湯けむり温泉獅子の受難 10


 手の中でボディソープの液と湯を混ぜ合わせて、泡立てる。
掌全体にそれを馴染ませて、レオンは目の前の広い背中に泡の手を乗せた。
レオンやスコールに比べると、身長が低いクラウドだが、筋骨は逞しいもので、その背中を見る度、ああ男なのだなとレオンは思う。
父の背中に比べると、少し大きさが足りないように思うけれど、齢を重ねた父のものと、若い体躯のこれとは、また違った意味で男臭さを感じる。

 僧帽筋の上から、両手の動きをシンクロさせて、逆三角形を描くように手を滑らせる。
肩甲骨のごつごつとした感触が掌の皮膚を押したのが判った。
それから広背筋を上から下へとなぞるように撫でて、腰骨を辿る。

 黙々と自分の仕事に従事するレオンに反し、クラウドの前に膝を付いたスコールは固まっていた。
レオンと同じようにボディソープを泡立てたまでは良かったのだが、此処からどうすれば良いのかが判らない。
背中を流せば良いのだとばかり思っていたのが、セクハラ男(目の前の恋人の事だ)の命令の所為で、体の前面を洗う事を強制されてしまった。
しかもタオルは使うなと言われたので、直接手で男の体に触れなければならない。
背中側を負かされたレオンに、場所を代わって欲しい、と切に思う。
しかし、今夜はクラウドの命令は絶対なので、スコールがどんなに抗議しても、場所を交代して貰う事は出来ないだろう。


「ほら、スコール。早くしないと風邪ひく」


 ひいてしまえ。
胸中で毒吐くようにスコールは呟いた。

 ちらり、とレオンの様子を伺ってみると、視線に気付いたのか、姉が顔を上げた。
眉尻を下げて溜息を漏らして見せる姉は、仕様がないから、と言う気持ちがありありと見える。

 スコールは深々と溜息を吐くと、決意したように息を詰めて、クラウドの体に手を伸ばした。
此処でいつまでもぐずぐずとしていても、この辱めは終わらない。
レオンが言っていたように、さっさとクラウドを満足させてしまうのが、解放への一番の近道なのだ。

 ひた、とスコールの両手がクラウドの胸に当てられる。
記憶の中に微かに残る、父の胸板よりも固く盛り上がっているそれに、思わず手を引いた。
が、緊張に手を震わせつつ、もう一度、ゆっくりと触れる。


(……な、撫でればいいのか…?)


 自分で体を洗っていた時、どんな風にしていたのかさえ、スコールは判らなくなっていた。
取り敢えず、胸板を摩るように手を動かして、泡を塗って行く。

 スコールの手付きはたどたどしく、彼女の緊張が指先を通してクラウドに伝わってくる。
近親者以外と極端に距離を近付ける事が苦手な彼女にとって、今この状況は、拷問にも等しいのだろう。
しかしクラウドは、それに耐えて、赤い顔でじっと自分の胸を見詰めて口を噤む少女の表情にこそ興奮を覚えずにはいられなかった。
スコールがクラウドの胸ばかり見詰めているのは、間近にある男の目を見ないようにしている為だ。
そんな様子がまた、クラウドには何ともいじらしく、ついつい、苛めたい衝動に駆られる。


「スコール」
「なっ…なんだ……?」
「ここ」


 言葉少なに呼んだクラウドが指差したのは、自身の鎖骨。
其処にはまだ泡がなく、洗えていない事が判る。

 うう、とスコールは唇を噛んで俯き、恐る恐る、クラウドの喉元に手を当てた。
このまま締めてやろうか、と物騒な思考が浮かんだが、ちら、と見上げた瞬間、間近で見つめる碧眼に射抜かれてしまい、動けなくなる。
結局、スコールは大人しくクラウドの言う通りに従うしかなかった。

 クラウドの首下が洗い易いように、スコールは膝立ちになって背中を伸ばす。
そうすると、風呂椅子に座っているクラウドの頭は、スコールよりも僅かに下になった。
クラウドが見上げて来る事がなかったので、スコールは彼と見詰め合う事がなくなり、ほっと安堵して男の体を洗う事に集中した。

 クラウドがスコールを見上げなかったのは、目の前に彼女の胸がやって来たからだ。
其処には慎ましやかであるが、形の良い乳房がある。
その頂きで、ピンク色の蕾がツンと尖っている事に、彼女は気付いていないのだろう。


