くのいちハガネ忍法帖第二部
〜ハガネ、姦悦〜


 ぴちゃぴちゃ、ぴちゃぴちゃ……。どこからか、そんな音が聞こえてくる。すぐ近くのような気もするし、ずっと遠くの音のようにも聞こえる。ハガネは霞のかかったままの頭に、少しずつ神経を集中させていった。
 音は、自分のすぐ下から聞こえている。いや、すぐ下というより、自分の躰の下の方だ。そして、その音の発生源から、またあの鈍い感覚が湧き出している。
 あ……私のあそこ、誰かに、舐められてる。ぴちゃぴちゃって、いやらしい音を立てて……。
 ハガネは重い瞼を少し開いた。自分の恥ずかしい部分に、女が張りついている。ウスラだ。ウスラが、ハガネの淫裂に熱心に舌を這わせている。
 ああっ、気持ちイイ……ウスラ、もっとやって……。ハガネは声には出さないが、その憎むべき女の舌の感触を素直に楽しんでいる。
 ウスラが、上目使いでこちらを見た。いや、こちらを見たのではない。さらにその上の、誰かの顔を見たようだ。ハガネは、そのウスラの視線に合わせて、少し顔を上げる。

「……」

 そこには、男のモノがあった。テラテラと何かの液体で全体が光っている。今はくにゃりと、力なくしぼんでいるが、舌ですればすぐに逞しく勃起してくれそうだ。そう、舌ですれば……。
 ハガネは無言で目の前の陰茎に唇を近づけると、そのまま口に含んだ。佐吉や源蔵に教わったとおり、舌を絡ませじっくりと舐めしゃぶる。そうしてると、口の中のモノにも少しずつ力がみなぎってくる。

「ふっ……んっ、うぐう……んっ」

 ハガネは切なげな声を自然に洩らす。自分がすでに縄を解かれ、さらに全裸であることに気がついても、もうどうでもよかった。あそこも気持ちイイ。口の中の男根も、愛しい。
 必死に舌と首を動かしていると、ウスラの舌の愛撫から感じられるものが、明らかに快感だと、気づく。
 ふっと、淫裂から女の舌が離れた。しかし、ハガネは口に含んだものを離そうとはしない。先ほどからどんどん大きくなってきている。これが、私の、あそこに……これが、わたしの、あそこに……。

「……さあ、殿。準備はできたようですわ。まだまだ稚拙ですけれども、キュっと締め付けてくる感触……もしかして、私より具合がイイかも。ああ、嫉妬しちゃう……!」

 ウスラが肉棒の持ち主にささやいた。それを合図に、ハガネの口からペニスが抜き出された。

「あっ……」

 小さくささやく。名残惜しそうに、舌とペニスの間が妖しく糸引く。
 ハガネの躰は、ウスラの手によってゆっくりと布団の上に寝かされた。ウスラも全裸だ。その淫裂は行為の後を示すように、粘液で輝いていた。

「さあハガネ、殿をしっかり楽しませるのよ……そしてお前も自分で楽しめばいい。お前は、殿の肉人形なんだから……」

 ウスラの声が呪文のように聞こえる。もう肉人形と言われても、少しも悔しくなかった。今はただ、これから起こることへの期待で胸がいっぱいだった。

「ハガネ……」

 父親のように優しく、男がハガネにささやいた。ぐっと、逞しい胸板が視界に近づいてくる。
 ああ、父上……。父上が、ハガネを愛してくれるのね……ハガネ、嬉しい……。
 なぜか、ハガネにはその男が父親のように思えてきた。そばで微笑んでいる女によって殺められた、父……。そして、今その父はハガネのためにあの世から戻ってきてくれたのだ。

「……う、ううっ!」

 男が気合を入れて、怒張をハガネの秘裂に押し込んでくる。その周辺はしっかりと淫汁で潤っていたが、その入り口は異物の侵入を拒むかのような抵抗を有していた。
 男の陰茎が自分の性器に当てが割れるのを、ハガネはぼんやりとした瞳で見ていた。どうやら入り口で戸惑っているようだ。ハガネは、なぜかウスラのほうを見た。ウスラは意味ありげに微笑み、ハガネの腕をつかんだ。

 ウスラにつかまれたハガネの手は、男のモノの元に導かれた。ハガネはそれを拒否することなく、熱くドクドクと脈打つペニスを、愛しいものを扱うように優しく持った。そして信じられないが、その自分の手で持ったペニスで、潤った淫裂を上下左右にまさぐったのだ。

「はあ……んっ!はああ……っ!」

 まるで子供のような少女が、虚ろな瞳で淫らに振る舞う。なんと淫靡な光景であろうか。殿は、腰にさらに力を込めた。

「ふっ、はあっ……は、入って、くる……っ!」

 少しずつ、男のモノがハガネの中に侵入してゆく。たくましく熱いそれは、清純な少女の肉体を、いやらしい牝の躰へと変化させていった。

「はあんっ、ふっ……ああっ」

 粘液に彩られた狭い膣壁を、男の分身が凌辱する。その感覚はまだ少しの痛みを含んでいたが、しかしそれ以上に躰の奥底から湧き出してくる性歓のほうが、ハガネを支配しようとしていた。
 やがて、男のモノが少女の蜜壷に収まり切った。挿入の喜びに、ハガネのヴァギナは本能的な動きで応える。内部が自然に収縮し始めたのだ。その思いもよらぬ動きは、男のペニスにさらなる快感を与えた。

「ハガネ……ハガネ」

 無意識のうちに、殿は下に組み敷いた乙女の名を呼んでいた。先ほどまぐわったウスラは、素晴らしいテクニックの裏付けがあった。しかし、この娘は違う。聞けばこれで二度目の性交だという。しかし、この体内の心地よさはなんだ。狭く、熱く、柔らかく……。動きを止めている今でさえ、これだ。これから腰の動きを開始した時、どれほどの快感がまっていようか……。少女の痴態を見ていると、老いを意識し始めていた自分がまるで、青年のように思えてくる。今、この娘を、抱き殺したいと思った。
 恋人同士のように、見つめ合った二人を見て、ウスラは嫉妬した。やはりハガネも、あの女の血をしっかりと継いでいるのだ。私が、本気で愛したただ一人の男 ジンライさまを寝取った牝ギツネ カスミの血を……。

