ミルクタンク・サーバー


 レオンには、限られた身内のみが知る秘密がある。
本音を言えば、その限られた身内にすら、秘密にして置きたかったと思う。
しかし、一人は当時余りの出来事にパニックになった自分から相談し、もう一人には油断していた所で醜態を晒してしまい、知られる事となった。
彼等もそれを知った時には仰天し、それぞれ慌てたものだったが、彼等の懸念は悉く空振りし、レオン自身もその手の事には───それが訪れた当時はまだ───全く心当たりがなく、レオンがどうしてそんな秘密を抱える羽目になったのかは、判っていないままだ。
結局の所、今でもその原因についてははっきりとしておらず、しぶとく調べた末、“条件が揃えば、有り得ない事ではない”と言う程度だった。

 それが初めて起きた時、余りの事に病気ではないかと思った。
いつも冷静であろうとした仮面も忘れ、養い親に泣き付いて、病院に連れて行って貰った。
結果はと言うと、体は至って健康で、どうも前述の“条件”にも当てはまらない程、何も異常な所が見られないと言う。
こうなると“反って異常”だ。
精神的なものから来る体内バランスの乱れから、この現象が起きるパターンも皆無とは言えないが、あの頃に住んでいた場所では、其処まで判断できる医者はいなかった。
養い親からは、ともかく病気ではなかった事は良かったんだと宥められ、きっと一時的なものだろうから、直に終わってしまうと慰められた。
医者も同じような事を言っていたと思う(パニックと不安の記憶が殆どで、よくよく覚えていないが)。
ともかく落ち着くまで様子を見る事になり、数日すると止まった。
取り敢えず、養い親には件が終わった事を報告し、一先ず良かった、と安心した───のだが、それから一か月後、またも同じ現象に見舞われた。
それはまた数日が経つと止まり、また一ヶ月が経つとまた訪れ……と言う具合で、何度も何度もレオンを襲った。

 初めてその現象に見舞われてから歳月が経ち、本来の意味で“そう”なっていても可笑しくない年齢になった。
それだけ経歴を重ねれば、厭が応にも慣れて来る。
慣れる事は全く喜ばしくなかったが、月もののようなものと思えば、受け入れるしかない。
しかし、それと同じに比べるのなら、月のものの方が楽だ、とも思う。
レオンは重い方なので、決してそれ自体が楽と言う訳ではなかったが、月に一度のそれは比較的乱れる事なく来るので、心構えも出来る。
対して、レオンが抱えている秘密は、月に一度だけではなく、不定期に、何度も何度も襲ってくるのだ。
一日で終わる事があれば良い方で、二日か三日も続く事も多く、時には一週間近く退いてくれない事もあった。
きっと世の中には、これがない所為で苦労をしている人々もいるだろうに、必要ない筈の自分が何故……といつも思うが、この問いに答えてくれる人は未だ現れない。




 じわ、とした湿り気を感じて、レオンは眉根を寄せた。
数日前から胸が張っているような気がしていたが、こうなるともう気の所為では済まない。
念の為、下着の中にパットは入れて置いたので、服が汚れる心配はないが、問題はそれだけではない。

 レオンはコンピューターを触る手を止めて、後ろで別のコンピューターを触っているエアリスを見た。
エアリスはトロンと話をしているようで、何か喋っているのが聞こえる。
内容はレオンには聞こえないが、エアリスの朗らかな様子から見るに、雑談をしているのだろう。
緊急に瀕した連絡事項がないのなら、レオンがこの場を離れても問題ない。

 じんじんとした痛みすら訴え始めた胸を少し撫でて宥めると、レオンはモニターに映る自分の顔を確認してから、何事もない表情で振り返った。


「エアリス。俺はそろそろ上がる」
「もう?早いね。でも、偶にはその方が良いね」


 普段、とっぷりと夜が更けるまで此処に篭っているレオンである。
時計を見れば、夕暮れは既に過ぎているが、夜中と言うには早い時間だ。
あちこちの民家で食事の香りが漂うこのタイミングで帰るのは、確かにレオンにしては珍しい事だ。

 急ぎの確認が必要な案件もないとあってか、エアリスは特に疑う様子はなく、「明日ね」と言った。
彼女はまたトロンと話をしているつもりらしい。

 レオンがコンピュータールームを出て行くと、アンセムの資料室と繋がる通路で、シドと逢った。
目当ての資料を腕に抱え、火のついていない煙草を噛みながら歩くシドは、年長の養い子を見付けると、おう、と声をかけた。


