2011年02月22日(火) 23時02分56秒,20110222230256,20110225230256,9q3PSnZUVjq7U,仮面ライダーヘブン 第19話,鴎,,,第19話 「The Gourmet of fear」

星見市を一望できる展望台。
人気もなく、木々が風でこすれる音と遠くから聞こえてくる車の音のみがわずかに響いてくるはずの小高い丘の上に、一人の少年が立っていた。

「・・・・!?バカな、まさか、ここまでひどいことになってやがったなんて・・!!」
「噂話に過ぎないと思っていたのに、まさか、こんなとんでもないことになっていたなんて!!」
「・・・町全体の“時間”がとんでもない負の気で包み込まれてやがる!!」

黒髪を風になびかせ、端正な顔立ちを驚きと恐怖、そして怒りでゆがんでおり、あふれ出る恐怖で汗が滴り落ちている。

「星、これはもはやこの町を中心とする、すべての時間の“崩壊”の前触れ・・・!!早く、何とかしないと・・・・!!」
「・・・・そうだとしても、俺の能力は・・・。それに、どうやら俺たちも、後をつけられているようだ・・・」

後ろから感じるわずかだが、確実に感じる冷たい“殺意”・・・。
ぎらつく獣のようなまっすぐ、鋭い視線に、星と呼ばれた少年が舌打ちをし、後ろにいた青いワシと美しい長身の女性とが合わさったような姿をしたイマジン「イーグルイマジンたん」の「フェザー」も、目を配る。

フェザー「・・・・まだ、合流は果たせそうにないですね」
星「敵たちは俺たちや、暁たちの行動に目を配っている。合流して動き出そうとすれば、その前に一気に襲い掛かってくる。今は分散して、俺たちの動きに目をとられているうちに、暁たちが真相に近づくようにしなければ・・・」
フェザー「・・・ええ」

急ぐぞ、と声をかけて、二人がその場所から離れる。

その二人を見送りながら、一人の少女が現れた。
一見端正な顔立ちの美少年を思わせるベリーショートの黒髪、切れ長の鋭い赤い瞳を宿した三白眼、赤い革ジャンに、首のところで襟から伸びたベルトを締めた、パンキッシュな服装をしている。

「・・・意外と冷静、か。聖のバカがしくじっただけでなく、あいつらにもそれ相応の能力があるということか」

そして、少女が町を見下ろすと、クールな表情にわずかに口元に笑みを浮かべて町全体を見下ろす。

その光景は・・・・。

町を円で囲んで、半球状になった黒い闇に町全体が包まれており、その闇がまるで巨大な手のように空に向かって揺れて動いている・・あまりにも異様で吐き気を催すような光景だ。所々で無数の光が飛び交い、光に闇がかぶると、その光に醜悪な外見をした不気味な生物・・・この世のものではない血に飢えた赤い瞳と異常なまでの凶暴さ、そして憎悪と殺意と本能のままに暴れ狂っている、しかし、その姿が実体化していないがゆえに、破壊することはできないが、もしこれらが実体化してしまったら、町はすぐさま恐怖と破壊に満ちた惨劇が想像に難くない。

Priiii・・・
携帯電話が鳴り出し、とる。

「・・・・ベリルか。どうした?」
ベリル「あのさ、予定変更だって。ボクがいったんルシファーズハンマーたちの動きを探る間に、君に動いてほしいって、イングリッドが言ってるんだけど」
「・・・なるほど、騒ぎを起こして、それに乗じて奴らをあおるつもりか。趣味が悪い」
ベリル「まあ、そろそろあいつらがボクたちの計画に気づいてあせって動き出したときに、スキが生まれる。そこを突いて一気に攻め込み、ルシファーズハンマーをぶっ潰し、クロノポリスもつぶす。邪魔者がいなくなったときに、この世界におけるすべての時間をボクたちが支配する。そういったお膳立ても必要だってことよ」
「・・・まあ、いいけど。オレでいいのか?オレは・・・下手すりゃ聖よりもやること過激かもしれないぜ?何せ、一度狙った獲物は・・絶対に逃がさず、必ず追い詰めて仕留める主義だからな」
ベリル「君の能力、“ホーミングスナイパー”ゆえに、獲物は絶対に逃がさないってわけね。いいよ、好きに暴れなよ。あいつら全員ブチ殺すつもりでさ・・・・ジェダイト!」
ジェダイト(翡翠のこと)「・・・・ああ、了解だ」

そういって、ジェダイトと呼ばれた少女は大型バイクにまたがり、エンジンを一気にふかすとものすごい速さで峠の道を下り落ちていった・・・!!

「星見市」に破滅の時が確実に迫っていた・・・・!!


そんな事態に陥っているとは予想だにしていない暁たちはというと・・・。

大友家。
暁「・・・・・なるほどな。すると、ヘブンズドライバーやクリスの武器、これまで俺たちが使ってきたアイテムのほとんどが、お前がドイツから設計図や資料をよこして、それを開発に使っていたってことか」

イーズ「はい。ナイトは元来ファンガイア一族の王家の武器を作り出し、その戦力を敵に気づかれることなく支える役目。ですので、表舞台に出ることは、しきたりで禁じられていたのですが、今回の事態で、もうそういったことは言ってられないと、キングが申されて、一時的にその盟約を反故にして、私をドイツから呼び寄せたのです」

風呂上り、お互いに浴衣を羽織った姿で(暁はトランクス一枚の上から浴衣を羽織っただけである)で、いすに座り、麦茶を飲みながら話していた。
話していた内容は・・・かいつまんで言うと、イーズが何者かということ、どうしてこの時期になってドイツから日本に来日したかということ、そしてその理由が・・・。

暁「・・・父さん・・・ごめん。遊びにいってるはずないよな」

父さんたちの真意を聞かされて・・・珍しく暁が反省していた。

イーズ「・・・これ、キングからのお手紙です」
暁「俺に?」
イーズ「はい」

手紙を開くと、そこには父さんの字が書かれていた。

「暁くんへ。
この手紙を読んでいるということは、無事、ナイトが合流できたということでしょう。
彼から話を聞いているとは思いますが、これから、プレデターたちとの戦闘はより激しくなるでしょう。そうなると、これまでのヘブンや武器、道具をより一層強化する必要があると思い、お父さんたちはドイツでナイトの一族と会い、最も色濃く血を受け継ぎ、能力に秀でているイーズ君をルシファーズハンマーの専任技術師として招き入れました。今後、君とはよき仲間として活躍してくれるでしょう。期待しているよ。暁くん、この時間を守りたい君の気持ち、ルシファーズハンマーの隊長として、一人の戦士として、君の事を俺は信じる。俺と母さんは奪われたキングとビショップの力をわずかでも残っているなら、それを引き出す武器・アイテムの開発に取り掛かっている。君たちの力になれるよう、今、俺たちができることを全力でやるよ。君と一緒に戦って、大切な時間を守れるように 晶」

暁「・・・・父さん・・・・・」

クロキバ「・・・・暁、キングはお主のことを一人前の男として見ているぞ。そう思えば、自信がついたであろう・・・?」

暁「・・・ああ」

そういって、二枚目の手紙をとる。

「P・S
それでね、今度せっかくドイツに来たから、オトメンの憧れの聖地、ノイシュバンシュタイン城にいって、お母さんとラブラブデートしてきちゃいます!!!こっちはねぇ、ビールもソーセージも美味しいし、自然も綺麗だし、メルヘンチックなものがたくさんあるしで、お父さんドイツが大好きです♪いつか、家族全員で旅行に来ようね♪そのときは、メルヘン街道を可愛いおそろいのゴスロリドレス着込んでオトメン二人だけで歩いたりしようね♪」

グシャグシャグシャグシャグシャッ(手紙を丸めて、ゴミ箱にたたきつける音)

暁「・・・・・・・・・・・・俺は、もう、何を信じればいい」
クロキバ「・・・・・・・・・・・我も分からん」
イーズ「・・・・あ・・あの・・・その・・・・」

暁「・・・今日は飲もうか・・・徹夜で」
クロキバ「・・・・・ふう、そうであるな・・・確かワインセラーに飲み頃のワインがあったであるな。今宵は飲み明かそうぞ・・・・」
暁「・・・・・・・うん(涙)」
クロキバ「・・・泣くな暁よ。我もあの手紙を見て、もう何かが壊れたというか、心をえぐられたような気分である・・・(涙)」
もはや魂が抜け落ちてしまったように、がっくりとうな垂れる暁とクロキバが風呂場を重い足取りで出て行き、そのあまりにも悲しすぎる後姿に、イーズはもはや見送るしかできなかった・・・合掌・・・。

イーズ「・・・・大丈夫かな?」
凛「・・・どうだかな」

そういって、出るとそこに凛がいた。凛は浴衣を胸元を大きくはだけて、モデルのような端正なプロポーション(上から87・57・84)を扇情的な雰囲気をかもし出しており、強気な顔立ちには湯あたりのせいか赤く頬が染まっている。思わずイーズもドキっとした。

イーズ「り、凛さん///」
凛「・・・ちょうどよかった。話がある。ツラ貸せるか?」
イーズ「・・・ええ?わ、私と、ですか?」
凛「・・・ああ、ま、他愛もない話さ」

そういって、タバコを口にくわえて火をつける。そして、妖艶な、唇からタバコをとって煙を吐き出し、思わずその色香にみとれているイーズに凛が話しかける。

凛「・・・・お前も吸うか?」
イーズ「・・・・ふえっ!?い、いいえっ!!(ブンブンブン)」
凛「・・・ま、そりゃそうか」

ある意味・・・凛も暁に似ている要素が多いのかもしれない。
(異性を振り向かせる妖艶なしぐさとか、計算なくそういったことができる天然さとか)流水くん!!この女性、本当に一見クールで大人びていてしっかりしているように見えるけど、実際隙だらけだから、本当に気をつけてね!


翌日。
星見市河川敷。ジェダイトがホームセンターのビニール袋から手づかみで取り出したものは・・・。(つか、お前ホームセンターで買い物普通にしとったんかい)

ハエトリソウ(500円)。

ジェダイト「新しいプレデターの登場だ」

ジェダイトがポケットから一粒の種のようなもの“プレデターシード”を手のひらに置き、それを指ではじくと、一直線に飛ばされてハエトリソウに種が植え付けられる!!
すると、ハエトリソウの中で種が芽を出し、やがてツルが飛び出してハエトリソウ全体を取り込むと、やがてそこには、ハエトリソウと人間の女性を合わせたような姿となる!!

フライイータープレデター「あはははははははははは!!」
ジェダイト「お前に尖兵として、乗り込んでもらうぜ」
フライイータープレデター「・・・・・・仰せのままに」

どうやらこれまでのプレデターとは違い、人間の言葉や知性を合わせもっているらしい。
高度な知性と能力を持つプレデター。その存在を生み出すことができる能力をジェダイトは持っているらしい。

ジェダイト「さあ、暴れてもらおうか」



そして・・・!!
朝の駅前広場・・・!!

フライイータープレデター「あははははは!!食らいなさい!!ハエ型爆弾・フライングボム!!」

早速大暴れしやがっていた!!!
ハエのような形をした無数の爆弾を発射し、朝、通勤や通学途中の人々が襲われ、広場は混乱状態に陥っていた!!

暁「朝っぱらから暴れやがって!!」
凛「ったく、迷惑極まりないぜ。こちとら、遅刻上等で寝入っていたのによ」
穏「・・・・・・倒す」

アリス「全員で一気にいこうぜ!」
暁「おう!」

「「「「変身!!!」」」」

4人が変身し、ヘブン、ボルダー、シルヴァン、そしてナパームとなり、フライイータープレデターに襲い掛かるが、フライイータープレデターが左腕の巨大なハエトリソウのハサミを振りかざし、応戦する!!

フライイーター「はあっ!!」

シルヴァン「ちっ!!うざってぇな、おい!!」
ナパーム「・・・・・多すぎる」

ナパームがナパームランチャーを構えて的確な射撃でハエを撃ち、破壊する!!
その隙を突いて、ボルダーが殴りかかり、さらにヘブンが銃剣を構えて振りかぶり切りつけ、さらにそこへシルヴァンがカメレオンサーベルで切りかかり、いっせいに攻撃を仕掛ける!!息の合った連係プレーに、フライイータープレデターがのけぞる。

フライイーター「ぐっ・・・なかなかやるわね。でも、これはどう!?」

そういって、ツルの鞭を構えると、光り輝きだしすばやくムチの攻撃を繰り出し、それを右に左によけて、ヘブンとボルダーが連携攻撃を仕掛ける!!

ボルダー「ここは二人で挟み込もうぜ!」
ヘブン「ああ、一気に終わらせるぜ!クリス!!ブースターモードだ!!」
クリス(はい!)

クリスの意識に変わると、銃剣を構えて飛び出し、それにあわせてボルダーが敵を挟み込むように走り出した!!

そして・・!!!

ヘブン「はあああああああああ!!」
ボルダー「うおおおおおおおおおおお!!」

二人が両側から挟みこむように攻撃を仕掛けて銀色の光と黒い光が飛び交い、次々と攻撃を仕掛けてフライイータープレデターに攻め込む!!

フライイーター「ちっ・・・なかなかやるじゃない。でも、これでどう?!」

フライイータープレデターが赤く光るムチを放つと、それがヘブンとボルダーの首に巻きつき、縛り上げる!!

ヘブン(クリス)「しまった!!」
ボルダー「うおっ!?何だよ、これっ!?」

フライイーター「私の技を受けるがいい!!!チェ――――ンジウィップ!!!!」

ヘブン(クリス)「きゃああああああああああああ!!」
ボルダー「うわあああああああああああ!!」

そして、ムチを通して銀色の光と黒い光が飛び出し、やがて、銀色の光がボルダーに、そして黒い光がヘブンに宿る!!

そして二人を放り投げると、暁はクリスと分離した姿で、そしてアリスも元の姿に戻ってしまい、地面に転がる!!

シルヴァン「テメェ!!」
ナパーム「二人とも・・・!!」

フライイーター「ふふふっ、ただのムチじゃないわ。それじゃあ、今日のところはここで!バイバイ!!」

そういって、フライイータープレデターが飛び去り、消えていった。凛と穏も変身を解除し、倒れているクリス、暁、アリスに声をかける。

暁「・・・あいつ、何をしやがった!?」
凛「さあな、まずは追わないと!!」
穏「・・・・・クーちゃん、アリス、大丈夫?」

暁がクリスを抱き起こし、声をかける。

暁「・・・おい!クリス!大丈夫か?!」
すると、クリスが目を開き・・・・。

「暁・・・・このくらい、大丈夫だぜぇ!!!」

暁「・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

クリス?「このくらい、鍛えているから大丈夫!!あのツタ野郎、早く追わないとなあ!!」

凛「・・・アリス!大丈夫か?!」

アリス「・・・・凛。はい!大丈夫です!!」

凛「・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

時が凍るというのは、まさに今のような状況なのであろう・・・。
なぜかって言うと・・・。

クリス?「どうした?暁ぅ、早く追わないと見失っちまうぜ!?」
アリス?「ええ、もう一度変身して追いましょう!!」

暁「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なぬ?」
凛「・・・・・・・・・・・・・・おいおい・・・・クーちゃんがヤンキーみてぇなガラの悪い言葉・・・つかってて・・・・」
穏「・・・・・アリスが・・・・お嬢様のような話し方・・・・」
暁「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アポ?」

そういって、あっけにとられている3人を見て、二人もお互いに自分の姿を見て・・・。

クリス?「・・・何でぇ!?あれ?なんであたしがそこにいるんだぁ!?」
アリス?「・・・ええええええ!?どうして、私、アリスの身体なんですかぁっ!?」

つまり・・・・・・!!

「「入れ替わってるぅうううううううううううううう!?」」

暁「・・・・・・・なっ」
凛「マジかよ・・・」
穏「・・・・・・・・・ありえない」

そう・・・・。
先ほどの攻撃で・・・・二人の意識と肉体が・・・・入れ替えられたのだ!!!

暁「・・・・・・・マジかあぁああああああああああああああああ!!!?」

クリス(アリス)「・・・・・・本当にお前の身体だなあ・・・・」
アリス(クリス)「・・・・え・・・・ええ・・・暁ぅ・・・これ・・・どうしましょう?」

そういって、涙目で暁に近寄るアリス。ある意味珍しい光景である。

暁「・・・あうう・・・・(こ、こいつ、こいつはクリスだろう!?でも、こいつ、こんなに、可愛かったっけ?)」
クリス(アリス)「とりあえず、あいつを探して元に戻してもらわないと!!」
凛「そりゃそうだわな。下手すりゃ暁が大混乱する」
穏「・・・・・・・トラウマになりかねない」
暁「そ、そうだな、まずはあいつ、倒さないと!!」

そういって、暁を先頭にクリス、アリス、凛たちが走り出すが・・・もうその姿はなかった。

暁「・・・いねぇ!!つーか、どこだ!!おい!!せめて、この二人を元に戻してからいなくなれ!!!!」
クリス(アリス)「・・・つーか!こういうの、結構面白いな!なあ!アリス!!あたし、こういうの初めてだぜぇ〜!!」
アリス(クリス)「冗談じゃありません!!!こんなこと、面白くも何ともないです〜!!どうして、アリスと入れ替わっちゃったんですか〜!?」

クリスが能天気に明るく笑い、粗暴な口調で話している。涙をウルウルして、お嬢様のように優雅で礼儀正しい言葉遣いをするアリス。

暁「・・・お願い、直して!!一回くらいなら見逃してやるから!!お願い、俺からのお願いぃいいいいいいいいいいいい!!!」

もう今にも泣きそうな様子で、暁が両手を合わせて、泣き叫んでいた・・・・(合掌)

凛「・・・やばくねえか・・・・マジで」
穏「・・・暁が壊れるまで何日もつか、賭ける?」
凛「・・・・・・・3日」
穏「・・・・・・・妥当な線」

そして・・・。

暁「・・・マジでやべぇ・・・・こんな環境下・・・・こんなクレイジーな状況なんて・・・・俺は・・・・3日ともたねぇ・・・・・早く何とかしないと・・・・くそっ・・・・起動しろ・・・俺の・・・俺の・・・・・脳細胞よ・・・・(ブツブツブツブツ)」

ここまで追い詰められた暁というのも、ある意味珍しい光景だ。自分の不幸ならまだ諦めがつくであろうが、今回ばかりはそうは行かない。まさか、クリスとアリスの精神が入れ替わるなどという想像だにしていなかった展開にもはや解決策を考えるのに必死の状態。

穏「・・・・あたしが考えるに、もう一回同じようにツタの攻撃を二人同時に受ければ元に戻れるか・・・」
凛「あのハエ野郎をぶっ潰すしかねぇかだな。いずれにせよ、次あったらキツく締め上げるしかねえな」

そういって、二人が話していると、昴がやってきた。

昴「おはよう!」
凛「おう。今日は重役出勤か?」
昴「まあね。ちょっと、新作のゲームハマって、徹夜でやっちゃった」
穏「・・・・・・エロゲー?」
昴「そうそう、この間ボクのお気に入りのメーカーから出た新しいエロゲーでさ、これがまた、もう、面白いのなんの。グラフィックもストーリーも久々に満足できる内容だったよ」
穏「・・・・・・・・今度やらせて(キュピーン)」
凛「・・・やれやれ。まあ、もうこうなったら、あのハエ野郎を見つけるまで、探し出すか、作戦を練るかしかねぇもんな・・・」

凛が携帯を開き、ボタンを押して通話する。

凛「おう、流水か?俺だ。悪い、ちょっと俺に力貸してくれねぇか?お前の力が必要なんだ・・・うん・・・・そうか、協力してくれるか。ありがとうよ。頼りにしてるぜ。流水♪」

穏「・・・・・・うん・・・・・ありがとう・・・・それじゃ・・・・ハエ女がいたら教えて・・・・・・ありがとう・・・冷(れい)くん・・・感謝する」



冷牙「・・・・・穏に・・・頼りにされた・・・・」
流水「凛に・・・・頼りにされた・・・・・!!」

「「やってやるぜ、このヤロォオオオオオオオオオオオッ!!!!!」」

雷斗「・・・・・・・・・・・・二人とも、青春、してる。いい、感じ」
一人置いていかれているようで、寂しさを感じないわけでもないが、ここは今青春を謳歌している友人たちを暖かく見守ることを選んだ大人の男性、雷斗であった。


一方・・・!
フライイーター「あはははははは!!さあ、来なさい、ルシファーズハンマー!!あたしはここよ!!早くしないと、この世界の時間をぜぇんぶ壊しちゃうわよ!!」

フライイータープレデターが高笑いしながら無数のハエ型爆弾を放ち、ビルや建物、いろいろなものを爆破して破壊しまくる!!

逃げ惑う人々が瓦礫に人ごみに飲まれて、狭い遊歩道を我先に逃げ出している!!

フライイーター「あはははははははっ!!そぉれ!!」

逃げ惑う人々の背中に向けて爆弾を放とうとした・・・その時!!!

ブオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!!

バイクのエンジンが響き渡り、フライイータープレデターが振り返ると、上空から一台のバイクが上空に舞い上がっており、こっちに向かって飛び込んできた!!

フライイーター「えええええええええええ!?」
「食らえ!!」

高速回転するホイールをぶつけると、その衝撃にフライイータープレデターが吹き飛び、地面に転がる。バイクが地面に着地し、フルフェイスのマスクをはずし、一人の少年がフライイータープレデターの前に勇敢に躍り出た!!

肩まで伸ばし整えた黒髪、きりっとした切れ長の瞳、端正な顔立ちをした少年。童顔ともとれるが、中性的かつ力強い男性らしさが感じられる精悍さを持つそのたたずまいは「美少年」ともいえる。

「・・・ちょっとばかり、やりすぎたな、あんた」
フライイーター「・・・・くっ、小僧、貴様・・・・!!」
「さてと、悪い子にはお仕置きしないとな。覚悟決めなよ、BABY?」

余裕たっぷりといった感じで少年がベルトを巻きつけ装着する。
駅の改札をイメージしたかのようなベルトバックルに、腰のカードホルダーに入っているカードを右手で取り出し、オレンジ色の竜の紋章が描かれているカードを前面に向けて、左手でアプセットホルダーを開くと、ベルトから待機音が流れ出す!!

「・・・・・・・変身!!」

カードを腰まで下ろすと、指で弾き飛ばし、それがバックルに差し込まれ、そのまま指をパチリ!!と鳴らす。

右手を人差し指を伸ばしたまま、左肩の斜め上を指した状態で、ベルトが光りだす!!

「CHANGE!AIN SOFT FORM!!」

すると、バックルから線路がいくつも発生し、それにオレンジ色に光り輝く竜が沿って飛び出し、少年の体中を駆け巡り、やがて、竜が通った光り輝く体にはそれぞれ、黄昏色をした竜を模した鎧となって装着されていく!!

そして、竜がほえて、巨大な口を開くとそのまま仮面となって装着されると、青い瞳が光り輝き、完全に装着される!!

フライイーター「・・・何?!こんなヤツがいるなんて、聞いたことないわよ!?」
フライイータープレデターが驚きのあまりに、狼狽する。

すると、その竜の仮面ライダーとなった少年は手をかざす。

「へえ、そりゃmistakeだったな。あんた、ここで負けるぜ」
すると、空に黒い雲がかかり、そこから一閃、黄金色の稲光が落ち、それが手に宿るとやがて雷の中から巨大な大剣が現れ、それを構えて、クールかつ、どこか相手をからかうような口調で少年が言葉を続ける。

フライイーター「・・・き、貴様、何者だ!?」

「・・・・・・・俺か?俺は・・・・・仮面ライダー・・・・ジーク・・・・!!時間犯罪者専門の・・・しがないBounty Hunterさ」

自らを「バウンティーハンター」となのる少年、仮面ライダージークがにぃっと笑い、フライイータープレデターに剣を構えた・・・!!

「・・・・・言っとくが、俺は、マジで強いぜ。後悔するなよ・・・?」

続く
Next Line 「The Sieg and Feather」
,さて・・・ついに登場しました。
お待たせしてごめんなさい!!天童星くんと、フェザーさん、仮面ライダージークがついに登場しました!!設定よりも、クールでカッコよく、暁とは異なるクールに燃える熱血漢といった感じに書き上げてみました。設定のイメージと若干異なるようでしたら、またご意見お聞かせください。なんていうか、やんちゃで子供っぽいキャラというよりも、長年戦い続けてきたため、歴戦の落ち着いている感じの戦士として書きたくてこういった感じにしてみました。

そして、ベリルと連携をとるかのように、現れた真の四天王の一人「ジェダイト」。
後々彼女の能力「ホーミングスナイパー」がどのような能力か明らかになりますが、ここでいえるのは、彼女は自分で作り出したプレデターシードにより、植物をプレデター化させることができること、そして射撃能力を得意とする第二の聖ともいえる存在であること、そして、ネタバレですが・・・・。

イングリッド「マーマンの坊や、あなたの一族を滅ぼしたのは、この子よ?」
ジェダイト「・・・・・・・理由?そんなものないさ。あいつらが弱いから、死んだ。オレの退屈しのぎ程度で殺されるんじゃ、この先、どの道長生き出来なかったんじゃないか。まあ、どうでもいいけど」

ありとあらゆることに興味を持たない極度の「虚無主義者」。自分の命さえも「どうでもいい」といい切るほどの何事にも執着しない無気力かつ無表情、無感情な性格だが、聖にまけず劣らず弱者をいたぶる冷酷を持つ少女・・・それがジェダイトです。欲望は「怠惰」というか、「どうでもいい。まあ、弱いものいじめくらいしか、退屈がしのげないし、やろうとも思わない」といった欲望です。救いようもない冷酷な悪役として書きますので、よろしくお願いします。

レスをお返しします。
>烈様

>吉井雪奈
暁「明久の妹か。原作だと、玲さんっていうお姉さんがいるんだよな。そうなると、アスレイでは玲さんが電王でいう「愛理」さんみたいな存在なのかな?」
星「まあ、あまり想像できないけどな」

>四天王
ベリル「これはねぇ、作者の表現が少なかったから言い直すけど、今のところ人間に憑依して蘇ったのはボクだけなんだよね。ジェダイトや他の二人は肉体も精神も完全な状態で復活しているし。どうしてなのかは、今後、明らかにするよ」

>ナイアルラトホテップ
暁「作者は聖は死んだと書いているけど、実際このナイアルラトホテップが今後のストーリーにおける重要な鍵になるんだよな。いまだ、このアイテムは見つかっていないけど、はっきりいえるのは、聖という人物はこのとき死んだのは間違いない。ただ、聖というあくまで個人が死んだに過ぎないって言う状況で、彼女の魔力の原動力となるナイアルラトホテップが行方不明なら、この先、誰かがとんでもないことに使ってしまうと、予想だにしないことが起こる・・・らしいぜ」

>イーズとクロキバ
クロキバ「うむ、実は、これまで新しい武器やアイテムを開発するのに、イーズ殿はドイツより設計図や資料を送ってきてくれてな。その立会いにて、我は出会ったのである。しかし、ナイトの存在は他の一族に知られてしまうと、その武器の開発能力や技術力を利用されかねないので、我のみが知りうる状態で、暁たちにも隠しておいたのである」
イーズ「それだけナイトの存在は外部に漏れてはいけない存在だったのですが、今回、あまりの事態にキングが特例で私を暁・・・・くん(さま付けはやめろと言われた)のところへ向かわせたんです」

さて次回!!
精神を入れ替えられてしまったアリスとクリスが大暴走を繰り広げ、ギャップ萌えの嵐が吹き荒れるでしょう!乞うご期待あれ!!

暁「明久ぁあああああああああああああ!!!!!翠ぃいいいいいいいいいいい!!俺はもうここでダメかもしれんっ!!!!いざとなったらヘルプくれっ、ヘルプぅうううううううううう!!!(大パニック)」

クリス「・・・うう・・・まさか今回は私が不幸のネタになるなんて・・・・でも・・・私は絶対に負けません!!!」

次回も応援よろしくお願いします。

,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2011年02月19日(土) 07時40分07秒,20110218230842,20110222074007,9hQt5QrkiRwls,仮面ライダーヘブン 第18話,鴎,,,第18話 「The evolution futurity is opened.」

セレス「・・・・マリア、貴方・・・その怪我は!?」
セレスが駆け寄ろうとすると、マリアが急に立ち上がり、険しい顔を見せる。

マリア「来るなっ!!」
セレス「!?」

マリアが今まで見せたことのない激しい剣幕に言葉を失う。呼吸も荒く、顔中にこれまでにない感情の高ぶりを見せて、マリアがセレスをにらみつける。しかしその瞳にあるのは憎悪や怒りではない、激しい感情がまるで激流のように荒れ狂っているかのように、明らかに混乱の色が浮かんでいた。

マリア「・・・・・あたしは、弱くない。あたしは強い。あたしは、一人で、生きて行ける。あたしは、もう、大丈夫。うまく、やってるんです、うまく、やってるんです・・・」

ぶつぶつと、必死で自分のことを肯定し続ける姿はもはや異様でさえあった。普段、沈着冷静で、理知的で落ち着いていたあのマリアがここまで取り乱す姿に、セレスも言葉を失う。

マリア「あたしを、見るな!!あたしは、弱くない!!あたしを、あたしを、あたしを蔑むなっ、哀れむな、そんな目で見るなぁああああああああああああああああ!!!あああああああああああああああああっ!!!!」

頭を両手でかきむしり、のども張り裂けんばかりに叫び狂い、マリアが逃げ出した。

セレス「マリア!」
セレスが追いかけようとトンネルの外へと走り去っていったマリアを追いかけたとき、両トンネルの入り口には無数のガゼルプレデターの大群が押し寄せてきた!!

セレス「・・・聖の差し金ね。つくづく、先回りがお上手のようで」

数十体はいるであろう、レイヨウの異形は手に二門のドリルを回転させて、じりじりと身構えている・・・!!狭いトンネルという不利な状況、セレスがランスを取り出して身構える。

セレス「でもね、こっちもはいそうですかって、やられてあげるほど、甘くはないわ」

そして、彼女の意思で無数の蜂が動き出し、トンネル中に音を立てて飛び回る。そして、セレスが指をぱちりと鳴らすと、一斉にマシンガンのごとく飛び出し、ガゼルプレデターに襲い掛かっていく!!!

セレス「四天王のリーダー、その名は、伊達じゃないってこと、教えてあげる」

強くなければ、賢くなければ、このくらいの逆境乗り越えられないようでは・・・。
アリスやマリア、フレアといった問題児たちばかりを束ねられるはずがない!!
裏打ちされた自信を笑みに変えて、次々とガゼルプレデターの大群の急所に蜂を打ち込み、針でぶち抜き、爆発させていく!!!

セレス(・・・・・私が誰かなんて、今はまだ分からなくて、いい。これからいくらだって取り戻せるって信じているから。何度でも立ち上がれる、ムッシュが、坊やが、みんながいてくれるって信じているから!!だから、今はここで倒れるわけには行かないわ!!)

無数の蜂が飛び交い、敵の軍団を一掃し、その無残な屍を踏みつけ、セレスが飛び出すがもう外にはマリアの姿は・・・なかった。

セレス「マリア・・・・・!」

その時だった。

「げぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」
「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」
「があががあががががががががあ!」
「あぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」
無数のガゼルプレデターは本能に従うままの雄たけびを上げながら、ただ目に合ったセレスを照準に己の渇望を満たすがまま襲い掛かった!!

セレス「くっ・・・・数が多すぎるわね!!」

その時だった。

「ウオオオオオオオオオオオオオオ!!」
凄まじい咆哮をあげて、飛び出してきたのは、膨れ上がった強靭な豪腕を構える灰色の巨人、トーライこと雷斗!!!

セレス「フランケンの坊や・・・!!」
トーライ「この、人に、指、一本、触れ、させ、ねぇ!!!ウオオオオオオオオオオッ!!」

そして、思い切り拳を突き出すと銀色の電流が巨大な拳の形となって飛び出し、重圧と高圧電流によって敵が粉々に吹き飛んでいく!!!その凄まじいパワーに、セレスが唖然とした様子で呆けている。

トーライ「・・・・ふう、間に、あって、よかった」
セレス「ど、どうして、ここが・・・・」
トーライ「・・・・・メダル、アニマル、あらかじめ、この町中に、放って、おいた。そしたら、見つけた。こういう、時の、為にも、使える、よう、だ」

そういって、飛んできた黒い蝙蝠型のメダルアニマルを手に取り(探索、追跡専門で、超音波で遠くに離れている相手に情報を伝達することができる)、メダルの形へと戻すと、その姿を人間の青年の姿へと戻す。

トーライ「マリア、の、ところにも、放って、おいた。今、は、ここ、脱出、するほうが、先。そして、マリア、追う」
セレス「でも、どこかに行っちゃって・・・!」
トーライ「メダル、アニマルが、まだ、追跡、してる。まだ、追いつける!それに、後から、冷牙と、流水が、援護に、くる!!」

その時だった!!

ブオオオオオオオオオオオッッ!!!!(猛スピードで突っ走ってくるジープの音)
ギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!!!!!(ハンドルを巧みに切って、ドリフトをかましまくっている音)
というか、市街地の道路を法廷速度ぶっちぎりオーバーランして、車と車の間をものすごい速さで抜きまくり、それを避けた車と車とが右に左にあらぬ方向に翻弄され、大パニックと化した道路では、我が物顔で暴走するジープがあった!!!

「バカ!!反対車線走るんじゃねえ!!!」(助手席で真っ赤な顔をして怒鳴る冷牙)
「大丈夫だって!!ゲームで鍛えているんだから!!」(ハンドルを巧みに操り、ジープを暴走させている流水)
「それは鍛えているとは言わねぇよ!!!よくこれでテメェ免許とれたなっ!?事故ったら暁にブチ殺されるぞっ!!!」
「あー、もう、うるさいなっ。しょうがないでしょっ!?緊急事態なんだからさっ!!」
「しょうがないですむなら、警察はいらねぇんだよぉおおおおおおおおおおっ!!くそっ、おろせ、おろしてくれっ、もう、こいつの運転は嫌だぁあああああああああ!!!!」
「・・・ボクは風になる!!風になるじぇえええええええええええ!!!!この速さなら、マリアさんにも、追いつくじぇえええええええええ!!」
「その前に俺は後ろから追いかけてくるパトカーかもしくは死神に追いつかれそうでならんわああああああああ!!」
「ファイヤァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!おまわりさんや暁が怖くて半魚人やってられないじゃない!!!きゃはははははははははははははは!!(ハンドル握ると人格変わるタイプ)」
「助けてくれ、暁ぅうううううううううううううう!!!(絶叫)」

雷斗「・・・・・・・・やっぱり、やめよう」
セレス「・・・あの子達・・・・・バカ・・・・なの?」
雷斗「・・・・・・間違いなく」
セレス「・・・・・・・地下道から行きましょう」
雷斗「・・・・おう」

賢明な判断である。いくら相手を追跡するとはいえ、制限速度見事にオーバーランしている上に、反対車線を逆走するなどという暴走運転ぶっちぎりでやらかして大騒ぎしているジープなどに誰が乗ろうと思うであろうか。
暴走運転するジープ(ジープはエメラルドの材料買出し用に、スクラップ処理場から持ち込んだ廃車を雷斗が改造したもの)を横目に、二人が地下道に逃げ込んだ。


その頃・・・!!
空中を優雅に舞いながら、羽から青い粉を撒き散らしてスワローテイルプレデターが襲い掛かってくる!!その粉がシルヴァンたちに降り注ぐと爆発し、次々と火花を起こし強烈な爆撃攻撃を仕掛ける!!その攻撃を右に左によけながら3人が逃げ惑う!!

シルヴァン「くそっ、空からじゃ太刀打ちできねぇ!!」
ヘブン「クリス、ブースターシステムだ!!」
クリス(はい!)

ヘブンのウイングが展開し銀色の風の翼が広がると、そのまま空へと急上昇して一気に切りかかっていく!!しかしそのとき、スワローテイルプレデターが口から火炎弾を発射して飛び掛ってくるヘブンへと攻撃を仕掛けて、上空を浮遊しながら攻撃を回避する。ヘブンは火炎弾を銃剣で防ぎ、何とかしてスワローテイルプレデターが仕掛けた爆発するりん粉の防壁に阻まれてなかなか相手に攻撃を仕掛けられない。

ナパーム「・・・・任せろ」

ナパームがバックルにパスを二回通すと、左腕に盾つきの巨大なガトリングキャノンを装着し、構える。


ナパーム「・・・・くらえ」
砲門が回転しだし、無数の火炎弾が発射される!!!無数の火炎弾の嵐にりん粉が吹き飛ばされ、スワローテイルプレデターが直撃し、力なく地面に落ち、転がる。

ナパーム「・・・・・地に落ちたら、もう、こっちのもん」
ナパームがナパームランチャーを構えて次々と強力な破壊力を持つ火炎弾を次々と発射し、スワローテイルプレデターの羽を狙った弾丸が羽を直撃し、炎で焼き尽くしていく!!
悲鳴を上げながらもだえるスワローテイルプレデター、しかし、攻撃の手は緩めない。

ナパーム「・・・・・・凛、暁、ちょっとだけ時間稼ぎ出来る?一気に吹き飛ばす」
シルヴァン「おうよ」
ヘブン「行くぜ!!」

シルヴァンが足を踏み出し、飛び掛ると同時にヘブンも切りかかっていく!!

シルヴァンが鞭を振るって、スワローテイルプレデターを縛り付けると、そこへヘブンが一気に攻め込んで、銃剣で切りかかる!!!刃でたたきつけた部分が火花を起こして爆発する!!

シルヴァン「クリス!!一気にいけっ!!俺が動きを封じる!!」
ヘブン「はい!」

ヘブンが銃剣で次々と切りかかり、スワローテイルプレデターがもだえ苦しむ!!

暁(クリス、こいつの身体のどこかに、さっきの石になっちまうウイルスの抗体があるはずだ!!じゃなきゃ、あんなウイルス操れるはずがねえ!!)
ヘブン「なるほど、それを見つけないといけませんね」
シルヴァン「調べてみるぜ」

シルヴァンが鞭を通して、縛り上げているスワローテイルプレデターの体内を調べると、その部分を見つけ出した!!

シルヴァン「分かったぜ。腰だ。腰についているでっかい腫れ物、そいつが抗体だ!!」
ヘブン「そこを切り取ればいいんですね!!」
シルヴァン「ああ!!」

その時だった!

聖「邪魔をしないでください!!」

聖が指を鳴らして黒い風の刃を放ち、それをシルヴァン、ナパーム、ヘブンの背後に直撃し、吹き飛んだ!!

シルヴァン「ぐわっ!!」
ナパーム「うわっ!!」
ヘブン「あなたは聖!!」

聖が躍り出て、その姿をサーベルタイガーファンガイアへと変わり、シルヴァンの首をつかむとそのまま壁にたたきつけた!!

シルヴァン「ぐわっ!!て、テメェ・・・・!!」
サーベルファンガイア「そういえば、貴方には散々殴られましたっけね。これはお返しです!!」

鋭い爪を光らせて振りかぶり、なぎ払うと、シルヴァンが吹き飛んだ!!
そこへ、スワローテイルプレデターが飛び掛り、剣で切りかかってシルヴァンを追い詰める!!

シルヴァン「ぐああああああああっ!!」

ナパーム「・・・・・こいつ!」

ナパームがナパームランチャーを構えて銃弾を発射するが、スワローテイルプレデターが発生させたりん粉のバリアに阻まれて、銃弾がはじき返され、それらがナパームに直撃する!!大爆発を起こし、ナパームが吹き飛び、そのまま変身が解除された!!

シルヴァン「こいつ・・ぐあああああああ!!」
サーベルファンガイア「食らいなさい!!」

サーベルタイガーファンガイアの鋭い爪の猛ラッシュに 今度はシルヴァンが吹き飛び、凛の姿に戻り、地面に転がり落ちる!!

凛「ぐはっ・・・ああ・・!!」
穏「くっ・・・・・・痛たたた・・・・」

全身刷り傷だらけ、口から血を吐き、ボロボロのなった無残な姿となり地面に力なく横たわる凛と穏が、全身を激痛で支配され、歯を必死で食いしばって痛みをこらえるが、もんどりうって倒れこむ!!

ヘブン「貴様!!」
サーベルファンガイア「たかが人間が、イマジンが、いつまでも思い上がるな!!所詮は
虫けら!!」

口汚い言葉を吐き捨て、手から竜巻を発生させるとそれに吹き飛び、暁の姿に戻ると、ボロボロの姿で地面にたたきつけられる!!

暁「うわああああああ!!」

そして青い光が飛び出し、それがクリスの姿になると彼女も満身創痍の無残な姿となって倒れこんだ。

クリス「くっ・・・!」
凛「大丈夫かよ、クリス!」


サーベルファンガイア「よくも今まで邪魔してくれましたねぇ。たっぷりと、お返しして差し上げますよ。まずはそう・・・・暁くん、君から血祭りに上げるとしましょうか!!」

凶悪な本性をあらわにし、爪を光らせて悠然と歩み寄る。全身の痛みを必死で抑えて、暁が起き上がり、縛っていた髪がほどけて散らばり、激しい痛みを歯を食いしばってこらえて、構える!!

暁「・・・ざけんなよ。俺ぁな、ライダーに変身しなくても、運がからきしねぇからよぉ・・・。こういった修羅場なんて・・・・何度も力ずくで乗り越えてきたぜ・・・・!!テメェなんかに、喧嘩で、負けるかよっ!!!」

そういって、足を踏み出し、サーベルファンガイアの攻撃を避けると、その顔面に強烈なカウンターパンチを叩き込んだ!!一撃で不良たちなら吹き飛ばすほどの破壊力を持つパンチを食らい、サーベルタイガーファンガイアがのけぞると、その腕を握り動きを封じて、さらに思い切り振りかぶった拳を顔面に叩きつける!!!

暁「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

そして、腹部に何度も何度も腹に拳がめりこみ、内臓を確実に強烈な打撃で破壊するように、パンチを何度も何度も叩き込む!!!そして、体を思い切りひねって回し蹴りを叩き込む、吹き飛ばした!!!!

サーベルファンガイア「ぐああああああっ!!」

暁「・・・はあ・・・はあ・・・・なめんじゃねえええええええええええええええ!!!テメェの思い通りになんて・・・・・させるかああああああああああっ!!!!」

口から血を吐き、暁が渾身の力をこめて、腹の奥底から吼えた!!!
その決意を秘めた目に、迷いはない!!!ぎらぎらと燃え上がった怒りの炎がまぶしいばかりに輝きだし、光となってサーベルタイガーファンガイアをにらみつける!!

暁「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

クリスベイオレットを握り締めて、勇猛に飛び出し、サーベルタイガーファンガイアを縦横無尽に切り裂き、そのたびに火花が飛び散り、サーベルタイガーファンガイアが追い詰められていく!!

そのことが聖には信じられなかった!!
サーベルファンガイア「なぜ、なぜ抗う!?なぜ私に背く!分からないのですか!?世界とは私のような至高の存在が支配して楽しむゲームに過ぎない!!それこそが世界の真理だとなぜ理解できないのですか!?」

暁「そんなテメェ勝手な理屈、知るかバカヤロォオオオオオオオッ!!!」
銃剣で吹き飛ばし、サーベルタイガーファンガイアが吹き飛び、地面に転がる!!

暁「ゲームだろうが、世界征服だろうが、そんなん知ったこっちゃねぇんだよ。だがな、これだけは覚えておけ!!」

銃剣を突き出し、まっすぐ立って、その顔は凛々しく!!瞳に秘める勇気は熱く燃え上がり!!怯みも、おびえも、まったく感じられないその姿はまさしく戦士そのもの!!!

暁「この剣が、俺を支えてくれる仲間が、譲れないものがある限りはなぁ!!!俺は全部お前らみたいなバカから守り抜く!!!守るために、最後まで、必死こいて、戦う!!それが、俺がライダーとして、戦う理由だぁあああああああああああああ!!」


クリス「・・・暁・・・・ううう・・・・カッコよすぎです・・・!!!!(マジ惚れ!!)」
凛「・・・ひゅー・・・・あいつの熱血モードマジで全開だなぁ!!」
穏「・・・・・・・・やるときはやる。それがアイツ」
アリス「・・・暁、負けるなぁあああああああああ!!」


暁が後ろ向きにニヤリと笑い(その姿はカッコよすぎっ!!)、そして、キッと表情を引き締めると銃剣を構えて、走り出した!!

暁「俺の仲間に、手は出させない!!!!」

吼えて飛び掛り、銃剣を巧みに操り右に左に次々とサーベルタイガーファンガイアを切り出し、その勢いはとまること無く、追い詰めていく!!その怒りが、譲れない信念が、確かなる守りたいものを思う勇気がある限り、彼がつかさどる「優しさ」の力を無限大に引き出し、ファンガイアをも圧倒していく!!!

サーベルファンガイア「きゃああああああああああ!!」
暁「お前が奪ってきたものが、どれだけ大事なものだったか、それを失って傷ついて、悲しんで、今もなおその心の傷に囚われて苦しんでいる人たちの、痛みを、お前も味わえ!!!オラァアアアアアアアアアッ!!!」

突き出した渾身の一撃がサーベルタイガーファンガイアを吹き飛ばし、スワローテイルプレデターをも巻き込んで地面に転がる!!

凛「強ぇえ・・・・!!」
穏「・・・・・・暁、マジだ!!」
クリス「・・・・暁・・・!!暁、あたしも行きますぅううううううう!!」
アリス「あたしもだぁあああああああああああ!!」
凛「テメェら!!!行くぜぇええええええええええ!!」

目の前で強大な悪に立ち向かっていくいとしき人を思うたび、体中に宿る力がもう抑えきれない!!!

凛「行くぜっ!!ここでいいところばっか持って行かれてたまるかよっ!!」
穏「イエッサー!」
アリス「行くぜぇえええええええええ!!」

凛たちがソウルトリガーを構えて、銃弾を発射して、心の奥から叫んだ!!

「「「変身!!!」」」

クリス「ブースターモードォオオオオオオオオッ!!!全開変身!!!」
暁「行くぜっ、相棒!!」
クリス「はいっ!!!貴方とならどこまでもっ!!」
暁「ああっ!!お前とならどんなヤツだろうと、負ける気はしねぇっ!!」

暁にクリスが重なり、そのまま銀色の風をまとってヘブンとなって飛び掛っていく!!
そのまま銃剣で切り裂くと、続けざまにボルダーが拳を握り締めて次々と強烈なパンチを繰り出し、サーベルタイガーファンガイアを追い詰めていく!!

そして、シルヴァンが鞭を振り回し、上空に投げ放つと、それがスワローテイルプレデターの足首にからみつき、巻き取ると、一気に引き寄せて急降下してくるスワローテイルプレデターを、下から両肩のキャノンで爆撃を繰り出し、爆撃を受けたスワローテイルプレデターが吹き飛ぶ!!!

その時だった!!!

「間に合った・・・!」

声がして、飛び出してきた人物の姿・・・・。

そして、ものすごいブレーキ音とともに、公園内に流れ込んできたジープを見て、そして、地下道から走ってきた雷斗とセレスの姿を見て、その人物が笑みを浮かべる。

「・・・ナイスタイミングですね」

サーベルファンガイア「・・・・おのれぇ・・・!!人間ごときがぁああああああああああああああああああ!!!クズがっ!!!ゴミがあっ!!!!死ねぇえええええええええええええええええ!!!!」

サーベルタイガーファンガイアがとうとう醜い本性を露にして無数の黒い竜巻を発生させると、その竜巻を右に左によけまくるヘブンたち。

シルヴァン「さてと、ここいらから本番かな!!」
ボルダー「おお!!」
ナパーム「行くじぇ・・・・」

そして!!

3人同時に必殺技を放とうと身構えたそのとき・・・!!

流水「ファイナルアタックフォームライドォオオオオオオオオオッ!!!!クレイジージープアタックゥウウウウウウウウウ!!!」
冷牙「やめろっ、バカぁアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

150kmオーバーものすさまじいスピードで・・・!!猛スピードでジープが突っ込み・・・・!!

サーベルファンガイア「ぎゃああああああああああああああああ!!!」

思い切り吹っ飛ばした。
車の不意打ちとも言える強烈な体当たり攻撃(車は体当たりなど攻撃には絶対使っちゃダメよ)を食らって、全身の骨がきしみ、強烈な衝撃を受けて吹き飛ぶサーベルタイガーファンガイア!!!!!ある意味「ヘビープレッシャー」である(泣)。

シルヴァン「車でハネたぁああああああああああ!?」
ナパーム「・・・・そんなん、あり?」

冷牙「・・・・もう、二度と、お前の運転は乗らない!!」
流水「まあまあ、結果オーライっしょ♪」

車から飛び出し、流水が笑顔で(まるで悪びれてない)手を振る。それとは反対に、冷牙が顔を真っ青にして、機嫌悪そうに顔をうつむかせている。

雷斗「暁!!」
セレス「皆!!」
クロキバ「無事であったか!!」

ヘブン「・・・・まあな」
冷牙「俺は無事じゃない!!!」
流水「もう、うるさいな。男の子でしょっ!?細かいことはナッシング!!穏チャンに嫌われちゃうぞ♪きゃはははは♪」
ヘブン「・・・こいつの頭に常識っていう言葉、誰か教えてやってくれ(涙)」
たぶん無理。絶対無理。そんなのチンパンジーに英語を教えるのと同じくらい無理難解であろう。

冷牙「・・・よくも今まで好き勝手やってくれやがったな!!」
流水「きゃははっ、やっつけまくり、決定♪」
雷斗「・・・ぶっ潰す!!」

青い風が吹き荒れ、紫色の水流が噴出し、銀色の稲光が飛び出し、それぞれがヴォルファス、チューン、トーライの姿へと変わる!!

サーベルファンガイア「・・・・くっ、所詮何人集まろうと、全員仲良くあの世に送って差し上げますよっ!!!」

そういって、指を鳴らして無数の黒い三日月形の刃が飛び出し、襲い掛かってきた・・!!

が、その時だった!!

「はっ!!」

凛とした声とともに、飛び出してきた人物が指を鳴らすと地面から噴出した水柱が壁となって刃をはじき返し、それらをサーベルタイガーファンガイアが食らってのけぞった!!

その人物は・・・・!!

シルヴァン「て、テメェは!?」
ナパーム「・・・・・イーズ、君?」
ヘブン「・・・あ!!」

クリス(・・・どちら様でしょうか?)

その姿は・・・・!!
腰の辺りまである蒼銀の長髪を後ろで無造作に纏めており、パッと見は美少女のような外見をしている少年・・・・イーズ!!

クロキバ「お、お主は!!!”ナイト“殿!!!」

クロキバが平伏して、イーズの前に飛び出し、頭を下げる。
つか、「ナイト」?!それって・・・・確か・・・・・まさか・・・!!

イーズ「・・・・・・クロノスキバット3世殿、ご壮健で何よりです。到着が遅れて申し訳ございません」
クロキバ「まさか、キングがお呼びになられたのは・・・!!」
イーズ「はい、ファンガイアの王、キング・・・大友晶様の命を受けて、このファンガイア一族の“ナイト”・・・“魔法技師”イーズ・フロストルティナ、ご子息であり、ファンガイア一族、そして、人類の平和を守る一族の次代の王となりうる大友暁様の援軍としてここに・・・・参上いたしました!」


そういって、俺の前に来ると、ひざを付き恭しく頭を垂れる。

イーズ「ご学友の前では、貴方様がお過ごしになられている学園生活を平穏なものにしたく、不躾な態度と知りつつも、行った振る舞い、何卒お許しを・・・!!」
ヘブン「・・・つまり、俺が父さんの息子なのに、馴れ馴れしくして悪かったってこと?」
シルヴァン「じゃねえの?」
ナパーム「・・・でも、そんなこと、あたしたちだって知ってる」
イーズ「ええ?!でも、皆様、暁様に対して・・・!!」

シルヴァン「・・・まあ、こいつがそういうの気取らないから、付き合いやすいっていうのもあるけど、俺たちにしてみればこいつは可愛い弟分だし、時に頼りになる、どこにでもいるような普通の男の子に過ぎねぇのさ。心から信頼できるし、そばにいると安心できる大切な友達だ。俺たちはそうして付き合っていたいし、そのままでいいって思ってる」

ナパーム「・・・・・・・早々めぐり合えるものじゃない。心から許しあえるダチ(にっこり)。そして、絶好の盗撮モデル(OK)」

ヘブン「・・・あとで穏はぶっ飛ばすとして、そういうこったな。俺ぁ、部下が欲しいってわけじゃないし、まだ偉ぶるほど偉くもない。まあ、これからわかるさ。ここでの付き合い方ってヤツがな」
イーズ「・・・は、はあ・・・・」
ヘブン「・・・さてと、ナイト。今から、俺、アイツぶっ飛ばすけど、お前、一緒に戦ってくれるってことで、いいの?」
イーズ「は、はい!!これを、届けに着たんです!!私が開発した、新しいデバイスです!!」

見ると、それは手の平くらいの大きさの銀色の円盤に、三つの穴が開いている不思議なデバイスだ。

イーズ「これを、クロキバ様に装着させてください!!」
クロキバ「うむ?我にか?」
ヘブン「・・・・クロキバ、覚悟はいい?」
クロキバ「・・・・ふっ、お主にどこまでもついていくと交わした言葉は、伊達ではないぞ?」
ヘブン「怖く・・・ねぇのか?」
クロキバ「・・・正直、少しはな。だが、お主を、ナイト殿を、信じる気持ちが今勝っているようであるな。暁、決意が揺らぐ前に、早く!!」

ヘブン「・・・分かったぜ!!!」

ディスクを持つと、装着していた青い弾丸、紫色の弾丸、そして銀色の弾丸が装着され、そしてそれがクロキバに重なると、黒い翼の上から銀色の翼が生えているような形に変わる!!

ヘブン「冷牙ァ!!流水!!雷斗ォ!!まとめて、限界まで、トバすぜぇっ!!!」

冷牙「了解だ!」
流水「OK!!」
雷斗「おう!!」

ヘブン「クライマックス決めるぜ!!!変身!!!!」

クロキバが俺の手をかむと、俺の全身にウルフェンの紋章、マーマンの紋章、そしてフランケンの紋章が浮かび上がる!!

「Duet transformation!!Quartet Form!!!」

やがて背中から翼が広がると、その翼から放たれる銀色の眩しい光に吸い込まれた冷牙、流水、雷斗の姿がイメージとなって重なり、やがて、左腕が青き狼、ヴォルファスフォームとなり、右腕がチューンフォーム、そして胸がトーライフォームへと変わり、背中から銀色の翼が大きく広がる!!!

ボルダー「4人が・・・!!」
セレス「合体した!!」

イーズ「成功です!!!これこそ、ヘブンシステムで発見した新しいフォーム、その名も、カルテットフォーム!!!」

サーベルファンガイア「な・・・何ですって!?」

サーベルタイガーファンガイアが驚きのあまりにのけぞる。

「「「「限界ブッチギリで、トバすぜぇえええええっ!!」」」」

クロキバ「行くぞ!!」

うむ?どうやら、このフォームではメインの意識及びコントロール出来るのは我のようであるな。ふむ、これは、つまり、暁や冷牙の風を操る能力、流水の水を操る能力、そして雷斗の雷を操る能力を・・・自在に操れるということか!!

ふむ・・・・それでは行くとするか。愚か者の断罪にな!!

サーベルファンガイア「おのれぇえええええええええ!!」
ヘブンQフォーム「ふん!」

サーベルタイガーファンガイアの攻撃を難なく片手で受け止め、軽くはじくと、凄まじい怪力にのけぞり、そこを付いて、取り出したトーライハンマーを突き出し、思い切り吹き飛ばす!!!

サーベルファンガイア「あああああああああ!!」
ヘブンQフォーム「ふんっ!!」

ハンマーを振り回し次々とたたきつけて、火花が飛び散り、骨がきしみへし折れていく!!
そして、サーベルタイガーファンガイアの腹部にチューンシューターを押し当てると、トリガーを引き、一斉に銃弾を発射し、サーベルタイガーファンガイアを追い詰めていく!!

暁(一気に行くぜっ!!!)
ヘブンQフォーム「うむ!!」

そういって、取り出したのは、ヴォルファストマホーク・・!!

冷牙(・・・クロキバ・・・・お前・・・!!)
クロキバ(・・・過去にケリをつけよ。お主の手で!!)
冷牙「・・・・・ああ!!」

「Full Charge!!Maximum Tension!!」

電子音が鳴り響き、手に宿した斧に青色の風がまとい、さらにその上から銀色の光が、紫色の激流が、そして全てを包み込むまばゆき光がひとつになり、大地が震え、空気が振動し、カルテットフォームを中心にエネルギーの渦が発生する!!!

冷牙「・・・・これは復讐とか、そんなみみっちいモンじゃねえ。そうだろ、暁!」
暁(・・・・・お前がそう思うならな)

冷牙「・・・・どんなに大切な人を失い、居場所を失い、悲しみや怒りが消えないとしても―・・・・それでも、今、俺には・・・・差し伸べてくれる手が、受け入れてくれる居場所が・・・ある・・・!」

流水(うん!)

冷牙「・・・今度は俺の番だ・・・!!」

雷斗(・・・・決めろ!!)

ヘブンQフォーム「・・・さあ、断罪の時だ。己が罪、悔い改めよ!!」

そういって、飛び上がると全身に青い風をまとい、翼を広げるとカルテットフォームの姿に銀色のワシ、そして青きオオカミのイメージが重なり、光り輝く巨大な刃を一気に振り下ろす!!!

ヘブンQフォーム「マキシマム・ハウリング・スラッシュ!!!!」

サーベルファンガイア「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!」

斧で無数切り刻まれ、巻き込まれたスワローテイルプレデターが爆発し、サーベルタイガーファンガイアが吹き飛び、火花を散らしながら地面を転がり、やがてその姿がボロボロになった聖の姿に変わる。

聖「・・・ああ・・・・・あたしが・・・・死ぬの?」

髪を振り乱し、悪鬼のような表情を向けると、憎悪に満ちた声で話し出す。そのときの顔は、額から滴り落ちる血にまみれて三日月のように唇の端を吊り上げて笑っている・・・!!

聖「ヒヒヒ・・・キヒヒヒヒヒヒヒ・・・・ウヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!これで、ごれで、終わったと、思わないで、ぐだざいねっ!!!!私が、死んでも、まだ真の四天王が、そして、イングリッド様が、残っている!!!!どの道、お前たちに、残されているのは、絶望と、混沌と、虚無に満ちた地獄だけだぁあああああああああああああああ!!あははははははははは!!地獄からその様子、楽しく見物、ざせて、いだだきましょうか・・・!!アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・・アーーーーーーーーーーーヒャヒャヒャヒャヒャヒャ・・・・・・・!!!!!」

狂ったように笑い声を上げて、その直後、彼女の体が巨大な炎を吹き出して、爆発した・・・。
やがて、その場所には彼女の残骸であろう消し炭のみしか残らず、黒煙と炎が吹き荒れる乾いた大地を見て、思った。

暁「・・・これで終わりじゃない。むしろ、始まりか・・・」
クリス「・・・真の四天王・・・・どんな人たちなのでしょう・・・?」
暁「さあな、いずれにせよ、また襲ってくるだろうさ。理由はひとつ、邪魔だからな」

冷牙「・・・・ぐ・・・・」
冷牙が倒れこみ、それを誰かが支えた。

冷牙「・・・・穏・・・・・・姉さん・・・・いや・・・・セレス」
セレス「・・・・・・冷牙くん・・・・あたしは・・・」
冷牙「・・・・・いいさ・・・・・焦らずに・・・・ゆっくりと・・・・ゆっくりと思い出していけばいい・・・・いつでもそばに・・・・俺がいるんだからな」
セレス「・・・・・・・うん、ありがとう、冷牙くん」

もう大丈夫だな。そう、確かに記憶を失い、不安な気持ちもわかる。
でもさ、一人じゃないんだ。これから助け合って少しずつ少しずつ思い出していけばいい。
俺たちも一緒にいてやるからよ。

イーズ「・・・・・姉さん、僕自身のケリはついたよ。もう、過去に囚われなくていいんだよ・・・?」

凛「・・・・・イーズ?」

凛がイーズがつぶやいていた言葉を耳にして、首をかしげる。そして、彼の耳にしている青いサメのピアスを見て、ふと、脳裏にある考えがよぎった。

凛「・・・・・・・・・まさかな」

どうせ、それはないだろう。
そう思うも、釈然としない気持ちで、凛はイーズを見ていた・・・。



「・・・聖が失敗しました。イングリッド様、予定通りです」
イングリッド「・・・ふふっ、私たちの封印を解いてくださった時点で、もはや使いゴマに過ぎないのに、ずいぶんと盛り上げるころにご執心のようで・・・おめでたいことです。さあ、次の舞台はどなたが盛り上げてくださるのかしら?真の四天王、薔薇十字騎士団(ローゼンクロスナイト)の皆さん?」

その声に反応するかのようになぜか、“3人”の人物が暗がりから姿を見せる。

イングリッド「・・・ふふふっ、“ベリル”はまだかしら?」
「・・・彼女はもうすでに、宿主を決めて、行動中です」
イングリッド「ふふ・・・彼女の持つ“ありとあらゆるのものを食い尽くす”欲望の能力・・・“ソウルイーター”・・・・誰が受け入れる器となったのかしら?」
「・・・はい・・・・聖が選びました。彼女の存在は、ルシファーズハンマーに大きな影響を与えることでしょう・・・例え正体が知られたとしても、果たして、簡単に倒せるかどうか・・・」

イングリッド「うふふふ・・・そう・・・・楽しみね」

そういって、妖艶にイングリッドが笑った。


一方・・・。
とあるファーストフード店。大きな袋にたくさんのハンバーガーやらポテトやら、たくさんの食べ物を詰め込んだ一人の少女がお店から出てきた。その光景は細身の彼女が一人で全部食べるのかと奇異な視線を集めるほどであった。

携帯電話が鳴り出し、彼女がそれをとる。

「・・・はい、ベリル。ああ、イングリッド?うん、分かってるよ。計画通りことは運ぶさ。せっかく、いい身体も手に入ったことだしね。思う存分食べるとするよ」

「大友暁、ならびに伝説のライダーを“食って”、その能力を、ボクが手に入れるってことで、OK?」

笑みを浮かべて、その少女が携帯を閉じると、深夜の町並みに消えていった・・・。

時同じくして・・・。
一人、マリアはビルの屋上にひざを抱えて、まるで怖いものから逃れるように体を小さくして座り込んでいた。

マリア「・・・嫌、嫌だよ、このままじゃ、ダメなのに・・・・。このまま・・・このままじゃ・・・暁くんに嫌われちゃうよぅ・・・ううう・・」

敵に操られていたとはいえ、自分が行ってきた非道な行為の数々・・・。
脳裏によぎるたびに、罪の意識にさいなまれて、落ち込み、悩み、絶望の闇にさいなまれるマリアの姿があった・・・。

続く
Next Line 「The Gourmet of fear」
,さて、ついに聖ことサーベルタイガーファンガイアが退場し、新たなる合体フォーム「カルテットフォーム」へと進化を果たしたヘブン。ここまで来ると、敵も劣勢に追い込まれてきたかと思いきや、事態はさらに最悪なことに・・・。
「真の四天王」、そのうちの一人、「ソウルイーター」の異名を持つ「ベリル」が動き出し、さらなる3人も近々登場いたします。
そして、次回より、お待たせしました。

皆さんお待ちかねの・・・星くんとフェザーさんを出演させます!!!ネタバレですみません!!二人の活躍、気合を入れて書きますので、星くんとフェザーさん、よろしくお願いいたします!!遅れて申し訳ございません!!

>烈様へ
いつも暖かいご声援ありがとうございます!
暁「明久、翠、いつもありがとうよ。聖のヤツは倒したが、まだまだ先に何があるのか分からない。でも、最後までがんばるから応援よろしくな。ところで、翠・・・?アスレイの世界では俺の妹ってことになってるけど、俺はどう呼べばいい?まあ、俺は兄貴でも兄さんでも何でもいいけどよ。そっちの世界の暁とはどういった兄妹なのか、知りたいな。今度教えてもらっていいか?」

>『レスキューライナー』って、随分なものを作っていますね
暁「それだけ時の運行を乱すやからが多くてね。救援活動には物資や救急施設が必要だと思って父さんが作ったんだ。移動する病院なんて、便利だろ?」

>翠ちゃんのツッコミ
暁「しゃあねえだろっ!!!あそこまでバカな親だと、もうこちとら好きなことしてイライラ発散させなきゃやってらんねぇんだよっ!!!」
クリス「暁、翠様に当たっても仕方ないと思われます・・・」
暁「・・・・ごめん。翠、あのバカ両親にキツく一言頼むぜ。あの二人、本当に人の話聞かないからさ・・・」

>イーズ君へ
凛「うちのクラスは男子たちは全員彼女いないし、そういったものにがっついてっからな。明久のクラスの異端審問会に引けとらねぇくらいだぜ?だから、女子たちがドン引きなのに、まるで気がついていやしねぇんだよ・・・暁も昔、もう男の子でもいいって告白されて、キレて大暴れしたことあるしよ」
昴「まあ、もう生肉全身につけてライオンの檻にでも入ったと思ってあきらめたほうがいいよ」
穏「・・・・隠し撮り写真の売値が転校初日で暁と同額とは・・・恐るべし(パシャパシャ)」
暁「テメェが盗撮犯だろうがっ!!!イーズ、負けるなよ?ここで学園生活送るって相当過酷だぜ?」


次回も応援よろしくお願いいたします!!!
,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,1 2011年02月13日(日) 10時46分05秒,20110213104605,20110216104605,8D01vzqCAjNHk,仮面ライダーintertwine外伝 プロローグ1「セブンズ・ペイン」,オリジナルライダー・リレー企画 ,,,深優

満月が輝き、その光が屋敷の一室を淡く照らすある夜のこと。

「パパ!パパっ!今日は何して遊ぶですの!?」

新たにこの屋敷の住人となった正体不明の少女シェネスは、
すりこみで親と認識した緋色と共に部屋にいる。
既に、壁から天井まで訳の分からない抽象絵で埋め尽くされているのは、
彼女の精神的幼さと寂しさを紛らわす代償行為である。
そんな彼女は、目をきらきらさせてベットの中にいる。

「良い子はもう寝る時間だ。」

無論、緋色はそれをしらないし興味がない。
今、この場にいることだって所詮、双子の姉である葵に頼まれたからだ。
仕方なしと言う感じに、部屋にあったソファーに座る。

「うぅ〜、お昼寝いっぱいしたから眠たくないですの!」

シェネスは、頬を膨らませて上目遣いで緋色を見つめる。

「そういうことなら、姉さんに構ってもらえ。」

緋色は、めんどくさそうに吐き捨てる。

「あ〜ちゃんは、まだ子供だからおねむの時間ですの。
それに、今日はパパと一緒にいたいですの。」

あ〜ちゃんとは、もちろんのことながら葵の事である。
双子のはずなのに、子供に子供扱いされる葵はまあ見た目と普段の行動の行いだろう。

「それで?何をするんだ?トランプも花札もTVゲームも、
勝てないからすねるじゃないか?」

緋色も緋色で子供相手に手加減を一切しないのだから
子供といえば子供である。

「うぅ、・・・・じゃあ、お話しして!」

シェネスは、ひとしきり考えたようなそぶりをすると、
閃いたように、手を叩きながら言う。

「話?ならその辺から何か本でも持ってくる・・・。」

そういうと、部屋からでようとする。
こういった場合、本を読むのは緋色ではなく、
フラウディアにたのみ彼女がが本を読む役目になっている。

「駄目ですの!!パパはいつもそうやって逃げますの!
それに、ここにある本は全部読んで覚えていますの!」

そのパターンを流石に覚えているシェネスはそれを許すわけがなかった。
それと、彼女の言ったことは事実そうである。
この屋敷にある童話からはたまた彼女の興味は別として厳重に管理されてる機密文章まで
彼女は、既に「記憶」しているのだ。
シェネスとしては、ただ緋色と一緒にいたいだけなのだが
彼にはまだ到底理解できる範疇ではないのだ。

「ならどうしろっていうんだ?」

緋色は、心底めんどくさそうにため息を吐く。

「パパの昔話が聞きたいですの。」

シェネスは、そんな緋色をしってか知らずか
ニコニコしながら緋色を見る。

「昔話ね・・・・。生憎、聞かせるほどおもしろい人生は歩んでないぞ。」

緋色は緋色で更に面倒な表情をする。

「面白いかどうかは、ネスが決めるです。」

シェネスは、音も立てない軽やか身のこなしで緋色の膝の上に乗った。

「...全く・・。・・・そうだ。ネス。お前は「セブンズ・ペイン」ってしっているか?」

緋色は、やれやれといった感じに、苦笑する。

「「セブンズ・ペイン」・・・本人達が呼ぶわけもなく、ただそう呼ばれた存在。
故に謎も多く、「セブンズ」といいつつも、おおよその人数は不明。
個々に持つ信念に基づいて行動する為、組織というわけではない。
そして、一人一人に強大な力を持つ為に様々な組織に追われているが、
彼らに出会うこいとにより、引きつけられ魅了された人々により
後援組織も数多く存在する。
故に、「破壊による傷よりも質が悪い」為に聖書に登場する悪魔にちなんで「七つの痛み」と称される。
ちなみに、この屋敷もその彼らの為に建てられた物・・・・・ですの!」

シェネスは、ピコピコと耳を動かしながら尻尾を規則正しいリズムでふる。

「よくそこまで知っているな・・・。」

緋色は、珍しく驚いた表情を見せる。

「えっへん!ですの。」

シェネスは、胸を張りながら誇らしげな様子だった。

「よしよし。」

緋色は何となくシェネスの頭をなでた。

「えへへっ〜。」

シェネスは、気持ちよさそうに目を細めながらピコピコと更に耳を動かした。

「話がそれたな。・・・この屋敷に来る前に、フラウとの出会いとその「セブンズ・ペイン」と称した奴らに会ったことがある話でもしようか・・・。」

緋色は、遠い日の思い出を思い返すのように遠くを見つめながらシェネスの頭を撫でる。

「そうだな。・・・あれは、一月前・・いや、数ヶ月前の話だったかな・・・」,どうも、知っている人はこんにちは。
知らない人は初めまして。

このたび、更新が止まってしまったこの企画
を、いまいるメンバーだけで書いてみようかという企画です。まあ、今いない人がすぐ参加できるように、外伝的位置づけですね〜。

この外伝では、本編で語るつもりがなかった
「屋敷は何の支援組織か」「緋色達の逃避行」「フラウが本編に当分変身しない理由」
を書きたいと思います。,#000000,./bg_b.gif,em114-48-222-219.pool.e-mobile.ne.jp,0 2011年02月06日(日) 21時40分46秒,20110206214046,20110209214046,7oZFAMrn5/IK2,仮面ライダーヘブン 第17話,鴎,,,第17話 「Whereabouts of noble wind」

クロノポリス。
第9レスキュー部隊のオフィスが同居している巨大救急施設「レスキューライナー」。
巨大な列車には大型病院の施設におけるありとあらゆる災害、事故、救助活動に必要な医療設備が整っている「走る救急病院」ってヤツだ。
その施設内の部屋、その病室内でマラカイトさん、ヒルデさんが長い間かけて調べてくれた「結果」に俺たちが誰もまばたきもせず、重苦しい空気の中で聞いていた。

暁「・・・・・セレスさんは・・・ウルフェン・・・・」
ヒルデ「・・・ああ、DNAデータの調査によって出た結果だ。間違いはない」
マラカイト「しかし、これはDNAそのものを“書き換えた”ものよ。ウルフェンのDNAのデータを何らかの方法によってプレデターへと変えられて、セレス・ホーネット・・・いえ、月華さんはプレデターとしての能力も気配さえも持っていなかった」
ヒルデ「しかし、それが無意識のうちに実の弟である冷牙くんが危機に陥ったとき、そのDNAデータの書き換えられたものがさらに修正されて、本来のウルフェンの姿に戻すことができた。つまり、彼女は感情の高ぶりによって、ウルフェンにも、プレデターにもなれるってこと」
暁「・・・・・聖が実の弟である冷牙と戦い合わせるために・・・やったかもしれないってこと・・・・か?」
雷斗「・・・・それにしては・・・・まどろっこし・・・すぎる・・・・」

暁「雷斗、どういうこと?」
雷斗「・・・・もし・・・・俺が・・・・聖なら・・・・わざわざ・・・・プレデターになんて・・・しなくても・・・・戦い合わせるだけ・・・なら・・・そのままの・・・状態でも・・・・・いろいろ・・・・方法は・・・・あるはず・・・・それに・・・・もし・・・つぶすなら・・・・あの駅の時・・・・・無理やりでも・・・・セレスさんを・・・使うと・・・思う」

雷斗の話だと、もし聖のアホがセレスさんと冷牙を戦い合わせるなら、あの駅の事件を引き起こしたときに洗脳してでもやらかしそうだ。しかし、それどころか、セレスさんは全くのノーマーク、つまり、あの聖がそんな機会を見逃すはずがない。

暁「・・・・確かにそうだな」
ヒルデ「雷斗のも一理ある。今は、セレスのことは、私たちに任せて。あなたたちは、マリア・シャークエッジの行方を追って」
マラカイト「セレスさんのことは、お任せを・・・」
暁「・・・・ああ、頼むよ。大切な・・・・仲間なんだ」
雷斗「・・・・・お願い・・・・します」


二人で頭を下げ、病室で眠っているセレスさんを心配そうに付き添っている冷牙とクロキバに声をかけようとするが、雷斗が止めた。

雷斗「・・・・今は・・・・そばに・・・いさせて・・・・やって」
暁「・・・・雷斗」
雷斗「・・・・・・行こう」

雷斗がいいたいことを察して、俺たちは二人に何も言わずに立ち去る。

こいつはこういうとき、人のことを誰よりも気遣って、沈着冷静に振舞える大人な一面があるんだよな・・・・俺もこういう気遣いができるようにならないと。

暁「・・・・セレスさんと、冷牙、どうするんだよ・・・」
雷斗「・・・・・何でも、やってやろうと、思わないこと、だな」
暁「・・・それ、どういうことだよ」

雷斗「・・・見捨てる、と、いうことでは、ない。冷牙と、セレスさんが、どうするか、見守ってやる、という、こと。俺達、まで、参っていたら、この先、動けなく、なる。一緒に、転んで、痛みを、分かち合うことが、大事、じゃない。転んだ時、手を、差し伸べるくらいの、距離で、いて、やれ、と、いうこと」

暁「・・・・なるほどな・・・・」
雷斗「・・・・もっとも、これが、最善か、と、いわれたら、俺も、自信は、ない。気に、ならない、なんて、嘘、だからな」

雷斗が冷牙とクロキバを心配そうに見て、俺に諭す。俺も雷斗の気持ちは伝わった。
でもさ、正直あの二人だってどうやってお互い話し合えばいいのかわかるわけがないよな。
冷牙にしてみれば、ずっと死んでいたと思っていた姉さんが、吸血鬼になって、再び目の前に現れてもさ・・・。

考えれば考えるほどどんどん重苦しい方向に思考が考えていく。
これじゃ何の解決にもなってないっていうのにな・・・・。
でも、今は落ち込んでいる暇はない。どうにかしないと・・・。


しかし、こういうときに限って・・・・。
トラブルというものは予測不可能な方向からやってくるものである。


それがこれだ。

「ふざけんな、あのバカ親父、アホお袋ぉおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!!」

暁の怒号が家中の窓は割れよ、壁は裂けよと言わんばかりに響き渡ったのだ。
怒りでふるふると震えている暁を、クリスとアリス、凛が恐る恐る離れてみている。
見ると、手には一枚のメモがあり、それを見て、大激怒している様子であった。

クリス「・・ど、ど、どうしたんですか、暁!?」
凛「・・・おいおい、これ、マジギレじゃねえか?」
アリス「どうしたんだよ?」

暁「・・・・・・うちの両親のあまりの突拍子のなさに思わず、ブチキレたんだよ・・・。あの二人は、どうしていつもいつも勝手に行動するかな・・・!?俺に一言くらい声かけてくれてもいいのにさ・・・・常識あるのかさえ疑わしいよ・・・・!!マジでグレるぞ、しまいには・・・!!」

珍しく本気で怒っている。
そして手にあるメモをクリスたちが見る。

「愛する愛息子の暁くんへ!!
お父さんとお母さんは急なお仕事で今日から2か月ちょっとばかり、ドイツに行ってきまーす♪思えばお父さん、お母さんと旅行なんて結婚して以来だから、ちょっとした新婚旅行って感じで楽しんできまーす♪お土産楽しみにしてね♪クーちゃん(クリスのことね)とキバっちにもよろぴく♪じゃ、行ってきまーす♪ パパより(はぁと)」


「暁へ
悪い、あたしも唐突だったから相談しないで行きます。じゃ、そういうことで。あ、それと、近いうちにそっちにお母さんたちの知り合いの子がしばらくクロノポリスでお仕事するということで日本に来日するから、受け入れよろしくね。長期間でのお仕事になるから、しばらくうちに下宿することになりました。だから、その子と一緒にしばらく一緒に暮らしてね。 お母さんより」

クリス「・・・・・なんでこんな時に・・・・」
凛「・・・・相当のスチャラカ夫婦だな、おい・・・」
アリス「・・・・つまり、暁のところに、慧の知り合いが来るから、しばらく一緒に生活してくれってこと?」
暁「せめて、いつ、誰が来るのかくらい、書けやぁあああああああああああああああ!!!!」

あまりにも引き継ぎ作業が杜撰すぎる・・・というか、丸投げしっぱなしの無責任な行動にその場の全員が溜息と頭痛をこらえきれずにいた。
こんなどこか常識が欠落しているから、暁が年相応に似合わない大人びた考えの持ち主になるんだよ。それで「子供らしくない」「もうちょっと甘えてほしい」など無理に決まっている。間違いなく監督不行き届きが原因なんだから。

暁「・・・・・もうアッタマきた・・・・・クリス、凛、アリス、今日はもう俺のへそくり切って、豪華な料理作ってやる、食っていけ。もう、こっちだってたまには贅沢してやるっ!!!!食いたいもの、言え。何でも作ってやるぅうううううううううううう!!!」

凛「・・・昔からストレス爆発すると料理作るクセ、変わらねぇんだな(汗)」
アリス「マジで?!それじゃあ、あたし、肉料理!!!そうだなあ、この間食わせてくれたハンバーグステーキがいいな♪」
クリス「それでは、私は、マシュマロを使ったデザートが・・・・」
凛「・・・・いや、注文する前に止めろよ、お前ら」
暁「よっしゃあ!!今からスーパー行ってくる、意味なく売れ残りお惣菜品コーナーでのタイムセール大戦争に殴りこみかけてこの怒り発散してきちゃるううううううううう!!!ちくしょぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

大泣きというか、ヤケクソで、ドアを吹き飛ばして走っていく悲しき姿を凛たちが憐れむように見送っていた・・・。

アリス「わーいわーい、暁の手料理だぁ!!嬉しいぜぇ〜♪」
暁大好き、ピュアなハートのままに部屋で笑顔ではしゃいでいるライオン娘を除いて。

ちなみに、その日のスーパーにおける「売れ残りお惣菜品争奪戦バトル」は、暁の大暴走により、その場にいた猛者のほとんどが泣いて暴れまくる暁にぶっ飛ばされて入院沙汰になるという大騒ぎに発展したそうな。

翌日。
穏「・・・・今日の暁、機嫌悪い」
昴「というか、もう全身から殺気放ってるよ、何があったの?」
凛「・・・まあ、しいて言うなら、親子喧嘩?まあ、しばらくすれば大人しくなるだろ」
昴「・・・今日は暁くんからかうのやめとこ」
穏「・・・・こくこく」

もはや、暁の機嫌は見てわかるくらい最悪だ。
その無表情に近い表情からは怒りがあふれんばかりに出ており、顔中に「近づいたら殺す」と言わんばかりの怒気と殺気を放っている。普段あまり怒りを見せないために、その場に居合わせたクラスメート全員が近寄れず、彼の周りから遠ざかっている。

教室の扉が開き、このクラスの担任である青馬 風子(あおば・ふうこ)が入ってくる。2学年で英語を担当しており、おっとりとした柔らかい物腰が特徴的な優しい笑顔がよく似合う可愛らしい女性だ。

青馬「はい、皆さん、おはようございます」

「おはようございます」

青馬「今日は、皆さんに新しいお友達をご紹介いたします。このクラスに転入生が入ります!」
青馬先生の言葉にクラスがざわめき立つ。

「転校生?」
「どんな子なんだろう?」
「女の子!!女の子であってくれ!!!」

凛「へえ、この季節にねえ」
昴「・・・あのさ、そろそろ機嫌直したら?いきなり転校生にその殺気はないよ?新しい門出を祝う日にいきなりナイフ突きつけて殺すよって言っているようなもんだよ?トラウマもんだよ?」
暁「・・・・・・・・・ふん」
穏「・・・・・・・・ダメだこりゃ」

その転校生が願わくば暁の殺気にあてられてショックで翌日から転校騒ぎとか、登校拒否とか、暁を不良呼ばわりして恐れるとか、最悪の展開をなんとか回避させようと必死で打開策を考える3人。しかし暁の機嫌は一向に良くならない。完全にふてくされてしまっている。こうなると、もう落ち着くまで手がつけられないのだ。

すると、その人物が入ってきた。

その直後・・・・。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

クラス中の驚きの声があがった。

青銀のロングヘアにウェーブがかかっており、それを後ろで縛っている小柄な人物は、そのあどけない幼さが残る可愛らしい顔立ち、大人しそうで儚げな、触れただけで壊れてしまいそうな繊細ささえ感じてしまう華奢な体つき、ぱっちり開いた青い瞳、真白な肌、「小動物」を思わせるほど小柄な姿をしている・・・・。

青馬「今日からこのクラスに転入してきました、イーズ・フロストルティナくんです!皆、仲良くしてあげてね?イーズくんは、ドイツのハンブルグから転入してきて、日本にきてまだ日も浅いけど、向こうで日本語を勉強してきたからお話はできます。でも、知らないことやわからないことがあったら、いろいろと教えてあげてね!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

イーズ「・・・・い、イーズ、フロストルティナ、です。皆さん、はじめまして。ま、まだ、ドイツからやってきて、日本は初めてなので、いろいろと不慣れなこともありますが、皆さんと仲良くできればいいなあと思ってます・・・。よろしく・・・お願いします」

「イーズちゃああああああああああああああん!!」
「可愛いぜええええええええええええええええええ!!」
「結婚してくれえええええええええええええええええええ!!」
「5人目の天使が教室に舞い降りたぁああああああああああああ!!」

うるさいことこの上ないクラスの男子(ケダモノ)たち。
それを聞いて、蔑むが吹雪のごとく、見下す視線が破壊光線ばりに発しているどす黒いオーラを放つ女子たちなど目もくれず騒ぎ出す。

青馬「み、皆さん、落ち着いてください。静かに!!」
凛「おい、うるせぇぞ。少しは静かにしやがれ。転校生びびってんだろうが」
昴「はいはい、あとで、イーズくんへの質問タイム、および交流を深めるためのレクリエーションタイムはクラス代表のボクが設けるから、落ち着いてね♪」

昴が営業用スマイルでやんわりと流し、凛のクールかつ苛烈な一言でクラスが静まる。
クラスが静かになると、この怒涛の大騒ぎに思わずどうすればいいのか分からない(そりゃそうだな)イーズがおろおろとしている。

青馬「そ、それじゃあ、イーズくん、イーズくんは、ええと、そうねぇ、大友くんのお隣の席空いてるから、そこに座ってね」

あまりにも絶望的な展開に涙が出そうになる3人。相変わらず暁はというと、転校生など知ったことではないといわんばかりに機嫌が最悪だし、いまだに怒りのオーラが漂っている。こんな状況下で彼の隣になど行くやつはもはや勇者であろう。というか、この状況で彼の隣の席に座れなど死刑宣告以外何物でもない。

イーズ「・・・は、はい・・・」

おずおずと小さな身体を震わせるように机と机の間をすり抜けて、いすに座る。
そして、隣にいる暁を見ると少し驚いた様子になるが、にっこりと笑顔を浮かべて話しかける。

イーズ「・・・・よ・・・よろしくね・・・・大友暁くん・・・・・」
暁「・・・・・・・・暁でいい」

そういって、振り返ると、そこで暁の顔が一時的に止まった。
驚きというか、ぽかんとしたようになり、不機嫌さが一気に吹き飛んだようだ。

その姿、今日初めて見たはずのイーズに、暁が思わず口から言葉がこぼれていた。

暁「・・・・・・マリア・・・・・さん?」

イーズ「・・・・・・・・・え?」

暁「あ、悪い、つい、友人に似ているから」
イーズ「・・・お友達?」
暁「あ、ああ、まあ、なんていうか、憧れの人・・・かな」
イーズ「・・・・そ、そうなんだぁ。よろしくねぇ!!」
暁「・・・・・ああ!!よろしくな」
そういって、恥ずかしそうに笑う。どうやらもう心配はないようだ。

暁が恥ずかしそうに頬をかいて、顔を赤くして目を背ける。

暁(どうして、俺、今、こいつのことが、マリアさんに見えたんだろう・・・・?)

どこか困惑している暁、そんな彼を見ていたイーズはというと・・・。


イーズ(・・・・君がそうなんだね・・・・大友暁くん・・・・)



一方そのころ。
親子連れの家族でにぎわう児童公園。楽しそうな歓声でにぎわっている平和な光景。
そこへ、マリア・シャークエッジが歩いてやってきた。
どこへともなく、目的もなく、ただぶらりとやってきた彼女は公園のベンチに座り込む。


その時だった。
コロコロコロ・・・・・。

足元に何か転がってきてぶつかる。見ると、それはサッカーボールだった。
そして声がするほうを見ると、小さい小学生くらいの男の子が走ってきた。

「すみませえええええええええん!!ボール、とってくださあああああああい!!」
マリア「え、ええ」

ボールを持って手渡そうとすると、その男の子が転んだ。マリアが駆け寄ると、男の子がひざをかかえて、次第に泣き出した。

「うえええええん・・・・・痛いよぉ・・・・・」
マリア「大丈夫?」

マリアが男の子にしゃがんで話しかける。そして、血がにじんでいるひざ小僧を見て、ハンカチを取り出すと消毒液をかけて縛りつけた。そして、泣きじゃくる男の子の頭をなでた。

マリア「もう痛くないよ・・・」
「ううん・・・・痛い・・・・痛いよぅ・・・・」
マリア「・・・男の子でしょう?男の子だったらあまり泣いちゃダメじゃない」

そういって、頭を優しくなで続けている。その姿は洗脳されている今でも、彼女の本来の持つ心優しい性格は失われていないようである。

マリア「・・・・痛くなくなるまで撫でてあげる。ほら、痛いの痛いのとんでけー・・・」
「・・・うん・・・・・痛いの・・・・・痛いの・・・・とんでけー・・・」
マリア「痛いの痛いの・・・とんでけー・・・・ふふ」
「・・・うん・・・・・もう、痛くない。もう、泣かない」

男の子が涙を袖で拭いて、真っ赤な顔をして、それでもマリアの目をまっすぐ見て言った。
その子の力強い視線に、マリアも微笑んだ。

マリア「よしよし、いい子だね・・・・」
「うん、もう、泣かない」
マリア「男の子はね、泣きたいとき、つらいとき、悲しいときがあっても、すぐ泣いちゃダメ。転んでも、転んでも、泣きたくなるのをぐっと我慢して、もう一度立ち上がって頑張らないと。そんな男の子は、とてもかっこいいよ?」
「・・・・・うん・・・・・ぼく、おとこのこ、もう、泣かない」
マリア「でもね、どうしても思い切り泣きたくなったときは、いっぱい泣いて、明日からは笑顔でいられるようになるのよ?泣いた分だけ、また明日には、きっといいことあるからね・・・」
「・・・うん!!ありがとう、お姉ちゃん!!!」
マリア「うん、ばいばい・・・」

笑顔でお礼を言って、男の子が走り去っていく。その姿を見送りながら、ふと、その姿にもう今はいない弟の姿がかぶって見える。

マリア「・・・・・アルト・・・・」

その光景に目を細め、脳裏に思い浮かぶのは。
過去に、家族がいて、弟がいて、幸せだった昔の光景−・・・。

もう二度と取り戻せない過去。
愛する家族ももう遠い昔に亡くなって、ずっと一人ぼっち・・・・。
胸がきゅうっと締め付けられそうになり、その顔が悲しそうな悲壮感を見せる。


マリア「・・・・・・・あたしはもう、過去を悲しんでいるだけの、悔やむだけの、弱い吸血鬼じゃない・・・・あたしは・・・・生まれ変わったんだ・・・・あたしは・・・・強いんだ・・・・・強いんだ・・・・!!」

まるで自分に言い聞かせるように、必死な表情で何度もつぶやく。

「アルト・・・暁くん・・・あたしはもう弱くない。あたしは強い」

その時だった。


「きゃあああああああああああああ!!」

公園から悲鳴が聞こえ、マリアが駆けつけると、そこでは信じがたい光景が広がっていた。

そこでは公園中の子供や大人たちが倒れており、苦しそうにうめいていたではないか。
そして公園の真ん中ではスワローテイルプレデター(アゲハチョウ)と聖の姿があった!

聖「ふふふっ、さあ、次のゲームも盛り上げていきましょうか」
スワローテイル「ふしゅううううう・・・・・」

スワローテイルプレデターが青色のりん粉をばら撒くと、その粉を浴びた大人や子供たちの体に蝶のあざが浮かび上がると、じわりじわりと、石そのものに変わっていく!!!

マリア「あれは、石化病を発生させるウイルス!!!このままじゃ、皆、24時間後には完全な石像になってしまう・・・・!!聖、いったい、何をやらかすつもりなのよ・・・・!?」

思わず助けなくてはと、動き出そうとする・・・・しかし・・・・その足が止まった。
なぜなら、目の前には・・・・もう一人の自分によく似た・・・・いや・・・・自分自身がいたから・・・・赤いオーラを発し、赤い瞳を向けて、自分をさげすむように冷たい光を帯びた瞳で見ている。

「何を手助けするつもりなの?貴方は強くなりたいのでしょう?」
マリア「・・・・・あたしは・・・・でも・・・!」
「なら、馬鹿なことはおやめなさい。貴方は強くなりたいのなら、人間なんかに情などかけるなんて馬鹿なことは・・・・してはいけないわ。弱さを捨てるんでしょう?いつまでも弟の死や、愛する人に迷惑をかけたくないという不安に、縛られる毎日から逃げたいんでしょう?」

マリア「・・・・・・!!」

弟の死から立ち直れない弱い自分・・・。
暁という愛する存在にいつも助けられてばかりいる情けない自分・・・。
そんな自分が・・・・大嫌いだった。今でも嫌いで仕方ない。

「分かった?なら、早く、あたしにその体、委ねなさい!!」

そういって、赤い光がマリアに重なり、胸に宿る「女教皇」が光りだし、マリアの瞳から正気が消えていき、狂気の笑みを浮かべる。

マリア「ふふっ、さあ、来なさい、ヘブン。今日が貴方の命日よ・・・・!!」


その数十分後。
穏「・・・・あたし、なんか、変な感じがする。頭に、何か、遠くから聞こえてくるし、気配を、感じる・・・!」
凛「それが、ライダーになったってことだ。この気配、相当やべぇぞ、暁!!」
暁「ああ!!急ぐぜ!!」

暁がマシンフレスベルグ、凛がマシングリムドラゴン、そして穏がマシンブレイズホーン(カブトムシ型モチーフのバイク)に飛び乗り、現場へと急いで向かっていた。

暁「アリス!!プレデターだ!!!力を貸してくれ!!」
アリス「ああ、もう、向かってるぜ!!」
暁「よっしゃ!」

携帯で連絡を取り合って一気にバイクのエンジンを最大出力でふかして走り出す。

暁「行くぜ!!変身!!」
凛「おう!!変身!!」
穏「・・・・・変身」

赤、緑、水色の光が飛び交い、やがてその姿を仮面ライダーヘブン、仮面ライダーシルヴァン、仮面ライダーナパームへと変わり、一気に突き進む!!!


一方・・・。
アリスがいち早く児童公園にたどり着き、そこで見た光景は・・・・!!

アリス「・・・な・・・・何だよ、これ!?」
公園中で倒れて苦しそうにうめいている大人や子供たち。
見ると、体のいたるところが少しずつ石のように硬く黒く変色しているのだ。

「お姉ちゃん・・・・痛いよぉ・・・・痛いよぉ・・・!」
「助けてぇ・・・・・誰かぁ・・・・・!」
「うわああああんん・・・・苦しいよぅ・・・・・痛いよぅ・・・!!」

アリス「・・・・ひでぇことしやがる」

珍しくアリスが怒りをあらわにして、言葉に出す。
そして丘の上から何か気配を感じ、本能で察した「危機」を回避するために飛び上がると、そこへ飛んできた三日月型の刃が地面を激しくえぐり、鋭く切り裂いた!!!
やがてそれが水となってはじけとび、消えていく!!

見上げると、そこにいた人物を見て、アリスは言葉を失う。
青龍刀を構えて冷たくゆがんだ笑みを浮かべている、眼鏡をかけた、青いメッシュを入れたロングヘアを風になびかせる、スーツ姿の少女・・・・!!

アリス「・・・ま・・・マリア!?」
マリア「おや、お久しぶりですね、アリスさん。まずは、貴方から倒しますか。ヘブンがくるまでの退屈しのぎにでもね」

アリスが周囲の子供たちを巻き込まないように飛び出し、ものすごい速さで駆け出すと、すぐさまマリアがいる土手の上まで駆け上がってきた。
そんな彼女に向かって青龍刀を振り上げると、無数の水の刃が飛び出し、アリスに襲い掛かる!!それを野獣のようなしなやかさでかわして、ソウルトリガーを構えて発射すると、黒い紋章が浮かび上がる!!

アリス「変身!!」

アリスの姿が仮面ライダーボルダーへと変わり、水の刃をよけて、かわし、マリアに向かうとマリアの姿がシャークプレデターに変わると青龍刀で切りかかる!!それをナックルで防ぐと、蹴りを放つが、もう片方の青龍刀ではじかれ、続いて放ったストレートをよけ、カウンターで拳を入れられると、土手の反対方向の野球場に転がり落ちる!!

ボルダー「ぐあああああ!!」

地面に転がり落ちるボルダーに向かって、青龍刀を構えると、水の刃を無数発射し、それがボルダーに向かって放たれる!!
その水の刃を、ジャガーのフットパーツからエキゾーストを発し、高速移動能力を発動させると、目にも止まらない速さで駆け出し、シャークプレデターの青龍刀を制した!!

ボルダー「マリア、お前、いったい何があったんだ!?前のお前なら、あれだけたくさんけが人前にして、何もしないなんてこと、しなかっただろうがっ!!!!」
シャークプレデター「・・・生まれ変わったんですよ。あたしは。弱い自分、情けない自分、そういったずべての弱さをあたしは・・・・捨てたんです。そして、あたしは、最強のプレデターになる・・・・」
ボルダー「ふざけんな!!目を覚ませよ!!お前は、お前は、そんなヤツじゃない!!お前は、ずっと、誰かを助けるために。一生懸命になって、戦ってきたじゃないか!!そうだよ、あたし、知っているんだ!!」

ボルダーがシャークプレデターの剣を防いで叫んだ!!


ボルダー「お前が、セレスを、聖やイングリッドから守るために、偽りのプレデター化させたことも!!!!」


アリスの言葉、それはつまり・・・。
セレスを吸血鬼にさせたのは、マリアであったこと。
聖やイングリッドから、守るために・・・・。

ボルダー「当時、お前とあたしが遠征先で、滅んだウルフェンの村で見つけたセレス・・・・月華は、もう、死ぬ寸前だった。聖のヤツに痛めつけられてな。それでお前は、生き残ったウルフェンである月華をあいつらに利用されないために、お前の得意の魔法医術で、月華の体に覆いかぶさるようにもう一体のDNAデータを取り込んだ偽りの姿を与えた。それが今のセレスだ。お前があいつを守るために、やったんだ!!それすらも忘れちまったのかよ!?」

シャークプレデター「世迷いごとを・・・!!」

ボルダー「あたしはお前のそういうところを、すごくカッコいいって思っていた!!今だってそうだ。お前が月華に、セレスに、やったこと、約束したこと、叶ったんだよ、お前のおかげで!!!」


―回想−
アリス「こいつをプレデターとして仲間にする?どういうことだよ」
マリア「・・・・彼女は記憶も失っている。自分が誰かも、どこに住んでいたかも、思い出せない。そんな状態で放っておけません。それに、そんな彼女を利用してろくでもないことになる前に、対策を打つ必要があります。あたしは、イングリッドも、聖も、信用出来ない」
アリス「・・・でもよ、どうしてそこまで」
マリア「・・・・彼女が大事に持っていた首飾り・・・・・」

首飾りをあけると、そこには小さな男の子と一緒に映っている微笑んでいる月華の姿があった。幸せそうに仲睦まじく写っているその写真を見て、マリアが悲しそうに、それでも決意を秘めた強い光を宿した瞳で、眠っている月華を見て、いう。

マリア「・・・・・もし、家族がまだ、生き残っているなら、会わせてあげたい。あれだけひどい怪我をしているのに、ずっと大事につかんでいたから、会いたくないわけがない。だから、あたしは約束したんです。いつか、家族に会わせてあげる、それまで、貴方を生かして、守るって・・・・!」

アリス「・・・・お前」

マリア「・・・・大切なものを失ったからこそ、分かる。その失ったものの・・・大切さが。だから、あたしは、自分が失った痛みを、誰かが味わって苦しむ前に、どうにかして、助けたい・・・!!それが、あたしが、医者であることの譲れない信念ですから」

そして、アリスにマリアが言った。

そして今、その言葉をアリスがマリアに叫ぶ。


ボルダー「患者がまだ生きたいと願うなら、その願いを全力でかなえるのが医者の務めだ!!!そんな優しかった、強かった、お前に暁が惹かれるんだろ!?分かるんだよ!!!あいつが、お前にあこがれていることも・・・・・!!!」

シャークプレデター「・・・・!!」

青龍刀で切り裂かれ、ボディパーツが切り裂かれ、鮮血が舞う!!

ボルダー「あいつが・・・・あいつが・・・・お前のことが好きだってこともなぁあああああああああ!!!」

刃が容赦なく仮面を、鎧をたたきつけ、ボコボコにへこむまで殴られ続けて、やがてアーマーから火花が飛び散る!!

全身に激痛が走る!!しかしそれでも歯を食いしばって痛みを必死でこらえて叫び続ける。

ずっと暁を追い続けているから分かる。
あいつが、マリアのことを心からあこがれて、尊敬していることも。
その感情が本人も気がついていないだろうけど、きっとそれは恋愛感情に近いものなんだろうって。
そんなマリアがうらやましいし、自分もそういう風に見てほしい。
愛してほしい。
心配してほしい・・・。

ボルダー「・・・そんなお前がこんなことになって、暁が見たら、悲しむに決まってる!!!それだけは絶対にさせねぇんだよ!!!!あたしはっ、あいつの笑顔が大好きだ!!どんなにバカだエロだといって殴られても、突っ込まれても、構いやしねぇ!!!あいつの笑顔が、あいつの強さが、あいつの全部が好きなんだから!!!」

そして青龍刀をナックルで弾き飛ばし、右拳にためていた大地の光を一気に放とうとする!!

ボルダー「お前を絶対に取り戻す!!!絶対に!!!その上で、お前と、クリスと勝負して、暁に好きになってもらうんだああああああああああ!!」

暁が心から好きで仕方ない。
正直、クリスのお嬢様らしいしぐさも上品なことも出来ないし、マリアみたいに頭もよくない。でも、これだけは譲れない。暁が好きだから、暁の笑顔を、大事な友達も、好きであろう憧れも、失わせはしない。

あたしは“大地”だ。
あいつの笑顔を、あいつの戦うための足元を、支えてやる。

ボルダー「お前を取り戻すんだぁああああああああああ!!テラブラスタァアアアアアアアアアアアア!!!!」

拳を胸に思い切りたたきつけ、胸のアルカナ「女教皇」が砕け散る!!!

シャークプレデター「くはっ!!!!ああああああ!!!」

シャークプレデターが後ろに吹き飛び、地面を転がり、やがてその姿がマリアの姿に戻ると、地面を転がり続け、土手の下へと落ちていった。

ボルダー「・・・マリア・・・・・!!」

マリアの下へと駆け寄ろうとしたその時!!

スワローテイル「ギシャアアアアアアアアアアア!!!」

上空から飛び込んできたスワローテイルプレデターの口から火炎弾が吐かれ、それがボルダーの無防備な背中に直撃した!!!!

ボルダー「ぐあああああああああああああ!!!!」

ボルダーのボディパーツが爆発を起こし、巨大な炎を吹き上げて破裂し、黒い光に包まれてその姿がアリスへと戻っていく。髪がほどけて、腰まで広がるロングヘアがくしゃくしゃになり、いたるところにやけどと切り傷がついた痛々しい姿となって横たわる。

アリス「・・・ぐ・・・・あああ・・・・・」

不意打ちの攻撃のダメージが予想よりも重く、呼吸さえもろくに出来ず、意識が反転する。
そんな満身創痍のアリスにも容赦なくスワローテイルプレデターが攻撃を加え、やがて、スワローテイルプレデターが手から放ったりん粉が降りかかり、それが爆発した!!

アリス「うわああああああああああああああ!!!」

アリスが吹き飛び、空中に舞い上がる。

アリス(・・・・あたし・・・・もう死ぬのかな・・・・死ぬ前に・・・・一度でいいから・・・・暁に・・・一度でいいから・・・・・!!バカとか、エロとか、ボケとかじゃなくって、女の子として、見てほしかったな・・・・)



その時だ。
ヘブン「アリス――――――――――――――――っ!!!!!!」

アリス「・・・・・え?」

見ると、いつの間にか宙を舞っているはずなのに、自分を抱き上げている感覚。
見ると、そこには、目の前に暁の勇ましい姿が・・・!!

アリス「さ、さ、暁・・・・・?!え、なに、あたし、暁に、お姫様抱っこされてる・・・・?」
ヘブン「おい、大丈夫か!!!!ったく、無茶しやがって!!」

いつもと変わらない気の強い暁、でも、その腕はアリスを強くしっかりと抱きかかえている。そして、地面に降りると、傷ついたアリスをマシンフレスベルグ(自動操縦モード)に乗せると、それがジェット機のような形へと変わり、上部の乗り込み口の扉が閉まる。

ヘブン「・・・・・・悪い、遅くなって」
アリス「・・・・・・!!暁・・・・・あたしのこと・・・・心配してくれてるの?」
ヘブン「・・・・・え!?・・・・そんなの・・・・当たり前だろっ!!!!お前のようなバカでも、大事なダチなんだし・・・・!!」

暁の顔が真っ赤になり、やがて恥ずかしそうにアリスにそっぽを向いてつぶやく。

「−女の子なんだしよ。男が守らないでどうするんだ・・・・」

アリス「・・・・・ええ・・・・・ええええ・・・・!!(///)」
アリスの耳に聞こえてきた暁の静かな、力強い、言葉。
それがアリスの頭に焼きつく。胸が熱くなる。じんとして、胸の奥から湧き出る感情があふれんばかりにみなぎる。目がにじみ、嬉しさと恥ずかしさでいっぱいになり、全身が震える。

アリス(・・・・暁・・・・・!!!!あたしのこと、初めて、女の子として、見てくれた・・・・・!!)

嬉しくて嬉しくて・・・・もう死にそうだ。
涙が止まらない。嬉しくて、生きていて、ここまで沸き立つ感情を抑えきれないことはない。

アリス(やっぱり、暁、すごくかっこよくって、好きだぜええええええええええ!!)

ヘブン「・・・・なんか後ろのバカが暑苦しいけど、無視ということで」
シルヴァン「お前もう少しアリスに優しくしてやれって」
ヘブン「俺の人生の修羅場における8割がた原因とも言えるトラブルメーカーにかける情けなんてねぇ」
ナパーム「・・・・・鈍感にもほどがある」
ヘブン「けっ」

ヘブン「・・・まあ、どうしようもない、バカだろうけども」
しかし、その顔は、はっきり言って、マジで怒っていた・・・・。

暁「お前は俺の“仲間”に、やっちゃいけねえことしやがったんだ」

確かにアリスのことを仲間と認めている。大切な存在と。

スワローテイルプレデターを前に、暁、穏、凛がそれぞれ構える。

ヘブン「ちょっとばかり、ツラ貸せやあああああああああああ!!!」
シルヴァン「さーてと、俺も熱くなりますか」
ナパーム「おいっす」


その頃・・・・・。

救急病棟では、大騒ぎになっていた。

「た、大変です!!!セレスさんが、病室を・・?!!」

冷牙が病室をわずかに抜けていた間に、病室はもぬけの殻となっていた・・!!

冷牙「ね、姉さん・・・・・!?」


そして・・・・。

セレスは、一人、よろよろとトンネルを歩いていた。

セレス(・・・・誰かが私を呼んでいる。この気配、私知っている。私を昔、助けてくれた誰かの・・・・)

かつて自分を助けてくれた・・・あの暖かい手が・・・・。

セレス(・・・・私が失ってしまった・・・・私が本当は誰なのか・・・・知っている・・・人が・・・・いる)

そしてトンネルの向こう側に、誰かがもう一人よろよろとおぼつかない足取りで歩いてきた。しかし、その人物は力なく倒れこみ、それでも必死で起き上がろうと四つんばいで地面を這っている。

荒い息遣い、満身創痍というか全身傷だらけ、そして、ぼろぼろになったスーツ・・・・。
その人物の姿に、セレスも言葉を失う。

そしてその人物を見たとき、自分が捜し求めていた人物と重なる・・・。


「必ず助けるから・・・・・!!」


その人物は・・・・・!!

セレス「・・・・・マリ・・・・ア・・・・・?」
マリア「・・・・・・セレス・・・・・・さん」

マリア・シャークエッジの変わり果てた姿との再会であった。

続く
Next Line 「The evolution futurity is opened.」

,さて・・・・物語もいろいろと混乱を極めてきました今回の「ヘブン」。
まず、状況を説明すると・・・暁くんたちよろしく。

暁「まずは、イーズ・フロストルティナ・・・・烈様の設定されたマリアさんの弟の生まれ変わりでナイトの称号の持ち主である人物の登場だな」

冷牙「そして、姉さんがなぜ吸血鬼となったのか、これは、マリア・シャークエッジがイングリッドたちの魔の手から姉さんを助けるために吸血鬼化させてカムフラージュさせていたこと、そして、記憶を失った姉さんがいつか記憶を取り戻して家族と出会えるようにするために、ずっと見守り続けてきてくれていたこと、こうすると、四天王って敵とは思えないほど暖かくて人情味ある連中だな」

流水「んでもって、マリアさんが実は魔法関係の医術を使いこなす魔法医師であること。これについては、今後のお話で明らかになるよ」

雷斗「それと、キング、たち、だけど、これは、イーズが、ドイツから、きた、ということと、照らし合わせると、クロノポリスの、戦力強化のため、行ったと、考えられる。イーズの、今後の、活躍に、ご期待、よろしく・・・」

クリス「そして、やっぱり、助かっていましたね、あの外道シスターは・・・。そして、今度は子供や大人たちを次々と石に変えてしまうウイルスを操って何かをたくらんでいるようです。その理由も、実はこれまでの破壊活動とつながっている一因があるのです」

クロキバ「そして、次回、命の恩人であるマリア殿と再会を果たしたセレス殿、そして我達の活躍が目白押しである」

それでは、感想をお返しいたします!!いつもありがとうございます!!

>烈様
>ガンダムヘビーアームズ
穏「・・・・・実は作者が玩具屋で偶然プラモを見かけて、これと、グランセイザーのセイザーレムルズ、ガタキリバコンボ、いろいろとごちゃ混ぜになって完成したのがナパーム。あたしが女版ムッツリーニみたいな感じだから、射撃とか暗殺が得意という設定で書いた」

>レオンストライク
実はそのとおりなのです。
もう少し、オリジナリティがあるというか、独特のマシンにしたかったのですが、アリスの力強いイメージは三輪バイクのイメージのほうが強く似合いまして、それで、レオンストライクを参考に作りました。

>アスレイ
今後の作品の展開、心より楽しみにしております。
しかし、以前、バカテスを読んでみて思ったのですが、うちの「暁」って、バカテスの登場人物に当てはまる部分が多いですね。

たとえば・・・・。
「女の子にしょっちゅう追い掛け回される」←間違いなく雄二くんの不運
「男なのに女の子としてしか見られない」←秀吉くんの受難
「しょっちゅう災難や不幸に巻き込まれている」←明久くんの不幸

どれだけ悲惨なコンボなんだろう・・・・(涙)
でも、バカテスは魅力あふれる作品なので大好きです。特に明久君と雄二君の掛け合い漫才、どつき漫才は好きです。

さて、次回もよろしくお願いいたします!!!,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2011年02月03日(木) 20時16分45秒,20110203201645,20110206201645,7Fu.5X5hPVrkU,仮面ライダーPIRATES epW 『幕間』,青嵐昇華,,,

○【異国】


高天原の空は、それと同じ名前を持つあの町の空によく似ていた。
その夜、濠は白沢の城にある自分の部屋、その縁側から星を眺めていた。

この高天原の地は霊的な力が強く、精霊の活動も盛んだ。
今夜のように星や月が美しく輝いている時などは特にそう、月影が差し込む部屋には淡い光に満ち、空気が優しく暖かいように感じられる。
その感覚は懐かしさにも似ていて、濠にはそれがとても心地よかった。


――――-コッ――――-コッ・・・・


「む・・・」

廊下から響く微かなもの音に気付いて、濠は立ち上がった。

「っ・・・・!?」
「む?」

戸をあけると枕を抱えた少女が驚いた様子でそこに立っていた。
気を利かせて先に開けてあげたつもりだったが、それがかえって吃驚させてしまったようだ。
決していきなり出て来た濠の顔が怖かったとかそういうことではないと・・・そう思いたい。

「・・・・・?」つんつん
「っ、あぁ・・・すまん」

色々考え込んでいた濠は腕を突かれはっと我に返り、その様子をじっと待っていた少女、エレナ・クエーバーを部屋の中に入れてやった。
先日の一件からエレナは海賊『竜宮』、つまり濠の所で一緒に行動するようになっていた。
だが海へ出る前に片付けなければいけないことは幾つかあって、暫くは様子を見る必要があった。


「・・・・・・」

「部屋は落ち着かないか?」

「・・・・・」こく

「そうか・・・」


エレナが高天原に来て数日経ったが、日中の大半は濠にひっついて離れなかった。
普段の彼女は大人しくあまり世話が要らないのだが、知らない者が多い所や暗がりなどでは怯えてしまうことがあり、濠の背中に隠れたり袖を握って離さなかったりする。
そして昨晩など、いつの間にか寝ている布団に潜り込んでいたりもしていた。
湶にそのことを話した所「一緒に寝る!」と力強く申し出ていたのだが、夕方あたりに少し体調を崩し周りの者から止められてしまった。
それで結局、今夜もエレナは一人で寝ることになっていたのだが、やはり昨晩と同じようにやって来たのだった。


「・・・・・・・・・・」

「・・・・昼間の続きをするか?」

「・・・・・・」こくこく


この数日一緒に居て、エレナについて分かったことがいくつかある。
やはり年相応の女の子といった所で、甘いものには目が無いということ。
そしてもう一つは本、特に物語が大好きであるということだった。
何日目かに濠が仕事で外さなければいけないことがあったが、まだエレナを連れて行く訳にもいかず、その時は湶が面倒を見ると買って出た。
湶自身もここの所体調が優れず、海にも出られずにずっと屋敷の中にいた。
それであまり動き回ることが出来なかった湶がエレナを退屈させないようにと考えたのが読み聞かせだった。
これが中々どうして気に入ったようで、語られる森の外の世界は少女にとっての大きな興味の対象となっていった。
どのくらいのものかと言えば自分でも読みたいと、湶や濠に習って高天原の字の勉強を始めるくらいである。




「・・・・・・・」

「・・・学校か・・・・・・」

あれから昼間の復習を終え、新しい文字をいくつか教えた頃にはもう夜もかなり更けていた。
濠はいつの間にかすぅすぅと寝息を立てていたエレナに毛布を掛けた。

「恭也達はもう卒業してるな・・・・」

こちらの世界に来てもうすぐ3年になる。
そのことを考えると少しだけ感傷的になるが・・・やはり己の選択に後悔などはなかった。

今頃皆それぞれ新しい生活を送っているのだろう。
そこにはいつもどおりの日常と少しの非日常、そしてきっと変わらない笑顔があるはずだ。
そして、それこそ濠が守り続けたかったものである。
その中に自分が居ないのは少しだけ寂しくもなるが・・・・己の現状を悲観するつもりもなかった。
この世界に来た時、濠には既に支えてくれる人達がいたのだ。
その想いは最初、自分に向けられたものではなかったのだろう・・・だがこの地はその不思議な繋がりを受け入れてくれた。
だから、向こうの世界の人々と同じようにこの世界の為、湶達の為に自分がやれることをしようと思った。

もちろん帰りを待ってくれている人達の為にも、何としても帰り道は探し出す。
しかし、もう少しくらい寄り道をしてもいいのかもしれない・・・そう思い始めた自分もいる。
少なくとも今この時はこの少女を見守っていたいと思った。




●【温泉】


「それは私の誕生日。本当に良く晴れていて、まるで空から王子様でも振って来そうな気持ちのいい天気だった。私は何か素敵な事が起こる事を確信していたわ」

白い花片がひらひらと湯気の中を泳ぎ、面に波紋を立てている。
その大きめの露天風呂には女性陣三人、サラに、アリア、エレナが居た。

「医者の仕事で忙しい父もその日は休みをとってくれて、一緒にある港町に出かけたわ。そこは古い人魚姫の伝説なんかがあったりしてずっと前から行ってみたかったの」
「そんな所があるんですね、私も行ってみたいです!」
「・・・・・・・」こくこく

温泉の暖かさと頬を染め、いつものようにトリップ中のサラ。
まるで詩でも歌っているかのように流暢に紡がれるサラの言葉を、長い髪をタオルでまとめた二人の少女達が熱心に聞いている。

「箱入りだった私は内陸寄りの自分の町から出たことがなくて、当然海も本やテレビや夢でしか見たことがなかった。でも初めて見た本物の海はそのどれよりも、本当にびっくりするくらいに綺麗だった。それが凄く素敵で、父が宿を取っている間に暫く一人で散歩をすることにしたの」

「私も初めて海を見た時はすっごく感動しました!」
「・・・・・・・」こくこく

「貝を拾ったりヒトデをつついたりしながら暫く歩いていると、海沿いに小高い丘を見つけたの。高い所から見ると遠くの方も景色もよく見えると思ってそこに向かおうとしたんだけど・・・・突然何かに足を引っ張られたの・・・!」

「っ・・・!?」そわっ

「何が起きたか考える暇もなかったわ、次の瞬間にはもう海の中に引き摺り込まれていたの。でも、なんとなくわかった気がした」

「な、何だったんですか・・・?」

「その海には住んでいたのよ・・・若くて可愛い女の子を捕まえてはここではとても描写出来ないような、それはそれは恐ろしい目に合わせてしまう凶悪なソレが!!そう、私は攫われてしまったのよ!!海の魔『ただお前がカナヅチだっただけだろうがっ!!』

メルヘンな話からいきなり怪談に変わっても相変わらず二人ともいい食い付きのまま。
誰もツッコまないとこのままオチもなくノンストップで行きそうだったので(←怖すぎる)
ここらが限界とフレッドが高い竹垣の向こうから声を張り上げた・・・のだが

『波に足を取られたドジをそんなに仰々しく言うじゃ「逃げなきゃっ!!あぁ、でも足が動かない!!私はいったいどうすればいいの!?」おい聞けよ!?』

「ずるずると底へと引き込まれていく身体・・・!か弱い少女の私にはもうどうすることも出来ない・・・!」

当の本人、完璧に自分の世界に入り混んでしまっている為あまり効果はない、というかどんどんヒートアップしてきた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここで少し状況を整理、ここは高天原の白沢の城、その入浴場である。

女湯にはサラ、アリア、エレナの姿があった。
温泉に浸かっていい気分のサラがアリアに話すと約束していた嬉し恥ずかし(←後半フレッドのみ)エピソードを語り、それを聞くアリアは高天原に入ってから白桜の咲き乱れる美しい風景や温泉に感動しっ放しでナチュラルにテンションが高めだ。
人見知りの強いエレナも最初は少し警戒していたが、ほんわか天然で恐ろしさとは無縁のアリアや、色んな意味で未知の世界の人(サラ)にも興味を持てたようだった。
そんな感じでこっちは和気あいあいとしている。

対する男湯、げんなりしているフレッドの隣でニヤニヤしているのがキッド、なんとも言えない顔になっているのが濠、腹を抱えてけらけら笑っているのが白沢家お抱えの鎧鍛冶屋『雷鳴堂』の大峰恭護だ。

キッド達シーサーペントや、情報屋のサラがここで温泉に浸かっているのには訳がある。

先日の森の一件で濠の所で行動を共にするようになったエレナ、彼女は生まれつき声を発することが出来ない他にそのライダーシステムにも問題を抱えていた。
一緒に世界を見て回るという依頼を果たす為にもどうにかしてやりたいと濠は湶お付きの医師に診察を頼んだり、システムを恭護に見てもらったりした。その甲斐もあり、声に関しては身体の問題というよりも精神的な枷が大きいということが分かったのだが、システムの方はまったくのお手上げに近かった。
元々、鍛冶屋の仕事は武器や鎧を鍛え強化するだけでシステムの内部までは扱ってはいないからだ。
それで手詰った濠が思い出したのが、幽霊船の一件で知り合った情報屋のサラだった。
パイレーツライダーでもあり様々な情報を扱う彼女なら何か知っているかもしれない。
そう判断し相談した所、提供されたのがメッシーナ・コーポレーションと言う企業にシステムの研究をしている機関があるという情報。そして、その仲介ならばキッドを挟むのがよいと言うので、シーサーペント一行も高天原へと招かれたのだった。
今はその出発前、そんなに急ぐこともないだろうと温泉に浸かってゆっくりしている所であった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ああ、もう駄目なのねっ!死ぬ時は七人の子供に囲まれて棺の中で毒りんごって決めてたのに・・・このまま泡となって夢と一緒に儚く消えて行く運命なの!?」

『ツッコミが・・・間に合わんっ・・・!!』

「その時!!」

『・・・・・・・』orz

どうやら話はクライマックスに近付いて来たらしい。
フレッドの方を見るともう半ば諦めていた・・・・

「薄れて行く意識の中で私は見たの・・・!!こっちに向かって泳いで来る誰かの姿を・・・!!そして次に気が付いた時にはもう砂浜・・・彼はどこからともなく颯爽と現れてはあの水の檻に囚われた私を見事に救い出してくれたの!彼こそ私の王子様だったのよ〜〜〜〜!!!」
「お〜〜〜〜!」ぱちぱちぱち
「〜〜〜〜〜!」ぱちぱちぱち


『『『・・・・・・・・』』』ぱちぱちぱちぱち

『ぐぬぁぁぁ・・・・!!』

きゃっきゃと大変いい雰囲気の女湯と生温かい眼差しと乾いた拍手に満ちた男湯。
おかしな空気、堪らない羞恥と居た堪れなさで悶え苦しむのは当然一人だけだ。

「私は気付いたの・・・嗚呼、これが恋っ!!」

『“変”の間違いだっ!!』






■【合流】


大陸西方のある有名な海狭を見守るように巨大な建造物が聳え建っている、それがメッシーナ・コーポレーション、通称メシコンの本社ビルだ。
設立当時から造船業界のトップを走り続け、更にここ十数年は『一本の釣り針からタンカーまで』と海に関連する幅広い事業で活躍している。
よほど内陸部、離島在住でなければ知らない者などいないほどの大企業である。

そのメシコンビルに今日もまた様々な来客が訪れていた。
多くの人々が行き交うフロアを掻き分け、受付までやって来たのはロングコートの男。
カウンターには二人の受付嬢、ソバージュかかった長い栗色の髪の女性と黒髪のセミロングヘアの大人しそうな娘が居る。

「いらっしゃいませ、ご用・・げっ・・・・」
「オゥ、出会い頭に『げっ』ってのは流石に傷付くな」

男の顔を見た瞬間、栗色の髪の受付嬢の笑顔が引き攣ったものに変わり、そんな様子に男は肩を竦める。

「い、いらっしゃいませ!ご用件をお伺いします!」
「ん、ランディに会いたいんだが、繋いで貰えるか?」
「ラン・・・?ぁ、ぁぁ・・・・少々お待ち下さい・・・」

様子のおかしい先輩に代わってフォローに入ろうとするもう一人の受付嬢。
だが、生憎とまだ研修期間中の新人の為、何か表情や言葉がぎこちない感じだった。

「も、申し訳ございません。ダイタロスは本日休みとなっております」
「そりゃマズったな。それじゃグレイスは?」
「グ・っ・・・・・あの」
「ん、そっちも居ないのか?」
「い、いえ!・・その、失礼ですが・・・アポは・・・?」
「アポねぇ・・・・それは君に取れるかい?」
「へ?」

ギュッと、受付嬢の手を握り、息の掛かるくらいに男は顔を寄せる。

「・・・どうだい?」
「や、ちょっ!?」////
「今夜一緒に食事でも、最近ここらにレストランがオープンしたらしいんだが」
「え、ぇぇぇ・・!!?!?・・あの私・・・・!」////

ドンッ!!

「入るのでしたらこちらに記名を」
「お、オーケィ・・・あぁそうだ、オレの連絡先も一緒に「結構です」」
「社長はオフィスでランチ中です。くれぐれもお邪魔にならないよう、お願います」
「相変わらず手厳しいな・・・それとも、ヤキモチを焼いてくれるのk「後ろが痞えますので、早く行って下さい」オゥ・・・そいつはソーリィ」

そう言って男は肩を落とすと、その場から残念そうに去って行った。

「あの、先輩・・今の人、お知り合いですか?」
「“アレ”、社長のお従兄さん。しょっちゅう来てたからもう覚えたわ。口説いて来るのは挨拶みたいなものだから・・・本気にしちゃ駄目よ」
「そ、そうなんですか・・・」

「・・・・・・はぁ・・・・」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「最近はてんで駄目だなぁ、自信無くすぜ」

「遅いぞキッド」
「ソーリィ、ちょいと混んでてな」
「まさかナンパなんかしてたんじゃないだろうな?」
「・・・いやいや、そんな訳ナッシングだ。それよりも」

「皆さん忙しそうですね・・・!な、何か目が回って来ましたぁ・・・」きょろきょろ
「あぁっ!助けてフレッド!ストレスの溜まった会社員達に囲まれていけない深夜残業に(ry」
「・・・・・・・!・・・・・・・!」きょろきょろ
「ここは・・・流石に人が多過ぎるな」
「ぉぉ、生足もいいけどやっぱぴっちりしたスカートにタイツってのも中々乙だぜぇ」

「さ、ガールズ&ミスター&ブラザーがお待ちかねだ。早いとこナビゲートしよう」
「二人ほど置いて行っていいぞ・・・」


メシコンまでやって来たシーサーペント一行と竜宮一行はキッドの先導で先へと進んだ。
直通のエレベーターに乗り込むと社長室まで一気に数十階を昇り上がっていく。

「そう言えばキッドさん、社長さんってどんな人なんですか?」
「そいつは着いてのお楽しみだな。口で言うより見た方が早いさ」

そのフロアに着くと一行はオフィスの扉の前で立ち止まる。
キッドがドアを叩きコンコン、といい音を響かせる。
やがて「はぁ〜い、どうぞですの〜♪」と大変ご機嫌な返事が返って来て、一同は扉を開き中へと入るのだが・・・



「わぁ・・・・・」

目に飛び込んだのは大きな机に並べられた和洋折衷様々な料理・・・そして、食べ終わって綺麗に積み重ねられた皿の山々、山々、山々(略

「・・・なぁ、これ宴会の後だったりとか?」
「いや、いつもこんなもんさ。」

「あら、今日はずいぶん賑やかですのね」

山の間から垣間見えるのはピンクのくるくるカール。
更に覗いてみるとそのディスクに座っていたのは長いまつ毛に大きな目の整った顔立ち、淡い紅色を基調としたドレスを纏った、人形のような可愛いらしい印象の少女だった。

「よぅ、グレイス。旨そうだな」
「ん、食べますの?」
「いや、今日はノーサンキューだ。・・・とりあえず、食べ終わってくれ。話はそれからだ」
「了解ですの♪」

満面の笑みでぱくぱくモリモリ料理を食べる少女はあっと言う間にもなく残りすべてを平らげて行った。
その後、ナプキンで上品に口元を拭いてお茶を一口啜った後、ようやく話が再会した。

「グレイス・メッシーナですの。ようこそメッシーナ・コーポレーションへ」
「そういうことで、こいつがボスってわけだ」
「私、社長さんってみんなケーキ好きなおじさんなのかと思ってました」
「ケーキも大好きですのっ」フンス

仰け反り返るグレイスの後ろで皿の山を片付けているスタッフ達の顔が綻ぶ。
信頼が厚い言うのかどうかはさておき、可愛がられているんだなぁというのはその場に居る皆が感じ取れた。


「さ、次はオレのターンだな。キャプテン・キッドの愉快な仲間達だ」

キッドは身内のクルーと高天原の面々の紹介を済ませて行った。
女性陣の紹介は露骨に長かったりするが・・・まぁ、そのくらいならご愛嬌ということで。

「そちらの方々はまた随分遠くからですのね」
「あぁ、実はちょっと頼みがあってかくかくしかじか」
「まるまるうまうまですのね。ん、おっけーですの」

「あっさり過ぎるだろ!?」

実際はこれだけではなかったが、それでもほんのいくつか簡単な説明を受けただけでグレイスは驚くほどすんなり事情を把握したようだった。
1を聞いて10を知るという言葉があるが・・・・グレイスはいわゆるそういった天才型なのだ。

「ぴっぽっぱ、っと・・・」

机のパネルを操作し、内線に繋いで何処かに連絡を取っている。
数十回に及ぶコール音の後、ようやく相手が反応を見せたようだ。
ピコンッとディスクの近くにウィンドウが発生し向こうの様子が表示された。

『・・・・・ハぁイ・・』
「あ、もしもし私ですの。おそよう、ランディ」
『お・・は、よう・・、なに・・グレイス・・・今日はゆっくり寝たいって昨日・・』
「でもランディにお客さまですのよ?」
『んん、・・・またキッドぉ・・?もぉ・・来る時は先に連絡してっていつも・・・・・・・・ん?あ、あれ?』

「・・・・恭護の部屋より凄いな・・・・・」
「はぁぁ、宙に映像が出るのかぁ・・・!やっぱこういうとこはハイテクなんだなっ!」
「・・・・・・?」

『あの・・・グレイ、ス?』
「あ、こちら例のぶっ壊した人とその技師さんと『モニ、モニター!!これ映ってるの!!?』」

床に這うようにして電話に出ていた茶色の短い髪をしたランディと呼ばれる人物。
その後ろには機材や段ボールがすっちゃかめっちゃかに散乱した部屋の様子が割とはっきり見えていた。


「そりゃテレビ電話だから映るに決まって『うきゃぁああああああ!?!??』」

ようやく目が覚めたのか、青い顔をして飛び起きた・・・のだが、くるまっていた毛布に足を引っ掛け、そのまま転倒。囲まれた中型機器や重ねられた段ボールに突っ込み、どしゃーーん!!と大きな音を立て、ダンボールの中身、替えの服や下着類などが飛び散った所で画面がブラックアウトした。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「うーん・・・・・暴走か」

幸い生きていたようで、一時間ほどするとランディはちゃんと自力で社長室までやってきた。
半袖のYシャツにネクタイ、社内制服を着ているとさっきの部屋が想像出来ないくらい小奇麗な感じだ。
今はキッドや濠達から事情を聴き、説明を受けている所だった。

「システムスキャンはいつもやってるから、とりあえず調べるくらいならすぐにでも出来るよ。直せるかはまだ分からないけど、とにかくやってみよう」
「そうか・・・よろしく頼む」
「・・・・・」ペコリ
「うん。あ、でも、今からやると夜中になっちゃうし明日の朝からがいいかな」

そうランディが言うので、濠達はグレイスの勧めで来客用の宿泊施設を借りることになった。

「オーケィ、これでオレの仕事はコンプリートだな」
「あぁ、今回は本当に助かった」
「そんじゃ、オレ達はとっととゴー・ホーム、と思ったが・・・ついでにこっちの要件も済ませとこう」

キッドがチラッとグレイスに目配せをする。

「ん、私にもデートのお誘いですの?ちょうど最近オープンしたお店があるんでしたわね」
「おいおい・・・・どこから漏れたんだソレ」
「キッド、お前やっぱりさっき・・・!」
「まぁまぁ、って、違う違う。せっかく人数も居るんだ。ここらでちょっと大事な話をしとこうじゃないか」
「そうだね、丁度よかったかもしれない」
「?・・・・何のお話ですか?」
「“パチモン”の件ですの」
「あっ、私ピカ○ュウが好きですっ!可愛いですよね!」
「・・・・・・」こくこく
「オーケィ、ガールズ。そいつはポ○モンだ」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「これは・・・・・」

会議室に集められた一同は、スクリーンに映し出されたものを見て声を漏らす。
キッドの証言を元にランディが作成した黒と白のパイレーツライダーの映像だった。

「偽物か、確かに森で見た奴はキールの鎧とよく似ていたが・・・・」
「・・・・・・・・・」
「こっちの黒いの-ゴースト-はミスター、あんたのにソックリだろ?」
「ん〜、ニセモンが出るのは人気者の性って言うじゃねぇか。ほら、ネズミ王国のアレとか、青狸とか」
「まぁ、そんなカワイイものならよかったんだがな・・・」

二度の戦闘を経験したキッドだから分かることだが、その性能は実に本物を凌駕し兼ねないほどのものだった。
それこそパイレーツライダーの力は一騎当千、並みの兵器では手も足も出来ず、それが悪用されれば大変なことになる。
それにあれが量産され、あちらこちらのマフィアに出回りでもしたら本当に収拾がつかない。
最悪の事態に陥る前に、一刻も早く手を打っておく必要があった。


「ボク達で色々調べてはいたんだけど・・・・残念ながら出所はまだ特定出来てないんだ」
「でも手掛かりのありそうな場所くらいならチェックしてますの。例えばココとか」

グレイスが電子板を弄るとスクリーンの映像が切り替り、ある海洋エリアを映し出した。
それは以前、幽霊船が出没した例の海域だった。

「前行った時は特に何も無かったと思うけど。ね、アリアちゃん」
「え、ええ・・・」
「狙い目はもっと“下”ですの」
「下とは・・・海底か?」

あの辺りは元々霧が発生しやすい場所で見通しは悪く、加えてその海面下の流れは非常に速くしかも複雑に入り組んでいる為、海底調査が難航している。
予測では海面下一万メートル越えの超深海層であるとされているが・・・・実は詳しいデータがほとんどないのだ。

「確かに・・・俺達が船の中で最後に見た部屋、あそこには何か計測器のようなものが備え付けてあったな」
「やっぱり潜って見るしかないか。だけどそんだけディープとなると・・・ランディ、行けるのか?」
「大丈夫、パイレーツライダーの装甲なら。たぶんギリギリ」
「オゥ・・・最後のが何か引っかかるな・・・」
「じゃあワクワクですの」
「何かいきなり楽しそうになったな」
「未開拓の地、ならぬ海底ですの。宝ものの一つや二つ落ちてるかもしれませんの」
「なるほど・・・宝探しか、そいつは確かにワクワクだ」






◆【侵食】


「ここに居たの。探したのよ?」
「・・・何よ・・」

ある屋敷の階段の踊り場、壁にもたれ掛かるようにして休んでいるキルシェに白衣の女、レティが歩み寄る。
ポケットから取り出したのは歪な暗い輝きを放つ、銀色のドクロ。

「データの吸い出し、終わったからドライバは返すわね。また少し弄っておいたから後で見て置いて」
「そう・・・・・」
「顔色悪いわよ?調子が悪いなら診てあげましょうか?」
「・・・・・・・・」
「あらあら・・・・ご機嫌斜めね」

キルシェは何も答えず、ただ睨むだけであったが・・・・その眼の鮮やかな金色の中に、微かな濁りが生まれているのを女は見逃さなかった。

「本当に辛かったらいつでも言いなさい。それじゃあ・・・・」
「・・・・・待ちなさいよ・・・っ!」

立ち去ろうとするレティの腕をキルシェが掴んだ。

「・・・・なぁに?」
「・・・余計なこと、してくれたじゃない・・・!」
「余計なことって?」
「惚けないでっ!!家の周りに監視を付けたことよ!!その所為で、・・ッ!!?ぅ、げほっ、っ・・・・!!」

口を押さえて咳込むキルシェの、その白い指の隙間から流れ落ちたのは暗赤色の液体だった。

「・・・・・・・・・・・・」
「・・ぅ・・・・・」
「・・・・・・・・・それは、悪い事をしたわね」
「今更・・・何を「お詫びに」・・・?」
「いい事を教えてあげる・・・・次が最後のお仕事よ」
「最後・・・・?」


「そう・・・・次で、最後」





,
\比奈ちゃぁぁぁぅわっ!!/(ぉ

Got to Keep it realとRide on Right time発売おめでとうございますありがとうございます!!
オーズのEDはどれもいい感じでホント大好きですよ〜
ただしネコ科!!てめぇは・・・・一人じゃ歌えないよぅ、しくしく(ぇ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

To 烈さん
>チンピラらしき連中は《マフィア・サラマンダー》のところに所属している“ラプター”だと考えてよろしいんですか?
今のところはご想像にお任せで・・・
ということはやっぱり何かしらの伏線なんですね、わかります(ぉ

>『アイギス』という言葉に深い関係を持っている『メデューサ』のことが思い浮かんだ
白い方は海竜、ヨルムンガンド(フェンリルの兄弟?)をモチーフとしてますが蛇繋がりでメドゥーサ的要素も剣や機海馬に取り入れております。
ちなみに黒い方のモチーフはニーズヘッグという翼竜で、白黒さん達の名前は剣と盾から付けられています。

>なんで濠は今のところ甘いものを食してはいけないということをしているのですか? 
詳細はepUのあとがきのショートコント(?)で。
前々回の戦闘でサーベレイバーがぽっきり、トツカブレードがボドボドになった事が発覚してキッドが給料カット、濠が一周間甘味禁止をそれぞれ喰らっています。

>“紫色の重型機海馬”
これはガラティアさんが使っていたものではなくエレナ専用のマシンです。
裏設定とかありますが、亡き親の想いが遣わしたものだと思って頂けると幸いです。

>彼らに説教を言った濠の様子などがとてもかっこよく、 男らしいものを感じさせてくれたと、つくづく思いました。
親父ありきの濠ですから、ああいう場面では動いてしまうんですよね・・・
一見するとストイックですが、情に篤いというか甘いもの大好きというか(←ん?



To Aヨスケさん

>村を襲った恐怖。魔女の正体、それは…漢女…
ヒドい話でしたね・・・いや、色んな意味で(ぉ

>資格者の感情に呼応するコインとドライバー
>例え手元に無くとも空間を跳躍する能力は、彼女との特別な繋がりなのか、ライダーシステムの謎のひとつなのか。
特別な繋がりという要素は結構大きいですね。
他のシステムに共通するものではなく独自の変貌を遂げたものだと思われます。

>石化の魔剣を持つ白騎士はキッドのレイヴァンと似ている
>前回の濠くんのカトラスに似ていたスレイヤ
なんか龍系多くね?と思ったそこのあなた・・・きっと凄く勘のいい人です。

>レイヴァンを押す戦闘力のシステムは勿論、今回は銀貨で変身したというのも興味深いです。
銅(01)、銀(02)、とくれば03のデバイスの色はだいたいもうご想像がつくかと思います。
色々明らかになってくるのは次回以降ですね。

>『ハーケンゴースト』
親父大好きっ子ですから・・・・w
でも淳姉さんとの絡みは驚くほど無くてびっっっくりっ!

>さすがはキッド白々しい。嫌いじゃないワ!!(マテ
1ルナ頂きました!



To YPさん

>昔の話
>よくある典型的な悲劇だけど、これ今からじゃ解決策ないよねっていう……。

Nice boat (ぉ

ヤンデレって選択肢間違えなければどうなってたのだろうか・・・?
まぁ、それは置いとくとして・・・・キッドはそのうち後ろから刺されそうだ(ぇ

>お前は龍騎かw
「折れたぁ!?」はepUでやりましたw

>『曼荼羅華刃‐ハーケンゴースト-!!』
>そういえば年上マニアの濠やんは強くてニューゲームみたいなもんだっけ。
当然培ってきた技術は引き継ぎですが、馬力の話になると器もないので『珀羅』後半インフレ時には大きく劣ります。
濠のカトラスでも\トリプルスキャニングチャージ!!/ぐらいが最大ですね・・・・それもかなり強くね?

>オリなんとか「漢女(おとめ)と聞いて」
>わぴたん「お前じゃねえ座ってろ」
許しが出るならぜひクロノスたん描いてみたいです。
でも青嵐程度の腕で再現出来るかもアレなのでいらんことはしない方がいいかも・・・うーん・・・

>それともこっちに来てるのか。
恭護(鍛冶屋の人)≠恭也(ジャージの人)
誰だこんな名前付けたの・・・まぎわらしいなもう!!(ぉ

>そういえばパンチラ天狗とはどうなったんだろうかのう婆さんや。
濠が居ない間、高天原でも一騒動あるのですがそれはまた別のお話で。
そんときの主役は多分鴉美さんじゃないカナー?

>「魔女だと・・・・俺には今のお前達もまた、魔物に見える」
濠のここぞの台詞はせっつぁんからの引用が多いです。
やっぱり親父大好きっ子ですから・・・w



To @PFさん
>言い伝えと石化とアッーが重なって知らない人から見たら何ともややこしいことに…
今回はもっとややこしかったのではないかと思います(ぉ
そこはもう謝るしかないですねぇ;
epVは濠の父、羅刹のトラウマの話もちょっとイメージしたのですが・・・
あの時は全滅で後には何も残りませんでしたけど今回は少し救いがあったのか・・・?

>何だろう、何か盗聴器的なモノでも付けられてるんだろうか…
ドまじめっ子ですから約束とかお願いされると頑張っちゃうんですw

>ルナティックじゃなくて良かったな
キッド「ふっ、オレはファンタズムシューターさ」

花映塚のEX巫女ザナドゥの二人は化け物すぐるワロタ

>っていうか刺した相手を石化させる剣とは…どこからそんな能力持ってきたんだ、恐ろしい…
アイギスの盾にはメデューサの首が仕込まれていることや、クリュサオルがメデューサから出て来るあたりからの設定です(ぉ

>所でキッドさん、□貞すごいですね(確信)
キッド「ナニ言ってるんだい、オレは・・・」
グレイス「『●帝だ!!』ですのね」
アリア「・・・?あっ、それ王様のことですよね!凄いですっ!」

キッド「・・・・」orz



To トレハさん
>道端で倒れていたおばあさんを介抱してたら感想が遅れました!
いやいや、それは仕方ないですよね。
実は青嵐も迷子の迷子の子猫ちゃんのお家を探してワンワ(中略)普通に遊んでました・・・(ぉ

>僕も去年は願掛けみたいな感じで大学受かるまで糖分断ちしてたなぁ。
お疲れ脳にはチョコうめぇ!(ぉ
・・・バレンタイン?二月つったら節分しかなかろうjk!!

>小さなお子様に「おじさん」とか言われて「いや“お兄さん”だよ」と訂正しつつショックを受ける類の人だと思います。
序章で必死に訂正してたのが懐かしいです・・・

>重火器系ライダーの類は大好きです。
果たしてスクィーレはガン(弓)ライダーの伝統を打ち破れるのか!?
そういや、サラさんも弓ライダーだったなっ!!(ぉ

>なんかこの二人、ものすごーく縁があるんじゃなかろうか。
キッド「野郎と縁があってもなぁ」
濠「お前は本当にそれしかないのか・・・」

>若本ボイスで脳内再生余裕でした(ぇー
>色々と酷ぇキャラだw美味しいとも言えるけれどもwww
出オチ乙!!

>そう、言うなれば…嫌いじゃないわ!(ぇぇー
2ルナ頂きました!!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今回のあとがきは随分あっさりしてましたがこれまでデス。
次から頑張るから!!(キリッ(ぉ

ではでは、あでゅ〜〜〜〜!!



,#000000,./bg_e.gif,i220-221-123-242.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2011年01月26日(水) 00時24分34秒,20110126002434,20110129002434,5YpbWQtDgOKGU,仮面ライダーヘブン 第16話,鴎,,,第16話 「Crimson bombing Napalm」

暁「この気配・・・・確かに感じる。アルカナの魔力の波動だ!!」
クリス(それじゃあ、やはりこれも聖が・・・!)
クロキバ「相当強い気を放っておる!このままでは、現実世界にまで侵食するぞ!」

その影響によって起こりうる最悪の事態は・・・・この間の審判の時と同じように、街中に死者が溢れかえり、生きている人間を本能のままにむさぼり食らうという地獄が起きかねない!!!

道路を自動操作で、ものすごい速さで走ってきたマシンフレスベルグを見ると、俺にクリスが憑依する。青いメッシュが入り、髪が伸びて後ろで束ねる形になると、一気に飛び上がり、バイクの椅子にまたがり、一気にエンジンを噴かせる!!!

C暁「急ぎましょう!!」
ヘルメットをかぶり、アクセルを全開にすると、車と車の間をものすごい速さですり抜けながら、クリスがモンスター級の馬力を持つバイクを手足のように操る!風景がジェットコースターのように見る見る流れて消えていく。(クリスのバイクの運転技術はプロレベルである)時折、車とぶつかりそうになりながらも、うまくかわし、すり抜け、メーターが法定速度を軽くぶっちぎり、メーターがグングン跳ね上がり、県道を駆け抜けていく!!

道交法違反?何それ、美味しいの?
こちとら、緊急事態だい。

すると、十字路で横からこれまたものすごい勢いで一台のバイクが流れ込み、俺のバイクの横付けに並ぶ。それは・・・凛だ!そして・・・・後ろではヘルメットをかぶっている流水の姿もあった。

暁「凛!流水!!」

凛「おう!!」
流水「あのバカシスター、またとんでもないことやらかしてるって!?」

暁「ああ、しかもターゲットを冷牙だけじゃなくって、穏まで巻き込みやがった!」
凛「あのアマ・・・・やっぱあの時、ぶっ殺しておくべきだったな」

静かに、冷たくつぶやく殺意むき出しの言葉に、その場にいた全員が息を飲む。
本気で怒りの臨界点を突破した凛は、もう何をしでかすかわからない危険な状態だ。

暁「・・・凛、気持ちはわかるけど、落ち着けよ。その心の隙をあいつは狙ってくるからよ」
凛「・・・ああ、気をつけるさ。この怒りは、あいつを、殺すときまでとっておくからよぉ・・・・くくく・・・・マジでキちまってるなぁ、ヤベェよ、どうするかな・・・。ここまでナメた真似されると、笑えてくるぜぇ・・・・」

暁(・・・完全にキレちまってる)
クリス(・・・・あの、凛、こうなったらどうしたらなだめられますか・・・?)
暁(・・・・もう暴れるだけ暴れるまで放っておくしかない。こいつ、マジでキレたら俺よか強いし)
クロキバ(・・・・暁と同等の戦闘能力・・・・命がけでとめる覚悟が必要であるな・・)

流水「冷牙・・・・穏ちゃん・・・・・無事でいてね・・・!」

そして、列車が通る高架まで来ると・・・・!!

グオオオオオオオオオオ!!!
雄たけび・・・・いやこれ雄たけび!?そして、道路に流れ込んできたのは、三輪の重厚なタイヤをものすごい速さで回転させて道路を爆走するトライク(三輪バイク)!!
ライオンをイメージさせた漆黒のボディにゴールドのラインを施した荘厳かつド派手なそのバイクはライオンが凄まじい雄たけびを上げながら道路をまるで草原を駆けるように走っている!

アリス「暁!!!来たぜ!!!」
乗っていたのは、アリス!?あれが、あいつのバイクか!?

セレス「この先から感じるわ。強い魔力を・・・。急ぎましょう!」
アリスの後ろに乗り、数匹の蜂型探索メカを従わせて、セレスさんが言った。そして、駅前の道路に差し掛かると、広場から悲鳴が聞こえてきた!

「きゃああああああああああああ!」
「うわああああ!何だこいつら!!」
「化け物だあああああああああああ!!」

駅前広場に駆け込むと、そこでは逃げ惑う人々、そしてそんな人たちに襲い掛かっていくのは・・・無数のクラゲのような姿をした不気味な怪人の集団がいた!!

そして、その怪人の右腕の鞭がバチバチと音を立てて青白い光を放ち、逃げ惑う人たちへと放たれた!!!!しかし、それをアリスが操縦するトライクではじき返すと、そのままセレスさんが飛び出し、ランスを取り出すと、一気に吹き飛ばす!

セレス「はああああっ!!」

気合とともに吹き飛ばされ、さらに右手をかざすと、セレスさんの指示の下に無数の蜂が集まり、まるでマシンガンのようにものすごい速さで次々と飛び出し、襲い来るクラゲ怪人たちを突き刺し、高圧電流が全身に流れると蒸発し、地面に大量の液体をぶちまけて消えていく。

アリス「大丈夫か?」
凛「早くあっちへ!」
暁「みんな、こっちです!」

俺たちに誘導されて、駅前広場から人気が次々といなくなりやがて俺たちだけになる。
そして、無数の敵を前に、俺たちが並び、俺がベルトを装着する。
凛とアリスがソウルトリガーを取り出し、パスを装てんする。

暁「・・・お前らにこれ以上好きにさせない!!」
アリス「同族だろうが、お前らのやり方にはもううんざりだ。ケリつけてやる!」
凛「皆、行くぜ!!」

「「「変身!!!」」」

風が、木枯らしが、光が飛び交い、その姿をヘブン、シルヴァン、そしてボルダーへと変身する!!

ヘブン(クリス)「限界まで・・・・トバすわっっ!!!!!」

シルヴァン「綺麗な緋の花・・・・・咲かせてやるよ!!!」

ボルダー「大地の爆獣騎士・・・・参上!!」

声も高く威勢よく張り上げて台詞を決めると、階段を一気に飛び降り、下にいるクラゲ怪人・・・ジェリーフィッシュプレデターたちに一気に襲い掛かっていく。

ヘブン「クリスベイオレット!!!フルパワァアアアアアアアアア!!!」
銃口から無数の光線を発射し、敵に炸裂させて、のけぞったところへ刃で切りかかる!!
そして、次々と切りかかり、なぎ払い、突き倒し、多数をものともせずにぶち倒していく!!

ヘブン(クリス)「これ以上誰かを苦しめるなんて・・・・絶対に許せない!!覚悟を決めろ!!!!これが貴様らにくれてやる罰と慈悲だっ!!!」

銃剣を振り上げて、横なぎに振ると、空気の刃が無数生み出されて、その刃がジェリーフィッシュプレデターたちを次々と切り刻み、木っ端微塵にしていく!!!

ヘブン(クリス)「はあああああああああああああああっ!!!」

ボルダー「クリス、やっぱお前もかなり熱いもの、持ってんじゃねえか」
シルヴァン「そうみたいだな」
ボルダー「そうじゃなくっちゃ、ライバルとして張り合いがないからなあ!」
シルヴァン「・・・・あ、そうなんだ」

ボルダーが次々と拳を振るって超高熱の拳で殴られて、ジェリーフィッシュプレデターたちが次々と蒸発し吹き飛んでいく。さらに足のジャガーパーツが更なる加速をして、目にも止まらない速さで次々と襲い掛かっていく!!

シルヴァン「・・・・俺たちとカチあっちまったのが運の尽きだ。全員・・・・つぶす」
グリムサーベルを手に取り、敵陣の中へと飛び込むと、サーベルを振り回して敵を切り刻み、もう片方の手で敵の頭をつかみそのまま殴り飛ばし、蹴り上げ、ケンカスタイルの戦い方で敵を吹き飛ばし、地面に倒していく。

シルヴァン「カメレオンウィップ!!」

グリムサーベルの刃がところどころで外れ、鋼鉄の紐の部分がむき出しになり、刃がまるで鞭のように地面に横たわる。それをピシンと音を立ててしなり上げると、振り回しながら突撃し、次々と振り回し、敵が絡めとられ、刃で切り刻まれる!

セレス「私も行くわよ・・・!」

セレスさんの姿がホーネットプレデターの姿に変わると、無数の蜂が飛び出し弾丸のように縦横無尽に敵の急所を次々と刺し貫き、爆発させていく!!さらに、ランスを突き出すと、目にも止まらない無数の光の槍が敵を吹き飛ばしていく。

ボルダー「暁!!ここはあたしと凛に任せろ!!」
クロキバ「しかし、多すぎるぞ!」
シルヴァン「冷牙たちが危ないんだろうが!!急げ!!」

二人に促されると、俺がうなづき、俺の後にセレスさんがついてきて、駅の中へと流れ込んだ!!

ボルダー「必ず助けろよ!!」
シルヴァン「思う存分暴れて来い!」

二人の熱い声援を受けて、人気のなくなった駅の中へと入り込んだ!!


ヘブン「どこをどうすればいいんだよ・・・!」
セレス「次元の歪みを生じさせるには呪術に用いるアイテムが必ず存在する。そこを見つければ、異世界へと飛び込むことができるわ」
クロキバ「しらみつぶしに探すしかあるまい!」
ヘブン「この広い駅の中をかよ!?」
セレス「いえ、大体の見当はついているわ。駅構内で異様な魔力が漂っている。その気配が一番強い場所を・・・これで特定する!」

そういって、無数の蜂を呼び寄せると、その蜂の一体が何かを見つけたらしく赤く瞳を光らせてセレスさんに伝える。

セレス「見つけたわ。連絡橋のシンボルの柱時計、そこよ!!」
ヘブン「急ぐぜ!!」

階段を駆け上がり、目指すはシンボルの柱時計!!!

その頃・・・!!

