声が消える先


(……もう少し、此処にいるか)


 本は急ぎではないと言われたし、スコール自身に取り立ててするべき仕事がある訳でもない。
魔物退治は幾らでも必要なようだが、シドのセキュリティシステムが上手く稼働している事もあって、前ほど神経質に見回りをする必要はなくなった。
偶には体をゆっくり休めないと、蓄積された疲労があらぬ場面で顔を出す事もあるかも知れない。
家に帰った所で、スコールはレオンの調べ物を手伝う事も出来ないし、彼も「夕飯は俺が作るから、ゆっくりして来て良い」と言っていたので、此処で早く帰ってしまうのは、その気遣いを無駄にしてしまうような気がしたのだ。

 とは言え、帰らないのなら、それはそれで暇だ。
どうにも暇な時間と言うのが苦手であった。
しかし、図書館内なら幾らでも暇潰しの道具はあるので、どうせ暇なら此処で過ごした方が建設的とも言える。


(確か、読みかけの本があっちにあった)


 頭の中に残っている物語のタイトルを思い出しながら、スコールは該当の本棚を探す為、隠し棚を離れた。
ギミックで出した本棚は、他の主要な本棚が使えなくなってしまう為、用が済んだら元に戻さなければならないが、どうせこの図書館には自分達以外が来る事はない。
帰る前に戻せば良いと、スコールは目当ての本を探しに行った。

 目当ての本は『K』の本棚にあるので、隠し棚から離れてはいなかった。
続き物の続刊なので、凡その場所さえ覚えていれば簡単に見付けられるものだったのだが、肝心の巻が抜けている。
違う所に挟まっているのかも、とよくよく探してみたが、やはり見当たらなかった。
エアリス辺りが持ち出して行ったのかも知れない。
仕方がない、今日の所は他の本を探そう───と新たな読み物を探そうとした時だった。

 振り返った瞬間、視界を覆った鈍色のものに目を奪われたと思ったら、彼の記憶は其処で途切れた。




 意識が浮上し始めた時、脳の中がぐらぐらと揺れているような感覚があった。
それと並行して、何かが腹の上を這い回っているのが判る。
歓迎されない感覚に、眉間に深い皺を寄せながら、ゆっくりと瞼を持ち上げる───が、スコールが世界を見る事は叶わなかった。


「……?!」


 薄白く塗り潰された視界に、スコールは目を瞠った。
きょろきょろと辺りを見回してみても、薄暗い白以外に見えるものはない。
それが、自身が布のようなもので目隠しされているからだと気付くまで、時間がかかった。

 動揺のまま、目元を覆っているものを取ろうと、腕を持ち上げようとして、出来なかった。
スコールの両腕は背中に回され、ロープのようなもので一纏めにされている。
手首を捻ってどうにかそれを振り払おうとしている間にも、腹の上を撫で回しているものは離れない。
それ所か、ぐいっとシャツの裾が胸の上まで引っ張り上げられると、露わになった胸板にまでそれは這い始めた。


「な…!や、やめろっ!」


 体を捻ってじたばたと暴れさせると、何かを足で蹴った。
其処でようやく、足が拘束されていない事に気付き、スコールは足を大きく暴れさせて、正体不明の気持ち悪いものから逃げようとするが、


「ちっ、面倒臭ぇな」
「そっち押さえとけ」
「やめろ!放せ、触るなぁっ!」


 足首と太腿を左右それぞれ掴まれ、床に押し付けられる。
それでも諦めずに膝を立てて暴れていたスコールだったが、両足をぴったりと揃えられると、足首と膝に細い物が巻き付いた。
ぎゅうっ、と締め付けられたかと思うと、スコールは太腿をぴったりと閉じた状態で足を縛られてしまった。

 スコールは唯一自由な頭を左右に振って、まとわりついているものから逃げようとする。
不自由な体を大きく捩ると、肩を押さえていたものを振り切って、寝返りが出来た。
俯せの体を芋虫のように這わせて逃亡を試みる。
が、そんな鈍さで幾らも逃げられる筈もなく、ジャケットのファーを掴まれ、後ろへと引き摺り戻されてしまった。


