従う猫、一匹 4


 がんがんとした頭に響く痛みと同時に、ぐらぐらと視界が揺れているような気がして、レオンは唇を噛んだ。

 腰の痛みは殆ど慢性的になっているので、あまり気にしなくなっていたのだが、頭痛がするのは初めてだ。
拾われたばかりの頃、栄養も血も足りていなかった所為で、立ち上がった瞬間に立ちくらみを起こしていた事がある。
その時の感覚に近しいような気もしたのだが、その時は頭痛はしていなかった筈。


(……寝不足……いや……)


 頭痛の原因になりそうなものは、幾らでも思い当った。
夜毎に繰り返される行為、食事が進まない事が理由の偏食による栄養不足、ストレス────全てが原因なのではないか、とも思う。

 レオンはキッチンの流し台に寄り掛かって、額に手を当てて俯いたまま、動けずにいた。
流し台に置いた食器に、蛇口から流れる水が注がれ続けている。
早く片付けてしまわなければ後が面倒だと思っているのに、体が言う事を聞かない。


(まずい……)


 風邪の前兆なのか何かは判らないが、体調を崩し始めているのは確かだ。
支配者の手間になるような事になったら、不興を買うかも知れない。
夜の性行為も、自分が出来なくなったら、スコールが代わりになるか、捨てられるか。
二人で捨てられるのなら、その方が良いか、とも考えたが、今以上に身の安全が保障される場所など簡単に見付かりはしないだろう。
それに、二ヶ月前の空腹すら感じられなくなった時の虚無感や、行く宛もなく歩き続ける寂しさを、もう一度弟に味合わせるのかと思うと、それは出来なかった。

 しばらくの間じっとしていると、少しずつ頭の痛みが引いて来たような気がした。
額に当てていた手をそっと放し、何度か瞬きして目を擦ると、ようやく視界がクリアになる。


(大丈夫、か…?)


 額にもう一度手を当てて、息を吐く。
頭痛が退いて行くのを感じながら、レオンは流れ続けていた水を止めた。
食器洗いを早く済ませて、リビングに戻って休んだ方が良さそうだ。

 そう思った所に、玄関のドアが開く音が聞こえた。


「ただいま」
「……お帰、り」


 ドアのないキッチンの出入口に立って帰宅の挨拶をした男に、レオンは辛うじて答える。
レオンが冷蔵庫の上に置かれた時計を見ると、時間は7時を指している。
クラウドが帰宅するにはいつも通りの時間だ。


「風呂入って来る」
「……ああ」
「部屋に行ってろ」


 クラウドの言葉に、レオンはひっそりと小さな溜息を吐いて、シンクの洗い物の事は諦めた。

 リビングに出ると、スコールがソファの上で尻尾を逆立てている。
そんな弟が座っている場所の背凭れに寄り掛かって、レオンはスコールの耳に唇を寄せた。
すん、と小さく鼻を鳴らすと、怒りを滲ませた青灰色が見上げて来る。
睨むように見つめる目の上を舐めてやると、スコールは唇を尖らせて俯いた。
ぎゅ、とシャツの裾を掴む手に自分の手を重ねて、レオンは溢れそうになる涙を見られないように、覆い被さるようにスコールを腕の中に閉じ込めた。




「────んっ、ぅ…く、い…っ!」


 押し殺した声が漏れるのを、碧眼が薄い笑みを浮かべて見詰めている。
レオンの喉から零れる音には、苦悶の色が濃く滲んでいたが、クラウドはそれすら愉快であるかのような表情で眺めていた。

 いつものようにレオンがペニスへ奉仕を施した後、クラウドはレオンのアナルを解そうとはしなかった。
クラウドはレオンに胸を見せるように命令し、言われた通りに背を反らせて胸部を差し出したレオンに、銀色の見慣れない道具を翳して見せた。
それは紙を挟むクリップと同じ構造で、先端をラバーで覆ってあった。
何をするのかと見詰めるレオンの前で、クラウドは説明もなく、クリップの先でレオンの乳首を挟んだのである。

 引っ張られ、押し潰される痛みに、レオンは顔を顰めて悲鳴を飲み込む。
ビクッビクッ、と痛みに耐えて震える四肢に、クラウドの指が滑った。


「ひ、う……!」


 乳首への痛みで全身が強張っている今、レオンの躯は触れるものに殊更に敏感な反応を示すようになっていた。


「感じるか?」
「……っ……!」


 ふるふる、とレオンは首を横に振る。
官能など感じよう筈もない、ただ痛いだけだと。

 兄の背中を見詰めていたスコールが、剣呑な空気を放つ。
ぐるぐると喉が鳴るのを聞いて、レオンは不味い、と思った。
しかし、口を開けば痛みによる悲鳴を上げてしまいそうで、ただ歯を喰いしばり、弟が感情のままに支配者に飛び掛からない事を祈るしか出来ない。


