『牝奴隷は金髪美女』第八章 「CONSPIRACY〜陰謀」


<前回のあらすじ>
美しき金髪美少女 ジェーン。留学先の日本で、
淫らな、あまりに淫らな人間たちと出会う。
陰謀に乗せられ淫乱女子大生 敬子や
恩師の親友にして、性の巨豪 橋本教授に躰を無理やり奪われ、
あまつさえ絶頂を感じてしまった。
自分に絶望したジェーンは、自分のバージンを奪った男 飯塚にすがり、
初めて愛を交わすセックスに辿り着いた。


 飯塚との二度目の交わりから、もう三日が経過していた。飯塚もその間研究室には顔を出していない。二人とも、橋本と敬子に対してどう接してよいのか、測りかねていたのだ。
 ジェーンは日本に留学に来たのだ。しかしいまだなにも成していない。予定では橋本教授の家でホームステイをしながら、午前中は大学の講義を受け、午後は観光をしながら日本の風土を学ぶつもりだった。しかし、橋本の正体を知ったからには、大学には行けない。それは飯塚にも分かっていた。飯塚も、ジェーンのことで橋本教授に大きな反感を持った。しかし、自分はずっと研究室に行かないという確信も持てなかった。大学院生である自分にとって、研究室に行かないというのは退学を意味する。その不安が飯塚をジレンマで苛んでいた。
 二人はその不安を紛らわすために、三日間ずっと部屋にこもって互いの肉体をむさぼり合った。セックスしている時だけ、その不安から逃れることができたのだ。

 四日目の朝がきた。昨夜も二人は飽きることなく躰を求め合った。
 目覚めた時、飯塚はある決心をしていた。ジェーンに対しても自分に対してもけじめをつけたかった。

「なあ、ジェーン……」

 飯塚は洋服を着ながら、まだベッドでまどろんでいるジェーンに声をかけた。

「なんですか……イイヅカさん」

 ジェーンは全裸の躰をシーツにくるんで、目覚めたばかりの瞳をこすって応えた。

「君は、今日から大学に行くんだ。教授の件は、俺がなんとかする」
「イイヅカさん……」
「君は日本に勉強しに来たんだろ?だから、ちゃんと大学に行かなくちゃだめだ」

 飯塚の顔は真剣だ。見つめるジェーンの瞳に、思わず涙がこぼれてくる。

「イイヅカ、さん……」

 ベッドから立ち上がって、飯塚の背中に抱きついた。

「……心配ない、心配ないよ」

 ジェーンの温もりを感じながら、飯塚は襲いかかってくる不安に必死に耐えていた。


「高岩先生、ジェーンのことは聞いてますよね」

 講義の開始前の教室。飯塚は日本近代史の高岩講師を呼びとめた。

「おう、橋本教授のトコの飯塚くんか。ああ、聞いてるよ。正規の生徒ではないが、アメリカから女子留学生が講聴しに来るってことは」

 飯塚のヤマ勘が当たった。これなら、ジェーンをとりあえず講義に出席させることはできそうだ。

「しかし、彼女は五日前に来日しているはずなのに、なかなか姿を現わさなくてね。僕も困ってたんだよ」
「……実は、僕が教授から彼女の身を預かっていたんですよ。教授が学会の準備で忙しいから」

 飯塚はウソをついた。しかし自分もこのウソで騙されて、橋本にジェーンを奪われたのだ。申し訳ない気持ちはさらさらない。

「そうなのか!それじゃあ、早く連れてきなさい」
「……分かりました。おい、ジェーン!」

 飯塚の呼び声に、ジェーンは柱の陰から姿を現わした。

「ほう……」

 高岩も思わず感嘆の声を上げた。日本人のスケベ心はジェーンの肉体を見ただけですぐに魅了されてしまう。

「高岩先生、頼みましたよ!」

 飯塚はわざと大きな声で高岩講師に呼びかけた。高岩は妻も子供もいる普通の男だ。橋本教授のようにジェーンに手を出せるような勇気がないことも飯塚には分かっていた。

「あ、ああ分かった」
「よろしく、お願いします!」

 ジェーンは大きな声であいさつし、高岩講師についていった。その後ろ姿を見送りながら、飯塚は大きく息を吐いた。これからは、自分の勇気を振り絞ってやらなければいけないことだ。
 しばらくの後、飯塚の姿は橋本の研究室の前にあった。ノックしようとして、やはり手が止まる。しかし息を大きく吸って、意を決して扉を叩いた。

