少しずつ、少しずつ

作り変えられていく、このカラダ

















milk play



















一糸纏わぬ姿で、シーツの波に座り込む少女────蓬莱寺京子。


唯一身に着けることを赦された────否、強いられた首輪が、危うげな雰囲気を醸し出す。
京子がほんの少し体を動かせば、首輪から垂れた冷たい鎖が肌を滑り、シャラリと小さな音を立てた。

ふるふると細身の肩が小さく震え、恥ずかしそうに頭は少し俯いていた。
しかし瞳だけは目の前に立つ人物に向けられ、それ逸らされてはいけない。
だから、京子は本当は逸らしたい視線を前に向けて、見つめる人物の顔をじっと見返した。



少女の前には、同じ年頃の少年が一人。
深い夜の色をした髪と瞳を持つ、何処か茫洋とした印象の顔付きの少年────クラスメイトの、緋勇龍麻。

龍麻は、少女を見下ろして、緩やかな笑みを浮かべていた。
昼間には決して見ることのないその表情が、京子の羞恥心を更に煽る。
彼がこの表情をする時は、決まって情交の夜だけで、少女はそれを嫌と言う程思い知らされていた。
……その際、自分に降りかかる災難からも逃れられない事も。





龍麻の手が伸びて、京子の頬を指がなぞる。
武道を駆使する為に鍛えられた指は、龍麻の外観の印象よりも、少し無骨だ。

それでも優しい手付きで、龍麻は京子の頬を撫でた。
────その感触を京子は決して嫌いではないのだけれど、酷くもどかしくて、恥ずかしさが募ってくる。



指が頬の形をなぞると、次は唇だ。
顎を捉えられて上向かされ、あ、と声が漏れ、ほんの少し開いた唇に指が滑る。
ほんの少し舌を差し出せば、また其処にも指が滑った。

舌の上で踊る指を追い駆けて、無意識に舌が彷徨い、甘い声が漏れる。
そんな京子を見下ろして、龍麻はうっすらと口元の笑みを深めた。


指が唇から離れると、銀糸が伸び、プツリと切れて京子の唇が潤い濡れた。



濡れた指は、そのまま喉に滑る。
つぅ、と細い刺激に京子は仰け反り、健康的に日焼けしたスラリとした喉が露になる。

龍麻は、其処に食い付きたい衝動に駆られた。


衝動をどうにか抑えて、龍麻は一度首輪の形をなぞり、鎖に沿って肌の上に指を這わした。
京子の背にぞくぞくとしたものが奔り、細い肢体がビクン、と跳ねる。





黙したまま、京子はじっと龍麻の顔を見上げて、その動向を甘んじて受け入れた。






「京」





常よりも低いトーンで、龍麻に名を呼ばれる。
緩い刺激でも熱を煽られた京子は、ぼんやりと龍麻を見上げ、言葉の続きを待つ。

その間に、龍麻の手は京子の豊満な胸へと向かい、




「乳首、もう勃ってる」
「んくぅ…ッ」




きゅう、と龍麻の指が京子の乳首を摘んだ。
切ない声が京子の喉から漏れる。




「まだなんにもしてないよ」
「んっ…うぅんッ…」




コリコリと先端を摘んで転がしながら、龍麻は言う。

それは京子も判っている。
判っているけれど、躯はこれからの熱を期待して、既に興奮を覚えていて、それは京子にはどうしようもならない事だった。




「…あッ、…ンはッ……」




龍麻の右手が乳首を摘み、左手が膨らみを揉みしだく。
左右違う刺激を、京子はされるがまま、受け入れる。


乳首を引っ張られて、京子は痛みに眉を顰めた。
しかしそれはほんの一瞬のことで、次に湧き上がってくるのは確かな快感。
指の腹で先端を押し潰されれば、艶の篭った呼吸が漏れた。

右側の柔らかな乳房は、龍麻の手の動きに合わせて形を歪ませ、指を肉肌に沈ませる。
その最中に、気紛れに乳輪をなぞられれば、硬くなった乳首に合わせるように、ぷっくりと膨らんで行く。




