がするんだが・・・任せたぜ」
Pバルキリー「ごめん、いつもの癖でつい」

いつもの癖かよっとツッコミを入れると、アサシンフォームが一気に飛び出していく。
そしてシャークスペクターの前にファントムフォームが立ちはだかった。

Pバルキリー「いい加減うるさくてかなわないわ、あんたの笑い声。永遠に黙らせてあげる」

シャークスペクター「さっきから、ずい分と冷静というか、落ち着いているというか、あんたじゃ・・・つまんなぁい♪どうせなら、さっきのクモ女さんの方が良かったなぁん♪腕や足をぉ、一本ずつ、一本ずつ、丁寧に丁寧に切り刻んであげれば・・・どぉんな声あげて苦しむかなぁ、泣き叫んでくれるかなぁ、もがいてくれるかなぁ、ああ…なんだろう・・・久しぶりにうっとりしちゃう・・・・あはははははは・・・何だかあの子一目見ただけで感じるの・・・・きっといい声で泣いてくれるだろうって。あはははははははははははははははははははははははは!!」

Pバルキリー「・・・・なるほど、だったらなおさら生かしてはおけないわ。琥珀を切り刻んでいいのも、甚振っていいのも、拷問していいのも、じわじわじわじわじわと丁寧丁寧にお仕置きして・・・調教して・・・愛していいのは・・・あたしだけよっ。あんたみたいなオンナなんかに琥珀は渡さない。琥珀はあたしのものなのだから・・・あはははははははははははははははははははははは!!!!」

狂気がにじみ出ているようなうっすらとほほ笑み、狂ったように笑い出す。その寒気がするような底知れない闇が広がっている。青鰭ですらもぞっとするような狂いっぷりである。しかし、すぐさまにたりと狂気の笑みを浮かべる。

シャークスペクター「やっぱ、あんた、気に入らない。さっさと殺してあげる。それでぇ、あとはじわじわとあなたの愛する琥珀ちゃんをあたしが、いただいて、あ・げ・る♪あの子切り刻んであげたいなぁ・・・あはははははははははははははは!!」

Pバルキリー「あははははははははははははははははははははは・・・・死にたいの・・・?」

シャークスペクター「あははははははははははははははははははははははは!!あんたこそ・・・ウザいから・・・消してあげる」

「「殺してやる!!」」

物騒極まりない言葉を殺意とともに同時に吐き出し、ハルバートと鉈が激しく火花を散らせてぶつかりあい、幾度もぶつかり合う!!!


ASバルキリー「・・・・あいつら、何とんでもない会話してやがる」
春姫「琥珀さん・・・両手をついて打ちひしがれている場合ではありません〜!!」
ASバルキリー「・・・・・出来れば相討ちが理想的だ・・・」

どの道、もはや一回の臨死体験は確実だろう。覚悟を決めたらしい。

やがて、ファントムフォームとシャークスペクターの足音が近づいてくる。刃と刃が激しくぶつかり合う轟音が空気を、地を震わせている。
そして、部屋に飛び込んできたと同時だ。

ASバルキリー「春姫、いけるか!?」
春姫「館内に満たされている水をエネルギーにして倍増・・・!!いつでも大丈夫です〜!!」
ASバルキリー「さらにこの部屋ならではの準備もOKだ!!」

その様子をうかがっている一人の人物がいることも知らずに・・・。


そして。
部屋の扉から飛び込み、激しいデッドヒートを繰り広げているファントムフォームとシャークスペクターが激しい火花を散らせている!!

シャークスペクター「あはははははははははははははははははははははははは!!あはははははははははははははははははははは!!」
Pバルキリー「ウザい・・・・殺さなきゃダメみたいね。琥珀の妻として・・・認めない。あんたみたいな間女、認めない」

ASバルキリー「アメジスト、こっちだ!!」

天井を見上げると張り巡らせた蜘蛛の巣にぶら下がっているアサシンフォームがいた。
ファントムフォームが舞い上がり、一気に飛びあがると、同時にワイヤーを引き上げる。
すると、部屋中に張り巡らせたワイヤーが一気に引っ張り上げられ、シャークスペクターの手首、足首、肘、膝などを巻きつけて一気に引っ張り上げる!!
すると、強靭なワイヤーによって四肢の自由が利かず鉈を握っていた手から鉈が力任せに手放され、まったく動けなくなる。

さらに、部屋中から白い霧が噴出し、やがて絶対零度の冷気と化してシャークスペクターの体の動きを封じ込める!!倍増された水の力で冷気が一気にシャークスペクターの体に霜を張り、見る見るうちに凍りつかせていく!!

シャークスペクター「か・・・・身体が動けない・・・・・!?」

部屋の中央に磔にされた状態の自分を天井から3人が見下ろしていた。

ASバルキリー「ここまでおびき寄せるには骨が折れたな」
Pバルキリー「まだ機能していた、餌用の大型冷蔵庫、冷凍機能を水の宝珠の力で倍増させて急速に冷却させる。それと、琥珀のワイヤーで縛り付けて、動きを封じて、一気に倒す・・・」
リクォール「はい〜!!」

「「full charge」」

ASバルキリー「一気に決めるぜ!!」
Pバルキリー「ええ!」
リクォール「はい〜!!」

アサシンフォームが両足を交差させて次々と無数の蹴りを繰り出し、ファントムフォームがハルバートを振り下ろし、そして、リクォールの水の槍がシャークスペクターの体に直撃し、大爆発を起こす!!

シャークスペクター「きゃあああああああああああああああああ!!」

煙をあげて地面に転がり落ちるシャークスペクター。
もはや満身創痍で立ち上がることさえも限界だ。

ASバルキリー「観念しろ!」
Pバルキリー「引導渡してあげる」

シャークスペクター「何で・・・・・・何でよ!私は!私は青鰭!殲鬼姫様の下僕にして最強の荒魔よ!お前らなんて私の気分で泣いたり叫んだり命乞いしたり苦しんでもがくだけしか・・・能がないくせに!!」

ASバルキリー「ナメんなよ、人間を」
Pバルキリー「イマジンもね」

シャークスペクター「うるさい・・・うるさいうるさいうるさい!!」
シャークスペクターの鉈をアサシンフォームが受け止めて、ぎりぎりと火花を散らせる。
煙を上げているぼろぼろの体を押して、必死で向かってくる。

ASバルキリー「あんた・・・もうやめとけよ。これ以上甚振るのはあたしの趣味じゃない」
シャークスペクター「うるさいうるさいうるさいうるさい!!虫けらのくせにっ・・・・虫けらのくせにっ・・・!!」
ASバルキリー「もういいことねぇだろ!!傷つけても、傷ついてもよ!!あんただってもうボロボロじゃないかっ!!やめてくれよっ!!!」
シャークスペクター「虫けらの分際で・・・・あたしを・・・心配するな・・・同情するなあああああああああああああああっ!!」


琥珀は心優しい。非情になりきれない、傷つくこと、傷つけることの恐ろしさ、痛み、苦しみを知っているからこそ、どうしても非情になれない。青鰭であろうとも。

その時だった。
ふと、天井から白い羽が舞い降りてきた。
まるで、雪のように・・・・。
そしてそれを見上げると、最上階から一人の人物が見下ろしていた。

白い羽をまき散らし・・・・。
銀色のメッシュを編みこんだ縦ロールをポニーテールの要領で縛り上げて・・・。
首に白い羽のファーを巻きつけて・・・。
銀色に染まった瞳を冷たく光り輝かせて・・・。

Pバルキリー「・・・・慧!?」
ASバルキリー「・・なんだよあれ、あんなの見たことないぞ!」

「ずいぶんと惨めな姿ね、青鰭・・・」

リクォール「その声は・・・!!」
青鰭「白羽根ェ・・・・・!!!!」

Pバルキリー「まさか!?1体だけで完全に慧の意識を抑え込んだというの!?」
ASバルキリー「嘘だろっ!?」
青鰭「何のつもりよ!!」
S慧「役に立たない超荒魔など、もはや用はない。ライダー共々、消えろ」

パスをとり、ベルトに通すと、禍々しい音声が響き渡る。

「Storm Form」

ストームフォーム。
白鳥が舞い降り、虹色の光と共に雷雲、雨雲、嵐、雪の光が取り囲み、虹色の翼が広がる。
天候の力を取り込んだ最強最悪の戦乙女が舞い降りた。

「Full Charge」

そして、飛び上がると背中から虹色の羽が広がり、彼女を取り囲むように嵐が、氷が、雷が渦を巻き突き出した足を一気に急降下してくる!!

ASバルキリー「春姫、危ない!!」
Pバルキリー「逃げて!!」

春姫を突き飛ばすと同時だった。

青鰭「しろ・・・・は・・・ねぇ・・・・・!!!」
ASバルキリー「うわあああああああああああああっ!!!」
Pバルキリー「きゃああああああああああああっ!!」

ストームフォームの蹴りが青鰭を中心にさく裂し、暴風が吹き荒れ、稲光が轟き、吹雪が舞いあがり、凄まじい衝撃が大爆発を引き起こす!!!

その爆風に巻き込まれてアサシンフォームとファントムフォームが変身を解除し、ボロボロの状態で倒れていた。近くには、青鰭の亡骸が吹き飛び、青い宝石の中に金色のサメの細工が施された宝石が転がっていた。

Sバルキリー「・・・ふん、これで・・・貸し借りはなしよ」

そう吐き捨てて、白羽根が憑依した慧が静かに歩き去って行った。
部屋に飛び込んだ春姫が見ると、そこにはボロボロになり、意識を失った琥珀とアメジストが倒れていた。

血相を変えて二人の元に寄り、抱き起こすが二人はうめき声をあげて激しい痛みに全身をもんどりうっていた。

春姫「琥珀さん!!アメジストさん!!しっかりしてください〜!!琥珀さん!!アメジストさん!!」

必死の問いかけにももはやまともに動くことすらできない。

ストームフォーム。
新たなる災厄の訪れであった。

続く
,お久しぶりです。今回さらなる展開を書きました「ミッドナイトカーニバル」!!
イタリアーノリク様にはもう感謝の言葉しかありません・・本当にありがとうございます。
そして、作風を壊してしまっていないか、もし気になることがありましたらぜひともお願いいたします。

今回、赤薔薇さんと青鰭さんとのラストバトルを書かせていただき、そして、慧の意識を完全に抑え込んだ白羽根さんが変身するストームフォーム!!
今回、このフォームを書かせていただいたのはラストバトルにおける伏線も兼ねての設定とさせていただいております。5人の超荒魔がそろっている状態でないと変身できないパニッシャーフォームはラストで再び登場いたします。

暖かいご声援ありがとうございます!!
>イタリアーノリク様
赤薔薇さんの芝居がかった話し方や振る舞いはすごく何度も読み返して書かせていただきました。熱すぎず、かといって、下卑たふるまいではなく、高貴かつ芸術家肌の彼のイメージをどのように表現できるかすごく考えました。そして、青鰭さんの狂気がかった迫力や凄みはやはり、私が書くのでは次元が違うなと感じました。感情の表現がイタリアーノリク様の小説をみるとひしひしと自分のことのように感じられるのですごいです!

いつもいつもで申し訳ないのですが・・・。
質問してもよろしいでしょうか?

今回、お世話になりました赤薔薇さんと青鰭さんに質問です。今回戦ったイマジンたちの印象や感想などお願いできますでしょうか?
もし話の中での不適切な表現があったら申し訳ございません。

>烈様
今回、感想ありがとうございます!!
バトルパートと普段の日常編をとにかく派手に盛り上げていきたい所存でありまして、バトルはとにかく熱く、そして日常編ではシリアスな作戦会議、ギャグの日常会話など、入り混じらないように気をつけて書かせていただいております。
まあ、あの変態百合青玉白鳥がかかわると、全てがギャグになりかねないのですが・・・。

次回もよろしくお願いいたします。
,#000000,./bg_f.gif,lo2.044.geragera.co.jp,0 2010年05月20日(木) 14時09分35秒,20100520140935,20100523140935,wpZ0J9UQIzmis,仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!「ミッドナイトカーニバル」A,鴎,,,「第三章」

廃墟と化した植物園。かつては多くの草木や花が咲き乱れた街の小さな森も、人の手が加えられず放置されて以来不気味な雰囲気を漂わせている。そして、宵闇迫る現在、夕焼けのオレンジ色の夕日と紫色の闇が入り混じり、光と闇の二つが入り混じり、不思議な空間と化している。

その中で、大木の枝に座っていた赤薔薇と名乗る金髪の青年は、静かに瞳を閉じ、何課を考えているのか瞑想にふけっていた。しかし、何かを感じたのか、瞳をゆっくりと開き、涼しげな視線をその気配の主に向けると、優雅に笑みを浮かべる。
まるで、待ちわびていた恋人が訪れたかのように・・・。

赤薔薇「来ましたか・・・ようこそ、わが舞台へ」
ルーベット「・・・超荒魔の一人、赤薔薇殿とは・・・貴方のことですな」
彩乃「今度こそ引導を渡してあげるわ!」

彩乃とルーベットのペアがやってきたのは赤薔薇が支配する植物園のエリアだった。
ここでの目的はこの植物園の中で封印が解かれる前に赤薔薇を倒すことだ。

ルーベット「・・・・慧殿の居場所を教えていただこう」
静かに、それでいて激情を必死に抑えているように、力強い視線をまっすぐ向けて尋ねる。

赤薔薇「・・・・いいでしょう、教えて差し上げましょう。私を・・・倒せたらね」
ルーベット「・・・そう来ると思ってましたぞ」
彩乃「行くわよ!!」

ルーベットがベルトを巻きつけ、彩乃が火の宝珠を構えると、花吹雪が舞い上がりローズスペクターの姿に変わる。
戦闘開始だ。

ルーベット・彩乃「「変身!」」

赤い光が飛び交い、同時に槍を構えてランスフォームが勇ましい決めのポーズを構え、仮面ライダーイグナイトが全身から激しい烈火を噴出し剣を構える。


Lバルキリー「燃え盛る正義の炎をもって・・・!!」
イグナイト「アンタを斬る!!」

ローズスペクター「それでは、始めましょう。正義などという愚かな幻想に見舞われし哀れな姫君よ、魂の灯火を闇に飲まれし恐怖と絶望へと誘いし最後の舞台を・・・!!」
Lバルキリー「愚かかどうかは、やってみないと分かりませんぞっ!!」
イグナイト「行くわよ!!」

ローススペクターの鞭を交わしながら猛然と走り出し、槍を次々と突き出し、横なぎに振り回し、自在に操るランスフォーム。
槍が振り回されるたびに風が舞い、花びらが、草が吹き飛び、宙に舞い上がる。
その中を美しく勇ましく舞うように、ランスフォームが攻め込む!!鞭を硬質させた剣に槍がたたきつけられ、気迫とともに全身がしびれるような振動と衝撃が伝わる。

ローズスペクター「ほう・・・実に力強く美しい槍さばきだ」
Lバルキリー「うおおおおおおおおおおっ!!」

鞭の襲撃をよけて、大木の上に飛び移ると、そこにいたイグナイトが燃え上がる業火の弾丸を拳に纏い、一気に発射する!!

イグナイト「バーニングライダーパンチ!!」
ローズスペクター「むっ!!」
Lバルキリー「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

炎の襲撃を鞭でかわすと、間髪いれず槍を突き出し、猛然と突き進んでくるランスフォーム!!縦横無尽に迫り来る鞭の攻撃をかわし、隙を突いてイグナイトの猛火の弾丸が飛んでくる!!絶妙なコンビネーションが生み出す連続攻撃を鞭でかわしつつもローズスペクターを確実に追い込んでいる。

ローズスペクター「ふむ・・・実に息があった攻撃ですね。激しいまでに燃え上がる激情と状況を冷静に分析し即座に判断する知略、それが両方備わっているとは、これは、舞台を盛り上げるには実にふさわしい相手として認めましょう」
Lバルキリー「私だけではここまでは出来ません!!彩乃殿がいてくれるからこその作戦ですぞっ!!」
イグナイト「ルーベット!!一気に行くわよ!!」
Lバルキリー「心得たあっ!!」

ローズスペクター「ふっ!!」
ローズスペクターが手をかざすと、薔薇の花吹雪が舞い上がり二人に襲い掛かる!!
渦を巻いて逃がさないように鋭い刃が舞い上がり、襲い掛かり、二人が同時によけると、花吹雪が地面を削り無残な傷跡を作り出し、大木や植物を切り刻んでいく!!

Lバルキリー「あれは・・・厄介ですな」
イグナイト「カッコつけてくれちゃって・・・!!」
Lバルキリー「しかし、琥珀殿と祥子殿が私たちをコンビで行かせてくれたには、何か理由があるはずでしょう。そして、なぜ、私たちを彼を相手に選ばせたのか。きっと勝算があるはず!!」
イグナイト「最後まで・・・あきらめないってことね!!」
Lバルキリー「無論!!」

ローズスペクター「ふむ・・・勇ましき戦乙女たちよ、実に楽しませてくれますね。実に久しい・・・このような・・・楽しい舞台はね・・・それでは貴方たちには最高の死をもって舞台の幕を迎えさせて差し上げましょう・・・完全な幕を閉じるという形で!!」

優雅な笑みを浮かびながらも、すぐさま真剣な表情になり、再び花吹雪を舞い上げて、襲い掛かる!!

Lバルキリー「いきますぞぉぉおおおおおおおおおおおおお!!」
イグナイト「了解!!」


このような展開に至った理由は数時間前にさかのぼる。
Vライナーのラウンジでは、琥珀とトパーズ、そして祥子を中心に作戦の展開が繰り出されていた。

祥子「今回、赤薔薇をあえて一番最初に倒すっていった目的は・・・」
琥珀「敵内における情報師団的役割を果たしている対象の殲滅、それによる敵内の混乱および行動の予測および対策における陽動作戦だろう?」
トパーズ「つまり、あいつらの中で敵と戦い、冷静に戦略の分析及び情報の伝達に優れている比較的頭がキレる奴を先に倒しておけば、敵内における役割が分析できるってことだろ?」
眞子「どういうことですか・・?」
トパーズ「つまりだ、あの赤薔薇を倒せば、あとは敵をいかにして甚振っていじめて倒しぬくか、そのような自分の欲望を優先するあまりに、少ない人数における個人行動といった暴走を繰り出すようなヤツが勝手に行動し、油断や隙が生まれるということだ」
サファイア「連携とかなさそうだもんね、あの5人」
エメラルド「お姉ちゃんに憑依して戦場の最前線に出したとしても、一斉に襲いかかって奪い返されたら戦力ダウンは確実だし、切り札としてとっておく可能性も高いしね」
アメジスト「そんな状況下じゃ、情報収集は重要な役割ね。黄兜とかいうヤツが情報を収集して分析し4人に指示を送り、それにならって侵略を仕掛けるといったところでしょうね」
琥珀「それで、白羽根や赤薔薇が情報を収集する役割、そして、先陣切って侵略を仕掛けるのが・・・あの黒棘か、青鰭・・・だな」
祥子「それで、まずはあっちから自滅してくれるような戦略を仕掛けることが、この戦いを早く切り上げる重要なことなのよ」
奈々美「でもそれじゃ、白羽根はノーマークってことになるんじゃ・・・」
祥子「一度に二人、情報師団を出してやられたら情報収集が困難になる以上、リスクも多いわ、それならまずは一人ずつ出すことが安全よ」
琥珀「なるほどな、慧を介したとしても、カオスライナーとかいう時の列車を乗り継いで、5つのエリアのみでしか行動できないんだよな、あいつらは」

つまり要約をまとめると・・・。
1・超荒魔5人は封印の影響により、5つのエリアの定められた領域内でしか行動できない。ただし、封印が破られる、すなわち闇の力が増すことにより空間に張られている結界の力が弱まるとその結界を破壊して次のエリアに行くことが出来る。
2・一つのエリアで活動できるのは、超荒魔一人か、慧に憑依することで5体全員という条件(ただしかなりの体力と精神力を消費する)である。
3・5つのエリアはカオスライナーを介して自由に移動することが出来る。

春姫「つまり、限られた条件の中、迅速的かつ効率よく侵略を仕掛けるにあたって、情報は必要不可欠ということになりますね〜」
トパーズ「ああ、だからこそ、赤薔薇か白羽根の二人、いずれかを潰しておく必要がある」
眞子「そうか、それで、赤薔薇を倒せば・・・」
奈々美「平静さを失った白羽根がやってくる、つまり、情報を提供する役目を果たす役割がいなくなる!」
トパーズ「その都度、相手を陽動させる情報を流し混乱させて、隙をついての爆撃戦を仕掛けていく!今回の作戦は守りは一切なしだ、一気に攻める!!」
眞子「攻撃は最大の防御って、特撮ではよくありますしね!!」

とまあ、こんな流れで、彩乃とルーベットが赤薔薇討伐に来たのだが・・・。

どんな作戦にもデメリットはある。
敵の強さがケタ違いであることだった。

Lバルキリー「さて、どうしますかな・・・」
イグナイト「あの花吹雪は避けるのは難しいよね・・・」
Lバルキリー「むぅ・・・・うん・・・・あれ?渦・・・・・渦・・・?」

ふと、ランスフォームが何かを思いついたのか顎に手をやり考えるようなしぐさを取る。
そして、「おおっ、この手がありましたな」と言わんばかりの顔になる。ここまで感情や思考を素直に表現できるのもいないであろう。

イグナイト「・・・・何か思いついたの?」
Lバルキリー「・・・ええ、やってみる価値はあるかと」
イグナイト「分かったわ、どんな作戦なの?」
Lバルキリー「彩乃殿は後方支援をお願いしますぞ。私があの花吹雪をおさえてみせる。そして、その隙をついて、一気に同時攻撃を仕掛けますぞ」
イグナイト「どうするの?」
Lバルキリー「・・・バカにはバカの戦い方があるということをお見せしますぞ」

そういって、自信がありそうに笑みを浮かべる。
なぜだろう。
ハッキリ言って、傍目から見ても一瞬で見抜けるほどバカなのに。
どんな強大な敵であろうとも、小細工や策略というものが一切考えられず、ただ突撃あるのみといったタイプなのに。
賭けてみたくなるのだ、信じてみたくなるのだ、この笑顔は。
彩乃はルーベットの考えに必ず上手くいくという自信を感じ、素直に受け入れた。

イグナイト「・・・・行くわよ!!」
Lバルキリー「おう!!」


「第四章」

同時刻・・・。
風土記の丘は江戸時代の街並みや農家、武家屋敷を再現した作りの大規模な博物館であり、伝統工芸などを体験学習を通して楽しめる施設でもある。
しかし、春姫の祖父の指示によって一時的に封鎖しているため、人気はなく、静かな闇に包まれた商家の町並みに、影が射しこんだ。

その闇の中を、静かに音も立てずに複数の蜂の形をしている金属製のメカが飛び交っている。気配を完全に消し去り、街並みや武家屋敷、農家の到る所の映像を収集し、それは、Vライナーのラウンジにいるパソコンのモニターに映し出される。鮮明な画像は暗闇の中でもはっきりと映し出している。まるでその場にいるかのように。

エメラルド「新発明の“ステルスホーネット”は・・・うんうん、よく映ってるね」
眞子「すごい・・・まさかこんなすごい監視カメラをものの10分で作っちゃうなんて」
エメラルド「へへへっ、もう少し時間があればいろいろ機能つけられたんだけどね」
祥子「気配を完全に消すステルス機能がついているだけでも十分すごいと思うけど・・・」
エメラルド「こいつで超荒魔の動き・・・だけじゃなくて、超荒魔がやらかしてることで、スペクターとかが所狭しと暴れているわけだから・・・その5つの地点からそれぞれの地点を線で引っ張ると・・・うん、この中心地のあたりも調べてみるね」
春姫「中心地・・ですか〜?」
エメラルド「晶が言ってたんだけどね、町一つすっぽり覆ってしまうほどの魔法陣を用いた呪術や儀式は中心地に儀式を行う人物が必ずいるって」
祥子「・・・・基本中の基本ね」
エメラルド「でもさ、智のアンポンタンからして、それはないわけよ。自分勝手ゴーイングマイウェイで生きてるようなヤツだし。とすると、もう一つの可能性があるわけ」
春姫「もう一つの可能性?」
エメラルド「呪術や儀式に用いる莫大な力を中央から5つのエリアに均等に送る・・・分かりやすく言うと巨大なテレビ塔みたいなもん?」
祥子「そこから力が5つのエリアに流れていくってことね・・・」
春姫「・・・・ああ!!それですと、そこには・・・慧さんがいるってことですね〜!!」
エメラルド「晶が言うなら、信憑性あるんだけどね。チェックメイト・フォーのキングなわけだし」
トパーズ「・・・・それに、このことを伝えたということは、晶からの心からの願いであろう」
サファイア「・・・・本当ならたとえ無理矢理でも抜け出したいのにね。それだけ、慧のこと思っている人だから」

春姫「晶さんは・・・本当に慧さんのことが好きなんですね」
サファイア「うん、見ていて妬けちゃうくらいね」
トパーズ「だが、あいつもただ打ちひしがれているだけじゃない。それどころか、作戦や指揮を執り、傷ついた身体を鞭打って今も戦っているんだ」
眞子「・・・いいなあ・・・何だかそういう男の人って漫画やアニメくらいにしかいないって思ってたのに」
祥子「見た目は限りなく女の子だけどね」
春姫「・・・でも・・・本当に男の方なんですねぇ〜」

晶「何か情報の変化とか・・・あった?」
そういって、包帯で全身を覆っている晶が松葉つえを突いて歩いてきた。

エメラルド「今、ルーベットと彩乃がバラの兄ちゃんとやり合ってるところ」
トパーズ「琥珀とアメジストからはいまだ連絡なしだ。水族館のエリアを偵察している」
晶「あそこは青鰭がいるはず。十分に気をつけていかないとね」
サファイア「今はあたしたちに任せて、傷ついた身体を治療することに専念したまえ」
晶「分かった。でもさ、何かあったらすぐ伝えてよ。それと・・・春姫さん、今、琥珀たちが行ってる水族館エリア・・・助太刀お願いできる?あの二人だけじゃ、とても対処しきれないと思う。もし、そこに青鰭だけじゃなくて慧まで来たら・・・」
春姫「水族館・・・つまり港湾地帯ですから、水の宝珠の力をいつもより倍増にして使うことが出来るということですね〜」
晶「うん、敵を幻惑させたり、琥珀さんたちのアシストをお願いしたいの。向こうも水の力にはあまり効果がないはず、きっと油断する。だから、それを利用して青鰭を追いつめる」
奈々美「なるほど、水の力による蜃気楼や幻とかで、相手を惑わすってことですね」
眞子「戦況によっては一時撤退もあるってことですね」
晶「お願い・・・出来る?ごめんなさい、こんな状態で、言うことしか出来なくてさ」
春姫「いいえ〜、晶さんのお気持ち分かります。お任せ下さい〜」

そういって、優雅な笑みを浮かべてラウンジを出ていく春姫を見送るようにして晶が見ている。
しかし傷ついた身体を支えるには力が足りず、ラウンジの壁にもたれるようにして、力が入らなくなった足腰が少しずつ崩れ落ちていく。
それを祥子が支えていた。

晶「ご・・・ごめんなさい」
祥子「無茶しないの、赤薔薇だけじゃなくて青鰭や黄兜ともやり合ってボロボロの状態なんだから」
トパーズ「慧を探しあるいている間、お前が私たちに攻撃を仕掛けてくるあいつらに戦いを挑んで身代りにさせてしまっていた。本当にすまなかった」
晶「このくらい・・・平気さ。慧に比べれば・・・ね。悔しいだろうな、すごく苦しんでいるんだろうな、超荒魔なんかに利用されて・・・さ・・・そんなの慧にとっては耐えられないことなのに・・・・」
祥子「大友君・・・」
晶「慧にそんな思いさせたくない、誰かが傷ついたり苦しんだりすることを自分のことのように悲しんだり苦しんだりしちゃう人だから・・・それにね・・・この町・・・なんだかいい町だ。いるとなんだか和むって言うか、落ち着くって感じの町。この町を、この町の人たちを泣かせるヤツ、それを楽しむようなヤツなんかにはどうしても屈したくない。慧をみすみす明け渡すようなことなんかしない。絶対・・・最後まで抗ってやるんだから」

晶の力強い言葉。
傷つきボロボロでも、決してその心は、誇りに陰はない。
最後まで諦めない。王として、一人の男性として、町の平和や愛する女の子のことを心から考えている。心配している。

祥子「・・・・・・・!」
晶「えっ、ちょっと、祥子さんっ!?ど、どうしたのさっ」
祥子「・・・・・・・任せて・・・・必ず・・・・取り戻してみせるから・・・」

晶の小さく華奢な身体を抱きしめて、祥子がささやくように言う。
後ろから回った腕が力強く握られ、優しく暖かい感触が晶に流れてくる。
そして、生を感じさせる鼓動が背中越しに伝わってくる。

晶「・・・・ありがと・・・頼む・・・・」
祥子「・・・・・・うん」

眞子「えっ、これ、何、ひょっとしてフラグ立った!?」
トパーズ「確実に」
サファイア「いや、あれは反則でしょ。真面目な女の子に対しては」
エメラルド「でも結局はいいお友達止まりってところだろうね」
トパーズ「だろうな」
眞子「・・・そんなもんかな?よく分からないけど」
奈々美「ふわ・・・・ああ・・・・・////」

眞子「でも、さっきはどうして、あんなに我を忘れたように暴れたんです?」
晶「・・・あの赤薔薇とか言う奴が、慧を笑ったから」
眞子「え?」
晶「自分が作り出した舞台を盛り上げてくれる姫君だってさ。この町を荒魔で覆い尽くして愚かな人間が死ぬまでの間、どんな絶叫や苦しみ、絶望にまみれて朽ち果てていくのか、想像するだに吐き気がする舞台に・・・慧を利用しようとした。それで・・・完全にキレちゃった。慧は、あいつらのオモチャなんかじゃないんだって」
祥子「つくづく救いがないようね、あのバカは・・・」
トパーズ「何が舞台だ、芝居の脚本書くセンスも著しくないようだな」
サファイア「全くだね」
エメラルド「でもさ、驚くのはそういった思考の持ち主が全員共通ってところだもんね」
サファイア「元人間と聞かされた時は驚いたね。あそこまで己の欲望に従事る姿勢ていうのは、お目にかかれないよ?」
トパーズ「お前に関してはある意味あっち側だとしても何の不自然もない。エロに生き、エロに死ぬ、エロエロまみれの煩悩変態白鳥だしな」
エメラルド「おー、確かに違和感ない」
サファイア「ありまくりだよねっ!?あんな連中の仲間入りなんて、御免だっての!!」
トパーズ「しかし、白鳥の姫君のたわわな胸や人魚姫のキュートなお尻にゾッコンLOVEとか抜かしてたのは、どこのどいつだ?」
晶「そんなこと言ってたんですか・・・」
サファイア「それはそれ、これはこれ、あいつらは敵だよ?それもかなり腹が立つレベルの。慧を利用するなんてもう怒髪天突いたからね」
エメラルド「おおっ燃えている」
サファイア「でもさ、あのたわわなおっぱいやキュートなお尻も捨てがたい、まさしく本能と理性の激しい苛烈なデッドヒートなわけよ、バーニングアップなわけよ、分かる?白羽根ちゃんのたわわなおっぱい!!青鰭ちゃんのキュートなお尻!!これに萌えない日にゃ、王子の看板下ろすしかないね!」
晶「永久に下してもいいと思います」
トパーズ「分かるかそんなもん」
祥子「・・・・このバカ、シバいていい?」
眞子「あ、祥子さんグー握りしめてる、プルプル震えてる」
エメラルド「血管も浮いてるねー」
トパーズ「構わん、やれ。つか、殺れ。私が許可する(斧を取り出す)」
祥子「・・・そう・・・・・(雷の宝珠を握りしめている)」

晶「・・・本当に大丈夫かな、このメンツ・・・・」


その後、ラウンジでは雷鳴轟く恐ろしい説教地獄が繰り広げられた。


「第5章」
一方・・・・。
その会話を通信中の通信機から聞いていた琥珀はもはや脱力しきってため息をついた。
現在、水族館エリアを調べている琥珀とアメジストペアは、手分けして調査をしている。

琥珀「・・・あいつら、本当にバカだろ・・・・」

はあ・・とため息をついたその時だった。
瞬時に気配をかんじ、飛び退くと、そこにギラギラ光り輝く刃物が回転して飛んできた!!
そして、それは鉈であった。鉈の攻撃を避けて琥珀が天井にフックを打ちこみぶら下がる。
すると、そこには鉈を構えている赤茶色の髪の美少女―しかし瞳孔が開ききっていて狂気の笑みを浮かべている尋常ではない雰囲気でいた。

琥珀「ちっ、よりによってこっちのエリアに出るかよ。とんだジョーカー引いちまった」
青鰭「・・・だぁれのお尻がキュート・・・ですってぇ?あはははははははははははははははははははははははははははははははははは!!だぁれが人魚姫ですってぇ!?あははははははははははははははははははははははは!!そぉんなに褒められるとぉ・・・・斬り殺すのが楽しみになって仕方ないじゃない、もうっ♪」
琥珀「・・・あたしじゃねぇし。言ったのはあのバカ白鳥だ」
青鰭「ああん、もぉ、そんなことどうでもいいんだよぉ。あたしねぇ・・・今・・・・あんたのことが切り刻みたくって切り刻みたくって仕方ないんだからさぁあああああああああああああ!くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ!!!」
琥珀「はー・・・話にならねぇ。行くか」

琥珀がベルトを巻きつけ、パスを通すと、オレンジ色の光とともにアサシンフォームへと変身する!!
そして、飛んでくる鉈をよけ、クナイを取り出すと一気に投げ出し、無数のクナイを発射する!!
しかしシャークスペクターと化した青鰭が飛び上がると、鉈を振り下ろしてくる!!

シャークスペクター「落ちろぉおおおおおおっ!!」
ASバルキリー「ちっ!!」

アサシンフォームが避けると、着地と同時に鉈を回転させて投げてくる!
それを飛び避けると、天井に張り巡らせたワイヤーを次々と飛び移って移動していく!!
そして、天井から、壁から無数のクナイを発射してシャークスペクターめがけて放つが、すべてを鉈で弾き飛ばされてしまう。

ASバルキリー「長丁場は不利だな・・・!!」
シャークスペクター「あはははははははははははははははは!!」

距離を保ちつつクナイを発射するが、相手はひるむことなく突き進んでくる!!
そして、蜘蛛の巣で反動をつけて一気に飛び出すと、すれ違いざまにハンドトマホークを振りかざし、切りつける!!
しかしそれをも鉈で防ぎ、にぃっと笑みを浮かべると、そのまま豪腕で放り投げて、柱にたたきつける!!

ASバルキリー「くはっ!!」
シャークスペクター「あはははははははははははははははははははははは!!」
ASバルキリー(完全に見誤った、こいつ、とんでもなく強ぇえ・・・・!)

全身に激痛が走る。
しかしすぐさまクナイを構えていっせいに乱射する!しかし、それをも防ぎ、高笑いしながら迫ってくるシャークスペクターに冷や汗がたれる。

シャークスペクター「・・・・あっれぇ?もうおしまい?つまんないの!」
ASバルキリー「・・・・あいにくまだ退屈はさせねぇよ」
シャークスペクター「あはははははははははははははははははははははは!!何をしてくれるのかなあ?!」
ASバルキリー「こうすんだよっ!!!!」

そういって、持っていたハンドトマホークを思い切り投げつけると、それが水槽のガラスに見事突き刺さり、水圧にガラスが耐え切れず、轟音とともにガラスが割れ大量の水が一気に押し寄せる!!
そして、天井に飛び移ると懐から小型の黒い箱やいくつもの大きな玉のようなものを取り出す。

一方、激流の直撃を受け、若干ダメージを追いながらも本来のホームステージである水中に身を潜めて、シャークスペクターはほくそ笑んだ。

シャークスペクター「あははひゃははひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!バカじゃないのっ!?あんたバカァ!?こんなことしても、逆に有利なんですけど!?」
Pバルキリー「有利ゆえに、気がつかないのね。それが、傲慢というものよ」
ASバルキリー「水中だからって、油断していると・・・こうなるぜっ!!」

そして天井にぶら下がっているファントムフォームとアサシンフォームが水中に持っていた爆弾と発電機を一気に放り投げる!!
爆弾が爆発し、水中ですさまじい震動と水圧がシャークスペクターを襲い、さらに発電機から生じる数百万ボルトの電流が一気に流れ出す!!!

シャークスペクター「ぎゃあああああああああああああああああっ!!!」

Pバルキリー「琥珀、外に逃げるわよ!」
ASバルキリー「ああっ!!」

そういって、水槽から飛び出し、外に出て行く二人。
しかし、電流にやられ、さらに水圧の衝撃を受けて予想外のダメージを受けたシャークスペクターの怒りは頂点を突いた。

シャークスペクター「・・・・あははははははははははははははは・・・・殺す・・・・殺してやる・・・殺してやる!!!!虫ケラがああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

そして、怒りとともに放った一撃がドアをぶち破り、轟音とともに一気に吹き飛ばす!!

ASバルキリー「封印がとかれた!?」
Pバルキリー「日に日に力が増しているようね、あいつら。琥珀、ここからが正念場よ」
ASバルキリー「ああ・・・・こいつぁ、ちょっとやべぇかもな!!」

ボロボロになったシャークスペクターが鉈を振り上げて飛び出してきた。
もはや高笑いさえ出さず、怒りと憎悪に満ちたうなり声を上げて殺意と狂気にギラつかせた目を向けて、じりじりと歩み寄ってくる。

しかし、そんな異形を前にしても二人は動じず構える。

Pバルキリー「お前・・・あたしたちの闇に染まってみる?」
ASバルキリー「永遠の地獄に・・・ようこそ」

シャークスペクター「・・・・・・殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやるううううううううううう!!!ギシャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

怒りで完全にわれを見失ったシャークスペクターが飛び出し、戦いが始まった・・・!!


続く,今回執筆が遅くて大変申し訳ございません!!そして、作品の世界観がもし間違っていたり不適切な表現があったら申し訳ないです。
今回、イグナイトこと彩乃さんペアVSローズスペクター、そして、琥珀&アメジストVSシャークスペクターの戦闘を書いてみましたが、いかがでしょうか?
台詞や振る舞いなど、壊さないように作ってみたのですが、もし何かご意見やご感想がございましたらお返事のほどお願いいたします。

>イタリアーノリク様
貴重なご意見、そして感想ありがとうございます!!イグナイトは何度も読み返していますが、やはり名作!!友情や絆、信頼というものが熱く伝わります!
今後ともよろしくお願いいたします。

>烈様
こんにちは!!
今回クロス作品ということで書かせていただきました。今回の話は、アンソロジーといいますか、本編とは異なった設定で書かせていただいております。
一風違ったバルキリーたんをお楽しみいただけると幸いです。

それでは、次回もよろしくお願いいたします。

PS
白羽根さんと青鰭さんにメッセージを送ります。
トパーズ「うちのタワケが非常に申し訳ないことをした。煮るなり焼くなり蹴るなり斬るなり、好きにしてくれ」
サファイア「・・わかったよ、それじゃ、死を覚悟したって事で、最後に一言だけ質問させて。二人の3サイズ教えてください!!」
エメラルド「本当のバカだねっ!?」

本当にバカですが・・今後ともよろしくお願いいたします。,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年05月17日(月) 22時55分42秒,20100517001502,20100520225542,vEoywSdv48Kvo,仮面ライダーintertwine第2章第15話「暴れまわれ、沖島 八雲!」 ,オリジナルライダー・リレー企画,,,

作:イシス


AM8:48 路地裏


混沌とした繁華街から離れ、黒衣の麗人は一人路地裏を行く。奥に進むにつれ、街の喧騒も遠ざかっていく。
辺りは塵が撒き散らされ、腐臭を放つ。誰であろうと好き好んでこんな所に来ようなど思いはしまい。だが、
“暗殺者”は不快感を表に出さず、まるで意にも介していないかのように歩を進める。


路地裏は駐車場に繋がっていた。“暗殺者”は回り道でここに来たが、実はここは通りを一つ抜ければすぐ街と
繋がっている為、ここまで走って逃げてくることは可能だ。しかし、騒ぎがかつてなく恐怖心を煽るもので
あった為か、ここまで来て車で逃走するという者はあまりいなかったのだろう。何台もの車がここに停められた
ままになっている。

いや、実際はここまで命からがら逃れてきた者もいた。ただ、逃げた先も死地だったのだ。

「ごきげんよう。」
『ブルルルル・・・・・・』

“暗殺者”が艶めかしい笑みを向けたのは、一目見て怪物と分かるそれだった。

身の丈は2m近く、異様に盛り上がった筋肉がさらに怪物の巨大さを引き立てる。怪物の頭部は馬に近い形状を
しており、全身からは群青の泡が湧き立っては消えてを繰り返す。“暗殺者”ら“騎士団”の追う宿敵たる
“タンタロス”特有の性質だ。

「・・・・・・」

“暗殺者”は馬の怪物、ホースタンタロスの足元に視線を移す。そこには何者かの衣服が散乱していた。
恐らく、ここまで逃げた所で“タンタロス”に襲われ、命を落とした。そんな所だろう。


哀れなものだと、“暗殺者”は思う。理解できない事件に巻き込まれ、助かりたい一心で必死に逃げて、結局、
逃げた先で最期を迎えてしまった。きっと何一つ理解できないまま、そんな終わりしかこの何者かは迎え
られなかったから、哀れなものだと、“暗殺者”は思う。
だが、それ以上の感情は芽生えない。人間に理不尽な死を齎す怪物への怒りに燃える心といった、青臭いものを
彼女は持ち合わせていない。彼女にとってそういった出来事は、“不運だった”の一言で片づけられる。

そういう点では、“暗殺者”、ミシェル・フェオニールは非常に淡白である。


必要なのは、怪物が人間を殺めた事実。“騎士団”が守ろうとする“秩序の安定”には、人間が必要不可欠になる。
安定に必要な要素は“騎士団”が決める。“騎士団”の介入なく生殺与奪があってはならない。

「とにかく困るのよ。お前たちのようなのに勝手に動かれると。秩序の安定の為には、いかなる不安要素が
あってはいけないの。だから・・・・・・」

“暗殺者”の左腕がまっすぐ、ホースタンタロスへと向けられる。


「ここで消させてもらうわ。変身。」


左腕に巻かれた黄金の腕環から、漆黒の光が解き放たれる。その光が“暗殺者”を包み込むと、黒衣の麗人に
代わって現れたのは、漆黒で彩られた狐面の戦士だった。

「黒姫、参る。」

“暗殺者”が変身した仮面ライダー、黒姫はそう呟くと、瞬時に指と指の間に数本のナイフを挟ませた。

「生きる人間、死ぬ人間。何が必要で何が不要か、それらは“騎士団”が管理してこそ正しく回るもの。
 それを“タンタロス”などに勝手にされると困るのよ。特に・・・・・・」

ナイフを握った右手が大きく振りかぶられる。黒姫と“タンタロス”との間には数メートルほどの距離があるが、
黒姫はナイフ投げを得意とする仮面ライダーだ。先手を取るのは容易い。

「あの男にはね!!」

怒気を孕んだような声と共にナイフが数本放たれる。一秒とたたず標的の急所を捉えられるそれだったが、
ホースタンタロスには掠りもしなかった。一瞬で今いる位置から斜め前へと移動していたのだ。

(速い!?)

投げナイフは当たり前だが直線にしか飛ばない。なので横や斜めに移動すれば簡単に避けられるが、黒姫の投げ
ナイフはそれを簡単に許すほど甘いものではない。先ほどまで“タンタロス”がいた位置を見ると、そこには
馬の蹄にも似た足跡が深々と作られている。強靭な脚力を誇る怪物という訳か。

ホースタンタロスはその異常な脚力でさらに距離を潰していき、一瞬で黒姫の真正面に躍り出る。

「ちっ!」
『ブルフゥ!』

投擲が通じないとあっては、あとは近接戦しかない。黒姫は素早くナイフを揮うが、ホースタンタロスは当たる
前に飛び退き黒姫の間合いから離れる。しかも次にはまた近づき、剛腕を黒姫に振るう。黒姫は体勢を低くし
それをやり過ごす。耳朶に届く風切り音が不気味なほど伝わってくる。直撃した時のことなど考えたくもない。

「はっ!」

黒い旋風と見紛うほど素早い蹴りが、ホースタンタロスの足元に見舞われる。まずは自慢の脚力から奪うつもり
だったが、ホースタンタロスは黒姫の蹴りが自分の脚を捉えるより速く、高く高く蹴り上がった。
さらに落下の勢いを利用し拳を打ち下ろしていく。

『ブルオッ!!』
「!」

拳はアスファルトの地面を容易く抉り取ってしまった。自分でそれを味わうより先に、黒姫は一陣の風のように
そこからいなくなり、さらに車体へ次から次へと移っていくことで標的を絞らせない。あんな馬鹿げた攻撃力の
持ち主と真正面からぶつかりあっては身がもたない。

だが、ホースタンタロスは黒姫の逃げる先のさらに先を読み、その大地を力いっぱい踏み抜き、その反動を
利用し一直線に黒姫へと迫った。

『ブルルルッ!!』
「ぐぅっ!」

そして馬の怪人の剛腕が全力で振りぬかれる。黒姫は当たるより先に衝撃を殺そうと、自分から後ろに跳ぶが、
ホースタンタロスのパワーは想像以上で、急所を守ろうと防御に専念させた両腕が痺れる。


黒姫は“暗殺者”のスピードを最大限に活かすべく、防御を犠牲にした設計になっている。ホースタンタロスの
ように攻撃主体の敵との相性はあまり良くない。スピードで圧倒できればいいが、この“タンタロス”は速さも
黒姫と互角かそれ以上のものを持っている。持久戦にもつれ込めば、不利なのはこちらだ。


着地した黒姫だったが、息つく暇さえ与えぬとばかりに、ホースタンタロスが急接近してくる。攻撃はやはり、
単純に殴るのみ。しかしそれは必殺の威力を持つ、十分な武器だ。今度こそ粉微塵にせんと“タンタロス”は
豪快に振りかぶる。怪人の巨体と相まってその姿は、大型車が自分目がけて減速なしで突っ込んでくるのに近い。
待ち受ける結果は言うまでもない。

「まったく・・・逃げてばかりじゃしょうがないってことね。」

黒姫はこんな状況だというのに、普段の彼女らしい艶やかな溜息を吐いた。

ホースタンタロスの姿がだんだんと近くなってくる。このまま何もせずいれば、あの大木のような剛腕で黒姫は
無残な最期を遂げるだろう。そんなものを待つつもりはない。
敵は全て迎え討つ。“タンタロス”は“騎士団”にとって忌むべき敵。それから逃げていて何が秩序を守る騎士か。


黒姫はナイフを握る力をより一層籠め、今度は自らも“タンタロス”へと向かっていった。


一瞬だけ、大気が震動した。それは両者がぶつかり合った影響だろうが、既に黒姫と“タンタロス”は互いを
追いぬき、攻撃の姿勢のまま動いていない。まるで居合、あるいは早撃ちでの決闘の一幕だ。

『グブフッ!?』

そして、くぐもった悲鳴と共に脇腹を押え、崩れ落ちたのはホースタンタロスの方だった。脇腹に刻まれた
傷跡は“タンタロス”に驚愕と恐怖を一度に与えた。

傷はそれほど深くない。だが、時が経つ毎にそこが腐敗し、しかも拡大していっているのだ。“タンタロス”は
戸惑っていた。ただのナイフでの斬撃だけで、ここまでの深手を負うとは。あれはただのナイフではないのか。
苦痛を必死に耐えながら、“タンタロス”は見た。

黒姫の持つナイフは、最初に仕掛けた投擲用のものが木偶に思えるほど美麗な造りであった。美しく光を反射
するほど磨き抜かれた刀身は、しかし“タンタロス”に毒々しいプレッシャーを感じさせる。

猛毒と腐食を併せ持つ、黒姫最大の得物。宝刀“幽世”。これで斬られて無事で済むものはこの世にいない。

「ああ、これ?よく効くでしょう。“あの男”に突き立てる為に造ったのだから。」

黒姫はわざとらしく宝刀“幽世”をホースタンタロスに見えるよう、手元で弄ぶ。仮面の下の素顔は、
間違いなく極上の笑みを作っているだろう。

“タンタロス”の呼吸が次第に荒くなってくる。想像以上に毒の回りが速い。ただでさえ“タンタロス”という
種は他の生物より命の消費量が多い故、総じて短命だ。だからこそ人間の命を糧にし、それを延命に充てている。
しかし、あの宝刀の毒はそれを奪っていく。この苦痛は、生きることを許さぬというあの黒いライダーからの
宣告にも思えた。

「放っておいてもあとは死を待つばかりだけど、聞くことは聞かないとね。さぁ、あの男の居場所を教えなさい。」

“幽世”の切っ先をホースタンタロスに向けながら、黒姫は優雅な足取りで歩み寄っていく。

「うぐっ!?」

突如、黒姫の体が大きく弾かれ、停めてある車に叩きつけられた。立ち上がった黒姫はあることに気づく。

「・・・・・・水?」

全身がずぶ濡れだったのだ。まるで鉄砲水のような不意打ちだったが、そもそもここは街中だ。そんなことが
起こりようはずもない。黒姫は素早く攻撃が来た方角へ視線を走らせた。


そこにいたのは、2mはあろうかという鎧だった。透き通った水で造られたかのような透明感のある鎧は、
飾れば十分美術品として成立しただろう。だが、その鎧は長大な鋸刃の騎士剣を振り下ろした姿勢を取っていた。

「・・・新手のお出ましとは、ついてないわね。」





同時刻 繁華街


“キャンサー”は破壊と殺戮の限りを尽くす。目につくものは片っ端から壊し、人間を見つければそれを手に
かけていく。それもできるだけ惨たらしく。

地獄さながらのその中を、漆黒の仮面ライダー、シキは狂ったように戦い続ける。それが己の目的を果たす
一番の近道とばかりに。もう一人、この地獄に身を投じた黒いコートを纏う巨人。こちらはその巨大な腕で
“キャンサー”たちを粉砕していく。しかし、形振り構わぬ戦いのシキに対し、この巨人は腕を揮うだけだ。
その動きは何かを押えているようにも見えた。


そして、もう一人。薄水色のおさげ髪をした、やたら背の高い女。“槍使い”の異名を持つ“騎士団”の一員、
沖島 八雲だった。八雲の様子は明らかに異様、というか変の一言に尽きる。この惨状を前にし、何故か口からは
涎が垂れまくっていた。

断っておくが、沖島 八雲は血みどろの光景が好きな変人ではない。彼女は別の意味で変人だから、様子が
おかしいのである。


この戦いの前で“暗殺者”から言い渡されたあの言葉が、八雲の頭の中で何度も駆け巡る。

怪物一体倒す毎に女の子一人を好きにしていい。

この言葉に釣られ躍り出てみれば、眼前には見たこともない怪物がうじゃうじゃいる。これを全部潰せば、
街中の女子を自分の好きにしていい。既に八雲の中では、怪物たちを倒した後のことが生々しく想像されていた。
生々しすぎて表現に困るぐらいだ。

「ぐふふ・・・今の私には、ここが女の子だらけの楽園にさえ思えてきちゃう!!」

そう思っているのは間違いなく彼女一人だ。

突然、八雲の体が何かに当たった。それは女だった。“キャンサー”に襲われ、命からがら逃げていた一人だ。

「およ?」
「あ・・・・・・」

女は恐怖と披露で生気を失ったような顔色になっていた。それとは対照的に、八雲の顔は見る見る内に精力が
増してさえいた。

「や〜ん!お姉さん、可愛い〜!どうどう!?私とこれから甘くてとろける女だけの秘密の時間を過ごさない?」
「え・・・な、あ、きゃあーーーーーー!!」

目の前には自分より長身な女が、いきなり意味不明なことを満面の笑みで言われたら、誰でも混乱するだろう。
ただでさえ女は極度に混乱していて、そこに拍車がかかったものだから、八雲を強引に振り解き、脇目も振らず
走り去っていった。

「あーん・・・せっかくのお姉さんがー・・・ん?」
「うわ!」

渋る八雲にまた何かが当たった。今度は男だった。こちらも“キャンサー”から逃げていた一人だ。すると突然、
八雲の形相が豹変した。何故か怒髪天を衝く勢いで激怒しているのだ。そして男の脳天に、いきなり拳を見舞う。

「ぐぎゃっ!」

男は悲鳴を漏らした。長身の八雲の打ち下ろしは、一般人なら簡単に叩きのめせる威力だ。あっさり気絶した
男を無理やり掴み上げ、後方に放り投げた。

「男のクセに私に触んな!ムカツクわねぇ!!」

沖島 八雲は無類の女好きだが、同時に極度の男嫌いでもある。女相手には猫撫で声を使い異常なまでにスキン
シップをとろうとするが、相手が男だと邪険にするどころか攻撃的になり、今のように暴力に訴える。

八雲は“キャンサー”に再び視線を合わせる。その手には槍型のネックレスが握られていた。

「まったく、男なんかが触ってきた所為で気分最悪だけど・・・ここから私の明るい未来が始まるのよ!!
 まぁ見てなさい!」

不機嫌な表情が一転して満面の笑みに変わり、そして手に握る槍型のネックレスを高々と頭上に掲げた。


「変身!!」


数日前は故障して何も反応しなかったネックレスだったが、今度は眩い銀の光を放つ。光は一瞬で八雲の体を
包み込み、ただでさえ大きな彼女の肉体をより大きく変容させた。

いかにも重厚そうな銀色の全身装甲に覆われ、頭部は三つに分かれた角を生やしている。特徴的なその容姿は、
昆虫の王の中の王、コーカサスオオカブトを思わせた。さらに、背中には長大な三本の槍を背負っている。

「仮面ライダージン!世界の秩序は女の子あってこそ!すなわち、女の子を守ることこそ私の使命!!」

相変わらず意味不明なことを恥ずかしげもなく宣言と共に、その頑強なライダーは仁王立ちを決めた。しかし、
はっきり言って全然決まってない。

「さってとー、カカッと終わらせちゃうわよ!!」

ジンは背中に背負う三本の槍の中から、一本を抜き構えた。その形状はまさに龍、尾が柄なら頭は刃。特に刃の
龍頭には巨大な一つ目が備わっていた。


「!?」
「コレハ・・・!」

シキと大男は揃ってただならぬ空気を感じ取った。それはジンの持つ巨大な槍からだった。気のせいではない、
龍の槍は大気を震わせるほど震動し、唸りを上げ、さらには辺りの空気を取り込み刃の先に真空の渦を形成する。
暴れまわる“キャンサー”たちも、ジンの槍が放つ震動音へと一斉に目を向けた。


「いっくわよー!私の龍槍“天津彦根”の必殺技!!ビーハイブテンペストーーーーーー!!!!」


ジンはその剛腕をもって、真空の渦を纏う龍槍“天津彦根”を振り下ろした。槍に凝縮されていた風は一気に
解き放たれ、空気の刃とかし“キャンサー”たちに襲いかかる。怪物たちを細切れにし、吹き飛ばし、さらには
周囲の至る所に斬りつけたような痕を残していった。まるで暴風が過ぎ去った後だ。

「ありゃりゃ、ちょっとやり過ぎたかな?ま、いいや。それより・・・」
「あぁ?」

これだけの破壊活動をしておいて、ジンには悪びれた様子がない。それよりも、この重装甲のライダーの興味は
仮面ライダーシキへと向いていた。

「可愛い娘ちゅわ〜ん!!お姉さんとちゅっちゅして〜!!」

気色悪い声色で、鈍重そうな見た目からは想像できないほど速くシキへと駆けよって行く。シキは身構えた。
何故自分を標的に絞ったのかは知らないが、何であれ全力をもって叩きのめす。

ジンが自分に近づいてくる。距離が少しずつ縮まっていく度に、シキの頭の中で警報音が大きくなっていく。
戦っても負ける気はしない。しないのだが、何故かあれと戦うのはよくない。むしろ近くにいてはいけない。
例えようのない恐怖にも似た何かを感じ取ったシキは、ジンが自分に跳びかかろうとした瞬間、思いっきり
横っ飛びし回避行動に移った。目標を失ったジンは、顔面からコンクリートの地面を迎えてしまう。

「いった〜い!もぅ、可愛い娘ちゃんのいけず〜!」
(・・・可愛い娘って、ひょっとして私のことか?何言ってんだこいつは・・・)

疲労とは別な理由で頭が痛くなる。シキにはジンが何を考えているのか、何でこんな行動を取るのかが本気で
分からなかった。分かりたくもないものを、どうして自分に向けてくるのだ。正直、放っておいてほしい。

「ん?ちょっと!何見てんのよ!!」

ジンの声色と態度が急に荒々しくなった。烈火のような怒りを、黙々と“キャンサー”を叩き潰していた大男に
向けた。大男はジンが“キャンサー”の大半を吹き飛ばし手が空いたこともあり、初めてジンへと視線を移した。

「何よやる気!?アンタなんか・・・って、あーーーー!!!」
「?」

突然、ジンは悲鳴にも似たけたたましい絶叫を上げた。鼓膜を破ってしまいそうな騒音にシキは鬱陶しそうに
耳を塞ぎ、大男は特に気にせずジンを見る。

「な、なんで!?なんでアンタからこう、今後の成長をゆっくり見守ってあげたくなるような女の子の匂いが
 するのーーー!?!?」
(・・・モシヤコノライダーハシルクスノコトヲ言ッテイルノカ?)

