鎖に繋がれた天使の行方





収縮する陰唇から蜜が零れ、同様に喘ぎ続けた彼女の唇端からも飲み込みきれなかった唾液が垂れる。
熱に浮かされた肌は紅潮し、汗を滲ませ、“女”の色香を放っていた。
眉根が寄せられ、茫洋とした眦は常の険を失い、まるで発情期の雌猫のようだ。

男の攻めが止んだ事で、京子の全身の緊張は解かれ、躯の筋肉はすっかり弛緩した。
八剣が京子の腰を抱いてベッドから浮かせても抵抗は無く、腕はだらりとシーツの波に投げ出され、されるがままだ。


絶頂を迎えた直後の彼女は、いつもこうだ。
視線が宙を彷徨い、今が夢か現かも判然としないようで、認識としては夢の中に近いのではないだろうか。

例えばこれが八剣と口付けをしている最中に起きたとしても、同じ結果になる。



茫然自失になっている京子を見下ろしながら、八剣は着物の腰紐を解いた。
帯を緩めて下肢を寛げれば、勃起した男根が姿を見せる。




「京ちゃんばかりが気持ち良くなるのは不公平だろう」
「………ぁ……」
「これは京ちゃんから俺への報酬なんだから」




ベッドに腰を下ろして胡坐を掻いた八剣に、京子は彼の言わんとする事を理解した。
のろのろと起き上がると、四つん這いになって八剣の下肢に顔を近付ける。

間近にした男根は、支えの必要がない程に固く反り返っている。
京子は僅かに逡巡を見せた後、恐る恐る口を開き、雄の象徴を頬張った。




「ん……ふ…」




くぐもった苦しげな声が零れたが、京子は男根を放そうとはしなかった。
頭を前後に動かし、咥内で舌を左右に揺らして、懸命に奉仕する。

お世辞にも上手いとは言えない舌の動きだが、紅い顔で苦しさを耐える様は、八剣には十分な興奮材料だ。


じゅぷ、じゅる、と音を立てて、京子は男根を舐めしゃぶる。




「ん、ふッ、ふぐ……ふむ…うぅん…」
「可愛いよ、京ちゃん」
「んん…!ふ、ふぁッ…ちゅ…むぅ、うん……




八剣の指が京子の項をなぞる。
ぴくんと京子の躯が震えて、喉奥が締まり、八剣の男根を締め付ける。
一瞬、八剣の眉根が顰められるが、京子がそれに気付く事はなかった。


苦しさに耐え切れなくなると、京子は男根から口を離し、代わりに両手で竿を扱く。
両手で包んで上下に扱きながら、舌先で亀頭をチロチロと舐める。

咥えていた間は硬く閉じていた瞼を持ち上げれば、ピントの合わない視界でも判る程、大きく怒張した雄がある。
これがこの後────そう思うだけで、京子の膣口は切なさを感じてしまう。
既に何度も経験し、この躯を染め上げた快感を思い出すだけで、京子の腰は無意識に揺れるのだ。



淫靡に腰をくねらせながら、一心不乱にフェラチオをする京子。
八剣は京子の耳朶で指を遊ばせながら、クスクスと笑う。




「随分と物欲しそうにしてるね」
「……んッ…して……ッ、ない……ふぅッ…
「ふぅん。まぁ、京ちゃんがそう言うなら、そういう事にしておいても良いけど」
「─────ん、んッ!」




ぐ、と八剣の手が京子の頭を押す。
再び怒張した雄が京子の咥内を深くまで犯した。

突然の事に瞠目して動転する京子に構わず、八剣は京子の頭を両手で掴まえ、前後に動かす。




「んッ、んッ、んふぅッ!ふぐ、むぅッ!」




じゅぷ、じゅるッ、じゅぽッ。
卑猥な音がして、京子は目尻に涙を浮かべて逃れようとするが、叶わない。
結局、八剣の腰にしがみついて、されるがままになるしかなかった。


