一夜限りの独裁者


 夕闇が広がる空の下、剣閃の音が城壁上で響いていた。
銀刃と鉄刃が何度も切り結んでは離れ、再びぶつかり、重い金属音が空の彼方へと消えて行く。

 城壁上にいるのは、レオンとクラウドだ。
二人は愛剣を手に相対し、躊躇の一片もなく、その手の刃を相手に向かって振り下ろしている。
これは特訓であり、本気で目の前の相手を排除しようと言う意識はないが、眼前の相手に対し、手加減など出来ない事も事実。
そんな相手の一歩先へ行こうと、二人は互いに研磨し合うように、剣をぶつけ合う。

 が、それも長くは続かなかった。
レオンの振り被った剣が、光の線を描いて落ちた時、其処に金色の鶏冠頭はいなかった。
吹き抜けた風が長いレオンの髪を浚い、蒼灰色の瞳が見開かれる。
キチ、と首の後ろで冷たい気配を感じて、自身の状況を把握したレオンは、ふぅ、と溜息を吐く。


「……余りその力に頼るなと言ってるだろう」
「勝つ為に手段を選ばないのは当前の話だろう」


 笑みを含んだ男の声に、レオンはやれやれ、と肩を落とす。
首に突き付けられていた冷気が退いて、レオンはゆっくりと、強襲の流れで曲げていた背中を伸ばす。

 レオンが振り返ると、クラウドは常の無表情を緩め、唇が薄らと弧を描いていた。
何処か楽しそうに見える碧色に、レオンはあからさまな溜息を吐いてやる。
呆れを含んだレオンの溜息であったが、クラウドは気にする様子もなく、緩んだ貌をレオンに近付ける。


「賭けは俺の勝ちだぞ、レオン」
「……判っている」


 得意げな男の貌を掌で押し除けて、レオンは背を向けた。
城壁端から地上へと飛び降りて、帰路へと歩き出す。
程無く後を追う気配がついて来て、レオンは肩越しにそれを見遣り、直ぐにまた正面を向いた。

 進む脚が若干重いのは、仕様のない事だ。
その傍ら、やっぱりあんな賭けはするんじゃなかった、と今更の後悔も少しばかり滲む。
クラウドが持つ闇の力の使用を制限した状態で戦えば或いは、とも思ったが、結局二人の実力は拮抗状態にある為、それでレオンの白星が約束される事もない。
また、クラウドの闇の力はレオンも警戒しながら戦っていたので、詰まる所、レオンの油断か、さもなければ時の運と言うものであった。
それも判った上で、レオンも賭けに応じたのだから、自業自得と言われれば反論もない。

 キーブレードの勇者のお陰で取り戻す事が出来た故郷だが、まだまだ闇の影は絶えない。
心を失くした彷徨う肉体も数を増やしており、レオンを筆頭に、再建委員会のメンバーでパトロールを繰り返しているが、根本的解決はまだまだ先の話であった。
それでもパトロールを止める訳には行かず、寧ろ増える影達への対処に追われ、猫の手も借りたい状態。
其処へ来て、ふらりと帰って来てはふらりと消える男が帰還した所を、レオンが首尾良く捕まえた。
彼にとってもこの地は故郷である。
彼が自身の目的で忙しなくしている事は知っているレオンであるが、それとこれとは別の話だ。
何より、戦力として最も頼りに出来る男なのだから、こんな時に使わない手はないのだ。

 しかし、前述の通り、クラウドにはクラウドの目的がある。
乱用すべきではないと言われつつも、闇の力を行使し、異世界を渡り歩くのはその為だ。
故郷の事は全く気にならない訳ではないが、レオンを中心とした再建委員会は、クラウドがいなくても上手く回っている───と言う話をシドにした所、「夜中のパトロールを女にさせるのは感心しねえ」と言う言葉が返ってきた。
勿論、それが腕に覚えのあるレオンであるとしても同じ事だ、とその手で彼女達を育てて来た養父は言う。
シドもプログラム作業の合間に自ら街を見て回る事はあるが、彼が主な仕事と担っているのは、セキュリティ関連の整備である。
蔓延る影に対抗する術は少なからず有してはいるものの、機動力や持久力は、若い者の方が上だ。
その点について、彼は些か苦い顔をしつつ、俺の仕事はこっちだ、とセキュリティの強化改善を急いでいる。
こうした現状を見ていると、クラウドも流石に自分の目的のみに邁進するのは、少しばかり気が退けるようになっていた。

 そんな折にあって、レオンからパトロール強化、その人員追加についての打診である。
レオンにとっては幸運な事に、クラウドも自身の目的にのみ集中する事について、一考していた所だった。
が、やはり捨て置けない目的への意識は剥がせず、レオンやユフィ、エアリスのように慈善意識が高くない事を自覚しているクラウドは、一つ賭けをする事を条件に、故郷の復興に手を貸す事を約束した。

