ピーイング・プレイ


 妙に冷える日だ、とスコールは感じていた。
エルフ雪原が近い訳でもなく、雨の気配から気温が下がっていると言う訳でもなさそうだが、体感温度が低い。
それは自分に比べて寒さに強いジタンやバッツ、ティーダも感じていたようで、どうやらスコール一人の気の所為と言う訳ではなさそうだった。

 凍える中を無理に進軍しても、敵に遭遇すれば不利になるだけと、少し早い時間から野営の準備を始めた。
夜になれば一層冷え込むだろうと予想し、薪は多めに集めて、夕飯は温かいスープにした。
幸い、森の中、川の近くに良いキャンプポイントを見付けたので、清らかな水にも困らない。
食料はクラウドとフリオニールが狼を狩って捌いてくれたお陰で、良質な動物性蛋白質を確保する事が出来、そこそこ豪勢な食事が採れた。
よく食べるティーダやバッツが腹一杯になったのだから、スコールに至っては余らせる程である。
一杯食べないと凍死しちゃうかも知れないぞ、とバッツは言ったが、胃袋の大きさには限界がある。
途中から具は貰わず、スープだけを啜って暖を取った。

 早い内に野営準備を済ませたお陰で、寒くなる前には、見張り以外の者はテントに入る事が出来た。
暖を取る為にも焚火は絶やさないようにし、見張りは常に二人、時間をずらして一人ずつ交代する事が決まった。
スコールは最初にジタン共に見張りを引き受け、ジタンがクラウドと交代した後、自身はセシルと交代した。
この順序なら、後はクラウドがティーダと交代し、セシルがバッツと交代する辺りで、朝を迎えるだろう。
順番的に、ジタンと共に朝食の準備はしなければならないので、少し早めに起きる必要がある。
朝も冷えているなら温まるものが必要だな、何があったか……と頭の中でレシピを思い浮かべつつ、スコールは眠りについた。

 それからは、誰かが呼びに来るか、異変が起きるかがなければ、眠っていれば良い筈だった。
しかし、唐突に、ふっと目が覚めると言うのは儘ある事だ。

 ぱちり、と前触れもなく目を覚ましたスコールは、初めは何か起きたのかと思って辺りを警戒した。
しかし、息を殺して神経を尖らせても、テントの外に代わった空気は感じられない。
テント幕の向こうに浮かぶ篝火の影は、お喋りなティーダが身振り手振りに何かを話しているだけで、焦り慌てている様子もなかった。


(……何もなさそうだな……)


 自分が単に目が覚めただけだと悟って、スコールは溜息を吐いた。
ゆっくり眠っていれば良いのに、中途半端な時間に目を覚ますなんて、損をした気分だ。
自分が決して寝入りの良い人間ではないと自覚している分、健やかな睡眠を───誰にと言う訳でもないが───邪魔されたような気がして、少し気分が落ち込んだ。

 改めて寝る努力をするべく、スコールは毛布を手繰り寄せて丸くなった。
しかし、待てども待てども、睡魔はやって来ない。
寧ろ妙に落ち着きのない気分になって、スコールは何度も寝返りを打った。


(………)


 目覚めが唐突だったのだから、睡魔も一気に意識を引っ張って行ってはくれないものか。
無理な事を考えつつ、スコールは何度目かの寝返りを打った後、止む無く起き上がった。


(……少し歩くか)


 寒い中をテントの外に出るのは余り気が進まなかったが、テントの中とて特別に暖かい訳ではない。
空気全体が冷えているので、テントの中も相応して気温は低かった。
その所為で眠り難いのかも知れない、と思い、少し外の気温に慣れてから入り直せば、暖かいと錯覚する事も出来るかも知れない。
動いた方が体力も使うし、眠るだけの疲労感を得る為に、警戒ついでに少し歩き回る位はしても良いだろう。