「あッ、あッ…ん、くぅん……」
「エッチだね、京のおっぱい」
「やぁ……!」




耳元で囁かれて、京子の顔が赤くなる。

声と一緒に吐息が耳朶に吹きかかり、京子はいやいやと頭を振る。
だが、見下ろす龍麻の表情は相変わらずで、両の乳房を攻める手も休まない。




「…っや、龍麻ッ……んぁ…ッ」




京子が出来る精一杯の抵抗が、言葉だった。


手は拘束されていない。
京子の力を持ってすれば、龍麻でも押し退けることは決して不可能ではなかった。
だけれど、京子は龍麻を拒否する事が出来ない。

京子に“女”を教えた男、それが緋勇龍麻。
その男に、まるで従属したかのように全てを受け入れる以外、京子に選択肢は残されていなかった。




そしてこの躯を開発した少年は、それをよく理解している。




「京、」
「んぁッ、あッ、は…! や…」
「ねぇ、面白いことしてみようか。いつもと違うこと」
「あ……? はぁんッ」




意味が判らないと言う表情をした京子を、龍麻は両の乳房を押し潰すように揉んで攻めた。
むにゅ、むにゅ、と形を変える乳房に顔を埋めると、柔らかな肌に舌を這わす。




「やっ、やっ! 舐め…やぁッ! はぁッ…!」




乳房を滑る生暖かい生き物に、京子の躯がブルリと震える。
しかし、此処でもやはり彼女は抵抗を見せず、腕は膝の上で拳を握るのみ。

そんな彼女に、龍麻はイイ子、と囁いて、耳朶を甘く食む。




「あはッ…あ……や…だ、めェ……」
「どうして?」
「やッ! しゃ、喋べ、んな…っはぁん…」





龍麻の口が開閉する度、京子の耳元をくすぐる吐息。

胸元はまるで絞るように圧迫され、痛みと快感の間を行ったり来たりする京子の意識は、熱に浮かされてドロドロに溶かされて行く。
その溶け行く感覚は、何処か甘く淫靡なもので、逆らう事を躊躇わせる。
そうして躊躇っている内に、何も考えられなくなっていく。


次第に下肢に熱が集まり始め、京子はもどかしくなって腰を揺らした。
シーツが音を立てて揺らぎ、龍麻がそれを目敏く見つける。




「胸弄られただけで、下も濡れちゃうの?」
「んッ…そ、んな……事…ッ」
「どうかな。触ってごらん」
「や……」




龍麻の言葉に、京子は緩く首を横に振った。
しかし見下ろす龍麻の瞳は、静かである筈なのに、絶対的な力を持っていた。

彼の手を拒めないように、結局、京子は彼の言葉も拒めない。



そろそろと手を下肢へと下ろして行く。

触れる様を見られるのが恥ずかしくて、せめてこれだけは赦して欲しいと、太腿を摺り合わせた。
龍麻は何も言わない。


数瞬迷ったが、ちらりと視線を上げれば、絶対的な色の瞳が京子を見つめている。
何もそれに逆らうなと龍麻が言った訳ではなかったけれど、でもやはり逆らえなかった。
言われた通り、指を伸ばす。

