「相姦の鎖」


第六章  淫乱開華する母親

 部屋には淫らな女たちの喘ぎ声が響いていた。あるマンションの124号室、あの秘密クラブだ。部屋のベッドに横たわっているのは佳子と和枝、そして留美子。3人とも全裸で、お互いの胸や性器を指や舌で愛撫している。隣の123号室では、かおりと映子がその痴態を覗いているはずだ。

「留美子さん、もっと舌を動かしてぇ……!」  

 和枝が求める留美子はそれに従い、淫裂に這わせた舌を大きく動かす。

「ああっ!イイわ、留美子さん……もっと、もっとぉ!」  

 和枝が悶える。留美子の股間に顔を埋めている佳子も、新しい仲間を悦ばせようと、顔全体を使って巧みに愛撫する。その攻撃に、留美子も本気で感じ入る。

「留美子さん、恥ずかしがってないでもっと声を出してごらんなさい。ここは誰にも遠慮せずに楽しむ場所なのよ……」
「はい……」  

 荒い息で留美子がうなずく。確かにまだ、この淫靡な空間に慣れていない自分を感じている。心のリミッターを解除すれば、もっと素晴らしい快感が訪れることを、留美子は気がつき始めていた。  
再び留美子の淫裂に舌をあてがった佳子は、今度はその舌先を留美子の熱い内部に挿し込んだ。

「はあうっ……!イイです、それイイっ!」  

 もう留美子は、遠慮することなく声を出した。同性による的確な愛撫は、留美子の心を溶かしつつあった。  
 三人は見事につながって、相手の体を味わっている。しばらくして、佳子がゆっくりと顔を上げる。

「もう準備はいいようね。さあ留美子さん、言っていた通りあなたは今からわたしの息子である圭一郎とつながるの……圭、入ってらっしゃい」  

 その声を合図に、先日この部屋で見た少年が入ってきた。今日はブリーフすらつけていない、完全な全裸だ。

「いいわね圭、今からあなたはこの留美子さんを楽しませてあげるのよ。今まで留美子さんが経験したことないようなことを、ね……」
「分かった……でも留美子さんて、ママが言ってた通りキレイな人だね。僕、すごく興奮してきちゃったよ……」  

 そう言う圭一郎のペニスは、すでにしっかりと勃起していた。留美子は、その怒張をうつろな瞳で眺めている。先ほどの佳子からの愛撫で、留美子の躰は陶酔しきっていた。

「さあ圭、遠慮しないで留美子さんに近寄ってみなさい。留美子さんもそれを待っているわよ」
「うん」  

 圭一郎が躰を留美子に近づけて行く。しかし今の留美子には、圭一郎のいきり立ったペニスしか目に入らなかった。目前にそのペニスがやってくると、留美子は誰に言われるわけでもなく躊躇せずにそれにむしゃぶりついた。

