Seaside school [





夏祭りから帰った時、時刻は夜九時を過ぎていた。

まだまだ遊びたい生徒も多かったが、此処へは遊びに来ている訳ではないし、校外とはいえ学校行事だ。
タイムスケジュールは管理されており、外出時間も決められていて、守らないと大目玉を食らう羽目になる。
消灯時間の十時までに風呂に入って部屋に戻らなければならないから、この時間には殆どの生徒が戻って来ていた。

龍麻達も同じ頃にホテルに戻り、遊びつかれた小蒔や遠野などは欠伸を漏らしている。
同じく京子も何度となく欠伸を噛み殺し、道中もだるそうに歩いていた。


──────しかし、ホテルに戻るなり、意識は一気に現実に戻される。




「本当に見ていませんか? 本当ですか?」




悲痛さを含んだ女性の声に、龍麻達はエレベーターに向かおうとしていた足を止める。
振り返って受付を見ると、ウェーブのかかった黒髪の女性が係員に詰め寄っていた。




「此処で待っているようにって言ったんです。本当に見ていませんか?」
「申し訳ありませんが……」




泣き出しそうな表情の女性に、従業員は眉尻を下げて謝罪を繰り返す。

次第に女性の表情が、泣き出しそうなものから、絶望の色へと染まっていく。
それを見た葵が黙っていられる訳もなく、カラコロと下駄を鳴らして女性の下へ駆け寄った。




「葵、待ってよ!」
「……まァたあのお節介は……」




小蒔が葵を追い駆け、京子が呆れて溜息を吐く。

此処が見慣れない土地だろうと、女性と縁もゆかりもないとしても、葵はこういう性分なのだ。
困っている人を見つけたら放って置けないし、話を聞いたら手を貸さなければと思ってしまう。
そろそろ流すって事を覚えろよ、と呟く京子だが、以前のように無理に止めに行こうとはしなかった。



女性は見知らぬ少女に声をかけられて少し驚いたようだったが、心配そうに事情を問い掛ける葵に、藁にも縋る思いで説明している。


なんでも、女性と一緒に旅行に来ている娘が姿を消してしまったとの事。
まだ五歳になったばかりの幼い子供で、母子二人で花火大会を見に来た帰りだったと言う。
花火を終えてついさっきホテルに戻り、飲み物を欲しがる娘の為に、ロビーの端にある休憩スペース───一日目の夜に龍麻がいた場所だ───の自動販売機の所へ行っていた。
その時、娘は受付前にあるソファに座らせて待たせていたのだが─────戻ってきたら、いなくなっていたと言うのだ。

ほんの一分にも満たない間に、娘がいなくなった。
トイレかと思って見に行ったが、誰も使ってはおらず、入れ違いになったかとロビーに戻ってもやはりいない。
トイレとロビーは目に見える形で面しているから、迷子になるとは思えない。
まさか一人で部屋に戻ったか、その途中で階を間違えたか、そう思って部屋に戻ってみたが、結果は空振り。

ロビーにいたのだから、仮に外に出たとしても、受付の人に聞けば判る筈だと聞いてみれば、先刻の結果。
まるで霞か霧のように、娘の存在は忽然と消えてしまったのである。




「どうしよう…一人にさせなかったら、こんな事には…」
「落ち着いて下さい。大丈夫、私も一緒に探します」




真っ青になる女性に、葵が言った。




「ちょ…待ってよ、葵。もう直ぐ消灯時間になっちゃうよ」
「それまでには見つけて戻って来るから大丈夫よ。五歳の女の子なら、まだそんなに遠くに行っていない筈だし」
「それはそうかも知れないけど、」
「大丈夫よ。だから、外は私に任せて下さい。貴方は、ホテルの中をもう一度探してみて貰えますか?」
「え、ええ……」




