声が消える先


 言えない。
言える訳がない。
一度考えたその結論に、スコールは再び行き着いた。

 口の中を精液塗れにしながら、男根をしゃぶり、両手にいきりたった肉竿を握っている自分。
アナルにペニスを飲み込んで、奥を何度も何度も突き上げられ、嫌悪感の中で確かに快感を得てしまっている。
既に抵抗は疎か、逃げる気力すらも失くして、男達の命令に従うしかない。
中には男達の大量の子種が注ぎ込まれて、汚れきってしまったこの体を、あの人達に知られるなんて出来なかった。
気持ちが悪いと嫌われたらと思うと、更に恐ろしい。
そんな事になってしまうのなら、いっその事、このまま犯され死んでしまう方が良いとすら思う。

 腰を打ち付ける男の息が荒くなり、スコールの項に生温かい吐息がかかる。
雄をしゃぶらされる顎が辛くなって休んでいると、頭上から伸びて来た腕がスコールの頭を掴んで、前後に激しく揺さぶり始めた。
喉奥をずんずんと突かれて、吐き気を催していると、喉が締まって気持ちが良いと嗤う。
両手に握った竿がビクビクと戦慄いたかと思うと、放物線を描いて白濁液が飛び散り、スコールの顔を汚した。
潤んだ瞳から大粒の雫が零れて、精液と交じり合いながら、赤らんだ頬を伝い流れて行く。


「んっ、んぐっ、んんっ…!おふっ、おっ、ぶぅっ…!」
「うっく、出る……っ!」
「んぷぅうううんっ


 奥の行き止まりに向かって、勢い良く精子が放たれた。
叩き付けるような勢いで射精され、スコールの体がビクンッ、ビクンッ、と跳ねる。

 注がれた肉欲で濡れそぼり、ヒクヒクと痙攣している肉壺の感触を堪能しながら、男はゆっくりと腰を引いた。
ぬろおおお、と糸を引きながら出て行くペニスを引き止めるように、きゅうぅ…っとアナルが締まる。
棒が抜け出て行くと、次の男が背後に回って、今まで貫いていた男が空いた場所に入る。
新しいペニスが、むぐむぐと物欲しげに疼いている秘孔を一気に貫き、スコールは高い声を上げた。
拓かれた口にペニスが突っ込まれ、オナホールのように好き放題に犯される。


「んぉっ、んぶっ、んほぉっんぐ、ふぅうっ!」
「っは〜、相変わらず良いケツだぜ。何回でもイけそうだ」
「うっ、うっ、うっ…!お、ふぅっんっ、おふぅっ…!」
「そうだ、乳首弄られるのが好きだったよな。忘れちゃ可哀想だ」


 背後の男が、スコールの膨らんだ乳首を摘む。
スコールはくぐもった悲鳴を上げて、びりびりと痺れる快感電流に腰を揺らした。
悶えるように細腰をくねらせる淫靡な姿に、囲むペニスがむくむくと大きく膨らんで行く。

 それからスコールは、何度も何度も、男達の劣情をその身に浴びせられた。
咥内も秘孔も許容量を超えた白濁液が溢れ出すようになっても、男達の肉欲は止まらない。
骨の髄までしゃぶりつくす野獣達にされるがまま、スコールはその身を貪られていた。




 本を返しに行くと言うスコールを、レオンは直ぐに追った───が、その道中の谷でハートレスに襲われる街人を見付けた。
スコールの事は気掛かりだったが、此方も放って置く訳には行かない。
街人は、家を直す為の建築資材を求めて、谷までやって来たと言う。
確かに、城へと続く途中の谷には、再建に向けた開墾で利用された廃材が散らばっている為、利用するには持って来いだ。
が、城に程近い場所には強力なハートレスが潜んでいる事も多い為、基本的に再建委員会のメンバー───その中でも、レオン、ユフィ、最近は此処にスコールも加わる───以外が迂闊に近付くのは危険とされている。
それでも欲しいものを急ぎ求める人間は後を絶たない為、再建委員会の判断を待たず、此処まで足を運ぶ人間はいるものであった。

 レオンはハートレスを片付けると、止む無く街人を家まで送り届ける為に引き返した。
どうしても資材が必要と言うので、それも回収して行った為、かなりの時間をロスしている。
この間にスコールが帰っているかも知れない、と思ったが、街で逢ったクラウドに訊ねると、家には誰もいなかったと言う。
クラウドには街でスコールを探すように頼み、レオンはもう一度城へと向かう事にした。

