幽冥、流転 5


 主と客人である東部の市長が会話をしている間、スコールとレオンは特にする事がある訳ではない。
共に晩餐の席に着いてはいるものの、二人が主達の会話に加わる事はなかった。
都市の発展について云々と話を聞かされた所で、二人にはまだそれらの答えに必要なだけの知識が身についていない。
余計な口出しをして主の不興を買うよりは、黙って場をやり過ごすのが一番無難だった。

 数ヶ月前までは、手掴みで食べるのが当たり前だった食事だが、今ではテーブルマナーも完璧にこなしている。
そんな兄弟を見て、彼らが奴隷であったなどと、誰が気付く事が出来るだろうか。
金糸の刺繍を施された上質な服を着た彼らは、決してその刺繍や意匠の存在感に埋もれる事はない。
それらは全て、彼ら自身を引き立たせる為のもの。
彼らの存在以上に、美しいものなどないと思わせる程に。

 “魔女”に拾われた兄弟は、その聡明さで大変“魔女”に気に入られた。
だが、気に入られたのは“魔女”に対してだけではない。

 市長は、席を向かい合う“魔女”アルティミシアに言った。


「どうかな、アルティミシア殿。彼らの見分を広める意味でも、一度、彼らを私の下に。どちらかだけでも構いませんよ」


 今日だけでこの言葉を何度聞いただろうか。
スコールは少しだけ思い出そうと試みたが、直ぐに止めた。
どうせ数十分に一度はこの話をするのだから、数えるだけ無意味な事だったのだ。

 そして、それに対するアルティミシアの返答も決まっている。


「有難いお話だとは思います。ですが、この二人はようやく此処での生活に慣れたばかり。勉強をさせるには良いかも知れませんが、粗相をして貴方の顔に泥を塗る訳には行きません」


 ────要するに、丁重にお断りします、と言う事だ。

 スコールは、アルティミシアの返答のままで良いと思っている。
スコールに自分の居場所を決める権利など無いも同然だが、もしも主張する事が赦されるのならば、この男の下にだけは行きたくないと思う。
脂ぎった顔も、目脂だらけの眦も、でっぷりと肥え太った腹も、見ていて気持ちの良いものではなかった。

 でも、もしも。
アルティミシアが自分達を捨てた後、兄が男の下に行こうと言ったら、自分もそれについて行くのだろう。
兄が行くのなら、其処が自分の居場所になる。
兄と共に生きて行く為に、必要なものがあるのなら、それ以外の事はスコールにとって大した問題ではないのだ。
それは、レオンにとっても同じ事。

 スコールは小さく切ったステーキを口に入れた。
厚い肉と言うものは、どうにも食べ慣れない。
筋張ってばかりの部位に比べると食べ易いのだが、舌の上で蕩けてしまうような、柔らかい肉は噛み応えがなくて、あまり食べた気がしない。
それに、肉は直ぐに胃もたれを起こしてしまい、あまり量を食べられない。
それよりも、スコールは野菜の方が食べ易くて好きだった。

 肉を半分程食べた所で、スコールはナイフとフォークを置いた。


「大丈夫か、スコール」


 レオンの声に、スコールは小さく頷いた。
しかし、潜められた眉は緩まず、スコールは息苦しさを感じていた。


「どうしました、スコール」


 主に名を呼ばれ、スコールは慌ててなんでもないと言おうとしたが、喉に何か詰まったかのように音が出ない。
顔を顰めて胸元を抑えるスコールに、レオンが宥めるように手を添えた。


「スコール、気分が悪いのなら、少し横になった方が良い」
「…でも……」


 主の命令で着いた席を、勝手に空けてしまって良いものか。
迷う表情を浮かべるスコールに代わり、レオンがアルティミシアを見た。


「構いません。レオン、スコールを寝室へ連れて行きなさい」
「ありがとうございます。────ほら、スコール」


 レオンに促されて、スコールは重い腰を上げる。
ふらふらと覚束ない足取りの弟を支えて、レオンは晩餐室を後にした。

 晩餐室からそれ程離れていない場所に、来客を持て成す為の部屋がある。
あまり遠くまで歩けそうにないスコールを見て、寝室に行くのは無理そうだと判断すると、レオンは一先ず客室の一つを借りる事にした。
通りかかった使用人に水を運んで来て貰い、部屋に入って、スコールをソファに横たわらせる。
首回りを覆うクラバットを緩めて、ジャケットの前を開けた所で、スコールは楽になった呼吸にほっと息を吐いた。


「多分、肉の所為だな。少し脂が多かったし」


 まだ僅かに顔を顰めている弟の頬を撫でながら、レオンは言った。
スコールも、そうだと思う、と小さく頷く。


「胃もたれ…だと思う、から、直ぐ治る……」
「うん」
「だから、レオンは…」
「俺は此処にいる」


 主の所に戻った方が良いのではないか、と言う弟の言葉を、レオンは最後まで聞かなかった。
レオンはスコールが身を預けるソファに腰を下ろすと、投げ出されたスコールの手を優しく握る。

