ぞくぞくと躯を走り抜ける、強烈な快感。
頭の天辺から、足の爪先まで、全てを持っていかれると思う程に強い、快感。

突き上げて来る感覚がある。
女として持って生まれた中心部から、脳髄へとまっしぐらに。
抉るように強く、激しく、穿たれる。


自分自身と言う存在が、根底から塗り替えられて行く。
生まれた瞬間から今まで、培われ育まれ、形成されてきた“自分”が崩れる。

崩れた皮を脱ぎ捨てるように生まれて来るのは、今まで否定して来た“別の自分”。
女らしさなど母の子宮に忘れて来たように思っていたのに、小さな種はまだ胎内に存在していて、この瞬間を待ち侘びていたかのように一気に芽吹いて、築いてきたものを全て浚う。
浚われた中で唯一生き残っているのは、動物の本能のみで。



ビクビクと、腰が痙攣したように戦慄く。

来る。
もう直ぐ其処まで、来ている。




怖い。
怖い。

持って行かれるのが怖い。


だけど、持って行かれた後の愉悦を知っているから、逃げられない。





「や、ダメ、」

「ダメ、だめェッ…! 熱いィィ…!」

「イ、く、いっくぅぅ、いっちゃううぅぅぅッッ……出るッイくッ、出ちゃうのぉッ!」

「んひっ、んはぁあぁあぁああんッッッ!!」





この一瞬の悦楽に勝てる者など、いないのだ。