葵の言葉に、女性が頷く。


大丈夫と繰り返す葵だったが、小蒔や京子からしてみれば、何が大丈夫なのかと言いたい。
しかし今の葵に言っても聞きそうにない。

小蒔は眉尻を下げて、しょうがないなァ、と親友に苦笑する。




「ボクも一緒に探すよ。葵一人じゃ大変だろうし」
「……おい小蒔……止めるトコだろ、其処は。マリアちゃんにどやされても知らねェぞ」
「ヘーキヘーキ。行こう、葵」
「しゃーねーなァ……おい龍麻、醍醐」




早速葵の手を引いてホテルを出ようとする小蒔に、京子もがしがしと頭を掻く。
それを、京子が一緒に行くなんて珍しい、と眺めていた龍麻と醍醐を振り返り、




「お前ら、あいつらと一緒に行ってやれ。女だけでこんな時間にウロつかせんな」
「京がそれを言っても、説得力ないよ」
「黙れ。いいから行け」




夜の九時どころか、日付が変わる時間帯に街を歩き回っている事が多い京子だ。
それも大都会の真ん中にある、新宿歌舞伎町と言う魔都で。

京子は龍麻に冷静に突っ込まれたのを睨みつけて、ホテルの入り口を指差して命令する。
それに促されてと言うか、切欠にしたのだろう、醍醐が直ぐに追った。
彼のことだ、京子が言わなくても、小蒔の為に一緒に探すと言っただろう。

龍麻も醍醐を追い駆けようとして、ふと、動かない京子と遠野に目を向ける。




「京は?」
「誰かさんのお陰でダリィから寝る」




予想を裏切らない京子の言葉に、だよね、と龍麻は苦笑する。




「遠野さん、遅くなったら先生達に話しておいて貰える?」
「うん。気を付けてね。あたしもホテルの中、探してみるから」
「ありがとう」




それじゃ、と短い挨拶をして、龍麻もホテルを出て行く。

それを惰性で見届けて、京子はくるりと踵を返す。
向かった先はエレベーターで、龍麻に言った通り、さっさと部屋に戻って寝るつもりなのだ。




「ちょっとは一緒に探そうとかしてよー」
「へーへー。気が向いたらその内手伝ってやるよ」




丁度良く到着したエレベータに乗って、京子はおざなりに言う。
ひらひらと手を振ったのを最後に、彼女の姿はドアに隠されて遠野からは見えなくなってしまった。

白状だなあと思いつつ、あれが京子と言う人間なのだと、遠野もよく知っている。




(それに、確かに疲れてたっぽいのよねー。一体何してたんだろ)




祭りの途中で姿を消した、龍麻と京子。
戻って来たのは花火が終わって少ししてからの事だった。























見知らぬ土地を当てもなく歩き回るというのは、存外と労力を使うものである。
当てと言ったら行方不明の小さな子供で、それも何処に行ったのか判らなくて探しているのだから、目印になどなる訳もない。


ともかく、ホテルを境目にして二手に分かれて、方々を探し回る。
許された時間は三十分程度なのだが、もう四人ともそんな事は気にしていなかった。
大目玉を食らっても、子供が無事に見付かって、あの女性が安心してくれれば良い。

海岸やホテル裏手の山にも登ってみたが、見付かるのは犬猫や狸ばかりで、人間の姿は見られない。
夏なのでひょっとしたら熊も出るかも知れないと、臨海学校一日目に注意を受けていたので、皆戦々恐々としていた。


小蒔と葵が携帯電話で連絡を取り、時々遠野にも電話して、ホテルの様子について聞きながら探し回る。
龍麻と葵で街の祭りへ戻り、出店の店員にも聞いてみたが、これも空振りになってしまった。




「警察に行った方が良いかしら……」
「うん。ちょっと考えた方が良いかも知れないね」




葵の呟きに、龍麻も頷く。


だが、その前にもう一度小蒔達と合流して、情報整理をしよう。
あちらが何か掴んでいるかも知れない。

そう思ってホテルに戻ろうと踵を返した時、葵の携帯電話が鳴った。




「小蒔だわ。もしもし?」
『葵? ちょっと急いで海岸に来て! カヌー置き場がある所!』




龍麻にまで聞こえる、大きな声。
焦りの色を含んだ声色に、龍麻と葵は顔を見合わせて、直ぐに走り出した。



今日の昼間のレクリエーションでも使われていたカヌーは、地元の青年団の持ち物だった。
町興しのアクティビティの一つとして使われており、昨日は真神学園で貸し切ったのである。

