「相姦の鎖」


第七章  父と娘の新たな鎖


「お前、淡白になったな……」  

 タバコをくゆらせながら、陽一がつぶやく。陽一と留美子は十数年ぶりの夫婦間セックスを交わした後だった。

「……なにを言うの。あなたがわたしを、今までほったらかしにしていたのよ」  

 夫の言葉に、留美子はもう腹も立たない。腹が立つことがあるとすれば、今夜決行するつもりだった和彦との交歓が成し得なかったことだ。

「まあいい……俺は別の部屋で寝る」  

 陽一はそう言うと、そそくさと服を着て寝室を出ていった。  
 残された留美子は、空虚な気分を感じていた。たった今の夫とのセックスは、単に無駄なエネルギーを消費しただけのように思える。そしてそれとは別に、ああいう態度しか取れない夫を、少しだけ哀れに思った。
(あの人はもう、セックスから悦びを得ることができなくなっているのだ。奔放であればあるほど、昂ぶりはやがて無くなっていく。その代わりにわたしは、虐げられていたからこそ、和彦とのつながりに感動できた……)久々に眠るこの夫婦のベッドの上で、留美子は夫を心から哀れむ。しかし次の瞬間、留美子は恐ろしい想像をした。自分と和彦のように、陽一が由梨絵や恵理香と……。  
 さすがにその想像は現実感を帯びていなかった。真面目で清純な(はずの)由梨絵は、父の性の奔放さにある程度距離を置いているし、逆に恵理香も父と同じように奔放であるからこそ、他の男と付き合っているのだ。
(……やめましょう。ありもしないことで悩むのは。そんなこと、あり得るはずかないわ……)留美子はシーツを被り、やがて眠りに落ちていった。  
 それは、予感だったのかもしれない。自分が実の息子 和彦と結ばれた以上、陽一もその可能性がないはずはないのだから。  
 
 明くる日の院長室。陽一は手の中にある辞職届を眺めていた。目の前には辞職届を書いた本人であり、ここ二年の間陽一の性交渉相手であった小坂めぐみが立っている。

「そうか……看護婦の間の噂は冗談ではなかったんだな」  

 辞職届は、常識にのっとった極々一般的な文面だった。

「しかし、まあ私が言うことではないかも知れないが、君が結婚なんかで実家に帰るなんて言い出すとは思わなかったよ」  

 陽一が、ほんの少し皮肉をこめて言う。陽一にしてみればめぐみの若く豊満な肉体を半永久的に手元に置いておけると思っていた。
(おいおい、今さらなにを考えているんだ。女なんて、俺には掃いて捨てるほどいたはずなのにな……)知らず知らずにそう思いこもうとしている。がしかし、めぐみによってもたらされた二十代の肉体の感触が、陽一にとってのセックスの常識になっていたのだ。

「残っては、くれないか?」  

 心が自然に発した言葉かもしれない。めぐみはそんな陽一の気持ちを察して、優しく微笑んだ。

「ええ。心は決まっていますから。でも、最後にそう言っていただけたことは嬉しいですわ……では、失礼します」  

 めぐみが深く礼をして部屋を出て行こうとした。

「あ、小坂くん……」
「まだ、なにか」
「いや、大したことじゃない。これを受け取った以上、君をもう引き留めることはしないよ。ただ、ひとつだけ聞きたいことがあるんだ」
「……?」
「……君には、好きな人がいただろう?君を最近抱いている時、躰がそう言ってたよ」  

 めぐみは陽一の言葉に表情を少し動かしたが、すぐに普段の顔に戻った。

「……いました。でも、もういいんです」  

 めぐみは力強く言った。陽一は、その表情に一点の曇りがないことに安心する。

「そうか。いや、悪かった」
「では……」
「あ、もうひとつ……今まで、ありがとう」
「はい。では、失礼します」  

 めぐみは再び礼をして、院長室を出ていった。  
 伊勢内病院を後にしためぐみは、三年間勤めた建物を振り返って眺めた。
(私みたいに乱れた女が、あなたをほんとに好きになったなんて言ったら、笑われちゃうわね。和彦さん……)めぐみはがらにもなく甘酸っぱい気持ちを胸にしまって、郷里への道を歩み始めた。  

