声が消える先


 カタカタと震えるスコールの肩に、クラウドが掴んでいた手を離す。
強引過ぎたか、と眉根を寄せながら、どうしたものかと考えていると、


「……クラ、ウド……」


 呼ぶ声にクラウドが顔を上げると、スコールが怖々と此方を見ていた。
なんだ、と出来るだけ声が無機質にならないように努め、スコールの傍らに膝を着く。

 ローテーブルから体を起こしたスコールの顔を見て、クラウドは息を飲んだ。
遠い記憶の幼馴染の姿より、何処か頼りなく幼い輪郭をした貌に、大粒の涙が浮かんでいる。

 スコールがレオン達に保護され、話し合いの下、レオンの家で生活をするようになってから、数ヵ月が経っている。
クラウドとは彼がふらりと帰って来た時のみの交流なので、時間にすればレオン達よりも少ないだろう。
それでも、一つ屋根の下で丸数日を過ごす事もあるから、ユフィやエアリスが知らない顔も知っている。
レオンも交えて褥を共にしている時も含めて、だ。

 レオンに似ているが、何処か彼と結びつかない点も多いスコールは、思春期の少年特有の意固地さがあった。
涙を見せようとしないのもその一つで、悔しさや羞恥を誤魔化すように睨む事はあっても、泣く所は中々見せなかった。
結局、大人二人で快感に溺れさせて咽び泣くのをあやすのが常であったが、それでも、クラウドがこうして正面からスコールの泣き顔を見たのは、これが初めての事だ。


「おい、スコール……っ!?」


 何が、と問うクラウドの声は、最後まで紡がれなかった。
覆い被さるように抱き付いて来たスコールを受け止めて、勢いを殺し切れずに床に転がる。


「……っ、……っく……う……」
「……!」


 胸に被さった重みが震え、蹲るように丸まった少年が泣いている事に気付いて、クラウドは言葉を失った。
唇を噛んで声だけは堪えているスコールだが、既に嗚咽を我慢できなくなっているのだろう。
次第に大きく聞こえてゆくしゃっくりの声に、クラウドはゆっくりと体を起こすと、縋る少年を抱き締めて、柔らかな濃茶色の髪を撫でてやった。

 視線を感じてクラウドが首を傾けると、キッチンにいる筈のレオンが、リビングの入り口に立っていた。
スコールの様子が可笑しかった事は、彼も判っているのだ。
心配で身に来たのであろう彼に、今しばらくは静かに、とクラウドは人差し指を立てる。
レオンは眉根を寄せたが、自分がいればスコールがまた黙ってしまうと考えたのだろう、小さく頷いてキッチンへと戻った。



 堰を切ったように溢れ出した涙は、長い間止まらなかった。
出ない声を振り絞るようにして、自分の身に起こった事を話すと、止まり掛けていた涙がまた溢れた。
話している間、スコールはクラウドにしがみついたまま、顔を上げていない。
彼がどんな顔をしているのか見るのが怖かった。

 話を終えて、ようやく涙が止まった時には、すっかり夜になっていた。
スコールが気が済むまで待っていたレオンが温め直した食事を済ませた後、ゆっくり風呂に入って来いと言われた。
城のエントランスホールで水を被っただけだった体を、温かな湯気を立ち上らせていた湯船に沈めたスコールは、そのまま少しの間眠ってしまった。
ほんの数分程度の事ではあったが、泣き疲れもあり、無理もない事と言える。
そのまま昏々と眠り続けなかったのは、寝間着を用意したから、と言うレオンの声で目を覚ます事が出来たからだ。

 躯は念入りに洗った。
スポンジに沁み込ませた泡で、皮膚が赤くなる位に擦った。
流れ落ちる泡と一緒に、この身に起きた出来事も、排水溝に流れて消えてくれたら良いのに。
いっその事、今日の出来事が丸ごと忘れてしまえたら良いのに、と都合の良い記憶喪失を望む。

 風呂から上がると、リビングには誰もいなかった。
一瞬、置き去りにされたような恐怖で足下が冷たくなったが、寝室からクラウドが出て来たのを見て、ほっと胸を撫で下ろす。