 スコールがレオンを見上げると、柔らかな青灰色の瞳がじっと此方を見つめていた。
ゆっくりとレオンの顔が近付いて来て、頬に唇を押し当てられる。
スコールは、重ねられたレオンの手を握り返して、目を閉じた。
レオンの空いていた手がスコールの腹に置かれ、ゆっくりと、あやすように撫でる。
それだけで、胃の中のむかつきが消えて行くような気がして、スコールはほう、と息を零した。


「あいつ…まだ帰らないのかな」
「予定の時間だけでも、後一時間は残っているからな。最低でもそれまではいるだろう」
「……しつこい」
「あまり言うと、聞かれるぞ。あれでも一応、権力者だ。アルティミシア様の方が立場は上だが、色々顔が聞くらしい」
「…気を付ける」


 スコールとレオンの出自は、非常に曖昧なものだった。
先達ての戦争で故郷を奪われたと言う話は、全てが嘘ではないが、真実であるかと言われると微妙な所だ。
見世物の奴隷として旅一座にいた事を知る者は、有権者のごく一部だけで、人身売買のオークションに出される者の出自など、どれもデタラメで当たり前だった。
だから、こうした哀れな風を装って、有権者に近付いて摩り替るように成り済ましてしまおう、と考える者も少なくはない。

 あの市長が、兄弟について良くない噂を吹聴すれば、それはあっと言う間に広まるだろう。
アルティミシアは庇ってくれるかも知れないが、それで彼女にメリットがある訳ではない。
今は気に入られているから、彼女も兄弟の味方でいてくれるが、飽いてしまえば判らない。
兄弟の出自が曖昧である事は、あのオークションで二人を買っている以上、彼女もよくよく知っている事だろうから。

 主の不興を買う事は、避けた方が良い。
レオンもスコールも、人に飼われる以外で生きて行く方法など知らないのだから。


「…アルティミシア様…さっきの、怒ってなかったか」
「それは大丈夫だろう。でも、後で謝った方が良いかもな」
「……うん」


 頷いたスコールに、レオンは小さく笑って、スコールの額にキスをした。
レオンの長い髪がスコールの頬をくすぐる。


「レオン、髪」
「ああ、悪い。邪魔だったな」


 邪魔ではない。
邪魔ではないけど、とスコールは唇を尖らせる。
拗ねたと思われたか、レオンの手が宥めるようにぽんぽんとスコールの腹を叩いた。

 ────ガチャリ、と扉の施錠の音が聞こえて、二人は振り返った。


「……市長様?」


 其処には、丸々とした腹を膨らませた市長がいた。
ヤニの下がった目が二人を見つめている。


「ちょっと気になったのでね。様子を見に来てしまった。気分はどうかな?」


 ゆっくりと歩み寄って来る市長の言葉に、スコールは起き上がって「…大丈夫です」と答えた。


「もう、落ち付きました」
「うん?そうか?」
「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」


 謝罪するスコールとレオンに、構わんよ、と市長は言った。
黒い眼がじっと二人を品定めするように見詰めている。


「落ち着いたのなら良かった。しかし、本当に治ったのかな?」


 兄弟が並んで座っているソファの前まで来て、市長は二人を見下ろして言った。
その言葉の意味が図れず、二人が眉根を寄せていると、徐に市長の手がスコールの腹に触れる。


「…っ!」
「うん?どうした?」


 気持ちの悪さに一瞬顔を顰めたスコールに、市長はにやにやと笑いながら顔を近付ける。
鼻先にかかる男の吐息の臭さに、スコールはぐっと息を詰まらせる。


「まだ苦しいか?」
「…い、え……」


 本音を堪えて否定する。
重ねていたレオンの手を握れば、慰めるように握り返された。


「苦しいのなら、もう少し楽にさせてやった方が良いぞ」
「楽に、ですか?」


 クラバットは緩めたし、ジャケットの釦も外してやった。
これで十分だとレオンもスコールも思っていたのに、市長はこれでは駄目だと言う。


「教えてやろう。じっとしていなさい、いいね」


 二人の返答を待たず、市長はスコールのジャケットの前を広げ、シャツの釦を外し始めた。
スコールは一瞬息を飲んだが、レオンの手を握り締めたまま、動かない。

 釦が全て外されると、ボトムスの下に入れ込んでいたシャツ裾が引っ張り出され、男の手は更にボトムスの前袷へと伸ばされた。
ベルトが外されて、腰回りの締め付けが緩むと、スコールは無意識に長い吐息を吐いた。
まるで苦しさから解放されたかのような呼気に、ほうら、と男が笑う。