 先のレオンとクラウドの特訓は、その条件に組み込まれたプロセスである。
本気の勝負をして勝った方の命令を聞く───その為の特訓。
レオンはこれで自分が勝てば、一週間程クラウドをこの地に圧し留めて、復興に必要な力仕事とハートレス・ノーバディ退治を任せようと思っていた。
対してクラウドはと言うと、今夜は何があっても自分に逆らわない事を命令とした。
不穏な匂いがぷんぷんと漂った賭け勝負であったが、自分が勝てばほぼ無条件でクラウドに手伝いをさせる事が出来るので、レオンはこれに乗ったのだ。


(何を考えているのかは、大体予想がつくが……)


 賭けを言い出した時から、レオンはなんとなく、クラウドの考えが読めていた。
今夜云々と言ったので、その想像は確信へと変わっている。
だが、其処から先───逆らえないレオンに対し、クラウドが何を言い出すのかは、まだ判らない。

 頗る嫌な予感を抱えながら、溜息を零し、レオンは通い慣れた家路を歩いた。




 郊外に誂たレオンの家の周囲には、まだまだ人の気配はない。
セキュリティシステムが生きている範囲なので、安全は確保されているが、街の守りの頼みの綱と言える再建委員会の拠点の近くの方が、人々は安心できるのだろう。
商店の類も専らその周辺に集まるので、必然的に人が集まるのは其処であった。
もっと広い範囲で安全が確保され、人口密度が増えて行けば、少しずつ人の居住範囲も増えて行くのだろうが、まだまだ先の話になりそうだった。
それまで、レオンの家は閑静な環境が保たれるだろう。

 その閑静な環境にレオンが最も幸いと感じているのは、恋人であるクラウドとのセックスの時だ。
クラウドはレオンの喘ぐ声を聞くのが好きらしく、声を堪えるレオンの口を開かせようとする。
声を上げるまで延々とねちっこい攻めをされる内に、レオンの躯はすっかり開発され、性感帯を刺激されるとあられもない声を上げるようになってしまった。
レオンが家宅として利用しているのは、古びたアパートを改修工事したものなのだが、防音などの施工は成されていない。
若しもレオン以外の住民が隣近所にあれば、性交の最中の酷い声を聞かれてしまうだろう。
他人が近くに住むようになったら、引っ越しを考えるか、早い内に防音処理をシドに頼んだ方が良い───と考えて、その時まで現在の状況が続く事を諦め同然に受け入れている事に、些かの自己嫌悪を感じたりもするのだが、それはまた別の話である。

 特訓と、それ以前にはハートレスやノーバディ退治に終始していた為、汗や埃に塗れた体をシャワーで流す。
バスタブになみなみと張った湯に体を沈めれば、疲労した筋肉が解れるのが判って、レオンはゆっくりと深呼吸した。
緊張感が消えると、休息を求めた体に倣うようにして、脳が睡魔に誘われる。
自殺行為も同然の睡魔に身を委ねない内に、名残惜しさに後ろ髪を引かれつつ、レオンはバスルームを後にした。

 長く豊かな髪を乾かし終わるまで、しばしの時間が空く。
その間に、寝室にいるであろう男が寝落ちる事を願ってみるが、先ず無駄な願いである事も判り切っていた。
あいつも疲れていない訳じゃない筈だが、と思いつつ、レオンはバスローブ一枚を身に付けて、寝室へと向かう。

 男は、寝室のベッドの上にいた。
ベッド横の窓辺に頬杖を突いて、ぼんやりと夜の街を眺める横顔は、やや童顔ではあるが、整っている事は間違いない。
黙っていれば良い男なんだが、と思いつつ、レオンはベッド横に立った。
気配を察して、碧眼がゆっくりとレオンへと向けられる。


「早かったな」
「……そうでもないと思うが」


 クラウドの言葉に、レオンはサイドボードの時計を見て首を傾げた。
入浴前に確認した時間から三十分以上は経過しているので、いつもと変わりない筈。

 時計が遅れているのかな、と首を傾げるレオンの胸中を知らず、クラウドが口端を上げて言う。


「そんなに早く俺とのセックスが待ち遠しかったのか?」
「……言いたい事はそれだけか?」


 レオンの双眸が細められ、ベッドに腰掛けている男を見下ろす。
恐らくクラウドは、指摘されて恥ずかしがるレオンの貌が見たかったのだろうが、レオンは彼の思惑に乗る気はなかった。
自覚していつもよりもゆっくりとした入浴、着替えをしていたのだから、待ち遠しくて早く風呂を出た、なんて事は絶対に有り得ない。

 レオンの乾いた反応に、クラウドは「ちっ」と判り易く舌打ちしたが、直ぐに気を取り直す。
ぽんぽん、とベッドを叩いて座るように促すクラウドに、レオンは素直に従い、クラウドの隣に腰を下ろした。
直ぐに確りとした腕がレオンの腰に回され、バスローブの留め紐がしゅるりと解ける。


「約束、忘れるなよ」
「……判っている。が、一つだけ確認したい事がある」
「なんだ?」


 バスローブの袷が緩み、男の大きな手が布地の下に潜り込んで、むにゅ、とたわわな膨らみを掴む。
むにっ、もにっ、と乳房が揉まれる感覚に、レオンは眉根を寄せていた。


「逆らわないって言うのは……んっ、…今晩だけ、なのか?」
「ああ。だが、“今晩”だけだからと言って、日付が変わったからタイムアップって言う屁理屈はなしだからな」
「んっ……!」