 青鈍色の谷道が、夕暮れ色に染まっている。
レオンは襲い掛かってくるハートレスを一閃で蹴散らしながら、城へ走った。
どうにも嫌な予感がしてならない。
スコールが家を出てから、相当な時間が経っている筈なのに、帰っていないと言うのがレオンの不安を更に煽る。

 城門を通り抜け、エントランスホールに入ったレオンは、真っ先に図書館に行った。
スコールは此処から借りた本を返しに行ったのだから、先ず間違いなく此処には来ている筈だと思ったのだ。

 図書館は静かなものだったが、微かに人の気配を感じた。
スコールのものだと最初は思ったのだが、どうも違和感がある。
滅多に人が来ない筈の部屋の中に、ぽつりぽつりと散らばるように人の気配が感じられた。
おまけに、一階に仕込まれたギミックが動かされたままになっている。
スコールに何事もなかったのなら、用が終われば戻されている筈だ、とレオンは思った。
益々募る不信感に、自然とレオンの不安は募る。


「スコール!何処だ?」


 不自然な人の気配を警戒しつつも、レオンは声に出して少年を呼んだ。
彼が声を出せる状態なら、何処かから返事があるだろうし、そうでないなら、不審な気配がレオンを襲いに来るかも知れない。
襲われたなら、返り討ちにしてスコールの居場所を聞き出してやればいい。
それが出来るだけの自信がレオンにはあったし、実際にそう出来る実力を彼は有していた。

 隠し棚が出ている状態なので、一階から図書館の奥に向かう事は出来なかった。
止む無くレオンはエントランスホールへ戻り、二階へと上がってから、改めて図書館へと入った。
二階で一通りスコールの姿を探してみるが、それらしい姿はない。
吹き抜けになっている場所から、図書館の一階を見下ろしてみるものの、背の高い本棚ばかりなので、見える場所は限られている。
やはり下りて直接探すしかない。

 一階に下りて、レオンはもう一度探し人の名を呼ぶ。


「スコール!」


 しかし、何度レオンが呼んでみても、スコールからの返事はなく、不審な気配が近付いて来る様子もない。
此方から行って捕まえるか、と思った時、レオンは隠し棚へと向かう通路の途中で、横たわっている人物を見付けた。


「───スコール!!」


 自分と同じ濃茶色の髪と、まだ華奢な印象のある青さを残した体付きの少年。
いつかの自分と酷く似た容姿を持つ彼を、レオンが見間違える筈もない。

 駆け寄って、レオンは少年の有様に愕然とした。
服はドロドロに汚れたシャツ一枚のみ、下半身は殆ど何も身に付けておらず、千切られた下着の残骸が残っているだけだった。
気に入っていたのだろう、レオンが拾った時から着ているジャケットは、傍で固まりになって落ちていた。
僅かに赤らんだ肌に、生臭い匂いを撒き散らす白濁液がまとわりついている。
隠すもののない秘園から、泡だらけのそれがどくどくと溢れ出しており、それが何であるのか、レオンは直ぐに理解した。
蒼灰色の瞳は瞼の裏に固く閉じられていたが、汚れきった頬に、涙の痕が残っているのが見えた。

 どうしてこうなったのかは判らない。
だが、“何が”起きたのかは判った。
その瞬間、レオンの頭は真っ赤に染まり、怒りと憎しみと、気付いてやれなかった自分を殺してやりたい気持ちで埋め尽くされた。
───それが、彼に大きな隙を作る事となる。

 気配を殺して近付いてきた者達に、レオンは気付けなかった。
背後から忍び寄って来た三人の男が、一斉にレオンの体を床へと縫い止める。


「ぐあっ!」
「よーし、上手く行った。これで…うぉっ!」
「放せ!───貴様等、スコールに何をした!?」


 レオンを床へと抑えつけた男達だったが、レオンは全力で暴れ、その腕を振り払う。
腰に携えていたガンブレードに手を伸ばしたが、その手がグリップに届く直前、男達の後ろで囚われている少年に気付く。


「スコール!」
「へへ、動くなよ。こいつの首、へし折られたくないだろ?」


 レオンを抑えつけた男達とは、別の男だった。
レオンが仲間達に気を取られている間に、意識のないスコールを捕え、細い首に手をかけている。
男の手は体格に見合って大きく、指も太く、スコールの首を簡単に覆う事が出来る。
スコールの首を力任せにへし折る事は難しくとも、絞め殺す事は容易いだろう。