「大分、楽になったのではないか?」
「……はい…少、し……」
「少し、か。ではまだ苦しいのだな?」


 苦しくなどない。
胃の中のむかつきも、慣れない服の所為で感じていた窮屈さも、殆ど感じなくなっていた。
いや、それらを感じる余裕さえなくなったと言うべきか。

 ボトムスの袷が開かれると、押さえつけられていた陰茎が露わになった。
それはくったりと頭を下げているが、男の手が触れると、ぴくん、と小さく震えて反応を見せる。


「此処にな……どうやら、良くないものが溜まっているようだ。これを吐き出さんと、楽にはなれないぞ」


 鼻息がかからんばかりに顔を近付けて言う市長。
レオンやアルティミシアのものとは全く違う、肥えた所為で丸くなった太い手が、スコールのペニスを包んだ。


「あ、や…っ!」
「ほれ、今治してやろう」


 男の手がスコールの陰茎を上下に扱いて刺激する。
スコールは腰を震わせて身悶え、傍らの兄の手を強く握った。


「あ、ん、…あぁっ…!」


 床に下ろした爪先が強張り、スコールは膝を閉じて太腿を擦り合わせた。


「膨らんで来たぞ」
「ひ、っん…あっ、止め、て、下さい…っ」
「これは治療に必要な事だ、遠慮をするな」


 にやにやとした顔で言う男に、スコールは噛み付いてやりたいと思った。
しかし、そんな事が赦される筈もない。

 男の手がスコールの膝を掴み、力任せに割り開いた。


「レオン君。スコール君の足を押さえなさい」
「……はい」
「あ……っ!」


 市長の命令に従って、レオンはスコールに足を開かせた格好のまま、太腿を抑えて固定する。
スコールが赤らんだ顔でレオンを見ると、柔らかなものが呼吸を塞ぐ。
レオンの唇だった。


「ん、ん…」
「ふぁっ…あ、むぅ…っ」


 レオンの舌がスコールの咥内に侵入し、スコールの舌を絡め取る。
太腿を抑えるレオンの手が、ゆったりと布越しに肌を撫でた。
ふる、とスコールの肩が震える。


「協力的で助かるよ」
「う…っんん……」
「愛する弟の為にも、宜しく頼むよ」
「んぁ…は……」


 レオンは、市長の言葉に答えなかった。
この場にいる部外者の事など忘れたように、彼は弟の唇を貪っている。
スコールも兄に与えられる熱が伝染したかのように、ぼんやりとした瞳で、兄の口付けを甘受していた。

 市長は開いたスコールの足の間に体を割り込ませ、まだ萎えたままのスコールのペニスを見て、鼻息を荒くする。
厚みのある皮膚の、ざらざらとした掌が竿を撫でる感覚に、スコールは顔を顰めた。
けれど、唇を撫でる兄の舌に、直ぐに嫌悪感は快感に成り替わる。


「んちゅ…ん、ん…」
「んあ…ん、れお、…っふ、…」


 甘えるように名を呼ぶスコールに、レオンは応えるように、更に口付けを深めていく。
ちゅぷ、と二人の唇の隙間から音が零れて、溢れた唾液が顎を伝って落ちる。

 レオンは、ちゅう、とスコールの舌を啜って、ゆっくりと口を離した。
離れる熱を嫌がるように、スコールの舌がレオンを追うように伸ばされる。


「あ、あっ…れ、おんん……っあ…!」


 レオンとの口付けに夢中になっている間に、スコールの胸元は大きく開かれていた。

 ジャケットとシャツの前を開かせた市長は、スコールの性器を弄って湿った手で、スコールの薄い胸板を撫でる。
女ではないのだから、其処に柔らかな脂肪はないのだが、頂きの蕾はツンと尖っている。
市長はごくり、と喉を鳴らし、淡いピンクに色付いた蕾に吸い付くと、ぢゅるるるるっ!と音が鳴る程に強く啜った。


「ひあっあっ、ああぁあうっ!」


 ビクッ、ビクッ!とスコールの体が跳ねる。
逃げを打つように暴れたがるスコールの足を、レオンが強く抑え込んだ。


「あっ、あっ、レオ、やっ、」
「スコール…スコール、スコール…」
「んあっ、ひぃっ…!やあ、あ、あ!」


 ぢゅるっ、ぢゅるっ、と何度も強く吸われ、兄のものとは違う、どろどろとした肉厚な舌で乳首を舐られる。
スコールは頭を振って嫌がったが、レオンはそんなスコールを拘束したまま、宥めるようにキスだけを贈る。

 レオンの舌が、スコールの顎を伝う唾液をなぞって掬う。
ひくん、ひくん、とスコールの体が跳ねた。


「スコール…良い子に、して、」
「んやっ…や、あっ…!ひぃうっ!」


 強く吸われてすっかり膨らんだ乳首に、市長は歯を立てた。
カリッと甘く噛んだその刺激は、痛み以外のものを伴って、スコールの脳髄を犯す。


「あっ、や…やめ、え……そこっ、関係、ない…っ」
「いいや、どうやら此処にも良くないものが溜まっているようだ。治療してやるから、大人しくしていなさい」
「ひあっ!」


 左右の乳首を太い指で摘ままれて、スコールは高い悲鳴を上げた。
身を捩ろうとするスコールの肩を、レオンが抱く事で押さえる。

 市長はスコールの乳首を摘まんだまま、指先でコリコリと転がした。


「あ、あ、…や、ぁ……っレオ、放し、てぇっ…」


 与えられる刺激から逃げたいのに、傍らの兄が赦してくれない。
潤んだ瞳で訴えるスコールに、レオンは慰めるようにキスをして、眦の雫をそっと舐め取った。

 きゅう…と乳首が引っ張られて、スコールは息を詰めた。
それを宥めるように、スコールの喉仏にレオンが食い付く。
喉にかかるレオンの吐息と、肌をくすぐる髪の感触に、スコールは虚ろな瞳で宙を仰いだ。