「うあっ、留美子さん、スゴイ!」  

 圭一郎がうなる。しかしもうそんなことには構わずに、留美子は激しく顔を動かす。舌や唇を、巧みに使いながら。

「留美子さんうまいよ……ママ、留美子さんにフェラのテク教えたの?」
「いいえ、教えてないわ。留美子さんはもともとフェラチオが好きなんじゃない?」  

 佳子が留美子の姿を見ながら微笑む。

「へえ、留美子さんのだんなさんが羨ましいなぁ」

(あんな男とはやってない……愛する和彦としか……)留美子は心でそう叫びながら、口内を凌駕しつつある少年のペニスをさらに舐めしゃぶった。

「わっ、留美子さんちょっと待って!」  

 圭一郎が叫んで留美子の頭を突き離した。留美子は邪険にされても腹が立たなかった。逆にまだ目の前でいなないている剛直を愛おしげに眺めていた。

「ああ、留美子さんあんまり激しすぎるんだもの。僕イキそうになっちゃった……」
「まあ。わたしがフェラチオする時はそんなこと言わないのに。なんだか妬けちゃいそう」  

 佳子が冗談半分につぶやく。

「……さあ圭、今度は留美子さんを満足させるのよ。たっぷりと、ね……」  

 佳子がそう言うと、圭一郎は黙ってうなずき力ない留美子の躰を抱いた。そのまま優しく押し倒すと、頭をずり下げすでにしっかりと潤っている花唇に、舌の愛撫を開始する。

「ふ……んっ、ふうっ」  

 荒々しく、優しい。男の舌の慰めなど、何年ぶりだろうか。久々の感覚に留美子は切なく喘ぎながら、圭一郎が舐めやすいように両膝を折り、股間を深々と割り開いた。圭一郎は、そんな美熟女の反応を楽しみながら、舌の熱い愛撫を続けた。

「ふうん、はあ……っ」  

 湧き上がる快感に、留美子はシーツを掴んで耐える。しかし少年の舌の動きが巧みになるにつれシーツから指は離れ、圭一郎の後頭部に廻される。さらに両腿はそのまま少年の頭をしっかりと挟みつけて、自分の女陰にこすりつけていった。  
 圭一郎もその淫らな動きに応え、すさまじい勢いで女肉をむさぼった。舌、唇をこれ以上ないほどに駆使してくわえ込む。

「はあーっ……ふう、ふうんっ!」  

 びちゃびちゃといやらしい音を立てて、留美子の熱い淫裂が感じ入る。

「はああーっ……は、はううんっ!」  

 留美子の高い悶えを聞いて、佳子が圭一郎に合図する。

「圭、留美子さんもう準備OKみたいよ……さあ、あなたのオチンチン入れてあげなさい」  

 圭一郎は、留美子の股間から顔を離すと、立ち上がって荒く息づく留美子を見下ろした。

「……留美子さん、四つんばいになってくれる?」  

 しかしその声は、舌の愛撫に陶酔している留美子の耳には届かなかった。

「フフっ、留美子さんってほんと感じやすいのね……ねえ和枝さん、私たちが手伝ってあげましょう」  

 二人は横たわる留美子に近づき、手を添えて四肢を突っ張らせた。

「はあ、あん……っ」  

 切なげな吐息が、留美子の唇から洩れる。それと同時に、圭一郎の眼前に白く美しいヒップがさらされた。凝視すると、その双丘の割れ目に、愛液を湛えたヴァギナが息づいている。

「うわあ、キレイなオ○ンコだ……」  

 思わず圭一郎がつぶやく。二人の熟女も、それには同感だった。年齢は自分たちとあまり変わらないはずなのに、留美子の陰部はまるで生娘のように輝いている。

「本当にキレイ……うらやましいわ留美子さん、あなたはだんなさんより若い方が似合うわ」  

 和枝が感嘆する。お世辞でも何でもない、本心から出た言葉だった。

「じゃあ、入れるよ。留美子さん……」  

 圭一郎は自分の分身を支え持ち、濡れそぼって輝く留美子の淫裂に挿入していった。

「はあ、はああーん……っ!」  

 侵入してくる少年のモノの感触に、留美子は悶えた。圭一郎も、ぐっと締めつけてくる熟女の膣感覚に感動していた。見ている母親には悪いが、躰の中での快感は母親のモノより数段上だ。

「ああ……イイよ、留美子さん」  

 そう言ったまま、しばらく圭一郎は動かなかった。動かすのがもったいないくらい留美子の感触が素晴らしかったのだ。しかし挿入された方の女は、早く動かして欲しいという気持ちでいっぱいだった。なまめかしく尻をゆらゆらと切なげに揺らしていた。  
 圭一郎は、ゆっくりと腰を動かし始めた。腰の動きと合わせて、圭一郎は左手を前に廻して、豊かに揺れるバストをゆるゆると揉んだ。母のものよりいくらか小さめな、しかしそれでもかなり大きな胸は、圭一郎にとってしっくりとくるものだった。