そのカヌーが置いてあるのは、海岸の端の方。
四日目に京子が過ごしていたのとは反対側で、此方は堤防はない変わりに、凹凸した岩に囲まれている。
岩には苔が生えて滑り、周辺は磯場になっていて急に深くなっている場所があるので、生徒達は近付かないようにと指導されていた。
しかし蟹やエビがよく潜んでいるとかで、地元の子供達は、大人の目を盗んで其処で遊ぶ事が多いらしい。




浴衣姿と下駄のままで砂浜を歩く葵は、少し足元が覚束ない。
先導するように龍麻が手を貸して、出来るだけ早足で指定された場所に急ぐ。

磯場が近くなると、途端に波の音が大きくなる。
満ち潮になって水位が上がり、砂浜と違って凹凸の深い岩に波が叩きつけられる所為だ。
足元を掬いそうになる波に、葵は途中から浴衣の裾を捲り上げて高い位置で結んだ。


カヌーボートが並んで立て掛けられた傍を通り抜けて、波打ち際に到着すると、岩陰から小蒔が手を振っていた。




「こっちこっち!」
「小蒔、何があったの?」




岩場を越える為に下駄を脱いで、葵は裸足になる。

先に龍麻が岩場を進んで、安全そうな場所を選んで歩を運んだ。
振り返って葵に手を貸し、龍麻に支えられて葵も進む。


小蒔のいる岩陰まで到着すると、彼女も葵同様に浴衣を捲り上げて結び、足元も裸足になっていた。




「醍醐君は?」
「この中」




そう言って小蒔が指差したのは、横穴の入り口。
龍麻が覗き込んでみると、暗い穴の中で、懐中電灯だろう明かりがちらちらと見えている。




「今年の春に地震が起きて、その時に開いた穴らしいんだ。丁度その頃から、失踪事件が相次いでるって噂が出てる」
「春に、地震……もしかして……」
「失踪事件って、行方不明になってる人がいるの?」




考え込む葵に変わって、龍麻が小蒔に質問する。
失踪などと、物騒な事件が起きている所を、臨海学校の場所などに選ぶだろうか。


龍麻の問い掛けに、小蒔は小さく首を横に振った。

失踪と言われてはいるが、いなくなるのは一晩だけで、翌朝には戻ってくる。
姿を消すのは、昼間にこの周辺で遊んでいる地元の子供が殆ど。
一夜の記憶が曖昧と皆言うのが不自然ではあるのだが、少し疲れた表情で、見付かったその日は終始眠そうにしていたりする程度で、外傷もない。
地元の人々の間では、横穴を秘密基地扱いして遊んでいるのだろう、と言う結論に至っている大人も多かった。




「だから、失踪事件って言うと大袈裟っぽいんだけど……春の地震って言うのがちょっと引っ掛かって」
「でも、いなくなった女の子は、地元の子じゃないわ。旅行に来てたって」
「それがさ。どうも昼間、地元の子と此処で遊んでたらしいんだ。それで念の為に、此処に来てみたら……」




言葉を切って、小蒔は手に持っていたものを二人に見せる。
リボンのついたピンク色のゴムの髪留めだった。




「アン子に電話して、お母さんに確認してもらったら、娘さんのだって」




当たりを引いて、直ぐに奥に行って探したかったが、醍醐が止めた。
裏山を探すのに持ち出していた懐中電灯で、先に彼一人が中に入って様子を探り、今に至る。


奥で閃いていた光が、此方─────出口を向いた。
程なく、醍醐の姿が確認できるようになる。




「緋勇達も来たか」
「うん。中、どうだった?」
「奥に行けそうな横穴が続いている。下っている上に、海の方に向かって伸びているようだったな。昼間でもろくに見えないだろうに、子供が一人で、灯りもなしに行けるとは思えないな……」




