こんな話がある。

ちょっと昔のイギリスにジョンという男がいた。
実際のところロバートでもモショエショエでも構わないのだが、あえてありふれた名前で、ジョン。

ジョンは子供の頃から勉強好きで、一所懸命勉強勉強。
でも、大人になってから挫折を感じてしまった。
勉強できても、出世できない。
社会に出てからというもの、自分が学んだものを生かす場所がない。
仕方がないので食うために肉体労働。だけど、働けど働けどなお我が暮らし以下省略。
しかしえらいもので、ジョンは腐らずに学ぶ事を続けた。支える人がいたのだ。
ジョンには妻がいた。名前はマリー。前述どおり。
2人は幼なじみ。若い頃から互いを知り、互いに好き合い、やがて結婚した。
貧しいながらも、夫は妻を守り妻は夫を支えた。

「すまないな、マリー」
「いいのよジョン」


毎日繰り返される会話。でもそれが、2人にとって幸せだった。

転機は突然訪れる。どうせダメだとあきらめながらも、ずっと登録し続けてた教師斡旋所からの知らせ。
ある貴族さんから、息子への家庭教師にどうか、と。
ジョンは神に、そして両親に感謝した。自分が歩んできた道に間違いはなかった。
ところがである。

「どうしてすぐお受けにならないの?どう考えても素晴らしいお話じゃない」
「実はねマリー。このお話にはただひとつ条件があるんだ。しかし今の僕にはとても」
「条件?」
「向こうのお屋敷はね、格式上下男を連れて行かなければならないんだ」
「まあ」


もちろん2人にそんな余裕などあるはずがない。
素晴らしい仕事、それに伴う報酬。しかし受け入れられない現実。ジョンは何度もため息をつく。
しばらくその様子を心配顔で見ていたマリーが、笑顔になってジョンに言う。

「ねえジョン」
「なんだい、マリー」
「いい考えがあるわ。失敗しても、どうせ元に戻るだけ」
「いい考え?」
「そうよ。私が男装して、下男のふりをしてついて行くの。そうすればお仕事を引き受けることができるわ」
「そんな」
「いいの。だめだったら、それでいいじゃない。あなたがずっとやりたかったお仕事でしょう?」
「マリー」
「ジョン」


ああうるわしき夫婦愛。
小さなベッドで愛を確かめ合った夜が明け、次の日2人は家中のガラクタを全て売り払う。
わずかばかり得たお金で買ったのは、先生用の服と下男用の服1着ずつ。もちろん古着。
マリーはそれを身につけながら、おおげさに低い声で挨拶の練習。
その滑稽さに笑い合うのも、また楽し。

やがて約束の日。2人は緊張の面持ちで貴族さまのお屋敷に向かう。

「まあ先生。よくいらっしゃいました!」

お屋敷に住むご当主、奥さま、ご子息、そして屋敷付の下男は、ジョンとマリー(男装中)を丁重に迎えてくれた。
ノースミッド家ご当主アンガス、奥さまクリス、ご子息オードリン、下男テオ。
ご子息の勉強は週明けからということになり、その夜はお屋敷の4人との顔合わせも兼ねての盛大な晩餐会。
おっそろしいまでに並ぶ豪華な料理。見た事もない輝きの食器。
貧乏な先生夫妻にとって、珍しい料理ばっかり。
ジョンもだけれど、必死に下男を演じているマリーも料理を見回してきょろきょろきょろきょろ。
隠すのもアレだしと、ジョンはご当主に向かって正直に言った。

「あの、私どもはとにかく貧乏しておりまして、このようなご馳走はめったに口にできません」
「はい」
「ことにマリ、下男は見ただけでもうびっくりしてしまいまして、何をどうしたらよいのかさえ分からぬらしく」
「なるほど」
「それできょろきょろとしております。お恥ずかしい限りでございますが」


さすがにマリー、何か言おうとしたけれど。

「お前は黙っていなさい」

と叱りつけるジョン。理由は、なるべく声を出してほしくなかったからだけど。
するとご当主、しきりにうなずきながら。

「先生の只今の言葉、いやしくも息子に学問をさせようとするならば、贅沢は慎まねばという戒めと存じます」
「あ、え、まあ」
「下男のかたに対しても厳しいお躾け。良い先生をお迎えしたと、私ども大変喜んでおります」


