声が消える先


(言えない。言える訳ない)


 何が起きたかなんて、何をされたかなんて、言える筈がなかった。
ただ襲われてリンチを喰らったと言うならまだしも、強姦された等と、スコールが言える筈がなかったのだ。

 黙り込んだまま動かなくなった少年に、クラウドは掴んでいた肩から手を離した。
まるで貝のように沈黙するスコールの口を割るのは、並大抵の事ではない。
何より、肩を震わせ、一瞬見た顔も真っ青になっていた事を思うと、無理強いするのは気が引ける。

 クラウドはスコールの頭を撫でて、その場を離れた。
今は一人になりたいだろうと、良くも悪くも繊細な少年を慮っての行動だ。
スコールはそんなクラウドをちらりと見て、キッチンへ向かう背中に申し訳なさを感じながら、また顔を伏せる。
喉奥から溢れて来るしゃっくりを押し殺して、スコールは顔を伏せた腕に涙を擦り付けて誤魔化した。

 クラウドがキッチンに入ると、レオンが料理の手を止めて立っていた。
声を出せばリビングにいるスコールに聞こえるから、目線だけで会話をする。

 あれはどうしたんだ、と指差して問うクラウドに、レオンは首を横に振る。
スコールの身に何かが起きた事、それが彼の心を酷く苦しめている事は判るが、それ以上の事は判らない。
強引に聞き出すと言うのは、彼の心の傷を抉るような気がして、出来なかった。
今のレオンには、時間の経過を待ち、スコールが自ら打ち明けてくれる事を願うしかない。
レオンがそのつもりでいるなら、クラウドも倣うしかなかった。

 ただ、スコールが酷く不安定で危うい状態になっている事は確かだ。
余り目を離さない方が良い、と言うクラウドに、レオンも小さく頷いた。




 以前のスコールは、体を動かさないと鈍るから、と言う理由で、頻繁にパトロールに赴いていた。
レオンやシドが頭を悩ませている物事について、スコールは手伝う事が出来ないから、代わりに体を動かす方向で世話になっている恩を返す為でもあった。
セキュリティシステムが安定してからは、必死にパトロールをする事もないのだが、それでも何処かでハートレスの被害は出る。
それを早急に対処、出来れば未然に防ぐ為にも、パトロール業は欠かせなかった。
レオンが調べ物をしている時は、パトロールに出られるのはユフィしかいなかった為、どうしても手が回らない所があり、それを補う形でスコールが働くようになったのである。

 しかし、明らかに様子の違うスコールを、危険の伴うパトロールに出す訳には行かない───が、スコール自身はいつも通りの生活を強く望んでいるように見えた。
日常に戻る事で、自分の身に起きた出来事を忘れようとしているのかも知れない。
レオンは止む無く、スコールを家に縛る事は止め、気分転換の目的も含めて、スコールにパトロールを頼んだ。
代わりに自身も出来るだけ同行し、それが出来ないのであれば、クラウドに頼んだ。
クラウドもスコールの面倒を見るのは吝かではないから、直ぐに引き受け、当面はふらりと何処かに行く事もなく、スコールの世話を焼いていた。

 そうして、数日が経った頃、休息日として設けた一日を、レオンは調べ物に費やしていた。
面倒な暗号の解読、其処から連なる情報の連結や解析に時間がかかったが、なんとか一段落した所で、レオンは資料に開いていた本を閉じ、


「戻しに行かないとな」


 独り言に呟いたレオンを、隣で本を読んでいたスコールが見る。
蒼灰色の瞳が、男の手にある本を見て、僅かに揺れた。


「それ、城の……」
「ああ。貴重な本だから、保存の為にも、用が済んだら戻して置いた方が良いと思うんだ」
「じゃあ、俺が持って行く」


 スコールの言葉に、レオンは目を丸くした。

 スコールの身に何かが起こったのは、十中八九、彼が城に行った時だと、レオンは考えている。
レオンが資料に必要だった本を取りに行って貰い、遅い帰りに心配していたら、ふらふらと青い顔で帰って来た。
城か、その道中かで彼に何かが起きたのなら、下手に記憶を甦らせるような場所には行かせない方が良いと、レオンは意図的に彼のパトロール範囲を城から遠ざけていたのだが、其処にスコールが自分で行くと言う。
過ぎる心配は当然の事で、いや、とレオンは断ろうとしたが、


