humanbeings crazy









何もかも捨てることが出来たら



あなたは僕だけのものになってくれますか




























突き上げられる度に与えられる快楽に、悟空は酔っていた。


鉄格子の向こうに尻を向けて四つん這いになり、格子の合間から伸びた手に腰を掴まれ、揺さぶられる。
既に締まりのなくなった悟空の秘部からはケモノの吐き出した白濁の液が漏れ、
悟空もまた、何度となく蜜液を吐き出してカラ達きになりつつあった。

それでもケモノは悟空を解放する事はなく、自分の思うままに突き上げる。
悟空もそれを甘んじて受け入れ、声を上げた。



「あっあっ…ん、あぁっ!」



ずぷ、じゅぷ、と暗い地下に響く。
冷たい石壁に反響する声に、ケモノがクッと喉で笑った。



「は、あんっ!あひっ…ふ、ぁん!」



突き上げられる都度、悟空の幼い雄からは白濁の液が飛び溢れる。
それも徐々に薄いものになっていた。

それでも声を上げる悟空を、ケモノは満足そうに見つめる。
自分の思う様に開発した躯を余すところなく蹂躙する日々に、このケモノも確かに酔っていた。
何も生み出すことのない、この背徳的な行為が繰り返されることに。


四つん這いで上半身を支えていた、悟空の腕から力が抜けた。
尻だけを高く突き上げた格好で、ケモノの雄を受け入れ、悟空は強く突き上げる雄を放すまいとしていた。



「もう、も…だめぇ…!あんっ、あ、はぁ、うっ!」
「何が駄目だ……まだ十分勃ってるじゃねえか。嬉しいんだろ?こうされて」



悟空の腰を引き寄せ、同時にケモノは最奥まで雄を突き進めた。
深くなった挿入に悟空は声をあげ、薄い精液を吐き出す。

ケモノの手が下腹部へ伸び、達したばかりの悟空の剣に触れた。
やんわりとそれをケモノの手が包み込むと、悟空の背にゾクリとしたものが奔り、悟空はふるふると震えた。



「イケるじゃねえか、ちゃんと……」
「もう…出ない、よぉ……あっあん!」
「お前がイキっ放しだからすぐにバテるんだろうが」



悟空は、一度達すると必要以上に精液を吐き出す体質であった。
ケモノは何度となくそれを詰り、淫乱だと責め、また更に悟空の躯を突き上げる。

抗う術などとうに奪われた悟空は、与えられる責め苦と快楽にただ従順に声を上げた。



「っは…あ、あんっ…はぁっ……!」
「それにお前……今日はずっとこうしていたいって言っただろうが」



悟空の躯を引っ張り上げて起こすと、ケモノは格子越しの悟空を抱き締めた。
密着度が高くなって、悟空は自分のナカに入り込んだ雄の形と熱をまざまざと感じる。
けれど緩い拘束をするケモノの腕を振り払うことなど、頭に浮かぶことさえなかった。

それに、確かに今日は悟空の方からこの狂気染みた行為を望んだのである。
何もかも忘れるほど、壊すほど、それほどに抱いて欲しいと。



「お望み通り、今日一日は抱き倒してやるよ」



最も、時間の概念から隔離されたこの地下空間で、どれ程時間が経てば日が変わるのかも判らないけれど。
ケモノの方が疲れて悟空を手放すまでは、恐らく、何日でもこのままになるだろう。


それでも、悟空は恍惚とした笑みを浮かべて頷いた。

だって、至上の幸福のようにも思えたのだ。
この綺麗な綺麗なケモノに貫かれたまま、一生此処に閉じ込められる運命になっても。





























最後にありったけの精液を搾るように流し込まれて、悟空はようやく解放された。
暗い地下室を仄かに照らす蝋燭の火に、二人の姿と床に飛び散った情交跡が照らされる。

悟空は一糸纏わず解放されたままの格好──尻を高く突き上げた格好──のまま、溢れ出てくるケモノの精液に身を震わせていた。
ケモノの方は手早く下肢の処理を済ませていたが、それでもあれだけ動いたのは久しぶりだったからだろうか。
珍しいことにケモノは汗をかいていて、いつもは直ぐに下がる躯の熱が未だに燻っている状態になっていた。


二人の艶めいた呼吸だけが、暗く狭い牢の中に響く。



「……ん…っは……きつ……」



ようやく言葉を発せられる程度に落ち着いて、悟空がポツリと呟いた。
のろのろと起き上がると、随分と長い時間存在を忘れていた自分の衣服を手に取った。
しかし自分と相手の精液で塗れた躯の上に着る気には、中々なれない。

