意識が闇へと落ちて行く。 焼け付くような痛みも、もう感じない。 崩れ行く地下深い場所、亀裂が走る天井を見上げながらジョミーはジョミーの願いを受けて宇宙へ上がった子供を想う。 「……ぼくはブルーより、ずっと酷いことをした」 ジョミーがミュウの長になれとブルーに強要されたのは、十四歳の頃だった。 トォニィは身体こそジョミーより成長したとはいえ、本来はまだ十歳に満たない子供だ。 そんな子供に、メギドを落とし地球を守り、そしてソルジャーとなってこれから変って行くはずのミュウと人との融和を任せたと、そう言って死んでいく。 なんて酷い、残酷な。 あの子がただ一人、この身を想い、ここにいるジョミーのために生きてきたと知っていて、すべてを押し付けた。 それがどれほど残酷なことなのか、たった一つの約束のために走り続けたから知っている。 「あなたも、こんな気持ちでしたか……?」 大切なものに押し付けて、置いて行く、恐怖と罪悪。 「トォニィ………お前の歩く道は……」 ぼくのようにならなければいいと願う。 自分が生きて歩いた道を、後悔はしない。置いていかれた恨みもない。 ジョミーはその生を約束に縛られた。 それが幸福だった。 ただひとつ、ブルーとの約束を果たすことにすべてを注ぎ、その長い道のりに苦しみながら、それでも幸福だった。 ジョミーを縛ったものは、ブルーとの約束だったから。 「……お前は、こうならなければいい……のに……」 縛られることに満たされるような、孤独の道をあの愛しい子供が歩まずに済むように。 「祈っているよ」 霞みゆく視界に、銀色の光が見えた気がした。 「ブルー………」 やっとあなたに会える。 愛しい子供にすべてを託し、差し出された手を取る罪悪を知りながら、幸福に満たされるような、そんな道を歩まぬことを。 ただ、祈っている。 |
最終回、トォニィに泣いた……という独白だったんですが、 どうにもこうにも根底がブルジョミの人間なので ますますトォニィが不憫になったような……気がする…。 |