(吸いたい)


 オブラートも何もなく、欲望そのままの衝動がクラウドを襲った。
膝に乗せていた手を持ち上げ、誘われるままに蕾に触れようとして、思い留まる。


(いや、まだまだ。がっつくのは良くない)


 この至福の時間を長く堪能する為にも、理性は強く持たなければならない。
クラウドはひっそりと息を吐き、持ち上がりつつある欲望があからさまにならないよう、自制心を働かせる。

 鎖骨から肩を洗い終えると、スコールはまたクラウドの胸を撫で、更に下へと手を滑らせる。
ごつごつとした腹筋に触れた瞬間、スコールが感歎の吐息を漏らした。
腹筋を何度も撫でるスコールの手は、それまでのおずおずとした躊躇はなく、其処にある筋肉の形を確かめているかのようだ。

 しばらくそんなスコールの様子を眺めていたクラウドは、丹田に意識して力を籠めて、呼吸を止めた。
割れた腹筋の形が皮膚の上にくっきりと浮き出て、スコールは突然の事に驚いたのか、ビクッと手を引っ込めたが、また直ぐに伸ばす。
凄い、と小さく呟くのが聞こえて、クラウドは何とも言えず気分が良くなるのを感じた。


「おい、クラウド」


 背中から聞こえてきた声に振り返ると、レオンが泡の少なくなった手を持て余していた。


「背中、終わったんだが」
「ああ。ありがとう」
「流すのか?」
「いや、まだだ。前も終わってないし」


 クラウドの言葉に、腹筋に夢中になっていたスコールが我に返る。
早くクラウドを満足させて、早く終わらせてしまおうと思った筈なのに、その手は全く仕事を進めていなかった。


「あ、その…す、直ぐ終わらせるから、」
「いや。ゆっくりでいい」
「いや、終わらせる。五秒で終わらせる」
「…そんなに嫌か」
「嫌だ」


 ぐいぐいと泡を押し付けるように、掌でクラウドの体を洗いながら、スコールはきっぱりと言った。


(何が嫌だって。この状況が一番嫌だ)


 体を洗い流せと言う命令については、始めは然程抵抗を持っていなかった。
背中を流す位なら、と思っていたからだ。
しかし、蓋を開けてみれば、クラウドと間近で向き合った状態で、掌で直接触れて体を洗わされている。
距離感だとか、掌から伝わる男の体の形だとか、何よりも体の“前面”であると言う事がスコールの羞恥心を煽る。

 もう余計な事は考えまいと、一心不乱にクラウドの体を洗っていたスコールだったが、腰回りを洗い終えた所で、はた、と手を止めた。


「…クラウド」
「ん?」
「……も、いい、よな?」


 スコールの言葉に、クラウドが視線を落とすと、確かに首から下はしっかりと泡が乗っている。
しかし、それはスコールが触れていた腰までで、下半身はノータッチであった。


「まだ」
「これ以上何処を洗えって言うんだ」
「大事な所がまだだ」


 なんだ、大事な所って。
そう思ったのは、スコールだけでなく、クラウドの背中で様子を見守っていたレオンも同じだった。
言えば確実にセクハラ的発言が飛んでくるので、どちらも口にはしなかったが。

 胡乱な目で睨む姉妹を気にせず、クラウドは言った。


「次。レオンが前洗って、スコールが背中。ああ、位置はそのままな」
「そのままって……後ろからどうやって前を洗うんだ。逆も…」
「何言ってるんだ。密着すれば届くだろ」


 至極当然の手段であるかのように言われ、ああそうか、と納得しかかって、いや可笑しい、とレオンとスコールは思った。
が、抗議してもどうせこの男は聞かないのだろう。
今夜の彼は、全ての権力を手にした、暴君なのだから。

 ふに…と柔らかいものがクラウドの背中に押し付けられる。
むにゅう、と形を歪ませるそれは、レオンの乳房だ。
邪魔だな、と彼女が小さく呟くのが聞こえたが、これこそクラウドが待ち望んでいたものである。
背中から前へと回されたレオンの腕が、探るようにクラウドの胸や腹を撫でる。
その掌の感触も当然クラウドには酷く扇情的であったが、やはり男の性と言うものか、背中に当たる柔らかで温かい感触を意識せずにはいられない。