「大人しくしやがれ。そうすりゃ痛い事はしねえよ」
「放せ!触るな!解け!この…!」
「おい、少し静かにしろよ。誰か来たら────いってえ!」


 口元に何かが近付いた瞬間、スコールは躊躇なくそれに噛み付いた。
どうやら人の手だったようだ。
ごわごわとして毛深いものが舌先に触れたのを感じて、スコールは吐き気を覚えた。

 後頭部を強い力で押さえつけられ、スコールは床に這い蹲った。
必死にもがくスコールだったが、肩、背中、足まで押さえ付けられ、完全に抵抗の術を失う。
同時にスコールは、自分を囲んでいるのが一人や二人の人間ではない事を悟り、ぞっと恐怖を感じた。


「何……なんなんだよ、あんた達、誰だ!?」
「いやいや。別に怪しいもんじゃないよ」
「こんなふざけた真似…!」
「ふざけちゃいない。大真面目さ」
「そうそう。お前さんに頼み事があって、わざわざハートレスだらけの危ない道を潜り抜けて来たんだぜ?」
「まあ、実際はお前さんが通った後をついて行っただけだから、何も大変じゃなかったけどな」


 聞こえる複数の声は、どれも男のものだった。
聞き間違いがなければ三人から四人、押さえ付ける力や手の大きさからして、どれもそれなりに体格の良い者である事が伺える。
体重をかけて押さえ付けられた状態では、スコールは逃げられない。

 見下ろしているのであろう、複数の男達の視線に、下衆じみたものを感じて、スコールの背に冷たい汗が浮かぶ。
こんな連中が自分の後をつけていた事に気付いていなかったのか、と悔しさで歯を噛んだ。
本を探している間にも、尾け回されていたのだろうか。
だとしたら、さっさと帰ってしまえば、こんな事にはならなかったのか。

 可能性を考えている暇があるなら、現状を脱出する方法を考えるべきだと、スコールも判っている。
しかし、両手両足を縛られ、目隠しをされ、四人がかりで体重をかけて押さえ付けられている状態では、何も出来ない。
目覚めた時にパニックにならず、もっと冷静に行動するべきだったのだと、後悔しても遅い。

 歯噛みしているスコールの背中に、ざらざらとした手が触れた。
ジャケットごとシャツが捲り上げられて、白い背中を凹凸の目立つ男の手が撫でて行く。
その傍ら、太腿を抑えていた手が、スコールの小振りな尻を揉み始めた。
そんな事をされて、これから自分が何をされるか判らないほど、スコールは子供ではない。


「あんた達、馬鹿か!?俺は男だぞ!」
「判ってるよ。でもなあ、お前、良いオカズになるんだよ」
「街でも評判が良いんだぜ」
「……!!」


 ぞわあ、とスコールの体に鳥肌が立った。
この場にいる下衆だけでなく、街でも自分がそんな目で見られていたなんて、知りたくもなかった。


「でもな、いい加減、右手ばっかりってのも詰まんなくてよ」
「ちょっと体貸してくれるだけで良いんだよ。俺達、明日も重労働しなくちゃいけないからさぁ、良いだろ?再建委員会さん?」


 男達の言う“重労働”は、この街を復興させる為のものだろう。
長年、放置されて荒れてしまった街を元通りにするには、沢山の人手が必要となる。
シドが大型重機を修理し、かなり仕事は楽になっているそうだが、それを動かす為の人員は欠かせないし、重機が使えない所は人の手で直して行くしかない。
そうした労働力の確保は決して簡単ではなく、賃金が支払える程の復興も出来ていない為、その殆どはボランティアであり、集まった人々は須らく貴重な人材であった。
……その人間の性根が、どれだけ腐ったものだとしても。

