「ううっ・・・・」

意識を取り戻した美和子は、突然自身を照らし出した強烈なサーチライトの光に
目が眩んだ。

「お目覚めかい、佐藤」

光の方向から勝俣の声が聞こえ、美和子は自らの身体の異変に気付いた。
両手に手錠をはめられて後ろ手に回され、両脚も金属製の足枷でつながれて床に
転がされていたのだ。
強烈なライトの逆光のせいでシルエットしか見えない勝俣に向かって叫んだ。

「こ・・・・ これはどういうことなのっ!」
「見りゃ分かるだろう。お前を拉致したんだよ」
「拉致って・・・・ あっ、た、高木君は、高木君はどうしたのよっ!」
「安心しろって、お前のすぐ後ろでまだ眠ってるよ」

勝俣が顎でしゃくった先を振り向くと、確かにそこに美和子同様に拘束され、
いまだ目を覚まさない高木の姿があった。
美和子ははっと気が付き、勝俣を睨みつけた。

「あのグラスの水に睡眠薬が入ってたのね!」

だがそれに答えたのは違う男の声だった。

「ご名答」

サーチライトの後ろから今度は別のシルエットが現れた。
強烈な光にもいくぶん目が慣れてきた美和子にはその声と風貌ですぐにそれが
誰なのか分かった。

「あなたはあの時のウェイター・・・・ じゃああの喫茶店自体が罠だったのね」
「そういうこと、さすが刑事さん、理解が早いや」
「ふざけないでっ!」

美和子はもう一度勝俣をキッと睨み付け叫んだ。

「あなた達自分が何をしているのかわかっているのっ!」

勝俣が鼻でせせら笑った。

「馬鹿なこと聞くなよ、佐藤。俺は元刑事なんだぜ。何なら刑法の誘拐の条項を
読んでやってもいいんだぜ」
「どうしてこんなことを・・・・ やっぱりあのことで私を恨んでいるのね。
でもそれは完全に逆恨みじゃないの」
「恨みか・・・・ まあそれもあるが、それだけじゃあない」
「それだけじゃない?」
「ああ」

そう、今更になって美和子を凌辱しようと思い立ったのは積年の恨みからだけではないし、
高木との婚約を知って燃え上がった嫉妬心からだけでもない。その最大の理由は園田達も
知りはしないし、話す気にもなれなかった。

「いったい私達をどうするつもり」

勝俣がゆっくりと美和子に近づいて、見下ろした。

「さて、お前はどうしてほしい?」

からかうような口調とは裏腹にその表情はぞっとするほど冷酷だった。
瞳の奥にはほの暗い妖しい光が宿り、ねっとりとした不気味な視線が美和子の
全身を舐めるようにまとわりつく。さらに背後の若い男の顔に浮かぶ明らかに
好色めいた卑猥な笑み。
背筋に氷を押し付けられたような冷たい感触が走り、もしやという不安に押し包まれる。

「(まさか・・・・)」

その不安を振り払うように美和子は叫んだ。

「こんなことしてただですむと思ってるの! さっきは私達があなたに会うことは
誰にも言っていないって言ったけど、本当は違う。ちゃんと目暮警部に報告してきたの。
だから私と高木君がいなくなれば、すぐにあなたのせいだと分かるのよっ!」

勝俣は美和子の顔をじっと凝視し、美和子も負けずに睨み返す。
しばらくそうしていたが、先ほどとは違い、勝俣が今度は視線をそらさずににやりと笑い
勝ち誇ったように言った。

「それは嘘だな」
「嘘じゃないわっ! 本当に・・・・」
「嘘だよ。佐藤、お前は自分じゃあ気づいてないかもしれないが、嘘をついた時は
瞬きの数が多くなるし、同時に舌で唇をなめる癖があるんだよ」
「えっ・・・・」
「さっきの喫茶店ではそれはなかったが、今はその癖が出た。コンビを組んでた時の
癖がまだ治ってなかったんだな」
「・・・・」