「まだ早いか。昨日が初めてだったんだから、仕方ないな」


 そんな言葉を呟きながら、クラウドの口元は笑みに歪んでいる。
レオンが痛みしか感じないのを判っていてこの行為を行ったのだと知って、スコールの全身の毛が逆立った。


「やめろ……!」


 兄に甘えている時とは違う、低い声で威嚇の音を鳴らすスコール。
クラウドはレオンの乳首を挟んだクリップを指先で弄び、レオンの反応を楽しみながらスコールを見た。


「ひっ、う、う…!」
「何か言ったか?スコール」
「……やめろって言ってる…!レオンに酷い事するな!」


 フローリングの床に立てたスコールの爪が、がりがりと木目を削る音を響かせた。
青灰色の瞳の瞳孔が細く尖り、支配者の喉元を狙う。

 クラウドはレオンの鎖を引いて自分の下へ引き寄せると、抱き寄せるようにして腕の中に閉じ込めた。
飛び掛かろうとしていたスコールが動きを止める。
今のまま、スコールがクラウドに襲い掛かれば、間違いなくレオンが盾にされてしまう。

 クラウドは片腕でレオンの腰を抱いて、痛みに顔を顰めるレオンの頬に舌を這わせた。


「別に酷い事なんてしてないさ。な?レオン」
「ん、ん…ぅ……っ」


 乳首を挟んだクリップを摘まんで、上下に向きを変えながら引っ張られる。
クラウドはクリップをぎゅうう……と強く引っ張り続け、────力に耐え切れなくなったクリップが乳首から外れ、パチン!と鋏の閉じる固い音が響いた。


「─────ぅああっ!」


 瞬間的な強い痛みに、レオンが悲鳴を上げる。


「あ、あ…う……」
「痛いか。なら、慰めてやる」


 クラウドはレオンの反らせた背を片腕で支えながら、汗ばんだ胸に顔を寄せると、赤く腫れて膨らんだ乳首に吸い付いた。
ぢゅっ、ぢゅくっ、と音がする程に強く吸い上げられて、レオンの躯がビクッビクッと跳ねる。


「あっ、ひ、…ぅんんっ!」


 痛みの所為で神経が敏感になっているレオンにとって、同じ場所への刺激は辛いものでしかなかった。
それが痛みを伴わないものでも、神経が必要以上に反応してしまう。

 クラウドは片方の乳首に舌を這わせながら、もう片方の乳首を指で摘まむ。
昨晩のように強く摘まむ事はせず、親指と人差し指の腹で緩く挟んで、撫でるように指先を擦り付けて遊ぶ。


「…ん、んっ…う、や……っ」


 クリップで挟まれていた時のように、引き攣る程の痛みは感じなかったが、その余韻を刺激されているような気がしてならない。
舌でなぞられ、指で遊ばれる度、ぴりぴりとした小さな痛みが走る。

 ちゅ、ちゅぷ、ちゅぅ……
唾液を絡ませた舌が、膨らんだ乳首を宥めるようにゆったりと動く。
レオンの手が縋るものを求めるように、クラウドのジーンズの端を掴んで握り締める。


「う、ん…ん…痛、ぅ……」
「まだ痛いか?」
「…は…ぅ……んんっ…」


 レオンが小さく頷いた。
直後、ぢゅうっ!とクラウドはレオンの乳首を強く吸い上げる。


「ひっい、い、あああっ!」
「ん、…ぢゅ、ぷ、ふ」
「う、う、あ…!痛、い、や……っあ…!」


 硬い歯が乳首の先端に宛がわれて、レオンの躯が跳ねた。


「や、噛む、な……ひっ、いっ、」
「………暴れるなよ。スコールが見てるぞ」


 だから嫌なのだ、とレオンは胸中で叫ぶ。
せめてスコールがこの場にいなければ、羞恥も屈辱も、今よりもずっと楽になっていただろうに。

 涙を滲ませて頭を振るレオンの姿に、スコールがまたぐるぐると喉を鳴らす。
細い瞳孔がクラウドを睨んでいたが、クラウドはそれに薄い笑みを浮かべて見せると、抱き起したレオンの喉に舌を這わせた。


「うっ…ん、……っ」


 ピクッ、ピクン、とレオンの頭が微かに震える。
殺し損ねた吐息が熱を孕んで零れ、クラウドの耳を擽った。


「じっくり教えてやるよ、此処と同じように」


 レオンの背を抱いていたクラウドの腕が下がり、下肢を撫でて、後ろの秘口に触れた。


「────んぁっ…!」


 ぬぷ、と指先端が穴を広げて挿入される。
レオンの淫部は、潤滑剤がなくても、その程度なら問題なく飲み込めるようになっていた。
指先で小さな円を描くように穴口の壁を広げられて、レオンの腰がヒクッ、ヒクッ、と痙攣するように反応を示す。