 くりっ、と乳首を摘まれ、レオンの躯がビクッと跳ねる。
根本を絞るように指腹で挟み、クニクニと転がされて、レオンは唇を噛む。


「う、ん……っ」
「明確にタイムリミットを作るなら……やっぱり、“寝るまで”だろうな」
「あ…ん……っ」
「だからって、さっさと気絶するのはナシだぞ」


 この制約も、逆らってはいけない事なのだろう。
レオンは止む無く、大人しく頷いた。
褒めるように首筋にキスをされて、其処をぬるりと艶めかしい感触に撫でられ、ヒクン、とレオンの躯が震える。

 クラウドはレオンの首筋に舌を這わせながら、背中から抱き込むように前へと腕を回し、両手でレオンの乳房を揉む。
大剣を扱う大きな手であるが、豊満な乳房は其処から零れ落ちる程の大きさだ。
クラウドは指の隙間から柔肉の零れる感触を堪能しながら、その頂きを目指して、虫が歩くように十指を動かしている。


「ん、ん……あっ…」
「あんたの胸、俺の手に吸い付いて来る」
「…うぅん……っ」


 下乳を持ち上げて、絞るように手を丸めてやれば、レオンの父は瓢箪のような歪な形になった。
絞る手を離すと、ハリのある乳房はたぷんと弾んで元の形に戻る。
元の滑らかな形に戻った乳房にもう一度指を食い込ませ、もにゅっ、むにゅっ、と捏ねるように揉みしだく。

 袷の外れたバスローブは、レオンの腰回りにまとわりついている。
緩んだ裾下から、日焼けのない引き締まった太腿が伸びて、その狭間の恥丘がちらちらと裾の隙間から覗く。
其処に触れたい衝動を抑えながら、クラウドはレオンの乳肉を揉みほぐし続けていた。


「う、う……んんっ……!」
「乳首が膨らんできたな」
「言う、な……あっ…!」


 胸の頂の突起がぷっくりと膨らみ始めたのを見て、クラウドがうっそりと笑う。
レオンはじろりと傍らの男を睨んだが、膨らみの先端を爪で擦られて、思わず短い声が漏れてしまった。

 クラウドは睨むレオンの唇を自分のそれで塞ぎ、薄く開いていた歯の隙間から舌を入れた。
ぴくん、とレオンの躯が僅かに震えたが、直ぐに彼女の舌が絡められる。
艶めかしい感触の彼女の舌を、クラウドは絡めた舌で外へと誘い出し、ちゅく、ちゅる、と啜った。
ふるっ、ぴくっ、とレオンの躯が小刻みに震え、更に乳首の先端の穴を穿るように爪で擦ると、レオンはベッドシーツを握り締めて悶える。


「ん、んぁっ、ふ、ぅうん…っ」


 身を捩って男の手から逃げようとするレオンだが、クラウドが容易くそれを許す筈もなく、胸を鷲掴みにされて引き留められる。
むにゅんっ、と指を食い込ませ、柔らかな脂肪の奥にある神経を強く潰されて、「んぁっ!」と悲鳴に似た嬌声が上がった。

 食い込ませた指先に強弱をつけて、クラウドはレオンの乳房を刺激する。
短い呼吸を繰り返し、与えられる刺激に耐えようとするレオン。
そうして、流されまいと踏み止まろうと耐えるレオンの横顔は、頬が赤らみ、睫毛の長い目尻にはじんわりと雫の欠片が浮かんでいて、クラウドはもっと泣かせたい、と思う。
乳房の柔肉を遊んでいた手を頂きへ移動させ、膨らんだ乳首を摘む。
きゅっ、きゅうっ、と引っ張ってやれば、レオンは嫌がるように首を横に振った。


「あっ、やっ…あんっ」
「どんどん固くなってる」
「…っは……あっ、あっ…!」


 否定するようにもう一度首を横に振るレオンだったが、クラウドの指先には、コリコリとした固い感触があった。


「自分で触って確かめてみろ」
「な……うぅんっ!」


 ふざけた事を言うな、と言いかけたレオンだったが、きゅうっ!と左右の乳首を同時に摘まれ、くぐもった悲鳴に取って代わる。

 それなりに重みのある乳房を乳首だけで持ち上げられ、親指と中指で潰されたまま、人差し指で先端を引っ掻かれて、レオンは背を仰け反らせて甘い声を上げた。
摘まれた痛みで神経を尖らせた所へ、追い打ちのようにコリコリと乳頭を苛められて、レオンの躯がビクッビクッと跳ねる。