「休憩か?」
「いや、もう上がる」
「早いな」
「ちょっと、その……あれが来てしまったから」


 言葉を選ぼうにも、今更シドに隠す意味もなく、誤魔化せる言葉も見付からなかったので、遠回しに正直に言った。
シドは特に驚く様子は無く、


「気ぃ付けて帰れよ」
「ああ」


 深く心配する訳でもなく、いつも通りの言葉を投げてくれるシドが、レオンには有難い。
奇妙な体質を持ってしまった養い子を、他の少女達と同じように扱ってくれるお陰で、レオンも彼女達と普段通りに接する事が出来るのだ。
出来るだけこの体質を他人に知られたくないと思うレオンにとっては、大事な事だった。

 城を出て、機械と瓦礫で入り組んだ道を抜ける。
通り過ぎる街並みを眺める余裕もなく、足早に進み、自宅のある街の外れへ。
その間にも、じわじわと湿り気が強くなっているのを感じて、このままだとパッドでは受け止めきれなくなりそうで、その前に帰ろうと、億劫ではあったが走った。
擦れる痛みを堪えながら走るレオンに、街行く人々が声をかけたが、レオンは挨拶もそこそこに駆け抜けて行った。
途中でユフィを見た気がするが、あまり覚えていない。
明日、彼女に何か聞かれたら、家の空調を点けっぱなしだったんだ、とでも言って誤魔化そう。

 いつもなら瓦礫の一つ二つは軽く飛び越えられるのだが、今日はそうも行かなかった。
下手に体に振動を与えたら、堪えているものが飛び出して来そうだ。
本当に厄介な体質だ、と誰に対してでもなく愚痴を零すのは、一度や二度ではない。

 城を出てから十分弱、いつものんびりと歩いて帰っている時に比べたら、半分以下の時間だ。
階段を駆け上がり、二階の自室の鍵を開け、敷居を潜ってバタン!と勢いよくドアを閉める。


「────っは…はぁ……はあ……っ」


 上がった呼吸を整える暇もなく、レオンは靴を脱いだ。
よろよろと覚束ない足取りで奥の寝室に入り、ジャケットを脱ぐ。
更にシャツも脱いだ後、レオンは恐る恐る、ブラジャーのカップを浮かせた。


「う……っ」


 甘ったるい匂いがむわっと立ち上って、レオンは顔を顰める。
その匂いのもとは、ブラジャーのパットに押し当てたガーゼと、其処に擦り当てられている赤い蕾だ。
蕾の先端の小さな窄みから、トロトロと白いものが溢れ出している。
牛乳程度に粘度を含んだその液体は、レオンの乳から出て来た、母乳であった。


「やっぱり……」


 レオンはうんざりとした表情で溜息を吐いた。
ついこの間、終わったばかりなのに、また来てしまった。
いや、前は一日だけで終わったから、休憩が挟まれただけだったのだろうか。
どちらにせよ、そのまま止まっていてくれれば良かったのに、と思う。

 鬱々とした表情でパットの中を見ていたレオンだったが、このままで過ごしていてもどうにもならない。
経験則であった。
なってしまったものは仕方がないと割り切って、出来る対処をしなければ。
そうしないと、この母乳はいつまでも出続けてしまうのだ。

 レオンはブラジャーのカップを胸に当てて、大きな乳房を抱えるように腕を添え、のろのろと風呂場へ向かった。
出ている所を見た所為か、無性に胸が熱い。
自覚してから早い内に戻って来れたのは幸いだった。
こんな風になってからでは、街を走って此処まで帰る事も出来なかっただろう。

 風呂の前の脱衣所で、抱えていた胸から手を離す。
たゆん、と揺れる乳房が、いつもよりも重い気がしてならない。
早くその重みから解放されたくて、レオンは急いた手付きで腰のベルトを抜き、ズボンを下ろした────その時だ。


