「相姦の鎖」
第2章 恵理香の新しい恋人
由梨絵が実の兄である和彦を性的に意識し始めたのは、由梨絵が中学三年、和彦が高校三年の時だった。ある日、由梨絵は受験勉強のため夜中に机に向かっていた。英語の勉強中、ふと辞書がないことに気がつき、由梨絵は和彦に借りようと隣の部屋に向かった。そして、ノックしようと手を上げた瞬間、由梨絵は兄のうめくような声を耳にしたのだ。由梨絵は直感で、兄がオナニーしていると悟った。男がどのように性的欲求を鎮めるか、由梨絵は学校の友だちなどとの会話でなんとなく知っていた。しかし身近に立ちかえって、まさか兄の自慰の現場に出くわすとは思ってもみなかった。由梨絵は急激に高まった好奇心に突き動かされ、気づかれないように静かにドアを開けた。
まず見えたのが兄の背中だった。ベッドの上であぐらをかくように座っている。しかしベッドはキシキシと小刻みに揺れている。間違いなくオナニーをしているのだ。よく観察すると、兄の背中の向こうにかすかに雑誌のようなものが見える。いわゆる『エロ本』というやつだ。和彦はそれを見ながら自分のモノを握っているのだ。由梨絵は唾を飲み込んで、次の展開を待った。
突然、和彦が上向きにねころがった。途端由梨絵の目に兄のペニスが飛び込んで来た。
(す、すごい!)それが由梨絵の素直な感想だった。見たこともない物体が、兄の股間で脈打っている。それはまるで、別の星から来た生物のように見えた。
(だって、女の子はあれをセックスの時アソコに入れちゃうんでしょ?あんなに大きいのに、入るわけないじゃない……!)まだ知識少ないの女の子にとって初めて見るペニスは、それほど恐ろしいものに思えたのだ。
妹に見られているとも知らず、和彦はオナニーを続けていた。仰向けになった和彦は左手でエロ本を持ち、右手で自分の怒張をしごいている。時々口から押し殺したうめき声が洩れる。
(お兄ちゃんたら、あんなに必死にオチンチンをこすってる……)真っ赤な顔で行為に没頭する兄を由梨絵はおもしろそうに眺める。
「う……ううっ」
和彦の手の動きが早くなってきた。左手の本はすでに見ておらず、ただペニスをこすることに熱中していた。由梨絵も最後の瞬間を見ようと、兄の動きを凝視した。
「うう、くうう……っ!」
やがてフィニッシュが訪れた。いきりきった和彦のペニスから、白い液体がほとばしる。由梨絵はその液体が空中を勢いよく飛び、やがてベッドのシーツの上に落下するのをはっきりと見た。
和彦は荒い息をしている。由梨絵はゆっくりとドアを閉めた。
(そうか、男の人ってあんなふうになるんだ……)その時初めて、自分も興奮していることに気が付いた。
由梨絵はちょっとしたいたずら心を起こして、高鳴る鼓動を抑えた後ノックをした。
「お兄ちゃん、開けるわよ。ちょっと英語の辞書借りたいんだけど……」
部屋の中で、バタバタと音がする。由梨絵はおもしろそうに言う。
「ねえ、何やってるの。入るよ。お兄ちゃん?」
「ちょ、ちょっと待て!開けるな!」
えらく慌てたようすで和彦が言う。由梨絵はかまわずドアを開けた。そこには、布団で下半身を隠しただけの兄がいた。
「おい、開けるなって言っただろ!」
「なによ、辞書借りるぐらいいいじゃない!」
由梨絵は吹き出さないように慎重に言った。
「辞書は机の上だ。見つけたら早くでていけよ!」
兄の反応を楽しみながら、由梨絵は辞書を手に取る。その時かすかになにかの濃い匂いがした。おそらくあの液体の匂いだ。
「ねえ、お兄ちゃん。なんか匂わない?」
「な、なにも匂わないよ!」
和彦が真っ赤な顔で言う。
「おかしいなぁ。何か匂うんだけどな……まあいいか。じゃ、お兄ちゃんこれ借りてくからね」
由梨絵は笑いを押し殺しながら言い、兄の部屋を出た。自分の部屋に戻って由梨絵は今見たことを思いだしながら、一人笑っていた。
次の日、学校でなにげなくオナニーのことを友だちたちに話してみる。
「ねえ、男の子のオナニーってどうするのかな?」
「えーっ、ユリいきなりなに言い出すの!?」