ヴォルファス「はあっ、たあっ、うおおおおおおおおおおお!!!!」
異世界での駅の陸橋の上で、ヴォルファスは無数のロングホーンプレデターを次々と斧で叩ききり、爪でなぎ払い、地面にのしていく!!

もう倒した数は数十体は超えたであろう。全身で荒く呼吸をして、それでも闘志を失わない青い瞳を光らせ、気合だけで四肢を振るい、戦い続けていた!!

穏「・・・・・冷牙くん、こっち!キリがない!」

そういって、穏がヴォルファスの手をとり、走り出す!!そして、階段を駆け下り、ホームへと下りたその時・・・!!

穏「・・・・ひっ・・・!!」
冷牙「・・・・な・・・・何だよ・・・・・これは・・・・」

そこのホームには・・・・。

無数の人で埋め尽くされている。
しかし、どう見ても、それは生きている人間ではない。
だって・・・それは・・・・。

全身が血の気がなくなったような青白い肌・・・。
中には首がありえないまでに折れ曲がった人・・・・足がちぎれて片足だけで駅の柱にもたれている子供・・・・・どう見ても・・・・これは・・・。

穏「・・・・昴の話は本当だったんだ」
冷牙「どういうことだ」
穏「・・・・・平坂駅の噂、それは、最終電車が終わった後に走っているはずのない列車が走る。その列車は・・・・駅で亡くなった人たちがあの世に行くための列車・・・・もし霊たちに見つかったら最期、列車に引き込まれてあの世に連れて行かれる・・・」
冷牙「で、でも、俺たちがここに来たのは昼だぞ・・・?どうして急にこんなことに・・・・ああ・・・・あのバカシスターがやらかしやがったのか・・・!!」
穏「・・・・・解決する方法も・・・・・昴に聞いたことがある」
冷牙「列車に乗らなければいいんじゃないのか?」
穏「・・・違う。そうすると、この世界に閉じ込められて一生出られなくなる。どの道、霊たちに見つかってあの世に連れて行かれる」
冷牙「じゃあ、どうするんだよ・・・!?」
穏「・・・・・暁、そういえば、昔今のあたしたちと同じ目にあったことあるって聞いたことある」
冷牙「・・・・何!?つまり、あいつが元の世界に帰れる方法を知っているってことか!?」
穏「・・・うん、思い出した!!前に友達と一緒に巻き込まれたことあるって、確かその時・・・・」

(回想)
暁「最終電車が行った後、時刻表にはないもう一本の列車がやってきてな。それに乗って、気がつくと元のホームに帰ってこられたんだ。おそらく、最終電車をあえて乗り過ごしたあとで、ホームに残っているとしたら、もうそれは死んでいる人間ではない、つまりあの世にとっては招かれざる存在、迷い込んだ生きている人間を元の世界に帰すためのもう一本の列車が走ってくるんだ」


冷牙「駅にいながらあえて終電を見逃す・・・!」
穏「・・・そして、次の時刻表にない列車に乗る!!」
冷牙「それまで、やり過ごせばいいってことか」
穏「・・・さすがは暁、いつも列車に乗り遅れてばかり、予定通り列車に乗れたためしのない運の悪さが・・・・まさか身を助けるとは」
冷牙「いや、それ以前にたまたま時刻どおりに乗り込んだと思っていた列車が、あの世行きのホームに迷い込む時点で・・・・運ないだろ」

本当に運がないのね、この男の娘は・・・・(涙)。

そして、二人が身を潜めているのは、コインロッカーが立ち並ぶ部屋。
その部屋の奥に隠れて今後の状況を話し合っていたそのときだ。

ガタガタガタ・・・・
ガタガタガタ・・・・

おぎゃあ・・・・おぎゃあ・・・・おぎゃあ・・・・・。

突然ロッカーが鳴り出し、中から赤ん坊の泣き声が聞こえてきた・・・・。
思わず冷牙と穏がロッカーから飛びのく。
すると、ロッカー全体が急にガタガタ震えだし、どんどん声も大きくなっていく・・!!

冷牙「・・・おい・・・なんだよ、これは・・・!!」
穏「・・・・・昴が言っていた、昔、この駅のコインロッカーでは女学生が妊娠した子供をコインロッカーに捨てる事件があったって・・・・!」
冷牙「・・・・何か・・・・出てくる・・・・!!穏、後ろにいろ」
穏「・・・・え」

そういって、後ろに手をやり、コインロッカーの扉を・・・・!

冷牙「隠れてないで・・・・出てこい!!」
穏「!!冷牙くん、それは、ダメ!!!」

穏が叫んだのも遅く、勢いよくロッカーを開けると、そこから突然青白い手が伸びだし、ものすごい力で冷牙の首を締め上げると、じりじりとコインロッカーの中へと引き込んでいく!!!そして、冷牙は見た。コインロッカーの中にいたのは、赤ん坊ではなく、目がぽっかりと真っ黒な穴があき、青白く腐り果てた肉をまとったゾンビ・・・聖の放った刺客であるということを。
冷牙を必死で穏が押さえるが、あまりに強い力で引き寄せられ・・・・!!

穏「あ!!」
冷牙「うわああああああああああああ!!」

冷牙の体がコインロッカーの中へと飲み込まれ、ドアが勢いよく閉まり、ロッカーが・・・動かなくなった・・・。

穏「・・・ああ・・・・・ああ・・・・・冷牙・・・くんが・・・」

耐え難い恐怖でガタガタ震えだし、その場に座り込む。目の前で飲み込まれていった冷牙。そして見ると、もう自分を守ってくれる人はいない。下のホームの死者たちがいつこっちに来るかわからない。穏が青い顔をして震えだし、ひざを抱えて座り込む。

穏「・・・・どうしよう・・・・どうしよう・・・・!!冷牙くんを助けないと・・・・!!でも、でも、どうしたらいいの・・・・・!?」

思わず、泣きそうになる。考えれば考えるほど思いつくのは最悪の展開ばかり。

でも・・・!!

穏「・・・・・・最終電車に、あいつは、冷牙くんを乗せるつもりだ。あの世に連れて行くために・・・・。そんなことさせるもんか、あたしに出来ること、思いつく限りのこと、全部頭の中をひっくり返して、知識を、情報を、出すんだ・・・!!」

頼れるものはいない。
でも、今、守りたい友達がいる。
そのためにも、自分の意思で、希望は捨てない・・・・!!

穏「・・・暁もいつもそう思っているのかな。だから、あいつは、どんなピンチだろうと逃げない、どんなヤバいことになっても、自分が傷ついても、あたしたちを助けてくれてきた。そうだ、今度はあたしが冷牙くんを、助ける番なんだ・・・!!」

そう決めると、ふと、思いついたことが頭をよぎる。
目にしたのは壁に貼られているポスター・・・。
それを突如はがしだすと、後ろにはびっしりとお札がたくさん貼られていた!!

穏(・・・昴が言ってた都市伝説のとおりだ。駅とか額縁の裏にはよく魔除けのお札が貼ってあるって・・・・!!よし、これだけあるなら・・・!!)

お札をむしりとると、それを持って、ホームへと駆け出す!
たくさんの死者たちがいっせいに自分を見る。震える手、足、それをすべて気合で制すると、穏がきっと真剣な表情でお札を投げはなった!!

穏「必ず助ける!!大事な友達を!!!絶対に、最後まで、絶望しない!!諦めない!!!冷牙くんを助けられるのは、あたしだけだああああああああああああああ!!!」

そんな彼女の気合がこもったお札が一枚当たると・・・・!!

ドドドドオオオオン!!!!

ダイナマイトのような巨大な炎を生み出し、死者たちを焼き尽くしていく!!!炎に焼かれ、赤い光に飲み込まれるように、死者たちがその姿を薄らいで消えていく。聖なる炎に焼かれ、この歪んだ闇の世界から脱出し、本来あるべき光のある場所へと眠りにつくように・・・。

穏「いける!!」

動体視力を生かして、数が限られているお札を次々と投げ放ち、ダイナマイトの要領で爆発を起こして吹き飛んでいく死者たちをかいくぐりながら、穏がすばやく動き回る!!

穏「冷牙くん・・・!必ず助ける!!」


そのころ。
現実世界で、時計を見つけたセレスと暁が時計から放たれる異様な魔力を感じ、発見した。時計全体が紫色の怪しい光に包まれている。

暁「これか!!」
セレス「いくわよ!!」

セレスが蜂を放つと、魔力によって時計の針がものすごい速さで回転しだし、やがて自分たちのいた場所が先ほどまでの場所ではなく、闇に包まれた異質な空気に包まれた闇の世界であることを認識する。

セレス「これもアルカナのようね。でも、このままでは破壊できない!これはあくまでダミー、本体を破壊しないと!!」
暁「・・・ああ?なんだか、ホームがやけに騒がしいぞ?」

見ると、そこでは赤い炎に包まれて焼かれていく死者たち、そしてその中を穏がお札を投げつけながら走っている・・・!

暁「穏!?あいつ、何やってるんだ!!」
セレス「加勢するわよ!!」

セレスがホームに流れ込み、ランスを手に取ると回転する槍で敵たちを吹き飛ばし、その後に続くように暁が駆け込み、ヘブンへと変身していく!!

(暁視点)
暁「セレスさん、無茶するなよ!!」
セレス「分かってるわ。もう、これ以上、あいつの好きにさせない。誰かがあいつらのせいで苦しむなんて、いなくなってしまうなんて、絶対に止めて見せる!!あいつらの好きになんてさせないわ!!」

そうだ、何が何でも抗ってやる。
こんな聖やイングリッドが仕掛けた罠のせいで、冷牙と穏を失うなんて冗談じゃない!!

セレス「ホーネット・・・・チェイサァアアアアアアアアアア!!!」

無数の蜂のマシンガンが発射され、死者たちを天井に貼り付けにさせて爆発する!!

ヘブン「・・・セレスさん・・・強い!!」
セレス「ムッシュ、坊や、クリスちゃん、後ろは任せるわ!!」
ヘブン「・・・ああ、任せておけ!」
クロキバ「我らが守る。お主の背中を!!」
セレス「・・・・ええ・・・・力強いわ。ムッシュ」

優雅に微笑み、セレスさんが走る!!

クロキバ「・・・・・美しい・・・・・・それに・・・強い・・・・」
クロキバがうっとりとセレスさんの姿を見て、つぶやく。完全に惚れているな、これは。まあ、分かる気がするけど。この人の生き方に美しさ、自分の信念に誇りを持って突き進んでいく姿に心を打たれない人はいないと思う。クロキバ、いい人見つけたな。

暁「・・・最高にいい女(ひと)じゃん。クロキバ、こんな人に信頼されたら・・・」
クロキバ「ああ、とことんやるぞ。命をかけて!!」
暁「だよな!!」

クリス「わ、私も、あの人のように綺麗に美しい生き方が似合うように、なってみせます!」

暁「よっしゃあ!!行くぜ!!!」

銃剣を構えて一気に走る!!

その時だった。

穏「・・・・いた!!」

電車の先頭車両、そこに、冷牙がいた。
ロープで縛り付けられて、椅子で苦しそうにもがいていた。周りでは無数の死者たちが化身したロングホーンプレデターたちがうなり声を上げて鋏を振りかざしていた・・!!

穏「・・・・ちっ、これでどう・・・!!」

お札を投げ放ち、それが上のスプリンクラーを直撃すると、凄まじい水がシャワーのように降り注ぎ、それらがロングホーンプレデターに降り注ぐ!!そして、足元にたまった水溜りに向かって、穏が取り出したものを投げ放つ!!

穏「100万ボルトの洗礼を受けろ・・・・!!」

放ったものは暁から逃亡するために作った改造スタンガン・・・!
100万ボルト以上もの電流を放つ優れた一品であり、象をも心臓麻痺で倒すほどの破壊力である。(つか、それを俺に使おうとしていたのか)
穏いわく「その程度じゃ死なないから、大丈夫」とのこと。死ぬわ、バカヤロウ。

暁「穏!!」
穏「暁・・・?」
セレス「よくここまで頑張ったわね。お嬢ちゃん、あとはあたしたちに任せて」

穏「あの列車に冷牙くんが・・・!!あれが発車したら冷牙くんが死者の世界に・・・!!」
暁「くそっ、間に合わせる!!いくぜ!!変身!!」

そういって、暁が青い風をまとい、その姿を仮面ライダーヘブンへと変える。銃剣を構えて飛び出すと無数のロングホーンプレデターたちに切りかかっていく!!その姿に、穏葉驚きで目を見開く。

穏「暁・・・?」

ヘブン「くそっ、数が多すぎる!!」
セレス「ホーネット・・・・チェイサァアアアアアアア!!」

(暁視点)
セレスさんの合図で無数の蜂が突っ込んでいくけど、それでも数が減ることがない!!
無数の死者たちを媒介とするこのプレデターの集団は本体を倒さない限り、永久に増え続けるのか!!

ヘブン「このままじゃ、電車が出ちまう!!」

その時だ。

ピリリリリリリ・・・・・。

「まもなく、あの世行き、最終電車が発車いたします・・・・お乗りのお客様はご乗車してお待ちくださいませ・・・・」

穏「しまった、早くしないと・・・!」

冷牙「ぐぐぐ・・・・!!くっそぉおおおおおおお!!このまま、このまま、マジでおしまいかよ・・・・・!?」

聖「あはははははは・・・・・もうすぐで、電車が発車しますねぇ。ヘブン!!」

そういって、狂った笑みを浮かべて聖が現れた!

ヘブン「テメェ・・・・!!聖!!」
聖「さあ、貴方も味わうといいです。大切な友達を失う、絶望をね!!はっ!!」

指をパチリと鳴らすと黒い風が吹き荒れ、ヘブンを吹き飛ばし、壁にたたきつける!!
そして浮き上がったヘブンの首をつかむと、そのまま地面に叩きつけて押さえつける!!!ギリギリと狂気が生み出すすさまじい怪力にヘブンの体が動きを封じられる!!

ヘブン「て、テメェ・・・・!!!!離せ、離しやがれ!!!」
聖「きゃはははははははは!!うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!はい、もう、おしまい!!おしまいですよぉおおおおおお!!味わえ、苦しめ、楽しみなさい、絶望をねえええええええええええ!!!」

ヘブン「くそっ、離せ離せ、離せよぉおおおおおおおおおおおおお!!!」
クリス「・・・貴様あぁああああああああああああああああ!!!」
クリスが飛び出し、刀で切りかかるが、聖がぱちりと指を鳴らし風を発してクリスを吹き飛ばし、壁に叩きつける!!

クリス「きゃああああああああああああああああ!!」
聖「ふん、イマジンごときが偉そうに!!あとでたっぷりと料理して差し上げます」
クリス「ぐっ・・・貴様・・・・・・・許さない・・・・・!!!!」

クリスの顔にこれまでにない激しい憎悪と怒りが浮かび上がる。殺意をむき出しにしたかのような獰猛な表情は普段の彼女からは想像もつかないほどである。

セレス「このままじゃ・・・!!」
穏「・・・・止める!!!」

そういって・・・穏が線路に飛び出し、列車の前に立った!!!
お札をありったけ全部投げはなって電車を攻撃するが、電車はびくともしない!!!
ライトが穏を照らし、凶暴な警笛とともにゆっくりと動き出し、線路を震わせて走り出した・・・・!!

迫りくる列車。
しかし、穏は決して逃げようとしない。

ヘブン「穏―――――――――っ!!!」
クリス「穏ちゃん!!!」

穏「・・・逃げない・・・・ここで逃げたら大好きな友達を失う!!!怖いけど、絶対に逃げない!!!」

心に秘めた希望を今、吼える!!

穏「最後まで諦めない!!!!」

その時だ!!!

穏の胸に赤い光が激しく光り輝きだし、やがてそれが四角形の形となって穏の前に現れた!!

聖「何・・・?!あれは!!」
セレス「・・・ライダーパス・・・?!」
ヘブン「あれは・・・!」
クロキバ「あれは、希望をつかさどる火の列車、バーンライナーのパス!!!この駅に取り込まれていたのか!!」

そして、パスから飛び出してきた一匹の赤いカブトムシがパスを穏に渡す!!

「ふうっ、ギリギリで間に合ったかな?」
穏「・・・・君は?」
「俺か?俺は火を司る伝説の時の列車、バーンライナーの化身、ホムラ!!!お前のような、どんな時でも決してあきらめない、強く前向きな希望の心を持っている人物を待っていた!!そう、俺の力を受け継ぐにふさわしい戦士を!!」
穏「・・・・戦士」
「ああ、とりあえず、敵が目の前にいる。お前が今、どうしたいか、すぐに決めろ!!お前が思い描いた願い、希望が俺をここに呼び寄せた。もう、何をどうしたいかは分かっているはずだろう!!」

穏「・・・友達を守りたい。そのために・・・・戦う力が欲しい!!」

「よしっ!!!その言葉を待っていた!!!!行くぜ!!!!」

もう心に決めているんだ。
どうしたいかなんて。

そのパスを握りしめて、穏が赤い炎に包まれながら叫んだ!!

穏「・・・・・・・変身!!」

赤い炎が見る見る穏を包み込んでいき、やがて、その姿があらわになる!!
カブトムシを模した赤き角を持つヘッドパーツ。
6枚のウイングを持ち、二本の鋭い鋏のような手甲が備わったクワガタのボディパーツ。
足の側面に8本の足を絡みつかせているようなクモのフットパーツ・・・!!

クロキバ「あれは!!伝説の火の戦士、仮面ライダーナパーム!!!」
ヘブン「・・・穏が・・・・ナパーム!!」

ナパーム「・・・・これで戦えるのか」
ホムラ「ああ、ガンガン行けるぜ!!」
ナパーム「・・・・よっしゃ」

ナパームの手に炎とともに、巨大なグレネードランチャー「ナパームランチャー」が宿り、それを持ち、両目に青い光を放つレーダーアイが装着される!!
そして、カーソルを電車の前面に合わせて、ロックオンすると、静かにつぶやく。

ナパーム「・・・目標捕捉・・・・殲滅体制に移る!!」

そして、電車に向かってランチャー砲を構えて火炎弾を発車する!!すると、列車の前面が爆発して、列車の前に貼ってあった一枚のアルカナが吹き飛んだ!!

ヘブン「運命の車輪・・・!!」

ナパーム「・・・・・・」
列車がやがて消えてなくなり、冷牙が放り投げられて地面に倒れる。

ナパーム「冷牙くん・・・大丈夫?」
冷牙「・・・お前・・・穏か?」

そして後ろから攻め来る無数の敵に対して、立ちはだかると、パスを通す!!
「LEVEL・1!!」

ナパーム「・・・もうちょっと」

パスをさらに数回通す!!

「LEVEL・2!!LEVEL・3!!TWIN CANNON!!」

両肩に炎が宿ると、巨大な二門の大砲が装着される!!!
ヘブン「パスを通すたびに武器が進化するだって!?」
クロキバ「あんな能力、聞いたことないぞ!!」
ホムラ「クロキバ様よぉ、俺がそういった昔のやり方にいちいちこだわるガラじゃないのは、あんたも知ってるだろ!!時代は進化するのさ、それに合わせないとなあ!!」

ナパーム「ふんっ!!」

炎の巨大な弾丸を次々と発射し、ロングホーンプレデターの集団を吹き飛ばしていく!!
その圧倒的な火力に敵はあっという間に吹き飛び、消し炭と化していく!!

ナパーム「・・・・・一気にいくぞ」

「LEVEL1!!」

セレス「離れたほうがいいわね!!」
セレスさんが聖を突き飛ばし、俺とクリスを背負うと、ホームを飛び出す!!

「LEVEL2!!LEVEL3!!LEVEL4!!!」

ナパーム「そろそろ限界かな」

「LEVEL・・・MAX!!!」

すると、左腕に盾と一体化したガトリングキャノンと右腕に二門のキャノン砲、両足に8門のミサイルポッド、そして胸のハッチが開き、無数のガトリングキャノンが現れ、角に強力な炎のエネルギーを集結させる!!

ナパーム「・・・・・・クリムゾン・クリメーション!!!ファイヤアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

最大出力まで高めた炎の弾薬を無数、そして角から強力な火炎放射を噴出し、勢いよく全弾薬を乱射し、敵を、ホームを、滅茶苦茶になるまでに焼き尽くし、吹き飛ばし、爆発させていく!!!

聖「きゃあああああああああああああ!!」

聖も炎の押し寄せる弾薬の嵐に巻き込まれて吹き飛び、やがて、その絶叫を残して炎の中へと消えていった・・・!!

そして駅の連絡橋を破壊し、ホームの上にあるベンチや看板などもすべて焼き払い、見る見る駅全体が炎に包み込まれ、所々で爆発を起こし、吹き飛んでいく!!!!
もはや障害物も、建物も、灼熱の炎の波に溶け、吹き飛び、消滅していく!!!

やがて・・・全弾薬撃ち終えると、装備していた重火器が消える。
そして、黒煙に包まれていた辺りの風景がうっすらと見え出すと・・・・。

そこは・・・波打つ灼熱の炎に包まれた・・・無残な焼け野原のみが広がっていた。
もはや駅の残骸さえ残さずに、黒く染まった大地には灰と瓦礫のみが広がる、まるで焼夷弾でも直撃したかのようにすべてが跡形もなく、なくなっていた・・・!!

ナパーム「・・・・・任務・・・完了・・・・」

変身が解け、その姿が穏に戻っていく。

ヘブン「・・・・メチャクチャだっつの・・・・・」
クリス「駅が・・・・なくなっちゃった・・・・・・」
穏「・・・・・・・・冷牙くん・・・・」

吹き飛ばした駅のことなど目もくれず、冷牙のロープを解いた。

冷牙「・・・穏・・・・お前・・・・」
穏「・・・・・・・・無事でよかった」
冷牙「・・・・すまない、お前を助けるはずだったのに・・・」
穏「・・・・・・・ううん、冷牙くんがあたしを助けるって言ってくれたとき、嬉しかった。だから、冷牙くんに何かあったら、あたしも、助けたいと思った。だから、頑張れた」
冷牙「・・・・穏・・・・・」
穏「・・・・・・・・!!」

穏が冷牙に抱きついて、静かに、全身を震わせる。冷牙の胸に熱い何かがしみこみ、伝わってくる。それは・・・涙。穏が、いつもの無表情からは想像もつかないように、顔を真っ赤にして涙をぽろぽろ流している。

穏「・・・・・怖かった・・・・・冷牙くんが・・・・・いなくなったらどうしようって・・・!!」
冷牙「・・・・・!!」
穏「・・・・ぐすっ・・・・ううう・・・・」

穏が泣いていた。
いつも無表情で、静かで落ち着いている雰囲気のポーカーフェイスの穏が。
それだけ、心から大切な人のためだから、今まで無茶な戦いもしたし、仮面ライダーとしての運命をも受け入れた。

そうして、最後まで希望を失わない限り、彼女は戦い続けた。
大好きな人を守るために。

そうして守ってきた、必死で戦った、過酷な運命さえも必死で乗り越えた彼女が静かに泣いていた。そんな彼女をいとおしく、大切で、今にも壊れそうに思えた。

冷牙「・・・・穏」
穏「・・・・・うん」
冷牙「・・・・俺はもっと強くなる。お前を守りたい。家族も故郷も奪われた怒りや憎しみは消えることはない。でも、過去に囚われて前に進めなくなるのは、俺はそのために戦うことはもうしない。お前を、お前の好きな時間を守るために、戦うことを誓う」
穏「・・・冷牙くん」



冷牙「お前が・・・・好きだ。お前と一緒にいる時間、すべてが好きだ。守りたい。俺が守る。これだけは、お前だけは、誰にも譲らない。奪わせない!!俺が守る!!」

力強い言葉。
その顔に迷いはない。少年のあどけなさを残している顔には真剣な力強さ、男らしさが表れていた。そう、彼は「化けた」。愛する人ができ、守ることの大切さを知ったから。

穏「・・・・うん・・・・・あたしも・・・冷牙くん・・・好き・・・・・」
涙混じりに彼女が微笑む。どこかこれから来るであろう過酷な運命や戦いをも覚悟を決めたように、それでも信じている人がいると思う希望を表した笑顔で。

セレス「・・・・・・・・・・・ふふ、よかった」

そのときだ。
ボウッ・・・・・・。

線路に光が宿り、見ると、火の海から一両の列車が静かに走ってきた。

暁「終電は吹き飛ばしたから・・・・これに乗れば帰れるぜ!!」
穏「・・・・帰ろう!」
冷牙「・・・・ああ!!」
暁「クリス、大丈夫か!!俺にしっかり捕まってろ!!」
クリス「ふええ!?にゃ、にゃあああ・・・・・(///)」

クリスをお姫様抱っこで抱き上げると電車に乗り、その後を穏、冷牙、セレスが乗り、電車が発車した・・・・!!


気がつくと・・・。

暁「・・・ここは、駅前?」
セレス「戻ってこられたようね」
冷牙「・・・ああ!」
穏「・・・・うむ」

凛「おーーーーーい!!暁!!穏!!」
アリス「セレス!!大丈夫か!?」

穏「おお、凛!」
凛「バカヤロウ!!!心配したんだぞっ、テメェ・・・・!!」
穏「・・・・ありがとう、ごめんね」
凛「・・・・・・よかった・・・!!」

凛が穏を抱き寄せて痛いくらい抱きしめる。

流水「冷牙ぁああああああああああ!!」
雷斗「大丈夫、かああああああっ!!」

二人が駆けつけ、冷牙を雷斗がヘッドロックをかけて、腰を流水がえいえいとパンチで小突く。しかし、その顔には安心したような笑みが浮かんでいた。

雷斗「この、バカ!!少しは、おとなしく、しろ!!」
流水「むこう一週間、掃除当番やってよねー!?心配したんだから!!」
冷牙「バカ、いてぇよ!!雷斗、少しは加減しろ!!」
雷斗「雷斗?雷斗様と、お呼び、してほしいぞ!!うりうりうり!!」
流水「もう、本当にどうなるかと思ったんだからね!?このバカ!!」
冷牙「うわああああ・・・!!雷斗様、お許しを〜・・・くははははは!!」
流水「あはははは!!」
雷斗「ふふふ・・・!!」

じゃれ合いながら、3人も冷牙が生きて帰ってきてくれたことに喜びを分かち合う。

ホムラ「・・・やぁれやれ、遅くなっちまってすまねぇな、大将!!」
クロキバ「相変わらずお主は豪快というか・・・まあそこまでさっぱりとしていると、かえって下手な敬語よりマシと思えるから不思議であるな」

そのときだ。
ふと、後ろから一体、ジェリーフィッシュプレデターが瓦礫の中から立ち上がり、触手を向けていた・・・!!

クリス「・・・・!!!危ない!!!!」
セレス「冷牙くん!!」

そのときだ。
ジェリーフィッシュプレデターの電撃が走る・・・!!

ふと、同時に、碧色の風が吹き出し・・・・!!

一体の美しき銀色の毛並みをなびかせ・・・・!!

手に持っているランスを振り上げて・・・!!

電撃を弾き飛ばし、ジェリーフィッシュプレデターを撃退した・・・!!

そしてそのときの光景を、誰もが驚いたであろう。
緑色の光を放つ鋭い目つき、銀色の狼を思わせる美しき肢体、手に生えた黄金色の爪、鋭き牙を持つ口・・・・!!

暁「・・・・・・せ・・・・セレス・・・さん?!」

冷牙「・・・・・・ああ・・・・ああ・・・・どうして・・・・だ!?」

クロキバ「・・・・この姿は・・・・そんな・・・・どういうことなのだ・・・!?」

そう、その姿は・・・・。

雷斗「・・・・ウルフェン・・・?!」

そう、その姿は美しき銀色の毛並みに包まれた人狼、ウルフェン・・・・!!
やがて、その姿が、緑色の風に包まれ、その姿を・・・・!!

セレス「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

セレスさんの姿へと戻していった・・・・!!

セレスさん自身も何がどうなっているのかわからないといった様子だ。
驚きで目を見開き、自身の手を見て、今自分に何があったのか自問自答するかのように。

アリス「・・・お前・・・どういうことだよ・・・・?!」
セレス「・・・・・・・・!?」

冷牙「・・・・・・・・月華・・・・・・・・・姉さん・・・・・!?」

今、俺たちに新しい疑念が生まれた瞬間だった・・・・。

続く
NEXT LINE 「Whereabouts of noble wind」
,さて・・・驚きの結果になったかと思いましたが、この展開は前回のお話を書き上げた時より決めておりました。今回、新しい第4のライダー「仮面ライダーナパーム」として、「空条 穏」が選ばれたこと、そして、ウルフェンの女戦士、そして冷牙の姉である「月華」が「セレス・ホーネット」であったこと・・・・!!

そして、次回はクロキバ様必見!!
セレス・ホーネット(月華)の過去、そして、クロキバ様のある一つの決意がさらなる展開を呼ぶこととなります!!つまり、次回は二人がメインとなるので、ご期待くださいませ!!

レスをお返しします!

>烈様
>【ヘブン】の冷牙の姉という『月華(げっか)』さんですが、いったいどういった性格をしていて、普段はどういった雰囲気をした人だったのですか? 【ヘブン】の冷牙の両親の性格なども気になりますけど、『月華』さんのことも気になりますので、どうか教えてくださいm(_ _)m

この質問ですが、実は答えはセレスさんその人であります。冷牙が気がつかなかったのは、セレス=月華が吸血鬼として覚醒し、劇的な変化を遂げたこと、そして、聖によって記憶を奪われてしまったことが関係している設定です。次回で明らかにいたします。この、美時から花や歌、美しいものを愛する優美で心優しく落ち着いている性格でした。

>星「オタク少女である昴ちゃんが学年トップだっていうのはすさまじい感じかな? 普段はどんな勉強をしているんだか……」

昴「あんまりたいしたことないよ。だって、一度聞いたら覚えちゃうし」

>あの外道クソバカシスターは…# 《別世界》の本人とはいえ逆恨みされるは嫌なもんだぜ#
しかもその恨みや憎しみが、更なる新しいライダーの誕生につながるかもしれないので、ま他苦労するかもしれませんが・・・・決して暁はあきらめずに戦います!!彼の戦い、応援してくださいね!!

>リクエスト
いつも申し訳ございません。今回、烈様にお願いがございまして、今度の感想にうちの四天王の一人(リーダー)、「セレス・ホーネット」のコメント、もしよろしかったらお願いできませんでしょうか?ちなみに、設定では、常に優雅かつおしとやかで落ち着いた話し方が特徴的な大人の女性といった感じで、暁が一目置いており、クロキバ様とは相思相愛といった感じです。美しいものをこよなく愛し、自分の持つ正義や信念に誇りを持ち、聖のやり方には落ち着いた口調で接しているけど憤慨しているといった感じです。

それと、クロキバ様に質問です。
「烈」様の「クロキバ」様は「セレス」のことをどう思っていられるのでしょうか?まあお遊びと思って、聞いてくださると幸いです。

>黒様
申し訳ございません、今回、ご期待の展開ではないのですが、今回、あくまで参考としてセレス(月華)の設定を投稿させていただきます。

種族:『ウルフェン』
性別:『女性』
髪:銀髪のロング(腰くらいまでのロング)
眼:緑(エメラルドグリーン)
体型:モデル型
年齢:(人間でいうと、20歳。暁と3歳しか違わない)
胸:巨乳
性格:常に冷静沈着かつ優雅さや気品あふれる落ち着いた振る舞いを忘れない、大人の女性。美しいものをこよなく愛する強い欲望を持ち、歌や芸術、思想、自然を愛し、吸血鬼の中でも人間の存在と共存を図ろうとする平和主義。しかしひとたび仲間や大切なものに危害を加えようとするものには容赦なく攻撃を仕掛ける苛烈な一面を持つ。趣味は楽器演奏、芸術鑑賞、ガーデニング。好きな食べ物はホットケーキと蜂蜜入りの紅茶。嫌いなものは醜いもの、ゲテモノ、信念を持たないヤツ。

こちらでいかがでしょうか?

それでは・・・。

次回もよろしくお願いいたします!!

仮面ライダーナパーム
装着者:空条 穏
カブトムシの力を持つヘッドパーツ、クワガタムシの力を持つアーマーパーツ、そしてタランチュラの力を持つフットパーツで成立する姿で、火の力を自由自在に操ることが出来る。
射撃を主体とする飛び道具を用いた戦法を得意とする。武器であるグレネードランチャー砲「ナパームランチャー」を用いた射撃と、パスによりレベルが5段階に分かれての武器を召還して攻撃する「ギアウェポンシステム」を搭載している唯一の重武装ライダー。必殺技は左腕に盾と一体化したガトリングキャノン(レベル1)と右腕に二門のキャノン砲(レベル1)、両肩にバズーカ砲(レベル3)、両足に8門のミサイルポッド(レベル2)、そして胸のハッチが開き、無数のガトリングキャノン(レベル4)をいっせいに発射して敵を吹き飛ばす「クリムゾンクリメーション」。

バーンライナー
伝説の時の列車のひとつで「火」の力を司る。姿を列車の姿と、守護獣の姿に変えることが出来、守護獣形態はカブトムシのような姿をしている。火の力を自由自在に操ることができる。一見乱暴な荒くれものの口調だが、技術者としての能力は時の列車の中でも秀でており、新しい戦術や兵器・武器を積極的に取り入れるなど研究に余念がない柔軟な思想の持ち主。義理人情にもろく涙もろい兄貴分のような人物である。,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2011年01月16日(日) 21時06分30秒,20110116210630,20110119210630,4gqbWjjyNmDx.,仮面ライダーヘブン 第15話,鴎,,,第15話 「Twilight memory」

ダーク・キングダム。
長い長い玉座の間へと続く廊下をエリザベートが歩いていると、廊下で一人たたずんでいる少女を見かける。青いメッシュを編みこんだ黒髪ロングヘアをなびかせ、眼鏡をかけた知性的な美貌を持つ美少女、マリア・シャークエッジだ。

エリザベート「・・・・マリア」
マリア「・・・・・・これはこれはエリザベート様。何か御用ですか?」

その声は無機質で冷たく、感情が宿っていないもの。かつて、自分につき従い、共に覇道を歩もうと誓い合ったあの時のような冷静沈着なスタイルの裏に隠された熱き心は、もはや感じられない。

エリザベート「・・・・姉様の側近、守備隊長に任命されたそうじゃな。お主の命の助命が上手くいったようで何よりじゃ」
マリア「・・・・まあ、どこかの無能な指揮官のせいで、危うく処刑されかけたんですけどね。ああ、敢えてだれかとは言いませんが。まあ、今のポジションなら、本来の私の知略も策略も思いのままに腕を振るえますから。感情に流されて、余計な詮索や思案などしなくていいから助かります」

エリザベート「・・・・・・・・・・・・」
マリア「それで?お話はそれだけですか?それじゃあ、私は失礼しますね」
エリザベート「・・・・・お主・・・・変わったの・・・・・前のお主も・・・確かに頭が良かったし、ワシも作戦や知略においては絶大的な信頼を寄せられる参謀として重宝しておった。しかし、それ以上に・・・・・少々オッチョコチョイで感情表現が豊富で、優しい笑顔がよく似合う普通の女の子らしい一面があって・・・・ワシは・・・・一緒にいて・・・・楽しかった・・・・」

マリア「・・・くだらない」
エリザベート「・・・・・くだらない、じゃと?」
マリア「所詮貴方は感情論ばかりが先走って、肝心な行動も出来ていない。感情に縛られて、仲良しごっこやって、甘い理想ばかりに囚われて辛い現実を見ようともしない、ただの世界を知らない子供のような方なんですね。ああ、イングリッド様が失望されるのも無理はないですよ。私も、おかげで、貴方の元を離れてこちら側についてよかった。私は理想のみで終わりたくはないのですよ。寝言や絵空事など、思うだけで、誰かを巻きこまないで下さる?これは・・・・・別離の餞別と思っていただいても構いませんわ。私、貴方のそう言う、甘ったれていて中身がまるでない無能な指揮官ぶりに愛想が尽きましたの。では、失礼いたしますわ」

氷のナイフのような鋭い言葉で切り裂かれたように、茫然とたたずむエリザベートを尻目に、マリアが冷たい表情で立ち去る。その様子を、陰で聖がくすくすと嬉しそうにほくそ笑んでいた。

エリザベートがよろよろと、力なく壁に背を預けると、力なく笑う。自身を嘲り笑うかのような笑み。顔を手で覆って、くっくっと笑う。

エリザベート「・・・・・ふふ・・・・無様・・・じゃ。結局、昔から連れ添ってきた仲間にさえ敵の捕虜に捕らえられ、挙句の果てには見限られたか。ワシは・・・ワシの夢は・・・果たしたい願いは・・・・甘いのかのう・・・・」


ワシはただ・・・・・。

エリザベート「・・・・闇と光が共存できる、平和な世界・・・・。完全なる平和・・・・・差別も障害もない・・・・自由な世界を・・・作りたい・・・・・・・・・。この・・・時間に存在する・・・・・全ての世界に生きるものが・・・・思うがままに生きられる・・・・世界を・・・・・ワシが・・・・作り上げたかった・・・・」

吸血鬼、ウルフェンなどの闇に生きる闇の住人、決して光ある現実世界の文明とは相容れぬ、触れ合えない、分かり合えない、互いに種族も生まれも育ちも、全て違うのだから価値観が異なることくらい、当たり前なのに、それすらも理解しあえない、強固なる鉄壁に阻まれた重苦しい世界、生きていくことすらも息詰まるような辛く醜い世界、それらをぶち壊し、何とかして、誰もが笑っていられる平和な世界を作り上げたい。

「時間が泣いている。その泣き声を・・・・ワシは・・・何とかしてなだめたい・・・」

しかし、かつての同胞であり理解者であったマリアからの、心をえぐられるような冷たく苛烈な言葉にもはや上官としての面影もない、一人の少女は力なく涙を流し、その場にうずくまっていた・・・・。

エリザベート「・・・・ワシは・・・・・無力・・・・じゃ・・・・・」

聖「うふふふふふ・・・・ざまぁみろ、ですか。きゃははははは・・・・」

やがてその悲しみが、自身の呪う無力さが、ふと、ある人物を思い浮かんだ時、あふれんばかりの憎悪となってあふれだしそうだった。もはやそうでもしないと、自身の精神さえ支えられない、それほどにまで、彼女は追い詰められていたのだ。折れそうな小枝のような精神を、すべてある人物への“憎悪”に変える。そして、彼女の顔が怒りで歪み、悪鬼のようにもなる。仲間を奪われ、理想を嘲われ、もはや彼女を支える何もかもが崩れ去っていく。

エリザベート「・・・大友・・・・暁・・・・・仮面ライダー・・・・ヘブン・・・・・!!お前が・・・・憎い・・・・・憎い・・・・八つ裂きにしても足りないくらい・・・!!」

壊れる寸前にまで、疲弊し切った心が生きる糧となる唯一のものは「憎しみ」。
エリザベートを支えているのは、もはや暁への憎しみでしかなかった。
あふれんばかりに膨れ上がった憎悪、嫉妬、憤怒、殺意・・・・。
目に光がなくなり、くすんだ瞳で目の前にいるはずでない暁の姿を思い浮かべ、狂ったような笑みを浮かべて、半月のように牙を覗かせて唇を歪める。瞳に宿った狂気の闇が色濃く膨れ上がり、涙を流しながら、その異様な光が天井に見える暁に向ってとらえていた。

エリザベート「・・・・・・大友暁・・・・・ワシを本気で怒らせたこと・・・後悔させてやる・・・・!!!」


一方。
そんな恨みを受けていることなど日常茶飯事・・・・失礼、全く知る由などない暁はというと。

(暁視点)
暁「ほっ・・・これでしばらくは任務に支障はきたさないな」

中間考査の結果を見て、俺は納得はいく結果だったので、一息ついた。
赤点などとって任務に集中できなくなったら元も子もない。それに、クロキバからも、

「学生の本分は勉学もありである。戦士としての任務を全うするのもよいが、学生としての本分も全うすることも大切であるぞ」

そう言われているから、きっちりやりました。テスト勉強。
そしてとりました、2学年全320人中、学年5位、クラス内2位。
ちなみに、総合もクラス順位も、一位は全部昴が独占していったけどな。
あいつ、本当頭いいからな・・・。

ちなみに、残りの二名は。
凛「ほとんど赤点ギリギリ、一番苦手な数学なんて35点だぜ」
穏「・・・・・・・・英語以外はボロボロ・・・・(ちなみに英語は100点、一番最低点は赤点である現代国語の30点)」
暁「お前ら・・・・今度一緒にテスト勉強するか?」
昴「のんはどうして、英語そんなに出来るの?」
穏「・・・・写真撮るとき、許可取る時交渉も必要だし、何かと便利・・・・」
昴「あ、そうか。将来は世界中を駆け回るカメラマンになるのが夢だもんね」
穏「・・・・それに・・・・・パツキン美人とお知り合いになれるチャンス・・・・海外でも・・・・英語がわかれば・・・・エロ本も読めるし・・・・エロビデオも理解できる・・・・エロバンザイ・・・」

暁「・・・お前の原動力はエロしかないのか・・・」
昴「でもそれで、成績もいいし、英語もペラペラ話せるし、エロを人生の肥やしにしているよね・・・・」
穏「・・・・・・・えっへん」
凛「いばんな、バカ」

暁「・・・さてと、試験勉強で借りてた参考書、返さないとな。今日、図書館行こうっと」
穏「・・・私も本返しに隣町の図書館行こう」
凛「今日、俺は野暮用だ(マリアさんを探しにいく)」
昴「パソコン部に置いてある機材使ってボクのパソコンのバージョンアップしてくる」

そういって、久々に4人バラバラに行動するのであった。
しかし、暁はトイレに入ると、誰もいないことを確認し、持っていたコピーロイドを取ると、ボタンを押して見る見る暁のクローンを作り出す。

暁「俺はいったん本部に戻る。この後は図書館行って、それから家に戻って待機してくれ」
コピーの俺が頷くと、俺が個室の扉を開いて時空の扉をくぐり抜ける。もうここ最近、中間考査でマリアさんの探索及び任務に集中できなかった分、ここでしっかり取り返さなくちゃな。マリアさん、あんたがプレデターだろうとなんだろうと、あんたは俺にとって大切なダチであって・・・あこがれの人であることには変わりはないんだ。何があったって、助けてみせる。あんたを失うなんて、絶対に嫌だから。もう一度、会って、取り戻すんだ。あの人の笑顔を・・・・。

本部に入り、ルシファーズハンマーのオフィスに入ると、そこにはクリスとクロキバがいた。二人とも、メダルアニマルから得た情報を頼りに報告書を作成し、近くでは雷斗が新しいメダルアニマル「メダルアニマル・スパイダー(オレンジ色)」と「メダルアニマル・モール(シルバー)」を作り出し、新しい情報を入手している。皆大忙しだ。俺も早速仕事に入るぞ。

暁「お疲れ!状況はどう?」
クロキバ「おお、暁。帰ったか」
クリス「状況は・・・依然新しい情報は入ってきてないです」
雷斗「町中に・・・・メダルアニマル・・・・放って・・・・・マリアさんや・・・・プレデターに・・・動きが・・・・あれば・・・・すぐ連絡する・・・」

暁「了解。引き続き、俺も情報処理に入る。動きが入り次第、指揮を執る。1時間後、これまでの情報を整理するために、中間報告を兼ねてミーティング行う。各々の情報を整理して、報告できるように準備しておくこと!」

「「「了解」」」

書類を見て、作戦指示書を書き上げていく。ペンを素早く走らせて迅速かつ的確な作戦の進行を推し進める方法や展開を次々と書きあげていく姿は辣腕の部隊長の優秀さをうかがわせている。

クロキバ(うむ・・・・部隊長としての風格も仕事ぶりも板についてきたであるな。我はお主の成長ぶりが・・・・とても嬉しく、頼もしく思えるである・・・)
クリス(暁・・・すごく頑張っています。誰かを守るために一生懸命になれる暁は・・・すごくカッコいい。私もしっかりサポート出来るようにならないと)

暁「そういえば、流水と冷牙は・・・」

クロキバ「流水は港湾地区の調査で、外に出ているぞ」
クリス「冷牙くんは、今日、非番でお休みです」
暁「ああ、そうだったよな。冷牙、休みだったか」
クロキバ「だが、あいつも最近は休みも情報収集に励んでおる。ここ最近は市内やターミナル内のライブラリカフェで調べ物をしに行っているようだ。皆、マリア殿・・・いや、お主の友であるからこそ、本気で心配しているのであるな」
暁「ありがとう・・・」

心からそう思える。本当にいいヤツらだ。友情とか絆のつながりが本当に大切でありがたいものであると感じて、俺の心も鼓舞する。やる気にも火がついたし、早速取りかかるか!


(穏視点)
お昼過ぎのドーナツショップは、テスト明けの学生でにぎわっており、狭い店内にあふれんばかりにおしゃべりに花を咲かせている。しかし、3階の席になると客もまばらで、落ち着いた空気に包まれている。
私は図書館で本を帰したあと、偶然会った友人を誘って一緒におやつタイムを楽しんでいる。向かいに座っているのは、銀色のロングヘアを後ろで束ね、青い牙をイメージした首飾りを下げ、Tシャツにジャケット、パンツルックといったクールかつ動きやすそうな服装を決めた、一見むしゃぶりつきたくなるほどの美少女・・・・いや、美少女顔負けの端正な顔立ちをしている少年、冷牙くんだ。

フレンチクルーラーを食べながら、談笑していると冷牙くんが思いついたように一枚の写真を取り出すと、私に見せる。あ、この人、確か・・・・。

穏「・・・・マリアさん?」
冷牙「ああ、うちのバカがすっかりお熱でな。親友としては、友達の恋愛の応援をしてやりたい次第だ」
穏「・・・・・それは初耳・・・・・暁・・・・・マリアさんのことが・・・?」
冷牙「ああ、もうベタボレだ、ラブラブだ、アツアツでイチャイチャだ。あの仲睦まじさはもう町中に自慢したいくらいだがな、まあ、暁はウブだし、あまり早仕立てられるとパニックを起こしかねんが・・・・まあ、それはそれで見物なのだがな、そこのところはどうだ?」

もう、町中に言いふらしてほしい、思い切りからかってほしいと言わんばかりだ・・・・。
暁をからかうことには全力投球なんだな、暁をからかうことが生きがいだって自分でも言っているし。まあ、気持ちは分かるし、大いに協力させてもらうけどさ。暁をからかうのは、本当に面白いし(ふっふっふ)。

穏「・・・・・・・やるとするなら、派手にやる。報酬はエロ本か暁の生写真で(にやり)」
冷牙「・・・・さすがは穏、そう言ってくれると思っていたぞ」
穏「・・・・お主もワルよのう」
冷牙「はっはっは、お前には負けるな」

こうして、「初心な坊や(暁のことね)のハートを全力でいじくり隊(いじくりたい)」または「暁をとことんおちょくり隊(おちょくりたい)」は同じ熱き理想の名の下に集い、結成された。(暁とクリス、アリスが聞いたらマジギレものなんだけど・・・)

穏「・・・・でも、二日前くらいに見たよ。うん、間違いない」
冷牙「何?どこでだ?」
穏「・・・・平坂駅。星見駅から3つほど離れている大きい駅なんだけど」
冷牙「・・・ああ、あそこか!あそこなら、俺も知っているぞ」
穏「・・・・・写真撮りに行った帰りに、偶然見かけた。声かけたんだけど、見失っちゃった・・・・」
冷牙「・・・何か手掛かりがあるかもしれねぇな。ありがとう、早速見に行ってみるよ」
穏「・・・・・・ちょうどいい、私もそっちに用あるし、手伝うよ」
冷牙「本当か?助かるぜ」
穏(・・・・もうちょっと冷牙くんとおしゃべりしたいし・・・)

そういうことで、珍しいコンビが平坂駅に向かった。電車の中で暁とマリアをどうやってくっつけようかとか、どんなふうにからかってやろうかとか他愛もない話をしていると、電車がホームに流れ込み、平坂駅へとたどり着いた・・・。

暁「ハックション、ハクション!!!」
クリス「風邪ですか?」
暁「・・・・何だか、誰かすげぇムカつくうわさ話しているような気がする・・・まあいいか。それより、クロキバ、話があるってどうかしたのか?」
クロキバ「・・・うむ、実は時間の流れが奇妙に歪んでいる気配を感じてな。その場所を中心に、この世界とは別の世界につながっている次元の歪みが生じている可能性がある。マリア殿のことで大変だろうが、報告をしておいたほうがいいと思ってな」
暁「ルシファーズハンマーは本来そういったことを専門的に取り扱うんだから、遠慮することなんてない。時空の歪み、異世界と次元の扉がいびつな形で繋がることで・・・・神隠しとか心霊現象とか、そういった異世界がらみで起こりうるトラブルを解決することも大切だよ。詳しく話してもらえる?」

クロキバ「うむ、この近くで平坂駅という駅なのだが、あそこで時空の歪みが駅丸ごと包みこんでおる。異質な空気やこの世のものではない異形の気配も感じられる。時空の歪みが生じている」
暁「・・・・平坂駅だって?!」

暁の顔色が真っ青になり、興奮したようにまくし立てる。

暁「・・・あそこはここん所最近、人身事故や拡張工事での事故が絶えない場所・・・・まさか、その時空の歪みが影響しているのか・・・?」
クロキバ「おそらくはな・・・・1か月の間に4件も人身事故が起こるなどあり得ないであるからな(しかも全部死亡事故)」
暁「・・・・それに、あそこは昔から嫌な噂ばかりが多いからな。やたら心霊現象とかの目撃証言が多かったりするから、呪われているとまで言われている始末だ。でも、それらがもし時空の歪みによって起こっていることだとしたら・・・」
クロキバ「・・・早急な調査が必要であるかもしれんな」

その“呪われている”いわくつきの場所こそ、今、冷牙と穏が足を踏み入れているなどこのとき知る由もなかった。


冷牙「・・・・何だか人が少なくないか?」
穏「・・・・・昼間の駅ってこんな感じ。それに、ここ、学園近くだから、学園関係者くらいしか使わないから・・・」
冷牙「なるほど、ほとんどがこの近隣の学園に通う生徒たちや教師たちくらいしか使わないということか」
穏「・・・・住宅地とは離れているし、ビジネス街とかなら、もうちょっと先に行けばもっと大きな駅で乗り換え出来るし」
冷牙「ふむ・・・」

人気がまるで感じられない閑散とした昼下がりのホーム。見ると駅員の姿さえ見かけない。
売店も店員がいないし、冷牙と穏以外、“誰一人いない”のだ。異様な気配さえ感じる。
その時だ。
二人が周りを見ている時、連絡橋の中央に置いてあった荘厳で豪華な服飾が施された大理石製の柱時計が妖しく黒い光を放つと、突如針がものすごい回転を始めて、やがてその時間が・・・深夜の零時を指すと・・・・!!

冷牙「・・・・!?な、なんだっ、どういうことだっ!?」
穏「・・・・・・!?さっきまで・・・・・昼だったのに・・・・夜になってる?!」

二人がキツネにつままれたように驚きの声を上げて、唖然とする。駅の連絡橋から見える風景が先ほどまでの風景が一変し、星一つない、月すらもない、漆黒の暗闇が空を覆っていたのだ。駅構内の電気も消えて、非常灯や非常階段の入口の赤と緑の光のみが照らし、不気味な空間を生み出し、静寂が暗闇の恐怖をより引き立てている。

冷牙「・・・・・どうなってやがるんだ・・・・」
穏「・・・・・・まさか、これが、平坂駅の噂?」
冷牙「噂?」
穏「・・・・・平坂駅は呪われているって噂、最近、人身事故や拡張工事中の事故が多発している・・・・・この間・・・・昴がそんな話をしていた・・・」
冷牙「・・・・いずれにせよ、この状況は異常事態だ。まずは、連絡をとらないとな・・」

携帯のアンテナは3本立っている。ボタンを押して、電子画面に表示される。
そして電話の主が出た。

暁「はい、暁。冷牙、どうかしたの?」
冷牙「暁、緊急事態だ。平坂駅にいるんだが、様子がおかしい。応援にきてくれないか」
暁「はあっ!?ちょっと、待てよ、何でお前そんなところにいるんだよっ!?ま、まあ、それで、お前は無事なのか!?」
冷牙「ああ、俺も穏も無事だ」
暁「何――――――――――っ!?穏も一緒なのかよ!?くそっ、ンなこと言ってられないか。いいか、落ち着いて聞けよ。その駅は平坂駅であって平坂駅ではない、こっちの世界にあるものではないんだ。それは・・・・・現実世界と異世界をつないでいる時空の歪みが生み出したもう一つの平坂駅と思ってもらえればいい。そこから脱出するためには、呪いそのものの存在を否定すること、つまり、その世界における重要な意味をもつものの存在を否定するんだ。そうすれば、呪いの効果がなくなって元の世界に戻れるはずだ!」
冷牙「呪いを否定する!?どういうことだ」
暁「そこが駅であるってことは、駅がらみで起こりうる出来事、駅で行う目的そのものを否定することを・・・・」

ツー・・・・ツー・・・・

冷牙「あ?おい、暁?さと・・・・・」

ふと、携帯電話にぬるりとした感触が感じる。放すと、そこには・・・生暖かくどろりとした生臭い液体が・・・・べったりとついていた・・・。

冷牙「・・・・なっ!!」

携帯電話についていたのは・・・・・・血・・・・・。

そして、赤くどろりとした液体で画面に表示される。


「オマエタチハ ニゲラレナイ」


穏「・・・・・・何・・・・これ・・・・・」
冷牙「・・・・ちっ!!」
携帯電話から遠ざかると、後ろの誰かにぶつかり、肩を抑えられる。ものすごい力で肩がみしみしと音を立てて冷牙を抑えて放さない。

そして振り返ると、そこにいたのは・・・・。

冷牙「ぐっ・・・・!!き、貴様ァ!!!」
それは、駅員の制服を着こみ、帽子を深くかぶった・・・聖。その狂気をはらんだ笑みは闇の中で浮かび上がり、得体のしれない恐怖を感じさせる。

聖「うふふふふ・・・・ひゃははははは・・・・こんにちは、ウルフェンの坊や。いや、お久しぶりといったところでしょうか?ああ、久しぶりに見たということですよ。生き残りのウルフェン族なんてね」

一息ついて、にやりと笑って言う。

聖「私がずっと前に、滅ぼして差し上げたノラ犬の一族をね」

冷牙がその言葉を聞いて、しばし、目を見開き、愕然としたように聖を見やる。

冷牙「・・・・・・・俺たちの・・・・・・一族を・・・・・滅ぼした・・・・?・・・・・・あああ・・・・ああああああ!!!!」

その顔を思い出したように、冷牙の目が驚きで見開かれる。


(回想)
それは、冷牙がまだ子供のころ・・・。
クロノポリスに入ってきた一つの凶報―・・・。
それを聞きつけて、まだ小学生だった暁と子供だった冷牙が血相を変えて駆け付けたウルフェンの隠れ里―・・・。

“ウルフェンの一族が突如凶暴化、同族同士で殺し合い、全滅に至る”

駆け付けた隠れ里は・・・・もはや地獄だった。

冷牙「・・・どうなってるんだよ・・・・・どういうことだよ・・・・父さん・・・・母さん・・・・月華(げっか)姉さん・・・!!うわああああああああああああ!!!」

気が狂ったように村の中に飛び込み、その場で言葉を失った。
家は崩壊し、瓦礫の山と化し、村の中に地面を埋め尽くすほどの・・・・。
血の海に沈んだ・・・・・。

暁「・・・これは・・・・・!!」
冷牙「ああ・・・・・あああ・・・・あああああ・・・・・嘘だ・・・・嘘だろ・・・・・・嘘だああああああああああああああ!!!!うわあああああああああああ!!」

死体死体死体死体死体死体死体死体死体・・・・・・・・。

そしてその中に・・・・・・・。

冷牙「・・・父さん・・・!!母さん・・・・!!うわあああああああああああっ!!!」

冷牙の父親でありウルフェンの一族の長と、母親の死体もあった・・・・。
そして、姉である月華の死体は結局見つからずじまい・・・・・・。

幼いころ、冷牙を襲った悲劇、つい先日ウルフェンの長とクロノポリスと協定を結び、一族の保護を約束し、息子である冷牙を時の運行の平和を守るための友好の証として、一人の戦士として送り出したばかりなのに・・・。

戦士として、門出の祝いを迎え、新しい世界へと旅立った矢先での悲劇だった・・・。

その元凶が・・・・・こいつだと、自分から言った。
そして、その瞳が、赤く禍々しい光を帯びた邪悪な力を帯びた瞳「ナイアルラトホテップ」であることを確認すると、先日の流水がこの力によって怪物に変えられたこと。
それが、あの事件の顛末を証明するには十分すぎる。

聖「・・・ふふふ・・・・・・あの時は楽しかったですよ。ちょっと“退屈しのぎ”だったんですがね。あの時の君のお父上や御母上の断末魔・・・・ああ・・・・・仲間が突然凶暴化して同士討ちし合うあの地獄・・・・今でも思い出すだけで・・・・楽しかったですねぇ・・・・うふふふ・・・」

冷牙「・・・・貴様が・・・・・貴様が・・・・・貴様がああああああああああ・・・!!!」
聖「さあ、貴方もお父上やお母上に会いたいでしょう?もうすぐ会えるんですよ。この駅にやってくる最終電車に乗れば・・・・久しぶりにお会いできますよ・・・・くふふふ!!」
冷牙「何・・・!?ぐっ、貴様、離せ、離せぇええええええええええ!!!」
聖「あはははははは・・・きゃはははははは・・・・ひゃあああはあははははははは!!」

その時だった。

穏「・・・・・・・離れろ(ぷんすかぷんすか)」
ゴンッ!!!!!

聖「あぎゃっ!?」

見ると、そこには、ガラス製の灰皿を持って構えている穏がいた。これで思い切り後頭部を殴られ、聖がその場に倒れこむ。灰皿にひびが入るほど、思い切りドツいたらしい。しかし、頭を抑えて、うずくまるくらいしかダメージを与えていない。

冷牙「穏・・・!?」
穏「・・・・・逃げよう。こいつ、危ない」
冷牙「・・・・・・ああ・・・・まずはここを脱出してからだ・・・・!!」

聖を憎々しげに見つめるが、今は、穏を守らなくてはいけない。
はちきれんばかりの怒りを、憎悪を、歯をくいしばって唇を噛み切り、血をたらしてでも、耐える。

冷牙「穏、俺について来い。俺がお前を守る」
穏「・・・・・え」
冷牙「お前まで失ってたまるか、俺が、お前を、守ってみせる!!!!」

冷牙が爪を光らせて、目を赤く光らせると、力強い声で宣言する。
クールな彼が珍しく見せる、本来の熱き心を持つ熱血漢としての素顔。
その彼の姿に・・・・穏の胸の高鳴りが早くなり、熱くなる・・・。

冷牙「お前は何があっても守ってみせる!!!」
穏の手を引いて、走りながら、後ろの穏を振り返り言う。

冷牙「・・・俺がお前の騎士(ナイト)になる」

気障でクールな言葉、しかし心から熱く燃え上がる情熱をこめたこの一言は穏の心を・・・熱く激しく突き刺した。そしてそれが熱い炎となって燃え上がる。冷牙を見て、真剣な、心から誰かを信じる瞳となる。

穏「・・・・信じるよ。冷牙くん、あたしは・・・・信じる。あたしの騎士さん!!」
冷牙「・・・ふっ、仰せのままに、お姫様」

すると、前から何体もの闇が起き上がり、やがてそれらが無数のロングホーンプレデター(カミキリムシ)と化して襲いかかっていく。それらを、爪で切り裂き、強烈な足で蹴り飛ばし、吹き飛ばし、風を起こしてぶっ飛ばしていく!!!!

冷牙「行くぜ、もうこの先は止まることはない。お前を連れて、生き残る・・・・必ず守る」
穏「うん、信じてる!」

もう誰も、何も失わせない。失わない。
もう、家族も、故郷も、失ったけど・・・・・でも、今、守りたい人がいる。その人までみすみす失ってたまるものか。俺が守る、必ず。

過去に失ったものは取り戻せない、でも、今こぼれおちそうな現実を過去にとらわれて見過ごすわけにはいかない。そのためにどうしたいか、どうするか、そう親友に教わったはずだ。


冷牙「・・・・・いくぞぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
青い光とともに、その姿を凶暴な顔つきになり、青い毛並みに覆われ、鋭い爪と牙を生やし、赤き目を輝かせるウルフェンの姿となった!!!しかしその姿になっても穏の目には一瞬驚きが宿ったが、その迷いもすぐ消えた。なぜなら・・・信じているからだ。

自分の心に刻み込んだ、憧れの王子様を!!

穏「・・・・・かっこいいじゃん(ポポポ///)!!」
冷牙「・・・ふっ、かっこいいのは・・・・これからだ!!」
今、ウルフェンの戦士が熱き心のたぎるままに飛び出し、戦いを繰り広げようとしていた。


同じころ・・・・。

暗闇の中・・・・一つの赤い光が激しく光り輝いていた。
そして光を放っているものは・・・・ライダーパス・・・!!

赤い炎に包まれているそのパスがある人物に向けて、自身のパートナーとなりうる資質のあるものを見つけ、その心が示す強い心を求めるように光を絶えず輝かせていた。

バーンライナー(?)「ずい分とんでもないことになってやがるねぇ。今こそ、見せてみろ。俺の持つ“希望”を受け継ぐにふさわしいヤツかどうかをね」

熱く赤き炎を司るライダーパスが、今、新しいライダーを探し求めていた・・・。

続く
Next Line 「Crimson bombing Napalm」

,さて、今回冷牙と穏がメインという異色の展開になりました、仮面ライダーヘブン。そして次回で明らかになる火のバーンライナーが選ぶ”希望”の持ち主に、新しいライダーの力が与えられ、第4のライダーが登場します!!そして、今回で明らかになった冷牙の過去、それは聖の呪術によって操られた村人同士の殺し合いで一族を、家族を失ったこと、それすらも彼女にとってはゲームでしかなかったこと、それを言われて、もはや怒り狂い掛けた彼ですが、彼をつなぎとめたのは、以外にも彼のガールフレンドである穏。ウルフェンの姿となった彼を見ても、信じる強い気持ちを持った彼女の心が折れることはなく、その希望が冷牙に力を与えていく展開となりました。次回も彼らの活躍、期待してください!!

そしてここで、暁のテストの結果を発表します。任務と学業、何とかして同時にこなすといった努力家ならではの彼の実力はバカテスでいうと、Aクラスに位置するほどの学力を努力で手に入れたのです。

現代国語:85点
古典:70点
数学:95点
英語:98点
リーディング:95点
化学:80点
生物:82点
世界史:100点

といった感じです。頭はいいし、ケンカは強いし、心優しいのですが、どうにも女の子がらみになると悲惨極まりない不運に巻き込まれて、挙句の果てに吸血鬼に見初められて操を狙われている・・・暁は、私がバカテスの中でも一番好きな「坂本雄二」を思い浮かべてしまいます。

感想をお返しします!

>烈様
>【仮面ライダーアスレイ】の話の設定
すごく面白そうな内容にもう、早く作品が見たくて仕方ないです。
私、バカテスも仮面ライダーも大好きなので、まさかあの明久君とモモタロスのクロスが見られるなんてもううれしくて仕方ありません!!!もし作品化するときは、ぜひとも読ませていただけませんか?楽しみにしております!!!

>クリス「それにしても、【ヘブン】の私の人間姿での名前って、見事なまでに“イマジン”としての姿から考えたみたいですけど、一体誰が考えたんでしょう?」

クロキバ「答えは・・・我である。いろいろ考えたのだが、クリスにぴったりと思ったのは、フレスベルグの象徴である鷲と、美しい空のように澄み切った優しい心を持つ彼女ならではと思って名づけたである」

>どの辺りで暁(ヘブン)の着替え中の写真を撮ったんですか?どこに隠しカメラを用意してたのかが気になりますね。

穏「・・・・・フォーシーズンズにはシャワー室も浴室もある。暁はよく使うから、こっそり隠しておいてある・・・」
昴「隠し場所は時折変えているから見つかりにくいようにしているよ」

>クロキバ「…しっかし、前回の話では殆ど出番が無かったアスカだが、本当にどこに居たのだ?」

アスカ「・・・あはは、いやあ、お祭りで美味そうなもんばかりやったから、猫みたいな姿になってお好み焼きやたこ焼き、焼きイカに、焼きそば、食いまくってて、任務そっちのけやった」

>明久「……ところで、【ヘブン】の暁ってどの辺であっちのクリスの正体に気づいたんだろう?」

クロキバ「・・・・実はだな・・・・暁はそのあたりの情報にからきし鈍くてだな・・・」
セレス「・・・・全然気づいてないの。もし気づいていたらクリスちゃんまで何でこのイベントに参加しているのって大騒ぎするわよ?」
女の子がらみになると少々弱い、暁であったりするのです。

今後とも、「アスレイ」の明久君やモモタロス、その他のメンバーたちと仲良くお付き合いしていきたいと思っております!!
,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2011年01月07日(金) 01時16分46秒,20110107011646,20110110011646,3U0zLqWb6U3dk,仮面ライダーヘブン 第14話,鴎,,,第14話「Murderer who carries despair」

イベント会場。
第一イベント「海賊ドクロ叩き〜スカルパニッシュ〜」。

昴「はいそれでは、次は!!エントリーナンバー4番!!アリス・ビストレオさん!!対するは、エントリーナンバー9番!!鷲宮(わしのみや)・・・空美(くみ)さん!!」

鷲宮 空美。
それがクリスの偽名である。そして二人がそれぞれブースの中に入ると扉が閉じられ両者が手にピコピコハンマーを握りしめて構える。

アリス(360度どこから出てくるか分らないか・・・)
クリス(実戦と同じ状況下ですね・・・)
アリス(はっ上等じゃないか。あたしはこういった緊張感があるガチンコが大好きさ)
クリス(ええ・・・実戦と考えるとこれも一つの修行ですね・・・・)

そうすると、クリスがピコピコハンマーを右手で持ち、左の腰にまわすように添えて構える。一見それはまるで、居合の構えのようにも見える。凛とした佇まい、無駄のない動き、それは見ているギャラリーを沈黙させ、注目させていた。
もう片方のアリスも、ピコピコハンマーを握りしめ、足でステップを踏み、リズムを取りながら全神経を集中させる。

晶「うわあ・・・・暁くん、本当に可愛いなあ・・・!!うふふふ、お父さん、嬉しい。よくここまで女装が似合う男の子に育ってくれて・・・」
慧「・・・それに関しては何度も突っ込んでいるが、暁は好き好んでやってるわけじゃないからね?」
二人も見に来ていた。無論仕事そっちのけで・・・・(いいのか、これで)。

そして。

昴「スタート!!」

それと同時だった。

アリス・クリス「「円」」

「円」:それは、武術の鍛錬をたしなんできた者たちが自分を中心とする円のような結界内における自分以外の“気配”を感じ取り、瞬時に仕留めるといった精神統一の方法である。

クリス「はあああっ!!」
アリス「うおおおおおおっ!!」

さすがは居合の達人、クリス。ハンマーを居合の要領で振りまわし次々とドクロ人形を叩きまくり、アリスも軽快なリズムでハンマーを次々とドクロ人形にぶち当てていく。
その回数は見事どんどん上げていき、見ているギャラリーも大いに盛り上がっていき、興奮が最高潮に達していく。
そんな盛り上がっている場面だから、暁のこの絶叫もかき消されてしまうほどだった。

暁「何であのバカ(アリス)がいやがるんだあああああああああああああっ!!?」

もはや暁は見事に顔面蒼白、真っ青、絶望をここまで表現できる姿も珍しいほどだ。


(昴視点)
昴「こりゃ、すごいねえ・・・・ハイスコア出しまくりじゃん」
穏「・・・・・・巨乳ポニテ萌え・・・・銀髪ロングの大和撫子萌え・・・・ハイレベルの戦い・・・・!!(パシャパシャパシャパシャ)」

穏がデジカメで写真を撮りまくって興奮してる。あとで、ボクにもちょうだいね。
しかしこりゃ本当にハイレベルな戦いだね、そんなに真剣にやってくれると・・・嬉しいね。あれ?なのに、暁くんはさっきから放心状態というか何かブツブツ言ってる?

暁「・・・アリスの体力や運動神経を考えると・・・・・間違いなく・・・・優勝候補・・・!!もし・・・アイツが優勝しちまったら・・・・お茶会どころか・・・・・間違いなく・・・・俺は連れさらわれて・・・・そのまま・・・・行きつくところまで行きついて・・・そのまま・・・・・ああああ・・・・・!!!」

虚ろな目で何やらブツブツ言ってるし・・・?
暁くん、あのアリスさんと何かあったのかな?あんな巨乳ポニーテール美人と何か縁があるならもはや幸せそのものだっていうのに、不幸のズンドコみたいな顔してるし、変なの。

昴「・・あの、もしもし?」
暁「このままじゃ、お茶会どころか、もしかして・・・マジで呪い発動・・・でもって・・俺・・・あいつの“嫁”(錯乱してます)?下僕?いずれにせよ、地獄じゃねえかあああああああ・・・・」

地面に崩れ落ち、もうぶつぶつと何か訳のわからない状態になってるし・・・。

穏「・・・おっぱいぽろり・・・・・スカートのめくれ・・・・はじける若さと青春・・・・萌え・・・・・・!!(パシャパシャパシャパシャパシャ)」

穏も本能のままに、煩悩全開、カメラを握り締めてひたすら撮影に没頭している。
うん、こりゃかなり盛り上がってきたね!楽しまなくちゃ損でしょ!

同じステージの上なのに、天国と地獄がここまではっきりしている絵図も珍しい。


第1回戦は・・・こんな結果だ。(500点満点中)
1位:鷲宮 空美 490点
2位:アリス・ビストレオ 480点

アリス「へえ、やるじゃないか。その構えは・・・居合いか?それに自己流アレンジしているけど、無駄な動きがひとつもなく流麗かつすばやい動きで敵を確実にしとめる・・・・これがもし刀だったら、一度戦ってみたいところだねえ」

空美「アリスこそ、それはボクシングですね?なかなか鍛えられている様子で。敏捷性と瞬発力、侮れないですね」

お互いに強さをたたえあい、にっと笑い合う。意外とクリスも負けず嫌いだし、しかし、自分にはない新しいジャンルや知識は柔軟に取り入れるタイプなので、アリスのボクシングスタイルに自分の戦いにはないものを感じ、受け入れている。

昴「はい、それでは、以上の10名が2回戦進出でーす!!そして、上位3位に認定されました3名の参加者の皆様にはあたしたちのピンナップ写真を差し上げます!」
穏「・・・おめでとうございます(あたしが撮ったヨ)」

空美「・・・私は・・・・・」

(凛、昴、穏の着替え中生写真<写真はセルフタイマーで撮った>)

空美「・・・暁がいない・・・・・<涙>」

アリス「あたしは・・・・・ぶはあ・・・っ!!(鼻血の海に沈んだ音)」

(暁の風呂上り、浴衣はだけた半裸状態の隠し撮り写真<ビン牛乳飲んでる>)

アリス「暁、暁、暁、さっとるぅううううううううううう♪愛してるぜぇ、可愛いぜぇ、最高の獲物ちゃんだぜぇええぇぇえぇええええええ♪」

暁「コロス、穏、テメェ、今度こそブチコロス」
穏「・・・・きゃー、やめてー、怒りでトチ狂ったヤマンバに食べられる−(あたふたあたふた)」
凛「いや、普通そうなるだろ」
昴「あ、凛!大丈夫だったの?」
凛「ああ、さっき医者からもう大丈夫だといわれた。遅れてすまねぇな」

凛「暁、ちょっと、話がある。かなり、ヤバいかもしれねえ」
暁「・・・どういうことだ?」

裏手で暁と凛が話し合う。
凛「・・・四天王の一人が何者かにやられた。フレアとかいうあのチビが・・・」
暁「・・・何だって!?」
凛「確か、そいつ、マリアとかいうヤツと一緒のはずなんだろう?でも、その近くにマリアはいなかった・・・いやな予感がするんだよ」
暁「・・・マリアに、フレア、二人が聖に狙われているのは間違いない。しかし、マリアがいないってことは、まさか、マリアが聖に捕まっているか、もしくは何かに利用されようとしている・・・?いや、あいつならあり得るな。そういった最低なことが大好きなヤツだから・・・」
凛「とりあえず、その、マリアとかいうヤツを探さないと、かなりやばいってことだけは確かだ」
暁「・・・アリスの話だと・・・・確か、マリア・シャークエッジとか・・・・。あれ・・・?マリア・シャークエッジって、マリアさんも確か同じ名前だったよな・・・それに・・・フレアやセレスさんと一緒にいたところを見て・・・・・まさか・・・マリアさんがシャークプレデターか!?」

セレス「・・・・・・ごめんなさい・・・・その通りよ。マリアからは、暁君には黙っていてほしいって頼まれていたけど・・・もう隠せないわね・・・」
そこにいたのは、セレスだった。

凛「俺が連絡したんだ。かなりヤバい状況だしな」
暁「・・・やっぱり、あのサメのプレデターは・・・・マリアさん。四天王のマリアって、マリアさんのことなんだな」
セレス「・・・暁くんにだけは知られたくなかったそうなの」

(回想)
セレス「しかし、貴方も変わったわね。昔は学問や知識ばかりで、他人になんて興味をまったく示さなかったのに」
マリア「・・・暁くんは・・・・特別なんです」
セレス「・・・特別?」
マリア「・・・最初は人間の調査対象に過ぎないと思っていましたが・・・初めてあった日に、あたし、お腹空いてお店の前で行き倒れちゃったんですよ。そしたら、暁くんが見つけてくれて、ご飯作ってくれて、お店の休憩室のベットまで貸してくれて、本当にあんなに優しくしてくれた人って初めてだったんですよ・・・。それ以来、あの子の優しさやあの笑顔がすごく嬉しくて・・暖かくって・・・大好きになっちゃってました」
セレス「それで、マーキングしちゃった・・・?」
マリア「・・・うん・・・・だけど・・・もしあたしがプレデターなんて知ったら・・・もう今までどおりお友達じゃいられなくなりますよね・・・・。暁くんに嫌われたら・・・あたし・・・どうすれば・・・・・いいか・・・。アルトが死んだ時のように・・・今度あんな絶望を味わったら・・・・ようやく誰かを信じてみようと思ってきていたのに・・」
セレス「・・・不安なのね。大丈夫よ、貴方はとても頭がいいし、人を見る目もある。貴方が好きになれる人なら、信じてみなさい・・・」
マリア「・・・・はい」

セレス「・・・あの子はいえなかったの。ずーっと、不安でいっぱいで、貴方にも打ち明けられなくって・・・・だから・・・受け入れてなんていわないけど・・・・嫌いにならないで・・・・」

セレスが苦しそうに、友人を必死で守ろうと話す。そして、せめてマリアが苦しんでいたことだけはわかって欲しいから・・・。

暁「・・・・あのサメのプレデターがマリアさん・・・四天王の一人なんだろ?」
セレス「・・・・ええ」
暁「・・・今・・・危ないんだろ・・・・?」
セレス「・・・え?」

そこで、暁がはじけたように叫ぶ。

暁「プレデターだろうと何だろうと、関係ないよ!!!マリアさんが危ないんだろっ!!?だったら、俺は何があったって助けるに決まってるだろ!!!!」

セレス「え・・・」
暁「マリアさんは・・・俺の大事なダチなんだよっ!!!尊敬している人なんだよっ・・・!!俺にいろいろと大切なものを教えてくれた、姉さんみたいな人なんだよ・・・!!あの人のこと、俺は嫌いになんてなるはずないし、ならない!!!」

迷いのない真剣な瞳、炎が宿ったように熱く輝く心。
それをうそ偽りなく全身から感じられる真っ直ぐな言葉。
暁にしてみれば、マリア・シャークエッジが「プレデター」であろうが、「四天王」であろうが、そんなこと些細なことでしかない。自分が好きな人がその人なのだから、その人が困っているのなら、危険な目に遭っているのなら、迷わず助けるのが「大友暁」なのだ。
傍から見れば自分を襲ってきた敵を、自分が傷つくこともいとわず助けようとするなど「バカ」でしかないのかもしれない。しかし、そんな「バカ」を命がけで貫き通し、守り、アリスやセレスを助けてきたから、一度言ったことは何が何でもやり通すから、カッコいいのだ。そしてそれを鼻にもかけず、あくまで誰かを守りたいという「優しさ」こそが、その「バカ」でもあり、強さの裏返しである。

暁「プレデターだろうと・・・俺は・・・・あの人のことが大好きだっっ!!!絶対守る!!守ってみせる!!!」

クロキバ「よく言った!!暁、それでこそ、我の主である!!」
凛「きたぜ、暁の熱血モード!!こうなったら、もう、無敵だな!!」
セレス「ああ・・・ありがとう・・・!!」
暁「アリスたちには悪いけど、もうイベントどころじゃないな。クロキバ、コピーロイドを!」

セレス「待って!私たちも総動員で探してみるけど、貴方は、アリスたちからの思いに真摯に答えることが大事よ。あの二人の思いにまずは答えて、それから、私たちと合流して!」

雷斗「暁、ここは、俺たちに、任せろ!」
冷牙「お前の熱血ぶりは嫌いじゃない・・・今回は特にな!気に入ったぜ!」
流水「きゃはははは!!暁カッコいい!!」
セレス「雷斗さん・・・冷牙くん・・・・流水くん・・・!!本当に・・・ありがとう・・・!」

冷牙「礼なんざいらん。あとで、全員でパーティーといこうぜ、暁の料理でな!」
流水「それ、さんせーいっ!!!」
雷斗「俺も、頑張る!!」

皆本当にいいヤツらばかりだ。かつて敵であったにもかかわらず、助けようとしてくれている。

暁「・・・分かってる!!全員そろったら、お前らの食いたいもの、何でも作ってやる!!腹いっぱい食わせてやるよっ!!ルシファーズハンマー、出動だああああああああっ!!」

流水「OK!!」
冷牙「了解だ!!」
これこそルシファーズハンマーの本領発揮、熱き魂と揺るぎない固い友情と絆で結ばれた団結力と行動力は全部隊中でも最も優秀なのだ。これまでいかなる過酷な任務をも、お互いを信じあい、助け合い、すべて成功に導いてきたのは全隊員に共通している「超」がつくほどのお人好しであり、熱血体質、義理人情に厚い人間臭さがあるからだ。

クロキバ「・・・しかしだな、暁・・・・」
暁「・・何?」
クロキバ「・・・・・その格好・・・・どうしたのだ・・・・?」

暁の今の姿・・・。
フリルつきミニエプロン&ミニスカ&猫耳&猫しっぽ・・・メイド姿・・・・。
しかも穏が無理矢理履かせた・・・・女もののパンティーだし・・・・。

クロキバ「・・・・パンツ見えそうであるぞ?隠したほうがいい」

暁「ズガアアアアアアアアアアアアン(大ショック)」

暁、あえなく大轟沈(orz)
冷静に言うなよ、一番傷つくんだから。
しかもせっかく今熱血して、燃え上がってきていたのに・・・まあ、こんな場面でそんな状態で言ってもあれかもしれないけどさ。

流水「・・・合掌・・・・・」
冷牙「・・・・・もはや悲惨だな」
雷斗「・・・負けるな・・・・暁・・・!」

暁「・・・・分かってるさ」
クロキバ「お、今日は回復が早いであるな」
暁「・・・・いつまでも落ち込んでられるか。マリアさんの命がかかってるんだ。指揮官がへこんでたらどうにもならねぇだろうが。そうさこの怒りも、悔しさも、やるせなさも、全部・・・・聖のバカにでも叩きつけてやるぁああああああああああ!!!!!そうさ、こんなことになったのも、全部、全部、あのドS星出身のウルトラバカシスターのせいなんだからなぁ!!くはははははは!!!この怒り、恨み、憎しみ、は・ら・さ・で・お・く・べ・き・かああああああああああああああっ!!」

暁・・・溜まりにたまっていたマグマのようなストレスが一気に大噴火を起こし、もはや悪鬼のような笑みさえ浮かべて絶叫している。猫耳が角にさえ見えてくるし、背中に怒りの炎を燃え上がらせて怒りに震える姿はもう何をしでかすか分らない危険状態であった。

流水「・・・オッサンがスイッチ入れちゃったよ」
冷牙「・・・ジジイ、どうなっても知らんぞ」
雷斗「・・・・もう・・・・止められない・・・」
クロキバ「・・・・・・すまぬ」

第二ラウンドの終了の放送が流れてきた。ちなみに、第二ラウンドは「スレッジハンマー」というイベントであり、ハンマーを思い切り叩きつけて重りを叩き上げてどれだけの高く持ち上げられるか(要は体力、腕力、瞬発力が重要とされる)というゲームであり、アリスがダントツの1位、クリスはギリギリ4位であった。そして参加者は残り6人となったのであった。

アリス「・・・・くふふふふ♪暁の、暁の、チャイナドレスの写真だあ。あたし、吸血鬼になって長生きしてきて、本当によかったって思うよぉ。暁に会えたし・・・・くふふふふ・・・♪」

クリス「・・・うう・・・腕力ではやはり差がありましたか・・・・でも次は負けません!」
アリス「あははは・・・・何だかこういうのって、すごく楽しいねえ!!久しぶりかも、いや、初めてかもな。こんなに生きているって感じも、楽しいってことも!」
クリス「・・・・・え・・・・」
アリス「・・・・何て言うかさ、あたし、ずっとスラムで育ってきてたんだけど、こういった娯楽もなかったし、一緒に遊んでくれる友人もいなかったよ。たった一つのパンをめぐって殺し合い・・・・わずか少ししかない財布を狙って奪い合い・・・・寝床をめぐっての騙し合いに足の引っ張り合い・・・・もう生きていくためには、自分のことしか考えられなかったし、今日を生き切ることで精いっぱいで必死だった。スラムの中でどんなに強くなっても、結局は心の中の虚しさは埋まらない…むしろどんどん大きく広がっていくんだ・・・・」

アリスの横顔がどこかいつになく寂しそうで、クリスは今までのアリスへのイメージが変わりつつあることに気づいた。ただ自分の欲望に忠実なだけじゃなくって・・・欲望に対する迷いも葛藤もあるし、悩みもする。それでも、自分がなりたいと思っている自分に向かって突き進んでいこうとする前向きな強さを持っている強い心を持っている人物だと。

アリス「ただ、強くなるだけなんて、疲れるし、苦しいだけなんだ」
クリス「・・・・アリス」
アリス「でも、今のあたしは強くなることをやめない。だって、あいつと戦うために、心から戦いを楽しむために、強くなって、あいつに認めてほしいから!!」

そういって、水を飲み干すアリスの横顔は清々しいまでにすっきりしており、迷いも悩みも乗り越えて、やることをやろうと、前向きな力強さを感じられる。

クリス「・・・・アリス」
アリス「・・・・あん?」
クリス「・・・私も同感です。暁の相棒でいたい、ただ、契約だけで結ばれている関係のままなんて甘えているつもりなんてない。暁の優しさに甘えるつもりもない。そう、私も強くなって、暁に認めてもらいたい。いつもそう思っている。だからこそ、貴方の思い、すごく分かる」
アリス「・・・・へへっ、似たもの同士なんだな、あたしたちって」
クリス「・・・ふふっ、そうかもしれませんね、じゃなきゃ、暁にここまで惚れこみませんもん」
アリス「・・・あははっ、そりゃ同感だ!!」

二人が笑い合い、アリスが手を差し出す。

アリス「お前・・・・気に入ったぜ!!今日からあたしとお前はライバル(好敵手)だ!お互いに競い合って、暁にふさわしい強くて綺麗な女を目指そうぜ!!」
クリスもその言葉に、笑顔を浮かべて手を握り返す。

クリス「・・・そうね・・・!!私も負けないわ!!今日から・・・ライバル(好敵手)ね!!」
アリス「よっしゃあ、燃えてきたぜ!!決勝も全力で行くからよ、手ェ抜くなよっ!!」
クリス「ええ、そっちこそ負けて泣きごとなんて言わないでね!!こっちは全力で行くから!!」

今ここに、新しい友情が芽生えだしていた。その直後だ。

クリス「!この気配は・・・!!」
アリス「・・・・ああ、間違いない、近くにいるぜ、プレデターがな!」
クリス「決勝戦は・・・・午後からですよね!」
アリス「といったって、お昼休み挟んでだから、もうあと1時間くらいしかねぇぞ!」
クリス「・・・それまでの間に」
アリス「ケリつける!!」

そういって、二人が飛び出し、クリスが変身解除用のパヒュームを拭きつけてイマジンの姿に戻ると、光の玉になって飛び出し、アリスが駆け出す。

暁「この気配は・・・!」
凛「まだいやがったのか!?」
暁「単体相手ならフレアなら引けは取らないはず・・・そうか・・・そのカマキリ野郎だけじゃなかったってことか、フレアを襲撃したのは!!」
凛「暁、任せられるか!?俺はもう衣装合わせと打ち合わせで・・・!」
暁「ああ、任せておけ!!行ってくる!!」

そういって、暁が飛び出していった。しかし、その直後凛が何かに気づいて暁を呼び止めるがもうすでに暁の姿はなかった。

凛「お、おい!!あいつ、今、確か、メイド服のままだったよな・・・・!?」


「きゃあああああああああああ!」
「うわああああああああああ!」

イベント会場の近くの河原で釣りを楽しんでいた釣り人たちの悲鳴が響き渡り、そこへ、黄金の三叉槍を鋭く光らせて、半魚人のような醜悪なフォルムの姿をしている、カーププレデター(鯉)が襲いかかろうとしていた。

が、その時だ。
暁「オラアアアアアアアアアッ!!」
アリス「はあああああああああああっ!!」

二人の飛び蹴りが見事炸裂し、吹き飛んだカーププレデター。地面を転がり、槍を杖代わりに立ち上がり、獰猛な唸り声を上げて威嚇してくる。明らかに殺意を放っている。

暁「こいつ・・・もしかして、さっき凛が言ってたカマキリ野郎と手を組んでいたヤツか!」
アリス「ああ?どういうことだ・・・・というか・・・・お前・・・・その格好は?」

(暁視点)
え・・・・?
今の俺の恰好?ええっと・・。

猫耳カチューシャ(ヘッドパーツ)、フリルつきミニエプロン&メイド服(ボディパーツ)、猫しっぽ、そして、女もののパンティー・・・・。

どこから見たって、このような緊迫感漂う戦場には似つかわしくない、可愛らしい・・・いや、もう頭がかなりかわいそうというか空気読めよと言われんばかりのバカなイカレたコスプレメイドでしかなかった。

暁「ヴァアアアアアアアアアアアアア・・・!!!!(やってもうた―――――――っ!!)」
ああ、イベントの恰好のままでまたも戦場突入・・・・俺って本当にバカか!?
寝ぼけてパジャマで学校に登校するようなもんなのに!!

アリス「・・・(ブシャアアアアアアアアアア)」
暁「アリス!?何でそんな致死量寸前の鼻血出して恍惚とした笑顔でいられるのかな?!」
アリス「・・・・・暁・・・・・可愛い・・・・愛おしい・・・・ああ・・・・もう・・・そろそろ・・・我慢の・・・限界かもしれない・・・・襲いたい・・・・むしゃぶりつきたぁい・・・・ふふふふ・・・うふふふふふ・・・」

もはや俺の人生とか貞操とか、もう風前のともしびだ。
今日はもう五体満足で帰れることは期待できない・・・・でも、まあ、もういいや。どうせプライドとか体面とか男としての大事な何かがことごとく壊れてしまったのだから。もう、堕ちるところまで堕ちたって感じだ。

暁「・・・ふふ・・・ふふふ・・・・もう・・・こうなったら・・・暴れて暴れて暴れまくってやる・・・!!」

涙を浮かべてベルトを巻き、クロキバを装着する!!そうさ、こんなやるせない気持ちを吹き飛ばすにはもはや暴れるに限る!!ついでにアリスも巻き込んで全員フルボッコにしてしまえば、気分爽快この上ないであろう。よし、やるぞ、もうそれしかない。殺る気マンマンで任務を全うするんだ!!!え、アリスを倒したら意味ないだろって?苦情は受け付けません。

暁「変身!!!」
アリス「行くぜ、アスカ!!」

そういうと、時空の彼方から飛び出してきたアスカがやってきて、黒いパスをアリスに投げ渡す。

アスカ「ほな、根性見せたれや!!」
アリス「おおっ!!行くぜ!!変身!!」

アリスの姿が漆黒の獅子を模した騎士の姿に変わり、右拳をギリリと握りしめて構える。

ヘブン「・・・限界まで・・・トバすぜっ!!」

ボルダー「大地の超爆闘士・・・ここに参上!!」

俺が銃剣を構えると、ボルダーが両拳の手甲を構えて空を切る。すると、手甲に宿る超高熱のマグマのエネルギーが爆発を起こし、凄まじき蒸気と化して噴出する。一斉に飛び出し、カーププレデターが迎え撃つように三叉槍を振り回してくる。しかしそれを避けながら二人で同時に攻撃を仕掛ける。銃剣の刃を避けると、三叉槍の攻撃をかわしてボルダーがパンチをぶちこむ!!重く骨をも砕きかねないほどの衝撃に耐え切れずカーププレデターが苦悶の表情を浮かべてよろめいたところへ銃剣の刃を叩きつけて、すかさず銃弾を発射し、カーププレデターの反撃を許さない。

ボルダー「ガンガン行くぜ!!」

ソウルトリガーを取り出し、黒色の銃弾を装てんし、発射すると黒い魔法陣が発生し、ボルダーに宿るとトーライのイメージに重なり、両拳に激しき稲光が宿る!!

ボルダー「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

ヘブン「こっちも行くぜ!!」
青い銃弾を取り出して発射し、それを潜り抜けると、俺の姿がヴォルファスフォームに変わり、手に斧を持つと、腰を低く身構えて、獣のようなうなり声を上げて敵をにらみつける!!

ヘブンVフォーム「ウオオオオオオオオオオッ!!!」

青い風をまとってすばやく走り出し、カーププレデターに切りかかると、槍で弾かれるが、がら空きになったボディに回し蹴りを叩き込む、のけぞったところへボディーブローを叩き込み、起き上がらせてから斧の刃を次々と叩きつけて、爆発を起こす!!

すると、ボルダーが拳を構えると、足のパイプからすさまじい蒸気が噴出し、足の側面のホイールが高速回転しだし、地面に火花を散らせて、勢いよく走り出し、飛び上がると、敵のボディに拳を思い切り振りかぶり、黒い電流をまとった拳を思い切り叩きつける!!

ボルダー「・・雷皇拳(らいこうけん)ッッ!!!!!!」

カーププレデター「ぎゃああああああああああああっ!!」
そして、のけぞった直後に、銃剣を居合いの要領で構えると、息つく間も無く次々と刃を振るい、カーププレデターが無数に切り刻まれ、大爆発を引き起こした・・・!!

ヘブン「・・・何とか上手くいったか」
ボルダー「・・・みてぇだな」

そういって視線と視線がぶつかり合い拳と拳をぶつけ合った。

ボルダー「へへっ!」
ヘブン「・・・OK」

そして、ついにきました、最終ラウンド!!!!

凛「さあ、ついにやってきたぜ。最終ラウンド、タイトルは、“ブレインパニック”!!」
昴「私たち、どうせお茶を一緒に楽しむとするなら、教養のある人とお楽しみしたいな」
穏「・・・・紳士、淑女のたしなみ」
暁「さあ、ついに、残る4人。4人にお渡ししました、小学生レベルの、もし間違っちゃったらちょっとどころかかなり恥ずかしい“ことわざ”のテストです!!このテストを10問中、最高点を獲得できた方に、俺たちとお茶会をお楽しみできるチケットを差し上げます!!」

そして・・・二人はというと・・・・。

第一問「『今まで元気だった人が、急に元気をなくしてしょんぼりしてしまうさま』を意味することわざを答えなさい」

クリスの答え「青菜に塩」(正解)
アリスの答え「ファイト一発!!」←暁「いや、励ましてどうするよ!?」

第二問「『いつも明るく笑顔を絶やさない人には、自然と幸福が訪れるものだと言うこと』を意味することわざを答えなさい。

クリスの答え「笑う門には福来る」(正解)
アリスの答え「笑っていると暁がやってくる」←暁「何で俺だよっ!?」

第三問「『二つのものが、あまりにもかけ離れていて比べものにならないたとえ』を意味することわざを答えなさい」

クリスの答え「月とスッポン」(正解)
アリスの答え「月とスッポンポン」←暁「ポン一つ多いわ!」

第四問「『何かをしようと思い立ったら、その日を吉日と思ってすぐにやり始めるのがよい』を意味することわざを答えなさい」

クリスの答え「思い立ったが吉日」(正解)
アリスの答え「今晩暁に夜這い」←暁「ぶっ殺すぞ、テメェ!!」

第五問「『優れた人の爪の垢を煎じて飲めば、少しはましになるだろうと言うこと』を意味することわざを答えなさい」

クリスの答え「爪の垢を煎じて飲む」(正解)
アリスの答え「暁以外は不味い」←暁「誰が味の評価聞いてるか」

第六問「『強い鬼にさらに金棒を持たせること。強いものに、さらに強さを加えるたとえ』を意味することわざを答えなさい」

クリスの答え「鬼に金棒」(正解)
アリスの答え「ワックワクすんぞ!」←暁「何で気合入るんだ!?」

第七問「『計画などがどんなに素晴らしくても、実現しなければ役に立たない』を意味することわざを答えなさい」

クリスの答え「絵に描いた餅」(正解)
アリスの答え「計画倒れ」←暁「そのまんまですやん」

第八問「『思い切った大きな決断をするたとえ』を意味することわざを答えなさい」

クリスの答え「清水の舞台から飛び降りる」(正解)
アリスの答え「清水の舞台から突き落とす」←暁「確かに思い切った行動だ」

第九問「『その人の能力を発揮できる場を得て、生き生きと活躍するようす』を意味することわざを答えなさい」

クリスの答え「水を得た魚」(正解)
アリスの答え「女装した暁」←あとで「烈」様の「暁」と一緒にブチ殺す。

第十問「『過去の事を研究して、そこから新しい知識や見解を得ること』を意味する四字熟語を答えなさい」

クリス「温故知新」(正解)
アリス「夜這活動」←暁「お前はそれしか頭にないのか!?」


結果・・・10vs0。

暁「・・・・アリス・・・・お前・・・・バカだ・・・・」
アリス「なんでえっ!?」

アリス・ビストレオ、ここにて「ウルトラ級のバカ」確定。

そして・・・・!!

凛「優勝は・・・・!!」
昴「鷲宮空美さん!!!」
穏「イエーイ・・・!」

優勝は・・・・クリス――――――っ!!!

空美「・・・あ・・・あはは・・・(喜んでいいのでしょうか、これ・・・)」

この後、クリスはきちんと、暁を筆頭とする美少女メイド4人組からのご奉仕つきお茶会を心行くまで楽しんだとさ。


暁「・・・はあ・・・もう今日は散々だ・・・・」
凛「まあ、そんな落ち込むなよ、いつかはいいことあるさ」
昴「まあ、それがいつかは未定だけどね」
穏「・・・頑張って生きれ」
暁「・・・うるへー」

くそっ、もうため息しか出ない・・・・。
今晩はスタミナつく料理でも作るとするか・・・・。

その頃・・・・。
その様子を見ていた一人の少年がいた。黒髪を肩まで伸ばし、少々童顔だが端正で整った顔立ちをしている、まっすぐ強気そうな釣りあがった切れ長の瞳で暁たちを見ている。
そして彼の足元から砂が噴出し、やがてそれが盛り上がると、見る見る実体化していく。
蒼色の鷲を思わせる外見をしている姿の「ガルーダイマジン」であった。そして、そのイマジンと一緒に行動している。

「・・・・まあ、つかの間の安息、しっかりと楽しみな。ここから先、かなりキツいことになりそうだし、“後悔”のないように、楽しく、やるときはやるときでしっかりやれよ・・・暁」
「・・・・星、この時代に聖・・・・ナイアルラトホテップが紛れ込んだ模様で間違いないわ」
「ああ、もうこれ以上あいつに暴走させない。俺たちもようやくこの時代に追いついたしな、動くとするぞ・・・」

そういって、ポケットから一枚のカードを取り出し、まじまじと見つめる。
真剣で力強いまなざし、その先には、オレンジ色の竜の紋章が施されたカードがあった・・・。

続く
NEXT LINE 「Twilight memory」
,さて、ついに決着つきました。アリスvsクリスのお茶会をかけた戦いは、クリスの勝利で幕を閉じました。そして、アリスに新しい属性「おバカ」が付加され、ますます萌えっ娘として今後活躍いたしますのでよろしくお願いします。
そして、烈様。設定のほうに投稿いただきました「マリア・シャークエッジ」の弟の生まれ変わりという設定の「イーズ・フロストルティナ」ですが、近いうちにメインということで出演させていただいてよろしいでしょうか?その際にはよろしくお願いいたします!!それで、今後、あとがきでのコメントで「イーズ」さんとおしゃべりできる機会がもし出来れば、お願いいたします!!楽しみにしております!!
そして、さらに近日登場確定の「星」さんと「フェザー」さん!!今後ともよろしくお願いいたします!!設定に基づいての作品を楽しく書けるよう頑張ります!!

レスをお返しします!!
>烈様
アリス・ビストレオのコメント、本当にアリスが話しているようですごく面白かったです!!今後もし機会がございましたらお願いしてもいいでしょうか?烈様のコメントやあとがきでのやり取り、楽しみにしております。

>助からなきゃ物語的には嫌な展開になるし、【ヘブン】の暁達だって意地でも助けようとしますよ。絶対

暁「もちろんだ!!」
もちろんこちらとしても助ける前提として作品を書いております。マリアさんの洗脳を解き、無事取り戻して活躍させる機会を設けていきます!!

>暁「……それにしても、【ヘブン】の俺よ…………お互いに強く生きようぜ……(T T)(涙)」
暁「・・・ああ・・・・そうだな!!!(大泣き)」

>慧さん以上の親馬鹿な“オトメンキング”『大友 晶』さん。仕事そっちのけで向かいそうですね、本当に…;
きました、最初のほうでやってきて、相変わらず暴走してます。というか、王としての仕事かもしれんけど・・・・休めるときくらいしっかり休んでくれって思えるようなキャラを目指しております。

>イーズ「…それにしても、『五月祭』というもので、そのイベントの進行解説役をするのが【ヘブン】の暁君達が働いている喫茶店の従業員がするっているのはどうなんだろう?」

この街の地元のグルメからも注目されているほどの有名なお店(暁の料理の腕前や店員が美人で可愛い美少女店員ぞろいであるため)が「フォーシーズンズ」で、地元の特産品を料理の材料で使わせていただいており、地域の観光情報のアピール活動を行っているためです。

>レプタルスファング
名づけたのは、クロキバ殿です。ちなみにイメージは爬虫類系の仮面ライダー「シルヴァン」なので、「爬虫類の牙」=「レプタルスファング」と名づけました。

さて、次回も・・・またまた暴走してまいりますので、よろしくお願いいたします。

,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2011年01月01日(土) 09時23分15秒,20110101091939,20110104092315,2ZqX5mmi59w7M,仮面ライダーヘブン 第13話,鴎,,,第13話「Dish confrontation ALICE vs CHRIS」

(暁視点)
冷牙「そうか、アリスとセレスに関しては一応“捕虜”としてクロノポリスの監視下に置かれるということだな」
暁「・・まあな、聖が絡んでいる以上、放っておいたらあいつが何をするのか分ったもんじゃないし」

そう言いながら俺が作ったチャーシューまんをほおばり、冷牙が言う。
分厚く切ったチャーシューの肉汁と甘辛いタレが肉にしみ込み、かじるたびに口中に広がるチャーシューの旨味に舌鼓をうつ。

流水「と、言ったって、捕虜の扱いじゃないよね」(カレーまん頬張っている)
雷斗「・・・・暁、は、やっぱり、優しい」(マーボー豆腐まん食べている)
冷牙「甘いともとれるがな」
暁「何がだよ」

まあ、自分の甘さというかこういうことになるとどうも尻ごみしてしまうというか・・・。
ちなみに俺が出した「捕虜」というのはあくまで「便宜上」だ。
(「便宜上」とは「都合のよいこと」「事をしやすくするもの」である。)
まあ、何か大変な状態での軟禁とかそういう扱いは無い。移動できる場所や時間帯に制限はあるものの、それらさえ守れば基本的に自由。何をしてもいいことになってる。散歩でも、鍛錬でも。ターミナル内でのショッピングモールで必要な生活品や嗜好品だって購入できる。それに、修行には事欠かないくらい、ここはツワモノ揃いだ。ただ、施設の中を歩くのにすら移動区域制限があって、それ以上のエリア、例えば、メインコントロールルームや特殊車両格納庫、司令室など重要設備が整っている施設に行こうとすると、その都度許可がいる上、場所によっては監視までつく。(つか、監視付きなら入っていいのかというツッコミは勘弁ね)というか、アリスに至ってはかなりの注意対象だけどな。以前人の部屋に忍び込み夜襲(よばい)なんぞ仕掛けてきたから、顔を真っ赤にしたクリスが刀振り回して大乱闘になったし。ちなみに俺も言うまでもなく巻き込まれて大負傷・・・・あいつが護身用の模造刀だったからよかったけど、おかげで全身打撲・・・マジ痛かった(涙)。

クリス(あの時はアリスが下着姿でベットの中に忍び込んで、暁に迫ったりするから悪いんですっっ!!!(///))
クロキバ(しかしあの時はなぜかアリスは無傷、巻き込まれた暁が模造刀で殴られて満身創痍の大怪我であったからな・・・・ )

ふと、修行場やトレーニングジムがあるエリアを通りかかると、窓ガラス越しに誰かが鍛錬している姿が見えた。あれは・・・アリス?

シュッ・・・シュッ・・・・・シュッ・・・・。
バスン・・・バスン・・・・バスン・・・・ッ!!!

空を切る拳の風きり音とともに、まっすぐ突き出された拳がサンドバックに当たるたびに鈍く、重い音が響いてくる。
黒髪のポニーテールをなびかせ、リズムをとり、軽快なステップを踏みながら、一歩前に力強く踏み出すたびにフック、ジャブ、ストレートを時折リズムを変えながら殴り続けている。
流れる汗をぬぐいもせず、ただひたすら・・・殴り続けている。そのまっすぐな視線の先には何が映っているのだろうか・・・?

セレス「あの子、もう2時間はずっとトレーニングに没頭しているわね」
暁「セレスさん、あれ、クロキバも一緒だったんだ」
クロキバ「うむ、セレスも修行の一環で先ほどルーベットとスパーリングしてきたところである」
セレス「・・・フレアたちのことが気になることには変わらないけど、今は情報を待つしかないしね。いざというときに、いつでも戦えるようにしておかないと。ムッシュ、私たちに生きる機会を与えてくれたばかりか、このように心を尽くしたおもてなし、ご好意、本当に感謝しているわ。ありがとう」

そうクロキバに頭を下げ、優雅で美しい笑みを向ける。それを見て、クロキバが顔を真っ赤にしてあさっての方向を向いて、「う、うむ、たいしたことではないである・・・」と緊張しているかのように土盛りながら接する。それを見て、セレスも恥ずかしそうに、それでいてどこかクロキバを優しい感じがする微笑を浮かべてみている。わずかに頬も赤らめているし。あれ、この二人・・・けっこういい感じじゃん?冷牙たちもそれを察してかほほえましく、ニマニマと笑ってるし・・・。

このままじゃ、冷牙たち・・二人をからかうだろうな。
まあ、それも面白そうだけど、今はやるべきことをやるほうが先だろうし。俺はクロキバに目配りする。

暁(こいつら、一旦引かせる。その間に行きなよ。用事があるんだろう?)
クロキバ(暁・・・・ふふっ、感謝するである)
暁(その様子だと・・・・まだ情報は手に入ってない。そこで、二人に焦りが生じて感情を溜め込ませないように気分転換のために、セレスとアリスを案内しているんだろう?)
クロキバ(・・・お前は鋭いな)
暁(長年の付き合いだろ?ほら、そろそろ俺たち行くからさ。案内、任せるわ)
クロキバ(うむ)

アイキャッチのみで会話できる、そんな俺とクロキバは、お互いに認め合っている親友だ。

暁「よっしゃ、そろそろ事務所に戻って書類の整理だ。新しいデータや情報があったら更新して、手がかりを探さないといけないしな」
流水「ぶーぶー、デスクワークきらーい」
冷牙「ふっ、事務作業とかいて“睡眠時間”と呼ぶ。さあ、一眠りといくか」

このダメダメコンビは・・・・。戦闘とかではすごく頼りになるのに、こういった事務作業とか情報収集になるとすぐサボるし、やる気なくなるんだから。

暁「ダメだ、オラ、行くぞ!!」
流水&冷牙「「うぇ〜〜〜(心底嫌そうな顔)」」
雷斗「・・・・もう・・・・・・」
二人を無理やり引っ張る形で俺たちはその場を後にした。


その頃・・・。
満月が照らす夜の山の中・・・・・。
月明かりに照らされて、一人の人影がふらふらとおぼつかない足取りで河川敷を歩いていた・・・いや、足を負傷しているのか右足をひきずるようにして、だらりと下がった左腕を右腕で抑えて、懸命に全身の痛みを、ぎりりと歯を食いしばってこらえながら、前へ、前へとゆっくりと歩いている。

赤いメッシュをなびかせ、金色の髪はボサボサ、気の強そうな顔立ちにはいまだに負けん気の強さが伺えるが心身ともに疲労しきっていることが伺えるほど顔色が青白く、呼吸も荒く、目の下にはクマが浮き上がり、ボロボロになったシャツやスカート、ストッキングの端々から白い肢体が赤くにじんだ痛々しい姿となっていた・・・。

それは・・・フレア・ファルシオンの変わり果てた姿であった。

フレア「・・・ヤベェ・・・・ヤベェぞ・・・早く・・・・セレスやアリスと合流しねえと・・・・・マリアが・・・・・あいつが危ない・・・・!!」


翌日。
クラスメイト達でにぎわう昼休みのカフェテラス。
その一角で弁当を広げて、俺たち4人(まあいつもの幼なじみの面子だが)が飯を食っていると、凛が話し出した。

凛「なあ、今度の五月祭、かなり気合い入るらしいぜ。何せ、プレオープン前の博物館を舞台にイベントバトルだってよ。それで、優勝賞品が何と・・・」

穏「プレオープン前の博物館内のレストランで・・・・」

昴「ボクたち、星見の美少女4人組“フォーシーズンズ”と仲良くお茶会だって」

チラシに載っているのは、今度うちの町で毎年5月に開催している「五月祭」。
そのメインイベントとして、今度湾岸地帯に完成した新しい博物館で「星見ウォーターフロントミュージアム」(テーマは海、船、海賊や海にまつわる神話をモチーフとする海の博物館)で、プレオープン記念イベントとして五月祭と合同開催することになり、うちらはこういった市内のイベントにPRや喫茶店の営業などで呼ばれることが多い(美少女4人組というのがどうしても気に入らないけどな)ため、今回、市役所の地域特産・観光部からの依頼でうちらが商品として用意されたわけだ。

暁「・・・何で俺まで美少女としてカテゴライズされてんだ・・・」
凛「いや、まあ、お前見た目どう見たって男には見えないからな・・・」
昴「こんなにかわゆくて、細くて、華奢でむしゃぶりつきたくなるような甘いオーラ発しているのに、男の子なんてもはやサギだよね」
穏「・・・・悪魔・・・・・ダミ○ン・・・・そんな可憐な外見でどれだけの男に貢がせ、破滅の道に堕落させていったことか・・・・・おそろしやおそろしや・・・・(ナムナム)」
暁「生まれついての性別をサギ呼ばわりするな(涙)、それと勝手に俺を女と勘違いして、後から俺が男と知ってショックで世捨て人なんぞになったヤツらなんぞ知るか、しかも貢がせた覚えももらったこともねぇし」

ふっ・・・そうさ。勝手に女と間違われて、告白されて、キモすぎるセリフ言われまくって、暑苦しいヴェーゼの嵐を受けまくって、我慢の限界までキた時に戸籍抄本を叩きつけて自分の性別を告白するなんて・・・自分のアイデンティティーの証明をしたに過ぎない。生きていく上で必要不可欠なのだ。だって、いくら殴っても蹴っても病院送りにしても懲りないんだもん。しかし、戸籍抄本という揺るぎのない事実にショックを受けて、そのせいでおかしくなって出家して坊主になったりとか、男に目覚めてオカマバーに就職しちゃったとか・・・・聞いているこっちがもう呆れるやら、驚くやら。俺、よくここまでグレなかったし、道を踏み外さなかったな・・・。普通なら世を儚んで地獄の道をいくやさぐるまさんのようになってたかもしれんし。しかも道外れたの俺のせいじゃないし。

暁(・・・しみじみ、クリスとクロキバの存在が大きいことを感じるなあ・・)

そう考えると、クリスやクロキバ、クロノポリスのおかげかもな。
俺が今までどんなつらいことがあっても、嫌なことがあっても、投げ出さずに前向きに挑んで乗り越えて、諦めたくないって思える自分がいるのは・・・。
そう、あいつらがいてくれたから、今の俺がいる。

ここでふて腐れていたり、うじうじしている俺じゃダメだよな!
まあ、女装は嫌だけど、しゃあねえか!!ここでこいつらとバイトしたいって時、初めて女装して接客する羽目になるって気づいた時点でやめなかった、こいつらと一緒に学園生活やバカやりたいって選んだのも俺だし。



そしてその頃・・・。

アリス・クリス「「優勝したら暁とお茶会―――――――――――っ!!?」」

セレス「・・いや、ほかの3人もいるんだけどね」

アリス・クリス「「ほかなんてどうだっていいっ!!!(血の涙)」」

セレス「・・・凛ちゃんに、昴ちゃん、穏ちゃんカワイソ・・・・」
クロキバ「これが愛は盲目というやつである・・・」
セレス「・・・もうっ、マーマンの坊やもどうしてこんな話をよりによってあの二人に焚きつけるのかしら・・・」
クロキバ「・・・・あの小僧は・・・・」

流水「だってさあ、こういった機会でもないと、暁も、あの二人も、イチャコラ甘甘学園ラブコメディーに進展ないよ?友達の幸せというか恋心を応援したくなるというのがオトメンってもんじゃんっ!きゃははははは♪」
雷斗「・・・・・でも・・・・あの二人・・・・・喧嘩とか・・・しないかな・・・?」
冷牙「そうなったら暁のこれまでの苦労が水の泡になりかねないぞ」
流水「分かってないなあ・・・いい?こういった付き合いにおいては、馴れ合いだけの現状維持、このままでいいやっていう甘い考えはナンセンス!時としてこうやってぶつかり合って、お互いの実力を高めあいながら学び、成長する!大切でしょう?」

雷斗「・・・そりゃ・・・確かに・・・・そうだけど・・・」
冷牙「・・・しかし・・・・もう少し方法を考えろ。見ろ、あの二人の背中から発しているオーラ・・・・スーパー○イヤ人ですら、あそこまで怖くはねーぞ」

クリスの背後には巨大な青い翼を広げて獰猛な赤い瞳を光り輝かせているワシ(フレスベルグ)の姿が見えているし。

雷斗「・・・・こっちは・・・・どんだけ・・・凶暴な・・・・○タンド?」

片やアリスの背中には鋭い牙と爪を光り輝かせてフレスベルグに食らいつかんとしている黄金の鬣を振り乱している凶暴極まりないライオンが見えた。

クリス「・・・・暁とお茶会・・・・暁と・・・・お茶会・・・・!!私、頑張ります。燃えます、メラメラ燃えます、燃えてきましたあああああああああああっ!!私、頑張りますっっ!!!!(目に炎宿ってます)」

アリス「お茶会・・・てのはよく分からないけど、とにかく暁とイチャイチャ出来るチャンスってことだろぅ?願ってもないチャンスだぜぇ、あいつ、あたしを見るとすぐ逃げ出すからなぁ・・・・うふふふふふ・・・・ああ・・・・・暁をあぁんなことやこぉんなことして・・・・うふふふふ・・・あはははは・・・(完全にトリップしている笑み)」

あかん、ダメだ、これは・・・・。

クロキバ「・・・唯一の常識人であるクリスがこれでは、もはや止められないのである」
セレス「・・・坊やの災厄は、ほぼ確定ね・・・」
クロキバ「・・・セレス殿、もはや頼める義理ではないが、もし何かあったら・・せめてクリスは無傷で説得は出来まいか?」
セレス「・・・やるだけやってみるわ、ムッシュウも大変ね・・・」

クリス(暁とお茶会なんて・・・暁と二人きりでお茶会なんて・・・・ああ・・・・・楽しみましょうね、アナタ・・・なんて!!きゃあああああああああっ)
だから、他の3人は・・・・完全スルーというか、もはや空気ですか。

アリス(うふふ・・・暁・・・・・壊れちゃったらどうしようかなぁ・・・・)
もはや生きて帰れるかも分からないのですか。

雷斗「でも・・・クリス・・・・イマジンの・・・・ままで・・・・出るの?」

素朴な疑問。しかし、この空間の暴走寸前な熱気を一気にクールダウンさせるには十分であった。そしてクリスにはある意味、「会心の一撃」「ファイナルベント」「一撃必殺」という言葉がよく似合うように、茫然唖然となった驚愕で凍りついた顔。

クリス「・・・・・・・・・・・・・・・ふえ?(奈落のどん底に叩き落されたような顔)」

クロキバ「・・・・何でそんな基本的なことに気がつかなかったのだ。私たちも」
セレス「クリスちゃんのことを気にかけるあまりに冷静な分析が出来なくなっていたのでは?」
冷牙「まあ、考えればそうだわな」
雷斗「・・・・・・ごめん・・・・クリス・・・・」

クリス「・・・・・・・・・(ダバダバダバダバ)」
流水「うわ、大泣きしながら放心状態になってる」
冷牙「おーい、帰って来―い」
雷斗「・・・かける・・・言葉が・・・・ない・・・」

その時であった。

エメラルド「おーい、雷斗おるー?この間言ってた新しい発明品の試作品持ってきたよ♪て、なんで、いきなり、クリスが首吊ろうと台に乗って、首にロープ掛けようとしていて、それを皆で必死で取り押さえているというとんでもないことになってるのかな!?」

冷牙「いつものことだし、もう止める気もおきん。ところで、どうかしたのか」

クロキバ「早まるでない!!クリス、妄想くらいで余生を終わらせることはないわな!?」
クリス「離してください!!私みたいなはしたなくって、えっちぃ妄想ばかりしちゃうダメダメイマジンなんて暁にはふさわしくなかったんです――――――――――っ!!!!!(大泣き)」

冷牙「・・・いつものことだ」
エメラルド「つくづく思うけど、こんな奴らをまとめて一人で束ねられる暁って、やっぱりすげーわ・・・」
いつものことだとクールに言い切るお前もお前で問題なんだけど・・・。

冷牙「ところでどうかしたのか?雷斗なら、あいにく、クリスの暴走による一撃を食らって、あそこでノビているが」

地面には・・・綺麗にクリスのアッパーカットの一撃を食らって、白目剥いて気絶している雷斗の姿があった。

エメラルド「・・・あっちゃあ。それじゃあさ、新しい、隠密・偵察用の道具ができたから、これ、試作なんだけどさ」

そういって、取り出したのは一本のお洒落なガラスの小瓶に入っている深紅色の液体・・・。

エメラルド「あのね、こいつを使うと・・・・」

エメラルドが得意顔になって、新しい発明品の説明を話し出した。まさかこれが、とんでもないトラブルの引き金になるとも知らずに・・・・。


2日後の日曜日・・・。
晴れやかな五月晴れ、爽やかな風が吹きわたり、五月祭の会場である会場は大勢の人々で賑わっており、いくつもの出店が立ち並び、騒がしくも楽しい祭りが催されていた。

その中・・・ふと、二人の女性が出店の通りの中を歩いていく。
その美しさ、可憐さ、妖艶な色気が感じられる肢体に端正な顔立ち、一目で「美人」「美女」「美少女」と思えるような、目が覚めるような美貌を持つ二人の美少女に誰もが振り返り、見とれている。

一人は・・・・。
金色のメッシュを編みこんだポニーテールをなびかせ、革ジャンと革のパンツを着こんだ褐色の肌を持つ長身の美女と、その後ろについてくる、銀色のロングヘアを後ろで縛り、白い鳥の羽をあしらえたヘアバンドをつけて、そして純白のワンピースを着込んだ小柄で細身の少女が歩いてきた。

「なあ、あの二人、誰?!芸能人かなっ!?」
「すっごく綺麗というか・・・可愛くねぇ!?」
「なあなあ、かなりポイント高い美女がいるぜぇっ!?」
「いい匂い・・・モデルさんかな?」

アリス「さてと、その会場はどこなんだろうな」
「・・・おそらく、向こうのイベント会場では」
アリス「まさか、予選の抽選を二人で勝ちぬけられるなんてな。さぁて、ここからが本番だ、暁、ステージの上で待っているがいいぜぇ。すぐに迎えにいくからよぉ」
「・・・そうですね、そのためにここまで来たんだから諦められません」
アリス「お、ついさっきまで自殺しかけてたヤツとは思えないほど、燃えているなぁ。なあ・・・・?」

アリスが後ろの銀髪の少女を見て、楽しそうに言う。

アリス「・・・クリス」

そして、クリスと呼ばれた少女は、ムンッと胸を張って・・・勢いをつける。

クリス(人間体)「頑張ります!!」

そう、先ほどのエメラルドが持ってきていた香水。
あれこそ実は・・・。

エメラルド「この香水を浴びると、最大6時間の間、どんな姿にも変身できることが出来るんだ!名づけて“ヘンシンパヒューム!!」
冷牙「なるほどな、暁にクリスを憑依させて行動するとしても、一人だけじゃ行動範囲にも限界がある。しかし、憑依しないで、実体化させて二人になれば・・」
流水「そして、イマジンの姿をカムフラージュすることで怪しまれずにすむってことだね!」
エメラルド「そういうこと!つまり、こうすれば・・・!」

そういって、クリスに香水を吹きかけると・・・。
ばら色の霧の中から出てきたのは・・・・・。

クリス「・・・え・・・これ・・・・・私・・・・なの?」
エメラルド「へへ、成功だね!」

冷牙「なっ・・・・・!!!(///)」
流水「うそ・・・ポイント高くない?(///)」
クロキバ「・・・う・・・・うむ・・・・予想以上である・・・」
セレス「結構、綺麗じゃない?クリスちゃん。ヘブンの坊やもずいぶん別嬪なお嬢様にお熱上げられているようね・・ふふふ」

とまあ、そんなことで・・・。
人間の少女の姿となったクリスは晴れて、アリスと戦うことになったのである。


一方。
「フォーシーズンズ」控え室があるスタジオ。
そのスタジオ内でお茶を買って、凛が一人帰ろうとしていたときであった。

凛「そろそろか・・・」

その時であった。
何かを感じ、感じ取った気配の先を見ると、そこには・・・!

何かを追っているような・・・鋭い鎌の刃を光らせて森の奥をうろついている蟷螂を模したプレデター・・・マンティスプレデターであった。

凛「・・・暁は・・・ちっ・・・今頃衣装合わせか。俺でできる限りやるしかねえな!」

そういって、スタジオの裏口から飛び出すと途中でグリムが飛び出して、ピョンピョン跳ねながら凛に近寄る!そして緑色の光を放つパスを手渡した!

グリム「凛殿!!」
凛「ああ、行くぜ!!変身!!」

凛の姿が仮面ライダーシルヴァンの姿に変わり、木々を掻き分けて飛び出すや否や、マンティスプレデターに切りかかる!!
マンティスプレデターの鎌の刃とシルヴァンのグリムサーベルが激しくぶつかり合い、火花が飛び散る!!!両腕の鎌を自在に操り、変幻自在な動きで翻弄するが、それを見切っているかのように刀で交わし、蹴りを叩き込み、応戦する!

シルヴァン「ちっ!!」

マンティスプレデターの攻撃をかわして、飛びよけて、刀を構えてシルヴァンが笑みを浮かべる。

シルヴァン「・・・・ずいぶんとやるじゃねえか。それならこっちも、あんたにふさわしい、綺麗な緋の花、咲かせてやるよっ!!」

マンティスプレデターが飛び掛ると同時に駆け出し、ワニの強力な脚力で地面を蹴り上げ砂埃を上げると、、その姿が見る見る周りの景色と同化して見えなくなる・・・!
カメレオンの擬態能力を生かした姿を見えなくする幻術に、マンティスプレデターが困惑する。そして、森の中の景色に隠れて飛び出し、グリムサーベルで切りかかる!!

シルヴァン「はあっ!!」

すばやい動きで敵を翻弄し、すれ違いざまに次々と切りかかり、マンティスプレデターが吹き飛ばされる!!

シルヴァン「悪いな、ナイフの扱いは得意なのさ。・・・伊達に修羅場くぐってないからな」

緑色の光がシルヴァンを覆い、グリムサーベルを構えだす・・・。
マンティスプレデターが恐怖を感じ、逃げ出そうとするがその隙を見逃さず、シルヴァンがグリムサーベルを投げつけると、グリムサーベルが突き刺さり、それがやがて緑色の結界を生み出し、そこに捕縛する!!

シルヴァン「血のにおいがするぜ・・・あんた。誰を襲ったかは知らないけど、これ以上この祭りの会場騒がせるわけにはいかねぇんだよ」

そして、飛び上がり、両足を大きく開きワニが巨大な口を開いているイメージに重なりながら敵に食らいつき一気に挟み込んだ!!!!

シルヴァン必殺技「レプタルスファング」が炸裂した!!!
<本人は技の名前なんて考えてないが>

シルヴァン「オラアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」

絶叫を上げてマンティスプレデターが吹き飛び、そのまま大爆発を起こした。

グリム「見事!修行の賜物ですな!!」
凛「・・・やっぱり、実戦となるとトレーニングとは違うぜ・・・。それよりも、さっき、あいつ、血のにおいがした・・・これもライダーになったせいか・・・感覚がいつもよりも鋭く感じるぜ・・・・この先だ!」

凛が飛び出すと、そこは小川が流れる川原。
その近くにある洞窟、そこにいくと、そこにそのものはいた・・。

凛「・・・・あ!!」

そこにいたのは・・・くすんだ金色の髪に赤いメッシュを入れ、首から下げた黒いネクタイとベスト、ミニスカートを着込んだパンクロッカーのようなメイクをしている少女・・・フレア・ファルシオンの変わり果てた姿があった。座り込み、青白い顔だが、わずかに息があった。先ほどのマンティスプレデターに襲われたのは彼女らしい。

凛「お、おい!!大丈夫か!?」

凛がフレアを抱きかかえると、フレアがわずかにおぼろげな意識で、うなされるように言う。

フレア「・・・・・アリス・・・・セレス・・・・どこだよ・・・・ヤベェんだよ・・・このままじゃ・・・このままじゃ・・・マリアが危ない・・・!!」

凛「こりゃ重傷だぜ・・・グリム、こいつの治療を頼む。そして、こいつを近くの病院まで俺が連れて行く!!」
グリム「了解!!」

凛「こいつ・・・暁が教えてくれた確か四天王の一人だ・・・!!何があったんだ・・・!?」

フレアだって実力は四天王の中でもかなりのものであるはずなのに・・・。
その彼女をここまで痛めつけたとは相当の実力者である。

戦々恐々としている中、その様子を一人の人物が見ていた。
その手には、血まみれになった二本の青龍刀が握られていた・・・!

マリア「・・・仮面ライダーシルヴァン・・・・ですか。いずれにせよ、イングリッド様の計画の邪魔になるというのなら・・・・倒すまで・・・・」

それは・・・・マリア・シャークエッジ。

しかしその瞳は赤く狂気に満ちた光を放っており、その表情はどこまでも冷たく無表情で、傷ついたフレアを、凛を、冷たく見下ろしていた・・・。
その胸には・・・「女教皇(ハイプリエステス)」のカードが植えつけられていた。

マリア「・・・フレア・・・死に損ないましたね・・・。ですが、逃がしはしない。セレスさんも、アリスも、ヘブンも・・・まとめて・・・“聖様”とイングリッド様にささげる生贄となってもらいますよ・・・・ふふふ・・・!」

聖からの最悪の「刺客」となったマリアが見据える先には・・・。
五月祭の会場・・・・そしてそこには・・・アリスとクリス、暁がいた・・・!!


その頃。
イベント会場では、いよいよメインイベント、「フォーシーズンズ」とのお茶会をかけた、壮絶なイベントが開催されようとしていた・・・!
アリス「何だろうな?」
クリス「どんな試練でも、受けて立つです!」
お前ら本当に仲がいいのね。

昴「凛、病人の手当てで1回戦のラウンドガール間に合わないって!」
穏「・・・・いなけりゃ、司会がいない(やれやれ)」
暁「・・・お前らは準備はあるし・・・仕方ない、俺がいく!!」
昴「よっ、暁くん、男だぜ!」
穏「ドンドンパフパフ・・・・」

そういって、暁がステージに飛び出した・・・!!

「さっとるちゃああああああああああああん!!」
「今日もクールでかわゆいぜぇえええええええええええ!!」
「オトコの娘萌えええええええええええええええっ!!」

暁「(もう、覚悟決めるしかねえし)それでは!!これから、第1回戦をはじめるぜっ!!気合入れていこうぜえええええええええっ!!」

そんな暁の姿は・・。

腰まで伸ばした黒髪のロングヘアのウィッグ、穏仕込みのメイクにより、端正な顔立ちの美貌や可愛らしさを十二分に引き出しており、華奢で細い体躯は・・・・スリットがきわどく入り白い太ももがあらわになった真っ赤で黄金の竜の刺繍が施されたチャイナドレスを着込んだ姿であった。どこから見ても、どう見たって・・・・「美少女」である。

アリス「ぶっ・・・(鼻血)」
クリス「ぷぅ・・・・(気絶寸前)」

暁「第1回戦は・・・!!室内360度どこから飛び出すかわからない!!海賊ドクロ叩きゲーム“スカルパニッシュ”!!!」
昴「このゲームに勝ち残れるのは予選勝ち抜けメンバー16人中・・・10人!!」

ルールは簡単!
特設会場に設けた船室風の部屋の中でいたるところから飛び出してくる海賊ドクロ人形をたくさん叩いて、ポイント稼ぎ、上位10位を目指すこと!

昴「上位10名には、第2回戦への参加チケットを送ります!そしてさらに!その中でもベスト3に入った方には・・・何と・・・・私たちフォーシーズンズの誰かが写っている特別ピンナップ写真をプレゼントしまーーーーーす!!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおつ!!!」」」

大勢のギャラリーから凄まじい熱気のこもったエールが響き渡る。

アリス「暁の生写真・・・・これは・・・もらわないとなあ!!」
クリス「・・・負けません・・・・絶対・・・じぇったい・・・負けません!!頑張ります・・!!」

今、熱いバトルが始まろうとしていた。

続く
Next line 「Murderer who carries despair」
,新年あけましておめでとうございます。
今年1年も何卒「仮面ライダーヘブン」のほどよろしくお願いいたします!
さて2011年最初となる今回の話は、クリスとアリスの対決・・・だったはずなのですが、まさかのマリアが聖の「女教皇」としてフレアを襲撃し、アリスとセレスにも牙を剥くというとんでもないことになりました。聖に操られ、凶暴な状態で暴走するマリア、そしてクリスとアリスのガチンコバトル、暁の受難は続きますが、ここで逃げる彼ではない。次回も彼は活躍します!!

今回、クリスの暴走が目立ちましたが、ちょっとコメディ風の作品として書いてみたので、表現が行き過ぎていたら今後気をつけます。そして今回登場した新しい発明品「ヘンシンパヒューム」は浴びることで自分が望むものの姿に一定時間化けることができます。最大効果は6時間。時間がたつと、元の姿に戻ります。

レスをお返しします。
>烈様
>暁「…それにしても、『グリムライナー』を操作するためのバイクのネーミングが『マシングリムドラゴン』って言うのは、安直過ぎやしないか?」
星「…まあ、確かにな。もうちょっと別の名前とかを考えた方がよかったんじゃないかって思うわ…;」

ご意見ありがとうございます。貴重なアドバイスとしてありがたく受け取ります!!!
実はグリムにちなんで書いてみたのですが、今後のバイクの名前は守護獣のイメージから名づけることがありますので、今後ともよろしくお願いします。

>しっかし、あちらの暁の説教とは、どれほどのモノなのでしょう?

クロキバ「正論なのだがな、あの迫力といい、普段の温厚さからは感じられない厳しき怒りがかなりのギャップがあるのである。でも、まあ、暁の説教は隊員たちにとってもいい刺激となるのであるよ。怖いのは・・・・クリスのお仕置きのほうである」

>“隠者(ハーミット)”は何時頃に作ったんだ?
実は最初から作ってあって、森の中に長い間力を蓄えさせて待機させていました。聖ならではの性格の悪さならではです。

>ボルダー
イメージはどちらかというと、「デジモン」の「レーベモン」や「ゲキレンジャー」の「理央」をイメージして、土に対して乗り物といえば、車系がいいなと思い、ジャガーと車のジャガーをかけてみたのです。しかし、確かにラトラーターに似てますね。以後気をつけます。

>リクエスト
またまたすみません・・・・。
今回のお話からで、今まで感想を書いてくださったメンバーの中に・・・「四天王」の「アリス・ビストレオ」を烈様のイメージでコメントお願いできませんでしょうか?

ちなみに、設定はこんな感じです。
一人称は「あたし」。
二人称は「お前」か呼び捨て。
普段はクールかつぶっきらぼうな口調。でも女性らしさはあり、粗暴ではない。
暁がからむと誘惑するようなえっちぃ口調に変わる。
「愛してるぜぇ」→暁「冗談じゃない!!」
といったように、基本暁はアリスが大の苦手です。本当はそう悪くは思っていないのですが。素直になれない感じだととても嬉しいです。

>@PF様
>慧の暴走
これに関してはアリスと対等に渡り合えるのはやはり慧ではないかと思い、彼女にしました。責任感が強すぎるあまりに周りが見えなくなってしまうこと、その欠点に対して常に前向きで挑む暁、後悔し引きずりながらも過去から学んだ教訓をもって未来に生きる慧、今後の二人のやり取りにも変化が訪れるかもしれません。

>起きている間
暁「絶対やらねぇっ!!!!だって・・・恥ずかしい・・・だろうがよ・・・。しかもアリスルートだとっ!?地獄への片道切符か、@PF様っ!!!俺はいいからなっ!?」

次回もよろしくお願いいたします。

,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,1 2010年12月31日(金) 02時17分56秒,20101231021756,20110103021756,2eVKQy8DdEydg,仮面ライダーセレナ:設定トリロジー(←特に意味はない),@PF ,,,あらすじ
 西暦某年
 かつて悪の組織に改造された記憶喪失の少女”赤坂鷹音”は突如現れた”キメラのキメラによるキメラの為の社会を作る団”を名乗る組織を倒す為、仮面ライダーセレナに変身して戦う決意をするのだった。

基本的な舞台
旗岬町(はたみさきちょう)
 要研究所があり、かつて対キメラ組織の本拠地にもなった町。
 海に面していて、反対側で大都市と隣接している。
 第三封印特区と呼ばれており、多数のキメラが住んでいる。
 そのせいか、所謂暴力団やチンピラが殆ど存在していない、ある意味治安の良い町となっている。

登場人物

赤坂鷹音(あかさかたかね)
 仮面ライダーセレナに変身する御旗高校二年生の少女だが、一時死亡扱いに成っていたのと、改造により老化の速度が変化している為、実年齢は不詳だったりする。
 一年半ほど前より以前の記憶がないが、その正体はかつて仮面ライダーフォルテと幾度も戦ったキメラ“コンドルファクター(=ストームファクター)”
 だが、現在は力を失っており、本人もその事を知らない。
 改造の影響か髪と瞳が銀色になっており、特に銀髪は密かな自慢であり、お手入れは欠かせない。
 結構大食いで身長は低めだが、特に気にしていない。
 但し貧乳を気にしている。
 キレ易くやや単細胞だが頭の回転や知能その物は優れていて、実は成績は良い。

 現在絶賛ロリ化中
 ただしすくすくと成長中

 赤坂鷹音(黒)
  鷹音の夢の中に出てくる赤坂鷹音を名乗る少女。
  鷹音と同じ顔をしているが、瞳は黒色である。
  鷹音の過去を知っているらしく、彼女を激しく憎悪している一方で気に掛けても居る模様。


要巻奈(かなめまきな)
 鷹音の世話をしている姉的存在で、仮面ライダーマキナに変身する。
 家事全般に精通し、護身術も嗜んでいる。
 鷹音には優しいが、創造主である健一郎には厳しい。
 正体は要研究所製のロボットで、本名は“AMS−26C8・Machina(マキナ)”。
 結構胸が大きい(鷹音曰く“ニセおっぱい”)。

セレナ
 “ARS−04・仮面ライダーセレナ”の制御補助システムでもある特殊AI。
 ちょっと嫌な方向に成長していて、発想が物騒な上に毒舌。
 趣味はテレビゲームとインターネット。
 塩水や砂糖水、あとマヨネーズが弱点で、漬け込まれると精神崩壊を起こす。

クロ
 クロウファクターに変身するカラス。
 ♀
 人語を話す事が出来る。
 雑食。
 セレナと仲が良い。
 所長に戦闘態の姿を、ロリっこに変えれられた。
 本人は特に気にしていないらしい。
 その際、羽根を爆発する短剣に変換する能力を得ており、それを使った爆撃を得意とする。

所長
 要研究所の所長。
 本名”要健一郎(かなめけんいちろう)”
 ARSシリーズ及び、巻奈の生みの親。
 天才的な頭脳を持つが、思考回路が少しおかしい。
 常に変なメットを被っている。
 一言で言えば変態、だが、真面目な時は真面目な人。
 巻奈には”お父さん”、セレナには”アホ”、鷹音には”変態オヤジ”と呼ばれて居る。

エギゼ
 健一郎のメットに宿る、謎のAI。
 現時点では役割は不明。未だ学習途上との事。

獅堂灰斗(しどうかいと)
 鷹音のクラスにやってきた赤毛の転校生。
 余り勉強は出来ないが、職業柄社会科関係は徹底的に叩き込まれており、それだけは成績が良い。
 フレイムファクターの正体であり、スティンガーの二番隊隊長。
 つまり公務員で、それなりに高給取り。
 本人はもっと血税の使い道があるだろうと思っていたりするが、上司に抗議してまで給料を減らそうとまでは思っていない。
 洗脳時代の経験から、命の重さに対する価値観が狂ってしまっており、キメラの力を悪用する者の命を、極端に軽んじる思考を持つ。
 普段は見た目も中身も普通の高校生なのだが、仕事(=戦闘)に成ると一転して冷酷無情な性格に変わる。
 水を操るキメラを探している。

麻倉竜斗(あさくらりゅうと)
 二年前まで仮面ライダーフォルテとして活動していた青年。
 鷹音の兄のような存在であり、最初の世話係。
 鷹音には竜兄と呼ばれている。
 常にサングラスを着用するのは、目にコンプレックスが有るからであり、他に深い意味はない。
 鷹音の力と記憶を奪った張本人であり、その事を気に病んでいる。
 鷹音との戦い以来、何でも一人で抱え込もうとする悪癖が発露しており、オマケに本人に自覚が薄い為に色んな意味でタチが悪い。
 また、キメラと戦う事に対しても消極的である。

フォルテ
 “ARS−02・仮面ライダーフォルテ”の制御ユニットでもある総合補助AI。
 セレナの事を愚昧、鷹音の事を小娘と呼ぶ。
 セレナには自分をお姉ちゃんと名乗り、巻奈の事もそう呼んでいる。
 常に優先事項の最上位に竜斗を据えており、多少バカにする事はあるが“竜斗>>>|越えられない壁|>>>その他全て”である。
 セレナと違い、水溶液やコロイドに付け込まれても平気。

楠木柚乃(くすのきゆの)
 鷹音の最初の友達で背が低く、胸が大きい、ロリ巨乳、結構もてる。
 些細な物でも好奇心を抑えられない性格。
 交友範囲が広く、割と情報通。
 勉強は普通だが、鷹音には負けているらしい。
 テスト前には一夜漬けを良くするが、成績は結構良い。

 現在は夏休み編なので空気以下。

土方燐五郎(ひじかたりんごろう)
 スーパー土方の店長で、歳は62才。
 キメラを差別せず、むしろ力仕事に向いていると積極的にアルバイトに採用している。
 サブキャラ以下

遊希
 灰斗が探している水を操るエレメントシリーズ。
 灰斗に執着しており、彼に接触する為だけにCCC団に身を寄せている。
 また、灰斗と自分以外の存在を軽んじている部分が有る。

綺稲
 CCC団の一応の団長を務めるエレメントシリーズ。
 金髪で膝下まで届く程の長いお下げの髪型をしている。
 本人曰く「エレメントシリーズではかなり弱い方」
 遊希と一緒に暮らしているが、力関係では遊希より下である。


登場ライダー

仮面ライダーセレナ  (ARS−04・Serena)
 赤坂鷹音が変身するライダー。
 ボディカラーは白。
 空気中の元素を集積、変換する事で戦闘スーツを形成する。
 スーツだけでなく、鷹音の体内のナノマシンに干渉して、キメラとしての力も引き出す事で戦闘力を高めている。その結果、装着者と半ば融合しているような状態に成っており、体内の生体機能その物に干渉して疲労や痛覚の遮断などが可能。
 実は「使用しても危険はない」と判断されただけで未だ不完全であり、鷹音による実動データを元に、問題点を一つ一つ改善して行く事で少しずつ完成度を高めて行っている状態である。
 特に体内のナノマシンとのリンク関係のシステムが不完全で、鷹音の体にも色々反動が出やすい困ったスーツでもある。
 緊急起動プログラム“フォロン”により、装着者が変身中に気を失ってもセレナの意志で体を動かす事が可能(但しセレナは人間の体を動かす事に慣れていない為、発動中は著しく不器用になる)。
 自己修復機能は“セレナ”のスーツだけでなく、装着者の傷も回復できる。
 必殺技は変形した脚部のスラスターで加速した蹴りを放つ“ジェット・スマッシュ”。
 どちらの脚でも放つ事が可能で、二倍のエネルギーを消費して両足で放つ事も出来る。
 開発中であった為に封印を免れた唯一のARSシリーズ。
 一応対キメラ戦闘スーツと言う事になっているが、本来の存在目的は「力を失ったエレメントシリーズ」である鷹音の存在を秘匿し、自衛させる事である。

 ベルトのリングを任意の色が上に来る様に回し、押し込む事でスペックのバランスを変更する“モードチェンジ”を行う事が出来る。
 また、変化した武装にバックルの“イグニションキー”を差し込む事で、対応した必殺技を放つ事が出来る。

モード
デフォルトモード(Default-mode)
 セレナの基本形態。
 元々特にモード名は決められていなかったが、モードチェンジが解禁された為、便宜上こう呼ばれる様になった。
 “ジェット・スマッシュ”を放てるのはこのモードのみ。

ニムブルモード(Nimble-mode)
 高機動戦闘に特化したモード。
 アーマーがややスッキリしたデザインに変わり、各部に青いラインが入る。
 スピードと反応速度が向上している代わりに、パワーと防御力が低下している。
 正直このモードでは打撃によるダメージは期待できない。
 後述の“ニムブルクロウ”とのセットでの運用が前提となっている(というか他の武装は上手く使えない)。
 ただしスピードを乗せた一撃は中々に侮れない威力を持つ為、戦い方次第である。

クラッシュモード(Crush-mode)
 パワー、防御力に特化したモード。
 アーマーが角張り、ブロックで出来た様な形に変化し、両腕に六角形のシールドが装備され、各部に紫のラインが入る。
 ニムブルモードと正反対の性質を持ち、速度が大幅に低下している。 
 両腕のアーマーの形状の関係で、ニムブルクロウを装備できない。
 スーツの出力だけでなく、鷹音自身の筋力も大幅に強化すると言う性質上、このモードに変化すると解除した時に全身の筋肉が強張ってしまう。

ストレイトモード(Straight-mode)
 突撃力に特化したモード。
 プロテクターが流線型に近付き、全体の印象としては騎士甲冑に似る。
 ラインの色はオレンジ。
 背部には厚めの板状のパーツが付いている。
 本体のスペック自体は、パワーはデフォルトモードより多少高い程度、スピードはクラッシュモードとほぼ同等、反応速度はニムブルモードと大体同じである。
 戦力を脚部ローラーによる突撃力に大きく依存しており、それを生かす事で初めて真価を発揮できる。
 突撃による最大攻撃力はクラッシュモードをも上回るが、本体その物の戦闘力は大した事が無い。
 背中のパーツは展開して翼になり、空中戦も可能である(但し、飛行には多量のエネルギーを消費する)。
 突撃時の空気抵抗から体を守る為に強力なエネルギーシールドを発生させる能力もあり、高速移動していない時ならば、コレを防御に転用する事も出来る。
 技術的限界により衝撃吸収機構が不完全で、トップスピード、又は長時間走行を行うと、鷹音の三半規管に負担が掛かり、酷い車酔いのような状態になる。

ディストモード(Dist-mode)
 環境解析と精密動作、それを利用した射撃戦に秀でたモード。
 ボディはニムブルモードに似た形になり、四肢の装甲は一回り程大きくなる。
 また、ヘッドギアも大きくなり、アンテナが増える。
 ラインの色はグリーン。
 スペックは機動力が、変身前以下、一般人並みに低下し、防御力はニムブルモードとデフォルトモードの中間位に成っている。
 しかしパワーはメインウェポンであるディストジェミニを精密に動かしつつ、反動を抑え込む為に、ストレイトモードを上回る様に設計されている。
 その為、戦闘スタイルは足を止めての射撃戦が基本となっている。
 しかし、防御力の問題を除けば、パワーがあり、精密動作も可能な為、足を止めての殴り合いもそれなりに強いという、微妙に本末転倒な事になっている(まぁ、距離を離されたら追いつけないのだが)。
 また、短時間かつピンポイントだが、バリアを張る事も可能。

ガイストモード(Geist-mode)
 限定範囲内の撹乱・探知能力に特化したモード。
 スペックその物は最低クラスだが、この形態の最大の特徴は、変化時に展開される白銀の霧「ミストセル」。これは範囲内の全ての存在の位置・方向認識を徹底的に乱し、領域内ではセレナ以外は歩く事すら気軽に出来なくなる。
 更にこれらは同時にガイストモードの感覚器としても働き、範囲内のあらゆる事象を、五感で感じる以上に感じ取れる。
 ミストセルはガイストモードの能力と言うよりはモードの一部。

セミ・フォールダウンモード
 鷹音の中に潜む“何か”が表出した時に、変化する。
 外見上の大きな変化は無いが、スペックが上昇し、風を操作する能力が発現、手当たり次第に攻撃するだけの存在となる。
 内在する意識が混線している為に明確な意志は持たないが、キメラと仮面ライダーを最優先で破壊しようとする。
 但し、能力に体が着いていかない為、この状態で居るだけでナノマシンに体が食い潰され、ボロボロになって行く。

装備
セレナスティンガン
 セレナのベルトの左に折りたたまれてマウントされている銃剣型可変武装。
 まっすぐにする事で等身が伸びてレイピアモードに、真っ直ぐから60度位曲げた状態にする事でブレイガンモードになる。
 グリップにベルトのボックスから取り出したメモリースティックを差し込む事で、対応した武装に変化する機能がある。
 変化自体はモードに関係無く可能。

ニムブルクロウ
 形状は爪の生えた青い手甲。
 セレナスティンガンに青いスティックを差し込む事でこの形に変化する。
 セレナスティンガンよりも遙かに軽く、さらに装着している腕の力を上げる効果もある。
 刃はスティンガンのレイピアモードよりも鋭いが、余り長くない為、かなり接近しなければ当たらない。
 また、手甲はやや幅広な為、小型の盾としても使える。
 キーを差し込み発動する必殺技は雷撃の籠もった爪で切り裂く“サンダースクラッチ”。

クラッシュハンマー
 形状は紫の巨大なけん玉型ハンマー。
 セレナスティンガンに紫のスティックを差し込む事でこの形に変化する。
 通常のハンマーと、鎖付き鉄球が使用可能。
 鉄球のロックはグリップの引き金を引く事で外れる。
 その重さ故に、クラッシュモード以外では上手く扱えないが、近〜中距離の幅広い攻撃範囲を誇る。
 必殺技は、鉄球をハンマーで受け止めた状態でキーを差し込み発動する。
 反対側のハンマーは展開してロケットブースターに変化。
 その噴射の加速を利用した強烈な一撃”パニッシュメント・ワン”。

ストレイトランス
 形状は銀とオレンジ色のランス(突撃槍)。
 刺突に特化した武器。
 セレナスティンガンにオレンジのスティックを差し込む事でこの形に変化する。
 性質上、ストレイトモードの突進力と合わせる事で真価を発揮する。
 必殺技はランスを高速回転させ、展開した全身のスラスターにより生み出される加速でもってソレを対象に叩き込む”オーバーチャージ・ストライク”。
 現状では全ての必殺技の中で最も強力である。
 それに従い、消費するエネルギーもトップクラスである為、通常でも最大三発、現状では一発が限界。

ディストジェミニ
 形状は蒼と赤の二丁拳銃。
 セレナスティンガンに緑のスティックを差し込む事でこの形に変化する。
 ディストモードの緑と合わせて、光の三原色をイメージしている。
 蒼い方は「ディストガンナー」と名付けられ、弾速が早く、貫通力も高い為、精密射撃に向いている。
 また、通常弾、光弾、そして氷結弾を撃つ事が可能。
 赤い方は「ディストブラスター」と名付けられ、弾速は遅いが、弾が大きく、破壊力も高い。
 更に実弾、光弾モードに加えて、散弾モードへの切り替えも可能で、攻撃範囲を重視している。
 此方は氷結弾ではなく、爆裂弾を撃てる。
 基本的に実弾であり、周りの分子から弾丸を形成して補充できるが、連射中は補充が出来ないという弱点がある。
 キーを刺し込む事で、コネクタが展開し、接続する事が出来る。
 蒼を後にすると氷属性のビームキャノン「クリスタルランチャー」に。
 赤が後だと炎属性の超長距離狙撃ライフル「フレイムストライカー」に変形する。
 それぞれの必殺技は「アンチドライブ・スフィア」と「バーニング・ビーク」
 本来の必殺技は、前者で固め、そこを後者で撃ち砕く「オルタネイト・クラスト」だが、現在の鷹音では、体力的にどちらかしか使えない。

ガイストリッパー
 あらゆる物を切り裂くブーメラン状の「単分子カッター」
 性質上、そのままでは実はキメラには効果が薄い。
 必殺技は特定の相手に強い毒性を持った光状の信号を纏わせて切り裂く「ヴェノムインパルス」
 効果は擦っただけで戦闘不能になる程。ただし効果対象外には精々前後不覚になる程度の効果しかない。

マシンアクセラー
 セレナの専用バイク。
 後部に可変ボックス“ギミックコンテナ”を搭載しており、いくつかの装備に変形する。
 研究所のレーダーとリンクしている。
 時速900キロ近く出せるポテンシャルを秘めているが、当初は操縦する鷹音の技量と度胸が追いついていない為70キロ前後が限界だった。
 現在は地道な練習により、少しずつマシに成って来ている。
 が、現在の鷹音の縮んだ体では、手足の長さが足りない為、乗れない。
    装備
     ホーミングアンカー
     トリモチランチャー
     スパークネット

仮面ライダーフォルテ (ARS−02C4・Forte)
 麻倉竜斗が変身するライダー。
 ボディカラーは黒。
 初めて実践投入された正式な”ARSシリーズ”。
 完成した時の技術水準の差から、セレナに比べて技術的に劣っている部分が有る。(例として変身時の源素固定の手法など)
 必殺技は右脚部のディスチャージャーからヒットした瞬間にエネルギーを解放する“フォトン・ストライク”
 装着者の竜斗は純粋な人間だが、長期の戦闘データの蓄積により、ほぼ完璧に彼用に調整されており、装着者がキメラであるセレナ以上の出力を、装着者に殆ど負担を掛けずに発揮出来る。
 但し、現在は復活したてである為、調整に僅かながらズレがあり、その力をフルには発揮できない(実際は使えるのだが、竜斗の体を気遣っているフォルテが封印している)。
 オマケに竜斗自身が戦いに消極的なところがある為、現在の戦闘力は全盛期の4割にも届かない。
ライトブレイカーという切り札があるが、使用には色々な制約と代償を伴う為、現状は使用不可。

 最後の改造で、技術関連がほぼ最新の物に換装されているが、既に完成してしまっているシステムである事に加え、一般人が装着する事を前提としている為にデリケートな部分も多く、仕様変更されていない部分もある。
 補足しておくと、変更されていない部分も時間とコストを無制限に掛ければ換装可能ではあるのだが、してもコストとパフォーマンスが全く釣り合わず、換装せずとも大した不都合が無い部分もある為、放置されている。
 何よりも製作者が「個性が欲しい」と言い出したのが原因。

 前大戦で最も有名に成ったライダーであり、その名前は色々な所に強い影響力を持つ。
 同人誌とか作られるレベル。本人は嫌がっているが、名前の使用権は研究所の密かな財源になっている為、使用料などの多少の制約はある物の、二次創作への使用は禁止されていない。

オルタチェイサー
 フォルテ専用のバイク。
 竜斗が免許を持っている為、日常の足としても使用しやすいように調整してある(マシンアクセラーは完全にセレナに変身した状態で登場する事を前提とされている為、普通の人間が扱うには多少無茶な調整になっている。その分性能は良いが)

仮面ライダーマキナ  (ARS−00C8・Machina)
 要巻奈がアナザーコアを使って変身するライダー。
 ボディカラーは鈍色。
 変身スーツというより、お手伝いロボ“マキナ”に戦闘用マシンと同じ戦闘力を後付けする事をコンセプトに開発されたアタッチメントに近く、後発のライダーの設計の元になっている。
 ”ARS−00”とは別に戦闘用ロボットとしての“AMS−26”という型式番号も持つ。(と言うよりむしろこちらのコードの方が先であり、ARS−00のコードは、ARSシリーズの原型という意味を込めてフォルテ完成後に与えられた物である。)
 厳密にはARSシリーズには含まれない。
 初期は人間用戦闘スーツ開発の為のデータ収集機として、アタッチメント部にのみ改造を重ねられていたが、ARS−02フォルテの完成によりその役目を終え、現在は本体である“マキナ”にも改造が加えられている。
 何度も大規模な改造を受けており、常に最新技術が投入されている。
 変身すると、戦闘用追加アタッチメントであるアナザーコアと、マキナの電子頭脳をリンクさせて思考拡張を行う為、思考が戦闘用に最適化され性格が多少過激になってしまう。
 基本戦術は多彩な銃火器による射撃だが、格闘戦が弱い訳ではなくむしろ非常に強く、単に巻奈の好みの問題である。
 基本動力のジェネレーターに加え、特殊な動力機関が封印状態で複数組み込まれている。
 これらを段階的に解放する事で戦闘力を引き上げる事が可能である。
 整備不良が原因の故障によりアナザーコア・アサルトレイダー共々修復中につき使用不可だったが、現在は復活し、コードが”ARS−00C8”に変化した。
 それに従い、基本装備の拳銃を追加で生成する能力が実装されている。
 必殺技はバックルのダイヤルを回す角度でレベルが変わり、現在までに判明している必殺技は、右足に電撃を集中させ、蹴りと共に撃ち込む”レベルV・スパークライダーキック”と電撃を纏った掌で相手を掴み、感電させる“レベルT・スタンクロウ”

フルドライブモード(Full Drive−Mode)
 マキナの内部のジェネレーターの出力を、ボディの限界ギリギリまで引き上げた形態。
 この形態では、アーマーの各部から放熱板が生え、髪が金色になる。
 基本スペックが数倍にまで上がるが、アナザーコアの影響がより強く成る為、性格が更に過激になってしまう。

装備
 大型拳銃
 ビームライフル
 大型ガトリング砲
 大剣
 誘導浮遊兵器”アガシオン”×12
 その他多数

 ※(武装は随時追加予定)

 アサルトレイダー
 恐らくマキナ専用バイクと思われる兵器。
 人型戦闘形態「クロスファイターモード」と対組織戦用殲滅形態「ジェノサイドファランクス」に変形出来る。
 現在は研究所で修復及び改修中。

ARS−03・???
 その名の通り、ARSシリーズの三番目。
 但し、コンセプトの関係から製作に非常に難航しており、後発であるはずの”04=セレナ”が仮ロールアウトした現在でも、未完成となっている。
 本来ならARSシリーズ最後の機体にしてある意味集大成となるはずだったナンバーであり、00・02のデータを集約して製作されていた。
 だが、大戦終結と、イレギュラーである04の製作開始により、ほぼ凍結状態になっていた。
 現在は04の仮ロールアウトにより、凍結が解除され、00・02・04の改良作業の傍ら、それらのデータをフィードバックしつつ、少しずつ完成に向かっている。


勢力
要研究所
 鷹音たちの家から徒歩一分の場所に建っている、ARSシリーズを開発した研究所。
 日本に三つ存在する公認の対キメラ組織の一つでもある。
 元は民間の組織だったが、キメラの脅威が世界規模に発展した際、仮面ライダー達を国家の戦力として運営する為に、形式上政府の管轄下に置かれている。
 その為、ある程度国に対して発言力を持つ。
 これは他の対キメラ組織も大体同じである。

キメラのキメラによるキメラの為の社会を作る団
 通称CCC(C3)団。人間に敵対しようとするキメラたちの組織。
 何らかの目的に従い、破壊活動と仮面ライダーとの戦闘を行っている。


その他の用語
※仮面ライダー
 人類を脅威から守る為に戦う、仮面の戦士の総称。
 世界各地に様々な仮面ライダーが存在し、そのコンセプト、作られた目的は様々である。
 その姿は様々で、いかにも特撮ヒーロー然とした者から、「それコスプレじゃないの?」と言われそうな者まで多種多様。
 キメラ出現以前から、都市伝説として極一部の間で語られていたが、キメラとの戦いで一般に広く認知されるようになった。

※キメラ
 かつて自らを「進化を目指す者」通称E・Vと名乗る謎の組織に、ナノマシン技術を使用して改造された存在の総称。
 動物や植物の性質を加えられており、個別のコードはその加えられた性質の元になった動植物の名前を取って、「○○ファクター」とされている。
 素体そのままの姿を取る省エネ形態の「待機形態」、ナノマシンを活性化させて、その能力を全開にした「戦闘態」の二つの形態を持つ。
 戦闘態の姿は、男と女でその傾向が大きく違い、男は全身が完全に変化した、怪物然とした姿になるのに対し、女の場合は人間に比較的近い姿を維持した形になる。
 この為、保持する動植物の性質が同じでも、男と女で戦闘態の姿には大きな差が出てくる。
 この関係で、男性のキメラは力、女性のキメラは機動力に秀でる場合が多い。
 一応待機形態でも非常に高い身体能力を発揮するが、人間の限界を飛び抜けている事はまず無い。
 機械の頑丈さと生体の柔軟さが高次元で補足し合っている為、非常に死に難い。
  その為、頭部を完全に破壊する、又は体の大部分を消滅させる等、過剰かつ非情な手段を取らない限り、戦闘態のキメラが死ぬ事はまず無い。だが、エネルギー を伝達する媒介に成っている血液・組織液が一気に失われたり、首と心臓を切り離した状態で、ナノマシンの機能が停止するまでそのままの状態でおかれたりし た場合も死ぬことがある。
 当初はE・Vによる精神操作で、殆ど自我を奪われていたがE・V壊滅後、捕獲・救出されたキメラの殆どは精神治療を受け元の人格を取り戻し、社会復帰している。(鷹音が記憶を失っているのは頭部に”フォトンストライク”を受けた為であって改造が原因ではない)
 しかし、かつての戦いから、キメラに対して根強い反感を持つ人間も多く、過激な行動に出る者もおり世界各国で問題になっている。
 また、殆どの素体が、一時的に死亡扱いに成っており、更に改造により成長速度の変化が起こっている為、社会復帰後も年齢の扱いが曖昧になっている事が多い。
 現在一般のキメラが戦闘態になる為には事前、或いは事後の手続きが必要であり、非常に面倒な上、破ると思い罰則が科せられる為、殆どのキメラはCCC団が襲ってきても余程の理由が無い限り変身しようとしない。
 まれに動物が素体になっている場合も有る。その場合、その動物の性質が強化された上で知能が人間並みになる。

 一部の研究機関では、彼等を製作するに当たって、E・Vは何か別の生命体を参考にしたのではないかと言う説が出ているが、詳しい事は明らかになっていない。


※エレメントシリーズ
 かつての戦いで20体程確認された、ナノマシンの変異により自然物(火、水、土、風、雷等)を操る力を得た特殊なキメラの事。
 キメラをキメラたらしめるナノマシンその物が特殊な進化を果たしている為、自然物操作能力以外に、通常のキメラを遙かに凌駕する身体能力も獲得している。但し待機形態のそれは普通のキメラと大差ない。
 殆どの個体が、数分で大きな町を壊滅させられる程の圧倒的殲滅力を持っており、オマケにソレを個人の気まぐれ行使できてしまうため、核兵器以上に危険視する物も居る。
 その為、一般人に余計な恐怖を抱かせない為に、存在その物が秘匿されている。
 また、能力の関係上、かつてE・Vに大量殺戮に利用された為、そのトラウマから殆どのエレメントシリーズが何らかの精神疾患を抱えている。
 キメラとしてのコードとは別に、象徴する属性にちなんだコードも与えられている。

※ARSシリーズ
 要研究所が開発した、人間用対キメラ戦闘スーツ。
 ARSとは”アーム・ライド・システム”の略。
 ”00”であるマキナのデータを元に開発された。
 ただし、マキナはARSシリーズの元になったのであって、ARSシリーズの試作機という訳ではない。
 共通の特徴として装着者の生命力を取り込んでエネルギーに変換する“オーラアブゾーバー”と、エネルギーを消費して行う自己修復機能が組み込まれている。
 但し、純正の機械であるマキナに関してはオーラアブゾーバーの仕様が大きく変わっている。

※E・V
 かつて「進化を目指す者」を名乗り活動していた組織。
 ナノマシン技術を用いて全てのキメラを作り出した元凶。
 二年半前、鷹音が目を覚ました一年前に対キメラ連合軍の攻撃により壊滅した。
 その際、E・Vの首魁とも言うべき存在を撃破したのは、麻倉竜斗こと“仮面ライダーフォルテ”であると言われている。

※封印特区(ふういんとっく)
 キメラを纏め管理する為に政府が指定・開発した地域の事。
 各国に似た様な物が有り、日本には3つ存在する。
 封印特区の外には一般のキメラは余りおらず、外の人はキメラと言う言葉は知っていても、どう言う存在なのかハッキリ認識していない場合が殆どである。
 旗岬町とその近隣は三番目に開発された封印特区。

※スティンガー
 日本政府が秘密裏に結成した対キメラ特殊部隊の顔を持つ、多目的部隊。
 かつての戦いで活躍した対キメラ組織とは別物。
 各国に似た組織があり、お互いに連携する事もある。
 実行部隊にはキメラや仮面ライダー、魔族や謎パワーを扱う超人など、キメラに対抗する手段を持った者のみが所属している。
 逆にそれさえ満たせば、年齢すら問わない(勿論採用試験や、従うべき規則はあるが)。
 後方支援には普通の人間も居るが、実行部隊との面識は殆ど無い。
 また、敵と判断したキメラを、独自の裁量で処断する権利が与えられている。
 飽くまで公僕で有る為、それなりのしがらみも多い。,,#000000,./bg_c.gif,p2134-ipbf45sasajima.aichi.ocn.ne.jp,0 2011年01月05日(水) 04時11分25秒,20101231021752,20110108041125,2DDXtMWmwTODU,仮面ライダーセレナ第壱拾八話:前「苦手な電話/金と赤」,@PF ,,, 仮面ライダーセレナ!前回の三つの出来事

 一つ!敵のコンビネーションを破る為、セレナはガイストモードにチェンジ!

