堕ちる、熔ける、嗤う。 3


 ヒクッ、ヒクッ…と絶頂の余韻に苛まれ、スコールは弛緩した貌を晒していた。
高められた官能はスコールの躯の全細胞を巻き込んで、下肢を自身の精液が伝うだけで、ぞくりとしたものが沸き起こる。


(…こんな、の…俺の、体じゃ、ない……)


 男達に弄ばれて、官能を感じて、剰え射精させられるなど、悪夢等と言う二文字で括れない程の屈辱だった。
いつかの電気拷問など、この屈辱に比べれば、遥かに生温いものだったように思えて来る。

 涙と涎と汗に塗れたスコールの貌を眺めながら、男達の興奮は更に昂っていた。
嘗て数多のガルバディア兵を切り捨てて来た“伝説のSeeD”が、あられもない姿で、自分達の手で弄ばれている。
それだけで十分男達の歪んだ征服欲を満たしていたが、今はそれ以上に、まだ未発達な青さを残す少年が醸し出す、憂いと劣情を孕んだ表情が堪らな欲望を煽るのだ。

 彼らが昨今のガルバディアの混迷の中で溜まった鬱憤晴らしの為、スコールを標的にしたのは、全くの偶然だった。
兵士の一人がカーウェイ邸から出てきたスコールを見付け、将校に報せ、ジャンクションショップへ向かうのを遠目に確認。
そして持っていたガンブレードケースを手放し、手ぶらになっている事、周囲に仲間やSeeDらしき姿がない事を確かめ、決行した。
初めは“伝説のSeeD”等と言う生意気な称号を得た青二才に、大人の怖さと言う者を判らせてやろうと、いつもの暴行事件と同じ事をしようとしていたのだが、端正な面立ちと案外と華奢なその体躯を見ている内に気が代わり、軍から持ち出した薬を使う事にした。

 ────そうして暴き出した、“伝説のSeeD”の、誰も知らない貌。


「男にちんこ弄られてイくなんてな。“英雄”が聞いて呆れる」
「しかも、三回だぜ」
「溜まってたのかな?スコール君。“英雄”様は毎日お忙しいようだからな」
「足開いたままだし。三回もイったのに、ちんこまだ勃ってるし。若いって羨ましいね」
「そういや、成人もしてないんだっけな。やべえ、未成年に対する強制猥褻罪だ」
「未成年じゃなくても、強制猥褻の時点でアウトっすよ」


 ああそうか、と、特に気に留めた様子もない声。
それから、げらげらと笑う声が反響する。

 笑う耳障りな声に対し、スコールは苛立ちや憤りと言うものを感じていなかった。
ぼんやりとした青灰色の瞳が、とろとろと瞼の裏側へと隠れて行く。
このまま意識を手放してしまえば、彼らも飽きて立ち去るだろうか、目覚めた時にはもういないのではないだろうか────そう考えていた時だった。