─────触れた陰部は、龍麻の言葉通り、既に湿っていて。




「あ………」




トロリとした蜜が京子の指先を濡らす。
自らのあさましさを認識させられたような気がした。




「濡れてる?」




問いに、京子は耳が熱くなるのを感じながら、頷いた。

乳房を揉む龍麻の手に力が篭る。
本当に、何かが搾り出されそうな位に。




「あッ、あんッ! 龍麻、だめッ、やぁッ!」
「おっぱいだけじゃなくて、全部エッチだったね」
「違、ぁあんッ!」




思わず出掛かった否定の言葉が、また嬌声に呑み込まれる。




「ん、痛、あッ! 龍麻、ぁあッ」




強い力で乳房を揉みしだかれれば、痛みがあって。
けれど、その痛みさえも与えてくれるのが龍麻であると考えると、いつしか快感の一つになる。


甘い声を絶えず上げ、熱に浮かされた瞳で見上げる少女を見下ろして、龍麻はにっこりと笑う。
その表情に京子が首を傾げると、乳房から龍麻の手が離れる。

なくなった熱と、昂ぶった熱で火照った躯を、京子は自分の腕で抱き締める。




「た、つまぁ……」
「京」
「…う、ぅん…?」




呼ばれて、放置されたのではない事を安堵した。

しかし、龍麻の手にあるものを見て目を剥く。




「龍麻…それ……」
「言ったでしょ? いつもと違うことしようって」
「…言っ、た…けど……」




龍麻の手の中にあるのは、硬めのシリコーン素材で出来た物体だった。

小学校の理科の授業で見た、漏斗(ろ過器材)のような形をしているが、窪んだ部分から伸びる筒部分が太い。
円になっている部分も円錐状に凹んではおらず、どちらかと言えば平面になっていた。
細い部分には、ホースのようなものが取り付けられており、それが何に繋がっているかは龍麻の陰で京子からは確認できない。



正体がよく判らずに京子が首を傾けると、龍麻がまたにっこり笑う。
それを上目に見て、京子は嫌な予感を覚えた。




「京の胸大きいから、多分出来ると思うんだ」




よく判らない理屈と確信を述べながら、龍麻は手に持っていたそれを京子の乳房に近付けた。
ぴたりと乳房に当たったそれが少し冷たくて、京子の躯がぴくりと揺れる。


龍麻の、物体を持つ手とは反対の手が、体の後ろに伸びた。
何かを探すように彷徨うと、やがて目当てモノを見付けたらしい。

カチリと言う音がして、






「あッ、はぁあぁんッ!」






筒に覆われた乳首に強い刺激が襲ってくる。
勢いよく吸い出されているような感覚だった。

それは間違いではなく、京子の乳首は確かに吸引されていた。




「あッ、あッ、や、やぁああッ!」
「倒れないでね」




吸われると言う刺激に背を仰け反らせる京子に、龍麻が言った。
その言葉に、あと少しで後ろに倒れこみそうになったのを、手を突いて支える。




「こっちも」




そう言うと、龍麻は反対側の乳房にも同じものを取り付ける。
直ぐにそちらも吸引が始まった。




「やっ、やめ、や! 龍麻、やぁああッ!」
「感じる?」




龍麻の問いに京子は首を横に振る。
しかし、




「嘘。此処ぐしょぐしょになってるよ」
「あ、んんッ」




龍麻の手が下肢を滑り、摺り合わせていた膝を割る。
露にされた陰部からは、トロトロと蜜が零れ、シーツに濃い染みを作り出していた。

白濁を零す陰部の上、淫核を龍麻の指が刺激する。




「ひんッ! あッ、あぁッ! や、そこ…触ん、なッ……!」




吸引の力に躯を震わせながら訴えるが、龍麻は聞き入れなかった。




「んぁ、あ、ああッ! や、何、ぃ……ッ? んぁあああッ!」




掃除機か何か、そんなものに吸い上げられるような感覚。
ある一定のリズムを刻む、その吸引の力に引っ張られるように、乳首が更に膨れ上がり、先端が尖る。

龍麻は京子のクリトリスを弄りながら、吸引の痛みと湧き上がる快楽に溺れる京子を見て、微笑む。
龍麻は、少女が無意識に浮べていた透明な雫をゆっくりと舌で舐め取った。
目尻のすぐ傍を滑る唇は、京子にも僅かに見えていて、まるで眼球が食われてしまいそうで。




「あッ、ああッ…い、痛……ふぁああッ…!」
「ねぇ、気持ち良い?」




京子は問いかけに答えられなかった。

頷ける訳もなく、かと言って否定も出来ない。
違うと言ってしまった後、何をされるか。


龍麻は、やはり楽しそうな表情を崩さず、淫核を弄りながら囁く。




「これね、搾乳機」
「っは、あッ! さ、さく、…にゅ……んぁああッ!」
「お母さんの母乳を出す道具」
「ひぁ、あ、や、ば、バカッ! オレ、妊娠、なんか…はぁん!」




