『創造者の特権及び義務…side Dr.Soong』TNG、Dr.Soong(ヘタレ攻め)/Lore(誘い受け) 男性同士の性描写アリ(2002.01.06発行同人誌より再録・ごくごくほんのちょっびっと修正 by epiQ) |
…性的機能が正常に作動するかどうか確認するために、彼にデータを集めさせている。『植民星の女性との性交渉、勿論合意の上』という条件は必須だが、最初に考えていたよりも多くの興味深い結果が持ち帰られた。図らずもマルチテクニックプログラムはいささか特殊な趣味さえ満足させるということまで証明されてしまった。もちろんこの有意義なデータ採取はこの子が上手くコンタクトを取ってくれるからこそ成功しているのであり、コミュニケーション機能も良好といえよう… 「もうこの鬱陶しいケーブルを外してもいいか?」 「情報」のダウンロードをしたついでに記録を記入していて、うっかり彼の処置を忘れていた。検査台の上で裸身をさらしたローアは、つまらなそうな顔をしてこめかみから伸びたケーブルを白い指で弄んでいる。 「女相手ならジュリアナで試すだけで良いだろうに」 「ジュリアナは絶対駄目」 僕の「男のプライド」を気にした我が侭をわかっている癖に、彼はわざわざイヤガラセを言うことを忘れない。 「…にしても、無茶苦茶だよな。ナンパしてトラブル起こすかもしれないって心配してくれないわけ?」 「トラブルを起こしたのかい?記録を見る限りでは相手も満足しているようだし、そうでないなら何の問題もないだろう」 「アンタに聞くだけ無駄だったよ。まったく、親や亭主にバレないようにどんだけ俺が苦労してると思ってるんだ」 「相手は未成年者や既婚者なのか?」 「心配しなくてもみんな合意だよ。中にはそういうケースもあるって事。悪いけど倫理観はアンタ並みにしか持ち合わせてないもんでね」 ローアは剣呑な内容をさらりと言ってのけて一つ溜息をつくと、唇の端を上げる。こういう仕草や皮肉屋な性格は、実は若い頃の自分そのままだ。いまだに鬱なその過去が思い起こされる。自分に似せすぎるのもちょっと考え物だな…などとぼんやりそんなことを考えながら、ディスプレイに表示されるデータを見ていて、僕はあることに気付いた。 「…行為の際に快感を感じてないのか?」 「そんなことどうでもいいだろ。要はハタからそう見えれば良いんだから」 他者の感覚を完全に理解することは確かに不可能だ。それを踏まえて考えればローアの言うことは至極正しいのだが、彼を制作した僕としては納得しがたかった。 「いや、僕は君を限りなく人間に近づけたいんだ。視覚も聴覚も嗅覚も味覚も触覚も、分析だけじゃなくてそれを理解して享受出来なくちゃ。視覚聴覚はそれなりに機能してるみたいけど、せめてそれと同じくらいのレベルには…」 「じゃあ教えてくれよ、快感って奴を」 彼は軽く足を開くと、白い太股の内側を指さして嗤った。 「だいたいなんで直腸まで作ったんだ?人間と違って俺はここに排泄物を溜める必要もないんだぜ。ま、スカトロがお望みならレプリケートも出来るがね。『使う』っていったらアレくらいしかないんじゃないか」 そのまま彼は白い手を伸ばして僕を拘束すると、にやりと唇の端を上げたお馴染みの表情でこう言った。 「興味ない訳じゃないだろ?」 一瞬思考が止まる。だが彼の言うとおり、同性間の性交渉も視野に入れて作ったつもりなので、その機能を確認する必要が有るのは事実だった。ためらいがちに口を開く。 「…そうだな。僕も経験有る訳じゃないけど…」 僕の台詞にローアは奇妙な顔をした。が、座り直して溜息をつくと、さも当たり前のように言った。 「で、どっちがいれんの?」 アンドロイドに押し倒されるのは制作者として納得できない。「僕」と素直に答えると、「しょうがないな」と苛つくローアにボタンをむしられた。 彼の指は手際よく僕の衣類をはだけて『息子』を見つけだし、躊躇いもなく口に運んだ。ゆるやかに舌を這わせながら上目遣いに訊ねる。 「使えるようにしなくちゃ駄目だろ?」 この子のとんでもない意地悪さを目の当たりにして後悔したが遅い。これでもう後に引けなくなってしまった。あまりに的確な愛撫に隠しようもなく盛り上がってしまう自分を情けなく思いながらも「そういえばマルチテクニックプログラムはどんなシチュエイションでも対応できるソフトだった、上手く機能してくれてて良かったな」などとと考えてしまう。 その勢いで検査台に上がり、ローアの白い身体に手をかける…ところまでやって、考え込んでしまった。男相手は未経験の僕は、残念ながらノーマルなテクニックしか習得していないのだ。