「あっ、あっ、あっ…!は、んぁっ…や…あぁっ!」
「忘れたのか?今夜、あんたは俺に逆らえないんだ」
「この……あぅんっ!」


 言う事を聞け、とでも言うように、乳首を強く引っ張られる。

  レオンはベッドシーツを握り締めていた手を持ち上げ、乳首を摘むクラウドの右手に触れた。
せめてもの意趣返しに、固い手の甲に爪を立ててやったが、背中からは如何にも愉しそうな気配が伝わるばかりだ。
摘まんでいた乳首が解放されると、じんじんとした感覚だけが其処に残る。
触れる空気にすら反応してしまう過敏な皮膚に、これから自分で触れなければならないと思うと、それだけでレオンの体の奥が濡れてしまう。

 震える指で、膨らんだ蕾の先端に触れる。
ぴりっ、と走った甘い痺れに、レオンの喉が小さく音を漏らした。


「んっ……!」
「俺の言った通り、固いだろ?」
「あっ…あぁ…っ」


 摘まれたままの左乳首をコリコリとくすぐられて、レオンは切ない声を上げる。


「自分で乳首弄ってみろ」
「………」
「ん?」


 無言で睨むレオンを、クラウドは笑みを梳いた顔で見返す。
後で覚えていろ、とレオンは思いながら、右の乳首に宛てていた指の爪を立て、コリッ、と先端を引っ掻いた。


「んぁっ……」
「摘まんで」
「う、ん……っ!」
「そのまま捏ねるんだ。こんな風にな」
「んっ、あっ、あっ…!」


 手本とばかりに、左の乳首を摘まんでいたクラウドの指が動き、蕾をクニクニと柔らかく潰して遊ぶ。
レオンはその指の動きを再現するように、右の乳首を自らの手で捏ね始めた。


「はっ…あっ…あぁっ……!」
「どんな感じがする?」
「や…あ……あんっ」


 己の有様を言えと言うクラウドに、レオンは首を横に振って口を噤んだ。
それを約束の違えとばかりに、クラウドは乳首を責める手を激しくする。

 蕾を柔らかく捏ねていた指先に力が入り、乳頭の付け根をぎゅうっと潰し、痛みでレオンの眉間に皺が浮かぶ。
直ぐに力は抜けて痛みは消えたが、痛覚で神経を刺激された所へ、爪先で同じ場所を擽られる。
動きを止めていたレオンの右手にはクラウドの手が重ねられ、乳首を摘んだ指先を操るように、クニックニッと上から指で押される。
左右の乳首を、しかし右側は自分の手で苛められる快感に、レオンははくはくと濡れた唇を開いたまま、甘味を孕んだ呼吸を繰り返す。


「あぁっ、あっ…んぁっ…!は、や…乳首ぃ……っんん!」
「そのまま捏ねてろよ。こう言う風にな」
「あぅうんっ」


 きゅうっ、と左の乳首を摘まれ、倣うように右の乳首を摘まんで引っ張られる。
左の乳首を伸ばされてコリコリと捏ね潰され、レオンは右手で同じ快感が得られるようにと動かし始めた。


「あっ、あっ…あっ…あぁっ……」
「気持ち良い時の声が出てる」
「ん、そんな、事……あぁっ、や、ああ…っ!ひ、引っ張るな……んんっ…!」


 否定を否定するように、左の乳首が強く引っ張られる。
痛みと快感の間の刺激に、レオンは背を仰け反らせた。

 右の乳房の下半分を掬い上げられ、指が食い込む。
その指を揃えて波打たせるように動かすと、たぷっ、たゆんっ、と乳房が弾む。
乳房が踊る度、摘まんだままの乳首が引っ張られて、レオンを苛んだ。


「あんたの胸、また育ったか?」
「は…あっ…んぁっ、やぁ……んっ…」
「毎回揉んでれば当然か。此処の成長期はまだ続きそうだな」


 左右の乳房を持ち上げ、中心に寄せ併せて、餅を混ぜ捏ねるように揉むクラウド。
ぷっくりと膨らんだ左の乳首は、散々引っ張られた所為か、心なしかその首を長くしているように見えた。
熟した果実のような色をしたそれが、クラウドの手の動きに合わせるように、右へ左へ彷徨う。


「あっ、あっ、や…乳首、あぁっ…の、伸びるぅ……っ」
「ああ。そっち、もう離しても良いぞ」
「は、はぁっ……うぅん…っ」


 クラウドの指示を受けて、レオンはようやく敏感になった乳首からの責苦から解放された。
しかし、刺激から解放されたにも関わらず、レオンの左右の乳首にはじんじんとした甘い痺れが生まれていて、柔肉を揉みし抱かれる度に、その痺れが胸全体へと広がって行く気がする。

 むずむずとした感覚の残る乳首に、レオンは無意識に指を宛てていた。
痒みに似た感覚を誤魔化す為の仕種であったが、傍目には解放された筈の快感を再び欲しがっているように見える。
クラウドはそんなレオンをベッドへと押し倒すと、彼女の腹の上に跨った。


「あんたばっかり気持ち良くなってるのは、ずるいだろ」
「は…お、お前が、勝手に……あぁん…っ!」


 口答えへの罰、とクラウドの両手がレオンの胸を握る。
強い力で絞るように揉まれ、レオンは胸を逃がすように、背を仰け反らせて胸部を上へ上へとずらして行く。
が、腹の上に乗った男にしてみれば、豊満な乳房を捧げ差し出しているに過ぎなかった。