思わず唇をかむ美和子。そんな癖のことは知らなかったが、確かに目暮に報告はしていない。
どうやらブラフは効かなかったようだ。
勝俣が高木を顎でしゃくった。

「それにしてもお前がこの男を連れてくるのは予想外だったよ。もっとも正確に言えば、
嬉しい誤算だったって言った方がいいがな」
「嬉しい誤算ですって?」
「そうさ、俺達はお前だけじゃなくて、この男も最初から拉致するつもりだったからな」
「えっ・・・・ いったいそれはどういうことよ」

勝俣はそれには答えず、まだ意識を取り戻さない高木のみぞおちに蹴りをたたき込んだ。

「いつまでも寝てるんじゃねえよっ!」

腹部に突き刺さった強烈な痛みに意識を取り戻す高木。そこへ勝俣が顔を覗き込んだ。

「やっとお目覚めかい、高木渉巡査部長」
「えっ・・・・ ここは・・・・ それにこれはどうして・・・・」

にやにやと自分の顔を覗き込む勝俣、そして両手両足を拘束された床に転がされた自分自身。
一瞬、自らの置かれている状況を全く把握できずに呆然とする高木。

「高木君っ!」
「さ、佐藤さんっ! いっ、いったいこれは・・・・」

自分同様に拘禁された美和子を見てもまだ2人の置かれている状況を理解できずに
周りを訝しげに見回す高木の前に勝俣が腰を下ろし、嘲った。

「ふん。佐藤はすぐに自分の状況を理解したってのに、お前は本当に鈍いな。
お前と佐藤は俺達に拉致されたんだよ」
「拉致・・・・」

そこで勝俣が美和子を振り返り、からかうように言った。

「佐藤、こんな鈍い奴のどこに惚れたんだ?」
「そんなことあなたには関係ないわよっ!」

勝俣は立ち上がると美和子を見下ろして言った。

「そうそう、さっきの質問に答えてやるよ。お前は『私達をどうするつもり』って
訊いたがな。もちろんお前には後でたっぷりとやってもらうことがある」
「やってもらうことですって?」
「そう、それも刑事としてではなく、ただの一人の女としてな」

先ほどの不安が現実の言葉として返ってきた。今の言葉の意味が何を示すかは明らかだ。
彼は自分を凌辱──レイプするつもりなのだ。

「(そんな・・・・)」

勝俣が美和子の顔を覗き込み、楽しげに続けた。

「だがその前にまずお前達2人にやってもらいたいことがあるんだよ」
「私達に何をやれっていうのよ!」
「お前達は最近婚約したんだろ。それならその証拠を見せてもらおうか」
「しょ、証拠って、どういうことよ」

勝俣が背後の園田を振り返る。すると園田がサーチライトの方向を変え、部屋の中央を
照らし出した。その光に映し出されたものを見て美和子は愕然とした。

「あ、あれは・・・・」



そこにあったのはキングサイズ級はあろうかという大型のベッド。
勝俣が美和子の前に腰を下ろし、顎に指を当ててくいと顔を上げさせた。

「さあ、勘のいいお前なら、俺が何を言いたいかはわかるよな?」
「・・・・・」

黙り込む美和子。婚約の証拠を見せろということは、この男はまさか・・・・・
その感情が顔に出たのだろう。勝俣がその想像通りの言葉を吐いた。

「お前の思っている通りだよ、佐藤。今から俺達の目の前でその男とセックスを
してもらおうか」
「なっ・・・・!」

その非道な要求に絶句した美和子だったが、高木が咆えた。

「ふざけるなっ! いったいアンタ、どういうつもりなんだっ!」

だが勝俣は冷たい目で高木を一瞥すると、楽しげに言った。

「なあに簡単なことさ。警視庁のアイドル・佐藤美和子警部補の生ファックをこの目で
じかに見たいだけさ。もちろんあれで・・・・」

勝俣が顎をしゃくった先で園田がハイビジョンカメラをセッティングし、肩に担いで
2人に見せつけた。

「生撮りさせてもらうがな」
「何をっ!」

激昂する高木を無視し、勝俣は美和子を振り返った。

「どうだ佐藤、やってくれるよな。お前がその男にイカされた瞬間のアクメ顔をとっくりと
拝ませてくれよ」
「ふざけないでっ! 何を馬鹿なことを言ってるのっ!」
「嫌なのか?」
「当たり前でしょ! ふざけたことを言わないでよっ!」