そんな僕を怪訝な顔で見つめるローアに 「…どうしたら良いのかな」 と間抜けな質問をすると、彼はあからさまに呆れた表情を浮かべてこう言った。 「…女相手と大して違わないだろ。スキにしなよ」 そういわれてもローアの身体は僕を雛形とした男だ。平たい胸にしっかりした骨格、おまけに頭部頸部にはケーブルがくっついていて首筋も上手くなぞれない。 ためらいがちにローアの身体をまさぐる僕に、上からけたたましい笑い声が降ってくる。 「ヘタクソだがまぁ最悪って程じゃないな」 この失礼な台詞には腹が立ったが、自分もあまり自信がないので黙って行為を続ける。滑らかな腹部には余分な肉も付いていない。最近胴回りの肉付きがますます良くなってきた自覚もある僕にとっては、彼は自分の理想化でもあるのだった。 全身に張り巡らせている感覚器への刺激によって「汗腺」からの分泌物がローアの白い裸身に湿度を与えているのがわかる。そういううふうに作ったのだから当然といえば当然だが、何しろ自分と同じ顔だ。彼の顔を覗き込んでしまい、きまり悪くなって思わず僕は呟いた。 「…なんだか…凄く悪いことしてる気がするな」 そんな僕の台詞をローアは笑い飛ばした。 「ハハッ『研究の為』だろ?気にすんなよ。だいたいアンタ、そんな事気にするくらいいい奴だったっけ?」 彼の言葉は僕を非難しつつ誘う。僕は彼の器官が正常に作動かつ作用するか確かめてるんだ。それは制作者の義務だ。そう自分に言い聞かせる。最初に彼が指さしたそこは、一連の刺激によって充分潤っていた。人間ではとてもあり得ないことだが、ローアは状況次第で『濡れる』のだ。我ながらこんな設計をして馬鹿じゃないかと自問したこともあったが、まさか最初に使うことになるとは… 彼の膝を折り曲げ、体を進めて中心を探ると、わずかな抵抗のあと滑らかに吸い込まれた。自分で設計していたとはいえ、思いがけず心地のいい内部に一瞬「目的」を忘れそうになる。挿入時に小さく声を上げたローアにうろたえたが、彼への確認と自分への言い訳に呟く。 「何か感じてる?」 「そんなのわかんねーよ」 ローアはいらだつように目を背けた。 「僕はすごくキモチイイんだけど…動かしていいかな?」 「いちいち聞くなよ。タイムスタンプ付きで全部記録してんだろ?好きにしな」 「あ、少しは良いのかな。君のも主張してるよ」 『いつもの行為ならまず存在しない物』が腹部に軽く当たる感覚。ちゃんと機能しているんだな、と頬が緩む。そんな僕を、ローアは困ったような表情を浮かべて怒鳴りつけた。 「そういうふうに作ってるんだろ?!よかったな設計通りでっ」 「うん 安心したよ」 そんな僕の台詞に舌打ちしたローアの舌をそのままからめ取る。自分と同じ顔(正確には「若い頃の自分の顔」だ)に口付けるのは奇妙な感覚だったが、触れる舌先も唇も小躍りしたくなるレベルで完璧だ。素材選びに間違いはなかった。感覚器を丁寧に埋め込んだ上唇を粘膜でなぞってやると、ぴくん、と反応が返ってくる。 埋め込んだものをゆっくり動かすと、アンドロイドは眉根を寄せて仰け反り小さく呻き声を漏らす。もちろんこの表情も全部設定通りだ。だが、外部からそういうふうに見えるだけで、実際にローアが快感を感じているかどうかは別だ。 少し頑張ればコンソールに手が届く。強く前に身体を乗り出すと、深く繋ぎ止められたローアはくぐもった呻き声を上げた。それを無視して僕はパネルに指を走らせる。すぐそれに気付いたローアは僕を睨み付けた。 「…オイ、何やってんだよ」 「感覚受容体の調整を…」 状況報告をしながらコンソールに設定変更の画面を出そうと苦心していると、 「マジメにやれよッ」 と怒られてしまった。それについ 「いっしょうけんめいやってるじゃないかっ」 と、また間抜けな台詞を返してしまう。それでも僕は作業を続行した。 「君にもちゃんと『快感』を理解して欲しいんだよ…感覚の再現は、理論上可能なはずだ…これくらいならわかるかな?」 受容レベルを一気に十倍に上げてみた。自分でもかなりの無茶だと思うが、好奇心の方が勝る。ローアが悲鳴を上げたが、そんなことは構わなかった。あからさまに慌てた様子で自己診断を始めようとした彼の機能を、素早くシャットダウンさせる。 「何だコレ?アタマの方がバチバチいってるぞっ」 この子が慌てるところは初めて見たような気がする。そういえば起動時に設定を変更するのは初めてだった。ついでに暴れられても困るので運動能力の出力を常人レベルに引き下げる。 「それで成功だな。感覚器官からの信号がポジトロニックブレインに送られてるんだ。回線の幾つかは軽くショートする状態になる筈だよ」 実際どこかがショートしているのだろう、過負荷に耐えきれなかった涙腺が壊れて金色の目から「涙」が溢れ出していた。