 二つ!突如現れた電気を操るエレメントシリーズとフレイムファクターが激突!

 そして三つ!クロがノーパンスタイリストに!



ク「ねぇ、ノーパンスタイリストって?」
セ『可愛いってことですよ』
ク「マジで!」
セ『嘘です』
ク「(´・ω・`)」





****





『―――本当に君は分かっているのか?』
「はい、マジで反省してます…」
『マジ…?』
「い、いえっ!心の底から反省しています!」
『ふん…』

 電話越しの声に、相手に伝わる訳でもないのにペコペコ頭を下げながら謝る赤みがかった頭髪の少年。その電話からの声は、真面目でお堅い雰囲気を漂わせながらも何処か幼い印象を受ける女の声だった。

『まったく…一昨日の夜、市街地での戦闘における大規模な力の行使、及び多数の住人による目撃。加えて対象のキメラの撃破失敗。君のしでかしたことを後始末に私がどれだけ駆け回ったことか。いっそ君ごと第三封印特区を粉砕しようかと思ったぞ、流石にやらんが』
「申し訳ありません…」
『コレなら君以外の隊員を向かわせるべきだったか』
「う…」
『分かっているとは思うが、減棒は免れない』
「はい…分かってます…」
『まぁ、この程度(・・・・)で済んだのは、上もエレメントシリーズを刺激するのが恐いからなんだろうが…。
 ハッキリ言おう、敵を逃がしたことはどうでも良い。だが、私達(・・)エレメントシリーズの存在は余り知られるべきではない。強大すぎる私達は居るだけでキメラと一般人の溝を深める要因になりかねないのだぞ』
「…はい」
多目的特殊戦力部隊(・・・・・・・・・)≪スティンガー≫は仮にも国民の血税で運営されている組織だ。そこに所属する君が、迂闊に我が国の…ひいては世界の状況を悪化させかねない行動を取るなど…。
 君が例の仮面ライダーに名乗った≪対キメラ特殊部隊≫という肩書きも間違いではないが、飽くまでスティンガーの側面の一つ(・・・・・)に過ぎん。ただキメラを倒せばいいと言う物ではないんだ。一隊員ならともかく、仮にも隊を一つ預かる君がそんな調子でどうする』
「肝に銘じておきます…」

 答える少年の声は勢いがない。表情も暗く、直接顔を見れば元気がないのは一目で分かるだろう。

『…はぁ、君らしくないぞ?街で燃えた物は何も無く、戦闘による物と思われる被害はビルの屋上に幾つか出来た傷と少し焦げた後のみ。成る程、かなり手加減したことは認めるが、君なら移動するなり何なりもっとやり様はあっただろうに』

 電話の向こうの女性には、顔は見えないハズだが声を通してそれが伝わっている様だ。

『相手がエレメントシリーズらしきキメラだったと言うだけではあるまい。何か有ったのかな?』
「……いえ」
『正直に言うんだ。抱えていても問題無いなら私も無闇に干渉しない。だが、こうして現に問題が起こっている。それはもう、もはや君自身だけの問題では済まないと言うことだ』
「……」
『…ふぅ、なら上司として命令しようか?[君の抱える問題を報告しろ]とね』
「それは…」
『イヤなら私が当ててみようか…ふむ、君の探し人の事、かい?』
「!」
『その間は何で判ったか、かな?簡単な話だ、私の思い当たる情報の中で、君が取り乱しそうな物がコレしかなかっただけの話だ。半分当てずっぽうだよ』
「…俺は…」
『………はぁ、罰に戦闘自粛の延長も追加だ、頭を冷やせ』
「分かり…ました」
『そう、重く考えすぎるな。どうしても必要なら戦っても構わんし、手伝って欲しいことがあれば相談しろ、出来る事なら協力してやる。コレは上司としての忠告でもあるし、友人としてのアドバイスでもある』
「了解です、“宗像(むなかた)”大隊長」
『ふむ、どちらかと言うと今は友人として宗像さんと呼んでほしかったがな。何なら砂紗良(ささら)と呼び捨てでも構わんぞ?』
「いえ、流石にそんな…」
『はは、冗談だ。よし、もう切るぞ。まだまだやらないといけないことが残ってるからな』

 直後“ブツッ”と音がして、一方的に電話が切れる。ソレを合図に少年――獅堂灰斗は携帯電話を耳から離し、電話に繋いでいた器具を取り外すと、近くにあったソファーに身を投げ出し、頭を抱えながらボンヤリ天井を眺める。

(あー…腹減ったな…)

 そんな生理的欲求が頭をよぎると、彼は冷蔵庫に向かい、開けた。

(…弁当切れてる。作るのも面倒臭いな…外に食いに行くか)

 そしてふと窓の外に目を向ける。

「雨…降ってるな」

 そこから見えた空は灰色の雲に包まれ、地面や窓に当たる水滴がザァザァと音を立てていた。



***



“がぽっ、がぽっ、がぽっ”

 おかしな足音を立てながら、一人の少女が雨が降る街を歩いていた。
 服装は、見た限りでは膝下まで隠れる長さの青いレインコートに黒の長靴、右手にはプールに持って行く様な手提げ袋、左手には黒い傘と言う出で立ちだ。高校生くらいだと思われる程度の身長、レインコートのフードから覘くのは肩に届く位の黒髪と十人中八人は綺麗だと言うであろう造作の、しかし冷たい印象を受ける無表情な顔。また、レインコートは腰の辺りの横が、縦長のウエストポーチでも付けているかの様に少し膨らんでいた。

“がぽっ、がぽっ、がぽっ”

 道行く人は時々彼女を不審げに見やる。なぜなら、この雨の中左手の傘は広げられずに畳まれたまま握られていたからだ。それでもそんな人間が数える程なのは、現代日本の他人への無関心さ故か。
 だが、それ以上に不自然な部分が有った。雨のせいでよく見なければ分からないが、無防備に雨に降られていながら、少女は髪から服から持ち物まで、一滴の水すら付いていない(・・・・・・・・・・・・)のだ。

“がぽっ、がぽっ、がぽっ”

 そんな怪しい少女に、傘を片手に近づく人影が一つ。

「おや、そこの彼女、こんな雨の中傘も差さずに彷徨ってるなんて、彼氏にでも振られた?」
「……」

 男だった。長身で整った顔、所謂イケメンと言う奴で、服のセンスも悪くなく、いかにも「俺モテてます!」と言わん雰囲気を漂わせている。あからさまにナンパであった。

“がぽっ、がぽっ、がぽっ”

「……」
「ちょっとちょっと!無視するなんて酷いじゃないか」

 そう言って少女の方に手を伸ばす男と、それをするりと抜ける様に避ける少女。

“がぽっ、がぽっ、がぽっ”

「……」
「なっ!?ちょっと待てって…うおっ!?」

 今度は肩を掴むことに成功する。だが、今度はその見た目からは想像できない様な力で強引に手から抜けられてしまう。

“がぽっ、がぽっ、がぽっ”

 少女はそのまま無言でビルの隙間――路地裏に入っていった。

(今の肩、濡れてなかったような?いや、そんなはず無いな)

 そう違和感を感じたナンパ男だったが、直ぐに気のせいだろうと断じて少女を追う。



(おっ、いたいた)

 果たして少女は、男の思った通り路地裏にいた。
 ただ、何故かやや奥の方へ進んだ所で男に背を向ける形で立ち止まっている。その雰囲気に一瞬気圧される物の、ナンパ男は直ぐにその行動を都合良く解釈し直した。

「おっと、皆に見られるのが恥ずかしくてこんな所に誘ったのかい?
 ハハハ、言ってくれたら良かったのに」

 そう言って、少女に近付いて行く。

「……」
「おいおい、ココまで来て黙ってるのは無いんじゃないか?」

 何処まで来たと言うのか、そんな事を言いながらまた少女の肩に手を掛ける。

“ドッ”「は?」

 その手が少女の肩に触れた瞬間、そんな音がして、突如腕に針でも刺した様な痛みが走る。見ると、腕の肘より少し手側の方の袖に穴が開いて、そこから血が流れ出していた。
 袖だけでなく、その中の腕にまで穴が開いていると言う事だ。しかも貫通しているらしく、穴の開いている部分の下の方からも血が流れている。

「こっ!?」
「……」

 短く悲鳴を上げながら一歩後ずさる男。だが…

“ドッ、ドッ、ドッ”

 腕を下げる前に、何かに貫かれる様に腕に次々と穴が開いてゆく。何がと思い上を見てもビルの隙間から雨が降っているのみ、否、その雨こそが腕に穴を開けている(・・・・・・・・・・・・・・・)

「ひッ…あ…うわああ!うぐぶっ!?」

 傘を取り落とし、叫びながら逃げだそうとするも、いきなり首に巻き付いた“何か”に喉ごと声を潰される。それでも逃げようとするが、両足は粘土にズッポリ突っ込んでしまったかの様に動かなかった。

「…!……っ!」

 首に手をやると、手に触れる水の感触。その水が首を絞めている物の正体だった。何とか外そうとするが、ぱちゃぱちゃと普通の水を叩いている感触がするだけで一向に緩まない。泡を吹きながら足を見ると、天から降って地面を濡らす雨の水、それの一部が不自然に盛り上がって男の両足を呑み込んでいた。
 それでも何とか逃げようと足を動かすが、叶わずバランスを崩して尻餅をつくことになった。そこでますます首を絞める力が強くなってゆく。

「!、!、か……!」

 最早自分が何処にいて何をしようとしていたのかもまともに考えられない頭で、助けを求める様に手を前に伸ばした。

「……」

 いつの間にか振り向いていた少女は、先程までさしていなかった傘をさしながら、その様を無表情で見下ろしている。

「ぉ…た…す……」

 男が残った思考力を必死にかき集めて眼前の光景を認識した瞬間、首の所からギッと音がして、彼の意識は闇に墜ちた。







「……」

 少女の目の前で、男が仰向けに倒れている。首と足を拘束していた『水』はもう無くなっていた。顔は青く、穴だらけになった右腕から血が流れ続けてはいるが、息はある様だ。
 それを確認すると、少女は表情を変えずにカクンと頷く。そして傘を畳み、一振り。それで傘に付いていた水滴は一滴残らず(・・・・・)吹き飛んだ。そうして完全に乾いた様な状態になった傘を持ち直すと、くるりと踵をかえして路地裏の奥へと歩いて行く。

“がぽっ、がぽっ、がぽっ”

「……」

“がぽっ、がぽっ、がぽっ”

「………」

“がぽっ、がぽっ、がぽっ、がぽっ、がぽっ、がぽっ”

「………うん」

 そのまま路地裏を歩いて行く内に反対側の通りに出た少女は、ビルの隙間の前で雨が降る空を見上げて少しだけ表情を和らげた。





「…もうすぐだね…」





 そして視線と表情を戻した少女は、その妙な足音を響かせながら歩くのを再開した。



****






 問答無用の先制攻撃。
 燃えさかる炎の波が、街ごと金色のキメラを呑み込む。
 そうして空中に現れた炎の海は200M四方程広がると、広がった時以上の早さで一カ所に収束して人型の形を成した。

『…流石にここで物を燃やす訳にも行かんな』

 そう呟く赤い人型=フレイムファクターに答える声があった。

『それは外した言い訳かな?』
『ほざけ、ゴミが』

 いつの間にか上空に移動してからかう様なセリフを吐く金色のキメラ。彼女に向かって、再度炎の鬣が向けられた。炎は無数の火球を吐き出しながら火柱となり、最終的に200は超える程に増えた火球の群れは、金色のキメラを取り囲むように旋回して展開される。

『甘いっ』

 それらが彼女を呑み込む前に、その額から伸びる角と右腕のランスが激しくスパークし始める。

『はぁっ!』“ジガッ!!”

 そしてランスをフレイムファクターに向かって突き出すと同時に、全身から数百条の雷光が、ランスからは火柱に負けない勢いで雷を纏った光の槍が撃ち出された。
 その数百の攻撃が周囲のあちこちでぶつかり合い、お互いを破壊してゆく。
 雷光と火球が、光の槍と炎の奔流が。
 炎が光を焼き、光が炎を灼く。
 拮抗し、お互いを食い合う様に両方が減衰していき、その激突を抜けて尚己に向かってくる脅威を、フレイムファクターは片手で、光るキメラはその後頭部の鎖状のパーツが動いて打ち払う。

『反発…やはりエレメントシリーズか』

 散った炎から生まれた火の粉があっさり消えて行くのを見て、彼はそう声を漏らした。

『ふぅん、反発を知ってるって事はエレメントシリーズと戦ったことがあるのね、おたく』

 いつの間にかビルの上に着地して、金色のキメラは腰に付けていた筒の一つを軽く叩く。
 すると筒がバチリと放電し、その端がカパリと音を立てて開いて中から光を反射してチカチカと光る黒い粒子が漏れ出した。

『エレメントシリーズが道具を使うのか?』
『別に変でもないでしょ。何事も準備は大事よ?私達は無敵でもなければ最強でもないんだから』
『…』

 そう言われて彼は言葉を切った。よく考えれば、彼も燃やした物体を操作して使用する事も有る。それもある意味『道具』と言えなくも無い。

 粒子は金色のキメラの周りを取り巻く様に蠢いた後、その右腕のランスに被さるように収束し、やがて黒く巨大な刃を形成する。断続的に音立てながら光を散らしている所からして、電気を纏っているらしい。
 それを見てフレイムファクターも右手から火柱を生み出して、中からマグマを冷やさず固めたような真っ赤な剣を引き摺りだした。

『ふんふん…よし』

 金色のキメラは右腕を軽く二度振ると、軽く腰を落として振りかぶるように構える。
 フレイムファクターも答えるように剣を構え…

『こっちよ』
『っ!?』

 左から声と共に迫る黒い刃。予想外のタイミングで予想外の方向からの攻撃に、フレイムファクターは咄嗟に剣を掲げて防御する。

“ギッ!”

 甲高い衝突音。赤と白の火花が散るが

『“ばしゃんっ”なっ!!?』

 突如、粒子に戻る黒い刃。赤い剣は空を切り、同時に飛散した黒い粒子がフレイムファクターの頭部に纏わり付き、その視界から金色のキメラの姿を遮断した。

『こ、の…っ!!』

 半ば状況に追いつけなくなっていたフレイムファクターの思考回路は瞬時に沸騰し、粒子ごと敵を焼き払うべく全身から爆炎を吹き出させる。


『ガああああああああああアアアアアアっ――――――!!!!』


 頭の片隅で足場や周りの建物を焼かないように制御しながら、敵を捕らえて焼き付くさんと炎が渦巻き、フレイムファクターは極小の太陽と化した。



 しかしその状態が続いたのもほんの僅か、炎は段々と小さく弱まって行く。

『――――あああアアアアアア!!!!―――っはぁっ!……はぁーっ、はぁーっ…はぁっ』

 そして最後は荒い息をつくフレイムファクターの鬣に収束していった。

『はぁっ…はっ…ちっ』

 炎を収めたフレイムファクターは、炎に手応え(・・・) (炎応え?)が無かった事に、舌打ちしながら辺りを見回した。

『くそっ!』

 目の前にも後ろにも、左右も、ついでに上を見てもキメラの姿も、それが発する光も見えなかった。

『くそっ!くそっ!くそがっ!!』

 未だ血の上った頭が全身を燃え上がらせる。右腕の炎が腕をそのまま拡大したシルエットを作り、フレイムファクターはそれを振り上げてビルに叩き下ろした。

『…っ…』

 だが結局その炎はビルを焼き砕く前に散り、同時にフレイムファクターが纏う炎も急速に鎮火していった。

『何を…やっている、俺は…』

 敵をみすみす逃がしてしまった己への、その怒りを物にぶつけようとした己への憤り。
 それらを咆吼として吐き出してしまおうと息を吸い込んだ所で、ビルの下が時間にしてはざわついている事に気がつく。遠くの方からは複数のサイレンの音も響いてきている。音からしてパトカーと消防車のようだ。殆ど被害はないとは言え、散々炎を撒き散らしたのだから当然の反応だった。

『すう―――はぁー…』

 深呼吸して息を整えると、鬣の炎が茶色の普通の鬣に変わり、その体が放つ赤い光も弱まっていった。遂には生やした黄土色を基調としたキメラ、エレメントシリーズとしての力を封じ込めた姿に変わっていた。

『…帰るか…始末書物で済めばいいが…』

 そう言ってフレイムファクター――今はレオファクターと呼ぶべきか――は人間臭い仕草で頭を掻くと、人の少なそうな方角へ向かって、ビルからビルへと飛び移りながら夜の町へと消えていった。




 そこから遠く離れた場所で

『死ぬかと思った!死ぬかと思ったぁ!生きてるってぇ素っ晴らしいわっ!!』

 光るキメラがそう繰り返しながら必死に逃げていた事を、彼は知る由もなかった。







「あ〜、やっぱ俺が悪いんかなー…悪いよなー」

 家を出て数分ほど歩いた場所にあるファミレスで、獅堂灰斗はくだを巻いていた。
 パスタをすすりながら脳裏に浮かべたのは二日前の戦い。思い返してみれば冷静さを欠いて必要以上に大規模に炎を使いすぎた気がする。対する敵は、自分がした攻撃に対抗する為にのみ大技を使った。つまり、あの戦いで人々に目撃された光はフレイムファクターが放った炎が殆どと言うことだ。
 今の自分が平常とは程遠い精神状態であることも、その原因も承知している。しかし、と言うよりはだからこそ、今すぐ解決する方法は思い浮かばなかった。

「うー…あ、すいませーん!追加注文お願いしまーす!」

 悩みながらも、近くを通ったウェイターさんに注文することも忘れない。
 因みに既にメインディッシュクラスのメニューを三つ、一品料理系は七つ程胃袋に納めている。具体的に言うと、フライドポテト・ほうれん草のソテー・ウインナー・カットピザ・小エビのフリット・イカリング・唐揚げ・ハンバーグプレート・ビーフシチュードリア・そしてたった今完食したナポリタンスパゲッティ。
 減給が決定しているとは言え、現在既に預金がそこらのサラリーマンの生涯年収の30%を超える額に届いている。灰斗本人も時々「税金の無駄遣いじゃないか」と思わないでもないが、キメラ―特にエレメントシリーズ―は力を使うとエネルギー消費が激しい=腹が減るので、多めに給料を貰わなければ食費だけでアッサリ破算してしまうのも確かではあるのだが。

 そう思うなら「バイキング行け」と思われるかも知れないが、力を使った後の自分の消費量的にそれは流石に店に対し無体な振る舞いだと思い、こうしてファミレスに入った訳である。

 追加の注文を終え、益体もない事を考えながらコップに口を付けるが、いつの間にか空になっていた。

(今度は野菜ジュースにしとくか)

 椅子からコップを持ちながら立ち上がり、ドリンクバーに向かう。そしてドリンクバーのサーバーの前で…

「あ」
「お?」

 茶色の液体が満たされたコップを片手に引き返してくる、『サングラスをかけたチンピラっぽい男』と目があったのだった。


**


………
……………
………………………

「……」
「……」

 席に戻った灰斗は現在サングラスの男――麻倉竜斗――と仕切りを挟んで背中合わせに座っていた。どうやらお互い気付いてなかっただけで、最初からこの配置だったらしい。むしろ背中合わせだったから気付かなかったと言うべきか。
 予想外の場面で見知った顔に会うと、大別して直ぐに盛り上がれるタイプと妙に気不味くなるタイプが居るが、生憎と彼らは両方とも後者であった。

「…なぁ」
「は、はいっ?」
「あーその、ちょっと君に聞いておきたい事が有るんだが…」
「…ええと、なんですか?あと、話し方普通で良いですよ」

 仮にも向こうが年上で目上である。灰斗としては多少敬語を使わなくては成るまいと言う意識が出ていた。キメラ化によって見た目とズレてしまっている本当の年齢を持ち出すと色々ややこしい事に成るが、今の灰斗は高校生で向こうは大学生。そして仮にも公務員であるからには、こう言う態度の使い分けは必須技能だ。
 補足しておくと、彼らはコレが一応初遭遇だが、お互いの正体は把握済みである。

「そりゃ助かるな。で、だ、他でもねぇ、お前に聞きてぇことってのはな」
「………」
「まず研究所(ウチ)のお姫様を泣かせたのは、お前で合ってるよな?」
「な、泣か…せ?」

 考えたが、すぐには心当たりが無かった。もう少し思い出してみる。
 やはりコレだ!と言える様な事は思い出せないが、ひょっとしたら、と言う程度の心当たりならあった。

「ソレって俺が初めて『仮面ライダーセレナ』の戦いに介入した時の話ですか?」
「そうそうそれだよ。俺も人伝に聞いただけで詳しい状況は知らねぇんだが、ボロボロ泣きながら帰ってきた挙げ句、しばらく酷い状態だったらしいぞ」
「それは…」

 まさかそんな状態に成っていたとは…。それは灰斗も想定外だった。本人としてはどちらかと言うと善意からの行動のつもりで、敵を燃やしたハズだったのだが…と、事情を知る者からしたらとんちんかん極まりない事を考える。

 自分が歪んでいる事を自認してはいても自覚と実感が薄い灰斗には、時々人とのズレが理解出来ない時がある。

「やっぱり、目の前でいきなり人が燃えて爆発したら女の子には刺激が強すぎましたかね」

 確かに女子が嬉々として意図が燃えるのを観賞していたら、ソレはソレで嫌な感じではある。一応、内臓その他が残らないようにはしていた筈だが、とやはり思考が微妙に変だった。

「そういう事じゃないと思うんだが…」

 (灰斗からすれば)何故か微妙そうな声で答える竜斗。
 そこへお盆を持ってウェイターがやってきた。

「お待たせしました。スペシャルフライセットとカボチャの冷製スープでございます」
「あ、はい」
「空いたお皿お下げしますね」

 空になった皿を代わりにお盆にのせてウェイターが去って行く。その姿をみて、竜斗はぽつりと呟いた。

「よく食うな…」
「我ながら燃費は良くないですから。幸い、こう見えて金はあるんで余り困ってませんけど」
「…大した稼ぎのない学生からしたら羨ましい話だぜ」
「奢りましょうか?」
「やめろ、悲しくなる」

 そうですかと答えて、灰斗はフライセットのエビフライに“さくり”とフォークを突き刺した。

「それでちょっと頼みたいことが有るんだけどな」
「むぐ?……なんでしょう」

 さっさとエビフライ二本を食べきり、先を促してから、今度はコロッケをかじる。

「なんつーかさ、あの子の前で人を殺すの、控えてくれねぇかな」
「何故ですか?一応、アレも一応職務なんですけど」
「『何故』…そこからか…まぁ、そんな調子じゃ多分言っても納得出来ねぇと思うがね。
 とにかく止めてくれ」
「……」

 灰斗は答えず、コロッケに続き付け合わせの千切りキャベツを食べ始めた。

「こう言う事を俺から言うのって過保護な気もするんだけどさ、やっぱり機会が出来たのに何もしないってのもそれはそれでどうかな、って感じでよ。あの子が泣くなら出来るだけその原因は除いてやりたいんだよ。勝手かも知れねぇけど」
「…ちょっと意外でしたね」
「? 何のことだ?」

 竜斗の問いに、最後に残った白身魚のフライを食べ終わるまで溜めてから答える。

「――っふぅ、泣かせたことに、もっと色々文句を言われると思いましたよ」
「いんや、この間まではもし会ったら一発殴ろうと思ってた」

 フライセットを空にした後、残ったスープを喉に流し込む。行儀が悪いが、別に会食をしてる訳でもないし此処はファミレスである。見とがめる人は出るかも知れないが、余程迷惑でなければ追い出されはしない。

「でも、よく考えたらお前を殴るのは俺の役目じゃないと事に気付いてな、結局止めた。
 俺は元保護者であって、当事者じゃぁねえよ」

 スープも飲み干し、テーブルの上にはウーロン茶のみが残った。

「確かに、俺個人としても貴方に殴られたらちょっと納得行かなかったですね」
「成る程、そりゃ危ない所だった。…とにかく俺としてはさっき言ったことを聞いて貰いたいだけだ。今更お前のした事を責める気はねぇし資格もねぇからな」
「急に話が戻りましたね」
「で、返事は?」
「……」

 沈黙
 別に無視している訳ではなく、軽く考え込んでいるのだ。
 どうにも黙って居るのが居心地が悪くなった竜斗が気遣うように言葉を掛けた。

「別に今すぐ答えなくても良いんだが…」
「いえ、そういうわけじゃ――っ!?」“ガタッ”
「?」

 突如立ち上がった灰斗に、音だけを聞いていた竜斗もどうしたのかと振り向く。

「……」
「お、おい?」

 灰斗は黙って窓の方を凝視していた。明らかに普通じゃない、少なくとも竜斗や店員、他の客はそう思って彼に視線を集中させていた。

「まさか……っ―――」

 そして何事かを呟くと、切羽詰まった形相で店から飛び出していく。

「おい!一体ど…くそっ、急展開だな。俺も「お客様」へ?」

 灰斗を追って店を出ようとした竜斗だったが、レジの前で女性店員に道を塞がれた。

「ちょ、ちょっと?」
「今の方はお連れ様でしょうか?」
「え?あーそうとも言えるし言えなくもあるかも…」
「お会計よろしいですか?」
「はっ?はい(やべぇ、食い逃げになる所だった…)」
「では、お連れ様の分も合わせて……8875円になります
「…えっ」
8875円になります
「……えっ」
8875円になります
「…8875円?」
「はい」
「俺が?」
「イエス」
「なしてか!!?」

 店員はいつの間にかその手に握られていた二枚のレシート(片方は五枚ほど貼り合わせられていたが)を竜斗に突きつけ、トーンを落として言を発した。

「お客様…」

 そう言う店員の表情は残念そうで、その手はレジ備え付けの電話に伸ばされている。

(つ、通報される!?)

 更には竜斗の叫びに反応したのか、他の客達までコチラを注目している状況。
 脳裏によぎるは、先の戦いで妹分を小脇に抱えて『南斗獄屠軒』に入った時の、店内の人々の反応。
 やがて店員の指先が『1』のボタンに触れた瞬間、慌てて財布を取り出し中から一万円札を引き出す。そして未だボタンから離れない店員の手に目をやると、震える手でソレをレジのテーブルに叩き付けた。
 ナンバー『1』『1』『0』…国家権力を限定的に行使できる魔法の数字。竜斗の弱点(トラウマ)である。

「うぅ、なけなしの諭吉さんが…」
「一万円お預かりします♪」

 おめでとう!福沢諭吉は野口英世(+小銭)にクラスチェンジした!











「畜生…勝ったと思うなよ…」
「もう勝負ついてますから」















「…絶対ぇアイツから立て替えた分取り立てっからな…」

 現在オルタチェイサーに跨り街の中を疾駆する竜斗は、ハンドルを握りながら忌々しそうにそう零した。パッと見独り言だが、それに答える声がある。

『全く、無銭飲食のみならず主にその咎を被せるとは、万死に値する行為だ』
「別に払った分+慰謝料的な金を貰いたいだけで死んで貰いたい訳じゃ無ぇんだけどな。いや、やっぱ殴ろうかな…」

 声の出所は竜斗の懐。

「で、フォルテ、反応は…」
『ああ、今も移動していない。海沿いの旧工場地帯。そこで微弱だがぼやけた様に広がる反応が一つ、その近くに逆に非常に強い別の反応が一つ今し方出現した』

 あれから飛び出していった灰斗を探して走り回っていたのだが、結局見つからずに苛々していた所にフォルテが戦闘態のキメラの反応を研究所のレーダーから受信。そこに向かうことになっていた。

「ぼやけた様に、ね。っつーとアレか」
『ああ、間違いない(・・・・・)だろうな、と言うより反応の強さから言ってもう一つの方も…』
「マジかよ…とにかく急ぐか!」

 そう言って彼はハンドルから片手を離し、懐から彼の『相棒』を取り出して腰に巻き付ける。

「行くぜ、フォルテ!」
『主が望むなら』

 そして人目を避けるようにビルの隙間に強引に入り込むと、一方の手でハンドルをしっかり握りしめ、もう一方をバックル中央の緑色の菱形に掛けた。

「変身っ!!」
『源素展開』

 カシャリと音を立てて菱形を回転させると、そこから竜斗の全身が黒い結晶に包まれる。それは完成と同時に砕け散り、中から漆黒のスーツと装甲を身に纏ったヒトガタが姿を現した。

「っし!」

 『変身』を完了した彼が気合いと共に改めてハンドルを思い切り捻る。

“グォンッ!!”

 搭乗者が変身した事により制限(リミッター)から解放されたオルタチェイサーの鋼の心臓(エンジン)が歓喜の咆吼をあげ、真の性能を取り戻した黒い鉄馬は、ビルの隙間からドリフトしながら飛び出すと、己の主人をその目的地へと運ぶべく更なる速さで街を駆けた。
 そしてそれを操る主人は―――





『征くぞ、主よ』
「ああ、絶対…あの野郎から金を取り戻す!!!
 そう、俺のっ、明日をっ! (生活費的な意味で)」
『……』





 まぁ、気合い十分であった。




…To be Continued,おやっさぁぁぁぁぁぁぁん!!!(現実逃避)
ハードボイルドぉぉぉぉぉっ!!



…ふぅ
何か…男祭りという言葉が前回のコメ欄にチラホラと
何故…こんな事に
僕達はどうして…こんな所まで来てしまったんだろう…

いや嘘はついてないよ!
男キャラなんて、この二人と博士とディアーファクター(彼女持ち)しか居ないもの…
って言うか男が主役って行っただけで男祭りとか言ってませんから!
あっ!やめっ、やめてっ!石は、石は!

それでなくても今回は色々超展開だというのに…
鷹音が関わると進めにくいイベントをここぞとばかりに消化するつもりなので、ご了承…してくだしあ;;



結構反応して戴けたガイストモードについてちょいとあれこれコメントを
レス返しで一々書くより一括した方が楽だと思ったのは内緒である。

先ずガイストリッパー
実は切れ味が凄すぎて、高い治癒能力を持つキメラには普通に斬ってもあんまり意味がないと言う罠が…
相手の一部を斬り落とすなら有効なんですけどね。
それを打開する為に必殺技に毒属性を付加しました。

ガイストモードの撹乱能力はアレですね、クロックアップを封殺出来る能力を目指してやりました。
如何に早く動けようとも、相手を補足できなければ意味はない、って事で。
海東のインビジブルはチート過ぎた…
チノマナコ以外には勝つか逃げ切るかってお前…
心眼だの、気配を読むだの、探知系の特殊能力だのとかでの補足も無理です。
そう言う能力で手に入れた情報を処理する脳、精神の方までおかしくするので。
弱点は、無差別範囲攻撃、範囲外からの狙撃ですかね。極低温、高圧電流にも弱いです。
但し狙撃に関しては、ミストセル自体が一種のシールドとしても働くので、余程の威力がない限りオススメできません。
因みに、ミストセルにはある程度ですが、『その場に留まろうと位置を維持しようとする力』が働いている為、領域内で超スピードを発揮しようとすると、ミストセルがその動きに付いて“いかず”非常に強い抵抗力が働いて粘液の中で藻掻いているような状態に成るというオマケ効果が有ったりします。
アクセルフォームやトライアルなんてモロにカモですね。
クロックアップも。

もう一つ、今回唐突に出てきた「反発現象」
異なるエレメントシリーズが操る「モノ」同士が衝突した際、衝突した部分とその周りの「操作権」が一時的に消失する現象。
「水」や「土」の様に、操作されずとも消えない「モノ」を操るエレメントシリーズに取っては攻撃が鈍るだけだが、「火」や「電気」といったエネルギーに近い「モノ」を操るタイプの場合、増幅や維持も出来なくなる為、反発と同時に拡散・消失してしまう場合が殆どであり、エネルギーのロスが大きい。
比較的最近見つかった現象で、前大戦ではエレメントシリーズ同士が戦うという状況は起こらなかった為、そんな特性は両陣営とも知らなかった。

後書きで補足しなきゃいけない要素を出す辺り、我ながらやばいなぁ…


レス返しでござる

>トレハさん

>毎回地味に楽しみにしてるこのコーナー。

いやーそう言って戴けると考え甲斐がありますw

>普通に最低過ぎて噴いたw
>しかしながら今回のセレナ、心象的に何故かスカラベさんに感情移入してしまう…(ぇー
>まあ近しい者同士親近感湧くってことですかね!…いや流石に露出癖は無いですけど

まぁ、色々限定解除して書きましたから…
そりゃもう変態!変態!って罵られるのを期待…覚悟してやりましたからw

>>【変】スカラベ焼き【態】
>いやもうこういった押してダメなら引いてみる的な頭使った戦闘思い付ける人って羨ましいですホント。
>>【変】スカラベハンマー【態】
>敵同士の能力を活かした連携ってのもライダー作品では珍しいというか熱いですよねー。>最近ではWでBとZのメモリ使ってた人達的な。

正直言うと、元々はガイストモードで無双するだけだったんですけどね(汗)
偶々思いついたから導入しただけですよ
クロも時々は活躍させないといけないし…

>ちょっと喋り方が変なだけの人だと思ったら結局変態でした!

そもももスカラベと組んで痴漢やってる時点で…


>鴎さん

>これはまさしく「ヘブン」におけるほとんどのキャラクターには思い切り当てはまるお言葉ですな・・・。

むしろあんな変態を用いてドシリアスかつ熱い物語を展開できる鴎さんの手腕に嫉妬せざるを得ない!

>マリア「ほう、なかなかの作戦を思いつきますね。しかしこれだけの作戦を思いつくほど頭がいいのにもかかわらず、諜報活動やセレナに関する情報を敵にリークしたりとか考えられないほどに・・・・ひどいものなのですか、根性焼きとは」

バイクに足を括り付けられて何百メートルも地面に顔を押し付けた状態で引き摺られましたからね、煙が出る位…
ついでに巻奈におトイレシーンを見られて色んな意味で屈服してしまってるのも…
それに何だかんだで本人(鳥?)が今の環境を気に入ってますから、裏切る予定はないです

>貧乳には貧乳の需要がある・・・・・。
>穏「気にすることはない・・・私は好きである」
>昴「うちらもそういうの好きだし(ロリコンでもあるし・・・)」
>凛「鷹音さん、この二人にいっぺん根性焼きやってくれ。変態治るかなそれで?」

鷹「ゴメン、自信ない…」

>穏「・・・・・・・!!神秘的な君の魅力にメロンメロン(パシャパシャパシャ)」
>昴「まさか、上も、つけてないっ!?」
>「「クロ様最高」」
>暁「・・・・・こういう変態には気をつけてね」

ク「見られるとやっぱり拙いの?」
鷹「こう言うヤツだから、心配だなぁ…。基本アニマルだし。何故かトイレ見られるのは恥ずかしがるのに」


>ひだりさん

>なんか、ライダーじゃないキャラ……言い換えると、必殺技システムを持たないキャラクターの戦闘って珍しいですよね。アーンド、難しいですよねぇ……

ほんと、どうしてもカタルシスってのが出しにくいです…
個人的に『問答無用なチート』ってのに拒絶反応が出てしまうタチなので、いつもそう言う強力な能力を打ち破る手段を妄想してます。
……チート主人公物?だったら初めからそいつ一人で良いだろうが…設定引用だけした別の話にすれば良い物を、なんで態々原作主人公を踏み台にするんだよ…
ってここは余所の話を愚痴る場所じゃないか、失礼しました
ともあれ、クロがある程度優位に戦えたのはその考え方の賜物ですかねー

>新フォーム! 出てくるだけで勝利フラグ(ぅぉぃ)!

世の中そんな物です(断言)
でも勝利フラグだったのは初戦だけで、それ以降はむしろ敗北フラグと貸した弱、もといジャックフォームと言う伝説が…ナズェミテルンディス!!

>馬と龍で麒麟な彼女は強敵っぽいですが、灰人くんとカチ合ったのはどうなるやらやら……

結局不完全燃焼で逃亡…
表には出しませんでしたが、彼女もかなり焦っていたという。
ご期待には添えなかったと思いますが、直ぐに再登場するので、気長にお待ち下さい


>青嵐昇華さん

>それで、囮捜査も終わりましたけどこの後の身体ってどうなるんですかね・・・?
>今まで通り半ロリなのか、このままお姉たまのままなのか・・・
>私にはそれだけが気がかりです(ぉ

それは私の気分次第(ぉ
真面目な話、どっちにも有利不利が有るので、使い分け…ですかね

>ハッハッハ、こやつめww
>まぁ、野良犬に噛まれたと思っ・・・・あれもの凄く痛いらしいよネ。

鷹「触っただけならまだしも、ち、畜生って…畜生ってっ!うぇっ…ひぐっ…ゆ、ゆ゙る゙ざん゙」
セ『ま、マジ泣き…』

>いかんですねぇ、精神面でも肉体面でも何やら穏やかでないご様子で。
>ホント最近踏んだり蹴ったりですねこの子は・・・鷹音ちゃんに救いの手を!

ぶっちゃけ、最終モード登場までこんなモンです(ぉ
まぁ、それ以降は鷹音無双だからよ、まぁ見てなw

>電気信号とかから盗聴したのでしょうか。

ぶっちゃけ正解です(爆)


>YPさん

>ちょっと じゅかい いってくる

はやまってはいけない!

>たしかこの服はマジモンの服なはず。
>それを綺麗にするってことはある程度の衛生観念は備わってるのか?

どっちかと言うと、ただの癖ですかね
あとは、出来るだけ汚すなとも言い含められてますので

>まぁ重装甲にすればするほど中の温度調整はやりにくくなるからねぇ。
>こういうことに気がつくあたり、クロは意外と頭が回るのかもしれぬのう。
>「賢い」とはまた違う気がしますがががが。

そうですねぇ、どっちかと言うと「鋭い」と言うべきでしょうか

>甘いな、やつは小さいおっぱい略してちっぱいのよさをわかっていない未熟者よ。
>大きけりゃいいってもんじゃないんだよ、大事なのは感度――――おや、なんか霧が出てきt

(ヴェノムインパルス!

>いっつも貧乏くじ引いてる気がするぞ。
>俺のクロちゃんをいじめるとは……ゆ゙る゙ざん゙っ!!!

可愛い子程いぢめたくなる(キリッ



では、メズール様とガメルに復活を祈りながら黙祷を捧げつつ中編へ続く

あ、更新ついでに、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
読者としても、作者としても。
,#000000,./bg_d.gif,i60-46-203-87.s11.a021.ap.plala.or.jp,1 2010年12月16日(木) 12時58分46秒,20101216125846,20101219125846,02XBfNzYBeSCs,仮面ライダーヘブン 第12話,鴎,,,第12話「Groaning innocence “Boulder”」

第12話

(暁視点)
クシナダ「暁!!大変だ!!」
ガーネット「慧ちゃんたちがプレデターに襲われてる!!」

血相を変えたクシナダさんとガーネットさんの話を聞いて、その場の空気が凍りついた。
母さん達って・・・まさか父さんと母さんが!?

暁「・・・どういうことだ」
俺は必死で動揺を抑え込んで、感情を押し殺した口調で、それでも焦りと驚きを隠しきれなかったであろう表情で訊ねていた。そりゃ確かにそんな話がマジなら、すぐさまにでも飛び出して助けに行かなくちゃだけど・・・あいつに、アリスに教わった言葉が頭に残っている。俺にこういう時だからこそ状況を整理して冷静かつ迅速に行動するための手はずを整えるべきだって、教えてくれたあの言葉がな。

クシナダ「さっき、雷斗たちのメダルアニマルが戻ってきてよ、危険信号を察知した。それに録画されている映像を分析したら、慧ちゃんと、慧ちゃんと戦っていたライオンのプレデターが・・大量のプレデターに囲まれているんだ!!」
暁「ライオン!?アリスのことか!!」

くそっ、どうしてあいつが関わると事態がこうややこしくなるんだ!?さらに歩く災厄の化身ともいえる母さんが関わったら二倍でややこしくなるんだから!

暁「クシナダさん、メダルを貸して。場所の分析、地形の特質、戦況を確認して作戦を展開する!」
クシナダさんが投げてくれた4枚のメダル(ワシ、オオカミ、カエル、ゴリラ)をパソコンにある「メダルスキャナー」というメダルに録音・録画した映像と音声を再生する機械に入れて読み取ると、空中、水中、陸地の様々な地形の映像が立体映像となって浮かびあがり、部屋の中央に浮かび上がる。そう、これが雷斗が作ったメダルアニマルの得意技。映像を録画するだけじゃなくって、収めた映像から作戦を展開するには地形の特質を生かした戦術も必要であって、こうした立体映像を出して作戦を組み立てるってこと。
雷斗の頭の回転の速さ、一瞬の隙も見逃さない軍師としての知略と謀略に長けた才能は本当に頼りになるぜ。

暁「滝壺の近くで周囲は森に囲まれている・・・か!唯一の脱出口の付近にはコガネムシのプレデター・・でもって空中、水中から大量のトンボのプレデター・・・ちっ、一斉攻撃を仕掛けるつもりだな!」

もちろん狙いは・・・アリスと母さんか。(暁は聖が慧を傷つけるつもりはないということは知らない)逃げ場はないし、追い詰めた相手を袋叩きにするには十分な環境だ。
なるほど、間違いなく相手が優勢だ・・・・だけどそれが罠なんだよな。此処までことがうまく運ぶと相手が必ず油断するものさ。こういう時に逆に予想外のことが起こると脆いもんだ。

暁「・・・・よしっ、向こうがそれで来るならこっちは奇襲で行くぜ」
そうと決まればもう作戦決行だ!

俺の様子を見て、凛が何かを察してふっと笑みを浮かべる。

凛「・・・最初の戦いか、こりゃケンカより緊張すっかもな」
暁「無理はするなよ。俺がサポートする!」
凛「ああ、そのつもりさ」

セレス「わ、私も一緒に・・・いっていいの?!」
暁「ああ、今回の作戦はセレスさんのあのホーネットチェイサーが不可欠だ。ぜひとも、頼む!!お願いします!俺たちに力貸して下さい!!」
セレス「・・・・・昨日までは敵だったのに、私を信用していいの?もしこの隙に乗じて貴方を騙して不意打ちするとか、考えないの?」
暁「え?だって、セレスさん、そんなことしないでしょ?」
セレス「そ・・・それは・・・!!確かにしないけど・・・!」
暁「ならお願い。俺、あのバカたちには言いたいことが山ほどあるんだ!そのためにも、あいつも、母さんも助けたい!!頼む!!!」
セレス「・・・!!女の子を見てすぐ真っ赤になっちゃうウブな坊やかと思えば・・・大きい器を持っているじゃない・・・・敵でさえも信じ、受け入れ、守ろうとするなんて。いいわ、貴方が頭を下げてそこまで言ってくれるなら、私も手伝うわ!」
暁「ありがとう!!よっしゃ、作戦開始だ!!」

クリス「暁・・・!!すごくカッコいい・・・!!(///)」
クロキバ「これが暁の真骨頂だ。今のあいつは・・・最強だ」

頭を必死で回転させて作戦を展開する、よし、これで決まりだ!!!
エメラルド「その作戦、あたしも手伝うぜ―――――――っ!!雷斗―――――っ!!お前の新しい発明のデータアップ、完成したじぇええええええええっ!!」
雷斗「出来た!」

そういって、エメラルドが取り出したのはいくつもの弾丸が詰め込んである黒い小型の金属製のウエストポーチだ。

雷斗「これ、ソウルトリガー、入れて、撃つと、俺、冷牙、流水、の、能力を、付加、して、新しい、技、使える!」
冷牙「属性付加能力か!!それなら憑依出来ない凛でも、俺たちの能力が使えるってことか!!」
エメラルド「だけどその分魔力・・・何て言うか精神力と体力がかーなーり消耗すっから、そうそう無駄撃ちは出来ないよ!!凛、気をつけてね!!」
凛「ありがてぇ!!使わせていただくぜ!!」
流水「OK、OK!!ちょうどいいタイミングだよ、さすが雷斗!」

暁「よし・・・!行くぜ!!」

ホームに走ると、ディスティニーライナー、そしてグリムライナーが発車のベルを鳴らして待機している。それに乗り込み、操縦席に入り、バイクにまたがり一気にハンドルを回す!!!すると、ランプがつき、線路が空中に向かって現れて、その先にある白い光の中へ飛び込むようにしてディスティニーライナーとグリムライナーが走っていった。


一方・・。

アリス「・・・・ちっ、まさかこんなに大勢で来るとはな。趣味が悪いことで」
慧「だからといって、ここで潰されてたまるかよ!!」

アリスと慧が、集団で襲い来るドラゴンフライプレデターとスカラベプレデターの大軍を殴り、蹴り飛ばし、迎撃していた。

聖「ふふっ、そう、慧ちゃんをできるだけ傷つけないように・・・でも、あとでお持ち帰りできるように大人しくさせて下さいね」

その時だった。
プワアアアアアン・・・・!!
プワアアアアアン・・・・!!

突如川原に電車の汽笛が鳴り響き、野鳥が驚いて飛び出し、その音にアリスと慧が見ると、白い光が空間に現れていた。

暁「アリス、母さん、そこにいるならちょっとどいてろ!」

アリス「暁!?」
慧「暁!!」

暁「行くぜ―――――――――――っ!!」

アリスと慧が飛びのいたと同時に飛び出したのは二台のバイク!!
「マシンフレスベルグ」と「マシングリムドラゴン」!!それに乗っている暁と凛、そして凛の後ろに乗っているセレスが川原に着地して、セレスがその姿をホーネットプレデターに変わり、飛び上がる!そして、腰に装着しているベルトを暁が構える!
さらに、凛がパスをソウルトリガーに装てんすると、バイクを再び走らせて敵をひきつける!!そして、滝つぼの近くまで来ると、バイクのハンドルを一気に切り返しUカーブの体制に移り、砂利道をものともしないバイクアクションを決めながら身体を思い切りねじりバイクを一気に切り返し、襲い来る敵に向かい合い叫ぶ!!

暁&凛「「変身!!」」

銀色の風と緑色の木の葉が舞い上がり、見る見るその姿を仮面ライダーヘブン、そして仮面ライダーシルヴァン(意味は“森の精霊”)へとなり、バイクから発車するバルカン砲で追ってきたドラゴンフライプレデターとスカラベプレデターを撃ちぬき、焼き尽くす!!

聖「何ですか、あの緑色のライダーは!?ヘブンだけじゃなかったの!?」

ヘブン「限界まで・・・・トバすぜっ!!」
シルヴァン「綺麗な緋(ひ)の花・・・・咲かせてやるよ!」
(意味は“テメェら全員血祭りにしてやるよ”)

アリス「暁――――――――――――――っ!!!!」
慧「暁・・・!」

ヘブン「とことん人振り回しやがって・・・!!あとで二人とも正座して1時間“以上”は説教地獄だからなっ!!」

シルヴァン「こえ〜、暁の説教地獄ってシャレにならねぇんだよな・・・・足しびれて動けなくなるし、拳骨はいてーし(汗)」
冷牙「・・あれは魂が抜けるぞ」
流水「ガクガクブルブルガクガクブルブル」
雷斗「・・・?そうなの?俺、怒られたこと、ないけど・・・」
クリス「・・・・そりゃ、雷斗さんはイタズラしないですし・・・」
クロキバ「基本、イタズラをしないものには温厚なのだぞ、暁は」

まあ、めったに怒らないしね、暁は・・・。

(暁視点)
よっしゃあ、後で二人の処刑(おしおき)は決まったとして・・・。
まずはこいつらから倒すか!!

ヘブン「冷牙、行くぜ!!」
冷牙「昆虫採集とでもシャレこむか」

デモンズバレットを装てんして青い魔方陣を発生させると、それをくぐって、ヴォルファスフォームに変わり、手にヴォルファストマホークを握り締めて一気に吼えて飛び出す!!

ヘブンVフォーム「グオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

ホーネットプレデター「いくわよ・・・!ホーネット・・・チェイサアァアアアアアアッ!!」

無数の蜂が飛び出し、高圧電流で飛んでくるドラゴンフライプレデターの大軍を焼き尽くし、なおも上空に飛翔しているドラゴンフライプレデターたちに襲い掛かり攻撃を仕掛ける!!

そして陸地ではヴォルファスフォームと化した俺が目にも止まらない速さで斧で切りつけ、血のたぎるままに暴れまくる!!何人いようが、喧嘩は勢いに乗ったもん勝ちだあっ!!

暴れまくるぜぇえええええええええええええええっ!!!!(ブチキレモード全開)

ヘブンVフォーム「行くぜ行くぜ行くぜええええええええええええっ!!」

もはや止まることはない。暴走列車と化した俺はよぉ!!
風を切り、敵を斧の刃で切り裂き、拳で殴りつけて骨をへし折り、足で蹴り飛ばし岩壁にたたきつける!!
すると、上空から襲い来る無数のドラゴンフライプレデターが飛んできた!!手にはダガーを構えて刃を光らせてくる・・・!

ヘブン「クリス、スタンバイ!」
クリス「了解です!」

クリスの意識が浮き出ると、ヘブンフォームに戻り、クリスベイオレットを構えて一気に銃弾を発射し、ドラゴンフライプレデターの大軍を蹴散らす!!

そして、川原から現れたドラゴンフライプレデター、川原でうごめきあうスカラベプレデターの大軍を前にしても、クリスは冷静に、いや、口元に笑みを浮かべて優雅にたち構えている。

クリス「これ以上好き勝手なんてさせません・・・・覚悟してもらいましょうか!!」

暁(きたきたあ!!クリス、熱血モードぉ!!)
クロキバ(・・・相当溜まってたからな・・・)

クリス「暁や暁の大切な仲間に手を出すことは・・・許さない。凶鳥(フレスベルグ)の名の下に・・・・あなたたちの行きつく最果ての場所・・・・全員地獄に導いてあげるわ!!」

目の色変わってるし・・・口調ももはやお嬢様のそれではなくって戦士のごとく誇り高き立派な口調に変わってるし・・・そして、銃を構えると正確無比な射撃で敵の急所を確実に討ち貫き、消滅していく。

さらに翼を広げて、ライフルのエネルギーをフルチャージでためると、構えて巨大な光線を発射した!!

クリス「はああああああああああああっ!!」

光線が空を裂き、地面を焼き尽くし、敵を一掃する。

シルヴァン「いいねぇ、喧嘩は派手にやらねぇとな」
デモンズバレットを取り出し、装てんし、発射すると、紫色の魔方陣が浮かび上がる!

凛(流水!俺に力を貸してくれ!!)
流水(うん・・!凛のためならどこまでもがんばる!!)
凛(頼りにしてるぜ、オトコのコ)
流水(・・・了解!!!)

そして、グリムサーベルを取り出し、それを地面に突き立てると敵の周りに水柱が飛び出し、無数の仮面ライダーグリムの分身が現れて、敵に向かって攻撃を仕掛ける!!
攻撃があたるとそれは紫色の液体に弾けて敵に流れ込み、それで溶けていく・・・!
それは猛毒の液体、触れただけでも息の根を止めてしまう殺傷力を持っている!!

シルヴァン「・・・・毒分身の術」

ヘブン「そうか、これが属性付加能力・・・!木のもつ毒の力と流水の分身能力を織り交ぜて作り上げたのか・・・!」

シルヴァン「行くぜ・・・!」

シルヴァンがグリムサーベルを構えると、木の葉にまぎれて姿を消し・・・。

そして、一陣の風が吹き、気がつくと刃を構えてたっていた・・・。
さらに、後ろにいたはずの敵の集団が突然動かなくなり、やがて、バラバラになって消滅した!!

シルヴァン「・・・草薙(くさなぎ)、微塵斬(みじんぎり)」

やがて、川原にいた無数の敵は・・・一人もいなかった。
いるのは、銀色の風をなびかせる仮面ライダーヘブンと、爬虫類を思わせるそれの緑の戦士、仮面ライダーシルヴァン、そしてホーネットプレデターだ。


ヘブン「・・・ふう・・・!」
シルヴァン「・・・まだ、安心するには早いかもな。ゲームとかじゃここからが危なかったりするんだよな」
ヘブン「同感」

その時だ。

「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」

ヘブン「・・・やーっぱ、こうなるか」
シルヴァン「ラスボス登場だぜ」

振り返ると・・・そこには!!

巨大な大木・・・・いや、これは、動く巨大植物かよっ!?
そして幹には先ほど倒した無数のドラゴンフライプレデターとスカラベプレデターの顔が埋め込まれていた・・・グロテスクもここまで来ると、ホラー映画だぜ!

ヘブン「説得は・・・無理そうね」
シルヴァン「植物だしなぁ・・・」

そして、ツタを鞭のように振り上げると・・・一気に襲い掛かってきた!!
幹を見ると、そこには、やっぱりありました、タロットカード!

ヘブン「今度は“隠者(ハーミット)”か!!」
シルヴァン「これにやられて、飲み込まれたらあいつらの仲間入りか?」
ヘブン「悪いけど、ダチなら間に合ってるぜ!!」

そして花が開くとそこから人間の顔のような・・・異形の顔がむき出しになり、一気に襲い掛かってくる!!口から溶解液を吐き出し、俺たちがよけて攻撃を伺う。

ヘブン「凛、植物の能力はこいつには効かねぇっ!!お前は母さんとアリスをつれて、一度安全な場所まで避難させろっ!!」
シルヴァン「了解だっ!」


その様子を見て、慧とアリスが呆然と見ていた。

慧「・・・暁・・・あんなに強くなって・・・・あたしは何を見ていたんだ。こういう時だからこそ・・・信じる気持ちを・・・忘れちゃいけなかったのに・・・!」
アリス「ヤバい、来るぞ!!」

その時だ。

アリスたちのところへ、植物の根が鞭のようにものすごい速さで伸び、襲い掛かっていった!!鞭は先が鋭い棘となって襲い掛かっていく!

ヘブン「しまった!!」
シルヴァン「くそっ、間に合えぇええええええええええ!!」

シルヴァンが走り出し、鞭に追いつこうとするが横から鞭の襲撃が入り、それをよけ、阻まれる!!

慧「ああっ!!」
アリス「・・・・ちっ!!!」

その時だ・・・。

ザシュッ!!!!!!

赤い血しぶきが舞う。そして、ツタの棘が・・・・。

しぶきが頬にかかり、その場から吹き飛ばされた母さんが・・・唖然として座り込んでいた。そして目の前には・・・・。

立ったまま・・・胸に深々とツタが突き刺さった・・・アリス・・・!!

あいつ・・・母さんを・・・・かばって・・・・!!!

母さんを吹き飛ばして、自分が盾になって・・・!!

アリス「かはっ・・・!!」
口から血が吹き出て、その場から倒れこみ、ツタで殴り飛ばされたアリスが力なく地面にたたきつけられ、そして、壁にたたきつけられた・・・!!

ヘブン「アリス――――――っ!!!」

俺はもうがむしゃらに、あいつの下に駆け寄った。そして、あいつを抱き上げる。
血が・・・胸から吹き出て止まらない・・・!!
あいつの顔色も見る見る青白くなっていく。息も苦しそうに、消えそうな呼吸・・・。

ヘブン「アリスっ、アリスっ、お前・・・・!!」
アリス「・・・・へへ・・・・暁だぁ・・・・」
ヘブン「・・・お前・・・・どうして・・・母さんのこと・・・・」
慧「・・・どうして・・・・あたしを・・・・!?」
アリス「・・・・・・・だって・・お前の母さんなんだろ・・・?なら・・・助けるよ」

ヘブン「アリス・・・・・!!」

変身が解除し、暁がアリスを抱き上げる。
その顔を見て、アリスが苦しそうに息を吐きながら、にっと笑う。

アリス「・・・情けない顔しないでよ・・・・あたしは・・・・あんたのそんな顔が見たいんじゃない・・・・いつでも強気で・・・まっすぐで・・・どんなピンチからも逃げない・・・・それでいて優しくて見るだけで心が・・・ほわっとするような・・・笑顔が・・・いつもの・・・強気な暁が・・・・大好きなんだよ・・・?」

暁「・・・・お前・・・」

アリス「あたしには・・・・母さんがいないから・・・分からないけど・・・・お前の母さんが・・・いなくなったら・・・・お前泣くだろう?悲しいだろう?そんな・・・思い・・・させたくないよ・・・・」

いつの間にか、俺の目に涙が溜まって、流れ落ちていた。
こいつ・・・・俺のために・・・・!!

クリス「・・・・アリス・・・・・・・!!」
クロキバ「お前・・・・!!そこまで・・・・暁のことを・・・」

アリス「・・・だって・・・・・」

―あたし、暁が、世界で一番、大好きだから・・・・―

その言葉を聴いて、俺は・・・・アリスの力ない、精一杯の笑顔を見て・・・思ったんだ。

―守りたい―

暁「・・・・・絶対死ぬなよ。いや、死なせない」

涙を必死でぬぐって、それでも真っ赤な目で、俺は精一杯のいつもの強気な態度で接する。

暁「・・・・お前とは・・・決着つけなきゃならねぇしな・・・・」

そして、言う。

―お前は・・・・・・俺が・・・・守る!!!!−
―俺は・・・・お前のこと・・・・・―

その時だ。

パアアアア・・・・。

黒い光がアリスの下に降りてきた。それは・・・パス!?
パスが放つ光で傷口がふさがり、肌にも血色が戻っていく。
そしてそのパスから、浮かび上がる、漆黒のボディに純金のラインが入り、荘厳な外見をしているライオンが現れる・・・!

暁「・・こ、これは・・・!?」
アリス「・・・・?」

「あんた、最高や。あんたのもっとる“純真”、バリバリ感じたでぇ!!汚れもなく、偽りもなく、自分の気持ちを素直に表現できる大切な気持ち・・・!ウチはまっとった!!プレデターやろうとそんなん関係あらへん!!あんたこそ、ウチの純真の力、司るんにふさわしい戦士や!!」

そしてそのパスを受け取り、アリスの周りに黒い魔方陣が浮かび上がり、それを潜り抜けると、その姿は・・・・!!

黒いボディに金色のラインが入った荘厳なライオンのヘッドパーツ、トラを思わせる鋭い爪がついた、アームパーツ、そして両足にはエンジンとエキゾーストパイプが備わったフットパーツ(モチーフはジャガー)があった。

これは・・仮面ライダー!?

「よっしゃあ!!誕生や!!伝説の土の戦士!仮面ライダーボルダーやぁああああ!!」

暁「アリスが・・・・伝説の戦士の一人!?」

クリス・クロキバ「「マジっスかああああっ!?」」

ボルダー「・・・これは・・・どういうことだ?」
シルヴァン「何がなんだか分からないけど、今は、あいつ倒すの、手伝ってくれねぇか!?」
暁「・・・・アリス、力貸してくれ!!」

ボルダー「・・・・・ああ、いいよ」

どうしよう、こいつが仮面ライダーだったなんて驚きよりも・・・・!
こいつが、生きてくれたこと、助かったことが・・・・・。

―メチャクチャ、嬉しかった―

シルヴァン「あれ?お前、泣いてるの?」
暁「な、泣いてねえよっ、バカっ!!こいつが助かったんだから、死んだんじゃないんだから、もう泣く必要ねえだろうがっ!!」

そうだ、目から流れるものは汗だ!!涙なんかじゃない!!

ベルトを巻きつけ、敵を前に俺が叫んだ。

暁「変身!!!」

銀色の風が舞い上がり、俺の姿がヘブンに変わると3人のライダーが立ち、目の前にいる巨大な植物の化け物を見据える。

ヘブン「行くぜ」
シルヴァン「おうよ」
ボルダー「へへっ」

銀色の魔方陣、緑色の魔方陣、そして黒い魔方陣が浮かび上がり、同時に構える。

そして俺が飛び上がり、シルヴァンがサーベルを構えて走り出し、ボルダーが拳を握り締めて、飛び出した!!ボルダーのエキゾーストから勢いよく蒸気が噴出し、凄まじい加速能力を発動させる!!!

ヘブン「凛、アリス!!」

「「「行くぜ!!!」」」

ヘブン「ジハード・・・・ブレイクキーーーーーーーーーック!!」
シルヴァン「木の葉・・・・乱れ切りの・・・術・・・!!」
ボルダー「テラ・・・・・ブラスタアアアアアアアアアアアーーーーッ!!」

蹴りが、斬撃が、拳が直撃し、隠者が絶叫を上げて崩れ落ち、消滅していく。
そして派手な火柱を上げ、俺たちが着地し、その姿を元の姿に戻っていく。

凛「・・や、やべー、ちょっと、眠気が・・・」
アリス「あ・・・・ああ・・・・」

そうして、二人が力を使い果たして倒れこみ、俺が二人を背負う。

暁「・・・はあ・・・はあ・・・勝った・・・・」

そして、眠るアリスの顔を見て、抱き上げる。
無邪気な子供のように眠っている。ったく、人の苦労も知らないで・・・。
そして・・・抱きしめた。抱きしめずに入られなかった。
なぜか、こいつなのに、愛おしくて、もろくて壊れそうで、そうせずにはいられなかった。

暁「・・・・ありがとう・・・・アリス・・・」

―俺は、お前のこと、嫌いじゃねえよ―

それが精一杯の言葉。それ以上・・・自分が素直じゃないことくらい知っているけど、恥ずかしくて言えるもんか。

暁「・・・お前のものになるのも・・・悪くはねぇかもな。でも、そう簡単にものになんてなってやらねぇよ(真っ赤)」

冷牙「・・・ツンデレだ」
流水「ツンデレだよね」
雷斗「・・・暁・・・・すごく嬉しそう・・・」

クロキバ「・・・ふむ・・・男らしくなったな」
クリス「・・・・・・・はい、そんな暁が好きですから!!」
クロキバ「・・・お、おぬし、今回はヘコまないのだな」
クリス「当然です・・・・・うう・・・今日はヤケ食いしてヤケ風呂してヤケ寝しますもん(涙)」
クロキバ「・・・ヤケ風呂ってなんだ?ヤケ寝ってフテ寝ということか?」
クリス「お風呂場で引きこもってます!!」
クロキバ「・・・やれやれ・・・・」

こうして、新しいライダー、仮面ライダーボルダーが仲間となった。
まさかこいつがライダーになるなんて思わなかったけど・・・。

まあいいか。

続く
Next Line「Dish confrontation ALICE vs CHRIS」
,さてと、まさかの3人目。
仮面ライダーボルダーは・・・アリス・ビストレオが変身します!!
アリスの「暁のことが心から大好き」「暁のために何かしたい」という「純真」が反応し、仮面ライダーボルダーとして誕生しました。
そして、命を懸けて慧を助けたことで、暁の中でアリスに対する気持ちが変わりつつある今回のお話いかがでしたか?次回で現在行方不明のフレアたちももしかしたら出場するかもしれないので、応援よろしくお願いします。

烈様へ
前回は私のリクエスト、本当にありがとうございました。
本当に凛、穏、昴がまさかここまで私の設定とおりに作り出してくださり、感謝の極みです!!ヘブンの凛たちそのものでした!!ありがとうございます!!

>“光を自在に操る”
一応、初期では「雷」を操るというのはどうかと思っていましたがそれもいいかもしれませんね。

>可能性的には二人も他の“時の列車”に選ばれる可能性があるんだから
いやもうこれネタバレですけど、確定ですよ?

>後、他の“時の列車”の“化身”達はどのような連中がいるのだ?
クロキバ「説明しよう。グリムは礼儀正しいし真面目でよく気がつく好青年である。趣味は植物の栽培、ガーデニング、保存食つくりであるから、冷牙とも仲が良いである。今回登場したアースライナーの、“アスカ”はよく言えば明るく場を盛り上げることが得意なムードメーカーであり、まあうるさく言うと、少々口うるさい関西弁の鉄火肌の女性である。たこ焼きやお好み焼きに目がない食いしん坊でもある。趣味は当然・・・食べ歩きだ」
残りの3体は後日、登場します。

>黒様

>聖
聖「ふふっ、そううまくいきますかね?いずれはあなたの想像がどんな意味で裏切られるか楽しみですね」

>慧ちゃんのビデオ
セレス「・・・ちょっとしたホラー映画かバイオレンスアクション映画見ている気分だわね・・・?今、落ち着いているのも、どうやってこうなったのか知りたいわ」
フレア「こえーって!!!何これ、シャレになんねえよ!!メッチャこええええっ!!」
マリア「・・・暁くんともし結婚できたら・・・あの人が・・・母親・・・うう・・・嫁姑戦争でも勝てるよう作戦を考えておきましょう」
アリス「・・・ふふっ、いいねえ、腕が立つ相手なら勝負相手には事欠かないからね」

>クロノスキバットの弟
これはまだ考えてなかったですが・・・・ちょっとしたアイディアとして考えさせてください。そしてこの3つのベルトももしかしたら登場するかもしれません。
そのときはよろしくお願いします。

仮面ライダーボルダー(意味は岩石)
装着者:アリス・ビストレオ
ライオンの力を持つヘッドパーツ、トラの力を持つアーマーパーツ、そしてジャガーの力を持つフットパーツで成立する姿で、大地の力を自由自在に操ることが出来る。
パンチを主体とするボクシングスタイルの戦闘を得意とする。武器である手甲「アースガントレット」を用いたパワーとスピードを生かした、野獣のような戦いを好む。
必殺技は大地の力を宿し、衝撃波と同時に放つ大地の力をこめたパンチ攻撃「テラブラスター」。

アースライナー
伝説の時の列車のひとつで「土」の力を司る。明るく元気でおしゃべりが大好きな浪花節で鉄火肌の女性。姿を列車の姿と、守護獣の姿に変えることが出来、守護獣形態はライオンのような姿をしている。大地の力を自由自在に操ることが出来る。趣味は食べ歩きで、食べることと楽しいことが大好き。

さて、次回ですが・・・。
クリスとアリスのガチバトル第1弾・・・としか言えません。
もはや暁の地獄も確定ですが・・・烈様の「暁」さん、何とか生き延びる方法考えますのでよろしくお願いします。
,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2010年12月12日(日) 21時11分57秒,20101212211157,20101215211157,ZnHHJpIANA6lU,仮面ライダーヘブン 第11話,鴎,,,第11話

エリザベート「この大うつけがっ!!!!」

エリザベートの怒号が鳴り響き、聖が黒いもやのように浮かぶ“闇”に吹き飛ばされ、地面に転がり、苦痛に表情をゆがめる。
エリザベートがさらに手を振り上げると闇がまるで意志を持っているかのように動き、巨大な球体となって聖を吹き飛ばし押しつぶした。聖が地面に力なく膝をつく。

エリザベート・アヴァロンの能力、それは「全身を闇に変える」「闇を自在に操る」。
全てのものを引き寄せ、飲みこみ、押しつぶす「闇」。
その強大な力に聖もなすすべもなかった。

聖「がはっ・・・・・くはあっ・・・・!!」
エリザベート「作戦無視したばかりか、アリスに次いでセレスまでも勝手な判断で処分にかかりおって・・・・!!お主に指揮権は与えたが、生殺与奪までの権利など与えた覚えはないぞい!!図に乗るのも大概にせい!!」

イングリッド「もうその辺になさい、エリス」
エリザベート「姉様・・・」
イングリッド「大望を果たすためには、断腸の思いで、かつての部下であろうと、障害は排除する。野望を果たすためには、常に真っすぐ、己の信念を貫くことのみでは無理です。例え、何千何万の同族の骸が転がる荒れ果てた地であろうとも、乗り越えて進まなければ、その覚悟がないのでは、貴方の目指す天下は掴めないですよ・・・?」
エリザベート「部下の命も守れない無能な主君に誰がついてくるというのですじゃ。部下は力、部下は財産、一人たりともワシは失いたくはないのですじゃ・・・」
イングリッド「甘いですね。エリス、貴方はどうにも覇道の王となるには優しすぎる。部下への気遣いや施しもいいですが、自身が目指すこの王の玉座がどれほどの多くの血をすすってきたか、この玉座を守り抜くために、お父様がこの地位を守るために部下や長年連れ添ってきた同胞であろうとも、涙をのんで、犠牲にしてきたことか・・・。いいですか、綺麗事やなれ合いではこの世界を統べる王になどなれはしない」

厳しい口調からはもはや情の一つも感じない、冷え切った言葉のナイフにエリザベートは胸が引き裂かれそうだった。それを必死で凛とした表情で耐えている。

イングリッド「ここまで来るのに、どれほどの犠牲があったと思う。こんな戦いに正当性を求めるほうがおかしい。敵を殺したらそれが上等か、部下が殺されたら外道か。それとも、目的を果たすためならこれまでの犠牲をやむを得ないといい、納得しながら、部下の一人二人くらいが死んだら耐えられないと?笑わせないで下さいよ」

エリザベート「笑い・・・じゃと?」

イングリッド「自らがこの道を選んだ時からすでに覚悟を決めていたのではないのですか?嫌ならずっとトランシルヴァニアで眠っていればよかったのです。自分で進んだ道で部下を犠牲にしなくてはならないということくらいで、何をいまさら被害者ぶりますか。そんな自分を憐れむくらいなら・・・・今すぐ貴方もいなくなるか死ぬべきです。私はそんな無能な妹も、将軍もいらない」

エリザベート「・・・・・・!!」

イングリッド「・・・そんなこと、思わせないで下さいね?エリス?」

エリザベート「・・・・・了解・・・・ですじゃ・・・・」
イングリッド「ええ、それでこそ私の愛する妹です。それでは、先ほどの命令もお願いしますよ?無能な四天王全員の処分、そして、真の四天王の解放を、ね♪」
エリザベート「・・・御意・・・!」

歯をギリギリと食いしばり、唇から血がにじみ出る。
頭を下げている間、端正な顔立ちが耐えがたい怒りと憎悪で歪み、狂的なまでに邪悪な負の感情を露にする。そんな全身を小刻みに震わせる姿を見て、イングリッド、そして聖が冷たい瞳で侮蔑するかのように笑っていた・・・・。


エリザベートが一礼をして、玉座の間を出て行ったあと、少し足早に出て行ったエリザベートの姿がいなくなるのを確認すると、イングリッドと聖が向かい合う。

イングリッド「・・・あのゴミの監視、引き続きお願いしますよ?そして無能なるものどもには容赦なく死の鉄槌を・・・ふふ・・・私が、吸血鬼の女王として君臨する世界に、弱者は必要ないのですから。妹であろうと知ったことではありません」
聖「・・・仰せのままに」

聖が一礼すると、静かに闇の中へと消えていった・・・。

同時刻・・・。
(凛視点)

凛「・・・つまり状況を整理すると・・・」

@ 大友暁は仮面ライダーヘブンに変身する。
A 警察組織クロノポリスに所属しており「時の運行」を守るために戦ってきた。
B 「時の運行」:過去、現在、未来といった時間そのもの。その時間を自分の好きなように作り替えようとしている敵がいる。今回の怪物たち「プレデター」もそのうちの一例。
C かつて時の運行を守るために作られた強大な力を持つ列車「原初の列車」を手に入れて世界征服を狙っているため先にその列車を探していた。
D そしてそのうちの一つが自分に力を与えてくれた「木のグリムライナー」。そして自分も仮面ライダーになるための「特異点」(どんな時間の変化があっても影響を受けず、元の時間に戻すことが出来るバックアップシステムのようなもの)であること。

凛「・・・てことか」
話を最後まで聞いて、ポイントをまとめ上げてみると、これまたとんでもなくスケールがでけーっつーか、もはやSF映画か特撮の世界に足を踏み入れたような感じだな。

クリス「・・・・ええ、その通りです」
凛「これまた・・・かなり現実離れしてるな」
クリス「・・・やはり受け入れがたいですか?」
凛「いきなりこんな状況になって、すぐさま受け入れられるとしたら、相当頭がイカれてるだろ。まあ・・・・俺はイカれている方だろうけどな。もうこうなったら、何がおかしいとか言ってられねぇだろうし、ありえないなんてありえないってことだろうしな」

実際俺と話をしているのが、鷲のような姿をしているお淑やかで上品な雰囲気のするお嬢様口調の・・・鳥と人間の女性を組み合わせたような姿をしているイマジン・・・確か暁の想像から生み出された未来人の一体とかいう存在だしな。

凛「・・・暁が話さなかったのも、単に俺たちに迷惑をかけたくないというだけじゃなくって、時の運行の話が一般人に漏れたらあまり良くないってことでもあるだろうしな。一種の戒厳令みたいなもんだろう?」

そんな話がもし漏れたら、時の運行を滅茶苦茶にしたがっている連中からすれば俺たちのような何も知らない一般人が関わってくることで対処しきれない膨大なトラブルが起こり、もしくはそれを利用してくるだろうしな。だって上手くいけば、自分がやり直したい過去をやり直せることだって可能なわけだし。そうなったらもう時間なんて自分の都合がいいように書き換えられたら、もう何もかもが滅茶苦茶だ。

クリス「・・・その通りです」
凛「そうか・・・・暁はずっと戦っていたんだな。そんな状況の中で」

クリスが入れてくれた紅茶を一口飲む。ダージリンの甘くほろ苦い味といい香りが口の中に広がり、混乱しそうな頭をクールダウンさせてくれる。

凛「・・・俺は・・・今後どうなる?俺としては、仮面ライダーとして選ばれたなら、俺もあいつのサポートが出来るなら・・・何か出来ることがあるなら・・・協力させてほしい。俺以外にシルヴァンに変身できるヤツはいねぇんだろ?俺が出来ること、世界を救うなんて大それたことはいきなりは言わねえが、今できることをできるようになりたい」
クリス「・・・前向きなんですね。自身がこのようなことになっているのに」
凛「・・・・・あいつばかりにこれ以上何もかも背負わせられないというか、何か力になれればいいなって思ってるだけさ。すぐ無茶しやがるからな」
クリス「・・・・とてもいい友達を持っていますね、暁は・・・。その言葉だけでも私は嬉しいです」
凛「俺だってそうさ。暁をここまで支えてきて、心配してくれる“彼女”がいるのなら、俺も安心だ。あいつが一人で何もかも背負いすぎて潰れないように支えてくれていたんだろう?暁の近くにそんなヤツがいてくれるから・・・俺たちがいつも一緒にいて、バカ言いあえる暁がいるんだ。本当にありがとな・・・クリス」
クリス「・・・・・ふえ・・・・?」

凛「しかし暁にこんないい“彼女”がいるとはな。隅におけねえや」

クリス「・・・・かの・・・・・じょ・・・・・?さとる・・・・の・・・かの・・・・じょ?・・・・わ・・・・た・・・し・・が?そう・・・見えるの・・・れすか?」
凛「・・・?ああ、見ていて微笑ましいくらいにね」
クリス「・・・・!!(ドガンッ!!!!)」

おいおい、今頭が何か爆発しなかったか?顔が真っ赤になってやがるし、煙上がってるし・・・。つーか、おい、大丈夫か?こりゃまた今時珍しいほど純真つーか初心だねえ。
まあ、だから暁にはお似合いなんだろうけどね。

クリス「・・・えへへ・・・・暁の・・・彼女・・・・暁の・・・彼女・・・・うふふっ、えへへ、すごく、嬉しい・・・なあ・・・・」
もはや頭はお花畑状態になっているな。つーかあいつの周りに天使がラッパ吹き鳴らして飛び回ってるように見えるよ、おい。

こりゃまた満面の笑みだし・・・・。まあ、いいか。こいつもこいつで俺は嫌いじゃないし、むしろ今後仲良く出来ればいいな。(この時クリスと凛との間に固い友情が結ばれた)


同じころ。
病室、そこの病室で暁が静かに眠っている。呼吸器から呼吸が単調に繰り返され、いくつものチューブでつながれている姿は痛々しかった。その様子を見ていた晶と慧が心配そうに見ていた。

慧「・・・・暁・・・!!」
晶「・・・こんなになるまで戦わせていたなんて・・・・俺たち・・・親失格だ」
慧「・・・力奪われて、何もできないって、こんなに悔しいなんて・・・!!」
晶「・・・慧」
慧「ちくしょう・・!!ちくしょう!!ちくしょう!ちくしょう!!ちくしょう!!!」

ガンガンガンッ!!!
狂ったように拳をたたきつけまくり、その拳から血がにじみ出て、慧が力なくひざから崩れ落ちる。そんな慧を晶が支える。
慧の顔を見て、晶が言葉を失う。その顔には、やりきれない怒りと悔しさで、目から涙が零れ落ちていた。

慧「・・・・これじゃ、昔みたいに向こう見ずに暴れまくっていたときのほうがまだマシだった・・・!そうすれば、自分の息子にこんな思いさせなかったのに、守れたのかもしれないのに・・・!」

晶「・・・・慧・・・」

慧「・・・・・・ちくしょう・・・・!!」

自分自身の無力への許せない怒り。
それが慧を蝕んでいた。そして自分の息子をここまで追い込んでしまったことが、どうしても許せない。何で自分は力を奪われてしまったのか。どうしてこんな自由に動き回れなくなっていたのか、何もかもがもどかしくて、邪魔で、苦しい。

慧「・・・・もう、いい・・・」

晶「・・・慧?」

慧「・・・力のないお飾りのビショップなんて・・・ごめんだ・・・・もう・・・これなら・・・あいつの代わりに・・・あたしが戦う・・・・!」

そういって、一気に飛び出し、病室を出て行った。

晶「け、慧!?慧、何バカなことを考えているの!?慧――――――――――っ!!」

晶の悲痛な叫びも聞こえず、振り切るように慧がホームに飛び出すと、Vライナーが流れ込み、慧を乗せると扉を閉めて走り出し、光の中へと消えていった・・・!!
後一歩のところで追いつかず、ホームに駆けつけた晶が呆然とする。そして嫌な予感が確信へと変わった。

晶「慧・・・まさか一人で・・・!?」

晶が行こうとするが、格納庫にある自分の列車の残骸を見て、言葉を失う。
かつて、エリザベートとの戦いで・・・滅茶苦茶に壊され、修理の復興作業がエメラルドでさえも「めどが立たない」と苦渋の答えを告げられたほどの歪み、へこみ、いびつな形の鉄の塊へと変えていた自身の列車の無残な姿を・・・。

キバライナー・セイリュウはその満身創痍でかろうじて生きているその無残な姿を多くの鎖や修理器具で固定されている状態であった。

晶「・・・・本当に・・・・何やってるんだよ・・・俺たちは・・・・!」

慧と晶に、いつになく焦りが生じていた。



同じころ・・・。
セレスも胸のうちに宿る不安を隠しきれないままでいた。深く傷ついた状態で絶対安静を言いつけられていたが、思うのは不安。

セレス「・・聖が、マリアやフレアを放っておくとは思えない。もしこのままでは、アリスも、マリアたちも、やられる・・・!!」

起き上がろうとするが、聖から受けたダメージは深く、起き上がることもままならない。

セレス「・・・なのに・・・どうしてこんなときに・・・動けないのよ・・・!!」
クロキバ「・・・気持ちは分かるが、今はけがの回復に努めるしかあるまい。お主はしっかりと休み、回復に専念しろ。我とクリス、それにクロノポリスが全力を上げて聖を追っている。悪いようにはせん」
セレス「・・・それでも、聖が何をするか分らないから不安なのよ・・・」
クロキバ「・・・確かに我々では理解できない思念の持ち主であるからな」
セレス「・・・狂っているのよ。生きることが何かを育み作り上げることが生業というのなら、あいつが生み出すのは悲しみ、憎悪、狂気・・・。そしてそれを心から楽しんでいる・・・あいつがもしこのままああいった行動を繰り返すのであれば・・・ダーク・キングダムも終わりよ・・・。それすらも気づいていないの、エリザベート様も、イングリッド様も・・・もし・・・知っていて泳がせているのなら・・・危険すぎるわ」

クロキバ(ふむ、この女性は四天王の中でもかなりまともな思考回路の持ち主であるな。それに仲間を大事に思える・・・優しさと強い心を秘めている・・・悪い者ではないな)

その時であった。

突然病室の扉が開き、何かが入ってきた。

クロキバ「うむ?誰であるか?」
「そのお声は・・・クロノス殿!クロノスキバット殿でござるな!?」
時代がかった独特の口調、若い青年の声が飛び、やがて、その声の主がベットの上に飛び上がってきた。緑色のカメレオンのような姿かたちをしている生き物がオレンジ色の大きな瞳を光輝かせている。

クロキバ「・・・お主は・・・・グリム!?グリムか!?」
グリム「いかにも・・・!!お久しぶりでござる!!ご壮健で何より・・・!!」

そう礼儀正しく頭を下げ、「グリム」と呼ばれるカメレオン、グリムライナーの化身である守護獣が名乗り出た・・・。


クリス「クロキバ様の昔の・・・部下!?」
クロキバ「うむ、グリムライナーの復活とともに、封印されていた記憶も目覚めてきておる。グリムはドラン族で幻竜種に属する一族の神官であり、植物と幻を操る竜族の能力を受け継ぎしものである。我の下で時の列車の守護を司っておったのだ」
グリム「クロノスキバット様もお元気そうで何よりでござる」
クロキバ「しかしお主はエルダートゥーンの森・・・確かブラジルはアマゾンの奥深くに眠っていたのではなかったのか?」
グリム「・・・そうだったのでござるが、ここ最近、時の運行の乱れ、それに生じる邪悪な気配を感じ取り、私は他の仲間よりもいち早く目が覚めてしまい、クロノスキバット殿の気配を感じ取り、この地の森の奥深くまでたどり着いたのでござるが、ここまで来るのに力を使い果たしてしまい、少々休養をとっていたのでござる。すると、私の司る「勇気」を受け継ぐ素質のある者の気配を感じ取り、これは天命とばかり、この力を凛殿に授けたのでござる」
クロキバ「・・・そうであったか」
凛「・・・で、でも、俺でよかったのか?」
グリム「・・・勿論でござる。あの時、マーマンの少年を助け出したとき、貴方から感じた勇気・・・いかなる困難や、恐怖、それらと向き合い乗り越えていこうとする大切な気持ちがとても熱く・・・心に響いた。故に私の主は貴方でござる」

正面から真っすぐ、力強く言われて凛が「そうか」と照れくさそうに笑みを浮かべる。

グリム「ところで、先ほど、けが人が多数出ていると耳に挟んだのでござるが・・・」
クロキバ「・・・うむ、少々ダメージが深くてな」
グリム「それならば、私にお任せあれ。けが人は・・・そちらの女性と・・・クロノスキバット殿の主殿・・・そしてマーマン、ウルフェン、フランケンの者たちでござるか?」
クロキバ「・・・そうか、お主の能力か!ああ、早速で悪いが頼めるか?」
グリム「御意!」

そういって、数分後、傷ついた冷牙、流水、雷斗、セレスのもとへグリムがやってくると、皆の前に跳んできた。そして、暁がベットに寝かされたまま運ばれて、そしてグリムが飛んでくる。

グリム「これで全員でござるな」
クロキバ「ああ」
グリム「それでは、始めるでござる」

グリムが瞳を閉じ、呪文を唱えると、緑色の魔法陣が空中に浮かび上がる。
グリム「大樹に宿りし生命の力よ、傷つきし者たちの体に宿り、癒しの恵みを与えよ。大樹の治癒(ドライアド)!」

そう唱えると、緑色の光が降り注ぎ身体中にしみ込んでいく・・・。
すると、みるみる怪我が回復し、傷口がふさがっていった・・・!

冷牙「おいおいおいおい!?マジかよっ!?」
流水「すっごーい!!身体もう痛くないよ!!」
雷斗「・・・元気・・・全開・・・・!!」
セレス「自己回復力の強化・・・?それにしたって、信じられないほど強力な力だわ!」

暁「・・・・にゃあ・・・?」
そして、暁が目を覚まして起き上がった。そして、自身の体の傷がふさがり、力がみなぎってくる感覚に目を見開く。

(暁視点)
これ、すごいだろ・・・!
もう傷口がふさがってるし、痛みも消えて、体中をむしばんでいただるさや重さも感じない。
暁「・・・傷が・・・完全に回復した・・・!」
クロキバ「もう、起き上がれるであるか?」
暁「ああ、やってみる!!」

そうして起き上がり、床に足を着いても、震えることなく着地出来た!

暁「ああ、これならもう全力でバリンバリン全開だぜ!」
その直後。

ザクッ(床にあった画鋲を思い切り裸足で踏みつけた音)

暁「ギャ――――――――――――――――――ッ!!!!」

クリス「暁っ!?」

ヨロヨロヨロヨロ・・・(足を抑えながら片足でジャンプする音)
そしてそのまま廊下へと出ていくと・・・。

「緊急手術の患者さんのお通りです――――――――っ!!」

バアアアアアアアアアアアアアアンッ!!(猛スピードで走ってきた患者さんが寝ているベットに吹き飛ばされる音)
ヨロヨロヨロ・・・ドンガラドンガラガッシャアアアアアアアアアアン!!!!(よろめいて階段から転げ落ちた音)

暁「あじゃぱあああああああああああああああああっ!?」

クリス「さ、暁――――――――――――――っ!?」
冷牙「・・・おい、今日のあいつの運勢最悪なんじゃねえのか?」

階段の踊り場では・・・見事階段から転げ落ち、リネン室から運ぶ途中であったシーツの山に頭から突っ込み、埋もれて横たわった暁がピクピクとけいれんを起こしてぶっ倒れていた・・・。

暁「・・・バリンバリンで・・・不幸・・・全開でした・・・・(ガクッ)」

クリス「暁――――――――――っ!?死なないで―――――――――――――っ!!」
冷牙「いや、その程度で死ぬようなタマではなかろう」
流水「しかし本当に運がないよね・・・」
雷斗「・・・・合掌・・・!」

グリム「・・・く・・・クロノスキバット殿・・・・・これは・・・・」
クロキバ「・・・動揺するのも無理はないが、もはや日常茶飯事である。深く考えない方がお主のためであるぞ?気が滅入るであろうからな」
グリム「・・・あの方が・・・・クロノスキバット殿の・・・主」

ちくしょう、復活早々また重傷だよ・・・・(涙)

同時刻。
星見山・・・先ほどの「月」との激闘が行われた場所から少し離れたところにある「滝」。
そこに・・・一人ただ一心不乱に拳をまっすぐ突き出し、正拳突きを繰り出す、黒髪のロングヘアを縛り金色のメッシュをなびかせている女性がいた。
褐色の肌を持つ、妖艶な色香を漂わせる官能的な肢体は鍛え抜かれた筋肉で引き締まっており、素手でも鋼鉄を引き裂くことも可能である。そしてその金色の瞳は野獣を思わせる細く引き締まった鋭い光を宿した瞳をして、前に向かっている。

アリス「・・・・はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・・」

まだだ・・・。
まだ、いける、まだ、やれる。
この拳、何度突き出しても、足りない。
あいつの背中に追いつくまでは、まだ、足りない。
もっと、もっと、もっと・・・・。
拳を振り、風を切る音を感じるたびに、強く思う。
「欲望」が高鳴り、さらに熱くこの胸を焦がしてくる。

アリス「・・・・暁・・・・・・あたしは・・・絶対あきらめない」

そう、あいつと戦いたい。
このたぎる情熱、身を焦がすほどの情熱、すべてをむしゃぶり食らいつきたいといわんばかりのむき出しの欲望、気が狂わんばかりに全身を支配するこの黒い炎・・・!!

アリス「ああ・・暁ぅ・・・・ふふふっ・・・・愛してるぅ・・・・壊したいほどに」
舌なめずりをして、いとしい人の名を呼び、あたしは押し寄せる快楽と衝動を拳に乗せて突き出す・・・!!

暁が欲しい、暁の全部、ぜぇんぶを独り占めしたい。メチャクチャにしたい。あたし以外の何もいらない。暁の心をあたしで満たしたい、あたしだけいさせてほしい!!

アリス(・・・・何度負けても、這い上がる。その先に暁がいるなら・・・ふふふ・・・どんな地獄だって怖くない!!)

たとえ、このまま身が滅んでもいい。
あいつを思って、あいつのものになって、朽ち果てるなら・・・。
それも本望だ。

初めて出会えた・・・心から愛する人に、愛してもらえるなら。
あたしだけを愛して、壊して、身も心も全部独り占めにして欲しい!!
あたしも愛しているから!!!

だからこの間の敗北も、乗り越えてみせる。今乗り越えれば、きっと明日がつかめる。

アリス(もう二度と負けない。あいつの背中に追いつくためには、あいつと戦うには、もうへこんでられないんだ!!)

その時だった。

慧「見つけたわ、プレデター・・・さんだっけ?」

アリスが振り返ると、そこには黒髪のロングヘアを風になびかせ、顔をこわばらせて歩いてくる慧の姿があった。腰にはバルキリーベルトが巻かれ、手に持っているパスがもう戦闘準備態勢にうつっている。

アリス「・・・お前は、姫さんにギタギタにやられたビショップ・・・だったか?」
慧「・・・それと・・・あんたがふざけた呪いをかけてくれた大友暁の・・・・母親さ」
アリス「・・・お前が・・・・あいつの?」
慧「・・・もう何もかもウンザリだ。何もできない、無力な自分なんて、ゴメンなんだよ。あんたをここで・・・・潰す!!」

バルキリーベルトの赤いボタンを押し、ルーベットを召喚すると、パスを通す!!

慧「変身!!」

そしてその全身に赤い光をまとい、タカを模した赤き勇猛な戦士、仮面ライダーバルキリー・ランスフォームが現れた!

アリス「・・・ふん、焦っているのか?怒りに飲まれているのか?例えあいつの母親だろうと、負けるわけにはいかないね。・・・・嫁姑戦争ごっこでも、おっぱじめるか」

暁(待て、お前と俺、いつ結婚したんだ!?)

金色の光をまとい、百獣の王の化身となったライオンプレデターが現れると、手甲から爪を引き出すと、走り出し、一気に切りかかる!!ランスフォームが槍を構えてそれを防ぐが、あまりの重量にランスフォームの顔がしかめる。それを力任せに押し返す。
しかし次々と繰り出される重く素早い拳の猛打にランスフォームがおされ気味になる。

Lバルキリー「くっ!!この者・・・相当鍛えているな・・・!!」
ライオンプレデター「はあああああああああっ!!」

ステップを踏みながら川原という不利な足場をも不利とせず、拳を次々と繰り出し、ランスフォームをせめてせめて攻めまくる。ランスフォームが槍を振り回し、それをよけ、猫のように着地するとすぐさま飛び出し、拳の手甲の爪がなくなり、黄金色の光を放つ球体に変わる!!それをランスフォームに向かって発射すると、飛び道具の応酬を直撃し、ランスフォームが吹き飛ぶ!!

ライオンプレデター「まだまだぁっ!!!あたしはもう、誰にも、負けない!!」

あいつの背中にはまだ、まだ、追いつかない。
でも、いつか、追いつくんだ。
そして、絶対に、戦うんだ!!

ライオンプレデター「はあああああああああああああああっ!!!」

槍の猛打を避けて、飛んで、かわし、拳を構えなおしランスフォームの前に躍り出る!

Lバルキリー「何っ・・・!」
ライオンプレデター「あたしはマジなんだよっ、あいつが、暁が好きなんだっ!!こんなところで負けてあきらめられるほど、ヤワな願いなんかじゃねぇええええええええええ!!」

そして拳を次々と休むまもなく顔面、ボディ、至る所にありったけ、叩きつけまくる!!

ライオンプレデター「ガトリング・・・・・・・・・パンチ!!!!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ―――――――――――ッ!!!!」

Lバルキリー「アアアアアアアアアアッ!!!」
サファイア「ルーベット、君じゃ、不利だ!!あたしが代わるよ!!」
ルーベット「・・・承知!!」

青い光が宿り、その姿がガンフォームに変わり、銃を構えると光線を次々と発射する。
それを避けて、猫のようなしなやかな動きで攻め寄ると、拳を突き出し、ガンフォームが吹き飛んだ!!

Gバルキリー「やぁれ、やれ、烈様もお待ちかね(かも?)の、サファイア(変態青玉馬鹿白鳥)様が華麗に復活したというのに、少しはかっこつけさせてくれよ?」
ライオンプレデター「すぐさま終わりにしてやる!!」

正確無比な射撃の銃弾が発射されるが、それを目にも止まらない速さで避けまくり、飛び出すと、足を振り上げて一気に顔面に向かって攻撃を仕掛ける!!

それを避けると、再び攻撃態勢にうつるが休む間もなくライオンプレデターの攻撃のラッシュが繰り出される!!

アリス(あたしはもう、負けない!)

アリス(誰が相手だろうと、世界がどんなに広くて、自分よりも強いヤツがいても)

アリス(それでも、追いかけたい、追いつきたい、あいつに・・・)

ライオンプレデター「暁と・・・もう一度戦うまで・・・あたしは負けないっっ!!」

拳と拳を激しくぶつけ合わせて、大地の力を集結させると黄金色の光が集まり熱く光り輝く!!足元の地面が震え、石が、岩が持ち上がり、大地から噴出するように黄金の光があふれ出す!!

ライオンプレデター「グオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!」
Gバルキリー「・・・こりゃ、くるねぇ!!」
慧「・・・・ぶっ潰してやるっ!!暁に近寄るんじゃねえよ・・・・このバカがあああっ!!」
ライオンプレデター「・・・来いよ、今お前なんかに構ってる場合じゃない。怒りで何も見えなくなってるお前なんか・・・弱いんだよ。歴戦の勇者とか・・・どんなに強いとか・・・そんなの関係ない・・・・あたしは・・・そんなヤツが相手でも・・・どんなに勝ち目のない戦いだろうと・・・逃げない・・・逃げたら・・・あいつがいなくなっちまうような気がしてるからよ・・・・」

ゆらりと拳を構えて四肢に力を入れて足に十分力を入れる。

アリス(・・・あたしは・・・あいつが・・・・好き・・・・。自分の欲望をかなえるためなら・・・ぶっ壊れるまで・・・・・強くなる・・・・!!)

この間の敗北で、気づいた。自分がいかに弱いのか。
だから、もっと強くなりたい。負けた悔しさで打ちひしがれるより、怒りで相手を憎むより、ずっともっと、自身を強くする糧にするために、敗北も悔しさも受け入れてやる。

ライオンプレデター「・・いくぜ、最強の仮面ライダーさんよ。あたしは、あんたを超えていく・・・!!」

一気に飛び出し、飛んでくる銃弾で額を直撃しても、身体の各所を打ち抜かれて激痛と熱く麻痺する感覚が支配しても、この進撃は止まらない!

サファイア「慧、ヤバい!!こいつ、来るよっ!?逃げたほうがいい!!」
慧「・・・逃げるわけにはいかない!!こいつなんかに負けているわけには、いかないんだよ!!!」
サファイア「慧!?」

ライオンプレデター「・・・目を覚まさせてやるよ・・・・!怒りで・・・自分自身も誇りも何も見えなくなった拳なんか・・・・!!!」

拳に黄金色の光が集まり、一気に巨大化し、それを殴り飛ばすように拳を突き出すと光線となって発射される!!!

ライオンプレデター「戦士の拳なんかじゃ・・・ねぇえええええええええええんだっ!!!テラ・・・・・・ブラスタァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

Gバルキリー「うわあっ!?」
慧「怒りで・・・何も見えなくなっている・・・・私が・・・!?」

しかし迷うまもなく光線が直撃した・・!
慧「ああああああああああああああああああっ!!!」

そして飛んできた拳が顔面を直撃し、拳が顔にめり込み、変身が解除された慧が吹き飛び、地面を転がり、川に落ちると、慧がビクンビクンと震え、やがてその場に倒れこんだ・・・。

慧「・・・私が・・・・喧嘩で・・・負けた・・・・?!」
アリス「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・・!!」

そしてそこには髪が解けて、ロングヘアを腰までたらしたアリスが拳を構えて荒く呼吸していた。ひざをつき、拳からは蒸気が噴出し、血がにじんでいた。相当自身へのダメージも大きかったらしい。

慧「・・・・どうして・・・・力が・・・なくなったからって・・・こんなに無力なの?」
アリス「・・・あんた・・・何か勘違いしてねぇか?ビショップの力を奪われたから、弱くなったんじゃない・・・・・あんたの心が・・・いつの間にか・・・弱くなっていたのさ。あたしは・・・・あんたがくすぶっている間も、ずっと鍛えてきてるんだ・・・・」

アリスが慧にまっすぐ、黄金色の瞳を向けて言う。これまでにない真摯な表情で。

アリス「・・・あたしがやっと出会えた、強い心と拳を持っている、あんたの息子に惚れたから・・・。あたしは暁が好き・・・・!!だから、あいつと戦うまで、どこまでも、強くなる・・・・!!」

そのまっすぐな言葉に、慧は打ちのめされたような気がした。
自分だって・・・母親として、暁を心配し、愛してきたつもりだった。
でも、今の自分は感情に任せて暴れくるって・・・結局こんな無様な負け方をした。
何がやりたかったんだろう、何で何もできずにただくすぶっていたんだろう。

悲しみ、悔しさ、怒り、どれともいえない複雑な感情。
涙が流れ落ちていた。
自分が、力を失ったことでそのせいにして、弱くなっていたことにすら気づかなかった自分が許せなくて。

目の前にいる敵が・・・敵ではなくて、超えられない壁のように感じて・・・。
それすらも悔しかった。

慧「・・・・あたしの・・・・負け・・・だ・・・」

その様子を見て、アリスがどこか悲痛そうな瞳で、やりきれない様子で見ていた。


一方・・・。
聖「・・・見つけましたよ、アリス。まさか、私の可愛い慧ちゃんをあんな目に合わすなんて・・・死んでもらいましょうか」

そういい、手を振るうと、そこにはセレスの部下であった無数のドラゴンフライプレデター、スカラベプレデターが獰猛な赤い瞳を光らせて、うなり声を上げていた・・・。

やがてそれはアリスと慧を取り囲むように周囲に潜んでいた・・・・!

聖「慧ちゃんは殺さないようにしてくださいね。あのライオンを・・・殺しなさい」

そういうと、周囲が合図であるかのように凶暴な牙を光らせて戦闘体勢に入る。


しかしそのとき、聖は気づかなかった。
アリスの近くに現れていた、不思議な黒い光のことも・・・。
そしてそれが・・・・黒い「ライダーパス」であったことも。
そして、それが、伝説の列車のひとつ「地のアースライナー」の力を受け継ぐものに与えられる「地のライダーパス」であったことも・・・!

アースライナー(女の声)「・・・・その純真無垢なまでの欲望、まっすぐな信念、うちの相棒・・・やっと見つけたで!!」

続く
,さてさて、ついに11話投稿しました。
今回は逃亡者として追われていることにも気づかず修行に明け暮れていた暴走ヤンデレ娘のアリスと慧のまさかのガチンコバトル(嫁姑戦争)、そしてグリムライナーの登場と凛、セレスへの説明がメインでした。
聖が慧を案じているのは、かつて、慧だけが聖を「先生」と呼び慕っていたため、彼女には聖も特別な感情を抱いているためです。慧の前では狂気を見せず、冷静沈着で穏やかな人柄を見せます。それが何の気持ちなのか、今後明らかになります。そして次回、シルヴァンとヘブンが参戦し、さらに、第3のライダーが登場します!気合入れて書きまくります!!

ところで・・・烈様にご質問というか、お願いなのですが、私が作品で書き上げた「凛」「昴」「穏」なのですが、烈様が台詞を入れて書くとどのようなコメントとして書いてくださるのでしょうか?実は自分で書いてみたのですが、烈さまにこの3人からのコメントを、もしよければお願いしたいのですが・・・いかがでしょうか?

ちなみにこんな感じです。
凛:一人称は「俺」。ぶっきらぼうかつさっぱりとした男のような口調で話す。

昴:一人称は「ボク」。敬語も交えた明るく開放的な雰囲気で話す。

穏:一人称は「あたし」。寡黙で、「・・・」と言葉の間と間には入れて話し、台詞のあとによく効果音を入れている(きゅぴーん)とか(ふっふっふ)とか」

レスをお返しします
>烈様
>暁「つうわけで【仮面ライダーヘブン】《第9話》の感想だけど……冒頭に書かれているヤツって、明らかに『ヘブン』のことを示しているンだよな? いったいどこで語られたことなんだ?」

実はこれは今後登場する「時」をつかさどる存在(クロキバたちが仕えていた時の守護者)が関係しているもので、今後明らかにしていきます。

>【仮面ライダーオーズ】の“メダル”のヤツとかがヒントとなっているのですか?
実はそうなんですよ・・・。
メダルのデザイン、オーズ本当にかっこよくって、心を奪われてしまいました。
今後ともまだまだ登場しますので、応援よろしくお願いします!

>流水くん
本当に申し訳ございません。今回のこれは、凛と流水の仲を深めるため、そしてこれが今後の戦いで協力しながら戦うといった戦闘や日常でのやりとりの付箋でもありまして、あえて書かせていただきました。

>暁「…ん? にしても、あの外道狂人シスターって確か『仮面ライダーワイバーン・ビショップ』をやっていた時って、剣術を使っていたけど、どうして素手での戦いが苦手になってんだ?」

聖「・・・剣術とかは得意ですが、ああいった奇襲やラフファイトは苦手なんですよ。なんていうのか、策で相手をはめて身動き取れなくなった相手を叩きのめすのは得意なのですが、喧嘩は苦手です」

>ミルキーウェイ
冷牙「それについては俺たちが説明しよう。あのまま騒がれては大変だから、ちょっと眠ってもらってな・・・」
雷斗「凛は・・・用事があるから・・・・・先に帰ったといって・・・俺たちが・・・ちゃんと・・・自宅に送った・・・・」
まあもうすぐ、バレるかもしれませんけどね。

そして、次回・・・。
まさかの第3のライダーが現れます!!

Next Line 「Groaning innocence “Boulder”」
仮面ライダーボルダー・・・土のライダーが登場します!!
,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2010年12月06日(月) 04時55分21秒,20101206045521,20101209045521,YPPDTYB/lIsC6,仮面ライダーヘブン 第10話,鴎,,,第10話 「Second rider Sylvan」

「勇気」
どんな困難や恐怖をも乗り越えていこうとする、自分自身の心を奮い立たせる感情。
今、その「勇気」の心が光り輝き、新たなる戦士が誕生のときを迎えようとしている。

ヘブン「ぐああああああああああっ!!」

月と化した流水の容赦ない槍の猛攻が次々と繰り出され、一気に俺は追い詰められている。
銃剣で槍の攻撃を防ぐが、もはや防戦に徹しているから体力だけが消耗していく。
でも、このままじゃ・・・正直ヤベェぞ・・・!!

こんな高圧電流なんてまた食らったら・・・確実に・・・・死ぬ。
だからといって、このまま防戦じゃ・・・槍でなぶり殺しだ。
でも・・・あいつを助けるんだ!!負けるわけにはいかない!!

ヘブン「がはっ・・・!!」

口から生暖かい鉄の味がする液体がほとばしる。この様子だと、相当ダメージ食らってるな・・・今の俺、相当ヤバいかもな。

クリス「暁!!!」
クリスが泣きそうな声を張り上げる。悪い、またお前に迷惑かけちまってる。
でも絶対に負けない・・・。
あいつを、守るって、決めたんだから。

クロキバ「暁・・・・!」
ヘブン「・・・・クロキバ・・・クリス・・・・俺に何かあっても・・・・流水は・・助けてくれ。俺は・・大丈夫だから・・・・」
クリス「暁ぅ・・・・」
暁「流水は・・・俺の大事なダチ・・・絶対に助けるぜ・・・・」

暁「命、かけてもな」

クロキバ「暁・・・・!!」
クリス「・・・・暁―――――――――――――っ!!」

月「ギシャアアアアアアアアアアアアアア・・!(暁・・・・!!)」
暁「守るぜ・・・お前はそこで待ってろ・・・・俺が助けてやるからよ」

ホーネットプレデター「・・・・貴方・・・・・どうしてそこまで・・・」
ヘブン「ダチのためさ・・・ほかに理由なんていらねぇよ」
ホーネットプレデター「・・・ダチ・・・・!!友達のために命を・・・!?」
ヘブン「・・・・文句あっか。お前は邪魔だ・・・これは・・・俺の喧嘩だぜ」

よろよろと銃剣を構えなおそうとした・・・その時だ。

ホーネットプレデター「・・・・邪魔ですって?こんな時に・・・邪魔するほど・・・無粋ではないわ!!!」
ヘブン「え・・・?おい、お前!?」

突然そういって、自身の手から金色のどろりとした液体を搾り出すと、それを俺に頭からかけやがった!!!!すると・・・あれ!?液体が見る見る鎧のように俺のアーマーや仮面を覆っていき、固まっていく!?これは!?

ホーネットプレデター「・・・私の蝋なら、ちょっとやそっとの電流なら防げるわ。これなら蜂の電流も無効化できる!」
ヘブン「お前・・・どうして!?」
ホーネットプレデター「・・・・・もう今回のことで、上に愛想が尽きたわ。友達のために命をかけて戦うヤツを不意打ちして、何が美しいのよ!冗談じゃないわ!!もう限界よ!!!ヘブン、存分に戦え、貴方の大切なものを取り戻せ!!!」

こいつ・・・!!
嘘偽りのない熱い感情。すごくまっすぐに伝わってくる。自分自身が追い求める美しさを・・・生き方そのものに求めているから・・・認めたくないものを今こいつが決めて選んだんだ・・・!

ヘブン「・・・マジでありがとう・・・!!お前・・・いいヤツじゃねえか!!」
ホーネットプレデター「うるさい!!私のことなんてどうでもいい、早くあいつを助けなさい!!呪術は時間がたてばたつほど、危険なのよ!!進攻が進めば進むほど手遅れになるわ!!」
ヘブン「おう!!」

月の攻撃を避けて、銃剣の柄でぶん殴り、ひるんだ隙を突いて呪いのもととなる部分を探す!!すると・・・こいつの胸の部分に・・・見えるのは・・・!

ヘブン「タロットカード・・・!?」
ホーネットプレデター「やはり、聖だったか・・・・!!あいつはタロットカードを媒介にアンデッドを操るの!!そのタロットカードを壊せば、呪いは解除できるわ!!」
ヘブン「・・・・聖・・・・まさか・・・・あのバカシスター・・・か!?」
クロキバ「まさか・・・あいつが生きていたのか!?」
クリス「・・・可能性はありえますが・・・まさか懲りずに挑んでくるなんて・・・!!」
ヘブン「・・・しかも・・・・ものすっげぇムカつく能力を身につけて、か!!」

そうか・・・もしかしたら今度の事件・・・あいつがもし生きていて・・・俺たちの命を狙っているのだとしたら・・・考えられないことではないな。でも、あれだけのことをやらかして、まだ破壊し足りないのかよっ!!まだ何かを奪い、絶望や悲しみを生み出し続けるのかよ・・・!?どこまでも・・・狂ってやがる!!!!

月「ギシャアアアアアアアアアアアアアッ!!」

すると、月が三叉槍を突き出し、ホーネットプレデターに襲い掛かっていった!!
ランスを取り出して三叉槍の攻撃を防ぐが、次々と襲い掛かる猛攻を防ぐが、じりじりと追い詰められていく!!そうか、あいつ、俺のことを気遣って・・・!!

月「ギシャアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
ホーネットプレデター「くっ・・・!!甘いのよ!!」

月を払いのけて、手から蝋を取り出し払うと、それが枷の形になって月の手足を押さえつけて動きを封じる!鋼鉄よりも硬い蝋の枷は振りほどくことができず、さらに重くなり、その場に倒れこんだ!!

ホーネットプレデター「今よ、ヘブン!!」
ヘブン「おおっ!!」

聖「つくづくムカつきますねぇ・・・!!セレス、あんたもやっぱりもういらないわ!!」
聖が口汚くののしると、指をパチリと鳴らして蜂がそれに反応して動き出し、ホーネットプレデターの背中に複数の蜂が一斉に飛び込み、打ち貫いた!!!

バリバリバリバリバリバリ―――――――――――ッ!!!

ホーネットプレデター「ぎゃああああああああああああああ!」

ど、どうなってるんだよっ!?あいつの蜂が主であるはずのあいつに襲い掛かるなんて・・・!?
まさか・・・あいつももう見捨てられたのか・・・・!?
仲間に・・・・仲間をあっさりと見殺しに・・・しやがって・・・!!!

全身に電流を受けて、ホーネットプレデターが崩れ落ち、全身から煙を上げて見る見るその姿を人間の姿に戻っていく・・・・て・・・・あれ・・・この人・・・・!!

ヘブン「・・・あんたは・・・・セレスさんっ!?あんたが・・・・・あいつだったのか!?」
セレス「ぐうっ・・・あああ・・・・!!!」

間違いない・・・あの時・・・フレアとかいうヤツとマリアさんと一緒にいた!!

ヘブン「セレスさん・・・あんただったのか・・・・」
セレス「・・・その声・・・・まさか・・・貴方が・・・あの時の坊や!?」
ヘブン「・・・そうだったのか・・・・・クリス、クロキバ、急いでケリつけるぞ。そしたら・・・流水と・・・・セレスさんを助けてあげて!!」
セレス「!?」

クリス「暁!?」
クロキバ「お前、こいつを助けるというのか!?」
ヘブン「・・・ああ!!俺のダチを助けてくれるんだ。それに・・・この人のこと、そう嫌いじゃねえしな」
クロキバ「す・・・好き嫌いで決めるものか!?」
ヘブン「・・・・俺の大事なものを守れって、力を貸してくれた!!そんなヤツを見殺しにしたら・・・・俺の戦う理由そのものを否定しているだろうがっ!!絶対に・・・助ける!!!」

セレス「・・・坊や・・・・!?」
ヘブン「・・・坊やじゃねえよ。カッコいいところ見せてやる。よく見とけ!!俺は坊やじゃない!!仮面ライダーヘブン、大友暁だあああああああああああっ!!」

クリス「・・・同じくフレスベルグイマジン、クリス!!主の願い、聞き届けました!!貴方を・・・助けてみせる!!」
クロキバ「・・・・同じくクロノスキバット3世!!時空の守護者の一柱を担うものなり!!主の命、聞き届けた!!」

ヘブン「「「まとめて全員、助けてみせる!!」」」

3人の声がひとつになり、背中の翼を広げ、銀色の風が翼となって広がる・・・。
銃剣を握りなおし決意を新たに、月と正面から見据える。

ヘブン「・・・行くぜ・・・・」
月「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

その背中にまとう銀色の翼は未来を切り開く希望の風・・・。
純銀色に光り輝く風はどこまでもよどみがなく、美しくたなびいている・・・。
まるで・・・天使の翼のように・・・。

セレス「・・・なんて・・・綺麗なの・・・・!!」

自分が見てきたこれまでの美しいものよりも、何よりも美しくて・・・・。
今まで見てきた形だけの美しいものが・・・一気に価値がなくなったように思える。
誰かを守りたい、純粋な思いを表したような銀色の翼をまとった天使・・・・。
心を奪われたような気がした。

聖「ふん・・・つくづく愚かですね」

そういって、汚いものを見るような冷たい瞳で指を鳴らし、黒い風を起こそうとしたその時だ!!

凛「やめろぉおおおおおおおおおおおおおっ!!」

声とともに凛が飛び出し、足を踏み出し、一気に飛び出す!!
そして、完全に油断していた聖の顔をとらえて・・・・!!

聖「・・・え・・・・えええええええええええええっ!?」
凛「ざっけんじゃねぇえええええええええええええっ!!!!!このバカタレがぁああああああああああああああああっ!!!」

足を振り上げて、右足を聖の顔面に思い切りめり込ませて・・・吹き飛ばしたぁああああああああああっ!!

聖「ふぎゃああああああああああああっ!」
蹴りを食らい吹き飛ぶ聖、そしてすかさず飛び込み、振り上げた拳を思い切り顔面にたたきつけ、それは右目の義眼にめり込み、黒い炎が暴発して吹き飛んだ!!

聖「きゃああああああああああああああっ!!」
凛「さっきから・・・黙ってみてりゃいい気になりやがって・・・・!!!!テメェは・・・絶対に許さない!!!」

反撃を許さず、聖に次々と拳をたたきつけ、殴り、そのたびに血を吐き出し、のた打ち回る。どうやらこういった殴り合いは不慣れらしい。やがて思い切り振りかぶった拳をたたきつけられ、吹き飛び、木々に思い切り全身を打ちつける。

聖「がはっ・・・!!ごほっ・・・・!!」

凛「はあっ・・・はあっ・・・・・ちくしょう・・・・!!」

聖「・・・い・・・痛い・・・・血があ・・あああ・・・・私が・・・人間ごときに・・・人間ごときにぃいいいいい!!!!」
聖が青黒くはれ上がった顔を怒りでゆがめ、鼻血や口から吹き出す血をそこら中に飛び散らせて、邪悪な本性をあらわにすると、手を振りかざし、黒い風が吹き出し、凛を吹き飛ばす!!

凛「きゃあああああああああっ!!」

そしてその姿は・・・ヘブンと月の間に落ちた!!
凛「い・・・いってぇ・・・・」
ヘブン「り、凛!?どうして!?あ、危ない!!避けろぉおおおおおおおおおお!!」
月「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

そして、月が凛を見るなり攻撃目的を変更し、凛の首をつかみ、思い切り大木に叩きつけた!!!激痛に呼吸がいったん止まる。そして首をぎりぎりと締め上げてくる!!

ヘブン「や、やめろっ、やめろ、流水!!!!」

しかしもう暁の声さえ聞こえないのか、容赦なく締め上げてくる。このままでは凛の首の骨をへし折るか、窒息死してしまう!!!

凛「ぐうう・・・!!」
月「ギシャアアアアアアアアアア・・・!!」

しかし、凛が震える手で月の腕をつかんだ。
そして・・・自分の意識が・・・何かに吸い込まれるようになって・・・。

(凛視点)
凛「・・・ここは・・どこなんだ?」
俺はさっき、あのバケモン・・・いや・・・流水が化身させられたあいつに首を絞められて・・・。この真っ暗な闇・・・どこまでも広がってやがるのな。
俺はとりあえず前へ前へと進むことにしたのだ。

すると・・・。
目の前にいたのは・・・!
暗闇の中で一人、怯えて、ひざを抱えている流水・・・。
暁を襲ってしまったことでか、自分の変わり果ててしまった姿にか、完全に怯えて涙さえ枯れてしまったようにくすんだ光の瞳でただひざを抱えている。

凛「・・・流水・・・?」
流水「・・・・お前・・・・何しに来たんだよ」
凛「・・・・・お前を連れ戻しにきた・・・といったら?」
流水「帰れよ」
凛「・・・嫌だね。お前をつれて帰るなら別だ」
流水「・・・ボクは・・・ここでいい・・・・ボクは・・・もう帰る場所なんてないよ」
凛「・・・・どうして」
流水「・・・・暁を・・・傷つけた・・・・ボクの大切な・・・友達なのに・・・・!もう・・・暁だって・・・ボクのこと・・・・友達なんてもう・・・思ってない・・・」

大事な友達なのに・・・・傷つけてしまった自分が許せない。
居場所を失ったことに対する空虚な心・・・。

凛「・・・・・暁が・・・・お前を見捨てる・・・?そんなこと・・・あるわけねえだろ」
流水「どうして・・お前なんかに分かるんだよ・・・・」
凛「・・・だって・・・まだ暁・・・・戦っているから・・・お前を助けるために!!」
流水「え・・・!」
凛「・・・あいつは・・・お前を助けるために・・・どれだけ傷だらけになろうと・・・血を吐いても・・・・諦めてないぜ!!今でもお前を大事な友達と思ってる!!」
流水「・・・・嘘だ・・・・どうして・・・どうして!?ボク・・・・ボク・・・・!!」
凛「あいつは自分の友達を見捨てるようなヤツじゃねえっ!!例え自分が犠牲になっても、友達を守ろうとする、必死になる、頑張ろうとする!!そんなアイツだから友達でいたいと思ったんじゃねえのかっ!?一緒にいたいんじゃねえのかっ、お前はよっ!!」
流水「・・・・!!」

言葉が出なくなった。図星だったようだな。
自分のことを責めるあまりに・・・・大切なものを見失っている。自分を責めるあまりに、周りが皆見捨てていく、そんな疎外感や自分を責める気持ちでいっぱいになっている。
誰もそんなことないのに・・・。

凛「・・・・アイツは本当にすげえよ。どうしてあそこまで他人のために心を開いて一生懸命になれるんだろうな。俺も・・・あいつみたいになりたくて仕方ないんだ」
流水「それ・・・どういうこと・・・」

そして、俺は流水を優しく抱きしめる。小さな身体が俺と重なり、頭を胸に押し付ける。
そして優しく・・・頭をなでた。

凛「・・・俺さ・・・・親父もおふくろもロクな人間じゃなくってな・・・俺を置いて・・・親父は女のところに・・・おふくろは男のところに・・・勝手に出て行っちまって・・・小学3年生で・・・・一人ぼっちになっちゃったんだ・・・」
流水「・・・そんな時から・・・一人ぼっち・・・・」
凛「うん、生まれたときからたぶん愛してくれなかったんだろうけどな。祖母ちゃんが俺を育ててくれたけど、小学校3年生で死んじゃったから、それからはずーっと・・・俺を世間の目を気にして引き取っただけの、形だけの冷たい家族ごっこ。しかも親父やおふくろのことで周りから冷たい目で見られてさ・・・ずっと荒れていたんだ。喧嘩に万引き、生きていくためには何でもやったさ。悪いこともな・・・」

流水の心に凛の声が響いていた。
誰からも愛されなかった「孤独」に満ちた寂しい心の声。
幼い彼女に周りはあまりにも冷たすぎた。無関心か、冷たく蔑むだけ。

凛「・・・でも・・・暁だけは違った。問題児として誰も話しかけなかったのに、アイツは・・・無邪気な笑顔で・・・話しかけてきてくれたんだ」

(回想)<小学校5年生>
暁「おまえ、どうしていつもひとりで怒った顔してるんだ?おれといっしょに遊ぼうぜ!」
凛「・・・誰だよテメェ、殴られたいのか?俺はテメェみたいな能天気なヤツが一番嫌いなんだよ・・・消えちまえ!!」

暁「おい、凛!!いっしょに魚釣りいこうぜ!!さお二人分持ってきたから!!」
凛「うるせえな!それと俺のこと、勝手に凛と呼ぶんじゃねえ!!ぶっ殺すぞ!!」

暁「今日お前の誕生日だろ!おれ、ケーキ作ってきたよ!!お祝いしようぜ!!」
凛「・・・・ふん・・・・まあまあな味付け、か」

凛「・・・どうして・・・いつも俺にかまってくるんだ?俺といっしょにいたら・・・お前まで不良と思われるぜ」
暁「そんなの知らねえよ!おれは凛といっしょに遊びたいの!!」
凛「・・・でもよ・・・」
暁「だってさ、凛は凛なのに、こんなにいいヤツなのに、どうして周りはうるさいんだろうな?凛は・・すごく可愛くて優しくて・・・おれの最高の友達なのにな!」
凛「・・・俺が・・・お前の・・・・友達・・・・?」
暁「うん!!たとえ誰がなんていおうと、おれはお前の友達!!マブだ、マブ!!」
凛「・・・お前・・・・」
暁「世界中の誰がなんていおうと、おれは凛の友達だっ!!ずーっといっしょだかんな!!」
凛「・・・・うん・・・・・・俺も・・・・さとるの・・・友達に・・なりたい・・!ずっといっしょに・・・いたい・・!」


凛「・・・俺だって分かるさ。アイツが誰かほかの女と話していると、俺を置いていなくなっちゃうんじゃないかって。でもさ、アイツはそんなヤツじゃない。いつだって甘すぎるほど優しくて・・・バカなくらい不器用で・・・・ウザいくらい面倒見がよくって・・・・俺の・・・最高の友達・・・・だから。だから、アイツが俺を救ってくれたように、俺もアイツが幸せになってくれるなら、とことん応援したい・・・その為に・・・俺もアイツの友達でいたいと思っている・・・・俺に・・・周りが敵ばかりじゃない、ちゃんと見てくれる人がいるから、勇気を持って明日へ向かって踏み出せって教えてくれたから・・・アイツの言葉が・・・俺の心を熱くさせて・・・いつでも前へと進ませてくれる」

だから、といって流水を見る。俺が何を言いたいか分かったらしい。目から涙をポロポロと流している。

凛「アイツは・・・お前を一人ぼっちになんてしない。だってお前の友達だろう?」

流水「・・・・暁・・・怒ってない?」
凛「怒ってたら謝ればいい。俺も一緒に謝ってやるよ」
流水「・・・・暁のそばに・・・いてもいいの?」
凛「・・・・いいと思う。お前は・・・いたいんだろ?」

その言葉で流水が一気に泣き出し、激しい感情が涙となって流れ出す。

流水「いたい・・・もっと暁といっしょにいたいよ!!」

泣いて泣いて、俺の胸に顔を押し付ける。

流水「怖かったんだ!!凛たちと仲良くしている暁、すごく楽しそうだから!!ボク、暁にいらないって思われるのが怖かったんだ!!」
凛「・・・そうだよな・・・俺だって怖いよ・・でも・・・アイツを信じる勇気・・・それを持っていれば・・・大丈夫だよ」
流水「・・・勇気・・・」
凛「・・・ああ、アイツを信じる勇気・・・・俺もお前も・・・持てばいい」

その時だ。
突如闇に光が差し・・・俺が流水を起き上がらせて言う。
アイツが昔俺に言ってくれたように・・・。

凛「行こうぜ、流水。暁に謝りによ。俺も・・・付き合うぜ」
流水「・・・本当?」
凛「ああ・・・だって友達だろ?」
流水「・・・・!・・・うん・・!!」

そして闇の中を飛び出した・・・・!!

(暁視点)
何だ・・・!?
突然月のヤツが苦しそうにうめきだしたぞ?そして、凛を放り投げると、苦しそうに全身をのけぞり、激しく痙攣しながらやがて何かを吐き出した!!

それは・・・!

流水「うわあっ!!」

べちゃっと音を立てて黒い液体まみれで出てきたのは・・・流水!!

凛「・・・へへっ、上手くいったみたいだな」
ヘブン「凛、これは・・・!」
凛「・・・坊主、取り戻してきたぜ、お前の大事な・・・友達をよ!!」
ヘブン「・・・!!!お前・・・・!!」

クールな笑みを浮かべて、サムズアップをする凛。
お前は・・・本当に・・・・・!!

ヘブン「・・・・ありがとう・・・!!」
凛「・・・へっ、礼なんていらねーよ。あとは、あのバカ、潰すだけだ。気合入れろよ、暁」
ヘブン「・・・ああ!」

その時だった。
緑色の光が空間に現れて、その中を潜り抜けて一枚の何かが凛のもとに飛び込んできた。
それは・・・パスケース!?

それを手に取ると、緑色の光が飛び出し、魔方陣を作り出す!!

「Transfer change!!Grimm Liner!!Summon of Sylvan!!」

シルヴァン・・・だって!?

そして、凛の前に魔方陣が重なり、やがてその身体を包み込み・・・!

凛「何だよ、何だよ、これ!?うわああああああああっ!」
カメレオンを模した仮面、コブラを模したアーマーが胸部に装着され、ワニを模したフットパーツが装着されていき・・・!
その姿は・・・まさしく・・・俺が初めて変身したときと同じような・・・!!

クロキバ「これは!!伝説の戦士の一人、木の力を司る戦士、仮面ライダーシルヴァン!!」
クリス「凛様が・・・・暁と同じように選ばれた一人!?」

シルヴァン「・・・おいおいおいおい!?何だよ、これっ!?」
突然の変身に慌てふためく凛・・しかしそんな凛に月が三叉槍を振り回して襲い掛かってくる!!

ヘブン「あ、危ない!!凛!!」
シルヴァン「おっと!」

三叉槍の攻撃を避けて、ようやく立ち上がる。
ヘブン「くそっ、アイツを何とかしないと!!」
シルヴァン「・・・・暁、俺、やってみる」
ヘブン「・・・え?」
シルヴァン「・・・力がみなぎってくる。出来る。いや、やってみせる。お前のダチを泣かして、お前をこんなにしやがったアイツに落とし前つけてやるよ!」

そして、飛び出すとワニの力が宿った強力な蹴りを繰り出し、鋭いのこぎりの牙で切り裂くように次々と蹴りを叩き込んでいく!!

シルヴァン「オラァッ!!オラッ、オラアッ!!」

蹴りのみのケンカスタイルのやり方だ。回し蹴りで敵の頭部をけり、攻撃を避けて回りこむと同時に後ろに回し蹴りをぶち込み、さらに次々と蹴りを放って、敵が切り刻まれたようにボロボロになっていく!!

シルヴァン「ウオラァアアアアアアアアアアアアッ!!!」

止めといわんばかりにハイキックをぶち込み、月が吹き飛んでいく!!
ヘブン「今だ!!!行くぜ!!!!クリス、決めろぉおおおおおおおおおっ!!」
クリス「はい!!」
銃剣を構えて狙いを定めると・・・風が集まりだし・・・強力な光線となって発射される!!

ヘブン(クリス)「ゲイル・・・キャノォォオオオオオオオオオオオン!!!」

銃弾が勢いよく発射され、それが命中すると「月」のタロットカードが破壊されて月が絶叫を上げて・・・消滅した・・・!!

ヘブン「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・ざまあみろ・・・」
ヘブンの姿が解除され、俺が地面にぶっ倒れる。

凛「おい、暁!!暁!!しっかりしろ!!」
セレス「・・ここは危ないわ、早く、安全なところへ!!」
凛「どこへだよ!」
暁「・・もうすぐ・・・時間だ・・・9時9分・・・あそこの扉で・・・クロノポリスへ・・・!」

そう促し、凛とセレスさんが俺と流水を背負ってドアを開けた・・・。

この時、第二のライダーとして、新海 凛が仮面ライダーシルヴァンとして誕生した。

同じころ、クロノポリスのホームに一両の列車がたどり着いた。
深緑色の美しい光沢を輝かせ、カメレオンのような姿をしているその列車は・・・。

グリムライナー「・・ここがクロノポリスでござるか。実に大きな建物でござるな。さて、クロノスキバット殿は・・・何処におられるのか・・・」

伝説の列車、木のグリムライナーが到着していた・・・!

続く
Next Line「Tutelary of tree」

,さて・・・ついに登場しました。
第二のライダー、木の守護者「仮面ライダーシルヴァン」!!
簡単なデータを紹介します。

装着者:新海 凛
カメレオンの力を持つヘッドパーツ、コブラの力を持つアーマーパーツ、そしてワニの力を持つフットパーツで成立する姿で、植物の力を自由自在に操ることが出来る。
蹴り技を主体とするケンカスタイルの荒っぽいラフファイトを得意とするが、武器である短刀「グリムサーベル」を用いた剣術と自身の身体を透明化させたり、幻術を組み合わせた変幻自在な剣術をも得意としている。
必殺技は植物の力を宿し、木の葉にまぎれて敵を切り刻む「木の葉乱れ切りの術」。

グリムライナー
伝説の時の列車のひとつで「木」の力を司る。古風な性格で時代がかった独特の口調で話す。姿を列車の姿と、守護獣の姿に変えることが出来、守護獣形態はカメレオンのような姿をしている。植物を自由自在に操ることが出来る。また薬や毒に関する知識が豊富で、薬の調合を得意としている。

横文字でないのはグリムライナーが横文字が嫌いであることと、凛の英語の知識が壊滅的にないという設定になっております。

今回、流水を助け出し、強い絆で結ばれた凛が新しく仲間入りし、イングリッドたちを見限ったセレスがクロノポリスにきてしまうなど・・・内容的にもボリュームを詰め込んでみました。
今後とも、ヘブン、そしてシルヴァンも応援よろしくお願いします!!

,#000000,./bg_f.gif,p30119-ipbffx02marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp,0 2010年12月05日(日) 10時37分57秒,20101205103656,20101208103757,Y2fZB6vSHaJh6,仮面ライダーヘブン 第9話,鴎,,,第9話「Power to starve」

その騎士、“世界の果てに風を呼ぶ鳥神(フレスベルグ)”を象徴する雄々しき鷲の仮面と白銀の鎧を纏いて、禍き闇を断つは両手に持つ、疾風の力を持つ聖なる剣と聖なる銃。
背中に纏いしその美しく光り輝く銀色の風が生み出す魔性の翼に魅入られたものは―

―行きつくところまで行くしかない―

(暁視点)
朝5:30。
小川のせせらぎと風でこすれあう葉と葉の音、そして鳥の鳴き声が響き合う星見山に流れる天麗(てんれい)川中流の河原。
(よく母さんが学生時代に下流地帯で橋から自転車ごと落下し溺れていた川である。)
朝の散歩や川釣り(この時期鮎や岩魚がよく釣れるから俺と流水で釣りにきた事もある)の人もいない。俺と冷牙、流水、雷斗は河原につくと、持ってきていたリュックからコインケースを取り出し、持っていた赤色、青色、緑色、紫色のUSBメモリ型アイテム「ガジェットメモリ」をコインケースに突き刺す!

「medal animal!eagle!」(赤色)
「medal animal!wolf!」(青色)
「medal animal!frog!」(緑色)
「medal animal!gorilla!」(紫色)

すると、コインケースの蓋が開き、中のメダルが自動的に小型のワシ、オオカミ、カエル、ゴリラの姿へと変わる。そしてそれぞれ空へ、山奥へ、河原へと向かっていきやがてその姿を消していく。そう、これこそエメラルドさんと雷斗が共同で発明した諜報活動用小型兵器「メダルアニマル」だ!メダルアニマルにあらかじめ打ち込んであった命令、「アリス・ビストレオを発見しだい連絡する」という命令の下に動き出した。

雷斗「これで・・・・・・・OK」
流水「しかしあんな小さなメダルなのに、超高画質映像や音声の録音・録画機能搭載で、最大3日間はフルで稼働するなんてね、すごいもの作ったよね」
雷斗「・・・・エメラルドさんに・・・・・・手伝って・・・・もらった・・・・・俺は・・・・まだまだ・・・・・・だよ」
冷牙「謙遜することはなかろう、お前の発明の腕はかなりのものだ。少しは自分に自信持て。お前は少し自信というものが足りない。もう少し堂々としていろ」
流水「そうだよそうだよ、冷牙みたいに理由もないのに常日頃から威張り散らしている、若干中二病みたいな人だっているんだから♪きゃはは♪」
冷牙「・・・・・それは褒めているのか、けなしているのかどっちだ」

暁(いや、確かめるまでもなく後者だろ)
それを確かめないと分からないあたり、こいつはバカだ。まあ皮肉が通じないあたりそれだけ単純明快な所がこいつのいいところでもあるのだが。

暁「・・・・さて、早速俺たちも探索を始めようか。まずは・・・この山からだ」
冷牙「星見山か。まあ、体力作りの一環としてもちょうどいいかもな」
流水「ねえねえ、この山の上に温泉あるんだって?」
暁「ああ・・・「ペンション・ミルキーウェイ」か。知る人ぞ知る秘湯ってヤツがある」
冷牙「ほう・・・それはいいな」
流水「探し終わったらひとっぷろ浴びたいよねー」
暁「そりゃそうだ。ここの朝風呂は最高だぜ」
雷斗「・・・・・・そこ・・・・・後で・・・・・行きたい・・・・・・」

ちなみにここの露天風呂はクロキバ、雷斗のお気に入りでもある(時々連れてくるとすごく喜ぶんだよな)
クロキバ(こんなに素晴らしい山と海が広がる風光明媚な風景を楽しめる温泉とは最高である)
雷斗(・・・・温泉・・・・あったかくて・・・・気持ち・・いい)

雷斗「・・・・そこで・・・落ち合おう・・・・・それまでは・・・・二人一組で・・・・山の中を・・・・探す・・・・・」
冷牙「ああ、あのライオン女を見つけたら連絡し合うぞ」
流水「うん」
暁「それじゃあ、俺と冷牙、流水と雷斗で別れようぜ」

こうして俺と冷牙は西側山道、流水と雷斗は東側山道を探すことになった。
―目的はアイツを探し出すため―


冷牙「しかし、お前、どうするつもりだ?」
暁「どうって、アリスのことか」
冷牙「ああ、まあ、ここまでやるんだ。安っぽい同情ごときで動くほど愚かなお前じゃねえ。お前がどうやってアイツを助けるつもりなんだ?もしアイツが救いなど求めていなかったら?下手な情けはかけん方がいいぞ。お前にとっても・・・アイツにとってもな」

分かってる。
冷牙は普段クールだし、他人に対して傲岸不遜というか遠慮一切なしのキツい言葉をズバズバ言っちゃうヤツだけど、それは下手な気休めや中途半端な慰め、安っぽい同情が本当に傷ついている相手にどれだけ追いつめてしまうかが分かっているから、たとえどんなにキツくても、言い方が悪くても、突き放していても、そいつが自分で立ち上がって乗り越えなくちゃ何も解決しないし、成長しないってことを思っているから、こうしてあえて自分が悪役であろうとするんだ。むしろ熱い心を持っていて、人一倍他人のために考えているんだよな。

暁「情けとか同情とかそんなん出来るほど俺ァ器用じゃねーよ。よりによってアイツだもん。得るものなんざないどころか、自分の呪いが唯一解けるチャンスを棒に振るんだもんな。分かってるんだよ、そのくらい」

でもな、と俺は前置きして言う。

暁「ここで動かないと俺が俺じゃいられないんだよ。アイツの挑戦を受けた以上、ケリつけるまでやる。誰にも邪魔されたかねぇんだよ」

アイツの拳を受けて、アイツの叱責を受けて・・・。
最近俺の中で何かが変わりつつある。
何かといわれるとあれなんだが・・・・はっきり分かっているのはある。

今まで「敵」としてしか認識していなかったけど・・・。
今は・・・・・「ライバル」として乗り越えたいと思っている。
俺自身の中で「今」の自分に挑んで・・・もっと強い「自分」になりたい。
「今」抱えている弱さを乗り越えて・・・挑んで・・・何度も立ち上がって強くなる。
ただその場に「現状維持」することがどうにももどかしい。

もっと、もっと強くなりたい。大切な仲間や家族をまもれるように・・・。

冷牙「・・・・そうか、それならいいんだけどよ」

そういって、冷牙がふっと優しげな笑みを浮かべて俺を見る。

暁「何だよ」
冷牙「少しばかり、男らしくなったじゃねーか」
暁「・・・そうか?サンキュ」
冷牙「ふふっ」

そういって、どこか楽しそうに、嬉しそうに笑みを浮かべる悪友であった。
(暁の成長が嬉しいらしい)


その頃、クリスとクロキバは・・・・。

クロノポリス・第8機甲部隊。通称「ファクトリー」。
12の組織の中でも、変身アイテムや時の列車、大型特殊車両や特殊兵器などの開発、修理、改良を担当する重要な部隊だ。そのため、オフィスと開発用の工房と工場が一体化しており、巨大な広さを誇る格納庫では本日も時の列車の修理や開発、工房では新しいアイテムや武器の開発が行われている。特撮好きならばもはや1週間見て回っても飽きないほどのバリエーション豊富かつ迫力ある風景が広がっているのだ。

ここの隊長は・・・愛の契約イマジン「スネークイマジン」のクシナダだ。
クリスとクロキバはクシナダとエメラルド、ガーネットに呼ばれてやってきていたのだ。
緊迫感漂う空気、焼けたオイルの匂い、火花と音が響き渡るまさしく工場で生きる職人の世界だ。

(クリス視点)
クリス「クシナダ様、新しい変身アイテムが完成したというのは本当ですか!?」
クシナダ「ああ、まずはこいつを見てくれや」

そういって取り出したのは大型のハンドガンタイプの変身ツール。
二門の銃口、大型のマガジンバレル、そして5つのボタン(赤、青、金、緑、黒)があります。マガジンバレルには強力なエネルギーチャージャーが組み込まれていて、フリーエネルギーを強力な破壊力を変えて発射するのですね。

クシナダ「あの石板を解読して行き着いたのがこの武器だ。アタイはこいつを“自然元素(ソウル)”と“銃(トリガー)”を組み合わせて“ソウルトリガー”と呼んでいる」

変身銃「ソウルトリガー」・・・!

クロキバ「驚いたである。まさかここまでのものを作り出すなんて」
エメラルド「まあね、でもさ、こいつには重要なパーツがかけているんだ」
ガーネット「例の5つの伝説の列車のパス、こいつをこのソウルマガジンに組み込むことで、その列車の持つパワーをフリーエネルギーにかえてライダーへと変身させられるんだけど」
クシナダ「そいつに関しちゃもはや代替品がきかないねぇ。それだけ、選ばれたもののみに使うことができるアイテムさ」
エメラルド「ヘブンのパスを入れても変身は出来ないしね」
ガーネット「それだけヘブンの力を制御するというのは難しいんだ。出来るのはキバっちくらいだね」
クシナダ「キバのオヤジくれぇだな、ヘブンを制御出来るのは」
エメラルド「オッチャンすげえな!!」

クロキバ「・・・・キバっち・・・・オヤジ・・・・・オッチャン・・・・我ってマスコット扱いか?」
クリス「それよりも、このイグニッション(起動)キーというのは?」
クロキバ「お前に至ってはスルーか!?(ガビーン)この天然ボケは!!」
エメラルド「こいつはね、フリーエネルギーをフルパワーに上げることが出来るんよ」
クロキバ「ちょ・・・・・あの・・・・」
ガーネット「超必殺技に使う時に使いな。一気にエネルギー上げる反面、消費が激しい」
クシナダ「まあ、暁なら使いこなせるかもしれないけどね」

こうして、新しい変身アイテムについて引き継ぎ及び討論が始まりました。
あれ?なぜクロキバ様はどよよんと暗い闇を背負って、壁の隅でいじけてしまったのかしら?何か嫌なことがあったのかしら・・・?(アンタらのせいだ)

クロキバ「・・どーせ・・・我など・・・・マスコットである・・・・威厳なんぞ・・・全く持って・・・ない外見である・・・・・(orz)」


一方・・・。
(暁視点)
2時間後。
結局収穫もなく、俺たちは例の山の上にある温泉「ペンション・ミルキーウェイ」で落ち合い、汗を流してついでに朝飯もここですませることにした。ログハウスの中は木の匂いがして、広々としたロビーは綺麗に清掃されていて清潔感がただよう。
早速風呂と朝飯のセット料金(一人1500円)を支払、風呂に直行する。

露天風呂。
ここの名物である風呂は美しい景観が広がる山間とその先にひろがる青い海、そこからまだ上ったばかりの朝日と朝焼けがひろがる幻想的なまでの美しい風景を楽しめる。
(ちなみに夜は満天の星空と月が楽しめる)さらに季節的に移り変わる鮮やかな四季の風景を思う存分堪能できるのだ。

冷牙「ふう・・・・ここの風呂はやはりいいな」
お湯を頭から浴び、気持ちよさそうに冷牙がいう。白く瑞々しい肌に湯の珠が伝って落ちる。しかし、こいつ、髪をほどいて湯で上気した赤い頬とか、一見美少女と見まごう可憐な顔立ちといい、長いまつ毛といい、華奢で小柄な体つきといい・・・時々こいつが、女と見間違えられると嘆いていたが、しゃあないかもしれない。(お前が言うか)

流水「だよねー・・・・あー・・・・気持ちいい」
雷斗「ぷふぅ・・・・」

流水に関しては言うまでもなく見た目完全女の子だし、雷斗にしても、フランケンの姿からは想像もつかないほどの、長身で線が細い(しかし筋肉が引き締まった体つき)し、中性的な美貌を持つ容姿だし、女性のスポーツ選手とでもいえば、それなりに通じそうだ。

暁「・・・・・はあ・・・・もうちょっと筋肉つけたい・・・・男らしい体つきになりたい」
冷牙「・・・・それは全くだな」
流水「・・・・・落ち込むよね―・・・」
雷斗「・・毛・・・マッチョ・・・・・ヒゲ・・・・男の・・・・ロマン・・・・・」

それとはまったく無縁な、待てど暮らせど来ない俺たちであった。泣いていいスか。

その時だ。
うん・・・・・?この気配は・・・・・。
この気配は・・・・ふっ・・・・あの大きな木の陰か・・・・。
俺は石鹸をとりあえず3つばかり持つと、ポンポンと軽く投げて、一気に振りかぶり・・。

暁「・・・オラアッ!!!何覗いてやがる!!!!!」

怒声とともに一気に投げ放った!!するとものすごい速さで投げた石鹸が木の陰に吸い込まれていくように飛んで行き、やがて・・・。

ゴンッ「あたっ!!」
ゴンッ「いてぇっ!!」
ゴンッ「不覚・・・・・!!」

そうして木の陰からドサドサドサっと落ちてきたのは・・・。
バスタオル一枚に身を包んだ・・・・これまた可愛らしい・・・美少女3人・・・いや・・俺が知っている・・・・バカ3人だ。

暁「・・・凛、昴、穏、何やってんだ」
凛「いててて・・・・容赦ねぇな、坊主」
昴「というか、女の子の顔面に石鹸思い切り投げつけないでよ・・・・」
穏「・・・・暁・・・・女の子への暴力・・・・よくない・・・・」
暁「お前らが男風呂の覗きなんぞしとるからだろうがあああああああああっ!!」

全く何を考えているのこいつらは!?法的にもギリギリアウトなことしおって!!