勝俣は美和子の激昂をかえって面白がるように軽い口調で続けた。

「どうしても嫌なのか?」
「何度も言わせないでっ! ふざけたことを言ってないで、さっさと私達を解放しなさいっ!」

勝俣はわざとらしく大きなため息をつくと、立ち上がった。

「じゃあしょうがない。お前が嫌だというならもう一人のゲストを呼び出すとしようか。
おい、サブ、ハチ、出番だぞ。先生様を連れてこい」
「えっ?」

美和子と高木が顔を見合わせた。するとドアが開いて2人の男が1人の女性を左右から
挟み込むようにして入ってきた。
女性は猿轡をされて呻いていたが、その顔を見て美和子と高木は同時に叫んだ。

「こ、小林先生!」
「ピンポーン、ご明察」

勝俣がからからと笑う。

「実はな佐藤、あの先生はちょっとした手違いでお前と間違えて拉致しちまったんだよ。
でも驚いたぜ。あの女は白鳥の女なんだってな。ホントとんでもねえ偶然だぜ」
「あなたが恨んでいるのは私なんでしょ! 彼女は関係ないんだから解放しなさいっ!」
「そういうわけにはいかないな。まあお前達が楽しませてくれないんだったらしょうがない。
あの先生様で楽しませてもらうだけだ」

勝俣は軽く手を挙げた。

「サブ、ハチ、犯っちまっていいぞ」
「よっしゃ!」

2人は澄子の猿轡を外すと同時にベッドへと仰向けに押し倒し、蜂須賀が彼女の両手首を
掴んで左右に広げて押さえつけ、木島は澄子に覆いかぶさってドレスの裾へと手を伸ばし、
それを一気に腰までたくし上げた。

「いやぁぁぁぁ!」
「やっ、やめなさいっ!」
「や、やめるんだっ!」

3人の虜の叫びが部屋中に交差した。
木島は露わになった薄いピンクのショーツで覆われた恥丘を2本の指でなぞるように
撫でまわし、時折くいくいと押し込む。

「ひっ! やめてぇぇぇぇぇっ!」
「へえ・・・・ これがあんたの勝負下着ってわけか。だけどな先生、男はもっとどぎつい
色を好むんだ。デートの時はもっと色っぽいものを穿いたほうがいいぜ。まあこれはこれで
脱がせ甲斐があるからいいけどな」

木島が両手でショーツのサイドをぎゅっと握りしめ、まさに引きずり下そうとした瞬間、

「やめてっ! わかったわっ! 言う通りにするから、小林先生には手を出さないでっ!」

美和子の絶叫が轟いた。

「そこまでだっ、やめろっ!」

勝俣の合図で口惜しげに手を止める木島。
勝俣が美和子の顔を覗き込んだ。

「分かったってことは、じゃあ、お前達がセックスをしてくれるってことだな」
「そうよ。だから小林先生には一切手を出さないで」
「佐藤さんっ!」

美和子が高木を振り返る。

「仕方がないでしょ。このままじゃあ小林先生が・・・・」
「ですが・・・・」

高木にも自分達2人に選択の余地がないことは分かっていた。確かに美和子の言う通り、
このまま手をこまぬいて澄子をあの男達に蹂躙させるわけにはいかない。
美和子が勝俣を睨み付け、敢然と言った。

「見たいなら見ればいいし、撮りたいなら撮ればいい。だけど小林先生だけには
絶対に手を出さないと約束して」
「ああ、少なくともお前達のセックス撮影会の間は絶対に何もしないと約束する。
だけどそれ以降はお前次第だ。佐藤、それがどういう意味かわかるよな?」

美和子は勝俣の質問には答えず、言った。

「早く私と高木君の拘束を解きなさい。このままじゃ何もできないわよ」
「いいさ。だけど・・・・」

勝俣が目くばせすると、木島と蜂須賀がベッドから澄子を連れてきた。
園田が蜂須賀にカメラを渡し、代わりに澄子を拘束してその首筋にナイフを突きつけた。
澄子は恐怖で顔は青ざめ、がたがたと震えて今にも崩れ落ちそうだ。