「はうう……んっ!」  

 小さく喘いだ留美子を見て、さらに少年の手は巧みに動く。乳房にかすかにくっついている小さな乳首を少し強めにつまんでやると、留美子は腰を振って反応する。そのままその手を腹に沿って滑らせて、ヘアをかき分け指先でクリトリスを探り当てる。人差し指と中指で、その濡れた小突起を挟んでまさぐる。

「ああんっ、イイわ……圭くん、それイイっ……わたし、それだけでイッちゃいそう……」  

 今まで声高に叫ぶことのなかった留美子が、ついに真実の言葉を叫んだ。佳子・和枝の女の愛撫、少年への口淫、そして少年の舌の愛撫によって、留美子の肉体は高まりきっていたのだ。  
 留美子のその言葉に、圭一郎は激しいピストン運動を開始した。右手は留美子の腰をがっちりと抱え込み、左手は肉芽をこねくったままだ。腰をグラインドさせると、その動きに同調して指先が留美子のクリトリスを刺激する。

「イイわ、とってもイイ!ああんっ、圭くん……!」  

 留美子はもう何のためらいもなく声を上げた。圭一郎はふと考えて、急に腰の動きを止めた。

「はあんっ、意地悪……どうして止めるの?このまま、イカせて……っ!」  

 留美子は潤んだ視線を圭一郎に向ける。そんな時でも腰は淫らに動きつづける。少年の全身に電流が走る。思ったとおりだ。圭一郎はこんな淫らな表情を待っていたのだ。

「……じらすのも、素敵でしょう?フフっ」  

 留美子の耳もとでささやく。

「ああっ、そんなぁ……」  

 眉を反らせて留美子が言う。しかしやはり、腰の揺らめきは止まらない。

「留美子さんって、いやらしいんだね」
「そう……わたしってこんなに淫らな女なの!だからお願い……激しく、激しく突いてぇ!」  

 留美子の言葉に衝き上げられるように、圭一郎はいきなり腰をグラインドさせた。頑丈なベッドがきしむほど強く、留美子に向かって怒張を打ちつけていく。

「はあーん……ふ、ふう、はああっ!」  

 さらに激しく留美子が喘ぐ。快感の中で傍らを見ると、佳子と和枝は留美子と圭一郎の痴態にあてられたのか、シックスナインの体勢で互いの性器をぴちゃぴちゃと舐め合っている。

「あふん、あっ……圭くんっ、もっとぉ!あくうっ、あうん、はああ……っ!」
「ふうっ……はあっ!」  

 圭一郎も荒くうめきながら腰を繰り出す。留美子は美しい背中を最高に反らせて声を上げている。一面に汗がしっとりと粒を浮かび上がらせている。

「もう、もうっ……圭くん、わたしもうイキそうなの……あん、はあっ!だから……もっと、もっと……っ!」
「僕もだよ、留美子さん……ああっ、くう……っ!」  

 女の絶頂が近いことを知り、圭一郎は最後の抽送を始めた。留美子の内部を突き破るほどの、激しく強い突き入れだった。

「あ、ああ……イクっ、イッちゃう!ああっ、圭くんっ、イクう……っ!」  

 留美子の全身が激しく痙攣し始めた時、圭一郎のペニスからも、熱い精のほとばしりが猛烈な勢いで噴出していった。  

 先ほど留美子と圭一郎が交わっていたベッドでは、今度は映子とかおりが別の少年の肉体をむさぼっている。すでに圭一郎は和枝、そして実の母親である佳子を抱いていた。留美子はその様子を眺めながら、部屋にあるバイブレーターで気をいかせていた。  
 シャワー室では和枝が汗を流している。留美子と佳子、それに圭一郎の三人は全裸のままで123号室にいた。