昴「ちょっと待って!これは覗きではなくて一つの芸術鑑賞だよっ!!」
暁「何が芸術だっ!!!このド変態どもがっ!!」
凛「朝風呂着てみればお前がいたからさ。お前の裸を朝から拝めるなんてもはや今後そうそう見られないと思ってさ。結構希少価値高いんだぜ?」
穏「・・・・・・追ってみたら男風呂が、ドキッ・男の娘だらけの理想郷(パラダイス)ときたもんだ・・・・・」
昴「これはビデオに、カメラに収めて未来永劫、末代まで受け継ぐべく御宝かと!!」
暁「そんな犯罪の証拠なんぞ受け継ぐな!!後世にまでテメェの恥をさらすだけじゃ!!」

もう、こっちが顔を真っ赤にして怒ってもこいつら本当に懲りないんだから・・・!!
ああ、もう、後ろの3人が見事ドン引いているのが・・・。
そう思って振り返ったら・・・・ドン引いているのは・・・。

流水「・・・・何、これは」
あれ?こいつだけ?

残りの二人は・・・・。

冷牙「・・・・・可愛い・・・・じゃねえか・・・・(///)」
雷斗「・・・・・・・・・・・・うん・・・・!」

あれ?お前ら、どうして顔を真っ赤にして惚けているの?

昴「へえ・・・結構鍛えているんだね、君!名前は?」
雷斗「・・・・ら・・・・・らい・・・・と・・・(真っ赤)」
昴「ボクは大地 昴!スバルでいいよっ!えへへっ(にこっ)」
雷斗「・・・す・・・・すば・・・・る・・・・うん(可愛い・・・・!!)」
昴「あははっ、顔まっかっかだ!雷(らい)くん真っ赤だー!!あははっ!」
雷斗「あ・・・あう・・・・(真っ赤)」

穏「・・・・暁の友人にこんな逸材がいたとは」
冷牙「・・・ふん・・・おだてても・・・何も出んぞ(真っ赤)」
穏「・・・・・・カッコいいじゃん(ふふっ)」
冷牙「・・・・・!!そ・・・そうか・・・?」
穏「・・・・名前は?」
冷牙「・・・・冷牙・・・・でいい」
穏「・・・・あたしは・・・穏。穏(のん)ちゃんでものんでも好きなように呼ぶがよい」

パシャリッ!!!(デジカメで撮影した音)

冷牙「な・・・何だ・・」
穏「・・・ふふっ、友達記念!」
冷牙「・・・・・・!!(すごく・・・・可愛い・・・・!!)」


凛「おーおー、人見知りなあいつらがねえ。暁、お前のダチ、いいヤツらだろ」
暁「・・・分かるのか?」
凛「ああ、あいつらは早々人に心を開かない。でも、分かるんだ。優しい心を持っているいいヤツのことを見抜くことに長けているから」
暁「・・・まーな」

凛「それで?後ろでさっきから惚けている坊主もお前のダチか?」
暁「あ、ああ、こいつは流水(るみ)!俺のダチだよ」
凛「へえ・・・・よろしくな、流水だっけ?俺は・・・・凛だ」

そう話しかけたときだ。流水が不機嫌そうに顔をしかめて、凛を無視して風呂から出ていこうとする。

流水「暁、ボク先に出る」
暁「お、おい、流水!」
流水「男風呂覗くような変態なんかと、話なんてしたくないもん。バッカみたい」
そういって、凛を軽蔑しているというか冷たい光を宿した鋭い瞳で睨み付けて、さっさと出て行ってしまった。お、おい、あいつ、なんであんなに怒ってるんだよっ!!

凛「・・・はあ・・・・あいつも俺と同じか」
暁「・・・凛?どういうこと?」
凛「・・・お前と俺が仲良くしているのが気に入らないんだろ」
暁「え・・・どうして?」
凛「・・・俺がお前を誰かにとられたくないのと、同じなんだろうな・・・」

そういって、少し切なそうに笑うと、凛が「じゃあな」といって、女湯のほうに戻っていった。あいつ、どうして、流水のことをまるで自分のことのように寂しそうにしてたんだ・・?


流水(何だよ、あのオンナ。気にいらないったらないよ)
キニイラナイ。
流水(暁は・・・ボクの友達なのに)
ムカツク。
流水(ベタベタするなよな・・・!!ボクの大事な友達なんだから!!)
アタマニクル。
流水(暁も・・・何で凛とかいう女にはそんなに怒らないんだよ!)
キブンワルイ・・・!!
流水(あー、もう、本当ムカつく!)

その様子を陰で・・・ほくそ笑みながら見ている人物がいた。


聖「・・・これはこれは・・・・興味深い。その嫉妬・・独占欲・・・憎しみ・・・気に入りましたよ・・・流水くん?」

狂気の悪魔が次の矛先を定めていた。それは・・・流水!


一方・・。

ペンションの近くの川原。
セレス、フレア、マリアの3人がいすに座りながらなにやら話し込んでいたが、やがてセレスの発言に二人が目を丸くする。

マリア「・・・た・・・たしかにその方法なら・・・アリスさんは万が一の確率で助かるかもしれませんね・・・!」
フレア「しかも、邪魔者はぶっ倒せる・・・!」
セレス「考えられる限り、これが最善の策かもね。これに関しては、私に任せてほしいわ。マリアとフレアには他に頼まれてほしいことがあるの」
マリア「・・・聖の動きの監視ですね」
フレア「あいつ、次は何をやるか分からないからね」
セレス「もはや、イングリッド様やエリザベート様の側近であろうと、あいつは危険すぎるわ。今後の侵略の妨げにすらなりかねない。もしそれが・・・例え反逆ととらえられようとも・・・あいつには気をつけていたほうがいいわ」
フレア「だわな」
マリア「それじゃあ、早速作戦開始ですね」
セレス「ええ」

そういって、3人が別れた後・・・。

ミルキーウェイの前、何とか流水をなだめて朝ごはんを終えて、凛たちと分かれようとしたその時だった!

凛「あん?何だ・・・あれ?」

ドシャアアアアアアアアアアンッ!!!!

派手な砂埃とともに・・・シャークプレデターとファルコンプレデターが凛たちの前に空から勢いよく地面に降り立ったのだ!!!

昴「何ですか、これはあああああああああああああああっ!?」
穏「・・・・・地球外・・・生命体・・・・未知との・・・遭遇・・・(パシャパシャ)」
昴「どうしてあんたはいつもそう冷静なの!?」
穏「・・・これでも・・・驚いている・・・・」
凛「・・なんだこいつら!?ちっ!!」

凛が素早く構えると飛び出し、前足を振り上げてシャークプレデターに向かって渾身の蹴りを繰り出す!!

シャークプレデター「え・・・?」
ファルコンプレデター「おいおいおい、うちら、驚かすだけなのに・・・!?」
シャークプレデター「あっぶなああああああああああい!」

凛「オラッ!!オラアッ!!!俺のダチに手は出させねーぞっ!!バケモンがよっ!!」
頭はからきしバカだが、運動神経と身体能力はずば抜けて高い凛だ。そして何より仲間を思う気持ちは人一倍強く熱い心を勇気に変えるとき、それは爆発的に行動するのだ。
繰り出す蹴りをかわしながら、本来の目的を果たせずにいるファルコンプレデターとシャークプレデターはもはや困惑するばかりだ。

しかも・・こいつ強いし!!怪人とまともにやりあえるほどの怪力と俊敏な動きで追い詰めているのだ。

暁「・・・この騒ぎは・・・・あ・・・・あいつら!!」

シャークプレデター「さ、暁くんっ!?」
ファルコンプレデター「あっちゃー、いつかの不幸小僧か。こりゃ囮で騒ぐにはヤバいかも。いったん引くぜ!!」

そういって、二体が立ち去ろうとする。
シャークプレデター「ごめんなさい、ごめんなさあああああああああああい!!」
ファルコンプレデター「ちょっと驚かすつもりだったんだよ、ごめんな!!」

なぜか敵幹部が人間に謝り倒して逃げるという奇妙極まりない展開で・・・。

(暁視点)
暁「大丈夫か!?」
凛「あ、ああ、あいつら、最初から別に襲うつもりなんてなかったような・・・」
暁「え?いずれにせよ、追わなきゃだな!冷牙たちは凛たちを頼む!」
冷牙「あ、ああ!!」
雷斗「合点!!」

そうして、走り出した後。

流水「ボクも行く!!」
冷牙「お、おい、お前はこいつらを!」
流水「そんな奴らどうだっていい!暁以外の人間なんてどうなろうと知ったこっちゃない!!」
雷斗「ど、どうしたの!?そんなに・・・怒るなんて・・・らしくない!」
流水「暁の相棒は・・・ボクだけでいいんだあああああああああっ!」

完全に我を見失った流水が叫び、激情のままにひたすら走り出す。

流水(戦えない人間のお前らなんかより、ボクのほうが暁とずっと友達なんだもんね!!)

冷牙「あのバカ・・・・ヤキモチ焼いてる場合じゃねえだろっ!!」
雷斗「・・・流水・・・・・!!」

流水(認めたくない。ボクの唯一の居場所をくれた暁・・・ボクの大事な友達なのに・・・他の奴と仲良くするなんて嫌だよ!!)


そして、俺が森の奥まで来ると、二体の気配がなかった。
しかし・・・この感じは・・・近くまで何かが着てやがる!!

暁「・・・・クリス、クロキバ、行くぜ!!」
クリス「はい!」
クロキバ「うむ!(立ち直った)」

ベルトを巻きつけクロキバをもって構える!!

暁「変身!!」

銀色の暴風が吹き荒れ、ヘブンの姿に変わると、そこへ一体の影が現れた。
こいつは・・・!!スズメバチの化身、ホーネットプレデター!!かつて俺が負けた唯一のプレデター・・・!
でも、あの時とは違う。あいつが教えてくれた熱い思いがあるから、俺は・・もう自分を見失わない。

ヘブン「ずいぶんと余裕だな。わざわざ俺を呼びつけるなんてよ」
ホーネットプレデター「ええ、あなたを今度こそ必ず倒さないといけなくなってね。そうでないと、親友を一人殺さなくちゃいけなくなるの」
ヘブン「・・・おいおい、随分とヘビィな展開だな」
ホーネットプレデター「・・・だから、あんたの首と引き換えに、その子の命を助けるよう交渉しなくちゃいけないのよ。だから・・・・死んでね」

ヘブン「・・いくら俺がお人よしだからって・・・そこまでは付き合えないぜ!!」
ホーネットプレデター「あんたの意思なんて関係ないわ。悪いわね、その命、頂くわ!!」
ヘブン「無理だね!」

ホーネットプレデター「行くわよ。受けよ、わが眷属の洗礼・・・!!ホーネットチェイサァアアアアアアアアアアァアアアッ!!!」

手をかざすと、発した光が次々と無数の蜂の姿に変わりいっせいに俺を取り囲み、やがて、それは四方のみならず上空までドームのように覆いつくした!!何だよ、これは!!

クロキバ「これは・・・高圧電流かっ!?くっ、触れただけでも黒こげである!!」
クリス「これじゃブースターシステムは使えません!!!」

その様子を見ていた流水が意を決して飛び込もうとする。

流水「おっしゃ!ここはボクが!!」

その時だった。

彼の前に一人のシスターが立ちはだかった。その狂った笑みはもはや美しくさえ思える。例えるなら夜に浮かぶ銀色の月のように冴えるいびつな光。
ルージュを引いた唇をにいっと吊り上げて、右目の眼帯を剥ぎ取った!!
そしてむき出しになった真っ赤に血走ったような義眼「這い寄る渾沌」!!

流水「な・・・何だよ・・・お前!!!」
聖「・・・あなたのその悲しいまでの欲望・・・・懺悔して・・・さらけ出しなさい」

そして手をかざすと、黒い炎が発し、見る見る流水を飲み込み、包み込んだ!!
意識さえも、言葉さえも飲み込み、やがて宿るは無限ともいえる闇・・・狂気・・・。

聖「目覚めなさい、第二のアルカナ!!月光の狩人、「月(ムーン)」!!」

やがてその姿を漆黒の炎を纏った半魚人・・・・手には巨大な三叉槍を握り締めて、凶暴な赤い瞳を光り輝かせてやがて獰猛な叫びをのどが張り裂けんばかりに叫ぶ!!
そして、ヘブンを見定めると、崖を駆け下りて飛び込んだ・・・・!!

聖「ふふっ、あははははっ、やれ、あのガキを、暁を、殺してしまえ!!あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!大好きな親友に殺されるなら本望でしょお?!あーーーーーーーーーーーーっはっはっはっはっは!!!」


狂おしい限りに身を捩じらせて笑う聖。その光景を目の当たりにしていたのは・・・。

凛「・・・何だよ・・・あいつ・・・・どうなってるんだよ・・・?それに・・・あいつ・・あの銀色のコスプレ野郎が・・・・暁だと・・・!?」

凛だった。様子が気になって後を付けていたのだ。


ヘブン「何だ、この声!?」
ホーネットプレデター「何かが来る・・・・!?」

月「ギシャアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

見るとそれは・・・全身から漆黒の炎をゆらゆらと噴出す半魚人・・・!?
手に持っている三叉槍を振り回して獰猛な叫びを上げてやがる。どう見たって・・・敵だわな。

月「ギシャアアアアアアアアアアッ!!!!ジネェエエエエエエエエッ!!」
ヘブン「おいおいおいおいおいマジかよっ!?」
ホーネットプレデター「どういうことよっ!?こんなの知らないわよ!?」
ヘブン「お前の部下じゃねえのかよっ!?」
ホーネットプレデター「違うわ!!これは・・・呪術によって作られた魔法生命体!!この間の審判と同じ類かしら・・・」
ヘブン「審判って・・・あのデカゾンビかよっ!?それで今度は半魚人かよっ!?」

三叉槍を振りまわしてくるサカナ男の攻撃は凄まじいラッシュだった。目にも止まらない速さで槍を振り回して、地面をえぐり、木々をへし折り、俺を追い詰めてくる!!
くそっ、しかもこの蜂たちのせいでろくに動くことさえできやしねぇ!!

ホーネットプレデター「くっ、どういうことよ、どうして蜂の制御が出来ないのよ!?」
ヘブン「どういうことだよっ!?」
ホーネットプレデター「・・・!まさか、聖にすべて筒抜けだったって・・・!?くっ、やられたわ!!」

超高圧電流の蜂たちが囲む限られたフィールドの中、サカナ男が三叉槍を振り回して襲い掛かってくる!!その攻撃を銃剣でふさいだ!!槍と剣のせめぎあいが始まり、きしみ声を上げながら光と闇が激しくぶつかり合う。

その時だ・・・。

月「ギシャアアアアア・・・(助けて・・・・!!)」
ヘブン「え・・・!?」

そして、その姿に・・・・!!

月「ギシャアアアアアア・・・・・(助けて・・・・暁・・・・苦しいよ!)」
ヘブン「・・・る・・・・み・・・・・?嘘だろ・・・・どうして・・・!?」
クロキバ「・・・流水!?どうして、そのような姿に!?」
月「ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

もはや正気を失ったかのように口から水鉄砲を勢いよく吐き出し、それを俺に直撃し、俺の体は超高圧電流の蜂の所に・・・!!

ヘブン「あ・・・ああ・・・・」

バチバチバチバチバチィィイイイイイイイイイッ!!!!!

ヘブン「ぎゃああああああああああああああああああ!!!」

高圧電流が全身を流れ、猛毒のように全身をしびれ、沸騰しそうになるくらい熱くなり、意識が・・・意識が真っ暗な闇に・・・・飲み込まれていく・・・・!!

クリス「流水くん・・・どうして・・・!?」
ホーネットプレデター「・・・聖のヤツ、そこまでやるの・・・!?外道がぁ・・・・!!」
クロキバ「おい、暁!!暁、しっかりしろぉおおおおおお!!」
ヘブン「・・・死ねない・・・死なないよ・・・・・あいつが俺を呼んでいるんだ・・・諦めない・・・絶対に!!」

口から血がほとばしり、全身が黒こげだ。もう皮膚も熱で膨れ上がりはじける。擦り傷が全身にできて、服にも血がにじむ。足腰もふらふらでおぼつかないし・・・つーかもう普通死ぬだろ、こんな高圧電流な上に・・・。

でも・・・死ねないよなぁ。

月「ギシャアアアアアアアアアアアアアアア・・・!」
流水(暁・・・・暁・・・・・・ごめん・・・暁・・・・!!)

あいつが・・・・もう今にも泣き出しそうじゃねえか。
悔しいよな・・・・誰だか知らないけど・・・・こんな姿にしやがって・・・・。
意識があるまま操られて・・・こんなことしたくないのにやっちまった日にはよぅ・・・!!

ヘブン「・・・流水・・・・お前は・・・俺が・・・俺がぁああああああああっ!!」

だから、今こそ、決意のときだ。

男見せるぜ、この野郎!!

ヘブン「お前は、俺が、助ける!!!!」

凛「・・・暁・・・・・・あいつ・・・こんな無茶な戦いを・・・・ずっと・・・!!」
今まで知らなかった。親友と思っていたあいつのことを一番よく知っているはずだった。
なのに、なのに、あいつがこんなにキツい戦いをずっとやっていたなんて・・・!!
あいつが教えるはずがない。あいつが俺たちを巻き込むわけには行かないために・・・!!
なのに、何も知らないで、あいつが疲れているのに、バカばかりやって・・・!!

凛「・・・暁・・・・あいつをどうにかして助けないと・・・・!」

その思いが今強く光り輝いた。
仲間を強く思い、いかなる困難や恐怖にも打ち勝つ「勇気」!!

そしてその思いが、この山奥に埋もれていた何かに感知し、やがてそれが光輝いた。
深緑色に包まれたボディ・・・・その後方ではまるでヘリコプターのようでもあり、カメレオンの尻尾のような渦を巻いた独特のフォルム・・・。
それは・・・明らかに・・・・「列車」であった。

そして、列車の中にあった「緑色」のパスが光り輝きだした。
凛が放った「勇気」に反応し、認めたかのように・・・・!

グリムライナー(声)「この勇気・・・これこそ、私の主にふさわしい」

続く
,さて、今回急展開な第9話。
アリスを探すために山奥を探していたはずなのに、聖のアホのせいにより、まさか操られて怪物となってしまった流水こと「月」と勝負をすることになり、もはや満身創痍となってしまった暁。そしてそんな暁の正体を知っても、暁や流水を助けるために勇気を振り絞ってやってきた凛。その彼女の「勇気」に反応した第2の時の列車「木のグリムライナー」。次回・・登場します。
そして、第2のライダーも・・・・!!

今回、流水の暴走が少しやりすぎたかと思いましたが、流水がこの中で一番子供っぽく暁に対する愛着や執着が一番強いのが、まだ子供である流水が今回の事件で本当の「勇気」を得るためにあえてこのような試練を書きました。流水のモデルは「リュウタロス」です。暁に対して甘えたがりな反面、寂しがり屋で精神的に未熟な一面があるため、冷牙たちのように暁の友達という自分の居場所に踏み込んでくる存在がどうしても許せず、つい口が悪くなってしまう・・・。そういったヤキモチ焼きなところを強く出してみました。

レスをお返しします。
>烈様

>でも、そうなると、残りの《四天王》の二人も元々は人間だったんでしょうか?
ネタバレになるかもしれませんが・・実はそうなんです。それぞれ過去を持ち、事件をきっかけにして吸血鬼として生きることを選んでしまったのが四天王です。

>ところで、何か、文章の中に“石板”ってありますけど、これって“棍棒”って書くところを間違って書いてしまったんですか? 一応修正点として報告しておきます。
ご指摘ありがとうございました!!今後こういった細部には気をつけますのでよろしくお願いいたします。

>破邪の炎
フレア「・・・まあ昔は聖職者とかいう職についていてさ、その時身に付けた特殊能力なんだよね。この話は今後話すよ」

>他の四天王
納得するわけがありません。そこでセレスが思いついた策が・・・「先にヘブンを倒し、その手柄をアリスの物にして処刑を止めようとしていた」のですが、それを聖が見逃すわけありません。むしろそれを利用されて、今回のような事態に陥ってしまったわけです」

>食費がかかるヤツ
暁「・・実はこれ流水なんだわ。あいつラーメン好きなんだけど、全部手作りだからスープや小麦粉とか材料そろえると結構お金いっちまうんだよ。まあ、あいつが美味しいって言ってくれるからいいけど」


>黒様

>リクエスト
今回の話でさらにその気持ちが強くなったことでしょうね。もちろんフルボッコ確定です。

>契約
これに関しては今後の展開の上で考えさせていただいてよろしいでしょうか?とても面白そうですね。

次回もよろしくお願いします!!

Next Line 「Second rider Sylvan」

そしてアリスですが、彼女もすぐ登場します。いまだに自身が追い求める「強さ」を求めて迷う彼女がどのような成長を遂げるか応援よろしくお願いいたします。

,#000000,./bg_e.gif,118.103.4.58,1 2010年12月04日(土) 20時31分51秒,20101204203151,20101207203151,YO/dGt1sALW92,最新版 仮面ライダーヘブン設定,鴎,,,仮面ライダーヘブン

「限界までトバすぜっ!!!」

あらすじ
前作品「仮面ライダーバルキリーたん」から27年後の未来・・・。
クロノポリス。
ヒュプノス事件からターミナルは多発化する過去の改ざんや未来からの侵略者による犯罪が後を絶たないため、組織的に大規模な犯罪活動を抑止、および対象の殲滅、逮捕による時の運行を守ることを目的とする警察組織「クロノポリス」を設立。
その第12特殊部隊「ルシファーズハンマー」の部隊長を務めている大友晶と天童慧の一人息子の「大友暁」が時の運行を守るために奮闘する物語。

大友暁(おおとも・さとる)=仮面ライダーヘブン
「はあ、やれやれ、まーたトラブルかよ・・・」
17歳。私立天神学園高等部2年生。
クロノポリス第12特殊部隊「ルシファーズハンマー」部隊長。
容姿端麗・才色兼備の肩まで伸ばした黒髪を後ろで縛っている少年。身長は165cm。父親譲りの『見目麗しい美少女の姿』をしている。しかし本人はこれがコンプレックスで、そのことを言われると真っ赤になって怒り出す。性格は温厚で争いごとを好まないが、仲間のことを大切に思う熱い心の持ち主でひとたび危害が加わると全力で守ろうとする。その繊細さと大胆さが多くの人たちを惹きつける魅力がある。そして、母親譲りの「不幸体質」でもあり、事あるごとにトラブルや騒動が起こっては巻き込まれてしまい、それが原因で多少の物事には動じない強靭な精神力と物事を冷静に分析する判断力を身に着けることになった。(容姿のこととか女の子と間違われるとすぐさまブチキレるのだが)
趣味はサイクリング。特技は家事全般で特に料理は多忙な両親の代わりに幼いころから作ってきて、さらに幼なじみたちの弁当を作ってきたため腕前はプロ級となっている。
相棒のクリス(フレスベルグイマジン)、クロノスキバット3世とは良き信頼関係で結ばれており、彼らとともに仮面ライダーヘブンとして戦う。

クリス(フレスベルグイマジン)
「勇ましき心の煌き、しっかりとその目に焼き付けなさい!!」
暁の持ちえる“未来”におけるルーベット達やヒルデの姿からのイメージ等から具現化されたイマジンで、名前の由来は水晶(クリスタル)のような水色の体色から取られている。イメージカラーはクリアブルー。武器は水晶のように透き通った刀の『クリスタルセイバー』数十年後の“未来の世界”において暁が一番最初に契約したイマジン。普段はお淑やかで優しく良家のお嬢様を感雰囲気を持つが、一度切れるとかなりノリが強くお転婆で姉御肌な性格に変わる特徴を持つ。ただし、それらを含めても根本的性格が面倒見がいい優しい常識人な人格の持ち主であるといえる。暁にとっては良き相談相手であり良きパートナーといえる存在。戦闘時は『ヘブン』の武器となる銃剣『クリスタルベイオネット』に変化する。彼女自身、何気ない感じで自分を受け入れてくれた暁に惚れている感じだが、少々その手のことに対しては恥ずかしがり屋な面があるため、そのことを上手く口に出せない傾向にある。趣味は家事全般と歌を歌うこと。彼女の歌声はかなりのものでプロ級。好きな食べ物はマシュマロと暁の作った料理。C暁:クリスが暁に憑依した状態。水色のメッシュが入った腰まで伸びるロングヘアーをポニーテイルにしてまとめ、落ち着いた感じの服装をする。流石に暁が嫌がるだろうと思い、女物の服は着ないようにしている。幼なじみ3人娘を「三バカトリオ」と呼んでおり、事あるごとに暁を問題やトラブルに巻き込んでいくことを快く思っていない。

クロノスキバット3世
「さあ、断罪の時だ。己が罪を悔い改めろ!」
“時の砂漠”のどこかにあるという『時神の神殿』に眠っていた伝説の“時の守護獣”たる蝙蝠。彼の“力”を借りたものは時の守護神たる『ヘブン』と呼ばれる者となると言われている。時の歪みと共に偶然にも神殿に迷い込んでしまった暁と出会い、彼の強い意志と思いを気に入り彼と行動を共にするようになる。性格は深慮深くて知的な側面を持ち、周囲の人達の事を考える優しい感じではあるが、敵対する者には容赦がなくなるくらい冷徹な感じになるところがある。趣味は音楽鑑賞。好きな食べ物は暁の淹れた紅茶。

大友晶(おおとも・あきら)=仮面ライダーワイバーン
「暁くん!!何かあったらお父さんにバーンと甘えちゃいなさい♪」
暁の父親。チェックメイト・フォーのキングにしてファンガイア一族の王。
しかしとある事情で「キング」の力を奪い取られて、17歳の姿に戻ってしまう。
見目麗しい美少女のような可愛らしいルックスと小柄で華奢な体つきから美少女と間違えられることも多い。一見素直で屈託のない明るい性格だが、自分たちの一族を滅ぼしたレジェンドルガや敵対する存在に対しては蔑視するといった冷酷な一面も併せ持っている。しかし戦いを経て、本当の心の強さと優しさに目覚めてからは、他者を思いやることができる「王」としての器を持ち、良き相談相手として暁たちに接している。反面暁を心から愛しており、時折暴走する親バカな一面も見せたりする。

大友慧(おおとも・けい)=仮面ライダーバルキリー
「暁、一人で抱え込むな。いつだってお前のそばにいるからさ」
暁の母親。チェックメイト・フォーのビショップ。晶と暁を支える良妻賢母。
しかしとある事情で「ビショップ」の力を奪い取られて17歳の姿に戻ってしまう。
モデルのような端正なプロポーションが取れている黒髪ロングヘア美少女。運に見放されているかのような人生を送ってきており、その不幸さは幾分かはマシになってきた。逆境に屈しない強い心と精神力を持っている。冷静沈着、物事を冷静に分析してすぐさま行動に移す判断力を持って暁たちを引っ張っていく長官として頼りにされている。夫の親バカや息子のトラブルに巻き込まれがちな運の悪さに呆れつつも、家族のことを心から愛しており、何かあったら自らが率先して動くなど熱い一面は相変わらず。 

ヴォルフォス〈冷牙(れいが)〉「激しく吼える魂を感じな!!」慧達の“世界”における“ウルフェン族”の族長の息子で、暁とは幼い頃に出会い共に戦うと約束した少年。一族の中では異端とも言える風を操る能力を持つ。人の姿としては暁とあまり歳が変わらない感じで、外見上は銀髪で青い瞳を持っており、ワイルドな感じをした服装をしている。本来の姿は銀色の体色と蒼銀の瞳を持ち、頭に赤い角らしき物が生えた人狼。性格はクールそうに振舞っているが、意外と我が儘だが熱血漢で優しい感じ。『ヘブン』の武器として扱われるときは、狼の意匠が施された銀色の斧『魔狼斧 ヴォルフォストマホーク』となってその力を貸す。趣味は読書と植物などの観察。好きな食べ物は焼肉。

チュ−ン〈流水(るみ)〉「舞うように行くよ!」慧達の“世界”における“マーマン族”の族長の息子で、暁とは幼い頃に出会い共に戦うと約束した少年。“マーマン族”の例外にもれず、大気中の水蒸気を利用し、自分に有利フィールドを作ったりと水を自在に操ることができる。人としての姿は、動きやすい格好で、一見美少女を思わせるような可憐な容姿をしている明るい感じをした中学二年生位の少年の姿をしている。本来の姿は紫色の体色で黄色い目をした半魚人。性格は天真爛漫で明るくマイペース。『ヘブン』の武器として扱われるときは、魚の意匠が施された紫色の銃『魔海銃 チューンシューター』となってその力を貸す。趣味は釣りと泳ぐこと。好きな食べ物はラーメン。

トーライ(雷斗(らいと))「静かに激しく、轟く!!」
慧達の世界における“フランケン族”の族長の息子で、暁とは幼い頃に出会い共に戦うと約束した青年。“フランケン族”だけあって、かなりの肉体の頑丈さと馬鹿力を持っており、その上で雷を体内で作成し、操る能力を持っている。人としての姿は静かで力強さを感じさせる格好を好んでおり、暁よりも若干年上と言った感じである。本来の姿は鉛色の装甲に身を包んだ頑強な巨人。性格は寡黙そうに見えて人懐っこく暴力は嫌いな優しい感じをしており、頭も良くかなりの博識であり、また知識欲も旺盛でよく本を読んでいる。『ヘブン』の武器として扱われる時の姿は、鉛色をした拳の形をした巨大なハンマーである『魔雷槌 トーライハンマー』となって力を貸す。趣味は機械いじりとちょっとした発明。好きな食べ物は以外にもゼリー。

<幼なじみ3人組>
暁とは小学校時代からの幼なじみたち。3人とも両親が共働きのため、よく暁の部屋に勝手に遊びに来てはダベっている。暁が仮面ライダーであることは知らない。3人に共通しているのは「暁が大好き」と「暁=世界一可愛い女の子」としてあらぬ妄想を抱くわ、事あるごとに女装させるわ、トラブルを呼び込む、巻き込む、悪化させるの三拍子をやってのけるわといった「変態」であるということ・・・一応こいつらがヒロインですっ!!

新海 凛(しんかい・りん)
「暁、何かあったら呼べよ。俺にとってお前はかけがえのない親友なんだからよ」
17歳。私立天神学園高等部2年生。
3人組のリーダー的存在にして、暁を世話のかかる弟のように姉御肌を利かせており、男の子のような荒っぽい口調で接するが内面は非常に繊細で女の子らしい。一人称は「俺」。スポーツ万能にして護身用として格闘技を習っており、上位の有段者。

大地 昴(だいち・すばる)
「情報ならボクに任せてよ。ボクに覗けない情報なんてないんだからさ」
17歳。私立天神学園高等部2年生。
3人組の参謀的存在。学年次席の優秀な頭脳とあらゆる分野に精通する深い知識を持つため、「博士」と呼ばれている。理数系に長けている知識と技術の持ち主で、パソコンを使わせると一流のハッカー「イロウル」として活躍する。

空条 穏(くうじょう・のどか)
「バカと言うな、美を追求する孤高の天才美少女芸術家に向かって何てこと言うか」
17歳。私立天神学園高等部2年生。
3人組の隠密兼裏作業担当。ボケ担当で事あるごとにトラブルを呼び込むトラブルメーカー。情報収集や諜報活動に長けている。(主に暁の盗撮、女装用の服の調達、盗撮写真の売買、睡眠薬を暁に嗅がせて眠らせてイジる強制わいせつなど)

<敵・アヴァロン軍団>
かつてファンガイア族との戦争で敗れ、封印されていた吸血鬼の一族の末裔。
吸血本能を克服し、真祖として吸血鬼一族や他のモンスターたちの一族を統べていたが、戦乱で一族は滅亡し、王と女王が戦死、第一皇国皇女の「イングリッド・アヴァロン」が「時の牢獄」と呼ばれる棺おけの中に封印されており、永遠に続く眠りについている。
そして、何らかの原因で復活した第二皇国皇女の「エリザベート・アヴァロン」が一族の再興およびイングリッドの封印をとくべく、彼女に仕える4人の将軍「四天王」と「暗黒の種」を植え付けて作り出した怪人「プレデター」を従えて時そのものを支配しようと侵略を仕掛けてくる。

エリザベート・アヴァロン(バットプレデター)
「暗き絶望の闇に沈めっ!!」
世界征服とアヴァロン家再興をたくらんでいるアヴァロン家第二皇国皇女。何者かの手によって封印を解かれて四天王とともに時の力を支配するための「秘宝」を探すべく暗躍している。高潔かつ誇り高い武人肌の人物であり、前線に自ら赴き、他人に責任を転嫁しない、行動前の相手が手を出せない状況では何もしない、自分の邪魔にならなければ一般人を巻き込むことは好まないなど彼女なりの一線は持っている。しかしその反面世間知らずで常識に疎く、事あるごとにドジを踏んだり、奇妙奇天烈な発言や行動をしては部下たちから突っ込まれている。慧と晶から「キング」「ビショップ」の力を奪い取った張本人。

アリス・ビストレオ(ライオンプレデター)
四天王の一人で、「獣」と「土」を司る。人間体でも高い格闘能力を有する女戦士で、両手に備えた爪は大地に宿る強大な力を操る。屈強な筋肉により鉄骨をも握り潰す怪力で敵を攻め潰すパワーファイターでもある。俊敏な動きと大地の力で作り出した超硬質の鋭い爪により獲物を瞬時に切り刻んでしまう。人間体は金色のメッシュを編みこんだ黒髪のポニーテールのワイルドな服装の女性に化身する。誇り高い女戦士で、自身を強くすることに余念がなく、強い対戦相手と戦うことを至上の喜びとしている。暁に自分が体験したことのない「強さ」を見出し、あこがれていくうちに恋愛感情を抱くようになる。

マリア・シャークエッジ(シャークプレデター)
四天王の一人で、「魚」と「水」を司る。博識で頭脳明晰な美女。ただしある種の冷酷さも持ち合わせており、進んで人間を襲うことはないものの常に人間という種を見下している。反面かつて失った弟に似ている暁に関しては深い愛情を抱いている。水中を時速60ノットで泳ぐ驚異的な泳力を持ち、狙った獲物は逃さない。二本の青龍刀を武器としており、水を自由自在に操る特殊能力と組み合わせた変幻自在な戦法で敵を追い詰めていく。人間体は青いメッシュを編みこんだロングヘアの美女で、眼鏡とスーツが似合う知性的な雰囲気を漂わせている。

フレア・ファルシオン(ファルコンプレデター)
四天王の一人で、「鳥」と「炎」を司る。左手のクローで高空より襲い掛かり、獲物を串刺しにすることを好む。また両肩から生えた翼は、飛行能力だけでなく高熱の炎を生み出す能力も併せ持っており、火炎を纏った羽手裏剣を飛ばすなど飛び道具にも長けている。あらゆる邪悪なものを焼き尽くしてしまう聖なる炎「破邪の炎」を操ることもできる。人間体はパンキッシュな服装の巨乳にして小柄な少女。茶髪に赤いメッシュを編みこんでいる。楽しいことや美味しい食事など、自分が楽しむことのみを目的としている子供っぽい一面を持つ。

セレス・ホーネット(ホーネットプレデター)
四天王の一人で、「虫」と「風」を司る。背中のウイングを展開して時速300kmで飛翔し、武器のランスを回転させてドリルのようにして敵を刺し貫き破壊する。また体内で雷を生成して自由自在に操り、それを小型の蜂の形へと変えた無数のビットで敵を取り囲み、自身に有利なフィールドを作り出し、敵の動きを封じてしまうなど知略にも長けている歴戦の戦士。
人間体はウェーブがかかった茶髪のロングヘアで緑色のメッシュを入れており、モデル級のナイスバディを持つ妖艶な美女の姿に化身する。美しいものをこよなく愛しており、それは芸術にとどまらず、自然や思想など幅広い分野に及ぶ。

神代 聖(サーベルタイガーファンガイア)
かつては「チェックメイト・フォー」の「ビショップ」として地位を築き、実は「ヒュプノス事件」の黒幕であった女性。晶の世界を崩壊し、ヴォルファスたち一族を滅亡に追いやり、暁の前世であった「ルシファー」を含む傭兵集団「セブンズヘブン」を利用したすべての事件の黒幕ともいえる存在。一見穏やかな微笑を絶やさない母性的な雰囲気を漂わしているシスターだが、その言動やすべてにおいて、常軌を逸脱している完全な狂人。かつて暁に抉られた右目に禁じられた魔法具「這い寄る混沌(ナイアルラトホテップ)」を義眼として埋め込んでおり、アンデッドを自在に操ることができるになった。

イングリッド・アヴァロン(???)
アヴァロン家第一皇国皇女。エリザベートの姉であり、アヴァロン家の当主であり絶対的支配者。その目的は謎に包まれており、封印された時の列車を探し出すよう部下たちに命じている。かつての事件で時の牢獄に封印されており、晶と慧の力を得て眠りから覚めた。

<ライダー>
仮面ライダーヘブン
大友暁が変身するワシの特質を持つ銀色の仮面ライダー。「聖」の力を司る。
クロノスキバット3世が暁の腕を噛み付くことで魔力を注ぎ込み、変身する。
武器にもなるハンドガン型ツール「召喚銃クロノストリガー」に弾丸型ツール「デモンズバレット」を装填し、発射すると魔方陣を召喚し、契約しているアームズモンスターを召喚することができる。クリスが憑依し意識が表面化することで「ギアシステム」という魔力を最大限まで高めることでパワー、スピードを一時的に極限まで発動させることができ、背中にウイングが装着され空中を超高速飛行能力が備わる。武器はクリスが変形した銃剣「クリスベイオレット」。

ヘブンフォーム
素手での格闘と銃剣「クリズベイオレット」を用いた剣術を中心とする戦闘スタイル。また、憑依しているクリスの精神が表面化することで「ギアシステム」という魔力を最大限まで高めることでパワー、スピードを一時的に極限まで発動させることができ、背中にウイングが装着され空中を超高速飛行能力が備わる。必殺技は上空に飛び上がり、聖なる力を放つ銀色の風をまとって放つ飛び蹴り「ジハードブレイクキック」。

ヴォルファスフォーム
「ヴォルファスバレット」をクロノストリガーに装填して発射、魔法陣を解放して変身する魔獣形態。体色は青色をベースにされている。ウルフェン族のモンスター「ヴォルファス」の力を宿しており、俊敏性に長けている。主に攻撃力が高く、俊敏性に欠けている相手に対してこのフォームが使用されることが多い。また、ヴォルファスの力が秘められている斧「ヴォルファストマホーク」を武器としており、風を操る特殊能力を持つ。

チューンフォーム
「チューンバレット」をクロノストリガーに装填して発射、魔法陣を解放して変身する魔獣形態。体色は紫色をベースにされている。マーマン族のモンスター「チューン」の力を宿しており、射撃能力と水中戦を得意としている。主に高速移動を得意とするか、飛行能力を持つ相手に対してこのフォームが使用されることが多い。また、チューンの力が秘められている銃「チューンシューター」を武器としており、水を操る特殊能力を持つ。

トーライフォーム
「トーライバレット」をクロノストリガーに装填して発射、魔法陣を解放して魔獣形態。体色は灰色をベースにされている。フランケン族のモンスター「トーライ」の力を宿しており、4人の中でも強力無比な怪力と防御力を駆使したパワー戦法を得意とする重厚な重戦士。雷を自由自在に操る特殊能力を持ち、巨大な超重量級のハンマー「トーライハンマー」を振り回して敵を殲滅する。


<時の列車>
『ディスティニーライナー』『時神の神殿』の中にあった通称“原初の列車”。3両編成の機関車型のタイムマシンで、現在ではクロノスキバットにより、暁が使用権利を持たされている。前面のハッチを開き、強力な光線「ディスティニーキャノン」を発射して巨大な敵をも殲滅する。
,遅くなって申し訳ございません。
設定更新いたしました。そして、烈様、「仮面ライダージーク」の設定拝見いたしました。細部までこだわった設定に世界観があり、とても感動しました。ありがとうございます!!
今後のストーリーでぜひ使わせていただいてよろしいでしょうか!?
今後とも、よろしくお願いいたします!!,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2010年11月25日(木) 00時53分45秒,20101125005345,20101128005345,Wk3XdX1IR9Iyw,仮面ライダーPIRATES epV 『呪縛』 part2,青嵐昇華,,,


「ゥゥゥゥゥ・・・!!!!!」キィン!!


ヴヴウヴヴヴヴヴウヴヴヴンンンンッッッ!!!!!!


「っ、ぐ・・!?」

甲高い金属音が響き渡り、近くの湖から飛び出しそこへ急行する紫色の重型機海馬。
それはレイヴァンを弾き飛ばすと、ぐるりと回ってスクィーレの元へ戻って来た。

スクィーレがそれに飛び乗ると首や腕の鎖が伸び、魔犬と機海馬が繋がり一つとなる。
機海馬にスクィーレの武器が次々に転送、接続され、見る見るうちにそれは要塞と化していく。

どんな場所の獲物でも、どこまでもでも追ってその圧倒的な火力を持って仕留める。
地獄の魔狼、それがスクィーレ【KF-ケルベロスフォーム-】だ。


「おい・・・アレ、反則じゃないか?」
「ゥウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!」

レイヴァンに向けられる銃口、銃口、また銃口・・・
機海馬に設置された拳銃やショットガン、ガトリングなど無数の銃器が一斉に火を噴きレイヴァンに襲い掛かる。

「ちっ・・・・!」キィン!!

広く展開されたその弾幕には逃げ場がない。
コインを裏返し【DF】にチェンジするとレイヴァンDFは、比較的弾の薄い所へ突っ込んだ。

(ここは強行突破かな・・・・悪く思わないでくれよ・・!)

加速空間に入って、一気に弾幕との距離を詰めたレイヴァンはそこから浮上するようにジャンプ、切りもみしながらのキックを放つ。
それは足先から小規模の時空間の歪みを引き起こし、竜巻のように弾丸を巻き込みながらその動きを完全に無効化していく。
加速したまま通常空間に飛び出したレイヴァンの先には、スクィーレの姿があった。

「ッ!!?」
「さぁ喰らな・・・!ダイバーメイルスト『覇邪剣翔!』



『曼荼羅華刃‐ハーケンゴースト-!!』


ドガァアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!

「ぐぁあっ!?!」


レイヴァンとスクィーレの間にエネルギーの塊が割り込んだと思えば、その瞬間爆発が起こり、激しい光と爆風が二人に降り掛かった。







空中で支えるものもなく、吹き飛ばされたレイヴァン。
森の木の幹に身体を打ち付けたところで衝撃によってその変身が解ける。


「っぅ、何だいきなり・・・・?」
「無事か、キール」

立ち上る煙の中から少女を抱えた、眼帯の男が現れた。

「ミスター・・・・おいおい、シーユーアゲインつっても昨日の今日だぜ?副長の話じゃ、こっちの方には暫く来ないってことだったんだがな」
「あの後すぐに急ぎの仕事が入ったんだ」
「あぁ、なるほどな・・・」

一応聞いては見たが、何となくすぐ再会すると思っていたのでそう気にはならなかった。
結構キッドの勘は当たるのである。

「だけど、いきなり攻撃してくるなんて・・・まだ根に持ってんじゃないのか?」
「いや、今回は緊急で・・他に止める手も浮かばなかったんだ。怪我をしないくらいには加減したんだが・・・すまなかったな」
「やれやれ・・・まぁ、おあいこって事にしとくか。で・・?」

問題は濠が抱えている少女のことだ。
今は爆発のショックで意識を失っているようだが・・・

「そのガンスリンガーガール、どうするつもりだい?」
「とりあえず家まで運ぶ」
「ほぅ、そりゃまた手が早い。連れ込んでナニするつもりなんだか」
「・・・この子の家に、だ。妙な言い回しは止めろ。この子の保護が俺の受けた依頼だ」
「ほぅ、そうかい」

濠がじと目で睨むがキッドに気にした様子はない。

「しかし、保護ねぇ・・・じゃあ、まぁ今回は被らなかったのかな」
「お前はどういう経緯でここに居るんだ?」
「オレはこの先の村でウィッチハント、魔女退治を頼まれたのさ」
「・・・・・・・・・」
「村の人間が言うにはその娘が魔女ってことらしいが」
「この子は・・・違う」
「だろうな、何かワケありっぽさそうだが・・・銃弾じゃ、蜂の巣は出来ても干物には出来そうにないし」

魔女狩りの依頼を聞いて濠が少し警戒したようなので、キッドは肩を竦めておどけて見せた。
キッドとしても少女との戦闘はイレギュラーなもので、これ以上何もするつもりはない。

「そうか・・・」
「でもまぁ、男を骨抜きにするスィートボムをお持ちのようだな。あと数年でもすりゃ、立派なセクシーウィッチに・・・」

ギロリ

「オゥ・・・ジョークだって」

少女の膨よかな部分をじっと見ながらセクハラい発言をするキッド。
本人これは濠に対しての冗談だったり、少女への誉め言葉だったりするのだが・・・
真面目な濠はお気に召さなかったのか、キッドを睨みつけて背を向けその視線から少女をブロックした。

「やれやれ、やっぱり堅いなミスt・・・」

「ぎゃぁあああああああああああああああ!??!?!」

「っ!?」

どこかからさきほど逃げたはずの村人の声が聞こえた。

そう・・・事件に少女が関係ないとすると、村人の言う“魔女”はまだこの森にいるのだ。
濠に後を任せ、キッドは急いでそこに駆けていった。






声が聞こえた方へ、暫く走っていると干物のようになった若い村人が倒れているのを発見。
その横には大柄の人影が一つ、こちらに気付いたようでゆっくりと身体を向けた。


「あラぁん!!!イイオトコっ!!!」


「なっ!?ッ、ぅ・・・・・」

キッドの眼に飛び込んできたのはナイスバディ(筋肉的な意味で)のラプター。
問題なのは筋骨隆々の筋肉ダルマであるのにも関わらず色々際どいピチピチといかムチムチなゴシックドレスなんか着込んでいることで・・・・キッドも思わず、変身してもないのにリバースしそうになるほどの破壊力だった。

「アタシは名前はギヴルぅ、カワイイカワイイ漢女-ヲトメ-ラプターヨぉん、よろしくゥん」
「ぅ、な、なんてもんを・・・・・・・!!」

アリアを連れて来なくてよかったとキッドは心の底から思った。
遅くなったが、今回はアリアとフレッドは船で留守番している。
陸の依頼でも時々、アリアが着いて来ることもあるが山村部ならば見慣れているだろうからと今日はお休みである。

バリトンの利いた、腹に響く漢前な声を響かせ、その自称漢女はクネクネしながら言う。
ヤバイ・・・いや、人に擬態してるからそれなりに位の高い奴であるとか、そんなことはどうでもいいが、こいつは明らかにヤバイ。
女の子大好きなキッドにはソレが視界入っているだけで魂を吸われているような気分だった。

「うゥ〜ん、ホントにイイオトコ、ネぇん」
「そ、そいつはどうも・・・・そ、そう言うおたくも中々だぜ、マッチョマン」
「ウーマン!!・・・グフフ、いいわネぇん。あなたはどんな味がするのかしラん、楽しみイぃ〜〜!!」
「ォ、オゥ・・・」

ぺろっと長い舌で、舌舐めずりするギヴル、キッドの背中に悪寒が走る。
擬態を解いたギヴルは眼に痛いビビットピンク色の派手な鱗を持った怪人に姿を変える。
それで何とか持ち直し、キッドも色々守る為に即座に変身し鎧を着込んだ。

「か、海賊だったなんて・・・海賊でイケメンっ!!嫌いじゃないワぁ!!」
「ぐっ・・・ちょっと聞きたいんだが、ここに居るのはあんた一人だけかい?」
「ええ?・・あー、リザードちゃん達が何人か・・・そう言えばさっきから見ないわネん」
「・・やっぱり、さっきの石は・・・・」
「石ィ?」
「いや、何でも・・・それより、村人を襲った訳を聞こうか、マンゼンタマン?」
「ウーマン!!・・ええっと、お食事と楽しみ、かしラぁん?アタシはヒトの口からエネルギーを吸い出すことが出来るの・・・ンフッ、アタシってば若い子が好みなノぉ(はぁと」
「・・・・なんて、惨い話だ」

そうウインクするギヴルにいつの間にか、思わずキッドも半歩下がっていた。

「こんな仕事してるとストレスでお肌ガサガサになっちゃうから・・・やっぱり、若いエキスは必要よネぇん」
「仕事、ねぇ・・・」
「そうよ、いくら仕事でもあんな小娘と婆『グチャ』・・・ヘ?」
「な・・・!?」

ギヴルラプターの腹部から何かが突き出される。
それは、妖しく煌めく美しい黄金の剣。

「ぶ、ぶるぁあああああ!?!??!?な、ナニこれぇ、か、身体が固まっ―――――――−」

剣の周りから石化していく身体に、ギヴルが悲鳴をあげる。
そして数秒も置かずして先ほど森の中で見たような石の像が一体出来あがった。

ガリッという音を立て、その剣が引き抜かれる。

「これで全部、ようやく片付いたわね」

石像が蹴飛ばされ転がって行くと、そこには銀白髪のレザージャケットの女が立っていた。
手に持った黄金の剣からラプターのものと思われる固化仕掛けた液体を払い飛ばしている。

「あんた、何者だい?」
「・・・さぁ・・・何者かしらね」

女は腰に巻かれたベルトの銀色のドクロに銀貨を噛ませる。

「丁度いい、あんたを倒せば早く済みそうだわ・・・!」






「・・・・?」

少女が眼を開けると、眼帯の男がいた。

「眼を覚ましたか」
「っ・・・・」

ぼーっとしていた少女も意識がはっきりし始めたのか、驚いた様子を見せた。

「君のお祖母さんから、ガラティアさんから頼まれた者だ。安心していい」
「・・・・・・・」

家族の名前が出て来たことで少女も少しは落ち着いたようだが・・・
それでもまだ濠の顔をじっと見たままだ。

「む、これか・・・」

そこまで強面ではないと思うが、愛嬌があるかと聞かれれば答えに困るのは濠自身知っている。
そこに厳つい眼帯などあっては普通の人なら怖がって当然である。

ひとまず濠は抱えていた少女をゆっくり降ろした。

「これ取る訳にはいかないんだ。すまないな」
「・・・・・・」
「その代わり・・・貰い物だが、これをやろう」

濠がポケットから取り出したのは幾つかアメ玉だった。

「・・・・・・・」

掌に置かれたアメ玉を少女はじっと見た。

「飴は嫌いか?」
「・・・・・・・」

ふるふると少女は首を横に振るが、やはり手を付けようとしなかった。

(む、そうか・・・)

生い立ちから、本能的に他人から貰うものに警戒しているのだろう。
配慮が足りなかったと濠は反省し、行動に移した。

「・・・では、一つ」

濠はその包みを取って、緑色のアメ玉を口に入れた。
むっつりしていたその顔にも不思議な愛嬌が出て来る。

「っ・・・・・・」
「君も、どうだ?」

その様子を不思議そうに見ていた少女だが・・・・
差し出されるアメ玉と濠を交互に見て、ようやくそれを口にする。

「美味しいか・・・?」
「・・・・・・・・・」

「そうか・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

周りが静かな分、コロコロと転がる飴の音がどこか可笑しい。
特別な会話などはなかったが、それだけのことで少女の不安も和らいだ。

「飴を舐めると幸せな気持ちになる、怖いのも無くなるだろう?」
「っ・・・・・・」

何故か目を丸くする少女はコクコクと頷く。そして・・・少しだけ笑った。
それを見て濠も満足が行ったようで、家に帰ろうと今度は並んで歩きだした。

「・・・む、結局・・・約束を破ってしまったか」
「・・・・?」
「いや・・・友達と少し、な」

(仕方がないか・・・恭護には後で、っっ!!?)

突然の衝撃に濠は立ち止まった。

「・・この感じは・・・・・」

幽霊船内で起こった右目の痛み。
その時ほど強烈なものではなかったが、それと同じものだと濠には分かった。
そして、やはりあの時と同じように何かの気配を感じ取ることが出来た。
先ほどキッドが向かって行った先からだ。

「家はもうすぐそこだ。帰れるな・・・?」
「・・・・・?」
「すまない。少し用が出来た・・・また、後で会おう」
「・・・・・・・・・」

間を置いてこくりと頷く少女を後に、濠は林の方へ逆戻りして行った。






「ぐっ!?」

剣をかわした先に待っていたのは、鞭のようにしなる白騎士の蹴り。
とっさに両腕を固めてガード、自分から下がることでレイヴァンはダメージを最小限に抑えようとするが・・・
瞬間的に威力を増したその蹴りに衝撃を殺し切ることが出来ず、レイヴァンは大きく転がっていく。

「海賊も・・・っ、案外、大したことないわね・・・」
「こりゃ、手厳しいねぇ・・・」

間髪入れずに追随しようとする白騎士に、レイヴァンは転がったままライフルを乱射。
一瞬怯んだ隙に、レイヴァンは木々の密集する林に逃げ込んだ。

「ったく、肖像権やなんかかんやで訴えられても可笑しかないぜ・・・?」
「知らないわよ・・・!」

レイヴァンと対峙している白騎士はさっきの女が変身した姿。
何故かフォルムはレイヴァンのそれに近く、そしてよりシャープで女性的な流線型だ。
黄金の剣と白銀の鎧のコントラストは美しく、神々しいながらも妖しい煌めきを纏っている。

「ちょこ、まかと・・・!!」
「オレは追い掛けられるより追い掛けたい派なんだが・・・っと!?」

青白い光を放った白騎士は再び急加速して詰め寄り、貫いた物体を石化する黄金の剣-クリュサオル-をレイヴァンへと突き立てて来る。
レイヴァンは林の木々を盾に何とか、逃げ切っていた。

この白騎士には先日の戦いでゴーストが見せたような、性能を向上させるシステムが備わっているようだった。
しかもゴーストと違い暴走しているわけではなく、動きが読みづらい分断然タチが悪い。
ただシステム使用が相当堪えるのか、息はだいぶ上がっているようだが・・・期待も虚しく肝心の動きはほとんど鈍っていない。
どこまででも身体を酷使し続けられるよう、よく鍛錬されているのだろう。
対するこちらの状況はあまりよろしくない。

(さぁて、どうするかね・・・・)

サーベレイバーがないレイヴァンにあれとの接近戦は辛い。
隠れながら攻撃するにしても白騎士の装甲は細身の外見からは想像出来ないほど強固なもので、レイバスターの通常弾も威嚇程度にしか作用しなかった。
セカンドモードならなんとかなりそうだが、問題はチャージの間を与えてくれるかどうか・・・


「キール!」

ちょうどその時、奥から走って来る濠の声が聞こえた。






「よぉ、ミスター。相変わらずのナイスタイミングだな」

出迎えるように少し下がって、キッドはやって来た濠と合流する。

「ちょいと、手を貸してくれよ」
「お前が苦戦する相手なのか・・?」
「あぁ、あのホワイトビューティーかなりのテクニシャンでなぁ・・・やり難いんだ、これが」

「さっき、から・・ヘラヘラと・・!ムカつくわね、あんた・・・」
「オレとしては闘り合うより抱き合う方がいいんだが。ラブ&ピース、平和的にそっちをどうだい?」
「はんっ・・・●貞が粋がってんじゃないわよ・・・!!」
「DOU!?!!?!?」ぴちゅーん

かいしんのいちげき。
きっどは灰になった。

「む・・・おい、どうしたキール?」
「グラスハートがブロウクン・・・傷付きやすい、オトシゴロなんだぜ・・・?」
「もう、いい大人だろうが・・・しっかりしろ・・!」
「いや・・・今日はな、色々あったんだよ・・・色々、な・・・じゃ、後、頼んだぜ・・・」
「お、おい・・・・」

えらく沈んだ様子でトボトボと歩き出し、キッドは一人外野に避難していった。

「コントは済んだ・・・?そろそろ片付けたいんだけど」
「あぁ・・その前に一つ聞くが、お前はあの“幽霊船”に乗っていたか?」
「・・・・・さぁね、あんたなんかに教え・・・・・っ!?」
「む、何だ・・・」

ジャケットの袖をくいくいと引かれ、濠が後ろを振り返る。

「・・・・・・・・・」

そこには先ほど別れた少女がいた。

「なっ、ついて来たのか・・・ここは危ない。すぐ家に戻るんだ」
「・・・・・・・・」

その裾を握ったまま、少女はそれ離そうとしない。
少女の目線が白騎士の方に向かった。

「あんた・・・もしかして、お礼のつもり?」
「・・・・・・・・」
「邪魔よ、帰りなさい・・・あんたみたいに震えることしか出来ないのは、どっかに閉じ籠ってればいいのよ」
「・・・・・・・・」
「帰りなさいよ・・・!」

イラ立ちとはまた違う・・・強い語調で語る白騎士を、少女は怯えるわけでもなく、ただじっと見ていた。

「っ・・・・・ち」

キィン、と銀の済んだ音が響き、空から白い機海馬が飛来する。

「次は、こうはいかないわよ・・・・」

白騎士はそれに乗り込むと、逃げるようにその場を後にした。


「あいつは・・・・」



「恐ろしい相手だったなぁ、ミスター」
「・・・おい」






「海賊さまー!!大丈夫ですだかー!?」

白騎士が去ってから間を置かず、キッド達の所に村人達がやって来た。

「ん・・・・おっと、面倒だな・・・」

無事に逃げ切れた者が、戦える者を引き連れて戻って来たのだ。
そのいずれもが鍬や熊手や、鎌など武器に成りそうな農具を抱えている。
恐らくアレに攫われたのは若いの一人だけ、後の者はまだ少女が魔女だと思い込んだままだ。

「っ・・・・」

驚いた少女は濠の背中に隠れた。
先ほどのように握られた裾は、今度は弱々しく震えている。

「ま、魔女・・・!」
「ウェイト、まぁ待ちなって。ホントの犯人なら、向こうに転がってるぜ?」
「・・・は?」

キッドは石像になって横倒しになっているギヴルの所に村人達を連れて行った。

「こ、この石の像がだか・・・?」
「とても信じられねぇだよ・・・」
「そ、そだ・・・この石になってるのだって魔女の呪いかも」

「っ・・・・・・」


「いい加減にしろ」

先ほどまでのざわつきが一転し静まり返る。
魔女と呼ばれる少女を庇う青年が村人に対して初めて口を開いた。

「魔女だと・・・・俺には今のお前達もまた、魔物に見える」

その一人一人を見まわして、濠は静かに言った。

「魔物が巣食うのはこの森ではない。暗鬼と言う名の魔物が・・・お前達の心の中に居るのではないか?」
「よ、余所者が口を挟まねぇでくれますだか、おら達は村の為に・・」
「確かにこれはただのお節介だ・・・だが、聞け。本当にこの子がしたのか?この子がお前達を襲っていたのだと、明言出来る者がいれば俺の前に出ろ」


長い沈黙・・・・
誰一人として、はっきりした答えなど持ってはいなかった。

恐ろしいのは慣習、魔女という絶対の悪の偶像が村そのものに深く浸透していることだった。
森に住む魔女は村にとっての害。村人にとってはそれが普通のこと、当り前だと教えられ思い込み、それから先を考えることがない。
今彼らは少女を魔女と疑い切ることで心の均衡を保とうとしているに過ぎなかった。

「だ、だども・・・・」
「己の心細さを埋める為だけに・・・たった一人に、全て背負わせるつもりか」

静かな怒りの声に、皆黙るしかなかった。

「ただの誤解から取り返しのつかないことが、起こることもある・・・・言われの無い責苦を受け、大切な人達を失った者・・・居場所を失い、本当の魔物に成らざるを得なかった者もいる・・・・その苦しみや悲しみが、家族や友人、村を愛するお前達に分からないはずがないだろう」

いつの間にか、その髪はアオからアカ・・・血の紅に染まっていた。
枯れてなお流れ続け、消えることのなく魂にまで深く刻まれたその紅の涙の痕は、一人の阿修羅を通して、その場に居る全ての人間の眼に焼きつけられた。

「支えを無くせば、不安にもなる・・・だが本当に必要なのはそんな支えじゃないだろう」



「まず信じろ・・・・全部、それからだ」





○航海日誌 担当:キール・D・コースト
依頼を終えた後、日暮れ前には船に帰った。勿論礼金にも一切手は付けていない。
そんなオレを出迎えたのが、「熱でもあるのか?」との親友の一言。
寄り道せずに戻って来たのがそんなに珍しいか?信用ねぇな・・・色々会ったんだよ色々、な。
そして次に本命、アリアのスマイルと一緒にやってくる
「おかえりなさい」「ごはん出来ていますよ」「お風呂は今沸かしてますからね」三段コンボ。


教会は・・・・ここにあった。


・・・・リフレッシュしたところで、振り返ってみるとだ。
あの子には泣かれそうになるわ、襲われるわ、・・・っ、アイツは、止めとくか・・・
犯人達はビューティーに、シメはミスターに持ってかれるわ、散々だったなホントに。
まぁ、報酬はちゃんと貰ったからよしとするかね・・・

あの後だがミスターの説教がよっぽど堪えたのか、連中は大人しく帰って行った。
人間は成長するもんだ・・・多分、あそこもこれから変わって行くんだろうな。
そしてあのガールは、話を聞くにミスターの船に乗ることになったそうだ。
保護って言ってたしな・・・・・結局お持ち帰りか、羨ましいなおい。
あー、ミスターと一緒ならどっかで会うかもしれないし、そんときは仲良く出来ればいいんだがな・・・
あんなに怯えられるとは・・・お兄さん、傷付くぜ・・・・・


さて、ここらで少し真面目な話だ。
あの白いライダー、オレのレイヴァンによく似ていたな。
そしてミスター・ゴウのカトラスにそっくりだったゴーストの奴・・・・
船内が暗かったから、ただの見間違いかとも思ったが・・・・どうやらそうでもなかったらしい。
伝説の海賊は七人、今日確認出来たものであの女とゴーストのを入れて八つ。
数が合わないとなると・・・・仕様からして、やっぱりあの白黒は偽物だろうな。
・・・・やっぱり、面倒なことになってきたな、一回グレイス達とも話してみるか。

あ、サーベレイバー・・・早いとこ直して貰わないとな。















「おばあちゃん・・・なんであの子を・・!!」
「『ただいま』が先じゃないのかい、この家出娘」

「・・・帰るつもりはないわ・・・今はね」
「あんたはいつまでつまらないこと・・・」
「あと少し・・・あと少ししたら、たくさんお金が入るの・・・今までよりずっと、それで・・」
「もう帰って来な。あんたは十分よくしてくれたよ・・・」
「あと少しなの!!それで・・・全部うまく行く・・・だから、あと少しだけ、待ってて・・・!!」
「っ、待ちな・・・・!!」




「本当にバカだね・・・・・親父そっくりだよ」







,
新技が勝利フラグだって誰が決めたんだようッ!?

どうも、遅めに勝手な反抗期、青嵐昇華です。
王道に沿うのも大好きな青嵐ですが・・・海賊は結構捻くれた感じで行くとこもあるかもです。
えぇー!?まさかガチでコイツが死ぬなんて!?とか・・・あるかもな!!(ぉ
まぁ、冗談はさておきおき。

今回重いな・・・っ!



お返事〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

To Aヨスケさん

>『仮面ライダーカトラス、推参!!』
>ヒーローとしての深みが一気に増すと言うか

キッド「そういや、あの仮面ライダーってのは何なんだ?」
ゴウ「湶に貰った名だ」
キッド「・・・仮面ライダーねぇ・・・いいな、俺も使っていいかい?」
ゴウ「そんなにあっさり変えていいのか?重要だと思うのだが」
キッド「へぇ、ミスターでもやっぱりそういうの気にするのかい?」
ゴウ「あぁ、名は発することで体外の精霊と体内の霊気を調律させる言霊と(ry」
キッド「オーケィ、降参だ。オカルトは勘弁してくれ」

>次回以降の展開に関わってくるであろう含みがちらほら見える話でした。
じつはもうここまでで登場ライダーズの複線は終盤含め全部張り終わってたりしますです。
終盤組、超待っててー!(ぉ

>『ゴースト』を『濠スト』だと思った私は幸せ者です(ぉ
あー・・・あと2ミリ!!(ぉ
ちなみにゴーストさん、最初ガイスト(独語で幽霊)が没でそっちになりました。

>小物相手とはいえ、多数の不可視の敵を特に気にするでもなく一蹴
>分かりきった事ですが、サラさんの世界はフレッドを中心に回っている様ですね。
初期プロットではサラさん、この次の話で初変身。
四号ライダーだったというのに本編ではレイヴァンより先に変身してたりと・・・なんだコレww
『海賊』は『朱凰』、『珀羅』より、断然長いですからとりあえず圧縮圧縮・・・そして、振り切るぜぇええええええええ!!(久しぶり

> 表裏のリバース、コインで変身という特徴を生かしまくったアイデアに脱帽しました。
アイディア勝負だったら、青嵐負けないっ!
・・・・表現力はコレだけどな・・・!!(ぉ

>今の所は別々に行動するみたいですね。
ところがどっこい、これからの話は皆で進めなきゃ一人当たりの尺が(中略)なので出張る出場る。
当面はダブル主役的な感じで進んで行くと思います。



To トレハさん
>おのれ駅伝がぁぁぁぁっ!
テレビを付けて芝生、もしくはランニングの学生達が映っていた時のあのがっかり感。
しかも次回から新フォーム!?とか、あれ、おとーやん!?とか、大概の場合が本気で気に成る回の時できぃいいいいいいいい!!

>僕も近日中に次のお話を投稿する予定であります。
テンションフォルテッシモ!!
キバってお願いします!!

>銅(アカガネ)
>【金】【銀】【銅】という三体を考えておったのですが
orz・・・ごめんちゃい(ぉ
いや、なんとなくこの先出るかなぁとか予想は出来たはずなんですが変更利かなかったので・・・やっちまったぜ!!(ぉ

>一瞬「え、なんで加速?」とか思いましたが、時間にダイブする訳なんですねー。
>使いどころが難しそうですが、今後このフォームがどのように使われていくか楽しみです。
照井さんみたいに細かいところでちょいちょい使う感じですかね。
しかし、いくら高速がすごいイメージあっても・・・速い=最強とかね、ないない(ぉ

絢斗「謝れ!!俺達に謝れ!!」
鴉美「あれ、それ私も入ってます!?」

>下ネタストッパーのフレッドさんマジ苦労人っす。
>サラさんがフレッドさんの制止を振り切ってやらかしてくれることを期待s(ry
フレッド「俺が倒れた時は頼むぞお前達・・・」(切実
ランディ「ごめん、ボク下ネタ苦手なんだ・・・」
ゴウ「恭護ですら引いているのに俺がどうにか出来るはずがないだろう・・・」

>なんか天道と風間大介のやりとり思い出して噴いたw
>真面目っ子の濠君は性格の軽いキャラと絡ませると面白い気がする
恭也「濠にはユーニークが足りねぇからな〜」
鴉美「それ、ユーモアじゃないですか?」
濠「・・・・・」
鴉美「あ、いえ、そう言うことじゃなくてですね!!」

>義理の部分を強調した方がヤバいと気付くのが遅れた僕はもう駄目だと思います。
きょうだいでイチャイチャしてもいいじゃないの!(ぉ


To @PFさん
>でもシメる所はシメるべきなのも確かな訳で、
>と言うかこの方向性でキャラ崩壊したアリアさんが見てみたいかも
シメるの意味が・・・w
そういうのは元ヤン燎子ちゃんの特権ってことで

燎子「あ゛ぁ゛ん?誰が元ヤンだ!!」
香織「燎子ちゃん、そんなに現役アピールを・・・!?」
燎子「現役でもねぇ!」

>ゴースト
>言いがかり、マジ恐い
ホントはキッドが軽口叩かなければあのままスルーも出来たのにナー?

>濠=カトラスと似てる…?
今回はレイヴァンのそっくり(?)ライダー出現。
正体はそのうち明らかにすると言うことで。

>く、クロックア(ry
>しかしやたら使いにくそうな…
制限付きクロックアップ(ぉ
DFあくまで裏返しの姿な訳でパワーアップではないのがミソです。
基本フォームの安定感を崩して速さに注ぎ込んでいるのでバランスは悪いです。

>>後半の強敵相手じゃ空気や噛ませになったりしないか不安になってきた…
空気はないと思いますが噛ませですかぁ・・・
やだなぁ、通じないから強敵なんじゃないですかw(ぉ

>「え・・・ま、まさか、フレッ(キングクリムゾン!)彼の純情だけは・・!!」
>一体どうなってるんだ私の心のアンテナ!もう、自分で自分が分からないよッ!
僕にも分からないよッ!!
あ、でも次回はあれがまた出て来るので・・・ひぃいいいいいいい!?

>「セレナ」もちゃんと進めないとなぁ…
ガ・ン・バ・・・ガンバ!!(ぉ



To 烈さん
>今回の話は、随分と『ライダー』になる人たちがたくさん、登場していましたね。
そりゃ序盤ってのは話の度に新キャラが出て来るもんですよ。
え、キャラ立て・・・?こんだけ濃けりゃ一話で十ぶ(ry

>“メダル”
Notメダル!、Yesコイン!
・・・・いや、別にメダルでもよかったんですが(ぉ
まさかメダルライダーが出て来るとは序章当時思ってもいなかったです、はい。

特別編あったらウチでもコンボとかね、やっちゃったり

【海竜-シーサーペント-】【海翼-ケートス-】【海星-ヒュドラ-】
シケヒュコンボ!!

・・・・なにこれ・・・(ぉ

>変身する時とは逆にすることにより、フォームをチェンジさせる。
裏には何が描かれているんでしょうかね・・・それを考えると夜も眠れません(ぇ

>一体どういった経緯でサラさんは彼のことを好きになったんでしょう?
まぁそれは次回あたりにぱっぱとやっちゃうということで。。

>キッドさんのほうは気づいていませんでしたけど
海賊メンバーで霊感あるのは高天原出身くらいですからね、そんなものかと。
チャラ男なんぞに霊感があって溜まるか!ってタマちゃんさんが言ってた。(ぉ

>やはり、物語の一番の“キーパーソン”を持っているのはアリアさん
例によってメインヒロインなにそれおいしいの?(ぉ)
ですが凄いキーパーソンです、決して入らない子じゃないです。
ただ!!・・・まわりの連中が濃い過ぎるの・・!!





ぞくらじ作る暇なかったですが・・・
期日を守る為に、一先ずこれで投稿することにしてまた設定更新とかと一緒にこっちも更新するってことで。(←守れてない)

あ、設定の方ですが・・・・・
せっかく頑張ってリバース仕様にしたのに、携帯じゃ最初からそのまま丸見えてたりと随分面白いことになってるのに気付いた今日この頃。・・・まぁ、いいか(ぉ

さぁ、長いの終わったしこれで溜まってた感想書きにいけるぞぅ。

次回は間幕話、短編を複数詰めたバラエティーパックで行こうと思います。
複線回収とかね・・・・あのけしからん珍獣が再び登場!?

ではでは〜、今回はこの辺で、あでゅ!!


,#000000,./bg_f.gif,i222-150-152-44.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年11月25日(木) 00時11分03秒,20101125001103,20101128001103,WirieUH3WNvWg,仮面ライダーPIRATES epV 『呪縛』 part1,青嵐昇華,,,




昔の話だ。
一人の男と二人の女の、愚かで悲しい恋の話。

深い森の外れに小さな湖があり、そこには妖精の少女が住んでいた。
妖精は毎日鳥と共に美しい声で歌い、蝶と共に楽しく踊っていた。

ある時・・・その湖に偶然、猟をしに森に入った村の若者がやってきた。
若者はすぐに妖精の姿と美しい歌声に心を奪われた。
そして知らずのうちに妖精に歩み寄るが、それに気付いた妖精は恥じらってどこかへ姿を隠してしまう。

恋に疎かった若者はどうすればよいか悩み、森に住む友人を訪ねることにした。
その友人というのは人里で魔女と呼ばれている、人とは異なる女であった。
女はその異形の為に村では忌み嫌われ、森でひっそりと隠れて生活していた。

幼い時から森入って遊んでいた若者は、その女とはよく見知った仲であった。
誠実な若者は人と異形を分け隔てなることはなく、女のことも個として認めており、こうして何かあると親身に話を聞いてくれる女を大切に思っていた。

だが、若者からその相談を受けた女は愕然とした。
幼い折りより好いていた若者が妖精の娘に恋をしたというのだ。
その時、一途な女の淡い想いは黒い業火へと変わり、女を本当の魔女へと変えた。

その恋が全てを壊した。

湖に出向いた魔女は何も知らない妖精に若者からだと言ってある薬水を渡した。
ちょうど、日々会いにやって来る若者を妖精も気になり始めた頃だった。
妖精はなんの疑いもなく受け取ったそれを飲み干した。



それは呪いの薬だった。



その薬は妖精から音と光を奪い取った。
魔女は若者を虜にした妖精の歌声を消し去り、そして若者の姿を自分だけのものとする為にその瞳から光を奪ったのだ。
妖精に待っていたのはただただ恐ろしい、何処までも深い暗闇・・・
その恐怖に怯え惑う妖精は、足を踏み外し、冷たい湖の底へ身を落としていった。


その後、妖精が消えたことで若者はひどく気を落とした。
毎日湖に通うも妖精の姿はどこにもなく、嫌われたものと思い込む若者の心は空虚に陥った。
そして、その空いた心の穴を埋めるように、若者への想いを告げた魔女と結び付くことになる。

それから暫くたったある日、若者は異形の部屋で決して見てはいけないものを見てしまった。
それは妖精の音と光を奪い、死に至らしめた禁忌の薬の験書きであった。

若者は女の行いを・・・・そして己の罪をすべて悟った。
その行いは自分の為によるもの、若者には女を責めることも出来なかった。
やり場のない悲しみと罪の意識に苛まれ、若者はついに妖精が命を散らした湖へと身を投げた。

若者が死ぬと魔女に遺されたのは深い絶望と後悔の念。
失意の底に落ちた魔女には、もうそれ以外の何もかもが見えなくなった。
魔女は狂気にとり憑かれ、この世の全てを呪った。
だが壊れた心につられるように次第に身体は衰えていき、ついには・・・









「ねえちゃんよぉ、こんな田舎でも俺達のこと知らねぇわけじゃねぇだろぉ」
「今の内に謝った方がいいんじゃねぇか?ねぇちゃんが代わりに遊んでくれるってんなら許してやってもいいんだぜ」

「ハァ?下っ端の分際で何言ってんの・・・雑魚が粋がってんじゃないわよ」

暗い森の奥深くで銀白色の髪の女が、大男達に囲まれていた。
女は化粧の必要がないほど透き通った白い肌を持ち、整った容貌をしていた。
それを取り巻く男達はどれも下品な笑みを浮かべじろじろと女を見ているが、それを前にしても女は毅然としたまま腕を組み、あまつさえ罵声を浴びせている。

「ナンパのつもりならお断りよ、少しは鏡見てもの言いなさい、カス」
「ず、ずいぶん威勢がいいじゃねぇか」

刺すような鋭い視線とトゲのあるキツイ言葉に男達は気圧される。
女にはそれだけの威圧感があった。


「っ・・・・・」

半身になり後ろの様子を探ると、薄紫の髪の少女が林の隙間から顔を覗かせていた。

「あんた、まだ居たの・・・早くどこにでも行きなさいよ」

ここに居られたら邪魔だ、せっかく追い遣ったというのに意味がない。
女はそう言うが、少女は足が竦んで動けないのか、一向にその場を離れようとしない。

「そう・・・なら、そこに隠れて縮こまってることね」

まるで興味のないように、淡白に言い捨て女は再び背を向ける。



「怖いから・・・目、瞑ってなさい」

聞こえるか聞こえないか、小さく呟くと・・・伏せがちになっていた目を開き、今度は男達の方を向いた。
その眼からは慈しみや何もかもが消え去り、ただ獲物を狩る冷酷なハンターの眼に変わっていた。

蛇に睨まれた蛙のように、その鋭い眼光に男達は磔にされた。
女はジャケットから銀の彫像と、海蛇の描かれた銀貨を取り出す。

「な、なんだ。やろうってのか?」
「ふんっ・・・ボスに言っといてあげるわ。あんたの部下はいい実験台になったってね・・・」

嘲笑する女、腰に巻き付いた鉄帯に銀髑髏を滑らせ、銀貨を噛ませる。
髑髏の眼がギラリと輝き、発せられる淀んだ銀色の妖しい光に男達の眼が眩む。
一瞬、銀の中を走る金色の閃・・・硬いものを砕いて、何かを潰したような鈍重な音が聞こえた気がした。

「終りよ」
「は・・・?痛、・・っ!?な、何だよこれ・・!?」

遅れてやってくる痛みに声が漏れ、その場所に目をやった男達は愕然とした。

「と、止まれ・・止まれよ!!!ひ・・・ひっ――――――――――−」


バサバサバサッッッ!!!!!!!!!!!!


その最後の悲鳴が森に響き渡り、木々に止まった鳥達が一斉に羽ばたいた。







仮面ライダーPIRATES epV『呪縛』〜〜〜〜〜〜〜






「魔女?」

四角い机を挟む形で向かいに座る老人の言葉を、キッドがオウム返しする。

「んだ・・・もう何人もやられとる」

ここはとある小さな田舎の村、その村長の家だ。
ここには今村中の大人達が集まっており、家の外にまで溢れ返っている。
村人達が怒りや恐れの言葉を次々にこぼすざわざわとした空気の中、村長が話を進める。

初めの被害者は薬草を取りに行った若い男だった。
帰りが遅いと様子を見に行った家の者が発見した時、男はカラカラに干乾びた状態、極度の脱水症状を起こして森で倒れていた。
次の日、原因を探りに数名の若い男達が森へと向かったがその全員が最初の男と同じ様に、また干乾びた状態で見つかった。

「呪いだ!!森の魔女の呪いだよ!」

被害者達は今も寝たきりであるが、うなされ漏れて来る言葉に『魔女』というキーワードがあったようだ。

この村には昔から森の奥には魔女が住むという言い伝えがあった。
今でこそ森への出入りもあるのだが、村人にとって魔女とはいつまでも大きな恐怖の存在だった。
それで、村の中だけでは手に負えないとキッドが呼ばれたのである。

「海賊さま!わしらを助けてくだせぇませ!!」
「お願げぇしますだ!どうかお願げぇしますだ!」
「まぁ落ち着いて下さい。わかりました、とりあえずは・・・現場に行ってみましょうか」

商売用の丁寧な口調で周りをなだめると、キッドは何人かに案内を頼み森へと向かった。






コンコン


「よく来てくれたね、シラサワの」

扉を数回叩くと、中から老年の女性が出迎えてくれた。
顔や手には深い皺が刻まれているが腰は曲がっておらず、すらっとしっかりした印象だった。

「あたしはガラティア・クエーバー、あんたのとこに依頼を送りつけたのはあたしさ」

ここはとある森の中にひっそりと建った小さな家。
今回の濠が受けた依頼は、ここで孫娘と二人で暮らすこのガラティアという老人からであった。
*因みにここまでは煙突から立ち上る炉の煙を目印に、空から真空-マカラ-で来ている。

「高天原から来ました、海賊『竜宮』の霧島濠(ゴウ・キリシマ)と言います」
「ん、おや・・・そうかい」

濠を本家の人間と思っていたのか、意外そうな顔をしている。

「詳しい話はこちらでとありました。どういう状況なのか説明して頂けますか?」
「まぁ立ち話もなんだ・・・まずは座りな」

濠を座らせるとガラティアはコーヒーを淹れて、その向かいに座った。

「・・・・・・・・」
「どうした、飲まないのかい?」
「・・・いただきます」

隅に置かれた大量の砂糖とミルクをじっと見ていた濠だが、何もいれずにコーヒーを一口二口啜る。
よい香りだ・・・・が、かなり濃く、苦い。
口に含んだ瞬間からどんどん舌に苦みが沈殿してくる。

「む・・・・・っ」
「なんて、顔してんだい・・・そこにあるのを入れりゃいいじゃないのさ」
「い、いえ、結構です。甘味の類は禁止されていますので。・・そちらは?」
「あたしゃ甘いのは苦手でね、生涯ブラック一本だよ」
「・・・そう、ですか」

それなのに砂糖やミルクがしっかり用意してあるのは少し妙だ。

「あぁ、それは・・・・孫用さ」

濠の考えを読み取ったようにガラティアが言う。
それから、コーヒーを一口飲むとガラティアは重い腰を上げるように本題を語り出した。

「さて、何から話したもんかね・・」

数日前から、この森に怪しい輩達がうろつくようなった。
それとなく、様子を見て見るとどうやら向こうもこの家を探っているようだった。
ここで、改めて濠はガラティア氏の孫娘の保護、並びにその怪しい者達を追い払うよう頼まれた。

「野盗に目を付けられるような心当たりは、何か?」
「んなものはない・・・と、言いたいところだけどね。実際ないこともないからねぇ」

席を一度立つガラティアは棚から包みを持って戻って来る。
テーブルにそれを置くと丁寧に布を開いていく。
そこにあったのは乙女と獣の刻印が入った【海狼-スキュラ-】の金貨、そして黄金のドクロであった。

「っ、まさか・・・」
「ふふ、驚いたかい?・・・あたしも若い頃は海賊を名乗ったもんさね」

若い頃の日々を思い出したのか口の端を綻ばせて、皺を深くする。
ガラティア氏はバウンティー・ハンターとして世界を飛び回っていた時期があり、その縁で白沢家との繋がりもあったとか。

「そのベルトは今もあなたが?」
「それこそまさかだよ、旦那が出来てからは一度も使ってないさ。・・・それに今はレン・・・孫のエレナしか使えないからね」
「それは・・・?」
「順を追うと少し長くなるがね・・・まぁ、昔話を聞いとくれ」


その口から語られたのは一人の男と二人の女の悲しい恋の話であった。






森の中は鬱葱と茂る木々が影を作り、全体的に薄暗くとても不気味な様子であった。
村人に案内され暫く歩くと、キッドは被害者が発見されたというあたりに到着する。

「こ、この辺りですだ」
「・・・・ん?」

辺りを眺めていたキッドはふと立ち止まってしゃがみ込んだ。
よく見なければわからなかったが、辺りに生えた草が何かに踏まれたように凹んでいる。

(こいつは・・・)

村人のものではない。
それらはいずれもかなり大きく、キッドの靴と比較してもその1.5から2倍くらいはあった。
そして草の状態からすると、それはそう古いものではない。

「うぁああああああ!?!?」
「どうした!」

「あ、あれ!!あそこに何か!!」

先を進んでいた村人の悲鳴が聞こえ、キッドは急いで合流する。
尻もちをついた村人が指差す先にはトカゲ男の石像が数体立っていた。

「オゥ、これはまた・・・・趣味の悪いオブジェだな」

トカゲ男、リザードラプターの石像は、まるで本物を固めたように細かくリアルな造形だ。
特に恐怖に顔を引き攣らせているような、そんな表情がとてもよく表現されている。
だが、非常に忠実な出来であるのにも関わらず、何故かどれも完全ではなく、身体に一か所ずつに細長い孔が開けられた。
キッドがそれらに首をかしげていると

ガサッ

「ん・・・・」

背後の林の中から微かに物音がした。

「かくれんぼかい・・・?さぁ、ご対面だ!」

「っ・・・・!」

「お、女の子・・?」

林に飛び込んだキッドが見つけたのは若い娘。
薄紫の長い髪、山村部には珍しい町中で見かけるような服を着ている。

しゃがんで隠れていたところバランスを崩したらしく、倒れ込んで怯えた表情を向けていた。

「そ、ソーリィ、お、脅かすつもりはなかったんだ」

見るとその手元には籠が転がっており、小さな実が零れていた。
どうやら木の実を取りに来ていたようだが・・・・若い娘が一人で、忌避される森の奥まで来るとは、普通に考えて妙な話だ。

・・・・・が、キッドとしてはそんな談ではない。

「っ・・・っ・・」
「あ、あー・・・その、お兄さんは別に悪い人じゃ・・・」

可哀想なほど震えている少女・・・・キッドをもの凄い罪悪感が襲った。
傍から見れば現在進行形で襲っているようにしか見えないこの状況で、怯える眼差しを直接向けられてはフェミニスト(女の子大好き人)を名乗る身としては耐え難いものがある。


「ど、どうされただか海賊さ・・・!?」

キッドを追って林に入った村人が少女を見て顔を青くした。
瞬間、その場の空気がガラリと変わる。

「み、見たことねぇ顔だ・・!そいつは村の人間じゃねぇだよ!」
「まっ、ま、魔女だ!!森の魔女が出ただ!!」

「っ・・・!」

村人の誰かが少女を指差し言うと、その場が大混乱に陥る。
突きつけられる視線と村人達の声に、少女の身が更に強張っていく。

「海賊さま!そいつですだ!早く退治してけれ!!」
「お、おいおい、みんな落ち着けって・・・・・・ん?」

「ッッ――−ッッ――‐ッ、・・・・・・・・」
「何だ・・・・?」

様子がおかしい。
呼吸が乱れていた少女が、急に静かになった。


「ゥ、ゥ・・・・・・・・」


再び震え出す少女・・・だが、それは先ほどまでの恐怖から来る震えではない。
言うなれば猛る獣が敵を前に見せる構え・・・・猛獣の檻に放り込まれたような寒気が一同に走る。

「ひっ、は、早く!!あの魔女を!!」


「!!!!!!!!!」


耐えきれず村人の誰かが金切り声で叫んだ、その瞬間。
沈んだ紫の光が森を染め上げた。






「・・・・今の話は・・・」
「その若い男ってのは、あたしの息子さ・・・」

何とも言えない表情のまま、ガラティアは話を続ける。

「暫くはごたごたが続いてね。何年かしてようやく墓参り・・と言っちゃなんだが、湖に顔を出しに行った時さ」

若者から聞き及んでいた妖精の踊り場に向かったガラティアは、そこで赤子を見つけた。
ガラティアは仰天した。その赤子が抱いていたものこそ、今目の前で怪しく煌めいているこの【海狼】の金貨であったからだ。

「そいつは元々あたしがお守りに、って息子に持たせてものだった」
「それでは・・・」
「まぁ・・そういうことさ」

赤子は二人の忘れ形見であった。
その子はエレナと名付けられ、彼女に引き取られ今日まで大事に育てられた。

ガラティアはテーブルの上から金貨をつまみ上げた。

「だがちょいと厄介なことがあってね」
「厄介、とは・・?」
「こいつが、勝手に動き出しちまったのさ」

それが分かったのは数年前のこと。
森を散歩していたエレナはその時季は眠っているはずの凶暴な生物と遭遇した。

生まれの所為か、彼女は声を発することが出来なかった。
それでも必死に助けを求めたのだろう・・・そして、その声に応じるよう、それは起動し彼女を守る鎧となった。

だが、その時のエレナは明らかに正気ではなかった。
何かにとり憑かれたように暴れ狂い、結局は周辺を焼け野原にするまで止まらなかった。

「息子も、レンを守ろうと置いて逝ったんだろうがね」
「・・・・・」
「いくらでもやりようはあっただろうに・・・不器用な所があったからね。優しい子だったんだが、何でこういつも裏目に出ちまうんだろうか」

ガラティアは深く息を吐いた。

「あたしはね、レンに色んなものを見せてやりたいんだよ。あの子は外の世界は怖いものと思い込んじまってるからね・・・・そんなことばかりじゃないと、教えてやりたいのさ」

この森は檻だと彼女は言う。
そして、エレナは様々な鎖によってこの森に繋ぎ止められているのだとも。

「厳しいのは承知の上だよ・・・でも、どうか頼まれてくれないかい」

その視線の先で濠は、静かに頷いた。

「話はわかりました。・・・ですが、それなら貴女も」
「・・・あたしはここを動く訳にはいかないんだよ。こんな年寄りにも、やらなきゃいけないことが『キィン!!』っ!?」

突然ガラティアの手からコインが弾け飛び、机に置かれたドクロの口に飛び込んだ。
ドクロは眩い光を放ちつつ、一瞬で消え去る。

「む、まさか・・・!」
「はぁ・・・悪いが、行って来ておくれ。多分、湖の近くに居るよ」






「ゥゥゥ・・・・・!!!」


腰のベルトには沢山のホルスター、そこに所狭しと下げられた数多くの銃火器。
首と両腕には鉄の枷、それに繋がれた鎖は無造作に引きちぎられてたように欠けている。
狩人のような出で立ち、狂獣の獰猛さを持つ、その仮面の海賊の名は【スクィーレ】。


「わぁあああ!??!?化け犬になっただ!!?」
「に、逃げるだよ!!!」

「・・・まぁ、後ろを気にしなくていいのは助かるが・・・」

悲鳴を上げ一目散に逃げて行く村人達を横目で見るキッド。
やれやれ、とため息をつくとキッドは変身した少女を見る。

「パイレーツライダーか。ここの所のエンカウント率は異常だな・・・」

どこからともなく出現した既に金貨を噛んだ状態の黄金ドクロ、それが少女が今の姿に変えた。
少女、紫色の魔犬はキッドに向けて凄まじい殺気を向けている。

「ゥゥゥゥ・・・・!!!」
「オゥ・・・そう警戒しないでくれよ。言ってるようにこっちに敵意は・・・」
「!!!!」ジャキ

降参、とキッドが両手を上げようとした時、それは弾かれるように腰の銃に手をやった。
両サイドのホルスターがガシャリと音を立て展開されると小型の銃が二丁、キッドに向けられ引き金が引かれる。

ダンダンダンダンダン!!!!!

「っ!?」

こちらも銃口が向けられたのとほぼ同じく、反射的にキッドは横っ跳びに避けながらベルトのドクロにコイン噛ませ、レイヴァンへと変身する。

「しょうがないな、とりあえず大人しくさせて・・っ!?」

「ゥァアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

「ったく、何でこうデンジャラスな奴らばっかり・・・!っと、狙いが甘いぜ・・・!」

暴走しているのか、よく見ると・・・それはまさに乱れ撃ち、下手な鉄砲だった。
その弾は眼を瞑って撃っているように滅茶苦茶な軌道を描いている。
弾数の多さから多少かすりはするが、いずれも致命傷になるダメージではなかった。

「ソーリィ、イージーシューター・・・頂きだ!」
「ッ!?」

弾丸を掻い潜り弾幕の薄いエリアに潜り込みながらレイヴァンはライフルを抜き、二度発砲、スクィーレの両手から見事拳銃を撃ち落とした。

「チャンス!」

怯んだその隙にとレイヴァンは更に奥へ、魔犬に突撃していく。
相手の主武装は銃器、近接戦闘に持ち込めばこちらに利がある。
レイヴァンは左側のホルスターからサーベルを引き抜こうとするが・・・その手は空を切った。


「・・やべ、修理中だった・・」





,今回は長い!!
普通に一話書いただけなのにワード30枚って・・・・え?


サーベルぽっきりネタは前回のあとがきから
・・・あとがきネタまだまだ引っ張るぞ!!(ぉ

それでは後編で。,#000000,./bg_f.gif,i222-150-152-44.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年11月22日(月) 08時27分19秒,20101122082719,20101125082719,WxbKskzAHVRzA,仮面ライダーヘブン 第8話,鴎,,,第8話 「The one learnt from defeat」

(暁視点)
うっすらと目を開けると、太陽の光が差し込みそのほのかな光で身体が目覚めて行く。
それと同時に全身に激痛と気だるいまでの脱力感が襲い、まだ立ち上がれなさそうと感じる。顔だけ動かして見渡すと、これは・・・キャンピングカーって車の中か?
小奇麗というか何もない。まああるとしたら水やスポーツドリンクのペットボトルがいくつもあることと、窓のあたりに干してある白いTシャツに革のパンツ、ジャケットくらいだ。そして俺はダブルベットに寝かされている。そして体を見ると・・・包帯が綺麗に巻かれている。薬も塗られているのか、傷口に染みる痛みが感じられるが、大分回復しているようだ。

暁「一体・・・・誰が・・・・・」

そう言っていると扉が開いた。そうだ、お礼言わなくちゃ・・・。

暁「・・・あ、あの」
アリス「あっ、目を覚ましたなぁ、暁」

前言撤回。今すぐこの場から少なくとも半径数百キロメートルは全速力で逃げよう。

暁「さらばじゃっ!!(一気に立ち上がって走ろうと駆けだす)」
ガンッ(ベットの敷居に足をひっかけて躓いた音)
ぎゅっ(アリスが飛び込んできた俺を捕まえて捕獲(抱きしめる)した音)
ふにゅっ・・・・むぎゅうう・・・(アリスが俺の頭を胸に押しつける音)

アリス「・・・・へえ・・・怪我してまだ動けないと思っていたら・・・随分積極的だなあ?そんなに・・・・私が・・・・恋しかったかぁ?」
暁「バカ言うなああああああああああああああっ!!お前、俺をどうするつもりだっ、俺食ったって美味しくねえぞっ、離せ、離せゴルァアアアアアアアアアアアッ!!」
アリス「・・・・・何かものすごいこと考えているようだけど、今動かない方がいいぜぇ?私たちこの公園から今出られないから」
暁「・・・・はあ?」

そう言われて窓の外の景色を見る。
その瞬間、俺はあまりの惨状に言葉を失い、目が驚きで見開かれ、全身の血の気が一気に引くように意識が遠のきかけた。

公園の池全体を黒いもやのようなものが覆い尽くしていて、その中を無数の人間がゆらゆらと不自然な動きで歩きまわっている。しかし、その顔は・・・・血の気が失せた青白い顔・・・目や鼻、口は真っ暗な闇が広がりそこからどろりとどす黒い血が流れ出ており、「おお」とか「ああ」とかいう唸り声を上げながら池の周りを歩き回っている。

まるで・・・ホラー映画に出てくるようなゾンビだ。

暁「・・・な・・・何だよ・・・どうなっているんだよ」
アリス「・・・・どこぞのバカがやらかしたらしい。たまたま公園の駐車場のキャンピングカーで寝泊まりしていたからこうして隠れてあいつらに見つからないようにしているんだが・・・・それも時間の問題だな。お前が持っていた聖水の効果も、そう長くは持たない」
暁「はあっ!?というか、聖水って・・・・ああ!?俺の持っていた聖水が!?というか、俺の持っていたものがどうして分かるんだ!?」
アリス「あのなあ、私だって吸血鬼の端くれだぜぇ?効果くらいは分かるさ」
暁「ああ・・・・・そうですか・・・」

せっかくの打開策をあっさりと見破られ俺はがっくりと頭を下げる。
暁「どうやってここを出るか・・・・」
アリス「・・・先ほどからあのゾンビどもが何やらつぶやいていたが、“帰りたい”としか言っていない」
暁「・・・ふむ・・・・・帰りたい・・・・か」
アリス「・・・・・死んだヤツが帰りたいと願うのはおそらく永遠の眠り・・・・つまりあの世のことだろうな。ようやく長い眠りについていたのに、突然自分が生きていたころの光を見せつけられて、そのショックは計り知れないだろう。二度と取り戻せないのだからな。まあ、今はその方法を考えるしかないな」
暁「二度と取り戻せない光・・・・それを見せつけてしまったのか。そうだ、昴、昴の奴は!?」
再び飛び出そうとアリスを振り切ろうとするがアリスがそんな俺をつかんで離さない!くそっ、何で離してくれないんだよ!

暁「離してくれ!離せ!公園にもしかしたらまだ俺のダチがいるかもしれないんだっ!!」
アリス「落ち着け!!そんな状態で飛び出したらどうなるか分かるだろっ!?」
暁「お前に関係ねえだろっ!!ダチなんだよ・・・・!もしあいつがこんなことやらかしちまって・・・・もしまだ公園内にいたら・・・・!助けないと・・・!・・・・・もしあいつに何かあったら・・・・・何かあったらよぅ・・・・!!俺が、俺が助けにいかねぇでどうするんだよっ・・・!!」

アリス「落ち着けって・・・言ってるだろう!!!」

アリスが俺の胸倉を掴み、怒鳴りつけた!!
え・・・・?こいつ、何でこんなに本気で怒っているんだ・・・?

アリス「お前さ・・・・そんな状態で出て行ってお前に何かあったら・・・その友人やイマジンたちはどんなことになるのか、そこまで分かっているのか!?お前は何でもかんでも一人だけで問題を背負って解決しようとしている。でもな、背負うものにも限度があるだろうが!それでお前が押し潰れて動けなくなってしまったら、お前が突っぱねてきた他の誰かがもし助けてくれなかったら・・・・お前はどうなるんだっ!!!」

言葉が・・・・・出なかった。

アリス「どうして誰かに助けてもらおう、手伝ってもらおうと考えられない!一人で解決することがカッコいいとでも、責任だからとでも言いたいのか!?自分の命をないがしろにしてまで他人の気持ちも考えずに無茶することなんて無責任も甚だしい!何のための仲間だ!!お前が守るだけの存在じゃないだろう!お前が困っている時、助け合うのが仲間じゃないのか!!それすらも信じあえないヤワな絆なんて、仲間じゃない!!そして、それを信じられないお前も、仲間の本当の意味を分っちゃいないだろうがっ!!だから、少し落ち着けって言ってるんだ!!!」

俺が・・・・何も分かっていない?

いざという時・・・誰にも助けが求められない。俺だけでなんとかしようとする。それが・・俺の・・・・弱さ。俺自身が一番驚いていたし、ショックだった。

アリス「・・・・・いつものお前ならそれが分かるはずだ。誰かのために本気で熱くなれるのはいいが、周りが見えなくなって暴走するなんてお前らしくない。そんな拳に・・・お前に惚れたんじゃないんだ。自分の弱さから逃げるな、受け入れて、それを乗り越えるほど強くなればいいじゃないか。お前一人だけで得られるほど“本当の力”は安くない。それは私自身がお前から教わったことだからな」

暁「・・・・俺が?」
アリスがどこか懐かしそうに、思い出すように話す。

その後・・・まさかアリスが「ちょっと様子を見てくる」と言って俺を置いて公園内の探索に出るとは思わなかった。しかし俺はアリスの話してくれた過去に、座りこんでもう何も考えられなかった。あいつがまさか・・・人間だったなんて・・・。

アリス「お前と戦うまで・・・ずっと餓えていた。ただ戦うことしか知らない・・・一人で生き残るためには・・・ただひたすら殴り、戦い、奪うことしか知らない。それが・・・スラムの中でも最底辺の連中の・・・・生まれついての私のルールだった。でもそんな運命なんかに負けるなんてゴメンだった。日々の食糧すらも手に入らないほどの地獄であっても、この拳で切り開くしかない。そう思ってなりふり構わず喧嘩に明け暮れていた・・・その中で一番強くなって・・・生きることに困ることがなくなっても・・・・それからもずっと戦いを挑んでくる奴らと戦って、戦って、勝ち続けて、それでとうとう挑んでくる相手もいなくなって、私はずっと餓えていた。だからなりふり構わず戦いを挑んでいって、でも、イングリッドに負けて私はその強さを見込まれて吸血鬼になった・・・。人間よりも長生きできるならいつか、自分の拳が無意味じゃないということを証明できると思って」

生きるために戦うしか出来なかった。戦うことが生きるすべだった。
でも振っていくうちに、何のために拳を振るうのか分からなくなって、それでも自分の虚しさを埋めるためにひたすら戦い続けて・・・今イングリッドとやらに仕えていても・・・信用出来ない相手のために振う拳にも虚しさを感じていて、それを埋めるためにもっと強いヤツを追い求めて・・・それすらも叶わない。あいつが長年の間抱えてきた欲望への渇望、絶望、虚しさは言葉に言い表せない。

アリス「ところがどうだ。お前と会って、戦って、これまでに感じた事のない強さを感じた。誰かのために全力で振るう拳があんなに熱いものだったなんてな。私の拳では感じた事のない熱さと信念を感じた。だから・・・お前に惹かれるんだ。お前はまだ弱い、でも、これから先成長して強くなれば、きっとさらに強くなる。そんなお前と戦うことが私の今の・・・・楽しみなんだ。だから、今、あの敗北を糧にどこまで強くなれるのか挑んでみたい」

そして、最後に言ったあいつの言葉が一番俺の心を突抜けたような気がする。

「まだ終わりじゃない。限界までまだたどり着いてない。そうだろう」

こんなところで・・・・立ち止まっている場合じゃないだろ。
俺の心に、瞳に再び、火がついたような感覚が目覚め始めていた。

(アリス視点)
ふう、まさかあんな過去の話をしてしまうとはな。
誰にも話したことなんてないのにな・・・まああいつが放っておけなかったからだが。
ようやく会えた、私の獲物。こんなところで朽ち果ててしまったら私は何を楽しみにして生きて行けばいい?お前は私のものだ。絶対に手放すものか。
しかし・・・この連中、どうやら生きている人間に果てしなく恨み・・狂気・・殺意を抱いているな。公園の入口に聖水を振りかけて公園の存在そのものを見えなくすることで、公園内にいるのは私と暁くらいになったが、もし生きている人間が見たら大パニックになることこの上ないだろう。そうなると面倒くさい。
さてと、石板調査も兼ねて・・・探索といきますか。

遊歩道に来ると、私の気配に気づいてか虚ろな目を向けて、暗い双眸から底知れない殺意を発して、ゆらりゆらりと襲いかかってきた。近くには奴らが食い荒らした鳥や猫の死骸が転がっている。噛みつかれて肉を食われ、ほとんど骨だけとなった無残な死体。
ふん・・・油断しているとこうなるということか。

アリス「ナメるなよ・・・死人ごときが!!」

自分の姿をライオンプレデターと呼ばれる獣の姿に化身すると、襲い来るゾンビ共を爪で引き裂き、拳で殴り倒し、もはや足を止めることなくひたすら殴っては吹き飛ばし、引き裂いては吹きとばす。しかしその数はもはや減ることはなく、むしろ池の奥から次々と這い出てきている。はっ、なら一斉にぶっ飛ばすとするか。

私の拳に黄金色の大地の力を集結させ・・・すると足元の地面が震えだし、ゴゴゴゴゴゴ・・・という地鳴りの音が響き渡り、精神を集中させる。
そしてまずは・・・左の拳で思い切り地面を殴りつける!!

すると、地面から発する超振動から生み出される衝撃波が敵を吹き飛ばし上空に舞い上がった。そしてそれを見据えて、無防備となった集団に向かって右の拳を突き出す!!すると、黄金の輪を描いて強烈な衝撃波が発する!!

ライオンプレデター「テラ・・・ブラスタァアアアアアァァアアアッ!!!!」

衝撃波を食らい、ゾンビ共がことごとく粉砕し砕け散る。そしてそのまま砂になると、お前らが望んでいた闇へと荒療治だったが戻してやることに成功した。
さあ、後は石板を探して・・・ついでに昴というヤツも探してやるか。
全く我ながらお節介なもんだな。
まあ・・・惚れた弱みってやつかな。あれ?でも、昴ってどういうヤツだったっけ?まずい、そこが分かってなかった。まあその辺ぶらぶらして生きている人間がいたら連れて行けばいいか。

その様子を、珍しく苛立ちを露にした聖が腹ただしげに見下ろしていた。

聖「あの虫けら風情が・・・・・!!もはや、このまま生かしておいたら何をしでかすか分りませんね。イングリッドさんは私に司令権を持たせている。ということは、司令官としては不穏分子は削除するべきですねぇ・・・・。くふふ、アリス・ビストレオ。貴方は少し言うことを聞かなさすぎた。ましてや、人間の男に心を奪われるとは・・・愚かです」

そして、眼帯を外すと、そこには・・・・黒い十字架に二匹の蛇が絡んでいる紋章が眼球の代わりにあった。

その眼は「這い寄る混沌(ナイアルラトホテップ)」と呼ばれる古代呪術の最たる危険な宝珠の形をした呪術用宝具。それを右目にねじ込むように抑えて自らの目と同化させてしまった彼女の狂気と凶暴性は以前の「ヒュプノス事件」とは比べ物にならないほどに膨れ上がっていた。その宝具はもはや存在そのものに触れることが禁じられている呪われた代物であり、この世の摂理そのものから踏み外している負の念、狂気、殺意、憎悪を術者に宿しもはやこの世の生き物の思念全てを嘲り笑うまでの不可解な精神と思念の持ち主になり、その分、絶大なる闇の魔力を与え、呪術を専門とする魔術に関する膨大な知識と能力を与えるのだ。そして、その魔力ももはや風を操るだけではなく、ファンガイアをもはるかに超えた魔力を手に入れていたのだ。

聖「・・・・さあさ、暗き地の底から目覚めし常世の民よ。今一度、待ち望んだ現世の光を貪らんとする愚かなる餓鬼よ。その願い我が叶えん。その代償として、今ここに我に力を与えたまえ。愚かなる獅子に死の鉄槌を下せ!!地獄の奥底に引きずり込み、苦痛と狂気と絶望にまみれた闇へと飲みこんでしまえ!!」

その呪詛にこたえるかのように、黒いもやが見る見る濃くなりそのもやが吹き飛ばしたゾンビ共を飲みこんでいき、やがてそれは池全体に充満していく。

アリス「・・・な、何だ、これは!?」

アリスが驚き、池の方から遠ざかった直後だ!
池の水面が大きく盛り上がり、中から、巨大な体躯を持つ紫色の皮膚を持つ筋骨隆々とした巨大なゾンビ「ジャッジメント(審判)」が現れた!!!!右手には頭がい骨がいくつも埋め込まれた棍棒を握り、池から這い上がると、立ち上がり、一気に吠える!!

審判「グオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」
アリス「何だ、こいつは!?」

聖「やりなさい、ジャッジメント。言うことを聞かない悪い子にはおしおきです!」

審判「グアアアアアアアアアアアアッ!!グオオオオオオオオオオオオオッ!!」
叫び狂いながら棍棒をブンブン振り回してくる!!太い腕で振り上げる棍棒は木々をなぎ倒し、地面をぶち割り、振り上げるたびに吹きすさぶ風圧がベンチやごみ箱をなぎ倒し、棍棒によって彫刻像やいす、木々をぶっ飛ばし、空中に舞い上がって地面に落下し無残な光景と化す!!
アリスが必死で逃げまどう。そんなアリスを追いかけるように執拗に走り、地面を震わせて足跡を地面に思い切り石板をぶち割りつけていく。

アリス「ちっ、やるしかないか!!」

アリスがライオンプレデターの姿に変わると、ジャッジメントが根棒を振り回し、地面に叩きつけたのを確認すると、棍棒の上に飛び乗り、そのまま一気に駆け出すと頭の部分まで駆け上がり、そのまま足を振り上げて顔の部分に渾身の空中回し蹴りを叩きこむ!!

ガキィン!!!!

ライオンプレデター「くっ!!!」

あまりにも固い筋肉の装甲に、右足が激しく痛む。しかしひるむことなく、頭を駆けあがり、足を振り上げると踵を思い切り頭部に振り下ろす!!
鋼鉄さえも踏み砕く強力な四肢を振う踵落としが脳天に直撃した!!しかし、それにもビクともしないようで、逆に足があまりに硬い筋肉の鎧に悲鳴をあげる。

ライオンプレデター「くそっ・・・!!」
審判「グオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

審判が容赦なく棍棒を振り回し、ライオンプレデターをぶちのめすべく、何度も何度も振り下ろす。その棍棒の一撃を素早く身軽な動きでかわしながら、何とか反撃の隙を窺う。しかし、意外と機敏な動きに翻弄され、なかなか体勢が整わない。あんな棍棒で殴られたら・・・いくら自分でも一撃で全身の骨が砕けるだろうし、無事では済まない。
しかし、審判が振りかざした棍棒が彫刻像をたたき割ると無数のがれきが舞い上がり、それを避けるが、その直後だった。

審判「グオオオオオッ、グアアアアアアアアアッ、ジネェエエエエエエエエエッ!!」

目の前に巨大な拳が迫っていた!!!

バゴォオオオオオンッ!!!!

ライオンプレデター「かはっ・・・・・・・」

急所を外したが拳の一撃の破壊力は凄まじく、気を失うような激しい痛みが全身を襲う。重量級のパンチにライオンプレデターの鍛え抜かれた鋼の肉体も耐えきれず、身体がアリスの姿に戻っていき、激痛にもんどり打ち、地面を転がる。
口から血を吐きだし、苦痛で表情が歪む。その表情には余裕などなく、歯を食いしばり必死で痛みをこらえている。

アリス「ぐっ・・・・・!!ちくしょう・・・・・!!」

聖「ふふっ、あははは、私の邪魔をする奴は誰であろうと容赦しません・・・・。もうちょっと甚振ってから大人しくさせるとしましょうか・・・・そうですね・・・その自慢の腕をバキバキにブチ折って、使い物にならなくなったら、どんな絶望を味わうでしょうね?ああ、足も両方粉々にしてしまえば、もう二度と戦えない。愛する暁君とももう戦えない。そうなったら壊れちゃうのかしら?ふふっ、あははっ、試してみたくなっちゃった♪」

そういって、審判に指示を送る。

聖「殺さないようにして下さい。でも、手足を使い物にならなくしてあげなさい。丁寧にじわじわと、腕を一本ずつ・・・足を一本ずつ・・・・粉々にしてあげなさい」

その言葉を聞いて、審判が拳を振りかざし、動けずにいるアリスに襲いかかる!!
何とか激痛をこらえて必死で転がり避けるが、次々とくる拳の猛打に必死で歯をくいしばって起き上がると、震えるおぼつかない足で必死で走りだす。しかし繰り出す拳の風圧と飛び交うがれきに吹き飛び、そのつど激痛が全身を支配する。がれきが頭部に当たり、額が切れて血が一筋流れだし、髪がほどけてふぁさっと黒髪のロングヘアがほどけおちる。血で視界が見えなくなり、ダメージと走り続けてきたことによる疲労でもはや走ることも限界が来ているようで、息使いも荒く、視界もぼやけている。

アリス「かはっ・・・ああ・・・・・このまま・・・・くたばってたまるか・・・!」
そうだよ・・・誓ったんだ・・・・。
この拳で・・・掴もうと思えばどんな未来だって掴めるんだ・・・・。
あいつともう一度戦いたいんだ!!あの熱い戦いをもう一度やりたい!!
そのために・・・もっともっと強くなりたい!!!
あいつに負けないくらいに、あいつが持っている強さを超えていきたい!!
その先にある強さが何か・・・知りたいんだ!!!

それまで死ねるかよ・・・!

アリス「・・・・・暁・・・・・・!!」


(暁視点)
あ・・・・?今、あいつの声がした・・・?
間違いない、誰にも聞こえないだろうけど、直感で感じ取れる。
あいつの声が・・・あいつが俺を呼んでいる!?

何かあったのか・・?
胸騒ぎがする。俺が慌てて車から出ると・・・その光景に絶句する。

暁「な、何だよ、あれ!?」

俺が見たのは全長6mはある巨大な筋骨隆々とした巨人・・・それもゾンビたちと同じように紫色の生気が宿っていない腐った肌を持ち、腐臭を漂わせながら、頭がい骨がいくつも埋め込まれている巨大な棍棒を振り回している・・・!!どこぞのバイオハザードだよ、こりゃ!?

暁「ありえねえ――――――――――――――――――――っ!!!!」

何でこんな公園に巨大なゾンビがいるんだよっ!!!!!
しかもあれ、どう見たってヤバい類というか、凶暴極まりないと言わんばかりに暴れまわっているじゃないか!!!!

「暁・・・!」

あ・・・この声は・・・・・?

クリス「暁っ、暁!!無事だったですか!?」
クロキバ「暁!!ようやく精神が通じたぞ、大丈夫なのか!?」

脳の中にクリスとクロキバの声が聞こえてくる。どうやら精神の波長があったらしく、交信ができる。

暁「・・・・・ああ・・・・俺は無事だ・・・・でも・・・・相当ヤバいことになってる・・・公園内に・・・・・とんでもなくデカい化け物がいる・・・・・あれ・・・一体何なんだ?」
クリス「・・・・・何ですかあれはああああああああああああああっ!!!!?」
クロキバ「・・・・これは・・・呪術で呼び出された怨霊を元に作った合成生物・・・・!!昔聞いたことがある。呪術で呼び出した悪霊を合成することで強力な怪物を生み出すこととができる呪いの法具・・・・這い寄る混沌(ナイアルラトホテップ)という宝珠を!!その宝珠で生み出された合成生物の特徴に当てはまっている・・・・!」

暁「その、“ナイアガラホイップ”とか持ってるヤツがやらかしやがったわけか!!」
クリス「そう、しかしその“ナンデアルカストップ”を持っている人なんてどこに・・・!」

暁=「ナイアガラホイップ」クリス=「ナンデアルカストップ」
→見事に大間違いである。

クロキバ「ナイアルラトホテップだぁああああああああああっ!!!お前らそんな真剣な表情でものすごい聞き間違いボケやらかすなぁああああああああああっ!!我もう泣くぞ!!」

ちょっと聞き間違えただけじゃねえか!しかももう泣いてるし!!
クロキバ・・・・お前も疲れているのかな?色々と大変だしな。(今回はお前らのせいである)

「暁・・・!!」

あ・・・まただ。
また、あいつの声が聞こえる・・・・?
見ると、ゾンビが追いかけているのは・・・・・・アリス!?
あいつ、何かあったのか!?というか、四天王のあいつが襲われているのか!?どうなっているんだ!?あのデカゾンビ仲間じゃないのか!?
というか・・・あいつケガしている?まさか・・・かなりヤバいのか!?

暁「・・・・・・・・・・・・・!!あの・・・・バカ・・・・かなりヤベェな・・・」
クリス「暁、どうするのですか?」
クロキバ「・・・・・・まさか、助けるつもりではあるまいな?あいつは敵だぞ!」

分かってるさ。今、俺が考えていることがあまりにもバカげていることなど。
でも、でもよ・・・・。
今の俺には迷いなんてなかった。

暁「・・・・・あいつに助けてもらった・・・・・ならその礼はきっちり返さなきゃならねぇ・・・・・・」

傷の手当だけじゃない。自分を見失い、慌てふためき、周りに俺を気遣ってくれる仲間たちがいることを忘れ、迷いの中にいた俺に喝を唱え、再び俺らしさを取り戻してくれたこと。俺の・・・・見失いがちだった俺自身を取り戻してくれた。

暁「・・・・・あいつを・・・・・助ける・・・・・助けたい・・・!!クリス、クロキバ、力を貸してくれ・・・・!!」
クリス「暁・・・!」
クロキバ「・・・・・迷いはないのだな?」
暁「・・・・・・ない!!」

クリス「・・・・・了解です!!」
クロキバ「・・・・手がかかることだが、お主の決意が決まっているのなら仕方あるまい。うむ!!心得た!!」

暁「冷牙!流水!!雷斗!!力を貸してくれ―――――――――――――っ!!」

冷牙「・・・あいつが頭を下げるとはな・・・・・・」
流水「・・・・・・さーてっと、どうするの?」
冷牙「・・・・・・フン・・・知れたことだ。言うまでもない」
流水「だよね♪」
雷斗「・・・・・・・・(コクリ)」

三人が顔を合わせると、お互いに考えていることをしゃべらずとも確認し合い、笑みを浮かべる。

冷牙「久しぶりに・・・派手に暴れてやるか」
蒼い風が噴き出し、その姿をウルフェンの姿へと変えると赤く凶暴な光を宿した瞳をギラつかせて鋭い爪を光らせて唸り声を上げて覇気を出す。

流水「そうだね、教えてあげようか。ボクたちに喧嘩売ったらどうなるのか♪」
紫色の水柱が噴き出し、みるみる黄色い瞳を光らせて、魚と人間が合わさったような怪人、マーマンの姿へと変わり、にぃっと笑みを浮かべる。

雷斗「・・・・・・勝った、喧嘩は、返品、不可!!」
灰色の髪を肩まで伸ばし、色白の肌を持っている長身の青年の名前は雷斗(フランケン族の青年)。涼しげな雰囲気を漂わせる切れ長の青い瞳、鼻筋がまっすぐで整った顔立ちは知性的な印象を持っており、シャツとベスト、スーツのズボンをしわ一つなく着こなす英国紳士のような出で立ちをしている中性的な美貌を持つ美青年といえる。拳と拳をぶつけ合わせて白色の稲光が激しく轟くと、その姿が二まわり以上は膨れ上がった強靭な筋肉の鎧を持つ巨人、フランケンの姿に変わると一気に吠える・・・!!

そして、3体の姿が光に包まれると、それぞれ時空を超えて、光の扉をくぐりぬけて消えていった・・・!!

「「「了解したぜ、相棒」」」


そして、俺もベルトを装着し一気に崖を駆け降りる!!

暁「行くぜ―――――――――――――っ!!!変身!!」
銀色の風を纏い、俺の姿を仮面ライダーヘブンへと変わっていく!!!

ヘブン「アリス――――――――――――――――――――――ッ!!!!」

(アリス視点)
この声は・・・・・暁!?
どうして、ここに、いるんだ・・・?
そのとたん、審判の拳が振り上げられ、私めがけて振りおろそうと振りかぶっていた!!
ちっ、もう逃げられない!
くらったら確実に地面にめり込み、圧殺されるであろう超重量級の拳の一撃を覚悟した時だ。

ビュンッ!!!!!

蒼い風が吹き出し、気がつくと、さっきまで私がいた場所に巨人の拳が振り下され瓦礫が飛び、地面をぶち割っていた・・・。
そして見ると、私は誰かに抱きかかえられていることに気がついた。見るとそれは・・・銀色の毛並みを風になびかせている凶暴な顔つきをした・・・ウルフェン・・・だと!?

アリス「なっ、う、ウルフェン・・・だと!?」
ヴォルファス「ふふん・・・驚いたか」
マーマン「マーマンもいるよ―♪きゃはははははは♪」
トーライ「・・・・・・・フランケン・・・・・・さん・・・・じょう・・・・」

いや、「俺、参上!」みたいなノリで言っても片言だし所々しどろもどろだしな・・・。
トーライ「・・・・・・・・!(ズガーン)orz」

ヘブン「ありがとう、来てくれて!!」
ヴォルファス「ふん、ありがたく思え、崇めたてまつるがよいぞ」
チューン「きゃははははははは!久しぶりに大暴れしちゃうぞぉ!」
トーライ「・・・・・パワー・・・・・全開!!(立ち直った)」

ヴォルファス「しかし、何だ、あれは!?お前もうこれホラー映画の世界だろ」
チューン「この世の生き物とは思えないよねー」
トーライ「・・・・・化け・・・・もの!!」

オオカミ男に半魚人、フランケンシュタインが言うかそれを。

チューン「うえっ、デカいし臭いしブチャイクだしサイアックなんですけど」
ヘブン「どこぞの誰かがナイアルラトホテップとかいう術で作ったらしいんだが・・・!」
トーライ「・・・・ナイアルラト・・・・ホテップ・・・・・俺・・・・・知ってる」
ヘブン「マジか!?それじゃ、対策も!?」
トーライ「・・・・ナイアルラトホテップの・・・・呪術の一つに・・・・・死者の魂を・・・・錬成して・・・ゾンビを作り出す術が・・・・・・ある。ゾンビを・・・・倒すには・・・・コアと呼ばれる・・・・・ゾンビの力の源を・・・・壊せば・・・・・いい・・そうすれば・・・・コアに宿った力が消滅・・・・力を失う!」
チューン「それで!?コアってどこにあるの?!」
トーライ「・・・・・・・・・・・・・コアの気配・・・感じる・・・・・よーく・・・見えるぜ・・・・・」

トーライの目に光が宿り、輝くと、視界にはレーダーの役割を果たす機械仕掛けのアイレーダーが働き、巨人を分析すると、胸の部分に何か赤く光り輝いているものを見つける。
見ると、そこにはどくんどくんと鼓動を繰り返す赤い宝石が光り輝いている。

トーライ「胸のところ!・・・あそこが・・・・弱点・・・・・!!」
ヘブン「この先に広場があったな。これ以上進ませたら公園の外に出ちまう。そこでケリつけるしかないか!」

マシンフレスベルグを召喚すると、後ろに人間体に戻った雷斗と流水が飛び乗り、それぞれヘルメットをかぶると一気にエンジンを吹かせて遊歩道をぶっちぎる!!するとあのデカゾンビも追いかけだしてきた。

ヘブン「冷牙!!大丈夫か!!」
ヴォルファス「俺様の脚を甘く見るな。あんなデクノボウなんぞに引けは取らない!」

そして高速でバイクを駆け、隣を冷牙が青い風と共に駆けていく。

審判「グオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

迫りくるデカゾンビが棍棒を振り上げてくる!!

チューン「・・・・ウッザいなあ・・・・・・いい加減にしないとボクも怒るよ?・・・・潰すよ・・・・・!!」
デカゾンビの暴れぶりにかなりイラついたのか、本性を露にして凶悪な笑みを浮かべると口からいくつも水風船を吐き出し、バズーカ砲のごとく乱射して顔面に直撃し、デカゾンビが怯む!!

ヴォルファス「・・・・つくづく思うんだが、多重人格なんじゃないのか、あいつは」
トーライ「・・・・チューン・・・・怒ると・・・・怖い・・・・・」
暁「・・・・・ま、まあ、時々俺でも怖いと思うほどの迫力だしな・・・」

そして中央広場までたどり着くと、デカゾンビが追い付いてきた。それを見ながら、俺は黒い弾丸をクロノストリガーに装填する。そして発射する!!

ヘブン「魔獣召喚!!!トーライッハンマーッ!!!!!!」
トーライ「オウッ!!!」

そして魔法陣が展開されるとそこへトーライが飛び込み、黒い光となって俺と被さる・・・。

すると、全身に黒色の筋骨隆々とした巨人を表すように、分厚く超重量級のアーマーが装着され、腕に大きな手甲が装着され、手に巨大な拳骨のように力強く握りしめた巨大ハンマー、トーライハンマーを両手でつかみ取る・・・・!!

ヘブンTフォーム「グオオオオオオオ・・・オオオオオオオオ・・・ッ!!!!」

全身から黒き稲光を発し、地面を震わせるような唸り声を上げて、ゆっくりと動き出して構えるその姿は・・・・その名も「トーライフォーム」!!

トーライハンマーを地面を引きずりながら火花を散らせて、悠然と敵の近くまで歩いていく、そして、ハンマーをブオンブオンと回転させて両手で構えなおすと、一気に振り上げて横なぎに相手の膝めがけて振り下ろす!!

バキバキバキバキッ!!!!!

膝の頭をぶち割り、関節をへし折るとすかさずもう片方の足を同じようにハンマーでぶち壊すとその体重をささえる足がなくなったため、膝から前のめりに倒れ込み、両腕で自身を支える土下座のような体勢になる。そしてその両腕をも折れると、ぐらりと頭から地面に滑り込むように突っ伏す。

暁(今だ!!!!)
トーライ(出力・・・最大・・・!!)

トーライフォームがハンマーをクロキバにかませると、黒い霧が生み出され、みるみる周囲を取り囲むと、銀色の満月が浮かび上がり、その光を受けてハンマーを肩にかついで立つ。

ヘブンTフォーム「グオオオオオ・・・・・オオオオオオオオ・・・・ッ」

全身から銀色の稲光が発生し、それが巨大な球のようになると、それをハンマーで思い切りぶっ叩く!!すると、球がものすごい速さで飛び出し、審判に直撃すると審判の巨体が稲光で全身麻痺し動けなくなる!!

ヘブンTフォーム「ウオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

審判の巨体を飛び越すほどの大ジャンプで飛び上がり、胸のコアを見定めると、ハンマーを振り上げる!!すると、黒い霧の中で発生する稲光が集まり、巨大な拳の形になると、そのまま一気に振り下ろす!!!!

ヘブンTフォーム「ギガンテック・・・・・インパクトォォオオオオオオオッ!!!」

一気にハンマーを振り下ろし肉を裂き、骨を砕き、飛び交う怨霊をも吹き飛ばし、コアを粉々に打ち砕いた!!!

審判「グギャアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」

絶叫を上げてデカゾンビが無数の紫色の火の玉のような形になって飛び散っていく・・・!
そしてその無数の火の玉が飛び交い、嘆き、絶望、怒りのままにうめき声を上げる。
くそっ、こいつらの憎しみは底なしか・・・!!

「お前らどいてろ!!」

そういって、後ろから何かが飛んできた!?
ヴォルファス「いてぇっ!!(頭を踏みつけられた)」
チューン「あいたっ!!(頭を蹴られた)」

そして飛んできたのは・・・あれは・・・ファルコンプレデター(フレア)!?

無数の怨霊を前にしても不敵な笑みを浮かべてるし、どうするつもりなの!?

ファルコンプレデター「皆まとめてぶっ飛ばすぜ!!」

そういって、両手には・・・無数の赤く光り輝く筒のようなものがあり、それを一気に投げ放った!!!すると・・・・真っ白に光り輝いた瞬間・・・・!!

ドドドドドドドドドドドドオオオオンッ!!!!!!!

派手な大爆発を引き起こし、紅蓮の巨大な炎が吹き上がり、その炎に飲まれて怨霊たちが苦しそうに、激しい絶叫を上げて飲み込まれ、やがて姿が消えていった・・・!!

ヴォルファス「バカな!?あれは・・・・アンデッドを焼き払い、不死の定理さえも覆す・・・破邪の炎・・・・聖なる力の象徴だぞっ!?何であいつが使えるんだよ!?」
チューン「普通、聖職者が使うならわかるけど・・・なんでダイナマイトなのさ」
チューン「俺たちじゃ・・・・不利すぎる・・・・!!あれ・・・・俺たち苦手・・・!」

ファルコンプレデター「狼男に半魚人、フランケン、おいおいハロウィンじゃねえんだよ。まとめて・・・ぶっとんでみっかぁ!?」

シャークプレデター「フレア、いったん引きますよ!!」
そういって、後ろにはシャークプレデターまでもいやがる!!どうやらこっちが不利と思ったらしいな。撤退命令を聞くと、ファルコンプレデターが「ヘイヘイ」といって、引き下がる。

そして二人とも闇の中へと消えていった・・・。


流水「破邪の炎を操るプレデターなんて・・・ちょっとヤバいかもね」
暁「頭はバカだけどな」
冷牙「バカゆえに、何をするか分からないだろうが」
流水「だよねぇ、バカだからって甘く見ているわけにはいかないね」
暁「そうだな、いくらバカでも・・・」

バカバカ言い過ぎだ。バカだけどさ。

そうだ、アリス・・・・!!
避難させたアリスの近くに来ると、アリスがようやく起き上がったようで、駆けてくる俺たちを見て驚いたように目を見開く。

アリス「・・・お前・・・・・あいつを・・・・倒したのか・・・・・?」
暁「お前に借り作りっぱなしなんて、冗談じゃねえからな」
アリス「・・・ははは・・・・その様子だと・・・・取り戻したか・・・・自分を」
暁「・・・・うん・・・・・・あのよ・・・・その・・・・・」

自分でも分かる。
顔が真っ赤になっているし、恥ずかしくて照れくさくて、アリスの顔をまともに見れない。
でも・・・これだけはいわなくてはな。

暁「・・・・・アリス・・・・・・・・・あり・・・がとう・・・・」

アリス「・・・・・・・・・・・・・・・・お前が・・・・・私に・・・?」

暁「・・・・あー、そんだけっ!!」

そのままそっぽを向いて、もうすぐ帰るとするかっ!!もうこの場にいられる自信がねぇわ!!

その時だった。

アリス「・・・・そうか・・・・・お前・・・・さらに強くなったんだ・・・・」
暁「・・・・・・え?」
アリス「・・・・・なのに・・・・・私は・・・・無様だな・・・・・」

その時だ。
アリスの頬に涙が一筋伝って・・・落ちた。
え・・・・泣いている!?
あいつが・・・・!?

暁「お前・・・・・!?」
アリス「・・・・・・お前の前では・・・・・こんな無様な姿・・・・見せたくなかった!!」

そして、はじかれた様にその場を飛び出していった!

そのとき、あいつは・・・泣いていた。
涙を流し、悔しくて悔しくて仕方ないといわんばかりに飛び出していった。

俺たちは言葉が出なかった。でも、俺は・・・。

暁「アリス!!」

俺はその場を走り出していた。しかし、公園を出た後、あいつは・・・どこにもいなかった。

冷牙「・・・・しかし・・・・どうなるんだか」
流水「・・・・分かりませーん」
雷斗「・・・・・だとしても・・・・俺・・・・・あいつに・・・・ついていくだけ」
冷牙「・・・・・・はあ、しっかし面倒くさいことになったな」
流水「まあ、しゃあないでしょう!こうなったらとことん付き合うよってね」

今回の事件、ナイアルラトホテップという禁忌の呪術をも使いこなせる相手が敵にいる、それは3人にとっても、脅威の事態でしかなかった。


一方。

畜生・・・ちくしょうちくしょうちくしょう!!!
悔しい、悔しい、悔しい・・・!!あいつの前で・・・・あいつの前だけでは・・・・弱いところなんて見せたくなかったのに・・・・・!!
あいつの前では・・・・!!

涙が止まらない。
どこまでも走り、走り、走る。
止まりたくない。
あいつの前から・・・いなくなってしまいたい・・・!
悔しくて・・・情けなくて・・・・!!

また再び立ち直る。そのつもりだ。でも、今は、あいつの前にいたくない。
こんな弱い自分、見られたくない・・・!!

私は膝を抱えて、自分への怒りと、悔しさで、言葉が出ないほど深い怒りに襲われてうずくまっていた・・・。



一方・・・・。
遺跡の広間、突然呼び出されたエリザベートと四天王を前に、聖がやってきた。
そして告げた命令、エリザベートは苦々しげに歯を食いしばり、3人は言葉が出ないほど驚きで目を見開いていた。今回、アリスがヘブンを助けたこと、そして、石板を手に入れるために差し向けた審判の妨害を行ったこと・・・そう・・・・すべては聖が仕組んだことだったのだ。四天王たちの間でも混沌と混乱という騒ぎを引き起こすために・・自分の破壊の欲望を満たすために・・・・例え自分が身を寄せている組織であろうと彼女がおとなしく従うわけではない。新しい混乱と狂気を呼び寄せるのだ。このように自分が差し向けた手下を利用して・・・。

そして、イングリッドが告げた。

イングリッド「・・・今回の由々しき事態・・・・真に残念です。ですが、これ以上の目に余る行動ぶりは組織の規律を大きく乱します・・・・そうなると我らの野望も果たせなくなります。エリス、分かりますね?私が何を言いたいのか?」

エリザベート「・・・・ははっ!!」

イングリッド「残りの四天王に命じます。この時をもってアリス・ビストレオから四天王の称号を剥奪、および、処刑を命じます」

アリス・ビストレオへの非情なる処刑命令。
その様子を聖が面白そうにほくそ笑んでいた。

続く
Next Line「Power to starve」
,こんにちは。
今回第4のフォーム、トーライフォームが登場しました。
そして憑依する雷斗(らいと)さん、元ネタのアイディア下さりありがとうございます。
普段は沈着冷静、寡黙、落ち着いていて騒がしい二人を制する常識人ゆえに苦労することが多い苦労人という設定で、食事も控えめな性分もあってか、こいつは「むしろもうちょっと我侭言ってもいいくらい」「大人しすぎて損してないか」と不安になるくらいいい子です。でも本人は満足しているらしく、争いごとを好まない心優しい力持ちの青年であります。女装させたらちょっとした美人になるという設定になっております。

そして今回、アリス・ビストレオに下った最悪の事態。
聖が仕組んだ(面白そうだからという理由で)ことで、処刑命令が下ったこと、暁の前で無様な姿をさらしてしまったことで深く傷ついたこと、それすらも聖が仕組んだことです。一度獲物と決め付けた相手を徹底的に傷つけ、精神をズタズタに痛めつけ、再起不能にまで追い詰めて死を与えて捨てる。どこまでも最悪なやり方です。しかし、そんなアリスを暁が見捨てるわけがない。次回、暁が・・・アリスのために男を見せます!(マジです)

ちなみに・・・今暁にアリスのことをどう思っているのか?

暁「・・・・最近放っておけないというか、見ているだけで危なっかしいというか・・・気になって仕方ないんだよな・・・・まあ・・・・・凛たちや・・・クリスとはちょっと違う感じなんだよね」

レスをお返しします!!今回は・・・四天王の三人から返します!
フレア「フレア・ファルシオンだ!!よろしくな!」
マリア「マリア・シャークエッジです」
セレス「セレス・ホーネットよ。それでは始めましょうか」

>烈様
フレア「いつも読んでくれてありがとう!!」
マリア「いつか烈様の暁くんたちともお話できればいいですね」
セレス「今後ともよろしくお願いします」

>慧さん達が住んでいる町の公園って、確か昔ある処刑場だったって話がありましたよね? もしかして渦巻いている怨霊ともいえるものってその処刑されてしまった人達だってことだろうけど、まさか“ファンガイア”や“レジェンドルガ”とかの罪人のものだったりするんでしょうか? 

暁「…いやまて。まさかその公園の場所にあった処刑場で殺されてしまった連中のなかに、《セブンヘブン》の連中のいたってオチじゃねえよな?!」

フレア「これはね、違うらしいよ。たださ、町のいたるところに処刑場やらいわくつきの場所が多すぎるんだよね」
マリア「この公園での処刑場で出てきた霊は昔、村の大地主があまりにもひどい悪政で、奉行所に告訴しようとしていたらしいんだけど、それが気づかれて裏切り者扱いされて、大地主の部下が周辺の村々に自分たちの力を見せ付けるために、公開処刑したらしいの。自分たちに逆らったらこうなるぞって。そして、死体は葬られもせず、全部あの池に捨てられたらしいの」
セレス「女の人も、子供も、老人も容赦なく皆殺しですって。そして、池の奥に溜まっていた悪意、殺意、狂気、悲しみはお社を建てて供養されていたらしいんだけど・・・それを聖が壊したのよ。そして、悪霊と化した霊たちを差し向けて、自分の欲望を満たすためにアリスを追い詰めたのね・・・」

自分の欲望を満たすためなら手間ひま惜しまない。それが聖です。

でも、セブンズヘブンの霊の登場ネタというのは面白そうですね。今後の展開に使わせていただきます。

>『グリムライナー』と『オーライナー』

グリムライナー
フレア「これはグリーン“緑”と魔法書“グリモワール”を合わせて作り出したんだよね。能力も植物を操るだけでなく、強力な魔法能力を操ることができるらしいぜ」

オーライナー
セレス「これはねぇ、オーラ(輝き)と新幹線の(ライナー)を組み合わせたのよ。実は・・この列車は今後ヘブンに大きな影響を与える列車になるらしいわ」

>電「…俺、そこまで、大食いじゃ、ない…!#」
雷斗「始めまして・・・・・うん・・・・俺も・・・・あまり食べない。でも・・・甘いお菓子やデザートは・・・・ちょっと好きだな・・・・・」

ちなみに今回、石板は見つかっておりません!
そして次回、アリスが事実上四天王を脱退させられ、処刑を命じられる四天王は誰がよろしいでしょうか?ミイラ取りがミイラになりかねない事態になるかもしれませんが、選んでいただけますでしょうか?

セレス「それでは、次回も応援よろしくお願いします!」
フレア「あたしたちへの質問もどんどん送ってくれよな!!」
マリア「今後ともよろしくお願いします!!」

それでは、次回で!!
,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2010年11月29日(月) 19時40分01秒,20101122010842,20101202194001,XbZiqqmRZiTCs,誰得ネタ〜ポケットの中の物語〜,YP,,,

 ある晴れた日のこと、魔法以上に愉快な変身デバイス――――セレナから何やらコードが伸びているのを、赤坂 鷹音(あかさか たかね)は、見た。
 伸びたコードの先には携帯ゲーム機、みんな大好きニンテンドーDSが。
 どうやら何かしらのゲームをしているらしい、機会に遊ばれる機械とは皮肉なものである。

「何やってんの?」
「あぁっ、『とんこつ』が倒れたっ!」
『ふふふ、ほのおタイプでみずタイプに挑もうというのがそもそも間違い――――おやマスター、お帰りなさい』
「あぁ、うん、ただいま。で、何やってんの?」

 自室の中には何故かクロもいて、二人してニンテンドーDSの画面を覗き込んでいる。
 特にクロは、効果音が「がびーんっ!」てなぐらい、食い入るように。
 一つと一匹はそれに夢中になるあまり、帰宅した鷹音に気付かずにいたようだった。
 地味に凹んだのは彼女のみぞ知る。

「くそーっ、やられたー」
『だからせめてタイプ相性ぐらい覚えろと小一時間(ry』
「おーい、無視かー」
「もっかい! 今度こそ勝ってみせる!」
『何度やっても無駄だと思いますがね』
「泣くぞー、泣いちゃうぞー。……くそぅ、見向きもしねぇ、ちくしょう」

 おざなりな挨拶だけで済まされ、かつ存在をスルーされるという地獄の責め苦を受けた鷹音は、二人を無視して部屋の隅にて床に「の」の字を書き始めた。
 床を何度かなぞっていると、こつん、と指先に何かが当たる。
 どうやらそれはゲームソフトのパッケージのようで、樹脂独特の硬さを持って彼女の指をはじき返した。
 それを手に持ってみる。

「これって――――」


 ――誰得ネタ〜ポケットの中の物語〜――


(『ポケットモンスター』って、ちょっと前に発売したゲームだっけ。そういえば竜兄が
 『ポケモン最新作キタ、これで勝つる! 講義? うるせぇ馬鹿、そんなことよりポケモンだ!』とか言ってたなぁ……)

 どこか遠い目で昔を思い出す鷹音。
 当時の兄貴分のはしゃぎっぷりに軽くドン引いたものだったが、まさかそれがセレナとクロにも感染しているとは夢にも思わなかった。
 確かにセレナはゲーム大好きだから不思議ではないが。

「にしても」

 パッケージの表と裏をを見つつ思う。

「……知ってるポケモンがまるでいない」

 表には翼竜のような真っ白いポケモンが、裏にはゲーム画面が映っているのだが。
 そこに彼女の知るポケモンは一切おらず、気分はさながら未知との遭遇である。
 もう随分と代替わりしたんだなぁと、浦島太郎のような切なさを感じつつ、もう一度ゲームに興じている一つと一匹を見やる。

「いっけー『ちゃーしゅー』、フレアドライブ!」
『むぅ、これはちょっと痛いですね。駄菓子菓子、もといだがしかし。その程度で私の『こあくとう』を倒そうなどとは甘い甘い!』

 随分と楽しそうである。
 なんだか自分が仲間外れにされているような気がして、少し悔しい。

「……よし」

 思い立ったが吉日とばかりに鷹音は立ち上がった。
 これは無駄遣いではない、あえてセレナたちと同じ土俵に立ち完膚なきまでに叩きのめすことによって、むごたらしい仕打ちの仕返しをしてやろうというのである。
 いわば正当な報復であり妥当な消費であり、よって決して無駄遣いではない。
 そんな屁理屈をこねながら鷹音は財布を手にして再び家から飛び出した。


     ★


「へぇー、漢字と平仮名の両方選べるんだー」
「うーん、最初にもらうポケモンは何にするか、悩みどころです」
「……む?」

 向坂家の縁側、そこで向坂 悠一(こうさか ゆういち)は眠そうな眼をかしましく(?)しゃべる二人の少女に向けた。
 片方は栗色のセミロングヘアーをしたちんちくりん、もう片方は金髪が目を引く素晴らしいおっぱい。
 彼はその両方と顔見知りであった。

「楽しそうだな、二人とも」

 やることがなく暇していた彼は、二人に声をかける。
 ちんちくりんこと八坂 伊織は「んー?」と適当な返事。
 おっぱいこと如月 アリスは「お邪魔してます」と返事を返すが、正直なところ心ここにあらず。
 つまるところ、この時ばかりは彼は顔見知り二人から適当な扱いを受けていた。
 座る二人の上から覗き込むと、そこにはニンテンドーDSが。

「ポケットモンスター、か。また懐かしいものを。買ったのか?」
「うんにゃ、商店街の福引で当たった。へへーん、うらまやしいだろー」
「ミジュマルも可愛いですけどポカブも捨てがたい……いやいや、ツタージャの流し眼もたまらない……いやいや……」

 あくまでも、目線は動かさない。
 まぁ仲良く遊んでいるようだからいいかと悠一は怒りも嘆きもせず、伊織の間違った日本語に悲しみを覚える。
 居間に入ってちゃぶ台の上に団子を並べ、二人にふるまおうとしたとき。
 その時を見計らったかのように伊織がぐるりと振り向いた。

「あ。そーだ悠一、パソコン使える?」
「パソコン? そりゃ使えなくはないが、いきなりだな。なんでまた」
「ニックネームはざいつはらかキプチャクか……あぁ、なんという魅惑の選択!」
「せつめーしょ読んだら、パソコンで世界中の人と通信できるんだって。科学の力ってすげー!」

 こぶ茶を人数分用意している悠一に、さながら獲物にとびかかる肉食獣のように伊織は跳びかかった。
 眼前で止まり、説明書を悠一に見せつける。

「なになに……一種のブラウザゲームみたいなもんか」
「ブラウザゲームって何ぞ」
「ググれ。まぁそれは置いといて、通信対戦にアイテムの獲得、さらにシリアルナンバーを利用したランダム要素か。
 子供向けゲームにしては随分とこってるな。俺の知っているポケモンはどこへ行った……」
「んなことどーでもいいから、これやりたい! やりたいやりたいやりたいやりたいやーりーたーいー!!」
「わかったわかった、ちょっと待ってろ」

 言うと悠一はノートパソコンを取り出し、立ち上げる。
 同時に二人に団子を勧め、自分はお茶をすする。
 そして公式サイトへと繋ぐのだが。

「……うん?」
「んがっ、んぐっ、どしたー? 団子いらないならもーらいっ」
「身長の割によく食べますね。その栄養は一体どこへ」
「んだとゴルァ!?」

 わーわーぎゃーぎゃー。喧嘩するほど仲がいい。
 そんな二人の喧騒をよそに、悠一はパソコンのモニターとにらめっこ。

(公式サイトに行ってみたはいいが、PGL(ポケモングローバルリンク)にアクセスできない。閉鎖されてる。一体何が起きた)

 すわサイバーテロかと思い立ち、すぐに馬鹿な考えを打ち消す。
 こんなことをして一体誰が得をするというのか、まさに誰得というやつだ。
 いろいろ調べるうちに、アクセスが集中しすぎてサイトに繋がらないので運営がやむなく閉鎖したらしいということが分かった。

「つまり、復旧の目処が立つまではPGLを利用することはできない、と。そういうことですか」
「そうらしいな。まぁ世界的にも人気ゲームなんだからあり得ない話じゃないが」
「うがー、どいつもこいつも子供かっ!」
((どの口がそれを言う))
「ちぇーっ、せっかくいろいろできると思ったのにー」
「まぁ現時点で繋いだとしても、出来ることは限られてますからいいんじゃないですか?
 プレイ時間一時間にも満たない私たちがカチコミかけたところで返り討ちにあうのがオチでしょうし」

 アリスの実に正しい物言いに、それもそっかーとあっさり手のひらを返す伊織。
 よーし、今週中にクリアしてやるー。 む、私だって負けませんよ。 なにをー。
 こんな感じで再び二人はゲームの世界に没頭してしまった。
 三人分の食器を片づけながら、悠一は一人思う。

(伊織がクリアする前に、wi-fiコネクタだけでも買ってくるか)

 そう、向坂家にはwi-fi環境が整っていなかった。


     ★


 八神市、矢倉邸。
 そこから聞こえる声は、あまりにも悲痛だった。

「……ぬがぁぁぁああああ―――――っっっ!!?」
「ふっ、これで通算50連勝。俺の勝ちだな」

 ニンテンドーDS片手に蓮見 絢斗(はすみ けんと)は慟哭した。
 噂のポケモン最新作で親友である矢倉 悠麻(やぐら ゆうま)と通信対戦しているのだが、結果は悠麻の言うとおりに散々である。
 悠麻はテーブルに置かれているカップをとり口に運んだ。
 さっきまで空だったはずだが、そばに控えるメイドさんが見事なタイミングで入れている、うらやましい。
 落ち着きアールグレイを飲むその姿には勝者のオーラが漂っていた。

「ちなみにヌガーっていうのは砂糖と水飴を低温で煮詰めてアーモンドとかドライフルーツとかを混ぜてから冷やしたお菓子のことだよ」
「湊、誰に説明してるのよ……。ところで『ほのおのいし』余ってない?」

 そんな二人を横目で見つつ自らもゲームに熱中する霧島 湊(きりしま みなと)と稲葉 遼那(いなば はるな)。
 いつもの仲良し四人組がここにいた。

「なんでだっ、なんで勝てない……! 50連敗とかおかしいだろ常識的に考えて!!」
「お前は色々な意味で読みやすいからな。相手の出方が分かれば対策も容易というわけだ」
「なん……だと……!?」

 orz ってな感じで落ちこむ絢斗。
 遠まわしに向こう見ずとか言われている気がするが、そんなことは気にするな!
 遼那はそんな彼が可哀そうに思ったのか、立ち上がり肩に手を乗せる。

「ほら、元気出して。私がいろいろ教えてあげるから」
「遼那……いや、いい。俺は一人でやる、一人で悠麻に勝ってみせる」
「……もう」

 意地があんだよ男の子にはよぉ! とか言いつつ再戦を持ちかける絢斗。
 情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ、そして何よりも経験が足りない! と言って受けてたつ悠麻。
 そんな二人を見て遼那は椅子に戻った。
 絢斗の言う意地が理解できずに呆れる半面、そういうところも可愛いと思ってしまう。

「ひゅーひゅー、お熱いですなぁ」
「!? やめてよ、もう」
「とか言いつつ満更でもないくせに」

 このこのー、と冷やかしてくる湊を受け流しながら、遼那は顔が熱くなるのを感じた。
 気を取り直して自分もゲームを始めると、反応がなくなり飽きたのか湊もゲームに興じる。

「『ほのおのいし』だけどさ、『やみのいし』と交換ならいいよ?」
「ほんとに? じゃあそれでお願い」
「おっけー。じゃあIRで準備して待ってるー」

 ぬがぁぁぁああああ―――――っっっ!!? と、再び絢斗の慟哭。
 やれやれと言った顔つきで湊は愚痴をこぼす、毎回はめられてるのに何で気付かないのか、と。
 すばやさの高いポケモンばかり使う絢斗は、悠麻のポケモンが繰り出すトリックルームの餌食になっていた。

「きっと自分を曲げるのが嫌なのよ。自分が育てたポケモンで、自分が考えた戦い方で勝ちたいんじゃないかしら」
「ほうほう、言うことが違いますなぁニヤニヤ」
「だから止めてってば。でも、そういうところ可愛いじゃない。なんかこう、守ってあげたくなるっていうか」
「はー。遼那、なんかオトナだねー」

 言われて苦笑い、色々あったもの、と返事をする。
 そう、色々あったのだ。
 絢斗が見知らぬ女の子とネズミーランドでダブルブッキングしたり、風邪をひいたときに見知らぬ女の子がどうも見舞いに来たぽかったり。
 そこまで回想して遼那は止めた、過去のことをウダウダ言っても仕方がない。

「ところでブースターってダメかしら。技が貧弱とかこうげきの無駄遣いと足が遅すぎるとか唯一王だとか言われてるけど、悪くないと思うのよねー」

 もう聞き飽きた質問をされて、湊は思った。
 そりゃあ絢斗のことがよくわかるはずである。
 遼那は絢斗の事を「自分を曲げるのが嫌」だと評したが、それは遼那にも言えることで二人は似たもの、つまりは相性バッチリなんだなと。
 それをネタに再びからかい出し、羞恥のあまりブチ切れた遼那に鬼を見ることになるのだが、それはまた別のお話し。


 おわり

,@PFさんひだりさん青嵐昇華さんマジごめんなさい。orz
ちょっと神作家さんたちのキャラを書いてみたいと思った結果がこれだよ。
問題あるようなら消します。

……え? クロノスたんの続き?

(;・3・)ヤダナァチャントカイテマスヨ


お返事ジョインジョイントキィ

To イタリアーノリクさん

>本当時代は変わりました。
全くです。
無邪気にモンスターボール投げてポケモンを捕まえる、そんなことで満足できたのは遠ひ昔……。

>草は相変わらず不遇だけどね。
ですよねー、っていうか草タイプに対して弱点とれるタイプが多すぎるんですよ。
しかもどいつもこいつもメジャーなタイプだからたまったもんじゃない。

>ちなみに私は不遇といわれようとなんだろうと最初は草を選びます。
最初のポケモンはぶっちゃけ見た目で決めてますかね。
BWはツタージャたん一択でしたが。
ツタージャたん可愛いよツタージャたんハァハァハァハァハァハァ。(ぇ

>というかイグナイト、後一話だというのにぜんぜん筆が進まない・・・・・
自分のペースでやるのが一番ですよ、あとはラストだけなんですし。
無理して早く上げようとするとYで始まってPで終わるどっかの誰かさんみたいにgdgdに……。

To 青嵐昇華さん

>高3が何やってんだおまいらwwwww
ポケモンに年齢制限はない!(キリッ
いやまじで遊び方によっては小さいお子さんから御高齢の方までいけると思いますよ。

>ちなみにオスでした(ぇ
そこは♀を粘るべきでしょう?
いやいや冗談ですが、御三家♀とかなんであんなに出にくいのさ。

>やべぇ無性にクロスが書きたい(ぉ
もっと欲望をさらけ出してもいいのよ?

>その時にクロノスたん組(初代or二代目)を出演させたいなぁ、というお願いなんですがいいでしょうか?
私は一向に構わん!

>これはこれで楽しかったですけど、ここに
>スミレちゃん達入ってたらもっとよかったなぁとか思ったりして。
出てきたらドン引くぐらいガチプレイなんでさすがに自重しました。

>ポケモン忙しそうですが、本編続きも楽しみにお待ちしていますw
>ポケモン忙しそうですが
待て待て待て待て色々待て
まるで私がポケモンばっかりやってるから続きが遅いみたいじゃないですか、大体あってる。(ぇー

To @PFさん

>ヒャッハー、まさかのクロスだぁー!!
書かせては貰ったんですが、クロスかといわれると正直疑問な希ガス。
まぁポケモンというゲームを通じて三つの世界がつながってると思えばこれもクロス……なのかなぁ。
うん、きっとクロスだなそういうことにしておこう。

>あとネーミングセンスが何とも「らしい」ですwww
ひゃっはー、生みの親のお墨付きを頂いたぜ!
これで勝つる!