「ほらハガネ、じっとしてないで殿におねだりするんだよ!『殿さまの珍棒でハガネのオ○ンコを擦り上げてください』ってね。ほら、言うんだよ!」

 ウスラの厳しい口調に、ハガネの唇が少し動き始めた。

「と、とのさま……」
「殿さまの!」

 ウスラが冷たい声で続ける。

「と、とのさまの……」
「珍棒で!」
「ち、ちんぼ……ああっ」
「いまさら恥ずかしがっても遅いんだよ。さあ言うんだ、珍棒って!」
「ああっ、言います……とのさまの、ちん……珍棒、で……」

 ウスラの顔が紅潮する。しかし、男の顔から目を離さない。

「ハガネのオ○ンコを!」
「ハガネの……お、お、お……っ」
「言え!」
「オ○ンコ……っ!ああっ、言った……」
「ハガネのオ○ンコを擦り上げてください、だ!さあハガネ、言うんだ!」
「ああ……わたしのオ、オ○ンコを擦り上げて……うんっ、オ○ンコを擦り上げてくださいぃーっ!」

 胸が羞恥で突き破れるほどの叫びだった。全身の筋肉が緊張し、男のモノを締め付ける力も強くなる。

「ハガネ……愛しい……」

 殿は、淫らな言葉を吐いた少女が、本当に愛しく思えた。もう仕事や任務などどうでもいい。ずっとこのハガネと交わっていけたなら……。
 男は、ついに腰の躍動を開始した。ウスラの場合と違って、今度は自分がリードしなければならない。自分の怒張に、ありったけの意識を集中して少女の狭く熱い蜜壷を突き始める。

「ああ……との、さ、ま……くう、んっ!」

 ハガネもその動きに反応し、切なげな声を洩らす。少女が悦んでいるのを知って、殿はさらに腰の動きを巧みにする。ウスラとの交わりで会得したテクニックだ。

「ああっ、はあ、はあんっ……とのさま、とのさまぁ……ん、くっ……ハガネ、なんか、気持ち、イイ……っ!」

 途端、ハガネの喘ぎが大きくなった。男の肉棒が、突き上げによって膣の奥の、敏感な場所に届いたからだ。

「ハガネ、そんなにイイのか……?俺の珍棒が、そんなに、イイのかっ!」

 常識などかき捨てて、男が淫猥な言葉をハガネに浴びせかける。

「イイっ、イイのォ……と、とのさまの珍棒が、ハガネの奥に、当たって……ああっ、イイっ、イイっん!」

 躰が、浮き上がるような激しい突き上げだ。ハガネは激しく喘ぎながら、どこかにすがりたくて、布団の布に指を必死に絡めている。

「はあんっ!はあんっ!とのさま、とのさまぁん……」

 殿の突き上げに合わせて、少女の華奢な白い裸体がガクンガクンと揺り動く。
 男は、急に上体を起こした。ハガネの躰もそれに引かれるように起き上がる。自分の体の重みのため、挿入感がさらに深くなった。

「ああんっ……とのさまの、珍棒が……まだハガネの奥に、入って、くるぅ……っ!」

 たまらずハガネが叫ぶ。小ぶりな乳房が自分の胸板に当たって心地よい。実は男も、こんな体位は始めてだった。とにかくハガネを悦ばせようとした、本能的な選択だった  再び殿はハガネに快感を与えようと腰を振り上げだした。

「あ、あっ、あっ、あ……こんなのって……ふあっ!は、ああっ、ハガネ、オ○ンコが、オ○ンコが気持ちイイ……っ!」

 先ほどまで布団をつかんでいた両腕は、激しい動きに振り落とされぬよう、今はしっかり殿の背中に回されている。花芯からペニスが抜ける寸前まで引き上げられ、あとは自重落下で、最下層まで落とされる。入り口と、奥。ペニスの鰓がそこを駆け巡るたび、ハガネの躰中に電流に似た感覚が走る。

「ああ、ハガネ、ハガネぇ!」
「とのさまぁ、とのさまぁ……!もっと、もっと……ああん、オ○ンコがイイっ、オッパイもっ……お尻もっ……ああんっ、ぜんぶ、イイっん!」

 大きく喘いだあと、ハガネは真正面にいるウスラを見た。こちらを、恨めしげな表情で見ている。でも、今はどうでもよかった。

「おおう、ハガネ!俺は、俺はぁ!」
「ああんっ、ふうんっ、ハガネも……なんか……なんか、変……ああっ、イイっ……とのさまぁ、なんか、なんかくるぅ……っ!」

 男は分身の限界が近いことを悟った。少女も躰中を包む甘美な快感にわれを忘れそうになっていた。二人は同時に絶頂を迎えようと、躰の動きを同調させた。

「ああ……とのさま、イクの……ハガネ、とのさまの珍棒で……ああっん……イク、イク、イクう……んっ!」
「うああっ……ハガネ、ハガネぇ……ああ、うあっ!」

 オルガスムスは、二人の理想通り同時にやってきた。殿のペニスから溢れ出した熱いスペルマが激しく膣奥を叩き、それによってハガネはイったのだ。女の躰もまた、歓喜のしるしとして、愛液を怒張に浴びせかけた。

「ああ……」
「ハ、ガネ……」

 二人は力の抜けていく躰を、そのまま後ろに倒れさせた。その様子を見て、ウスラは静かに立ちあがった。


 ウスラは素肌に着物をまといながら、廊下を小走りに歩いていた。なぜか、悔しい。ハガネの若々しい交わりを見ていると、やはりあの娘の母親 カスミの顔が浮かぶ。炎の中で凛と死んでいったカスミが、あの世から自分を笑っているような気がした。

「おのれ、ハガネ……」

 どうしてやろうか。有力武将に、世間知らずのハガネを売って辱め、武将の権力を利用するのが目的だった。たしかにあの『殿』との交渉はうまくいった。明日からハガネはあの男の慰み者だ。しかし、納得がいかない。さらにハガネを屈辱にまみれさせる方法……。
 ウスラはうしろに気配を感じた。ゴンザだ。