「開いてるよ」

 聞き覚えのある、そして今どうしようもなく怒りを感じる声が、扉の向こうから聞こえた。飯塚はドアのノブを回す。

「……やあ飯塚くん。そろそろ来る頃だと思っていたよ」

 ソファーに深く腰掛け、橋本がこちらを見ている。

「さあ、腰かけたまえ。もちろん、ジェーンのことなんだろう?」
「……!」

 機先を制された飯塚は、しかたなく無言でソファーに座った。緊張で喉がカラカラに渇いてくる。対する橋本は余裕の笑みを浮かべている。

「さあ、何を聞きたい?僕はなんでも話すつもりだよ」

 橋本は表情を崩さない。

「……別に、いまさら説明してもらおうとは思いません。教授に、この件から手を引いてもらいたいだけです」
「ふふ、『手を引け』か……。君は意外と正義感だね。彼女をレイプしておきながら……」

 飯塚の全身に戦慄が走る。

「彼女は君にレイプされたと、武藤クンに告白したそうだよ。それは、事実なんだろう?」
「……でも、教授もジェーンが嫌がるのにもかまわず、躰を奪った訳でしょう。それも敬子と二人がかりで……それも、レイプじゃないんですか?」

 飯塚は、橋本の攻撃に反撃する。額に汗が滲んで来る。緊張はさらに高まっている。

「なるほど……確かにレイプかも知れないね」
「そうでしょう!?僕がレイプしたことと、教授がレイプしたことでは、どっちが重大でしょうか。教授だって、外部にこのことがバレたらお困りでしょう……!」

 話が確信にたどり着いた手応えに、飯塚は語気を強めた。

「……飯塚くん。脅迫かね」
「平たく言えば、そうです……」

 橋本は、その言葉を聞いて、ソファーから立ち上がった。飯塚は、教授が詫びを入れて、ジェーンから手を引くであろうと期待した。
 しかし、その期待は裏切られた。橋本は飯塚の傍まで近づいて、耳元でつぶやいた。

「ナメるな、飯塚」

 ゾッとするような冷たい口調。飯塚の全身が総毛立った。しかし、すぐに元の静かな口調に戻る。

「……まあ聞きたまえ、飯塚くん。僕は、今回のようなことを何度も経験してきた。そのたびに、ちゃんとトラブルを起こさずに収拾させて来たんだよ。分かるかい?」

 落ち着いたしゃべり口だが、その底には強い力がこもっていた。飯塚の体は、恐ろしさで硬直してしまっていた。

「つまり、僕にはその力があるってことだ。たかが女を一人傷物にしたぐらいは、すぐにもみ消せる。そして、一人の院生を退校させることだって……」
「……っ!」
「しかし、そんなことは僕だってしたくない。将来のある若者の人生を、こんな些細なことで壊したくないんだ。だから、僕は提案したい」

 もう、完全に主導権は橋本に移っていた。もともと役者が違っていたのだ。

「提案……?」
「そう。君にとっては簡単なことだ。君はただ、ジェーンを僕に渡してくれればいい。彼女はいい素材だ。きっと素晴らしい女になれるだろう。それは、君も分かっているだろうけどね……」
「そんな……!」
「利口になりなさい、飯塚くん。ジェーンを君から完全に奪うとは言わない。僕らは彼女に素晴らしい調教を施したいんだ。君も好きな時、彼女の躰を味わえばいい。僕はそれを拒否しないよ」
「……」
「まあ、よく考えることだ。選択肢は二つしかない。ジェーンを渡すか、渡さないかだ。渡すほうを選んでくれると、信じているよ……」