 スコール、とレオンは何度も少年の名を呼んだ。
目を覚ましてくれ、と切に願いながら呼び続けるが、スコールは指一本も反応を示さなかった。
彼の身に起こったであろう事を思えば、無理もないだろう。

 唇を噛んで睨むレオンに、三人の男がじりじりと近付いて来る。
レオンが彼等を投げ飛ばすのは容易かったし、魔法を使えば撒くのも難しくない。
しかし、彼等の向こうで、スコールを捕えている男はそうではなかった。
レオンが少しでも抵抗の意思を見せたら、あの男はスコールの首を絞め殺してしまうだろう。
レオンはガンブレードから手を離し、迫る男達から後ずさりで距離を取るしかなかった。
それも背にした本棚によって道を失ってしまう。


「……俺に何をさせたいんだ」


 腹を括って、レオンは言った。
その言葉に男達は一瞬虚を突かれたように目を丸くしたが、レオンの言葉と意志を悟り、にやあ、と気持ちの悪い笑みを浮かべる。


「話が早くて助かるなあ」
「……」
「ま、大人しくしててくれりゃあ、十分だよ。大人しく、な」


 抵抗するな、と暗に言っているのだと、レオンは直ぐに理解する。
腰に差していたガンブレードに、一人の男の手が伸びた。
取り上げられた獲物を取り返そうと、反射的に浮きかけた右腕を制し、レオンはされるがままに棒立ちを続ける。

 取り上げられたガンブレードが、手の届かない場所へと放られる。
繊細なものなのに、と苦い貌を浮かべるレオンの肩が掴まれ、本棚に押し付けられた。
棚の凹凸が背中に当たって、レオンの眉間に皺が寄せられる。
ごつごつと歪な骨の指がレオンの腹を撫で、シャツの中へと潜り込む。
腰のベルトが外され、ズボンのジッパーが下ろされると、隙間から手が侵入してきた。
反応のない中心部が緩く握られ、揉み遊ばれる。
それでも、睨むだけで手を出そうとはしないレオンに、男達は満足げに頷き合うと、


「実はよぉ。俺達、今こんな状態でさ」


 こんな、と言って男が指差したのは、自分の下半身だ。
視線だけでレオンがそれを追うと、前部の開いたズボンを押し上げているものが見えた。
覗く下着にじっとりと濃い沁みが滲んでおり、レオンの目に軽蔑が宿る。


「あいつに相手して貰ってたんだけど、気ぃ失っちまって」
「……」
「溜まってたから、まだ収まんないんだわ」
「あんた、代わりに相手してくれるよな?」


 無遠慮に顔を近付けて、笑いながら言う男達に、レオンは顔面に拳を叩き込んでやりたかった。
ファイガを喰らわせるでも良い。
周りの本を巻き添えにしてしまうのは確実だったが、蔵書の心配よりも、目の前の下衆への怒りでレオンは頭が一杯だった。

 だが、それ以上に、囚われている少年の事を忘れる事は出来ない。
この悍ましい連中に何をされたのか、どれ程の苦痛を与えられたのか、それを思うだけで心が痛い。
早く追い付いていれば、と自分の行動を悔やむばかりであった。

 なあ、と急かす男達の声。
レオンは彼等の顔は見ないまま、その場に膝を折った。
誤魔化せない嫌悪感を無表情の下に押し殺し、三人の男のフロントを寛げて行く。
三人揃ってフロントジッパーを開けていたので、下着を少しずらしてやれば、直ぐにいきりたった一物が顔を出した。
スコールの体に付着していたものと同じ、生臭い匂いを撒き散らすグロテスクな生物達に、レオンの顔が顰められる。

 この場で握り潰してやろうか。
それとも、焼き焦がしてしまおうか。
そんな物騒な事を考えながら、出来ない事は判っている。
レオンは二本のペニスを両手でそれぞれ包み握り、残った一本を口を開いて咥え込んだ。


「うぉ……っ!」
「慣れてんなあ」
「流石」


 殆ど躊躇わずにペニスを食んだレオンの行動を見て、男達が嗤いながら言う。
口に含んだものを噛み千切りたい衝動を抑えて、レオンはそれに舌を這わせた。

 こう言う手合いは、長々と相手をするだけ無駄だ。
さっさと満足させて、終わらせてしまうに限る。
舌先で肉竿の裏筋をちろちろとくすぐりながら、レオンは彼等を果てさせる事だけを考えるように努めた。