「……ひとつ、伺ってもいいですか?」
「ええ、いいわよ」
「佳子さんと圭くんは、どうして……」
「どうしてセックスするようになったか、でしょ?」
「……ええ」  

 佳子と圭一郎は微笑を交わし、留美子に言った。

「あれは二年前だったかしら……その日はひどい熱帯夜で、汗だくになった私が夜中にシャワーを浴びていたの。その時、その物音を泥棒だと勘違いした圭が、バスルームに飛び込んで来たの。主人は酔って高いびきの時にね。私もあの男と躰をつなげる機会が、いつの間にか無くなってて、でも浮気するには体面もあったし……そういう複雑な気持ちの中で、上半身裸の圭が飛びこんで来た……」  

 佳子は圭一郎の方を見た。

「僕もね、あの時は高校受験でイライラしてたし、オナニーもしてなかった。そしてたまたまママの色っぽい裸を見て……そのまま飛びかかっちゃった」  

 圭一郎が笑って言う。

「もちろん、最初は拒んだわ。でも、躰をつなげてしまうと、その瞬間素晴らしい快感が私の体を駆け巡ったの。『女の悦び』?今まで知らなかった、そういう感じだった。もうそれからは、毎日のようにセックスしたわ……だって圭ったら、すごく元気なんだもの」
「それはママもいけないよ。だって、あんなイヤらしいこと、中学三年生の息子に教え込むんだよ、それも毎日!」  

 実の母子は、まるで恋人同士のように笑い合っていた。留美子は、それを羨ましそうに見つめている。

「留美子さんの息子さん……たしか和彦くんだったわね。彼はどうなの?」  

 突然、佳子が留美子に質問する。

「和彦くんは、あなたの愛に応えてくれないの?」
「……!?」
「フフっ、あなたは和彦くんのことが好きなんでしょう?雰囲気で分かるわ」
「……」
「隠してもダメ。そういうことには素直にならなくちゃ、和彦くんは応えてくれないわよ……」  

 佳子が言い聞かせるように言った。留美子は無言でうなずくしかなかった。

「……その通りだと思います。わたしは、確かに和彦を愛してしまいました。だから、そんなに自然に母子で愛し合える佳子さんたちが羨ましくて……」
「実力行使しかないね」  

 圭一郎が言った。

「え……?」
「留美子さん、そんなに魅力的な躰してるんだよ。どんな男だってイチコロだよ。たとえ実の息子だってね」
「こら、圭!あんまりけしかけないの」  

 少し強い口調で、佳子が圭一郎をたしなめる。

「でもね、留美子さん……圭の言ったこと、まんざらウソじゃないわ。自分の欲望に、素直になるの……」
「……」
「道徳なんて関係ないわ。素直になればどんな常識はずれなことでもできるし、だからこそ私たちは、こんなに素晴らしい快感を手に入れられたの」  

 佳子の言葉は、留美子の心に重く響いた。  

 同じ日の夜、和彦はめぐみに別れを告げた。和彦が病院の資料室で、いきなり切り出したのだ。めぐみはそれを聞いて、しばらく無言でいたが、やがて言った。

「いいわ……最近和彦さんの態度、変わっていくのが分かってたもの」  

 めぐみの思ったより明るい声に、和彦は逆に申し訳ない気持ちになった。

「ごめんなさい、めぐみさん」  

 和彦は、深く頭を下げた。

「ちょっと和彦さん……そんなに謝らないでよ。わたしは大丈夫、まだ若いもの。和彦さんよりステキな彼見つけるわ。それに……」  

 すこし表情を変えて、めぐみは続ける。

「それに、わたし病院をやめようと思ってたの」
「え……?」
「田舎からね、お見合いの話が来てるの。けっこういい話だし、それに院長との関係にもなんだか疲れたし……」
「めぐみさん……」
「いやあねえ、しんみりしないでよ。それより、きょうが最後の夜よ……最後なんだから、たっぷり楽しみましょうよ」  