「いや、ちょっと気になったもんだから……」
「そんなことが気になるなんて、あんたなにかあったの?」
「なんにもないって!とにかく知りたいの!」
「ふーん……まあいいや。それでは教えてあげましょう。あのね、男の人はオチンチンを自分で握ってこすったりなんかして気持ちよくなるのよ」
「うわーっ、リカったらロコツ!」
「そう?まあでも、わたしだってそこまでしか知らない。だって見たことないもの」
「そんなとこ男の子が見せるわけないでしょ!」
「あ、やっぱり?」
みんなでケラケラと笑う。
「でもユリ、そんなに知りたけりゃ彼氏でも作って頼んでみれば?『あなたのオナニー見せてください』ってね」
「そうだよ、ユリってそんなにカワイイんだから、ホイホイ男がついてくるよ」
「いくらなんでもそんなこと言えないよねえ、ユリ」
「あ、あたりまえよーっ!」
「あ、いい方法思いついた!あなたのカッコイイお兄さんに見せてもらえば?」
誰かが冗談半分で言う。
「なに言ってんの。それじゃあキンシンソウカンになっちゃうよ、ねえユリ?」
「う、うん」
(ほんとは見ちゃったんだ、そのお兄ちゃんのオナニーを……!)由梨絵は心の中で笑っていた。
「でもさぁ、ほんとにユリのお兄さんカッコイイよね」
「そうそう!末は伊勢内病院の院長先生。いいわよねぇ……」
「ねえユリ、わたしたちをお兄さんに紹介して!」
「あ、それイイ!」
みんながそう言い始める。由梨絵はしょうがなく友だちを何度も家に連れていくハメになる。
そんな会話から、由梨絵は男と女の躰のこと、オナニーのこと、セックスのことなどを知っていった。オナニーは兄のことを思いだして行い、また兄の反応がおもしろくて、わざと肌を露出した格好で前を歩いたりしてみる。いつのまにかその感情は兄への恋慕に変わり,
十八歳の今、好きな男は間違いなく和彦であった。
学校の授業が終わり、由梨絵は校門を出た。そこに妹 恵里香の姿があった。恵里香は校門の前で一人で立っている。
「恵里ちゃん!」
「あ、由梨絵姉さん」
「誰か待ってるの?」
「うん、でもまだ時間までちょっとあるから」
「ふーん」
「あ、そうそう。昨日の夜中なんだかお兄ちゃんと話してたみたいだったけど、なにかあったの?」
「うん、ちょっとね。昨日パパとお兄ちゃんが病院に行ってたみたいなの」
「夜中、でしょ?」
「うん」
「パパの用事はいつものやつよ。小坂めぐみさんと……」
「うん、それはわかるんだけど……」
二人は、父親の不実はことさら問題にしていない。
「じゃあお兄ちゃんは?」
「さあ……二人がやってるのを覗いてたとか」
「アハハ、なるほど!それで……」
「最近医大の勉強がむずかしくなって、それでムラムラッと、ね?」
なるほど、それならば納得がいく。
「……そんなの見なくたって、わたしが」
「え?」
「いや、なんでもないの!」
由梨絵は真っ赤な顔で言った。
「ふーん……あ、待ってた人が来たみたい!じゃ姉さん、わたし行くから!」
恵里香は走って行ってしまった。その後を視線で追うと、恵里香は白い高級車に乗り込んでいた。車はやがてどこかへと走り去った。
「また恵里ちゃんの悪い癖が始まったか……」
由梨絵はそうつぶやいた。
「わーっ、キレイ……最近のホテルってほんとに豪華よね……」
恵里香が感嘆して言った。
「まったくさ、僕が若い頃なんてこんなラブホテルなんて一軒もなかった」
ブレザーの少女をこのホテルに連れてきた男が言う。男は四十歳代後半というところで、恵里香の父である陽一より少し年下だ。
「でもいいじゃない。こんな若い十六歳の女の子と今、ホテルにいるんだから」
「ああ、そうだね」
男は恵里香に近寄り、キスをする。恵里香も応え舌で舐め合う。唾液が糸引くような濃厚なキスのあと、男は口を離すと恵里香にシャワーを浴びるように言った。
恵里香とこの男が出会ったのは、つい最近のことだ。恵里香が突然の雨に降られずぶ濡れになっている所を、この男に車で拾われたのだ。もともと年上好みだった恵里香は、祐二の甘いマスクに魅かれてその車に乗った。それからいつの間にかセックスの相手として認識しているのだ。