 両手で握ったペニスにぴったりと掌と指を添わせ、上下に扱いてやれば、直ぐに欲望は膨らんで行く。
レオンの口の中も、手の中も、あっと言う間にどろどろとした粘液で一杯になった。
きっと、スコールが気を失うまで揺さぶった後、そのまま仕舞い込んでいたのだろう。
打ち棄てられたように転がっていたスコールの姿を思い出して、レオンは怒りが再燃するのを感じていた。
事が済んだら、こいつらは殺してやる。
そう心に決めて、今は形だけの従順を装う。


「んっ、んっ…ん…ぷ……っ」
「随分しゃぶり慣れてるじゃねえか」
「あいつの反応からして、あんたはタチだと思ってたんだがな。そんなに慣れてるって事は、あんたもネコか?」
「ん…じゅ、ん……っ!」


 答える義理などない、とレオンは奉仕にのみ意識を集中させる。
右手に握ったペニスの亀頭裏を、親指の爪先でカリカリと引っ掻くと、ビクッと男が腹筋を戦慄かせたのが見えた。
左手は竿の根本を握って、絞るようにぎゅうっ、ぎゅうっ、と揉んでやる。
色素の落ちた先端から、とろとろとだらしのない液体が流れ出した。

 頭上から、はあ、はあ、と劣情を隠しもしない呼吸が聞こえて来る。
男の手がレオンの頭を押さえ付けて、もっと咥えろ、と言った。
悍ましさに競り上がる吐き気を堪えながら、レオンは口を大きく開け、根本まで招き入れてやる。
ぬらぬらとした咥内にペニスを包み込まれて、男が「うほぉっ」と興奮の声を上げた。


「ん、ん、んちゅ……っ!ん、ぢゅっ、」


 口の中で苦いものが新しく広がり始めて、レオンは思い切って啜る事にした。
ぢゅうっ、ぢゅうっ、と短く強い吸引を与えてやると、目の前の男の太腿がぶるぶるっと震える。


(さっさとイけ。イってしまえ)


 既に間際まで昇っているのだろう、唸り声を上げて射精を我慢している男達を、レオンは容赦なく煽って行く。
口の中の一物をぢゅうぢゅうと音が聞こえる程に強く啜りながら、両手に握っているペニスの鈴口に指を当てる。
亀頭の周囲をマッサージするように指先で捏ねながら、悪戯に尿道口を掠めてやると、ぴゅっ、ぴゅっ、と我慢汁が噴いた。


「くぉっ、おぉっ!」
「うぅうううっ……!」
「やっべ……うぉおっ!」


 絶頂を唸り堪えていた男達だったが、レオンの方が上手であった。
口に食んだ亀頭に甘く歯を立て、両手に握った雄も亀頭裏の凹みをグリグリと擦ってやる。
更にぢゅうううっと強く啜ったのが決定打になって、男はレオンの咥内に精液を吐き出した。
連鎖のように他の二人も射精し、レオンの顔に白濁液が降り注ぐ。


「う、う…っ!んんぐ……っ!」


 臭くえぐいもので口の中を一杯にされて、レオンは顔を顰める。
眉間に深い皺を寄せ、どぷどぷと精液を吐き出す一物を食んだまま、レオンは強引に喉を動かした。
ごく、ごく、と咥内に貯め込まれたものを飲み下して行くレオンに、男達は驚いた顔を浮かべている。

 半分程飲み下した所で、体の拒絶反応が抑えられなくなって、レオンは咳き込んだ。
ペニスから口を放し、両手に握っていたものも手放して、喉を抑えて咳き込む。
逆流した白濁液が、レオンの口からぼたぼたと吐き出された。


「げほっ、ごほっ、ごほっ!う、ぐ…お、ごほっ…!」


 灼けついたようにヒリヒリとした熱を持つ喉を抑えて、レオンは口の中に残っていた精液を残らず追い出した。
それでも、まだねちゃねちゃとした感覚が残っている。

 清潔な酸素を求め、蹲ってはあはあと呼吸を繰り返しているレオン。
目の中がちかちかと明滅しているような気がした。
それを落ち着かせようと、自身の呼吸に集中していたレオンの髪を、男の手が鷲掴んで引っ張る。