 ボランティアに集まった者達は、当然、再建委員会の事を知っている。
人員を配置したり、必要な物資を手配したりと言う事はエアリスが、地区周辺に蔓延るハートレスを退治するのは、主にレオンが担当していた。
ユフィもハートレス退治の傍ら、連絡役に駆け回っているので、よく知られている。
シドは機械類の修理は勿論、セキュリティシステムに関する要望も受けているので、知らない者はいないだろう。
クラウドだけは、余り付き合いがないのか───彼自身があまりこの街に長く滞在しないようなので───知らない者もいるようだが、旧知だと言う人間はぽつぽつと確認できた。
そんな面々に囲まれ、特にレオンと共にハートレス退治のパトロールをするようになった新人委員の事も、必然的によく知られていた。

 その“再建委員会”のメンバーとして、男達はスコールにその体を差し出せと言う。
冗談じゃない、とスコールは顔を顰めた。
どうにか縄を解いて、この男達から逃げなければ。
拘束さえ逃れる事が出来れば、こんな屑共は相手にもならないだろう。
しかし、男達もそれが判っているのか、腕を拘束するロープは厳重に重ねて結ばれているようで、スコールが幾ら手首を捻っても、ロープはビクともしなかった。


「っくそ……!」
「肉が薄いなあ。レオンの奴とは大違いだ」
「…!あんた達、レオンにもこんな事…!」


 聞こえた名前にスコールが声を荒げると、男達は「いいや?」と言った。


「あいつも悪くはねえが、流石に後が怖いからなあ」
「俺はこっちの方が好きだね。生意気で苛め甲斐がありそうじゃねえか」
「体も細くて女みたいだしな」


 引き締まったスコールの腰を、脂性の手が撫でた。
手汗も酷いのか、生暖かく湿った感触がして、スコールは身体を捻って逃げようとする。

 腰に十字に巻いたベルトが外され、ウェストのベルトは強引に引っ張られて、留め具を通した穴が千切れた。
締め付けが緩んだのを良い事に、ズボンが下着ごと脱がされる。


「ひ……!」
「いい形してるじゃねえか」


 むんずっと尻を大きな手に鷲掴まれて、スコールの体が硬直する。

 足を拘束しているロープのお陰で、ズボンは膝上に絡まって止まった。
揃えられた膝元が酷く窮屈で仕方がない。
それ以上に、空気に晒された尻がすうすうとして落ち着かないし、股間を弄る手が陰嚢を揉みしだくのが気持ちが悪かった。
更に新たな手が伸びて来て、スコールの小さな孔に触れる。


「!其処はっ」
「綺麗な色してるが……んん〜?」


 指で孔をくぱぁっと拡げられ、覗いた肉にすんすんと微かな風が当たる。
まさか、と顔を蒼くしたスコールの想像は当たっていた。
あろう事か、スコールはアナルの匂いを嗅がれていたのである。
見られ、触られているだけでは飽き足らず、匂いを嗅がれるなんて屈辱で変態的な事をされて、スコールは上半身を右へ左へ捻って逃げを打った。


「やだ、嫌だ!やめろ、気持ち悪い!離れろっ!」
「んんん〜……なんとも、やらしい匂いがしやがるなあ?ホレッ」
「あぅっ!」


 穴を拡げていた指が、ぐにゅっ、と中に突き立てられた。
思わず体を跳ねさせて声を上げたスコールだったが、直ぐに我に返り、唇を噤んで床に額を擦り付ける。


「ぐ、う……」


 男達を調子付かせるような反応はするまいと、スコールは唇が切れる程に強い力で噛んで、声を殺す。
しかし、アナルに埋められた指がぐりぐりと穴縁を穿るように動くと、スコールは身体の震えを抑える事が出来ない。


「う…く、う……っ!」
「随分と反応が良いじゃないか。お前、初めてじゃないな?」
「ふ…ざ、け……んんっ!」


 笑う気配のある男の言葉に、唇を噛みながら反論するスコールだったが、ぐりゅっ、と指が秘奥に突き入れられて、堪らず背筋を仰け反らせる。
その反応を見て、他の男達も笑うのが聞こえた。