「レオン」
「!!」


 名前を呼ぶ声と共に、背中に大きなものが覆い被さる。
何が、と困惑した直後、視界の端に映った金色の鶏冠を見て、レオンの頬が火がついたように真っ赤になった。


「クラウドっ、お前いつの間に、」
「あんたが帰って来る前から此処にいた」
「な……」


 背中に抱き付き虫になった男の台詞に、レオンは絶句した。
レオンの家は、玄関から寝室までの間に、リビングダイニングがある。
クラウドはふらりと帰って来た時、大抵其処にいるのだが、先のレオンは彼の存在に全く気付いていなかった。
声もかけたぞ、とクラウドは言うが、自分の事で頭が一杯になっていたレオンには聞こえていなかったのである。

 なんたる醜態、とレオンが人魂を飛ばしている暇はない。
抱き付いていたクラウドの武骨な手が、するりとレオンの腹を撫でた。


「おい、止めろ」
「良いじゃないか、別に」
「良くない。俺はこれから風呂に入るんだ」
「じゃあ俺も入る」
「駄目だ」


 いけしゃあしゃあと甘えてくる男を、レオンはぴしゃりと跳ねつけた。
出来れば物理的にも跳ね飛ばしてやりたかったが、じんじんと熱を生む胸の所為で、まともに体に力が入らない。
クラウドもそれを判っているのだろう、剣胼胝のある手がソフトタッチでレオンの肌を這い回る。


「クラウド!」
「良いだろう、一緒に入る位」
「良くない!俺はやる事が────ああっ!」


 レオンの訴える言葉は、最後まで形にならなかった。
肌を張っていた手が、レオンの豊満な乳房をぎゅうっと鷲掴みにしたからだ。
無遠慮な痛みと、それ以上に体の奥から溢れ出してくる熱に、レオンの躯がぶるっと震える。

 クラウドはレオンの後ろ髪から覗く首筋に舌を這わせながら、レオンの右の乳房を揉む。
むにゅっ、むにぃ、と食い込んだ指で不規則に歪む胸を覗き見しながら、クラウドはレオンのショーツの紐に指を引っ掛ける。


「あっ、んん……っ」
「手伝ってやるから」
「要らない……!」
「そう言うな」


 しゅるり、とショーツのサイドの紐が解かれ、ショーツが床に落ちる。
咄嗟に拾い掴もうとレオンの手が伸ばされるが、遅かった。
更にブラジャーも背中のホックを外され、カップの中のパットとガーゼごと奪い取られてしまう。


「やめろって言ってるだろう!自分でやるから、」
「自分で絞ると、いつも上手く出来てないだろ。出せるだけ出した方が止まるのも早いんだから、大人しく吸わせろ」
「それがお前の本音だろう!」


 最後の一言にレオンが米神に筋を浮かせて睨めば、しまった、と言うようにクラウドが明後日の方向を向く。
その隙に、レオンは足下に絡まっていたズボンを脱ぎ放ると、風呂場に駆け込み、ドアを閉めた。
あ、と言う呆気に取られた声が聞こえる。


「全く……こっちは大変なんだからな…」


 ぶつぶつと呟きながら、レオンはシャワーのコックを捻る。
泣きだしたシャワーの温度を少し熱めにして、レオンは一度頭から湯を被った。
走って来た時の汗を洗い流して一息吐くと、湯の川が流れる床に座り、張り詰めた感覚に苛まれている乳房を、両手で下から持ち上げる。


「ん……っ」


 詰まっている物の量を知らしめるような重さがある。
いつも抱えている重みと大差ないのかも知れないが、体感ではそんな気がするのだ。
さっきよりも余計に膨らんでいるように思うのは、クラウドの悪戯の所為だろうか。

 クラウドが揉んだ右胸がじんじんとするので、レオンはそちらを先にした。
左手で乳房を中央へと寄せながら、右手で乳輪の縁を指で挟むように掴んで、中へと押し込むように乳房を押す。


「……んんんっ…!」


 それだけで、ぴゅるるっ、と母乳が噴き出した。
乳首の中を熱いものが出口に向かって押し出される感覚に、レオンは鼻にかかった吐息を漏らす。


「…っは…んっ……!」


 一回だけで治まるのなら、こんなにも苦労はしない。
レオンは二度、三度と同じように乳房をプッシュして、乳管に溜まっていたミルクを押し出した。


「はあ…ああ……っ、く…う……っ」


 出さなければ胸が張って苦しい上、溢れ出した乳の所為で服が酷い有様になる。
だからこうやって毎回絞っているのだが、これも生半な事ではなかった。
張り詰めた乳房は、神経まで一緒に張り詰めているのか、少し触れるだけで体にびりびりと電流が奔る。
その痺れは、クラウドによって昂らされている時に味わうものと同じで、レオンは母乳を絞り出す度に、その疼きを思い出してしまう。