結果オーライ。ほっと胸を撫で下ろすジョン。微妙な表情のマリー。
晩餐会は和やかに進み、やがて散会の時間に。
ご当主が奥さま、ご子息と笑顔をかわしたのち、やおら。

「どうですかな先生。今夜は息子と一緒に休むというのは」
「えっ。あ、いや、私は下男と」
「いえいえ、下男のかたは拙宅の下男と一緒に寝ていただくことにいたします」
「は、はあ」
「先生の振舞い全てが素晴らしく、来週からの勉強の時間を待っていられません。いかがですかな?」


ジョンとマリーはご当主の好意を断るわけにもいかず、しかたなく言われたとおりにした。

さて翌朝、まだ寝巻き姿のご子息が、何か大発見でもしたような顔で誰かを探していた。
そして見つけた。廊下の燭台を磨いている下男テオ。

「ねえテオ、聞いて聞いて!」
「おはようございますオードリンさま。なにかあったので?」
「うん!だから聞いて!お父さまにもお母さまにも内緒だよ」
「ええ分かりましたとも」
「あのね、先生は貧乏だとおっしゃったけど、本当によほどの貧乏のようだね」
「ほう」
「昨夜服を脱いでおやすみになるのを見てたけど、服の下は丸裸で何も着ておられず、何も穿いておられなかったんだ」
「なるほど」


テオはご子息のお話を意味ありげに笑いながら聞いていた。

「お坊ちゃま、実は私も」
「ん?どうしたのテオ」
「あ、いや。なんでもございません。さあ、早くご両親におはようのご挨拶を」
「うん!」


元気に駆けていくご子息の後ろ姿を見ながら、テオは笑った。
そして、今のご子息の話を反芻しながら、もっと笑った。





「部屋に湯の準備がしてある。着いたらさっさと風呂に入るんだな」
「えっ」


時計戻って昨日の夜。晩餐会も終わり、屋敷の廊下を歩くのは下男テオと男装中のマリー。

「わた、いや俺は風呂は結構。遠慮しておく」

当然マリーはそう答える。

「せっかくあんたのために湯を沸かしたんだ。それも俺じゃなく奥さまがな」
「ううむ」
「それに、そんな臭い体のままで、一緒に狭い部屋で寝られると困るんだよ」
「え、あ、一緒の、部屋?」
「当たり前だ。さっきの話を聞いていただろう。まさか1人部屋が貰えると思ってたのか?」
「うう」
「言っておくが、先生のお付きだから丁寧に指導してやってるんだ、これでもな。そうでなけりゃわがまま言うたびに殴ってやるところだ」


体の大きいテオは、それが冗談ではないのでは?とマリーに思わせるのに充分だった。
しかし、晩餐会での給仕の仕方といい、仕事のできる男であることは間違いなかった。
他にメイドの姿など見ないところを見ると、屋敷内のことはほとんどこの男がやっているはず。
マリーは殴られるのもいやだし、仕事のできる男に意味なく反抗するのもいやだった。だから黙っていた。

「ほら、ここだ」

テオが扉を開け、指し示した場所。多分ここが下男用の部屋。狭く、暗く、湿っぽい。
ジョンとマリーが住む家も暗く狭いけど、水回りは別の部屋にあるから湿っぽくはない。
だがどうやらこの部屋は、目の前で展開しているとおり、入浴もここで行うらしい。
大きめな木桶にたっぷりの湯。
入浴の機会も少なく、今の季節なら川での水浴びで済ませるマリーにとって、この湯は確かに別世界。
でもだからオールオッケーというわけにはいかない。残念ながらというかやっぱりというか、裸を隠すためのカーテンなんて、ない。

「早く入れ。悲しいことに終わったあと片づけは俺がすることになってるんでな」

マリーの後ろに立って、睨むように見つめるテオ。

「あの、その、見られてると、やっぱり」

わがままだと思われるかもしれないが、やっぱりマリーは言わずにいられなかった。
バレてジョンが仕事を失うのが怖い。それが大きな理由。
まあもちろん、恥ずかしいという気持ちもあるけれど。