 ジャケットに袖を通し、テントを出ると、ぱちぱちと薪の爆ぜる音が聞こえた。
冷えた空気は澄んでおり、小さな音を妨げない。
焚火を挟んで番をしていたティーダとセシルが振り返り、目が合う。


「あれ、スコール。どうかしたんスか?」
「……いや」
「目が覚めたのかな」
「…そんな所だ」


 特に何があった訳ではないと言うスコールに、そう、とセシルの反応は淡泊だ。
彼の落ち着きぶりから見て、やはりテントの外で何か起きたと言う訳でもなさそうだな、とスコールは改めて認識した。


「少し見回りをして来る」
「あ、じゃあ薪も拾ってきて貰って良いっスか?意外と使う量が多くてさ」
「……判った」


 当てもなくふらふらと歩き回るよりは、目的が一つでもある方が良い。
そんな気持ちから、スコールはティーダの申し出に頷いた。

 冷え切った空気の中では、魔物も動き回る事を躊躇うのか、森の中は静かだった。
しんとした静寂は不気味にも思えるが、スコールにとっては落ち着くものだ。
テントの中がジタンとバッツの鼾で煩かった───それが不眠になる程に気になる事は不思議とないのだが───ので、数時間振りの静寂を堪能するように歩く。
合間に落ちている枯れ枝を拾って、これが両腕一杯になったら帰るか、と凡その予定を決めて置いた。

 半ば形ばかりの警戒を行いつつ、薪拾いを続ける事、しばし。
持つにはまだ余裕があるが、数としては十分かと思う程度には、薪が集まった。
木々の向こうに覗く焚火を見遣ると、まだ火の勢いが弱まる事はなく、映る仲間の影も濃い。
相変わらずティーダが身振り手振りで喋っているようで、退屈はしていないようだ。


(どうせ朝飯を作るにも使うし、もう少し拾うか)


 余った所で困るものでもないし、寧ろ足りない方が後が面倒だ。
眠気もまだないし、もう少しだけ続けよう、と薪を抱える腕を直した時だった。


「スコール」


 呼ぶ声に振り返ると、暗闇の中に映える金糸があった。
クラウドだ。


「…あんたか」
「薪拾いか?」
「…暇だったから」


 目が覚めてから寝付けなかったので、散歩のようなものだと言えば、そうか、とクラウドは言った。


「…あんたは?寝ているものだと思ってたけど」
「なんとなく目が覚めてな。テントにお前の姿が見当たらなかったから、外に出てみたら、お前が見回りに行ったとティーダが言うし、眠気もないし────」


 言いながら、クラウドはゆっくりと歩み寄って来る。
スコールがそれを何気なく見ている内に、二人の距離は縮まり、クラウドが腕を伸ばせば触れらる程の距離まで来て、


「久しぶりに、お前と二人きりになれるかと思ってな」
「……!」


 囁くように告げるクラウドの声は、甘い。
それを前に聞いたのは、もう何日前の話になるだろうか。
その音を聞いた瞬間、どくん、とスコールの心臓が跳ねる。


「…馬鹿じゃないのか」


 赤らむ顔を、近い距離にある男の顔から背ける。
その拍子に、抱えていた薪がからんからんと音を立てて足元に落ちた。
判り易い動揺を晒した事に、益々赤らむ顔を隠して、スコールは平静を装って薪を拾い直す。

 しかし、後ろから伸びて来た逞しい腕に抱き締められた瞬間、残っていた他の薪もからからと音を立てて散らばった。


「……スコール」


 項に吐息が掛かって、甘く低い声がスコールの鼓膜を擽る。
腕の檻は片方を腰へ、片方を胸へと周り、シャツの上からスコールの体を撫で始めた。
大剣を握る厚みのある手が、ゆるゆると体を撫でて行くのを感じて、スコールの背にぞくぞくとしたものが走る。
それらが意図するものを否応なく感じ取って、スコールは背に覆い被さるように抱き締める男を睨んだ。