>因みに私が想定している戦術傾向は
クロとセレナが予想通りすぎてふいた。
鷹音ちゃんはぶっちゃけ予想がつかなかったので今回は持ってないってことにしたんですが、なるほどわからん。

>記憶が無い筈の鷹音が昔のポケモンを知ってる事について
ウボァ……そこまで深く考えてませんでしたorz
記憶喪失とは言っても自分に関することだけで一般常識(箸の使い方とか)は残ってるよなーとか甘い認識。
その結果がこれですねホントすいませんorz

>カリン様のお言葉
やっぱ好きなポケモンでプレイするのが一番楽しいですよ。
ガチプレイも楽しいですけど、ぬるプレイだって楽しい。


関係無いけどエンペルトは俺の嫁、異論は認めん。

ではーこんかいはーこのへんでー。
,#000000,,i114-190-82-238.s11.a028.ap.plala.or.jp,1 2010年11月17日(水) 08時51分11秒,20101117085111,20101120085111,VVtWYAAffKukw,仮面ライダーヘブン 第7話,鴎,,,第7話 「Samurai Desperado」

(暁視点)
クロノポリス・第1司令部隊が所属するオフィス。
ここは、部隊長を務めている母さんと副部隊長のトパーズさんが所属する部隊にして、クロノポリスの要とも言える場所だ。そして今日、俺は母さんとトパーズさんと一緒に、第2諜報部隊から入手した書類をもとに今後の展開を話していた。書類には俺が依頼していた石板の解析した内容が書かれている分厚い紙の束が入っていた。トパーズさんが入れてくれたコーヒーを飲みながら俺たちは会議を始めている。

暁「・・・・地図だって?」
慧「ええ、暁が持ってきてくれた石板から、様々な時代の年号と地名と思える古代の国の名前とかが書いてあったわ。最も、これは3枚あるうちの真ん中、本で言うと前・中・後編でいうと中の位置に値するの。つまり情報が中途半端なものなの」
トパーズ「だがしかし、これだけでもかなり貴重な情報だ。その時代と場所を特定して、それについもっと詳しく調べてみれば見えるかもしれないな。この石板が何を指し示しているのか」

分かった部分はこれだけだ。

火:バーンライナー:バッケン火山(時代は不明):
水:マリンライナー:海賊王の島(時代は不明):
金:オーライナー:黄金都市ダルキア(時代は不明):
土:アースライナー:フェルゼンの古代遺跡(時代は不明):
木:グリムライナー:アルタートゥームの大森林(時代は不明):

なんだ、このファンタジーというかRPGの地名のような名前は。

慧「あくまで名称・・・古代よりそう呼ばれているらしい、この世界のどこにあるのか、あるかないかさえ分からないと言われている秘境の地、それがこの5つの地点なんだって」
トパーズ「石板の内容が冗談ではないとすれば、残りの二つにこれが何を意味しているのか分かるはずだ」

これが冗談だったら書いたヤツをはっ倒してもいいと思う。
しかし、この石板と残りの二つを繋げて初めて意味をなすのなら・・・そこで初めて石板が本来の役目を果たすのかもしれない。
この場所と、いつの時代にあるのか、その二つを照らし合わせれば、きっと行きつく先はパス・・・古代の時の列車につながるであろう。

暁「引き続き調査、及び、最後の石板の存在の有無及び回収が第12部隊の仕事ですね」
慧「ええ、私たちも引き続き調査を続ける。暁は石板を探して、それをこっちにまで送ってほしいの」
暁「了解」

すると、ドアがノックされて、開かれた。

「第9救急部隊隊長・ヒルデ、入ります」
「同じく副隊長マラカイト、入ります」

そう言って、入ってきたのはおばあちゃんこと天童愛さんと契約をしているフェニックスイマジンの「ヒルデ」さんと、母さんが契約を交わした「フライングフォックスイマジン」の「マラカイト」さんだ。二人は主に大規模な災害に対する人命救助や各作戦における救護、バックアップ、災害被害者の救出など、人命救助を主とする重要な役職「第9救急部隊」だ。

慧「お疲れ様」
ヒルデ「マーキングに関する調査内容の報告を申し上げます」
慧「お願いします」
マラカイト「現在大友暁部隊長にかけられた二つのマーキング。結果的にいうと、今現在、マーキングの効果を完全に消去する方法はただ一つ、マーキングをかけた吸血鬼を倒し、心臓に白木の杭を打ち込むことにより、完全に息の根を止めること。これが唯一の方法ですわ」

やっぱりか・・・。
この間かけられたマーキングに関する情報の調査を各部隊に依頼して見たはいいが、やはり結論的にそうなるわけだ。

ヒルデ「そして、一時的ですが、効果を薄める、つまり吸血鬼たちに気配を感じ取られなくなるという方法も見つかりました」
慧「一時的というと・・・・?」
ヒルデ「先日、吸血鬼退治を生業とするトランシルヴァニア地方のゆかりの地の調査を行い、そこで、確かに吸血鬼と古来より退治する方法を記した古書の情報で、トランシルヴァニアより深き山奥に、薔薇に囲まれた山奥の地にわき出る湧水には吸血鬼による呪いを若干薄めて、半日・・・12時間気配を消すことがあると判明、そしてこれを私たちが調べてそれと同じ効果を持つ水がわき出る地を日本、富士山麓地帯で確認、そしてそこから採れた水を精製して作り出したのが・・・」
マラカイト「こちらの聖水です」

そういって、小さな小びんに入っている透き通った冷やかな水を差しだす。

ヒルデ「これを自身とマラカイトで振りかけ、実験、くちなし池付近を調査し吸血鬼たちの動向を確認いたしましたが・・・」
マラカイト「私たちの気配にすら気付く様子がありませんでした。暁部隊長が送ってくれた資料で確認した「アリス・ビストレオ」と接触するも、気づく様子もなかった」
ヒルデ「よって、この聖水による効果は実証が確認できました」

つまり・・・。
これを振り掛ければ、一日の間半日はあいつらに気配を感じ取られることなく調査ができるということか。敵に気づかれることなく情報を収集し、分析し、作戦立てて実行する。これが俺たちにとって見れば理想的な手段なのだが、敵に気づかれてしまっては、元も子もない。敵に気づかれてはこっちも対抗しうる手段しかないわけだしな。いや、待てよ、もし発信機とか無機物にも効果があるのなら、これを振りかけて敵につけて、情報を手に入れればこっちが有利になるぞ。敵の本拠地を確認すれば、戦力を強化し次第奇襲を仕掛けて、敵の勢力を一気に片付けることも可能だし、何より情報を制すれば戦況においては何かと有利だしな。ふむ・・・・こいつは大きな一歩だぜ!

慧「ご苦労、感謝する。引き続き、調査および吸血鬼への対策がわかり次第、報告お願いいたします」
ヒルデ・マラカイト「「了解」」

本当は冷や冷やしていたけどな。マーキングの話をしたときには、父さんは満面の笑顔で、
晶「うちの息子に手ェ出すあばずれ吸血鬼女は一族根絶やしにしちゃおっと。きゃははは」

とかいって、マジでブチキレていたし、母さんも母さんで、

慧「・・・どうやら血の池地獄が拝みてぇらしいな・・・生まれてきたことを後悔させてやろうじゃねぇか・・・・相思相愛ならまだ許せるけど、呪いで無理やり婚約されるのを黙ってみてられるほどこちとら育児放棄してねぇぞ・・・・」

といって、拳をふるふると震わせて、どす黒い殺意の波動を出しまくりだったし。(烈様の予想通りの結果。クロキバにこんな状態の二人に説得なんて無理だから暁自ら報告した)結局は俺が説得したけれどさ。今回における戦闘での不祥事は俺のミスだ。だから、自分自身でもどうにかする方法を探してみつつ、奴らとの戦闘において俺が責任を持って行動するといって、ようやく暴走寸前だった二人をクールダウンさせたわけだ。それに、二人も戦闘で敗北し、力を奪われている以上、無茶な行動は禁物であることも重々承知している。まあそこをついて、現在まで落ち着かせている。というかもはや説得ですらも命がけだ。

慧「・・・・そう・・・・。暁、本当に今のところ何もないのか?吸血鬼の力を受けて何か体に異常とかないのか?」
暁「特にないですね・・・今のところは」
慧「そう、でも今後体調に何らかの変化があったらすぐ第9救急部隊の検査を受けてみるといいわ。もし何か変調があったらすぐさま対策が打てるようにしておく」
暁「了解」

こうして、そうこうやっているうちに会議が終わり、俺たちはそろって第1司令部隊室を出ようとする。

慧「暁」

すると、母さんに呼び止められた。

暁「はい?」
慧「・・・ここから先は母親として聞くよ。最近・・・・どう?」
暁「・・・・うん、大丈夫。たまには帰れるときには帰ってきてね。母さんの好物作って待ってるからさ」
慧「・・・・ありがと・・・いつも家のこと守ってくれて・・・こっちがしっかりしなくちゃいけないのに申し訳ないな・・・」
暁「・・・・・そんなことねーよ、俺がきっちりやっておくからよ。いつも任務で大変なんだ。家に帰ってくるときはゆっくり休めるようにしておくよ。家ってものは、本来、自分の帰る場所、休むつもりでいないと、な」

慧「・・・・・ありがとう・・・・!」

母さんが嬉しそうに笑う。それを見て、俺は恥ずかしくてそっぽを向いてほっぺをぽりぽりと指でかく。

ヒルデ「・・・本当にお主はよくやっているよ。部隊長と学生、さらに家事もこなしているのだからな」
マラカイト「まあ、あまり無理はしないようにね。過ぎると体に毒というときもありますわよ」

暁「ありがとう・・・気をつけるよ」

本当に・・・性格は難があるというか、一癖もふた癖もある連中ばかりだけど、ここの仲間たちは本当にいい奴らが多い。小さいときからまるで弟のように可愛がられてきたけど、今はこうして同じ仲間として色々と面倒を見てくれたり、心配してくれる。
俺ももっと強くなってこいつらの何か力になれるようになれればいいんだがな。こういったアットホームな雰囲気は、俺は結構気に入っている。知らないヤツが見たら、こんなアットホームな雰囲気で時間の平和と秩序を守る組織なんて信じがたいかもしれないが同じ職場で働くのなら上下関係はあればこそ、同じ釜の飯を食う仲間であり家族のようなものだろう?

慧「マーキングの件は大人気ないところを見せてすまない。だが、心配なんだ。お前・・・私に負けず劣らず受難続きだしな。何かあったらと思うと気が気じゃねえわ。でも、お前が頑張るというのなら信じるよ。暴走も抑えておくし、父さんにも話しておく」

暁「・・・・ありがとう」

そう答えて、俺はオフィスを後にした。
普段は司令官として、毅然とした態度と厳しく近寄りがたい雰囲気の母さんだけど、こうして俺のことを気にかけてくれていることが嬉しかったりする。しかし・・・母さんに負けず劣らずの運の悪さか・・・・受け継がなくてもいいところを見事受け継いでいるよな・・まあそれを言ったら母さん泣くだろうけども。でも、俺だってちょっとやそっとの不運やトラブルなんかで音を上げてられるか。まあここ最近はありえないレベルの不幸続きだったけどもさ。よしっ気合いも入れ直したし、3枚目の石板の調査を始めるか!!これから忙しくなるぜ!!



同時刻。
深夜のくちなし池公園の遊具広場。セレス、マリア、フレア、そしてアリスの4人が集まりそれぞれ飲み物を片手に話し込んでいた。
人気のない公園や、神社など、誰も寄り付かないというか深夜に歩き回ってはところかまわず作戦会議をまるでダベる感覚で話すのがこの4人の特徴でもある。堅苦しい会議などどうも性に合わないらしく、時には食べ物を食べながら行楽の地で、こうして深夜の町を遊び歩きながら話したりするあたりは、もしライダーや敵対するものに聞かれでもしたらどうするというのか。まあ、そうだとしても、「知っても止められるものならどうぞ止めてみれば?出来っこないでしょうけど」と考えているので、ある意味怖いもの知らずである。

フレア「なあ、もう3日も探し回っているのに、石板が見つからないとはどういうことだよ?もう、飽きた―!!お腹空いたし、眠いし、もう最悪なんですけど」
マリア「これだけ探しても見つからないなんて・・・」
アリス「だが、気配はここから感じられる・・・でも見えない・・・ということは」
セレス「これまでの2枚とは違って、何らかの仕掛けを解かないと出てこないということかしら?」

フレア「にしたってよ、何だよ、ここ?なんだかすっごく嫌な空気で満ち溢れているんですけど!?」
マリア「・・・確かにこの公園を取り巻いている邪悪な瘴気・・・怒り・・・・悲しみ・・・殺意に憎悪・・・・ただならない状況ですね」
アリス「今まで何も起こらなかったのが奇跡に近いくらいにな」
セレス「この公園には・・・人のものではない邪悪なもので満ち溢れている・・・この公園そのものを調べないと、もしかしたら石板にたどり着けない?」
アリス「・・・かもしれないね」
セレス「・・・今日はこの辺でお開きにしましょう。これ以上の探索は明日以降、違う形で調べてみたほうがいいかもね」
マリア「ええ」
フレア「その前に、お腹空いたっ!!!!」
アリス「さっきコンビニで買った大量のおでんやら焼き鳥やら肉まんやらあれだけ食べてまだ食うか」
フレア「うるせー!!育ち盛りなんだよっ!!」
アリス「はっ、付き合ってられん。先帰るぞ」

そういって、アリスが一人で帰っていく。アリスは群れて行動することをあまり好まない性質である。まあ、暁がからむと別人のようになつきまくり、ベタベタしまくり、くっつきまくりなのだが。

そして、アリスが去った後であった。

暁「あれ、マリアさんじゃん」

そう声をかけてきたのが、入れ違いにやってきた暁であった。

<暁視点>
たまに深夜のサイクリングに来てみれば、まさかマリアさんに会えるとはね。
俺が声をかけると、マリアさんが驚いたように俺を見る。

マリア「まあ、暁くん!!どうしたんですか、こんな時間に」
暁「ちょっと寝付けなくてさ。サイクリングってヤツ。マリアさんたちこそどうしたんだよ、また調査?」
マリア「え、ええ、ちょっとこの公園について風土記をまとめるものでして」
暁「へえ、やっぱりいろいろ勉強してるんだな。やっぱ、すげえわ、マリアさん」
マリア「い、いえ・・・そんな・・・ことないですよう・・」

顔を真っ赤にしてもじもじしながら恥ずかしそうに笑っている。本当に勉強熱心なんだな。
そうしていると、後ろから二人の女の子たちがやってきた。マリアさんの知り合いかな?一人は金髪に染めた髪に赤いメッシュを編みこんでいる、小柄で活発そうな女の子だ。どこかのパンクミュージシャンみたいなラフな格好と小柄で華奢な体つきとはアンバランスなまでに大きい胸を揺らして、こっちに歩いてくる。
もう一人はウェーブがかかったロングヘアをなびかせて、緑色のメッシュを編みこみ、胸元を大きく開いた服の上からジャケットを羽織り、パンツを着込んだ長身の女性であった。まるでトップモデルかセレブのお嬢様のような言葉に出来ない美貌と高貴さをかもし出している。

フレア「あんだよ、マリア、お前ついに彼氏出来たのかっ!?」
マリア「か、彼氏!?さささささささ・・・・暁くんがっ、私なんかのっ!?ああああああ、そんな恐れ多い!!」
暁「ふえっ!?お、俺が!?」

顔を真っ赤にして首をブンブン揺らして慌てふためくマリアさん。頭から湯気出てるし・・・。というか、俺たちそういう風に見えたのか!?なんて言うか・・・照れくさいというか・・・恥ずかしいというか・・・・!!まあ・・・・嬉しいのもあるけどさ。
セレス「あらあら、結構可愛い顔しているじゃない。お姉さんこういう可愛らしい年下の男の子は・・・・大好きよ」
そういって、妖艶な笑みを浮かべて俺の顎に柔らかくひんやりとした手を伸ばして顔を上げる。というか、いきなり何なんだっ!?この人、俺でさえも分かるほどの、早々お目にかかれないであろう美人なんですけど!?まるでモデルのような美貌と誘うような妖しく艶かしい光を帯びた瞳、わずかに開いた口から赤い舌が出て、ぷっくりとした唇のルージュを少しなめる仕草が・・・どうにもあまり長く見ていられるような代物じゃない。危うく意識手放しかけたし・・。
(女性に対する興奮よりも気絶が先かい<涙>頑張れ俺<涙>)

暁「ひゃああああああああああっ!?」
セレス「あら、可愛いわね。ひょっとして、女の子とキスしたり、色々と楽しいことして遊んだことがあまりないって感じね。ウブというか・・・・色々と教えてあげたくなっちゃうじゃない」
暁「なななななな、何を、だよっ・・・」
セレス「・・・・・・・し・り・た・い?手取り足取り・・・お姉さんが教えてあげましょうか?」

そういって、俺の耳にふぅーっと息を吹きかけてくる。
セレス「・・・二人きりに、なる?」
暁「うわああああああああっ!!」

驚きのあまり自転車から転げ落ち、地面に落ちる。その様子を見て、愉快そうに笑っている。くそっ、絶対にからかわれているな、これは・・・!まあ、反論しようにも、すでに俺の頭の中は完全にオーバーヒート起こしているわけで反撃の策さえも思いつかないけどな!!本当に俺ってどうしてこう女の子を前にするとこう何も言い返せなくなるんだっ!?アリスやあの3バカトリオはもう扱いが慣れたから・・・いや・・・あいつらでも時に何も言い返せなくなるときあるな・・・・特に・・・こうした・・・えっちぃというか、そういうこと言われると・・・・全身熱くなるし、頭が真っ白になるし、もはや何も言葉が思い浮かばなくなるし・・・・ちくしょう!!

フレア「アハハハハハハハハハッ!!こいつ顔真っ赤っ赤じゃねえか!!」
セレス「うふふ・・・可愛いわね、ホント」
マリア「セレスさああああああああん!!あんさんなんばしよっとねええええええ!!お、お、オラの友人に何するでごんすかああああああああああっ!!(大パニック)」
フレア「お前、どこの出身だよ」
セレス「あらあら、つい可愛いからかいたくなっただけなのに、貴方もまだまだウブねえ。まあ、お似合いですけどね。貴方と、そこのボウヤ。これは、今日は二人きりにしてあげてもよろしくてよ?」
フレア「おーっ、ヒューッヒューッ、ラブラブですねー!!きゃはははははははは!!」
セレス「あらあら、もう我慢できないと言わんばかりの取り乱しぶりねぇ?」
マリア「セレスさんっ!!フレアァアアアアアアアアッ!!!!大人をからかわないでください!!」
フレア「このくらいで取り乱すヤツがどこが大人だってんだ、やーいやーい!!」
セレス「あらあら顔真っ赤にしちゃって・・・・かーわいいわねぇ♪うふふっ、ボウヤもマリアに教えてもらったら?イケナイ大人の夜の遊び・・・・うふふ」
マリア「ムッキャアアアアアアアアッ!!!!!暁くんは、私の、大事な、大事な、お友達なんですよぅううううううううううっ!!!からかうなああああああああああっ!!(大泣き)」

そういって、俺の頭をつかんでブンブンブンブン激しくシェイクするなぁああああああああああっ!!!!(ブンブンブンブン!!!)ああ・・・首に指がめり込んで・・・い・・・息が・・・・・・・・出来ない・・・・・(がくっ)

俺が覚えているのはそこまでであった。


そのころ、クリス&クロキバはというと・・・。

クリス「くぅくぅ・・・・スヤスヤ・・・・・(爆睡)」
クロキバ「ZZZ・・・・・・(爆睡)」

日ごろの疲れのせいか、完全にお休み中であった・・・・・。


そして。
夜1時、俺が首を絞められて意識がオチて目を覚ましたら、そこはマリアさんの家の宿泊客用の寝室のベットの中だった。それで、マリアさんがもう涙をボロボロ流して地面に頭を煙が出んばかりに額をこすりつけて土下座しまくっていたという珍騒動を経て、俺は結局マリアさんのご厚意により豪華な洋館で一泊することになった。しかしまあ、本当にご昔教科書で見たことのある外国の洋館を思わせるような重厚な空気は・・・なかなか寝られないな・・・普段は棺桶の中で寝ているし・・・(それもそれで問題ありまくりなのだが)
それで・・・向かいのソファーでは寝間着姿のマリアさんがシーツをかぶって横になっているし・・・・何て言うか・・・・緊張しまくりだっつーの!!マリアさんなぜか「一緒に寝ます!!」と言い出し、「いつあのバカ二人が襲いに来るか分らないですし・・・」とか言って無理矢理同じ部屋で寝る羽目になったし・・・・・やっぱり俺って男と思われてないのか、意識されてないのか?それはそれで悲しい。年頃の娘さんが早まることをするものではないと思っているのは俺だけか?(意外と古風な恋愛観の持ち主である)

マリア「・・・・暁くん、起きてますか?」
暁「・・・・・はい」
マリア「今日は本当に申し訳なかったです・・・」
暁「・・・・いいよ、気にしてないから(いつものことだし)」
マリア「・・・・すみません」
暁「ところで、くちなし池について調べているって聞いたけど・・・・」
マリア「え、ええ、暁くん生まれてからずっとここに住んでいるようですが、何か知っていますか?」
暁「・・・・・・・・あそこはちょっとしたいわくつきの場所だな。俺も普段あそこはあまり自転車で通りたくないんだよな。いや、近寄りたくない」
マリア「・・・・・・・どういうことですか?」
暁「・・・・・・・・・気を悪くしたらごめん、あそこはここ最近、事故や自殺、死人がやたら出る場所なんだ。俺が知っているだけでもうこの3ヶ月で10人は亡くなっている」
マリア「・・・・そんなに!?」
暁「・・・ちょっと多すぎるよな。それでさ、それだけヤバいことがありまくりだから、呪われているなんていう噂もあるくらいだ。でね、昨日変な噂聞いてさ。その噂を聞いて、俺の知り合いたちが面白がってその噂の真相を突き止めたがっているようだったから、あまり首を突っ込まない方がいいぞと思ってちょっと見回りしてたわけさ」
マリア「噂ですか・・・?」

暁「ああ、くちなし池の池の真ん中に鳥居とお社がある小島があるだろ?あそこで携帯電話で「4」「2」「1」「9」と入力して電話すると、すぐ切れて、その後「1059」という表示で電話がかかってくるから、電話を取ると公園内にいる幽霊と会話することができるとかいう噂。「4219(シニイク)」で「1059(テンゴク)」だろ?不気味だから、余りやらない方がいいって言い聞かせたんだけど・・・」
マリア「それでそのお友達がやらないかと不安になって・・・?」
暁「ああ、まあ、凛・・・俺のダチが止めてくれたようでよかったけどさ」
鉄拳制裁という最終手段を使ってだったけど。穏と昴のボケ。
まあ、凛からはそう連絡が来ているからおそらくは大丈夫じゃないかな・・・。

「Priiii・・・・・Priiii・・・」

そのとたん俺の携帯が鳴りだし、表示画面を見るとそれは・・・凛!?

暁「・・・・凛?どうしたんだよ、こんな時間に・・・」
凛「・・・・坊主すまねぇ、もう寝ていたか?」
暁「・・・・・これから寝ようかなって思ってたところだから大丈夫だけど」
凛「そっちに・・・昴行ってねぇか?」

嫌な予感がした・・・。

暁「・・・・来てないけど?」
凛「ごめん・・・じゃあもしかしたらあいつ、やっぱりあそこに・・!」
暁「・・・・どういうこと?」
凛「今日坊主と俺があいつに言ってただろ?公園のオカルト話。それでな、あれから俺なりに調べてみたんだが、これまで公園で死んでいる奴ら、どうやらあのオカルトゲームやったらしいんだ。知り合いに聞いたんだけど、例の・・・池の小島の神社で携帯電話を使って霊の声が聞けるとか言うヤツ」
暁「・・・・それ、マジかよ」
凛「ああ、それでさ、一応は止めたけど、そういった話、昴が興味持たないはずがないだろう?気になってあいつの家に行ったら・・・・あいついないんだ!家にもどこにも!」

そうだった・・・。大地昴というのはそう言ったうわさ話にはかなり目がない心霊現象オタクだった。前にも俺たちが止めろと言ったにも関わらず数々の廃墟や心霊スポットに深夜に探検に行っては写真を撮りまくるわ現地のものを勝手に持ってきてしまうわ怪しい儀式やゲームをやらかすわといった、もしこれがホラー漫画だったら確実に霊に呪われて非業の死を遂げてしまうような厄介極まりないことをやりまくるヤツだったっけ!凛や俺の鉄拳くらいじゃ止められるはずがなかった!!

穏「・・・・・・・暁、あたしたちも探してみる」
暁「・・・・バカ、こんな深夜に女子高生が歩きまわっていい時間でもないし場所でもねぇ、ここは俺に任せろ。チカンとか怪しい奴らがいたらヤバいし・・・・俺なら大丈夫だ。お前たちは俺からの連絡を待っていてくれ。1時間して連絡なかったら公園近くの派出所のお巡りさん連れて公園に来てくれ。それまでは待機だ。いいな」

そう言って、俺はベットから飛び起き、部屋を飛び出した。

その話を聞いていたマリアが何かその言葉でひらめいたのか、考えだす。
そしてセレスの言葉を思い出した。

「何か特殊なことを起こさないと石板の手がかりが見つからないのかもしれない」

マリア「・・・・調べてみますか」


夜、くちなし池に浮かぶ小島の神社「くちなし神社」。
そこに・・・・このバカ娘はいた。一人で、カメラと携帯電話を持ってお社に座っている。
大地昴。天神学園きっての天才児と呼ばれる「神童」。学年次席にして成績優秀な知性的な美少女であり、生粋の二次元オタクにして心霊オタクでもある。

昴「穏、凛に捕まったな・・・。まあいいですけど、凛も暁くんも、こんな面白い話を聞いたらボクがやらないわけがないでしょう。いかにもっていういわくつきな場所でいわくつきなゲーム・・・もしそれが本当なら幽霊と会話なんていう未知との遭遇、心霊現象の立証という新しい分野の世界が切り開けるというのに。好奇心足りないなぁ・・・それに、命の一つや二つ惜しくてこんな面白いこと出来ないよって。人間なんていつ死ぬか分らないんだしさ。やらないまま後悔して死ぬより、やって死んだほうがまだいいじゃん」

今時の若者特有のどこか人生をナメているような危険に対する危機感ゼロというか・・・好奇心の前には自分の貞操の危機とか命の心配とかもはや恐るるに足らないのが彼女の困ったところである。

昴「えーっと・・・・あの“シスターさん”が教えてくれたゲーム・・・確か丑三つ時に携帯電話で入力するんだよね」

そういって、携帯電話を取り出す昴。その行動を森の陰から見ていたのは・・・・・。
右目に眼帯をつけ、シスターの修道服を着こんだ長身の美女が楽しくてたまらないといった様子で歪んだ笑みを浮かべている。

聖「ねえ、暁くん?私ね、君がどんなことをしたら苦しむのか、絶望するのか、狂ってしまうほどの地獄に堕ちていくのか色々と考えてみたんだけど・・・・まずは・・・・これからやってみますね・・・・きひひひ・・・・」

“君の周りのお友達が次々と死んじゃったらどうなっちゃうのかなぁ”

セレス「・・・それで?あの子を囮にするつもり?」
聖「ええ、ヘブンは必ず来ます。あの子はヘブンの大切なお友達・・・・くふふふ・・・もし何かあったら・・・・もう矢も楯もたまらず飛び出してくるでしょうねぇ・・・きひひひひ・・・・」
セレス「・・・・あのねぇ、イングリッド様のご命令だから今回の策、仕方なく手を貸すけど・・・・」
聖「おや、なんですか?」
セレス「私はあんたみたいな根性腐ってる醜いヤツ、殺したいほど嫌いよ」
聖「それはそれは、最高の褒め言葉ですよ」
セレス「・・・・ちっ!!」

セレスが憤慨して舌打ちし、その場から離れる。その様子を見て、聖がふんと小馬鹿にしきった様子で冷たい目で見送る。

聖「貴方達のやり方が・・・・ヌルすぎるんですよ。私も貴方達のその甘さが殺したいほど嫌いなんです。さてと・・・・そろそろ来るころですか」

聖が見下ろした遊歩道、そこに・・・暁が走りこんできていた。それを確認すると、聖が口の端をゆっくりと吊り上げて狂おしい笑みを浮かべた・・・。そして、指をパチリと鳴らすと後ろで待機していたセレスの配下であるモスキートプレデターが凶暴な光を瞳に宿し、獰猛なうなり声を上げていた・・・。そしてその瞳には聖と同じ十字架に二匹の蛇がからんでいる紋章が宿っていた。

(暁視点)
くそっ、昴のヤツ、一度言い出したら本当に聞かないんだから!!!気になったらもう他人の言うことなんてまるで聞かないで、危ないことだろうと首突っ込んでいくなってあれほどいっているのに!!ここは本当に危ないんだ!!今でさえも感じる、この邪悪な気配、この地に宿る怨念、殺意、狂気・・・どれひとつとってもまともじゃねえ!!
その時だった!!

モスキートプレデター「グアアアアアアアアアアアアッ!!」

獰猛なうなり声を上げて右手にきらめく鋭いニードルをかざして襲い掛かってきた蚊と人間の女性を組み合わせたような怪物・モスキートプレデターが襲いかかってきた!!
ニードルが深々と地面に突き刺さり、次々と襲い掛かってくる!!俺が二ードルの攻撃をよけて、まず腕をはじき、次に振りかぶった拳を顔面にたたき付けてそのまま駆け上がり相手の顔面に膝けりを叩き込んだ!!そしてよろめいたところで顎に蹴りをぶち込み、一気に蹴り上げると上空に吹き飛び、ベンチにぶつかり派手に転げ落ちる。
そして、ベルトを巻きつけるとボタンを押す・・・・押す・・・・!!

暁「クリス、クロキバ、いくぞぉおおおおおおおおおおおおっ!!!」
クリス「は、はい!!」
クロキバ「うむ!!」

相棒、寝ていたところを本当にすまない!!そして、クロキバを構えてポーズをとる!!

暁「変身!!」

銀色の風が吹き荒れてワシを模した仮面ライダーヘブンへと変わり、銃剣を取り出すと飛び掛ってきたモスキートプレデターに刃を突き出し吹き飛ばすと一気に走り出して切り裂く!!そして、一気に距離を縮めて剣術を中心とする戦闘に移った。こんなところで銃なんかぶっ放したら流れ弾とか危険すぎる!!モスキートプレデターのニードルを交わしながら、ニードルをつかむとそのまま引き寄せて拳を叩き込み、殴り、骨が折れて肉が裂けてダメージを与えていく。すると、モスキートプレデターがニードルを構えて光線を発射し襲い掛かってくる!!それを避けながらベンチに乗り上げて一気に飛び上がると銃剣を槍投げの要領で投げつける!!

モスキートプレデター「グアアアアアア・・・・」
動けなくなったモスキートプレデターを前に、俺は右拳を思い切り握り締めて・・・力を溜める。すると銀色の風が渦巻きだし、やがて俺の右腕を取り巻くように渦巻きだす。そして、飛び出し一気に胸に殴りつけて風を一気に開放する・・・!!

ヘブン「ゲイル・・・・・キャノォオオオオオオン!!!!」

これが俺式のゲイルキャノンだっ!!!暴風で敵を動けなくして急所に向かって風のエネルギーを叩き込み、原子レベルで敵を粉々にぶち砕く!!モスキートプレデターが身動きが取れないまま風を受けて粉々に崩れ去っていく・・・!それを見ると、俺は再び走り出した。くそっ、予定外のタイムロスだ!!昴、頼む!!バカなことをやらないでくれっ!!
この地は・・・そんなことやらかしたらとんでもねぇことになるんだっ!!

昴「きゃあああああああああああああああっ!!!」

この悲鳴は・・・・昴!?くそっ、いったい何があったんだっ!?俺が急いで走り出したそのときだ。

「こういうのはあまり好きではないけど、ごめんなさいね。貴方・・・邪魔なのよ!ここで仕留めさせてもらうわ!」

その声とともに俺のボディに回転する円錐の槍が突き立てられ、すさまじい衝撃を受けて吹き飛んだ!地面を転がり、その先を見ると、そこには・・・・まるでスズメバチと女性が合体したような雰囲気の怪人がいた。左手には円錐状のランスが回転して唸りを上げている。

ヘブン「・・・テメェ・・・・その様子だと・・・・最後の四天王か」
セレス「・・・・・・四天王が一人、疾風のセレス。こんな形でお会いすることになるのはこちらとしても不本意だけど、貴方をここで倒すわ」
ヘブン「・・・待ち構えていた辺りを見ると・・・・そうか・・・・お前・・・・俺がここに来ることを分かっていたな。そう考えると・・・・お前・・・・昴を使って・・・」
セレス「・・・・・・・・・・」
ヘブン「・・・・・ふふ・・そうか・・・・・くはは・・・・あははは・・・・ああ・・・聞こえちまったよ・・・・・緒が・・・・・ブチキレた音がさあ・・・・・・あはははは・・・あはははは・・・・」

クリス「さ、暁!?(全身の血の気がうせて真っ青になっていく)」
クロキバ「・・・・・・まあ・・・・・そうなるであろうな・・・・しかし・・・・その(ガタガタブルブルガタガタブルブル)」

ヘブン「あははははははははははは・・・・・あぁはははははははははははは・・・・ああ・・・・・そう・・・・・・・・・・・・そんなに死にたいの・・・・・・」
セレス「・・・・・!」

ヘブン「・・・・・・・・・・・・・・・ぶっ殺す」

もう限界だ。不思議だな。人間ってマジで切れるというか怒りが心頭に達すると逆に何をするべきかはっきりするから脳がクールダウンするもんだね。俺はどこか落ち着いた、そう、こいつをまずは動けなくして、昴を助ける。そしてその後・・・・こいつには血の池地獄にでも数万回叩き落しても気がすまないなぁ・・・・・人の仲間に手を出すヤツは・・・何が何でもブチ殺すぜぇ・・・・覚悟しやがれぁあああああああああ!!!!

ヘブン「・・・・・死刑執行、いくぜぇえええええええええええええ!!」
俺の目が銀色に光り輝くと爬虫類のように瞳孔が細くなり、銃剣を振りかざすとき、敵の首に迷わず振り下ろす!!その刃に映る俺の顔は・・・敵を倒すことに楽しみと興奮を覚えている狂った獣の笑み・・・・だって・・・・許せないじゃない。人の大事な仲間に手を出したらどうなるかってこと教えてやらなきゃよぉ。あはははははははははははははっ!!ああ、戦いが楽しいなんて久しぶりの感覚だぜぇ!!!!

ヘブン「オラアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
セレス「・・・・・・ふん」

ランスと剣が激しくぶつかり合い、火花を散らし、轟音を鳴らす!!
俺はもう怒りのままに銃剣を振りまくり、敵のランスとぶつかり合い、周囲ではあらゆるものを吹き飛ばす風が吹き荒れる!

セレス「・・・・・こちらとしても不本意だけど、今の貴方、ぜんぜん美しくないわね」
ヘブン「うるさいよ、寝言はあの世でほざきなっ!!」
セレス「・・・怒りに身を任せるままか、アリスがなぜ気にかけるのか分からないけど・・・・今の貴方、どれだけ愚かかお分かり?激情のままに暴れ狂うなんて愚の骨頂。もう少し頭を冷やしなさいな」

ランスを突き立てられ俺の体が吹き飛ぶ!!すぐさま体勢を整えて一気に踏み出し、敵の目の前でとまり、右に左に動き回り死角をついた攻撃に移る!!そして、敵の隙を突いて一気に剣を振り上げて突き立てる・・・・!!

ガキィン!!!

ぐわっ!!!!な、何だよ、この体の硬さはっ!?俺の剣が・・・・全然きいてない!?
そのまま拳をたたきつける・・・・しかし・・・その硬すぎる体に俺の拳がまるで利かない!!むしろ、俺の拳のほうが・・・・ダメージがでかい!!

セレス「無駄よ・・・・この体は私が作り出した蜜蝋で固めあげた蝋の鎧・・・ちょっとやそっとじゃ砕けないわ。特に今・・・自分自身を見失ったそんなうつろな剣で何を守れるのかしらね?」
ヘブン「うるせぇ・・・・・打ち殺してやる・・・・・ぜってぇにな・・・・」

クリス「暁、引いてください!!今は昴さんのことを!!」
クロキバ「暁、落ち着け!!お前らしくないぞ!!」
暁「うるせぇっ、黙ってろ!!!!こいつは、こいつは、俺が打ち殺すんだっ!!」

セレス「・・・・・救いがないわね・・・・もういいわ・・・・ここで死になさい」
ヘブン「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

俺が叫びとともに飛び掛ったとき、その一撃を避けて、ヤツのランスがまっすぐ俺のボディにつきたてられる・・・・・!!
その刹那。

強烈な痛みと熱い感覚が襲い、ボディが爆発し、ヘブンが解除されていく。
クリスとクロキバを緊急脱出させ、俺自身の姿に戻ると、衝撃と痛みで完全に視界がブラックアウトする。そして・・・俺は・・・・空中を舞い、やがて冷たい池へと落ち、そのまま沈んでいく。
ちくしょう・・・・昴・・・・・!!

クリス「暁ーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
クロキバ「暁っ、暁ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

二人の叫びを薄れ行く意識の中で聞きながら俺は池の底に沈んでいった・・・。

同じころ・・・・。
神社のお社では気絶して倒れている昴を抱えて、ファルコンプレデターがお社を出ていた。
そう儀式をやらかす前に気絶させて、公園から遠ざけていたのだ。そしてそこへマリアとアリスがやってきた。

マリア「どういうつもり?人間なんかを助けるなんて」
フレア「聖の思い通りになるなんて冗談じゃないっしょ。あたしは誰の命令も聞かない。自由そのものが欲望だ。だから、あいつの命令も、イングリッド様の命令だろうと、気に入らないものは聞かない!それはお前たちもそうでしょう?」
アリス「・・・まあな」
マリア「建前上は・・・まあ・・・・適当にやりますけどね」
フレア「まあその儀式はあたしたちでやるからさ、うるさい人間なんて邪魔なだけ。いちいち目の前で死なれたり騒がれてもウゼェだけだしさ。こいつは公園の外のどっかに捨ててきちゃおうっと」
マリア「・・・・雨に打たれない建物の中でもね」
フレア「ああ、それじゃ、さっき見かけた派出所にでもぶち込んでおくか。ああ、そういえば、もう一人、ヤバそうなの、いたっけ」
アリス「興味ないな」
マリア「そうですね。人間なんて、所詮虫けら。どこで野たれ死のうと知ったことではない」
フレア「まあ、そうだよね。ほっとこほっとこ」

そういって、二人が人間の姿に戻るとそこへセレスがやってきた。不機嫌そうに顔をしかめている。

セレス「・・・・・ただいま」
フレア「お帰り、お疲れさん」
セレス「あー、もう、気分最悪。今日はお風呂でも入って寝ましょうってね」
マリア「どうかしたんですか?」
セレス「・・・・・ヘブン、私、倒したから。あの程度じゃ・・・話にならないわ」
アリス「あんだとっ!?どういうことだっ、ヘブンを倒したって!!」
セレス「文字通りよ・・・ああ・・・そういえば貴方の獲物だったっけ?今頃池の底にでも沈んでるんじゃないかしら?」
マリア「まあそれはそれで任務完了ですかね」
フレア「うぜぇのがいなくなったしね」
アリス「・・・ちっ!!!」

舌打ちしてアリスがその場からものすごい勢いで走り去る。自分の獲物を横取りされた怒りもあるが、自分で確かめたかった。あの獲物が、同胞に倒されたなど信じたくない。自分だけがあいつを倒していいという欲望に駆られて本能のままに走り出した。

セレス「もう・・・!私はここで帰ります。この近くのマンションだから」
マリア「はい」
フレア「おうよ」

セレスと別れるとフレアがコンビニで買ったポテチを食べながらマリアと話し込む。
フレア「そういえばさ、お前の彼氏、大丈夫なの?」
マリア「彼氏?」
フレア「暁だよ。さっき、なぜか知らないけど池から這い上がってきて、ずぶぬれの状態でフラフラしてたけど・・・・さっき言ってたヤバそうというか、もう死に掛けてた?」

マリア「・・・・・なんでそれをもっと早く言わないんですかああああああああああっ!!」
フレア「いや、でも、今時池に落ちるなんてありえないっしょ・・・」
マリア「暁くんの運の悪さならありえますっ!!」
フレア「うわ、言い切った」
マリア「どこですかっ、どこにいるのっ!?教えろ、教えないと、もう二度とお菓子買ってあげませんからねっ!」
フレア「冗談じゃねえよ!!えーっと、確か池の近くの森の中!!」
マリア「暁くうううううううううううううううん!!」

マリアが血相を変えてフレアの首根っこを捕まえるとそのまま走り出した。
フレア「おいおいおいおいおい、何であたしまでっ!?」
マリア「いいから来なさいーーーーーーーーっ!!あとで暁くんの美味しい手料理たくさん食べさせてあげるから!!!」
フレア「マジで!?乗った!!」
餌付けされたよ・・・・。

しかしそのころ、公園では聖が不気味で狂気をたたえた笑みを浮かべていた。そして、携帯電話を取り出し「4」「2」「1」「9」と打ち込み、電話をする・・・。
するとすぐ消え、やがてすぐさま通話が聞こえてきた。

その表示は・・・・「1059」。
そして、その携帯はまぎれもなく暁のものであった。それを握りつぶすと、聖がうれしそうに笑う。そして公園の池を中心に黒いもやのようなものが浮かび上がり、その中には無数の苦痛にゆがんだ顔がいくつも浮かび上がり、不気味な呪詛を口ずさんでいた。それはこの大地に宿る悪意、殺意、狂気・・・・。
その目覚めを確信し、聖が楽しそうに笑い出す。

聖「さあ、新しい地獄の始まりですよ」

続く
Next Line 「The one learnt from defeat」,今回第7話を書き上げました・・・。
今回最後の四天王、セレス・ホーネットがついに参戦、圧倒的な槍術と頑丈な蝋の鎧(体内で生成する蜜蝋の鎧のため、いくらでも出せることができる)で敵を追い詰め、風の力を使わなくてもヘブンを追い詰める実力者でもあります。

凛「美しさに対する欲望が半端じゃなくって、自分の信念にそぐわない相手は醜いとみなして徹底的に攻撃するタイプなんだと」
穏「でも、一度気に入った人間・・・・美しさというか、何事にも全力で取り組んでいくまっすぐな姿勢を美しいと思っていて、そういった努力家なタイプには惜しみなく協力するタイプ」
凛「それで今回、まさかの初敗北になっちまったな、ヘブン・・・」
穏「・・・・昴を聖に利用されたことで完全に頭に血が上っていた。そこを突かれてしまったのがまずかったよね」
凛「まあ、そして聖もついに影で動き出したってことだな。あいつは四天王を利用して事をうまく運ぶから気に入らないぜ。まあそれで、四天王の誰からも信頼されてないけどな」
穏「そして次回、ついに最後のフォームが登場する・・・・」

冷牙「大体予想がついているだろうがな、お前の実力発揮、とくと見せてやれ雷斗」
雷斗「・・・・・次回は・・・・・俺が・・・・頑張る・・・・・・」
流水「応援よろしくね−♪」

「次回もよろしくお願い異します!!」

冷牙「・・・ところで、あのお騒がせオタク女はどうした?」
流水「派出所に行ったら警察に騒がれるから、マリアの家に置いてきたって」
雷斗「・・・・・それで・・・どうして・・・・今回あとがきに出てこない?」
冷牙「騒がせたバツらしい。凛と穏が言っていた」

ということで。
今回のレス返しはアームズモンスターの皆さん、お願いします。

>列様
四天王の過去
冷牙「実はまだ、四天王には色々と過去があるらしいな・・・」
流水「その過去が今後彼女たちにどんな影響を与えるのかな?」
雷斗「・・・・四天王・・・・主人公と同じように学び成長する・・・・・」
そしてその話は次回明らかになります。そう、四天王の一人が大活躍することになるのです。

>嬉しいのは分かるけど、少しは落ち着きなって
流水「えー、でも、可愛いし強いときたらハイテンションブッチギリって感じ?」
冷牙「お前は少しうるさいんだ」

>侍
雷斗「・・・・・実はこれは・・・・・暁のことを指している・・・・・・日ごろ女性相手に対して奥手だけど・・・・・ちょっと厳しくて・・・・・まっすぐな暁だから・・・侍という感じがしっくり着ている・・・・・」

>@PF様
こっちの「セレナ」にも似たような価値観を持ったキャラが出る予定ですが、扱いの参考になるなぁ
そういっていただけると光栄です。私もいつもセレナの独特のアクションやシリアスとコメディがうまく入り混じった最高の作品を楽しみに読ませていただいております。

>悪い奴ではないでしょうけど、端々からタチの悪さがにじみ出る感じです
流水「えー、でも、可愛いじゃない?ボク、可愛いでしょう?」
雷斗「・・・・・自分で・・・・・言ってる」

>フ・ラ・グ、集めま・く・れ♪
暁「冗談じゃないぜ・・・・これ以上はさすがにギブアップだぜ」

>トレハ様
お互いの信頼関係がMAXな様子がいい感じです
冷牙「そうだな、しかし、今回のように暁が暴走するととたんにもろくなるのが難点だ」

>暁君といいヘブンは男の娘率高いなぁ。
流水「えへへへ・・・暁もボクも可愛いでしょう?今後ともよろしくね」

次回もよろしくお願いします。
近日設定を更新します。,#000000,./bg_f.gif,p12137-ipbffx02funabasi.chiba.ocn.ne.jp,0 2011年02月08日(火) 01時53分43秒,20101107003733,20110211015343,7ytRDrL5cbXHs,仮面ライダーPIRATES 【設定】,青嵐昇華,,,
【海賊:シーサーペント】

キール・D・コースト(Keel・Dame・Coast)/仮面ライダーレイヴァン
愛称 キッド

性別 ♂
年齢 19歳
身長 177cm
職業 海賊(人助け)
髪型/色 肩くらいまであるロンゲ/ブラウン
ワンポイント 海賊キャップ

世界を巡り渡るパイレーツライダー。
出会った女性には必ず声をかけないと気が済まない。スケコマシ。
基本いつでもマイペースだが、たまにペースを乱されると戻すのに少し時間がかかる。
チャラチャラしているように見えても筋だけは必ず通す正真正銘の海賊の心を持っている。
いつも羽織っているロングコートの内側には様々な隠し道具が仕込まれている。
“黙っていれば”二枚目。
(キール=竜骨、D・Coast=海岸の女神)


アリア・マドリガル(Aria・Madrigal)
愛称 アリア

性別 ♀
年齢 15歳
身長 159cm
職業 海賊(お手伝い)
髪型/色 ロングヘアー/紺色
ワンポイント 三角頭巾

気立てが良く、何事にも挑戦してみる頑張り屋な娘。
とある小さな村に住んでいたが、ラプターに浚われたところをキッドに助けられ結局は海賊船で働くことになった。
船のクルーとなってからは家事(船員の世話)で存分に腕を振い、もはやシーサーペントに無くてはならない存在になっている。
歌うことが大好きで、家事の肩手にハナ歌を歌うこともしばしば。
彼女の歌う詩はどこまでも流れて行くように美しく澄み切っている。
(マドリガル=叙情詩)


アルフレッド・カレトニア(Alfred・Caletonia)
愛称 フレッド

性別 ♂
年齢 20歳
身長 175cm
職業 海賊(操舵手)
髪型/色 後で髪を結ってオールバック/ブラック
ワンポイント 眼鏡

幼い時から兄弟のように接してきたキッドの親友。
漁師の息子で船の操縦技術はかなりのものを有している。
船に居ることがほとんどで、キッドが現地に言っている間は船番をしつつ情報収集や管制などをしている。
苦労人属性の常識人でツッコミ、フォローに回ることが多く叫んでばかりなのが最近の悩み。
楕円形の細い額縁のメガネをかけている。愛読書は経済新聞。


シーホース
機海馬族というバイクに酷似した半有機生命体。
時速200kmほどのスピードで走る(ホバーではその三倍ほど)。
ホバーモードになるとタイヤにあたる部分が横倒しとなり宙に浮いた状態で走行する。
海上や空中ではこちらの形態をとるがエネルギー消費が激しいらしい。
なお、海水の中の何かをエネルギーに変えているので燃料代はかからず懐にはとても優しい。


タイニーホープ号
居住スペースのある小さな一軒家程度の広さの小型海賊船。
キッドの祖父が使っていた漁船を改修し、海賊船として使用している。
古臭い見かけやスペースはアレだが、加速や巡航速度は速い。


【協会:ギルド】

シーラ・アステロイド(Sheila・Asteroid)/仮面ライダースピカ
愛称 サラ

性別 ♀
年齢 20歳
身長 165cm
職業 情報屋(海賊)
髪型/色 ボブヘアー/ゴールドブロンド
ワンポイント 星型のアクセサリ

瘴気と深愛のパイレーツライダー。
幼少期から夢見がちなところが強く脳内お花畑であり、ふとした拍子にスイッチが入ると妄想の世界に入り込んでしまう。
その際に内容が口を通してダダ漏れになることもしばしば。毒電波。
それでいて名家の生まれで育ちはよく基本的に何でも人並み以上に器用にこなせて、容姿端麗と・・・無駄にハイスペックな分とっても残念な人。
(アステロイド=小惑星、ヒトデ)


【海賊:竜宮-タツミヤ-】

ゴウ・キリシマ(霧島・濠)/仮面ライダーカトラス

性別 ♂
年齢 19歳
身長 176cm
職業 海賊(代行)
髪型/色 後ろ髪だけ伸ばし結ったもの/青
ワンポイント 眼帯

世界を翔け抜けるパイレーツライダー。
人を思いやる優しい心と困難に立ち向かう屈強な精神力を持つ。
永く世界の狭間を彷徨った先で巨大な竜と接触、意識を失いこの世界へと飛ばされる。
元の世界に霊的によく似た高天原では“珀羅”への変神も可能だが、その他の場所では不可。
手元に残っている器は“爪”のみで他の2つ(4つ)の行方は捜索中。
最終決戦で片目に傷を負った為、眼帯を着用している。
(濠=城を守る水堀)


エレナ・クェーバー(Elena・Quaver)/仮面ライダースクィーレ
愛称 レン

性別 ♀
年齢 16歳
身長 161cm
職業 家事手伝い(海賊)
髪型/色 ロングヘアー/ライラック
ワンポイント チョーカー

因果の鎖に縛られたパイレーツライダー。
森でひっそり祖母と一緒に暮らしていた。
他人や暗闇に強い恐怖心を持ち、限界を越えると豹変し、変身して獣のように暴れる。
祖母の依頼でやって来た濠に連れられ、行動を共にするようになった。
基本的には臆病で引っ込み事案だが、信用した相手にはよく懐く。
最近では、少しずつだが外にも目を向けるようになって来ている。
甘いものは好きな様子。
(クェーバー=震え声で歌う)


イズミ・シラサワ(白沢・湶)

性別 ♀
年齢 23歳
身長 167cm
職業 姫(船長)
髪型/色 ストレート/青掛った白
ワンポイント 日記帳

東海の島国、高天原の姫。
東海圏を代表するほど美女なのだが喋り方はどこか中性的。
城の水堀に何処からともなく降って来た濠を発見、消失した弟と思い込み介抱する。
濠が目覚め事情を知った後も義弟として城に置き、本当の姉のように接している。
凛としていてきっちりとした性格だが、濠よりも物腰は柔らかい。
航海日誌とは別に趣味で日記を書いている。
生まれつき身体が弱く、本来なら城から出るのもよくないはずだが・・・
(沢≒澤)


キョウゴ・オオミネ(大峰・恭護)

性別 ♂
年齢 17歳
身長 169cm
職業 鍛冶屋
髪型/色 ツンツン頭/黒
ワンポイント 作務衣

将軍家お抱えの鍛冶屋『雷鳴堂』で働く、明るくて色々超元気な青年。
白沢の若君の白沢剴の幼馴染で悪友。
霊力はそこそこ在り、まだ若いが霊鋼の加工など非常に優れた技術を持っている。
一度大破したカトラスの鎧を改修、濠の為にトツカブレードを作った。
濠からの信頼は厚く、真空-マカラ-の整備なども任されている。


大竜宮(オオタツミヤ)
海賊竜宮が使用する船。
高天原近郊の海底から採れる特殊金属、日緋色霊鋼‐ヒヒイロメタル‐を隅々まで使った超一級品。
金属自体は極軽量、手触りもよく、かつ加工しやすいが東海域で信仰されている霊力‐レイリョク‐と言う特殊なエネルギーを通すことでもの凄い硬度を得る。
大きさにしてはかなり軽い為、巡航速度も中々のもの。




【企業:メッシーナ・コーポレーション】

グレイス・メッシーナ(Grace・Messina)/仮面ライダーレネイド

性別 ♀
年齢 16歳
身長 160cm
職業 社長(海賊)
髪型/色 ツインテ・カール/ローズピンク
ワンポイント ツインドリル(ぇ

人や流れを引き付けるパイレーツライダー。
キッド以上に並外れた洞察力を持っており、ある程度の情報が集まれば大体の筋が掴めてしまう。
その為か彼女がいれば大抵のことがなんとかなることが多い。
なお超大食乙女で、自身の体積を上回る量の食べ物をぺロリと平らげる。
その細身のいったい何処に入るのだろうか、海の七不思議になっている(ウソ
(メッシーナ=海妖達の住む海峡)


ランドール・ダイタロス(Randall・Daetalus)/仮面ライダークラック
愛称 ランディ

性別 ♀
年齢 16歳
身長 157cm
職業 技術屋(海賊)
髪型/色 ショート/ブラウン
ワンポイント/ツナギorネクタイ

“海賊”の謎を解明しようとするパイレーツライダー。
メシコンの技術開発部主任で、通常業務の合間を縫ってレイヴァン等のライダーシステムの研究解析をしている。
サーベレイバー等、後付けタイプの武装開発や固有武器の整備なども行っている。
服装や口調などはボーイッシュであるのだが、本人は女の子を自称(ぉ
上司と部下ではあるが、それ以上にグレイスとは親友同士。
(ダイダロス=巧みな工人)





【ラプター】

400年前の戦争で生み出された頑強な兵隊。
鋭い爪や牙、そして堅い皮膚を持っているのが特徴。
終戦後、製造は中止されたはずだが、今もどこかで造られ続けているようである。
ラプターによっては自身の遺伝子を操りヒトのような形を取れるものもいる。


【マフィア:サラマンダー】

ディーノ(ダイノ・ラプター)
性別 ♂
年齢 外見30歳程度
身長 198cm
職業 マフィア(首領)
髪型/色 撥ねの強い長髪/ワインレッド
ワンポイント 頬の傷

はみ出し者のラプター達を束ねたマフィア“サラマンダー”の首領(ドン)
戦争の時に生み出された第一世代のラプターで海賊達とは幾度も交戦したことがあるらしい。
キッドからは年寄り扱いされているが外見は老けてはいない。
ラプターの中では意外にモテる方でキッドが邪険しているのはそのためかもしれない。
とある目的から“セイレーンの歌声”を欲している。


レティ(パイソン・ラプター)
性別 ♀
年齢 外見20代後半程度
身長 173cm
職業 ?
髪型/色 軽めのハーフアップ/ダークグレー
ワンポイント 網タイツ

謎の女ラプター。
正確にはサラマンダーに所属してはおらずどこかの研究者のようだが、よくディーノの部屋に出入りしている。
他のラプターからはディーノと唯一対等に話せる姐御として尊敬されているらしい。
白衣の下にはYシャツとタイトスカートに網タイツを好んで着用している。


リザード・ラプター
サラマンダーではもっとも低い地位にいるラプター。
どんなにムチャな仕事を押し付けられても逆らえないのは下っ端の辛いところである。
ラプターの中でも同種が最も多く製造されており量産型のラプターと言える。

カメレオン・ラプター
戦後400年の間に開発された割と新しいラプター。
身体の透明化させる能力を持つが、知能や腕っ節などマフィア構成員に要求されるものが破滅的に足りない。
生産コストが高いので、数は多くはない。


【傭兵:ブルームペイル】
キルシェ・クエーバー/仮面ライダーアイギス

性別 ♀
年齢 21歳
身長 172cm
職業 傭兵
髪型/色 ショート/ホワイト
ワンポイント レザージャケット

ヒトとラプターの交配種、ハーフラプターの女。
金を稼ぐ為、幼くして傭兵となり今まで技を磨いてきた。
人間と、自分を含めた全てのラプターを憎み嫌っている。
(キルシュ=さくらんぼ)


【不明:アンノーン】

??・????(??・?)/仮面ライダースレイヤ
通り名 ゴースト

性別 ♂
年齢 ?歳
身長 176cm
職業 ??
髪型/色 後ろ髪だけ伸ばし結ったもの/青
ワンポイント サングラス

謎の男。各地で目撃されていたという“亡霊”の正体。
都市(?)伝説と言う声もあったが、幽霊船でキッドと遭遇、直後に交戦する。
幽霊船事件の後、目撃情報もほとんどなくなる。




【マスクドパイレーツライダー】

『仮面ライダーレイヴァン』
【海竜-シーサーペント-】の力を秘めたパイレーツライダー。
接近戦から銃撃戦まで幅広く戦闘をこなせる武装
どんな状況にも柔軟に対応することがバランスのよさを持つ。
キッドの性格からトリッキーな戦法を取ることが多い。

○主な武装『サーベレイバー』『レイバスター』
>シードラゴンという海上最強の生物の牙から作られたサーベル。
堅いラプターの皮をも切り裂く。ベルトの左サイドに収まっている。
>上下の幅が大きいショートライフル。
ノーマルモードでは実弾を発射する。ベルトの右サイドに収まっている。
○必殺技『カスケードプランジ』『ダイバーメイルストロム』
>レイバスターのセカンドモードで高出力の粒子光線を発射する。
ほんの数秒だが最高出力では海を割る程の威力を持っている。
>時の波から後押しを受けた超高速の蹴り。
その一瞬に蓄積出来る以上のダメージを叩き込む。
○リバース【DF-ダイバーフォーム-】
時の波に飛び込み、流れに乗ることで超高速移動を可能にする形態。
装甲を軽量化する為、防御力が著しく低下する。
内部に蓄積されている圧縮酸素を捨てるので加速空間を利用するのは息を止られるほんの数分が限度。(本当に何もしなければ20分以上は潜れる)


『仮面ライダースピカ』
【海星-ヒュドラ-】の力を秘めたパイレーツライダー。
武装が銃器である為、中〜長距離の戦闘を得意としている。
接近してしまえば怖くない・・・という考えも浅はか。
うかつに懐に飛び込めば任意で散布されている超電磁波に絡み付かれ行動不能にさせられる。

○主な武装『スターボゥランチャー』
電光の矢を放つ弓の付いたライフル銃。
長距離射撃の直射モードと、短距離誘導の追尾モードに切り替え可能。
○必殺技『ライアットブラスト』
弓を展開した直射モードの最大出力で、特大の光槍を撃ち込む。
○リバース【HF-ハイドラフォーム-】
八機の無線砲門“コメットポッド”を操る形態。
ポッドの全てが脳から発せられる微量な電気信号を読み取って動き、高圧電流を纏って突撃、またはランチャーと同出力の電気砲弾を放つ。
操作には常に思考を動かす必要があるため脳への負担、精神的消耗は大きい。


『仮面ライダーカトラス』
【海翼-ケートス-】の力を秘めたパイレーツライダー。
近接戦闘が主体でトツカブレードでの接近戦と石包丁のように凝縮した霊気を投躑、爆破する攻撃を得意とする。
ライダーシステムは過去に一度大破しており、装甲は改修、武装は新たに濠用に製造された。

○主な武装『トツカブレード』
東海で採掘される日緋色霊鋼で作られた剛剣。
刀身が拳十を繋げたくらいの長い剣で、シンプルな造りの分頑丈さに秀でている。
剣の名を持ってはいるが両の刃が綺麗に潰されていてそのままでは斬ることが出来ない。
○必殺技『ハーケンゴースト』
ブレードを霊力で覆い強化、円の力で一閃、または霊力を放出し斬りつける技。
○リバース【PF-ペルセスフォーム-】
背後の翼が展開され長時間の飛行を可能とする形態。
翼を展開する時レイヴァン同様装甲をパージする為、防御力は落ちる。


『仮面ライダースクィーレ』
【海狼-スキュラ-】の力を秘めたパイレーツライダー。
数多くの銃火器を操り、他のライダーを一線凌駕する圧倒的な火力を持っている。
暴走時は常に、獣のように凶悪な殺気と怨霊のような紫のオーラを放っている。

○主な武装『ヘルハウンズ』『ツインケルベロス』『カラ&アステリオン』など
>大きめの散弾銃。基本的にメインとなる武装。二丁ある。
一旦飛び散った弾丸は一点を穿つように集まるため噛み付いたような弾痕が残る。
>六門のガトリング砲。速射性と破壊力に優れる大型の砲台。
足を止めて辺りを一掃する時に用いられる。
>二丁拳銃。取り回し易い小型の銃。
懐に飛び込み強襲する場合に有効的なサブウェポン。
○必殺技『カタラクトダンパー』
コーティングしたエネルギー弾の雨を浴びせ標的を蜂の巣にする。
○リバース【KF‐ケルベロスフォーム‐】
全ての武装を起動させつつ、移動を可能にした超攻撃型の形態。
基本形態の時には使用出来なかった大型キャノンなど多くのオプションも設置される。
ただし、重量はかなりのもので機海馬本来のスピードは完全に死んでいる為、移動速度は歩くよりは速い程度。


【??】

『仮面ライダースレイヤ』
【黒竜-ニーズヘッグ-】の力を秘めた正体不明の仮面の戦士。
暗黒色の装甲を持ち、全身から禍々しいオーラを放つ。
形状はカトラスに近いが、リバース形態ではなく最初から翼が展開されている。
○主な武装『バルムンク』『ノートゥング』
妖しげな黒い光を放つ二本の刀。
刃が荒く、斬るのではなく削ぐように相手の装甲、命を削り取る。
両側から挟み込み、噛みちぎるように切断する。
○【オーバードライブ】
装着者に作用し、一時的に戦闘力を異常に高める。


『仮面ライダーアイギス』
【白竜-ヨルムンガンド-】の力を秘めたラプター製の仮面の騎士。
水銀のような淀んだ輝きをした堅固な装甲を持つ。
形状はレイヴァンに近いが、やはりリバース形態はない。
○主な武装『クリュサオル』『ペガセウス』
>貫いたものを硬化、石化させる黄金の魔剣。
傷口から特殊金属を流し込み、細胞を侵食する。
>天馬の名を持つ高機動型の機海馬。空中を自在に翔ける。
○【オーバードライブU】
スレイヤのシステムを参考に度々改良されたOD-オーバードライブ-。
装着者に作用し、一時的に戦闘力を異常に高める。



,『海賊』の設定です。
これから随時更新していきます。
小ネタバレは反転-リバース-させると見えます。
携帯だと普通に見えるのかな?

2/08 更新,#000000,,i60-35-78-42.s02.a040.ap.plala.or.jp,1 2010年11月07日(日) 10時19分19秒,20101106091956,20101110101919,UxuvhanVhKR9A,仮面ライダーヘブン 第6話,鴎,,,第6話 「Dancing sniper」

(暁視点)
大雨が降り、視界も雨でほとんど見えないし、足元も気をつけないと水で滑って転びかねないきわめて最悪の環境下であるダムの点検用広場、俺とシャークプレデターの戦闘が始まった。

ヘブン「くっ!!」
シャークプレデター「はあああっ!」

銃剣と青龍刀が激しくぶつかり合い、火花と金属音が高く響きあう。
お互いに武器と武器のぶつかり合いで互いに精神力と体力のみが消費していく。しかしあいつの体力や精神力がどれほどのものかそれは未知数だ。ここは踏ん張り時か!?

互いに振り上げる刃と刃が激しくぶつかり合う。そして、俺が銃剣を前へと突き出すとそれをはじいて、前へと切り込んでくる。それを避けるが青龍刀の猛攻は止まらず、俺の顔をかすり、頬を切り裂く。痛みが走り、血が少しばかり飛ぶ。くそっ、仮面越しでもこの破壊力かよ!?さらに加速して剣を振るい、銃剣で防ぐのがやっとになる。

暁(クリス、すまねぇっ!!ブースターシステム作動だ!!)
クリス(了解です!!)

背中の翼が開き、銃剣を突き出してシャークプレデターをはじくと、空中に舞い上がり銃を構えてそのまま俺の意識がクリスへと変わる・・・。

(クリス視点)
背中の翼を広げて一気に舞い上がると銃口を下にいるシャークプレデターに向けて一気に銃弾を発射する!!銃弾は下にいるシャークプレデター目掛けて突き進み、確実に捕らえた!!!


シャークプレデター「甘いですよ」

そういって、剣を振るうと彼女の周りに水が波打ちだし、やがて鏡のように平面になると銃弾を・・・弾き飛ばした!?


シャークプレデター「銃弾など、激流の前では無意味ですよ」
ヘブン「くっ!!」
シャークプレデター「そして、こうです!!」

剣を突き出すと無数の水流が槍のように尖って一気に飛び出してきた!!
それを翼を使って空を飛び回り避けるけど、あまりの数にもはや反撃さえままならない!!

シャークプレデター「だから、おとなしく下がっていてくださいよ。研究の邪魔さえしなければ生きて返して差し上げますよ・・・今だけはね。まあ、たかが下等生物の命です。いつか死ぬことを恐れて怯えて震えて生きていくのがお似合いですよ」
ヘブン「・・・生きることは・・・・そうよ・・・怖いことがいっぱいある。明日の自分さえどうなるのか分からないから怖いこといっぱいあってどうしようもないときもある。でも、それを怖がってばかりいたら明日なんて、未来なんて切り開けないわっ!!」

そうよ。
そう教えてくれた人がいるから!だからこそ、怖くても前に進んでどんな困難があっても乗り越えた先にある自分が望んでいる未来をつかみたい!!

暁とクロキバさんと一緒に笑って生きていけるあの暖かい時間を。

ヘブン「いきますっ!!」

銃口を構えて次々と銃弾を乱射し、シャークプレデターのバリアに弾かれても諦めないで打ち続ける!!ここで引けば、逃げればよかったのかもしれない。いったん引いて作戦を考えればいいのかもしれない。でも、今の言葉だけは許せない!!

どんなに怖くても、未来が見えなくても、私たちはただ震えて怖がって怯えているだけじゃない。少なくとも、暁とクロキバさんはそうじゃないっ!!

暁「そりゃそうだ、クリスとクロキバはそんなことねえよ」
クロキバ「うむ、暁とクリスはそんなことはないぞっ!!」

え・・・?
二人が声をかけてくれた。その言葉には力強い熱さがこもっていて・・・。
ああ、そうですよ。
いつもこの3人で支えてきて、どんな困難をも乗り越えてきたんだから。

暁「クリス、クロキバ、いつも言ってるだろ?俺たち3人はよ・・・」
クロキバ「うむ・・・そうであったな」
クリス「・・・はい!!」

暁「俺たちは・・・」

「「「世界最強の3人組!!!3人で1人!!仮面ライダーヘブンっ!!!」」」

3人の声と魂がひとつになり、私の顔に笑みが浮かぶ。そうよ、私の背中には暁とクロキバさんがいるんだ・・・!!

ヘブン「はああああああああああっ!!」
一気に急降下を仕掛けて銃口を構えて銃弾を撃ちながら突撃し、それにまぎれて銃剣を突き出し、連続で突き出す!!

シャークプレデター「何?」

ヘブン「はあああああああああっ!!やあっ!!たあああああああっ!!」
バリアを刃で切り裂き、そのまま一気にシャークプレデターを切り裂く!!
青龍刀でふせいでも、もはや遅かったようですね。一筋の光が上半身を切り裂き、火花が飛び散る!!そのまま休まないで次々と切り裂き、突き出し、反撃のすきさえ与えない。

そして、一気に突き出すと、それがシャークプレデターを吹き飛ばす!!やった!!

シャークプレデター「きゃああああああああああっ!!」

シャークプレデターが地面を転げて、壁にたたきつけられる。
銃剣を構えなおして、銃口を向けてクロキバさんがトリガーに噛み付くと、魔力が装てんされる・・・。


セレス「ちょっと、かなりまずくない・・?」
フレア「おいおいおいおい、マリアかなり強いんだぜ!?あいつら、まさかうちらが予想していた以上に強いってことかよっ!?」
アリス「ふん、やはりそうではなくてな。手ごたえがないと、つまらない」


(マリア視点)
どうなっているんですか・・・!?
私のパワー、スピード、技、どれをとっても今のヘブンとは断然違うはずなのに!?
どうして私が押されているんですか・・・!?

アリス(マリア、ヘブンは強い・・・・。お前の理屈じゃ図れない強さをあいつらが持っているからな)

そういってアリスさんがどこか楽しそうに言っていたのを思い出す。
何よ、何なの、その強さって!?私にはないとでもいいたげだった。
私にない、知識なんてあるものか!私は、私は知識を追い求める求道者として、この世界の知識をすべて貪るために吸血鬼になったのに、数百年の間、ずっと知識を研究し、情報を得て、私は・・・選ばれた存在になったんだ!私だけの力で得たんだ!!

アリス(あいつと会って・・・私は初めて知ったよ。今の自分はまだ・・・・弱い。でも強くなってあいつと拳を交えて、もっと強くなるんだ。それが・・・今は楽しくて仕方ない)

アリスさんがそういって、自分を弱いといってそれを楽しんでいる節が理解できない。
弱かったら強くならなければいけないじゃない。じゃなきゃ負けるんだから!!
楽しんでいる前に己の無力さを嘆くものではないですか?所詮無力なものなど、弱きものなど、力がなければ、無能だったら、切り離されて人生の落伍者として見捨てられるのがオチでしょうよ!!

私は・・・そんなの嫌だった!!!だって・・・それで・・・・私の・・・。


―「新しい実験体は例の村の民だって?」
―「片田舎とはいえ、学者の出らしい。これは期待ができる」
―「ああ、これで実験が成功すれば我らはまた新たなる知識を得る。そして、神に等しい力を得るのだ」
―「死なない肉体を持つ不死身の兵士・・・これが完成すればわが国の軍事力においてもはやほかの国など恐れるに足らず」
―「捧げよ肉体を!!与えよ知識を!!神をも凌駕するのだ、我ら人間こそが!!」
―「マリア、この実験が成功すれば、私たちの名前は永遠に語り継がれるのだ!!神が与えた死という運命さえも超えた神なる存在に!!」
―「お姉ちゃん・・・僕たちすごいことするんだね!!これがうまくいったらほめてくれる?うまくいったらお姉ちゃんごほうびに美味しいご飯作ってね!!」

そして・・・。
血に染まるおびただしい空間・・・・。
床に飛び散った大量の血・・・。
そして魔方陣が描かれた床の真ん中には・・・。

無数の臭いにおいを放つ黒いカタマリ・・・・。
もはや何であったかさえもわからない・・・真っ黒焦げになった肉の塊・・・。
でもその中にあったものが・・・それが何であるか教えてくれた・・・・。

私が作った・・・・お守りのピアス・・・。
私とつがいの・・・・サメのピアス・・・・・・。
それは・・・・弟にあげたはずの・・・・実験の手伝いで父さんに連れられていったはずの弟の・・・・・。

ああ・・・そうか・・・・。
私たちの家族は・・・・人体実験にかけられて・・・結局は失敗して・・・・。

―「また失敗か」
―「まあ、所詮は一般市民、我らのように優れた頭脳や知識がない選ばれざる愚民、ゆえに肉体が分解、再構築の原理に耐え切れなかったのでしょう」
―「まあ、いい。処分しろ」
―「さて、次はどこの村の民に協力を願いましょうか・・・」
―「お国のためだ。いくらでも協力してくれるさ。栄誉と金を与えてやるんだ。文句はおろかお礼をいただかないとな」

私の横を通り過ぎていく「国」に「選ばれた研究者たち」が笑いながら言う。
ああ、そうか。
選ばれない限り、こうして惨めな死を遂げるんだ。
父さんも、学者の出で頭はよかったけど、片田舎の学校の先生でいいレベルだったし、弟も頭はよかったけど、所詮は子供だ。だから、そんな人生だから、力も知識もないから、いいように実験材料にされるんだ・・・・。

いつかは私もこうして死んでいくなんて・・・そんなの・・・・そんなの・・・!!!
自分が弱いなんて・・・・知識も力もないなんて・・・・!!

シャークプレデター「認めるものかああああああああああああああっ!!」

だから、人間を捨てて、吸血鬼になって・・・!!
ここまで来たんだっ、今更、引けるものかああああああああっ!!

シャークプレデター「うおおおおおおおおおおおっ!!」
ヘブン「きゃああああああああっ!!」

私は負けない!!!
強くならなければ、知識を得なければ、生きていく資格さえないって、切り捨てられるって知っているから!!!!そうやって、他人を犠牲にして進化を遂げられないこの愚か極まりない世界を生き残るために!!!

シャークプレデター「お前なんかに何が分かるものかっ!!!強くなければ、生きていくことさえ許されやしない、命さえも他人が生きるか死ぬか選べることへの理不尽さが、明日はわが身かもしれないという恐怖が、お前に分かるまい!!!私は切り抜けてきたんだ、切り開いてきたんだよっ、たった一人でねえええええええええっ!!」

そして、手を突き出すと水で作り出した巨大なサメを作り出し、一気に解き放つ!!!

シャークプレデター「私の抑えてきた、殺してきたはずの感情を、呼び戻すなあああああああああああっ!!!!忘れてしまいたいんだ、感情なんて、過去なんて、全部消え去ってしまえばいい、もう二度と取り返しなどつかないのだから!!!!」

サメがダムを食い荒らし、木々を砕き、ヘブンに襲い掛かる!!
いいわよ・・・そのまま食らい尽くしてしまえ!!!!
みんな、みんな、何もかも、皆消えてしまええええええええええええっ!!


(ヘブン視点)
暁「何がどうなってるんだよっ・・・・・クリス、俺と代われ!!召喚魔法を使う!」
クリス「はい!」
クロキバ「こういうときは・・・」
暁「あいつだぜっ!!」

そういって、紫色の弾丸をとり、クロノストリガーに装てんして撃つ。
紫色の魔方陣が浮かび上がり、それを俺の全身を取り巻く・・・。

ヘブン「魔獣召喚!!チューンシューターッ!!!」


クロノポリス・屋上にあるテラス。
そこのベンチで寝そべって音楽をヘッドホンで聴いていた一人の少年が起き上がる。
茶色のショートカットをして、琥珀色の瞳をきらきらと輝かせている、可憐であどけない顔立ちをしている小柄で華奢なその姿は一見美少女のようにも見える。そして少年は起き上がると楽しそうに笑う。いわゆる「男の娘」だ。

流水「にゃああ、ボクの出番だねっ、暁っ、今すぐいっくよー♪きゃははははは」

そしてクルクル踊りながらびしっとポーズを決めるとその姿に紫色の半魚人の姿がかぶり、やがて光へと変わっていく。

流水「イッツ・ア・ショータイム!!!」


そして紫色の光がヘブンを包み込むと、マスクアイが紫色に光り輝き、手には半魚人が変形した銃「チューンシューター」が握られると、右半身と胸の部分が魚を模した紫色の甲冑で覆われていく!!

ヘブンCフォーム「きゃはははは♪」

楽しそうに笑いながら銃を構えて、照準を合わせると、ステップを踏みながらまるでダンスを踊っているかのようにして、トリガーを引いた。

銃口から放たれた無数の銃弾は縦横無尽に空間を飛び交い、シャークプレデターを追い詰めていく!!一撃で重戦車をも吹き飛ばすほどの破壊力を秘めた水鉄砲は破壊力もかなりのものだ。シャークプレデターが青龍刀ではじくが、もはや避けきれず裁ききれず直撃して吹き飛んで地面を転がる。

シャークプレデター「きゃあああああああああああああっ!!」

銃弾を受けて、あまりにも重い一撃にシャークプレデターが地面を転がり、壁に全身を激しく打ちつけてみじろぎする。

しかし、ヨロヨロと壁を伝って立ち上がり、青龍刀を構えなおし、力を入れる。

シャークプレデター「・・・・・はああああああああああっ!!」
ヘブンCフォーム「・・・およ?まだ、やる気?」
シャークプレデター「・・・・お前などに・・・言われなくてもな・・・・私だって分かっているさ。過去にとらわれて未来を切り開くことを恐れることが愚かなことくらい。でも、でも、でも、忘れられない、過去から目をそむけ続けたって、振り切れない自分の弱さなど、一度感じてしまったらそれは一生の十字架なんだ!!そんなことくらい、分かっているんだ!!!」

何だろう、こいつ・・・。
すごく、すごく悲しい。さっきまでの冷静さが嘘のように感情に任せて激情を叫んでいる。
でも分かるんだ。こいつ、やり場のない怒りや悲しみを、俺なんかには想像もつかないまでに深く傷ついた過去を、今、腹の奥底から叫んでいる。
さっきまでの冷静さも、そうでもしないと、自分の心や感情さえも殺してしまわなきゃいられないほどに何がそこまであいつを追い詰めているんだ・・?

流水(暁!)
暁「あ、流水?ごめん」
流水(もう暁の悪い癖だよっ!!今は戦いなんだよ?勝つか負けるか、生きるか死ぬか、その二つなんだから!余計な感情なんて考えている暇なんてないっしょ?)
暁「・・・ごめん」
流水(・・・まあ、それが暁のいいところでもあるんだけどね♪今君が感じたその感覚、もしあいつが何か救いを求めているのなら、きっと役に立つ。君の優しさは時にもろく頼りないけど、でも、強い力に変えられることができるから、忘れないでね♪)
暁「あいつが・・・・救いを?」
流水(まあ、今はかるーく撃退して、石板ゲッチューしなきゃでしょ?一気に済ませるよ!そしたらその後デートにでも誘って聞いて見ればいいじゃん♪きゃははははは♪)

クロキバ「おしゃべりが過ぎるぞ、チューン!!」
流水(はいはい、オッサンもうるさいし、一気にいきましょー♪)
クロキバ「・・・お・・・・オッサン・・・・・(全くお前というヤツは!)」

トリガーをクロキバにかませて、魔力を充填すると、紫色の満月が浮かび上がりその光を受けて銃のまわりに水流が集まりだし、やがて巨大な銃弾となっていく!!
ヒレの部分が回転しだし、銃弾の周りに激流が渦を巻きだし敵を捕らえる!!

ヘブンCフォーム「舞うように・・・行くよ♪」
シャークプレデター「うああああああああああああああっ!!」
ヘブンCフォーム「スプラッシュキャノン!!」

トリガーを引くと、水流が巨大な竜の姿となって巨大な口を開いて一気に飛び掛りシャークプレデターを飲み込み、そのまま激流の圧力と魔力を受けて、シャークプレデターが胸から巨大な火花を噴出して吹き飛んだ!!

シャークプレデター「きゃあああああああああああああああ!!」

シャークプレデターが吹き飛び、ダムの下へと落ちていった。あの様子だとしとめることは出来なかったか。流水め、もしかして、俺に気を使って・・・?
シャークプレデター・・・・またどこかで会うことになりそうだな。
さてと、今は石板を見つけないと。

流水「仕方ないな、今回は出血大サービス!!ボクに任せてよ!!」
そういって、流水が変身した紫色の魚と人が組み合わさったようなモンスター、チューンとなってダムの中へと潜っていった!!この激流渦巻くダムの中でも、あいつならプール感覚で泳いで調べられる。もう今はあいつに託すしかない!!

(チューン視点)
大雨で土砂交じりのきったない水だなあ・・・。
まあ、こんな水の中くらいどうってことないけどね!でも、さっきのあいつまるで、暁に、いや誰かに「助けてくれ」って言っているような気がするんだよね・・・。
まあ、そんなことどうでもいいけど。

ダムに沈んだ村はもはや見る影もないね。まあそりゃそうだ。普通はそれが当たり前。でもさ、だからこそ不思議なわけだ。一つだけ崩れてない木造の祠なんてさ!!
そこを見たら・・・・おおっと、ありました!!
この石板だね!石板を回収すると、一気に祠が崩れだす。そしてそのまま泳いでダムから飛び出して暁に近寄る。

流水「あったよー♪」
暁「よっしゃあ!!!ありがとう、流水!!」
流水「お礼は暁特製のらぁめんがいいなっ!!とんこつ醤油仕立ての横浜風!!」
暁「よしっ、作ってやるよ!!」
流水「わーいわーい!!!やったあ!!!暁、だぁいすき!!!きゃははははっ!!」

暁のらぁめん美味しいんだよね!!
ああ、楽しみだよな・・・!!さーてっと、まずは帰って待ちますか!!
暁に挨拶を済ませると、ボクは帰ることにした。

(暁視点)
これが石板か・・・!!
教科書ほどの大きさの石の板には、なにやらわけの分からない文字や記号が刻まれていて、さっぱり分からないが・・・。
あとで、これはアメジストさんやダイヤさん、クロキバに解析を頼んでみよう・・・。
とりあえず、今はここを離れよう。

暁「・・・・あれ?」

ダムを離れようとバイクをまたがったところで、俺の目に何か映った。
それは、よく目を凝らさなかったら見えなかったかもしれない。
でもそれはなぜか、俺にはよく見えた。

黒い物体・・・・あれは・・・・スーツ?
スーツを着込んだ・・・・・人か?
人!?あの姿はどう見ても倒れているじゃねえか!!

そのときだった。

「緊急警告!!緊急警告!!紋白川上流堤防決壊!!!堤防決壊!!直ちに避難してください!!繰り返します!!紋白川上流堤防決壊!!堤防決壊!!直ちに避難してください!!」

暁「やばい!!鉄砲水がこっちに押し寄せてきているんだ!!くそっ!!」
クリス「暁!?」
クロキバ「どうするつもりだ!?」
暁「人だったら放っておけないだろうがよっ!!」

そういって、俺がバイクにまたがり、一気に・・・ダムの奥へと壁を下って一気に急降下する!!!ダムの壁が濡れていて、滑りそうだけど、こうなったら根性と集中力だ!!!

暁「冷牙―――――――――――ッ、頼むぜ!!!」
冷牙「正気か!?一日に2回も召喚などしたら、貴様の身体は無事じゃすまんぞっ!!」
暁「・・・それでも、放っておけない!!!頼むぜ!!!!」
冷牙「・・・・とことんバカだなっ!!いいだろう、今回だけ付き合ってやる!!」

冷牙が宿り、そのままヴォルファスフォームに変わり、青い風がマシンフレスベルグに宿り、さらなる高速移動能力が備わり、一気に地面へと降り立つ!!
そして駆け寄ると・・・それは・・・!!

暁「・・・・マリア・・・さん!?マリアさん!!」

間違いなくマリアさんだった。
スーツはボロボロで、髪も乱れていて全身ずぶぬれで、意識を失っている。呼吸はしている・・・気を失っているようだ。そういえば、ダムの調査に来ているって言っていたけど、まさかさっきのサメ女たちとの騒ぎに巻き込まれて!?もしくは調査中に怪我をして!?
くっ、考えている暇なんてない!!
後ろには俺たちを飲み込もうと巨大な激流が一気に押し寄せてきやがる!!

俺がマリアさんを俺の身体に縛り付けると、一気にエンジンを噴かせると翼を展開して壁を一気に駆け上がる!!!そしてウイングを展開して、タイヤを引っ込めてブースターを飛び出させると、地面に向かって凄まじい勢いで銀色の風を噴出す!!そして車体が浮かび上がり、飛行形態に変形したマシンフレスベルグを操縦して一気に舞い上がるとさっきまで俺たちがいた場所はもはや激流に飲まれていた・・・。

マリア「う・・・うう・・・・」
マリアさんが苦しそうにうめいている。よく見ると全身怪我しているみたいだな・・・。
しかも雨に打たれているから体力が落ちているのか顔色も悪いし・・・!

暁「しっかりしろっ!!マリアさん!待ってろ、必ず助けるから!!死ぬなっ、大丈夫だからっ、しっかりしろっ!!」

クリス(・・・暁が・・・こんなに激しく取り乱すなんて・・・・!)
クロキバ「暁・・・・お前まさかこの者のことを・・・?」
暁「分からないよ!!でも、俺、この人にすごく世話になってる!!この人が教えてくれたこと、すごく面白くて楽しくて、一緒にいるとすごく暖かくって・・・!!俺、この人、死なせたくねぇっ!!助けてぇっ!!守りたい!!」

もうテンションに身を任せているのもいいところだろう。
しかし、もう一度堰を切った感情はもはや止まらない。

暁「絶対死なせねええええええええええええええ!!!!!」

俺はこの人のことを・・・・・好きなんだよっ、恋とかそういうんじゃなくて、もっとなんていうか、放っておけないんだよっ!!!


そのとき、一瞬だけマリアが意識を少し取り戻したのか、目を開く。
そこに映るのは・・・・。

マリア「・・・・・・アルト・・・・・?」
ここにはいないはずの、永久に会うことなど二度とかなわない弟の名前をつぶやく。
死んだはずの、人体実験にかけられて無残な肉の塊と化したはずなのに・・・?
いや、この人は・・・・?

「お姉ちゃん・・・!」
「マリアさん・・・!!」

「「しっかりして!!」」

え・・・・?私を助ける・・・・?
私のことを・・・・助けに来てくれたの・・・?
この人は・・・・暁くん・・・・?!
弟の優しかった最後の笑顔が暁くんにかぶって見える、暁くんの声が弟にかぶって聞こえる。

ああ、そうか。
私がなぜ、人間なのに、暁くんのことがこんなに気に入っているのは・・・。
彼の笑顔が、屈託のない純真さが、手料理を作ってくれる優しさとか、世話焼きで、背伸びしていて、本当はちょっぴり子供っぽくて、さびしがり屋で、それでも仲間思いで、熱い心を持っていて・・・。

そんな君が弟のようで・・・・。
それが嬉しかった。そして、今気づいた。私は感情を殺したはずだったのに・・・・過去と一緒になかったものにしてしまえば嫌な過去も忘れられると思っていた。でも、そうじゃない。本当は・・・・さびしくてさびしくて仕方なかった。一人じゃいられないんだ。もう、限界だったんだ。彼が年下なのに、こんなにも惹かれていたんだ・・・!

私の寂しさ、苦しみ、全部ひっくるめて包み込んでほしいと身勝手な思いを無意識に思うまでに。

私が覚えているのは・・・そこまで。



(マリア視点)
まぶしい光が差し込んでくる・・・。
うっすらと目を明けると、私はどこかに寝かされていることに気づく。
ゆっくりと起き上がると、そこは・・・無機質な白が広がる部屋。
治療器具とか置いてあるところを見ると、ここは病院かしら?
手が・・・暖かい?
何かが私の手を握っているのに気づく。見るとそこには・・・・。

マリア「暁くん・・・?」

暁くんが手を握り締めたまま、ベットに頭をもたげて眠っていました・・・。
頬には絆創膏をはり、額には包帯を巻いて、入院着を着込んでいるところを見ると、彼もまさか私を助けるときに・・・・!?

顔を見ると、それはとても優しく純真無垢な赤ちゃんのような寝顔・・・。
ずっとこうして手を握って心配してくださったのですか?
ああ・・・・なんだろうこの感覚。彼を見ていると、忘れたはずの感情が目覚めていく。
この感情の高ぶり・・・・伝えずにはいられませんね。

暁「・・・・んあ・・・・・?にゃああ・・・・」

寝ぼけ眼で起き上がり、ぽけーっとしたような感じで暁くんが起き上がる。
そして私を見て、安心したかのように笑顔を浮かべている。そのときの笑顔は・・・私の心を優しく和ませてくれるほどのすごく素敵な笑顔・・・・。
ああ・・・・もう・・・本当に・・・・可愛い・・・・!!

暁「・・・・マリアさん・・・・無事でよかった・・・・」
マリア「・・・・・・・・・・暁くん・・・・・!」

思わず私は暁くんを抱きしめていました。
小柄で華奢な身体はすっぽりと収まって、あどけなくかわいらしい顔立ちが「ふえ?」と寝ぼけている様子で私を見ている。ああ、もう!!

マリア「・・・・暁くん・・・・・私にはね・・・・・弟がいたの、昔。今はもう死んじゃったけど・・・君が弟のように見えるの。君がまるで、弟が生き返ってくれたかのように、私を見てくれているかのように・・・・思えるんです・・・・」
暁「・・・・うん」
マリア「・・・・暁くん・・・・私と今後とも・・・・お友達として付き合っていただけませんか?私、ずっと弟が死んでから自分の感情や過去を忘れようとして・・・研究に没頭して・・俗世からも人付き合いからも逃げ続けてばかり・・・・でもそのままじゃ今の自分が、弱いままで、前に進めないってことに気づいたんです。それも敗北という苦い経験から学んだことですが、今の自分を変えたい・・・そのために・・・・君ともっと一緒にいたい・・・・お願いできませんか・・・?」

そう、あのクリスとかいうイマジンがいっていたとおり。
未来を切り開くことを怖くないヤツなんかこの世にいない。でも、それでも、このままじゃいけない。このまま何もかもから逃げてばかりなんていられない・・・!

暁「・・・うん・・・・いいよ・・・・俺も・・・・マリアさん好きだし・・・・」
マリア「・・・・・暁くん!!!いいの?こんな私なのに、いいの?」
暁「うん、いいよ・・・・えへへ・・・・」
マリア「・・・・暁くんっ!!!」

思い切り抱きしめ、唇を見て、私も顔を近づけて・・・。
唇と彼の瑞々しい唇が重なる・・・。

ちゅっ・・・・くちゅる・・・・・ちゅっちゅっ・・・・。

とても優しいキス。甘くて優しくて心から安心できるキス・・・・。
吸血鬼が永遠の愛情を誓うキス「マーキング」・・・。
あなたのこと・・・・・絶対逃がさないからね。
彼を抱きしめながら、そう私は誓った・・・。

こうして、意識もおぼろげながら・・・。
暁の背中には青いサメの紋章が宿り、第2のマーキングを受け入れてしまったのであった。

数日後、そのことに気づいた暁は「いったいどこの誰が、いつの間にやりやがったんだっ!!」と大混乱したのは言うまでもない。

続く
Next Line「Samurai Desperado」

,今回第6話投稿いたしました。
新登場したチューンフォーム、これは水中戦と射撃戦に特化した戦士で、今後も銃撃戦では更なる活躍をお見せいたします。
そして、今回明らかになった四天王がかつては「人間」であり、それぞれに「過去」のとある事件がきっかけで吸血鬼となったエピソードがあるということ。今後、セレス、フレア、アリスの過去も明らかになっていきます。そして、お互い正体を知らないまま、マリアにマーキングされてしまった暁。これより、マリアも正式にメインキャラ決定となりました。今後の彼女たちの暴走振りも応援よろしくお願いいたします。

凛「さて今回も坊主は悲惨極まりない展開になっちまったな」
穏「・・・・・・・モテる男はつらいものよのう」
昴「今回、新しく登場したね、チューンフォーム!水中戦を得意としている明るく元気なスナイパー!そして彼に憑依する流水くん、いつも明るくハイテンションだけど、戦闘においては歴戦の戦士としての貫禄を見せるよね」
凛「そして今回明らかになったマリアの正体・・・それが元人間だったっていうこと、作者の設定によると数100年前に人間の死体の肉と肉を組み合わせて儀式で魂を吹き込むことで不死身の兵士を作って戦争の軍事兵器に利用しようとしていた科学者たちの犠牲者になっちまった家族の死体を目の当たりにして、それを無価値なごみ同然に処分されちまったことが彼女のトラウマになっちまったんだ。それ以降、過去を忘れるために、感情を殺して、自分は世界中のすべての知識を手に入れて、何もこれ以上奪われないように必死になっていたんだな・・・」
昴「そして、暁くんに助けられたことで暁くんが憎き敵ヘブンであることも知らずに友達になり、友愛の証としてマーキングをしてしまった。これ、正体ばれたら絶対ひと悶着ありそうだよね」
穏「・・・修羅場は軽くいきそう」
凛「だわな。それじゃあ、次回、今度は第3の石板を求めて大暴れするぜ。次の四天王は誰がいいんだい?」

次回もよろしくお願いいたします。
,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,1 2010年11月04日(木) 20時06分58秒,20101104200658,20101107200658,UsiDzkv3eCZQE,仮面ライダーヘブン 第5話,鴎,,,第5話 「The hand discovers it the borrowing.」

星見市高原の丘の上にある喫茶店「フォーシーズンズ」。その近くにはかつてこの町の名士である華族が住んでいた避暑用の古びた洋館が人知れずあった。
昼間でさえも日の光がわずかに差さない鬱蒼とした森の中はひんやりとした空気に包まれており、その奥にある荘厳な二階建ての洋館がこの森の主であるかのように存在している。

かつては図書室として使われていた大きな広間には、あふれかえるほどの本で埋め尽くされていて、その真ん中で妖艶な色香を漂わせる美しく知性的な雰囲気を漂わせる美女、マリア・シャークエッジがソファに寝ころびながら本を読んでいた。
読みつくした本の量はもはや数知れず、数十冊以上の本が傍らに積み重なっており、読んでいる本の種類も分厚い辞典から週刊誌、漫画に専門書、理数系の専門用語が載っているマニュアルなどもはやジャンルすらも問わない。それを読み終えるたびに傍らにおいて、また読み出す。時々机に置いてあるコーヒーやサンドウィッチを口にする以外はずっと本を読みふけっているのだ。

これこそが彼女の欲望「探求心」「知識欲」というものである。
「知りたい」「学びたい」「勉強したい」「成長したい」という異常なまでに膨れ上がる好奇心を彼女は「読書」と「研究」というやり方で発散しているのだ。一見理知的のようにも見えるが、それは目的のためならばいかなる手段をも問わない危うさも秘めている。

マリア(・・・・セレスさんが言っていた石板。あれは1枚限りではない。あれは間違いなく時の列車、原初の列車のある場所や時代を指し示している石板。情報の漏えいを恐れて列車の封印とともに石板も封印されていたと聞いていましたが、まさかこの町で見つかるなんて。でも、妙だわ。どうしてそのことを聖が知っている?私たちを蘇らせたこと、アヴァロンの一族にうまく取り入るための手段とも言えるかもしれないし、まさか、今回のこの事件、私たちの知らないところで違う何かが動いている?そうだとしたら、石板をただ見つけて回収することだけでは、真実にはたどり着かない?それに、聖やイングリッド様の目的は何なの?エリザベート様にしたって、イングリッド様を蘇らせることで頭がいっぱいのようにも見えるし、イングリッド様はそれを利用して私たちを手ごまのように動かしているようにも思える節がありますね・・・)

ようやく今読んでいた「治水の研究」の本を置くと、眼鏡をかけなおし、スーツを着て、部屋を出て行く。自分が見つけ出した「疑問」「謎」を解き明かすべく。

マリア「アヴァロンに四天王、こんなものに何の価値もないわ。私はただ知りたいだけ・・・私の夢を・・・・私だけの“百科事典”を作り出すためにも・・・!!そのために、まあありがたく利用させていただきますよ、この地位や名誉もね」

彼女にとって「アヴァロン」や「四天王」の地位さえも「知識欲」の前には何の価値もない代物であるかのように、ほくそ笑んで部屋を出て行った・・・。

私の夢は、誰にも邪魔させない。


そして彼女が向かった先には、「フォーシーズンズ」があった。

マリア「・・・・その前にさすがに3日間何も食べずに読みまくったのはこたえますね・・・お腹空きました・・・・少しコーヒーとパンでも食べましょう・・・(グギュルルルル・・・)」

もはや空腹で倒れる寸前で、本能的に食事に向かったのであった。そうなる前に行け。
(研究に没頭しすぎてそれ以外が全くダメになるタイプ)


マリア「・・と・・・トーストセット・・・・一つ・・・・ああ・・・(グギュルルル・・・)」
暁「いらっしゃいませ・・・・って、マリアさん!?まーたぶっ倒れる寸前まで読書してたのかよ!?」
マリア「おや、この声は暁くんではありませんか。大丈夫ですよ、ちょっと3日間くらい徹夜してダムの本を読んでいただけです。今度、ちょっと最中ダムまで研究の一環で出かけるので、必要最低限の知識を持っておかないと」
暁「それで本人がぶっ倒れてたら世話ないだろ?もう、分かった。奥に俺が夜食用に作っておいたスープあるから、それご馳走するよ。ほれ、しっかりしろって、全く、大丈夫かよ?」

(暁視点)
全くこの人は・・・。
この人はマリア・シャークエッジ。本人曰く「イギリスからの帰国子女で、知識の見聞の旅をしている学者の卵」と言っている。世界中を回って色々な学問の研究をしているらしい。確かにこの人は頭がいい。それに人当たりもいいし、礼儀正しいし穏やかで物腰柔らかいし、時々俺が疲れていると「大丈夫ですか」といっては飴や健康にいいというお茶とかくれたりするから、俺的には結構好きだったりする。
だから、仕事終わった後、彼女が住んでいる洋館に時折差し入れでコーヒーや夜食を作りに行ったりしてる。なんていうか、彼女と話していると色々と知らないことや面白い話が聞けるから俺はマリアさんと話しをするのが結構楽しみだったりする。穏や凛、昴たちも彼女の気さくで穏やかな人柄をすっかり気に入っており、この店では大切な常連様としてお客様として、そして気心の知れた友人として親身に接している。特に昴とはパソコンのプログラムとか調べ物とかで彼女に惜しみなく知識を提供するため、親友のように話したりパソコンをいじったりしている。
だけど、欠点というのが一度興味を持つとほかの事に何も興味がなくなるというか、全く目に入らなくなる、意識から抜け落ちる、そのために徹夜でぶっ通し読書や研究をしまくって、ぶっ倒れる寸前でうちの店に来て食事をしていくのがもはや日課だ・・・。
いい人だし、俺のこととかみんなの事を気遣ってくれるし、物知りで色々と教えてくれるし、ほっとけないよな。

マリア「・・・ああ・・・美味しい・・・!!」
マリアさんが俺が作った巣篭もり風ブレッドコンソメスープとパン、サラダに自家製ジャムとバターとマーマレード(全部俺が作ったヤツな)、苺を砂糖で煮詰めたものを特製ヨーグルトに乗せたデザートを美味しそうに食べている。満足そうな笑顔がとてもうれしく思える。

暁「よかった」
マリア「暁くんは本当に料理が上手ですね。どこかのお店で働いていたんですか?」
暁「両親が共働きだからさ。レトルト嫌いだし、両親が病気にならないように俺に何ができるか考えて、まあ、栄養管理とか俺が支えようと思って、それなりに勉強しただけ」

昔からそうだったしな。
ファンガイアの王としてファンガイアと人間の共存という途方もない理想を果たすべく政務やファンガイアという種族の存在を理解してもらうためにビショップとクイーン、ルークの4人で世界中走り回っていて、仕事で家に帰ってきたことなんてほとんどないし、従者のファンガイアとかが世話に来てくれたけど、誰かに世話になりっぱなしなんてどうにも自分が何も出来ないままでいるようで嫌だった。だから、料理や洗濯、掃除とか自分がこの家を守ろうと決心し、小学校4年生から一人暮らしのような感じだ。
いつか二人が家に帰ってきたとき、いつでもくつろげる場所であるように・・・。
俺がしっかりしなくちゃな。


暁「まあ・・・・大したこと出来てないし、まだまだ学ばなきゃいけないこと多いからな」
マリア「・・・・学ぶとは?」
暁「色々さ。しっかりとした一人前の男になって父さんや母さん、そして、俺の大切な親友たち、同僚とか、何か困っていたら力になれるようになりたい」
マリア「・・・・誰かのために・・・・出来ること?」

暁(クリスやクロキバ、凛たち、母さんに父さんがいなかったら・・・)

マリア「君は不思議な人ですね・・・。どうしてそのようなことを考えられるのか」
暁「ははっ、気にしないでいいよ、ガキの言うことだしな」
マリア「いいえ、非常に興味深いです。どうして、誰かのためにそんなに熱くなろうとするのか、優しくなれるのか、強くなろうとするのか・・・私は知りたいです」

意味深な表情で考え出し、マリアさんが思考にふけっていく。
まあ、俺自身もどうすればいいのかなんて分からないけどな。

こうして、マリアさんとの夜の食事は終わった。

暁「・・なんだかクリスみたいだよな、マリアさんって」
クリス「いきなりどうしたんですか、暁?」
暁「いやさ、話していると安心できるというか、つい甘えたくなるというか」
クリス「ふえっ・・・!!!あ、いや、その、あの、ありがとうございましゅ・・・えへへ♪」
暁「たださ、不思議なんだよ。なぜか、人との触れ合いとか、誰かのためにやろうってことが不思議でならないっていつも言っているし、どこかクールでミステリアスだよな」
クロキバ「ほう、暁が他人にそこまで興味を示すとはな」
暁「・・・まあ、なんていうか、気になるっていうかね」



翌日。放課後に教室でいつものようにダベっていると、穏から信じられない話が告げられた。
暁「この間の博物館爆発騒ぎの犯人が、この町にいるだって!?」
穏が言い出した言葉に俺たちが唖然として聞き入る。
その事件とは、前回の話で襲撃された英国博物館で鳥の怪人によって展示されていた石板が盗まれ、爆発騒ぎが起こったという騒ぎだ。まあ真実はあのフレアとかいうガキ(アリスいわくあの鳥怪人はフレアの手下らしい)が起こしたイタズラ花火というはた迷惑なものだったんだけど、まさか石板を盗んでいたとは。

穏「・・・それだけじゃない。この騒ぎ、今回だけじゃなくて、第二、第三まであるみたい」
凛「マジかよっ!?」
昴「どうして?!」
穏「・・・・・・あいつらの会話録音していたら、博物館のほかに、まだ狙いのものがある場所を言っていた」
凛「それって、どこなんだよ?」
穏「・・・・・・くちなし池公園と、最中ダム」
昴「・・・・博物館と、自然公園と、ダム。つながりも何もなさそうだけど・・・」
穏「・・・・そこに石板があると言っていた」
凛「確か博物館から盗まれたものも石板だったよな・・・・?」
昴「どうしてそのことを警察に言わないの?」
穏「・・・・・・・・今後の諜報活動がやりにくくなる」
暁「・・・・バレたらお前が捕まりそうだもんな」
凛「そりゃ、否定できねぇわ」
昴「うん・・・・・」
暁「というか、お前、まさかくちなし池公園でも盗撮とかやってねぇだろうな?」
穏「・・・・・失敬な(ぶんぶん)」
昴「本当?」
穏「・・・・・・・・・神に誓って(きりっ)」
凛「この間撮ったアベックがイチャついている写真、あれ、くちなし池写ってなかったか?」
穏「・・・・・・・・・カマをかけても無駄(ふっふっふっ)」
昴「教えてくれたら暁くんのパンティあげるけど」
穏「あそこは絶好のアベックがイチャつき放題のスポット。おかげで隠し撮り写真のネタには事欠かない聖地にして行き着けの場所(即答)」

暁「アホか、テメェらああああああああああああああああああっ!!!!しかも、人のパンツ、何どこから持ってきやがったあああああああああああああっ!!」

昴のアホが!!!いったいどこから人のパンツなんぞ持ってきたんだ!?そういえばこの間干しておいた洗濯物が足りないと思っていたら、こいつがくすねておったか!!ちくしょう、珍しく家事手伝うとか言ってくれたから助かると思ってお願いしたのに!!
穏と昴をドロップキックでぶっ飛ばし、パンツを取り返すと、俺はかばんに押し込める。ああ、もう、こいつらは本当に・・・・!!

凛「お前ら、それ、犯罪」
穏「・・・・・・暁のほうがひどい」
昴「いくらなんだって、下着ドロボーくらいでかよわい女子相手にドロップキックかまさないよねっ!?しかも本気で!!!」
暁「・・・お前ら、やってることがことごとく犯罪者ギリギリアウトなくせに何を抜かしてやがりますかぁあああああああっ!!!」

ああ、もう、本当に泣きたくなる。
本当にこういったバカしかいないのか、俺の周りには!?
いや、クリスにマリアさん、凛は・・・だいぶましなほうだ。

それに、その情報気になるな・・・。
最中ダムにくちなし池公園か。最中ダムはここからかなり離れた場所にある山間部にあるんだよな。くちなし池公園は30分くらいでつく。でも、離れている場所を先に休みを使ってじっくりと調べてみる必要があるな。

暁(クリス、最中ダムとくちなし池に関する情報、第2諜報部隊の人たちに調べてもらえる?)
クリス(琥珀さんとアメジストさんですね。かしこまりました!!)


さてそれから1時間後・・・。

最中ダム。
山間部に位置する巨大なダムは連日の大雨による増水で、上流が波打つ激流となり緊迫している空気に包まれており、山間から吹く強風が雨を受けてダムや木々に激しく打ち付ける。

ダムの上からその様子を見ていた琥珀とアメジストは息を呑む。
琥珀「この長雨・・・・かなりやばいな」
アメジスト「川の堤防ももう限界まできているらしいわね。調査を早く切り上げるに限るわ」
琥珀「しかし、ダムの周辺を探し回ったけど、石板らしきものはないな・・・」
アメジスト「ダムの周辺、廃村跡、麓の寺社・・・・どこにもないわね」

そういいかけたとき、二人の目があるものを捕らえた。
その視線の先には・・・・ダムの付近をうろつきまわっている一体の異形。
それは、女性の体つきをしている姿に角が所々生えている巻貝を組み合わせたような姿をしているヤドカリのプレデター、ハーミットクラブプレデターだ。
そして、ダムの近くに行くと、水の中に飛び込んだ!!!

その様子を見ていた二人があるひとつのまだ探していない場所を見つけて唖然とする。

アメジスト「・・・・そういえば、ダムの底、昔は村があったらしいわね」
琥珀「・・・そうだよ、盲点だった。ダムの貯水池になっている廃村があったんだ」
アメジスト「敵が調べているってことは・・・」
琥珀「可能性がある・・・ってことだな」
アメジスト「こうなると、暁とアクアマリンに連絡したほうがいいわね」
琥珀「ああ、それともうしばらく敵の動きを確認しよう」
アメジスト「ええ・・・」

シャークプレデター「覗き見とは感心しませんねえ・・・」

後ろから声と同時に水の三日月型の刃が飛び出し、二人に向かって放たれる!!

琥珀「うおっ!!」
アメジスト「きゃあああああっ!!」

二人が吹き飛び、ダムへと急降下して地面に着地する。すると目の前にサメを模した怪人・シャークプレデターが現れた。二振りの青龍刀を持ち、悠然とした足取りで歩み寄る。

琥珀「くそっ、いくぞ、アメジスト!!」
アメジスト「ええっ!!」

腰にベルトを巻きつけると、パスを通す!!
オレンジ色の光と紫色の光が飛び交い、二人の姿を戦士の姿へと変形させていく。

琥珀・アメジスト「「変身・・・・!!」」

「Assasin form」「Phantom form」

暗殺者と奇術師、二人の歴戦の戦士たちが立ち、それぞれ武器を身構える。

Asバルキリー「さあ、尋問タイムだ。おとなしく聞かせてもらうぜ、お前らの目的をな」
シャークプレデター「嫌だといったら・・・?」
Asバルキリー「お仕置きタイムに・・・ようこそってところか?」

Pバルキリー「貴方・・・私の闇に染まってみる?」

二人が同時に飛び出すと、ハーミットクラブプレデターも飛び出し、アサシンフォームに襲い掛かり、シャークプレデターにハルバートを振り下ろしたファントムフォームと、それを青龍刀で受け止めるシャークプレデターが対峙する。

シャークプレデター「ふふっ・・・諜報専門の戦士の戦い方・・・・研究させていただきますね」

ハルバートを振り上げて襲い掛かると、それを青龍刀で受け止め、もう片方で切りかかり、それを避けると飛びのいたファントムフォームを逃がさんとすばやく駆け出し迫る。ハルバートの横なぎの一撃を飛び避けると、そのまま蹴りを繰り出し、頭部を何度も何度も蹴りつける!!

シャークプレデター「やあっ!!はあっ!!だあっ!!」

蹴りを受けてファントムフォームが吹き飛び、地面に転がるが、同時に手を開き無数のトランプを放ち、それが目くらましのようになり視界がふさがる。
しかしシャークプレデターは落ち着いている。

シャークプレデター「目くらましですか・・・・。なるほど、奇襲としては常套ですね。こういう場合、上か、もしくは後ろか、それとも・・・・」

かすかに聞こえる水音・・・。
呼吸、鼓動、不規則なリズムが入り混じる。

そして、前方から突き出されたハルバートを受け止め、驚きで目を見開かれているファントムフォームを見て笑みを浮かべる。ファントムフォームは信じられないといったように驚きをあらわにしている。

シャークプレデター「奇襲と見せかけて正面から・・・ですか。ですが、視界を防いでも、足音とか気配が悟られたら意味ありませんよ・・・?」
Pバルキリー「くっ・・・!!」

ハルバートを掴まれて動けない彼女を裏拳で吹き飛ばし、ファントムフォームが吹き飛び地面に転がる。何とか立ち上がろうとする彼女を冷たい瞳で見下ろしながら静かに近寄る。

シャークプレデター「面白い手品ですね。それでは、私もお恥ずかしながらお見せしましょう。貴方の子供のお遊戯とは違う、技をね!!」

すると地面にあった水が盛り上がり、見る見る無数の分身へと姿を変えていくではないか!!水から生み出した無数の分身が一気にファントムフォームに襲い掛かる!!
多数の猛攻にファントムフォームがハルバートを防いで切りつけるが、分身は水となってはじけ飛び、消えていく。しかしあまりの多さと、四方を囲まれているため、どこからか攻撃が来るか予測ができない!!


一方。
クナイとハンドトマホークでハーミットクラブプレデターと対峙しているアサシンフォームも苦戦を強いられていた。分厚い貝の鎧はなかなか傷つかない上に、敵の耐久力もかなりのもので、先ほどから何度も攻撃を続けてもまったくきいていないのか、右腕の貝のドリルを高速回転させて対抗してくる。その一撃はダムの地面を一撃で穴を開けてしまうほどである。素早さがウリのアサシンフォームも避けながら攻撃するヒットアンドアウェイ戦法を繰り出すが、スタミナがだいぶ消耗されていく。

Asバルキリー「くそっ!!!このままじゃまずい!!!!」
ハーミットクラブプレデター「グオオオオオオオッ!!」

ドリルを回転させて、地面に突き立てると同時に地面を転がり、ドリルが地面から抜ける前に手からネットを発射して動けなくし、動けなくなると、素早くパスをバックルに通す!!

「FULL CHARGE」

シャークプレデター「何ですか?」
Pバルキリー「今だ、隙あり!!」
Asバルキリー「ああ、いくぜ!!」

アサシンフォームが投げ渡したパス、そしてその位置まで一気にシャークプレデターを踏み台にして飛び上がるとパスを通し、紫色の光が全身を渦巻く!!

「FULL CHARGE」

Asバルキリー「一気に決めるぜ!!」
Pバルキリー「はあああああああああああっ!!」

二人が挟み込むように二体を挟んで一気に攻め込み、クナイとハンドトマホークをバツの字に構えてオレンジ色の光となって突撃し、ファントムフォームが両足を広げて紫色の光を帯びてそのままハーミットクラブプレデターとシャークプレデターに攻撃を仕掛ける!!

「「これで終わりだっ!!」」

ハーミットクラブプレデター「ぎゃああああああああああああっ!!」

火花を受けて大爆発するハーミットプレデター。しかしシャークプレデターは水柱となってはじけ飛ぶ。

Asバルキリー「これも、偽者!?」
Pバルキリー「本物はどこ・・・?」
シャークプレデター「ここですよ」

二人からかなり離れた位置からシャークプレデターが出てくる。気配を感じさせないあたり、これまで戦ってきたのは全て分身であったらしい。戦っている様子を高みの見物していたらしい。そして、吹き飛んだ部下の残骸を見て、顔色ひとつ変えずに冷静につぶやく。

シャークプレデター「ふむ、今後の諜報活動においては、耐久力やいかなる戦術にも対応できる知識と経験が部下には必要ですね。いいデータがとれました」
Pバルキリー「データ?まさか、あんた私たちの戦闘力のデータを盗むために部下を見殺しにしたの?!」
シャークプレデター「部下?ああ、そこの“それ”?こんなもの、ただの“実験道具”ですよ。代わりなんていくらだっていますしね。まあ、貴重なデータを得ることができましたし、彼女の役目はここでおしまい、ってところですね」
Asバルキリー「・・・・!!テメェ・・・・腐りきってやがる・・・・・!!情けも心もあったもんじゃねぇな!!!」
シャークプレデター「情け?心?情?・・・ふむ、そうでもありませんよ?最近は一人だけ、人間の男の子に興味を持っています。彼になら全てを委ねてもかまわないと思うくらい・・・・最近は心が熱く激しく彼のカラダを、ココロを追い求めている。ただ、なぜか、彼は自分よりも他人のために何かしようという不思議な思考を持っていて、それがなぜそこまで熱くなれるのか非常に興味深い。それ以外になど、興味なんてない。私の知識を満たすための実験道具でしかない。せいぜい利用させてもらうわ。使えなくなったらまた新しいものを用意すればいいのですから」

部下でさえも実験器具呼ばわりして、使い捨て感覚で見捨てる。
自分の欲望のためならいともあっさりと見放し、殺されても顔色ひとつ変えず、己の欲望のみに忠実な態度に、二人の怒りがもはや爆発寸前にまで膨れ上がる。

その時だった。

ヘブン「お前・・・・ムカつくな・・・・!!」

怒りで震える静かで重く低い声が飛び、振り返ると、そこにはマシンフレスベルグにまたがったヘブンがいた。仮面越しでもわかるように全身から激しい怒りを噴出している。

琥珀「暁!」
ヘブン「琥珀さん、アメジストさん、あとは俺に任せろ。こいつだけは・・・どうにも許せない!!」

バイクで一気に走り出しシャークプレデターに突撃を仕掛け、すれ違いざまに銃剣を繰り出し、それを青龍刀で受け止め、火花と轟音が鳴り響く!!
そして、バイクを止めると、降りて銃剣を振りかざし一気に走り出す!!

シャークプレデター「おや、アリスさんの旦那様ですか。私にまで手を出すつもりですか?」
ヘブン「余裕かましているヒマなんて、与えないぜ!!覚悟しやがれ!!」

銃剣と青龍刀の刃が激しくぶつかり合い、火花と轟音がダムに響きあう!!

ヘブン「部下をもの呼ばわりしやがって・・・・仲間をゴミみたいにあっさり捨てやがって・・・・!!!お前・・・・自分が何やったか分かっているのか!?」
シャークプレデター「何を怒っているのか分かりませんね?所詮実験器具なんて実験以外何も存在価値がないでしょう?私がどう使おうと関係ありません」
ヘブン「・・・・この、野郎ォオオオオオオオオオオ!!!」

(暁視点)
もう完全にブチキレた。
自分の部下や仲間を見殺しにするようなやつ、自分以外の命をなんとも思っていないやつ、俺は大嫌いなんだよっ!!!!!ぶん殴ってぶっ飛ばして二度と侵略なんて馬鹿なこと考えられないようにするまで痛めつけないと気がすまない!!!!
その上琥珀さんとアメジストさんをここまで痛めつけやがって・・・・・!!!

ヘブン「許さない・・・・お前だけは許さねぇぞおおおおおおおおおおおおっ!!」
シャークプレデター「激情にかられるだけですか、所詮その程度では私には勝てませんよ」

銃剣の攻撃を青龍刀でふさがれ、もう片方の剣の一撃で吹き飛び、たじろいだところへ奴が放った水流弾が地面に当たるたびに爆発し、水柱を上げる!!
しかしそれでも俺は銃剣を振り上げて一気に走り出す!!

ヘブン「仲間を大事にしねぇヤツなんざ・・・・俺はそんな奴らに好き勝手させられねぇ!!!絶対に許さない!!うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

シャークプレデター「分かりませんね・・・なぜそんなに他人のために怒れるのですか?」


その様子を見ていたセレス、フレア、アリスの3人が見ていた。
セレス「今度はヘブンも年貢の納め時かしら?」
フレア「じゃねえの?マリア、強いし」
アリス「・・・・・・ちっ」

アリスがその場を去り、苛苛しながらタバコをくわえて吸い出す。
ライターの炎を見て、その炎に暁を思い浮かべる。

アリス「お前はそんな簡単にくたばらない・・・私だけが分かるんだ。暁、お前はここでくたばるようなヤツじゃないよ」

続く
NEXT LINE 「Dancing sniper」
,あとがき
凛「仮面ライダーヘブン第5話を見てくださった読者の皆様!」
昴「いつも熱いご声援!!」
穏「・・・・ありがとうございます」

今回から、あとがきでこの3人組を登場させます。読者の皆様のご感想やご意見を取り入れ、今後の作品活動に取り入れてヘブンを盛り上げていきたいと思っております。

凛「今回の話のポイントを説明するぜ。まず、新しく登場した四天王の一人、シャークプレデターことマリア・シャークエッジ。知識欲を追い求める四天王で、この世の知識をすべて学んで自分自身がどんな知識や情報をも精通している百科事典になろうとしているのが彼女の夢らしい。しかし、一度熱くなるとほかの事に興味を示さないのが欠点。今回の話のとおり空腹で倒れる寸前まで読書しているしな」
昴「そんな彼女をプレデターとも知らずに、暁くんは放っておけないらしくて、いつも無料でご飯ご馳走しているんだよね。暁くんが珍しく気に入っているらしいの」
穏「・・・・女の教師に初恋する小学生のような憧れに近い感情を持っている」
昴「そして、彼女は最近興味を示しているのが“他人のために一生懸命になれる”こと。もしかしてそういった感情が理解していないから、部下も平気で見殺しにしちゃうし、誰かに対する興味がほとんどないというか、そういったことを知らないらしいね。それを激怒するヘブンの行動にも理解できないみたいだし」
凛「そんな中でも暁に興味を示したのは、もしかしたら何かの変化の予兆なのかもしれねぇな」

凛「そして今回のポイントは石板の正体が何であるかだよな」
穏「・・・・・作者によると、第9話で明らかにするらしい」
昴「それまでに残りの石板を手に入れるために戦うってことだよね。そして今回、ダムの周辺には何もなかったらしいけど・・・・いったいどこにあるんだろうね」

そして次回、新しいフォームが登場します!!

凛「それじゃあ、レスを返すぜ」

>烈様
凛「いつも応援ありがとうございます。烈様の暁、クリス、クロキバ、そして星さん、今後ともよろしくな」
穏「・・・機会があったらお話とかしよう」
昴「ボクたちで答えられるようなことならどんどん質問してね!」

>暁「……いや、いくら何でもほど過ぎだろ? 今回の話での【ヘブン】の俺の不幸っぷりって; 何気に昔の母さん(慧)よりも性質が悪い感じなんですけど!?」

凛「確かにな。でも作者によると、これから先さらに受難だらけになりそうだと」

>星「凛嬢の方はあっちの暁の事をただの弟分としてしか見ていないって感じがしたが、実際はどう何だ? それに【ヘブン】の暁のほうはほうで自分が凛嬢に抱いている“想い”に気づいているのか?」

暁「凛は小学校のころからの親友で、いつも大人びているししっかりしているし、何かあったら俺に任せろって感じの頼りになる姉さんのような存在だったんだ。でも今はもう俺も高校生だし、男として守れるようにならないとな」

凛「・・・俺は・・・坊主のことが男として、弟として、大好きなんだ。たださ、どうやってうまく思いを伝えればいいのか分からないというか、言葉が詰まっちまうし、恥ずかしくなってショートしちまう。でもいつか、ちゃんと告白して思いを伝えようと思っているよ」

>穏
穏「・・・・・・・暁の女装写真は高く売れる。だから、全神経集中していい写真を作らなければならない。ほかの雑念など考えている余裕はない」
昴「要するに忘れていたんだよね」

>@PF様
凛「仮面ライダーセレナ、いつも楽しく読ませていただいております!」
昴「ちなみに、作者は一番セレナさんと鷹音さんのペアがお気に入りとか」
穏「・・・クロさんセクシー過ぎて、いつも登場楽しみにしている」

>死ぬ事は墓場行きとは言うけど、何で墓場は墓場でも人生の墓場的な話になってるんだwww

暁「まだ17の身空でこれだよっ!?ホンット泣きたくなるぜ・・・・!」
アリス「いいじゃない、永遠の快楽と不老不死の命を持つことが出来るんだから」

>なん…だと…フォームチェンジする度に財布が軽くなる…だと?

暁「実はもう一人いるんだわ。俺の家計を圧迫させる大食らいがな・・・とほほ」

>トレハ様
穏「仮面ライダー鉄は名作・・・・。第2号ライダーの登場や己徹さんたちの暴走っぷりがテンポがよくって面白い・・・」

>初見で全くと言っていいほど違和感を感じなかった辺り、僕もフレア様と同レベルのおバカなんだと思います。

凛「まあ、晴れやかな笑顔で死を迎える心構えって思うのもある意味哲学だよな」

>いや着るんだ!?とツッコミつつ僕は断然似合ってれば性別なんて問題無いサ派なんですけどね!

暁「いや、そこは全力で止めてください!!!マジ泣きそうなんでっす!!!」

>と、いうことは、暁君は猫耳メイド服姿でファーストキスを奪われたってコト!?
暁「・・・・・・そうだよ・・・・・・・」
アリス「ふふっ、美味しかったなあ・・・・暁の唇。しかも見た目もかなり可愛いし、もう、最高だな」

次回もよろしくお願いいたします。
,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2010年11月03日(水) 22時46分34秒,20101103224634,20101106224634,T93EO9Rw/s04A,仮面ライダーPIRATES epU 『放浪』,青嵐昇華,,,



あたり一面が濃い霧に覆われていた。
普通なら見晴らしの良いはずの海の上であるのにもかかわらず妙に視界が悪い。
漂って来る風は薄ら寒く、なおかつ肌に纏わりつくようなひどく不快な感じであった。
ここで命を散らした死者達が暖かさを求めて生者に群がっているのだと、そんな錯覚さえしてくる。

幽霊船調査の依頼を受けたシーサーペント一行はそれが出没するという海域に到着していた。
バイク型の半有機生命体、機海馬シーホースで偵察に行こうとキッドが海に出たまさにその時のこと。
キッド達の海賊船‐タイニーホープ‐の直ぐ脇、深い霧の中から大きな船影が姿を現した。


「オゥ、ゴーストシップのお出ましか。随分デカイな・・・」

キッド達の船とは比べ物にならない大きさ・・・それこそ客船と呼べるサイズだ。
事前情報通りレーダーにはやはり何も映っておらず、霧が濃い為に肉眼でも近づかれるまで気付くことが出来なかった。
フレッドの舵取りが速かったからよかったものの、もしこれに衝突されでもしたら一溜まりもなかっただろう。
タイニーホープはそのままある程度の間隔を保ちつつ、幽霊船に並走する。

「オーケィ、それじゃあ行こうか。頼むぜ、シーホース」
【オーケ・ボス】

キッドは合図を出すと幽霊船の死角へとシーホースを走らせた。






ザザッ

「こちら甲板‐デッキ‐。キッドさんが幽霊船に入ったもようです。どーぞ」

ザザッ

『こちら操舵室‐ブリッジ‐。了解、引き続き周辺の見張りを頼む』

ザザッ

「あいあいさー!・・・どーぞ」


この船の設備ははっきり言って一般のそれに比べるとお粗末なものであった。
どれもこれも旧式で、技師のカスタマイズ(魔改造)によってようやく騙し騙し使えている程度だ。
だから外の細かい様子を探ることの出来るカメラなどはなく、より時期的で正確な情報を探るには外で誰かが見てなければならない。

それでアリアに割り当てられたのが、その仕事であった。
両手に持った双眼鏡で周りを見回し、インカム型の無線機で船内にいるフレッドへ逐一報告している。
ちなみに掛け声だが、前回の間違いを反省しきちんと改善しているようだ。
空き時間には『THE 海賊』とか『海賊徹底解析』とかそれっぽい書籍を読んで色々勉強しているらしい。本当にまじめというかなんというか・・・

余談だが『初心者でもかんたん!海兵隊式罵り方』などと言うのもあったが、速攻で駆け付けたキッドがなんやかんやと言葉に乗せて即没シュートした。


ザザッ


「もしも〜し、こちらサラよ〜!私は連絡係、あなたは操舵手・・・・引き裂かれたあなたと私・・・あぁ・・・これが運命、仕方がないこととは言えあなたを一人にしてしまった私をどうか許してちょうだい・・・!でもどんなに離れていてもあなたと私は堅く堅く繋がっているわ!!そう、まるでこの無線の電気信号のように絶え間なく―――――――――――‐って、あら接続が・・・・」

ちなみに操舵室、「こちらサr」の辺りで既にスイッチをオフに切り変えているフレッド。
脊髄反射でスイッチを強く押し潰し、そのまま硬直して動けずに居た。


「もう、フレッドの恥ずかしがり屋さん♪」

熱烈ラブコールを無碍にされたにも関わらず、超ポジティブな解釈で捉えるサラ。
自分への励ましでも何でもなく、素でそう思ってるのだから本当に恐ろしいことだ。

「『らぶらぶ』なんですね」
「うふふふふ・・・そぉ、らぶらぶなのぉよぉ〜♪」ニヤニヤ

お隣で一緒に見張りをしていたサラにアリアがそう言って微笑みかけると、妄想域に片足突っ込み掛けた状態のサラが幸せそうにでれぇ、っと溶けてしまいそうなくらいニヤける。
というか既に溶けているかもしれない、脳細胞あたりが特に。

「そう言えば、お二人はどこでどういうふうに知り合ったんですか?」
「えぇえ知りたぁ〜い?」ニヤニヤ
「はいっ!」

アリアの認識ではサラは大人の女性でありバリバリの『情報屋さん』、『お医者さま』、そして・・・・と、とにかく凄い人になってしまっていた。
きっと恋愛に関しても自分なんかにはとても想像出来ないような、それはそれは素晴らしい恋をしているに違いないと・・・

田舎の小さな村育ちでまだ恋の一つもしたことのないアリアだ。
そういうのには大変興味があり、元々勉強家なところもあって本当にいい食い付きを見せた。
アリアの反応の良さからサラもますます気分上々で、微妙にトリップ入ったまま惚気話を始める。

「あぁぁ、そう・・あれは忘れもしない私の12歳のたn『ドンッ』あら・・・?」


突然、大きな物音がして船が少し揺れた。

「?・・・何ですかねこの音?」
「残念・・・・お話はまた今度。アリアちゃん、危ないから下がっていてね」
「わ、わかりました・・・!」

どうやらお花畑から帰って来たようで、しっかりとした足取りで前に出るサラ。
移動中の打ち合わせでサラの最後の役職を聞いていたアリアはこれからの展開をすぐに理解した。
邪魔になっては大変と慌てて入口の辺りまでアリアが下がると、それ見届けたサラはもの音のした床の上に視線を向ける。

幽霊船を目撃した船は、姿の見えない何かに襲われ“中身”を奪われている。
つまり幽霊船の姿を見たこの船が次なるターゲットであることは明らかだった。

さらに続いて『ドタドタドタ…』と複数のもの音。
やはり姿は見えないが、多くの視線とざわざわとした様子・・・・何かが居るのは間違いない。


彼女が海賊の出向かなければならないような危険な場所に同行するのには理由があった。
一つは愛して止まないフレッドの傍に一分一秒でも居る為・・・そしてもう一つ。
それはキッドが居ない間、『海賊』として見えない敵から船を・・・引いては大事な船の“中身”を守る為だ。
サラは肩に提げたおしゃれなポシェットから黄金のドクロのレリーフと歪んだ星のエンブレムが刻まれた金貨を取り出した。


「じゃ、行きましょうか」


レリーフを手に取った瞬間、腰に現れる不思議な輝きを持った鋼のベルト。
その中央の窪みにドクロがはめ込まれるとガシャン、とその顎が展開される。
サラは【海星-ヒュドラ‐】の金貨をドクロに噛ませ、その顎を一気に押し上げた。


「変身っ!」



アストラル、星の意匠が施された美しいゴールデンイエローの鎧。
纏った輝きは時に人を正しく導き、そして時にその瘴気で惑わせる、星のそれによく似ていた。
煌びやかさの中にも底知れぬ危険な毒を宿した、その仮面の海賊の名は【スピカ】。

「どこの誰だか知らないけど・・・私のフレッドは渡さないわ!!!







「オゥ、流石に広いな・・・迷子になっちまいそうだぜ」

幽霊船のデッキに降りたキッドは滑り込むように内部へ侵入して中を歩き回っていた。
船内は非常に暗い・・・明りをつけて見ようかとスイッチを弄っても電気が回っていないのか照明はうんともすんとも言わない。
やれやれと肩を竦めると、キッドは収納力に定評のあるコートの内ポケットをごそごそ漁り、スモールライト(×)・・懐中電灯(○)を出して足を進める。
それでなんとか調査に取り掛かれているのだが、この長い廊下を一人で調べて回るのも一苦労だ。

ちなみにシーホースだが呼べばすぐ来るため、キッドを送った後は見つからないように海に潜っている。


「・・・・・・・・」
「ん?」

そのまま船内をうろついていると、パーティーホールのような広い場所に出たキッド。
控え目にライトを向けるとホールの中心にぽつんと佇んでいる人影があった。

(さぁて、どうするかね・・・・)

これが本当に民間の船を襲った幽霊船で、乗員が害意をもった者達であると断言できたならば、この状況はあまりよろしくないが・・・今はあくまでまだ調査の段階だ。
とりあえず接触してみるのも手ではあるとキッドは人影の方に歩いて行った。

「ヘイ、そこのアンタ。ちょっと聞きた・・・」
「・・・・お前は・・・・」
「ん?」

尋ねるのが速いか否か、男はこちらに振り向きその口を開いた。

「・・・お前は、俺を知っているか?」
「は・・・?何だって?」

呟くような静かな調子で男はもう一度言った。

「俺のことを知っているか?」
「・・・・・・・・・・・・・・」




「オーケィ」

これは絶対に面倒になる、海賊の勘がそう告げていた。


「オレはアンタのことは何も知らない。残念ながら、な」

直接ライトを当てて凝視する訳にもいかないので良くは分からないのだが・・・
どうやら男は黒尽くめの厳つい服装で、これまた厳ついサングラスを掛けているようだった。
これが怪しくないはずがなく、キッドとしては相手が欲しい情報を渡し、早々にこの場を立ち去りたかった。
何かこう、“嫌〜な予感”がひしひしとするのだ。キッドの勘は割とよくあたるので馬鹿には出来ない。

「・・・・そうか」

声は調子こそ変わらないが男は落胆した様子だった。
しかし知らないものはしょうがない、そうキッドは踵を返して後ろ手を振る。

「それじゃあな、ブラックガイ」
「・・が・・・・?ぅ、っっッ!?ぐっ、グぁッ!!?」
「っ、おい・・・どうした?」

頭を押さえて悲痛な呻きを上げる黒い男。
男の変化にキッドは思わず足を止め、後ろを振り向く。

「か、海・・・・ダ、ブルアー・ル・・・被・・白・・さ・・・・ぅ、何だこの言葉は・・・!?今何をした!!?」
「オゥ・・・やっちまったな。何だか知らないが見事に地雷踏んじまったぜ」
「答えろ!!!!」
「そう言われてもなぁ・・・・っ、と、オゥ・・・」

更に面倒なことを発見、今し方確認出来たことだが男の腰部にはドクロのレリーフが・・・
自分達、海賊‐パイレーツライダー‐の象徴とも言えるそれが、ギラギラと睨みを利かせていた。

「なるほど、アンタが例のゴーストだったというわけだ」
「ゴースト・・・?」
「アンタの通り名ってとこかな。俺が知ってるのはホントにそのくらいなんだがね・・・」
「ふざけるな・・・!!吐いてもらうぞ!!全て!!!」


ガシャン!!!!


男、ゴーストが銅(アカガネ)のドクロへ、翼竜のエンブレムが刻まれた銅貨を噛ませる。
するとベルトから赤黒い邪悪なオーラが発せられ、ゴーストの身体を暗黒色の装甲が覆った。
ドラゴン・・もしくはデーモンのそれを思わせる禍々しい翼をもった仮面の戦士は昂りを露わに雄叫びを上げた。


「ォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」


「おいおい、張り切り過ぎだっての・・・そんじゃ、オレも行こうか」

そう言いつつキッドはコートを払い、ベルトの金(コガネ)のドクロを晒す。
懐から【海竜-シードラゴン-】の金貨を取り出すとドクロに噛ませて高らかに叫んだ。


「ヘンシン!!」

ベルトから深青の眩い光が溢れだし、キッドの身体を覆う。

竜の鱗のように堅く身を覆ったディープブルーの装甲。
その力を誇示しているかのような額と兜の角飾、牙をあしらったショルダーガード。
冒険者のような勇ましさと騎士のような風格を兼ね備えた、その仮面の海賊の名は【レイヴァン】。

レイヴァンはベルトの両サイドからサーベルとライフルを引き抜き、ライフルの銃口をゴーストへと向けた。


「オーケィ、ショータイムだ!!」






あー、ちきしょう・・・もう何週間だ?
こんなとこに回すなんてディーノの親分もヒトが、いやラプターが悪いぜ・・・
周りが塩水だらけとか陸生まれの俺らには辛すぎるんだよこの環境。
あと最悪なのが船酔い、これマジなんとかなんねぇの?死にそうだぜまったく・・
なんでこんな塩水の溜まり場にご執心なのかねぇウチの親分様はよぉ・・・とか、本人には絶対言えねぇよなぁぶっ殺されちまうし。

つーか、ここなんだよここ・・・霧に隠れて昼も夜もあったもんじゃねぇ。
人払いが仕事っても・・・肝心のアイツらは中で何やってんだよ?
暗い狭い部屋に籠りっきりで何週間もカチカチカチカチと俺らには考えられねぇな、どうかしてるぜ。
俺らカメレオンも中々珍しいが・・アイツらも見ねぇタイプだったな。
ありゃなんだろうなスネーク型の派生か?護衛でやって来たって言う姉ちゃんも。
しっかし、あの姉ちゃんベッピンだけど超おっかなかったなぁ・・・・
他の奴らはこう雰囲気が薄気味が悪りぃというか・・・マジ何やってんだ・・・?

・・・・・・・

やめよう・・・・頭使うと腹が減る・・・
最近じゃ通りがかる船も少なくなってロクなもんが喰えねぇからなぁ。
この分だと今日も釣りかぁ・・・俺魚嫌いなんだよなぁ、小骨取るのがメンドクセぇし。

ん?おっ・・・?おぉぉおおお!!
ありゃ船じゃねぇか、何日ぶりのカモだこいつは!?
おい、テメェら!!船だ!!久しぶりに肉が食えるかもしれねぇぞ!!
よし、ついてこい!!食い物漁りに行くぞゴラァ!!


・・・・・・・


って、馬鹿だろテメェら・・・ナニ全員降りて来てんだよ。
誰が後から引っぱり上げるんだよ!?馬鹿なの死ぬの!?
え?肉の誘惑に敵わなかったって顔してるだろ?だって?
知るか!!てか顔見えねぇじゃねぇか・・・
・・・なんで全員来たのが分かったかって?音、数えりゃわかんだろ。
感心してんじゃねぇよ馬鹿ども!!

あぁ、もう・・・何だこの船、よくみりゃあ小せぇしぼろっちいじゃねぇか。
うわぁ、この分だと中身も相当シケてんだろうな・・・クソ、まぁあるだけ全部持ってくか・・・

とりあえず何人かで中に・・痛っ!?テメェどこ見てやがんだ!!
え?見えないって・・・・しまった、こんな大人数で来たら身動きが取れねぇ!?
狭い!!狭いんだよこの船!!

あ・・・?なんだあの姉ちゃん?なんか急に光って・・・・






バシュッ!!!


「あばばばばばばっ!?!?!??」バチバチッ!!

美しい粒子の尾を描いて流星の如く飛びこんだ光弾が何かにぶつかり激しい光を上げた。
光が収まると、黒コゲになった何かがぷすぷす煙を上げながら海へと落ちていく。


「やっぱり、仕掛け人はラプターだったのね」


まぁ予想通りね、とボーガンのようなものを構えたスピカがごちた。

大戦中、ヒトがヒトを狩る為に作りだした頑強な兵隊。
多くのラプターは他の生物に追随を許さない身体能力と鋭利な牙や爪、岩のように硬い外装を持っていて、まるでモンスターのような姿をしている。
特別製造された上級ラプターには、自らの細胞を操作し人に擬態出来る者もいるが・・・今回のは広く出回っている怪人タイプのようだ。

「か、頭がやられた!?何だ!!??あいつ何か撃ってきやがっぁばばばばばばば!?!??!」
「嘘だろ・・まっ、まさかオレ達が見えてやがるのか!?!?」
「やばっ、こっち来・・っ!いって、何だこれ・・・」
「ひゃっ!?どこ触ってやがる!?」
「うげぇ、気持ち悪ぃ声出してんじゃ・・・ぽぺぇっ!?!?!?!?」

カメレオンラプターは戦後に秘密裏に開発された特殊タイプで、姿を透明にすることが出来た。
物体の透明化はこの世界では研究途中の最先端技術であるが・・・その透明化を積んだカメレオン、実際には「あたい達ったら最強ね!」と言う訳ではなかった。
変化専用の特別な細胞を使っているので力は一般人か下手したらそれより弱いし、脳細胞の殆どが変化調整の為に使われている為知力も並のより低い。
それに莫大なエネルギーを消費するので透明化出来るのも持って数分と・・・戦闘員としてはとても残念な出来なのである。

船を襲うつもりが逆に反撃を受けると言う不測の事態に大慌てのカメレオン達。
一番の不幸だったのは、まだ幾分か知恵のあったリーダーが真っ先にやられてしまったことだった。
統率力を欠いたカメレオン達に連携など取れるはずもなく、勝手気ままに逃げようとするが狭い甲板・・・お互い姿が見えない(←透明化解くという考えも無い)為思うように動けていない。

そこにスピカの放つ光の矢が次々と来襲して行った。

「ぜんぜん見えないけど、結構いるのね」

スピカの持った電磁ボーガン、スターボゥランチャーは今、弓がたたまれライフルのように変形されている。
ランチャーには弓の展開した長距離射撃に適した直射モードと、弓をたたんだ追尾モードがある。
追尾モードは放たれた電光が目標の持つ生体電気に反応し、敵を追い掛けて射るという便利な形態だ。
直射の長射程に比べ数十メートルと弾の寿命は短いが、これだけ近ければ全ての相手は射程内に入っている。

「う〜ん、ちょっとズルかったかしら?」

スピカは引き金を休むことなく引き続ける。いくら姿が見えなくても“当たればどうということもない”。
バシュッ、バシュッ、と一発ずつ光弾は飛んで行き、もれなくラプターを仕留めていった。

ちなみに低出力で打ち出しているため、当たっても即あの世行きなんてことなかったが、全身麻痺でしばらくは指の一本も動かせなくなる。
弾は一発一発が重く、ひょろっちいカメレオンは吹き飛ばされたりよろめいたりして海へと落ちているのだが・・・ご愁傷さまと思いつつもやっぱり手は休めないサラ。(ちなみに彼女は筋金入りのカナヅチ)
そのうち間に船の弾は誘導効果がなくなり、船上からラプターは全ていなくなっていた。



「はい、お終いね」


「こちら甲板、船に落ちてきたラプターはサラさんがやつけてくれました。どーぞ」
『分かった。また取りつかれないようとりあえず間隔を・・・何だ、ちょっと待っててくれ』

「あら・・・」

奥に隠れていたアリアがフレッドに報告しているとサラはこちらに近づいてくる一隻の船を発見した。
まだそれなりに距離がある、ジャキッとサラはランチャーの弓を展開し直射に切り変える。

「怪しいわね、ここは一発大きいのを『待て!!!!』

サラのインカムと船のスピーカーからフレッドの焦った声が聞こえて来る。

「はあぁん、ようやく声が聞けたわぁ♪いいわ!あなたがさせたいならマテでもお手でもち『ダマレ、フセ』きゃわんっ♪」スタッ
『はぁ・・・今信号が届いた。これから向こうと連絡を取るから絶対攻撃するなよ・・』


それから暫くして、タイニーホープはその船の方に寄って行った。
近くで見るとそれはしっかりした造りのえらく立派な船だった。

「わぁ・・すごい船ですね・・・」
「そうねぇ。どこの船かしら?」
「あ、横の方に何か書いてありますよ」
「ホント、見たことのある文字だわ。確か東国の・・・」






「オオオオオオオオ!!」
「っ、と危ないな」

飛翔したゴーストが天井を蹴り、レイヴァン目がけて急降下してくる。
それを転がって避けると、回転の勢いを利用して跳ね起きたレイヴァンはバックステップで距離を開けながら右手に持ったショートライフル‐レイバスター‐の引き金を引きゴーストに銃弾の雨を浴びせた。

「ォオオオオオオオオオ!!!」
「タフだねぇ・・・まったく」

弾でレイヴァンの位置を知るとゴーストは構わずその弾丸の中を真っ直ぐ突っ込んで来る。
鎧の頑丈さを信頼してのことか、それともただ感情のままに動いているだけなのか・・・
いずれにしてもゴーストの戦い方は嵐や暴風のように激しくも荒々しいもので、それだけに無駄や隙が多く見受けられた。

「そうがっつくなよ、バーサークドラゴン。しつこい男は嫌われるぜ?」

相手に合わせて戦いのスタイルを変えるのはキッドの得意とする所だ。
飛び道具のないゴーストは距離を詰めて長さの違う二振りの刀で乱暴に斬りかかって来るが、そこで簡単に組み付かせてやるほどキッドはお人よしではない。
右手の銃で牽制、攻撃しながら距離を保ち、近付かれたら左逆手に構えたサーベルで往なし、また攻撃しながら距離を開ける。これを器用に繰り返し、徐々にゴーストにダメージを与えて行った。

サイクルも出来上がり勝ちは見えた・・・キッドがそう思い始めた矢先のこと。
ゴーストが更に激しく、空気を裂かんばかりに咆哮を上げた。

「グッ、グゥオォオオオオオオオオオオオ!!!!!!!
「なっ・・・・!?」

血褐色の暗い光がゴーストから発せられた瞬間、そのスピードが急に跳ね上がった。
黒い弾丸と化したゴーストはレイヴァンとの距離を一気に詰め両手の双刀を挟み込むように振るう。
レイヴァンはとっさにサーベルで受け止めようとするが凄まじい腕力で押し込まれる双刀に食い止める間もなく弾かれる。


ザシュッ!!


「ぐぁっ!?」

レイヴァンは双刀の斬撃を喰らいホールの端へと派手に吹き飛ばされた。
双刀の刃は斬るというより削(殺)ぐことに徹底された荒い造りで、レイヴァンも斬り口の周りをゴッソリ持って行かれた。
パイレーツライダーの装甲でなければ・・・例えそれがラプターであったとしてもぐちゃぐちゃのミンチになっていただろう。

「ぅ・・・ったぁ、一張羅が台無しだぜ。それが奥の手ってヤツかい・・?」

傷ついたサーベルを支えにレイヴァンが立ちあがる。
更に勢いを増し襲い掛かって来るゴーストを見て、黄金のドクロに手を置いた。

「オーケィ、それならこっちもカードを切ろうか・・・!!」

レイヴァンは慣れた手つきでコインを外し、瞬時に裏返してはめ直した。


ターンアップ!!キィン!!


コインが弾けるような高い音が鳴るとレイヴァンの装甲が一瞬浮かび上がり破損した箇所を含む大部分が弾け飛ぶ。

コインに裏表があるよう、海賊には基本形態と違うもう一つの姿、リバース形態がある。
レイヴァンのリバース形態、必要最低限を残して大部分の装甲を破棄するこの【ダイバーフォーム】は防御力を犠牲にする代わりにある一点にアドバンテージを集中させる特殊フォームだった。
その一点とは・・・・


「行くぜ・・・イントゥ・ダイブ!!・・・・っ――――――――‐」


大きく息を吸い込みレイヴァンが姿勢を落とした次の瞬間、レイヴァンの姿がふっと消え・・・


「ガァッ!!?」


突っ込んで来たはずのゴーストが宙を舞っていた。
右に、左に、上に、下に・・・まるで何かに弾かれているようなかのような動きだ。

ダイバーフォームの特性とは光学迷彩などで姿を消すものではない。
誰にも認識出来ないような速度を・・・時間の波に潜り込み、その最適な流れに乗ることで、他を圧倒する超高速の動きを作り出すのだ。
弾丸より速い動きでサーベレイバーを振るうレイヴァン、剥き出しとなった海竜の牙が幽霊に逃げ場を与えることなく攻め続ける。



ガキィン!!

(何・・・・!?)
「グォオオオオオオオオ!!!!」


完全に波に乗っていたはずのレイヴァンだが、思わぬアクシデントが発生した。
ゴーストはレイヴァンの斬撃に耐えるだけではなく、数十回めにしてそれを弾いて見せた。
さらに、瞬間的に動きの止まったレイヴァンをゴーストの双刀が襲う。
これはすぐさま回避するが、レイヴァン・・・キッドの驚きは小さくなかった。


(おいおい・・・コイツは人間か?)


若干ではあるがダイバーフォームは腕力が落ちる為、与える一撃一撃の威力は下がる。
それでもこれだけの攻撃を受けたのにもかかわらず倒れる気配もなし、さらにあのスピード慣れ対応してくるなど何から何までがデタラメだ。

決して心から余裕が消え去ったわけではないが、本当に厄介だキッドは舌打ちを一つ。

ダイバーフォームにはある制限がある。
それは時間の流れに潜っている間、キッドは呼吸が出来ないというものだった。
一度出て再び潜り直すというのは大変危険で難しく、失敗すれば時間に押し戻され反動で変身が解けてしまうというデメリットもある。
だからどうしてもあと数分・・いや数十秒の内にケリを付けなければならない。


(そろそろ決めないとまず・・・・・・・ん?)
「ッ!?!??!?ウぐゥァ!?グっ・・うぅ・・・!?」


どうしたことか、突然ゴーストの動きが鈍くなり頭を押さえ苦しみ出した。
怨霊のように周りを漂っていたどす黒いオーラはしだいに弱くなっていき、それが消え去ると同時にゴーストは脱力したように膝をつく。


「ぷはぁっ」

ゴーストの様子に時間の波から上がったレイヴァンは基本フォームに戻りその様子をじっと見る。
先ほどまでの昂りや激しさが嘘のようにゴーストは静かになった。

「・・・・・・・・」
「いきなりどうした・・・?」
「っ!!」
「な・・・・・・っ、おっとこりゃまずい。おい、待ちなって!」

声を掛けると弾かれるように動き出したゴーストはホールの壁を付き破って何処かへ去って行った。
とっさのことで反応が遅れるもレイヴァンもそれを追い入り組んだ廊下に入る。






「っ・・・何だこの感じは・・・・・」

「おっと、ようやく見つかったな」
「むっ・・・・?」
「オーケィ、ここは行き止まりだぜ・・・?」

狭い廊下を当てもなく走っていると右目を押さえて立ち止まる青年を見つけた。

(・・・・・・ゴースト、だよな?)

暗がりでよくわからないが微妙にさっき会った時と印象が異なっている気がする。
どういうことかはわからなかったが、また逃げられては敵わないとキッドは青年に歩み寄っていく。

「さぁ、観念しな、ミスター・ゴースト。巷の噂じゃ無害って話だったが、現に襲われたんじゃな」
「む・・・ゴースト?襲ったとはどういう・・」
「おいおい、先に仕掛けて来といてそれはないんじゃないか?」
「待て、いったい何を言ってるんだ?」
「まだとぼけんのかい?・・・悪いが捕まえさせてもらうぜ。それともセカンドラウンドと行くかい?」
「話を聞かない奴だな・・・仕方がない」

青年は黄金のドクロのレリーフを取り出すとベルトに嵌めこむ。
そして更に取り出した【海翼‐ケートス‐】の金貨をドクロに噛ませた。

「変身!!」


ベルトから発せられた眩い碧色の光が青年を包む。

レイヴァンが流線型の海竜であれば、それは力強い翼竜のフォルム。
鱗のような堅い装甲に包まれた手甲を始めとした鎧、背中には畳まれた翼、腰帯びに下げられた業物の剣。
荘厳な侍、あるいは武人のような雄々しさを持った、その仮面の海賊の名は・・・

『仮面ライダーカトラス、推参!!』


「おいおい、後出しなのにキメてくれるなよ。こっちの立つ瀬がないじゃないか」

軽口を叩きながらサーベルを引き抜くレイヴァン、狭い廊下をカトラス目掛けて突っ込んで行く。
対するカトラスも刃の両側に付いた剣を抜きこれを迎え撃つ。

ギンッ!!!!

互いの刃が跳ね、数度に渡る刃の打ち付け合いになる。
そのうちサーベルとブレードがギリギリと音を立てて鍔競り合いになった。

「ったく、男にアタックするのは趣味じゃないんだがな・・・!!」
「意味の分からないことをごちゃごちゃと・・・!!」
「オレにはさっきの質問の方が意味不明だったぜ?」
「だから・・・何の話だ!」

(やっぱりさっきと雰囲気違うな・・・・・ん?)