「あっ、やぁっ…!む、胸は…もう、あっ、あっ、乳首だめぇっ」


 搾り押し上げた乳房の頂きに、クラウドは吸い付いた。
ちゅうちゅうとわざとらしく音を立てて啜ってやれば、ビクッ、ビクッ、とレオンの躯が跳ねる。
長い髪を振り乱すレオンの、仰け反り晒された白い喉を見ながら、食い破ってみたいな、とクラウドは凶暴な衝動を煽られる。

 固くなった乳首に歯を当てて、上へと引っ張り持ち上げる。
歯の食い込む痛みにレオンが高い悲鳴を上げて、いやいやと頭を振った。
逆の乳首は指の腹で乳頭を押し潰し、山の中に沈めて、ぐりぐりと捏ねてやる。


「や、んぁっ…痛…あっあっ、あぁ…っ!」
「んん、」
「はっあっ…だ、だめ…本当に、ちぎれ、あうぅ…っ!」


 きりきりと乳首と乳輪の付け根に食い込む歯に、レオンは顔を顰めていた。
目尻に滲んだ雫が大きくなって行くのを見上げながら、クラウドは口を離す。


「痛かったか」
「ん、ん…当たり、前……あんっ!」
「でも気持ち良かったんだろ?ほら、正直に言え」
「はっ、あんっ、あぁっ…!いや、あうんっ!」


 ぎゅうっ、と左右の乳首を強く抓られて、レオンはビクン!と躯を弓形に撓らせる。
クラウドは左右の乳首を引っ張って乳房を寄せ合わせると、乳頭を揃えてクリクリと押し合わせた。


「あっ、あっ、だめっ、あぁっ…!ち、乳首が…擦れて、んんっ、感じてぇっ……!」
「気持ち良いだろ?」
「ん、うんっ…あっ…!はひっ、んっ、あぁっ…!」


 レオンは微かに首を縦に振った。
そうしなければ、目の前の男の悪戯から解放されないからだ。
しかし、頷いた事で───自分の本音は如何であれ───男の言葉を認めてしまったようにも思えて、羞恥と同時に熱が昂るのが判る。

 レオンが頷くのを見て、クラウドは彼女の乳首を責める手を止めた。
手が離れれば、胸を持ち上げていた力がなくなって、西瓜のような豊満な乳房が重力に従い、たゆん、と左右に割れて垂れる。
散々苛められた乳首が、触れる空気にすら感じるように、ピクッ、ピクッ、と微かに震えた。


「は…はあ…あぁ……っ」


 レオンはベッドに後頭部を押し付けて、くったりと躯を白波に沈め、艶を孕んだ呼吸を繰り返している。
跨るクラウドの股間の下では、薄く腹筋を浮かせた腹が大きく上下していた。
乳首を弄られている間、もがくように何度もシーツを蹴っていた足も、力を失ったように投げ出されていた。

 汗ばんで火照りを浮かせている恋人の痴態を見下ろしながら、クラウドは猛った雄を取り出して、レオンの胸の上で突き出す。
鼻腔をついた雄の匂いに、レオンが顔を向けると、至極楽しそうな顔をした男と目が合った。


「パイズリしてくれ」
「……は……?」
「拒否権はなしだからな」


 判ってるよな、と言って、ペニスをレオンの貌に近付けるクラウド。
ふに、と濡れた唇に先端が当たって、レオンは思わず顔を背けた。
が、クラウドは構わず、レオンの頬にぐりぐりとペニスの先端を押し当てて来る。


「うぅ、ん……っ」
「判るだろ。胸で挟んでマッサージする奴」
「や……あぁんっ!」


 赤らめた顔を背けるレオンに、仕置きとばかりにクラウドが乳首を摘んだ。
つい先程まで弄られ続け、すっかり性感帯として解放された場所への再びの刺激に、レオンの微かな抵抗心は容易く折れてしまう。


「あっ、わ、判った…んっ!す、するから…あっ、乳首、もう、うぅんっ」


 必死に受諾するレオンの様子に、クラウドは満足げな表情を浮かべて、彼女の乳首から手を離す。

 レオンは乳房を庇うように両腕で掬い上げると、胸の上に差し出されている雄を見た。
ペニスは興奮状態を示すように、既に幾らか膨脹しており、薄らと血管を浮かせている。
蒸れた様な匂いがするのは気の所為だろうか。
レオンは深く考えないように努めて、シーツと背中の間に枕を挟み、重力に従おうとする胸を支え持ち上げて、そっと雄を挟み込んだ。


「……ん…っ」
「うぉ……!」


 クラウドの手で揉みし抱かれたお陰で、レオンの乳はハリを残しつつも柔らかく仕上がっている。
きめ細やかなしっとりとした肌が、柔らかく形を変えて雄を包み、まるで吸い付くようにぴったりと肌を隙間なく密着させる。

