「おお、奥様のお美しいヒップが私を誘っておられる……この不肖ハロッド、20年前にここを追い出されてからずっと奥様をお恨み申しておりましたが、毎晩のありがたいご奉仕でその恨みもだんだん薄れ……奥様の中に一度出せば1年分、二度出せば2年分、三度出せば3年分。もう20回以上致しましたので、恨みも消え失せましたぞ、奥様……」
言葉と共に、ハロッドの足が母の脚に沿うのが見えた。母のヒップのすぐ後ろに、体を沿わせた、因業屋。
「く、う……っ」
「……クククッ。今後は融資して下さるお客様相手の訓練と同時に、昔の事など全て忘れて二人で深く深く愛を深め合って行こうではありませんか。ねえ、奥様……」
また、肉が肉を張る軽い音が響いた。母のヒップを叩いたのが手のひらだったのかペニスだったのか、今でも分からないでいる。
「さて……最近とみに相性によくなったペニスとヴァギナですが、後ろからはあまり調べた事がありませんな。早速調べるとしましょう」
カチャカチャと、ベルトを外す音。そして、その直後に視界に入った光景は、ハロッドのズボンと下着が床へと落ち、汚らしい毛の生えた裸の脚。同じ視界にある母の真白い裸の脚と限りなく近く、二人が肌と肌を触れ合わせる寸前である事が悟れた。
私は、さらにすり足で歩を進めた。二人との距離は、1メートル。ここまで来て、二人の腰の辺りの様子が見えるようになった。
見たくもないのに、見えるようになってしまった。
「ああ、素晴らしい……私の指をまるで誘い込むようにゆったりと包んで来る……奥様、これならどんな客でも大喜びで金を貸してくれるでしょうなぁ」
「ん、く……っ、ん、んふっ」
唇の僅かな隙間から漏れるような、吐息。しかしそれは、その頃母の膝の上でよく聞いていた不安のため息とはまるで違っていた。それは、直感で。
「おとといのカーナバン氏はどうでしたかな?あの男は舐めるのが好きだから、挿れる前に躰中まんべんなく舐めたはずだ……」
「ああ、嫌……んっ、ふ、うっ」
「その前の、ピートリー中佐は?インド時代の旦那の部下はどのように奥様を抱き、どのように責めたのですかな?あいつはテクニックこそないがひょろ長いペニスの持ち主、奥まで突かれて奥様も善がったんでしょうなぁ……」
「よ、善がってなど……あ、そんなにっ……い、あっ、指、動かさ、ないで……っ」
母の言葉尻がますます乱れていく。その原因を、私は見る。脂肪がつきたわんだハロッドの腰、その横で小刻みに動く左手。その左手が、見えはしないが母の中心であろう部分に伸ばされている。小刻みに動く手が、母の、中心で。
「あ、くうっ……!お願いハロッド……指を、そんなに……声が、出て、しまうっ……あ、ひいっ」
「遠慮なく出せばよいではありませんか。召使いもあの陰気臭いウィクリフただ一人が離れの部屋にいるだけ、ここでどんなに大きな声を出しても聞こえるはずが……ああ、アーネストお坊ちゃまですか」
……!
すでに母の乱れた呻きを聞いていた私。しかしやはりその瞬間、心臓が破裂しそうなくらい驚いた。
「……あ、あの子は何も知らないの……オードリンの事も、私のこのような罪も……だから、お願い……あ、ひいっ!」
母の切なげな懇願が、突然今までより激しく動き出したハロッドの左手によって遮られたのを、私は眼前で目撃した。
「聞かせてあげれば、よいではありませんか……」
「そん、なっ……ひっ、あっ!やめて、おね、がい……あの子に、だけは……ひ、いいっ!」
「そろそろ後学のために、素晴らしい母親の姿をぼっちゃまは知るべきですな……夜は私に激しく抱かれ、昼間は金策のため馬車で毎日違う男に躰を与えに行く母……坊ちゃまもそれを知ればますます母親を尊敬するでしょうな」
父がいた時以上に、母は出かけるようになっていた。そして、その真実がそれだった。
「……しかし、奥様のこの美しい躰はやはり私の物。金貸しに抱かれようと、商人に抱かれようと、軍人に抱かれようと、やはり私とする時が一番感じてくれてるようですからな……」
「そ、そんな事……ひ、あああああっ!」
確かに見た。母の白い両足が、かすかに見えるヒップの肉が、緩く痙攣したのを。女性の絶頂がそのようにして訪れると知ったのは、普通に女を抱けるようになってからだっだ。
「ほうら、指先だけでもう気を遣られた。こんなに汁を滴らせて……でも中の肉はもっともっと、と蠢いておりますぞ……私のペニスが、欲しいのですかな?」 言葉通り、私の目にも母親の太腿を伝う一筋の液体が捉えられた。指を入れられ動かされ、『気を遣った』。私の知らない母親の艶やかな姿が、そこにあった。
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