「手足が自由になったからって妙なまねをするなよ、2人とも」

美和子と高木の両手両足の拘束が解かれた。

「さてとそれじゃあセックス撮影会といこうか。おっと、こんな状況だからって適当に
済まそうとするなよ。2人がいつもやっている通りの濃厚なセックスを楽しませてくれ。
それで俺達を満足させてくれなけりゃあ・・・・ わかるよな? そら、さっさと
ベッドに行くんだよ」

美和子と高木が押し出されるようにしてベッドへと足を向けた。
勝俣の目的が自分と高木とのセックスを鑑賞し、それを撮影するだけであるはずがない。
高木との事が済んだら、自分を犯す気でいることは先ほどの彼の言葉から明らかだ。
いや勝俣だけでなく、他の3人の男全員にも犯されることはほぼ間違いないだろう。
『輪姦』──いくら美和子が気丈で勝気はいえ、今から身に降りかかるその想像するに
おぞましい凌辱地獄に戦慄した。父と同じ警察官になると決めた時から、職業上の危険は
承知の上だったが、まさかこんな状況は想定外だ。
もちろん、むざむざと犯されてしまう気はない。だが、たとえこの身がどうなろうと、
自分と間違われて拉致された澄子だけは絶対に無事返さなければならない。
そのためなら・・・・ 美和子は悲愴な決心をした。

「高木君・・・・」

ベッド脇に立ち、美和子が硬い口調で小さく言った。

「あいつらは私をレイプするつもりだわ」
「さ・・・・ 美和子さん」
高木が唇をかんだ。少なくとも勝俣が美和子を犯す気でいることはさっきの言葉から
彼もまた気づいていたし、他の男達がそれをただ指をくわえて見ているだけのはずがない。

「絶対にそんなことはさせません」

美和子は高木を真正面から見つめ、自ら言い聞かせるように言った。

「うん、私だってそんな簡単に犯されはしない。だけど小林先生だけは絶対に無事に
帰さなきゃならない。そのためなら何があってもかまわない・・・・ それだけは
覚悟していて、わかるわよね」
「美和子さん、それは・・・・」

それ以上言葉が継げない高木。美和子は澄子を助けるためならあの男達の餌食に
なることも覚悟しているのだ。
いくら刑事としての崇高な使命感と高いプライドを持ち、男勝りで気丈な美和子とはいえ
一人の女性であることに変わりはない。犯される、いや輪姦されるであろうことがほぼ
確実なこの状況で平常心を保ち続けていられるはずがないのだ。それでも美和子は努めて
冷静に振る舞い、その覚悟を婚約者である自分に告げた。
彼女が今どんな気持ちでいるのかを思うと高木の心は張り裂けそうだ。
高木にしても澄子を絶対無事に帰さなければならないという気持ちは美和子と同じだ。
だがそれと同様に、いやそれ以上に美和子をあの男達の餌食になど絶対にしたくない。
たとえそれがどんな薄い可能性であろうと全力を尽くして美和子を守り抜く。

「小林先生はもちろんですが、僕があなたを守ります。美和子さん。あなたをあんな
奴らの好きには絶対にさせません」

美和子は小さく頷いた。高木の気持ちは痛いほどわかる。彼は身を挺してでも自分を
守ってくれようとするだろう。だがこの状況下ではその可能性はほとんどなきに等しい。
恐らくそれは高木も分かっていながら、彼自身に言い聞かせるように放った言葉なのだ。
それに対して美和子に返せる言葉は一つしかなかった。