京子の腰が尚も淫らに揺れる。
己の意思でなく、強制されている事にさえ、京子の躯は昂ぶっていた。




「ほら、ちゃんとしないと。京ちゃんからの報酬にならないよ?」
「んふッ、ふぐぅッ、んッ!む、ぅん、ふぅんッ…!」




京子を見下ろす八剣の眼差しは冷たいもので、平時の掴み所のないものとは違う。
意思を見せない訳ではなく、寧ろ明確に映し出しており、それは侮蔑の一種と似ていた。

プライドも《力》もかなぐり捨てた少女。
それを男の力と欲望で支配する事に愉悦を覚え、あまつさえ快感の鎖で閉じ込めて放さない。
傍若無人に少女の全てを掌握し、その末に泣く少女を見て、昏い昏い欲望と興奮を覚える。


─────最低の男だと、京子はいつも思う。
けれど、ならばその最低の男に縋った自分は、最低で莫迦なのだとも思う。




「出すよ」




聞こえるか聞こえないかの声でそう呟いた直後、八剣は京子の頭を男根から引き離す。
そして、男の欲望に塗れた精液を彼女の顔に放った。




「………っあ……あ……」





苦い味と、鼻をつく匂いと。
京子は眉根を寄せて、虚ろな意識のまま、口を半開きにさせていた。
覗く舌には精液と唾液の混在した色がある。

精液を放ったと言うのに、八剣のペニスは勃起したまま、萎えることはなかった。
寧ろ自分の精液で汚れた京子の顔に、更なる興奮を覚える。


激しい快楽の名残に支配され、朦朧としている京子。
無抵抗となった彼女の腕を引き上げてから、八剣は彼女の肩を押し、再び仰向けに倒した。
その際に目にした彼女の膣口は、またトロトロと蜜を零し、秘孔を濡らしている。

奉仕を、次いでイマラチオを強制されながら、彼女は間違いなく快楽に溺れていた。


亡羊としていた京子の足を持ち上げると、それでようやく、彼女の意識は微かに現実に還って来た。




「い…やだ………」




これから起きる事、起こる事が脳裏に過ぎって、拒否の言葉が零れた。
だが八剣は応えず、京子の足をM字に大きく開かせる。




「や、だ、嫌だ……嫌……」




小さく躯を震わせ、うわ言の様に京子は繰り返した。
それが意味のない行為だと判っていながら。

熱の塊が膣口に宛がわれ、京子の躯が震える。
プライドを失った彼女は、怯えているようにも見えたが、呼吸が上がって行く様は興奮しているようにも見える。
それはどちらも正解で、彼女にとってはどちらもが不本意だった。




「さっき十分解したから、平気だろう」
「………ッ」




八剣の言葉に、京子は首を横に振る。
しかし八剣は構うことなく、腰を押し進めた。




「あッ、ああッ、あぁあああああッ




男根の形に押し広げられる、膣内。
他者によって体内を犯されて行く快感は、京子にとって、耐えられるものではなかった。

─────今も、昔も。

それでも、京子の喉奥から上がる声は、悲鳴や痛みのものとは似ても似つかない。
八剣が情事の際にそれを聞いたのは、彼が初めて京子を抱いて間もない頃まで。
京子の躯が八剣の熱に馴染む頃になると、京子は最早痛みを感じる事なく、八剣の象徴を受け入れるようになっていた。




「あ、あ、あ ひッ、おっきぃ…よォ……!」
「全く、いやらしい躯だ。何度抱いても、懲りずに食い付いてくる」
「入ってる…入って、くる…ぅ…!奥ッまで……ぇ…
「これで嫌だなんて、嘘も良い所だ」




甘い声を上げて鳴く京子がどんな表情をしているのかは、八剣にしか判らない。
だから敢えて八剣は、それを彼女に囁いて教えてやる。




「嫌だとは言うが、とても気持ちが良いと言う顔をしているよ」
「ひんッ…ひ……う、あ、んあ……ぁ、う…」
「舌を出してキスを強請っているように見える。それともまだフェラチオがしたかったのかな?」
「はひッ、はッ、あッ、あ……やぁう…あッあ…