確かに、京子は龍麻と何度となくセックスをしたが、避妊はきちんとしている。
従属したように彼の行為を受け止めるとは言え、其処だけは譲れなかった。


母乳が出るのは、妊娠五ヶ月から六ヶ月程が経っての事だ。
京子は、妊娠の経験など一度もなく、念の為と先日岩山から渡された妊娠検査薬も陰性と結果が出た。

だから、出る筈がないと、




「絶対出ない訳じゃないんだよ」
「んぁ、あ、や、ひぁあッ! あん、ふぁあッ…!」
「必要な成分が集まれば、妊娠してなくても出るんだって」




─────そんな事は知らない。
知らないし、成分だの分泌量がどうのと言われても、京子はさっぱり判らない。
保健の授業なんか嫌いだ、と、そんな事が頭を過ぎるのが精一杯だ。





「京の胸、大きいから、多分出るよ」
「バカ、あぁああッ! や、もうッ、痛いッ、痛い、のぉッ」
「もうちょっと頑張ってみよう、ね?」




吸引で引っ張られる乳首が痛くて、京子は外してくれと訴える。
しかし返ってくるのは無情な言葉ばかりで、京子は泣きたくなった。

その癖、やはり自由な筈の腕は動いてくれなくて、強引にでも取り外すという選択肢は頭の中に浮かばない。
龍麻がその手を伸ばしてくれなければ、京子はこの甘やかな地獄から抜け出せない。
そういう風に、目の前の男が仕込んだから。



ドクドクと、何かが競り上がってくる気配がする。
吸引される場所が熱くなって来て、血が集まってくるような感覚。

筒の中の乳首がぷっくりと膨れている。


京子は無我夢中で縋るものを求め、座り込んだまま、ベッドシーツを握り締めた。





「やッ、あ、ああッ! んくぅッ!」
「もうちょっとかな」
「だから、出なッ、ひゃううッ」





龍麻の手が京子の腰を撫でて、緩やかなその刺激にビクリと躯が跳ねる。
手が離れればムズムズとした感覚が残って、京子は艶かしく腰を揺らす。

その間にも、胸部の熱は止まる事なく昂ぶって行き、京子を追い詰めて行く。





「ひぅ、あ、痛ッ、んぁあああッ!」





龍麻が後ろ手でリモコンか何かを操作したのだろう。
吸引の力が一つ強くなり、その一瞬の力の変化が決定打となった。







「あっ、や、嘘、ひぁぅうううんッッ!」







ビクリ、ビクリと躯が跳ねて、乳首から白く濃い液体が噴出す。
それは一度で収まらず、吸引の力に促されて次々に溢れ出し、筒を通り、ホースへと吸い取られて行った。




「ほら、出来た」
「バカ、あああッ! んぁ、だめェ! あ、ああぁんッ」




にっこりと楽しそうに言う龍麻を、睨むことさえ出来ず。
乳頭を通過する瞬間の刺激さえも快感を生んでしまい、逃れる術のない京子は喘ぐしかない。


シーツに横たわれたらまだマシのような気がする。
倒れるなと言った龍麻の言葉を守る為に、京子は激しい刺激に身を任せきる事も出来ずにいる。

何が変わる訳でもないけれど、上半身を支える力が、今の京子には負荷になっていた。



喘ぐ京子を見下ろす龍麻の瞳は、深く、底知れない。
それに何処か絶対的な色があって、だから京子は、情事の時にこれを拒否できない。
普段ならば幾らでも言える文句も、抵抗も、強気な性格も、この時だけは何も意味を成さなかった。


その絶対的な瞳を近付けて、龍麻が囁く。







「下、どうなってる?」
「ふぁッ……!」
「触ってみて」




さっきと同じ台詞だ。
自分で秘所に触れてみろと。


やはりこれも、嫌だなどと言える筈もなく。
恥ずかしさに顔を伏せ、未だ続く吸引の刺激に眉根を寄せて耐えながら、手を伸ばす。

触れた膣口は先刻よりもしとどに濡れて、少し指先が当たっただけでトロリと溶け出した。




「そのまま……」




最後まで告げられなかった言葉を、京子は確りと理解した。
頭の隅で、判りたくなかったと呟きながら、それならそれで龍麻は最後まで言葉を繋いだだろう。
結局、京子が逃れられる事はないのだ。