 背中の感触に意識を浚われていると、前からおずおずとスコールが近付いてきた。
レオンの邪魔にならないように気遣ってか、スコールはクラウドの胸に、自分の胸元だけを押し付けるように密着する。
小さな乳房がクラウドの胸に当たり、膨らんだ蕾が肌を掠める。


「ん…難し……」
「大丈夫か?スコール」
「なんとか…」


 レオンと同じように、スコールはクラウドの背中に腕を回して、手に残った泡でクラウドの背中を撫でる。


「レオン、ちょっと…」
「ああ、悪い……これでいいか?」
「うん…」
「んくっ……」
「…んん……」


 それぞれ邪魔にならないようにと思っていても、交差した腕や、互いの体が妨げになってしまう。
ああでもない、こうでもない、と身を捩りながら、楽な姿勢を探す二人だったが、中々思うようには行かなかった。

 クラウドは、二人の呼吸が触れ合う程の近くから聞こえて来る事に、この上なく満足していた。
目の前には赤くなったスコールの耳と首筋があり、背中にはぴったりと密着したレオンの乳房。
クラウドに抱き着く為、膝立ちで上半身を少し倒した格好になっているスコールは、尻を突き出す形になっていて、身動ぎする度に細い腰をくねらせていて、なんとも淫靡な光景だ。
背後からは、レオンの押し殺した吐息がクラウドの首にかかる。
さらりとしたものが時折クラウドの首や肩をくすぐるのは、レオンの長い髪だろう。
密着して押し潰される乳房の所為で、胸元が苦しくなるのだろう、零れる苦しげな声は、情事の際に声を殺している時のものとよく似ている。

 ────クラウドは幸せだった。
何なら、このまま昇天しても良い位に幸せを感じている。


「…ク、クラウド……」
「……ん?」


 幸福感の余り、目を閉じて至福に浸っていたクラウドだったが、スコールの呼ぶ声に目を開けた。
なんだ、と胸に密着しているスコールを見下ろすと、スコールはふるふると唇を戦慄かせ、


「その…い、いつまでやればいいんだ?これ……」


 密着し続けている事に、スコールは限界を感じていた。
人の温もりを苦手としている彼女としては、早くクラウドに満足して欲しい所だが、クラウドが一向に終了を宣言してくれないので、耐え切れなくなったのだ。


「んー……じゃあ、これは終わりで」


 クラウドの言葉に、スコールだけでなく、レオンもほっと安堵の息を吐いて、体を離す。

 クラウドは風呂椅子から降りると、板張りの床に仰向けに寝転がった。
それを見た姉妹は、男の意図が読めず、きょとんと首を傾げる。
何をしているんだ、とレオンが問う前に、クラウドは寝転んだまま、


「足の方とか、座ったままじゃ洗い難いだろう。こっちの方が良いと思って。前の方ももうちょっとしっかり洗って欲しいし」
「……判った」
「……後で覚えてろよ、あんた」


 レオンは溜息交じりに、スコールは苦し紛れの毒を吐いて、クラウドへと近付く。
二人がボディソープの液を足して手の中で泡立てていると、


「手だけじゃなくて、全身で洗って欲しいな。レオンは足先から頼む」
「お前な……」
「……全身?」


 クラウドの要望に、レオンは眉間に皺を寄せたが、スコールは意味が判らずに首を傾げている。
全身ってどうやって、とスコールが考えていると、その隣でレオンが自分の体に泡を塗って行った。
取り敢えず、姉の真似をして、同じように自分の体に泡を乗せる。

 体を洗い終えると、レオンは泡を流さずに、クラウドの足下に座った。
四つ這いになって這い、泡塗れの体をクラウドの脚に押し付ける。


「んっ…く…」
「……!!」


 ぬる、と押し付けた体を前後に揺らし、動かして、男の脚を躯で撫でる姉の姿に、スコールが顔を真っ赤にして絶句する。


「な、な……」
「スコールは上の方な」
「は!?」
「命令」


 冗談じゃない、と言わんばかりに顔を顰めたスコールだったが、伝家の宝刀を突き付けられて唇を噛む。
仕方なく、レオンと同じようにクラウドの腰を跨ぎ、間近にある男の顔を見ないように、肌を密着させようとしたスコールだったが、