「スコール。来い」


 クラウドにそう言われたので、スコールは寝室に入った。

 元々このアパートは、レオンの一人暮らしの為に改修工事されたものだと言う。
だから家具も基本的には一人分しかなかったのだが、いつしかクラウドが転がり込むようになった為、幾つかの家具は別途に揃えられた。
其処へスコールも来たので、椅子や食器などはまた揃えられたのだが、流石に大きなベッドは一人分しか置けるスペースがない。
ベッド横に布団が敷けるスペースは残されているものの、それも精々一式分だ。
この為、クラウドが帰って来ている時は、誰か一人───大抵はクラウドだ───はソファのリビングで寝る事になっていた。

 その寝室に、今日は布団は出ていない。
ベッドにはレオンが座っており、それを見付けたスコールの足が根を張ったように動かなくなった。
無意識に拳を握っているスコールに、クラウドがぽんぽんと背中を叩いて宥める。
そしてレオンは、彼はスコールが入って来た事に気付くと、柔らかく微笑んで両腕を広げた。


「おいで、スコール」
「……!」


 小さな子供を迎え入れるように呼ばれて、スコールの目尻が熱くなった。
涙腺が壊れたのか、既に散々泣いた筈なのに、また涙が溢れて来る。

 ふらふらと覚束ない足取りで歩を踏んで、恐る恐る手を伸ばす。
あと少しでレオンの手が届くと言う所で、スコールはそれ以上腕を伸ばす事が出来なかった。
宙で行き場を失った手を、レオンが掴んで引き寄せる。
踏ん張りを忘れた体が傾いて、スコールはレオンの胸に飛び込んだ。

 何が起きたのかと、視界の変化に目を丸くしているスコールの髪を、剣胼胝のある手が優しく撫でる。
自分より一回り大きな体の体温に包まれている事に気付き、スコールの眦から雫が零れた。


「……怖かったな、スコール」
「……っ……!」
「…一人で行かせて悪かった」


 囁かれた言葉に、スコールはふるふると首を横に振った。
レオンが石を感じる必要は何処にもないのだ。
あの城に、自分達以外に近付く者はいなかった筈で、その認識はスコールもレオンも同じだった。
道中はハートレスがあちこちにいるから、不埒な事を考えた輩が、その為だけに危険な道を通ろうとするなど思ってもいなかった。
実際、レオン達は一年近く城に通い続けているそうだが、その間、こんな事件は一度だって起きていない。

 すん、と鼻を啜るスコールを、レオンは抱き締めてあやす。
その隣にクラウドが座って、しっとりとした濃茶色の髪を撫でた。

 目許の熱が幾らか収まって、スコールは顔を上げた。
直ぐ近くにあった蒼灰色の瞳は、傷ましげに細められていて、あんたがそんな顔しなくても良いのに、と思う。
その貌をじっと見詰めていると、端整な貌がゆっくりと近付いて来るのが判った。
目を閉じれば、二人の唇が重なって、深く深く口付けられる。


「ん……っは……」
「スコール。こっちも」
「……んぅ……」


 レオンの唇が離れると、クラウドに呼ばれた。
首を巡らせれば、頭を撫でていた手に優しく抑えられて、クラウドの唇がスコールのそれと重なる。


「ん、ん……」
「ん……」
「ふ、ぁ……」


 ちゅっ、と唇を一度吸って、クラウドはスコールを解放した。
ほんのりと赤くなったスコールの頬を見て、レオンが小さく笑みを零す。


「スコール。もう一回だ」
「……ん……っ」


 レオンに頬を撫でられて、スコールは素直に顔を向けた。
もう一度二人の唇が重なり、レオンの舌がスコールの唇を舐める。
促すようなそれに、スコールが怖々と唇を開くと、その隙間から舌が滑り込んだ。
ピクッ、とスコールの体が震えたが、逃げる事はせず、スコールも舌を差し出して愛撫を待つ。
直ぐにそれは絡め取られ、ちゅぷ、ちゅぱ、と水音を立てながら、レオンの舌がスコールの咥内を擽った。


「は…ふ……あ……っ」


 口付けの熱に酔っていると、武骨な手がするりとスコールの項を撫でた。
その手はスコールの背筋を辿り下りて、シャツの裾を捲って中へと潜り込む。
腰骨の辺りをゆっくりと撫でられるのを感じて、スコールはいやいやと首を横に振った。