「……ゴンザ。どうだ、ことはうまく運んでいるか?」

 ゴンザは無言だ。しかし、その首はしっかりと縦に振られた。

「そうか……アレを我々が利用できれば、戦場の様子はガラリと変わる。あの殿さまも喜ぶはずだ……」

 ウスラはそう言って、少し考え始めた。

「……フフッ、そうか、アレがあったのだ。アレは、ハガネにとって……フフッ、ハハハッ!」

 ウスラは、高笑いを始めた。ゴンザは、そんなウスラを、相変わらずの無表情で眺めていた。いつのまにか、外は深い闇が迫る夜になっていた。


「ああんっ、とのさま……ハガネを、ハガネのオ○ンコを……もっと、もっとイカせてぇ……っ!」
「ああ、ハガネ……っ!」

 また、殿とハガネは獣のように交わっていた。豪華な寝具の上で、二人は乱れに乱れていた。
 ハガネは四つんばいだった。その少女の白い尻に、殿は自分の腰を密着させている。その動物を思わせる体位は、まさに今の二人の気持ちを表していた。
 二人が初めてまぐわったあの夜から、三日がたっていた。あの屋敷に留め置かれたハガネを、殿は二日後に迎えに来た。いや、殿自身が迎えに来たのではない。きれいに正装した侍たちが、馬を十騎仕立ててやってきたのだ。その中心には、豪華な籠が用意されていた。

「ハガネさま、殿の命により迎えにあがりました。さ、この籠にお乗りくださいませ」

 侍の一人が言う。言われるままにハガネは籠に乗り、しばらくの道中についた。
 籠の窓から、ハガネの目に入ってきたのは、城であった。それも、小さな城ではない。各勢力がしのぎを削るこのいくさの時代に、こんな大規模の城を有している武将は数少なかった。そして、ハガネの乗った籠は、まさしくその城に入っていったのである。
 大きかった。広い敷地に大軍の兵士が常駐し、貯えられた物資も多量にある。なにより、豪華だった。
 ウスラとゴンザが謀反を起こさず、ハガネが『黒装衆』の頭領としての教育を受けていたなら、この城が誰の城かすぐに分かっただろう。しかし、その寸前で捕らえられ、今はこうしてまったく素性の知らぬ男の城に買われてきた。
 一行は、大手門から入らず、裏の搦め手から密かに入城した。おおっぴらにはできぬ立場であることを、ハガネも理解していた。やがて籠は、大きな屋敷の前で止まった。
 屋敷の中で、ハガネは着ていた着物を脱がされ、女官たちによってさらに豪華な着物を着せられた。ハガネはなにがなんだか分からぬまま女官たちのするに任せた。だが時折、女官たちが自分に冷たい視線を投げかけてくるのは感じていた。
 きちんと正装させられたハガネは、元のお嬢さまの気品を取り戻していた。ハガネは、一人の女官に案内され、屋敷の一室に連れて行かれた。
 調度品は豪華だが、なにもない部屋だった。一人で、ぽつんと座っていると、そこはかとなく寂しくなる。ウスラとゴンザの裏切り、両親の暗殺、人質、佐吉と源蔵の口淫調教、佐吉の死、ゴンザとの交わり、品定め、そして殿とのまぐわい……。すべての事がハガネの心に巣食っていた。
 そんな感傷を突き破るように、廊下をやってくる足音が聞こえた。

「いいか、誰も近づけてはならぬぞ!たとえおやかたさまの使いであってもだ。いいな!」

 あの声だ。あの方が、来てくれた。ハガネは心躍らせた。足音は部屋の前で止まり、ふすまが開いた。男が入ってくる。殿だ。

「……あああんっ、イイっ!オ○ンコ、オ○ンコがイイのっ!とのさま、もっともっとハガネを突き刺してぇ!ハガネを突き殺してぇ!」

 それからずっと、二人は狂った。着せられた着物はすぐに剥ぎ取られ、ハガネと殿は全裸になる。何も言わずお互いの性器を口で愛撫する。そして、どちらというでもなく、さらに深い結合を求めて、獣のような体位でまぐわっているのだ。

「ふう……んっ、くひいっ……ああっ、とのさまの珍棒が、あ、熱くて……ハガネ、また変になっちゃってく……はうんっ!」
「ハガネ、ハ、ガネぇ……!お前のオ○ンコも、熱い……狭い……ああっ最高じゃ……!」

 五十男と十五歳の少女が、鳴咽を交わす。城内の秘められた一室で、二人の喘ぎは淫らに響き合っていた。
 殿はハガネの健康的な美尻をしっかりつかんで凶器を繰り出す。そのたびにハガネは切なくなるような喘ぎを上げる。女の体内が、これほど心地よいものとは、つい先日までまったく知らなかった。正室とのセックスが、跡継ぎを作るためだけのものだったのに対し、今ハガネと交わしている行為は全神経を快感に染め上げてしまうような淫靡な躰の交わりだった。
 ハガネもまた、心の底からこの快感に狂っていた。殿の動き一つ一つから受ける感覚は、以前佐吉や源蔵から受けていた『恥ずかしい行為』ではなかった。ただただ『気持ちがイイ』ものだったのだ。とのさまのモノの鰓があそこの中を擦る。とのさまの指がお尻に食い込む。とのさまの声が鼓膜に響く。とのさまの汁がいやらしい音を立てる。とのさまの玉袋がわたしのおさねにぶつかる……。ああ、すべてが、イイっ……!ハガネは未練も、恨みも、思い出も、復讐も、未来さえもどうでもよかった。

「イかせて……ねえ、とのさま……ハガネをもっと……もっとヘンに、してぇ……!」
「ああハガネ、もちろんだ……俺の珍棒で、お前を本当の……メ、牝に変えて……やるっ!」

 男と女の叫びは、絶頂の近いことを知らせていた。二人はこれ以上ないくらい性器同士ををぶつけ合っている。完全に、二人の世界だ。しかし、二人の秘め事を天井板の隙間から眺めている四つの瞳があった。ウスラと、ゴンザだ。二人の忍びは音を消して、じっと覗きに徹していた。

「……とのさまぁ、ハガネ、あああっ……うっん……イ、イクよぉ……んっ!」
「ハガネ、ハガネ……俺も、も、もう少し……ああっ、くうっ……」

 またも同時に果てようと、男女は意識を集中する。最高の瞬間は、もう目の前だった。

「殿……惟任日向守(これとおひゅうがのかみ)さま。『鉄面天狗』のウスラでございます」

 突然、すぐ後ろから職名を呼ばれ、殿は驚愕した。朝廷から頂いたありがたい名を、まさかこんな場所でこんな時に聞くとは思わなかったからだ。

「以前より依頼されておりました例のものが、あらかた完成したことをご報告しに参りました。いかがなさいますか?」

 殿は全身の力が抜け切ってしまった。快楽の境地から、急に現実に戻されたからだ。最高潮まで昂ぶっていた自らのペニスを、少女の蜜壷から抜く。

「ああっ……とのさま……」

 ハガネもまた、オルガスムスの寸前で緊急停止させられた躰をもてあましたまま、布団に力なく前のめりで倒れこんだ。

「……」

 殿は無言で着物を身につけた。ウスラたちに圧迫の視線を投げながら。

「どうしたのですか、日向守さま。なにやら不機嫌のご様子……」

 ウスラはわざと軽く言った。見れば、性交を中断されて不機嫌なことは一目瞭然なのだ。
 まだ疼いている躰を、ハガネはゆるゆると起こす。なにげなく殿のほうを見て、その後ろにウスラと、ゴンザの姿を見つけた。
 ゴンザがこちらをあの無表情で見つめている。ハガネには、その視線がなによりいたたまれなかった。すぐにそばに脱ぎ捨てていた着物を取って着始める。