「ひっ…は、だ、めぇ……あ、んぁっ…」
「っふ…は…スコール、ん……」
「レオン、いき、息、やぁっ……!」


 ふるふると弱々しく頭を振るスコールだが、その声に少しずつ愉悦が滲みつつあるのを市長は見逃さなかった。


「レオン君。此処は君が治療してやれ」
「は、ふ……はい…」
「やり易いようにしてやろう」


 市長がスコールの乳首から手を放すと、スコールはくったりとソファの背凭れに沈んだ。
それを市長が抱え起こすと、隣に座っていたレオンの膝上に乗せてやる。

 市長はスコールのボトムスを脱がせると、床に落とし、スコールの足をもう一度大きく開かせた。
レオンの膝に引っ掛けて閉じないように押さえ、レオンはスコールの体を背中から抱き締めるように腕を回し、薄い腹を下からゆったりと撫でる。
スコールは背中の兄の体温に身を預けながら、開かれた足の狭間を手で隠す。


「スコール君、隠しては駄目だ。きちんと見せなさい」
「……っう…んん…っ…」


 市長の命令に、スコールは肩を震わせながら、股間から手を退かす。
萎えていた筈のスコールの陰茎は、頭を持ち上げ、先端から微かに白液を零し始めていた。


「さあ、続きをするぞ」
「やっ…あ…っ、あっ、あぁっ…!」


 市長がスコールのペニスを握る。
陰嚢をやわやわと転がすように揉まれて、スコールの腰が震えた。

 するり、とスコールの腹をレオンの手が撫でる。
ヘソのラインからゆっくりと上った手が、胸の形を辿り、ぷっくりと膨らんだ乳首を掠めた。


「っん……!」


 ぴくん、と身を竦ませたスコールに、レオンが小さく笑みを浮かべる。


「スコール…」
「やっ、あっ…!レオン…!」
「市長様の、命令、だから…な…?」
「ふぁ、あっ、あっ…ひぃんっ…!」


 コリコリとレオンの指がスコールの乳首を摘まんで弄ぶ。

 スコールの乳首は、男の唾液でべとべとになっていた。
レオンはその粘りを指に絡めて拭うと、濡れた指でスコールの乳首をまた摘まむ。
レオンの指がスコールを愛撫する度に、スコールの細い体はヒクヒクと震え、陰茎が膨らんで行く。

 市長の目の前で、スコールのペニスはすっかり勃起していた。
刺激を欲しがるように切なげに震えるそれを、掌で包み込んで上下に扱いてやれば、耐え切れない嬌声が喉から溢れ出す。


「あっ、はっ…だめ、や…!あっ、あっ、んんっ…ぁああ…!」


 ぞくぞくとしたものが背中を這い上がってくる感覚に、スコールは胸に添えられた兄の腕にしがみ付く。
ぎり、と爪を立てるスコールを、レオンは咎めなかった。
それ所か、レオンは何処かうっとりとした表情で、喘ぐスコールの横顔を見つめている。


「はっ、あっ…!ちくび、もう、だめ…レオン、れお、あ、」
「っは…スコール…スコールの乳首、固くなって…いじって、欲しがってる…」
「や、あ…違うぅ……っ」


 レオンの言葉に首を横に振るスコールだが、耳元をくすぐる吐息にすら官能を感じる姿は、到底嫌がっているようには見えなかった。
その証のように、スコールのペニスは痛い程に張り詰めている。

 市長がペニスの尿道を悪戯にぐりぐりと押して刺激すれば、スコールは堪らず甘い悲鳴を上げる。


「あひっ、ひっ、ぁあっ!らめ、そこ、したらぁっ!」
「大分悪いものが溜まって来ているようだな」
「ひっ、ひうっ、出る、出るぅっ!」
「ああ、良いぞ。沢山出しなさい。これは治療なんだからな」


 指の爪が先端に宛がわれ、擦るように穴口の先端を引っ掻かれて、スコールは強い電流を浴びたように体を仰け反らせた。


「ひぐっ、ひっ、イく…っ!イっちゃ、あ…あぁあああっ!」


 ビクッ、ビクッ、ビクン!と激しく全身を痙攣させながら、スコールは絶頂した。
びゅるるっ、と白濁液が吐き出され、スコールの腹や股間に降り注ぐ。

 市長は、スコールの精液で汚れた自分の手を見て、いやらしく笑う。
スコールはレオンに抱き締められて、呆然としたように力の抜けた体を投げ出していた。


「どうだ?少しは楽になったかな」
「…あ…ぅ……」
「……スコール、」


 意識が朧になっているのか、市長の言葉に答えないスコールに、レオンが促すように声をかける。
しかし、スコールは熱の篭った呼吸を繰り返すしかなく、問われている言葉も、答えなければならない言葉も、理解できていない。