「これも返しに行くから」
「それなら、俺がついでに────」
「…暇、だから。行って来る」


 一方的な言い方で会話を打ち切って、スコールはレオンの手から本を取り、読んでいた本と重ねてリビングを出る。
慌ててレオンが追った時には、スコールは既に玄関を出た後だった。




 レオンが資料にと本を手に取る度に、スコールは眩暈がする思いをしていた。
彼の大きな手に添えられて開かれる本の表紙は、最低な汚物で汚れている。
元々が古書であるお陰か、汚れやシミが新しく増えた所で、対して目立つものではなかったが、スコールにはそれで片付けられる問題ではない。
あの汚してしまった本を、レオンが持っている。
それがスコールには罪に等しく、レオンが本を開く度、人知れず罰を与えられているような気分だった。

 ようやくその本の役目が終わると、スコールは早くこの本を処分してしまおうと思った。
まさか捨てる事は出来ないし、貴重な資料だと言うから城に戻すだけだが、とにかく、目に付く場所にあるのが嫌だったのだ。

 だが、そうなると、本をあの城へ運ばなければならない。
それも、未だ消えない記憶のある図書館へ。
出来る事なら、近付きたくない。
そう思いながら、本を戻す役目を強引に引き受けたのは、あの時の記憶が未だ幾らも褪せていないからだ。


(あいつらは、きっとレオンも狙ってる)


 図書館でスコールを強姦した男達は、端々にレオンに対しても低俗な眼を向けている事を示唆していた。
若しもレオンが一人で城に行って、自分と同じように襲われたらと思うと、恐ろしい。
あんな気持ちの悪い思いを、彼にまで味あわせたくなくて、スコールは自ら城へ向かう事を決めた。

 道中のハートレスは、大して手古摺る事はない。
最近はクラウドがこの近辺を担当している事が多いようで、彼はその時その時出現するハートレス達を、根こそぎ狩っているようだった。
それだけの働きをしても、結局また湧いてくるのだが、長く放置された為に成長するハートレスと言うのが少ないのは有難い。
子供向けのイラストに出てくるバイキンのような、小さなハートレスばかりなら、一閃二閃もすれば片付けられる。
お陰で、城に着くまでに時間はかからなかった。

 エントランスホールを二階へ上がり、図書館に入る。
ギミックを動かして隠し棚を出現させると、図書館の階段を使って一階に下りた。


(戻したら、直ぐに帰ろう)


 未だ褪せない記憶を抱えながら、スコールはこの場に留まる事は出来ない。
そもそも、こうして現場に足を運ぶ事すら、スコールは酷く苦しい事だったのだ。
それを強引に押し殺し、直ぐに戻れば良い、と自分に言い聞かせる事で、耐えているに過ぎない。

 本棚の前は、全く何事もなく、綺麗になっていた。
あれから数日の間に、誰かが此処に来て、掃除でもして行ったのかも知れない。
それでも、スコールの脳裏には記憶が過ぎり、喉奥から吐き気が上って来る。
強引にそれを飲み下して、スコールはひりひりと熱い喉を摩りながら、本棚の一角にある一冊分の隙間に、持っていた本を入れた。


(後は、こっちを返して……)


 そんなに遠い本棚じゃなかった、と首を巡らせた時だった。


「おっと。いたいた」
「────!」


 本棚の陰から現れた男を見て、スコールの躯が強張った。
見開かれた蒼灰色の瞳に、記憶に刻み込まれた男達の顔が重なる。

 反射的に後ずさりを踏んだスコールの腕を、男の野太い腕が掴んだ。
スコールは咄嗟に持っていた本を男の顔面に投げつけて、男が怯んだ隙に、腕を掴む手を振り払った。
男の横をすり抜けて脱げようとするが、別の腕が伸びて来て、スコールの肩を捕まえる。
そのまま力任せに振り回され、背後を取られて羽交い絞めにされてしまった。


「こいつは危ないんで没収な」
「!返せ!」


 暴れるスコールの腰に提げられていたガンブレードが取り上げられ、遠くへと放られる。


「放せ、この変態!」
「おいおい、随分なご挨拶だな」
「この前はあんなに気持ち良くしてやったのによぉ」
「……!!」


 にやにやと笑いながら言う男達に、スコールの顔が怒りと羞恥で真っ赤に染まる。


「真っ赤になっちゃって、可愛いねえ」
「触るな!!」


 顔に触れようと伸びて来る手。
スコールは噛み付かんばかりに顔を顰め、長い脚で眼前の男の腹を蹴った。
細くとも実践的な筋力を備えている足である。
無防備な腹に食らった男が、よたよたと後ろに蹈鞴を踏んだ。