「あ、スコール、逆だ」
「逆?」
「向きが逆。後ろ向いて」
「…こ…こう、か……?」


 クラウドに言われるがまま、スコールは向きを反転させた。
クラウドの頭に背中を向けて、脚の方を向いて、────向き合う場所に姉がいる事に気付き、スコールはぴしりと固まった。


「れ、お…」
「………」


 名を呼びかけた妹から、レオンは無言で視線を逸らす。
何も言うな、と言うような表情をした彼女は、自分が今何をしているのか、どんな格好をしているのか、判っているが考えたくないのだろう。

 レオンはクラウドの下半身にその身を屈め、胸や腹で男の太腿や膝を愛撫していた。
四つ這いになって、上半身を深く落としている所為で、必然的に下半身が高く掲げられる格好となってしまっている。
前後に体を揺らして、板張りの床で膝が痛むのだろう、負荷の位置を変えようと身動ぎする度、細い腰が揺らめく。
白い泡に塗れて、火照った体をくねらせるその姿は、“女”の色香で溢れており、同じ性を持つスコールから見ても蠱惑的だ。


「スコール」
「…!」


 背後からの呼ぶ声に、スコールはびくっと肩を跳ねさせた。
催促するように、体を跨ぐ太腿をゆったりと撫でられる。

 スコールはそっと身を屈めると、レオンと同じように、クラウドの腹に胸を押し当てた。
小さく、それでも柔らかな胸が、クラウドの腹筋を撫でる。


「んっ…と……」
「そのまま体、擦りつけて。俺の体に掴まって良いから」
「うん……」


 スコールはクラウドの腹に縋るように手を添えて、すり、すり、と体を前後に動かし始めた。


「膝、もう少し曲げて。腰落して」
「…う……」
「うん。レオンも腰落して。足の上、乗って良いから」
「……ん…」


 スコールが足を外向きに曲げ開いて、ゆっくりと腰の位置を下げて行く。
そうすると、クラウドの眼前にスコールの蜜園が迫る事になるのだが、スコールはその事に気付いていない。
まだ幼さの残る少女は、この状況だけで既に頭の中が一杯一杯になっていて、他の事に気が回らないのだろう。
体重を支える為、ふるふると震える太腿や細腰を撫でながら、絶景だ、とクラウドは思う。

 クラウドの脚の上に、人一人分の重さが乗った。
レオンが体を揺らす度、柔らかな乳房がクラウドの腿を挟み、滑らかな彼女の脚がクラウドの脛を摩るように撫でる。
片足を体で愛撫しながら、もう片方の足は手で丹念に揉み、気紛れに右脚と左脚を行き来して、レオンは万遍なくクラウドの下肢を洗った。


「レオン、もうちょっと上。もっと」
「ん……う、上って……」
「スコールはもっと下」
「下…って、こ、これ以上は……」


 無理だろう、と二人が顔を上げて、其処に聳えていたものを見て、呆然とする。


「お前っ……何勃たせてるんだ!」
「………」


 支えもないのに天を突いているクラウドの肉棒に、レオンが真っ赤になって声を荒げ、スコールは絶句。
軽くパニックを起こしている二人だが、当の本人は平静としており、


「この状況で勃つなって言う方が無理だ。ついでだからレオン、其処も洗ってくれ。お前達の為にも、綺麗にしておかないとな」
「そういう命令は却下だと言っただろう!」
「そういうってなんだ。やらしいのはナシってだけだろ?俺は洗ってくれって言ってるだけで、やらしい事は言ってない」


 屁理屈だ、とレオンもスコールも思った。
思ったが、彼女達に暴君に逆らう術はない。

 後で絶対に殴る───そんな物騒な事を考えながら、レオンは反り返った肉棒に近付いた。
泡のついた両手でそれを包み込み、上下に扱く。
やっているのは洗浄行為であって、手淫ではない、と自分に言い聞かせるが、手の中でドクドクと脈打つ熱を感じてしまうと、ひくん…と知らず腰が震えてしまう。


「スコールも」
「え……」
「洗ってくれ」


 クラウドに促され、スコールはふざけるな冗談じゃないセクハラとか言うレベルじゃないだろこれと胸中で呟きながら、恐る恐る、クラウドのペニスに手を伸ばした。
レオンの両手の隙間を埋めるように、ペニスを包み込み、姉と一緒に泡を擦り付ける。