 ぐい、とスコールの足が持ち上げられ、体を折り畳まれるような姿勢を強いられた。


「っ……」


 呼吸の難しさに息苦しくなって、スコールは音にならない喘ぎを漏らす。


「まんぐり返し〜っと」
「男だからちんぐり返しじゃないですか?」
「どっちでも良いだろ。これから此処はまんこになるんだからよ」


 此処、と言って将校の指が触れたのは、慎ましく閉じたアナル。
まさか、とスコールが蒼褪めたのを見て、将校はにんまりと厭な笑顔を浮かべ、


「おや。お盛んな“英雄”様はお察しのようで」
「じゃあ話は早いっすね。御開帳〜」
「ひ……!」


 兵士の指がスコールの尻を掴み、ぐにい、とアナルの穴を引っ張って広げる。


「や、…あ……そ、んな…とこ…っ、見るなあ……っ!」


 排泄器官であるアナルを拡げられ、まじまじと覗き込まれている。
恥辱と屈辱に晒されて、スコールは憤死しそうだった。

 ひゅうひゅうと空気がアナルの中に滑り込んでくる。
冷たい空気に触れた肉壁が、ひくん、ひくん、と伸縮するのを見て、将校はくく、と笑う。


「やっぱ経験あるんじゃねえか?ケツ穴がヒクついてやがる」


 将校の言葉に、スコールは顔から火が出そうだった。

 革手袋の指がスコールの尻を撫で、アナル口の形をなぞる。
それだけで、ぞくん、と背中に快感が奔るのを感じて、スコールは唇を噛む。

 づぷ、と太い指がスコールのアナルに潜り込む。


「─────………っっ!」


 ビクッ、ビクッ、と細い体を戦慄かせるスコール。
アナルは将校の指を拒むように閉じて、ぐいぐいと押し出そうとしている。


「ちっ、薬の効果が切れたか?」
「即効性ですからね。切れるのも早いですよ」
「誰か持ってないか?」
「ありますよ」


 準備の良い事で、と褒める将校の声に、スコールは余計な事を、と胸中で毒付く。
あの全てを塗り潰すような激しい熱と、触れられるだけで馬鹿のように喘ぎ声を上げていた自分を思い出し、ずくり、と下腹部が疼いたような気がして、スコールの自己嫌悪が増す。

 部下の兵士が取り出したビンを受け取ると、将校は口でビンの封を切った。


「こいつを────此処に入れたら、どうなるかなっと」
「……!?」


 ぐに、と広げられるアナルに、ひやりと冷たいものが当たる。
スコールが目を見開くと、ビンの口がアナルに添えられて傾いていた。


「やめ────っ!」


 ぐぷ、と小さなビンの口が、スコールのアナルへと押し入れられる。
上下逆さまになったビンの中身が落ちて、とくとくとスコールのアナルの中へ注ぎこまれて行く。


「あっ、あっ!や、あ……!」


 冷たい液体が直腸を流れて落ちて行く。
足を高く持ち上げられて掴まれたまま、ピクッ、ヒクッ、とスコールの下肢が震えた。

 量としては少量の液体が、全てアナルの中へ注ぎ込まれたのを確認し、将校はスコールのアナル口からビンを引き抜いた。
きゅぽん、と空気音を弾けさせたそれに、スコールの躯がびくん、と反応を返す。

 さて、どうなる、と兵士達が眺めていると、


「─────っ!」


 どくり、とスコールの心臓と躯が跳ねた。
見た目にも判る変調の兆しに、兵士達が高揚した眼で見つめる中で、スコールは再び始まった体の熱暴走に身を捩る。


「あ、あ…!ひ、あ、あぁああっ…!」


 スコールの変化は、最初に薬を飲まされた時よりも、強く、激しいものだった。
びくっびくっと四肢を痙攣させたかと思うと、細い腰をくねらせて悶え、巨漢の男に拘束されている事も忘れて、腕をじたばたと動かしてもがいている。
は、は、と呼吸のリズムが逸り、犬のように舌を伸ばして喘ぐ。
身を捩っては強張らせ、しどけなく足を開き、浮いた腰がゆらゆらと揺らめく様は、娼婦が男を誘おうとしているように見える。


「ひっ、はっ…!熱、熱いっ…!んぁ、あ、あああ…!」


 一回目の比ではない程の激しい熱に苛まれて、スコールの瞳は虚空を彷徨う。
体内から、下肢から湧き上がってくる熱に、脳髄まで犯されている気がする。
逃げなければ、抵抗しなければ、と言う思考さえ、どろどろに溶かされて行く。

 スコールを苛むのは、熱だけではない。
下肢から湧き上がってくる、じんじんとした酷く甘い疼きに逆らえない。
それは、薬を注ぎ込まれた秘孔の奥から発されて、秘孔口が疼きを収めてくれるものを求めるように、くぱくぱと伸縮する。


「あっ、あっ、んんっ…!熱い、熱いぃいっ…!何、これえ…っ!こんな、の、知らな……」


 ビクッビクッ、と四肢を戦慄かせ、蕩けた貌で体を支配する熱の激しさを訴えるスコールに、ごくり、と喉を鳴らしたのは誰だったか。
巨漢の男は何も言わず、表情を変える事もなく、悶えるスコールをじっと見下ろしている。
だが、見下ろす黒々とした眼に、凶暴な色が見え隠れしていた。