 飯塚は、蛇に睨まれた蛙のようにソファーの上で、自分の敗北に打ちのめされていた。無力な自分は、ジェーンを裏切ることしか選べそうになかった。


「イイヅカさん、あの講義とっても勉強になりました!」

 ジェーンは、念願の日本史の講義に出られて気分が高揚していた。声を弾ませながら、迎えに来た飯塚に駆け寄る。

「ああ……」

 飯塚は、ジェーンの笑顔を直視することができなかった。心の動揺がそうさせたのだ。

「Why……どうしたんですか、イイヅカさん?何か、元気がないみたい……」

 ジェーンは、飯塚の様子が違うことにすぐに気がついた。

「……いや、別になんでもない。それよりジェーン、橋本教授と話してみたんだけど、彼は君に謝罪したいそうなんだ」
「謝罪、ですか……」

 ジェーンは如実に疑いの表情を浮かべた。自分の躰をあれだけ理不尽にむさぼっておきながら、いまさら謝罪なんて素直に信じられる訳がない。

「……本当なんだ、ジェーン。教授は本心から君にすまなかったと思っているらしい。『親友の木戸教授の大事な教え子に手をつけてしまった』と、僕の前で涙を流して……」

 自分の口から出てくる嘘に、飯塚は辟易した。今、自分に好意を抱いてくれている無垢な少女を、恐ろしい凌辱魔の手に渡そうとしている。

「そう、ですか」

 ジェーンも、信頼している飯塚の言葉を嘘と思いたくなかった。それに、木戸教授の名前もその話を信じさせる材料となった。

「……信じてくれたかい?教授と敬子は、心を入れ替えて君を本当にもてなしたいらしい。今度の日曜日、君の歓迎パーティーをしてくれるそうなんだ。」
「……はい」
「それまで君は今日みたいに講義を受けていればいい。日曜日に、橋本教授の自宅に僕と二人で行こう」
「……分かりました」

 うなずくジェーンに、飯塚は少しの後悔を感じなかった訳ではない。しかし、自分はもう悪魔に魂を売り渡してしまった。橋本という老獪で淫猥な悪魔に。


「よく来てくれた。皆さん紹介しよう、アメリカから来たジェーン・ジェロームさんと僕の研究室の飯塚隆之くんだ」

 周りの人物たちから拍手が起こる。橋本教授の自宅。広いリビングルームで、ジェーンは歓迎パーティーの来客に紹介された。大学の他学部教授、講師、弁護士、医師、企業家……次々と自己紹介するゲストの肩書きは、橋本教授の交友関係の広さを物語っていた。皆社会的常識を持っているような紳士、淑女たちだ。その他に、客をもてなす役として橋本教授の妻正子と武藤敬子と数人の美しく若い女性がいた。

「はじめまして、JANE JEROMEと言います……アメリカ ワシントン州のケリガン大学の学生です。この国には、古来からの伝統文化と風俗を学びにやって来ました。皆さん、どうかよろしくお願いします」

 アメリカで木戸教授と練習したあいさつを、来客の前で披露した。本来は一週間前にするはずだったが、その間さまざまなことがありすぎた。

「……彼女は、僕の親友である木戸 勇教授の教え子なんだ。非常に優秀で、日本語をたった数ヶ月でマスターしたそうだ」

 あの日淫猥な言葉を自分に浴びせたとは思えない滑らかな口調だ。ジェーンは、まだ橋本を警戒していた。飯塚はああ言っていたが、人間の本質がそんなに早く変わる訳がない。
 しかし、パーティーが進めば、その考えが少しずつ緩んできた。周りの人物たちは、本当に紳士的だった。優しく上品な言葉でジェーンをもてなした。橋本も敬子も笑顔で客に応対していた。

「ジェーン、ちょっといいか?」

 飯塚が、ジェーンに呼びかけた。

「隣の部屋に二人で行こう。そこには、橋本教授と敬子が待ってる」
「……分かりました。行きます」

 隣のドアを開けると、沈痛な面持ちで橋本と敬子が立っていた。そしてジェーンの姿を見るとすぐに床に這いつくばった。二人が『土下座』したのが、ジェーンには分かった。

「すまない、ジェーンくん……本当にすまない!」

 橋本の声が響く。隣の部屋に聞こえそうなほど大きな声だった。

「……一時の感情で、君をあんな恥ずかしい目に合わせてしまった。本当にすまないと思っている……どう謝罪しても許してくれないだろうが……」

 橋本は頭を床に擦りつけるようにしている。

「私にも謝らせて、ジェーン……あなたの躰がすごく魅力的だったから、思わずあんなことしちゃって……あなたが許すなら、私どんなことでもするわ……!」

 敬子もこれ以上ないほど頭を低くしている。声は震え、泣いているようにも聞こえる。

「……もう、いいです。顔を上げてください」

 ジェーンには耐えられなかった。愛する木戸教授の親友が、自分のために土下座までしている。言葉だけでも、許すしかないではないか。

「そんなに謝ってくださるんでしたら、もう私はなにも言いません。私自身も、あのことは早く忘れたいんです。気持ちを入れ替えて、日本を勉強したいんです」
「それじゃあ……」