少なくとも自分とジンとは初対面のはずだが、ジンはシルクスのことを言っているようだ。しかし、匂いと
いうのは自分にシルクスの放つ何らかの匂いが付着でもしたのかと、大男は割と真剣に考えていた。
そしてジンが自分に殺気に近い気迫をぶつけてきているのは間違いではなさそうだ。

「うぎぎ・・・ゆ、許せん!こんな大男に弄ばれる女の子を必ず私が助けなきゃ!!」
「・・・頼むからお前、喋るな。」

さっきから暴走しまくるジンにシキは疲れていてもツッコミを入れずにはいられなかった。どうして
“カンケル”を追って来たのにこんな馬鹿と巡り合ってしまったのだろうか。誰だこんなのを仕組んだのは。

忍者の所為にでもしてやろうかと思ったシキだったが、新たな気配を感じ取り、瞬時に身構えた。
ジンや大男の方も同じく気配を察知している。

ビーハイブテンペストで吹き飛ばしたと思われた“キャンサー”たちが、いつのまにかまた現れていたのだ。
それも一度に広範囲に倒してしまった所為で、数を補おうと怪物の数は異常なまでに膨れあがる。

「ちっ!面倒なことしやがって・・・だが、やるしかねぇ!!」
「あ!ちょっと待ってよ可愛い娘ちゃ〜ん!」
「うるせー!来るな!!」

満身創痍の体を鞭打って、それでもシキは“キャンサー”の軍勢へと飛び込んだ。その後をジンも追う。
残された大男は仕方なく、また黙々と“キャンサー”を潰す作業に戻った。





PM17:16 路地


夕焼けに包まれようとする街並みを、列と八代は他愛もない会話を続けながら通り過ぎていく。八代 みつるは
本当にどんなことでも楽しそうに話すし聞いてくれる。お陰で列はすんなりと彼と打ち解けることができた。

「ふーん。新聞部も大変だな。」
「ああ・・・どうなっちまうんだろう・・・・・・」

列は少し遠い目で赤く染まりかけた空を見上げた。今まで知らなかった新聞部の抱える闇、八枷 庵という男。
今日のやり取りの後では、新聞部の向かう先には暗く深い穴しか広がっているようにしか思えない。

「まぁ、俺にできそうなことあったら何か言ってくれ。力になるぜ。あ、喧嘩とかはやめてくれよ?
 俺、腕っ節弱いからさ。」
「そんなこと頼まないよ。でも、ありがとな。気持ちだけでも嬉しいよ。」

今回のはきっと新聞部が一致団結しなければ乗り越えられない問題だ。安易に他人に頼ってはいけない、
こういう時こそ部員全員で協力して立ち向かっていくことが大事だ。それは列にも十分理解できているが、
それでも八代がこんなことを言ってくれたのは素直にありがたいと思う。

それにしても、八代は自分を気にかけてくれているような気がする。少々自惚れが過ぎるかもしれないが、
そう思わずにはいられないような節もある。今日だって、わざわざ遅くまで待っていてくれたのだから。

「なぁ、八代。変なこと聞くけど、俺ってどこか変わった所でもあるか?」
「ん?どういうことだ?」
「いや、なんと言うか・・・その・・・・・・」

列は言葉に詰まった。こういう場合、どう答えるべきか。なかなか良い回答を思いつかなかった列を見て、
八代はおかしそうにくっくと笑う。少しだけ列は恥ずかしかった。

「別にどこも変じゃないと思うぜ。いい奴だなとは思うけど。」
「な・・・そ、それはいいけど・・・面と向かっていい奴って言われるのは・・・」
「いい奴はいい奴さ。だから俺も気に入ってんだぜ?」

どうして八代はこういうことを臆面もなく言えるのだろうか。列は恥ずかしさと驚きが混じった複雑な顔を作り、
まともに顔を見ながら会話を続けられなくなっていた。


「うわ!?」
「!」

突然、列は何かにぶつかった。一瞬だったが、それがかなり小柄な者だというのが見えた。小柄なその誰かは
ぶつかった拍子に尻もちを突いてしまう。

「いたた・・・あの、だいじょ・・・・・・」

列は息を飲んだ。眼前に繰り広げられた現実離れした光景が、最後まで言葉を出すことを許さない。


彼の体に当たったのは、妹の華枝やその親友、神歌とそう歳も変わらぬ少女だった。だが、この少女の容姿は
現実のものとはなかなか認識させてくれない。薄めの銀髪を肩ほどの長さで綺麗に揃え、顔立ちは西洋人形を
そのまま人間に昇華させたように整っている。

何より列を戸惑わせたのは、少女の格好だ。頭に布状の何かを乗せ、服はこだわりぬいた絹素材で編まれた、
解や皺など一切見当たらぬ純白のドレス。倒れた拍子にスカートから覗かせる少女の脚は、ドレスと同じく白の
ストッキングで覆われている。早い話、少女が着ていたのはメイド服だった。

しかし、少女の着るメイド服がただのコスプレなどでないことは、ただの人間の列にでも分かった。あれは
とても金のかかった、それこそかなり地位のある人間が与えたもののような気がする。

「あ、えと、き、君・・・立てる?」
「・・・・・・(そっ)」

おずおずと列は手を差し伸べると、少女も恐る恐るその手を握り返す。とても柔らかな感触だった。芸術品を
連想させるような少女の柔肌に、少年の動悸は不自然に速くなる。立ち上がった姿を見ると、ますます現実から
かけ離れた美しさを放つ。そこにいるだけで、一枚の絵画にしたくなる。

軽く埃をはたくと、すぐに少女は深々と列にお辞儀した。

「いや、そんなことしなくても・・・怪我とかない?」
「・・・・・・・・・・(ぶんぶん)」

少女は首を振った。どうやら何ともないらしい。だが、さっきから列は何か違和感を覚えていた。それは少女の
行動で確信に変わる。少女はしきりに手を動かし、こちらに訴えかけているように見えた。

「なぁ列。ひょっとしてこの娘がしてるの、手話じゃないか?」
「・・・・・・!」

一瞬、少女の目が丸くなったように見えた。それも次にはしきりに首を縦に振る動作で分からなくなったが。

確かに少女がしていたのは手話だった。しかし、列は手話など知らない。何か申し訳ない気がした。
そんな列の微妙な心境を感じ取ったか、少女は素早くスカートのポケットから紙の束を取り出す。メモのようだ。
同じくペンも手にし、慣れた動作で紙にペンを走らせる。程なくして書き終わり、少女はそれを列たちに見せた。

『私は大丈夫です。こちらの不注意でそちらに迷惑をかけてしまい、申し訳ございませんでした。』
「え?あ、いいよ俺の方は。まぁ、無事ならいいんだ。」

ここまでに丁寧に返してくるとは、相当いい所のメイドなんだろうなと、列は頭の片隅で考えていた。少女は
思い出したように左手に巻いた腕時計を見ると、慌ててメモにまた字を書いていく。

『申し訳ございません、火急の件により、これで失礼させていただきます。』
「・・・・・・・・・・(ぺこり)」

もう一度深々とお辞儀し、少女はスカートの裾を摘み、列たちを通りすぎていった。これ以上かける言葉が出て
こなかった列は、また誰かとぶつからないといいけどなどと、呆けた頭で思っていた。

「可愛かったな、今の娘。」
「え!?あ、ああ、そうだな・・・・・・」

八代の茶化しでようやく列は我に返った。

完全に見惚れていた。この街にあんな少女がいるなど、夢にも思わなかった。どこか海外から来たのだろうが、
一体どこの国の少女なのだろう。また会えたりしないだろうか。それは、淡く不思議な気分だった。

「・・・あれ?これって・・・」
「携帯・・・さっきの娘のだろうな。よっぽど急いでたんだろうな、落としたの気づいてないぐらいだし。」

さっきまで少女がいた場所には、携帯電話が落ちていた。ピンク色の可愛らしいそれは、あの少女によく
似合っているようだ。しかし、これをこのままにしておく訳にもいかない。列はしばらく考えて、


==================================================
 交番に届けることにした
⇒自分のポケットに入れた
==================================================


それを自分のポケットに入れた。本当は交番に届けた方がいいのだろうが、それをしなかった。
したくなかった、の方が適切だろう。これを警察に渡してしまったら、あの少女との繋がりが断たれてしまう
ような気がして、それがとても嫌だった。

自分勝手もいいところだ。列は自己嫌悪しそうになる。

「八代・・・俺・・・・・・」

嫌悪のあまり沈痛な響きの声色になった列の肩に、八代は何も言わず手を置いた。

「列。やっぱお前は俺が見込んだ奴だな!」
「・・・・・・へ?」

太陽のように輝かしい笑顔で、サムズアップまで向けてくるこの友人の態度は、最後まで分からないままだった。





PM 17:28 八代薬局


「た〜どりつくう〜たは〜、ゆうや〜みに陽をと〜もし〜、枯〜れてなおは〜なは〜、凛と〜其処に咲く〜。」

間延びした声で、“騎士団”のエージェント“薬剤師”アンナ・ルチルナ、表向きには八代薬局の店主を勤める
八代 杏奈は店番をしていた。盲目の女性吟遊詩人の歌の美しさにアンナは惚れ惚れするも、現実はなかなか
厳しいものが待ち受けていた。

数日前の夜中の騒動以来、なかなか客足が伸びないのだ。あれだけ騒げば近隣住民も迷惑がるのも無理ない。
資金面は“騎士団”からかなり出資があるから困りはしないが、自分には経営手腕がないと思われるのも癪だ。
杏奈はなかなか負けず嫌いな面もある。

「はぁ〜、お客さん来ませんね〜。お薬には自信あるんですけどね〜。」

独り言も今日何度目になるだろう。こんなことが続く毎日など辛いだけだ。杏奈は必死にイメージアップの為の
策を練るが、いい案は一向に出てこない。

「またあの猫執事さんが〜来てくれればいいんですけどね〜。そういえば〜みつるくんのお友達でしたっけ〜。
 みつるくん〜、連れてきてくれませんかね〜。そうすれば売上アップな上に〜・・・うふふふふ〜・・・・・・♪」

そして業績改善の為の思案は、薔薇色の性癖にすり変わっていた。こうなると、なかなか現実に帰ってこない。
しかし、突然のシャッターの開閉音が杏奈を現実に引き戻した。

「あ〜、いらっしゃいませ〜。八代薬局へ〜・・・って、みつる君じゃないですか〜。」
「よ、ただいま。」
「はい〜、おかえりなさい〜。」

入店したのは八代だった。もっとも、彼はここに住んでいるから、ただの帰宅だ。ふと、杏奈は八代の後ろに
いる少年に気づいた。

「あら〜?みつるく〜ん、そこの男の子は誰ですか〜?」
「おう、紹介するぜ姉貴。友達の列ってんだ。」
「は、はじめまして。風瀬 列といいます。」
「列くんですか〜。いいお名前ですね〜。私は姉の〜、杏奈といいます〜。今後ともよろしくお願いしますね〜。」

友達と聞き、杏奈の顔が綻ぶ。

「みつるくん〜、学校でちゃんとお友達作れてますか〜?姉として〜、そこだけは心配なんですよ〜。」
「いえ、八代はすぐにクラスと打ち解けたし、友達の数だってもう俺より多いと思いますよ。」
「本当ですか〜?それはよかったです〜。」

杏奈の喜ぶ顔を見ていると、列も嬉しくなってくる気がした。

弟の学校生活のことを心配する気持ちは列にもよく分かる。彼には妹の華枝がいる。あんな事件に巻き込まれた
華枝のことで彼は常に胸を痛めていた。杏奈も同じだ。新しい地で生活するということは、期待も大きいかも
しれないが不安も同じぐらいある。そこで新たな一歩を踏みしめようとする弟のことが、やはり心配なのだろう。

「俺は大丈夫だって。それより、列部屋にあげるけどいいよな?」
「はい〜。まだ棗ちゃんも帰ってませんけど〜、あんまり騒いでは駄目ですよ〜。」
「棗のやつ、まだ帰ってねぇのか?何してんだか・・・」

そういえば、八代には妹がいたことを列は思い出した。今はいないみたいだが、どんな娘なのか少し気になった。
全校集会の時の挨拶では、やたら元気が良かったのを覚えている。確か頭に迷彩柄のバンダナをしていたはずだ。

気になるといえば、八代の姉もそうだ。どうして彼女はあんなにボロボロになった白衣を着ているのだろう。
おっとりした雰囲気を持っていても、あの白衣の影響で何か凄い裏があるような気がしてくる。
あの白衣を着ている理由を尋ねたかったが、あまり詮索しては向こうも迷惑だろう。列は自重することにした。


二、三言会話を交わして、八代と列は二階へと上がっていった。彼らの足音が聞こえなくなると、杏奈の表情が
また変わる。綻ぶどころか、完全に怪しい笑みだった。

「あんなに素敵な男の子を連れてくるなんて〜、みつるくんもやりますね〜。もしかして〜、ボード学園って
 美少年が多いんですかね〜。うふふふふ〜♪」

この時の杏奈の脳内では、最大の薔薇が花を咲かせていた。





,遅くなりまして申し訳ございません。
今回は“暗殺者”さんと“タンタロス”との戦いに、エルダさんの人形の一体、アスタスが
乱入したり、八代君と列君が八代薬局に行ったりしました。列君を気にいっちゃったアンナさん、
脳内が薔薇でいっぱいです。アッー!!

そして今回のメインは二本立て!八雲さんがこれまた見事に暴れまわります。すまない、刹那ちゃん・・・
すまないプラスマイナスさん・・・さらにはサンダルフォンさんからシルクスちゃんの匂いを
嗅ぎとるという、もう何者だよてめー状態です。すまないサンダルフォンさん・・・すまないシルクスちゃん・・・
すまない空豆兄さん・・・


でも楽しかったから許してちょ☆(死


さらには列君とニナちゃんとの出会いも書いてみました。以前は特別企画でしか仲良くなれなかった
二人ですが、今回はしっかりと書いていきますよー!二人のドキドキな展開も頑張りたいですね。
ちなみにあの画面カーソルは当然狙いましたw


まぁ、今回はナツメちゃんパートを入れられなかったのが残念ですね。次回は必ず入れますので。
そしてニナちゃんが出たということは、当然あの娘も・・・






余談ですが、今回はあとがきにSSの話するかゼノギアスに出てくるキャラクター、トロネの素晴らしさを
惜しみなく語るかのどちらかで数日間悩んでましたが、結局SSメインにしました。

トロネの素晴らしさを知りたい方は、ミクシィとかやってるんでそこででも。え?別にいい?そう悲しいこと言わないで・・・


では、次のプラスマイナスさん、お願いします。
おーるぼわーる。


*アンナさんが列君に自己紹介してない不具合を修正しました。
*繁華街での戦闘の時刻があわない不具合を修正しました。,#000000,./bg_g.gif,p1072-ipngn609funabasi.chiba.ocn.ne.jp,1 2010年05月08日(土) 19時43分14秒,20100508171900,20100511194314,uctByDj1kfYOU,仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト!!「ミッドナイトカーニバル」@,鴎,,,「序章」
20××年―。

天明市。
最近、荒魔と呼ばれる異形の怪物たちによる襲撃を受け、壊滅的な危機を迎えた。
五荒星冥獄陣と呼ばれる儀式の発動によって倒壊したビルの修復、さらにこの戦いで犠牲になった人々は数知れない。
しかし、1000年前より、荒魔の王たる殲鬼姫と因縁の確執を持ち、この街の平和を守るために5人の封魔師たちの子孫たちによって封印、ようやく街に平和が戻って1週間経とうとしていた。

しかし、この時、歴史では語られないもう一つの戦いがあった・・・。
それは、時の運行を守る戦乙女と封魔師たちとの、3日間の戦い―。

「第一章」

祥子「こんなことが・・・こんなことがあるなんて・・・!!」
彩乃「ですが、この気配は間違いなく・・・!!」

5人は自転車を全速力で走らせていた。息も切れ切れで今にも止まりそうになりながら、それでもペダルを漕ぐ力は決して緩めようとしなかった。まるで強い力に引き寄せられているようにも見える。それぞれの表情に信じられないといったような動揺が走っている。

春姫「皆さん、気を付けてください〜!!」
眞子「了解です!!今度こそ決着つけてあげますよっ!!」
奈々美「眞子、あまり張り切りすぎないようにね」
眞子「気合よ、気合!!正義のヒロインたるもの、迫りくる悪を前に正義の心熱く燃え上がらせるときには気合いが一番!!」
祥子「眞子!!おしゃべりはその辺までにしておきなさい!!」

5人が駆け付けた先は、植物園の廃墟。
かつて、ローズスペクターなる薔薇の異形なるものを倒した因縁めいた場所だった。
祥子がそのことを思い出したのか歯を食いしばり苦い表情をする、しかしすぐさま気を引き締めるように顔をあげて4人に言う。

祥子「皆、気をつけて。この気配は・・・間違いなくスペクターよ・・・・どうして蘇ったのかは知らないけど、よみがえった以上私たちがやるべきことはただ一つ、この街の人々の平和と笑顔を守るために気配の元凶の正体をつかみ、撃退すること。それぞれ、慎重かつ迅速な行動を行うわよ」
彩乃「はい!」
春姫「皆さん、行きましょう〜!!」

祥子と春姫の指揮に彩乃達が頷き、植物園の中へと入り込んでいく。

すると、何か音が聞こえてきた。
何やら刃と刃が激しくぶつかり合うような轟音と爆発する音。
それは、ジャングルドームと呼ばれる建物の中から聞こえてきた。
祥子たちが建物の中を陰から伺うと、中の光景に思わず目を見開く。

祥子「・・・・え?!」
彩乃「・・・・何ですか、あれ?」
春姫「・・・仮面ライダー・・・・?」

その先にいるのは・・・。

青い竜を模した仮面を装着し、荘厳な鎧に身を包み三叉槍を構えて、かつて倒したはずの異形ローズスペクターと向かい合い、激戦を繰り広げている戦士の姿があった。
そして、その戦士と戦っている異形の姿に、祥子たちの目が見開かれ、驚きがあらわになる。

彩乃「赤薔薇・・・!!?」
眞子「でも、あいつは、祥子さんたちが倒したはずじゃ・・・!!」
祥子「・・・どうして・・・・どうして・・・あいつが!?」
春姫「祥子ちゃん、落ち着いてください〜!!気持ちはわかりますが、今は混乱している時ではありません〜!!まずは今どうするか考えるほうが賢明です〜!!」
祥子「・・・そ・・・そうよね」
眞子「つか、あの仮面ライダー、誰なんですか!?」
奈々美「あたしたち以外にもライダーがいたの・・・?」


一方。
「はあっ!!やあっ!!」
「ふっ!!」

槍となった鞭と三叉槍が激しくぶつかり合い、激戦が繰り広げられる。

ローズスペクター「なるほど、さすがはチェックメイトフォーのキング。お噂どおりの強さですね。しかし感情に振り回されて本来の強さを引き出せないあたり・・・まだまだ未熟ですね」
Kワイバーン「黙れ、俺はお前に一つだけしか質問に答える以外の発言権は与えてない。慧を・・・どこにやった!!」

憎悪と怒りを剝き出しにして槍を振り回し、雷を全身から発射する。ローズスペクターに対抗するが、赤い薔薇の花吹雪に阻まれて雷が弾かれる。それでも怯まずに槍を振るうが、ローズスペクターの華麗な槍さばきにはじかれ、思うように攻撃が当たらない。

Kワイバーン「慧をどうするつもりだ、答えろっ!!!」
ローズスペクター「王の座に位置する者がそのような狂気と憎悪にまみれているとは・・・実に愚かだ」
Kワイバーン「黙れと言っている・・・・殺すぞ」
ローズスペクター「・・・貴方は私の舞台にはふさわしくない。これなら、あの姫君の方がまだ舞台を引き立てるには似合っているというもの。分不相応な輩は・・・退場願おう」

鞭を仮面ライダーワイバーン・キングフォームのほうへ向けると、怪人を包み込んでいた薔薇の吹雪は、キングフォームのほうへ飛び掛ってきた。

Kワイバーン「虫けらがぁ・・・!!消し炭にしてやる!!!」
槍に青い電流が宿り、一気にほとばしると構えて一気に突き進む!!そして、稲光が次々と花吹雪を焼き去っていくが、あまりの数の多さにもはや槍から放つ電流だけでは限界だった。薔薇の吹雪は、キングフォームの重装甲に易々と切り傷をつけ、大爆発を起こした。

Kワイバーン「うわあああああああああああっ!!」
大爆発を起こし、地面を転がりながら変身が解除される。

晶「まだだ・・・まだ・・・」
ドスンという鈍い音を立てながら、槍を杖代わりにしてキングフォームから解除された緑色のショートカットの美少女…にしか見えない美少年、大友晶は憎悪に満ちた瞳を向けたまま、ヨロヨロと立ち上がり、口からほとばしる血を乱暴にぬぐって何とか立ち向かおうとするが足に力が入らない。

ローズスペクター「・・・・それでは・・・幕を下ろすとしましょう」
そういって、鞭と化した槍を振り上げたその時だった。

「クリムゾンバースト!!」
「サンダースパーク!!」

迸る電流と灼熱の火炎弾が威勢のいい掛け声とともに発射され、ローズスペクターと晶の間をすり抜け、ローズスペクターが後ろに飛び退くと、晶の前に5人の戦士たちが立ちはだかった。

リクォール「だ、大丈夫ですか〜!?酷い怪我です〜!!」
晶「・・・・え・・・・・仮面・・・・ライダー・・・・?」
マータ「祥子さん!!この人、早く手当てしないと・・!!」
ヴォルグ「ええ、分かっているわ。春姫と奈々美はこの人を安全な場所まで避難させて。ここは、あたしと眞子、彩乃で迎え撃つ!!」
イグナイト「はいっ!!」
ヴァーユ「しかしまあ、性懲りもなくよく蘇ったわね、この偽ベル○ラ男!!」

ローズスペクター「・・・ふふふ、お久しぶりですね」
ヴォルグ「まさか蘇るなんて思いもしなかったけど・・・・いいわ・・・こうして荒魔が出る限り、私たちは私たちのやるべきことをやる、ただそれだけよ!!今度こそ倒す!!」
イグナイト「そうですっ!!あたしたちは・・・この町を守る封魔師なんですから!!」
ヴァーユ「取り戻した平和と笑顔、守ってみせるわ!!」

ローズスペクター「ふむ・・・かつての憎悪にまみれた目ではない。信念と決意に満ち溢れた揺るぎなき強さ・・・なるほど、どうやら今の貴方がたなら私の舞台を大いに盛り上げてくれることでしょう、ですが、その前にもう一人、舞台に上がっていただきましょうか」

そういうと、赤薔薇が赤い光となって突然飛び出す。

ヴォルグ「逃げる気!?」
イグナイト「・・・・誰かいる!!」

そして、赤い光が飛び込んだ先には、一人の少女が歩いて来ていた。
黒いロングヘアをポニーテールに縛り上げ、紫、赤、白、青、黄色の5本のメッシュが入り、混沌に満ちた金色の瞳を輝かせて、その少女は不敵に笑みを浮かべる。
腰にベルトを巻きつけると、手に持っている黒いパスを通した。

晶「・・・・慧!?」

慧「・・・・変身・・・・・!!」

「Ouga Form」

オーガフォーム。
そう無機質な電子音が鳴り響くと、無数の黒き邪悪な光が彼女を取り囲み、左肩に薔薇をあしらえた黄金のプレート、右肩に鮫をあしらえたプレート、そして、左脚にハリネズミをあしらえたプレート、右脚に白鳥をあしらえたプレート、頭部には黄金の3本の角を持つカブトムシのような仮面が装着される。

重々しい空気を纏い、静かに歩いてくる。
その視線には明らかに殺意とどす黒い感情があふれ出ている。


Oバルキリー「深き闇の底より・・・我・・・目覚めたり」

ヴォルグ「・・・あれは・・・何!?」
イグナイト「仮面ライダー・・・・!?」
晶「慧・・・・慧だ。俺の・・・親友・・・・あいつらに捕まってるんだ・・・」
ヴァーユ「何ですって!?」

Oバルキリー「ふふ、相変わらず踏みつぶしたくなるほどに、下賤かつ下等な存在ですね。いつぞや味わった屈辱、ここで倍にしてお返しして差し上げましょう」

マータ「その声は・・・!!」
ヴァーユ「黒棘・・・!?」

Oバルキリー「あははははははははははははははははははははははは!!!驚いてる、驚いてるぅ!!」

イグナイト「青鰭・・・!!」
ヴォルグ「どうして・・・どうして蘇ったのよ!?」

Oバルキリー「それを話す必要なんてないわ・・・なぜならお前たちはここで死ぬのだから」

ヴァーユ「偽化粧女まで・・・!!」

Oバルキリー「我らが主、尊き殲鬼姫様を封印したその大罪、貴様たちの命を持って償ってもらうぞ!!」

そして手に現れたクインガッシャーを組み立てると、シュバイツァー(大剣)型に変えて、一気に振り上げながら襲いかかる!!

その様子を遠くからポテトチップスを食べて面白そうに見ている一人の少女がいた。
智・・・スフィンクスレジェンドルガなる呪術と悪意に満ちた知略に長けている存在は、にやにやと楽しそうに笑って大剣を振り上げて襲いかかる黒き戦士と対抗している5人の戦士たちの光景を見ている。

智「面白くなってきたじゃん。この時代にイマジン追いかけてきたバルキリーを捕まえて、この町の到る所に宿っていた邪悪な念を儀式をもって蘇らせて慧に憑依させてみれば・・・まさかここまで面白いゲームになろうとはね・・・」

ただ面白そうだから。
それだけの理由で荒魔を蘇らせ、慧に憑依させて今再びこの地に災いを呼び起さんとするあまりにも利己的かつ自己中心的な思考。

智「さてと、楽しませてちょうだいよね、封魔師さんたち?ゲームは盛り上がれば盛り上がるほど面白いからね・・・・キャハハハハハハハハハハ」


Oバルキリー「ふん!!」
大剣を振り上げ、イグナイトとヴォルグの剣と斧を弾き飛ばし、猛然と襲いかかる!!

イグナイト「バーニングライダーパンチ!!」
ヴァーユ「サイクロンスナイプ!!!」
リクォール「スプラッシュアロー!!」

激流が、疾風の矢が、炎を纏った拳が同時に発射され、炸裂するも黒き戦士はものともせず、大剣を分解し二本一組の剣(セイヴァー)に変えると、高笑いをしながら物凄い速さで突き進んでくる!!

Oバルキリー「あはははははははははははははははははははははははははっ!!!切り刻んであげる!!!」

ヴォルグ「ライトニングトマホーク!!」
マータ「ロックバレット!!」

稲光と岩盤の容赦なき攻撃にも怯むことなくオーガフォームは剣を構えて一気に間合いを詰め、襲いかかる!!

Oバルキリー「あはははははははははははははははっ!!!
マータ「きゃあああああああっ!!」
ヴォルグ「ぐっ・・・!!」

イグナイト「祥子さん!!奈々美!!」
ヴァーユ「やってくれるわね!!」
リクォール「祥子ちゃん〜!!」

その時だった。

「どりゃあああああああああああああああああっ!!!!」

容赦なく二人を攻め立てるオーガフォームに向かって突き進んでくる赤い光。
そしてそれは、手に構えている槍を一気に突き出してオーガフォームを弾き飛ばす!!

ヴォルグ「え・・・・!?」
マータ「あ・・・・」

「大丈夫ですか、お二人とも!!」

そう声をかけたのは、赤いタカを模した仮面とアーマーに身を包んでいる仮面ライダー。
凛凛しき真っすぐな信念と強い意志を秘めているその瞳は悪人のそれではない。
そして、タカのライダー、仮面ライダーバルキリー・ランスフォームが槍を構えて立ちはだかる。

Lバルキリー「閻魔に代わり、貴様を斬る!!」


Oバルキリー「あははははははははははははっ!懲りないねえ、あんたたち。いいのぉ?この身体、貴方達が大好きな天童慧ちゅわんの身体なんだよぉ?傷つけたりでもしたら大変だよぉ?あはははははははははははははははははは!!」

「だが、こうでもしない限りお前たちが大人しく出ていくということはなかろう」
「そうだそうだ!!それにな、お姉ちゃんはダンプカーにはねられたって擦り傷程度で済んじゃうほどありえないまでの頑丈な身体のつくりをしてるんだから!!」
「それは、肯定していいところか?」
「細かいことはもう気にしない方がいいわよ」
「そうだね、それでは、返してもらうよ。あたしたちの大切な仲間を!」

そういって、次々と現れたのは金色のフクロウを模した重厚な戦士。肩に斧を担いでいる。

Aバルキリー「チェックメイト。待ったはなしだ」

そして、剣を構えている緑色のハトを模した戦士。

Sバルキリー「あたしのビートでシビれさせてあげる!!」

そして、オレンジ色の蜘蛛をあしらえ、両手にそれぞれクナイとハンドアックスを構えている戦士。

ASバルキリー「蜘蛛の巣の処刑場に・・・ようこそ!」

そして、ハルバートを構えた紫色のトカゲを模した戦士。

Pバルキリー「貴方、私の闇に染まってみる?」

そして、銃を構えた青い白鳥を模した戦士。

Gバルキリー「君のハートに・・・ロックオン」

こうして6人の戦士が一度に彩乃たちの前に躍り出た。

Oバルキリー「・・・青鰭、ここはいったん引きましょう。分が悪い」
(黒棘の分際で何命令してるのぉ?!あはははははははははははははははははははは!!あんまりふざけたこと言ってるとあんたから殺しちゃうよぉ!?)
(青鰭、黒棘の言い分も一理ある。もうすぐ朔の夜、我らの力が増す時を見計らって月無き漆黒の闇が支配する夜の舞台で葬り去るも一興)
(あー、もう、うっさい!!分かったわよ、あーあ、やる気なくなっちゃった)

オーガフォームが指をパチリと鳴らすと、突如纏っていた闇から無数のダンデライオンスペクター、サンフラワースペクター、そして鳳仙花に憑依したバルサムスペクターが現れて6人を取り囲んだ。

Oバルキリー「今日はこの辺で引き上げるとしましょうか。12対1では分が悪いのでね」
そういって、扉を開くと、そこには外の風景ではなく暗く深い闇の空間が広がっている。そしてそこを線路がかかり、ドクロをあしらえた不気味な黒い電車「カオスライナー」が走ってきた。それに乗り込むとオーガフォームは姿を消した。

Sバルキリー「おいちょっと、待てよ!!」
ASバルキリー「待て、今はこいつら片づけた方が先だ!」
Gバルキリー「まずはこっちも仕切り直しだね」
Aバルキリー「ああ、それに、彼女たちにも聞きたいことがあるしな。相手が相手だけに、情報がなさすぎる」
Lバルキリー「それでは・・・・行きましょう!!」
Pバルキリー「そうね」

6体を取り囲んでいた無数のスペクターたちが一斉に凶暴な牙をむいて襲いかかる!!

ヴォルグ「私たちもいくわよ!!」
イグナイト「はい!!」
ヴァーユ「了解!!」
マータ「行きます!!」
ヴォルグ「春姫はその子のこと、お願い!!」
リクォール「は、はい〜!!」

リクォールが傷ついた晶を抱きかかえると、その場から離れる。

Lバルキリー「おりゃあああああああああああああああっ!!!」
槍を振り回し、一度に多数の敵をなぎ倒し、怒涛の勢いで攻めるランスフォーム。
そして、ランスフォームの上空から飛び交ってきたダンデライオンスペクターが武器を振り下ろしかけたその時、飛んできた火の玉がダンデライオンスペクターを焼き尽くす!!

イグナイト「応戦します!!」
Lバルキリー「おお、ありがたい!!感謝いたしますぞ!!」

Aバルキリー「全く群れをなせば勝てるとでも?烏合の衆もいいところだ」
襲い来るダンデライオンスペクター、サンフラワースペクターたちを冷静に無駄のない動きで斧で真っ二つに切り裂いていくアックスフォーム。そして、無数の集団に向かって弾丸のごとく駆け抜けるソードフォームがすれ違いざまに次々と敵を切り刻んでいく!
Sバルキリー「でもさ、数多すぎない!?油断してっと危ないよ!!」
Aバルキリー「まあ、そうだろうな」
Sバルキリー「おりゃあああああああああああっ!!」

ソードフォームが敵の頭に飛び移り、両手をつくと、そのまま身体をひねって回転し、次々と渾身の蹴りを炸裂させる!!両足から繰り出す破壊力抜群の蹴りは骨をも砕き、粉砕する!!

しかし上空から飛び交ってきたサンフラワースペクターやバルサムスペクターの襲撃に対しては無防備となっていた!!

ヴァーユ「サイクロンスナイプ!!」

飛んできた風の矢が一度に多数の敵を仕留めていく!!

Sバルキリー「おおっ、お前、すげえな!!」
Aバルキリー「ふむ、命中率や射撃能力は頼りになるな」
ヴァーユ「このくらい、お茶の子さいさいでしょっ!」

一方。
ヴォルグの周りをサンフラワースペクターやダンデライオンスペクターの集団がとりかこみ一斉に躍り出る!!
しかし、その直後黒い影が飛び出し、過ぎ去った瞬間、空を飛び出していたはずの敵がその場からまるで時が止まったかのように浮かんだまま動かなくなる。
見ると、蜘蛛の巣のように張り巡らされたワイヤーにからめとられているのだ。
そして、ヴォルグの後ろについたアサシンフォームがそれを仕掛けたことを確認する。

ASバルキリー「助太刀、感謝する。今はこいつら仕留めないと作戦も立てられねえからな」
ヴォルグ「なるほど、その考えは賛成ね。今は状況の整理及び対策を早急に打つことが先決だわ!!」

そして、ワイヤーに沿ってクナイを投げ放つとヴォルグが電流を放って蜘蛛の巣にからめとられた敵が一斉に電流で黒焦げになり、クナイで切り刻まれて果てる。

Pバルキリー「行くわよ・・・」
無数のカードを一気に投げ放ち、敵に突き刺さると同時に大爆発を起こす。
Gバルキリー「おやおや、今回はやる気まんまんだねぇ?」
軽口を言いながらも、銃を撃ち、正確無比な射撃で敵を討ち倒していくガンフォーム。
すると、ファントムフォームの表情に影が射しこんだ。

Pバルキリー「・・・・琥珀・・・・あの緑色の女の子と・・・浮気した」
Gバルキリー「・・・はい?」
Pバルキリー「あとで家族会議・・・・うふふ・・・・家族会議・・・・浮気は許しません」
無表情でブツブツつぶやきながらハルバートを振り回すファントムフォームにどす黒い邪悪なオーラが宿っているようにも見えた。アサシンフォームの命の蝋燭は確実に終末へと向かっているようだ。勝っても負けても生き残れるという選択肢はもはやなくなった。

Gバルキリー「ご愁傷様・・・琥珀。迷わず成仏してね」
こうなってはもはや来世での幸せを祈るだけしか出来ない。

マータ「ロックバレット!!」

そして、近くで戦っていた黄色の戦士マータを見ると、ガンフォームの動きが止まった。

Gバルキリー「EROレーダー発動・・!!ふむふむ・・・76:54:74・・・・だとっ!?大人しく気の小さい・・・可愛らしい子犬系・・・・だとっ!?」
一目見ただけで3サイズや性格が分かるとは・・・・サファイアのEROレーダー恐るべし!!そんな少女に多数のダンデライオンスペクターが襲いかかったその時!!

Gバルキリー「EROパワー、発動!!!!」

一気に走りだし、銃を撃ちまくって敵を仕留めると、すぐさまマータを背に守るようにして無数の銃弾を乱射する!!
そして、敵が一斉に蜂の巣になって打ち倒されると、マータに振り向いた。

Gバルキリー「大丈夫かい?怪我はない?」
マータ「は、はい、ありがとうございます」
Gバルキリー(はぁん・・・ヤバい・・・ストライクゾーン入りまくり・・・かぁいい・・・かぁいい・・・・これは・・・絶対・・・・お持ち帰り確定じゃあああああああっ!!)
マータ「あ・・・あの・・・?」
Gバルキリー「ふっ、ここで出会ったも何かの縁、一緒に戦ってまずはここを出よう。お手伝いできることはあるかな、お姫様・・・?」

気障な仕草とともにパチリとウインクする。マータは一気に顔を赤くしてあたふたし出す。
こうなってはもはや変態青玉白鳥のリードが有利であった。

ヴァーユ「あいつ!?何、奈々美に手を出してるのよっ!!!」
Aバルキリー「あのバカ、またナンパしてるのか・・・」
Sバルキリー「救いようないよね、可愛い女の子がいたらどんな時でもナンパに走るしね」
ヴァーユ「あいつ〜!!!!!奈々美に手ェ出したらどうなるのか、教えてあげる必要がありそうねっ!!」
Sバルキリー「おおっ、般若の如く怒りだ」
Aバルキリー「やれ、私が許す。事故ということにでもしておけば、情状酌量の猶予はある」
ヴァーユ「そうね・・・流れ弾なんていうことにでもしておけばいいですよね」
Sバルキリー「その通りその通り!!」
Aバルキリー「どうせなら私たちも手伝おうか?無垢な少女に手を出す色情魔を抹殺することは社会的正義だしな」

どうやら命の蝋燭が消えかかっているのはもう一人いたようだ。

あらかた倒し終えると、ランスフォームが近くにいたアサシンフォームに話しかける。
Lバルキリー「琥珀殿!今何時ですか!?」
ASバルキリー「11時10分!!そろそろ時間だぜ!!」
Gバルキリー「さてとまずはいったん引き揚げるか!」

そういって、マータをお姫様だっこの要領で抱きかかえると一気に走りだす!

マータ「ひゃん!!」
Gバルキリー「ちょっとだけ我慢してね、今から愛の蜜月を語り合うにはふさわしい二人だけの楽園へとご案内するよ、ハニー・・・」
Aバルキリー「お前一人だけ地獄に行ってしまえ」
Lバルキリー「いったん走りますぞ!!」
そういって、イグナイト、ヴァーユ、ヴォルグ、そしてリクォールを先導して鍵を開けて扉を開ける・・・!!

そこに広がる風景は決して外の植物園ではない。
イグナイト「・・・・え?」
ヴォルグ「・・・嘘」
リクォール「・・・・まあまあ」
ヴァーユ「はいいいいいいいいいいいっ!?」
マータ「ふわ・・・・・」

どこまでも続く果てしない砂漠。
そして、そこにあるのは線路。線路に停車している6両の銀色の美しい曲線型のフォルムの新幹線のような電車・・・。
何もかもが幻想的な風景であった。

Lバルキリー「ようこそ、時の列車、Vライナーへ・・!」







「第二章」
Vライナー・ラウンジ

高級ホテルを思わせるような豪華な作りのラウンジに変身を解いた彩乃たちはもはや言葉も出ない。ラウンジは天井と壁が風景が見渡せるガラス張りとなっており、華々しい装飾に革張りのソファ、大型テーブル、そしてティータイムセット一式や様々な種類の紅茶のティーパックが置かれている。そして、慧の趣味でもあるジャズやロックのCD、洋書や様々なジャンルの本が入っている本棚、大型テレビなどが置かれている。

眞子「ここ、本当に列車なの・・・?」
祥子「時の列車って言っていたけど・・・・」
春姫「あらあらまあまあ〜、すごいですねぇ〜」

ルーベット「お待たせしましたぞ」
そういって、お茶を入れたカップを乗せたトレーをもってきたのはホークイマジンことルーベットだ。続いてオウルイマジンのトパーズ、ピジョンイマジンのエメラルド、そしてサンゲイザーイマジンのアメジストがやってくる。

そして。

サファイア「お・・・お待たせ・・・ハニー・・・」
琥珀「・・・・待たせて・・・・悪かったな・・・・ゴフッ」

なぜか満身創痍でズタボロ状態のスワンイマジンことサファイア、そしてスパイダーイマジンの琥珀がやってきた。

トパーズ「琥珀・・・・よく生きてたな、あの折檻地獄で」
琥珀「・・・・まあな・・・・あと一歩で三途の川渡りかけたよ・・・」
エメラルド「パロ・スペシャル炸裂したからね―。泡吹いて気絶した時はどうなるかと思ったよ」

彩乃「あ・・・あの・・・大丈夫ですか?」
トパーズ「ああ、いつものことだしな。それに、琥珀が怪我したり死にかけたりすることなんてもはや日常茶飯事、蘇生に関しては常に最速かつ確実な方法をもって対応すれば問題はない」
琥珀「あたしにしてみれば問題ありまくりだよっ!?」
トパーズ「安心しろ、冗談だ。2割がたな」
琥珀「残り8割は本気かよっ!?」
それならいっそ最初から本気と言ってくれる方がマシである。

琥珀「・・・全く・・・浮気以前に付き合ってすらねぇだろってのに・・・話も聞かないで関節技炸裂させるわ・・・ハルバートで殴りつけるわ・・拷問器具使うわ・・・身体がいくつあっても足りない・・・」
彩乃「・・・大変ですね」
奈々美「・・・あの、元気出してください」
眞子「生きていればいつかはいいことありますから!!」

エメラルド「それじゃあさ、早速作戦会議やろうぜ!!」
トパーズ「そうだな」

そういって、全員が座るとエメラルドがモニターを取り出してスイッチを押すと天明の映像が浮き上がる。

トパーズ「現在確認出来るだけでも、天明の5つのエリアになぜか限定されているが、先ほどの荒魔と呼ばれる存在が現れて大暴れをしている。なぜかその地区から外に出ないで襲撃をしているかは疑問だがな」

そういって、5つの光が5つの地点で光り輝く。しかしその光をたどっていくと、見覚えのある紋章が浮かび上がる。
エメラルド「五芒星・・・だねえ」
春姫「五荒星冥獄陣・・・!!」
トパーズ「おそらくそうだろうな。5つの封印が敷かれている地区にそれぞれ5体の荒魔と呼ばれる存在がその場を拠点に人間を襲っている」
祥子「どうして蘇ったの・・・?」
サファイア「実はさ、心当たりあるんだわ。そういう趣味が悪すぎることをゲーム感覚でやってのける大バカが一人ね」
ルーベット「スフィンクスレジェンドルガ・・・智ですな」
アメジスト「ここに来た時、そいつがいて、そいつが指揮してあの5人が動いていたあたり、もはや間違いないでしょうね」
彩乃「・・・何があったのか、説明お願いできませんか?」

トパーズ「私たちは・・・この時の列車を使って過去と未来を行き来して、世界における時の運行を乱す侵略者「イマジン」を倒し、時の運行を守るために戦っている」
エメラルド「イマジンは自分たちにとって時間を都合のいいように作り替えるために契約した人間の最も強い過去にタイムスリップして過去を滅茶苦茶にしちゃうんだ」
サファイア「それを取り締まっているのが、あたしたちで、あたしたちと契約した特異点・・・その時代のものが破壊されても、彼女がいれば時間が再生されて元通りになるという能力を持っているのが・・・さっき、赤薔薇とかいう似非貴族が憑依した慧っていう女の子なわけ」
ルーベット「昨日、私たちはいつものようにイマジンを追いかけて過去のこの時代にやってきたのですが、イマジンを倒したはいいのですが、突然現れた荒魔たちに囲まれましてな、いきなり襲いかかられたのです」
琥珀「イマジンとの戦闘で手こずったせいか、体力も精神力も疲労しているところにきたからな。大分手間取ったんだ。その時だ。あの高笑いしているサメの怪物に襲われたんだ」
サファイア「顔も良かったし、引き締まったいいお尻してたなー、あの子・・・・ああいう危険なヤンギレ系をデレさせてこそ王子の本懐ってものだよねー」
トパーズ「バカ、殺されかけたんだぞ。私たちは!」
エメラルド「変態以前に馬鹿だよね」

回想
慧「かはっ・・・・!!」
変身が解除され、憑依していたイマジンたちも出て行き、慧の姿に戻った状態になってもシャークスペクター・青鰭の猛攻は止まらない。
しかし、慧も持ち前の運動神経と戦闘能力を発揮し、鉈の攻撃を避けながらキックとパンチで応戦する。

慧「一体何よ・・・いきなりどういうこと!?あたしに何の用!?」
シャークスペクター「あははははははははははははははははははははっ!!大人しくしなさいよぉ!!本当なら腕の一本でもぶったぎって泣き崩れるところみたいけど、我慢して5体満足で拉致しなきゃいけないんだからさあ!!」
慧「こっちが妥協しなきゃいけないところ、一個もないわね!!」
そういって、渾身のハイキックを顔面に炸裂、さらに回し蹴りを炸裂させてシャークスペクターがよろめき、とどめと言わんばかりに顔面に膝蹴りを炸裂させる!!
恐ろしいまでの瞬発力と脚力を持つ慧の蹴りにシャークスペクターも思わず意識を手放しかけた。人間とは思えないほどのバカ力だからだ。

慧「今は逃げる・・・!!」

そういって、逃げだした第一歩で―。
踏み出した足が地面をぶち破り―。
一気に彼女の身体が宙に浮かびあがったようになり―。
一気に落下した―。
「床工事中 絶対入るな」という倒れて見えなかった看板のある床に思い切り足を踏み入れ、床をぶち抜き、落下し見事に頭を撃って気絶していた・・・。

智「言ったでしょ、相当の不幸っぷりだから自爆するって」
シャークスペクター「本当だねぇ〜!さてと、まずはこの身体に憑依すればいいのよねぇ?」
智「そうそう、それでボクが作ったこのベルトで変身すれば、今まで以上の力が発揮することができるよ」
シャークスペクター「あはははははははははははははははははははっ!!何であたしたちを蘇らせたのかは知らないけど、このままじゃ死んでも死にきれないしね、こうなったら封魔師たちも、この世界の人間も一人残らず殺しちゃうんだから!!!!あはははははははははははははははははは!!」


琥珀「・・・慧が意識を失っている間に憑依されて、あたしたちが追い出されてな」
トパーズ「途方に暮れていたのだが、あいつらを倒せば慧を取り戻せると思って探しまわっていたんだ」
彩乃「そうだったんですか・・・・」
春姫「そう考えると、荒魔が封印の場所で大暴れしている所を見ると、間違いなく目的は五荒魔冥獄陣・・・・・!!」
琥珀「間違いないな」
晶「それも・・・手順を踏まない・・・・最悪の形でね・・・・」

ヨロヨロと晶が満身創痍の姿でやってきた。

祥子「大友君、今動いちゃ危険よ!」
晶「ありがと・・・でも・・・・晶が知っている限りの情報を伝えるよ・・・」

晶が息も荒くソファに座り込むと、苦しそうに話し出す。

晶「今回の事態・・・・下手したら五荒魔冥獄陣どころの被害じゃない・・・・智のヤツは・・・・この時代の荒魔たちの事件を知って、さらにとんでもない事態を引き起こそうとして、まず、あの5人を蘇らせた・・・」

ルーベット「私たちを追い出した輩ですな!!」

晶「そう・・・そして、肉体が滅んだ5人を慧に憑依させて・・・・かりそめの肉体と仮面ライダーに変身する力を与えて・・・再び五荒魔冥獄陣を仕掛けて、荒魔たちが支配する世界を生み出すつもりだ・・・・智の策略にも気がつかないでね」

祥子「策略って・・・?」

晶「調べてみたんだ・・・そしたら・・・今度の儀式は・・・5つの封印に仕掛けられている智の罠が作動するように仕掛けられている・・・それは・・・・荒魔を召還し世界中を負の気で満ち溢れさせるだけのものなんかじゃなくて・・・この地に封印されている様々な負の気を悪霊のような存在として呼び出して、町はおろか世界中をそんな化け物たちで埋め尽くそうとしているの・・・。その中には荒魔だけじゃない・・・・。レジェンドルガ・・・イマジン・・・・これまで強い恨みを残して死んでいった異形がいっせいに蘇って本能のままに暴れ狂う地獄絵図に変えるつもりだ・・・・」

彩乃「でも、そんなことしたらあいつらにとっても都合が悪すぎる話じゃないんですか?」
琥珀「そうでもない。あんたたちが言っていた荒魔のボス・・・殲鬼姫っていったか?もしあいつを蘇らせることに成功でもしちまったらその力を持ってすべての異形たちを支配して、人類はおろか、そういった化け物たちにとっても支配者となりうるわけだ。リスクは高いが・・・うまくいけば千年王国どころか未来永劫この世もあの世もあいつらが支配する世界になっちまうってことだろ、晶」
晶「・・・・うん・・・智はそれを・・・バトルゲームとかいって楽しむだけのためにやらかしたんだ・・・!」

ルーベット「正気の沙汰ではありませんぞ・・!!」
眞子「何てヤツなの!?」
晶「・・・・でも、止める方法はひとつだけある。同じように招霊の儀式を行おうとして、対策を打つための方法が・・・封印の儀式のやり方がある」

晶がそういって、一枚の古びた紙を取り出す。
眞子「なんて書いてあるんですか?」
春姫「・・ええと・・・・朔の夜・・・・かまの蓋開きし時・・・・黄泉と現世・・・愛しくも憎き光求めて鬼蘇らん・・・・関のお山の・・・守り人・・・・鬼を封じ・・・正しき冥府への道を・・・切り開かん・・・・」

晶「そいつは・・・野辺送りのひとつだ」
眞子「野辺送り・・・・って?」
奈々美「眞子・・・この間古典の授業でやってたよ」
彩乃「・・・何だったっけ?」

ルーベット「生きている者が死者を弔うために歌った歌のひとつですな」
眞子「・・ああ、そう、それそれ!」
彩乃「そうそう!!」
晶「・・・要約すると・・・・次の新月の夜・・・・あいつらが儀式を行ったら、死んだスペクターたちが蘇って・・・この世界に侵略を仕掛ける・・・・それを防ぐための歌が・・・関のお山・・・・つまり・・・あいつらを封印している楔があるエリア・・・・その領域内で・・あいつらを倒して・・・その魂を生贄にささげることで・・・・無理矢理呼び出されていたスペクターたちを封印することができるってこと」
祥子「領域って・・・?」
晶「昨日からルーベットたちがその5体と出会って戦った場所・・・共通点があったの」

ルーベット「私が会ったのは屈強そうなカブトムシの怪人でしたぞ。確か・・・風土記の丘といわれる場所でしたな」
トパーズ「私はやたら高笑いがうるさいアホみたいな女だ。廃墟の水族館だったぞ」
エメラルド「あたしは白髪のいやらしい感じの兄ちゃん、森林公園の広場だったよ」
琥珀「共通しているのは、このエリアから出られないってこと。封印が影響しているんだろうな。そして、鍵がかかっているってこと。さっきの植物園もそうだったしな。これは、関の守り・・・関所と同じ役割を果たしているってこと。悪しき物を払い、流れるものを流れる正しき流れをつかさどるってことだろ?」
晶「そう、つまりこのままじゃその流れがあふれて、本来あの世に行くはずの霊をもスペクターになって、この町がスペクターであふれかえっちゃう・・・・!!」