 ちら、とどちらともなく、目を合わせる。
其処にあった妹の、姉の、熱を持て余したかのように赤らんだ表情に、姉妹はこくん、と喉を鳴らした。

 クラウドの眼前で、スコールの秘部がヒクン、ヒクン、と伸縮を始める。
つぅ……と彼女の太腿を滑り落ちて行く白いものは、泡なのか、それとも。
確かめないといけないな、と、クラウドはひっそりと口元に笑みを梳いて、すらりとした白魚のような脚を撫でた後、


「っあ……!?」


 不意に下肢から走った感覚に、スコールの躯が跳ね上がる。
それと連動するように、クラウドの眼前で、彼の手で露わにされた秘口がくぱ、くぱ、と蠢く。


「な、や…クラウドっ…!」
「どうした、スコール」
「あんた、何して……ひんっ!」


 ふぅっ、と息を吹きかければ、ビクッ!とスコールの腰が震える。
いやいやするように頭を振るスコールだったが、クラウドは構わず、色付いた蜜口に指を宛がった。


「なんだ、スコール。此処、中までトロトロじゃないか」
「あ、や…やぁ……っ」
「おい、クラウド、いい加減に────んぁっ!」


 赤い顔で身を縮こまらせるスコールに、レオンがクラウドを咎めようとするが、その言葉は下肢を押し上げる不意の刺激の所為で嬌声に取って変わられた。


「あっ、あっ…!や…!ばか、膝っ…浮かすな…っ!」


 投げ出されていたクラウドの膝が曲げられて、上に乗ったレオンの秘部に押し付けられる。
ぐり、ぐり、と膝の皿を狙って当てるクラウドに、レオンは腰を高くして逃げようとするが、与えられる刺激の所為で、脚に上手く力が入らない。


「んん……っ!」
「レオ、ひんっ!」


 悶えるようにクラウドの下肢に縋るレオンに、スコールが名を呼ぼうとして、出来なかった。
つぷ、と膣に挿入された指が、ゆっくりと奥へ押し進められていく。


「あっ…あっ…!」
「スコールのまんこの中、俺が洗って綺麗にしてやる」
「やぁ…いらな、ひぃんっ!」


 くぷっ!と指が一気に根本まで挿入されて、スコールは甘い悲鳴を上げた。
埋められた指が、内部を掻き回すように、円を描くように動いて、スコールの躯がビクビクと反応を示す。

 甘い悲鳴を上げて啼く妹に、レオンの躯がふるりと震える。
は、と零れる吐息に熱が篭り、妹の官能が伝染したかのように、彼女の陰部もじくじくと疼きを訴え始めていた。
頭の芯を溶かしていくようなそれに踊らされるように、レオンの腰が揺らめいて、淫部がクラウドに膝に押し付けられる。


「んっ…んんっ……」


 駄目なのに、と思っているのに、体の芯が熱くて仕方がなくて、制御できない。

 妹の痴態と、持て余す熱に踊らされるように身を捩るレオンの様子は、姿こそ見えずとも、クラウドにも伝わった。
逃げるように浮いていた彼女の下肢が、自ら求めるように膝の皿へ押し付けられるのだ。


「レオン、スコール。俺のちんこ、まだ洗い終わってないぞ」
「そ、んなことっ…言ったって…ぇっ……!」
「う…っは……うぅん…っ…」


 くち、くち、と膣口をなぞり、弄られる感覚に、スコールはすっかり抗う力を失っている。
レオンは、なんとかペニスを扱く手を再開させたものの、その動きは酷く緩慢だ。
その上、眼前で反り返ったそれを見つめる瞳は、熱に犯されており、指先が悪戯にペニスの裏筋やカリを掠め、明らかに洗浄行為を逸脱している。

 クラウドは笑みを深めて、ぐい、と膝を曲げてレオンの陰部を押し上げた。
ぞくん、としたものがレオンの背を走り、甘い声が零れる。


「レオン、レオン」
「あっ、あっ…な、に……っ」


 ぐりぐりと、膝皿で陰唇を押しながら名を呼べば、レオンは辛うじて返事を寄越した。


「レオン、胸使って。おっぱいで洗って」
「んんっ…!」
「そしたら、此処、気持ち良いのあげるから」


 ぐい、と膝で陰部を強く押し上げると、レオンはひくん、と背を仰け反らせて身を震わせた。

 レオンは甘い吐息を漏らしながら身を屈めると、乳房を掬うように持ち上げて、クラウドの下肢へと乗せた。
柔らかなその淫肉でペニスを挟めば、むにゅぅ、と肉棒の形で乳房が歪に形を変える。
レオンは両手に残った泡を胸全体に塗ると、胸に手を添え、強弱をつけて揉みしだく。