 橋本と敬子が顔を上げた。やはり敬子は涙を流していた。

「許してくれるのか……?」
「ええ」
「ありがとう、本当にありがとう……!」

 橋本はジェーンの腕にすがりついた。名門大学の教授とは思えない無様な格好だ。

「さあ教授、ジェーンも許してくれたことですし、パーティーを続けましょう。お客様も待ってますよ」

 飯塚が橋本と敬子二人に呼びかけた。

「ああ、そうだな」

 橋本は立ち上がった。敬子も涙を拭きながらよろよろと立ち上がる。

「さ、行きましょう。これからも日本のこと、教えて下さいね……」

 ジェーンは三人に先立ってリビングに戻った。橋本と敬子が、ジェーンのその背中に淫靡な笑いを投げかけていることに気づかないまま。


「さあ、パーティーも盛り上がって来ました。ジェーンさんがこれからも日本に慣れてくださるように、皆さんでちょっとしたゲームをしましょう!」

 和服を美しく着込んだ橋本の妻、正子が少し昂ぶった声で叫んだ。皆から小さな歓声が上がる。

「ゲーム……?」
「ああ、ちょっとした楽しい遊びさ。日本に昔から伝わるね……」

 橋本が応える。ジェーンが不思議そうに見ていると、客の一人がどこからか縄を持って来た。それを和服の正子にクルクルと掛け始める。よく見れば、パーティー参加者の男たちが皆で女全員に縄をかけ始めている。

「これは……」

 ジェーンが呆気に取られていると、橋本が不意に背後から縄をかけた。ジェーンは振り向いたが、飯塚は笑顔でその緊縛行為を続けた。

「どんなゲームなんですか……!?」

 ジェーンは思わず声を荒げてしまう。まだ完全に橋本のことを信用した訳ではない。

「心配しないでくれ、ジェーン。ゲストみんながやっているだろう?客をもてなすには最高のゲームなんだよ、これは……」

 手慣れた様子で、橋本はジェーンを縛り上げてゆく。

「見てみなさい……縛られてる女たちは別に嫌がっていない。うれしそうな顔をしているだろう。これから、楽しいゲームが始まるんだ……」

 ぐっと力を入れて、橋本は最後の一縛りを終えた。ジェーンは身動きが取れないほど、しっかりと縛られてしまう。リビングにいる女全員が縄を全身にまとうことになった。そんな様子を、男たちはニヤニヤと眺めている。

「さあ、準備はOKだ。正子、皆さんに見本を見せてくれ!」

 橋本の声に、美貌をたたえた正子が動いた。その場に自分から跪き、目の前の紳士の股間に顔を近づけた。その動きを合図に、正子の目の前に立つ紳士はジッパーを下ろし、自分のしなびたペニスを取り出した。

「……!」

 ジェーンは息を呑む。常識を持った紳士が、ホストである橋本教授の妻 正子の目前に、汚らしい陰茎を晒したのだ。全身にまたあの嫌な悪寒が走る。

「おや、ジェーン……驚いたようだね。飯塚くんから聞いていないのかい?『日本人はセックスをあいさつ代わりにしている』って。だからこのゲームは、アメリカ人留学生であるキミに、日本人の悦びを教えてあげるゲームなんだ……」

 橋本の冷たい声が背後からジェーンの耳元にかかる。ジェーンは飯塚のほうを見た。飯塚は敬子に寄り添われて、隅のほうでジェーンと目を合わせないようにしていた。

「……ほらごらん。正子が『あいさつ』を始めたよ……」

 橋本が指さす。ジェーンが顔を向けると、縛られたままの正子が紳士のペニスをその美しい唇で咥え始めた所だった。

「ああっ……」

 躰の底から、大きな絶望感が湧き出して来る。ジェーンは身動き取れぬ自分を呪っていた。
 正子の動きに合わせて、他の女たちも男の前に跪き始めた。男たちは嬉々として自分のペニスを女の前に差し出す。女は、その男たちの分身を凄まじい勢いで咥えた。