「っとに、じゃじゃ馬だな。大人しくしてりゃ、今度は優しくしてやろうと思ってたのに」
「ふざけるな!あんなの、二度と御免だ!」
「そうは言うけどよぉ。お前、あの事、レオンの奴にも内緒にしてくれてるんだろ?他の委員会の奴等にもだんまりで」
「嫌なら言ってる筈だよな。レオンに気に入られてるお前の言う事を疑う事はないだろうし。そうなったら、俺達今頃、此処にはいない筈だぜ」
「それなのに黙っててくれるとか。なあ、気持ち良くて気に入ったんだろ?またヤりたくて此処に来たんだろ?」
「俺は本を戻しに来ただけ───っ!何処触って…!」


 複数の太い腕が、べたべたとスコールの躯を這い回る。
悍ましさに顔を顰め、じたばたと手足を暴れさせるスコールだったが、羽交い絞めする男の躯はびくともしない。
こうも純粋に力のみで押さえ込まれては、スコールに成す術はなかった。
縛られている訳でもないのに、と苦い記憶に塩を塗り込まれた気分で、スコールは唇を噛む。

 いっそ魔法で、とスコールは掌に魔力を集めた。
ごうっ、と生み出された炎に、男達が戦慄くが、その内の一人は落ち着いた顔を崩す事無く、


「魔法って奴か。良いけどよ、それ、此処でぶっ放して大丈夫な奴か?」
「……っ」


 男の指摘に、スコールはぐっと言葉を失った。

 自分がいつ何処で魔法を習得したのか、スコールには判らない。
だが、自分がそれを使える事、その使い方の理論は理解しており、体もそれを覚えている。
しかし、やはり根本的に記憶喪失と言う点が不具合を生むのか、魔法のコントロールは決して万全とは言い難く、時折暴走させてしまう事もあった為、スコールは余り魔法を使わないようにしている。
そんな力をこの場所で使ったら、どうなってしまうか。
雷や氷は窓や電球を壊す事もあるだろうし、火気厳禁の書庫で炎魔法など御法度だ。
貴重な本に引火でもしたら、この部屋の本の数や古さを考えたら、あっと言う間に燃え広がってしまうに違いない。

 集めた魔力が霧散し、スコールの手から炎が消えるのを見て、男達がまた嗤う。
身を護る為なら、スコールは後の事など考えてはいけなかった。
頭の回転が早いが故に、先の先まで考える癖があるのが、彼自身を追い詰めてしまったと言えるだろう。

 羽交い絞めをしている男にそのまま運ばれて、スコールは本棚に体を押し付けられた。
辞書のように分厚い本が並んだ棚は、ギミックが仕込まれておらず、しっかりとした作りをしているお陰で、ぐらつくような事はない。
他の男達がスコールの腕をそれぞれ掴み、本棚に押し付けて拘束する。


「う……!」


 頬に革製の背表紙が当たって、スコールは眉根を寄せた。
これだけ上質な装丁が施された本なら、きっとこれも貴重なものなのだろうに。
肩越しに見た男達の顔は、鼻の下を伸ばしたようにだらしなく、頭の中が低俗な事で埋まっているのが判る。


「相変わらず尻小せえな」
「っ!」


 臀部を男の手に鷲掴みにされて、スコールの背筋が凍る。
記憶は勿論、未だ体も忘れたとは言い難い感覚を思い出して、スコールの喉が強張った。


「や…め……」
「またベルトがちがちにしやがって。面倒なんだよ、これ」
「レオンの真似か?外せ外せ」
「下脱がせろよ。まだるっこしいからな」
「や……!」


 思い出してしまった恐怖で喉が引き攣って、声が出ない。
小さく体を震わせるしかないスコールを、男達はこれ幸いと裸にして行く。

 上半身を本棚に押し付けられたまま、スコールはズボンを脱がされ、下半身をボクサーパンツ一枚にされる。
パチン、と背後でバネのような音がしたかと思うと、冷たく硬い、鋭利なものが股間に押し当てられたのが判った。
瞬間的にその危険度を認識して、スコールの膝が震える。