最奥に達したペニスを締め付けて、京子は喘ぐ。
その強い締め付けを強引に振り切るように、八剣は律動を開始した。




「あッ、あんッ、はひッ、あぁッ
「良い顔だ」
「ひゃうッ あぁッ、激しいぃッ…!らめ、中ッ…熱いぃッ




皮膚がぶつかり合う程に激しく腰を打ち付けられて、京子の躯は律動に合わせて揺さぶられる。



京子の膣内を犯しながら、八剣は京子の頬にキスを落とす。
激しい攻めとは正反対の触れるだけのキスを、京子が気付く事はなかった。
微かにくすぐる八剣の髪を嫌がって、逃げるように顔を背ける。

背けられた事に八剣は然程の感情は覚えなかったが、しかし悪戯心が涌いた。
京子の顎を捉えて自分と向き合わせると、触れ合うほどの距離で京子を見詰める。


乱れる様を間近で、品定めするように眺められるのが、京子は嫌いだった。
単に顔を見ているだけでも嫌がる事がある彼女だ。
意思とは関係なく快楽に溺れた躯を好きにされる様を見られるのは、彼女にとって屈辱以外の何者でもない。

だが、逃げられない、逆らえない。
故に八剣は、彼女が嫌がる事を敢えて選んで強制した。




「言ってごらん。何処が、どんな風になっているのか」
「や、あぁッ!」




拒否を示そうとする京子を、八剣は貫いて従属させる。




「あッ、あぅ、んあぁッ ダメ、嫌、やだぁ……!」
「嫌なら何がどう嫌なのか、ちゃんと言えば止めてあげるかも知れないよ」




また可能性の話だ。
言葉通りに止めるか止めないかは、結局八剣の気分で変わり、京子に選択権がある訳ではない。

それでも示唆される可能性があれば、藁をも掴む思いで縋りたくなるのも、無理はない。




「まんこ…ッ…おまんこ、熱いのぉ…ッ!」
「どうして?」
「ッ……八剣のちんぽ、にッ…ズボズボされてぇッ…感じてる、からぁ…ッ




はくはくと、酸素を求める魚のように、訳もなく繰り返し口を開閉させながら、辛うじて紡いだ言葉は、いやらしいものばかり。
そんな言葉が音になって口から出て行く度に、京子の膣内は尚も強く雄を締め付ける。




「あッあッ あッ あんッ!はぁんッ!」




子宮口を突かれて、京子の四肢が脊髄反射で跳ねる。
体中を駆け抜ける快楽からの解放を求めて、彼女の腕、脚が揺れる。
だが腰を掴まえられて更に深くを抉られれば、逃れられる訳もない。

最奥を貫いたまま、八剣は腰を左右へと揺らして、京子の膣内を掻き回す。
ぐちゅ、ぬちゅ、と粘着の音が聞こえるような気がして、京子は手繰り寄せたシーツに顔を埋めて目を閉じる。




「んぅッ、あッ、ひッいぃん!らめ、奥ぅッ…ぐちゅぐちゅ、しちゃ…やぁ…!」
「じゃあどうして、こんなに締め付けているんだい?」
「あッひぃうッ!!」




最奥から秘孔の入り口へ、肉壁を纏わりつかせながら、ペニスが引き抜かれていく。
膣内を擦られる感覚に、京子は背を仰け反らせて悶える。


先端だけを膣内に残し、八剣は動きを止めた。
激しい快楽が途端に止んだ事に、京子の意識は認識へとついていく事が出来ない。
自分の身に何が起こっているかよりも、昂ぶった熱を収める為に呼吸を繰り返すのが精一杯だ。