ふとキッドは気がついたことがあった。

「・・・カラーリングはいつの間に変えたんだ?」
「む、色だと?」
「真っ黒だっただろ?」
「この鎧は元からこういう色で、お前と会ったのも今が初めてだ・・!!」

「・・・・・・・・・・・・」




「オーケィ」

これはマズった、そうキッドは(ry

「ソーリィ、ミスター。どうやら人違いだったらしい」
「・・・・・・・おい」






ゴウ・キリシマ【霧島濠】、それが青年の名前だった。
東国にある島国、タカマガハラからやって来たという彼はキッドと同じくパイレーツライダーで、やはり海賊業を生業としていた。
例の素敵に営業妨害な同業者、前回の町で足止めを喰らわされた原因である。
海賊同士行動パターンが似ているのか・・・今回も今回で見事にバッティングし、民間の依頼で幽霊船の調査にやって来たようだ。

「さっきは悪かったな、ミスター・ゴウ。」
「・・・別にいい、普通に話せ」
「さぁてね、あいにくこれが普通なのさ。まぁ、気にするなよ」
「・・・・・・・」

調査するなら人手は多いに越したことはないと二人は一緒に行動していた。
キッドのフランク過ぎる感じに、「本当に悪いと思っているのかこいつは・・・」と半ば呆れていたが、悪友の影響か・・・こういういい加減なノリにも耐性が出来てしまっていた為、暫くすれば濠も気にならなくなった。

「妙だな、静か過ぎる。この船にはまるで人の居る気配がしない・・・」
「確かに、もうちょっと歓迎されてもよさそうなもんだが」

さきほど端末で確認し、サラがタイニーホープを襲ったラプターを返り討ちにしたという報告を聞いたが、まさかこれだけ大きな船なのに船員がそれだけであったはずがない。

「やれやれ・・・ドンパチや追いかけっこやってる間に逃げられちまったか?」
「逃げたとしても引き際が良すぎる・・・普通もう少しは抵抗するはずだ」
「フッ、ジジィのとこだったらイジメ過ぎて嫌われちまったのかもな」

勝ち誇ったように言うキッド、相手がそうであるようにキッドもそいつが相当嫌いだった。
そうこう喋りながらでも足を動かし手を動かし、色々調べて回ったが特に収穫もないまま、二人はある部屋に入った。
何に使うか分からないような大きな機器がいくつも並んでいたがその全てが壊され煙を吹いている。

「オゥ・・・こんなにボロボロだとランディに調べて貰うのも無理そうだな」
「これだけの機材を使って何を・・・」
「さぁな。まぁ、何かヤバ・・・」


ドゴォオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!


「爆発っ!?この方向・・・まずい、燃料タンクの方だ!」
「船ごと破棄か、ホントにヤバイことやってたみたいだな」

キッドは端末でフレッドに連絡を入れ、直ぐ幽霊船から離れるように指示をだす。

「オレ達も下がるぞミスター。カモン!シーホース!!」
「退くしかないか・・・真空!!」

壁を破って二台のマシンが現れ二人の前に並んで止まる。
マシンに乗って脱出した二人は幽霊船が真っ二つに折れ、沈んで行く所を見届けた。






「私がこの船の主、白沢湶だ。ようこそ大竜宮‐オオタツミヤ‐へ」
「海賊船タイニーホープ号船長、キール・D・コーストです。お招きいただき光栄でございます、プリンセス・イズミ」

幽霊船から帰ったキッド、タイニーホープに戻って見るとフレッドが何やら張り切っていた。
話しを聞くにあちらさんの船、つまりは霧島濠の乗って来た海賊船に招待されたらしい。
普通はキャプテンだけで向かう所だが、商売敵との会談にキッド(←ぼんくら社長)だけ行かせる訳にはいかないとフレッドも同行することになり、そしたらサラもついて来ることになり・・・結局、アリアに留守番を頼んで三人で行くことになった。

相手の責任者は東にある島国、≪高き天の原‐タカマガハラ‐≫の将軍家、白沢の姫君だ。
超えらい人、しかも希に見る美人ということで久々のキッド節が唸る。

「しかしお美しいオトヒメに竜宮とは・・・東国のファンタジーに迷い込んだのかと思いました」
「キール殿は世辞が上手いな」
「真のことでございます、プリンセス。そして・・・どうぞ私のことはキッドとお呼び下さい」

恭しい態度で礼をすると、その白魚のような指を取り手の甲に口づけをしようとするキッド。
だが、背中を串刺しにするような鋭い視線の痛みに耐えられず後ろを振り返って抗議する。

「ぅ・・おいおい、そんなに睨むなよミスター。眼帯だから余計コワいんだが?」
「濠、この程度のことで目くじらを立ててはいけないぞ」
「む、だが湶のことは義父上からも託っているし・・・」
「あぁ、父上は心配性だからな。だがそれでお前が神経質になることは・・・」

口では構わなくていいぞ、と言っているが気にかけて貰っているのは満更でもなさそうな姫様。
何と言うか二人とも非常に仲睦まじい様子だ。
流石にこういう姿を見せつけられればそこで押していくほどキッドも外道ではなかった。

「ソーリィ、まさかミスター達が「「義“姉弟”だが」」オゥ、そうなのかい」

要らぬ勘ぐりと釘を刺す二人、実に息ぴったり。義ではなく姉弟を押すあたりが何とも・・・
それと同時に、フリーの可能性が出てちょっとガッツポーズのキッド。

「イズミさん!!先ほどの約束を・・・・!!!」
「オゥ、燃えてるなサブキャプテン」

分厚い手帳を片手にキッドを押しのけるように、出て行くフレッド。
実は最初に通信した時に、同業者間での情報交換を交渉していたのだ。
もう二度とバッティングなどするものかと鬼気迫るご様子の経営マン。

「今後の予定や今までの報告書も参考にしたいのだったな。少し量がある、資料室まで来てくれ」
「ええ、どこにでも行きましょうとも!」
「え・・・ま、まさか、フレッド東洋系が好・・・はっ!!違うわ・・・まってサラ、よく考えて・・・相手はお姫さまよ、すなわちお金持ち!!経営難で焦ったフレッドは・・・借りたお金のカタに色々要求されて・・・・あぁ、やめて!!私がどうにかしますから・・・・彼の純情だけは・・!!」

始まる例のアレ。

「む、む・・・??アルフレッド殿、彼女はいったいどうされたのだ?」
「アレハオキニナサラズ。ア、コレミミセンデス。ドウゾ」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


フレッド達がスケジュール調整などをしている間、キッドと濠は甲板に出て世間話をしていた。
話と言ってもキッドが色々聞いてくるのに対し濠が答えるだけ。
そして質問はやれ湶とは実際どうなのかとか、それなら好みのタイプはどんなのだとか、何かえらく世俗的だったが・・・・いつの間にか180度回転してとても真面目な話しになっていた。


「へぇ・・・それで、パイレーツライダーにね」

ある理由で郷に帰れなくなった濠は流れ流れに彷徨っている内に意識を失い、気が付けば白沢の城で湶やそのお付きに介抱されていたらしい。
今は亡き白沢の若君に瓜二つであった濠は周りからも甚く気に入られ、目覚めた後も城に留まるように勧められた。
そしてある時、濠は湶から弟の遺した【カトラス】の鎧を使ってくれないかと頼まれたそうだ。

白沢家はやはり先の大戦の英雄の一族で、代々その力を使い世を治めて来たが・・・
数年前、前代のカトラスであった若君はタカマガハラを襲った大竜巻を治めるという偉業を成すと同時にその竜巻に呑まれて姿を消した。

鎧は大破してベルトと金貨の状態で浜辺に打ち上げられていたのを専属の技師が修復した。
本来ならば若君の形見であり将軍家の宝である、鎧を他の誰かに渡すことは考えられなかったが・・・たくさんの人々を救えるはずの力をここで眠らせたままにしておくことも出来ない。
濠ならばあるいはその力を正しく使ってくれるのではないか、そう考えた湶は濠に鎧を託した。

それで世をよくしたいという湶の意思に同調し、白沢への恩返しも込めて濠は海賊として動いているのだそうだ。

「中々ビッグスケールだな、ミスター。なんかヒーローものの主役みたいじゃないか」
「む、妙な風に茶化すな・・・」
「別に茶化しちゃないさ、オレはそういうの嫌いじゃないぜ?」

実際、海賊シーサーペントのモットーも“人助け”である。

「でもまぁ、あんまり思いつめてカチカチにならないようにな。ミスターは何かまじめそうだし」
「む・・・・・」
「一応あと三人知ってるが、海賊と言ったってみんな結構好きにやってんだぜ?セオリーなんかないんだから、ミスターもやりたいようにやればいいさ」

そう言うキッドの調子はやはり軽いものであったが、眼だけはしっかりと濠を向いていた

「先輩からのアドバイスってな・・・・じゃ、オレはそろそろ戻るかね」
「キール、だったな。縁があればいずれまた」
「フッ、案外近い内に会う気がするな。ウチの副長が泣くかもしれないが」








「〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・・・〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・」
「っと、と・・・」


シーホースで一足先に船に戻ったキッドが甲板に上がるとアリアが歌っていた。
一緒の船で生活しているとよくアリアの歌を聞く機会はあるのだが、その歌はどこかいつもと調子が違った。
美しい旋律で包み込むような暖かさを持っているが・・・どこか寂しい、不思議な感じがした。

「ぁ・・・キッドさん、おかえりなさい」
「あ、あぁ・・・ソーリィ、邪魔しちまったようだな」
「いえ、気にしないでください」

ちょっと気まずそうに頬を掻くキッド。
アリアは少々恥ずかしそうに笑っていた。

「あんまり聞かないメロディだったが、今のは?」
「たぶん・・・弔いの歌だと思います」
「レクイエム・・・・か」
「ここでたくさん亡くなったと聞いたら・・・何か私にしてあげられることはないかなって・・・」
「・・そうかい・・・・」

自分達海賊は失われないよう守ることは出来ても既に失ったものはどうすることも出来ない。
だが・・・失ったもの、亡くしたもののことを忘れていいとは決してキッドも思わなかった。


「アンコール、所望しても?」


アリアは微笑みながら頷くと再び大海原を向いた。



「っ――――――――――−」





雷鳴に消えた叫びは 今そよ風の子守唄となって
紅き雨に濡れた瞳 乾きて希望の色を宿した

水面-みなも-に写る貴き光 星の海へ還ったひとよ
あなたの描く方舟は 新たな時へと渡す軌跡に

導いて 大いなる海神-はは-の元へ
抱擁を与えて どうか深き優しさに包み込んで

今は その子らに安らかな眠りを









ある屋敷の奥にワインレッドの髪、頬に深い傷跡のある獣のような目をした男が居た。

ガシャンッッ!!!!!!

男は豪快に酒をかっ喰らうと空になった瓶を乱暴に投げ捨てる。

「どいつもこいつも!!使えねぇ!!」

男の名はディーノ、各大陸に根を張る大マフィア、サラマンダーの首領(ドン)である。
最初期に生み出されたラプターで、大戦時から今日まで生き残って来た強者だ。
だが、そんなディーノも海賊には再三にわたって煮え湯を飲まされ続けていた。

今回も部下の失態の報告を受け、不機嫌の程も最高潮になっていた。
別の手下がこの場に入って来たら間違いなくヤツ当たりで全殺しにされるだろう。

そんな中、ノックも無しに部屋のドアが開かれる。

「入るわよ」

「ア゛ァ゛・・・!!!?」
「あら、怖い顔」

入って来たのはダークグレーの髪をハーフアップ纏めた白衣の女。
女は対して恐れた様子もなく、ディーノに近付いて行く。

「レティか・・・何の用だ?」
「荒れてるわね、少し飲み過ぎよ。あの子達は戦闘向きじゃないから仕方ないわ」
「・・・わざわざ皮肉言いに来たんじゃねぇだろ。要件を言いやがれ」
「相変わらずツレないわねぇ・・・海底から反応があったわ」
「何・・・?」
「ウチの子達が帰って来る途中に拾った信号、さっき解析が済んだの。・・・ボウヤのとこにいるのかもね、アレ」

ようやく探し物を見つけたかも、とレティは妖艶に微笑んでいた。

「チッ・・・またあのガキか・・・!!」
「そうねぇ・・・確かに、あんなナイト様がついているなら手が出し辛いわね」
「01・・・“スレイヤ”だったか、あいつも役に立たなかったそうだな」
「あら、いいデータが取れたわよ?特にオーバードライブはね。調整前に逃げだしたあの子が、何であそこにいたかは分からないけど・・・」

レティはそう言うと部屋の隅に目をやった。
壁にはレザージャケットを羽織った、銀白髪の女がもたれ掛かって腕を組んでいた。

「キルシェちゃんも、あそこにいたならあの子を捕獲してくれてもよかったのに」
「仕事は連中の護衛だけだったはずよ。それに“アイギス”はアンタに預けてたでしょ」
「ウフフ、ちょっと言ってみただけよ」

そう言うとレティは白衣のポケットから銀(シロガネ)のドクロのレリーフを取り出しキルシェと呼んだ女の方へ歩み寄った。

「たいぶ弄っておいたけど、よかったかしら?」
「どうでもいいわ」
「素っ気ないわねぇあなたも。もっと仲良くしましょうよ」
「ふん・・・・・・」
「同じスネークタイプ同士じゃないの、ねぇ?」
「っ・・・!!」

女の猫撫で声、研究者のような風貌、金色の眼、何から何までが感に触ったが、最後の言葉が決定的だった。
キルシェの眼、目の前の白衣の女や紅髪の男と同じ金色の眼、その瞳孔の大きさが変わる。
震える拳は爪が掌に食い込む程固められ、今にも爆発する寸前だった。

「オイ、遊び過ぎだ」
「あらあら、怒られちゃったわ」
「・・っ・・・・・・」

キルシェは、銀のドクロを引っ手繰ると速足で出口へ向かう。

「どこに行くの?」
「どこでもいいでしょ・・・データ取りよ」
「オイ、傭兵」
「・・何よ・・・」
「テメェは“03”が出来るまでの大事なモルモットだ。間違っても降りようなんざ思うな」
「誰が、大金目の前に逃げ出す馬鹿はいないわよ」
「その言葉、忘れんなよ。もしもがありゃババァとガキは・・・」


バタンッ!!!!!


今度こそ爆発した怒りがドアへとぶつけられ、キルシェは部屋から飛び出した。





○航海日誌 担当:ゴウ・キリシマ

あれから船舶の被害もなくなり、どうにか依頼は果たせたようが・・・不思議な事件だった。
騒動はやはり人為的なものだったが、俺はもしかしたら本当に悪霊の仕業でないかと考えていた。
実際に行ってみるとあそこにはそれだけ恐ろしい数の怨霊が漂っていた。
あの場所にはそれを留めておくような大きな力が働いているようだったが、それが何なのかは俺にも分からない。

幽霊船内で感じた傷の痛み・・・こちらに来て一度もなかったことだ。
あれもあの場所と何か関係があるのだろうか。
もしそうだとすれば、俺の探し物の手掛かりが見つかるかもしれない。

分からないことと言えば、あの謳もそうだ。
不思議な謳だった・・・どこからか聞こえて来たあの旋律は怨霊達に打たれた楔を外して行った。
・・・・分からないことだらけの事件だったが、あの晩長い呪縛から多くの魂が解放されたのは確かなことだ。
感謝すべきか。おそらく、あの全て救うことは俺にも出来なかっただろう。
俺も精進しなくてはな・・・

そう言えば、先ほど急に城から包みが届いた。
ある少女を保護してくれとの、依頼状が入っていたのだが・・・白沢を通して来るとは珍しいことだ。
また一筋縄ではいかない仕事のようだが・・・・・・タカマガハラと同じ名前を持つあそこに帰るその日まで、俺は精一杯やるだけだ。





,ぞくらじ!はっじまっるよー!(ぉ

【vol.01】

キッド「知ってる人はハロー、知らない人もハロー、ぞくらじの時間だ」
ゴウ「同じじゃないか。・・・このコーナーは本編の解説や毎回出た質問などに答えていく企画だ。」

キッド「こっちじゃ一回目だからな。今日は喋り足りなかったことをノンベンタラリと駄弁るだけか」
ゴウ「お前はまだ喋る気なのか・・・」
キッド「オフコース。ミスターには一つ文句があるぜ?」
ゴウ「む、文句だと・・・?俺が何かしたか?」
キッド「あの戦闘の後、暫くしてサーベレイバーがぽっきり折れちまったんだ」
ゴウ「サーベ・・・あぁ、お前の剣のことか」
キッド「おかげでランディには仕事が増えたって泣きながら怒られるし、修理代で報酬の半分が飛んでフレッドには小遣いは減らされるし、アリアは「折れたぁ!?ってやつですね!」とかなんか楽しそうだったし、どうしてくれるんだい?」
ゴウ「いや、どうしてもこうしても・・・俺に仕掛けて来たのはお前だろう」
キッド「ん・・・?あ、そういやそうだったな。あれだ、ミスターと打ち合う前にゴーストの止めたからなぁ・・・修理代はゴーストに付けるか」
ゴウ「・・・そういえば俺もトツカブレードに刃こぼれが見つかって恭護からかなり怒られた。罰として一周間の甘味禁止になった・・・・どうしてくれる?」ギロッ
キッド「オゥ・・・こ、細かいことはよそうぜ、ミスター。男が下がるぜ?ほら、アメちゃんあげるから」
ゴウ「む・・こ、こんなもので騙されは・・・それに約束を破るわけにも・・・っ、俺は・・・!!」
キッド「オーケィ、ミスターが自分と戦い始めた所で今日はお開きだ。」

「アデュー!!」

「む?・・・では、また」



お返事〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

To トレハさん
>何という投稿ペース…感想が追いつかない…!
昔は四日に一回とかやってたバカも居たよね!!
えぇ、アタシですよ。(ぉ

>新シリーズスタートってのは胸踊るものでありまして、
\ハッピーバースディ!!!!/ってことで、新しいものを作るときはワクテカしますねー。

>ちょいとユルいキッドさんとキッチリしてるフレッドさんの凸凹コンビ
あぁ、キッドってユルいのか!と知った今日この頃。
チャラとかキザくてユルいのが主人公で・・・大丈夫か?(←問題ない(ぉ

>アリア
>このメンバーの中では浮いてしまってるように感じるのは僕の気のせいでせうか。
ちょっと別ポジの子ですから浮いてもおっけー!
べ、別に扱いに困ってなんかないんだからねっ!!(ぉ

>ナイス変態(えぇー
>嫌いじゃないわ!
サラはちょっとメルヘン(毒)なだけですよw
メルヘンでもメルヘン(笑)でもなく(毒)ですが・・・・

>お仕事
>最初流れ的にフレッドさんの貞操をサラさんに売り払う仕事かと思った僕の魂は穢れきってます(殴
半分くらいは似たようなもんなんだな、これが!!(ぉ

>『困惑のG/お姉ちゃまとお呼びなさい!』
>超・楽しみ過ぎるのです・ガッ!
だが、釣りであった。(マテ


To Aヨスケさん

>新たな世界の物語。ついに本格始動した仮面ライダーPIRATES。
新世界という響きはかくも素晴らしきかな・・・
漢字とおさらばするつもりで書いてたのに、漢字の国の出ちゃったYOU!!

>『珀羅』からの直接的な続編作ながら、全く異なる世界観。
続編であり、違う世界観・・からの?(ぉ
そこがミソですね『朱凰』は過去との繋がり『珀羅』は未来との繋がり、そして『海賊』は・・・・

>加えて堅さゼロの軽妙なノリの主人公キッド。
序章で申し上げたことをもう一度。野郎が主人公で申し訳ない・・・orz
次回は少女増えますよ!(ぉ

>貧乏海賊(←失礼)っていうのが、親しみやすさが溢れ出てます。
>フレッドの苦労人っぷりに目頭が熱くなりました。
ガンバレ経営マン!!
きっと数年後には冒険や苦労話を綴った本が爆発的にヒットして大儲けとかそんなオチが待ってるはずだから!!(ぉ

>“鱗”や“竜”という文字には個人的に反応しちゃいます。
序盤でドラゴンライダーズ固まり過ぎましたww
烏賊とか渦巻とかは中盤の登場です。


To ひだりさん

>こちらにお邪魔するのはなにやら久しぶり……?
>面目NEEEEEEEEEEEEEE!
大丈夫だ、問題ない。(キリッ

>キャプテン・キッド
>その実力の程はプロローグで充分に見せて頂きましたが……その反動か、今回はお気楽め。
大分空いたので皆ちょこっとリニューアルした気持ちで見て貰えるとありがたいです。

>しかしそれも相棒であるフレッドさんを売って颯爽解決!まさに外道!
キッド「いやぁ、あれも満更でもないからいいのさ・・・多分」
フレッド「オイ」

>フレッドさんマジ苦労人。
>今回は超善良同業者の存在が彼に頭痛をプレゼント……
フレッド「半分優しさで出来てるあの薬を下さい」
サラ「私の全部をあげるわ!!」
フレッド「ノーサンキュー・・!!」

>賊なのに賊じゃないっ!
海賊は悪者側から呼び出した名前ですからね。まぁ皮肉った感じと言うかなんと言うか別にいいじゃな烏賊!!
ランディ「それ言いたかっただけだよね?」

>アリア
>彼女を家庭に迎えられる幸せ者は今後登場するのか、それがひとえに気にかかる……
それは青嵐にも分かりかねますのぅ、いやホントに(ぉ

>どうやら相当に濃い感じで……
ライダー人は序盤中盤組は濃いですねぇ、終盤組が影薄くなりそうだと今から心配です(ぇ


To @PF

>もう俺は逃げない…「知らない」と言う事を言い訳にして感想を書かずにいるなんてもう耐えられないんだよ!
大丈夫だ、問題な(ry
悪いのは生き残る根性がなかった約十話と、再投稿を渋った青嵐だ!(ぉ

>という訳で珀羅の後の話的な繋がりっぽいPIRATES
>念のため珀羅を一からおさらいしてきました!
珀羅は最初、海賊のバックストーリー濠編みたいなつもりで書いてたんですよね。
それが計九(外伝、超外伝合わせて十一)話になるとは・・・・

>ゑ?朱凰?……
モウシワケアリンスorz

>キールさん
>第一話にして軸のブレ無さがハッキリを分かる…
キッドは曲線描いたまま前向いてるんですよねぇ。
真っ直ぐではないんですw

>前の一行の生活水準やふいんき(何故か変換できない)がどうだったのか。
二人とも実家は漁師ですから、食費は釣りで浮かしてた感じです。
魚料理だけは何とかなってたみたいですね。家事とかはまぁ人並み程度で・・・

>“亡霊”
>現代のライダーは全員が全員正義の味方って訳でもない…のか?
実は正義の味方で食ってるのは実際二人だけです(←!?
ゴーストは暫く登場することも無かろうと思いますが、忘れないで上げてくださいw

>(((;゚Д゚)))
(´∀`)



To 烈さん

>ある意味、いろいろと退屈しなさそうなところだな話を読みながらしみじみ思いました。
あまり騒がし過ぎるのもアレなので、程度を考えながら頑張ろうと思います。
締めるとこ締める、コレ大事!!

>サラさんの妄想爆発
幽霊船の話も終了・・・スケジュール調整も済まし通常業務に移行したシーサーペント。
やっとフレッドにも安息の日々が戻るのか!?(フラグフラグ

>冒頭で語られているキッドさん達の《世界》の“歴史”と“伝説”を物語る“伝承”。
>このことがこの物語の強い根幹を示しているものなのだとつくづく思います。
伝説は大きく関わってきますね。

>これってどう考えても【珀羅】の主人公
お察しの通り、超能りょ・・・霧島濠でした。(ぉ
濠は高天原に“落ちて来た”所を湶さん達に拾われて一年間眠りっぱなしでしたが、二年目に目覚めてからは海賊として働いています。もうすぐ三年目なので歳はキッドとはタメですね。

>最後はアリアさんの日記で締めとなっていますが、次回ではどのような物語が語られるかが楽しみです。
毎回誰かの日記形式で締めて行きたいと思っています。
ガンバレー、青嵐、超ガンバレー(ぉ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


今回のは一本に締める長かった・・・A、Bで分けた方がよかったかな?
ちょっと、心配な青嵐昇華です。
今回はあとがきの順番を弄ってコメントを最後に回しました。
べ、別に短縮の為とかじゃないんだからねっ!(ぉ
また何かあれば弄り直しますので、あらかじめご了承くださいませませ。
設定の方は近日中に何とかしますのでもう暫くお待ちください。

っと言う風に語ること少ねぇ!!!もっと最近あったことで雑談チックな話はないのか!?
・・・あ、要りませんよね、はいスミマセンでした。


ではでは、今回はこの辺で〜〜〜あでゅっ!!

,#000000,./bg_h.gif,i219-167-45-216.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年11月14日(日) 21時57分51秒,20101101012742,20101117215751,VqIgxDiKRk2F.,仮面ライダーセレナ第壱拾七話後編「ガイストモード/毒性衝動」,@PF,,, コレまでの仮面ライダーセレナは


 変態は滅べ by赤坂鷹音


***








「ケケケケケケ、こんばんは、こんな時間に子供が夜遊びとは感心しねぇなぁ」
「五月蝿いよ、痴漢にどうこう言われたくないし」
「ケケッ!そいつぁ失敬」






 こんな遣り取りが有ったのと大体同じ時
 少し離れた所で黒いずんぐりした影――スカラベファクターの近くで、先程投げ飛ばされた黒い服を着た女性――クロが頭をさすりながら身体を起こしていた。

「いったぁ…いきなり投げ飛ばさないでよぅ…頭打った」
「仮面ライダーはアッチが受け持ってくれるみたいだな。
 あのやたら危なっかしい刃物ない以上、お前に俺を倒す術はないぞ」
「…ふん」

 スカラベファクターの字面だけは強気な言葉に、憮然と息を吐きながらクロはスカートの汚れをはたく。
 そして背中の翼を広げると、両手にそれぞれ数枚ずつ羽根を毟り取り、束ねたそれらから両手一対の長剣を構築する。

「お前を倒してから存分に見せつけてくれる!」
「あっそ」

 意味を考えれば最低極まりないスカラベファクターの言葉、しかし元が動物であるクロにとっては倫理の差からか特に気にすることでもなく、むしろ今のクロにとっては少しでも己の存在感をアピールする事の方が遙かに重要な事であった。
 翼を広げ、剣を構える。

「はっ!」
「うわっ!?」

 声と共に低空を突進して、スカラベファクターの肩口に剣を叩き付ける。
 当然刃は通らず、上の方に弾かれたそれをクロは反動が手に伝わる前に未練も見せずに手放し、半歩退いて反対の手に持っていた剣を、今度は腹部に向かって突き出した。

「ひゃあっ!」
「チッ…(効いてないか…なら!)」

 ソレも甲高い音を立てて甲殻に逸らされると、それも手放し、翼を広げて後ろに飛んで距離を取った。

「ッ!?まて!」

 その行動に不穏な物を感じたスカラベファクターはクロの後を追おうとするが、その前に上に弾かれていた剣が彼の上に落ちてきていた。

「も一発受けて見てよ!」“ドドゴォン!!”

 瞬間、スカラベファクターの頭上と足元、二本の剣が同時に爆発する。
 それもただ爆発するのではなく、柱状の爆炎が上下からスカラベファクターを挟み込み、衝突によって更に起こった爆発がその体躯を飲み込んだ。

「……やって…ないよね」

 爆煙と粉塵を目に捕らえつつ、再度剣を創造し両手に持ち直す。
 羽根の爆発のコントロールによる、爆発の衝撃と熱の収束。クロが新たに手に入れた力であり、現時点での彼女の最大火力でもあった。

 やがて煙が晴れ、スカラベファクターの姿が見えてくる。

「……」
「…ゲホッ、ゲホッ、ゴホッ…ウゴホァッ!……ハァ、ハァ、も、モロ埃が入った…」
「………?」

 どうやら喉に粉塵を吸い込んでしまったらしく、激しく咳き込んでいた。
 が、その甲殻には相変わらず傷一つない。しかしクロは僅かに違和感を感じていた。上手く説明できない、不確かで小さな違和感。

「確かめてみるか…それっ」

 今度は両の剣をスカラベファクターに向けて同時に放る。

「くっ、でも効かないn“ドゴォン!!”ぶわーっ!?」

 真っ直ぐ飛んだそれは、しかしスカラベファクターに命中はせず、両脇に滑り込む様に肉薄し爆発した。至近距離で爆発を受け、またしても彼は喉を詰まらせる事になった。
 もしやこうやってチクチク攻めるつもりなのか?等と勘ぐってしまう程に。

「ち、窒息させるつもりか…っ?」
「……」
「普通じゃ攻撃が効かないからって…」
「………」
「お、おい、何か言えよ」

 応えないクロに、何だか不安になってくるスカラベファクター。どうやらこの隙に攻撃をぶっこめー、と言う思考は彼にはないらしい。本来戦闘中に敵に恐れを抱くのはマイナスな場合が殆どだが、中身が基本的に一般人なのでそれも仕方無い事であろうか。
 今のクロは、“黙って居れば”綺麗にカテゴライズされる様な容姿だ。裏を返せば、無表情ではやや愛嬌に欠けるとも言える。
 或いはそこに威圧感を感じる事もあるだろう。顔が整っている分、それはなおさらだ。
 やがて一度鼻を“すん”と鳴らすと、そこでようやく口を開いた。

「……あァ、成ァる程」
「?」

 バサリと翼が広げられ、黒い羽根が舞った。そして一度大きく羽ばたくと

「いけっ!」

 巻き起こった風に乗って羽根がスカラベファクターへと殺到する。

「ま、またかk“ドドドドドドドドドドドドドドォォッ!!”」

 案の定、羽根は彼の近くで一斉に爆発し、彼を炎と煙で包み込む。

「…」―――ドドドドドドドドォンッ!!

 しかしクロはそれでも翼を動かし、羽根を次々と送り込んで行く。当然、爆発は途切れることなく延々とスカラベファクターを襲い続けている。

“――――”
“――――――――”
“―――――――――――――”

 やがて一分程爆発を起こし続けた所で、クロは羽根を送るのを止めた。

「こんな感じかな?」

 クロはそう呟くと最後に一度、羽根を分離させずに大きく羽ばたき、煙を散らす。

「――――う…ううぅ…くぅ…」

 出てきたのは、やはり甲殻に傷一つ無く、しかしうずくまり苦しむスカラベファクターの姿だった。

「あ…が、身体が、いてぇ…お、前、何し、やがった…ぁ」

 苦しみながらも、どうにかクロに問いかける。
 それを見たクロは、してやったりといった表情を浮かべ、得意げに口を開いた。

「フライパンの上のお肉みたいなものだよっ!」
「い、や…訳、分かんね…」
「えー?あー、ええと…爆破した時さアンタの身体から、ちょっとだけどお肉が焼ける匂いがしたんだよね。だから焼いてみた!」
「っ…そういう…こと、か、っ」

 疑問で返されたのが不満だったのだろうか、ややめんどくさそうに、しかし態々説明するクロと、その言葉に合点が行った様子のスカラベファクター。
 爆発を受けてからのスカラベファクターの微妙な匂いの変化、甲殻越しに焼かれた肉のそれを、クロは微かにだが感じ取っていた。
 クロはこう見えても動物である。五感の感度は人間より敏感で、それがキメラとなった事で更に強化されている。僅かに漂うその匂いをキャッチ出来る程度には。
 そこから辿り着いた推測は、“スカラベファクターの甲殻は温度の変化をそれほど遮断できない”と言う事。そこに付け込んだ結果は見ての通り、内部を焼かれたスカラベファクターはダメージで動けなくなっている。

「さぁ、コッチはまだまだ余裕だよ、もっと焼いてあげようか?」

 這いつくばるスカラベファクターを睥睨し、羽根をトランプの様に構えた。
 その仕草にスカラベファクターが一瞬びくりと震える。

 カラスとは元来、陰湿で狡猾な生き物である(正確には学習能力が高いのであり、自然の中で暮らすカラスは普通の鳥レベルの頭脳だったりするが)。
 仲間内ではバカだの子供だのと舐められがちな彼女であるが、普段の言動は飽くまで元来の性格が子供っぽいのと、かつての根性焼きで心をへし折られた結果で、その本質は彼女とて例外ではない。
 いや、真剣にならないと物覚えが悪いのも有るのだが。
 馬鹿ではあるが阿呆ではない、或いはその逆、それが元都会派カラスであるクロという鳥の本質だ。

「が…くそ……ぅ、ぉ」
「降参して変身を解くなら許してあげるよ?どうかな」

 クロは勝利を確信していた。だが、だからといって直ぐに気を抜いてスカラベファクターへの注意を弛める程、彼女は愚かでも楽天的でもなかい。
 油断無く羽根を構え、神経の殆どを向けている。少しでも怪しい動きを見せれば即座に蒸し焼きに出来る体勢だった。


………しかし、否、だから彼女は忘れてしまっていた。そして、それへの対処が遅れてしまった。


“―――ヒュッ、ぺちょ”
「は?」
「お?」

 突如クロの背後の方からヌメッた赤っぽい紐の様な物が伸びてきて、その端を未だ蹲るスカラベファクターの身体に貼り付けた。

「おぅっ!?」

 次にその赤い紐が、ぐん!とスカラベファクターの身体を引っ張った。かなりの力なのか、その身体は路面から離れて宙に浮く。

「っ!?きゃっ!」

 そのコース上にいたクロはスカラベファクターをとっさに避けようとするも、間に合わずに肩口を翼ごと吹き飛ばされてしまう。

“ゴウっ”

 続いて頭上の方から何か大きな物が空気をかき分ける音。衝撃で倒れ込み翼も片側がスカラベファクターの直撃を受けてイカれ、咄嗟の回避も出来ない状況。
 何とか視線だけ上を向けるとそこに映ったのは…

「ひっ…」

……己に向かってハンマーの如く振り下ろされる、スカラベファクターの甲殻に包まれた巨体その物だった。





「ぅ、う……うぎゃ―――ッ!!“ごっ!”――きゅう」



***



「まさかッ!?」
『クロさん!』

 耳に突き刺さるクロの声。私とセレナはHファクターを探すのもそっちのけで声のした方に目を向ける。

「っ…い…って……」

 クロが居るはずの方向には、砕けた道路の上に倒れ伏して呻くスカラベファクター

「………」

 そして…その下敷きになって地面にめり込んだままピクリともしないクロ。

「! 拙くない!?」
『クロさんのナノマシン活性反応が急速に下降中』

 セレナが落ち着いているって事は死んではいないんだろう。でもスカラベファクターに押しつぶされる格好なのには変わりない。とにかく退けないと。
 そう思って駆け寄ろうとすると、スカラベファクターが身じろぎし、そのままの姿勢でイキナリこっち目掛けて飛んできたのだった。

「うおあー!?」

 危機感以上に吃驚した私は、間一髪ヘッドスライディングする様に伏せた事でギリギリ飛来コースの下を潜り抜ける事に成功する。

「ケケケケケッ、よそ見は良くねぇ」

 聞こえてくるのはヤッパリHファクターの声。背後で“ズシャ”とスカラベファクターが地面にこすれる音がした。この口振りからして、今のはアイツがやったのか。

「よそ見も何も、姿が見えないじゃない」
「ケッケ、そりゃそうか」

 くそう、ヤッパリ分からない…。スカラベファクターがクロの上から退いたのは良いけど。

「おい相棒、いい加減起きてくれよ」
「るっせぇ、お前がブン回すから吐きそうなんだよ…」

 げぇっ!スカラベファクターも起きてきた…。

「に、二対一…」
「ケケッ、最初に相棒を二人がかりでやっちまおうとしたヤツが今更何を?」
『タシカニ』
(お前が答えるなよ!確かに卑怯だなんて言う権利無いけどさ…)

 心の中で文句を言いつつ辺りを見渡す。だけど後ろでノロノロと立ち上がるスカラベファクター以外に姿は見えない。


―――ヒュッ
『来ます!』
「っ、くそっ!」

 微かに聞こえた風切り音に、私はセレナに答えるより先に前に跳ぶ。追撃を警戒して、耳に神経を集中させる事にする。

―――シュッ
「やっぱりかっ」
 案の定、私が着地して直ぐ、さっきと違う方向から再度の風切り音。今度は左に跳ぶ。
 くそっ、とてもじゃないけどスカラベファクターの行動に気を張ってる余裕が無い!

―――ヒュッ

 三度目。今度は後ろに一歩下がり。

―――ヒュッ
 更に後ろに跳んで…「おろっ!?」

 そこで私の体が跳んだのは、後ろじゃなくて少し横にずれた方向だった。こんな咄嗟の場面で予想外の動きをした自分の体に私の反応が追いつく訳もなく、背中から倒れ込む事になる。

「ちっ、おらっ!」
「―――っ」

 倒れた私の上から振ってきた舌打ち。それを聞いた私は確かめる前にその場から飛び退いた。送れて私の居た所に黒い足が踏み下ろされる。

(もう起きてきたのか…)

 いや、むしろ遅すぎた位だ。と言うより私が翻弄されている所にタイミングを見計らって割り込んできたのか。
 私はスカラベファクターに背を向けて走り出した。とにかくスカラベファクターから距離を離したかった。幸いにも硬さ以外は大したことが無い相手だし、視界に入れてさえいれば不意を突かれる事もないはず。

「さっきのはセレナがやったの?」

 逃げながら問いかける。“さっきの”とは突然足がもつれた事だ。

『あそこで警告しても間に合いませんでしたからね。
 必要な事だと認識できた(・・・)ので勝手ではありましたが動きに干渉させて貰いました』

 そう言えば私が気絶してる時に体を代わりに動かしていた事もあったんだったか。
 本来なら特殊な条件が揃わないと使えない機能らしいけど、今みたいにちょっと干渉する程度なら平常時でも出来るって事か?

「って、おっと、余り離れすぎてもいけないか」

 そこで体ごと振り向いてスカラベファクター達を視界に入れ直した。
 これで直ぐに包囲される事はないは…ず…

“ブゥン”
「なん…だと…?」

 しかし私が見たのは追いかけてくるスカラベファクターではなく、その黒い体が何かに持ち上げられる様に勢い良く空に飛び上がる所だった。
 それはブゥンブゥンと空中で振り回される様に何回か円運動すると、ハンマー投げのハンマーの様に此方にぶっ飛んできた。

「ひいぃっ!!」
『何と』

 流石に驚いた私は、今度は打算抜きで逃げ出した。

“ゴッォオン!!!”
「ひゃあああああああっ!?」

 黒い巨体は私の直ぐ後ろに着弾して、砕け散ったコンクリートごと私の体を吹き飛ばした。

「ケッケケ!残念残念、外しちまったなぁ」
「……イテェ、まだあちこちイテェ、しかも…うぷ…目が回る」

 変態共が何か言ってるが、私は聞いちゃいなかった。
 吹っ飛ばされた私は勢いのままゴロゴロ転がり

「ふべっ!?」

 少し離れた電柱に顔からぶつかって動きを止めた。幸いバイザーのお陰で鼻を打ったりはしなかったけど。

「うぅ…くっそ、やっぱこのまま(・・・・)じゃ無理か…」
『あんなやり方で機動力を補うとは予想外でしたねぇ』

「ケケッ、じゃ相棒、もう一発行くぞ」
「えぇー…」
「俺だって楽じゃねぇんだから文句言うな」

「やば、選択の余地無し、かな」
『クロさんは気絶しています。これなら巻き込んでも(・・・・・・)問題は無いかと』
「だぁね、まぁ他に問題が無い訳じゃないけど…」

 しかしまた今の攻撃をされたら敵わない。覚悟を決めて、起き上がりながらベルトのリングを()に合わせると

「コイツらに負けるよりはマシかなっ」

 弾く様にリングを押し込んだ。

 次の瞬間、セレナ本体(ベルト)以外のアーマー全体にヒビが入って、その隙間から紅い光が溢れ出した。




『ガイストモード』








(オイオイ、一体何する気だ)

 Hファクターは、スカラベファクターを舌で振り上げながら、様子のおかしい仮面ライダーを訝しんだ。 因みに舌を使っている最中だから勿論喋れない。

(ったく、相棒が露出した時に逃げない様に道を塞ぎつつ尻をさわるだけの簡単な仕事のハズだったのに…)

 そして突然、仮面ライダーの全身にヒビが入り、紅く輝きだす。

(マジでヤバイか?)

 そう思わずには居られない、不吉な紅。
 直ぐに攻撃を加えたいが、決して軽くない彼の相棒を撃ち出すには振り回すなどして勢いを着けなければいけない。どうやってもタイムラグが出来てしまう。
 すぐさま回転を加えて加速させるが、ソレを始めるのとほぼ同時に変化は起きた。

“ビシ……ボンッ!”

 白い仮面ライダーの全身が内側から紅い光に突き破られる様に爆発し、そこを中心にして白銀の霧が撒き散らされ、周囲一帯を包み込む。

「―――っ!?」

 霧はHファクター達の方まで届き、彼らをも呑み込んだ。
 スカラベファクターを撃ち出すのに十分な勢いが着いたのは、その一瞬後。

「――――っはぁ!!」

 とにかく状況を変える為にスカラベファクターを、仮面ライダーが居た方向に向けて放った。
 余程密度が濃いのか、その黒い巨体は一瞬で霧に紛れて見えなくなる。
 そして…


“――ドゴォン”


 離れた所から響く着弾音。霧のせいなのか、思っていたよりも小さくぼやけて聞こえた。
 しかしHファクターはソレを聞いて愕然する。
 何故なら―――

「……」

 何故ならその音が聞こえてきたのは――――


「おい……何の冗談だ」


――――何故か空しかないはずの上から(・・・)だったのだから。





【おい……何の冗談だ】
「おおぅ、説明書通りに上手く行ってるね。奴等の位置も手に取る様に分かる」
『ええ、「ミストセル」の機能は今のところ問題は無いようです』

 私のかなり前方(・・・・・)から聞こえてきた轟音と、Hファクターの戸惑う声を感じて(・・・)、私はこの姿が思惑通りに働いている事を確認して一先ず胸を撫で下ろした。

 霧の結界の中心であり発生源となった私の姿(ガイストモード)は、今までとは違った傾向の変化を果たしていた。モードを象徴する色――この場合は紅――のラインが走っているのは他のモードと同じだけど、その他の部分が違う。いつもはどのモードでも白が基本なのは変わらなかったのが、このモードに限っては、まるで白さを霧として吐き出しきった様な漆黒に成っていた。血の様にも見える紅いラインのせいで、今の私はどっちかと言うと悪魔系な姿なんだろうと思わずには居られなかった。

「よし、さっさと決めよう」
『トランスフォーム:ガイストリッパー』

【そこかっ!】

 セレナの読み上げ音に反応したのか、Hファクターが舌を伸ばしたのが分かった。
 ま、無駄なんだけど。

【よし、つかまえt…うおっ!な、何で地面に!?】
【うぅえ…くっそ、お構いなしにブン回しやがって…】

 私に向かって伸ばされたハズその舌は、まっすぐに地面を捕らえ(・・・・・・・・・・・)、それを思い切り引き寄せたHファクターは体ごと地面に叩き付けられた。

 そんなHファクターと、目を回してorz状態なスカラベファクターを放って、私は悠々とバックルからキーを引き抜いて左手に現れたガイストリッパーのスリットに宛がう。

【今度こそ…ふぶっ、こ、今度は壁っ!?】
【とにかくココから出て、うおっ塀が。ならコッチに行けば…また塀だと!?】

 変態共は思った通りの行動が出来なくて混乱しているようだ。

 この霧から逃げるのは、まともにやってもまず出来ないし、この中で私を見付けるのはもっと無理。そしてコッチは相手が何処にいるのか、何をやっているのか手に取る様に分かる。
 範囲内の存在のあらゆる感覚を狂わせ、私にとっては逆に感覚器になる霧。
 それこそがこの霧…ガイストモードの能力だ。
 説明書によると、霧の影響を受けた相手は外部からの情報どころか、自分自身がどの方向を向いているのかすら誤認させられるらしい。
 ガイストモードの見た目に相応しい、陰湿で悪魔っぽい能力かもなぁ…。
 最大の欠点は、効果は範囲内全てに及んで対象を選べないって事。
 だからクロが気絶したのは都合が良かった。

 姿を消そうが気配を消そうが問題じゃない。実体があるのなら霧に触れることで感知できる。

『イグニション』

 セレナの声と共にガイストリッパーから毒々しい赤黒い光が漏れ出し始める。

「っ!?」

 その時、私の頭に鋭い痛みが走った。一瞬だけど、とても強い、それでいて不快じゃない。
 何だろう、この、感覚……懐かしい?

『マスター、どうかしましたか?』
「っえ、っと」

 セレナの声でトリップしかけていた意識が正常に戻る。
 今の感覚は何だったのか。懐かしいと言う感覚。でもそれが に対しての物なのか分からな い。

「と、とにかく終わらせよう!」
『? はぁ』

 誤魔化す様に ガイストリッパーを構えて駆け出す。戸惑う変態ズの位置はミストセルが正確に教え てくれる。相手は私を認識できず、此方からの補足は 完璧。
 だから問題無い 。距離を詰めて、この輝くガイストリッパー でHファクターを―――



―――ころそう。
 どうやろう。くびをきろう。
 ああそうだ、それがいい。
 くびをきればキメラでもしぬ。
 キメラをころさないりゆうはあるか?ない。
 “やつら”のいさんをのこしておくりゆうがあるか?ない。
 ころそう、ころせ、それがいい。
 ほらもうめのまえに。
 これをふりおろせば―――
『いい加減、起きろっ!!』―――っ!?

 気がついてみれば、私は赤黒く輝く刃をHファクターの首に向けて下ろそうとしていた。
 むこうはミストセルの作用で、こんなにも近付いている私に気付いていない。



「―――――っ、ああああああっ!!」“ゴッ”



 私は、首を刈らんと振り下ろされようとしていた左腕に、思い切り右拳を叩き付けた。

【こんどこそっ!】

 私の声が聞こえたのかHファクターは反応するが、振り返った方向は真下。
 当たり前だが私は其処に居ない。
 殴ったことで逸れたガイストリッパーの赤黒い剣閃は、首を切るはずのコースから外れ

“シュッ”

 その肩の辺りを僅かに掠めて終わった。

(私は今、何をしようとした…?)

 振り切ってから私は愕然としつつ安堵した。
 殺したかった訳じゃ無い。だから首を斬らずに済んだのは良かった。とは言え…

「外したね」

 ボコってブタ箱に叩き込みたかった訳でもあり、全くのカス当たりも好ましくなかった。

『いえ、問題有りませんよ』
「え?」

 予想を裏切るセレナの言葉。一体何が問題無いのか、あんなギリギリ当たっ…た?程度の深さなのに。
 そう思っていたら変化は直ぐに訪れた。

【ぐ…ぅぁが…ぐああああああああ!!?】
【あ、相棒!?どうした!】

 ガイストリッパーが当たった部分が、その輝きと同じ色にジワリと染まり、Hファクターは苦しみ始める。

「え、え、えええぇ?」
『マスター、説明書の必殺技の部分、読んでなかったんですか?』
「…うん」
『一言で言えば猛毒の刃、って事です。
 擦っただけだろうと、当たれば終わり、そんなレベルのね』
「恐っ」

【く、ぐぎああぁぁっあああっ!!」

「なっ!?く…っ」

 その時、全くの偶然か、もがいていたHファクターの両手が私の方に伸びてきた。
 当然、私は焦って避けようとするも、再び頭に走る激痛に思わず足を止めてしまった。
 ヤバイ、ガイストモードはニムブルモードと同程度の装甲しかない。
 やられる!?そう思ったが…



“ぺたり”



「はっ!?」



“ぺたぺたさわさわ、さわさわさわさわさわ――”



「は?…へ?」

 その両手は、私のの辺りに張り付き、無遠慮に撫で回した挙げ句…










「―――――畜生っ “がくっ”」








 そう言って崩れ落ちた。

「……ど、ど、どどう言う意味だゴラァぁぁぁ―――――!!!」
『マスター落ち着いテ!きっと変身してたから!装甲越しだったからですよ!』

 人の胸をあんなに触って置いて(アーマーの上からだったけど)出た言葉が「畜生」だと!?
 激情のまま、私はガイストリッパーをHファクターに叩き付けた。

“パキン”

 殺す積もりはなかったので刃を立てずに叩き付けた訳だが、当然ガイストリッパーは軽い音を立てて粉々になる。
 それと同時にHファクターも小爆発を起こして人間に戻った。

「……」
『……』
「…し、しまったぁぁぁ――――っ!!」
『あーあ、まだ終わってないのに…』

【おい!おい!!くそっ、やられたのか!?】

「ええい、ガイストリッパーをもう一度構成しなおして…“ブツッ”っ…あれ?」

 そこでまた襲ってきた頭痛と同時に、さっきまで判ってた周囲の状況がボヤけ始めた。

『ミストセルからの情報が不安定化しています。やっぱり碌に動作実験していなかったから…』
「おい、リハーサル位しとけや」
『時間の都合です』

 コレだから大人は…。気にしても仕方無い、今は…

「一度戻るか…コッチまで影響受けたら問題だし」
『そうですね…モードリリース』

“カシャ、ヒュオオオォォォォォォ―――”

 霧が私にまとわり付く様に私に集まり始め、黒くてやや刺々しい装甲を白く染めて行く。
 そしてその後二秒ほどで私は元の姿に戻った。

「―――っふぅ」

「お、おお?霧が晴れた…ってゲェ――――ッやっぱり相棒がやられてやがる!」

「っ!逃がすか…ってうおぇ?」

 霧が晴れて解放されたスカラベファクターがHファクターの状態を見て逃げだそうとするのを、すぐさま追いかけた私だったが、直ぐに足がもつれて膝を付いてしまう。

「…セレナ!?」
『私じゃありませんよ』

 って事は私自身の不調か?アーマーの不具合ならセレナが気付かないはずはないし…。

「何だか分からんが…俺は逃げる!一人でなッ!!」
「あ、待てこんにゃろっ!」

 翅を広げて浮かび上がり始めたスカラベファクターを止めようとしたが、どう言う訳だが足に力が入らなかった。

「なん…で…っ。このっ!」“カシャ”
ディストモード…大丈夫なんですか?』
「無理でもやるしかないでしょうが…」

 グリップだけになったガイストリッパーを拾い上げ、キーを挿しっぱなしにしたまま赤いスティックを引き抜いて、緑色の物を叩き込む。

「(クロが使うのは斬撃と爆発だった…なら)赤い方で!」
トランスフォーム:ディストジェミニ…イグニション:パターン【フレイムストライカー】

 二丁の拳銃を接続するというプロセスをすっ飛ばして緑色の光の中から現れたのは、紅と橙でカラーリングされた、大型のライフルみたいなモノ。
 クリスタルランチャーに比べて、より細身でより長い。

『バイパス解放、照準リンク、チャージ開始…マスター、大丈夫なんですか?』
「いいからやる。今はそれだけで良いでしょ…」
『とは言っても、今のマスターの体力だと出力は66%が限界ですよ』
「それ、でも…っ」

 ヤバイ、フレイムストライカーを構える腕が震えてきた。足だけじゃなくてコッチにまで影響が出てきたか。
 バイザーに現れた〔田〕が捕らえるスカラベファクターは、もう大分小さく見えている。

(くっそ!どうなってるのさ、この体は!)

 あちこちが思う様に動かない。何が起こっていて、何が原因なのか、どのみち考えている暇はなかった。
 無理にでも震える腕で照準を合わせる。そして、定まらない腕で、外れるのを覚悟で引き金を引こうとした時


“ジッ”

「『?』」

 聞こえたのは遠く、小さな音。同時に、スカラベファクターに向かって歪な軌道を描きながら伸びる光を見た気がした。




“     ――――――!!!!”




「ひゃわああぁぁっ!!?」
『!』

 聞こえたのは「ドカーン」とも「ビシャーン」とも「ゴロゴロ」とも付かない、或いはそれらを全部混ぜた様な、重く震える様な轟音。離れた所では、スカラベファクターが煙を上げながら墜落して行くのが見えた。
 一言で言うと、雷が落ちた時の音に似ていた、かもしれない。そう考えると、さっきの光も横向きの稲妻に見えなくもなかったかも、そう思い当たった。


「やーれやれ、何とか間に合ったわねぇ」

「えっ?」

 私とスカラベファクターの中間辺りの道の脇に立っていた電柱、そのてっぺんにいつの間にか光の塊が立っていた(・・・・・)
 ほんの一瞬前まで、そこには何も居なかったはずなのに。

「こんな時期にこう言うことをさせておくのは都合が悪いもの。ねぇ…」

 そしてソレはコッチを向いて言った。


「仮面ライダー、さん?」









「…イヤ知らんけど」

 問いかけられた私の最初の言葉はそんなんだった。

「だぁよねぇw」

 そう言って笑う光の塊――いや、よく見ると人の形をした物が全体から強い光を放っているようだった。

「ふむむ、こんなタイミングで私の姿をさらすのは予定になかったんだけど…」

 そう呟くソレの姿は、女の人のシルエットに馬と龍を掛け合わせた様なイメージの衣装を被せた様な感じで、頭からは斜め上に生えた一本角と、後頭部から垂れ下がる様に伸びる太い鎖の様な金色のパーツ…いや、よく見ると生えてる部分的に太い三つ編みの金髪に見えなくもない。
 右腕には大きく長い四角錐状のパーツが付いて、まるで右腕の肘から先が丸ごと突撃槍(ランス)の様だ。
 そして光に紛れて近寄るまで良く見えなかったけど、腰の辺りに金属で出来てるっぽい筒の様な物を二本下げている。
 体全体としては、所々から体毛の様な揺らめく()が生えていた。どうやらソレが輝いて見える原因らしい。
 
 そしてその光の生え方は、何となく以前見たフレイムファクターの炎の(たてがみ)を連想させた。

「まさか…エレメント、シリーズ?」
『ですがレーダーに反応はありませんし、データベースにも該当する個体は存在しません。
 本当にキメラかどうか』
「そりゃジャミング掛けながらココまで来たしね。反応があっちゃショックだよ」
『はっ!?』

 今のセレナの言葉は、内部スピーカーを通して私にだけ伝えられた言葉のハズだった。
 それに向こうが反応してくるとは…どう言うことなのか。

「不思議そうねぇ。でも残念、答え合わせは無しよ。自分で考えなさい」
「くっ、待て!」

 私は慌てて、電柱の上で踵を返す彼女にフレイムストライカーの銃口を向ける。

「止めなさいよ物騒な」“ガンッ”
「なっ!?」

 だがその瞬間、フレイムストライカーは金色に輝く四角錐に弾き上げられていた。

「い、いつの間に…」
「ん〜…今のが追えないなら私に喧嘩を売るのは止めた方が良いわね」

 右腕でフレイムストライカーを弾き、話し掛けてくる相手は今私の横にいた。
 目を離した訳でも、目眩ましをされた訳でもない。ヤツは、ディストモードでしっかり見ていたはずの私の認識を、ただ振り切って移動していた。
 だからって何もしないで降参する理由には成らない。そう思い、グリップを持つ手に力を込め、砲身を動かそうとする。

「こ、の「“カツ…”だから止めなさいって」っ」

 今度は、後ろから首元に四角錐が突きつけられていた。
 やっぱりその動きは見えなかった。こんな近くで起こった事なのに。

『各種センサーにも感無し、本当にただ速いだけ…?』
「不思議?不思議かな?タネも仕掛けもあるけど、別に感覚を誤魔化してる訳じゃ無いわよ」

 からかう様にそんなヒントを与えてくる彼女。

「貴女…何者?何しに来たの?」
「うん?女の子が痴漢を撃退するのに理由が要るのかな?」
『巫山戯てるんですか?』
「別に嘘は言ってないよ。まぁ、さっきも言った様に、ああ言うのが私に取って都合が悪いってのもあるけど」
「一体何がどう都合が悪いってのさ」
「それはダメだなぁ。そう何でもペラペラ話してあげる訳には行かないよ」

 振り向いてフレイムストライカーで殴ってやりたい気分だけど、ランスを突きつけられている状態じゃ下手に動く訳にも行かない。
 と言うかさっきから私の体もおかしいし、動いた所でどうにかなる物なのか…。

「ま、いずれ分かると思うわよ。むしろ、そうならなきゃいけないんだから」

「それってどういう…」

「だって―――私は貴方達、仮面ライダーが倒したがっている(・・・・・・・・)ハズの存在だもの」

「!?」

「ま、精々精進なさいな、じゃね」



 いつの間にか突きつけられていたランスの感覚はなくなっていた。
 慌てて振り向くも

「………いない…セレナ」
『反応は有りません。研究所のレーダーにも引っかかってないみたいです』
「そか…」

 目を懲らしても見える範囲にそれらしい光は見当たらない。
 逃げられたのか、見逃されたのか。
 どちらにせよもう終わったって事なんだろう。そう考えてフレイムストライカーを下ろす。

「とにかく封印して帰ろうか」
『ええ、ちゃんとクロさん回収していってくださいね』
「……」
『忘れてました?』
「あ、あははー」
『…はぁ、今怒っても仕方ないですね。早く行きましょう』
「よし…けほっ」
『どうかしましたか?』
「いや、ちょっとむせただけ。どっこら…」

 フレイムストライカーを杖代わりにして立ち上がろうとするが、途中で力が抜けて体ごと地面に倒れ込んでしまう。

「あ、あれれ?」
『立てないんですか?』
「いや、ちょっと待って…けほっけほっ…ごほっ!…っ」
『ちょっ!なんかやばい感じですよ!?っていうかバイタルも!』

 焦ったセレナの声が聞こえてくる。
 一方の私は、体に力が入らないわ、だんだん咳がキツくなるわで、少しずつ余裕が無くなってきてきた。いや、元からあんまり余裕なんて無かったけれど。

「あー、なんかマズいかも、ごほごほげほゲホっ“ぴちゃ”…え」

 小さく響く水が何かに当たるような音、そして暗くてよく見えないけど、顔の近くの路面に出来た赤くてくてツヤのある染み。鉄っぽいにおいが鼻をついた。
 0.2秒ほど考えて、この染みの正体を理解する。

「ちょwwwww吐血とかwwwwwwマwジwでwシャレにならんwwwwwwww」
『マスター!?マスター!!正気に戻ってー!!』

 混乱して思わず笑い出してしまった私に、セレナが泣きそうな声をかけてくる。

「wwwwww、ハッ」
『戻りましたか!?』
「う、うん…ゲホゲホっごほっ…がはっ!?」“ビシャッ”

 ま、また血が…。

『とにかく巻奈さん達に連絡を…』
「ごほっけほっ…くぅ!?あ、ああ…」

 更に私の体の異変は続く。

『今度はどうしたんですか!』
「あ、ぐ…い、たい…熱い…」

 全身を襲う強烈な痛みと熱。それがまるで体中で心臓が脈動しているみたいに波打っている。
 藻掻こうにも体は動かず、激痛と熱さに加えてもどかしさの中で私は苦しむ。

「ぁあぁ、ぐ…っ!……っぃ!……!…っ」

 その痛みと熱さはだんだんと大きくなり、思考も混濁して来た。

『マス……?…ス……!……り……て―――――』

 もう、セレナが何を言っているのかもよく聞こえない。
 とりあえず途切れ途切れな思考回路でぼんやり考える。

(うーあー、今日は痴漢を捕まえに来て、クロの胸に嫉妬して、痴漢が思いの外強くて、何とか倒したと思ったら片方に逃げられて、そしたらなんかエレメントシリーズが出てきて…最後にこんな状態)

 なんかあんまり良いこと無かったなぁ。そう心の中だけで苦笑するが、すぐに痛みでそれも続かなくなる。

(…痛いなぁ…熱いなぁ)
『――――――』

 なんか理不尽な気がするが、もう苛つきもしない、というか出来ない。
 セレナが叫んでるようだけど、もう何も聞こえない。目もかすんできた。

(はぁ…厄日だ)

 そう心の中でため息をついたのを最後に、私は意識を投げ出した。




***





 夜の町、もう窓から漏れる灯の数も減ってきている、しかし完全になくなることはない。
 そんな中を、建物の上を飛び移る様に突き進む光の塊がある。


「ふん、ふん、ふっふふ〜ん♪っと」
(やっぱ私が出たのは間違いだったかしら)


 後頭部から鎖状のパーツを尾の様に引き、鼻歌を歌いながら駆けるそれは、先程スカラベファクターを撃ち落とし、仮面ライダーセレナと問答を繰り広げていたキメラだった。


「らーらーるららーらー♪」
(探知能力と機動力を両立したキメラが私しかいなかったとは言え、迂闊だったかもねぇ)


 思案しながら一歩ごとにビルの屋上や高い家の屋根を飛び移り、街の外をに向けて最短距離を進んで行く。


「たったたー♪らったらったらんらー♪」
(しっかし、さっきの仮面ライダーの顔、何処かで見た気がするわね…)


 進んで行く内に、街の境目(・・)に差し掛かった。
 それを飛び越えるべく、足に力を溜める彼女、その全身でピリピリと微弱な電気が跳ねる。

「よっし、面倒だし一気に……“ゴゥオッ!!”っと!?」

 だが、それは突然横から襲いかかった炎の壁に阻まれた。

「くっ」

 間一髪それを回避するが、境目を飛び越える子は出来ず、体勢を崩して近くのビルの屋上に何とか着地する。
 そこへ一瞬遅れて、少し離れた建物の上に、もう一つ別の光に塊が落ちてきた。
 “ズン”と重い音を立てて『着地』したそれをみて、彼女は驚きの声を上げた。

「まっ、さか…よりよって…っ」

 もう一つの光の塊――赤く煌々と揺らめくソレは、片膝をついた姿勢から立ち上がると何も言わずに彼女に向かって飛び掛かってきた。

「よりによって貴方に見つかるなんてねぇ!」

 繰り出された拳の一撃を飛び退いて躱し、追撃で放たれた炎の塊を右腕のランスで打ち払いながらそう叫ぶ。
 ランスを構えて警戒していると、赤い光の塊…フレイムファクターの方から口を開いた。

「…貴様は何者だ。キメラがこんな所で何をしている」
「いきなり攻撃して来る人に教えると思う?」
「教えられない様な事、と言う事で良いのか?」
「…ご自由に」

 彼女がそう答えると、フレイムファクターは眼を細め、その鬣の揺らめきが激しくなる。

「そうか…なら―――」“ボンッ”
「げっ」

 そして破裂音と共に()がフレイムファクターの背後の夜空を舐め付くさんばかりに広がった。

「ここで灰になれ!!!」
「こ、ここでそんな技―――」

 フレイムファクターが咆吼し、その殺意が爆発する。





 そしてその殺意が形を持ったかの如く、炎の津波が周囲一帯の上空ごと、彼女を呑み込んだ。



***



『―――!――――!!』
(セレ…な…?)

 視界全てを包む黒。その()から響く合成音声の様な女性の声。
 それを聞いて、彼女は黒の中から抜け出そうと動いてみる。

(な、何だここ。体に絡みついて動き難い!)

 もがいてみても、体のあちこちに黒が纏わり付いて思う様に動けなかった。
 しかも今居る所はすり鉢状の凹みの底らしい。

「うっお――――!!くっあ――――――!!ざけんな―――――!!!」
『!――――!―――ん!』

 諦めず無理矢理掻き分ける様にして、少しずつ凹みを這い上がって行く。
 そして遂に…

「ぷはっ!!はーっ!はーっ!…っセレナ!」

 真っ暗な空間から、月明かりが照らす道路へ。

クロさん(・・・・)っ!』

 自分を呼ぶ声に、彼女はソッチの方を向く。

「ふひぃー…セレナ、どうかし…ってわぁー!!?」

 そこに有ったのは、血の海に沈む白い仮面ライダーだった。
 雑食動物であるクロに取って大量の血その物は恐ろしい物ではないが、いきなり目に入って流石にビビってしまう。

「ど、どぉしたの!?」
『説明は後です!とにかく私達を研究所まで運んでください!』
「ろろりょ、りょ、了解!へぇんしぃん!!」

 今のままでは体が小さすぎるので、戦闘態に変身するクロ。

「よっし、さっそく運ぶよ!」
『ちょっとクロさん!その前に服来て下さい、服!』
「服?」

 言われて自分の体を見下ろすと、いつもの様な黒いゴスロリではなく色白な肌色。
 一言で言うと裸。英語で言うとヌード(nude)であった。

「…何か問題が?」
『これだからアニマルはっ!良いから着て下さい。捕まりますよ』
「捕まるって…」
『白バイに繋がれて取り調べとか市中引き回しとかされる…かも…嘘だけど
「ひっ…ひきっ!?…直ぐに着てきまぁす!!」

 以前鷹音達にされた仕打ち、それはクロの心に深い傷を刻んでいた。
 慌てたクロは気絶する前に着ていた服を探してキョロキョロと視線を彷徨わせる。

「服っ、服は…あった!」

 さっき自分が藻掻いていた場所、路面に出来ていたクレーターに黒いタンクトップとスカートが落ちていた。どうやらさっきまで自分はあの中にくるまっていたらしい。そうクロは理解した。因みにパンツは見事にズタズタに成っていた。
 それを拾い、いそいそと着込む。

『早くして下さい!』
「無理言うな、ボク服着るの慣れてないんだから!」

 慣れない作業にもたつきながら、たっぷり1分半かけて何とか着終えた。
 もちろんノーパンノーブラである。

「うーん、腰の辺りがスースーする。こう、下から風が吹き込むというか…」

 しかもスカート+タンクトップ。因みにスカートはロングではない。
 もはやちょっとしたセクハラちっくな感じ。

「よし、それじゃ早速」
『その前にキメラ達の封印もお願いします!』
「え、急がないと『だから急いで!』は、は〜い…」

 セレナコアから吐き出された二つのリングを血溜まりの中から拾い上げると、クロは一度高く飛び上がってスカラベファクターとHファクターだったであろう人影を探す。そして両方の姿(裸)を認めると、それぞれの傍に降り立ちリングをセット、セレナの元へトンボ返った。

「やってきたよ」
『なら直ぐに私達を運んで下さい!』
「い、イエスマム」
『あとはスカートがめくれないように』
「?」

 労いの言葉がなかったことが悲しかったのか、幾分ションボリしながら仮面ライダーセレナ=鷹音を持ち上げ背中に背負う。だがその瞬間、クロはぎゃあと叫んで鷹音を取り落としてしまった。

「あ、熱っ!何じゃこの熱さ!?」
『いいから運ぶ!』
「ひーん、熱いよー、あとお腹減ったよー;;」

 半泣きになりながら背負い直したクロは、翼を大きく広げ夜空に舞い上がる。
 そして帰るべき方向に向き直ると、そちらに向けて一直線に加速させた。






 そしてその遙か後方で巨大な炎が星空を焼いているのを、幸か不幸か彼女等の内の誰も気付くことはなかった。



…STAGE END,『話をしよう……

あれは今から360…いや、90日前だったか…まぁいい。
私に取ってはつい昨日の出来事だが、君たちにとっては多分…今し方の出来事だ。

彼には8通りのHNがあったから、何て呼べばいいのか…
確か、この話を書いた時は…@PF…そう、アイツは最初から言うことを聞かなかった。
私の言う通りにしていればな…
まぁ、良い奴だったよ』



ようやく…ようやく書けましたよ後編!
しかももう遅れかけてるネタを臆面もなく盛り込む、何て恥知らずっ!
オマケに超展開かつ尻切れトンボ、もう舐めてんのか!って言われても仕方無いな。
話分割してるのにこんなに間が開くなんて、自分の様な雑魚キャラがやって良い事なのか…?
ええ、これ以上ネガっててもしょうがないので、サクサク行きましょう。

軽く本編の解説を

・クロの新能力
本編でも書いた通り、羽根を纏めて変換することで剣の形や大きさをある程度変化させられる様になりました。
あとは爆発の制御。威力、方向、等を爆発の瞬間に制御できる様になりました。

・ガイストモード
黒い体に赤いラインのボディを持ち、本体を中心として半径20Mの球形に白銀の霧「ミストセル」を展開し、撹乱と認識拡大を行うモード。
この撹乱効果はかなり強く、範囲内の仮面ライダーセレナ以外の存在の方向感覚を徹底的に滅茶苦茶にしてしまう。
五感から入ってくる外部情報は勿論、自身の向いてる方向、行動をしている方向をも狂わされる事に成る。
ミストセルはガイストモードが散布していると言うよりは、ガイストモードの一部その物。
弱点は、考課対象の選択が出来ず、範囲内の存在には敵味方問わず無差別に効果を及ぼしてしまう事。
そして、ガイストモードが動くと、ミストセルも本体を追う様に動きはするが、その速度は非常に遅い為、ガイストモード自体の行動範囲も制限されてしまう事。

必殺技は『ヴェノムインパルス』
強い毒性を持つ赤い光を纏ったガイストリッパーで相手を斬ることでキメラのナノマシンを強制的に暴走させる信号を撃ち込み、最終的に戦闘不能に追い込む技。この効果は僅かにでも刃が相手に食い込めば効果が出る。
しかし現状、キメラ以外の存在には余り効果がない。精々前後不覚にする程度。

因みに、今回鷹音が血を吐いて倒れたのは製作者にも予想外の事態。
詳しい説明は次の…次の話で。

・光るエレメントシリーズ
スカラベファクターを撃ち落とした攻撃から分かる様に、電気を操るエレメントシリーズ。
外見イメージは聖獣『麒麟』
瞬間移動っぽいことが出来るが、タネも仕掛けもある。


さてこんな物でしょうか。
ではレス返しです。

>鴎さん

>琥珀「セレナ、お前一体どこでそういった知識仕入れてくるんだ?」
『まぁ、主にネットとかですかねー。ボイスは基本的に自作アレンジです。
 あとはテレビや動画からサンプリングもしてますね。
 サンプリングさせて貰えるのでしたら、慧さんやその他の方の声でお好きな言葉とか言って上げましょうか?あんな言葉やこんな言葉や「○○○」とか「×××」とか何でも良いですよ。
 フロッグポッドみたいな物ですかね?』
「自重しろ」

>スリーアウト、チェンジ。
>何ちゅう悲惨な展開で戦いに挑んでいくのやら。でもこう言った展開がセレナならではのユーモアあふれる雰囲気。
徹頭徹尾シリアスってのもガラじゃありませんし、トレハ殿みたいに突っ切ることも出来ませんからねぇ…こういう付け足した様なユーモアが限界です…;;

>晶「・・・・こ・・これは・・・キツ過ぎる・・・・よね・・・・・晶も男だし・・・・ううっ、何だか想像しただけで寒気と震えが止まらないよぅ・・・・」
>慧「あたしもケンカで何度も潰していたけど、かなり痛かったんだろうな・・・反省」
鷹「いやぁ、あの状況なら撃つでしょJK」
竜「(((;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

>琥珀「その純真さとひたむきさ、健気さはあんたならではの宝物だ。クロ、あんたみたいに素直で明るくて無邪気なヤツと・・・一人でもいいから知り合いがほしかった。あたしの周りが一筋縄じゃいかないバカぞろいでな・・・」
ク「て、照れちゃうな…えへへ」
セ『だからって調子に乗ってるとまた空気になりますよ』
ク「空気じゃない!出番が少ないだけだ!」

>琥珀(アメジストと同じ気配がするんだが・・・・ヤンデレってヤツか、おい)
>アメジスト「気が合うわね、自分が愛する人こそが世界のすべて、それ以外はゴミ、それでいいじゃない、ねえ、フォルテ?」
フォ『正直、確かにそうしたい所なんですけれどね…私は手も足もありませんから…やっぱり他の人に頼るしかないんですよねぇ…はぁ』

>トレハ殿

>博士のヘルメットが墓穴掘りマシーンに…
健「ちょっと思考感応の感度が高すぎるな…」
セ『でもそれって結局本音って事ですよね』
健「まあねーwww」
鷹「………」

>当初はあんま出ないみたいな言われようだったデイストモードが最近意外と大活躍。
>いやまあ出るに越したことは無いんですけどね。結構好きだし
正直自分でも予想外です。もっと使いにくくなるはずだったんですが、意外に有用な場面が多い…

>ぺったん娘ってのはその姿形のみならず、自分の体形にコンプレックス持っててそれを指摘されたりするとムキになってブチ切れたり反論したりするようなリア クションも含めて素晴らしいものなのです、ということを先日知人に話した所、なにか可哀そうなものを見る目で一瞥されました。ったく、これだから左翼は。
鷹「褒められてるのかな、バカにされてるのかな」
セ『両方じゃないですかね』
鷹「なにおぅ!」

>>【変】スカラベファクター【態】
>キャラ変わり過ぎワロタ。
>スカラベさんとカメレオンさんといいキメラの方々ってのはキャラ作りが重要なのでせうか。
まぁ、割と人それぞれです。でもキャラ作りする人は多いです(笑)

>ひだりさん

>>クロ(大)
>ボクっ娘、黒髪ロング、モデル体型、おまけに無邪気&無警戒……俺に善し、俺に善しだぞ!!!!!!
>ビジュアルもさることながら、内面であるボクっ娘と、クロ(小)の頃のままのキャラと言うのがまた素晴らしい……まさに俺得。
>戦闘面でも以前よりは戦力になりそうな感じで……今回は相手との相性が悪かったですが、今後も共闘があればキタイシタイです。
今回、裸族属性がついた…かも?まぁ、服を着るってこういにイマイチ馴染んでないだけなんですけどねw
あと、知らない相手にはちょっと腹黒になるかも。

>うん。………………ばかだあ(しみじみ)。
>ちょっと逸りすぎた中学生が思いついちゃうような事に一年以上の歳月を費やしちゃうキメラの人って……
>しかし手段そのものは改造人間だからこその芸当、これは考えようによっては途方も無いポジティブ野郎……ただし末期の変態!
まぁ、意識的に進化するにはこの位のアフォじゃないとなれませんw
つーか素直に覆面した方が色々釣り合う気が…w

>新たな力は、珍しいことに武器のみの先行登場。
>ていうかそんな事できたのかーと感心はするがどこもおかしくはない。
武器に関しては、モードに関係無く使用可能です。
但し、クラッシュモードがニムブルクロウを装着できません。腕のパーツ的に。
あとはクラッシュハンマーもクラッシュモード意外で使うには重すぎる。
それ以外は基本的に自由です。

>話戻して、切った野菜が再びくっつくのでお馴染み(馴染んでません)のスゴ技な太刀筋をデフォルトでやってのける単分子カッター。
>そんな鬼畜武器を振り回していざゆけ鷹音ちゃん変態を絹ごし豆腐が如くスッパンスッパンと……折れたあ!?
>ま、まあ便利すぎる武器に設定的・作劇的な都合で多くのデメリットがつきまとうのは悲しき宿命……にしても脆い! 脆いぞ!
薄ければ脆いのは仕方無いね。具体的な脆さとしては、氷細工程度です。

>ガイストモード自体は次回登場とのことで、そこでリッパーさんも復帰、鮮やかな勝利を収めてくれるに違いない。そう信じずにはいられないっ!
鮮やか…かなぁ?

>青嵐昇華さん

>男の娘って普通にうろついてるものかぁ・・・
>フッ、まったくいい世の中になったもんだぜ(ぉ
いや、ただの偶然です(ドきっぱり)

>内臓っていうか神経集中というか・・・ヒィイイイイイイイ!??!?!
>まぁ、こやつの場合は自業自得ですね。
まぁ、ちょっとやり過ぎたかな?w

>これと同じく扱いされるエレメントシリーズぇ・・・
>変態ファクターさんは要素組に謝るべきだと思うの。
早速出た要素組、決着はまた今度。

>あ、クロちゃんって言うと腹からガトリング出すサイボーグ猫思いだしま(ry
>ミーくんはオレの嫁!!
ミーくんは俺のお母さん!



では、こんな物で。
御意見、批判ありましたら、そう言うのも書き込み歓迎です。
物によっては直ぐに書き直して対応などもしますので、ココが分かり難い!とか、日本語おかしい、勉強しろ!とか、期待外れだ!ココもっとしっかりやれ!とかありあましたらどうぞ書いて下さい。


次回は、鷹音はお休みで、野郎共が主役な回に成る予定。
或いは茶夜編でもやろうか…

※誤字を修正
※描写に矛盾を発見、修正しました。その結果、クロのきわどさが更に酷いことに。どうしてこうなった!,#000000,./bg_h.gif,i125-202-119-254.s11.a021.ap.plala.or.jp,1 2010年10月26日(火) 13時50分06秒,20101026135006,20101029135006,S/Xm9a8dlWccI,仮面ライダーヘブン 第4話,鴎,,,第4話「Curse and love」

俺は今生まれてきたことを非常に後悔している。
仮面ライダーとして・・・これまで数多くの戦いをしてきたが、ここまで自分の人生が破滅と混沌と絶望に満ちた未来に直面したのは初めてかもしれない。
なぜかって?

この今戦っているライオンプレデター・・・アリス・ビストレオなんぞと知り合ったことがもはや運の尽きである。
一度でも負けたら・・・魂を食われて、こいつの婿だの下僕だのにならなくてはならない呪いなんぞを食らってしまっているからだ!!

冗談じゃない!!!そんな一度でも負けたら即人生破滅にまっしぐらな状況なんぞごめんだ!!しかしこいつの実力はかなりのもので、それはこの間戦ったばかりだから実力は経験済みで。

つまりは・・・・状況はかなり不利だ!!

ヘブン「はっ!!」
ライオンプレデター「はああああっ!!」

ライオンプレデターの重い拳を銃剣で受け止めながら何とか体力の消費をはかるべく、俺は守りに徹する!!そして体力の消費で消耗しきったところを思い切り叩きのめす!!悪いな、でも、何が何でも生き残るためだ!!

ヘブン「クリス!!ブースターエンジン全開で奴を空中に一気に運ぶぞ!!」
クリス「どうするつもりですか!?」
ヘブン「こんな住宅地で暴れまくっていたらとんでもないことになる!!人気のないところまで運んで、一気にケリつけてやるっ!」
クロキバ「ふむ、なるほど、それなら広い場所がよかろう。空中からの攻撃なら陸地にいる敵は不利だ!」
ヘブン「空中から攻めるわけか、その手がある!!」

こういうとき、本当に頼りになる仲間たちだ。
どんな脅威に襲われようとも、どんな強大な敵であっても、こいつらがいてくれるからこそ、俺はこれまで今までどんなきつくて辛い戦いだろうと、生きてこられたんだよな・・。
意志の疎通を交わし合うと、すぐさまクリスと変わり、翼を広げてブースターシステムを作動させる!!

(クリス視点)
ヘブン「ブースターシステム、作動!!!」

翼を開き、勢いよく銀色の風が吹きだして翼となって広がり、大空に舞い上がると、一気に急降下してライオンプレデターの身体を銃剣で吹き飛ばす!!
そして浮き上がった彼女に狙いを定めて、銃を構えると光の弾丸を発射する。

ライオンプレデター「ぐああああああっ!!」

すると銃弾の直撃を受けて、ライオンプレデターが吹き飛び、そのまま近くの広場まで転がり落ちる。ここは・・・市民公園の・・・・遊具広場ですね。ここなら広いし作戦にはうってつけでしょう。

ヘブン「限界まで・・・・トバしますっ!!」
暁(よっしゃ、行くぜ!!)

空中からなら地上の敵にはこっちのほうが有利です!!
銃剣を構えて標準を定めると次々と銃弾を発射する。

ライオンプレデター「ぐああああああああっ!!」
ヘブン「はあああああああああっ!!」

銃弾の猛ラッシュにライオンプレデターは避けながらも攻撃の機会をうかがっていますが、あいにく跳躍だけでは届かないところからの攻撃は避けるだけで精いっぱいのようですね。
今回は蹴りではなくて・・・銃弾による強いショックで一時的に気を失わせて捕獲、そして情報を聞き出すことが懸念されていますよね。

銃口を構えると銀色の光輝く風が渦を巻きだし見る見る巨大な弾丸へとなっていく。
そして狙いを定めると・・・・一気に発射するべくトリガーを引いた。

ヘブン「トルネードブロウ!!」

銃口から竜巻が勢いよく発射され、ライオンプレデター目がけて唸りを上げて放たれる!
ライオンプレデター「し、しまった!!」
さすがに避けきれないと思ったのかライオンプレデターが防御の構えを取ったその時!!

「マグマバズーカァアアアアアアアッ!!!」

どこからか3発もの火炎弾が飛び出し、それが私とライオンプレデターに直撃する!!
くっ、これは右から!?
予想外の攻撃に私は耐え切れず、地面に着地するとそのまま転げ周る。
ライオンプレデターもアリスの姿に戻り、上空を見る。
するとそこには全身を炎で包んだ赤き鳥の姿をした怪人が・・・腕を組んでいぶかしげに私たちを見下ろしていた。

暁「くそっ、援軍か!?」

アリス「ちっ、フレアか・・」
ファルコンプレデター「フレアか、じゃねーっつの!!アリス、ルール忘れたのか!?前回の戦いで敵をしとめられなかったら、次の戦いは1回休みだったでしょうが!!なーに勝手に暴れてくれているかな!?」

そう、アリスに怒鳴りつけた鳥の怪人がやれやれと肩をすくめる。

ファルコンプレデター「おい、そこの銀ピカ鳥野郎!!!」

銀ピカ・・・鳥野郎って・・・。
これまたなんというネーミングセンスの無さというか・・・まるで小学生低学年がいうようなあだ名を・・・・。
驚いたというか呆れたといいますか・・・。

ファルコンプレデター「今回はそこのヴァカに免じて見逃してやるよ!!でもな、次会ったときこそ、その日がお前の命日だ!!!せいぜい、顔洗って待ってやがれっ!!!」

え・・・・顔・・・・・?

ヘブン「・・・・あの・・・・すみません・・・・」
ファルコンプレデター「あんだよっ!へへーん、さては命乞いかぁ!?まあ、この四天王きってのバリバリ全開最強美少女のフレア様が相手じゃ仕方ない・・・」
ヘブン「・・・こういう時・・・・洗っておくのって顔じゃなくって、首ではなくて・・・?」
ファルコンプレデター「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
ヘブン「・・・おそらく・・・首ではないかと・・・・・・思うのですが・・・・」

沈黙。

そして。

ファルコンプレデター「次会った時は覚えてやがれ、このトリガラ野郎――っ!!!!うわあああああああああああん!!!(大泣き)」

逃げた。
顔中真っ赤にして飛び去っていった。
トリガラ野郎、銀ピカ鳥野郎などという二つもの名前を勝手に名づけていって。

暁「・・・何しにきたんだ、あいつは」
クリス「・・・・さあ?」
クロキバ「・・・・・まだまだ子供だな」

その一言がまさしくその通りかと・・・。

そして気がつくと、アリスの姿もなくなっていました。どうやらこの騒ぎに乗じて逃げたようですね。

暁「・・・・あいつも四天王って言っていたよな」
クリス「はい・・・」
暁「四天王って・・・・あのフレアと・・・・アリス・・・残りの二人もバカなのかな?もしそうだったら嫌なんだよな・・・・」
クロキバ「・・・考えるだけで頭が痛くなるな」

まあそんなこと考えていたらキリがないですし。
こうして、私たちは一度家に帰ることにしたのでした。


残りの二人がおバカでないことを祈りつつ・・・。


(暁視点)
そして、日曜日。
本日は、俺、バイトです。俺は高校1年の頃からバイトしている茶店「フォーシーズンズ」でホールとキッチンを担当している。ここは、和菓子や洋菓子、紅茶に日本茶とさまざまな種類のお菓子とお茶を楽しめ、さらに、店の前は風光明媚な海と森が広がる展望台となっているんだ。そして本日、山一面が華やかな桜色で彩られた美しい景色を生み出し、それを楽しみながら大いに楽しもうではないかという粋な祭り「桜花祭り」だ。
そう、俺たちとしても祭りは楽しいし、好きなのだが・・・好きなんだけどさあ!!!
俺は今、人生最悪の危機に直面している。
なぜかって?それはね・・・・。

凛「ということでっ、今回の桜花祭りのユニフォームはっ!!」
昴「桜模様のミニスカ振袖風メイド服っっ!!!」
穏「ネコミミ&しっぽつき・・・・」

「「「暁くんも着用しようではないかっっ!!!アウッ、イエエエエエエエエエエエッ!!」」」

暁「お前ら、全員病院行って来いやぁああああああああああっ!!!!(激怒)」

3人をぶっ飛ばし、目の前にある全員着用絶対というとんでもない衣装に俺は血の気が一気に引く思いを感じていた。冗談じゃねえ。何だ、このひらひらしたフリルは、何だこの太ももぎりぎりでパンツ見えるか見えないかという短い丈は、何だこのヤバすぎ全開のネコミミとしっぽはぁあああああああああああああっ!!
これを着て祭りで客をもてなせというか!?いじめか、いじめなんですか、この野郎!!
思わずこれをつけて、笑顔を振りまきながらお客様に「ご主人様、ご奉仕するにゃん」などという正気ではない言葉を言っている自分を想像するだけでも・・・ああああああ・・・嫌じゃあああああああああああああっ!!!そうなったら、もう、あの桜吹雪舞い散る中、首くくるしかねぇ!!!いや、待て、そうなるくらいならいっそのことこのバカたちを逆さ吊りにするか・・・縛り上げて見世物にでもしたほうが・・・・えーと・・・ロープはどこかな?できればなかなか解けないように、太くて丈夫なロープがいいが・・・・(錯乱中)

昴「暁くんが似合うと思ってデザインやサイズにはこだわってみたんだよ!!」
暁「うん、そうなんだ。でも、俺のサイズなんてここまでよく調べられたね(偽りの笑顔)」
穏「・・・睡眠薬飲ませて寝ている間に全裸にして計った」
暁「あはははは、そうなんだ、そんなことしていたんだ。どうしよう、俺今人生を踏み外しかけているよ。仲間を手にかけるなんて・・・・俺としては残念なんだがね」
凛「坊主、冗談だ。というか、パンツ脱がすところで止めたから全裸まではいってねぇ」
昴「まあほとんどパンツ一丁までは脱がしたけどね」
穏「・・・・暁って華奢な体つき・・・真っ白できれいな肌していて・・・色っぽかった」
凛「大丈夫!全裸まではいかなかったから!!未遂だから!!」
暁「あははははは、凛、世の中はね、未遂とはいえ、そもそもそんなことを思いついてしまう思考回路そのものを災いとして絶たねばならない時があるんだよ(ギラリ)」
凛「それは今、まさしく、厨房からパクってきた包丁をギラつかせて不気味な笑みを浮かべているお前のことを止めるという意味にもあてはまるからな」
暁「あはははは、止めないでよ、凛。このバカ二人にはいっぺん死んでしまわないとこのバカ治りそうにないんだよぉおおおおおおおおおお!!!!離せ、離してくれ、こいつらいっぺん思い切りぶん殴らせろぉおおおおおおおおおお!!!!!(大泣き)」

ちくしょう!!!
なんてこった!!!こうなると分かっていたら俺はバイトなんか来なかったのに!!
そもそもこういったイベントを一切取り仕切ることを任されているのがオーナー代行の穏(実はオーナーの遠い親戚にあたり、現在オーナーは外国で職人修行のため穏がオーナー代行を務めている)という時点でいやな予感してたんだ!!
だけど、家の家計のため、バイクのレストアのための資金稼ぎで思い切って入ってみたアルバイトは・・・もはや俺の精神構造をことごとく木っ端微塵に打ち砕いてしまう悲惨な内容だ。

もはやR18指定ギリギリのきわどい女装はもちろん、穏が「サービス」などと抜かして、しょっちゅうスカートをめくる、胸を後ろからわしづかみにしてくる、それを見て昴が鼻血を出しながら恍惚の表情で俺と穏がアブない関係に陥っているようなイロモノ小説を勝手に作り出して即興で話し出し、それを聞いていた客どもが色めき立ち、時には暴走して襲い掛かろうものなら、凛が袋叩きにして追い返す。そして、呆然としている俺に凛が言うんだ。頬に俺の顔を寄せて、妖しい目つきで唇を近づけて舌で頬を舐めながら愛おしそうに言うんだ。

凛「こいつに手ェ出すな。こいつは・・・俺の可愛い彼女なんだ」

そういって、禁断の王子様症候群を発症する。
まともな光景が一時たりともねぇ・・・。

もはや俺は諦めて女装、もとい制服を着込んで仕事に赴くのであった。

凛「お前も災難なやっちゃな」
暁「分かるなら止めてくれ・・・」
凛「まあ、これでも色々と止めてこうなったんだがな」
暁「マジかよ・・・」
凛「まあ、マジでヤバくなりそうだったら俺があいつらにキツく言っておくからよ。暁はお前らの玩具じゃねえってな」
暁「凛・・・」
凛「遊んでいいのは俺だけだ♪」
暁「凛〜!!!」
凛「ははっ、冗談だよ。お前は本当そういうところが可愛いよなあ。お姉さん可愛くて可愛くて仕方ないっていうくらいにな」
暁「ちぇっ、俺より生まれるのが早いだけなのに、もうお姉さん気取りだ」
凛「いいだろ?お前のこと、実の弟のようにも思えるし、もう可愛くて可愛くて仕方ないんだ。何かあったらいつでも助けになってやるからな」
暁「ちぇっ、言ってらぁ」
凛「暁くんは可愛いでちゅねぇ〜♪(ポンポン)」

そういって、頭をポンポン叩かれる。
全く・・・凛はいつもこうだ。俺のことすぐ子ども扱いしやがって。
俺だってもう子供じゃないんだよ。家事全般出来るし、勉強もスポーツもがんばってそこそこの成績とってるし、仮面ライダーとしても頑張ってるし。少なくとも、お前が何かあったらいつだって駆けつけてやるだけの腕っ節や度胸だって・・・つけてきたつもりさ。
なんていうか、俺、お前に「男」として見られてないのか時々不安に思っちまう・・・。「弟」のままじゃ・・・・嫌だよな。せめて、頼りになる「男」としてみてもらえるように俺ももっと頑張らなきゃだよな!男としてのプライドがあるわけだ。俺にもな。

クロキバ「あれでは・・・まるで好きな相手なのについつい強がってしまう男の子のようであるなあ。暁も青春しているではないか(にまにま)」
クリス「はうあう・・・・うう・・・・私も頑張らないと!!凛さんには負けないように!!」
クロキバ「しかし凛殿は言動や素行が荒っぽすぎるが・・・・気立ては良いし、気配りも上手だし、何より暁のことを心から心配し、思って色々と尽くしてくれる献身ぶりだ。我も彼女なら暁を任せてもいいと思えるのだがね」
クリス「わ、私も、りょ、料理、作れますもん!!お掃除に、お洗濯に、お風呂掃除だって出来ますもんっ!!さ、暁のことを、いつも見てますし、心配してますし、大事に思っています!!思ってるもん!!」
クロキバ「・・・ちょっとからかってみただけなのだが・・・何も泣かなくとも・・・」
クリス「な、泣いてない!!泣いてないもん!!」

その頃・・・。
星見市英国文化博物館。
小高い丘の上に立つ英国貴族の住まうような美しい庭園に面する好機で荘厳な雰囲気が漂う宮殿。それがこの町の名物のひとつでもある「星見市英国文化博物館」である。古今東西の美術品や書籍、考古学的な遺物、硬貨やオルゴールなどの工芸品が陳列されている静寂に包まれていたはずの空間。(かつてアメジストが泥棒に入った懐かしの場所でもある)

そこには「古代エジプトの秘宝展」と看板が出ていた。

古代遺跡から出土された出土品の数々が陳列され、多くの見学客が訪れていた。観光都市の博物館ということもあり、イギリスとエジプトの国際的友好を深める場としても注目されており、マスコミや学術機関の研究者、学生などから多くの注目を浴びていた。
しかし、今は前代未聞の大珍事により、見物客が慌てふためき、叫び、逃げまどうといったとんでもない事態に陥っていた。

オウルプレデター「ピギャアアアアアアアアアアッ!!!!」
オウルプレデターが現れて展示品の石碑(というよりは石板)をかっさらうと、羽根手裏剣を上空に発射し、それが次々と爆発し花火のように大きく火花の輪が広がり、驚き、慌てふためく人間たちが我先にと逃げ出している。どうやら負傷者はいない。花火を打ち上げて驚かしているだけのようにも見える。

フレア「あははははははははははははははは!!祭りに花火はつきものだしねぇ!!!ほらほら、踊れ、叫べ、慌てふためけ!!!愚かな人間どもよ!!」

フレアが笑いながらはやし立てる。
どうやら彼女は「花火で人を驚かして楽しむ」ということを楽しんでいるらしい。
これが彼女の欲望「快楽」だ。
欲望の赴くままに遊び、食べ、眠り、自制心が一切ない自由気ままな欲望を貪る。

セレス「派手にやるわね、相変わらず」
マリア「石板を手に入れたら寄り道せずに戻ってきてほしいですよ、もう」
セレス「まあいいんじゃない?この騒ぎを聞きつけてヘブンがくれば、倒してしまえばいいのだから」
マリア「アリスさんの時の様にならなければいいのだけど・・・」


(暁視点)
突然丘の上から爆発音が鳴り響き、大勢の人々が階段を転げ落ちるように駆け下りていき、祭りの会場が騒然となる。俺はとっさに客や凛たちを緊急避難用の集合場所である広場へとうながし、騒ぎにまぎれて音のするほうへと向かっていった!!

クリス「この騒ぎ・・・まさか!!」
暁「おそらくなっ!!」

まさか祭りの日に会場で騒ぎを起こしてくれるとはな・・・くくくっ上等じゃねえか。
こんな姿でスカートめくられるわ、オヤジやチャラ男にナンパされるわ、穏に写真撮られるわと、気分最悪だったんだ。徹底的にクライマックスで暴れてやるぜぇえええええええっ!!くはははははははははっ!!

暁「覚悟決めてもらうぜ・・・・ブチ殺す前提でなぁ・・・・くくっ」
クリス「・・・暁が・・・・キ・・・・キレた・・・(涙)」
クロキバ「いうな・・・・散々な目にあっていたわけだしな」

ベルトを巻きつけ、準備万端だ!!

暁「変身!!」

銀色の風が全身をまとい、猫耳和服メイドなどという正気の沙汰ではない姿から仮面ライダーへと変身することで、さっきまで憎悪と屈辱のレッドゾーンにまみれていた俺の視界がクールダウンする。そうさ、目的ははっきりしている。祭りを台無しにしたこのバカを叩き潰す。普段やっていることを・・・ちょっと私怨入り混じってマジで殺るだけだからなぁあああああああああっ!!

ヘブン「うおりゃああああああああああああっ!!」

怒号とともに飛び出し、銃剣を振るうとそこでは花火を打ち上げて踊って楽しんでいるフクロウのような怪人がいた。そいつ目掛けて銃剣を一気に振り下ろし、切りつける!!そしてたじろいだ隙を見逃さず、次々と銃剣をたたきつけ、鋭い刃で何度も何度も切り裂き、火花が飛び散る。容赦せず次々と切り裂き、蹴り、一気に攻めていく!!

ヘブン「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
オウルプレデター「ピギャアアアアアアアッ!!!グギャアアアアアアッ!!」

やがて、オウルプレデターが羽手裏剣を取り出し、何発か投げてきた。地面に刺さるたびに爆発し、地面を焦がし派手にえぐる。
そして、翼を広げると一気に飛び掛って、襲い掛かってきた。鋭いカギ爪を振りかざし、それを交互にふるって襲い掛かってくる。それをよけるが、木々を飛び移り、すばやい動きで攻め立ててくる!!!くそっ、こいつ、結構素早いぞ!!

クロキバ「暁!!このままでは不利だ!!」
暁「だわな。ちょっとクールダウンするか」
クロキバ「素早さならあいつだ!!」

そういうと、ベルトの横にある「デモンズバレット」の青い弾丸が光り輝いて手の中に納まる。そして俺は腰に同じくついているハンドガン「クロノストリガー」を取り出し、弾丸を装てんする・・。

いくぜ・・・ここからが本番だ!!

ヘブン「魔獣召喚・・・!!ヴォルファスッ、トマホークッ!!!!」

銃弾を発射すると青い魔方陣が浮かび上がりそれがやがて俺のほうに飛んできてゆっくりと潜り抜けていく。


一方、同じころ・・・。
クロノポリス本部、祭壇の間。ここは、礼拝堂のような荘厳な雰囲気に包まれている静かな空間。その一室で長いすに横たわって寝ていた一人の少年が目を覚ます。
外見上は長い銀髪を後ろで縛り、青い瞳を持っており、胸元まで服をはだけて肌をあらわにしたワイルドな感じをした服装をしている美少女のような可憐な顔立ちをしているが、気配を感じ取るとにぃっと獰猛に笑う。

冷牙「俺様の出番か・・・」

そして飛び起き、体を空中で回転させると青い風が彼の全身を包み込み、見る見るその姿を銀色の体色と蒼銀の瞳を持ち、頭に赤い角らしき物が生えた人狼へと姿を変えると青い光を放って姿を消した。

彼の名前は「冷牙」にして「ヴォルファス」。
誇り高き人狼「ウルフェン族」の戦士である。


そして青い光がヘブンを包み込むと、マスクアイが青く光り輝き、手には狼の口から鋭い刃が飛び出した斧「ヴォルファストマホーク」が握られると、左半身と胸の部分が狼を模した青い甲冑で覆われていく!!

ヘブンVフォーム「ウオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

空気をもビリビリ震わせる咆哮を上げてその姿はヘブンではなく、銀色の怪鳥と青色の人狼が入り混じった野獣の騎士「ヴォルファスフォーム」に変身していた!!

ヘブンVフォーム「グルルルルルル・・・・・ガルルルル・・・・ッ!!!」

もはや本能のままに戦うだけの野獣となったヴォルファスフォームが斧を構えて、地面に手をつき、低くかがめると、まるで狼が獲物に狙いを定めるように鋭い眼光でにらみつける。そして、オウルプレデターが動き出すと同時に一気に走り出す!!

地面に手をつき、四つんばいで目にも止まらない速さで駆け出し、一気に間合いをつめると斧で切りつけ、一気に翼を切り放ち、そのまま次々と斧の刃で切りつけていく!!

オウルプレデター「グアアアアアアアアッ!!」
ヘブンVフォーム「ウオオオオオオオオオオオオッ!!!グアアアアアアアアアッ!!!」

もはや制御不能。猛る本能のままに斧の刃を振るい続けていく。

セレス「あれは・・?」
マリア「ヘブン・・・ほかにもいろいろな姿を持っているのですか?面白いじゃないですか・・・興味がわきましたよ!」
アリス「暁・・・あんな姿にもなれるのか。ああ・・・・いい・・・いいよぉ・・・・さすがは私の獲物・・・・もっと・・・私のカラダを・・・ココロを熱くさせてくれよ」


斧の刃の攻撃を容赦なくくらい続けて地面を転がり落ちるオウルプレデター。

ヘブンVフォーム「激しく吼える魂を感じな・・・・ウオオオオオオオオオッ!!」

本能のままに激情を叫び、斧をクロキバに加えさせると、魔力が注ぎ込まれる!!

暁「行くぜぇえええええええええええええっ!!」
冷牙「うおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

斧を構えて地面に手を置き、低く身構えると周辺が青い煙で覆われて、やがて青い満月が浮かび上がりその光を浴びて敵が動けなくなり、そこへ一気に飛び込み、斧の刃に風をまとって一気に切り裂く!!!

必殺技「テンペストスラッシュ」だっ!!!

ヘブンVフォーム「ウオオオオオオオオオオッ!!!グオオオオオオオオオオッ!!!ウアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!ガオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

斧で無数何度も何度も切りつけてやがてオウルプレデターの体が青白く光り輝き、やがて絶叫を上げて大爆発を起こした!!!

やがて青い闇が晴れ、もとの風景が広がる。

冷牙「ふん、まあまあだな」
暁「ありがとう、冷牙。助かったよ」
冷牙「いつか返してもらうぜ、この貸しは高いぞ」
暁「・・・焼肉バイキングで」
冷牙「ランチは嫌だ。ディナータイムでだ(即答)」
暁「・・・また俺のバイト代が・・・高いほう選びやがって」
冷牙「期待してるぞ、暁くん。ふははははは・・・」

そういって、冷牙がクールな笑みを浮かべて消えていった。


暁「・・・・まーた消えていく・・・・俺のバイクレストア料金・・・トホホ(涙)」

もはや涙するしかない俺だった。
結局涙を浮かべつつ、猫耳メイド服姿でバイト先に戻っていく俺。すると・・・目の前に現れた相手にもはや俺の不運はピークと感じさせる。

暁「・・・アリス・・・」
アリス「お前すごいな。まさかあんな戦い方するとはな」
暁「見ていたのか・・・・お前には関係ないだろ」
アリス「いやあ、あるさ。お前が強くなれば強くなるほど私はさらに強くなりたい欲望が生まれる。それを満たすために戦い続ける。最高だよ、この胸の高鳴り、やはりお前を獲物に選んでよかったよ」
暁「・・・戦いはできないんだろ。なら、帰れよ、俺バイトあんだから」

そういって、通り過ぎようとすると、腕をつかまれて強引に引き寄せられる。

アリス「お前が強くなればなるほど私のこの興奮が高鳴る・・・お前のことばかり、最近考えている。お前のことしか考えられない」
暁「な、どうするつもりだよ・・・」

そういいかけたときだ。

むぐっ!!!

ちゅっ・・・ちゅる・・・・ちゅるる・・・・。

暁「・・・・?」

顔を近づけられ、アリスの顔が近づき唇が柔らかい何かで塞がれる・・・て・・・・これって・・・・ええええええええええ!?
顔中が、全身が赤くなり、熱くなる感覚でいっぱいになり、その場に立てなくなり座り込む。しかし抑えられて動けないまま、俺は・・・・アリスと・・・・キスして・・・るって・・・・・・ええええええええええええ!?

クロキバ「・・・・・なぬっ!?」
クリス「ズガアアアアアアアアアアアアンッ!!!!!!(大ショック)」

唇と唇が離れ、唾液が伝ってだらしなく落ちていく。そして俺を見て、アリスが言った。

アリス「お前が・・・好きだ。壊したいほどに」
暁「・・・ふええ・・・!?」

そして、よだれをぬぐい、妖艶な笑みを浮かべてそのまま立ち去っていく・・・。

アリス「またな」

俺はというと・・・その場から座り込んで動けなくなっていたわけで・・・。震える手で唇をぬぐうと、まだ残っている。あいつの・・・あいつの・・・。

俺・・・・キスしちゃったの!?
まだ・・・誰ともしたことないのに・・・!?
つーか、相手はあいつだぞっ!?なのに、なんで、体中が真っ赤になって熱くなって震えて動けないんだよっ!?何で、何で、何でぇえええええええっ!?

暁「・・・・・・・あいつのキス・・・甘くて・・・・美味しい・・・・」

そうじゃねぇだろっ!!!
だあああああああああああっ、どうなってるんだ、どうなっちまってるんだっ、俺!?


俺が動けるようになったのはその後1時間後だったりする・・・。


そのころ。
クリスがなぜか真っ白になって放心状態でしばらくブツブツ言っていたり、クロキバが「予測不可能な事態だ。キングやビショップに何て報告すればいいのだ・・」と頭を抱えていた。

続く
Next line 「The hand discovers it the borrowing.」
,こんにちは!!
ついに書き上げました第4話!!
今回初めて登場しました「ヴォルファスフォーム」と新アイテム「召喚銃クロノストリガー」。今後ヘブンが新しいフォームに変身するときにはこれを使います。
そして新しく登場した冷牙ことヴォルファス。暁とは良き喧嘩友達といったところです。
さらに悲惨なことになった暁の運命。戦いとは別にアリスに恋愛感情を抱かれこの先悲惨な展開になるフラグ達成。今後とも彼の受難をお楽しみくださいませ。

レスをお返しいたします。
>烈様
>エリザベートこと『バットプレデター』の“能力(ちから)』とは、いったい何なんだ?

これに関してはもうすぐ明らかにします・・・というのも実はもうすぐ彼女とヘブンとの戦いを控えていますので、お楽しみに!!

>黒い十字架に二匹の蛇がからみついている紋章”っていったいどういった意味があるんだ?

デザインはギリシャ神話の「アスクレピオス(生命・医学の神)であるとともに(無限・再生の象徴)」としております。能力に関係しているかは今後明らかにしいていきます。

>でも、そうなると、各“時の列車”にはそれぞれその属性を象徴とした“イマジン”か“守護者”ともいえる存在がいるんでしょうか?

います!!実は、この守護者やイマジンなどの出会いが今後の物語で暁が成長するかどうか重要視しております。

次回、次出る四天王は誰がご希望でしょうか?今回フレアは成功したので引き続き出られます。
,#000000,./bg_f.gif,118.103.4.58,0 2010年10月21日(木) 00時55分10秒,20101021005510,20101024005510,REihlyYndApuw,仮面ライダーヘブン 第3話,鴎,,,第3話 「Trouble of it is unexpected and not being possible to evade」

(アリス視点)
「げぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」
「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」
「があががあががががががががあ!」
「あぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」
私たちの配下である、この獣と人間の女をベースに組み合わせたような奴ら、「プレデター」は本能に従うままの雄たけびを上げ、暗く湿っている、光の一筋さえ差さない洞窟内に響きあい、不愉快な不協和音を奏でている。

ここは地下の奥深くにある洞窟の最深部にある地下神殿・・・。
私たちが封印されてからもはや数百、数千年もの長い間時間がたつというのに、この神殿には誰も手をつけられてないし、劣化がところどころ著しく破損しているが・・・まあ当時のままの荘厳な雰囲気に包まれている。かつて、世界中を巡礼したとき、世界中に活動の拠点となりうる場所として、古代人たちから奪い取った(奴らから戦闘を挑んできたんだから迎え撃っただけのようなものだがな)神殿だが、この地で活動するにあたって、とりあえず私たち四天王は集まることにした。

そして、そこへ一人の人影が歩いてきて、その姿を見せた。
エリザベート・アヴァロン。
アヴァロン家第二皇国皇女であり、私たちの最高指揮官にあたる。

アリス「姫さんか・・・」
マリア「エリザベート様、イングリッド様の復活の儀式の準備は整っております」
エリザベート「うむ・・・・しかしまだ力が足りない。この間奪い取ったチェックメイト・フォーのキングとビショップの力は確かに強大じゃ・・・しかし・・・完全に復活するにはまだ力が足りない・・・・」
フレア「あれだけの力でまだ足りねぇのかよっ!?姫さんよぉ、あとどんだけ集めればいいんだよっ!?」
セレス「ただ、力やエネルギーだけを集めていても、決定的な何かが欠けているということなのね」
マリア「実は・・・そうなんですよ。確かにこの力があれば、イングリッド様の眠りを覚ますことは可能ですが・・・封印されている棺おけからは出られないのです」
アリス「・・・それで、それからどうすればいいか、だな」

まあ、正直そこから先どうするか考えてなかったわけだ。
まさか、チェックメイト・フォーのキングとビショップの力をああも簡単に片付くとは思ってなかったしな。それをやってのけたのが・・・うちらの主君であるエリザベート様ってところだけど。まあ、彼女の能力は・・・正直うちらでも「瞬殺」されてもおかしくはない力だしな。

エリザベート「・・・・!!この気配は・・・・姉さま・・・・!?」

そう、エリザベート様が振り返り、膝を突くと、それに対応して私たちも膝をつく。
すると、祭壇の王の玉座である場所におかれている棺おけから・・・光の柱が青白く光だし、洞窟を明るく照らすが・・・それで見えてきたものは私たちの主にしてアヴァロン家の次期当主にして最高権力者である・・・第一皇国皇女「イングリッド・アヴァロン」様だ。長い銀髪・・・・陶磁器のように真っ白な肌・・・美しく愛くるしい顔立ちをしたその姿は見たものの心を奪い取ってしまうような魔性の美貌を秘めている。
だが・・・私はどうにも「好きになれない」。
この愛くるしさの裏に潜んでいるどす黒く醜悪で冷たくて・・・それでいて苛烈なまでに凶暴な闇の本性が薄々と感じている。
しかしそれすらも凌駕するのは・・・全身を押しつぶすような圧倒的な恐怖感。締め付けて、押しつぶし、いかなる抵抗も許さないとする覇気に似ているような存在そのものが発するこのどす黒い気はなみなみならないものだ。

イングリッド「・・・・誇り高きアヴァロンの一族の者たちよ」
エリザベート「ははっ!!」
イングリッド「・・・・今回の働き、非常に大儀であった。お主たちが持ち帰ってきてくれたこのファンガイア一族の王とビショップの力のおかげで、私の眠りを覚まさせてくれた。ですが、私が完全に復活するためには残念ですがまだ力が足りない・・・」
エリザベート「はは・・・・」
イングリッド「ですが、一つ方法があります・・・。聖(さやか)、話を・・・」

そういうと、暗がりから一人の長身の女性が現れた。
そいつが・・・・私たちの封印を解き、私たち一族へ力を与えた人物であり、今回の一連の功労者とも言える存在。この功績により、イングリッド様とエリザベート様の絶大なる信頼を得ており、参謀的存在として君臨した人物・・・・。
漆黒の修道院服を身にまとい、ストールをつけ、腰まで伸ばしている銀髪、そして左目の眼球には・・・目ではなく黒い十字架に二匹の蛇がからみついている紋章が宿っている異様な雰囲気の美女・・・聖(さやか)。正直・・・こいつはある意味一番信用ならない。普段は物腰の柔らかい穏やかな笑みを浮かべているが・・・なぜだろう、こいつの目には尋常ではない何かを感じている。冷たく壊れている、ゆがんだ光が宿っている。

聖「・・・原初の列車・・・ディスティニーライナー・・・これは現在仮面ライダーヘブン・・・・大友暁が契約者として選ばれています・・・ですが原初の列車はあれだけではないのです。そう、原初の列車ディスティニーライナーは、「聖」の力を司る列車ヘブン、「魔」の力を司りし列車ヘルズ、そして五行の力を司る「火」「水」「木」「金」「土」の力を司る列車・・・全部で7台あるのです。そしてそれらが持つ力を得るということは絶大なる時の力を支配する力を得る・・・その証である「パス」を手に入れるのです。そしてそれらはこの時空中に封印されているのです。それを手に入れることこそが貴方方の使命ですよ」

エリザベート「時の運行を司る・・・伝説の列車・・・」
セレス「それが手に入れれば・・・」
マリア「私たち一族の悲願を果たせる」
フレア「へぇ、面白そうじゃねぇか!!」
アリス「それを手に入れることで・・・イングリッド様が目覚め・・・すべての時間を支配する力を得ることができるのか」
聖「そのとおりでございます」

イングリッド「みなの者。アヴァロン家当主として命を下す。この残りの列車のパスを必ずや手に入れて、この時空を支配するのだ。大いなる時間を司る力を、知識を、すべてを私たちが手に入れ、永遠にこの時空を支配する選ばれし民となれ」

エリザベート「お任せくださいませ、姉さま。このエリザベート・アヴァロン、ならびに四天王、必ずやその栄誉ある命令、必ずや果たして見せます」

決意と信念に満ちたまっすぐで凛としている声に私たちもうなづく。
これは・・・とんでもないことになったな。
ふふっ、面白くなってきた。数千年ぶりに胸が高鳴る。それに・・・これってあれだよね?時間を守るための戦いなら、それを妨げるものなら・・・倒さなくちゃいけないよね?
暁、お前必ず来るよね?
来てほしい。そして、私を、私のカラダを、ココロを熱くさせてくれるよね?
ううん、して、一緒に戦って。暁、貴方は私だけのエモノ、私は貴方のモノ。
ふふっ、あははははっ、最高じゃなぁい!!
暁ぅ、早くこのことに気づかないと、時間を先に手に入れちゃうよ?

私の愛するエモノちゃん♪

聖「さてと・・・・これまた面白い玩具を手に入れたものです。さあ、この世界の時間はどんな風に派手に面白く悲しく苦しく狂って、壊れてしまうのでしょうかね?せいぜい足掻いてくださいよ、愚かな人間ども。盛り上げてくださいね、選ばれし真紅の吸血鬼の一族よ。あなた方に・・・神のご加護があらんことを・・・」

そういって、一人、美しくもゆがんだ光を右目に宿し、潰されてなくなった左目を妖しく黒い光が輝かせて、神代聖・・・かつてこの世界を滅ぼしかけた狂人「ビショップ」が楽しそうに笑っていた・・・。

(暁視点)
ここは・・・どこだ・・・・?
どこまでも続く通路・・・俺はそこをずっと歩き続けている・・・。
どこか懐かしい・・・まるで神殿のような厳かな雰囲気の場所だ。
そうだ、ここは、昔俺が迷い込んだ「時の神殿」・・・。
ここで、俺はクロキバと初めて・・・・・。

クロキバ「大友暁よ、我はお前と契約する。この時空を我とともに守ってくれ」

ここで・・記憶が途切れる。

目を覚ます。
どこからか音が聞こえる。
いや・・・これは声か?

「暁・・・・暁!!」

目を覚ますと、クリスがいた。
おいおい、何泣きそうな顔してるんだよ。
ああそうか、俺、ちょっとばっか無茶してそのまま気を失って・・・。

暁「・・・・クリス・・・・クロキバ・・・・・」
クリス「暁!!」
クロキバ「暁!!」

クロキバが飛んできて、俺の枕元に寄り添う。クリスも涙を流して俺に近づいてくる。

暁「・・・悪い・・・・無茶しちまって・・・・心配させて・・・ごめんね」
クリス「・・・・暁・・・・暁が無事でよかった・・・よかったよぉ・・・・」
クロキバ「全く・・・3日も目を覚まさないのだからな・・・心配したぞ」

3日!?そりゃまたいつになくヤバいわけだ。
しかもこの設備は・・・集中治療室か。
相当やられたからな・・・俺もまだまだだ。部隊長がこれじゃいけないよな。
もっと鍛えないと・・・。

ベットから起き上がってほどけた髪を縛り、ポニーテールにすると重くみしみしとする身体を起こして起き上がろうとする。

そのときだ。

「暁くん!!」
「暁!!」

ドアが勢いよく開き、外から二人の人物があわただしく駆け込んでくる。
一人は緑色のショートカットヘアの小柄で華奢で色白な女の子だ。もう一人は黒色のロングヘアを腰まで伸ばしている長身の美女・・・あれ、この二人、どこかで見たことがある?

「暁くん!!!」
(バキボキバキボキグシャッ)<思い切り抱きしめられて全身の骨が一気にイッた音>
「暁、暁、大丈夫!?」
(むぎゅうううううううううう!!)<柔らかい上にボリューム満点の胸を顔に押し付けられた音>

暁「!!?」

この二人のいきなりのベアハッグに、俺の身体に電流のようなものが走り、激痛が起こる。
気が遠くなるような・・・つうかそのまま意識を失いそうな感じだ。
何、こいつら、アリスとかいう奴と同じ刺客か!?

クリス「あ、晶様!?慧様!?」
クロキバ「心配なのは分かりますが・・・・暁が・・・そのエラいことになっておりますぞ」

え・・・慧に晶?
その名前・・・・もしかして・・・それに面影がありそうなこの感じは・・・。
でも・・・でもさあ、この姿は・・・・・。
ま・・・まさか・・・・。

暁「むぎゅうううううううう・・・」

というか、息ができねぇよ!!!!

暁「うがあああああああああああああっ!!」

俺は全身の力を振り絞って二人を放すと、呼吸も荒くする。ああ、空気が美味しい。
そして、慌てふためいている二人を前に、俺は恐る恐る聞く。

暁「・・・・まさか・・・・・・父さん・・・・・・母さん?」
その言葉を聴いて、二人はようやく俺がこの事態に戸惑っていることに気づいたらしい。
というか、この時点で思い出すあたりが、俺のことを心配するあまりに忘れていたらしい。

俺がそういうと・・・二人はバツが悪そうに顔をうつむかせて・・・。

そして。

「「・・・・・ごめんなさい!!!!!」」

二人同時に直立で思い切りお辞儀・・・というか謝罪した・・・・。

そのころ。

ここ、星見市の名物である風光明媚な海と山並みが一度に楽しめる「星見市民公園」。
その一角にあるログハウスで、茶店「フォーシーズンズ」がある。
そこは、暁、凛、昴、穏がバイトしている店である。
営業を終えて、自転車でそれぞれ帰路についていた。

(穏視点)
今日も仕事も無事終わったし・・・・早く帰るとするか。
今日は・・・・この後デジカメの手入れに・・・諜報用の道具をチェックしなければな・・・・何のための諜報活動かは・・・・秘密・・・。
女の子は秘密が多いほうが・・・・ミステリアス・・・・イエーイ。私超クール。

昴「そういえば、今度の桜花(おうか)祭り、出し物は何にするの?」
凛「団子とお茶だとさ。さーてっと、これから忙しくなるぜ」
穏「・・・・準備に抜かりはない」

凛が「盗撮の準備はすんじゃねーぞ」というが、無視。
盗撮などではない・・・・思い出を手に入れているだけなのだ。
二度と戻らないであろう青春のメモリー・・・若きころの美しさや可愛らしさ・・・その身体にまといし下着はまさしく神衣・・・・・天使だったころ・・・・誰にでもあったはず・・・その無邪気で純真無垢な姿をファインダー越しに撮影して・・・手に入れることこそが・・・・美の追求なり・・・・。

池の付近で4人が分かれる。
暁(コピー)「・・・俺はこっちだから」
凛「じゃあ、途中まで俺と一緒にいこうぜ」
暁「家まで送る」
凛「おっ、そのままテイクアウトしちまうかい?お前となら熱い夜をともにしても・・・い・い・ん・だ・ぜ♪」
暁「子供がませるな」
凛「ちぇー、つめてぇの」

昴「ボクはゲーム屋寄ってから帰るよ。穏は?」
穏「真っ直ぐ帰る・・・・」

そういって、分かれた。時間は夜10時か。
深夜の池の付近の遊歩道は人気もなく、静まり返っていて、うっそうとした森の暗闇と池に映る月明かり、そして風で揺らめいている水面しかない。
遊歩道を自転車で一気に走りぬける。

うん・・・?
池の近く・・・・森の中に・・・誰かが・・・いる?
こんな時間に・・・・怪しいな・・・・?
思わず近くに寄ってみる・・・気づかれて驚かせたらまずいから・・・気配を消すか。

そこには・・・お社の前に4人の女の子たちがいた・・・。
何か話しているが・・・・聞こえない・・・・だが・・・・私は甘くない。
持っていた盗聴用マイクロマイクを投げて、すぐさまイヤホンにマイクの受信機能をonにする。手馴れているように見えるが・・・そんなことはない。
あれ?なぜかすぐさま録音装置に手を伸ばしている?むぅ、いつもの癖か。


セレス「とりあえず、この町を拠点に活動するということで、よろしくて?」
フレア「あたしはいつでもいいよっ!!久しぶりに暴れられるぜ!!くーっ、このときを待っていたんだよっ、しかもヘブンなんていう邪魔なヤツまでいるんだろう?そいつ、せいぜい梃子摺らせてくれるかなあ、すぐ殺しちまったらつまんねぇもんな!」
マリア「落ち着きなさい。さて、今回はフレアですが、あてはありますか?」
フレア「ねえよ。だから、マリア、情報よこせ」
マリア「・・・・ホンット、思いつきだけで行動するんですから。この公園の上にある博物館・・・・ここに保管されている碑文が刻まれている碑石・・・時の運行に関する文章がいくつか関係していると思われる箇所があります・・・・それを手に入れるのですよ」
フレア「おおっ、それそれ」
セレス「それまでの間、私たちはそれぞれ財宝の手がかりを探しましょう」
アリス「・・・・ああ」

そういうと、4人がその場を立ち去っていく。
マイクから音声が乱れていて少し聞こえなかったが・・・・話を要約すると・・・・博物館の財宝を手にいれる?まさか・・・・泥棒の集団か?これは・・・暁に報告だな。下手な警察よりもあてになる存在だし・・・。それに盗聴のことが警察にバレたら・・・ヤバい。

(暁視点)
父さんと母さんが話してくれた話の内容は・・・・。
作者が表現力が不足なため、要約すると・・・・(ごめんなさい)。

アヴァロン一族なる指揮官のエリザベート・アヴァロン。
彼女が時の運行を支配する力をある野望を果たすために手に入れたがっている。
そして、その野望を果たすために父さんの「キング」の力と母さんの「ビショップ」の力を奪い取ってしまい、それにより、力の暴走を抑制するために、自身の肉体が本能的に身を守るために若返ってしまった・・・つまりは魔力が身体を動かすガソリンならば、カラになった状態でフル回転させたらいつかはオーバーヒートする。そこで残った力を120%フルでできても支障がない器を縮小させる。それが若返ったということだ。
つまりは「力のない状態」に戻ったということだ。

暁「・・・・はー・・・・なるほどね」
晶「やっぱり・・・信じられない?」
暁「というか、3年間近くろくに会話すらしてなかった父親と母親がいきなり若返って、そんな事態になっていたなんて聞かされて納得できたらイカれてるだろ・・・まあ・・・俺はそのイカれているほうだけどさ」
俺は頭が痛くなり、額に手をやる。

暁「時の運行やイマジンとか、いろいろとあったし、奇妙奇天烈な人生だしな。もう何がっても驚かないと思っていたけどな・・・・はあ・・・もう分かった」

というか。
母さんがいるなら、ある意味納得できる話だ。
この母さん・・・大友慧は・・・言っちゃ悪いがとことん運が悪い。
もはや未知の生命体とか人外的存在とか、ありえない異常現象とか、事あるごとにトラブルに巻き込まれまくっていてもはやこれで生きていられるというのが唯一の幸運じゃないかと思ってしまっているほどで・・・息子の俺からしたってあまりにもありえない人生だ。
というか、俺のこの巻き込まれ体質は絶対母さん譲りだ。

母さん。その証拠にただいま俺、暴走吸血鬼なんぞに目をつけられて絶賛命を狙われております。しかも「あたしのもの」呼ばわりです。洒落になりません。

晶「うーん、さすがは俺の息子、物分りがいいというか、切り替え早いというか、肝が据わっているというか・・・うんうん・・・やっぱりさすがは俺の息子!!!さっとるくーんだねっ!!」

そういって、男どもが見せられたら一発でころりとやられるであろう満面の笑顔。
そしてこの親バカっぷりは・・・・間違いない、父さんだ。
父さんは普段はチェックメイト・フォーのキングとして、冷静沈着にして質実剛健、ファンガイア一族の王として君臨し、その統率力と判断力、大胆さで数多くの偉業を成し遂げてきた王としては優秀なんだけど・・・・。人間的にはいろいろと欠陥だらけの人なんだよな。何というか自分の欲望には忠実だし,見た目が王というよりは王子に近いくらい若々しい上にその可憐な容姿だもんだから、女装は大好きだし、可愛いもの大好きだし、それを幼いころの俺にやらせるし・・・そのときの思い出写真はもはや俺にとってはトラウマでしかない。昔全部焼き捨ててしまったが、あの野郎、まさか王の宝物庫などというとんでもない場所に画像データを隠しおって。おかげで手が出せず、いまだにいくら写真を焼こうがあいつは全く懲りやしねぇ・・・。

ふっ・・・そうだ。こんな非常識ブッチギリもいいところの両親だから、もう若返っていたって別の驚くことじゃないわな。

暁「それで?アヴァロンの目的は何なんだろう?」
晶「・・・時の運行を支配するとは言っていたけど」
慧「手段に関しては未だ不明だ」
暁「・・・そうか・・・・いずれにせよ、あいつらがやってくるならその時迎え撃って聞けばいいか。あいつらは必ず来るだろうしな。理由は簡単、邪魔だからな俺たちが」
慧「そうだな・・・」
晶「暁くん、俺たちは引き続きこの事件、アヴァロンに関しても調べてみる。暁くんは怪我が治り次第俺たちと一緒に調査を手伝ってほしいの」
慧「今回の件はもはやファンガイア一族にも大きな影響を与えかねない。沈静化しつつある勢力がこれを機に暴走しかねない。ルークとクイーンに一族の均衡を任せている。その間にできる限り多くの情報を集めて、敵の目的を調査、そして殲滅することが私たちのやるべきことかな」

そうだな・・・。
アヴァロンだか何だか知らないけど、時の運行滅茶苦茶にされてたまるか。
時間は・・・・二度と取り戻せない大切な思い出やそれぞれの多くの人たちが今生きているために必要なものなんだから。
どんな理由だろうと・・・・奪わせはしねぇさ。
そうと決めたら・・・もう寝てなんかいられねぇか。

俺は拘束具を引きちぎり、チューブや管をはずし、足をつく。
うん、もう大丈夫だ。歩けるし、運動神経もいつもの状態だ。
よしっ、いくとするか。

慧「て、おいおいおい、3日間昏睡状態だったというのに、もう動けるのかよ!?」
暁「んあ?俺、たいてい寝てれば骨折とか打ち身とか治るけど?」
晶「ありえないでしょ、そんなん」
暁「だってなあ、ほら、この医療センサーで見てみろ」

そういって、小型の携帯医療センサー(救急箱型)から出ているアンテナに俺の手をかざし、健康状態を表示する。

暁「問題なし、だとさ」

ほれ、見てみろ。

晶「自己再生能力が発達しているのかな・・・?ありえないまでの回復力だよ」
慧「・・・息子ながら・・・人間離れしてるな・・・」
母さん、あんたほどではないわ。

そうこうして・・・一応自宅に戻り、準備を整えてから情報収集となった。
まあ、情報のソースはある。
命の危機につながりかねないけど。

暁「手詰まりだしなぁ・・・・今は手段選んでられない」
クリス「どうするつもりなんですか?」
暁「・・・聞き出す」
クロキバ「誰に?」
暁「・・・さっきから俺の後ろにいる、バカ猫に!!」

そういって、振り替えた直後、暗がりから飛び出してきたのは間違いない、アリスだ!!

アリス「あははははははははははははっ、暁だ暁だっ!!!」
暁「呼ぶまでもなかったか」
アリス「あははははは、あっはあ、暁、さとるぅ、今日こそお前を倒し、お前を私のものにするぅ・・・あはははははは、きゃっははははははは!!!」

そういって、人を見て舌なめずりする。やめろ、俺は食ったらまずいぞ。

暁「殺しちまったらものにするどころじゃねえだろ」
アリス「出来るよぉ。私がマーキングしたんだから?」
暁「どういうことだ・・・?」
アリス「マーキングっていうのはね、吸血鬼が一度限りしか使えない究極の魔法。吸血鬼が認めた相手にマーキングすることである呪いをかける。その呪いが発動してしまえばお前の魂は私が頂き眷族とする。たとえお前が死んだとしても、ゾンビとして蘇ることが出来る。もちろん自分の意思はある。でも、契約者の命令は絶対となる、つまり、私のものになるってこと!!」

はあっ!?
そんな物騒極まりないものだったのかよっ!?
冗談じゃねぇ、それじゃ呪いって何だよっ!?

暁「呪いだと・・・?何だよ、それ?」
アリス「・・・教えてあげようか?それはねぇ、もし一度でも戦闘で暁が私に負けたら・・・暁が・・・・暁が・・・・うふふ・・・・私の虜になる!!!!」

はい・・・・?
え・・・ちょっと待って・・・・。
虜・・・?何ですかそれ?

アリス「私のことを思い続けるようになる。私だけしか見なくなる、私だけを愛してくれる!!私だけが暁のココロを独り占めすることが出来る!!すなわち!!暁が私の伴侶となるのだぁああああああああああああああっ!!!(ばばーん!!)」

はんりょ・・・ですか・・・?
はんりょって・・・・・何?
えーと・・・うーんっと・・・・・あれ?あの伴侶?伴侶っておい待って。
もし一度でもこいつに負けたら・・・・・俺は・・・こいつに惚れるってこと?
こいつしか目に入らなくなるってこと?こいつだけしか好きにならないってこと?
吸血鬼のムコになるだぁあああああああああああああ!?

暁「・・・・・・・・・・・マジッスか・・・・(涙)」
何そんなありえなさ過ぎる悲惨なラブコメ。しかも人を殺しかねないまでにフルボッコ平気でやってきやがる相手と強制的なフラグが立つということですか?

クリス「・・・暁・・・そんなの冗談じゃありません!!!!」
クロキバ「ある意味慧殿や晶殿よりも悲惨ではないか?」
暁「・・・なら負けるわけにはいかねぇ!!!やるしかねぇよっ!!」
クリス「そうですっ、私の大切な相棒を・・・お・・・想い人を・・・その・・・貴方なんかに渡すものですか!!!(真っ赤)」

ベルトを巻きつけ、命の危機(というか貞操も)を感じて、涙混じりにベルトを巻きつけてパスを通す。もう情報収集だけにしておこうかと思ったけどヤバ過ぎる!!

暁「変身!!」
銀色の風をまとい、ヘブンに変身する。

アリス「あはははははははっ、それじゃあ、はじめようぜ。私と戦え!!熱く楽しく激しく殺しあおうよ!!!!あはははははははははは♪」

そしてその姿をライオンプレデターに変えて,襲い掛かってきた!!!
もうやるっきゃねぇえええええええええええええっ!!(涙)



そのころ。
フレア「さーてっと、あそこの美術品をかっさらうってのはいいけど、どうせなら盛り上がりたいよね。ちょうど、明後日お祭りかぁ。ちょうど多くの人間どもがくるんだろうなぁ。思い切り派手に騒いでやるとするか」

そういって、あたしは「こんびに」とかで買った串焼きとおでんを食べながら後ろにいる部下に告げる。フクロウを模したオウルプレデターだ。

フレア「いい、決行は明後日、それまでマリアから指示があるかもしれないから待機しろ」
オウルプレデター「ぎぎぎ・・・」

そしてその気配は消えていった。
桜の花が月明かりをうけ、風に散っていく。綺麗だな。こういうことを見るのも楽しい。
それに人間の癖になかなか美味いものがたくさんありすぎるな。焼き鳥も美味しいし・・・おでんも初めて食べるけどなかなかオツだ。辛子つけるとけっこう美味い。
でもこれからもっと楽しくなりそうだ。あたしの欲望を満たすために、派手に騒げ、慌てふためけ、人間どもよっ!!

フレア「楽しくなってきたぜ・・・」

そう明後日の祭りはあたしが派手に盛り上げてやるよ・・・!

このファルコンプレデター、四天王の「業火のフレア」様がなぁあああああああっ!!

続く
Next line 「Curse and love」
,さて、ついに3回目!!
今回この物語の目的、そして、暁とアリスの物語終盤まで続くであろう「縁」も明らかにしました。

クロキバ「敵の目的は強大なる力を手に入れて時間を支配することと、最高権力者であるイングリッド・アヴァロンの復活である。そのため、世界中に眠っているヘブンこと暁が契約しているディスティニーライナーを除く残り6台の原初の列車を手に入れて力を得ることである」

それを阻止するために暁たちは慧、晶たちと共に原初の列車を先に回収し、アヴァロン一族を封印することが目的ですね。

クロキバ「そして、暁が受けたマーキングというのは・・・実は呪いであったのだ。それは、暁が一度でもアリスに負けたら魂を奪い取られて、永遠にアリスの下僕となってしまうのだ。死んでも何度でも蘇生し、不老不死となった存在で永久に仕えなくてはいけない・・・悲惨極まりないが、この追い詰められた状況の中で暁と、狂気に支配されているアリスが戦いで得ていく何かを今後とも熱く書いていく次第である」

>烈様

>それにしてもアリスさんやマリアさんは“プレデター”態的に属性はあっていると思いますけどセレスさんやフレアさんはどういった理由で属性と“プレデター”態を決めたのですか? 何気に気になっています。

セレス「私は・・・優雅に舞い鋭く刺すスズメバチがイメージとする騎士として書かれているわ。今後、怪人の姿で登場させていただくときには、烈様よろしくお願いいたしますわ」
フレア「あたしは、どこまでも自由に飛びまわって、獲物を獰猛に刈り取るハンターのハヤブサがイメージなんだって!!」

>彼の設定についてはもう少し考えてから設定の感想の方に送ろうと思います。

ありがとうございます!!!
いつも貴重な感想やアイディアありがとうございます。今後とも楽しみにしております!

>トレハ様

いつも「仮面ライダー鉄」楽しく読ませていただいております!!!
己徹さんと亜麒くん、茜ちゃんの活躍ややり取り、あのギャグはとことん激しく暴走するところが非常に印象的ですし、「カッコつける」ことがどれだけの努力と強さが熱く描かれている名作、今後とも応援しております!

>ヘブン
ライダーシステム的にはキバ+電王ってな感じなのでせうかー。
変身する暁君も個性的過ぎる御両親の特徴をしっかり受け継いだナイスガイ、幼馴染変態三人娘に囲まれたりして今後の彼の活躍から目が離せませんな。

そうですね。まあ確かに個性的過ぎる連中に囲まれているため人一倍苦労性ですが、それでも変態3人娘や仲間たちを引っ張っていく暁の今後の活躍ぶりご期待くださいませ。

>列車☆破壊
大丈夫!ヒーローってのは必殺技の時に無駄に周囲の建造物を壊しちゃうモノさ!

そうですね。それに今後、この程度じゃすまない大暴れ振り見せますので!!

次回もよろしくお願いいたします。
,#000000,./bg_f.gif,p8119-ipbffx01hon.tokyo.ocn.ne.jp,0 2010年10月16日(土) 19時21分49秒,20101016192149,20101019192149,R/rQkXzXo9/nY,仮面ライダーヘブン 第2話,鴎,,,第2話 「Predator invasion」

黒煙と炎が立ち上り、崩壊しかかっている陸橋を見下ろし、俺は言葉に詰まった。
まさかここまでひどい被害とは・・・。
負傷者がいまだいないというのが奇跡的に近い。
ようやくポイント地点にたどり着き、俺は陸橋に慎重に降りた。

クリス「これは・・・・ひどい・・・!」
クロキバ「派手にやってくれたな・・・・!」
暁「ああ・・・・」

瓦礫をよけ、ところどころ穴が開いた線路を飛び越えながら捜査を始めた。

クリス「これほどまでの被害ということは相当の戦いがあったってことかしら・・?」
クロキバ「考えられるな・・・」
暁「しかし、兵士たちではない・・・とすると・・・・まさか・・・」

いやな予感がよぎる。
それに、このポイント地点で戦っていたというのは・・・。

暁「父さん・・・・母さん・・・無事でいてくれよ・・・!!」

そうして歩いているうちに、目の前にあるものを見つけた。
それは・・・巨大な列車・・・これは・・・救援物資を運ぶための列車じゃないか。
ふと、ライトがつき、高い音を立ててエンジンが鳴り出し、線路が震えだす。
誰かが起動させたのか!?

暁「こいつは・・・誰かがいるな」
クリス「罠・・・ですね」
クロキバ「まるで我らを待ち構えていたかのようだな」
暁「逃げ場なしのガチンコ・・もしくは俺たちを閉じ込めてジワジワ嬲るか・・・いずれにせよ、乗り込むしかねぇか。虎穴にいらずんば虎子を得ずってな」

そういって、乗り込むと同時に列車が動き出した。
そして、列車の前方から飛び出してきたのは・・・さっきのサル怪人の大群だ!!
ちっ、やっぱり罠かよ・・・!!

暁「この先にこんなことやらかしてくれた馬鹿がいるってことか」
クリス「暁!!スタンバイですっ!!」
暁「行くぜ、相棒!!」
クリス「はいっ!!」
クロキバ「おうっ!!」

クリスが憑依し、水色のメッシュが宿り、髪がポニーテールになって風になびく。
水色の瞳に映る敵たちはかなり多いけど・・・このくらいどうってことないぜ。

暁「行くぜ、クリス。クロキバ。俺たちの戦い方、見せてやろうぜ!!」
クロキバ「うむ!!」
クリス「はいっ!!」

「「「変身!!」」」

3人の心がひとつになって、銀色の暴風とともに列車に降り立つ。
仮面ライダーヘブンとして。

ヘブン「限界まで・・・トバすぜっ!!!」

サル怪人たちの棍棒の攻撃をよけて、クリスタルベイオレットをふるい、刃で敵を切りつけ、切り捨てた敵を踏み台にして飛び越えて、目の前にいる敵を横なぎに振るって吹き飛ばし、銃を構えなおして銃弾を発射する!!敵が吹き飛び散って行く。その中をかきわけるようにしてひたすら走る!!
列車から列車を飛び越えて、前から飛び出してくる敵を次々と切り捨てて、蹴り飛ばし、殴り倒し、障害物に隠れているなら銃弾で吹き飛ばす!!!
いろいろなパターンで出てきても、それに対して対応する戦術なんてなぁ・・・母さんや母さんのイマジンたちにメチャクチャ鍛えられてるんだよ!!!特に母さんにいたっては・・ストリートファイト仕込みの何でもありのバーリトゥードだしな。何が何でも勝ち残ることを前提とした格闘スタイルは、一見野蛮だけど、母さんの場合はそれでもしっくりきているんだよな。蹴り一つでもカポエラとかテコンドーとか組み合わせたとかで流麗かつ痛烈な一撃だ。あれで、何度特訓付き合ってもらって、食らって気絶したことか。
ホンット容赦ないからな、あの人は・・・。

ヘブン「一気にいくぜっ!!」

だから、たとえ、多数が相手でも、どんなに力の差があろうと、最後まであきらめない!!
運とかレベルの差なんか関係ない!!

ヘブン「オラァアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

銃剣で吹き飛ばし、クロキバをつかみ、再び指をかませる。
すると、足に風の力が宿り、全身が一気に軽くなる!!
そして、一気に踏み込むと敵に向かって右足を振り上げて上段回し蹴りを叩き込む!!

エイププレデター「ギャアアアアアアアアアアアッ!!」

サル怪人たちが吹き飛び、一気に爆発し道が切り開ける。

ヘブン「こんなところで猿回しやってるヒマねぇんだよ」

銃剣を構えなおして再び走り出す。目的は最前列の列車だ!!
あそこにいるはずだ。この列車を動かしているヤツが。


「猿回しだって、言ってくれるよ。あいつ、やっちゃう?」
そういって赤色のメッシュを入れた髪を肩まで伸ばして、シャツから赤いネクタイをたらし、黒いベストを羽織って、縞のレッグウォーマーを身につけている一見パンキッシュな服装の少女が言う。胸元にはハヤブサを模したシルバーのブローチをつけている。

「落ち着きなさい。今回はアリスがゲームで勝ったのだから、あの子の出番でしょう?」
つややかな黒髪を腰まで伸ばし、緑色のメッシュが入った美しい顔立ちの女性が少女をたしなめるように言う。胸元を大きく開いた服の上からベストを羽織、ハチをデザインしたシルバーのブローチを身につけている。

「そうですよ、それに、敵の実力も未知数。うかつに踏み込むのは危険です」
水色のシャツにスーツをまとい、腰まで伸ばした青いメッシュを編みこんだロングヘアの髪をなびかせ、知性的な顔立ちの女性が眼鏡をかけなおしてつぶやく。サメのモチーフとするピアスが右耳のみについている。

「でもさあ、あたしたち四天王だよっ!?あんな虫けらごときにバカにされていいってぇの?!」
「ゲームのルールは絶対。ゲームで勝った者のみが戦いに出られる。そう、古代からのルールですよ」
「マリアも、セレスも固いこというなよっ!!あんな銀色のヤツ、あたしがケチョンケチョンにしてやるってぇの!!」
「フレア、これはルールよ。アリスにすべてを任せなさい」
「・・・あーっ、もう、わっかりました、おとなしくしてりゃいいんだろっ!!ふんっ!!」

セレス「さあ、アリス、どんなショウを見せてくれるのかしら?」
マリア「楽しむとしましょうか」
フレア「ふん!!」

3人の少女がそれぞれ反応を見せ、やがてその姿が本来の姿にかぶって見える。
緑色の暴風をまとったスズメバチの化身・・・。
セレス「うふふ・・・“美しい”戦いを見せてね」

青き冷気をまとったサメの化身・・・。
マリア「さあ、教えてください。どれほどの強さなのか、私は“知りたい”」

赤き炎をまとったハヤブサの化身・・・。
フレア「あーあ、なんか、こう、“楽しく”ない!!」

それぞれが追い求めてやまない「欲望」を口にして、獰猛な本性を見せる。


そして・・・。
金色のポニーテールを髪になびかせ、一人の少女がなまめかしく唇から舌をちろりと舐め、美しくも凶暴な野獣のそれに似た笑みを浮かべている。

アリス「さあ来い。お前の“強さ”、とくと味合わせてちょうだい」

拳と拳を火花を散らせて派手にぶつけ合い、少女の姿が見る見る黄金の鬣をなびかせ、強靭な筋肉を甲冑からあふれんばかりに膨れ上がった頑強な鎧を身にまといし戦士、ライオンプレデターへと変身していく。


そして・・・。

ヘブン「もう少しで先頭列車だな!!」
クリス「暁!ルーベット様、ムーン様たちがもうすぐこちらに到着いたします!!合流したほうがいいです!!」
クロキバ「うむ、敵の実力は未知数だ!!」
ヘブン「そうだな、ここは合流といくか?」

そのときだ。

ドッガアアアアアアアアアアアアアアン!!!

ヘブン「!?」
後ろからすさまじい音とともに爆発がおき、後方の車両が切り離された!?
地響きとともに列車が吹き飛び、後方で轟音を立てて炎に包まれながら陸橋から落ち、地面に落ちて巨大な火柱を上げて大爆発する。

振り返ると、そこには・・・一人の人影がいた。

「邪魔はさせないわ・・・さあ・・・久しぶりの戦いだ。私のカラダを・・・ココロを・・・激しく熱くさせてね・・・・ボウヤ」

ヘブン「・・・この声・・・・女!?」
クロキバ「暁、油断はするなよ!!」
ヘブン「分かってる!!」

そこに出てきたのは金色の鬣をなびかせて、しなやかかつ強靭な筋肉で覆われた体を、獅子を模した鎧で覆った獰猛な顔つきに鋭い牙をのぞかせて、手甲をギリリと握り締めて、ズシンズシンと床を踏み鳴らしてくる凶暴な獅子の姿・・・。

その全身から出す威圧感に全身が警告を出す。汗が吹き出て止まらない。足が、全身が震えだす。全身の毛が逆立つような、その場に凍りついたように動けず心臓がはじけんばかりに激しく鼓動する。
そう、この感じは・・・・恐怖。
目の前に迫ってきているヤツは・・・「ヤバすぎる」。
今の俺じゃ勝ち目がない。
今すぐ逃げ出せと本能が告げる。
なのに、足が凍りついたように動けない。
しかし・・・なぜだろう。
俺の顔には・・・たぶん恐怖とか恐れとかじゃない表情が浮かんでいた。
口がつりあがる。
恐怖よりもさらに心の奥底からわきあがる本能。

「戦いたい」

自分の領域内に踏み込んでくるおろかな侵入者を蹂躙し、倒し、打ち負かし屈服させたい欲望。
体に流れるファンガイアの血が叫ぶ。
ぶち壊せ、覆せ、すべてを焼き尽くしてしまえ。
それのほうが勝っていた。

だから・・・俺は“笑って”いたんだ。

ヘブン「・・・・面白ぇじゃねぇか・・・・!!!」
ライオンプレデター「ふん、このくらいじゃ逃げ出しはしない・・・・か」
ヘブン「へっ・・・お前が・・・この事件を起こしたのか!」
ライオンプレデター「ふふっ、ならばどうする?」
ヘブン「・・・大人しく職務質問に応じてもらおうか・・・・じゃなきゃ・・・力ずくで聞き出す・・・・」
ライオンプレデター「ほう・・・・やってみろよ。出来るものならばな。さあ、私を熱くさせてくれよっ!!」
ヘブン「上等じゃねぇかあああああああああああっ!!」

同時に飛び立ち、俺が壁を蹴りあげて一気に反動をつけて飛び出し銃剣を横なぎに振るいながら飛びかかると、相手も壁を蹴り飛ばし、その要領で拳を振りかざし一気に突き出す!!刃に拳が当たると、激しい火花が飛び散り、剣に鈍く重い衝撃が走り全身に伝わってくる!!くそっ、なんて重い拳なんだっ!でもこのくらい、ルーク(塔子さん)や母さん、ムーンとかとずっと格闘技で鍛えてきたからまだ耐えれる!!でもまだこれはほんの序の口だろう。油断は出来ない。いきなり全力で出し切って手の内明かしてしまうようなバカならここまで派手なことは起こせまい。

拳と剣の応戦が激しく火花を散らせてぶつかり合い、轟音が鳴り響く!!

ライオンプレデター「ふむ、一兵卒というわけではないわね。少しは腕が立つようね」
ヘブン「そりゃどうも・・・!!あんたもさっきのサル怪人よりは強いな」
ライオンプレデター「そう、私の部下を倒したか。それならば、少々力を解放させてもよさそうね」

そういうと、手甲が黄金色の光を光り輝きだし、ライオンの怪人がぐぐぐっと拳を握りしめて構えなおす。
すると、床が急に震えだし、足元から蠢く異様な気配を感じ取る。
そしてとっさに俺は壁を蹴り飛ばし、そのまま上から上へと飛び移るといった三角飛びをして、コンテナの上に向かっていく!!

ライオンプレデター「・・・・シェイキングナックル!!!」

拳を突き出すと・・・2〜3倍までに膨れ上がっているような拳のイメージが飛び出し、そのまま飛び出してきた!!そして俺がいるコンテナに直撃したその時!!

ビシビシビシビシビシビシ・・・・・!!!

空気にひびが入った!?そして、そこからさらに空気までビリビリ震えだす。
そして、その攻撃をよけると、衝撃波がコンテナを直撃して、音を立てて震えだした・・!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!!
サラサラサラ・・・・

ヘブン「!?」
クリス「こ、粉々になって消えていく・・・?!」
クロキバ「振動による分子破壊か・・・!?」

そして、重厚なコンテナは一撃で砂のように崩れ去ってしまった!!

ヘブン「マジかよ・・・」
ライオンプレデター「私は地の力を司る。ボウヤ、大人しく灰となって地面に還るがいいわ。生き物はいずれ、死んで土に還るのだから」
ヘブン「そうかもしれないけど、俺はまだ死ぬわけにはいかないんだよっ!!」

まだ人生に終止符を打てるほど満足もしてない!!

クリス「地震の振動を・・・衝撃波に変えられるなんて・・!!」
クロキバ「あんな攻撃、受けたら暁でも粉々になってしまう!!」
ヘブン「かといって、無傷じゃ勝てる相手でもなさそうだぜ・・・!」

力の差は歴然としている。
でも、こういうときこそあきらめないで頭を回転させろ・・・。
知識を振り絞れ、何でもいいから行動しろ、諦めるな!!

ヘブン「待てよ・・・あいつあれだけの攻撃をぶっ放してきたとき、一瞬だけ隙ができていた。つまりそれだけの力を放出しているってことか。そこを狙えば・・・・いけるな」

はっきりいって一か八かだ。でも、これしかねぇ!!

ヘブン「クリス・・・・クロキバ・・・ちょっとばかり無茶するぜ」
クリス「暁、覚悟はできています。私はいついかなるときも、貴方についていき、背を守ります!!」
クロキバ「いかにも!」
ヘブン「OK、それじゃ行くぜ!!」

合図を交わしあい、銃剣を引っ込め、ファイティングポーズを構える。
正直、キツ過ぎるのだが、このままじゃ体力が持たない。
そして、背中のウイングを全開して風が翼のように広がる。

銀色の光を帯びた風の翼を広げると、列車の上を激しく吹きすさぶ。

こっからは・・・命がけでマジだぜっ!!!

ライオンプレデター「・・・ふふっ、何だ?この熱くたぎる感覚は・・・久しぶりだ。いいぞっ、来い、私のカラダを、ココロを、とことん熱くさせてくれよっボウヤっ!!!」
ヘブン「ボウヤかどうか試してみるか・・・行くぜ!!!」

そして、地面を蹴り飛ばし、空気を切る感覚を全身で受けて、敵の拳を片腕ではじき、さらに振り上げた拳を一気に突きつける!!

ライオンプレデター「ふっ!!」
ヘブン「まだまだぁ!!」

よけたところへ上段蹴りを振り上げてさらに回転させて回し蹴りを振り上げるが、それをよけきれず拳でふさがれる!!そしてそのまま拳を踏み台にして飛び上がり、敵の頭上に飛び上がると、銃剣を召還して銃弾を乱射する!!

ライオンプレデター「ちっ!!」

ライオン女が舌打ちして銃弾をよけ、一瞬だけ体制が崩れる。
それを見逃さず、拳を振り上げて一気に突き出す!!

ライオンプレデター「うおおおおおおお!!」

拳と拳がぶつかり合い、激しい火花と衝撃が二人の間に響きあう!!

ヘブン「・・・へへ・・・楽しくなってきたじゃねえか!!」
ライオンプレデター「ああ、久しぶりだ。やはり、戦いはいい。特に命をかけた、この緊張感や血が滾る感覚は、最高だっ!!もっと、もっとだ、もっともっと私を熱くさせろっ!!ボウヤァアアアアアアアアアアッ!!!」
ヘブン「こっちも熱くなってきたぜ・・・いいぜ、とことんやり合ってやらぁああああああああああああああっ!!」

もう俺の中で何かが火が付いて燃え上がっているようだ。
それだけ・・・・この戦いが今までくすぶっていた俺の何かに火をつけてしまった。

拳と蹴り、もう繰り出す攻撃と攻撃が激しくぶつかり合い、列車内は激しい戦場と化していた。そして、お互いが拳と拳をぶつけ合い、一気にけりをつけるときだと確信し、拳を握り締める。

クロキバ「暁!!一気に決めるぞ!!」
ヘブン「おうっ!!」

クロキバが腕を噛み付き、空中に舞い上がると右足を突き出して構える。
そして相手も拳を構えて準備はいつでも万全とばかりに構えだす。

そして・・・。

ヘブン「ジハード・・・・ライダ―――――――――ッキック!!!」
ライオンプレデター「シェイキングナックル!!!」

拳と蹴りが激しくぶつかり合い、列車内が銀色の暴風と金色の光で包まれ・・・!!
そして・・・!!

ドッガアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

列車全体が・・・激しく揺れだし巨大な火柱を上げて爆発を起こした!?
そこで気づいたんだ。

ヘブン「・・・・よく考えりゃ列車の耐久度考えてなかった・・・」
クリス「ええええええええええええええっ!?」
クロキバ「まさか・・・もうこの列車爆発する!?」
ライオンプレデター「もはや限界らしいな・・・メインシステムが完全破損している・・・ということは・・・・」

もう遅かった。

ドガンドガンドガンドガアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!

列車が火に包まれだして煙を上げて脱線し、そのまま俺とライオン女が空中に投げ出され、列車が川に落ちた瞬間・・・・!!

チュドオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!

