埋もれた声


 背を向けたスコールの肩を掴んで、自分の方に引き寄せた。
胡坐を組んで、膝の上に乗せる。


「な……!?ちょっ、クラウド、あんた…!」


 何考えてるんだ、と振り返ったスコールの顎を捉えて、唇を重ねる。
零れ落ちんばかりに見開かれたブルーグレイが、クラウドの視界を染め、其処には混乱の色だけが浮かんでいる。

 何、これ、どう、なって。
スコールのそんな心の声をありありと映し出す青灰色を眺めながら、睫長いな、とクラウドは考える。

 無防備に開かれていた咥内へ、舌を侵入させる。
ぬるりとした生暖かいものが這う感触に驚いたか、スコールがびくっ、と肩を揺らした。


「ん、ふ…んん……!」


 スコールの手がクラウドの後頭部を掴んで、ぐいぐいと引っ張る。
離せと暴れようとする身体を、クラウドは腕の中に閉じ込めて阻み、逃げようとする舌を絡め取って口付けを深めた。

 ちゅぷ、ちゅ、と小さな水音が鳴って、その都度、スコールの体が小さく震えるのが判った。
人に触れられる事を極端に嫌う傾向のあるスコールだ、これ程他人と密着した経験も少ないだろう。
口付けなんて尚の事、それも男になんて以ての外に違いない。


「ふ、ぁ……クラ、やめ……んんっ!」


 呼吸の隙間、もう一度近付こうとするクラウドを、押し退けようとする手。
それを掴んで捕まえて、クラウドはもう一度唇を重ねる。

 純粋な力勝負で、スコールはクラウドに勝てない。
抗う術をなくしたスコールは、咥内を好きに嬲られて、されるがままになるしかなかった。

 絡めた舌を合わせて、なぞって。
雫の粒を浮かべた青灰色に、ぼんやりと熱が篭り、睨んでいた時の明瞭さが消えていく。


「…ふ……ぁ……」


 唇を離していく時、零れた声。
甘い色を含んでいるように聞こえるのは、自分の頭が既に熱暴走を起こしているからだろうか。

 現状への戸惑いと、体の熱に翻弄されてか、スコールはもう逃げようと暴れたりはしなかった。
捕らえていた腕の力を緩めると、スコールの体が傾いて、クラウドの胸に寄り掛かる。


「スコール、辛いんだろ?」


 耳に吐息がかかる程に近い距離で囁くと、ぴくん、とスコールの体が震える。


「俺が楽にしてやる」
「ぁ……な、や、待っ……!」


 スコールの止める声を聞かず、クラウドは彼のベルトを外し、下肢を緩める。
下着の上から彼の中心部に触れると、其処は夢精の所為で濡れて、じっとりと湿っている。
これは気持ちが悪いだろうな、と布越しに張り詰めた一物を撫でながら思う。


「ん、ん…!う……!」


 唇を噛んで吐息を殺すスコール。
逃げを打ってクラウドから遠退こうとする身体を、クラウドは抱き寄せて捕まえる。


「脱がすぞ」
「や……!」


 言うや否や、スコールの反応など構わず、クラウドはスコールのボトムを引き下げた。
下着ごと強引にずらしてやれば、スコールの雄が緩く勃った状態で露わにされる。
するとスコールは、耳から首まで赤くなって、我が身の有様を疑うように硬直した。

 クラウドは、緩く反っているスコールの中心部に手を添えて、竿全体を扱いて刺激を与える。
無意識の夢精や、自慰行為とは違う刺激に、スコールがびくっびくっと腰を震わせた。


「な、あっ!……!」


 不意に零れた高い声音に、スコールは目を丸くして、自分の口を手で塞ぐ。

 なんだ、今の、変な。
赤い顔で口を噤むスコールに、クラウドは薄く笑みを浮かべて、下肢を扱く手を早める。


「っ、ん、ふ…!ん、…ん…!」


 止めろ、と言わんばかりに青灰色が睨んだが、クラウドの手は止まらない。
寧ろ、涙を滲ませて睨むその瞳は、より一層男の欲望を刺激するばかりであると、スコールには判らなかった。