「クラウド……!」
「良いだろう、久しぶりなんだから」


 止めろ、と咎めようとするスコールの声を無視して、クラウドは言った。
何が良いんだ、とスコールは背中のくっつき虫を振り払おうと身を捩るが、ぬる、と生暖かいものが項を辿るのを感じて、ビクッと身を竦めた。

 はあ、と熱の籠った吐息が、スコールの後ろ首を温める。
スコールは腰を抱く手を抓って抗議した。
しかし、クラウドは気にする事もなく、じんわりと赤味を宿した項を食む。
固い歯が甘く宛がわれるのを感じて、スコールはいやいやと頭を振った。


「バカ、あんた…っ、こんな所で……っ」
「偶には良いだろう?」
「あっちに聞こえる……!」
「お前が大きな声を出さなければ大丈夫だ」


 どうして責任が自分に回って来るんだ、とスコールは背後の男を睨む。
怒りと羞恥の滲んだ蒼灰色に睨まれて、クラウドの口元が楽しそうに歪んだ。


「この距離だ。どうせ聞こえない」
「んっ……!」


 言いながら、クラウドの手はスコールの胸を揉む。
薄い胸板は、服の上からでは尚の事盛り上がりが判らないが、頂きの蕾だけは判る。
それを指先で摘ままれて、スコールの喉が戦慄いた。


「触るなって……!」
「お前、さっきは随分そわそわしていただろう。しばらく触ってやれなかったからな……結構溜まってるんじゃないのか?」
「それはあんたの方……っ」


 テントにいる時、寝付けなくて忙しなく寝返りを打ってはいたが、それと性欲は関係ない───筈だ。
確かにクラウドが言うように、長らく触れ合ってはおらず、それを思うともどかしい気持ちも沸かないではなかったが、今は仲間と共に野営している所だ。
聖域の屋敷にいる時ならばともかく、こんな場所で事に及ぶなんてとんでもない。

 しかし、スコールのそんな胸中とは裏腹に、恋仲になってから何度となく重ねた肌は、相手の体温をよく覚えている。
背中越しに感じるクラウドの温もりに、段々と呼気が上がっていく。
それを唇を噛んで押し殺していると、胸を撫でていた手がするりと滑り、シャツの裾から中へと潜って来た。
嫌だ、とスコールは頭を振るが、背後の男は全く止まってはくれず、それ所か興奮した半身をスコールの腰に押し付けて来る。


「やっぱり、溜まってるのはあんたの方じゃないか…!」
「否定はしない。……一緒に行動するのも久しぶりだったんだぞ?仕方ないだろう」
「仕方なく、ない……っん…!」


 肌の上を這い回る手が、スコールの腹をゆっくりと撫でながら、上へと昇って行く。
指が摩るように胸を撫でて、シャツの裏地を押し上げていた乳首を捕まえた。


「あっ……!」


 ピクッ、と震えたスコールの唇から、高い声が漏れる。
夜の帳に響く自分の声を聞いて、スコールは慌てて片手で口を塞いだ。


「んく……っ」
「…ああ。頑張れ」


 声を出すまいと唇を噛むスコールに、クラウドはそう囁いて、耳朶の裏側に舌を這わせた。
ぞくぞくと首筋を走る電気信号に、スコールは隠れるように肩を縮こまらせる。

 クラウドはスコールの腰をぐっと引き寄せながら、適当な木の根元に座った。
胡坐をかいた足の上にスコールを乗せて、自分の胸へと寄り掛からせる。
スコールのシャツが捲り上げられ、ひんやりと冷たい外気が白い肌を撫でた。


「ふ…う……っ」


 寒さにふるりと体を震わせるスコール。
クラウドはそんなスコールを抱き締めながら、また膨らんだ乳首を摘む。
クラウドの指で敏感に育てられた上、冷えた冷気の所為で神経が尖った所に刺激を与えられ、スコールはビクンッと体を仰け反らせた。