「熱い、か。そうか。熱いのか」
「は、んあっ…!あ、つ…んんんっ…!」


 将校の言葉に、スコールはこくこくと何度も頷いた。
にやりと男達の口元が弧に歪み、誰かの指がスコールのアナルに埋められる。


「んきゅうううううっ!」


 づぷんっ!と一気に根本まで挿入されて、スコールは動物染みた悲鳴を上げた。
そのまま、ぐちゅっ、ぐぷっ、ぐちゅっ、と卑猥な音を鳴らしながら、指がアナルを出入りする。


「あっ、あっ、あっ!ひっ、はんっ、あんっ!」
「此処か?此処が熱いのか?」
「あっ、あうっ、んっ!熱、熱い、の、そこ、其処がっ、熱いぃんっ!」


 ぐぷっ、ぐちっ、ぬちっ、ぐぷっ。
じゅぷっ、ずりゅっ、ぐぽっ、じゅるっ。

 革手袋の指が、スコールのアナルの中を掻き回す。
注がれた液体を纏わりつかせながら、指は内壁を引っ掻き撫で、ざらざらとした革が淫肉を擦る。


「はっ、はっ、あっ、あっ!んあ、あっ、ああっ


 肉壁を押し上げられ、撫でられる度に、スコールの口からはあられもない声が上がる。
息を殺す事も忘れた彼の躯は、完全に官能に支配され、陥落を迎えつつあった。


「すげえな、咥えて離さないぜ」
「あひっ、ひんっ!ひぃんっ!あふ、ふぁん!」
「滅茶苦茶感じてるますしね」
「あっ、あっ、あっ、うっ、んっ、違、違うぅ…、んんっ


 ずちゅっ、ぶちゅっ、とアナルを出入りする指に翻弄されながら、スコールはゆるゆると首を横に振った。
それを見た将校は、スコールのアナルから指を引き抜いた。


「んあぁあんっ!」


 ずるるっ!と革で脾肉を撫でながら抜き去られて行く指。
加える物を失うと、あのじくじくとした疼きが、再びスコールの躯を襲った。


「あ…あ……っは…ぁああ……っ」


 悩ましい声を上げながら、ゆらゆらと淫靡な踊りを見せる細い腰。
兵士達はそれを見ながら、ごそごそと自身の前を弄り始めていた。
その傍らで、将校は手袋を外し、生の手でスコールのアナルをなぞると、ぶちゅぅっ!と人差し指と中指を突き入れた。


「あひぃいいぃんっ


 ビクン、ビクン、とスコールの躯が仰け反り、官能の悦びに打ち震えるかのような甘い悲鳴。
その悲鳴が終わらない内に、将校はスコールの淫肉を埋めた指の間に挟んで摘まんだ。


「んきゅうっ!?」
「これでも感じてないって言えるのか?」
「んっ、んっ!あ、ふぅんっ!痛、いっ、あっああっ!」


 身の内でクニクニと脾肉を抓んで捏ねられて、スコールは頭の奥がちかちかと明滅する程の快感に見舞われていた。


「やっ、あっ、かんっ、感じてっ、なっあっ、あうっ、あひぃっ
「こんなにビクビクしやがって、ちんこも勃起させて。気持ち悪いなんて事があるのか?ん?」


 摘ままれた脾肉が強く引っ張られ、スコールは声にならない悲鳴を上げていた。
四肢を痙攣させ、目を瞠り、虚空を見上げてはくはくと唇を戦慄かせる様は、陸に揚げられた魚のようだ。


「はひっ、はっ、やめっ!中っ、抓らなっ、ひぐぅっ!」
「だったら、自分が感じている事を認めろよ。気持ち良いって言ってみろ」


 きゅうきゅうとアナルの内壁を摘ままれ、擦られてこねられて、スコールはビクビクと躯を震わせ、最早思考らしい思考を失っていた。
熱の暴走から続く、あらぬ場所への激しい攻めに、何よりも躯が真っ先に堕ちた。
躯が堕ちれば、引き摺られるようにして心も堕ちて行こうとしている。
それは駄目だと、辛うじて残った自我が訴えているけれど、それを捕まえて明確な意思とするには、あまりにもその声は遠く、絶え間なく与えられる官能の波が強烈であった。


「はっあっ、きも、きもち…だ、めっ!駄目、あ、んああっ!」


 将校に言われるがまま、口走りそうになった言葉を、寸での所で飲み込む。
それを発してしまえば、二度と戻れないと思ったのだ。

 あと少しと言う所で踏み止まろうとする少年に、案外しぶといな、と将校は呟いた。
ちらり、と将校はスコールの周りでペニスを扱いている部下達を見遣ると、喘ぎ泣くスコールに向き直り、