回路の分断はおそらく通常の感覚とはかけ離れたものだろう。今彼が感じているのは「性的な快感」なのか「未知の感覚に対する恐怖」なのか、表示される数値ではどちらともいえない。 「マジかよっ壊れたらどうする!ブッ殺すぞ変態野郎…ッ」 語尾が甘くひきつれる声では脅しに聞こえない。却ってその強がりが見えて可愛らしいし、それより何より、僕はこの快楽を放り出したくなかった。食いしばった歯の隙間から悲鳴を、見開いた目から涙をこぼすローアに、僕は半ば騙し文句のように囁いた。 「心配しないで。その時はちゃんと僕がなおしてあげるから」 確実に熱量と硬度を増した器官を握り、身体と一緒に揺さぶるとケーブルが派手に火花を散らした。静電気が自分の髪まで飛んできて耳元でちりちり跳ねる。ローアの頭の中でこれがどういう結果をもたらしているのかはデータ解析してみなければわからないが、反応を見る限りでは相当「快感」を感じているはずだ。あくまで希望的観測だが… しゃくりあげる彼を嗜虐めいて突き上げる。理想の固まりに仕上げた彼を、制作者として支配している優越感がたまらない。意地なのか僕の背中には回されないローアの手は検査台の上で堅く握りしめられ、仰け反る身体にケーブルがうねる。動きに合わせるように喘ぎとも悲鳴とも取れる声を唇の隙間から押し出すローアを見ていると、僕と彼のどちらがどちらなのか混乱してきた。もしかするとこうやって責め立てているのはローアで、悲鳴を上げているのが僕…?じわじわと思考能力が低下してゆくのがわかる。どちらでも構わない、ただ到達したい。 こちらの限界のサインを拾い上げた彼の内部は蠕動し、僕は切望した高みに押し上げられた。そして二人に挟まれた彼の器官は白濁を放出した。 一時の興奮が醒めてしまうと、決まり悪さは並大抵ではなかった。目的は「同性間の性交渉を行えるかどうかの確認実験」だったはずなのに、結果として「作成物を『道具』にして性的な快楽を得た」事実が突きつけられる。 (何をやっているんだ、僕は。好奇心とかそういう問題じゃない。研究に関連することに節操が無いのは自覚しているが、まんまとローアに乗せられて、みっともなく自慰行為に耽っただけじゃないか。そんな僕をこの子は嗤うんだろうな…) 予想外に大人しく刺激の余波に身体を震わせるローアを抱きしめ、行為の余韻に浸る間もあらばこそ、もう一つのあからさまな失敗に気付いて僕は体を起こした。 「量」の設定を間違えていた。上着に飛び散った尋常ではない量の『それ』をすくい取りながら、僕はいたたまれない気持ちでいっぱいになった。 「うひゃー…量の設定間違えた…派手にぶちまけてくれたなぁ……何とか上手くいったみたいだね…ちゃんとイケた?」 あれこれ言い訳をしてつい多弁になる僕の言葉を聞いているのかいないのか(間違いなく記録しているはずだと思うが)彼は両手でさっきまで涙を流していた両目を覆って僕の台詞を無視した。これはたぶん「照れ」機能が作用した結果だろう。この子の完成度を感じられるのは喜ばしいが、出来れば僕も逃げ出したい雰囲気だ。 採取したデータを分析にかけるためパッドに落としながら、 「新しい世界に目覚めそうだな…」 もぞもぞと呟いた『性能についての誉め言葉(自分の研究に対する自負も?)』に、彼はいつもの口の悪さでこう返してきた。 「バカ。俺だから良かったんだよ。こんだけ綺麗なケツ他には無いぞ?」 上目遣いに睨み付けながら、彼も自分のつるりとした腹の上に飛び散った『精液』を右手にすくった。 「まぁ気の済むまで弄っとけよ?次ので実験せずにすむ位なっ」 言うなり、その手を僕の頬や顎にこすりつけてきた。レプリケートされたコンデンスミルクはべったりと僕の顔に付着し、唇について甘く糸を引いた。 僕は如何に人間らしいアンドロイドを作るか苦心してきた。しかしやはり、とんでもない物を作ってしまった気もする。彼自身の内的変化は僕の研究次第で限りない可能性を持ってしまうのだから、責任は重大だ。どこまで手をかけてやれるかわからないが、ある種の独占欲のような彼なりの愛情宣言を聞いてしまったからには、可能な限りの努力をしなければならないな、と僕は思った。…どういう意味での努力なんだ、とつっこみを入れるローアの声が聞こえるような気もするが…
|
小説部分のみ再録いたしました。漫画はローア視点でした。 2002年このネタでオフライン活動してた自分の無駄な勇気に乾杯。 マイナーカプここに極まれり。でも書いてるときは無性に楽しかったです。 天然・鬼畜・ヘタレ三拍子のスン博士、誘い受けのはずなのに余裕が無くなるローア。 「エロコメディ」というカテゴライズになるんでしょうかね(^^ゞ |
・・・side Lore→ |