 絞っている内、段々と右の乳房からの乳の出が少なくなってきた。
まだ胸の張り詰めた感覚は消えていないが、そちらばかりを対処している訳にもいかない。
今度は左の乳房に手を添えて、同じように乳輪を膨らませるように指で挟みながら、胸をプッシュする。
待たされた所為か、ぴゅるぅううっ、と勢いよくミルクが噴いた。


「あ、んぅ……っ!」


 乳首の内側からくすぐられているようで、レオンは喉奥から零れそうになる嬌声を噛み殺した。


「ふ…う……っくぅ…」


 レオンは乳房を抱えるように持ち上げて、乳首を上に向かせた。
薄く開いた眼の前で、乳房に指を埋めると、母乳が溢れ出してレオンの胸に飛沫を落とす。
店で買う牛乳のような、微かにとろみを帯びた濃い白液が、レオンのまろい乳袋を伝い落ちる。


「はあ…ああ…うぅん……っ」


 レオンの唇から零れる吐息には、熱が篭っていた。
絞れば絞る程、胸から広がる熱は体全体へと伝播して行き、レオンの躯を官能に捕らえようとする。

 床に座り、立てていた膝がもじもじと身動ぐ。
引き締まった腰が微かに戦慄いて、腹の奥からじゅわりと熱いものが滲むのが判った。


「くふ……うっ、んん……っ!」


 このまま搾り続けていたら、変な気分になる。
レオンはそう思って、絞る力を強めた。
人差し指と中指で乳輪を挟み、乳管を締めるように意識して、乳房をぐううっと押し潰す。


「あっ、ああ…っ!んくぅううっ…!」


 胸の奥から迫る劣情に、レオンはビクビクと四肢を震わせながら、天井を仰いだ。
左の乳首からぴゅるるるっ、とミルクが溢れ出して、レオンの躯を汚す。

 噴出される乳汁は、シャワーの温水で直ぐに流れて行き、レオンの躯は直ぐに綺麗に洗われた。
しかし、胸の張りは未だ幾らも解されず、寧ろより強くなったような気がする。
今溜まっているものを出し切らなければ、この胸の疼きは治まらないのだが、乳を絞れば絞る程、レオンの躯は昂ってしまう。
これでは、いつまで経っても終わらない。

 放置されていた右の乳房が張り詰め、ぷっくりと膨らんだ乳首がじんじんと疼く。
其処に触ろうとして、左の乳首も疼いている事に気付いてしまった。
自覚すればそれは耐えられるものではなく、レオンは思い切って、両手で左右の乳房を揉み始めた。


「ん…、ん…っ♡…っは……っ」


 レオンの大きな乳房は、片手では掬い切れず、食み出した肉が手の端から零れてしまう。
柔らかな脂肪が詰まった乳袋を揉みながら、レオンの手は徐々に胸の頂へ近付いていた。


「はっ、はぁ……っ」


 揉んでいる内に、胸の奥に詰まっていたものが、前に前にと押し出されてきた。
これなら一気に出せるかも知れない。
レオンが揉む手を一度話すと、たゆん、と垂れて弾んだ乳房を左右から挟むように寄せ合わせ、ぎゅううっと挟み絞った。


「んぅううっ…!」


 ぞくぞくとしたものがレオンの背中を奔り、隣合った二本の乳首から、ぴゅるるるるっ、と乳汁が噴いた。
墳乳はそれまでのように短いものではなく、3秒ほど出続けてから止まった。


「っは…はぁ……はぁ……っ♡」


 胸を挟んだ格好のまま、レオンはふるふると体を戦慄かせていた。
なんとか出せた、と思いながら、でもまだ熱い、とぼんやりと頭の隅で思った時だ。

 ぬうっ、と背後から生えた二本の腕が、ぎゅうっ!とレオンの乳首を摘まみ抓った。


「ひっあぁああああぁぁっっ♡♡」


 まだ痺れの抜けない敏感な先端に与えられた強い刺激に、レオンは堪らず悲鳴を上げた。
摘まれた乳首の先端から、びゅうぅううっ!と噴射するように母乳が噴き出し、レオンは両腕で自身を抱き締め、天井を仰ぐ。