「スコール君、安心しろ。気持ち良いのも感じるのも、君の所為じゃあない。薬の所為だ」
「はっ、あっ、くすっ、薬っ……?」


 熱に溺れ、茫洋とした瞳で、スコールは将校の言葉を反芻した。


「薬を飲んで此処が熱くなっただろう」
「んああぁっ!あっ、だめ、奥、奥だめえっ!」
「だから、こんなに熱いのも、こんなに感じるのも、気持ち良いのも、薬の所為だ。君が感じたくて感じている訳じゃない。薬を飲んだ所為だ」
「はひっ、薬っ…薬、のっ…!あっ、あっ、あっ、」


 繰り返し囁かれる言葉を、スコールもまた、覚えたての言葉のように繰り返す。
薬の所為、薬の所為、と何度も聞かされるその言葉は、まるで催眠術のように、思考能力を失ったスコールの脳内へと刷り込まれて行く。


「周りを見てみろ。此処にいる奴らは、君と同じ薬を飲んでいる。俺もそうだ。だから、ほら」


 将校の視線に促され、スコールはその先を見た。
其処には、ボトムスからペニスを取り出して一心不乱にオナニーをしている兵士達がいる。

 彼らも、全身が熱くなって甘い疼きを発する、あの薬を飲んでいる。
だから男相手にこんな事が出来るし、男に弄られたり男を弄ったりして興奮するのだ。
そうか────と融解した頭の中で、スコールは納得してしまった。
それだけスコールを苛み続けた快楽が、彼の奥深くまで浸透し、ストイックである筈の彼の躯を蝕んでしまったと言う事だ。

 将校は摘まんだスコールの脾肉を、クニクニとこねて弄ぶ。


「あひっ、はひぃっ!ひゃ、め、やめえええっ!んぁああ…!」
「嫌な事は薬の所為にしてしまえば良い。気持ち良いのも薬の所為だ。君に落ち度はない。だから素直に受け入れろ。そうすれば、楽になれるぞ」
「ああっ、あんっ、あっつまむのっ!つまむのだめぇっ!ひぃぃんんっ


 ビクビクと引き付けを起こしたように、スコールの躯は跳ね続ける。
アナルは将校の指を咥えて締め付け、ペニスは腹に届きそうな程に反り返って大きくなっている。
胸の頂きの蕾が真っ赤に色付いて、将校はアナルを攻め立てながら、乳首にも手を伸ばした。
きゅう、と乳首とアナルの脾肉を同時に摘まむと、スコールは獣染みた悲鳴を上げる。


「はひぃっ!乳首っ、乳首だめっ、コリコリするのだめぇえ!」
「じゃあ引っ張る方が好きか?」
「んおぉおっ!らめ、だめ、どっちもおぉっどっちもだめ、あ、あ、あっんぁああっ


 コリコリと乳首の先端を転がされ、かと思うと摘まんで引っ張られ、スコールの躯は面白いように反応を示してしまう。
同時にアナルの中を掻き回され、淫肉を爪先で擦られ、ずぽずぽと激しく抽出を繰り返されては、正気を保つ事すら出来ない。


「あっ、あんっ、あんっあぁんっ!乳首、離してっ…!離してええ…!」


 非道な輩に屈するまいと、冷たい光を宿して男達を睨んでいた青灰色は、今や涙と官能に濡れて艶めいている。
言葉は命令ではなく懇願のものに成り代わり、スコールは完全に主導権を明け渡していた。

 離して、と解放を願うスコールの言葉に、将校はにやりとし、


「だったら言ってみな。ケツ穴をぐちょぐちょに掻き回されて気持ち良いですって」
「はひっ、はっ、そんなっ、そんなの…んひいぃぃっあ、あ、中っ、中引っ張るのっ、引っ張るの駄目ぇえっ!」


 微かに残るスコールの理性が、将校の命令を拒もうとする。
しかし、将校はそれを咎めるかのように、スコールのアナルの内壁を指の間に挟み、ぐりぐりと潰しながら捏ねる。
痛みさえ伴うその刺激が、言いようのない激しい快感になって、スコールを襲った。