右手でクリトリスに触れて、左手で膣口の形をなぞる。
自分自身で触れていることに、背徳感と羞恥に混じって興奮を覚えていた。

そちらにばかり気を取られていると、乳房の吸引に不意打ちを食らう。
きゅううっと強く吸い付かれて、また母乳が飛び出した。




「んぁ、あッ……ひゃうぅッ!」
「一杯出てるね。京がお母さんになったら、赤ちゃん元気に育つよ」
「あッあッ、あぁあんッ! ふぁ……ひ、んッ…!」




バカな事言ってんじゃねェよ、と毒吐きたい気持ちは山々だが、もう口から意味を持った言葉は紡がれなかった。




「ふぁ、あ、やぁ……!」




くち、くち、と。
卑猥な音が聞こえて、京子の顔は真っ赤になる。


つぷん、と指が内部に滑り込み、蜜液で濡れた其処は、それを素直に受け入れてしまった。
同時に乳房を据われて、躯が跳ねて膣口で指を締め付けてしまう。




「んくぅッ…! や、ぁ、んはッ、あぁッ…!」




吸引されて溜まったホースの向こう、見慣れぬ機械に置かれたビンの中身。
どれだけの量で多い少ないが決まるかは知らないが、少なくはない量だと思う。
順調に───何が順調なんだと言いたいが───溜まっている事は確かだ。


膨らみ、剥き出しになったクリトリスを指の腹で押し潰す。
そのままくりくりと捏ねた。

内部へと二本目の指を挿し入れて、バラバラに動かせば、肉壁が押し広げられながら指に纏わりつく。
奥でジンジンと、まるで待ち侘びているかのような箇所があって、京子は其処を目指す。
何処までしろと指定された訳でもなかったけれど、止めることも出来ずに、京子は自身を攻め続けた。