 引き締まったスコールの腿が震えて、競り上がってくる衝動に耐えるように、爪先が丸まった。
クラウドは、スコールの赤らんだ首筋に舌を這わして、囁く。


「我慢するな、スコール」
「う、ふ……!ん、ぁっ」


 中心部の先端を爪先で掠めると、ひくん、とスコールの体が跳ねる。
同じ場所をそのまま指の腹でぐりぐりと押してやれば、スコールは呼吸さえ飲み込みながら、声にならない悲鳴を上げて絶頂を迎えた。


「う、ん、──────!」


 びくっ、びくっ、と細身の躯を震わせながら、どくっぴゅるぅっ!と蜜液が溢れ出す。
吐き出された粘液がクラウドの手に飛び散って、ねっとりとした糸を引いた。


「…ん、……ふ、……ぅあ……」


 絶頂の名残に酔うように、スコールの視線が宙を彷徨い、口を覆っていた手が力を失ってするりと落ちる。
飲み込めなかった唾液が口端から零れていた。
クラウドは、スコールの顎を捉えて振り向かせ、ゆっくりと顎から上になぞるようにしてスコールの唾液を舐め取った。


「は…ぁ………」


 スコールはぼんやりと、クラウドにされるがままになっている。
口端を舐めて、また唇を重ねれば、簡単に舌を捉える事が出来た。


「ん、ん……む、んぅ……」


 ちゅ、ぷちゅ、と二人の間で水音が鳴る。

 クラウドは、スコールの放った蜜で汚れた手で、再び彼の中心部に触れた。
熱を吐き出して萎えた其処であったが、クラウドがもう一度包んで扱いてやると、程なく、硬度を取り戻し始める。


「……大分、溜まってみたいだな…」
「んっ、んっ、…ふ、ぁ、……あっ、ぅ…」


 クラウドの言葉を否定するように、スコールがゆるゆると頭を振るが、体は与えられる刺激に正直だった。
若い性は直ぐに熱を取り戻し、ふるふると切なげに震えながら、先走りの蜜を零している。

 散々暴れて悶えて、皺だらけになってしまったスコールのシャツをたくし上げる。
元々戦士的な体格には恵まれなかったのか、猫科のしなやかさを体言するような細い腰。
ラインを確かめるように、下から上にゆっくりと撫でる。


「う、あ……や、だ……もう、離せっ……」


 明らかに、単純な性処理の範囲を越えようとしている手の動きに、スコールが顔を引き攣らせた。
耐え兼ねたようにブルーグレイから滴が溢れ出す。

 それを見て、クラウドの心に罪悪感と、同時になんとも言えない支配欲が湧き上がる。

 スコールの為を想うなら、此処で止めるべきだ。
今までの行為で十分プライドを傷つけられた彼を、これ以上追い込んではいけない。
────そう判っている筈なのに、暴走した熱はクラウドから正常な思考を奪って、更なる欲に向かわせる。


「────すまん、スコール」
「何……んぅっ!」


 掠れた声で呟いた声に、戸惑うスコールの声が聞こえたが、クラウドは構わずに口付けた。
そのまま床へと細い身体を押し倒し、馬乗りに組み敷いた。

 唇を離して、首筋に吸い付き、更に下へ。
捲れたシャツの下、露わになった白い肌に舌を這わす。


「や、やめろ、クラウド!もう、や…ひっ!」


 胸の頂きの膨らみを食んで、緩く歯を立てる。
思わぬ場所への刺激に、スコールの喉から甲高い声が上がった。

 ねっとりと舌を這わせると、スコールが唇を噛んで息を殺す。
気持ち悪い、と感じているのかも知れない────いや、それが普通だろう。
だが、甘噛みして、その痛みを慰めるように舌を這わしてと繰り返していると、濡れた蕾がツンと膨らんで自己主張を始める。


「ん、んっ…!ふ…ひ、ぅ……!」


 蕾へ尚も舌を這わせながら、クラウドはスコールの下肢に手を伸ばした。
押し広げられた脚の狭間で、ふるふると刺激を求めて切なく震えている中心部に触れる。
どくどくと脈打つそれは、再び刺激が与えられるのを待ち焦がれているようだった。