「ふん。そんな貧弱な体を見せるのは恥ずかしいわけだな。勝手にしろ、俺はドアの外で待ってるからな」

ありゃ意外。テオはそう告げて、あっさりと部屋の外に出ていった。
ぽつんと暗い部屋に残されたマリー。ふうっ、とひとつため息をついて。
実際のところ、風呂に入らないという選択肢はないらしい。女として「臭い」と何度も言われるのもつらい。
ならば、とマリーは決心。詰めていた髪を解き、重いスーツを脱ぎ、締め付け厳しいカッターシャツを外した。
それ以外は何も身に着けていない。まっぱ。すぐに20代後半のまだまだ若々しい女性の肉体が出現。
早く入浴を済ませて体を拭き、ベッドに隠れてからテオを呼び、早く寝る。それが最善のようだった。

「ふう」

手を桶の中に入れてみた。塩梅のいい湯加減。

「貴族って、毎日ちゃんとお湯を沸かせてもらえるんだあ」

少しだけ、ちゃんと湯浴みしてみたい気持ちも沸いてきた。桶のそばにあったタオルを取って、湯につけて、絞って、体を拭く。
気持ち、いい。ジョンが家庭教師を続けられれば、こんな機会もまたあるのかな?なんて思ったり。
でもそのためには下男テオとも仲良くしておかなければならない。さっきの態度から、単にぶっきらぼうなだけなのかしら?なんて思ったり。
いつの間にか気持ちに余裕が出て、肌を滑る温いタオルの動きも軽やかに。
鼻歌はさすがに自重。用心のために左腕で固く覆っていた乳房にも、タオルを当てて。

「あ。いかんいかん」
「!!!!!」


突然開いたドアと声にマリーは慌てた。慌てたのでドアのほうに背中を向けるのが精一杯。
キャッ!って叫ばなくてよかったと安心するも、やっぱり心臓はドキドキと脈打つ。

「これ以上部屋が湿っぽくなったらかなわん。湯こぼされると困るから今日は俺が洗ってやる。いいな」
「そんな、結構だ」
「うだうだ言うな」


震える声は強い口調の言葉に気おされる。
咄嗟に隠した胸や股間。だから、背後から伸びた手にタオルが奪われるのはすぐ。
絶体絶命のピーンチ!

「まったく、無駄に髪の毛伸ばしやがって。もし仕事に支障をきたした上で、先生から許しが出たならすぐに切ってもらうからな」
「ううう」
「何だこの細い首は。若い頃からけんかなんかした事ないだろう?」
「ううう」
「生っちろい肌もそうだ。全然焼けてないわけじゃないが、これじゃあまるで」
「ううう」
「腰も、変な肉の付きかただな。なんというか、その」
「ううう」
「腰もそうだが、胸のあたりもあれだ、肉が、まるで、ううむ」
「ううう」
「隠してる場所も、手で隠れるくらい小さいのが笑えるが、どちらかというと、まるで、小さいというより」


早くこの混乱が去ってほしい。テオの言葉に生返事で答え続けるマリー。
だから、テオの口調が変わっているのも、肌を撫でるタオルの動きが部分部分で奇妙に緩くなったり強くなったりするのにも、気づかず。

「へええ」
「うんっ、うう」
「ほおお」
「んっ、んん


胸が、下から掬われるように洗われたり。
ふとももと下っ腹のラインを、ことさらゆっくり撫でられたり。
あ。あ。あ。さすがのマリーも、生返事をやめた。気がつけば、背後の男の荒い吐息が、首のすぐ後ろで聞こえる。

「お前、まるで、お」
「!!!!!」


決定打。マリーは混乱最高潮。言葉を最後まで聞いたら、ジョンの破滅は目に見えてた。だから。

「ご、ご、ごめん!」
「お、おいっ!」


マリーは桶のそばから突然立ち上がり、部屋の奥に走る。ぷるぷる揺れる胸も、茂った股間も、隠す余裕なし。
小さな小さな窓際のベッドに、マリーは裸の体を飛び込ませる。全身濡れたままだから、シーツがびしょびしょになってくのを感じつつ。
でもそんなこと気にしてる場合じゃない。息を潜めて、扉に背を向けて、身を固くして、混乱が去るのを待った。