「い……っ!」
「はは、ザーメンパックだ。似合うじゃねえか」


 レオンの顔は、男達が吐き出した精液で汚れていた。
丹精に造られた貌が、自分達の欲望で塗り潰された様が、男達には面白くて堪らない。

 髪を引っ張られる痛みに顔を顰めながら、レオンはじろりと男達を睨んだ。
屈辱的な行為を強制されたにも関わらず、全く折れた様子のないレオンに、ちっ、と舌打ちが漏れる。
レオンの髪を引っ張っていた男が、力任せにその体を放り投げた。
ぶちぶちっ、と髪が抜ける感覚に、レオンは顔を顰め、床に背中を打ちつける。


「…っ……!」
「まさかこれで終わりだと思ってないよな?」


 男達の言葉にレオンが体を起こせば、彼等のペニスが未だ固く勃起しているのが見えた。
欲望ばかり真正直な男達に、レオンは呆れるしかない。

 レオンが動かずにいると、男達の視線が後ろへと向かう。
その視線の先には、未だ気を失ったままのスコールがいる。
スコールを捕える男の手が、くったりと力のない少年の体を撫で回していた。
瞼を閉じたスコールの頬を、べろぉ、と男の舌が這う。
夢の中でもその感触が判るのか、スコールの眉間に皺が浮かんで、むずがるような声が零れた。


「………っ!」


 レオンに選択肢はなかった。
スコールを助ける為に、レオンはもう一度、彼等に奉仕しなければならない。

 屈辱である事を判っていて、レオンは服従の証のように、四つ這いで男達の足下に近付いた。
先とは別のペニスを口の中に入れて、残りの二本を手に握る。
射精させたばかりなので、もう一度果てまで昇らせるのは根気が入りそうだったが、泣き言は言っていられない。
彼等を早く満足させなければ、またスコールが酷い目に遭う。


「ん、ぢゅっ!」
「うおっ」


 強引にでも絞り出してしまえば良いと、レオンは咥えたペニスを強く吸った。
幸いとでも言うべきか、三本のペニスは揃って勃起したままになっており、強い刺激を与えれば、それだけでだらしなく涎を垂らしている。
ぢゅっ、ぢゅうっ、と繰り返し吸引してやれば、口の中で肉棒が段々と膨らんで行くのが判った。


「んっ、んぢゅっ、んっ…!ぷ、ふ…っ!」
「積極的だな。そんなにザーメンが欲しいかよ」
「ふ、ふぅっ…!んっ、んっ…!んぢゅっ、」
「誠実そうな面して、とんだビッチだぜ」


 好き放題に言う男達の声を、レオンは無視して、舌を動かす。
液を垂らしている先端に舌を押し当て、ぐりぐりと穿るように苛めてやれば、男の腹がビクビクと反応を示した。
両手に握った物も相手をする事を忘れず、先端の穴縁に親指を当てて、ゴシゴシと擦る。
指先にどくどくと精液が溢れ付着して来るのが判った。

 我慢が出来ない猿なのだろう、男達は直ぐに唸る声を上げ始めた。
レオンの手管で高められた肉棒は、後幾らもしない内に破裂しそうな程で、右手に握ったものに至っては血管を浮かせている。
この調子なら、とレオンが思った時だった。


「よっと」
「───ぷ、あっ……!?」


 口の中にあったものが、唐突に出て行った。
予期していなかった事に、レオンが眉根を寄せていると、男が背後に回り、ぐいっと腰を捕まえられる。


「何を……っ!」
「何って、決まってんだろう。こっちでも相手して貰おうと思ってよ」


 ベルトを緩められていたズボンが、強引に下ろされて、黒のボクサーパンツが丸見えになる。


「お揃いかよ」
「じゃあもっとお揃いにしてやろうぜ」


 何の話なのか、レオンが考える時間はなかったが、それでも直ぐに理解出来た。
男の一人が小さなナイフを取り出して、背後の男に手渡す。
切っ先が綿生地に押し当てられ、尖りが臀部の肉を掠めたのを感じて、レオンは息を詰まらせた。