アメジスト「慧を利用したのはゲームを盛り上げるためと・・・明らかに妨害のための戦略よね」
晶「・・・間違いない・・・・」

ルーベット「新月の夜まで・・・あと2日しかありませんぞ!!」
祥子「・・・みんな、よく聞いて。今回の作戦は時間がないわ。つまり、短時間内での集中力と迅速な行動力が全てのカギとなるわ。5つのエリアにいる荒魔たちを倒し、スペクターたちを封印する。そして、スペクターに囚われている天童さんを救出する。この二つの作戦を同時進行するわ!!」

琥珀「あいつらを倒しても、あのベルトがある限り、あいつらは慧に憑依して逃げられる。あのベルトの破壊も考えたほうがいいな・・・」

祥子「一人は大友君の看護および中央からの司令塔、状況を分析し正確に伝達する役目。そして、二人一組5組作って、5つのエリアに向かって撃退するわ!!」

春姫「はい!!」
そして、春姫は傷ついた晶の看護として残ることになった。
,イタリアーノリク様申し訳ございません!!
今回作品を何度も読み返してようやく世界観を理解したうえで書かせていただいたのですが、いかがでしょうか?
今回、以前許可をいただいたSS作品「仮面ライダーバルキリーたん&仮面ライダーイグナイト」を書かせていただきました。
智の策略で慧に憑依することで蘇ってしまった5体の上級幹部たち、そして、仮面ライダーバルキリー・オーガフォームとなってルーベットたちに襲い掛かります。
この事態を解決するべく次回より戦闘開始いたします!!次回もイタリアーノリク様の作られた世界観を壊さないよう慎重に作品を作ってまいります!!
,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,1 2010年05月23日(日) 22時00分10秒,20100505234059,20100526220010,wB3dgjMAzuXWs,仮面ライダー珀羅 『天狗の心と秋の夜空』 ,青嵐昇華,,,



「えー、こちらが私立白桜学院からいらっしゃった・・・・」
「矢倉雪乃です。皆さん、どうぞよろしくお願いします」

『『『『うぉおおおおおおおっ!!!!!』』』』
『『『『きゃぁああああああああああっ♡』』』』

雪乃の丁寧かつ簡潔なあいさつが終わるが早いか歓喜の声で教室中がどっと沸く。
何せ超がつく美少女・・・男子だけではなく女子からも黄色い悲鳴が上がっている。
立っているだけでアイドル特有のキラキラしたオーラが溢れんばかりに出ている。
バックに星を背負っているように錯覚してしまうほどだった。

「あの・・・!ご趣味は!?」
「おいコラ!抜け駆けダメぜったい!」
「はいはい!!ゆきたんって呼んでもいいですかぁーーーーー!!??」(←恭也

「紅茶を飲むのが日課です。あとは犬と遊ぶことが好きですね。呼び方はゆきたんでもゆきのんでも・・・・」

雪乃は既にクラスの心をがっちり掴んだようだ。
どうにかしてお近づきになりたい生徒が我先にと声を上げていた。

「すごい人気ですね。彼女が濠さんの地元からいらっしゃった応援の方なんですか?」
「あぁ、そうだ。」

窓側最後方の席に座る鴉美が身を乗り出して小さく確認取ると前の席に座る濠も短く答える。

八神の白桜学院から交換学生がやってくるという話を聞いたのが一昨日。
そんな急な異動があったのは先日の鱗事件が原因だ。

敵の行動や証言からして向こうの意識がこちらにあると判断した雪乃達はこの高天原に戦力を集中させようとしていた。
それで今回、八神の仮面戦士二名とそのサポート二名がこちらに送られてきたのだ。

「雪乃は鴉美と同じく武装法術の使い手だ。腕はかなり立つぞ」
「そうなんですか。あ、それじゃ一年s『ゆきたーん!彼氏とかいますかー!?』・・・・」

大勢の声の中に前の席、濠の真隣りからの大声が交じっている。
話を遮られたことによる脱力を感じた鴉美の表情が少し苦くなる。
初対面の人にそんなことを聞くものなのかとむっとする気持ちを抑え鴉美は先ほど聞こうとしたことを思い出していた。

「・・・えぇっと、一年生に来られた方もお知り合いなんですか?」
「一人には俺も面識がある。最近加わったらしいが雪乃によれば頼りになるそうだ。」
「それは重畳です。戦える人が多いのは心強いですね」
「そうだな・・・・・・」

マンガラ【火】との一戦、『応龍の鱗』を使用してから一週間ほどが経っていた。
流石にもう目や喉は元通りに回復し、筋肉痛は引いていたものの濠の身体にはおかしな後遺症が残った。
変に霊力が強まったり、かと思えば極端に弱まったり・・・時々ぼーっと、意識がなくなることがしばしばある。
実家の叔母、霧島の司祭に聞いても結局原因は分からず終いだった。

「大丈夫ですよ。私達で頑張りますから、濠さんはゆっくり休んで体調を整えちゃってください」
「すまん・・・迷惑を掛ける」
「とんでもない、濠さんは要なんですから。私はしっかりサポートするだけですよ」
「・・・・そうか。俺もなるべ『ゆきたーーーーん!』く・・・早く復帰する・・・」
「・・は、はい!そうでs『彼氏ぃいいいいいい!』・・・(♯」


「彼 氏 い ま す か ぁ あ あ !!?」(←必死



とりあえず二人は隣のアホの頭を小突いた。



● 変わって一年の教室

「では自己紹介をしてください。えー・・・それじゃ春野さんから。」

「は、はいっ!」
「・・・・・・・・・」

二人の女生徒が教卓の前に並んで立っている。
小動物のような雰囲気を持つ小柄な方は春野香織。
もう一人、スラッとした長身で髪の長い方は蓮見燎子である。

今返事をしたのは香織の方で、緊張で膝をがくがく言わせながら前に出る。

「は、白桜学院から来ました。春野香織ともうすま・・・・も!申します!に、二週間の間おせまになります!!」(後半早口)

「「「「は〜い!!お世話しちゃいま〜す!!」」」」

パチパチパチ、と拍手の音に交じって調子の良い生徒達の声があがる。

(・・・・よ、よかったぁ)

結構人見知りである彼女は燎子の手伝いで他校に出向くということになり不安な思いでいっぱいだった。
噛みまくってしまった時は血の気が一気に引いた香織だったが、変な野次などは一切飛んで来ることもなくひと安心出来た。

「はい、春野君ありがとう。じゃあ次は蓮見君・・・」
「・・・・・・・・・・・」

「蓮見君?」
「・・・・・・・・・・・」

「は、蓮見君・・・?」

次は彼女の番だというのにその女生徒は床を睨んだままだった。

「燎子ちゃん、あいさつだよ?」
「っ・・・・・・おぉ・・」

香織が覗き込むと燎子は辛うじて聞こえるくらいの声で返事をした。
その後もたっぷりと間をあけた後、一歩の前に出てゆっくり顔を上げる。

すると――――−『ビクッ!!』と今まで賑やかだったクラスが一気に静まり返った。

「は・・・蓮見、燎子・・・・」ボソッ…

めっちゃガンつけられていらっしゃるのだ。
小鳥くらいだったら射貫けそうな凶眼にみんな縮み上がってしまった。


「・・・・・・・・・・・・・・」

『『『『・・・・・・・・・・・・・・・』』』』

燎子がまた地面を穴が開くぐらいの勢いで睨み始めた。

「・・・・・・・・・・・・・・」

『『『『・・・・・・・・・・・・・・・』』』』(滝汗


シーーーーーーン、と凍えるような空気が教室を包む。
沈黙という困惑と恐怖の時間が暫く続いた。

あれで終わりなら拍手もしないのは非常にまずい、だが下手に拍手してまだ話の途中だったりしたら
その時は・・・・【記載できないよっ!】

「っ、燎子ちゃん。何かもう一言くらい・・・」

これではいけないと燎子に促す香織。
燎子は「はっ」と顔を上げ、腹の底から声を絞り出した。

「ょ・・・ヨ ロ シ ク !!」


(((( 夜  露  死  苦 !? ))))










【仮面ライダー珀羅〜天狗の心と秋の夜空〜】





「ぅわぁ・・・・・」
「凄ぇ・・・・なんだありゃ・・・・?」

放課後、二年組と合流する為に校門で待っていた燎子達一年組は昇降口に出来た人だかりに唖然とする。
どうやら雪乃達が下駄箱に向かったのがファンクラブの面々(半日で全校生徒の三割加入)に見つかってしまったらしい。

「先輩達大丈夫かなぁ・・・・」
「そうね、皆怪我しないといいんだけど・・・」
「おわっ、先輩!?なんでここに!?」
「ちょっと危なかったから、お友達が避難させてくれたの」

とニッコリ言う雪乃さん、現地組の三名はまだあの中らしい。
その機動力で雪乃を外に連れ出した鴉美も後の二人が飲まれてしまったとまた戻って行ってしまった。

「あら・・・燎子、少し目つきが険しいわね。疲れてる?」
「燎子ちゃん昨日はよく眠れなかったみたいで・・・・」

三人は昨晩から矢倉家で買い取った民宿に入っていた。
それで燎子と香織は同じ部屋だったのだが・・・燎子は緊張の為かなかなか寝付けなかったらしい。

おかげで目つきの悪さが三割り増しになってしまっている。
普段の愛想の無さも相まって、知らない者が見たらヤ○キーのマジでキレ出す五秒前くらいにしか見えない(ぉ

本人は社会復帰(?)を頑張ろうと『オレに近づくなオーラ』を発するのは止めてはいるだ。
しかし、今朝の挨拶でも大勢の前に出るとどうしても表情が強張ってしまうし(←怒ってるように見える)
元々結構あがり症な所がありぼそぼそとしか喋れないし(←不機嫌に聞こえる)
最後くらいはちゃんとしなくてはと、ハッキリ言ってみたのだが(←ドス利かせてるようにしか思えない)

「はぁ・・・・・・・」

好意的に人と接するのがこんなに大変だとは思わなかった。
ぶっちゃけ友達少ないので大勢と仲良くやってくにはどうしたらいいのかと燎子は悶々としていた。

「ぃよしっ!!だったらいいアイディアがあるぞ!!」
「うおぁっ!?な、何だあんたは!?」
「大峰恭也、探偵さっ(キラリ」(大嘘

やっとのことで人混みから抜けてきた恭也がどこからかセリフを拝借して惨状した。もとい参上した。
当然、格好はボロボロなので格好付けてもキマらない。

「燎子、香織。こちらは濠の下宿先の例の骨董屋さんよ」
「あぁ・・・あのモップの・・・・」

雪乃のお付きのメイドさんが振り回していた不思議な高性能モップの出所だ。
ちなみに紫苑は三人が使っている民宿の掃除中らしい。

「あの、それでアイディアって・・・」
「あぁ!人見知りを直すのにとっておきの方法だ・・・・!」

一応先輩にあたる人がこう自信満々に言うのだから何かあるのだろう、と恭也を知らない香織は素直に尋ねる。
恭也はこほんっ、と咳払いをし少々勿体ぶってから・・・

「えー、まず俺と付き『疾っ!』あぁぁれぇえぇぇえぇ?!?!?」
「結局それですか!」

鴉美が操る小型の竜巻に飲まれ、グルグル回りながら恭也は何処かに流れて行った。






「改めまして初めまして、私は鴉美といいます」
「あっ、お話は聞いてます。えぇっと、天狗さん・・・なんですよね?」
「はは、さんは付けなくていいですよ。ちなみにハーフです。よろしくお願いしますね、香織さん」
「あ・・は、はい!こちらこそ、よろしくお願いします。鴉美先輩」にぎっ

鴉美が笑顔で手を差し伸べるので香織も笑顔でその手を握り返すことが出来た。
流石に今日一日、色々あったため挨拶にも慣れたようだ。

「燎子さんは戦闘にも出るんですよね。一緒に頑張りましょう!」
「ぉ・・・おう、よろしく・・・」にぎっ

あまりこういう真摯な受け答えに慣れていない燎子はおずおずと返す。
基本的に知らない人と話すのは苦手だが、話かけてくれれば返すくらいはなんとか出来るようだ。


「俺で最後か」

と、ここで最後尾にいた濠がようやく前に出てくる。

「霧島濠だ。よろしく頼む」
「へ・・・?あんたが・・・・・?」
「燎子だな、十年ぶりくらいか」
「あ、あぁ・・・・だけど、雰囲気変わったな」
「ふふ、子供のうちからこんな仏頂面だったら大変よ?」
「む・・・・」






「おぇぇぇぇぇ、目がまわっ、っぷぉぉ・・・うぅ、オレの居ぬ間に濠だけフラグを・・・・・幼なじみぃぃぃ、妹ぉぉぉ・・!!」
「何を言っているんですか・・・」

竜巻で三半規管をやられた恭也は妄言を吐きながらフラフラ進んでいる。
恭也を回収しに来た鴉美はその光景を見て呆れ果てていた。

「はぁ・・・あなたって人はどうしてこう節操がないんですか」
「ぅぅうぅ・・・そりゃあお前、可愛い子には声をかけろって言葉があるじゃないの」
「旅をさせろ、です」
「実は爺ちゃんの遺言で16の終わりまでに彼女を作れって・・・」
「遺言っ!?」
「あ、ごめんウソです」
「・・・・・・・・(♯」

ピキッ、と鴉美の額に青筋が入る音が聞こえたような気がした。
突風が吹き荒れたかと思うと、次の瞬間には哀れなボロ雑巾が土の上に転がっていた。

「・・ぉ・・ま、ちょっ・・・か、加減・・が・・」
「知りません!」
「ぅぅ、痛ちっ・・・そんなに怒ることかぁ?」
「・・・・・・私、恭也さんのそういういい加減なとこあんまり良いとは思いません」
「そりゃ残念。俺はお前のそういう真面目なとこ、結構スキだけどなっ」
「っ・・・・・・」(////)

鴉美の顔がカァァ、と紅潮する。
恭也としてはいつもの軽口かもしれないが初心な天狗は対応にとても困った。
注意しているのに、こういう切り返しで来られるとどうしていいのか。


――――――‐シュッ・・・

「んー・・・・?」
「あ、あなたは好きとかそういうことを軽々しく言い過ぎというか・・・ゃ、別にそう言って貰えるのは嫌なわけじゃないですよ!?・・・でも、もっとなんというかでs『ぅおおぁっ!?』え、ちょっ・・・きゃぁっ!?」

目を細めて遠くを見ていた恭也が急に立ち上がり鴉美の肩を掴むと全力で押し倒した。

(あやややや?!?!?え、なにこれどういうことですか!?!??!)

急なことで目を瞑ってしまった鴉美は何が起こっているのか分からなかった。
上に被さった恭也は興奮しているのか息遣いが荒い。

(だ、駄目です!いくら何でもこんな道の真ん中で・・・)

ちょっとドギマギしつつ鴉美が目を開けると・・・・・

「え・・・・・・・・?」
「ぉ・い・・、怪我してなぃっ、痛ぁっ・・・・!?」

恭也は痛みに顔を歪ませると鴉美の上から転がり落ちた。
脇腹あたりから染み出す液体がゆっくりと地面を赤に染めていく。

「き、恭也さん!?!?」
「ダイジョブダイジョブー・・・」
「大丈夫じゃないですよ!!こんなに血が・・・・っ!?」

すぐ近くに血のついたナイフのような細長い金属片があった。
それは地面深く突き刺さっており、相当な力で投げられたもののようだった。

「まさか・・・!」

鴉美の見上げた夕暮れ時の空には宵の明星が輝いていた。






≪仕留め損なったか・・・・・ぬっ!≫
『穿孔双角撃(バイコーンドライブ)!!!!』

金色の魔人めがけて翠の弾丸が突っ込んでくる。
魔人は片手でそれを受け止めると爆発の衝撃波をそのまま弾き返した。

「ぐぅっ・・・・!」
≪フン、その程度かゴウ≫
(やはり霊力が安定しない・・・・)

珀羅はいったん魔人との距離を開く。

「七曜!貴様、何故恭也達を・・・・俺と戦うのではなかったのか!!」
≪吾が名はシュクラ【金】。汝が怒りの枷を外す鍵、あの者達には生贄になってもらう。≫
「怒りの・・・・っ、逆鱗か!?鱗の件といい何を企んでいる!」
≪全ては吾が主、ケイトゥ様の御意志のままに≫
「俺がそう貴様らの企み通りに動くと思うな・・・・!」
≪フン、だが今の汝では吾にすら届かない≫

『砲華氷結界(アイシクルバスター)!!』

白い鎧の砲士、月華が地上から強力な砲撃を見舞う。
一直線上に吹雪の柱が伸び魔人に向うも、寸でのところでかわされ命中には至らなかった。

「濠、今回は戦っては駄目よ」
「だが、恭也がやられているんだ・・・・!」
「詳しくは分からないけど敵の目的はあなたなの。それにコンディションも万全ではないのに挑むのは危険よ」

今にも敵に突撃して行きそうな濠に雪乃はあくまで冷静に述べた。
自分の体を労らないのは濠の悪い所だった。

「それに、大峰君を病院に運ばないと・・・香織に場所は分からないわ」
「濠さん・・・・恭也さんをお願いします」

嵐羽に変神した鴉美が言った。
その隣には腹から血を流してぐったりしている親友の姿があった。

「・・・・・・くっ、わかった。皆、頼んだぞ」

変神を解き、恭也を抱えると濠は香織を連れて急いで病院へ急いだ。







≪自ら生贄になろうとはな≫
「許しません!あなたは絶対に・・・・」
≪フン、シャニ【土】すら打ち据えられぬ者が≫

魔人の両手に金色の光が集まって行く。
それは細長く固定され、ナイフのような形となった。

(来る・・・・!)
≪ゆけっ!≫

嵐羽目がけて短剣の雨が降り注ぐ。
一瞬の内に黒い影が串刺しなっていく。

≪・・・・・・避けたか≫
「はぁぁぁっ!」
≪フン・・・!≫

残像を残すほど素早い動きで攻撃をかわした嵐羽は次の瞬間に魔人の背後に回り込み剣で斬り掛っていた。
応じるように魔人は長剣を出現させると嵐羽の剣撃を次々に弾いていく。


「燎子、鴉美さんの援護をお願い」
「っても、空の上じゃどうしようも・・・」
「私が浮かすわ・・・・『月下反重力(ルナティックグラヴィトン)!』」
「ぅおっ!?」フワッ

月華は重力系の術で燎子の鎧に浮力を与えた。
一時的に浮遊滑空が出来るようになり、嵐羽ほど自由自在とまではいかないが炎がブースター代わりになってくれるのである程度は誤魔化しが利くだろう。

「燎子さん、大丈夫ですか?」
「お、おう・・・これならなんとか」
「ならば、行きます!」

嵐羽は団扇の剣を構え、鈴音は腰の鞘から刀を抜く。
鴉美の合図を皮切りに二人は同時に魔人に飛び掛った。

「はぁあっっ!」
「でぇやああ!」

上から下から右から左からと二人は次々に剣撃を繰り出していく。
魔人も二人掛かりでは間に合わないのか今度は空いた手に盾を生成し、それで殆どの攻撃を受け流していた。


≪フン・・・・≫


「くっ、まさに鉄壁ですね・・・ここは先日の戦いに習って、燎子さん!」
「何だ?」
「相手は金気、すなわち火気が弱点のはずです!」
「なるほどな、それなら!」

刀身に思念を集めると鈴音の刀が熱を帯びる。
そして、刀を一度大きく振るうと柄の鈴がリンッと音を鳴らし、刀に激しい炎が灯った。

「行くぜ、一刀両断・・・・『熱風咆哮斬(フレイムレイヴ)!!』」
≪っ・・・・・!≫
「でぁああああああああ!!!」

防ごうと突き出される盾ごと溶かし鈴音の攻撃が初めて魔人を捉えた。
鈴音が刀を振り切ると大きな爆発が起こる。

だが・・・・・


≪フン、これしきで≫
「なっ!?」

爆煙の中に浮かぶ影に二人は戦慄を覚える。
あれほどの火の力を喰らってなお魔人は立っている・・・それどころか、ダメージや傷のひとつでさえ受けていないかのようだった。

≪萃めた金気ならいざ知らず、吾が鋼を傷つけることなど汝らには出来ぬ≫

恐ろしいほどの頑丈さを持つ金色の魔人。
霊力の桁が違いすぎるのか、燎子の力では相手の金気を溶かしきれないどころか・・・・

ピキッ

「っ、刀が・・・・!?」

魔人を一閃した鈴音の刀が逆に刃こぼれを起こしていた。

≪脆いな・・・真の刃とはこういうものだ≫
「いけないっ・・・!燎子さん!」
≪その身に刻め!!≫
「くっ!・・・・っ、ぁぁぁああ!?」
「うぅぅぅぅっ!」

一時的に炎を出し切り、自由の利かなくなった鈴音に魔人の投げた刃が迫る。
刀で切り払い防ごうとするも直ぐに刀身は砕け、刃は鈴音を容赦なく襲う。
鈴音を助けに嵐羽が飛び込み、なんとかナイフの雨を抜けるも装甲の薄い嵐羽はすぐに傷だらけになった。


「はぁはぁ・・・燎子さん、まだいけますか・・・?」
「っ、・・・・・あ、あぁ・・・!」
≪脆い・・・あまりにも脆弱な・・・・≫
「な・・めんな!刀が無くたって、拳がありゃ・・・!!」ガッ

両の拳に炎を灯し、鈴音が魔人へと飛び掛った。

「ぅおおおおおおおおお!!」
≪汝の火気など・・・・『疾っ!』・・何!?≫
「っ、何だっ!?」

鈴音の背中を押すように強い追い風が吹くと鈴音の体に力が満ち溢れ、炎の勢いが倍以上に跳ね上がった。

「【木生火】・・・です!燎子さん!やっちゃってください!!」
「っしゃぁあ!!墜ちやがれぇえええ!!!」
≪ぐっ!?≫

鈴音の拳が魔人を捉えると拳の先で大きな爆発が起こり、派手な音を鳴らしながら魔人は竹林に落ちて行った。





≪・・・・っ、少々侮ったか・・・・≫

魔人の周りの土は焼き焦げ大きく陥没していて、隕石が墜落したようになっていた。
その体はかなりの高熱を帯びているようで金色が紅く変色している。
だが、それ以外に変化はなく大したダメージも見受けられなかった。

「無傷ですか!?」
「クソッ、あれでも駄目か・・・・!」

魔人を追って降りてきた二人は驚愕の色を隠せない。

≪終わりだ・・・汝らは『雹霰堅氷陣(アイシクルフォース)!!』っ!?≫
「お話し中に失礼、終わりなのはあなたよ」

魔人を一瞬の内に凍結させた月華が悠然と言う。

「ゆっきー先輩!」
「雪乃さん!」
「ごめんなさい二人とも。冷気の凝縮に時間が掛ってしまったわ」

≪フン、動きを封じたところで・・・・≫

「そうでもないわよ?燎子、まだいけるわよね?」
「当然・・・!アミ先輩、もっかい頼んだ!!」
「はいっ!」ブォオオオオオオオ
「行くぜ!!」ガッ!

嵐羽の風から力を貰った鈴音は炎の拳で魔人を打った。
それは魔人を包む氷を砕き、中の魔人にまで到達する。

≪フン、汝の炎では吾は滅ぼせん≫
「うるせぇえ、黙ってろ!!!」

一撃、二撃と次々に鈴音は拳を振るう。
氷を砕き、溶かし・・・・魔人までをも拳とそれに籠った紅蓮の炎が猛襲する。
魔人を包んでいた冷気がなくなり、それが火達磨になった時だ。

―――――−パリッ!!

≪っ・・・・何っ!?≫
「おらおらおらおらおらおらおらぁああああああああ!!!!」

パリッ!!パリッ!!・・・パリッ!!

≪ぐっ!?吾が・・鋼が・・・・!?≫
「知っているかしら?」

怒涛の攻撃の嵐に飲まれる魔人、その拳を受ける度にそこにひびが入っていく。
身動きの取れない魔人を尻目に涼しい様子で月華が語り出す。

「物、特に金属なんかは高温で加熱した後、急に冷却すると構造が変化してとても“脆く”なるの・・・」
≪ぬっ、ぐぉぉぉ!?!?≫
「形を維持出来ない物体に強い衝撃を与えるなら、当然それは――――」

パリパリッ!!・・・・・

「――――――−崩壊する」

「こいつが全開だ!食らいやがれ!!『獅子爆蓮打(カロリックブラスト)!!』
《っ、がぁっ!!?!?》

鈴音の拳が魔人に深く打ち込まれ、蓮の花のような特大の爆炎を咲かせる。
その衝撃でシュクラは宙を舞い空へ吹き飛んだ。

「いい位置ね」
「トドメだ!決めちまえっ、アミ先輩!」
「はいっ!!」

翼を大きく羽ばたかせ、漆黒の羽を撒きながら天高く嵐羽が飛翔する。

≪吾が・・・ヒトや妖ごときに・・・!?≫
「確かにあなたは強い・・・でもそんなもの皆の力を合わせればどうにでもなるんです!」
≪ぐっ・・・・!≫
「行きますよ!必殺必誅・・・!!」

団扇から生まれた風の渦が魔人に伸びそれを飲み込んだ。
嵐羽は渦の中に飛び込みドリルのように回転し、漆黒の弾丸となって魔人に向かう。

『風神射羽斗(カミカゼシュート)!!!!!!!』

嵐羽の蹴りがシュクラを貫くと魔人は金粉のように粉々に砕け、風の中にさらわれていった。







異空間、凶星が座する暗黒の世界。

『シュクラが滅びたか。かの物の覚醒無しに・・・』

玉座に腰を下ろした計都は今しがた【金】の星が散るのを感じた。
秘められた龍神の力を解放させる目的で送り込んだシュクラは他の者はおろか珀羅でも倒せないほどの実力を持っていたはずだった。
それを濠以外の者に倒されたのは意外という他なかった。

≪いかがなさいますか?≫
『・・・捨て置け』

ソーマの問いに計都はどうでもいいという風に言った。

試みは外れたものの、今のところ濠自身には同調が進んでいる様子が見受けられた。
ならばわざわざ仕掛けなくても自然に器は出来あがっていく。
もし変化が落ち着き止まった時には改めて仕掛ければそれでよかった。

≪シュクラのことがあります・・・≫
『ブダ【水】、ブリハスバティ【木】を出せばよい』

計都の前に紺碧の魔人と深緑の魔人・・・・二つの星が佇んでいた。








九月二十六日(金)晴

人里から見る星空も綺麗なものです。

今日、濠さんの故郷の方から三人の方がうちの学校に来ました。
その帰り道に敵と遭遇して、私を庇った恭也さんがお腹を負傷してしまうということがありましたが、
雪乃さんの応急処置のおかげもあり五針ぐらい縫っただけで大事には至りませんでした。


こんこん

「アミさーん。トランプしようぜー」
「あっ、燎子さん香織さん」
「あれ・・・宿題ですか?」
「いえ、日記を書いていたところです。トランプですか、いいですね」

燎子さんは夕方一緒に戦ってからは私にもすっかり慣れてくれたようで香織さんと二人で遊びに来てくれました。
年も近いですし、同年代のお友達が増えるのはとても嬉しいです。
二人ともとてもいい子なのでウチの学校でもきっとうまくやれると思います。

「何をしましょうか?」
「あ、私初めてなので簡単なやつをお願いします」
「初めて!?・・・じゃあ、ババ抜きでもするか」

ちなみに今夜は仲間内で親睦を深めようと、雪乃さんの所有する民宿でお泊りしています。
元はもう何年も昔に潰れてしまった空き屋らしいのですが、そんなことを感じさせないくらいピカピカで新築か思ってしまいました。

ただ何年も使ってないとやっぱり中身は駄目になるようでお風呂は故障しているらしく今日はドラム缶で五右衛門風呂というやつになりました。

三つ用意してあるのですが、今は雪乃さんと紫苑さんが入っています。
紫苑さんは雪乃さんのお家に長年仕えている腕利きのメイドさんです。
こちらに居る間、炊事洗濯などお三方の身の回りのお世話はほとんど彼女が一人でやるそうで夕食もとても美味しかったです。
テキパキしていて綺麗な方で、なんとも憧れますね。

「えっと・・・・じゃあこれで。あ、揃いました」
「あー!!またオレの負けかよ!?」
「燎子ちゃんすぐ顔にでるから・・・・・ババ抜き向いてないんだよ、きっと」

「お風呂上がったわよ」
「ん?ゆっきー先輩、なんか嬉しそうだな」
「ふふ、今日は紫苑をドラム缶に入れられたしね。いつかのお鍋のリベンジが出来てとても満足したわ」

と、私達を呼びに来た雪乃さんは謎のコメントを残して行きました。
お風呂あがりのしっとり艶々の髪、白くて綺麗な肌がほんのり赤みを帯びているのは何とも色っぽ・・・って、いけませんいけません!
これではまるで恭也さんみたいじゃないですか!

そういえば恭也さん達、今頃どうしてますかね・・・・・・
濠さんは恭也さんが家から動けないのでお店に残っています。
本当ならお二人もこちらに来る予定だったのですが・・・・・


「オ゛レ゛も゛お゛泊゛り゛行゛き゛た゛か゛っ゛た゛な゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛、ぁ痛っ!?」
「・・・・騒ぐと、傷が開くぞ。それにもう夜だ、静かにしていろ」
「ゆきたん・・・燎子ちゃん・・・香織ちゃん・・・嗚呼、畜生・・・・今頃きゃっきゃウフフでポロリもあるよなイベントが・・・・ぁ゛ぁ゛ぁ゛、ぁ痛っ!?」
「学べよ・・・・」
「・・・・くっ・・・今日はまだ鴉美のパンツも確認してねぇってのに・・・・・・」
「よかったな。本人が聞いていたら確実に傷が増えてたぞ、それ」
「今日はピンクのはずなんだ・・・・それさえ、それさえ確認がとれればオレの理論が統計学的にも証明されて・・・」
「お前、統計学とか出来ないだろう・・・・・」


・・・・何故か、恭也さんは来なくてよかったなとすごく思います。
妙な寒気を感じたのは秋の夜空の下だから・・・というわけでもなさそうです。


「ぅぅ、流石に今の季節に外でこの格好はなぁ・・・早いとこ入ろうぜ」
「あぁ燎子ちゃん、服や下着はきちんと畳まないと」
「どうせ洗濯してもらうなら別にいいだろ?」

お風呂や脱衣所は急拵えですが囲いもあり、雪乃さんの人払いの陣も敷いてあるので安心でした。

でも、やっぱり恭也さんは来なくてよかったとつくづく思います。
あの人なら何としても覗きにくるでしょうし、ゆっくりお風呂にも入れないところでした。

「どうした、アミさん。早くしねぇと風邪引くぜ?」
「あぁっ、すみません!今行きます!」

少々考えごとをしていて遅くなってしまいましたが
お二人を待たせては、と急いで五右衛門風呂へ向かいました。

「ふぃ・・・極楽です・・・・・」
「そういや、アミさん。ピンクのフリフリって意外に可愛いの着けんのなー」

星空を見上げながらのお風呂にまったりリフレッシュしていると、同じくまったりした (顔が緩みきって語尾が長い) 燎子さんが急に言いました。

「え、下着のことですか?」
「あー。天狗って古風なイメージあるから、てっきり褌とかかと思ったぜー」
「燎子ちゃん、女の人にそれは失礼だよぉ・・・」

と、燎子さんを諭す香織さんも割とまったり口調です。

「あはは・・・ほら、一応修行中の身ですから質素を心がけなきゃいけないんですけど。見えないお洒落くらいはしたいなぁって」
「はぁ、大変なんだなー。」

まぁ、しょっちゅう見られはするんですけどね。
でも頑張ってお洒落してる甲斐が・・・・っ、て私は何を!??

・・・・・・・・・・・・長湯でのぼせましたかね?

「香織もそろそろ淡色ばっかりは卒業しなきゃなー」
「むー、燎子ちゃんだってずっと縞々じゃ・・・・」
「ストライプと言えよ、ストライプと」
「あ、じゃあ明日皆で買い物にでも行きましょうかぁ。雪乃さんも誘って・・・」
「それいいなー・・・・・・あー、にしても今日は疲れたぜー・・・・」
「頑張りましたよねぇ・・・」
「二人とも凄かったって先輩が言ってたよー」
「あぁ、良く働いたって感じだぜぇ・・・あ、香織も飯の支度の手伝い頑張ってたってシオンさん言ってたぜ。あのポテトサラダ旨かったぞー」
「えへへ、ありがとー」

などと、私達は小一時間ゆるゆるなガールズトークというものに華を咲かせていました。


燎子さんの一言で思い出しましたが今回の相手もとても強敵でした。
恐らく雪乃さんと燎子さんと私の誰一人が欠けても勝利することは出来なかったでしょう・・・

もし、恭也さんが私を庇ってくれなかったらと思うと・・・いえ、多分そんなことはないですかね。
あの人はちゃらんぽらんでえっちで莫迦でえっちで口が軽くてえっちな人ですが・・・・

とても優しくて他人のことを大事に出来る人間なんだと私は知っています。




私もそういうところは・・・・その、スキ・・・です。




あやややや・・・・と、とうとう書いてしまいましたぁ・・・・・!

なんでしょうかこの安堵感と喪失感は・・・・・・で、でも正直なのは大事ですよね。うん。
まぁ・・・個人の日記なんだからいいんです。きっと。


「・・ぅぅぅうっ・・・・・」(しくしく)
「・・・・本当に泣くな、俺が困る・・・・」
「泣いてなんかねぇ・・・!これは心のが●ん汁だ・・・・!」(←サイテーダッ!?)
「・・・意味は分からんが、頼むからもう黙れ。そして寝ろ」


・・・・・・・・やっぱり修正しておこうかなぁ・・・









◇ 龍の谷




『お帰りなさい・・・・どうでしたか?』




「・・・・・・・・・・・・・・」




『決まってしまったんですね』




「・・・・・・すまない」




『・・・・・・残念です・・』




「君に修行をつけてきたのは・・・こんなことをさせる為じゃなかった・・・!」




『・・・・・・・・・・・』




「すまない・・・・せめて、僕が代わってやることが出来れば・・・・」




『当主様・・・・いえ、叔父さん。僕は大丈夫です。』




「・・・・・・・・・・・・」




『それに・・・・きっと兄さんなら・・・・・・・』




「・・・やるのかい・・・・澪示」





『・・・・・・はい・・・』







『現人神(あらひとがみ)‐“キリシマゴウ”‐封神の任、お受けします』










,
ゴールデンウィークということで従弟のチミッ子とグリーンランドにライダーショーを見に行ってきました。
大樹、お前の力を借りるぜ!・・・・士君綺麗過ぎるだろjk
ファングジョーカーとアクセルのツインマキシマムがめちゃめちゃカッコよかったです!

映画の方は結局『トリロジー前売り券』を買ったんですけど
特典のDVDは今までのCM集に電王映画全作品のミニパンフとか・・・普通のパンフ全部持ってるしorz
すげぇ・・・・こんなにエグい商売、お兄さん情けなくて涙が出らぁ!

でも買っちゃうし見ちゃうんですよNE☆やめられなぃ止まらなWRYyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!!!!

燎子「おかしなテンションの病人がいんだが・・・五月病ってこんなのだったか?」
鴉美「ほ、放っておいたがいいかと・・・・」

特別コーナー『春夏秋冬〜エレメント☆ガールズ〜』

香織「えぇっと・・・は、春担当だそうです!春野香織です!」
燎子「蓮見燎子だ。夏が担当らしい」
鴉美「どうも、秋担当の鴉美です!ちなみに蔵前は偽名なので学校以外じゃ使いません」
雪乃「最後ね、矢倉雪乃よ。担当は冬ね」

燎子「で、コレは何なんだ?」
香織「特設のお勉強コーナーらしいよ」
鴉美「講師は私と雪乃さんで『珀羅』に関係することをお話します」
雪乃「今回は五行について説明するわ。」

鴉美「まず五行とは自然哲学的に用いられる言葉で、ここでは木火土金水の五つの力、その関係のことを指します。万物はこの五つで成り立っているといってよいでしょう」
雪乃「それぞれの気には相性が決まっていて相剋や相生といった得意不得意な関係を持つの」
燎子「あー、火力が上がったのは相生っていう奴のおかげだな」
香織「えぇっと、相剋って言うのは火→金→木→土→水→火の順に強いということなのかな・・・」

鴉美「また五行と似たもので四象(*)というものあります」*春夏秋冬のこと
香織「四象・・・ですか?」
雪乃「季節に五行の気を振り当てているのね。『易に大極あり、これに両儀を生じ、両儀は四象を生じ、四象は八卦をさす。』という言葉もあるわ。ちなみに前作では濠達の叔父様、慎弥さんの持つ『燭陰の爪(干将莫耶)』も両儀と呼ばれていたわ。あれは五行の更に上級にあたる陰と陽の二つの力を操れる創世神の秘宝なの。次元を切り裂く能力もあると聞いたわね」
燎子「霧島先生って何気に凄いのな・・・・・・」

雪乃「以上、ここ次回出るからメモとっておくようにね?」
香織「えぇっ!?もうコーナー終わっちゃいますよぉ!?」
燎子「てか、次回って・・・・」
鴉美「続いて感想のお返事です!」


お返事〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


To 烈さん

>なにやら『蒼牙』こと湊さんの息子らしき人物である『澪示』という名が関係しているようですが、何ゆえなのですか?
それは次回で判明すると思います、多分。
そういえば、燎子が聞いた内容は今回出てきませんでしたねー(ぇ

>そこまでして『スサノオ【素盞嗚】』の“目覚め”させたいものなのですかね
>計都 は何気につかみ所が無いように思えてなりません……。
この人、というか凶星の本来の目的というのは結局のところ破壊しかありません。
そういう事象が形を取った存在だからです。

これはちょっと分かり難いと思うので説明を

『スサノオ【素盞嗚】』の時代は創世側と破壊側はまったく同等の力を持っていました。
これは片方が弱ればもう片方が弱り、滅びればまた滅びるという理があるからです。
創世神が破壊神を分かち自らをその楔としながらも新たな世界を築いたときです。
世界は両者の理(均等関係)が適応される前に更新されてしまい、スサノオが世界から消え代わりに新たな創世神(燭陰など)が発生しても残された凶星の力は元に戻らなくなってしまったのです。
計都の役目は世界の破壊、その為完全復活を果たすにはスサノオをこの世界に呼び戻し羅喉との融合を阻害する要素を取り除く必要があるのです。

二つに分かれた凶星の一つ、羅喉は≪星‐地球‐の為にリセットする≫という元の目的で動いていたので、まだその時ではないと悟ると星を見守る位置に身を据えました。
ちなみに朱凰序盤で鸞堕の失敗を責めてたのは神から降って来た鸞をまだ信用出来ず毛嫌いしている所があったからです。いじめです。
正し、前の世界でそうだったように自分の好敵手となり得た羅刹のことは気に入っていました。

ちなみに別れた際に感情や考え方なども分割しているので計都は羅喉が退いても退きません。

>日常パートで はギャグ面が強い感じがし、バトルパートではシリアスが多いのが結構いい感じだと思います。
バトル中でもギャグを飛ばせるお話でもありませんので日常ぐらいは・・・・ね
ボンボン派のセイランだからえっちいギャグは当たり前!!(ぉ

>何気に『鳳凰』、『麒麟』、『霊亀』に関ってくる アイテムを渡すようなことも考えているところが危なっかしいように思えてきます。
でも濠の特性では他の三つはまったく使えないのです
彼が使えるのは『鱗』『金輪』『爪』・・・あとは海東さんが狙いそうな『掘り出し物』とか(ぉ



To トレハさん

> いよっしゃ鴉美さんのパンチラきたぁぁぁぁぁぁっ!
ごめんなさい、今回パンチラ出来なかったの・・・・ぐすんっ
鴉美「いややややっ!?もっとひどかった気がしますが!?」

>ドクターペッパー噴い たwww
ドクターペッパーと言えば【全鉄的騒動‐フルメタルパニック‐】!! 
最終巻・・・・はよ来いやーーーーー!!

>みんなでお菓子食べながら過ごすほのぼのタイムになんかもうナチュラルに鴉美さんにセクハラ働く恭也くんグッジョブ!
一日一回はセクハラしないと死んでしまうのか恭也よ。
恭也「鴉美の入った後のお湯って多分旨いと思うんだ!主にとりがr『疾っ!!』がががががg」

> 五行相克
>戦闘の優劣に属性が関わってくるってのは面白いですね。弱い相手でも相性が悪いと苦戦する、みたいな。
つ【鴉美(木)vsシャニ(土)】
強い相手なら相性良くても負ける、みたいな。
鴉美「ちょっとおおおおおおおおおお!?!?!?」

>なんかもう鴉美さんがポロリ要員n(ry
>…っていうかこういうとこばっかピックアップしてどうすんだ俺。
恭也「日本男児たるものそういうところばっかピックアップしなくてどうするんだ」
キッド「あぁ、まったくだ。ポロリは文化のキワミってヤツなのに」
濠「お前は日本人ではないだろう・・・というか、そんな文化はない」

>さっすが青嵐さん!お約束を忘れないその姿勢、見習わさせていただきます。パンツ的な意味で
姉様のブラックアトラクション、しかと見たっ!!!(ぉ

>「すごいぞ、がんばれ」ディケイドの時の士の台詞が棒読み過ぎて噴いた覚えがw
オールライダーのDVDをおもちゃ屋の店頭でよく見かけます。
去年の夏は熱かった!今年も夏前、夏共々映画に期待大ですね!
ディエンドコンプ超楽しみぃいいいいいいいいいいい!!!



To Aヨスケさん

>計都は「まだ遠い」と言っているように、これからも濠くんに様々な事を仕向けそうなのが気になりますね。
今回はその矛先が仲間に向かいました。
恭也「はい!身体を張って仲間守りました!オレえろ・・・もとい、偉い!!」
きっと完全回避出来ずにグレイズしたのは日頃行いが悪いせい。
恭也「ウェィ!?」(;0w0)

>『応 龍の鱗』の事は知っていても、流石に使ったことは無いようで、自我を保つだけでも相当な負担を強いられていましたね。
>しかし湊ちゃんの『逆鱗』の時とは違 い、初転神でギリギリ暴走することなく戦闘してみせたのは流石あの二人の息子です。(副作用で体がボドボドですが…
今回は初回の湊の『逆鱗』は“逆鱗(ドラゴンブチギレ超パワーアップモード)”の状態でなったので暴走でしたね。
まぁ、濠は本当にギリギリなんとかなった感じですが何回も使うとまず濠の“人”が死にます。

>「あわわわわわ」とか「あややややや」の慌てっぷりも個人的に微笑ましい限り。
イメージ元のせいか慌てると□○○○となるみょんな癖をお持ちな鴉美さんw
カミカゼシュートはライダー少女姿でやるとモロ見えなんだ!(ぉ

>しちゃいなよツンツン。濠くんをツンツンしちゃいなよ鴉美ちゃん(←謎
鴉美「め、滅相もないです!」
恭也「ちなみに寝てる時にやると無意識の反撃が飛んでくるから起きてる時にやることをオススメするぜ」

>冒頭、燎子ちゃんがちらっと口にした「澪示くん」とは、霧島家の息子さん らしいですが、現時点でその行方は分からない様子。こちらも気になります。
今はあちら側にいる模様ですが、今回は最後の方に重要な使命を受けてましたね。
ちなみに彼は濠とは従兄弟の関係です。

>濠くんの後遺症はどうなるのか、彼の運命やいかに。
いろいろ大変なことになってますね。
鱗の副作用のせいで思わぬ持病が!(ぉ



これで予定、全九話中四話は終わった・・・
次回は第五話・・・ファイブ!さぁ、マックスハートでスプラッシュに振り切るぜ!!GOGO!!

5/23
お絵描きブログ(笑)始めて見ましたw
http://pixiv.cc/seiran-ran/

青嵐はリンクとか張れないので見に来て下さるならパソコンの方はコピって、携帯の方は手打ち(根性)でお願いします!

5、6話は連続になってるので振り切れねぇ・・・!
来月半ばから後ろの方にかけてなんとかしたいです。
,#000000,./bg_b.gif,i218-47-68-190.s02.a040.ap.plala.or.jp,1 2010年05月03日(月) 01時41分19秒,20100503014119,20100506014119,tZuzGSULqrGMs,仮面ライダーintertwine第2章第14話「父と娘と」,オリジナルライダー・リレー企画 ,,,執筆者 深優



AM11:30 白姫邸・リビング

煌びやかな装飾品や明るく辺りを照らすシャンデリアに広々としたリビングに

無数の切り取られた画用紙に、クレヨンで描かれた犬や猫の絵が無数に散乱されていた。

無論、それを描いた本人しかそれが犬か猫か分からないというのが現状だ。

「ふ〜ちゃん!ふ〜ちゃん!」

その絵の中の中心で絵を描いていたフラウディアとお揃いのメイド服を着ている
シェネス・V(ヴェッター)・白鷺は、

つまらないといった面持ちで誰かを呼ぶ。

無論、彼女の言う「ふ〜ちゃん」とはフラウディアであるが。

「いかがいたしましたか?シェネス様」

フラウディアは、床の掃除をしていたのかポモップを携えながら呼び声に直ぐさま現れる。

「ふ〜ちゃん!パパはどこにいったの?」

シェネスは、頬を膨らませながらふて腐れているようだ。

その光景はさながら幼子その物だ。

「ですから、先ほども言いましたが「学校」という所に行かれていますよ。」

フラウは、シェネスの目線まで腰を落として言う。

腰を下ろしたフラウの興味は、周囲に散らかされたシェネスの描いた絵にあった。

その子供ながらの歪な絵は、彼女にとって興味深かった。

なぜなら、フラウディア自身が絵を描くとその桃の特徴を正確に捉え、
写真のような絵なる。構造は異なるが同じ人ではないシェネスがそのような人と同じ抽象的なものをかけることが不思議でしょうがなかった。

「なら、ネェスも「学校」にいく!」

「いけません。・・・緋色様も帰ってくるまでいい子で待っているように
いっていましたでしょ?」

フラウディアは直ぐに思考を切り替え、やさしくシェネスに言う。

「うぅぅ・・・。」

シェネスは何か納得をしていない顔をしているが、緋色の名前を出されると何もいえないようだ。

「ですから、もう少々お待ちください。
・・・少し早いですがもうお昼にしましょう。」

フラウディアは、そういうと部屋から出た。
無論、彼女が作るわけでもなく緋色が作っていった作り置きを暖め直すだけだが・・。

「うぅぅ・・・あ、でも。ちょっとだけ見に行く位なら大丈夫だと想いますの!
・・・・でも、普通にいったらばれてちゃいますの。」

シェネスはう〜んと首をかしげながら考えていた。

「こうすればいいですの!」

シェネスは閃いたように、手をたたくとその姿が徐々に透けてゆき
その姿が完全に消えた。

「いってきますの!」

シェネスは誰に言うわけでもなくそうつぶやいた。


「・・・シェネス様が本機のセンサーから消えた?」

フラウディアは、調理場に向かっている最中、不意に自分のセンサーから消えたシェネス
が消えたため急いでリビングに戻ったのだが、そこには先ほどまでシェネスが書いていた絵が散乱しているだけでそこには、誰もいなかった。

「本機の全センサーすら掻い潜るステルス機能。
シェネス様にはわからないことが多すぎます。」

フラウディアは、そこから出たであろう開けられた窓から外を眺めながら、
シェネスの行方を追う為窓から飛び降りた・・・。



AM12:30 ボード学園 屋上

普段ならば、昼ごはんで賑やかなはずのこの場所も今日に限っては誰もいない静かで物悲しいものだった。

「そうか。」

結局、午前中の授業に出なかった緋色は、屋上で風が吹いていないことをいいことに
懐にしまっていた銃器を完全にばらして手入れをしながら肩で携帯電話をはさみながら
フラウディアの報告を聞いていた。

「はい。大変申し訳ございませんでした。」

電話越しのフラウディアはすまなそうな声を上げる。

「・・・別にいい。俺も手伝うか?」

緋色は、表面と内部部品に油を塗りつけながらたずねる。

「それにおいては大丈夫です。緋色様がお帰りになるころには終わらせます。
・・・それでは捜索に戻りますのでそれでは。」

フラウディアはそう手短にいうと電話を切った。



「・・・あらあら、私達の製品はそんなに信用がないかしら?」

「・・・ジャミングとはいかなる自動式の連発銃には付き物だ。
たとえそれが名家であってもな。」

緋色は、いきなり背後に現れた久遠に驚いた様子もなく、ただ淡々と作業を行う。

「あっそ、フラウから話し聞いた?」

久遠は、緋色の話を興味がないようにばっさりと切った。

「ああ。」

緋色も別段気にした様子ではない感じで銃を組み立てる。

「最近、忙しかったからね。隕石騒動を隠蔽したりとか。」

久遠は、緋色を眺めるのをやめて、空をあおいだ。
シェネスの事を隠すために、元々。閑静な高級住宅街で目撃者も少なく
その他の情報もフラウの力で情報を隠蔽している為かあまり大きな騒ぎになっていない。

「そうだな。」

緋色も興味がないのか、組み立てた銃を戻すと、懐からナイフを取り出しそれに
さび止めを塗り始める。

「・・・いろいろ言いたいけど、まあいいわ。
・・・そういえば、あんた吹奏楽部にいくんだって?」

久遠は緋色の行動に呆れながら気になったことを尋ねた。

「・・・ああ。」

緋色は、短く答えるとナイフをしまった。

「何でまた?あんたが弦楽器全般に引けるとか聞いたけど、
吹奏楽じゃほとんど使われないわよ?」

久遠は、ふと疑問に想ったことを尋ねる。
吹奏楽における弦楽器は。バイオリンやコントラバスがあるが正直使われることは珍しい。

「・・・少々、気になることがあってな。」

緋色は、やることがなくなったのか目を瞑りながら答える。

「そう。まあ、人に迷惑をかけなければなんでもいいわ。」

久遠はそういうと屋上から出て行った。

「・・・そうさせてもらう。」

緋色も久遠の後を追いかけるように、屋上を去った。

,大変遅くなりました。
申し訳ございません。

しかも、イシスさんから許可も貰ったのにそこまで達せず、さらにはまだ皆様の時間に追い付いておりません。すいません,#000000,./bg_b.gif,em114-48-40-139.pool.e-mobile.ne.jp,0 2010年05月02日(日) 22時35分24秒,20100502194757,20100505223524,tCve.Lwx946.k,仮面ライダーJEHUTY 設定,R.R.,,,注意
このSSはある映像作品をパロディし、その他漫画のギャグや設定を取り込んで

…オリジナルとは言えない仕上がりになっています…


苦情や批判は当然あると思います
それでも大丈夫な方はどうぞ、児戯とお笑いになってご覧ください

●時代背景
 時代は現在よりも少しばかり未来…
 人々は未だ、欲望と建前と虚勢、声高に叫ぶ正義の旗の下で戦争を続けていた

 しかし、その傍らで、少しずつではあるが科学技術と調和もまた進歩を続けていた


 金星や火星、その他さまざまな惑星の探索が進む中、一つの未知なる鉱石が発掘されることとなる

 それは、その特異な性質やその使用用途の多様性等から人々の生活を一変させてく…
 新たな歴史を書き足すインクを手に入れた人類はその生活圏を新生児のニューロンがごとき速度で拡大していった
 人々は神から授けられたと歓喜の叫びをあげながら、新たな鉱石に名を与えた

 【メタトロン】と…


  月への移住…

  外宇宙を目指す長距離航行計画…

  地球の全てを知る、深海調査計画…
  
 夢と理想に湧き上がる人類
 だが、それは当然ながら誰もが想像するように歪んでいく…

 メタトロンの軍事転用、それを抑制すべくメタトロンの武装を施された中立の軍隊…


 そして、新しいインクが滲み広がっていく人類の歴史は、やがて一つの事件を切っ掛けに爆発燃焼する

 その事件を、後世の人々はこう、歴史に記した…



 【中立治安維持軍エネアド蹶起事件】


●あらすじ
 メタトロン技術により、圧倒的な軍事力を持つ中立治安維持軍エネアドの蹶起事件から半年…
 世界情勢は大きく一変した

 メタトロンを主素材として開発された特殊身体強化アーマー【OF】は旧来の身体強化アーマーを圧倒
 彼らが世界をその圧倒的武力で少しずつ、確実に制圧していった

 その日も、エネアドによる地球で生活する人類【地球民】の制圧駆逐が行われていた



 だが、そのエネアドの蛮行は一瞬で一つのOFに断ち切られる

 それはエネアドに属するOF、無人OFを次々と圧倒していく…

 …これは、自らに与えられたOFの力に悩みもせず、自分の信じる正義を貫いた青年の物語である


●登場人物(主要人物のみ)
桜野 トモ (さくらの とも)
 ・年齢:22
 ・性別:男性
 ・特記:主人公
 博愛主義者で吐き気がするほど善を施そうとする、ある意味で人格者。
 丁寧な口調などから、一見冷静に見えるが実は熱血漢である。
 生まれついて長くは生きられない体だったが、母親であり機械工学博士である【桜野 真理】が延命処置と同時に自分の化学成果であるOF技術とメタトロンにより肉体を改造。
 メタトロン強化改造人間としての二度目の生を新たに授かる。
 因みに、彼の体内には生命維持兼戦闘アシストとして超高性能AI(独立支援ユニット)である【ADA】が組み込まれている。

桜野 真理 (さくらの まり)
 ・年齢:37
 ・性別:女性
 ・特記:故人
 実にフランクで親しみやすい人柄、大和撫子然とした美しい容姿と驚異的な頭脳の持ち主。
 世界にその名を轟かせた一流の機械工学博士で、OF完成の立役者である。
 私生児であり、生まれつき長く生きる事が出来なかった息子【トモ】にOF技術を応用してメタトロンによる肉体の強化改造を施した。
 研究の相棒であったAIを戦闘用に調整、これも息子の体内に仕込む。