「……無礼だとは思わぬか。許しも得ずそれがしの寝所に忍んでくるとは」

 殿は二人の忍びをにらんだ。しかしウスラは意に介さない表情だ。

「あら、では堂々と門から入ってもよかったのですか?我らは忍び。それも殿の主君さまに仕える忍群ではない。そんな我らが日向守さまと結託。そしてその日向守は、幼きおなごとまぐわいの日々……」
「くっ……」

 殿は唇を噛んだ。ただの地場忍びとあなどっていたが、この女はキレ者だ。確かに、この一連の行動を主君に知られれば、自分の立場は危うい。女は、それを知っていて初めから自分に接近してきたのだ。ならば、それを承知でこちらも対応するしかない。

「……例のものが仕上がったと申したな。言い伝え通りのものであったか?」
「いえ、言い伝え通りではありませんでした。あの氷柱から現れるのは『無敵の武者』と古文書にありましたが、実際に溶けた氷から出てきたものは……」

 ウスラは、いったん言葉を切った。殿は身を乗り出す。

「出てきた、ものは……?」
「……古く腐った、鎧……」
「鎧、とな?」
「ええ。いつの時代のものやら、見当もつきませぬ。しかし、あるいはそれを身につければ……」
「伝説通りの『無敵の武者』になれると申すのか」
「ええ、確証はございませぬが。それゆえ日向守さまにそれを着けて頂こうなどという危険なことはできませぬ。しかし日向守さま、ご安心なさいませ。今試しに、我が忍群のある優秀な忍びに、その鎧を身に着けさせております。その結果は、すぐに分かることと……」
「なるほど……あの氷柱と古文書は、それがしが京の都におった際、さる山中の洞穴で見つけたものじゃ。本当に『無敵の武者』が手に入れられるのなら、我が軍団はさらに精強になるだろう」
「まさにその通り。今日は、日向守さま直々にその『武者』を見てもらおうと思いまして参った次第……」
「よし分かった、参ろう。すぐに支度する」

 殿はそう言って、ハガネの方を一瞥したが、すぐに部屋を出ていった。ハガネは、その後ろ姿を未練そうに見送った。

「……ハガネ、途中で邪魔が入って、ココがまだ火照ってるんじゃないのかい?」

 突然、すぐ後ろでウスラの声が聞こえたかと思うと、しとどに濡れたハガネの淫裂に女の指が差し込まれた。

「うああ……んっ!」

 思わず高く喘ぐ。相変わらずウスラの指は的確で、たった一本の指の動きで、ハガネはイった。

「あ、ああ……」

 またハガネの躰から力が抜ける。ウスラは指を引き抜き、その指に付着したハガネの愛液を、ペロリと舐めた。

「まったく、お前はすごいインランになっちまったね……さあゴンザ、ハガネを連れてお行き」

 ウスラの声に、ゴンザは絶頂の余韻を残すハガネの小さな躰を、巨体でヒョイと持ち上げた。

「ハガネ、いいかよくお聞き。お前は所詮私たちの道具さ。利用するだけ利用して、そしてたっぷり恥をかいてもらうよ……」

 ウスラの冷たいささやきを、ハガネはゴンザの腕の中でうつろな気で聞いていた。


 源蔵は、まさに有頂天だった。周りにいる同じ立場の忍びたちもそうだろう。下忍という、組織最下層の忍びたちだが、それでもこんなことが実際に起こるなど思いもよらなかった。
 先ほど『鉄面天狗』の下忍たちが突然招集され、頭領ウスラ直々の話しがあった。

「……もうすぐいくさが始まる。それも大きないくさがね。我ら『鉄面天狗』は、そのいくさを利用してのしあがるつもりさ。そのためには、お前たちの働きが重要だ」

 ウスラの強い口調に、下忍たちはざわめく。

「……でも、お前たちだって気の張り通しじゃ疲れるだろう。厳しい訓練だってしなきゃいけない。だから、お前たちにしばらくの休暇と、女を与えることにしたんだ。なにをしても
文句言わない淫らな女をね……さあ、小屋に帰ってごらん。お前たち好みの女が、裸で待ってるよ……」

 下忍たちから歓声があがった。女を抱く機会は、新人くのいちの教育を任された時か、たまった時にどこかの村の娘をレイプするぐらいだった。彼らは普段明日の命さえ知れない危険な任務で、休む間も無いくらい酷使されていた。やがていくさが始まるまでの一時とはいえ、休みが貰えるのありがたい。ましてや美人頭領ウスラが、淫らなおなごをつけてくれるというのだ。喜ばないはずはない。源蔵を含む六人の下忍たちは、急いで自分たちの小屋へと走った。
 はじめに女の顔を見たのは、一番若い下忍だった。その下忍は言葉を失う。
 全裸、緊縛、猿ぐつわ、張形……。暗く狭い小屋の中、くぐもった声でうめきながら、蜜壷の中に侵入した、腕ほどの太さのある疑似ペニスの攻撃に耐えている。その淫裂から漏れ出した愛液が、白く健康的に張ったふとももを伝って床まで垂れている。かなり長時間そのまま放置されていたようだ。あまりにも、あまりにも淫靡な情景のなかに、その女はいた。だからこそ、その下忍は言葉を失ったのだ。そんな淫靡な風景に似合わぬ少女。自分が、いや下忍みんなが昔から憧れ続けていた少女……。
 女は、ハガネだったのだ。


 六人の下忍たちは、すでに衣服をみな脱いでいた。股間の凶器は全員、限界値まで膨張している。その男たちの輪の真ん中に、ハガネはいた。猿ぐつわはすでに外されていたが、ハガネは声を立てることすらできない。いまだに突き刺さる巨大な張形に、意識を奪われている。