「ん、ふっ……んん…」


 ぎゅ、ぎゅ、と緩やかな力でペニスを押しながら、体を揺らして竿を扱く。


「ふっ…んく…」
「…レオ、ン……」


 大きな胸でペニスを独り占めするように、竿全体を包み込んで刺激するレオンに、スコールは知らず艶の篭った吐息を漏らしていた。
むにゅ、くにゅ、と形を変える胸の谷間で、怒張した一物の先端が見え隠れを繰り返す。
ぬぽっ、と谷間から亀頭が出入りする様が、まるで蜜壷への挿入の様子を内側から見せられているような気分になって、スコールの膣口がきゅう…とクラウドの指を締め付ける。


「んぁ…あっ…!」
「興奮してるな」
「ふぁ…ん……っ」


 膣内でクラウドの指が悪戯に動いて、内壁を撫でる。
爪先で引っ掻くようにコリコリとくすぐられて、スコールはヒクヒクと全身を震わせた。


「やっあっ…!ひうっ、くぅんっ!」
「スコールもちゃんとちんこ洗って」
「で、でもっ…あっ!ひんっ…!」
「レオン、ちゃんとスコールにも譲ってやれよ」
「んん……っは…あ…スコール……」


 ペニスへの奉仕───いや、洗浄に夢中になっていたレオンが、僅かに体を引いた。
それを狙って、クラウドが膝を立てれば、レオンの陰部がクラウドの膝皿に押し当てられて、ひくひくと彼女の蜜口が伸縮する。

 レオンの胸の谷間から顔を出した亀頭に、スコールは手を伸ばした。
細い指が亀頭の先端に触れて、指の腹で擦る。
ぴくん、とペニスが震えたのが判ったのだろう、レオンが小さく甘い息を漏らす。


「頑張った方を先に気持ち良くしてやる」
「…は…うっ…んく……」
「あっ、う…んんっ…!」


 平時であれば、馬鹿な事言うな、と───此処までの状況に至るまでに───言うのだろうが、二人はすっかり官能に流されており、クラウドの言葉に否やを唱えようとはしない。
寧ろ、もっと強い快楽を欲しがって、男の象徴への愛撫に夢中になっている。
二人の愛撫の手付きは、既に洗浄行為を逸脱しており、先端を擦り、カリ首を撫で、竿を乳房で押し揉んだり、指先で裏筋を辿ったりと、欲望を煽ろうとしているのが判る。

 クラウドは、スコールがひくん、ひくん、と腰を震わせている事に気付いていた。
陰部に男の指を埋められたまま、ペニスに奉仕している彼女の膣内は、きゅうきゅうとクラウドの指に食い付いて離そうとしない。


「ん……ん、あ……っ!」


 締め付ける淫肉を解しながら、クラウドは指をゆっくりと引き抜いて行く。


「あっ、あっ…ふあ、ぁあっ……!」
「どうした?スコール」
「やあ…あっ、んんっ…!」


 抜かれて行く指を追うように、スコールが腰を引く。
にゅぷ…と埋められていく指の感触に、スコールはビクッビクッ、と体を戦慄かせながら官能の声を上げた。


「ふぁ、んんんっ」
「ふ……スコール…」
「んあ、あっ…レ、オン…やぁあ…っ!」


 目の前に姉がいる事を思い出したのか、スコールは嫌がるようにふるふると頭を振った。
しかし、そんな仕草とは反対に、彼女の膣内はより深く指を誘い込もうと蠢き、クラウドの指を締め付ける。

 クラウドが二本目の指を挿入すると、スコールはクラウドの腹に縋り付いて全身を震わせた。
埋めた日本の指をバラバラに動かし、淫肉を摘まんでやれば、ビクン!と細い四肢が跳ねる。