 乳首を摘まれたまま、ビクン、ビクン、と肩を跳ねさせるレオンの背に、ひたりと固いものが当たる。
乳首を摘む指が、掌で乳房を押して、体を後ろに傾かせた。
バランスを取る暇もなく倒れ込もうとした体は、固いものに背中を預ける形になって、くったりと力を失う。


「ふ…あ……♡」
「ほら。やっぱりあんた、一人でちゃんと出来てないじゃないか」


 聞こえた声にレオンが虚ろな瞳で後ろを見れば、裸になったクラウドの姿。
レオンは、乳首からじわじわと母乳を溢れさせながら、摘まむのを止めないクラウドの手を握る。


「お、前…なん、で、ぇ…っ」
「あんた、其処のドア、鍵かけなかっただろ」
「あ、あ……っ、んひぃ…っ」


 クラウドの言葉に、そう言えば、と朧に思い出すレオンだったが、その思考は直ぐに官能の刺激に流される。
乳汁を溢れさせる乳首を、クラウドの指がコリコリと転がし、レオンは胸を突きだすように背中を仰け反らせた。


「あっ、ああっ…!やめ…クラ、ウドぉ…っ!」
「これでも我慢したんだぞ。あんたが自分でやるって言うから」
「はっ、はう…っ!あっ、あっ、あっ……!」


 赤く色付いた先端に爪を当て、引っ掻くように擦られて、レオンの口から甘い音が漏れる。
レオンは長い髪を振り乱し、嫌だと訴えるが、クラウドは聞いていなかった。


「折角のおっぱいがシャワーで流れてる。勿体ない事をするなよ」
「も、勿体、あっ、ないって……あうんんっ♡」


 右の乳首を掌全体で鷲掴みにされて、レオンは眉根を寄せた。
乳房を潰す手の中で、圧迫された管が反応を示し、クラウドの掌にびゅっ、びゅっ、とミルクを噴く。
クラウドは掌に生温い液体が付着したのを感じ取ると、それを塗り込むように、レオンの乳房を揉みながら、逆の手でシャワーを止める。

 シャワーの鳴く音が消えると、レオンの声がより一層バスルームの中で反響した。
今のレオンには、胸を撫で弄られるだけで、堪らない快感になってしまう。


「はっ、あっ、あぁ……っ!」
「結構頑張ったようだが、そんなに出せなかったみたいだな。まだ大分詰まってる」
「ク、クラウド…あっ、んん……っ!」


 また両手で左右の胸を揉みながら、クラウドは楽しそうに囁く。
レオンはクラウドの腹を後ろ手で押して離そうとするが、ぎゅうっ、と乳房を寄せ合わせる力に、また墳乳して声を上げる。


「あふぅうっ♡」
「これ位思いっきり絞らないと、あんたのおっぱいは出ないんだ」
「はっ、はうぅう…っ!ああっ、うぅんっ♡」


 胸を左右から寄せ合わせたままで、クラウドは掌全体で乳房を挟み掴んだ。
クラウドの大きな手でも覆い切れない柔肉が、ゴツゴツとした指を沈ませて行く。


「や、やめろ……んんっ♡と、止まらな……ああっ♡」
「止める為に出してるんだ。ほら、もう一回揉んで」
「あっ、あっ…!んっ、くふ……っ」


 クラウドは指を波打たせるように動かしながら、レオンの胸を万遍なく揉む。
はあ、はあ、とレオンの呼吸が上がって行き、日焼けをしない白い肌が火照りで赤くなって行く。
クラウドの愛撫に従うように、胸の張り詰め具合は増して行き、レオンは胸の奥から熱いものが外へと押し出されて行くのを感じていた。
それが乳首の手前まで迫っているのを感じて、レオンの躯が緊張したように強張る。
それが何を意味しているのか、クラウドには判っていた。


「たっぷりじっくり揉んで……」
「うっ、んっ……うぅ……っ」
「乳首が固くなって来たら、」
「やっ……そ、そこ触るな……」
「強く、絞るっ」
「んふぅううンっ♡」