「な…にを……」
「怖がらなくて良いよ。大人しくしてりゃ、怪我はさせねえからな」


 くつくつと笑いながら言って、背後の男はスコールの股間を硬いものでゆっくりと舐める。
頼りない布一枚越しに押し当てられた銀刃に、スコールは息を飲んだ。

 峰でつんつんと柔らかな袋を突かれる。
スコールのじっとりと背中に冷たい汗が滲んで、男達に掴まれている腕が、身を護ろうと強張り震えていた。
男達はそんなスコールをにやにやと眺めながら、刃の切っ先をパンツに当てがう。
ぷつ、と生地に穴が空いて、男は千切れた繊維に刃を引っ掛け、ゆっくりと真ん中を切り裂いていく。
ぶち、ぢぢ、と繊維糸が千切れて行く小さな音が聞こえ、図書館内のひんやりとした空気があらぬ場所に触れ、スコールの羞恥心を煽る。
いっそ一思いに切り裂かれた方が良い、とスコールは噛んだ唇の中で思った。

 股間に真っ直ぐに線が入ると、男の手が其処から侵入してきた。
ぶら下がる玉袋をぐにぐにと揉みしだかれ、スコールの小尻がぶるっと震える。


「へへ、感じてんな?」
「……っ」


 脂の下がった顔を近付ける背後の男を、スコールはぎろりと睨み付けた。
あの時は腕も足も縛られ、パニックも手伝い、情けない姿を晒してしまったが、今日はそうは行かない。
抵抗できなくとも、絶対に屈してなるものか、と言う強い意思が宿っていた。

 切り裂いたパンツが引っ張られ、ビリビリと破られて穴が広げられる。
黒いボクサーパンツに大きな穴が空き、スコールの白い尻がすっかり露出されると、複数の大きな手が臀部を撫で始めた。
あの日と同じ、ざらざらとした手の感触に、スコールの喉奥から吐き気が上って来る。


「さ〜て、今日の具合はどうだぁ?」
「やめろ……っ!」


 背後の男が膝を曲げ、スコールの尻に顔を近付ける。
小さな秘孔をつんつんと指で弄りながら、薄らと色のついた其処に鼻先を寄せた。


「んん〜、今日もやらしい匂いしてんなあ」
「変態…っ!」
「お前だって変態だろ?此処で感じてたんだから」
「んぅっ……!」


 ぐにぃ、と肉穴を無理やり広げられて、スコールは息を詰めた。
広げられた穴が元に戻ろうとして、ヒクヒクと蠢いている。
男は其処に、づぷっ、と指を挿入させてしまった。


「うぅうっ!」
「今日も締め付けるねえ」
「あれからレオンとヤらなかったのか?」
「俺達のが気持ち良過ぎて、あいつじゃ物足りなかったとか」
「う、う……ぐぅ…っ!」


 異物感に眉根を寄せながら、スコールは顔を覗き込んでくる一人の男を睨む。
射殺さんばかりの眼光に、男は一瞬怯んだが、押さえ付けてさえいればどうせ抵抗は出来ないと、スコールの腕を掴む手に力が篭る。

 アナルに埋められた指が、虫のように這って中へ侵入してくる。
スコールは尻に力を入れて拒否しようとしたが、拡がる穴に反って侵入を助けてしまった。
にゅるんっ、と第二関節まで一気に埋められて、増した圧迫感にスコールは天井を仰ぐ。


「んぅう……っ!」
「おっほ、今一気に入ったんじゃね」
「ケツ穴が勝手に広がってよぉ、入れてくれたんだわ」
「へえ〜?じゃあやっぱり欲しがってた訳だ」


 好き勝手に言う男達に、違う、とスコールは首を横に振った。
体を捩って男達の腕を振り解こうとするが、背後の男はスコールの躯が揺れるのに合わせて、指を左右に振り遊ぶ。
狭い道の肉壁を、ぐにっ、ぐにっ、と押されて、スコールの躯が熱を持って行く。


「あ、う…うぅ……っ、や、だ……っ」
「そんな嘘吐くなよ。ちんこ勃たせてる癖に」
「……!」


 男の一人が、スコールの前部を覗き込んで言った。
そんな、とスコールが自身を見下ろせば、信じられない事に、スコールのペニスが膨らんで、ボクサーパンツがテントを張っていた。

 其処に悪戯された訳でもないのに、開発された場所を苛められれば、簡単に反応してしまう体。
それを恨んだ事は一度や二度ではなかったが、望まぬ快感にまで反応する体を、こんなにも憎む事があるとは思っていなかった。
同時に、いつも快感を与えてくれる人達が、自分の事を酷く大切に扱ってくれていた事を知る。