恵里香は一年ほど前も同じように二十も年上の男とつき合っていて、陽一や留美子にばれたことがある。その時留美子は大変怒ったが、陽一は一番可愛がっていた恵里香を甘やかし、許してしまった。その男とはすでに別れたが、それからすぐに、この男と出会ったのである。
男は着ていた服を全て脱いで、恵里香のいるシャワー室に入った。もちろん、シャワーを浴びている恵里香も全裸だ。
「やだーっ、おじさんのエッチ!」
「フフ、恵里ちゃんが可愛いからさ……」
男はそう言って恵里香を後ろから抱きしめた。そしてゆっくりと、みずみずしく張った胸や陰部に指を這わせていく。
「あっ……はあ」
「気持ち、いいかい?」
恵里香は無言でうなずく。甘く切なく喘ぎながら。やがてクチュクチュといやらしい音を立てて、秘裂が潤い始める。
「感じやすいね、恵里ちゃんは」
「はあっ、ふあっ……!」
男が言うが、恵里香はなにも言わない。その代わり舌を突きだして男の唇を求める。舌を巧みにからませて、互いに激しく口を吸う。
「ねえ、おじさん……わたしにおじさんのモノを舐めさせて……」
恵里香が懇願する。
「ああ、いいとも。どうせなら僕も恵里ちゃんを舐めたいな……」
「いいわ……舐めて」
恵里香はそう言うと、自らの躰をシャワー室の床に横たえた。男がその上にのしかかる。恵里香は待っていたように目の前のペニスにしゃぶりつく。男も愛液に潤った少女の秘唇に、ゆっくりと舌を這わせた。
「う、むふうっ……」
恵里香がくぐもった声で喘ぐ。四十男の舌の愛撫はねちっこく、そして巧みだ。今膣口を這っていたかと思えば、今度は固くしこったクリトリスを舐めている。恵里香も舌を使って、だいぶ馴れてきたフェラチオのテクニックを披露する。
「あああっ……いいよ、恵里ちゃん。うまくなったね……」
男が切なげに言う。そしてまた顔を恵里香の陰部に埋めていく。お互いが、相手が一番悦ぶ愛撫の仕方を丹念に辿り、性感を昂ぶらせていった。
しばらくの後、恵里香が、ペニスから口を離した。『つながりたい』という意思表示だ。
「恵里ちゃん、もうイイの?」
無言で恵里香がうなずく。
「それじゃあ、体を拭いてベッドにいこう」
男がそう言うと、恵里香は男の腕を掴んで言った。
「おじさん、ここでして……ね?」
「ここって、シャワールームでかい?」
「うん」
「いいけど……せまくない?」
「後ろからすれば大丈夫よ……ねえ、お願い。ここでして……」
美少女の願いを聞いて、男はそれに従った。
「……じゃあ、バスタブに手をかけて、お尻をこっちに向けてごらん」
恵里香は言われた通りの体勢になった。すらりとのびた背中やボリュームのあるヒップが、男の目に飛び込んでくる。その光景は男の分身にさらなる力を与えた。男は自分の本能に、思わず苦笑する。
「それじゃあ、いくよ……」
男は自分の怒張に手を添えると、恵里香の濡れそぼる淫裂にあてがった。
「ふ、ふう……ん」
思わず恵里香が喘ぐ。男は恵里香をいたわるようにゆっくり、ゆっくりと挿入していく。
「あうう……っ、んん」
やがてペニスが完全におさまりきると、二人ともその充実感にしばらく動かずにいた。
「ねえ、もういいよ……お願い、動かして……」
恵里香がこちらを振り向いて懇願する。男は恵里香の腰に手を添え、ゆっくりと躍動を始めた。
「はあ、ああっ……おじさん、いい……っ」
深い挿入感に感じ入り、恵里香が切なく悶える。少女の体内から湧き出る愛液が二人の結合を容易にし、激しい躍動を許容している。男は自らのテクニックを駆使して十六歳の美少女を悦ばせようとしていた。
「はあっ、ふ、ふあああっ!」
恵里香は高く艶のある声で喘ぐ。快感に耐えているのか、時折激しく首を振る。男は少しづつ腰の振りを大きくしていく。女の躰はその動きに本能的に反応して、心地よく膣壁を締め付けてくる。
「ああ……あうっ……!」
恵里香が悲鳴のような喘ぎ声を上げる。揺れる胸がバスタブのへりに当たって奇妙な音を立てる。