 寄せ合わせた胸の中で、どくん、どくん、と生物が脈を打っているのが伝わって、レオンの頬の朱色が濃くなった。
眼前には、胸の谷間から頭だけを出している雄肉がある。
ただ見ただけなら何度もある事だったが、こんなにも至近距離で見ると言うのは、フェラチオをする時位のものだろう。
それも滅多にない話だ。
まじまじと観察する事に躊躇はすれども、目を逸らす事も出来ず、レオンの視線は右往左往と彷徨った。


「レオン」
「う……」


 やる事はこれで終わりではないのだと、クラウドが促す。
レオンは赤い顔を顰めて、胸を寄せる手を動かし始めた。

 乳の左右に手を添えて、谷間に挟んだ雄を押し潰すように、乳房を押しては放す。
圧力がかかる度に、雄がぴくっ、ぴくっ、と動くのが眼前で確認できるのが、レオンには何とも言えない心持になってしまう。


(…変な気分になりそうだ……)


 乳房を押し、間に挟んだ肉剣を潰すようにマッサージしながら、レオンは思った。
見下ろす男はと言うと、至極楽しそうな貌で、碧眼をぎらぎらと輝かせている。
出来るだけその視線を意識するまいとするレオンだったが、平時から気配に聡い性分の所為か、具に観察する男の視線を知らぬ振りをするのは、レオンには難しかった。

 持ち上げた乳房を上下に持ち上げて動かすと、ペニスが乳股を出入りする。
谷間に滲んだ汗が雄に纏わりついて、蒸した匂いを誘発していた。
鼻先で香る雄の匂いに、レオンの呼気が逸って行き、半開きになった唇からは熱を孕んだ呼吸が漏れている。
にゅるっ、にゅるっ……とペニスが隙間を潜る度、レオンは無意識に膝を擦り合わせていた。


「んっ…ん…っ」
「俺も動くぞ」
「ああっ……!」


 言うなり、クラウドはベッドのヘッドボードに捉まり、腰を前後に揺らし始めた。
ぬりゅっ、と退いたペニスが、すっぽりと乳房の中に埋まり、狭間を押し広げるようにカリ首を引っ掛けながら再び顔を出す。
にゅぽっ、にゅぽっ、と激しく出入りするペニスと、その都度閉じては押し広げられる谷間の光景に、レオンは先も感じた“変な気分”がむくむくと膨らんで行くのが判った。


「う、んっ…んんっ……あっ…!」
「あんたもちゃんとやってくれ」
「あっ、あっ…う、んっ……ふ、ぅ…っ」


 ちゃんとも何も、この状態でこれ以上何をしろと。
レオンはそう思ったが、今日は反論すらも赦されないので、言われるがままにするしかない。


「は、う…んっ、うぅんっ……!」
「ふっ、くっ……んっ!」
(ん、くっ……カリが、あっ…中で、引っ掛かって……っ)


 雄が谷間を出入りする度、狭間の溝にカリ首が当たるのが判る。
凹凸のあるものが柔肉を押し退けて動く度に、レオンは陰部が疼くのを感じていた。
ペニスを挟んだ谷間がじっとりと汗ばみ、下乳の隙間にもじわじわと汗粒が滲んでいる。
乳房を掬う両手が柔肉に沈み、むにっ、むにっ、と肉の奥の神経を刺激した。


「はっ、あっ…あっ……、やぁ…んっ」
「レオン。あんた、やらしい顔になってるぞ」
「んっ、見るな……あ、ふぅっ……!」


 見下ろす男がくつくつと楽しげに笑えば、その振動がペニスを通してレオンの胸にも伝わって来る。

 埋もれていたペニスが、ぴったりと寄せ合わされた乳肉を押し除けて、にゅぽっ、と頭を出す。
引っ込んでは顔を出す、それを繰り返す眼前の光景は、レオンは酷く卑猥なものに見えて仕方がない。


(これって……んんっ…、いや、考えるな……んっ、濡れる、ぅ……っ)


 じゅわり、としたものが下肢に滲むのを感じて、レオンは太腿を擦り合わせて身を捩る。
こっそりと行ったつもりの仕種だが、見下ろす男には何もかも見られていた。


「なあ、レオン。あんたが何考えてるか、当ててやろうか」
「いらない……あぅんっ!」


 にゅぷんっ!とペニスが谷間を勢いよく潜る。
乳房の下で丸い柔らかい球が二つ当たったのが判った。


「まんこをちんこで攻められてるのを、内側から見てる───そんな感じなんだろう?」
「ば…そんな……あっ!」


 クラウドの言葉に顔を真っ赤にして否定しようとしたレオンだったが、にゅるうっ、とペニスが下がって乳肉の内狭間を擦る感触に声を上げる。

 クラウドはヘッドボードに捉まっていた手を放し、膝立ちになって、レオンの乳房を両手で挟んだ。
むにゅうっ、と形を歪ませて密着した中心を、にゅるっ、にゅるっ、と肉棒が激しく出入りする。
豊満な乳房の中に隠れては頭を出すペニスに、皮膚を扱かれるのを感じて、レオンはクラウドの腕を掴んで頭を振った。