桜野 愛理 (さくらの あいり)
 ・年齢:25
 ・性別:女性
 ・特記:エネアド九幹部の一人
 21歳の若さで中立治安維持軍【エネアド】の九幹部となった女性ライダー。
 トモの実の姉で、母の地下実験施設で何度もパソコン越しに会話もしている。
 実に気まじめな性格だが、トモ同様激情する事もある熱い性格。

ADA (エイダ)
 ・年齢:製造年数からの逆算によると25歳
 ・性別:女性の声を使用
 ・特記:独立戦闘支援ユニット
 桜野真理によってプログラムされた独立戦闘支援ユニット。
 元々は合理的かつ論理的思考を持ち、ジェフティの性能を極限まで引き上げるAIでしかなかった。
 だが、製作者である真理が自身の研究サポートにと傍に置いて長時間接していたためか柔和かつ人命を尊重できる思考を持つにいたった。
 長時間その成長を見守り、命を維持し続けてきたトモには少し違う感情を持っている。

緋尾 威 (ひお たけし)
 ・年齢:47
 ・性別:男性
 ・特記:エネアド九幹部筆頭
 【アーマーン計画】立案者にして【エネアド】九幹部の一人であり、高い発言力を持つ人物。
 現実主義者で哲学的発言と自己愛的発言が目立っており、かなりエゴが強い。
 とても冷徹で冷静、無表情かつ無感情な独特の話しぶりが特徴だが、感情の高ぶりとメタトロンとの精神的結合により徐々に怒りや喜びを激しい笑顔で表現する。
 彼の纏うオービタルフレーム『アヌビス』は現行最強のオービタルフレームと目されている。
 緋尾の持つポテンシャルと後天的努力による身体能力によりその性能はさらに飛躍、現存するオービタルフレームでは彼に触れることもできない。

扇田 玄 (おうぎだ げん)
 ・年齢:85
 ・性別:男性
 ・特記:桜野真理の父親
 真理の父親であり、身体強化アーマー開発の権威
 メタトロンを使用しない特殊身体強化を目指し、一人でドイツの古城を買い取りその地下で研究に没頭する。
 だが、彼もまたエネアド九幹部に名を連ね、無人OFの開発などで世界の動向に起爆剤を振りまく様な事をしている。


●単語集
○メタトロン
 21世紀末、木星探索中に偶然発見された新鉱石。
 シリコンをベースとした高分子金属の複合体で、水素吸蔵合金や超伝導素材としての特性を持っている。
 そのため、様々な走行飛行航行といった乗り物の装甲、原動力、量子コンピューターなどの素材に応用できる。
 そうした物の副産物としてOFの実用化にこぎつけた。
 2074年には、エネルギーとスピンを加えると周囲の空間を引きこむように圧縮する性質も発見されている。
 これは宇宙船射出装置【ウーレンベックカタパルト】や格納装置【ベクタートラップ】。
 さらには、エネルギー兵器や実体弾を逸らす障壁、耐G緩衝機構、ステルスシステムの一種に応用される。
 「高純度で大量に集中使用すると、人間の精神に反応し「魔法」としか思えぬ既存の物理法則を無視した力を出す。
 だが、その強大な「魔力」が使用者の精神を歪め、歪められた狂気がさらに「魔力」を増大させる悪循環を引き起こす」という副作用が存在。
 強靭な精神の持ち主でなければ、その力は使いこなせないとされている。

○中立治安維持軍【エネアド】
 新たなエネルギーを手にしてなお遅々として進まぬ人類の進化に一石を投じるべく、九幹部の採決により同一の意思のもと決起した中立治安維持軍。
  メタトロンの登場により飛躍的に進歩を遂げた人類。
  その進んだ科学技術を応用して発生する高度な犯罪行為を駆逐するべく独立した戦力を与えられた永世中立の対犯罪を目的とする治安維持軍が、この【エネアド】である。
 その命令系統やその他、軍内の風紀さえも厳しく統制されおり、わずかの違反で即銃殺されることもしばしばある。
 構成は以下のようになっている。
  ヘヌゥティ   :男性構成員
  ヘヌゥテト   :女性構成員
  ヘメト・ネチェル:女性研究員
  ウアブ     :特殊工作員
  セヘジュ    :指揮官
  イミ・ケント  :副指揮官
  セム      :最下級研究員
  シャマイエト  :メインCP管理官長
  ケネル     :メインCP管理補佐官
 この上位に九人の幹部がおり、彼らの総合採決で行動が決まる。
 余人はこの九幹部のことをして【エネアド】と呼ぶものもおり、実質彼らが【エネアド】のシンボルとなっている。

○オービタルフレーム
 通称OF。肉体に纏うことで驚異的な身体能力を発揮できる次世代型特殊身体強化装甲。
 現行兵器では考えられない機動性、推進力、出力、武装、さらに慣性を無視した機動能力等を実現している。
 OF、フレームと略称され、操縦者はフレームライダー、ライダーと呼ばれる。
 ソフトウェア面には高度な人工知能 (AI) を搭載し、初めて装着した民間人が戦闘を行えるほどである。
 一部の特殊な機体を除き、人型で、人間の小指にあたる部分が親指のような形をしていること。
 他にも脊柱が極端なS字に曲がっていること、胸元に球形のAIユニットがあることなどデザイン上の共通点となっている。
 脚部の先端に足に相当する部位は無く、着地時に展開式の降着装置を用いて体を安定させるものもある。

○ベクタートラップ
 メタトロンの空間圧縮効果を利用した格納装置。
 スピンとエネルギーを与えられたメタトロンによって圧縮された空間は、本来ならゴムのように急激に復元しようとする。
 だが、ベクタートラップではこの歪みに貨物を巻き込んだ状態で固定することで、容積を縮小している。
 格納した物質の質量は変わらず、大量の電力を必要とするため、コロニー内施設や大型貨物船などでしか使用されていない。
 ところが、ジェフティは武器、弾薬の格納庫としてベクタートラップを搭載するという独自性を見せる。

○ステルス機能
 OFの装甲には特殊な素子が仕込まれており、カメラ等の映橡機器への記録を困難にする。
 作品中のカメラは三次元的な情報を記録し、被写体を絶えずスキャニングしている。
 OFの装甲に仕込まれた素子はこれを検出し、瞬時に解析、撹乱した情報に置き換えてスキャナーに返送する。
 結果、カメラには正常な情報が記録されず、ノイズのかかった意味不明な映像となる。
 フレームレベルの演算能力を持つOF特有の機能だが、稼動状態でなければ働かない。
 可視光線には影響がないため、光学式カメラなら撮影でき、肉眼でも見える。

○ウーレンベック・カタパルト
 空間の歪みの復元力を利用し、超高速航行を可能とした宇宙船用カタパルト。
 メタトロンの空間圧縮特性を発揮するために必要なエネルギーは、通常船舶に搭載可能なサイズの動力源では賄えない。
 そこで軌道上の宇宙港などに専用施設を建設し、これを利用するのが一般的な宇宙交通の手段となっている。
 空間の歪みの復元力で対象を弾き飛ばす装置であるため、船舶や目標地点には特別な設備を必要としない。

●OF
 ○ジェフティ (JEHUTY)
 桜野 真理博士による設計。
 【エネアド】に従軍する地下研究機関【アンティリア】で開発中だった新型のOF…だった。
 アヌビスと同じ性能を持つ現行最強のOFのひとつ。
 兄弟機であるアヌビスは【アンティリア】からの情報漏洩や裏切りを恐れた【エネアド】が攻め込んだ際に奪取された。
 だが、真理の独断で桜野家地下に収容されていたジェフティは難を逃れた。
 さらに、実子の生命を助けるべくこのOFを彼の肉体として改造している。
 従来の兵器に比べて圧倒的なパワーと機動性を持ち、搭載された独立型戦闘支援ユニット【ADA】の柔軟性もあって、バランスが取れている。
 さらに、通常のOFがアーマーを人間が着こんでいることで発生するタイムラグが、ジェフティには存在しない。

○アヌビス(ANUBIS)
 ライダーは緋尾。
 サポートAIとして独立型戦闘支援ユニット【DELPHI(デルフィ)】を搭載している。
 地下研究機関【アンティリア】において開発された新型OF。
 ジェフティと同じく桜野真理博士が設計し、その腹心達により開発された。
 ジェフティと双子の機体であり、2機が近づくと共鳴反応が発生する。
 アヌビスは兄弟機であるジェフティよりも一足先に完成していたため、様々な副兵装が使用可能な状態でエネアドに奪取された。
 背部に装備された6基の翼状のウィスプ(一見すると排熱板のようである)は、スラスターであると同時に大型のジェネレータも兼ねている。
 彼の攻撃は、火星表面に宇宙から確認できるほど巨大な穴を穿つ威力を持つ。
 2172年に勃発した【アンティリア強襲事件】によって、作戦の指揮官であり緋尾 威の手に渡って以降、彼の物となる。
 現行で最強のOFの一つであり、ジェフティと並んで「イレギュラーオービタルフレーム」とも分類される。
,はじめまして^^
実は結構以前にも違う名前で何度かお目汚ししたことがあります

何度も他のマンガやアニメをパクリまくって批判の的となったという過去があります;;

トモ「この名前で仮面ライダー、なら解る人もいるかもしれないです」

ですね

…え?お前書きかけのSSあっただろって?

……いや、あれは一種の黒歴史というか…月光蝶というか…ムニャムニャ…

ともあれ、心機一転!
今度は堂々とパロって、さもシナリオはオリジナルでもどこか知っているような不思議なSSを書いていきたいと思います^^


…批判や注意を受けた場合は、その他の様々な意見も加味しつつ削除な方向で…

よろしくお願いします
,#000000,./bg_h.gif,130js241.omn.ne.jp,1 2010年04月16日(金) 20時56分12秒,20100416205612,20100419205612,rDtXbUndFZdGY,仮面ライダーイグナイト 第三十六話 新たな旅立ち,イタリアーノリク,,,

殲鬼姫との戦いから一ヶ月。天明市は急ピッチで復興作業が行なわれていた。五荒星冥獄陣発動によって
倒壊したビルの修復、さらにこの戦いで犠牲になった人々の慰霊。それは皮肉にも千年前の戦いの
傷の修復の再現でもあった。しかし人々の顔には悲しみだけでなく、愛する街を蘇らせようと
必死に力を振るう希望と意気込みガはっきりと目に焼きついていた。

「あれから随分と元通りになってきてるね。」
「なんか大声で、『この街は私達が救ったのよ!』って叫びたい気分ね。」
「それは言わぬが花ね。別に英雄になりたくて私達は戦ってたわけじゃない。ただ、自分達の大切な人や場所を守りたかった。
 それを守りぬけた。それ以上求めるのはヒーローとして欲張りすぎじゃないかしら?」

復興に汗を流す人々を見つめながら、眞子は残り少なくなったシルバーテイルのクレープを口に放り込んだ。
殲鬼姫との戦いが終わり、春姫の祖父牧野清次は今まで隠していたスペクターの存在を、千年前の戦いの歴史を
包み隠さず公表した。殲鬼姫が解き放ったスペクターレギオンの存在を多くの人々が目撃した事により、これ以上の
情報規制は不可能と判断したのだ。天明市の人々は戦いが終わりようやくスペクターの存在を
認知する事となった。
しかし彩乃達の存在は公表される事はなく、封魔師の子孫により駆逐されたとだけ報道した。これは余計な混乱を
避けるためでもあり、何より彩乃達の希望でもあった。

「月並みな言い方だけど、街の人達の笑顔が私達の勲章で報酬じゃない?眞子?」
「そう言われると返す言葉がないっていうか、自分が小物臭く見えちゃうっていうか。」

両手の人差し指をモジつかせながら、眞子はそのまま黙り込んでしまった。

「あれ、彩乃達じゃん。おーい彩乃―。」
「あれは、スミレさんじゃない。」

元気よく手を振りながらやってきたのは、近頃ソナタに顔を見せるようになった顔馴染みの客の一人で、
眞子のゲーセンのライバル兼オタク友達でもある黒野スミレであった。

「どうしたのスミレ?まさかいつものじゃじゃ馬根性丸出しで来たんじゃないでしょうね?」

スペクターの存在が一般に公表された事が切欠で、怪物の現れた街を一目見ようと他の街や県から
多くの人々が天明市へ足を運ぶようになり、天明市は一時的であるだろうが人々の間に交流が広まり
色んな意味で街は活性化してきている。中には抜け目ない商人などがスペクターをモチーフにした
グッズなんかも近々販売する方針らしい。スペクター饅頭とかTシャツとか、キーホルダーとか。

「へへへー半分は。もう半分はあんたらに会いたかったからって所かな」
「私達のに?まさか前のリベンジに来たのかしら?ん?」
「ふふふふふ。歩が五つ。ザッツライトまさにその通り!昨日紙一重で負けたあのレースの仮を返しに来たのだよワトソン君!
 と、言いたい所だしそのつもりもあるけど、実際はあんたらが心配で来たのが正解かな。」
「私達の?」
「あぁ、この前スペクターっていう化け物がこの街に現れたっていうだろ。あの時はゴタゴタがあって
 行くタイミングが見つからなくって。これでも心配してたんだぞ。べ、別にお前等の身がどうのこうのじゃなくて、
 勝ち逃げされたまま勝手に死なれると後味悪いからってだけなんだからな!」

なんとも良いツンデレを見せるスミレに、思わず三人の顔が綻ぶ。そしてしみじみと噛み締めた。
こんな何気ない平和や優しい日々を取り戻す為に今まで戦ってきたんだなと。

「馬鹿言うんじゃないわよ。あたしが死ぬとでも思ってたの?それに勝負なら何時でも受けてやるわよ。」
「よーし!その言葉忘れるなよ!それなら早速カモン!いつものゲーセンへ!ってそういえば
祥子さんたちはどうしたの?一緒じゃないの?」

ここにはいない二人の先輩を探すように、スミレは辺りを見渡した。

「祥子さんと春姫さんなら、大事な用があるとか言ってたけど。」
「大事な用?」
「あの二人ならきっと、あそこにいるんじゃないかな。」

ここにはいない二人の先輩に思いを馳せながら、小さく顔を見上げた。見上がれば今まで殲鬼姫によって
覆われていた黒雲の陰湿な陰りを吹き飛ばしたいばかりに、燦々と輝く太陽が昇っていた。






天明市にある小高い丘。そこには死した人々が街の風景を見られるようにと多くの墓石が軒を連ねている。
そこへ二人の少女が花束を手に、少々上り辛い石造りの階段を登りながらやってきた。二人は墓石の一つに
腰を下ろすと埃や砂煙で汚れた墓石を水布巾で綺麗に洗い落とし、周りに生えた雑草や枯れた花を取り出し
持ってきた花をうつし替えた。持ってきた花はスイートピー。彼女達の前に立つ墓に眠る女性の好きだった花。花言葉は

「優しい思い出・・・・・か。終わったよ、お姉ちゃん。何もかも・・・・・・」
「見てくだい、この蒼い空、街から聞こえる沢山の人達の笑い声。私と祥子ちゃん達が守り抜いたんですよ。
天国からも見えてますか?聞こえてますか?伊織お姉さん?」

武下家ノ墓と刻まれた墓石に手を合わせながら、二人は今は亡き最愛の姉、武下伊織に思いを馳せる。
あの日、自分の軽率な行動で最愛の姉を失ったあの忌々しい日から祥子の戦いは始まった。何度も倒れ、
投げ出しそうになりながらも祥子は戦い続けた。時に自分に言い聞かせるように春姫達を激励し、
時に春姫達に励まされながらも自分達は一歩一歩を踏みしめ続けた。ピリオドが打たれるその日を
姉に伝えられるこの日が来るのを信じて。そして今日、その日はやってきた。自分達の勝利という最高の形で。

「それと、これは私と祥子ちゃんが作った今まで最高の出来栄えです。少しは伊織お姉さんの作ったのに
 迫れるものだと柄にもなく自惚れているんです。天国で出来たお友達と召し上がってください〜。」

春姫が持ってきた紙のバスケットに入れられたシフォンケーキを置き、二人は再び瞑想に入った。

「お姉ちゃん、覚えてる?この戦いが終わったら何をしようかって。」
「それじゃあ祥子ちゃん」
「えぇ。今日彩乃達に教えるわ。」
「寂しくなりますね〜。」
「彩乃達が参戦する前に決めていた事よ。仕方がないわ。」

伊織の好きな花、スイートピーのもう一つの花言葉は門出。奇しくも祥子と春姫のその後を暗示する言葉でもあった。
大事な戦友にして、可愛くも出来の悪い妹分達に伝えるべく、二人は重い腰を上げた。

「っとと!」
「どうしたんですか、祥子ちゃん」
「今、誰かに押されたような気がしたんだけど・・・・」
「もしかして、伊織お姉さんが押したのかもしれませんよ。『こんな所で道草食ってないで早く行きなさい』って。」
「かもしれないわね。」
軽く笑い合うと、二人は改めて伊織の墓前に立ち尽くし別れの挨拶を交わした。

「行ってくるね、お姉ちゃん。」






「「「「「ありがとうございました〜。」」」」」
時間的に見て最後の客に送り迎え、祥子は店の掛札をOPENからCLOSEに変えた。

「ふぅ、今日も良く働いたね。」
「平和になってお客さんが戻ってきたのはいいけど、こりゃ繁盛店じゃないのも一種の幸せっていう言葉が今なら分かるわ。」
「そうね、この疲労も明日が見納めかと思うと感慨深いものがあるわ。」
祥子の思わぬ一言に店のカウンターでぐったりしていた三人は祥子の方へ目を向けた。

「どういう意味ですか、それじゃあ祥子さんが店をやめるみたいじゃないですか?」
「ええ、正確にはこの店自体をやめるの。」

「へ?」
「い?」
「てん・・・・・・・・・・・・」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えーーーー!?」」」
突然の閉店宣言に、三人はカウンターから立ち上がりグロッキー状態なのも忘れ祥子に根掘り葉掘り事情を問いただした。





「旅に出る?マジですか!?」
「はい〜。改造したキャンピングカーを使って寝泊りしながら日本中を気の向くまま巡って、気に入った土地で
 その土地の人達に私達の作ったお菓子なんかを振舞うんです〜。」
「昨日私が車の免許を習得してね。だから、それに併合してこの喫茶ソナタも閉店。」
「そんな!どうして急に!?そんな事急にいわれても納得できません!」
「今からやめなくてもいいじゃないですか!やっと戦いが終わって普通の女の子に戻れたんですよ!
 私達、もっと祥子さんと春姫さんと一緒にいたいし学びたい事だって沢山・・・・・」
「奈々美の言うとおり!私達一緒にカラオケ歌ったり花見したり夏祭りしたり遊園地行ったり、
もっともっと祥子さん達と一緒に思い出いっぱい作っていきたいんです!」
三人の説得に二人の心は揺れ動く。元々この戦いは伊織に代わって祥子と春姫の二人から始まり、
二人で終わると思っていたのだ。子孫である彩乃はともかく、眞子や奈々美といったイレギュラーの介入など
予期していない事態なのだ。それゆえ、二人は旅に出るのを諦めようかとも考えていた。しかし

「ありがとう、三人とも。でもね、これはあんた達と出会う以前に私と春姫、そしてお姉ちゃんと計画していた事なの。」
「私も祥子ちゃんも、彩乃ちゃんたちとこの街を離れるのは寂しいですが、これは決して今生の別れになるわけじゃありません〜。
 いつか必ず、ここへ帰ってきます〜。ですから、私と祥子ちゃんの最後の我侭を聞いてはもらえませんか〜?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・分かりました。でも条件があります。」
「なに?」
「帰ってきたら真っ先に私達の所に顔を見せてください。そして、旅先で仕入れた新メニューのスィーツを奢ってください。」
「分かったわ、約束する。」
「英雄は死なず。ただ立ち去るのみですか。でもこの借りは高くつきますから覚悟してくださいね。」
「祥子さん、春姫さん、絶対に戻ってきてくださいね。」
「ええ、それは必ず約束します〜。」

ほんのりと涙を浮かべる奈々美の目をそっと拭いてあげながら、春姫は三人をそっと抱き寄せた。

「そして、閉店を記念してこんなのを企画したの。春姫」
「はい〜。」

祥子に言われて春姫は一枚のポスターを取り出し彩乃達に見せた。そこには喫茶ソナタ閉店、
最後の出血大サービス、300円でケーキ食べ方ほうだい。ドリンクは無料という文字が。

「今までソナタを贔屓してくれたお客さんへの感謝を込めて、最後は儲け無しで開店しようと思うの。」
「いいですね、最後はドーンと華々しく散るってわけですか。」
「そういうこと。あんたらも学校の友達なり家族なり口コミで客寄せ忘れないようにね。」
「「「はい!」」」
「ですが、お客様の方々来てくれるか心配です〜。」



しかし春姫の不安を掻き消すかのごとく、当日祥子達の予想を上回る長蛇の列が出来上がっていた。

スミレ「この店閉店しちまうのか。結構人気あったのに勿体無い。」
絵美里「そうだね、今日が食べ修めになるんだしうんと楽しもう。」

修二「へっへっへっへ、今日はこの日のために昨日の晩から飯を抜いてきたからな。1万分でも10万分でも食ってやるぜ。」

イザベラ「この店のチェリーパイが食えるのも今日が最後か。そう考えると柄にもなく感慨深いものを感じちまうぜ。」
聖「チラシにはお持ち帰りも自由って書いてありますし、帰りに蘭さん達の分も買ってきましょう。」

遼耶「今日はこの日のために朝食抜いてきたんだし、今日はトコトン食べるわよ。」
湊「こ、拘ってるね・・・・・・」
絢斗「いいのか悠麻、春姫さんと暫く会えなくなるっていうのに。」
悠麻「いいんだ。これは一時の試練だと思えば絶えられる。それに、祥子さんには内緒でメアドも電話番号も貰ってるし。
   遠距離恋愛というのも考えようによっては乙なものじゃないか。」

舞「あーあ、祥子さんと春姫さんにはまだまだ教わりたいことがあったのにな〜。いきなりお別れなんて寂しすぎるよ〜。」
歌「私達と会う前の約束なんだから仕方ないじゃないですか。」
茜「そうですよ、別れは出来るだけ爽やかに終わるよう笑顔でいようって言ったのは舞さんですよ。」
藍「しかし凄い行列だな。こっちは結構早い時間に並んだから良かったものの。」
碧「それだけこの店や祥子さん達が多くの人達に愛されてるって事なんじゃない?」
萌黄「そうだね。」

予想以上の長蛇の列に、5人は思わず後ずさりしそうになる。

「予想以上の人だかりね・・・・・・」
「これだけのお客さんが来てくれるのは嬉しいけど、これじゃあ」
「はい〜。ケーキもかなりの数を焼いたつもりでしたが、これじゃあとても足りません〜。」
五人とも昨日から徹夜で今日のためのケーキや飾り付けをしていたが、これ程の人数になれば用意したケーキじゃとても間に合いそうもない。

「随分と難航しているようだね。」
「うわっ!って、春姫のお爺さん!?いきなり現れないで下さい!」
初めて現れたときと変わらず、謎の後光を背後に背負い素顔を見せてくれない老紳士の出現に一同身構える。

「最後の開店の前に、オーナーである私が演説するよう春姫に頼まれてね。それと」
徐に指を弾くと、後ろから一台のトラックが現れたかと思いきや、黒ずくめの男達が次々と姿を表し
コンテナから一つ、また一つと多種多様にわたるケーキを運んでいく。

「お爺様これは」
「こうなると予想していてね。屋敷のパティシエ総動員してケーキのストックを用意しておいたんだ。」
「ありがとう春姫のおじいさん!これだけあれば何とかなります!」
「それじゃああんた達、喫茶ソナタ最後の営業開始よ!」
「「「「おー!!!!!」」」」





ソナタの掛札をCLOSEからOPENに変えた途端、今まで待てをされた客は我先にとカウンターや席に座り込み、
店内の席という席はものの数十秒足らずで満席になってしまった。

「えーお客様の皆様に、恐れ入りますが開始する前に当店のオーナーであり私の祖父である牧野清次から、
労いの言葉があります。 恐れ入りますが、今しばらく席におつきのまま、ご静粛にお願いいたします。」

メガホンを持つ春姫の言葉に、店の客は徐々に口を閉ざし話し声がまばらになると、扉から花束を抱えた
燕尾服姿の清次が姿を表し五人の前に対峙した。

「皆様、ご多忙の中この喫茶ソナタ最後の開店にお越しくださり、真にありがとうございます。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、このソナタが閉店する理由は、我が孫娘、牧野春姫と、
最愛の親友である武下祥子が、前から計画していた日本一周の旅の目処が立ったため、それに併合し
このソナタを閉店する事に相成ったからであります。」
その話を聞き客席の方から「やめないでー!」「ずっとここにいてください!」という声が聞こえてきた。

「別れを惜しむ皆様方もいらっしゃいますが、どうか、皆様笑顔でこの二人の若者の旅立ちを見送ってください。
 月並みな演説になりましたが、最後の言葉とさせていただきます。春姫、祥子君、どうか怪我や病気のない良い旅を。」
演説が終わり彩乃達から二人に花束を手渡されると客席から一つ、叉一つと拍手が響き、やがて客席全てから
惜しみない拍手が送られた。そして最後の締めに、清次からマイクを手渡され祥子の演説が始まった。

「皆さん、この喫茶ソナタ最後の開店に、こんなにも大勢のお客さんが来てくださり、私達は今までの人生で一番の
 喜びを感じています。私も春姫も、皆様と別れるのは辛いですが、別れは終わりではなく新しい出会いの始まりです。
 そしで、私と春姫はこれから多くの新しい出会いと別れを体験すると思います。皆様も、新しい出会いを
見つけ沢山の思い出を残していってください。このソナタの思い出が、皆さんの心のアルバムに残る事を祈っています。」
清次に続き、祥子にもお客さん方から溢れんばかりの拍手が送られた。

「皆さん、今日は今までお世話になった皆様へのささやかな感謝の気持ちです。思う存分楽しんでください。」
祥子の退場を皮切りに、お客さんたちは待っていましたといわんばかりにテーブルにあるケーキを
我先にと言わんばかりに自分の皿に盛っていく。

「押さないで下さい!まだケーキは沢山ありますから!」
「お持ち帰りはこちらの用意したバスケットでお一人様10個まででお願いします!」

修二「こっち、抹茶シフォンお変わり。」
舞「私もカスタードパイワンモア」
「あ、はーい!少々お待ちください!」

次々とやってきて途切れる事のないオーダーの嵐に、彩乃達はてんてこ舞いになりながら店を引っ切り無しに走り回る。
そんな猫の手も借りたいほど忙しい彩乃達も、メイド達の計らいで日ごろから贔屓してもらっている
常連の方達との挨拶をすることが出来た。

「どうですか悠麻さん、本日の紅茶の味は〜?」
「うん、いつもながら完璧です。そして、今日が最後という事もあってか今までで最高の味わいです。」
「そうですか、ありがとうございます〜。」
「あんたの面もこうして見るのが最後というのが、この街と去る際の唯一の喜びだわ。」
微笑ましい男女の会話に遠慮なく土足で入り込む祥子にも、悠麻は余裕の態度で受け流していく。

「ははは、祥子さんのその毒舌ももう聞けないかと思うと寂しくなります。」
「ふんっ!」
「二人とも、本当にこの街を離れるんですか?」
「はい〜、私も祥子ちゃんも皆さんと別れるのは寂しいですが、必ずここへ戻ってきます〜。
 彩乃ちゃん達にも言いましたがこれは今生のお別れではなく、一時の別れですから、さよならじゃなくで、
 叉会いましょうと言ってはもらえませんか〜?」
「「「・・・・・・・・・・・・・・はい!」」」
春姫のお願いに、三人は今までの影を潜めた顔を拭い、明るく快活な声で二人に微笑んだ。

「で、あんたはどうなの?どうせあんたの事だから春姫がいなくなった時の新しい生贄ぐらい用意してんでしょうけど。」
「これは心外ですね。春姫さんの魅力を知っている私にとって春姫さん以外の女性と付き合うなんて虚しくなるです。
 私は別れという冬を耐え、春姫さんという春が来るのを気長に待つ桜になるだけです。」
「まぁ、本当に上手な人ですね〜。」
「気障なこと言わないでよ。嫌な奴思い出しちゃったじゃないの。」
悠麻の歯が浮く台詞の数々に、今まで風化させようと頑張ってきた忌々しい男の姿が脳裏をよぎった。




「眞子、奈々美、あんたらはついていかないの?」
「私はスミレさんや絵美里さんと同じで学校があるし。これから先は彩乃と眞子と一緒に試験戦争に精を出すよ。」
「かー、ついてないねぇ。化け物がいなくなってようやく思いっきり羽を伸ばせると思ったら今度は受験とはね。」
「そうよねぇ。私もこれから先はスミレと一緒に特撮&ゲーム三昧かと思った矢先にこれだもん。
 ホント、マジやってられないって感じー?みたいなー」
「スミレ、私達もその受験に挑まなきゃいけないの忘れてない?」
他人行儀な発言を繰り返す親友に、米噛みに汗を一筋たらしながら突っ込みを返した。

「眞子もスミレさんも気持ちは分かるけど、平和になったんだから安心して勉強と遊びを満喫できるんだよ。
 これからは安心して勉強に励みつつ、目一杯遊んでいけば良いんだよ。ね?」
「うー、奈々美ちんは相変わらず真面目やなー。真面目ついでに桃のタルト、おかわりね。」
「あ、じゃあ私も」
「あいよ。行くよ奈々美。」
「うんっ。」



「彩乃、お前等は祥子さんに別れを言わなくていいのか?」
「私達は皆より先に済ませてきたから。そういう舞さん達はいいんですか?」
「私らもあの悠麻って奴らの話が終わったら済ませるつもりだよ。ていうか歌、お前は食ってばっかいねぇで
 ちったぁ感慨深くしていたらどうなんだ!」
「失礼な。感慨深いからこそこうやって最後となる春姫君のケーキを味わっているのではないですか。」
「いいんですよ舞さん。そうやって美味しく食べてもらえるのが祥子さんや私達にとっても一番の労いになるんですから。」

「そういえば出発は何時になるんですか?」
「出発の日時は明日店の前にチラシを張っておくといってました。眞子みたいな言い方をするなら
 あなた達はこのチラシを見たなら見送りに来てもいいし来なくてもいいってやつです。」
「来ない訳ないじゃん!絶対に行くよ!ねぇ茜!」
「おう!あたし等全員揃って亥の一番に駆けつけるぜ!」
彩乃達五人は交友の深い常連や友人達とソナタ最後の団欒を満喫しつつ、ソナタ最後の開店は
満員御礼という華々しい形で幕を閉じていくこととなる。

,

最初に言っておく。イタリアーノは嘘つきです。前回最終回とか言っておいて長くなりそうなんで
次回に区切ってしまう大馬鹿者です。愚か者です。GO TO HELL!なスカポンタンです。
次回、今度こそ本当に最終回です。どうか、それまで長い目で見守ってはいただけないでしょうか・・・・・・・

今回カミングアウトすることとなった祥子と春姫の旅立ち、そしてソナタの閉店。実はこれ、
初期の案から決めていた設定でした。老兵は死なず、ただ立ち去るのみ。という言葉があるとおり、
ヒーローもまた然りと思いまして。実際戦いが終わり旅に出るヒーローはXライダー然り、
ウルトラマンレオ然りと結構いますし、祥子や春姫もそれにあやかろうというわけです。

そして東映・・・・・・・・・言いたい事は山ほどあるがこれだけは言わしてくんろ・・・・・・電王出すなら
THE NEXTの続き早く作れ!続きが気になってしょうがないんじゃ!一文字はまだ生きてるのかとか、
本郷は次の就職先見つけたのか?とか、だいす、基風見はあの後何してるのかとか、Xライダーは出るのかとか、
マジでこちとら気になっとるんじゃー!というかメーカーも薄さなんて漫画一冊ぐらいで十分なんだから
ガキの意地の張り合いみたく薄さ競わないで立体テレビ作れ!立体!はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・・・・・・



愚痴はこの辺にして前回のレス返し行きます

TO YPさん
>何故って言われても、鼠だって猫に襲われたら反撃するでしょうに……
ですよねー。ですが反撃するのはそれなりの力と爪と牙を持つものだけですけど。

>もしそうなら、ロリ姫さまも力に振り回されてると言えなくもないけど……ここまで来ちゃったら、もうどうしようもないかな。
いや、それは買いかぶりすぎです。コイツは最初から最後まで悪党のままです。力も振り回されているというより
楽しんでいたという方が正解です。

>ロリ姫さまってやたらと“自分が完全であること”にこだわりますよねぇ……。
>遥か昔の不完全だった自分と決別したいからこそ、スペクターになっちゃったのかなー、とか妄想が蔓延っちゃうネ!
そこらへんが唯一こいつが見せた人間臭さではないかと。力を求めていた所は彩乃達と一緒でしたが、
唯一の違いは自分のためと誰かの為という理由だけです。



TO深優さん
>よくよく考えてみたら拝見はさせていただいていたんですがけっこうかいてなかったんですよね〜・・・すいませんm(_ _)m
いえいえお気になさらず、悪いのは筆の遅いどうしようもない私の駄目駄目さだけです。

>しっかし、このシリーズも私がちょうどここのサイトを知ってから始まった位ですからだいたい参年くらいですか・・・歴史を感じます。
第一話が始まったのが2007年の1月、あれから3年近くも経ってますから当然です。

>この世に完全な物などありはしないのにそれを求めていた姿などは彼女は否定するかも知れませんが紛れもなく
>「人」その者でしたし、荒魔になったのも弱い物を隠すための彼女なりの強がりだったのかも知れません。
>そう思うと人間くさくて私は好きな分類ですね。
殲鬼姫は否定するでしょうが賞賛の言葉痛み入ります。私は純然たる破壊の化身として殲鬼姫を描いたんですが、
深優さんにはそう見える辺り、私も知らぬうちに完璧を求める人間の愚かさを殲鬼姫を通して書いてたのかもしれません。

>決して彩乃さんたちが嫌いというわけではないノですが、陰日向に卑しくいやしく生きる私としては彼女たちがまぶしすぎるのかも知れませんね。
それは私も同じです。というか彩乃達は私の持っていない憧れや願望をそのままキャラにした存在です。



TOイシス師匠
>・・最初に言っておく。


>お帰りなさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!
イシス師匠よ、私は帰ってきました!って感じです!

>久々にリクさんのSSが読めて、もう嬉し涙がボロボロ出てきて部屋が洪水になりそうですw
私ごときで師匠がそこまで喜んでくれるなんて((((((゜д゜;))))))恐れ入ります・・・・・・

>遂に彩乃ちゃんたちとろり姫様たちとの決着がつきました。いやー、お熱い展開!!
>お互いの全てをぶつけ合い、その果てに彩乃ちゃんたちが天明市に平和をもたらす
>ことができたのは、本当に見てて清々しいですねw
これは最初から考えていた案です。最後は全員の力を合わせてライダーの十八番であるキックでフィニッシュ!
読んでいる方に満足していただける事こそSS屋の唯一の喜びです!

>そしてろり姫様、惜しくも(?)野望成就ならず!!次回頑張りましょう!(!?
次回なんてありません。死んじゃったんですから

>にしても、こんなにリクさんが頑張ってSS書いてんのに、私は時間を無駄にして一向に
>話を書こうともしない・・・これでは駄目ですね!己の心を入れ替えます!!
>まずはちゃんと『リュミエール』劇場版、終わらせるぞー!!
いえいえお気になさらず、自分のペースで書けばいいんです。それとリュミエール劇場版、気長に
再開される日を楽しみにしています!

>ところでディケイドについてですが、お話のアレさは置いておき、私はディケイドの
>お陰で苦手意識のあったクロスオーバーに凄く興味を持てるようになりました。
>色々と破壊したディケイドですが、私の中に新たな道を作ってくれたのには感謝です。
私もディケイドを見て言いたい事があります。クロスオーバー物はプリキュアオールスターズのように
共通の敵を倒すべく皆で力をあわせて戦うというSIMPLE IS BESTが一番面白いと!
下手にてこ入れなんかして色んなもの破壊してしまい原作ファンを敵に回したのがディケイド最大のミスかと。



TO鴎さん
初めまして。そして私なんかの作品を読んでくださりありがとうございます!

>読んでいてスピード感あふれる展開、登場人物の魅力、世界観、読めば読むほどイグナイトの世界にハマりました。
ぐは(感涙)!!!!私ごときの作品にそこまでの賛同を下さり真に感謝の千条です!

>信じあう絆やそれぞれの信念をかけて戦う真っ直ぐな戦い方にはどの作品でも輝いていましたが、
>最終決戦ではそれがひときわ目立っていました。
ありがとうございます!この力を会わせて戦うという展開は、色々とゴタゴタの耐えない
最近の平成ライダーに対する反面教師も含まれているんです。

>力は振り回すものでも振りかざすものでもない、自分の心を奮い立たせるためのものなんだよ
力がなくては誰も守れない。だが力を振るうだけじゃ人は救えない。人は今も昔も面倒くさい生き物です。

>まあ、その考えは悪くはねえんじゃねぇか?結局は誰が言おうが、テメェの信じるもの貫くことが生きるってことなんだからよ。
己が路を行く。簡単なようでなんとも難しい事です。だが殲鬼姫の最大のミスは共に歩んでくれる
仲間を見つけなかった、作らなかったことだと思います。


それと最後に鴎さんの質問をここで答えておきますね。

天童慧 彩乃 奈々美と眞子という両極端な友人がいるため、比較的早くなじめそう
    眞子 熱血大好きな性格のため熱血モードになった途端意気投合
    奈々美 眞子というハイテンションな相方もいる所為か普段とのギャップにも対応しそう
    祥子 熱くなりやすい性格は戦いの妨げと考えている為最初は衝突しそう
    春姫 お母さん属性な春姫はやんちゃな慧ちゃんでもすんなり受け入れえくれそう

大友晶 彩乃 自分と似たような性格に見える晶君とは比較的すぐ仲良くなりそう
    眞子 余り心に壁を作らない眞子も晶君とも仲良くなるのは早いかも
    奈々美 人見知りする性格の奈々美は明君の心に潜む憎しみを察して最初は怯える反応を見せるかも
    祥子 かつての自分と似た空気を持つ晶君は面倒見のいい祥子にとっても放っておけない存在に見えるかも
    春姫 母性本能の強い春姫も晶をそっと抱きしめてあげたくなる衝動に駆られるかも

ルーベット 彩乃 良妻賢母なルーベットに対しては憧れのような感情を寄せているかも
      眞子 暴走すると一緒に便乗して暴れるでしょうし一番仲良くなれるタイプです
      奈々美 こういうタイプにはついつい甘えちゃったりするんです
      祥子 暴走するのを見たら真っ先に注意してしまうので最初は怖い人と思われるかも
      春姫 似たもの同士ですのですぐに仲良くなっちゃうでしょう

トパーズ 彩乃 祥子という似た者がいるためか以外にもすぐに近寄りがたい雰囲気の奥の優しさに気づくかも
     眞子 同じく
     奈々美 これまた
     祥子 自分と々空気を背負うトパーズには親近感を持つかも
     春姫 一匹狼なトパーズにはついついお節介をかけちゃうかも

エメラルド 彩乃 眞子以上のパワーに思わず尻込みしちゃうかもしれません
      眞子 問答無用で意気投合すること間違いなし
      奈々美 彩乃と同様そのパワーにはついていけなくて息切れを起こしそう
      祥子 真っ先に正座させられてお小言地獄を喰らうかもしれません
      春姫 あらあらと言いつつも自前のマイペースで受け流しつつある良い三井一番上手く付き合えるかも

琥珀 彩乃 苦労人属性の琥珀には「大変ですね」と言いつつ気遣いしそう
   眞子 琥珀の事情を知りつつもエメラルドと一緒にドンちゃん騒ぎして頭痛の種になるかも
   奈々美 彩乃と同じく
   祥子 同じ苦労人同士真っ先にツーカーの仲になるでしょう
   春姫 こちらもお茶やお菓子を用意しながらそっと愚痴を聞いてくれそう

アメジスト 彩乃 取っ付きにくいアメジストには最初は苦手意識を抱くかも
      眞子 中々心開かない相手には感情露に騒ぎ立てるでしょうね
      奈々美 孤高な一匹狼タイプにはどう接していいか分からず最初はおろおろしそう
      祥子 お互い干渉しあわないタイプなため所ほどのことがない限り話をしないかも
      春姫 つっけんどんにされながらも決して嫌な顔せず向こうが心を開くまで傍にいそう

サファイア 彩乃 女の子好きな言動から思わず身の危険を感じて引いてしまうかも       
      眞子 奈々美をロックオンされたら真っ先に敵と認定されそう
      奈々美 子犬属性の奈々美は真っ先にロックオンされ食べられちゃうかも
      祥子 エメラルド同様 軽く一時間は説教地獄に突入間違いなし
      春姫 そのマイペースからどんなに照準を向けられてもあっさりと買わされてしまうので狩人の意地で必ず落とす獲物リストに入るかも
 

とまぁこんな感じです。少しでも参考になれば嬉しいです。




,#000000,./bg_f.gif,i118-16-179-58.s10.a022.ap.plala.or.jp,0 2010年04月15日(木) 04時26分23秒,20100415041759,20100418042623,qFUDlwl/UvMj.,仮面ライダーintertwine第2章第13話「八枷 庵という男」,オリジナルライダー・リレー企画 ,,,作者:空豆兄



AM 8:48 繁華街

朝の繁華街で、漆黒の異形たちと戦いを続ける三者。

次々と現れる際限なしの軍勢を、歓喜とも取れる感情を込めて排除する黒い仮面の戦士。
これまた歓喜・・・・というか本当に嬉しそうにぽこじゃか敵をなぎ倒す重装甲の仮面の戦士。

そしてあと一人。
黒いコートにその巨躯を隠し、ただ腕を振り回すだけで異形を粉砕する男。
動きは鈍重ながらも、その一撃必殺の攻撃に次々と異形は数を減らしていく。

だがその異形の軍勢は異常だった。
単体では敵わないと分かると、それ以上の数を以って対象を排除しようと襲い掛かる。
しかもその対象の攻撃が自分を一撃で葬り去ると分かっていても、なお愚直に前進を繰り返すのだ。

(一体一体ハ非力・・・。シカシコレデハキリガナイ。)

大男は思案をめぐらす。
この場に異形と敵対する勢力は自分含め三人。

しかし連中は他の事など眼中にない様子で、協力を申し出ても無駄な事が安易に予想できた。

(・・・・・・・・・・。)

大男は自身の右腕を見る。
この中に仕込まれた巨大な「破壊の力」を。
だが。

(撃ツ訳ニハイカナイ・・・。)

大男は躊躇う。その腕の力を使う事を。
なぜならその力はあまりに大きすぎ、この周囲をあっけなく巻き込んでしまうからだ。

商店は燃え、砕かれ、道路も抉られ、戦争でも始まったのかと思わせるような惨事が起こる。
無関係な人々の生活基盤が失われる。

・・・幸せが失われる。

それは・・・大男の「マスター」であるあの小さな少女が最も恐れる事。


大男はなおも戦いを続けた。
少女と交わした「約束」を守るために。



そして当然の結果として、バラバラに戦う三人は、その圧倒的な数の前に徐々に追い詰められていく・・・。




PM15:29 放課後、ボード学園 部活棟




「よかったの・・・?華枝ちゃん。」
「え?」

私の隣を歩く親友の命李ちゃんは、遠慮がちに話しかける。

「だって、キャナ☆さんの約束・・・。」
「ああ・・・。」

放課後、本当は私は、今日復学したアイドルのキャナ☆ちゃんと私の部活である演劇部に行く約束をしていた。

でも・・・・



・・・・数分前。



(ハナーーーー!さあ放課後だよ☆演劇部へ行こーーー!!)

私の隣の席に座ることになったキャナ☆ちゃんは今日の授業が終わると同時、そうして私を誘ってきた。
昼間に話していた、キャナ☆ちゃんは演劇部に入るという話。

それを本当に実行しようというのだろう。

でも私はもう演劇部にはいきたくなかった。
今度の大きな演劇から役を外され、内気な私が折角今まで頑張ってやってきた事が無駄になったばかりの今。

アイドルであり、既にドラマにも出演しているキャナ☆ちゃんと演劇部で同列に並ぶのは、あまりに私にとって重圧だった。

(あ、あの・・・私・・・。)

(んー?なになにどうしたのー?早く行こ?作戦は一刻を争う!(キリッ)

そんな私の気持ちを露知らず、それでもキャナ☆ちゃんは誘ってくる。
折角友達になろうといってくれた彼女の気持ちは嬉しいけど、でも私は・・・。

(うおおおおおっ!!いたぞーーーーっ!!)

(?!)
(ほえ?)

その時、朝に聞いた野太い声が教室の廊下から聞こえてきた。

(キャナ☆ちゃんだあああーーーっ!!!)
(キャナチャンハカワイイデスヨ!)
(放課後になったんだ!ヒャアがまんできねぇ!中等部3-Aにのりこめー^^)
(わぁい^^)

それはキャナ☆ちゃんの学園内のファンの男子生徒の群れだった。
放課後、学業から解放された彼らは我先にとキャナ☆ちゃんのいるこの教室に殺到してきたのだ・・・!!

(わー☆こんなにいっぱい来てくれるなんてキャナ☆幸せものだねっ♪でもでもー、私には放課後の用事が・・・)

(キャナアアアアアアアアアア!!!!)

ドドドドドドドド・・・!

(わきゃー!!?)

教室のドアをくぐって押し寄せる人の波に飲み込まれるキャナ☆ちゃん。
危険を察知して素早く避難していた私に隙はなく、このどさくさにまぎれて私は教室を出た。

(えっ、ちょ華枝やんどこいくの!?ハナーーーー!!?)

(いてっお前ら押すなよ!)
(おい誰かうつぶせに倒れてしかもキャナ☆ちゃんに踏まれてるぞ!?)
(我々の業界では御褒美です!)
(この程度の痛みでは我々は満足しない!罵倒と侮蔑を!罵倒と侮蔑を!)
(地球は太陽系の第3惑星に過ぎない!)



・・・・・・・・・。



その後、同じく教室を出ていた命李ちゃんと合流して、こうして彼女とも話していた吹奏楽部に行く事になったのだ。

「ううん、いいの。キャナ☆ちゃんはあの通りだし、それに・・・私も元々放課後は吹奏楽部に行こうって、思ってたから。」
「そっか・・・・。うん、ありがと・・・。」



私と命李ちゃんが歩くこの部活棟は、読んで字の如く学園の部室が連なる専用の棟。
1階は主に運動部の部室が集まり、そこから上の階は多種多様な文化部がひしめいている。

放課後にここを訪れれば、教室からさまざまな喧騒や、また音楽系部活動の演奏などが聞こえてくる。
廊下をジョギングするユニフォーム姿の生徒なども珍しくない。

私達が向かうのは、部活棟の中にある音楽室。
防音壁に固められた、放課後は主に吹奏楽部が使う実習の教室だ。
部活動で使う楽器などもそこに収められている。

「・・・・・?」
その道中、命李ちゃんが不意に首をかしげた。

「どうしたの?」
「あ・・・ううん。なんだか、今日はこの辺人が多いなって・・・。」

命李ちゃんに言われて、私も気がつく。
吹奏学部は特別この学園で注目されているような部活動ではなく、放課後もここは周囲と変わらない普通の場所のはず。
だけど今日に限っては、音楽室の前に人だかりが出来ていた。

しかもそれも、女の子が多いような気がする。

「音楽室の中に、何かあるのかな?」
「そうなのかな・・・?今日は特別何かあるとは聞いてないけど・・・・。」

私達はその人ごみを押しのけ、音楽室の重く厚いドアを開ける・・・。


・・・・・・・・・・・・。


そこから聞こえてきたのは、流暢なバイオリンの演奏だった。
音楽にほとんど興味の無い私にも分かる、まるでプロが演奏しているような音。
「上手・・・・。」
「うん・・・・・・。」

命李ちゃんもまたその演奏に聞き入っているようだった。
何より驚くのは、それを演奏しているのが一人の男子生徒だということ。

赤い髪に、まだ残暑の厳しいのに袖のゆったりとした服装を着ているためにものすごく目立っていた。
その上ものすごい美形で、目を閉じて演奏に没頭する姿はその容姿も相俟って、耽美な雰囲気をかもし出していた。

なるほど、廊下の人だかりはそういうことかと納得する。
美形の男子生徒がバイオリンを一人演奏する・・・。いかにも女子生徒に人気の出そうなシチュエーションだ。



「でも・・・。すごく、寂しい音・・・・。」
「え?」
命李ちゃんがそう漏らした。

「淡々として・・・抑揚も無くて・・・ただ楽譜の通りに演奏してる・・・。それはすごい事なんだけど・・・。」
「こんなに演奏が上手なのに・・・音楽を、楽しんでいないみたい・・・。」

命李ちゃんの感覚なのだろう。
音楽に興味の無い私には、あまりピンと来ない表現だった。
吹奏楽部に属し、音楽を嗜んでいる命李ちゃんならではというのだろうか・・・。

・・・でも、それは演劇にも通じるのかもしれない。
劇中の台詞も、ただ読むだけでは棒読みになるし、感情がこもらなければ演技にならない。

【台詞を読むのは上手、演技も出来る、しかしマニュアルから外に出ない。】
彼の演奏を私なりに表現するには、そういう言い方が適切なのかも知れない。

「・・・・・・・・・・・・。」

1曲終えると、生徒は手にしたバイオリンを下ろし、その目を開いた。
眼光鋭い目。
まるで野生の獣を思わせるそれ。

「ひ・・・っ!」
私は一瞥されただけで思わずすくんでしまった。

「・・・フン。」

そう一度だけ鼻を鳴らすと、彼はバイオリンをケースにしまい、そのまま音楽室の一番後ろの席に座り込み、その長い脚を机の上に乗せた。

「いつまでも見てるなよ。・・・部活、あるんだろ?」

機嫌の悪そうに彼は言葉を吐く。
自分が注目を集めているとわかり、目立たない場所に移動した・・・のだろうか?
彼は自分の事など気にせず、吹奏楽部員にいつもどおりにやれと促した。

「なんなんだろう・・・?あの人・・・。」
「うん・・・。なんだか・・・怖いね・・・。」

私達は、その様子を教室の入り口でずっと見ていた。



「ハナーーーー!!!」

「!?」
「えっ!?」

次の瞬間、重厚な音楽室のドアが開かれ、そこから元気よくあのアイドルの女の子が飛び出してきた!

「見つけたよハナ☆この私から逃れようなんて浅はかさも愚かしい!」
「え・・・?え・・・・?なんで、この場所が・・・?」

「ふっふーん!このキャナ☆ちゃんを甘く見ないほうが身のためなのですぞ?」
「私が敷いた学園内情報ネットワークに隙は無かった!ファンのみんな!アリガトー☆」

(イヤッホオオオオオオオオウ!キャナ☆ちゃん最高ー!!)

廊下から、多数の男子生徒たちの野太い声が聞こえてくる。
どうやらキャナ☆ちゃんは学園のファンを使って私を探させたらしい・・・。
さすがアイドル・・・人の使い方も心得ている。


「さあさあ、観念するのよミス華枝!ともに演劇部へ赴き、ともに演技を磨くのデス!」
「めざせブロードウェイの星ー!」

「え、きゃ、あ、にゃああああああああああああああああああああ!!!?」

キャナ☆ちゃんに腕を引かれ、強制連行される私。
今度は周囲をファンの男の子達に囲まれ、全く逃げ場がない。

命李ちゃんも、それを呆然と見送るだけで・・・。

「は、華枝ちゃーーーん・・・・?」



さようなら命李ちゃん、また明日・・・・・・・。




PM15:40 放課後、ボード学園新聞部



「あ・・・あの・・・風瀬先輩・・・?」
「ん?」

新聞部に正式に入部した中等部のユリウス君、イオちゃんにデジタルカメラの使い方を指導していると、
その合間を縫って、ユリウス君が声をかけてきた。

「どうしたの?何か分からない事があった?そういうのはどんどん質問してほしいな。」
「あ、いえ、そうでは、ないんですけど・・・・・・・・。」

俺の返事に、ユリウス君は視線を逸らして罰が悪そうに口ごもる。
この二人が遠慮がちなのはここ数日で分かったつもりだけど、それにしては少し様子がおかしいように思えた。

「何か言い辛いことでもあった?ほら、怖がらないで話してみて。」
俺は小さな子供に言い聞かせるような優しい口調で二人に話す。
臆病な性格の妹を持つと、こういったスキルも自然と上がるもので、
それに二人はようやく安心したのか、互いに顔を見合わせるとその重い口を開いた。

「あ・・・あのぅ・・・風瀬先輩には、あ、きょ、兄弟とか、いるんですか?」

そう聞いたのは、イオちゃんのほうだった。
なんだ、そんな質問なのかと拍子抜けする。

「ああ、いるよ。華枝って言う妹がね。・・・そっか。ちょうど君達と同じ年かな。」

「あ・・・。へ、へぇ、そうなんですか。」
「妹さんですか、妹さん・・・・。」

俺の返事に、二人はまた顔を見合わせると、それぞれ二様の反応を示した。
なんだかそれほど驚いてないようにも見えるが・・・。

「じゃ、あの、その妹さんの事とか、お、教えて欲しいかなって・・・・」
イオちゃんがそう続ける。

ひょっとして、華枝に興味を持ってくれたのだろうか。
同じ年で同じ学年、しかも同性のイオちゃんがそう言ってくれるのはかなり嬉しい。
引っ込み思案なもの同士、気が合うのかも・・・!

「・・・・・・・。」

でも、二人の様子は友達になりたいという雰囲気ではないような気がした。
相変わらず二人は俺から視線を逸らしているし、どんどん暗い表情になっていっている。

二人の真意は分からないが、俺はそのまま華枝のことを話そうとした。

そこへ・・・・。



バァン!!