哀れ、列車が爆発し、川の水が一気に盛り上がってはぜて空中の俺たちを巻き込んで打ち上げる。そして、地面に水の衝撃がクッションか地面に転げ落ちる。そしてヘブンのシステムももはや限界まで来ていた。鎧と仮面が外れて、俺は元の姿で地面に転げ落ちた。
空から雨のように水が降りしきり、俺に降り注ぐ。

暁「・・・まーた・・・熱くなりすぎちまった・・・・」
クリス「・・・・・・・・暁―――――――――――――――っ!!!」
クロキバ「バッカモ―――――――ンッ!!!!」

クリスとクロキバの怒号とともに、俺は吹き飛んだ。後ろではクリスとクロキバが怒りで顔を真っ赤にして湯気を頭から出しながら怒っていた。そりゃそうだわな。戦いで頭がヒートアップしちまって、列車ごと心中しかねなかったんだから。

暁「ごめん、やりすぎた!!(土下座)」
クリス「今度こそこの世とおさらばかと思いましたよ・・・」
クロキバ「お前はクールなのかバカなのか時にわからなくなる・・・!!」

失敬な。一度熱くなったら周りが見えなくなるだけだい。結果、命の危機につながりかねない事態やトラブルが舞い込んでくるだけだ。

暁「・・・悪い、説教はあとだ。まだ、あいつがいるぜ!!」

そういって、立ち上がると、そこにあいつがいた。
つややかな黒髪をたらし、皮のベストにパンツといったワイルドな服装をした、金色の瞳をしている獰猛な獣のような少女が・・・。
しかし全身ぼろぼろで立っているのもやっとといった感じだ。

アリス「くくく・・・・くははは・・・あああ・・・・いい・・・・いいよ・・・・この感覚・・・・久しいよ・・・・熱くて・・・とろけそう・・・・戦いでここまで感じるのは・・・久しぶりよ・・・・あははは・・・・ああ・・・・気持ちいい・・・!!」

暁「バケモンかよ・・・・ったく」

アリス「違うね。吸血鬼さぁ。最も、血も吸わなくても、日の光を浴びても、聖なる力もすべて克服した選ばれた存在さっ、そう、化け物の中でも選び抜かれた、いいや、自分で勝ち取ったのさぁ、力を、この世界の支配者にふさわしい至高の力をなぁああああっ!!」

吸血鬼だぁっ!?しかも・・血を吸わなくても日の光をあびても、聖なる力・・・すなわち十字架やお経とかもきかないってことかよっ!?その上、少女の口から覗いている犬みたいに尖った牙は・・・・吸血鬼のようにも見える。マジかよっ、そんなの今まで聞いたことねぇぞ!?

アリス「あれぇ、もしかして、知らなかった?まぁ、無理もないわ。私たちの一族はあまりにも強すぎて同族からも恐れられて、最後には戦争を仕掛けられて信じていた王族や貴族たちに滅ぼされて封印されて、歴史上からも消されたからなあ。でも、こうしてお会いできたからにはちゃんと覚えておいてね。今から貴方たちを倒し、この時空を支配する一族を、アヴァロンの名を!!あはははははははははっ!!」

少女が高らかに狂ったように笑い出す。
完全にイッちまっている。そうおびえた瞬間、少女がゆがんだ笑みを見せて、目にも止まらない速さで飛び出し、俺の首をつかむとそのままものすごい速さで駆け出して木々にたたきつける!!あまりの激痛で一瞬呼吸が止まった。

クリス「暁!?」
クロキバ「暁!!」

アリス「暁、さ・と・る、サトル、暁っていうのかあぁああああ!!あははははははっ!!ああ、久しぶりに会えたわ、私が狩るにふさわしい獲物が、貴方だぁあああああっ!!ああ、愛おしい、愛おしいわ、壊したいくらいにィイイイイイ!!!あはははははははっ!!」

そして、顔を近づける。整った端正な顔立ちがゆがんだ狂気に満ちており、愛くるしくも底冷えのするような笑みを浮かべている。

そして、首筋に顔を近づけられて・・・・ええええええ!!
やわらかい何かが押し付けられ、桃色の唇が離れると赤い舌がれろりと首筋を舐めている。
冗談じゃない!!!!
俺が本能的に逃げようと首をずらすが、あまりにも強い力で抜けられない!!

しかしすぐさま、少女が顔を上げて俺の顔を覗き込む。唾液をたらして舌なめずりしながら、愛くるしく妖艶に微笑んでいるが近寄る姿はもはや獣にしか見えない。
アリス「美味しい・・・」
暁「血・・・吸ったのか」
アリス「吸わないっていったでしょう?でも、貴方の首に私がマーキングしておいたわ。貴方を狩るまで私は貴方を逃がしはしない・・・うふふふ・・・・どこに行っても逃がしてあげない・・・・貴方の首を刈り取るまではね・・・・」

そういって、話すと、首に金色のライオンのような紋章が浮かび上がり、やがて消えていった。これってまさか・・・どこにいても察知することができるってことかっ!?俺の気配を感じ取ることとか!!いわゆるストーキングってやつかっ!?(違うような気もするが)

そして、少女が呆然としている俺を放り投げて、森の奥に向かって走り出す。
逃がさんと走ろうとするが、もう体がボロボロで動きそうにない。

アリス「私はアリス・ビストレオ。選ばれしアヴァロン家に仕えし四天王の一人。“大地のアリス”。覚えておいてね。貴方を・・・狩るものよ・・・うふふ・・・あははは!!よろしくね・・・・暁」

そして森の奥に消えていった・・・。

暁「・・・ちくしょう・・・・」
冗談じゃねぇ。これで、俺、吸血鬼だかアヴァロンだか知らないが、これで獲物確定?
大人しく狩られてたまるか・・・つーか、何で俺!?
それに・・・ああいうえっちぃのは・・・どうも苦手なんだし・・・。
そういう問題じゃねえ・・・・。

そのときだ。

ルーベット「暁殿!!!こちら、第4白兵部隊隊長ルーベット!!聞こえますか!?」
無線機から聞こえてくるルーベットの声。
しかしそれさえももう遠く聞こえてくる。

暁「・・・ああ・・・至急・・・・救助の応援頼むわ」
ルーベット「了解!!それと、晶殿と慧殿の確認!!二人とも重傷ですが命に別状なし!!救急施設に搬送を完了いたしております!!」

暁「・・・そうか、父さんと母さん助かったのか・・・・」

よかった。あの二人に何かあったら・・・。
でも今はもう俺が・・・もうやばい。
何かいっていたが・・・もう・・・意識が・・・・もたねぇ・・・・。

俺の意識が暗闇に急速に飲み込まれていった。

続く
Next line「Trouble of it is unexpected and not being possible to evade」
,第2話書きあがりました。
今回、もう一人の主役とも言える「アリス・ビストレオ=ライオンプレデター」の登場と暁を今後「狩る」対象として、彼女が戦う中でどのように成長していくのか、その始まりを書きました。そして、新たなる敵、本人たちは「アヴァロンの一族」と名乗っていますが、慧たちが敵たちを未来を支配する侵略者「プレデター」と呼ぶ形で呼んでいます。
正直アリスの表現がうまくかけているか不安で仕方ないのですが、彼女は本能に忠実な獣をイメージして書いておりまして、「本能」のままに戦う彼女が今後戦いで何を知り、力として得ていくのかが、ヘブンのもうひとつのストーリーであります。

レスをお返しいたします。
>烈様
>敵の能力

暁「確かに描写がやりすぎかもしれないね・・・。ただ、作者はバルキリーやワイバーンが強すぎたら、本来主人公であるヘブンの活躍のタイミングとかイメージが弱くなると思っているようです」

>棺桶型ベット

暁「俺が好きだからかな?洋風のアンティークとかそういったものには興味があるんだ。そういう設定らしい」
クリス「センスはいまいちなんですけど・・・まあそれはバルキリーからのお約束ということで」

>暁「【ヘブン】の俺。何があっても諦めんなよ」
暁「当たり前だ。この時間守るって決めたからよ。烈様の暁も応援よろしくな!!」

>クリス「【ヘブン】の私も頑張っていってくださいね」
クリス「はい、負けません!!今回、あのような敵も出てきましたし、ますます私ががんばらないと!!」

>クロキバ「【ヘブン】の私よ、そちらの暁達と頑張り、“時の刻み”を守りぬけよ」
クロキバ「うむ、この時空必ずや守り抜いて見せるぞ」

慧「私たちへのお手紙も待っています!!」
晶「応援よろしくね!!」
アリス「次回もよろしく・・・」

ちなみに、アリス・ビストレオの名前は大地の(earth)と、ライオン(lion)と獣(beast)を組み合わせています。


>@PF様
>とは言え、タネがあろうと無かろうと、この二人を圧倒できる能力は底知れない脅威ですな。
関係無いけど、設定の晶と慧の一言、男女逆に聞こえる不具合www

エリザベート「有無、これに関しては読んでくださっている読者の皆様にがっかりさせないように、いついかなるときに能力の正体を明かすか、今検討中である。ワシもしっかりがんばっていくので応援よろしく頼むぞい」

>しかしコレ、一件寝不足を駆逐できる夢の道具に見えますが、中にいる間は通常の六倍の速度で歳を取る訳で…寿命の長い人外系の方々ならともかく、人間の乱用は危険ですねぇ

まあ、メリットあればデメリットもあるということでね。
でもあれば便利ですよね。不眠症解消できるし・・・。

ここで、読者の皆様にお知らせです。
この話の中で出てきた「ゲーム」ですが、これは四天王が戦闘に出る前に4人でゲームをして勝ったものが戦闘に出られるといった形のルールでして、それで、今後、2話ごとに読者の皆様が興味を持たれる四天王を一人、選んでいただいた際、その四天王を中心とする物語を書いていきます!!今後、もし選んでいただけましたらそのリクエストに全力でお答えできるようがんばってまいります!!

四天王
セレス・ホーネット(スズメバチの化身。妖艶な美貌を持つお姉様系タイプ。風を操る)

マリア・シャークエッジ(サメの化身。知性的な雰囲気の眼鏡スーツ美少女。水を操る)

フレア・ファルシオン(ハヤブサの化身。短絡的かつ我侭でやんちゃな女の子。火を操る)

アリス・ビストレオ(ライオンの化身。強くなることと暁に目がない戦闘狂。土を操る)

さて、今回、3話目から出てくる四天王は誰がご希望でしょうか?
応援よろしくお願いいたします!!
,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年11月29日(月) 19時36分54秒,20101016014523,20101202193654,XgANgjOs/sxf2,仮面ライダークロノスたん・特別出張盤 ver.“G”-04,YP,,,


「はっ!」

 クロノスたん・シックルフォームはクロノガッシャー・シックルモードを居合のように振るう。
 それを急に現れた怪人少女――――マンティストリスたんは、片手で易々と受け止めた。
 ガキィン! と一際甲高い音がし、それはクロノガッシャーの刃が弾かれたことの証左(しょうさ)である。
 マンティスたんは勢いを殺すことなく、それどころかさらに加速させて反対の手をフォークのように突き出した。
 クロノスたんは上体を仰け反るようにしてバク宙しつつ、牽制のためドルフィンキックをかます。
 マンティスたんはその美脚を、首をひねることで易々と交わす。
 しかしその程度で動揺するはずもなく、クロノスたんは蹴りの勢いを利用してマンティスたんから距離をとった。
 つ……、と頬を流れる一筋の赤い線。

「ふぅ。どうにもヤりにくい方ですね。あのようにナニからナニまでカチカチでは、正直なところ赤玉打ち止めですし」
(シャルと同じぐらい手が速くて、おまけに堅いとかズルいよネー。……しょーがない、選手交代。オリヴィエ、君に決めたっ!)
「まぁ、妥当な判断でしょうね。こういう時のための早着替えシステムですし、世の中全てのものには相性というものがありますから」

 言って、クロノスたんがターミナルバックル横の白いボタンを白魚のような指で優美に押す。
 そのあからさまな隙を見逃すはずもなく、マンティスたんは猪のように跳びかかってきた。
 まるで弾丸のように、真っすぐ真っすぐ一直線に。
 それを見てクロノスたんは――シャルは――見下すように侮蔑をこめて優しく微笑んだ。

「Uaaaaaaaaaahhhhhhhhh!!」
「まるで発情期のケダモノですね、堪え性のない上に見境なくはしたない」

 クロノスたんは青いシースルーのローブを翻しながら、カウンター気味にマンティスたんをいなしつつパスをバックルにかざす。
 マンティスたんはそれしか知らないとでも言うように、体勢を立て直し再び跳びかかってくるが、それでも早着替えには十分だ。

「餅は餅屋、猪には猪。それではオリヴィエさん、あとは宜しくお願いしますよ?」

 ≪――Lance Form――!!≫

 華やかな青いスク水ローブ姿から一転、一瞬にして地味な駅員風のプラットフォームに。
 しかしそれも刹那のこと、次の瞬間には羽吹雪と共に白騎士風のランスフォームが威風堂々と姿を現した。
 オリヴィエ――――クロノスたん・ランスフォームは眼光鋭くマンティスたんを睨み、例によって決め台詞をビシっ! と決める。

「だいたい1年半ぶりの出番が露払いとは、私も安くみられたもんだな。悪いが手加減はできんし、する気もない。
 私の気が済むまでボコボコにされる権利をやろう、返事はイエスでいい!!
(はいはい、メタ発言とオ○ーナさん乙。てか来るよ、油断しないで!)
「Wooooooaaaaaaahhhhhhhhhhhhh!!」

 一直線に襲いくるマンティスたんに、これまた一直線に迎え撃つクロノスたん。
 どっしりと構えたその姿は、まるで壁のようですらある。
 そんな彼女にマンティスたんは右ストレートをぶち込む、それは紛れもなくクロノスたんの顔面にめりこんだ――――、はずなのに。

 がしっ。

「!?」
「ふん、軽いな。信念の欠片もない、ただ力に身を任せる拳など、蚊が刺した程度にも感じん!!」

 にやり、と不敵に笑う彼女はマンティスたんの右手首をがっしりとつかんで離さない。
 振り払う隙も有らばこそ、マンティスたんの世界は一瞬にして軸がずれた。
 クロノスたんがマンティスたんを路地の塀に横向きに叩きつけたのだ。
 一体どれほどの莫迦力でやればそうなるのか、塀には蜘蛛の巣のようなひびが刻まれる。

「うぉぉおりゃぁぁぁあああ!!!」

 連打、連打、連打。
 クロノスたんはマンティスたんのボディに拳を全力全開でぶちこみまくる。
 どすん! という音がパンチの数と同じだけ響き渡り、その衝撃を受け止めきれずに塀は砕け散った。

「生憎だが、まだまだ私の憂さ晴らしは済んでいない」

 崩れ落ちた――というよりは支えを失い投げ出された――マンティスたんの首根っこを片手で軽々と持ち上げ、路地に引き戻すように一本背負い。
 かはっ、と息を強引に押し出したような音がマンティスたんから漏れいづるが、そんなことで情けをかけるような心をクロノスたんが持ち合わせているはずもなし。
 逃がすまいと思い切りマンティスたんの腹を踏みつける、酷ぇ。
 ぱんぱんっ、と彼女は手を叩(はた)きながら言った。

「なんだ、すばしっこいだけで大したことないな。こんな雑魚に手を焼くとは、あの色ボケ死神も情けない」
(まーたそんな風に油断して大口叩いてー。前みたいにピンチになっても知らないよー?)
「莫迦にするな、同じ轍(わだち)は踏まん! それにあまり賢くなさそうだからな、こいつは」

 言いながらも踏む力を緩めることはない。

(オリヴィエだって都合の悪いことはすぐ忘れる鳥頭のくせにー)
「何をぉ!? お前こそ、普段はあーだこーだと屁理屈垂れるくせして肝心な時に録画してないくせに!」
(違いますー、ちゃんと予約してるからいじる必要ないだけですぅー。それに万が一録画忘れたって、誰かさんと違ってアタシはネット使って見れるから問題ないんですぅー)
「か〜〜〜っ、あぁ言えばこう言う!?」

 ……そんな無駄話をしながらもパパパっとクロノガッシャーをシックルモードからランスモードに手早く組み替えていく様は、どこかシュールですらある。
 足元で唸りながらもがくマンティスたんの喉元に、ピタリと白い刃先が当てられた。
 動けば危険だということを本能的に察知したのか、マンティスたんは足掻くのを一時停止する。
 もっとも血走った目つきで威嚇するように睨みを利かせるのはやめなかったが。

「貴様が何者か、そんなことはどうでもいい。敵である以上はこのオリヴィエ、容赦せん!」

 クロノスたんがクロノガッシャーを振り上げ、巻きもどすかのように振り下ろす――――!

「ま、待って――――!」
「ぷえぇーっ!?」

 ごきっ、と嫌な音がした。
 いきなり、クロノスたんの視界が上方向にずれる。
 自慢のポニーテールを誰かが思いっきり引っ張ったのだ。
 そんな状態で標的に当たるはずもなし、クロノガッシャーはマンティスたんの顔スレスレ、地面にくっきり突き刺さっていた。

「く、首がががが!」
「あー、えっと……ごめんなさい。(汗 」
「お前……! ……?」

 クロノスたんが振り向くと、そこには息を切らせた絵美里の姿が。
 走ってきたのか、頬も赤い。
 どこからか「息切らせて頬っぺた赤くするとか、萌ゑるよネー」という声が聞こえた気がしたが、オリヴィエは華麗にスルー。
 何故か彼女の目は赤く腫れており、それが涙を流したことが理由だと察すると、怖い思いをさせてしまったのかとオリヴィエはみじんこほど微妙な気持ちになった。
 そんな彼女の逡巡を見逃すはずもなく、マンティスたんはクロノスたんの尻を蹴りあげる!

「痛っ!?」

 さすがにそんなところを蹴られた経験はあまりないのか、クロノスたんはたたらを踏んで体勢を崩す。
 マンティスたんはクロノスたんの胸ぐらをつかみ、雑な巴投げでぶん投げる!
 背中から地面に落っこちる形になったクロノスたんは、顔をしかめながらもマンティスたんを睨みつけた。

「ぐっ!? この――――!」
「Wooooooooooooooooooooo!!」
「スミレちゃん!?」

 マンティスたんはクロノスたんが起き上がる前に馬乗りになると、マウントポジションのままその両手を首に伸ばした。
 ギリギリと絞めつけるが、クロノスたんも負けじとマンティスたんの手首をへし折らんばかりの力で握り返す。
 マウント取られているにも関わらずゆっくりと、しかし確実に押し返すあたりがオリヴィエの脳筋たる所以か。
 めきょめきょっ、と嫌な音がしたが両者とも退くつもりはさらさら無いらしい。
 その光景を見て、絵美里は悲痛な叫び声をあげた。

「スミレちゃんもマドカ、もう止めて! 二人が喧嘩することないよ!!」
(そうそう、これ以上アタシのために争わないでー、ってね。…………………………え? 今、なんて?)

 いきなり変な怪人少女の群れ&怪しいおねーさん(?)に襲われました。
 やっつけたと思ったら新しい怪人少女がやってきました。
 しかもその怪人少女はどうやらお友だちっぽいです。←今ここ!!

(…………あばばばばばば!?!?!?!?! いやいや多肢蟹もとい確かにマドカちゃんは怪人少女かもしれないって疑ってはいたけれども
 まさか本当にそうでしかもガチ殴りあいするなんて流石のアタシも予想してなかったよ奥さんおぉ怖い怖い!!)
(言ってる場合か!! とにかく、悪党なら生かしておく理由はない――――全力でぶっ飛ばす!!)

 意識内でそんな寸劇をしつつ、クロノスたんは遂にマンティスたんの両手を押し返した。
 直後、うおぉらぁ!! と漢(おとこ)前な叫び声を上げて頭を思い切り振りぬく――――伝説の喧嘩殺法、ZU☆TU☆KIだ。
 中に何も詰まっていないくせに硬さだけは一人前以上、そんな凶器をマンティスたんの鼻っ柱に一切の遠慮なくハンマーのごとくぶちかます。
 ぐらり、と仰け反ったマンティスたんの顔をさらに渾身の右ストレートぶん殴る!!

「Ugaaaaaaa……!!?」
「くらえ!!」

 ≪――Full Charge――≫ と、クロノガッシャーを拾い上げていつものように――――

「エクストリーム・スラッシュ!!」
((……ゑ?))

 ――――振りぬく、一閃。
 マンティスたんは、どさり、と崩れ落ち、絵美里は顔面蒼白に。

「すみれチャンガまどかチャンヲ………………はぅ」

 きりきりばたーん、と絵美里は貧血でも起こしたかのように倒れた。

(わーっ!? えみりー、起きてー!? てかオリヴィエ、何やっちゃってくれてんのさ!?)
「安心しろ、峰うちだ」
(ひょ?)

 見れば、マンティスたんの変身(?)は解除されていた。
 ガチャリとベルトを外すと、スミレは慌てて二人の元へ駆け寄る。
 絵美里は気を失っただけ、マドカも――ぼっこぼこにされてはいたが――生きている。
 ぺたりと、スミレは尻もちをついた。

「はぁ……安心したら腰抜けた。とりあえず、クロノスライナーに 拉致 連れてこっか。マドカちゃんには事情も聞かないといけないしね」


     ★


 目を開ければそこは真っ白な壁に、何故かいくつかの電灯が付いていた。
 当然それが壁であるはずもなく、その実態をマドカに認識させる。

(……知らない天井、です)

 ガタンゴトンと世界が揺れていた。
 自分が寝ているのは何か乗り物の座席のシートだろうと、少し硬い感触から推測する。
 いつまでも寝ているわけにもいかず、のそりと上半身だけを起こした。

「あ、目ぇ覚めた? おっはー」
「あ、はい、おはようございます」

 身体を起こすと、まず最初にスミレが視界に入ってきた。
 挨拶をされたので反射的に挨拶を返し、あたりを見回す。
 少なくとも、マドカが自分の足で来たことのない場所だということを理解した。
 まるで電車の中のようだと彼女は思った。
 窓の外には知識でしか知らない風景が広がっていた。

(砂漠の上を走ってる……? でも、この街に砂漠なんてありましたっけ……?)
「ほら起きてえみりー。マドカちゃんも起きたよ」
「う……んぅ」

 ゆっさゆっさと肩を揺らしつつ一部をガン見しているスミレが「んー眼福眼福、こういうのは主人公の約得だよネー」などとほざいていたが、マドカは外の景色に見とれていて聞いていなかった。
 窓にうっすらと映る自分の姿を見る。
 そこに映っていたのはエメラルドグリーンの髪と瞳、洗面台で見る自分の顔そのもので、見慣れたものだ。
 その見慣れたはずのものに途方もない安堵感が感じるのは一体何故か。
 不可解な感情の理由を探そうとした彼女だったが、それを遮るものがあった。

「……マドカちゃん!? 元に戻ったの!? よかった、ホントによかった……!!」
「ぐぇ!? あ、あのそのエドガワさん、そんなに絞められるとぐるぢ……!?」
「よかった、ホントに、よかったぁ……」
(うわ、ぐいぐい押しつけるからムニムニだってばよ。何たるCHICHIバッグ、けしからんですなぁ全く)

 嬉しさのあまりえぐえぐと泣きながら抱きつく絵美里、ホールドされすぎて絞められすぎてタップしまくりのマドカ。
 そんな二人の様子を これは二人をからかうネタになる 微笑ましいと思いながらも、とりあえずスミレは引き離す。

「さーて、と。何から話そうか」
「あの、話すって……何をです?」
「アタシさー、マドカちゃんとちょーっとお話ししなくちゃいけないんだよねー。宮仕えの悲しい性というか、正義と友情の両立は難しいってゆーか。どうも覚えてないっぽいしさー……」

 目を逸らすスミレを見て、珍しいと、マドカは思った。
 付き合いはそれほど長くないが、スミレは物事をズバズバというタイプの人間であって、回りくどいことをする人間には思えなかったからだ。
 それに隣に座っている絵美里がしきりに自分の手をぎゅっと握っているのも不思議といえば不思議である。
 まるで逃がすまいとしているようで、マドカは息が詰まる思いだった。
 そして、スミレは言った、覚えていないようだと。
 それが自分に向けられた言葉なら、一体何を覚えていないというのか。
 そんな疑問に回答を突きつけるが如く、スミレは観念したようにマドカの目を見て、言い放った。

「……マドカちゃんってさ、人間じゃないよね?」

 刹那、マドカの顔から表情が消え、ガタンと音を立てて立ち上がった。


     ★


 ……あぁ、そういうことか。なんで今まで思い出さなかったんだろう。
 違う、思い出さなかったんじゃない、思い出したくなかっただけなのかも。
 だってワタシは怪人だから。クロノさんと。エドガワさんと。学校のみんなと。先生と。
 一緒にいちゃいけない、一緒にはいられない。人間は怪人と一緒にいようとしない。
 クニエダさんだってワタシの正体を知ったらきっとワタシのことを嫌いになる、ワタシを見捨てる。
 それが嫌だから、そんなことを考えるのも嫌だから、だから思い出さないようにしてたんだ、きっと。

「あー、マドカちゃん、聞こえてる?」

 止めてください、そんな風にワタシを人間扱いするのは。惨めになるだけなんです。
 クロノさんだって見たでしょう、本当のワタシ。見境なく暴れまわって、二人にも手を上げたんです。
 ヒトはそんなことしないんです、怒ります、怯えます、離れていきます。
 なのにそんな風に言われたら、トモダチでいれるかもって期待しちゃうじゃないですか。

「石森さん、どうしたの? 顔、怖いよ……?」

 無理しないでください、声震えてますよ。ワタシ知ってるんです、エドガワさんはワタシが怖いんでしょう。
 手だって震えてるじゃないですか、さっきみたいに逃げていいんですよ。無理して強がられたって、ワタシ嬉しくないです。
 それが普通なんですから、無理してほしくないんです。ワタシにそんな価値ありません。

「……とりあえず座ろうよ、ね?」
「あーそうだ、鞄とカメラ返しとくね」

 カメラ……そうだ、ワタシのカメラ。写真の中でだけなら、ワタシだってヒトになれる、容(かたち)だけでも一緒にいられる。
 あぁ、クロノさんが「二次元に行きたい」って言ってたのはこういうことなんですね、ようやくわかりました。
 ワタシも二次元に行きたいです。

「とりあえず知ってることを洗いざらい教えてほしいんだけど、いい?」
「教えることなんてありません。お二人が見たとおり、ワタシは人間じゃないんです。それ以上でもそれ以下でもないです」
「そんなヤケクソ気味に言われたって、アタシは納得できないんだけど」

 ごめんなさい、こんなことしか言えないんです。ワタシなんかに構う必要ないんです。
 怪人のことなんか忘れて普通に楽しく暮らしてください。……あ、クロノさんは正義の味方でしたっけ。
 心配ないですよ、クロノさんの手を煩わせるつもりはないですから

「んー、じゃぁさ、アタシの質問に答えてよ。それならいいでしょ? 『はい』か『いいえ』でいいからさ」
「…………………………」
「おーい、返事はー? もしもーし」
「マドカちゃん」
「………はい」

 わかりました答えますでも期待しないでください。


 To be continued……?


,どうにかこうにか時間と体調に折り合いをつけてチマチマ書けました。
しっかしどうしてこうなったと言わんばかりの鬱展開、これってコメディ(失笑)じゃなかったっけ?
当たり前のごとく次回も時間かかると思うんで、先に謝っておきますごめんなさいね。

お返事テーレッテー

To 青嵐昇華さん

>おかえりなさい、あなた。
おいらは根なし草、その日その日を旅して暮らすだけさ、ふっ……。(ぉ

>やべぇ、超安心の死刑宣告(ぇ
ただのキメ台詞がいつの間にか死刑宣告に。
(・3・)アルェー?

>こういう展開はスミレちゃん的にもキツイでしょう・・・
誰の立場に立っても辛いことしかないです。
まぁそのうち解決してくれるでしょう、時間が。

>状況が状況だけあってネガネガしいよマドカちゃん!?
ぶっちゃけこれ書いてた時期はわぴたん自身がネガネガしててそのネガネガっぷりが投影されたのがネガネガマドカだったり。

>クロノスたんの勇気がマドカちゃんを救うと信じて!!(ぇぇー!?
わぴたん先生の次回作にご期待ください、御愛読ありがとうございました!(ぇ

To @PFさん

>相変わらず傍若無人かつ正義感に溢れてて嬉しいぜ…
信じられないだろ?
プロット段階では真面目で融通きかない委員長キャラだったんだぜこいつ……。

>しかし必殺技を思いっ切り叩き込むのはまだお預け、ですかぁ
ぶっちゃけ今回は必殺技出すかどうかも怪しゲフンゲフン!

>もっと!熱くなれよぉぉぉぉぉぉ!!!
頑張れ頑張れできるできるやれるやれるって気持ちの問題だってどうしてそこで諦めるんだそこで周りのこと思ってみろよ今まで応援してくれた人たちのこと思ってみろってダメダメダメここであきらめちゃ絶対ダメもっと頑張れポジティブに頑張れ積極的に頑張れ確かにしんどいかもしれないでもだからこそ

N e v e r g i v e u p!!


>では、無理せず、頑張れる時に頑張って下さい。
はい、無理せず頑張れるときに頑張ります。
ゆっくりしていくよ!(ぉ

ではーこんかいはーこのへんでー。
,#000000,,i114-190-82-238.s11.a028.ap.plala.or.jp,1 2010年10月12日(火) 21時21分33秒,20101012212133,20101015212133,Qnyzx97mXG.eI,仮面ライダーヘブン 第1話,鴎,,,第1話 The opening of the accident

エリザベート「・・・・所詮これまでかのう・・・・」

白銀の月の光を受けて浮かび上がるのはブロンドの金髪を短くまとめ上げている、赤く透き通るような双眸を光らせ、赤を基調とするジャケットに白いパンツを着こなす姿はまるで男装の麗人、豪華な舞踏会でもその美しさは引き立つ。そして、濡れた唇から時折見える鋭くとがった牙・・・。
そして、背中からは漆黒のコウモリをイメージさせるかのような翼がマントのように風になびいている。

ワイバーン「・・・・くっ・・・・まさか・・・・ここまでの力とは」
Phバルキリー「・・・・今までの敵とは・・・・比べ物にならないじゃない・・・」

そんな彼女の前では青き竜をイメージした荘厳な鎧と仮面を身にまとい、ボロボロの三叉槍を持ち、片膝をついている戦士と、大剣を杖代わりにボロボロの身体を必死で起こそうとする赤き鳳凰をイメージさせる鎧と仮面を身にまとった戦士があった。
かなりの激戦の末か、現場となった線路の一画は所々吹き飛び、がれきの山がいくつも積み上がっており、置き去りにされた列車から黒い煙や火が噴き出し、暗き夜の闇を妖しく照らす。

エリザベート「お主たちには悪いが・・・・お主たちの力・・・頂くとするぞい。ワシたちの計画を・・・完遂するべく・・・その為に必要なのだ・・・お主たちのキングとビショップの力がのう!!!」

エリザベートが手から黒い闇を生み出すと、一気にそれを放った!!

エリザベート「マスター・オブ・ダークネス!!!」

そして闇が見る見る二人を包みこんでいき、やがて悲鳴さえも飲みこんでいった・・・!!

エリザベート「殺しはせぬ。ただ、その力をいただくだけじゃ・・・・」


このとんでもない事態から・・・数時間前・・・。


「・・・・んあ、もう朝か」

目ざまし時計の音で目覚めて、俺は棺桶型ベットの蓋を開けて上半身を起こした。
あ、ちなみにこれはエメラルドさんが発明した「タイムベット」というベットで、外では10分の時間で、棺桶内では1時間眠ることができるという優れた発明品だ。
ここ最近仕事と学業が忙しいからな・・・まあ上手く両立を図るためにはこういった設備はありがたいものだ。それにデザインも結構気に入っている。西洋の吸血鬼が入るような漆黒の棺桶に豪華な黄金の十字架が刻まれている。中は自分用にカスタマイズしているからコンポに本を何冊か入っており、電気スタンドもあるので、あまり時間がない状態でも、このベットなら1時間の睡眠を10分で済ませられるし、のんびり出来る。

暁「さーてと、そろそろ弁当と飯でも作るか・・・」
クリス「おはようございます、暁」
クロキバ「うむ、おはよう、クリス、暁」

リビングに行くと透き通るような水色の羽毛が特徴的なワシをイメージしたかのような猛禽類の顔立ちをしているフレスベルグイマジンのクリスと天井からぶら下がっているクロノスキバット3世が話しかけてきた。
この二人はこの家の同居人であり、俺の仲間であるフレスベルグイマジンのクリス、そして、クロノスキバット3世だ。

暁「おはよう、待ってろ、すぐ朝ごはん作っちまうからよ」
クリス「あれ?今日の朝ごはん当番は私のはずですが・・・?」
暁「あれ?そうだったか?」
クロキバ「うむ、昨日はお主が作っておった。今回は結構長い時間寝ていたから、感覚がズレているのであろう」
暁「あー、そうかもしれないな。それじゃ、弁当作っちまうか。クリス、一緒に作ろうぜ」
クリス「はい、お手伝いいたします!」
クロキバ「私は・・・何か手伝うことはあるか?」
暁「クロキバはテレビでも見てて待っててくれや」
クリス「あ、紅茶淹れましたから、よかったら新聞でもどうぞ?」
クロキバ「ふむ、それではご厚意に甘えさせていただくとするかな」

そういって、クロキバが新聞をめくりながら紅茶を器用にカップに注ぎ飲みだす。

クロキバ「・・・うむ・・・今日はレモンティーであるな・・・しかしこの香りと味は・・格別である」
クリス「ニルギリにレモンと蜂蜜を入れて、キューブアイスで冷やしてみたんです・・・」
クロキバ「ふむ、クリス、なかなかのお手前であるな。非常に美味しいぞ」
クリス「ありがとうございます」

そう言って、笑いながら朝飯を作り上げ、俺も4人分の弁当を作り上げると盛りつけてランチパックに詰め込む。よし、これで終了だ。昨日のうちから材料とか献立は決めておいたから早く済んだ。俺もクリスの淹れた美味しい紅茶でも飲むとするか。うん、そしてこの朝ごはんのトーストに自家製(暁特製蜜柑の皮いりマーマレードと苺ジャム)、サラダ、コンソメスープにハムエッグ、ヨーグルトのメニューは俺的には黄金のメニューだな。和食は和食で別にメニューがあるけど。(かなりの料理好きでもある)

クリス「・・・今日も晶様と慧様は仕事の関係で帰ることが出来ないと」
暁「まあ、仕方ないさ。二人とも忙しいからな」
クロキバ「うむ、ここ最近イマジンやファンガイアの動きが沈静化しつつあるからな。今が勝負時であろう。しかし、徹夜続きなどして無茶していないといいのだが・・」
暁「まあな、体調管理とかままならないだろうしな。まあ、イマジンの皆がサポートしてくれているらしいし、何かあったらすぐ駆けつけられるようにしておかないとな」

そうこうしているうちに時間は過ぎて、そろそろ家を出る時間になった。
うちの学校は制服がないから助かる。シャツにネクタイ、ベストにGパン、これでOKだ。

暁「それじゃ、行ってくるぜ」
クロキバ「うむ、気をつけてな」
クリス「行ってらっしゃいませ」

自宅の一戸建ての洋館を出て、学校に面した歩道橋の近くまでいくと、3人の少女たちがいた。こっちを見ると、手を振って声をかけてきた。

「「「暁ちゃーん、早くしないと遅刻ですよーん♪」」」

暁「おはよう・・・俺が最後か」
凛「おはよう、坊主」
昴「おはようございます、暁くん」
穏「・・・・おはよう」
最初に声をかけてきた黒髪を腰まで伸ばし、黒いシャツに赤いネクタイを垂らし、Gパンを履いている一見不良っぽい長身の女の子が「新海 凛」。俺とは一番付き合いが長く同い年なのに結構大人びていてクールな姿勢が頼りになる親友だ。

そして、茶髪のショートカットで眼鏡をかけている女の子が「大地 昴」。皆からは「博士」とあだ名で呼ばれているほどに頭がよく物知りでいつも俺たちが知らないことを教えてくれる女の子だ。

そして、金髪をツインテールにしている小柄で華奢な少女が「空条 穏」。一見大人しそうに見える無表情に無口な雰囲気で、黙っていれば美少女といえなくもないのだが事あるごとに俺たちを退屈な日常から驚異の非日常に変える天才的トラブルメーカーだ。

穏「ムッ・・・・・・!」

穏の髪のアホ毛が突然ピコーンと真っすぐ伸び出した!!
そしてその先にはセーラー服にミニスカートといったどこにでもある公立の中学校の制服を着こんだ女子学生たちが・・・。

ひゅうう・・・(風が吹いた音)
ふわっ・・・(風でスカートが舞い上がった音)
パシャパシャパシャパシャ!!!(瞬時にデジカメで写真を撮る音)

穏「予想通り(キュピーン)」
凛「お前、それ、犯罪だからな」
穏「何の話か分らない(ふるふる)」
昴「いや、目の前で堂々と何やってるの?カメラ取り出して」
穏「風景写真ウォッチング(ピース)」
暁「・・・・・はいはい」
凛「色は」

穏「白のフリル付きと青の縞パン」(即答)

スッパアアアアアアアアアアアアアンッ!!!(暁のハリセンが穏をドツいた音)
ふるふるふる・・・・(頭を抑えて激痛に耐える穏)

暁「思い切り覗いてるじゃねーかっ!!!!」
穏「・・・・痛いぢゃないか」
暁「痛いぢゃないかじゃねえっ!!!一歩間違えたら犯罪だからメーだって言ってるんだよ!!」
凛「いや、もろ、犯罪だから。一歩どころかぶっちぎりアウトだからな」
穏「失敬な、芸術家として日々日常が垣間見せる芸術を見逃さない執念の賜物である」
凛「いや、言い方カッコよく言ってもやってるこたぁ覗きの上に盗撮だからな」
昴「もう、穏ったら・・・・」

呆れつつもこいつには何を言っても無駄であろうと確信する俺達。
こいつは一見美少女なのだが・・・「女の子大好き」「覗きや盗撮大好き」「セクハラ大好き」「変態上等夜露死苦」を地で行く世間にバレたら(俺たち除いてだが)人生そのものが終わりになりかねない綱渡り人生だ。それでも付き合っているのは、俺たちが見放したらこいつが生きていけそうにないというか終わりになりかねないと思っているため、いわゆるストッパーとしているのだ。

凛「あれ?昴、今日は機嫌がいいんだな。いつもならこのまま説教タイムに突入なのに」
昴「うん、昨日ね、ついにやりこんでたゲームがオールクリアしてさ、全てのイラストCGゲットしてね、盛り上がってたんだよ」
暁「へえ、どんなゲーム?」
昴「女装した男の子が女子高に忍び込んで女生徒や女教師とかとラブラブイチャイチャ、最後には子供まで作っちゃう大人のゲーム♪」
凛「まーたエロゲーかよ」
昴「うん、久しぶりに名作といえるエロゲーだったよ〜♪主人公が紆余曲折を経て、実の妹と禁断の関係になって、それで彼を思い慕う幼なじみの子と三角関係に陥ってドロドロの恋愛関係になって、それでも最後はシスコン魂貫いて幼なじみをフッて、妹と理想郷を目指して密航船に乗り込んで寄り添いながら愛を誓い合って、遠くの国に旅立つシーンはボク泣けたよ〜」
凛「悪い、俺、ドン引きしたわ」
暁「泣く要素が思いつかねぇわ」

こいつもこいつで、学年次席の優秀な生徒という知性派の仮面をかぶっているが、実は古今東西のエロゲーや同人誌などをこよなく愛しているといういわゆる「腐女子」である。
まあ、別に趣味でどうこう言うわけじゃないし、好きなものなんて人それぞれだから、そこが嫌というわけではないんだが・・・時折「このエロゲーすごいね」とか感想を聞かれるとどう答えればいいのか分らなくなる。

そんなこんなで呆れつつも、俺と凛はエロゲーについて熱論している昴と相変わらずシャッターチャンスを狙ってカメラを構えている穏を引きずるようにして学校についたのである。

いつもの日常風景・・・騒がしくも平穏な朝だ。
それがずっと続けばいいのだけれども。

Priiii・・・・
Priiii・・・・

この携帯の着信音で、俺の顔色が変わる。
まるでどこにでもいる普通の学生から、違う世界に踏み込む合図であるかのように。

暁「悪い、ちょっと便所行ってくるわ」
凛「遅れたら代返な。その代りあとで美味い弁当期待しておくぜ」
暁「ありがと、すぐ間に合うからよ」

全く凛は本当に頼りがいのある親友だ。
サムズアップを交わし合うと、すぐさま走り出す。

―戦いの場へと。

トイレに入りこみ、通信機能をつける。
すると、画面からは予想通り、「クロノポリス本部」からの通信があった。
画面を開くと、通信本部からアメジストさんことサンゲイザーイマジンの顔が浮かぶ。
珍しく普段のクールさは見られず、どこか血相を変えており、困惑しているようにも見える。それでも必死で感情を押し殺して伝える。

アメジスト「暁くん・・緊急事態よ。チャージライナーターミナルが正体不明の謎の軍団によって襲撃を受けているわ。第12特殊部隊「ルシファーズハンマー」の応援を要請するわ」
暁「チャージライナー!?時の列車の大規模なターンテーブルや車両工場がある場所じゃねぇか!!」

そう、チャージライナーターミナルとは、電車の一つで、非常事態に時の列車を緊急脱出させるために危険信号があれば列車の中にある巨大なターンテーブルに引き込み、別の路線へとつなげて一時的に避難するための施設へと送りだすための重要な列車だ。例えば時の運行において走行中に何らかのトラブルが起きて通常の運行が出来ない、そしてその場所から一刻も早く緊急離脱が必要とみなされた場合、その列車の中のターンテーブルに入り、線路を切り離して別の線路へとつなげ直し、避難施設へとつなげたりするのだ。
そこがもし襲撃されたら、時の運行に大きくかかわることになる!!くそっ、どこぞのバカだっ、そんなことしやがるのはっ!!

アメジスト「今、キングとビショップが乗り合わせていて・・・今戦闘の指揮を執りながら敵と応戦しているわ!!急いで応援に来て!!」

暁「了解!!」

正体不明か・・・いずれにせよ、敵もかなりついてないか命知らずかと見たな。
よりによって父さんと母さんがいる時に襲いかかるなんて・・・。
言っちゃ悪いけど、あの二人に堂々と喧嘩を売るなど、もはや自殺行為でしかない。
息子ですら畏怖してるわ、あの二人のマジギレっぷりなど・・・。ましてやチャージライナーは時の運行において、安心して列車を走らせることができるように作った公共施設のようなものなので、そこを襲撃され、時間旅行している乗客たちに不安を与えるようなことを見逃しはしない。そう考えると一刻の猶予もないな!!

暁「第12特殊部隊の配置は・・・第4白兵部隊と合流して前線か」
アメジスト「ええ、第8工兵部隊と第9レスキュー部隊、第10レンジャー部隊のけが人、負傷者救出の補佐として、事故に巻き込まれた近隣の住民の避難を妨げる敵及び障害物の排除を頼むわ」
暁「負傷者は!」
アメジスト「今のところ奇跡的にいないわ。でも線路が崩れ落ちたら被害は尋常ではないわ。急いで!!」
暁「了解!!」

トイレのドアを開く前にポケットから人形のようなものを取り出し、俺の髪の毛を入れてボタンを押すと、それが見る見る俺そっくりの身体つきと大きさになり、無表情のままで俺を見る。これはガーネットさん手作りの「コピーロイド」というまあ、学園抜け出すわけにはいかないから作った多機能録画録音機能付き人造人間、つまり、この人形が記憶したデータや物事は後ほど回収したメモリデータで確認できる。まあ、もう一人の俺ってところだ。

暁「頼むぜ」
コピー「了解しました」

そういって、トイレのドアを開けると、そこはもうどこまでも広がる砂漠・・・。
アメリカの西部劇にでも出そうな荒野につながると、線路が敷き詰められ、そこに銀色の光を帯びて美しい音色とともに流線型の新幹線「ディスティニーライナー」が止まり、ドアが開く。
そこから飛び乗ると、そのまま運転席に乗り込み、運転席の「マシンフレスベルグ」に飛び乗る。すると後ろからクリスとクロキバがやってきた。

クロキバ「暁!」
クリス「準備は出来ています!!」
暁「ああ、俺もいつでもOKだ!」

バイクを一気にエンジンをふかし、タイヤが高速回転しだすと列車も急速回転し、どんどん速度が上がっていく。はやる気持ちを必死で抑えて、ハンドルを握りしめる。このままじゃ施設が、時の旅行を楽しんでいる乗客たちが大変なことになる。
巻き込まれる前に、解決しないと。
焦る気持ちとは裏腹に、俺の脳内では不思議と冷静な思考感覚が戻っていく。
こういう時だからこそ焦ってはいけない。クールダウン、常に自分を見失うな。一瞬の判断の誤りが失敗を呼ぶ。人命がかかっているからこそ許されない。そのために自分がいまやるべきことを全力で取り組むことこそが俺がするべきことだ。

そして、列車の視界にようやくチャージライナーが見えてきた・・・・が、そこにあったのはもはや凄惨な光景であった。
巨大な車両の所々から煙と炎が上がり、時折何かが爆発し装甲が吹き飛び、列車から必死で逃げまどう乗客たちが我先にと他の列車にかけこみ、一気に逃げ去っていく。悲鳴、怒号、絶叫が荒れ果てた電車に響き渡る。
クリス「ひどい・・・・・何て事を・・・・」
クロキバ「うぬぬ・・・・・」
暁「・・・・・許さねぇ・・・・ブッ潰してやるよ」

クールに・・・キレるとするか。

俺が銀色のベルト「ヘブンズドライバー」を身につける。
そこへクロキバが俺の手に収まる。そして、指を噛みついた。

クロキバ「行くぞ!かぷっ」

暁「変身!!!」

クロキバをベルトに装填すると銀色の風が吹き荒れて、全身を取り囲む。
そしてそれがやがてワシ(フレスベルグ)をイメージした仮面と甲冑を全身に装着させ、背中のブースターから銀色の風が吹き出し、翼のように広がる。

仮面ライダーヘブン。
それがもう一つの俺の名前だ。

ヘブン「限界まで・・・・トバすぜっ!!」

手にクリスが変形した銃剣「クリスタルベイオレット」を持つと、ホームから乗り込み、中へと飛び込んだ。そこには、何体もの影が見え、目を凝らして見る。
それは、サルをイメージしたかのような一見少女のような丸みを帯びた体つきにサルの頭部を肩アーマーのように作り上げた鎧を身につけ、手には如意棒のような棍を握りしめている。なるほどな、襲撃したのはこいつか。

ヘブン「目標補足・・・行くぜ!!」

煙をかき分けるように一気に飛び出し、背中のウイングを開き若干浮いたまま一気に低空移動すると、その姿が攻撃範囲に一気にたどり着く。
そして、敵が棍を振るう前に銃剣を振って薙ぎ払い隙を作ると、そのまま横なぎに振るった銃剣の刃を一気に振るいサル怪人を薙ぎ払う!!

エイププレデター「ききっ!!」

サル怪人がうめき声を上げながら空中で回転して着地し、そのまま地面を蹴り飛ばし、棍棒を振り回してきた!!しかしそれを銃剣で防ぎ、薙ぎ払いながら隙をついた銃剣の刃で突き、切り裂き、叩き伏せる。刃と棍棒が激しくぶつかり合い、火花を散らす!!
するとサル怪人が髪の毛をむしり、ふうっと吹き飛ばすと、それが無数の分身となって俺の前に立ちはだかった。そうか、こいつ、自分の分身を作り出すことができるのか!!それでこの電車をメチャクチャにしたのか。
分身の放った一撃を防いだが、サル怪人は自分の前にまるで壁のようにふさがっている。
これじゃ本体に逃げられちまう!!

クリス「暁!!変わって下さい!!」
暁「ああ、クリス、頼むぜ!!」

そういうと、銃剣が光となって消えて俺の中に入り意識が何か奥に引き込まれるように飲まれていった・・・。

(クリス視点)
さてと・・・本体を倒さなくては分身など増え続けるのでしょうね。
しかし自分の能力を過信しているようですが・・・その能力はどちらかというと、屋外での戦闘ならば本体は逃げて、分身による集団戦法で陽動作戦をとるとか色々と手は打てるでしょうが・・・活動範囲が限られている室内では数にも限りがあります。ならば、今ここでまとめて倒すことこそが賢明でしょう!!

Cヘブン「クロキバさん!!ブースターシステムお願いいたします!!」
クロキバ「うむ!!」

そう言うと、クロキバ様が右足の部分にキバを突き立てる!!すると、全身からあふれ出る力が感じられ、銀色の風が背中に装着していたウイングから広がり、巨大な翼となって現れ、爆発的に噴き出す!!

エイププレデター「ききっ!?」

驚く怪人たちを前に私が一気に飛びあがり、回転すると、銀色の風を纏って一気に下降ぢて、敵の狙いをさだめて突き進む。いざ、覚悟!!

Cヘブン「ジハード・・・ライダァアアアアアアアキ―――――――――ック!!!!」

そして分身体を蹴り飛ばすとそのまま弾丸のように吹き飛び、敵に次々と当たるたびに爆発していき、やがて一番後ろにいた本体に直撃すると、絶叫を上げて大爆発していく。
先ほどのサルの怪人は・・・炎で焼き尽くされ、やがてその姿さえも粉々に崩れ去り綺麗に消えてなくなりました。どうやら、勝ったようですね・・・。

暁「クリス、その敵のDNAデータ採取出来ないかな」
クリス「ええ、出来ますよ」
暁「よっしゃ、そのデータを調査し敵が何者なのかを調べる必要があるな」
クロキバ「うむ」

(暁視点)
そういって、DNAデータを採取しようとしたその時だ。

ドドドドドドドオオオオオオン!!!!!

外から凄まじい爆発音と衝撃で電車が揺れ出した!!
な、何だ、これ!?あいつ以外にもまだいたのかよっ!?

クロキバ「この音は・・・3番ホームの先かっ!!」
クリス「陸橋がかかっている場所です!!」
暁「陸橋崩れたら被害がさらに悪化するな・・!第4白兵部隊はいったんここにいる乗客たちの先導及び救出活動を頼む!!俺は陸橋付近の逃げ遅れた駅員や乗客がいないか調べてくる!!」

そう言って、すぐさまヘブンに変身して、3番ホームへと駆けだす!エスカレーターで上がればいいのだけれども、そんな時間さえない!俺は翼を広げると一気に飛びあがり、4階の3番ホームへと飛びあがると、すぐさま線路を伝って走り出した!!

走るたびに轟音と爆撃が鳴り響き、やがて陸橋の所々が破壊され陥没している。
くそっ、これじゃ飛ばなきゃ移動出来ないな。
ウイングを開くと上空に飛び上がり、陸橋を飛び越えていく。その先にはなぜか暗雲がたちこめていて、どんよりと重苦しい空気に包まれている。

何が起きてやがるんだ?
とてつもなく嫌な予感しかしねぇ・・・。


その頃・・・・。

暁が向かっている先では、一人の少女が二つの光輝く球のようなものを手にしていた。
それは・・・キングの紋章を取り囲む青い電流のような塊と、赤い風が渦巻き、その中にビショップの紋章が刻まれている。

エリザベート「いただいたぞ、キングとビショップの力を!!」

そう言って立ち去ろうとすると何かが近づいてきた気配を察し、表情をゆがめ舌打ちする。

エリザベート「援軍か?愚かなことじゃ。いずれにせよ、一時撤退じゃな」
そう言って、背中から黒いコウモリのような翼を生やすと、その場へ一人、影が差し込む。
肩まで伸ばした黒いロングヘアに金色のメッシュが編みこまれている髪をポニーテールに縛り上げ、白いシャツの上から袖の破けた黒い革のベストとパンツを着こみ、レッグウォーマーの上から手首にバンドを締めて止めており、指抜き手袋の要領で指を出している。つり上がった気の強そうな瞳が特徴的な野性的な美女だ。

エリザベート「アリスか・・・」
アリス「追手が来る。ここは私に任せておけ」
エリザベート「・・・・・無理はするなよ」
アリス「ふっ、無理が必要なくらい、手こずらせてくれればいいがな。何せ、餓えているからな・・・この拳が・・・力一杯殴り合いを楽しみたいとね」

そういって、拳に生み出された黄金の獅子をイメージしたかのような手甲を装着させると拳と拳を激しくぶつけあわせて火花を散らす。その姿に金色の光がかぶり、ライオンをイメージしたかのような獰猛かつ凶暴な真の姿がかぶって見える。

そしてエリザベートが飛び去ると、アリス=ライオンプレデターが近づいてくる気配を心待ちに笑みを浮かべて待つ。

アリス「さぁて・・・楽しもうぜ、命をかけた殴り合いをな」

そしてその近くでは・・・ボロボロに壊れたワイバーンベルトとバルキリーベルトの残骸が転がっていた。

続く
Next line 「Predator invasion」
,あとがき

仮面ライダーヘブン、ついに第一話が書きあがりました!!
最初から物語の根幹をどのような設定で行うか、キャラ設定は崩れないようにどのよう流れで書こうか、武器や戦闘方法はどんなやり方でやるか、改めて色々と考えるのって、大変ですけど面白いですよね。こうして作品をまた書けることができるのも読者の皆様の暖かいご声援のおかげです。さて、今回の見所ですが、暁、クリス、クロキバ、お願いいたします!!

暁「今回はいきなりハードだったよな。時の運行において大型救助移動施設ともいえるチャージライナーターミナルが襲撃食らうし、プレデターとかいうイマジンやファンガイアとも違う親玉がわざわざ乗り込んで父さんや母さんと激しい戦いを繰り広げるし・・・・」

クリス「設定によると、プレデターというのは「侵略者」という意味があるそうですね」

クロキバ「今回チャージライナーを襲ったのもキングとビショップの力を奪うためでもあるのだが、なぜそのようなことをしたのかは今後の展開にかかわってくるらしいな」

それでは、レスを返します
暁「しっかし、何時の間に母さん(慧さん)が《チェックメイト・フォー》の『ビショップ』になってんだ?母さんは人間だし、“ファンガイア”じゃ無いでしょ」

>慧「ビショップというか神代先生が抜けちゃってチェックメイト・フォーの建て直しからファンガイア一族の再興が始まったんだけど、ビショップとしての能力に適しているファンガイアがいなかったんだよ。それで、イマジン12体も憑依して指揮執ることができる私に晶がやってみないって声をかけてきて、それでやったら一族からも今回の事件で一押しされてそのままビショップになったんだよ。ファンガイア一族始まって以来の人間のビショップだけど、皆受け入れてくれたよ」


暁「それにしても、『鴎』さん的設定だと、【ヘブン】の方の俺は一人っ子らしいな。……しっかし、なんつうか厄介な幼馴染の女の子達がいるみたいだな。…なんつうか、とんでもない“変態”的な幼馴染を持っちまっているみたいだな、おい;」

>穏「誰が世界最強超絶的美少女だ」
凛「言ってねえよ」
昴「今後とも、ボクたちがどのようにかかわってくるのかお楽しみに!」

クロキバ「間違いなくそうだろうな。……しかし、なぜ晶殿と慧殿の年齢を高校2年生くらいまでに下げる必要があるのだ?」

>今回そのようにしたのは・・・暁が仮面ライダーとして悩み、成長していくにあたって、同年代での話し合いこそが最もしっくり来るだろうなと思いこういう設定にしてみました。親子なんだけど、心と心で話し合うには真剣なものですけど、晶と慧ではちょっと重苦しくなってしまうかと思い、そして、キングとビショップという役目ではなく、あくまで親として慧と晶が暁とどのように接していくのかそこの成長も考えてのことです。

クリス「『ヘブン』に一番の特徴として挙げられるのが“ギアシステム”と“召喚銃『クロノストリガー』”などですね。…ところで、私以外の武器化する“イマジン”がいるとして、暁とはどういった関係になるのかしら?」

>それはこれからの話でまたストーリーを構成していきますので、そのつど設定を更新いたします。そのときはまた色々と話し合いましょう。楽しみにしております。
,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年10月10日(日) 03時36分47秒,20101010032257,20101013033647,QQW2iME/sntKo,仮面ライダーヘブン 設定&掲示板 ,鴎,,,仮面ライダーヘブン

「限界までトバすぜっ!!!」

あらすじ
前作品「仮面ライダーバルキリーたん」から27年後の未来・・・。
クロノポリス。
ヒュプノス事件からターミナルは多発化する過去の改ざんや未来からの侵略者による犯罪が後を絶たないため、組織的に大規模な犯罪活動を抑止、および対象の殲滅、逮捕による時の運行を守ることを目的とする警察組織「クロノポリス」を設立。
その第12特殊部隊「ルシファーズハンマー」の部隊長を務めている大友晶と天童慧の一人息子の「大友暁」が時の運行を守るために奮闘する物語。

大友暁(おおとも・さとる)=仮面ライダーヘブン
「はあ、やれやれ、まーたトラブルかよ・・・」
17歳。私立天神学園高等部2年生。
クロノポリス第12特殊部隊「ルシファーズハンマー」部隊長。
容姿端麗・才色兼備の肩まで伸ばした黒髪を後ろで縛っている少年。身長は165cm。父親譲りの『見目麗しい美少女の姿』をしている。しかし本人はこれがコンプレックスで、そのことを言われると真っ赤になって怒り出す。性格は温厚で争いごとを好まないが、仲間のことを大切に思う熱い心の持ち主でひとたび危害が加わると全力で守ろうとする。その繊細さと大胆さが多くの人たちを惹きつける魅力がある。そして、母親譲りの「不幸体質」でもあり、事あるごとにトラブルや騒動が起こっては巻き込まれてしまい、それが原因で多少の物事には動じない強靭な精神力と物事を冷静に分析する判断力を身に着けることになった。(容姿のこととか女の子と間違われるとすぐさまブチキレるのだが)
趣味はサイクリング。特技は家事全般で特に料理は多忙な両親の代わりに幼いころから作ってきて、さらに幼なじみたちの弁当を作ってきたため腕前はプロ級となっている。
相棒のクリス(フレスベルグイマジン)、クロノスキバット3世とは良き信頼関係で結ばれており、彼らとともに仮面ライダーヘブンとして戦う。

クリス(フレスベルグイマジン)
「勇ましき心の煌き、しっかりとその目に焼き付けなさい!!」
暁の持ちえる“未来”におけるルーベット達やヒルデの姿からのイメージ等から具現化されたイマジンで、名前の由来は水晶(クリスタル)のような水色の体色から取られている。イメージカラーはクリアブルー。武器は水晶のように透き通った刀の『クリスタルセイバー』数十年後の“未来の世界”において暁が一番最初に契約したイマジン。普段はお淑やかで優しく良家のお嬢様を感雰囲気を持つが、一度切れるとかなりノリが強くお転婆で姉御肌な性格に変わる特徴を持つ。ただし、それらを含めても根本的性格が面倒見がいい優しい常識人な人格の持ち主であるといえる。暁にとっては良き相談相手であり良きパートナーといえる存在。戦闘時は『ヘブン』の武器となる銃剣『クリスタルベイオネット』に変化する。彼女自身、何気ない感じで自分を受け入れてくれた暁に惚れている感じだが、少々その手のことに対しては恥ずかしがり屋な面があるため、そのことを上手く口に出せない傾向にある。趣味は家事全般と歌を歌うこと。彼女の歌声はかなりのものでプロ級。好きな食べ物はマシュマロと暁の作った料理。C暁:クリスが暁に憑依した状態。水色のメッシュが入った腰まで伸びるロングヘアーをポニーテイルにしてまとめ、落ち着いた感じの服装をする。流石に暁が嫌がるだろうと思い、女物の服は着ないようにしている。幼なじみ3人娘を「三バカトリオ」と呼んでおり、事あるごとに暁を問題やトラブルに巻き込んでいくことを快く思っていない。

クロノスキバット3世
「さあ、断罪の時だ。己が罪を悔い改めろ!」
“時の砂漠”のどこかにあるという『時神の神殿』に眠っていた伝説の“時の守護獣”たる蝙蝠。彼の“力”を借りたものは時の守護神たる『ヘブン』と呼ばれる者となると言われている。時の歪みと共に偶然にも神殿に迷い込んでしまった暁と出会い、彼の強い意志と思いを気に入り彼と行動を共にするようになる。性格は深慮深くて知的な側面を持ち、周囲の人達の事を考える優しい感じではあるが、敵対する者には容赦がなくなるくらい冷徹な感じになるところがある。趣味は音楽鑑賞。好きな食べ物は暁の淹れた紅茶。

大友晶(おおとも・あきら)=仮面ライダーワイバーン
「暁くん!!何かあったらお父さんにバーンと甘えちゃいなさい♪」
暁の父親。チェックメイト・フォーのキングにしてファンガイア一族の王。
しかしとある事情で「キング」の力を奪い取られて、17歳の姿に戻ってしまう。
見目麗しい美少女のような可愛らしいルックスと小柄で華奢な体つきから美少女と間違えられることも多い。一見素直で屈託のない明るい性格だが、自分たちの一族を滅ぼしたレジェンドルガや敵対する存在に対しては蔑視するといった冷酷な一面も併せ持っている。しかし戦いを経て、本当の心の強さと優しさに目覚めてからは、他者を思いやることができる「王」としての器を持ち、良き相談相手として暁たちに接している。反面暁を心から愛しており、時折暴走する親バカな一面も見せたりする。

大友慧(おおとも・けい)=仮面ライダーバルキリー
「暁、一人で抱え込むな。いつだってお前のそばにいるからさ」
暁の母親。チェックメイト・フォーのビショップ。晶と暁を支える良妻賢母。
しかしとある事情で「ビショップ」の力を奪い取られて17歳の姿に戻ってしまう。
モデルのような端正なプロポーションが取れている黒髪ロングヘア美少女。運に見放されているかのような人生を送ってきており、その不幸さは幾分かはマシになってきた。逆境に屈しない強い心と精神力を持っている。冷静沈着、物事を冷静に分析してすぐさま行動に移す判断力を持って暁たちを引っ張っていく長官として頼りにされている。夫の親バカや息子のトラブルに巻き込まれがちな運の悪さに呆れつつも、家族のことを心から愛しており、何かあったら自らが率先して動くなど熱い一面は相変わらず。 

ヴォルフォス〈冷牙(れいが)〉「激しく吼える魂を感じな!!」慧達の“世界”における“ウルフェン族”の族長の息子で、暁とは幼い頃に出会い共に戦うと約束した少年。一族の中では異端とも言える風を操る能力を持つ。人の姿としては暁とあまり歳が変わらない感じで、外見上は銀髪で青い瞳を持っており、ワイルドな感じをした服装をしている。本来の姿は銀色の体色と蒼銀の瞳を持ち、頭に赤い角らしき物が生えた人狼。性格はクールそうに振舞っているが、意外と我が儘だが熱血漢で優しい感じ。『ヘブン』の武器として扱われるときは、狼の意匠が施された銀色の斧『魔狼斧 ヴォルフォストマホーク』となってその力を貸す。趣味は読書と植物などの観察。好きな食べ物は焼肉。

チュ−ン〈流水(るみ)〉「舞うように行くよ!」慧達の“世界”における“マーマン族”の族長の息子で、暁とは幼い頃に出会い共に戦うと約束した少年。“マーマン族”の例外にもれず、大気中の水蒸気を利用し、自分に有利フィールドを作ったりと水を自在に操ることができる。人としての姿は、動きやすい格好で、一見美少女を思わせるような可憐な容姿をしている明るい感じをした中学二年生位の少年の姿をしている。本来の姿は紫色の体色で黄色い目をした半魚人。性格は天真爛漫で明るくマイペース。『ヘブン』の武器として扱われるときは、魚の意匠が施された紫色の銃『魔海銃 チューンシューター』となってその力を貸す。趣味は釣りと泳ぐこと。好きな食べ物はラーメン。

トーライ(雷斗(らいと))「静かに激しく、轟く!!」慧達の世界における“フランケン族”の族長の息子で、暁とは幼い頃に出会い共に戦うと約束した青年。“フランケン族”だけあって、かなりの肉体の頑丈さと馬鹿力を持っており、その上で雷を体内で作成し、操る能力を持っている。人としての姿は静かで力強さを感じさせる格好を好んでおり、暁よりも若干年上と言った感じである。本来の姿は鉛色の装甲に身を包んだ頑強な巨人。性格は寡黙そうに見えて人懐っこく暴力は嫌いな優しい感じをしており、頭も良くかなりの博識であり、また知識欲も旺盛でよく本を読んでいる。『ヘブン』の武器として扱われる時の姿は、鉛色をした拳の形をした巨大なハンマーである『魔雷槌 トーライハンマー』となって力を貸す。趣味は機械いじりとちょっとした発明。好きな食べ物は以外にもゼリー。

<幼なじみ3人組>
暁とは小学校時代からの幼なじみたち。3人とも両親が共働きのため、よく暁の部屋に勝手に遊びに来てはダベっている。暁が仮面ライダーであることは知らない。3人に共通しているのは「暁が大好き」と「暁=世界一可愛い女の子」としてあらぬ妄想を抱くわ、事あるごとに女装させるわ、トラブルを呼び込む、巻き込む、悪化させるの三拍子をやってのけるわといった「変態」であるということ・・・一応こいつらがヒロインですっ!!

新海 凛(しんかい・りん)
「暁、何かあったら呼べよ。俺にとってお前はかけがえのない親友なんだからよ」
17歳。私立天神学園高等部2年生。
3人組のリーダー的存在にして、暁を世話のかかる弟のように姉御肌を利かせており、男の子のような荒っぽい口調で接するが内面は非常に繊細で女の子らしい。一人称は「俺」。スポーツ万能にして護身用として格闘技を習っており、上位の有段者。

大地 昴(だいち・すばる)
「情報ならボクに任せてよ。ボクに覗けない情報なんてないんだからさ」
17歳。私立天神学園高等部2年生。
3人組の参謀的存在。学年次席の優秀な頭脳とあらゆる分野に精通する深い知識を持つため、「博士」と呼ばれている。理数系に長けている知識と技術の持ち主で、パソコンを使わせると一流のハッカー「イロウル」として活躍する。

空条 穏(くうじょう・のどか)
「バカと言うな、美を追求する孤高の天才美少女芸術家に向かって何てこと言うか」
17歳。私立天神学園高等部2年生。
3人組の隠密兼裏作業担当。ボケ担当で事あるごとにトラブルを呼び込むトラブルメーカー。情報収集や諜報活動に長けている。(主に暁の盗撮、女装用の服の調達、盗撮写真の売買、睡眠薬を暁に嗅がせて眠らせてイジる強制わいせつなど)

<敵・アヴァロン軍団>
かつてファンガイア族との戦争で敗れ、封印されていた吸血鬼の一族の末裔。
吸血本能を克服し、真祖として吸血鬼一族や他のモンスターたちの一族を統べていたが、戦乱で一族は滅亡し、王と女王が戦死、第一皇国皇女の「イングリッド・アヴァロン」が「時の牢獄」と呼ばれる棺おけの中に封印されており、永遠に続く眠りについている。
そして、何らかの原因で復活した第二皇国皇女の「エリザベート・アヴァロン」が一族の再興およびイングリッドの封印をとくべく、彼女に仕える4人の将軍「四天王」と「暗黒の種」を植え付けて作り出した怪人「プレデター」を従えて時そのものを支配しようと侵略を仕掛けてくる。

エリザベート・アヴァロン(バットプレデター)
「暗き絶望の闇に沈めっ!!」
世界征服とアヴァロン家再興をたくらんでいるアヴァロン家第二皇国皇女。何者かの手によって封印を解かれて四天王とともに時の力を支配するための「秘宝」を探すべく暗躍している。高潔かつ誇り高い武人肌の人物であり、前線に自ら赴き、他人に責任を転嫁しない、行動前の相手が手を出せない状況では何もしない、自分の邪魔にならなければ一般人を巻き込むことは好まないなど彼女なりの一線は持っている。しかしその反面世間知らずで常識に疎く、事あるごとにドジを踏んだり、奇妙奇天烈な発言や行動をしては部下たちから突っ込まれている。慧と晶から「キング」「ビショップ」の力を奪い取った張本人。


<ライダー>
仮面ライダーヘブン
大友暁が変身するワシの特質を持つ銀色の仮面ライダー。「聖」の力を司る。
クロノスキバット3世が暁の腕を噛み付くことで魔力を注ぎ込み、変身する。
武器にもなるハンドガン型ツール「召喚銃クロノストリガー」に弾丸型ツール「デモンズバレット」を装填し、発射すると魔方陣を召喚し、契約しているアームズモンスターを召喚することができる。クリスが憑依し意識が表面化することで「ギアシステム」という魔力を最大限まで高めることでパワー、スピードを一時的に極限まで発動させることができ、背中にウイングが装着され空中を超高速飛行能力が備わる。武器はクリスが変形した銃剣「クリスベイオレット」。

ヘブンフォーム
素手での格闘と銃剣「クリズベイオレット」を用いた剣術を中心とする戦闘スタイル。また、憑依しているクリスの精神が表面化することで「ギアシステム」という魔力を最大限まで高めることでパワー、スピードを一時的に極限まで発動させることができ、背中にウイングが装着され空中を超高速飛行能力が備わる。必殺技は上空に飛び上がり、聖なる力を放つ銀色の風をまとって放つ飛び蹴り「ジハードブレイクキック」。


<時の列車>
『ディスティニーライナー』『時神の神殿』の中にあった通称“原初の列車”。3両編成の機関車型のタイムマシンで、現在ではクロノスキバットにより、暁が使用権利を持たされている。前面のハッチを開き、強力な光線「ディスティニーキャノン」を発射して巨大な敵をも殲滅する。
,お久しぶりです!!!
ついに書きあがりました、「仮面ライダーヘブン」の設定です!!
前回作品「バルキリー」から続く未来でのライダーたちの戦い。そして、慧と晶の息子である暁が活躍しますので応援よろしくお願いいたします。基本的に熱血、ドタバタ、ギャグ多めでシリアスも少しあり、死人はなるべく出さないようにします。

烈様お久しぶりです。
今後とも「ヘブン」ともどもお付き合いよろしくお願いいたします。つきましては、今後とも烈様の「暁」「クロキバ」「クリス」たちとの会話のようなあとがきももしよろしかったらお願いしてよろしいでしょうか?
,#000000,./bg_f.gif,st0416.nas931.ichikawa.nttpc.ne.jp,1 2010年11月03日(水) 22時21分38秒,20101009212410,20101106222138,TIhfxwtoTFzdk,仮面ライダーPIRATES epT 『出航』,青嵐昇華,,,

始めに創られた大いなるもの、一つを“リヴァイアサン”、一つを“ベヒーモス”と言った。
リヴァイアサンは海へ、ベヒーモスは陸へと棲み、そこで生み出された様々な命が無色の世界に美しい彩りを加えてゆく。

時は経ち、その星の海と陸、それぞれの世界にヒトの姿が現れてからのこと。
陸に生まれたヒト『陸の民』はやがて血に刻まれた憧憬から海を求めて侵略を始めた。
海に生まれたヒト『海の民』は故郷を守るためこれを迎え撃ち、それがやがてそれはとても大きな戦いへと発展する。

両者の力はほぼ同等、戦争は互いを傷付けながらも長きに渡って繰り広げられた。
だがある時、陸の民が手に入れた新たな力・・・生み出された新種族の登場により流れは陸側へと一気に傾く。

銛などではとても貫くことの出来ない頑丈な皮膚、サメをも一撃で仕留める鋭い爪と牙・・・
“ラプター”と名付けられたそれは彼らの創造主たる姿を彷彿とさせる最凶の生物兵器だった。

ラプターの圧倒的な力によって海は瞬く間に陸の者達に支配され、ヒトのみならずそこに住む全ての生命は振りかざされる暴力に怯え、震える日々を余儀なくされた。

飢え、凍え・・・明日そこに居られるかどうかも分からない。
人々が笑顔を忘れたそんな暗黒の時代の中、立ち上がった者達がいた。
彼らは手にした“秘宝”の力を使い、ラプターとの戦いを始める。

彼らはたった七人、だがその一人一人が比類なき強さを持っていた。
一騎当千の襲撃者達は次々に人々を支配から開放し、失われかけた笑顔を、そして明日さえも取り返した。
いつの頃からか傲れる者は彼らを恐れ、望む者は彼らを讃えこう呼ぶようになった。


【PIRATES‐RAIDER】


パイレーツライダー、海賊と。






どこまでも広がる空は一片の淀みもなく、よく澄み渡っていた。
降り注ぐ太陽の光は水平線の向こうまでキラキラとした美しい光の道を伸ばしていて、そこに戯れている真っ白な鳥たちと相俟って何とも言えない一枚の絵になっている。
海から流れて来る穏やかな風は、まるで子守唄でも歌っているかのようで眠気を誘う。



大昔に比べれば、今の世の中随分と平和になってることだろが・・・・・そんな平和の中にもやっかいなトラブル事ってのはチラホラ見え隠れしている。
昔のことは大事に仕舞って・・・みんな仲良く前に進もうってのに、そいつが気に食わずはみ出しているヤツらはどこかにいて、色々とオイタをしでかす時がある。
そんな奴らが表に出てきた時、助けを求める声を拾って力を貸すのがオレの仕事だ。

オレの名は、キール――――――――‐キール・D・コースト。

出張海賊、シーサーペントのリーダー。海賊船タイニーホープ号の艦長‐キャプテン‐。
世界に散らばる七人の海賊、パイレーツライダーの一人さ。

いつもなら海を渡り、地を駆け、忙しくあちこちを飛びまわっているオレ達シーサーペントだが・・・・今はとある港町で暫しの休息を取っていた。

最近、甲板で昼寝をするのがすっかり日課になっちまった。
平和を噛み締めキレイな景色を見ながら、引っ張り出して来たロングチェアに身体を預けてまどろむ午後の一時(ひととき)ってのは最高じゃあるんだが・・・・
まぁ、そいつもここに来てからずっとともなると流石に飽きてきた気もするな。

「キッドさん、ちょっといいですか?」
「っと・・なんだい?」
「預かっていたコートが仕上がったので見て貰おうと思って」

彼女はアリア・マドリガル。
少し前の一件で“悪〜い連中”から助けた後、色々あってウチの船に乗ることになった少女だ。
野郎だけだったウチの職場の華でもあるんだが、やる気に溢れる働き者で実際の所よくやってくれている。
そしてこの娘に関しちゃちょっとワケありらしいんだが・・・まぁ、そいつは割愛しておこう。

「オーケィ、事務所に降りようか」
「はい、じゃあ持っていきますね」

因みにコートだが、オレの愛用のものでひとつ前の仕事でハデにやらかしちまったもんだ。
裁縫と言わず家事全般のスペシャリストであるアリアが見てくれるというもんだから頼んでたんだが・・・

「ワォ・・・」

戻って来たそいつを見た時、正直驚いた。
あちこち傷んでて酷い状態だったのが嘘みたいにキレイに修繕されていておまけにオレの好みに合わせたらしく前には無かったプロテクターとかも追加されていた。
実際、着てみるとこれが前よりしっくり来る・・・グレート、いい仕事してるぜ。

「これもいいですか?」
「ん、これは・・ハットか?」
「はい、きっと似合うと思って。いい布があったのでちょっと頑張っちゃいました」

コートに合わせてのハンドメイキング、ウチのトレードマークのシーサーペントを象ったSの字が刺繍がされてある。
そういえば、男の目元のうんぬんじゃないが帽子の類は試したことがなかったな。

「フッ、どうだい?」
「よかったぴったりですねっ」パチパチ

ウチはホントにいい子を雇ったと思う。
可愛いし家事万能でおまけに近年希に見るピュアガールと来たもんだ。
ポーズを決めて見ても嬉しそうに拍手までしてくれる。
何と言うか居るだけで場を和ませる、そんな強力なパワーも持っているらしい。

もしこれがウチの副長なら・・・

「生地代とか差し引いてもセットで新品を買ったと思えばすごい得だな」

と、やはり予想通りの反応だ。
あぁ、ついでに紹介するとこいつはフレッド、アルフレッド・カレトニア。
経済新聞愛読家の守銭奴だ。





以上。

「おいコラ、随分だな」
「野郎なんかはこのくらいで十分だろ。というかモノローグにツッコむなんて、エスパーにでも目覚めたのか?」
「お前の考えてることくらいその締りのないツラを見てればわかる」

そう言うこいつはガキの頃からの一緒に育って来た仲で、言葉にしてみりゃ親友とか兄弟とかそんな感じの付き合いだ。
性格はなんともマメで、寛大(not ズボラ)なオレと足して割ったら丁度いいとかよく言われたもんだ・・・
ウチでは主に船の操舵と経営管理、そしてツッコミを担当している。


「じゃあ一度アイロンかけてきますね」
「あぁ、色々悪いな」
「いえ、楽しみでやってますから。それに」
「それに?」
「何時依頼が来ても大丈夫なようにしておかないと!」

「「そ、そうだな・・・・・」」

明るく前向きなこの言葉は当然悪意とは正反対のものだったが・・・
傷に染みる消毒薬というか、『オレたちゃ何やってんだ』と大人二人は軽く凹まされたぜ。






シーサーペント一向がこの港町に来てから約二週間。
これは一つの町への滞在にしては少し長いようにも思われるが、出たくても出られない理由があった。

元々彼らがここに来たのは依頼を受けてのことで、バカンスでもなんでもなかったのだ。
不当な理由で市民から金を巻き上げ町を横行する荒らくれ者達をどうにかして欲しい、というのが今回の依頼。
当然町にも取り締まる役人はいるのだが・・・その荒らくれ者というのがラプターで役人程度ではどうにも手が出しようのなかったようだ。

大戦の後、海と陸の両間で和平が結ばれ侵略に使われた兵器類は破棄されたが、ラプターはまた別の話であった。
戦争の道具として作り出されたとはいえそれらも一応生物であることには変わりない。
ラプターには創造主たる『陸の民』の指示に従うよう遺伝子レベルで調整を施してあり、その命令が無ければ『海の民』を襲うこともない、むやみに処分するよりむしろ戦後の復興作業に役立てるべきだと・・・・
そんな道徳的なのだか打算的なのだかな思惑からラプターは処分を免れていた。

それらも最初の内は比較的大人しかったのだが・・・・
時代を重ねて行くごとに勝手気ままに動きが目立つようになり、現在では完全にヒトの手を離れていた。

言っても人間の生活に順応してそれなりの生活をするものも中にはいる。
だがしかし、強靭な肉体を持て余し暴れたいと思うものは決して少なくない。
そんな者達が集まって組織を形成したものが“マフィア”である。

そしてそのマフィアの中でも特に大きな組織、一番有名なものが“サラマンダー”だ。
それはひとつの地域を丸ごと支配しあちこちの大陸にも根を張るほど巨大な勢力だった。
この町で悪行を働いていたのもどうやらその一派ということらしい。


久しぶりの海賊らしい依頼に一向も嬉々として町へ向かったのだが・・・・
どうしたことか、到着した時には既に問題は解決されていた。

なんでもキッド達が来るほんの少し前にこの町にやって来た若い男が、町民からその話を聞くや否やマフィアの屋敷に乗り込んだらしい。
心配した町人達が屋敷の外から様子を見ていたのだが、一時間もしない内にボコボコになったゴロツキ達が屋敷から出て来て、そしてそのまま町から逃げ出して行ったそうだ。
かくして問題はスピード解決、町には平和が戻りめでたしめでたしということだが・・・

依頼が急にキャンセルになったことで大打撃を受けたのはキッド達、シーサーペントでああった。
結構な綱渡りでやってるこの仕事、今回は大きな仕事で報酬の方もだいぶ当てにしていただけに精神的、経済的ショックは相当なものだ。

キッド達の船、タイニーホープは旧式の魚船を改造したもので、海水さえあれば動き回れる機海馬(バイクのような有機生命体)にくらべ非常に燃料代がかかる。
その為、長距離移動は堪えるものがあり下手に移動出来ず・・・・これからどうするかと手を拱いている間に、ちょっとまずい事態になってきたのだ。


港にいる間、町で色々情報を集めている内に様々な噂話を聞いたがその中でもキッドの気を引いたのは三つほどあった。

一つ目は最近、このあたりの港によく出没するという船着き場の“亡霊”の話
それはキッドも聞いたことがあった。この地域だけでなく本当に至る個所でそれこそ飛んだり浮かんだりしないと絶対に行けない崖などの場所でも目撃され、一部では本物の幽霊なのではないかと噂されている良く分からない何か。(目撃者はどこから見たんだという話)

二つ目は北の方で名を馳せているという双子の美人武芸者の話だ。
何でも賭け闘技や野盗退治などで生計を立ていて、この町のことを聞いて仕事がないかやって来たらしい。
美人というキーワードに反応し当然キッドは食い付いた訳だが、既に町を発った後で相当がっかりしていた。

三つ目に今回の仕事を掻っ攫って行ってくれた同業者らしき男の情報があった。
男は東の地方特有の顔立ちをしており、海賊を名乗っていたそうだった。
更に調べていて分かったことに、その海賊屋はきちんとした国の認可を受けていて出所は確か、しかも国営ということから依頼料はタダらしい。もう一度言うが“タダ”らしい。


これを聞いてキッドもフレッドも絶句するしかなかった。
彼らの海賊業も結構な良心価格ではあるのだが、流石にタダに勝てるほどではない。
しかもその国営の海賊屋は最近この辺りで頻繁に仕事をしているようで客が完全に流れてしまっているのだ。

出ていくことも出来無ければ、ただ留まるにも船の停泊料もどんどん追加される・・・
シーサーペント、実は開業以来の最大のピンチを迎えていた。






「・・・半日でこれだけか、馬鹿にしてるんじゃないのか・・・?いや、待てよこっちのは・・・・・」

シーサーペントでは各々の役割分担がはっきりしている。
現地派遣で身体を動かすキッド、船員の世話などサポートタイプのアリア、そして経営などの頭脳労働はフレッドの仕事である。

フレッドは操舵の腕も然ることながら経営者としても中々優秀な方であった。
ほぼ利益のない必要最低限の収入、女遊びですぐ無駄遣いするダメな同僚(一応上司?)という二重苦の中で、もう何年もこの仕事を続けられているのはひとえに彼の手腕によるものだ。

だが初めての同業者の出現、その影響はとても大きかった。
いつもならタイムリーで何かありそうな地域に移動し、ぱぱっと仕事にありつくことも出来るのだが・・・移動出来ない上に、この辺りは全滅・・・勝負の前に詰んでいた。


「なぁ、フレッドこの際サラに頼『おい、仲間を売る気か?』オゥ」
「・・・確かにあいつはいい仕事を回してくれるかもしれんが・・・無理だ、無理。悪いが・・・」

そう言いつつフレッドは、見合った日雇いのバイト探すべく書店から持ち帰ったタダ求人誌と睨み合いをしていた。
彼の中ではまず船を動かす為にバイトで燃料代と停泊料を確保する方針が固まったようだ。

「ソーリィ、マイフレンド」

フレッドは経営者として、そしてこの男の友人として一生懸命やって来た。
だがそんな彼へ世間は、というかコイツは優しくなかった。

「背に腹はノー・チェンジってな、実はもう呼んである」
「・・・・・は?」

求人誌に目を落としていたフレッドはギギギギ、と油が切れた機械のように頭を上げる。

「呼ん・・・・だ?・・・・・来るのか・・・・?」
「イ エ ス」

ガタッ!!

「おっと、ど〜こ行くんだい、サブキャプテン?」
「ど、退けキッド!!こんなとこに居られるか・・・!お、俺は部屋に戻る!!そうだ、鍵をかけて耳栓してれば奴も・・・!!」
「おいおい、それはフラグだぜ・・・」

危ないセリフを吐き退撒しようとする友の進路を塞ように立つキッド。
裏切り者を睨むだけで、駄出しようにも浮足立ってしまっていて何にも出来ないでいるフレッド。
黙々と内職の造花とかを作っていたアリアは手を止めてそのやり取りを不思議そうに見ている。

「オーケィ、ミッション開始だ。アリア船員、副長を捕縛してくれ」
「いえっ、さー!わかりました、キャプテン!」
「ぅおい!?素直過ぎるのもどうかと思うぞ!?しかもそれ海賊じゃない!!」

状況はよくわかっていないようだが、それでもきちんとフレッドの肩を押さえに行くあたりこの娘以外とノリはいい。

「まぁまぁ、落ち着けって。別にとって食われりゃしないんだから」
「こいつ・・・!ええい、とにかく!」
「あ、だいぶ凝ってますね。お疲れですか?」
「あぁ、最近はちょっと・・・・・って!!」

コンコン 

「っっっ!?!??!?!」

騒がしい室内でもドアの向こうからそのノックは不気味なほどにクリアに聞こえた。
一瞬で部屋は静まり帰り『ビクッ!!!』と硬直したままフレッドは動かない。

そのまま時が止まってくれればいいのになぁ、とか思っても止まってくれるわけでもなく、ギィッと軋む音を立て開いてゆくドア・・・


そしてその後―――――――−時は止まった。








あぁ、この数カ月・・・辛かったわ、本当に辛かった!!

私はもっと定期的に、というか、毎日、いえ毎時間、毎分、毎秒でも顔を合わせたりお喋りしていたかったんだけど・・・彼ったら忙しいからって中々会ってはくれないの。
でも私だって馬鹿じゃない・・・本当はそんないっぱいに仕事が詰まってるなんてことはなくて、むしろ明日のご飯だって心配しなくちゃいけないくらいギリギリなのは知ってるわ。

あぁ、フレッド・・・そんな無茶しなくても私を頼ってくれてもいいのよ!?
そうよ、あなたの為に家を飛びだして私このお仕事に着いたんだから!!

もちろん、あなたはそれじゃ満足出来ないのも分かってる・・・
頼るより頼られたいのね、男のプライドって言うのかしら?きゃっ、ステキ!!

でも、今日やっと連絡をくれた・・・あぁ、私に会えない辛さにあなたもとうとう耐えられなくなったのね!!分かってるわ!!あなたの苦しみは分かってる!!

まぁ電話してきたのはキッドだったんだけど、うふふ・・・恥ずかしいから友達に代わりに言っ来てくれっ、な〜んて青春真っ只中の中学生みたい、そんな所もチャーミングねっ!

もちろんあなたは逞しくてとっても男らしくてもあるわよ?
子供の時から今までだって、これからだってずっとず〜〜〜〜〜〜っと私の王子様だわ!!

あぁ、この扉を開ければそこにあなたは居るね・・・!!
会いたかったわフレッドー!!あなたのサラが今――――‐


『っっっ!?!??!?!』

・・・え・・・っと、これは・・・いったいどういうことなのかしら・・・・?
キッドと見慣れない女の子が私のフレッドを取り囲んで・・・・な、何なの・・・これ?

『HAHAHA、何ってお前・・・ナニに決まってるだろう?』<*たいぶ脚色が入ってます>

ナニィ?!ナニなのね!?やっぱりナニなのね!!!!?
ま、さか・・・私に隠れてう、ううううう浮wっkkkkk

『くっ、ぅっ、はぁっ・・・・』<*脚色が入っ(ry>
『気持ちいいですかぁ?こっちとかどうでしょう』<脚色が(ry>
『うぁっ・・・くっ・・』<*脚色(ry>

ハァハァ・・・ハァハァ・・・お、落ちつけのよ私、ち、違うわ、そんなはずないじゃないの、彼は私にぞっこんらぶらぶなんだもの・・・・!っれ、冷静になるの・・・!
そ、そうあれはきっと彼の魅力が強すぎて、周りにイケナイ影響を及ぼしているんだわ!

『わぁ(肩が)ガチガチじゃないですか。よっぽど(疲れが)溜まってたんですねぇ』<*脚しょ(ry>
『HAHAHA、羨ましいぜまったく・・・どれ、オレも混ぜて貰おうか』<*きゃ(ry>

あぁ、なんて罪つくりな人なの・・・・!
そう、あなたはまるで荒れ果てた砂漠の中のオアシスのように――――――――――――――――−






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


タイニーホープの事務室では3人船員+客人が棒立ちのままつっ立っていた。
一人はその豊満な胸の前に手を組んでトリップ中、一人はあんぐりと口を開けたまま魂を持っていかれ、一人は手際よくもう一人の耳を塞ぎ、最後の一人は何が起こったのか分からずやっぱり不思議そうな顔をしていた。

「駄目・・・・・・」

何行にも渡って延々と妄想を吐き出し続けやっとのことで静まったかと思われたお客人が再び声を漏らした。

「やっぱり駄目よ!だって3『ぃぃぃ言わせ!!』なんて・・!しかも半分B『るかぁああ!!』」

ひどい毒電波に中てられて思考放棄まで追いやられたが、言わせたら終りだという本能の警告により帰還し、ブロックに成功したツッコミ&フォロー担当常識人。ギリギリセウトだ。

「あの一瞬で何をどう脳内変換したんだお前は!?いや、言わなくていい・・・むしろ黙っててくれ!!」
「可哀想なフレッド・・・でも、安心して・・傷ついたあなたの心と身体は私がしっかりケアしてあげるの・・・うふふうふふふ・・・あんっ、まだ・・・・」
「聞けよっ!!何より可哀想なのはお前の頭だと気付け!!」

「え〜っと・・・あの、キッドさん?」
「おっと、我慢してくれ。艦長にはクルーの健全な心を守る義務があるのさ」(*ただし女の子に限る)

キール・D・コースト、一見すると軟派なチャラ男のチャラ助であるが仕事の腕は一流。
自分達には耳栓を用意し、目の前で繰り広げられる阿鼻叫喚の地獄絵図もどこ吹く風だった。






「あー、では改めて」

女性の妄想も30分ほどしてようやくひと段落つき、こほんとキッドが咳払いを一つ。
まずは向こうへ初対面であるアリアのことを説明すると、今度はこれまた初見であったアリアにその女性、情報屋のシーラ・アステロイドのことを紹介していく。

シーラ・・・サラと言う愛称のこの女性はキッド達とは古い知り合いで、商業協会『ギルド』の情報部に所属しており今回は仕事の情報を持って来るついでに仲介役を引き受けてくれるそうだった。
また代々医者を輩出名家の出で医・薬学にも詳しいから時々医者みたいなこともやっているらしい。(←なんという医者の不養生)

「はぁ、お医者さままで・・・・そういえばフレッドさん」
「っ・・・・な、なんだ・・・?」
「何か顔色が悪いようですけど、大丈夫ですか?」

会話の流れで空気になれないもんかと、隅っこでじっと隠れていたフレッドにアリアが言う。
フレッドにとってはこの気遣いが本当の意味で痛かった。

「・・・・・・・・」
「オゥ・・・そう睨むなよマイフレンド」

こんな状況を作り出した男をジト目で睨み、収拾をつけるよう促すフレッド。
流石に可哀想と思ったか、苦笑いを作るとキッドが再び説明を始めた。

「・・・あー、それはだな。まぁ、遡ればガキの頃の話なんだが・・・・・」

「そんな、まだ子供だなんて・・・結婚もまだなのに・・・」///
「何故こうなった!?」
「フレッドがこれにサインしてくれたら今すぐにでもOKよ!」
「婚姻届・・・・だと・・・!!?」ガビーン

小道具持参の手の込んだボケ、とかじゃなく本気と書いて大マジなので実に恐ろしい。
あまりのことに振り回され系サブヒロインズの得意技、伝統と格式のガビーンが出て来てしまった。

「オーケィ、ノロケカップル。久々なのは分かるがハッスルなら後でごゆっくりな」
「おまッ!!?いらんこと言うなこのバk『お泊りセットはばっちりよ、お揃いのパジャマがあるの・・・でもやっぱりワイシャツとかも捨てがた・・・・・』ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ―――――――――――――−



〜〜〜更に数十分後〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「あ、お仕事の話だったわ・・・はい、これね」
「頂こうか」

ふと思いだしたように夢の世界から帰って来たサラ、ようやく仕事モードだ。
因みにサラが来て、打ち合わせを始めるまでに既に1時間以上もうすぐ二時間・・・・
色々アレな話を聞かされ続けたフレッドの口からはなんか出て来てはいけないものが出そうになっていたとか。
色素的なものがすっかり抜けてちょっとつつけば風に浚われてしまいそうな竹馬の友は置いといて、キッドは受け取った資料に目を通していく。

「≪深者の遊場-ギルマンベルト-≫における貨物船襲撃事件・・・・被害者の証言より幽霊船関与が・・・・ん、幽霊船?」

依頼はここから少し離れたとある海域に出没するという正体不明の船の調査だった。
その船は光波レーダーにも映らず、資源や食糧を積んだ貨物船が通ると突然現れ、“何か”が積荷を奪って行くとすぐにまた消えてしまうらしい。
その掴みどころのない犯行手口に、幽霊船と言う言葉が宛がわれたようだ。

「なるほど、確かにあそこならゴーストシップの一隻二隻出て来てもおかしくはなさそうだが・・・」
「そこには何かあるんですか?」
「何かって訳でもないがな。“大戦”の中とりわけ争いが激しかった所らしい。まぁ、それだけに犠牲になった数も多いってことさ・・・まずないとは思うがもしかしたらホントに出て・・・・っと・・・」

言いかけてキッドが止まる。
隣を見ると聞いていたアリアの表情が少し曇っていた。

「ソーリィ、あまり気分のいい話じゃなかったな」
「いえ、大丈夫です。でも、本当にその人達だったら・・・・・・そんなことをするのは、まだその時のことを苦しんでいるからなんでしょうか?」
「・・・大事なものを奪われる辛さを本当に知ってるやつが、他のやつにそいつを出来る筈がないさ。許せないのはそんな場所で悪事をはたらく“バチあたりなヤツ”が居るってことだな・・・・まぁ、調べてみないと何も言えないが」

あくまで調子はいつも通りだったが、キッドの目にはこの数週間では見られなかったようなギラギラとした光が宿っていた。
今回の依頼は確かにその海賊の心を突いたようだった。

「オーケィ、この依頼引き受けさせてもらうぜ」
「それじゃこっちの書類にサインとハンコをお願い。それと要望通り報酬の3割は先に・・・・・・あ、そういえば他に気になる情報があったの。この辺で“亡霊”も目撃されているじゃない?」
「あぁ、噂になってた例の港巡りのアンノーンだな」
「そうそう、集められるだけ集めた目撃情報で作ってみたんだけど・・・ちょっと見て」
「どれどれ・・・・・・・っ!?」

サラから受け取った“亡霊”の資料にはその姿がよく描き出されていた。

霊というくらいだからどんなグニャグニャの不定形かと思えば腕や足、頭はしっかりあり形式的特徴はまず人間のそれだった。
そこに鱗のような装甲を持った漆黒の鎧で全身を堅めいて、背後には翼のようなものまで背負っており話の中で聞く翼竜を思い出させるような姿をしていた。
そして、最も注目すべきはその腰部・・・・“ドクロ型のレリーフの着いたベルト”だ。

「よく目撃されてるのが被害にあった船が避難して来た所なの。もしかしたら今回の調査で会うかもしれないわね」
「オゥ・・・・・・また、やっかいなことになりそうだな」






○航海日誌  担当:アリア・マドリガル

今日は嬉しいお知らせです。なんと久しぶりにお仕事が入って来ました。
平和じゃないのを喜ぶのはちょっと不謹慎かもしれませんが・・・
キッドさんはいつか

『依頼が有ったって無くたって、不幸ってのは必ずどこかに転がってるもんさ。ならオレ達がそいつを減らせるチャンスを貰えるのはラッキーなことじゃないかい?』

そう言っていたことがありました。
困っている人が居るのは不幸です。でも私達はそれを減すお手伝いが出来ます。
だから私はこのお仕事に就くことが出来て、この船に居られて本当によかったと思います。
そういえば依頼の紹介をしてくれたサラさんという情報屋さんはキッドさんやフレッドさんとはもう10年くらいのお付き合いだそうです。
私もそんな長い間、皆さんと居られたら素敵だろうな・・・その頃にはキッドさんやフレッドさん達だけじゃなく他の海賊の人にも会っているんでしょうか。いつかお話し出来たらいいですね。


さぁ、いよいよ明日から営業再開です。
前金も頂いて燃料はOK、機関室のお掃除ばっちり、朝ご飯の下ごしらえも万端。



出張海賊シーサーペント、出航します。




,序章から大体二年くらいとはまた間長かったなぁ・・・
どうも、青嵐昇華です。

もう10月ですね、オーズと一緒に始めるつもりがもう一カ月も遅れてしまいました。
それは置いといてOPテンション上がりますねー。щ(゚Д゚щ)カモォォォン
海賊も最初期の構想はメダル変身だったので失礼にも発表時は勝手にライバル視してたりしたこともありましたが、今回も中々どうして面白い。
しかしメズ−ル様の人間体はセーラー服少女とは7番目に引き続いて5番目とも被ってしまった・・・まぁいいや(ぉ
映画楽しみだなー。



お返事〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

To Aヨスケさん

>砕ける凶星、その代償は……計都との壮絶な一騎打ち。
>まともに戦えるのが濠くん一人だけというのが、『朱凰』とは違う状況でしたね。
朱凰は転神×数と鳳凰の蘇生の恩恵に頼ってダメージ気にせずゴリゴリゴリ。
珀羅になってようやく役者が来たのはいいんですが、それ以外はパワー不足が否めないと(ぉ

>地味ながらとんでもない事をやってのけたんですね、濠くんは。
『朱凰』では夜娑さんが死に楓ちゃんが死に宗雲さんが死に遼那(笑)が死に、せっつぁんが死にと結構な数死にましたが・・・・珀羅での死“人”はなんとゼロ!!
・・・いい事なんですが今作ではそれが問題して来るところがあります。(←不吉

>計都を永劫に封じた力はあまりに大きく、世界の壁すら越える強さ。
スサノオには分かつ力がありそれは様々なことに影響を及ぼしています。
世界の壁や凶星を割いたり出来たのはこの特性の為で、実は温泉での幻覚も未来を隙間から見たという形でした。

恭也「ボケたんじゃなかったのか・・・」
濠「おい」

>濠くんの戦いは続く、「仮面ライダー」として。
これだけかかってようやくウチにも“仮面ライダー”が誕生したというわけですねw


『皆 勤 賞』達成!!\パチパチパチ/
おめでとうございますというかありがとうございますというか・・・ww
新シリーズでもお付き合い下さいますようお願いします!



To トレハさん

>毎度毎度あまり関係無い前置きをグダグダと他人様の感想欄で述べるのもアレですので
残念・・・ユーモアセンスのない青嵐としては参考にしたいんだがなっ!!(ぉ
ナチュラルに発言面白い人ってマジすごいと思うの・・・orz

>初対面の相手に凄え言いようだww恭也くんらしいけれども。
ポケモンで言うならこいつは絶対ノーマルタイプ。
何につよい訳でも無いかわりに一定のプレースタイル霊(ゴースト)的なもの不干渉であってガチムチに弱い!!ほらピッタリ!!(ぉ

ムーランド♀(NN.フィナ)のおんがえしめちゃ強いです。
しかしあのちびイヌのおヒゲがあんなに豊かになるとはww

フィナ「むーん、月光蝶ですぅ〜♪」


>他のキャラが見てる事しかできないってのは歯痒いモンですが、それでもやっぱり最終回はタイマンが熱いですよね!
ボス戦タイマンで思い出すのはやっぱりvsグレイン・・・ぶっちゃけパーティクルには泣かされた。
何はともあれ3DS版制作決定おめでとうと言っておこう!!(by TMS

>時に鴉美さんに、時にかおりんにセクハラをはたらき我々読者の心を潤してくれた彼
いつの日かパワーアップした奴が帰って来るのをご期待くださいw

>ついでに義姉とか個人的には聞き逃せないキーワードなど
次回、仮面ライダーPIRATES
『困惑のG/お姉ちゃまとお呼びなさい!』
これで決まりだ!!(ぉ


毎度お世話になりました!これからも見てやってくださいw
それで・・・・セイランはセイランは『鉄』の続きも気になるなと催促してみたりっ!(マテ



To 烈さん
>『金剛杵‐ヴァジュラ‐』を濠のもとに届けようと彼のもとに向かう恭也君。
>うまくたどりつけるかどうかわからないという始末。
戦闘組は相手の霊力辿って大体の位置とか把握出来ますが
恭也は基本的に霊感薄くて色々見えてはいるけど感じるのはちょっと・・・ってほどです。

>『計都』と“三種の神器”の“力”を借りて新たな姿に“神化”した濠こと『珀羅』のぶつかり合い!
三種の神器コンプリートからの三位一体・・・
ずっとこれがやりたかったんだよ白澤先生!!未来『高天原』!!(ぉ

>タイミングよく助けに現れた澪示君こと『伏義』の姿にはおいしいところを持っていくのが得意な感じだなと思いました…。
燎子ちゃんが頑張ってボコボコになって味方化フラグ立ててくれたからスポット参戦出来たんだよ!(ぉ
燎子「なんか釈然としねぇな・・・」
澪示「まぁまぁ」

>鉄機龍『真空』にまたがり 『計都』を己ごと“次元の狭間”に
マカラ誕生時からぼやいてた複線の回収をようやく行えました。
海上なんかじゃ特に足場は大事なんです。

>……それにしても、濠が光の中で見たという“三頭の龍”とは一体何なのですか?
>それはそちらの次回作でさる“海賊ライダー”の話で関係してくることなのですか?
やっぱり複線であります。あくまで三頭ということを忘れないで頂けるとありがたいです。
多分しばらくすれば分かって来ると思います。
“ラプター”とは本来どういう意味なのか、考えて見ると面白いかもですねw
先の読み過ぎはお勧めできませんけど。

>何気にヒロインメンバーの出番があまりなかったというのも不満を覚えます。
彼女達は犠牲になったのだ・・・この打ち切り不完全燃焼な終り方の・・・
しかし虚無らせない分まだきっと大丈夫(ゲッタァアアアアアアアア!!(ぉ

>レベルが違うとつくづく思いました。
『朱凰』の方でも羅喉さんって結局倒してはいないんですよね。
凶星とは大体からして壊せないものとお考えください。

>“海賊”の話の際にはどのような形で濠が活躍していくのかが実に楽しみです。
しょっぱなから海蛇チームを喰ってましたねw(経営的に)
話が進んで行く中盤とかほとんどこいつらが喰ってく予定です。

>……ところで、濠の恋愛状況は具体的にどうなっていくのですか?
さぁて、どうなるのでせうか。
ただ帰って来た時にはそのことで恭也から散々いじり回されるのは確実ですw

こちらも『皆 勤 賞』達成!!\パチパチパチ/
本当にいつもありがとうございます。なるべく色々頑張ります!!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

一応節目と言うことで青嵐のお絵描き(笑)ブログ『岩戸』のアドレスをもっかい張っときますねー。
http://pixiv.cc/seiran-ran/
今回も手打ち入力で、こんじょだこんじょっ!!(ぉ


さぁ、こんな感じでいよいよ海賊連載スタートしました。
ライダーも出て来てないので設定は次回と一緒に出します。
無事に完結出来るといいな・・・・!(←早い早い

それではまたお会いしましょう。
あでゅっ〜〜〜


,#000000,./bg_g.gif,i219-167-45-216.s02.a040.ap.plala.or.jp,1 2010年09月21日(火) 17時34分31秒,20100921172706,20100924173431,Nx0IdiU.OzF7Q,仮面ライダーバルキリーたん エピローグ,鴎,,,エピローグ

2020年6月6日・・・・仏滅。

あの智率いるイマジン、レジェンドルガとの激戦、レジェンドルガ一族最強最悪の兵器「ヒュプノス」を用いた時間破壊を未然に防ぐことができた大戦から・・・10年が経った。

そして・・・。

ここは、荘厳な雰囲気が漂う高台の上にある純白の建物・・・聖(セント)星ヶ丘ミカエル教会。清らかな純白の光に包まれたゴシック調の建物は礼拝堂も兼ねており、町の名物のひとつだ。絵葉書にもなっているほどで、観光都市星見市の名所でもある。

本日、その教会で一組の男女が長き道のりの果てに、永遠の愛を誓い合う儀式が開かれようとしていた。

暁「いつ見てもすげえよな、この建物は・・・」
クリス「100年以上経っているのに、この情緒あふれる雰囲気は・・・歴史を感じさせますね」
クロキバ「うむ、この教会はとても落ち着く雰囲気である。この自然観あふれる森と小高い丘から広がる空と海が永遠の愛を誓い合う二人を祝福してくれるのだな。何ともロマンティックだ」

暁とクリス(フレスベルグイマジン)、クロキバが感心しながら見ていると、後ろから誰かがやってきた。

外見上は銀髪で青い瞳を持っており、ワイルドな感じをした服装をしている少年、一見小柄で栗色の髪をした可愛らしくあどけない童顔をしている明るそうな少年、そして長身で知性的な顔立ちをしている黒髪の青年だ。

暁「冷牙(れいが)!流水(るみ)に雷斗(らいと)もきてくれたんだ!!」
冷牙「ふん、貴様の両親の祝福の日だからな」
流水「お祝いにきたんだよね!!ねっ、雷斗!!」
雷斗「・・・暁・・・・おめでとう・・・・・」
暁「・・・ありがとう」

暁も優しく微笑む。和やかなムードに包まれている。

雷斗「・・・・いい日になりそう・・・」
暁「そうだな、まさか、こんな日くらいいつものありえない不幸とかトラブルなんてあってほしくないよな」
流水「でも、そういうときに限ってあったりしてねー、きゃはははは」
冷牙「それが楽しみでもあるしな。クッククク」

暁「おいコラ待て、何か今不吉な発言かまさなかったか、コラ」

流水「ナニモイッテオリマセン、キャハハハハ」
冷牙「ミニオボエガナイナ、フハハハハ」
暁「嘘こけや!!今明らかに目が泳いでいただろ!!」
雷斗「暁も・・・落ち着いて・・・・二人とも・・・・あまり・・・からかうな」
クリス「全くこの3バカトリオは・・・!!」
クロキバ「まあ、いつものことであろう、このやり取りも」

クリスが呆れて、そしてクロキバが笑いながら優しくとりなす。
そして、暁をからかってはしゃいでいる流水と冷牙を暁が追い掛け回し、後ろから雷斗がなだめながら追いかけている。

ところがだ。

流水「あ、そろそろ、式始まったみたいだよ!!」
冷牙「何、どれ、俺様が一番乗りで見てやろう!!」
暁「アホか!!オレが一番乗りだ!!」
流水「ちがうねー、ボクだもんね!!」
冷牙「貴様はそこらへんにある海でも泳いでろ、チビスケ!!」
流水「何だよー!!冷牙こそ、そこらへんの森の中にいる野犬の女の子とでもイチャコラしてろー、エロ狼!!」
冷牙「ほほぅ、貴様には年上に対する礼儀とは何たるかを教えてやる必要がありそうだなあ、ゴルァ」
暁「よしっ、バカ二人がやりあっている間に一番先に見るぜっ」
クリス「・・・みんなで見ればいいじゃないですか」
クロキバ「暁も大概バカだからな」
雷斗「・・・・放っておいたほうが・・・よさそう・・・・」
暁「全く・・・こういうのは、オレが先だろうが」
雷斗「だから・・・皆で・・・見ようよ・・・・」

知りません。何も聞こえません。

そして飛び込み、暁と雷斗が窓から覗き込む。
そして・・・。

暁「・・・・・・・・・・(バタッ)←暁がショックのあまりに気絶してぶっ倒れた音」
雷斗「・・・・・あれ・・・・?」

冷牙「きっさまああああああああっ、俺様にも見せろっ!!」
ぶぎゅるっ(暁を踏み台にして窓に乗り出す音)

流水「ボクにもっ!!」
ガシッ(雷斗の肩に飛び乗って肩車した音)

そして・・・。

クロキバ「・・・・・・・ないわけなかったか・・・・トラブル・・・・」
クリス「・・・・・何てこうなるんですか・・・・・?」

流水「・・・・ねえ、本当にまともな結婚式にならなかったみたいね・・・」
冷牙「・・・・・・すまん、暁。慧の運の悪さと周りのバカどもの行動など俺様たちでは予測不可能であった・・・・」

暁「・・・・・何で・・・・なんで・・・・ふふ・・・・なんで・・・・?」
もはやあまりにもショックのせいで、涙をダバダバ流しながらブツブツと何かつぶやき続けている暁。周りには暗雲が立ちこめ、どんよりとした空気に包まれている。


一方で・・・。
式場内では。
パイプオルガンの美しい旋律が荘厳な礼拝堂に広がり、愛が涙をぬぐいながら式を挙げている娘、慧を見ている。

端正な顔立ちに整ったプロポーション、その美しい肢体を純白のウェディングドレスに身を包み、ブーケを持ち、礼拝堂に立つ姿はとても美しかった。

愛「慧ちゃん・・・・慧ちゃんが・・・あんなに綺麗に・・・・うう・・・・ひっく・・・嬉しいよぅ・・・・」

クシナダ「分かるぜ分かるぜ。あのやんちゃだった慧がなぁ・・ついに結婚するなんてなあ・・・・あたいも嬉しいぜ!!」
レイク「ああ、もう感無量だな」
ショウカ「今日この日を迎えることができるなんて・・・・ボクもすごく幸せ」

クシナダなんてVライナーの中で涙をハンカチでぬぐいながら嬉しそうにいい、ショウカやレイクも涙をハンカチでぬぐっている。

ティンクル「ふっ、愛、よかったな。心からおめでとうと言わせていただこうか」

しかし、そのすぐ近くのヒルデとシズカだけはなぜか浮かない様子であった。
シズカ「・・・ねえ、ヒルデ、アタシ、これでよかったのかなあって思うんだけど」
ヒルデ「・・・愛に何を言っても無駄だ。人の話を聞かないということに関してはもはや神業的だし。上からの命令無視、権力による圧力、違法捜査に対する厳重処分などもはや3桁超えているにもかかわらず、強運のみで事件を解決しては警察組織の幹部まで上り詰めたんだしな」
シズカ「・・・10年間説得してもダメだもんね・・・・」
ヒルデ「でなきゃ、結婚そのものがご破算になりかねないしな・・・」
シズカ「・・・慧も腹を決めたみたいだしね・・・」

一方で。

ムーン「マスター・・・・すっげぇ綺麗だ・・・・」
ダイヤ「ううっ、あそこまでお淑やかになられて・・・教育係としては嬉しく思います・・・ああ・・・もう涙が・・・・」
パール「わーいわーい!!お姉ちゃん綺麗だあ・・!!」
マラカイト「ああ、もう、実に可愛らしゅう・・・美しく育ちましたこと・・・誰かのものになるなど・・・・許せないほどに・・・・」
アクアマリン「この二人に神の祝福を・・・」

トパーズ「慧・・・・とても綺麗だ・・・・」
エメラルド「うんうん!!!お姉ちゃんすごく綺麗だよっっ!!!」
ルーベット「慧殿ォオオオオオオオオオオオッ!!!!!!ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!綺麗ですぞぉおおおおおおおおおおッ!!!!ううっ、慧殿が・・・今宵は・・・・まさしく・・・・女神のように見えますぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
サファイア「ああ、もう、実になんて素晴らしいんだ!!君の美しさにあたしの胸の高鳴りももはやクライマックス!!!ビュリホォオオオオオオオッラブだよっ、慧くぅうううううううううんっ!!」
ルーベット「慧殿ォオオオオオオオオッ、アイラビュウウウウウウウウウウっ!!!」
サファイア「ウォンチュウウウウウウウッ、慧、ラビュゥウウウウウウウウッ!!」

アメジスト「・・・もはや宗教じみているわね」
ガーネット「まあ、あいつら、慧のことになると頭のねじ全開で吹き飛ぶからな」
琥珀「・・・・あのよぉ、この事態、もう誰もツッコまねえのな」
アメジスト「・・・ツッコミどころ満載だと、どこにどう突っ込んでよいのやら」
ガーネット「もう、これはこれでありかと思ってよ・・・・とほほ」
琥珀「・・・はあ・・・・そろそろいくか。慧たちの護衛・・・ちょっと不安になってきたから行ってくる」
ガーネット「ああ・・・・気をつけてな」
アメジスト「この結婚式、普通の結婚式と思って言ったら・・・・・死ぬわよ」
琥珀「・・・何が起きてもおかしくないってか」

おかしいよ、この結婚式、表現がおかしすぎる。
そりゃそうであろう。

(慧視点)
今日はあたしの結婚式・・・・。
人生において、この上ない最愛の人と結ばれる大切な日だ。
これまでいろいろと苦労もしてきたし、不幸にまみれてきたけれども、やっとここまでこれた。長い道のりを乗り越えて・・・。

「・・・慧、綺麗だよ」

そう可愛らしい声で答えるのは・・・・今日から私の夫となる愛する人からの声。
緑色の目を潤ませて、可愛らしく微笑む、一見美少女にしか見えない緑色のショートカットの小柄で華奢な雰囲気の男の子。

大友晶。私が愛する最愛の人にして・・・チェックメイト・フォーのキング。
もう今はファンガイア一族と人間との和解、および共存の盟約を結びつけ、この世界においてファンガイアは異形ではなくて、種族として理解されつつある。その偉業を成し遂げた若く優秀な王が、私の夫であると思うと少し誇らしく思える。
今もファンガイアの王として君臨しており、ルークさんとクイーンさんと、そして・・・新しくビショップとなった「私」のチェックメイト・フォーで活動している。
あの後、すべての事件の顛末を聞かされ、神代先生が今度の事件の首謀者であったと聞かされたときは・・・だいぶへこんだけれど、そんな私を気遣い励まして引っ張ってきてくれたのは、ルーベットたちや母さん、そして晶たちだ。そして、特例であるけれども、私がこの時の運行を正すために戦ってきた功績をもって、私は人間にして「ビショップ」に任命された。手にもビショップの紋章が刻まれている。
過去を悔いても・・・取り戻せない。
でも今、変えられるものはきっとある。
守りたいものがある。だから今はそれを守るために生きることが大切だと知ったから。
振り返りたいときもあるけど・・・でも、今は前を見て仲間たちと一緒に歩いて生きていけることに幸せを感じている。

そう、幸せなんだよ・・・。
幸せなはずなんだけど・・・。
何でこんな晴れの舞台、待ち望んでいたとても記念すべき日なのに、私はなぜ泣いているんだろう。そう、決してこの涙は歓喜や感動ではない。

なぜかって?

そう・・それは目の前にいる・・・純白のウェディングドレスに身を包んだ可憐な少女・・・いや・・・・わが夫の姿を見ているからだ。

そう・・・そうだよ・・・花嫁って・・・私のはずだよね?

なのに・・・・。

慧(何で晶までウェディングドレス姿なのさああああああああああああああああっ!!?おかしよねっ!?変だよ、おかしいよっ、こんなの・・・・こんなの・・・・感動の結婚式なんかじゃねええええええええええええええっ!!)

暁「・・・ばあちゃんの・・・父さんの・・・大バカがあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」
クリス「・・・・・・・・これはこれで、もはや慧様らしいというか・・・」
クロキバ「もはや・・・・・逃げられないようだな、この不運からは」


慧「・・・あのさあ・・・なんで晶までウェディングドレスなの?」
晶「えっ、だって、結婚式なんだよ?夢だったの・・・着てみたかったから」
慧「・・・・いや、まあ、母さんがウェディングドレスが似合うかわいい男の子じゃなきゃ結婚は許しませんって言って聞かなかったこともあるけどさ・・・」
晶「もーう、ノリ悪いぞっ、慧は嫌だった?」
慧「・・・・嫌とかそうじゃなくて、いろいろと複雑だよ」
晶「そうなの?」
慧「・・・まあ、いいけどさ」

もう夫の乙女心も趣味も、似合いすぎている女装も慣れるしかないかと思いつつも、目の前に晶が笑いながら私を見ていた。

その瞳はどこまでもまっすぐで濁りがない。
思わず私も胸がときめく。

晶「・・・ねえ、慧」
慧「・・・うん?」
晶「・・・・俺・・・・今すごく幸せだよっ」
慧「・・・え・・・・」

晶「この世で一番大好きな人と・・・・結ばれるなんて・・・・すごくすごく・・・・世界一幸せだよっ!!」
慧「!!」

そういって涙を流しながら私を見てくれている。
とても暖かい何かが心を満たしてくれる。
優しくて・・・暖かくて・・・・。

慧「・・・・どうしてこう、あんたは私の心をつかむのが上手いかなあ・・・一生勝てっこなさそうだよ・・・」
晶「ふえ?」
慧「・・・そういうのは、私が先に言いたかったけどさ・・・・ああもう、こうだ!!」

顔を真っ赤にして、私は晶の肩をつかんで、一気に顔を近づける。


愛「きゃあああああ〜♪」
琥珀「おいおいおいおい、神父様おいてけぼりかよ」

そして。

ゴォオオオオオオオオオオオンッッ!!!!!!

慧の唇が晶の唇に重なり・・・・温かい感触が直に触れ合う。
鈍い音とともに・・・。

慧「・・・・晶、世界で一番貴方を愛してます。死が二人を分かつまで・・・私は・・・ずっと貴方と一緒です」


唇が離れて晶を見る。
そう、難しいことや理屈は抜きだ。(突っ込むところは突っ込むけど)
今、こうして心に思っていることを正直に伝えよう。

晶「・・・俺・・・も・・愛してる・・・・でも・・・今のは・・・痛い・・・」

そう、額から煙を上げて白目をむいてぶっ倒れた夫・・・え・・・?

バタッ!!!!

愛「・・・け・・・慧ちゃん・・・・・?」
琥珀「・・・あっちゃあ・・・・・やっぱこうなったか・・・・」

ルーベット「・・・・え?」
サファイア「・・・ありゃま・・・」

冷牙「・・・・誓いのキス・・・ではなくて・・・ヘッドバットとはな・・・・」
流水「あっちゃあ・・・・完全に気絶してるよ、あれは」
雷斗「暁・・・身投げは・・・よくない・・・・」
暁「離せぇええええええええええええええ!!!もうオレあんな世界一情けない結婚式がうちの両親かと思うと生きていけっか、コンチクショォオオオオオオオオオオッ!!!」
クリス「暁!?崖から落ちたら死んじゃいますからああああああああああ!!」
クロキバ「早まったマネをするでなああああああああいっ!!!」

暁・慧「「何でこうなるのぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」」

こうして、創立100周年を迎えた記念すべき最初の結婚式の日は、新郎が新婦のヘッドバットで気絶して病院に担ぎこまれ、さらには、ウェディングドレスを着込んだ新郎を見て、どっちが新婦なのか分からなくなった医者が混乱し、「教会創立以来のバカ夫婦」といわれ、挙句の果てに、こんな名所でやらかしたために、「星見市きってのバカ夫婦」と不名誉極まりない称号が与えられたのであった・・・。



2037年.
青き装甲が美しく光る流線型の最新型ボディが特徴的な美しき新幹線「ディスティニーライナー」がキングライナーに到着した。
電車が開き、頭にたんこぶをこしらえて、クリスに背負われてきた暁とクロキバが降りてきた。

クロキバ「暁・・・最後は手荒ですまなかった・・・」
クリス「申し訳ございません・・・・・ですがあのまま死なれたら・・今の貴方の使命はどうなるのですか・・?」
暁「・・・いや、オレも冷静さを失ってすまなかった。結婚式までどたばたなんて考えりゃ予想もついていたしさ、でも、こうしてオレがここまで育ってこられたのも、あの二人の愛情とか絆とかが変わらなかった賜物だろう?なら、もう、大丈夫だ」

いつものクールダウンした暁に戻り、クリスとクロキバも安心したようだ。

暁「さてと、そろそろ休暇も終了だ。本部に戻らないとな。クリス、クロキバ、ちょっと行ってくる!!」
クロキバ「了解だ」
クリス「行ってらっしゃいませ!!」

地下駐輪場に向かい、愛車の「フレスベルグ」と名づけた白銀色の大型バイクにまたがり、イグニッションスイッチを入れると、とたんにナビゲーションシステムが起動し、エンジンが唸りを上げて目覚める。

慧「暁?私だ、聞こえるか?」

暁「母さ・・・いや・・・長官!!はい、こちら、クロノポリス第12特殊部隊隊員、大友暁(おおとも・さとる)です!!」
慧「休みのところ申し訳ない。事件だ!!時代は・・・2018年9月24日、セントラルハイウェイでイマジンの大群による現金輸送車襲撃事件!!第12特殊部隊、第4白兵部隊、第10救護部隊全員出動命令が出ているわ。至急向かってくれ!!」
暁「了解!!」

そして、バイクを走らせると空中に線路が突如現れてディスティニーライナーが現れる。横並びに走るようにしてなると、一気にバイクごと飛び上がって運転席に乗り込んだ!!

暁「休暇明けそうそうやってくれるな、おい!!派手にトバすぜっ!!」
クリス「了解!!」
クロキバ「了解だ!!」

クロノポリス。
ヒュプノス事件からターミナルは多発化する過去の改ざんや未来からの侵略者による犯罪が後を絶たないため、組織的に大規模な犯罪活動を抑止、および対象の殲滅、逮捕による時の運行を守ることを目的とする警察組織「クロノポリス」を設立。
そしてこれを設立したのは・・・オレのばあちゃんこと、天童愛さんだ。
いまだに最高責任者として君臨しているし・・・つーか、60歳超えているとは思えないほど若々しいというか・・バンパイアか人外のそれのような身体能力と指揮能力で全12部隊から成り立っている組織をいまだに運営している。どうやらこれはヒュプノスの目覚めとかセブンズヘブンの事件とかがきっかけで、これ以上の被害は時の運行において尋常ならざる被害をもたらすらしい。というわけでヒュプノス事件のとき、ばあちゃんはばあちゃんで時の列車を使って世界各地で起きている時間犯罪を無理やり検挙、逮捕、組織の殲滅と数え上げたらきりがない功績を挙げまくり、結果、クロノポリスの設立にまでいたったのだ。

そして・・オレがちょっとしたわけありでイマジンを倒してきた功績などもあってか、第12特殊部隊「ルシファーズハンマー」の隊長として活動しているわけだ。
といったって・・・隊員というか・・・・仲間はオレを入れて・・・7人だ。
なんというか、7のつく名前の組織とか、どうも縁があるのか?しかも内3体が・・・凍牙と流水と雷斗だ。組織というよりも・・・昔からの付き合いで成り立った仲間たちのような存在だ。そして残りの3人は・・・まあ今後のヘブンで語るとしよう。

腰に「ヘブンベルト」を巻きつけ、クロキバが飛んできた。
それを受け止め、手を差し出す。

クロキバ「行くぞ、暁」
暁「おう!!ヘブン、スタンバイ!!」
クロキバ「コンプリート!!」

かぷっ

暁「ふうっ・・・・変身!!」

クロキバを装着してクリスが宿ると、白銀色の光をまとって、フレスベルグ、伝説の怪鳥をまとった純銀色の仮面とアーマーが装着され、自身の姿が変身していく。

仮面ライダーとしての、「オレ」。
仮面ライダーヘブンとして。



その様子を見送るように長官室で見ていた制服を着込んでいる黒髪ロングヘアの女性が心配そうに見ていた。

慧「暁・・・気をつけてね」
晶「信じようよ、俺たちの息子をさ」

そういって、キングとしての荘厳な軍服を着込んだ晶が慧に語りかける。
慧「・・・・うん」
晶「うん!」
慧「ルーベット!!トパーズさん!!白兵部隊は特殊部隊がつき次第合流、そして作戦の展開を!!マラカイトさんとアクアマリンさん救護部隊は怪我した人たちの救助活動を速やかに済ませ、安全な場所まで避難させて!!」

ルーベット「了解!!」
トパーズ「了解!!」

マラカイト「よろしくてよ」
アクアマリン「はいっ!!」

今、慧の仲間であったイマジンたちは全員それぞれクロノポリスの隊員として働いている。時間の改ざんおよび時間犯罪を決して見逃さず、過去と現在、未来を守るために今もこうして慧たちとともに戦っているのだ。同じくしてルークやクイーンもこの組織内で働いている。

そう、時の運行を守るための戦いは果てしなく続いている。
戦乙女と竜王の血を受け継ぎし一人の少年が・・・今動き出す。

晶「紡がれていく時の運行、過去と現在、未来をつなぎ合わせる路線を守る・・・」
慧「頼むよ・・・・暁・・・クリスさん・・・・クロキバ・・・!」

仮面ライダーバルキリーたん FIN
そして・・・NEXT LINE「仮面ライダーヘブン」!!!
「限界まで・・・トバすぜ!!」


,・・・さて、ついに、51話をもって仮面ライダーバルキリーたん、ここに無事終焉いたしました!!!
これまで数多くの応援心からありがとうございます!!!まさかここまでかけるとは思っておらず、皆様の応援がとても嬉しく思います。そしてさらにその勢いも乗って、次回作品「仮面ライダーヘブン」の作成も乗り出していけるので、本当にありがとうございます!!

慧「烈様、イタリアーノリク様、@PF様、黒様、そしてこの作品をずっと見てきてくれた読者の皆様、本当にありがとうございました!!最後までドタバタでしたが、私たちは今でも時の運行を守るために戦っております!!クロノポリスが活躍する仮面ライダーヘブンでは息子の暁が主役として戦いますので応援よろしくお願いいたします!!」

晶「本当にここまで応援してくださってありがとうございます!!」

今後は設定、そして第一話を同時に作って投稿するので、少々投稿が間が開きますが、また皆様との交流および執筆活動を楽しみにしております!!

約1年間ありがとうございました!!!
,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,1 2010年09月08日(水) 22時03分19秒,20100908220319,20100911220319,Lxq/CPZvFC33k,仮面ライダーバルキリーたん 第50話「Final battle VS Lucifer」,鴎,,,「Final battle VS Lucifer」

慧「ケリつけてやるよっ、ルシファーッ!!」
ルシファー「へっ、こちとら6人全員妹分討ち死にされてんでな、落とし前つけてやるぜっ!!!」

槍と大剣が激しく何度もぶつかり合い、火花を散らせて空気さえも震わせる。
轟音が鳴り響き、刃と刃が幾度となく鈍いひらめきを放って剣劇を繰り広げる。

ルシファー「うおらあああああああああっ!!!!」
槍を振りかぶり一気に突き出すとそのまま休む間もなく次々と突きの連打を繰り返し、バフェニックスフォームが押されていく。

「ムーン・トンファー!!」

銀色の光が宿り、拳に銀色の光を宿してトンファーのような形へと変わると槍の猛打を交わし、巧みにステップを踏みながら槍の突きをかわすと同時に、拳を振り上げる!!

ムーン「もらったぜ!!」
ルシファー「へっ、あいにく、殴り合いなら俺も得意なんだよ!!」

そういうと獰猛な笑みを浮かべ、拳の一撃を交わすと顔面に向かって拳を振り上げてそれが直撃する!!!

慧「がふっ・・・!!!」

あまりにも重い一撃だ。仮面越しでも強力な重圧と激痛が走り、フェニックスフォームが吹き飛ぶ。あまりにも重く衝撃のある拳の一撃に意識を手放しかけた。

ムーン「がはっ・・・・・!!!?な、なんだよ、このパンチ・・・・。信じられねえ・・・あんな細腕でこんだけ凄まじいパンチを放つなんて・・・・」
ルシファー「鍛えてるんだよ、じゃなきゃ生き残れなかったからな、レジェンドルガたちがうごめく戦国の乱世はな!!!」

さらに容赦なく殴りつけてくる。その拳の破壊力は一撃で地面をも穴をぶち開け、壁をも砕き、あらゆるものを粉砕する。
フェニックスフォームが槍と拳の猛ラッシュを必死で剣で対抗するが、軽快なフットワークと重厚な一撃というスピードとパワーのバランスのとれた攻撃は隙が一切ない。

ルシファー「オラオラオラアアアアアアッ!!!!」
慧「きゃあああああああああっ!!」

とうとうルシファーの拳がフェニックスフォームをとらえ、顔面を、ボディを容赦なく殴りつけてアーマーが破壊されていく。そして、大ぶりに振った一撃を振りかぶって殴りかかってきたとき、フェニックスフォームが避けて、オレンジ色の光を帯びて、カウンターの要領でルシファーの顔面を殴りつけるべく拳を振るう!!

ルシファー「甘いんだよ!!」
慧「えっ!?」

それを頭突きで拳の勢いを半減させると、もんどりうったフェニックスフォームを掴みもう片方の拳を思い切りフェニックスフォームの顔面を殴りとばす!!!
フェニックスフォームが回転しながら宙を舞い、木々に叩きつけられ、余りの勢いで木がへし折れて轟音とともに倒れて行く!!

慧「くはっ!!!」
ルシファー「くたばりやがれっ!!!」

槍を回転させて、一気に突き出すと暴風の刃が吹きすさび、フェニックスフォームに向かって飛んでくる!!地面を削り、空気さえも切り裂くように唸りを上げて襲いかかってくる牙を何とかかわして避ける!!

ルシファー「オラァアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
慧「くっ!!!」

ルシファーが槍を振りかぶり頭から真っ二つにするように唐竹割を仕掛けてくるが、それを剣で防ぐ!!!その重圧と衝撃の威力は剣越しからでもビリビリと全身を震わせる!
剣と槍の激しいつばぜり合いが繰り広げられる。お互い一歩も引かず、全力の限り、歯を食いしばり持っている武器に神経を全力で集中させて振るい、激しく責め立てる!!

ルシファー「おっかしーなあ、お前、こんなに弱かったっけ?それとも、俺が強すぎるのかな」
慧「・・・言ってくれるじゃない。でも、こっちも負けてられないんだよ!!」
ルシファー「はっ、抜かしてな。お前はぜってぇぶち殺す!!!」

そしてお互いが飛び退くと、バルキリーの剣に白い光が宿り、天に向かって真っすぐ突き立てるように掲げる!!

慧「ダイヤさん!!行くよ!!」
ダイヤ「仰せのままに!!」

白い光が放ち、斬撃の波動を一気に解き放つ!!

ルシファー「食らいやがれ!!」

ルシファーが槍を回転して、一気に突き出すと黄金の風が吹き出し、渦を巻いて白い光と激しくぶつかり合う!!風と光の激しい奔流が起こり、中心地が地面をえぐり、あらゆるものを吹き飛ばすほどの激しい暴風が起こる!!

慧「くっ・・・!!!」

その中をルシファーが飛び出し、本流をかき分けるように槍を振り上げて、一気に切りかかってくる!!!渦の中をものともせず突き進み、槍を振りかぶって一気に振り落とす!!その直撃があたり、フェニックスフォームが火花を散らせて吹き飛んだ!!!

慧「きゃあああああああああああっ!!」
ダイヤ「うわああああああああああっ!!」

地面を転がり、余りの激痛に全身を苦しそうによじらせる。
血液がまるで逆流を起こしているかのように全身の四肢が得体のしれない気持ち悪い感覚に襲われ、意識さえも手放しそうになる。

ルーベット「かはっ・・・まさか・・・ここまで強いなんて・・・!!」
トパーズ「まずいぞ・・・・今までの敵とレベルが違い過ぎる」
サファイア「・・・こりゃ、マジ、覚悟必要かも」
エメラルド「でも、諦めきれるかって話。ここまで、ヤバすぎる展開なんていくらだってあったじゃん」
琥珀「だよな、それを乗り越えてきてるわけだしな」
アメジスト「ここまで来て、諦めるはないわよね」

慧「だよね・・・たった半年の間なのに、ここまでトラブルだらけという人生も珍しいよね。よく生きてこられたよ。でも、それは皆で必死になって頑張ってきたから掴みとれたんだ。諦めない限り、前へ進もうとすれば、必ず・・・未来は掴める」

ムーン「そうだぜ、そういうマスターの根性がいつも奇跡を呼んできたんだ」
パール「ボクたちも頑張らないとね!!」
アクアマリン「運命は変えられる・・・・抗い続ける限り!!」
マラカイト「さてと、ここからが本番ですわ!!」
ガーネット「あたしたちの諦めの悪さ、教えてやろうぜ!!」
ダイヤ「我らの騎士道精神、朽ち果てることなし!!」

慧「OK!!」

そして再び立ち上がり、フェニックスフォームがおぼつかない足取りで剣を杖代わりにしてそして構えなおす。

ルシファー「さてと、そろそろくたばるか?」
慧「冗談じゃない。ここからが・・・あたしたちのクライマックスだぁああああああああああっ!!」

空高く吠えるとそのまま目にも止まらない速さで飛び出し、地面を蹴り飛ばして銀色の光を帯びて、拳を繰り出し、蹴りの猛ラッシュを放つ!!
ルシファーの槍のリーチを生かして、懐に飛び込む作戦だ。
槍の攻撃を避けると、無防備となった部分に向かって飛び込み、拳を突き出す!!!
しかしルシファーも間一髪で攻撃を避けると足で蹴りつけ距離を話し、再び槍のラッシュを繰り出す!!そのラッシュを琥珀が憑依したアサシンの能力・・・加速能力で避けて、さらに攻撃を続ける。

一瞬でも気を抜いたら確実に死ぬ。
時間の流れがとても遅く感じる。ただ、拳と剣と槍のみが空気を切り裂き、ぶつかるたびに轟音と火花がと飛び散る。

慧「はぁー・・・・はぁー・・・・・」
ルシファー「しぶてぇな・・・・さっさとくたばりやがれっ!!!」
慧「だから、死ねないっつってんだろっ!!!」
ルシファー「へっ、せいぜいあがきなっ!!!」

ルシファーが槍を再び回転し、一気に突き出すと暴風の渦が発生しフェニックスフォームに向かって突き進んでくる!!!
すると、黄緑色の光が宿り、剣を振りかぶると嵐を吹き消しながら黄緑色の三日月型の刃が飛び出し、そのままルシファーへと向かって突き進む!!

ルシファー「ぐあああああああっ!!」
マラカイト「!!!槍を振るった後は一瞬無防備となりますのね!!主、勝機が見えましたわ!!」
慧「攻撃を上手くすり抜けて反撃する方法・・・?そうか、その手があった!!サファイアさん!!」
サファイア「一か八かだねぇ、こりゃ」

そして青い光を放つと一瞬その姿をガンフォームへと変身し、Vガッシャー・ガンモードを構えると一気に乱射する!!青い光弾は風の中を真っすぐ突き進み、ルシファーの全身に着弾すると同時に大爆発を起こしていく!!

Gバルキリー「こんなピンチの時に変わらないでほしいよね」
慧「まずはガンフォームで相手の体力を確実に減らしていくよ!!」
Gバルキリー「了解♪」

ガンフォームが銃を構えると正確無比な射撃で敵の急所を次々と撃ち抜きルシファーを攻め立てる。

ルシファー「ぐあああああああっ!!!」

慧「一気にいくよ!!マラカイトさん!!」
マラカイト「仰せのままに」

そして、黄緑色の光とともにデスフォームに変わると、大鎌を構えて一気に振るうと黄緑色の光の刃が次々と飛び出し、暴風をかきけしながらルシファーに襲いかかり、ルシファーが吹き飛んだ!!壁に叩きつけられ、崩れ落ちる。

ルシファー「・・・テ・・・テメェ・・・・やりやがった・・・・な・・・!!」

Deバルキリー「もうおしまいですわ。これ以上頑張って、貴方に何の得がありますの?例えここで妾たちを倒しても・・・遅かれ早かれ貴方は死にますわ。せっかく生き延びた命、なぜ無駄に散らせる必要がありますの?」

ルシファー「・・・へっ、お前、バカじゃねえのか?おらぁよ、生きてきて一度たりとも、テメェの人生どんだけバカやろうがよ、どんだけヘマしようがよ、無駄だと思ったことは一度もねぇ。テメェで選んで結果上手くいかなかったとしても・・・テメェがやりたいようにやったんだ。ましてやな・・・あいつらが命を賭けて戦ってきた敵を前にしてな・・・俺があいつらの無念果たさないでどうするよ」

Deバルキリー「貴方が死ぬことを望んでいるとでも?」

ルシファー「ちげぇな、お前らには分りっこねーよ。分かってもらおうとも思っちゃいねぇ、俺たちのことはよ!!」

ルシファーが槍を構えて再び飛び出し、切りかかる!!
デスフォームがフェニックスフォームに変わり、大剣で防ぐ!!

ルシファー「俺達セブンズヘブンはよ、人間だのファンガイアだのレジェンドルガだのに傭兵として散々利用されてきてよ、挙句の果てに強すぎるとか言う理由で、騙し討ちの果てに首をはねられてんだ。こんな事態を引き起こしちまったのは・・・俺のせいなんだよ、ならケリつけんのがスジってもんだろうがよ」

(俺があいつらを守るって約束したのに、何があっても守ってやるって言っていたにも関わらずよ、あいつらを・・守り切れなかった。さらし首にされて川原で見世物にまでされて、俺は・・・あいつらがいて、初めてセブンズヘブンの首領としていられたんだ。なのに、守り切れなかった上にあんな目にあって、恨まれたって当然なんだ、俺は)

意外だった。
ルシファーの言葉からとても悲しく切なく、やり場のない怒りと悲しみに満ちている。
普段の傲慢さからは想像も出来ない、彼の心情がひしひしと伝わってくる。

ルシファー(・・・最初だってそうだ。あいつらに謝りたくて、蘇らせたんだ。本当なら俺一人だけが蘇るはずだったんだが、俺は自分の石を7つに分けてあいつらを蘇らせた。もしかしたら、殺されても文句は言えないとまで覚悟はしてたさ。俺を殺して、お前らのやりたいようにやっていい、そのつもりでいたのに・・・・・!!)

(過去回想)
アスモデウス「あははっ、兄様!!ちゃーんと約束通り、また会えたね!!」

マモン「ちょっと地獄に寄り道して遅くなっちまったがな、これで全員集合ですよ」

サタン「さてと、せっかく生き残って兄貴とも再会したし、またどこかの戦で暴れようぜ」

レヴィアタン「きひひひ・・・・毒の準備はいつでもいいぜぇ」

ベルゼブル「うん・・・今度は・・・・もう簡単に・・・死なない・・・」

ベルフェゴール「お兄様!!遅れて申し訳ございません、これで7人全員集合です!!」

ルシファー「・・・お前ら・・・・恨んでねぇのか・・・?どうして、笑っているんだ?一度・・・あんな形で首はねられて・・・死んじまったのに・・・」

アスモデウス「首?あー、このアザかしらん?もう、もうちょっと綺麗に研いだ刀でやってよね、あのボケ役人」

マモン「そうか、あいつらに落とし前つけてねぇな、せっかくよみがえったことだし、あいつらの一族皆殺しにしちまうか」

サタン「目覚めの運動にはちょうどいいかもな」

ベルフェゴール「早速戦の準備ですね・・・?」

ルシファー「・・・そうじゃねぇよ・・・俺のこと・・・恨んでねぇのかよ。守れなかったのに・・・俺・・・約束守れなかったのに・・・」

アスモデウス「・・・・約束なら、守ったじゃない」
マモン「ああ、いつものお前らを守ってやるなんて言葉、兄貴の口癖かと思ってたぜ」
ルシファー「なっ・・・!!」
ベルゼブル「・・・この・・稼業・・・自分で自分の命は・・・結局は・・・守り切れなきゃいけない・・・・」
レヴィアタン「兄貴に全部頼り切るほど、こっちだって傭兵稼業甘く考えちゃいないさ。自分の命を自分で守りぬく、誰かに自分の生き死にを押し付けるなんて、自分勝手なことはしないよ。きひひひひ」

サタン「オレたちが覚えている約束は・・・ただ一つだ」

それは、討伐隊に追われて離れ離れになり逃げのびようということになり、山の中でルシファーが妹分たちに誓った言葉。
その言葉はルシファーにとっても、妹分たちにとっても、大勢の討伐隊に追われながらも唯一希望と闘志を失わせない大事な約束。


「いつか必ず、どこかで落ち合おうぜ、この7人全員で」

アスモデウス「それで、また会えたじゃん」
マモン「こうして蘇っちまえばこっちのもんだ、ズルだろうがありえなかろうが、知ったこっちゃねぇよ」
ベルフェゴール「またお兄様に会えて、嬉しいです!!」
レヴィアタン「きひひひひひひ・・・派手に暴れようよ!!」
サタン「ああ、傭兵部隊セブンズヘブン復活だな」
ベルゼブル「・・・やっぱり・・・この7人が・・・一番いい・・・」

自分ひとりだけが守り抜こうと肩肘張っていた。
自分が守らなければ守れないと思っていた。
大切な仲間だから。自分についてきてくれる仲間は自分が守ることが当然と思っていた。

でも、こいつらは自分の運命と真っすぐ向き合っていた。
初めて会った時とは全然違い、運命と戦い、乗り越えていく強さを持っていた。
そして、その上で自分についてきてくれることを選んでくれた。

ルシファー「・・・お前ら・・・とんだ・・・大バカ野郎だらけだな・・・」

こんな俺にもう一度ついてきてくれるのか。
それがすごくうれしかった。そして誓った。
こいつらを守るためだけじゃない、自分が何をしたいのか、自分自身と向き合い、生の感情を無視しないでありのままに戦いたい、それがこいつらと向き合うという真摯な振る舞いであろう。

(俺は・・・こいつら7人でずっとずっとバカやって好きなように暴れて生きていきたい)
(そのために強くなる・・・!!)


ルシファー「俺を信じてついてきてくれて、今回の戦でまた地獄に舞い戻ってしまったあいつらの果たそうとしていたこと、それを果たすまでは俺は絶対に死なない。あいつらの思いにこたえないままくたばれっかよっ!!!」

槍を振り上げて怒号とともに、次々と振り上げて一気に襲いかかる。
瞬時に交代したフェニックスフォームが大剣で受け止めながらも、その一撃一撃がルシファーの命を削られていることを感じ、やりきれない怒りと悲しみを感じ取る。

こいつは・・・ルシファーはどこまでも真っすぐすぎるから。
どこかで自分を許してもいいはずなのに、誰だって時として自分を甘やかしたり少しばかり抜いていいところがあるはず、メリハリを利かせることで生きる活力を見出しているのに、仲間への思いと強さへの渇望があまりにも強すぎて、それが悲しかった。

自分自身が一番許せない。
だからこそ、どんなにつらくても、痛くても、苦しくても。
己の「傲慢」を貫き通すことこそが彼自身への罰だったのかもしれない。
それで仲間たちさえ生きていてくれるなら・・・。
その信念は間違っているかもしれない。
しかし、それでも抑えられなかった。

「仲間」を失った悲しみと怒り、孤独。
それが彼の心を蝕み、もはや彼は「自分」を見失っていた。

慧「・・・・もう倒すしかないんだな。あんたの光は・・・あたしにはまぶしすぎるよ」
ルシファー「上等だ・・・テメェがくたばりなっ!!!」

フェニックスフォームが大剣を構えて虹色の光が集結し、やがてそれが巨大な不死鳥の姿へと変わっていく。

慧「・・・・・死んでも直らないバカ・・・・・か・・・・。あたしも・・・・そのくらいまでに付き合っていきたい仲間たちがいて・・・これからもずっと一緒にいたいと思っているから・・・・だからこそ今のあいつを乗り越えなくちゃいけないんだ」

翼が全展開し、さらなる虹色のフリーエネルギーが集まり巨大な不死鳥が空に向かって高々と吠えて、翼をはためかせる。

ルシファー「行くぜぇえええええええええええええええ!!!!妹分たちの仇だぁあああああああああああああああああああああああっ!!!!ゲイル・・・・・キャノォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!」

ルシファーが槍を回転させて黄金色の巨大な怪鳥と化した暴風の槍を発射し、ものすごい勢いでフェニックスフォームに襲いかかる!!!!

慧(あたしは・・・こいつらと一緒に生きて生きたい!!!もう、未来に絶望だの不幸だの思わないで・・あたしらしくまっすぐ生きて生きたいから!!!!!)

慧「行くよ!!!!」

「私たちの必殺技・・・・・!!!!!」

慧「フェニックスヴァァアアアアアアアジョオオオオオオオオオンッ!!!!!」

大剣を振り下ろし、巨大な不死鳥が高速で羽ばたき、一気に突き進む!!!!
そして、前方から襲い来る黄金の怪鳥を迎え撃ち・・・・そして激しい暴風とともに派手にぶつかり合う!!!!

そして・・・・!!

虹色の不死鳥が翼から放たれる無数の暴風の渦が飛び出し、何と怪鳥を丸ごとのみこもうとしているではないか!!!そして、虹色の光が最高潮に光り出すとそのまま怪鳥ごと飲みこんでそのまま一気に突き進んでいく!!!

慧「いっけぇえええええええええええええええええええええええええ!!!!」

ルシファー「何っ!?」

ルシファーが槍で防ごうと前へ突き出す。
しかし、槍に螺旋の渦が突き刺さり・・・・!!

派手な音を立てて、十字槍が砕け散った・・・!!

ルシファー「はっ・・・・くっ・・・・ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」

迫りくる不死鳥の猛攻を前に動くことさえもできない。
暴風に阻まれ、身動きの取れないまま、ルシファーが吼えた。
そして・・・彼の全身を覆い尽くすように巨大な不死鳥が飲みこんだ!!!!

ルシファー「・・・う・・・ぐ・・・ああ」

そして彼の前に虹色の渦が発生し、その中へと飛び込むように駆け出し、一気に地面を蹴りあげると右足を突き出して飛び込んだ!!!!

慧「ファイナル・・・・ライダァアアアアアアアアアア――――――ッ!!!!キィ――――――――――――――――――――――クッ!!!!!」

強力な蹴りの一撃をくらい、ルシファーの全身が激しくのけぞった。

ルシファー「ぐあああああああああああああああああ・・・っ!!!!」

全身から火花を散らせて、虹色の光を放ち、ふらふらと後ずさりする。

そして・・・。

ルシファー「・・・へへっ・・・やる・・・じゃねぇか・・・・・」

首から金色の宝石が零れおち・・・・・。
立ったまま全身から火花を激しく散らし・・・。

ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!

天地を焦がさんとばかりに巨大な爆炎をあげて大爆発を起こした・・・。

フェニックスフォームがゆっくりと振り返る。
すると、炎が晴れた先には・・・。

最後まで崩れた槍を片手にしている・・・ルシファーの骨となった姿があった。
死んでなお硬く握り締めた手に槍を持ち、闘志と覇気を捨てないまま、死んでいった。

慧の姿に戻り、彼女の周りからイマジンが飛び出すと、倒れこんだ慧を支えた。
そして、全員がその場に崩れ落ちた。

慧「・・・・・・・これで・・・・・終わったの?」
琥珀「これ以上のドッキリは・・・空気を読んでねぇだろ」
アメジスト「そうね・・・・」

慧が起き上がり骨となったルシファーの姿を見る。
最後まで仲間を思い、激しい感情の高ぶるままに戦いぬいたルシファー。
でもそこにいるのはこれまで戦ってきたレジェンドルガとは違い、己の信念を貫き、命を賭け、戦いぬいた武人の姿があった。
骨となっても槍を握りしめる手は力がこもっており、手放さない。

その姿がとても悲しかった。
自分がもしルシファーの立場だったら?
もし自分の仲間たちが殺されたら?
絶望に打ちひしがれるだけなんて絶対にしないだろう。
自分でも抑えきれない怒りと狂気にかられて大暴れするかもしれない。
誰か大切な人が悲しむことも気づかなくなるかもしれない。
全てに可能性がある。自分がそうなるということに。

慧「・・・・・バカ・・・・野郎・・・・・」

そう一言、言うのがやっとだ。
慧の目から熱い涙が一筋流れ落ち、あふれて止めどなく頬を伝う。
一陣の風が吹き、慧の涙を拭い去るように吹き消した。

全てが終わったのだ。


どこまでも白い光が続く、それのみが広がる空間。
ルシファーは一人、槍を片手に歩いていた。
行き先はどこかわかっているかのように、迷いもせず、まっすぐ歩き続ける。

ふと、歩いていく先で一人の影があった。

それは一人の少年。
その少年の姿を見て、一瞬ルシファーが驚いたように目を見開くが、すぐさまいつもの傲慢そうな笑みを浮かべる。
見ただけで少年の正体を悟ったのか、面白そうに見やると、少年のほうは真剣な面持ちでルシファーを見つめている。

ルシファー「・・・・お前、俺に何か用か?言いたいことありそうだけどよ」
暁「・・・・お前は、これでよかったのかよ。お前のせいじゃないだろ。お前は・・・約束も守ったし・・・最後まで妹分たちのことを案じていた。そのことは妹分たちだって分かっていたはずだぜ・・・なのによ・・・こうすることしかできなかったのかよ。全部背負い込むことが償いじゃねぇだろ・・・」

ルシファー「はっ・・・・バカじゃねぇのか、本当にお前、俺の生まれ変わりかよ?俺は俺のやりたいようにやっただけだぜ?別に他人にどうこう言われる筋合いはねえし、やりたいようにやって死んだんだ。本望以外何物でもねぇじゃねぇか」

暁「自分の生まれ変わり相手に嘘ついたって仕方ねぇだろっ!!!お前よ・・・」

そう、少年が、暁が言いかけたとき、ルシファーは真剣な表情で、暁を見つめる。その瞳には傲慢さはなく、ルシファーの生の感情がありありと浮かんでいる。その意志の強さが伝わるほどに。

暁もそのいきおいに思わず言葉を失う。

ルシファー「・・・・お前よ・・・・俺にかまっている場合じゃねぇだろ」
暁「・・・・・」
ルシファー「・・・お前は・・・あのバカの息子だろうが・・・なら・・・・分かるはずだぜ。「守る」って言葉の本当の意味がな。だからこそ、その言葉の意味をかみ締めて、お前が守りたいもののために何ができるか、一人で何もかも背負うことが守るってことじゃねえってこと・・・・だ。それじゃただの自己満足だぜ。本当に守りたいと思うなら、一緒に生きていく中でお互いを信頼し助け合うことが・・・守るってことになるんじゃねえのかな」

暁「・・・・・」

ルシファー「あの馬鹿はそれがまだ分かっちゃいねーよ。いつかまたどこかで自分を見失うかもしれねぇ。そのときは・・・お前が助けてやれ。俺の生まれ変わりなら俺が何を言いたいか分かるだろう?」

最後だというのに・・・。
かける言葉が自分を倒したヤツを気遣う心配か?
どこまでも傲慢な男だ。
しかし、心のどこかでそういってくれることを望んでいたのかもしれない。
だからこそ、暁は笑みを浮かべる。
安心したかのように。そして納得したようにうなづく。

暁「・・・・ああ・・・・分かったぜ。分かったからとっとと逝きな・・・バカ」
ルシファー「ああ・・・・逝ってくるぜ。あばよ・・・」

そうつぶやいたとき、ルシファーが笑っていた。
そして光に包まれると、ルシファーの姿も、少年の姿もいなくなっていた・・・。

続く


,・・・ついに書きました。
ルシファーとの最終決戦。彼は書いていて、そのつどどのようなキャラクターにしようか考え、ただ傲慢な悪役だけではなく、人間くさく、悩み、仲間を思い、成長していくといったもう一人の主人公をイメージして書きました。彼のようにまっすぐ自分の思うがままに生きて生きたいというのは、作者である私が常に「こうしたいな」と思っている願望でもあります。彼に関しては最終回まで残しておきたかったので、今回の最終決戦まで残しました。ルシファーのことを応援してくださった皆様、ありがとうございます。

さて、次回!!
ついに・・・エピローグを書いて、仮面ライダーバルキリーたんは最終回を迎えます!!全力で書き上げますので、応援よろしくお願いいたします!!!,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年09月08日(水) 21時55分46秒,20100908215546,20100911215546,LsIl1kmfQqq.k,仮面ライダーバルキリーたん 第49話「Exceed a limit」,鴎,,,「Exceed a limit」

第49話


慧「ここから先は、ヤケクソでクライマックスだぁあああああっ!!」

天高く翳した剣から巨大な不死鳥が姿を現し、フェニックスフォームを中心に荒々しくも美しい舞を見せる。やがて不死鳥は慧に纏わりつき一つとなって巨大な翼を広げた凛々しき赤き甲冑と虹色の翼を両側に6枚ずつつけた戦士の姿へと変化する。全身を覆う鎧から神々しい虹色の光が浮かび上がり、それはさながら・・・戦乙女(ヴァルキュリア)のようであった。

ルーベット「ウルトラ激てんこもりつゆだくスペシャルフォームですぞっ!!」

ズコッ・・・・ドシャアアアアアアアアアンッ(ズッコケて地面に滑り込む音)

そして、登場と同時にズッコけ、見事滑り込みのような姿で地面に顔面から埃を立てて突っ込んでいく。登場と同時にズッコけて埃まみれになる最終フォームって・・・不安要素ありまくりである。しかし本人は「何て素晴らしい」と熱血オーラ全開だった。目に炎宿ってギラギラ燃えているし。

トパーズ「お前は・・・どうしてこういうときに信じられないボケをかますか!?」
サファイア「しまらないじゃないかっ、カッコ悪いなあ・・・」
エメラルド「ルーベットのバカーっ!!」
ルーベット「むぅ、そこまでいわなくても!!必死で頭回転させて思いついたのに!!」
慧「必死でこれなのっ!?」

「センスねぇ」

これがルーベットに対する全員の感想である。

暁「・・・あ、あのなぁ・・・・・相変わらずセンスねぇんだな、ルーベットは・・・」
クロキバ「勢いだけであそこまで真っすぐ突っ走っていけるのはいいところなのかもしれんがな・・・」
クリス「る、ルーベットさん・・・それはないですって・・・」
暁「母さんも・・・しまらねぇな、これは」
クロキバ「登場と同時に派手にネタかましたからな・・・」
クリス「全員・・・脱力しましたからね」

マモン「遊んでる場合じゃねぇだろっ、バカッ。来るぞ!!」
マモンのゲキが飛び、振り返ると、ヒュプノスが背中からはやしたバルカン砲を連射し、地面を焼き払う。それを飛びよけると、バルキリーソードを構えて翼を広げて空中を超高速で飛翔し、弾丸をよける。

慧「ものすごい速さ・・・!!よっしゃあ、このまま行くよ!!」

そして、バルキリーソードを構えて「Vターミナル」という携帯端末装置のボタンを押すと、黄緑色の光が飛び出し、剣に宿る。

マラカイト「冥土へと・・・逝かせて差し上げますわ」
慧「いっけえええええええええええっ!!」

バルキリーソードを横なぎに振るうと、黄緑色の三日月の刃が発射され、弾丸を破壊しながら突き進み、ヒュプノスを切り裂く!!