「あっ、あっ、やっ…はぁ…っ!」
「俺もそう見える。あんたのまんこも、こんな風に柔らかくて、俺にまとわりついてくる。締まると、こう言う風に───」
「うぅんっ!」


 むにゅうっ、とレオンの胸が左右から押されて、ペニスをぎゅうっと圧迫する。
クラウドはそのまま腰を動かし、膨らんだペニスの亀頭の括れを乳肉に擦りつけるように前後させる。


「こうやって俺のちんこに吸い付いて放さないんだ」
「あふ、あっ、あっ…!んっ、動かすな……っ!こ、擦れて…あんっ、熱いぃ…っ!」


 レオンは乳房を挟むクラウドの手を振り払おうとするが、クラウドは全く意に介さない。
クラウドの手は離れる所か、乳房を圧迫しながら、五指を動かしてむにゅむにゅと柔肉を揉んでいる。
ついたばかりの餅のように形を変える乳房に、クラウドはくつくつと笑い、


「まんこみたいだ、あんたの胸」
「バカ……っ!」
「良いじゃないか、おっぱいまんこ。あんたも気持ち良いだろう?」
「だから、あっ、バカを言う、な……あぁっ!あっ、乳首ぃっ!引っ張るなぁあ…っ!」


 クラウドはレオンの両乳首を摘むと、上に向かって引っ張った。
再び持ち上げられた乳房の重みに引っ張られ、敏感な乳首が引っ張られる快感に、レオンは堪らず身を捩る。


「あぁっ、んぁ…っ!や、あ…ち、乳首ぃ…あっ、お、おっぱいがぁ…っ!あっ、あっ、んんっ、や、動、いたらぁ…っ!」


 乳首を揃えて片手の人差し指、中指、薬指で摘まみ上げたまま、クラウドは腰を振る。
涙の形を思わせる形に伸びる乳房の谷間を、膣口に見立てるように、ペニスが何度も出入りする。


「ク、クラウド…あっ、だめ、乳首…んっ♡は、離せ…離してぇ…っ!」
「駄目だ。それに今日は、あんたは俺に逆らわないって約束だ。ほら、パイズリ続けろ」


 明らかな命令口調の男に、レオンは忌々しさが募るが、乳首から響く痛みと快感には逆らえなかった。
クラウドの腕を掴んでいた手を放し、乳房を折り畳んだ腕で挟む。
胸の谷間がペニスの形に歪んで、出入りに合わせて肉の形を変えている。


「はっ、あっ、うぅん…っ!む、胸…あっ、熱い……あぁっ…!」
「気持ち良いだろ?おっぱいまんこ。素直に言え」
「あぁあ……っ!」


 従う事を促すように、摘まれた乳首を左右に揺すられる。
乳房がたぷっ、たぷっ、と左右に揺れて弾み、挟んだペニスが柔肉の内側を抉るように突き上げる。
谷間の底にカリの凹凸が当たって、レオンの背をぞくぞくとしたものが奔った。


「あぁっ…あっ、んん…っ!お、おっぱい…あっ、い、うぅんっ…!おっぱい、き、きもち、いぃ…あぁんっ♡」


 にゅぽっ!とペニスが後ろに引き抜かれ、かと思うと再び谷間に侵入する。
根本まで一気に突き入れれば、向こう側まで潜り抜けて、レオンの口元にペニスが突き付けられる。


「んっ、お、大き…い……んんっ!」


 先端がレオンの口元に押し付けられて、レオンは堪らず口を噤んだ。
しかし、ペニスは構わず、レオンの唇を開かせようと、舌唇を突いて来る。


「ん、んんっ……うぅん…っ」
「口、開けて。舐めてくれ」
「ん、くぅ……っ!」


 乳房をペニスに犯されながら、フェラチオをしろと言うのだ。
レオンは唇を強く引き結んだが、摘まみ上げられた乳首の先端を、爪でコリコリと擦られて、堪らず悲鳴を上げる。


「ああっ、やっ、んぷぅっ!」
「口まんこも暖かくて気持ち良いぞ」
「んぶっ、ふぉうっ…!うぅん…っ!」


 悲鳴を上げた瞬間、開いた口に、すかさずペニスが突きいれられた。

 乳の谷間を前後に行ったり来たりをしながら、レオンの咥内を突き上げるペニス。
レオンはシーツの波を蹴って抵抗を試みるが、上半身に伸し掛かっている男には、意味のない抵抗であった。
寧ろ、じたばたと足を暴れさせながら、ビクッ、ビクッ、と体を震わせる恋人の姿に、クラウドの欲望は益々昂って行く。


「ふっ、あぶっ、うぅんっ♡んっ、んっ、おふっ…!」
「フェラとパイズリ、ちゃんと続けろ」
「んぉ、おっ、あむぅ…っ♡はむっ、んっ、んぷっ♡」


 レオンは両腕で挟んだ乳房を寄せ併せながら、左右のタイミングをずらして、前後に揺すった。
乳首を摘まれ持ち上げられたままの乳房は、水風船のような膨らみを波打つように前後に揺らし、ペニスの竿全体を万遍なく扱いている。
どくどくと脈打つ雄の熱を胸に感じながら、レオンは咥内の亀頭部に舌を絡めた。
唾液を絡めて、舐め映すようにねっとりと舌を這わせる。
激しく前後に動くペニスに、レオンの小さな口から亀頭部の太い場所が何度も出入りする。
子宮口を突いている時の様子は、こんな風なのだろうか、と思ったクラウドの雄が、判り易く膨脹した。