 にゅぷっ、くちゅっ、ぬぷっ、と卑猥な音がスコールの淫部から響く。


「ああっ、あっ、やぁっ…!んくぅっ…!」


 悩ましい声を上げ、ヒクヒクと腰を震わせて身悶えする妹の姿に、レオンの唇から熱を孕んだ吐息が漏れる。

 レオンの手がスコールの頬へ添えられる。
その手に促されるように、スコールが顔を上げると、視界は青灰色とダークブラウンで一杯になった。
ちゅく、と唇を吸われて、ピクン、とスコールの細い肩が震える。


「…ん……ちゅ、ふ…」
「ん、むぅ…んむ…くふぅっ…!」


 レオンの舌がスコールの咥内へ滑り込み、妹のそれを絡め取る。
ゆったりと舌の表面を撫でられて、スコールの背をぞくぞくとしたものが駆け抜け、彼女の膣がきゅうぅ…と切なく震える。
そのまま夢中で唇を貪り合う姉妹だったが、


「────ひぃんっ!」


 ぐちゅっ!とクラウドの指がスコールの秘奥を突いた。
ビクン!とスコールの背が仰け反って、細い脚ががくがくと震える。
そんな少女の姿を更に苛めるように、クラウドはスコールの膣口を指で何度も突き上げた。


「ひっ、あっ、んんっ!や、あん!」
「ここ、もっと大きいの欲しいだろ。レオンも」
「あ……んんっ…」
「だからほら、続き。頑張らないと」


 クラウドに促され、レオンは喘ぐスコールの唇に己のそれを押し当てて、名残惜しさを滲ませながら身を引いた。
むにゅ…とペニスがまた柔肉で包まれ、レオンは乳房の中のペニスを圧し揉みながら、クラウドの立てた膝に秘部を押し付けて腰を揺らした。


「んっ…あ…っ、はぁっ…」
「スコールも」
「やぁ、あっ、あぁ…!はっ、あっ、あっ…!む、り…ああっ!」


 ずりゅっ!とクラウドの指が膣から引き抜かれ、スコールは一際高い悲鳴を上げる。
激しい攻めから解放されたスコールの躯は、ヒクヒクと震え、喪失感に苛まれた膣口からはトロリと蜜が溢れ出している。


「ふ、あ……」
「気持ちイイの、もう要らないのか?」
「…ん……うぅん…っ」


 意地の悪いクラウドの台詞に、スコールは答えられない。
快楽に浮かされても、欲しい、と素直に言える様な性格ではないのだ。

 言葉の代わりに、スコールはクラウドのペニスに手を伸ばした。
レオンの乳房の谷間に顔を出した亀頭を包み込み、カリの形を確かめるように柔らかく揉む。
再開された二人の愛撫に、クラウドはひっそりと笑みを浮かべる。
ペニスの様子を確かめるように、顔を近付け、じっと熱い視線を送る二人に、ボディソープの泡さえなければ、フェラもして貰えたかも、と思うが、この状況でもクラウドは十分に満足だ。

 レオンは一心不乱にペニスを愛でていた。
むにぃ、と谷間に閉じ込めたペニスを、乳房を揺さぶって刺激する。
谷間を締めるように乳房を左右から手で押して潰すと、ピクッ、ピクッ、とペニスが震えるのが判った。

 スコールは、ペニスの竿の殆どを覆うレオンの胸を見て、ずるい、と思う。
それは自分一人が二人の姉に比べて胸の発達が芳しくない事と、ペニスを半分以上も独占されている所為だ。
この所為で、スコールは亀頭から上しか刺激する事が出来ない。

 スコールもレオンと同じように、ペニスへの愛撫を夢中で行った。
掌全体で亀頭の膨らみを撫で、カリの裏側を指先でごしごしと擦る。
ピクッピクッとペニスが反応を返してくれる場所を狙って刺激を与えていると、


「……く…」


 微かに聞こえた、息を殺すクラウドの声。
スコールは肉棒の先端に爪を立てて、尿道口を擦った。


「っ……二人とも、ストップだ」
「あ……」
「…ん……」


 クラウドの言葉に、二人がゆっくりと体を起こす。
しかし、熱に犯された二人の体はろくに力が入らず、クラウドの体の上から退く事が出来ない。

 疼く躯を持て余して、スコールはクラウドの胸の上で、もじもじと腰を揺らしていた。
とろりと蕩けたものがスコールの陰部からクラウドの胸板へと伝う。





酒池肉林。