 めぐみが、いつもの艶やかな微笑で和彦にささやきかける。和彦も、無言でうなずく。その夜はお互いに、素直に躰をつなげ、いつもより濃密に更けていった。  

 深夜三時、伊勢内家に気持ちを同じくする女が二人いた。留美子と由梨絵だ。留美子は昼間の佳子からの言葉に動かされ、今夜は眠る息子ではなく、目を覚ました息子とセックスするために、すでに念入りにシャワーを浴びて終えていた。由梨絵も再び兄との感動的なつながりを経験するため母と同じく躰を磨いていた。二人の女は、皆が寝静まる午後三時を待っていたのだ。  
 和彦はすでにめぐみとの最後のセックスを終え、自室のベッドでまどろんでいた。まだ、頭の中ではめぐみへの申し訳ない気持ちがあった。
(でも、考えたってしかたない。めぐみさんだって、許してくれた……)他のことを考えよう、和彦はそう思った。頭の中を切りかえると、そこには妹 由梨絵と母 留美子の裸身が浮かんできた。二人とも和彦の想像のなかで妖しく揺らめいている。
(僕も勝手だな。今めぐみさんに謝ってたのに、今度はかあさんや由梨のことを想いえがいている……)しかし、事実和彦の頭の中は、実の母親と妹への劣情が凌駕しつつあった。  
 そんな時、留美子と由梨絵はほぼ同時にベッドを立ち上がった。二人は周りに気を使いながら、和彦の部屋に向かおうとしていた。  
 留美子が階段を昇ろうとした時、突然後ろから声をかけるものがあった。驚いて振りかえると、そこには夫である陽一がいた。

「あなた……」
「おい、こんな夜中にどこに行くんだ」
「……最近子供たちが遅くまで勉強してるようだから、様子を見にいこうと思ってたの」  

 留美子はうまく取り繕って言った。陽一はゆっくりうなずいて、しばらく留美子を眺めていた。そして留美子に言う。

「あの、な……おまえも俺が相手しなくて寂しかっただろう。だから、な?」  

 陽一の言葉に、留美子は怪訝な顔をする。

「どうして今更、そんなことをおっしゃるの……?」
「なんだ、夫婦でそんなことを遠慮しなくちゃならんのだ。グダグダ言わずに来ればいいんだ!」  

 陽一は声を荒げた。当然留美子にはそんな気はまったくなかったが、求められたものは仕方がない。和彦の部屋に後ろ髪引かれる気持ちで、夫婦の寝室、いや今は陽一一人の寝室へ向かった。ちょうどそのころ、由梨絵は兄の部屋の前にたどり着いていた。

「お兄ちゃん、起きてる?」  

 由梨絵は小さい声でノックし、兄の反応を待った。

「……由梨か?起きてるよ」  

 部屋の中から、兄の声が聞こえた。由梨絵は嬉しくなってドアを開けた。

「お兄ちゃん、待っててくれたの?」  

 由梨絵が嬉しそうに言う。

「バカ、そんなんじゃないよ」  

 和彦はそう言ったが、まんざらでもないようだった。和彦自身、もしかしたら妹の来訪を待っていたのかも知らない。  
 由梨絵は和彦が寝ているベッドに腰を下ろした。和彦は妹をよく観察してみる。いつものように、由梨絵はTシャツにスパッツという格好だ。胸を見ればノーブラのバストが息づき、下半身を見れば相変わらず健康的な太腿が伸びている。

「由梨絵さあ……お前ってほんといやらしい躰してるよなぁ……」  

 思わず本音が口から出てくる。由梨絵も、その言葉に応える。

「でも、お兄ちゃんそのほうが嬉しいでしょ?」
「……ああ」
「じゃ、これからもお兄ちゃんのためにこの躰、磨いていくからね」

 由梨絵は兄にもたれかかった。和彦の鼻腔にかすかなシャンプーの香りがした。和彦はその頭を持って引き寄せ、潤んだ瞳をしている妹の唇に口づけた。由梨絵が、兄の口内に舌を滑りこませて来る。和彦は妹の行動に一瞬戸惑ったが、やがてそれに同調して自分も舌を絡ませた。  