たわわに育った胸を上下させて呼吸する京子を、八剣は薄らと笑みを浮かべて見詰める。
その間にも陰唇の入り口は、八剣の亀頭を求めるように牝貝を収縮させていた。




「嫌だと言うから止めてみたけど、やっぱり欲しいんだろう?」




京子は緩く首を横に振ったが、自分でも判っていた。
此処で止められれば辛いのは京子で、此処で意地を張るのは自分の首を絞めるだけだと言う事を。

疼く躯を持て余して、京子は掴まれたままの腰を捻る。
くちゅ、と秘部から蜜の音がして、京子は甘く切ない声を上げる。




「あッ、ん、うぅ…はぅ、あッ…あッ…
「欲しいよね?」
「ふぅん…んん……ぅん…ひぁん……」
「こんなに俺を誘ってるんだ」
「……あッ…あッ、…あッ……」




追い詰めるように、一言一言をゆっくりと紡ぐ八剣に、京子は繰り返し首を横に振って否定する。

だが躯はそれを裏切り、快楽に忠実で、先刻の激しい快楽を欲しがって男根を誘うように腰を揺らす。
意思を離れた躯は、自ら足を開き、男を誘っていた。


戦慄く京子の理性は既に限界で、生来の負けず嫌いが根を張っているに過ぎない。
躾けられた躯が快楽に屈するのは容易い事で、後は彼女の性格がそれを邪魔しているだけ。
そして彼女の躯を開発した八剣にとっては、その性格の意地さえも剥がすのは難しい事ではないのだ。




「ん…ッあ……!?」




突然に腰が浮いて、京子は浮遊感に目を瞠る。
同時に膣口に咥えたままの男根が秘孔を擦り、京子は眉根を寄せる。


そのまま京子の腰は高い位置まで持ち上げられ、脚はシーツから離れて宙に揺れる。
下半身がほぼ浮いた形になった時、京子は殆ど上下逆さの姿勢を強いられていた。
腰を掴んでいた八剣の手が、京子の膝裏に移り、大きく脚を左右に開く。

背中は上半分程がベッドに乗せられたままだが、首に負担のかかる姿勢だ。
苦しさで京子の顔が歪んだが、それを見下ろす八剣は双眸を窄め、悦を隠さない。




「欲しいだろう?」




これが最後だと、音なく八剣の瞳が語っていた。
それにまるで射止められたように、京子の思考はそれ以上の働きを放棄する。


吊り上げられた高い位置で、自身の秘部が濡れそぼっているのを京子は見た。

膣口を開き、今正に再び侵入しようとしている太く逞しい男根は、京子を何よりも支配して雁字搦めにする。
それが齎す痛みも、快感も、全てが京子にとっては逆らえないもの。
─────それを失えばきっと生きていけないと、思ってしまう程に。




「……や…つる、ぎ…ぃ……」




京子の頬が紅潮しているのは、羞恥よりも、熱の所為だ。

どんなに抵抗しても、嫌だと繰り返し叫んでも、自分に逆らう権利はない。
それは最初から諦めていた事でもあったけれど────やはり頭の隅の理性は、それを嫌がっていた。
でも、結局は堕ちてしまうのだ。




「欲しい、の……奥…挿れて…ズポズポ、してェ……」
「─────良い子だ」




ヒクヒクと膣を伸縮させ、躯を熱に震わせて、京子は崩落の言葉を紡ぐ。
砦が崩壊し、守るものを失った少女に、八剣は昏い笑みを浮かべて京子の頬を撫で、





「─────ぁあッ、あぁひあぁぅぅうんッッ





上からプレスするように、最奥まで一気に貫かれる。
待ち侘びた太い熱の挿入によって、京子の理性は完全に瓦解した。

京子の呼吸が整うのを待たず、八剣は激しく腰を打ち付けて京子の膣内を陵辱する。




「あうッ、あはッ、はぁんッ ぅん、ん、あぁッ……!」




悦楽に染まる京子の表情を見下ろしながら、八剣は呼吸を上げながら少女を攻め立てる。


男の支配下でされるがままに揺さぶられる京子は、自分がどんな痴態を晒しているのかすら、今は頭にない。

動物の本能に身を任せ、恥部を犯す男に全てを預け、シーツの波の上で裸身を躍らせる。
蜜壷から溢れ出した液が丘部を伝い、飛び散って、京子の顔に降り注いだ。
爪先を丸めて快楽を享受し、京子はただあられもない声を上げる。