 スコールの半開きになった唇の隙間から、濡れた舌が覗く。
市長はその唇に、スコールの蜜液でどろどろになった指を突き入れた。


「ん、ぐっ…!」
「判るかな。これが君の中にあった、“悪いモノ”だ」
「んぁ、あ…ふっ…はぐぅっ…」


 市長はスコールの舌に、自身の指を絡み付かせた。
鼻を突く饐えたような匂いと、傍若無人に咥内を掻き回す太い指に、スコールの眉が苦しげに潜められる。

 しかし、指がスコールの舌の筋を辿るように撫でると、ぴくん、とスコールの肩が震えた。
嫌がるように閉じられていた瞼が薄らを開くと、熱に浮かされた青灰色が覗く。
いつの間にか、スコールは自ら欲しがるように、男の指を追っていた。


「ん、んぁ…ぷ…ふ、ぁ……」
「美味しいか?」
「は…はひ……んぷっ、う、う」


 スコールは、曖昧な意識のままで頷いた。
市長が気をよくしたように笑う。

 スコールの耳元に、熱い吐息がかかっていた。
自分を抱き締めるレオンが興奮している事に、スコールは気付いている。
レオンの張り詰めた下肢が、自身の秘孔に当たっているのだ。


「あ、は…ら、めぇ…もう、だめ……」


 スコールは身を捩って、背中から抱いていたレオンの腕を解かせた。
体を反転させて兄の首に抱き着いて、スコールは自分の下肢を兄の脚に擦り付ける。


「あっ、はっ…はうっ…!」
「スコール、」
「んぁっ、あっ、はっ…はぁん…!レオン、レオン、あっ、あ…!」


 スコールのぬれそぼった下肢が、レオンのボトムスの上を前後に滑るようにして踊る。
細く無駄のない引き締まった腰が、レオンの脚の上で淫靡に揺れ、スコールは娼婦のようにレオンにしな垂れかかって顔を寄せた。


「ん、あ、欲しい…レオン、もう…欲しい、よぉ……っ」
「スコール、駄目、だ」
「や、だ……もう。我慢、出来ない…ぃ…っ!」


 スコールの手がレオンの下肢に伸びて、苦しいほどに張り詰めた狭間を撫でる。
其処にレオンのものがあるのだと思うと、スコールは堪らなく興奮してしまう。

 兄に続きをねだるスコールだったが、レオンは首を横に振るばかり。
当然であった。
レオンとスコールの性交の“続き”は、今此処でしてはいけない。
主であるアルティミシアから許可がない限り、これ以上の行為を───少なくとも自分の意志で───行う事は赦されていないのだ。

 しかし、スコールは既に一度、レオンの口淫によって昂らされ、レオンに奉仕してまた欲望を掻き立てられた。
互いに一度は熱を解き放つ事が赦されたが、その一度きりで満足できる筈がない。
体の奥底から交じり合って、溶け合う程に重ね合って、その内側を満たし合って、ようやく満足出来るのだから。
レオンもそれは同じ事だが、現状で彼はまだ理性が残っていた。


「レオン、レオン…んっ、んっ」
「んぐっ…ん、ふ…ふぅんっ…」


 応えてくれない兄に焦れて、スコールはレオンの唇に口付けた。
閉じた唇の形をなぞって、微かに開いた隙間から舌を滑り込ませ、ちゅくちゅくとレオンの咥内をくすぐる。

 咎めるようにスコールの肩を掴んでいたレオンの手から、少しずつ力が抜けて行く。
夢中になって自分を求めるスコールを、レオンは拒めない。

 ────しかし、


「おいおい、私を忘れんでくれよ」
「ふ……んんっ!」


 ぐっとスコールの肩が引かれ、レオンと離されたかと思うと、分厚い唇に呼吸を塞がれた。
目の前に広がった皺だらけの卑しい顔に、スコールは顔を顰める。

 彷徨ったスコールの手を、レオンが握った。
ぎゅ、と指を絡めて握り合う。

 口付けされながら、スコールはソファから下肢を下ろされた。
レオンの体の左右に両腕を突いて上半身を支え、尻を突き出す格好にされる。
するり、と脂性の手がスコールの尻を撫で、指がアナル口に触れた。


「んっ…あ、ふ……っ」


 市長の顔が離れて、ようやくまともな呼吸を赦された。
スコールはレオンの腰に縋り付いて、足りなくなった酸素を取り込む。


「はっ、あ……あ…!?」


 ぐにぃ、と秘部を引っ張られる違和感に、スコールは目を剥いた。
何が起きたのかと確かめる暇はなく、ぐぷん、と親指程の太さのものがアナルに挿入される。


「悪いものは吐き出したと言うのに。どうやら此処にも、良くないものが溜まっているようだ」
「はぅっ、うぅん…!」
「此処か。此処に欲しいんだな?」
「あっ、あっ、ああっ…!」


 ぐぷっ、ぐぷっ、と太いものがスコールのアナルを出入りする。
スコールの下肢ががくがくと震え、膝は伸ばしていられずに頽れそうになるが、ぴしゃりと尻を叩かれて、スコールは唇を噛んで耐える。


「んっ、んぁっ…!お尻、欲しい、欲しいよぉ…!」
「あ、…スコール、んんっ…!」
「ふあ、あっ、あっ!だめ、レオン、もう、我慢、出来な、」


 腰を、尻を振ってねだるスコールに、レオンは零れそうになる熱を必死で堪える。
しかし、スコールはレオンの腰にしがみ付くと、口でレオンのボトムスの前を緩めようとする。