「う、んっ…あっ…、ひっ…!」
「ケツ穴、大分感じるようになったな」
「や、ぅ……んんっ!」


 否定するレオンの声を遮るように、指が根本まで一気に挿入された。
息を飲んで背を仰け反らせたレオンに構わず、クラウドは指を激しく抜き差しする。


「う、んっ、んんっ…んぁっ、うっ!ひ、や……く…!」


 ぐちゅっ、ぐりゅっ、ぐぷっ、ぐちゅっ。
壁を爪先で擦られる度、レオンの躯が強張って行き、


「ほら。お前のちんこ、立って来たぞ」
「………っ」


 囁かれた言葉に、レオンは顔から火が出るのではないかと思う程に赤くなった。


「見てみろ」
「い、やだ……あっ!う、あっ、あっ!」
「ほら」
「やだ、やめ……っ!」


 ぐぷっぐちゅっ、とレオンの秘孔を指で犯しながら、クラウドは空いている手をレオンの膝裏に滑らせた。
クラウドの膝上に横抱きにされていたレオンの片足が持ち上げられて、指を咥えた淫部が人目に────見詰めるスコールの目に晒される。


「……、……っ……!」


 スコールが息を飲んだ気配を感じて、レオンの獣人の証である尻尾が秘孔を隠そうとするように揺らめいた。
その動きにクラウドが気付き、指を引き抜いて、尾の根下を握る。


「んくっ…!」
「ああ、悪い。尻尾も感じるんだったな」
「ひ、う……!離、し…ん…っ!」


 強弱をつけて尾の根本を揉むように刺激されて、レオンの腰がふるりと震え、晒されたアナルの口がヒクヒクと伸縮する。
まるで刺激を欲しがっているかのような反応を示す淫部に、クラウドは尾を毛並に沿って撫で、丸い尾の先端をやわやわと揉み、逃げようと揺れる尻尾の動きを楽しんだ。

 呼気のリズムを上げて乱して行くレオンを、クラウドは光悦とした表情で眺めている。
クラウドは口元に薄い笑みを梳いたまま、尾の先端を先端をアナルへと近付ける。
こそばゆい細かい毛が秘孔をくすぐるのを感じて、クラウドが何をしようとしているのか悟ったレオンは、弱々しく首を横に振った。


「や、め……嫌だ……っ」
「そうか?きっと気持ち良くなると思うぞ」
「嫌だ……っ!」


 散々貪られたアナルと、戯れのように性交の最中に撫でられては性感帯として刺激を与えられる尻尾。
同時に、或いはバラバラに弄ばれるだけでも辛いのに、尻尾を挿入なんてされたら、気が狂ってしまう気がした。

 クラウドはしばらく尻尾でレオンのアナルをくすぐっていたが、しばらく何かを考えるように沈黙した後、するりと尾から手を放した。


「そうだな。尻尾を入れたら、俺のを入れる隙間がなくなる。大分解れては来たが、まだ二本も咥えれる程余裕はなさそうだしな」
「……二、本……?」


 クラウドのペニスを挿入されるだけでも苦しいのに、そんな事が出来る訳がない。
血の気が引いたように蒼くなるレオンに、また今度な、とクラウドが不吉な音で囁いた。
その言葉の意味をレオンが問う暇もなく、もう一度アナルに指が挿入される。


「んぁあっ!」
「もう少し広げれるようにしてやるよ。ゆっくり、じっくり、な……そうしないと、ただの緩マンになって俺がつまらない」
「ひ……ぐ、……ぅ…!」
「ああ、こっちもちゃんと開発してやらないとな」
「あっ…!」


 淫部を掻き回しながら、クラウドはレオンの抱えていた膝を肘の内側に引っ掛けるようにして抱え、レオンの胸元へと手を伸ばし、乳首を摘まんだ。
痛みにレオンの躯が強張り、アナルに挿入された指を締め付ける。

 アナルに埋められた指が数を増やし、ぐぷ、ぐりゅ、とアナルを掻き回す。
足を抱えられて広げられ、隠す事を赦されなくなったアナルを、レオンは弟の目の前で攻め立てられていた。


(嫌だ。見るな。見るな。見るな)


 秘部から淫音が聞こえる気がする。
なら、その音はスコールにも聞こえているのだろう。


(見るな。聞くな。頼むから)


 初めて支配者に抱かれ、貫かれた日から、何度同じ言葉を繰り返しただろう。
弟の視線を感じながら、男の手で男根で官能を引き出されて、だらしなくはしたない顔を見られて。
舌を噛み切ってしまえればきっと楽になれるのに、自分が死んだら今度はスコールが男に貫かれて苦しむのだ。
その時、自分が死んでいたら、スコールは一人ぼっちで苦しみに耐えなければならない。

 ─────そんな事は出来ない。
スコールを一人で残して逝くなんて、出来なかった。

 そうして、結局、結論はいつも同じ場所に行き付く。
男に従い、支配され、弟の前で欲望に穢されて堕ちて行く。


「は…あ、ぅ……あっ、んんっ…!」


 何度も貫かれ、ペニスに突き上げられる刺激を覚えた秘奥が、じくじくとした疼きを生み始めている。
内壁が蠢くように指に絡み付いて来るのを感じて、クラウドは指の第一関節を曲げて、壁の上部を押し上げた。