 クラウドは自身の下肢を緩めて、はち切れんばかりに膨らんだ己の中心を、スコールのそれと重ねて扱き始めた。


「…くっ、ふ……!スコール、」
「ふ、う…ん…!ふぁ、ん、んん……!」
「スコール……っ」


 呼びかけに、スコールは答えない。
反応できるほどの余裕がないからだ。

 擦り合わされる熱の塊と、手淫によって高みへと追い上げられていく傍ら、スコールの頭の中は困惑し切りだった。

 性教育の授業はガーデンで受けていたから、夢精に殊更に戸惑ったり、パニックになる事はなかった。
けれど、状況が状況であったし、生理現象───動物としての自然的摂理であると判っていても、どうしても羞恥心や背徳感が募る。
べとついた下着の中を、言わなければ誰にも気付かれないけれど、そのままにして置く気にはなれないし、夢現で火がついてしまった熱はまだ自分の中で燻っているし。
自慰行為が出来るような環境でもないし、けれど眠れそうにはないし、どうしよう、と思っていた矢先の、同行していた仲間である筈の男の行動。
処理を手伝っていると言うには、キスだの愛撫だの、明らかに別の意図を持っている気がしてならない。
でも、その行為の意味を考えると、有り得ない結論にしか行き付かなくて、益々混乱する。

 ────けれど、そんな思考も、与えられる悦楽によって、熱の中へと流されていく。
若い身体に蓄積された熱は、待ち侘びていた解放の瞬間を求めてしまっていた。

 無意識の内に、スコールの腰がクラウドの手の動きに合わせて揺れ始める。
クラウドは、助けを求めるように彷徨うスコールの腕を捉まえて、己の首へと回した。
ガリ、と首の後ろに爪が立って、細い腕が必死に縋り付いて来る。


「や、あ、あ、…んっ、んんっ!ふ、ぁ……!」
「くっ……うぅっ!」


 スコールの体が一際大きく震え、白濁液がスコールの腹に飛び散った。
それに続くように、クラウドも唇を噛み、己の熱を解き放つ。

 強張っていたスコールの身体から力が抜け、弛緩する。
クラウドの首に廻されていた腕がするりと落ちて、床の上に投げ出された。
虚ろな瞳で天幕を見上げるスコールの眼には、既に理性の光はなく、何処かうっとりと愉悦を含んでいるようにも見える。

 クラウドが握っていた中心部から手を離し、体を起こしても、スコールは動かない。
テントの外で煌々としていた焚火は、いつの間にか消えてしまったようで、テントの中は暗くなっていた。
だと言うのに、スコールの白い肌は、闇の中でも映えるように見付ける事が出来る。


「……スコール」


 名を呼ぶと、ぼんやりとした青灰色がクラウドへと向けられた。
汗ばんだ額や頬に、細い髪が張り付いている。
それをそっと撫でて避けて────濡れた唇が、クラウド、と音にならずに名を呼んだ。

 意識朦朧としているスコールが、どういう意味で自分の名を呼んだのか、クラウドには判らない。
求められている、と思ったのは、熱に犯された自分の都合の良い錯覚なのだと、遠くで理性が訴えていたけれど、


「もう、無理だ」


 合意もないままに、夢精の後始末───と言うには既に度を越していて───を一方的に引き受けるようにして始めた行為。
困惑する少年を組み敷いて、熱を放って、それでも収まらないこの衝動。

 伝えたい、叶えたい。
手に入れたい。
心も、体も、全部。

 投げ出されていたスコールの足からボトムを完全に脱がして、細く引き締まった太腿を撫でて、足首を肩に乗せる。
スコールの太腿は、白濁液の名残で濡れていた。
その狭間の淫部に、クラウドは指を這わす。


「う、あ、」


 秘孔の形を確かめるように、指先で其処をなぞれば、掠れた声がスコールの喉から零れた。
ツン、と入口を掠めると、スコールの身体が微かに震え、穴口が窄まる。

 クラウドは自分の指に舌を乗せ、丹念に濡らす。
その指には、スコールが吐き出した蜜液が既に絡みついていて、苦いような、甘いような味がした。
これがスコールの────そう考えただけで、クラウドの中心部には再び熱が集まってくる。