そうなると、再び頭を擡げてくるのは、“今年の春”と“地震”のキーワード。
これを境に起きた出来事は、まだ四人の記憶に新しい、寧ろ現在進行形でもあった。

一同は顔を見合わせ、醍醐を先頭に、殿を龍麻に任せて、洞窟に潜って行った。


























今年の春、沿岸沖で地震があった。
津波も小規模であったが発生し、海岸沿いに住居を構える人達は、一時避難も余儀なくされた。


その後で、カヌーやボート置き場に使っている岩場の傍で、大きな横穴が見付かった。
崩落で現れたのだろうと思われたが、それにしては随分奥まで続いている穴だった。
青年団などが内部を確認する為に探索すると、穴は延々と続き、海の方へと伸びていた。
あちこち苔生してはいるものの、生き物の気配はなく、船虫さえ見付からなかった。

近くで子供が良く遊ぶ為、安全性を考慮して、穴は封鎖される事になった。
青年達がボランティアでバリケードを作ってくれたのだが、数日が経つと壊されてしまっている。
子供達がやったのかと思い、徐々に強固にして行ったのだが、やはり破壊される日々が続いた。
止むを得ず、通行止めのテープやロープのみを配置し、子供達には厳重注意をする事になった。



地震が起きてから一ヶ月の後、最初の失踪事件が起きた。
横穴の傍でいつも遊んでいた子供達の内の一人が、ある夜、突然姿を消したのだ。

まだ十歳にもならない子供である。
普段から危なっかしい遊びをしている子供だったので、親は血相を変えて方々を探し回った。
しかし見付からず、その夜の内に警察に届けを出した。


─────が、一夜が経つと、子供は海岸に倒れている所が発見され、保護された。


これと同じような子供の失踪事件が、月に一度、二度の頻度で起きている。
子供達は皆無事に帰ってくるのだが、一夜を何処で過ごしていたのかと聞くと、皆曖昧にしか話せない。
子供達が揃って悪戯しているのかと思う大人もいたが、それにしてはそれぞれの時期が離れすぎだし、仲の良い子も悪い子もごちゃまぜになっていて、打ち合わせしているようには見えなかった。

どうにも気味が悪い、と言うのが、自治体の大人の感想だった。




「………で? わざわざそんな話する為に、此処に来たのか?」




消灯時間を過ぎた、十時半。
熟睡していた所を起こされた京子は、不機嫌そうに遠野を見て言った。




「だって、言った方が良い感じの話だなーって思ったから」
「……ふぁ〜あ……」




唇を尖らせる遠野に対し、京子は欠伸を漏らして眠気のアピール。



龍麻達が姿を消した子供を探しに行った後、京子はさっさと自分の部屋に戻って、敷かれた布団に潜っていた。


同じ部屋に割り当てられたクラスメイト達は、トランプやらコイバナやらに話を咲かせていたが、京子は全く気に留めなかった。
クラスメイト達も、真面目な葵が小蒔が戻って来ないことに首を傾げてはいたものの、京子に聞いても無駄だろうと、此方も気に留めなかった。
葵のことだ、直に帰ってくるだろうし、小蒔もそれについてくるだろう、と。

消灯時間が過ぎても二人が帰ってこない事にクラスメイト達はいぶかしんだが、その答えを知っている京子は、その時には既に夢の中だった。
クラスメイト達は仕方なく、マリアに部屋に戻って来ない生徒がいる事を伝えた後、電気を消して自分達も就寝した。


……とは言え、枕が替わると眠れない生徒はいるもので。
臨海学校が始まってから五回目の夜だが、やはり眠れないものは眠れなかった。
起きている友人同士で、ヒソヒソと雑談が始まる。