「んきゅ、んっ、んあぁあんっ!だめっ、だめってええええ…!」
「だったら言えよ。離して欲しいんだろ。おらっ!」


 ぐちゅっ!と指が根本まで挿入されて、内壁のしこりを突き上げた。
ビクン!とスコールの躯が仰け反るが、将校はそのまましこりをぐりぐりと押して擦る。
乳首を根本から摘まみ上げられ、ピクピクと震える乳頭を人差し指の腹で押し潰される。

 スコールはがくがくと全身を震わせながら、強過ぎる刺激に自分の躯が壊れて行くような気がした。
このまま頭が壊れて死ぬのではないかと、そう思った途端、本能的な恐怖がスコールを襲う。


「い、うっ…!言う、からっ!やめ、やめえええっ」
「このまま言うんだよ。言うだけなんだ、簡単だろ?」
「んぁ、あっ、あんっあんっ!あひっ、はぅうんっ


 ぐりっ、ぐりっ、ぐりゅっ!と将校の指がスコールの前立腺を抉る。
性感帯の塊も同然の場所を突き上げられて、スコールはどろどろに蕩けた貌で、唇を震わせながら叫んだ。


「い、いいっ、気持ち、いいぃっ!」
「言葉が足りねえよ」
「んぁああっ!あぅ、あっ、ケツっ、ケツ穴っ!ケツ穴、ぐちょぐちょされてっ、気持ちイイ、ですぅううっ


 アナルの中を激しく掻き回され、ぐぽっぬぽっ、と絶え間なく卑猥な音に鼓膜を犯されながら、スコールは叫んだ。
それさえ言えば、この汚辱に塗れた官能の地獄から解放されると信じて。

 しかし、アナルの中を掻き回す指は止まらない。
それ所か激しさを増し、三本目の指が挿入され、指はそれぞれバラバラに動いて、スコールの淫肉を蹂躙する。


「はんっ、はぅっ、はぅんっあくぅうんっや、なんで、なんでえっ!言ったのにぃいっ!」


 ぐりゅっ、ぐちゅっ、ぐりゅっ、ぐりゅっ!ずちゅっ、ぐぷ、ぐぷ、ぬぶっ、ぐちゅっ!


「もう、止め、止めろ、止めてええっ…!言った、言ったから、もう、」
「ああ、止めたぜ。乳首、離してやっただろ?」


 にやにやと笑みを浮かべた将校の言う通り、乳首への攻めは途絶えていた。
だが、アナルは今も将校の指が挿入され、ねっとりと絡み付く淫肉を撫でては押し広げて遊んでいる。


「ひっひっ、そん、な…!ひんっ、ひぃいんっ
「ひょっとして、ケツ穴も止めて貰えると思ってたのか?そんな事誰も一言も言ってないだろ」
「んぁ、あ、あぁああんっはひっ、らめ、も、拡げないで、掻き回さないでぇええ…!」


 解放を求めて頭を振り、自由な足をじたばたと暴れるスコールだったが、アナルを掻き回す指に躯を支配され、直ぐに力を失う。
既にスコールの躯は、スコール自身の意思から離れているのだ。
スコールの躯は完全に将校の支配下に置かれ、彼の指一つで、スコールは甘ったるい悲鳴を上げてしまう。

 将校はスコールのアナルを攻めながら、周囲を囲んで自身を慰めている部下達に目配せした。
兵士達はスコールに近付くと、ギチギチに張り詰めた肉棒をスコールの躯の上で扱く。
とぷ、とろ、と先走りが肉棒の先端から溢れ始め、スコールの白い肌の上にぽたぽたと落ちて来る。


「あっ、やっ、やめろ…!汚、あっ、んあっあああっ!」
「お前だって俺らに弄られて、汚いモン出しただろ。気持ち良さそうな声出しながらな」
「違、違ううぅんっ気持ち、気持ち良く、なんかああぁ…
「ケツ穴、気持ち良いんだろ?」
「っちが……あぁあんっ!んあっ、中っ、摘まむのだめ、引っ張らないでぇえっ…