(……こんな事で、知りたくなかった……)


 悔しさで滲む涙を、本棚に押し付けて隠す。
涙なんてものを見られてしまったら、周りの下衆共をどれだけ調子付かせるか判ったものではない。

 それでも、喉のしゃっくりは隠しきれなかった。
ひく、と喉を引き攣らせるスコールを、四対の眼が面白そうに見ている。
声を殺そうと息を詰めている所為で、指を咥えた尻穴までもがきゅうきゅうと締まり、背後の男を楽しませる。


「ヒクヒク動いて、相変わらず美味そうだな」
「こっちも可愛がってやろうぜ」
「やめ……っ!」


 野太い腕がスコールの前部に伸びて、下着の中に侵入する。
布地を押し上げていたペニスをぎゅうっと鷲掴みされて、スコールの膝が震えた。


「んぅっ」
「この間は、ちょっと弄ってやっただけで、我慢汁垂らしてたなあ」
「…そ、んな事…ない……」
「意地張るなって。ほら、シコシコしてやっから」
「あ、あ…っ!うぅ……っ!」


 男の手が乱暴にスコールのペニスを扱き始める。
若く性に奔放な躯は、あっと言う間に熱を持ち、むくむくと育って行く。
気持ちが悪いのに、と眉根を寄せて涙を浮かべるスコールの目尻を、べろりと生臭いものが舐めた。
ひっ、と喉を引き攣らせて顔を背ければ、今度は後ろ髪の隙間から、項に舌が這う。


「やめ…気持ち、悪い……あぁ…っ!」
「そんなカワイイ声出して、気持ち悪い訳ねえだろ」
「パンツ邪魔だな。おい、全部破いちまえ」
「おう」
「あ、ああっ…!うぅ……っ!」


 左右でスコールの腕を抑えていた男達が、二人がかりでスコールの下着を引き千切る。
下着はウェストのゴムを残して無残な姿になり、申し訳程度に残った生地が糸になって線を引き、スコールの尻肉やペニスに食い込んでいた。
すっかり裸にされるよりも、反って惨さを演出させる格好に、男達の鼻の穴が膨らむ。

 下半身をすっかり曝け出した少年に、男達は群がって行く。
アナルに埋めた指が前後に動いて、にゅぽっ、ぬぽっ、と抜き差しされる。
肉壁を擦られる感覚に、スコールの腰がびりびりと痺れを生んで、膝が震えた。
剥き出しにされたペニスは、男の手で激しく扱かれて、すっかり頭を上げている。
数日前と同じ、スコールの体勢だけが違う状況だ。


「そういや、こっちも可愛がってやったよなぁ」


 右腕を掴んでいる男が言って、スコールのシャツの下に手を入れる。
うぞうぞと這って進んだ手が、平らな胸に辿り着いて、撫で回す。
それを見た左の男も、じゃあ俺も、と言ってシャツに手を入れ、胸の頂きを摘む。


「うんっ……!」
「お、もう乳首膨らんでるぜ」
「期待してたんだな?じゃあ、応えてやらないとな」


 そんなのじゃない、とスコールは唇を噛んで首を横に振るが、当然、男達はそれを見てもいない。
左右の乳首を親指と人差し指で挟んで摘まれ、ぐいぐいと引っ張られる。
痛みを伴うだけの苛め方に、スコールは顔を顰めていたが、


「う、く……ふぅ……っ!」
「我慢汁が垂れて来たぜ。本当に乳首苛められるのが好きだな」


 鈴口から、白濁液がトロリと溢れ出す。
それを胸を弄られての反応だと言われて、スコールは顔を赤くした。
違う、と言いたくても、秘部を掻き回す指の所為で、口を開くと酷い声が出そうになる。
あの日のように情けない姿を晒さない為にも、スコールは耐え忍ばなければならなかった。

 が、男達にしてみれば、その我慢の堰を壊すのが楽しみなのだ。

 あくまでも耐えようとする少年の様子に、男達の手が更に悪戯を増して行く。
摘まんだ乳首をクニクニと捏ねながら、引っ張っては乳首と乳輪の境目に爪を立てて遊んだ。
じわじわとした熱が胸から広がって行くのを感じて、スコールは強く唇を噛む。
男の手に包まれたペニスは、じっとりとした汗を掻き、男の手を溢れ出したカウパー液で汚している。
白い肌が薄らとピンク色に色付き、引き締まった小尻がぷるぷると小刻みに震えているのを、間近に見ている男は気付いていた。