 二人は長いディープキスを経て口を離した。舌と舌が名残惜しそうに糸を引いた。

「ねえ、お兄ちゃん……?」  

 艶のある潤んだ声が、和彦にささやきかけた。

「なに?」
「今ね、イイこと考えついちゃった」
「イイことって、なんだ?」
「フフっ、イイこと……」
「だからなんだよ」
「二人でね、見せっこするの」
「見せっこ?」
「そ。お兄ちゃんとわたしが向かい合って、お互いオナニーを見せ合うの」
「えーっ」  

 妹のとんでもない提案に、和彦はさすがに驚いた。

「なんでそんなことしなきゃならないんだ?別にあの……そんなことしなくたって、せっかく二人いるんだから、な?」  

 顔を赤らめながら和彦が言う。オナニーという言葉ぐらいで恥ずかしいと思う自分が、妹に対して恥ずかしかった。

「だってわたし、お兄ちゃんにお返ししなきゃいけないんだもの……」
「お返し?」
「うん。お兄ちゃんはわたしとセックスはしたけど、オナニーするところは見てないでしょ?」
「それはお前も一緒だろ!」
「ううん。実はわたし、お兄ちゃんのしてるところ見たことあるもの。お兄ちゃんが受験勉強してる時、わたしが英語の辞書を借りに行ったことがあるでしょ」
「あっ!あの時、お前が!?」
「そ。お兄ちゃんがオナニーしてるとこ、しっかり見ちゃった……でも、あの日からわたしはお兄ちゃんのこと、本気に好きになったんだよ」
「……」
「だから、わたしはお兄ちゃんに自分のオナニーを見せる義務があるの。でもやっぱり、一人じゃ恥ずかしいから、二人でやろうよ。そのあとちゃんと、ね?」  

 天性のものであろうか、和彦がドキっとしてしまうほどの妖しい瞳でささやく。その瞳に操られるように和彦はうなずく。

「じゃあやろうよ、お兄ちゃん!」  

 由梨絵は立ち上がると、兄の目など何も気にせずさっさと服を脱ぎ始めた。和彦がボーッと見ている間に由梨絵は全裸になってしまった。抜群のヌードが現れるまで、和彦は他のことなど何も考えられなかった。

「なんだお兄ちゃん。まだ脱いでなかったの?」  

 妹の言葉に和彦は我に返った。こちらを凝視する妹の視線に、和彦は立ち上がって着衣を外していった。  
 全裸の兄妹が相対した。和彦は妹の淡く茂る恥毛に覆われた秘唇をじっと見つめ、由梨絵は兄のそそり立った怒張を眺めていた。

「あはは。なんかヘンな感じだね」
「そうだな……」
「じゃ、はじめよ!」  

 そう言って由梨絵は再びベッドに昇り、枕をどけてそこに座った。

「お兄ちゃんは向かい合って座るのよ」  

 和彦は言われた通りに従う。妹のいいようにされる自分に気がついたが、なぜか今はそれでいいという気持ちだった。

「一緒に始めようよ。さ、オチンチンを握って……」  

 和彦がそうすると、由梨絵も自分の陰部にしなやかな指をあてがった。

「……せーので始めようか。いくよ、せーの!」  

 妹の声に合わせて、和彦は勃起を擦り始めた。ほぼ同時に由梨絵も指を動かしていた。非常に奇妙な興奮が、実の兄妹の間に広がっていった。

「ふ……ふうんっ」  

 しばらくして、由梨絵が先に切ない声を上げた。十八歳の多感な肉体は、兄とのセックスを経てさらに感じやすいように発達していたのだ。抜けるような白い肌が、自分の指の感触に四代にピンクに染まっていく。指でヴァギナを擦るうちに、女の躰は自分では意識しない動きを開始する。肩をすくませ、腰は指に合わせて淫らに揺れる。喉をめいっぱいに反らせて、眉を妖しく歪ませている妹の表情は、なにかの本で見た、淫乱の女悪魔サキュバスの表情そのままだった。
(俺は由梨絵の中に住む悪魔を呼び出してしまったのかもしれない……でもいいさ、たとえ由梨絵が悪魔でも、こんな経験ができるのなら俺は後悔しない……)ファンタジックな妄想は、和彦の性感をさらに高めるように作用する。自然にペニスをしごく速度も速くなる。