遠野が部屋にやって来たのは、その頃だった。



京子が不機嫌なのは、その所為だ。
気持ち良く熟睡していた所を、話がある、と起こされて今に至る。




「さっき桜井ちゃんにも電話で話したけど」
「じゃあそれで十分だろ」
「でもなんか心配なんだもん。大丈夫かなって。ほら、いつもみたいに武器とか持ってないし」
「そもそも、鬼の仕業って証拠がある訳でもねェだろ」




東京で起きた猟奇事件ならば、新聞なり週刊誌なりを当たれば、何某かの写真が見付かる。
しかし此処は海岸沿いの田舎町で、そう言った事件とは無縁の、平凡な土地だ。

考え過ぎだと言う京子に、遠野はむぅ、と眉根を寄せる。




「でも、今年の春の地震からなのよ。ここら辺って、地震なんて殆ど起きないらしいのに」
「それで────仮に鬼の仕業だったとしても、だ。ガキは皆見付かってて無事なんだろ? そン時の事を覚えてねェだけで」
「うん」
「じゃあそれで良いだろ」




気にする程の被害じゃない、と言う京子。
遠野はまた顔を顰めた。

丸い頬を膨らませる遠野に、京子は短く溜息を吐く。




「どっちにしてもだ。オレが出しゃばる必要はねェよ。お前もそろそろ寝ちまえ、マリアちゃんに見付かるぞ」




ぐしゃぐしゃと、低い位置にある遠野の頭を撫でて、京子は言った。
くるりと踵を返して部屋に入ろうとする京子を、遠野はもう一度呼び止めようとした。

──────しようとして、途端、声が出なくなる。




「─────アン子?」




後ろの気配が可笑しい───まるで消えたように薄い事に事に気付いて、京子が振り返る。

見れば遠野の瞳は、瞳孔が開き、まるでガラス細工のように虚ろ。
呼んでも返事のないその様に、京子は頭の中で警鐘が鳴るのを感じた。




「おい、アン子!!」
「──────うわッ、わ!」




肩を掴んで揺さぶり、怒号に近い声で呼ぶ。
ぱちりとシャッターを切るように、遠野の目に光が戻った。

自我を取り戻した遠野は、きょろきょろと辺りを見回す。




「あ、あれ? え? 何、何?」
「なんだ。何があった?」
「え、え、」




目を白黒とさせている遠野に、京子は目尻を尖らせて詰め寄る。
傍目に見れば、脅しているようにも見えただろうが、幸いにも辺りには誰もいない。


何が起きたのか判らない様子の遠野に、京子は小さく舌打ちして、質問を変える。




「おい、アン子。お前、さっき言ってた横穴、此処数日で行ったのか?」
「う、うん。子供が遊んでたのが見えたから、写真撮ろうと思って、ちょっとだけ……」
「ちッ!」




京子は遠野の腕を掴んで、部屋の中へと引っ張り入れる。
突然の事に遠野は驚いたが、部屋の電気は消されており、起きている生徒もいるとは言え、大きな声を出すのは憚られた。

他のクラスメイト達の布団を跨いで、真っ直ぐに京子は自分の布団へ向かう。
部屋の一番奥、出入り口から遠ざかった場所が、京子の陣地だった。
起こされた時に蹴り上げていた布団を拾って、遠野を押し込む。




「其処にいろ。出るんじゃねェぞ」
「え? え?」
「マリアちゃんが来たら、バレねェようにしろよ」




一方的に言い付けると、布団の横に置いていた木刀を掴む。
クラスメイト達が何事かと身を起こし始めていたが、京子は構わなかった。
窓を開けると、遠野の止める声を聞かずに、外へと飛び出す。

地上七階から飛び降りた京子に、クラスメイト達が悲鳴を上げて飛び起きる。
しかし、慌てて外を見た生徒達が見たのは、学校で見るのと同じように駆け出した京子の後姿だった。








Z \

葵は優等生とは言われてるけど、暴走すると規律破るのもあんまり気にしなさそうな。
と言うか、自分から言いつけ破ってる所あるような気がします。

京子が疲れてた理由は……ねえ(笑)。