「恵里ちゃん、気持ちいいかい……?」
「うん……イイよ、気持ちイイっ!」
乱れた声で恵里香が叫ぶ。男は今度は、ペニスを突き上げるようにして打ちすえ始めた。恵里香の粘膜を硬い肉柱がしっかりと擦る。
「ふ、ふ、ふうあっ!はああーっ」
さらなる快感に恵里香は背中を反らせて高い声を上げる。膣内をキュッキュと締め上げて中年男のモノを悦ばせる。
ぐっと、恵里香の声が大きくなってきた。振る頭も大きくなる。絶頂が近いらしい。男も、これ以上ないくらいに腰をグラインドさせて、少女の躰内に分身を打ち据えた。
「ふああっ、あ、ああーっ!」
「お、おうっ」
男を気の遠くなるような快感が襲う。美少女の子宮めがけてどくどくっと注ぎ込まれる精液を、絶えずわななく粘膜が一滴残らず絞り取るように、締め付け、緩める運動をおこなう。
「ふっ、はああっ……ん」
恵里香も最後の叫びを上げて絶頂に達する。男も恵里香も、そのままぐっと倒れこみ、快感の余韻に浸っていた。
「……ねえ、おじさん。どうしてわたしと付き合ってるの?」
ベッドの上で、恵里香が男に言う。二人はあの後すでにこのベッドで二回躰をつなげていた。
「どうしてって……恵里ちゃんが可愛いからさ」
「ホントかなぁ……前に付き合ってた男はさ、家の病院のお金目当てに近づいて来たんだけど、おじさんはちゃんとお金は持ってるし……」
「お金目当てじゃないよ。恵里ちゃんも知ってるだろう?僕は一応ちょっとした会社の社長だからね」
男がタバコに火をつけながら答えた。事実、この男はある建築事務所の社長であり、恵里香をそこに連れていったこともある。
「そうだよね……あ、それからおじさん、なんでそんなにカッコイイのに奥さんがいないの?」
男はしばらく無言でいたが、やがて答え始めた。
「……昔、好きだった女の子とひどい別れかたをしちゃったんだ。それからはどんなにきれいな女の人を見ても、ときめかなくなった、って所かな……」
タバコの煙をふうーっと吐きながら、感慨深げに男が言う。
「ふーん、今でもその女の人が好きなんだ……で、わたしは?」
「……恵里ちゃんだって、僕と一生付き合うつもりはないだろう?」
「そうだ……そうだったよね」
恵里香は笑う。あんなに淫らに乱れる女とは思えない、無邪気な少女の微笑だった。男が微笑み返しながらふと時計を見ると、時刻はすでに七時を過ぎていた。
「さ、恵里ちゃん。早く帰らないとご両親に叱られるぞ」
「そうだね、じゃわたしシャワー浴びてくる」
恵里香がシャワー室に向かった。しばらくしてシャワーを浴びた恵里香が出てきた。体を拭いたあと、ブレザーを身につけた恵里香は、同じくスーツを着た男に言った。
「あ、おじさん早ーい!シャワー浴びなくていいの?」
「僕は家で浴びるからいいよ」
男は言った。二人はやがてホテルを出た。男は車で恵里香の家近くまで送ってやる。
「じゃ、おやすみ。恵里香ちゃん」
「おやすみ、おじさん」
二人はキスをして、別れた。恵里香が家に向かうのを、男は何かを考えながらじっと見ていたが、しばらくして向こうから恵里香が走って戻ってきた。
「おじさん、一つ聞き忘れてた。おじさんの名前!」
息を切らせて恵里香が聞く。
「……江田 慎二」
「エダ、シンジ?」
「そう」
「偽名じゃないでしょうね?」
「そうじゃないさ。本名だよ」
「わかった。じゃ、おやすみ」
恵里香は再び、家の方へと走っていった。男も車をいずこへと走らせていった。
「ただいまーっ!」
恵里香が帰宅した。時刻は七時半を少しまわっていた。奥から、留美子が飛び出して来た。
「恵里香!こんな時間までどこに行ってたの!?」
留美子は大声で言った。
「ちょっと、友だちの家にいってたの」
恵里香はそっけなく答えた。恵里香にとって留美子は、義理の母である。だから、という訳ではないが恵里香は口うるさい留美子を嫌っている。
「友だちって、誰!?」
「……エダ シンジさんのとこ!」
恵里香はそう言って、義母の顔もろくに見ずに自分の部屋に走った。玄関に残された留美子は、何故か青ざめた表情でたたずんでいた。