「はあっ……お兄ちゃん、ちゃんと見てる?由梨絵のイヤらしいところ、ちゃんと見てる……?」  

 甘い声で由梨絵が訊く。

「ああ、見てるよ……お前がオ○ンコを自分でいじくってるところを……!」
「はあんっ……イイ!お兄ちゃん、もっとイヤらしいこと言って!」
「言ってやるよ、お前は本当に淫乱な○○○だ!」 「は、はああ……っ!」  

 互いの性器を擦る手が早くなってきた。由梨絵の淫裂からはクチュクチュという音が発生している。和彦のペニスも、すでに前触れのネトッとした液体が洩れ出していた。

「ふうんっ……お兄ちゃん、わたしもうイッちゃう……あああっ、イクぅっ!」  

 先に達したのは由梨絵だった。和彦はすでに今夜めぐみと交わっていたため、発射を遅らせることができたのだ。そんなことは、すっかり忘れてしまっていたが。  
 オルガスムスを迎えたばかりの由梨絵は、さすがに肩で息をしている。汗で濡れた額に、張りつくほつれ毛が色っぽい。しかし、その濡れた指はいまだ花芯をまさぐり、その潤んだ瞳はしっかりと兄の肉茎を凝視していた。  
 やがて我慢に我慢を重ねていた和彦のペニスにも、絶頂の瞬間が訪れようとしていた。

「あああっ……由梨、俺もイク……う、うあああっ!」  

 激しく擦りたてていた指が動きを止めた瞬間、由梨絵が兄に素早く駆け寄り和彦の熱いほとばしりを自らの口に受けとめようとした。第一の噴射は顔面に当たったが、第二第三と続く噴射はしっかりと喉奥に注ぎ込むことができた。

「ああ……っ!」  

 和彦が喘ぐ。由梨絵は兄のスペルマを喉を鳴らして呑みくだすと、やがて満足したように唇を離した。

「はあっ……お兄ちゃんの、おいしい……」  

 感動に浸りきった表情で由梨絵が言う。先ほどとはうって変わった無邪気な顔に愛しさを感じ、優しく髪をなでてやった。  
 しばらく、お互いが呼吸の収まらぬ姿を眺めていたが、やがて由梨絵の方が兄に向かって口を開いた。

「ねえお兄ちゃん、続けていける?なんだか疲れてるみたいだけど……」  

 事実和彦は今夜すでに三度の放出をしており、妹の言うようにかなり疲労していた。しかしセックスのことで妹から馬鹿にされるのは、自尊心が許さなかった。

「大丈夫だよ、すぐやれるさ」  

 和彦は息を抑えて言った。由梨絵は、その言葉にすぐ反応する。

「よかった、嬉しい!じゃあお兄ちゃん、すぐしよ!」  

 そう言って由梨絵は、目の前のすっかりしぼんでしまった兄のペニスを持って、ためらうことなく可愛い唇に含んだ。

「うわわ……っ」  

 フェラチオによる甘美な感覚が和彦の脳天に突き抜ける。たった一度、兄と経験しただけのはずなのに、十八歳の少女はその初体験の相手である兄の想像をはるかに超えて、淫乱な女へと変化しているのだ。
(このまま、由梨絵が経験を積んでいくと、俺なんか相手にしてくれなくなるかも知れないな……)場違いではあるが、的確な和彦の感想だった。  
 やがて由梨絵の巧みな口淫によって、和彦のペニスは再びエレクトした。