「んぁ……っ!」
「敏感だな。久しぶりだからか」


 確かに、こうしてクラウドの掌の感触を得るのも、随分と久しぶりである。
同時に、ひんやりとした冷たい空気の所為で、神経が敏感になっているのもあるだろう。
そうしたスコールの反応の良さが、クラウドには心地良く、むくむくと雄の欲望が膨らんで行く。

 皮の厚い太い指が、スコールの小さな蕾を圧し潰す。
グリグリと指の腹で圧した後、指を放すと、其処はぷくっと膨らんで勃起した。
そうして余計に敏感になった其処を、ゆっくりと爪先で擦られて、スコールは腰を抱く腕を掴んで、ふるふると首を横に振る。
やだ、と子供のような訴えを見せるスコールに、クラウドの唇は益々笑みを深めて、摘んだ乳首を軽く引っ張って遊ぶ。


「ん…っ、んん…っ!」
「こっちも触って欲しいか?」
「…や…あっ……!」


 摘まんでいた乳首から指が離れると、今度は逆側の胸に同じように悪戯をされる。
慎ましくしている果実の先端を擦られると、ビクビクと細い体が跳ねて、其方も膨らんで行く。
コリコリとした固さになると、クラウドは親指と人差し指でそれを摘まんだ。


「んぅ……っ!」
「ん……」
「あっ……!」


 クラウドの舌がまたスコールの項を舐める。
ねっとりとした肉感のあるものが首を撫でるのを感じて、スコールは思わず体を縮こまらせた。


「や、そこ…舐めるな…っ!」
「赤くなって来たな。興奮しているか?」
「あ、あ…やぁ……っ!」


 首にかかる吐息と、悪戯に舐める舌の所為で、スコールの体の力が抜けて行く。
いやいやと首を横に振る仕草も弱々しく、抵抗らしい抵抗と言えば、腰を抱く腕に爪が立てられている事位だった。
それもクラウド相手では大して意味はなく、寧ろそんな様子がクラウドには恭しく見えて、可愛いな、と思ってしまう。

 スコールの腰を抱いていた手が離れ、シャツの中へと侵入する。
既に弄られて敏感になっていた乳首を摘ままれ、左右をそれぞれ悪戯な指に捕まったスコールは、「あっ!」と思わず高い声を上げた。


「スコール。声が大きくなって来てる」
「んっ、あっ…!だ、れの…所為で……っ」
「俺だな」
「んぅっ!」


 きゅう、と左右の乳首を同時に抓られて、スコールはビクンッと体を跳ねさせる。
乳首を指先で転がすように刺激され、スコールは胸を刺激から庇おうとして背中を丸めるが、既にクラウドの手はスコールの弱点を捉えている。
なけなしの抵抗を諦めない少年に、相変わらず恥ずかしがり屋だな、と思いながらクラウドは左右の乳首を一緒に引っ張った。


「んうぅっ…!」


 ビクッ、ビクッ、とスコールの体が跳ねて、足が逃げを打って地面を蹴る。
からんからん、と散らばった薪が転がる音がした。


「ほら、スコール。音がしたら誰か来るかも知れないぞ」
「……っ!」


 耳元で囁くクラウドに、スコールはじろりと睨み付けた。
暗がりの中でもよく見える蒼灰色の瞳は、薄らと涙を浮かべて、怒りを滲ませている。
しかし、その程度でクラウドが怯む筈もなく、クラウドはその眦に滲んだ雫を舐め取って、摘んでいる乳首を指先でクニクニと捏ねて刺激し始めた。


「んっ、うっ…!あっ……!」
「こっちも、そろそろ───」


 右の乳首を摘んでいた手が離れると、その手はするするとスコールの肌を滑りながら降りて行き、布越しに中心部に触れた。
固めの生地越しにも判る感触に、クラウドはにんまりと笑みを浮かべ、