「ひ、ぅ……うぅんっ!」


 窄んだ穴口を引っ掛けながら、指が抜かれる。
ぐりゅん!と肉皮が捲られるような感触に、レオンは歯を喰いしばった。
滲んだ汗が玉になってレオンの頬を伝い落ちる。

 抱えられていた膝が下ろされて、レオンはクラウドの下肢を跨ぐ格好で膝立ちにされた。
咥えるものを失い、ひくひくと痙攣しているアナルに、クラウドがボトムスを緩めてペニスの先端を宛がう。
クラウドはレオンの腰を掴んでアナルの口にペニスを押し付けると、くぷ……とペニスの先端を潜らせた。


「うっ…あっ、…あっ……!」
「吸い付いて来るぞ。そんなに欲しいか?」


 秘奥は確かに甘い疼きのようなものを訴えている。
けれども、その言葉に頷くのは、レオンの矜持が許さなかった。

 掴まれたままの腰をふるふると戦慄かせて唇を噛むレオンに、クラウドは囁いた。


「腰、落とせ。自分で入れろ」


 ─────自分で。
自分の意思で。
自分で、ペニスを、挿入する。
受け入れる。

 嫌だ、と青灰色が背後の男を見たが、碧眼は感情を映さずにただ見詰め返しているだけで、レオンの返答など求めてはいない。
ただ従属する事だけを強いる、冷たい瞳が其処にあった。

 レオンは腰に当てられた男の腕を掴んで支えにし、ゆっくりと腰を落としていく。


「う、う……んんん……っ!」


 脾肉がまるで男根を歓迎するかのようにゆっくりと開いて、奥へと招き入れて行く。
ドクン、ドクン、と厚く太い肉棒が脈打っているのが判って、それが紛れもない生き物である事が感じられた。

 意識して息を吐き、体の強張りを解きながら、挿入を始めてからどれ程の時間が経っただろうか。
レオンには酷く長く、苦しい時間だったが、時計の針はまだ長針も然程動いてはいなかった。


「────あ、あっ……!」
「入ったか?」
「……っは……あ…くぅ…ん……っ」


 こくん、と頷いたレオンの瞳は、まだ幾らか光を宿してはいるものの、涙に滲んで濡れていた。
視界に見える筈のスコールの姿が、ぼやけて歪んでいる。


「よくやった。ほら、ご褒美だ」
「ひぐぅっ!!」


 ぐちゅん!とペニスが壁を抉った瞬間、レオンの背が仰け反り、膝の力が抜けた。
自重を支える力を失って、落ちた体をペニスが寄り深くまで貫く。


「ああぁぁっ!」
「なんだ、まだ入ったのか。駄目だろう、ちゃんと最後まで入れないと。食い残しは良くない」
「ひっ、ああっ、あっ、んっ…!あ、や……ああっ!」


 力を失った両膝を掬われて、左右に大きく広げられる。
スコールの目の前に、根本までペニスを咥え込んだ兄のアナルが差し出された。


「……れ、お……」
「んっんぁっ!あ、んん!やっ、あっ、ああっ、スコール、見るな、見る、なぁっ!」
「いいや、見ろ。見るんだ、スコール。レオンが気持ち良くなってるって、ちゃんと見て、覚えろ」
「嫌だ、や、ああっ!見るな、見るな!頼む、から、あっ!」


 スコールへ命令するクラウドの言葉に、レオンは頭を振って叫んだ。
しかしクラウドは、レオンの嘆願を殺すように、前立腺を狙って激しく腰を打ち付けて来る。


「ひあっ!あっ…んあっ、はっ、ああっ…!や、ひ、んぁうっ!」
「れ、おん……レオン、れお、ん……っ」


 スコールの呼ぶ声が、酷く遠い。
掠れた声で兄の名を呼ぶスコールの声は、レオンの喘ぎ声で掻き消されてしまう。

 ずちゅっ、ずちゅっ!とアナルへ激しい攻めを受けて、レオンの躯は赤らんで汗ばみ、口端からは唾液が零れて糸を引いている。
潜められた眉は、痛みによる苦悶ではなく、強過ぎる快感の所為。
しかし、其処まで官能を引き出されても、レオンのペニスは半勃ちの状態で留まっていた。


「まだイけないか。大分教えてやったと思うんだけどな」
「あっ、あっ、んあっ!ふ、うぅん…!ひ、あっ…!」
「仕方がないから、今日もちんこでイかせてやる。ただ、今日はちょっと面白い趣向を思い付いたから、それでイって貰うぞ」
「ふ、ん、んんっ!あっ、んっ、あっ、あっ、」


 クラウドの言葉に反応をする余裕など、最早残されていなかった。
淫部を犯すペニスは膨らむ一方で、まだ果てる様子はない。
早くイってくれ、とレオンはアナルから強制される快感に蕩ける思考の中で願った。