 同じ日の伊勢内家のリビング。そこには、自分で入れたコーヒーを味わいながらテレビを眺める和彦がいた。

「ねえ、お兄ちゃん」  

 和彦が振り返ると、後ろに恵理香がいた。

「なんだ、恵理香?」
「由梨絵姉さんの味、どうだったの?」  

 突然の恵理香の言葉に、和彦は飲んでいたコーヒーを吹き出した。

「な、なんのことだよ……!」  

 慌てて和彦が取り繕う。恵理子は悪戯っぽく笑っている。

「隠しても知ってるのよ。昨日の夜に由梨絵姉さんとセックスしてたでしょ?姉さんがあんなに大きな声を出すんだもの。向かいのわたしの部屋にまで聞こえたんだから」  

 恵理香のあっけらかんとした口調で語られると、和彦は実妹との秘めやかな行為さえ恥ずかしさを感じさせなかった。

「そんなに、聞こえてたか……?」  

 冗談混じりに聞き返す。

「聞こえたなんてもんじゃないよぉ!『お兄ちゃんっ』とか『もっと奥までぇーっ』とか……とにかくうるさかったんだから」  

 和彦も恵理香の年上好みの悪癖を知っている。また現在もいわくありげな四十男と付き合っていることも由梨絵から聞いている。恐らくセックスの経験は和彦を大きく凌ぐだろう。妹といえども、そんなセックスの先輩である恵理香の言葉には邪心が感じられなかった。

「あっ、それから昨日はママもお兄ちゃんの部屋に行こうとしてたよ」
「本当か!?」  

 和彦が恵理香ににじり寄って聞く。

「うん、ほんと。運悪くパパに見つかっちゃったけど……あの様子じゃお兄ちゃん、お姉ちゃんだけじゃなくてママともしちゃったんでしょ?」  

 悪戯心たっぷりの表情で、また恵理香が言う。

「……おそらく、そうなんだろうな」 「いいな、お兄ちゃんモテモテ!許されない近親相姦の道を驀進する男、伊勢内和彦!」  

 恵理香は多分に冗談を含んで言葉を発したが、和彦はその言葉を本気で受け取っていた。

「やっぱり、恵理香から見てもおかしいか……そうだよな、考えてみれば俺たちは畜生以上のことやってるんだからな」  

 真剣な顔で和彦が悩み始めた。真面目に思考する兄を眺めていた恵理香は、一つ大きなため息をついた。

「……なんだなんだ。もうやってしまったんでしょ?それなら、最後までやっちゃえばいいのよ。近親相姦が何よ!わたしだって……」

 恵理香は言葉を詰まらせた。和彦はその様子に、自分の運命を喜んだ。恵理香もまた、母や由梨絵のように、和彦を愛しているようなそぶりを見せているからだ。

「恵理香、お前も俺のことが好きなのか……?」  

 和彦のささやきに、恵理香は突然笑い始めた。

「あははっ!なーにうぬぼれてるの。わたしはお兄ちゃんみたいな何も知らない若造は好みじゃないの!」  

 そう言って恵理香は、笑いながらリビングを出ていった。あの口ぶりでは、本当に和彦を愛しているのではないらしい。

「じゃあ、恵理香の好きな相手って……」  

 和彦は、その相手が一人しかいないことに気がついた。  

 深夜の伊勢内病院院長室。陽一は今日1日の仕事を全て終え、一人机で物思いにふけっていた。
(めぐみは、いい女だった。俺のわがままに文句一つ言わなかった……)陽一はめぐみとの不倫の日々を思い出していた。しかししばらくして、その過去の思い出を振り払った。