「勃ってるじゃないか。やっぱりお前も溜まっていたんだな」
「…あ、あ…や……っ!」


 布越しに大きな手で陰嚢を揉まれて、スコールの太腿がぶるっと震えた。

 カチャリ、とベルトのバックルから小さな音がして、腰の締め付けが緩み、ジィィ、とジッパーが下げられる音がする。
冷え切った静かな空気の中で、その音が嫌に大きく聞こえた。
クラウドが焦らすようにゆっくりと下ろして行くものだから、余計にスコールは恥ずかしくて堪らない。
ようやくジッパーが一番下まで下げられると、黒いボクサーパンツの上から、中心部を宥めるように撫でられた。
ゆっくりと形を辿るようになぞる指が、酷くいやらしい動きをしているような気がして、スコールの体温が上がって行く。


「ん、ぅ…クラウ、ド……っ」
「ん?」
「そこ…触るの、やめ……っ」
「此処が一番大事な所だろう。……いや、こっちか」
「あっ……!」


 するりとズボンの奥へと入り込んだ手が、スコールの双丘の谷間にある秘孔を掠めた。
ビクッ、と立てた足を震わせて反応するスコールに、クラウドはくつくつと笑いながら、下着の上からアナルをぐりぐりと押して刺激する。


「ふっ、うっ…!ん、あ……っ!」


 久しぶりに触れられていると、快感を得る事を覚えてしまった其処は、簡単に反応を示した。
穴の表面を押されているだけでも、待ち遠しかったと言わんばかりに快感を得て、細い体が弾む。
声を上げまいと口を噤んではいるが、弾む息と一緒に艶を孕んだ声が漏れていた。

 クラウドはスコールの体を自分に寄り掛からせるように抱き寄せた後、胸を虐めていた左手も下ろして行った。
下着越しにアナルに触られて、スコールの中心部は一層窮屈そうに布地にテントを張っている。
クラウドはボクサーパンツの中に手を入れて、其処に直に触れてやった。


「あぁっ……!」


 途端、電流のような快感を感じて、ビクンッ、とスコールの体が一際大きく跳ねる。
華奢な背中が撓るように逸らされ、仰け反らされた頭がクラウドの肩に押し付けられた。

 クラウドはパンツをずらしてスコールのペニスを取り出すと、すっかり天を突いて固くなっている竿を扱いて手淫を始める。


「あっ、あっ…!は……っ、あぁ…っ!」


 クラウドの少し荒れた指が竿を擦るだけで、スコールは腰回りが痺れるような快感に襲われた。
薄い包皮が剥かれて、淡い色の亀頭が空気に晒される。
アナルを弄っている手指がごそごそと動いて、気付いた時にはスコールは下着を脱がされ、剥き出しの尻が地面の露草に触れた。
ひやりとした冷気が股間に当たるのを感じ、ぶるっと体を震わせると、


「寒いか?大丈夫だ、直ぐ熱くなる」


 そんな事を言って、クラウドの手が激しく上下に動く。
更にアナルにもまた指が這って、今度は直接触れる窄まりに、つぷ、と指先を挿入した。


「あっ、やっ……!」
「痛いか?」
「そ…じゃない…けど……っ」


 身を捩って抵抗を見せるスコールに、クラウドが耳朶を食みながら問う。
動物の親が子供を宥めるように、ゆっくりと耳朶の縁が舌でなぞられる。
ぞくぞくとしたものが耳の裏側から首筋まで辿って行くのを感じて、スコールの唇からはぁっと熱の吐息が漏れた。


「や、あ……こんな…所で……っ」
「今更だろう」
「皆、いる……っ」
「それも今更だ」


 スコールの訴えに、クラウドはにべもない。
確かに今更と言えば今更なのだが、それでもせめて外じゃなくて屋敷が良い、とスコールは思う。
思うが、腰に当たる雄の感触に気付いてしまうと、背後の男が最早止まらない事は明らかであった。