 レオンの躯を揺さぶりながら、クラウドはベッド傍のボードに手を伸ばし、引き出しを開ける。
中に入っていたものを取り出すと、喘ぐレオンの目の前に翳す。


「ふ、…あっ…あ……?」


 レオンの眼前に差し出されたのは、人の腕よりも一回り細い胴と、その先には、先端が半球になった円柱が取り付けられている、レオンには見慣れない物。
スコールも初めて見る物に首を傾げ、不安げにレオンを見詰めていた。

 レオンが肩越しに背後の男を見れば、色の薄い唇が弧を描いていた。
言いようのない恐怖と、漠然とした予感を感じて、レオンは息を飲む。
その緊張を表すようにアナルが強く窄み、クラウドのペニスを締め付けた。


「っあ……!」
「そう焦るな」


 レオンの反応を期待してのものだと言うクラウドに、レオンは緩く首を振ったが、その訴えを聞いてくれる者など此処にはいない。

 ぐりゅう……!と陰茎が内壁の深い場所を抉って、レオンの喉が反ってヒクンと震えた。
天井を仰いで、はくはくと口を開閉させるレオンの項に舌が這う。


「こいつは、電気マッサージ器だ。健康器具なんかに使われる物もあるが、これはそういう物とは別で────」


 クラウドは電気マッサージ器をひらひらと遊ぶように揺らした後、先端をレオンの中心部の狭間へと押し当てる。
何を、とレオンが緊張に息を詰めていた時、─────カチ、と小さなスイッチの音がして、羽音のようなものが響く。


「ひっあっ!?ああああああっ!!」


 自分の身体に何が起きたのか、何をされたのか判らないまま、レオンは悲鳴を上げた。
耳障りな羽音は続き、レオンは己の中心部からまるで電流でも流されているような気がした。
施設で生態実験を受けて電流を浴びせられた時と似ている、けれど、こんな風に痛みではない苦悶を感じたのは初めてだった。


「ひっ、あっ、あああっ!ふぁあっ、んあっあーっ!」


 がくがくと全身を痙攣させて、息を殺す事忘れて叫び声を上げながら、レオンは頭の芯が閃光のようにちかちかと点滅するのを感じた。


「やめ、やめろ、レオンが死ぬ、レオンが壊れる!やめろ!」
「んぁっ、あっ、ああぁああっ!ひ、ふっ、んぁああっ!」
「レオン!」


 弟の呼ぶ声も、支配者へ訴える言葉も、レオンは聞こえていなかった。
ぞくぞくとしたものが背中を駆け上り、自身の中心部が痛い程に張り詰めて行くのが判る。

 ビクッ、ビクン!とレオンの四肢が跳ね、ペニスから精液が飛び散った。
同時にアナルに埋められたペニスも強く締め付けられ、クラウドが眉根を寄せる。


「く……出すぞっ!」
「やあっ、あっ、んぁああぁあっ……!」


 びゅくっ、びゅるっ…と体内に熱溜りが注がれるのを感じて、レオンの躯が快楽の余韻に打ち震えた。


「あっ……ひ、あ…はっ……あぁっ……」


 ペニスに押し当てられていた電流のような振動が消えて、強張っていたレオンの躯が弛緩する。
背中の男に添うように寄り掛かり、レオンは閉じ忘れた口端から涎を垂らし、虚ろな瞳を彷徨わせていた。
ペニスの先端からはとろとろと精液が溢れて、レオンの股間を白濁に汚していく。

 背中から伸びたクラウドの手が、レオンの顎を捉え、指先が唇をなぞる。
首下に吹きかかる男の吐息にレオンが小さく喘ぐ音を漏らすと、くちゅ…と指が咥内に滑り込んで舌を捉まえる。


「ん、あ……ふ…っ」
「気持ち良かっただろ?」
「あ……はっ、ふぅんっ…!」


 咥内を指で凌辱されながら、レオンはゆるゆると首を横に振った。


「強情だな」


 クラウドはそう言って笑うと、マッサージ器をもう一度レオンのペニスに宛がい、スイッチを入れる。


「ひぎっ、ひっ、いっ、ああぁぁぁっ!」
「ほら、もう勃起してるじゃないか。これの何処が気持ち良くないんだ?」
「いや、だ、やっ!あっあぁあっ!う、んんんっ!」


 背中を奔る感覚ごと、唇を噛んで悲鳴を殺す。
今更我慢するなよ、と言う言葉耳元で聞こえたが、レオンは牙を口端に食い込ませて、頑として開くまいとした。

 ぶるぶると全身を震わせ、アナルに埋められたペニスを痛い程に締め付けながら快感を耐えるレオンに、クラウドはレオンのペニスに宛がっていたマッサージ器を離す。


「スコール、来い」
「……!」


 耳元で聞こえた名前に、レオンは一気に血の気が引くのを感じた。
行為の最中にクラウドがスコールを呼びつける事は少ない。
クラウドがスコールの名を口にする時は、決まってレオンが反抗的、或いは命令された行為に躊躇している時だった。
弟を代わりにすると言えば、レオンは絶対に逆らえない。
スコールの代わりにレオンが全ての性処理を担う事で、スコールは毎夜行われる性行為に携わらないでいられるのだから。