「……もう、潮時かも知れんな。俺も五十を過ぎ、体力も衰えてきた。ここ二年、めぐみだけを相手にしていたんじゃない、めぐみ以外の女を相手にできなかっただけなんだ。これを機会に、留美子をまたいたわってやるのもいいかも知れん」  

 めぐみが去ったことで、陽一は妻への愛情を再確認しようとしていた。しかし、運命を司る悪魔は、この男の考えなど関係なくルーレットを回転させていく。

「パパ、いるんでしょ……パパ?」  

 ドアの向こうで声がする。恵理香の声だ。

「どうした、こんな夜中に。用があるのなら……」  

 陽一の言葉が終わらぬうちに、恵理香が力ない様子でドアを開けて入ってきた。

「パパ……なんだか……」
「どうした恵理香、どこか具合が悪いのか!?」  

 陽一が言う。外から引き取ってきた子供だけに、陽一は恵理香を他の子供以上に可愛がった。そんな娘が、ひどく具合悪そうにしている。心配しないはずはない。

「うん……ちょっと呼吸が苦しくて、躰中が熱いの……」  

 娘の言葉に、陽一は心揺れる。頭の中で様々な病名が羅列される。

「呼吸が苦しい……恵理香、しっかりするんだ!」  

 父の慌てぶりを見て、恵理香は内心笑っていた。自分自身どこも痛くないし、呼吸が苦しいなんてウソだ。なのにプロであるはずの父親がこんなにも取り乱しているのだ。  
 恵理香が父親である陽一に愛情を抱いたのは、すでに初対面の時だった。実母である料亭の仲居と共に、あるホテルへ出かけそこで現在の母である留美子に引き渡された。そのまま恵理香は伊勢内の屋敷に連れて行かれた。それまでの小さなマンション住まいから、突然大金持ちの生活に投げ込まれたのだ。屋敷に着いていろいろ見まわっていると、その大屋敷にふさわしい威厳を持った中年男が現れた。それが陽一だったのだ。  
 恵理香は初めから、陽一を実の父親と認識して愛したのだ。その後の中年嗜好は、恵理香の中にある父親への愛情の代替手段だったのだ。

「恵理香、明日になれば専門の医者が来るが、それまで我慢できるか?駄目なら、他の救急病院にでも……」
「……パパに、診てもらいたいの。診察室に、連れてって……」  

 絶え絶えな声で恵理香が言う。陽一は娘のあまりにも苦しげな表情を見て、すぐに診療室へ娘を抱きかかえて走った。あそこになら、急場しのぎの鎮痛剤がある。  
 内科の診察室に着いた陽一は、恵理香を優しく診察台に乗せた。

「恵理香、まだ痛むか?」
「うん。胸が特に……パパ、服脱ぐから、診て……」  

 荒い息をつきながら恵理香が言う。陽一は娘の提案に戸惑っていたが、恵理香はかまわず上着を脱いでいく。

「お、おい……そんなに脱がなくても」  

 陽一は、次第に現れてゆく若々しい肉体を直視できずにいた。

「うそ。内疾患の診察は、触診からするはずでしょ……?」  

 そう言った時には、もう恵理香はブラひとつの姿になっていた。そして、それもすぐに取り去ってしまう。ついに、父親の前に若々しい乳房を晒した。

「さあパパ、お願い……」  

 そう恵理香はつぶやいて、再び診察台に横たわる。陽一は、仕方なく娘の裸に相対した。  
 そこには、今までに見たことのないみずみずしい裸体が存在していた。ほんのりピンク色に上気した白い肌、めぐみや留美子ほど大きくないが美しく張った乳房、そしてその頂上に息づく薄桃色の乳首……。陽一の数多い女性経験の中でも、その美しさは比類ないものだった。