 将校の言葉に頭を振った途端、前立腺の膨らみを摘まみ取られ、スコールは目を剥いて叫んだ。


「気持ち良いんだろ?ケツ穴ぐちゅぐちゅされて気持ち良いって、自分で言っただろ?」
「だって、だって…、言えって、言う、からぁああ…っ!」


 ぐりぐりと内壁を摘まんで抓られ、スコールはがくがくと躯を震わせながら言う。
自分の意思で言った訳ではない、と。
それだけは認められないから、スコールは血が滲む程に拳を握り締めて、最後の砦を守ろうとする。

 しかし、男達はそんなスコールの最後の抵抗さえ、嘲笑う。


「全くの嘘であんな台詞が言えるかよ」
「大体、そんな嬉しそうな面で気持ち良くないなんて言っても、説得力がないんだよ」
「気持ち良くないとか嫌だとか、本当に思ってるんなら、これはどう事なんだろうなあ?」


 これ、と言って兵士の一人がペニスで突いたのは、スコールの反り返ったペニスだった。
其処は萎える事を知らないかのように膨張し、男達と同じように、とろりとした先走りの蜜を溢れさせている。
先走りは将校の指がアナルの内側をなぞる度、ピクピクと震えながら量を増して行く。


「あっ、あっ…!嘘っ…嘘、だ…こんなのっ、こんなのぉおお…っ!」
「嘘じゃねえよ。お前、尻穴掘られて興奮してるんだよ」
「違う、違うぅうんっあんっ、あひっ、ひがっ、ひがぅのおおっ
「じゃあこれはどう説明するんだ?」


 兵士の亀頭が、スコールの陰茎の竿に擦りつけられる。
どくどくと脈打つ肉の塊の感触に、スコールは腰を戦慄かせた。

 スコールはビクビクと躯を痙攣させながら言った。


「ん、くす、り、薬…っ…!」


 望まない体の熱、意思を無視した躯の反応。
それらは全て、彼らに飲まされた薬が齎したもの。
だからこの熱は全て、あの薬の所為。
自分の欲望が、はち切れんばかりに大きく膨らんでいるのも、全て。

 あの薬の所為で、自分の躯は可笑しくなった。
男に弄られて、射精して、アナルを攻められて快感を感じて。
それらは全て薬の所為であって、決してスコールの意思ではない。


「薬…薬、のっ…!だからっ…!」
「そーかそーか。そうだな。あの薬の所為だな」
「んっ、そう、薬がぁ…っ!薬が、変な、変に、なってぇ…!」


 免罪符のように、スコールは同じ言葉を繰り返す。


「あの薬のお陰で、こんなに気持ち良くなってるんだな?」
「は、んぁっ、あっ…!薬、の、せい…だからぁ…っ」
「薬の所為なら仕方がない。此処にいる連中は、皆あの薬で気持ち良くなってるんだからな。そうだろう?」


 将校の言葉に、答えるものはいない。
周囲からは、夢中でオナニーに耽って荒い呼吸を繰り返す音だけが聞こえて来る。

 融解した意識の中で、スコールは自分を囲む男達を見回した。
剥き出しのペニスがスコールを囲み、ねばねばとした粘液を垂らしている。
胸や腹の上に落ちた粘液は、どろりとしていて、生暖かい。


(皆、薬で……────)


 スコールの虚ろな瞳に、今にも弾けそうな程に育ったペニスがある。
あれらも全て、あの薬の所為で、


「く…やばっ…!」


 一人の兵士が唇を噛んだと思うと、どぴゅっ!と白濁液が吐き出されて、スコールの胸にかかった。


「お前、マジ?」
「だってエロ過ぎですよ、こいつ」
「だからって童貞じゃあるまいし」
「先輩達だってイきそうじゃないですか」


 後輩らしき兵士の言う通り、残る男達の雄も、解放の瞬間を今か今かと待ち侘びるかのように大きくなっている。
その昂ぶりも、射精した兵士も、皆スコールと同じ薬を飲んでいる。
スコールも三度も射精を強いられ、それでも尚、自身は熱を持て余しており、天を突いて解放の瞬間を待っている。

 アナルを掻き回され、絶えず甘い声を上げながら、熱に浮かされた瞳で頭上のペニス達を見詰めるスコール。
将校は後一押し、とほくそ笑むと、ぐりぐりと前立腺を抉りながら、喘ぐスコールの顔を覗き込み、