「へへっ、いいザマだなハガネ。俺たちの手に届かない所にいっちまったかと思えば、また帰って来やがった。それもこんなにオ○ンコ汁を垂れ流しながらな。ま、もともとお前は俺たちの慰み者になる運命だったんだ」

 ハガネの姿を見下ろし、源蔵が勝ち誇ったように言う。そんな声も、ハガネの耳には届いていなかった。

「はっ、まったく聞いちゃいねえな。おい、誰かその邪魔なオモチャを取っちまえ!」

 いくらかハガネの痴態を知っている源蔵が、この場で主導権を握っている。他の五人はお互いの顔を見回したが、やがて視線は例の若い男に集まった。

「……よし、文吉おまえやれ。お前、『黒装衆』にいる時から『お嬢さまが好きだ』ってわめいてたじゃねえか。さあ、やれよ。絶好の機会じゃねえか」

 先輩たちの圧力に押され、文吉と言う十七歳の忍びは、おずおずとハガネの股間あたりに座った。目の前に、憧れの少女の秘裂がある。しかし、そこにはおぞましいほど巨大な異物が存在していた。

「やれ!」
「やれ!」

 周りの男たちの声に、文吉はその異物に自分の手をかけた。不思議な、抵抗を感じる。

「あ……っ」

 文吉はビクッとなる。ハガネの声が急に聞こえたからだ。少しずつ、張形は女の場所から抜け出てくる。そのたびにハガネは、聞いている文吉がおかしくなるような甘い喘ぎを洩らす。そしてそれは、ゴトンと音を立てて、床に落ちた。
 今まで侵入していた巨大なモノから開放されて、ハガネの淫裂は収縮を始める。まるで爬虫類のしゅん動のように。

「ほほう、さすが若い娘のオ○ンコだ。年増の女ならこうはいかねえ。あんなデカイ奴を入れられた日にゃ、しばらくガバガバだが、ハガネのオ○ンコはしっかり元どおりだ!」

 源蔵が皮肉を込めてささやく。

「……お、おい源蔵。はやくヤらせろよ!おりゃもうガマンできねえよ……!」
「そうだ。珍棒が痛てえぐらいに立っちまってんだ。なあ、入れていいだろ!」

 男たちが口々に叫ぶ。

「……まあ待てよ。俺たちがガンガン突きこんじゃすぐにハガネが壊れちまわぁ。ここは、面白い余興と行こうや……おい文吉、おまえまだおなごとヤったことがねえだろ?」

 文吉はハッとして振り向いた。まだハガネの陰花に見入っていたからだ。

「へ、へえ。十五で忍びになって、まだ一度も……」
「じゃあ、ハガネとやれ」
「へ……?」
「今すぐハガネのオ○ンコに、お前の珍棒を突っ込めって言ってんだよ!」

 源蔵が語気を荒げる。確かに、さっきからハガネの美しい裸を見ているうち、自分の分身は激しく脈打っている。しかし、文吉は躊躇していた。ハガネがすでに生娘ではないことは知っている。数日前えらい武家さんに売られていったのも知っている。もうハガネは、昔頭領屋敷に忍び込んで、覗き見していた頃の可憐なお嬢さまでなくなったのだ。しかし、自分にはそれを汚すことなどできようはずもなかった。

「……こいつ、ビビってるよ!」
「はっ!今から一流の忍びになろうって奴が、女もろくに抱けねえのか。……よし、みんな手伝え。こいつに女の味を無理矢理にでも教えてやろうぜ」

 男たちは次の瞬間、文吉に飛び掛かった。力で押え込み、手慣れた感じで手足を素早く縛る。身動きの取れぬようになった文吉は、床に仰向けに転がされた。何をされるのか分からず、文吉は恐怖していた。

「さあ、今度はこっちだ」

 源蔵の合図で男たちは、相変わらず力の抜けていたハガネの躰を起こした。

「……あっ、うう」
「おいハガネ。この男はな、お前さんのことを昔から好きだったらしいんだ。だから、その思いに今応えてやれよ、お前の躰でな……」

 ポンとハガネの背中を押すと、そのまま躰は文吉の上に倒れ込んだ。ちょうど胸のあたりに、熱く硬い感触があった。

「ああ……っ」

 ハガネは一つため息をついて、その熱い陰茎をしなやかな手で包み込んだ。もう、躊躇はない。すべての男のモノが、自分には愛しく思える。半開きの潤んだ瞳を緊張する文吉に向け、パクリとそのペニスを口でくわえた。

「ああっ!」

 信じられない。信じたくない。でも、気持ちがいい……。憧れのお嬢さまの口淫は、文吉の全身に電流に似た感覚を走らせた。

「うっ、うああ……っ!」

 チュパチュパと、わざと高く音を立てることも忘れない。そうすれば男が喜ぶことを覚えたのだ。そう、とのも喜んでくれた……。

「へへへっ、やらしい女になっちまったな。おい、もっと乱れさせてやろうぜ……」

 源蔵の声で、男たちは熱心に男根を舐めしゃぶるハガネに、攻撃を仕掛けていった。
 源蔵は熱く湿った淫裂を、ある男はぷっくりと膨らんだ双丘を、ある男は投げ出された白い脚と、ある男は小さくすぼまった菊門を……。ハガネは全身を性感帯にして身悶えた。もちろん、唇に含んだ男根を淫らに舐めることは忘れずに。
 ハガネが文吉のモノから口を離した。濡れた瞳で、自分の唾液で光った陰茎を眺める。ああ、愛しい……。熱に浮かされたような気持ちになって、その硬いものに頬ずりをする。

「よし、準備はいいみたいだ。さあ文吉、お楽しみの時間だぞ……!」

 ハガネがゆるゆると上体を起こす。もう誰に強制されているわけでもない。ハガネは、早くこの熱く硬いモノを自分の中に入れ、全身でイキたかった。そっとペニスに手のひらを添え、火照り潤った淫裂にあてがい腰を落とす。

「うんっ……あああんっ!」
「うあ……ハガネ、さまっ!」

 女が、上になる。見れば、もうすべての快楽を手に入れたような表情のハガネがいた。周りの男たちもすぐにその女の群がった。

「おい、くわえろ」

 ハガネの目の前に、二本のいきり立ったペニスが差し出される。恍惚の表情のまま、それを含み、舌をからめる。その瞬間、さらに性感が昂ぶり、ついには自分から腰を動かし始めた。

