絶対的捕食者







腕の中に閉じ込めた存在は


いつまで此処にいてくれるだろう







見詰めてくるこの瞳は


いつまで自分だけを映してくれるだろう











何処かで誰かが言っていた、不確かな永遠など


信じては、いけない

























交わした濃厚な口付け。
漏れた呼吸には明らかな熱が篭っている。

息苦しさからだろうか、金色の端で薄らと雫が見えた。
絡めていた舌を放せば、名残惜しそうに悟空の舌がそれを追い駆け、銀糸が残る。


もっと、と強請るように、首に細腕が回された。



「さぁんぞ……」



目の前で、肢体を惜しげもなく曝す子供。

拾った時に見た目でなんとなく決めた年齢で換算すれば、今年で15を迎える。
毎日外を駆けずり回っている割には、歳不相応にその躯は細かった。
肌はほんのりと日焼けしており、血色が良い。


昼間転んだと言っていたか。
受身を取り損ねた所為で、左の肘と膝を擦り剥いている。

思い出したら気になった、悟空がではなく三蔵が。
甘えてくる悟空の左腕を掴んで、三蔵は擦り剥いているその肘に唇を寄せる。
ゆったりと舐め取ると、悟空は熱の篭った瞳でそれを見詰めていた。



「……くすぐったぃ……」



けれども、悟空はその感触に笑う事はない。
寧ろ心地良さそうにして、妖艶に微笑むのだ。

自覚がないから、性質が悪い。
そこいらの娼婦よりもよっぽど資質があるのではないかと思う。
普段の天真爛漫で無邪気な姿からは、とてもじゃないが想像出来ない。



「嫌じゃ、ねぇだろ」
「……ん」



耳元で囁けば、悟空は小さく頷いた。





その瞳には、明らかな欲情の色がある。






寝転んでいる三蔵の躯を跨いでいる悟空。
三蔵の腹の上に手を置いて、膝立ちになっている己の体重とバランスを支えている。

既に勃起し、怒張している三蔵の雄を、悟空は己の秘所に宛がった。
擦れ合っているだけで、悟空の躯は歓喜に震え上がる。
それを己の体内に招きいれ、唯一の絶対者と一つになるというなら、尚更。


ゆっくりと悟空が躯を落とす。
三蔵の雄が、悟空の内壁の中へと進入していく。



「あっ……は……ん…」



艶めいた息が漏れて、悟空は悩ましい瞳で三蔵と目を合わせた。
三蔵の方は悟空と正反対で、いつものように済ました顔で見返している。

そんな三蔵の姿に、悟空は顔を赤らめる。
それは羞恥の所為ではなくて、端正な顔立ちに見とれているから。



「ぼーっとするなよ、悟空。止めるぞ」
「…っや……あ、ぅん…!」



三蔵の言葉に、悟空は子供が駄々を捏ねるように首を横に振った。
急かされるようにして、悟空はまた雄を飲み込まんとする。



「はぅ…っあ、あぁん……!」



今感じている快楽と、この後に訪れる激しい快感。
それを連想してか、悟空の表情が光悦したものになる。



気紛れに三蔵は手を伸し、悟空の揺れる長い髪に指を絡めた。
拾ってきてから背も伸びたから、当然、髪も伸びた。
遊び回るのに邪魔だから切りたいと何度か言われたが、三蔵は切り揃える程度で、それ以上は短くする事を赦さなかった。

こうして手を伸ばすだけで、長い髪を捕らえる事が出来る。
この大地色の長い髪は、一種の束縛の証であった。



全てを己の中に収め切って、悟空は短い呼吸を繰り返している。
その都度、脈動が連動して、三蔵の雄を緩く締め付けていた。



「っあ、は、はぁっ…ん、あ……」
「どうした」
「…あ…さ、んぞ……お、っきぃ……」
「苦しいか?」



三蔵の言葉に、悟空は小さく首を横に振った。



「ん…きも、ち…ぃい……」



舌足らずな喋り方は、三蔵の男を激しく刺激する。


男根を己の中に取り込んだまま、悟空は躯を前に倒す。
三蔵に取り縋るような格好になり、互いの顔が近くなった。

熱を孕んだその金瞳に、三蔵は小さく笑う。



「淫乱だな、テメェは」
「っん……」



悟空の後頭部に手を添えて、三蔵は唇を奪った。
予告もなく呼吸を塞がれた為、悟空は酸素が足りなくなる。
しかし口内を蹂躙する三蔵の舌に、意識はそちらへと持っていかれていた。