「すまん、な」

謝罪の言葉がまず聞こえる。続いて、部屋のドアが閉まる音。部屋が暗くなるのを、シーツにもぐるマリーも感じる。

「ちょっと調子に乗っちまった。お前がそんなに嫌がるとは思わなかったんだ」

おや?声と足音がゆっくりベッドのほうに近づく。

「まったく、そんなわけがないんだよな。俺もどうかしちまってた」

足音が止まる。狭い部屋だから仕方がない。

「まさか、その、お前が女かもしれんと。そんなのあるわけがない」

そう!そうなの!だからお願い、早く離れて!という感じのマリーの心の中の声。

「お前は、先生のお付の下男。女であるはずがない。そりゃそうだ、女なんてこの屋敷にゃ呼んじゃいないんだ。そうだろ?」

シーツの中で必死にうなずくマリー。もう少ししたら、テオも分かってくれそうだと。

「そう、お前が女のわけがないんだ。そういうことだ」

納得、した?

「よし、そういうことなら」
「!!!!!」


思いも寄らない展開。固いベッドが、ぐにゃりと沈む。テオが、テオがベッドに乗ってきた!

「俺も疲れたから、寝るぜ。お前は女じゃない、男だ。一緒に寝るのもかまわんだろ」
「そ、そんな」


小さく擦れた声。でもテオは構うことなく、シーツの中に、手を、ぐいっと。

「い、やあっ」
「黙ってな。これはそう、スキンシップって奴だ。男同士のな」


潜り込んできた手は、有無も言わさずマリーの体に。どうやら最初の目標地点は。

「ひゃ、あああん!」
「へへへ。まったく、ちゃんと鍛えたほうがいいぜ?胸ってのはな、こうもっと引き締まってるほうがいいんだ」


両手で、ぐいぐいとマリーの胸を揉み始める。引き締まってるほうがいいなどと言いながら、柔らかいマリーの感触をたっぷりと。

「や、やめ、てっ」
「おいおい、女みたいな声で鳴くなよ。まるで俺がヤバイことをしてるみたいじゃねえか」
「ううっ、やめ、ろぉ」


素直にそして一所懸命に男声を作っちゃうマリー。いやいやそれどころじゃないでしょうに。

「ここもそうだが、体もまだまだ濡れてるな。タオル向こうに忘れたんで、シーツで拭くからな。拭いてやるんだ、ありがたく思えよ」

猛烈な力で、急にシーツを剥ぎ取るテオ。
現在の状況。ロウソク1本だけの暗い部屋。狭く固いベッド。その上で震えながら裸体を必死に隠そうとするマリー。見下ろすテオ。

「困ったもんだ。お前は男、なのにな。俺は変態みたいに、ここがこんな風になっちまったぜ」


横目で見上げていたマリーに見えたもの。テオのズボンから弾け出た、暗い部屋でもはっきりと分かるもの。
ありえない。
ジョンのが普通だと思っていたら、それはまさしくありえない。どこに収まってたの?というくらいの。
それがぴくぴくと静かにいなないてる。それを凝視していたら、テオはさっさとズボンとパンツを脱いでしまった。
それはゆらゆら、っていうかブラブラ揺れていたはずなのに、マリーは目を離せなかったわけで。

「どうしたらいいと思う?男のお前なら、気持ちも分かってくれるだろ?」
「わか、らな」


マリーのかすれた声は途中で途切れる。テオがすとんっ、と体を落としてきた。
ベッドの上。下半身露出戦闘準備オッケーの大男と、まっぱの若い女(気持ちだけはまだ男装中)。

「なあに、出したら済む話だ。それにはやっぱり、お前の協力が必要みたいだがな」
「!!!!!」


マリーの返事を待つまでもなく、テオは震えるマリーの白い裸に密着。今度は遠慮せず、手で撫でまくりの上、さらに舌まで。

「あああっ、いやぁ」

亀みたいに体をすくめているマリーにとって、撫でる手や舐める舌はキツ過ぎ。敏感になっちゃってる感じがするから。
そしてもうひとつどうしようもなくマリーを混乱させるもの。お尻のお肉にぴったり当たってる、ビクビクした熱いもの。

「なあ」
「うう、ううっ」
「俺のがヤバイことになってるのは分かるだろ?」
「んんっ、うううう」
「じゃあ聞くが、お前のほうはどうなってるんだ?」


なんて事を聞くんだテオ。
もちろん答えられないマリー。テオはそんなマリーを揉みつつ舐めまくり。と、思ってたら。
ぐいっ!