「パパ、どうしたの?はやく診て……」  

 娘の言葉に、陽一は我に返った。
(いかんいかん、なんで実の娘に欲情しなければならないんだ……)陽一は慌てて頭に浮かんだ淫らな妄想を振り払う。そして小さく息を吐くと、医師としての態度を持って娘の胸部に手を伸ばした。  
 その瞬間陽一の手のひらに、あまりにも素晴らしい感触が感じられた。柔らかく温かい実娘の乳房だった。その時にはもうすでに、医師としての態度は吹き飛んでいた。ただ胸部にしこりや異常な熱がないか調べればいいのだ。しかし一度頭に浮かんだ妄想は、父としての常識を持ってしても振り払うことができなかった。だから触診が終わり異常がないことが分かっても、陽一は恵理香のバストから手を離すことはなかった。

「ねえ、なにか分かった……?」
「……いや、もう少し触ってみないと分からんな」  

 そう言って父親は娘の胸を触り続ける。この子恵理香は、間違いなく昔関係を持った料理屋仲居の娘で、陽一の実の娘だ。その女と別れた後で、人知れず恵理香を生んでいることを知った。それが分かった時、留美子が伊勢内家に引き取ることを決断した。  
 その時姿をあらわした十四歳の恵理香を見た時、陽一は彼らしくない感慨を覚えた。それから母の面影をなんとなく残した美人に成長していた恵理香を眺めるたび、陽一は父としての愛情を感じていた。しかし今、目前の裸体を見てしまった陽一は、父親としてではなく男としてこの少女の躰を慈しんでいた。

「ふっ、うう……」  

 突然恵理香が悶える。父からの胸への愛撫がいつしかかなり強いものとなっていたのだ。この喘ぎには妄想に入っていた陽一も再び我を取り戻し、恵理香の胸から手を離した。

「ね、どうだったの……パパ?」  

 喘ぎの延長のような切ない声で恵理香がささやく。

「あ、ああ。別に異常はない、大丈夫だ」  

 乱れた心を隠すように言った。しかしやはり動揺しているのか、声が端々でかすれてしまう。

「そう……おかしいな、悪くないはずなのに」
「何……まだどこか自覚症状があるのか?」  

 陽一は思考の片隅にまだかすかに残っていた医師としての気持ちを持って恵理香に問うた。この娘の質問に答えたことで、五十歳の父親 陽一は十六歳の少女の可憐な罠にかかってしまったのだ。

「だって、わたしの胸はパパのこと想って、こんなにドキドキしてるのに……」
「え……」
「パパにおっぱいを触られて、こんなに躰が熱くなってるのに……」
「お、おい恵理香、お前何を……」
「……ねえパパお願い、わたしを抱いて」
「……っ」  

 次の言葉は出てこなかった。恵理香は診察台から立ち上がると、下半身のジーンズやパンティを脱いでしまい、父の前で全裸になってしまった。陽一にそれを止めることはできたはずだが、娘のオールヌードが現れるまで体のどの部分も動かすことができなかった。

「ねえ……パパ」  

 その美しい裸体がこちらに近づいてくる。それが自分に抱きつくまで陽一はなにもできなかった。唯一体の一部分、股間の男性器官だけが不覚にもしっかりと勃起していった。

「え、恵理香……」
「パパも、めぐみさんと別れたりママとのセックスがうまくいかなかったりして、寂しいはずよ……」

(なぜ恵理香がめぐみのことを……それになぜ留美子とのセックスがうまくいかなかったことを知っているんだ……?)娘の言葉に、陽一は回転の鈍った頭を働かせようとした。しかし、有効な回答を必死に導き出そうとしても、自分の体に感じられる十六歳の娘の、いや美しき少女の肢体はその思考を停止させるのに十分なものだった。

「恵理香……」  

 陽一は胸にすがりついている娘の顔を両手で優しく抱くと、その淡いピンクの小さな唇にキスをした。恵理香もすぐに反応し、いつしかそれは濃厚なディープキスとなっていった。  

 診察台の上に、恵理香の美しすぎる裸体が横たわっている。父親も全裸でその少女を見下ろしている。

「キレイだ、恵理香……」  

 陽一は思わずつぶやく。その言葉に恵理香も反応する。恵理香の念願であった父親との交歓が今実現しようとしているのだ。愛する男の賛美の言葉は、恵理香の女性自身を少なからず刺激し、潤いを与えていた。