勢いよく新聞部の教室の扉が開き、

「みんな聞いてッ!!!」
そして新聞部の部長、熱血お嬢様こと桐島ふゆみ先輩が威勢のいい声を発しながら飛び込んできた!

「許可を取ったの・・・許可を取ったんですのよーッ!!!」



「許可?なにそれ?」 
「外人?」
「歌?」

「部長。・・・それだけでは部員達に伝わりません。みんなが混乱しているようなのでもっと分かりやすく説明するべきです。」
部長の主語のない日本語に、副部長・町崎先輩のツッコミが入る。

「・・・おほん。これは失礼。あまりの興奮に少々、取り乱してしまいましたわ。」
咳払いをして姿勢を正すと、ふゆみ先輩は部室の黒板の前にある教壇に陣取る。

その姿に他の部員達も席に着き、その言葉を静かに待った。
部長があの場に立つだけでこんなに部員がまとまるんだから、やはりあの人にはカリスマみたいなものがあるんだろうなぁ・・・。

そこで、はたと気がつく。
俺の隣にはユリウス君とイオちゃんがちょこんと座っているが、いつも俺にちょっかいをかけてくるクラスメイトの水野水美がいない。

そういえば・・・3日前から新聞部には顔を出していないんじゃないだろうか?
それに教室でも、なんとなく俺を避けているような気がするし・・・。
あいつ、何かあったのかな・・・。

「私の取った許可とは・・・。」

「っ!おっとと。」
物思いに耽る俺を、部長の声が呼び戻す。
部長の発表に再び耳を傾ける・・・。


「あの超絶人気アイドル、キャナ☆ちゃんの独占インタビュー記事の掲載許可なのよッッ!!!!」




「な、なんだってえええええええええええええええええええっ!!!?」

まるで某漫画の名物シーンを髣髴させる部員達の驚愕が、部室内にこだました。


「それは本当なのかキリシマ!」
「すごい・・・胸が熱くなるな・・・。」
「さすがは熱血部長である^^」

わいわいがやがやと騒がしくなる部室。
それを遮るように、部長の言葉が続く。

「学園側・・・つまり生徒会の許可、そしてキャナ☆ちゃんの事務所の許可も頂きました。」
「一部検閲が入るようですが、それでもわたくし達の生の声を人気アイドルに届けるチャンスです!」

「インタビュー内容は今後話し合って決めるとして・・・まず決めたいと思うのは、肝心のインタビュアー。」
「キャナ☆ちゃんと向かい合わせて直接話を聞く大事な大事な役です。これを今日は決めたいの思いますわッ!」

「おおおおおおお・・・・・・!」

「hai!やるます!」
「何を言ってるんだ?率先して手を上げる奴は心が醜い」
「謙虚だなー憧れちゃうなー」
「それほどでもない」

「キャナ☆ちゃんにあんな質問やこんな質問をして罵倒されたいです^^」
「お前絶対紳士だろ・・・社会的に抹殺されるのは確定的に明らか」

「キャナチャンハカワイイデスヨ!」
「インタビューをしたいからするんじゃないしてしまう者が俺」
「あんた私をディスる気!?だったらもう氏ね!」



更に騒然とする教室。
まあ、あの超人気アイドルと1対1で面と向かって会話できる機会なんて一生にあるかないかだろう。
そんな権利が自分に回ってくるのかもしれないんだから、盛り上がるのは当然で・・・。
つーか実際俺だってその役をやりたい!憧れのアイドルと向かい合いたい!

部長・・・キャナ☆ちゃんと話がしたいです・・・・。


「部長・・・これでは収拾が着きません。どうする気ですか?」
部員達が盛り上がる中、町崎先輩が桐島先輩に話しかける。

「そうねぇ・・・。この状態じゃ、誰がやっても角が立ちそうだし・・・。」
「私的な意見ですが、部長がやるのが一番適しているのではないですか?今回のために一番尽力したのは部長ですし。」

「そうかしら・・・。」



「部長がやるの?」
「ふむ・・・部長なら仕方ないな」
「俺も部長がやるなら文句はないぜ!」

「そんな部長に踏まれて罵倒されたいです^^」
「おいバカやめろ部長なら本当にやりかねないからsYレならんしょ・・・」


副部長の言葉が、次々と部員達に伝染する。
そして誰もが部長ならいいよと納得していく。

部長を初めとした新聞部の一体感は本当にすごいなぁ・・・。

「う〜ん。反対意見もないようだし・・・じゃあ私がやっちゃって、よろしいのかしら?」


「いいともーーーーーー!!!!」


某お昼の番組並みにぴたり揃った部員達の返事が返る。

「では決まりですね。じゃあ今度は具体的なインタビューの内容を・・・」






「ちょっと待ってもらおうかな?」


「え?」

その流れを遮る声が、部室の入り口から聞こえた。
部員達の注目が一手に集まる。

そこに立っていたのは、見慣れない人物。
高等部の制服に身を包んだ、男子生徒。
少なくともそれは新聞部員ではなかった。


「話は聞かせてもらったよ、新聞部部長、桐島ふゆみクン?」
「む・・・・。」

ゆったりとした足取りで、その生徒は部長に近づいていき、馴れ馴れしい態度で部長に話しかける。
部長はその生徒を知っているらしく、彼の顔を見て明らかに不機嫌になった。

「生徒会副会長、八枷 庵・・・。一体この新聞部に何の用でしょうか?」

部長が話すよりも先に、副部長の町崎先輩がその生徒に返事を返す。
副部長の顔もまた、不機嫌だった。

っていうか・・・副会長!?生徒会の!?
生徒会は、幼馴染の草加 雅菜くらいしか馴染みがないものだから、他の役員の顔なんて気にした事もなかった。
あと、この学園の副会長といえば女子生徒、というイメージがあったんだけど・・・。
そういえば、副会長は2人いたかもしれない。


「そう怖い顔で睨まないで欲しいな、僕としては。」
「この時代遅れの新聞部を存続させているのは、この僕なんだからね。」

「そこは・・・感謝していますわ。」
「そうそう、そういう態度でいてくれればいいんだよ。」
「僕も気持ちよく君達に高い予算を許せるってモノだね。ははは・・・。」

・・・・・。

あまりの上から目線の話し口調に、初対面だというのにイライラしてきた・・・。
生徒会長にも関わらず、親しみやすい雅菜と違って、こいつはあまりにも・・・。


「あぁ、今月の新聞の「今月の美少女」の記事、良かったよ〜?アイドルを目指す二人の少女、素晴らしいね!」
「それは・・・どうも・・・。」

「でもさぁ、もっとページを増やせないかな?他の記事なんておまけなんだから、写真をもっとどーんとさあ!」
「その方が読者を増やせるって思うんだよね。」

「こんな素人が書いたようなコラムなんて、誰も読まないでしょ?あるだけ無駄無駄!」

・・・っ!!

・・・それは。
俺が毎月考えに考えて書いている記事で。
部長から任せられた、俺の意見を自由に書いていいスペースで・・・。


その時、ちらりと部長が俺の方を見た。
眉をひそめて、申し訳ないような顔をしている。

部長のあんな表情・・・俺は見たことがない。
いつも自信に満ちた部長にあんな顔をされたら・・・。

・・・爆発しそうな気持ちを、俺はぐっと押さえ込んだ。


「副会長。今はそんな話をしにきたわけじゃないでしょう?早く用件を言っていただけるかしら?」
まだまだ続きそうなあの生徒の話に割って入る部長。
これ以上不愉快な思いをしたくないんだろう・・・。彼の話を遮る。

「あぁ。そうだったね。」
「実はね・・・さっき話していたキャナ☆ちゃんのインタビューさ。」

「僕がやる事になったんだよねぇ。これが。」


「え・・・・え!?」

部長の顔が驚愕に染まる。
副部長もまた、動揺を隠せない。

「そもそも君達新聞部にインタビューの許可が出るように、生徒会に口を利いてやったのはこの僕なんだよ?」
「それに、あのキャナ☆にインタビューを行うんだ・・・。その辺の生徒になんか任せられないだろう?」
「そこで生徒会副会長を務める、品行方正の模範的生徒であるこの僕に、生徒会直々の白羽が立ったという訳さ。」

「そんな・・・!だってこれは私達が始めた・・・」

「僕がいなきゃこの話は初めからなかったんだよ?だったら僕が一番の功労者で、インタビュアーの座を頂くのは当然じゃないかな?」
「さっきの話し合いの結論からすれば・・・ね?」

「・・・・・・・・・・・・。」

「言いたい事はそれだけさ。まあ安心しなよ。実際のインタビューの内容はちゃんと君達に渡すさ。」
「ただし、インタビューでの質問内容、記事の公正や検閲は全部僕がやる事になっているからね。勝手に決定稿を出さないでくれたまえよ?」

「それじゃ・・・この記事は・・・。」

全部アイツの言いなり、という事になってしまう。
個人の意思のままに書かれた文章なんて、公平な記事になんてなり得ない・・・・。


「じゃあね。インタビューの話は僕らから彼女に通すから。君達は僕の報告をゆっくり待っててね。ははは・・・・。」

格好つけて、後ろ向きのまま手を振って部室から出て行く。

不快な思いに苛まれていたのは部員みんなが同じで、彼が去った事で一様にため息をついた。



・・・・・・・・・・・。



「部長、あんな奴の言いなりでいいんですか!?」
部員の一人が、桐島先輩に噛み付く。
多分ここにいる全員が同じ気持ちだろう。

「・・・仕方ありませんのよ。アイツの言うとおり、新聞部が今活動できるのはアイツのおかげなのだから・・・。」
無念そうな声。
いつもの部長のイメージとはかけ離れたそれは、彼女の心労を物語る・・・。

「彼は、当事潰れかけていた僕らを前に、予算と引き換えのある条件を出しました。それが、「今月の美少女」です。」
「こんなスポーツ新聞のような記事、僕らとしても不本意だったのですが・・・。」

続けて語る副部長の言葉に、ざわざわと騒ぎ始める部員達。


・・・確かに「今月の美少女」はファンが多い。
これを始めたおかげで学園新聞の読者は飛躍的に増えたし、部員の数も一気に増えた。
今の新聞部があるのは、「今月の美少女」の功績といっても過言ではない。

でも、俺はこの記事自体は嫌だった。
新聞の価値って、そういうところじゃないって思うし・・・。

それにしても、あの記事が新聞部の本意でないことは知っていたけど、
アイツがそれを命じた張本人だった事は、今日初めて知った。


それにしてもアイツ・・・八枷 庵って言ったっけ。
あんなにはらの立つ人間、俺は初めて見た。
生徒会やその選挙の時には猫をかぶっていたのか、その本性はものすごい利己的な人間じゃないか・・・!

そういえば、アイツの顔ってなんだか最近見たような気が・・・。


あの・・・いやらしい笑み・・・・。


そうか!
今朝、キャナ☆ちゃんを見に行った帰り、偶然すれ違った男子生徒!
階段の踊り場で、他の生徒をいじめていた・・・。

アイツが・・・アイツが八枷 庵。
その名前は、最悪の印象とともに俺の中に刻まれた。



部活はその後も八枷の話題で持ちきり、まともな活動など出来ないまま、放課後は暮れていった・・・・。






PM17:02 放課後、新聞部部室前



「メール・・・?」

帰宅しようと部室を出た俺の携帯が振動し、メールの着信を知らせる。
背面ディスプレイに見えた配信元の名前は、「華枝」。

(華枝から・・・?)

わずかに不安が襲うが、あまりに神経質になりすぎだろうと大きく息を吐き出した。
長い吐息の後、改めて携帯を開いてその内容を見る。


『今日は部活が遅くなりそうなので、もし待っているなら先に帰っていいよ。』
『帰りは神歌ちゃんと帰ります。』


なんだ・・・と二度目の大きなため息。
心配したような事もない。
妹は単に部活動に忙しくて遅くなる・・・ただそれだけのようだ。

でも・・・華枝は今度の演劇には出られなくなったはずだ。
この前華枝が話してくれた事・・・。

(ごめんなさい・・・。部の演劇に出られなくなっちゃった・・・。)

あの涙と落胆振りは忘れられない。
消極的な妹が、唯一つ打ち込んできた演劇。
それがダメになってしまうというのは、華枝にとって相当のショックだった様に思う。

なのにまた部活に出て、しかもそれが忙しい・・・。
なんだか、それはそれで気になる。


・・・いやいや。
どうして俺はこう物騒な事と結び付けようと思うんだ。
詳しい事情は後で聞けばいい。
華枝は親友の神歌ちゃんと帰るといっているし、何の問題もない。
むしろ、あの落ち込み振りから立ち直ろうとしていると思えば、喜ばしい事じゃないか。

俺は自分の過保護ぶりに笑うと、携帯電話を閉じて再び歩き出した。



PM17:02 ボード学園 玄関先



「もう、5時過ぎてるじゃない・・・。何もたもたしてんのよ、アイツ・・・!」

そう一人機嫌の悪そうにつぶやくのは、金の髪をポニーテールにまとめた幼い外見の美少女。
腕を組み、片足で地面を叩き、眉毛を釣り上げて、いかにも「私イラついてるんですけど」とアピールする。


玄関の昇降口の脇、玄関の中からは見えないような影の部分に立つ彼女は、誰かを待っているように見えた。

『そう怒るようなら、君の方から迎えに行くべきだと思うがな?』
『マスター・水美。』

そんな彼女に語りかける声。
周囲に彼女以外に誰もいない玄関先。

そこに発せられた電子音声のそれは、彼女の立つ玄関の脇のその裏、茂みの部分から聞こえてくる。

「・・・うっさいわねウォーガ。この天才の私がそんな凡人みたいな事、出来るわけないじゃない。」
学園の天才少女・水美はその自ら作り上げたロボットバイク、ウォーガに返事を返した。

『やれやれ。私にこの間助け出したボード学園の生徒二人の身元を調べろと言い出したのはマスターだろう?』
それに対し、機械の彼はまるで人間のようにため息をついた。

『君の「仮面ライダーガブリエル」としての初陣で助けた二人、その無事は既に確認された。』
『しかもその一人が君のクラスメイト、「風瀬列」の妹だと分かって、君は何とかしてそれを彼に伝えたいと思った。』

『だがそれは今日に至るまで何も伝えられていない。今日もこうして放課後まで待ちぼうけだ。』
『昼間に教室でも、なんなら部室ででも彼に伝えれば済む事だと思うがね?』

「ハッ!何言ってるのウォーガ。私がライダーだってことは誰にも秘密よ?昼間の学園内でなんておおっぴらに話せる事じゃないでしょう?」

『でも彼にはそれを教えたくてしょうがないのだろう?「この間の事は私がやったんだ」と。』

「あいつは!・・・凡人の癖に天才である私をちっとも敬おうとしないからよ。だから教えてやるのよ。」
「アンタの哀れな妹は、この私の超絶科学が生み出したライダーシステムによって救われたんだってね!」

『だったら屋上でも何でも、人目につかないところに呼び出してそう言えばいい。何も毎日暗くなるまで彼を待たなくても・・・。』

ウォーガがそう言葉を発すると、水美はなにやら考えるような仕草を取った。
そして・・・その顔がだんだん真っ赤に染まっていき・・・。

「なっ!!!バババババババババババカじゃないのっ!?それじゃ!それじゃまるで私が!!」
「誰にも聞かれたくない事をこっそり伝えたくて、それであいつを呼び出すみたいに思われるじゃないっ!!!」
そう、大声でまくし立てた。

『・・・違うのか?』

「違うわよッ!!全然全くちっとも一つとして正しくないわよっ!!!」
『私には、理解しかねるが・・・・・。』

「あああああーっ!それもこれも、みんなあの凡人が悪いのよッ!さっさと部活切り上げて降りてきなさいっての!!」

『マスター・・・。生徒が一人、建物の中からこちらに接近してきている。微弱な人間レベルの生体反応をセンサーで感知した。』
「えっ!?ああ、そっか。アンタにはそういう機能もあったんだっけ。」

『・・・まさかこの数日、私にそう尋ねなかったのはそういうことなのか?』
「私にも忘れる事だってあるわよ。アンタももう少し気を遣いなさいよね。空気読みなさいよ、空気!」

『やれやれ・・・話題を変えたかっただけなのだがね・・・。』



・・・・・・・・。



学園の玄関が近づく。
ひょっとしたらまた神歌ちゃんが現れるかとも思ったが、華枝のメールにあったとおり、今日は部活なのだろう。
一人で帰るついで、どこかに寄ろうかと考えたとき・・・。

「よう!列。」
下駄箱の陰から、一人の男子生徒が姿を現した。

「八代。」
それは先日転入してきたクラスメイト。
水色の髪をした、おおよそ日本人とは思えないきれいな風貌をした少年だった。
しかしそれとは裏腹に人懐っこい性格の彼と俺とは、既に友人同士である。

「どうした?こんな時間まで。っていうかお前って部活入ってたっけ?」
「別に入ってないよ。俺の用があるのは、お前だよ列。」

「俺に用事?」
「よかったら一緒に帰らないか?二人だけで話す機会って言うのは、あまり無かったし。」

言われてみれば、そうだな。
学園ではよく話しているけど、大体が雅菜だったり晃輝だったりを交えての会話だったしな。
今後も長い付き合いになるだろうし、それも悪くない。

「分かった。どうせ一人で帰るところだったしな。」
「そういってもらえて嬉しいよ。待ってた時間が無駄にならなくてさ。」
俺が快諾すると、八代もまたその顔に笑みを浮かべた。

「じゃあ、行くか。八代の家って、薬局だっけ?この前そう言っていたような・・・。」
「ああ。よかったら寄っていくか?」

「えっ?いいのか・・・?こんな時間にお邪魔して、お前の家族とか・・・。」
「気にすんなよ。俺もそうだけど、うちの家族はここに越してきたばかりでまだ顔見知りが少ないんだ。」
「一人でも気軽に尋ねてくれる人間が増える事、喜びこそすれ嫌がりはしないさ。」

熱心に勧める八代。
ここまで言われたら、俺としても断る理由も無かった。

「分かった、じゃあちょっとだけお邪魔するな。」
「おう!へへへ。楽しみだな。みんなどんな顔するか・・・。」



・・・・・・・・・・・・。



(ちょ!?)
その後、玄関の陰で待ち構える水美が見たのは、あの不愉快な転校生と楽しげに帰る列の姿だった。

(ああああ・・・何よアイツ!あんなに楽しそうな顔して!!)
『だから早く声をかけろというのだ・・・。』


,
,#005100,./bg_a.gif,softbank220024150097.bbtec.net,1 2010年04月14日(水) 23時31分50秒,20100414232728,20100417233150,qwZYrO6qp0lR2,仮面ライダーバルキリーたん 第46話「Petal that dances and scatters」,鴎,,,貴方に「仲間」としてついてこいと言われた時。

泣いていたのは。

貴方が怖かったからじゃない。

やっと会えたから。

あたしを暖かい温もりで包みこんでくれる人に。


ギャリギャリギャリギャリギャリッッ!!!!

鋭い刃が空を切り、壁を天井を床を飛び跳ねるように削れる摩擦音と火花を散らせながらプリーストフォームとアルティメットフォームに襲いかかる!!
刃を避けながらプリーストフォームが槍から激流を放出し、怒涛の水流が地面をえぐるほどの破壊力を持って襲いかかり、アルティメットフォームは全身を電流で覆うようにして飛び交ってくる刃をいたるところから噴出する電流ではじきながら攻撃の機会をうかがう。

アスモデウス「ほらほらほらぁっ!!!」

Pバルキリー「くっ、どこから来るのか分からない以上、闇雲に動くのは危険ですね」
Uワイバーン「しかも室内だっていうのに、限られた空間内で剣を最大限に振るう長さと感覚を図りつつ、敵を確実に追い詰めるやり方でくるからね。しかも二人を同時に相手にして、だ。かなりの戦闘能力だよ」

アスモデウス「ふふっ、どうしたのぉ?時間ないんだしぃ、さっさと殺られちゃいなさいよっ!!そして、慧ちゃんを全裸にひんむいて血まみれになったところを抱きしめてクンカクンカ、ハァハァするんだからぁ!!」

Uワイバーン「・・・・へぇ・・・二人って・・・そういう関係だったの?殺してやりたいほど妬ましいったらないねぇ・・・うふふ・・・くすくす・・・」

慧(晶!?あたしは言っておくけどそっちの趣味はないからねっ!?そんな命をかけたドギツいアブノーマルな不純同性交遊なんて一生やらないからねっ!?)

マラカイト(うふふふ・・・お姉様と・・・・抱き合いっこ・・・?我が人生に・・・悔いなしですわぁ・・・・(ブシャアアアアアアアッ))
ダイヤ(マラカイト!?どんな想像をして、そんな致死量の鼻血を吹きだすんだい!?)
ムーン(マスターとの・・・濡れ場・・・・お・・・俺・・・・どうしよう・・・・そんな・・・マスター・・・・俺とマスターの間には色々と問題が・・・血液型とか・・)
ダイヤ(ムーン、問題があるとしたら君の思考回路全体だろう。それに、血液型は大した問題ではない)


Uワイバーン「うふふっ、もう皆、嬉しくなっちゃうほどクズぞろいだねっ。晶、あとでどんなお仕置きして、社会的制裁の名のもとに処刑にしようかなって色々とプラン考えちゃったよっ♪きゃはは」

慧(晶・・・・・とりあえず・・・まずは落ち着いて。そして、マラカイトさんとムーンとはあたしもじっくりと話しあいたいから付き合うよ)

いっぺん拳と拳で語り合いたいと思っていたところだと、追記したのは内緒です。

アスモデウス「ほらほらぁっ!!」

関節剣の刃に炎がともり、凄まじい速さで全体にいきわたると、超高熱の火炎をまとった刃がまるで獲物に襲いかかる獣のように凶暴な光を宿して襲いかかってくる!!


今、こうして暴れていると実感する。
こうして、剣を振って血にまみれて屍の匂いにまみれて、血に染まる大地を駆け抜けている間だけが「生きている」って実感できる。

「平穏」とか「平和」なんて退屈で仕方ない。
暴れている間だけがあたしが生を実感できる一時。
獲物に狙いを定めて忍び寄り、隙を突いて襲いかかり、追い詰めるあの快感。
「狩り」だけがあたしの唯一の存在意義だったんだ。

そうだったはずだった。

そのはずだったのに。

あいつと出会う前までは。


あいつと、兄様と出会ったのは、もう数百年以上前かなあ?
あの時はあたしはロキ一族の中でもあまりに暴れん坊だからって一族からも白い目で見られて、疎まれたり嫌な目で見下されたり誹謗の対象になっていたっけ。
正直、お前らだって似たようなもんじゃないの。
何、あたしだけ悪者にして、自分たちはさも理性とか知性とか兼ね備えている至高の存在、暴れるだけのあたしなど屑のような存在って見下して、優越感に浸っているんだか。
そうやって同族でも自分が気に入らなければ、もしくは自分が優越感に浸るためなら無理矢理理屈つけ偉ぶっている、そんな裸の王様気取りの連中なんてあたしは大嫌いだった。

それでこっちから出て行ってやったんだ。
そんな弱っちいクズたちなんかに別に認めてもらいたくなかったし。
それで、世界中を転々と渡り歩いて、うるさいヤツ、人のことを裸にひんむいて色ごとに持ちかけようとするヤツ、まあ女の一人旅をしていると、こういう下等な連中が後を絶たないからちょうどよかった。
肉を切り裂き、噴き出す血にまみれながら、力いっぱい暴れ狂うあの快感が。
あたしにとって全てだったんだから。

そうこう好き勝手やっているうちに気がついたら、結構多くの敵が出来ていて、いつのまにか派閥だの組織だの徒党を組んで大勢で襲いかかってくるようになったのよね。
今までは奇襲とか闇討ちとかそういう手段を選ばないやり方は数多くあったけど、全部返り討ちにしてきたし、まあ、自信過剰なところもあったんだけど、それがまずかったのよね。

数百年前。
あたしは当時、どこかの大きな都で、その都の中でも一番偉いヤツが反乱を企てて化け物になって化け物を従えて大暴れの限りを尽くしているからとかって話で、ああ、ここなら大暴れに欠かすことはないなって気楽な考えでわざわざそんなところまで行って、喧嘩吹っ掛けにいったはいいんだけどさ、相手があたしのことを知っていたのがまずかったのよね。一気に討ち倒せるように、あまりに単体一体一体の戦闘力が強すぎる上に今までの常識を覆すかのような人海戦術、まあ一人の喧嘩馬鹿相手に数百体以上で一気に襲いかかってくるなんていうことになり、まあ、自業自得といえばその通りなんだけど、追い詰められていたってわけ。

全身傷だらけ、玉の乙女の肌に容赦なく引き裂いてくれたことで、血はいたるところから噴き出ているし、血に染まった服や身体がとても重くて寒くて、やがて呼吸さえおぼつかなくなったとき、あいつが現れたんだ。

「よお、お前か?さっきから“誰か”のこと呼び続けているのは」
「・・・何?あたしは誰も呼んじゃいないわ。ボウヤ、ナンパのつもり?こんな死にかけている女でもいいのかしらぁん?ふふっ、そういう趣味はまだまだ早いわよ、大人しくオウチに帰りな、目ざわりよ―」
「嘘こけ、今だってずっと“誰か”を呼んでいるだろうが。いい加減うっせーぞ。一発ぶん殴って静かにしてやろうかと思って来てみたんだが、気分変わった。お前、俺と一緒に来い。この都出るぞ。酒もねぇし、化け物しかいねぇし、つまんねぇんだよ、ここ」
「・・・・・はあ?」

この一見美少女のようにも見える、銀髪のロングヘアをポニーテールに縛り上げている、赤く光る澄んだ瞳をもち、陶磁器のように真っ白で透き通った肌を持っている少年は、声変りもしていない可愛らしい声で傲岸に言い切った。

「・・・・残念だけど、もうこのあたりは化け物に囲まれてるわよぉ?あたしのカラダが目当てで、数百体のケダモノが群がってきているからさぁ」
「何だ、数百体しかいねぇのか」
「はぁ!?」
「そのくらい、すぐ片づけてやるぜ」
「・・・あんた、正気?つか、バカ?出来るわけない」
「出来るさ。その代り、もしこの町出られたら―」

少年がにかっと陽気な笑みを浮かべて、言った。

「お前、俺と一緒に来いよ。お前、何だか面白そうだしな」

面白そう。
気まぐれに尽きる一言。
その気分のみで、バカ正直な気持ちをストレートに言い放って、少年は槍を構えて無数の化け物の集団の前にまるで遊びに行くかのように鼻歌など歌いながら立ちはだかった。

「あ、そうだ。お前名前は?」
「へっ?」
「逃げるとき名前なけりゃ、お前のこと、繋ぎ止められないだろうが。お前とか、テメェとかいちいち面倒くせぇしよ。お前の名前、教えろよ」
「・・・・珊瑚(さんご)・・・だよ」
「珊瑚か。いい名前じゃねぇか。俺は・・・瑪瑙丸(めのうまる)・・・覚えておけよ、俺もお前の名前、忘れないから」

名前を呼び合った時、あたしの中で何か得体のしれない熱い何かが生まれた。
そして、あたしはその後何が起こったのか今でも思い出せる。
金色の風を纏い、銀色の美しく流れるような髪をなびかせて、槍を片手に敵を切り裂き、深紅の血液を浴びてなお美しく光り輝き続ける、まるで呪われた宝石のように血を吸い続けて光をより一層増す、危険な妖しさと魅力を秘めたあの人の強さに、大暴れぶりに、あたしは心を奪われたんだ。

―数百体以上を・・・一人で・・・しかもあんな楽しそうに、美しく舞うように殺し続けている・・・。

綺麗・・・。

心の奥底からあたしはあいつに全てを奪われた。あいつという凶暴な嵐に飲みこまれたような感じがした。

そして気づいた。

あいつの言うとおり、あたしは誰かを待ち続けていたような気がする。
あたしのことを受け入れてくれる、「誰か」を。


アスモデウス「ほらほらぁっ!!もう半分以上時間過ぎたんじゃないのぉ?早くしないと死んじゃうわよぉっ!?」
Uワイバーン「お生憎様、1分くらいしか経ってないです。あんたを倒す時間くらいはきっちりあるよっ!!」
Pバルキリー「一気に決めますよ・・・!」

プリーストフォームがトライデントを振りまわすと、三叉の刃に水流がまといだし、空中を優雅に流れるように舞う。意のままに水を操り、トライデントを構えながら突き出すと水が矢のように飛び出し、アスモデウスに向かって放たれ、鋭い刃で襲いかかる!!

Pバルキリー「ウォーターアロー・・!!」
アスモデウス「水遊びくらいじゃあたしは倒せないよっ!!」
Pバルキリー「ええ、遊びじゃありませんよ。本気ですから!!」

すると矢が突如水流の形に変わり、アスモデウスの周りを取り囲むように踊り出し、形を変えてまるでオリで閉じ込めるようになる。

アスモデウス「矢はあくまでダミーだっていうのっ!?」
Pバルキリー「水は千変万化・・・いかなる形にも変わります」
アスモデウス「しまった・・!相手が水じゃ火は不利だった・・!」
Pバルキリー「そして・・・その勢いが増せば増すほど・・・その破壊力は・・・増します」

空中に舞い上がった水流がオリに閉じ込められたアスモデウスめがけて巨大な水圧弾と化して超重量級の水圧をもってものすごい速さで襲いかかり、一気に押しつぶした!!
水によって全身や関節剣にまとっていた火は消え、重圧で押しつぶされたアスモデウスが床に叩きつけられ、内臓や骨が圧迫され激しい重圧を受け苦悶の表情を浮かべる。

アスモデウス「かはっ・・・!!くっ・・・・!おのれ・・・・・!!」
Pバルキリー「・・・・まだ、やるのですか?」
アスモデウス「まだまだぁっ!!」
Pバルキリー「・・・そうですか・・・ならば・・・ここで決着をつけます!!」

Uワイバーン「慧、行くよ!!」

「「Full Charge」」

同時に電子音が鳴り響き、槍を構えたアルティメットフォームが電流を全身から発生させ、プリーストフォームが三叉槍を構えると全身から水流が噴き出し、緑色の電流と青色の水流がうねるように迸る!!

Pバルキリー「フリージング・ギルティー・ディープ・・!」
水流がやがて巨大なサメのような姿「チャリオット」に代わり、凶暴な牙を生やした口を開いてものすごい速さでアスモデウスをとらえると、一気に飛び出し、アスモデウスに直撃する!!すると、みるみる身体中が凍りだし、たちまち動けなくなる!!

アスモデウス「ヤ、ヤバッ!!!」

同時にアルティメットフォームが飛び上がり右足を突き出したまま、高圧電流を全身に浴びて、凄まじい速さで一気に飛び出し、プリーストフォームが槍を突き出したまま一気に駆け出し槍を突き出す!!

「「はああああああああああああああああああっ!!!!」」

息があった同時攻撃。
蹴りが炸裂して高圧電流が全身に流れ込み、さらに槍の破壊力抜群の突きを受けて、アスモデウスが爆発を起こして吹き飛んだ!!!

アスモデウス「きゃあああああああああああああああ・・・・・・!!」

関節剣が砕け散り、アスモデウスが部屋の奥へと吹き飛んでいき、やがて巨大な炎を上げて大爆発を起こした・・・!!


Uワイバーン「・・・はあはあ・・・・急がないと・・・!」
Pバルキリー「そうですね・・・もう時間がありません!!」
慧(・・・でもさ、地下のプラットホームなんて、どうやっていけばいいのっ!?)
Uワイバーン「・・・確かこの近くにエレベーターがあったよっ!!」

晶が指差した先には非常用エレベーターがあった。扉がちょうど開き、晶と慧が駆け出し、一気に中に流れ込む。
そして、重い扉が音を立てて閉じた・・・。



一方・・・。
部屋中が崩壊を始めている中、アスモデウスが崩れゆく部屋の中で壁に背をもたれたまま、虫の息で倒れこんでいた。もう指一本動かすことも出来ない。

アスモデウス「・・・慧ちゃん、甘いなあ。最後の最後で手を抜いちゃって。まあ、その優しいところが慧ちゃんの強さの源なんだろうけども」

ほくそ笑む。
慧と出会ってからずっと楽しくて楽しくて仕方ない。
慧をからかうたびに、慌てふためく慧のことを見るたび、かぶって仕方ない。
自分が心から尊敬している人に。

アスモデウス「慧ちゃんと兄様って・・・やっぱり似てるよねぇ」

本当似てるんだ。
大人ぶってるけど、結構意地っ張りで、おっちょこちょいで、子供っぽいところがあって、一緒にいるとついついからかいたくなっちゃうんだよねぇ。

(過去)
ルシファー「なあ、珊瑚、俺さあ、最近“ルシファー”とかいう通り名ついちまったんだけどさあ、ルシファーってよくねぇか?カッコよくてよ」
アスモデウス「ええ?でも、瑪瑙丸っていうのもカッコいいと思うけど?」
ルシファー「あー、あれ?なんかもうダッセェから、やめる。自分で考えた名前だったけど、なんだか、ルシファーの方がいいような気がするんだよ、よっしゃ、今日から俺はルシファーだな」
アスモデウス「ホント気まぐれで生きてる人よね・・・」
ルシファー「いいじゃねぇか、名前なんてつけてくれるような親もいねぇんだしよ。つーか、お前の珊瑚だって、本名じゃなくて遊郭の時の源氏名じゃねぇか。そろそろ、テメェの好きな名前名乗ったっていいんじゃねぇのか?」
アスモデウス「うーん、名前なんて別に面倒くさいから、考えもしなかったけど、それなら・・・アスモデウスがいいかな」
ルシファー「七つの大罪にちなんでか?ははっ、俺が傲慢で、お前がエロか」
アスモデウス「色欲っていってよ・・・」
ルシファー「七つか・・・うーん・・・それなら・・・本当に7人揃えちまうか?」
アスモデウス「はあ?」

ルシファー「あのさあ、これ、俺の提案なんだけど、俺達傭兵とかやってみねぇか?」
アスモデウス「傭兵って、御金もらって暴れまくるっていうアレ?」
ルシファー「そうさ、こんな乱世だ。暴れまわる戦場を駆け回って金がもらえるなら願ったりかなったりじゃねえか。どうせ好き勝手やるなら、やってみねぇか?その中で、面白そうな奴がいたら仲間にするんだよ」
アスモデウス「ふぅん・・・面白そうじゃない。まあ、兄様はやるなら、あたしも付き合うわよ。一緒に派手に暴れまくりましょうねっ!!」
ルシファー「ははっ、そうだな。楽しみだよなぁ、腕が鳴るぜ」

そうやって一人、また一人と仲間が出来て、今のセブンズヘブンが出来上がったんだ。
そうしているうちに、生きていることに「楽しい」と感じている自分に気がついた時は驚いた。それと、同じくらい嬉しかった。

今も・・死にかけているというのに、死を恐れていない自分がいる。
恐れる必要なんてない。
思い切り全力全開でバカやって、好き勝手やって、やりたいようにやってきたのだから、後悔などする必要なんてない。

アスモデウス「慧ちゃん・・・・兄様・・・・・結構・・・・楽しかったなあ・・・あたし・・・・生きててよかった・・・・あんたたちと会えて・・・本当に良かった・・・」

そっと瞳を閉じる。
その時だった。

「役立たずのクズが・・・骨に帰りな」

憤怒と邪悪に満ちた声がして、首に何か突っ込まれたかと思いきや、自分の首から水色に光る宝石が取り出されたのが見えた。そして、そこにいたのは、智だった。

ああ、あたし、これで死ぬのか。
でもまあ、悪くないわ。
このまま・・・ゆっくり眠りたい。

「アリガト・・・ケイチャン・・・・ニイサマ・・・・・」

それがあたしの最後の言葉だった。



智「フン、どいつもこいつも使えないな、もう!!」

そういって、智がアスモデウスの骨を蹴り飛ばし、粉砕する。骨が無残にも壁に叩きつけられ、音を立てて砕け散り、それを容赦なく足で踏みつぶす。

智「・・・・もうあいつら・・・許せない・・・・・・ヒュプノス・・・・動かすか。皆殺してやる・・・・殺してやる・・・殺してやる・・・・・殺してやる!!!!」

ボコボコに殴られ、はれ上がった顔には憤怒に満ちた凶悪な気に満ちており、呪詛をブツブツつぶやきながら智はトドメといわんばかりに骨を蹴り飛ばし粉砕するとその場から出て行った。


一方。
海の上ではもはや戦況は大逆転であった。

Lバルキリー「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
Lバルキリー(ヒルデ)「はあああああああああああっ!」

Vライナーを動かしていたヒルデが戦線に趣き、ランスフォームに変身すると、ルーベットと共に艦内で槍を振り回し、一騎当千の活躍を見せていたのだ。

Gバルキリー「あ、あの二人ってかなり強いね・・・」
Aバルキリー「さすがはかつてのバルキリー、実力はかなりのものだ」
Wバルキリー「ふむ・・ヒルデの動きについていけるあたり、あのルーベットとかいうイマジン、かなりの戦闘能力だな。パワーもスピードもバランスがとれていて、無駄な動きが一切ない。実に興味深い」
シズカ「へえ、ティンクルが褒めるなんて珍しいねぇ。しっかし、あの子、マジで強いわよ」

Gバルキリー「ああ、それは認めるね」
Aバルキリー「それだけがヤツの取り柄だしな」

Lバルキリー「慧殿のためならぶぁああああああああ、エンヤゴルアアアアアアアアアアアアアッですぞぉおおおおおおおおおおぉおおおお!!!!」
Lバルキリー(ヒルデ)「・・・ねえ、君のさっきからのその掛け声、気が抜けるからやめてくれないか?」
Lバルキリー「一つ槍を振っては慧殿のためぇっ!!!二つ突き倒しては慧殿のためぇえええ!!そして三つ、勝利を挙げることは・・・やはり慧殿のためよぉおおおおおおお!!」
Lバルキリー(ヒルデ)「人の話全然聞いてないし」

Gバルキリー「一途というか・・・」
Aバルキリー「大バカだな」
全くです。

そのときだった。

パラリラパラリラパラリラパラリラ〜♪

汽笛と警告音が鳴り響き、水面から巨大な何かが飛び出してくる。
空中に線路が次々と敷き詰められ、それに乗って爆走してくるのは・・・ゴールドの車体が光り輝く緊急脱出用列車!!

愛「慧ちゃん!!」
ルーベット「慧殿ぉおおおおおおおおおおおお!!」
ルーク「キング!!」

慧「遅れてごめんなさい!!」
晶「皆!!俺たちは無事だああああああああああああっ!!」

トパーズ「当然だ」
サファイア「慧いいいいいいいいいいっ!!晶ぁぁあああああああああああああああ!!よく無事で帰ってきたね。さあ、いろいろとあっただろうけども、お姉さんのこのお胸でお泣きぃいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

スッパアアアアアアアアアアアアアアアアン(琥珀がハリセンでサファイアをドツいた音)
ゴンッ(ムーンが鉄アレイでサファイアを殴った音)
バッキイイイイイイイイイイイイイン!!(アメジストが金属バットでサファイアをかっとばした音)


サファイア「・・・・うふふ・・・泣いていいかい・・・・・この理不尽な仕打ちに」
血の海に沈む馬鹿を見て、3人がため息をついた。

琥珀「こっちがもう泣きたいよ。お前の馬鹿さかげんに」
ムーン「どこまでエロなんだよっ!!」
アメジスト「この、エロウイルス」


晶「脱出するよっ、この時代から!!」
慧「全員脱出!!」

慧の掛け声とともにVライナーとキバライナーが時空間に開いた光の中に飛び込む!!
それと同時に無敵を誇った巨大戦艦が炎に包まれて、海の奥深くへと沈んでいった。

慧「・・・今度ばかりはどうなるかと」
晶「全くです」
慧「・・・でも、生きてるんだよな、あたしたち」
晶「ふふっ、運がいいのか悪いのか」
慧「・・・・晶」
晶「はい?」

ラウンジで、二人が寄り添ってソファに座っている。
そして、誰ともなしに、慧が晶に目線を移して、話す。

慧「・・・・助けに来てくれて・・・ありがとう・・・・嬉しかったよ」
晶「・・・・何をいまさら」
慧「・・・・いつも、迷惑かけてごめんねしかいってないから・・・」
晶「・・・・慧のいいたいことは分かりますって」
慧「・・・これから更に戦いがきつくなる・・・よね」
晶「そうだろうね」
慧「・・・・晶・・・・一緒に戦ってくれる?」

慧が晶に向ける視線には、決意を秘めた真剣な光が宿っていた。
まっすぐな視線に、晶は一瞬魅入られたように口を開くがすぐさま、微笑を浮かべていう。

晶「ここまで来たんだから、とことん付き合いますよってね。慧の背中を守れるのは、晶だけ・・・なんてね」

そういって、慧を両腕で引き寄せて抱きしめるようにして、慧の頭を自身の頭に近づける。

慧「あ・・・・あああああああああきらぁっ!?」
予想もしない強引かつ情熱的なハグに慧も驚いて顔を真っ赤にしてうろたえだす。

晶「これからは・・・傷つくのも・・・ずっと一緒だ」
慧「・・・・え」
晶「お前にだけ傷つけさせはしない。俺も一緒に戦う。一緒に傷ついて、それでもなお立ち上がって試練を乗り越えていこう。慧が倒れたら俺がお前を支える足になる。お前の背中は俺が守り続ける。だから、慧は自分が信じる道を進め。俺が・・・いつもそばにいるから!!」

そして、慧の顔を見据えて、晶がこれまでにない真剣な表情で強い口調で言い切った。
慧の眼に涙がいつの間にか溜まって、ひと粒、またひと粒零れおちた。
自分を支えてくれる人が、今、ここにいることが嬉しすぎて。
慧「・・・・晶・・・・・」
晶「うん?」

慧「晶ぁあああああ!!」
晶の小さな体を覆うように抱き締め、慧が思い切り泣きじゃくる。
感情のダムが崩壊してしまったかのように。

慧「いつも不幸の巻き添えにさせてごめんなさい!!すぐにキレて暴走してごめんなさい!!一人でいつも落ち込んでばかりいてごめんなさい!!」
晶「俺も黙っていてごめんなさい!!自分勝手でごめんなさい!!慧を信じきれなくてごめんなさい!!」

「「それからっ!!」」
二人同時に息を吸う。

「「勝手に自分の運命諦めていてごめんなさい!!」」

そうだ。慧も晶もどこかで自分の人生に諦めというか見限っているようなところがあった。
「不幸」や「運命」というのは必ずしも誰にも訪れる試練のようなもの。
それを乗り越えていくことはとても辛く大変なことだろうけども、生きていく限り、胸の内に一握りの希望があれば、恐れも諦めもしない。

「「そして!!」」

お互いに同時に息を吸う。

「俺は慧のことが・・・!!」
「あたしは晶のことが・・・!!」

「「大好きです!!」」

一言一句同じ。
言いきった後で、慧と晶がお互いに赤くなった顔を見合いながら、優しげな笑みを浮かべる。おかしくって、嬉しくって仕方ない。

慧「晶・・・大好き。好きで好きで・・おかしくなっちゃうかも」
晶「存分おかしくなって下さい。晶も負けず劣らずおかしくなってますから」

そういって、笑いあう。
晶の天使のような極上の笑顔に、慧も慈愛に満ちた優しい頬笑みを浮かべていた。


―一方。
その様子を見ていたイマジンズはというと・・・・。

ルーベット「・・・・よかったですな、晶殿、慧殿」
サファイア「お幸せにってね」
エメラルド「およ?てっきりあまりのショックで落ち込むかと思ってたのに」
トパーズ「ふっ、そこまで野暮じゃなかったってことさ」
マラカイト「やれやれ・・逃がした魚は大きすぎますわ」
ムーン「でも、晶なら文句ねぇよ」
アクアマリン「そうですね」
ダイヤ「これからは彼がいるなら、自然とレディへの階段を上がることでしょうね」
ガーネット「そうだな!!」

クイーン「・・・・キング、よくぞ自分の気持ちに向き合われましたね」
ルーク「これで、一安心だな」
ビショップ「ええ・・・・」

アメジスト「次はあたしたちの番・・・さあ、琥珀、この婚姻届にサインを書いて、市役所で事務員さんに提出」
琥珀「ちょっと待てや!?そんな遊園地でヒーローと握手みたいなノリで言われても、あたしは行かねぇからなっ!?」

パール「あれ?はえ?マモンお姉ちゃん、どうしたの?」
そこにいたマモンだけが、なぜかそっぽを向いて外の風景を見ている。
パールが近づくと、マモンがどこか切なげな顔で言った。

マモン「・・・気にするな、今はあいつらの邪魔をする気はねぇよ」
パール「・・でも、お姉ちゃん、泣いてるよ」
マモンの瞳から涙が零れおちていた、そしてとても悲しげな顔。

マモン「・・・・・アスモ・・・が・・・・・死んだ」
パール「・・・・・お姉ちゃん」
マモン「・・・・あのバカ・・・・・最後まで笑って逝きやがった・・・・散々利用されて挙句の果てに捨てられたのに・・・・それでも楽しかったって・・・・石から伝わってくる・・・・あいつの最後の気持ちが・・・・・そして・・・・あいつを殺して全てを踏みにじったあのクズ野郎のムカつく顔が・・・・最後にやったことが一部始終なぁ・・・伝わってきちまってるんだよ・・・・・ちくしょう・・・・!!」

マラカイト「マモン様・・・」
マモン「だけど、あいつらの邪魔はしねぇよ。今怒りのままに暴れ狂ったって・・・どうにもなるもんじゃねぇ。この怒りは・・・・あいつをぶち殺すまでとっておくさ・・・・。だから・・・今はやるせない気持ちを抑えきれないから・・・一人にしておいてくれねぇか?」

パール「・・・お姉ちゃん」
愛「・・・ラピスさん・・・・・。パールちゃん、ここはあたしに任せて」
パール「う、うん」

そういって、立ち去った後で、愛が近くの椅子に座り、静かにマモンを見守る。
気持ちの整理がついて、自分から話してくれるまで待つつもりらしい。


一方。
石から一部始終を、アスモデウスの死を看取ったルシファーは、いつになく何かを決めた真剣な表情でカオスライナーの中にいた。
ルシファー「・・・・アスモ・・・・・。そうか、お前も死んじまったのか。マモンは・・もう・・・・戦えないよな。・・・・これで、セブンズヘブンも、おしまいだ」

ふうっとため息をつく。
そして、きっと表情を引き締める。

ルシファー「しかし、やってくれたよな、智。俺の仲間に手を出すってことはどういうことか・・・きっちりヤキ入れてやらないと分からないようだなぁ。その後でもいいだろう・・・それまでは持ってくれよ・・俺の命・・智とバルキリーとチェックメイトフォー・・・全員打ち殺すまでは・・・・!!」

凶暴な怒りをあらわにして、セブンズヘブンの首領が戦場へと赴いていた。

あのチビガキ、ぶち殺す。

そう物騒な言葉をつぶやきながら・・・。

続く
,こんにちは。
ようやく第46話完成いたしました・・・。
今回アスモデウスが退場し、マモンが戦線離脱状態、そして智に標的を定めたルシファー、そして、ヒュプノスを動かす決意を固め暴走する智・・・。次回から最終話に向けて秒読みを開始しました「バルキリー」。最後まで応援のほど、よろしくお願いいたします!!

そして、先日、イタリアーノリク様よりありがたく許可をいただけまして、「仮面ライダーイグナイト」と「仮面ライダーバルキリー」のクロス小説を書かせていただけることになりました。大変ありがたいことで、現在は設定を作っておりますので、近日公開させていただきます。

それではレスをお返しいたします。

>烈様
新キャラクター「暁」と「クリス」のメッセージありがとうございました。とてもうれしかったです!!今後とも暁くんやクリスさんからのメッセージお待ちしております!

>……ところで、気になったのですが、トパーズさんがこちらに着てくれましたけど、“クイーン”とヒルデは如何したのですか?その辺りのことが気になってきます。

クイーン「キバライナーで戦艦沈めてたよ。援護射撃ってやつ」
ヒルデ「私もVライナーで応戦していてな、頃合を見てシズカに運転を代わってもらった」

>暁「どっちが勝っても何か後味が悪いものが残る気がするな、“ベルフェ”の時みたいにさ……」

クリス「そうですね。願わくは、彼女達の戦いの果てに何かの“救い”があればいいんですけど…」

きっぱりと言わせて貰えば、“バッドエンド”は認めませんよ!例え三流と言われようとも私は“ハッピーエンド”がいいですので

もちろんです。
今回アスモデウスは悲しい最後を遂げてしまいましたけど、最期まで自分の愛する人やライバルを思いながら、楽しく生かさせてもらったことを感謝しながら死んでいく姿にアスモデウスという人間性を強く力をこめて書かせていただきました。

最終話まで危機あり、トラブルありですが、これからも応援のほどお願いいたします!!


>黒様

>その場に居たイマジンさん達感想を
「あの鋭くギラギラした視線に思わず・・・ムラムラしましたわ(デスフォーム様)」
「さすがマスター・・・触れると切れそうなナイフみたいな感じでゾクゾクしたなぁ(フェンリルフォーム様)」
「怖くてちびりそうだった(エレメンタラーフォーム様)」
「思わず逃げ出したくなった(マジシャンフォーム様)」
「私たちが生きて帰れるように神に祈りました(プリーストフォーム様)」
「このままでは女性としても人間としてもスリーアウト、チェンジかと思い危機感を持ちました(ナイトフォーム様)」
「あれ以上キレたらどうなるかと思うと・・・・想像するだに怖かったです(ソードフォーム様)」

>ショウカさんへ、慧のドス黒いオーラ何に見えた。
ショウカ「鬼じゃ・・・あれは鬼じゃああ・・・!!ボク、ボク、食べても美味しくないですよ?」
ヒルデ「ある意味トラウマものだったらしい」

>感想は
智「あの馬鹿、容赦なくやりやがって・・・!!ぼ、ぼ、ぼぼぼぼぼぼぼくを・・・・下等生物ごときがよくもボコボコにしてくれやがったなぁ・・・・・こうなったらヒュプノスつかって泣いて謝っても絶対許さない・・・全員殺してやるっ!!!」

大変お怒り、そしてもはや発狂状態です。

>ムーン、完全に血走っているヤンキーモード慧は某ボクシング漫画の主人公のリバーブロー、ガゼルパンチ、アッパーを繋げたデンプシー・ロールからなるフィニッシュブローはした?