 ぎゅうぅっ、とクラウドは、レオンの乳輪の形が歪む程強い力で胸を絞る。
管が圧迫されて溜め込まれた乳汁が居場所を失くし、びゅぅうっ!と勢いよく噴き出す。


「ふあっ、あっ♡あぁああ…っ」
「まだまだ」
「あぅっ、あうぅんっ♡やっ、ああっ!ク、クラウド、離、あぁああんっ!」


 クラウドは強弱をつけて、レオンの乳を搾り続けた。
クラウドが力を加える度、レオンは牛の乳搾りのように、びゅうっ、びゅるるっ、と母乳を噴いてしまう。
その度にレオンは胸を内側から犯されているような快感で、腹の奥がきゅんきゅんと切なさを増して行く。

 レオンは背後の男の肩に頭を乗せて、ヒクヒクと喉を震わせながら、胸を苛めるクラウドの手を握る。
握ると言うよりは縋るような力で添えられた手に、クラウドは益々悪戯を増して、母乳を溢れさせている乳首を摘んだ。


「あぅんっ♡」


 ぴゅくっ、と拭いた乳に、クラウドがくつりと笑う。


「これだけでも出るなんてな。大分前から溜まってたんじゃないか?」
「あっ、やあ……乳首、引っ張るなぁ……っんん♡」


 乳首をぎゅっ、ぎゅっと伸ばすように引っ張られ、その度にレオンはビクッビクッと体を震わせる。
クラウドの手の甲になけなしの抵抗の爪が立てられる。
その意趣返しに、クラウドは摘まんだ乳首の先端に爪を当て、グリグリと乳頭の孔を穿った。


「ふあうっ、あうっ、あうぅううっ♡」


 レオンが髪を振り乱して天を仰ぐと同時に、孔からぶぴゅっ、ぶぴゅぴゅっ!と母乳の飛沫が飛び散った。
クラウドは指先を叩くように噴き出す母乳の感触を楽しみながら、乳孔を集中的に苛めてやる。


「クラ、クラウドっ、やめっ♡や、ああっ、あぁあ…っ!」
「此処を解してやったら、もっとスムーズに出るようになるんじゃないか?」
「そ、そんな、適当な事……あっひ♡だめっ、そ、そんなにグリグリしたらぁあっ♡」


 レオンは頭を振ってクラウドに訴えるが、そんな事をした所で、背後の男が行為を止めてくれた事は一度もない。
寧ろクラウドの表情には一層増した興奮が浮かび、碧眼には獣のような獰猛さが宿っている。
煽られる欲望のままに、クラウドがレオンの背中に猛った剛直を押し付ければ、覚えのある感触に直ぐ正体を悟ったのだろう、ビクッと怯えるようにレオンの躯が跳ねた。

 乳首ばかりを弄っていた手が、またレオンの柔肉を揉む。
絞り出されたお陰か、虐められた所為か、レオンの胸の張りは緩み、代わりに柔らかく、たゆんたゆんと弾む。
レオンが身を捩って胸を揺らせば、左右にたぷっ、たぷっ、と時間差をつけて揺れ、クラウドの目を楽しませた。


「だ、だめ…クラウド、もうっ…!あ、ん、あぁっ…!」
「駄目だ。まだ終わってない」
「お、俺がもう良いって、言ってるんだ……あぁあんっ♡やっ、絞るなぁっ♡」


 息も絶え絶えに、これ以上はと懇願するレオンであったが、クラウドはやはり聞かない。
揉みしだいた乳房をぎゅうっと挟み絞ると、びゅううっ、とミルクが噴き出し、レオンは乳孔を汁に擦られる快感にビクッビクッと下肢を戦慄かせた。


「ああっ♡やっ♡クラウドぉおっ♡」
「おっぱいでイくか?」
「バカ、あっ、ひぃぃいいいいいんっ♡」


 にやにやと笑う背後の気配に、せめてもの反抗に罵倒してやったレオンだが、その声は直後の嬌声に掻き消された。
左右の乳輪が楕円に歪む程に摘まみ抓られて、胸の突起全体に走る熱い衝動のまま、レオンの躯が高みへと昇る。
揉まれる内に新たにタンクに蓄えられた母乳が、まるで射精のように勢いよく噴き、レオンの躯に降り注ぐ。
瑞々しい若木のようにその身を大きく撓らせ、はくはくと酸素を求める魚のように唇を喘がせながら、レオンは乳首への刺激だけで絶頂を果たしたのだった。