「やめ……っ!あ……っ!」


 レオンの制止の声など、誰も聞く筈がなかった。
ナイフがぷつっと布に穴を開けたかと思うと、ビィッ、と繊維が真っ二つに切り裂かれる。
ひんやりとした外気が尻の谷間に触れて、レオンが悔しさに歯噛みしている間に、男はナイフを放り、穴の開いたレオンの下着を更に破って行く。
ビリッ、ビリリッ、と布が千切られる音がして、レオンの尻がすっかり露わにされてしまった。
スコールの残骸だけが残った下着と、殆ど同じ状態だ。


「中々いいケツしてんじゃねえか」
「……っ!」


 パシン、と男の手がレオンの尻を叩く。
そのまま尻たぶを握られ、指が虫のように動いて、尻肉を揉んだ。

 ぐにぐにと尻を揉まれる気持ち悪さに辟易していると、前にいる男達がレオンの手を掴んだ。
彼等のペニスを握ったまま、固まっていたレオンだったが、止むを得ず奉仕の手を再開させる。
文句を引っ込め、自分の立場を思い出したレオンに、男達は満足げに笑った。


「そうそう、ちゃんと相手してくれよ」
「まあ、あんまり放ったらかしにされたら、あっちに相手して貰うから、それでも良いんだけどな?」
「……スコールには……っ」
「ああ。だったら、ほれ。判るだろ?」


 男達の言う通りだった。
レオンは唇を噛んで、両手のペニスを扱く。
グローブ越しでもじわじわと沁み込んで来るほど、汗と精液に塗れたペニスは気持ちが悪かったが、放り出す訳にも行かない。
尻を撫でていた手が、段々と秘所に近付いていると判っていても、レオンは逃げる事も抵抗する事も出来なかった。

 尻の谷間を下りる指が、閉じられた秘孔を掠める。
ぴったりと閉じている其処を、ぐにぐにと指先で穿られて、レオンは顔を顰めた。


「う…っ……!」
「あいつと違って拡がらねえなあ」
「やっぱりタチか?」
「いやあ、どうかな」


 背後の男が、レオンの尻を弄りながら、顔を近付けてくる。
視界の端でそれを捉えて、レオンは反射的に身動ぎした。
と、それを制するように、にゅぷっ!と尻穴に指が埋められる。


「うぅっ!」
「おお、こりゃあ、やっぱり」
「く…うっ、…うぅ……っ!」


 埋めた指で、くにくにと入口の内側を揉む男。
レオンは歯を噛んで嫌悪感に体を震わせていたが、数秒もすれば呼吸を整え、体から無為な力を抜くように努力する。
その方が自分の体の負担が減る事を、レオンは知っているのだ。
レオンの呼吸に合わせ、拒絶するように狭くなっていた孔口が少しずつ拓いて行くのを見て、男がくつくつと笑い出した。


「あのガキと同じだあ、こりゃ。あいつ程使われてたって訳でもなさそうだが────」
「ふう……っ!」


 ぐりゅっ、と中に強引に潜り込まれて、レオンは体を強張らせた。
両手に握っているペニスへの奉仕を止め、額にじっとりと汗を滲ませ、太腿を震わせるレオンに、男は中を掻き回しながら、


「こいつは知ってる反応だぜ」
「っは…う……っ!」
「我慢してたってなあ、判るんだよ。ほれほれ」
「う、うっ…!うく……んっ…!」


 半分まで挿入された指が、レオンの中でぐるぐると円を描くように動く。
狭い壁をなぞり弄られて、レオンは喉奥から零れそうになる音を、強引に蓋をして押し殺していた。

 眉根を寄せながら、レオンはペニスを扱く手を再開させた。
尻穴を弄る指に、下半身が震えるが、それを意識する事を頭の中から追い出した。
噛む唇を肉棒に近付けて、れろお、と舌を這わせる。


「っは…はぁ…んぁ……っ」
「ケツ穴がヒクついてるぜ。物欲しそうにしやがって」
「はぐっ……!」


 ぐぷぷっ、と指が一気に根本まで捻じ込まれて、レオンの体がビクッと跳ねる。
ペニスを握る両手が震えて、力が抜けそうになった。
そんなレオンを、指が乱暴に後孔を掻き回して追い詰めていく。


「うっ、うっ…!ん、ぐぅ……っ!」
「なあ、相手は誰だ?可愛い可愛いスコール君か?」
「でもあいつはネコだよなあ。他にも誰かいるのか?お盛んですねえ」
「うぅ…ん……っ!」
「答えろよ。減るもんじゃないんだから」
「んふぅっ!」


