「おはようございます、蒼葉さん。今日も遊びましょうね」
「は……」
ウイルスが満面の笑みを浮かべて、俺の顎を持ち上げた。唇が触れる前に舌で舐められて、口をこじ開けるみたいにぬとぬとと舐められる。ウイルスの舌は、トリップより薄いけれど、少し細くて長い。俺の舌なんて簡単に絡め取って遊んでしまう。
促されて口を開くと、舌の表面をくすぐり、にゅるっと巻きつかれて引き出される。腰のあたりがうずうずして、気持ちいい。舌が性感帯だなんて知らなかった。舌を絡め取られてからは、また口の中に侵入されて、上あごと下あご、次は歯列を丹念に舐められる。溢れる唾液を拭くのが面倒だと思っていたら、首まで垂れたそれを指で丁寧に掬い取られた。
「気持ちいい?」
「あぅ……」
「良かった」
ぐっとベッドに押し付けられて、裸の上半身を撫で回される。触れられた部分から、弱い火が付いたみたいにじりじりと熱い。すっかり快感に焦がされる体にされてしまった。ウイルスとトリップが自分にする全てが、気持ちのいい事に摩り替わってしまう。
「んっ」
「蒼葉さん、本当にここ、好きですね」
ウイルスの指が、乳首をきゅっと摘んだ。ぴりっとした刺激に身震いする。男にとってなんの意味もないと思っていたそこも、二人に弄ばれるうちに変わってしまった。シーツに擦れても落ち着かないほど、敏感になってしまっている。
特にウイルスはここが好きみたいで、いつも執拗に嬲ってくる。いけない。すごく、弱いのに。
「んー」
「ああっ」
ちゅうっと吸い付かれる。小さなそれを唇で挟んで、生温かい舌で押しつぶされる。気持ちいい。もう片方もしてほしい。思った途端に、片方に爪を立てられた。
「ふぁあっ……あ、やっ」
シーツを掴んで、微弱に痺れるような責め苦に耐える。こうしていると本当に、娼婦にでもなってしまったみたいだ。こんなただの男でしかない身体を、俺を抱いて何が楽しいんだろう。その辺の女なら、二人が誘えば喜んでついてくるだろうに。
他所事を考えているのが分かったのか、強く噛まれた。敏感になったそこは痛覚にも敏感で、びりっと痛みが走る。
「いたぁっ」
「駄目ですよ蒼葉さん、こっちに集中して」
それとも他の事なんて考えられないように、また薬を飲みますか?
自我を失いそうになるあの薬を飲まされるのは、もうごめんだった。
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