「パパ、来て……」  

 娘のささやきを受け、陽一は女体に近づく。まずは再び娘の唇に優しくキスをする。さっきのものよりさらに濃く、ぴちゃぴちゃとお互いの舌を激しく舐め合う。そのキスを続行しながら陽一は娘の下腹部に手を下ろしていく。そしてその指が濡れた感触に行きつくと、そのまま迷うことなくそのワレメに指を挿し込んだ。

「ひ、はああ……っ」  

 強烈な感覚に恵理香が口を離して悶える。陽一はその指をさらに深く挿し込み、熱い内部で激しく動かす。

「ふうんっ、はあ、パパ……」
「恵理香、気持ちいいのか……?」
「いい……イイわパパ、もっとして……」  

 娘の同意に、父親はさらに激しく指を動かす。やがてその部分からクチュクチュといういやらしい音が発生してくる。

「ああんっ……パパ」
「恵理香は感じやすいな……じゃあ、これは?」  

 陽一はそう言って体を自然にずり下げると、娘の潤いきった娘の淫裂にいきなり舌を這わせた。

「はあーっ!パパ、それイイ……っ!」  

 陽一はしばらく陰阜の上をなぞったり、小さく熟れたクリトリスを舌先でいたぶったりしていたが、やがて舌を尖らせ、恵理香の体内にその下を侵入させた。恵理香はその攻撃に感じ入り、股間に張りつく父親の頭を押さえつけた。更なる深い快感を味わうためだ。

「はあ……パパ、パパぁ!」  

 甘ったるい声で喘ぐ娘に、陽一の興奮はさらに上昇した。勃起したペニスにさらに血液が流入する。

「パパ……ねえ、して」  

 父親の巧みで念入りな愛撫に、恵理香の躰は昂ぶりきっていた。今まで付き合ってきた中年男の誰よりも執拗で深い愛撫だった。

「ああ、いいとも……」  

 陽一はそう言って股間から顔を離し、力の漲り切った自分の分身を支え持つと、恵理香の潤った秘唇にあてがった。

「じゃあ、入れるよ……恵理香」  

 甘くささやきかけると、躊躇することなく実の娘の体内にペニスを突き立てた。

「はあうーっ!」  

 ついに実現した父とのつながりに、恵理香は感動の声を上げた。膣内に存在している実の父親を、恵理香は感激の気持ちで締め上げる。

「おおっ、恵理香……」  

 娘の攻撃に陽一が喘いだ。しばらくその素晴らしい膣感覚を味わっていたが、やがて陽一は耐え切れなくなったように腰を躍動させ始めた。

「はあ、はあんんっ!」  

 たまらず恵理香が激しく喘ぐ。陽一は容赦なく恵理香の体内を蹂躙した。めぐみよりも、留美子よりも、そして恵理香の母親を含めたどの女よりも、そのヴァギナは狭く柔らく熱い、素晴らしいものだった。

「パパ、ああん……気持ちイイよぉっ!」
「パパも最高だ……ああっ、恵理香!」  

 互いに感激の声を上げながら腰を激しくぶつけ合う。そのぴったりと合わされた性器から、ぱちんぱちんっと音がする。

「ふあっ……はあ、はうんっ!」  

 恵理香は父の突き上げに、腰の回転をもって応える。その巧みな動きから、陽一は恵理香が処女でないことを知った。もちろん恵理香が今まで何人もの男と付き合っていたことは知っていた。それが信じられないことだと陽一は常々思っていたが、今となってはどうでもいいことだった。この瞬間に美しく官能的な娘の肉体を味わっていられるだけで、陽一はこの上なく幸せだった。