ムーン「もっちろんだぜ!!!さらにヤクザキックに延髄けり、倒れている智を何度も踏みつけてよぉ・・・まさしくラフファイト、ルール無用の喧嘩殺法だったぜ!!」

現場に居たイマジンズへ
もしこのときの『映像』をビデオにとっていて以下のメンバー、『映像』の感想を一言。
・愛さん「あらあら、まあまあ、でも、これは、昔よりも丸くなったわねぇ。アキちゃんやルーちゃんたちと会えてから、慧ちゃんも朗らかで優しくなったわ〜♪」

・愛さんの契約イマジン
ヒルデ「これで丸くなったのか!?」
ショウカ「じゃあ、昔はこれ以上荒れ狂ってた・・!?」
レーク「・・・・どういう教育をしていたんだ」
クシナダ「・・・とりあえず・・・・強いということは分かったけど・・・強すぎるというのも考え物だな」
シズカ「でもさぁ、これじゃ婿の貰い手が心配だよね」
ティンクル「心配ないだろう。晶がいるんだから」

・晶くん「黒様、慧が本気でキレたらこんなもんじゃすまないんだよ?晶から言わせれば、これで8割ってところ?だって中学時代、晶も慧と一緒に喧嘩してたけど、その時の慧は向かうところ敵なしっていうか、かなり荒れてたから、容赦なかったし」
・ルーク「・・・・とりあえず・・・・慧ちゃん・・・・敵だというのは分かったけど・・・もうちょっとおしとやかになろうよ・・・」
・ビショップ「そうですね・・・・今度・・・聖書の朗読やミサに連れていってあげるとしましょう・・・少しは落ち着いていただかないと・・・」
・クイーン「派手にやるねえ〜♪あたしは喧嘩の見物って好きだから面白くていいけど」

ルーベット「まさしく益荒男・・・!!慧殿、やはり強くて素敵ですぞっ!!」
サファイア「むぅ・・・この位置だと・・・・黒いブラが見える・・・!!」
エメラルド「マジで!?どこどこっ!?」
トパーズ「見せろ、目に焼き付けさせろ」
マラカイト「お姉さまお姉さまお姉さま・・・ああ・・・素敵・・・」
ムーン「あ、このビデオ、ダビングしてくれよっ!!あとで技の研究につかうぜっ!!」
バカが6人いました。

琥珀「・・・あいつらは本当にバカだ・・・・」
アメジスト「・・・慧ばかり見ちゃダメ(琥珀を後ろから縛り付けながら)」

琥珀「やめろ、バカ、何をしてるんだ、何をするつもりなんだ、ああああああああああああああああああああああああああっ!!!(後ろに引きずられて、個室に入れられ、何かされている音)」

ダイヤ「・・・姫を今こそ、品行方正、美しいレディに教育しなければ・・・」
ガーネット「まあ、晶に任せておけば大丈夫な気はするけどな」
アクアマリン「そうですねえ・・」
パール「やっぱりいつもの優しくて笑顔が似合うお姉ちゃんがいいなぁ・・・」

以上でした。

次回もよろしくお願いいたします。
,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,1 2010年04月14日(水) 23時23分52秒,20100414232352,20100417232352,q5eBPjklaVSwM,仮面ライダー珀羅 『海神の鏡と猛き鬼龍』 ,青嵐昇華,,,



その夜、一体の魔人が八神の地に降り立った。
厚い雲の間から注ぐ月明かりに照らされてその身体は白銀の光を放っている。
場所は本来の目的地から離れた林の中、魔人はすぐに周囲の状況を確認した。

《・・・・・・土地神か、小賢しい真似を》

直接それの目の前に転移したはずが、関係のない所に出てしまったようだ。
町に流れる霊気の具合を探ってみると通常では考えられないほど複雑に、それでいて決して乱れず綿密に組み替えられていた。

おそらくは“外”からの進入に対する防御策といったところか・・・・
転移に失敗したのはこの神為的な“揺らぎ”の為と見てまず間違いない。

この町の中ならば直接の転移は出来ない、と魔人は陸路でそこに向かった。
雑木林をいくつも越え竹林を行くと暫くして魔人はぴたりと足を止めた。
目の前にあるのは祠(ほこら)、扉を開けると中には澄んだ蒼色の鏡のようなものが安置されていた。

《これか・・・・・》

「待ちやがれっ!」

背後から聞こえる声に魔人はゆっくりと首を動かした。

魔人のやってきた道にそれぞれ朱と白の鎧を纏った二人の仮面の戦士が立っている。
熱気を撒き散らしながら魔人に刀を向けているのが『炎神鈴音』、蓮見燎子。
それとは対照的に涼しげな空気を纏ってじっと相手を観察しているのが『氷神月華』、矢倉雪乃だ。

「あなた、七曜ね。“鱗”をどうするつもり?」
《・・・退け、この地にはもう用はない。》
「テメェになくてもこっちにはあんだよ!」

先手必勝と魔人に向かって鈴音が駆け出した。
風の中を行く摩擦で炎を上げた刃が徐々に魔人に迫っていく。

《ふん・・・・・・》





「せやっ!!」

ぶんっ、と勢いよく刀を振るう鈴音。
最初の一撃が相手の肩を捉えると、鈴音の刀は次々と相手に襲い掛かる。
魔人はというと何も出来ずにほぼ棒立ちで攻撃を受け続けていた。

《・・・・・・・・》
「なんだなんだ?全然弱いじゃねぇか・・・」

その手強そうな見た目に反して、早くもこちらのワンサイドゲームになって来ている。
流石に手応えがなさ過ぎる気もするが・・・・もしかするとこのまま押し切れるのではないか、そう思っていた時だ。

「何してるの燎子!?後ろよ、避けて!」
「は・・・?先輩何言って・・・ぅがっ!?」

背中に強い衝撃を受け鈴音がゴロゴロと地面を転がった。
竹を薙ぎ倒しながら転がって行く鈴音だが、すぐに受身をとって足と刀で踏ん張りなんとか体勢を持ち直す。

「燎子、大丈夫?」
「痛っ・・たぁ・・!ど、どうなってんだ・・!?」

まだぐらぐらする頭を振りながら鈴音が言う。
燎子にして見ればまったくいきなりなことで状況が飲み込めなかった。

「幻術に掛けられたみたいね。あなたが斬ってたのは敵じゃなくて・・・ほら、見て」
「なっ・・・!?」

促されて辺りを見渡すと、ある一区画だけ竹がずたずたに切り倒されていた。

つまり鈴音が敵だと思って斬っていたのはただの竹だったのだ。
敵に化かされ勝手に竹狩りに夢中になっていたところを後ろから悠々と攻撃された、ということらしい。

「・・・・ぅ、ぅぉ・・・・・・(////)」

仮面の中の燎子の顔が怒りと羞恥心で真っ赤に染まる。
昔から熱の上がりやすい体質で、何かあるとすぐ赤くなるのだが・・・・
幻に踊らされ、しかもちょっといい気になっていたのでなおさら恥ずかしかったようだ。

「油断しないで、死霊獣なんかとはまったく桁が違うわよ」
「お、おう・・・・」

燎子の数珠は玉緋が持っていたものだ。
忙しくなる、と玉緋は自分抜きでも燎子が変神出来るようこの数週間掛けて数珠に手を加えていた。(マニュアル車を無理やりオートマに魔改造した感じ?)
そのついでに、術の打ち消しの一つも出来ない燎子の為にと数珠が幻術呪術の類をオートで跳ね返してくれるよう調整してくれたらしいのだが・・・・

「集中して。意識をしっかり持っていればある程度は幻術にも耐えられるから」
「って言っても、具体的にどうすりゃ・・・・」
「『負けないぞ!』って気合を入れればいいの、燎子得意でしょ?」
「それならなんとか・・・!」

その手の術に引っかかり易いのは単に燎子が単純だからかもしれない。
だがそれも見越しての玉緋の対応策も効果なしとなると、相手はかなりの使い手であることが窺えてくる。

(・・・・困ったわね・・・・・・)

雪乃は先ほどから相手の様子を見ていたが、やはりこの魔人は今までの相手とは別格だった。
動作にまったくと言っていいほど隙がなく全ての振る舞いが洗練されている。
今の幻術にしても鈴音は軽くいなされた程度であったが向こうが本気で掛かってくるとなるとこちらも覚悟しなければならない。

《ふん・・・・》

魔人が手をかざすと見たことのない法陣が描かれ空間に穴が空く。
“外”へ出るのは可能のようで魔人は転移の体勢に入っていた。

「っ、待ちなさい!」
《・・・用はないと言った》

月に雲が差し掛かり一瞬視界が悪くなる。
気付いたときには魔人はこの竹林から姿を消していた。







「やられたわね・・・・・」

もう相手の気配を辿ることは出来なかった。
完全に逃げられたことが分かると二人は数珠を外して変神を解く。

「・・・なぁ、先輩。あの銀色のが持ってった鏡みたいなの、あれ何なんだ?」

急な呼び出しだった為もあって今回のことは燎子は何も聞かされていなかったが、ここに来たことでいくつかの点が気になり始めた。

先ほど戦った今までと雰囲気のまるで違う敵、それが奪っていったもの・・・・

「それに・・・・・」

この場所、じっと辺りを見回すと見覚えのある風景だった。

「ここ・・・・あ、“あいつ”の家の裏山だろ・・・?」
「濠ではないわね、燎子があいつって言うくらいだから。・・・・澪示君?」
「っ・・・・・あぁ・・・・」
「・・・・・・・」

燎子の表情が曇るのを雪乃は見逃さなかった。

「いい、燎子?これ知るということは関わると言うことよ」
「もう関わってるじゃねぇか。そんなの今更・・・・」
「違うの、もっと深く・・・・あなたが今まで知らなかったのは自然にそうなったのではなくあなたを巻き込みたくないという彼や『待ってくれ!』・・・」

雪乃の言葉を燎子が遮る。
燎子は躊躇っているようで口を開けたり、閉じたりしていたがやがて恐る恐る言った。

「あ、あいつもこういうのに関係あるのか・・・?もしかして・・・・あいつがいなくなったのにも・・・・・」
「そう、関係があるわね」
「っ・・・・・!」
「・・・聞くかどうかは燎子次第。あなたもこちら側の人間になったのだから知る権利はあるわ、『霧島』について」

玉緋や雪乃はその時々で必要なことを必要な分だけ話してくれる。
先日の一軒から日常とは違う世界に入ってきた燎子は、知らないことがこんなにあるのだと驚いていたのだが・・・・



今回のことで燎子自信、自分は本当に何も知らないのだと気付いた気がした。






【仮面ライダー珀羅〜海神の鏡と猛き鬼龍〜】





九月の中旬、よく晴れた昼下がり。
すっかり暑さも引き風の心地よさと日差しの暖かさを楽しめる頃のことだ。
築五十年ほどになる古い骨董品屋の前に最近ではすっかり顔なじみになった客が訪れていた。

「こんにちはー」

美しい黒髪に世間一般で言う美少女の範疇にまぁ入るであろう顔立ち
祝日で学校は休みなのに学生服を着て来るのは正義を愛する真面目な性格故か・・・
ハーフ天狗の少女、鴉美である。

「よう、いらっしゃい」

と、ジャージ姿で出てきたのはこの店の店主、大峰恭也である(絶賛彼女募集中)
茶髪のツンツン頭に人懐っこそうな笑顔の特徴的な少年だ。

「あれ?何だかいい匂いがしませんか?」
「あぁ、濠の奴がオヤツ作ってんだよ。ほら、この前貰った芋あったじゃん」

鴉美はあの天狗騒動の解決に協力して貰ったお礼として濠の手伝いをすることになっている。
なるべく共に行動した方がよいだろうと濠や恭也の高校に通うことになったのだが、その物怖じしない明るい性格の為か入って3日も経たない内にクラスにすっかり溶け込んでいた。
そして交流があるのは学校だけではなく、ほぼ毎日のように店に顔をだしてはお茶を飲んで行くという感じになっていた。
その時は大体、天狗の里から新鮮な山の幸や川魚などを持ってくるのでこれは貧乏苦学生の二人にはありがたい限りであった。

「恭也、焼きあがっ・・・・おぉ、鴉美か」
「こんにちは、濠さん」
「いい時に来たな。二人とも上がって待っていてくれ、すぐ用意してくる」

エプロン装備で出てきた濠はそう言うとすぐまた台所に消えていった。

「濠さん、やっぱりご機嫌ですね」

ポーカーフェイスがデフォルトでむっつり顔の絶えない濠だが、心なしか表情がいつもより柔らかいし声の調子もどこか軽やかに感じられる。
普段ブラックコーヒーとかを啜ってそうなイメージがある濠だが、実は甘いものに目がなかったりする。(ちなみにコーヒーには角砂糖五つは入れる)
そのことを知った鴉美は最初かなり驚いていたが、つい先日までここに泊まっていた冢杏から聞いた話だと濠の母方の家系は基本的にそんな感じらしいので一応そういうものなのだと納得した。





「待たせた」

居間で待つこと数分、濠が創作焼き芋タルトとお茶をもってやってきた。
タルトは切り分ける前の大きいもので表面には紅葉の模様が綺麗に散りばめられている。

「わぁっ!可愛いですね、秋だなって感じがします!」
「そう言ってもらえると作った側としてはとても嬉しい」

それなりに自信作だったようで濠もまだ食べる前だというのにちょっと満足げである。

「なぁ〜、そんなこといいから早く食べようぜ〜!」
「恭也さん、もうちょっと風情を持ちましょうよ・・・」

食べ物に対して「美味しそう」とは思うが「可愛い」とは決して思わないのが恭也である。
好色野郎のクセして色気(風流心)より食い気とはこれいかに。

「まぁ、このまま食べないのも勿体ないからな」
「そうですね・・・・あっ、そういえばこれを忘れていました」

鴉美がショルダーバックからガサゴソと容器を取り出した。
蓋を開くと中にはクッキーのような焼き菓子が詰まっていた。

それは鴉美が母親から持っていくようにと託ってきた手作りのお菓子らしい。

「む、頂いていいのか?」
「もちろんです。さ、どうぞどうぞ」
「そうか、では遠慮なく貰おう」
「あ、オレもオレもー」

何とも芳ばしい匂いが空きっ腹を攻撃してくるように漂ってくる。
二人はそれぞれ一枚摘み口に運んだ。

「む・・・・・」

咀嚼しているうちに爽やかな潮風に打たれている気分になってくる。
その原因はほのかに感じる塩の風味であると濠はすぐに理解した。
それは強過ぎず弱過ぎず絶妙なバランスを保っていてお菓子の自然な甘さを引き立てるよい仕上がりになっている。

「・・・・・・・」
「えっ、なにこれうまい!もう一枚もらうぜ」
「えへへ、気に入って貰えてよかったです。それ私も大好きなんですよ」
「・・・・・・・」
「濠さん?・・・もしかしてお口に合いませんでしたか?」

こういったお菓子に目がないはずの濠がさっきからむっつり顔でずっともぐもぐやっている。
いつもと違う様子に鴉美が心配そうに声を掛けた。

「む、そんなことはないぞ。むしろよく味わっていたところだ・・・・」
「甘いお菓子でほっこりしてない濠も珍しいよな」
「・・・・・いや、巧いものだと思ってな。単に驚いているだけだ」

職人目線で見るとただただ関心させられる。
軽く『味の開国記念日やー!!』というような感じだった。

「それにどこか懐かしい感じもする。以前に食べたことがあるような気がしないでもないが、どうにも心当たりがない・・・・・」
「あぁ、そういうのって何かモヤモヤしますよね。分かります」
「デジャブって奴だな、たしか日本語ではキンシンソウカンだっけ?分かる分かる」
「よ、余計なものが多すぎです。それを言うなら既視感(キシカン)・・・・」
「あー、そう言われれば何か俺もムラムラしてきたーーー!」
「モヤモヤですよね!?というか恭也さん、ワザと言ってますか!?」
「む・・・・・・・」

『・・・・・・・』

恭也と鴉美がセクシャルな漫才をしている中、濠は部屋の一画に双角の獣の姿を見た。

「白澤、仕事か?」

体色は白を基調としているが毛先の方がほんの少し翠色に染まっているのは綺麗なものだ。
その神獣の名は白澤、濠に『珀羅』の力を貸してくれているこの辺りの土地神である。

「急ぎの用なのか・・・・?」
『あぁ、すまないがすぐに頼む』

濠は土地の調整でてんてこ舞いな白澤に代わってこの地で起こるごたごたの解決役をしている。
そのほとんどは暴走した妖怪の沈静化や悪霊退治だったりで、たまにこうして急に呼び出しが掛かるのだ。

「む・・・・・」

濠の視線の先にはまだ原型を留めたままのタルトがあった。
そういえばタルトの方はまだ一口も食べていない。
手作り菓子はもちろん保存料等が入っていない為、繊細で出来ればあまり時間を空けず食べるべきところなのだが・・・・急ぎの用事ならば仕方がない、と濠は心の中で涙を飲んだ。

『間食中だったのか・・・』
「いや、大丈夫だ。それで・・・?」
『七曜だ。この前の奴と似た気配が出た。』







《・・・・・・・》

濠達のいる高天原の周りにはまだ人の手が入っていない巨大な山々が多くそびえ立っている。
そのうち一つの上空、薄い雲の上には全身を紅蓮に染めた火の魔人が鎮座していた。
魔人の周りでは大気が焦げて景色が揺れ動いている。

《フン・・・・・・・》

「そこのあなた!」

風を切る音と共に姿を現したのは漆黒の鎧を纏った『風神嵐羽』。
濠から話を聞いた鴉美はそのスピードを活かし先行してやってきていた。

「この前のシャニ【土】とか言う奴の仲間ですね!また扇を狙いに来たんですか!?」
《妖の娘か、汝に用はない。吾の為すことは・・・・っ》


ヴヴヴヴヴヴヴヴンンンンッッ!!!

エンジンの音がもうスピードで山肌を駆け上がって来ると、木々を突き抜け翠色の影が空に飛び出して来る。
二本の角を持つ翡翠の鎧を纏う鬼、仮面の闘士『珀羅』だ。

「濠さん、早かったですね!」
「姉さんに真空を置いて行ってもらって助かった。・・・・お前は計都の遣いか?」
《吾が名はマンガラ【火】、七曜が一つなり》
「目的はなんだ・・・?」

相手が頭上に魔法陣のようなものを出し別の空間へと繋ぐと、そこから大槌(ハンマー)を引き抜いた。
応じるようにこちらも静かに腕の拐(トンファー)を構える。
動いたのは相手が先だった。

《吾と戦え、ゴウ!!》
「やはりこうなるか・・・!」

マンガラが槌を掲げて向かって来ると、珀羅は避けるのではなく逆に相手に向かって全速力で駆けた。
相手の得物があれだけ大きければ振るおうにも隙が生まれるし懐に入れば何も出来ないはずである。

「・・・っ、なっ!?」

相手の槌がギリギリ届くあたりに入った時、珀羅はそれ以上進むことが出来なくなった。
火の魔人、マンガラの周囲には灼熱の壁が出来ていて少し入っただけでもすぐ身体が危険だと判断したのだ。

《どこを見ている》
「くっ、ぬぅっ!?」

とっさのことで反応が遅れると既に目の前に大槌が迫っていた。
辛うじて両腕で振り下ろされる槌を受け止めるがその一撃はかなり重く、また更に近づいたことで鎧越しにでも先ほど以上の熱が濠を襲ってきた。
組み合っているのは本当に危険だと珀羅は早々に攻撃を払い流し、即座に離脱し間合いを取り直す。

「大丈夫ですか・・って、鎧溶けてませんか!?」
「表面だけだ問題ない・・・だが、あの熱は厄介だな。」
「代わりましょう、私が行きますよ!」
「いや、止めておいた方がいい」

嵐羽の鎧は風の力に頼っている分軽くて素早く動けるが、耐久力はそれほど強くない。
珀羅が近づいただけでもただじゃ済まないのに、もし鴉美が接近戦で組み付かれようものならば良くて大やけど、最悪焼き鳥である。

「や、やきとっ・・・!?(ゾワッ)・・・で、でも!濠さんのは結構ダメージ受けてますし・・・」
「こいつがあるさ」

珀羅は神霊札を使って金輪を転送すると、それを左腕に嵌めて『転神』と言霊を放った。
すると周囲からどんどん金色の光が集まって瞬時に鎧は再生、そして変化し新たな装甲へと進化した。
翡翠だった姿はたちまち黄金に染まりきった。

《シャニを滅ぼした金色の夜叉か》
「行くぞ!」

金輪の力で拐を再構築し、刺又へと変えた珀羅はそれを投擲しマンガラへと突き刺した。
目視できるほど大量の金気が黄金の光を上げ、マンガラの中へ流し込まれていく。
相手の動きを封じると珀羅は足に破邪の気を集中させた。

《ぬぅ・・・・・!》
「鬼面嚇妖・・・『覇皇穿掘脚(インペリアルケイブド)』!!」

珀羅の蹴りに勢いが加わり、黄金の錐となってマンガラに迫る。

「む・・・!?」

だが、どうしたことか―――‐マンガラに近づくにつれ、しだいに珀羅の足から力が抜け落ちてゆく。
そして相手に届く頃には『金剛』必殺の技はとうとう通常の蹴りと変わらないものになっていた。

《温い、これしきで!》ボォオォ!!!
「くっ・・!?」

足を踏み入れたところから火山のように炎が噴出し珀羅を襲った。

「ぐぁぁぁぁあああぁっ!?」
「濠さん!」

炎に身を焼かれ、火達磨になった珀羅が空を転がる。
待機していた嵐羽が回り込んで珀羅を支えたころには火は消えていたが、珀羅のダメージは大きなものだった。

「くっ、何だ・・・防御力が落ちている・・・・?」
「ご、濠さん!鎧が元に・・・!?」

耐久性も大幅に強化されるはずの『金剛』の装甲だが
炎の攻撃を受けた後それは消え、珀羅は元の姿は状態に戻ってしまっていた。

「まだ俺の霊力は切れていないぞ、何故だ・・・・」
「・・・・ぁ・・・も、もしかして!」

数年間、天狗としての修行を重ねてきた鴉美にある言葉が浮かぶ。
【火剋金】――――−五行相克という自然界の哲理によるならば金の力は火の力に弱いことになる。

金輪の集める金気は本当に純粋なものでその力は金気のみから成っていると言っても過言ではない。
だから金の力で、あれほど強い火気を放つ魔人に挑むのは逆効果だったのだ。

《フン・・・・・・》
「マンガラ・・・!!」

紅の魔人が大槌を担いで珀羅達に近づいてくる。
魔人は珀羅を追撃せんと槌に炎を灯しそれを振り上げた。

《それまでならば汝にも用はない、ここで滅びよ!》
「くっ!」
「濠さん、私の後ろへ!」

嵐羽が珀羅の前へと出ると腰から団扇を引き抜き天を仰ぐ、そして力の限りそれを振り抜いた。

「風よ!―――−疾っ!!」


ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!

《ぬっ・・・・っ!?》

突如、もの凄い突風が発生し紅の魔人に吹き付けられる。
マンガラはそのまま風に流され地上へと落ちていった。

「っ、まずい!奴が森に・・・!」
「え?」

魔人が落ちたあたりから火が上がり、周りに急速に燃え広がっている。

「廻りが速すぎる・・・」
「あややややや山に火がぁっ!?!??は、早く風で吹き飛ばし・・ぁ、あーーーー!?」

【木生火】―――――−という言葉が鴉美の頭を過ぎった。
木気の力は火気を強める、風の力は木気であるため火に余計な力を与えてしまったのである。
しかも落ちた先は木気が溢れる山の中・・・火に油(植物性)を注いでしまったとはまさにこのことだった。

「あわわわわわわ?!?!??!わ、私やっちゃったぁぁぁ!?!?!?」
《ブルハスバティ【木】にも劣る汝の風など・・・吾が糧にしかならぬ》
「マンガラ・・・!」

鴉美が慌てふためいているうちに、炎の中心から火柱を上がり紅の魔人が再び空へ昇ってくる。
確かに全身に纏った炎の勢いは先ほどのものより強くなっているようであった。

《終わりだ・・・・》
(くっ、まずい・・・・・!)


《待て》

奇妙な模様が浮かびあがったかと思うと突如何者かが現れた。
それはシャニや今戦っているマンガラと似た姿を持った銀色の魔人だった。
その手には鏡のようなものが抱えられていた。

「こ、こんな時にもう一体ですか!?」
「なっ!?あれは――――−《受け取れ、ゴウ》っ!?」

魔人が持ってきたものに濠が反応を見せると、魔人は的確に濠のところにそれを投げ渡した。
手元に渡って来たそれに驚きを隠せないまま濠は魔人に目を向ける。

《吾が役目、確かに果たした》
「待て!お前は・・・」
《七曜が一つソーマ【月】、いずれまみえる》

再び転移しようとする魔人を珀羅が呼び止めようとしたが、それだけ言い残して魔人は姿を消した。

「何だったんでしょうか・・・?あっ!?いややや、今はそれよりマンガラと火事ですよっ!」
「あ、あぁ・・・・・・」

予期せぬ来訪者も去り、再び慌て始めた鴉美。
濠は手にした鏡をじっと見つめた。
それは間違いなく霧島の一族に伝わる神器、『応龍の鱗』だった。

実家の祠に祭ってあるはずのこれが、どうして敵の手にあったのか。
そして何故それを自分に渡したのか・・・・様々な考えが濠の頭を巡る。
しかし考えている暇はない、この状況を打破する為にはその力に頼る他ないからだ。

(扱い切れるのか、俺に・・・・・)
《フン、吾の役目も果たす時か・・・!》
「濠さんっ、来ますよ!」

珀羅に向かってマンガラの大槌が迫って来ていた。

(いや、今はやるしかない・・・迷うな!)

珀羅は鏡を持った手を天に掲げ、それを粉々に握り砕いた。
するとその鏡の欠片はキラキラと蒼い輝きを放ちながら珀羅の身体に入っていく。

『転神!!!』







ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ


「な、何ですか!?急に天気が・・・」

空の上に居た嵐羽は突然発生した雨雲の中にいた。
さっきからずっとバケツをひっくり返したような激しい音が聞こえてくる。
雨が降っているらしいが雲で視界がとても悪くそれ以外のことは分かり辛い。

「よく見えませんね・・・濠さんはどこに・・・・」

『ガァァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!』

「ひゃっ!?」

急に雷が鳴くような音が上がり鴉美が跳び上がってそちらを向く。

―――――――−ピカッ・・・・・・

『ゥゥ・・・・!!!』
「っ!?」

相変わらず視界は悪いが、一瞬、雷の光が雲の中を照らした。
そこで鴉美は神話で聞くような悪魔の姿を目撃した。

『グォオオオ・・・・!!!』

鋭利な爪の伸びる大きな手甲(ガントレット)、背後には丈の倍はある蝙蝠のような翼。
身体のあちこちから装甲である鱗が反り立ち、全身が剣のようにも見える。

「も、もしかして・・・・濠さんなんですか・・・・?」

四本の角をしたこの悪魔に鴉美は珀羅の面影を見た。
勇気を出して少し近くによって見るとやはりそれはどこか珀羅に似ている。

これが四霊の器の一つ『応龍の鱗』で転神した珀羅の姿、『昂幻』だ。
身体に留まり切れない覇気がおびただしい蒼い光として漏れ出していた。

『・・カゼ、ヲ、オコセ・・・・!!』
「え・・・?」

唸るような声で珀羅が嵐羽に向かって何か言う。
一言一言発するのもやっとと言う様で人語なのか唸っているだけなのか判別し辛かった。

「あ・・・あの、風を起こせばいいんです・・・か?」
『ジカン、ガ、ナイ・・・!!ハヤク!!!!』
「ひっ!?は、はい!」

殺気にも似たその迫力に押され、急かされるままに嵐羽はもう一度団扇を抜く。

『風神の団扇』――――――−それは一振りすれば風を呼び、二振りすれば嵐を征するとされている。
嵐羽の起こした風は雨雲や豪雨を巻き込み、一瞬で嵐にまで昇華していった。
山に燃え広がった火が完全に消えるのには数秒も掛からなかった。

「やった・・・!」
《フン、吾が炎を消し去ったか》
「マンガラ!?」

嵐羽の風で雲の一部が払われると、その先に紅の魔人の姿があった。

《猛き龍神か・・・》
『・・・・ォオオオオオオオオオオオ!!』

反り上がった鱗の間から霧が噴出し、珀羅と魔人を包み込んだ。
霧の結界により相手と自分だけの世界を作り出す一族相伝の秘術『封魔幻影霧(イリュージョンミスト)』である。
本来なら現在の霧島の人間で水の力を扱えるのは巫女に限られていたのだが、龍の長の力を宿した今の濠にはそれが出来た。

《その力、吾が身を以って試さん!》
『コォオオオオリュゥウウウウウウウウ!!!!!!』

濠の叫びに応じて水の身体を持つ龍神、蛟龍がその周りから次々に出現する。
無数に現れる水の龍は幾重にも重なりマンガラに向け巨大な波をつくっていく。
怒涛の勢いで押し迫る波はそれを容易く飲み込んだ。

《ぬぅ・・・ぐ!?!?》
『ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!』

珀羅は荒れ狂う波の中を突っ切り、鋭い爪による手刀を叩き込む。
爪はマンガラの身体を貫き、光となった魔人は荒波の中に消え去った。






『・・・・・・・・・・・』

霧が晴れると腕を突き出したまま固まった珀羅の姿があった。
その直後、一瞬鎧から蒼い光が上がるとすぐに散って生身の濠の体が残った。

「濠さん!」

鴉美も変神を解き、倒れようとしている濠の傍に急いで降りた。
力が抜けたように崩れる濠を鴉美がなんとか支え起こす。

「濠さん!大丈夫ですか!?しっかりしてください!」
「・・・・・・・・・・」

濠の意識はもうなかったが、ちゃんと息はしているようだ。
流石の濠もあれだけ激しい戦闘をすれば疲れるのが当たり前である。

「はぁ、すぐに店に運びますからね・・・」
『―――――−***』
「え・・・?」
「・・・・・・・・」

濠を背負って移動しようとした時、鴉美は一度目を開けた濠が虚ろに何かを言ったのを聞いた。
何を言ったかまでは聞き取れなかったのだが、聞き直す暇もなく濠はまた目を閉じ沈黙した。

「あれ・・・今・・・?」







『マンガラをも滅ぼしたか。貴様の覇動、感じるぞ・・・』

暗黒の中、遠くの方で青や赤の光が瞬く不思議な空間。
神界とも霊界とも地獄とも違う世界の闇の中で凶星が一つ座していた。

『だが、まだ遠い・・・ソーマ【月】よ』
「ここに居ります、ケイトゥ【計都】様」
『奴に与える更なる器を持って来るのだ』

手前で跪いている銀色の魔人、ソーマに計都は新たな命令を下した。
しかし、ソーマは少し頭を上げると計都に向かって進言する。

《お言葉ですが、他の三神の器は龍神のものとは違いかの者には扱えぬかと》
『フン・・・では貴様は何とする?』
《“爪”を探して参りましょう》
『人界より消えた創生神の勾玉をか?それは気が遠い・・・』
《かの者に与えるならば他にはありませぬ。》
『ならば器などいらぬ・・・シュクラ【金】は居るな』

《はっ・・・》

計都が首を傾け、虚空に向かって呼びかけるとそこに黄金色の光沢を持つ魔人が現れる。

『星が廻りし後、あれに仕掛けよ。だが分かっているな・・・?』
《承知しております》
『フン、下がれ』

シュクラと呼ばれた魔人は深々と頭を下げるとその場からスゥっと消えた。
後には先ほどと同じく計都とソーマの二体だけが残った。

《よいのですか・・・・?》
『あれには戦神の血が流れている。戦の中で奴は真の覚めを迎えるだろう』
《・・・・・・・》
『どうしたソーマ、浮かぬ様だな』
《いえ・・・》






九月二十日(土)雨

三日前の戦いで濠さんの降らせた雨はまだ降り止みませんでした。
一応私も風だったら操れますが、ここまで天候に影響を与えられる濠さんはやっぱりすごいと思います。

昨日は濠さんが学校を休んだので学校がお休みの今日、濠さんのお見舞いに行きました。
すると、ちょうどお店の入り口でコンビニの買い物袋をさげた恭也さんと出くわしました。

「あれ、恭也さんこんなに雨が降ってるのにコンビニまで行ってきたんですか?結構遠いのに・・・・」
「まぁな。お前も土砂降りの中ごくろ・・・ライトグリーンとは珍しっ!」
「らい・・・?」

恭也さんが目をクワッと見開いて何処かを凝視していたので目線を辿ってみると
そう・・・・まぁ案の定私の胸、というか雨の湿気で若干透けて見える下着だったわけで・・
その下着というのが、この前町に視察に行ったときに買ったばかりの新品(お気に入り)だったのでそれは珍しいはず・・・・

「って、コラー!!!」どげしっ
「そげぶっ!?」

反射的に胸を隠して目潰しキックを放ってしまいましたが、あの頑丈な助平なら大丈夫でしょう。
しかし、自分の頭より高く足が上がるとは・・・これも毎日やってる柔軟運動のおかげですね。

「ぅぐ、下は・・・水色・・だと!?なんというアンバ『そぉいっ!』ぉぁぁぁぁあがっ!?」
「仕方ないでしょう!雨で洗濯も大変なんです!家には乾燥機とか便利なのないんですよ!(////)」

あの時はとりあえず黙らせたかったのでとっさに練習中の技を掛けてしまいました。
きりもみしながらの蹴りってやっぱり威力高いんですね、壁への衝突音で窺えました。
だいたい出来上がってきたのでそろそろ名前でも考えときましょう。
私も早く濠さんのように必殺技の一つも撃ちたいところです。

「やは・・り・・・レー・・ス・・・派・・・」ガクッ

アホはほっといて私は濠さんの部屋に向かいました。


コンコン

「濠さん具合はいかがですか?」

中に入ると布団から這い出すように濠さんが身を乗り出しました。
どことなく動作がぎこちなく、一つ一つゆっくりやってましたね。

「ア美か。ダイ、丈ゥぶダだが、暫クまと、モにウごけん。」
「へ?あの・・・・え?」
「うろコ、ノ影きョ、ウだ。本ライなラ、巫女デ、あル・・」
「・・・・?」

「濠、今しゃべるのやめときなってwwwすっごく頭ワルく聞こえるぜぇwwww」

いつの間にか恭也さんが隣に立ってケラケラと笑っていました。
しぶとい・・・というか、恐ろしい回復力です。

「あの・・・濠さんどうしたんですか?」
「一昨日、コイツん家の秘宝みたいなの使ったらしいじゃん?」
「はぁ、確か応龍の鱗でしたっけ・・・」
「電話で聞いてみたんだけど、どうやらそいつがコイツの家族の血?をすこぶる活性化させちまうんだと。そんでほら、目がまっ金々」

確かにこの時の濠さんの目は金色に変わっていて、夜の猫のように鋭い眼差しでした。
直に目を合わせると私は狩られる直前の雀のような気分になりました・・・・

「慣れないと副作用的なので声がこんな感じで、筋肉痛が超痛いみたいな?ツンツンすると面白いんだぜ、これがwww」
「ムっ・・・・!」

・・・筋肉痛が痛いって・・・・・・・
恭也さんの場合、ワザとやってるのか本気で残念なのかわかりません。
まぁ、わたしも失敗多いですし人のことはあまり言えませんけど。
というか、痛がっている人にツンツンって酷いです。

・・・・・本当はちょっとやってみたい気もしましたがそれは秘密です。

「まぁ二、三日で治るって話だから大丈夫じゃねぇの?あー、それより濠」
「ム、ムっ・・・・!」

濠さんは恭也さんが近づくごとに這って離れようとしていました。
どれだけツンツンされたんでしょうか・・・・

「逃げるな逃げるな。ほら、お前の好きなバーゲンタッツ買ってきてやったんだから。これでも食って大人しく寝てな」

恭也さんがコンビニ袋から出したのは安価で有名なカップアイスでした。
その時の濠さんはというと複雑な表情で・・・多分自分の降らせた豪雨の中わざわざ遠くのコンビニまで行ってくれたことに嬉しくもあり、そして申し訳ない気持ちもあったんだと思います

「・・・・スマん」
「気にすんなよ。他の買い置きも切れてたしちょうどよかったぜ。疲れてる時は甘いものだろ?ま、お前はいつも食ってるけどなっ!」

こういうところが恭也さんのずるいところです。
いつも残念なくせにたまにちょっとかっこいいので日ごろの駄目さも許してしまいますね。


あ、そういえば三日前ですが・・・・・あの時、濠さんは何を言っていたんでしょうか?
濠さんの目は今日ずっと金色をしてましたが、あの時は一瞬だけ翠色だったような気がします。
私の気のせいかもしれませんけど・・・・


お母さんに言われてつけ始めたこの日記ですが最近は単なる修行記録というより
普通の日記っぽくなってなんか嬉しいですね。

さて、こんなところでもう寝ましょうか。



来週は濠さんも学校に来られるといいですね。






,
えっ、空の上で酸素が少なきゃものは燃えないって?こまけぇことは(ry

青嵐昇華です。早いものでもう四月・・・・ジャスト一ヶ月か。
・・・・くっ、だから見直しが長(ry
ちなみに焼き芋のタルトは天狗がありがたくテイクアウトしていきました、テンクュー!!

紗魅「山田くん、座布団もってってー!」
冢杏「はいは〜い♪」ざっ

はぅっ!?

フィナ「ちなみに今のはですねぇ〜。天狗とテイクとテンキューが・・・」
檬瑠「もうやめてぇえ!セイランの座布団はもうゼロだよ!?もう勝負は(ry」

フィナ「そういえばチョコちゃんもう帰ってきたんですかぁ〜?」
冢杏「そうなんだよ〜、本当はもうちょっと出たかったんだけどさぁ〜。」


ぶっちゃけ早いとこ進みたいので新顔勢動かすので手一杯でした!

檬瑠「メタ発言っ!?」
紗魅「まぁ、それでも遅いんやけどな。二週間に一本が目標やったやろ?土下座せい土下座」

申し訳ありんすorz

あ、ちなみにチョコさんはたぶん今後も出てくる予定です。(ちょい役だけど)
つか、かおりんも出てねぇなっ!かおりんは次回から本気を出すよ!?・・・多分(ぉ


超☆返☆信!!ウィーンウィーンウィーンシュピーン!!〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【警告】今回はいつも以上に日本語とテンションがおかしいですので心して欲しいんですの(謝)



To YPさん(おぉ、まおうぴーえすぴーにさらわれたわぴたんをたすけだせるゆうしゃはどこかにおらんのか、ょょょょ・・・)

>今日のせーらんたんは一味違うのだわ、アダルティーなのだわ……!(ぉ

セイランの“セ”は“セクシー”のセ!!(嘘)

>〉Nice Guyさんの過去(?)バナ
>結局のところ、甲明さんは悠ちゃんのパパンってことでいいのかしら?

答えはイエスでいい!!・・・・・ところで続きはまだですか?(ぉ

急かすつもりは毛頭ありませんけど、やっぱり皆さんが作品を投稿されるとなんか自分も「やったるわー!!」って気持ちになるので・・・そういう意味でも次の作品が楽しみですね。
私も今年は割りと振り切って行くつもりなので皆さんのやる気の一欠片にでもなれればいいですねー。

>これが噂に名高い甲明の罠か、汚いな甲明さすが汚い。

雪山で出会ったばかりの美人ちゃんをお持ち帰りしちゃうあたりゆ〜ちゃんのパパンだなぁと・・・(苦笑
ちなみに“甲武”は半妖ということになりますが、悠麻は魂のみ半妖、体は普通に人ですね。

>あとストーカーされまくってたママンカワイソス……(´;ω;`)
>最後の瞬間には(悠ちゃんを思う親心だけでも)救われてたと思いたいですなぁ。

本人は山の中で変わり映えのない毎日を送るより、充実した一生を終えられたと思ってるはずですよ。

>妻帯者でありながら18禁的状況にありつくだなんて

・・・ゆ〜ちゃんは何だかんだで生涯独身(ハーレム)で押し通しそうな気がす【ミンチよりひどいので文章をお届け出来ません】

>〉Mr.TとAir、帰宅時のTとAのポジションが予想通りすぎワロタ。

カチッ『タイガー!』  カチッ『エアー!』

『タイガーファルコン!!』ゴザルデショー

そうか、燎子さんってば最強のTFだったんだねっ!(ぉ
関係ないけど家ではミスターもアットホームダットとか見てるに違いない。
あとオトメンも夏・秋と両方見てるに違いない。

>てかさりげなく出てきた湊ちゃんの話が一番気になるんですががが。

湊も結構責任ある立場なんですよねっ!(謎



To 『烈』さん(名前打ち間違うとかとんでもミスやからしてしまい申し訳ありません。)

>雪乃さんの出生についての話が語られるとは、思っても見ませんでした。

まぁ、実はあるとこの感想に出たときにちらりと宣伝はしてたんですけどね。

>甲武自身、雪女と人間の男性の間に生まれたものであったというのですからなんとも言えない気持ちになりました。

小さい頃に聞いた童話って心に残ってるものですけど
童話の『雪女』で男の所に残された子供ってどうなったのかなー、とか考えてしまいますよね。
そういう断片的なイメージっていい材料になります。

>この“子犬”というのはまさか、後の“戌の式”である『紫苑』さんということになるのですか?

うーん、どうなんでしょうか?w(ぉ
セイラン的には何でもかんでもこっちで決めるのってガチガチ過ぎてあんまり好きじゃないですね。
主軸とかキャラとかの変更は不可能ですけどせめて空白の時間とかぼかしてあるところとかは想像してもらって楽しんで頂けたらいいなぁ、とか思うのですが残念ながら不評の方も居るということは頭においておきます。

>…それにしても、『蒼牙』である湊さんもなにやら結婚するといったところがありましたけど、その結婚するというお相手はどなたになるのですか?

珀羅本編の中盤で名前くらいは出てくるんじゃないかと。
出るかどうかはわかりませんが!(ぉ

>『凱卦』である慎弥は結婚はしているのですか?

結婚もしてませんね。
大事な甥っ子のお世話でそれどころじゃないでしょうし。

>何気に最後辺りの蓮見夫妻の結婚生活の様子や、何気に子作りに至るまでのことが出ていることには呆れました……;

ここで書かずにいつ書かないでか!?(クワッ  ・・・・・主に時間節約的な意味で(ぉ



To Aヨスケさん

>なかなか壮大なお話でしたね。過去から今、そして未来へと想いを紡ぐ、人と人、心と心の繋がり。
>それがこの『朱凰・珀羅』シリーズの一つの醍醐味、と、勝手に思っている自分は胸いっぱいに楽しめた回でした。

カケラみたいなの繋いで行く作業はこちらも楽しくやらせて貰ってます。
しかし約半年ぶりに筆をとったのでおかしいとこないか心配ですね;

何気に今回はゆ〜ちゃんのチートっぷりの理由付けにもなったんじゃないかと。

>…それにしても悠麻くんは……この女ったらしめ(ぉ
>この調子だと、そのうち男にもモテだしますね(ぇ

ウホッ・・・・・!ごほっ、失礼。
まぁ、式神ガイズにも慕われてますよね。健全ですが。

>いまだかつて、こんな事があっただろうか。隙の無い男、悠麻くんの無防備な一瞬をつき、胸をはだけさせ馬乗りになり、果ては落としてしまったひと、ゆきのさん。
某狐神様や某忠犬メイドですら出来なかった事をたやすくやってしまうとは、なるほど、悠麻くんはこういうのに弱いのか…(チガ

ゆ〜ちゃんは身内が弱点、きっと最初から雪女(ママン)属性を持ってるゆきのさまの攻撃は相性一致で倍ダメージだったんだよ!
これも関係ないけど雪乃さんがポケモンやるならユキメノコとグレイシアは絶対いれてるはず。
あとカメックスとか入れてるに違いないないない。
燎子ならウィンディとかキュウコンだなぁ・・・・・・・あ、忘れちゃならないファイヤー(笑)とか(フレアファントム!!

>キーワードは『新婚』『最初』『夜』…
>ビギンズナイト…またの名をしょ・・「フィリィィィィィップ!!!」

キーワードは『ゆ う べ は お た の し み で し た ね』(ぉ

>お嫁さん亡くなってしまわれたのは悲しいですが、それでも、悠麻くんと想いを通じ合わせられたこのひとは素敵な方でした。
>そしてえろかった(←蛇足なんというオチ…

セイランの偏見では雪女はすべからくえっちい!!(ぉ
・・・・どうしてこうなった・・・・気付いたら指が勝手に動いてたんだぜ?

>ともかく分かった事は、遼那ちゃんは炎属性だけに、やっぱり人一倍燃え上がるんですね。まさに夜の鳳凰(←!

だ れ が 上 手 い こ と 言 え と

>そしてメッセージには『珀羅』『海賊』ときて『新・朱凰』の文字が…これは非常に楽しみです。シリーズ達成、その時まで応援しております。

ヨスケさんとのお付き合いも長いですねぇ・・・しみじみ
こうなったら地獄の底までモグラと相乗りしてもらうよ!(ぉ



To ぴあのさん改めトレハさん

>ボロボロ、これはまた懐かしいネタをwww
>ダイレンジャーごっこする時は名前に「竜」が入ってる奴がやたら優遇されてて歯痒い思いをしたものです。

あの時はダイレンジャー(男児)vsセーラームーン(女児)で血で血を洗う大戦が毎日起こる素敵な日々がありました。
そして、シシレンジャーな私は毎回マーキューリーの娘を全力で倒して捕虜に(やめい

>それにしてもダイレンジャーのメンバーってリョウが龍騎スペシャルの初代龍騎やってたり道士カクがファイズの花形社長やってたりシャダムがシンケンジャーでドウコクの声やってたりで意外とよく見るんですよね、嬉しい事に。

Wでアバレッドの変わり果てた姿を見たときは本当に涙がほろりと・・・・・
しかし相変わらずジャスミンはクールビューティー!!

>プリキュア
>まあ僕も本格的に見始めたのはフレッシュからなんですよね。
>ハートキャッチはキュアバーローダークプリキュア目当てで見てますw

お姉さん好きのセイランとしてはそのうち出て来そうなムーンライトも目当てなのでしょうか・・・?
しかし出てきたら出てきたらで絶対に先代、先々代の青い人達のようにBABAぁの二つ名で呼ばれそうな気がぷんぷんするぜぇえ!!

新生活も始まって大変でしょうが、どちらも応援してます。
頑張れ、僕も頑張る!(by良ちゃん)
そう言えばオロナミンCのCMダブル版見ないですねぇ・・・・



To 切り札のひだりさん

>ダイレン、ザイドス少佐の死に際は壮絶ってか驚愕でしたなぁ……

子供の頃のちょっとしたトラウマですw
あの頃、物語っていうのは悪い奴の親玉が最後に倒されて終わりだと思っていたので
黒幕の黒幕とかいたり、結局謎のままだったりとかそういうものもあるのだと後から気付かされました。

>しかしダイレンジャーのデザイン・アクションの秀逸さは異常。

○○星!●●!っていう掛け声と動きは憧れました。
あとBGMの疾走感が本気パねぇ・・・・!

>ちなみに地味にリュウレンジャー・亮よりシシレンジャー・大吾の方が好きでした。ダイゴッ!

ふっ、孔雀の『ダイゴッ!(キラキラ)』のせいでもうダイゴがリーダーと勘違いしかけてたのは私だけでないはず!!
ちなみにセイランもダイゴが一番好きでした。
この前うちの蔵で腕と腰がグルグル動くシシレンジャーの人形を見つけて・・・・『ダイゴッ!(キラキラ)』

>いやあこんなハツラツナチュラルエロガールが矢倉家秘伝の調教メニューで『珀羅』本編の彼女になったらどうしようと気が気で夜も眠れませんでした(一晩で読めよ)。

そのままお持ち帰りして・・・だと・・・!?その発想はなかったです、ちきしょうww
微ロリお嬢様生徒会長調教とかそれなんてエロゲ?(ぉ

>身を挺して示したゆきのさんの愛は見事ですのじゃー。

ゆ〜ちゃんの人生テーマは家族“愛”ですねー。

>遼那ちゃん(笑)のエロ!ドエローーーーーーーーーーー!!!

遼那「毎々毎回アリスさんにやらしいこと仕掛けてるあんたにだけは絶対言われたくなーーーーーーーい!!!!(////)」

ダイレンだけで三つも返信とかどんだけダイレン好きなんだよ自分・・・



To イシスさん

>すいません、完全に出遅れました・・・
>言い訳してる暇があるなら、さっそと感想ですよね。夢想封印!(!?

罪) びんぼーみこ!! 『ハイッ!正解ぃ!』

いえ、感想頂けるだけでも本当にありがたいです。全人類の非想天則!(!?

>今回は悠麻君メインのお話でしたね。やはり主役は格が違った。
>・・・ん?主役は女の子だったような・・・・・・
ああ、湊ちゃんか!!(鬼

濠「む、鬼と聞いてやってきました」
湊「ご〜ちゃんが積極的にボケた!?おばちゃんびっくりだよっ!?」
澪示「まぁ、兄さんも冗談くらいは言うよ。これは多分素だろうけど」
淳「ふふ、空回りしてないといいのだけれど・・・(苦笑)」

遼那「もはや誰も主役のことに突っ込んでくれない・・・!?」
燎子「つか、さんずい多っ!?」

>雪山を舞台に恐るべき禍神との戦いがメインかと思いきや
>ゆきのちゃんがえっちい介抱して悠麻君を助けてくれたり、流石青嵐さん!サービス精神旺盛ですなwww

えっちいのがきらいなセイランなんていません!(殴
しかし・・・・ゆきのさまは各方面からえっちいえっちい言われてるなぁww

>しかしこのゆきのちゃんのなんと健気なこと・・・大好きな悠麻君の為に変神し禍神を倒しその命を散らしてしまうなんて
>・・・でも新たな命が生まれたことで、悠麻君と紫苑さんはしっかりこの新たな生命を育んでもらいたいものです。

その結果として、現在の雪乃さんになりました!ぱちぱちぱちっ(ぉ
きっとゆ〜ちゃん休暇時は専ら家族サービスしてるに違いない・・・この子煩悩めがっ!

>好きな東方カプは霊夢×アリスなイシスでした。おーるぼわーる。

罪) フフフ、嫁を五人取れるならばけーね先生、ゆうかりん、てんこ、れみりゃ、そしてアリスな私、惨☆状!!
ちなみにパチュマリよりかは断然マリアリ派(ジャスティス)です・・・・が!まさかのレイアリとは・・・!!
流石は脇巫女のダンナ(旦那)、チョイスが渋いですぜ!




さぁ、次回はも〜っとしゃーぷに振り切るぜ!!どっかーん!!


,#000000,./bg_g.gif,i218-47-70-195.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年04月15日(木) 20時20分03秒,20100401225824,20100418202003,rJE5O.tobHJek,仮面ライダーintertwine第2章第12話「もうとっくに、覚悟は出来ていた」,オリジナルライダー・リレー企画,,,執筆者:ユルカ


PM16:19 某超高層ビル屋上


「あの……何時になったら動くのでしょうか?」

『まだよ、揺らぎが見えないのよ。もうちょっと待って』


オブディアがDr.レッドリリーと通信をしている。

15:00に動くはずだった。

しかしながら、待ったをかけられてしまい、今に至る。

そもそも、最初の目的であったSB社製のライダー及び、BOARDのライダーは、15:00には学園にいなかった。

そのため、目的を大幅に変更し、シグマ狙いで行くことになったのだ。

なんて本末転倒なのだろう!!


「そうは言っても、もう1時間20分も待たされたのです。私はもう待てません!」

『ええ、待った甲斐はありそうよ。揺らぎが見えたわ。ボード学園の屋上よ』

「オブディア、参る!」


オブディアはそう言って、ボード学園の屋上へと降り立った。


----------------------------------------------------------------------------

PM16:20 ボード学園屋上


私も帰ろうかなと、考えていた時だった。

突然、空から人が降りてきた。


「あ……!!」

「我が主の命により志熊 京、貴様を排除しに来た」


私の前にあのオブディアが立っていた。


「っ……!」

「貴様が揺らいだのは分かっていた。今の貴様では私には勝てまい」

「揺らいだ……!?」


―心が揺らいだら、勝てない……!?

―いや……。


「確かに、心は揺らいだ」


―けどね。


「もうとっくに覚悟は出来ていたんだよ」


―だから、負けない。

―絶対に!


右腕を斜めに上げ、Σの形に手を動かし、
既に左腰に添えてあった左腕に右腕を重ね、京は叫んだ。


「変身!!」


右腕を右腰へと動かし、京の姿が変わる。

翠色の体色をした仮面ライダー。仮面ライダーシグマである。


「変身……!」


オブディアもライダーの姿へと変わる。


「オブディア、私はあなたに勝つ!」

「やれるものならば、やってみるがいい!!」





----------------------------------------------------------------------------

同時刻・ボード学園屋上踊り場



京にああ言って屋上を去ってみたものの、急に嫌な予感がして戻ってみたら、

京は変身し、この間のライダー:オブディアと戦闘中だった。


「今更考えるまでもないさ。あいつは既に答えを出していたのさ」


晃輝の後ろからカシスが話しかける。


「悪いが、さっきの会話は聞かせてもらった。
 京に言ったことはそのままお前に当てはまるんじゃないか?
 護矢 晃輝!」

「……否定はしないがな……」

「そうか。だが、一つ言える。
 あいつはあれだけのことを言われても変わらない」

「…………」


カシスは変わった形の携帯端末を取り出すとこう続けた。


「人を変えようとするならまずは自分が変わることだ。
 ちなみにあいつは、お前と一緒に戦う気満々だったぜ」


手に持った携帯端末にコードを入力するカシス。


『9・3・1、Standing by』


「変身!!」


『Complete』


腰につけていたベルトに携帯端末を差込み、

カシスは仮面ライダークスィーへと変身した。


「あいつは言ってたよ。『暴力』を『正義』に置き換えたくないって。
 『正義』じゃなくて『倫理(モラル)』で戦うって。
 俺からも言える。これが分からないような奴はただの怠慢な奴だ」

「…………!!!」

「だが、俺たちはお前を待っている。
 甘いと言われようが、俺たちの決めた道だ。
 茨の道なのは分かってるが、ついて来れるか?」


それだけ言って、カシスは京の加勢に向かった。

晃輝は何も言い返せなかった。




----------------------------------------------------------------------------

同時刻・EASEモニタールーム


『揺らがないね、彼女は』

「私には分からないのです」


エウリュディケの呟きにアイスキュロスが発言する。


「心が揺らがない人間がいるのですか?
 人間は心の弱い生き物です。
 それなのに、シグマは何故揺らがないんですか?」

『いいや、あれでもずいぶんと揺らいだよ。
 だからオブディアはシグマに戦闘を仕掛けたんだ。
 あいつは他人が揺らいだ所で仕掛けるタイプらしい。
 だが、彼女は自分を信じて戦っている。
 今の彼女はそう簡単に負けないよ』


アイスキュロスの問いにエウリュディケはそう答える。

そして、こう付け加えた。


『まぁ、それでもこの僕に勝つことはできないけどね』


エウリュディケはそう言って怪しい笑みを浮かべた。



----------------------------------------------------------------------------

PM16:23 ボード学園屋上


「カシス君!」

「貴様、邪魔をするな!」

「嫌だね」


シグマとオブディアとの戦闘に介入するクスィー。

オブディアの黒曜剣デュッセルをクスィーはクスィートライデントで受け止めている。


「私だって、そう簡単に負けるわけにはいかないの!!」


そう叫んだシグマの右腕に、大きな鋏のアタッチメントが出現した。

シグマの能力の一つ・大鋏(おおばさみ)である。


「オブディア、あなたやあなたのご主人の思い通りになんてさせないから!!」


戦いは激化していく……。






,おかしい……。
もっと早くに完成するはずだったのに。
でも、今日のうちに言ってしまうとあまり信憑性がないな……。

しかし、今回不憫なのは晃輝君でしょう。

なんか、ちょっとかわいそうになってきたな……。

※4/8 サイショさんのコメントを受けて修正しました。
※4/15 矛盾点を修正。何故気づかなかったんだ私よ……。,#000000,./bg_f.gif,202-94-128-95.cust.bit-drive.ne.jp,1 2010年04月05日(月) 22時48分24秒,20100328100922,20100408224824,p3s2PCwFn9xTs,仮面ライダーセレナ第壱拾六話(多分)中編「復活の黒/男女分断戦線」,@PF,,, 前回までの仮面ライダーセレナは!