2人の視線が絡み合う。そこへ男達のヤジが飛んできた。

「おい、何いつまでもくっちゃべってるんだ!」
「ビデオ撮影の準備は整ってるんだ。さっさと始めてくれよ」
「濃厚なお熱いベッドシーンを頼むぜ!」

はやし立てる男達を美和子は睨みつけ、意を決して服を脱ぎ始めた。
スーツ、そしてブラウスを次々と捨て去り、さらにタイトトスカートとソックスも
脱ぎ去って、瞬く間に上下下着一枚の半裸姿になった。
そこに現れた美しい肢体に、高木はもちろんだが、男達4人、さらに澄子までもが
この場の状況を一瞬忘れて目を奪われ、感嘆のため息が漏らした。

「(綺麗・・・・)」

女性らしいなだらかな曲線で描かれたしなやかなボディラインは優美の一言だ。
ベージュのブラに包まれたバストが、その若々しい弾力を誇示するかのように
揺れている。着やせするタイプなのだろう、豊満とまではいかないが、
服の上からの見た目よりはずっと豊かで艶然たるフォルムの見事な美乳だ。
その豊かなバストと対照的な一片の贅肉も感じられないぐっ削げたウエストラインが
何とも艶めかしい。丸々と熟した果実のようなヒップにブラとおそろいのベージュの
ショーツがぴたりと張り付いてその生々しい形状をより強調している。さらにそこから
惚れ惚れとするような長い美脚が伸び、きゅっと引き締まった足首へと繋がっている。
部分部分がそれぞれの個性を強烈に主張しつつもバランスを失わず、全体として見事な
調和をなしている非の打ちどころのない美しさで、女の自分から見ても思わず嫉妬したく
なるほどの見事な肢体だ。

高木もまたジャケットとワイシャツを脱いで上半身裸になり、美和子と向き合った。
いつもならこのまま美和子を抱きしめてベッドへと押し倒し、濃厚なキスを繰り返し
ながら彼女の下着を脱がしていくのだが、さすがにこの異常な状況下においては
そうもいかず、何とかぎこちなくも美和子を抱きしめたものの、そのまま動きを
止めてしまった。
するとすかさず罵声が飛んできた。

「処女と童貞が乳繰り合ってるわけじゃねえんだ。さっさとやることをやれよっ!
でねえと、こっちの先生様を犯っちまうぞっ!」

それでも躊躇する高木の背中を押すように美和子が囁いた。

「いいのよ、高木君。今は小林先生を助けることだけを考えて」

そして高木の目を見つめ、覚悟を決めたように続けた。

「あんな奴らに犯されるなら・・・・ その前に、高木君、私を滅茶苦茶にして。
私・・・・ 高木君になら・・・・ 犯されても構わない」
「美和子さん・・・・」

美和子は覚悟をしているのだ。彼女自身や高木がどんなに抗おうが、澄子を人質に
取られている以上、あの男達に輪姦されてしまうのだということを。

「わかりました」

高木もまた覚悟を決めた。美和子をぎゅっと強く抱きしめると、そのままベッドに押し倒し、
いつものように彼女と身体を上下に入れ替えながら何度も濃厚なキスを繰り返し、さらに
首筋へしゃぶりついて、敏感なポイントに舌を這わせる。

「ああっ!」

ピリリと走った甘い刺激に美和子が小さく声を上げた。
そこへキスの雨を降らせながら、高木は美和子の背中に手を回してブラのホックを
探ってはずし、緩んだそれをたくし上げるようにして一気に剥ぎ取った。
プルンと音を立てるかのように綺麗な半球形が高木の目前にまろびでる。
すると高木は美和子の身を起こしてベッドの上で座位させ、自らは背後に回った。
すかさず脇の下から乳房に手を回して手ブラの状態で鷲掴み、ゆっくりと揉みしだきながら
美和子のうなじに吸い付き徹底的に舐めまくる。これはいつもの高木の愛撫のパターンだ。
揉み砕かれた双球が、その柔らかな乳肉に5本の指をくいこませて形を歪めている。
そして高木がうなじのスィートスポットを的確に捉えて舐め回すたびに美和子の口から
切ない喘ぎがこぼれ出す。

「ああっ、そ、そこは・・・・・ あっ、あっ、ああんっ、た、高木君」
「おおっ! すげぇぇぇ・・・・ いいぞ、いいぞ、お2人さん」

撮影係の木島と蜂須賀がベッドのそばまでにじり寄ってきた。
いつの間にかカメラは2台となり、2人はそれぞれ座位した美和子の正面左右に陣取って、
高木と美和子が繰り広げる痴態をレンズを通して凝視し、余すことなく撮影していた。