「や、め、」
「ああ、安心しろ。別にセックスさせる訳じゃない。俺の相手もさせない」
「……な……」


 それなら、何故呼び付けるのか。
レオン同様に、クラウドの考えが読めないスコールも、床の上で動けずにいる。

 早く来い、とばかりに、碧眼がスコールを射抜いた。
レオンに対する行為に憤怒して揺れていた尻尾が、本能的な恐怖を感じたように、彼の後ろで縮こまる。
しかし、逆らえば兄がまた苦しむだけだと、スコールはのろのろと四つ這いでレオンとクラウドの下に近付いた。

 睨むように見上げて来るスコールの前には、足を大きく開かされたレオンがいる。
レオンは、弟と向き合う事が出来ず、息を殺してじっと視線を逸らしていた。
クラウドは、ぐるる、と苛立ちを小さく漏らすスコールを見下ろし、


「いつも見てばっかりで飽きただろ?今日は少しだけ参加させてやる」
「な……約束は────ひあっ!」


 クラウドに言い募ろうとしたレオンの言葉が、喘ぎ声に飲まれて消える。
クラウドはレオンの腰を掴んで、下から抉るように淫部を突き上げる。


「んあぁあ…っ!」
「………っ!」


 ビクッ、ヒクッ、と四肢を跳ねて震わせるレオンに、スコールが息を詰まらせる。
出来る事なら、今この瞬間にでも、この世界の支配者である男の喉元に噛みいついて、肉ごと皮膚を食い千切ってやりたい。
けれど、支配者と、何よりも唯一無二の存在である兄によって反抗の一切を禁じられているスコールに、そんな無謀な真似が出来る筈もなかった。

 睨む蒼灰色の前に、クラウドは持っていた電気マッサージ器を差し出した。
差し出されたそれの意味が理解できず、瞬きをして見上げるスコールに、クラウドはひらひらとマッサージ器を揺らす。
受け取れ、と言わんばかりの様子に、スコールが恐る恐る、手を伸ばした。


「使い方はさっき見て判ったな。其処のスイッチを切り返れば振動する」
「………」
「レオン、まだ一回しかイってないから、物足りないんだ。だから次は、お前がレオンをイかせてやれ」
「……っ!」


 ふるふる、とスコールが首を横に振る。
ガタン、と持たされていたマッサージ器が床に落ちる音がした。

 クラウドの手がレオンの胸を撫で、乳首を強く摘まみ上げる。


「ひぅっ……!」
「レ、オ、」
「う、う……んんぅっ……!」


 痛みに身を震わせ、顔を顰めるレオンに、スコールが唇を噛む。
白い手が床に落ちたマッサージ器を拾うと、クラウドの指がレオンの乳首を解放する。


「あ…はっ……う……」
「良い子だな。なぁ、レオン?」
「んあっ、あっ…!ああっ……!」


 ぐちゅっ、ぐちゅっ、と淫らな音がまた響き始める。


「あっ、あ…ん、ぅ……んんっ、あぁっ…!」
「ほら、早くしてやれ。イくにイけないって、辛いんだぞ?」


 クラウドがレオンの膝裏を抱えて、左右に大きく広げさせる。
アナルに凶悪な肉棒が埋められ、出入りしている様を見せつけられたスコールは、青灰色を泣き出しそうに歪めた。
電気マッサージ器を持った手が震え、先の兄の泣き叫ぶ姿が脳裏に蘇り、細い肩が怒りではない理由で震える。

 動き出さないスコールに、クラウドの方が焦れた。
レオンの膝裏を腕に通し、肘に引っ掛けて抱えるように固定すると、腕を伸ばしてレオンのペニスに触れる。
ぴくん、とレオンの躯が震えて、悩ましげな吐息が漏れた。


「う、んんっ……!」
「辛いよな、レオン。ほら、スコール。お前がやらないと、レオンはいつまで経っても辛いままだぞ。楽にしてやりたいって思うだろ?」
「っは……あっ、んあっ…!あん、ひっ、うっ…!」


 クラウドの指先がレオンのペニスの先端をぐりぐりと押して抉る。
ビクッビクッとレオンの太腿が痙攣するように跳ねて、膨らんでいたペニスが切なげに震える。
頬を朱色に染めて、耐えるように唇を噛むレオンを見て、スコールも兄と同じように唇を噛み締めた。