つ【噛まセレナ】

鷹「噛まセレナ言うなっ!」
セ『個人的には私だけがディスられてる気がするんですが…。
  似た反応と一緒に居てなおかつ地面に隠れられると私のセンサーでも分からない分かりにくい!
  土遁の術とかこの蟹(B)絶対忍者だろ…。しかも伏兵で二対一とか汚いなさすが忍者きたない』
鷹「ゑ?何急に…前回の巻奈さんの時と言い、どっかで変なウィルスでも拾ってきたの?」
セ『………こんな分かる人にすらウケ無さそうなネタに走るとは、作者も相当追い詰められてますね…』
鷹「そうやってメタ発言させてる所もね」



 オチはない



******


“ミーンミンミンミンミン…ミーンミンミンミンミン……”

 雲の殆ど無い青空、照りつける太陽、地面に反射された熱気と立ち上る陽炎が空気を熱し、響き渡る蝉の鳴き声は聞いていると何故か余計に熱く感じる。
 少なくとも白い建物の前に立つ彼――麻倉竜斗はそう思いながら、その建物に向かって足を踏み出した。

“ガ―――ッ”

 駆動音を立てて開いた自動ドアを潜り抜けると、空調で程良く冷やされた空気が、日光に熱されていた彼の肌をなでる。

「こんにちは…あら?竜斗さん、お久しぶりですね!」

 そしてそんな彼に、受付に居た女性がにこやかに声を掛けてきた。

「ああ、久しぶり、灯谷さん。いきなりで悪いけど博士何処かな」
「はい!お話は聞いています、あの人の所へはそこの関係者用通路から進んで下さい。
 其処に居なかった更に奥の私室にいると思うので、引き摺りだして下さいね」
「ありがとう、じゃ、また後で」
「ええ」

 受付の女性の笑顔に見送られながら、カウンターの脇にある“関係者以外立ち入り禁止”と書かれた扉に入り、その先に続く廊下を進んで行く。



 程なくして突き当たりの扉に辿り着くと、“コンコン”と申し訳程度にノックしてからドアノブに手を掛けた。そして特に気負う事もなくドアを開けて中に足を踏み入れる。

「こんちはー、博「ちくしょー!何が“30秒で世界を救え”だ!こんなの出来るかぁ!!」…せ?」

と、そこで突然彼の耳を突く、女の子――それもまだ幼いと行っても良い――の叫び声。

「『^^;』いや、いきなり魔王に吶喊してりゃそりゃ死ぬでしょ。
 もっと時間を見て、バランスを考えてレベルアップするなり薬草や装備を買うなりしないと…」
「でもそれじゃ間に合わないよ?」
「『 注 』その為の女神像だろうに、それにシッカリやれば30秒で行けるステージも結構あるよ」

 固まった竜斗の目に入った物は、ゲームオーバーっぽい映像の映った大型ディスプレイ――本来は施設内のモニタリングや各種データを表示する為の物だ――の前で言い争っている、頭部をメットで覆った白衣の不審者と黒いゴスロリ衣装の幼女だった。

「えーい、健ちゃんの癖にボクに意見するなんて生意気だ!!」
「『☆ +』ゴフッ!?い、いきなり殴らんといて…僕こう見えて徹夜明けで結構フラフラだから…」
「(ぅわょぅι゛ょつょぃ……ってそんな場合じゃねえ)なぁ…」
「「ん?」」

 恐る恐ると言った彼の声に反応する不審者と幼女。

「博士…呼ばr「しんにゅーしゃ発見!」な、何を「しねぇ−!!“ヒュカカカッ、ボン!”」うおわー!!?」

 そして言葉を続けようとした瞬間、竜斗のこの直ぐ横、今通り抜けたばかりのドアに黒い棒状の物が何本か突き立ち、爆発した。

「避けるなこのー!」“ヒュカッ!ヒュカカッ!ヒュカカカカッ!”
「無茶言うなっ!」“ボン!ボボン!ボボボボン!”
「ならっ!でえぇ―――い!!」“ヒュッ!”
「ぎゃああぁぁ!!?あぶねぇ!!」“ドゴン!!!”

 思わず叫びながら部屋の中に転がり込むが、そこへ背中に黒い翼を広げた幼女が跳び蹴りを放ってくる。翼による飛翔で加速された、ライダーキックの様なソレを、床を這うように(起き上がる余裕が無い)必死で躱すと、今度は幼女は翼から羽根を毟り取り、投げつけてきた。

“カカッカカカカッ、ドドドドドドドン”「や、やめろー!俺は呼ばれたから…」
「うるさい!しんにゅーしゃは皆そう言うんだ!」
(聞く耳持たずかよっ!)

 その羽が先程投げつけられた物と同じ物である事に考えを巡らせる間も無く、竜斗は泡を食って逃げ惑った。
 呼ばれたと思ったら一方的に命を狙われると言う理不尽にキレ気味に反論(と言うか事実を主張)するが、耳を貸さず羽根を投げ続ける幼女に、竜斗は辟易しながらも逃げ続ける。じゃないと死ぬからだ。
 腐っても戦闘態のキメラである現在のクロの攻撃をココまで躱し続けられるのは、ひとえに嘗ての“経験”故だろうが、身体能力は一般人のそれに過ぎず、経験そのものも短くないブランクで鈍っている現状では、そう長くは凌ぎきれないだろう。竜斗もそろそろ(やべ、死ぬのかな)何て覚悟を決め始めていた。

「『止 止;』ストップストップ!これ以上研究所を壊すのは止めてくれ!」
「えっ!?」

 そこへ、今まで蚊帳の外気味だった白衣が割り込んでくる。それを見た幼女は、ようやく羽根を投げるのを止めた。

「健ちゃん…もしかして…本当にお客さん?」
「『;;』うん」
「………」
「『↑↑』……」
「た、助かった、のか?」

 気まずげな空気の中、ズレたサングラスを直しながら竜斗が立ち上がる。幸い、ヒビは入っていないようだった。

「ったく…最近の女の子は物を刺したら人は死ぬって事も知らねえのか…?」
「うぅ…ゴメンナサイ、グラサンの人、でも…巻奈さんも鷹音さんも居ない研究所だとボクだけが戦力だから」
「(グラサンの人…)別に怒ってねえよ、だがいきなり襲われりゃ、誰だって混乱して……ん?戦力?
 ……イヤそれより博士」

 そこで何かに思い当たった竜斗は、白衣――この研究所の所長である要健一郎――の首根っこを捕らえ、幼女から少し離れた所に引っ張っていった。

「おい、あの女の子は何だ?人さらいは犯罪だ。ペドフィリアもやっぱり犯罪だ」
「『− −;』いきなり人を引っ張ったと思ったら、君は僕を何だと思っているんだ?」
「良いから、あの子は何なのか話せ。返答によっちゃ警察に電話しなけりゃいけねえ。
答えなくても通報するけどな」
「『T T』流石に犯罪はしない…。精々15の夜に盗んだバイクで走り出す程度だよ」
「それも犯罪だろ…」
「『→ →』あの子はまあ、一言で言っちゃえば、あの子は僕の護衛みたいなモンだ」
「その答えだけじゃあ、通報しない訳にはいかねえな」
「『↑ ↑;』付け加えて言うなら、あの子はキメラだよ。それに今の姿は戦闘態だ」
「は?いや、確かに女型キメラはそこまで人間離れした姿になったりしねえが…」
「『(=´ω`=)y─┛~~』うん、素体は人間じゃなくてカラスなんだけどね。名前はクロ。見た目と能力がアレだったんで、ちょっとキメラの能力を弄る事が出来る技術の試運転代わりに戦闘態に手を加えてみた」
「要は実験台かよ…。相変わらず言動の割にやる事が黒いな。しかしアンタの言葉を信じるとしても…」

 そう言って竜斗はいつの間にかコンソールに齧り付いてゲームを再開している幼女=クロを見る。ゲームをしながらうんうんと唸っている感情の出やすいその顔や、全体的に幼稚で大げさなその仕草は、どう見ても人間の子供のそれである。それでいて顔の造作は整っていて、服装のゴスロリ衣装も似合っている物だから、人通りの少ない路地を歩けば、犯罪者に狙われてしまうのではないかと思わずには居られない。
 どう見ても人間だが、その背中で動く翼が、彼女が少なくとも只の人間ではない事を物語っている。

「随分と趣味に走ってやがるな。一緒に歩いてたら捕まりそうだ」
「『(`・ω・´)』新技術なんてそんな物だ、大抵は開発者の趣味を多分に受ける。
 因みに僕はロリコンじゃない、ロリも守備範囲なだけだ『断 言』
 それにどっちかと言うと格好の方がメインだしね」
「ロリコンじゃなくて節操無しのコスプレ好きか…」

 そこで竜斗はヤレヤレと言いたげに溜息をつくと、更に質問を投げかける。

「もう一つ、アイツさり気なく鷹音ちゃんの名前を出してたが、やっぱり…」
「『BINGO』ああ、鷹音ちゃんは今、仮面ライダーだ。
 ついでに言うとクロを倒して連れてきたのも鷹音ちゃんだよ。ここまで持ってきたのは巻奈だったがね」
「…チッ」
「『−人−』ふむ、その反応は予想してたよ。
 まぁ、怒ってくれても構わないけどね、でもあの子には自衛の手段が必要なんだ。
 変身出来なくなったと言ってもエレメントシリーズ、敵さんが何かに利用できないかと考えないとも限らない」
「…だろうな、それはあの子を“斃した”俺が一番よく分かってる」

 そこでようやく竜斗は健一郎から手を離す。その顔には納得し切れていないという表情がありありと浮かんでいるが、それが口に出される事はなかった。

「『@_@』意外だな、君ならもっとゴネると思っていたけど」
「アンタだけじゃなく、巻奈さんやあの子自身が平然としてるなら、当初の状況がどうであれ、あの子が自分で選んだんだろ?博士だけならまだしも、巻奈さんまでグルになってあの子に戦いを強要してるなんて考えたくねぇしな。
 なら俺に文句を言う資格なんてねぇよ」
「『・・・』資格がない…ね。
 忘れろとは言わんが、いい加減多少はふっ切ったらどうだい?
 君のした事は褒められこそすれ、恨まれる事ではないと思うけどね。君はひょっとしたら数万もの命を救ったかも知れないんだ」
「だからって俺のした事全てが無罪放免に何て成る訳無ぇだろ…。大体褒められるんじゃねぇ、非難するようなヤツが殆ど死んでるだけの事だ」
「『 =3 』ハァ…それは君だけじゃなく、あの時戦っていた者全てに言える事だろう?勿論、僕や巻奈にも。そもそもそれは罪と言えるのかねぇ。
 あの戦いでは、皆が皆必死に戦ってた。あの事だって、あの条件で出した物としては偶然とは言え最善に近い結果だ。
 それに君が自分を後回しにし過ぎると、それこそ他でもない鷹音ちゃんが悲しむ。罪悪感は思考停止の免罪符には成らないよ?」
「……ふん、どう思おうが俺の勝手だろうが…」

 そこで今度こそ途切れる会話、顔全体がメットで隠されている健一郎の表情は判らないが、竜斗の方はサングラスで有る程度隠れているとは言え、気不味(きまず)そうだった。

「『− −』まぁ良いさ、君が自分を赦せないのなら、君を赦すのは僕の役目じゃない。
 僕は僕なりに役目を果たそう」

 そこで健一郎は「おーい、クロ!」と声を掛け、振り向いたクロに何事かを指示をする。
そしてクロがコンソールのパネルを操作して画面が切り替わると、何処かへ走り去ってしまった。
 クロが走り去った後、健一郎もコンソールに向かい、何かの操作を始める。

「『・・・・・・』君に取っちゃ少し懐かしい相手だろう」
「懐かしい?」
「健ちゃーん、持ってきた!」

 そこへ先程走り去ったクロが、手に何かを持って戻って来た。

「『・・・・・・』お、ありがとう、よし“カチッ…ガコン!”」

 突如、部屋の壁の一部が展開すると、“ズゴゴゴ…”と低い音を立てて中から中型冷蔵庫位の大きさの箱状の物が迫り出してきた。
 健一郎はそれに近付き、懐から取り出したカードを箱の上部にあったスリットに通す。すると、スリットの近くに有った赤いランプが緑色に変化し、表面の一部がスライドして鍵穴のような物が出現した。
 次にクロから受け取った物…レトロちっくなデザインのカギをそこに差し込み一気に回した。

“ピ――ッ…カシュ”

 アラームと共に、空気が抜けるような音を立てて箱の上部が開く。
 そこに有った物を見て、竜斗は思わず息を飲んだ。

「コレは…いや、コイツは……!」
「『・−』懐かしいだろう?2年ぶりの“相棒”とのご対面だ」
「んー?黒いね、ボクと同じだ」

 箱から出てきたのは掌サイズの黒い機械。やや歪な携帯ゲーム機の様な本体の中心に、金色の縁取りがされた縦長の緑色の菱形が設置され、本体の左右のパーツには凸凹があり、よく見ると繋がりそうな形をしている。

「『┐(´ー`)┌』まだ再起動はしていないけどね、殆ど動かすだけと言った状態だよ。
 最終調整はまだだが、それには君の協力が必要だ」
「成る程、呼んだ理由はそれか。多少は予想が付いちゃいたが…。確かに今はコイツが必要かも知れねえな…」
「ねえ、コレ何?」

 よく分かっていないクロは、首を傾げながら黒い機械を指さした。

「これか?これはな…俺の友達…というか一番の仲間というか…そんな何かだな」
「ふーん、何だかセレナに似てるね」
「ん?お前、セレナとは知り合いなのか?」
「うん、友達だよ!鷹音さんに心を折られたり忘れられたりした時に色々有って仲良くなったんだ」
(一体何やったんだ鷹音ちゃん…)

 端的に語るクロの何処か煤けた笑みに、竜斗は妹分の所行が激しく気になった。

「『OK?』もう再起動しようと思うんだが、良いかい?」
「別に俺の意見を聞く必要は無ぇだろう」
「『NO!』君がコレに複雑な思いを持って居るのは判ってる。だがね、“この子”はもう、君の物だ。実行するのは僕でも、決定するのは君であるべきだと思っているがね」
「……フぅ、分かった、やってくれ」
「『Yes sir』はいよ」

 何かを振り切るような溜息をついた竜斗の答えに、健一郎は“箱”に埋め込まれていたパネルのキーに何かを入力し始める。そして“黒い機械”は中心の菱形から光を放ちながらアナウンスを響かせ始めた。

『システムの再起動を行います。
 ………
 …………続いて、装着者の認証を行います。該当者は速やかに認証を行い起動を完了して下さい』

「は?認証?前は一度もそんな事した覚えないぞ…」

 てっきりこのまま普通に再起動する物と思っていた竜斗は、健一郎に問う。

「『当 然』半ば偶然選ばれたあの時とは違う、今のコイツは君専用だ。
 何より今はAIが起動していないからな。君以外に下手に動かされたら困るだろう?」
「まあ…そうだが」
「『ハリーハリー!』ともかく中央の菱形に手を当ててくれ。それで認証するから」
「…分かったよ」

 言われたとおり、ボンヤリと輝く緑色の菱形を撫でる様に触る。

『“ピッ”……………照合完了。既存データとの適合率99.73%。
 ……装着者の認証を完了しました、メインシステム及び統括制御AIを起動。
 ライブラリを解凍…完了。続いて疑似意識と記憶領域のリンク、再構成を開始します。
 ……
 …………
 ………………
 ……………………“キンッ”
ん、私は……むぅ?』

 何かが切り替わるような甲高い効果音を境に、“声”が変わる。
 今までの機械のアナウンスじみた声から、多少合成音声らしくはある物の、意志の通った女性の物らしきそれへと。
 そしてコンソールのモニターに目を戻していた健一郎は、表示されているデータを見て満足そうな声を吐いた。

「『^^』うん、再起動は出来たみたいだね。データを見る限りじゃ意識の“混線”も起きてないようだ」
『…私は…封印されたはず、それが今になって解かれるとは。
 …まあいい、取り敢えず久しぶりと言っておこう、我が主』

 黒い機械は、やや困惑していた物の、切り替えが早いのか即座に気を取り直したようだ。
 その態度に竜斗は相変わらずだなと小さく苦笑しながら、“彼女”を手に取った。

「ああ、そうだな、久しぶりだ“フォルテ”」
『フフ…こうしてまた相見えた事を嬉しく思うよ。もう目覚めない事も覚悟していたからな』
「『^^;』僕は無視かい?」
『ふん、造物主か。私の再起動をしてくれた事位は礼を言っておこう』
「『・・』うん…まぁ、どういたしまして」
「ボクはー!?」

 このままでは会話に加われず仕舞い、そんな危機感を抱いたのかは不明だが、クロが強引に話に割り込んだ。

『む?お前は誰だ?私の記憶にはお前のような子供は無いが…』
「ボクはクロだよ!鴉のクロ」
『…なるほど、その姿が戦闘態という訳か。で、待機形態が鴉の姿だという事だな。まぁ、どうでも良いか』
「(´・ω・`)ショボーン」
「よく一目で分かったな、俺は最初そこの白衣が浚ってきたモンだと思ってたぜ」
『それはそれで面白い可能性だがな…私にだって大まかに戦闘態のキメラの反応を感知する機能位有る』
「『('・ω ・` )』おーい、雑談はソコソコにして早速最終調整をしたいんだが…」
『折角の再会だ、余り邪魔をして欲しくないものだがな…』

 あからさまに不機嫌な声を出す黒い機械ことフォルテ。
 それを向けられた健一郎は宥めるように言葉を繋げた。

「『^^;』まあまあ、そう言わずに。君の中の変身用の身体データの更新とアジャストをしたいんだ。
 この二年で竜斗君も多少は変わったはずだろ?その辺も考慮して仮のデータを入れてはあるから、今のままでも戦えなくも無いけど、所詮仮は仮。現実のものとはズレもあるだろうし、それが竜斗君の体に負担を掛けかねない。性能もフルに発揮できないしね」
『む、確かに私の存在が主の負担になるなど、私の本意ではないな…』
「いざと言う時に全力が出せないのは困るな」
『仕方無い、サッサとしてくれ』

 同時に納得する一人と一機。
 一人の方は特に不満も無さそうだが、一機の方は口調に明らかに不満そうな感情が残っている。
(やっぱりこのセレナの親戚みたいなの、グラサンの人を大事に思ってるのかな?)

 だがそれは逆に、彼女が己の不満を押し殺してでも調整を、ひいては主に負担を掛けないことを重視していることを表しているとも取れる。
 動物故の勘か、黒い機械がパートナーに抱いている感情を、半ばハブられながらも感じ取るクロ。
 何となく脳裏に白いP○P(ともだち)を思い浮かべる。その友人もそうだが、この黒い機械もパートナーに対する好意が妙に刺々しい形で発露している気がするのは気のせいだろうか。
 その被害を受けるのがパートナー当人か、周りの人物に向かうかの違いは有るが。

「『ヤレヤレ』理解してくれてありがとう。じゃ、早速始めようか。
 取り敢えず一度変身を…“ピピッ”ん?……まずいな」
「どうかしたのか」
『レーダーからの信号を受信した、主よ、どうやらキメラが出現したようだぞ』
「何!?」

 余りにも突然、と言うか唐突な展開に竜斗は驚いた。それにタイミングも悪い、さぁこれから調整を始めるぞ、と言う所で横槍を入れられたのだ、物の見事に出鼻を挫かれた事になる訳だ。しかしそうも言ってられない、竜斗はフォルテを握り直し、動こうとする。

「だったら…」
「『(´ー`)つ茶』まあ慌てるな、どうやら鷹音ちゃんが向かうことにしたらしい」
「やっぱりあの子一人で行かせるつもりか?」
『鷹音とは、あの小娘の事だな?
 ふむ、セレナとか言う私の妹が着いているんだろう?いざとなればマキナも居るのだ。死ぬ事はあるまい』
「あ?お前、何でセレナの事知ってるんだ?」
『多少の情報はデータとして記憶に追加されている』
「でもボクの事は知らなかったよね…」
「『スルー』まぁ、確かに“監視”は必要なんだが。
 前までなら巻奈を向かわせた所だけど、アサルトレイダー無しでの隠密行動は難しいとこないだ文句言ってきたしな…」
「露骨に無視された…野性に還りたい…」
「おい、監視だと?どう言う事だ?やっぱり鷹音ちゃんは戦いに向いてないのか?」
「『−∀−』う〜ん、そうだね、実はちょっと前に鷹音ちゃんが暴走した事があってね、その一件で縮んだんだけど……。それ以来ちょっとお目付役を…。
 でもスパイポッド的なアレはこないだの戦いでウッカリ凍り漬けになって修理中だし…」
「暴走?……やっぱり誰か行かなきゃなんねぇって事じゃねぇかよ!
 だったら鷹音ちゃんの所には俺が行くぜ、折角フォルテも戻った事だしな。
 詳しい話は帰ってからで良い」
『あ、主!?最終調整はまだなんだぞ!』

 自分の主の決意に、フォルテは驚愕の叫びを上げる。それは下手をすれば彼が自分を傷付ける行為になりかねない、ましてやその原因がフォルテ自身と来れば、易々と受け入れる訳には行かない提案だった。
 初めて会った頃とは――道具と持ち主の関係に過ぎなかったあの頃とは違うのだ。

「おい博士、仮のデータは入ってるんだろ?」
「『………』確かに、一番最近のデータをベースにしてるから、只戦う分には“大した”問題は無いだろうけど…」
『だが“多少”は問題があると言うことだろう?なら私は反対「俺のバイクは大丈夫なのか?」おい!?』
「『・ _・ 』む、アッチの方はもう完全だが…」
『主、私の話を…!』
「俺にはよ、あの子を守らなきゃならねぇ責任があるんだ。少なくともあの子自身がそれを拒絶するまではな。
 それが、俺があの子の力と過去を奪っちまったと知った時に決めた事なんだ」
『……』
「何、別に俺は死にたがってる訳じゃねぇ。それに鷹音ちゃんは強くなる必要が有るんだろ?」
「『-_-』まぁ、そうだね…」
「飽くまで監視なんだ。お前が俺の心配をしてるってのも分かってる。
 ならあの子がピンチに成らない限り俺は手は出さねぇし変身もしない、見届けるだけだ。
 それなら何もねぇだろ?」
『………』
「『-_・b』フォルテ、竜斗君は考えを変える気はないみたいだ。まぁ、もし戦うことに成っても、すぐ命に関わるようなことには成らない、それだけは開発者として保障するさ」
『……分かった、ヨクヨク考えてみれば、あの小娘の事は私にも責任があることだしな。主一人に負わせる訳にはいかん。ならば付き合うしか有るまい。
 但し、絶対に無茶はさせんぞ』
「ああ、その返事で十分だ」
「『おっけー?』話は纏まったかい?なら、君のバイクの所まで案内しよう。道中で簡単な説明もさせて貰うからね」
「分かった、行くぞ、フォルテ」
『心得た』

 そう言って、健一郎、フォルテを持った竜斗は、連れ立って部屋から出て行った。




「ボクが行くって選択肢はなかったのかなー…?」

 少女の姿をした鴉一羽を残して。

****

 そして現在…

「りゅ、竜兄が、仮面ライダー…」
『愚妹…』


 背後から聞こえる妹分の呆然とした声を聞き流しつつ、竜斗こと仮面ライダーフォルテは、紅い複眼越しに前方の二体のクラブファクターを睨み付けていた。
 そのまま、相棒に現在の状況を確認する。

「さて、結局ホントに変身することになっちまったが、どの位行けそうだ?」
『…発揮できる各スペックは正常時の89%と言った所だな。リミットブレイクと追加されていた新機能も使用不能だ』

 内部スピーカー越しに返ってきた答えは、かなり微妙な物だった。

「新機能がちょっと気になるが……ライトブレイカーはどうなんだ?」
『使えるが…死ぬぞ』
「えっ?」
『死ぬ。…そもそも町中で使って良い様な力でもあるまい、始めから計算から外している。
 安心しろ、フォトンストライクは万全とは行かんが使用可能だ』
「…わ、分かった。とにかくやるぞ」
『正直気は進まんのだがな。だが愚妹の前だ、最善を尽したいところだ』
「やる気があるのか無いのか良く分からねぇな。
 ったく、ブランクがあるってのに能力にまでハンデを付けられるたぁな…」

 思っていたよりもスペックの制限が緩かったことには安堵したが、切り札が軒並み使用不能と言う状況に内心辟易する。決め技が封じられていないのがせめてもの気休めと言った所か。
 だが前方の敵は、自分の存在に警戒しているのか身構えるだけで今のところ攻めてこようとしない。

(不味いな…意気込んで割り込んだは良いが、流石にこの状態で二対一は辛い…最悪、鷹音ちゃんだけでも逃がさねぇと)
『主よ』
「どうした?」
『今更だが初戦で二人同時に相手にするのは些かハードルが高い。
 飽くまで提案だが、我が愚妹と小娘に手伝って貰ったらどうだ?』
「……何だと?」
『数の差が問題なのだ。ならば無理に二人同時に受け持つことはない、折角もう一人いるのだ。片方を受け持って貰い、一人ずつ始末すれば問題は無かろう。
 忸怩たる思いがないとは言わんがな』
「いや、それじゃ助けた意味がないだろうが」

 そう、意味がない。竜斗が戦いに介入したのは鷹音をこれ以上傷付けない為である。
 それを態々また巻き込むような事をしては、格好が付かない以上に本末転倒ではないか。
 だが、彼の相棒はそうは思わなかったようだ。

『見たところ、一対一でならば今の主と私には丁度良さそうな相手だ。逆に言えば二対一では少々キツイ相手でもある。主が負ければ小娘共々共倒れ、それは主の本意ではあるまい。
 何よりあの小娘には適度な戦いを経験させる必要が有るのだろう?それに小娘もあの状態で耐え抜いたのだ、早々に負けることは無いだろう』
「だけどな…」
『それとも何か?主は今の状態であの二人に“絶対”勝てるとでも言うつもりか?』
「むぅ…」
『主の勝利条件は“小娘が無事”である事なのかも知れんがな、私の勝利条件は“主が無事”である事だ』
「それはお前…」
『私は主を死なせたくない。そして主は小娘を助け、克つ経験も積ませたい。
 ほら、両方満たされる素晴らしい案じゃないか』
「……チッ、しゃーねーか」

 フォルテの畳みかけるような提案(?)に、竜斗もとうとう折れざるを得なくなる。確かに無理をして自分が倒されれば、後ろに庇っている彼女も危ない。自分の身だけならともかく、手段がある状態で大事な人の身までベットする覚悟は彼にはなかった。
 そうとなれば善(?)は急げ、早速後ろで何故か呆然と此方に視線を注ぎ続けている白い仮面ライダーに声を掛ける。

「悪い、鷹音ちゃん」
「ひゅえっ?」

 その声で我に返ったのか、白装の少女はビクリと震えた。

「助けに来といてナンだけど、手伝ってくれねぇか?」
「て、手伝う?」
「ああ、俺が戦っている間、一人受け持って欲しい」
「えー、えっと…」
「俺がアイツ等を分断する。そこで片方を鷹音ちゃんが相手して欲しいんだ」
「…私が?」
「ああでも無理はして欲しくないんだ。一人片付けたら残りも俺が倒す、その間抑えてくれるだけで良い。いや、戦わせてる時点で無理させてるのかも知れねぇが…。
 みっともない事を言っているってのは分かってる、でも今は鷹音ちゃんの力が必要なんだ」
「……私が、必要なの?」
「ああ、情けないけどな、いや無理にとは言わねぇぞ」
「そっか……」

 そこで鷹音は一秒にも満たない程の時間黙考すると、やがてフッと口元を緩めて答えた。

「……うん…良いよ、もう普通に動けるように成ってきたし、正直このまま空気になるのはイヤだったしね」
「そうか、ありがてぇ、正直呆れられるか笑われると思ってたぜ」
「ううん、頼ってくれて嬉しいもん」

 黒の隣に並ぶ白。言葉通り、その足取りはシッカリしている。

「あ!でもさ…」
「何だ?」
「別に倒しちゃっても…良いんだよね?」
「……」

 流石に予想外だったのだろう、いたずらを思いついた子供のように笑いながら吐き出されたその言葉に、竜斗はポカンとしていた。
 一瞬“敗北フラグ”と言う言葉が浮かんだが(関係無いか)と思い直すと、竜斗もクラッシャーに隠れた口元をフッと弛め――

「…ハッ!言うねぇ。なら先生、手を貸して戴けますか?」
「まっかせて!」

 黒の気取ったセリフに、元気よく返す白。
 そうして、黒と白の仮面ライダーの共同戦線が開かれた。



『おやおや姉上殿、良い所を見せるのではなかったのですか?』
『黙れ愚妹、やられたくなければお姉ちゃんの言う事を聞け』
『格好付けといて数分で前言を翻すとかプフォーッ! 恥ッずかしぃ−!』
『安心しろ、コッチを瞬殺したらそっちの分も直ぐに片付けてやる。愚妹は愚妹なりに必死に持ち堪えていればいい。それ以外は期待せん。
 ああ、望むんなら貴様ごとやってしまっても良いが?』
『……』
『……』

『バグれ』
『爆散しろ』

『『…………チッ』』


 その裏であったこんな遣り取りはどうでもいい話である。





 一方、クラブファクター達も突然の敵の増援に迂闊に動けなくなっていた…

「まさか“英雄”が出張って来るとは…聞いてねぇ…」
「英雄?」
「姉ちゃん…仮にもCCC団ならそれ位知って置いてくれ…っつーか常識だろ」
「?」
「……前大戦…E・Vとの決戦で決め手を作った仮面ライダー、それがあの黒い英雄…仮面ライダーフォルテだ。二年程前から姿を消して他けどな。
 ああくそ!この町にいるとは知ってたが、よりによってこのタイミングで復活するのかよ」
「へ〜」
「“へ〜”て姉ちゃん、アイツは歴史を動かした仮面ライダーなんだぞ!?
 ヤバイなんてもんじゃねぇ、俺達下っ端じゃどうしようもねぇんだよ。まずは逃げるぞ」
「イヤよ」
「は?」
「イ・ヤ、逃げないわ」
「だ、だけどな…」
「とにかくやるわよ、成せば成る!」

 言っている事は前向きだが、よく考えれば只の考え無しだ。
 Bは思わず「いい加減にしろ!アホ姉貴!」と叫びそうになるのを飲み込んで頭を巡らせる。

「……(お、俺がシッカリしないと)」

 クラブファクターBがそんな、ある意味諦めとも言える決心をしたのは、奇しくも竜斗が敗北を覚悟したのと同時であったが、彼には知る由もない。
 そしてもう少し早く二人で攻撃を仕掛ける決心を固めていれば、或いは勝てたかも知れなかったのは今となってはどうでもいい話だろう。

(しかしどうすんだ…。まさか姉ちゃん放って逃げる訳にゃ行かねぇし…)
「何やってるの、行くわよ!」
「あんもう!分かった、分かったから!一人で先走るなよ姉ちゃん!」

 今にも走り出しそうな姉を押しとどめるクラブファクターB。
 声に滲むのは大きな不満と僅かばかりの苦笑。

(多分勝てねぇなこりゃ…。姉ちゃんは逃げる気はないだろうし、理想的なのは姉ちゃんが負けた瞬間に俺が捕まえてトンズラって寸法か)

 勝ち目は限りなく薄いだろう、十中八九以上、自分達はココで御用だ。
 だが最善は尽くす、万分の一の確率でも無事に逃げおおせられるチャンスが有るならそれに賭ける。
 そんな風にしか思考が巡らない程、「フォルテ」と言う存在が持つ意味と圧力は大きい。
 最も、相手の英雄本人は、ついさっきまでむしろ負ける覚悟をしているのだが、クラブファクター達がそれを知る由もない。

(姉ちゃんみたいに勝てる事をアホみたいに信じられるんならもっと楽だったんだけどなぁ…)

 姉の暴走には慣れっこだが、だからといって苦労その物が無くなる訳でもない。
 諦めに支配されながら、一つ溜息を吐く。

「ふふん、白いのもまた来るみたいだけど、一度倒した相手、問題じゃないわね!」
「なぬ?………」

 そして眼前で黒と白の仮面ライダーが並び立つのを見て、その外見とは裏腹の人間臭い仕草で、更に深い溜息をつくのだった。

(あぁ…マジで勝ち目無くなった。逃げてぇなぁ、本気で)

 二人の仮面ライダーと姉が士気を高めている中で、彼の心だけがどんより曇り空であったのは仕方無い話なのかも知れない。





「じゃ、俺が大きい方を引き離すから、残った方を頼む。男女別々ってな」
「うん!」
「よし、遅れるんじゃねぇぞ!」

 声と共に竜兄――いや、この場ではフォルテって呼んだ方が良いか――が駆け出し、私はそれに遅れてついて行く。

「喰らいりゃっ!」「甘ぇ!」

 敵は、突撃してくるフォルテに同時に襲いかかるが、フォルテはAの攻撃は軽く払いのけてスルーし、Bのハサミをかいくぐりその体に組み付いた。

“ドッ”「なっ!?「どぉらああぁぁぁぁぁ!!!」っ!てめっ…」

 そしてフォルテはそのままクラブファクターBを押して、Aから距離を取って行く。

「この…待ちなさい!」
「おっと、アンタの相手は私だよ!」
「“ガッ”あだっ!!?」

 それを追おうとするAを邪魔するように、私はその目元にパンチを叩き込んむ。小悪党っぽい?知るか!
 流石に目は装甲で覆われていないのか、Aは目を押さえて怯む。その隙に、私は身体ごと体当たりして、フォルテ達とは別の方向にAを突き飛ばした。

「うっぐ!…ぬぅ、このガキンチョめ」
「ふん、あんた一人ならあんまり恐くないよ」

 そうしてAが起き上がった頃には、既にBとフォルテは随分と離れた所に移動していた。
 これなら簡単に合流される事はないはず。第一段階は成功って訳だね。

「良いわよ、アンタから始末してやる!」
「それはコッチのセリフだぁ!」

 都合良く頭に血が上ったAは、逃げようとせず私に向かってハサミで突きかかってくる。対する私もそれを避けつつ対抗するように左拳を突き出した。

 Bとの会話の端々から分かったけど、この人はかなり単純、ぶっちゃけ単細胞だ。適当に挑発しつつ殴り合いに入ってしまえば、このまま一対一×2を維持するのは簡単そう。

「チッ、効かないわよ!」
「うわっち! おりゃっ!」“メキィ…”

 私の拳はAの胸に綺麗に入ったモノの、その甲殻に阻まれて全然ダメージが入っていない。そこへAの左手が私を掴もうと迫ってくるが、それを後ろに下がって躱しつつその腕が伸びきった所で、今度はハサミが迫ってくる前に右側――Aから見たら左側へ回り込んで、その脇腹に残るヒビに蹴りを入れる。
 それもダメージにはなっていないようだけど、私はヒビが僅かに大きく深くなるのを手応えとして感じていた。

「(行ける!無傷の部分には攻撃は通らないけどコレを繰り返せば…)「しぇい!!」ほいっとぉ!」

 しかし二撃目を打ち込む前にAは体を回転させ、私の胴を薙ぐようにハサミを振り回す。
 その範囲外に逃れ、追撃で繰り出される攻撃を躱しつつ、私は気になっている事をセレナに聞いてみた。

「チッ!セレナ、今の調子でどの位打ち込めばヒビが“入りきる”と思う?」
『そうですね………手(足)応えから言って、恐らくあと7〜10発と言った所でしょうか』
「そんなにか…まぁ、表面だけにでもヒビが入ってるだけマシかな、つかアバウトだね」
『振動から推察するのは難しいんですよ、装甲の厳密なデータがあるならともかく。
 あと五発くらい入れて貰えればもっと正確に分かりますよ』
「むぅ、仕方無い…とにかく任されたんだ、精一杯頑張りますか!」

 機動力では勝っているモノの攻撃は効かず、パワーも向こうの方が上、一撃貰えば動けなくなってそのまま負ける、戦力差的には圧倒的に不利だ。
 でも――

(策はあるんだ、やってやれない相手じゃない)

 竜兄が頼ってくれている、セレナも居る。
 だからこの程度の相手、乗り越えてみせるさ!


***


 場面は変わって仮面ライダーフォルテとクラブファクターB

「このまま距離を離させて貰うぜ!」

 フォルテはクラブファクター達を断ち切る為に、出来るだけ距離を離そうとBを押し込んだままダッシュしていた。

「おおおおお!…くっ、が…す、好きに…やらせるかぁ!」
“ガヅッ! ガリガリガリガリガリ…”
「あちちちちちちちち!だ、だが我慢!!」

 だが、ある程度の所で、押されるばかりだったBは両足を路面に打ち下ろし、フォルテに拮抗し始める。

「チッ」

 当然ながら、先程までのようにすんなり駆ける訳にも行かなくなり、フォルテは。忌々しげに舌打ちする。
 それでも気合いを入れて足を動かすも、見る見るその勢いは弱まって行き、Bが拮抗し始めた地点から十数メートル程進んだ所で、とうとう完全に歩が止まってしまった。そしてその姿勢のまま、お互いの方に手/ハサミを掛けた状態で押し合いの姿勢に移行する。

“ギギギギギギギギギギ…”
「こ…の…大人しく…しやがれ…」
「ざ、け、ん、な…ぁ!どう言うつもりか知らねぇが、ソッチの思い通りには…いかねぇぞ…」

 漆黒の装甲と緑の甲殻が軋んで立てる耳障りな音をBGMに、仮面ライダーフォルテとクラブファクターBが睨み合う。
 だがそこでフォルテはチラリと後ろの方に視線を送り、直ぐに戻すと、勝ち誇ったように言葉を継いだ。

「悪いが、この位距離が開けば十分だ」
「何だと?」

 そう言ったBの視界に入ったのは、フォルテの遙か後方で姉と退治する白い仮面ライダーの姿。

「ッ!てめぇ、その為に…」
「意外だな、気付いて反抗してきたと思ったぜ」

 フォルテにしてみれば、別に分断しようとしている事が気付かれようと関係ない位の気持ちだったが、Bからすれば眼前の仮面ライダーは一種の偶像とも言える存在だ。先入観で戦力差を考えてしまい、ストレートに叩き潰されると思い込んで態々小細工を労してくると言う考えに頭が行かなかったのは仕方無いとも言える。

「(だが分断されたのはコイツ等も同じ)…ハハッ、アンタならともかくあの白いヤツ一人で姉ちゃんに勝てるかなぁ?さっきまで手も足も出てなかったんだぜ」
「フン…俺の妹分を…」
「“ギシ”っ!?」

 ふと、黒い仮面ライダーの雰囲気と、押し合って拮抗していたはずの“力の流れ”が変わる。
 先程まで押し合いで僅かなりと動かされていたその体がまるで埋まった巨岩の如くビクともしなくなり、Bの両肩に掛かった手はまるでそこに食い込んだ様にガッチリと固定される。そこでBは気付き始める、“コレはもう押し合いではない”と。

――捕まっ“ブンッ”「!?」

 そこでBの認識が形を成すよりも早く、その体が勢い良く持ち上げられ――

“ギュンッ”「舐めるなぁっ!!」“ブオンッ!”
「っ…なあぁっ!?」

 一回転した後、思い切り放り投げられた。無理矢理な体勢で放り投げられた為にそれほど高くは飛ばなかった物の、その分滅茶苦茶な回転が掛かっており、その浮遊感と遠心力にBは思わず叫んでしまっていた。

「う、うわああああああa“ドシャッ”いづぅっ!?!?」

 モロに頭から落ちる…というより回転により頭を叩き付けられるB。幸い甲殻がシールドとクッションの役目を果たしてくれたので気絶はしなかったが流石にノーダメージとは行かなかった、主に首が。
 一方彼をそんな目に遭わせた当人は、右腕をアレコレ動かしながら首を捻っていた。

「…やっぱり違和感があるな…何か身体も重いし、動きにラグが有るような気がするぞ…」
『モーションブースタ稼働に若干のブレを検知。右腕関節部自損率0.23%。
 ふむ、自損の修復はもう完了したが、動く度にコレでは流石に無視できんな。主への反動もどの位出ているのか…』
「つまり毒状態ってか?」
『エネルギーが続く限り修復は続けるから直ぐにどうなるという訳ではないのだが、消耗が激しいのは否めん。何より主の身体へのダメージは治せんからな…』
「なぁに、自滅する前にアイツを倒しゃ良い」
『まぁ、間違っては居ないが…む、敵が起きるようだぞ』

 そのストレートな意見に“フォルテ”は溜息をつくが、結局はフォルテ=竜斗の言ったように急いで倒すしかない。より正確に言うなら少ない手数で、だが。

「ぐ…く…い、今のは…キメラじゃなかったら折れt「オォラアァ!!“ドグンッ”」グボァ!!?」

 フォルテ達が話終えた後のタイミングでやっとこさヨロヨロと立ち上がった所に、神速の踏み込みから繰り出されたストレートを顔面に喰らい、Bの体躯が仰け反りながら派手に吹き飛ぶ。

「“ズシャッ”んげっ!…く、首がァ―――!!?
 ひ…ひでぇ…アンタ本当に正義の味方なのか?キメラじゃなかったら折れてたか良くてムチウチだぞ!?」

 当然、先程頭から地面に激突した衝撃で痛めていた首へのダメージは尋常ではなく、Bは悶絶しながらフォルテに非難に叫び(切実)を浴びせかけた。

「うるせぇ油断したテメェが悪い!こちとら制限付きでやってんだ!相手を待つ?戦いにそんなルールは無ぇ!
 『いっせーのーせ』で勝負して欲しいならスポーツかゲームでもやってろ!!」
『と言うか一般人が仮面ライダーの力で殴られたら下手すれば首飛ぶがな』

 そう逆ギレ気味に叫んだフォルテは、更に攻撃を加えようと駆けだした。

「く、来るなぁ!!」

 それに対してBは慌てて起き上がりながら苦し紛れにハサミで接近を牽制。

「なん――“ギャリッ”クソッ!」

 それをフォルテは紙一重で躱そうとするが、肩にハサミが掠めてしまい、僅かにバランスを崩す。彼はそこで敢えて体勢を立て直さず、そのまま受け身を取るように転がって追撃で迫ってくる反対側のハサミをすり抜けつつ、Bから距離を取って再度立ち上がった。

「チッ、ヤッパリ思うように動けねぇ」
『むぅ、全体自損率0.21%………今のダメージも含め修復完了だ。
 やはり正確な挙動は難しいか、ココはむしろ多少大雑把に戦った方が反って良いかも知れんな』
「成る程、多少のダメージには目を瞑ってゴリ押しの速攻で叩き潰した方が良いか」
『そこまでは言ってないが…いや、結局はそう言う事か』

 “フォルテ”はやや不満そうに『ふぅむ』と唸りながらも竜斗の結論に同意する。
 だが“彼女”の、そして彼の声にも不満は有っても不安の響きはなかった。

「ま、面倒だがピンチって程でもないか」
『油断は出来んがな』
「ハハッ、言ったろ?“負ける気はねぇ、油断もしねぇ”ってさ」
『……フッ、成る程、それなら大丈夫か』
「そう言うこった!」

 この程度の逆境、壁と言う程の物でも無く、彼等に取っては何度も乗り越えたハードルに過ぎないのだから。



To be continued…,最近弁当の同人誌を手に入れた(勿論全年齢)
あと「ウェザードーパントが倒せない」って言う替え歌作りたい。

何回やっても何回やってもウェザーマン(ドーパント)が倒せ〜ないよ
あの雷何回やっても避けれない
後ろに下がって撃ち続けてもいずれは風に飛ばされる
バイクフォーォームも試してみたけどアッサリ止められ意味がない
だから次は絶対勝つ為に僕はツインマキマム最後まで取っておく〜

こんな感じで

こんにちは最近三部構成がデフォになってきた@PFです
ええい!もっと短く纏められんのか!?
しかも話が進んでないし、内容が薄い、薄すぎる!
ぶっちゃけ蟹共を分断しただけです。
そんなのに一万六千文字オーバーとか(自分に失笑)

余計な話を入れ過ぎって言う自覚はあるんですけどね…書きたい事をギリギリまで削るってのもなんか違う気がしますし。
やっぱり上手くスリムに纏められるのが一番ですね。
どんどん詰め込んで分体までおかしくなるのが悪い癖です。前回のヤツは酷かった…。
もっとシッカリ推敲せんとなぁ。
戦闘中に喋り過ぎなのも頂けない。テンポが悪いよ!
まぁ、もにゅもにゅ言っててもしょうがないので、書いたり他の人の読んだりしつつ鍛えてゆきたいです。
出来る事なら、誰か一人でも最後までお付き合い戴ければ幸いです…まぁ、まだまだ先は長いですが(汗)

レス返しだゼ!

YPさん
病弱、だがそれが良い(にやっ)
シンケンとWが一緒に放送していた半年が久々に幸せな日曜だったあの頃…。

>前から名前はチラホラ出てた、噂のあの人。
>出番少なすぎてイマイチ人となりがつかめませんが、まぁ悪い人ではなさそう。
>だっていちゃつく バカップルを煙たがってるもんね!(ぉ
今回でもまだ分かりにくいかも。
自分の悪い部分として、“動き”でキャラクターの特徴を表すのが苦手なんですよね…。
鷹音も何だかんだで最近没個性気味だし。
だから代わりにエピソードでキャラ描写を補足するって方法をとろうとしてるんですが、それすらも上手く行ってる気がしない…。
余所様のやり方を見つつ、要精進って所です。

>なにこの親子、ワムゥ。
>もちろん鷹音ちゃんは子ね。
>だって……(二人を見比べて)……ねぇ?
鷹「背だよね?背を見てだよね!?」

>なんという噛ませ犬、もとい噛まセレナ。
>まぁフォルテのお披露目がメイン要素な今回、ロリ音ちゃんの存在価値は“ピンチに陥って、助けられ る”ことなんでむべなるかな。
>対してフォルテは出番が少なすぎて何とも。(ぉ
>それにしてもなんという噛ませ犬、もとい噛まセレ ナ。
噛ませ犬ではありましたが、次回はちゃんと戦いますよ!
一応フォルテに二人まとめて蹴散らさせるプランもあったんですが、それしちゃうと物の身体に戻るまでセレナの存在意義が“本気”でなくなってしまうので。
あと、2場面同時進行ってのに挑戦してみたくて…w
身の程知らずですか?身の程知らずですね!でもでも、同時ライダーキックしてみたいんだもん!

鴎さん

>一見妹のような鷹音さんに優しい、思慮深くそれでいてどこか子供っぽいような人間くささに満ち溢れている青年ですね。
>しかし、鷹音さんに手を出したクラブ ファクターたちにはクールなようだけど、容赦ない怒りを感じさせる雰囲気がいいです。
フ『余りクールではないし、少し単細胞だがな』
竜「おい!折角褒めてくれてるのに否定するような事言わないでくれよ」
フ『誤解は残しておくと後々面倒な認識の齟齬を生む、早めに修正して奥に限るだろう?』
竜「畜生、お前はバカだ…」

>ルシファー「全くだ。妹分がピンチなら助けるのが兄貴ってモンだしな。お前なかなかいいこと言うじゃねぇか」
竜「俺は、そうしなきゃいけない責任があるから、そうしてるだけなんだ…。ただ妹分達が大事でそうしてるルシファーさんの方がずっと格好いいよ…」
フ『そう言う自己否定は余り感心しないな。賞賛は素直に受け取っておけ。ルシファーとか言ったか、主に変わって私から礼を言っておこう』

>今回も毒舌が冴え渡っておりました。
>そして鷹音さんとの連係プレーややりとりも、まさに相棒といえる絶大な信頼関係が感じられます。
鷹「真面目な時は真面目に決めてくれるしね。戦いの時は頼りになるよ、ホントに」
セ『まぁ、それが存在意義でもありますからね。それにマスターがやられるって事は私も壊されるって事ですし』

>琥 珀「何だかんだ言って、いいコンビだよな。セレナさんと鷹音さんって。
>・・・あたしは最近相棒の暴走に振り回されて、生命の危機すらも感じ取っている始末 なんだが・・・慣れるしかねぇのかな、セレナさんの暴言を流す鷹音さんのように・・・とか。鷹音さん、お互い頑張ろうな・・・(涙)」
鷹「うん…でもどんな緊迫した時でも強制的にギャグ時空を展開するムードクラッシャーってのも面白そうだよね」
セ『マスター、琥珀さんに楽しそう発言はKY極まりないですよ…』
鷹「えっ」
セ『しかし琥珀さんの危機ですけど、生命もそうですが、貞操も危険ですよね…。その内ストレスが大きくなりすぎて闇から生まれた新たな人格、琥珀さんDS(ダークサイド 携帯ゲームではない)とか出てきそうですよねぇ。イマジンの能力はイマジン本人の意志力にもある程度依存するらしいので、もしそうなったら最強キャラ誕生の予感!?』
鷹「ないないw」

ひだりさん
アンチクロックアップシステム(クロックダウンにあらず)搭載型のライダーだと!?
いやまぁ、最近自分もドゥンドゥン遅くなり気味なんで気にしないで良いですヨ!
きっとその内自分も数ヶ月に一度とかになるんで
今回だってもう一月半ですしねー

>通称竜兄。鷹音ちゃんにとってどういうポジションなのかな〜と常々思っておりましたが、気のいい兄貴分キャラでしたか。しかしなにゆえアロハ。
>食 卓ではちょっとしたラブ!コメ!心こそばゆいー。
>縮んでるのもあって、普通に親戚の兄ちゃんに懐いてる子供みたいな感じデスガ。
因みに一緒に暮らしてる異性にありがちなキャーエッチーイベントはクリア済みですw
彼は目覚めたばかりの鷹音の世話をしていたマキナの前任者みたいな物で、鷹音が枯れに抱いている感情は彼女自身ハッキリとは把握していません。
兄が居たらこんな感じかなー?位で
あとアロハは彼の趣味ですwサングラスは目にコンプレックスが有る為。
家の中でも外さなかったのは何となくだったり

>家を出るなりニムブルモード。キメラに組み付く時にはクラッシュモードで、距離をとってのクラッシュハンマー装備。
>イイデスネー。この後の肉を切 らせて骨を断つ様な戦法もグッドデスネー。
>元々ある個性豊かなフォームに、鷹音ちゃん自身がミニマムてる影響を加えて、更に戦略性が増したと言い ますか、工夫あるバトルは見てて楽しいものでふよね。
そうですねー、力押しのゴリ押しバトルは嫌いじゃないんですが、そればっかり続くのはイヤだったり。
だから自分で書く時も出来るだけそうならないようにしています。
まぁミニマムの影響でそうしなきゃいけない度が跳ね上がって、書く方としては大変ですがw
あ、でもフォルテは力押しになる予定

>セレナさんのことは愚妹呼ばわりで、自分のことはお姉ちゃんとか呼んじゃうのが微妙な可愛気。
今回早速姉妹間の絆に亀裂が…。
まぁ、近親憎悪みたいな感じでしょうか。見た目やポジションが似てますし。
と言うよりフォルテがセレナを見下して、セレナがそれに反発してるような感じ。
でもきっとセレナが「お姉ちゃん☆」って言ったらでデレる、分かんないけどきっとそう

>セレナさんと比べてこちらは熟練の貫禄と言うか、そ ういう習熟したフランクさが魅力なきゃらくたあなのでせうか。
まぁ、フランクって程じゃないですが、彼女を言い表すなら、毒舌度が薄いセレナでしょうか。え、別キャラ?


ではではこの辺で
御意見、ほどほどな批判、お待ちしてます
気になる所があったら大幅改稿するかも…何かモヤモヤするんだよなぁ

来月中にイグナイト最新話まで読めたらいいな

追記:どうしても放置できない間違いを見付けたので修正。
同時にちょっと気になった部分も直しました。,#000000,./bg_b.gif,i60-46-202-47.s11.a021.ap.plala.or.jp,1 2010年03月29日(月) 12時10分33秒,20100327162510,20100401121033,oPQmBtRULsPSc,SS投稿板・交流温泉,BBS利用者共用 ,,,ここはこの掲示板を利用する皆さんが交流するための場です。
作家さんも読者さんも、同じライダー少女を愛する仲間。
仲良く使いましょう。
お知らせや他の作家さんと連絡を取りたい場合、読者さんも感想を書き込んだりと、
ゆっくりと湯に漬かるぐらいの気持ちでご利用ください。

ただし、他者を誹謗中傷するような書き込みは絶対しないように!