「(ああっ・・・・ 見られているっ・・・・!)」

本来なら交わる高木(おとこ)以外には決して見せるものではない痴態、
そして聞かせてはならない喘ぎと嬌声。
だが、この異常な状況下での高木との行為、さらにそれを撮影されているという
羞恥の極みが、美和子の感情をより昂らせて倒錯した興奮を呼びさまし、淫らな
官能を刺激して普段よりずっと早く高めさせていく。
その上、この異常な状況下で開き直ったかのような高木の愛撫もいつも以上に激しかった。
美和子の乳房を握りつぶさんばかりに荒々しく揉み砕き、指先を双球の頂点へと滑らせて、
つんと上を向いた蕾をつまみ、捏ね、ひねり、弾く。
もちろんその間にもうなじのスィートスポットへの口撃を緩めることはない。

「あうっ、た、高木君っ・・・・ ああああっ」

高木の荒々しい愛撫に翻弄される美和子の喘ぎのトーンが次第に高まってくる。
背後からの大胆かつ執拗な愛撫によって美和子のほんの少し長い乳首が完全に勃起して、
恥ずかしいほど立ち上がり、丸みを帯びた円錐形がバストの頂点に影を落としていた。
そこで高木は美和子を背後から仰向けに引きし倒し、もう一度正面から覆いかぶさって、
彼女の顔を両手で挟むようにして唇を押し付け、吸い上げた。舌を中まで差し入れて
美和子のそれに絡ませ、ねっとりとした唾液がまじりあう。
長い長い口づけのあと、再び首筋にキスの雨を降らし、舌を這わせて舐め回す。
美和子が高木の身体にしがみつき彼の背中に爪を立てた。

「あああっ! い・・・ いいっ! たっ・・・・ 高木君っ!」

そこまでしてようやく高木が美和子のショーツを脱がせにかかると、
まるではかったように美和子が自ら腰を浮かせて脱がせやすくした。

「美和子さん・・・・」

高木の手が素早く動くと、するりと果実の皮をむくようにショーツは臀部を滑り降りた。
さらに両脚から抜き取ったそれを高木が投げ捨て、中空をひらりと舞った。

「おおおっ!」

その淫蕩な光景に思わず歓声が沸くギャラリー。
高木は右手で美和子の乳房を弄びながらかっぽりと食らいつき、さらに左手を身体の
ラインに沿って下腹部へと動かして覆い隠すもののなくなった淫裂へ人差し指と中指を
すっと侵入させた。

「あああっ!」

びくんと身を震わせ、ひときわ高い声を上げる美和子。中はすでに愛液であふれ、
蕩けるように熱い。

2本の指が美和子の中を探るように掻き回す。

「あうっ・・・・・ あああっ・・・・ そ、そこは・・・・ だっ、だめっ・・・・」

ほんの少し動かすだけで奥から熱い淫蜜がとめどなくあふれ出て高木の指に絡みつき、
美和子が身体を痙攣させながらあられもない嬌声を上げる。

「(美和子さん・・・・)」

これまでのセックスで美和子がかなり性的に敏感な体質であることは知っていたが、
今の異様な状況下におかれて、今日は一段と反応が激しい。
高木は身を起こすと、美和子の膝に手をかけた。

「美和子さん・・・・ いいですね」

それが何を意味するかは分かっていた。美和子は小さくうなずくと、力を抜いて高木の
なすがままに任せた。
高木は身をずらして美和子の両脚を大きく割り、何も遮るものなく目前に開かれた
その付け根部分へと顔を埋めていった。
柔らか丘の繊毛の下で愛液に濡れぼそっててらてらと光り、男を誘うがごとく淫らに瞬く
淫唇にキスをして、舌をすっとその隙間に差し込んでいく。