「駄目だ、スコール、ぁっ、ああっ…!」


 レオンの止める声を聞かず、スコールはレオンのペニスを取り出した。
勃起を抑圧していた布地がなくなると、レオンのペニスは飛び出すように頭を起こす。
大きく膨らんだレオンの一物を見て、スコールは一瞬目を丸くし、うっとりとした表情で舌を伸ばし、


「んぁあぁ……っ!!」


 スコールの舌が、レオンのペニスの裏筋を撫でる。
官能が下肢から脳髄へと一気に駆け上るのを感じて、レオンの喉から悩ましい声が漏れた。

 スコールはアナル口を拡げられるのを感じながら、レオンのペニスにしゃぶりつく。


「んあっ、はっ、はふっ、んんっ!」
「あ、ひっ…スコール、やめ、え、んあ、あっ…!」
「っふ、んふっ、レオン、レオンの、おっきぃ…んぷっ、んふっ、ふぅんっ…!」


 ちゅるっ、ぢゅぱっ、と卑猥な音を鳴らしながら、スコールはレオンのペニスが己の咥内で膨らんで行く事が嬉しくて、益々夢中になって奉仕を続けた。
舌で竿の根本からカリまでを丹念に舐めて、亀頭の先端を指先でごしごしと擦る。
ビクッ、ビクッ、と咥内でペニスが跳ねるのを感じながら、スコールは上目にレオンの表情を伺う。

 レオンは、駄目、と繰り返しながら、蕩けた表情で視線を宙に彷徨わせていた。
開いたままの口端から、だらしなく涎が垂れている。


「っは、ん……んむぅ、」
「ひ、んっ…!スコール、ぁ、あ…っ!」
「ん……ふぐっ、うっ、うっ、」


 ペニスへの奉仕に夢中になるスコールを引き戻すように、アナルへの攻めが激しさを増す。
一本だけだった挿入が二本に増やされて、圧迫感にスコールは眉根を寄せるが、それも僅かな間だけ。
ぐにぃ…と穴口が押し広げられると、滑り込んでくる外気が冷たく感じられて、スコールはふるりと腰を震わせた。


「ヒクついているよ、スコール君」
「ん、ん……ん、ふぁ、あふっ…ん、んんっ!」
「んんんっ!」


 ぐりゅう、と深くなる挿入に、スコールの息が詰まり、喉が窄まる。
レオンは自身を締め付けられるのを感じて、ソファの端を強く掴んで声を殺す。

 ぬぷぬぷとアナルに侵入する指────そう、指だ。
恐らく、人差し指と中指。
だと言うのに、その太さはスコールの親指よりもずっと太く感じられる。
肥え太った男の指なのだから、当然かも知れない。
それが更に三本に増やされて、スコールはひくん、と喉を痙攣させた。


「んぉ、ふ、んぶぅっ…!」


 ビクッビクッ、と下肢を戦慄かせるスコール。
それを同じくして、レオンもビクビクと躯を震わせ、押し流されそうな強い快感に耐えようとしている。


「んっ、んふっ、ふぅんっ!む、うぅっ、んぢゅっ、ふっ、」
「あっ、あっ、は、あぁ…!ん、んっ…!くぅん…!」
「ん、ん、んんっ…!」
「そんなにお尻を振って。これでも足りないのか?」
「んん…んぁあっ!」


 ぐちゅ、ずりゅうっ、とスコールのアナルから市長の指が引き抜かれる。
三本もの太い指を咥え込んでいたアナルは、食むものを喪って物寂しそうにヒクヒクと穴口を伸縮させていた。

 スコールの背後で、がちゃがちゃと金属が鳴る。
レオンが虚ろな目で其方を見れば、スコールのアナルに市長の黒々としたグロテスクな陰茎が宛がわれている。


「だ、め…です……市長、様…あっ…!」
「んん?何故だ?スコール君はこんなにも欲しがっていると言うのに」
「んぁっ…!」


 レオンの制止の声に、市長は訝しげな顔を浮かべながら、スコールのアナルに亀頭を擦り付けた。
熱の塊が穴口を押す感覚に、スコールが侵入を促すように腰を揺らす。

 レオンのペニスを咥えたまま、スコールが赤らんだ顔でレオンを見上げた。
ねだるような瞳に、レオンは自身の下肢が熱くなって行くのを感じながら、息を絶え絶えに口を開く。


「もう、駄目、なんです…それ以上、は…あっあ…!」


 ちゅぷ、とスコールの舌がレオンのペニスを撫でる。
悪戯なその刺激は、今のレオンにとって苦痛だ。


「あっん、んんっ…!スコール、も、やめ…」
「んふっ…んぁ、や、レオン…レオンも、きもち、の…」


 一緒が良い。
一緒に気持ち良くなりたい。
甘えにも似たスコールの言葉は、レオンにとって嬉しいものではある、けれど。


「こ、これ以上、は……アルティミシア様、の…お許し、を、…っは、う、んんっ!」
「んん……っ!」


 レオンの言葉に、スコールの目に微かに理性が戻る。
しかし、ぐりぐりと硬く反り返った陰茎にアナルを刺激され、とろりと溶けてしまった。


「成程。主人の許しがあれば良いのだな?だが、スコール君はそれを待ってはいられんようだ。そうだろう?」


 そう言うと、市長は亀頭の先端をアナルに再度宛がった。
ぐ…と先端がアナルを押し広げようとし、スコールはレオンの腰に縋りついて、その先の快感を期待するように腰を突き出した。
しかし、穴が雄を咥え込もうとした時、