 スコールの震える腕が動いて、レオンの亀頭の先端に電気マッサージ器が宛がわれる。
肉棒や人の手とは違う、機械の冷たく固い感触に、レオンがふるりと体を震わせた。


「レオ、ン。ごめん、ごめ、ん」
「ん、う…あっ、は……スコー、ル…んんっ……」


 泣き出しそうな顔で謝る弟の声に、レオンは目を閉じた。
体を強張らせるレオンは、抵抗する素振りも見せない。
支配者の命令に抗う術などないのだから。

 カチリ、とスイッチの音が鳴って、電気マッサージ器が振動音を上げる。
同時に、レオンが喉を反らせて悲鳴を上げた。


「ひっ、や、ん、あぁああああっ!!」


 押し殺そうとした声は、呆気なくその壁を崩壊させ、あられもない嬌声となって響く。
ビクッビクッとレオンの太腿が痙攣するように震えて、強張った足の爪先が丸められる。


「やああっ、あっ、ひんっ!」


 身悶え、背中の男に後ろ手に取り縋っていたレオンの体が微かに浮き上がった。
同時に下部から襲った官能に、レオンは眉尻を下げ、涙を浮かべてゆるゆると首を横に振る。


「や、め、ひぃっ!あっ、あっ、あああっ!」


 ぐちゅっぐちゅっ、ぐぷっ。
クラウドが激しく腰を動かし、レオンの体は突き上げられるままに揺さぶられる。
その度、スコールの持っている電気マッサージ器がペニスから離れては触れてを繰り返し、断続的に与えられる振動の快感は、レオンに苦痛までも与えていた。


「ひんっ、ひんっ、ひぃっ、ああっ!んあ、あっ!」
「スコール、ちゃんと当てろ」
「う、う……」
「んあっやっ!あっ、はぁん…!や、だ、め…っんぁあ!」


 ずぷん、とクラウドのペニスがレオンの体の最奥を貫いた。
そのままクラウドは腰を動かし続け、レオンの秘奥をゴツゴツと抉りながら、レオンの足を大きく開かせる。
スコールの前に差し出すように、腰を突き出させて。

 膨らみ、勃起したレオンのペニスは、先端から先走りの蜜を溢れさせている。
兄の性器をまざまざと見せつけられたスコールが、こく、と喉を鳴らすのをクラウドは見ていた。


「ほら、続けろ。先っぽから白いのが出てるだろ。もう少しだ」


 クラウドに促され、スコールは蜜を零している先端の秘穴にマッサージ器を当てて、スイッチを入れた。


「んあっ、ああぁぁあっ!あっ、あっ、や、ひ、イく、イっ…やっあぁっあーっあーっ!!」
「……っ!」


 一際甲高い声を上げ、体を海老反りに撓らせ、全身を震わせるレオンに、スコールの方が耐えられなかった。
ゴトン、と電気マッサージ器が重い音を立てて床に落ちて、羽音を鳴らし続けたまま、転がる。


「あっ、…ああっ……ん、あ……」
「……う、…う……」


 放心したような声がレオンの唇が零れた。
スコールはフローリングの床に爪を立てて、細い肩を震わせている。
俯いたスコールの手元に、ぽた、ぽた、と水滴が落ちた。

 クラウドがわざとらしく大きな溜息を吐いて、スコールを見下ろす。


「酷いな、スコール」
「…どっちが!」


 一番酷いのは、兄にこんな拷問を強いている男だと、スコールはクラウドを睨み付ける。
しかしクラウドは、口元に笑みを浮かべたまま、放心しているレオンの唇に指を這わしながら、スコールに言った。


「言っただろ?イけそうでイけないのが一番辛いんだって。さっき、やっとイけそうだったのになぁ。なあ、レオン?」


 くちゅ……とレオンの咥内にクラウドの指が潜り込み、無防備な舌に絡み付く。
半開きになったレオンの口端から唾液が零れ、青灰色の瞳は蕩けたように薄ぼんやりとした光しか映していない。


「ふぁ…あ、んむ……」
「イきたいよな?レオン」
「ん、ん……ふ…んぁ……」


 クラウドがゆっくりと口腔から指を引き抜くと、ねだるように、赤い舌がそれを追って伸ばされる。
クラウドはそんなレオンの顎を捉えて、スコールへと向けさせた。

 絶頂の間際で堰き止められた苦しさと悦楽に板挟みにされて、レオンの頭は既に正常な働きを放棄していた。
舌を伸ばして喘ぎ、唾液を零して、足を開かされて勃起したペニスを弟に見せつけられている格好なのに、羞恥心も罪悪感も湧き上がって来ない。

 イきたいよな?と耳元で囁く支配者の声。
その言葉だけで、レオンは頭の中が埋め尽くされていた。


「んあ、…あ、…は、…ふ、ぁあ、あ……あ……」


 意味を成さない音だけが、レオンの唇から吐息に交じって零れ落ちる。
スコールを見る彼の瞳は、最早弟を気遣うものではなく、更なる悦楽を強請るものとなっていた。
それを見たスコールが、兄の変貌に嫌悪か、怒りのような感情を抱いたかと言われると────スコール自身にも、それは判然とはせず。
ただ、このままでいれば、兄への責め苦は終わらない事だけが確かだった。