「ほらほら、気持ち良いんだろ?ケツ穴掻き回されて感じてんだろ?」
「う、う…ん…っ!うぁ……っ!」
「素直になって、この間みたいに啼けよ。ほらっ」
「ひぐうっ!」


 づぷんっ!と男の太い指が、スコールの秘孔に突き入れられた。
指の根本まで挿入され、奥まで届いた指先でぐりぐりと行き止まりの壁を引っ掻かれて、スコールの躯がビクッ、ビクッ!と跳ねる。


「うっ、うぅっ!んぅうっ!」
「乳首もコリコリしてやるからよぉ」
「ふ、はふっ…!うぅ…あ…、うぅっ」


 ぶるぶると震える膝が寄って、スコールは内股になっていた。
堪えている事が判る仕種に、男達の手が調子を上げて行く。

 スコールのペニスを包んでいた手から親指が伸びて、亀頭の先端の穴をぐりぐりと抉った。
途端、強い電流がスコールの躯を駆け抜けて、頭の中を真っ白に染める。
果てようとしている自分に気付いて、寸での所で歯を食いしばったスコールだったが、射精こそなかったものの、体は絶頂を迎えてしまう。


「うっ、うぅうっ!ううぁ……っ!」


 ビクンッ、ビクンッ、と細い腰を痙攣させるスコール。
強張った体が弛緩した後、はあ、はあ、と零れる吐息には熱が篭っている。
蒼い瞳が半分まで瞼に隠れ、口端から唾液を垂らしているのを見た男が、スコールの乳首を捏ねて苛める。


「あっ、あぁ…っ!や……め……んんっ」
「そうそう、その調子その調子。良い反応だぜ」
「は、うぅ…っ!んぁ……あぁ…っ!」


 意識の半分が空中浮遊している所為で、スコールは口を閉じる事が出来なくなっていた。
それを好機とばかりに、乳首の先端に爪を当て、コシコシと引っ掻いて刺激を与える。
色付いた乳首は、数日振りに与えられる快感に正直で、もっと、と言いたげにぷっくりと膨らんでいた。


「は、あっ、あぁ…っ!だ、め…やぁ……ん、あ…っ!」
「ケツ穴もきゅんきゅん締め付けてるぜ」
「はぁ、ああっ…!やだ…あっ、んぁっ!」


 奥まで潜り込んでいた指が、関節を曲げて、狭い奥壁を強引に広げる。
そのまま指先が肉ビラをゴシゴシと擦り始めて、スコールの躯を激しい痺れが襲う。


「はぅっ、あぁあんっ!」
「ホレホレ、此処か?此処が良いんだろ?」
「いやっ、あっ、あぁっん!やめっ、やめろ…ひぃんっ


 頭を振って拒否を訴えるスコールだったが、秘孔の一点をぐりっと押されて、思わず高い声が漏れた。
これは、と男達がにんまりと顔を見合わせて笑い、背後の男はスコールの直腸内を探るように、指を右へ左へと動かす。


「はうっ、ひぃっああっ!そこっ、そこは…っ、ああっ!」
「んん〜…奥の、前のぉ……」
「や、ひぃっ……!やめ、ろぉっ!」
「ちょいと右側か?」
「んぁああっ


 男の指が一点を引っ掻くと、スコールの躯はビクビクと跳ねた。
逃げを打って腰を捩る姿に、ビンゴ、と男が嗤う。
そのまま男は、爪の伸びた指先を、同じ場所に押し当ててぐりぐりと押し抉った。


「ふっ、ふぅうっ!や、めろ…あぁあっ…!」
「尻プリプリ振って、誘ってんのかぁ?」
「違う…んっ、はな、放せ、あぁっそ、其処はだめ…ひぃっ
「はい、確定〜。そらそら、気持ち良いんだろぉ?」
「あっ、あっやっ、そんな…そんな訳、な、あぁっ!」


 同じ場所をなぞられ、舐るように指に苛められて、スコールの口からはあられもない声が溢れてしまう。
いつも愛して貰う時、太く熱いもので何度も突き上げられていた其処は、少し刺激されただけで悦びを覚えるようになっていた。
これは既に、スコールが堪えようと思って殺せるものではなくなっている。