 アナルに埋められた指が、肉壁を擦るように引っ掻いて遊んでいる。
ビクッ、ヒクッ、と反応してしまう体をスコールが恨めしく思う傍で、男達はその反応を楽しみながら、好き勝手に喋っている。


「若い奴はお盛んだねえ」
「それもこっちで経験済みとは」
「う…んっ……くぅ…っ!」
「この感度だ、一度や二度じゃないだろう。何度も咥えたな?」
「……う、う…」


 スコールはふるふると首を横に振った。
それを、嘘だとでも言うように、ぐにゅうっ、と指が奥深くへと突き入れられる。
一層増した圧迫感と異物感、嫌悪感で、スコールは吐き気を催していた。
喉の奥に競り上がるえぐい味を、息を詰めたまま飲み込んで、背中を丸めて蹲ろうとする。

 陰嚢を弄っていた手が、そのまま股間の下を潜り、スコールの前部に触れた。
気持ち悪さと悍ましさばかりのスコールの其処は、当然ながら萎びたように頭を草臥れさせており、興奮の兆しもない。
しかし、触られれば不本意であろうと反応を示してしまうのが、男の体と言う者だ。
くすぐるように竿の根本を指で擦られ、スコールの細腰がぶるっと震えた。


「相手は誰だ?普通に考えりゃユフィやエアリスなんだろうが、こっちを使ってるって事は、女じゃないな」
「再建委員の連中ならシドか……ああ、レオンと一緒に住んでるんだったな。ひょっとして…」
「おお、反応したぞ。そうかそうか、そりゃあ…くくっ」
「……っ!」
「中々目の保養になりそうじゃないか。今度見せちゃくれないか?」
「…殺す……っ!」


 何処までも下衆な事ばかりを考えている男達に、スコールは目隠しの裏側で彼等を睨んだ。
拘束さえされていなければ、ふざけた事を喋る口にガンブレードを突き刺して、後頭部までかち割ってやりたい位だ。


「あんた達、レオンやユフィ達に手を出してみろ。絶対に殺すからな…!」
「怖いねえ。でも、そんな格好で言っても、説得力がないんだよな〜っと」
「ふくぅっ!」


 半ばまで埋められた指が、円を描くように動いて、スコールの内肉を抉る。
仰け反らせた背を強張らせるスコールを見て、男達はくつくつと笑いながら、指を抜き差しし始めた。
絡み付いて来る肉を解すように、柔らかく撫でながら前後に動く指に、スコールの体が熱を帯び始める。

 じゅるり、と言う艶めかしい音がして、ぬるっとしたものがスコールの尻穴を撫でた。
生暖かい肉の感触が何であるのか、判ってしまう自分が恨めしい。
けれど、それは記憶にある物よりもずっとべたべたとしていて気持ちが悪く、スコールの背中に悪寒が走る。


「や…!舐め、るな……っ!」


 不自由な体を捩らせて逃げようとするスコールだったが、縛られた足を抑えつけられ、尻を左右からわっしと掴み挟まれては、どうにもならない。
じゅるっ、じゅるっ、と繰り返される悍ましい音に、スコールはゆるゆると首を横に振った。


「やだ…嫌だ……!」
「へへ、そう言っても躯は正直だぜ。ケツ穴がヒクついてやがる」


 言いながら、男は尻穴の周りを舐め続け、埋めた指を動かして、くちゅくちゅと直腸内を掻き回す。


「ひ、う…っ!んん……っ」
「もうちょっと声聞かせてくれよ」
「ほら、口開けな」
「が……っ!」


 髪を掴んで引っ張られ、無理矢理上向かされたかと思うと、口の中に手が入り込んできて、強引に唇を割られた。
顎に力を入れて噛み付いてやるも、グローブのような食感が歯に当たっただけで、先程のように悲鳴が上がる事はなかった。
それでも強引に噛み切ってやろうとぎりぎりと歯を立てていたスコールだったが、秘奥に埋められていた指がにゅるんっ、と抜けた瞬間、腰に走った痺れで顎から力が抜けてしまう。