「駄目か?……怖いか?」


 出来るだけ刺激しないよう、優しく訊ねるクラウドの声に、スコールはもう一度首を横に振る。


「……こわ、く…ない……」
「無理をしなくて良い」
「本当、に……でも……俺、汚い…から……」


 隠れるようにレオンにしがみついて言ったスコールに、今度はクラウドが首を横に振る。


「お前に汚い所なんかない。そうだろう、レオン」
「ああ」


 クラウドの言葉を、レオンは迷わず肯定した。
そんな二人に、でも、と言い掛けたスコールだったが、それはレオンの唇に塞がれる。


「他人に触られた位で、お前が汚れたりしない」
「ん…は……っ」
「それなのに……スコール、風呂でかなり体を擦ったな。あちこち赤くなってるぞ」
「お前が気に病む事なんてないのにな。でも、気持ちは判るから」


 レオンの指が、血流とは別の理由で赤くなっているのであろう、スコールの腕を撫でる。
その指先が、赤い鬱血の線を残した手首に触れて、レオンがまた眉根を寄せる。


「…痛いか?」


 スコールの手を取り、ロープの痕に唇を当てるレオン。
風呂に入って温まったから浮かび上がっただけのもので、既にスコールに痛みを感じる程のものではない。
けれど、くっきりと浮かんだ痕は確かに痛々しく、また手首を拘束されていた事で、スコールが自分を襲った出来事に対し、本当に一切の抵抗が出来なかった事を物語っている。

 スコールはレオンの問いに、小さく首を横に振った。
そうか、とレオンは少しだけ安堵した表情を浮かべて、もう一度縄の後に唇を押し当てる。


「待っていないで、早く迎えに行けば良かったな……」
「……そんな事……」
「そもそも、俺が頼み事なんてしなければ…」
「あんたがそう言う事を言うな。余計にスコールが気にする」


 レオンの言葉を遮って、クラウドが言った。
それを受けてレオンがスコールの顔を見れば、泣き出しそうな蒼灰色とぶつかって、すまない、と細身の少年を抱き締めて詫びる。

 しばらくレオンの腕の中でじっとしていたスコールだったが、腰や背中を撫でる手に気付いて、顔を赤くした。
もぞもぞと身動ぎするスコールに、レオンとクラウドの手が止まり、


「やっぱり嫌か?スコール」
「…怖いなら、無理強いはしないが…」


 訊ねる二人に、スコールはもう一度、恐くはない、と言った。
これは嘘や我慢ではなく、二人に触れられるのなら、恐い事等何もないと思う。
レオンもクラウドも、スコールが嫌がるような事は一度もした事がなかったし、彼等に触れられる事も嫌ではなかった。

 けれど、今だけは、どうしても体が強張ってしまう。
それは恐怖の所為と言うよりも、数時間前の出来事が頭を過ぎり、自分の体が酷く汚された事を思い出すからだ。
水を浴びて、風呂に入って、皮膚が炎症を起こす程に擦って綺麗にしたつもりだけれど、それでも消えない違和感がある。
何より、体の中まで汚された事が酷くショックで、それをレオン達に暴かれた末に、やはり汚らしい躯だと貶められたらと思うと、恐ろしい。

 物事を悪い方へ悪い方へと考えるのは、スコールの癖のようなものだった。
レオンもクラウドも、それを良く知っている。
特にレオンは、こんな時、少年が何をどう考えてしまうのか、自分の事のように想像する事が出来る。
そして同時に、彼がそう思ってしまう原因は、決してスコール自身にはないのだと言う事も判っていた。


「大丈夫だ、スコール。お前は汚くなんかない」
「それでも、お前がどうしても、自分が汚いって思うなら、俺達が綺麗にしてやる」


 腰を撫でていた手が、それぞれ上と下に別れて滑る。
レオンの手がスコールの背中の肌を撫でて、クラウドの手が下着の中に潜り込んだ。
ぞくぞくとしたものが背筋を奔るのを感じて、スコールが体を仰け反らせると、露わになった喉にレオンが吸い付いた。


「んぁ……っ!」
「怖い思いもしただろうからな。それも、全部忘れさせてやる」
「俺達だけを覚えていれば良いんだ。他の事なんて全部忘れてしまえ」
「あ…んぅ……っ」