「彼らと同じように素直になれば良い。煩わしい事は忘れてしまえ。どうせ薬の所為なんだからな」
「んぁっ、そこっ、そこぉおお…!ぐりぐりだめ、あっあっ、んあっ、ああぁっ
「気持ち良いのは薬の所為。ほら、言ってみろ」


 ぎゅうぅ、とスコールの内側の淫肉を摘まんで、将校は命令する。
スコールは背を仰け反らし、ビクビクと脚の爪先を強張らせながら、促されるままに口を開く。


「あっあっ、んひっ、くす、り、の、せいっ…!きもち、きもちいいの、くすりの、せいぃっ


 スコールの叫び声が、狭く薄暗い行き止まりの壁に反響する。
木霊のように帰って来る自分の声を聞きながら、スコールはぞくぞくとしたものが体中に広がって行くのを感じていた。

 将校が益々笑みを深め、兵士の精液で汚れたスコールの胸を舌でなぞりながら言う。


「気持ち良いのか。薬の所為で」
「はひぃんっくすり、くすりのせいで、きもちいいぃ…!」
「薬の所為で、ケツ穴弄られて感じるんだな?」
「あっ、あうっ、あうんっ!薬の、せいでぇっ、感じるぅうう…あっ、あっ、あぁあ…
「乳首弄られて、ケツまんこ掻き回されて、気持ち良いんだな?」
「はひっ、はひぃっきもちい、きもちいいですぅくすりのせいで、ちくびコリコリされて、ケツまんこぐちゅぐちゅされるの、きもちいいですぅうううっ


 まるで催眠にでもかけられたように、スコールは将校の言葉を繰り返しながら叫ぶ。
自分が官能を感じている事を、それを躯が悦んでいる事を宣言しながら。

 将校は指を引き抜いて、また一気に根本まで挿入させる。
じゅぽっ、ぬぼっ、と粘液を纏わりつかせた指が、スコールのアナルを激しく攻める。
悪戯に爪先が肉壁を引っ掻く度、スコールの下肢はビクン!ビクン!と魚のように脈打ち、


「あぅ、あ、んぁっ!イくっ、出るっ出ちゃうぅうぁああんっっ


 涙に濡れた目を見開かせ、犬のように舌を伸ばしただらしのない貌で、がくがくと細い四肢を痙攣させ、スコールは絶頂した。
どぴゅっ、びゅるるっ!とぶちまけられた蜜液が、スコールの下腹部と股間を濡らした。
アナルの脾肉が強く締まり、咥え込んだ将校の指をぎゅうぎゅうと締め付ける。

 絶頂の余韻に酔い浸るように、スコールは虚空を見詰めながら、艶の篭った呼吸を繰り返す。
ピクッ、ヒクッ、と細い腰や精液に濡れた太腿が戦慄く様は、未発達な躯が醸し出す禁域的な雰囲気に反し、酷く淫靡で、男の欲望を煽る。
将校が締め付けの緩んだアナルから指を引き抜こうとすると、ひくん、ひくん、と穴口が物欲しげに疼いて、指先に肉壁が吸い付いた。


「あっ…は、あ…ん…」


 悩ましい声が、てらてらと光る唇から零れる。
唇の隙間から覗く舌は、唾液を絡ませて濡れて、熟れた果実のように真っ赤だ。

 咥えるものを失い、激しい攻めから解放されたスコールの腰が、ゆらゆらと揺れる。
スコールが腰を揺らし、はあ、はあ、と熱を孕んだ呼吸をする度に、慎ましやかな筈の秘孔がくぱ…くぱ…と伸縮していた。

 “英雄”と誉れ高い少年のあられもない姿に、囲む男達の呼吸が競り上がって行く。
スコールの周囲を囲んでいたペニスが、ビクビクと膨らみを震わせ、


「く……イくっ!」
「くそっ!」
「んぉおおっ…!!」


 びゅるっ、びゅるっ!どぴゅううっ!びゅるっ、びゅくん!


「俺も、もう一回…!」


 びゅるるるるっ!

 スコールを囲んでいた四人の兵士達の肉棒が次々と射精し、スコールの躯に白濁液が降り注ぐ。
びちゃ、にちゃ、と粘ついた音を鳴らしながら、それらはスコールの顔にも注がれた。