「ひぁ、あんッ、ふぅん…!」
「随分と気持ちが良さそうだね、京ちゃん」
「うッん、気持ち、イィ……イィよぉ…
「さっきは嫌がっていたと思うんだけど?」




意地の悪い八剣の問いに、京子は首を横に振る。
今此処でその言葉を肯定すれば、また熱を宿したままで放置されてしまう。
これ以上焦らされるのは耐えられなかった。




「気持ちいぃのお…!奥までッ…いっぱい、あぁッ!ひぁ…!」
「さっきのは嘘だと?」
「うそッ…うそォ!気持ちいいのッ、好きぃ…!もっと一杯、かき回してぇ……!」




抽出を繰り返す男根に踊らされながら、京子は懇願する。
プライドも矜持も何もかも捨てて、一匹の雌となって男を煽り、強請る。


嘘だと認めた───それが本心とは違っても───京子に、八剣は口角を上げて仄昏い笑みを浮かべる。

八剣は京子の躯を折り畳むように、掴んでいた脚彼女の顔の横まで押しやる。
その上から覆い被さるように八剣の体躯が重なり、京子は八剣の首に自身の腕を絡ませて縋った。
だが八剣はそれは必要のない事だとでも言うように、京子の右腕を掴んでベッドに縫い付ける。




「恋人同士の睦言遊びは必要ないね」
「ひッあ、あッ…あう……!」
「俺達はそういう下らないものじゃないんだから」




勧告のように囁いた言の葉に、京子は一瞬目を瞠り、やがて固く瞼を閉じて、絡めたままだった左腕をベッドへ落とす。
ぎり、と腕を掴む八剣の手に力が篭り、京子の細い骨が悲鳴を上げた。

見開かれた彼女の瞳の奥で、微かに傷付いたような、裏切られたような色があった事に、八剣は気付いていた。
けれど、だからと言って優しい言葉をかけるような間柄ではないのは事実。
二人を繋ぐのは契約関係であり、快楽によって縛り縛られた支配者と従属者と言う事柄だけだ。



京子は見下ろす八剣から視線を逸らす。
冷たい瞳を間近で見返す事が、この時だけは何故か出来ない。

けれども、それで良いと思う。
見返していれば睨むのは必然で、そして堕ちる事も目に見えている事だ。
その過程をこの男は愉しんでいるから、抵抗を見せるだけ、自分にとっては無駄でしかない。


────だが、そう思い視線を逸らす事さえも、些細とは言え抵抗である事に変わりはないと、京子は気付いていない。



京子の目尻に浮かんだ涙を舐め取ると、京子の頭が小さく震える。
きゅうと膣内が収縮し、八剣の男根を締め付けた。




「嘘吐きな口にはお仕置きしないとな」
「はッ……んんッ…!」




何をするのかと言いかけた唇を、八剣のそれが塞ぐ。
これで三度目になる口付を京子は従順に受け入れる。




「んッ、ふぅッ… うん、ちゅ…ふぅん…く、ふぁ…ん……」




上下の口で鳴る、淫らな液体の音。
鼓膜まで犯されているような感覚に身を震わせれば、八剣の指が更に悪戯をする。

京子の体躯を折り畳んだまま、八剣は京子の胸部に手を伸ばした。
柔らかな乳房を形が変わるほどに強い力で揉みしだく。




「あッ、や、むぅん……ッ!んふ、ふ、ふぅッ、くぅん!」




唇、乳房、膣口と、敏感な箇所を一度に攻められて、京子の意識は混濁していた。




「んんッ、んふッ、んッ、あふッ あんッ、ふぅんッ、んふッ




子宮口をノックされる度に、京子の躯は白魚のように跳ねて汗を散らす。

更なる快楽を欲して自ら膝裏に手を回し、京子は限界まで脚を開いて、恥部を男に差し出した。
八剣は涎の零れる口端を啜るように舐めながら、ずぐ、ぐぷ、と音を鳴らして彼女の陰部を掻き回す。




「ひゃめ、らめ、も、あぁあッ!んあ、あんッあふッはぁあ!」




ぐちゅぐちゅと淫音を響かせる京子の膣内。
女体を守ろうと分泌された蜜液を潤滑油にして、ペニスはスムーズに入出を繰り返した。

既に膣内は、八剣と同じ形をしていたが、締め付け具合は一向に緩まない。
剣術を駆使する彼女の躯は無駄な肉もなく引き締まっており、その理屈は秘部にも通ずる。
若く鍛えられた四肢は、その全てを以って、男を引き止め誘い込もうとしていた。