 低くよく通る声に囁かれて、スコールの意識が蕩けて行く。
これは条件反射のようなもので、繰り返される夜の中で、体が覚えたものだった。

 レオンがスコールのシャツを脱がせて、ベッドへと横たえる。
露わになった胸にレオンの手が滑り、ふるっと細い躯が震えた。
クラウドの手が下着のフロント部分に触れると、其処は緩く膨らんでいて、窮屈そうにしている。
ズボンごとサイドを引っ張って下ろしてやれば、スコールももぞもぞと足を動かして、クラウドを手助けした。
其処まではいつもの流れで、半ば無意識にそれをなぞっていたスコールだったが、裸身に外気が触れている事に気付くと、一気に恥ずかしさが蘇る。
赤い貌で丸くなって体を隠そうとする少年に、レオンとクラウドがくすりと笑った。


「ほら、隠すな」
「や……」
「全部見せろよ」
「あ…っ!」


 レオンに腕を取られ、クラウドに足を取られる。
足を左右に広げられて、太腿に武骨な手が触れた。
其処に気持ちの悪いものが何度も擦り付けられた事を思い出して、スコールの体が強張る。
不自然に固まったスコールの異変を感じ取って、レオンがスコールの鎖骨にキスを落とした。


「大丈夫だ、スコール。此処にいるのは、俺達だけだから」
「レ、オン……あっ、クラウド…っ、やだ……っ!」


 クラウドはスコールの太腿に顔を寄せて、舌で肌を舐めていた。
肉厚で艶めかしいものが太腿を撫でるのを感じて、ぞくぞくとしたものがスコールの腰を襲う。


「見えないと怖いだろう。レオン、起こしてやれ」
「やっ、いい……あっ、レオン……っ!」


 レオンの腕がスコールの背中を支えて、上半身を少し起こす。
頭の下にレオンの膝が割り入って、スコールはレオンに膝枕をされている格好になった。

 頭が起こされたお陰で、スコールの視界に自分の下肢が入る。
其処には金色の鶏冠頭があり、自分の股間にクラウドが吸い付いているのが見えた。
ちゅ、ちゅ、とキスをしては、悪戯に強く擦って痕を遺すクラウドに、スコールの足がピクッ、ピクッ、と跳ねる。


「あ、ふ…んぅ……っ!」
「スコール。こっちも……」
「あ…あ…っ!」


 スコールの胸にレオンの手が伸びて、平らな胸板をゆったりと撫でる。
其処も、名前も知らない男達に、手酷く汚された場所だ。
目に見えないその痕跡を消し去るように、優しく愛撫するレオンの掌に、スコールの体内で燻っていた熱が昂って行く。

 クラウドは、視界の端でぴくぴくと震えているものに気付いた。
下着に収められていた時から窮屈そうにしていたペニスが、頭を持ち上げつつある。


「気持ち良いんだな、スコール」
「んぁ…あっ、あう……っ」


 クラウドの言葉に、顔を赤くして首を横に振るスコール。
しかし、体は正直で、未だ触れられてもいないペニスが勃起しようとしているのは自覚していた。

 城で男達に蹂躙されていた時は、強引に刺激を与えられるまで、まるで反応していなかったスコールの中心部。
それが今は、直接的な刺激を与えられなくても、レオンとクラウドに抱かれていると言うだけで、血が集まってくるのが判る。
汚れた躯でも彼等に嫌われずに済んだ、───それだけでスコールには救いであったし、彼等の色で全て塗り替えて、あの出来事を忘れさせてくれるのなら、スコールがもう彼等を拒絶する理由はない。

 レオンの手が桜色の乳輪を撫でて、頂きを掠める。
ピクッ、と反応した体が微かに仰け反って、胸を差し出すような格好になった。
少しずつ膨らみ始めた乳首が摘まれて、親指の腹で優しく擦られる。


「あっ、あっ……レ、オン…そこ、やだ……っ」
「本当に嫌か?」
「あ、ふ……はぁ、ん…っ!」


 聞くのは卑怯だ、とスコールは思った。
スコールが顔を赤くしながら、ゆるゆると首を横に振ると、レオンが小さく笑う気配があった。

 柔らかく摘んだ乳首を、コリコリとくすぐられて、スコールの躯がビクッビクッと跳ねる。
左右の乳首はあっと言う間に固くなり、ぷっくりと大きく膨らんでいた。
それと同じように、スコールのペニスも完全に頭を起こしているのをクラウドが見付け、誘われるままに肉竿に食み付く。