 ぐりっ!と秘奥を指で抉られて、レオンはくぐもった声を上げた。
脂汗を滲ませた額に、濃茶色の髪が張り付いているのが艶を演出している。
ペニスを咥える顔を見下ろしていた男が、その髪を指で払い除けてやると、じろりと青灰色が睨み上げて来た。


「っは…は……っ!んっ、貴様等に…っ、教える義理はない……っ!」


 踏み込まれる事をきっぱりと拒絶したレオンに、男達は目線を合わせる。
直後、一人の男がレオンの頭を捉まえ、口にペニスを捻じ込ませた。


「んぶぉっ!」
「生意気な口叩きやがって。やっぱ立場判ってねえだろ、お前」
「んっ、んんっ!んぼっ、おぶっ…!」


 男はレオンの頭を掴んだまま、容赦なく前後に揺さぶって、口淫を強制させる。
じゅぽっじゅぽっとペニスが口を出入りして、その激しさと息苦しさに、レオンは眉根を寄せて呻いていた。
おざなりにされた握っていたペニスが離れて行き、その持ち主の足が何処かへと向いてしまう。

 男が向かったのは、已然として目覚める様子のないスコールの下だった。
拘束している男が、心得たようにスコールの足を開かせる。
精液で濡れそぼったアナルが露わになり、近付いた男がその前に座って、スコールの菊座にペニスを近付けようとする。


「んっ、んんっ!ぷはっ、やめ、んぶっ、ふぅっ!」


 男達がスコールに手を出そうとしている事に気付き、レオンは顔を蒼くした。
咥えていたペニスを押し出して静止しようとした声は、またペニスによって塞がれる。

 イラマチオをされているレオンの尻穴を、埋めていた指がぐちゅぐちゅと掻き回し始めた。
不意を突かれた形で刺激を与えられ、思わずレオンの腰が戦慄く。


「んんんっ!う、うぅっ…!おふっ、おぶっ…!」
「あいつに手出して欲しくないんだろ?だったら逆らうんじゃねえよ」
「うっ、おっ、んぅっ…!うぅんっ、んっ…!」


 野獣共の卑劣なやり方に、レオンは怒りを覚えたが、彼等の言う通り、逆らう事は出来ない。
大人しく自らの意思で、口の中の肉棒に舌を絡めると、頭上の男が満足そうな顔を浮かべた。
秘孔を弄る指への嫌悪感は消えず、体は拒絶するように強張っていたが、追い出そうと言う締め付けがない事に気付いて、背後の男もまた嗤う。


「そうそう。良い子にしてるのが一番だぜ、レオンちゃん」
「んっ、うっ…!う、ふぅう……っ!」


 ふざけた呼び方に、レオンの眉間に皺が寄る。
だが、またスコールのアナルに肉茎が寄せられるのを見て、レオンは両手を床に下ろした。
四つ這いの格好で口淫に従事し始めたレオンを見て、スコールを囲んでいた男達が残念そうに舌打ちする。


(…俺が…大人しくしていれば…スコールだけは……っ)


 既に散々に汚されたのだろう彼を、これ以上辛い目に遭わせたくなかった。
自分が我慢していれば、取り敢えず男達はスコールに手を出す気はないらしい。
その約束だけは守って貰わなければ、レオンとてこうして耐え忍ぶ意味はなかった。
男達もそれを判っており、そうでなければ自分達がレオンに敵わない事も理解しているようで、一応、レオンとの約束を守る気は残しているようだ。

 秘孔内に埋められた指の動きが、大胆さを増して行く。
太さのある指が前後に何度も行き来して、狭い直腸内の壁を擦る。
久しく触られていなかった場所を、無遠慮な指で乱暴に攻められて、レオンは自身が徐々に快感を拾い始めている事に気付いた。


「うっ、うふっ…!く、うぅ…っ!」
「ケツもケツ穴もヒクヒクしてるぜえ。感じてんだろ?」
「んぐっ、ぐぅ…っ!お、ふぅっ!」


 背後の男のにやついた声に応えずにいると、ぐぷぅっ!と秘奥を突き上げられた。
ビクンッ、と背筋を反らせて戦慄くレオンの反応を見て、背後の男は更に指の動きを激しくさせた。
媚肉を引っ掻きながら、入り口から奥までを刺激され、レオンの背中をぞくぞくとしたものが駆け上った。