 濡れそぼった指を、もう一度スコールの秘部に当てた。
慎ましく閉じている其処に、ゆっくりと挿入させていく。


「ぃ、あ……?…な、に……!?」


 ぼんやりとしていたスコールの瞳に意思が戻り、見開かれる。
有り得ない場所からの、有り得ない異物感。

 頭を持ち上げようとするスコールを、クラウドは口付ける事で制した。
挿入した指をそのままに、口付けを深くしていく。
逃げるように引こうとする舌を捉まえて、絡め取り、舌先でちろちろと舐めて弄ぶ。
圧迫感と痛みに顰められていたスコールの眉根が緩んで行くのが見えた。


「んっ、ん、ん……っ、ふ、んぁ……」
「ん…スコー、ル……」
「ぅ、ん……んくぅっ!」


 秘部の指を深くまで挿入させると、ビクン、とスコールの肩が跳ねた。
委縮した内壁がクラウドの指を痛いほどに締め付ける。

 クラウドは、絡めていた舌を離した。


「スコール、息をしろ」
「う、ぅ……!」
「スコール」


 痛みに全身を強張らせるスコールに言い聞かせるクラウドだったが、痛みで思考を奪われているスコールには届かない。
強引に指を抜く訳にも行かず、クラウドはどうする、と数瞬考えた後、閉じられたスコールの瞼にキスを落とした。

 唇を重ねていた時のものとは違う、触れるだけのバードキス。
子供をあやしている気分で、クラウドはスコールにキスを繰り返した。


「ふ、ぅ、……んん…っ」
「ゆっくり息を吐け。そうしたら、痛いのもなくなるから」


 クラウドの言葉に、スコールはゆっくりと、少しずつ、意識するように呼吸を始める。
ふー、ふー、と詰めていた息が正常なリズムを戻して行くにつれ、体の強張りも解けて行った。

 けれど、クラウドの指を締め付ける力は、中々緩みそうにない。
そもそも受け入れる器官ではないし、経験がある訳もないのだから、無理もない話だ。
……クラウドは、些か可哀想に思いつつも、自身の欲望を止める事は出来なかった。

 ぐ、と指をより深くまで挿入させる。
びくん、とスコールが怯えるように身を強張らせたが、息を、と耳元で囁くと、小さな子供が教えられたことを繰り返すように、ふぅ、ふぅ、と呼吸する。
強張っては緩ませて、また深くまで挿入して────と繰り返していたクラウドだったが、


(此処が限界、か)


 壁のように窄んだ場所に行き付いて、クラウドはそう踏んだ。

 奥壁を指先で擦ると、スコールの腰がビクッと跳ね上がる。


「は、あ、…や……!あぁ…っ」


 指の関節を曲げ伸ばしして内壁を擦ると、スコールの喉から甘い声が漏れた。
只管に締め付けるだけだった内壁は、少しずつ解れ、刺激を与える度に悩ましく蠢き始めている。


「あ、あっ、んっ、んんっ…!ふ、う…!」
「イイ、か?スコール」
「っは、あ、…はぁっ!あ、わか、らな……っ」


 判らない、それも無理はあるまい。
今のスコールは、ただ与えられる刺激に従事して、クラウドに縋るしかないのだから。

 内壁が微かに緩み始めている。
秘孔への刺激で、スコールの中心部がまた頭を持ち上げようとしていた。
男の身体は判り易いもので、その様を見れば、スコールが無意識にも快感を拾い上げているのが判る。

 絡み付いて来る肉ヒダを振り切って、クラウドはスコールの秘孔から指を引き抜いた。
加えるものを失った其処を見れば、ヒクヒクと誘うように伸縮を繰り返している。


「苦しかったら、言え」


 止められる自信はないけれど、そう言った。
すると、スコールがことんと首を傾げてクラウドを見上げる。
幼い仕草にクラウドが小さく笑みを零せば、心なしか、青灰色に安堵したような色が灯る。
…それを直ぐに裏切ってしまうのが可哀想に思えて、詫びるように、傷の走った額にキスをした。

 硬くなった自身をスコールの淫部に宛がうと、どくどくと脈打つそれに気付いて、スコールが目を瞠る。
何、と問い掛ける声が音になるのを待たずに、クラウドは一気に腰を押し進めた。