「あはっ、勃った勃った!」  

 由梨絵が無邪気に笑う。

「じゃ、やろう!」  

 そう言って由梨絵は兄にキスをする。何度も交わしたディープキスとは違う、唇が少し触れるだけの甘く優しいキスだった。こんなささいな媚が、男を有頂天にさせる。  
 和彦は、そのまま由梨絵を抱きしめベッドに押し倒した。そして入もうとに奪われっぱなしのイニシアチブを取り戻そうと、すぐさま右手をしっかりと潤っている秘裂に這わせた。

「はあんっ、お兄ちゃん……イイっ!」  

 鍵形に折り曲げた指を、和彦は由梨絵の内部に滑り込ませた。この攻撃にはさすがに由梨絵も慌てた。兄の指は由梨絵の膣ないを荒々しく蹂躙する。すでに先ほどのオナニー合戦によって、興奮は最高に高まっていた。由梨絵にしてみれば、すぐにでも兄のこわばりを迎え入れたかったのだが、こんな嬉しい計算違いが起こり、逆に気持ちは昂ぶっていった。

「お兄ちゃん……お兄ちゃん!」  

 由梨絵は兄の体にめいっぱいの力ですがりついた。

「さあ、入れるよ由梨……」  

 主導権を奪い返した和彦は、自身満々で気張りきったペニスを妹の体内にねじ込んだ。

「ふあ……んんっ!」  

 由梨絵は全身を震わせて兄の剛直を受け入れる。二度目のセックスなのに、もう痛みなど微塵も感じなかった。由梨絵の躰は、女としての悦びを得るために大いなる発展を遂げたのだ。  
 兄が腰の躍動を開始した。すぐさま由梨絵は激しく喘ぎ始める。

「ああ……気持ちイイよぉ!」  

 甘く淫らな声が、妹を必死で突く和彦にも効果を与えていた。キューンと、言葉による快感が全身を覆う。その結果和彦の腰はさらに大きくグラインドする。

「くうっ、お兄ちゃん、お兄ちゃん……っ!」  

 由梨絵の声はさらに大きく切なくなる。和彦は別の感動を味わっていた。妹の内部の感触だ。初めての時には夢中で気づかなかったが、和彦のモノを包み込む膣の粘膜は、心地よい収縮を繰り返して和彦自身を絞り上げる。めぐみにもそういう感じがないことはなかったが、いま自分が収まっている性的器官は、めぐみのモノとだいぶ趣が違っていた。

「はああんっ、もっと……お兄ちゃん、もっと奥までぇーっ!」  

 妹の喘ぎを聞きながら、歓喜しつつ和彦は腰を振り続けた。  しかしふと、この妹の容器よりも素晴らしい感触のモノに、いつか出会ったことがあるように思えた。それを思い出せないまま、和彦は行為を続行した。

「はあっ、ふうん……もっと、もっとーっ!」  

 みずみずしい胸を揺らし、自ら進んで腰を振って由梨絵は快楽を求めていた。声はもうまったく抑えることなく吐き出されている。  耐えがたい快感が二人を包み込もうとしていた。肉茎が出たり入ったりするたびに、性器の接合部から淫らな音が発生する。

「ふ、ふうん……はあっ!お兄ちゃん、イッちゃう!」  

 由梨絵が限界の声を上げた。和彦も自らの絶頂点を知り、腰を激しく動かした。  そしてその瞬間、和彦の頭にあった疑問が晴れた。由梨絵より素晴らしいヴァギナの持ち主を、はっきりと思い出したのだ。

「はあ、あああ……っ」
「うああ……っ!」  

 和彦が妹の体内におびただしい量の熱い溶岩を吐き出した。迎える由梨絵も、最後の収縮と共に兄のペニスに歓喜の愛液を浴びせかける。

「はああ……」
「ううっ……」  

 二人は折り重なったまま、荒い息を繰り返していた。薄れゆく意識で和彦は、その素晴らしいヴァギナの持ち主を思い描いていた。めぐみでも、昔の彼女でもない、実の母 留美子のことを……。

ひとこと感想フォーム

BACK     NEXT NIGHT