「あぁ……っ!や、クラウ、ドぉ……っ!」
「ん、ちゅ、」
「やぁ…っ、舐めるなぁ……あっ、あぁ……っ!」


 シーツを蹴って訴えるスコールだったが、クラウドはレオンの太腿を抱え込むように腕を回し、がっちりと捕まえて離さない。
スコールが腕を突っ張ってクラウドの頭を退かそうとするが、その腕はレオンに捕まえられて、ベッドへと縫い止められてしまった。
押さえるレオンの腕は強いものではあったが、スコールが振り払えない程ではない。
だが、熱に溺れ始めたスコールがレオンの腕を振り解く程の力を発揮できる筈もなく、スコールは二人の男に挟まれて、与えられる快感に身を震わせるしかなかった。


「あっ、あっ…!あ、あぁ……っ
「ん、ふ、ちゅ……、んぐ」
「やぁっ!食べる、なって……あっ、んんっ…!」
「こっちも忘れるなよ、スコール」
「は、ひぅ…っ!胸、んん……っ、あぁ……っ」


 ペニスをクラウドに咥えられ、じゅる、と啜られる。
生暖かい咥内の感触と空気、悪戯に当たる舌の感触にスコールが躯を震わせていると、左右の乳首が軽く引っ張られる。
きゅっと走る痺れにスコールが肩を震わせると、レオンは更に乳頭に爪を軽く当てて、コシコシと擦り始めた。


「はっ、あっ、あぁっ、あっや、あ……そ、んな…一杯…っ」
「んぷ…ん、ふっ……ん、」
「クラウド、クラウドぉ…っ!も、やぁ……舐めるの、やだ……」
「気持ち良くて嫌か?」
「はひっ、あっ…!レオン、も……胸、乳首ぃ…っあっ、やあ……っ


 膨らんだ乳頭をぐりぐりと押し潰されて、スコールは眉根を寄せる。
指が離れると、潰されて凹んだ乳首は、直ぐにぷくんっと勃起した。


「……可愛いな、スコール」
「んく…っ、かわい、く、ない……ひんっ
「可愛いさ。何処も彼処も、全部。クラウドもそう思うだろう」
「んは……ああ、そうだな。スコールは素直で可愛い。恥ずかしがり屋な所も含めてな」
「は、ぅ……っ!クラウド…っ、其処で、喋るな……っ」


 ペニスに息がかかる程の距離で喋るクラウドに、スコールの太腿が戦慄くように震える。
クラウドはその白い太腿を愛おしげに撫でながら、スコールの勃起したペニスの筋を舌でねっとりと舐めた。

 クラウドがもう一度スコールのペニスを咥えて、頭を上下に動かす。
じゅる、じゅる、と啜られながら、クラウドの唇にペニスを扱かれて、スコールの腰がシーツから浮いた。
はくはくと呼吸の仕方を忘れた魚のように唇を開閉させるばかりのスコールに、レオンが躯を屈めて、唇の端にキスをする。
ベッドシーツを手繰り握り締めていたスコールの手が解け、レオンの首に回された。


「は、はぁ…っ!あ、あ…あぁあ……っ
「大丈夫だ、スコール。恐くない。気持ち良くなるだけだ」
「レオ、ン…レオン……っ、あっ、クラ、ウド、お……っ」


 広げられた足の爪先を強張らせ、ピクッピクッと跳ねさせながら、スコールはレオンとクラウドの名を繰り返し呼ぶ。
縋る少年を、レオンは抱き締めて、キスをしながらあやしていた。
クラウドは自身の名を呼ぶ少年の、甘露を孕んだ声に興奮を覚えながら、口の中に苦いものがじわじわと滲んでいる事に気付く。


「あっ、あぁっ…ひ、うん……っレ、レオン…んんっ」
「イきそうか?」
「あっ、はっ、はぁ、あ……っ


 レオンの問いに、スコールはこくこくと頷いた。
いつしか堪える為に力を入れていた腹筋が、ぷるぷると辛そうに震えている。
その腹をレオンの手が撫でると、それだけでスコールの躯はビクッと反応を示し、クラウドの咥内で先走りの蜜が溢れ出した。

 クラウドはじゅるっと先走りを舐め取ると、そのままペニスを強く吸った。
強い吸引に襲われて、スコールの躯がビクンッ、ビクンッ、と大きく跳ね、


「あふっ、あっあっや、んぁああぁぁ……っ!」


 決壊を迎えるのは早く、スコールはクラウドの口の中に射精した。
射精の瞬間、レオンに力一杯に縋り抱き付けば、レオンの腕が直ぐに背中に回されて、抱き返される。