「んっ、…んんぅっ」


 待ち望んでいたものが離れて行くのを感じて、スコールの喉からどうして、と問うような音。


「欲しいんだろう?スコール君」
「っは…駄目、だ…スコール…」


 これが欲しいのだろう、と黒々としたペニスを見せる市長と。
良い子だから、と半ば懇願するように見詰めるレオンと。

 ひくん、ひくん、と伸縮するアナルに、再三の雄が宛がわれる。


「────ほ、ひぃ…れ、す」


 兄の雄を咥えたまま、ようやっと絞り出したスコールの言葉は、行為の先を強請るもの。

 ぎゅ、とスコールの髪をレオンの手が掴む。
怒っていたのかも知れないが、スコールにはもう判然としなかった。
それよりも───ぐりゅうう、と一気に最奥を貫いた熱の塊に、全ての意識を浚われる。


「んぁっ、うっ、ふむぅぅぁああぁあっ!」
「んんんっ、んっ、ひぅううっ!!」


 くぐもった悲鳴を上げるスコールの喉が窄まり、レオンのペニスを締め付ける。
ビクン、ビクン、と震えるレオンのペニスは、そのまま射精するかに思えたが、レオンは唇を強く噛んで快感の衝動を押し殺した。

 スコールのアナルに埋められたペニスが、前後に激しく律動する。
ぱちゅっ、ぱちゅっ、と皮膚をぶつけあう音が響いた。


「んぶっ、ふっ、むぅうっ!んぁっ、あっはがっ、あっ」


 息をする暇もない程の激しい攻めに、スコールは奉仕どころではなくなっていた。
ペニスをただ咥えたまま、最奥を打ちつけられ、貫かれる衝撃に躯を揺さぶられる。


「うんっ、んっ、ぷぁっ、んむっ!ふっ、あふっ、んぁあっ!」
「ひっ、あっ、スコールぅっ!もう、あっ、あっ、んんっ!もう、やめ、放し……ひうっ!」


 揺さぶられる所為で、スコールは自分の動きを制御できない。
ただ口を開いてペニスを咥えたままで、舌を動かして舐めしゃぶる事も出来なくなっていた。
それでも時折、歯が甘く当たる度、レオンの体は微かな官能に打ち震える。

 市長は、己の肉棒にねっとりと絡み付いて来る内壁の感触を堪能しながら、弟に自身を咥えられて悶え仰ぐ兄を眺め、楽しんでいた。
三ヶ月前に街にやって来た見世物の一座の中にいた彼らを見た時から、市長は麗しく淫靡な兄弟の虜になっていたのだ。
オークションに彼らが出された時、全財産を叩いてでも手に入れようとしていたのだが、街の領主であるアルティミシアには敵わなかった。
それでも市長は二人を諦めきれず、頻繁に何某の要望だの会食だのと開いては、アルティミシアに逢い、彼女に付き従う兄弟を己の下に来るように誘った。

 今まではアルティミシアの庇護下にいた為に、会食の席で並んでいるとは言え、ろくろく会話もした事がなかった。
挨拶や一言二言、質問の遣り取りが精々で、それも答えるのは専らレオンの方で、スコールは挨拶に反応が返れば良い方。

 檻の中にいた時は、背徳的で、神聖なものに見えていた。
“魔女”の下に引き取られ、綺麗に着飾られた二人は、まるで高嶺の花のよう。
何れにせよ、市長は彼らが欲しくて欲しくて堪らなかった。

 ────これで。
これで、ようやく。


「んっ、んっ、んくぅっ!ふ、ふぁっ、んぉっ!あむぅ…っ!」
「あひっ、ひんっ!や、あ…!あ、あぁあ…!」
「んふっ、れお、おっきぃ…れおんの、イきそ、んんっ!」
「だめ、だ、…んっ、んんっ!くふっ、ぅうん…っ!」
「あっ!あっ!ん、ぁあっ!んぐっ、う、うんっ!」


 完全に与えられる快楽に堕ち切った弟と、未だ理性は残るものの、躯の陥落は容易い兄。
二人で一人であるかのように、寄り添い続けた兄弟は、落ちて行く時もきっと共にあるのだろう。
ならば、兄が快楽に堕ちるのもそれ程時間はかかるまい。