「いやあああっ」

シーツを奪った時よりもずっとずっと激しく力強く、テオはマリーの体をひっくり返した。
マリーの体は天井のほうを向いた。もちろんマリーだって、慌てて顔と股間を手で覆った。もはや胸はあきらめてる様子。
でも、テオはその露わになった胸はスルー。そりゃあ、どうなってるんだ?って知りたがってた場所に。
またまた遠慮なく、マリーの固く閉ざされてる両脚の膝頭を、ぐ、ぐ、ぐ、ぐいっと。

「やめ、てええっ」
「よおし、もう少しだな。いやがるなよ、男同士だろ?へへへっ」


ことさらに、男だろ?ってテオが強調するから、バレないようにとマリーは必死になるけど、そのぶん恥ずかしさも増す。
まあ、実際のところ、テオがよほどのバカじゃない限り、その、以下略。

「ほおら見えた。さっきも言ったが、手で隠れるようじゃ男として恥ずかしいぜ。それとも金に困って売っちまったか?」
「うううう、うっ」
「しかし手が邪魔だな。俺のと比べられないじゃないか。まあ、別の方法で調べるとするか」
「う、う、ううっ、ん、ひいいいいいいっ!」


舌で。
マリーの股間は左の手のひらでやっと隠れている。その手のひらに隠れきれてない肉の部分を、テオの舌は舐め辿る。毛含む。

「やあっ、やめて、やめ、やめ、ろぉっ、んくっ、んうんっ!」

演技用の低い声の出し方も忘れ、マリーは地声を暗い部屋に響かせ始める。それでもまだまだ、テオは舐める。

「お願い、だから、やめっ、やめっ、ろぉっ」

マリーのささやかな反撃。顔を隠していた右手を、テオの頭に振り下ろす。ぽかぽか、ぽかぽか。
残念ながら、まるで効かない。それならばとマリーが、ぼやけ始めた頭で選択した方法。
ああ、よりにもよって両手でぽかぽか、ぽかぽか。そうなると当然、テオは。

「あひいいんっ!や、やあっ、あく、あうううっ、ひ、あ、あああんっ!」

烈火のごとく?馬車馬のように?とにかく激しい勢いでマリーの股間周辺を舐めしゃぶるテオ。
じょりじょりをごそごそされたり。
びらびらをれろれろされたり。
ぐちゅぐちゅをずぶずぶされたり。
ある場所は何を意図してか、特に念入りに。そう、あの小さなお豆。何度も何度も、強く強く吸い付かせるようにしながら。

「あひいいいっ、いいんっ、あう、はう、ううう、うっ、は、あ、あっ、あっ、あっ」

テオは下半身攻撃時間はえらい長く。
口のまわりびしょびしょで久々に顔を上げた時には、マリーもテオの頭を叩くどころではなくて、ただただ荒い息を吐くのみ。

「ふうむ、今入念に調べてみたんだが、やはり男として恥ずかしいな。この小ささじゃ」
「はひ、いいいいんっ!」


指先でぴんっ、と弾いたのはさっき舐められすぎて赤く突起してたお豆。
あーあ、マリーはその瞬間、ちょっとだけ、イった。

「まあいい。俺がこれからたっぷり、これで教え込んでやるからな」
「んっ、ふうんっ、んんんんっ


テオがガチガチになったものを持ちながら腰を入れてくる。でももうマリーにはどうする事もできない。そんな様子を見てテオはニヤリと笑う。
力の抜けた両脚をゆっくりと開き、暗い部屋でもわずかな光に輝く股間を眺める。輝いてるのは唾液だけのせい?