「んぅっ、うぅんっ!ふ、おぶっ、んぐぅっ!」
「おいおい、自分ばっかり気持ち良くなってないで、俺の相手もしてくれよ。じゃないと……」
「ふっ、ふぅっ…!んっ、んっ、んぷっ、んん…っ!」


 スコールを見遣って脅す男に、レオンは怒りを滲ませた表情で、ペニスに舌を絡める。
肉厚な舌が、血管を浮かせた陰茎をねっとりと舐めると、「おぉっ」と頭上で悦ぶ声がした。

 アナルを責める指の所為で、下半身から力が抜けて行く。
立たせた膝が震えているのを自覚して、レオンは意識して力を籠めた。
自然と腹にも力が入り、秘孔がきゅうっと狭くなって、咥えた指を締め付ける。


「おぉ?素直になって来たな?」
「んひゅっ、んんっ…!」


 直腸内の指が、肉ビラを爪でカリカリと小刻みに引っ掻くと、レオンの腰がぶるりと震えた。
息を詰めた所為で、口に咥えたペニスも喉の締め付けを受ける。
頭上の男がにやりと笑って、背後の男に目配せすれば、また爪でカリカリ、カリカリと引っ掻かれ、レオンの膝ががくがくと震える。


「んふっ、ふっ、ふぅうっ!んぐぉ…っ、おふぅん…っ!」


 引き締まった腰をくねらせるように捩るレオンの反応に、男達の肉欲が刺激される。
口の中でペニスが肥大化して、レオンは苦しさに眉根を寄せた。


「ほ〜れほれ、コリコリ好きなんだな?ケツ穴締め付けやがって」
「うっ、うっ、んっ!んんっ…!ふぅううっ…!」


 逃げを打って体を捩らせるレオンだったが、前は男の股間で塞がれている。
頭上の男がレオンの後頭部を掴み、自身の毛むくじゃらの股間をレオンの顔に押し付けた。
酷い匂いを撒き散らす茂みに、レオンの体が嫌悪感で総毛立つ。

 眼前の男には嫌悪感しかないが、体が快感に反応し始めているのは、誰の目にも明らかだった。
指でアナルを弄っている男には、ぶら下がっていたままのレオンの中心部が、徐々に頭を持ち上げ始めているのが見えている。


「うっ、うっ…!うぅんんっ……


 直腸を弄りながら、男の逆の手がレオンの陰嚢を握る。
ぎゅうっと遠慮もなく握られて、下腹部からの痛みにレオンは顔を顰めたが、男は構わずレオンの玉袋をくにゅくにゅと揉み転がして遊ぶ。


「う、ふ…うぅっ…!くぅ、ん…っ!」
「色っぽい声出て来たじゃねえか」
「んん……っ!」


 男達の言う通り、自分の声が常と違うものを帯び始めた事に、レオンは気付いていた。
重ねられた経験で、快感を得る事に慣れてしまった躯が恨めしい。
初めは確かに嫌悪を感じていた筈なのに、そんな望んでもいない行為ですら、快感を拾ってしまうとは。

 指を咥えた秘孔が、ヒクッヒクッと小刻みに震え、肉壁が指先に吸い付く。
男はその壁に指を押し付け、ぐりぐりと穿るように回転させた。


「うぅんっ…!」


 ぞくんっ、としたものが腰全体に広がるのを感じて、レオンは悩ましい声を零した。
口の中のペニスに、甘く歯が当たる。
膨らんでいたペニスが不意打ちを食らい、びゅくっ、とレオンの口の中に我慢汁を噴き出した。


「ちっ、出ちまった」
「早漏だな」
「うるせえ。おら、さっきみたいに飲めよ」


 レオンの髪を引っ張って、頭上の男が命令する。
レオンは苦い表情を浮かべながら、口の中に溜まった精液を飲んだ。
ごく、ごく、と喉を鳴らして精液を下して行くレオンの姿に、納まったままの肉竿がまた膨らみを取り戻す。
精液を飲み終えた後、レオンはまたペニスに舌を這わせた。
裏筋の凹みを重点的に苛めてやれば、口の中で膨脹して行くペニスがビクビクと震えるのが伝わってくる。

 スコールがあんなにも酷い有様になる程に犯していた筈なのに男達のペニスは萎える様子がない。
溜まっているからだと彼等は行っていたが、何か違法的な薬でも飲んでいるのではないかと疑いたくなる程だ。
レオンは、現状とは正反対に、酷く冷静な頭の隅で、そんな事を考えていた。