「うあんっ……はああっ!」

 下の文吉が、女のように情けない声を出す。初めてのまぐわいは、たとえこの異常な状況でも、やはり感動的であった。上に乗って腰を淫らにくねらせる少女の内部は、幾度とも知れぬ性交で身についた淫技で満たされていた。相手を悦ばせて、自分も楽しむ。皮肉にもハガネは、いつかウスラがいった『肉人形』になろうとしていた。

「ああっ、ぶ、文吉……わたしのオ○ンコ、どう……んんっ!」

 二本の珍棒を口に咥えながら、時折ハガネは淫らな声で問いかける。

「……ああっ、ハガ、ネさま……とても、とても、おうっ……イイです、ああ……イイっ!」

 文吉の体も、未熟ながら本能的に自分から腰を突き上げ始めた。反り返った怒張が、微妙な角度でハガネのヴァギナをこする。

「うんんっ!ふう……むっ!」

 自分より少し年上だが、膣内にあるモノの動きは若く幼く感じる。しかし、今のハガネにはその稚拙な動きこそが快感を一層奮い立たせていた。
 残りの三人もハガネの躰に近づいてきた。ハガネは二本同時の口淫を続けながらしなやかな手を伸ばす。そして猛り狂ったその怒張を指で包みしごき始める。残った男は、ハガネのプクッと膨れた柔らかな双胸で自分の分身を挟み、躍動を開始する。

「ふうんっ、ふうんっ……んっあ……っ!」

 口いっぱいに凶器を頬張りながら、少しだけ空いた隙間から切なげな喘ぎが洩れる。そんなハガネを中心に、その小屋の中には曼荼羅のような光景が展開されていた。男六人に少女一人、互いが複雑に絡み合い、それぞれが快感を求めて躰をふるう。
 ああっ、気持ちイイ……もっとやって、もっと擦って、もっと揉んで、もっと舐めて、もっと汚して……父上、母上、ハガネはもうダメです。仇討ちの気持ちもみんなの珍棒のせいで忘れてしまいました。ホントに、気持ちイイんです。母上も、父上のたくましいモノに、こうやってよがってたんですか……。凌辱されているのに、ハガネは幸せだった。自分が淫らな女であることを知った今、その喜びを多くの男と共有したかった。ハガネの腰は極限まで大きくグラインドし、文吉の未熟な性器に襲い掛かる。その腰の動きは他の珍棒たちにもいい結果を与えている。

「はっ、は、ハガネさまぁ……おいらはもう……出てしまいますっうう……」

 眉間にしわを寄せた情けない顔で文吉が嘆く。ハガネもすでに、何度かの小さいオルガスムスを越えていた。今女陰に熱いほとばしりを受ければ、さらに大きな絶頂を迎えられるような気がした。少女は自分の中のペニスを、万力のような力で締め上げる。

「うあっ、うあっ、ハガ、ネさ、まぁ……出ちまいます、出ちまいますっ……ああ、出た……っ!」
ドクドクっと、大量の樹液がハガネのぬめった膣奥を叩く。ハガネは最後の一滴まで絞り取って、絶頂を迎えた。躰が痙攣しながらも、指や唇は動かしたままで。

「なんだ文吉、もうイっちまったのか?だらしのねえ奴だ」

 源蔵は唇に激しく腰を突き入れながら言った。文吉は荒い息だけで返事が出来ない。まだ、憧れだった美少女の体内の甘美な余韻を、しぼんだ珍棒で味わっていた。

「おい、終わったんだったらさっさとどきやがれ!今度は俺がハガネのオ○ンコにぶち込む番だ!」

 勢いよく、口から怒張を引き抜いた。

「んあっ……ううん……っ」

 ポンッと軽快な音がして口を離れたペニスを、ハガネは期待に膨らんだ瞳で見つめる。
源蔵は、文吉の体をハガネの下から引き出した。文吉のしぼんだモノは、ハガネの淫汁と自分の白濁液でテラテラ光っていた。

「へっ、初めてのおなごの中にたっぷりと出したみてえだな。これからはおれさまに感謝するんだぞ……」

 源蔵はそう言って、ハガネの目の前に仰向けに寝た。

「さあハガネ、何度もお前に入りたくてウズウズしてきた珍棒さまだ。死んだ佐吉の分まで、たっぷり奉仕しろよ……」

 そそりたった源蔵のモノが目の前でいなないている。ハガネは他の男たちのペニスを離すことなく、躰をずらして自分から源蔵の怒張の上に腰を下ろしていった。


「……恐ろしい。このような力を持っているとは……」
「そうでございましょう。我が忍群のそこそこの使い手が三人かかってもまるで相手になりません……」

 ウスラ、そして殿の三人は、無残に斬り殺された忍者三人の死骸を見下ろしていた。

「これさえあれば、どんないくさでも殿の軍勢は敵なしにございます」
「確かに……あの恐ろしいまでの強さを自在に使えれば、いくさの勝ちはおろか、天下さえ取れるであろう……しかしひとつ気になることがある。古文書には『無敵の武者』は三週の間しか現れぬと書いてあったが?」

「その通り。しかし我らも独自に調べた結果、ある秘密に気がつきました」
「秘密?」
「我々は日向守さまが氷柱を見つけた洞窟を再び調査しました。そこにはもう一つ、古びた箱がございました……。その中に、小さな小瓶が」
「小瓶?」

 殿は聞く。
「ええ、『無敵の武者』をさらに強力にするための液体だと、その箱には書いておりました。しかし、液体の入った小瓶は二つ……片方は『武者』を育て、もう片方は『武者』を殺めるためのもの」
「殺めるため……なぜそんなものを」
「『無敵の武者』は、古代の昔何者かによって生み出され、大いに活躍したようです。しかしあまりに強力なため、三週間の間なら味方でさえ殺し始めた。だから氷柱に封じる時、造った者は『無敵の武者』を殺める手段としてその液体を残した、と……。しかし、もう一方の育てる液体のほうも同時に残したのでしょう。先の世の人間が、この『無敵の武者』を使いこなすことを信じて……」
「なるほど。それで」
「二つの液体はこのゴンザがしっかりと保存してございます。これで、『無敵の武者』を自在に操ることができます」