慧「次はこれだっ!!」

サファイア「君のハートに・・・ロックオン!!」

バルキリーソードを突き出すと青色の光の弾丸が無数発射されてヒュプノスを容赦なく狙い打ちに打ちまくる。無数の重火器による一斉射撃はヒュプノスを焼き払っていく。激痛と全身を包み込む爆炎にヒュプノスが絶叫を上げて苦しむ。

ダイヤ「われらの騎士道の前に敵はなし!!」
ルーベット「われらの・・・ですぞっ!!」
ダイヤ「ふっ、今更一人だけというわけでもない」

そして、剣から白銀色のまぶしい光が剣の形となって放たれ、巨大な大剣と化すと、一気に振るい敵の前足を切り裂く!!!光の刃で左足が焼かれて切り離され、絶叫を上げながらバランスを崩す。

アメジスト「私の闇に染まってみる?」

さらに紫色の光が巨大なハルバートへと変形させて横なぎに振るうと、右足を切り裂き、ヒュプノスが前のめりに倒れこむ!!地響きを立てて町の中にも垂れ込むように倒れこむヒュプノスの顔面に超高速移動で飛んできたフェニックスフォームが構えている。

ムーン「テメェに終焉(断末魔)の咆哮を、聞かせてやるよ!!!」

そして、拳に銀色の光を宿すと、思い切りアッパーカットをぶち込み吹き飛ばすと、そのまま顔面を次々と殴り、変形するまで拳をめり込ませて骨が砕けはれ上がっていく。


慧・ムーン「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」
完全シンクロ率100%というか、攻撃的な本能を完全に開放して容赦なくケンカスタイルで殴りつけ、ボコボコにしていく!!休むまもなく拳をぶち込み、殴り続ける!!

トパーズ「慧、中枢部を一気に叩くぞ!!」
慧「うん、でも、こういうのって、そう簡単にやらせてくれないでしょ?」
トパーズ「油断は禁物だな」

そして、飛び上がると、背中のバルカン砲めがけて桃色の光が宿り、無数の矢が宿り、一気に発射する!!バルカン砲が上空から矢で破壊されていき、背中が丸裸になっていく!!

パール「あんたの運命、最悪の大凶だよっ!!」

さらに水色の光が宿り、水流が巨大なサメの姿となって剣を振るい、バルカン砲を食い尽くしていく!!!

アクアマリン「彼方の罪裁かせて頂きます!!」

そして、緋色の光が宿り、ビルの瓦礫が巨大な大砲の形へと練成されていき、巨大な光線を発射し背中の重火器を破壊し、ヒュプノスが上体をそり上げて絶叫を上げる!!!

ガーネット「一気に終わらせるよっ!!!」

そして、背中にあいた巨大な穴。
そこに・・・あいつがいた。
全身をケーブルでつながれ、まるでくもの巣にかかった獲物のように。
死んだようにうな垂れて動かない。

智だ。

トパーズ「どうするんだ?」
慧「・・・わかってるでしょう」
トパーズ「・・・お前ならな」

ルーベット「一気にいきますぞっ!!」
サファイア「ああ、みんな、慧に力を与えるんだ!」
エメラルド「OK!!」

そして、フェニックスフォームが一気に穴の中に飛び込み、ケーブルを切り抜けて・・・声のかぎり、心から、吼えた!!!!

慧「智ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

そして、智のケーブルを握り締めて、一気に引きちぎり、智を・・・引き剥がした!!!

慧「智っ、智っ、あんたはあたしがボコボコにするんだっ、落とし前つけてねぇんだっ、こんな形で・・・死なせるほど・・・・あたしは甘かねぇんだよっっっ!!!!だから・・・だから・・・だから・・・!!」

「死ぬなっ!!!!!」

慧の熱い言葉。魂から吼えた言葉。

そして、新たなる生体ユニットを追い求めて無数のケーブルが慧に襲い掛かる!!
しかし、そこへ緑色の光が光り、リズムに乗って一気に切り裂く!!

エメラルド「あたしのビートで・・・シビれさせてやるぁああああああああっ!!」

リズムに合わせて軽快なステップで踏み出し、迫りくるケーブルを次々と切り裂いていく。

エメラルド「必殺!!あたしの必殺技・・・フェニックスヴァージョン!!!!!」

そして、緑色の光が剣の刃から輝きを増して解き放たれると、無数の三日月型の刃が飛び出しケーブルを切り裂いていく。そして、智を背負って低くかがめると、オレンジ色の光が宿り、同時に目にも止まらない速さで残像を残しながら走りだす!!!そして、前から襲いかかってくるケーブルを手から生やしたナイフのような光の刃で切り刻んでいく!!

琥珀「一気に行くぜ!!地獄にご招待ってな」

そう言って、苦しみのたうちまわるヒュプノスを一瞥する。

そして、一気に飛び出すと、赤い光と黄色い光が同時に宿ると、バルキリーソードがさらなる黄金色の光が宿り、眩しいまでに光り輝く!!
それを両手で天に向かって突き出すように上げると、背中の虹色の翼が全開し、眩しい光が解き放たれる!!!!

トパーズ「ルーベット!!行くぞ!!」
ルーベット「御意!!」
トパーズ「慧!!!」

慧「うん!!!これで・・・・クライマックスだぁあああああああああああっ!!!!」

パスを通すと、虹色の光が放たれ、やがて光が線路の形へと変わり、それがまるでヒュプノスの背中に向かって続いていく!!そしてそれに飛び乗ると、背後に浮かび上がる光がVライナーのイメージとなってものすごい速さでフェニックスフォームを突き出し、一気に加速する!!!!!
そして、剣を振りかぶって一気に投げ放つとそれが赤い光を放って巨大な槍のような形へと変化し、頑丈なヒュプノスのボディをあっさりと切り裂き、骨を砕き、肉を焼き尽くして貫通する。すると、赤い光がまるでヒュプノスをとらえるように動きを封じている。

ルーベット「閻魔に代わって・・・我らが斬る!!!!!」
慧「行くぜぇえええええええええええっ!!!」
トパーズ「チェックメイト・・・・待ったはなしだっ!!!」

そして、線路でヒュプノスに近づくと身体を回転させて足を突き出し一気に振り上げると虹色の光が宿り、一気に輝き放つ!!!
光が集結した右足を振りかぶり、一気に落下すると、それがヒュプノスの脳天に振り下ろされ頭蓋骨を砕き、脳髄を吹き飛ばし、そのまま地面へと一気に巨体を蹴りつけて、地面に叩きつける!!!するとその時発生した巨大な三日月型の刃がそのままヒュプノスの全身を真っ二つになるように切り裂いていく!!絶叫する声すらも上げられず、そのまま全身を両断され、ヒュプノスが地面に崩れ落ち、そのまま・・・動かなくなった。

ルーベット「・・・・倒したのでしょうか・・・」
トパーズ「・・・・・さあな・・・」

その時だった。
ヒュプノスの中枢部分から突然警告音が鳴りだし、電子音が聞こえてくる。

ビーッ・・・ビーッ・・・!!!!

慧「今度は何だろう・・・」
サファイア「奥の手のご登場かい?」

「警告・・・警告・・・人造人間型時間破壊兵器・・・ヒュプノス・・・・起動・・・これより・・・2010年の現代を中心とする全ての時間の・・・破壊のための・・・・自爆装置を・・・発動いたします・・・止めることはできません・・・・繰り返し・・・連絡いたします・・・・」


エメラルド「・・・・・こいつ自身が世界そのものを滅ぼすための爆弾みたいなもんなんだ。こいつを倒したと同時に自爆装置が発動して、世界ごと心中するつもりだったんだ!!!」

慧「・・・・・そんな」
もはや驚きのあまりに声も出ない。
まさか最後の最後でそんな仕掛けがあったなんて。
自分で自分たちの世界を、時間を破壊してしまうなんて・・・。

全員の表情に信じられないといった絶望と驚愕で凍りついている。

そしてそこへ仮面ライダーワイバーン・キングフォームも駆けつけてきた。
彼の後には無数のイマジンやレジェンドルガの集団が無残な姿となって横たわっており、崩れ散る砂が空へと霧散していく。

Kワイバーン「慧・・・・!!」
戦いでもはや満身創痍なのか、足元がおぼつかない。
フェニックスフォームに駆け寄り、槍を杖代わりにして歩いて近づき、目の前で破滅のカウントダウンを刻んでいる破壊兵器を目にして、憎々しげに歯を食いしばる。

ルーベット「そんな・・・・今までのことが・・・無駄だったなんて・・・」

絶望に満ちた空気が漂う。

しかし。

トパーズ「・・・・・・・・いーや、このゲーム、私たちの勝ちだ」


トパーズだけが眼鏡を持ち上げ、にっと笑う。そのクールかつシニカルな笑みはいつも見せる余裕の笑み。勝利を確信した策士の顔だ。

その直後。

ヒュプノス「Guooooooooooohhhhhhhhhhhhhhhhh」

ヒュプノスが苦しそうにうめき、やがて体全体が激しく震えだすと、突如無数のカオスゲートが彼から生み出され、「ヒュプノス」のみが・・・身体が崩壊し消えていくではないか!!
粒子化し赤い光に飲みこまれていく巨大な怪物のみが、時間から切り離されたかのように消えていく。

Kワイバーン「どういうこと!?」
トパーズ「ふっ、見ての通り、チェックメイトさ。碁盤をひっくり返してなかったことになど、私が見逃すわけあるまい」
慧「いや、だから、あれ」
トパーズ「過去の時代であいつを見つけてな、自爆システムによって時間を破壊するという能力を発見してな、自爆装置を調べてみて、私でも何とか細工できるものだったから、ヤツが自爆システムを作動すると同時に、ヤツのみが消えてしまうようにプログラムを少し・・・いじっておいただけさ」

トパーズがふっとクールに笑みを浮かべる。

トパーズ「やる時は徹底的にやる、相手がいい気になっているところを一気に突き落とすのが、私のお家芸だ」

そして。

ヒュプノスが絶叫を上げると同時に赤い光に飲みこまれ、やがてその姿が見えなくなり、あとには・・・・いつもと変わらない街並みが戻っていた・・・・。
行き交う人たちもいつもと変わらず歩き、壊されていた街並みも元に戻っていた。

慧「・・・・・・・勝ったの?」
晶「・・・うん・・・・この勝負・・・・俺たちの勝ちだ!!!!」
慧「・・・・やったああああああああああああああああっ!!!!!」
晶「よっしゃああああああああああああああっ!!!!」

慧と晶が拳を握りしめて天高くつきあげて勝利の雄たけびを上げる!!

ルーベット「うおおおおおおおおおおおおおっ!!!勝った勝った勝ったぁああああっ!!」
サファイア「トパーズ、君、性格悪すぎ・・・・」
トパーズ「誉め言葉だな」
エメラルド「よっ、このひねくれ者!!巨乳オバケ!!」
トパーズ「巨乳は余計だ!!」
琥珀「一時はどうなるかと思ったぜ・・・・」
アメジスト「全くね・・・いつものことながら心臓に悪いわ」

ムーン「やったぜ、マスタァアアアアアアアッ!!!!!」
パール「わーい、わーい、勝っちゃった勝っちゃった!!!!」
アクアマリン「運命を・・・切り開いた・・・!!」
ダイヤ「姫・・・・よくぞ御無事で!!!」
マラカイト「ああ・・・ゾクゾクしますわ・・・・さすがは私の主・・・・」

ガーネット「・・・・おい、智のヤツは!?」

その直後だ。

ドッガアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

慧たちの近くにある地面が吹き飛び、煙が立つ。

慧「・・・まだやるつもりなの!?」
晶「もうお前の計画なんておしまいだよっ、智!!」

そこには、もはや狂ったように目を血走らせ片手のバズーカ砲を構えているスフィンクスレジェンドルガの姿があった。口からはブツブツと涎を垂らしながら呪詛をつぶやきつづけている。完全に精神が崩壊してしまったようだ。

スフィンクス「ウオオ・・・・アアアア・・・・ヒャヒャヒャ・・・・ケヒヒヒ・・・」

晶「・・・・くっ、まだやる気かよっ!!」
慧「こうなったら・・・決着つけてやる!!」

スフィンクス「・・・・ギヒヒ・・・・オマエラ・・・ヨクモ・・・・ジネッ・・・ゴロジテヤルッ、ケイ、アキラァアアアアアアアッ!!」

大砲を構えてヨロヨロとおぼつかない足取りで突撃を仕掛けてくる姿は亡霊そのもののようだ。しかし、その大砲を晶が槍で切り裂き、破壊すると同時に慧が飛び上がる!

慧「変身!!」

「Assasin form」

慧「確実に・・・仕留める!!」
琥珀「・・・了解だ」

暗殺者のそれに代わり、感情を押し殺した冷たい処刑執行人のような瞳に変わり、クナイとハンドアックスを構えて一気に駆け出す!!

Asバルキリー「・・・・加速」

そして目にも止まらない速さで駆け出しオレンジ色の風が吹いたかと思うと、突如スフィンクスの胸から砂が一気に噴き出し、穴があいていた。そして、アサシンフォームが手に持っている金色のライオンの彫刻が施された黒い宝珠を握りしめている。

スフィンクス「あああ・・・ガガガ・・・・ヒャハハ・・ヒヒヒヒッ・・・・・」

Asバルキリー「・・永遠の闇の世界に・・・・ようこそ。そして、さようなら」

そう言って、宝珠を握りつぶし、粉々となって崩れ落ちて行く。すると、スフィンクスレジェンドルガが砂となって崩れ落ち、そのまま風に流れて消えて行った・・・。


晶「・・・・智・・・・・哀れなヤツ・・・・」

琥珀「・・・自分が死んだこと、この世で一人ぼっちだったこと、誰かに操られるがままに生き続けること、そんなの受け入れられないし、認めたくなんてないだろうけどさ、だからといって、自分の心の穴を埋めるために、誰かを犠牲にいいってことなんて・・・ねぇんだよ・・・智・・・お前は分かち合う友達とか仲間を見つけるべきだったんだ」

琥珀が辛そうに静かに呟く。かつての自分がそうであったように・・・。

晶「・・・終わったんだね」
そういって、晶が優しげに、どこか安心したように微笑む。

慧「・・・いや、まだ、終わっちゃいない」
しかし、慧は表情を引き締めて、ゆっくりと立ち上がると、どこかへと向かって歩いていく。

晶「慧・・・・?」
慧「・・・あいつが、待っているんだ。あいつとケリつけないと」
晶「・・・ルシファー・・・・」
慧「・・・・うん・・・あたし・・・・全て出し切ってくる。あいつとは・・・時の運行とかレジェンドルガとか関係なく・・・ただひたすら力いっぱい殴り合いたいだけかもしれない。何のためになんて分からないけど、今、こうしてここまで来れたのはあいつとの約束を果たしたいというのもあるし・・・・行かなきゃ」

そうだ、この先で、あいつが、待っている。
自分が今、乗り越えなくてはいけない壁ともいえる存在。
仲間のために、自分の信念と命を賭けて戦い通してきた戦闘狂の少年。
あいつと会って以来、慧の中で何かが変わっていた。
誰かのためにどこまでも強くなれる力、絶対的な自信、そして裏打ちされた実力。
慧の性分である何かに火をつけていた。
そして今、それが完全に燃え上がっていた。

慧「・・・・・あいつと・・・・・戦いたい・・・・・」

完全にブチキレている・・・というか慧も戦闘狂に近い気性の激しい性分だ。
獰猛な笑みを浮かべてすらいる。腕をポキポキ鳴らし、前へ前へ進んでいく彼女の全身からは全てを圧倒するかのようなオーラが噴き出している。

慧「行ってくるね、全てにケリをつけてくる!!」

そういって、走り出す慧の後姿を晶はただ見送ることしか出来なかった。
いや、もはやどうやって止められようか。
そのすべさえ思いつかず、晶はただ慧の無事を祈るとともに、何かを感じ取っていた。

晶「・・・慧・・・・本当に・・・・言い出したら聞かないというか・・・・」
慧「ルシファー・・・教えてやるよ。あたしに喧嘩売るってことがどういうことになるか・・・とことんなぁあああああああっ!!」
晶「・・・・・バカ・・・・だよねぇ」

生粋の戦闘狂であり、一度火がついたら行くところまで行ってしまうほどの熱血バカであることを。

晶「でも、そんな、慧が好きさ」

そして、こいつもダメ人間に近いというか残念な相手を好きになってしまっている。


暁「母さん・・・本当に昔は暴れん坊だったんだな・・・」
クリス「何といいますか・・・普段冷静なだけに一度キレたら手がつけられないのは変わってないようにも思えますが」
クロキバ「慧殿の性分といい、それを敢えて好きになってしまうあたりが、晶殿らしいといえばらしいのだがな・・・・」

一方・・・。

ルシファーが最後の一体を倒し終えると、ちょうどヒュプノスが消滅する瞬間であった。
槍を肩に担いで一部始終を見ており、つまらなさそうに見ている。

ルシファー「あっけねぇな。まあ、んなことどうでもいいけどな」

そして歩き出すと、ベンチにマモンが座っていた。
全身傷だらけで、薙刀を杖のようにして全身を支えている。ひどく疲れきっている様子だ。

ルシファー「マモン!!」
マモン「予定よりも早く片付けたみたいだな、兄貴」
ルシファー「ああ、ヒュプノスも片付いたらしいな」
マモン「ついさっきな。智も・・・くたばった。あとは、バルキリーとチェックメイト・フォーだけだ・・・」
ルシファー「ああ、あいつは絶対にぶっ殺す。妹分たちの仇だからな」
マモン「それでよ、兄貴、これなんだけど・・・」

そういって、マモンが取り出したのは赤、橙、緑、青、紫に光り輝く宝石。
そう、セブンズヘブンの妹分5人の形見ともいえる宝石だ。

マモン「・・・これを兄貴が最初に貰った時のように一つにするんだ、そうすれば、フルパワーで戦える。使ってくれ」
ルシファー「お前、これ、アスモたちの・・・!!取り返して・・・きてくれたのか?」
マモン「・・・・あいつらだって強くなったんだ。こっちだってやっても言いっこなしだ」

ルシファー「・・・・・マモン・・・・・お前・・・・!!」
感激したかのようにルシファーが涙をポロポロこぼし、泣き出してしまった。
感極まったのか、もう感情のままに腕で涙をぬぐい、あふれる涙を止めることも出来ない。

ルシファー「うう・・・・お前・・・・本当に・・・・ありがとう・・・こんな大怪我しているのに・・・・本当に頑張ってくれたんだな・・・・俺すごく嬉しいぜ・・・」
マモン「ったく、いちいち泣くんじゃねーよっ!!はあ・・・こんな調子で倒せるのかよ」
ルシファー「バカ野郎、ここまでやってくれる妹分の期待に応えられない俺だと思ってやがるのか!?セブンズヘブンの首領様はなぁ、どんなヤツが相手だろうと今まで全員ぶっ殺してきたんだ!!!今回だって、あいつらの首討取ってアスモたちの墓前にでも飾ってやるぜ」
マモン「そうか・・・そりゃ楽しみだ。ならオレも・・・期待して待つとするか。最も・・・生きて・・・見ることができそうにないのが・・・・残念だけどな・・・」

藍色の光が徐々に弱まり・・・とうとう消えた。マモンがルシファーに笑みを浮かべてささやくようにか細い声で呟く。

マモン「・・・・兄貴・・・・」
ルシファー「・・・・・・・・・・ああ」
マモン「・・・・・地獄で待ってるぜ」
ルシファー「・・・・ああ、待ってろ。あとで追いつくからよ」
マモン「・・・・・ありがとな、2度目の人生も、楽しかったぜ」

そういって、藍色の宝石が首から零れおち・・・。
静かにマモンが座ったまま骨へと還っていく・・・・。
隣で座っていたルシファーが寄り添うように座ったまま、藍色の宝石を拾い上げ、隣で骨と化したマモンを抱き寄せる。

ルシファー「・・・・マモン・・・・・ありがとよ、俺なんかについてきてくれて」

そして、崩れないように立ち上がり、マモンを座らせたままで、ルシファーが歩き出す。
歩くたびに6つの宝石を首に埋め込んでいく。

赤色の宝石・・・。
サタン「兄貴、ここから先が本当の勝負所だぜ」

橙色の宝石・・・。
ベルゼブル「兄貴・・・・負けるな・・・・・」

緑色の宝石
レヴィアタン「きひひひひ・・・・兄様ならきっと勝てるよ・・・」

紫色の宝石
ベルフェゴール「私たちずっと兄様についています!!」

青色の宝石
アスモデウス「派手に暴れちゃいましょうよん、久しぶりの大喧嘩じゃない♪」

藍色の宝石
マモン「いずれかはまた会えるんだ。だから、今、兄貴がやるべきことはしっかり果たして来い」

そして、首の宝石が虹色の光を放ちだし、全身から噴き出すように虹色の光が放たれる。

ルシファー「・・・そうだよな、間違っても天国なんざ無理だ。どうせなら、地獄で鬼相手に大暴れするのも悪かない。何も怖がることねぇさ。ただ、あるべき場所に還るだけだ。俺は・・・元々・・・もう死んでるんだからな」

この世の節理とは切り離された「死者」。
自分自身がまさしくそれだ。現世において、決して相容れない存在。
しかし、それが何だというのか。
生き返ってしまえばこっちのもんだ。
邪魔する奴は全員殺す。
やりたいようにやる。
たとえそれが誰かから与えられたかりそめの人生だとしても。
そんなの・・・知ったこっちゃねぇ!!!

テメェの人生、テメェの生きたいように生きて、何がワリィ?!

ルシファー「行くとするか・・・・派手な大喧嘩とでもよっ!!!」


そして・・・。

星見市内を一望できる展望台・・・。
そこに二人の影がそれぞれ向かい合うように歩いてくる。

一人は黒いロングヘアをなびかせ、麗しき美貌を持つ少女、慧。
不死鳥のイメージを背後に漂わせて、バルキリーのベルトを装着する。

もう一人は銀色のショートカットを風になびかせる、少女のような可憐な顔立ちに獰猛な笑みを浮かべて、まるで美しき野獣のそれを思わせるような少年、ルシファー。
伝説の怪鳥、フレスベルグのイメージを漂わせて、見る見るその姿をフレスベルグレジェンドルガへと変えていく。

慧「・・・・・ケリをつけるよ、ルシファー」

ルシファー「テメェの死をもってな」


そして・・・!!

慧の姿がフェニックスフォームへと変わり、バルキリーソードを構えると背中のウイングを展開し、目にも止まらない速さで一気に駆け出し、低く飛翔する!!!
そしてそれを迎え撃つのは黄金の光を放つ怪鳥の破壊神、フレスベルグレジェンドルガが槍を回転させて一気に飛び出してきた!!!!

「「勝負だぁあああああああああああああっ!!!!!!」」

二人が同時に熱く燃え盛る魂のたぎるままに、声を張り上げて、大剣と槍が激しく火花を散らせぶつかり合い、轟音で空気すらも震わせ、大地を揺らし、ぶつかり合う!!!!

続く
,第49話更新できました・・・。
長い間開いてしまって申し訳ございません。
今回、ついにヒュプノスとスフィンクスレジェンドルガ、そしてマモンさんが退場され、次回ついにルシファーとの最終決戦となります。今回、ついに50話まで書き上げられたこと、本当に皆様の応援のおかげでございます。ありがとうございます!!残り2話、全力で書き上げますので、よろしくお願いいたします。

レスをお返しします!!
>烈様
>その辺も含めて結構気になっています。どうか教えて下さいm(_ _)m
第48話におきましては大変お世話になりました。
そしてまだ設定をいくつか書き換えて製作中でして、そのつど更新いたします。
その際、「仮面ライダーヘブン」の設定のページで色々と話し合えたらと考えております。
もしまた何かご意見ございましたら、いつでも投稿お願いいたします。

>あまり納得ができるものではありませんね
そうですね。実はビショップの存在は「ヘブン」においてもかかわりがある展開につながってきます。その中で、彼女が何者で、何をもくろんでいるのか明らかにしていくつもりです。

>ヘブン
今度書く新作ですが、もし烈さまがよろしければ・・今後とも「ヘブン」の「暁」「クロキバ」「クリス」と、烈さまの「クリス」「暁」「クロキバ」さんたちとの会話による意見の交換をお願いしたいのですが・・・もしお時間がございましたらぜひともよろしくお願いいたします!!!,#000000,./bg_f.gif,124x35x122x206.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年09月01日(水) 23時26分04秒,20100901232604,20100904232604,K9ixd3mxpP5Nk,仮面ライダー珀羅 『新たな天地と東海の仮面』,青嵐昇華,,,




入り組んだ草々をガサガサかき分け森を行く人影があった。

「おーーーい、濠ーーーー!!」

田舎チックなジャージを着込んだ少年、大峰恭也だ。

恭也が営んでいる骨董品店【雷鳴堂】の真下には体育館のような空間が広がっていた。
そこにはなんとこんな山だらけの土地とは無縁と思われる大きな船があったのだ。

船の一室で恭也はとんでもないお宝を発見したのだが・・・
ある不思議な女性の登場によってすぐにそうこう言っていられなくなった。

とにかく時間がないと淡々と彼女が語ったことはにわかには信じられないような内容だったが
彼女の絶対的なカリスマと提示された“記録”のこともあり恭也は素直に従うしかなかった。

上に出てみれば既に家の中に濠の姿はなく、残っていた紫苑達によれば鉄機龍【真空】を駆って森の方へ出て行ったとのことだった。


「いったいどこ居んだよ・・・・濠やーい、出ておいでー!!」


何か手掛かりになるものはないかと辺りを見渡してみるがここまでの道、鳥や動物は愚か虫の一匹すら見ていない・・・・頼れるのはあちらこちらで耳をつんざくように爆ぜている轟音のみときている。
どうにかこうにか音と感を頼りに進んできたが、ようやく近くまで来たと思ったらすっかり音は消えてしまった。
更に進んで見ると川が見えて来たので・・ええい、ままよと走り出たところ・・・

「お・・・・?」



「あ、恭ちゃんだ〜♪おっす♪」

「ぉわっ!?ち、チョコちゃんじゃねぇか・・・!?」

何か背負ったままぴょんぴょんと恭也に手を振って来るその超元気な姉ちゃんは冢杏だった。
珍しい知り合いを見つけた恭也は何事かと駆け寄っていく。

「なんかたいへんだからお家にいないとあぶないよ〜?」
「いや、まぁそうなんだけどさ。ちょっと濠のヤツに、って後ろの・・!?」

冢杏の背中に目をやればそこには燎子がおぶさっていた。
ぷち家出中の燎子が見つかったことに驚く恭也だったが、妙なところで頭の回転が速かった。
燎子がいるならばと昨日鴉美に聞いたことや行掛けに紫苑から貰った情報を元に探してみると・・・・やっぱり居た。

「ん、アタシ?」

清楚な外見とは裏腹に中身ワイルドな青髪美人。
・・・・はちょっと置いといて。その隣にいる同じく青髪の少年の方だ。

「濠の親戚の・・・澪示ってのだよな?」
「ええ。確か兄さんの友人の方でしたね・・・・何か僕に?」
「あぁ、あんたのチートさは聞いてるぜ。なんでもか●はめ波とか瞬●移動とか出来るらしいな」
「え・・・?・・まぁ、転移くらいなら・・・」
「よし、そんじゃ頼まれてくれ」
「は、はぁ・・・・・」






【仮面ライダー珀羅〜新たな天地と東海の仮面〜】






三種の神器と調和を果たし神化した珀羅・・・その名は『摩醯(まけい)』。
他の転神のように極端な変わり様ではないが珀羅の本来のものとも少し違う。
象徴である角飾りは開き切り、身を包む装甲は“より剛く”“より靭やかに”、それだけを究極的に追及していた。まさに己の全て出し切るに相応しい姿だった。

珀羅は今、ただ一つの相手と決着をつける為に生まれ変わったのだ。

『行くぞ・・・!!』

剣を構え踏み出した珀羅は流れる風の中に溶け込んで行く。

瞬間、地が裂け風の悲鳴が天を揺らした。
羅刹の時と同じ・・・いやそれ以上に苛烈なやり取りがその刹那の間に繰り広げられている。

影響は周囲に飛び火し衝撃の余波が辺りに伝わる。
木々や地面は抉り取られ、砕けた岩の破片や折れた幹などがそこに居る鴉美達にも迫っていた。


「ぅ・・・・・!」

ビュゥ・・・・

凍てつくような白い風が吹き抜けた。
冷気が迫り来る木々や石などを絡め捕ると、瞬時に凍結させその動きを止める。

「鴉美、大丈夫?」
「ゆ、雪乃さん!」
「なんとか動けるようにはなったわ。濠のおかげかしらね」

凶星と対極にある者が居る為か、プレッシャーは大分軽減されたようだった。

「ちょっと下がってて・・『雹霰堅氷陣(アイシクルフォース)!!』

月華は腕の方陣を展開させ、出現させた冷気で頑強な氷の障壁を造った。
分厚い氷が震えている・・・・その向こう側の世界では戦いは激しさを増しているようだった。

「次元が違い過ぎるもの・・・せめて祈りましょう」
「・・・濠さん・・・・・」






鬼神と死神・・・似てまったく非なる二つの大きな力がぶつかり合う。

互いに自らが被るダメージのことなどまるで考えなどしていない。
ただ持てる力の全てを持って目の前の敵を葬り去ろうとしているようだった。

『はぁぁっ!!』

剣を立てると光と闇、金と水の龍が珀羅の周りに生み出され、振り切ると同時に死神へと襲い掛かる。
龍達は死神の動きを止めるべくその四肢へと喰らいついた。

『小賢しい・・・・!!』 ガッ

計都に触れた龍達は触れた先からボロボロと腐蝕していき塵と消える。
手緩い、と怒気を孕んだ様子で計都が睨んだ。


『・・・そうか、貴様は“雷”が使えぬのであったな!!』

やがて悟った死神の口端が不気味に吊り上がる。

『それが・・・・!!』
『実に愚か!!』

互いが一瞬で距離を零にし刃を振るい合う、すると両者ともが弾かれるように吹き飛んだ。
地に足を着けたかと思われた時には、遅れてやって来た音と共に地面に大穴が開いて既に次の一撃へ入っていた。

『我らは事象、消して途切れぬことのない創造と破壊の権化!!』

再び計都の斧が珀羅を、珀羅の剣が計都を斬りつける。
裂かれた装甲から血糊のようにべったりと霊気の糸が引く。

『貴様は我を封印した!!我が貴様を滅ぼせぬよう、貴様も我を滅ぼせぬ故に!!』
『っ・・・・!?』

弾かれる両者が再度攻撃に移る中で珀羅の動きに僅かながらの遅れが生じた。
見逃すはずもなく、間合いに入り込んだ計都の斧が珀羅を一閃する。

存在を許されている証である霊力をごっそり削られ、バランスを崩して珀羅が膝を着く。

『ぐ・・・・・』

仮面を珀羅の複眼が割れ右の水晶眼に大きく亀裂が入っている。
その奥には紅の髪とその髪の色によく似た血傷が広がっていた。



『貴様が宿ったところで、所詮それは貴様にあらず』

度重なる打ち合いの末珀羅の鎧、濠の魂に抱えたダメージも相当なものになっていた。
剣を支えに身体を起こす珀羅に計都はそれを当然とばかりに見降ろしていた。

『ククク、我を何とするか・・・その理をよくよく考えるのであったな・・・』

スサノオと融合したと言えど、その身体は紛れもなく濠自身のものである。
それは創造によって生み出されたものであると同時に破壊によって死にゆくものの一つだ。
破壊の事象である凶星と対峙していれば滅びの道を辿るのは火を見るよりも明らかなことだった。

『まだだ・・・・!!』
『愚かな・・・・滅びよ、キリシマゴウ・・・貴様に用はない!!』

珀羅に止めを刺すべく計都が刃となって翔ける。

死神の大鎌が鬼の首を取ろうとしたまさにその時だ。
珀羅と計都の間の大気が歪な形にねじ曲げられた。


ヴン!!!


『何っ!?』
『はぁああああああ!!!!!!!』

突如その場に転移して来た灰色の影。
伏義は持てる最大の力を計都にぶつけ進行を押し留めていた。

『っ!!』

バァアアアアアン!!!!!!!

霊塊が弾け、爆発に飲み込まれた死神の姿が視界から途切れる。


『兄さん!』
『澪示か・・・っ!?』

計都への奇襲を成し遂げた伏義は珀羅に向かってあるものを投げ渡す。
それは金剛杵‐ヴァジュラ‐という名の切り札だった。

『大峰さんから預かって来た。【訳は聞くな、オレだって意味わからん】だって』
『・・・・・あいつらしいが・・・。お前はいいのか?』
『僕は兄さんを手伝うよ、そう決めたから』
『そうか・・・ならば“後始末”は頼んだ』
『・・・うん・・・・そうだ、もう一つの伝言があるんだった』


【―――】


『っ・・・・・・・・・あぁ!!』

珀羅がヴァジュラを押し当てると剣はそれを待ち焦がれたとばかりに呑み込んでいく。
まるで息を吹き返したように、剣が翠色の新たな鼓動が脈を打ち始めた。


『調子に・・・・っ!!!?』

星薙剣から迸る眩い翠色のプラズマ・・・・・・
極超高密度の霊光が、凶星を茨のように這い縛り上げ、または貫き杭のように打ち込まれ、初めてそれから自由を奪った。

『その光は“私”の魂の輝き・・・お前の言うよう、それだけは破壊出来まい!!』
『貴様・・・・!!』
『待っていた、この時を!!』


『真空、来い!!』

珀羅は鉄機龍を呼び寄せるとそれに跨った。
巨大な霊瘴に中てられ、影響を受ける真空の装甲は劇的に変化していく。

『すまん、付き合わせるぞ』
【問・・ダ、ダ――り・・・マ――−】 


ヴヴッヴヴヴヴヴウヴヴヴッヴヴヴヴンンンン!!!!!!!!!!!!!


主の求めに応じ、鬼神を乗せた鉄機龍は死神に向いその全てを持って駆け出した。

ザクッ!!

『ぬぅうっ!!?』

星薙剣が凶星の胸に深く突き刺さると翠の光に拘束されたままの背後に真っ二つに裂け目が生まれる。
珀羅が進むごとに広がりゆく隙間からは色の無い寂れた空間が顔を覗かせていた。

『スサノオォオオオオオオオオオオ!!!!!』

『ケイトゥ、この地にもう私達は要らない・・・・!!』

珀羅は進んだ。計都は徐々に裂け目へと沈んで行く。
凶星の姿が見えなくなった時、珀羅は言った。




【いってくる】


























どれだけの時間をそこで過ごしていたのだろうか

永遠のように感じたが・・・それも一瞬の出来事だったのかもしれない


計都をこの空間に引き摺りこんだ俺達はただひたすらに前に進み続けた

存在に足り得ないほど小さく、小さく・・・無限とも言える欠片に分かたれた計都はその一つ一つにスサノオの楔を打ち込まれた

計都は決して滅んだ訳ではない

だが、それは決して解けることのない永劫の封印だった


そしていつのことだったのか・・・・計都の封印を終えた時、スサノオも共に消えていた

スサノオは何も言わなかった その必要もなかった

そして、俺と真空はこの何もない空間に取り残された




【またな】



そう恭也は言った

だから俺は後悔などしていない 

いつの日か帰る

俺達が守ったあの場所にいつか、必ず・・・・



いつの間にか俺は光の中にいた

俺の“両眼”には巨大な・・・気の遠くなるほど巨大な龍の姿が映っていた



『                              』



歓喜、悲鳴の入り混じった静かな叫び

色の無かった空間に鮮やかな光が差した

巨大な一匹の龍は三頭の龍に姿を変え・・・・・・・・俺の意識はそこで途絶えた




















〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「湶、居るか?」

「濠か・・・・・む、今日も出ていたのか?」
「あぁ、少しでも情報を得ておきたいからな。“こちら”のことも“向こう”のことも」
「お前達がやって来て一年・・・目を覚ましてからまだ半月というのにお前はそればかりだな。もっと恩人であり義姉である私の相手をしてくれても罰は当たらないと思うのだが?」
「む・・・っ、すまない・・・ぁ、義姉上には本当にいくら感謝してもし足りないほど・・・」
「ふふっ、冗談だよ。そう畏まるな・・・そうだ、何か用があるのではなかったのか?」

「あ、あぁ・・・・・あの件だが・・・・・」
「私を訪ねたということは・・・・やる気になったのか?」
「・・・・・俺の見た限りではこの国、高天原-タカマガハラ-は平和そのものだ」
「それはよかった。その為に父上達が尽力しているのだからな」
「だから、よくわからないというのが正直な想いだ」
「そうか・・・・・」
「持たずとも良い力は極力持つべきではない・・・少なくともこの国には必要ないと思っている」
「身体が弱く籠りがちな私の言えたことではないが・・・世界は広いぞ。この高天原の領海から一歩出れば何が起こるのかわからない。戦争からもう四百年と言うのに未だ荒れているところは少なくないと聞くからな」
「だが、外には他に6人居るとも聞いた・・・湶は内を守っていればそれでいいのではないか?」
「一つの国だけ幸せならばいいということはないさ。私は出来得る限り、救いを待つ人々に手を差し伸べたい・・・例え両腕に抱えきれなくなっても、手を伸ばすのだけは止めたくないと思っている」
「そこまでするのは・・・・・?」
「私の夢であり・・・・あの子の夢だったからだ」
「・・・・大きな夢だな」

「ふふ、私もわがままだろう・・・?自分でもこの身体でよく言えると思う・・・すまないな、こんな話を」
「いや・・・俺がここに居る理由が分かった気がする。湶の手で足りない分は俺のを使ってくれて構わない」
「・・・・私から頼んだことだが、無理に応じる必要はないんだぞ?」
「俺は仮面の闘士として戦ってきた・・・場所は変わったがやるべきことは変わらないさ。いつか元の世界へ帰るその瞬間まで・・・戦わせて貰おう、海賊-パイレーツライダー-として」
「そうか・・・・何だろうな、嬉しくもあり寂しくもある・・・・」
「湶・・・・・・・」

「そうだ、ならば濠は“仮面ライダー”だな」
「む、それは・・・・?」
「今までの濠と今からの濠を併せた名だ。今日と言う日を祝う義姉からの贈りものだな」
「そうか・・・・・ならば、その名ありがたく頂戴しよう」






,お疲れ様でした〜
色々書かなきゃいけないのかもしれませんが、今日のところはポンポン行きましょう。

>最終形態なお話
ここぞと言う時の決闘(タイマン)仕様・・・嫌いじゃないわ!!(ぉ
ただアルティな感じで色々出せるようなので厳密に言えば決闘専用って訳でもないかもしれませんけどね。

仮面ライダージョーカーとかガンダムエピオンとか好きですよ、ええ好きですとも。
射程的に可哀想ながらも敢然と立ち向かう姿にきゅんきゅんしちゃいます(←ぇ!?
スペック的に5割でもキュィィンンなジョーカーさんマジかっこいいぜ・・・

珀羅の最終形態『摩醯』ですが摩醯首羅(まけい“しゅら”)=大自在天(だいじざいてん)≒創造神(本来)から取りました。(←構想段階大分前)
でもまぁ、大自在天≒シヴァだからやっちゃったんだけどシヴァ=破壊神(超有名)はだったよね・・・・うん・・・久しぶりにひっぱり出して最近になって書いてみれば、なんかアレ?って思ったんだよね・・・うん
時間空いたのにそこらへんの確認を怠ったばかりにえらいことになったのですが、まぁそこまで無理な話ではないはず?ないよね?ね?

a、ぁ、あ、ア、嗚、呼・・・!!!言い訳ばかりのマジ駄目な僕を許してぇえええええええええええ!!!!(←地獄を楽しみなっ!!



はい、気を取り直してお返事です!!

To YPさん
>やぁみんな、お久し!
きみはゆくえふめいになっていたわぴたんじゃないか。(ぉ
お久しぶりです。感想にいらして下さって安心出来ましたw

>ガイアメモリに関する妄想が止まらないんだ、参ったね!
さぁ、それも含めて早く執筆活動に移るんだ!
すぐにポケモンとか色々でちゃうのよさ!?
ちなみにセイランは町<森なので白ver予約しましたよ〜(ぉ

>せーらんたんは燎子ちゃんと澪示くんのいちゃいちゃバカップルぶりをもっと書くべき
嗚呼、出来れば海賊の中盤あたりまで待っておくんなまし・・・
あの子らはきっと濠が奮闘してる間に、裏でいちゃらぶしてるはずだよ!!

>月読命さんと真正面からやりあってなお押しまくりというチートパワーは健在でした。
反則的に強いのになぁ・・・なんでこの人いつもラス手前止まりなのか;

>歳上スキー
キッド「ヘイ、ミスター。結局の所どうなんだい?」
ゴウ「ノーコメントだと言っている」

>全く、困ったものです。
濠「ダメだ!その言葉では俺の中のスサノオは笑わない」
絢斗「や、やめろ!!自分を捨てに行くんじゃねぇえ!!」

>みんな大好きあのラノベの6巻(7冊目)が発売しましたね。
>会員諸君はもう手に入れたことでしょう。
部下の会員(友人)に私の分を購入させ取り置かせている状態です、閣下。
あと数日もすれば私のところに・・・・あははあははあははははー!!(ぉ



To トレハさん
>連日の猛暑により飼ってた金魚が大量に天に
お悔やみ申し上げますorz

>普通にゲームとか旅行とかして遊びまくってました。
先日青嵐もぷち旅行で熊本の温泉に行って参りました。
帰りの山道で10メートル先も見えない霧に覆われた時はやヴぁかった・・・
あのまま龍の谷に直行かと肝を冷やしたのZE

>恭也くんの出番が皆無な辺りストーリーのシリアスっぷりが(ry
恭也は大変なシリアスをブレイクさせて(ry
青嵐にとってのアホの子は重要な息抜き係。

>蜃さんも鱗パンツをh(殴
蜃「え、見たいの?うーん、どうしよっかなぁ・・」
淳「やめてぇええええええええ!!」

>パパかっこいいなちくせう!
どこの世界のおやっさんも格好よく、ハードボイルドが基本。
羅刹「誰がおやっさんか」

>一瞬“ロリロリ”に見えた僕の右脳をなんとかしてください。
Yesロリータ!Noタッチ!

>“鴉美さん”“パンツ”などの邪な単語が
ゾクゾクするねぇ・・・・(ぉ
・・・一回死ぬ気で描いてみる必要があるのかもしれない!!(グッ!!

>『ベン・トー』普及委員会の方々
さぁ、ここに入会書がある。いますぐサインしたまえ。



To 烈さん
>これって多少予測できたことと考えていいのでしょうか?
まぁあの状態で出て行くなんて思ってもなかったでしょうけど・・・
『居ない?→誰が?→下に残ってたの他に一人→あぁ、燎子が居ないのか』ぐらいの発想で(ぉ

>“必殺技”が酷似しているのは?
凱卦へのリスペクトですw
カイチ、ハクタク、スープーは四神や四霊とも違う四足の獣の特別ポジなんですよね。
珀羅達三人に皆に共通しているのは念力と格闘で戦うということで凱卦は尖角による一本角で、珀羅は刃拐による二本角で、伏義は素手による零本角で敵に念撃をぶつけ倒します。

>一応対策的な結界を作っている辺りは流石といえましょうね。
転移(チート)予防策として玉緋さんの座標ずらしの術を真似っ子した感じです。

>『嵐羽』を見た際に『月読』が言おうとしたこと
・・・下手したら海賊後ぐらいじゃないと明らかにならないかもしれません(マテ

>天魔さん
鴉美「いえ、本当にただの名前・・・というか通り名です」

>まさに邪神らしい動きだとしみじみ思います…。
きっと相方が夢中になってたせっつぁんへの嫉妬も混じってるはず。(ぉ

>鴉美さんのお母さんもとんでもない人のように思えますけどね。
鴉美「とんでもないですね・・・・」
濠「とんでもないな・・・・」
恭也「とんでもねぇよなぁ・・・・」

>私としてはできる限りハッピーエンドとなって欲しいとつくづく思います!!
『珀羅』は一応『海賊』の序章ですので煮え切らない部分は多々あると思います。
でもまぁ不幸にはなってないということで。



To Aヨスケさん
>全ての私怨を振り切り、ただ息子のためだけに力を発揮するその姿、惚れました。
振り切る、と言えば課長も復讐ではなく救う為に全てを振り切った人でしたね。
シュラウドさんのことも許してあげましたし・・・・やはりヒーローとはそういうものなのだと思いました。

>有無を言わさず月読を圧倒。このままーーという所で
ラスボスが来なくとも殺っちゃったりはしなかったと思いますw
羅刹さん、実は死霊以外は葬ったことがないという裏設定。*彼は元から善神です。
まぁ、だから甘ちゃんだとか月読さんとかも最初大概嘗めてたんですけど・・・結果御覧の通りで。

>ここに来てまさかの踏ん張りを見せた鴉美ちゃん。
>彼女に流れる血や、特別な出生だけでなく、鴉美ちゃん自身の心の強さの様に思えます。
鴉美「はは、何か恥ずかしいですね。でも私もようやく一人前になったというこ・・」
遼那「・・・・・・」クイクイ
鴉美「ヒィッ!?なんか朱いトリの人が手招きしてるっ!?」

>最近ヒロイン的要素を燎子ちゃんが全部持ってっちゃってましたから
>そういえば最近ないですね。パンチry
鴉美「よ、ようやく忘れかけてたのに・・・・・」
雪乃「まぁまぁ、この道はそんなに甘くはないと言うことね」
燎子「先輩や香織はなんもねぇじゃねぇか!?」
香織「ぇ・・・だって、私サブ・・・・・出番、少・・・ないし・・・・・・・」
「「「ごめんなさい」」」

ヒロインにはあんまり優しくない青嵐昇華!!働かざる者食うべからず!!(ぉ

>良くも悪くも彼もまた、凶星復活を阻止する者の一人でした。
見方を変えれば月読さんは確実に多くを生かすように働きかけてただけなんですよね。
ただやってることには何の躊躇いもないようですが罪の意識はしっかりあったと思います。


>世界を、自分の居場所を、皆を守るため
最後はああいった結末になりましたが帰るべき場所は死守出来ました。
これから濠の帰還の為の新しい物語が始まります。




ということで、これで『仮面ライダー珀羅』の本編は終わりです。
未完って付けてもいい終わり方ですけど、これは仕様ですw

一本目を上げてから大体一年ぐらいのお付き合い、本当にありがとうございました。
よろしければこれから先も見てやってください。
それでは・・・・また!!

,#000000,,i125-201-176-150.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年09月01日(水) 03時09分52秒,20100826041708,20100904030952,KWAOAT7GE8Wg.,仮面ライダー珀羅 『三種の神器と翡翠の鬼神《後編》』,青嵐昇華,,,





『計都・・・!!』

『ククク、力を取り戻したか・・・・その姿ラーフが見れば喜ぶだろう』

『よもや自ら現れるとは・・・!』

『駒が切れたのでな、暫し戯れに来た・・・・さて』

≪っ・・・・・!?≫


スゥ・・・・・


≪ガはッぁ!?!?≫

『っ!』

計都が手を翳されすと羅刹天と対峙していた月読は糸の切れた人形のように静かに倒れ、次の瞬間には激しく痙攣を始めた。
躯からは膨大な量の力が抜け出し、銀色の霊気が計都へと流し採られた。

≪な、何ヲシた・・・・・!?≫
『その躯は我が下僕のもの、そして貴様は一度我が取り込んでいる・・・・忘れた訳ではあるまい』
≪ケイ、がッ・・ぁ・・・・≫

計都による霊力吸収は止まる事を知らない。
月読からではない・・・至る処から土、赤、金、紺、緑、黒と様々な色の霊気が計都の元へ集っている。

『欠片に過ぎんがあれらも我らが一部、回収しておくに越したことはない』
≪グ・・・ぅ・・・・・・≫
『ほう、まだカスが残っていたか・・・貴様はいつもしぶといからなぁ・・・』
≪ぐ、ぁァッぁあああああ!?≫

地に這いつくばった月読を踏みつける計都。
直ぐに消しても面白くないというようにじわじわとその存在を一欠片一欠片潰していく。

そのうち思いついたように足を離し羅刹天の方を向いた。

『羅刹天、貴様の一族を滅ぼした神族・・・あれは此奴の差し金だ』
『っ!!?・・・貴様!!何のつもりだっ!!!』
『ククク、そう邪見するな。ラーフを立て貴様に仇討ちをさせてやろうというのだ・・・最後の余興をと思ってな』
『弔う資格など・・・!!私に許されるのは我が子の為、貴様を止めることだけだ!!』
『ほう・・・・』

羅刹天は計都との間合いを一瞬で詰め、薙ぐように剣を振るった。
計都の半月斧がそれを弾くと、得物同士がぶつかり合う衝撃で風が悲鳴を上げる。

次の瞬間にはもう両者の姿はなかった。
衝撃の瞬間だけ、どこに居たと微かに感じるのみ・・・それ以外はとてもじゃないがどこで何をやっているかなど分かったものではない。

「す、凄過ぎます・・・・あ、あんなの・・・・!」
「・・・・っ!」

右から左へと忙しなく首を動かしている鴉美。
そんな様子を見て雪乃はあることに気がついた。

「う、動け・・・るの・・?」
「?・・ええ、まぁ・・・」






剣では羅刹天が僅かに優勢、針のような合間を狙い確実に計都へ斬撃を浴びせる。
対する計都は羅刹天のそれに比べて手数は少ない・・・が

『ぐ・・・・』
『ククク・・・!』

両者の一撃には圧倒的な重さの違いがあった。
真の凶星の力を仮に12と置くならば羅刹天は約3、それ対する計都は6から7の力を持っていた。
互角に打ち合っていたのも束の間のこと・・・羅刹天はまず勢いを、次に鎧を、そして生命をも殺がれていった。
だが、何よりも先に限界を超えていたものがあった。

バキッ!!

『っ!?』
『まず一つ』

剛刀“曼珠”が粉々に砕け、羅刹天の左手から姿を消した。

二本の剣が一本になったことでは戦局は一気に動き、羅刹天は守りを取る他なくなった。
しだいにもう一つの剣の刃も欠け、ひびが入り始める。

『ククク、ホシナギが泣いているぞ・・・やはり貴様でも我には遠過ぎたか』

ザァン!!!!

『がッ!?っぁ・・・・」

羅刹天を一閃した計都は横薙ぎに蹴りつけた。
鎧を砕かれ変神の解けた羅刹は戦いによって削られ突き出した岩に向かって吹き飛ばされる。

「っ、いけない!!」
「鴉・・美・・・・駄目・・!」






衝突の寸前、間に入った嵐羽は勢いを殺し切れないと判断し咄嗟に変神を解除する。
ふぁさっ、と鎧が弾けると風がクッションとなって衝撃から二人を守った。

「だ、大丈夫ですか!?」
「ぐ・・・娘・・・・逃げろ・・・・!」

ついに限界を超えた剣から灰色に枯れた“霆撃”が排出され塵となって風へ消えた。
今の羅刹には鴉美を庇う力はおろか立ち上がる力さえ残されていない。

「私に構うな・・・早く、下がれ・・・・」
「そんなこと出来ませんよ!」

濠ならば絶対に退きはしない。
彼が動けないからこそ、自分が動く時なのだ。

濠は初めて変神した時からずっと隣で戦ってきた仲間だ。
自分はずっと濠に助けられっぱなしだった・・・だがその濠が一番大変な今、自分には何一つ出来てはいない。
今この瞬間・・・濠の為にしてあげられること、それはこの人を守ることだ。

『ほう、その娘・・・・・そうか・・・・』
「ぃ、っ!!?な、何・・・急に・・・・・!?」

死神の眼光が鴉美へ向けられる。体中を串刺しにされたような痛みが走った。
それが歩みを進める度に急速に力が抜け落ちて行くのを鴉美は感じていた。

生命をもったものならばありのままの姿でそれ前に立つことなど出来るはずがない。
凶星は“破壊”の権化・・・“死”の事象そのものであるからだ。

「・・・早く・・・!」
「だ、駄目です・・・・!」

震える足に鞭打ち、羅刹の前に立つ鴉美は身を盾にする。

『ツクヨミの次に葬るには貴様は中々に相応しいようだな』
「逃げろ・・・・!」
「ご、濠さんの為にも、ぜ、絶対に・・・!!」
「やめろ・・・・お前は・・・!!」

『ククク、ちょうど良い・・・再現してやろう』

「っ!!!?」


あの日の光景が頭を過ぎる


おぞましき黒炎の中、己の目前で散った女の姿が・・・・



「計都ぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」


感情のまま、男は吼えた


その刹那・・・死神の放った霊力の塊が矢となって男を、いや男の前に立つ少女の心臓に迫る


「っ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


せめてみっともない悲鳴などは上げたくない
最後くらい立派な天狗として・・・そう少女は唇を噛み締め、きつく目を閉じた







グチャッ







急所を射貫かれた体は矢に引かれるまま宙を踊り、そして地に叩きつけられた。
衝撃に矢は砕け、おびただしい飛沫が噴き上がり地面を汚していく。


何故だ・・・?


男・・・羅刹は目の前で起こったことを理解出来なかった。


「な―――――――――――――−」


それでも自分“達”が生きているということはそういうことなのだろう。


≪ッ・・・・あぁ・・・もう影響を受けるほど・・・存在もないか≫


矢の放たれる直前、羅刹達を突き飛ばし鴉美の代わりに矢に射貫かれたのは銀色の魔人・・・月読だった。


≪おかげでだいぶ話しやすく・・・なったかな・・・≫

『貴様、まだ・・・』

≪ふふふ、言っただろう・・・君の邪魔をすることぐらいはね・・って・・・≫

「何故助けた・・・!!」

≪もうあの子を狙う必要がないから・・・かな・・・≫


・・・・・ヴヴン・・・・・・


≪許してくれとは言わないよ・・・・・だけど、すまなかった・・・あの娘にも君から伝えて欲しい≫

「何故・・・・何故今更!!貴方はっ・・・!!」

≪・・・もう時間だ・・・・悪いが後は・・姉さんに・・・でも・・・・≫


・・ヴヴヴン・・・


「っ、この音は・・・・!」

≪・・・スサ・・・それが答・・え・・・・・・≫ サァア…

「月読!!!!・・・っ!!?」



ヴヴヴヴンンヴヴウヴヴヴヴヴンンン!!!!!!!!!!!



「真空・・・・濠っ!!?」






森の中を一騎の鉄機龍が駆け抜ける

その行く手を阻むものは一切存在しない・・・

まるで木々が道を開けているかのように

まるでこの地に招かれているかのように

それはやって来た


『何奴・・・・!』

『真空‐マカラ‐!!出し惜しみは無しだ!全力で行け!!』
【了解デス。爆符、最大出力】ガッ


ドドドドドドド・・・・ガァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!

鉄機龍の鱗が展開し、収納されていた霊札が射出され巨大な爆炎が死神を包む。
その主、鬼神の力を与えられた炎は翠色に淡く揺れていた。


「ま、間違いないです・・・!」

鉄の龍から飛び降りたそれは羅刹と鴉美の目の前に着地した。
翡翠と白を基調とした雄々しき二本の角飾り・・・珀羅、その鎧を持つ者はただ1人しかいない。

「濠さんっ!!!」






『二人とも無事かっ!?』
「よかった、目を覚ましたんですね!!」
『あぁ・・・もう心配いらない』

「濠・・お前は・・・・・!」

それを取り巻く気配にただならぬものを感じ羅刹は珀羅を、濠を見る。
珀羅は一度だけ頷き、そして言った。

『あの星空に誓ったこと・・・俺は果たそうと思う。それだけだよ』
「っ・・・・・そうか・・・ならば何も言うまい・・・・」
『ありがとう、父さん』

深く頭を下げると珀羅は大地に遺された傷跡を一瞥した。

『兄上・・・逝ったか・・・・・』
「濠さん?・・っ!?」

『ゴウ、だと・・・何故貴様がそこに居る。彼奴はどうした・・・!』

未だに激しく燃えている炎を払い計都が歩み出来た。
現れたのは珀羅、霧島濠・・・復活の鍵、スサノオへの生贄。

スサノオをこれほど近くに感じている今・・・存在しているはずがない。
いや、存在するとしてもスサノオはどこに行ったというのだ・・・計都は問いた。

『私ならばここに居る・・・ケイトゥ』
『何・・・!?』

珀羅から発された言葉は信じがたいものだった。
だが、その口ぶりは紛れもなく待ち望んで止まない怨敵のもの・・・

『ありえん・・・!欠片の一つと言えども貴様に抗える存在など!』
『お前はこの者を侮り過ぎる。この者の心が残り続ける限り、私が・・・お前が解き放たれることはない』
『貴様・・・あくまで抗うか・・・!』
『さぁ、ここで終りにしよう・・・お前も、そして・・・』
『フン、何を言うか・・・ここから始まるのであろう!』


『貴様はそこに或るのだ!ならば依り代はもう必要あるまい・・・滅ぼし、貴様を解き放つ。さぁ、死合おうではないか・・・スサノオよ!!』



「使え・・・濠、“お前”の剣だ」

真の主を待つかのように珀羅の眼前に突き刺さる剣、それを示し羅刹が言った。

「お前には力がある。ならば・・・お前は、お前の救いたい者を救い」
『あぁ・・・・俺の守りたい者を、場所を、刻を・・・この手で!!』



『守り通す!!!』






『集え!!我が器よ!!』

召喚される三つの器達。主につき従うように珀羅の周りに控えている。
珀羅は大地に沈んだ剣を引き抜くとそれを天空‐そら‐へ掲げた。


『目覚めろ!!【星薙剣−ホシナギノツルギ−】!!』


カァアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!

言霊に応じて天神の為の剣は、気を集めし黄金の環を同化しその内に取り込んだ。
刃を欠き傷ついた剣はその転生を告げるよう眩い黄金の輝きを宿していた。


『鏡よ!玉よ!剣よ!我が行く先を開く力となれ!!!』


想いを映し力とする海の鏡、光と影の大極を操る地の玉は珀羅の中に吸い込まれ、空を裂かんばかりに掲げられた剣と共鳴を起こす。
内側から、外側から・・・それらの皇を勝利へ導かんと凄まじい覇動が今解き放たれた・・・・


『龍の力、鬼の体、人の心を以て!!今、色究竟天へと昇り上がらん!!』



『三位一体!!!招魂・・・・!!!』






『『『 合 神 !!!!!!』』』








,
ようやく、三種の神器がそろい最終形態で降り立っ、むしろ昇り上がった珀羅。
次回、口上ノリノリで勝負に出た超珀羅vsハーフなまま1人で究極の凶星・・・どうなるの!?(ぉ

そして、今回意外な新事実発覚しましたね。
何と鴉美さんは照井課長ばりの特異体質だったのだ!!(な、なんだっ(ry
一話にして【土】ウイルスが感染しなかったのもソレ(not鳥肌)のせい。
ただ恐怖への耐性とかではなく、今のところ隠しパラメータ的な・・・本編じゃ明かしませんが(ぉ


じゃ、お嬢さん方ちゃっちゃか始めちゃってくださーい・・・どぞっ!!


『春夏秋冬〜エレメント☆ガールズ〜』

雪乃「それではさっそくだけど二回目にして暫定最後の講義を始めるわよ。皆から何か質問はあるかしら?」

燎子「は〜〜い!!は〜〜い!!」

雪乃「はい、あとがきでなんとか出番貰えてご機嫌な蓮見燎子さん。どうぞ」
燎子「余計なお世話だ!!!・・・ごほんっ、あー・・・ゴウさん(?)が最後らへん行ってた“いろなんとか”ってのが分からねぇんだけど」
雪乃「“色究竟天(しきくきょうてん)”、良い質問ね。色究竟天とは簡単に言えば大自在天≒創世神が住む処のことよ」

燎子「場所の名前か・・・・うーん、やっぱりよく分かんねえな」
香織「私もまだいまいち・・・・」

雪乃「解釈としては珀羅の最終形態(←メタ発現!?)が計都やスサノオ神へと近付くというくらいで十分よ。燎子風に言ってしまえば『タメを張る』ね。ちなみに鴉美の言っていた天魔というのもある説では――――‐」
鴉美「あ、それただの名前です。家の父の。紛らわしくてすみません・・・・」
雪乃「あら、そうだったの。・・・そういえば高天原の天魔と言ったら業界じゃかなり有名だったわね。天(そら)の魔王と呼ばれるくらいの大妖怪で他の妖魔達からはとても畏れられていたと聞くわ」
燎子「あー、なんかそれタマさんに聞いたことある。昔“ガチ”で戦り合って結局引き分けだったとか・・・」
香織「・・・・ぇっと、す、すごいんですねぇ・・・」ガクブル

鴉美「ぅぅ・・・・ほ、ホントにお恥ずかしい限りです・・・・・」(////)

横道逸れて結局雑談に〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

燎子「じゃあアミさんもアレか、社長令嬢的な感じなんだな」
香織「お、王様の娘だからお姫様とかじゃないかな・・・?」
鴉美「お姫様は言い過ぎですって・・・。今実際に集団を動かしてるのは大天狗様ですし、天魔様はもう引退してのんびりしてます。家じゃ毎日お母さんにべったりというか・・・カカァ天下ですね」(苦笑
燎子「カラス天狗だけにってかぁー?」
鴉美「なんでや・・・・はっ!?ふ、普通に上手い・・・!!」
香織「ツッコミ入らなかったー!?」ガビーン

燎子「あ、でもアミさんって天狗の中じゃ下っ端扱いって言ってなかったか?」
鴉美「まぁ、実力社会ですからね。でも私だって里の大事な秘宝である“風神の団扇”を任せて貰えるくらいには皆に信頼され・・って!?そ、それより“雷神の霆撃”ですよ!」
香織「あ、霧島先輩のお父さんが持ってたのですよね?」
燎子「風神の団扇みたいな名前だよな」
鴉美「対で祀られてたんです!!あれは厳重に封印されてたはずなのに・・・回収はおろか目の前で壊れちゃったとか・・・あぁ、どうしよぅ・・・!こ、このままでは・・・!」ガクブル
雪乃「鴉美が大変そうなので・・・そろそろお返事へ移りましょうか」



To 烈さん

>動けるのは鴉美と紫苑ぐらい
今回紫苑さんはというと索敵を終えた後は香織さんの護衛に回っていますね。

>UN不思議な女性は『天照』なのか?
んっふ、お察しのとおり・・・超能力者ですっ(チガウ
読みはあたらずとも遠からずなのか、この人はちょっと特殊と言うかなんというか流石姉上みたいな(謎)
ただ“霆撃”自体は実は阿修羅自体には殆ど関係ないです。

>マリオネットスーリヤ←セコイ!!
確かにせこいですねw
まぁ効率重視するなれば割とそんなもんかと思います。

>何だかんだで相思相愛であったといえますね
この二人が絡むとお話がとてもメンドk(マテ

>何気に香織さんのドジっ娘なところが目立っていましたね…;
彼女は最後までこんなんでしたっ、てことでクランクアップですよ香織さん!あと紫苑さん!

香織「ぇえええええ!?私これで出番終了ですか!?」
紫苑「私はもともとゲストでしたので・・・・舞台裏からお嬢様方のご無事を祈っています」(←メタイ!?
香織「え、えっと・・・じゃあ、みなさんお元気で。ありがとうございました」

>店以上の大きさの“船”とのことですが、どれ程の大きさなんですか!!?
まぁ、店がちっちゃいってのもありますが・・・・
大きさ的にはだいたい5〜6人が海上で普通に生活出来るぐらいですね。
ちなみに読み方はオオタツミヤ。

>奪おうとするのか、はたまた全て託すか
結論=2人で1人の探偵さ!!(チガウ
今の所は魂が混じったごっちゃごっちゃな状態で活動してます・・・あぶねぇ!

>今後もどうか頑張って下さい。
ラスト一本ですね・・・最後まで頑張らねば!
それまで持てよ私の体力ぅうううううううう



To Aヨスケさん

>陰と陽と四不象の激突
前回のテーマは白黒灰色ですw
月華と嵐羽も白黒で・・・・来月ポケモン白黒が出ればまた更新速度に影響が(マテ

>前々回からの伏義の強さの印象からして、二人の魔人が相当な力を持っているのが分かります。
本編の数字で行けば並みの七曜は1、月読15、スーリヤ2、伏義(実力フル発揮で)25〜35です。
○神シリーズで04くらい四神シリーズで07ぐらい四霊シリーズで17くらいですかね。
あくまで霊力値とか出力的なもので実際の強さ、勝率とかとは関係ありませんけど。

>そうなると他の魔人達も気になる所ですが、今は重要ではないですね。
創世戦では凶星が月読と天照を喰らったのですが、スサノオは解放と言う想いもありそれごと封印しました。
それでも結局バラバラに裂くことは出来ず半分ずつ+凶星の欠片と言う風に分かれました。
月と日の欠片も吹き飛んだんですけど計都が回収し【月】と【日】の材料とした感じです。
七曜の材料に他の神を飲み込んでいたのかどうかなどは不明です。

>普段通りを出来る恭也くんは地味にかっこいいヤツですね、惚れました(←デタ
逆境とか大好物な●●魂はクォーター(ハーフ?)でも健在か!?

>なんというか、雰囲気的に辰正さんに近いもの感じます。良い意味で(ぉ
まぁ、あの人とは外伝でも馬が合うようですしw(ぉ

>まさに生殺し鴉美ちゃん(マテ
ここでも意外な新事実。
実は鴉美さん、『珀羅』の“メインヒロイン”だったんです!!(ぉ

>既にボドボドだった燎子ちゃんですが、今回ではさらにグチャグチャのボドボドに。痛々し過ぎる。

orz

香織「また無言で土下座してるー!?」ガビーン

>次回も期待の高まるAヨスケでした。
次回はそんなにお待たせしなくても大丈夫かと・・・せいいっぱいがんばるわ!
どうか最後までお付き合いねがいますw



実は現時点で烈さん、ヨスケさん共に『珀羅』皆勤賞なんですよね・・・(しみじみ
スーパーとかでも円高還元セール(ぉ)とかやってますし
うちでもお客様感謝セール(ぇ)ということでお二人にはそれぞれ『短編リクエスト権』などでもどうかと思います。
無論珀羅でなくとも朱凰でも可・・・海賊が安定するまで取っておくのも可な感じです。
超外伝扱いで直接本編絡みでなければ新規キャラ制作するのも・・・嫌いじゃないわ!!(←京水さん自重
(*勇者ぴあの神=トレハにゃんへのリクエスト権も忘れちゃいません。)


はい、そんなこんなで泣いても笑っても次回でラスト!!
さぁ・・・思いっきり、振り切るぜぇええええええええええ!!!!!!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なんと、ここに来て割と重要なMISSが!?(訂正済み)
わはー、ブラフマさんって初禅天なのかー・・・・・・・・・・・・・・・ぇえええいド畜生!!全人類之緋想天!!!!!!!!!(ぉ
,#000000,./bg_b.gif,i220-221-122-23.s02.a040.ap.plala.or.jp,1 2010年08月26日(木) 04時06分34秒,20100826040634,20100829040634,J7le0aZZTib7k,仮面ライダー珀羅 『三種の神器と翡翠の鬼神《前編》』,青嵐昇華,,,





(・・・お前がスサノオか)

『スサノオ【素盞嗚】、開闢と創造の権化・・・それが私だ』

(計都の思惑通り・・・俺はお前を蘇らせてしまったか・・・・)

『まだだ』

(何・・・?)


『お前の魂はあの地に強く惹かれている。それが私の囚われる理に拮抗しているのだ』


『二つの魂が混在したまま、今は深い眠りの中にある』

(凶星はまだ復活していない・・・・この状態はいつまで保てる?)

『均衡は直に崩れる。凶星がそれを望んでいる』


『奴が目覚めた時、星は今度こそ滅びる・・・未来永劫に』

(っ、何故だ!?お前はそれと渡り合ったはず・・・ならばもう一度!!)

『次に私と奴がぶつかれば星はそれに耐えられない』

(な・・・・)

『この世界はまだ若い・・・だが、短い間に星の治癒力は度重なり使われた』

(まさか黄龍の・・・・)

『今この星には私達に耐え得ることも出来なければ、再生に当てる力もない』

(手立てはないのか!!何か・・・本当に何も!?)

『私に出来るのはただ拓くことのみ』


『凶星が目覚めればそれと戦うこと、滅びるこの世界に代わる新たな世界を創ることしか出来ない』


『だが、それも決して・・・この星の回帰などではない・・・・・・』


(・・・お前は・・・・・・・・)


『ゴウ』

『私の存在を受け入れて猶、お前の魂・・・心はそこにあった』

『暫しの間お前が私と共に立つことが出来れば・・・あるいは』




『新たな道を拓けるかもしれない』










【仮面ライダー珀羅〜三種の神器と翡翠の鬼神〜】







「先輩ぃぃいいいいいいいいいいいっっっ!!!」


ドタドタと彼女らしからぬ音を立て、慌てた様子で香織がやって来た。
長い距離を走った訳でもないが目はぐるぐる回り息遣いも荒い。

「香織?どうしたの・・・」
「し、下、舌で、ま、枕で、居ないです!!」
「・・・・・・・・」
「い、居なくなってて!!どうしらら!??!」

ひどい混乱に陥ってしまっている為、自分にも周りにも何を言っているか分からない。
それでも身振り手振りを加えて必死に説明しようとしているが重要な主語などを抜かしたままなのが残念だった。
そのままではまったく意味の通らないところだが・・・不幸中の幸いか状況から考えるにして大体のことは推測出来た。

「少し落ち着いて香織。紫苑、燎子の位置は分かるかしら?衰弱していて反応は弱いと思うけど」
「お待ちを・・・・・っ」
「どうしたの?」
「見つかりました。澪示様と一緒にいるようです。ですが、他に―――‐






「よかった・・・」

先ほどの戦闘域から少し行った川辺、燎子の処置を終えると澪示はようやく一息つくことが出来た。
燎子の苦しそうだった吐息もすぅすぅと幾分か穏やかな寝息に変わっている。

「・・・っ!』

ピキッ

瞬時に変神し、澪示が振り向いたのに遅れて川の水面に亀裂が入った。
不自然な角度で光が漏れ出してくるとそこがガラスのように砕けて穴が開いた。
開いた穴から黒い影がゆっくりと這い上がって来るのが見えている。

≪ッギギ・・・ゴ・・・≫

要素の崩壊に巻き込んだはずの漆黒の魔人、スーリヤ【日】だった。
七曜は元々空間移動能力を持ってらしく、しかも今回は直接力を奪った訳でもない為にその帰還は十分考えられた。
だがそれは澪示が予想より遥かに早く、その為燎子の十分な安全の確保が間に合わなかった。

『直ぐに戻るから・・・少しだけ待ってて』

そう燎子に告げた伏義は魔人の側面へ回り込むよう走りだす。

スーリヤの標的は元々月読であったが、今は伏義のことをそれと完全に誤認していた。
その為魔人の注意は伏義だけに向けられている。

≪ギ・・ギ・・・・・!≫
『はっ!!』

魔人は攻撃の為に光の充填に入っていたが伏義の行動の方がずっと速かった。
攻撃が周囲に拡散しないよう伏義は霊気を小さく、ナイフのように凝縮させ投げ放つ。
一本、二本・・・と次々と的へ刺さり、その度に小さな爆発が躯を穿って行く。

≪ギ・・・ガ・・グ・・ィィ・!!≫

猛攻を受け、うめき声を上げながら魔人がたじろぐ。
その時、魔人の頭上に集まり掛けた光が弾け光の矢となって辺りに散らばった。

『っ!?』

制御の利かないそれは伏義に狙いを定めるでもなくただ変則的に飛びまわる。
その内の一つが急に進路を変え、燎子の所にも迫っていた。

『しまっ・・・!!』

「蛟龍!!行きなさい!!」


ザァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

川から水柱が上がると燎子の手前を水平に走り抜ける。
光は水柱をそのまま貫通したが大きく屈折し燎子に当たることはなかったようだ。

「ふぅ、結構間一髪だったわね・・・やっほー澪ちゃん、お久♪」
「おひさ〜♪」

『貴女達は・・・』

水神を操り燎子を守ってくれたのは蜃、その横で燎子を軽々と担いでいるのは冢杏だった。
実家とも縁の深い顔馴染みの二人の登場に澪示も驚くが、そうかとすぐに納得していた。

「燎子ちんはボク見ててあげるよ〜。さっきにみたいにばっちりガード♪」
「いや、守ったのアタシだから・・・まぁいいわ。ほら、ちゃっちゃと済ませなさい」

『お願いします!』

身を屈めて構えを取った伏義の右手には円錐形の霊気が展開された。

≪ギ、ギ・・・・・・≫

未だ立ち直っていないスーリヤへと最大速で駆ける伏義。
襲って来る光も要素破壊で生み出されたワームホールに妨げられ伏義の元へは届かない。
暴走する光の中心目がけ一気に突っ込んだ伏義は魔人の頭を左手で押さえつけ地表に押し倒した。

≪グ・・・・ギッ!?≫ ガシッ!!
『捕まえた・・・・!念心爆砕!!』

右手に収まった膨大な霊力の塊を伏義は魔人の胸へと深く突き立てた。

『穿孔零角撃(ゼロコーンドライブ)!!』







ギシィ

≪おや≫

伏義を囮に追手を引き離した銀色の魔人は濠の所へ転移した。そのはずだった。
だが行き着いた先はどことも知れぬ場所・・・・・・
周囲の空気が重くなったと感じたのも束の間、既に躯の半分ほどが凍りついていた。

≪まったく・・・用意がいい≫

今、月読の視界に映っているのは白と黒の対照的な鎧姿だった。

「あなたは確か・・・ソーマ【月】!」
「八神で鱗を奪って行った白銀の魔人ね」

武器こそまだ構えていないが警戒心を露わにしている嵐羽。
それと比べると月華の方は幾分か余裕を持っているように見えた。

≪この躯を知っているのか・・・ボクはツクヨミ【月読】、キツネさんから聞いてなかったかな?≫
「聞いているわ。“胡散臭いお面野郎”とね」
≪酷い紹介だ。この結界を張ったのは君かな、雪女さん?≫
「ええ、神出鬼没で転移も自在と聞いていたから。濠の所へは直接行けなかったでしょう?」
≪まるでボクが来ると知っていたみたいじゃないか≫
「ウチの紫苑はとても感が良いの。霊気を隠したぐらいじゃ直ぐ分かるわ」

敵が七曜級で濠が狙いと分かりさえすればそれなりの対策も浮かんで来る。
現にこうやって結界を調整して待ち伏せを行うことも可能だった。

≪へぇ、なかなか優秀じゃないか。・・・ところでそっちの・・≫
「?な、何ですか・・・・」
≪・・・・・・・・・・・・・≫

月華に向けられていた視線が嵐羽の方に映った。

≪・・・いや、止めておこう≫
「は・・・?」


ピシッ


「っ!」

よくわからない間にペースを乱された嵐羽だったが氷が軋む音を聞き警戒を戻す。
特に苦も無く結界を解き、氷を砕いた月読は再び月華に向き直る。

≪もういいだろう。残念だけどこの程度なら少しの足止めにしかならないよ≫
「そうね。でもそれで十分なの」
≪何だって?・・・っ≫


「月読っ!!!!」


≪羅刹天・・・なるほどこれを待っていたのか≫

夜叉のように髪を振り乱し弾丸の如く飛び出した男は月読と月華達と間に入る。
羅刹の紅い瞳には長らく封印されていた熱い闘志が滾っていた。

「ご無沙汰しています。おじさま、お任せしても・・・?」
「あぁ、ここは引き受ける。少し下がっていろ」

羅刹は帯に納めていた草臥れた一振りの剣を握り逆手に引き抜いた。
続いて取り出すのは両側に爪のような曲がった突起の付いた金色の法具だ。

≪なっ・・・・!?まさか・・・≫
「ぇええええ!?な、何で・・・・!?」

剣と法具が互いに共鳴するよう輝きを上げている。
羅刹は剣に押し込むように法具を近づけるとそのまま法具は溶けるように剣に取り込まれた。

瞬間、羅刹を取り巻く霊気の質が変わった。

「はぁああああああああああ!!!!」

バチバチと抑えきれない力が稲妻と成って剣から弾ける。
剣を大地に突き立てると羅刹は鬼の面を取り出し自らの顔に持っていく。


変神!!


カァアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!


落雷、稲光が羅刹を包み込んだ。

夜より深い暗黒の鎧、そしてその闇の中で燃えているかのような紅蓮の髪。
右手には轟と雷鳴を上げる両刃剣を、左手には幾多の悪鬼を切り捨てた剛刀“曼珠”を持ち構える。


『阿修羅が戦神、羅刹天・・・・此処に降臨!!』



≪ヴァジュラではないのか・・・けど・・・≫

ここに来て初めて動揺を見せる月読。
今の羅刹からは以前、羅喉と互角に打ちあった戦士の気迫を感じた。

≪・・・・くっ!≫

真の凶星、一柱でその四分の一にも匹敵する羅刹天に月読は気圧されていた。
元の身体ならまだしも在り合わせのこの躯で正面からぶつかってどうにかなる相手ではない。

≪ならば『させん!!』っ!?≫
『曼荼羅華刃(ハーケンゴースト)!!』

月読が再び転移しようとした瞬間、羅刹の振り抜いた剣から広域に拡大した霊気の刃が放たれる。
高速で翔け抜けるそれは楔のように撃ち込まれると月読の動きを封じ林の奥へと押し進めた。






「あれが羅刹天・・・」

それは舞のように華やかで美しいものだった。
激しくも洗練された動きは七曜の以上の相手でさえ成す術も与えない。
羅刹天の繰り出す妙技の数々に月華は息を飲む。

雪乃は父から聞いた決戦、羅喉の城に乗り込んだ時の話を思い出していた。
その当時は敵だった羅刹天1人、それに対し6人掛かりで挑んだが軽く往なされただけでまったく敵わなかったと・・・
そう聞いた時は謙遜かとも思ったがこの光景を見ていればそれを納得するしかない。

「あ、あゃゃゃゃ・・・・・!?」

見れば隣にいる鴉美も相当なもので、畏れさえ抱いているように見える。
だが、羅刹天は他ならぬ濠の父であり自分達にとってはこれ以上ない心強い味方である。
怯えることはないと、そう彼女に伝えようとするが・・・・

ここでようやく気がついた。

「鴉美・・・?」
「な・・で・・・濠さ・・おと・・・が・・・雷神の・・・かも・・無く・・・消・て」

ガクガクブルブルと音が聞こえるくらいに震え、小言を呟いている。

「て、天魔さ・・・・ぃゃ・・・む・・ろお母・・・・・ひぃぃぃっ?!?!?!?」

身の危険を感じた鳥がそうなるように鴉美もまた鎧の下で全身の毛を器用に逆立てていたという・・・






『でぇええええええええやっ!!!!!!!』
≪ぐっっ!!≫

月読が得意とするのは【陰】の気質を用いた影の戦いだ。
だが欺き惑わし闇に取り込む、そういった幻術や呪術に頼る戦法は羅刹天には通じない。

隙間なく流れるような動きは相手に仕掛けることを許さず、下手な小細工も正面から切り捨てている。
三柱の一人、月読を相手にしてもこれほどの働きが出来るのは器を取り込みその力を増幅させる剣の力とそれを使いこなす羅刹天の技量があってこそだった。

≪正直甘く見ていたよ・・・やっぱり君はあの時・・・・・っ!?≫
『むっ!?』

羅刹天が善戦し月読が苦戦を強いられる中、突如それは起こった。


ゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッゴゴ


「はっ、ぅわわわわ!?じ、地震ですかぁ!?」
「違う・・ただの地震じゃ、うぅ、っ!?」
「雪乃さん!?」
「何このプレッシャー・・・それに龍脈の流れが・・・こんなに急に・・・、ぁぁっ!!?」
「だ、だいじょ・・・・っ!?」

身に襲い掛かる恐ろしく大きな重圧に月華は堪らず膝を着く。
変神が解かれ苦しそうに身体を抱く雪乃、気にかける嵐羽の目に更なる異変が映る。
町を覆うような巨大な陣・・・その中心から何かがこちらに向かって降りて来ている。

『あれは・・・・!』

所々破れた白い衣、その先から“片割”のものとよく似た半月を模した斧を覗かせている。
悠然と降りて来た白い死神は紅髪の修羅を見つけると懐かしそうに声を発した。


『久しいな・・・羅刹天よ』






,
映画の主題歌、『W』を聴いてると涙がとまらねぇ・・・とまらねぇんだよぉ!
うぁああああああああああああ!!頑張れよ自分!!!!

どうも・・・青嵐昇華です。
一気に仕上げるとか言いましたがもう体力の限界でしたorz
流石に連続とは行けませんでしたがでも九(終)は割と近い内に出せると思います。
一緒に出すまで待っておいてもよかったんですが、岩戸ほっとくのもかれこれ2週間弱なので・・・生存報告兼ねて投稿します。
Oh、SSに集中した結果がこれだよ!!・・・ウソです、澪示の服装考えるのがめんどくさくて放置してただけです(マテ

言い訳ばかりしている駄目な青嵐ですが・・・・許してぇえええええええええ!!(ぉ

と、まぁ懺悔はこれくらいにして(ぇ
後編へ続きます。

,#000000,./bg_b.gif,i60-36-201-70.s02.a040.ap.plala.or.jp,0 2010年08月18日(水) 07時39分10秒,20100818073910,20100821073910,IoYsWJIBE2WoU,仮面ライダーバルキリーたん 第48話「Phoenix form」,鴎,,,「Phoenix form」

第48話

周辺のビルは瓦礫の山と化し近くのビルも吹き飛んだ瓦礫の余波を受け、半壊し辺りに濛々と黒雲を上げながら炎を立ち上らせている。
その原因とも言える竜巻を指を鳴らすたびに次々と発生させて、ビショップがマモンを追い詰めていく。

マモン「野郎・・・町ごと吹き飛ばすつもりかよ」
ビショップ「ふふっ、もうすぐ町どころかすべての時間が消えてなくなるのですよ。私がこの世界をすべて破壊する。これで・・・いくつもの世界を消滅させたのでしょうね」
マモン「お前・・・まさか、これまでに何度もこういったことを!?」
ビショップ「特異点というのは面白いですね。こうして自分以外の時間をいくつ破壊しても、自分だけは無事が保障されている。自分以外の何もかもが無に還る瞬間、それこそが世界そのものの「死」を感じ取れる。こんな面白いこと、やめられませんよ」

マモン「・・・・そうか、この事件すべてがテメェにとってはゲームのひとつに過ぎないってか・・・智のバカといい・・・救いがなさ過ぎるぜ、このバカはよ・・・!!」
ビショップ「ふっ、智ですか。彼女は実に使い勝手のいいマリオネットでした。ですが、そろそろ人形遊びにも飽きてきたころです。彼女を蘇らせて、スフィンクス一族の悲願を果たすことができれば、時の列車を与えるといったら彼女も協力すると言っていましたね。スフィンクス一族の再興を実現させるために。自分の大切な仲間たちを蘇らせるために。それをすべて奪ったのも私ということにさえ気づかないでね・・・」

智は利用されていただけ。
一族の生き残りというあまりにも耐え難い孤独と絶望を利用して、ビショップが甘い言葉でそそのかし、利用するだけ利用していたのだ。そして、もはや彼女にとって智はいまや何の価値もない邪魔な存在と化している。

マモン「利用するだけして、邪魔になったら殺すってか・・・!」
ビショップ「私は何もしませんよ、ただし、あなたのお兄様はどうでしょうね?妹分を殺された怒りはかなりのものでしょう?そして、妹分を殺された復讐を何が何でも果たそうとするつもりです。そんな彼をあなたがどうやって止められるんですか?ふふっ、無理でしょう。利用されているだけなのに殺されて、その事実を知っていてもどうすることもできず、あなたは苦しむだけ、実にすばらしいですよね。そういった葛藤と絶望と己の無力さを・・・呪いなさい。そして死になさい!!」

ビショップが一気に駆け出し、両腕を振るって、鋭い爪で次々とマモンを切り刻み、マモンの首根っこをつかみ上げるとそのまま宙に吊り上げる。
そう、これはベルゼブルが倒されたときの技。
地面から噴出す赤い風に飲み込まれたら最後、全身を切り刻まれて確実な死が訪れる。

マモン「テメェ・・・・!!」
ビショップ「あなたの妹さんもこうして殺しましたねえ。あの背丈の大きい・・・ベルゼブルといいましたか。ふふっ、妹と同じ形で死ねるなら本望でしょう?」

そして、地面から赤い風が吹き出し、今にも爆発しそうになる。
マモンが全身を揺らして、激しく抵抗するが強靭な力でつかまれた首は離れない。

ビショップ「さあ・・・・・お別れです!!」
マモン「チクショォオオオオオオオオオオッ!!!!」

その時だった。

ルーク「だああああああああっ!!!!!」

ルークが飛び出し、拳を振り上げるとビショップの頬に思い切りめり込ませて、一気に吹き飛ばす。手からマモンが離れて、ルークが抱き上げると地面に下ろした。

ルーク「行けぇ!!!!早く逃げろ!!!!」
ビショップ「ルーク・・・・どういうつもりですか?」
ルーク「・・・・お前のこと、ずっと仲間だと思っていた、でも、それは今でも変わらないし変わりたくない思いだ。だからこそ・・・止める、お前の暴走を、これ以上ほうっておけないんだよっ!!!」
ビショップ「・・・ふふっ、やれやれ、単細胞は使いやすいと思っていましたが、そこまでバカとはね・・・。もういい、貴方から殺しましょうか」

冷たい笑みを浮かべ、指を鳴らし、竜巻や真空の刃をいくつも発生し、ルークが避けながら後ろで座り込んでいるマモンに叫ぶ。

マモン「お前・・・!!」
ルーク「・・・・お前がやれることはまだあるはずだぜ・・・・最後まであきらめるなあああああっ!!!ルークも、あきらめない!!」

クイーン「そーゆーこと。このバカはうちらで何とかするから、貴方は慧ちゃんの所に行ってあげて」

傷だらけの身体を必死で起き上がらせて、ボウガンを構えながらクイーンが言う。
そして、ボウガンの照準をビショップに定めると、矢をいつでも発射できるよう構える。
ルークも両手の拳と拳をたたき合わせて構えを取る。しかしもはや彼女も満身創痍で立っているのもやっとだ。

ビショップ「ふふっ、それでは・・・終わりにしましょうか」

そして、指を鳴らしかけたときだ。


「残念だけど、終わるのは、お前だよ」

後ろから誰かの声が聞こえてきた。振り返ると、そこにいたのは、いつの間にいたのか、銀色に光り輝くワシをイメージしたようなバイクにまたがっている、銀色の肩までかかる長髪を縛り上げ、意志の強さを感じさせる吊りあがった赤色の瞳を向けている可憐な少女を思わせるような少年だった。
銀色のライダージャケットにGパンといったラフなファッションをしている。
背中には「Lucifers Hammer(ルシファーズ・ハンマー)」とロゴが入っている。

ビショップ「・・・・?」
「この時代に逃げ込んだイマジン倒しに着てみれば、こんな事態になっているなんてね。まあ、あんたには悪いけど、見過ごすわけにもいかないな」

そういうと、どこからかコウモリのような生き物が飛んできて、少年の手に納まる。

「クロキバ、クリス、限界まで・・・・トバすぜ!!!!」

そういうと、少年の身体から砂が吹き出し、それが透き通るような銀色の毛並みと翼を持つ美しいワシのイマジン、イーグルイマジンが飛び出し、それが銃剣の形へと変形して少年の手に収まる。


クリス(イーグルイマジン)「はい!!」
クロキバ「御意!!」

「変身!!!」

クロキバをベルトに装てんすると、全身に銀色の風をまとい、やがてその姿をワシをイメージした銀色の仮面と甲冑を装着した戦士の姿に変身する。
銃剣「クリスベイオレット」を肩に構えて銀色の戦士が背中から銀色の風をまるで翼のように噴出す。

ビショップ「何者ですか・・・?」
「・・・・オレは・・・仮面ライダー・・・ヘブン・・・・!!」

仮面ライダーヘブン。
天より裁きを下すべく一人の銀色の破壊天使が舞い降りた。

ヘブン「行くぜ!!!」
クリスベイオレットを構えて走り出し、目にも止まらない速さで次々とビショップに切りかかっていく。
足に備わっている「ブースターシステム」が勢いよく回転し、目にも止まらない高速移動でビショップを翻弄し、鋭い刃で切り刻み、痛めつけていく。

ビショップ「きゃああああああああっ!!」
ヘブン「はあああああああああっ!!」

ビショップが反撃するまもなく、次々と切り刻み、蹴りつけて吹き飛ばす。

蹴られて壁にたたきつけられて、地面に力なく座り込むビショップ。

ビショップ「くっ!!」

しかしすぐさま指を鳴らし、いくつもの竜巻を発生させる。
竜巻がヘブンを取り囲み、襲い掛かっていく!!竜巻の渦にはさまれそうになり、見る見る迫ってくる。

ビショップ「おしまいですっ!!」

ヘブン「クリス・・!!ギア全開でいくぞっ!!」
クリス「暁(さとる)、了解です!!」

水色の光が飛び出し、ヘブンに宿ると、目の色が赤から青に変わり、銃剣を構えて構える。

ヘブン(クリス)「ギア・フルスロットル!!!!」

すると、足のブースターが一気に高速回転し、火花を散らせていく。そして、背中からウイングが展開し、銀色の光が風のように吹き出し、翼のように広がる。

ビショップ「何っ!?」
ヘブン(クリス)「勇ましき心の煌き、しっかりとその目に焼き付けなさい!!」
(一気に行くぜ――っ!!!!)

クリスベイオレットを構えて、背中のウイングから一気に風を噴出して飛び出し、銀色の暴風が巨大なワシの姿となってビショップに迫り来る!!

そして、銃剣を投げつけるとそれが銀色の風となって全身を縛り付けて動けなくなる!!
張り付けになったビショップに向かってヘブンが飛び出し、右足を突き出し一気に蹴りつける!!!

ビショップ「や、やめろおおおおおおおおおおおおっ!!」
ヘブン(クリス)「ジハードブレイクキック!!!!」
(うおおおおおおおおおおおおおお!!)

そして炸裂すると、ビルごと巻き込み銀色の暴風が一気にはじけ飛んだ!!!

ビショップ「きゃああああああああああああああああっ!!」
ビショップが吹き飛び、銀色の渦に飲み込まれて・・・やがて見えなくなり声も聞こえなくなった。

そしてあらゆるものを吹き飛ばし飲み込んだ竜巻が消えると、そこにはビルの残骸ともいえる無数の瓦礫の山があった。ビショップの姿はない。そして、ビルの壁にはワシをイメージした紋章がくっきりと刻み込まれていた。

ルーク「・・・誰・・・?」
クイーン「・・・・・さあ?」

暁「・・・さてと、あとは時間の復元で何とかするとして・・・行くとするか」
クリス「了解です」
クロキバ「うむ」

クイーン「ま、待ってよ、あんた、誰?」

そう聞かれて、銀髪の少年、暁は顔だけ振り向いた。

暁「うん・・・名乗るほどのモンじゃねーよ。まあ、またいつか未来で会えるといいな。その辺はバルキリーとキングにかかっているけどな」

そういって、にっとかわいらしくもいたずらっ子のように微笑む。
そして、バイクに乗ると一気に走り出し、遠ざかっていった・・・。

暁「・・・・ヒュプノスか、これ以上過去への干渉は出来ないから、オレはここまでか。あとはしっかりとやってくれよ、父さん、母さん」

クリス「・・・慧様と晶様はきっと大丈夫ですよ」
クロキバ「お前の両親なのだろう?」
暁「・・・だから、心配なんだっつーの。あの二人、危なっかしすぎて見てられない」

「「確かに・・・」」


やれやれといいつつ、少年の走る先に光の扉が開き、その中へと飛び込むとやがて姿がいなくなった。


一方。
マモンが薙刀を振るいながら無数のイマジン集団を切り刻み、ハンドカノンを発射して吹き飛ばし、満身創痍の体を押して、全身に走る激痛と重くのしかかるような死の感触に歯を食いしばって必死で耐えながら突き進む。

マモン「くそっ・・・死なない・・・このまま死ぬわけにはいかない・・!!」

どうしても捨てることができない。
あいつらが見せてくれた「友情」も「時間」も。
それに―。

仲間を失って腑抜けになった慧など、兄貴が追い求めている敵ではない。
しかしそれでも兄貴が望んでいる「真剣勝負」。
何が何でもかなえて見せたかった。もうすぐ命が尽きようとしている兄貴に捧げる最初で最後の大喧嘩の舞台を。

その時だった。

ルシファー「オララアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

後ろから威勢のいい声とともに、金色の渦が噴出し、目の前にいた敵をなぎ倒し、吹き飛ばし、切り刻んでいく。振り返ると、そこには金色の翼を広げ、獰猛な顔つきをしたワシのような化け物、フレスベルグレジェンドルガがいた。十字槍を回転させて、一気に突き出すと風が起こり、敵を次々と吹き飛ばしていく。

マモン「あ・・・兄貴・・・・」
ルシファー「どうした、だらしねぇぞ、マモン」
マモン「・・・オレを助けてくれたのか?・・・・だって、オレ、勝手に行動していたのに」
ルシファー「・・・ンなこと、いちいちうっせーぞ、細かいこと言ってるんじゃねぇよ。ただわかるのはお前がベルフェたち殺されて自分なりに決着つけたかったんだろうが」
マモン「・・・そう・・・でも・・・・兄貴の命令無視して・・・・オレ・・・・」
ルシファー「命令を無視・・・・それはお前がそうしたほうがいいと思った理由があって、お前なりに行動してたんだろう?お前が生きているなら、目的があって死ねないなら、死なないために必死で生き延びようとしていることを、俺ぁとがめるつもりはねーぞ。俺は俺の命令に従順な人形がほしかったんじゃない。そんなの仲間とは言わない。仲間を信じて、何かあったらすぐ駆けつけてやる、頼りたいときがあるなら頼ればいいし、俺も頼るときは頼る。それが俺たちだろうが」

自分の勝手な行動を・・・どうして許せる?
どうして、こうして笑っていられる?
そして自分のことをどうしてここまで気遣ってくれる?

マモンの目に涙が浮かぶ。そして、ほほを流れ落ちる。

ああそうだ。
こいつのこの「度量の大きさ」と「強さ」に惹かれていたんだ、自分は。
例え今にも死にそうになっていても、兄貴は変わらずにいてくれた。
そして思う。

こいつについていってよかった。
こいつのために生きたいと思って本当によかった。

マモン「・・・勝てないよ、あんたには。優しくて・・・強いよ」
ルシファー「・・・ンなことどうでもいいんだよ、それよか、その装置、それがあれば慧のイマジンが戻ってくるのか?」

ルシファーがマモンが持っていた携帯端末装置を見て聞く。

マモン「ああ、こいつは、特異点の能力をさらに高めることができる。かなりの力を使うが、記憶が強ければ強いほど失った時間を復元することができる。慧はあいつらのこと忘れることなんてありえないからな。こいつとあいつらが作った武器を連動させればパワーアップするぜ」

ルシファー「よっしゃ、それじゃ、そいつ、慧に届けろ」

マモン「・・・いいのかよ?兄貴、それじゃ、あいつもっと強くなっちまう・・・」
ルシファー「弱いものいじめは趣味じゃねぇよ。それに、俺が今までそういった強いやつ、何人ぶっ潰してきたと思ってやがるんだ?あいつが最強になって本当の力を引き出せるなら、真っ向から挑んで叩き潰すのが面白いんじゃねえかよ。だから、行け。ここは俺が引き受けるぜ」

そういって、マモンを立たせると背中をばしっと叩いた。
マモンがしばらく立ち尽くしていたが、涙をぬぐい、無理やり口元に笑みを浮かべた。

マモン「・・・わかった。慧を必ず連れてくるからよ、それまで死ぬんじゃねえぞ!!」
ルシファー「ああ、お前に少し、命預けておくぜ!!」
マモン「任せろ!!!」

そして一気に走り出した。
涙が止まらなく流れていく。この大好きな兄貴が、自分のことを気遣って心配し、温かく見守ってくれていた兄貴が・・・・もうすぐ死ぬ。
消えてしまう。
例え、勝っても負けても・・・。
それでも・・・・前向きに何事にも挑んでいく兄貴を止められない。突き進みすぎて、確実に死に向かっているのに、最後まで信念を貫く姿勢を邪魔することなどできない。
それが悲しすぎて胸を締め付ける。

マモン「・・・・兄貴・・・・!!兄貴・・・兄貴・・・・兄貴・・・・本当は・・・死んでほしくなんてねぇよ・・・・兄貴・・・・・!!!」


ルシファーも自分の首の金色に光る宝石を見て、少し痛みを感じる。

ルシファー「・・・すまねぇな、いつもわがまま言っちまってよ。マモン。お前との約束くらいは守るからよ・・・・絶対死ぬかバカ!!!!」

槍を振り回し、襲いくるイマジンを切りつけ、なぎ払い、吹き飛ばす!!

ルシファー「オラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」


その頃・・・。
慧「マモンさんからのメールだと、場所はこの辺りだ・・・!!」

慧がたどり着いた中央公園の噴水広場。
そこにちょうどマモンもたどり着いていた。

慧「マモンさん!!」
マモン「慧!!間に合ったぜ・・!!」

マモンが慧に携帯端末装置を手渡す。
慧「これは・・・?」
マモン「エメラルドとガーネットが万が一の場合を考えて作っていたらしいんだ。これは、ヒュプノスによって消された時間を復元することができる!!」

慧「つまり・・・ルーベットたちも!!」
マモン「やってみねぇとなんとも・・・・!!」

そのときだった。

「そんなことさせないよ、せっかくのゲーム、台無しにしないでよ」

そういって、智が不機嫌そうな顔つきでやってきていた。
階段を上りながら、その姿をスフィンクスレジェンドルガの姿に変えていく。

スフィンクス「つくづく邪魔するなんて・・・嫌な奴らだなあ!!」

慧「智・・・!!」
マモン「慧、そいつをバックルに装着するんだ!!」
慧「・・・こう?」

慧がバルキリーベルトのバックル部分を取り外して装置を装着する。

すると、装置が輝きだし、12色の光が飛び出し、線路となってどこかへと続いていく。
慧「何?どうなるの?」

ムーン「この気配は・・・!!」
マラカイト「うまくいったようですわ!!」
パール「あれやるの!あれやるんだね!?」
アクアマリン「行きましょう!!チャンスですわ!!」
ダイヤ「ああ、姫、今参ります!!」
ガーネット「行くぜ!!」

すると、ムーンがトンファーの姿に、アクアマリンがトライデントに、ガーネットがロッドに、ダイヤがセイバーに、パールがアローの形態に変わり、マラカイトが緑色の光となる。

そして、その光が慧のもとにやってきて、マラカイトが憑依し、装置が光りだすと5つの光が一つになり、武器が見る見る一つの巨大な大剣となっていく!!
トンファーが鍔となって弓に装着し、弓矢に三叉槍を突き刺し、それを柄のようにつかみ、ロッドが反対側につき、剣が最後に装着して大剣「バルキリーセイバー」へと変身する。
それをつかむと、今度はベルトから金色の光が飛び出し、線路のようになり、そこへと赤、青、黄色、緑色、紫色、橙色の光が宿り、装置の画面に12個の紋章が浮かび上がる!!

慧「今度は何!?」

その時だ。

「なななななななななななな、何がいきなりどうなっているんですぞぉおおおおおおおお!?」
「ここ最近の記憶がよく覚えてないのだが・・・何があったんだ!?」

慧「・・ルーベット?トパーズ?」

「何だかギューギューなんですけど!!つーか、何だよ、これは!!満員電車じゃあるまいし!!!」
「えー、でも、可愛い女の子と押し競饅頭なんて、イチャコラ、チュッチュッなんて、実にすばらしい展開じゃないか」

慧「エメラルド!!サファイアさん!!」

「・・・どうやら・・・また何かあったみたいだな?」
「さて、これからどうすればいいのかしら?」

慧「琥珀さん・・・アメジストも・・・!!」

慧の目に涙が浮かび、流れ落ちる。二度と会えないと思っていた仲間たちが帰ってきた。

ダイヤ「姫、今こそわれらの力を発揮するとき!!」
ルーベット「どうするんですか?」
パール「12人全員でいっせいに合体するの!!」
マラカイト「そのための装置と武器ですわ」
サファイア「いつの間にそんなの作っていたの?」
ムーン「お前らがバカやっているとき」
アメジスト「12体一気に憑依とはね・・・・慧、いけるの?」
琥珀「うちらもサポートするぜ!!」

慧「・・・みんな、いくよっ!!」

端末装置にパスを通す!!

「phoenix form」

虹色の光が飛び出し、やがて線路にVライナーが出てくる。しかし虹色の光がVライナーを包み込むと、巨大な翼を広げた極彩色の光を放つ鳥のような姿となった!!

慧「・・・な・・・なんじゃいありゃああああああああああああああっ!?」

慧が絶叫するのも無理はない。全長72m、全幅80mほどの巨大な鳥が迫ってきているのだから。そしてそれは慧の体をすり抜けるように走っていく。

すると、慧の姿が見る見る12個の宝石が装着されていき、最後に赤色の鳥の仮面が装着し、マスクが展開されると、12色の翼が開き、側面に装着される。

慧「・・・こうなったら、ヤケクソで変身だああああああああああああああっ!!」

そして大剣を振り上げると光が晴れ、不死鳥をイメージしたかのような戦士、フェニックスフォームが誕生した!!!

Phバルキリー「・・・・・本当に合体しちゃった!!」
スフィンクス「12体同時合体・・・ですって!?そんなデタラメ・・・信じるかよっ!!」
Phバルキリー「確かにすごいデタラメ・・・・でも現実だコノヤローっ!!」

大剣を振り上げて、襲い来るスフィンクスレジェンドルガの攻撃をかわすと、蹴りを放ち、スフィンクスレジェンドルガを軽くいなす。そして、大剣を振り回そうとするが・・・。

Phバルキリー「お・・・重い~~!!!!?おろろろろろろ~!!!?」

超重量級の大剣のせいか、逆に自分の体が振り回されて空振りして地面に座り込んでしまう。
ルーベット「慧殿っ、大丈夫ですか!?」
トパーズ「エネルギーの流れがうまくいっていないのか?」
サファイア「12人分だからね・・・」
エメラルド「お姉ちゃん。集中して!!」
琥珀「お前ならできる!!全員でサポートするんだ!!」
アメジスト「OK」

マラカイト「このまま、一気に決めますわよ!!」
パール「やっちゃえやっちゃえ!!」
ムーン「しくじるなよっ!!」
アクアマリン「主よ・・・お導きください!!」
ガーネット「よしっ、行けるぜ!!」
ダイヤ「時の運行の守護司りし不死鳥の騎士・・・フェニックスフォーム、ここに光臨!!」

慧「うんそうだよね、皆で一緒に乗り越えてみせる!!!」

そしてもう一度立ち上がる。

琥珀「慧は剣を構えていろ!!うちらは6人がアーマーから慧を支えて、残り6人は剣にエネルギーを注ぎ込め!!これでバランスがよくなるはずだ!!」

琥珀の指示に全員が従い、エネルギーがアーマーと剣に宿ると、フェニックスフォームが起き上がり、剣を構える。

慧(うん、これなら動ける!!)

スフィンクス「ふざけんな・・・・!!ここで終わりにしてやる!!」
スフィンクスレジェンドルガが杖を構えて巨大な炎の玉を召喚し、フェニックスフォームに向ける。

Phバルキリー「こっちも行くぞぉおおおおおおおおおおおおっ!!(つーか、長丁場になったら身体がもうもたない!!)皆!!一気に決めるよ!!」

そして、パスを通すと、装置が虹色の光を放ちだし、警告音が鳴り出す!!
そして、虹色の光で止まると、不死鳥の紋章が浮かび上がり、剣に宿る!!

そして、金色の線路が敷き詰められ、それがスフィンクスレジェンドルガを捕らえた。

スフィンクス「何!?う、動けないよ!!」

そして走ってきたVライナーのシルエットとともに、線路に乗り込むと一気に走り出し、剣を振りかぶる!!

Phバルキリー「スターライト・フォトン・ブレイカァアアアアアアアアアッ!!!」

バルキリーソードに、全12人の契約イマジンのパワーを開放することで、周りに『魔力』を放出し、刀身に光(魔力)の粒子を一点に集中・収束し纏わせ圧縮し、敵に光速レベルで時間・空間すらまとめて『敵』ごと切り払う『スターライト・フォトン・ブレイカー』を解き放つ。

スフィンクス「え・・・うわ・・・きゃあああああああああああああああああっ!!!」

一気に放たれた極彩色の不死鳥の一撃にスフィンクスレジェンドルガが吹き飛び、智の姿に戻っていく。
全身がもはやボロボロで立つのもやっとといった様子である。

Phバルキリー「はあ・・・はあ・・・・・はあ・・・」

智「ちくしょう・・・・嘘だ・・・・こんなの嘘に・・・決まってる・・・・ボクが負けるわけないじゃない・・・どうして・・・何よこれ・・!?」

しかし力なく横たわる。
その時だった。

「そこまででしたか・・・。まあいいでしょう、そろそろ貴方にも用済みと思っていたところです」

どこからか声が聞こえてきた。智の脳の中に直接聞こえてくる。

智「・・・ビショップ?どういうこと?」
「文字通りの意味ですよ。もうすぐヒュプノスが動き出す。しかし、そのためには莫大な生命エネルギーが必要なのです。そして・・・貴方には生贄になっていただきましょう」

その瞬間、智の顔色が変わった。
恐怖で目が見開かれ、血の気がうせていく。

そのときだ。

そして異変は空から始まった。空は分厚い黒雲が青い空を闇へと染めていく。大地が枯れ果て水が茶色く濁っていく。そして、魔方陣が浮かび上がり、そこから、むくりと何かが地面から出てきた。
巨大な小山を思わせるような巨大な体躯・・・。
人型を思わせる上半身と・・そこから蛇腹のように伸びた腰から下はまるで獣のような巨大な四肢があり、鋭い爪が生え、至る所に棘が生えている。

Ph慧「これが・・・・ヒュプノス・・・!?」
あまりにも巨大な敵の姿に慧は絶句する。

そして、ヒュプノスの胸の部分が開き、無数の血管のようなパイプが飛び出し、智に向かって放たれ、縛り付けられていく。

智「なっ、やめろ、やめてよっ!!!!何するんだよっ!!!嫌だ、そんなのヤダッ、ボクはボクのままでいた・・・・・」

スボッ・・!!

智「おごっ!!!」

頭部にケーブルが突き刺さり、ボコボコと波打ちながら全身の内部に何か液体のようなものが流し込まれていく。智が白目をむき、口をだらしなく開けたまま倒れこみ、そのまま動かなくなった智が胸部の中へと押し込められる。

すると、ヒュプノスの瞳が赤く光りだし、天に向かって高々と巨大なうなり声を上げた。
そのうなり声は地面を揺らし、空気をも震わせる。
生体ユニットである智を取り込み、完全に復活したようだ。


ビショップ「ふふっ・・・・もはや止められませんよ。この世界ももうじき崩壊する、さてと・・・そろそろおいとまするとしますか・・・」

そういって、片目を失い流血を手で押さえ、ボロボロになりながらもビショップが光の扉を開き、その中へと消えていった・・・。

最強最悪の魔人がゆらりと動き出した。このまま行けば、確実にこの世界の時間を破壊するだろう。フェニックスフォームはバルキリーソードを握り締めて決意を決めたようにいう。

Phバルキリー「・・・・・ヤバすぎる展開でしょ、これは。でもやるしかないな!!皆行くよ!!!あんなデカブツ、一気に片付けてやる!!」

「了解!!」

12人の声が聞こえて、フェニックスフォームが背中のウイングから虹色の炎を吹き出すと翼のようにひろがり、一気に飛び出した!!

続く
,さて!!
いよいよ登場しました最終形態「フェニックスフォーム」!エメラルドたちが開発した端末装置「クライマックスドライバー」と5つの武器が合体してできた合体剣「バルキリーソード」を使って変身!!12体すべての能力を使用することができます!

そしてついに智が退場、ビショップによってヒュプノスの生体ユニットとなってさらにヒュプノスが復活を遂げてしまいます。ビショップも片目を失う大怪我をしてもなお、逃げ延びることに成功しました。このいきさつが今後のストーリーの展開につながるか・・・頑張って書いていきたいと思います。

そして、烈様、黒様。
以前より投稿いただいた「次世代型ライダー」ですが、次回の作品「仮面ライダーヘブン」よりぜひ使わせていただけませんでしょうか?設定はまた後日投稿いたします!!

>@PF様
でもそうならマモンが持ってるデータも改変されて消えてるはずじゃ?

そもそもヒュプノスの起こした時間の改変はあくまでデタラメの時間を操る技なので、その時を正しく運行させることができ、慧の記憶さえあるなら、この装置は特異点の記憶を忠実に再現します。

>でもセブンズヘブンの皆様も、常識のじの字持ってるか怪しい方何人か居ましたよねw
まあ確かに・・・。
アスモとかルシファーとかね・・・。
書いていて確かにと納得しました。

>烈様
ビショップ
ビショップに関しては長年の間チェックメイト・フォーでありながらいくつもの部族を滅ぼし、ファンガイア一族のために非道なことをやってきており、いつしか、自分の役目に誇りを感じすぎて傲慢となってしまったため、表面は物腰柔らかいですが実は自分以外の存在は見下しています。

>暁&クリス&クロキバ
書かせていただき本当にありがとうございます!!「バルキリー」の次回作品「ヘブン」でもお世話になるかもしれません。そのときはよろしくお願いいたします!!

次回ついにヒュプノスとの決戦です!!
応援よろしくお願いいたします。
,#000000,./bg_f.gif,124x38x190x82.ap124.ftth.ucom.ne.jp,0 2010年08月12日(木) 09時54分28秒,20100809191812,20100815095428,IzRTrunfgT2/.,仮面ライダーセレナ第壱拾七話中編「最低の進化/最凶の刃(但し脆い)」,@PF,,, コレまでの仮面ライダーセレナは


 変態を殴りに行こう


***








「さて、結局こんなポジションに落ち着いた訳だけど」
『まぁ、適任ですかね、確かにマスターの貧弱ボディでは寄ってくる物も寄ってこないでしょうし』

 さて現在、夜の道を、私はこそこそと脇道に隠れながら先を行く女性――クロの後をつけていた。

「でもコレじゃ誰が変態か分からないね…」
『端から見ればマスターが逮捕されるべき人種に見えるのは否定しませんが』
「はぁ〜…まぁ良いや、セレナ、何か感知できた?」
『いえ、今のところクロ以外の熱源反応は殆ど感知できていません』
「殆ど?」
『夜とは言えココは町の近くですから、遠くの人達の反応がキャッチできてしまうんですよ。特に“この姿”だと』

 そう、何を隠そう、現在の私の姿は“仮面ライダーセレナ・ディストモード”なのであった。


 この作戦、「クロを囮にして変態を誘き寄せ、私が成敗する」と言うプランには、一つ前提条件があった。
 それは当たり前だが、相手が行動を起こすまで尾行役である私の存在を隠す事。でも残念な事に、私もクロも手軽に姿を隠す能力は持っていなかった。私は悩んだ、もの凄く悩んだ。そして遂に思いついた
 逆転の発想「見つかる前に見付ける」と言う事である。
 ディストモードの感知能力なら、並大抵の相手や通行人なら見つかる前に見付ける事が出来るし、感知範囲内に入れば狙撃も出来る。
 何より万が一目撃されても、私自身の姿は見られずに済むので、“仮面ライダーセレナ”としてはともかく“赤坂鷹音”としての生活は守られる訳だ。

(でも見つかればこの姿の私はコスプレイヤーの上にストーカーで更に無免許運転の三重苦…)

 問題として、ディストモードは機動力が一番低くて、一般人のそれに毛が生え…ているかすら怪しい程度、下手すれば変身してない私でも全速力で走れば追い抜けてしまいかねない程だって事。
 しかしこの作戦に求められるのは足の速さじゃない。クロを追う事が出来ればそこら辺はどうでも良いし、クロも役目は理解しているはずだから普通の人レベルの速さで歩くだけの筈だ。

 とまぁ、そんな風にすべき事に思いを馳せつつクロに視線を戻す。同時に第六感含めた他の感覚の網も最大限尖らせる。

「しっかしまぁ…変わるモンだねぇ」
『…何がですか?』
「いや、クロがだよ。確か話によると外見を成長させただけなんだよね?」
『ええ、前の姿もある程度アイツの趣味が入るとは言え、顔とかその他の細かい基本的な部分はクロの素質に依存していたらしいですから』
「っつー事はクロは成長したらあんなになるってことだよね…(胸とか)」

 基本的にアホっぽい言動とは裏腹な今の外見は、全体的にどう見積もってもカワイイか美人に分類されるであろう。服装は何時ものゴスロリじゃなくてカジュアルな物だ。流石にあの背格好の女の人が子な時間にゴスロリ着て徘徊しているのは痛いと言うか怪しいのでこんな感じに相成ったらしい。
 因みに何時もの服装は戦闘態としての外装その物、則ち表皮であり、ぶっちゃけアレで全裸みたいな物だったらしい、いやらしい…。そもそも改造人間は戦闘態になると須く全裸になる訳で…。
 話が逸れたけど、今回は作戦の都合上、外見を普通の人間に近づけた上で普通に服を着せるようにしたわけだ。

 まぁ、そこら辺は良い。問題は別。
 巨乳とは言わない、しかし決して貧しくは無いその胸サイズは、多少なりとも私の心をざわつかせるのには十分であった。うぎぎ、私も改造されなければ今頃ぉおぉぉぉオオ……

『……マスター、クロはカラスですよ?』

 そう、私が幼児体型なのは改造されたからであるッ!間違いない、自分の事は自分が一番分かってる(キリッ

『ふぅ…?…!マスター!』
「くそっ、私の未来を返s、ん?」
『上空にキメラ反応感知、一気に下降してきます!』
「上か!」

 空を飛ぶタイプか!だけど直ぐには出ない。降りてきているって事は私のは気付いていないか、少なくとも逃げるべき相手じゃないと思っているんだろう。ならコッチの手が届くところまで引きつける。

“ドっ”

 重い物が落ちた様な音が聞こえた。音の方角と聞こえ方から察するに、少し離れたところに着地したらしい。


『お嬢さぁん』
『うぉっ?』


 しばらくして黒の前に誰かが現れて声を掛けてきた。クロもイキナリのことにややビビっているらしい。

(来た!)


『うん?アンタ誰?』
『ちょぉっと見て欲しい物が有るんですよぉ』


 ヘッドギアが離れた所の会話を拾って伝えてくれる。それを聞きつつ塀の影からクロの方を覗くと、クロの前に大きな黒い影が立ち塞がって居た。

「(アレが噂の変態かな?)」
『(まぁ、噂の相手でなくてもこんなタイミングで現れるキメラが堅気なはずはありませんが)』

 確かにそうだ……それって私達も似た様な物じゃ…?

 音を立てない様にそっと左腰のスティンガンを手に取る。出来ればディスとジェミニに変化させておきたいけど、音はともかく光はこんな夜中に目立ちすぎる。
 妥協していつでもブレイガンモードに変形させられる様に構えつつ、観察を続ける事にした。

『むむ…ボクに何を見せる気?』
『なんとぉ、この見た目でボクっ娘とは、素っ晴らしい!』

 2.5Mは有りそうなずんぐりとした身体と、それに反してそれほど太くない腕。
 暗くて身体がよく見えないのかと思ったけど、どうやら身体その物が黒くて闇に溶け込んでいる様だ。そして光源が少ないせいで分かり難いが、その体には光沢がある。

『おっとっとぉ、そんな事はどうでも良いんですよぉ』
『?』
『うっふっふ、何、ちょぉっと見て貰えれば良いんですよぉ』

 そう言って影はクロに向かって踏み出した。頭がアレなクロもさすがに不気味だと思ったのか後ずさりするけど、数歩下がったところでピクッと震えて足を止めてしまった。

(……)

『数年の修行によって身につけたこの姿、その目に焼き付けて下さいよぉ』

 そう言った影は、力を溜める様にプルプルと震え始めた。

『い、一体何を…』


『フゥ――――――ハァ――――――――…キャストオフッ!!“バァ―――-ン!”』


 何が弾け飛ぶ様な効果音と共に影の一部――下半身が弾け飛び、中から正に脱皮(キャストオフ)するが如く中から何かが飛び出し――――

「…………………………(プツン)」
『しまった、フィルターが一瞬遅かったか!』

 次の瞬間、私は即座に己の感覚を最大限にまで研ぎ澄ませて彼我の位置や回りの条件を確認、それを元にすべき動きを頭の中で組み立てる。
 間髪入れずスティンガンをブレイガンモードに変形させつつ、一瞬前に組み立てた行動予定と寸分違わない位置に身体をスライド。

『鷹音s』
『な、何だおm』

 同時に変形し終わっていたブレイガンの銃口を、セレナが当てたモザイクのど真ん中に向けてノータイムで引き金を引いた。

「aん!?」
「aえは“バンッ!”!!???!!`*¥^#EW”>$%&O!!!???―――――オウフ」

 そして影はバタン!と倒れると、ビクンビクンと痙攣し始める。

「……ふぅ……………ハッ!」
『賢者タイムからお帰りなさい、マスター』

 賢者…なんだって?いやいやソレはともかく

「く、クロ!大丈夫だった!?変な事されなかった!!?」
「い、いや、ボクも何が何だか…」

 そこで未だビクンビクンしている奴に目を向けた。

「女にはぁ…分からぬぅ……この痛みぃぃぃぃ…」


 その姿は一言で言えば甲虫と人間を掛け合わせた様な姿だった。
 ずんぐりとした黒いコガネムシの様な(スカラベって言うのかな?)甲殻を纏った人間、簡単に言えばそんなイメージ
 ………上半身はね。

「ちょ、ちょっとどう言うことよコレ!何で…何で」

 え?下半身はどうだって?それはさ…

「何で下半身生身(モザイク着き)なのさァ―――!!!?」
「何かボクの前で力みだしたらイキナリ“ばーん!”って」
「そう言う事じゃなくてね!」

 そうつまり、今私の前でビクビクしているコレを形容した「甲虫と人間を掛け合わせた様な姿」って言うのは「甲虫の上半身と人間の下半身を合わせた様な姿」と言うことだったのだ。
 そんな格好を晒して悦ぶか、変態め!

「ぐ……ぐぐうぅ…そ、そ、そこなボクっ娘よ…お前、仮面ライダーとグルだったのか…」
「え?うん、そうだよ」
「畜生騙された!純情を弄ばれた!」

 それは痴漢が言って良いセリフじゃないと思う。

「イキナリ男のプレシャスを銃撃とか、キメラじゃなかったら潰れてたぞ、何がとは言わんが!!」
「そう言えば穴開いてないね、容赦なく撃った筈なんだけど」

 ふと疑問に思って手にしたブレイガンを見る。

『相手が只の人間だった可能性も有ったので、対人用ショックスタン弾に切り替えてありましたから。
 まぁ、それでも一般人が食らえば不能と言うか女になってたでしょうが』

 不能って何だろう?
 そんな疑問を胸に、ベルトを操作してデフォルトに戻っておく。この距離で対敵した以上、機動力がないディストモードは不利だ。

「何を一人でごちゃごちゃ喋ってピカピカ光ってやがるぅ…」

 そう言う変態――はあんまりなのでスカラベファクターと呼んであげよう――の震えは大分治まり、その下半身がパキリパキリと音を立てながら少しずつ黒い甲殻に覆われて行く。でもダメージのせいかその速さは普通の改造人間に比べてかなり遅い。

「クロ、やるよ、準備は良い?」
「おっけ、鷹音さん!」

 何にせよ、相手の準備が整いつつ有るのには違いないので、油断無くスティンガンを構えながらクロに戦闘準備をする様に促した。

「ふんぬっ!“バリィッ”…あーきつかった」

 クロの着ていたシャツが内側から突き破られる様に破れて、中に押し込められていたらしい黒い翼がバサリと音を立てて開かれる。
 下に着ていたのは黒いタンクトップだった。
 いきなり服を破ったのに驚いた私だったけど、それ以上に驚いたのはスカラベファクターだったらしい。

「なっ、そのボクっ娘はキメラだったのか!?俺は…一から十まで騙されていたと言うのか…っ」

 さっきまでとは違う口調で、血を吐く様な怨嗟の声を上げながら立ち上がるスカラベファクター。その足は生まれたての子鹿の用にガクガクと震えていた。
 コッチの喋り方が本性なのか。

「黙りなさいよ、この変態が!サッサと片付k『マスター、その前に確認したいことが』へ?」
『先程の、上半身だけ戦闘態になっていた姿、あんな事が出来るキメラは今まで居ませんでした。そこの所をちょっと聞いて貰えませんか?』
「そんなの答えるかな…まぁいいや、分かったよ。
 …ちょっとアンタ!」
「な、何だ!?」

 銃口を向けつつちょっと声を荒げて声を掛けると、スカラベファクターは股間を押さえて縮こまる。
 トラウマになったらしい。

「さっきの、下半身だけ変身解いてたヤツ、アレ何?」
「は?」
「さっき、下半身露出してたアレ、何って聞いてるの!」
「……フン、その事か」

 そう言うと、スカラベファクターはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに得意げに胸を張ってきた、内股だけど。

「キメラになれば、元の人間としての顔は勿論、体格も変わるだろう?」

「そうだね」

「洗脳を解かれ、施設から出た俺はある時ふと思った」

「ふんふん」

「顔を隠すサングラスやマスクや覆面を身につけなくとも、体格を隠す様なブカブカのコートを着なくとも、思った部分の変身を解ければ、キメラの姿はこれ以上ない“覆面”になるのではないか、とな」

「へー……」

「構想3日!修行期間実に20ヶ月以上!!」

「20ヶ月!?」

「その末に遂に俺はやり遂げたのだ!そう、女の子に下半身を晒す、ただその為だけにだァ!!」

「最低だァ!!?」
「ハァーッハッハッハッハァ!これも俺の才能と努力の成せるワザさぁ!」

 感極まった様に叫ぶスカラベファクターに、私は思わず頭を抱えてしまった。

「どうしよう、聞かなきゃ良かった!」
『奇遇ですね、私も同じ気持ちです』

 そう答えるセレナの声も、心なしか疲れている様に聞こえた。

「鷹音さん、大丈夫?」
「もうヤダ、帰りたい…」
『認めたくはないですが…恐らく彼もエレメントシリーズと同じく進化したキメラである可能性があります。
 実現までに20ヶ月…恐らく普通のキメラがやり方を教わった所で出来る様な技能ではない筈です。体内のナノマシンか或いは彼の身体その物が、強い意志に反応して変化したのでしょう』

 ますます頭が痛くなってきた。あんな理由の為だけに進化するとかどんだけー。
 改造人間の見たくもない可能性を見てしまったよ、畜生…。

「鷹音さん、きっとその内良い事有るよ?」
「その気遣いは余計に痛い…」
「あのー、何を落ち込んでいるか分からないけどさ」
「何さ」
「俺逃げて良い?腰痛いし」
「ッ逃がすかこの変態がァ――――!!」
「うおっ!えと…に、にがすかー!」

 静から動、鬱モードから一気に暴徒さながらにヒートアップ、もはや自分で自分がよく分からない感じに成りながら私はレイピアモードのスティンガンでスカラベファクターに斬り掛かる。
 その後を追う様に、クロも短剣を出して攻撃を仕掛けていた。

『たかね は こんらんしている!』

 セレナ、五月蝿い!

「せやっ!」
「うわああっ!!」

 一気に数歩の距離まで接近すると、私の剣幕にビビっているらしいスカラベファクターの肩口に向けて思い切りスティンガンを振り下ろした。そして刃がその甲殻に打ち込まれ――

“ガキィンッ”
「んなぁ!?」

 それは至極アッサリ弾き返された。阻まれたのではなく、弾かれた。
 危うく体勢を崩しそうになるのを、その勢いに身体を着いてかせる様にして後ろに下がることで何とか持ち堪える。
 そこへ遅れて飛んできた黒い短剣がスカラベファクターに命中した物の、全て甲高い音を立てて弾かれていた。

「か、硬った〜〜〜」
「な、何だ、効かないじゃないか、ふぅ……へ、へへへへははははははあっはははははは!!
 どぉーした仮面ライダーぁ、その程度k「起爆っ!」“ドドドドドドドドドドドォン!!!”」

 クロの号令と共に落ちていた短剣は一斉に爆発、笑っていたスカラベファクターの姿は爆炎に飲まれて見えなくなった。

「やるじゃん」
「え、えへへへ…やったかな?」
「多分まだだよ、でも少しはダメージが…」

 やがて煙が散って、中から黒い影が見えてくる。

「……び、びびびびびっくりしたぁぁぁぁぁ。嫌な汗かいたぞコノヤロウ!」

 するとそこに居たのは、土埃で汚れている物の、焦げ目どころか掠り傷すら無いスカラベファクターの甲殻だった。

「き、効いてない!」
「ちっ!」
『クラッシュモード…トランスフォーム:クラッシュハンマー』

 狼狽えるクロの尻目に、私はバックルとスティンガンを操作してクラッシュモードに変身、金属製のけん玉の先に着いた鉄球のロックを外して、やや殺意を込めてそのどたまに思い切り振り飛ばした。

「おりゃっ!」
“ガィン”

 それもスカラベファクターの頭部に命中すると、傷一つ着けられずにアッサリ弾き返される。
 それでもスカラベファクターをビビらせるのには成功したらしく、頭を押さえて固まっているヤツに向けて、チェーンを巻き取って鉄球を回収しつつ接近し、鉄球が命中した辺りにハンマーを振り下ろした。

“ガィンッ!”「くっ!」

 さっきより大きな音が立った物の、それですら弾かれる。
 流石に衝撃位は伝わると踏んだのに、むしろ跳ね返ってきた衝撃で後ろに体制が崩れてしまった。

「効っかねえよぉ―――!!」
「っ!」
「鷹音さん!」

 姿勢を崩してしまった所に打ち込まれるパンチ。ヤバイ、完全に死に体だ!

「しまっ“ガン”…?」

 しかしてその拳は、鈍い音を立ててその拳はあっさりクラッシュモードの装甲に阻まれた。

……
………
……あまり…と言うか全く痛くない。

「「「……」」」

 一応バランスは崩したまま立て直せなかったので尻餅をついてしまう。
 そして路面に腰を掛けたまま私は一言

「………弱っ」

 思わず本音が出てしまった。

「弱いって言うなぁ!」

 どうやら所詮は痴漢だったらしい。攻撃にスピードも重さもない。
 見た目はパワー有りそうなんだけど、とんだ貧弱ボーヤだ。
 いやだって今までの相手って、クラッシュモードの装甲の上からダメージ与えてくる奴等ばっかだったんだもん。高パワー重装甲がウリなのに!

『進化と言っても戦闘には全く意味のない方向性ですからねぇ』

 そりゃそうだ。でも――

「そ、そっちの攻撃だって効かねぇんだからな!」
「そうだよ鷹音さん!ど、どうしよう…」

 その通り。コッチの攻撃は弾かれる。でもアッチの攻撃は弱すぎる。
 つまりどっちも効かない。これは…

『…何と言うgdgd展開』
「私の言葉を先取りするな。って言うかそれを何とかするのが私達の仕事でしょ」
『うーん、どうやら衝撃に耐えていると言うよりは弾き返してしまっている感じですね。
 クラブファクターの甲殻とは根本的に別物のようです…。最早バリアに近いかも知れません。
 一応可動範囲の関係から、腹部の部分に大きめな隙間があるようです…が』
「が?」
『目標は前傾姿勢を取っていて、隙間が狭まっています。恐らくマスターがアレを撃った事で、警戒しているのでしょう。男性の取っては非常に重要な部位のようですし』

 言われてスカラベファクター見ると、猫背でこっちに向かって構えている。
 それでも逃げないのは、コッチの攻撃が効かないと分かった故の余裕か、私達に背中を向けたくないというプライドか。

「……」

 私は少しだけ考えると、クラッシュハンマーの柄から紫色のスティックを引き抜き、ボックスから代わりに赤色の物を取り出した。

『ソレを使うんですか…』
「うん、説明書通りなら、これは確実に効くはずだよ」

 幸いと言うか何と言うか、出がけに追加された装備がまさしくこの状況におあつらえ向きだった。
 出来れば使わずに済ましたかったけどね…そう思いながらスティックをスティンガンに差し込んだ。

『トランスフォーム:ガイストリッパー』

 出てきたのは「く」の字を重ね合わせた様な形をした紅色の刃。中身をくり抜かれた縁取りだけのブーメランのような形をしたソレの中には、芯を入れる様に黒い柄が通っている。
 記号で表すと
>>>
 こんな感じだろうか。勿論もっと上下に長いけど。

「ふん、それがどんな武器だろうと、そう簡単に俺の身体に効く訳がないな」
「それは食らってみてのお楽しみ」
「うぅっ…」

 スカラベファクターは、淀みなく踏み出した私の様子に嫌な予感を感じたのか、後ずさり始めた。

「クロ、逃げ道を塞いで」
「あいさー!」

 そうして喜び勇んだクロがバサリと翼を広げ、私達の上を飛び越してスカラベファクターの後ろを塞ぐ。

「逃がさない!(やっと役に立てる!)」
「うっ、くそぉ!」
「残念、もう届く」
「!」

 クラッシュモードは比較的鈍足ではあるけど、ディストモードと違って流石に一般人よりは早く走る事が出来る。その上、今は縮んでいるせいでパワーは弱いけど動きがかなり軽い。2,3秒でも時間があれば距離を詰める事も難しくはないのだ。

 まぁ、そんな注釈は置いといて、クロスレンジ(って言うと格好良くない?)に踏み込んだ私は、紅い刃を目の前の黒い甲殻に向かって水平に振り抜いた。

「うっ!?」
(うわ、これは…)

 紅い軌跡は、音もなくアッサリ黒い甲殻に食い込んで、振り抜いた後に残ったのは黒い甲殻に刻まれた裂け目と、豆腐でも切った様な酷く頼りない手応えだけ。予想以上の切れ味だ。 
 あの時私はこんな物で切られた(・・・・・・・・・)んだなぁ。

「ひぃ!」

 そんな思いがよぎりつつ返す刀で斜めに斬りつけた。




『ガイストリッパーについて説明しよう!面倒なら飛ばしてくれ!

 単分子カッター…それがこのガイストリッパーの正体である。
 意味合いとしては、最端が分子一個分の厚みしかない異常な鋭さの刃の事を指す。
 これほどの鋭さだと、如何に密度が高く結びつきの硬い物体だろうと分子間に確実に存在する隙間に刃先が滑り込んでしまい、ほぼ絶対と言って良い程の切断力を持つ様になる。
 早い話が、物理的な防御は無理だと取ってくれて良い。
 武器としてなら間違いなく最高最凶の部類に入るだろう。
 但し泣き所も多い。
 第一に刃先の薄さ故に非常に劣化しやすいと言う事。簡単に言えば直ぐ刃こぼれして仕舞うと言う事だ。薄いモノは脆い、当然の結果だな。下手をすれば紙より薄いのだからなおさらだ。恐らく普通に切るのに使っても劣化は免れない。
 第二にコレは色々意味を含むのだけれど、保存が難しい、と言う事。先の劣化しやすさもそうだが、鋭さ故に収納しているケースすらも容易く切ってしまいかねないと言う事もある。
 第三に扱いの危険さ。触れれば切れる。ソレを地で行く単分子カッターは、下手な扱いをすれば持ち手に対しても牙を剝く。もちろん鍔迫り合いなど以ての外だ。そもそも相手の鍔迫り合いの相手も容易く切るのだからな。
 第四、これは少々特殊な話だが、余りの鋭さ故に単分子カッターの斬撃は切断と言うよりも剥離や分離に近く、断面の結晶構造や細胞組織の破損が非常に少ない。変な言い方になるが、切れはしてもダメージが無いのだ。その為、モノによっては断面を繋ぎ直してしまえば再度結合してしまう事も大いに考えられる。斬り落とすのは容易いが、直すのも容易い。

 因みに仮面ライダーセレナが以前戦ったマンティスファクターの鎌も単分子カッターだた。と言うよりはそのデータを解析してセレナの武器にした物がガイストリッパーなのだがね。
 ガイストリッパーは、第一の欠点を修復機能で、第二の欠点を武装変換システムで必要な時だけ変化させる事で埋めている。第三と第四は…まぁ、自己責任だな、コレばかりは仕方無い。
 余談になるが、ガイストリッパーは劣化する端から修復して行く仕様になっていて、斬る度にエネルギーをガンガン喰うのだそうだ。最早ビームサーベルだな。ココまで出し渋っていたのはソレが理由だろう。

 実は、単分子カッターというのは幾つか定義が存在するらしいのだが、「ココではまぁ、こう言う物なのだな」と流して欲しい』



「フォルテ、いきなり何を喋ってんだ?」
『……むぅ、ちょっと電波が…ソレより主は足の火傷が治ってないのだからしっかり療養しろ。
 でなければ私も気を揉んでしまって仕方無い』
「畜生…コレがなければ鷹音ちゃんを危険な目に遭わせずにs『五月蝿いあんな小娘より主の方が万倍大事だ良いから横になっていろ頼むから』…あいよ」
『わかってくれて嬉しいよ。これ以上無理しされたら泣て居た所だ、三日三晩な』
「…お前、そんなキャラだったっけ?」





“べちゃッ”「「!」」

 三度目の斬撃、三角形を描く様に切れ目を描くはずだったソレは、左腕の方から響いたそんな音と共に止められていた。

「鷹音さん!」

 左腕が動かない…違う、何かに引っ張られている?

『マスター、後方に反応が!!』
「くぅっ」

 セレナの警告を意識する前に、私は左腕と両足に力を籠めて引き摺られない様に抵抗していた。

「まさかの共犯者…っての?」

 見れば左腕に赤みがかった紐状のガムみたいな物がひっついていた。振り向いてそのガム紐(?)の繋がる先を目で追って行くと、ひもは宙に浮いた赤い何かから生えてきていた。

「このっ!」

 次に反応したのはクロだった。クロは背中から羽根を2,3枚取り出して、ソレを持った手を振る。すると、そこにはいつもの短剣の代わりに黒い細身の長剣が現れ、それでガム紐(仮)に向かって斬り掛かった。
 それはマズイと思ったのか、ガム紐は私の腕から外れると一瞬で赤い物体に回収されて、その赤い物体も口が閉じる様にパクンと空間に消えてしまう。だけど、ソレと入れ替わる様に赤い物体が有った辺りの景色が揺らいで、何かが姿を現した。

「……ッケケケケ…おっかねぇおっかねぇ、まっさか仮面ライダーに見つかるとはよぉ。しかも何だかよく分からない女と一緒と来たもんだ」

 出てきたのは黄緑色の怪人。長めの腕にクルリと巻かれた尻尾、顔には角と特徴的なギョロ目が備わっている。一言で言うならその形は

「カメレオン?」
『角が生えているのでH(ホーンド)カメレオンファクターと言った所でしょうか』
「長いよー、ボクはHファクターって呼ぶね」

 面倒だから私もHファクターと呼ぼう。
 今まで姿を見えなくして潜んでいたのだろうか。となるとさっきの口が閉じる様に消えた赤い物体は、まさしく口だったって事か。

「で、出てくるのが遅いんだよ!見捨てられたかと思ったじゃないか!」
「ケケケ、わりぃわりぃ、出来りゃ一人で切り抜けて欲しかったからよぉ。
 ま、お前がパクられちまうと俺もやりにくいからな、俺も「先手必勝!」っぶね!」

 Hファクターの言葉が終わる前にクロが剣をヤツに向かって投げつける。
 しかしHファクターは素早くその場から飛び退いて、目標を失った剣は路面に落ちて

“ドゴンッ!!”

 火柱を上げて爆散した。

「おいおいマジ洒落にならねぇな、ソッチの姉ちゃんは」

 当の目標は、少し離れた電柱の上の方に張り付く様にして、コッチを見下ろしている。

「おい相棒、ソッチの黒い姉ちゃんは任せたぜ。コッチの白い仮面ライダーを俺がやるからよ」
「な、勝手に…」
「うっ……わあっ!」

 Hファクターはもう議論する気はないとばかりに私の方に飛び掛かり、その際に舌を伸ばしてクロをくっつけると、スカラベファクターの方に投げ飛ばしていた。

 そうして、私はHファクターと一対一で向かい合う格好になる。

「ケケケケケケ、こんばんは、こんな時間に子供が夜遊びとは感心しねぇなぁ」
「五月蝿いよ、痴漢にどうこう言われたくないし」
「ケケッ!そいつぁ失敬、んえぇっ!」
「うわっち!?あだっ!」

 いきなり伸びてきた舌に足を取られて引きずり倒される私…うう、格好悪い。

「ケケッ!ケケッ!ケケケケケケッ!!」

 笑うなよぉ!
 くそぅ、起きたらまたデフォルトに戻って“バキン”…は?

『ガイストリッパーが…』
「へ?」

 おそるおそる地に着いていた手を見る。
 そしてそこには「く」の字型の黒いグリップと、その周囲に……さっきまでガイストリッパーの刃が有った辺りに、代わりに紅い金属片が散らばっていた。

「………」
『と、とにかく一旦スティックを抜いてください』
「……うん」

 取り敢えず言われた通りにして、ガイストリッパー(だった物)をスティンガンに戻す。

「ケェ―――ケケケケケケケケッ!!」
「お前はさっきからソレばっかりだな!」
「う、うるせえ!こんなんキャラ作りに決まってんだろうが!!」
『なるほど』

 セレナ、感心せんで良い。

 確かに変身前の顔が見えない以上、身元を隠すのには有効かもだけど。そう考えたらマンティスファクターもそうだったのかなぁ?似た様な笑い方だったし。

『ニムブルモード、トランスフォーム:ニムブルクロウ』
「何にせよ、ココで倒して警察に突き出してやるから関係無いね!」

 クロウを構え、吶喊。
 さっきの身のこなしを見て、この程度なら機動力重視のニムブルモードなら対応できると踏んでの一手。

「ケケケッ、この俺のリビドーはまだまだ治まらねぇ、捕まって溜まるかよ!」
「何の…っ!?」

 避けようとするHファクター、ソレを追って軌道修正しようとした時、突然その姿がブレて、消えた。

「ケケケッ!ケケッ!ケハハハハハハァ!」
「くっ…どこに」
『戦闘区域から離脱はしていないようです。しかし近すぎるせいでスカラベファクターの反応に紛れて位置の探知は…』

 笑い声も刻一刻とその発信源を変えて、コッチに位置を掴ませない。
 拙いな、ついさっきコイツは何も無い所から姿を現したはずなのに、今の今までその事を忘れていた、これは若年性痴呆症と言われても反論できないレベルだ…

「こっちだぜぇ!」
「えっ…ぐはっ!?」

 声に反応してソッチの方を見た瞬間、背中に衝撃を受ける。

「ヒャァ―――ハァ――!!」
「うあああっ!!」

 次いで衝撃を受けた辺りを起点に思い切り後ろに引かれる。何とか背中の方を見ると、進路の先には電柱が――

「“ゴッ”っ!…づ…あっ」

 思い切り叩き付けられる。何かにヒビが入る様な音がして、私の全身に衝撃と激痛が走った。

(マズった…装甲の薄いニムブルモードだから…)

 そこで再び身体が引っ張られる。コイツ、私をもっかい叩き付けるつもりか。せめてモードを変えなきゃ…そう思っても、さっきの衝撃で身体が痺れて振り回されながらバックルを触るなんて出来そうもなかった。

『マスター!…モードリリース!』

 セレナの声と共に、触っても居ないのにバックルがカシャリと回転してアーマーが白い光と共にデフォルトに戻る。
 いつの間にそんな機能がとも思ったけど、よく考えたらクロが羽根を束ねて剣を作ったのも初めて見たし、これだけを気にしても仕方無い、何より今は助かった。

「っの…」

 今度は頭の方から迫る電柱に向かって、痺れを抑え込みながら左腕に装着されたままのクロウの手甲を盾にする様に構える。

「“ゴッ”…っ」

 今度は何とか衝撃を受け止める事に成功した。

(掴まえ…おわお)

 即座に背中に張り付いているはずのHファクターの舌を掴もうとすると、その瞬間に背中の違和感が消えて、私の体はズリズリと電柱に引っかかりながら落ちていった。

「うぅ…つつ…酷い目に遭った」
『ダメージ計測…戦闘機能に支障ナシ。修復はしておきます』
「ん」
「…ケッケケケケケ、どぉーだったよぉ仮面ライダぁー!俺プロデュースの空中ブランコ体験は」
「ふん、安全基準を見直した方が良いんじゃ無いの?訴えるよ」
「ケケケケッ、そいつは悪ぃなぁ、お詫びに次回以降も無料で味あわせてやるよ!」
『味あわせるは誤用ですね、味“わ”わせるが正解ですよ。気をつけましょう』
「内部スピーカーで言っても意味ないでしょ…」

 セレナの無意味な突っ込みに更に突っ込みながらも、周囲に気を張るのは忘れない。
 でもヤッパリHファクターの位置は掴めない。ディストモードの感覚増幅なら気配を掴めるかと思ったけど、思い出せば最初ディストモードだったのに姿を現すまで違和感すら感じなかったような相手に通用するのか不安で使う気になれなかった。
 クラッシュモードなら攻撃には耐えられるだろうけど捕らえる事も出来ないし、その気になったら逃げられてしまう。ストレイトモードも機動力って意味だとボチボチの物でしかない。


「ケケケケケーッ!!」


 突然響く笑い声。恐らく無駄だと感じつつも、その方向に意識を向けた、その時――






うぎゃ―――ッ!!、きゅう」





―――クロの悲鳴が、耳に届いた。



…To be Continued,ウヒヒ…ようやく書けたよ、@PFでございます。
最近…Wが面白くて仕方無いんです。
映画も楽しかった。本編もここ最近の盛り上がりは異常。
ちゃんと最後に有終の美を飾ってくれると嬉しいな。
しかしこのシリーズ書き始めた時はまだディケイドやってた時だったっけ…
もう一年以上経つんだなぁ。

さて今回の話ですが、ちょいと敵の動機のコンセプトを捻ってみました……変な方向に
そのせいで導入部がかなり無理矢理に成りましたがね
正直謝りたいレベルです。とは言え、この話は後に繋がるちょっと重要な話になるので、変える訳にも生きませんが
クロもさり気なく新能力をお披露目していますが、敵には効いていないという…
クロが微妙に役に立たないのは仕様です

あと、今回新武装のガイストリッパーが出ましたが、コレに対応するガイストモードも次回出します。
能力出来にはちょっとチート気味かな…
武器も本体も
まぁ、最終的には読んでくださる読者さんが判断する事でしょうけど



>せーらんさん

>カニ弟ェ・・・人のこと言えないだろww
>敵ながら健気な奴よ、あっぱれ。
ま、端から見た自分の姿なんて自分が一番分かりませんからなw
因みに裏設定ですが、彼等はキメラに成ったせいで、洗脳が解けて戻って来ても良心に拒絶されてしまったと言う過去があります。
だから姉弟で支え合っていたと言う塩梅です。
CCC団の目的に賛同したのは主に弟ですが、ソレも姉の為だったり。
姉の方は弟を一人でおいておけないから私が守る、って感じで一緒に居ます。

>やっぱり必殺技といったらキックですねー。
ライダーですから!

>フォルテは早く本調子で武装をフルに使いこなす姿が見てみたいです。
実は調整不良以外にも大きな制約がありまして、前回で戦えるのは当分先になりそうです。

>そして鷹音ちゃんは・・・早く背を伸ばそう!牛乳飲め!(ぉ
そう言う問題…かな?w

>8歳と9歳と10歳と、12歳と13歳との時も、僕はずっと待ってた!(ぉ
近くに居た仮面の男が実はおっかさんだったら普通引く
シュラウドも似てるね!

>トレハさん

>個人的には竜斗サン×博士なんてものを希望うwなにをすrやm(ry
竜「や、やめろォ―――――ッ」
フ『ああ、主はそう言う方面で色々トラウマがあるからな…。
  自分がライダー少女化されてイラスト投稿サイトに上げられていた時は一週間位落ち込んでいたな、ちょっとカワイイと思った性で余計に自己嫌悪だったらしい。
 おっと、誤解のない様に言って置くが、飽くまで仮面ライダーフォルテとして知られているのであって、麻倉竜斗の名や姿は公開されていない。流石にプライバシーだ』
竜「やめてくれ…」

>まあなんと言いますか、ハイテンション同士、ローテンション同士がうまい事組み合わされてマスナー。
>しかしながら鷹音ちゃんと違ってAさんが頭を使ってる気配が皆無なのが泣けてくるw
言い方を変えれば信頼しているのも言えるんですけどねーw

>これに加えて体色が赤で零距離射撃とかしてくれれば言うこと無しなんですが
この距離ならバリアは張れないな!

>なんと。我らが姉萌え派の希望(迷惑な呼称)フォルテさんが押され気味ではないですか。
>舌戦では
>妹>姉
>って感じなのでせうか
そうですね、その辺は性格の差ですかねぇ
フォルテは基本正直で実直ですから。
因みに両方とも巻奈のAIの記憶部分にフォーマット掛けた物をベースにしています。もっと言うなら学習する前に素の状態だと殆ど同じだったりするのですが…学習環境の違いでしょうか(笑)

>ひだりさん
ゴセイジャーはぽこじゃか安易に奇跡を起こさずにもっと暑くなって乗り越えるべきだと思う。
復活デレプタの時みたいにさ!

>あ、アホだっ!?
ええ、アホですともッ!

>全 俺 が 燃 え た !
>ひっっっっっっさしぶりのライダーキック!
>しかも回転してのファングストライザー式とは!脚に振り回されてるだけとは言ってはいけない!
>弱体化状態で通常フォームのキメ技……シチュは微妙に違いますが、クウガ中盤のグローイングキック連打を思い出しましタ。燃ゑ〜。
何だかんだで一話以来ですからね〜
マジ久しぶりすぎる…
今ままで新フォームのお披露目とかセレナ以外のキャラが戦ったりとかそんなんばっかだったしなぁ

>リアリストな意思と姉思いな意思の板挟みの蟹B。本調子ではないとは言え懸命にフォルテに食い下がる姿は敵ながらアッパレ……と言って良いのか。
まぁ、本来なら現状でもフォルテの方がかなり強いんですがね…流石にモチベーションと言うか戦いに賭ける思いの差がありますからね

>という言葉の通り、洗脳されて無い以上、何かしらの目的、意思を持って行動をしている訳ですから、容易な善悪の区別は出来ないですよね。
>かつての英雄たる竜斗氏はそれを痛い程理解してらっしゃる御様子で……
人間だとは知らなかったとは言え、何十人も殺してしまっていますから、その分も含めて彼はそう言う部分にかなりナイーブです。
あと、僅かにあるキメラとの“距離”のせいで、鷹音の様に“ただの犯罪者”と思い切る事も出来ないのですよ

こんなものでしょうか
では、後編も気が向きましたお付き合いお願いします

※題名と一部タグ修正,#000000,./bg_f.gif,i60-46-204-144.s11.a021.ap.plala.or.jp,1 2010年12月03日(金) 14時48分08秒,20100809111311,20101206144808,YyGSY0pcJTPdM,いけにえ,にせぽEX,,,いけにえ回,
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