「はふぅっ…!」
「おうおう、やらしい形してるぜぇ」
「う、く……」


 指で孔口を左右に引っ張り広げられ、晒された肉に外気が触れているのが判る。
関係を持っている男にすら、滅多に見られた事のない場所を、複数の視線が犯しているのが悔しくて堪らない。


「以外と狭そうだなあ。あいつ、小さいのか?」
「ご無沙汰なんじゃねえの。忙しなくしてるからな」
「そりゃあ寂しかったろう。今日は代わりにたっぷり可愛がってやるよ」
(やだ、嫌だ…!あんた達になんか…んんっ)


 また、ぐりゅっ、と指がアナルに突き入れられる。
先に一度挿入されていた所為で、其処は僅かに解れており、異物の侵入への抵抗感は弱まっていた。
それを良い事に、男はぐりぐりと指を捻じ込み、半ばまで侵入を果たしてしまう。
手入れなど碌にされていないのだろう、皮膚が割れてガサガサとした感触のある指先が、スコールの中を弄って遊ぶ。


「うっ、う…っ、んん……っ!」
「吸い付いて来るぜ。相当ほったらかしにされてたんだなあ」
「ひ…が……あっ、うぅ……っ」


 男達の言葉を否定しようとすると、狙ったように奥を突き上げられて、スコールは言葉を失った。
情けない喘ぎ声を出さないように、喉奥でそれを殺すのが精一杯だ。

 しつこく撫で回す指の動きに、段々とスコールの躯は熱を帯びて行く。
自分の呼吸が上がりつつある事に気付いて、スコールはそれを周りの下衆に知られるまいとするが、口は男達に掴まれ開かれており、唾液塗れの舌が覗かれてしまう。
目隠しをされたままでも、男達がにやにやと笑う気配が判って、悔しさで目元の布にじわりと雫が滲んだ。

 拘束されている足を掴まれ、曲げられて、膝立ちになるように強制される。
何かをされようとしていると察して、スコールはいやいやと頭を振ったが、男達は全く気にしなかった。
両足をぴったりと揃えたまま、膝だけを立たされて、スコールは尻を高く掲げた格好にされる。
指を咥えながら、ひくひくと蠢く尻穴が、男達の前に曝け出された。


「中々そそられるじゃねえか」
「ふぐ…うぅ…うぅう…っ!」
「おいおい、暴れるなって。いきなり突っ込んだりはしねえから」
「つってもなー、俺らも溜まってるからよぉ。先ずは、こう、だな」
「……!?」


 かちゃかちゃとベルトの音と、ジッパーを下ろす音が聞こえた後、にゅるんっ、と何かがスコールの股間に潜り込んで来た。
ぴったりと揃えられた太腿に挟まれたそれが、どくどくと脈を打っている事に気付き、まさか、とスコールの体が硬直する。
その間に、背後の男は、スコールの腰を掴んで前後運動を開始した。

 ぱんっ、ぱんっ、とスコールの尻に男の骨盤が当たり、脈を打つ棒状の物が、スコールの太腿に擦り付けられている。
素股されているのだと気付いて、スコールは悍ましさに涙が出た。
顔を抑えている手を、首を振って振り払う。
目許がじわじわと湿って行くのを感じながら、スコールは身体を捩り、芋虫のように這って逃げようとするが、別の腕が背中を抑えつけて来て、尻を高くした格好のまま、蹲る他なかった。


「や、あ、うぅっ!やだ、やっ、やめろぉっ!」
「タマぁ柔らけえなあ。可愛いもんだ」
「ひっ、ああっ!触るな、擦るなあっ!」


 太腿に擦り付けられていた一物が、徐々に上へと移動して、スコールの股間にぴったりと押し付けられた。
そのまま男が腰を振るものだから、スコールの柔らかな玉袋を、男のペニスが扱くように擦る。
ぞわぞわとした悪寒と、それと似て非なるものが上って来るのを感じて、スコールはショックを受けていた。

 床に額を擦り付けながら、嫌だ、と繰り返すスコール。
その言葉の通り、相変わらず、彼のペニスは萎えたままだ。
そのペニスに手が伸びて来て、草臥れている竿をぎゅうっと握る。