「俺のこれをしばらく擦り合わせてりゃ、お前のも大きくなるかもしれないからな。いくぜ」

意味不明な理屈をこねてすぐ、テオは自分のものをマリーの股間にあてがう。

「そりゃ」
「んんんんふうううううっ!」
「おっと、困ったな。どこかの穴に入っちまった。尻の穴だったらすまんな」


すまんなといいつつ、テオは腰を前後に動かし始める。

「やっ、やあっ、あ、はひ、あひっ!んんっ、んふふううっん!」

こうなるとマリーになすすべなし。ベッドの上で、逞しい男に貫かれる、哀れな女。

「おおお、きついな。まあこの穴でも、俺の大きさは分かるだろう。やはり男は大きさだからな」
「んくうっ、んんんっ!ひっ、ひっ、ひいんっ!もう、もうっ、やめ、てええんっ!」
「いいややめないね。お前が男としての大きさや逞しさが実感できるまでな」


そう言ってテオは、マリーの中からものを抜いた。

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあんっ」

一瞬だけ、どうにかしようと思ったマリー。またがつがつ突かれるのを恐れて、その体を裏返し、壁際に逃げようと。
まあ、テオはそれを待ってたわけで。ずるずると芋虫のようにシーツの上を進むマリーを、しばらく見下ろし、そして。

「んうっ、やあ、もおっ」

テオはマリーの力ない声など無視して、そのもぞもそと動く尻を両手でがっちりと抱えた。
そして、そのまま。ずぶりと。

「ううむ、また穴に入ってしまったな。まあいい、がんばってお前に分かってもらえるようにしよう」
「はあっ、ああんっ、いや、いやああっ、もう、もうっ!」


今度は安い演技するつもりもなく、テオはマリーの中に鋭く突き込み続ける。尻を引きつけられるから、深さはどんどん深く。

「どうだ?少しは大きくなったかお前のものは」
「あひ、いいいんんんんっ!」


手を差し入れて、マリーのお豆を指先で強くつまむテオ。
したかないことだけど、マリーはまたイッた。どうやら弱点。ちなみにジョンはそれを知らない。

「さっきよりは少し大きくなったようだが、まだ足りないな」
「ひあっ!あんっ、はあああんっ!もおっ、いや、なのぉっ、ひん、ひいっ、いいいいんっ!」


引き続きお豆をくにくにと弄られながら、ずんずんと突かれる。みっともない犬のようなかっこうで。

「もう少し深さが必要か?よし、じゃあこうして」
「ひいいんっ、あひっ!」


テオがマリーのお尻を持ったまま、急に体重を後ろに倒した。
ずうううーん、と自分の体重でテオのものの大きさ、太さ、熱さが分かる。男の上に乗らされちゃった、マリー。

「よおし、分かってもらうために、少し激しく動くからな。いいか?勘違いするな、お前のためだからな」
「ぐうううう、うはあああんっ!はひ、はふ、あふうううんっ!」
「どうだ、どうだ?これが男の大きさだぞ」
「ううんっ、はあっ、はっ、はっ、はっ、はあっ、あんっ、あはあっ!」
「まだ分からんようだな。もっと突いてやるか」


マリーの腰を持ち、おもちゃのように上に持ち上げては、ハンマーのような強さで引きつける。
ゆっさゆっさと揺り動かされ、体の一番奥を熱く逞しいもので突き上げられる。
ジョンとの愛の営みでは届かなかった場所まで遠慮なく届く。感じた事のない感じが感じられる。あれ?
ともかくも、お豆をいじられてもいないのに、どんどんどんどんイキそうになってく。
ぼよんぼよん、胸がが揺れたり。じゅぶじゅぶ、音が聞こえたり。声もがまんできなくなってあんあん悶えたり。

「どうだ、すごいだろう?奥まで届いてるだろう俺のが」

耐えたり、否定するのはもう無理。マリーは、素直になった。

「おお、きいっ、すごい、のぉっ」
「そうだろ?俺のは他の男なんかより大きいはずだ」
「うんっ、うんっ、おおきい、すご、いいいいっ!」
「本当か?お前の旦那より大きいか?」
「うう、うんっ!ジョ、ジョンのより、すごく、おおき、い、のおっん!」
「旦那より大きくて気持ちいいのか?俺のは」
「い、いいっ!気持ち、いいのっ!ジョンのより、ずっとい、いいいい、のおっ!」


何か大事な事を叫んだ気もするけど、もうマリーにはどうでもよかった。
張っていた気を解放して、今はとにかく気持ちよくなりたかった。
テオに動かされるだけじゃなくて、自分でも腰を揺らめかせた。