 ウスラの声に、ゴンザは無言でうなずく。

「分かった。その事はそなたらに任せよう」
「……ありがたきお言葉。ありがたついでにもう一つ……。調べてみますと、『無敵の武者』のエサについて興味深いことが」
「エサ?液体とは別に、エサがいるのか?」
「ええ。そしてそのエサとは、若き娘の淫汁……。まあ、これは誰のでもよろしいらしいのですが、これも我々に任せていただけますか……?」
「……ああ。どうとでもするがよい」
「……誰でも?」

 ウスラがそしらぬ顔で聞く。

「ああ。武士に二言はない」

 殿は強く答えた。ウスラはほくそ笑む。

「……承知いたしました。それでは、また何かございましたらお知らせいたします」
「うむ」

 殿は馬に飛び乗り、少ない数の部下たちと城に戻っていった。ウスラとゴンザは、その姿を見送る。

「……いくさでは数々の武功を立てているのに、こんな小さな事には気がつきもしない。まったく、根がお坊ちゃまなんだねぇ……さ、ゴンザ、分かってるね。あの洞窟に、ハガネを連れて来るんだ……今ごろ、タップリと淫汁をしたたらせているだろうよ……フフッ。見ものだねえ、ハガネとあの怪物のまぐわい……」

 ウスラは、いつまでも小さな笑いを続けていた。


「そらっ!そらっ!そらぁっ!」
「んんっ……ううんんっ……!」

 小屋の中では、いまだ七人の男女の交歓が続いている。文吉を除く五人の下忍たちはハガネの華奢な躰にのしかかって、みずからの怒張を突き入れていた。ハガネはもう喘ぎ叫び続けるしかなかった。気持ちがイイ。ただ、気持ちがイイ。全身が性器になったような感じがした。ピンクの小さな唇は淫らな言葉を獣のように叫び続け、腰は自然に大きく振られていた。

「もっと、もっと汚してっ……はうんんっ、はあっ……ハガネのオ○ンコ狂っちゃううんっ……だから、もっと、突いてっ!突いてっ!擦ってっ!ねじ込んでぇっ……ああっ、イイ……っ!」

 十五歳の少女の言葉ではない。まさに『肉人形』の言葉だ。男たちはハガネの天性の媚びに、心乱される。

「クソッ……おいらもう三発目だぞ。まだハガネはヤレるのか?」
「おいらもそうさ……口で二回、オ○ンコで二回……もう真っ赤になってジンジンしてるぜ……」
「ほら見てみろ、あれだけデカイこと言ってた源蔵だって、ハガネのオ○ンコの上で顔を真っ赤にして腰振ってやがる……あれじゃ、玄人娼婦と童貞のガキみたいだぜ」

 男たちが言う。まさしく、源蔵はハガネにやられっぱなしだ。ハガネの果てることない性欲に負け、ただ必死にすがりついているだけだ。女王さまを満足させるためだけの奴隷にさえ見える。

「……童貞っていやあ、文吉はどうした。さっきから姿が見えねえようだが?」
「さあ知らんな。あんまり初モンが衝撃だったんで、どこかで泣きベソかいてんじゃねえか?」
「はははっ、そうに違いねえ!」

 そんな男たちの声を、文吉は聞いていた。小屋の外から、節穴でいまだ繰り広げられているハガネの痴態を眺めていたのだ。
 涙が止まらなかった。確かに、先ほどの初体験は衝撃的なほど気持ちがよかった。しかし、悔しくもあった。
 ハガネさまは、あんな女じゃない。現実はどうあれ、こんな所にいるべき人ではない。文吉が屋敷で幼い頃のハガネを見初めてから、文吉はきっと『黒装衆』一番の忍者となってハガネの夫となろうと思っていた。しかし、その清く美しかった憧れの美少女は今、ここで白濁液に汚された躰を淫らにうねらせよがり狂っている。男を求め腰をふるっている。

「あ、あ、ああんっ……イイっ!もっともっとハガネを変にしてっ!ずっとずっとイかせてぇーん……っ!」

 声は文吉の耳に突き刺さってくる。しかし、間はその屈辱をしっかりと受け止めよう。そしてきっと近いうちに、ハガネさまをここから救い出して見せよう……。

「ハガネさま、僕がきっと……」

少年はそうつぶやき固く心に誓って、淫靡な光景を眺めていた。いつのまにか自分の後ろに、巨体のゴンザが立っていることなどつゆ知らずに。


 文吉は暗い洞窟の中で、じっと息を潜めていた。あの後、突然現れたゴンザは、快感に惚けたハガネから男たちを怪力で引き剥がした。そして有無を言わさず裸のままのハガネを肩に抱き、連れ去った。文吉は、そのあとを追ったのだ。ゴンザはやがて、今文吉が潜んでいる洞窟へと入っていった。
 文吉は、再びショックを覚えていた。このたいまつの赤い光に照らされた洞窟の中で、先ほどの小屋の中で体験した事よりもさらに淫猥な光景が展開されていたからだ。人物は、三人。ゴンザと、ウスラと、そしてハガネだった。三人とも、素っ裸だ。ゴンザのたくましく怪異な全裸。ハガネの瑞々しい全裸。そして文吉が何より驚いたのは、ウスラの全裸だった。初めて見る頭領の躰は、あまりに美しく妖しかった。真っ白な肌はあらわにさらされ、艶やかに張っている。たわわな双胸、くびれた腰の線、官能的な彫像を現実にしたような美しさだった。しかし、文吉が驚いたのはそんなことではない。そこには、あったのだ。そこにあるべきでないものが。

「おい、ハガネ。起きるんだよ!」

 ウスラの厳しい声だ。ゴンザの腕の中で全裸のまま気を失っていたハガネは、ゆっくりと目を開いた。自分がまた、ウスラの手の内にあることに気がつく。

「フフフッ……ハガネ、ずいぶんお楽しみだったらしいね……あんな汚らしい下忍たちに珍棒をねじ込まれてヒイヒイよがってたなんて……」

 そう言って、ゴンザに縛られているハガネをののしるウスラの股間。本来艶々とした陰毛が茂っているはずの場所に、それはそそり立っていた。長大な、陰茎。作り物の張形のようだが、それは凶悪的なほど長かった。ウスラはそれを荒い息づかいで、半分自分の淫裂に差し込んでいく。

「ああっ、イイっ……さあハガネ、今から私とゴンザでお前をさらに可愛がってやるよ。お前もうれしいはずだよ。これはお前の好きなあの日向守さまのためでもあるんだからね……」
「……とのさまの!?どうして、私を辱め続けることがとのさまの役に立つというの!」