京子の手がベッドシーツを手繰り寄せ、幾重にもなる波の皺を作る。
しわくちゃになったシーツのあちこちに彼女の蜜が零れ滲みを作っていたが、それに気付く者は今はいない。

今はただ、京子は与えられる激しい快感に身を躍らせ、八剣は細い四肢を思う様に蹂躙するばかりであった。




「あッあッあッあッ らめッ、そこ、そこいいのぉッ
「何が気持ち良い?」
「おまんこ、おまんこ気持ちいィ!ちんぽッ…ちんぽ、いいのぉ…!」




暑さを訴える犬のように、京子は舌を伸ばして短い呼吸を繰り返す。
薄い腹部がそれに合わせて上下し、八剣はそのタイミングに合わせて、短いストロークで早い律動を始めた。




「あひッはッんあッ!やは、あ、あッあんッあんッ




酸素を吸うと言う行為を忘れたように、京子の喉は引っ切り無しに甘い喘ぎ声を上げる。


八剣はふとした悪戯に、京子の乳房に指を沈める。
不規則なリズムで強弱をつけて揉まれ、京子の乳首はみるみる内に硬いしこりを作る。
滲む汗で僅かに滑る感触さえ、愛撫の一つに感じられた。

ツンと天を突いた乳首に八剣が唇を寄せると、その吐息だけで京子は肩を跳ねさせた。
ちろりと尖らせた舌先で遊べば、細い肩がビクリと跳ねる。




「ひゃッあッはひッひぃんッ 乳首ッ、乳首だめぇ…!」
「美味そうな実だね。じっくり頂こう」
「あぁッん!」




宣言通りに、ゆっくりと─────舐りながら、八剣は頂の実を口に含んだ。
直後に強く吸い上げられて、京子の背が弓形に撓る。




「あひッあッ、イくッ…!イく、イっちゃうぅ!おまんこ、突いちゃ…もうだめええ……!」




ぶるぶると全身を戦慄かせて訴える京子。


下部の切なさに、縋るものを欲する心を誤魔化せなくなって、京子は腕を伸ばした。
他者が想像しているよりもずっと細い彼女の腕が、男の首へと回される。



律動が激しさを増す。
深い位置で、ぐぷッぐぷッぐぷッ、と絶え間なく入出を繰り返される。




「ああッ!あッ!あッ!あッ!あッ!」
「イく?」
「ひッはッイくッ、イくぅうッ!おまんこイっちゃうぅぅうう!!」




激しい痙攣に襲われながら、京子は絶頂へと達した。
男根を咥え込んだままの膣口の隙間から、濃い蜜液が溢れ、京子の恥丘を濡らす。
飛沫は京子の太腿を汚し、シーツに落ち、卑猥な芳香を室内に溢れさせた。

同時に京子のヴァギナは強く締まり、八剣のペニスを痛い程に締め付ける。
僅かに八剣の表情が苦悶を見せた─────が、限界間際の所で射精には至らない。


どろどろに蕩けた膣を、八剣は再度抉った。
達した直後の敏感な躯を襲った悦楽に、京子は背を仰け反らせて身悶える。




「ああッ!あッ!あひッ、やぁッ!もう、もう抜けぇええッ…!」




目尻に涙を浮かべ、男の首に縋りついて、京子は訴える。
心身共に疲労に苛まれた京子の、精一杯の懇願だった。

だが八剣の律動は止まらない。
蜜を溢れさせる膣内を更に抉り、子宮口を突き上げる。




「はひッ、はんッ、あぁんッ
「まだ俺はイっていないからね。休むのはまだだよ」
「やッ…むり、もう無理ぃッ…!あひッ、あッ、あッ!んあッ、ああ!おまんこ壊れるぅう!」




八剣の背に、京子の爪が立てられる。
きりり、と細い痛みが八剣の背に走った。




「め、や、いや、もうやだぁ…あッあッ!んんッ、ふぅッ……ああぁッ!」




泣きじゃくる子供のように呟く京子の声は、うわ言のよう。
耳まで赤く染まった彼女の瞳は、前後不覚に陥り、いつもの気性の荒さは何処にもない。

其処にいるのは、“歌舞伎町の用心棒”ではなく──────ただ一人の“女”だった。