「恵理香……もっと深く愛してあげるよ……」  

 陽一はそう言って、恵理香の躰を優しく持ち上げた。

「さあ、自分から四つんばいになってごらん」  

 父の要求に、恵理香は嬉々として応える。父のペニスが躰から抜けると、すぐに躰を回転させて後背位の体勢になる。後ろから眺める娘の美しさに、また陽一は感激する。若々しく伸びた背中のこちら側に、みずみずしく張ったヒップが妖しげに揺らめいている。男を誘ってやまないあまりに淫らな光景だった。

「じゃあ、また入れるよ……」
「待ってパパ、わたしが入れてあげる……」  

 恵理香はそう言うと、少し後ろを向いて陽一のペニスを持つと、そのまま自分の陰部に擦りつけた。江田慎二や他の男たちとの交歓で会得した、中年男を悦ばせるテクニックだ。

「お、おおう……っ!」  

 娘の卑猥な動きに、陽一は歓喜した。経験豊富な陽一でさえ、そんなことを女の方からやってもらったことはなかった。やがて恵理香は自分の表面に擦りつけていた父親のモノを、ゆっくりゆっくりと膣内に押し込んでいった。

「はああ……んっ!」  

 その動きは途中で停止した。恵理香は挿入完了の最後の段階を、父親にやって欲しかったのだ。陽一はその気持ちを察し、思い切り腰を突き入れた。

「はあうんん……っ!」  

 その瞬間、恵理香は喉をのけぞらせて感じた。ずんっという衝撃が走って、全身に電流が駆け抜ける。バックからの挿入は先ほどの正常位より格段に深かった。

「どうだ恵理香、気持ちいいか……?」
「……うんパパ、気持ちイイわ。動いて……ねえパパ、思い切り強く動かしてぇーっ!」  

 恵理香の叫びに、父親は持てる力を出し切って、娘の願い通り思い切り激しく越しを動かし始める。

「はあん……パパ、イイっ!」  

 父の腰のグラインドに、恵理香はこの上なく歓喜する。

「恵理香、パパもいいよ……おおっ!」  

 実の父娘の、お互いの嗚咽が同調し診察室に響き渡る。父は恵理香に喜びを与えるために今までの経験から会得したテクニックを駆使し、娘も幾人もの中年男とのセックスから得た技術を使う。二人とも愛する相手のために、肉体を最高に使用していたのだ。

「はあ、ふうんっ……はあ、パパ、パパぁーっ!」  

 恵理香は腰を陽一の方に押しつけるようにしてさらに深い快感を得ようとする。またその腰を巧みに回転させて父親への快感行使も忘れない。

「う、ううっ……ああっ、恵理香!」  

 五十になり、数え切れぬほどの女と躰を交えた陽一だったが、たかが十六歳の小娘にこの交歓の主導権を奪われている。もうどうでもいい気持ちになった陽一は、たださかった獣のように快感のために腰を振るだけだった。

「ふう、はあ……んっ、パパぁ!」
「うああ……恵理香、恵理香ぁ!」  

 叫びは深夜の病院内にこだまする。誰かがいればすぐに二人の交歓に気が付くだろう。しかし今この瞬間の幸せに身も心も浸りきっている二人には、そんな気がねはまったく必要なかった。  
 恵理香の体内に埋め込まれた父親のモノが、ぐぐっと体積を増す。恵理香の方も躰中に汗し背中を反らせて激しく喘ぎ、花芯から愛液をしとどに溢れ出させていた。こらえにこらえて来たクライマックスが、父娘に訪れようとしていた。

「はあんっ、パパぁ……わたしもうイクっ、イクのっ!」
「パパも……イクぞ……っ」  

 互いの気持ちを確認すると、二人はただただ躰をぶつけ合った。そして父娘の性感がしっかりと一致した瞬間、陽一のペニスから熱いスペルマがほとばしり、また恵理香のヴァギナも父親の怒張に歓喜のエキスを浴びせかけた。

「パパ……んんっ、はああん……っ!」
「恵理香……うああっ!」  

 二人は最後の喘ぎを交わすと、診察台につっぷして抱き合った。そしてどちらからともなく熱く長い接吻をした。  
 夜には、まだ続きがありそうだった。

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