 クラウドがレオンの唾液で濡れた指で、悪戯に彼の肌を撫でる。
指先でつぅ……と薄く皮膚をなぞられていく感触に、レオンが声を上げた。
その指は胸を撫で、腹を辿り、下肢へ近付いて、……その度に、レオンのペニスが切なく震えていた。


「あっ、あっ…あぁ、ん……」
「ほら、スコール。何をすれば良いのか、判るよな?」
「ふ、う、うぅん…あ、ひ……あぁっ……」


 クラウドの指がレオンのペニスを撫でる。
待ち侘びたように甘い声を漏らし、もどかしげに腰を震わせた。

 クラウドの肉棒を咥えたアナルが、ヒクヒクといやらしく伸縮し、雄を奥へと誘い込もうとする。
そうして誘い、雄を咥えて締め付ける事で、今まで絶頂を与えられていたのを覚えているのだ。
しかしクラウドは、レオンのペニスがヒクヒクと震えたのを見ると、カリの膨らみを撫でていた手を放してしまった。


「は、あっ……あっ、ああ……!」
「そんなに残念そうな声を出すなよ。……スコール、早くイかせてやらないと、兄貴が壊れるかも知れないぞ?」


 笑みを含んだクラウドの言葉に、スコールの肩が揺れた。

 スコールは、床に転がった電気マッサージ器を拾って、レオンのペニスにもう一度宛がった。
ごめん、と小さく謝る声がして、レオンがぱち、と瞬きを一つした後、


「────ああっ、あっ、ひっ、あぁああぁんっ!」


 頭を振って身悶えて喘ぎ声を上げる兄の顔を、スコールは見なかった。
反り返ったペニスがぶるぶると震えている。

 レオンの体が強張って行くにつれ、肉の凶器を咥えた秘孔が締まり、痛いほどにクラウドを締め付ける。
その脾肉を振り切るように、クラウドはずるるぅっ!とペニスを引き抜いて行く。


「あっあぁっ!ひぁぁあっ!はぅ、あっ、んっ、あぁあーっ!!」


 ぞくん、ぞくん、と全身を迸って行く強い快感に、レオンは完全に気を持って行かれていた。
支配者に抱かれるようになって、嫌と言う程繰り返され、覚え込まされた絶頂の瞬間の快感。
それは至高の悦楽も同然で、動物の本能として、逆らいようのない代物だった。

 ペニスへ絶え間なく刺激を与えられながら、アナルの秘奥を突き上げられる。
先に一度注がれたクラウドの精液が、潤滑剤の代わりになって律動を助けていた。
ぐぽっぬぽっぬぼっ、と卑猥な淫音がして、肉棒と穴壁の微かな隙間から、白濁液が溢れ出す。


「あっ、あひっ、ひっ、らめ、もうっ…!もう、イく、イくっ!あっ、んあっ、ひあぁぁああんっ!」


 びゅくっびゅるっ、びゅるるっ……!
 レオンの高く甘い悲鳴と共に、彼のペニスから精液が吹くように吐き出され、彼の腹を汚す。
蜜液は電気マッサージを宛がっていたスコールの手まで飛び散っていた。

 散々焦らされ、ようやく絶頂したレオンの体は、官能に染まり切っている。
クラウドは、射精の悦に酔ったようにうっとりと頬を染めるレオンの姿に笑みを浮かべ、


「ほら、あとちょっとだ。俺がイったら、今日は終わりにしてやる」
「あっ、あっ、んあっ、は…あっ、ひぅっ…ああっ…!」


 入口から最奥まで、太いカリで脾肉の全体を激しく擦られて突き上げられ、レオンは揺さぶられるままに声を上げる。
腕を後ろ手にまとめられ、足を大きく開いた格好で揺さぶられるレオンの体は、背を仰け反らせ、快感に打ち震え、完全に悦楽に支配されていた。

 いつしかスコールは、息を詰めて、そんな兄の姿を見詰めていた。

 ぐりゅうっ…!とペニスがレオンの前立腺を抉って、レオンは白目を剥いてはくはくと唇を戦慄かせた。
きゅうう、とアナルが強く締まり、クラウドのペニスから精液を絞り出そうとする。
その卑猥な肉の誘いに従って、クラウドはレオンの体内へと射精した。


「────ふ、くっ…!」
「んあっあ、あぁあん……っあ、あっ…」


 どろりとした液体が体内を這うように占拠して行く。

 全ての熱を放出し切って、散々レオンの体内を掻き回していたペニスがようやく引き抜かれていく。
それでもアナルで咥えるには大きな肉棒が、ずるりと内壁を擦りなぞって行く感覚に、レオンの体は打ち震えた。

 肉棒から解放された後も、レオンのアナルはヒクヒクと物欲しそうに伸縮する。
しかし、その時には既にレオンに意識はなく、男の欲望で汚れた下肢をそのままに、深い眠りへと落ちていた。