「んんぅっ……!」


 胸に伝わる脈の動きと、口の中を我が物顔で蹂躙するペニスに、レオンの眉根が寄せられる。
傷の奔る眉間に深い皺が寄せられたが、クラウドはそれを笑みを浮かべて見下ろしていた。
レオンが苦しげな表情をする度、口の奥が窄まって、クラウドのペニスを締め付けるように絡み付いて来るのが気持ちが良い。
何より、目尻に涙を浮かべながらも、必死に奉仕に従事する恋人の姿が、クラウドの雄の支配欲を満たして行く。


「は、はむっ…んむっ♡んちゅ、ふ、あぁっ…!ん、ふくぅ…うぅんっ…♡」
「は、く……良いぞ、レオン。出そうだ…っ!」
「う、うぶっ…!んっ、ふっ、うぅんっ」


 レオンの咥内で、唾液とは違う、苦いものがまとわりついている。
ペニスの先端からは先走りの汁が溢れ出し、レオンの口の中を汚濁に染めようとしていた。

 直に迎えるであろう射精の瞬間を想像して、レオンは腰の下がきゅううっと切なくなった。
足先が縮こまるように丸まって、立てた膝が忙しなく擦り合わされる。
クラウドは肩越しに見えたその仕草に、くつりと笑って、摘まみ上げていたレオンの乳首に爪を立ててコリコリと擦り始めた。


「んんっ♡んっ、んぅうーっ♡」


 ビクッビクッビクッ、と躯を震わせ、不自由な躯を捩らせるレオン。
持ち上げられたままの乳房が左右にたぷったぷっと揺れた。


「乳首はもう嫌か?」
「ふっ、あふっ…、うぅんっ♡んく…っ、ふあう…っ!」


 左右の乳首を揃えて挟んでいた指がするりと解け、たゆん、とたわわな乳房が落ちる。
乳首から名残の痛みと刺激がじんじんと伝わって、レオンは頭を振ってそれを誤魔化そうとした。

 しかし、レオンが休む暇も無く、クラウドは乳房を絞るように掴んで、真ん中へと寄せ合わせた。
みっちりと重ね合わさった谷間の中を、ずぽっずぽっずぽっ、とペニスが出入りする。


「んっ、んっ!うっ、んんっ、ふぅんっ♡」
「う、く、ふぅっ!んっ、レオン…!出る…っ!」
「んんっ、うぅんっ…!ふっ、おふぅううんっ♡」


 びゅるるるるっ!と濃い粘液がレオンの喉奥に吐き出され、レオンは呼吸を忘れてそれを受け止める。
喉の奥から鼻へ、据えたような匂いがツンと突き抜けた。
気管に絡んだ粘液への反射反応で咳き込むと、雄を咥えた口端からごぷっ、こぷっ、と白濁液が溢れ出す。


「うっ、おぐっ…!うぅ、んはぁっ…!」
「ううっ……!」


 ずるりと口から出て行ったペニスが、レオンの眼前で腹筋運動をするように上下に跳ねて、精液を撒き散らす。
吐き出された粘液が、レオンの顔へと降り注いだ。


「あっ、うっ、んっ…!うぅん…っ♡」
「は……うっ、うっ、」
「あっ、クラウド、あっ、やっ…!う、動かな…あぁっ…!」


 射精の勢いが僅かに弱まると、クラウドは息を詰めて、レオンの乳房を押し潰しながら律動を再開させた。
レオンの唾液と、クラウドの精液でどろどろに汚れたペニスが、乳房の谷間を犯し続ける。


「だ、だめ、あっあっ…!む、胸…もう、離して……あぁっ♡」
「まだだ。おっぱいまんこに、まだ中出ししてない」
「な、中出しって…バカ言う、あっ、あぅんっ♡や…こ、擦れてる…っ!胸に、あぁっ!いやっ、胸、潰すなぁ…っ!」
「あんたも欲しいだろ?中に欲しいっていつも言うじゃないか」
「あっ、あっ、あっ…!」


 むにっ、むにっ、と乳を揉み潰しながら、愉しそうな顔で指示するクラウド。
レオンは顔を赤らめ、涙の滲んだ目で男を見上げた。
雄の色で満ちた碧眼に射抜かれて、レオンの濡れた唇が戦慄き、甘い吐息が零れ落ちた。

 どくっ、どくっ、とペニスが一際大きく脈を打つ。
体の奥から競り上がる衝動に逆らわず、びゅくんっ!とクラウドはレオンの乳房の中に精液を吐き出した。


「あぁあああ……っ!」


 熱いものが胸部の溝を満たしていくのを感じて、レオンは声を上げる。
どろどろとした粘液が其処に溢れ、隙間を滑るように流れて行く。