 侵入した指が小刻みに動いて、穴を拡げようとする。
奥で快感を得る事を覚えた体は、その動きに心得たように反応して、少しずつ入口を広げて行った。
徐々に指の侵入が深くなり、半ばまで入ると、クラウドの指は大胆な動きを始め、内壁に爪先を擦り当てるようになった。


「あ、あっ…クラウド…あっ、そこは…っ!」
「知っている。気持ち良いんだろう?」
「……っ!」


 クラウドの言葉に、スコールは顔を真っ赤にして、ふるふると首を横に振った。
しかし本音が何処にあるかは明らかで、証拠のようにスコールのペニスがクラウドの手の中でむくむくと膨らんで行く。


「んっ…んんっ…!」
「もうイきそうだな。見ろ、こんなに濡れてる」
「や…あ……っ」


 ペニスを扱く手を止めて、クラウドが包んでいたそれを見せつけるように手を開く。
眉を顰めて薄らと見遣れば、自分自身があられもない場所を曝け出しているのを見てしまって、スコールは涙を浮かべて頭を振った。

 クラウドの手の中で、スコールはすっかり大きくなり、じっとりと汗を流している。
先端からはとろりとしたものが溢れ出しており、クラウドが竿を根本から先端へとゆっくりと押し撫でてやるだけで、ぴゅくっ、と微量の汁が噴き出した。
挿入された指が内壁をぐりっと撫でてやれば、スコールは腰を浮かせて体を仰け反らせ、ぴんと勃ったペニスが今にも射精しそうに戦慄く。


「やっ…はっ…!あぁ……っ!」


 短い呼気を繰り返し、微かな刺激だけでもビクッビクッと下肢を震わせてしまうスコールに、クラウドは追い打ちをかけるように、アナルを激しく掻き回す。


「ひっ、やっ、あぁっ…!クラ、ウド……っ!」


 競り上がって来る限界への高ぶりに、スコールは頭を振って背後の男に縋る。
体を仰け反らせ、嫌だ、と頭を振って訴えるが、アナルを弄る指は出て行く所か、更に激しさを増してスコールを追い詰める。


「ん、ん…!う、んんぅ……っ!」
「我慢するな、スコール」
「……っ!」

「汚れるのが嫌か?なら脱ぐか」


 ふるふると首を横に振って、抵抗するように臨界を拒否しようとするスコールに、クラウドは楽しそうな声で言う。
それも、嫌だ、とスコールはクラウドの腕に爪を立てて拒否するが、クラウドは気にしなかった。
アナルをくちくちと弄りながら、スコールの太腿に絡まっているズボンをずり下ろして行き、膝まで下げる。
ついでにシャツもたくし上げてやれば、ひんやりとした夜の空気が剥き出しの肌に触れて、ただでさえ過敏になっているスコールの神経はより尖ってしまう。
触れる空気にさえも感じてしまうようなスコールの肌を、クラウドはゆっくりと撫でながら、アナルに入れた指をくちゅくちゅと音を立てて動かした。


「あっ、んっ、んんっ…!ふ…あ……あぁあ……っ!」


 ズボンの絡まった膝を立て、膝頭を擦り合わせるスコール。
はくはくと唇を戦慄かせ、腕に爪を立てていた手が縋るように捕まった。
クラウドの右手がまたスコールのペニスに絡み付き、涙を零している先端を爪で擦る。


「あ────っ♡」


 ビクンッ、とスコールの体が跳ねたかと思うと、びゅくんっ!と濃い蜜液が弧を勢いよく吐き出された。
どろりとした粘液がクラウドの右手を汚す。
スコールはビクッ、ビクッ、と強張らせた四肢を痙攣させた後、くたりと弛緩して、はーっ、はーっ、と荒い呼気を繰り返していた。