「はうううっ!」

美和子がこれまで以上の喘ぎ、いや歓喜の雄叫びをあげた。
それを合図にして高木は美和子の淫唇に直接口をつけ、クンニリングスを開始した。

「あああっ!」

美和子の身体がのけぞり、とがった顎が上を向き、端整な顔が卑猥にゆがんだ。
内部に侵入した高木の舌先が美和子の敏感な部分を的確にとらえて舐め上げる。
そのたびに全身を駆け抜ける淫らな刺激に美和子は身をひくひくと震わせた。

「そ、そこは・・・・ あうっ! あああっ・・・・ たっ・・・・ 高木君っ!」

美和子は高木とのセックスで経験するまで本格的なクンニリングスを知らなかった。
もちろん高木以前にも決して数は多くないものの男性経験はあった。しかし文字通り
そういう性癖を持った男との交合はなかったのだ。
だが高木とのセックスで初めてそれを求められ、最初は戸惑ったものの受け入れた。
そしてその時初めて、自分がその性戯によってどれほど高められてしまうのか、
どれほど快楽の海に溺れて、その淫らな波濤に委ねきってしまうのかを思い知った。
以来、むしろそれを積極的に求めるようになり、彼とのセックスの前戯における
欠かせない手順の一部となっていたのだ。

高木の鼻先が美和子の恥毛の中に突っ伏している。口を肉裂全体にかじりつくように
密着させ、その中で舌が微に入り細を穿つように丁寧かつ執拗に動き回っているのだ。
舌先が美和子の肉芽を捕えて小突き回し、舌の腹で肉芽全体を大きく舐め上げるたびに、
大きな快楽の波濤が美和子を翻弄し、身体がびくんと跳ね上がる。

「はあっ! はあっ! はあっ!」

美和子の白い裸身が軽く汗ばんでピンク色に染まり、息が荒くなってきた。
ベッドのシーツをぎゅっと握り締め、目を閉じてひたすら全身を駆け巡る快美の
奔流に身を委ねている。いよいよ絶頂へ向けてのカウントダウンが始まろうとしていた。

「あああっ・・・・ あふっ・・・・ ああんっ・・・・」

                 ※


「すげぇ・・・・」

高木の激しいクンニリングスとそれに対する美和子の反応に、男達は思わず息を呑み、
木島と蜂須賀は感嘆の声を上げた。

「おいおい、クンニだぜ、クンニ。あの男も見かけによらずなかなかやるなあ」
「ああ、それにしても結構乱暴なセックスだな。まるであの野郎が刑事さんを
レイプしているように見えないか」
「ああ、見える見える。それに刑事さんの方もいい反応してるよな。あの喘ぎ声なんか
色っぽくて最高だぜ。それにしても突っ込む前にこの激しさなんだから、本番になったら
いったいどんな反応を見せてくれるんだろうな」

そこで勝俣が2人に命じた。

「ああ、そうだな。『本番』だったらな。だけどそれはない。そろそろ準備しておけよ」
「ラジャ」

おどけた調子で2人は高木と美和子が淫らな奮闘を繰り広げるベッドへ向けてそろりと
歩きだした。

                 ※


高木のクンニは佳境に達していた。肉芽と並行して肉裂にも舌を這わせて舐めまくり、
膣孔にまで舌を差し込む。

「あああっ! だっ・・・・ だめっ・・・・ そ、それ以上・・・・」

高木の大胆かつ繊細な舌戯の連続に、陰部から全身へと波紋のように広がる甘美な快楽の
波に翻弄され続け、美和子の身体はひくひくと痙攣し、絶頂が間近に近づいて懇願した。

「た、高木君・・・・ もう・・・・」
「わ、わかってます」

高木もようやく美和子の股間から淫蜜に塗れた顔を上げて荒い息を整え、
己の屹立した剛直を美和子の濡れそぼった花心にあてがってインサートの体勢に入った。
だがまさにその時、美和子の目に映ったもの、それは高木の背後に忍び寄る男の姿。

「高木君っ! 後ろっ!」

だが、すでに遅かった。

「そこまでだっ!」

高木が振り向くより早く、彼の首筋にスタンガンが当てられ、瞬時に閃光が走った。


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