「ひうっ!」


 ビクッ、とスコールの体が反応をするのを見て、笑う声があった。
強いられる淫行で、徐々に少年の気丈な気持ちが折れている証拠だ。

 スコールのペニスを握った手が、そのまま上下に竿を扱き始める。
しゅこしゅこと激しく上下に扱かれて、スコールは背を丸めながら、ビクビクと四肢を跳ねさせた。
耐えようと白い肌を火照らせる少年の姿に、男達は益々笑みを深めながら、取り囲んでいる他の男達も、自身を寛げて行く。


「んっ、んぅっ…!や…放せぇ……っ!」
「そう連れなくするなよ。お前も気持ち良くしてやろうって親切心なんだからさ」
「な、にが…親切……んくぅ…っ!」
「ほらほら、おちんちん気持ち良くなってきただろ〜?」
「うぅう……っ!」


 刺激を与えられ、頭を持ち上げつつあるペニス。
それを認める訳にはいかないと、スコールはぶんぶんと首を横に振った。
それすら男達を調子付かせるだけで、男はスコールの亀頭を捕まえると、鈴口に指を押し付けでゴシゴシと激しく擦り始めた。


「ひっ、あっ、あぁっ!やめっ、や……っ!」


 体の反応を押さえようと、全身に力を入れるスコールだったが、無駄な抵抗だ。
他人の手で刺激を与えられるペニスは、本人の意思など知らず、むくむくと成長していく。
ビクビクと四肢を痙攣するように震わせ、同じく震える太腿に一物を擦り付けている男にまで、快感を与えてしまう。

 スコールの太腿を犯している男の呼吸が、段々と荒くなって行く。
ずりゅっ、ずりゅっ、と陰嚢を擦るペニスが、どくん、どくん、と一際大きく脈を打っている。


「はあ、はあ……やべえ、出そうだ…!」
「おいおい、お前早漏だったのか?」
「馬鹿言え、溜まってんだよ……うぉおおっ!」
「─────っ!!」


 仲間の揶揄に反論している隙に、スコールの強張った太腿が、ぎゅっと男のペニスを強く挟んだ。
それが決定打になり、男はぶるっぶるっ、と腰を戦慄かせながら、スコールの股間に向かって大量の精液を放射する。
生温い粘ついた液体が下肢に叩き付けられたのを感じて、スコールは気持ち悪さで声にならない悲鳴を上げた。

 一際大きな絶頂をした後も、男は中々スコールを離そうとしなかった。
早く変われよ、と言う仲間に、ちょっと待てよ、と宥めながら、スコールの太腿に竿を押し付けて汚れを拭う。
男の亀頭から伸びた粘液が、ねっちょりと糸を引いて、ぷつりと切れてスコールの太腿に垂れ落ちた。


「う…あ……」


 下衆な男の精液で汚されたショックで、スコールは呆然としていた。
しかし、卑猥な仕打ちはこれで終わらない。

 誰かがスコールの腰を掴んで、俯せていた体をごろりと反転させた。
後頭部を擦った目隠しの布が瘤を緩め、スコールの片目が視界を取り戻す。
しかし、視力を取り戻したスコールが見たものは、土方を思わせる体躯の良い四人の男が、凶悪な色形をした男性器を剥き出しにして、自分を囲んでいる光景だった。
かち、とスコールの歯の根が鳴ったのは、仕方のない事だろう。


「ひ……!」
「あ?あーあ、目隠し取れちまった」
「顔見られちまったじゃねえか。ちゃんと結べって言っただろ」
「俺じゃねえよ」
「まあ良いじゃねえか。こうなったらどうでも良いよ、顔くらい」


 身元が割れない為に、気絶させてまで施した目隠しだったが、既に男達はそれを気にしなかった。
自分の顔が見られた事よりも、怯えて顔を引き攣らせながら、それでも躯は熱に浮かされつつあるのか、火照りが引かない少年の姿が、醸し出す艶とのアンバランスさで酷く扇情的に映る。
男達の一物は益々血を滾らせ、先程果てたばかりの男でさえ、雄の頭は上に向こうとしていた。