ケモノの方は上半身を纏うものは与えられていないから、然程気にしてはいなかった。
けれど悟空の方はそうも行かないから、どうしたものかとぼんやり思考を巡らせる。


所が、突然強い力に引き寄せられて、それも中断される。



「んぅっ………」



強引に牢の方を向かされて、深い口付けを与えられた。

何度も角度を変えて繰り返されて、悟空の瞳がトロンとなる。
解放されて僅かに戻りかけていた理性が再び薄れていく。



「……物欲しそうな面だな……」
「…っは……ぁ、ン……」
「ヤってる時と同じ顔だ」



唇を解放して、ケモノが悟空の顎を捉え、上向かせる。
ぼんやりと見上げてくる子供の表情に、ケモノはクッと喉で笑う。

情事の香りをそのままに残した躯は、はっきり言って目の毒。
流石にケモノも少々疲れていたのだが、再び湧き上がってくる雄の欲望。
悟空が此処に来てからどれほどの時間が経ったかは知らないが、もう一日、抱き倒してしまおうかと思うほど。


それでもどうにか悟空を手放すと、へたっと子供はその場に崩れ落ちた。
肩で息をする悟空も同じように熱を煽られたに違いない。
そういう風に、ケモノが躾けたのだから。



ケモノは悟空の頭をくしゃりと撫でてから、ふいっと牢の奥へと歩を進めた。
最奥までは蝋燭の火も届かず、悟空は闇に紛れていく綺麗な金糸を目で追い駆ける。


悟空は撫でられた場所に自分の手を置いて、はんなりと笑む。
行為の時は乱暴に突き上げてくるケモノは、その後はいつも優しかった。
抱き締めて、頭を撫でてくれて……時には、何事か声をかけてくれることもあった。

そんなケモノにどんどん囚われていく自分がいるのが判る。
ケモノに生かされている自分が形作られていくのが、今は何よりの幸福だった。



「明日も…来るね」



暗闇に紛れて見えなくなった金糸へ、悟空は呟いた。

白濁の液を落とすことも出来ないまま、服を着る。
薄手の服に誤魔化されるかは判らなかったけれど、着なければ戻れないのも事実。
出来れば今は夜がいいな、と思いながら。


腰に力は入らなかったけれど、此処にいても如何にもならない。
壁に手をつきながらようやくという様子で立ち上がり、そのまま壁を伝って牢に背を向けた。

返事を待たずに、悟空は覚束無い足取りで外へと向かった。







暗闇の中で、金糸のケモノはずっとそれを見ていた。

明るい場所から暗い場所は見えないけれど、逆から見ることは可能だった。
仄かな蝋燭の火に照らされていた悟空の様子は、全てケモノには見えていた。



去り際、悟空はいつも言う。
明日も来る、と。

最近は色々と忙しいそうだから、言葉通りに実行できてはいないけど。


それは最初に語りかけていただけだった間柄の言葉が、癖のように残っただけかも知れない。
けれども行為をするようになってからも代わらずそう言うから、最初の頃は随分それで揶揄ったものだ。
そんなに俺とシたいのか、と。

悟空は真っ赤になって首を横に振ったけれど、本心では嫌がっていないのがケモノには判った。
実際、悟空は何度も此処に来て、その都度強いられる行為を拒絶した事はなかったし。



(…ま、抵抗されても止める気はなかったしな)



最初こそ訳が判らず暴れた悟空であったが、快楽には直ぐに陥落した。
初めての感覚に怯え、そして溺れていく様を見るのは堪らなかった。
もっと壊したいと思うほど、何も知らない無垢を汚すのはこの上ない支配欲を煽る。

結果、悟空は最も真っ白な部分を残したままで、全てをケモノに囚われた。
今では父や兄と話をしている時でも、ケモノの事が頭から離れないと言っていた。


別に、この関係に打算も計算もない。
此処から抜け出すために子供を抱いた訳ではないし、そもそもそんな酔狂ではない。
基本的に触れるのも触れられるのも嫌いなのだ、このケモノは。

だから子供を抱いたのは単純に欲しいと思ったからで、他の感情は其処には存在していない。



(悪くは、ねぇが)



何にも欲することはないと思っていた己が、あの金瞳の子供にだけは違う。
顔を合わせた頃から、何かと悟空はケモノを掻き乱した。

無邪気な顔をして、何も知らなくて、その癖他人を振り回す。
そんな子供はいつの間にか、ケモノの中にしっかりと居場所を作っていた。




それを、教えてやる気はないけれど。




掴んで欲しいと伸ばされる手も、見て欲しいと向けられる瞳も、何もかも。
確かな情欲を持って向けられるのが自分だけだと思うと、湧き上がる優越感を止めることが出来ない。

何も知らない子供の躯を開発したのは自分だ。
だから、あの躯は自分のもので、それに伴う心も無論ケモノのものだと。
理不尽な理屈を突きつければ、恐らく悟空はそれも甘んじて受け入れるだろう。








このまま、全て、繋げてやろうか。


身も心も、これから伴う時間も、全て。