「いいぞ、その調子だ。俺のをそうやって存分に味わえ」
「い、い、いいわっ!もっと、もっと大きいのっ、はげし、くうううっ、つよ、くううううんんんっ!」
「いいのか、旦那のじゃない俺のがそんなにいいのか?」
「いいっ、いいっ、いいっ、いいのぉんっ!ジョンのより、すご、くうううっ、いいひいいいいいっ!」
「そうか、俺もいいぞ。おおおうっ、いくぞ、淫乱女!」
「あは、んんんっ!来て、きてえんんんっ!いっぱい、いっぱい、奥にほしいのぉっ!」


仕立ての良くない固いベッドが、ぎしぎしと軋む。耐える事のなくなった声は甘く高く響き渡る。
まあでも屋敷の中で、この部屋とまるで反対側にあるジョンの部屋には、若妻の裏切りの喘ぎは届かないだろうし。

「おおおうっ。いくぞ、いくぞっ、お前の中にたっぷり出してやるぞ!」
「あひい、いいんっ!き、きて、きてっ!いっぱいいっぱいほしいっ!あひいい、いいいいっ、来る、来る、くるううううううううっ!」


経験した事のない感覚。充実感。征服されたからこそ味わえる、女の悦び。
熱い奔流が子宮を叩くのを感じつつ。気が遠くなっていくわずかな刹那、マリーはジョンの事を思い出した。
バレちゃった事もね。
でも。
気持ちいいから、どうでもよかった。

「じゃあ先生、来週からお願いします」
「お願いしまーす!」


御当主、奥さま、ご子息が、わざわざ屋敷の外まで出て着てジョンを見送ってくれてる。

「ああ、こちらこそ今後ともよろしくお願いします。ところで」

ジョンは一番聞きたい事を聞いた。

「うちのマ、いや、下男はどこに?」
「ああ、どうやらうちの下男に気に入られたようで。付きっきりで指導したいと」
「はあ」
「ご本人も乗り気なようで、今朝早く私たちにご挨拶をなさいましたよ」
「そう、ですか」


それでは、とジョンはお礼をしつつ屋敷を出た。心の中で、今日明日は食事どうしよう?とか考えてたりする。
一度、屋敷のほうを振り返ってみた。

「あ、マリーだ」


屋敷の端の小さい窓。そこから、マリーがちょこんと顔を出していた。ジョンを見つけて、にこりと微笑む。

「よし、僕ももっとがんばろう」

マリーが見える小さな窓に手を振って、ジョンは意気揚々と駅に向かう道を歩き始めた。

「仲のいい夫婦だな。おっと、先生様と下男だったな。失礼失礼」
「むふ、ふむ、はふうううっん」
「まあどうでもいい。幸せやら、仕事やら、その他の事を失くしたくなけりゃ、俺の言うことをきいてるんだ」
「むふうう、んんふ、ちゅっ、んふー、んふふふふっ」
「いい子だ。さあ、また出すぞ。顔をこっちに向けろ、たっぷり熱いのぶっかけてやる」
「んんふううっ、んはあっ!ああんっ、いっぱい、出してぇ。熱いのでいっぱいいっぱい、マリーの顔、汚してぇんっ!」
「おおおおっ、う、う、うっ、出る!」
「あ、は、ああああああああああんんっ!熱いの、あついのぉ、いっぱいい、んっ!ジョンのより、ずっと、ずっとぉ!」


びゅっびゅっと顔に浴びせられるオスの液体。どうしようもなく女に部分をときめかせる、匂い。
舌でゆっくり味わうように舐め取りながら、潤んだ瞳で見上げると、テオはニヤリと笑って。

「またしてほしいのか?いいぞ、お前は勉強熱心で俺も教え甲斐があるよ」

何も答えず。ただ淫らに微笑んで。尻をくねくね振りながらテオのほうに向ける。そうしてる自分が、好き。


ジョン。好きよ。お仕事、がんばってね。愛してるから。
でも、これはこっちのほうが好きなの。だって気持ちいいんだもの。ごめんね。

参考/「大富豪ゲーム」監修船戸英夫・発行実業之日本社・発行昭和58年6月10日


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