 尻を床に擦り付けて後ずさるスコールだったが、足首を掴まれて引き倒されてしまう。
そのまま縛られた両足を上に持ち上げられ、エビのように背中を丸めて体を曲げられる。
射精を浴びせられ、白濁に塗れたスコールの股間に、別のペニスが押し付けられた。


「やっ、やだっ!もう嫌だ!やめろ!」


 何度目になるか判らないスコールの叫びにも構わず、男は腰を振り始める。
会陰を擦りながら、太腿の間に亀頭が抜き差しされ、男の膨らんだ大きな陰嚢が、スコールの尻穴を掠めていた。
男は持ち上げていたスコールの足を、抱き締めるように両腕で捕まえ、逃げられなくなったスコールの足で素股行為に夢中で耽る。


「うっ、ふっ、おおっ」
「ううっ、んぅう…っ!やめ、ろぉ…っ!気持ち悪い……!」
「おっと、悪い悪い。お前も気持ち良くしてやらなきゃな」
「ひっ、違うっ!触るなって────んんぅっ!」


 横から伸びて来た手に、スコールのペニスが握られる。
半勃起状態だった其処を捕えられ、竿の裏側の根本を指の腹でぐりぐりと引っ掻かれて、スコールは喉を逸らしてビクビクと体を震わせた。

 肉の薄い引き締まった太腿が、白濁液と、雄が擦り付けた汗で濡れて行く。
スコールは其処からじわじわと熱に似たものが生まれて来るのを感じていた。
大きな手がゆったりと其処を愛撫してくれた時の事を思い出して、同時にそれとは全く似つかないものに犯されているのに、官能を感じ始めている自分に嫌悪する。


「う、う…やだ…嫌だ…いやぁあ……」


 しゃくりあげ、ぽろぽろと涙を流し始めるスコール。
憐れな少年の姿に、そう泣くなよ、可愛いぜ、などとふざけた慰めが寄越される。
その間にも、スコールのペニスは男達の手で悪戯され、太腿を犯す男根は膨らみを増して行き、


「はあ、はあ……あー、くそ、入れてえなあ」
「抜け駆けナシだぞ」
「判ってるよ。でもよぉ、こいつのケツ穴、やらしいんだよ」
「うっ、ふっ…うぅ……見るな…触るなあ…っ」


 太腿からペニスが離れたかと思うと、今度は尻穴にぐりぐりと押し付けられる。


「やっ、入れるな…!やだぁあ…っ!」


 不自由な足を上下にばたつかせて、必死に抵抗しようとするスコール。
そんなスコールを面白がって、男の一物がぐぅっとスコールに秘孔に押し付けられた。


「やだ、いやだ、やだぁあっ!」
「あーあー、泣かせた」
「冗談だよ、冗談。でも、尻コキは良いよな?」
「うくっ、んっ、ひぃっ……や、だぁ……っ」


 穴から離れたペニスは、今度は尻の谷間に竿を押し付けて動き始めた。
引き締まった臀部を誰かの手がぐにぐにと揉み遊び、ヒクヒクと戦慄く尻穴に、肉幹が擦り付けられる。

 スコールのペニスを苛める手が、激しさを増し、肉竿をしゅこしゅこと扱く。
鈴口が切なげに震えて、先走りに蜜を零し始めると、指は蜜を絡めてスコールの竿に塗りたくった。
ぬらぬらとしたものが自身にまとわりつくのを感じて、スコールの細腰がぶるりと震える。


「ふ、う…ん、あぁ……っ!」


 秘孔の口を何度も何度も擦られる感覚に、スコールの呼気が上がって行く。
零れた唾液で濡れた唇が、てらてらと光りながら、はあ、はあ、と熱の篭った吐息を紡いでいるのを見て、男達の剛直が硬くなった。


「ああ、我慢できねえ。ここ貸してくれよ」
「ひっ、何…っ!?」