「んふうっ、ふむうっ……!んんふうっ!」

 正子が鼻を鳴らしてペニスを激しく吸引する。先ほどまでダランと垂れていた男の分身は、正子の巧みな吸引で大きくいきり立っていた。正子のほうも全身縄で縛られているが、だからこそ首や躰を淫らにくねらせて唇の愛撫に没頭する。同様のうめきは、部屋の各所で起こり始めていた。男と女の静かな悦音がジェーンの耳にも入って来る。

「ジェーン見なさい……正子もあの男性 弁護士の坂口さんも、幸せそうな顔をしているだろう?あれが男と女の真実の姿だ……キミも早くこの日本の習慣に慣れないとね」

 橋本はあのホテルの一夜の時と同じ口調でジェーンに囁く。絶望感は、全身を包もうとしていた。

「じゃあ、他の女性たちも……!」
「そうさ。彼女たちは僕や他の男性が客をもてなすために育てた女たちだ。僕らは『牝』って呼ぶがね……」
「メ、ス……?」
「ああ、牝だ。殿方を悦ばせるために調教された、ね……その最初の女が、妻の正子さ。そして、君もその仲間になるんだ」

 橋本はジェーンの首を捻じ曲げ、強引にキスした。そのまままた躰を奪われるのを覚悟したが、予想に反して橋本はジェーンの背後を離れ、男のモノを咥え込む妻の横顔を眺めながら大画面のハイビジョンテレビに近づいた。

「さあ皆さん!単調な口淫ではいずれ飽きるでしょう。今夜私は、皆さんにきっと楽しんでいただける映像をご用意しました!」

 橋本は声に合わせてビデオのプレイスイッチを押す。その瞬間、ジェーンの表情が凍りついた。

『……アメリカでは、コレのことをなんて言うの?』

 スピーカーから、男の声が響く。

『……ディック、それからコック……まだまだ、いろいろ』

 ビデオカメラ特有の荒い画像に映っている女は、男の呼びかけにトロンとした瞳で応えた。全裸でベッドに座っているその姿……白い肌、豊かに膨らんだ尻、キュッとくびれた腰、みずみずしく張った胸、そして肩まで伸びた美しい金髪……。

『ふーん、勉強になるな。じゃあ、そのコックを口に咥えることはなんて言うの?』
『みんなが言うのはフェラチオ……地方によって、スラングはいっぱいある……』

 男の声にも聞き覚えがあった。女はその男の言葉につられ、次々と淫らな文句を口走る。画面には、しっかりとその濡れた瞳の女が映っている。ジェーンは思わず画面から目を背けた。手の自由が効かないため、耳には女の声が否応なく入って来る。女は、フェラチオ初体験の記憶を赤裸々に語っていた。

『なるほど……じゃあ、今ならできる?僕のディックはもう準備OKなんだけど』
『……恐い』
『恐くなんてないさ。たった今まで、君のオ○ンコに入っていたんだから……』
『舐めて、みる……』

 次の瞬間、男たちの間で小さなどよめきが起こる。その金髪の少女は、おずおずとしながらも、男のペニスを舌を出して舐め始める。

「No……っ、No……っ!」

 目を閉じたままのジェーンはその声から逃れたくて激しく首を振る。そんなジェーンを現実に引き戻したのは、不意に背後から聞こえた敬子の声だった。

「フフッ、あのビデオに写っているのは誰かしら……?いやらしく男のチ○ポをしゃぶって、うれしそうな顔をしているあの女……」
「Ah……っ」

「諦めなさい、ジェーン……あなたも私や奥様のように、教授によって殿方を悦ばせる『牝』になるのよ……」

 敬子の非情な呟きに、ジェーンは最後の抵抗を試みた。敬子に体をぶつけると、玄関に続く廊下に向かって走り出した。しかし、その抵抗はすぐに止められてしまう。その躰を捕まえたのは、無表情の飯塚だった。

「イイヅカさん……っ!」
「……」
「ダメだよ、ジェーン。君は今夜のパーティーの主役なんだ。それにパーティーはこれからだ。まだ来られていないお客さんだっている。それまで、君は僕たち全員を楽しませなきゃいけないんだ……」

 橋本と敬子が、冷たい笑みを浮かべて近寄ってくる。飯塚も無言だが、その腕にはジェーンを逃すまいとする意思が感じられる。

「ああ……」

 絶望が頂点に達して、ジェーンは床に座り込んだ。その姿を三人は静かに見下ろしていた。

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