 市長はスコールの腰を捕まえて固定すると、ずんっ!と強く腰を打ち付けた。
じゅぷっ!と秘奥を貫かれたスコールが、眼を瞠り、白目を剥いて口を喘がせる。


「んぁっ、あっ…は…ひぃ…っ」


 スコールの口から、レオンの陰茎がずるりと抜け落ちる。
レオンのペニスは痛いほどに張り詰め、あと幾らも刺激があれば、射精してしまうのは間違いない。

 反り返った兄のペニスを目の前に、スコールはアナルの内壁をずりゅずりゅと犯される感覚に身悶える。


「んぁっ、あっ、あっ!きもちい、いい、おしりに、おっきいのぉ…!」
「欲しかったんだろう?これが。じっくり味わって、覚えるんだ。いいね」
「は、はひっ、ひぃん!あっ、そこっ、ぐりぐりらめぇえっ!」


 アナルの一番奥深く、直腸の入り口を亀頭で掻き回すように抉られて、スコールはがくがくと膝を震わせた。
涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔で喘ぐスコールの姿に、レオンの呼吸が上がって行く。


「レオン君、君も、そのままでは辛いだろう」
「っ……」


 スコール同様、快楽に従事する躯であるレオンが、絶頂の間際に寸止め状態にされて耐えるのは難しい。
目の前には何よりも愛する弟の痴態。
レオンの下肢は更に熱くなり、無意識に自身の右手が下肢へと伸び、


「……っ……!」
「従順だな」


 レオンは緩く頭を振って、右手をソファに下ろした。
市長はそんなレオンにも満足げに笑う。

 こんな状況になってまで、主の言葉を遵守しようとするレオン。
守るべき主の命令を忘れ、与えられる快感を夢中で貪るスコール。
オークションのあの日、“魔女”の介入がなければ、今頃この躯は市長のものであり、彼らは市長の命令をいつ如何なる時でも遵守し、市長の手によって乱れ喘いでいたのだ。
手に入れられなかった悔しさは否めないが、今後、こうして彼らを自分の手で染めて行けば、何れは二人自ら己の下へ堕ちるだろう。

 それまでは、この状況を楽しめば良い。
市長は、主の命令と欲望の狭間に苛まれる兄と、兄の目の前で淫らに泣き喘ぐ弟を見下ろしながら、昂った熱を弟の体内へとぶつける。


「ああっ、ひっ、んあっ!あっ、あっ、んんっ!」
「ふ…ぅ、スコール……スコール…、ぅ…」
「あ、んぁ、レオン、んんっ!っは、あ、あ、あ!」


 律動のリズムが短くなるにつれ、スコールの甘い声も途切れがちになって行く。
ぐちゅっぐちゅっぐちゅっ、と自身の下肢から零れる淫音を聞きながら、スコールはレオンに縋り付いた。


「レオ、イく、イく、んぁあっ!ごめ、なさ…もう、がまん、できないぃ…!」
「っは…スコール…だめ、イくの、我慢、して、」
「無理、無理ぃっ!イく、イっちゃ、あ、あ、ああぁぁああっっ!!」


 兄の制止の声に、弟が応えられる訳もなく、スコールはぞくぞくと全身を上ってくる快感に躯を弓形に反らせて、二度目の絶頂を迎えた。
びゅくっ、びゅるっ!と吐き出された蜜液が、床に溜りを作る。

 射精と同時にスコールのアナルが強く締まり、市長の太いペニスを締め付けた。
ペニスの形をそっくりそのまま、嵌め込むかのように纏わりついて来る肉壁は、ねっとりとしていて、熱く、正に男を悦ばせる為にあるように思えた。
市長は至上の悦楽を得たような気分で、自身も一気に上り詰め、


「んぐぉおおおっ…!」
「ああっ、あっ出てっ、中にっ!あついのぉっ、出てるぅううんんんっ!」


 びゅるるるるっ!と内包していた欲望の全てを叩きつけるかのように、市長はスコールの体内に精液を吐き出した。
どろりと粘ついた、濃い液体が内側を汚していく感覚に、スコールは嫌悪感よりも充足感に似たものを覚えていた。


「あっ、ああっ……」


 ずるり、とアナルから陰茎が引き抜かれる。
カリの太い部分がアナル口を引っ掛けて、ぬぽん、と厭らしい音を立てた。

 栓を喪ったスコールのアナルから、男の欲望がごぽりと溢れ出す。


「ん、あ……」
「あ……」


 力を失って、下肢を床に頽れさせたスコールを、レオンは呆然と見詰めていた。
スコールは意識は残っているものの、躯に力が入らず、レオンの腰に縋り付いたまま、白濁液に汚れた下肢をヒクッ、ビクッ、と痙攣させている。
アナルから精液が溢れ出す感覚にすら、快感を拾わずにいられないのが判った。

 市長はスコールの尻に残った精液を絞り出してかけると、満足した表情でペニスを仕舞う。


「私は晩餐室に戻るとしよう。君達は、ゆっくりしていると良い。私はまだしばらく帰るつもりはないからな」


 そう言って、卑しい顔をした男は、部屋を出て行った。

 レオンはスコールを抱き上げると、男に散々舐られていた、スコールの唇にキスをする。
もっと、とねだるように舌を差し出す弟に、レオンは全てを塗り消してしまうように、深く深く口付けた。





おっさんに良いようにされるレオスコ。
レオンとスコールでは、レオンの方が理性が強いです。スコールは一回堕ちたら後はズルズル。