パスワードは“000000”、ゼロが六つです。,,#000000,,jig133.mobile.ogk.yahoo.co.jp,1 2010年03月25日(木) 22時37分08秒,20100325223708,20100328223708,oeHxRTpeWthfg,仮面ライダーバルキリーたん 第45話「All sets」,鴎,,,「All Sets」

慧「何これ・・!!激しく揺れてる!!」
アメジスト「ちょうどこのトンネルの上では、ルーベットやサファイアたちがファンガイアたちを迎撃しているわ。急ぐわよ、この様子だと一刻を争うわ」

長い長い海底通路を走り、やがて慧たちが巨大なシャッターが下りている部屋の前へとたどり着く。車庫のような厳重な作りだった。アメジストがシャッターの鍵を開こうとコピーしたIDカードを差し込むが、ドアのロックが解除されない。

アメジスト「ちっ、どうやらこの異常事態でIDロックが故障しているようね」
慧「ええええええええええっ!!」
エメラルド「それじゃ開かないじゃん!!」

途方に暮れたその時だった。

「慧ちゃん、そこをどいてください!!」
「行くぜぇええええええええええ!!」
「ふんっ!!!!」

後ろから飛んできた声でとっさにその場を離れると、そこにビショップ、ルーク、そして金色の竜をイメージした重厚な戦士が飛び込んでくる。そして、ルークとビショップの姿がそれぞれファンガイアの姿に戻り、ビショップの手からは激しい暴風が、そしてルークの手からはマグマエネルギーを凝縮させた火炎弾を発射し、さらに金色の戦士が投げ放ったVガッシャー・アックスモードに重なり、巨大な刃と化して扉を一気に打ち砕いた!!
扉が吹き飛び、向こう側へと続く穴が開いた。

慧「塔子さん!!神代先生!!」
ビショップ「慧ちゃん、御無事でしたか・・・!!」
ルーク「よくやったぜ、慧ちゃん!!」

クシナダ「レーク!!無事だったのか!!」
ショウカ「レーク!!」
Aバルキリー「すまない・・・遅くなったな」

そして、もう一人、いた。

慧「あ・・・・・・」

慧の目が大きく見開き、驚きと信じられないといったような表情でその人物を見る。
そして、その人物の顔を見定めると、目から大粒の涙が一滴流れる。それに続くように熱い感情の高ぶりが抑えきれなくなったかのように涙となってあふれ出る。

慧「・・・・あ・・・・・・き・・・ら・・・・・」

晶「慧―――――――――――っ!!!!」

自分が心から信頼する親友の声。
そして、自分に向かって真っすぐ突き進んでくる。
慧も思わず走り出していた。
他には目もくれず、真っすぐ親友に向かって走り出し、やがて、慧が心の奥から叫んだ。

慧「晶―――――――――――――――っ!!!」

そして慧から小柄な晶の体に飛びつくように抱きついて、しっかりと両腕で晶の身体を抱きしめる。

晶「け、慧・・・!!」
慧「晶っ、あきらっ、あきらだぁ、会いたかった、会いたかったよぉっ、あきら、あきら、あきら、あきらぁあああああっ!!!!」

顔を真っ赤にして、涙でくちゃくちゃになり、嗚咽交じりの声で何度も何度も愛する人の名前を叫び、むさぼるように、その温もりを肌でとことん感じるために、慧は晶のことを強く抱きしめて、わんわん泣きだした。これまでずっとこらえ続けてきた感情を大爆発させるかのようだった。

慧「晶っ、あきらっ、会いたかった、もうどうしたらいいのか分らなくて、ツイてなくて、敵ばっかりだし、トラブル多すぎだしっ、もうわけわかんないし・・・!!!」

晶「・・・・・慧・・・・・」

晶が慧の頭を優しく撫でる。不安とストレスといった負の感情で頭がいっぱいになり、知らず知らずのうちに追い詰められていた精神的な不安を癒すかのように、晶は静かに優しく慧の頭を撫で上げる。少しずつ、少しずつ・・・。

慧「・・・・晶・・・・・」

晶「・・・・・ずっと、不安だったんだよね?よく・・・頑張ってくれた・・・・」

慧「晶・・・・・」

晶「ごめんね・・・・遅くなって。もう、離さないから。慧のこと、ずっと離さないから」

慧「・・・・・・・・・晶・・・・・晶・・・・・・・」

泣きじゃくる慧を優しく慰めるように、頭を優しく優しく撫で上げ続ける。
そうしているうちに、慧の感情の高ぶりが少しずつ収まっていくようになり、落ち着いたような雰囲気へとなっていく。

琥珀「・・・あいつ、男として一皮むけたみたいだな」
アメジスト「まあ、晶じゃなきゃダメなんじゃないかしらね。慧の不幸も不安も全部抱きかかえて面倒見てくれるオトコなんてね」
琥珀「言えてるねぇ、それは、くくっ」

琥珀が嬉しそうに笑みを浮かべると、アメジストもやれやれといいながらも、温かい視線を慧に向けてほほ笑む。

ビショップ「・・・・・・・・・キング・・・・!!何とも成長なされて・・・王として・・・男として・・・・・一回りも二回りも大きくなられて・・・・私・・・・感激いたしました・・・・」

ルーク「うん、キング、すごくかっこ良くなったし優しくなった。いつも王としての厳しいキングもいいけど、やっぱりこういう優しいところがあるからこそのキングだ・・!」

その姿はただ可愛らしい男の娘ではなく、まさしく一人の女性を心から思い慕い、苦しみも悲しみも全て全力で受け止めようと向き合い、不安を退けるように心から安心できる居場所を分け与えることが出来る大らかな心を持つ一人の男性へと変わっていった。

晶「・・・まだ・・・立てる?肩、貸すよ?」
慧「ううん・・・大丈夫。今のあたしなら・・・・どんな不幸だって怖くない。隣に晶がいるなら!!」
晶「OK!」

慧と晶が笑みを交わし合い、慧が涙をぬぐうと思いきり走り出し、通路の奥へと続く列車引き込み線がある停車場へと向かって走り出す!!

その様子を一人、静かに見ていたアスモデウスは二人の姿をどこか懐かしむように見ていた。

アスモデウス「・・・・・兄様・・・・」

ふとつぶやいた言葉は思慕の情が込められているのか、遠い過去にどんな思いを馳せているのか・・・。


アスモデウス(あたしも、あんな風に泣いたり笑ったり、心から打ち解けあえる仲間が・・・いたんだなあ。そんな人ともう一度人生やれるっていうなら・・・・あたしが今やるべきことは・・・・ただ一つじゃない)

アスモデウス「長い道のりじゃん。とことんあたしの好き勝手にやらせてもらうかね」
そして、いつもの妖艶かつどこか無邪気な笑みが一変し、冷たい狩人のそれを思わせる凶暴でギラギラ光輝く鋭い視線を慧たちに向けていた。


一方。
海上では、炎に包まれ崩れ落ちていく戦艦を飛び移りながら、仮面ライダーバルキリー・ランスフォームとガンフォームが襲いかかってくる敵を槍でなぎ倒し、銃で急所を一撃で撃ち貫き、障害物ごと破壊して吹き飛ばし、大勢にも関わらず勇猛果敢な戦いぶりを発揮していた。

Lバルキリー「サファイア、行くぞ!!」
Gバルキリー「OK」

二人が同時にバックルにフリーエネルギーを充てんすると、ガンフォームの銃口から無数の銃弾が発射され、ランスフォームの無数の突きから繰り出される衝撃波が同時に解き放たれ、目の前に群がっていた敵は一気に蜂の巣となって打ち砕かれていく!!そのまま休む間もなく槍を再び身構えてランスフォームが向かい来る敵を薙ぎ払い、蹴り、突き出して敵を蹴散らしていく姿はまさしく歴戦の勇士である。

Lバルキリー「ふっ、来るなら来い、私の槍裁きとくと味あわせてやる!!」
Gバルキリー「さぁーてっと、次はだーれだい?あたしの銃弾もたーんと召し上がれ」

余裕な笑みさえ浮かべているが、真剣そのもの。
危機的状況においても笑って乗り越えようとするほどの強靭な意志の表れでもあるのか、大勢の敵さえもひるんでしまうほどの勢いだった。

Gバルキリー「ピンチピンチなんて慌ててられないっての。早く慧たちを脱出できるように邪魔者退治しとかないとね」
Lバルキリー「ああ、こうなったら徹底的にクライマックスですぞっ!!」
Gバルキリー「・・・今日のあたしは・・・おバカもセクハラも抜きってことで」
Lバルキリー「それでは、何も残らないではないか!!空気同然だろうが!!他に・・・どう認識すればよいのだ!?」
Gバルキリー「お願い、折角気合い入れてたのに、戦意をぶち壊すような、酷過ぎる発言を真剣な表情で本人に聞かないで!!あんた鬼かぁ!?」
今回はルーベットが悪い。

マモン「ンなことどうだっていいだろうが!!よそ見してんじゃねぇ!!」
Gバルキリー「あれ、今、あたしの存在価値があっさり否定されたよ?」
Lバルキリー「そうであったな」
Gバルキリー「あれ、誰も聞いてくれないよ?グレちゃうよ?やっぱりセクハラしちゃうよっ!?」

モンステロレジェンドルガに化身したマモンが鎌から発射する光線で敵はふきとび、消し屑と化していく。その勢いに乗るように、ランスフォームが槍を振るい、ガンフォームが銃で向かい来る敵を撃ち貫く。迎撃戦においては、やがて敵の方が圧されてきている。

その時だった。

パラリラパラリラ〜パラリラパラリラ〜♪

突如空間に光が射し、そこから線路が組み立てられ、轟音とともに巨大な列車・Vライナーとキバライナー・スザクが躍り出てきた!!
そして、スザクの2門の砲台が敵へと向けられ、最大出力で発射される火炎弾が炸裂し、所々で大爆発が起き敵の艦隊が一気に海の藻屑と化す!!
さらに、Vライナー・フェニックスからの援護射撃も手伝って艦隊がたちまち爆撃され、沈んでいく。

Lバルキリー「・・・あれは・・・Vライナー!?なぜ、慧殿のは今、捕まっているはず・・!!」
Gバルキリー「・・・なぁるほどねぇ、これ以上ない最高の援軍の到着か!」

そして、スザクから躍り出た一体の影が電車から飛び上がり、回転しながらサファイアたちのそばに躍り出る。

トパーズ「遅くなったな」
Gバルキリー「トパーズ!!」
Lバルキリー「これで、全員集合ですぞぉっ!!」
トパーズ「ふっ、私だけではないがな」

そして、もう一人、Vライナーから躍り出てきた人物を見て、二人の眼が見開く。

愛「ルーベットちゃん、サファイアちゃん、大丈夫〜!?」

Lバルキリー「愛殿――――――――っ!?」
Gバルキリー「愛ちゃんっ、どうしてここに!?」
トパーズ「娘の危機にいても立ってもいられなかったらしくてな、私たちがたまたま時空間をうろついている愛たちを見つけて、ここまで案内してきたんだ」

愛「シズカ、久しぶりに派手に行くわよ!!」
シズカ「OK、OK、いきますかっ!!」

愛が装着したバルキリーベルトの白いボタンを押し、待機音が流れるとパスを通す!!

「Dancer Form」

白きカラスをイメージした電仮面とアーマーが装着され、背中から巨大な翼のようにフリーエネルギーが舞い上がると、光とともに現れたVガッシャー・ハンドアックスとダガーを構える。

「あたしの舞の前で酔いしれてみるぅ?」

そして、船から船へと飛び移り、敵を舞い踊るように、目にも止まらない速さで敵を次々とフリーエネルギーの刃で切り裂いていく。

Lバルキリー「おおっ!!」
Gバルキリー「こっちも負けてられないね」
トパーズ「ああ、変身」

「Ax Form」

金色の光とともに斧を構えた重厚な戦士が現れ、静かに威厳を漂わせながら戦場に立つ。

Aバルキリー「チェックメイト、待ったはなしだ」
Lバルキリー「一気に行きますぞぉおおおおお!!」
Gバルキリー「しかしまあ、まだ敵がこれだけたくさんいるなら、あたしたちの活躍の場はまだあるみたいだねぇ。思う存分やりますか」

Dバルキリー「久しぶりのステージは、やっぱりいいねぇ〜♪ゾクゾクするねぇ〜♪」
Lバルキリー「愛殿っ、海底の基地から地上に繋がっている格納庫の出入り口のようなものがあるはずですぞっ、それを探し出し、Vライナーを無事脱出させるためにも、まずは邪魔な敵を倒さなくてはなりませんぞっ!!」
Dバルキリー「・・・慧ちゃんが電車取り戻して脱出したとしても、出てきたところを集団で襲われたら厄介だしね・・・・うん、それは賢明な判断だわ」

そして、二人を取り囲むように無数のファンガイアたちが牙をむき、凶暴な唸り声を上げて一気に飛びかかる!!しかし二人は臆することなく、パスをバックルに通し、フリーエネルギーが爆発的に広がる。

Lバルキリー「いっけぇええええええええええええ!!」
Dバルキリー「はああああああああああっ!!」

ランスフォームが回転しながら槍で敵を次々と薙ぎ払い、ダンサーフォームが空中から襲い来る敵に対して、ハンドアックスとダガーを構えたまま回転して舞い上がり、白い光とともに敵を斬りつけていく!!

ティンクル(・・・シズカ)
Dバルキリー「・・・ティンクル?ふふん、さてはあんたも一暴れしたいって?」
ティンクル(・・・・ああ、私たちに歯向かうなどといった愚か者どもには、直々に天誅を与えなければ気がすまん。格の差ってものを教えてやらねばな)
Dバルキリー「愛ちゃん、ちょっと、チェンジ」

「Wing Form」

銀色の光がダンサーフォームを包みこむと、今度は銀色のフリーエネルギーの翼が舞い上がり、Vガッシャー・ブーメランモードとハンドアックスを構えて、西洋の騎士を思わせるような純銀の騎士が現れた。

「星の煌きと共に・・・降臨」

そこへ飛びかかってくる敵を見据えると、ブーメランを素早く投げつけ、銀色の刃が空中を飛びまわり、敵の首を、急所を、一陣の風と共に切り裂き、次々と崩れ落ちていく。そしてブーメランをキャッチするや否や今度はハンドアックスを回転させながら投げ放ち、斧の重厚な刃が戦艦の頑強な装甲をも打ち砕き、そこから海水が流れ込み、戦艦が一気に傾いていき、やがて爆発とともに巨大な炎が舞い上がった。

Wバルキリー「ふん、この程度か・・・」
Gバルキリー「おおっ・・・・このツンツンぶりはなかなかいいですなぁ・・・」
Aバルキリー「だが、油断は禁物だな。でないと・・・」

そういいながら、ウイングフォームの背後から襲いかかってきたファンガイアが爪を振りかざすが、一体は投げつけられた斧で切り付けられ、もう一体は脳天に銃弾を浴びて、一気に崩れ落ちていく。見ると、そこにはアックスフォームとガンフォームがいた。

Aバルキリー「いつ、足元すくわれるか分らないぞ」
Gバルキリー「そういうこと」
Wバルキリー「ふん・・・肝に銘じておこう」

マモン「・・・仲間か・・・・いいなあ・・・・」
ふとつぶやいていた。
目の前でどんな強大な敵であろうと、どんなに多勢に無勢であろうとも諦めはしない。
強く固い絆で結ばれているから、実力以上の力が発揮できる。

マモン「・・・・俺は・・・・もう・・・仲間なんて・・・いる資格なんざねぇが、なぜだろう、こいつら、全力で守りたくなる」

マモンがバズーカ砲を構え、口にくわえた煙草でダイナマイトに火をつけ、一気にぶん投げて艦隊を沈めていく!!そして、襲い来る敵を鎌で切り刻み、火炎弾で焼き払う!!

マモン「俺はどんな理由があろうが・・・兄貴たちを裏切ったも同然だ。ベルフェとサタン・・・可愛い妹分を殺してくれたあのチビガキをぶち殺すためとはいえな・・・でも、もう、俺は後悔しねぇっ!!!俺は・・・一人でもいい。動かずにいられるか、戦わずにいられるか、あいつだけは、許せねぇっ!!あいつなんかに・・・こいつら殺させねぇっ!!」

バカ過ぎて放っておけないから。
真っすぐすぎて危なっかしいから。
かつて、自分が面倒を見ていた妹たちを見ているようだから。
捨てられない。
たとえかりそめであろうとも、「繋がり」や「絆」は何が何でも捨てたくない。
それが・・・俺の「強欲」な性分だ。

Gバルキリー「・・・・クールなのに熱血系って・・・こういうのもありか・・・いいねぇ」
Aバルキリー「何を言う、私なぞ常にクールかつ冷静沈着ではないか」
Gバルキリー「慧がらみになるとショートやらエラーやら起こしまくる誤作動機能満載のパソコンみたいなところあるけどね」
Aバルキリー「万年発情期盛りのついたメス犬のような、存在そのものが猥褻罪のようなお前には言われたくない」
Gバルキリー「・・・・・・へぇ・・・」
Aバルキリー「・・・・・お互い・・・本当のことを言いあうと・・・・悲しくなるな」
Gバルキリー「不毛だったね・・・・うう・・・・ザクッときまちた・・・」

「「この鬱憤は敵で晴らしてくれようか」」

マモン「お前ら本当にバカだなっ!!?」
Wバルキリー「正真正銘のバカだ」


そして。
慧たちが通路をくぐりぬけて大きな部屋に入ろうとしたその時、突如建物全体が大きく揺れ出した!!

慧「何っ!?」
晶「嫌な予感・・・」

「自爆装置作動、自爆装置作動、5分後にこの建物は強制的に自爆、消滅いたします。研究員は大至急、地下4階の特別大型車輛格納庫からのパイプライン、または地下7階のプラットホームより緊急用カーゴトレインで脱出してください」

晶「やばいっ!!」
慧「急げっ!!」

そういって、全員が走り出し、次々と特別大型車輛格納庫の中へと入っていく。
琥珀「Vライナーがあったぜ!!」
アメジスト「ラッキーね、いつでも発車出来るようになっているわ」
レーク「急がないと海の藻屑だ!」
クシナダ「冗談じゃねぇ!!」
ショウカ「脱出だ、脱出――――っ!!」
そして、最後に慧と晶が飛び込もうとしたその時だった。

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!!

後ろから飛んできた何かが慧と晶の足にからみつき、もんどりうってその場に倒れ込んでしまう!!そしてそれと同時に二人の前で車庫へと続く重厚なシャッターが閉まっていく!!

見ると、慧と晶の足には刃と刃を鋼鉄の糸でつなぎあわせたもので縛られていた。
そしてその先にいる人物を見て、慧と晶が確信する。

アメジスト「慧!?」
琥珀「慧!!」

慧「琥珀さんっ、Vライナーで先に脱出してっ!!あたしたちは後から脱出する!!」
晶「ルーク!ビショップ!!急げ!!」

ビショップ「キング・・・!!」
クシナダ「慧ちゃんっ!!」

叫び声も空しく、慧と晶を残して、鉄の扉が無情にも閉じられた。

晶「・・・・さてと、どうやら、決着つけなきゃ、いけないみたいね、セブンズヘブン」
慧「・・・アスモデウス!!」

アスモデウス「・・・まあ、慧ちゃんと一緒にいられたのは楽しかったけど・・・そろそろ・・・お仕事しないと・・・・副長としてはいけないかなということで・・・」

慧「・・・・そうね、こっちもいい加減ケリつけなきゃと思ってたところさね」

慧がゆっくりと起き上がろうとすると、晶もゆっくりと立ち上がる。

晶「・・・・・慧、あとでちゃんと説明するから、今は、何があっても驚かないでね」
慧「?」
晶「・・・・・俺も・・一緒に戦うよ・・・・・仮面ライダーとして・・・」

そういって、晶がワイバーンベルトを取り出し、慧を一瞬みると、慧の目が大きく見開かれ、驚いたように見やる。晶も一瞬罰が悪そうな表情をするが、きっと決意を秘めたように腰にベルトを巻きつける。
ずっと慧に黙っていた真実を明らかにした。
それに対する罪悪感がないわけではない。

慧「・・・・晶・・・」
晶「・・・・やっぱり・・・・ダメかな・・・」
慧「・・・・・不安そうな顔しないでよ」
晶「・・・・え?」

晶が慧を見ると、隣でバルキリーベルトをつけた慧が不敵な笑みを浮かべていた。

慧「これから、二人で大暴れするんだろ?気合い入れていかないとね」
晶「え・・・・・慧・・・・・怒ってないの・・・・・?俺が・・・黙ってたこと・・」
慧「・・・黙ってなきゃいけない理由があったんだろ?だったらあとでちゃんと聞くよ。今は・・・・ここを脱出しないとさ」
晶「・・・・慧・・・・・」

慧「頼りにしてる、あたしの、唯一無二の、相棒!!」
晶「・・・相棒・・・!!」

「相棒」と言い切った慧の表情にはもはや迷いなどなく、清々しいまでに真っすぐな瞳をむけて不敵な笑みを浮かべていた。晶は胸の奥底から熱くなり、あふれ出る感情で堰が切れそうだったが、かろうじてこらえて、笑みを浮かべ、キングドライバーを差し込んだ!!

アクアマリン(慧さん、今度は私がいきます!!)
慧「うん、行くよ!!」

「「変身」」

「Priest Form」
「Ultimate Form」

慧の周囲で水色の水柱が噴き出し、それらがサメのような水色のアーマーと化して装着し、頭部には巨大なサメが口を開き、そのまま仮面として装着される。
そして、手には水色の光とともに、三叉槍「NEOバルキリーソード・トライデントパーツ」が装着される!!

アクアマリンが憑依した戦士、仮面ライダーバルキリーたん・プリーストフォーム!!

そして、金色の稲光が晶を取り囲み、稲光が見る見る晶の体にアーマーとして具現化されていき、みるみる威厳が漂う重厚なアーマーへと変えていき、竜を模した仮面を装着すると、巨大な槍を構えて立つ姿は威風堂々と言う言葉がよく似合う王の姿が現れる。

仮面ライダーワイバーン・アルティメットフォーム!!

Pバルキリー「貴方の罪・・・裁かせていただきます」
Uワイバーン「勝利の凱歌は・・・我ら二人にあり!!」

アスモデウスが二人を見て、一瞬ほほ笑んだような気がした。

アスモデウス「・・・本当、これ以上一緒にいたら、任務なんて忘れちゃいそうだよ。慧ちゃん、すっごく可愛いしいい子だもんねぇ。でも、あたしにも守りたい大切な人がいるんだわ。その人のためにも・・・負けるわけにはいかないわ!!」

アスモデウスの瞳が凶暴な光を帯びると、全身から青い炎を噴き出し、ロキレジェンドルガへと姿を変え関節剣をしならせて地面に叩きつける!!

アスモデウス「ケリつけましょ・・・・慧ちゃん、キング!!」
Uワイバーン「・・・そうだね!!」
Pワイバーン「行きます!!」

残り時間5分。
脱出をかけて、命がけの決戦が始まった!!

続く

,お久しぶりです!
ようやく・・・仕事休みがもらえましたんで、作品を投稿することができました。
暖かい応援のお言葉、本当にありがとうございます。
セブンズヘブン編もついに佳境を迎え、ラストバトルも目前となってきましたバルキリー!!最後まで応援のほどよろしくお願いいたします!!

レスの感想をお返しいたします!!
いつも本当にありがとうございます!!

>烈様
どういった結果でそういう設定を追加したのですか?……その妙な追加設定の所為で琥珀さんが久しぶりに酷い目に遭っていますし、そういったことを与えるのもどうかと思いますよ?

物語を盛り上げようとして書いたのですが・・・確かにそうですね。今後とも気をつけさせていただきます。ご指摘のほど、ありがとうございます。

>既にお父さんが亡くなっているといっているように思えてしまいますが実際はどうなのですか?
実際は・・実はまだ設定が決まっていないのです。現在も設定に関しては考慮しておりますので、機会がありましたら登場させて見たいと思っております。

いつも暖かいご声援のほどありがとうございます!!

>黒様

申し訳ございません、何度もレスを確認させていただいたのですが・・・感想の文が見当たらないのです。もし見落としているのであれば申し訳御座いません。

>@PF様

慧「セレナいつも楽しく読ませていただいてます!!」

>鷹「慧はお母さん達の事が大好きなんだね。私…そう言うの全部…・思い出すらなくしちゃったから、ちょっと羨ましいな…」
セ『待ってマスター!(中略)した部分良く読んでから発言して下さい!と言うかキレる度にギャグ補正で敵をボコる様に成ったら私本気で引きますよ…』

慧「まあ・・・ね。好きじゃなかったらグレてるよ。天然だけど頼りにしているし・・・」
晶「セレナさん、慧と一緒にいれば、そりゃこうなるなって納得すると思うよ?精神的に追い詰められやすい環境下なわけだし」

>マテお前ら、そのけつろんはおかしい!
この中でまともなのは、琥珀さん、パール、アクアマリン、ダイヤであることが判明。

>お前らに最近何やっても酷い目に遭ってる気がする琥珀さんの悲しみの何が分かるってんだよ!!

琥珀「・・・・ありがとう、そういってくれるとうれしいっていうか、見てくれている人がいるんだなって本当にうれしいよ・・・」

>その内琥珀さんが覚醒してイマジン(バカ)共の頂点に立つぜ

琥珀「あたしがバカになったら、誰があいつら止めるんだよ・・・。鷹音ちゃんやセレナみたいな、正確なコミュニケーションとれるのあたしだけなんだしな」

セ『何言ってるんですか、変態はギャグシーンじゃ死なないんですよ?』
>鷹「アンタは何を言ってるの!?」

サファイア「ふっ、愛のためなら死ねる。愛に殉じ愛に生きるのがあたしの倫理さ」
トパーズ「セレナ、変態の極みともなると、こうも自分のダメ人間ぶりを正当化できるというものだ」

次回はついにアスモデウスとの決着です!!

,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年03月18日(木) 02時29分39秒,20100318022939,20100321022939,mdKgFW2Bm3nRM,仮面ライダーintertwine 第2章第11話『変わろうとする妹/揺らぐ兄』,オリジナルライダー・リレー企画,,,PM13:00 ボード学園中等部3年A組 教室。

「……えっと、華枝ちゃん…大丈夫?」

話しづらい、そんな状況でもさすがに無二の友人が何時もの数倍位縮こまっているのをみて命李は話しかけてみた。

「う、うん……大丈夫…」

その返事もどこか弱弱しかった。無理もない、何せキャナ☆が友人第一号宣言してさらに演劇部に入る……。
見当違いにも程があるのに華枝に妬みの視線を送る人物もいたほどだ。

ソレを受けている華枝としては相当な重みなんだろう……。そう命李は感じた。

「あ、あと……その、ありがとうね……命李ちゃん」

「う、うん。いいよ、別に……『キャナ☆』さんも分かってくれたみたいだし……ね」

ちなみに今は華枝が命李の机の近くに避難して事無き事を得ている。
恐らく、いや確実に後少し命李が華枝を彼女の机から引きづり出すようにしてなければ彼女はキャナ☆と一緒に食事をする羽目になっただろう。
妬みと羨望の視線の束を浴びる事になりながら。普通なら「いいだろう」と自慢できるが……。

「(華枝ちゃんが……耐えれるとは思えない……し)」

なお、ちゃんとキャナ☆に断りを入れて了承してもらっている。さすがに黙って引きづり出すなど出来るわけがなかった。
それでも、今までとは違う行動を取れたのは素直に『あの一件』が大きいのだろう、と命李は感じた。

なら、そのついでに今日言いたかった事を言う為に命李は口を開く。

「あ……そ、そういえば。今日吹奏楽部で吹くんだけど……、その……華枝ちゃんも見学に来る?」

たどたどしく言いながらも、命李は華枝を誘う。

……それが大きな選択肢と知る事はかなりの後なのは、言うまでもないだろう。

PM16:15 ボード学園屋上。

昼には賑わうであろうその場所には今は晃輝しかいなかった。
そして彼は少し目を細め悩んでいた、理由は……そう、京の事である。

『まだ悩むか? さっさと我らの仲間にすればいいだろうが』

ギルファリアスがユックリと現れる。
だが晃輝はそちらの方を見ずにギリっと歯を噛み締めた。

「うるさい、黙れ。……彼女にだって日常があるんだぞ? それを否定するような事をおいそれとできるわけがないだろ」

『ふ、偽善者が……好きにしろ。我は呼ばれるまでは黙っておこう』

やれやれ、と肩をすくめて姿を消すギルファリアス。
晃輝はソレを横目で見て学校へと続くドアへと視線を移す。

「…………さて、何て言うべきか……」

できれば実は軽いジョークでした、というオチも考えたが。
そんな事を言えば殴られるし最悪学校にいられないだろう。

「はぁ、どうすれば……いいのかねぇ」

溜息を吐いて彼は屋上の手すりに手を当てる、そして空を見上げていた時……。
ドアが、開いた。視線を其方へと向けると……志熊 京が顔をドアから出していた。

「よぉ、志熊。……呼ばれた理由、わかるか? まぁ、わからないだろうけどな」

「……ライダーについて……ですよね?」

その直後に晃輝は自分の相棒を心の奥底より恨んだのは言うまでもないだろう。
思わず拳を震わせていたいるのだからよほどである。

「あぁ、そう……だな。えっと、ライダーについて何か知ってるか?」

「……私が、その仮面ライダーになれる事程度です」

「そう、か」

そう聞き終えるとフゥ、と晃輝は一息をつく。
暫く目を閉じ顔を空へと向ける……。そして、覚悟を決めたように再び京と顔を合わせた。

「……単刀直入に言う。お前は仮面ライダーを何だと思う?」

「どう……?」

「あぁ、人と同じ存在が人とは異なる姿と力を得る存在。ここまでは分かるよな? 変身したわけだからな」

しかし、京の反応は晃輝が想像していた反応とは違った。
てっきり困惑するかと晃輝は思っていたのだが……

「あ、あの時は頭が一杯一杯であまり実感が……」

と、どちらかというと少し戸惑う感じだった。ソレを見て晃輝は吹き出しそうになるが……口を閉じて事無き事を得る。

「……そうか、まぁ、ライダーは普通じゃない力を得るってわけだ。……お前はその力で何をしたい?」

「え、何を……って」

「理由だ、その力で成し遂げたい事。ソイツは曖昧でチグハグで矛盾だらけで……だからライダーどうしてもぶつかる事が必ずある……お前はそんな『歪な戦場』に立ち向かう覚悟はあるのか?
 そしてその覚悟に見合う理由はあるのか?」

「……私は……誰かの為に……」

誰かの為に、口で言えば簡単な言葉。
だが、それを実行することがどれだけ難しいか晃輝は良く知っていた。己がソレをしようとして挫折したのだから。
大切な1を守る為に、他の10を捨てることを選んだ彼だから。それでもその行為を未だ後悔する彼だから……、晃輝は京に同じ道を進んでほしくなかった。

「俺と同じか。なら、尚更はっきり言おう。お前じゃ無理だ」

「っ……」

「誰かの為に、言うだけなら簡単だ。だけどな、1を救えば他の奴らも救わなければいけない。そんな選択を迫られたときどうする?」

「……」

「1を救えば、10を救わなければいけない、100を救わなければ文句を言われる、1000を救わなければ恨まれる、10000を救わなければ敵となる……。
救えば救うほど「どうして私は救われないの?」と不満を言う奴は増える。それを全て受け止めて全てを守る覚悟があるのか? 無いならやめておけ。
……自分の周りにいる者だけを救うというのがどれだけ苦痛か、理解できるなら、な」

そこまで言い終えたとき彼は慌てて口を閉じた。「戦わなくていい」と言ってそこで終わるつもりだったのに気がついたら自分が常日頃感じている絶望を口にしていたのだ。

自分がライダーである事の苦悩、それを言える人がいないから歯止めが利かなくなったんだろう。
そう思うとさらに自分が情けなく思えてくる晃輝だった。

「まぁ、これは言いすぎかもしれない。だけどな、誰かを守るために戦うってのはそれだけ難しいんだ。ソレに戦う事を決意したら最後、日常って奴を半分くらい捨てることになる。
怪我だってする、それでいいのか? お前は一度選んだら最後の選択肢をそう簡単に選んでそれでいいのか?」

「…………」

お前は戦わなくていい。そう言えなかった。
目の前の少女はこれだけ言われても心に秘めた思いが揺らいですらいないのだ、今言えば確実に否定する。そうされれば……。

「(甘えちまうかもしれない、一緒に戦わないか。と誘っちまうかもしれない……っ)」

それだけは避けたい、なぜなら彼の力は守る為にある。
後悔しても、それでも周りだけは自分の力だけで戦わせることなく守りたいというエゴだらけの覚悟が揺らいでしまうかもしれない。

それを彼は恐れていた。

だから、彼は突き放す。
少女をこれ以上非日常に染めないように、そして自分にもう二度と興味を抱かせないように。

「最後に……これからどうするかは知らんが……覚悟は持って行動しろ。それだけだ」

そして彼は京から顔をそむける。これ以上彼女の真っ直ぐな瞳を見たくないから。自分の決意が揺らぐのを感じたくないから。

彼は、空を見上げた。
京がその場から立ち去ってくれる事を祈りながら。,と、いうわけでかなり遅れて投稿。
申し訳ありません。

さて、晃輝は結局ライダーをやめろ、とはいえませんでした。
いや、晃輝の考えとかするとなぜかこうなる……。

とにかく、次の人どうぞー(投げやりジャーマンスープレックス),#000000,,perseus.aitai.ne.jp,0 2010年03月15日(月) 16時04分19秒,20100315160419,20100318160419,mZrUirmqRT2gE,仮面ライダールクス ≪設定集≫,残影剣,,,
≪STORY≫
徐々に暖かくなってきた3月の後半、ボード学園に通う為にやって来た少女、水無月 ほたるは、風の声が聞こえると言う不思議な力を持っていた。
そんな彼女は町にやって来て早々、怪物に襲われ何と掌サイズの少女の力で仮面ライダーの力を得てしまう。
今ここに、新たなライダー少女の物語が始まる!

≪CAST≫

◇ 水無月 ほたる(みなづき ほたる)

年齢14歳。仮面ライダールクスに変身する少女。
ボード学園中等部2年A組に在籍しており、高等部3年の秋奈とは姉妹の関係。
明るい性格で心優しく、それ故に他者が傷付く事をひどく嫌っている。
大人しそうだが、納得出来ない事には徹底的に立ち向かう芯の強いところがある。


◇ 柳沢 空(やなぎさわ そら)

年齢14歳。蛍と同じ時期に転校してきた少女。
ボード学園中等部2年A組に在籍し、同時期に転校してきたほたると親しくなる。
愛想が少なくクールな性格に見えるが、心優しく何にでも一生懸命な真面目な性格の持ち主。
また、一人称が「自分」で更に単語を切って貼った様な不思議な喋り方をする。


◇ 水無月 秋奈(みなづき あきな)

年齢18歳。ボード学園高等部3年A組の女子生徒。
ジャーナリストを志望しており現在は校内にある新聞部に所属しているが、
基本的に部のメンバーと行動することは少なく、記事のネタを求めて一人行動している事が多い。
明るく前向きな性格で頼れる姉貴肌な為、周りからは慕われている。
しかし、悪戯好きで周りを巻き込み面倒事を起こすトラブルメーカーでもある。
現在は仮面ライダーについて独自に調査している。


◇ 四乃森 陣(しのもり じん)

年齢16歳。ボード学園高等部2年C組に在籍する男子生徒。
クールな性格で、他者との関わりあまり好まず常に無愛想な態度を取っていが、道に迷っていた蛍を助ける等、根は優しい性格のようだ。
両親を幼い頃に失っており、現在は従姉の経営している喫茶店「ダンデライオン」でウェイターのバイトをしながら学生生活を送っている。


◇ 天里 小春(あまさと こはる)

年齢23歳。喫茶店「ダンデライオン」の店長。
料理の腕が高く、誰に対しても平等な態度を取ることから周りから親しまれており、
常連のお客さんからは“春ちゃん”と呼ばれ、親しまれている。
明るく優しい性格の持ち主で、常に真っ直ぐ生きることを心掛けている。
陣の事は、出来の悪い弟の様に思っている。


◇ アンジェ

ほたるの前に現れた掌サイズの少女。
礼儀正しいが子供っぽい性格で甘えん坊な一面を持つ。
ほたるに仮面ライダーの力を与えた。
詳細は後日。

≪RIDER≫

◇ 仮面ライダールクス
詳細:ほたるが変身する仮面ライダー。
詳しくは後日。


≪ELEMENT≫
◇ リザードエレメント
詳細:炎のエナジーとトカゲが融合した暴走エレメント。
鋭い爪とトカゲの様な身軽さによるヒット&ウェイ先戦法を得意としている。
本編では使用しなかったが、口から火球を飛ばす能力を持つ。
,,#000000,./bg_b.gif,zaq771a583c.zaq.ne.jp,0 2010年03月15日(月) 16時00分09秒,20100315160009,20100318160009,m5DWsfqYBJbtE,仮面ライダールクス EP.01「始めての変身」,残影剣,,,「うぅ〜、何処にいるんでしょう…?」

ある晴れた日の空の下、町を誰かを探している3つの特徴を持つ少女が居た。

一つ目は少女の容姿。
少女は白い修道者の様な衣服を纏い、愛らしい顔立ちと金のツインテールに緑色の瞳も合って見る人を引き付けそうな雰囲気を放っている。

二つ目は少女が身長。
少女の身長は約15cm前後と明らかに人間のサイズではなかった。

三つ目は少女の移動方法。
少女は大体大人の男性の身長位の高さを“浮かんで”移動していた。

まだ一つ目はただ可愛らしい少女の姿で通るだろうが、残りの二つは明らかに周囲の目を引き騒がれる事だろう。

だと言うのに周囲にいる人間は丸で少女の姿が見えない様…否、本当に“見えて居なかった”。

少女の方もそれが当たり前であるかのように気にも留めず両手を天に掲げ吼える。

「あ〜、もう!何処にいるんですか適正者殿はー!!?」

そんな少女の叫びも周りには聞こえず、誰も反応する事はなかった。


……ただ、一人を除いて……。







EP.01『始めての変身』







「……?…誰か呼んだ?」

ある場所で、誰かに呼ばれた気がしたのか一人の少女が首を傾げていた。
年恰好は14、15歳くらいだろうか?その顔立ちは幼いが整っており、大きな青い瞳と背まで掛かる明るい栗色の髪が愛らしさを引き立てていた。
服装は薄オレンジ色のセーターの上に白いパーカーを羽織り、青色のミニスカートと白いハイソックスにスニーカーと言う格好は大人しそうな彼女を活発そうに見せていた。
少女の名は水無月 ほたる。1週間ほど前にこの町に引っ越してきた少女だ。

「にゃぁ…」
「あ、ひょっとして君…?」

そんなほたるに抱えられていた子猫が一声鳴くと、彼女はその澄んだ瞳を子猫に向け、質問する。

「にぃ…?」
「ん、違うのかな?」

その時、ふわりと風が舞いほたるの艶のある綺麗な髪を撫でる。
それを感じとり彼女はその愛らしい顔に笑顔を浮かべる。

「ん〜、良い風だね〜♪」
「君ー!大丈夫かー!!?」

そんな風を受け気持ち良さそうにしていると、ほたるに下から警官が慌てた様に声を掛けた。

…そう、“下”から。

何故なら、今彼女は10m程の高さの木の枝の上にしゃがみ込んでいるのだから。
良く見ると、警官以外にも心配そうに見つめる一般人も居る。

「あ、はい。子猫は大丈夫です!」
「いや、子猫もだけど君もだ、君も!降りられるかい!?」

暢気に警官に返事をする少女の様子も見て警官は呆れ半分、恐慌していない事に安心半分といった感じだった。
そんな警官に少女は満面の笑みを向ける。

「はい、…無理です!」
「おいぃぃ、じゃあ何で登った!?」

余りに潔い返事に、彼は思わず芸人の様に叫び声を上げる。

「だって、この子が降りられなくて困っていたから…」
「君…ミイラ取りがミイラになるって聞いたことある?」

その言葉に困った様に笑うほたるの姿に笑い事じゃないと警官はため息を吐いてうな垂れる。
取り合えず、救援を呼ぼうと警官が無線機に手を掛けた瞬間、


ミシッと嫌な音がほたるの居る木の方から聞こえた。


慌てて警官がほたるの…正確には彼女の居る木の枝を見ると、付け根の部分が今にも折れそうな状態だった。

「…?」
「君、危なっ!!!」

警官がほたるに注意しようとした瞬間、枝は根元から折れ足場を失った少女は重力の法則に従い落下していく。
その様子に警官も含めた周囲の人間は思考が停止し硬直してしまった。

「……!!」

ほたるは次に来る衝撃に耐えようと目を塞ぎ、身を縮こませる。
しかし、想像していた重い衝撃とは違いやって来たのは軽い衝撃だった。

「…あれ?」
「…意識があるんならさっさと降りろ」

不思議がりほたるが目を開けるとそこに無愛想な表情をした少年の姿が映った。
一瞬何が起こったのか分からなかったが、彼女は自分の懐の猫が無事であることを確認し、次に自分が目の前の少年に抱かかえられている事を認識し、最後に自分が助けられた事を理解した。

「…ありがとうございます。お陰で猫さんも無事です」
「…猫の心配が先かよ」

呆れて少年がぼやくが、ほたるは理解出来ないのか首を傾げるだけだった。






「本当にありがとうございました」
「別に…大した事はしていない」

あの後、警官は彼女に危ない真似はしない様に注意し自分の持ち場へと帰り見守っていた人々も去っていった。
だというのに何故この少年がほたると共に居るかというと……。

「…多分、お前の言っていた住所だとここら辺に家はある筈だ」
「あぅ、…ごめんなさい……」

道に迷っていた彼女の道案内を行う為だった。

「しかし…どれだけ…災難にあってるんだ、お前…?」

正直、少年もまさか木から落ちかけた少女が更に道に迷っていた事実には呆れを通り越して、関心してしまっていた。
そんな少年の様子を見て、ほたるは慌てた様に口を紡ぐ。

「つい最近、引っ越してきたばかりでそれで知らない場所も多かったから…その…」
「…別に責めちゃいねえよ。と言うか、知らない場所をウロチョロするなよ…」
「あぅぅ、…ごめんなさい、つい風の声に誘われて」

半目になって呆れる少年の忠告に、ほたるは不可思議な答えを言う。

「風の声……?」
「はい、昔から何となく聞こえてくるんです。風の心って言うか声って言うかそんなものが…」

ほたるはそれが尊いものの様に穏やかで誇らしげな笑みを浮かべる。
そんな少女の姿に、少年は見惚れてしばし呆然とその姿を眺めていると、彼女はその表情を勘違いしたのか苦笑する。

「やっぱり、変ですよね?風の声なんて誰にも聞こえないし、…でも嘘じゃ「…変じゃない」…ない…えっ?」

予想だにしていなかった少年の言葉にほたるは驚く。

「お前にとってそれは真実なんだろ?なら、俺が嘘だのどうこう文句言うのは筋違いだ」
「…っ、ありがとうございます!」

ムスッとした表情で語る少年の言葉にほたるは感極まったのか満面の笑みを浮かべる。

「別に…で、此処ら辺、見覚えあるか?」
「えっと…はい、ここまでなら家の場所も分かります」

辺りを見渡した後、ほたるは答える。
その言葉を聞き、少年は元の道へと戻り彼女の顔を見ずに口を開く。

「なら、道案内は此処までだな。さっさと帰れよ」
「あ、あの、ありがとうございました。えっと、私、水無月 ほたるって言います。貴方は?」
「…四乃森 陣」

ほたるの問いに、陣は一瞬「名乗るほどじゃない」と言いそうになったが流石に格好付けすぎだと思い直し、名乗る。

「また、会えると良いですね♪」
「…次、会ったときにまた災難に遭ってたら笑ってやる」
「あうっ!」

陣の厳しい一言にほたるはグサリと来るが、最後に振り向かずに手を振ってくれた事は嬉しかった。






「で、その陣とやらに子猫を助けるつもりが助けられ更に道まで案内してもらったと?」
「うぅ、ごめんなさい姉さん」

自宅に帰ったほたるは、満面の笑みを浮かべて怒気を放つ姉に問われ恐縮していた。
姉の名は水無月 秋奈、年は18歳位でほたると同じ髪の色と瞳の色をしているが、整った顔立ちにキリっとした目元、すらっと伸びた背と首筋位で整えた髪、グラビアアイドル顔負けのスタイルの良さから、可愛らしさよりも美しさや格好良さが溢れ出ていた。
そんな彼女は怒り心頭と言った様子でゆっくりと近づき、ほたるは怒られると思い目を瞑る。
しかし、そんな彼女を秋菜は優しく抱きしめた。

「ね、姉さん…?」
「あんまり、無茶しないでよね。貴女は私の可愛い妹なんだから」

そっと、優しく妹の柔らかい髪を撫でながら秋奈は穏やかな口調で言う。
その言葉を聞き、ほたるは申し訳なさそうに目を瞑り言葉を返す。

「うん、出来るだけ無茶しないようにする」
「“出来るだけ”、ねえ、…相変わらず頑固ねほたるは…」

普段は大人しいのに、一度決めた事は無茶であってもやり通す妹の性格を知っている秋奈は苦笑しながらそっとほたるを放す。

「……ところで、今日の夕御飯の材料買ってきた?」
「……………………………………………あっ!!」

その言葉にはっとした彼女は、やっと自分が何をしに外に出ていたのか思い出し慌てて財布を持って玄関に向かう。

「忘れてたー!い、行ってきまーす!!」
「暗くなる前に帰るのよ〜」

わたわたと出て行く妹の姿に苦笑しながら秋奈は声を掛け、玄関が閉まったのを確認すると、リビングに戻り広げていた資料を見直し始める。

「さってと、本当に一体何なのかしらね〜?――――――仮面ライダーってのは?」






一方その頃、冒頭で放していた小人の少女は人気の無い廃工場を彷徨っていた。

「ぬう、此処にもいませんね〜?というか、人っ子一人いませんね…」

普通、こんな廃れた場所に人は訪れないのだが、世間を知らないその少女はキョロキョロと見渡す。
そんな彼女の視界に映るのは、工場に残っていた廃材と壁に張り付く一匹のトカゲ位だった。
そんな光景を見て、思わずため息を吐く。

「全く、情報不足にも程がありますよ……っ!!」

少女がこれからどうしようかと悩んだ瞬間、それは起きた。
突如として工場の中心で濃密な力の流れが渦巻き赤い結晶体が発生した。

「そ、そんなエレメント暴走!!?まだ適正者殿が見つかっていないのに!!」

その現象を知っている少女は驚愕しその体を強張らせる。
そんな中、結晶体は強い力を発生させ壁に張り付いていたトカゲを引き寄せる。
トカゲが結晶体に触れた瞬間、力の流動と共に赤い光が迸る。
そして、光が収まるとトカゲの様な頭部と鋭い爪を生やした赤い装甲の様な鱗で身を包んだ人型の怪物…リザードエレメントがその姿を現した。

「しまった!?」

少女は目の前で起きた現象に何の対処も出来なかった事に悔やみ言葉を漏らす。
すると、その声を聞いたリザードエレメントがゆっくりとその鋭い眼光を少女をと向ける。

「!!」

それに気づいた少女は、リザードエレメントから離れる為に慌てて距離を放そうとし、リザードエレメントはそれをトカゲの様な動きで追いかけるのだった。




「ふう、何とか買えたよ〜」

ところ戻って、慌てて買い物に出かけたほたるは商店街へと足を向けて食材を買い集め、買い物袋片手に帰宅する途中だった。
そんな彼女の頭の中では今日の夕飯の彩りを考えてワクワクしていた。

「今日の夕ご飯は大根と人参の味噌汁とほうれん草のお浸しにアジの開き〜♪」

―た…け……

「…えっ?」

ほたるが今日の献立を呟いて歩いていると、突如として頭に声が響き足を止める。
その声は、自分が良く聞く風の声だと気づき彼女は気づき口を開く。

「風の声…どうしたの?」

―助け…あの子………れて……

「助け…?誰か助けて欲しいの!?何処っ!?」

ほたるが叫ぶと一陣の風が舞う。
それが風の声が助けて欲しいと願う人物の場所を示しているかのように…。

「あっちだね!」

そう叫び、ほたるは慌てて走り出した。




そして、ほたるは走り抜け行き着いた先は先程の少女が居た廃工場の入り口だった。

「ここ…?」

朽ち果てた工場を見て、少々ほたるは怖気づいたが意を決して入ろうとした瞬間、いきなり小さな影が工場の中から飛び出し、ほたるの胸元にぶつかる。それは、あの小人の少女だった。
その余りに小さな少女の姿を見て、ほたるは驚きながら手の平に載せる。

「え、何?妖精!?」
「く、何なんですか…っ!いけません!早く逃げてください!!」
「え、逃げるって……っ!?」

何からと呟こうとしたほたるは、工場の入り口の壁に張り付いているリザードエレメントの存在に気づき、得体の知れない存在に驚き固まる。
次の瞬間、リザードエレメントは驚くべき跳躍力でほたるの所まで飛び上がり、その鋭い爪を振り下ろした。

「きゃあっ!!」
『GUuuuu…』

間一髪の瞬間、我に返ったほたるはその爪を避け離れるが、手に持っていた買い物袋は切断され、袋が飛ぶ。

「く、まさか一般の方を巻き込んでしまうとは…」
「え、何?何あれっ!?」
「落ち着いて下さい!あれは暴走エレメントと言って……んっ?」

混乱しているほたるを見て、少女は落ち着かせようとした時、ほたるが自分の
姿を認識していることに気が付いた。

「…………あの、ひょっとして私の事見えていますか?」
「え?う、うん、見えてるよ妖精さん」

当たり前の事だと不思議そうに見つめるほたるを見て、しばらく呆然としていた少女だが突如振るわせ感極まった声で口を開く。

「やっと見つけました〜!!」
「ふぇっ?」

少女の言葉にほたるは何の事なのか分からず声を漏らす。

「始めまして、私はアンジェと申します。以後お見知りおきを適正者殿」
「あ、はい、始めまして水無月ほたると言います」

アンジェの礼儀正しい態度に思わずほたるは畏まった態度を取る。
そんな二人を尻目に目の前のリザードエレメントはゆっくりと二人に近づいてゆく。

「ほたる殿ですか、良い名前ですね。…と、そんな事を言っている暇はございませんね。ほたる殿、失礼」
「え、きゃっ!?」

アンジェが行き成り光りだし、ほたるは思わず目を閉じる。
光りが静まるとほたるは恐る恐る自分の姿を確認する。すると、少女の姿は無く代わりに腰に大型のバックルを付けたベルトが巻かれていた。

「ふぇっ、何これ?それよりあの子はっ!?」
『大丈夫です、私は貴女の中にいますよ』

突如として頭に響く声に驚く声に驚き、更にそれが先程まで話していたアンジェの声だと気づき、更にほたるは驚く。

「えっと、えっ!何で!?」
『そんな話は後です、さあ変身してください!』
「へ、変身って!?」

何がどうなっているのか流石に混乱しているほたるに対し、リザードエレメントは襲い掛かる。

『Guuuuu…っ!!』

しかし次の瞬間、いきなりほたるの真後ろから青い風が巻き起こり、真正面から青い風を受けたリザードエレメントは後ろへと大きく後ずさる。

「え……?」

突如として現れた青い風はまるでほたるを守るように周囲を回り始める。
すると、ほたるは何時もよりもはっきりと風の声を聞いた。

『力になる』と……。

すると、ほたるの右手に青い風が集まり、青い鍵にその姿を変えた。
青い鍵から何時も聞こえる風の声が聞こえ、自分が何をすれば良いか伝わる。
そして、ほたるは極自然に右手の鍵を構えた。

「変身…!」

その叫びと同時に、ほたるはバックルに存在した鍵穴に鍵を差し込み、鍵を回し、強く押し込む。

≪Wind!≫

次の瞬間、バックルから声が発され、光が嵐の様に渦を巻きながらほたるの身を包み込む。
そして、それがガラスの様に散るとほたるの姿は一変していた。

白をベース青で飾られた上着と青のミニスカートに黒いハイソックス。

手足に付けられた金色のプロテクター。

頭には翼の様な装飾の施された白と青に紅い目の様なレリーフが刻まれた髪飾り。

そこに居たのは少女ではなく、一人の戦士だった。



『やった、ルクスの誕生です!』
「ル…クス…?」

アンジェの言葉を聞き、思わずほたる…否、ルクスは自身の掌を見ながら呟く。

『Guuuu!』

呆けているルクスの隙を付き、リザードエレメントは咆哮と共に一気に間合いを詰め、その鋭い爪を振り下ろす。

……………が、それをルクスは危なげなく刹那のタイミングで避ける。

『!?』
「てぇいっ」

驚き隙が出来たリザードエレメントに反射的にルクスは鋭い拳を繰り出す。
その攻撃を無防備に受け、大きく体を仰け反らせ倒れる。
一方、吹き飛ばしたルクスは自身の先程までの動きに驚いていた。

「体が羽根みたいに軽い…それに、あんなに速い動きも見えた」
『当然です。ウィンドキーは“風”の性質を持つエレメントキーですからね、正しく風の如き速さと運動能力を貴女に与えてくれます。それよりもまた来ます、攻撃を避けて反撃!』
「は、はい!」

アンジェから放たれたまた知らぬ単語にルクスは疑問が沸くが、アンジェの指示に従い、立ち上がり怒気を放ちながら襲い掛かるリザードエレメントに対して慌てて構え直す。

『Gaaaaaaa!!』
「ふっ、はっ、えぃっ!」

リザードエレメントは己が本能に従い鋭く凶暴な連撃を繰り出す。
しかし、その連撃も全て常人離れしたルクスの動体視力によって避けられ、逆に蹴りと拳をカウンターで受ける事となる。

「てぇい!!」
『GAっ!!』

蓄積されたダメージにより、よろけた隙を付きルクスは後ろ回し蹴りを放ちリザードエレメントを大きく吹き飛ばす。

『今です!エナジードライブです!』
「え、エナジードライブ…?」
『ウィンドキーを腰のエナジードライバーに差し込んで下さい!』
「え、えっとこれかな…?」

やや怒気を孕んだアンジェの声にうろたえつつ、ルクスは青い鍵を右腰にある鍵穴に変身時の応用で差し込んだ。

≪EnergyDrive!≫

すると、ルクスの右足に力が収束し青い風が巻き起こる。
ルクスは意を決し、助走を付け一気に上空へ跳躍し一度体を前転させ右足を突き出し飛び蹴りの体勢となる。

「えぇぇぇぇいぃぃ!!」
『GAaaaaaaaaaaaaaaaa!!』

次の瞬間、ルクスの飛び蹴りはリザードエレメントに吸い込まれる様に打ち込まれ、その体を大きく吹き飛ばす。

リザードエレメントはよろよろと立ち上がるが、ついには力尽き、その体を爆発させた。
その瞬間、リザードエレメントから紅い結晶体が現れ砕け散り、媒体となったトカゲが地面に落ちて慌てて逃げたのだった。

『凄い…これなら、これならエレメントの暴走を止めれます…!!』

その光景を見つめ、アンジェは興奮を抑えられないように言葉を漏らし、ルクスはリザードエレメントが消滅した爆炎の中を呆然と見続けるのだった……。

― To Be Continue ―




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「エレメントとは自然の力そのもの何です」

「やっぱり、私には出来ないよ…」

「いらっしゃい、ようこそダンテライオンへ♪」

「知らない?仮面ライダーって都市伝説なんだけど?」

「…傷付ける力でも、何かを守れるんじゃないか?」

「誰かが泣くのは嫌だから…だからなってみるよ、仮面ライダーにっ!!」

EP.02「仮面ライダーというヒーロー」
,どうも、久しぶり方はお久しぶりです。始めての方は始めまして。残影剣です。
このSSに執筆するのも約3年振りと言うダメSS書きで、しかも最近はあまり仮面ライダーを見ていなかったと言う更なるダメさを発揮している自分ですが、仮面ライダーWを見た事をキッカケに再起を決意しました。

今作、仮面ライダールクスですが、リメイク前の仮面ライダーintertwineにて自分が主役として出した仮面ライダーを一つの作品として作り直した作品です。
その為、登場人物やライダー、怪人に至るまで大幅な設定変更が成されています。
今作のストーリーは電王やWの様に明るい雰囲気を持つ王道ヒーロー物を目指しています。
読者の皆さんが楽しめる作品になるよう、頑張っていきたいと思います。

続きは何時になるか分かりませんが、それではまた会いましょう。
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