三蔵の空いている手が、悟空の背筋をツッとなぞる。
ビクンと悟空の躯が震えて、三蔵の雄を締め付けた。



「んっん…あ…ぅん…っん…」



締め付けて得られる快感と、口内から与えられる快感。
悟空はそれらに翻弄されるばかりで、ただ三蔵にしがみ付いていた。

三蔵の腹に当たっている悟空の小さな剣は、解放を主張している。
既に先走りの蜜液は流れ落ちて、二人の腹を汚し、シーツにまで染みを作っていた。



「あっあうっ!うん、はあっん…!」



三蔵に縋り付くままの格好で、悟空は腰を振っている。
グチュ、ズチュ、と卑猥な水音が室内に響く。



「あっあっあっ……!っは…ひぁ…ゃぁん……!」
「何やってんだ……此処だろ」



ぐい、と悟空の腰を落とさせる。
一気に深く繋がって、悟空は躯を仰け反らせた。
露になった喉に噛み付くと、まるで動物のように、悟空は抵抗を忘れてしまう。



「何やってんだ、動けよ」



命令のような言葉。
実際は其処までの糸を孕んではいない。

けれども、傍目に聞いている者がいれば、それ以外の感想はなかっただろう。


事実、悟空は言われた通りに再び腰を動かし始める。
開きっぱなしの口からは、飲み込めないままの唾液が零れ落ちていた。
既に理性らしいものは闇の中に葬られたようで、従順に快楽を追い求めている。



「ぁ…さんぞ、さんぞぉ……いぃ……!」
「当たり前だ」
「ふ、ぁっ!」



戯れに三蔵が突き上げると、悟空は素直に反応を示す。



「ほら」
「あっあっ!ひ、ぁん!」
「ぐちょぐちょだな」
「はぁっ…!ぅ、ん、んはっ……!」



油断した瞬間に訪れる強い快感に、悟空は打ち震えて悦んだ。
そしてもっと頂戴、と強請る。


縋り付く悟空の躯を抱いて、三蔵は無造作に起き上がった。
やはりその弾みで悟空と深く繋がり、子供はまた声を上げる。



「あ…さん、ぞ……なぁに……?」
「さっきから見てりゃ、テメェばっかり良くなってるようだからな」



今度はこっちが気持ち良くして貰う。
当たり前の事だと言えば、悟空は小さく頷いた。

三蔵の首に腕を絡めて、口付ける。
解放する事をしないままで、三蔵は悟空の足を持ち上げた。
向かい合った格好で、悟空の躯は半分宙に浮いている。


そのまま、悟空の躯を激しく揺さぶった。



「あっあっあっ!あん、だめ、はげし…はやぃい…!」
「何言ってんだ、序の口だろうが」
「ひぁんっ!あう、あ、ぅうん……!」



躯が浮いている為、悟空は思ったように身動きが取れない。
されるがままに三蔵を受け入れ、強い快楽に翻弄されるばかり。



「あ、そこ、そこダメぇ…!い、いのぉ……!」
「なら駄目って事はねぇだろ」



矛盾した言葉であったが、悟空の躯が確実に欲している事を三蔵は知っている。
サディスティックな笑みを浮かべながら、三蔵は更に悟空を高みへと追い遣っていく。
弱い部分ばかりを攻める三蔵に、悟空は過呼吸に陥るのではないかと思う。

だが三蔵は其処まで追い詰めると、ぱたりと動きを止めてしまうのだ。





其処から先、もっと強い快楽が欲しければ。
悟空は三蔵に頼る以外に、道を知らない。





ズルリと欲望を抜き去られて、悟空の躯がその快感に震える。
男根を咥えていた其処は、物欲しそうに伸縮を繰り返していた。



「あっう……は……」



幼い躯を布団の上に投げ出す。
悟空は痙攣しながら、熱の篭った瞳で三蔵を見詰める。

三蔵は面白そうに、貧欲に熱を求める悟空を見返す。




「欲しけりゃ、足開け」




言えば悟空は、緩慢な動作で脚を広げた。
秘部を露にしたその姿は、どんな麻薬よりも甘い誘いを漂わせている。

自分で其処に指を埋めて、既に緩んでいる場所を押し広げる。
既に何度も三蔵の雄を咥えているというのに、まるで処女のような締め付けをする其処。
勃ち上がっている幼い剣は、経験の無さを主張して鮮やかなピンクをしている。



「っは…さ、んぞ……あ…来てぇ……」



クク、と三蔵は喉で笑った。



「そんなに挿れて欲しいか?」
「……っん……ぁ…」



鎖骨をねっとりと舐めながら、三蔵は囁く。
その言葉に悟空は頷いて、我慢できないと三蔵の首に腕を絡める。

どれだけ貪っても、互いに満たされる事はない。
だから時間が許される限り、深く深く繋がりあって蹂躙する。




三蔵は悟空の脚を抱え上げ肩に乗せ、一気に奥底まで貫いた。