「──────っあ……!」


 ずりゅぅう……!と穴口から秘奥までを一気に貫かれて、スコールが目を見開く。
忘れかけていた痛みと圧迫感に襲われて、恐怖感を思い出したように、スコールがクラウドの肩を掴んだ。
縋るものを求める腕を首に廻させれば、怯えるように震える腕で、クラウドに縋り付いて来る。

 淫部はクラウドの雄を強く締め付けていたけれど、丹念に解し続けたお陰か、食い千切らんほどの痛みを齎す事はない。
クラウドは締め付けの強さに微かに眉根を寄せたものの、スコールを抱き寄せると、半ば強引に律動を始めた。


「い、あっ、うあっ、あっ!ク、ラ、ウドっ!」
「っ…!く…!」
「痛、い、うぁっ、あっ、あぁっ!」


 甘さよりも悲鳴に近い声だった。
スコールの手が金糸を掴んで、引き抜かんばかりに強く掴む。

 スコールの目尻から大粒の涙が溢れて、頬を伝う。


「あ、あ、痛、い、あ、あっ!」
「ん、く、ふっ……!」
「や、だ、やだ、クラウド、ひっ、う、痛い、って、言って、んんっ!」


 スコールは、折り畳まれるように抱えられた体を必死で暴れさせた。
痛みなんてものは、環境柄慣れたものだと思っていたけれど、こんな痛みは今まで経験がなかった。
駄々を捏ねる子供のように頭を振ってクラウドに訴える。

 ────しかし、ある一点を突き上げられた途端、


「ひっ、あぁっ!」


 一際高い声が漏れて、スコールの眼が宙を彷徨う。
ビクッ、ビクッ、と躯を戦慄かせるスコールを見て、クラウドの口元が微かに笑みを梳く。


「此処か……?」
「な、……あぁっ!」


 クラウドが確かめるように同じ場所を狙って突き上げると、スコールは喉を逸らして声を上げる。
其処を集中して攻め立てれば、痛みを訴えるばかりだったスコールの声に、また甘さが篭って来て、


「ひ、あ、あっ、あっ!や、何、あ、ん、」


 突き上げられる度、堪えようと噤んでいた口が呆気なく開かれて、あられもない声が狭いテントの中で反響する。
腰を打ち付ける音の中に、ぐちゅ、くちゅ、と淫靡な水音が混じり始めていた。

 解きほぐされた肉壁が絡み付いて来るのを振り切りながら、クラウドはスコールの内部を何度も突き上げる。
クラウドが腰を引く度、スコールの淫部はねっとりと絡んで引き留め、突き上げる時には拒むように窄んで締め付ける。
痛いほどの締め付けも、丁度良い所で解されて、けれども緩む程に広がっている訳ではなく。


「スコール、あんた……」
「はっ、あぅっ、あっ、あっ!や、はっ、ああっ!」
「あんた、凄い、な……」
「ひ、は、何、が……あ、あっ!ん、く、んぅうーっ!」


 ずりゅっ!と最奥を突き上げると、スコールは息を飲んで身を固くした。
きゅうぅう!と締め付けられる感覚に、クラウドは己の臨界点が近い事を知り────程なく、堰き止め続けていた熱の奔流が解放されるのを感じた。

 スコールが声にならない声を上げて、クラウドが吐き出した欲望を受け止める。
それしか彼には許されない。
注がれる熱の激しさに翻弄されながら、スコールも三度目の絶頂を迎えた。
そのままクラウドが動きを止めると、奥底で雄を咥え込んだ其処は、ヒクヒクと痙攣を引き起こしていた。

 こつん、とクラウドはスコールの額に己の額を押し上げた。
熱の篭った青灰色で、涙を零し、赤らんだ頬に汗を滲ませているスコール。
常の落ち着いた大人びた面立ちなど其処にはなく、不慣れな快楽に振り回されて、前後不覚になっているのが見て取れる。
そんなスコールの頬に唇を寄せて、クラウドは囁いた。


「……すまない、スコール」
「……っあ…ぅ……」
「…あんたの事、全部、手に入れたかったんだ」



 ────出来れば、あんたに嫌われない方法で。
でも、もう、駄目だな。

 光を無くした蒼の瞳にキスをして、クラウドは自嘲するように笑った。