 ハガネが、かすかに残った自意識で叫ぶ。

「とのさまになら、私は売られていったって平気だった。でも、私はまたここに連れ戻される……私をどうしたいの?私をどこまでおもちゃにすれば気が済むの!?」
今まで溜まっていた鬱憤が、ハガネの口からほとばしった。
「黙れ!」

 ウスラはハガネの怒りの表情に近寄り、頬を張った。

「いつになったら自分の立場って奴が理解できるんだろうねぇ。これだからお嬢さまって奴は……おいゴンザ、そのいまいましい口をふさいでおやり」

 ゴンザは突然立ち上がり、いきり立ったペニスをハガネの怒りに震えた唇にねじり込んだ。

「ふっ、ふぐうっ……!」
「ハッ!男の珍棒で口やオ○ンコをえぐられればすぐによがり狂うくせに、なにがとのさまの役に立つだよ……男だったら誰だってイイんだろ?」

 自分の淫裂にそそり立った張形を支え持ちながら、ウスラがハガネの背後に近づく。

「お前はただのインラン女なんだよ。今からもこの張形でお前は自分から腰を振り始めるはずさ……」

 ハガネには巨大な物体が自分の淫裂に触れたのが分かった。その瞬間、何の躊躇も無くその巨大なモノは侵入してきた。

「フッ……うぐぐう……っ!」
「おや、痛いのかい?すぐにいやらしい汁を垂らして気持ちよくなるくせに」

 ウスラはハガネの苦痛を楽しむように容赦なく腰を進めた。狭く収縮していた膣が、ウスラの張形によって無理矢理押し広げられる。
 苦痛に顔を歪めながら、ハガネはまた口の中の怒張に、無意識に舌を絡め始めた。膣の中の張形も、痛み以上にまた快感を与えてくる。ハガネの躰はもはや、自分の意志とは関係なく花開くようになっていた。唇の端から洩れるうめき声は、次第に変化していく。

「……ほらほら、気分出してきたみたいじゃないか。あんっ……ほんとにこの張形って、気持ちイイっ!」

 ウスラも、ハガネを凌辱すればそれだけ膣内の感覚は高まる。ゴンザも少女の口淫に分身を任せながら、またあの妖怪のような長い舌でハガネの顔、首筋、背中、そして双胸を舐めまわしていた。

「ふうん、ふうん……っ、うぐぐう、ふうっ」

 洩れ出る喘ぎはさらに高くなり、異物の侵入した花芯からは、ピチャピチャと淫らな粘着音が湧き出している。
人工のペニスは、ハガネの躰になぜかぴったりと合致した。ハガネ自身も不思議だった。本物ではないのに、膣内を駆け巡る感覚はいつもより大きい。

「フフフッ、気持ちよくなってきたんだろう……?ねえハガネ、この張形はある男の珍棒を模倣したものなのさ。さあ、いったい誰のモノだか分かるかい……?」

 ウスラもトロンとした目つきになっていた。少女のヴァギナを凌辱しながら、なにか別のことを考えているようでもあった。

「この、ううんっ……この張形は、ねえ……お前の父親 ジンライさまのモノなのさ……私が少女の頃から憧れ続けて、ああっ……私の、乙女を散らした、あうんっ……珍棒だよ……!」

 ウスラは激しい喘ぎの中で衝撃的な告白をした。ハガネは、大きなショックを受ける。ウスラの処女を奪ったのが父親であり、また、今自分の陰花を刺し貫いている張形が、実の父親を模倣したものなのだ。間接的とはいえ、自分は実の父親のモノに突かれている……。
 その事実はハガネの性感を無理矢理にも昂ぶらせた。

「私がまだお前ぐらいの歳で、あうう……っ、組織の下忍たちに、性技を教え込まれていた時……ジンライさまは、あふっ、あふっ……そんな私を、ああんっ……私を、優しく抱いてくれた……それなのに、そのすぐあとに、ジンライさまは……カスミさまと……あうう」

 熱に浮かされているかのように、誰に言うでもなくウスラはつぶやき続けた。

「……私は、ジンライさまを追って、頭領屋敷に忍び込んで、あはあうっ……そこで……そこで……二人の激しい、まぐわいを、はああん……っ、見て、ずっと、自分で、気持ちよくて、憎たらしくて……」

 支離滅裂な言葉だった。ウスラも、昔は一人恋するかよわいくのいちだったのだ。ジンライを愛して、だからこそ憎んで……。
ゴンザがハガネの愛撫をやめた。そのままウスラの背後に近づいて、口淫によって最高潮まで猛った怒張を、空いている菊門へと向かわせた。ゴンザなりの、ウスラへの慰めのようだ。

「あ、あ、あ……ゴンザぁ……!」

 狭い肉洞が、ゴンザのたくましいペニスに刺し貫かれていく。ウスラは淫裂の張形と、菊門の陰茎が体内で擦れあう感覚を楽しむ。

「んあっ……んあっ……じゃあ、じゃあなんで……父上をあ、ああっ、愛していたのに、それなのに、なんで父上を殺めたり、した……の……あああんっ、イイっ!」

 ウスラを蔑む声と、本能から湧き出る喘ぎが一緒になって、ハガネの唇からあふれ出る。

「ああっ……お前は、ほんとに、ほんとに何も、うああんっ……知らないんだね……私たちは、ゴンザはジンライさまを殺してなんかいないよ……お前がこちらの手にあることを知って……あふうんっ、ジンライさま、は、ゴンザに降伏し、た……あああっ、ゴンザぁ!」

 父上が死んでいない。どこかで、生きている。なんのために……?

「どこに……どこに父上は、くああっ……どこに、いる、……んんっ、んんっ!い、るの……?」
「……すぐに、会せてあげるよ、すぐにね……あああっ、ゴンザぁ、イイよっ!中でお前の珍棒と張形がぁ……ハガネぇ、お前はまだイカないのかい……あああっ、もう、もう……っ!」
「ウスラっ……父上っ……ハガネも、オ○ンコが、熱くて、ウスラの、父上の珍棒がぁ……あああっ、もうイキそうっ!」
「ああハガネ……私も、お前も、ジンライさまの……ああんっ……珍棒で……気をやるっ……ああっ、ゴンザも、ハガネも一緒にぃ……イクっイクっ……ああっ、イクう……っ!」

 ウスラが、まずイった。間髪を入れずにハガネは父親を模した張形に愛液を浴びせかけ、ゴンザは小さくうめき、女頭領のアヌスに多量の樹液を撒き散らした。


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