「わぁっ!」
突然飛び起きた蒼葉が、ベッドの隅にすごい勢いで逃げていった。
「紅雀のえっち……」
!? 今、蒼葉はなんて言った?エッチって、お前そんな事言うやつだったか?! 金色の目をうるうるさせて、布団を胸までたくしあげて。すらっと伸びた脚は、すごく白い。とんでもない色香に、眩暈がしそうだ。
とりあえず落ち着くために深呼吸をしてから、改めて蒼葉を見る。う、まずい。こんな蒼葉が目の前に居て、落ち着けるわけがなかった。
「あ、蒼葉」
「なあに」
なんかこいつ、喋り方が甘ったるくなってないか?よく見れば、身体の所々が赤い。それにこの部屋、なんだか酒くさい。酒くさい!そうか、そういう事なのか。
「お前、酒飲んだのか」
「少しだけ、だからなっ」
「……」
思わず頭を抱える。多分、今日届いたあの樽の酒を飲んだんだろう。蒼葉と酒を交わした事は何回かあったが、そのたびに蒼葉は度数の弱い酒を少しずつ飲んでいた。あの樽の酒は、俺でも気持ちよく酔えるくらい度数が強い。この部屋に充満している匂いからして、少しだけではない、きっと何度もあおったんだろう。
「なんでそんな事したんだ?」
「だって……紅雀が、かまってくれないから」
「へ」
「困らせてやろーと思ったんだよ!ばか!」
こっちを睨みつける眼に、うるっと涙の膜が張る。ああ、俺はお前にそんな顔をさせないって決めたのに。忙しかった日々は、俺の一番大切なものを不安にさせていたらしい。飲めない酒あおって、そんな格好して。
ゆっくりと布団の上に乗って引き寄せると、今度は逃げる事なく、俺の胸に寄りかかってきた。そのまま抱きしめる。久しぶりの肌の感触に、心が溶けていくみたいに満たされていく。
「ごめんな、蒼葉」
「……ばか……」
恋人に淋しい思いをさせるなんて、男失格だな。青い髪を撫でると、蒼葉がぐすっと鼻を鳴らす。
「なあ蒼葉、情けない俺に免じて、挽回させちゃくれねえか」
「だめ」
蒼葉が小さく言ったかと思うと、ぐいっと肩を押されて布団の上に倒される。驚いた俺を置き去りにして、がばっと着流しを開かれた。腹に巻いた布も剥ぎ取られて、うおおおお?!俺、襲われてんのか?蒼葉に!
「あ、蒼葉?!」
「今日は俺が好きにする」
と、いうより……この状況は、俺にとっちゃあかなり嬉しい状態なんだがいいんだろうか。俺の力なら、酒が入ってくにゃくにゃになってる蒼葉を簡単に形勢逆転できるだろうけど、せっかくだから好きにしてもらおうと思う。心の底で、力強くガッツポーズをする。
俺の上に乗っかった蒼葉を見ていると、腰を屈めてちゅうっと乳首にキスをされる。むにゅむにゅと唇を押し付けられて、気持ちいいというよりくすぐったい。
「こそばゆいな」
「むーっ」
自分が気持ちいいからやってやろうと思ったんだろう、あんなに乳首で感じるのは蒼葉くらいだ。というか、俺がそうしたんだから。でも、俺の乳首を懸命に舐める蒼葉はやっぱり可愛い。
自分の腹に擦れたのか、俺のものが少し反応しているのに蒼葉が気づいた。
「ちょっと、たってる」
「ま、まあな」
蒼葉にこんなことされちゃあな。じーっと見つめた後、身体を下の方に移動させて合わせ目を開いていく。俺のを取り出して、曝されたそれをじーっとまた見つめている。そんな熱視線で見られると、恋人とはいえ気恥ずかしいんだが……
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