「あッ、や、だめ、…んぁッ! ひぃんッ!」
「京、気持ち良い?」
「んっ、イィッ……ふぁ、きもちいぃ……あぁッ!」




胸部全体から押し上げられてくる刺激と、乳頭から溢れる蜜と。
下肢はドロドロに溶け、肉壁を広げる指は止まることを忘れている。


首輪から伸びる鎖に、龍麻の手が伸びた。
ひんやりと冷えた金属を持ち上げると、一度軽く引っ張る。
それによって、俯けていた京子の顔が龍麻へとまた向けられた。

熱にとろけ切った瞳は甘い香りを醸し出し、濡れた唇からはあられもない声が漏れる。
それを見つめる龍麻の眼差しも、また、熱を持っている。




「あ……」
「京のエッチな顔、見せて」




鎖の先端に口付けて囁く龍麻に、京子の下肢がきゅんと切なさを覚える。




「はッ、あ、ぁあんッ! んぁ、っは、はぅ、たつまぁ……ッ」




痴態を見つめられることに恥ずかしさは消えない。
けれども、京子はもう俯くことはなく、龍麻から目を逸らそうとしなかった。

そんな京子に、龍麻は微笑み、額にキスをする。




「いい子だね」
「ん、っうぅん……ふぁ……ッ」




ぼんやりと見上げる京子の眦にも、唇を落とす。
それから呼吸を奪い舌を滑り込ませると、たどたどしいながらも京子もそれに応えた。

ちゅる、くちゅ、と水音が響く。
ゆっくりと離して行けば、名残惜しげに銀糸が伸びて煌いた。




「っは…あ、あ、らめ…たつまぁ…も、もうッ……」
「イきそう?」
「もうらめぇ…、イィのぉ……ッん…!」




愉悦に染まった京子の顔。
それが龍麻の雄を煽る。




「龍麻…これ、取ってぇ……ッ」
「これって?」
「ん、胸、胸ぇッ…もう、やぁ……ああぁんッ!」




筒の中でまた蜜が弾け、吸い上げられる。


自分ではどうしても外せない。
手は龍麻の告げたようにしか動かず、今は快感を追う事しか考えられない。
この快感を止めてまで、外すことは出来なかった。

だから龍麻を頼るしかなくて、京子は必至で龍麻に嘆願する。




「でも、気持ち良いんでしょ?」
「い、いぃッけど、んぁッ! もう、やぁの……!」
「どうして? いいんだよ、これでイっても」




筒の横をつんつんと指先で突きながら、龍麻は絶頂を促す。
けれども京子は首を横に振った。





「龍麻、が、いぃ……龍麻が、欲しい……ッあ!」





言葉が終わると、龍麻が小さく微笑んで、京子の乳房への吸引が止まる。
途端、吸い付く力を失った筒と吸盤は膨らみから離れ、かしゃんとシーツに落ちて音を立てた。

しかし吸引の力から解放されたにも関わらず、京子の乳頭からは白い蜜が溢れている。


龍麻を見上げたままの京子は、自分の有様を見ることはなかった。
けれども、自分の体の何処から何の刺激があるのかは判る。

指を突き立てた膣が締まって、身を捩らせると、乳房が揺れる。
その刺激と重力に従って、トロリと蜜を零してシーツに落ちる。



龍麻は京子の腕を取って、下肢を虐める手を引き抜かせた。





「あっ、はぁんッ!」





ずるりと抜けていく感覚に腰が痺れて、京子は絶頂を迎えそうになった。
けれど寸でのところで耐える。

そのまま京子の躯は押し倒されて、ベッドに縫い付けられた。




「龍、あぁッ!」




名を呼ぶ間も与えられず、勿論、呼吸も乱されたまま。
龍麻に足を広げられ、露になった女性器に逞しく育った熱が挿入された。

自らの手で解され、濡れた其処は痛みなどなく、湧き上がってくるのは充足感。
愛する男に抱かれていると言う、普段は全く女性らしく振舞わない京子の、“女”の悦び。




「トロトロだね、……京子の此処」
「あ、んぅッ…! 龍、麻ぁ……ッ」




龍麻がゆっくりと律動を始めると、京子もそれに合わせて腰を揺らめかせる。


龍麻の顔が、律動と共に揺れる乳房へと寄せられた。
白乳を溢れさせる乳首は、ぷくりと膨れ上がって尖っている。
散っているそれを舐め取ると、京子がいやいやをするように頭を振った。

嫌がる素振りを見せたところで、それは本気でないと龍麻はよく知っている。
だから気にする事なく、乳首に吸い付いた。




「あぁッ! や、龍麻、だめェ……ッ!」
「……ん…ん」
「はぅ、うぅんッ…や、龍麻、たつまぁッ……あ、あ、…!」




先刻解放されたばかりの、吸引の力。
それも機械のように一定のリズムではなく、人による不規則に変動する刺激。


京子には、龍麻の様子が、まるで赤ん坊が母親の乳を飲みたがっているようで。
赤ん坊扱いするような歳でないのは当たり前だけど、京子は不思議な気分だった。

恥ずかしい、けど、心地良くて。




「……龍、麻…龍麻ぁ……あ、ん…」
「…っは……何?」
「ん、うぅん……うま、い…?」




京子の問いに、龍麻は一瞬、きょとんとして。
数瞬の後に言葉の意味を理解して、笑う。





「美味しいよ」
「あんッ!」





ぱくりともう一度食いついて、吸い上げる。
とくとくと溢れ出す蜜を、龍麻は残さぬように飲んだ。

片手で反対の乳房を押し、時折指先で乳首の先端を刺激すると、其処からも溢れて来る。




「ちょっと甘い感じ」
「ふぁ、あ、……やぁ…」
「……不思議だね。京って甘いもの食べないのに」
「あひ、あ、らめ、も、おっぱい止まんなぁッ……んぁあッ…!」




びくん、びくんと躯が跳ねる度、蜜が溢れて止まらない。
それを龍麻が舐め取って、喉を通って行くのだと思うと、またえもいわれぬ感覚が京子を襲う。

龍麻の体の中に、自分の一部が入って行く─────そんな気がして。


──────また同時に、自分の中にも、龍麻がいて。






「んは、ひぁッ…ああ、も、いくぅ……ッ!」
「ん……僕も……」






奥底を目指す、指なんかとは比べ物にならない熱の塊。
指では届かなかった場所を、何度も何度も突き上げてくる。




もう湧き上がってくる衝動を抑えることは出来ない。






「ああ、イク、出る、出ちゃうのぉッ! んはぁあぁあんッ!」
「う……っく、んんんッ…!」






絶頂の強い締め付けに、龍麻もまた果てる。
中へと注ぎ込まれる熱い液体を、京子は受け止め、その喜びを感じていた。










≫ After